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1959-11-25 第33回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十五日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 島口重次郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       三池  信君    村瀬 宣親君       山田 彌一君    菊川 君子君       杉山元治郎君    館  俊三君       山田 長司君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     梶本 保邦君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十一月十八日  大隈半島波見港の修築に関する請願二階堂進  君紹介)(第四一二号)  内之浦町に鹿児島海上保安部分室設置に関する  請願二階堂進紹介)(第四一三号)  東北本線古河、間々田両駅間に野木駅設置に関  する請願山口好一紹介)(第四一五号)  日豊本線都城駅に気動車本設置に関する請願  (瀬戸山三男紹介)(第四一六号)  鹿児島本線西鹿児島上伊集院両駅間に簡易停  車場設置に関する請願宇田國榮紹介)(第  四九一号)  同(池田清志紹介)(第五八〇号)  飯山線改善に関する請願塚田十一郎紹介)  (第四九二号)  北陸本線複線電化工事促進に関する請願(益  谷秀次君外十三名紹介)(第四九三号)  北陸に国鉄工事担当機関設置に関する請願(益  谷秀次君外十三名紹介)(第四九四号)  智頭線調査線編入に関する請願足鹿覺君紹  介)(第五三五号)  鹿児島海上保安部航空機配置に関する請願(  池田清志紹介)(第五七九号) 同月二十四日  智頭線調査線編入に関する請願赤澤正道君  紹介)(第六三八号)  北海道における気象観測施設整備強化に関す  る請願田中正巳紹介)(第六三九号)  石灰石輸送用貨車割当に関する請願荒舩清  十郎君紹介)(第七二八号)  海難対策強化に関する請願愛知揆一君紹介)  (第八四〇号)  信越本線の電化及び改良促進に関する請願(小  川平二君紹介)(第八四一号)  長野陸運事務所庁舎建築促進に関する請願(  小川平二紹介)(第八四二号)  国鉄長野工場拡充強化に関する請願小川平  二君紹介)(第八四三号)  宇都宮鉄道監理局設置に関する請願(船田中君  紹介)(第八四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道の経営に関する件  小型船舶に対する無線通信施設整備に関する  件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、特に自動車問題について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 業務部長お尋ねをするのですが、以前に京都取り締まり状況について資料の提出をしてもらいまして、その後どうなっているかというふうなことをお尋ねしておいたままになっておるのでありますが、白ナンバー取り締まりにつきましては遺憾な点が多いのでありまして、東京等におきましては非常に厳重にやっておるようでありますが、その反面京都あるいは兵庫等につきましては、警察がせっかく努力をいたしましても、行政処分をどうしてもやらない、知事が判を押さないというような状態で困っておるということを聞いたのでありますが、最近私が聞きましたところによりますれば、兵庫県ではどうしてもこれはやらなければならぬということに踏み切って、六十二件ばかり行政処分に捺印して行政処分をやることに決定した、こういうふうに聞いておるのでありますが、京都のその後の運び方はどの程度でありますか、承っておきたいと思います。
  4. 梶本保邦

    梶本説明員 ただいまの先生お話でございますが、先般の当委員会におきましてやはり京都、横須賀の問題についての先生からの御発言がございました。國友局長から資料を提出いたしまして、お答え申し上げたのでございますが、京都につきましては、その後再び大阪陸運局長京都府知事に会いまして、そうして白タクの問題についての運輸省方針というものを説明いたしまして、取り締まり強化にぜひ踏み切っていただきたいというふうな話をいたしておる段階でございます。京都府知事の方からはその取り締まりについての法的な見解についでの書面がこちらに参っておりますので、それについての返事をただいま準備いたしておる段階でございます。  それから神戸の方は、ただいまお話のように、いろいろ県知事との間にこの問題についての見解統一をはかっておったのでありますが、ようやく知事の方が六十二名の者について——その六十二名は共済組合組合員出資をしていない者は除かれたようでございますが、出資をしておる者六十二名について行政処分をするということで、知事の決裁がおりております。従って兵庫県の方はいろいろ今まで問題があったのでございますが、行政処分に踏み切った、こういう段階でございます。  以上でございます。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 今のお話で、京都知事から、いろいろ解釈その他についての問い合わせがあった、それに回答を準備中というのでありまするが、その問い合わせはいつきたのでありますか。これはきのうきたので、きょうまだ回答ができていないというなら何ですが、すでに一週間もというのは、これらの解釈というふうなことは運輸省内では統一ができておるはずなんですから、さっそく回答ができるはずでありますが、その回答はいつごろ出るのですか。また、その回答については、運輸省内でも意見統一ができておるのかどうですか。またその回答をやらなければ向こうではやらぬということになれば、またおくれるのですが、そういう取り締まり見通しはどうなりますか。その問い合わせがきた日時、それから回答に対する省内の意見統一というふうなこと、なおそれがいってから取り締まるというふうなことになりますか、どういうふうな見通しになりますか。
  6. 梶本保邦

    梶本説明員 第一回の京都府知事からの照会は八月二十二日付をもって参っております。それに対しまして、十月三日付で自動車局長から京都府知事回答を出しました。この回答を出すにつきましては、運輸省独自の見解だけというよりも、やはり取り締まりを直接やっていただく警察当局見解、あるいはこれが将来法的訴訟に発展いたしました場合のことを考えまして、法務省との打ち合わせ、こういったものをいたしまして、そして見解統一した返事京都府知事に出したわけです。ところがそれに対してなおかつ京都府知事の方から、またいろいろの点について再び照会を出してこられたわけでございます。それは十月二十三日に京都府知事からきております。その中に、たとえば聴聞というのはあらかじめ期日及び場所を指定して行なわなければならぬが、そのあらかじめというのは時間的に何を基準にしてきめるのだというふうな非常にこまかい、まあ答える方からすれば、その辺のことは大体健全な常識で考えていただければいいんじゃないかと思うような点まで、あらかじめとは何を時間的基準にしていうのかというふうな質問がなされておりますので、その返事をやはり法的に書きますためには、警察庁あるいは法務省とも打ち合わせをいたしまして、そして十分見解統一しておかなければいけないというので、ただいま警察庁法務省の方と意見を取りまとめておりますが、一両日中にこれはまとまる段階になっております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 それではその回答が出てきた後に京都の方ではやるということで、京都府知事はこの取り締まりに対して非常に非協力であり消極的であるというふうに私たちには受け取られる節もあるわけであります。これはもちろんその回答がいった後になりますが、回答を出して後でも向こうが積極的にやらないということになった場合に、運輸省としては、ぜひそういうふうにやってもらいたいということを頼むだけしかできないような立場にあるのか。あるいはこれは違法行為であるのだからやらなければならぬというふうなことで、これを向うに押しつけるだけの権限があるのかないのか、そこらのところが法律的にどうなるか知りませんが、実際の運用の面ではどうなりますか、その辺を伺っておきたいと思います。
  8. 梶本保邦

    梶本説明員 そういうふうな事態が起きました場合は、運輸省としては最後の断を知事に対して下すべきだと私は考えております。もう白タク取り締まりということは、大臣がしばしば言明しておられます通り運輸省根本方針でございますので、この方針は断固として貫いていきたいと考えております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 それに対しましては強制力がありますか。
  10. 梶本保邦

    梶本説明員 もちろんございます。地方自治法の百四十六条という条文がございますが、これは読むことは省略さしていただきますけれども、国の機関としての長に対する職務執行命令を出し得ることになっておりますから、この条文によって取り締まりをやるように命令をいたしたいと考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 京都状態を見ておりますと、いかにもやりたくないという気持から、運輸省に対していろいろなことの問い合わせ等がきておるというふうに私たち受け取れてなりませんので、こういう場合はそういうふうに地方自治法の百四十六条でやれるということなら、この際他の地域においてはどんどん取り締まりをやっているのですから、それと歩調を合わす意味におきまして早くその職務執行命令を出していただきたいと思いまして、その点を私は要望いたしておきます。  次に、新聞を見ますと大臣は、十二月一日にやりたいんだがおくれるかもしれぬ、おくれても二日までにはやるというふうなことで、個人タクシーに対する免許をやるということでありますが、これは今審査をしたところで大体どの程度のものに許可をすることになりそうな見通しですか。その点、発表後でなければならぬというのならしいてお尋ねするつもりはありませんが、十二月一日ころにはやるのかどうか。それと台数はどのくらいやるのか、その点を伺ってみたいと思います。
  12. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今のお尋ねの点でありますが、十二月一日を目安として免許を与える作業が大体見通しがつきましたので、これは白タクの問題を取り締まるについてどうしても個人タクシーを早く免許してそこにバック・ボーンを作って、違法なものは取り締まるという態勢にしなければならぬ。警視庁からもしばしばそういうふうな要請等もありまして、どうもその点がタイミングからいきましてもそういうことをする必要があると思ってきのう発表したのでありまして、台数等につきましては、審査内容等によってきまることでありますので、どれだけ適格者があるか現在のところではちょっと言明できないと思います。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 個人タクシー免許になるという、これは大臣方針でありますので、大臣がきめられた以上そう進まれると思いますが、これは時期的に見ますと、これから繁忙期になりますのでいいと思いますが、個人タクシーをそういうふうにやられるのと、一方既存業者に対する割当というものが大体見当がつくのだろうと思いますが、これも見当をつけて、それを全部割り当てろというふうなのでもないのでありますが、年末の繁忙期に備えて私は既存業者等にもこれはやるべきものだと思う。自動車運送協議会で二千八百両の増車を決定したということは、それだけ必要があるからということでやったのでありますので、なるべく早くやらなければならぬ。ことに大阪のように、一応許可をした、すぐまた引き続いてやらなければならぬというので、東京あたりでもおそらくそういうことになると思いますが、そういうふうにみんなが要望して、まだ不便なのだからふやすんだということになれば、既存業者あたり割当というものは、これはすぐにでもできますので、年末繁忙期等に備えてやるべきだと思いますし、以前に國友局長は、そういうふうにやらざるを得ないと思いますという話でありますが、これに対してどうなりますか、大臣の御回答をいただきたいと思います。
  14. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 その問題はいろいろな諸般の情勢等を考えてきめたいと思っていますが、ちょっとここで言明を避けたいと思います。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 それに対しましては、私は年末の繁忙期を切り抜けるために、ぜひとも早くやっていただきたい、こういうふうに要望をいたします。これは世論でありますので、要望いたしたいと思います。  それから先般も言うておったのでありまするが、東海道のあの路線トラックであります。これあたりも、その後すぐやるというふうなことを大臣ちょっと言われたことがありましたが、その後まだはかどっておらないようであります。これあたりは早くやって、そしてまた一方では違反をやっているようなものの取り締まりをすべきだ、こういうふうに考えますが、これはその後経過がどういうふうになっていますか、これも伺っておきたいと思います。
  16. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 この前、委員会後、私、関係局長たちを呼びまして、關谷さんがおっしゃいましたような、つまり年末等を控えて早くそういう問題を片づけなければいかぬというわけで鞭撻いたしておりまして、これは早晩——年内はもちろん、もっと早くやるようにやっていますから、どうぞ一つ……。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 そこで、これも至急にやっていただきたいと思います。  それから、これは事務的な問題でありますが、一つこれは大臣にぜひ伺っておきたいと思うのであります。このタクシーというふうな事業でありまするが、取り締まりもやり、いろいろやっておりますし、最近公益事業というふうなことで非常に浮かび上がってきておるのでありますが、運輸省輸送指導といいますか——輸送統制という言葉は適当でありませんが、輸送指導ということになりますか、私、最近世田谷の方へ行って車を拾おうと思って非常に長らく待たされた経験があるのであります。中央部へ車が寄ってしまって、そしてへんぴの方では非常に不足をしておるというふうなことで、全般的に何か運輸省あたり指導をして、どの地域に対してはどの会社はどの程度の車を配車しなければならぬのだというふうな指導をやって、へんぴの方の人が急いで中央部へ出てきたり、あるいは方々へ行くときにことさら自動車が必要なのでありますが、そういうふうな場合に、これほど大きく公共性を持つものだということで取り上げられた以上は、私は輸送指導というふうなことをもう少し運輸省が力を入れて、へんぴの方に不便のないような方法をしてやらなければならぬと思います。そういうふうなことについては今まで私伺ったことがないのでありまするし、また時間的に見て非常に不便なことがあるのでありますが、そういうふうなことに対処してどういうふうな指導をするつもりでおるのか、またしておるのか、その点私は伺ってみたいと思いますし、なお、私この間も考えたのでありますが、ああいうふうなへんぴなところに対しましては、自動車会社がその近くにないところでは、どこか連絡所のようなものを設けて、そこにはだれかがおって、その連絡所へ行って、そこから連絡をすればすぐそこへやってくるというふうな、何か輸送指導というふうなことをしなければ、どれだけふやしましても、ふやしたものが中央部へ集まって混雑するばかりであって、私はへんぴの方の交通というものは便利にならないんじゃないかというふうなことをつくづく考えるのでありまするが、こういうふうな輸送指導というようなことで大臣考えたことがありますか。
  18. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 私はあまり郊外に行かなかったのですが、先般八王子の方へ遊説に行きましてあの辺の一帯を見てきましたけれども、今、關谷さんのお話のように、あの辺の住民は非常に車に困っておる。車庫づきのハイヤーのものが少ないために、雨の降るときなんかは非常に困っておるということで陳情を受けましたので、今御指摘のありましたような車の配分、並びにタクシーハイヤーの持っている一つ大衆的公共性ということをやはり勘案いたしまして、今おっしゃいましたような趣旨に沿うような配置を考え、指導したい、こう思います。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 なお、新免等につきましても、そういうふうな地域的な配慮をぜひ一つやっていただきたいと思います。  次にお尋ねをしておきたいのでありまするが、やがてオリンピックも開催せられることになります。そうすると、この東京へぐんぐんと人がたくさん集まってくるというふうなことになって、混雑をきわめると思うのでありまするが、そういうふうな際に、自動車、バス、トラックというふうなものにつきましての都内の交通計画といいますか、これも一つ輸送指導ということになりますか、一方交通でこちらはどうするというふうなことで指導をして、この通りは一方交通でやる、この通りはまた逆の一方交通でやるということで、今から計画を立てて、そうしてそれによって車が幾らどんどん走ってもやれるのだというふうなことを計画でもしなければいかぬし、そうしてそれをやった上に、ここに立体交差の個所を何カ所か設けなければどうしてもいけないのだというふうなことを考えなければならぬ段階で、押し迫ってみて、混乱したからどうにもならぬというふうなことでは、私は運輸省は何をしているのかというふうなことに言われると思います。そういうふうな一方交通計画というふうなものはあらかじめ今立てておかなければなりませんが、そういうふうな構想は持っておられるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  20. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 御存じのように、年々自動車が増大し、オリンピックごろになったら——オリンピックでなくても、おそらく二、三年後には自動車の洪水のためにほとんど動きがとれないと思う。きのうも私たち中央大学関係社会党と自民党の代議士の会をやったのですが、ある社会党の人は品川から来るのに一時間半もかかったということで、これは一つ交通地獄みたいになっておるので、警察とも打ち合わせて、やはり何か一つの総合的な案を立てなければならぬじゃないかと思っています。  それから駐車場のような問題も、丸ノ内かいわいにおいては駐車場が、ターミナルができておりますが、やはりいつかちょっとお話ししましたように、外堀をほしてしまって、あそこを掘って全部タクシー駐車場にして、上はまた張って水を入れてスワンでも浮かしておくというふうにして、あの堀を活用したらいいと思う。あれはもったいないから、何か緩和する方法を根本的に立てるために総合的にやりたい。     〔「名案」と呼び、その他発言する者あり〕
  21. 平井義一

    平井委員長 御静粛に願います。
  22. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 あそこはあれだけ遊ばしておくのはもったいない。水を取って、中を深く掘って、コンクリートでやって、それから新しく水を入れて魚でも浮かべておく……。総合的な計画を立てたいと思います。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 これは大臣は言いっぱなしで済むかもしれませんが、局長の方に——この計画は立てなければならぬので、今大臣とよく御相談をして、警察等とも相談をして、交通混乱の起こらぬような運行系統を定めるように、その構想は私は研究すべきだと思います。今自動車というものは問題がたくさんあるので、うろうろしておって何も手につかぬというふうな状態でなかろうかと思いますが、明敏な頭を持っておる國友局長だから、そういうようなことを一つ早くやっていただきたい、その点これは要望いたしておきます。  それと、これはもう一つ伺っておきたいのは、いろいろ規制はしておりましても、道路交通というものが混雑をきわめております中に、一番私は今障害になっておるのは自家用車、これがどこへでも、夜になりますと自分の家の前へとめておるというようなことで、これが一番の障害になっておるのであります。自家用車届出制でありまして、届けっぱなしで済むことにはなっておりまするが、これは運輸省当局としても何か考えて、車庫のないものだけはこれは届け出を拒否することができる、そういうふうなものにはナンバーを与えないのだというようなことができるような方法を何かしないと、どんなに道路を広くしても自動車を両方へ置くというようなことになって、これでは始末のつかぬことになります。車庫統制というか、そんな名前をつけておかしいかもわかりませんが、車庫によって統制をする、車庫のはっきりしたものがあって、夜間道路の上へほうりっぱなしにしないというものでなければ、届け出てもこれは受け付けないのだというふうな方法も考えなければならぬと思いますが、何かこういうことで考えたことがありますか。
  24. 國友弘康

    國友説明員 自動車所有者車庫を義務づけるということにつきましては研究いたしましたのですが、現在の法律におきましてはトラックについて車庫届出制をとっておるのでございます。これにつきましては、われわれといたしましても路上自家用車が放置されて、夜間等通行にも困るし、あるいは消防活動にも困るというようなことがありましては遺憾でありますので、この点については警察の方とも連絡をとりまして、警察の方でも路上放置自動車についてどけてもらうということ、それから車庫につきましても同じようにこちらとしても歩調を合わせてやっていきたいと考えておりますが、自動車の現在の生産とか、あるいはそのほか各国の保有量とかいうような点から考えますと、日本ではまだ保有量が、一台当たりの人数というものは相当大きいのでありまして、これらの点と両々考えて措置をしなければならないと思っておりますので、緊急を要する法律改正のときにはこれは私どもとしてはちょっと入らないと考えておるのでございますが、具体的な法律改正のときにはぜひどう措置するかということを考えていきたいと思っております。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 外国との車の比較と言いますが、それなら外国との道路比較はしてみたことがありますか。そんなことを言ったら話になりません。日本の今の状態からいって、路上へ、駐車をしたままほっておくというようなことで、これで自家用車届け出さえすればいいということになれば、どんなにやってみたところで混雑は防ぐことができないのであります。この点は車庫によって統制するという以外にはないので、これは思い切ったことをやらなければ、どうも自動車局のやり方はぐるりからやかましくなって後にようやく動く、あるいはそれでも動かないというような状態ですが、もう少してきぱき世論にこたえるようなことにしたらどうかと思うのでありますが、車庫によって統制するという方法を早急に私は考えてもらいたいと思います。そして外国より一人当たり数が少ないのだから、それはまだそこまで考えておらぬと言いますが、外国道路日本道路を同じように考えたら大へんなことで、これは考え方の基礎が悪いです。そんなことは私は言うべきものではないと思います。その点はよく検討してもらいたいと思います。  それから、これは各陸運局あたり——前にも自動車局長にはよく調査してもらいたいということを言っておったのでありますが、私の国あたりで実例を申し上げますと、和気とか堀江とかいうような駅におりてみますと、そこにはタクシーも何もないというふうなことで、地元が全部要望しておるのにもかかわらず、やはりこれが調整区域になっておるからということで免許をしない。従って、そこに二、三台置いておけばみんなが喜ぶものをやらないということで、そこへおりた人は戸惑うて、駅の電話を借りて、そして旧市内の方から呼んで、長らく待ってから後に、ようやくそこへ車が来るというような状態になっておるのであります。そういうふうなものに対しても、その付近の発展は、一方は和気というのは火力発電の大きいやつができて、そこへ人がたくさん来る。観光地としてもそこらあたりは開けておる。一方は堀江というのは道後に匹敵する湯の量がその付近に出だしたというところで、そこが非常に観光地になろうかということで宣伝をして、たくさん来た。来たところがタクシーもなければバスもない、こんなところを宣伝してというので、大へんその地域関係者がしかられたという状態があるのであります。そこらから出ておりましても、一年も前から免許申請したのがまだほっておるという状態になっておるのでありますが、あの実情を調べてもらいたいと言いましても、そんなことは局長は聞きっぱなし返事もされませんが、それを調べたことがありますか。
  26. 國友弘康

    國友説明員 和気、堀江の駅につきましては、四国では特別に四都市を自動車運送協議会にかける都市にしておりますので、こういう現象が起こりますが、この点につきましては陸運局長にも連絡しておりますので、早急に措置を進めるようにいたします。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 これで終わりますが、速記録を見てもらいましても、これは前にも言っておるのですが、局長にお伺いしますと、その通りまことにまじめに書き取っておるようでありますが、書き取って、帰って、放置するなら書かぬ方がいいと思う。これはよく調査して回答してもらいたいと思います。
  28. 平井義一

    平井委員長 関連質問として久保三郎君。
  29. 久保三郎

    ○久保委員 大臣に一言お尋ねします。個人営業免許を早急におやりになるそうであります。この点についてはいろいろ意見もあったことでありましょうが、すでに方針を決定したことについて今さらとやかくは申し上げませんけれども、ただ一つ、個人営業を許した場合に、個々ばらばらな形態であって、そして陸運行政として公益性が追求されるか、あるいはそれともそれぞれの事業が健全な発達ができるかというと、これはなかなか問題があるので、ついては、それらに対する対策はお考えになっておるかどうか。
  30. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 個人営業につきまして、それが免許された後にどういう一つの形態をとって、その目的を達し、かつ自動車界にプラスになるようにするかという問題でありますが、これはやはり個人営業に対しましては、陸運局におきましても特殊の指導といいますか、やって、やはり個人営業者の間には協同組合なり何か組合を作らせて、それから共同修理場ぐらい作って、そしてこれをやはり運輸省の方からヘルプして指導するようにした方がいいのじゃないか。せっかくこういう制度を作って、それがまたいろいろうまくいかないといけないのですから……。それから保険の問題だとか、あるいはこれをバックしてやることをいろいろ考えてやりたいと思っております。
  31. 久保三郎

    ○久保委員 大体大臣のお考えは妥当じゃなかろうか、こう思うのであります。ついては、免許のあとでそういう問題が出てきたときにこれを頭に置いて免許をしないとあとで問題ができる、こう思うのであります。今大臣構想を言ったと思うのですが、こういうことをわれわれ自身も考えておるので、早急に考えてみたらどうか、こういうふうに思います。以上です。      ————◇—————
  32. 平井義一

    平井委員長 この際、小型船舶に対する無線通信施設整備について内海君より発言を求められておりますので、これを許します。内海清君
  33. 内海清

    ○内海(清)委員 小型船舶に対する無線通信施設整備に関する決議案を提出いたします。  まず決議の案文を朗読いたします。     小型船舶に対する無線通信施設整備に関する件   国内旅客船及び内航貨物船は、貴重な人命、財産の輸送に重大な使命を果しつつあるが、その大部分は、無線通信施設を有せず航行しており、船舶航行の安全を期し難い現状にある。  しかるに、これら海運業者の大半は零細企業であり、かつ現下の海運界の不況下においては自らの資金のみでは到底無線通信施設整備は望み得ない実情である。   よって、政府は、本事業の重要性にかんがみ、更に海難防止の一環として、速かに左記の措置を講ずべきである。     記   国内旅客船及び内航貨物船に対して、無線通信施設整備するよう強力に指導することとし、要すれば国家補助及び財政資金の融資等の如き施策を考慮するとともに、通信従事者の技術教育について万全を期すること。   右決議する。  次に決議案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  現在、国内旅客船は関係住民の民生安定上唯一の交通機関として不可欠の役割を果たしており、また内航貨物船は重要物資の輸送に従事し、産業経済の振興に貢献するところきわめて多く、いずれも国内航路において重大な使命を果たしつつあるのであります。  最近の海難事故の発生状況を見ますと、海上の特殊な気象現象等により内航小型船舶の海難事故は年々増加の一途をたどり、昨年度は全海難件数の約四五%を占めておりますが、これら海難を未然に防止し、あるいは海難に際して被害を最小限度に食いとめるためには、無線通信を利用して安全運航に必要な情報の人手、救助機関または僚船等に救助を求めるのが最も有効であることは申し上げるまでもありません。  現在法律によって無線通信施設設置を義務づけられているのは、一定の外航船と総トン数百トン以上の漁船でありまして、内航小型船舶は強制されておりませんため、自発的に無線通信施設設置している小型船は、旅客船では七百六十九隻のうち六十隻、また貨物船では八千六百五十五隻のうち四百三十九隻という状態で、大部分が通信施設を持たず航行しており、海難防止の面から見てまことに憂慮にたえない次第であります。  なお、百トン未満の漁船に対しましては、すでに農山漁村振興特別助成事業の中に漁船用通信施設の整備があげられ、特別な助成のもとに普及率は約四二%という好成績を示しているのであります。  一方、これら海運業者の大半は経営基盤がきわめて弱体であり、加うるに海運界は近年相次ぐ深刻な不況にあえぐおりから、通信施設の設備費をみずからの資金のみでまかなうことはとうてい望み得ませんので、中小海運業者の育成をはかるとともに、海難防止対策の一環として無線通信設施の整備促進するため国家的な助成策を樹立するよう、政府に対し強く要求しようとするものであります。  委員各位の御賛成をお願い申し上げる次第であります。
  34. 平井義一

    平井委員長 ただいま内海君より提案のありました小型船舶に対する無線通信施設整備に関する件について、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、本件の取り扱い等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  この際政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。楢橋運輸大臣
  37. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま当委員会において決議を得ました小型船舶に対する無線通信施設整備に関する件は、まことに私から申し上げますればむしろ感謝にたえないところでありまして、これは運輸大臣といたしましてもこの決議の趣旨を尊重いたしまして、極力予算措置等においてその実現を期したいということを申し上げる次第であります。どうもありがとうございました。      ————◇—————
  38. 平井義一

    平井委員長 次に国鉄の経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。高橋清一郎君。
  39. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 国鉄電化ということを中心課題といたしましていろいろお尋ねを申し上げたいと思うのでありますが、国鉄におきましては逐年増加します輸送量に対処するとともに、鉄道の近代化を推進しまして能率的な経営をはかるために、昭和三十一年度に国鉄の五カ年計画が策定されました。これが昭和三十二年度から実施するという段階であるのであります。これが第一期五カ年計画であります。引き続きまして第二期五カ年計画として、これは三十七年度からでございますが、もくろんでおられ、種々実施面につきましての御心配をしておられるようでございまするが、この際でございますのでこの第一期、第二期にわたりまする五カ年計画の内容と申しますか、あらましにつきまして御説明いただきたい、こういうことでございます。
  40. 山内公猷

    ○山内説明員 国鉄の電化計画につきましては、ただいまお話がありましたように、一期、二期と分けてやっております。第一期と申しますのは、今お話がありましたように、三十二年から三十六年、三十七年から第二期になるわけでございます。  現在までの情勢を御説明申し上げますと、ことしの十一月現在の状況でございます。国鉄の電化営業キロは約二千四百二・九キロということになっております。国鉄の全営業キロに対します割合が約一二%ということに相なっております。国鉄の電化は、三十二年度からただいまお話のありましたように開始されました第一期の電化五カ年計画に基づきまして、山陽線、常磐線、東北線、北陸線、鹿児島線、これらの計千六百七十キロに対しまして目下実施をいたしておる段階でございます。このうち現在までに二百六十六・二キロを完成いたしまして、引き続き工事中のものが八百八十六・九キロということに相なっております。この八百八十六・九キロの完成の予定につきましては、今後の予算規模に左右されるところが多いわけでございますが、できるだけ早い機会に完成をすべく努力をいたしておるわけでございます。第二期の工事につきましては、中央線、関西線、篠ノ井線、北陸線、信越線、羽越線、奥羽線、東北線の計千六百十九キロの電化というものが、第二期の五カ年計画として考えられておるわけでございますが、その着工時期とかあるいは方法というものにつきましては、第一期計画の進捗状況とにらみ合わせて、できるだけこれも促進に努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  41. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 引き続き将来の計画ということにつきまして、これは三十四年の六月と記憶しておるのでありますが、今後の経営の刷新や合理化を動力近代化に伴って完成しようという建前のものでございますが、動力近代化委員会というものができておるのであります。この答申の内容を御説明願いたい。
  42. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 動力近代化委員会の答申の概要を申し上げますと、国鉄は輸送力を増強し、かつ経費を節約するため、蒸気機関車を廃止して、電化またはディーゼル化に置きかえた方がいいということが大筋でございます。その理由は、石炭の単価にもよるのでございまするが、大体におきまして、電化、ディーゼル化が、石炭の蒸気運転よりも経費におきまして、約三割近く経費が減るという数字が出ております。それからもう一つの理由は、蒸気機関車は、現在多分二千両くらいでございましたか、持っておりますが、これが耐用命数の関係で、補充いたしませんと、大体昭和五十年ごろに命数が尽きでるのでございます。これも一挙に尽きるというのではなく、逐次消えていくのでございまするが、その際に、蒸気機関車を除去して、その機会に蒸気機関車を作るよりも、ディーゼル機関車あるいは電気機関車で補充していきますと、自然に蒸気機関車が電気機関車またはディーゼル機関車に置きかえられるということになりまして、それを耐用命数から計算していきますと、大体昭和五十年までに全部の置きかえができる。そういたしますと、そのときには国鉄の運転経費は年間約三百億程度節約になる。しかしながら、蒸気機関車を蒸気機関車で置きかえるよりも、電気機関車またはディーゼル機関車で置きかえますと、投下資本の方は幾分よけいにかかる。その額が大体一千二百億くらいだったと記憶いたしておりまするが、それだけの投資を余分にいたしましても、結局は輸送力がふえ、スピードが上がり、煤煙がなくなり、経費も節約になるというふうな点から、動力を全部将来蒸気から電気またはディーゼルに転換した方がいいというふうな趣旨の御答申でございます。
  43. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 戦後の電化工事ということにつきまして、いろいろお尋ねしてみたいと思うのでありますが、私は裏日本側出身の者でございまするから、必ずしもこの電化問題だけではございません。事あるごとに当委員会におきましても、どうもひがんでいるような印象に基づきまする内容の言質をお与えしておると思うのでございまするけれども、この電化工事にいたしましても、戦後の実相を見ますと、ただほめられていいことは、いち早く電化されました上越線、これは戦後直後でございますが、三十二年の四月でございます。高崎—水上間の完成したのをトップにいたしまして、石打—長岡間、高崎—大宮間の電化が引き続いて完成いたしました。これが実を申し上げますと裏日本側におきまする唯一の電化工事でなかったかと思われるのであります。その後は東海道、山陽及び東北線の電化に主力が置かれて、ために裏日本側の電化計画は全部あげて、ただいま御説明がありましたけれども、第二次五カ年計画に組み入れられてしまったということなのであります。従いまして、ざっくばらんな言い分でありますが、自今も表日本側を中心にして電化工事が行なわれるのであるかということでございます。
  44. 平井義一

    平井委員長 高橋委員に申し上げますが、大臣は時間の都合がございますので、大臣に先に質問して下さい。
  45. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 それではこの次に伺いますから……。
  46. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいまの御質問は、表日本と裏日本連絡線についての電化の御質問でございますが、御質問の中にもありましたように、表日本と裏日本をつなぐ線で電化されておりますのは、上越線であるわけでありますが、現在やっておりますのは、北陸線の敦賀—富山間の電化工事をやっております。第二期に入りますと、信越線の高崎—新潟間、篠ノ井線の篠ノ井—塩尻間、中央線の甲府—名古屋間というものは、第二期の電化計画に組み入れられているわけであります。そしてこの裏日本、表日本というものは、第三期の電化計画が完成すれば非常に大きな飛躍を遂げる、われわれはかように考えております。これらの実現につきましては、われわれといたしましても今後万全の努力をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  47. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 問題が漸次具体化されて参りました。私の本音でございますところの信越線の長岡と新潟間の電化促進ということにつきまして、意のあるところを率直にこの際でございますので、大臣を前にいたしまして説明させていただきたいと思うのでありますが、それに関しまして大臣の率直な御感懐を承りたいという場面でございます。それは二つございまして、一つは長岡—新潟間の現状と電化の必要性ということ、二つ目は長岡と新潟間の電化の効果ということに関連して説明させていただきたいと思うのであります。  信越線長岡—新潟間は、御存じのように肥沃な越後平野を縦断しております。沿線には御存じの通り新潟県の主要都市が集中しておりまして、同区間の各駅に発着いたします旅客、貨物はきわめて多いのであります。またこの長岡—新潟間は、長岡で上越線と結んでこの首都東京と新潟の最短ルートとなっております。近年このルートの客貨の増加は目ざましいものがあるといことは御存じの通りであります。すなわち旅客について見ますならば、沿線産業の発展に伴う商用客の増加、新潟県の観光価値の認識に伴うところの観光客の増加などが顕著であります。貨物について見ましても、新潟港への入出貨物の増大と、豊富な電力を利則しましての各種産業の発展に伴う貨物の発着量の増加が、はっきり現われておるのであります。またこの区間は、羽越、北陸両線と結びまして、裏縦貫線の中央部を形成いたしておるのであります。北海道、奥羽対関東の重要輸送路といたしまして、聞くところによりますならば、キロ当たりの輸送量におきましては全国第五番目と聞いております。かようにいたしまして、輸送の実態に即して見ますならば、今や新潟、長岡、東京、この間は一本のルートとしまして、一貫した輸送方式を打ち出して輸送の整備をはかるべき段階にきていると思われるのであります。この方策といたしましては、現在長岡で打ち切りとなっておりまする電化区間を新潟まで延長するとともに、この上越線の複線化をもあわせ考えられるべきであると思うのであります。この中でも電化工事につきましては、御存じの通り比較的工事は容易でございます。経費の低廉等によりまして着手しやすいということでございましょう。それだけでも相当の効果を期待できると思われるのであります。ただいま申しましたのは電化の必要性ということでございます。  次は電化の効果でございます。新潟と長岡の電化か実現いたしまするならばどのような効果をもたらすであろうかということについてであります。一つはまずスピード・アップが可能となるということでございましょう。電気機関車は蒸気機関車に比較いたしまして、その性能上牽引力が強くなり、スタート特性が良好なので全般的にスピード・アップが可能となって参ります。現行の運転時分に比較いたしまして相当程度の短縮を行なうことができるのであります。従来の電化区間でありますが、電化区間について見ますると、おおむね一〇%から一五%程度のスピード・アップが行なわれておりまして、新潟県民が多年念願としていたこの上野—新潟間の急行五時間運転によりまする日帰り旅行も実現の可能性が強まってくるということでございましょう。二つには輸送力が増強してくるということでございます。引きます力、牽引トン数が多くなること、スピード・アップによりまして輸送力が増強されるのは、言うまでもないところでございます。現在新潟は新鉄管内でございますが、新鉄管内の滞貨が一日八万から六万トンあります。一日の輸送量が一万八千トン程度でございますが、このための送り不足の肥料とか鉱石などの輸送緩和に役立つわけでございます。次は電車運転ができるということでございましょう。現在上野と新潟の間におきましては、運転されておりまする準急電車と申しますと「ゆきぐに」でございます。これが新潟乗り入れが可能になってくる。そのほかに上野—新潟間に直通電車を運転いたしまして、また長岡—新潟間、新津—新潟間と大幅にローカル電車の増発が可能となって参ります。混雑も自然に緩和されて、無煙化の中に四季を通じて快適な旅行が可能となってくるということでございましょう。次は通勤輸送の緩和でございます。現在非常に混雑しております通勤列車が輸送の面において緩和されます。電車の増発によりまして無用の待ち時間を減らしまして、通勤時間を短縮しますから、通勤範囲が拡大し、都市の郊外への発展を促し、農村対策の一環ともなり、都市、農村ともに大きな利益を得ることができるということでございます。最後には電力の有効利用ができるということであります。新潟県は発電県でありながら、その生産電力の大半を東京地方に送電しておる状況でございますが、東京近郊及び東海道の電気運転用電力も本新潟県内の千手、小千谷の両発電所の両電力をもってまかなわれておるのでありますが、この電力を一部地元で使用することは、自然電力の損失も少なく、深夜電力も利用できるなど、きわめて有効であると言えましょう。  私の如上申し上げましたその必要性並びに効果ということにつきまして、ひっきょうするにぜひこの実を結ぶことにつきましての親心の御発揮を賜わらなければならぬという内容のものでございますが、これに対する運輸大臣の御見解を承りたいということでございます。
  48. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま高橋委員から必要性と効果論について詳細なお話がありましたが、私は国鉄本来の使命としてはやはりできるだけ、既定の計画もありますけれども、情勢の変化、そういう客観的情勢を見てやはり弾力性のあることをやって、しこうして輸送の目的、地方の開発、文化の交流ということをやるべきであるという考え方を持っておるのでありまして、ただいまいろいろと述べられました点等も考えまして、また国鉄それ自身が立てております計画その他等ともにらみ合わせまして十分に考慮してみたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  49. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 いま一歩具体的にお尋ね申し上げますが、それは長岡と新潟との間の電化計画についてであります。長岡—新潟間の電化計画は、本社の計画によりますれば、交流電化方式によります裏縦貫線の電化として行なわれることになっておるのでありますが、この第一次五カ年計画の進捗が多少おくれておりますので、実現の時期は相当おくれるものと思われるわけでございます。     〔委員長退席、關谷委員長代理着席〕 しかし、ただいま申し上げたのでありますが、大臣はお立場でございますので抽象的な結論にはなっておりますけれども、いろいろ意のあることを、先ほど率直なる説明内容を申し上げることによりましてある程度御理解を得ただろうと思うのでありますが、諸般の情勢は、ともかくこの問題に関する限りは一日も早くこの区間の電化を行なう必要に迫られておるのであります。従いましてこの際国鉄といたしましては、この裏縦貫線の電化計画の交流方式、直流方式の接続地点につきましてすみやかに結論を出していただきまして、長期計画に支障のないように考慮する必要があるのではないかと思われるのであります。従いまして長岡—新潟の間の電化は、このような特殊計画との関連を考慮しながら最も経済的の方向ですみやかに電化を行なうことが必要となってくるわけでございます。このような見地からいたしまして、一応地元の新潟支社におきましてはこの区間は現在の上越線の電化方式と同じ直流千五百ボルトでございますか、この方式によりまして電化することが計画されておると聞いておるのであります。この計画によりますと、総工事費は車両ともで二十三億円、工期は約一カ年となっておるのでありますけれども、現在の国鉄財政の現状からしまするならば、案外工事費の減額についても検討する余地があると思われ、さらに将来研究する必要もあると思われるのでありまするけれども、一応のまとまりました工事費は二十三億円と聞いておるのであります。以上、ただいま申しました新潟の地元の支社の計画につきまして、小倉副総裁の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  50. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 実は私よりもよほど先生の方がお詳しいので、拝聴いたしておった次第でありますが、しかし実際お話通りに、長岡—新潟間の電化ということはきわめて必要でございまして、実は国鉄におきましても、不便と申しますか、非常な不自由も感じておる次第でございます。もっと率直に申しますれば、上越線が長岡まで電化いたしました際に、どうして新潟までしておかなかったかという議論さえあるほどでございます。それで、ただいまのお話の交流か直流かということは、実はその地方々々、その電化の区間々々によりまして一長一短でございます。大体におきまして、投下資本から申しますと交流電化の方が二割方安いというようなデータもできておりまするが、国鉄としましては将来はできるだけ交流で電化を行なっていきたい。しかしながら、従来直流で電化いたしておった線が延びます場合に、直流がいいか交流がいいかということは、機関車の走行キロの問題あるいは切りかえの場所の問題、いろいろ複雑な経済上あるいは技術上の問題がございますので、その一つ一つのケースを取り上げて慎重に研究いたさなければならないと考えるのでございます。今の長岡—新潟の例で申しますると、上越線が直流で参っておりまするから、その直流で通した方が、機関車が上越線から新潟に入るまでのルートを考えますれば便利であり、一方また北陸線の方からは、ずっと交流で参りますから、その関係では交流ということも考えられるのでございまして、その辺は非常にむずかしいことで、実は慎重に考慮いたさなければならないので、本社でも取り上げて、いずれを採用するか、新潟付近の地元の方々の御便宜もはかり、いかにいたすかということを慎重に考慮中でございます。いずれにしましても、私ども自体も長岡で上越線の電化が打ち切られておるということにつきましては非常に遺憾でございまして、財政の許す限り、計画の立つ限り、できるだけすみやかに新潟まで電化して参りたい、かように考えております。
  51. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 冒頭、第一期、第二期の五カ年計画、合計いたしまして十カ年計画のものがございますことは承知いたしましたが、問題はやはり緩急そのよろしきを得ていただきたいということであります。既定方針は既定方針としてどんどんやっていただく、それは当然でありまするけれども、ただいま申し上げましたような個所もございますから、裏日本と表日本を結びまする最短路線が長岡でとめられるということは、ほんとうの意味におきまして、この上越線そのものの電化も仏作って魂を入れないということであろうと思われるので、新潟まで延ばして初めてその実効を現わすということでないかと思うのであります。上越線の沿線に魚沼という小さい部落がございます。新潟市は御存じの通り県都でございます。ところが魚沼に住んでおりまする住民の一人は、変な言い方でございますけれども、新潟は一向に開けておらぬ、それに比べて魚沼は大したところがあるよ、どういうところで違っているんだい、うちの村を通る汽車は煙を立てない、新潟は昔のままの汽車ポツポで煙を出すじゃないか、文化の程度はこれほどの違いがある、こういうことを言っておる。新潟市民は切歯扼腕でございます。そういう意味におきまして、どうか一段の親心をお願いいたすわけでございますが、引き続きまして、敷設されます場合の利用債と申しますか、全国的にはどのような率のものでありますか、お尋ねしたい。
  52. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 利用債はかつては毎年度大体二十億程度の予算のワクをいただいておりましたが、三十三年には八十五億のワクをいただきまして、これで地元の方々にも御協力願って進んだのでございますけれども、三十四年度は実は鉄道の幹線電化のような工事には利用債を使うと地方の財政を圧迫するというような見地から、多分五十五億に圧縮されたと記憶いたしております。しかしながら私どもは実は資金がございますればどんどん国鉄の工事を進めて設備をよくしていきたい、それが結局は国家の経済力の伸張に寄与することであるということで、毎年度予算をできるだけ御要求しておりますが、意にまかせないのでございます。もし地元の方で御協力を得て電化も進み、ディーゼル化も進み、駅舎も改築されるというようなことになりますれば非常にけっこうなことだと考えまして、三十五年度におきましてもできるだけ利用債のワクをいただきたい、こういう予算の要求を提出しておる次第でございます。
  53. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 新潟県新潟市は御存じのように目下地盤沈下で大へんでございます。一部公共事業の返上もというような場面も間々あるのでございますけれども、この区間の電化の問題につきましては非常な熱意をもちまして、いわゆる日本並みの、世間並みの利用債の負担ということにつきましては及ばずながら何とかしなければならぬという気持になっているわけでございます。この熱意のほども一つおくみ取り下さいまして、本問題の一刻も早く実を結びますように、特段の御配慮をお願い申し上げます。  これで私の質問を終わります。
  54. 關谷勝利

    關谷委員長代理 川野芳滿君。
  55. 川野芳滿

    ○川野委員 私は南九州地方の交通問題につきまして若干の質問をいたしたいと存じます。  南九州地方より本土に乗り入れます線は、鹿児島、熊本を通じて本土に参りますいわゆる鹿児島本線と、宮崎、大分を通じまして本土に延びます日豊線、この二つの線があるわけであります。この二つの線のうち、鹿児島本線の実情を見てみますと、特急が一本、急行が二本、いわゆる三本の特急、急行によって南九州地方と本土が結ばれておるわけであります。一方、南九州地方におきましては高千穂が一本だけございまして、一本の鉄道によって南九州と本土と結ばれておる、かくのごとき全く貧弱な線そのものでございます。乗り手がないから急行が一本であるというのならば地方の人々はがまんするのでございますが、乗客率が統計においても示す通り、非常な混雑をいたしておる実情でございます。そこで実は国鉄当局におかれましても地方民の声を聞かれまして十二月から第二高千穂を出すという計画があるやに承るのでありますが、もしあるとするならばその構想を明らかにしていただきたい。すなわち始発駅をどこにするか、あるいは機関車は蒸気機関車か、ディーゼル機関車か、あるいは二等は何両で三等は何両、寝台車、食堂車等がつくならばつく、つかないならばつかないというように、その実情の御報告を願いたいと思います。
  56. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 第二高千穂号は十二月の二十六日から運転いたすことになっております。その編成につきましてはまだはっきりきまっておりませんが、大体において従来の高千穂号と大差ないと私は考えております。まだ編成ははっきりいたしませんが、計画がきまりましたらさっそく御報告申し上げることにいたします。
  57. 川野芳滿

    ○川野委員 現在の高千穂ですら、実は鹿児島始発でございますが、三等のごときはもう鹿児島で満員でございます。従いまして、宮崎等におきましては、乗車すると申しましてもなかなか困難でございますから、宮崎県から鹿児島まで参りまして、鹿児島で乗って、また逆戻りいたしまして、宮崎、大分を通過して本土に行っておる、こういう実情でございます。鹿児島市からは、先ほど申しましたように、特急その他急行が二本出ておる。この実情から考えますと、始発駅というものを鹿児島にせずしてその他の駅にする考慮が払われなければ、宮崎県等の住民は全く立って本土に行かなければならない、こういう実情でございますから、その実情をよく勘案して始発駅等も考慮していただきたい、かように私は希望するわけであります。  さらに、現在の高千穂ですら蒸気機関車でございます。宮崎県、大分県の境は、御承知のようにたくさんのトンネルがございます。また宮崎県、鹿児島県の境にもたくさんのトンネルがあるわけであります。こう考えますると、あれだけたくさんトンネルのある地方には、どうしても、実は私は電化と申し上げたいのでありますが、そういう欲ばったことを申すわけに参りませんので、少なくともディーゼル・カーの機関車を使っていただきたい。宮崎県は御承知のように電源県でございます。九州地方の使いまする電力の約五〇%というものは、宮崎県においてできる電気が一本の電線によって北九州へ持ち去られ、北九州で消費されております。北九州地方の産業が盛んになるというその根本原因は、宮崎県等の電気が一本の電線によって北九州に持ち去られ、北九州で使われるからでございます。一方、電源県の宮崎県におきましては、かくのごとく莫大にできる電気を使っていない。本来から申しますならば、南九州地方の鉄道におきましても、実は電化計画を進めていただきたいのでございますが、ものには順序というものがあろうかと考えますから、私は電化問題に触れませんが、こういうトンネルの多い地方におきましては、少なくともディーゼル。カーあるいはディーゼル機関車を作っていただいて、それをこういう急行にはぜひ使っていただきたい、こういう強い要望をいたす次第であります。  さらにもう一点お尋ね申し上げますが、宮崎、大分を通過して門司に行く「ひかり」号と熊本—宮崎間の「えびの」号、この二つのディーゼル・カーが実は今運行いたしております。ところが、車両が非常に少ないために、これまた統計が示しておろうかと考えまするが、非常な乗り手でございまして、これは毎日立錐の余地ないという実情でございます。虐待もはなはだしきものであるといわなければなりませんが、このディーゼル・カーの増車をするというお考えはないものですか、この点をお尋ねしてみたいと存じます。
  58. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 蒸気機関車は煤煙を出すために旅行に不快であるという仰せごもっともと存じます。それで、国鉄といたしましては、蒸気機関車を全部電気またはディーゼルに置きかえるという計画で進んでおります。これもいろいろ資金の関係で一朝一夕には参りませんが、できるだけすみやかに電化区間を延ばすと同時に、他方ディーゼル機関車あるいはディーゼル・カーをもって運転いたし、煤煙の排除をいたしていきたい、こう考えておる次第でございます。  そこで、来年度の車両につきましては、車種を、たとえば、貨車、客車、電車、ディーゼル車あるいは電気機関車、ディーゼル機関車といったような、いろいろの車種がございますので、これは予算がきまりましてから確定的に実行予算できめていきたい、こう考えておりまするが、大よその見当といたしましては、主としてディーゼル・カーあるいはディーゼル機関車等の増備をいたしていきたい、こう考えております。いろいろ地方の強い御要望のあるようなところには、できるだけすみやかに蒸気機関車をディーゼル機関車で置きかえていきたい、こう考えております。  それからもう一つは、ディーゼル機関車は、製作に着手してからまだ比較的年限が短いのと、発注が少なかった関係で、比較的段値が高いのでございまするが、これを大量注文することによって漸次値段を下げるということも考えておりまするけれども、実は機関車で牽引いたしまするよりも、ディーゼル・カーあるいは電化区間では電車でやった方が便利でございまするので、将来はできるだけディーゼル・カーあるいは電車で主要都市を結んでいきたい、このために、電車、ディーゼル・カーに力を入れまして、最近方々に入れておりまするようなディーゼル・カーの準急を入れ、また将来はディーゼル・カーで急行も入れられるように工夫して参りたい、かように考えております。
  59. 川野芳滿

    ○川野委員 「ひかり」号と「えびの」号が非常な乗車率ですから、これを一つ増車してもらいたい、これについての御答弁がないようですが……。
  60. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 実は第二高千穂も混雑緩和のために設定いたしましたので、日豊線の旅客混雑はよく承知いたしておりまするので、さらに研究させまして、できるだけ混雑緩和を促進していきたいと思います。ただ具体的に「ひかり」号に何車増結するかどうかということは、ただいま現地に問い合わせをいたしておりませんので即答いたしかねますが、できるだけ混雑を緩和するように支社長に伝えることにいたしたいと存じます。
  61. 川野芳滿

    ○川野委員 最後にお尋ねいたしたいと存じますが、今申しました「ひかり」号が、実は非常な混雑をいたしておるわけであります。これはお帰りになりまして統計をお調べになるならば、さっそくここに増車をしなければならないというお気になられるだろうと存じます。磯崎営業局長も、十二月からは車両をふやす、こういう考え方を申しておったようでございますから、おそらくそういうことになるだろうと思いますが、ぜひ一つこの「ひかり」号、「えびの」号には至急に増車を願いたいと存じます。  そこで、実は現在南九州から本土に参ります場合は、今申しましたように急行は一本でございますから、「ひかり」号で門司に参りまして、門司からあるいは「あさかぜ」号等に乗りかえるわけであります。ところが「あさかぜ」号の割当切符というものは、南九州の駅で取り扱っておりません。従いまして、門司に参りまして「あさかぜ」号の切符が手に入らない、だから「あさかぜ」号にも乗れない、こういうまことに惨たんたる実情でございます。おそらく国鉄は宮崎県等を日本国土とお考えになっておらないのじゃなかろうか、かようにまで考えられるほど実は虐待をされておる実情でございますから、「あさかぜ」号の切符の割当等も南九州の大きな駅にもある程度割り当てる、こういう公平な取り扱いをさせていただくように、一つ考究されんことを切望いたしまして私の質問を終わります。
  62. 關谷勝利

    關谷委員長代理 久保三郎君。
  63. 久保三郎

    ○久保委員 私は端的に国鉄当局に二、三お尋ねします。  最近、聞くところによりますれば、国鉄の車内等の清掃のために、全国を打って一丸とした業者の会社を作る、こういう発表をなされたようでございますが、この構想はどんなものでございましょうか。
  64. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私まだ承知しておりません。
  65. 久保三郎

    ○久保委員 これはラジオで私はきのうかおととい、とにかく二、三日の間に聞いたわけなのであります。国鉄の列車内、特に列車内だと思うのですが、列車清掃の会社を作る、その会社の構成は、大体駅売り業者あるいは弘済会、そういうものを含めて作るんだ、年間清掃費に五千万程度かかっている、だからこういうふうにするんだ、こういう発表をしているわけですが、これは国鉄以外から出るはずはないんでありまして、副総裁が御存じないというのはどうかと私思うのです。これは夢で聞いたわけじゃないのでして、耳で聞いたのでありますが、いかがですか。
  66. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 従来から車内清掃がうまくいかないということで、旅客の方々に御迷惑をかけるので、車内清掃を何とか強化して参りたいという考え方は持っておりました。しかし、ただいまのようなことは、私ついそのラジオを聞かなかったのでありまするが、そういうことはやはり常務会なり理事会なりに諮ってきめることでありまして、そういう前にもし提案のようなものがありましたら私のところまでも持ってくることになると思いまするけれども、まだその案が熟しておらぬのかどうか存じませんが、具体的なことは私は承知しておりません。
  67. 久保三郎

    ○久保委員 具体的なことは承知されておらないそうでありますが、世間にはそういうふうに発表されておりますので、何らかの形でそういう動きがあるのではなかろうかと思います。ついては、今やっている車内清掃、これは鉄道職員がやっているものと、それから民間に委託しているものというか、弘済会等でやっているものとか——最近の近代化というか合理化というのは、どうも国鉄は思いつきで各地方でいろいろなことをおやりになっているのじゃなかろうか、こう思うのであります。こういう点を今まで最高指導部としてどういうふうな統制をとっておやりになっているか、これもあわせてお聞きしたい、こう思うのです。たとえば小さい例でありますが、いつでしたか、去年の今ごろだったと思いますが、北陸線の方に参りました。ところが、駅をおりたとたんに、改札口がございますが、改札口の上に、何々という駅名表があるなら普通なのですが、そこにずらっと並んでいるのは何かというと、全部宿屋の広告なんです。それが、夜参りましたが、ずっと電気で照らされている。こういうのは一つの例でありますが、これは売らんかな、もうけなくちゃならぬかなということでおやりになっているのだろうと思う。こういうものを無制限にしておいて、この四月の機構改革によって支社長権限を強化したということでありますが、支社長権限を強化したのは、能率をよくする、合理的に運営するということでしょう。合理的というのは、今日国鉄では、どうもわれわれがとる面では、何とか収益を上げよう、何とか体裁だけは作ろうという二つの面がある。一つは、現在国鉄経営が、早く言えば採算が合わぬ。合わぬ原因はすでに御存じの通りであります。それを、大へん言葉は悪いのでありますが御容赦いただきます、小さい官僚的な頭で何かこせこせと、少しでも赤字をなくすればいいのじゃないか。これでは経営者の立場じゃないですね、実際。そういうことで、金を何とかして浮かそう、浮かさなければいかぬというようなきつい指令によって、支社長権限でこれをやっていく。片方は、世間の風当たりも今までいろいろ御質問があった通り非常に強い。それを何とか体をかわそうということで、結局きれいな機関車をときたま走らす、「こだま」のようなものを一本か二本走らす、こういうことで何か当面を糊塗しているように私は思う。清掃会社にしても、会社を作るのがいいかどうかという検討がほんとうになされているかどうか。今まで、客車なら客車を、交通道徳の問題も一つからむでしょうが、そういうものをさておいて会社を作ることに狂奔するとどうことになりますと、これは問題になると思うのです。しかし、会社を作ればきれいになるというだけでは、経営の合理化ではありません。結局、もっと極端なことを言えば、計上されている人件費を詰めれば一番いいのだ、別に会社を作って、会社の請負代金は別な経費から出る、ほかから人件費は出る、会社に出る金は別なものだ、人件費を縮めていけば経営は合理化されたのだということで世間に発表されたというねらいが一つこの中に含まれているのじゃないか。だから、この清掃会社については早急に調べてほしい。  それから、経営合理化あるいは近代化に関するトップ・マネージメントについてどういう考えを持っておられるのですか、副総裁に一つお聞きしたい。
  68. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄は輸送力の増強という重大な使命を持っておりまするのに、十分な財政投資ができないで、非常に遺憾に存ずる次第でございます。それで、各方面から、国鉄はできるだけ能率を向上し、合理化を促進して、自分の経済の建て直しについても十分な努力を払わなければならぬというふうなおしかりはこの数年来ずっと絶えなかったのでございます。もちろん国鉄の大きな投融資を考えますれば、わずかな金ではとうてい追いつかないのでございますが、いかに小さいことでありましても節約に節約を重ねて御期待に沿うということはこれまた必要なのではないか。零細な金だからむだになっておっても知らぬというわけには参らないと思いまして、できるだけ節約、合理化の努力を進めておる次第でございます。その合理化の一端として、清掃のような仕事は国鉄本来の仕事ではございませんので、できるだけこれを部外に委託した方がいいのではないかという考え方を持っております。たとえば駅におきましても、今までこれを部外に委託しておる例が多々ございます。これは結局職員の職場を奪うものではなく、若いりっぱな青年の職員が、ほうきを持ったり、ちり取りを持ったり、最もいやがるのはたんつぼの掃除をしたり、こういうふうな仕事をさせておくということは非常に相済まないし、また人物経済の上からも、もっと鉄道本来の業務であるとか、出改札であるとか、そういうふうな方面に使っていくのがいいのではないかということで、そういう清掃のような仕事に類するものはできるだけ請負に出していきたい、また請負に出した方が自分のところで清掃いたしますよりもかえって安くつく、そういうふうな場合にはどんどんこれを委託して参りたいと考えております。それで列車車外の清掃などもそういう見地からあるいは考究されつつあるのかもしれません。その点も経済採算あるいは業務の都合等もよく見合わせまして、これがはたして合理化になるということであれば、私どもはそれもかえっていいのではないか、こういうように考えておる次第であります。要するに国鉄はいろいろ鋭い批判の的になっておりますので、できるだけ自分自身も合理化をし、節約をし、そして皆様の御支援で予算もいただいて、双方から国鉄の健全財政を打ち立てて参りたい、こういう考え方を持っております。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 先ほどの節約の問題でありますが、どんな小さい金でも節約するのは当然でございます。ところが節約にも限界がございます。国鉄の本来の使命である旅客、荷主に対するサービスを欠いてまでの節約ということはないと思うのです。そういう点が間々、先ほどの改札口の広告にしてもある。その点を私は申し上げているわけですよ。だから決してむだを奨励していいというわけでも何でもない。ただ限界がある。採算さえとれれば何でもいいということではないだろうということなんです。ところが、たまたま支社長権限を強化して下におろした場合に、支社長の実績を上げようとしてそういう間違った方向に行くのをどう統制されるのか私はお聞きしたいということが一つございます。  それから民間委託とかいうような限界はどこにお置きになるのか。直接輸送に関係があるというのは、本来ならば機関車をくっつけて引っぱっていくだけが輸送ですから、あとはレールを敷いていく、この二つが輸送です。あとは輸送に付帯した業務ですから、付帯業務という限界をそこまで縮めるのかどうか。だんだん国鉄が、下請というか請負に全部出すということになれば、切符切りなども別に国鉄職員でなければならぬという理屈は、そういう意味でいけばないですよ。ああいうものは別に鉄道の経験がなくてもできます。あそこで三カ月なり四カ月どっちにしても訓練しなければならないのですから同じです。会社にやらせてもできましょう。現にそれが証拠に、多くの観光会社、たとえば交通公社のごときは代売をいたしております。これは国鉄職員じゃなくてもできます。だから、そうなると車掌も要らないでしょうね。これも別にどうということはない。車もどこかの会社で借りておやりになればいい。機関士だけごめんどうを見ていただけば、あと輸送はできるということになる。全部何も要らなくなってしまう。そういう限界をお示しにならぬと、現在そこに働く者が、まず第一に不安ではないかということ。今日この職場にいるけれども、いつ合理化という名のもとにどこへ持っていかれるのか、どういう職をあてがわれるのかわからぬということでは、勤労意欲は出ないだろうということ。それから副総裁御存じのように、先ほどあなたは大へん新しい感覚を持ってお話がございました。若い青年にたんつぼなどを掃除させるのはどうかと思う、こうおっしゃいました。それも一つの理屈であります。たんつぼを掃除しながら駅長になっていくのも一つの理屈ではないか。私は別にたんつぼ掃除を奨励はしませんよ。しませんけれども、そういう実務教育を国鉄は今日までやっておったじゃないですか。もっとも、そうですね、副総裁あたりは違いましょう、そういう経験はなかったと思います。大体大学を出て高文をとられた方はそういう仕事はやりませんから、これはわかりません。しかし、国鉄をささえている骨は、残念ながら、大学を出て最初から赤い帽子を見習いで二カ月ほどかぶった人ではなくて、たんつぼを掃除したり、ごみを掃いたりした人が今日の国鉄をささえているということをお忘れになってはならないだろうと思う、これも理屈であります。いずれにしても、先ほど申し上げたように、今の職場がいつなくなるかわからぬということでは、希望を持って働けないだろうということなんです。だから合理化なりそういうものの限界をどこに置くのか、輸送は輸送本来のことだ、それ以外の付帯は全部民間委託でよそへ出すのだということならば、その限界をまず第一にきめてほしい、こういうように思います。きょうはあまりきれいな方ではなくて清掃の方をやりましたが、いろいろいろあります。たとえば保線区の技工班のようなところ、どんどん外注に出しておればできるということです。そういうことをおやりになるようでありますし、できますが、一たん事故があったという場合、外注で間に合うかどうか。たとえば一つの先端軌条が切れた、あるいはロッドが切れたという場合に、技工班があればすぐできるが、外注でできるかどうか。外注でできるとしても割高になります。たとえば今私の地元の水戸の小さな客貨車区に民間委託の問題がございます。ところが採算の問題は、先ほど副総裁がおっしゃいましたように、なるほど人間づらだけからはその方が若干安上がりということでありましょうが、施設を貸したり何かするそういう一切のものを含んで計算した場合に、はたしてそれが得かどうか。さらには、たとえば列車回数が多くなったという場合にそれが得かどうかという計算は実際にはなされておらない。ただ単にとにかく人件費を減らすということ、たとえば今度電気要員を養成する。養成するのに養成定員を支社長からくれない。局長は、それならばどこか穴はないかということで、合理化の名のもとに、これは窮余の一策です、結局客貨車区の清掃事業を民間へ委託して、その出た分を配転して養成定員に振り込んでいくということです。それならば人件費もふえないで電気要員の養成もできる。請負に出す方は別の経費からもう少し出してもよろしい、こういうことでは採算の問題はないと私は思う。そういう不合理な合理化はないでしょう。もう少し筋の通った合理化をおやりなさい。もう少し言わせてもらえば、必要なものは必要なのだから、それはそれで置いたらどうか。しかもやるのならこそくな手段ではなくて、十分そこに働く者と協議の上でやったらどうかと私は思うのですが、この点はいかがでしょう。
  70. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 合理化の限界、あるいは部外に業務を委託する場合の限界を示せというお話でございましたが、これは実は非常にむずかしいのであります。そのものずばりと申すことはなかなか困難でございますが、実例から申し上げますと、たとえば出改札、あるいは乗務員、保線工手、あるいは踏切番、修繕工、そういったようなところは、これを部外者で埋める意思はございません。しかしながら清掃というようなものは、これは部外に委託した方がいいケースでございましたらいたしていきたい。と申しますのは、たとえば同じ駅の清掃でございましても、小駅と大駅の違いがございますので、必ずしも部外に委託した方がいいというわけでもございませんので、そのケース、ケースを見まして善処して参りたいと思います。しからばそのルールはどういうルールになるか、この筋の引き方、委託するかしないかという限界がどういうところにあるかということになりますと、なかなかちょっと申し上げられませんが、ごく概念的に申し上げれば、国鉄の本来の業務、あるいはこれに密接する業務であって、その場合に過失があれば大きな事故を起こす、あるいは国鉄の責任になるといったような職務につきましては、これは業務委託をすることができません。しかしながら清掃のごときは、これは清掃の工合が悪ければおしかりはこうむるかもしれませんが、これが国鉄の責任として事故の原因になるというふうなことも考えられませんので、そういう場合は委託に出しても差しつかえないのではないか、こう考えます。  それで職場の問題でございますが、もし国鉄の職員が清掃までやっておりまして、しかもかたがたには御承知の通りに列車回数をどんどんふやしております。そのほかいろいろ線路の保守につきましても、車両の修繕につきましても、列車回数、車両がふえますれば、必ず要員が必要となってくる。そういう場合に、全体の総職員数をふやすということは、これは各方面からのいろいろな御注意もございまして、なるべく現在定員でやっていきたいという場合には、やはり清掃のような、比較的きたない、低い仕事、また国鉄の責任にもならぬような仕事を若い有為の青年がいつまでもしている、そういう人をさらに有用な職に転じて、将来に明るい希望を持たせるということが必要であろう、こういうふうに考えるのでございます。国鉄がどんどん職員を無制限に採用して参れるならばそれは業務委託ということも不必要かと思いますが、できるだけ経営を健全化していきたい、かたがたには必要な業務の要員がなかなか充足できない、かたがたには部外に出しても一向差しつかえないというような仕事があるとしますれば、全体からしましてそれを転換するということは国鉄のためでもあり、また本人のためでもあるというふうに考えるのでございます。しかしながら、先ほど御指摘のありました広告の類、あるいはその他につきましても、節約の度が過ぎる、あるいはそのためにサービスが低下をするというようなことは、これは相慎み、行き過ぎのないようにいたさなければなりませんので、そのときどきの御注意により十分善処して参りたい、かように考える次第でございます。
  71. 久保三郎

    ○久保委員 清掃業務は付帯業務というか、本来の仕事ではないから民間委託するというのですが、先ほどのようにそこに働く者に不安動揺があったり、そういう配置転換することによってこれ以上の労働生産性を強要するということは、われわれはどうかと思うのです。労働生産性が車両換算キロにすれば相当今日上がっているということは事実であります。それを世間のいわゆる正当な批判ならばともかく、間違った批判から、ただ単に人件費はこれだ、物件費はこれだというようなことからいわゆる鉄道業務を判断されたその批判を真に受けること自体がおかしい。鉄道自体はサービス業です。サービスの根源は何かといえば人間だと私は思います。そうすれば一般の企業とは非常に違うと思う。よって、人件費とか物件費とか、そういうものをその他の産業と比較すべきではないだろうと思います。これを今批判されているのは、全部何かの生産会社と国鉄と比較している、こういうこと自体に私は問題があると思うのです。その辺は副総裁も御存じの通りだと思うのです。そういうものに対して正しい論駁を加えて、必要なものは必要なようにとるべきだと私は思うのです。そういうことを一つ考えてもらいたい。  それからもう一つ、先ほど申し上げたように、そういう職場の変革をする場合に、事前に働く者の方と十分協議しておやりになるのが一番妥当ではないかと思うのでありますが、今日ではあまりそういう協議が整わないうちにやってしまう、あるいは事前協議などはやらないでいってしまう場合が多いのであります。これはそういう場合にはどういうふうにやられるようになっておりますか。
  72. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 大体そういう問題は支社長あるいは局長の権限になっておりますので、支社長あるいは局長のところで労組の方と話し合い、あるいはその職場の職員と話し合ってやることになっております。具体的の例も私は聞いておりまするが、客車清掃を民間に委託いたしました場合には、労組の方からの反対もございまして、たびたびの折衝を重ねたということでございまするが、実はそういう場合に、必ずしも配置転換がいやだ、あるいは職場がかわるのはいやだというようなことばかりでもございませんで、客車清掃の場合には、私が聞きました例では、十五人のうち十三、四人までは、かえってほかの本筋の仕事に転換してもらった方がいい、あとの二人、三人は高齢者でありましたので、そういう清掃会社ができたらうちらの方にお世話を願いたいというようなことで、結局円満に片がついたという例も承知しておりまするが、いずれにいたしましてもやみくもに高圧的にいたすべきことではない、ただいまの御注意のように、十分労組の方と話し合いをして進めることに相なっておると承知しております。
  73. 久保三郎

    ○久保委員 とにかく、私の地元で起きている問題も差し迫っているようでありますから、やはり十分事前協議をしてやってもらわなければいけないと私は思います。  それから最後に民間委託の問題でありますが、全国一本にした業者の団体で清掃会社を作るということでありますけれども、こういうのも、それから今お話を申し上げたようなものも、何かどうも志免炭鉱と同じように、国鉄の財産を切り売りするのではないかというような考えが世間には相当強く出ております。大体鉄道にぶら下がっておれば食いはぐれはない、そういう考えです。たとえば清掃会社はどういうものができるかわかりませんが、私の推測では、おそらくそこに天下りでいく特殊な人がおいでになるということだと思うのです。そうして、なるほど表面は鉄道自体でまかなうよりは安くいくということでありますが、一切の施設を提供したり利便をはかってやるというようなことでそういう既成事実ができますれば、向こうも自分のところの仕事をやってくれるんだからこれくらいの利便を与えたらいいのじゃないか、そういうふうにやってきたのがだんだん形を変えて、今日のトンネル会社になったのです。今あまり論議されませんが、そういうことです。過去においてこういうことをやってきたということ自体で、この問題も世間は注目しているわけです。結局、職場を合理化するという考えは、だれかがもうけることである、こういうふうに直結してきているわけです。こういうのが、世間なりあるいはそこに働く職員にほんとうにそうでないという理解がつかない限りはまずいと思うのです。私はとにかくこういう国鉄財産の切り売りをするということについては相当研究してもらわなければいかぬ、こういうふうに思います。  そこでもう一つ、これと反対に、近代化あるいは合理化をいろいろおやりになっておられるようでありますが、ずっと前にもお話しましたが、たとえば今度の災害にしても非常にぜいたくだ。災害の前にも東海道、山陽はちょっとした小雨にも堤防なり築堤がくずれて、そのために幹線が不通になっていくというふうな実態があるわけです。年々歳々災害復旧その他の工事を見ましても、平均して約三十億以上出ていますね。本来ならば三十億という金を事前に防災のために使えば、その目に見えない損害はそれで妨げる。そういう意味で一つあなたにお聞きしたいのですが、動力近代化の委員会等も設置されていろいろおやりになっているようでありますが、防災の近代化をはかるために何か組織を作ってもっと真剣にかかったらどうか、こう思うのですが、どうですか。
  74. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 今回の伊勢湾台風におきまして、東海道線、関西線等が被害を受けまして、交通が相当期間途絶しましたことはまことに遺憾と存ずるのでございますが、伊勢湾台風は御承知の通りに、室戸台風、枕崎台風と肩を並べるような記録的な暴風雨でございまして、そのために風速その他が特段の程度でございましたのでああいう状態に相なった次第でございまして、これを一つの教訓といたしまして、今後とも災害防止に全力を尽くすつもりでございます。毎年の風水害につきましては大体三十億程度が出ておりますが、実は防災に使います金は毎年百億をこえております。いろいろな意味の防災がございますが、それを全部ひっくるめますと、百億ないし百五十億くらいの防災費を使っておるのでございます。しかしながら、これは全国的にわたりますと非常にいろいろな個所がございますので、それだけ資金をつぎ込みましてもなかなか手が回りかねるということでございます。それで委員会というお話でございますが、ただいまのところは安全委員会、これは主として列車運転でございますが、列車運転に付随して、山岳地帯の切り取りあるいは沿岸地帯の擁壁等というようなことにまでいろいろ気を配って御注意していただいている次第でございます。
  75. 久保三郎

    ○久保委員 今度の災害でいろいろな対策が全般的にはできておるわけですが、少しくらいの雨や風に交通が途絶するような施設では、そこに二百五十キロの高速列車を走らせても近代化になりませんね。近代的な防災をするために金を百億以上使っておるそうでありますが、金の使い方にもよると思うのであります。よって、これはもう一ぺん考慮をしていただきたいと思うのです。  それから災害で関連して申し上げますが、この間聞きますれば、線路工手などの警戒手当が一時間六円だそうですね。一時間六円ということは、もらわないことだろうと思うのですが、ほんとうですか。いつのころきめたのか知りませんが、そういうのはちょっと前時代的じゃないか。  それからもう一つ、これも聞いた話ですからはっきりわかりませんが、そういう災害のときに出動した職員に対する食糧費は、一食三十五円とか三十円、そうしますと握り飯二つもらえればまあいいだろうと思う。握り飯二つでは残念ながらそういうあらしの中で復旧作業をやれといったってちょっと無理ではなかろうか。何か三十五円で食べさしておくんですか。
  76. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 仰せの通りに一時間六円とすれば、これはちょっと非常識と思いますが、私まだ承知しておりませんので、帰りましてからよく調べてみます。
  77. 久保三郎

    ○久保委員 副総裁、大体一時間六円に間違いないらしい。これは三十年くらい前にきめたのがずっとそのままになっておるかと思うのですが、六円ではちょっとどうかと思う。これはお聞きになっておると思うのですが、連結のために線路の上を暴風雨の中はっていった、たまたま吹き飛ばされた、それで殉職した例がございますね。それが一時間六円なんです。一時間六円の勤務に服しておるときに殉職をした。これは事故でも過失でも全然ありませんね。職務に忠実であったから、六円のために殉職をした。これで握り飯二つではどうかと思うのです。こういうことはたんつぼの掃除などをおやりにならないトップ・レベルの方にはおわかりにならないと思うのです。台風警戒だ、それ出ろといわれたためしもない、たんつぼの掃除をしろといわれたためしもない。今日国鉄の労働組合と皆さんの方との間に問題があるとすれば、そういうところではなかろうかと私は思うのです。十河総裁が今日おいでになっていればいいのですが、非常に人情を解し、鉄道のことをよく知っておられるが、残念ながらあの人もそういう苦労をしてこなかった。観念的には知っておるが、じかにはわからぬ。そのために今日国鉄労働組合と国鉄本社とはあまりいい仲ではないということになって、実際は世間からも非難があるんだろうと思うのです。あなた方経営者として、もう少し一番下の一時間六円の方まで見なければ、残念ながら人は動かせないんじゃないですか。これはえこじで言うわけではないがそういうこと。  それから東海道新幹線ができますね、このピッチでいくと大体七、八年かかりますね。五カ年というものの、大体オリンピックには間に合わぬかもしれぬ。そうなると今の線路容量では間に合わぬということになる。そうすると増強する。補修もなかなかきかぬ。そうなるとどうしても人手が必要だ。ところが今日新幹線の工事には、そういう施設系統の人間を振り向けていく。そうして人間はふやさないんだ、ふやさないでもけっこうなんです。けっこうなんだが、片方を増強しなければならない、片方は建設といいながらこうやる、こういうところにも問題はあろうかと思うのです。  時間がありませんから続けて申し上げますが、災害復旧にしましても、なるほど東海道線はまずできた、関西線もやっとできたということでしょうが、たとえば小海線ですか、あれは開通しましたか。この間やっと工事に着手したという話ですが、名松線はどうですか。こういう閑散線区というようなものは大体において工事はあと回わし、もちろん人間の通る量も違うから幹線と支線では違うという考えがあるかもしれませんが、サービスは悪くても、洪水があってもせめて最低限通れる復旧の作業は並行してやる。小海線はいつ災害にあって、いつから始まる格好ですか。どうもこういうところにも国鉄は、日の当たらない、だれも見ないような場所はほうっておいて、みんなが見ているところだけは一応化粧でもしようという、その根性が私はどうも好かない、国民性がない、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  78. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 災害復旧につきましては、私は幹線であろうが、支線であろうが、一たん交通路を国鉄で開いた以上できるだけ至急に——金はかかってもいいから至急に開通しろということを再々言っております。ただ現地の報告を見ますと、河川の近くの線路わきのようなところ、たとえば小海線のようにほとんど全部が流されてしまいまして跡形もないようなところ、それをまた別のルートにするか、あるいは河底から擁壁を作って再建するかというような程度のひどい災害でございましたので、そういう点につきましては決して路線を特にないがしろにするというようなことではなく、現に工事が非常にむずかしいものですから、延びて参った次第でございます。  それから手当の問題でございますが、これは帰りましたらよく研究いたさせますが、実はそういうことはありがちのように私も思います。と申しますのは、実は事故の場合に複線で片方が開通いたしますと、応急復旧が完成したということで別線の方は手当がつかないといったような実例がございまして、そういうことはいかぬから、よく調査しろというふうに言った次第でございますが、ただ人数が非常に多いものでございますから、積算すると非常に大きな金になるということで、つい単価がちびられるようなことになります。こういう点は今後よく注意いたすことにいたします。
  79. 關谷勝利

    關谷委員長代理 次会は来たる十二月二日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会することといたします。     午後零時五十四分散会