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1959-10-12 第32回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月十二日(月曜日)    午前十時二十八分開会   ————————————— 十月一日委員森八三一君辞任につき、 その補欠として加賀山之雄君を議長に おいて指名した。 十月九日委員加賀山之雄君辞任につ き、その補欠として森八三一君を議長 において指名した。 十月十日委員中田吉雄辞任につき、 その補欠として藤田進君を議長におい て指名した。 本日委員藤田進辞任につき、その補 欠として亀田得治君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君           小笠原二三男君            戸叶  武君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            東   隆君            大河原一次君            亀田 得治君            北村  暢君            清澤 俊英君            小林 孝平君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君    国 務 大 臣 石原幹市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林大臣官房長 斎藤  誠君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省農地局建    設部長     清野  保君    食糧庁長官   須賀 賢二君    林野庁指導部長 茅野 一男君    水産庁次長   高橋 泰彦君    運輸政務次官  前田  郁君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (伊勢湾台風等による災害対策に関  する件)  (農林水産関係物資通運事業運賃  料金に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、理事補欠互選についてお諮りをいたします。  先般森委員委員辞任され、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。  互選方法は、成規の手続を省略して、便宜、委員長から指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議がないと認めます。それでは森八三一君を理事に指名いたします。   —————————————
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 伊勢湾台風等災害の件を議題にいたします。  先般、議長決定によって、伊勢湾台風災害地議員派遣が行われ、当委員会からは櫻井委員に御参加をわずらわしたのでありまして、櫻井委員から発言を求められておりますので、これを許します。
  5. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 私は、先般、院議の決定によりまして、参議院といたしまして災害地の慰問を中心調査して参ったのでありますが、参議院といたしましては二班が編成され、第一班が愛知岐阜、それから第二班が三重県、奈良県及び滋賀県の災害地に参ったわけであります。私は第二班の構成員に指名されましたので、従いまして、第ニ班視察地であります愛知奈良及び滋賀県の災害概要報告いたしたいと存じます。  このたびの伊勢湾台風は、すでに御承知のごとく、九月二十六日午後六時二十分ごろ紀伊半島潮岬付近上陸し、奈良三重県境を縦断して北上し、佐渡島方面へ去ったのでありますが、上陸時の中心気圧九百二十ミリバール、半経二百キロメートル以内は風速二十五メートル以上、最大風速約七十メートル、最大日雨量約五百ミリという超A型台風でありました。従って、その被害もまた未曾有のもので、現地をつぶさに見て、今さらながら事態の容易ならざるを痛感いたしたのであります。以下見て回りました三重奈良滋賀の順にその概要報告いたしたいと存じます。  三重県につきましては、二十六日午後八時、海岸地帯は瞬間最大風速六十五メートル、平均風速三十メートル、雨量北部及び中部地方は三百ミリないし四百ミリ、南部地方日雨量約五百ミリに達しました。十月二日現在、死者九百八十四人、行方不明三百五十六人——この数字はもちろんその後訂正されておるようでありますが、私どもの調査いたしましたときの数字を申し上げる次第でありますが、なお、負傷者四千六百二十五人、罹災者数県人口の約五分の一を占める三十一万余に及びました。家屋流失倒壊浸水、水田、畑の流失、埋没、冠水、道路堤防決壊橋梁流失、山、がけくずれ、木材流失、船舶の被害等被害総額は県の推定によりますと約七百億円に到達しております。  桑名長島木曾崎地区におきましては人的被害が最も大きく、これら県北部海津堤防決壊を初めといたしまして、木曾川、長良川及び揖斐川の三大川は多数の個所にわたって破堤いたしましたが、これらはすべて高潮と暴風による被害といってよく、川べりで死体を焼く遺族の姿も散見されました。桑名市の城南干拓地は全地域、長島町及び木曾崎村は約八割が水没、川越村の亀崎部落は約七割が流失しました。  臨海工業地帯高潮による被害がひどく、昭和二十八年の台風後に補修され、完成していた四日市、富田、富洲原等防潮堤が至るところで決壊し、三重火力を初めとする工場はほとんど相当被害を受け、県営工業用水送管の復旧等、なお相当の日時を要するとのことでありました。堤防は裏側がえぐられ切れているのがほとんどでありました。  南部山間部河川はんらん、山くずれ、道路及び橋梁決壊等による被害が多く、真珠被害は約五十億円に上るという話でありました。  県がとりました応急措置につきましては、まず第一に、人命救助及び食糧等輸送につきましては、災害発生後直ちに一部市町村に、また翌二十七日午後三時半には全県下災害救助法を発令するとともに、とりあえず県北部中心ヘリコプター等による人命救助、並びに潮どめ作業を行う一方、十月一日早朝までに食料品及び衣類等県下に二十数万点の救助物資輸送し、万全を期したようであります。桑名市の光風中学に設置された前進基地では、県の民生部長陣頭指揮に当り人心の安定、緊急物資輸送被災者避難作業等不眠不休の努力を続けておりました。住民の避難については、すでに桑名市の学校ニカ所に約二百三十人が収容されておりましたが、さらに鈴鹿市の電気通信学園及び津市の高田派本山に、三日現在約千人の予定集団避難を行なっておりました。排水作業は焦眉の急でありますので、県当局では浸水地帯排水作業全力を注ぎ、総馬力三千三百馬力排水機により約四十立方メートルの排水作業を行なっておりましたが、今後の方針としては、まず国道第一号線以北の地区を締めて、逐次段階的に排水していくということでありました。  県の要望を総括してみますと、まず、過去の大水害においてとられた各種特別立法の例によりまして措置をせられたいということを包括的に言えると思います。また、過去の昭和二十八年の大災害においては例がなかったのでありますが、県営の工業用水についても災害に対する補助金の交付を行われたい。次に、その他建設資材のあっせん、災害公営住宅補修に対する特別の国庫補助措置住宅復興融資額引き上げ等について、強い要望がございました。  奈良県につきましては、被害状況三重県との県境を北に進みました伊勢湾台風は、吉野川上流山間部において約五百ミリの大雨をもたらしました。風による被害は割合少なく、被害の大部分吉野川及び宇陀川のはんらんによるものであります。十月三日現在の被害は、死者七十四名、行方不明四十人、負傷者四百九十二人、罹災者数は四万六千余に及び建物その他の物的損害は約百三十六億に達すると申しております。  応急対策といたしましては、自衛隊に依頼いたしまして、山間の奥地にヘリコプターによる食糧輸送を行うとともに、八木町から榛原に通ずる久居家城榛原線——県道でありますが、この道路整備と、五条地区及び下市地区吸水作業全力を尽したが、今後の対策といたしましては、右の県道国道第百六十八号線及び第百六十九号線の補修整備にすべてがかかっている、かように申しておりました。  県の要望を総括いたしますと、三重県と同じく特別立法措置をとられたいこと、なお、特に吉野川直轄河川に指定して、上流には防災その他の目的のためのダムを建設せられたいという希望がありました。なお、この吉野川和歌山県との県境におきまして非常な狭窄を持っておるのでありますが、その狭窄部の掘さくにつきましても直轄河川として善処されたい旨要望がございました。五条市に見られます現象でありますが、非常に大量の土砂が市街地に流入いたしておりますが、かような堆積土砂排除に要する経費につきましては、全額国庫負担の特例を設けられたいという要望もありました。  次に、滋賀県でありますが、二十六日午後六時現在、雨量山間部で三百ミリないし四百ミリ、平地で百五十ミリないし二百ミリ、最大風速四十五メートル、琵琶湖水位は平常水位より約八十一センチ増加いたしました。この前の六、七号台風におきましては、琵琶湖上昇水位が約一メートルでありました。被害死者及び行方不明十六人、家屋流失その他被害総額は、県の推定では約五十七億円、八月中旬の台風による被害を合せると約百億円に到達する、かように申しております。災害の大部分湖東地方で、特に日野川決壊による水茎干拓地野田沼干拓地、近江八幡市、宇曾川の決壊による松原干拓地、及び天野川の決壊はんらんによる入江干拓地、能登瀬、醒ケ井、一色、姉川流域被害等がそのおもなるものでありました。浸水いたしました稲はすでに一週間経過いたしておりますので、発芽を見ておるような状態でありました。  応急対策といたしましては、二十七日午前十時、十七市町村災害救助法を発令し、被災地救助に当り、救援物資輸送に万全を期しておりました。市町村合併部落については近隣の町村との比較上相当と認めたところについては救助法による以外の方法で同様に措置する方針を立てておるというようなことも申しておりました。  要望を概括いたしますと、天災法による融資並びに自作農創設維持資金特別ワクの拡大、災害救助のための機動力強化に関する国庫負担公共土木につきましては十五万円未満の小災害についても公共災害として補助せられたい。いろいろありますが、これらすべて三重県、奈良県を通じてほぼ同等の希望が述べられております。  これらの災害等を通観し、かつ、三県の要望を取りまとめまして私の主観を加えて申し上げますと、過去の昭和二十八年の六月から九月までにおきまする大災害につきましては、政府としては二十六の特別立法を行なって災害救助並びにその復旧に当っておりますが、これに劣らない方法をとって今度の災害に対処すべきであるということが第一点としてあげられる次第だと思います。もちろん過去の二十六の特別立法の中におきましては、その後制定せられました天災融資法その他の中に吸収できる特別立法もございますが、これらの法律によって処理できないその他の多くの問題につきましては、やはり特別立法をもって処置すべきであると、かように考えるものであります。  それからいま一つは、でき得れば災害対策総合研究所というような機関を設置して本格的に今後の災害を防止することをあわせ含めましての災害対策をやっていくべきではなかろうか、これはひとり現在の災害地のみならず、将来起るであろう可能性を持つ地帯につきましても防災考慮してやっていくという立場においてかかる施設が必要ではなかろうか。なお、私は参りませんでしたが、愛知県の災害状況を聞き、そうして三重県の災害を見聞きしたことからいいましても、午後七時以後に台風高潮、暴風雨が起っており、そうしてほとんど照明設備というものが壊滅して暗黒のうちに罹災者がどうにも方法がなかった、かような状態であったわけでありますが、過去におきます災害の例からいいましても、夜間に襲来する台風についての措置というものがほとんどとられておらない、あるいは考えられておらなかった。照明設備は全くの企業会社、電灯会社まかせであって、災害復旧についても従来と同じ方法でやっておるにすぎない。かような点からいいましても、まず第一に、夜間部における災害対策としてはどうしても今後の被災地及び災害発生可能地における照明設備というものについては、特別の考慮政府としても必要であるのではなかろうか、かような点を痛感いたしたわけであります。  なお、多少敷衍いたしますと、たとえば滋賀県の日野川地帯を見た状態でありますが、日野川はすでに準用河川に指定されてから十数年以上たっておると、かように申しておったわけでありますが、その堤外地、いわゆる河川のうちでありますが、堤外地には該面積民有地がありますために、樹齢数十年に到達しておる松林、竹林、こうしたものが川の中に非常な大面積を占めており、そうして御承知のように滋賀県の河川はほとんど天上川である、かような状態のもとに非常な大災害を起して、今申し上げました干拓地浸水というのも全部が準用河川普通河川欠壊によって惹起されており、しかも、川の中にかような流水を阻害する状態が驚くべき状態で存続されている。なぜかようなことがあるかといいますと、いろいろ私は聞きましたのでありますが、河積の中の民有地であるために伐採もできないというようなことを申しておったわけでありますが、今後の災害復旧につきましては、まず、かような点から根本的に改むべきである。これを要括して申し上げますならば、やはり災害復旧につきましては、強力な防災、予防を考慮したいわゆる改良工事とでも申しましょうか、そうした考え方を強力に取り入れた災害復旧をやるべきであるということを痛感したわけであります。あるいはまた、市町村等におきましては、その橋梁市町村経費を節約するために非常に簡単な永久橋を作っておる、永久橋であるためになかなかこわれない、そうして上層構造を簡単にして経費を節約するためにピアが、間隔が非常に狭く、四メートルないし五メートルの間隔ピアが立てられている、そこへ流木あるいはこの流れてきた家屋がひっかかって堤防を破壊し、大面積被害地を惹起しておる、かような点からいいましても、永久橋建設につきましては、たとえ市町村等橋梁でありましても、政府が基準を設けてこれを統括していかねば災害を非常に大きなものにするということも指摘されると思うのであります。なおまた、災害地におきまして特に痛感いたしました問題につきましては、予約米の供出の時期の問題であります。その時期に間に合うべく米を供出する準備をしておった者が家を流され、浸水し、交通が途絶する、かような状態においてその意欲は燃えておるにもかかわらず、時期までに米を納めることができない、かような者につきましては、納入時期の延引についての特別の考慮政府が当然払うべきと、かようにも考える次第であります。  いろいろ申し上げたい点もございますが、時間もありましょうから非常に簡単に報告をかねて意見を申し上げた次第であります。
  6. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御苦労をわずらわしありがとうございました。  なお、ただいまの御発言に対し御質疑はございませんか。——それでは御質疑がないようでございますから次に移ります。   —————————————
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) この際、委員の変更について御報告をいたします。昨日中田吉雄君が委員辞任され、藤田進君が選任され、本日藤田進君が辞任され、亀田得治君が選任されました。   —————————————
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、伊勢湾台風を初め、すでに問題になっております災害被害状況及びその対策について政府説明を求めます。  なお、この件について農林大臣の御出席をお願いしておきましたが、御不在中で、午後は御出席が願える予定でありますので、御了承を願います。
  9. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) それでは、私から台風第十五号による農林水産関係被害概況につきまして御報告申し上げたいと思います。  台風十五号による特に激甚地でありました東海三県につきましては、先ほど櫻井先生からも御報告がありましたので、私からはごくその概要説明するにとどめたいと思います。  台風第十五号は、御承知のようにマリアナ群島に九月の二十一日に発生いたしたものでございまして、中心気圧が八百九十五ミリバール、最大風速七十五メートルという非常な超大型台風でございまして二十六日に潮岬と白浜町の中心地点上陸いたしたのでございますが、この台風十五号は、上陸後におきましても、一向に勢力が衰えないで、瞬間風速は舞鶴の五十一メートルを最高といたしまして、三十メートル以上に達した所はほとんど全府県にわたっておりまして、その結果、一部の地方におきましては豪雨等も伴いまして、高潮による干拓地海岸堤防決壊あるいは河川堤防決壊あるいは特に漁港漁船養殖施設等損傷が加わりまして、非常な大きな損害を与えたわけでございまして、田畑につきましても、百万町歩損傷面積を出しておるという報告に相なっております。  全体の被害量といたしましては、府県報告によりますと、農作物関係を除きましても約七百億円と相なっておりまして、そのうち、いわゆる暫定法あるいは公共負担法等に基く農地農業施設あるいは林野施設あるいは漁港等の、つまり国法律に基いて当然災害復旧をやるべき施設関係損害だけでも七百億円うち、約半分の三百五十五億ということに相なっておるのであります。  それを具体的に申し上げますと、別表の表がありますので、詳細は省略いたしますが、農地農業施設関係では約二百十五億、そのうち、今回は干拓等直轄事業相当ございますので、それが五十三億を含めまして二百十五億円という被害になっております。これは三十九都道府県から報告のあったものでございまして、その最も大きかったのは、申すまでもなく三県でありまして、愛知県、三重県、鳥取県、岐阜県、京都府、奈良滋賀山梨福井等の各県が特に被害が大きいということになっております。  それから林野関係でございますが、このうち林地の新しく崩壊したものあるいは治山、林道施設被害額が百十二億ということに相なっておりましてこれに国有林あるいは林産物あるいは林業関係共同施設を含めますと三百八億ということに相なっております。三十三都道府県からの報告のうち、愛知県が八十二億、岐阜県、三重県がおのおの四十七億、奈良山梨、長野、兵庫、和歌山滋賀鳥取等の県が被害の特に顕著な県となっております。大体は農地林野関係につきましては、ほとんど同じ県が七号台風において被事を受けたところが再び受けたというところも相当ございまして、そういう面から一そう被害を大きくしたという点が顕著でございます。  水産関係では、漁港関係が二十九億、それに漁港以外の漁船、漁具あるいは共同利用施設養殖施設等被害を入れますと、百三十三億ということに相なっております。今度の台風豪雨台風のための高潮等関係で、特に水産関係漁港干拓あるいは水産関係に非常な大きな被害を及ぼしたことも一つの特色でございまして、そういう意味から三重県のごときは、一県だけで八十五億円、しかも、真珠関係被害が特に激甚でございまして、次いで小漁船等被害が特に顧著であったようでございます。次いで愛知県、和歌山県等も水産関係被害が大きく出ております。  なおまた、愛知県は一番被害を受けたところでございますが、御承知のように、愛知県は非常な畜産の盛んなところでございまして、その関係で特に被害のひどかった愛知南部におきましては、畜産被害が、鶏についてみますと八十五万羽、豚が六千頭、このうち愛知だけでも六十五万羽程度が集中して被害を受けたというふうな関係でございまして、畜産関係被害が今回は約三十二億円という十三府県からの報告がございます。  なお、そのほかに蚕糸関係におきましても、十一億円という被害が出ております。  全体といたしました農作物被害概況でございますが、これは統計調査事務所で調べましたものでございまして、その中間報告によりますると、被害の総面積は約百五万町歩である、被害の総量は百二万トン、約被害見込金額三百億円と相なっております。このうち、被害のやはり大きいのは、風の関係で、倒伏がその過半を占めておるような状況でございまして、次いで冠浸水田潮水害等が見られるのであります。水稲以外におきましては、果樹、蔬菜等が特に顕著に被害を示しておるようでございます。台風十五号におけるあらましの被害金額についての概況を御説明いたしたのでございます。  農林省といたしましては、このような最近にない被害の深刻さを日増しに加えているという状況にかんがみまして、これに対する何をおいても応急措置をとるべきであるということで万全を期した次第でございますが、特に被害の最も激甚な三県——愛知三重岐阜等につきましては、内閣における中部地方災害対策本部が設けられたことに応じまして、農林省におきましても中央はもとよりでございますが、名古屋におきましては、農林省関係連絡事務所を設けまして、大臣初め両政務次官事務次官及び関係局長が相次いで現地視察に参ると同時に、応急措置指導に当っておるところでございまして、現在は事務次官現地にとどまって、応急指導の指示を与えているという状況に相なっております。  まず、応急措置として考えられる第一点は、食糧関係でございます。食糧につきましては、幸いこの三県につきまして米麦、主食に関する限りは十分の保有量を持っている、在庫量を持っているという関係で何らの不安はないのでございますけれども、御承知のように、名古屋南部あるいは三重県の長良川沿岸干拓地におきましては今もって水没状況にあるという関係で、煮たきにも困るということもありまして、かつてない乾パン応急手配をいたしたのでございます。名古屋愛知県に対しましては四百二十万食、三重県に対しては四十六万食の乾パン応急手配いたしたのでございまして、これらの乾パンは、ほとんど全国にわたりまして、北は北海道から南は福岡に至るまで、各所の手持量を総動員して愛知県に投入するという措置をとったのでございます。政府手持ちのほか、自衛隊手持ちのもの、また輸送につきましても、陸上、海上の輸送のほか、米軍の飛行機の活用等によりましてこの必要な乾パン食糧の投入をはかった次第でございまして、現在ではこの四百二十万食あるいは三重県の四十六万食はそれぞれもう現地に到着いたして手配を完了いたしたものでございます。  次に、米の問題でございますが、米につきましては、先ほど申しましたように、全体としては、たとえば名古屋についてみますると、五十七日くらいの在庫量を持っておりまして、何らの食糧についての不安はないのでございますが、当面の罹災者に対する応急たき出し等につきましては、随時、必要に応じて目下行われておるわけでありまして、それに必要な食糧についての手配は万全を期しておるところでございます。なおまた、今回の水害地におきましては、米はありましても搗精能力がないというふうな関係で、近県から手配をするというふうなことが起ったのでございますが、これも今日におきましては、大体白米の緊急手配をやりました現在におきましては、再び搗精能力も回復したようでございましたので、その点も一応事態は改善を見たと考えられます。なお、三県につきましては、特に水害地におきましてやみ米の高騰というふうなことも見られましたので、特に三県の全消費者を対象といたしまして五日分の米の特配という措置をも決定いたしましてこれが配給を行なった次第でございます。このほか愛知県下における製粉工場等の手持ちにつきましても、在庫品は相当ございますので、要求に応じては、需要に応じて随時緊急措置を講ずるような手配をもあわせてとった次第でございます。食糧関係は以上申しましたような応急的な措置をとることにいたしました。  次に復旧用材でございます。今回の水害に伴いまして、さしあたりは、各種の水防資材、さらには応急仮設住宅、さらには今後の一般住宅用の復旧用材としての木材の需要量は相当の量になろうかと考えられるのでありますが、農林省としましても、一面におきましては、風倒木が全国で約五百万石——民材を含めると一千万石といわれておりますが——生じ、他方におきましては、ちょうど取材期でもあるというふうなことも考えましてこれらに必要な需要量につきましては、国有林として供給し得べきものにつきましてはあらゆる努力をいたしたい、民材の不足する限りにおいては民有林からの供給をいたしたいということで、名古屋、長野、東京の三局分で約十万石その他の前橋、大阪、高知、熊本等の四局において約十万石、まあ二十万石の供給はできるという手配をいたしておるのでございまして、そのうち現に必要なものにつきまして、名古屋局管内から逐次必要な水防資材あるいは応急仮設住宅資材等について供給をいたしておる次第でございます。なお一面、木材につきましては、現地における相当価格が騰貴するおそれもあるということに備えまして、木材業者の団体等にも話しかけまして協力を得まして適当な直販所を設けるとか、あるいは自粛価格を設けるとかいうような措置をとらせることにいたしたのでありますが、政府国有林の払い下げにつきましても、応急仮設用住宅であるとか、あるいは当面の水防資材等につきましては減額で払い下げる措置をとりますほか、それ以外の一般の復旧用資材につきましても、できるだけ木材価格の安定をはかるという意味で、災害直前の価格によって払い下げをし、それに措いて各木材業者が適切な協定価格を設けて配給するというような措置を講じた次第でございます。  第三の応急措置といたしましては、人間の食糧に対応する家畜の食糧でございますが、これにつきましては先ほど申しましたように、愛知県は非常な畜産地帯である、同時に、配合飼料につきましては、大体全国の三分の一もあそこで生産しているというような状況でございますので、これらの供給が円滑を欠くということになりますと、いろいろ罹災農家に対する影響は大きいのでありますので、さしあたりの措置といたしましては、政府所有のふすまを緊急に輸送いたしまして、そうして政府輸送のもとに罹災農家に対しては安く行き渡るような手配をとるということをいたしたのでございますが、そのほかにも相当政府所有の麦が水害等の関係で事故麦を生じておりますが、これらの事故麦につきましては、さしあたり七千トンという目安で、やはり罹災農家に対して飼料用として売却するという措置を講ずることにいたしております。それ以外の今後における需要量に対しましては、愛知県では約三万トンといわれておりますが、これは関東あるいは阪神地区から必要な援助輸送を行う。また、名古屋港における港の荷上げ能力も大体回復する目鼻もつきましたので、これについては緊急配船をして飼料の輸入陸揚げを行うというような措置あるいはまた配合飼料工場等の操業回復等と相待ちまして、大体、今におきましては飼料の需給はほぼ安定を見る見通しを立てることができるようになりましたし、われわれといたしましても、引き続きそういうことに留意いたして、万全の措置を講じたいと考えておる次第でございます。  第四は、各種の金融の応急措置でございます。その一つは、共済金の仮払い及び概算払いの措置でございます。これにつきましては、現地におきまして三県と打ち合せたわけでございますが、仮渡しの措置で大体行なう、そして、それに必要な資金に不足を生ずる場合においては、共済基金からの資金の融通措置によって行いたいということで、これらの敏速な実行をはかるようにいたしたのでございます。特に家畜等につきましては、なかなか今度の場合の流失、斃死等の数が多数に上っておりますけれども、一々死体確認ということも困難な事態でありますので、特に家畜の共済金の支払い等につきましては、簡易、便宜の方法をとりまして、警察官なり、あるいは市町村長が証明さえすれば、すぐにも仮渡しが行なえるというような、そういう簡易措置をとることにいたしたのでございまする  それから、金融の措置でございます。第一は、天災融資法関係でござざいますが、天災融資法につきましては、十日にほぼ被害額が確定いたしますので、これに基きまして、即刻手続をとることにいたしておりますが、それまでの間におきましても、系統金融機関からは、後ほど申し上げますような措置によりまして、系統金融機関からどんどんつなぎ融資をするということにいたさしておる次第でございます。また同じような意味で、天災法から出ます経営資金のほかに、今回は個人施設被害相当出ておるわけでございます。共同施設被害も出ておりますが、各農家の個人施設被害相当出ておるのでございます。これは農林漁業金融公庫から融資するということにいたしておりまするけれども、これらの受付につきましては、天災法の発動を待つまでもなく、即刻受付するようにということで、目下関係の県につきましては、それぞれそういう指示のもとに行われておると考えておる次第でございます。  それから、やはり農業経営資金なり施設資金なりに至る前におきまして、それぞれ農家におきましては、立ち上りの資金といたしまして、自作農資金に対する要望が非常に強いわけでございます。これに対しましては、いわゆる自作農創設資金全体のワクを、今日の災害に対応して補正する措置を講ずる必要があると思うのでありますけれども、さしあたり愛知三重岐阜の三県につきましては、約五億五千万円の県に対しては内渡し措置をとるということにいたした次第でございます。そのほか国民金融公庫とか、あるいは住宅金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等につきましても、現地で、各地の対策本部、あるいはそれぞれの金融機関の担当官等との話し合いのもとにおきましては、そういう要望があれば、われわれとしてもできるだけの融通措置を講じたいという話し合いを現地でいたして参ったような次第でございますので、特に農家住宅等につきましては、もちろん住宅金融公庫等から融資の道が今後行われることに相なるわけでございます。  それから、言い落しましたが、これまでの応急措置の最も大きな一つの仕事といたしましては、農地関係の各種の応急復旧工事があるわけでございます。先ほど櫻井委員からも御説明なり御報告がありましたように、名古屋南部、海部郡、あるいは木曾川、揖斐川等の沿岸における干拓地等の堤防応急仮設工事、さらには海部郡南郡、北部を通ずる湛水地域における排水問題、これらは一刻を争う問題でありますので、現地におきましても、関係の局あるいは中部対策本部等におきましても、たびたびこれらにつきましての協議をいたしたのでありますが、農林省といたしましても、応急復旧工事については直ちに着手するという建前で、必要なポンプの手配、あるいはその一部につきましては、すでに予備費等の要求もいたして閣議で決定したものもあるわけでございますが、これらの詳細は農地局から関係の方も来ておりますので、御質問によってまた御説明することにいたしまして、応急復旧工事についてのそれぞれの手配と、それに必要な準備措置を完了いたして現在に至っている次第でございます。  そのうち、特に申し上げておきたいと思います点は、衣浦あるいは碧南、鍋田等の干拓地等につきましては、農林省が直轄工事として仮締め切りを行う。それ以外の平坂、大津島あるいは幡豆等の海岸災害につきましては、県が責任をもって行うということで、それぞれの準備をいたしているのであります。その際におきまして、農林省関係応急復旧工事につきましては、早いものは十月末、おそいものにつきましても年内には復旧工事は完了するということで準備を進めているような状況でございます。  大体応急対策中心概況を申し上げたのでございますが、それ以外の応急対策につきまして、つまり、今後の復旧対策に対する立法関係あるいは予算関係等の全般的な対策につきましては、今、党なり、あるいは政府部内においていろいろと検討をいたしておるところでございますので、一応応急対策についての御報告説明を終らせていただきたいと考えます。
  10. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に御質問の方はございませんか。
  11. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 いろいろ御心配をかけている面が多いわけでございますが、農林省でおわかりになっているか、あるいは厚生省関係かもしれませんが、木材の払い下げもけっこうですが、これは何といたしましても非常に急ぐのは仮住宅だと思う。これの大工の手配はどうなっているかお伺いしておきたい。
  12. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 大工の手配ということは、おそらく応急仮設住宅の場合に必要な各種の工事の大工だと思いますが、農林省としては資材を市町村長に提供する、市町村長は需要量について、もよりの営林署長なり、あるいは営林局長に申請する、それに基いて消費量を決定して払い下げをするという方法をとっておりますので、それ以後の具体的な建設問題については、あるいは市町村長が請負業者に請負をさせるということになる場合もありましょうし、あるいは直営させるという方法もありましょうが、そこまでは実は農林省としては関与しておりません。おそらく市なり、あるいは県なり、あるいは請負業者においてそれぞれ必要な手配をとるということになるのではないかと思います。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどの説明では、応急復旧と申しますか、これはおそくとも年内にはできるということを言っておりますが、たとえば名古屋市、南陽町、海部郡特に鍋田の干拓、ああいう湛水地域について応急復旧を年内に済ますということは、具体的には湛水の排除はいつまでには必ず完了させるということですか。また、復旧というのはどの程度のことをさして年内完了といっているのか、具体的にお示し願いたい。
  14. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 先ほど官房長から御説明いたしましたが、私ども災害が起きますと同時に名古屋の本部に着きまして、さしあたりやることにつきまして考えましたのは、切れました堤防応急締め切り、それからこれは農林省だけでございませんが、建設関係海岸堤防の締め切り後の排水の問題、これらにつきまして重点的に至急対策を立てようということでかかったわけでございます。それで締め切りの問題でございますが、これは先ほど官房長から説明いたしましたように、農林省としましては、農林省関係海岸堤防、ほとんどこれは干拓地関係でございます。これにつきまして一応の仮締め切りをいたしまして、大潮の潮位を防ぐということを考えようじゃないかということで、業者の持っておりますポンプ船の手配、それから農林省で有明に持っております船、そういうようなものを動員いたしまして目下回船中でございます。それで鍋田のことは後ほど申し上げますが、農林省直轄といたしまして衣ケ浦、それから碧南、この二地区、それから鍋田と三地区を受け持ってやることになっております。そのほかの平坂でありますとか、境川でありますとか、少さい干拓地は県が施行するというような分担をきめましてポンプ船の手配をしたわけでございます。衣ヶ浦、碧南等につきましては、衣ケ浦は欠壊個所が少ないので大体十一月末、碧南は十二月の末というような目途を立てております。それから県がやります工事も早いのは今月末、乙川といいまして半田のそばでございますが、こういうものは今月末ぐらいにできる、それからおそいものでも十二月末までには締め切りするというような段取りをつけまして、船業者との契約も全部終っているような次第でございます。鍋田につきましては、これは私どもとしましては、この干拓地につきましても、先ほど申し上げましたような仮締め切りだけは十二月末までにやりたいということでポンプ船四はいの手配をいたしまして、これにつきましても何とか十二月末までは締め切りたい、あるいは若干おくれることがあってもそれを目途としてやろうじゃないかということで手配をいたしまして、現在までこれにつきましては予備費で一億四千七百万円が閣議決定になっております。それから鍋田につきましては一億二千万、これは手持ちの財源を流用いたしまして補正予算で埋めるという約束で今取りかかっております。ただ締め切りは今の通りですが、鍋田につきまして、実はきのう、きょうあたりから現地で、河川堤防締め切りが非常におくれておる、それで海部郡の湛水地域の締め切りがおくれるので、鍋田のポンプ船を、建設関係といいますか、県の土木関係に貸してほしいということで強い要望が実は現地で出ております。そういうような関係で、もしもポンプ船の一部をそちらに回すというようなことになりますれば、若干締め切りの期日がおくれるかと思いますが、目標は今のような目標で仮締め切りをいたしまして排水にかかれる段取りをとりたいというふうに考えております。それから排水関係でございますが、これも対策本部で、一つ農村地帯においては特に農林省が責任をもってこの排水のことをやってほしいということでございまして、私ども名古屋の事務局それから全国の事務局の持っておりますポンプを至急名古屋に送りますとともに、それで足りない部分がどのぐらいかというようなことをいろいろ検討しました結果、百五十ミリないし三百ミリぐらいの口径のポンプが百四台ばかり足りぬという結論が現地で出ましたので、これも至急手配いたしまして、予備費から七千七百万円決定いたしまして百四台のポンプの手配をいたしたわけでございます。農林省が受け持ってやろうとする地点は海部郡でございます。特に海部郡それから木曾川の下流、長島木曾岬村周辺、桑名を含めます。それから特に名古屋市から頼まれまして、名古屋市の排水が非常におくれるというんで、名古屋市の応援もしてほしいということで、実は名古屋市の、特に農村地帯関係につきましての排水として三十台のポンプを貸すというし約束をしまして、現在は三十台じゃなくて四十数台が名古屋市の農村地帯の排水にかかっておるような状態でございます。この排水でございますが、新規のポンプはそういう手配をいたしましたが、その他水没地帯には既設のポンプも相当ございます。これは今農林省が受け持ちました担当の地域、そのほか豊橋辺の干拓地でございますとか、そういうところを入れまして調べてみますと、百四、五十台のポンプがございますので、これを補修しまして、そうしてこれを中心にして、その上で農林省の買いましたポンプで応援しようというような態勢を作りまして、この既設のポンプの補修につきましては、納入しました業者がすでに手がけまして、補修にかかれるところは補修にかかるというような手配をしておるわけでございます。それで排水の時期でございますが、これは私どもといたしましては、締め切りができましたあとで一週間ないし十日ぐらいで全部の排水は終りたいというようなことで実は予定を立てているわけでございます。ただ締め切りがいつできるかということが非常に問題でございまして、特に先生の御質問のありました海部郡の南部あるいは名古屋の南陽町あるいは木曾川下流等につきましては、締め切りがかなり難航しているんじゃないか——こちらにポンプ船を貸してくれというような話もございますので、かなり難航している点もあろうと思いますが、この締め切りができましたあとで一週間ないし十日ぐらいでぜひ排水は終りたいというような計画を現地対策本部で立てますとともに、こちらへ帰りましてもポンプの輸送でございますとか、そういうような努力をいたしておるような次第でございます。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の御説明では衣ケ浦は大体十一月締め切る、碧南は十二月いっぱいかかる、それから海部郡長島あるいは木曾川のそれの方は不明確な部分が多い、結局十二月いっぱいでこの海部郡南部の仮締め切りが必ずできますか。
  16. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 海部郡南部あるいは名古屋の南陽町、長島木曾岬等の干拓地というものは実は所管が建設省なり、あるいは県の土木部が担当いたしまして締め切りをするということで今進んでおります。それでわれわれの方として聞いておりますのは、三十日ないし四十五日ぐらいで締め切りたいということで現地対策本部でそういうめどを立てまして今工事を早急にやっておるというのが実情であろうと思います。それで海部、南陽、木曾岬等の締め切りの見通しにつきましては、私どもの方より、担当の建設省から適宜な御答弁をした方がいいんじゃないかというふうに思います。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもその点がおかしいですね、排水の方はこの地区農林省が担当する、結局農地部分、農村部分ですからね、さっきの説明だと。仮締め切りの関係は、鍋田の方の海岸堤防、この方は農林省の方がやる、しかし、河川を加えたその他の部分は海部郡に関しては建設省あるいは県だと、そして排水の部分農林省——仮締め切りになってから農林省として排水に取りかかるとすれば、一週間ないし十日品前後でそれはできる。けれども総合的にはあの農村地帯がいつになったら排水ができるかということについては、農林当局はわからぬ、これは建設省の責任だと、こういう点は私たちにはもうわからぬなあ。建設省をそれは呼んで聞けば、それに継ぎ足して十日プラスすれば結果は、答えはできますというようなそんな答弁は、さっき官房長が言っているように、鋭意復旧に努めます、本年中には応急復旧は完成します、と言っておいて、その基礎がないじゃないか、基礎が。
  18. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私どもから責任ある答弁をしますことはいささか差しさわりがありますので、先ほどの答弁をしたのでございますが、名古屋対策本部でやっておりますときには、何省ということではなくて、一つみんな総合してやろうじゃないか、それで分担を至急きめまして、なるべく早くできるところからかかっていこうというので、実は私どもの方の先ほど説明いたしましたポンプ等につきましても、名古屋市にも——おもに農村の被害地帯でございますが、そういうようなところにもポンプの応援をするというようなことで実はやっておるわけでございます。それで対策本部では大体締め切りにかかりましてから三十日ないし四十五日ぐらいで全部の締め切りを終ろうということで、応急復旧工事にかかっておるわけでございます。でありますので、われわれとしましては、締め切りは今月末なり、あるいは十一月中旬ぐらいで一つ締め切りはしてもらいましてそのあとで早急に排水にかかるというのが大体の今の見通しではないかというふうには考えております。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、それは総合的に判断すれば、政府としては責任をもって年内に全部排水しますということになりますかということを聞いているんです。
  20. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 何度もお答えたしますように、そういうことを目標にしまして最善の努力をするというとで今やっております。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 技術的には鍋田の干拓地帯の仮締め切りができないということになると、その背後地の方は、干拓以外のですよ、背後地の方の水を引くことはできますか。
  22. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 鍋田につきましては、実は二段がまえでものを考えております。われわれの方としましては、干拓地の前面の堤防について仮締め切りをやろうということで今やっております。それと並行しましてあそこに御承知のように背後の堤防がございます、背後の堤防につきましては、これは先ほど申しました県の土木関係でこの締め切りを行うということで、たとえ鍋田の前面の堤防の仮締め切りが若干おくれましても、うしろの方の堤防は早くやって海部郡の南部の排水にかかれるということになっておりますので、一応前面の堤防の締め切りと、うしろの堤防と、二段構えで並行してやっておるような状態でございます。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことで海部郡の排水はできると、そして鍋田の場合は仮締め切りは十二月一ぱいを目途にしておる。しかし、これは結果としては、あるいはものにならぬ場合には来年になってもこの干拓地域はもう仕方がない、まあこの部分はちょっと犠牲を忍んでもらう、あるいはこの干拓地帯の今後の復旧の問題を根本的に考える建前もあるから、従って、この点については自信がない、こんなような含みもあるんですか。
  24. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) そういうことは実は考えておりません。実は鍋田の干拓につきましては、入植者が今、全部学校なりなんなりにかりに収容されております。それから背後地、実は鍋田の背後地にはまだ水没地区相当あって、そこには人家も残って、まだ湛水しているというような状態でございます。それでわれわれといたしましては、できれば同時にといいますか、締め切りはしたいのでございますが、先ほど申し上げましたように排水を早くやるという意味からして、うしろの堤防なり、あるいは切れております海岸の堤防なりを早急にやって、海部郡の排水をしたいということで、農林省のポンプも一部貸してくれというような話があるような状態でございまして、順序としましては、鍋田の干拓の背後の堤防の締め切りが若干早くなって排水が可能になるんじゃないか、それに若干おくれまして前面の締め切りができるというふうに順序としてはなるだろうと思っております。先生がおっしゃいましたように再検討するとか、技術的にどうとかという理由じゃございませんで、うしろの排水を早くやるというようなことで今かかっております。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは次にお尋ねしたいことは、排水するにしましても、結局まあ十二月にかかって、災害後三カ月も湛水している、それが排水できたということで、この地帯の農家に対しては具体的に、塩害も受けているし、どういう方法でほんとうの復旧ですね、立ち上りをさしていくというお考えで今構想を練っておられるのかお伺いしたい。それから塩害による被害を除去する、そうして従来のような作付、収穫を得るというのには、どれだけの年月を必要とするか、そういう点についてはどう御判断になっているか、あるいはまた、その間しからば農家収入はどういうことで与えて、そうして該地域の農家の生計を立てさしていくという御方針なのか、まあ細部にわたっての構想ができているとは思いませんから、十分な答えでなくともいいのですが、どだいこういう例はいまだかつてないことなんですから、三、四カ月も湛水するということは。従って、その後の手順についてお知らせ願いたい。
  26. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の湛水地域でございますが、これは海部郡木曾川下流、岐阜の多芸輪中、みな状態としまして同じでございます。それでわれわれとしましては、排水いたしましたあとで、災害復旧の事業がありますところには、これは査定を急ぎまして、緊急に復旧工事を行い、復旧工事ができますところには、これは若干労賃として賃金が入ってくるというようなことも考えられるだろうと思いますが、また、湛水は引いてみたが何も復旧工事はやらなくても、ただ塩が残っただけだ、塩分が残っただけだというような地帯もこれはあろうかと思います。そういう地帯に対しましては、私ども二十八災でやりましたと同様に、除塩の補助金を出しまして、これはさっそく作付に支障ないようなことをやっていきたいということを考えますと同時に、何か救農土木的な、災害復旧だけではなくて、救農土木的なことを考えて労賃を出すことを考えたらどうかというようなことを考えまして、実は補正予算の要求はそういう角度からしていきたいというふうに考えております。  塩害を受けました土地はどのくらいかかるかというお話でございますが、これは元通りに復旧といいますか、生産力が出ますには若干の時間を要するかと思いますが、過去の例でいきますと、案外雨で洗われたとか、あるいは客土をしたとか、石灰を入れたとかというようなことで、次年度にもそう大きな生産力の減少にはならぬで済んでおるというようなところがかなり多くなっております。それからその間に、今申し上げましたことは労賃の収入を得さしていくというような考えでございますが、そのほかに天災資金でございますとか、あるいは自作農資金でございますとか、開拓者にとりましては、開拓者融通特別会計からの追加投資、そういうものも考えまして、何とか営農をやっていくようなことを考えたいというふうに、今早急の間にはそういうような段取りを考えているような次第でございます。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから農家の住宅の問題で、さっき住宅金融公団の方のお世話も願うという取りきめのような話が出ましたが、しかし、住宅金融公庫としては、収入等について一種の条件がある、農家の標準、農家としてはちょっと容易でない制限があるわけですが、それらの点は緩和されるような措置が考えられておってのお話ですか。それからもう一つは、自作農創設資金を使わせるとか、あるいはその他の災害関係融資をやるとか言っておりますが、これも条件として、前に借金がある、そうすればそれを相殺しない限りは貸さないとかというような、いろいろ末端の金庫なり、中金支店等では条件を持ち出して、すらすらとは金は実際は使えないような状況に過去はなっておったようですが、これらの点については、便宜、今回の場合はうまくいくようにお取扱いになるものかどうか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  28. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 農家住宅が全壊し、あるいは流失したような場合において、住宅金融公庫から金を出す道はどうかという御質問でございますが、これは先般九州の諫早地区におきましての農家住宅が相当損害を受けた、今回の場合にも、大体全国的に見れば一万以上の農家住宅が全壊し、あるいは流失しているだろうと考えられるのであります。そこで、そういう場合には、諫早の例にもならいまして住宅金融公庫から資金を融通する、たしか五割以上十割までの損害の場合には三十万円、五割以下の場合には十五万円というふうな貸付限度で今回も貸すということに聞いておるのであります。むしろ貸す場合における問題は、農家ということでなしに、保証人をつけるとかいったようなことがなかなか現実には進みにくいということで、手続上緩和してもらいたいという要望が一般的な問題としてあることを承知いたしております。現地における要望なり、あるいは住宅金融公庫の取扱いとしましても、市町村長が保証するというふうな措置をもとれば、簡易に出すということも考えておりますというようなことを説明しておりますので、私の方としましては、一般の住宅における簡易な手続で流れると同じような方法で農家住宅についても資金が流れるということを関係者には言っているわけであります。さしあたりのむしろ問題としては、住宅金融公庫は受託金融機関を通じて貸付の手続をとっておる、その場合に系統団体もその受託金融機関に使うことができないだろうか、どうだろうかというような要望もございましたので、今はそういう点について関係者と相談をいたしておるという段階でございまして、一般住宅同様に農家住宅も取り扱うということについては、目下話し合っておる次第であります。
  29. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 自作農資金のお話がございましたが、これは御承知のように、ワクは二十万ということになっております。災害の場合でやりますのは、大体今まで見ておりますと、大体十万前後貸しておりますが、二十万のワクの中であれば、過去に借りておってまだ返しておらぬという人がありましても、これはそのワクまでは貸していくというようなことをやりまして、災害の場合出します自作農資金が、そういう理由で借りられぬということにならぬように十分注意します。
  30. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今、自作農資金の問題か出たから、ついでに僕の希望なり、農林省の考え方をお伺いしたいと思います。たしか自作農資金のワクは二十万円が限度だったろうと思います。二十万円までにまだ達しておらない農家に対しては貸されるということであった。ところが、中には特に開拓農家というようなものは限度に来ておりやしないかというように私は考える。お前さんは限度に来ておるから今度の金は貸せぬと、こう簡単に今度の問題を割り切ることは私はできないと思う。そういう意味において少くとも特例を設けて、その限度のワクを私はこの際は、このたびの大災害に限ってその限度を拡張せねばならぬ、こういうような考えを持っておるのだが、農林省としてその点どう考えておるのでしょうか。今のお答えは、限度に余裕がある者にはその限度まで貸すと、こういうお答えであったのだが、この点一つ御答弁をお願いしたいと思います。
  31. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 自作農資金で災害の場合の貸し出しの問題でございますが、これは災害の場合には自創資金だけでなくて天災資金とか、いろいろ資金は実は出るわけでございます。総合してこれは災害の場合に金融がどうなるかということを検討すべき問題だと思っております。二十万円の限度の問題でございますが、実はこれは一応前の農家経済調査から出しまして、今の金利で、五分で二十年で返せるというようなことから自作農資金から出しております。この限度をはずしていくということになりますと、これは実際問題として、返せるのか返せないのかという根本的な一つの問題が、限度の問題と関連して私は出てくるのじゃないかというふうに考えております。それで今の場合に、農林省としまして、二十万円のワクをはずしまして金融をしていくというところまではまだ実は踏み切っておりません。
  32. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは今までの考え方だとすると、今の御答弁の、金を貸すのだからその償還能力があるかいなかということを限度とするのは、それは当然だろうと思います。単に自作農資金のみならず、どんな資金だってそういう見解の下において私はやっておるだろうと思います。どんな資金だってですよ。だから、単に自作農だから、そういう計算のもとにやっておるから、今そこまで考慮しておらぬということは、私は答弁にはならぬと思うのです。それはこういう、いわゆる未曾有の大災害に対する救済なんで、それがためにいろいろな時限立法を作ってそうして全般的に救済していこうという総体的精神なんだから、だから、それはただいま御答弁になったその理論的な、平常の基礎でものを考えてもらっては、これは問題にならぬと思うのです。だから、私としては、おそらく委員の皆さんもそうだろうが、一つその点をよく研究していただきたい。研究する余地がもうないというお考えかどうか、一つ御答弁をお願いいたします。
  33. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 御質問でございますが、これは自作農資金だけで考えるべきじゃなくて、私は災害の場合にどれだけの金融が必要なのか、あるいは補助金が必要なのかということは総合的にやはり考えていく必要があるのじゃないか。天災融資法で一体どのくらいになる、自作農でどのくらいになるということを全部考えた上で、それじゃ二十万をどうするかということが順序だろうと思います。それで金融全般につきまして検討をいたしていくということはけっこうでございますが、今ここでこの金額自身をどうするというところまでは踏み入っておりません。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれ、末端の方の取扱機関は一本なのですから、従って、個々の農家を見ておって、お前は旧債がある、従って、旧債を払うなら差額分は出す、あるいは差額分も出ないが旧債も払え、借りかえをやれ、こういうような措置に出られるから、末端の方では、それではもうごめんこうむりますというので借りる者がない。そのまんま、たとえば過去に、私の方の岩手県の方では、開拓農家に昨年一億五千万円か行った金が、そのまんま戻ってきておる。それを利用できない、災害にあっていながら。そういう実情を陳情されたことがあるのですね。従って、少なくも今の御答弁では、自作農の資金に関する限りは、前にあっても、今回二十万円限度、通例十万円程度のものになっているようだが、その標準的な貸し出しは別途やる、こういう御答弁をいただいたからこの点はいいわけですが、それもまた他の関係金融で借りておる。そうすると、やっぱりそれもいかぬというようなことはないのでしょうな。
  35. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今御質問になりました去年の岩手の例は、これは天災融資法でございます。自作農資金と行くところが違っておりまして、実は自作農資金は総合農協から出ております。それから天災融資法の対象になりますのは開拓農協であります。実は農協が違うという形になっております。天災資金につきましては、実は農協自身が非常に負債が多いというような場合に、貸し出しが非常にむずかしいというのは、今、先生御指摘になった通りでございまして、昨年非常に開拓者について問題がございました。それで、開拓者につきましては、私どもは、天災資金で借りられるようなりっぱな開拓農協の方には、そっちから借りてもらう、それがいかぬ場合には、自作農資金を活用しまして、総合農協の方から借りてもらうというようなやり方でやったらどうかというので、特に開拓者につきましては、自作農資金もはっきりワクをきめましてそれのワクまでは何とか開拓者が借りられるようにするというような手段を講じていきたいというように考えております。
  36. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは、災害救助法を適用して天災資金が行く、こう言われても、こういうようになってくると、なかなか開拓地には行かない。開拓地では、それは一つそういう規則があって、もうこんな状態になってくると、開拓地には非常に薄くなって、開拓は開拓のワクで行くべきであるというようなことになってきておるらしいですね、各被害町村のなには。開拓地は非常に薄いというので、開拓地に回る資金で、単に自作農資金のワクだけを固執するのではないのだけれども、そうやらねば開拓地の救済ができぬというような不安がある。それを私は言ったので、今のあなたのおっしゃる、ほかの資金でできるのだ、それだから別に今自作農の資金ワクを拡大しないでもいい、その通りにいけばいいけれども、いかぬ憂いが十分にある。それだから私は申し上げておるのであります。その点よく研究して下さい。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今度の場合の例に当てはめると、鍋田の干拓は、もう天災融資の方では工合悪いとなれば、自作農の方で限度十万くらい、自作農の方がだめならば天災融資の方で幾ら、こうなるのでしょうが、鍋田それ自身の実態から見れば、それだけのことではどうにもならぬ、別途これは方途を講ずる必要があるという結論になりますので、普通の立ち上り資金や何かでは、とうていどうにもならぬという実態ですね。
  38. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 鍋田の問題、これはああいう事態は特殊な例でございますが、それについてわれわれ考えておりますのは、今述べました天災融資法ということも考えております。自作農資金も考えておる。それから先ほど申し上げましたように、災害復旧事業で労賃を落すということも考えるというほかに、これは大蔵省とまた折衝を要するのでございますが、あすこに、あの干拓をもう一回作りまして、あすこに入植するという場合には、全然新規入植という扱いをしまして、開拓者資金融通特別措置法で基本営農資金を貸せることになっております。これを新規の扱いにして貸していこうじゃないかというので、実は大蔵省に補正予算の要求をいたしております。そういう形で、全然新しい開拓者として取り扱う、また、さらに安い三分六厘五毛の金融をしていくというところが適当じゃないかということで今交渉中でございます。
  39. 仲原善一

    ○仲原善一君 事務的な問題で二、三お伺いしますが、例の小災害問題は、今度の補正予算でどういう考えを持っておりますか。そのやり方について。これが第一点。
  40. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 小災害の問題でございますが、これは先ほど官房長から、今度の災害につきましてどういうふうな取扱いになっているか、二十八年災と比べてどういう対策をとるかどうかということが省なり政府で検討されているという答弁があったのでありまするが、われわれといたしましては、小災害につきましては、もしも補助率が一般の災害復旧が九割というような二十八年災と同様な取扱いが受けられるようなことになりますれば、小災害につきましても、やはり同じような九割ということを考えるべきじゃないか。やり方といたしましては、やはり市町村が起債をしまして、それの九割を元利補給していくというやり方が、やり方としては、補助でやるよりも適当ではないかというふうに考えております。
  41. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は高率補助の問題ですが、今のお話に若干関連がありますけれども、従来、災害復旧の場合、農業施設については補助が五割程度であったと思いますが、これは今のお話の通りに、大体九割というふうに今度の補正予算ではお考えになるのかどうか。これはどうです。
  42. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今、補正予算の要求といたしましては、これは九割ということで要求をいたしております。
  43. 仲原善一

    ○仲原善一君 次には、先ほど櫻井委員からの報告の中にもありましたけれども、早場米の最初の締め切りが九月末であったと思いますが、その際に、供出の用意をして準備をしておったのが、橋が流れたり、あるいは道路がこわれたりしてせっかく準備していたのが指定の倉庫まで持っていけなかった、そういうものに対する対策は何かお考えになっているかどうか、これはもう泣き寝入りになってしまうのか、従来もそういう問題が若干あったように思いますけれども、今回の措置ではどういうお考えなのか、お聞かせ願いたいと用います。
  44. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 早場米の供出期限につきましては、ちょうど九月末、きわめて切迫した時点に災害が起きたわけです。当時の政府買い入れの状況を見てみますると、これはまあ県内全般の状況でございますが、県内全般の進捗状況といたしましては、昨年よりも相当上回った進捗状況にあるわけです。その後の状況を見ましても、東海三県とも去年よりかなり進んだ政府買い入れが行われておるのであります。われわれといたしましては、九月末は、これはもう事実上あのときに第一期の期限が経過をいたしますので、その際は、現実に措置をする時間的な余裕もなかったのでございますが、その後の状況によりまして、検討いたしたいという考え方で進んでおったわけでございます。その後の状況を見てみますると、今回の災害の特徴といたしまして災害を受けました農家はほとんど致命的な被害を受けておるというような状況にありまする関係から、少々期限の延長等を考えましても、実際に対策が必要な農家に対しまして効果のあるような手を打つことが困難ではないかというふうに考えまして、供出期限の問題は、現在も十月十日の期限につきましては、特に延長するような手配はいたしておりません。そのかわり、実際問題といたしまして、たとえば被害を受けました米につきまして、今後買い入れ対象等の問題について、具体的に問題が起きて参る等外米あるいは規格外米の買い入れというようなことも当然考えなければならない問題でありまするし、また概算金の跡始末等の問題も当然起きて参るわけでございまするが、これらにつきましては、われわれといたしましても、できる限りの手は講ずることにいたしまして、供出期限の問題は、ただいまのところ、特に延長をするというふうな考えはいたしておらないわけであります。
  45. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ただいま官房長の御説明で、応急復旧用材として、国有林材を相当大量に供給をするという話があったのでございますが、その中で特定用途のものについて対価の減額をして供給をする、こういうこともあったようですが、従来の場合でありますると、対価の減額をして供給し得るものは、あくまでも国有林の所在する市町村に限定され、その相手力は市町村長というふうになっておったように思うわけでございますが、今日の被災地は、特に名古屋市にいたしましても、さらに愛知南部地域、あるいは三重海岸地帯あるいは国有林の所在しない地帯相当あるんではないか、そうなりますると、せっかくの対価の減額の措置というものも、そういう一番ひどい被災地に対しては及ばないというふうなことがあり得るじゃないか、かように考えますが、何か特別な、たとえば規定の改正の措置というふうなものを進めてやられることに相なっておるわけですか。
  46. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) ただいま御質問があった通りでございまして、従来の規定によりますと、非常に限られた範囲内しか認められておらなかったのでございますが、今回の災害にかんがみまして、農林省令の改正をいたしまして、区域をなるべく広くとるようにいたしたいと、こういうことで、目下大蔵省と規定の改正につきまして審議いたしておりますが、農林省の考え方といたしましては、従来の隣接市町村というだけでなくして、ある一部の地方国有林の所在する地方というふうに改定をいたしまして、広く適用できるようにいたしたい、こう考えております。従いまして、今回の災害地で申しますと、愛知三重岐阜の大体の市町村につきましては適用できるのではないか、こう考えます。ただし、非常に国有林から離れておりまして、全然流域も違いましたり、あるいはまた、国有林と従来とも関連の薄かった遠い地方までは、なかなか量もあることでございますし、いろんな関係で無理かと存じますけれども、できるだけ広く解釈をすることにいたしまして、努力いたしたい、こう考えます。
  47. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 具体的に言いまするというと、名古屋は入るが半田は入らないというふうなことがあり得ますか。名古屋が入る場合には半田市も入るというふうに考えてよろしいのですか。
  48. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) ただいまのところ、実は大蔵省と協議をいたしまして、名古屋は現在実施をいたしておりますけれども、まだ半田市まで入れるかどうかということにつきましては、目下協議をいたしておりまして、不日きめるつもりでおります。私どもとしては、できるだけ広くとろうということを考えております。
  49. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 今協議中だというお話ですが、それは個別に協議されておるわけですか。そうじゃなくて、やはり省令改正をするということにならなければならぬと思うのです。あの中の地域という言葉を一体どういうふうに双方で理解し合うかということが問題だと思うのですが、そうすると半田の問題はこの段階でははっきりしないが、農林省当局としては、これを入れるように考えたいと、こういうのですかどうですか。
  50. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) 私どもといたしましては、名古屋はもとより、地域という解釈は流域というような解釈に具体的に解釈をいたしたい、こういうことで大蔵省と折衝中でございますが、大蔵省の方で、そういうような字句の解釈にいろいろ多少ともこちらとニュアンスの違いがございますので、できるだけ広くとるように折衝いたしたい、こう考えております。ただいまの半田の件につきましては、目下具体的に地域につきまして折衝中でございます。
  51. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そうすると、省令改正の話し合いが進められておるというふうに理解していいわけですね。
  52. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) そのように交渉を進めております。
  53. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 それから、ただいまの問題は応急復旧用材——当面のきわめて限定された用途のしかも応急復旧用材、こういうことですが、今後の復旧状況等を考えてみて、国有林材というものを相当大量に本格的な復旧資材として計画的に供給するというような措置について何かお考えありますか。
  54. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) 私ども、地元の町村あるいは国有林に関連いたしました町村それ以外につきましては、災害の場合は、できるだけ広く国有林の材を用いまして早急に復興したいという念願はいたしておりますが、ただいま私どもの持っておりまする法律あるいは政令、省令というような限度がございまして、なかなか思うようにいきませんけれども、将来は、今御質問のあったように、なるべくこれを量の許す限り広く災害復旧用材として提供したいと、こう考えております。
  55. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 要するに、従来でも災害復旧等の場合には国有林材は優先して出しておられたわけですが、それを今後の場合には相当計画的におやりになる新しいお考えがあるかどうかということを聞いておるわけです。
  56. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) 今回の場合は、御承知のように非常に災害の県が広うございまして、しかも、今までの災害と違って住宅その他の用材が相当広く需要されておりますので、現在愛知県だけでも約八千何百戸の復興住宅の緊急住宅用材が要るわけでございますので、そういうものに対しましては、今回といたしましては、愛知県当局と詳しく打ち合せの上で市町村に対しまして、数量をまとめて名古屋営林局管内だけで供給いたしかねますので、長野その他の営林局とよく打ち合せをいたしましてできるだけ計画的に早くこれをやるように、要すれば、先ほど官房長から申し上げましたように遠く大阪、九州からも計画的に配送いたしまして間に合せるというふうに、少し広い意味で広げて計画をいたしております。
  57. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 私のお尋ねいたしておりますのは、応急復旧用材を相当広い地域から提供しておられることは承知しておりますが、やがてその次に来る本格的な復旧、復興というものがあり得る、その場合に国有林材を計画的に、従来の考え方を一歩前進して計画的にさらに相当多量に供給をする、そうして復興援助をする、復旧援助をするという考え方があるかどうかということです。
  58. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) ただいまの御質問の通り、住宅の復興に今後ますます大きな数量が需要されるのはもう当然でございますので、ただいま国有林材につきましては全面的に公売を停止しておりまして、今後数量がまとまり次第、各営林局で手持ちをいたしておりまする材その他今後生産される材につきましても、計画のでき次第、全局に関連いたしまして、やはり広くこれを重点的に災害復旧に向けるということは考えなくちゃならぬと思うのでございます。ただその場合、業界、一般民有材との関係もございますし、また風倒木約一千万石以上のものが国有林と合して生じておりますので、そういうものとのにらみ合せにおきまして今後計画的にやりたいという希望をもちまして鋭意研究を進めております。ただ、ただいまここで先生の御希望、御要望のように、直ちにこういう案があるということはまだ具体的にいっておりませんので、案のでき次第御報告申し上げたいと思います。
  59. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 もう一点お尋ねしますが、一千万石に達する風害木があった、聞くところによりますと、民有林において相当のものが出ているようです。この処理をそのままにほうっておきますというと、木材市場の混乱を来たす一つの原因に相なってくるのじゃないかという懸念もあります。そこで、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、何か民有林の風害整理の仕事に対する林野庁としての見解がございますかどうか、指導方針がありますか。
  60. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) ただいまの御質問は私どもも非常に憂慮いたしておる次第でございまして、特に今回の風倒木で特徴は風折木が非常に多うございます。そうして用材になり得ないものも相当多いのと、それからもう一つは、小径木のものが相当の数量でございますので、民有林材につきましては、相当計画的にこれを利用していきませんと、なかなか市場の混乱は防げない、こう思っております。そこで、災害後急遽パルプ業界の代表者のかたがたと話し合いまして小径木につきましては、なるべく市場の購入価格の混乱の起らないような措置を要請いたしますとともに、その具体的措置につきましては今週中にでも話し合いをいたすということにいたしておりますし、なお零細な農用林的な森林所有者の多い地方におきましては、森林組合が一部この零細なものを取りまとめまして、この際一儲けしようというような中間業者の入らないような対策を立てて、これを森林組合の仕事として切り出しをやっていくというようなことを考えたり、いろいろな対策を立てまして市場の混乱を防ぎたいと、こう考えております。ただ、しかし数量が非常に多うございますので、一時にどっと出ることについては、どうしても価格の下落は免れないのでございますが、奥地にありますものは、幸いにして民有林につきましては、林道等の関係で一ぺんにこの二、三カ月に出るというような状態ではございませんので、災害等復旧資材に奥地のものは徐々に出て参るということになろうかと思いますので、復興用材の需要とにらみ合して、北海道に生じた風倒木のような危機はまずそれほどないのじゃないかと、こう考えております。
  61. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 前に成立いたしました海岸法に基いて海岸保全築造基準というのを農林省、運輸省、建設省の三省連合で作っておられますが、この基準がどの程度実際に適用されているかどうかということが第一点。  それから先ほども私、災害報告の場合ちょっと触れておいたのでありますが、このたびの十五号台風では、御承知のように五千人余りの人——行方不明を含めてでありますが——五千人以上の人がまず死亡している。もしこの災害が、同じような自然現象が昼間に起ったとすれば、おそらくは人的な損害というものはその何分の一で済んだであろうということが常識として考えられる。これから農林省がおやりになる、あるいはなっておられる、あるいは災害復旧をされる、少くとも干拓地等において、そうして特に災害多発地帯干拓地において夜間の行動が完全に阻害されることのないようないわば照明設備、簡単にいうならば電力会社から配給を受ける送配電設備について、できるだけ災害を回避できるような措置をとる意思がないかどうか。もちろん送電幹線において、あるいは発電山元において電源が停止をされるという場合には、これはもうやむを得ない場合でありますが、少くとも干拓地内等において損害を受けることがないように、私が申しますのは、全般的に損害を受けることがないようにという意味ではなしに、いささかでも夜間行動ができるような措置をとっておく意思はないかどうか。あるいはまた、そうしたことができない場合において、たとえばポンプ場のディーゼル・エンジンを利用して簡単な発電設備と簡単な投光設備を作っておくというようなことを考える意思がないかどうか。現地において聞きますと、どちらに逃げていいのか、一体丘の方がどっちなのか、海の方がどっちなのか完全にわからなかった、かようなことも答えているような状態でありますので、農林省として災害多発地帯干拓地について、かような問題について今後どう考えられるか。  それからいま一つは、同じ干拓地の入植者住宅の問題でありますが、私は現地を見たのではありませんけれども、いわゆるブロック住宅等の相当しっかりした住宅は破壊を免れ、もしくは軽微な損害で、少くとも人命の損害はなかった。木造建築については、いろいろ農林省としては三十メートル、あるいは四十メートルの風速にたえるような設計でやっておられることは承知はしているものの、高潮等に対する災害については、やはり木造建築よりもブロック建築等がまさっていることは申すまでもないことでありますし、建築費そのものについても、さまで木造に比べて高いものではない。現に開拓地等においても相当ブロック住宅を奨励しておられますが、今後干拓地、特に私が申し上げるのは災害多発地帯干拓地でありますが、そうした地帯には一切木造建築は禁止してブロック住宅だけにするという意思はないかどうか。家屋全体をそうしないまでも、あるいは一室もしくは二室程度はブロックにしてしまう、一切そうするという考え方はないかどうか。以上三点についてお答えを願いたい。
  62. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 海洋堤防の規格の問題につきましては、あとで建設部長から答弁してもらいます。  開拓地の住宅の問題でございますが、まず私、城南にも実は行って参りまして、木造の家屋が流れ、ブロック住宅が残っておるということを見て参りました。これの経験にかんがみまして、この点は先生のおっしゃいましたように、なるべくこういう地帯につきましては、ブロック建築的なものにしていくということは、私は当然だろうと思いますので、今後の問題として考えていきたいと思っております。  それから多発地帯の、台風常襲地帯干拓地の照明の問題でございますが、これは今さしあたってこういう方法で参りますということまでは考えておりませんが、今度の災害にかんがみまして、今までの住居方式がいいのかどうか、もう少し、あるいは高台を作りまして、そこに住宅をかまえるとか、いろいろやり方はあろうかと思います。そのうちの照明の問題も一つかと思いますので、今度復旧に当りましては、単に原形復旧ということだけではなく、災害関連復旧を含めまして、今おっしゃいましたようなこと、あるいは住宅の方式等再検討いたしまして、何とか将来の災いは防いでいきたいというようなことを痛切に感じております。
  63. 清野保

    説明員(清野保君) 海岸堤防の築造基準に関する御質問でございますが、御承知の通り、海岸法施行の際に、海岸を所管いたしますところのそれぞれの各省——建設、農林、運輸、各省におきまして実施いたしますところの海岸堤防が、基準が異なりましては、いろいろと問題もございますし、過去においてそういうようなこともございましたので、基準を定めて、今後これによって海岸堤防の設計、施行する、こういたしたのであります。なお、この海岸堤防の築造基準それ自身だけでは必ずしも解釈が明確を欠きますので、別に施行準則を設けまして、三省の間で相談をいたして、それぞれ各省で行いましたところの海岸堤防につきましては、同一設計、同一な工法によるということにしております。従いまして、今後の干拓地の施行並びに干拓地災害復旧につきましても、この海岸堤防の築造基準にのっとって実施をいたしたい、こう考えております。
  64. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 今の建設部長の答弁の中で、少し私が聞き漏らしたのかもしれぬが、私は現在適用されている範囲を聞いたのです。現在施行中のもの等においてどの程度に適用されておるかということを聞いたのです。
  65. 清野保

    説明員(清野保君) 海岸法が施行されました以後の海岸堤防の工事につきましては、この築造基準による。従いまして、海岸法施行以前に築造いたしましたところの海岸堤防、たとえば干拓堤防等につきましては、この基準の線に即して改定をそれぞれ各省は加えていく、こういうような考えでおります。
  66. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回の災害、で漁船が非常にたくさん損傷しております。この漁船損傷、これは台風がやってくるということは、非常に大きな台風がくるという予報が厳しく出されておりましたので、相当避難手配はしておったと思うのですが、にもかかわらず、かような一万二千七百そうといったような船が損傷するということは、一体どういうことで損傷したのか。一方漁港を見ますというと、これも一千カ所以上の損傷があっているようであります。おそらく港の中にみな入っておったので、沖にうろうろしておった船は一そうも私はなかったと思うのです。ところが、それにもかかわらず、かような大きな被害が出たというのは、おそらく港の中で損傷したのじゃないかと思いますが、その辺の状態はどういうことになっておりますか。
  67. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。今回の災害は、御指摘のように、海上における漁船損傷ではなくて、漁港避難しておった漁船ないしは海岸に引き上げておいた漁船が異常の高潮と風浪でやられたというような損害が大部分でございました。
  68. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、漁港損傷によって損害を大きくしたということには考えられませんか。
  69. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) そのような船が大へん多いように拝見いたしております。
  70. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 われわれはかねがねこの漁港施設を非常に重要視いたしまして、絶えず当局にも漁港整備するように言って参っておるのでありますが、かような事態が起りますと、本来漁港としてでき上っておったもの、あるいはまた、いまだかつてその漁港の修築にかかってないようなところの港の漁船が非常にひどくやられると思うのです。そうすると、今後この点は特に修築の技術面もございましょうが、また漁港をもう少し整備するといったようなことに重大な問題があると思うのです。当局としては、そういう面について今回のこういうふうな非常な異常な災害にかんがみて、何らかの対策を講ずるようなお考えがありますか。
  71. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 今度の災害の経験にかんがみますと、確かにこのたびの災害に対する復旧としては、単なる原形を復旧するということでは、また、このような災害がありますると相当損害を受けまするので、できればこの機会に一段と、単なる原形復旧のみならず、一段と漁港整備に力を尽してみたいというふうな気持でおります。
  72. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私どもそういうことは痛切に感ずるわけでありますので、この機会に一つそういう面を強力に施策を立ててもらいたいと思います。  次に、漁船でございますが、このほどたくさんな漁船が沈没、流失、あるいは破損しておると思いますが、これらの漁船のうちで、漁船保険に加入しているものは何割くらいありますか。
  73. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。漁船損害につきましては、まだ愛知県その他の詳細が判明しておりませんが、概算いたしますと、漁船保険に加入しているものが、少い地帯でもって二割程度、多い地帯でも三割五分程度でございます。平均して三割以下ではないかというふうにただいまのところ推算しております。
  74. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 漁船保険というのは、できたいきさつから考えましても、かような際にこれを救済するというのが目的でありますが、今聞きますというと、二割から三割五分程度のものであるということであれば、みずからこれを救うていくという道は非常に少いのです。しかし、ここでこの被害の表を見ますと、愛知三重和歌山、こういう方面が非常に数が多いのです。ところで、これらの三割にしましても、三割五分にしましても、これからは至急に保険金を払い出さなければならぬだろうと思いますが、そういう際に、政府としてはどういうふうな態度をとっておるか。これが一カ月も三カ月もかかる、従来の例からいいますと、損害があってから本人の手に渡るのが三カ月くらいかかるのです。そんなにかかるようでは、一番生活の土台としている船なしに三カ月も待っているわけにいかない。そうすると、その資金を一体どうするか、保険にかかっておる者は、直ちに保険金を払い出してくれれば、それを元にして代船を作るなり、あるいは修理をするなり、あるいはまた買ってくるなりして、すぐ生活の道が開けるのでありますが、今までのように、何カ月も、三カ月もかかるということでは、これはもう、おそらくこういう船は比較的小さい船だろうと思うのですが、非常に困るだろうと思うのです。それに対して政府は、保険に入っている船に対しては、保険金をどういうふうにするか、あるいはまた入っていない船に対してはどうするか。それからもう一点は、この保険は御承知のように政府の再保険でありまして、九割を政府が持つのでありますが、一割は地元の組合が持たなければならぬ。引受者であるところの組合が持たなければならない。ところで、その組合が、割合に三重県あるいは愛知県の組合はしっかりしていないのです。小さいのです。従いまして、その一割というものが果して出せるかどうか。この点はどういうふうになっておりますか。もしそれが出せないとするならば、どうするか。よくやることでありますが、一割の組合負担ができないというと、一割負担しないで、七分負担したり六分負担したりして、保険に加入した漁船、漁業者に対して非常に迷惑をかけている例があるのです。この際にそういうことをしては、今後組合に加入せしめる上において非常に支障がございますし、また、そうすべきものでないでの、それらの処置をどういうふうに考えておられますか。この三つの点をお伺いしておきます。
  75. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) まず第一点の支払いの促進の問題でございますが、御承知のように、この漁船保険は、早く払うことが最大の問題であろうかと思います。従いまして、ただいま、愛知三重それから引き続き和歌山に係官を派遣しておりまして、すでに精算払いをどんどん進めております。従いまして、この地帯におきましては、幾らおそくても今月末までには完了したい、こういう意気込みでただいま部下を督励いたしまして現地にやっておりますから、大体今月末までにはおそくとも支払いを完了したい、このように考えております。  それから第二の点は、この漁船保険に未加入な問題をどうするかということでございますが、これは御指摘のようにせっかくこのような制度がありましても、加入しておりませんと手の打ちようがないのは当然でございまして、今さらながら漁民側から、入っておればよかった、こういう声も聞こえるわけでありますから、こういう機会をのがさずに、できるだけ、こういうこともあるから加入してもらいたい、なお、たくさんな皆さんが一致して入れば国のそれぞれの恩典もあることだからぜひこの機会に入ってもらいたいという運動も進めております。ただ、このようなことだけはなかなか十分に百パーセント加入ということがむずかしかろうと思いますので、今後一段と加入を促進させるのにはどのようにしたらいいかということも引き続き検討して参りたいというふうに考えておる次第でございます。  第三の点は、国は九割部分を再保険いたしておりますから、その点はいいのでありますが、一割部分は自己負担になりまするので、このように災害が起ると払えない場合が——一割部分については払えない部分があるのではないかという御指摘でございますが、これはまことにごもっともでありまして私どももこの点は心配いたしまして現地に問い合せましたところ、ただいまの状況では、これは払わないということでなしに、この点はただいまの資金で大体いけるだろうという現地からの連絡がございましたので、まあ安心しているわけですが、なお支払いを継続していきまして、もしそのような御指摘のような事態がありますればまた善処いたしたいと思いますが、ただいまのところでは、そのような心配はないとの連絡でございました。
  76. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の質問のうちの、保険に未加入の船で損傷を受けた船がたくさんあるわけですね。六割以上もあるわけです。そういう船の復旧に対しましては融資かなにかでやるのでしょうが、どういう処置を考えておられるのですか。
  77. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 以上申しましたのは、主として漁船保険に加入しておった漁船についてでございましたが、御指摘のように未加入漁船相当ございます。それと、そのほかに、保険はあくまでも現在価格を基準にして保険金が支払われる関係上、これが必ずしも新しい船を作る場合に十分であるとは思えない点が相当あるわけでございます。従いまして、この点につきましては、天災融資法と、それからそのほかに建造につきましては公庫の融資を活用いたしたい考えでございます。ただ、それにいたしましても、今度の災害相当手痛い災害でございましたし、かなり集中的に、村または漁港につきましてはかなり集中的に見舞っておりまするので、場合によっては公庫の融資だけでは十全の措置とは言えない面があろうかと思いまして、私どもとしてはできれば共同利用をすると、漁船を単に個々の方が建造するだけではなくて、何か組合ないしは市町村が共同利用する、共同利用の施設として建造していくという考え方をこの際とったらどうだろうかということで、なお、その場合の、共同利用するような施設としての漁船については、やはり相当補助金もつけてみたいと、このように考えまして、ただいま財政当局にも打ち合せ中でございます。
  78. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  79. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) では速記をつけて。  本件について午前はこの程度にいたします。   —————————————
  80. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、前回の委員会において清澤委員の質問にかかる米穀調製用電力料金の件について、食糧庁長官から発言を求められておりますから、この際、これを許します。
  81. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 前回清澤委員から脱穀調製の過程の中にありまする乾燥作業に使います電力料金について御質疑があったのでございます。この問題につきましては、われわれの方で関係当局と、具体的には自治庁及び通産省の公益事業局でございますが、打ち合せいたしましたところ、自治庁といたしまして、農林省に対しまして、正式に脱穀調製の解釈の中に乾燥作業が入るかどうかということを照会をする、その回答を受けて自治庁からそれぞれ関係の方面にこれが電動機を使用いたしまする調製作業の中に入るという解釈通達を流すという了解が取りつけられたのでございます。自治庁の方でおそらく本日中にもその照会文書を農林省の方へよこすはずでございまして、それに対しまして農林省から電動機を使いまする作業は脱穀作業と人工乾燥作業、もみすり作業であるという回答をいたすことにいたしておりまして、それを受けて、自治庁の方からそれぞれの方面に解釈通達をお流しいただくことになっております。なお、それに応じまして、通産省から電気事業者の方に対しましても、必要なる指示をしてもらうことになっておるわけでありまして、実質的には御要望の通り、人工乾燥に使いまする電力は、脱穀調製の電力料金を適用するように話し合いを進めておるわけでございます。
  82. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言がないようでありますから、本件はこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩いたしまして午後二時から再開をいたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後二時二十九分開会
  83. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  前回に引き続いて通運事業運賃料金の件を議題にいたします。  この件について質疑の要求がありますので、この際、これを許します。  なお、政府からの出席は、福田農林大臣、前田運輸政務次官、国友運輸省自動車局長でございます。
  84. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 通運事業の運賃料金の引き上げにつきましては、聞き及ぶところによりますというと、すでに先月二十八日、今月に入りましてから八日の二回にわたりまして公聴会を開催せられ、賛成意見、反対意見、参考意見、それぞれすでに出尽したやに聞いておるわけでございます。また運輸当局におかれましても、その妥当性につきまして、おそらく相当な検討をなさっておると思うのでございまするが、一体、この問題をどのようにお考え、お取り上げになるつもりであるか、率直、端的に政務次官の御見解をお聞きします。
  85. 前田郁

    説明員(前田郁君) 現在の通運事業運賃料金は、昭和二十七年の原価を基準として、昭和二十八年四月に改訂されたのでありまして、約六カ年間そのまま継続して今日に至っておるわけであります。その間、諸物価及び賃金等は相当に高騰しており、その原価もまた増加いたしておる実情であります。もちろんその間におきまして、経営の合理化を推進し、過般、昭和三十二年四月における国鉄運賃の改訂の際も、運賃料金を改訂せず、一般荷主その他の各方面に影響を与えないように努力をさせまして、また業界みずからも努力をいたして参ったような次第でありますが、これにもおのずから限界があると考えておる次第であります。また関連事業料金その他公共事業料金を通運事業運賃料金と比較いたしまするというと、相当の差がございます。通運事業の運賃料金として、昭和十一年を基準として、二十八年の四月の値上げの時期がちょうど百五十四倍、鉄道が昭和三十二年の値上げの期日において二百二十倍、ガスが二十八年の値上げの期日において二百四十七倍、水道が三十一年の値上げの期日におきまして百五十六倍、都電が三十二年の値上げの期日におきまして百八十五倍、新聞が三十三年の値上げの期日におきまして三百四十八倍、こうなっておりまして、低率に押えられておることも事実であります。それから参考までに申し上げれば、他産業との賃金の比率の比較でございますが、全産業が三十三年において二万一千百六十一円、運輸通信及びその他公共事業が二万四千八百五十八円、全通運が二万一千六百二十二円、地区統合会社が一万五千三百十六円、新規免許業者が一万五千三百円と、こういうふうになっております。それからなお、通運事業は合理化の困難な事業でありまして、事業場は、全国貨物駅五千七百五十三駅に分散をいたしておりまして、これらの駅に最小限の人員の配置と施設整備を必要とし、労務管理、作業面の能率化は、他の産業に比して非常に困難でございます。さらに経営面についてみましても、個人業者、限定会社その他特別のを除き、比較的一般的な業者約三百について検討いたしましたところが、配当しておりまする会社は約半数、無配が二二%、欠損が二六%であります。また経営不振に基く事業の譲渡、廃止、鉄道運賃の支払いの遅延等が見られまして配当を継続している会社についても相当の無理をしておるものが多いのであります。全体といたしまして、経常的に不安定であり、健全経営を確保しておるとは考えられないのであります。このような実情では、国鉄輸送の近代化に即応した諸施設の改善、荷役の機械化等の要請を早急に充足し得るに足る経営基盤にあるとは考えられないのでありまして、その実現に困難を来たす現況でもあるのであります。  以上申しましたような実情から推しまして、現在の通運事業運賃料金は、この際改訂の措置をとる時期に来たのではないかとも考えられるような次第でありまするが、しかしながら、重要な問題でありますので、去る八月十八日運輸審議会に諮問いたし、九月二十八日、十月八日の二日間にわたり公聴会を開催いたし、一般の意見を十分拝聴いたしたのでありまして、今後これらの問題を研究いたしまして、そうして措置をする考えでございます。
  86. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ただいまどういうわけでこの料金を引き上げなければならないかという御説明がるるあったように思うのでございますが、二十七年以降据え置きであるとか、あるいはその間に賃金あるいは物価が相当大きく動いたとか、あるいは他の公共的な事業に比べてみてその料率が低いとか、こういうことは一般的な理由ではあるいはあるかもしれませんけれども、それだから上げるのだという、決してきめ手になる理由には相ならぬと思うわけであります。聞くところによりますというと、五百数社関係業者があるそうでございますが、ただいまの御説明によりましても、中には相当もうかっているものもある、若干損をしておるものもある、あるいはとんとんというところもある、こういうことで、おそらく経営の内容、成績の実態というものは千差万態ではないかと思うのであります。一体、そういうふうな姿がどういう原因で個々の経営の中から出てきているかというようなことも、さらに一そう突っ込んだ分析もしないで、おしなべてこうだから上げなければならないというお考え方は、われわれとしては絶対納得いかないわけであります。しかも、御承知のように、こういったものの料金を引き上げますというと、関連事業の運賃料金というものの引き上げが誘発されることは、これは当然でございます。また国鉄運賃の問題とも一体不可分の関係にあるということにつきましては、私どもが申し上げるまでもなく、せんだっての公聴会で、参考人として国鉄の貨物課長の陳述の中にもあるわけであります。現在国鉄においては、この運賃体系及び輸送の合理化について、鋭意検討をされている、私どもはこのように承知いたしておるわけでございますが、必ずや、このような検討の中からは、貨物取扱い駅の集約化というようなことにつきましても重点研究項目の一つとして取り上げる、これは私は必至であろうと思うわけでありますが、こういった問題と、ただいまの料金をいかにするかというふうな問題は、これまた一体不可分の関係にあるということは、申し上げるまでもないわけであります。そういうような状況にあるときに、そういう問題との関連性ということもいささかも考えず、さらに相手方があるということも十二分に承知の上で、きわめて不親切な態度の中で、こういう問題をしかも突如として取り上げなければならぬということは、われわれとしては絶対にわからない、こういうことにつきましては、運輸当局はどのようにお考えになりますか。
  87. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 通運の運賃料金に関しましては、政務次官もお答えいたしましたような事情で、運賃値上げ、運賃改訂をする必要があるのではないかという私どもは考えに到達したわけでありますが、ただいま仰せられました通運事業については、私どもとしましては、通運事業自体の原価計算を、代表的な居所をとりまして計算をしたわけでございまして、それに基きます原価に、通運事業といたしましては運賃料金を決定いたします場合には、通運事業法の二十条に「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること」、それから「特定の荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと」という二つの認可基準に基きまして、通運の運賃料金を認可することになっておりますが、これらの原価計算をいたしました結果、私どもといたしましては、配当をいたしておる会社もありますが、原価計算上からいうと、やはり値上げが必要であるという結論に達しましたのと、国鉄の運賃との関係につきましては、むしろ政務次官のお話の中にもありましたように、昭和三十二年の四月に国鉄運賃は値上げになったわけでございまして、通運の運賃料金が値上げになりました昭和二十八年には、その前に国鉄の運賃料金の改訂という措置があったわけでありまして、昭和三十二年の四月の国鉄運賃の改訂の直後におきましては、われわれとしては、通運事業は経営の合理化をすべきであるということで運賃改訂を認めなかったわけでありまして、そこに六年半という日月がたったわけでありまして、むしろ、そういう国鉄の運賃との関連から申しますと、すでに昭和三十二年に国鉄運賃が改訂になりましたそのあとで、通運としても運賃料金が改訂になるべきであったかと思うのですが、それを改訂しないで今日までもってきたわけでありまして、そういうような意味におきまして、現在のところ、国鉄運賃の将来の改訂を待つのではなくて、前の改訂に随伴してと申しますと語弊がありますが、前の改訂に伴って、改訂をするような状態でありまして、むしろ一番通運の運賃改訂がおくれておる。私鉄、バス等につきましても、相当時日を要し、われわれとしては検討いたしたのでありますが、昭和三十四年、本年の一月に改訂の申請のありましたものについての改訂を終了したわけでありまして、通運はその後も半年以上たっておるという状況であります。そういうことでありますが、国鉄の取扱い駅の集約化等につきましても、これに関しまする措置は今後運輸省としても検討し、運輸省の内部におきましては、鉄道監督局と自動車局でまた打ち合せることになると思うのでございますが、これらの集約化がなされます場合の運賃につきましては、また、そのときに考慮すべきであると考えておりますので、今回の通運の運賃料金の改訂に関しましては、それらの措置の前に、改訂の措置をする必要があるのではないかと考えておる実情でありまして、それらの点に関しまして、荷主がたくさんございますそれらに対する連絡等も不十分であったという声もわれわれとしては聞くのでございますが、この点に関しましては、申請者側も貨物協会あるいはその他を通じましてできるだけ詳細に各荷主団体に御説明しておるのでございまして、公聴会の席におきましても、資料が不十分であるがという御発言はありましたが、趣旨といたしましては、各荷主団体は、その言わんとされるところを述べておられますので、それらを十分われわれとしては考慮しまして、これから通運運賃料金の審査をいたす段階になっておるわけでございます。
  88. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 鉄道運賃の改訂に伴って、これに関連するものは、次から次へと上げられて最後に残っておるのがこれが一つだ、こういうような言い方のようでございますが、改訂ということは、必ずしもそのつど値上げというふうにお考えになる必要はないわけであって、よりよき均衡を保つようなものに直すという意味であるといたしますならば、この前の国鉄運賃の改訂に伴ってこれが上らなかったということは、非常にけっこうなんです。上げなくて済んだ、非常にけっこうなことだというふうに考えなければならぬと思うわけです。従って、今七年たった今日において追っかけて、前に随伴して取り上げなければならねというような理屈は毛頭成り立たない、こういうふうに思うわけでございます。これまた聞くところによりまするというと、九・九%の値上げになるということであります。そしてその総額は五十億円以上に達するということでございますが、いずれをとって見ましても、これは国民生活の必需物資であったり、基礎資材というふうなものにかかわってくるわけでございますが、すでに御承知の通り、先般公共政策割引の存廃問題をめぐりまして、当委員会におきましても、なかなか激しい議論が数回にわたりまして行われましたことは、皆さん御承知の通りであります。これは相手は国鉄であり、しかも、公共政策割引という制度にかかわる問題であるということもありますけれども、そのときの総額は、これまた御承知の通り、当時二十億円の金であった。今回はそれの約二倍半の金額が、しかも、突如として上ろうとしているわけであります。こういったことについて、一体運輸省当局はどのようにお考えなんですか。
  89. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 先ほど申し上げましたように、原価計算から申しまして、値上げの必要性が認められるものについて、基本的な三料金と申しておりますが、通運事業に関しまする基本的な三料金、主として取扱料、積卸料、集配料というふうなものにつきまして、今度の改訂に関しまする申請が出たわけでございますが、それが通運の全収入に対しまして九・八八%の増収率になるということを申しているわけでございますが、金額の点で五十億円とか、あるいはその半額に近い公共割引というようなことのお話がございますわけですが、通運事業の運賃料金に関しましては、従来いわゆる原価主義の建前をとっておりまして、国鉄の運賃料金等が等級によって差がございまして、負担力を加味した運賃を設定したわけでございますが、通運事業におきましては、運賃原価を基礎といたしまして扱いトン数によって運賃料金の額を定額できめておりますので、各品目についての差というものを認めておらないわけでございまして、今後と申しますか、従来の負担力主義による運賃よりは、むしろ原価主義による運賃を取り上げて、まあ運賃政策というものがだんだんにその方向に向っておりますときでもあり、通運事業といたしましては、そういう原価主義を今までとっておりましたので、通運事業法二十条にございます「適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものである」という計算のもとに、一律運賃と申しますか、等級別の差のない運賃を審査するという段階になっているわけでございまして、その行き方につきましては、今後とも通運事業に関しましては、価格に対しまして占める運賃の比率も、割合少ないのでありまして、そういう点においては原価主義をとっていきたいと考えている次第であります。
  90. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 原価主義原価主義とおっしゃるのですが、さきの御説明にもありましたように、二十数%は赤字だ、また二十数%はこれはもうけている、残りのものはとんとんだ、こういうふうな説明を聞いたのですが、そんなように経営の実態というものはそれぞれのものによりましても千差万態ではないかと思う。資本の構成につきましても、おそらくピンからキリまで大小がありましょうし、それを経営をいたしておる地域の状況からいいましても、非常に異なった事情があるのじゃないかというふうに考えるわけですが、一体、どういうふうな考え方、計算に基いて原価主義原価主義とおっしゃるような金科玉条のものが出てくるのか、われわれにはわからぬわけです。その点につきましても、もう少し具体的なお話を承わらなければ、何ともお尋ねのしようがないと、かように考えるわけなのです。それから、かりにやり切れないようなところが出たといたしましても、これは相手方のある仕事にかかわらず、直ちに料金の引き上げということで問題を解決しなければならぬという考え方も、これまたきわめておかしいのじゃないか。その他運輸省当局がいろいろと手をかしていられる援助手段と申しますか、助成手段というものは、ほかにあるのじゃないか。一体、そういうものをどういうふうにお考えになっているか、こういう点について詳細承わりたいと思います。
  91. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 原価計算をいたしました場合の、原価計算の方法といたしましては、各都道府県にわたりまして、各業態別に、それから四号までの号級がございますが、各号級別に経営状況が標準的なものを選びまして、といいますことは、特殊な作業のみを行なっていないもの、また自己保有運搬具で七割程度以上の集配を行なっているもの、それから取扱い品目がある種のものに偏していないもの等、一般的な、標準的なものを選定いたしまして、そうして年間の取扱い数量の平均数量になるような一カ月をとりまして、運輸省としましては、原価計算実施要領というものをきめておりますが、その実施要領に基きます計算のもとに、一般管理費と、それからこれに適正利潤を加算して原価を計算したわけでございまして、これらについては、代表的なもの七十八店所について調べておるわけでございます。それで、料金の引き上げにつきましては、配当をいたしておりますものの中には、通運事業以外の付帯事業を行なっているものも——付帯事業といいますか、別事業を行なっておりますものも相当あるわけでありますが、私どもが通運事業の運賃料金を審査いたします場合には、通運事業法に先ほど読み上げましたような認可基準がございまして、通運事業自体としてどういうふうになっておるかということをまず計算をすべきであるということになっておりますので、通運事業自体での計算をいたしておるわけでありまして、配当等の場合には、他事業における利益による配当というものが相当額あるわけでございます。で、実は助成等の手段につきましては、これは運輸省といたしましては、非常にまあ力がないと申しますか、こういうたぐいの事業会社の助成というものに関しましては、補助金を出したり、あるいはその他助成をするような形の政府からの補助というようなものがほとんどなされませんで、私企業として成り立っていくための方法といたしましては、運賃料金によってまかなうという方法をとって参りました次第で、特別なる政府からの補助的な助成手段ということは従来とっておりませんでしたので、それでは今後におきまして、そういう手段がとり得るかと申しますと、従来とっておりませんでしたので、なかなかそれについては困難がある。しかして、通運事業の経営というものは、やはり私企業でありますので、ある程度立っていくことを考えなければいけませんので、それらの点を両々勘案しました結果といたしましては、ある程度の運賃料金の改訂ということは避けられないのではないかという結論に私どもとしては達しておるわけであります。
  92. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ただいまの御説明によりましても、原価主義とおっしゃるが、原価の考え方、取り方がまことにあいまいである。従いまして、たとえば、あるグループ、グループの中庸なものをとって、その企業について原価を計算するということで、一体、他を調べて参りますと、当然それ以上のよい内容を持った経営においては相当な利益が上る。反面においては、改正をして料金を上げても間に合わないというものが出てくる、こういうことになることは、私は当然ではないかと思うわけであります。特に、通運事業につきましては、いわゆる日本通運という特殊な大きなものがあるわけでありましてこの扱い量なりなんなりというものは、全体の半数以上にも及んでいるというようにわれわれは聞いているわけであります。おそらく、この日通に比べますと、他の五百何社というものは、全く見落すようなきわめて小さいものであるというように思うわけでありますが、一体、日通の現在の経営状態というものが、われわれの見るところによりますと、必ずしも不健全経営とは考えておらぬ、一体運輸省はどのように考えておりますか。
  93. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 日本通運の取扱い量が全通運事業の半数以上を占めておりますことは、仰せの通りでございますが、日本通運株式会社の事業成績に関しましては、きょうお配りしてございます資料の中に、日本通運株式会社における事業成績推移表というものがお配りしてございますが、これによりますと、これは昭和二十八年度から記載してございますが、二十七年に日本通運といたしましては相当の大量整理をいたしましたのでありますが、その後二十八年に運賃料金を改訂いたしまして、二十八、二十九、三十年とこの間は、ここに期末未処分利益剰余金が計上してございますが、経過といたしましては、割合順調に推移して参りまして、昭和三十一年に備考欄で退職給与引当金不足額三千二百万というのが計上してございますが、この三十一年あたりで本来ならば引当金として計上すべきものを計上せずして措置をしたのでございますが、昭和三十二年度は神武景気の時期でもありまして、扱い量につきましても、相当上りまして、こういう措置をしないでも済んだわけでございますが、昭和三十三年度に至りまして、退職給与引当金不足額と固定資産の処分益と書いてございますが、これら上期、下期合せまして二十億の捻出をいたしまして、期末未処分利益剰余金を上げておるわけでございまして、これらの点を見てみますると、退職給与引当金というものは、これは本来この程度とるべきものであり、固定資産の処分に関しましても、その固定資産の処分はそう毎回々々多額にやれるものでもございませんので、二十億というような点については、これだけを見ましても完全に赤である、そして将来、この三十四年度の推移を見てみましても、荷物の扱い数量においてはそれほど、たとえば三十二年度に比べましても減っておらないのでございますが、収入におきましては思ったほど伸びない、こういう状況を示しておりますので、この昭和三十三年度に示すがごとき赤字というものがやり切れなくなって、退職給与引当金を計上しないで、未計上で措置する、固定資産の処分をして措置する、こういう状況をとっておるわけでございます。
  94. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そこで、農林大臣お見えになっておりますが、今回の何かこの上申案を見まするというと、従来四号駅適用ということでありましたものがこれは全廃される、全部上に上ると申しますか、というような措置もあるようでございますし、さらに割り増しの制度を新しく作ったり、拡大をするというような内容も見られるようでございます。また農林物資等につきまして、品目ごとに計算いたしまするというと、全体は九・九%と聞いておりますけれども、中には二十数%、さらにその以上の引き上げになるものもあるようでございます。何といいましても、農林水産物といいまするというと、その生産地はきわめて僻地でありますし、需要度に比べまして確かに運賃の負担力というものが少ない物資として共通的にそういうことが言えると思うのであります。従って、こういうふうな料金の引き上げというようなことが行われますというと、かりに、いささかなものでありましても、それがもとになって物資の流通あるいは価格の混乱を来たす、そのことはひいては国民生活に相当な脅威を与え、農山漁家に対しましても、その経営を強く圧迫するというような影響が確かに出てくると思わなければならぬと思うのであります。従いまして、この種のことにつきましての農林大臣の御見解を承わります。
  95. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま運輸政務次官から通運運賃を上げなければならぬかとも思うが、その実情はこうだということにつきまして話があったわけでございまするが、まあ私ども一の方でもそういう話を受けておるのです。それで検討してみますると、その事情というものは、もう七年近くも据え置きになっておる非常にお気の毒な事情もあるように思うのでございます。しかしながら、これが一つは農林物資に非常な影響がある、今お話しのように二割以上の影響があるわけでございます。さようなことから考えまして、その大幅な引き上げが今直ちに行われるというようなことはとうてい考えられないことではあるまいかというふうに考えるわけであります。すなわち、その幅が、一度に上げるというような問題といたしましては、いかにもこれは急激であり、突如であると、さように考えるわけであります。  それからもう一つは、今の国の経済全体のもって行き方の中におきまして、お話のように非常にこれは影響を持つ問題ではあるまいかというふうに考えるわけでございまして時期的考慮という点も問題になってこざるを得ない、かように考えるわけでございます。  その他内容につきましても、お話のように駅の階級をかえますとか、あるいは急送制を取り上げておるとか、いろいろあるわけでございまして、これはすでに私どもの方でも運輸当局に対しまして慎重に扱ってもらいたいということを申し入れております。運輸当局の考え方そのものについて気持がわからないことはないけれども、その程度と時期につきまして、これはきわめて慎重なる態度でなければならぬ。かように考えております。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 石谷委員からいろいろと質問がありましたわけですが、前回からの御説明にもありましたように、この通運事業が半数以上のものは大体黒字を出してやっていっておる、そうしてそのあとの半分がとんとんであり、あとの半分が赤字であるというお話でございますが、これはひとり通運事業に限りませず、あらゆる事業面でいわれることでありまして、何も通運だけがそういう特殊の例にあるわけではございません。あらゆる産業にしましても、事業にしましても、もうかるものもあればもうからぬものもあります。そのもうかっておるのと、もうかっていないのとが同じような業態の中にあるということについては、私どもは経営のやり方、機構の内容等において差があるのではないか、こういうふうに考えておるのでございますが、そのいろいろな差のできているのは、どういう理由でそういう差ができておるのか、しかも、半数以上のものはぺイしてもうかっておる、あとの半数足らずのものがあるいは赤字を出し、あるいはどうにかやっておるといったような状態はどこから生まれておるか、その点を御説明願いたいと思います。
  97. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 通運事業の現在免許されております業者は五百四業者あるわけでございますが、これらの中で業態の悪いものは、終戦後に新しく免許になりました——われわれは新免業者と申しておりますが——新免業者と、それから日本通運に統合されませんで、残りまして——われわれは地区統合店と呼んでおりますが——この地区統合店について業績の悪いものが多いわけでございますが、この何と申しますか、通運事業の根本的な性格といたしまして全国の駅があります限りは、通運事業はその駅に付随して設置しなければなりませんので、どんな小駅でありましても、その駅において通運事業が扱える程度の人員と施設その他を持たなければならないわけでございまして、これらの店に、たとえば経営の合理化ということをわれわれは申しまして、日本通運あたりで非常に経営の合理化をさせておるわけでございますが、経営の合理化がまずなし得るのは、やはり大きな数量を扱います大都市においては、やはり経営の合理化というのが割合スムーズにいくのでありますが、今申しましたような地方の山村の小さな駅所におきましては、その経営の合理化というものがなかなか及びませんので、それらについてもできるだけの経営の合理化を考えさせるべく努力をしておるのでありますが、やはり今申し上げましたように、各駅ごとに店所を持たなければならないという点が、通運専業におきまする経営の合理化をはばんでおって、ある程度原価がふえる要素になっておると思いますので、これらの点が経営にも及びまして、地方におきまする小さな業者はやはりやりづらくて赤字が出る、こういう状況になっておるのではないかと思っておるわけでございます。
  98. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいまの御説明を承わりますと、小さな駅における小業者が非常に赤字を出している、大きな業者は比較的やっていけるんだという御説明でありますが、前日あたりから聞いてみますというと、一番大きいところの日通が非常に困っているというお話で、その点私どもにはどうも納得のいかない点がある。そういう大きな業者がむしろよくなければならないはずのようにただいまの御説明では承わりますが、かりに今お話のような状態にあるといたしましたときに、それらの小さい業者の運賃を引き上げるために大きな業者までが一緒くたになってありがたいことになる、これはどうもおかしいじゃないか、むしろ私は、さような小業者で十分な機能も発揮できないような赤字ばかり出しているようなものは、政府としてはむしろ整理統合をして、そうしてその事業自体の全体の合理化をはかるべきじゃないか、その一つ一つの企業体の合理化ができないとするならば、あわせて通運事業の発展を期し、あるいは健全な経営に持っていく措置を講ずべきではないか、かように考えるのでありますが、その点はどういうふうな措置をしておられますか。そういう点は全然考えないで小さい業者が困るからそれが引き合うように、利潤がもうかるように運賃を上げてやるんだ。一律一体に上げますというと、従来のもうかっているところはますますもうかる。そうして小さいものが辛うじて利潤の配当ができる程度のものになるということでは、荷主としてはまことに納得いかない考え方になるのでありますが、運輸当局としてそういう処置についてどう考えますか。
  99. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 日本通運のお話が出ましたのでありますが、今申し上げましたように運輸事業におきましては、山間僻地の小駅におきまする不採算性というものがあるわけでございますが、日本通運は本来日本全国の駅全部に店所を持っておりますので、そういう不採算営業所を多数にかかえておるわけでありまして、これらの点におきまして、日本通運としてもやりにくい点があるので、あの一番大きい日本通運株式会社におきましては、地方の一番小さい店所を持っておるということから御推察していただけるんじゃないかと思いますが、通運事業法は終戦後に小運送業法を改定いたしまして通運事業法を作ったわけでございますが、その通運事業法を作りました際の根本的な考え方といたしましては、「通運に関する秩序の確立、通運事業における公正な競争の確保及び通運事業の健全な発達並びに鉄道による物品運送の効率の向上を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」とうたっているのでありますが、公正な競争の確保ということを主眼にいたしまして、新しい新規免許業者というものが生まれて参りましてこれを複数化と申しておりますが、各主要な駅におきまして採算のとれるような駅においては複数化を考えたわけでありますが、まあこれらの複数化をされた駅におきまして、日本通運とそれから新規免許の会社とが両々相待ちまして今業務を経営しておるわけでありますが、これらの三社なり三社なり、あるいは四社が一駅において業務をしておりますところを見ますと、これらについて原価計算をいたします場合には、単に不採算の、一番業態の悪い会社だけを計算して運賃を査定するわけではありませんので、まあ、全体につきまして計算をした結果、妥当だと思われる、これが経営上妥当だと思われるような原価の計算を私どもとしてはしておりますわけです。と申しますのは、ある駅の店所には高い運賃を認可し、ある駅の他の店所には安い運賃を認可するということでは公正な競争もでき得ませんので、ある駅におきます運賃料金というものは一定額にしなければならない、こう考えますので、それらの点に関しましては、ある駅におきまする運賃料金は一定額にし、その計算は単に最も業態の悪い会社の計算ではなくて、能率的な経営をしておるかどうか、それらを基本的に考えました上でその原価を計算するわけでございまして、それらの点が運賃料金をきめます場合の基本的な考え方でありますが、しからば、これらについて統合を考え得るかどうかというような問題につきましては、通運事業法の精神が、今申し上げましたように、公正競争の確保、通運事業の健全な発達というようなことを目的としておりますが、現在、戦争前あるいは戦争中にやりましたような統合という趣旨ではなくてやはりある程度の競争態勢を確立した上での公正競争ということを考えており、さらに不良業者についてはいろいろな、特別に不良なものについては、そういうものを除去するような措置を運輸省あるいは地方の陸運局等でも考えておるわけでございますが、これらの点を急速に一本に統合するというようなところまでは、今の通運事業法の上からもあるいはまた私どもの考えからもとっておらないところでございまして、まあ、非常に悪い会社については、何らかの改善措置を私どもとしては指導していく方向で経営の向上ということを考えておる次第であります。
  100. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいま私の質問したのは、何も通運事業を一本に統合する意思があるかということを聞いたんじゃございません。ただいまのお話のように、公正な競争のもとに健全な発達をはかるのだという趣旨はよくわかります。これは必ずしも通運事業ばかりでなく、他の産業にもそういう精神は織り込まれておる。しかしながら、たとえていいますと、私は水産関係でございますが、終戦後において魚市場が今の精神によって妥当なる、正当なる競争のもとに発展を期するという意味から複数制をとりましたところが、非常にたくさんのものができましてばたばた倒れる一方、これが荷主あるいは取引先に及ぼす影響は非常に大きいので、漸次これを指導してある程度に縮めてきつつあるという事例が現在でもあるのであります。そういう意味からいたしましても、何も通運事業を目通一本にしろとか、あるいは何一本にしろとかいう私の精神ではございません。そういうふうな小さい所に幾つもあって競争するがために、そこの荷が分散して、その一事業体がやっていけなくなるというのが実情じゃないかと私は思う。従ってそこに四つあるものなら二つにするとかいうふうに、ある適当な分量に応じた制度を運輸省は考えるべきじゃないか、そういうことは置いておいて運賃ばかり引き上げてみても、ただいまあなたがお話のようにいたしますというと、必ずしも最低のものを引き上げるのじゃないんだということになれば、引き上げてみたところでやはり引き合うものと引き合わないものと出てくる。それに対して正当なる利潤を与えるということになりますと、それまた与えられないことになる。そうすると運賃を上げてみたところでそういうものは出てくる。そこに非常な矛盾があるのでありまして、私は単に値上げの方法一つに限って救済するというのじゃなしに、一つそういったような面で企業の合理化と申しますか、広い範囲の合理化というものを運輸省は十分考えるべきじゃないか、こういうことを私は強く要求をいたします。  それからこまかくなりますが、事業総収入の九・九%——九・八八ですかというものを増収するということでございますが、とかく国鉄の運賃改訂の際にも平均何%上るのだという表明がありまして、調べてみると、とんでもない大きな率の引き上げになるのは、前回の国鉄運賃の引き上げの際にもはっきりしたのでありますが、私は今回の引き上げが果して運賃の九・九%であるのか、ここに配付を得ました資料によってみましても、大部分のものは一割以上の値上げであります。ここでこの資料の第二というのの第一ページのものを見ますと、まず車扱いの部分を見てみますというと、これがこの分だけでも一号駅が二割、それから二号駅も二割上っておりますし、三号駅は二割四分上っておりますが、これは積み込みの到着の方でありますが、発送もこれは今同じでありますけれども、積み込みの方を考えましても、一号駅が二割、それから二号が二割三分ですか、三号駅は三割八分、それからまた積みおろしの方は一号が二割九分、二号は三割三分、三号が三割五分、こういうふうな値上りをしておるのであります。これはここにあります通り、基本運賃料金となっておりますが、そのほかに物によっては割増しがどっさりついておる。急送品につきましては三割、易損貨物につきましては五割、それから分割割増しというのが三割、冬期の割増しが平均三割、夜間の割増しが三割であります。こういうものを水産物にかりにとってみますと、これはほとんど全部急送品であります。同時に易損貨物として扱われておる。易損貨物と急送品は高い方の割増しを取るということでありますから、これは五割であります。冬になりますとさらに三割上る。これは夜間の扱いが多いのであります。そうするとこれが三割、ということになりますと、十数割というものがこの基本料金のほかに加わっていくじゃないか。そうするとどえらい運賃の高騰になりまして、農林物資の大部分は、この運賃が値上りになりましても、これを商品に転嫁することのできないものであります。市場に行ってせりにかけますから、しかも、運賃がこれだけかかったからこれだけで買ってくれという原価を指定して売るものじゃございません。従いまして、それらの運賃の値上りというものは全部荷主にひっかぶってくる、荷主にはね返ってくるものでありまして、われわれが常に運賃に対しまして強く反対をいたしておりますゆえんもこの貨物の性質にあるわけであります。そこで、かような運賃を引き上げて、しかも、これは九・九の値上りであるということにつきましては、われわれはどうしても納得がいかない。こまかい計算をするいとまがございませんが、今配付になりました資料を見ましても、九・九ということはどこにも出てこない。ただこのうちに鉄製品につきましては幾らか安い、あるいはまたマイナスになっている点もありますが、大部分のものが全部一割五分、一割七分といったような値上りになっております。それに今の号級を廃止するとこの農林水産物資は小さい駅から積み出すものを利用するものが多うございまして、しかも、これはどっちかというと、零細な業者でございますので、これらにはね返ってくるところの影響が非常に大きいとわれわれは考えております。常に原価主義とおっしゃいますけれども、私は今の御説明によりますと、どうも矛盾が多いようでありまして、ややもすれば国鉄の突っかい棒をしているじゃないかというふうな誤解を招くおそれも多分に私はあると思います。今後、あなたの方でこれを取り扱われるに際しましても、ただいま農林大臣の御意見もございましたが、これらがわれわれの日常生活に最も重要な物資であるということにかんがみられまして、単なる一企業体の経営をよくするということに世間で考えられるような処置をとらないように、最近の新聞で見ましても、なるほど、いろいろ退職積立金の停止であるとか、あるいは固定資産の売却によって配当を許したと言っておりますが、現在の配当は一割四分を配当しておるようであります。一割四分の配当といいますと、そう低い配当ではない。これを一割にすることで━━あなた方は一割は配当しなければということでありますから、一割の配当ということになりますと、四分というものはまた引けてもいいわけであります。これらにつきましては、まだいろいろと私は打つ手があるのじゃないかと、かように考えるのでありまして、私は今日あなた方の説明を聞き、また資料によって承知いたしまする限りにおいては、どうも賛成をし、納得をすることができないのでありまして、特にもうすでに公聴会も済み、私はいずれかの裁断をする時期になっておるであろうと思うのですが、われわれといたしましても、さらに何らかの考え方を表わしたいと思っておりますけれども、十分一つこの点は慎重な態度でことを決しませんというと、あなた方の今おっしゃるようにやりましたところで、結局趣旨に合うようなものにならない。損をするものは損をする、もうけるものはやたらに大きくもうけるというような非常な矛盾が出てくると思いますので、私はこの点を指摘いたしまして、一応私の質問を終ります。
  101. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 先月もこの委員会でも通運料金の改訂の問題、運輸省で今作業が進められておるという貨物駅の改廃の問題、非常に論議をせられ、今日もまた各同僚委員からいろいろの質疑が行われておりますが、こういうような質疑が行われるゆえんのものは、結局、今一番日本の国で考えなければならぬことは、経済上の過熱を起したり、蹉跌を来たすようなことがあってはならぬ。あくまでも正常な安定した姿の上に経済の成長を考えなければならない。その一番中核をなすあらゆる物価に影響を来たす運賃の問題については、慎重に考えなければならぬという趣旨に出発して論議が行われておる。ところが、運輸省当局の説明を聞きますと、七カ年据え置いたからとか、あるいはほかのものは何割上っておるからというような、何か上げることを前提にして終始釈明をするとか、考える方向がまるっきりわれわれの立っておる方向とは違っておる。その点は運輸政務次官もほんとうに一つ真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのです。そういう観点からもう少し具体的にお伺いをしたいと思うのですが、今資料の問題が出ましたが、全貨物の六〇%近くを取り扱っておるといわれる日通の三十二年度におきましては別段支障はなかったんですね、この資料によりますると。ところが、今、自動車局長の説明では、三十四年度と三十三年度を比べてみて、大して取扱貨物量は移動はありません。三十二年度と三十三年度を比べて、一般物価水準はと申しますれば、むしろ卸売物価指数等においては下っておる、そういうような状況下において、突如として三十三年度にこういうような給与の引当金が計上し得られないとかいうような問題が発生した理由というのはどういう理由なんだか、われわれには了解できかねる。取扱貨物量というものがそんなに変っておらぬ、そして一般の物価水準はそう異同がない、こういう前提に立って経理をされている場合に、突如としてこういうような赤字が生まれてくるということはどうしても了解ができない。これは通運料金を値上げをするための操作にしかすぎない、悪く考えればそういうふうにも了解できる。この点をどういうようにお調べになったのか、それが第一点。  第二点は、やはり運輸省から出されておる資料によりますると、先刻秋山委員も御指摘になりましたが、もうかっているという言葉は妥当ではないかもしれませんが、とにかく配当を出せる会社が五百何社のうち五十二%である。配当はできぬけれども損をしておらぬものは二二%である。合計して七四%というものは一応赤字じゃない。そのうちには日通が入っておるのです。そうすると全取扱貨物事業分量、これを引き直しますれば、全貨物のおそらく八〇%、九〇%近いものが赤字ではないということが言えると思うのです。にもかかわらず、国民経済の上に非常に重大な結果を持ち来たすであろう通運料金の改訂をなぜ一体考えなければならぬのか。私企業ですからもうかるのもあり、損するのもあるのは当りまえです。わずかに事業分量からいけば一割か一割五分の連中が赤字を出しておるから、それを赤字じゃないようにしなければならぬということを零細な荷主が負担をしなければならぬという理由はどこにも存在しないのです。このときこそむしろ運輸当局としては、秋山委員も御指摘になったように、企業の合理化をもっと徹底的にすべきであって、そのことを放置しておいて事業分量のわずかな部分の赤字対策にこのことが考えられるということはどうしても私には了解できない。それを一体どう御説明されるのか。五二%は配当をしておる、二二%は赤字ではない、これを事業分量に引き直せばおそらく八〇%、九〇%になると思うのです。五二%のうちには日通が入っておることは間違いないのですから。それは事業分量からいけば六〇%を占める、こういうのですから、全体の貨物取扱いのほとんど絶対量というものが黒字のもとに、あるいは赤字を出さずに推移しておるということがこの表からは想像せられる。どこの駅にも通運業者というものは設置しなければならない、それは当然でしょう。当然でしょうが、それがために非常に取扱数量が少くて困っておる業者を救済しなければならない、それが零細な荷主に転嫁されるということは、先刻申し上げましたように、通運料金というものの及ぼす影響というものを考えますると軽々に処断すべきものではないというように私は考えるが、以上申し上げました二点についてまず御説明をいただきたいのです。
  104. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 赤字を出しておるもの、あるいは配当の無配の事業者というものがございますわけですが、これらに関しましては先ほどから申し上げておりますように、通運事業の運賃料金を考えます場合には、やはり通運に関しまする運賃料金について、それをまずまっ先に考えておりますので、これらの配当をいたしておりますもの等を調べてみますと、通運事業以外の利益というものが相当にあるわけでありまして、私どもとしては、原価の計算をするということを申し上げたわけでありまするが、この日本通運におきまする事業に関しましては、扱い数量はずっとほとんど変っておりません。それでこの場合に昭和三十三年に五十四億円の増資をいたしておるわけであります。その増資をいたしてやはりある程度の配当を維持しなければならないという関係もございますが、増資をしない場合には利子その他で支払わなければならないのでありますけれども、増資に対します配当その他で従来相当に無理をしてきておりましたのが、この昭和三十三年に増資をいたしました場合とからみましてこういう結果が出てきた、こういうことになるわけでありまして、日本通運におきましても、昭和三十三年の措置をいたします場合に急激にこういうものが出て参りました。将来この赤字を何とか補てんできるかということを考えますと、昭和三十四年においては、扱い数量の点ではそれほどふやせませんので、これらの経理状態が改善されるというふうなめどは立たないわけであります。経営の合理化ということについては指導をしておりますが、経営の合理化のみでこれらの赤字を処理することはできない、こう考えているわけであります。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 五十二社は黒字で、二十二社は赤字ではない、それはほかの事業と兼ねてやっているから、そういう結果になるので、その会社の通運分だけを取り離して考えると赤字だ、それはそうかもしれませんが、通運料金の影響する面というものを考えますると、今日零細規模の産業というものは非常に困っている、こういうときに総合的な運営であっても、その会社全体を通して。プラスの計算がされているというときに、その会社の一部分だけをとって非常に影響を与えるであろう通運料金の改訂を考えるということは、今の政治情勢において納得のできることかどうか、政務次官、どうお考えになりますか。会社の運営は通運事業を含めて総合的に黒字になっているなら、それでがまんしてもらうのが当りまえじゃありませんか。その一部分だけを取りはずして考えて、それが赤字だから、非常に経済に影響を持つ通運料金の改訂を取り上げるということは、政治センスとしてもどうかと思う。ことに今、日本の経済の安定と成長をはからなければならぬときに、特に本年は非常に残念ながら災害を受けてこれから政府としても非常に経済の運営には心をしてやってもらわなければならぬやさきに、こんな理由で改訂するということは、われわれの感覚ではどうしても出てきません。  それから日通の問題も今お話になりましたが、私の質問に対してお答えになっておらぬ。三十二年度には、この表によっては支障はなかった、三十三年度に支障が起きた、三十三年度に増資したということは、事業分量に変りなかりせば、あなたはないと言っているが、そうすれば三十二年度において借入金かなにかで運営しておらなければならぬはずだったのです。必要でない資本金の増資をする必要ない。事業分量に変りなく、物価の指数に影響がなければ、三十二年度に普通の経営ができたものが、三十三年度にこういう状態は出てきません。どう考えたって増資したということは理由にならぬ。一ぺんに一億の赤字が出てくるなんということは、三十二年度に常態のものが、事業分量に変りなく、物価水準に変化なくして、突如としてこういう状態を来たしたということは、もう少し内容をきわめなければならないと思う。三十三年度だけ見て、大きい影響のある通運料金の改訂を考えるということは許されないと思う。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 これと連帯で、三十三年度に五十四億の増資をしたというが、その増資は現金の増資ですか、資産再評価等による特別配当というような形で増資になっているのですか、それをはっきりしてもらいたい。
  107. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 清澤先生の御質問の後者からお答え申し上げます。五十四億のうちの八割は現金でございます。  今、森先生の御質問にございました点は、利子等の点につきましては営業の収支の点で計算をいたしておりまして、今申し上げましたのは期末未処分利益剰余金を計上いたしましたについての経過、及びどうしてもこの退職給与引当金のごときものは、これは計上しなければならない当然の経費なのでありますが、これを計上しないで措置をいたしましたということは、これは決して経理上通常ではない状態であります。そういう経理上通常でないような状態を来たし、ことにまた、固定資産の売却等におきましても四億九千万円、五億、六億というようなものを売却いたしますということは、これはその通常いつもいつもこういうものを売却できるものではありませんので、そうして、しからば、扱い数量は今後ふえていくような見通しがあるかどうかということに関しましては、ずっと扱い数量はほとんど一定であるというようなことから考えますと、この三十三年度の異例な指貫は、実は今まで何とかやりくりをしてきたものが、もうやりきれなくなって、そしてそれじゃ来年から、来年と申しますか、今年、三十四年に改善されるかどうかと申しますと、これはこれだけの金額を改善することはとてもできないのじゃないか、こういう意図のもとに立っておるのでございまして通常の状態でないということをお認め願えるものだと思うのであります。
  108. 森八三一

    ○森八三一君 そうではないのです。三十二年度には退職給与費も全部計上してうまくいっておった。そしてあなたの説明によると三十二年度、三十三年度は事業分量にも大した変更はありませんと、こうおっしゃっておるのです。事業分量に変更なくして、一般物価水準というものも政府の努力によって、これはそう上ってはおりません。むしろ下っておる。そういう状態で三十二年度にはうまくいっていたが、三十三年度に突如としていけなくなった、そこをもっと調べなければいけない、こう申し上げておるのです。三十三年度だけを見ては、あなたおっしゃる通りです。三十二年度によかったでしょう、計上しておるのですよ。その後に経済上の非常に大きな変化があれば別なんです。ありませんよ。事業分量にも変更なし、一般物価水準にも変更なし、こういうのですから、三十三年度にも変更の起きようはずはないのです。それがこういう状態になった、それに問題があるのです。それは七年間も据え置いたのだから申請すれば何とか考えていただけるだろう、また、あなた方もそういうふうに頭がこり固まっている、上げることが当然であるという前提でわれわれの質問に答えていらっしゃるのです。だから、こういうふうにしなければならない理由が立たぬはずである。三十二年度のような状態で経理したのでは問題になりません。だから、こういう状態を作っているとしか思えないじゃありませんか。三十二年度がどうしてうまくいったか、その説明をして下さい。
  109. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 昭和三十二年度は御承知のように神武景気がございましたが、この昭和三十二年から三十三年の間に経済情勢の変化といたしましてはベース・アップがあったわけでありますが、これらの点及び先生のおっしゃる昭和三十二年度と昭和三十三年度の等差のあること等につきましては、私どもとしてももっと突っ込んで研究しなければならないと考えております。
  110. 森八三一

    ○森八三一君 あまり時間をとりましてはいかぬから、この辺でやめますが、ベース・アップがあったからというだけの理由ではこういう状態というものは考えられません。これはむしろ自動車局長の感覚よりは、政務次官なり大臣なり、政治を担当していらっしゃる方としてはほんとうに慎重に考えなければいかぬと思うのです。大部分の会社は黒字なんです。しかも、それは通運部分だけを切り離すとこれがどうこうとおっしゃいますが、こういうような国全体を通してほんとうに歯を食いしばってやっていかなければならぬときに、この会社の総合運営において黒字になっておれば、その業態の一部分部分を分析してある部分が赤字だからそれを穴埋めする、そういうことを考えるのは適当でないということは了解できると思う。自動車局長の説明では、全体的には黒字だが通運部分だけを考えると赤字だから、そこは原価計算ですか、それによってとおっしゃいますが、そういうことを考える今時期ではない。これは真剣に考えていただきたい。私どもとしては、この資料によりましても通運料金の改訂をやるべき時期ではない。これは農林大臣も、時期については非常に考えなければならぬと、含みのあるお言葉がございましたが、まさにそうだと思う。それから九・九%の値上りというが九・九%ではございません。これも詳細に資料で論議いたしますならば明確になると思いますが、全体的にはあるいは九・九%かもしれませんけれども、物資別に見ますれば、四〇%近い値上りのものからあるいはマイナスもある、そういうように品目別に考えますれば非常に大きな変動をきたすのです。そういうことをこういうような時期にやるということは必ずしもとるべき策ではないと考えますので、慎重に一つ考えていただきたい。いずれまた機会がありますればもう少し詳細に申し上げたいと思いますが、希望を最後に申し上げて私の質問を終ります。
  111. 前田郁

    説明員(前田郁君) ただいまのお話よくわかりました。先ほど農林大臣からもお話がありました通り、時期その他について検討する余地があるというお話がございましたが、運輸省におきましても、ただいま総合的にすべての観点から研究をいたしまして、そうしてこの問題を善処しよう、こういうことになっておりますから、しばらく運輸省の態度を見守ってもらいたい、こう考えている次第でございます。
  112. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  113. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始めて。
  114. 東隆

    ○東隆君 私は、集中排除のときになぜマル通が集中排除法にかからなかったか、その理由をお聞きしたい。
  115. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 私、明確にお答えし得るあれを持っておりませんので、これはあとでまたお答え申し上げたいと思います。
  116. 東隆

    ○東隆君 私は、マル通の性格そのものに集中排除にならなかった理由があると思うのです。マル通そのものにあると思うのです。従ってマル通の仕事そのものが普通の私的経営の会社と非常に違っているところがあるから集中排除を免れたと思います。それでなければ当然、当時集中排除にかかるべきあれは組織を持っておったわけです。それが集中排除にかからなかったのですから、そこで、その理由をはっきりさせて、そうして普通の会社と非常に性格が違うのだということを私ははっきりさせる必要がある、こう思うわけです。お答えがないのですけれども、政務次官もおられますから、この点は一つ即刻お答えを願いたいと思うのです。それでは私は、私が実は答えるのは間違いだろうと思うのですけれども、マル通の仕事はこれは普通の私的経営とは非常に違うところの性格を持っている、こういうところから集中排除を免れた、私はこういうふうに簡単に考えているわけです。しかし、いろいろの理由があったろうと思いますから、それは一つあとではっきりさしていただきたいと思います。そこで私はこの点はここで打ち切りますが、この次にこの通運料金の、たとえば発着駅における取扱い、積みおろし、そういうようなことは輸送上における元来はこれはサービスであったろうと思う。サービスの仕事であったろうと思う。本来ならば輸送の運賃の中にこれは原始的な形で含まれておったものである、この事業というものを考えたときには……。ところが、それが分化をして、そうしてこの通運料金というようなものが制定されてきている。そこで私はこの通運料金というものが、国鉄の運賃、あるいはバスの運賃、そういうようなものに比較して、運賃が上昇しているところの指数というものは、これは私は同じような形でもって上昇すべきものではないと思う。運賃が上ったからこの通運料金も上げるのだ、こういうのはおかしいと思う。しかし、その数字はここからきた、ちょうだいしている資料の四号表の中に載っております。  たとえば国鉄を見ますと、昭和十一年に一〇〇であったものが、三十三年には二万二千三十一になっております。それから、一番関係の深いトラックの運賃は、これは昭和十一年に一〇〇であったものが、三十三年には二万八千六百六十七になっております。そうして通運事業の中の指数は、昭和十一年に一〇〇であったものが一万五千四百二十二です。これは通運料金が非常に安い、だから上げるのだ、こういう基礎になってお話になったこれは指数であると思うのですが、ところが今申し上げたことから考えてみますると、国鉄は今貨物はどんどんトラックに取られておる、こういうのです。そこでトラックの方はどういうふうになっているかというと、昭和十一年に一〇〇であったものが、二万八千六百六十七になっている。これの方は上り方が非常に上っているわけですね。そうして国鉄の方は二万二千三十一でもって低いのであります。だからどういうことかというと、トラックの方にどんどん荷物が取られて、そうしてこれは値段が上っているけれどもどんどん取られて、そうしていくのでありますから、マル通にしてもその他の通運会社が仕事をやっているのは何をやっているかといったら、全部いろいろの輸送関係もみんなやっているわけです。トラックもやっているわけです。だからこの計算から見まして、この利潤であるとか、そういうものを計算した場合に、ことごとくそういうものが入っている。だからこれは問題が、通運事業に関係した運賃の料金を上げるということは、これは問題は半価を云々する問題ではなくて、量によって関係をする、扱い量によって関係する問題なんです。だから扱い量がふえていけば、これは十分にまかなっていく形のものである。だから比較すべき筋のものでないものを比較している。だから私は通運事業における料金の上り方が少いなんて言われるのは、これは非常におかしなことで、取扱いの数量が非常にふえていって、そっちの方が上昇していくとすれば何もこんなことは問題にする必要がない。だから比較すべき筋合いのものではない。しかも私は国鉄の貨物の運賃と、トラックの運賃とを対照してみると、これでもって十分にカバーして仕事をやっているという形が出てきている。そういうような点を考えてくると、私はただそれだけのことだけでも通運運賃を改訂する必要はないと、こういうような気もするわけであります。これはたった一つのことなんです。まだ資料をきょう頂戴したばかりでありますから、私はもう少し調べてそうしてお聞きをしますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  117. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) これは輸送サービスに対する対価であるということは、これはわれわれ申しておるわけでありますが、実は扱い量がふえればそれに随伴しまして何といいますか、扱い量がふえたことによりまして一般管理費とか、そのほか扱い量のふえ方に対応しましてそれだけ原価がふえるというものでないことはたしかでございますわけですが、しかし、その扱い量がどんどんふえたから、それで全部まかなえるというものではなくて、やはり一定の取扱いの原価というものは私はあるものだと思いますので、そういう点におきましては扱い量の点の計算をいたしてわれわれとしては出したわけでありまして、ことに通運の運賃料金というものは戦前から鉄道とは別個に取っているものでありまして、これらの点につきましてはいわゆる鉄道の付帯的な事業ではありますが、鉄道の貨物運送の中に含まれておるものではないわけでありまして従来とも戦前から取っておったものについて比較をして見ておるわけでありまして、ある扱い量がふえればそれだけ経営合理化ができる部分もございますが、しかし、やはりある一定原価というものは必要だと思われますので、それらの点に関しましては私どもとしては全然改訂の必要はないというふうには考えなかったわけでありますが、これらの点についても十分検討いたしたいと考えておるわけであります。
  118. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他の御質疑は後日に譲り、本件は本日はこの程度にし、この問題はその影響がきわめて重大でありますから、本日の委員会の経過にかんがみ当局の特に慎重な取扱いを希望いたします。特に農林大臣におかれましては、この問題が農林畜水産業に及ぼす影響がきわめて重大でありまして、われわれとしては非常に憂慮をいたしておる次第であります。また、運輸当局の説明も納得しかねるのでありますから、特に慎重に取り扱われるよう格段のお骨折りを要望いたします。   —————————————
  119. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 午前に引き続き、伊勢湾台風等災害の件を議題にいたします。この件について質疑の要求がありますから順次これを許します。なお、政府からの出席は福田農林大臣、国務大臣中部日本災害対策本部長代理石原幹市郎君、農林省農林経済局長坂村吉正君。
  120. 森八三一

    ○森八三一君 今年はまことに残念な年でありますけれども、六号台風、七号台風、その間に集中豪雨、そうして九月二十六日には空前ともいうべき伊勢湾台風が襲来いたしまして、その被災の程度はまさに文字通り未曾有の大惨害であったわけであります。そこで政府におきましても事態のきわめて重大なるにかんがみられまして、きわめて手っとり早く中部災害対策本部を設置されまして、益谷国務大臣を本部長として石原自治庁長官を副本部長として各般の施策が取り進められておるということにつきましては、私ども感謝をいたしておるのであります。特に総理を初め農林大臣その他関係大臣現地にお越しをいただきまして、つぶさに激甚な被災の状況を御視察いただきますと同時に、それぞれ現地におきましても適切な対策が漸次進められております。このことも、私自身も被災者の一人として衷心から感謝をいたしておるところであります。その当時、総理なりあるいは対策本部長として現地にいらっしゃいました益谷国務大臣はほんとうに激甚なる被災であるので、これが対策については万全を期する、この万全を期するという意味は今まで政府がとって参りました災害に対する対策、施策というものにもっと強い関心を示すと申しますか、そういうもの以上に徹底した施策をとるのだということで、現地の連中を激励もされ、所信を披瀝されております。現地における関係者一同は、非常にそのことに感激をし、感謝をし、復興に立ち上っておるのであります。このお言葉はただ一片の政治的な発言に終ってしまったり、その場限りのゼスチュアになってはいけません。どうしてもこれは、その言葉の持っておる精神というものが実践されなければならぬと思うのであります。  そこで、相当いろいろな問題をお伺いいたしたいのでありますが、最初に総括的に対策本部の副本部長としての石原大臣にお伺いいたしたいのですが、そういうような御発言から考えますれば、私は最近における大きな災害と申しますれば昭和二十八年の十三号台風中心とする二十八年災、それから昨年の伊豆地方に起きました豪雨その他による災害というものが私どもの記憶に残っておる最近における大きな事例であると思う。そういうような災害に際しましては、それぞれ国会におきまして特別立法措置が講ぜられ、あるいはそれに伴う各般の予算措置が講ぜられてきておりますが、今申し上げました総理なり本部長の言明から考えますれば、来たるべき臨時国会に際しましては昭和二十八年災、それから昭和三十三年災にとられた特別立法措置並びに財政的措置を最低限度として、今回の被害の激甚とその規模の広大にかんがみまして、それ以上に何らかを考えて措置をするという精神であると了解いたしますが、そういうように受け取ってよろしいかどうか、きわめて包括的、抽象的な質問でありますが、まず最初に本部長としての所信をお伺いをいたします。
  121. 石原幹市郎

    ○国務大臣石原幹市郎君) ただいまの森委員の御質問にお答えいたします。  今回の伊勢湾台風は、その範囲の広いこと、あるいは被災の状態等におきましても史上空前といわれておるくらいの大災害でございまして、三十日に中部日本災害対策本部を設置いたしまして、関係各省あげて応急の救護並びに潮どめ工事に全力を注いでおる次第でございます。今お話しになりましたように、私どもといたしましては三十三年災はもちろんのこと、二十八年災をものに上りましては凌駕する災害ではないかと、かように思っておるのであります。ただいま政府等におきましてもいろいろ検討をしておるようでございまするが、大体の考え方としては、二十八年災、ものによりましては、形によっては二十八年災以上の措置もとられるのではないかと私確信いたしておりまするし、現地状況を常に意見を具申しまする私といたしましては、そのような方向で意見を申し述べていきたいと、かように思っておる次第であります。
  122. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの本部としての非常に力強い御回答で、一応は満足いたしますが、お話のありましたように、昭和二十八年災並びに昭和三十三年災にとられた特別立法措置、予算的財政的措置、その最高を最低限度としてそれ以上に考えるのを積み重ねていくという態度で本年災が処理されるというように私は了解をいたします。そういうようにぜひとも措置をしていただきたい。  そこで、具体的な問題で二、三お伺いをいたしますが、本部長代理はお忙しいようでありますので、農林大臣に対する質疑はあとにいたします。なお、恒久対策の問題は本日時間の関係でいたしません。私は当面の臨時的な応急措置だけに局限をして申し上げてみたいと思うのであります。  最初にお伺いをいたしますが、今度の被災に際しまして家屋が全壊したとか、流出をしたというような国民に対しまして、それぞれ関係の機関、具体的に申しますれば、各種の協同組合等がその組合員連中の今申し上げましたような被災者に対しまして、その経済の中からきわめて少額ではありまするが、あるいは一万円とか二万円とか五千円とかいったような見舞金を差し上げておる。そういうようなことを役員会等で決定いたしまして、それぞれ実行いたしております。ところが、そういうような見舞金的なものは、出す方の法人から見ますると、それは当然法人税の対象になる、損失に認められないというようなことになり、もらう方の立場になりますると、それは所得という計算になって、やはりこれも税の対象になるというようなことを税務当局は申しておるようであります。これは非常に残念なことであります。なけなしの経費の中から、ほんとうにその日の生活にもどうしていいかとほうにくれておる諸君に対しまして、わずかでも出まする見舞金が法人の立場におきましては必要経費的な損失に認められない、もらう連中の立場に立てばそれが所得の対象になるということは、今の感覚から申しますれば非常にずれておるというようにいわなければならぬと思う。税法上は、これは一応そういう解釈ができるかと思いますが、かようなことにつきましては、当然特例が認められなければならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
  123. 石原幹市郎

    ○国務大臣石原幹市郎君) 今お話のように、やはりだんだん減水し、罹災者にとりましては住宅の問題が一番これから緊要な問題になって参ると思うのでありまして、応急仮設住宅の建設であるとか、あるいはまた住宅問題、公庫その他の手続を簡易にいたしまして、公営住宅をふやすとかいろいろな住宅対策を立てつつあるわけであります。今お話のありましたのは、そういう意味の一助としてそれぞれの団体で措置されておるきわめて適切な私は措置であろうと思うのであります。税法上のいろいろな問題はあるかと思いまするが、これは今後臨時国会その他で論議されるいろいろ災害関係特別立法の立案審議に当りまして十分考慮し、そういうことをまた大蔵当局その他にも具申をしておきたいと、かように思います。
  124. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題は税額としては大したものじゃありませんけれども、こういう際に、そういうようなほんとうに貧者の一灯ともいうべき見舞金が税の対象になるなんてことは感じの上から考えましても非常にこれは好ましからぬことだと私は思う。これはぜひともそういう措置がとられますように御配慮願いたいと思います。  それから第二に、これも長官にお伺いをいたしたいのでございますが、今回の災害に際しまして政府中心として県庁、市町村などの公的機関がそれぞれ救助の万全を期する、あるいは復旧全力をあげるということは当然でございまして、それぞれおやりを願っておるわけでありますが、それだけではなかなかこの大災害復旧ということは至難である。それに協力する各種の業態別の組織されておる団体というものが万全の活動をしなきゃならぬと思うのであります。ところが、そういうような立場に立っておりまするそれぞれのいろいろな団体というものが、やはり大なり小なり災害をこうむっておるということでありまするので、なかなか思うような活動がいたしかねるという実態にあるのであります。でございまするので、政府を初めとして行政担当の行います救護、復旧対策に協力をして、そういうような団体が、それも任意団体等については考えなきゃならぬと思いますが、法律上の根拠を持っている団体等が一生懸命に政府の意をくんで活動するというような場合におきまして、そういうような活動をバックしてやるということが復旧を早からしめる非常に大きな私は問題であろうと思うのであります。そこで、そういうような法的な根拠を持っている各種の機関が政府復旧対策に協力をして、その方針のもとに一生懸命に働くというような場合には、その指導費と申しますか、活動費と申しますか、そういうものを財政的にバックをしてやるということを考えるべきであると思うのでありますが、お考えはいかがでございましょうか。また、そういう措置をおやりになるお気持があるかどうか、その点をお伺いしたい。
  125. 石原幹市郎

    ○国務大臣石原幹市郎君) 今回の災害に当りましては各種の団体、ことに応急措置等につきましては消防団を初めいろいろの団体から非常な献身的の協力をしていただいておるのであります。これからだんだん復旧という方面になって参りまするというと、今お話のように、いろいろな農業団体であるとか、各種の商工団体とか、あるいはいろいろの組織をあげて協力一致の態勢で復旧の陣頭に立って活躍してもらわなければならぬのでございまするが、それらに対する指導費というようなものを考えておるかというようなお話でございました。これはしかし落ちつきまして、今直ちに私の方でこれは指導費を出すかどうかということは、ことに私は災害対策の臨時本部の責任者の一人でありますので、この問題について今直ちに私から御答弁申し上げることはどうかと思いますが、御意見のあるところはよく拝聴いたしておきまして、今後の協力をお願いする問題点、あるいはその活動の状況等によりましていろいろ考慮されていく問題ではないかとかように思っおります。
  126. 森八三一

    ○森八三一君 今の点は、農林大臣もお聞きを願っておるのですが、特に農林水産団体が行われる施策の第一線の活動機関として、あるいは農業委員会とか協同組合とかいろいろなものがあると思います。そういうものがほんとうに第一線におるのですから、そういう人の手を通じて復旧の問題を進めていきませんと十分にいきません。いきませんが、そういう団体はいずれもやはり災害はこうむっておるのが多いわけでございますので、会員から負担金を集めてやるなんてことは事実上参りかねるということでございますので、これはほんとうに復旧を早く完了するためにはしなきゃならぬ非常に大切な問題だと思います。予算措置については十分御考慮を願いたいと考えております。答弁は要りませんが、十分お考えをいただきたい。  それからその次に、今回の災害を見ますると、十三号台風のときに、当時われわれもいろいろ論議を尽しまして、こういうような災害が再び襲来をいたしませんようにということで、かなり護岸等につきましては健全なものを作っていただく。そういうようなところは大体現地を見て回りまするというと、ほとんど健全に存在をしておる。ところが、その当時破れなかったために旧態依然として残されておる地域が全部今度は参っておるということでございますので、今回の復旧をはかりますについては、どうしても破れたところを今回の災害にかんがみて補修修復をする、復旧をするというだけでは、これはまた次に災害が約束せられるということになると思いますので、単純に災害部分だけの原形復旧の上に改良工事を加えるということではなくて、それに関連する一連の河川堤防とか、あるいは海岸の護岸等は、こわれておりませんところも今回改良工事を加えつつ修復をいたします程度にやらなければならぬと思うのであります。そういたしますと、かなり経費的にも大きな経費になると思いますが、そこまで徹底をしなければ、あるいはまた来年——ことし作ったところは健全であるが、ことし作らなかった昔のところは破れて同じような災害をもう一ぺん繰り返すということになる危険性は十分考えられる。それは六年前の十三号台風と、ことしの十五号台風を比べますと、まさにそういう現象が現実なんですから、この点はしっかり考えていただかなければならぬと思いますが、そういう構想のもとに臨時国会に臨まれる法律案なり、あるいは財政措置なりをお考えになっておるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  127. 石原幹市郎

    ○国務大臣石原幹市郎君) 今回の災害のあとにかんがみまして、今御指摘になりましたように、あの海岸堤防の寸断された状況等から考えまして、原形復旧でそのままでいいというようなことはとうてい考えられないと思います。いろいろの点について改良を加えねばならぬことはもちろんのこと、御指摘になりましたように関連工事と申しますか、いろいろこわれてないところでも改良をしておかなければたえ切れない個所が私は相当あると思います。現に河川堤防を見ておりましても、この前ほうっておいたところが相当あるように思いますので、そういう問題が今回の災害対策臨時国会の焦点になるかと思うのでありまして、政府におきましてもそういうことは十分考慮しつついろいろの立法なり財政措置を講じていくことと考えております。
  128. 森八三一

    ○森八三一君 従来の災害復旧は別に法律的な明文ではございませんが、一つの慣習として復旧の速度が三・五・二の比率で進行して参りました。これは被害関係もあると思いますので、技術陣営の能力の関係もございましょうし、あるいは季節的な関係等もございまして過去においては三・五・二ということは、あるいは正しかったと思いますが、今回の一番激甚の被災地はおおむね兵庫県から東海地域に集結をしておる。その他三十九府県ですから全部に及んでおることは間違いありませんが、主として被害は比較的温暖な地域に集結しておるということから考えますと、一年中通して復旧の作業ができるというふうに考えられると思います。そこで、被災者の非常に困難をしておる実情なり不安感を除きますためにも三・五・二という復旧の速度はむしろ早めて五・五あたりの比率に持っていくべきではないかというふうに私は考える。ただしかし、そう申し上げましても、予算を組んでもそれが使用されなくて翌年度に繰り越すということになると、いたずらに騒ぐということになりますので考えなければなりませんが、大体その程度、半々くらいでやるという程度は予算を消化する上において可能である、そういう地域が残されておるというふうに私は見ておるのでありますが、政府として、あるいは対策本部として、臨時国会に臨まれる態度は、そういうように過去の慣例である三・五・二を五・五というまで前進せしめるというお考えにお立ちになりませんか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  129. 石原幹市郎

    ○国務大臣石原幹市郎君) この三・五・二というのは大体の一応のめどでありまして、現実にはその被災現場の工事量その他によって、本年三でなくて五、あるいはほとんど初年度にやってしまったところもあるのであります。それから、工事量が非常に膨大な地域におきましては、五を組んでも三しか消化されないところが現実にあるのでありまして、一応のこれはめどでありまするから、翌年もまた台風がいつ来るかわからぬのでありますから、できるだけ現状を早く復旧しておかなければならぬことは申されるまでもないのであります。三・五・二は大体の予算編成のめどということでありまして、ことに今回のような災害のあとにおきましては、これはできるだく早く旧に復さなければならないと思います。必要な個所においては、十分予算が組めまするようにわれわれといたしましても努力をして参りたい、かように考えます。
  130. 森八三一

    ○森八三一君 気持はそういうお気持で臨まれましても、予算的な財政措置が講ぜられておらぬと、結局そこがふんずまりになってしまって、思えども仕事が進まぬと、こういうことですから、その点を十分配慮した予算というものを編成をしていただく、これは原案が出ますれば、おそらく修正なんということはむずかしいことだと私は見ております。でございますので、原案作成の際に、対策本部の立場でそういう点は十分一つ心して善処をしていただきたい。  次に、農林大臣に二、三お伺いいたしますが、今回の災害で住宅を失った連中が非常に多いことは、現地を見ていただきましてよく御了解の通りであります。そこで、どりあえず住宅を復興しなければならぬと思うのです。その場合に、住宅金融公庫の方から資金が出るというルートと、それからもう一つは、農林省所管の自作農創設維持資金を活用するというルートと二つあると思います。そこで、資金の供給あるいはその返済等について、なるべく被災者農民諸君に都合よく、しかもスピーディに事を運んでやるということを考えますると、自作農創設維持資金を活用いたしますることが、一番私は事態に即するのではないかというように見ておる。ところが、その自作農創設維持資金は資金限度が二十万、一応の最高が。それから住宅金融公庫の方は三十万ということで、そこに十万の開きがあるのです。これはこの際、別に法律事項ではないと思いますので、三十万程度あるいは五十万程度、自作農創設維持資金の貸し出しの最高限度というものを拡大するということが、総理もおっしゃいましたように、ほんとうに諸君の要望が十分かなえるように努力をするという、そのお気持に沿うゆえんであると思いますが、そういうような措置ができないのかどうか。午前中ちょっと農地局長に重政委員からお聞きになったところによりますると、返済のことか何かを考えるというようなことで、そういうような限度をきめておるといったような御説明があったのですが、農家は自作農創設維持資金も借りますれば、あるいは天災資金も借りますれば、その他農林漁業金融公庫の資金も借りる場合がありましょう。だから、その資金を一農家に供給せらるるのを総合的に考えていかなければ万全ではないと思う。自作農創設維持資金だけ別にこう考えるなんということはナンセンスなんで、総合的に見なければならぬと思います。そういうふうに考えて参りますると、どうせ最末端においては協同組合等がその衝に当ることになると思いますから、そういうようなことを考えますると、自作農創設維持資金の全体のワクを拡大することは当然でありまするが、単位当りの最高限というものを少くとも三十万あるいは五十万程度まで拡大をしてやるということが、この際被災農民に報ゆる一つ対策であることは間違いないと思いまするが、いかがでしょうか。
  131. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 被災農家、ことに住宅が失われました農家におきましては、応急にバラックを建てることは御承知の通りですが、引き続きまして本建築をしなければならぬ。その本建築につきましては、住宅公庫からの貸し出しをまあ考えておるわけです。自作農の資金につきましては、これは生活のつなぎだというような意味を持たせながら災害資金として貸し出す、こういう考えを持っておるわけなんでございます。農家に対して貸し出されるのは、さような自作農の金もありまするし、あるいは天災融資法の金もありまするし、また施設復旧に関しまする公庫の融資もありまするし、今の住宅金融公庫の金もありまするし、まあ事情によりましては、あるいは育英資金というようなものを借りる必要もあるわけです。それをお説の通り総合的に見なければならぬわけでございますが、この自作農の二十万という額が適切であるかどうかというのは、そういう総合した結果を見まして、まあ一つお話の趣旨もありますが、さようなことを頭に置きながら善処していきたいと、かように考えております。
  132. 森八三一

    ○森八三一君 借金をすることが好ましい姿ではございませんので、できるだけ借金は少くて復興の実をあげるというようにわれわれは指導しなければならぬと思っております。そこで、資金の総合的なあんばいということを申し上げ、大臣もそうなければならぬという同感の意を表していただいたわけですが、そういたしますると、住宅金融公庫の方から出まする資金は、これは別のルートで出ている。そのために農林関係の資金につきましては、大体協同組合等が一元的に最末端におきましては扱う、そこで総合されるということになって、非常に都合がいいと思うのであります。思いますので、もし住宅の復興等につきましてどうしても資金のワクの関係から、私は同じ政府資金ですから、どっちか一本にまとめても政府の手前では、違わぬと思うのですが、しかし一応建前上、二つのルートにするということでございますれば、最末端においては総合せられまするように、住宅金融公庫のその住宅復興に関する資金の取扱いにつきましても、最後の第一線では総合のできまするように、その代理業務を農協等に認めるということが、これが農民に忠実なゆえんであるし、償還等についても間違いなくいく一つの道であると思う。午前中、官房長から、そういうような折衝もしておるというお話がございましたが、これは折衝をしておるということで満足はできません。ぜひともそういうことが完成するように御努力を願うことが、これがほんとうに百姓に忠実なる私はゆえんである。借金を多くさせるということはよくないと思いますから、なるべく最末端では総合して実態に即するように指導しながら金融をしていくということを考えていきますと、ルートが二元化しないようにするということが、一番政府資金を活用するということからいっても、農民の将来から考えても大切だと思います。そこで住宅の復興について、資金の流れが二元化するということでありますれば、上の方は二元化しておりましても、最後の末端では総合せられるように、他の金融機関に代理業務を認めるという法律の規定もございまするので、そういうことをこの際実践をしていくということを、一つ具体的に解決を願いたいと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  133. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まことにごもっともなお話でございまして私どももっとにさように考えておるのです。ただいまの住宅資金につきましても、その末端は農林中央金庫の支店にいたしますか、あるいは公庫の支店にいたしますか、ともかく農業系統金融並びに農業国家金融の出先において扱わせたいと、かように考えているのでございます。
  134. 森八三一

    ○森八三一君 その次に、米の関係でお伺いをいたしますが、これは非常に残念なことでありまするが、政府の米を管理いたしておりまする農業倉庫が、やはり風のために屋根をとられたとかいろいろな事故を起している。そこで、夜陰に乗じて盗まれる、その件数が多くあるとは聞いておりません。そういうような事態が発生しておるということで、政府の米を保管しているその責任者といたしましては、自分の家の整理もほうっておいて不寝の番をしなければならぬということで、当時石原大臣名古屋へいらっしゃいましてから、何とか当然そういうことは警察の責務でやるということをお願いしたのですが、人命救助で人手も足らぬという現況で、そういうことをなかなか頼みましても手が回りかねるというお話を聞きまして、それももっともだと私は了解いたしまするが、といって、疲れ切っておる倉庫関係者に不寝の番をさせるというわけにも参りかねる。そこで、万が一、盗難等の発生いたしましたような場合には、警察の証明等によりまして、免責をするという手続は当然なさるべきものと思いますが、いかがでございましょう。それが一点。  それから、すでに処置されていると思いますが、風害のために相当品質は悪くなっているわけですから、その際、特別等級を設定して政府の買い入れの対象に引き上げてやるという措置は当然おとりになると思うのですが、いかがでございますか。  その次に、これも午前中ちょっと質問がございましたが、時期別に奨励金が出されておる。たまたま、九月末までに出せば八百円なり幾らという奨励金がつくのに、二十六日にああなったものでございますから、準備しておったが、政府の指定する倉庫までは搬入ができないといったような気の毒な状態になっておる。本人は政府の施策に協力して予約米も約束し出そうとしたが、運搬ができないがために、それに応ぜられぬという地点が、たくさんではございませんが、あります。かりにそういうものはごく少量であっても、そういうことをほうりっぱなしにするということはやはり善政ではないと思うのです。そこで、そういうようなものが現実にあるといたしますれば、量の問題は別にいたしまして、この際、期間を延長してやるということを考えるべきであると思いますが、いかがでございましょうか。  以上三点です、米の問題に関連いたしまして。
  135. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 盗難等がないようにというので特別に気をつけておりまするが、お話によりますると、どこかで盗難事故があったというようなことなんで、調べさしてみたのですが、ところがさようなことはなかったという話でございまするが、万一不可抗力によりまする盗難事故なんかがありますという際におきましては、私どもといたしましては免責というようなことの計らいをいたしたいと、かように考えます。  それから第二の、品質の下った米につきまして、これを等外米、規格外米として扱うかどうかという点でございまするが、これにつきましてはさように考えまして、すでにその手配を済ましております。  それから第三の、天災によりまして搬入なんかがおくれました米につきまして、早期米の期限を延長するということでございますが、これはさようなこともいろいろと研究をしてみたのでございまするが、与える影響が非常に広範甚大ということに相なるのでございます。さようなことで私どもといたしましては、むしろ規格外の米を買い上げるとか、さような制度を広くやっていくという方が、むしろ現実に災害にかかりました農家の方につきましては救済的な意味を持つのではあるまいかというふうに考えておるのでございます。ごく一部にはさような期限に間に合わなかったというような方もあるかもしれませんが、その方々に対しましては他の、ただいま申し上げましたような考え方で措置していったらいかがかと、かような考えを今持っているわけです。
  136. 森八三一

    ○森八三一君 それは規格外の米じゃないのですね。規格に合う米を政府に約束した数量だけ用意しておるのに、ただ持っていく手段がなくて、約束の規定の日におくれると、こういうわけなんですから、全然性格が違うのです。それでは等外を設定してやりましてもこれは救われないのですね。等外じゃない、そのいい米をすでに収穫して政府のところまで持っていこうというそのやさきに、ほとんど橋が落ちた、道路がこわれたというわけで持っていけなかった。持っていけないから期間が過ぎて、その期間におくれたことによって相当の損失をこうむるということですから、これは全然性格が違うのでございますから、もう一ぺん一つよく御研究をいただきたいと思うのです。そういうものをそのままにしておくということは、やはりいいことじゃないと思うのですね。一生懸命予約の責任を果そうとしておる農家に対して、天災によってそういう損失を押しつけてしまうということは、これはやっぱり考えてやらなきゃならぬことだと思いますので、数量としては私は多くないと思うのです、十分一つ考慮を願いたい。  米の問題に関連してもう一つ、例の減額補正の手続を、これは非常に簡素化していただけると思いますが、全部水没している地点で、本人から判こを押してどうでございますと申し入れてやるなんということは事実上できません。できませんから、町村長限りで一括手続をとるというように簡素化をすることを一つ、これはもうお考えになっていると思いますが、そういう措置をぜひとっていただきたい。  それからそれに関連して、例の二千円ずつ前渡金が渡っておるわけでございますね。これの返済が、その日の生活にも困るという状態になったのですから、今払えようはずがないのです。そうしますというと、一方で農業共済の方で八千円なり一万円なりでも、そこから出したらいいと、こういう理屈をおっしゃるかもしれませんが、一つやはりあったかい気持で、無利息延納を認めてやるというくらいのことは考えてやるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  137. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これにつきましては、お説の通り、できる限り私どもといたしましては、まあ供出農家に対しましてあったかい気持でいくというつもりで考えてみたいと、かように存じております。
  138. 森八三一

    ○森八三一君 あたたかい気持というのは、私の申し上げましたように、無利息延納という趣旨であると私は了解いたしますが、ただあったかいというその表現だけで、経済的な何らの効果の伴わないということじゃ困っちゃうので、経済的に真に実効の伴うということになりますと、やはり分割無息利延納ということ以外に手はないのである。そいつを、それぞれの系統において集荷の代表というのがありますから、そこで立てかえ払いをしておけ、そしてその金利だけでも援助してやるというようなことも一つ方法だと思います。いずれにいたしましても、最前線の小さな百姓の諸君がああよかったと思うようにやっていただければよい。そういう点は一つ十分考慮をしていただきたいと思います。  それから、この際私は、やはり午前中櫻井さんからもお話があったと思うのですが、せっかく借りまする資金の効率を高めていくということを徹底的に考えなきゃいかぬと思う。そのためには、農機具等あるいは住宅等につきまして、あるいは納屋等につきましても、今までのように個々めいめいに勝手なものを設備いたしますることは、非常にこれは不経済になることは間違いございません。そこで、大農具——トラクターだとか、そういうものにいたしましても、共同の利用設備にするとか、あるいは住宅についてももう少し、アパートまでは農村じゃ一足飛びにいけぬかもしれませんけれども、ある程度そういうような本建築の態勢に備えるということも考えて指導するといったようなことを、一つ指導方針として早く御研究を願ってお示しになるということが、この際であれば私はできると思う。さらに農地につきましても、徹底した交換分合から区画整理の問題を、こういうときであればできると思います。だから、一ぺん整備を始めてしまうと、もうこれは手もつかぬようになってしまいますから、まだ水没してやっとその水が引いたというようなときに、住宅の問題、農機具の問題、土地区画整理から交換分合の問題まで、全部を一つ総合的に考えていくという、大きな指導方針を立てるべきであると思います。このことはぐずぐずしておったんじゃだめですから、早くやるということを考えるべきであると思いますが、いかがですか。
  139. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ごもっともなお話でございまして、ぜひさようにいたしたいと思いまするが、まあ現実の問題といたしますると、一般の農家につきまして共同とか何とかいうのを、急にというということは、なかなかこれはむずかしい点が多々あるのではあるまいかと、さように存じます。しかし、開拓地等につきましては、割合にさような考えを持ちやすいと、かように考えて私ども農家に接する態度といたしましては、さような方向でいってみたいと、かような考えです。また、住宅等が堅牢でなければならぬ、これはもちろんでございます。そこで、干拓地の復興等につきましては、ブロック建築というような方式を取り入れるようにするとか、まあいろいろお説の方向で工夫をこらしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  140. 森八三一

    ○森八三一君 最後に、果樹等の永年作物に対しましては、これは今まで特別立法等もほとんどなかったと思いますが、これはことしの六号、七号台風から今度の台風を考えまして、相当、ミカンなり、ブドウなりリンゴ、クルミ等が参っておるのですから、これは本年の災害の特異な事情として、永年作物に対する特別な措置をしなければならぬ。それには相当長期の、ただ樹勢を回復するための肥料の手当をするというだけではいけませんので、新しく植えかえなければならぬというので、相当長期の、ある一定年限据え置きするという特別の資金を考えてやらなければ、ほんとうに十年、十五年資本を投入してそれが一朝にしてふいになったという連中を救う道はないと思いますので、ことしの災害の特異事情にかんがみて永年作物に対する復興資金は格別に一つ立法措置を考えるべきであると思いますので、そういう点を考慮してもらいたい。  それから、自作農創設資金で一つ落しましたが、今までは取扱い上、これは自作農という定義にかんがみて、三反歩以上でなければならぬという対象があったのですが、これは別に法律上のことではないと思うのですけれども、今回の災害にかんがみて、三反歩以上というワクは一つはずす。これは農民という認定のつくものであって、土地を所有しておるものにつきましては、たとい一反歩でも、それを対象として自作農創設資金を貸し付けするというように範囲を拡大することが私は当然だと思いますが、その二点、永年作物に対する特別の金融の措置を立法する必要があるということ、それから自作農創設資金の過去における取扱いの限度を、土地を持っておらない連中は対象になりませんが、所有土地を持っておる限りには、自作農という言葉にとらわれない措置をとることが、この際の対策としては必要ではないかと思いますが、どうですか。
  141. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 永年作物につきましては、長期低利の融資ということで、ただいま検討いたしております。ぜひさような方向で対処いたしたいと、かように考えます。  また、自作農の基準でございまするが、ただいま大体中間的なところをねらっておりまするが、これは今回の災害の特質もありますから、さような基準にこだわらないで、弾力的に運用していきたい、かような考えです。
  142. 東隆

    ○東隆君 私はこの際はっきりさしておいていただきたいと思うのですが、それは十四号台風で北海道の道南の漁村が非常に災害を受けております。ところが、十五号台風でもって影が薄くなってしまって非常に心配をしております。私も心配しておるのですが、現地の者は、それ以上に心配しておる。そして今度の中部については本部ができて、そうしてやるようですけれども、今回の場合は、当然十四号あるいは七号から始まったものも、当然お考えになるべきと思いますが、どうですか。
  143. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 北海道の十四号のときの漁船の転覆、沈没、その他の被害、ことに、あそこは小さい船が多くて、しかも保険に入っていないというので、私どもも非常に心配いたしておるわけです。今回の十五号伊勢湾台風におきましても、同様の問題が起っておる次第でございまするが、決して北海道が十五号台風で消し飛んだというようなことじゃありません。私どもは終始北海道のあの悲惨な状態は頭に置きまして、あれをどうしようかということを今検討しておるわけです。ただいまその検討の内容につきましては、大蔵省と話し合いをいたしておる機微な点もありますので、落ちついておりませんから、申し上げかねますが、できる限りの措置をいたしたいと、さような考えでおります。
  144. 東隆

    ○東隆君 農村と漁村の場合を考えて参りますると、どうも漁村の方が法律の適用その他においても、それから補助の対象、そういうような方面においても私は非常にどちらかというと、言葉を強く言いますと片手落ちになっている、こういうように考えます。特に、たとえば天災融資法融資の場合においても、中心が農業方面のことに多くて、漁村の方面は非常にむずかしくなっている。しかもどちらかというと、非常に資力が乏しい、こういうようなことで、天災融資の資金を借り出しても、なかなかそれがうまくいかない。こういうような形になっている方面が多いのであります。従って今回の場合に、あの天災融資のいろいろな利率あるいは割合、そういうようなものを変更するようなお考えはないのですか。
  145. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 今回の災害が特に風浪、波浪あるいは高潮等関係で、水産関係には非常に大きな被害が出たというのが今度の被害の特色にもなっております。それ以外におきましても、たとえば先ほど午前中に申し上げましたように、家畜の被害等につきましても、相当被害が出ているというようなこともございますので、天災融資法の現在までの貸付の限度等につきましては、一応法律上十五万円ということになっておる。水産についても水産の限度があるわけでございますが、そういった問題についてどの程度救済の資金としては所要であるかというようなことも今調査して検討しておりますので、もしそういうようなことによりまして、特殊な施設については今の貸付限度では不十分であるといったような場合におきましては、それを拡張するということにつきましても検討いたしておる次第でございます。ただ、今お話しになりました利率等の関係におきましては、現在も三分五厘という利率になっております。相当低い利率でありますので、これは現在の利率で適当でないかという考えを持っております。
  146. 東隆

    ○東隆君 実は先ほど申しましたように、天災融資法関係でもって、漁村の方面の貸付の対象になるものが非常に少い。それで、指定していただきたいものを今申し上げますが、こういうようなものは一つ融資の対象に政令でもって指定していただきたい。それは漁網、これはロープ、それから漁船の小修理、イカつり具、陸上打ち揚げ並びに座礁復旧事業費、それから沈没船引き揚げ作業費あるいは漁舎、漁業の納屋、それから水産倉庫、加工場等の小修理、こういうようなものは、実のところを申し上げますと、指定されておりません。従って対象にならない。そこで、そういう面を一つ拡張をしてもらいたい。これは政令で一つその範囲を広げていただかなければそっちの方に参りませんから、そこで、政令でそういうものを拡張していただきたい。  それから、ついでに農林漁業金融公庫法の場合においても、実は今の場合、やはり対象が限定されておりますから、従って、ほんとうの災害復旧には非常に都合が悪いわけで、そこで、貸付対象の事業に漁村の方で追加をしていただきたいものがある。漁業協同組合の事務所の建設、これがぶっこわれてしまっている。漁業協同組合事務所、それから簡易貯氷庫、これは氷の倉ですね、これはやはりこわされております。それから陸上輸送施設、これはトラックから始まっていろいろのものがあろうと思うのです。それから船巻上げ施設、それから簡易船着場、それから海産物干場、それから先ほどの漁舎です。これは資金融通の場合にこういう面も一つ貸付の対象に拡大をしてもらわないと、農村に比べて非常に水産の方面は力も弱いし、そして手落ちでありますから、そっちの方面をどうかしていただきたい、こう思うわけです。  それからもう一つ、これは特に考えていただきたいことは、特定の場合ですけれども、北海道の場合に凶漁その他でもって先にだいぶ金を借りておるわけです。それが延滞になっております。それでこれの償還の延期を考えていただきたいと、こう思うわけです。また一定の方法でもって延期をしなければ資金の融通をいたしましても、それと相殺をされると、こういうようなことになって、現実に資金が動かない、こんなことになろうかと思いますので、焦げつきになっておるものに対して何らかの手を打っていただきたい、こういうことなんであります。こういう点を一つ急速にお考えを願いたいと思います。  それから全般として災害その他の関係でもって出ております災害の額というのは、これは時価でもって計算をされておりますので、復旧をする場合、原状に回復するとしても、実はそいつに相当なものを加えた額になるわけであります。そういう点を一つお考えを下さいまして、融通の場合の査定あるいは補助の場合、そういうような場合に一つその点をお考え下さらないと非常に弱いものになってしまうと、こう考えるわけです。こういう点を一つぜひお考えを願いたいと思います。質問がてらお願いいたします。
  147. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの東委員の漁業関係の何か政令に指定する品目の中に、特に水産庁の次長にお願いしておきますが、追加していただきたいのがシイラづけと、タコつぼがありますから、それも一つお願いいたします。
  148. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 橋が何というか流れたのはそれは公共団体の話ですか、橋梁が流れたのは。
  149. 東隆

    ○東隆君 「きょうりょう」というのは不漁のことを私言ったのです。
  150. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣、何ですか、十五号台風だけに特別の立法をして特別の考慮を払う、こういう建前が講じられるのですか、今考えられておるのは。ということは、同年度において六号、七号、十四号というふうにいろいろ災害があるのですが、それが場所によりましては十五号以上の被害を受けておる、また今年の災害を見ましても、非常に特殊的なものも多いのです。そういうようなものにかりに十五号だけで適用が、補助金がどうのとか、融資が、こういう特例があるというものを作られて、その前に起きましたもので、それ以上にひどいものが前の法律で処理せられるということになると、非常な不公平が出てくると思いますので、それらがさかのぼって同年度内に起きたぐらいの災害に対しては適用をしていただけるかどうか、これを一番最初にお願いしたい。
  151. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど東委員からのお話でございまするが、これはよく検討いたしまして、できる限りそういう努力をしてみたい、かように考えております。  それから、清澤委員のお話でございまするが、ただいまこの二十八年災を基準にいたしました立法措置を、ことしのいかなる災害まで適用するのかということにつきましてはいろいろ議論があるのです。伊勢湾台風だけでいいじゃないかという説もあるわけです。あるいは第七号が非常にひどかったわけですが、その七号以降十五号までの分に適用すべきじゃないかというような意見もあります。まあ、七号につきましては、これは相当ひどい災害でありましたので、先般も大体政府のとるべき対策につきましては、当委員会でも申し上げたわけでございます。また、当委員会からもいろいろ御意見もあったわけでございます。大体あのところで委員会としても落ちついておられたというふうに私も考えておったところでございまするが、その後に、もっとひどい台風がやってきたというので、それにプラス何がしかをしなければならないという事態でございます。そうなると、それでは七号にもプラス何がしかを均霑すべきじゃないかというような議論にもなりますが、適用すべきであるかどうか、よくその程度を検討いたして善処したいと思います。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はそういう問題は起きると思うのです。六号、七号は前に処理してしまった、今さらできたからあとに戻すわけにいかぬ。かりに今年の、三十四年度の災害をしたというならば、昨年度のものはどうなるか。これは理屈ではなかなかおさまりがつかない。国民から見ましたならば、区域が小さかろうと大きかろうと、災害は起きた、災害者から見ればその災害の程度は十五号以上のものが起きている場所はたくさんある。今度われわれ視察して先般報告をいたしました中にありますように、新たに今まで例のなかった果樹の災害のごときは十年、十五年の災害と見なければならない。十年、十五年の災害です。これは特別立法をして何らかの方法を講じなければならない、そういうものも存在しているが、それは放棄しておる。低利資金をどうする、補助金を考えましょうということで投げている。ところが十五号は、一つの時期に同じ災害を受けたものは特別の恩典を受ける。これは国民として全く今の政治の貧困を物語る迷惑千万の話であります。私にはそう思われる。  そこで恒久対策として、始終こういう問題はあるのですが、たとえば冷害等の場合、何百メートル、上のところは冷害にかかりやすい、あるいは北海道のような地区が冷害にかかりやすい、こういうような場合、これは少部分かかった場合は投げられてしまう。この前はだれか問題にしまして、市町村合併関係上、一村が二割以上の災害であった場合云々と、こういうことでありましたのを、部分的な部落でも全災害を受けた場合というので直していただいた。こういうふうに悪いところは恒久法をもって、一村ないしは一地区、一部落内でもいいと思うのです、何割以上の災害を受けた場合にはこういう法律を適用するのだというぐらいのものがなかったら私は非常な不公平が出てくるのじゃないか、こう思うのですが、ごとに最近は平坦部に大河が流れ、信濃川などは金をかけて城のごとき土手ができておる、堤防ができておる、今これを作ろうとすれば何百億の金がかかるようなものができておる、なかなかこういうものを破壊するなどということは想像もできない。ところが山間部へ参りますると、もう三百六十五日ちょっと雨が降ってもやっつけられる、こういう、常にやっつけられているところが寒村であり、しかもそういうところが完全な処置がとられないで手おくれになって、そうして災害を次から次から受けておる。こういうばかげた話はないと思う。この際は一つ農林大臣として恒久法として、これぐらい以上の災害が起きた場合にはこの法律を適用するのだ、名古屋というような大きな町がやられるのです。わずか二十戸や三十戸がやられるのも、やられる人間に私は区別はないと思う。日本の国民として私は区別は一つもないと思う。それがなぜ小さいものだから投げておくのか、こういうことになるのです。いろいろの方法はあると思う。県に補助金を出して県にやらせるという方法もありますし、大小によりまして、それは行政上の処置を私は考えてやるべきだと思う。この被害者に対する方法を、私は恒久的にある率を定めて考えていただくことは当然だと思う。そこでお伺いしますが、さっき申しました通りの果樹という問題は、最近農業経営の上において、水田だけが農業じゃないのだ、従いまして経済経営を中心にした畜産もあれば、果樹もあればあるいは畑地もあればいろいろな面で適地適作を中心にした農業経営というものを考えるとき、しかも果樹の地区というものはだんだん大きく取り上げられてきておる、その果樹地帯が方々において全滅的な、果樹、木がやられている、樹木がやられる、これは果実が気候の関係上実らなかったとか、あるいは風害のため果実が落ちたのとは違う、果実の落ちたのは来年またなります。ところが果樹の、木の徹定的に倒れたものは、さっきも申しまする通り、十年も十五年もなおらない、これに対しては何らの今まで処置が講じられていない、一つも救済の法律というものはないと思う。こういうものが今七号台風中心にして果樹地帯に出たとしまするならば、これは一つ恒久法として、私は政府が考えていただくことは当然じゃないかと思う。そうして、しかも五年なり十年かかるとしまするならば、それに対する相当の処置も考えていただくことは私はこれはもう当然政治としてやるべきものじゃないかと思うのですが、この点を一つ農林大臣どう考えておられるか、そういう方向に持っていってもらいたい、これが一つ。いま一つは、さっき申しまする趣旨で同じある一村が一年間に四回も五回も全部の災害部分的に受けた、それを総合的に見ますると、全村が全滅した、これは長野県の浅科並びに長門なんてところにあるのですが、最後に残されたものは全部ひょう害によって桑は折れ、稲は稲こきにかけて、ひどいやつはわらない機でわら打ちしたような格好にたたきのめされて何にも残っていない、こういうような村落があったとしたならば、こういうものに対してはやはりさっき申しましたような趣旨で特別な法律を考えて、私は名古屋よりまだひどいと思うんです。この地区から見れば、名古屋のある部分よりはひどいと思う、全村やっつけられておる、何の生産もない。果樹はやられ、桑園はこわされ、米は全部落ちてしまっている、こういうような、あとに残されました蔬菜、園芸物全部がそういうように全滅している。これは春からの六号、七号、集中豪雨、その上の損害、こういうような村落に対しては私はやはり特別の措置を講じられても差しつかえないと思うのですが、なかなかそれがはっきりしないで、すたこた、すたこた考えられておると思うんです。少しくらいのことじゃ私は問題ならぬと思う。もっとすぱっとした気合いのいいやり方をしてもらわうのがほんとうだと思うのですが、農林大臣、その点どう考えておられますか。
  153. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 災害に対しまする総合的で、しかも恒久立法はどうかという最初のお話でございますね、私も災害がこう毎年々々あるという状況でありますと、何かああいうばらばらな法律よりは体系をなした一つ災害法というものを作っておいた方がいいような感じがいたします。そういうようなことを私自身としましては進めたいという考えでございますところへ今度の台風が来た。まあ現実の問題としますと、臨時国会をすぐ開かなければならない、なかなかこれを総合して恒久的なものにするなんというようなことはそう簡単でもございませんので間に合いませんが、今後の問題としては私はさような問題を大いに研究しなければならぬというふうに考えています。それから今度特別立法が幾つか出ますが、そういう中におきまして、これは恒久的な性格のものにした方がいいというようなものがありますれば、これはもちろん臨時立法でなくて、恒久法にしていい、かように今考えておるのでございます。特に果樹について例をとられたわけでございまするが、果樹につきましては七号で長野、山梨で非常な災害があったわけであります。これに対しましては先般も当委員会で申し上げましたように、融資をまあ弾力的に潤達に運用いたしましてその回復を助成してゆく、こういう考えを持っておるわけであります。それからさらに部落全部にわたった災害に対しまする特別な考え方があってしかるべきではあるまいかということでございまするが、まさしく私もそういうふうに考えております。で、そういうものにつきましては総合的に何か補助をいたしますとか、そういうふうにするということも一部はいたしておる次第でございます。それからなお今度の十五号のごときは、一村全部が水没しているというものも多々あるわけです。そういうものにつきましてはそれぞれ尋常の手段でなく、特別の考えをもって対処するという考えでおります。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで果樹の問題ですね、たが融資じゃ私は不公平だと思うんです。かりに農地がこわれれば農地が九割五分、場所によりましてこれだけの補助金を出して、ほとんど国がやってくれる。ところが果樹が倒れたと、支えもしなければならぬし、継ぎ木もしなければならぬし、手もつけなければならぬ、いろいろこれには資材を使って復興をしていかなければならない、ただ融資だけじゃ不公平じゃないかと思う。そういう資材に対しては五〇%の補助をするとか、何とかいう方法があっても私は罰は当らないと思う。罰は当らないということは、それが公平な私は取扱い方じゃないかと思う。私のところは果樹はありませんよ、ありませんけれども、農林委員として日本の国の農政の上から見るとき、これは不公平だと思う。私は米のことさえ言っておればいいんです。だがしかし、そうは言うてはおられないので、言いかねている人もありましょうから、私は言うわけなんです。それは一つ実際考えていただかなければ、これは全く不公平です。これはわれわれから見ましたならば不公平だと思う。一つそういう点に十分御考慮を願いたいと思います。  最後に、食糧庁長官、これは今度はおれの方なんですが、第一期の早場米の時期の延期をお願いしましたが、実際問題としては非常に災害、障害があったのでありますが、たまたま非常に一期の買い取り等も順調にいっておりますために、ただ十五号が二十六日に参りました際には非常に被害を受けて、電気はとまりましたが、家屋に貯蔵しておきましたものを全部供出したために、非常にいい成績で出しましたので、そろばんの上から見ますれば食管の工合が非常に順調以上の順調にいっているようでありまするから、これはあまり無理も言えないと思います。ので、引っ込めますが、ただ第二期の分が災害を受けた。そしてその立て直しをしようとしておる際に、非常にその後の天候は工合が悪いと、こういうふうなことになっているのでありまして、少くとも十月の五日か六日まではほとんど出ていないと、その後ようやく出荷が続けられる、こういうような状態になっていると思いますので、これはそういう場所が方々にあろうと思いますので、第二期の分を一つ五日ぐらい延ばしていただきたい、こういうことであります。
  155. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) ただいま清澤委員から御指摘がありました九月末における買い入れの状況でございまするが、これはちょうど新潟地区はあの災害の前後に停電等もありました関係もありまして、現地状況をいろいろお話をいただきましてわれわれとしても検討をいたしたわけでございます。新潟につきましては、九月末は前年が三万一千六百トンで、去年は申し上げるまでもなくこの時期非常に天候が悪かった関係もありまして、おくれたのでございますが、ことしは十七万五千六百トンと、非常に前年に比べますと大幅に伸張をいたしております。その後十月八日現在の買い入れ状況を見ますると、前年が九万五千三百三トンであったのでありますが、ことしは二十二万九千七百トンというふうに非常に大きく伸びてきておるわけでございます。一部地区につきましては停電等の関係があった事情も十分承知いたしておるのでありますが、これは私が改めて申し上げるまでもなく、早期供出の奨励金もございまして、全体の農家を対象として判断をして参るべき筋合いのものでございまするので、このような政府買い入れの進捗の状況から考えますと、第二期につきましてもことしあたり特に延長をするというふうには考えておらないわけでございます。
  156. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは当初申し上げた通り、新潟県全体としては非常によかった、その通りです。ところが、南北魚沼という二郡が十五号の非常な影響を受けて、電気はとまる、非常な問題が起きた。ただし、そういう中でも前に取り入れたものがありましたから、三十日までは——これは皆塩沢の食糧事務の統計であります。私は行って調べてきましたが、二十六日までは五千俵だったけれども、三十日までにはその後二万俵出た。出ないという中で二万俵も出ている。だからこういうものはどんなに理由づけようと思っても理由づけることができませんから、これは引っ込めます。しかし、その後ですよ、その後災害がたたって五日か六日まで出し得ない、それが災害地である南北魚沼二郡にわたってある、こういうことになりましたならば、私はこの二郡に対しては実情を調べて特別の処置をしていただきたいということなんです。今食糧庁長官は、これは奨励金なんだと言うけれども、われわれは奨励金として受け取っていない。これは供出米米価に対する二毛作地との比較をした上における格差といいますか、経済格差といいますか、それの埋め合せのつもりで私はおるんです。というのは、この早場米奨励金というものが決定せられました歴史がそれを物語っているのです。これは片柳さんに聞いてもらえばすぐわかるんです。早場米奨励金というもので初めもらったのじゃない。あなたもよく御存じだと思うんです。当時食糧庁に課長さんとしておられたのですから、よう知っておられると思うんです。早場米奨励金じゃない、後場米奨励金です、第一年度は……。それが第二年度になりましてどうもこれじゃあ単作地帯が出す米の値段に問題にならぬ。こういう安い値段できめられちゃ問題にならんと、一番多く文句を言ってきたのは北海道であります。北海道は早植をやりませんので、おそ植早刈りをやるために、非常に労働力を使うので経費が多くかかるのに、こういう値段ではとても出し切れない、こういう問題が東北地方中心に出て、単作地帯ではがまんができない、だからわれわれとしては一つ米の値段をきめるときにはプールで買い上げて、地区別に価格をきめて買い上げて、それをプールにしてくれ、こういうことをGHQに談判した。GHQはそれも一つ方法であるが、政府としては事務的にできないと、それでストップしておったところへ、たまたま早場米奨励金という問題が出てきた。それで大体米が出るか出ないかというので、片柳さんとわれわれと折衝した結果出ますと、その前の年は無理に出さしたために首つりがあんまり出て、新聞に出すのをとめたというような騒ぎが起って困ったのです。それで出るかと言いますと、出ますと、こう農民組合も答えましたし、農協も答えましたので、それじゃあ一つ新潟県だけの後場米制度をやめて、一道十一県が早場米奨励金として、価格の不利を補う一つ方法として取り扱う、こういうことになった。だから、一番先は一道十一県だったんです。北陸、東北、北海道、これだけだと思う。ところが、その後森さんが農林大臣になったときに、何かぱっと自分のところまで出すようにもっていってしまった、こういうことで性格は変ってきても、われわれはそういう意味にとっておらないから、従いまして災害を受けて困っている、こういうものには、その地区だけに一つの特別の考慮を払ってそうして経済的な、補助金は出せなくても、そういうところでめんどうを見てやると、こういうくらいの心がけがあっても私はちっとも無理じゃないと思う。これは非常に政治的なものでありますので、食糧庁長官が独断で答えもできませんけれども、農林大臣一つ考えていただけませんか、元はそういうのであります。
  157. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあこの間の、この前の第一回の分のものでありますと、災害でおくれたというような、あるい事情のある方もあったと思うのですが、しかし、今度のあれは何日でございますか、第二回は十日ですね、十日をすでにもう経過をいたしているわけでありまするし、十日後になりました事態におきまして、災害のために供出がおくれるというようなことも、まあどういう事態においてそういうケースがあり得ますか、ちょっと想像できないのですがね。私どもも、第一回目には何とかしようかというので、いろいろまあ相談をいたしたのです。しかし、二回目になってしまうと、どうもそういう災害で搬出ができないというようなケースは、めったに今ないんじゃないかというようなことでございまして、それよりは、先ほど申し上げましたように、まあほかの措置で農家にお報いをする方がいいんじゃないかという結論に今到達しております。
  158. 亀田得治

    亀田得治君 関連して……。  これは、われわれも農林大臣にお願いしたいと思うのですが、政府の方では、どうも売り渡しの状況が順調だ、だからおれの方は大体たくさん買い取っておる、こういう感じが一方で多少おありのようだと思うのです。それは確かにそういう状況であることは間違いないのですがね。だから、それだけに、部分的に災害等でそれに間に合わない、これは非常にアンバランスになるわけですね。だから、そういうところを見てもらいたい、こういう気持なんです。これは実際に地方に行ってみると、いろいろな、われわれの思わざる原因で間に合わなかったとか、そういうのがやはりあるわけなんです。これはやはり第一期が一番問題であったと確かに思うのです。ところが、そのときに措置されなかったものだから、第二期に何とかと、こういう気持になるわけでしょうが、しかし、時期が延びるとちょっと理屈が合わないじゃないか、こう農林大臣の方でおっしゃる。それもわかるのですが、その原因の一番近くあった第一期において、そういう点が十分見られなかったから、これは第二期に話が延びている点もあるわけなんです。  それで私は、全体の供米の売り渡しの状況がいいだけに、災害で特に損しておる人が、ことさらに、さらにマイナスになる、こういうことは、さっきからもいろいろ出ているのですが、少しでもそういうことがわかれば直していくのが親切だと思う。考え方は、これは農林大臣も了承してもらえると思う。この考え方は。だから、結局そういうことに踏み切れないのは、どうもそういうことを言っても、なかなか証明といいますか、はっきりとした証拠などをどこで区別するか、そういうことを心配されているのじゃないかと思うのですが、それはどういうことなんですか。そういう考え方自体を認めないというのか、あるいは実際の取扱いとして、なかなかそういうことをやっても区別がつきにくいし、結局は災害でなくおくれたものまで全部認めなければならぬことになっては困るとか、そういう気持があるのかどうか、その辺のところ、ざっくばらんなところを答えてほしい。どうもあまりはっきりしない。
  159. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) それは理屈というか、筋は、話はよくわかるのです。ただ、一つはですよ、そういうケースが、十日以上たちました今日、果してあるのであろうかということが一つなんです。  もう一つは、私どもは、これは実際問題として、そういう措置をとりたくないのは、波及というか、どの地域にはそういう措置はとるけれども、どの地域はもう災害にそう大した関係はないのだからとらないというようなことを考えるわけですね。そうすると、それがまたなかなかむずかしいのですね。しかし逆に、それでは全国的にやったらいいじゃないかというと、これはまたなかなか厄介なことにも相なる次第でございまして、実際問題としては、そんなことを心配いたしておるのであります。
  160. 亀田得治

    亀田得治君 実際の認定の問題ですな。
  161. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 認定の問題ではない。認定の問題ではなくて、そういう災害で今日の事態になったら、搬入におくれるというような事態があるのであろうか、こういうことなんです。
  162. 亀田得治

    亀田得治君 それはありますよ。そのこと自体は。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 電気がとまりましたり、災害の跡始末をしておったり、いろいろなことで搬入がおくれた。こういうことで起ってくる。十月の六日までにはほとんど出ておらない。だから、その後、さっき申しました通り、非常に成育もいいのですから、ばたばたと出た、こういうことでありますれば、何をか言わんです。北魚沼郡と小千谷は要りません。小出から以南の食糧事務所の出荷状況を調べていただけばすぐわかる。これはすぐわかる。だから、私も十六、七日に帰ってみて、出ておりますれば何も問題はないと思う。ちょっと調べて、工合悪く出ておったら御考慮願いたい。
  164. 須賀賢二

    説明員(須賀賢二君) 早場米の期限延長の問題は、毎年、あるいは天候の関係でありますとか、災害関係等で起きることは私が申し上げるまでもないのでありますが、昨年まで扱いました一つの考え方といたしまして、農家の事情あるいは当該市町村の事情等で、個々にはいろいろな事情もあるわけでございますが、少くとも県単位ぐらいの総合した状況で判断をして参りたいということで、昨年の場合は、非常に長雨が続いたような関係もありまして、県単位に個々に検討いたしまして、過去の例から見まして著しく供出が伸びておらないというような県につきまして、若干延長いたした例もあるのでございます。しかしながら、その場合も、最後は県単位にしぼったわけでございます。それ以下、あるいは郡単位でありますとか、町村単位でありますとか、そこまで問題をこまかくしていくということは、この制度の運用上非常にむずかしい問題が派生して参りますので、さような考え方で従来進めて参ったのであります。ことしの場合、たまたま特に新潟につきましては、全体は非常にいいのでありますが、特定の地区について停電等のことがあって供出がその地区だけおくれておるというような事例として御指摘になっておるわけであります。まあこういうことは、によりまして、地区にむらが若干できますことは、この制度の運用上はやむを得ないじゃないかと考えますが、なお、ただいま御指摘になっておりまする地区のその後の供出の状況につきましては、私の方で、事務所なり県を通じましてよく調査いたしてみたい、かように考えます。
  165. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは災害じゃなしに、部長の災害です。(笑声)地盤沈下ですね。栗ノ木川の用水池の問題です。ところが、この間農地部長のところへちょっと行きましたところ、河川の方はかさ上げが全部予算がついたそうです。三十四年ですか、五ですか。ところが、農林省の方で機械がいまだつくのかつかぬのかわからない。こういう状態で、せっかく建設の方からかさ上げをしてもらっても、その分がつかないことになりますと、全体が死んでしまいますが、これはぜひ一つつけてもらいたい。この分だけはどうなりますか。
  166. 清野保

    説明員(清野保君) 新潟県の地盤沈下につきましては、農地局といたしましては、別途対策を講ずるように、大蔵省と協議を進めまして、結局既定予算の範囲でこれを実行するということに一応内定しております。ただ、この問題に関連します県の財政負担、特に三十四年度につきましては、そういうような心配はないのでございますが、三十五年度の継続いたします場合の財政負担につきまして、県の同意を求めますので、県では目下そういう面について検討を加えております。近く回答があると思います。回答が来次第、直ちに予算の運用によりまして措置いたすようにする考えでおります。
  167. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) ことしの問題でございますが、今建設部長から言いましたように、私の方としましては、既定の予算、こういうものを使いまして、来年の植付には揚水機が発注できるような措置をとりたいということで大蔵省に話しております。
  168. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは栗ノ木川のなんですな。
  169. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) その通りでございます。
  170. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後五時三十一分散会