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1959-11-18 第33回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十八日(水曜日)委員長の指 名で次の通り小委員及び小委員長を選任した。  都市交通に関する小委員       天野 公義君    川野 芳滿君       關谷 勝利君    高橋清一郎君       塚原 俊郎君    井岡 大治君       菊川 君子君    久保 三郎君       土井 直作君  都市交通に関する小委員長                 天野 公義君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十四年十一月十八日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 木村 俊夫君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 島口重次郎君       高橋 英吉君    高橋清一郎君       塚原 俊郎君    菊川 君子君       杉山元治郎君    館  俊三君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局計画         第一部長)   水野  岑君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         気象庁長官   和達 清夫君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      川村 満雄君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十一月十三日  委員高橋英吉辞任につき、その補欠として大  倉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として高  橋英吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十二日  国鉄福知山線電化促進に関する陳情書  (第二三九号)  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃公共政策割  引存続に関する陳情書  (第三三三号)  李ラインによる漁船の警備保護強化に関する陳  情書(第  三六五号)  海運強化対策に関する陳情書  (第  四〇一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  日本国有鉄道経営東海道新幹線問題等)に  関する件  海運に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  気象に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。目下国土総合開発特別委員会において審査中の臨海地域開発促進法案は、臨海地域における工業その他の用に供する土地造成利用等計画を策定し、その実施を促進するという趣旨法案でありますが、本委員会といたしましても、港湾等の問題にも密接な関係がありますので、この際国土総合開発特別委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 平井義一

    平井委員長 なお、運輸大臣国鉄総裁は、参議院の予算委員会に行っておりますので、質疑の順序を変更いたしまして、港湾及び国鉄経営に関する件の調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。天野公義君。
  5. 天野公義

    天野(公)委員 港湾局長におもに高潮対策等についてお伺いしたいと思います。  先般の伊勢湾台風によりまして、非常な被害を残したということは、今後高潮対策につきまして、全国的に再検討していかなければならない、こういうことになったと思うのであります。先般来新聞その他で、運輸省、特に港湾局高潮対策について再検討をなされておるようでございますが、それはそれといたしまして、全国的にどうなっておるかということを、私もまだよく知らないのであります。全国的な高潮対策に対する港湾局考え方というものを、一応後ほど資料でこちらの方にお出しを願いたいと思います。  特に、一つのモデル・ケースといたしまして、私はこの際、東京地区の問題について主として御質問をいたしたいと思います。今日まで東京地区高潮について、どのぐらい潮が上がってきたかということを見て参りますと、大体昭和二十八年から三十三年までいろいろな台風が大きなのが来ております。しかし、その中で最高潮位というものを見て参りますと、二・八五メートルというものが最高潮位なんであります。それまでの台風はみな二・八五メートル以下の潮位で、あるいはキティ台風というような大被害が起きた。また昨年は亀戸の堤防が決壊した、こういうような工合でございます。もし東京に、伊勢湾台風のようにかりに五・八メートルでないまでも、五メートルの高潮がやってきて、そして堤防が決壊していくということになりますと、五メートルの線で東京の地図を見て参りまするならば、江東五区は全部水没をする、そして川口市も水につかり戸田橋の方まで行く、都心部におきましては後楽園のところにも水が入る、銀座からずっと南のあの辺は全部水につかる、こういう工合になるわけでございます。その五メートルの潮が来た場合には非常に大きな被害が考えられるわけであります。特にその中で問題になりますのは、江東地区のいわゆる荒川荒川放水路、また江戸川というようなところの川によって囲まれている地域、こういう地域におきましては特に低地帯である。低地帯であるばかりでなく回りが全部河川並びに海岸によって囲まれておる。そういうところに五メートルくらいの水が参りますと、住民はほとんど逃げ場がないということになるわけであります。かりに綿糸町辺を例にとりますと、五メートルの高潮が来るならば総武線のガードの上まで水が来るということになるわけでございまして、そういうようなことが起こった場合の被害高というものははかり知れないものがあるわけであります。特に荒川放水路とそれから隅田川の間は昼間人口百万、夜間人口七十万、年間生産高は三千億、こういう工合にいわれておる地帯です。特にその地帯が一番低い。しかも年々地盤沈下をする、こういうような工合であります。今運輸省並び建設省でやっております高潮防潮堤並びに河川堤防というものは、大体五メートルないし五・五メートルを基準としてやっておるのでございますが、今度の伊勢湾台風のような高潮を考えて参りますと、この高潮防潮堤によってはとうてい防御できないのではないかというふうに考えられるわけであります。従ってこれら高潮対策に対する運輸省並び——とりあえず運輸省考え方をお聞きしたいと思います。
  6. 中道峰夫

    中道政府委員 高潮対策事業といたしましては、今回の伊勢湾台風によります海岸被害がきわめて甚大でございまして、これは単に伊勢湾だけでなくて、今後台風時の異常高潮によりまして今回と同様またはそれ以上の災害が発生されるような見込みの地区につきましては、どうしてもこの際抜本的な対策を立てまして、国土の保全、民生の安定ということを根本的に考えなければならないと存ずるわけでございます。運輸省といたしましてこれらの点にかんがみまして、今回全国的にただいま申し上げましたような地区につきまして、対策事業としての構想を一応立てたわけでございます。それらにつきましてはただいまお話のように、資料を提出いたすことにいたします。  お尋ねの東京湾、特に東京港の対策について申し上げたいと存じますが、東京につきましては特に江東地区高潮対策につきまして、従来この地区は、建設省と緊密に連絡をいたしまして、昭和二十五年度から高潮対策工事を実施して参っております。ただお話のように、従来の計画をもってしては今次のような台風時に対して万全を期することができないと考えますので、このたび立てました計画といたしましては、まず荒川放水路右岸から始まりまして隅田川の河口を経まして、さらに品川から大田地区を経まして羽田海岸線に至ります延長約二十二キロの間に防潮堤を作る。その間河川運河等に交わりますところは水門または閘門を設け、また従来の防潮堤かさ上げをし、及びその堤体補強をいたし、さらに新設をいたしまして、将来予想されます高潮及び波浪を防ごう、かように考えているわけでございます。高さにつきましては、従来の計画は御承知のようにプラス五メートル——荒川基準水面からプラス五メートルでございますが、さらにそれに江東地区地盤沈下を予想いたしまして、これが一メートルということでプラス六メートルとして計画をいたしておったわけでございますが、今回の改訂計画におきましては、この堤防の高さをさらに上げましてプラス七メートル、なお堤防構造につきましては、さらに沈下量を一メートルでなくて一メートル半程度のものを予想いたしまして、最終的にはプラス八・五メートルにして万全を期したいというふうに計画をいたしたわけでございます。なおこれに関連いたしまして、現在ございます月島地区の貯木場の木材の流出防止のための設備をやります。また埋立地造成計画がございます。この江東地区全面につきましてはそれらの工事を促進したい。埋立地は、今回の台風あるいはそれ以前の台風等にかんがみまして、埋立地を作りましてその利用をはかるとともに、その背後地区は非常に安全性を増すわけでございます。従いましてそういった計画のあるところは極力これを推進して、土地利用等について背後の安全を確保するというふうな計画を立てている次第でございます。
  7. 天野公義

    天野(公)委員 御計画によりますと、最終八・五メートルという堤防を築くという計画でございますが、そこにたくさんの資金が要る。またたくさんの日数が要る。そこで荒川放水路右岸から羽田のところまでずっと堤防を作るには何年か非常な日数と巨額の予算を伴うわけでございます。従ってどこを重点にやるか、どこを先にやるかということが一番大きな問題であります。従って第一期工事は最も被害予想の大きな地区、ここを重点的にやって、そして一朝有事の場合の被害を少なくさせていくという考え方で進められるのがいいと思うのでありますが、計画によりますと、一期工事並びに二期工事、それはどういう工合になっておりますか。
  8. 中道峰夫

    中道政府委員 従来からの状況によりましても、特にやはり荒川放水路から隅田川に至りまする江東地区の防御ということが、どうしても当面重点的に考えられなければならないと存じますので、もちろんただいま申しましたその他の地区もできれば同時に建設したいのでございますけれども、時と資金等関係もございますので、第一期工事といたしましては、この江東地区全面をまず取り上げて、羽田に至りまするその他の地区は第二期に完成をいたしたい、かように考えております。
  9. 天野公義

    天野(公)委員 第一期工事は大体三十五年から三十七年、第二期工事は三十八年から四十年、そういうふうに私の方は聞いておるのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  10. 中道峰夫

    中道政府委員 この点につきましては、なお財政当局とも十分に協議をいたさなければならない点でございますが、現在一応運輸省といたしましては、ただいま申しました第一期を三十五年から三十七年の三カ年、第二期を三十八年から四十年の三カ年、合わせまして六カ年で完成いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  11. 天野公義

    天野(公)委員 それらの問題は財政当局とよく話し合ってやらなければならない問題でありますが、やはり基礎的な考え方をかちっとしておきませんと、予算獲得も困難だと思います。よくこの点をはっきり資料に基づいて計画を立てていただきたいと思います。  もう一つの問題は、伊勢湾台風の例でもありますが、また昨年の東京の問題でも、堤防強度というものが非常に大きな問題ではないかと思うのであります。地盤の悪いところに大きなものをずっとえんえん長蛇のような格好で作りましても、非常な圧力を受けるか、もしくは反対側のところを波で洗われるというような場合には、往々にしてひっくり返るという場面が非常に多いわけであります。従来の堤防の作り方というものを、この際もう少し再検討する必要があるのではないか、このように思うわけであります。特に地盤の悪い地域でございますから、地盤の悪いところに大きな堤防を乗っけますと、そこにひびが入るとかいろいろなことも当然考えられるわけであります。こういうような点からいたしまして、今回計画されます新規堤防については、もう少し堤防強度、それから基礎を十分にやるということ、それから裏側の補強、こういうような面について十分配慮していただかなければ意味がないと思うのでありますが、いかがですか。
  12. 中道峰夫

    中道政府委員 お話のように、この江東地区は非常に地盤が悪いところでございます。従いまして、これの構造につきましては、この軟弱地盤に対しまして、また波浪あるいは地盤沈下等外力に対しまして十分安全でなければなりませんので、現在運輸技術研究所におきまして、軟弱地盤改良の方法、また今の外力に対する抵抗、強度等の問題を目下慎重に検討をいたしておるわけでございまして、最近の技術の進歩と申しますか、その点から申しますと、軟弱地盤改良につきましては、各所で相当これを改良する工法を進めておるわけでございますので、心配のないように万全の強度を持った構造にいたしたい、かように考えております。
  13. 天野公義

    天野(公)委員 大臣も見えましたので、私の質問は後ほどまた続けさせていただくことにいたします。      ————◇—————
  14. 平井義一

    平井委員長 日本国有鉄道経営に関する件、特に東海道新幹線の問題について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井岡大治君。
  15. 井岡大治

    井岡委員 東海道新幹線の問題は、かねがね国鉄当局並びに運輸当局が非常に努力をされて、初年度において、すでに三十億とそのほかに六十億のお金を注ぎ込まれて、着々その歩を進められておるということについては、これは当委員会としてまことに喜ばしいことだと思う。しかしこの問題は、国民期待が大きいだけに、少なくとも建設にあたって暗い影というものがあるとするならば、これは非常に不幸だと思うわけです。そこで国鉄総裁は、かねがね国鉄経営ガラス張りでやるんだというように申されております。従って私は、国鉄総裁のそのガラス張りですべての経営を行なっていかれるという御熱意については、敬意を表しておったわけです。申し上げまするならば、たとえばさきに国鉄は、ガード下の問題であるとか、あるいは加賀山さんのお宅の問題であるとか、あるいは国鉄会館の問題で多くの疑惑国民に与えて一体国鉄は何をしておるんだ、こういうことでは国民国鉄ということは言えないのではないか、こういう強い非難等もあって、今後少なくとも国鉄経営というものは、国民期待にこたえた経営をやってくれるものだ、しかも総裁は、今申し上げましたように、ガラス張りの中でやるんだ、こういうように強く主張されておる限りにおいては、私は非常に大きな期待と、そうして今後の国鉄の健全な発展を望んだわけであります。そういう意味から、私たちは、当委員会においても、国鉄の健全な発展のためにあとう限りの御協力なり、あるいは御支援なりをしたつもりであります。しかるにきょうの新聞は、一斉に東海道新幹線に政治駅ができる、こういうことを報じております。おそらくこのことについて、大臣並びに総裁は、そういうことはない、必要があって作ったのだ、こういうように言われるであろうと思いまするけれども、しかしこの三面の記事を通じて見ますと、いろいろなことが書いてあります。こういうことがもし事実であるとするならば、われわれは、今後の国鉄経営というものに対して、まっこうからもっともっと深刻に取り組んでいかなければならない。同時に、今後の国鉄経営というものに対して、われわれは協力をするというようなことはできない、こういうように思うわけです。従って、まず総裁並びに大臣から、このいきさつについてお話をいただきたいと思うのです。
  16. 十河信二

    十河説明員 ただいまお話のありましたように、私は国鉄経営についてはガラス張りで仕事をやっていきたいという信念も変わりませんし、今日もそういうふうにやっておるつもりであります。東海道新幹線経過地並びに停車駅につきましては、いろいろな検討をいたしまして、名古屋までは比較的順調に進んだのでありますが、名古屋から先、なるべく直線に行きたいと思って、鈴鹿の山脈の地質調査を長いことかかって検討いたしました。そうしていろいろなルートを調べてみたのでありますが、どうも地質がよろしくない。しかしながらできるだけ短距離で結びたいということで、名古屋から関ケ原の方へ直線で結ぶことにいたしました。そうなりますと豊橋から米原までの間は相当長い距離になりまして、豊橋名古屋米原という三つの駅を置くか、あるいはもう一つその間に駅を置くかということをいろいろ検討いたしまして三駅案、四駅案と、いろいろな案がありますが、御承知のように、新幹線はなるべく曲線をなくして直線にして、そうして踏み切りをなくして、経済的の最高のスピードで走るようにしたい、そういうことを考えまして、そうすれば特急は大体最高二百キロくらいの速力で走れば三時間で、非常に経済的にスピードアップができるということで三駅の方がよかろうかということを考えておりました。ところが特急だけではいけない、特急東京名古屋大阪、この三駅へとまる計画でありますが、それだけではいけない、やはり地方の都市にもとまる必要があるということで、特急のほかに急行をどうしても走らさなければならぬ。そうなりますと、特急急行との行き違いの関係もありまして、豊橋名古屋米原と行くよりか、その間に一つ駅を作ったらよかろうというふうなことが最終の案として決定いたしまして、それで運輸大臣に申請して認可になった次第であります。その間、そういうふうに長いことかかっていろいろ検討いたしておりましたので、それで世間で——いろいろその間を測量するとか調査をするということがありまして、事前にいろいろなことが漏れて、皆さんにいろいろな疑惑をおかけしたことは、はなはだ遺憾であります。事情は今申し上げた通りであります。さよう御了承を願いたいと存じます。
  17. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま総裁からお答えいたしましたが、きのう国鉄から十の駅をなにしました申請が出て参りましたので私が認可をいたしたのであります。今申されましたことを率直に申し上げますと、岐阜県民をあげて岐阜に駅を作ってもらいたいという非常な希望がありますけれども、岐阜市に回りますと、すでに御存じのように三角形の二辺を回るようになりまして、そのために約百億、特急の時間からすれば十三分から十五分間時間が延長されるということになるので、岐阜市に回るという要求は、ただいまもおっしゃいましたような趣旨に基づきましても、国鉄としても絶対に聞くわけにいかない——私にもそういうような話がありましたが、それは絶対にいかぬ。なぜならば東京大阪間の最大特急という一つ基本線からいったらそういう体系をくずすわけにいかない。こういうことに主張したのでありまして、しかし岐阜一つの駅を設けるというのは、そういう岐阜市を回る線でなくて、今の新しい線の基本線を動かさないという意味において、それは今総裁が申しましたように特急でなくして普通の急行がとまる駅でありますから、神奈川県には二つの駅があり、静岡県には三つの駅が設けられ、それから滋賀県には一つ、愛知県も二つ、京都が一つ岐阜御存じのように、あそこを通過しますために土地買収その他についても相当県民協力を得なければならないので、百五十万の県民要望等もありまして、岐阜にも、いわゆる特急にあらざる急行のとまる駅は——国鉄もやはり商売ですから、同時に国民に対してサービスをしなければならぬのだから、岐阜にも一カ所技術的に差しつかえがなければ設けたがよいという考え方に立って私が認可したのであります。
  18. 井岡大治

    井岡委員 今の大臣お話東海道新線という立場から考えて、そういうことは困る。岐阜に回る、あるいはそれがおくれる、それでありますならば、これは当然鉄道建設審議会におかけにならなければならない性質のものなのです。ところが今まで当委員会において国鉄当局並びに運輸当局の御説明なさったのは、これは新線ではないのだ、いわゆる改良線なのだ、こういうようにお話をなさって、われわれに対してこのことの了解を求められた。同時にまた鉄道建設審議会においてもそのように御説明をなさっておられるわけです。ところがこれが新線である、こういうことであるならば、当然鉄道建設審議会にかけなければならぬ。にもかかわらず、かけておいでにならない。従ってその間のいきさつというものは大きな食い違いを生ずると思う。この点はどういうようにお考えになりますか。
  19. 山内公猷

    山内説明員 このいわゆる東海道の新しい幹線が、敷設法にいうところの新線であるか、改良線であるかということは、当委員会においてもいろいろ御審議を願いましたし、鉄道建設審議会においても十分議論を尽くしていただいたところでございます。また重複するようでございますが、われわれの考え方といたしましては、この東海道新幹線というものは、現在の線が輸送的に行き詰まってしまった。そのために、現在の線を複々線にするという考え方でいかにして輸送力をふやすかということを基本的に考えた線でございます。その際、現在の線を複々線にするということは、御承知のように現在の東海道線が非常に人家の櫛比したところを走っておるところでございまして、立ちのき、用地買収その他にとうてい不可能である。しからば離れた別線で引いたらどうかということでございます。その際にも三フィート六インチ、四フィート八インチの考え方がありましたが、今の輸送上の情勢からいって、将来を見通しますと、四フィート八インチで改良線を引くことがよいということで、しかくきまったわけでございまして、われわれといたしましては十分御議論を尽くしていただき、かつまた御了解を得てやっておるというふうに了解さしていただいておるわけでございます。
  20. 井岡大治

    井岡委員 輸送力の問題をお話しになるのであれば、率直に申し上げてこれは羽島駅ということになるようでありますが、羽島という市はわずかに人口四万ばかりであります。岐阜とは非常に開きを持っておる。従って、羽島市の市長なりあるいは議長というものは、現在の状態では——なるほど用地買収はたんぼの中でこれは非常にけっこうでしょう、都合がいいでしょう。けれども、現実には羽島駅の乗降台、荷物の取り扱いなどは不便だ。従って、近い将来に岐阜羽島との間に建設をするようにしない限り、いわゆる所期の目的が達成できないのだ。だから、やがてこの間について、追加の理由を求めて、そして新線を敷いてもらおうじゃないかということが、すでに話し合いがなされている。また新聞に発表されている。本来新幹線というものは、先ほどお話しになったように、現在の東海道線が行き詰まってしまっておるから、何とかこれの輸送緩和をするという立場で、そうして改良線としてやられたわけなんです。あるいは新幹線としてやられたわけなんです。にもかかわらず、人口四万で実際ものの役に立たないところに駅をこしらえて、そうして新たにまた岐阜との間に一線を設けて、そうして何らかの糊塗しようとする態度というものは、まことに私は奇怪千万といわなければならぬと思う。これを新聞は政治駅と称しております。(「百年の大計だ」と呼ぶ者あり)これがもし百年の大計であるとするならば、初めからもっと大胆にやられるべき性質のものであると思う。そういうようなごまかしをもってこの問題を処理しようとすることは、国鉄経営を一そう暗くするものだと思います。同時に新聞は、国鉄は現在運賃体系の不公平で非常に困っている、従って、これらの問題を解決するためには、どうしても国会の議員あるいは政治的効果、こういうものを取り入れない限り、これができない——おそらくこれは公益運賃等の問題であろうと思う。貨物運賃等の問題であろうと思う。こういう問題は、かねがね国鉄は直してもらいたいと、こう言ってきている。たとえば本年の通常国会においてこれを出された。農林委員会等から、そういうことでは困るということで、一年間据え置きにした。こういうようないわゆる国鉄の年来の宿願を達成したいために、少なくとも国鉄経営というものは、ゆがめられた姿において行なわれるとするならば、いわゆる運賃の公平ということを、国民がどうして了解するか。この点について、大臣の御答弁をいただきたいと思う。
  21. 山内公猷

    山内説明員 私からお答えを……。     〔井岡委員「忙しいというから大臣に聞いておるのに」と呼ぶ〕
  22. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今予算委員会から呼ばれておりますから、それじゃお答えをいたします。  この急行をとめるということは、これは今十になっておりますが、やはりこれは国鉄としては国民のためにサービスをするということであって、どうも新聞でも観念を多少違えておるのは、特急で三時間走るという、いわゆる最大特急の汽車と、もう一つその汽車を利用して急行を走らせようという今の中間駅といいますか、その問題をややもすると混同しておる点があるようでありますが、私から言わせますならば、その一番大事な新幹線の、つまり直線を走っていく特急のものを、これを岐阜市に持っていったら、それこそ政治的になる。百億かかって十五分もおくれるというようなことは、これは承知はできない。だからその点は国鉄当局もやはり賛成できがたい。しかし、国鉄としては、岐阜県も百五十万という県民もおるのだから、その岐阜県民のために、普通の急行をとめる駅を一つ設けようという考えを持ったのは、これは良識ある、妥当な線だと思う。
  23. 井岡大治

    井岡委員 あなたはサービスというから、もう一ぺんサービスの問題で聞きたいと思う。サービスということであれば、岐阜の人たち、いわゆる岐阜県というものは、岐阜、大垣を中心に発達をしているわけなんです。従って、その人たちの利便、同時にその方面の産業開発ということが、やはり主たる目的でなければならないはずなんです。ところが、人口四万のところにこれを持っていって、そうしてこれがどうして利用ができるのですか。新たに線をこしらえてくっつけない限り、線はできないじゃないですか。結局岐阜市の人たちは、あるいは大垣の人たちは、現在の東海道線に乗せて名古屋なり米原に持っていくという以外に手がないのじゃないか。関ケ原に持っていくという以外に手がないのじゃないか。だから大臣の言われるサービスという点について非常に私たちは疑問を持つ。百年の大計というのであれば、もっと百年の大計らしいものをもってきてそうして審議をしていただくということにならなければ、これは私は決して了解するわけにはいかない。同時にあらゆる新聞は、人の名前がありますからあまり読むのはいやですが、「大野先生のお陰、手放しでよろこぶ地元」同時に大野さんがこう言っておられる。これは新聞だから、大野さん、そういうことはわしは言ったことはないと言われるかもわからないけれども、もし国鉄が九カ所だけにして岐阜県を除くのだ、こういうばかなことをやるのなら、用地買収等は絶対させない、岐阜県は通させない、こういうことでがんばった、これはこうやるのがあたりまえだ、こう言っておる。これをもって圧力といわなくてどれを圧力というか。これはサ—ビスではない、圧力です。こういう点について十分考えていただきたい。この点の答弁をしていただきたい。
  24. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 大野伴睦氏がどういう圧力を加えようとそういうことに屈するものではありません。十河さんもがんこおやじだし、私もそうであります。けれどもそれは、大野さんあるいは県民が、自社ともに県民をあげて、やっぱり地方の問題ですから、超党派的にとにかく岐阜市に持っていってもらいたいという希望はある。しかし岐阜市に持っていけば百億費用がかかってその上に十五分おくれる、そういうことはこの新幹線一つの性質からいっても聞くことができない。この点は岐阜県の人たちはやはり良識があるから、結局その点はもう……。そこで岐阜の百五十八万の人に、あなたも選挙区を持っておられるから考えられるでしょうが、隣の県も三つある、隣の県も三つある、自分のところは用地買収も全部やってもそこは普通の汽車もとまならない、これではあまりかわいそうではないか、こういうことだからその点は一つ御理解願いたい。
  25. 井岡大治

    井岡委員 僕は大臣としてせめてもの良心を持っておられたということについては敬意を表する。これはいわゆる直線を引いて、さらに十五分間これを短縮されたというそのことについては、私は大臣に敬意を表しますよ。けれども選挙区を持っておるから、こういう政治論で、あるいは人情論で話をされるということは、私は国鉄経営というものは依然として暗いものが残っておる、こういうことを言わざるを得ない。ですから大臣お忙しいのであれば、私は大臣については残しておきます。残しておきますが、単にこの問題は大野さんがどうだとか、私は名前を言うのはだからいやだと言ったのですが、ただ問題はこの間に取り組まれた、あらゆる工作が行なわれておることが克明に新聞に載っているわけなんです。国民はこの新聞を見て、国鉄というものをどういうように理解をするだろうか。国鉄というものをどのように見るだろうか、その結果今後の国鉄経営というものについて、もし暗い影がありとするならば、私は非常に不幸なことだと思う。このことを追及したい。従って大臣の言われる、お前も選挙区を持っているのだから一つ考えてやってくれ、そのことについては私自身も選挙をやりますからわかる。わかりますけれども、国鉄経営というものは、そういう選挙区の問題とか、お前は選挙をやるからという問題ではないわけです。国民の財産を預かって、公器を預かってやっておるものなんです。ですから、かつては総裁が志免炭鉱について、私は国から財産を預かっているのだ、こういって大みえを切られたのですね。過去四年間にわたって切り続けられたことなんです。これを一人の政治家あるいは一つの圧力によってゆがめられたとするならば、今後の国鉄経営というものは非常にむずかしくなる。われわれは協力することはできない、こういうように申し上げておる。国民はおそらく国鉄の今後の問題について快く協力するということはしないでしょう。こういう点を大臣はどうお考えになるか、これだけお聞きしておきたいと思う。
  26. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 選挙区、選挙区と言われるが、そういうことではなくて、百五十八万の岐阜県民の総意といいますか、希望というものも、やはり岐阜県民国民の一人ですから、考えてやることが必要である。同時に、私もしろうとだからよくわからぬが、九つの駅ができたから、十の駅ができたから全部汽車が一々とまってあるくわけじゃないのです。やはりいろいろなことによってとまってあるくので、三つとまることもあるし、十とまることもある。だから、そうやかましく言うことはないのです。全部十の駅みなとまってあるくのじゃなくて、場合によって、とまるところもあるし、とまらぬところもある。だからそういうことで御理解をしてもらわぬと困ります。
  27. 平井義一

    平井委員長 大臣の都合もありますので、あわせて海上保安及び気象に関する件について質疑を許します。關谷勝利君。
  28. 關谷勝利

    關谷委員 大臣も時間がなさそうでありますので簡単にお尋ねをいたしますが、三十五年度の予算要求に対して、重点をどのようなところに置いておられるか、その点を伺っておきたいと思います。——大臣困っておられるようでありますが、三十五年度の予算要求についての重点施策というようなことになりますと、以前から継続いたしておりまする港湾整備、新しい海運政策、あるいは臨海工業地帯の埋め立て公団の関係というふうなこと、それについては、来年度もやはり災害防止というようなことになって参りましょうから、これに対しまするところの気象の予報施設とか、あるいは農業気象というようなことが重点になって考えられる、こういうふうに考えておるのでありまするが、私が言いたいことは、こういうふうな重点施策を進めておりまする反面に、非常に重要なものでありながら取り残されて何といいますか、まま子扱いせられておるようなものがありまするので、こういうふうな点については、楢橋運輸大臣のもとで一つこの不均衡を是正するようにしてもらいたい。端的に申しますると、運輸省予算の中で、一番取り残されておくれておりまするのが航路標識の関係であります。この灯台の問題につきましては、以前から運輸省でも非常に軽く見ておったのじゃないかというふうな気持がいたします。かつて二十七年当時に七億ぐらいありましたこの予算が、昭和三十一年に二億に削られておる。これは、宗谷の改装費というものを、灯台の費用をさいてやってしまった。それから後に出ておる予算といいますものはこの二億を基礎にして徐々にふやしておるというふうなことでありまするので、灯台というものは、はっきりわからなければならぬものが陰に隠れてわからぬというような形になっておるのであります。そういうふうな関係でありますし、ことに港湾に重点を置いてやっておりまするのに、港湾整備はできたが、その入口の灯台がないために、航行に支障を来たす、海難が絶えず起こっておるというふうな状態が起きておるのであります。私は、今私が申し上げましたようなこの重点施策を推進する際に、この航路標識というものについて運輸省が今年は思い切った力を入れて大蔵省と折衝して、このゆがめられておる姿を正しい、ほんとうに明るい灯台にしてもらいたい、こういうふうに考えますので、これに対する大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  29. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ごもっともな御指摘でありまして、運輸省におきましては關谷委員の申されましたような重点施策をやっておりますが、また灯台がないために海難その他多くの被害を受けた。灯台を作る費用のごときはその災害から見ればほとんど問題にならない。つまり一文惜しみの百知らずのような格好になっておるのだから、どうしても航路標識に対してはやらなければならぬというわけで、今ちょうど御指摘のありましたように昭和二十七年は六億七千万円が昭和三十三年度は四億四千万円に、三十四年度は五億一千万円になっておりますが、本年は約十億のものを要求したいと思っておりますが、全体的なもので二十五億、航路標識の新設の費用を入れまして二十五億ということになっておりまして、この点については極力努力いたします。先般私も航路標識の全国大会に列席いたしましてつぶさに事情等も伺いましたので、大蔵省と極力折衝いたしたいと考えております。
  30. 平井義一

    平井委員長 館俊三君。
  31. 館俊三

    ○館委員 大臣もお忙しいので時間を制限されましたが、私のお願いするところ、質問するところは、台風に対する運輸省の態度がきわめて積極的でないということなんです。ことに気象庁の予算については、今度の災害対策の補正予算においても室戸岬にレーダーをつけただけであとは放擲されておる。そういう状態では陸上の交通、海上の交通のすべてを預かっておる運輸省として、また気象庁として、まことにかいしょうのないことだと私は考える。この九月十八日あるいは二十六日に起きた十四号、十五号の台風でどんなに悲惨な状態になっているかということは御存じのはずである。ことに昭和二十九年九月二十六日に洞爺丸事件を起こして千数百名の犠牲者を出しておる。そして連絡船は五そう沈没しておる。私はその際レーダー設置の問題について決議をして言っておいたにもかかわらず、その熱がさめるとすぐにそれがないがしろにされて今日に及んでおる。ところが九月十八日の十四号台風で連絡船が二そう十八時間も海上に浮いたまま漂泊するという状態で洞爺丸の二の舞をするような状態になったが、船長以下乗組員の努力によってようやく函館の岸壁に着いたのは翌朝の三時を過ぎておった。出迎え人が非常にたくさん来まして、これは洞爺丸の二の舞を演ずるだろうという考えで徹宵で家族たちが待っておったという状態が現出されておった。だから私は今度は気象庁としては函館にレーダーを設置する、あるいは名古屋にレーダーを設置する、あるいは仙台、広島にレーダーを設置するということについては、あらかじめ新聞でも報道され、大蔵省にそれを提出しておったわけです。しかるに災害予算の出た結果を見ると、室戸岬だけがかかっておる。そういう状態では運輸行政をあずかる大臣として、どういうお考えなのか、ことしは気象庁の要求通り予算を獲得されるつもりか。また気象庁としても元気がないと私は思う。運輸大臣は気象庁をどう見ておられるのか。
  32. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 御承知のように今回の台風を契機といたしまして気象庁の強化を非常に考えておるのであります。これは御承知のように昨年は三十五億、本年は六十五億くらいを要求しておるのであります。それからレーダーのことをおっしゃいましたが、室戸岬にレーダー、それから高潮三つのあれを補正予算にとりましたのは、こう言っては失礼ですが、運輸省としてはレコード破りなんです。なかなかそういうことは通らない。そういう新設のことにはなかなか補正予算を出さないのです。だからこの次の三十五年度には、おっしゃいましたようなレーダー観測について強化するということ——あなたがかねてやかましく言っておられる函館の問題も、一つ大いに考慮したいと考えております。
  33. 館俊三

    ○館委員 私の選挙区だからどうこう言うのじゃなくて、あれは北海道と本州をつなぐ鉄道の大幹線なんです。
  34. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 そういう意味において、あなたが言っておることを考慮するというわけです。
  35. 館俊三

    ○館委員 大臣は気象庁の予算については今までそんなに力を入れてなかったと私は思う。気象庁のああいうオンボロの建物で、戦々きょうきょうとして予算を要求するというようなみじめな……。
  36. 平井義一

    平井委員長 館君、委員長の許可がなければ、発言をさせません。
  37. 館俊三

    ○館委員 どうか今度は気象庁一体になって大蔵省を押しまくっていただきたい。これについては国鉄当局も何を考えておるかと私は言いたくなる。国鉄はあそこに十四、五そうの船を預かっているんじゃないか。洞爺丸事件であんなことが起きたじゃないか。これに一臂の力もかしていないように見えるのは残念である。そういう意味で、十分に一つことしは獲得されるようにお願いする次第であります。
  38. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 この辺で御容赦願います。
  39. 井岡大治

    井岡委員 大臣にもう少しお尋ねをしたかったのですが、この次に大臣に……。
  40. 平井義一

    平井委員長 委員長からこの席で総裁質問をいたします。  新幹線の駅は初めからどうして十カ所にしなかったのですか。九カ所と発表してあと十カ所となったので、井岡君が非常に心配をして質問いたしておるのでありますが、その点をはっきりさしていただきたい。岐阜にできるのはけっこうでございますけれども……。
  41. 十河信二

    十河説明員 東海道新幹線の駅は初めからおよそ十ほどということをわれわれは言っておったわけであります。きまったものとして、九つにきまったとか十になったとかいうことは今日まで発表しておりません。昨日発表したのが初めてであります。いろいろ調査をしておる過程で皆さんが想像して、新聞なんかでいろいろ書かれることはありますけれども、正式に発表したものではないのであります。その点は御了承を願いたいと思います。
  42. 平井義一

    平井委員長 井岡君、よろしゅうございますか。
  43. 井岡大治

    井岡委員 僕はこの際その十か九つということについて、発表したとかしないとかいう問題については、これは私たちここで公の席上で聞いておらないから、発表していないといえばいない、したといえばした。この点については依然として私は疑問がある。疑問があるけれども、この問題については、私の根本的な問題をお聞きしたいのは、少なくともきょう一斉に新聞にこう書いているわけです。これは今もここで言った。これくらいはまだやさしい方だ、事実もっとえげつないものがあります。持ってこようと思ったけれども、あまり並べてもいけないと思って並べなかった。しかし国鉄は、今後経営をしていくために国民協力を必要としないのかするのか、この点についてまずお聞きしておきたいと思う。
  44. 十河信二

    十河説明員 国鉄は、毎度申し上げておりますように、国民国鉄でありますから、国民協力なくしては国鉄は円満に運営していくことはできない。私は心から国民協力を得るように努力をしておるつもりであります。
  45. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、おそらくこの新聞を読むと、各方面から国鉄に対する一斉の非難なり攻撃なり不安なりが起こってくることだけは事実です。現にすでに評論家の秋山さんあるいは東大の今野先生等がかなり強い批判をなさっておる。この新聞を見て一そう大きくなってくるでしょう。その場合、今後国鉄はどうなるかということなんです。従って、こういういわゆる疑惑を招くような措置をとった、あるいはとらざるを得なかったというところに、国鉄の不手ぎわというものを明らかに示しておることだと思う。それで国鉄がいかに国民に要請したところで要請できない。われわれが今後運賃の問題等について、なるほどわれわれは国鉄の言われることについてわからないことはない。先般副総裁に来ていただいて、私たちはいろいろ研究会を聞きました。その中でわれわれとしては、こういう問題はもっと具体的にこうやった方がいいんじゃないかというようにわれわれ自身も考えて、今後の国鉄経営それ自体について協力しよう、同時に国民に対してわれわれも進んで国鉄というものは国民国鉄だということを知らそう、こう考える。しかしこのことによってわれわれの今後の発言というものは非常に制約をされることになる、こういうふうに思う。従ってこの不手ぎわをあなた方はどういうふうにお考えになっているか、この点をお聞きしておきたい。
  46. 十河信二

    十河説明員 新聞にそういうふうな記事が出たことは、まことに御指摘の通り私は不手ぎわであったと思います。申しわけないと思うのですが、しかし国鉄は広い場所でいろいろ現地の調査をするとかなんとかということをしなければならぬのであります。従って外部の方々がいろいろこうであろうああであろうと推測される、これまたやむを得ないのでありまして、そういう記事の出ないように今後は大いに努力はいたしますが、これはどうも非常にまずかったと私もそう思っております。
  47. 平井義一

    平井委員長 井岡君に申し上げます。総裁は初めから十カ所と考えていたそうですから、それで了解してくれませんか、いかがですか。
  48. 井岡大治

    井岡委員 初めから十カ所だと言われても、私は依然としてこの問題については疑惑が残っている。ですから、それは総裁がそうだと言われればそうであろうけれども、私には了解ができない部分がたくさんある。だから私は十カ所それ自体について今直ちにどうこうということは言わないけれども、どの新聞を見ても、すでに十五日に松野岐阜県知事のところに大野先生から電話がかかっている。十五日に国鉄運輸省に申請をして、すでに十五日には松野岐阜県知事は知っている。こういうべらぼうなことで、あなた方がいがに十カ所初めから考えておったんだと言ったところで、だれが承知をしますか。ここを私は憂えるんです。そうして将来国鉄国民に対する要求というものが非常にゆがめられたものとして国民から理解をされる。その結果国鉄はどうなる。このことをお尋ねしている。ですからこの間においての責任というものは明確にしなければならない。特に大石常務理事は運転上の技術からだと言っている。今の大臣の答弁は、百五十万の人口のことも考えてやってくれ、これは全く政治的な発言であります。ここに大きな食い違いがあり、新聞もそれを指摘している。ここに問題がある。だから今後の国鉄経営というものについてはあなたが自信を持って国民了解さしてやれるのかやれないのか、この点をまず聞いておきたい。
  49. 十河信二

    十河説明員 東海道新幹線には東京大阪間大体五百キロで十カ所以内の停車駅だということを初めから言っておったわけであります。私たちは国鉄経営の経済上、技術上のことを主として考えております。政治家はいろいろ政治上のことをお考えになっておるでありましょう。知事はどういうふうに考えておったか存じませんが、私たちはもっぱら国鉄経営技術上の点をこうしたらよかろうああしたらよかろうと考究をいたして、その結果きめたところであります。その間別に暗い影などはないと私どもは信じております。
  50. 井岡大治

    井岡委員 政治家は政治的なことを考える。それは当然なことでしょう、あなた方の技術的な問題ばかりではないんですから。しかし政治的に考えたとしても、羽島というところは人口四万しかおらない。そうして先ほど岐阜県の人間のなにを考えてやる。しかしこれをどうして運ぶんですか。また新たにそこに線をつけるのですか、この点をお尋ねしておきたい。
  51. 十河信二

    十河説明員 どこに駅ができてその駅にどういう道路ができるかというふうなことは、まだ今日何らはっきりきまっていないと思います。あるいは県とか地方ではいろいろ考えておるかもしれないが、それは私存じません。
  52. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、この新しい線はもしあなた方がお考えになるとするなら、これは新線になるのですか、これも改良線になるのですか、どっちなんですか。
  53. 十河信二

    十河説明員 それはたびたび申し上げておりますように、東海道線輸送力が行き詰まって参りましたので、これにもう一つ複線を作る必要がある。いわゆる複々線にしようという考えが出てきたのでありますが、さっき鉄監局長から説明のありましたように、あれに沿うて張りつけの複々線を作ることはかえって非常に経費がかさむということから、少し離したところに経済的に線路を選んだ方がよかろうということになったのであります。
  54. 井岡大治

    井岡委員 私の質問が少し要を得なかったかと思うのですが、岐阜羽島との間は新線になるのか、これは改良線になるのか、この点をお尋ねしたい。
  55. 十河信二

    十河説明員 岐阜羽島との間に線を敷くというようなことは、今のところ何も考えておりません。
  56. 井岡大治

    井岡委員 もし将来敷くとしたらこれは新線になるのか改良線になるのか、こう聞いている。
  57. 山内公猷

    山内説明員 現在考えておる新しい岐阜県内の駅というものは、まだ始点がはっきりいたしておりません。それで的確にお答えできないわけでございますが、このところにどうして駅を置くかということでございますが、実はわれわれ審査をいたしました事務当局といたしましては、大臣が言われましたように、岐阜県内に一つも駅がないということも一つの理由であるし、かつまたこれは釈迦に説法のきらいがありますが、現在の線におきましても運転上の都合によりまして方々に信号所を置いている。運転の整理のためにはどちらかといえば駅がたくさんあった方が、運転の整理がつきやすい。しかし、これを全部とめれば非常に時間がかかるということでございまして、この駅にどういう列車をとめるかということは、やはり運転上の必要で十分考えまして、ダイヤを入れてから十分検討すべき問題である、かように考えております。とりあえずは特急線がとまるということはない。御承知のように特急と普通急行とを走らせるつもりでございますから、ある程度スピードの違う列車を走らせるので、行き違いにそういう施設があった方が国鉄としては便利であるという観点に立っておりますし、われわれの方はそれに加えて岐阜県の中で三十キロに新しい線の延びがある。そこに一駅も置かないということは県民協力も得られないし、かつまた岐阜、大垣の方々の利用を得ることも必要であるということで、実は事務的には一つの駅を作る方がベターであるという結論に達したわけでございます。そうしますと、今度これができますのが今の計画では五年計画になっております。結局その場合の交通上の状態を考えて、いかにしてこの駅が利用されるかということは、われわれとしては今後見ていかなければならないわけでございます。現在の道路の状況でいいますと、はっきりはいたしておりませんが、大体考えられる駅の地点というものは、大よそ岐阜市から十五キロくらい、大垣市から十キロくらい、それから羽島市から八キロくらいという、岐阜、大垣の方々に利用していただこうというふうに考えておるわけであります。そうしますとこういう駅ができた場合に、はたして新しい鉄道線路でつないだ方がいいのか、これからの交通の発達の状況からいいまして、道路でつないだ方がいいのかといういろいろ問題が出て参ります。われわれの方としましては、こういう線を使うお客さんというものは、やはり道路で相当まかなえるのではないか。一般の今新線建設でやっておりますような鉄道の需要よりは、道路交通というものが本命であろうというふうに考えております。実はここだけでなくて、線路の状況によりまして、現在線と張りつけにならない駅もあるいは出てくるかと思っております。それはそのものずばりの駅ではなくて、その近くに置くという場合も出てくるとわれわれは考えておるわけでございまして、それらの交通上の駅の置き方というものは、今後具体的に各方面の交通状況というものを調べてきめていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。それで先生の御質問に対するものは一つの仮定でございますので、仮定の法律論としてお答え申し上げますと、そういう何もないところに線路を敷くということは、まだ今後研究をしなければならぬと思いますが、一応現在では新線として取り上げていかなければならないのではないかと考えております。その必要があるかどうかということにつきましては、るる御説明いたしましたように、その辺の交通状況というものによって検討さるべきものであると考えております。
  58. 平井義一

    平井委員長 井岡君に申し上げます。国鉄総裁は参議院の予算委員会から催促されておりますので御了承願います。
  59. 井岡大治

    井岡委員 それではこの問題については、いずれ国鉄経営の問題についてさらに検討する機会もあろうと思いますから、後日に譲ります。      ————◇—————
  60. 平井義一

    平井委員長 この際、気象用レーダー観測網の整備促進について発言を求められておりますので、これを許します。館俊三君。
  61. 館俊三

    ○館委員 気象用レーダー観測網の整備について、一つの決議案を提出いたしたいと思います。  まず決議の案文を読み上げます。   気象用レーダー観測網の整備促進に関する件   わが国における台風及び豪雨等による災害は、年々甚大な額にのぼっているが、台風の進路、不連続線による豪雨等に対する観測網を強化して、予報警報の精度向上をはかることは災害防止のための緊要事である。   よって、政府は気象業務の整備強化に一段と努力すべきであり、特に、台風、豪雨等の観測のため重要施設である気象用レーダーを気象観測上枢要の地に増設し、レーダー観測網の全国的整備を強く促進すべきである。   右決議する。 という案文でございます。 その提案理由を次に御説明申し上げます。  わが国は地理的に特殊な位置にある関係上、世界有数の台風による被災害国であることは今さら申し上げるまでもありません。試みに終戦後わが国を襲った台風のうち、死者千名をこえたものを数えますと、終戦直後の枕崎台風を初めとして七件に達し、また死者五百名以上を出した台風は実に十三件の多きに達し、年平均一件の割合を示しているのであります。特に昭和二十九年の十五号台風は洞爺丸を沈没させ、千数百名のとうとい犠牲者を出すというまれに見る海難事故を引き起こしたことは御承知通りであります。また本年九月十八日の十四号台風襲来の際、青函連絡船十和田丸、摩周丸の両船が海峡を十八時間漂流し危機に陥りましたが、乗組員全員の苦闘によって辛うじて難を免れた事実もあり、なお引き続き十五号台風により甚大なる被害をこうむったことはなお御記憶に新しいところであります。台風の襲来を未然に防止し得れば理想的でありますが、現代の科学ではこれは不可能でありまして、これら台風豪雨による被害を最小限度にとどめるには、まず台風不連続線等をいち早く把握して的確な予報警報を敏速かつ徹底的に周知せしめるのが先決問題であると考えられるのであります。  現在気象用レーダーは名瀬、種子島、福岡、大阪東京等の五カ所に設置されていますが、今次の十五号台風による被害にかんがみ、既設のレーダー相互の効力範囲外の充実をはかり、さらに日本海から北東進する台風等をすみやかに観測するために函館、仙台、名古屋、広島等に気象用レーダーを設けまして、全国的に観測網の整備を促進しようとするものであります。この四カ所のレーダー設置については、ことに大蔵省に強く進言して気象庁長官運輸大臣等万全の協力態勢を張って実現を期せられたいのであります。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  62. 平井義一

    平井委員長 ただいま館俊三君より御提案のありました気象用レーダー観測網の整備促進に関する件について、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、本件の取り扱い等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  この際政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。気象庁長官
  65. 和達清夫

    和達説明員 気象用レーダー観測網の整備促進に関する件の決議をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。決議の趣旨に従いまして予算その他必要な措置をとりまして、極力努力いたす所存でございます。      ————◇—————
  66. 平井義一

    平井委員長 それでは先ほどの天野公義君の質疑を続行いたします。天野公義君。     〔委員長退席、川野委員長代理着席〕
  67. 天野公義

    天野(公)委員 先ほど御質問いたしました堤防の問題につきましては早急に技術的に御検討を願いまして、十分強度のある、高潮に耐え得る堤防を作っていただきたいと思います。  それから次の問題に入りたいと思いますが、新計画によりますと予算規模も非常に大きくなりますし、従いまして従来の国庫負担率ではなかなかこの事業を促進することは困難ではないか、かように考えられます。もちろん財政当局と調整をしなければならないことではありますが、運輸省当局といたしましては、新計画による財政負担分をどのように考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  68. 中道峰夫

    中道政府委員 お話のように今回の計画は長期にわたりますし、また非常に膨大な額になるわけでございます。従いましてこれの遂行はなかなか難事業であると考えられますが、ただいまお話しの地方負担分につきましては、従来東京都につきましては三割の国庫補助をいたして参ったわけでございます。今回の計画につきまして、今後この負担率をどのようにするかという点につきましては、いろいろ都の財政事情あるいは国家財政の総合的な観点等もございますので、財政当局と十分に協議をいたしたいと考えておりますが、従来の三割の負担率では非常に困難ではないかと考えられますので、さらに国の負担を増額したいと考えておる次第でございます。
  69. 天野公義

    天野(公)委員 高潮防潮堤建設し、またその促進をはかっていく上におきましても、当然関連するのは、その上の方の、河川堤防との関係が大きな問題になってくるわけであります。現在の構想のままでいきますと、海岸の方ができ上るといたしましても、高潮はずっと川に沿って上がってくるということになるわけであります。特に荒川下流の隅田川は、いわゆる東京ゼロ・メートルというところを流れておるわけでありますから、高潮の影響はこの川筋全体に及んでくる、こういう工合に考えざるを得ないのであります。従って、高潮防潮堤でこれを防ぐことができましても、川筋を上がってくる水は防ぐことができない。従ってこの河川方面における堤防をどうするのかということが大きな問題となってくると思います。従ってこの問題については二つ考え方しかできないわけでありまして、一つは川筋の堤防補強し、かさ上げをしていくということ、もう一つは新高潮防潮堤のところにものすごく大きな水門を作って完全に海の方を遮断してしまう、この二つしか考えられないと思うのでありますが、これらの点について運輸省並び建設省のお考えを承りたい。
  70. 川村満雄

    ○川村説明員 お答えいたします。今次の伊勢湾台風によりまして非常に伊勢湾方面に災害を受けたのでございますが、それと同じ程度の台風が、たとえば東京とか大阪に襲ってきたらどうなるかということで、われわれの方といたしましては計画検討しておりまして、一応現在の段階におきましては、概算でございますが数字をはじいたわけであります。東京高潮といたしましては、三十三年から三十七年までの治山治水の五カ年計画におきましては、当初計画として二十六億の江東地区隅田川の左岸堤防だけを考えておったわけでありますが、今次の伊勢湾台風のような台風が来ますと、どうしても計画を改訂する必要がありまして、左右岸ともやらざるを得ないという状態になりまして、一応当初計画の二十六億に対しまして左岸の方の追加が十七億という数字を入れておりますし、それに対して右岸の銀座の方に面します方面に対しまして三十億という数字を入れ、合計して五カ年計画といたしましては四十七億の事業量を追加しておるのでありますが、これだけでは足りませんで、大体隅田川の岩渕水門まで全部高潮が行くという計画になりますので、三十八年度以降七十七億という膨大な数字を追加いたしませんと隅田川高潮対策が十分できない、こういう結果になるわけでございます。従ってわれわれの方といたしましては、三十五年度の予算要求をこれから大蔵に追加要求をいたしまして、総ワクといたしまして三十五年度は十八億くらい要求したい、こういうふうに目下省議で一応了解済みでございます。  堤防の高さの問題を申し上げますと、現在計画といたしましては相生橋から上流が建設省所管の堤防でございますが、それが五メートル五十から隅田水門まで五メートルにいくという計画になっておりましたが、今回計画を改訂いたしまして相生橋から上流六メートル五十、一メートル上げるわけでありまして、それから五メートル五十というふうになるわけで、非常に工事量が増加するわけでありまして、五カ年計画といたしましては当初計画の五メートル五十ないし五メートルの線で仕事をいたしまして、逐次あと工事のできるような構造で仕事をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほど天野先生から第二点の、隅田川に逆流を防ぐような、高潮を防ぐような水門構造ができぬかという御質問に対してお答えいたします。  われわれの方といたしましては、隅田川江東地区の外郭堤防を作る場合の計画といたしまして、当初永代橋の下方にそういう水門を作る計画を一応検討したわけでございますが、隅田川につきましては、荒川の放水路の流量は、水門から上、四千百六十立米という計画高水流量がありまして、そのうち荒川から隅田川に八百三十立米入るという計画に相なりまして、それに新河岸川の百七十立米を入れますと、隅田川に千立米流れるという計画に相なっておるわけでございます。そのほかに、石神井川とか神田川とか、そういう河川の水が隅田川に流れ込みまして、非常に流量はふえるわけでございまして、これだけの流量に対して河道の調節能力があるかどうか、貯溜量があるかということについて検討したわけでございますが、現在の段階では水門は作ることが無理じゃないかという資料が出ております。それでやむを得ず水門案を放棄したわけでございます。  申し忘れましたが、それと荒川の放水路の関係でございますが、現在の荒川の放水路の高さが五メートル八十しかないので、伊勢湾台風のような高潮が来た場合には、当然荒川放水路の方も計画検討しなければならぬということで、荒川放水路の方も堤防を上げることに相なっておるわけでございます。大体計画といたしましては、荒川の放水路は、河口から大体堀切橋の付近まで、八メートルから七メートル五十堤防かさ上げしていきたい、こういうふうに考えておりますが、そのうち五カ年計画としては河口の方を六メートル五十に上げていく、こういう費用を五カ年計画で十二億追加しております。総事業費としては、五十億くらいかかるわけでございます。以上、簡単でありますが…。
  71. 中道峰夫

    中道政府委員 河川海岸堤防との接続個所につきましては、建設省と緊密に連絡をとりまして、食い違いのないように計画及び実施をいたしたいと考えております。また、先ほどお話し申し上げました水門につきましては、地盤が非常に軟弱でございますので、その構造等につきまして現在技術的に検討を加えておるわけでございます。
  72. 天野公義

    天野(公)委員 運輸省計画の中に流木防止施設を考えておられるのでありますが、その流木防止施設は堤防の外の部門の流木防止施設だと思うのであります。これは伊勢湾台風でも非常に被害を大きくした原因の一つでありますから、ぜひこれをやっていただかなければならないわけでございます。これは建設省の方に入るかもしれませんけれども、内部の貯木場も何とかある程度考えていかなければならぬと思いますが、これらあわせて両省の御計画を承りたいと思います。
  73. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいま考えております貯木揚は、堤防の外の現在ございます月島地区の貯木場につきまして、そのかこい堤等を補強いたしまして木材が流出しないようにいたしたいと考えております。なお、内部の方の運輸省関係いたします貯木場は、やはり同様の考えで木材の流出を防ぐような防止工事を施したいと今考えておるわけでございます。
  74. 天野公義

    天野(公)委員 この際もう一つお伺いしたいことは、せっかく堤防を作っても、地盤沈下してしまっては何の意味もないということであります。先ほどのお話でも一メートル五十の沈下量を考えている、こういうことでありますが、りっぱな堤防はできるだけそのまま保存するということが大切だと考えます。地盤沈下の原因については、工業用水のくみ上げもしくは地殻の変動この二つが考えられるわけでありますが、地殻の変動は別といたしまして、工業用水の問題を早急に解決していきませんことには、せっかくいろいろ施設をいたしたところで意味がないわけでございます。そこで、通産省に工業用水についてお伺いいたしたいと思います。
  75. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 お答えいたします。おっしゃる通り工業用水が地盤沈下の大きな原因になっているという事実は、江東地区で相当ひどいものであるということが東京都で長い間の観測の結果判明しております。そういう事態でございますので、われわれは、三十一年度から工業用水法の施行に伴いまして工業用水道事業を推進して参ったわけでございますが、その際にも、さっそく江東地区にそういう工業用水道を敷設するという計画を立てたわけでございます。御承知のように、東京都は水源が非常に不足しておりますので、代替水源を作るということについて困難をしておりました東京都といたしましては、下水の処理水をこれに向けるという計画をいたしまして、最近までその実験的な給水をいたしております。そのために、三十五年度から、新しい事業といたしまして工業用水道を建設するという計画を立てておりまして、われわれといたしましてもこの東京都の計画全面的に賛成をして、その事業を促進し、従って、その工業用水道の建設がきまると同時に地域指定をいたしまして、工業用水法の施行地域として井戸水の新しいくみ上げについて制限をいたし、さらに、現在汲み上げているものにつきましても行政指導によりまして制限をいたしていきたいというふうに考えております。
  76. 天野公義

    天野(公)委員 先ほど荒川放水路堤防かさ上げという問題が出ておりましたが、当然かさ上げもやってもらわなくちゃならないし、だいぶ堤防の弱っているところもあるというように聞いておるので、この補強もしてもらわなければならないわけでございますが、さらに、放水路と隅田川の浚渫を急がないとこれまた意味がないわけであります。放水路と隅田川の浚渫についてどういう計画でございますか。
  77. 川村満雄

    ○川村説明員 隅田川の浚渫につきましては、今汚濁対策事業という項目で三十三年からやっておりまして、効果も逐次上がっておりますので、引き続き浚渫していきたいと思っております。荒川の放水路につきましては、河床が相当下がっておりまして、別に今のところ浚渫する必要はないのじゃないかということで、検討はまだしておりませんが、御指摘がございましたから、今後十分調査していきたいと思っております。
  78. 天野公義

    天野(公)委員 鉄監局長と小倉副総裁がお見えでございますので、一、二点簡単に御質問いたしたいと思います。  それはどういうことかといいますと、金町—新小岩間に貨物線が通っております。それから亀戸から越中島を通って晴海の方に貨物線が通っております。この沿線の人々には、ここに客車を通してもらいたいという要望が非常に強いわけです。私ども、この線に客車を通してもらうと、非常にこの土地発展にもなるし、住民も助かると思っているわけですが、国鉄御当局にいろいろ今までお話ししても、なかなからちがあかない。なかなか問題も多いように思いますから、今後の見通しはどうかという問題が一つと、それから地元の方で利用債というものを引き受けるということになった場合には、一体どういう工合にお考え願えるか、この点が一つ。  もう一つは、前々から御質問しておるわけでございますが、どうも昔からの総武線というものが千葉の方に重点がありまして、秋葉原から向こうは千葉監理局に入っていて、これは大へん言い方が悪いかもしれませんけれども、東京鉄道監理局と千葉鉄道監理局がランクがずいぶん違うので、秋葉原の向こうは今まで非常に損をしておったというふうに考えざるを得ないわけであります。できるならば、千葉市からこちらの方を東京鉄道監理局に入れていただくならば、非常にこちらの方面の鉄道の向上に資することができるのではないか、このように考えております。おそらく国鉄御当局は、関東支社でその調整はするのだという御答弁でございましょうけれども、それではなかなからちがあかないのでございまして、こういう点はどういうふうにお考えであるか。  もう一点といたしまして、いわゆる江東線というものをもっと延ばしていって、総武線と汐留とを結んでいく、こういう大きな構想があるわけでございます。総武線と東海道線を結ぶ、これは非常に意義深い路線であると考えておるわけでございますが、それに対する構想をこの際お聞かせ願いたいと思います。
  79. 山内公猷

    山内説明員 今先生のおっしゃいました江東線というのは俗称でございまして、いろいろな線を言うわけであります。先生のおっしゃいました金町—新小岩、亀戸—小名木川の両線の今後の建設につきまして御説明申し上げたいと思います。  今言われました江東線に旅客列車を入れてほしいという地元の強い御要望が前からあるということは、われわれも十分承知いたしておりまして、そういう点につきましても、国鉄当局と一緒になりましていろいろ検討いたしております。また、ただいま御質問の中で、千葉監理局、東京監理局という話がございましたが、実はこれは東京を中心といたしました大東京都の交通圏としてわれわれの方は考えておるわけでございまして、局の分界その他につきましては、大して御心配になることはないし、本庁あるいは運輸省そのものが非常に慎重に考えておるところでございます。それで、ただいま御指摘のように、江東線に旅客列車を入れるということは非常に困難な状態にあるわけでございまして、言いわけのようになりますが、御説明さしていただきますと、江東線の金町1新小岩で現在一日に四十一本貨物列車が入るわけであります。この四十一本の貨物列車の運行というものは、この線の現状ではほとんど限度に近い本数でございます。といいますのは、単線でございますので、長大な貨物列車をそれだけ入れますと、輸送力というものはほとんど限界に近くなってくるわけであります。この線に旅客列車を入れるということを想定いたしますと、この線を全線にわたって複線化する必要が起こってくる。その複線化の状態が現在非常にむずかしいということは、用地買収その他で御了承願えると思うのでありますが、そのほかに、金町—新小岩の各駅に新しいホームを増設する必要がありまして、これらに多額の金がかかる。またその用地買収に多くの困難が起こるということが考えられるわけであります。しかも一方におきまして、この総武線、常磐線は、御承知のように輸送力が現在でも非常に逼迫しておりますので、国鉄といたしましては、これらの増強をまず優先に考える必要があるということでございまして、このような理由から、遺憾ながら早急には御要望に応じ得ないという実情にある点について御了承願いたいと思います。またこの江東線は、さらに小名木川から専用線が晴海の方に入っておりまして、これを汐留へつなぐという構想でございますが、これは東海道線と総武線との短絡線になりまして、これらの二つ地区は双方の発着貨物の非常に多いところでございますので、その流通の上に大きな利益がもたらされるということは明らかに考えられるところでございます。特に東京港の晴海地区、千葉工業地帯というものが昨今非常に発展しておりまして、これらの発展にさらに交通上の利便を与えることは非常に大きな効果があるということは、われわれも十分承知しておるところでございますが、この短絡線は何分にも工場、住宅というようなものが櫛比しておる周密地帯を貫いておりますし、そこはまた用地買収が非常に困難であり、かつまた隅田川を越す必要があり、晴海運河を越す必要がある。あるいは都市高速道路というものができることになっております関係上、これらを横っ断ずるということになりますので、特に非常に高い高架線を必要とする工事になって参りまして、工事費も非常に莫大になるということが考えられますので、以上二つの線の実現というものは、現在の国鉄の現状から見まして、なまやさしいものではないということを御了承願います。地元の御要望もまことに切なるものがありますので、国鉄とともに将来とも検討して参りたいと思いますが、現状では早々にこれに着手するという段階にないということを御了承を得たいと思います。
  80. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま鉄監局長からの御答弁の通りでございまして、金町—新小岩を新金線と申しております。それから亀戸から越中島まで参ります線を俗称越中島線と申しておりますが、これはもともと貨物のために敷設いたしました路線でありまして、この地帯の貨物輸送は非常に込んでおりますので、現在のままではなかなか旅客輸送は困難でございます。ことに新小岩から金町の新金線は、これから先、田端を経由して東海道の方と結ぶという貨物列車の重要なルートにもなっておりますので、こういう線は、その使命から申しますと、やはり貨物を優先的にいたさなければいけないのではないかと考えております。  それで利用債のお話がありましたが、利用債はいろいろ持っていただく限度がございまして、百パ—セント利用債を持っていただくわけにいかない。利用債といたしまして、たとえば一億で一千万円持つというのも利用債を持っていただくことになるのでございます。利用債をつけましても、自己資金と申しますか、やはり国鉄のふところから出さなければならない資金が相当多額に上りますので、そういう点で財政しただいまにわかに複線ということも相当困難ではないかと考えております。それから越中島から先を延ばしまして、晴海を経て汐留、品川に通ずる路線、これは大きな江東線にもなるのでございますが、これは早くから国鉄といたしましてもそういう構想は持っております。総武線の千葉方面と東京臨港地帯それから東海道を結ぶショート・カットの線が必要であるということはかねがね考えてはおりましたが、越中島と品川の間は専用線として東京都の方で多少の計画があったようであります。たしか三十一年の七月ごろと記憶いたしておりますが、東京都の方でルートを一応選定して、そのルートで国鉄調査を依頼して参りましたので、国鉄としてもその調査をしました結果、原案よりも多少ずらして作った方がいいのじゃないかというようなことを三十三年に回答いたしております。しかしその後いろいろ高速道路との関係もございまして、また路線の選定もさらに再調査して変更を加えなければならぬというような事態が出て参りまして、国鉄としては臨港を連ねるかような線ができることは好ましいのではございますが、臨港線として専用線で作っていただいたらけっこうじゃないか、こういうふうにただいま考えている次第でございます。  それから監理局の問題でございますが、私どもの申し上げたい答えを先生の方からおっしゃっいましたので答弁に窮する次第でありますが、実は東京監理局というのは非常に手が張っておりまして、輸送量から見ましても、列車回数から見ましても、要員から見ましても、日本全国のトップであるということはもちろんのこと、監理局自体としても非常に膨大で手が回りかねるというような状態でございます。ただ東京鉄道監理局と千葉監理局との間に配車その他輸送の面で差別をいたしておることは全然ないと思いますが、もし千葉の方で御不便の点がありましたら、地元の御指摘によってどんどん修正して参りたい、かように考えます。  大体以上のようなことであります。
  81. 天野公義

    天野(公)委員 今の問題は今後よく再検討していただくようにお願いをいたします。これで一応質問を終わります。      ————◇—————
  82. 川野芳滿

    川野委員長代理 次に海運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  83. 内海清

    ○内海(清)委員 私は小型船の通信施設の整備の問題について若干お尋ねいたしたいと思います。  その前に一つお尋ねしておきたいと思いますことは、先般の伊勢湾台風、これはまことに未曽有の大災害でありました。これによって失われました人命、財産の被害は実に甚大だと思うのであります。この台風によりまする船舶の被害の状況、またこれは金額的に見るとどの程度になるか、あるいは人的の損害はどのくらいあるか、一つお知らせいただきたいと思います。
  84. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 過般の伊勢湾台風によります船舶の被害状況につきましては、私どもの方で調査をいたしましたのは、大型船につきまして十一隻、六万六百七十六トン、小型船につきましては三千四隻、四万二千三百三十五トン、被害の合計をただいま申し上げたのでありますが、その内容といたしましては沈没あるいは乗り揚げ、破損、流失、行方不明、その他、このいう形になっておるのでございます。合計いたしまして三千十五隻、一万三千十一トンということでございます。金額は、破損をいたしましたりあるいは乗り揚げたりいたしまして、救助費その他の関係等も非常に複雑になっておりますので、目下調査中でございます。     〔川野委員長代理退席、天野(公)委員長代理着席〕
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 人的の被害はどうですか。
  86. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 人命の方につきましてもただいま調査中でございます。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 今お伺いいたしましたものにおきましても非常に甚大な被害を受けておるわけで、これは今日の科学技術の発達の状況から見ましたと きに、何とかもっと最小限度に犠牲を一とどめられたのではないか。これはある程度の人員と経費を要すると思いますけれども、気象観測網が整備されて、そうして海岸局が拡張され、特に小型船において通信施設が整備されておりますと、容易にかつ迅速、的確にそういうものが船に伝達される、あるいはまた避難港が整備されるというふうなことで、これはまだまだ少なく済んだのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、これに対する御見解がございましたら一つ
  88. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 ただいま御指摘になりましたような小型船に、特に従来の海難あるいは今次の台風災害についても被害が非常に多いのであります。その対策として、科学技術の発達しております今日、無線施設等を整備いたしますれば、被害の率ははるかに軽少で済んだのではないかということでございます。具体的に考えましても、今次の台風災害につきましてもまた、あらかじめ局地のそういった情報が的確に入手できますれば、避難も可能でありましたでしょうし、そういった事例が容易に想像できることと存じます。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 その点につきましては、今後一つ政府の方におきましても、十分なる総合的な研究の上に施策を講じていただきたいと要望いたしたいと思います。  次に、今日、日本の海運界、これは世界っ的に非常に優秀な地位におるわけであります。この進展をはかるために船腹の増強をやる、すなわち新船を建造するということは、もちろん欠くべからざることでございます。その反面—に、船舶を海難から救うということは、特に人命、財産の保護の上から申しましてもきわめて緊要なことと思うのであります。政府はこれに対しましてどういうふうな必要適切な措置を講じておられるのか、これを一つ承りたいと思います。
  90. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 御承知のように海難防止あるいは海難が起こりましても、それを救助いたします態勢につきましては、各方面の施策が総合的に行なわれませんと効果が上がりません。運輸省の所管におきましても海上保安庁という組織がございまして、日夜その方面の活動を続けておるわけでありますが、私どもの所管といたしましては、過去における海難のいろいろな原因を探求いたしまして、その結果に基づきまして昨年度から海難防止協会というものを作りました。政府の方で幾ら手を打ちましても、実際に運航する技術者いは企業を経営する経営者、あるいは港湾施設あるいは救助態勢によるところの強化、こういったようなものが総合的に強化されませんとその実が上がらないのであります。従いまして、海難防止協会といったような関係の団体を組合いたしまして、その間に海難防止の講習会をやるとか、技術指導をやるとか、あるいは過去の海難原因の探求に応じてそれに対する諸施策をやっていく、周知宣伝を行なうというようなことで着々その緒についておるような次第でございます。私どもの方といたしましては、一方民間のそういった団体と連絡をとりまして政府の所管に属することについて逐一その手を打って参りたい、こういうようなことで、ただいまも御指摘になりましたような無線通信施設を小型船につけるというようなことにつきましても来年度予算要求をしてこれに対して努力を続けて参りたい、こう考えておるのであります。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 時間がありませんので、なるべく簡単にいたしたいと思いますが、ただいまお話がございましたような民間の団体として、昨年の六月の十六日海上航行安全審議会、これが大臣の海難防止の対策についてという諮問にこたえまして、そういう海難防止協会というものの答申をやったと思うのであります。この答申は特別委員会から出されておるわけでございますが、この中を見ましても、小型の旅客船あるいは機帆船というふうなものの安全確保の面から、特に小型船に対する通信施設の整備、改善という問題に一ついては強く答申いたしていると思うのであります。特に漁船関係では、無線電話とか無線電信とかあるいはラジオの施設、これに対しまして三十三年度から農林漁業金融公庫の融資対象となるというふうなこともできておりまして、漁船方面に対してはかなりこういう面で力が入れられておる。漁船は特に操業というふうなことがございまして特別なあれもあるかと思いますが、この小型旅客船あるいは機帆船につきましてもこのことは今日強く要求せられることであると思う。それで一つお尋ねいたしたいと思いますのは、法律上無線通信施設を強制されている範囲はどうか、また条約上はどうなっておるか、こういう点を一つお伺いいたしたい。
  92. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 法律上無線通信施設を強制されております範囲は、御承知通り船舶安全法で規定しているわけでありますが、旅客船につきましては、近海及び遠洋の航行区域を有するものと国際航海に従事するものに無線電信をつけなければならないということを規定しているわけであります。貨物船につきましては、近海及び遠洋の航行区域を有するもので、千六百総トン以上のものに無線電信、それから五百トン以上で国際航海に従事する船舶につきましては無線電信または無線電話というものをつけるように強制されておるのであります。  以上が法律上強制をしております範囲でございますが、国際条約におきましては一九四八年海上における人命の安全のための国際条約というものに定められておりまして、この強制範囲につきましては国内法とほぼ同一であります。ただ条約に付属する勧告事項というものがありますが、その中にこういった義務づけられました船舶以外の船に対しても実行可能な限り無線設備を備えつけるようにすること、同時に無線設備の要求を拡大することについて各国政府はその可能性を研究すべきである、こういった勧告がつけられておるのでございます。
  93. 内海清

    ○内海(清)委員 法律上の問題は今お聞きしたわけでございますが、現在小型船の無線通信設備の状況はどういう工合になっているか、これを一つお聞かせ願いたい。
  94. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 小型船の範囲につきましては、五百トン未満とかあるいは千トン未満とかいうようないろいろ考え方がございますが、便宜上私どもの方の資料といたしましては二十トン以上千トン未満のものについて申し上げてみますと、旅客船では七百七十六隻ございます。その中で法律によってただいま申し上げましたような設備を強制され、義務づけられているのはわずかに七隻であります。残りの七百六十九隻は法律上つけなくてもいいのでございますが、任意に設備いたしておりますものは六十隻、約八%に当たるわけでございます。貨物船につきましては、全部で八千七百五十七隻ございますが、法律上義務づけられておりますものは百二隻、残りの八千六百五十五隻の中で、強制されておりませんで任意に設備いたしておりますものは四百三十九隻、約五%、こういった状況でございます。
  95. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまお伺いしますと、はなはだ寒心にたえない状況だと思うのであります。これではやはり小型船に海難事故が非常に多いということも当然であると思うのであります。  そこでお尋ねしたいと思いますが、法律上無線通信施設を強制されていない小型船に今のような状況から非常に海難事故が多いのであります。昨年三十三年度における全海難に対する小型船の海難の発生の状況はどうであるか、これを一つお伺いしたいと思います。これがもし金額的あるいは人的な面もわかりますれば同時にお願いしたいと思います。
  96. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 手元にあります資料についてお答え申し上げますが、小型船舶、これはまた基準のとり方が違っているのでありますが、今の法律上の観点からして千六百総トン以下のものを全部拾い上げてみますと、全海難に対しまして小型船舶の航行区域原因別の海難の発生状況を御説明いたしますと、全海難につきましては六千百二十六件ございます。小型船舶の海難につきましては二千七百七十三件であります。従いまして。パーセンテージにいたしますと四五・三%。こういうことで全海難のほとんど半数に近いものが小型船舶の海難であるということがわかるのでございます。その原因別でながめてみますと、気象海象の原因によります全海難のパーセンテージは二五%でありますが、そのうち小型船舶が一〇・五%を占めております。それから運航技術の問題では、全海難が三〇・四%を占めておりますが、小型船につきましては一七・一%。不可抗力という原因にあげられておりますものか全海難では二五・七%、小型船につきましては一一・四%。機関取り扱いによるものが全海難では六・九%を占めており、小型船につきましては一・七%。その他が全海難におきましては一二%、小型船につきましては四・六%、こういう原因別になっておるのであります。この金額的な評価は、ただいまのところ資料がございませんのでまことに遺憾でありますが、私どもの方におきましてはその調査のしようがございません。
  97. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいま伺いますと、全海難の実に四五・三%に当たる小型船の海難事故が発生しておるということであります。  そこで一つお尋ねしてみたいと思いますのは、この四五・三%というものは、もし通信施設が整備されていたとしたら、それの中で海難事故がどのくらい防止できたか。いろいろな原因別っをあげられましたが、それらから見て大体どのくらいのものが防止できただろうか。推定になるかもしれませんが、わかりましたら、一つ
  98. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 大体、非常にラフな見方であるかもしれませんが、私どもの方の経験等も入れまして申し上げますと、海象気象によるもの及び不可抗力という原因別にあげられているものの一部、それから運航技術のもの、合わせますと全部で約三八、九%になりますけれども、そのうちの一部を抽出をいたしますと、これは感じも入っておりますけれども、大体二五%くらいになるのではないかというような考え方をいたしております。
  99. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、正確なものでないかもしれませんけれども、この通信施設の整備によって小型船の海難事故は少なくとも半ば以上は救済できるということが言えると思うのであります。  そこで、この小型船の無線設備の促進についてどのような措置を今までとってこられたか。大体この小型船の企業者というものは、特に機帆船あたりに参りますと、その企業はきわめて弱小である。その脆弱な基盤の上に雰細な経営を続けておるのであります。従ってこの通信施設の整備が必要だというその重要性は十分認めておるけれも、特に最近のような海運界の不況下におきましては資金面でなかなか思うにまかせない点がある。そこでこれが促進できない、これが実情じゃないかと思います。従ってこの際これを救うために、今後これらに対して政府としてはどういうふうな措置をとられようとしておられるのか、この点をお伺いいたします。
  100. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 ただいまのお話通りでございます。実情につきましては、私どもも過去の海難事例にかんがみましていろいろと通牒を発したり、あるいはそういったことを要望して参ったのであります。ことに内航海運の企業の状況は、御説の通り慢性的な不振であらますし、長距離大量貨物が国鉄の方に上がったままで、海送転移も思うにまかせないといったような輸送調整の問題もあります。そういうようなことで、小型船、特に内航貨物船については慢性的な不振で、しかも今言われましたように木船については非常に零細な企業であり、しかも前近代的な経営を続けておるといったような実情でありますので、これに無線電話をつけろと言ってみたところで、なかなかはかどらないということは、今御指摘の通りであります。  そこで、そういったことがなかなかっ普及いたしませんので、来年度の予算                 といたしまして、私どもはやはりこういったものの施設に対して補助金を出上すべきだということで、先ほどもお話一がありましたような漁船の例にもかんがみまして、来年度以降三カ年計画で一ともかく対象船舶を五千五百隻程度を一見込みまして、さしあたり来年度を初年度といたしまして千五百隻分の二億四千万円というものを大蔵省に対して事務的にはすでに要求しておなわけであります。その施設は大体費用が三十二万円ばかりかかるのでありますが、その半額を国庫補助にするように考えておるのであります。あとの半額はそういった零細な企業に対してどういうふうな融資の措置を講ずるかと、いうことにつきましては、中小企業金融公庫等に対しましても私どもがあっせんの労をとりたい、こういうように考えております。
  101. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいま助成の方法につきまして政府の意図を伺いまして、きわめて適切なことであると私は考えるのであります。今日のこういう小型船の零細企業の実情からかんがみますときは、どうしても政府においても思い切った措置をとっていかなければこの海難事故はなかなか防止できないと思うのであります。時間がありませんので多く申し上げませんが、どうかこの際これが実現に十分な努力をしていただくよう特に要望いたしたいと思うのであります。  この際ついでにお尋ねしておきたいと思いますのは、無線電話と無線電信との効能の違い、これははなはだしろうとの質問でありますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  102. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 無線電信は、御承知通り出力さえあれば相当有効範囲が広いということは言うまでもないことであります。また万国共通の符号がございますから、それによって通信するために、言語による不便というものはないというような利点はあるわけでありますが、ただいま問題にされておりますところの小型船舶につきましては、なかなかそういうわけに参りませんので、無線電信といったものがつけられないろいろな事情がございます。船の構造上、アンテナを張るということが非常に困難な船が多い。また、バッテリーその他電源の確保が非常に困難である、あるいは機械の価格が非常に高い。そしてまた取り扱う通信士につきましても、相当資格を要求されておりまして、専任のオペレーターを置かなければならぬというようなことがありますので、こういった内航の小型船舶につきましては、あまり外洋に出ることはございませんので、無線電話の到達距離で実用には十分間に合う、また通信士も特定の資格を持ったオペレーダーを乗せなくてもいい。今の零細な船主経済の上から見ましても、二週間程度講習会で講習を受けますれば、別に一人乗せる必要もない、こういうようなことからいたしまして、内航の小型船舶につきましては、無線電話が実情に即した施設である、こういうふうに考えております。
  103. 内海清

    ○内海(清)委員 ついでに小型船の保安上、今お話のありました無線電話の施設が非常に有効だったという顕著な事例がありましたら、一つお知らせ願いたい。
  104. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 一例でありますが、三井近海の第三高倉丸という二百三十八トンくらいの小型船であります。これが昭和三十年の冬、北海道航路に就航いたしておりました。室蘭から釜石に向かう途中に猛吹雪にあいまして、海水が船内に浸入いたしましたり、機関の運転が不可能になったりした例がございます。そのときに乗組員が十二人お一陣まて、直ちに無線電話で海上保安部に連絡をいたしたそうであります。その際に巡視船の「リレリ」が現場に急行いたしまして、十二人のうちで九名がこれに乗って助かっている。三名はまことに不幸にも激浪にのまれた。こういったことで船体は沈没いたしております。こういうような場合、もし無線電話を持っていなかったといたしますると、おそらくその船舶、乗組員                  Lともに遭難したであろうと想像されるのであります。今あげましたようなことは一例でございますけれども、その他にも相当たくさんの事例があるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  105. 内海清

    ○内海(清)委員 この無線電話施設を活用するにつきまして、通話の波長でありますとか通話時間、定時でございますか、そういうようなもの、それから海岸局の増設、こういうふうなものがこの効果を一そう増進するのに大きな関係があるのじゃないかと考えられるのでありますが、これに対しまして関係官庁その他と連絡打ち合わせというようなものがすでにできておるかどうか、この状況を一つ伺いたい。
  106. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 私ども予算要求をいたしております小型船による無線電話の波長は、大体中短波を主体として考えておるのでありますが、中短波を使いますのが一番望ましいと思っております理由につきましては、これは海上保安庁の聴取態勢あるいは救助通信というものがそういった中短波に即しており、それからすでにあります海岸局あるいは船舶の中の無線局、そういったものの大多数が中短波の周波数を利用しておりますので、これが両方利用できる、あるいは送達距離がほかの超短波といったものと比べて中短波の方が比較的距離が長い、それからまた遭難の際に方向探知ができる船舶局相互間の通信が非常に便利である、こういったことで中短波を主体として考えておるのであります。  今御指摘になりました海岸局の施設整備あるいは関係官庁との折衝連絡状況につきましては、過般来郵政省あるいは電電公社とも御相談申し上げまして、海岸局につきましても、利用できるものを太平洋岸で大体十局、日本海岸で数局の設備を整備するということについて、目下折衝中でございます。時間の点につきましては、相当詳しい一折衝をこれからまた続けて参らなけばはならぬと思いますが、そういった程度の今の折衝状況でございます。
  107. 内海清

    ○内海(清)委員 これにつきましては、せっかく船に通信設備ができましても、その効果をより一そう増進いたしますために十分なる交渉を持たれまして、りっぱな効果が上がるように一つ御配慮願いたいこういうふうに思います。  いま一つ、ついでにお尋ねしておきたいと思いますことは、漁船の無線施設がどうなっておるか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
  108. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 漁船は先ほど申し上げましたように、すでに補助金を出して、法律上強制されていない船舶につきましてもつけておるのであります。現在漁船で無線施設を持っておりますものが一万一千隻ございます。法律上義務づけられておる船舶はそのうち一千隻にも足りないような状況でありますから、残りの約一万隻余りというものは任意に設備をいたしておるわけであります。この点につきましては昭和三十一年度から新農山漁村建設総合対策といったものが決定されまして、漁船用通信施設の整備のために国庫補助をいたしており、その補助率は五割以内ということになっております。今申し上げましたようなことで、法律で強制されていない船も任意に一万隻もつけており、普及率は、五トン以上の漁船をとってみましても約四二%、こういった一般の海上輸送の小型船舶、内航海運の状況とを比べまして、格段の高率である、こういうふうにわれわれは見ておるわけであります。
  109. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの御説明を承りますと、漁船関係におきましては非常に進んでおる。しかるに一面国内旅客船あるいは貨物船が非常におくれておるということにつきましては、私ども非常に遺憾に思います。特に人命の救助あるいは財産の保護の上から考えましても、十分この点は、先ほど申し上げましたような今後の施策について力強く進めていただきたい、こう思うのであります。  時間がありませんので大体以上で終わりたいと思いますけれども、この小型船の通信施設の整備の問題は、先ほどここで決議されました気象用のレーダーの観測網の整備促進の問題とともに、船舶の安全保持という上から考えますと、絶対必要要件だと思うのであります。わが国におきまするところの国内の旅客船あるいは内航貨物船の大部分が、現在先ほどお話しのように無線通信施設というものを持たずに運航しておる現状であります。これは船舶の安全保持の上から考えましても、まことに寒心にたえぬと思うのでございます。しかし先ほど来申し上げましたように、これらの関係業者は企業規模がきわめて零細である。ことに最近におきましては、石炭界に次ぐ海運界の不況ということがございます。設備意欲があってもこれに対する負担力が伴わない、これが実情であると思うのであります。そこで政府はこの実態をよく認識されて、これら船舶に対しまして通信施設を整備するように、一そう強力な指導を行なわれますと同時に、これ一に伴いまして同施設を希望するところの船舶に対しましては、国家の補助、さらに財政資金の融資措置、こういうふうなものをすみやかに講ぜられまして、今後一定範囲のものにつきましても、この設備を強制することをすみやかに検討されるように特に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  110. 天野公義

    天野(公)委員長代理 この際お知らせいたします。去る十一日の委員会において都市交通に関する小委員会を設置することに決定いたしましたが、小委員及び小委員長がきまりましたので、この際御報告いたします。  小委員長には私、天野公義  小委員には   關谷 勝利君  川野 芳滿君   高橋清一郎君  塚原 俊郎君   井岡 大治君  菊川 君子君   久保 三郎君  土井 直作君  以上であります。  次会は来たる二十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十四分散会