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1959-09-02 第32回国会 参議院 法務委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年九月二日(水曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員異動 九月一日委員加藤シヅエ辞任につ き、その補欠として亀田得治君を議長 において指名した。 本日委員山口重彦君及び大河原一次辞任につき、その補欠として椿繁夫君 及び江田三郎君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大川 光三君    理事            古池 信三君            後藤 義隆君            高田なほ子君    委員            太田 正孝君            横山 フク君            赤松 常子君            江田 三郎君            亀田 得治君            椿  繁夫君            辻  武寿君            市川 房枝君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    警察庁長官   柏村 信雄君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    東京警視総監 小倉  謙君   —————————————   本日の会議に付した案件検察及び裁判運営等に関する調査  の件(田原製作所等労働争議における  傷害事件警察官介入問題に関する件)   —————————————
  2. 大川光三

    委員長大川光三君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について御報告いたします。  九月二日付山口重彦辞任椿繁夫君選任、以上であります。   —————————————
  3. 大川光三

    委員長大川光三君) 本日は検察及び裁判運営等に関する調査といたしまして、田原製作所等労働争議における傷害事件警察官介入問題について調査を行いたいと存じます。  御承知通り、去る八月十九日田原製作所労働争議警察官出動し、その実力行使の前後において、不幸にして第一組合員塙治氏が死亡するという事件が発生いたしましたが、これについて、まず警察当局から事件概要経過等を御報告願いたいと存じますが、なかんずく警察官出動理由及び根拠出動及び実力行使状況装備防具使用状況、塙氏の死亡原因、当時の経緯等については、特に詳細なる御説明をいただきたいと存じます。
  4. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 去る八月十九日に、田原製作所争議に伴いまして、警察官出動いたし、その間に死傷者を出したという事案が起ったわけでありますが、この問題につきまして、事件概要をまず申し上げ、その後警察官出動理由活動状況等について御報告申し上げたいと存じます。  田原製作所におきましては、賛上げをめぐりまして、三月六日から労使双方が対立をしておったのでございますが、その間におきまして、組合闘争方針をめぐって分裂をいたし、第一組合は、五月二十五日以降全面無期限ストに突入をいたし、バリケードを作って工場を占拠し、会社製品搬出並びに第二組合員就労を阻止していたのであります。一方会社側といたしましては、八月十日に、東京地方裁判所から、組合側会社指定品目出荷妨害してはならないという趣旨仮処分決定を得まして、八月十九日に第二組合員、人夫など百十三名を動員して、製品出荷を行おうといたしましたところ、これを阻止しようとする第一組合員及び支援団体員約三百名の激しい妨害を受けまして、双方もみ合いとなり、警察部隊出動によりまして、ようやく製品搬出作業にかかることができたのでありますが、この間第一組合員一名の死亡事故が発生いたしましたために、会社側は当日の製品搬出を中止するに至った事案があるのであります。  この際におきまする警察官出動理由でございますが、この前にも幾たび話し合いが続けられ、また、不法事犯が起っておったのでありまして、八月十九日にいよいよ出荷を、するという、搬出をするという会社側態度がきまりまして、これに対して妨害してはいけないという仮処分決定があるわけでございますが、どうも口頭説得以上に出て不法事犯が起るという予測がいたされましたので、警察官を必要な状況において一部現地に派遣し、一部待機をさせるということにいたしたわけでございます。ところが、この根拠と申しますのは、会社側が正当に製品搬出するという行為に対しまして、口頭説得以外に実力によってこれを妨害するということは、明らかに威力業務妨害罪が成立するような事態が起るという可能性があったわけでありまするし、その際において、もし警察官出動がなくて、会社側と第一組合員側との間の衝突ということになれば、その間に人の生命身体損害を及ぼすというおそれもありましたので、警察官を出したということに相なるわけでございます。これは、警職法第五条に基く警察官としての権限に基いたものでございます。その際に使いました防具、これは一部にたてを用いた。それから、ほとんど全員が鉄帽をかぶっておったという事実がございます。しかし、警棒、警杖等は使用をいたしておりません。このたて使用につきましては、これは、元来警察庁として、正規の防具として全国的にこれを配分するというようなことはいたしておりませんが、去る昭和二十六、七年ごろ、いわゆる火炎びん闘争時代におきまして、警察官防具として、必要な府県におきましてこれを作りまして、府県費において整備をいたした所があるわけでありまして、この田原製作所事件に関しまする警視庁におきましても、その当時に作りましたものを現在保管をし、必要な場合に使用するということにいたしておるわけでございます。また、鉄帽も同じく防御のためでありまして、その当日におきましても、たとえばじゃまになっておる自動車を動かそうとした場合、その他会社側が壁をこわして入ろうとするような場合に、ホースにおいて乳状様な水をまきかけるとか、あるいは石を投げつけるとか、あるいは糞尿をまきちらすとかいうような暴挙がございまして、このために警察官及び会社側従業員の側においても、頭に当ってけがをしたというような者も出ておる状況でございます。従いまして、会社側従業員ももちろんでありますが、第一組合員側におきましても、かなり帽をかぶっておったものがあったような状況で、そういうような危険が予知された状況において鉄帽をかぶったという状況でございます。  それから、塙氏の死亡につきまして、これははなはだお気の毒なことでございまして、事態がどういう状況であったにしろ、人の生命が失われたということにつきましては、はなはだお気の毒にたえないのでございますが、翌日検事の方の委嘱によりまして東大において解剖をいたしました結果、この死因は、心筋梗塞による心臓死である、心臓の事故死である、外力によるものではないという医師の結論が出ておるわけでございまして、ああいう事態におきまして、日ごろ心臓の丈夫でない人がああいう中に巻き込まれ、そうしてあるいはそういうための心筋の刺激を受けての梗塞ということも考えられるかと思いまするが、しかしながう、外力による死因は認められないということでございまして、外傷とか、あるいは服がよごれておった、一部新聞紙上に、その当時警察官に踏み殺されたというような記事も見受けたように記憶いたしておるわけでございますが、そういう事実は全くないということでございます。  一応の状況を申し上げまして、また御質問に応じてお答えをいたしたいと思います。
  5. 大川光三

    委員長大川光三君) なお、本日は、柏村警察庁長官のほかに、江口警備局長小倉警視総監がただいまお見えになっております。なお、後刻、井野法務大臣石原国家公安委員長が出られますが、この際、御質疑のある方は御発言を願います。
  6. 椿繁夫

    椿繁夫君 ただいま警察の方から、田原製作所争議に関して、非常にこの経過について組合側に悪い印象を与えるような御発言がございましたから、私から争議概要について若干真相を説明して、各位の良識ある御判断を願いたいと思うのであります。  この田原製作所労働組合というのは、すでに結成以来十三年を経過しておりまして、今一貸金の値上げの問題に関連いたしまして労働争議に入りましたのは初めてなんであります。そのくうい協力をして、労使間の円満なる慣打というものを十三年間も組合結成以来待ち続けてきておった組合であります。で、今回の争議の発端は、二千六百円の賃上げ要求に端を発して起ったものでありますが、会社側は、二十回に及ぶ団体交渉を重ねておるにもかかわりませず、団体交渉平穏裏に行なわれております間に、夜陰に乗じて出荷実力をもってはかるなどいたしまして、正常な争議行為に対する挑戦的態度をとってきましたので、組合は、これが争議の円満なる解決を促進いたしますために、五月でありましたか、都労働委員会あっせん申請をいたしたのであります。ところが、会社側はがんとして都労委あっせんに応ずる態度を終始示さなかったものであります。そこで、問題になりました出荷を認めてほしいという仮処分申請会社は行なったのでありますが、組合は、団体交渉に応ずるように裁判所から経営者にも勧めてもらいたいということの仮処分申請を同時にいたしておるのであります。そこで、裁判所もこの事情をよくお認めになりまして、当時桑原裁判長あっせんに入られまして、団体交渉を再開するようにということで、団体交渉を持つ段階に至ったときに、幹部七名の懲戒解雇を強行する、こういうような仕打があったものですから、組合側を異常に刺激いたしましたことは、これは想像にかたくないのであります。こういうようにして、この不幸な八月十九日、塙治君の死というような事態まで争議は発展いたしたのでありますが、ただいま警察側お話によりますと、八月十日の仮処分決定もあったことであるから、この出荷を妨げるような行為を排除するための警察力出動であるということを言われるのでありますけれども、私ども法律にはしろうとでございますが、この仮処分は、強制出荷をしてよろしいというものではない、警察力が援護をして、この出荷を容易なうしめるような段階になるまでには、もう一回裁判所出荷を強制的にすることのできるような手続をとらるべきものであると考えておるのであります。ですから、判決のありました翌日の八月の十一日に、所轄の城東署署長代理として、だれかが地方裁判所の民事十九部に電話をして、そしてその仮処分判決のあった内容について問合せをいたしております。その際に、裁判所の方は、まだ警察力をもってしてまでこの出荷をする段階ではないということをちゃんと明らかに城東警察署にいたしておるのにかかわらず、八月十九日にこのような部隊出動を行いました。それが塙君に異常な精神ショックを与えた、あるいは体力的にも直接その衝撃を与えることによって死に至らしめたものであることは、前後の事情から考えまして、これは明らかなのであります。そこで私は、この警察の方は、判決の出ました翌日に、城東警察署から裁判所に対し、判決の内、秤及び警察力行使についての裁判所見解等を求めておるのでありますが、その事情についてあなた方は御存じなのかどうか、このことを一つ伺いたいと思います。
  7. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいまの仮処分判決がありました直後に、城東警察署の署員が、裁判所判決内容照会をしたかどうかという御質問でございますが、実は事件といいますのは十九日の事件でありますが、その後いろいろ組合側からのお話も承って、そういうような事実があるようだというお話でございますので、私ども調べてみたのでありますが、調査の結果によりますると、判決のありました十日の翌日、十一日と十二日と二度、城東署係員裁判所の力に照会をしておる事実はあるのであります。それは、この判決の写しを係員が見ましたとときに、ふと浮んだ疑問といいますか、自分として聞いてみたいというようなことがありまして、裁判所電話をかけて聞いたのでございますが、たとえば、保証金云々という言葉があります。保証金というのはどういうことであるか、あるいはこの仮処分の効果、期限といろのですが、期限というのはどんなものであるかということとあわせまして、その内容についても聞いておるのでございますが、その際裁判所の方かう、この処分執行吏を伴う強制処分ではないということは聞いておるのであります。しかしながら、先ほどお話しもございましたように、警察が出るべきではないとかどうであるとかいうようなことは、全然聞いておらないのであります。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 だんだんに問題点についてお聞きいたします。  最初に、警察の介入の違法性、次に塙きん死亡の問題、こういうふうに二つ分けてお聞きをしていきたいと思いますが、ただいま椿委員からも御質問があった点が実は非常に重大な点ですが、裁判所がこの事件の扱いとしては、まだ、強制力を持って出荷をきせる、そういう決定をすべき段階でない、このことは、もう判決自体から明確です。もちろん、その強制力というのは、そこに警察を含むか含まないか、そんなことは書いておりません。しかし、ともかくまだこれは話し合い、任意でやるべき段階だ、こういう意味であることは間違いない。これは、仮処分決定には、単にこういう事件だけでなく、ほかのたとえば耕作の妨害事件等にしても、いろいろ事情が複雑な場合は、第一段階において、ゆるい仮処分決定を出して、なおかつそれがスムーズにいかないというときに、さうに強制力を持った仮処分を出す、これはよくあることです。これは、非常に複雑な案件であることはもう間違いないのでありまして、裁判所としてそういう見解をこの事件に対して出しておるわけです。結果においては、警察がそれと違った実は処置に出ておる。ここをどういうふうに法的にお考えになっておるのか。裁判所裁判所警察警察だと、そんな二通りの法の執行があっていいわけではない。国民から見れば、どちらも同じこれは国家なんです。結果においては食い違っておることは明確なんです。その点をどういうふうに解釈されておるのか。法的にもう少し明らかにして説明をしてもらいたい。
  9. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほど椿委員からもお話がございましたが、警察が介入したということは、決してその会社側出荷を促進するとか、出荷を手伝うという意味において出動したのではございません。そういうことではなくて、警察出動するということは、何らか不法行為が行われるおそれがある、行われようとしておる、そうしてこれを警告なり制止なりすることによらなければ、人の生命身体危害が及ぶというおそれがある場合に、制止するための出動をいたすわけでございまして、これは、ただいま亀田委員お話しのように、裁判所決定としてはいろいろの段階があると思いますが、かりに裁判所決定が全然なくても、ただいま申しましたような条件が備わる場合においては、警察としては、独自に人の生命身体を保護する立場において行動をするということはあり得るわけであります。私どもはそう考えております。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 そういう御見解を持っておるから、本件だけじゃなしに、最近のいろんな中小企業争議に時期を早まって出動がある。いやしくも、法律解釈なり適用については、これが争いになってきた場合には、行政官庁以上に悔い立場判断できるのが裁判所なのです。これは、日本の憲法の秩序でしょ。そちらの方が、これはまだ話し合い段階だと、こう言っておるときに、そういうものがあるなしにかかわらず、あるいはその内容いかんにかかわらず、警察警察独自の立場で、たとえば警職法の第五条等で出れるのだ。そんなことは、理屈なのだ。法文のこまかい一つ一つ解釈じゃない。大きいところを見なきゃいかん国民が納得するかどうか。その考え方でいきますと、元来労働争議というものは、威力による業務妨害、これと隣り合せ行為なのです。そんなことを私があなたに言わんだってわかり切ったことですが、しかし、今のような御見解であれば、これは一応申し上げなきゃならぬ。そういう隣り合せ行為でしょう。だから、労働組合法の第一条第二項でも、現実暴力行為などを序らぬ、そういう段階における業務の支障を来たすような行為、こういうことは刑事責任は問わないと、こうはっきりしてある。そうでなかったら、労働争議なんというものはできやしませんよ。労働組合不定になりますよ。しかも、法を実際に有権的に解釈できる立場裁判所が、これはまだ話し合い段階である、いわゆる団交をさらにやるべき段階である、こういう趣旨意思表示をしておるときに、そういうものを無視して、警職法第五条の要件等があると思われれば出れるのだ。これは大へんおそろしい考えだ。そういう考えですか。はっきりして下さい。労働組合法第一条第二項との関係はどうなる。限界点はどうなるのです。あなたの言うような考えなら、こういうふうになっておらない争議に対してでも、さらに関与をする余地が出てきますよ。
  11. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) ただいまお話労働法との関係についても、私どもは、よくお話の点はわかるわけであります。ただ、私が申し上げましたのは、そういう事態が、条件が備わった場合には、警察は独自に行動し得るということを申し上げたのでありまして、この事案につきましても、実は、幾たびか慎重にやるように会社側にも要請をし、警察自体としても懐重な態度をもって臨んでおったわけでありましてや十九日に至って、どうしても警察出動を要するという判断のもとに出たわけであります。また、ただいま、裁判所としては話し合いでやるべきであるということで、強制出荷すべきでないという見解、あるいは警察官が出る幕でないという見解のようなお話でございましたが、裁判所といたしましては、警察が出るべきでないという見解は持っておらぬというふうに私は聞いておるのでございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 それは間違いです。私たちが担当の十九部にお聞きしたのでは、はっきりその見解を述べておる。のみならず、そんなことを裁判所へ行って聞かんだって、判決自体の性格から明確です、こんなことは。そこで、この点は、一つ大きな問題として今後もら少し追及してみたいと思う。ほかの労働争議もたくさん、根本的な問題についてのそういう考え方が間違っておるから、これは行き過ぎがある。だから、この程度でこれはしばらくおきますが、しからば、警職法第、五条によって出た、こらおっしゃっておるわけですが、警職法第五条をどういう意味で適用されたか、具体的に一つ説明を願いたい。第五条によったといろだけじゃいかん、第五条には要件がありますから。
  13. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 警職法第五条は、御承知のように、犯罪がまさに行われようとし、それによって人の生命身体に……条文についてはっきり申し上げます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 条文はわかっておるから、具体的な事案について……。
  15. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重天な損害を受ける虞があって、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。」という規定になっておるわけでありまして、この第五条に申しまする条件が具備する可能性が特に非常に濃厚であるということで待機をさせ、そういう事能に立ち至って警告制止をいたしておるわけであります。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 そういう説明は、何も聞かんでもわかっておる。この田原製作所の第一組合の諸君のいかなる行動が具体的に言うてこれに当るのか、それをお聞きしている。その説明を願いたい。そういうふうになるおそれがあると、こらおっしゃるのですが、おそれじゃだめでしょう。そういうふうになるということじゃなきゃ、いかんでしょう。具体的に説明して下さい、三十項目に分けて、三つ要件があるのですから。
  17. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先きほども申し上げましたように、すでに外でじゃまになっている車を会社側がどけようとしておったときに、ホースで水をかけ、石を投げ、また、糞尿をかけるというような事態があったわけでありまして、そういう危険性が非常に濃厚に内在しておる状況であることは、御承知のとおりであります。そこで、さらにへいを破って会社側が入って行く者についても強く妨害をしておる。従って、これに対して製品搬出するということを会社側がやろうとした場合には、非常な衝突がそこに起る。衝突が起って、生命身体危害が及んでから警察が動くのでは、これは、予防的なこの警職法第五条の使命を達成することにならないという趣旨におきまして、警視庁機動隊実力を行使したというふうに聞いておるわけでありまして、私は、この行為は、正当な職務行為であろうと考えておるわけであります。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 この問題も、今の御説明を聞きますと、大へん危険思想を持っていますね。この田原製作の第一労働組合のその日の態度というものは、警察側にもわかっておるはずです。これは、前日役員会を開いて、スクラムは組む、どんなことをされても絶対に無抵抗と、明確にきめている。組合員に全部これは通達してある。ああいう空気になっておる時期ですから、知っておるはずです。現にまた、当日の行動というものは、それ以外に出ておらんわけです。それは、スクラムに対して乱暴等されれば、そういう取りきめになっておっても、反発的に部分的に、いろいろな行動があることは、これはやむを得ぬことでしょう。第一組合行動自体というものは、スクラムを組む、絶対手出しはしない、こういう情報は警察は握っておるでしょう。警視総監から……。
  19. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 組合の方がどのような取りきめをされておったということは、私どもは聞いておりません。先ほどから申し上げておりますように、今回の警察官出動あるいは実力行使は、今まで田原製作所争議関係でいろいろな事件が起っておる、会社側組合側それぞれ主張があると存じますが、なかなかその主張が寄り合わないで、常にいざこざが起っておるのであります。ことで判明しておりますだけでも、第二組合のものが就労しょうとしたときにこれを妨害、あるいは組合員就労をめぐって暴行傷害事件が三、四件起っておるのであります。そういうような過去の事実、また当日も、その前の前も同じでございますが、ああいうような非常に大がかりなバリケードその他の障害物を置いて、別らかに会社側作業行為妨害するというような趣旨も明瞭であったのでございます。こういうような過去の事実、またその当時の状況等から考えまして、これは、会社側出荷行為をするということになれば、当然そこに紛争が起き、また、場合によっては生、命身体に危険の及ぶおそれが十分ある、こういうふうに判断をいたしまして、警察官待機させ、また、現にそのような状況になりましたので、出動させまして、実力行使をいたさしたのでございます。ただいま第一組合の方でそういうような取りきめをしておるのを知らないかとおっしゃいましたが、私はもちろん承知しておりませんが、現実にああいうような投石行為があり、また糞尿をまき散らしたり、水をまいたり、放水したり、そういうような行為がある。またも会社側及び第二組合のものが作業行為のために工場内に入りましたときに、これに対して相当の実力阻止をいたしておるのでございます。そういうような実情でございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 前にいろいろな問題があったから今度もやるだろう、この考えが危険なんですよ。そんな考えは改めてもらわなければならない。そんなばく然としたことをやられれば、どんな大衆行動に対してだって、そういう見込みであったといえば済んじまうことになる。そうじ、やない。現実はもう皆さんは実力行使をやるのだ。そんな事態が起る起らぬにかかわらず用意をしてきている。初めからとらわれた考えで見ている。それが間違いのもとなんです。警職法の改悪が反対を受けたのはこれなんです。そういう警察的な感覚に対して皆が心配しているわけです。第一組合のそういう決定を知らんなんということはあり得ないですよ、私服が毎日うろうろしておって。現にこの現場におきまして、当日第一組合の代表とそれから第二組合の上部機関の総同盟の役員と、この問題は話し合いで処理しよう、相半そこで努力もしておる。私は、その点は相当突っ込んで聞きましたが、場合によっては、出荷を若干認める腹もあったのではないか。労働者同士が争うのは困る、そういう立場に立って、そういう考えが内部に幾らかあったのじゃないかとすら私は考えております。従って、そういう事態にならぬうちに、きょうはもうこういう事件が起るのだ、過去に何々があったのだ、それじゃだめなんだ。それじゃあなた、制止行為というものは、もちろんそのときは始まってからですが、その日の午前七時からそういう機動隊出動経過等を見たって、これはもう予測してやってきておるわけです、すべてを。だから、そういう立場では、決して警職法第五条のそういう要件というものを公正に判断はできない。第一組合と第二組合が話し合っておる。それがあなた、警察なり会社の幹部が、もうだめだ。きょうはもう出荷を強行するために来たのだ。こういうことを言って、話し合い妨害しておる。これは調書もたくさんある。聞いた人もたくさんある。そういうことをやっておりながらですね。あとからこの警職法第五条の要件に合っているとかなんとか言ったってだめですよ、これは。現にあなた、それじゃ第一組合と第二組合が、スクラムをこらしてぶつかって、そこで何か傷害が起きたですか。ただお互いに押し合いをしただけでしょう。こっちの方は何もそんな武器なんか持っていない。聞いてみますと、第二組合こそ、何かここに石なんかを入れてぶら下げておる人がたくさんあったように聞いておりますがね。何もそんな武器なんか持たない、同じ会社におる労働者の諸君が多少押し合いをしておったって、警察官なんかが出るべき幕じゃないのです。そんなばく然としたことでやられると、いろいろな大衆行動といろものは、みんなこれは、警察の見方としては、何か起るんじゃないかと思った、これでやられますよ。だから、こういう重大な出動をする場合はですね。第二組合のことばかり聞いておらずに、第一組合事情等も十分……よくこれは調べておるはずなんですがね、あなたは知らんと言うけれども。どうですか。こんな生命身体に対する危険とか、それから必要性とか、必要性というのは、やむを得ず出るということですよ、警察官は。これ以外には方法がないという場合に出る。やむを得ず出るんです、これは。結果から見れば、警察官が出たからこういう不祥事が起きておる。これは後ほどさらに追及しますが、警職法第五条のそういうばく然とした解釈で自分たちの行動を合理化する。間違いなんだ。しかも、私たちが、この事件が起きてから、警視庁なりあるいは地元の城東警察署に聞いてみる。一体法的な根拠はどれなのか。と言いますと、きわめてあいまいだ。警職法第五条だと言うてみたり、いや威力業務妨害だと言うてみたり、それじゃどうも労働争議に介入する印象を強く与え過ぎると思うと、何か両方あるようなことを言うてみたり、こんな国民の荒木的人権に関することについてですね、そんなあいまいな態度じゃだめですよ。どうして必要があるのです。第一組合はこうしておるでしょう。第二組合の押し方というのはきわめてゆるいんですよ。あのときは、何もそんな、放っておいて、同じ組合員同士が乱闘になったりするような状況ではない、断じて。これは、警察があらかじめ第二組合に、一応ぶつかれ。お義理にぶつかれ。そうすればあとはおれが引き受げてやる。そういう計画なんです。警察官の中でそう言うておる人もおる、その現場で。あとはおれたちにまかせておけ。まかせておけ。あとはお前らあっちに行け。第二組合警察の芝居でしょう。芝居をやっておるところに、そんな人命なり身体に対する傷害などありますか。それでもあなたは、警職法第五条で間違いないとおっしゃいますか。説明がはなはだあいまいだ。やむを得ずでなければだめなんですよ。これしか方法がないという場合、どっちでもいける場合に、警察がそんなにたびたび出られては困るんですよ。あの際、それじゃ警察が出る以外に処置のしようが絶対になかったと言い切れますか。そういうふうにお聞きしてみましょう。警察が出た方がよかったのか。出なかった方がよかったのか。右か左かですね。どう考えていますか。
  21. 大川光三

    委員長大川光三君) この際、御報告いたします。  法務大臣がお差しつかえございますので、そのかわりに法務省から竹内刑事局長、同じく川井公安課長が出席されております。なお、国家公安委員長石原幹市郎氏は、外務関係委員会に出席されておりまして、ちょっと出席がしにくいようでございますので、あらかじめ御了承いただきます。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら、東京都の公宏委員長ですね、もし間に合うようでしたら、一つ御出席できるようにしてもらいたいと思います。
  23. 大川光三

    委員長大川光三君) さように取り計らいます。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 国家公安委員長は、他の委員会に…られても、その時間の関係でこっちにお出になることはできるのですか。
  25. 大川光三

    委員長大川光三君) できたら早く来てもらってと思っておりましたが、今のところでは、ちょっとこの時間に間に合いかねるという連絡がございましたけれども、今、国家公安委員長は、手があき次第出席してもらうように交渉いたしておりますから、あるいは後刻見えるかと存じます。
  26. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 労働争議に関連した経営者と労働者との間の問題でありますから、望ましいこととしては、警察は出ないで、円満に話し合いがっき、解決されるということが、これは番けっこうなことであることは申すまでもないことであります。しかしながら、先ほど警視総監も申しておりますように、当日の状況というものを考えますれば、警察官が出るべきであった、そうしてやはり実力行使をすべきであったというふうに、私は総合的に判断をいたしておるわけでございます。
  27. 椿繁夫

    椿繁夫君 警察庁長官あんまり事情を御存じない、御存じないから、ただいまのような御答弁ができるのじゃないかと思うのです。もう少し、国会へおいでになるときは、実際にわたって御調査の上出席されることを将来のために希望しておきます。  今、亀田委員からも御指摘がありましたが、クレーンを持ってきてコンクリートのへいに穴をあけて、そうしてワイヤー。ロープを通してへいをつぶして、いよいよこの事態では何とか話し合いによる最終的な解決をはからなければならぬということで、現場で、第二組合長の山口辰猪君と第一組合の横田委員長とが、この緊急事態を回避するために、話し合いによって一つ解決しようじゃないかということに意見が一致いたしました。そこで、両君が協議の上、搬出の方法について十分間だけ時間を置こうじゃないかという相談も一致いたしたのであります。そういう事態があるにかかわらず、会社側の第一線の指揮に当っておった竹沢という総務課長が、きょうは実力をもって出荷するんだからと、しかも、そのうしろにちゃんと警察がいるんですよ、三百五十人。きょうはどうしても実力をもってでも出荷をしなければいかぬのだから、十分間の話し合いはできないと言って、強制出荷にかかったものであります。そういう事情あなた御存じないから、警職法第五条の三つの要件が一体どこにそろっていますか。これ以外にとる方法がないということは、この扇情を御存じになっておれば、これは明らかに警職法第五条による出動ということはできないはずであります。要件が備わっていない。これは断言いたします。ことに第一組合は、前日から当日の朝にかけても会議を開き、大会を開き、会社側の挑発に乗ってはいけない、スクラムを組んで、労働歌を合唱して、歌声だけで一つ抵抗しようじゃないかということをきめておりますし、当時出て来ておりました新聞社の人にも、警視庁の人にも、全部に徹底するような措置を講じております。そういうことがあって、その上に第一組合長と第二組合長とが互いに話し合って、そうして十分間搬出方法について協議をするための時間を置こうということになっているときに、竹沢という総務課長が、いやもう待つ時間ではないということで指揮をとったのだ。そうして第二組合を形式的に前に出した、押し返された、まかしておけということで、警察が出て来たのだ。衝突は節二組合と第一組合衝突じゃございませんよ。第一組合に対する警察官衝突であります。そういう条件を御存じない。警職法の第五条の三つの要件が一体どこにそろっておりますか。ほんとうに警察が中立の立場でおられるならば、亀戸第一中学に集結して、第二組合警察会社側と相談の上、隊伍を整えてやって来ますときに、腰弁当のように、ここにふろしき包みをぶら下げておったでありましょうが、これがこのくらいの石の包みだ。それをはずしなさいというように注意されてこそ、警察の中立性というものを市民は信頼することができる。そういうことを黙認しておいて、どこに一体警察の中立性をあなた方はここで言うことができますか。重ねて、警職法第五条の三つの、要件でございますね。私は、法律のしろうとですからわかりませんが、ちょっと調べて見たら三つの要件がある。そのいずれにも該当しない部隊出動である。これは後ほど写真をごらんに入れますが、現地の部隊配置等から、このことが証明できるのです。だから、その場限りの言いのがれだけでは、きょうは納得いたしませんから、ちゃんと資料を持ってこの委員会に臨んでおりますから、十分一つ調査の上、御相談なすってもけっこうでありますから、真相を明らかにしていただきたい。
  28. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 警職法の第五条と警察官出動関係についての御質問でございますが、これは、先ほどから申し上げておりますように、とにかく事実として、この田原製作所関係争議に関連して、しばしば暴行傷害事件が発生をいたしておるのでございます。相当深刻な様相を呈しておったことは事実でございます。そうして八月の十日に仮処分決定が出ましたあと、確かにこれは執行吏が一緒に行ってやるというような処分じゃございません。従いまして、円滑に事が運ぶことを私どもとしましては希望をいたしておったのでございます。この八月十日以後、会社側労働組合側とが数回にわたって話し合いをされたけれども、結局それも話がつかない。いよいよ八月十九日の当日になって、会社側仮処分決定内容に基いて出荷行為を行うということになりまして、当日はバリケード等も相当厳重に行われておる。入口には大きなバスをとめて、会社側が入ることを妨げておるというような状況、そのらしろには、組合員の方たがスクラムを組んでおる。こういう状況であったのであります。そこで、その日も、先ほどお話がございましたように、会社側と第一組合側とがバスの中でもう一度話し合いが行われ、その結果、この話し合いもっかないということで、会社側が作業を始めたのでございます。その際に、先ほどお話では、出荷を認めるというような意向が明らかにされたかのようなお話がございましたが、私どもといたしましては、そういう点は全く承知いたしておりません。どのような内容であったかということは、私は承知いたしておりません。とにかく話し合いがバスの中でも結局つかないということで、出荷作業が開始されたのであります。そこで、警察といたしましては、前々申し上げましたように、過去の事例、事件現実に発比した状況、また当日の雰囲気等から判断いたしまして、これは、場合によれば警職法第五条の条件が出てくるという疑いが濃厚でございましたので、警察官待機いたしたのでございます。待機いたしまして、ごく少数の者は、交通整理、あるいはその他の関係で出ておりましたが、それ以外の警察部隊は、全部見えない所で待機をさせたのであります。会社側の作業が始まりまして、バスを、組合側の方に対して、じゃまになるからのけてくれということを御三会社側から話がありましたが、組合側がこれをのけないということで、会社側がみずからこのバスをのけよう、というようなことになりまして、ホースで放水してじゃまをする、あるいは投石を盛んにやる、あるいは糞尿をぶちまける、振りかけるというような妨害行為が盛んに行われ、会社側では、このバスを動かすことを断念いたしまして、横のへいを取りこわして、そこから入るというような状況になったのであります。この会社側作業行為に対しまして、組合側妨害行為に出る、このこと自体が私はすでに不法な行為であるというふうに判断いたしているのでございます。そしてそのような投石によってけがをいたした者も現実に出ておりますペいがこわれまして、中に会社側、第二組合の者が入場して、作業に取りかかろうということで入りましたところが、スクラムを組んでおりました第一組合側が、これに対して実力をもって抵抗して、そこで相当激しいもみあいになった、押されたり押したりというような状況になったのであります。そこで、警察といたしましては、このまま放置しては、不法な行為により生命身体財産に危険が及ぶおそれもあるし、急を要するということで、出動いたしまして、実力行使によってこれを制止をいたしたのであります。そういうような点で、警職法の第五条に私は当然該当する事案であると思うのであります。
  29. 椿繁夫

    椿繁夫君 バスの中で、第一組合と第二組合が話をした、そのときに、話し合いによってこの事態を回避しようということの意見の一致を見ておるのであります。そこで、具体的に出荷の方法について協議するために十分間の時間を置こうじゃないかということを提案いたしましたときに、竹沢総務課長がこれを拒否したのは、これは事実であります。それを警察が御存じない。これは、そんなことを聞く耳を、余裕を、実は当時現地指揮に当った津田警視は持っていなかったのかもしれません。事実そういうことがあるのですから、なおお調べを願いたいと思います。  私は、事件のございました翌日から翌日にかけて、総監にもお目にかかって、いろいろ出動の目的及びその法律上の根拠についてただしたのでありますが、この警職法第五条による説をとっておりますのは、警視総監と玉村警備部長、城東の加藤署長、この三人であります。威力業務妨害罪、刑法に根拠をとって出動をしたと言っておりますのが、当時の新聞などからも、雑誌などからも、こう見ますというと、石井第七方面部長と鈴木公安二課長と津田係長であります。これは、威力業務妨害による出荷妨害の力を排除するために出動したのだという説をとっております。きょう警察庁長官お話では、両方ということになっておりますが、この事件が起りました半日及び直後の警察の指揮者の法律上の見解というものは二分しております。いずれになってもこいつちょっとうるさいぞということで、きょうは二つの法律上の根拠を御説明になったのでありますが、こういう部隊出動について法律上の見解があいまいであったことは、これはもら事実であります。ちゃんと私、直接会った人もありますし、新聞に談話を出しておる人もある。また、週刊朝日によりますと、社会部の細川洋一君も、警察側見解として威力業務妨害罪出動したのだというふうに記字が載っておりますが、とにかく事件のありました直後及び当日の警察法律上の見解というものは、明らかにこれは二分しておるのであります。こういうたよりないことで国民の基本的権利を侵害したり、戦前戦後を通じて警察の不法な出動によって争議団員が命を断ったということは、今回が初めてであります、私の記憶では。このような不祥事を惹起するに、至りましたことは、まことにこれは遺憾であります。重ねて、この警察当局の……きょうは、長官は併用、警視総監警職法第五条による出動ということをこの前申しましたが、あなたの部下は、威力業務妨害罪ということで言っておる、実にまちまちであります。こういう点を一つ明らかにしてもらいたい。
  30. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 警視庁の係官がどういう言い回しでお答えしたかは存じませんが、これは決してばらばらになっているのではなくて、私の申したのが正しいし、それと同じ趣旨であろうと思うのでありまして、第五条には、「、警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは」、この犯罪が何に当るかということを聞かれれば、威力業務妨害罪である、あるいはさらに、暴行とか傷害というようなこともあるかと思いますが、威力業務妨害罪である、そういう犯罪が行われようとするのを認めたときは、「関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により」、その威力業務妨害罪により、「人の生命若しくは身体に危険が及び、」急を要する場合においては、その行為を制するということであって、これは、犯罪がかぶらなければ制止はできないわけでありまして、その犯罪は何かと言われれば、威力業務妨害罪ということでありまして、警視庁の係官があるいはおもに話した点が、あるいはそれだけがお耳にとまったのかと思いますが、あるいは言い回しが不十分であったかと思いますが、言う趣旨は、今私が申しあげたような趣旨で申し上げたのだろうと存ずるわけであります。その点には食い違いはいささかもないと考えるのであります。   —————————————
  31. 大川光三

    委員長大川光三君) この際、委員異動について御報告いたします。  大河原一次君が辞任され、補欠江田三郎君が指名されました。以上であります。   —————————————
  32. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの答弁は、非常にごまかしがあるのです。一応そういうふうな形式的な説明はできる。しかし、当初警察側の意見がまちまちであったというのは、そういうつじつまをどうして輿論的に合すかということじゃなしに、実質問題としてはこういうことだった。一方の見解では威力業務妨害である。そこだけなんです。従って、警察行動というものは、それをやめさせて出荷をさせたのだ、こういう立場なんです。ところが、どうもそれが仮処分決定等の関係で少しややこしいんじゃないかということで、今度は警職法第五条の説明に変ってきた。それは、なるほど警職法第五条の場合も、要件として威力業務妨害が行われるおそれがあるということも言えぬことはないでしょうが、そうじゃなしに、警職法のことをおっしゃる方は、出荷をさせるとか、そういうことはあまり警察考えておらないのだ。とにかく紛争が起らぬようにという意味のことは、これは身体に対する傷害とか暴行とか、そういうことが起らぬように願っているのだ、そのことなんです。それはもう明らかに違っていたのです、両方の目ざしておる方向というものは。それは、今長官がおっしゃったような説明をしようと思えば、これはできぬことはないですが、これは、われわれが担当者に会ったり、あるいはそれを伝え聞いたところでは、明らかにそらいろ点が不明確なままにこれはやられておるのです。この程度にこれはいたします、根拠の問題については。  次に、介入の方法ですね。私も、椿委員と一緒に、いろいろ現場も見たり、当時の模様を聞いたり、写真等も見せてもらってきたわけですが、一体警察官が鉄かぶと、警棒、たて、こういうふうなものを使って、ことさらに、スクラムだけでほかに武器を持っておらぬ、そういう組合員に対して、頭にあるいは胸にそれをぶっつけていく、こういったようなことは一体合法的なんですか。これはたくさん事例がある。写真もあるし、調書もあります、われわれのととろに。どう考えているのです、これは。相手は何も武器はない。これは御承知通りスクラムだけです。それは、われわれの見解と皆さんの見解と、警察出動そのものについては違う、明らかに言い分は。違っても、その出動の仕方として、一体そういうことをやっていいのかどうか、これをお聞きしたい。
  33. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほど申し上げましたように、たて鉄帽は、これは防御のための用具でございまして、現に当日も、投石によってけがをしている者もあるわけでありまして、そういう際において、できるだけけがをしないように防具を、用いるということは、これは当然のことであろうと思います。これを武器として使う考えは毛頭ないわけでありまして、何らおかしい点はないんじゃないかと考えます。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 いや、武器として使う考えはないとおっしゃるのですが、鉄かぶとなりたてというものは、これは防御用だとおなたはおっしゃったですね。防御用であれば、それをぶっつけたりすることは、これは防御用を越えているんじゃないですか。スクラムだけを組んでいる人に対して、つまり鉄かぶとであれば、もし向うから石でも投げたら頭に当らぬように、これは防御用です。そういう使用方法をきめているわけでしょう、鉄かぶとについては。だから、これで攻撃的につついたり、いかに向うからスクラムで抵抗されたって、そういうことはしてはならぬのでしょう。どうなんですか。場合によってはしていいというのですか、あなたは。
  35. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 警棒を故意にぶっつけていくようなととはなかったと聞いております。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 警棒ですか。私は今鉄かぶとと……。
  37. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 鉄帽です。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 木の棒か、警察の帽か。
  39. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 鉄帽です。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 鉄かぶとと言って下さい。そうしないと、二つ混同しますから、この際だけは。しかし、これは一つ見てもらいましょう。こういうふうに、うつむいて行っている写真が一つあります。こういうことはしていいんですか。防御を明らかに越えている。
  41. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) お答えしますか。
  42. 大川光三

    委員長大川光三君) 委員長もちょっと見たいですから……。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 それは十分何はしてありませんが……。
  44. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいまの写真は、私も、以前椿委員がお持ちいただいて、拝見いたしたのでありますが、あの写真をもって、直ちに故意に警察官鉄帽をぶっつけておるといろふうには私は思わないのであります。私の方にもたくさん写真はとってあります。この状況から見まして、私は、故意に鉄帽をぶっつけていったというような事実はないと存じます。  それから、たての点でございますが、これも鉄帽と同じく、第一組合員側投石行為が相当あり、けが人も出ましたので、持って行ったのでございますが、これは、持って行った数は、調査いたしますると、約四十くらい初め持っておりまして、実際に第一組合員と接触して実力行使に移るまでに、大部分の者はたてを置いて行っております。たしか、私の方の調査では、五つぐらい、命令が徹底いたしませんで、隊員が持っておった者があったかと存じます。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 まあ今お見せしました写真しかないから、これは仕方がないのですが、しかし、現実にあの鉄かぶとでつつかれたと思われる傷、そういうものが出てきたら、それはいかんことですな。
  46. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 故意にそういうことをやるということは、これはいかんことだと思います。しかし、非常に大ぜいの間でもみあったときに、ふちに触れてけがをするということは万一ないとは言えないのでありますが、そこまで責任を追及されても、これは、警察は責任を一々負うというわけにはいかないと思いますが、これは好ましいことではないと思います。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 だから、私の言うのは、故意にぶっつけてきた、そしてそのあとが明確になってきておる者が出てきたら、これは警察のミスということになりますな。
  48. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 鉄帽に限らず、故意に相手に危害を加えるというようなことは、警察としてとるべき態度でないと、そういう点は、また厳に戒めておるところであります。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 それから、このたてというものは、これは法的な根拠はどこにあるのです、たて使用するということは。その理由なんかは、さっきちょっと説明があったからよろしい。法律のどこにそういうものを使っていいというふうに書いてあるか。
  50. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、防御用の用具でありまするし、これは、別に根拠規定をもって警察庁として全国にこれを配分するというような措置はとっていないのでありますが、先ほども申し上げましたように、火炎びん当時、その必要によって各府県においてこれを調製した事実があるわけでありまして、警視庁においてもそれを現在保管しておる。なお、警視庁においては、たてということをはっきり申しておりませんが、たての携帯についての根拠としましては、警察官服制及び服装規程第八条第四号におきまして、「所属長が必要と認めた場合は」云々として、「警杖等を携帯することができる。」警棒は常装するのが建前でありますが、警杖とか、たてというような場合は、必要に応じて所属長がこれを認定していく、そして携帯させるということにいたしておるわけであります。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 やはりこの警察法の六十八条によれば、政令の定めるところによって被服を支給し、装備品を貸与する、こうなっておるわけですね。警察が必要があるからといって、法律にもきちんと書いてないものを、いやピストルで足らぬから何だとか、そんなこといい出したら、これは危険でかなわぬですよ。そのために、警察官の持つものについては、厳重に法的な根拠があるわけです。それは、付属品のようなものであれば、一々それは書かなくて、「など」というところに含ませてもいいかもしらぬが、火炎びん当時特別な目的をもって作られたものが、その当時も法的根拠がないから問題なんですが、そんなものは、私たちはなくなっていると思っていたんだが、突如として今回の田原争議にそれが現われたから、ここで問題にしなきゃならぬ。そんなあなた、「など」というようなことで、これは済むものじゃありませんよ。独立のちゃんとした一つの形態を持って、使い方が悪ければ相手のからだに傷害も与えるし、命にも関係するかもしれません。合法的じゃないでしょう。どう考えるのです。「など」なんかに含まれるものじゃないでしょう。
  52. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、たてというのは、あくまで防御の目的であります。現に投石等が行われておる。そういうときに、頭は鉄かぶとで防ぎますが、からだの方はたてで防ぐということは、これは必要に応じて使用したということでありまして、これを攻撃用に用いるようなことは厳に戒めておることでありまして、そういうものを一々法律根拠によって、防具まですべて規定するという必要は私はないものと思います。なお、今お話の貸与品につきましては、政令に規定するわけでありますが、ただいま申し上げましたたて警察の備品でありまして、個人にいわゆる貸与品として貸与いたすものではないわけであります。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 備品か何か知りませんが、個人が持って歩くわけですから、鉄棒とか鉄かぶととかいわゆる警杖とか、これと同じ作用をなすんじゃないですか、実際は。あなたの方は、財産目録で備品にしておるかもしらぬが、国民からいうたら、貸与品と同じことですよ、個人が持って歩けば。財産目録のどこへ入れるかによって、そんなあなた、人権関係の扱いが違っていいものじこやない。防御用々々々といったって、いつでもこれは攻撃用に転化できるでしよう、人が接触した場合に。だから、そういうものがたとえ防御用であっても、鉄かぶとと同じように、ちゃんと規定されなければだめでしょう。こんなものを持って歩くことは違法ですよ。そんなあなた、備品だとか、いや「など」とかいう、そんなことで説明のつくものじゃないですよ。一体こういうたてというのは、一特使わぬで、最近いつから始めたわけですか。全国的にこれは使ってもいいというような指令でも最近出したわけですか。
  54. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと亀田委員に伺いますが、今の御質問たてあるいは鉄かぶとから警棒というものが、先ほど長官の御答弁のように、この警察法六十八条で、「及び装備品を貸与するものとする。」というような条文根拠があるのじゃないですか、その奥をお尋ねするわけですか。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 装備品じゃないわけだから、すると、これには装備品にはならぬわけでしょうな。
  56. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、防御の目的で用いるようなものあるいは状況を撮影する写真機、三脚というようなものまで一々法令に根拠を置いて、それ以外のものは一切持てないというような窮屈な規定をする必要はない。人権の侵害というおそれのないものについて必要に応じて適当にこれを装備していくということは、私は許されるものであろうと考えておりまするし、また、しかしながら、たてを全般的に使用するようにというよろな通牒を出した記憶は私ございません。従って、これは地方々々で、先ほど来申し上げておりますように、既存のものを必要に応じて使用しておるというふうに考えられるのであります。警視庁自体について、いつごろやめておって、いつごろから始めたかということは、私は記憶いたしておりません。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 警察官が持つものを全部一々書き入れない、それはその通りかもしらぬ。たとえば写真機などとおっしゃいますが、写真機なんかはどうでもいいのですよ、それは。私の言うのは、よかれあしかれ、ともかくそれが使われれば人権侵害になるようなものについては、検討して明らかにしておくべきじゃないか。たて以外でも、じゃそういうあなたのような解釈であれば、うちの警察署ではこういうものは防御用にすると思うかうということで、使えるようになりますよ。大へんなことじゃないですか。本来ならば、私は、そういうものは法律で具体的に一々書くべきだと思う。警察官国民とこう接触するような場面において、そういう防御用であろうが攻撃用であろうが、法律で実際は明記すべきです。いわんや政令にも規定にも何もない、そんなものを一体警察官が持って歩く、そうしてそれで労働争議に介入していくそれだけでもこの行動は違法ですよ。たてはだめでしょう。そんな理由じゃだれも納得できぬでしょう。まあこの程度にしておきますから、これは一つ研究して下さい。どうしてもそれがあなたの方で自発的にそれが悪いということをお認めにならぬなら、これはあらためて研究しましょう。警察官のそういうルーズな考えであれば、武器そのものについて、これはもっと法律で検討すべきでしょう。法律の中に……。
  58. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連してお尋ねいたしますが、鉄かぶとは防御用というようなことで御説明があったわけです。しかし、今度の争議のいろいろの御報告を聞きますと、わずか百五十名の無抵抗の第一組合員スクラムの中に、警察官が鉄かぶとをかぶり、低姿勢でその無抵抗のスクラムのまん中に突入して、鉄かぶとのふちで第一組合員の胸、それから顔、そういうものを目がけるような低姿勢で突入してきたという、このことについては、これは私ずいぶん問題であろうと思う。しかも、今問題になっているこの矢たてです。その矢たて三十センチ四方、厚さは三センチ、このような威力ある武器を真正面に掲げて、そうしてスクラムの両側から、無抵抗のスクラムをはさみ打ちにするよろな格好でもって、これを解散させるような行動に出た。このような防御用のものの使用の方法については厳重な注意をしていると言われますが、一体鉄かぶとのふちでもって、あの砂川のときにも相当のけがをしておることは、先刻御承知通りです。しかるにもかかわらず、今回の争議では、百五十名のスクラムを組んだ無抵抗の人の中に、低姿勢で胸をこずき上げて突入するという、この乱暴な行動に対して、どのような御見解をお持ちになっておるか。またこの矢たては、無抵抗のスクラムを解散させるために、そのようなものが果して使用されることが妥当なものであるかどうか、この二点。  もう一つ、根本的なことは、無抵抗なスクラムそのものが果して違法なものであるか、業務妨害に入るものであるかどうか、このような根本的な見解について一応お尋ねをしておきたい。
  59. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 第一組合員が百五十名とおっしゃいましたが、第一組合員及び支援労組の人たちを含めまして、約三百人くらいの数だったと思うのであります。それから、鉄帽及びたて使用方法でございますが、これはもっぱら防御のためのものでありまして、十九日の当日も、私は、ほかの場合の実力行使の場合と一向変った使い方をしたということはないと存じております。それから、たてにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、待機しておる所から現場まで出ていきますときには、機動隊員の一部、約四十名のものがたてを持っておったのであります。しかしながら、実際に第一組合の側と接触するときには、大部分の者がたてはあとに残しまして、五名だけがたてを持っておったという事実でございます。従いまして、そのたてによってどうこうというようなことを考えたということは、一切私はないと承知しております。  それから、スクラムを組むということ自体が不法であるか合法であるかという問題でございますが、これは、スクラムを組むこと自体はもちろん何ら法に触れるということはないのでございます。しかしながら、仮処分決定に基き、また所有権に基いて、正当であると認められた会社側作業行為出荷行為を、これを実力をもって阻止する、スクラムを組んでそれをはばむということになりますれば、これは不法な行為になる、こういうふうに承知いたしております。
  60. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは、前質問でも明らかなように、当時スクラムを組んでおったということは、必ずしもこれは不法の状況ではないと私どもは認定しているわけです。しかも、このスクラムは、組合側で無抵抗の姿勢であるようにという強い指令のもとに、組合員はこれを順守しておったはずです。話し合いの前にスクラムを組んで抵抗の姿勢を示すことは、当然あり得る争議行為一つであって、長官も御認識のように、スクラムそれ自体は何も不法ではない。従って、今話し合いに入りつつある場における無抵抗のスクラムでありますから、今回の今私が指摘いたしましたバリケードの前における無抵抗のスクラムも合法的なものであって、何ら違法のものでないという結論が出るわけです。そのスクラムに対して、何のために警官が鉄か。ぶとをかぶった、か。防御用であると称する鉄かぶとをかぶって、そうして攻撃の姿勢に入るために低姿勢をとって、胸や顔をこずき上げたということは、これは明らかに装備品の使用を逸脱する警官の職権乱用というふうに断定せざるを得ない。しかも、正当なスクラムを解散させるために、たとえ三人か四人が、火災びんの使用せられるときに警官の身の安全を保障するために使われたであろうこの矢たてを、何のために無抵抗のスクラムを解散させる、その攻撃用として使われたかというところに、私は警官の不法性をここに指摘しているわけです。今、警視総監は、大ていの者はたてを捨てて、四人か五人きりなかったと言うけれども、三十センチ四方の、そうして三センチの厚さもあるようなおそろして武器で、この武器を持ってスクラムの両方から、はさみ打ちにするような格好で、まん中からは鉄かぶとをかぶった警官が低姿勢で突入してくるという、こういうやり方について、あくまでもこれは合法だというふうにおっしゃられることについては、いささか私は妥当を欠くのじゃないかと思う。スクラムはこのような実力行使で、しかも防御用の警官の装備品をもって攻撃態勢に移って、これを解散させるという、そういう、そのこと自体が私は違法だと思う。もう一度私の疑問のある点について答えてもらいたい。
  61. 小倉謙

    説明員小倉謙君) たてはまことにおそるべき道具であるというふうにおっしゃいましたが、これは木造のものでございまして、もっぱら防御用のために使らということで、そういう必要のある場合に使っておる道具でございます。先ほど申し上げましたように、実際に第一組合側警察官が接触します場合には、そういうようなたては不必要でありますし、また、実力行使をする側自体からいいましても、じゃまになる道具でございますので、これはうしろに置いて行かせたのでございます。しかしながら、四十名のらち、五名だけが、ああいうような混乱の場合でありましたので、その指示が徹底しないで、たまたま持っておった、こういうような実情でございまして、このたてを使って故意にどうというような考えは毛頭ございません。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 念を押しておきます。警察の方でも、このスクラムを解くことにたてを使うということについては、これはまずいということはお認めになった。それで、そのためにこれを置くように命令をされた。しかし、その趣旨が徹底しなかったために四、五名の者がこのたてを使った。これはやはり警官の手落ちだと思うのです。これはお認めになられるだろうと思う。こういうものを使って、かりそめにもスクラムを、両方からはさんで、このスクラムを解くためにとういう威力をしたということは、やはり職権乱用の非難を免れない、こういうふうに私は考えるわけでしす。十分、この点については、御認識を新たにして、このスクラムを排除するためにこういうふうな違法行為が行われることのないように、今後も十分に一つ肝に銘じていただきたい。御答弁をお願いいたしたいと思います。
  63. 小倉謙

    説明員小倉謙君) そういうようなたてを置くようにということを指示いたしたととも事実であります。また、その指示が徹底しなくて、わずかな者が持ったままでおったということも事実でございます。しかしながら、ああいうような非常に混乱したような事態の場合でありまして、大部分の者が置いて行った。ごくわずかの者が、指示が徹底しないで、そのおった場所にもよりましょうが、たてを持ったままになっておったということは、私はやむを得ない状態であったのじゃないかといううに考えますし、ことに、そのたてを使って故意にどうこうするというような意図は全然私はなかったものと存じますので、職権乱用というようなことには該当いたさないと、こういうふに考えます。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 やむを得ない、職権乱用ではないと、こういうふうにあなたはおっしゃいますが、まあそのことを裏返せば、たとえば、組合の方でホースで水をまいたりなんかしないようにしようと言っても、やはりこういう混乱の場合には、その趣旨が徹底しないで、たまたまそういうような警察の方で暴行事犯と断定するようなことも起り得る。そうすると、警察の方は、指示が徹底しないから、持ってはならないものを持っても、それは混乱のときだから仕方がない、職権乱用ではないというならば、組合側趣旨が徹底しないでたまたま起るいざこざも、これも警察側では取り上げるべきではないと思う。そういう言い分が通るならば、警察は、自分の行動はいつでも有利なように、合法的に弁解なさるけれども組合側のこんなような問題でも、これをすぐと暴行事犯としてふんじばっていくというこの精神こそ、私は弾圧精神だと思う。だから、警察の方が間違った行為をしたら、やはりあっさりと、これは間違った、今後こういう点に気をつける、職権乱用のないように気をつける、こういう御答弁をなさることこそ、私はあなたの御答弁ではないかと思う。はなはだあなたの御答弁が不満でありますから、もしそういうことが許されるのなら、今後も労働争議における組合側趣旨の不徹底については、あなたの御論説と対等した論説をもって私はまた対抗していくでありましよろ。
  65. 椿繁夫

    椿繁夫君 鉄かぶとやたては攻撃の武器ではないということでありますが、けがをしております組合員の二、三の聞き取りをしておりますので、実情についてあなたも十分御存じになった方がいいと思うから、その部分だけ読み上げてみましょう。  製缶工の落合春夫君は、「ピケをはっていた組合員は百名か百五十名位でなかったかと思います。警官は、このピケをしている組合員に対し鉄かぶとで額や胸を押しつけたり或いは三〇センチ四方位の黒い板の楯を持ち、それを押しつけるようにしながら突込んできたのです。その為私達は警察官に押されて材料置場の方へ下がって行きました。その内、スクラムは外されて組合員の中に警官が入り私達を足でけったり、先程申し上げた楯板で押しつけたりしていましたが、突然私の前にいた警官が私の胸のところをいきなり突きとばしました。」この結果、落合春夫君は十日間の治療を受けなければならぬ結果になりました。  熔接工の柴田覚二郎君は、「警官は姿勢を低くして、鉄カブトで私達の胸やひたいをらちつけるようにして、又右手に三十糎四方位の板の楯をもって、それで私達の胸や、顎の下を押しつけてきたのです。そのために、私はその楯板で胸とかたに打撲傷を受けました。」柴田覚二郎君も同様十日間の診断書を添えております。  こういうように、全部ですよ、十四名現になお治療中の者がございます。この裂傷、額の裂傷というのは、自分たちでつけられるものではありません。これは鉄かぶとの先を意識的にぶっつける、これがその写真であります。先ほどお見せいたしました写真の、ぶっつけます直前のこれが写真であります。このようにして裂傷を負っておる者が数人、たてと鉄かぶとを低姿勢にして胸部あるいは腹にぶちつけることによって打撲傷を受けておる。こういう人が今十四人おります。塙君もその一人であります。たまたまそれがきつかったから、横倒しとなり、その上に勢い余った警察官が上に乗るような結果になって、あの心筋梗塞ということにはなっておりますけれどもたてや鉄かぶとが武器になって、そうして隊列をずっと右側の端の方に追いやられてしまいました、あの後部に。そうして出荷を容易ならしめるような態勢を警察はおとりになったのです。ですから、この現場の事情から判断いたしましても、明らかにこの鉄かぶと、警棒、たてというものが防御川のものではなくて、攻撃の武器に使用されておることは、これはもら明らかであります。そういうものを、先ほどいろいろお説がございますが、法律で明記してない、何らよるべき条例などの根拠もないような、あいまいなものでこのような攻撃がなされておるということは、警察の行政の上から見て、私は大へんな問題じゃないかと思うのであります。今後もこういうものを使わせる方針ですか。とめたのだけれども、指令が徹底しなくて、五人ばかりの者が持っていたというお話なんですが、その持って出ちゃいかぬという指令が徹底しなかったと言われるのですが、やむを得なかったということだけでは、その結果このように十数人のけが人が出ておることを考えますと、これは遺憾の意を表さるべきじゃないかと思うのです。
  66. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 当時現場において、あの混乱した際でありましたけれども、指示が徹底しなかったということにつきましては、これはもちろん、将来さらに指示が徹底するようにいたしたいというふうに指導上考えております。  ただいま御指摘になりました、第一組合員側のけが人が幾名かあるということは、私も聞いております。そこで、私どもといたしましても、その被害者からいろいろ実情を聞きたいと思ったのでございまするが、ある方からは、そういうことを言う必要はないということで、陳述を拒否されますし、また、ある方からは、組合の幹部に会ってからでないと話せないというようなことで、私どもの方の調査がいたしかねる事情にあるのでございます。この負傷者の点、また塙さんの死亡になられた点につきましては、組合の方から検察庁に告訴が出ておるように聞いておりますので、いずれ検察庁の方の調べでその真相が明らかになるものと存じております。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 最後に、死亡の問題に入りたいと思うのですが、その前にもう一つ警察スクラムをずっと圧迫して、うしろの方へ押していった。その目的は明らかに製品置場から品物を出さす、こういうことだと思うのです。そとへ広い空地を作る。そこで、そういう点からいいますと、掲示板のところまで、これは相当距離がありますが、最後に追い詰められた掲示板の場所というのは非常に狭いのです。そこまで行く必要がないわけなのです。あれだけたくさんの機動隊が出ておれば、武器も持っているんですし、まあこの半分ぐらいのところでとまって行列を作っておれば、大してこれは死傷事件が起らない。警察実力行使というものは、これは、あなたの方でお作りになっておる規定等から見ても、最小限度、これがどういう場合でももら大原則なんです。必要以上のことをする必要はない、この点をどういうふうにお考えになっているか。警視総監現場を御存じですか。現場をごらんになっておるとよくわかるのですが、最後に掲示板のところまで追い詰めた。そこまで行かなくても、十分出荷態勢というものはとれるわけです。強行出荷をやるにいたしましても……。それを無理やりに、狭い掲示板のところまで押していって、その過程でたくさんの者が傷ついている。このことをあなたは聞いておりますか。大事ことでなすよ、これは。
  68. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 現場の状況も、私はいろいろ報告を聞いておりますが、最後に部隊は第一組合側を制止してとまった線は、ただいまおっしゃった掲示板のあのあたりになるであろうということももちろん聞いております。しかし、そこまで行く間に非常にけが人が出たということは私は聞いておりません。どこでどういうような理由でけがをされたかということは、私の方もいろいろ考えておりまするけれども、ただいま、また先ほどおっしゃったような理由ばかりであるかどうかということにつきましては、私は、検察庁の方の調査に持ちたいと思うのでございます。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 これは、その当日現場におられた組合員の方々もきょうはたくさん来ておられますから、そういう都合の悪いことはこう何となくぼかす、そういうことではますます信用を落す。決して、そんな警察官が最後まで追いつめた、あんな所まで行く必要はないのです。それから、皆さんのようなそういう経験者から脅えば、あれだけたくさんの人がそんな狭い所でがあっとこうなったら、必ずけが人が出るくらいのことは予測できるわけです。そんなことが予測できないようじゃ、これは実際のところ危ないのです。しかも、現場へ行って私たち見ても、何でそんな所まで追い詰めたのだろう。そこまで行かないと警察官の力が足りない、そういう状況ではないのです。こういうところにも大きなミスがあります、部隊行動に。そこで、この問題になっておる塙さんの死亡の問題ですが、あなたの方は、鑑定の結果が出るまではだいぶひやひやしておったらしいが、ところが、その結果がショックによる心臓障害といいますか、まあ正確にはどういうのかわかりませんが、そういう意味のもののようだ、こういうふうに出たので、何か警察関係がないようにお考えになっておるようですが、そうですか。
  70. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 塙さんの死亡につきましては、長官からもお話がありましたように、まことにお気の毒であるというふうに衷心思っております。そういう死亡された方が出たということを聞きまして、直ちに本部の警備部長が現場に参りまして、事情調査したのでございます。しかしながら、その調査によりますと、当時組合側で盛んに言われておったような、警察官に踏み殺されたというような事実はないということでありましたが、さらに慎重を期するために、翌日の解剖の結果を待っておったのでございます。その前の検事検証でも、体に外傷がない。また被服も、そういうような踏まれたというような痕跡はないということでありますし、翌日の解剖の結果でも、これは心筋硬塞症による病死であって、外力によるものではないということが明らかになりましたので、私どもは、警察行為による死亡であるというふうな考えは持っておりません。この点も、検察庁の方に告訴されたそらでございますから、検察庁の方でさらに調査されることと思います。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 そういう一人の尊い人命が失われておるのに、簡単な結論を持たれることははなはだ遺憾です。これは、警察行動との関係とか、そういう点については、あるいは関係があるかもしれないということで、自分の方も真相を突き詰めるとか何とかいうならばわかりますが、関係がないというような、そういうことをおっしゃるのは、一片の診断書で、これは間違いですよ。  具体的に、私は一つ調書を読んでみましょう。それは、西沢隆吉君という、その人がわれわれに述べてくれた調書です。その方は、ちょうど塙さんのうしろにいた人なんです。そういう関係で、塙さんが倒れたときの状況というものを実際に見ているわけです。これは、西沢さんだけじゃなしに、その左右近所にいた人数名の方がいろいろ証言をいたしておる。西沢さんの調書を見ますと、「私の前にいた人、後で聞くと田原製作所組合員塙治さんという人だそうですが、」この方は、ほかの組合から来ておった人なんですね。それでこういう言い方をしているわけでしょう。「くたくたと私の足ひざのところに倒れてきました。そこで私は、おどろいてだき上げようとしましたが、警察官がものすごい勢で押しつけているので腕が中々はいりませんでした。」狭いところへ密集されて押しつけられているから、腕すら入らない。「そこで私は警察官に大声で待ってくれ待ってくれとどなりましたが、警察官は押しつけるのをやめてくれません。そのとき倒れた人の下半部は警察官の中に入っておりましたのでよくわかりませんが、」こら倒れて、こら見えないようになっているのでしょうね、半分。「顔面は青白で、両手をだらりとして意識不明のようでした。それで私はこれは大へんだと思って、さらに大声で待ってくれ待ってくれと叫びますと、いくらかすき間が出来ましたので、塙さんのわきにいた二人の労組員の人に足を持ってもらい、私が塙さんの両わきに手を入れて持ってすぐうしろの支援団体の所に運びました」云々。この人だけじゃありません。近所にいた人は大体これと同じような、ともかく押しつけられてどうにもならぬ状態であることが真相のようです。これはあなた、警察官の集団的な圧力による圧殺ですよ。そういう故意はなかったでしょう。しかし、警察官の行き過ぎた出動あるいは出動後において不必要に過大な押し返し、こういうことがなければ、断じてこれは起りませんよ。逆の方から私は判断してもらいたい。警察のそういう不必要なまでの押しつけがなかったら、この死亡ということは断じて起きておらぬでしょう。法律的に、これが警察官行動と二死亡との因果関係ということになると、むずかしい点はあるでしょうが、われわれが常識的に見て、警察官のこの行動なかりせば、断じてこういう死亡というものはなかったということは明確でしょう。それをどう考えておるか。
  72. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと亀田さんにお諮りいたします。先ほど小倉警視総監から、本件については、もらすでに組合から告訴を提起されておるというふうに伺いましたが、その告訴に差しつかえない限度でお答え願うことでいかがでしょうか。その程度で……。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 一応お答え……。
  74. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 先ほども申し上げましたように、当時その死亡の原因が何であるということは、特に公正を期しますために、検察庁の方でその調査に当っていただいたのでございます。その検察庁の当時の調査状況と、さらに翌日行われました解剖の結果、所見というものに基きまして、私どもの方は先ほど申し上げたようなふうに考えているのでございます。あとはさらに検察庁の方において真相が明らかになるように、私の方も希望いたしております。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 ともかく法律を守って執行していかなければならぬ立場にある人が、それに引っかからない、証拠さえなければいい、そういうふうな感じを与えるような態度は、私ははなはだ遺憾です。きょう法務大臣に出席を要求しましたが、出席されませんから、刑事局長に一言確かめますが、こういう事件が起きたことは、新聞等でもみんな知っておるし、検察庁がこれに事件直後タッチしたことも御存じでしよう。どういうふうにこの事件の報告を法務省としては検察庁から受けておるのか、まずそれをお聞きしたい。
  76. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 事件発生直後である八月十九日の夕方六時二十分ごろから、東京地方検察庁の伊藤検事が現場に参りまして、検視をいたしております。さらに、死因につきまして鑑定を求めておるようでございますが、その鑑定の結果は、先ほど警視総監からもお話がありましたように、死体には外傷がない、それから心筋の梗塞、これは狭心症と呼んでも差しつかえないということでございますが、狭心症あるいは心筋梗塞症、こういうものによって死んだのだということが判明をいたしたのでございます。しかし、死因の鑑定はさような結果になっておりますけれども、今お話のあったような、具体的な環境においてこの結果が発生したという環境の状況がわかりませんと、明確には判断しがたいので、検察庁としましては、さらに引き続いてこの問題の捜査を進めていくという報告を受けております。  一方におきまして、これまた先ほど警視総監からもお話がございましたように、警察官に対するこの事件に関連して告訴告発が出ておりますので、その面もあわせて捜査をいたしておる、これが現状でございます。そういう報告を受けております。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 これは、新聞等の報ずるところでありますが、何か鑑定の結果が、ショックによる心臓障害、そういう趣旨のものだから、検察庁は、最初は大いに元気を出して取っ組もうとしたが、事実上もう手を引いておるんではないかというふうな印象を与える私記事を拝見したんだが、そういうことにはなっていないのですな。
  78. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) ただいまお答え申しました通り、新聞の報道は、真意を伝えたものではないと思います。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、今までに検察庁はどういうふうにこの事件のお調べをやつておるか、これがどちら側にこういうことがあっても大へんなことですが、会社側あるいは警察官側にこういう事態があってごらんなさい。そこにおる労働組合員全部でもこれは逮捕しかねないでしょう、今のようなやり方だと。検察庁はこの事件に対して一体どういう手を一体的に打っているか、それをお答え願いたい。
  80. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 検察庁は、ただいま申しましたように、慎重に捜査を進めておるのでございまして、具体的に捜査の内容は申し上げかねるわけであります。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 少くとも、だれが見たって、これは警察が故意で殺人を犯したとは考えられない。しかし、死亡の結果は出ている。そのときの状況は、先ほど申し上げたような状態、しかも、これらの警察権の発動は、発動の出発点から疑義がある。そうして発動の過程においても、持つべからざるものを持ったり、必要以上に押しまくったり、これは一種の職権乱用でしょう、言葉をかえて言えば、少くとも警察のそういう間違いによってころいう結果が起きておるということは明確なんですよ。過失であろうが何であろうが、結果から見れば、これは重大なものである。警察の問題だからということで、従来の経験からすると、どうもうやむやになる。どういうお調べをやっているか。従来の例からいたしますと、その捜査中のやつはなかなかお話がないようでありますが、一体現場についてさっそく調査などはやっておるのですか。あなたも専門家ですから、こういうものは日がたつにつれて印象が薄れていく。すぐにでも私は飛んで行ってもらって、関係組合員なんか、今ストで、あそこでずっと休んでいるのですから、親切に事情だけ聞いてやってもらいたい。内容に私は触れるのではないのですから、そのくらいの手は打たれなければ、検察庁はこの事件に対して公平に処置しているとは私は考えられぬです。時日がたてばぼけてしまいます。その点、刑事局長どういうふうにお考えですか。また、そういうふうに指示してもらえますか。
  82. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 今申しましたように、まず事件発化直後にそのような措置をとったという報告を受けておりますが、仰せのように、事件はなまのうちに処理すべきものでありまして、地検においては、それぞれ必要な措置をとっておるというふうに思ってはおりますけれども、なお関係者等の取調べに当りましては、組合員の方たも十分御協力いただくように、私からもお願いいたしますとともに、地検に対しましては、できるだけすみやかに捜査を進めるように話しておきたいと思います。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 今、できるだけすみやかに話をする程度ではだめですよ。こういうときにこそ法務大臣の指揮権を発動して、そうしてしりをたたいてもらわなければだめですよ。私は、きょうはぜひそういう意味で法務大臣に出てもらいたかった。今お聞きしますと、決してまだ第一組合員の諸君は検察庁から事情聴取等されておりません。世間が納得しませんよ、それでは。やはり警視総監の方の瀕を立てて、適当にうやむやにするのじゃないか、こういうふうに言われても仕方がない、出ている結果が大きいだけに。
  84. 椿繁夫

    椿繁夫君 塙治君の東大法医学部における死体解剖の結果の鑑定所見のまとまったものは、八月二十日から約一カ月ふかると言っております。ただ、当時報道関係などで、とりあえず鑑定所見だけでも発表してほしいという要求があったので、例の発表を東大側はなされたようであります。ただ、その際にも、当該組合の上部団体である全国金属労働組合の吉田明君がそれに立ち会いまして、質問をいたしております。何十人もの人がけがをするような強い圧力がかかれば、それが死の誘因になることは十分に考えられますというふうに、執刀に当られた東大の教授は言っております。ですから、警視総監言われるように、あれは心筋梗塞、俗にいう心臓狭心症で、たまたまそのときに偶然一致したような見解警察側はとっておるのですが、決してそういうものじゃない。そういう鑑定所見が発表されましたことを聞いて、豪族の人は非常に残念に思いました。だから、塙が一体常に心臓が弱いような人であるかどうかということをもう一ぺん一つ調べてもらいたい。残業は人よりもよけいにし、ておるし、平常であったときには一回も休んでいない。長い出勤簿の何をとってみてもらってもわかるはずだ。そして毎日地上から二十メートルから上の、グレーンの優秀な老練な人でありますから、まるでサルが木に上ったりおりたりするように、身軽に二十メートルからの地上に上ったりおりたり、平気であった人であります。しかも、この殺されました前日のごときは、若い人と、夜、棒押しなどをやって戯れておったようなことも、たくさんの人が言っておるのであります。そういう人が突然心筋梗塞というようなことで死んだと判断をされては得心ができないから、二十一日に出すはずの葬式はもうやめます、一再鑑定を一つ要求するというふうに、遺族は私どものところへ言って参りました。また、日常の職場で仕事を、しておった同僚の人たちは、そういうことでは納得しなかった、のであります。再鑑定を要求するということもありましたけれども、まあ一応法医学部からの鑑定所見が出たのであるから、とりあえず葬式は出そらじゃないかということで、夜を徹して説得をして、二十一日に葬儀を執行したのでありますが、そういう日ごろの前後の事情等から考えましても、また、東大の私どもの仲間が立ち会いました際に質問いたしましたことなどから考えましても、あの警察たてや鉄かぶとや警棒等を使用して、ぐっとこら大きな圧力をかけて倒された。その上に乗っかった。外傷がないと言っておりますけれども、直接死の誘因となるような外傷の発見はできないということなんです。外傷がないのじゃない。外傷もあるのです。そして踏まれた形跡はないと言っておりますけれども、これはちゃんと倒れた。それからこらしばらくして、引きずり出していったときに、まさか死のうとは思わぬものですから、工場の奥で土や砂を払って、そして氷で冷したりなどして、介抱をとりあえずしております。そういうことのために砂がついていなかったり、泥が払われておものでありまして、そういうことがなかったから、これは鑑定所見にある心筋梗塞なんだ、警察には何の責任もないというようなお考えは、私ども、周囲の事情、前後の状況等から判断いたしまして、決してそういうことじゃないのであります。ですから、告発をいたしておりまずから、いずれ検察によって明らかにされるとは思いますけれども、いまだに刑事局長、まだ検事の方から、ああいう一応の鑑定所見が出たものだから、これはもら傷害致死ではないというふうにきめちゃったかどうか知りませんけれども、現場についての検証、当時居合せた者についての尋問等は、一回も行われておりませんよ。このままにしてほっとかれるのですか。今も亀田委員も言われますように、これはやはり熱い間にたたきませんと伸びませんよ、だからすみやかに、私は検察の捜査が進みますように強く望みたいと思うのですが、もう一ぺん一つ刑事局長の御意見を聞きたいと思います。
  85. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと関連して、委員長からも申します。  塙氏の死亡は、外部的原因について疑義があるというように、この委員会では思われまするので、死亡事件として捜査をすみやかにやられるように委員長は望みます。
  86. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 先ほどもお答え申しましたように、この事件につきましては、捜査を打ち切ったというようなことはざらにないのでございまして、引き続き捜査検討をいたしておる段階でございますが、それにいたしましても、すみやかに結論を出すということが強く委員長からも御要望がございましたので、その趣旨検察の方に伝えまして、善処していきたいと思います。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 公安委員長ただいまおこしになって、今までの質疑の過程をお聞き願っていないので、質問をするのに若干しにくい点がありますが、しかし問題は、御報告を受けて知っておられると思うのです。  そこで、この事件の起きた後に、公安委員会というものがこのために開かれたかどうか。開かれたとしたら、どういう処置をされたのか、お聞きをしておきたい。
  88. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 事件のあとで、たしか一回公安委員会は直後にあったと思います。そのとき事件概要め報告もあったのでありますが、公安委員会の空気といたしましては、裁判所仮処分決定といいますか、いわゆる法の決定がありまして、それに基いていろいろやっているような行動につきましては、これはやはり警察としても、そういうことから一般の治安に影響を及ぼすという事態になる場合には、これはやはり適当な措置をとっていかなければならぬということはやむを得ないことではないか、こういうような公安委員会の空気だったと思います。
  89. 椿繁夫

    椿繁夫君 事情は知らんな。
  90. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) よく知っております。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 よく知っておるとおっしゃいましても、これは私、真相を把握するのによほど時間をかけておりますし、警察側だけの説明で簡単にその結論を出されたのでは、国家公安委員会の権威にもかかわるのです。こういう事件は、やはり警察側だけの報告ではなしに、人が死んでいるんですから、場合によっては公安委員長みずからが出かけて、真相把握の努力を示す、そこまでやってもらいたいのです。結果において多少見解がお互い違うということがあっても、これはやむを得ない、たとえば、警察官が法に基く行動をやっておるというふうにおっしゃったけれども、これは本日二時開議論をしておる。こまかく検討していくと、なかなか専門の法律家でも、微妙な点がありまして、簡単に警察官行動すべてが合法的だと言えない、必ずしも。出発点は合法的であっても、行き過ぎておれば、その部分は行き過ぎになるから、ともかく私お聞きしたいのは、この死人が出た、そういうことで警察官は弱気になるようなことがあっちゃいかん。何かそういうふうな意見が出たやに私漏れ聞くのですが、どうなんです、真相は。
  92. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) そのときいろいろの話がこれはまあ当然出るわけでありまして、今亀田委員が言われたようなそういう露骨な、何といいますかね、そんなことは、私は当日ははっきりは出てなかったと思います。ただあの際、原因のいかんを問わず、死人が出ておるというようなことは、これはまことに遺憾なことでありまして、しかし、この法の決定に基いた措置をとろうとすることが非常に妨害されそうだ、また、それと関連して、非常な治安に影響を及ぼすような事態になりかねない、こういうことになれば、これは警察官がそのとき出ていくということについて、これが出過ぎであるとかどうとかということは、これは私には言えないと思うのでありまして、それすら出過ぎであるとかどうとかということを言うことになりましたならば、これは、全く警察の今後の活動に非常な影響を与えることでありまして、あのとき警官が出ておったことについては、これは当然な職務の執行上の行為じゃないか、これは私ども考えております。その過程においてああいう事件が起きたということは、原因のいかんを問わず、これは遺憾なことだと私は思います。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 警察官が出ておらなければこんな結果になっておらぬのですよ。これは明確なのですよ、少くともこの点は。そういう関係のこれは事件なんでしてね。第一、そういうふうな結論を一体出されるのに、国家公安委員会でどれくらいの審議をされたのか。時間にしてどれくらいのものですか。
  94. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 公安委員会は、大てい十時に始まりまして、十二時半かあるいは問題の多いときは一時くらいまでやりまして、その状況報告を受けて、その状況報告についていろいろ意見を交換している。しかし、それ一回で何も終ったというわけじゃない。ですから、公安委員会は毎週木曜日に一回ずつ、ずっと開いておるのでありまして、やはりその後の経過であるとか、それからまた、随時報告等もあるのでありますから、この問題を当日の一ぺんの報告で、しかも簡単な報告で済んだ、こういうことではございません。相当真剣に、事情を聞いたり、いろいろのことを参考聴取しまして、公安委員会の審議に付しておる、こういうことでございます。
  95. 椿繁夫

    椿繁夫君 公安委員長ね、あなたちょっとおそかったものだから、これまでのやりとり御存じないものだから、多分まあ警察の方からの報告によって今のような御答弁になったのだろうと思うのですが、この裁判所仮処分決定というのは、話合いによって解決せよ、そうしてあまり出荷を妨げるようなことをするなということでありまして、出荷命令が出ておるのじゃないのです。これは、強制執行の場合ですと、もら一度裁判所に手続きをとりまして、執達吏が先頭になってそうして強制執行をする、こういう手続が踏まれなければならぬものだ、こういうふうに裁判所警察にも説明しておるのです。そういう経過があるのにかかわらずやられておるのですから、委員長は、裁判所からちゃんと仮処分決定があって出荷することになっておるのに、それを妨害しちゃいかぬというふうに簡単に害われますけれども執行命令が出ておるのじゃないのであります。そういうことが一つ、それから、今度の塙君の急死及び十数人のけが人が出ておりますのは、第二組合と第一組合との衝突によって起っておるのではないのであります。組合の方は、この出荷の問題についても、第一組合組合長と第二組合組合長とで現場で話し合いをいたしまして、そして第一組合は譲って、出荷を認めようということになって、その方法について十分間の時間の余裕を置こうじゃないかということに話が一致したのであります。ところが、会社側の現場の指揮に当っておった竹沢総務課長が、きょうはとにかくそういう話し合いをするという段階ではないということで、強制出荷の命令を出した。そこで、第二組合は簡単に引きさがりまして、かわって出てきましたのが、まかせておけということで、鉄かぶとの警官隊が出動し、法律にもないたてを使い、あるいは鉄かぶとを持って、他人にけがをせしめながら起った紛争、でありまして、その結果として塙治君が急逝するに至っている。ころいう事情は、これはもう明らかなんであります。そういう問題について、ただいま公安委員長、それは御出席がおそかったから御無理ないのですけれども、十分にその事情をお調べ願って、そして警察の行き過ぎであることは、これは明らかでありますから、職権乱用の疑いもきわめて濃厚であります。こういう点について十分お調べの上しかるべく注意をされないと、私は公安委員会としては適当な持置をとったということにはならぬように思いますので、十分御考慮いただきたいと思うのです。
  96. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 椿さんは、行き過ぎだとか、職権乱用だとか断定されて、こう言われて、私も、その断定を直ちにそうですかと、こういうわけにはこれはいかないので、私どもが今まで調査し聞いたりしているところでは、一応あのときの警察出動しているという措置については、これは適法と申しますか、当然のことだとわれわれは考えております。ただ、あの過程におきまして、先ほども申し上げましたように、原因のいかんを問わず、ああいう事故が起ったということは、これは遺憾なことでありまして、しかし、そういうことについては、ただいまいろいろまた別な方面で調査なり解剖の結果はわかっておりますけれども、当時の状況調査の調べ等もあるようでありますから、それはそういう方向に私はまかせておくべきじゃないかと思うのでありますが、あのときの警察行為が行き過ぎであるとか、職権乱用だということには、私はあなたのお話をそのまま承服しておくわけにはいかない。ただ、最近の傾向といたしまして、中小企業の労働争議が非常に深刻になっておって、これは、労使双方ともにいろいろの暴力に近いような行為行動が行われているというような場合もあるやに聞いているわけでありまして、これはまことに遺憾なことと私は思っております。今回の田原製作所のことも、先ほどあなたからもいろいろお話がございましたが、それも、あなたのお話とわれわれの承知しているところが若干違うようなところもあるように思うので、つまり口頭によって出荷行動説得以外の実力妨害とか、そういうことをしてはならないというふうに私は聞いているのです。それがその範囲を越えていろいろ行われて、それらに関連して、さらにいろいろ治安状態にも関連を及ぼす、影響を及ぼすという事態が看取できるという場合には、これは私は、警察が出ていくということは当然のことであったのではないかと、私はかように思っております。ただ、椿委員の今おっしゃいましたようなことも十分参考といたしまして、公安委員会等で、きょうここへ私が呼び出されて、こういうお話があったということは、これは私は、明日ですか、公安委員会がありますので、その席でも披露をしておきたいと思います。
  97. 椿繁夫

    椿繁夫君 あのね、石原さん、塙君が警察の多数の力で押し倒されて、そうしてなかなか引っ張り出すのにひまがかかって、ようやくこら引っ張り出してみたときには相当な事態であった。そして担架に乗せて、早く救急車を呼んで、病院に連れていかなければならぬ。だから、このピケを警察解いてくれ。警察のピケですよ。これを解いて、早く病院に連れていくような措置をとってくれと言うておるのに、何かそんなことを言っておどかしているんだろうと判断されたに違いないのでありますが、そのために二十分間も運び出すことができなくて、ついに医者に着くまでの間に絶命をしておるような状況なんであります。こういうことも私は、生命財産の擁護に直接当らなければならぬ警察として、措置を著しく誤まっておるというふうに考えるのですが、そういうことがほんとうにあったとすれば、あなたどうお考えになりますか。
  98. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) これは午前中、当時の状況についてはまあ詳細に、警視総監と申しますか、あるいは警察庁長官、こういう方面からいろいろお話があったと思うのでありまして、まあ今あなたの御質問の、あったとすればどう思うかということは、これは、吉田さんじゃありませんけれども、私もそういう質問には、ことにこれは重大な人権問題その他に関連する問題でありまするから、そういう仮定の質問には、これは私はお答えできない。
  99. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は、あなたが答えやすいようにと思ってそう言っているのであって、そのために、医者へも着かないうちに塙さんは絶命をした。こういう事態に対しては、あなたどうお考えになりますか。
  100. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 現実の問題については、具体的な問題については、すでに論議をかわされたと思うのでありますが、私は、まあ解剖の結果とか、いろいろのことから類推判断いたしまして、それからまた、私が今まで説明を聞いている範囲から判断いたしますると、椿委員の言われたこととは、ちょっと私ども考えておることとは違っておるように思うので、これはもう何ぼここで議論しましても、これは具体的な問題についての議論ですから、これでお許しを願いたいと思います。違っておるということをここで申し上げます。
  101. 大川光三

    委員長大川光三君) どうですか椿さん、大体今回は、御見解の相違という点もありますし、まあ自余の点は公正な検察官の手にゆだねて、真相を究明してもらう。いま一つは、国家公安委員長立場においては、今後引き続いてこの事件について公安委員長立場としての御見解をいただきたい。そうして善処すべきものは善処していただきたい、かように存じます。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 大体委員長のおっしゃったようなことで一つ結末をつけたいと思いますが、これは一つ再検討して下さい。私たち、きょう二時間半やった質疑をもう一度あなたに申し上げるわけにいきませんから、そうしてたくさんの専門家もおられる所で、私たち、そんなあなた、筋の通らぬことをこんな委員会で言えるわけがないですから、これは一つ、あしたの公安委員会に附すなんといも、そんな性急なことじゃなしに、これは十分検討して、そうしてあなたも一つ見解をまとめるようにして善処してほしい。  それから警視総監に、ちょっとこれは責任関係でお聞きしておきますが、今度の事件関係では責任者を出さない、こういうふうに何かおっしゃったようにこれも聞くのですが、事実そうですか。
  103. 小倉謙

    説明員小倉謙君) そういうようなことを私申した覚えはないのですが、ただ、今までの私ども調査状況に基きますると、責任云々ということはないと、私はこういうふうに考えております。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 考えているというだけじゃなしに、これは、椿委員ほか組合の諸君が行かれたときに、あなたがそういう趣旨のことを言っておるわけだ。しかし私は、それははなはだ軽率だと思うのです。そういうことは、いやしくもこれだけ承大な結果が出ていて、逐一この当時出動していたときの状況等を検討していけば、はなはだ問題があるのです。これは私は、もうこの出動根拠についての意見は相当食い違っておるが、出動がある程度行った。そのあとのことは、私は全くこれは余分なことだと思うのです。要らないときに死亡等の事件が起きているのです。だから、そもいうものをよく検討しないで、出動理由さえ立てば、もらそれでいいんだと、簡単な処理の仕方はいかんですよ。それは、公安委員長も検討するし、検察庁の方にも、一つ法務大臣としてはよく事件を調べるようにさせるというわけですから、そんなことを今の段階で言うべきじゃないのでしてね。一切の事情が明らかになるまで、そんなことは取り消すべきですよ。そういう言明は……。
  105. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 椿さんらがおいでになつたときに私がそういうことを申したとすれば、これはやはり、ただいま私が申しましたように、その当時までの調査状況では、私は責任を云々することはないというふうに申したのだと私は思います。これは、田原製作所のこの事件に限らず、どの事件関係におきましても、警察官として不法とかあるいは職権乱用とかいうような事実がはっきりすれば、それは、責任を明らかにするということは当然のことでありまして、ただいままでの状況では、この川原製作所の争議関係については、責任云々ということを考える材料というものは私けないというふろに考えておるのであります。
  106. 赤松常子

    ○赤松常子君 私、もう時間もございませんから、要約して竹内局長に一、二御質問したいのでございますけれども、その前に、私、ただいまの田原製作所のこの労働争議が大へん、不祥事が起きましたことを伺って、はしなくも昨年本州製紙の汚水が東京湾に流出しまして、浦安付近の漁民の方々との非常に乱闘事件が起きた際の警察官の方方の行動、これを思い出しましたわけですが、そのとき二十数人の傷害を受けた方の傷が、背中から多くこずかれたりなぐられたり、逃げていくその争議団員をうしろから警察官が襲うて傷を負わされたということで、当時やはり当委員会でこれを取り上げたことがございましたのですが、そのときも、警察官の少し行き過ぎだというようなことが、まあ私ども議論いたしましたことがございましたが、今度は一人の人間が死んでおられる。そのときも、今後こういう労働争議の際の警察官行動に対しましては慎重を期してもらいたい、中正公正な、そういう態度をあくまで堅持してもらいたいということを、要望したはずでございます。またことし、こういう不祥事が起きましたことを私はほんとうに心から悲しむものでございますが、どうぞなくなられた塙さんの霊に対しましても、将来労働争議をめぐってこういう悲しい、不祥事の起きませんように、警察当局にくれぐれも御要望申し上げておく次第でございます。それで次に、これは、きょう渡されておりますこの東京都公安委員会ほか、五県から、最近飛び出しナイフの使用が非常に多くなりまして、先だっても世田谷で子供がなくなった。こういう不祥事があったのでありますか、飛び出しナイフの問題は、いろいろ社会で関心を持たれていることなんでございまして、たまたま今申します六つの公安委員会から、銃砲刀剣類所持取締法の一部改正に関する要望書が出ております。これもたしか三年前に法務委員会で取り上げて、あるいはまた、地方行政委員会でも取り上げたことでございましたけれども、非常にゆるやかな改正に終ってしまいました。それで、もっと私どもは、この刃渡り五・五センチメートル以下の飛び出しナイフについては、製造、販売、所持等、全面的に禁止してもらいたい、こういうことをついこないだも、あれは六月三十日だったと思うのでございますが、婦人団体からの要望書を持ちまして法務大臣にお渡ししたこともあるのでございますが、この改正について、今どういう程度に進めていらっしゃるでしょうか。次の国会にこの改正案をお出しになる御意思がおありでございますでしょうか。
  107. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと赤松さん、今質問の御要旨は非常に重要な点てありますが、御承知通り、飛び出しナイフの件については、地方行政委員会等との関係がございまして、これは、一つ独立した案件として詳細に審査いたしたらいかがでしょうか。そういうように委員長はいたしたいと思いますが……。
  108. 赤松常子

    ○赤松常子君 もう一つ。これも過日新聞で、泥酔者の厳罰の問題を法務省で本格的に取り上げていこうという、そういう意思が掲載されまして、これももら三年前から私ども問題にしている事案なんでございますが、その当時の御答弁では、刑法の一部改正及び軽犯罪法の改正などによってこれを処理したいという御答弁でございましたが、最近はどういうふうに考えていらっしゃいましょうか。法務省の見解が新聞に出ておりましたもので、非常に私も拝んでいるし、それを促進したいという立場でございますが。
  109. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 泥酔者の法的処置につきましては、長い間の懸案でございまして、先般も新聞にその問題を取り上げて報道されておりましたが、すぐ通常国会に法案を出すというようなところまで、作業はまだ実は進行しておらないのでございます。で、問題は、もう毎々繰り返し申しておりますように、刑法という立場でこれを取り上げますと、一種の保安処分ということになりまして、保安処分は、ひとり泥酔者の問題だけでなくて、その他の問題も含んでおりまして、これは、ただいま刑法改正準備会で問題を取り上げて、これも近く公表せられる段階になると思いますが、そういう面で考えておりますが、なおそれよりも先に、一歩先んじて、取締り規定を設けなきゃならぬかという点につきましては、考え方としてはいろいろあり、軽犯罪法の改正等あることも申し上げておったわけでございます。こういう問題、泥酔者の問題といい、その他二、三の緊急を要する問題がございますので、私どもとしましては、幾ら考えてもきりのないことでありますから、きわめて立法上緊急を要する立法問題というようなことで、近く幾つかの、泥酔者の問題その他数項目ございますが、そういう問題を別途刑法の改正からは抽出いたしまして、本格的に作業に入ろうじゃないかというようなことを話し合っておるのでございます。そのような段階で、繰り返し繰り返し同じことを答弁いたしまして恐縮でございますが、そういう状況でございます。
  110. 椿繁夫

    椿繁夫君 田原製作所の問題ですが、警察が、十九日、当日の朝七時過ぎに、田原製作所の近くにある亀戸第一中学校に、校庭を日よけのために貸してもらいたいという申し入れに行っております。私服でありまして、警察手帳を見せて、こういうものであるが、日よけのために校庭を貸してもらいたいということを神川警備員に申し込んでおります。七時半のことですから、日よけというのはどういうわけですか、日が照っていないじゃないか、こう神川警備員が言っておるのでありますが、いや、もうしばらくするとたくさんの人が来るので、日よけのために校庭を貸してもらいたい、こういう申し込みをしております。これは、警視庁の人か城東警察署の人かは、もちろん明らかではございません。警察手帳を持った人が申し入れに行っておる。しばらくいたしますと、そこへ十台近いトラックや警察の車が表に並んで、たくさんの警察官がそれに乗って亀戸第一中学校に来た。八時四十分ごろに第二組合の人がそこに、同じ所に集結をした。八時四十分ごろに錦糸町駅に七十何人の人が一応集まって、八億四十分か四十五分ごろに、警察待機しておる亀戸第一中学校に第二組合が集まりました。そこへ会社側の人た、ちも加わりまして、三十人近い人が校門を入った所の小使室の前の方で相談をいたしました。その際に、小使さんに、お茶を出してくれぬか、こう要求をいたしましたが、小使さんは、三十人も四十人もの人のお茶の用意はしておりませんから、必要な人はここで飲んで下さいと言って断わっております。こういう事実がございます。警察労使関係の紛争について中立であることを終始ここで述べようとしておられるの、でありますが、事件の当日、しかも、その時間の直前に、警察の機動部隊、第二組合会社などが同じ場所に、幹部と目されるような人が三十人寄って相談をしておる。こういう事実がございますが、これは警視総監御存じですか。
  111. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいまのようなお話は、先般も椿さんおいでになったときにお話があったのでございますが、その後私の方で調査をいたしてみたのでございます。調査の結果によりますると、会社の作業員が亀戸中学校の付近に集まりましたのは、大体九時前から九時ごろであろうかと思います。そろして作業員がその場所を出発いたしまして工場の方に向いました、その出発の時間が十時ころでございます。その一時間の間に警察部隊がそこにおったかどうかということを調査いたしてみたのでございますが、機動隊の方は、いずれも第二機動隊の所在地に、本部に待機いたしておりまして、亀戸中学校の付近におったということはないのでございます。おったとすれば、城東警察署の署員でございますが、城東警察署の方に聞いてみますると、城東警察署の約二個分隊ぐらいが当時、その付近におったというような状況があるのでございます。これは、私の方の調査によれば、大体集まっておる場所としてほかに適当な所がないからということで、そとにおったのでございまして、おりました者も、一番上の階級の者が警部補でございまして、幹部というような者は一人もおらないのでございます。従いまして、たまたまその時刻ごろに同じような付近に居合せたということはあったかと思うのでありまするが、そこで、重要な打ち合せをしたというようなことはありません。その点は、調査によって明確になったと思っております。
  112. 椿繁夫

    椿繁夫君 私ども調査いたしましたところでは、どういう相談がなされたということは、これはもう立ち会っておるわけじゃございませんから、はっきりしていないのです。ただ、警察も第二組合会社側も同じ所に集まっておられるものだから、写真などとっておこうと思って、第一組合員の落合、小泉というのが写真機を持って近寄りましたところ、警察に追い払われてしまいました。  それから、警察側は警部補ということでありますが、国民の方から見ますと、警部補というのは幹部に見えるのでありますが、そういう人たちも第二組合員も、小使室の前に三十人ばかりの人が寄って何か相談をしておったということは、当日の出直の小使さんがこのことを証明しておりますし、それから、責任者である神川警備員も、どっか呼び出されて証人としていつでも出てもよろしいということも言っておるのであります。こういうことになりますと、こういう事態を起す直前に、会社警察関係者が寄って何か相談をして、そうして、隊伍を整えて田原製作所に繰り込んできたものであるというように判断される条件が多くあるのであります。警察の中立性を主張される長官、総監、こういう事実についてだいぶお調べになっておるようでありますが、私どもも、相談の内容は知らぬですよ、相談の内容は知らないが、同じ時間に同じ所に集結をして、そうしてしかも、それぞれ各グループの代表と目される人が三十人ばかり集まって相談をしたということだけは証言されるのであります。こういう国民から疑いをもって見られるような行為は、これは厳に慎しまるべきだと思うし、なお私ども、ここで相談がなされて、隊伍を整えて田原製作所の現場におもむかれたものと、こういうふうに推定をいたしておるのであります。で、この点は警視総監の御答弁を一度わずらわしたいとともに、委員長にもお願いしたいのでありますが、こういう事実があれば、これは、警察に対する信用を保持する上から大へんな問題だと思いますので、神川警備員も——校長がいませんから、夏の休みでしたから、学校の管理責任者である神川警備員が証言に立って事態を明らかにしてよろしいということを言っておりますから、いっかの機会に、最も近い機会にこれを明らかにする機会を設けていただきたいということを委員長にも要望しておきたいのであります。
  113. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 先ほども申しましたように、城東署の二個分隊の小数の者がこの会社の集合地から約二十メートルくらい離れたところに待機しておったという事実がございますから、その君たちがたまたまそういうことで、第二組合ですか、第二組合の者と、何といいますか、雑談をかわしたということはあるかもしれないと思います。ただ、そこで会社側なり第二組合側なりと何か打ち合せをして、そこから出ていく、そういうような事典は全然ございませんし、また、そういうような必要は何もないのでございます。たまたまそこにおったといろととでございます。ただ、そういうようなことは、先ほどお話がありましたように、やや誤解を招くという点もあると思いますので、将来そういう点は注意をいたしたい、こう考えます。
  114. 椿繁夫

    椿繁夫君 大へんな誤解だけではなくて、ここに、これを公安委員長にもちょっと見ておいてもらいたいのだが、今、公安委員長にもちょっと写真を見ていただいておりますが、そういろ誤解を受けるような集まりがあって、そうして現場に来て、第一組合と第二組合は大した衝突もなしに、第二組合は正面から向って右側の事務所の前に引きさがった。そのところを、今警察の幹部が指揮をしておる写真がそこにございます、こういうようなことが現に行われておるものですから、単なるこれは誤解でも何でもない。明らかに当日直前に亀戸第一中学校に集まって、三者協議の上引き起された当日の事件であるというふうに断定してもはばからない。それを証明する写真の一枚がそこにございます。こういう点について、どう御説明、になりますか。
  115. 小倉謙

    説明員小倉謙君) これは、亀戸中学校付近の写真ではなくて、工場内の第二組合と第一組合がもみ合いをしつつあるといろ際、さらにこれを警察官出動いたしまして制止をする、こういう際の写真であると思います。この写真だけをもって、私は何ら警察官が第二組合を指揮したというようなあれにはならないというふうに考えます。
  116. 椿繁夫

    椿繁夫君 もうきょうは大へん時間をとつておりますから申し上げますが、先ほど委員長にも要望いたしましたように、亀戸中学校における当日朝の三者の会合というのは、これは明らかでありますから、証人を呼んでいただくなり、なお、きょうの警察側の答弁に得心できない而もたくさんございますから、調査を継続していただくように要望して、本日の質疑は打ち切りたいと思います。
  117. 大川光三

    委員長大川光三君) 椿委員にお答えいたします。ただいま御要望がございました点につきましては、理事会に諮りまして善処いたしたいと考えます。
  118. 高田なほ子

    高田なほ子君 きょうは、田原製作所を中小企業労働争議一つの代表的なケースとして取り上げたわけですが、最近の中小企業の争議には、警察官の介入がしばしば行われている例がございます。山葉製作所、桂川製作所、メトロ、七福タクシー、成光電機、主婦と生活その他等、へと、実に最近数が多い。従って、大体この一年間に起った中小企業の労働争議警察が介入したと考えられる幾多の事例を、事実を、そちらで御調査の上に、資料として提供をしていただきたい。特に警察官が介入した場合の法的な根拠、これを明確にしていただきたい。  第二には、いろいろの労働争議のケースの中に、暴力団の介入が行われています。従って、御提出になる資料の中には、暴力団の介入の実態、こういうものを付け加えて資料として提供していただきたいと思います。  なお、それらの提出されました資料をもとにして、労働争議の中における各種の問題点を、田原製作所を含めて、やはり問題点をとこに解明する機会を、当委員会として取り上げられまするよう、委員長において御善処願いたい。  二つのことを提案いたします。
  119. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいま高田委員から御二要望の件につきましては、当局の方で……。
  120. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) ちょっと言葉じりをとらえるようですが、労働争議に介入した事件というと、そういうものには介入してないので、われわれとしては、そういう争議に伴う不法事犯があったと認めたときに、これに出動することはある。だから、その出動した警官の数字でございますか。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 私どもでは介入と解釈するし、あなた方の方では出動解釈します。つまり、出動した労働争議、でありますから警察官が……。
  122. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 労働争議に関連した事案について出動したケース……。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから、暴力団が介入したと警察の方でお認めになっておられるケース、最近一年間の資料を提出していただきたい。
  124. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 第二点はなかなかむずかしいと思うのですね、はっきりこちらで……。
  125. 高田なほ子

    高田なほ子君 できるだけ……。
  126. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいま高田委員から御要望の資料は、当局においてできるだけのものを御提出を望みます。  本件についての本日の調査は、この程度でとどめたいと存じます。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  127. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記をとって。  次回の委員会の期日は、九月二十二日午前十時と決定いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後一時三十五分散会