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1959-09-21 第32回国会 参議院 文教委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年九月二十一日(月曜日)    午前十一時開会   —————————————   委員異動 九月七日委員安井謙君辞任につき、そ の補欠として植竹春彦君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            北畠 教真君            吉江 勝保君            松永 忠二君    委員            小幡 治和君            杉浦 武雄君            野本 品吉君            二見 甚郷君            荒木正三郎君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            柏原 ヤス君            村上 義一君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部政務次官  宮澤 喜一君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。  委員に一部異動がありましたから報告いたします。  九月七日、安井謙君が辞任され、補欠として植竹春彦君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 先ほど開きました委員長及び理事打合会経過について報告をいたします。  まず、本日の議事につきましては、先般の委員派遣による実地調査の結果を代表によって報告をしていただき、これに関連して重要案件について政府側質問を願うことにいたしました。ただいま政府側よりは松田文部大臣宮澤政務次官内藤初中局長文化財より岡田事務局長が御出席でございます。  なお、委員長理事打合会において、前回理事会において懸案として残されておりました教職員組合専従者制限に関し、参考人出席を求める件について協議を重ねました。結局、理事会としては不幸にして意見一致を見るに至りません。そこで、その概要委員長より報告いたしまして、本委員会において何らかの結論を見たいと考えて報告をいたします。  結局、松永理事よりは、重ねて参考人出席を求める件について強く主張がございました。これに対しまして、吉江委員より、本質的にそれは問題がある旨を添えて強く反対意見が開陳されました。委員長より妥協案的なる意見をも述べましたが、不幸にして意見一致を見ませんでした。  委員長理事打合会における概要は以上の通りでございます。すなわち、日教組の専従者制限に関し、参考人出席を求める件について、皆様方のこの際、御意見を伺いたいと思います。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三君 先ほど、両理事のこの問題についての意見を聞いておったのですが、若干誤解されるような面もありますので、その点だけ私はただしておく必要があると思う。  それは、国会が必要と認めた場合は、いかなる案件についてもこれを調査する権限国会はあるわけです。これは地方行政に関する問題であっても、国会が必要と認めた場合、それを調査するその権限はあるわけであります。ところが、吉江さんの意見を聞いておると、そういう権限がないかのように私はまあ受け取ったわけです。それは議論の私は余地がないと思うのですよ。ただ問題になるのは、今の問題を国会調査審議する必要があるかどうかという点について意見が分れるなら、それは別ですよ。それは当然起る問題です。しかし、そういう権限がないというに至っては……国内におけるいかなる問題でも、国会が必要と認めた場合、これを調査審議することはできます。これはもう一点疑いを入れない点ですから、この点は委員長の方からはっきりさせていただいて、そして必要があるかどうかという点で双方意見を私はかわしていただきたい、こういうふうに思います。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 ただいまの荒木君の発言もっともしごくだと思うのです。これは国会調査権の問題で、その解釈は全く先ほど荒木君が述べられた通りだ。みずから自分自身権限を否認するような、こういうやり方をやっておったら、単に当委員会の問題だけでなくて、国会議員並びに国会権限に関する重大な問題だ。この点は明確にされたい。  それからもう一つの問題は、今までそれならそういう例がないか。たとえば教育長を呼んだ例がないか、あるいは教育委員会を呼んだ例がないか、これはたくさんあるのです。これは今調査してもらえばわかると思うのですが、今までの前例としては、当然国会調査権の発動によって、必要に応じてあらゆる場合にこれは呼んでおります。この過去十数年にわたる参議院の運営の中で明確にその事例がある。そうするとこの新たな段階で、この権限と、それから一つの今までのはっきりした先例を打ち破るというのだったらいざ知らず、私は大へん吉江委員発言は、これは自分自分を縛るような結果になっておられて、何かその点間違っておられるのではないか、間違いを犯しておられるのではないかと思うのです。だから、この点については、荒木君の言われたように明確にしてもらいたい。  それから、先ほどのをもう一つ申し上げたいのだが、一つの問題は、文部省がこれに対して答弁ができるから必要がないという。しかし、われわれが聞きたいのは、文部省よりじゃない。専従の問題を教育長会議決定して、そうしてそれを文部省に出した。文部省はその経過は知っておるかもしらぬけれども、しかし、教育長会議が、どうしてこれは教育委員会意向として出したのか、それから、その影響するところはどういうのか、そういうような関連の問題、その他、これは教育委員会でなければ私は答えることができないだろうと思う。そうでないとすれば、実際文部省教育委員会を全部握る、そうして、その一切を指揮し監督している、こういう体制があるのなら、それは代表して御答弁ができる。ところが、そんな関係になっておらない。従って、文部省を引っぱり出したからといって、教育長参考人として呼んだそのわれわれの必要とする質問に対して、調べたいことに対して答えられる、こういうことはいえないわけです。これは、私は全然おかしいと思うのです。  それから、さらにつけ加えたいのは、問題は地方自治に関する問題といっておられるけれども、これは地方自治に関する問題じゃない。今後の教育行政をどうするかという、そういう関連、さらには、組合運動に対してどういう一体立場をとるか、こういういわば国政の問題です。その中で起ってきた、われわれが審議を進める上において必要な参考人を求めているのであって、われわれは、何ら地方自治干渉しようとか、そういう関連でそういうことをしているのではありません。われわれ自身の持っている当然の任務並びに権限、こういう点からはっきり考えて、私は、残念ながら吉江委員が主張されている意味というものは、非常にこれは自己矛盾に陥っているのじゃないか。そういうことは、やっぱり今までのいろいろな例から照らしても、われわれの権限から照らしても、どうしてもこれは成り立たないのじゃないか。こういうことを、はっきりこれは申し上げたいと思うのです。
  6. 野本品吉

    野本品吉君 私は、しばらく文教委員会を欠席しておりましたので、この問題に対する今までの論議検討経過内容等につきまして、詳しく存じておりませんが、先ほど来、理事会におきまして、松永それから吉江委員話し合い経過から見ますというと、この前の話し合いについて、多少の両者の間に受け取り方の食い違いといいますか、あれも見えるように思う。もう一つは、非常に鋭く対立しております状況ですが、私どもこの委員会で直ちにどうするかということを数で御決定になることにつきましては、私ども委員といたしましても、さらに慎重に研究の上でないというと、判断を下しかねる状態にありますので、そこの辺をお含みの上、しばらく問題を保留していただきたいと思います。
  7. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 私からも申し上げますが、実は、これは唐突でなくて、委員長理事打合会にかけること四回なのです。そこで、これを正式に本委員会において議することは初めてなんです。従いまして、今までの経緯を十分御承知ないとまことに重大な問題を唐突に委員会にかけているような印象があると思うのですが、今までの経過から申しますと、せっかく議題になったのですから、もうちょっと何か私としては結論に到達できるものならさせたい、まあこういうふうに思っておるわけです。しかし、大部分の方々が野本委員のような御意見の場合には、これは私としてはこれを打ち切ることに何らやぶさかではありませんが、委員長としてはさように考えているわけであります。
  8. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 野本委員のおっしゃるのは、精神においては私は了解できるんです。そちら側の方で、いわゆる自民党国会対策意向とか、あるいは自民党の党議の方向とかいったものでなくして、文教委員立場に立ってこの問題を討議してみようと、こういう幅のある問題でしたら、おっしゃる通り採決とか、あるいは数で決するということは避けた方がいいと思うのです。ただ、私が先ほどから聞いておって、吉江理事見解で、どうしてもやはり委員会において十分討議して、私はきょうこの問題が結論出なければ報告は一切抜きにして徹底的に論議すべきだと思っておるのは、いわゆる参考人を呼んで国政に関する問題を聞くということが地方自治に関する問題だからタッチしてならないというこの見解ですね、これはほかの委員からもたびたび言われたように、タッチないし干渉というものは、これは用語として非常にデリケートな問題ですが、文部大臣前回干渉する意思は毛頭ございません、しかし法律は改正したいと……、いろいろ日本語はデリケートですから、用語の使い方によってはいろんな内容を持ってきますけれども参考人を呼んで、なぜ専従者制限する必要があるか、あるいはどういう地方の実態に立ってそういった意見が出てきたものか、いわゆる教育長協議会真意があるところを十分聞くということは、私は干渉でもなく、タッチでもないと思うのです。かりに文教委員会において、そういう意見をこの段階に吐くことはやめてもらいたいとか、それは取りやめるべきであるといったような見解ないし押しつけがましいことをすれば問題になると思うのです。しかし、そういう決定をし、文部省意見具申をしたその真意、実情を聞くということは、私はこれは決して干渉でなくて、荒木委員やその他の委員が言われるように、当然、国政に関する一件であると思うのです。このことが表面の理由として吉江理事あるいは自民党国会対策の方針として出されている以上は、ほかの残余の件についてきょう取り扱うことは一切避けて私はこの問題について、要すれば時間をかけて論議し、それでもまとまらなければ、それぞれの、各党の文教委員の中で十分協議するなり、再度理事会の中に持ち込んでもらうなりして、この根本問題についてはできればきょう、本委員会だけでなくて、理事会の開催の必要があればそれを持ってもらっても、私たちは十分それを待って事態解決に努力する意思がありますので、議論を深めていただきたいと思うのです。もし、野本委員が、もう一度自民党側文教委員として、理事の御意見あるいは委員全体寄って話し合いをしたい、こういう御意見でしたら、私は本委員会決定することをこのまま待って、待つという意味で留保するということならば賛成できますけれども、本委員会結論を出さないまましばらく時間をかすという取扱いでしたら、ちょっと了解しかねるのです。その点を野本委員の方からもう少し内容を明らかにしていただきたいと思うのです。
  9. 野本品吉

    野本品吉君 私は従来の経過を詳しく知らないから、特にそういう感じを持つと思うのですが、私どもとしては、委員といたしましても、さらにこの問題について慎重に検討を加えていく必要を私は感じております。そういう意味に御了解を願います。
  10. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止
  11. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して下さい。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のさっき言ったのは、事理明白ですからきちっとしてもらいたい。これは呼ぶか呼ばんかはそれぞれ考えがありますから、まとまらなければしょうがない。まとめるように努力するよりしようがない。国会調査権がない、それをそのままにしておくわけにいかんですよ。吉江さんにお尋ねしますがね、国会にそういう調査権がないというふうにおっしゃっておるのか、いや必要がないとおっしゃっておるのか、そこのところを言っていただかないと、私は誤解しておるかもしれない。私は調査権がある、必要があるかどうかはそれぞれ見解がある、そう言っておるのです。
  13. 吉江勝保

    吉江勝保君 私の発言の中に、文教の、地方教育委員会のやっておる問題には独立した責任を持たしておるので、これには自治体でも、知事介入をさせない、同じように中央も介入をさせない、まあできる限度というものは指導助言だ、こういう立場で新しい教育制度が生まれてきておるのである。この地方教育委員会決定する内容については、文部省法律で許された指導助言という範囲内でタッチしておる、それ以外のものは今言ったような趣旨からいって、まあ言葉が強かったかしらぬが、私はもう少し言葉をゆるめて言うならば、これはタッチをしないのが私は適当である、これは独立権限を持っておるものにやらすべきものではないか、こういう見解を持ちまして、今度の問題についても、もしこれを究明していこうというならば、その指導助言をする文部省並びに専従職員関係のある国家機関、こういうものについて本委員会が討議をされるのは、これは私はよいが、直接そのことに関係のあるものを文教委員会がこれを呼び出してやるということは、これは行き過ぎである、こういうことを私は言って、ややもすると国会権限があるというので、地方教育の問題についても、あるいはその他の問題についても入り過ぎる弊というものは自制をしなければいけないのだ、こういう立場から言うておったのであります。自分の気持としては、別に法律論で、あるいは法律根拠をもってきて、ここでこういう条文があるからできるできない、こういう論拠で言ったのではなくして、今言ったような大綱から見て、こういう地方教育の問題は、地方教育委員会が他の影響を受けない立場において自主的に遂行さすべきもので、それに影響を与えるような行為は、他のどういう機関もやることは控えるべきではないか、こういうような所見で、私は最初から言っておるのであります。それが当然であるというような言い方からすると、またそれは権限逸脱じゃないか、こういうような言葉が、両方ともに強化されてきたのでありますが、私の言うておった論旨は、今話したようなところに私の見解があるのです。私は今言ったように、この問題を取り上げることがまずいと、いうておるのではないのでありまして、このことを文教委員会が取り上げて、さらに文部当局に聞くなり、あるいは国家機関に聞かれるというようなことは、これは少しも差しつかえない、ただし、ここに当の責任者であるというような、そういう方を呼び出して、これに質問をしたりすることは国会行き過ぎじゃないか、こういう点を私は強調しておったのです。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 やはり明確を欠きますので、私はさっきも言ったように、国会はそういう問題についても調査権はないのかどうか、何かないように、行き過ぎという言葉を使われるとはっきりしないので、その点だけはっきりしておかぬと、やはりこれは基本的な問題ですかられ、調査権がある、あるけれども、今呼ぶことを必要とするかしないかはまた別問題です。私は調査権があると思っているのですが、その点ははっきりおっしゃっていただかぬと、あまりこういう問題で議論する余地は私はないと思っているのですが、それだけちょっと答えてもらいたい。
  15. 吉江勝保

    吉江勝保君 今おっしゃっている言葉の中に、必要がありと認めたときは、という前提があるわけですか。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはそうですよ。どんな問題でも、国会が必要と認めない場合には呼べないのです。必要と認めた場合には呼べる、権限がある、調査権がある、こうふうに国会が……、そう言っているのですから、それは私はお認めになると思っている。
  17. 吉江勝保

    吉江勝保君 だから、私からいえば、今言った私の説明で、こういう問題についての調査をすることは、私が先ほど言ったように、地方教育自主性を持たす上からいっても、私は必要という言葉が当るか、あるいは不穏当というか、不適当という言葉が当るか、そういう立場論旨を進めておったのです。
  18. 千葉千代世

    千葉千代世君 今伺っておりますと、吉江委員のおっしゃった言葉の中に、権限逸脱という言葉がございましたけれども、何か権限の放棄というように考えるわけなんです。この委員会で、いろいろの問題を討議する場合に、私ども委員判断を誤まらないために、たくさんの資料をあらゆる面からとっていくということは、非常に大事じゃなかろうか、そういう点から、専従者制限について討議していく場合に、直接被害をこうむる側と、これを施行していく側と、あるいは第三者の学識経験者なりその他の方の御意見を十分にいただいて、私どもが間違いのないような判断を下していく、こういう建前に立ちましてはっきりあらゆる問題に対してこの国会文教委員会においては、事教育に関する限りは十分な検討をするために、そういう機会を存分に与えるべきだと、こういう観点に立ちまして、ぜひとも参考人を呼んでいただきたい、重ねてそういうふうな論議に向いていただきたいと存じます。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど吉江委員発言された中で、教育委員会独立を守る、この点は私も賛成なんです。何もこれを侵犯しようとかそんなことは考えていない。むしろ、今、上部から侵害されているのが今の姿じゃないかと思うから、むしろこれは守らなくちゃいけないと考えておる。あなたの発言の中には、非常にやはり私は正しくないものが含んでいるので、といいますのは国会と、先ほどあなたは知事監督官庁としての文部省、そういうものをあげたのです。そういうところがいろろ、干渉がましいことをするのはいかぬと、だから国会もそうすべきではないと言われたのですが、国会調査権というものを、そういうものと並べることができるかどうか、これははっきりしておかないといかぬ、法的の立場として先ほどから強調されているように、明確にしておかないといかぬ。絶対にそういう制限を加えるということになると、国会調査権というものは非常に重大なやはり危険に遭遇します。そういうことでないという建前です。明確です。これは国会法でもお読みになると明確です。従って、こんなもので論議しているのはおかしいくらいですから、そういうことに何かもっともらしく知事権限と、何か上部のそういうところとの関係を混同されているのです。  もう一つ私は、さっきの例を、たとえば今までなかった、そういう点についてこれはさっき話したのです。なかったのですか、たとえばつい最近でも三十三年六月二十四日に教職員勤務評定について参考人木下一雄全国都道府県教育長協議会会長本島寛都道府県教育長協議会幹事長を呼んでおります。これはどうなんですか、これは間違いですか。だから、そういう吉江さんは、いつから文部委員になられたか知らんです。私はもう六年ぶりの文部委員ですから、この間知りません。しかし、六年前のことを考えてみると、ずいぶんまたたくさん例があったのです。最近の例として、私は今調べてもらった最近の最も近い例としてもあるのです。しかも勤務評定で非常に騒がれているとき呼んだのです。これで圧力をかけるとか不当に干渉するとか、そういう意図を持って呼ぶような国会議員というものはないと思うのです。そういうことをさっきから一体考えられるということは、国会権限に対して自分の冒涜というふうに考えられる、私は以上あげた点から、この問題についてはっきりやはりさしてもらいたい。吉江さんの意見によると荒木君の発言とまるで反対なんです。法的な、それから当然の権限として問題にしておるのであって、呼ぶことそれについては何ら私は差しつかえないと考えている……まるで反対です。荒木君のは当然の権限として呼べるかどうかということを明確にして、そういうこともはっきりこれは既定の事実として明確にして、しかし、具体的に呼ぶか呼ばないかということについては論議すべきだ、こういうふうに荒木君は言っておられる。しかし、あなたの場合はそうではなくて、さっきの一つ根拠のあるような根拠にならない根拠を持ってきてそれを一つ根拠にしてそして呼んではいけない、そういうところで議論をされた、そうすると今あなたの言われておる根拠というものは成り立たない、従って当然そういうことだったら譲歩していただきたい、そうしてやはり国政審議のために前進していただきたい。このことを特にお願いいたしたい。
  20. 小幡治和

    小幡治和君 いろいろ論議があるようでありますが、私としては国会調査する権限ありやいなや、権利ありやいなやという問題については、権利国政という面について、国政に関する調査という面については、国政に関する問題の中においては、これはあり得ると思うのです。だけれども、そこで権利の乱用ということがありますし、権利があってもそれはどこまでも推し進めていけばいいかというと、そこはまた問題があるので、結局国政という意味においてやはり権限ありというならば、はやり国政という一つ内容的なものにおいて論議されなくちゃいけないし、また方法の面におきましても、やはりそういう国家機関というものを相手にして国政という範囲内から調査していくというのが妥当であり、至当であるというふうに感じられるので、今いろいろまた委員長からも妥協案といいますか、別の案も出ておりますけれども、われわれとしてはいろいろこの問題については、デリケートな問題でありますから、もう少し一つそういう面で考えてみたいというふうに思っておりますので、ここでこの問題にあまり時間をとりましても、今大臣もみんな来ておられますし、先ほど委員長も付議すべき事案、こういう問題以外の問題もはっきり出されましたので、そういう面で一つ進めていただきたい。
  21. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をとめて。    午前十一時三十分速記中止    ——————————    午後零時十一分速記開始
  22. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して。  吉江委員、御発言をお願いします。
  23. 吉江勝保

    吉江勝保君 専従職員の問題から少し話が発展しまして、国会調査権の問題が今、委員長からお尋ねがあったのでありまして、私は国会調査権が、本問題についてありなしというように、そういう問題を論じたのではないのであります。国会調査権があるのは、もちろんこれは国政に関して、しかも今お話がありましたように国政に関する調査権がある。しかもそれは必要と認めたときに調査をする。こういう建前で、これは国会が運営されておることは言うまでもないのであります。この問題について、私は国会調査権国政についてないというようなことを言うておるのじゃないのです。もう少し言うならば、国政というものはそれじゃどういうところまでが国政と言われるか、広義国政というならば、日本の国でやっていることは教育委員会地方にまかされていることも、あるいは地方自治体のやっていることも全部含めてこれが国政で、どういうことでも国はこれを調査することができる。こういう広義国政解釈されればあらゆるものは一切入るでしょう。しかし、国政の中に、もし教育委員会がまかされておる自主的なものはいわゆる狭義の国政とは別だという解釈がとられれば、これは教育委員会自主性を認めてやるべきじゃないか、私はそういう意味でこの地方教育委員会にまかされておるものについては、直ちにこの専従職員の問題について当委員会がその関係者を呼ぶということについては、私は一応の消極的な意見を述べた次第です。
  24. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 松永委員、いかがですか。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 私は今、吉江委員発言された中に、やはり専従者の問題は国政であるというようなことが話されておると私は考える。従って専従者の問題について吉江委員調査権を発動するということについて、これが違法であるということを断定したものではないと私は思う。ただ、それが今の時期において適当であるのか、その方法についていろいろ意見があるということと思う。この点についてはなお一つやはり十分に論議をし、また自民党の内部でも論議を重ねられて、やはりわれわれとしてはこういう問題が具体に実施をされて混乱をするというような事前において、十分実施者も、またそれから指導助言をする文部省もこの問題について誤まりない行政が行われて、教育の混乱が救われるというような事態になるために、各方面の意見を聞いて、そうしてこれを参考としてわれわれも論議をするし、文部省も考えていくということが妥当だと考えるので、なお一つ検討をして十分にわれわれの意に沿うようなふうに御努力もいただきたいと思うわけです。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど吉江委員の、原則的に調査権が認められたことには私は敬意を表するのでありますが、あとの国政というものの解釈広義、狭義というような何か差を設けられた。そうしてその解釈も非常にあいまいです。限界がない。しかし、国会の今までの運営の仕方はどうかというと、そういうようなことでいっていないと思うのです。これは良識で、いろいろな地方自治に対する圧迫とか、それが独立性を破壊する、そういうようなことはやらないようにするということだけで、広義、狭義ということの限界もなかなかきめられない問題だと思う。それでそういう点から、広範に全くこれは国会の問題にすれば、これは国政になるのであり、また国民の生活の問題というものは広範にやはり国政につながっているのです。ここのところを、今いかにも形式的に分離されたような形で言葉のあやで言われているけれども、実際こういう形で進められていくと、やはり先にいって問題が起ると思う。国会は町で起ったいろいろな問題、ちょっとした問題、交通事故のあった問題とか、売春の問題なんかということは、これは言うまでもないことです。そういうような問題、広範に起ったささいな問題であっても、これは重大な問題として論議された例が幾多あります。これは無数にあるといっていい。そういうものを制限するような形で国政関係あるないというような議論をやっちゃいかぬと思う。ですから、またそういう議論も人によって、主観によって違うということでは、これは根本的にやはり国会の運営というものそのものに対してくさびを打つことになるから、今の意見吉江さんの意見として聞いておくということはいいけれども、あの解釈で通るということには私は反対です。
  27. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ともかくただいま議論中ですが、こういう時間になったので、午前中はこれで休憩にしたいと思います。  一時十五分から本委員会を再開したいと思います。休憩します。    午後零時十八分休憩    ——————————    午後三時七分開会
  28. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  先ほど来問題になっておりました教職員組合専従者制限に関する問題についていまだ結論を得ておりません。その件について御発言がございましょうか。
  29. 吉江勝保

    吉江勝保君 休憩前に私が最後に意見を開陳いたしておいたのでありまするが、休憩中におきまして、わが党の文教委員の皆さん方とも十分に相談をいたしまして、そうして先ほど社会党の理事の方にも一応意見を通じておいたのでありまするが、この問題につきましては、先ほど来皆さんお聞きのように、委員長から一つの新しい妥協案といいますか、案が出されておったのであります。従ってその案についていま一度党の方で相談をして、そしてさらに本日のいろいろ議論がありましたような点についてもあわせて党の方で諮ってもらいたい、こういう申し入れもございましたので、相談をいたしました結果、もう一度戻りまして党内で相談を、諮ってみる、こういうことに話をいたしました。なお、松永理事からは、なるべくまとまるように特に努力をしてくれというような申し入れもございました。これは党にはやはり党の立場もありますし、意見も皆持っておりまするので、また私自身意見を持っておりまするが、そういう何と申しますか、重ね重ねの要望が強かったということも十分了承しておりますが、これも私のみならず、ほかの委員理事からも話しまして、もう一度党内で諮ることにいたしました。そのことにつきまして、一応ここでもう一度諮るときに、あるいは聞かれましたときに答えなければなりませんので、一応繰り返して、まあ何といいますか、確認といいますか、はっきりさしておきたいのですが、なぜ参考人を呼ぶんだと、こういう話が出ました際、これはあるいはあとからまた社会党の方からお話が出るかもしれませんが、私が聞いてきました段階では、私は文教については責任者文部省に聞くべきだ、直接地方教育委員会理事者等に聞くのは、これはあるいは影響を及ぼすおそれがある、こういうことを申しました。従って文部省に、今回の要望の点についていかに処理するかというような点について、文部省質問をされた。その点について文部省も詳細に説明答弁があったのでありまするが、なお要望書を出しました教育委員会立場においてのその理由とか、あるいはその実情というものについて、文部省ではどうも十分に説明ができなかった。従って文部省に聞くはずのものであるが十分でないので、それを教育委員会をさらに参考人として呼び出して、補足説明をやらすというか、あるいはその理由を直接に聞こう、こういう趣旨で参考人として、文教地方における教育責任者をここへ参考人として呼び出したいと、こういう趣旨で話が起っておった。なおそれに関連するところのものをあわせて参考人として呼び出したい、こういう申し出であったというように了承しているのでありますが、党に報告しますときに間違ってそう諮りましてもどうかと思いますので、いま一度このことを話しておきまして、確認をいただきたいと思います。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 今、吉江委員からお話のありました点は、やはり私たちが参考人として呼びたいという非常な大きな一つの理由であるということについては間違いないわけであります。従って、その実施したいという意思決定しているのは教育委員会であり、それについてはいろいろと意見を持ってそういうものを決定したに違いない。しかし、それを実施するに当っては、文部省一つの法的な措置というものを要望をしているので、そういうふうな点からわれわれは文部省にも意向を聞くけれども、そういう意思を固めた教育委員会教育長の具体的な意見を聞いていきたい、そうしてまた調査をしていきたいというようなことが一つの点であり、同時にもう一つの点は、そういう実施をしようとするために影響を直接受ける教職員組合がどういうふうな意向を持っているのか。また、こういうことを実施をしていくということが、果してどういうふうに考えられるかという、第三者的な立場の人の意見を聞くということももう一つの大きな理由であるということを申し添えておきたいと思います。だから、二つの点に目的があったわけです。もう一つの点を一つつけ添えてやはりお話をいただいて、そうして十分に党内で御案をいただきたいと思います。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 吉江さんにお尋ねしたいのですが、党に諮るという皆さん方の打ち合せの態度は、午前中、最終的に吉江委員の方から見解表明された内容を基礎として、それに、松永理事の方から申し出られたことを加えて、諮られるという意味ですか。それとも文教委員として、一つの、午前中からずいぶん問題になりました国政調査権というか、こういう基本的な問題について、なお吉江委員の最終的答弁以前の態度において党に諮られるということですか。
  32. 吉江勝保

    吉江勝保君 先ほど私が発言したときに話したように、私の見解は、最終に発言しているのが私の見解です。だからそれに基いて相談をした、協議をした、こういうように先ほど報告しております。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 党に諮るという具体的な内容は、大体いつごろ正式といいますか、回答が出てくるという正元通しですか。
  34. 吉江勝保

    吉江勝保君 大体十日の日が皆集まる日になっておりますから、おそくとも十日にはまとめてその日報告したい、こういうように考えております。
  35. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、御相談なさって、そうしてこれはいけないとなれば、ちょうどこの前と同じように、またせっかく集まって予定しておっても、流れてしまう、こういうことが心配なんですけれども、その点について吉江委員のお考えというか、見通しはいかがなんでしょうか。これが大へん大事なんです。
  36. 吉江勝保

    吉江勝保君 それは、ここで私が非常にいい返事をすると、皆さん非常にお喜びになるだろうと思うのですが、それはちょっと相談の結果、やはり皆の意見がまとまらないと、ここで先に返事は申し上げにくいだろうと思いますが、まあ先ほど言ったように、理事委員も言うておられる、また私がだめを押したように、こういう点が主眼になるというところを特に話をして、話を進めたい、こういうような考えでおります。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これはいきさつから申し上げて、社会党の理事松永委員から申し入れた、そうして吉江理事の方で見解を表明されて、それはむずかしかろうという話があって、そうではないからもう一度党に相談してくれと、社会党側の方から申し込んだと思うのです。こういういきさつがあったから、やむを得ないと思いますけれども、やはり午前中から、私、るる申し上げているように、国政調査に関する問題は、委員会の中で相互に円満に話し合う。できれば、理事会であんなもめ方をしないように、今後は善処していただきたい。そうして党に諮る、党の意向が前面に出てくる、党の決定である、こういう形で出てこられると、委員会の運営もかなり支障を来たしてくると思うのです。だから社会党が、党に諮って再審議してくれ、こう言ったから、今度の場合は例外といいますか、別問題ですけれども、今後、荒木さんも言ったように、基本的な原則問題については、こういったもめ方をしないで、たった一人が要望して、ほかの者が必要がないと言おうが、その委員の、国政調査立場に立つ国会議員としての使命を果したいという観点に立つと、重要な問題だと思う。だから、数とか、あるいはどこから出たとかいったことを抜きにして、原則として参考人を呼ぶという問題については、委員会としては今後フランクに呼んで、あらゆる人の意向を聞きながら文教問題を審議する上に円滑に進められていくように、今後おしいに努力し合うし、そういう基本的な立場で進んでいただきたいと思うのです。
  38. 相馬助治

    委員長相馬助治君) この問題については吉江委員発言で明らかなように、原則的には了解がついたものと私自身は聞き取っておりますが……。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  39. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して下さい。  なお、専従者問題について参考人を呼ぶという件については、いまだ結論を得ておりませんが、これはそれぞれ吉江理事において党内における意見等も取りまとめて不日何らかの回答がある、かように了解をしたいと思いますが、それで差しつかえございませんか。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 ただいままでの経過からいうと、どんどん延びてしまうわけだな。もうこの前要求が出されてから、これは八月の三十一日にそういう要望がなされてその問題が理事会で再三問題になってまとまらなくて、またこの委員会速記はつけていなかったと思いますが、やられておる。そうして今度はきょうがだめ、われわれはさっき申し上げたように、きょうは実は参考人がここに顔を並べておるんだと思って出てきたのです。ところが、それがまただめで、午前中もんで、それから昼休みをかけて二時間くらい自民党さんの党議をされて、それからあと二十日だな、十月十日というと……、そうすると結局どうなんですか、二月がかりでこんな問題を論議して、休み中とはいいながら、必要があってわれわれは要望しているのですよ。それをだんだんおくらしてこんなことをやっているうちに時日はだんだん進んでいく。うっかりこれに引っかかってしまうというようなことに結果においてはなるかもしれないので、こういう形では一体どうも誠意がないな。私は言いたいのだけれども、党に諮るというが、一体ここで言うのは、これは何もわれわれだけが言っているわけじゃない。共産党もいるんだ、無所属さんもいるし、緑風会さんもいるんだ。大体、社会党と自民党の間で話し合いがつけばいいなんていうことは根本的に間違いだ、そこをはっきりしてもらいたい。  それに関連して、理事自民党の議員かもしれないけれども、これは本委員会理事なんでしょう。どうなんです。文教委員会理事として文教委員会はやはり公正妥当な運営をするという任務を一つ持っているわけですね。あなたの信念とか何とかいうのがじゃまになって、けさからここでやっておるわけで、えんえん二カ月に及ぶ、何ぼ暑さの砌とはいいながら、こんなばかげたことはないと思うのです。こんな運営は困るのです。これははっきり共産党としても見解を表明している。来月の十日なんていうのは鬼が笑う。すでに委員会が開かれて、そういう格好でじんぜん日を送ってしまう。八月に要求があって、そうして十月の十一日、しかもそれがはっきりした確答のあるものじゃないのですね。その結果またどうなるかわからない。また、きょうの蒸し返しかもしれない。こういうやり方を自民党理事さんが入っていてこれは意識的ではないだろうと思う、自然にそういうようなことになったのかもしれないけれども、しかし、そういうことになることについては私は賛成できない。こういうことについては理事の釈明を求めるし、態度を改めてほしいと思う。これは当然の要求だと思う。何もここは社会党と自民党だけの話し合いの場じゃない、冗談を言ってはいけない。こういうことをはっきりしていただきたい。あまりなめちゃいかぬよ。
  41. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 岩間委員のお説の通りです。ただし、委員長としては慣例に従って委員長理事打合会において議論を進めているのです。不幸にして共産党は理事を出す議員数を持っていないわけです。従って私としては両党の議員で構成されている委員長理事打合会に諮ってきたが、お説はしごくごもっともですから、各理事も聞いておるようですから、今後は十分、お説の通りにはいかなくても、お説の意思を体して……。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 通りにして下さい。それで、十月十日はどうなるのですか、もう少し具体的な問題として。こんなことではしょうがない。
  43. 相馬助治

    委員長相馬助治君) それでは、その点についての御了解を願ったものと思っております。
  44. 千葉千代世

    千葉千代世君 今、委員長質問したら、岩間さんが答えたのですけれども委員長からはっきり理事の任務のことについてお伺いをしておきたい。というのは、吉江先生、大へんりっぱな方で意思も強固でいらっしゃるけれども、私の信念だから云々ということを再三伺っておるわけなんです。信念はけっこうなんですけれども、やっぱり理事会におきましては、委員の皆さんの意向が十分いれられて、そうして公正なる運営ができるという前提がないというと、やっぱり今後こういうことが二度、三度繰り返される。そうすると、せっかくの大事な審議の日にきょうも朝から来て、お弁当を食べて、皆さんの意見を聞くだけで終ってしまう。そういう意味で、私よくわかりませんものですから、理事の任務について委員長見解を伺わせて下さい。かりに社会党のあなたが委員長に出ていらっしゃって、私の信念だからというて、党に持って帰って、私の信念をこう披瀝をしたから、こうだから、じゃ、お前にまかせるということは自分らは承知しない。やっぱり委員の一人々々の任務もありますし、権限もありますし、そういう点がはっきりと入れられるような運営をしていただかなければならぬ、そういう前提で伺ったわけです。
  45. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 私から答えるのは妥当でないかもしらないのですけれども委員長立場からいえば、理事というのは、御承知のように互選ですから皆さんが選挙されているのです。これはしかし、慣例上、理事を出すに足る議員の数を持っている党が推薦なさって、委員長が指名するという手続をとっているわけです。そういう形において委員長理事打合会というものがあるのは、各党の代表の——代表というより交渉委員として出て、この議事進行その他を円満に取りまとめる役目を持っているのだと私自身は思っているのです。しかし御発言によれば、委員長はこうあるべきものであるというようなことを私の口から期待するようですが、どうも私からは何か訓示めいたことをここで申し上げるわけに参らぬので、これは常識の範囲内だと、かように了解するのです。で、あなた自身が、たとえば吉江先生のとられている態度について御不明の点があらば、これは直接吉江先生にお尋ね願うほかないのではないかと、私はかように考えます。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 一つただしておきたいのは、委員長説明で大体いいと思うけれども、しかし、委員長のいないときは理事が代行するのだな。そういう権限を持っているんでしょう。そういうことを考えると、やはり各党派の利・益代表みたいな形でそれを取りまとめる、それだけじゃやはり足らぬのじゃないか。やはり公的な立場はあるんです。互選によってなされている。だからその点で私は同時に、自民党から出た理事であると同時に、やはり文教委員会の運営を民主的にするとか、明るくする、建設的にする、そして同時に文教委員会の権威を高める、こういうところに当然あなたの責任がなけりゃ理事といって仰ぐわけにはいかぬと思いますね。その点さっきの委員長説明にちょっと付加させていただきたいですね。それでないとわれわれは了承できないね。そんな理事は要らぬと思う。じゃまになると思う。
  47. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 個人をさしていることでなかったら、一般的には岩間君の言った通りだと思います。
  48. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 委員長先ほどの確認で、本問題について打ち切ることについては異議ありませんが、僕が要望した政策の問題ということであれば、党と党が対決するということは当然だと思うのです。しかし、参考人を呼ぶとか、あるいは議事の運営をはかるという点については、党の基本態度というのが常に委員会に出てくると、非常に運営もむずかしくなると思う。先ほど僕が要望した問題も同時に確認して終ってもらいたいと思うのです。
  49. 吉江勝保

    吉江勝保君 参考人を呼ぶのは何か党に戻って諮ることが、何というのですか不適当であるというか、そこまでしなくてもいいじゃないか、ここだけで進めたらいいじゃないか、こういうような発言に加えて、しかもそれを確認せよ、こういう話なんですね。それはそうはやはりいかぬだろうと思うのです。で、あなたの方でも、岩間君でも、昨年の四月の参考人を呼んだときの例をあげておられるんですが、これは両方、何回も党に戻って、国会対策で取り上げて、その決定の最後はああいうようになっているんで、こういうこともやはり重大であれば重大であるほど党に戻って相談はしなきゃいかぬですね。その取りまとめをせいとかそういう意味はわかるのですけれども、諮ることはこれは仕方がない、これはそういうふうに御了承を願いたいと思います。
  50. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから政策上に関連して、証人を呼ぶとかあるいは参考人を呼ぶとか、こういった政策というような関連してくる問題、あるいは国会の諸問題についてその呼ぶことが重大だと考えられる場合は、それぞれ出身の党に諮られることはそれは方法としてやむを得ないでしょう。しかし、できるだけ党の決定だからここでは答えられない、再度党に諮らねばわからないと、こういう形で常に出てくると、委員会というものは非常に運営しにくくなる。そうして、岩間さんもさっき言ったように、理事というものが二党からだけしか出ていない。こういう形でなかなかうまくいかぬだろうと思う。だから原則論としては、できるだけ理事相互の話し合いを円滑にしてもらって、そこでですね、話し合いの場で、こういった運営上の諸問題については、円滑にいくように、理事諸公に対して御努力をお願いしたいと、こういうのです。
  51. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 御希望、意見として速記にも載っておりますし、理事諸君にもその線に沿って御努力を願うように、私からも協力を求めます。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 この措置はまとまったのですか。その点僕はこれは不満だ。だから、はっきり僕の意思を表明して、全体できめられて、それで進むのはそれはそれに従うけれども、だからそこのところをはっきりしてもらいたい。われわれはこういうきめ方には、じんぜんさっき話したような理由で、こういう運営がいつまでも続くのでは、実際あなた、当面したいろいろな問題ができなくなる。私らはびっくりしている、六年目に文教委員会に戻ってみて驚いている。こういう形ではわれわれ賛成できないから……。
  53. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  54. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。  ただいまより、さきに行いました委員派遣について報告を聞き、これに関連して文部当局に質疑を行うことにいたしたいと思います。委員代表よりの報告を願います。第二班吉江君。
  55. 吉江勝保

    吉江勝保君 第二班の報告をいたします。  第二班は松永委員と私と、随行として調査室から生田調査員と委員部から小野参事が参りまして、去る九月一日から七日までの一週間にわたりまして、三重、和歌山の両県を調査いたして参りました。調査事項といたしましては、文化財の保存保護の状況、大学問題、特に短期大学について、その他教育、文化、学術の一般について、調査をいたしたのであります。  文化財につきましては高野山以下数カ所、大学につきましては、最近当委員会で両県の大学を視察しておりますので、日程の都合等もありましたので、県の教育委員会において、三重県立大学の関係者と懇談をいたし、また和歌山大学経済学部におきましても、わずかな時間ではありましたが、懇談の機会を持ちました。なお、私立短期大学の問題につきましては、都合により帰途大阪におきまして、近畿地区の連合会の代表の方々と懇談いたし、陳情を受けて参りました。  教育一般問題については、それぞれの県教育委員会において、関係者から実情を聴取し、また市長その他教育関係者と懇談の機会を持ちました。その他、社会教育施設としましては、公民館を二カ所視察し、宗教法人法につきましては伊勢神宮、高野山で懇談を行いました。このほか学校統合問題で紛争を続けております鳥羽市の鏡浦小学校に参りまして調査を行なったのであります。以下各項目につきましてその結果を御報告申し上げます。  最初に、文化財につきまして、まず高野山から申し上げます。御承知の通り、高野山は千百四十年前に開山されて以来、天下の場として常に時の施政者の保護を受けて参りましたために、過去の兵火、戦災もこうむらずに、現在山内の百二十数カ寺が国宝、重要文化財二万余点を蔵しておるのであります。また、昨年から五カ年計画の総合調査が開始されましたが、すでに続々と新指定物件が発見されておるのでありまして、文化財の宝庫と申しましても過言ではないと存じます。現在指定を受けておりますものは二万余点であります。このうち、約五千点が霊宝館に収蔵保管されまして、その一部が館内に出陳されておりまして、その他は三十余万坪の山内の各寺に分散されております。私どもは山内の建造物と霊宝館に出陳されております国宝、重要文化財の状況を見て参りましたが、建造物につきましては後に申し述べますように防災施設が不備であります。霊宝館は建物そのものは鉄筋コンクリートでできておりまするので、火災のおそれこそありませんが、狭隘のため収蔵されておりまする大戸が直接手に触れることができる状態にありまして、防湿、防塵の設備も施してありませんので、盗難、汚損、変色等の心配があると思いました。また、これらの貴重な品々を系統立てて陳列し、十分な説明書も付してほしいものだと感じました。しかし、当山の指定物件を十分収容するには不足ではありまするけれども、国庫補助によりまして、昭和三十二年度から工事中の収蔵庫が来年度完成される予定でありまするので、いま少しのしんぼうであるとの報告がありました。この現在建設中の収蔵庫は、総工費六千四百万円で、うち国庫補助六〇%で約三千八百五十万円、四カ年の継続工事でありまして、一部中二階式の延べ坪数三百八十八坪の建物であります。現在、工事中の進捗状況は五六%で、ほとんど外郭はでき一上っておりました。今後は外装と内部の工事に入るとのことでありますが、高山のことで、気温が下るために、十月から翌年三月一ぱいは作業が限定されまするが、予定通り進んでいるとのことでございます。この収蔵庫の当初の計画は相当に大きなものでありましたが、指定物件の一・二倍という査定で認められ、当時としても、高野山としては不十分であるとしておりましたところ、昨年よりの総合調査によりまして相当数の指定物件が今後も出ると考えられまするので、それらのものをいかにするかが将来の問題として残るとのことでありました。私どもといたしましても、現在工事中の収蔵庫を見て、今後の追加増設には多額な費用をかけなければできないことが目に見えておりまするので、当山のような状況の場合には、一定のワクに縛ることなく、事前の調査等によりまして、将来の収蔵について考慮し、十分な余地をもって認可するような方法を講じた方が予算の使用からいっても有意義であると考えられた次第であります。また、収蔵庫に納めた国宝、重要文化財の維持、管理に要しまする費用の問題について今後考究の必要を感じました。  なお、建造物、山内に散在している国宝、至要文化財の防災についてでありますが、当山には水道、消火栓の設備こそありまするが、水量が少く、住民、参拝者の飲料にも事欠く場合がしばしばあるとのことでありまして、一朝有事の場合には間に合いかねると考えられます。高野山における最近の記録では、人災により平均三カ年に一カ寺が焼失しているとのことでありまして、金堂の火災の際には、付近のお寺の屋根一面に水の代りにみそを塗って類焼を防いだとのことで、防災施設の早急な完備を痛感いたしました。  次に、熊野速玉神社について申し上げます。  本神社は伝えられるところによりますと、景行天皇の時代から皇室の御崇敬が厚かったために、朝廷からの御奉納物、主として鎌倉、室町時代のものが多く、国宝、重要文化財九百九十七点が神社の再三の火災の難を免れて保存されてきたのであります。現在、これらの指定物件は、昭和三十二年度に二カ年の継続事業で工事費千六十五万四千円、うち国庫補助四百万円で完成された収蔵庫、神宝館に、付近の遺跡からの古土器等の出土品とあわせて保存管理されております。特に御報告いたしたいことは、ここに収蔵され、重要文化財として指定されておりまする朱塗り御神幸用船であります。この船は一隻しかないという珍しいもので、長さ二間半、幅五尺で、舳に金メッキの竜頭を立て、中央にみこしの屋形を組んで神座とし、そのうしろに帆柱を立てたものであります。現在、毎年の祭礼に使用されて、金襴の帆は裂け、その他の部分もだいぶいたんでいるとのことであります。他にも祭礼には指定物件が使用されていることはしばしば見聞いたしますが、このような破損のはなはだしいものが祭の際に衝突でもいたしましたら、取り返しがつかない結果を起すことは必然でありまするので、早急に文化財保護委員会が何らかの措置をされることを望むものであります。  その他文化財としては、伊勢市の林崎文庫、熊野の瀞峡、新宮市の藺沢の浮島、那智勝浦の那智神社、青岸渡寺等を見て参りました。  次に、三重県立大学と和歌山大経済学部との懇談の際出ましたおもなる点について申し上げます。  三重県立大学では、公立大学は国立の大学と同様な目的、使命で設置、運営されて、国の要請と地域住民の文化向上の熱意に応じているのでありまするが、現在三十四校の全国各地の公立大学は、国からの援助を全然受けておらず、起債も認められぬ状況であります。それゆえ施設、設備が悪く、経営難に陥っております。それらの公立大学を国立大学の最低線までに持っていくには二十五億円の金が必要でありまするので、施設、設備充実のため、五カ年計画で毎年五億円の予算を計上していただきたい旨の要望がありました。なお、本県の場合、学生の入学については七対三、または六対四の比率で県民子弟の優先入学を行なっているとのことでございました。  和歌山大学経済学部では、非戦災の地方大学の施設、設備、校舎の改善につき、特に考慮を払ってほしいとの希望が述べられましたが、ここの施設について同行の県教育委員会の職員の話では、特に本学部には終戦時に米軍の通過部隊が二、三日駐留し、その際彼らがもともと古い建物を破壊していったため、さらに状態が悪くなったとのことでございました。たとえば、現在学生の使用しておりまする便所は修理ができないほどの破損で、建て直すしか手段がないというありさまで、かぎ等はもちろんありませんでした。校舎等も外部から見ただけでも危険校舎ではないかと推測できるような状態で、非常に気の毒に感じたほどであります。ほかに、体育館の建設と、図書館書庫と閲覧室の増築が今一番に望まれている施設であるとのことでございました。なお、他の地方大学でも同様に少いが、本学部では、大学昇格以来文部省の研究員として海外に派遣された者がただ一名だけであり、現在同窓会基金五千万円の運用で海外研究員の派遣を考慮しているとのことでありまするので、御参考として御報告いたします。  また、近畿私立短期大学連合会の代表とも懇談いたしましたが、その際、述べられました陳情の内容は、すでにさきの国会で日本私立短期大学協会から表明されましたことと大体同様でありまするから省略させていただきます。この席上、特に問題となりましたことは、厚生省において栄養士法の改正が準備されていることであります。この改正案によりますと、栄養士の資格について養成施設における修業年限を三年に延長し、なおその上に国家試験を受けさせることにした内容であるとのことでありまして、短期大学がこの養成施設として指定されるためには、その修業年限を一年延長する必要があり、これにより教授の補充が必要となりますが、厚生省の養成施設の指定条件におきましては、教授の資格については割合に程度が低くともよいのでありまするが、短期大学では文部省の要求する資格の程度が高いために教授の採用が困難であるので、このような措置には反対であるということでありました。なお、文部省が準備されていると伝えられる教育職員免許法の改正についても、私立短期大学の死活の問題であるので反対を表明するとのことでありました。  次に、三重県鳥羽市鏡浦地区の今浦、鏡浦小学校の学校統合の問題について御報告いたします。  本件については、すでに二十九国会閉会中の当委員会で取り上げられ、その経過、事情等は当時の会議録に詳細に記録されておりまするので、ここでは省略させていただきますが、その後、紛争は引き続いていまだに解決を見るに至っておりません。私どもは鳥羽港より船便にて片道約五十分ばかりで現地に参り、実情を視察の上、鳥羽港に帰還し、県、市及び今浦の地区代表と懇談、意見の聴取をいたしました。本件につきましては、昨年八月二十八日に市教育長と今浦地区代表者により調印されました四項目の条件があります。すなわち、一、一年生は三十三年度末まで今浦で授業を行い、二年生は鏡浦小学校に通学するように努力する。二、三年生以上は九月一日から鏡浦小学校へ通学する。三、明年四月以降については、三月末までに県教委、市教委、及び地元が協議し、合意の上、決定する。四、この授業を行うため、当面教員一名配当す。なお、複式授業を避けるため双方が努力する、というものであります。この条件は、市会議長案をもととしまして県教育委員会が示しましたあっせん案の趣旨により双方が調印したものであります。本件は、市教委がその責任において処理すべきものでありまするが、私どもはこの問題は純粋に教育の問題であるという立場で、過去の経緯や政治的な配慮を捨てて、市教委、地元及び県当局の三者が検討して合意に達するように努力してほしい旨を述べましたところ、三者ともようやく納得いたしまして、一応了承努力することになった次第であります。  次に、公民館としては三重県津市の一身田公民館及び御薗公民館を見て参りました。両公民館は非常に対照的でありまして、市の公民館が予算の貧弱、従って施設、設備の不備、不足、図書の不足に悩んでいるのに反しまして、農村の公民館は豊富な予算で十分な施設、設備を行い、図書も相当に購入しておりました。しかし、市の公民館においても図書を県立の図書館から借用してきたり、無料の講師を頼んで講習を行うなど、乏しい予算において精一ぱいの努力をいたしておりました。  公民館からの要望としては、一、公民館の施設、設備の国庫負担を三分の一とし、起債を大幅に認めること。一、勤労青年教育には、もっと国家より指導奨励の手を差し伸べてほしいこと。一、職業教育センターに対する国庫補助の増額をしてほしいこと等でありまして実験、実習等の設備を生活、生産に直結する学習をさせることによりまして、青年学級を中心とする勤労青年の教育を飛躍させることができるという熱意を持っております。  最後に、両県における教育財政の現況、その他、問題点、要望等について申し上げます。まず、三重県について見ますと、本年度の教育費は四十九億円強でありまして、県予算総額の三五%に当っておりますが、このうち人件費が九二%を占め、給与費は八四%となっております。本県で一番問題になっていることは、過去における災害、風水害により、県の財政事情が悪いために、本年四月以降の昇給が停止され、管理職手当、通勤手当等が支給されていないことでありました。また、教員の普通旅費等も、小学校で一人当り国の積算基礎は四千円であるのに、本県では二千七百七十七円と非常に低く、全国でも下から二位とのことでありました。  なお、これは終戦による全国的な現象でございますが、昭和三十五、六、七年度に中学校の生徒が急激に増加するため、中学校の施設が不足することは事前にわかっているので、特別な補助手段を講じてほしいこと、小学校屋体及び小中学校の校地購入費を国庫負担の対象とされたいこと。小学校校舎及び危険校舎の改築に、国庫負担率を二分の一に引き上げられたいこと。教員養成に根本的対策を樹立されたいこと等の要望がございました。  なお、本県の先般の台風七号と集中豪雨の被害状況について申し上げますと、総額で四十七億五千八百万円に上る甚大な被害をこうむっておりますが、学校関係の被害は、幸いに少く、運動場の土砂の流失がほとんどであり、一部校舎に浸水があった程度でございまして、その被害額は、小学校二百三万円、中学校は六十万円、高等学校七百十五万円で、合計九百七十八万円、他に県立大学の図書室、研究室が浸水をこうむり、四千六百五十二万円の被害を受けましたとの報告がありました。  次に、和歌山県の状況は、本年度は教育費が三十七億円強でありまして、県予算総額の二七%に当っており、このうち人件費が九四%を占め、給与費は八六%となっております。問題としては、本県も災害による被害のために財政的に窮之をきわめており、昨年も昇給がおくれて実施されたが、本年も四月以降停止されており、初任給の引き上げも未実施であるということでありました。しかし、新再建計画を作りつつあり、知事としてもできるだけ早い機会に実施するよう努力しているとのことでありました。なお、三重県と同様に、特に昭和三十五年度以降の中学校生徒数の急増に対処して立てるよう強い要望がありました。  その他すし詰め学級の解消、科学技術教育の振興、学校運営の正常化と管理指導体制の充実、父兄負担の教育費の軽減等について陳情、要望がありました。  以上をもちまして第二班の報告を終ります。
  56. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 御苦労さんでした。  第一班北畠君。
  57. 北畠教真

    ○北畠教真君 第一班の調査報告をいたします。  第一班は、相馬委員長、梶原委員と私のまか、調査室から吉田、菊池の両調査員、それから法制局の安達参事と文部省の松平事務官が参加いたしまして、去る九月二日から八日に至る七日間、宮城、岩手両県におきまする教育財政、教育行政の一般、僻地教育、短期大学、文化財の保存保護の現状等についての調査をいたしました。  第一に、教育財政、教育行政について申し上げます。  まず、宮城県の公立文教施設について申しますと、小学校は、戦後の校舎施設の荒廃と最近の児童数の激増により、暫定最低基準に照らして、なお全体の四六%に当る二百五十八校が校舎不足を告げ、不正常授業を余儀なくされている学級は五百十二教室、一万七千九百二十坪に達しております。また、小学校の屋内運動場の建設は、取り残された形でありまして、基準未満のものが八九%、四百九十九校、坪数にして三万九千百六十一坪にも及ぶ状態でありまして、寒冷地として、冬季の不便はきわめて大きいことが察せられます。中学校は、一般校舎で補助基準未満のものが一五彩、四千五百三十一坪、屋内運動場も基準未満のものが五五%、不足坪数一万一千坪をこえております。高等学校でも、一般校舎で基準に満たないものが半数以上を占め、その不足坪数は一万余坪に及び、生徒の収容に手一ぱいの現状であります。  このような現状に対処し、設置者側としては、昭和三十四年度以降三十八年度までの五カ年計画を立てておりますが、この計画の遂行のためには、国の財政的援助の裏づけがなされるようにとの強い要望がありました。また、屋内運動場につきましては、鉄筋建築及び建設に要する土地購入のための経費についても、国の援助を要望する旨の陳情があったのであります。  右のほか、市町村教育委員会について、教育長の給与費の増額と手不足がちな事務職員の増員のための経費についての国の補助を増強することによって、地教委の育成強化をはかってもらいたいとの要望もありました。  また、当県においては、宮城県産業教育総合計画を樹立し、教育内容の改善、教育課程の変更新設、現職教育、施設、設備の充実、研究校の指定等によって、産業教育の恒久的計画を実施しておりますが、これに要する経費についても、国の十分な補助を期待したい旨の要望がありました。  次に、岩手県について申し上げます。  本県は御承知の通り、四国に匹敵する面積を持っておりますところの本州随一の大県でございますが、鉄道の幹線が走っております北上川流域の平野を除いては、その大部分が山岳地帯でおおわれ、特に三陸方面は、峨々たる高山峻峰が連なっておりますために、県内の交通はきわめて不便でありますし、人口も希薄でありまして、県内全体が巨大な僻地の様相を呈していると申しましても過言ではございません。  従いまして、本県におきましては、小中学校の全体の三分の一以上に相当する約四百校が僻地に散在し、そのうち電灯設備のないものが六十校に上り、またこれらの僻地校の三分の二以上のものは、三学級以下の小規模学校であります関係上、児童生徒の一人当りの教育費ははなはだしく割高となり、父兄負担その他の寄付金も著しい高額を示す結果となりますため、本県における教育行財政の主眼も、僻地教育対策にしぼられておりますことも、またやむを得ない現状と申さねばなりますまい。  木県教育委員会から述べられました要望事項を申し上げますと、概略次の諸点であります。  その第一は、現行地方交付税法によれば、僻地手当の半額都道府県負担分については、わずかに特別交付税額の算定要素の一部に加味されている実情にあるので、多額の僻地手当を必要とする地方公共団体に対する財源確保上十分とはいえないから、基準財政需要額の算定に当っては、従来措置されていた特別交付税から普通交付税にこれを切りかえ、単位費用に乗ずる測定単位について割増補正を行い、僻地を多く有する地方公共団体の財政に安定性を与えるように措置してもらいたいということでありました。  第二は、小学校における教職員定数の算定方式を改正して、小規模学校を多く有している本県のような不利な状況を緩和してほしいということでありましてたとえば、小学校の学級規模が五学級以下の場合において乗ずる数が、現行の「三分の二」となっているのを「一」に改めること、養護教員の算定要素として、児童生徒総数のほかに、学校総数を加えてほしいこと等でありました。  第三は、高等学校についても、義務教育諸学校と同様に、教職員定数に関する標準法を制定して、定数の確保をはかられたいという要望でありました。  第四は、現在施行停止中の公立高等学校定時制課程、職員費国庫補助法を復活して、定制時教育に従事する教職員給与費の四割を国庫補助されたいということでありました。  第五は、小中学校の教育課程の改訂並びにその移行措置に伴い、特に指導主事の増員による指導体制の強化が必要と考えられるが、教員をもって充てることのできるいわゆる充て指導主事について従来関係省間の了解により教員千人についてほぼ一人の割合となっているにもかかわらず、実際には財政上の制約を受けて財政窮乏団体においては、充て指導主事による指導主事の増員は困難な状況にあるから、この際、その経費を国庫負担の対象とすることにより、充て指導主事の増員をはかり得るよう措置されたいという要望でありました。  第六は、昭和三十七年度から中学校の全学年に実施される技術・家庭科の教育効果を高めるためには、従来の職業・家庭科及び図工科担当教員の新課程についての学力技術の不足を補う現職教育、技術・家庭科教員の養成のための大学の施設、設備の充実、中学校自体における技術・家庭科教育のための施設、設備の充実、貧困家庭の生徒に対する実験実習費の国庫補助等を必要とするから、産業教育振興法とは別に技術教育振興法のごときものを立法して万遺憾なきを期してほしいという、要望でありました。  第七は、公立文教施設の整備についてでありまして北部ブロック地区における気候、交通事情に徴し、公立小中学校の冬季分校寄宿舎の建設、屋内運動場の整備について、国庫負担の道を講ぜられたいこと、僻地集会室の新増築に対する国庫負担予算の増額をはかるとともに、公立文教施設の構造は、耐火構造建築を推進する立法措置を講じられたいということ等でありました。  以上で一般的問題を終り、次に僻地の実情視察に関する報告をいたします。  私どもは、盛岡市から宮古市に通ずる百キロに余る二級国道を山深く分け入り、北上山脈を越えて、この国道のほぼ中間部に位する下閉伊郡川井村の村役場におきましてジープに乗りかえ、さらに八キロ余り渓流に沿った狭く険しい坂路を突破して、箱石小学校の岩田分校に参りました。分校を取り巻く岩田部落は、八世帯三十七人にすぎず、ここに住む人々の大半は木材の伐採を業とし、かたわら狭隘な谷の斜面を切り開いたわずかばかりの田畑により、きわめて貧しい生活を営んでいました。もちろん電燈の設備はなく、倒れかかったトタン屋根のバラック校舎、教師一人に児童三名というこの分校をまのあたりにして、一行はただあぜんとしました。この校舎は木炭倉庫を払い下げて移築したもので、屋根のトタンには古いくぎ穴があいておりますため、雨漏りがひどく、雨天には教室でかさをさすという笑うにも笑えない話も聞かされました。床板は歩くたびに振動してはね上り、真昼間でも目を近づけなければ教科書の文字が読めないほどの薄暗さ、地球儀、教授用の大そろばん、色あせた黒板とベビーオルガンなどが教材のすべてでありました。もっとも図書は少年文庫式の全集物百数十冊がそろっていましたけれども、悲しいかな、ここの児童にはこれを読みこなす力がないという先生の述懐でありました。  赴任後約一年になるという年のころ三十七、八のこの先生は、何となく生気のない面持であり、奥さんは寂蓼感から健康をそこない、目下静養のため東京の実家に帰っているということでありました。しかし、この校舎のすぐそばには、住宅付の新校舎がほぼ完成しかかっており、九月中にはこの新校舎で授業ができる運びであることを聞かされ、私どももいささか明るい気持で辞去することができました。この岩田分校は三級地にランクされておりますが、さらになお相当数の四級地、五級地のあることを耳にいたしますとき、さきのへき地教育振興法の画期的改正により、僻地教育に携わる教師や教育行政の任にある人々にとって、きわめて大きな精神的支柱を加えたとは申せ、日本教育の水準の高揚と教育の機会均等という観点からは、なお幾多の苦難と隘路に直面していることを痛切に感ぜざるを得ないのであります。岩手県のように山また山に囲まれた土地におきましては、その僻地性の緩和のためにまっ先に要請されますことは、一日も早く道路を整備して交通網を張りめぐらすことでありましょうが、これとても莫大な経費を伴う事業でありますから、言うべくして行いやすいことではありません。  私どもは宮古市におきまして、市長及び教育委員長から、次のような陳情を受けました。その一つは、宮古市には既設校舎のうち経過年数四十年に近いもの三十八校、四十年以上七十年までのものは九校で、木造老朽校舎が多く、応急修理も思うにまかせず、改築を迫られているが、財政負担の重圧にあえぐ僻地市町村においてはいかんともなし得ない現状であるから、かねて全国都市教育長協議会からも強力に要望されたように、僻地の特殊性に対する理解の上に立っての、国の特別な高率助成の措置により、教育の機会均等をはかってほしいとの趣旨でありました。その二は、小中学校通学バスの運行に対する国庫助成の道を講じてほしいという趣旨であります。宮古市の重茂地区におきましては、小中学校の児童生徒の通学の便をはかるため、バス会社と特約を結び、通常のバス運行路線以外の地域に朝夕通学バスの運行を実施しておりますが、毎年度このバス運行費の捻出に相当な困難を伴い、一部の特殊な財団法人からの補てんを仰ぐことによって、辛うじて持続している現状でありますが、このような特約による通学バスの運行は珍らしい試みであると思いました。  次に、短期大学及び国立大学について申し上げます。宮城県には県立一、私立六、計七校の短期大学があり、私立のうち四校が女子教育を専門とするものであります。県立の農業短期大学は、旧宮城県立農業高等学校の専攻科を昇格させたものでありまして、昭和二十七年の設置にかかり、上級の農業指導者の養成機関としてきわめて重要な役割を持っておりますにもかかわらず、学生一人当りの経費がかさみ、再建団体である宮城県としても十分なる予算措置がなされず、一時は廃校の声さえもあったということでありまして、公立短大に対する国庫補助についての強い要望がありました。一方、短大の制度の問題として、最初一カ年が教養学科に時間をさくため、あとの一カ年で技術を修得させることは至難であり、結局は中途半端な教育に終るうらみがある。従って就職も芳ばしくなく、ほとんどが自営もしくは農業協同組合のようなところへ落ちつく状態であるから、このことが予算獲得の面にも影響して悪循環を招いているということでありました。このような状態の改善策として、将来高等学校と短期大学とを合せて修業年限を五年とする制度により一貫教育が行われるような改正措置が望ましいという発言もありました。また県知事からは、宮城県としては、将来女子教育を主眼とする県立の高等教育機関を設け、女子の高校卒業者を吸収する必要があるとの意見が述べられました。  私どもは三島学園におきまして、私立短六六校、すなわち三島学園短期大学、尚綱女学院短期大学、昭和学園短期大学、東北福祉短期大学、宮城学院女子短期大学及び昭和三十五年度から四年制大学に昇格を予定されている東北学院短期大学の代表の方々と懇談の機会を持ちました。この懇談には特に東北薬科大学の代表も出席され、私学の立場からそれぞれ意見が述べられました。それらの意見を要約いたしますと、短期大学が女子教育の面において果してきた役割はきわめて大きいものがある。もし戦後、短期大学の制度が認められていなかったならば、おそらく大部分の女子は高等教育を受ける機会に恵まれなかったであろう。その理由は、一つには結婚年齢との関係であり、いま一つは父母負担の関係である。短期大学こそ女子教育を救ったものであり、男女の教育差を縮める役割を果したのである。現在においても女子の高等教育の場として短大制度はますますその必要性が強調されているし、いわゆる専科大学校案に対しては、その法案が成立の暁においては、漸次短期大学を壊滅に導く性質のものである。かりに五年制の技術専門学校が設置されるとしても、短期大学の制度を法文上積極的に恒久的大学として明確に規定する措置が先行すべきであることなどでありました。  なお、男子の短期大学に関しましては、ここでも学力の不足が述べられ、就職の困難性についても語られました。また、東北学院においては近く短大を夜間の四年制大学に切りかえていくということでありました。  岩手県におきましては、県立盛岡短大と一関市の私立修紅短大を視察いたしました。  盛岡短大は二年制の家政科と一年制の家政別科からなっておりまして、食糧加工貯蔵実習室などの設備も完備し、応募者も定員の三倍をこえるというりっぱな学校であります。最近厚生省が栄養士の資格として三カ年の教育を必要とする規定を設けようとする傾向にあるが、短大修業年限と一致しないために短大経営者当局に不安をもたらしていることが仙台においての懇談の際にも話題となったのでありますが、当盛岡短大の学長からは、文部省の指定する学科と同一内容を持つ学科でありながら、厚生省では別の呼び名をつけておる学科が相当数あり、これらを重複学習することは何の意味もない結果となるから、願わくば両省の共同省令の形ででもこのような不便を解消してほしいとの意見が述べられたのであります。  修紅短大では、学長及び教授並びに一関市教育関係者をまじえた懇談の機会を持ちました。短期大学における二カ年という期間は、女子教育には最も適当な修業年限であって、短期大学はひとり技術的な教育ばかりでなく、特に女子教育においては将来主婦としてまた母としての教養の基礎を修得させるための高等教育機関としての大きな意義を持っておるから、大学のワクの中に残しておくべきものであるという意味意見が学長から述べられました。この短大は創立日なお浅いにもかかわらず校舎その他の施設、設備も相当に充実しつつあり、将来この地域の女子高等教育にもたらす効果は少からぬものがあろうと期待されました。  以上が短期大学についての報告でありますが、仙台市におきましては、昨年一月に施行されました仙台都市計画下水道受益者負担に関する省令に基く条例により、学校法人、宗教法人も坪当り九百八十円の割合をもって下水道建設費用の負担金を徴収されることとなり、この計算によれば、たとえば東北学院においては総額百万円以上を支払うこととなるので、私学経営者は一大恐慌を来たし、昨年来、全国私学連合会を通じて陳情しているとのことでありまして、この問題は、公益法人である私学や寺院にとってはゆゆしい問題であると思われますので、特に取り上げて報告申し上げる次第であります。  次に、岩手大学について申し上げます。この大学は盛岡農専、同工専、岩手師範などを統合して、昭和二十四年に農、工、学芸の三学部からなる新制大学として発足したものであります。  ここでは、学長から旧制大学と新制大学の差別取扱いについて、研究費、大学院設置、研究所設置等の問題があげられました。すなわち研究費については、旧制大学の三分の一にとどまっているが、これは各国立大学へ平等に割り当てた上、大学院を持つ大学に対してはさらにアルファを増加することが公平であろう。大学院の設置については、学部の大学院を設けるばかりでなく、学科の大学院を設けるように措置し、そうすることによって地方大学の特色を生かしてほしい。岩手大学の場合ならば農学部の獣医学科に大学院を置いてほしい。研究所にしても、新制大学には置かないというような差別を撤廃してほしい。また、東北及び東京の有志によって昭和二十六年一月に創立された東北開発研究会は、国土総合開発の趣旨をもって不断の研究を続け、機関誌東北研究は毎回二千部の発行部数を持ち、すでに九巻五十号十万部に達し、貴重な科学研究成果を発表するとともに、東北ブロックの地方行政に寄与しており、現に会長は東北大学学長、副会長は岩手大学学長が推され、東北各県の大学教授を網羅しているのであるが、これに対する国の補助は毎年の申請にもかかわらず、いまだ実現の運びに至らないのはまことに残念である。研究所とまでは困難であるとしても、せめて研究施設なりとも持てる程度にしてほしいものであるという強い要望がありました。なお、仙台市におきましては、国立大学教官待遇改善連合懇談会の当番校たる東北大学から、この会の事務局長中林教授ほか数名の教官が私どもの宿舎を訪問されて、国立大学教官の待遇改善について熱心な陳情がありました。その趣旨は、学術の基礎研究並びに科学技術の専門教育の振興に専念し得るよう、また新進気鋭の優秀な研究者を大学に確保し得るよう、大学教官全般の俸給を司法官と同等以上に引き上げるとともに、大学院担当教授にはその職務内容に応ずる特別の措置をなし得るよう配慮してほしいという内容でありまして、昭和三十四年度では大学院担当教授の手当七%が認められたが、当面の問題として、これが増額と、助教授、講師への手当の拡大をも考慮ありたいということでありました。ちなみに、この会の構成は北大、東北大、東大、一橋大、東京工大、東京教育大、名大、京大、阪大、神戸大、広島大、九大の十二国立大学からなっております。  次に、文化財について申し上げます。宮城県におきましては特別名勝指定を受けておりまする松島と、最近工業設備と港湾整備によって本県産業のため重要視されるに至った塩釜港との関係が大きな問題として取り上げられております。すなわち、この塩釜港は松島全体としての名勝指定の中に包含されており、たとえば、すでに建設されている発電所の煙突など著しく美観をそこなうものとして文化財保護の立場から教育委員会としては現状変更に反対立場をとっておりますけれども、県下の産業開発の、面からは最小限の現状変更もまたやむなしとする意見も強く、すでにそのつどの申請によってある程度の変更が実施されております。これら両者の相いれない矛盾をいかにして調整していくかということは、今後に残された問題であります。このほか本県では瑞巌寺を視察し、目下計画中の防災施設について詳細な説明を聞きました。  岩手県におきましては、中尊寺金色堂の防災施設について、その実演を見学いたしました。お堂の右側と背面に噴水式水幕が張られ、左前方からの放水と相待って瞬時にして堂全体を包むこの装置によって、外部からの火災は完全に遮断し防御することができるそうでありますから、内部からの火災でない限り安全でありましょう。中尊寺に残る国宝重美の類は去る二十九年に完成した収蔵庫、讃衡館におさめられてありまして、この建物は鉄筋コンクリートの堅牢なものでありますから完全に保存されていると思われます。しかしながら、建立以来すでに八百五十年を経過した金色堂自体は、乾燥のために脱落したウルシの部分から侵入する虫によって蚕食され、きわめて危険な状態に陥っているそうでありまして、早急に修復の要に迫られているのでありますが、これを解体することはかえって崩壊の危険もありますため、薬品による燻蒸等の措置によって、まず蚕食を食いとめ、しかる後に根本的修理を施すべきであり、この件について国の援助を強く要望する旨の陳情がありました。  次に、特別名勝「毛越寺庭園」及び特別史跡「毛越寺跡」の保存施設工事について申し上げます。  この庭園と史跡とは、平泉町が毎年若干の予算を計上してその維持保存に努力してはおりますものの、その荒廃の程度が著しいために、庭園だけにつきましても、これを往時の姿に近づけるように修復することは容易でないばかりでなく、再建団体である町の財政をもってしてはとうてい及びがたいことであり、毛越寺にもその資力が乏しいため、年々荒廃の度を深めていく状態であります。  文化財保護委員会からは、これが保存工事施行の第一年度分として、本年度の国庫補助三十万円の内示があり、同額の地元負担と合せて六十万円となるのであるが、広大な地域に及ぶ史跡名勝の維持、保存、修理、復旧の万全を期するにはあまりにも少額に過ぎるから、本年度の国庫補助をせめて五十万円に増額し、明年度以降も継続して国庫補助をお願いしたい。さすれば、これに見合うところの地元負担については、苦しいながら何とか捻出する用意がある旨の熱心な陳情が平泉町当局からなされました。  以上をもって文化財関係を終り、最後に岩手県水沢市にありますところの文部省直轄の緯度観測所について報告いたします。  この観測所は、緯度の観測に基いて北極の移動を推定したり、国境の変化の状態をも研究するなど、きわめて地味な分野の仕事を担当しているのでありますが、世界的に有名な観測所であります。その勤務は昼夜を分たぬ天体観測という緻密な連続的作業でありまして、しかも相当に高い能力を必要とするとのことでありました。昭和三十四年度の予算総額は二千六百万円でありまして、運営面におきましては、格別の支障はないが、ただ人員については、目下の定員は非常勤労務者を加えて四十三名でありまして、これではどうしても手不足であり、理想的には六十名を必要とする。さしあたり高等学校卒業の技術者二名の増員について数年来申請を繰り返してきているが、いまだ実現に至らず、飛躍的に増大しつつある作業量に対して、このような人員をもってしては相当苦痛を感じているという、所長の述懐でありました。  これをもって今回の調査報告を終ります。
  58. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 右報告に関して文部省並びに文化財保護委員会に質疑がございますか。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今、両委員報告を聞きましても、教育界には相当問題があるようであります。これは今始まったわけではないわけで、特に老朽校舎の問題ですね、それからすし詰め学級の問題、これは従来から当委員会で非常に問題になっておった点です。それが来年度からは中学生が非常にふえるということになります。こういう問題について、私は資料要求をしておきたいと思います。老朽校舎が今日なおどの程度あるのか、それから中学生が来年度から相当急激にふえるという状態、どういうふえ方をしているのか、それからすし詰め学級の現状、これの資料と、それからこれに対する対策ですね、どういうふうに今後対処していくか。これは年次計画を立てておられるなら、その年次計画をお示し願ったらいい、こういうふうに思うのです。これらの問題について質問する時間もないように思いますから、きょうは資料の提出を、今度開かれる文教委員会に御提出を願いたい。特に予算編成期ですから、いろいろ資料も整備されておると思いますから、次の文教委員会に出していただきたい。  それからもう一つは、今の報告にもありましたが、僻地教育の振興ですね、これは前の国会で、自社両党で僻地教育振興法を修正したわけです。相当法律の上ではよくなっておるわけなんですが、しかし、実際的効果は上っていないのじゃないかという心配を私はしているわけなんです。僻地教育の振興対策ですね、そういうものについても、方針というよりも資料として出してもらいたいと思うのです。  それから私は、文部大臣がかわられたのですから、まあ通常国会も開かれておりませんから待っておったのですが、やはり予算編成を前にして、どういうところに松田文政は力を入れてやるのかという点を聞いておきたいと思うのですよ。私は教育界の問題で、今も報告にありましたが、教育費が地方財政の中に占める比率というものは非常に高いものがある。時に経済的に貧困な府県においては、非常にこれの負担が大きい。これは教育費が相当かかるということは当然な話ですが、しかし、地方の財政の実態からいって、相当高いものがある。そういう点から国庫負担を増額するという問題を特に私は、この際考える必要があるのじゃないか。現在は教職員の給与の五割を負担しているのですが、これを八割にふやすとか、そういうふうな画期的なことを考えてもらいたいというふうな要望を持っているのですが、これは要望でありますが、やはりできれば次回に、予算編成の時期を控えておる関係上から、松田文部大臣としてどこに文教の政策の重点を置くのか、そういう点を次の機会に明らかにしてもらいたいということを要望いたしまして、質問ではありませんが……。
  60. 宮澤喜一

    説明員宮澤喜一君) ただいまの荒木委員の要求の資料につきましては、次回の委員会までに調製をいたしまして当委員会に提出をいたします。  なお、昭和三十五年度の予算編成につきましての御要望、御意見につきましては、たまたま大臣がこの席に間に合いかねておりますので、御要望並びに御質問せられるでありましょうところの御趣旨につきましては、大臣に申し伝えまして次回に御要求があれば御答弁をいたすように準備をいたしたいと思います。
  61. 松永忠二

    松永忠二君 だいぶおそくなりましたので、私は文化財の問題だけについて、この際やはり聞いておきたいと思います。  ほかの関係の方にお願いをしたのでありますけれども、時間もおそくなりましたので、また次の機会に一つ譲って、大へん御迷惑でありましたが、そういうふうにしていただきたいと思います。  そこで、文化財について今具体的に私たちの見たものについても報告をされているわけでありますが、熊野の速玉神社の朱塗御神幸用船でありますけれども、これは重要文化財として指定されておるというのでありますが、これが現実には神事に使われて、しかも熊野川にこれが祭典のときに浮んで、そうしてこの川を神体を乗せていろいろと移動をするというようなことなんですが、話によると日本の国で三つしかない一つの船であると。竜頭鶴首というものをしつらえた重要な文化遺産であるという話を聞いているわけですが、こういうものについては文化財保護法によっても規定をされておるわけですけれども、どういうふうになって今まで来ているのか。まあ時間も非常に短かいので簡単に一つ。こういうものについてやはり国が管理をすることについて法律に基いているやり方を実施をしていったらどうだろうというふうなことを考えるのですが、何かそういうことができない理由があるのか、その点を一つ簡単にお答えを願いたいと思うのです。
  62. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 熊野の速玉神社の今の御神幸用船の問題についてでありますが、ずっともうよほど背から毎年のお祭りにこれを使っておったのでありまして、これは文化財には指定してありますけれども、宗教儀式にこれを使うという慣例になっておりまして、それを絶対にいけないといってとめるわけにも参りませんので、これは従来の慣例によりましてその船を使っておるのでありますが、今仰せのごとく、管理上に非常に影響がある、文化財の保存に影響があるということであるならば、これは保存に必要な措置を講ずるように指示するということもできるわけです。実はその問題は、別にまだ県からも地元からも話がございませんでした。実はきょうの御報告によりましてそのことを知った次第でありますので、直ちに事情を調べ上げまして、もしそれが現在使っていることが保存上非常に影響があるということであるならば、適当に保存対策を講ずるように何らかの措置を講ずる、あるいは場合によりましてはどうしてもそれが使ってこわれて困るというのでありますならば、それの模造品のようなものを作りまして、それを使わせるというふうなこともできるのでありますけれども、まあそれにつきましては、相当経費もかかると思いますのでまだそこまでいっておりません。いずれにいたしましても、これは一つよく事情を調査いたしまして、文化財の保存に差しつかえないように考究いたしたい、かように考えます。
  63. 松永忠二

    松永忠二君 このことについては、すでにこの速玉神社の宮司ですか、それから教育長それも一緒に同行したのでありますが、こういう点については相当やはり長くから要請をしているということであって神社自身もこれを使うということを希望しているわけでは決してないわけです。ここにも出ているように、現実にはたの者が非常に、このまま使えば全く破損してしまうという状態で、朱塗等も徳川時代のもので再びできないということもわかっているので、やはりこれは管理保存ということに保護的にも規定をされていることであるから、できるだけやはり早い機会にこれはかえのものを作って、そして神事に……向うもそういうものを使ってしかるべきだと考えているのですから、直ちに一つ調査をして実施をしていただくという方向に努力をしていただきたいと思うわけです。まあそういうお話がありましたので、その点は一つそういうふうに御配慮願いたいと思うのであります。  それから高野山の問題でありますが、特別防火災計画というものが樹立をされて、昭和三十八年までに第一次計画を完了せられるというふうなことを決定をしたというのが……まあ予定をしているというお話を聞いているわけです。しかも予定をされている場所が京都、奈良、日光、姫路というふうに予定をされているというお話を聞いたわけです。これは高野山を私たち見て回って、現実に今お話しのように、非常にたくさんな国宝や文化財が、総合調査によって今後も発見をされてくるという話は非常に多い。それのみでなくて、高野山の今までの災害というものは、ほとんど天災でなく火災になっているというような状況から考えてみても、しかも、一山非常に散在した重要文化財があるということからいっても、特別防災地区などとしては最も格好な所であるし、当然指定に入るべきものだというふうに、われわれも実際行って見て考えるし、姫路のように、たった一つの、一カ所の城ということではなくて、相当やはり広範囲の地域であるので、京都、奈良、日光などに匹敵するような地域だ。私たちも、決して、単に高野山の陳情というものを受けているとか、あるいはこれをただ見たからということだけでなくて、やはりそういうものがあれば、当然高野山等も特別防災地区として計画的にこれを実施をしていく必要があるとわれわれは痛感をするわけなんです。これについてはどうなっているのでありますか。
  64. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 防災施設の方は、従来比較的に簡単な施設、たとえば警火装置、あるいは警報装置、あるいは比較的簡単な防火水槽——貯水池ですね、そういうようなものとか、消火器とか、そんなようなものを備えつけることが多うございまして、相当進んだドレンチャーとか、あるいは消火栓とかというものを作ったものもございます。全般的に見まして、いずれも不十分なことが多く、これを全体の文化財につきまして全部完備したものを作ることが非常に望ましいのでありますが、一ぺんに全部それができませんので、今までに年々計画でやっております防災施設を一般防災施設と申しますならば、特別な防災ということで、完全に自家防災、消防ができるということで、特に場所をあげまして、これを四カ年計画くらいでやってみよう、第一期といたしまして。こういうことを計画いたしまして、これは防災施設の中の内訳でございまして、予算上は目の中の内訳にすぎないことになっております。これは、一つは、観光施設の五カ年計画というものがございまして、観光施設の整備の方から関係省が集まりまして、内閣で、観光事業審議会の方でいろいろ検討いたしております。その中で、文化財関係といたしましては、特別防災施設というものを入れてもらったのであります。これは非常に外人がたくさん集まるところで、非常に観光客が多くて文化財がいたみやすいという所をとりあえず選びまして、お話のごとく、京都、奈良、日光等を選びまして、第一期——来年から四カ年、これには、できますことならばドレンチャーとか、あるいは防火壁とか、また専用水道、あるいは場合によっては消防、それぞれ環境に応じまして必要な、完全な防災施設を設けたい、こういう趣旨でございます。それで、お話の高野山の方は第一期の中に入っておりませんが、実は第二期の中で考えている。高野山の方からも話がございまして、第一期の方に入れていただきたいということでございましたが、高野山の方ではただいま建設中の収蔵庫の方のこともございますし、いろいろ予算的に第二期の方に入れたのでございます。決して高町山の方が必要でないということではありませんで、高野山といたしましては、どうしてもこれは特別防災施設の完備というものが必要であるということは認めております。しかし、ただいま四カ年の中には入っておりませんので、これは実施の上で多少変更も出て参ると思いますが、その際に高野山の問題は十分考えまして、できるだけ早く完備した防災施設を設けたい、かように考えております。
  65. 松永忠二

    松永忠二君 もう一点。大体、今の御答弁でぜひ一つ、今後実施の際に変更の機会があれば特に考慮してほしいということをわれわれも考えるわけです。  それからもう一つは、やはり文化財の話が出てきていますが、きょう新聞に出ております奈良のユネスコ協会から、武力紛争の際に、文化財の保護のための条約、これに対する批准を促進しなければというようなことが、奈良のユネスコ協会が中心になって批准促進の運動が始まっているということですが、これについて記事等を読んでみると、明年の一月に会議があるというようなことで、日本としてはオブザーバーとして出席をするということであるけれども文化財委員会としてはこれは非常に切望しているところであるのに、外務省や大蔵省、特に防衛庁等から相当異議も出てきてなかなかまとまりかねているということが記事として出ているわけです。まあ、非常に適切なものであって、しかも、なおかつ十何カ国が批准をしているし、日本自身も批准を非常に希望しているというようなことであるので、これについて一体実情はどうなのか、今後どうしてこの問題を解決するのか、この点については次官からも——こういうふうな問題はやはり文部省としてもう十分に考慮して関係方面と折衝をされているのかどうか、まず次官の方からこの問題についてお話を伺いたい。
  66. 宮澤喜一

    説明員宮澤喜一君) 詳細なことは後ほど所管局長から御答弁を申し上げますが、実はその条約の批准の問題につきましては、文部省としては従来研究を続けて参ったようであります。そこで、具体的に私ども、これを政府の態度として決定しかねておりますのは、条約案に述べております文化財保護の趣旨というものは、むろんこれには私どもとして異議はないのでありますけれども、必要としております条約に盛られましたいろいろな条件が、わが国の場合にそのまま持って参りますと、かなりきついと申しますか、相当に実行がむずかしい点があるようでございます。たとえば、文化財のある周辺何キロメートル以内に汽車の停車場があってはいけないとか、つまり戦争あるいは武力紛争の場合に爆撃なりなんなりの対象になりそうないろいろな意味での危険物をなるべく文化財の近くに置いてはならない、置かないようにしなければならない、こういったような規定があるようでありまして、これが米国でありますとか、あるいはソビエト・ロシアでありますとか、非常に国土の広い国にありましてはそういうことがそんなに苦労なく可能でございますでありましょうが、わが国のように国土が非常に狭く、しかも文化財が非常に多い、歴史が長くて領土が非常に狭いという国におきまして、文化財の周辺に鉄道の駅があってはならない、あるいは民間の火薬庫炉あってはならない、火薬の工場があってはならない、そういういろいろな条件を現実に条約の文面通り満たさなければならないといたしますと、これはよほどたくさんの予算をかけて、たとえば駅を移しますとか、あるいは民間の火薬の会社をどこかへ移転せしめる——条約に盛られておりますところの条件と申しますか、リクァイアメンツと申しますか、そのままわが国に適用いたしますと、現実にはなかなか適用が困難であります。私、この間事務当局に申しましたことは、わが国と比較的似たような条件にあります国、たとえばイタリアなど、あるいはギリシャなどが似たような条件にあるのではないか、そういう国がどうしておるかということを一度調査してほしいということを実は申しましたのですが、そういう問題について一ぺん条約を受諾、批准いたしますれば、求められておることは誠実に行わなければなりません。ただいまのわが国の置かれました自然の条件並びに国の財政ということから考えまして、これを受諾してその通り誠実に行えるかどうかについてなお検討余地がある。条約に命じておることはまことにもっともでありますし、また奈良地方からそういう要望が出ることは一向に不思議ではないのであります。一応そういうような問題であるというふうに私承知をいたしております。詳しくは文化財の事務局長からお答えいたします。
  67. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 大体政務次官からお話申し上げた通りでございますが、なお技術的な問題といたしまして、ただいまお話のありました特別保護の文化財をパリにありますユネスコの本部に登録いたすのであります。これは特別文化財として、戦時には加盟国が文化財を必ず守る、こういう約束をするわけであります。その登録の際に、たとえば特別文化財から千メートルあるいは二千メートルの間に、軍事施設はもちろんのこと、工場その他重要なる幹線道路、主要な停車場、放送局、つまり軍事目標になる施設を設けないということを約束しなければその登録が無効になりますので、そういうことをいたしますには一体何メートルの距離を置いたらいいかということで、関係省とずいぶんこれは折衝いたしております。関係省も、趣旨は非常に賛成でありますけれども、なかなかその条件がむずかしい。あるいは補償の問題もある……その間にあります施設を移転するとか、いろいろ補償の問題も起りますし、将来設置の制限をするには問題も起ります。もう一つは、何メートルにするかということにつきまして、よその国の例を調べたいということで、実は外務省を通じまして、あるいは文化財委員会みずから相当よその国の例を調べましたけれども、各国とも実は何メートルということをきめていない。批准した国がすでに二十八カ国ございますが、その二十八カ国全部が、条約を国会に出しましてそうして国会の同意を得ましてその批准の手続をしておりますことは承知いたしております。私どもの方も、そういうこまかい点がきまらないで、条約だけを国会に提出いたしましてその承認を得ることが可能ならばそれでもいいのでありますけれども、外務省などにおきましては、条約だけの批准のしっぱなしでは困る。必ず実施に必要な法律案を同時に用意してそうして国会に出しまして法律案の審議と、条約の批准案と両方同時にしなければ、条約案だけの批准はしないのが日本の昔からの慣例だから、そういう特例はできない。そういうことでありますので、従って外国の例が果してどうなっておるかということをよく調べませんというと、日本だけ五百メートルとか千メートルにいたしましても効果がない、さようにむずかしい点がございます。そこで、来年の五月か六月ごろにこの問題に関する国際会議がありますので、その際に日本もオブザーバーとして出席いたしまして、外国の例などをよく調べましてそうしてそれによりまして、それを参考といたしまして立案いたしまして、すみやかに条約案を批准いたしたい、かように考えております。
  68. 松永忠二

    松永忠二君 大体わかりました。なお、私たちの方でもよく一つ勉強もしていきたいと思いますので、この資料をやはり出していただきたいと思うのです。  それからもう一つ、高野山あるいは伊勢神宮等を回って見ても、その他にしてもそうでありますけれども、相当重要文化財を持ち、なおかつ名勝自然の風土としても非常に価値の高いようなものについて、やはりこれを単なる社寺というような一つのものにまかしてこれを保存をしていくということは非常に困難だということをわれわれ痛感しておるわけです。ある程度限度にきておるのじゃないか、だからこういうふうな広大な文化財の保存をしていくのにはやはり……ここに法律を見ると、第三十五条に、非常に管理困難な場合については補助をするという規定が明確にあるので、何らかこういう補助のことを考えていくとか、あるいはもっと条章を調べていくと、三十一条ですが、管理についていろいろな方法等を講ずるということについても、文化財保護委員会が積極的にこれを指導したりすることができるようになっているようであります。こういう点についてやはり十分な検討をされる必要かあるし、またまあわれわれあると思うのですが、こういうことを手をつけておらぬのかどうか、やはり個々の文化財を保存するに忙しくてそれどころではないのか、やはりこういう点について非常に不十分なので、このままでは今までせっかく残っておる文化財、あるいは今後おそらく作り得られないと考えられるような文化財を含んだ自然の名勝というようなものを含めての保存というようなことについて積極的な対策というものを出されてもよいのではないかということをわれわれは感ずるわけなんです。こういう点については、委員会の方ではどんな見解をお持ちになっておられるのか、この点をまあ最後にお聞きしたいと思う。
  69. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今のに関連して……、あとでもう一件尋ねたいのですが、前回文化財保護の問題で質問しておったのですが、きょう視察に行かれた委員報告は、微に入り細にわたって非常に詳しいものがあるのですが、私はその報告を聞いておってたとえば文化財保護委員会において長期の文化財保護の計画というか、方針が樹立されて、今年度は早急にここに問題があるのでここを視察する、こういう角度に立って文化財の視察が行われていないような気がするのです。そこで、次回までには指定されておる文化財の全体の資料、あるいは現在すでに日本全体における文化財の保護の長期計画があるならば簡単にその点も松永君の答弁の際に触れてもらいたいし、ないとすれば指定されておる資料と同時に、前回も私が言いましたように、地方自治体で推進してきたものだから地方自治体が適当にやりなさいということでなくして、国の文化財保護委員会としての一応の、地方指導助言する方針の資料を次回ぜひ出してもらいたい。この点がすでにきまっておるならば、松永委員に対する御答弁と一緒にあわせて御説明願いたいと思う。
  70. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょうど五時にもなりましたものですから、議事の進行を急ぎたいと思いますので、局長、的確に、簡潔に一つお願いいたします。
  71. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 文化財の問題につきましては、もちろん無計画にやっておるわけではございません。これは数多くの文化財のうちで特に非常に破損しておる、あるいは荒廃しておるというものを取り上げまして、その緊急の度合いをつけまして、緊急なものから逐次保存修理をいたしております。それは年々の計画もございますし、また全体の文化財というわけじゃございませんけれども、ある期間を見通した修理計画もございます。御必要ならばまた資料も差し上げたいと思いますが、どうしてもほうっておけない、ほうっておけばいたんでしまって元も子もなくなるというものから緊急の度合いに応じまして、もちろんこれは予算の関係もございまして、予算が十分ならばそんなにぼろぼろにならなくてもどんどん修理できるのでございますけれども、予算が十分ございませんために相当こわれてからやっと修理を始めるというようなのが多うございます。これは私ども将来大いに努力いたしまして、予算をもう少し多くいたしたいと思います。こういうことでございます。まあ大体にきまして文化財の管理、修理の責任は、これは所有者が責任があります。所有者が適当でない場合は、適当と思われる市町村等身管理団体に指定いたしまして、その責任においてやることになっております。それに対しましては、あるいは建造物、あるいは美術工芸品等によりそれぞれ場合によって違いますけれども、五割から八割、場合によりましては八割五分程度の補助金を各個の状況に応じまして支出いたしております。決して無計画にやっておるわけではございません。
  72. 松永忠二

    松永忠二君 私の言ったのは、やはりこの高野山なら高野山という、あれほどたくさんの建物が……。
  73. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  74. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  75. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) それは高野山にまかせているわけではございませんで、今言いましたように、各種の文化財につきましてはそれぞれ建造物あるいは美術工芸品という面から相当の年月を見通して修理計画を立てております。決してまかせておるわけではありません。ただ、それを直接それじゃ国の管理にしたらどうかという御意見も出ると思いますが、これは先ほど言いましたように、すべて所有者、管理者あるいは管理団体が経費を出して管理する。もちろんその計画を立てます際には、私どもでは十分全体的な見通しを立てまして所管官庁と一緒になりまして計画を作るわけでありまして、直ちに全部国家管理というわけには参りません。その点で所有者、県、それから文化財保護委員会、そういうものと話し合いましてそれによってプランを立て逐次修理をするようにいたしていきたいと考えております。
  76. 松永忠二

    松永忠二君 それは僕の言ったのは、そういう工合にやっているというお話だけれども、建物は建物、あるいは仏像は仏像だということでやっているのだというお話だけれども、実際それをやっているのは大体金剛峰寺というのが中心になってやっている。しかも管理をやっている人たちは同時に宗教をやっている。だから、管理をするための委員会をこしらえて現実に今高野山にある文化財管理の委員会に補助金を出してやっておられるのかどうか。私たちは別途にやはり管理は管理としての委員会を作って、その管理計画を立てて、あるいは国の補助金を出して、向うの寺院の人も入って、そこに公正な管理委員会を作って計画的にやるとかいうようなことをやらなければ、あの広大な面積を持っている自然と、しかも文化財を含んだものが、今後一度破損されてしまったら二度と復元できない現状の中では、こういったところがやはり至るところにあると思う。  もう一つ、やはり文化財保護法という法律を作ったときにもそういうことを考えられて、幾分そういう面に当る条章があると思うので、それをやはりもう少し拡大をするとか、充実するような方法をとれば、そういうこともできるのじゃないかということを考える。あなたのおっしゃったように、ただ個々にその文化財を別に無計画にしておくわけではないし、計画的に修理保存の方法等も考えているのだというお話は一応わかるわけでありますけれども、しかし数千数万もの、しかもあれはどのくらいの坪数があるのでありますか、あれだけの坪数の自然のもの、それらのものを含めた一つの要するに重要な文化財だと思うので、それを宗教を兼ねているものに宗教を行いながら、しかもなおかつ管理の責任をも全部持たせていくというやり方については、万全の措置ではないのではないか。何か別の方法等も今後検討していくべき必要があるのではないかということを申し上げているので、そういう点については、やはりまだその域に達していないというのか、必要がないというお話なのか、そういう点で御意見を聞いたわけです。
  77. 相馬助治

    委員長相馬助治君) お答えにはもう時間も時間ですから、簡潔にお答え願いたいのですが、なおこの文化財の問題については、基本的に重大なこともありますので、いずれの日か一日とって、ゆっくり文化財のことについては聞きたいと思っております。しかし、今の質問のあった点については局長から一つお答えを願いたいと思います。
  78. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 御質問の御趣旨はわかりました。確かにそういう計画の必要もあります。実は昨年からやっております高野山の総合調査ということもそういう意味合いからやっているわけでありますが、さらに総合的な問題について、高野山の全体の問題と宗教の問題等見通しまして、今後どうやっていくかということのプランの必要性は確かにございます。お話の点、十分に一つ研究いたしていきたいと思います。
  79. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 委員長の今の議事進行に関する発言もありましたし、次回にこの問題については時間をかけて取り上げていただくということで、簡単に当面しておる問題だけを聞いておきたいと思います。というのは、前回委員会のときに私が質問しておりました福岡城地あるいは鴻臚館跡の問題ですね。その後新聞でも御承知のように、県教育委員会がいろいろ努力したけれども、やはり文化財保護委員会は現在の県教育委員会の方針のもとでは文化財保護の責任が持てないというので事態が解決しないで、知事にあっせんを頼んだけれども、なお知事は現在のような状況の中ではあっせんできないと断わって行き詰まっておる。そういう中に、前回も私が注意を申し上げておったことが再び起っておる、というのは、福岡大学の中の薬学部が、現状変更ということでなくして改造という名目のもとに、ガス管や水道管を動かすためには下を掘らなければならない、こういう工事に着手して、このことも旧文化財保護委員会の中で問題になって、再びこういう事態を惹起しておるようなことでは慰留に応じられないという問題が起っておるのです。まず第一番には、この福岡県における文化財専門委員全員辞職の問題についてその後文化財保護委員会としてはどういう指導助言をされてきたかという問題と、福岡城址の木造建築の福岡大学が薬学部として発足する目的をもって辻組に大体二千数百万の経費を投じて改造という名目のもとにいろいろ工事にかかっておる。この問題についてどう処置されたか。  それから、時間がかかりますので、最後に総括的な要望ですが、先ほど申し上げましたように、文化財はずいぶん多いと思いますけれども文化財保護の具体的な大綱といいますかその方針並びに資料を早急に出していただいて、しかるべき時期の委員会の際に十分に説明できるようにしていただきたいと思います。
  80. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) まず、福岡県の文化財専門委員会委員の辞職の問題でございますが、これは、かように委員が総辞職いたしましてそうして専門委員会が事実上なくなったということはきわめて遺憾でありますので、私どもといたしましては、前の委員会はすでに任期が切れたということでありますので、とにかく早急に新しく委員会を設置するようにということを督励いたしております。先般も局長が参りましたので、その点は特に申し上げておきました。県でも、取り急いで、前の方に復職願うか、あるいはそれがどうしても困難ならば新しい方にお願いするという考え方で至急に文化財委員会を作るようにいたしたい、かように言っております。  それから第二番目の福岡大学の薬学部の設置の問題でありますが、これは、当初大学の方の話によりますというと、別に現状変更というものではない、薬学部を作ることによりまして教室を多少模様がえするのだ、用途の変更であるというようなことでありましたので、そういうものかと思っておりましたところが、その後いろいろ調べて見ますと、やはり教室をたとえば床とか板などを鉄筋にする、コンクリート張りにするということでありますので、そういうことでありますならば、これは当然現状変更になるのではないかということで、その点は特に県に注意いたしておきました。ところが、一昨日でありましたか、学校の方が工事に着手したということでありまして、これは大へんなことだということで、直ちに県の教育委員会に工事中止の命令を出すようにお願いいたしましたところ、先ほど県の教育委員会から電話がございまして、学校当局でも要請に従って工事を中止したということでございます。これは、認可するかどうかは、福岡大学の薬学部の設置を大学学術局の方で認可するかどうかということに関連いたしておりますが、その方ともよく打ち合せまして、果してその必要があるかどうかということを見きわめましてそうして許可すべきかどうかということを決めたいと、かように考えております。
  81. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 答弁の前に、局長、答えがどうも私的確でないと思うんです。まことに委員長からこういう質問では恐縮ですが、議事進行上お聞き願いたいんですが、豊瀬委員から前々から指摘しているのは、そういう不幸な事態でどういうふうに指導しているか、こういうことを質問していたところが、またまた不幸な事態が生じている。そういうことに対して文化財保護委員会で積極的に何らかの手を打たないのか、こういうふうな積極的な要望を含めての質問だったんです。事態はどうなっているかということじゃないのだと思う。ですから、それらについては、案があるならある、ないならないで確信のあることでお答え願わないと、質問した委員が満足しないで反復質問してくるようになると思うので、その点一つ十分御注意になって御答弁願いたいと思います。
  82. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体私が再質問しようとした趣旨を委員長が言ってくれましたので、簡単に言いますが、第一の問題は、新しい委員を任命しようとしても、実質三十数名の委員は全部やめて、新たに任命しようとすると困難をきわめているというのが現状です。従って、根本問題は、県教育委員会文化財保護に対してどういう基本的な考えを持つか、あるいは従来の考え方をどう変更してくれるかということにかかっているんです。この点について文化財保護の立場から慰留するとかどうするとかいうことでなくして、どういう指導助言をされたかということを聞いているんです。  それから薬学部の設置の問題については、私も現地を視察して、これは改造ではない、こういう判断に立ちましてそれぞれの市県当局の方に、先ほど文教委員会でも問題になっておるのだ、こういう改造をしては困る、ということを注意をいたしました。それでそうなったかどうかは知りませんけれども、今局長のお話によると、地方から連絡があってそのことがわかったということで、文化財保護の立場から先ほど注意を喚起しておったにもかかわらず、今回まで、設置はなるほど大学局の問題でしょうけれども、福岡城址の文化財保護という立場に立ってあなた方が薬学部の改造についてどういう措置をとってこられたかということを聞いているんです。
  83. 岡田孝平

    説明員岡田孝平君) 初めの方の問題でありますが、文化財委員が全員辞職したということは、これは非常に遺憾なことでありますので、できる限りその翻意を求めまして、そうして再びその職にとどまってもらうようにということをお願いいたすのが筋でありますので、文化財委員会といたしましては、できる限りそういうふうにしてもらいたいということをたびたび申しております。ことに、もし県の教育委員会の方といたしまして反省すべき点があるならばそれは十分に反省いたして、そうしてかような問題はできる限り一つ円満に解決するようにということはたびたび申しております。けれども、最近の状況ではそれもなかなか困難である、あるいは新しい委員にお願いしなきゃならんかもしれんということでありますので、どうしても困難ならばそれはまたやむを得ない。いずれにいたしましても、一つできるだけ早く委員会を組織するようにと、かようなことを申しておるわけであります。  それから、あとの問題は、先ほど申しました通り、薬学部設置に関してではありますけれども、現状変更ではない、単なる校舎の中の模様がえの程度であるということでありましたので、その程度ならばこれは現状変更でないから大した問題でないと、かように考えておりましたけれども、ただいまお話がありました通り、これはコンクリート張りにするとかいうことになりますというと、これは現状変更になりますので、そういうことならばこれは一つ許可すべきかどうかということはよほど慎重に現場を取り調べましてきめなければなりませんので、その点、大学の方と十分相談いたしましてこの問題につきまして是非をきめたいと、かように考えております。
  84. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  85. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を回復して下さい。  それでは両委員報告は財政の問題、教育行政の問題、文化財保護行政の問題等を含めて非常に広範な問題で、これに関連して当局にそれぞれ質問がいまだあると思いますが、時間の都合上これを次回に回します。ただ、報告書はかなり詳しくありまするから、文部当局におかれては両委員報告書をよく検討されて、それぞれ一つこれが実現のために御努力を特に次官に向ってお願いをしておきます。  最後に一つ、私からお願いしておきたいと思うのですが、町村合併問題に伴って栃木県の寒川中学というところで、同盟休校が起きて、その同盟休校をした学校自身が、教員をみずからの力で集めて学校を経営しておるという問題があるのです。これに対して、県教育委員会等も県議会等も、あっせんをいたしましたけれども解決をしないのです。  そこで本日、文部大臣に向って地元より陳情書が出ております。で、私といたしましては、この関連する問題も重大だと思うので、特に二十三日に専門員を帯同してこれを一応調査して参りたいと思っておりますので、一応御了解を願っておきたいと思います。  本日はこれをもって散会をいたします。    午後五時二十八分散会