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1959-09-28 第32回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年九月二十八日(月曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君           小笠原二三男君            戸叶  武君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            藤野 繁雄君            東   隆君            大河原一次君            北村  暢君            清澤 俊英君            小林 孝平君            棚橋 小虎君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    国税庁間税部長 泉 美之松君    農林政務次官  大野 市郎君    農林大臣官房長 斎藤  誠君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局農    産課長     江川  了君    食糧庁業務第二    部長      村田 豊三君    水産庁次長   高橋 泰彦君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産関係物資通運事業運賃  料金に関する件)  (いも類及びいも類でん粉価格に関  する件)  (農林漁業関係災害に関する件) ○派遣委員の報告   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 議事進行について。  これは、先ほど小笠原君が言われるように、こういう緊急な議題日程外に加えることは、これは非常な弊害があると思うのですよ。自分らだっておのおの緊急なものを持っているのだから。緊急なものを持っていても、みんな遠慮しているのです。そうしてみると、これが新たに緊急を要しまするならば、本日これがかけられぬならば、明日かけるとかなんとかいうことを相談して議題とすればいいのであって、こういう点は一つ厳格に取り扱っていただかなかったら、将来気の弱い者はいつでも損をすると、こういう問題が出てくる。これは緊急だ緊急だと頭にかぶせられたら何もできない話になる。わずか一日ですよ。それから先ほど陳情についての小笠原君の意見もありましたが、これは遠くから来ているのに二分間か三分間の陳情くらいならば聞いてやるのが私は正当だと思うのですけれども、こういうものは一応、委員長議題として全委員の討議にかけて一応の決定をして厳格にそれを守ってもらわないといかぬと思う。私はこれだけのことを議事進行として申し上げておきます。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 農林水産関係物資通運事業運賃料金の件を議題にいたします。  この件について質疑の要求がありますので、この際これを許します。  なお、政府から出席されておる出席者運輸省自動車局長国友君、同梶本業務部長、同水野通運課長農林省農林経済局長坂村吉正君、高橋水産庁次長でございます。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になりました通運事業運賃料金改訂の問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。  さて、運輸省なり鉄道公社におきましては、いわゆる公共政策割引運賃制度の改廃をいたしたいということで作業が進められておったのでありますが、その及ぼす影響がただ単に農林生産上に誘因するものではなくて消費者にも至大な関係がある。特にこのことが非常に懸念をされておる経済の上に重大な影響を持ち来たすであろうというようなことがしみじみ予測せられますので、当委員会におきましては諸般の問題を考慮しつつ公共政策割引の問題は現行制度を存続すべきであるということを前後三回にわたって全会一致の議決をし、当局にその善処方を求めて参ったことは御承知通りであります。そこで、本年の八月末限りで一応の終期になっておりましたのが、十二月末までさらに研究調査をするということで今日に及んでおるそのやさきに通運料金改訂が企図せられまして、同業者諸君から政府に向って認可申請がなされておると聞き及ぶのであります。私ども承知をいたしておりますところでは、この申請されておりまする表面に現われておる料金改訂だけといたしましても、おおむね五十一億円前後に達するというのであります。公共政策割引の問題については、当局の御説明によれば、昭和三十三年度の実績は二十億であった。その二十億ですら非常に大きな国民経済の上に及ぼす影響があるということで心配をし、政府善処を求めてきておるのに、ここに同様の内容を持つ料金改訂の結果は五十数億に及ぶということでございまして、その及ぼす影響はきわめて甚大であることは申すまでもございません。これに関連してこの前の当委員会が開かれましたその雨後の新聞記事によりますると、認可立場に立っていらっしゃる運輸大臣の言として新聞に出ておりました報道によれば、業者申請額を不同にするということには参りかねると思うが、通運料金改訂は当然のものとしてこれを実行する所存であるというような趣旨新聞報道が出ておりました。実に驚き入っておるのでありますが、質疑を申し上げまする前に、一応そういうような経過からいたしまして、運輸当局として、どういうような形で作業が進められておるか。承われば明日はこのことに関連する公聴会をお開きになるということでもある模様でありまするが、経過現状についてまずもって御説明を願いたいと思います。
  6. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 通運事業運賃料金改訂に関しまする経過について申し上げたいと存じますが、通運事業運賃料金に関しましては、昭和二十七年の十月の原価基礎といたしまして昭和二十八年の四月に運賃料金改訂を実施いたしましたのでございますが、その改訂されました運賃料金がそのまま継続いたしまして現在にまで至っておるわけでございまして、その間に昭和三十二年の四月に国鉄運賃改正がございましたのでありますが、この国鉄運賃改正がありましたときには、まあ、私どもとしても、やはりこれは給与あるいは物価増加等もありまして、国鉄運賃改訂と同時に、ある程度通運運賃料金改訂も認めるべきではないかという議論もありましたのでありますが、これにつきましては、しかし、できるだけ経営合理化をはかって、運賃値上げをすべきでないということで、運賃改訂については、そういう申請なり措置なりをさせなかったと申しますか、通運事業者から申しますとしなかったわけでありますが、その合理化をいろいろさせました結果、相当改善されたところもあるのですが、どうしても経営状態合理化のみではもうやりきれない状態になって参りましたので、昨年の、三十三年六月に通運事業者運賃改訂申請をして参ったわけでございますが、私どもとしましては、まだ何か合理化方法があるのではないか。さらに通運事業に関しまする内容について、もっと精査する必要があると思いまして検討を加えて参っておりました。しかし、私どもといたしましても、もう五年運賃改定について値上げをいたしておりませんし、さらに昭和十一年を基準といたしますと、通運事業運賃料金は百五十四倍でございます。これに対しまして国鉄運賃料金は二百二十倍ほどになっております、昭和十一年を百といたしますと。その他公益事業等で申しましても、電灯につきましては百八倍、ガスにつきましては二百四十七倍、水道につきましては百五十六倍、郵便のはがきにつきましては三百三十三倍、こういうような比率を示しておりまして、まあ、こういう点からみましても、通運運賃料金を五年ほど押えておりましたことに対しまして、この際改訂措置をある程度とる必要があるのではないかと考えまして、運輸審議会への諮問を運輸大臣の方からこの八月の十八日にいたしましたわけで、これに対しまする官報への公示は八月の二十六日に出たわけでございますが、そういたしますとやはり運賃料金改訂につきましては、運輸審議会としては検討を開始するわけでございますが、公聴会を開催して一般意見なり、事情なりを十分聞くべきであるということで、九月の十四日に公示をいたしまして、九月の二十九日、あした公聴会を開いて、一般意見なり、事情なりを運輸審議会として聞くという段階に参っておるわけでございまして、今後公聴会模様によりまして、運賃料金改訂についての検討を加えていくということになるわけでございます。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 通運業者の数は、非常に各府県にまたがりまして多数存在をしておると思いまするが、大体予想される貨物取扱いをいたしておりますのは、日通がほとんど独占的にやっておるというような姿でもあるように思うのでありますが、この際一つお伺いいたしたいのは、全取扱い数量中に占める日通比率はどの程度になっておるのか。
  8. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 通運業者全体の数で申しますと、日本通運が一番大きくて、そのほか、地図を統合いたしました通運業者と、新しく終戦後に免許を受けました業者とございますが、全部合せまして五百四業者ございますが、このうち、通運事業取扱い関係で申しますと、五二%を日通が扱っておるということになっております。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 そこで、公聴会が開かれた上で今後の検討を加えてしかるべき措置をするということでありまするが、ただいまの御説明によりましても、通運料金改訂すべし、改訂するのだという前提に立っての研究が行われるというようにお話の筋から考えますれば理解をせざるを得ないと思うのであります。申請をどうするかという白紙の上に立っての検討ではなくて、値上げをするということは当然なことである、ただその内容をどの程度にするかということについての検討が今後に残されておるというような御趣旨のようであったのでありますが、そこで、今までも通運業者の運営の合理化について十分検討をしてきた、努力もさしてきたが、もうこの段階に来ると、それを求める余地はなくなったような状況でもあるという御説明でもあったように思うのでありますが、今お話がありましたように、全取扱い数量の五百何社のうちの事業分量から申しますれば半数以上を占めておる日本通運取扱い、その日本通運の業績は御承知通りであります。年々一割以上の配当をしておるというのが、これはもう公知の事実であるし、実態でもあります。そういう実態の上に立って、なおかつ、値上げをしなければならないという必要が存在するとお考えになるのかどうか。今日一割以上の配当現実存在しておる。しかも、それが公共的な性格を持っておる事業について、なおかつ、その上に考える必要があるというように考えられますかどうか。
  10. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 日本通運株式会社配当について一割以上の配当をいたしておりますことは、森委員のおっしゃった通りでございますが、この配当維持につきましては、いろいろと措置をしておるようでありまして、私どもといたしましては、申請がございましてから実際の実績調査をいたしまして、これはもう全国にわたりましてでありますが、基準年度は三十二年の九月分の実績を全部について実態調査をいたしたわけでございますが、これに基きまして計算いたしました結果を全部集計してみて、どうしても今の状態では経営原価を償い、及び適正な利潤を含むものというふうにはいかないという結論に達したわけでございますが、ことに新免業者等におきましては経営状態が悪くなっておりまして、これらについては何とか措置をしなければならない現状に参っております状態でありますし、日本通運におきましても、実は今申し上げましたような点では、配当維持の点では固定資産売却利益の充当とか、退職給与引当金を実は計上いたしませんで配当維持しておるという状態でございまして、実際に計算をいたしますと、これだけの配当は現在維持できないのではないかと私ども考えておるわけでございまして、そういう原価計算の上に立ちまして、今度の改訂考えておる次第でございます。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 それからもう一つお伺いしておきたいのは、今度の申請内容として貨物のそれぞれのものにつきまして号級が定められておるのでありますが、その号級整理統合をするというようなことが意図されておる模様でありますが、もしそういうようなことがさらに料率の改訂の上に行われるといたしますれば、表面新聞等報道されておるかりに通運業者申請をしておる申請額が全部認められたとしても、その値上り率というものはせいぜい八%か九%程度であるというようなことが、結果的には号級整理によって、物にもよりまするが、五〇%近くから三〇%前後にまではね上るという内容を持っておるということでありまするが、こういうような号級整理についても考慮されるという御趣旨であるのか、号級整理は行わないということであるのか、その辺の状況はどんなふうにお考えになっておるのか、お伺いしたい。
  12. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 御承知のように、現在通運事業号級は四昇級ございますが、先ほど申し上げましたように、私ども実績調査をいたしました結果によりますと、むしろ一番いなかと申しますか、いなか地方が四号級になっておるわけでございますが、ところが、いなか地方はやはり駅がございますと、そこでどうしても取扱いをしなければなりませんので、人員その他の面においても扱い数量が少くても一人なり二人なりの人をそこにはりつけなければならないとか、その他ある程度施設を持たなければならないということで、むしろ四号級の地域の方が、原価計算から申しますと高くなるという結果が出てくるのでございますが、これらの取扱い料金種目別及びこの号級別に全部実績調査いたしまして、それに該当するような計算をしておりますが、私ども審査をいたします場合の通運事業運賃料金に関しましては、この認可基準がございまして、これは第一番目が能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、また適正な利用を含むものであること。第二番目が、特定の荷主に対し不当な差別的な取扱いをするものでないことというような二つの基準があるわけでありますが、こられについてやはりこれは実績に基いて適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものであることという考え方に立たなければなりませんので、それらのことを考えますと、現在三号級と四号級との原価の差というものがなくなってきておる。今申し上げましたようにむしろ四号級の方が原価計算としてはむしろ高くなるという状態を示しておりますので、そういう何といいますか、実績を考慮してのことであろうと思いますが、通運事業者は四号級を廃止して三号級にするという申請をいたしてきておりますが、これらの点に関しましては、今後私どもとしてもその原価計算を考慮し、公聴会におきまする意見も聞いた上で適切な措置をしたいと考えておりますが、ただこの号級の変更に関しましても、やはり通運事業発地着地とがございますので、発の方におきましてたとえば低位の号級でありましても、着地が大都市でありますと高位の号級になりますので、これはむしろ影響は半分である。同時に、発地の方におきましては大体地方でありまして山坂が多いわけでございますが、そういう所におきまして一番通運料金の中で大きな比率を占めまする集配料に関しまして、今まで坂路割増というような制度をとっておったのでございますが、これらに関しまして今後は坂路割増制度として認めていくというようなことについては申請はしておりませんので、そういう点におきまして山坂の多い地方の方におきましても、ある程度料金の是正と申しますか、引下げの要素も入っておりますので、それらを全般的に考慮いたしまして適切な運賃設定考えていきたいと思っておるわけでございます。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 最後にもう一つお伺いしたいのは、これに直接は関連いたしておりませんが、運輸当局では現在貨物取扱いをいたしておりまする駅のうちで、その取扱い量が非常に少いという、特に山村方面における小駅を整理をする、貨物取扱いを廃止するというような作業を進めておるようであります。これは国鉄立場からのみ見た経営合理化、こういう点から考えますれば、これも一つ方法ではあろうと思いまするが、その結果として農山村の生産物が貨車に乗っかるまでの陸送の距離が非常に引き延ばされるということになりますので、結果的には農山村民生産物に対するその荷主負担が非常に大きくなるという結果を招来すると思いまするが、そうなりますると多年われわれが要望しておりまして、また政府も御考慮願っておるであろう政策割引の問題と逆行する結果が生まれてくると思うのでありますが、そういう作業現実に進めていらっしゃるのかどうか。もしそういう作業を進めていらっしゃるのだとすれば、私どもが要求している政策割引との関連においてどういう結果になるのか、そういう計算をなさっておるのかどうか、その辺をお伺いいたしたい。
  14. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 今の御質問の件に関しましては、国鉄措置としていたしておりまして、私どもの方にまだ具体的な連絡及び説明がございませんので実は正確なことをお答え申し上げることはできないのでございますが、国鉄の経もの合理化のために駅を整理するということに関しましてはそういう考え方で進めておるようでございますが、それらに関しましてあまりにも負担増があるところに急激に起るというようなことはないように措置されることと存じますが、これらの点に関しましては、十分国鉄と打ち合せ、検討を加えていきたいと思っております。
  15. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今、局長お話を承わりますと、二十七年に改訂を行なってからそのままである、国鉄はその後改訂を行なっているが、長い間行わないので非常に経営が不振になっているから、この際は申請を取り上げて公聴会を開くようになっているというお話でございますが、裏を返して見ますると、二十七年時代に非常によかった、ですからその次の国鉄改訂にもそうやかましく言わないでいられたということだと思う。こういう事業をやっております者は、なかなか引き合わないのに黙ってやるような者ではございません。すぐストをやったり、いろいろな方法でやってくると思います。そこで、御承知のように公共割引国鉄運賃もぜひ据え置きで置いてもらわなければならぬ。それを上げられたのでは、荷主の方は上げられる理由もないから、そのままにしておいてもらいたいというので一応据え置きになっている。これはそういう差別はないと思います。そこで、先ほど森委員お話のように、国鉄の方では二十億、こちらは五十億余りであるようでございますが、どうもうまくいっているときは黙っておって、少しおかしくなると、いろいろ文句を言ってくるから取り上げるということは、前の調査が一体どうなっているか、どれだけよかったのか、いいから黙っておったと思う。そういうことはお話ございませんが、裏を返えせばそうでございます。二十七年におきめになって、その後国鉄料金改訂になったにもかかわらず、業者の方が黙っておったということは間に合うから黙っておったということだと思います。二十七年時代にどれだけよかったのか、お調べになっておったら伺いたい。
  16. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 実は実情は御質問の件と違っておるのでありますが、今まで運賃料金に関しまして運輸省が何回かインフレの時代経過いたしまして措置をしてきたわけでございますが、その際には国鉄運賃改訂が一番最初に出て参りました。その後に私鉄とかバスとかトラック通運運賃料金改訂申請がございまして、それらについて全般的に考慮をして大体十カ月とか半年の間に全体的に運賃料金が上るという経過をたどってきたのが従来、終戦物価値上りに対しまして措置をしてきたところなのでございますが、先般の、先ほど申し上げました昭和三十二年の国鉄運賃改訂のときに、国鉄運賃改訂をいたしますだけで、そのほかの運賃改訂はいたさないということで、むしろその他の施設とかバスとかいうようなことに関しまする運賃を含めまして一切の運賃改訂をしばらく据え置きにしたわけなのでございます。従いまして、昭和二十八年の改訂利益が大いに見込まれていたではないかというようなことでございませんで、昭和二十八年の改訂では昭和二十七年の十月分の実績をもとといたしまして計算した結果を織り込んだわけでございまして、その後私どもとしては、先ほどから申し上げておりますように経営合理化通運事業については大いにやれということで運賃改訂を認めずに参りまして、昭和三十二年の国鉄運賃改訂に伴いましてのその他の運賃料金改訂につきましては、私鉄運賃乗合バス運賃が本年の一月に、全般的最終的には本年、三十四年の一月に申請を全部詳細に審査いたしまして適当な運賃改訂を認めたわけでありましてこれらに関しまして三年を要して審査をしてきておるわけでございます。通運運賃に関しましては、先ほどから申し上げましたように合理化を大いにやれということでやって参って、バス私鉄運賃値上げになりましたけれども、まだ余地があるのではないかということでわれわれは考えておったのでございますが、しかし、実績調査してみますと、決してそういうことにはもうならないので、改訂措置を進めるために運輸審議会に諮問したという状況でございまして昭和二十七年の十月の原価基礎といたしまして、昭和二十八年の四月に改訂いたしました料金が決してよ過ぎたというわけではございませんので、その点については御了承願いたいと思うのでございます。
  17. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お話を承わりますと、いろいろ事業の改革もやってどうにかやらしておった、そこで、国鉄運賃値上げをやりましてもどうにかしのいできたというお話でございますが、国鉄運賃は安過ぎたのだからやむを得ず値上げをしてもだまってやってくれたので、この運輸業は私は決してそんなみずからが損をする、安くてやれぬようなものをだまってやっておるような団体ではないと思っております。でございますから、局長は非常に上手に味方をしてお話しになるのでございますが、問題は公共割引をせなければならぬような荷主状態でございますが、これは区別がないと思います。そこで、農村で一番多くやるものは肥料と生産物でございますが、いずれにしましても発達をしました協同組合がございまして、そうして荷受けをし出荷をして市場には地元からそのままに運びます。でございますから、積込料だけで貨物運賃はかかりません。ところが、発達をしない貧乏な所ほどそういうわけには参りませんので、トラックに積んで運搬せなければならぬことに相なるわけでございます。でございますから、全般のものに対してここで議論をする必要はないと思うのでございますが、公共割引をしなければならぬという実情にございますものは当然何らか考えてもらわなければならぬということが一つ。その次は一級、二級、三級、四級という等級に分けられておりますが、その分けられております、四等級になっております所ほど哀れな状態でございます。もしこれが四等級の所は運賃が高いが、一、二等、三等は安く上るということになりますと貧乏のしわよせでございます。でございますから、今後御審議されますときに、四等級の所におりますものは実に哀れな状態であるということを十分御認識に相なりましてそうしてこれを何らか考えなければならぬということにしてもらわなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。今の公共割引の点と四等級の場所が非常に不便な所に存在をしております荷主、あるいは受ける人も非常な哀れな状態にあるということを御認識になりまして廃止するか、または特にこれを見るかしていただかないと現在の状態では絶対に忍んでいくことが非常に困難だと思いますが、この点いかがでしょうか。
  18. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 普通の運賃料金に関しましては、先ほど私が通運事業法の第二十条の運賃料金認可基準を読み上げましたように「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること」という基準一つございましてこれは公益事業ではございますが、やはりある程度の私企業として利潤をみていかなければならない事業だと考えているわけでございます。従いまして、公共的な考え方にもある程度立たなければなりませんが、私企業としての経営状態も私どもとしては考慮しなければならない。ことに通運料金がその物資の物価に対しましての影響と申しますか、それは僅少なものでございまして、たとえば今度の運賃料金改訂申請してきましたものにつきまして、その申請の額を考えてみますと、増加率は〇・九%から一番多いもので一・九%程度の増収と申しますか、増加になるわけでございます。これは具体的に米とか澱粉とかタマネギとかいうようなものにつきまして計算をしてみました結果、そういうものが出るのでございまして、全体的な物価に対しまする影響というものは非常に僅少だと私ども考えるのであります。で、実は通運運賃料金に関しましては、国鉄運賃体系と違いまして一本の——号級の差はございますが、品目別に関しましては一本の運賃料金を、取扱い料につきましても、集配料につきましても、とっているわけでございまして、現在のところ、先ほど申し上げましたような私企業の考え方と、それから公共の考え方とを調和する適正な運賃料金を設定したいということを考えておりますのが第一点と、それから号級の点に関しましては、私ども原価計算から申しますと四号級は非常に低いと申しますか、四号級は、原価計算の点から申しますとむしろ三号級よりも原価を要する点がございますのです。が、これらの点に関しましては十分公聴会意見等も聞きまして、今後において措置考えていきたいと思っている次第でございます。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それでは一言申し上げておきますが、結果を見ないとわかりませんが、局長お話を承わりますと、どうも改訂が行われるのだと推察いたします。それで、農業者の方ではむしろ運賃改訂のためにうまくないということになりますと、各都道府県でこの業務を行いまして、そうして何とかしなければならぬという結果になりはしないかという心配がございまするから、今お話のように、ごく軽少なあれでございますとまたいろいろな考慮も払われましてそれで済むかもしれませんが、今後相当荷受け、出荷に対します損害が大きくなりますとだまっておれないという結果が生まれます。各都道府県で全部そういうふうにせよと、こういうふうに指示せざるを得ない結果になるかもしれませんことを今から申し上げまして、なった方にはすぐに認めてもらえることをお願い申し上げておきます。
  20. 小林孝平

    ○小林孝平君 私、先ほど森君が質問されたのに答弁された中に、日通経営状態についてお話がありましたが、日通は一割以上——今は一割二分ですか、一割二分の配当をやっておる。そういう相当な配当をやっておるのにこの値上げをする必要がないのではないかという質問に対して、その一割以上の配当をやっているのは、いろいろの操作をやっておる結果がなっておるのだ、こういうお話でありましたことと、それから適正利潤を確保するということは必要である、こういうお話でございましたが、一体適正利潤というのをどのくらい考えておられるのですか。日通についていえば、どのくらいの配当をやるということが、この適正利潤だと考えておられるのでしょうか。
  21. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 私どもが公益事業に対します運賃料金考えまする場合に、一割配当を可能とする程度が適正利潤であると考えている次第でございます。あとの点に関しましては企業努力で措置をするということで、私どもとしては一割と考えております。
  22. 小林孝平

    ○小林孝平君 今の一割以上の配当をやっているのは、いろいろの操作が行われている結果、このいろいろの操作というものが会社経営上非常に不合理なものである、あるいはそういうことをやってはいけないものであるという考えに立って御発言になったのですか、先ほどの。
  23. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 日通が今度の昭和三十三年度の下期におきまして措置をしました中で、たとえば固定資産売却利益というようなことに関しましては、これは会社として資産を売却するわけでございますから、これらの点については措置はけっこうだと思うのですが、退職給与引当金を計上しないというようなことに関しましては、これはやはり退職金についてはある程度の引当金を持つべきでございまして、そういうものを計上しないというようなことは不合理だと思いますので、これらの点については考慮しなければならないと同時に、不要と申しますか、固定資産の売却等に関しましてもそう続くものではありませんので、その限度がございますので、これらは恒常的に続くものではございませんので、それらによって赤を——赤と申しますか、配当維持しておるということは不合理な状態ではないかと考えておるわけでございます。
  24. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういう退職金の引当の問題等をちゃんとあなたがおっしゃったようにやれば、それは一割の配当を割るのですか。
  25. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 割ります。
  26. 小林孝平

    ○小林孝平君 そうしてその一割というのは一体どこできめたのですか、一割配当をしなければ適正でないということは。日通のようなものに一割の配当を確保するあなたの方は責任があるのですか、どういう基準で一割ということを言われているのですか。
  27. 国友弘康

    説明員国友弘康君) この一割がいいか、あるいはその上がいいか、その下がいいかというようなことについては、これは大いに考慮を要するところであろうと思いますが、大体現在の株式会社を見てみますと、一割以上の配当のところが多いわけでございまして、同時に、通運その他私鉄バスに関しましても、公益事業ではございますが、私企業として経営をしていくわけで、やはり資本を吸収するためにはある程度配当をしなければ資本を吸収することができませんので、私どもとしては大体妥当と思われるところが、一割の配当を確保することがいいのではないかということで、この点に関1ましては私鉄運賃につきましてもバス運賃につきましても、通運運賃につきましても、大体一割配当可能の額を考え措置をしておるわけでございます。
  28. 小林孝平

    ○小林孝平君 あなた、今その一割がいいか、一割以上がいいか、あるいは一割以下がいいかということは従来大いに論議のあるところだとおっしゃっておりながら、あなたの方は一方的に、一割という線に押えて、そうして運賃改訂はすべてこの一割を最低限度としてやる、こういうふうにやられて、そういうお考えは最初におっしゃったこととちょっと矛盾するんじゃないかと思うのですけれども、そういう方針ならば、そこはもう基準になって運賃値上げをしなければならぬという結論が出てしまうと思うのです。どうしてそういうふうに、いろいろ論議があるのをあなたの方だけで一方的に一割ときめられたか、そこをはっきりお尋ねいたします。
  29. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 先ほどから申し上げておりますように、通運運賃料金認可につきましては基準がございまして、その第一番目の基準に「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること」という基準があるわけでございますが、その「能率的な経営の下における」という文句につきましても、私ども日通その他にやはり経営合理化ということを非常に今まで言ってきたわけでございましてこれは決して実績のみによってどんどん認めるということではございませんで、能率的な経営をした場合に職員の給与はどれくらいであるべきかとかというようなことも考慮に入れまして、経営合理化というものを考えておるわけでございますが、そうして経営合理化をした場合に、能率的な経営になったとして、その場合に、実は利潤のことがお話に出ましたが、実は原価の方が問題でございまして、適正な原価というのをまた考え、考慮してまず適正な原価を償うものであること、そうしてそれに私企業である以上は、ある程度の適正な利潤を含むものでなければならないということを考えましたので、先ほど申し上げましたのは、この点に関しまして、いろいろと考え方はあり、私どもとしても昔議論し、考えたのでございますが、従来これは適正利潤というものは、一割配当を確保するほどのものであるべきであるということの私どもは結論に到達いたしまして、従来何回かの運賃改訂の場合に、私鉄運賃に関しましても、バス運賃に関しましても、通運運賃に関しましても一割配当を確保するという考え方のもとに立って措置をしてきたわけでございます。
  30. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 何事も公聴会意見を聞いてその上で十分に考えるという、こういうような御答弁のようですが、運輸省としては、監督する立場において、さらにまたこの申請された料金認可するかどうかというような決定をされる立場において、はっきりした御意見があってしかるべきものではないかと思うわけです。そこで、簡明に運輸省としての見解をお伺いいたしたいと思います。ただいまの御説明によりますと、引き上げ申請を出した理由として昭和二十八年以来七年間も据え置かれており、しかも、現状をもってしては適正なる原価をも償い得ないからして、従ってそういうふうな申請があったんだというふうに言われておりますが、一体経営の規模なり、あるいはその運営の状況というものを考えないで総括的にそういう結論を出すということは、まことに無謀なことである。それをやる根拠として一体こういう申請をしてくること自体が私は全く意味がないことである、こういうように考えるわけです。現に九月九日に開催された貨物協会の常任委員会の席で通運業界の説明によりますと、目下赤字経営をしておるのが百社、配当をなし得るような現況にあるものが百社であって、他の百二十社はほぼ収支の均衡を得ておるというようなことが言われております。こういう数字自体が、規模、運営の状況というものを考えないでこういうことを言うのがまた無謀である、私どもはそう言わざるを得ないわけです。そこで一体、取扱量なり、あるいは運賃料金なり、さらには経理の内容を明らかにして十二分に納得がいく説明がない限りにおきましては、荷主はもちろんのこと、一般国民もこれを納得できないことは当然である、こういうふうに考えなければならないと思います。そこで、よく調べてみると、むしろこの料金引上というものは、きわめてその規模が零細なために、やむを得ず不合理な経営をやっているというようなものの赤字を荷主負担においてこれを埋めていくのだというようなことに結論づけられるような気がするわけですが、一体その点につきまして、運輸省当局の御見解をはっきり伺いたい。しかも、このような結論が妥当なりとすれば、この通運事業というものが公共的な性格を持ったものだといわれていることに大きく背馳するように思うのですが、その点についてはっきりした御見解を承わっておきたい、こう思うわけであります。
  31. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 公聴会におきましていろいろと意見が出ました点について、それらを十分検討して運賃料金改訂措置したいということについては、今おっしゃる通りでありまして、私どもはそう考えているわけでございますが、通運事業に関しましては、公益性を持つ公益事業ではございますが、先ほどから申し上げているように、私企業についての、私企業であるという考え方にも立ってやらなければいけませんし、零細な通運事業についてだけその融資をするとか、あるいは補助金を出すというようなことに関しましても、実は運輸省の令までの措置といたしまして、なかなかそういう方面のところまで数が、地方におきましての、何と申しますか、全部行き渡るような措置ができておりませんので、今まではそういう融資とか、そういうことについての措置はとっておらなかったわけでございますが、まあ原価計算から出しまして私どもとしては適正な経営方法でやっているものについて、現在配当しているものもございますが、約半数は無配、あるいは赤を出しているという状況を示しておりますので、これでは実は通常な経営形態ではないと私ども考え、まあ少くとも株式会社であり、ある程度の企業を維持していくためには一割程度配当は確保させなければいけないのではないかと考えまして、ことにまた日通の問題に関しましても、先ほど申し上げましたような無理な措置をいたしておって配当維持しているような状態でございますので、全般的な改訂措置というものをこれはある程度認めなければならないのではないかという結論にまあ到達したわけでございます。
  32. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 今非常に業者も多いとおっしゃったのだけれども先ほどの御説明によりますと、全国に五百余業者と、こういうことなんでしょう。決して少いとは言われぬかもしれないけれども、非常に多いという業者でもない。先ほど説明いたしましたように、現にこの貨物協会の常任委員会における説明におきましても、みずからが現に配当をなし得る現状にあるもの、ないしは収支がほぼ均衡しているものというものがいわゆる報告された数の三分の二以上である、こういうものはあなた方の見解からするというときわめて不健全経営だと、こういうわけですか。
  33. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 中には無理をして配当をしているものもあると考えておりますが、先ほどから申し上げておりますように、一割程度配当は可能にすべきではないかという考え方に立っていることは事実でございまして、それらの点を考慮した上での運賃改訂考えているのでありますが、先ほどから申し上げましたように、約半数が配当をしておらないというような状態では、われわれが公益事業維持していく上において通常妥当な経営であるとは考えられませんので、現在改訂措置考えているという状況でございます。
  34. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この五百幾つかの業者というものを個々について調べて見ますと、先ほど日通は取扱量の五二%を一社でやっている、しかも、この経営が健全かどうかというような議論があったと思うのですが、確かに健全経営をやっておるものもあれば、やや不健全なものもあり、相当不健全なものもあるという実態が明らかになると思うのでございますが、しからば、その個々のものについて、もう少し知恵のある指導をして、そうしてみずからのやはり企業努力において赤字経営をしておるものが、その赤字を解消するというふうな努力が現にされておるわけですか。運輸省は大いにそのことをやらしておるわけなんですか。
  35. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 非常に経営状態の悪化して、たとえば国鉄に対しまする支払いが不円滑になっておるとかいうようなたぐいの業者、そのほか非常に目立ちます業者に対しましては、個々に指導をいたして経営の改善をするように考えております。この点はやはり公益事業でございますので、できるだけ指導をし、改善措置を加えていくようにすべきであると考え、そういう措置をとっております。
  36. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そこで、限りなくそういう努力をやってみたけれども、これ以上はどうする余地もないからやむを得ず料金を上げようと、こういうことなんですか。
  37. 国友弘康

    説明員国友弘康君) さようでございます。
  38. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 われわれはそのように思いません。それから次に、この引き上げにつきまして、通運業者説明によると、三十二年度の通運事業の収入の約九・九%の引き上げになる、しかも、その総額は五十億七千万円、こういうふうに言われておるようです。ところで、この認可申請の書類を見てみますると、先ほども御質問がございましたが、四号級の適用駅制度、これをやめる、あるいは割り増しを拡大したり、あるいは新しく設けること、こういう措置内容としてあるようです。こういうものに基いて計算しますというと、物資によっては五割以上の引上率になるようなものもあるようです。そこで、一律に一割以内ではないかということでごまかそうとしても、それはなかなかごまかしきれぬ現実がここに出ておる、こういうことがありますると同時に、この農林水産物のごときについてみますると、産地がいずれも御承知通り非常に僻陬な所であるしかも、重量、容量ともに非常に大きくて、この運賃料金の引き上げの影響というものが非常に大きい、物資の流通あるいは価格の混乱を来たして国民生活に脅威を与える、あるいは農山漁家の経営を圧迫するということはもう皆さん当然だというふうにお考えになると思います。従いまして、当委員会のわれわれといたしましては、さきに公共政策割引存廃問題について申し上げたと同じような考え方、気持におきまして絶対賛成するわけにいかない。そういう事情はきょう委員会においでになった以上、あらかじめ皆さん十分御承知の上でおいでになったと思うのです。それに対しまして一体国鉄当局はどういうようにお考えになりますか。公共政策割引の経緯等につきましては十二分に御承知だと思う。
  39. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 引上率に関しまして九・八八%の値上げになりますという計算は、現在の全通運事業者の全収入に対しまして今度改訂をされまして、改訂をされた結果増収をするであろう額を比較してみまして九・八八%の増加になるという計算をいたしておるわけでございますが、個々の場合にはニュアンスがあるわけでありますが、五割以上になるようなものはないのではないかと思いますし、その間にたとえば配達をいたします場合の集配料等が、地方等におきましては一番大きな額を占めるわけでございますが、ことにまた、山村地方におきましてはそれに坂路割増等をつけて増した割増率によって高い料金を取っておりましたのを、今度全国一律にそういう制度を認めることはやめようということを考えておりますので、それらの運賃を引き下げる面も考えられますので、全体的な計算から申しますと五割も値上げになるところはないと考えておるのでございます。そういう結果、運費の改訂考えるわけでございますが、公共的な割引とかいうようなことに関しましては、従来国鉄運賃に比べまして通運運賃料金というものは比率が僅少でございましたのと、私企業で経営をしておりますという点で、今まで公共割引のような制度通運については考えておらないわけでありまして、まあ運賃から申しますと、両端の通運運賃につきましては、まん中の大運送である国鉄運賃が大きな部分を占めておりますので、私どもとしては、先ほどから申し上げましたように、運賃についての一号級なり、二号級、三号級、四号級の地域においては一律に同額の集配料なり取扱い料なんか取るという形で考えて参りまして、通運事業の点に関しましては、公共政策的な割引を考えるという点はただいま持っておらない次第でございます。
  40. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 通運事業において国鉄公共政策割引と同じような制度考えて下さいと申し上げておるわけじゃない。公共政策割引の問題がありましたときに、たしかそのことによって問題になった金額は二十億です。今度は九・九%かしらぬけれども、五十億以上の一体総額の引き上げをするということになる、これだけでも大へんな問題じゃないかということを申し上げたのです。従って、あのときの委員会状況は十分御承知通りなんです。それにもかかわらず、あなた方はあえて五十億の引き上げをやることを承認する立場にあるのかどうか。運輸省としてはっきりその見解をお聞きしたい、こういうことを御質問申し上げたわけです。
  41. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 全輸送量から申しますと、公共政策割引の適用になります物資は割合少いのじゃないかと思いますが、通運事業の五十億の収益は、これは全通運事業取扱いに関してでございまして、ただいまその公共政策割引が適用になっております物資につきましての値上りの額とか率とかいうものをただいま持ち合せておりませんので、ちょっとお答えできかねるのですが、比較します対象の貨物の数量が大へん違うと思いますので、五十億という金額は多額の金額でございますが、値上げの率として考えます場合には九・九%ということを私ども考えておるわけでございまして、これらの点につきましては、もっと公聴会意見も聞き、詳細に検討をいたしたい、そうして措置をいたしたい、こう考えております。
  42. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この種の料金の引き上げは当然他の関連事業運賃料金の引き上げを大きく刺激することは当然なんです。あわせて、これは国鉄貨物運賃の問題と密接不可分の関係にあることを当然考えなきゃならぬ重要な事項でありますけれども、御承知のように、目下国鉄当局においては、運賃体系及びその輸送の合理化について検討されておるようにわれわれは聞いておるわけです。おそらくその過程においては貨物取扱い駅の集約化というふうな問題もかねての問題でございますから十分検討されなければならない。これらのことと無関係に、しかも、突如として荷主に大きな負担増をかけるにもかかわらず、そういった方面の意向というものは十分に打診するようなこともなしに、この種の問題を提起されたということにつきましては、われわれとしては全く不可解です。かように考えるわけなんですが、一体運輸省としてはどう考えられますか。国鉄運賃問題と一体離してこの問題を取り上げるなんということは、およそナンセンスだとわれわれは考える。
  43. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 通運事業運賃国鉄運賃とは同時に取られることもございましてこれは非常に関連の多い運賃料金でございますが、先ほど説明の中に申し上げましたように、昭和三十二年の国鉄運賃改訂のときには、実は国鉄運賃だけ切り離しまして、通運事業につきましても、私どもの方へは改訂の希望が非常に強く述べられたのでありますが、これを押えて参ったわけでありまして、むしろこれは私ども考え方から申しますと、昭和三十二年の国鉄運賃改訂に関しまする措置が数年おくれたという考え方にむしろ立っておるわけです。それが先ほど申し上げましたようにバス運賃、あるいは私鉄運賃等に関しまして、昭和三十四年——一番最後は昭和三十四年の一月に申請審査いたしまして改訂認可がありまして、それで大体申請のありました全部につきましての審査が済んだわけでございますが、通運事業運賃料金に関しましては、先ほどから申し上げておりますように、合理化をやれということで、その方面で努力をさして参って、今まで昭和三十二年の改訂措置をしてきたわけであります。これらの点に関しましては、むしろ私どもといたしましては、先般の国鉄運賃改訂にむしろ、いわば随伴するものであるというようにも考えておるわけでございます。しかし、やはり原価計算をいたします場合には、ある基準の時をとらなければなりませんので、そういうためには私どもとしては、昭和三十二年の九月分の実績基礎にして現在計算をしておる状況でございます。
  44. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 その国鉄運賃に随伴すべきものというようなことは、あなた方が勝手に考えることです。随伴する必要があるならば随伴させなければならない。ないならば随伴ということはもってのほかと考えざるを得ない。そこで、この先般の問題というのは、この際は取り上げないで、現に国鉄では運賃体系等の問題につきまして、抜本的な研究をやっておる、こういう段階だから、そういう問題との関連性において検討されるなら検討されたらいいのじゃないか。この問題だけをただひとり突如として取り上げてやられることは不可解だ、こういうことを申し上げておるわけです。どうなんですか。
  45. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 国鉄運賃改訂に関しましては、いろいろの考え方をもって検討されておるわけでございますが、先ほどから申し上げましたように原価計算は、やはりもう原価計算上は改訂を要する点に達しておると私ども考えますので、しからば、現在通運運賃料金に関しましては、現在の体系をそう変えることなしに、ある程度の収益というものを確保させなければならないと考えますので、必要を認めての措置として運輸審議会に諮問をいたしたわけでありまして、国鉄運賃改訂と不可分なものとして考えなければならないということよりは、むしろ私どもとしては、通運事業経営が今どういう状態にあるかということを基本にして考えるべきであろうと思っておりますので、将来国鉄運賃合理化されます場合には、またその合理化に伴います措置というものを考えなければいけないとわれわれは考えますが、しかし、国鉄経営合理化及び運賃合理化というものについての考え方を待っておられない時期であると私ども考えて、今後の措置をやっていきたいと思っておる次第でございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全然こういう事業には私わからぬことなので、ちょっと伺いますが、先ほど日通の最近の業態で一割配当維持するために退職給与の引当金等を落しておるということですが、では、最近の日通配当金総額は幾らですか。
  47. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 今すぐ調べましてお答え申し上げます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 おそらくその一割確保の配当金総額よりは退職給与引当金ですか、あるいは法定積立金といいますか、そういうものは少いだろうと思いますが、そうですね。そこで、私の聞きたいことは、あなた方がおっしゃる平均九・九%の値上げ収入になるということですが、それは日通の場合になればおそらく五二%の取扱い高で総額が五十億をこえるものですから三十億になる金でしょうが、その金が今の状態日通に入るということになれば、今後企業の合理化等の努力もして、実際この会社が要求されておる法定積立金、準備金、これらを設定してなおどれくらいの配当になるという計算になるか、そのことをお聞きしたいのです。おそらく九・九%の収入増というものは配当金の一割というものよりははるかに大きいのではないかと思いますね、しろうと考えですが。
  49. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 正確な数字は今調べまして申し上げたいと思うのでございますが、今回の値上り率が九・八八%と申し上げておりますが、これにつきましての日本通運の増収額は、御計算になりましたように年間三十二億程度だと思います。で、その増収額はその程度でございますが、退職給与引当金の正常化に関しまして十五億円余の金額を計上しなければならないわけでございまして、その次に固定資産売却利益による補てんというのを四億程度やっておりましたので、それらについての措置、これは当然毎年続くものではございませんので考えなければいけません。それから任意準備金の積立金を年間二億円留保するとして四億円積み立てまして、剰余金が八億九千万円ほどになる、これが運賃改訂によります利益増加額になると考えております。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最近の配当が一割は出ておるわけですから、それは配当で出した限りは益になって損益計算書では出ていると思うのです。その益分が幾らかということになれば今の十五一億、四億、四億で二十三億ばかりですか、三十二億からその分を引けば九億程度の金が純増益ですね、それに従来の配当益をプラスしたものが加わるわけですから、従って一割どころでない配当になるわけです。あとは企業の合理化、企業努力、こういうものが加わったらはるかにまた大きな益がここに出てくるのではないか、そういうことも考えられるわけですね。従って、九・九%の収入増というものは配当一割確保をさせるためには大き過ぎる金額ではないか、そういうことを私申し上げたい。
  51. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 日本通運株式会社に関しまする配当につきましては、先ほど申し上げましたような措置を講じて無理な配当をしておる、無理をしておるわけでありまして、おっしゃいますように、今後、今あげましたような数字が利益として上がりますが、これに関しましては、先ほど申し上げましたような退職給与引当金とか、あるいはその他のものに関しまする穴埋めをいたしますると同時に、現在施設に関しましてまだ増強をしなければならないところが相当あるわけでありますが、それらに関しましてまだ十分な状態になっておらないので、そういう施設面に相当な経費を費させるべきであるというふうに考えておるわけでありまして、これらに関しまして、日通についてはそういう措置をさせると同時に、日本通運運賃料金改訂に関しましては、日本通運だけではなくて、その他の五百三業者措置についても考えなければなりませんので、そういう点を原価計算に基きまして私どもとしては今後考慮していくということになっておるわけでございます。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 確かにそういうことも当然余裕金が出てくるということになれば設備の近代化等に金を使いたい、多分そうなるでしょう。ただの益として置いたのでは、税金も多くかかることですからね、それは当然のことですよ。しかし、日通そのものが五十億程度の今度の収入増のうち、三十二億も占めるということは、おそらくこれは独占的なものだと考えてもいい。あとの五百何社があとの収入をこれは分け合うのですから、従って、意地悪く言うならば、ねらいは日通の補強といいますか、そういうことのために取り扱われるこれは運賃料金の引き上げであろう、他の零細業者はそれに随伴させられて、まあ益になるからということで進んできているのだと、そういうふうにも言われるのじゃないかと思うのですね。そういうことは日通さんにとっても迷惑なことでしょうし、まして監督官庁としては御迷惑なことでしょう。そういう点からいいますならば、先ほど他の委員からもお話しになりましたように、やはり独占的な性格を持っており、国民にもそういう印象を与えておるこの日通の経理内容が実際的に明らかになって、そうしてこの点がこうであるから、これだけのことはしなきゃならぬのだという事態が明らかにならなければ、荷主並びに国民一般は容易にこの問題は承認しないと思うのですね。われわれにもわからぬのです。そしてしろうと勘定でいきますと、非常にいいものだなということになるわけなんですからね、今の計算からいっても。ですから、私たちもこれからは少し勉強しまして、もっとしっかりした内容についてお尋ねしたいと思うのですが、今の程度の御説明で一割近い料金値上げ、しかも、反対する側の方からいえば、三割にもなる料金値上げだといわれておる、この点もわれわれはあなた方からだけ聞いて、一方的な聞き方なんですから、ああそんなものかということでおるだけなんです。それが事実かどうであるかということもわからぬのですから、われわれも勉強さしていただいて、この次もう一度しっかりした質問もしたいと思うのですが、きょうは資料がありませんので、これ以上の質問ができないので、運輸審議会等に御提出になられておる資料があったらちょうだいしたい。それから少くとも日通あるいはその他標準的な業者、これらの経理の実態が把握せられるような資料をちょうだいしたい。この点は委員長において善処してもらうようにお願いしまして、質問を終ります。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 毎年になっておるかどうか知りませんが、固定資産の売却である程度補てんする、こういう御説明が、それが大体四億くらいになっておりますが、大体固定資産内容がどんなもんですか、これは資料として年次別に出していただきたい。何年から固定資産を売却していたのか。それから退職積立金であるとか、いま一つの積立金とかいうものをやらないで配当の方に回した、こういうのが何年からどれくらいずつを回したのか、二十七年からばっと全部やったわけじゃないだろうと思う、そこにいろいろ誤差があるだろうと思いますから、その資料。それからいま一つお伺いしておきたいことは、日通状態だけでなく、自余の五百三社の同業者のことも考えなければならぬ、こういうことをおっしゃっておると、ここに私は疑問の出るのは、大体全業態の五二%を独占する日通、残余を、残されたものを五百三社かでこれを経営しておる。そのうち駅取扱い認可せられておるものがその単数五〇%、こうおっしゃっておる。そうしますと、これは非常に零細なものであり、従って、これらの業者が競争をしていきまする際には、最も不良な荷主というものが集まってくるのじゃないか。最も優良な荷主というものは、一番強い一番いいところに必然的に集まってくる、こういうものが出ておりまする場合に、たとえば荷主の方から運賃を払わない、それが重なって鉄道の運賃の未払いになっているからこれが不良だ、これではお話になりません。従って、私は対象となる残余の諸運輸業者に対する実態調査がどのくらいまでいっているのか、そういうところの点まで考えているのかどうか。もしありましたら、私は非常なこれを重要な問題だと思いますので、一つ資料を出していただきたいと思います。  それで、今日一つお伺いしておきたいことは、これは大臣がおられたら大臣が一番いいと思うのです。最近、日通におきまするところの重役というもの、各支店長というものは、だんだん国鉄の予備軍が交代しておる、これは一体どういう事情でそういうものが出ますのか、これはここで一つ概略をわかるだけ聞かしていただきたい。これに対しては、国民全体は非常な不満を持っております。疑惑を持っております。われわれはそういうことを種々聞いている。これは一体どういうわけで、そういう株主にあらざるものが、国鉄の何かの関係においてそういうものがずんずんと各支店へまで及ぼすかということについて、明確な御答弁を願いたい。
  54. 小林孝平

    ○小林孝平君 今のに関連しまして今も言おうと思ったのだが、今、清澤さんの言われた点は非常に疑問を持っておりますから、今、日通関係の幹部に運輸省関係の人はどういうふうに入っているかという、詳細な資料を一つ提出していただきたいのです。
  55. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 先ほど調査をいたしますといって、あとに御説明を延ばしていただいた件につきまして申し上げたいと思いますが、昭和三十三年下期の日本通運配当金の総額は、十一億三千四百万円でございます。従いまして、この数字だけを今調査して参りましたのですが、大体これから計算いたしますと、概算これは四倍すればいいと思いますので、現在の年間剰余金額は四十五億くらいになるのじゃないかと思います。二十二億でそれの大体諸税その他をあれしますと倍になりますから、四倍でいいのじゃないか。それで約四十五億程度になると思いますが、これは先ほどから申し上げましたように、ある程度の操作をしてこれだけを出しておるのだということを申し上げたいと思います。  それから資料につきましては、できるだけ提出いたしたいと思いますが、国鉄及び運輸省から日本通運に重役として参っておりますものがございますが、これにつきましては、日本通運措置によって行っておりましてこれについては資料を重役について提出いたします。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 重役ばかりじゃない、各支店長級まで大きな……。
  57. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 支店長級まで出します。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 今、資料要求がありまして、小笠原委員からも、さらに勉強して質疑をするという留保の発言があったのですが、ここで明日公聴会が開かれて御意見をお聞きになる。そこで運輸省としては、今までの質疑で、もう数年抑えてきたのだからやらなければならぬどたんばへ来ておるというような意味の御発言があった。そうしますと、この委員会でいろいろ今後勉強して審査をすることと、運輸省取扱いとがちぐはぐになってしまう危険を感ずる。だから、この次の委員会あたりでこの問題について十分、非常に影響する場面が大きいので、国民の立場に立って検討を加えるという時間の余裕がなければならぬと思うのですが、公聴会が済んでもすぐ結論を出されるということはないと思うのですが、そういうふうに了解していいかどうか、それが一点。  それから九・九%の値上げ、これは平均ですか、どうも平均々々ということでごまかされてしまって、ものによっては結論的に五割くらいのもある。あるいは、五割まで行かぬでも三割もあるということになると、これは非常に問題だと思うのです。平均でおっしゃっても、ものによっては三割も四割も上るものがある。そのものは非常に重大な影響を持つので、もし平均が九・九とすれば、品目別にどうなるかという試算の表もあろうと思いますので、私は資料として、審査をいたしますために具体的な内容を、平均九・九でも内容的には三〇%もあれば、四〇%もある。木炭のような、私の持っている資料では三〇%以上になる、こういう資料が出ているのです。そういうことになったら木炭生産者は大へんなことになると思いますので、品目別に現状と将来がどうなるかという表を一つお出しを願いたい。  それからもう一つお伺いしたいのは、そういう結果、荷主が自分でやりたいというような場合には、独占的な機構というものに対して特例を当然私は認めるべきであると思いますが、そういう措置を簡便におやりになる意思があるかどうか。これは非常にむずかしい問題ですけれども値上げをした、何でもかんでもそれに従えということでは国民としては困ると思うのです。その場合には、自分は直接国鉄に貨車の配給を要求して積みおろしをやればもっと安くつくというような、そういう道を開くべきであると思うが、それに対する見解はどうですか。  それから最後に、小駅の廃止については、いかにも国鉄国鉄経営合理化で勝手にやっているのだ、運輸省のあずかり知らぬことだというような御答弁があったのですが、それは非常に困るので、小駅廃止については十分一つ影響する範囲というものを考えて、しかるべく指揮をされなきゃならぬと思うのです。指揮をされる意思があるのかないのか、その点を最後にお伺いします。
  59. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 資料につきまして、日通の幹部の出身等につきましてのことは、清澤先生は支店長までとおっしゃいましたが、これは非常に数が多くなりますので、総括主管支店程度にしたいと思います。できましたら全部調べたいのですが、非常に多くなりますので、その程度にいたしたいと思います。  それから品目別の試算表等については、私の方で資料がございますものについて提出いたしたいと思いますが、木炭についてはどういうふうになるかとか、米についてはどういうふうになるかという試算表を提出いたしたいと思います。  それから荷主が荷物を直接扱います直扱いの制度は現在も認められておりますので、大きい荷主が直扱いをするというようなことについては、自分で措置をされればそういうことはできるのであります。しかし、この点は従来通運業者に委託することの方が便利であるということで、通運業者を使っておることだと考えております。そういう制度はございますわけです。  それから駅の廃止等につきましては、ただいまのところ、私の方で連絡を受けておりませんでしたので、この点に関しましては今後十分に説明を受けまして、影響等につきましても、十分な考慮を私どもとしても考えていきたいと思っております。  最後に、この通運運賃料金認可をいたしますについての措置でございますが、私どもとしましては、これは運輸審議会で十分に公聴会意見なり状況なりを聴取するわけでございますが、それらの結果に基きまして十分検討をいたしたいと考えておりますので、公聴会が済んだら、直ちにその即日とか、あるいは一週間以内に措置をするとかいうことはないと思います。この点については十分な検討をいたしたいと考えております。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 私の伺ったのは、この委員会小笠原委員の発言もあったし、十分一つ資料を整えて、国民の立場検討を加える、そうして意見があれば政府に申し上げる期間もあろう、こういう御発言があった。そのことと別の行動が一方的に進められたんでは、この委員会としての動きというものが非常に変なことになってしまう。ですから、そういう点を勘案して善処なさるかどうかということを聞いておるのです。
  61. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 運輸省といたしまして、運賃値上げが、運賃改訂が妥当であるかどうかというようなことを十分に検討したいと思って考えておりますので、それらの十分な検討を経た結果に基きましては、運輸省の責任において措置をいたしたいと考えております。
  62. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。
  64. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 日通の約款を一ついただきたいのです。それから新旧の駅の号級表、これもなかなかもらえぬようだが、もらいたい。それから発着別に、駅級別のその取扱い数量、これを調査された資料をいただきたい。
  65. 国友弘康

    説明員国友弘康君) 約款及び号級表の比較等は提出できますが、全駅についてのはちょっと無理だと思いますので、これは号級ごとぐらいの表でよろしゅうございますか、最後の取扱い数量ですが……。
  66. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 できるだけ詳細なものを、できなければしょうがないが。
  67. 国友弘康

    説明員国友弘康君) できるだけ詳細なものを提出いたします。
  68. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件は、本日はこの程度にいたしまして休憩いたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後一時三十八分開会
  69. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開  いたします。  イモ類及びイモ類澱粉価格の件を議題にいたします。この件について質疑の要求がありますので、この際これを許します。なお、政府からの出席者は、食糧庁業務第二部長村田君、振興局農産課長江川君、国税庁間税部長泉君でございます。
  70. 戸叶武

    戸叶武君 イモ類及びイモ類澱粉価格の件に入る前に、来たる十月一日から実施される法律第五十五号の砂糖消費税法の一部を改正する法律の実施により、澱粉と密接な関係がある結晶ブドウ糖の消費拡大を阻害するおそれが若干ありますので、この際期日が切迫しておりますし、緊急性もありますので、農林省の食糧庁及び大蔵省関係から御答弁願いたいのであります。  法律第五十五号の砂糖消費税法の一部を改正する法律により、新たに証紙制度が設けられましたが、この法律の目的は、砂糖類の製造業者を対象として、砂糖類が、成規の手続により製造所から移出されたものであるかどうかを確認するため、証紙及び検印がなされ、それと日時に砂糖製造業者の脱税防止の意味も含まれておると思うのでありますが、しかしながら、これによって、砂糖消費税法による証紙制度実施に当ってブドウ糖混入砂糖の専門業者はその製造及び営業が不可能に陥る危険性があるのであります。今まで農林省並びに政府は外貨の節約、すなわち食糧が一年間に約二千億もの輸入を仰いでおり、その中で砂糖関係は六百億もの輸入をしておりますので、こういう関係で、国内甘味資源の自給化をはかるため、輸入粗糖の数量を減じ、これを結晶ブドウ糖で代用するような政策を進めてきて、それがために、今までこの結晶ブドウ糖の消費に関するいろいろな努力というものが積み重ねられてきたのですが、それがこれによってその方向というものに阻害がくるおそれがあるのでありますが、そういうおそれはないかどうか。それは混入加工業者は納税済みの砂糖を原料としているので、その証紙及び検印のあるものを破ることが禁じられ、事実上混入加工業者の営業ができなくなるおそれがあるが、国税庁はこれに対してどういうふうな考え方を持っているか、その点をまず第一に承わりたいと思います。
  71. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま御指摘の点でございまするが、昨今結晶ブドウ糖の生産の増強を農林省では非常に力を入れておるのであります。その理由につきましては、戸叶委員の御指摘の通りでございまして、極力外糖の輸入を減らし、甘味資源の国内自給を強化して参りたいという方針から発足をしておるのでございます。御承知のように、まだ新品ブドウ糖工業それ自身が発足後日の浅い工業でございまして、いろいろと消費の拡大の面あるいは流通の合理化の面等におきまして十二分な措置がとられない点もあるのでございますが、ただいま御指摘の通り、結晶ブドウ糖そのものの単体で消費をいたしますよりも、普通の精製糖に若干の結晶ブドウ糖を混入いたしまして、菓子その他の原料あるいは家庭の消費というふうに持っていった方が甘味もよくなりますし、また栄養価もあるということで、食糧庁といたしましては、そういうことが積極的に行われることが望ましいと、かように考えておったのでございます。ところが、砂糖消費税法の改正によりまして、新しい証紙の制度が十月から実施を見るということになりまして、確かに精製糖と結晶ブドウ糖とを混糖されまする混糖の業に携わっておられる方々に対しては、迷惑か、またはひいてはそれが結晶ブドウ糖そのものの消費の拡大にも支障を来たすのではないかという懸念がございましたので、先般来大蔵省にこの点についての善処方をお願いをいたして種々折衝をいたしておる段階であります。
  72. 戸叶武

    戸叶武君 砂糖で粉糖に加工することは証紙制度の適用を受けることなく格外となっているが、そこで問題となるのは、粉糖に加工するときには証紙及び検印なるものを破ることになり、混入糖を加工することと結果的には同じことになるが、砂糖で粉糖を作るのは格外でよろしいが、混入糖加工はいけないというようなことになるけれども、そこに非常に矛盾があると思うが、それをどういうふうに見ておりますか。
  73. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点ごもっともでございまして、私ども立場から申しまするならば、やはり結晶ブドウ糖が普通の精製糖と混入をされるわけでございまするので、その混入によりまして結晶ブドウ糖というものの消去の拡大に阻害のこないようにして参りたい、またそういうふうな措置関係方面からとっていただきたいという希望を持っている次第でございます。
  74. 戸叶武

    戸叶武君 結晶ブドウ糖はあなたの言うように栄養価が高く、国民の嗜好に適するような独特の風味が出てきたといわれて、最近は需要が増してきたが、しかし、澱粉の消費拡大に貢献するこの結晶ブドウ糖の消費拡大の問題ですが、やはりブドウ糖混入砂糖加工は政府の外貨の節約と、前に言ったように、国内甘味資源の自給化振興のためのブドウ糖の砂糖混入政策に順応したものであり、この加工のために使用する砂糖に対する証紙を破ってはいけないというようなことになると、実際上身動きができないことになるのですが、これに対していわゆる砂糖の脱税防止の立場から取締りをする必要があるとするならば、ブドウ糖混入砂糖に、砂糖に準じて検印制度を設けるようにしたらどうかというなことも考えられるし、また現在国税庁が砂糖業者に納税済みの検印を実施して製造した製品の取扱いをなさしめているが、混入加工業者にも同様な納税済みであることを認め、それから税務署が立ち会いの上、検印または証紙等を添付するというようなことをやって問題を片づけるというような、いろいろな案もあると思いますが、そういうようなことを具体的にこの打開のために考えておられるかどうか、それを承わりたい。
  75. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 御指摘の問題は、砂糖消費税法の三十三条以下の規定によりまする証紙の貼用の問題から生ずるわけでございますが、証紙の貼用を命ずる規定は、砂糖の製造者あるいは砂糖を保税地域から引き取るものに対して命令することができるようになっておるわけでございます。従って砂糖類の製造を行わないものにつきましては貼付命令ができないことになっています。御指摘の、普通の精製糖に結晶ブドウ糖を、あるいは粉末ブドウ糖を混入するという行為を砂糖類の製造業者が行います場合におきましては、これはそういうふうに証紙を貼用させることができるわけでございますが、その製造者から精製糖が証紙を貼用されて製造工場を出ましたあと、途中の段階で、つまり販売業者段階におきまして結晶ブドウ糖あるいは粉末ブドウ糖を世人するためには、一たん貼付いたしておりまする証紙をはがした上で混糖を行うことになる。その際におきましては、その混糖を行う行為が製造行為であるかどうかという問題があるわけでございますが、この点につきましては、いろいろ検討を加えておるわけでございますが、どうも製造行為というには、なかなかむずかしい問題があるのではなかろうかというふうに考えられますので、そこで、そういう場合に、証紙の貼用を命ずることは法律上できないものと思われます。従って、この問題につきましては、それ以外の方法によって、つまり現在の証紙の貼用制度におきましては、いろいろの過程で砂糖が製造、販売されます過程をつかまえまして、たとえば贈答用の砂糖のごときにつきましては、製糖工場を出るときには証紙を貼用しても、その後贈答用のつぼに、御承知のように百貨店なんかでやっております贈答用のつぼに詰めかえる場合におきましては、証紙の貼用義務を免除するといったような制度をとっておるわけでございますが、結晶ブドウ糖を販売過程におきまして混入する場合におきましても、その包装に、結晶ブドウ糖を何%混入しておる、混入した者はだれそれであるといったような表示をすることによって、証紙の貼用義務を免除するという方法がいいのではないかというふうなことを、目下検討いたしておるのでございまして、実は、沿革的に申し上げますと、はなはだ恐縮なのでございますが、先般来農林省の方におかれまして、結晶ブドウ糖を砂糖に混入したいというような意向が業界紙にちらほら出ておりましたので、私どもといたしましては、農林省当局に対しまして、その問題は外貨割当の問題であると同時に、砂糖証紙制度を十月一日から施行する関係上、こちらの方にも関係がありますので、その制度を作るときにおきましては、私の方とも、どういうふうにして証紙制度関係を処理するか、十分打ち合せた上でやってもらいたいということを申し上げておったのでございますが、通産省との方の話し合いがついたということで、突如として実施に移されまして、私どもの方は、実は実施に移される前に、どういうふうにするかということをよくお打ち合せができなかった関係がありますので、目下至急、どういう業者がそういう混糖を行うのかというふうな点を十分調査、打ち合せをいたしておるような段階でございます。従って、先ほど申し上げましたような方向におきまして、至急検討をとげて、そういうことのために迷惑がかからないように、また結晶ブドウ糖の政策全般に響きのこないようにいたしたい、かように考えておるのでございます。
  76. 戸叶武

    戸叶武君 実施が十月一日というので、非常に迫っておるのでありますが、これは結晶ブドウ糖消費拡大の過程における谷間の零細企業といいますか、そういうものがある意味においては無視された結果、こういうことになったのかと思いますが、やはりこの実態を把握して、やはり今の大蔵省の方のかたの御答弁のような形で、農林省なり通産省なり、十分検討して、そしてこの十月一日に間に会うような結論を出してもらいたいと思います。  それと関連して、一つだけお伺いしますが、結晶ブドウ糖向け粗糖の割当に対し、製糖五団体では、買い付けたブドウ糖を売り戻すことに決定し、粗糖のプレミアムに関連して、結晶ブドウ糖の品質、甘味が問題となっておるが、このことは、今でもこういう砂糖関係をめぐって、いろいろ問題が生まれているのですけれども、現在結晶ブドウ糖工業会加盟メーカーの売り値は、一キロ当り百五円であるが、粗糖割当によるプレミアムは一キロ十二円となっているので、その部分を差し引けば一キロ九十三円の売り値も可能となるわけであるが、ブドウ糖メーカーで粗糖割当によるプレミアム一キロ十二円のうち、過去の赤字補てんの意味から五円を還元したいと言っている、こういうことであるが、そうすると、結局百五円から七円を引いて一キロ九十八円ということになるが、これは一つの例であるが、こういうふうなことによって、結果的には市場が撹乱されるような心配はないかどうか、そういうことを役所側ではどういうふうに見ているか、そのことを承わっておきたい。
  77. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 結晶ブドウ糖の消費を拡大いたします措置一つといたしまして、結晶ブドウ糖を使用しましたり、あるいは納品ブドウ糖を粗糖と混糖した砂糖のメーカーなどに、報償的な意味で、粗糖の外貨割当をするという制度をこの九月から実施をしたのであります。これにつきましては、実は、実施に至ります段階には、いろいろ経緯がございまして、なかんずく、ただいま御指摘の精製糖製造業者段階におきましては、砂糖を精製する過程におきまして、結晶ブドウ糖を混糖するということがまだ実は今日の段階では技術的に確信のある段階にまでは立ち至っていないようであります。さような意味合いから、当初この制度を実施いたしまする際には、砂糖の製造業者からはかなりの実は抵抗があったのであります。しかしながら、ただいまも御指摘のように、澱粉の消費拡大、国内の甘味資源の自給度の向上という見地から、砂糖の製造業者にも積極的に協力していただきたいという食糧庁の要請をいたしましたところ、まだ多少そういう技術的な未解決な問題がございまするけれども、とりあえず新しい制度に砂糖精製業者も協力して参ろうというふうな、非常に協力的な態度に変ってこられまして、その点、食糧庁といたしましても、業界の意を多としているものでございまするが、さような意味で、多少産業それ自身が新しいせいもございまするし、また、ただいま申しました技術的にもなお検討いたして参らなければならない点もございまして、さしあたりのところは、業界は、協力はいたしまするけれども、できたものは混糖はいたさない、それぞれの自己の取引商社がございまするから、それらを通じて販売をして参るというふうな決定をいたしたようでございます。その商取引の一つ方法といたしまして、ただいま御指摘のような売り戻しというふうなことが行われておるのであろうと想像いたしまするけれども、もちろんこれが結晶ブドウ糖の消費拡大のためにも理想の姿でないことは、私ども承知をいたしておる次第でございまするが、繰り返して申し上げますように、制度発足早々の間でございまするし、また、まだ今日の段階では、結晶ブドウ糖の生産量そのものも非常に少量でございまするので、逐次これらの不合理な点も、時がたつにつれまして改善を加えて参らなければならないと考えておる次第でございます。
  78. 森八三一

    ○森八三一君 きょう委員会が特に開かれましたのは、農産物価格安定法に基きまして、法律上は十月の末までに政府の買い入れすべき本年産の澱粉の価格並びにその原料となりまするバレイショなりカンショの基準価格を確定するということになっておりまするが、十月の末ということになりますると、特に北海道を中心とするバレイショの関係におきましては非常に時期がおくれてしまうということもありまするし、本州、四国、九州におけるカンショにいたしましても、九月の下旬からそれぞれ収穫も始まりまするし、澱粉の生産も開始されるというような関係もありますので、法律の規定するところを変えまして、行政上の措置として九月末に法律の命ずる基準価格の確定なり、あるいは買い上げ価格の決定をされたいというような関係者の要請もあり、当委員会におきましても、十分研究の結果、そういうような措置をいたしますることが適当である。そこで、法律が十月末になっておるとすれば、法律を改正してそういう手続をとるかということもかつては論議をされたのでありまするが、農林省における作況の調査等につきましての現在の運び方が、九月の末日までというように法律を改正いたしました場合には、問題が関連をしてくるというようなこともありましたので、当局と打ち合せの結末、行政措置として、九月末に、法律で命ずる十月末の行為をやるというようなお約束もありまして、現に昨年はそういうような措置実態的にはとられておるということであるのでありまして、おそらく本年も昨年と同じように九月の末にはそういう諸般の手続が取り進められるだろう、といたしますれば、本日あたりには相当進行しておる、そこで、本年の買い入れ価格なり基準価格の決定についての状況を承わりながら、畑作振興の見地からどういうようにすべきであるというようなことを審査をいたしたいという趣旨で、本日の会合が、委員会が開かれたと、私は承知をいたしております。そこで、第一にお伺いいたしたいことは、法律の規定等は変えまして、昨年通り行政措置として九月の末に基準価格の決定と、買い入れ価格の決定をしろということに相なりまするかどうか、その辺のことをまず最初にお伺いいたしたいと思います。
  79. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) イモ類の価格の決定の時期でございまするが、従来の経緯につきましてはただいま森委員御指摘の通りでございます。また本年産のイモ類、澱粉の価格につきましても、昨年いたしましたように、できるだけ早く、法律は十月末日になっておりまするけれども、今月中に決定をみますべく、ただいま鋭意努力をいたしておる最中でございます。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 昨年と同様、今年は今月末日までに決定、告示ができるようにと鋭意取り運びを進めておるというのでありまするが、そういたしますると、本日は二十八日でございます。もう余日は二日ということでございますといたしますれば、大体関係各省との間にも話が進みまして、今年の基準価格なり買い入れ価格についてのおおむねの主管省としての構想は固まっていなければならぬと思うのであります。大体どの程度に同まっておりまするのかこの際お伺いをいたしまして、その模様によって順次希望を申し上げながら御質問いたしたいと思います。
  81. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 九月中に価格を決定いたしますべく、鋭意実は努力をいたしておるのでございまして、ただいま森委員の御発言に、九月中に決定をして九月中に告示があるものと了解してよいかという趣旨の御発言がございましたけれども、大体昨年の例を申しますると、九月中に政府部内の決定をいたしまして法律手続的には告示、官報告示の手続上の問題等もございまして、決定は九月中にいたしましたけれども、価格の告示は実は十月三日であったと承知いたしております。その前の年も十月の上旬でございましたけれども、さように若干、決定ということと最終的な事務手続の完了とには手続上、時間的な余裕のありますることは御了承をいただきたいのでございます。そこで、問題は九月中に決定をするといいましても、あと二、三日しかないのでございまするが、これは率直に申し上げまして、ただいまの段階で、私どもいろいろな基礎資料を積み上げての計算を実はいたしておりまして、政府部内の関係省、なかんずく大蔵省とただいま折衝の段階であります。本日も食糧庁長官が参るべきでございましたけれども、ただいまその問題で大蔵省の方にも出向いておるような次第でございまして、具体的なまだ事務当局の結論的なもの、あるいは数学的に申し上げられる段階に至りませんことを御了承をわずらわしたいと思います。
  82. 森八三一

    ○森八三一君 大蔵省との関係がありますので、こういう公けな席で具体的な数字をということは差し控えたいというような趣旨と了解をいたしますが、すでに食糧庁長官が大蔵省へ出向いて話をされておるという段階であるとすれば、農林当局としての腹案というものはなければ、折衝すると申しましても、これは折衝のしようがないわけなんであります。農林当局の腹案というものは一応まとまっておる、それはすでに先日、中間的なものではありまするが、本年度の作況につきましても、農林統計調査部の調査に基く見通しの公表が出されまして、新聞にも詳細にそれが報道されておるということでありますので、おそらくそういうような作況というものを中心として主管省である農林当局としては、かく考えたいという案がまとまりまして、それを基礎にして財務当局との間に予算の運営上の問題として折衝が行われておるということであろうと思うのであります。そこで具体的に、関係省でございますので、ここで数字をあげてということは差し控えたいということでございますれば、大体のお気持として本年度の作況というものを基礎考えました場合に、昨年の買い入れ価格、昨年の指示価格というものは厳として存在をいたしておるのでございますので、それらと比べまして、大体方向が上向いておるのか、下向いているのかという見当だけはお話を願っても、これは農林委員会といたしましては当然なことであろうと思うのであります。ただ私が考えまするのに、農林省の御発表になっておりまする本年度の作況から申しますれば、多少昨年よりは増収であるということでございますので、その部分だけを取り入れますると、多少下回っていくというような形が出るのではないかということも想像にかたくはございません。しかしながら、一面、本日も午前中に論議をいたしたのであります。イモ類だけではございませんが、全体の物資の輸送の面におきまして、取扱いをいたします運送会社の通運上における手数料の値上げということが申請をされております。運輸当局におきましては、すでに数年間据え置いておるという現状から考え値上げをするということは必至の情勢だ、大体その率は平均をいたしますと九・九%、おおむね一割値上げをするという模様であります。これはまだ確定ではありませんが、自動車局長説明によりますと、あらゆる角度から、各同僚委員質問に対しまして、もう一割の値上げということはやむを得ざる、のっぴきならぬ最後のものであるというふうに受け取れる御答弁をなされておるといたしますと、当然そういう新しく発生するであろう問題は今後の取引に及んでくるわけでありますので、ここで今これから収穫されまするイモ類の価格あるいはその澱粉の価格というものを決定するにつきましては、当然な要素としてくるであろう条件というものは考えていかなければ、これは実態にそぐわないということになると思います。そういうことを考えますると、その一点だけからいたしましても、下向いていくという方向というものは帳消しをされてしまって、少くとも昭和三十三年産の買い入れ価格というものがまず据え置かれなければならぬ。さらに、一面労働賃金等につきましても、おそらく通常国会で問題になるでありましょうけれども、公務員の給与の中だるみを是正するというようなことが発火点となりまして、一般的な労働賃金についても上昇の傾向を見ますことは必然であろうと思います。そういうような問題を取り入れますると昨年の価格に据え置くという条件というものはどこにも出てこない。ただ収量の点から見るとちょっと下向くけれども運賃問題その他すぐ目の先についておる条件をつけ加えますと、大体昨年と同じになる、そのほかにまた将来出てくるであろう問題を考えますと、これは上向いていくというふうに結論されると思いますが、大体その腹案があって大蔵省に長官が行って折衝なさっておるということについては、大体の方向というものは一つお漏らしを願ってしかるべきであろうと思いますので、具体的に二十五円にするとか、あるいは千五百五十円にするという金額をここで承わることは別といたしまして、その方向だけは一つお示しをいただきたいと思います。
  83. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 実はただいま私の方で鋭意作業中でありますために具体的な数字が申されないのは大へんに恐縮に存じますけれども、現在私どものところで数字的に把握をいたしておりまする点は、本日もお手元の資料にもお配りを申し上げておるはずでございますけれども、九月一日現在の統計調査部の発表いたしました作柄概況というものはすでに出ているわけでございます。また、価格決定の要素として非常に影響のありまする政府の、手持ち澱粉の数量並びに過去から今日に至りまするそれの買い入れ並びに売却の数字、こうしたものは価格形成上非常に大きなファクター、重要なファクターでございまするが、すでに出ておるわけであります。森委員はただいま大蔵省とすでに長官が折衝に行っているくらいであるから、事務当局には相当の具体案があるのではないかと申されるのでございますが、まことにごもっともな御指摘でございまするが、実はただいま申しました政府手持ちの澱粉の価格を具体的に取り上げてみましても、これを一体来年度には幾ら市中に放出する計画であるかというふうなもの、現にカンショ澱粉だけでも四千五百万貫も抱えているわけでございますから、それを何割放出するかによって価格にも直ちに相当の影響の及ぶ問題でございます。そうした問題につきまして、来年度におきまする政府手持ちの澱粉をどういうふうに消化をさせて、それがイモの価格あるいは澱粉の価格に悪影響を及ぼさないようにするにはどうしたらいいか、これ一つ実は取り上げてみましても、これは相当深刻な来年度の予算に影響の及ぶ問題でございまして、さような意味で来年度の予算とも関連をいたしつつ、なおかつ、早急に決定をいたさなければならない今月中の価格の決定の方針につきまして、そういう基本的な問題につきましてただいま大蔵省と鋭意折衝中でございまするので、御了承いただきたいと存じます。しかしながら、その程度ではなかなか森委員もお引き下りいただけないと思うのでございますから、補足をいたしますると、生産量がお手元の資料にありますように相当の、作況指数だけでも一〇七%になっておりまするので、これ一つだけとらえてみましても、政令で定めておりまするあの算式に当てはめ、さらに農業パリティ指数も今回明らかに下っております。そういうふうなただいま申した作況と農業パリティ指数だけを取り上げてみましても、どうも、ただいま森委員通運料金その他労賃等をあげられまして下向き要素がないのじゃないかという御指摘でございまするけれども、ただいま申しました作況なりあるいは農業。パリティ指数からだけ判断をいたしまするならば、むしろ上向きでなくて、あるいは横ばいでなくて下向きの要素がかなりあるというふうにも私ども考えている次第であります。
  84. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 関連。イモ類の今年度の価格決定については、いろんな方面から議論をいたすことができようと思うのでございます。あるいは俵の価格の問題あるいは今、森委員が発言せられた労金の問題等、いろんな方面から議論すれば議論余地はあろうと思うのでございますが、最も重要なる影響を及ぼす問題は今年の作況にあろうと、その見積りにあろうと私は思うのでございます。ところが、今年の作況は昨年の作況よりも上回った結果を出していることを仄聞いたしておるのでございますが、ところが、今年の農林省の作況の基本となるものは、九月一日を現在として統計事務所の報告によって集計いたしたものである、この点が非常に問題になるので、御承知のごとく九月一日後十四号台風——十四号台風をイモとの関連において研究してみましても、九州並びに四国の愛媛県等サツマイモの主産地においての十四号台風は、これは雨量を伴わない台風、それがために非常な塩分を含んだ風が吹いて、大体現在において、イモが非常に葉も枯れたというような状況で、現在成熟しないのにこれを取り出さねばならない状況にある。成熟するまで待つと実に四割のそこに差があると申しておりますが、これが私は大きな原因ではないかと思います。あるいはまた十五号台風は、これまた関東においては御承知のように雨量を伴わない、静岡等は主産地でありませんけれどもが、そういうようにサツマイモ等はすでに葉が黒くなっておるような状況である。こういうことから考えると、今年度の九月一日を現在としての農林省の作況というものが、これは非常に価格を決定する上において欠けておるところがあるというような状況であるので、私どもといたしましては、今年の作況のこの農林省の見積りにはこれは同意することができないという立場を今とっておるということだけを申し上げておきます。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま重政さんから、発表されております九月一日現在の農林省の統計というものが、その後の諸般の情勢によって相当に修正を加えなければならぬであろうというお話、ごもっともです。しかし、それに籍口して、だから法律は十月末までといっておるのだから、そういうことを十分きわめるというと、発表は法律通り十月末まで引っぱっていく、こういうふうになる危険が多分にあるのであります。それでは困るので、それはやはり約束通り法律の規定は十月末でありましても、九月の末にはあらゆる情勢を達観して取りきめするという作業をやってもらわなければならぬと思います。そこで、今お話のように、九月一日以降にそういう諸般の情勢を加えるということは当然と思いますが、それは見通しの問題なので、ここで論議いたしませんが、九月一日現在の作況指数というものをもとにして澱粉の方は別にして、イモの基準価格だけを考えた場合には、政府の手持ち澱粉というものは一応考慮の外にあってしかるべきだ、澱粉の買い入れ価格ではございませんから。そうすると、一応計算上どういうような数字が出てくるのか、これは確かにお話のように下向いていくという数字が出ると思いますから、その試算はどうなっておるか、澱粉じゃなくて原料のイモですね。これもバレイショとカンショと二つございますので、別々に並べて論議すると厄介になりますから、かりにカンショだけに例をとって 一つ作況をもとにして、重要農産物価格安走法に基く政令ですか、何かできまっておる算式によってはじき出しまするとどういう数字が出てくるのか。これは機械的な数字ですから、発表はなされてしかるべきだと思いますが、どうなりますか。
  86. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点でございまするが、その場合の計算といえども、やはりカンショの出回り量というものを計算せざるを得ないわけであります。これは御承知通りでございまするが、そのしかも計算の中に政府手持ち澱粉が幾ら市中に放出されるのであろう、それが原料イモに換算をすれば幾らになって、それが価格形成上プラス・マイナスどういうふうに影響を及ぼすかということが、政令のあの算式にも当然影響が及びまするので、どうしても、そういう、ただいま申しましたような基本的な考え方がきまりませんことには、数字としてきめるわけには参らないのでございます。御了承いただきたいと思います。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 それでは昨年の、手持ち数量に対して昨年の支持価格を決定したときには何%放出するという、これはきまったものがあるのです。それと同じかりに前提に立って計算をすると、今年の支持価格は一体どうなるか。
  88. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の、政府手持ち澱粉の昨年度の価格形成上用いました放出数量は、八五%見ておったわけでございます。でありまするから、かりに昨年並みに八五%の放出をするということに相なりますれば、ただいまカンショ澱粉四千五百万貫持っておりますので、これはまあ非常に大きな価格形成上はマイナス要素になると思います。従って、昨年の八五%、あるいは一昨年は五〇%であったと記憶いたしております。さように昨年あるいは一昨年のような、一体高い率の放出量をとってよろしいものであるかどうか、この辺は、実はカンショの価格をきめます場合の非常に大きな一つの要素になっておりまして、これには、しかし、かねがね森委員からも御指摘いただいておりますように、相当政府手持ちの澱粉が有利に、あるいは有効に消化する方法を、別途これは政府としても考えていかなければならないという、ふうに考えております。従いまして、昨年並みに——これは全くの仮定で恐縮でございますが、もし昨年並みのように八五%も政府が放出するのだということに相なれば、これはもちろん計算はいたしておりませんけれども、大目の子で考えましても、作柄概況は豊作である、農業パリティ指数は下っておる。それにまたプラス昨年並みのもし政府手持ち澱粉を放出するということであれば、相当大幅な、昨年の二十五円に比較いたしまするならば相当大幅になるのではなかろうかと直観的に考えられる次第でございます。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 直観的では問題にならぬのですね。今お話のように、大体七%前後の生産の増加という条件は正しいとは思いませんが、一応それも仮定の話ですから肯定をする。それから四千五百万質の手持ち澱粉の半額を出すのがいいのか、ゼロにするのがいいのか、あるいは何%放出すべきか議論の存するところでありますが、一応昨年の例が八五%であるとなれば、昨年の八五%でそれも一ぺん計算をしてみる、そういうことで、それにかわるパリティ指数が下っているからそれを加えてやったとしても、非常に大幅に下るだろうというお話です。私はそういうことをそれぞれ取り入れて計算をいたしましても、大幅ということがどういう意味かわかりませんけれども、あるいは一割とか一割五分という値下り要件は出ると思います。これはそういう計算が出る。出まするが、私の申し上げましたように、通運料金改訂は必至の情勢にある。これは考えの外に置くことは許されぬ現実の問題だろうと思います。それから労働賃金等につきましても、これはどういう数字をとるのが妥当でありまするか、あるいは米価の計算に用いられておる都市製造工業の全規模賃金というものをとることが妥当であるか——私はそう思います。そういう賃金に置きかえてこれを計算するといたしますれば、現在の、昨年まで計算された賃金とは、非常にこれは逆に大幅に上る。そういう要素も取り入れるということを考えますると、その他いろいろのファクターについて昨年のものをとってよろしいという条件のものばかりではございませんので、そういう点を修正いたしますると、具体的に、私は昨年の価格二十五円というものが、据え置きもしくはそれ以上に上ってくるという傾向を具体的に算出ができるのだということを申し上げておる。ただ単純に、勘として申し上げているのではなくて、八五%という放出量を一応考えてみる、七%の生産増も考えてみる、それから物価指数も下っておるから、それも一つ取り入れてみる、それですなおに計算をしてみて出てくるイモの価格が、昨年二十五円というものが二十二円とか二十三円に下る。これはもうその通りです。下ります。それに通運料金の改正、労働賃金を、これを米価の計算にとった。これは農業生産者の方で要求しておる賃金ではなくて、政府が米の価格を計算せられたときに用いられておる労働賃金というものはこれは採用しなければうそだと思う。米はこういう価格で計算をするが、イモの方はもっと虐待するのだということじゃこれは問題にならぬので、米価の計算に用いられておる全規模平均の製造工業の労働賃金をとるということは当然の私は措置と思います。それを取り入れてみる。それを置きかえるのです、その部分だけを。それから包装代が計算のうちには昨年は十円十銭入っております。しかし俵代は、米や麦については、昨年の後代よりも四十八円というものがその後の実態調査の結果出てきたというので、昨年のものよりは、石当り四十八円の包装代の値上げというものは計算をされております。これは現実に米麦にやっておるのですから、その場合に、イモの包装は米と麦とは違いますけれども、包装容器そのものは変らないことは間違いない。かますであるということは間違いない。だといたしますれば、当然これも取り入れて考えなければならぬ。そういうような、その後に政府がおやりになった——これは民間でやったのじゃないのです。政府がおやりになった他の農林物資の計算に用いられておる数字を当てはめて、計算をもう一ぺん再修正するという手続をいたしますると、昨年の二十五円というものではなくて、それよりは上に出てくるという線が私の計算では出てくるのであります。そういう数字が出てくるとすれば、大体の方向として、昨年よりは下回らぬということが言えるのではないか。どう控え目に考えてみましても、昨年の価格は維持するということくらいの計算は御親切な農林事務当局ではもうとっくにでき上っておらなければならぬと私は思う。できておらぬとおっしゃいますれば、これはここでとやかく申し上げましてもお答えを聞くわけには参りませんけれども、そういう計算をおやりになれば、昨年の価格を下回るという条件はどこからも出てこないと思います。これは大蔵省との御折衝の際に、政府の手持ち澱粉が累年増加をしておることによって、どうしてもこれは下げなければいかぬという空気が財務当局にあろうと思いますが、そういうような政治的な配慮や財務的な配慮によって、この重要な、米麦に次ぐ、主食にも匹敵するイモ類の価格の決定がゆがめられるということでは、これはもう生産農民は絶えられませんし、政府に対しても納得をいたさないと思うのです。どうしてもそういう計算を、具体的に明確にしなければならぬと思いますので、そういう計算をやっていただきますれば、昨年の価格を下回りませんということぐらいは大体計算上は出てきますぐらいのことはおっしゃらぬと、これは事務当局としては少し怠慢であるということになりはせぬかと思いますがね。まあここでその責任を追及しようとは思いません。まあそのくらいの計算はできておりますが、あまりここで言うというと大蔵省との折衝にかえってじゃまになるから言わぬという顔つきだと思いますので、その辺に私は了解はいたしておりますが、計算はそうなります。そこで、そのことは、まあイモ数の基準価格の決定に関する方向としてはそうあるべきである、それを受けて立ちますれば、結局澱粉の価格におきましても、昨年の価格を下回るという条件はどこからも出てこないという結果が出ると思いますので、そういうふうに一つ作業を進めていただきたいと思う。大蔵省との折衝も、納得のいくように、——いいかげんにきめられちゃ困る。納得のいくように一つきめてもらいたい。  そこで、お伺いをいたしたいのは、そういうことで推移いたしまして、本年は六月末で一応の締めくくりをいたしましたが、そうしてこの下、要農産物、価格安定法に基く政府の買い入れ措置をされました。このことにつきましては、われわれの希望が大体において取り入れられましたので、この点は感謝をいたしおりますが、六月末という時期は、まだ澱粉のその年度における生産の、消費のさ中にございます。必ずしも需給推算をするのにふさわしい時期ではないと思うのでございます。ですから、重要農産物価格安定法に基いてその年の生産数量からその年の消費を差し引きまして最後に幾ら過剰になり、幾らマイナスになるかという需給推算を立てて締めくくりをいたします時期は八月末にすべきであると私は思いますが、これは法律行為ではございません。政府の行政上の措置でございます。いつに持っていきましても法律上の必要はない。八月末から需給の推算を立てて跡始末をするということが正しいと私は思うのでありますが、その措置をそういうようにお変えになるお気持がないかどうか。これは当然そうすべきであると思います。それはしかも法律上の命令規定ではございませんので、実態にそぐわないということであれば、実態に合うようにいたしますことが当然のことであると思いますが、いかがでございますか。
  90. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘にありました労賃その他の価格形成上の諸要素について再検討すべき点があるのではないかという第一点の御指摘であったのでございまするが、これらの点につきましては、御意見趣旨も尊重しながらただいま私の方でも検討中でございまするので、十二分に検討させていただきたいと存じております。  第二点の、需給推算上の締めくくり日の問題でございまするが、六月がよろしいのか八月がよろしいのか、これはそれぞれ一長一短があるのではないかと思われまするけれども、直接法律事項でもございませんし、実行上の段階でより合理的な時期にした方がよろしいのでありまするので、これらの点については、食糧庁部内でも十二分に検討させていただきたいと存じます。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 なお、一つお伺いいたしたいのは、まあ年々政府の手持ち澱粉が累増していくという傾向は、これは好ましい姿でないと思います。必ずしも重要農産物価格安定法によって政府の買い入れ行為ということが毎年行われるという期待で作った法律じゃないのですから、そういうことは好ましくない。しかし、現実はそういう方向を描いておる。そのことは、結局澱粉の消費部面というものが、砂糖等との関係において漸次圧縮されてきておるということであろうと思います。あるいは、年によっては平年作以上に澱粉が生産をされたという結果であろうとも思う。そこで、この問題を解決いたしませんというと、将来やはり絶えずこの問題が論議の焦点になってくると思いますので、政府の手持ち澱粉というものが全部解消し、将来政府にしっぽを持ち込まれるというような事態がなくなるという境地を作っていかなきゃならぬと思う。それにつきましては、まず第一は、澱粉の用途と競合いたしまするような外国産の諸原料を輸入するという点については、国内における澱粉の生産が現状である限りにおいては、これは調整するなんというなまやさしいものじゃなくて、全部これは抑制してしまう。澱粉と競合する原料について、海外からの輸入に待っておりまするようなものについては、これは全部やめるという態度を私はとるべきである。同時にまた、進んで、澱粉そのものを海外に輸出をするという積極的な対策もとるべきであると思います。競合する物資の輸入はやめる。逆に澱粉それ自体を海外に売り出すというようなことも積極的に考えるべきであると思う。それに関連して、国内におきまする結晶ブドウ糖の生産の問題でありまするが、これもなかなか遅々として進行いたしません。私、案じまするのに、結晶ブドウ糖というものに関するその本質と申しまするか、性格と申しまするか、そういうものは、国民大衆によく了解をされておらぬ。甘くないという認識だけは皆持っております。しかし、栄養価値が非常に高い、これは国民保健衛生上の面から、普通の砂糖をなめるよりいいのだということはぼんやりしておる。甘くないということだけはっきりしておる。甘くないかわりに栄養的にも生理的にもいいのだということを十分理解せしめるという措置が今までなされておらない。そういうことは当然糖業者がやるべきことであって政府がそういうことをやるべきじゃない、こういう御議論かもしれませんけれども、国際収支等の関係からながめますれば、これはやはり一つの奨励事項としてそういうような措置は当然政府の責任においてやるべきであると私は思う。そこで、結晶ブドウ糖の消費宣伝と申しますか、本質をよく国民に理解せしめるという行為については、積極的に私はやらなければいかぬと思う。現に私は六千万貫の澱粉を持っておるために、金利、倉敷も年々十億あるいはそれ以上の死金を使っておる、これを繰り返していてはいけませんので、少くとも昭和三十五年度は、その半分は国内で使わせる、それで十五万トン計画のブドウ糖の生産があれば、これは六千万貫くらい要るのですから、かりにその半分の七万五千トン生産させれば、三千万貫が出ていくのです。五億という金が金利、倉敷で浮く。ですからこの際、そういうような消費が伴う宣伝活動のために積極的に五億円くらいの金は政府が出すべきである、そのことは決してむだではなくて、国産を奨励しながら、政府の方では、金利、倉敷料で政府負担するか、宣伝費で負担するか、ただ場所を変えただけで政府負担増にはならない。また、将来非常にいい結果をもたらすということになれば、これは積極的に考えなければならないと思うのですが、そういうようなことについて、どういう構想でお進みになっておるのか、その点をお伺いしておきたい。結晶ブドウ糖が国民大衆に理解されまするような積極的なPR活動についてのお考えがあるのかないのか、私は積極的にやるべきである。それから競合物資の輸入について、これはやめるべきである。進んで澱粉それ自体を輸出するということについては、もっと考えを起したらどうか、これも澱粉それ自体ではなかなかうまくは売れぬと思いますが、輸入物資との関連をつけて参りますれば、あながち不可能な問題ではなかろうと思うのであります。そういうことも具体的にお考えになっておると思いますので、私の構想は申し上げませんが、御研究いただきたいと思います。そういうような三点について、さらにお伺いを申し上げます。
  92. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 国内澱粉と競合いたしまする関連物資の輸入、たとえばコーンスターチでありますとか、タピオカでありますとか、いろいろあるわけでございまするが、それらの輸入は禁止せよという御指摘、まことにごもっともであります。食糧庁といたしましても、極力国産品でそれらのものを代替させるという基本的な方針は堅持いたしておるのでありまするが、御承知のように、これらのものにつきましては、特殊の用途に用いられるものがまだ若干あるのでございます。これらの特殊用途向けの輸入につきまして、従来からも絶えず輸入を希望しておる方と農林省の関係当局との間でいざこざもあるような次第でございまするが、考え方の基本といたしましては、全く御指摘の通りであります。今後これらの点について、さらに努力をして参りたいと考えております。また、そのためには澱粉から作りましたいろいろな製品につきまして、わが国の澱粉製品についても品質を向上せしめる、あるいは価格をもっと安くさせる、外国のものとも十分対抗できるというふうな育成措置もとられなければならないかと思います。これらの点についても、十分私どもも今後検討を重ねて参りたいと考えております。  御指摘の第二点の、澱粉の消費の拡大に関連をいたしまして、徹底的な結晶ブドウ糖等の製品の消費宣伝をやれという御指摘でございます。ただいま具体的に政府手持ち澱粉が非常に大量になった、そのために政府がこうむっております金利、倉敷料等の支出が相当な額に上るのでございまするが、これらについても、具体的に御指摘のありましたように、われわれといたしましては、政府手持ちの澱粉がもっと有効に適切に消化をされていくという措置をとらなければならないと念じておるのでございます。具体的にただいま宣伝費に五億円ぐらい使ったらどうかという御指摘もあったのでございまするが、これらの点につきましても、来年度予算とも関連いたしまして、私どもも実は事務的な検討をただいまいたしておるのでございまするが、宣伝費にたくさんの金をつぎ込むのがよろしいか、あるいは具体的に政府手持ちの澱粉を、もっとより有利に、澱粉を加工する、たとえば結晶ブドウ糖のごときがその一例でございまするが、そういう加工部門により有利に引き取ってもらえるような実質的な措置考えられないものかということも実はよりより考えているのでございまするが、何と申しましても、これまた御承知のように、政府が買い入れました澱粉は、澱粉を売ります場合には、買い入れ価格及び時価を下ってはならないという法律上の実は拘束もございまして——もちろん二、三の例外規定はございますけれども、そういう大原則もございまするために、実は私どもとしてもいろいろと頭の痛い問題でありますだけに、種々検討をいたしておる段階であります。しかしながら、結論的に申しまして、結晶ブドウ糖のような澱粉製品が、もっと積極的に消費の拡大をみまするように最大の努力を払っていかなければならないという点につきましては、十二分に私どももそのつもりでおるような次第であります。
  93. 東隆

    ○東隆君 私は二、三お伺いをしますが、今、森君が言われた問題で、イモ類の競合物資の輸入については、私はこれは単に澱粉関係のみをお考えのようでありますが、私は食糧庁のお扱いになっているもので、含水炭素と、こう部面を広めますと相当の分野が広がってくるわけであります。そこで、そういう面についてお考えがあるかどうかということは今聞きません。しかし、解決の方法はそこへ持っていくよりほかに方法はないと思う。手持ちの澱粉を、有効にはけさすためには、含水炭素というものを競合物資の中で考えて、そしてみるときに、私は手持ちの澱粉なんかは相当簡単に片づくのじゃないか、こういうことを考えておるわけであります。しかし、これは今日はまだ申し上げません。  そこで、農産物の価格安定に基くイモ類の価格決定が九月中になったのは、これはどちらかというと、バレイショ澱粉を中心にして九月にさかのぼってもらった。で、これをきめるまでには、農産物価格安定法によって澱粉の買い上げがきまってからだいぶ長い間これをもみにもんで、ようやくこの形ができたのでありますから、これはこわしていただきたくないわけでございます。そこで問題は、バレイショ澱粉を中心にしてこういうような形になって決定と、こういうところに来ているのでありますが、私はこの際、やはりジャガイモの生産の状況、これをやはり相当重点を置いて考えていただかなければならぬと思うのです。それで今農林省の方でお考えになっているのは、カンショとそれからジャガイモとの生産が、二つ合せて実は比較をされておるのではなくて、カンショの方の生産が非常に多いから、そこで澱粉の値段が下向きになるようなおそれがあるのだというふうに私は聞いているわけです。そこで、かりにこの生産量を、カンショとバレイショとを加えて、前年度の三十三年度と今年のやつを加えて比較をしてみますと、何ぼ違うかというと、一万四千くらいしか違わない、そうでしょう。非常に少い差なんです。決して農林省の方で驚かれるような増収の数字ではないわけです。両方加えてそして比較をされましたら一万四千くらいの開きですよ。実に少い数字になっておる。それをカンショの方にだけ重点を置かれて、そして価格の下るのを心配をされておるように考えるのですが、私はそうじゃなくて、両方この際一つ加えてみますと、そんなに大きな開きはないので、これくらいの開きはこれはもういつも現われてくるので、そんなに問題にする必要はないと思う。  それからもう一つ問題は、先ほどカンショの方については、重政氏が十分に減収するであろうというようなおそれのあるところを言われたからなんですが、ジャガイモの方はこれはもう確実に出てきている。そしてしかも、北海道におけるもう相当な部分実際にいっておる事実から見てくると、出回りの数量はおそらく例年の三百万袋のうちから一割以上も減るだろう、完全に減る数字が出ているのです。それからジャガイモは結局澱粉の含有量が少いので、従って、イモの消費量が非常に多い、こういうような形が出ております。これは地帯別にだいぶ違いますけれども、東北六県に新潟を加えただけの大きな面積があるのですから、従って、考えなければならぬことは、一番澱粉の中心地帯である斜網地帯におけるジャガイモの生産の状況というのは、これは相当悪いのです。そういうようなことも考えて参りますると、政府がもし適正な価格を決定するというならば、私は収量の点において、カンショとバレイショを加えてみましてもそんなに大きな違いがない。それからジャガイモの面においては、これはもう明らかに大きな変化が出てきておる。作付も減っておりますし、反収もそう感心をしない状態だ、そういうような形が出ておるのです。こういうふうに数字が減ってきておるときに、結局澱粉にならない面は確実に消費をされていくのだ、だから澱粉としての出回り数量というのが非常に減ってくる、こういう形が出てくるのですから、私は価格を九月末百日までに決定をするように決定したのが、これがやはりジャガイモを中心にして一カ月繰り上げた。そうするとウエートを相当私はジャガイモの方に置くべきでないか。ジャガイモの方にウエートを十分に置いてそして計算をすべきである、こういう考え方が出てくるわけですが、これは私どもの我田引水のように聞かれるかもしれませんけれども、しかし、一カ月繰り上げてそして決定をするというそもそもは、まだサツマイモの方の方面はこれはまだ畑にあるのですから、そういうものが前提でなくて、現実の北海道における収量が、もうすでにはっきりしてきておるのですから、それに基盤を置いてやるべきである、こういうような考え方が出てくるわけです。そういうふうに考えて参りますると、私は政府手持ちの澱粉その他等を考えてみましても、カンショ澱粉の方はこれは非常にふえて参りましたけれども、バレイショ澱粉の方はこれは必ずしもふえておらないわけです。そんなような形で、私はあまりそんなに下向きになるような要素はない、こう思いますので、先ほど森君の言われたことにつけ加えて申し上げたわけですが、この点どういうふうにお考えですか。
  94. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) バレイショがすでに出回り期でもございまするし、政府の価格決定が急がれまする点につきましては、ただいま御指摘の通りでございます。なお、価格のきめ方につきまして、カンショとバレイショと総体的には大体前年とほぼ均衡のとれたような生産量でございまするけれども、御承知通りイモはイモ——カンショはカンショ、バレイショはバレイショというふうに、それぞれの価格決定方式を踏襲いたしておりまするし、また、先般来森委員の御質問にお答えいたしましたように、なるほどバレイショ澱粉は手持ち量がカンショ澱粉ほど大量ではございませんけれども、それをどのように放出して参るか、その計画のいかんによりましては、価格の計算上やはりかなりの影響があるというふうなことで、御指摘のような御意思は十分わかるのでございまするが、ただいま鋭意作業中でございます。
  95. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 村田部長お話しするのは大へん工合が悪いのだが、今、森さんからいろいろお話があり、東君からも伺ったわけでありますが、バレイショの作柄は案外悪い。僕のところでは現にやっておるところで、八月の二十二日からすっております。ところが驚いてしまって、どうなるかと考えておりますが、森委員ともしばしば相談をいたしておりまして、もし政府が三十三年の価格より下げるということになると大へんなことだと思う。私は下るはずがないと考えておりまするが、サツマイモは割合にいいのです。そこで見て参りましたが、なるほど長崎のある一部のように、あの潮風にやられてまっ黒になっておりますが、これは大面積ではないと思いますが、その海岸地帯は全部そうでございますから、これは当然減少でございましょう。全体から見ると、九州全部回って参りましたが、今はそうあまり悪いとは申し上げませんが、それでもそれくらいのことで価格を上げたり下げたりするようなものではないと思いまするが、先ほど森君から盛んにお話がございましたように、価格に対する労働賃金の問題もあり、米と麦とがああいう価格をきめればやはりバレイショ、カンショの澱粉もそうなると思うのです。問題は澱粉です。どうも村田部長と僕と二人きりなら腹を割った話ができるが、ここではそうもいかないので、あまり刺激するとうまくないと思うのですが、どんなことがあっても、上げても下げられたのでは困る。私ははっきり申し上げる。もし下げるようなことがあるなら、相当な覚悟をして下げるということでございますから、一つ食糧庁も、下げてはならぬ、どうしても下げてはいかぬという前提に立ってお答え願いたいと思います。が、それはどうですか。価格というものは下げるという理由が何ものもない。北海道からいえば上げなくちゃならぬという実情だから、私はどうしても下げることはさておいても、多少なりとも上げるのが一体買い入れするものの当然の価格じゃないかと思っておりますが、どうですか。
  96. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) バレイショの価格の前提になります生産量は、お手元の資料にありますように、本年は相当下回っております。これは確かに価格決定上は、前年より下げてはならない要素の一つにはなるかと思うのでありますが、先ほど来論議されておりまするように、政令の定めまする一定の算式に当てはめまして、いろいろな価格形成の要素を取り込んで、ただいま鋭意作業中でございます。岡村委員のお気持は十二分に私どもにはわかるのでございまするが、何分にもただいま作業中でございまするので、いましばらく時間的な猶予を賜わりたいと思います。
  97. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 価格は、意図は大体わかったと思うけれども、村田部長の言を信用して、まずそういうことにしたいと思います。  実は澱粉の加工の問題で、非常に手持ちがあって、食糧庁にしても大蔵省にしても、困っておることはよくわかります。そこで、これを何とかしなければならぬことが先決問題で、しばしばその話をやっております。ところが、なかなか取り上げてくれぬのですが、と申しますることは、実は先刻も前の長官とひざ詰め談判をしてみた。ところが、待てというので待っております。が、いろいろ機関があって研究してもらいますが、精製ブドウ糖、そんなものばかり当てにして待っておったのでは私はだめだと思う。そこで、バレイショ澱粉には、ほかに相当なものがあると思う。そこをとことんまで研究をしてもらいませんと、精製ブドウ糖も、今いろいろお話があったようなものじゃないと思うのです。だんだん世の中が進んで参りまして、そして同じ菓子につきましても、熱をかけないで甘味をとるお菓子もございます。でございまするから、それにやれば、けっこう使えましょうし、まずもって法律の改正をやってもらうなら法律の改正をしていただいて、そして甘味すなわち砂糖にどのくらいブドウ糖を入れて売ってもいいかとか、そうでもしないといかんと思うのですが、そればかりでないので、ほかに非常な研究をすれば、なかなかりっぱなものが出るし、あるということを、私は技術屋じゃないからわかりませんが、言われております。場合によりますと、非常にいい油さえ取れるというあれがあるのですから、やるやると言っておられても、なかなか話は進みませんし、ぜひこの際、やむを得ないから、食糧庁が一つ本気になって研究をして、そして精製ブドウ糖でなくして、それ以上のいかなる一体ものがあれから出るのか、とことんまで研究をしていただきませんと、手持ちがある手持ちがあると言われますと、全くわれわれもこういうところに論ずる以上は、国が何ぼ困っても、ただ買えばいいということではなく、用途を開いて初めて買ってもらいたい、こう買わなければならぬという議論をしなければならぬので、非常に行き詰まっておりますから、早急にこの研究を進めいただくようにせなければ、このままでは行き詰まり状態になると思うが、部長、一体どう考えておられるか。
  98. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 澱粉の用途拡大に関連いたしまして、ただいままことにごもっともな御指摘をいただいたのでございますが、確かに、今日すでに澱粉が、単にそれを水あめに加工する段階では、これはもう、澱粉そのものの自殺行為になってしまって、決して澱粉の用途が拡大するゆえんでもなし、いわんやひいてはイモ作農家の経営安定にも期待ができないと思うのです。従いまして、澱粉を原料にいたしました新規の製品の工業化、技術の革新というようなことにつきましては、私どもも非常な関心を実は持っておりまして、ただいま岡村委員の御指摘の通りであります。昨今、ひとり結晶ブドウ糖のみならず、澱粉を原料にして新製品を工業化していこうという意欲は、実は相当あるように耳にはいたしておりますので、ただいま御指摘のような趣旨に沿えるように、私どもとしても努力をして参りたいと考えております。
  99. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 村田部長お話は私の気持をくんでというようなお話をされるから、言うことはないのですが、問題は予算でございますが、価格を据え置いてくれとか、あるいは多少上げてくれとか申しましても、予算がとれなくて買えないのでは、これは方法がつかぬ。一番心配なのは、どれだけ買い上げていただけるかということが問題です。ですから予算の見通しは食糧庁の方では、そう困らない、はっきり言えぬでしょうが、まあそう迷惑をかけない程度にやれるという、こういう返事ができますか。それともどうもわからぬ、こうおっしゃるかわからぬが、まあまあ安心できるような予算措置の返事がしてもらいたいのですが、一体どうですか。
  100. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 先ほど森委員からもきわめて積極的な私どもに対する御鞭撻の御発言がございますが、私どもも澱粉の消費拡大 ひいてはイモ作農家の経営安定に資するという、これが技術的にみましても、確信の持てまするものでございまするものでございまするならば、そうした積極的な助成措置に、消極的になってはならぬ、かように考えております。
  101. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この間、家に帰りましたら、工場で困っているのです。と申しますのは、目方の問題です。二十五キロでよかったのが二十五キロ五要るというのです。そうするといいかげん安いという澱粉はそれだけ要ってきて、結局、想像すると非常に損害なんで、二十六万俵ぐらいすります。その点どういうわけでそうしたのだと聞いてみたら、さし目らしいのです。ちょうど脱穀とかあれがあるように、それが今までそういうことはなかったのです。それがそういうわけで、一体どういうわけかと聞かれてもわからないものですから、わからないよと言ってきたのですが、これを経営している面でも非常に困っているのです。私の方は実際大体七千万円もかけた工場ですから、わずかなことでも損害が大きくなるのです。それで関心持っているのですから、目方が多少多くなるのでさへも困っているわけですが、食糧庁の方では、これはふえたのを御存じかどうか、お聞きしたいと思います。
  102. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま御指摘の点は、いれ目の数量のことだと存じますが、政府が買い入れまする際には、正味二十五キロで十分なんでございます。おそらくいろいろ取引、包装の関係であるとか、あるいは流通の途中におきまして若干の目減り等があって、そういうような指導をあるいはしているのかもしれません。その辺詳細によくわかりませんけれども、私ども、買う方の立場からは、正味二十五キロをもって買い入れの対象にいたしております。
  103. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 森委員その他からいろいろと適切なお話がありましたから、重複するところは避けてお尋ねしたいと思います。現在カンショ作の農家は、カンショ以外の作物はほとんどできません。こういうような状態であるのでありますから、どうしたってもカンショ以外の作物に転換することが困難であるとしたならば、このカンショに対する対策を講じなくちゃできないのであります。そうして今まで問題になっていないのは、日本の畜産奨励上飼料が非常に必要である、しかして、飼料はたくさん外国から輸入している、こういうふうなことであるのでありますから、もしも畜産奨励のために、また外貨節約のためにカンショを飼料に振り向けるというようなことになったらば、一挙両得であると考えるのでありますが、政府はイモを飼料化するということについてどういうふうな計画を進めておられるか、お伺いしたいと思います。
  104. 江川了

    説明員(江川了君) ただいまのイモの飼料化ということにつきましては、全く藤野先生の御指摘の通りでございまして、イモの将来の発展ということを考えまする際に、最も強く考えなければならない点じゃないかと考えております。それにつきましては、現在私の振興局の方では、いわゆる飼料用に適応する品種の育成、要するに、どういたしましても飼料用となりますと、食料あるいは澱粉に比べまして、なお、経済的な面からいっても、価格が安くならなければいけないというようなことからして、しかし、あるいは食料ほど何と申しましょうか、食味といったようなんについては、それほど重要な意義を持たせる必要がないというようなことからして、まあいわば非常に多収本位の飼料用適応性のものの育成というようなことについて今、努力を進めております。一方、その消費につきましては、消費の研究あるいは消費の促進につきましては、これは畜産局の方でよりより進めておるように承わっております。
  105. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 カンショの飼料化については、一そうの一つ検討をお願いしまして、具体的に進めていただくようにお願いしておきます。それから澱粉もカンショなま切りぼしも同様であるのでありますが、どうしたっても出回り期には自主調整をしなくちゃいけないのです。現在全国の農協の方でも、その他においても自主調整をやっているのでありますが、その自主調整をやるためには、相当の経費を要するのであります。現在大体の見当を申し上げますと、切りぼし一俵について約五十円くらいの経費がかかっているのであります。別な言葉で言ったらば、それだけの農家の手取りが減じてくるのであります。もし政府の方でカンショなま切りぼしのようなものを買われて、これを調整されるというようなことであったらば、同等の経費がかかるのでありますから、農業団体その他に、自主調整をやられたらば、政府の手数も省けるしというようなことになってきたならば、私はどうしたっても将来は自主調整に対しては積極的に援助の方法を講ぜなくちゃいけない。それが生産者のためであり、また政府のためである、こう考えているのであります。自主調整、保管に対する政府考え方をお伺いしたいと思うのであります。
  106. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 農業団体等が行なっております自主調整につきましては、政府といたしましてはこれは非常な期待を実は持っているわけであります。先ほど来御指摘がございましたように、政府が今日カンショ澱粉、バレイショ澱粉合せて六千万貫近いものをかかえておる。それだけでおそらく十億内外に達するような金利、保管料を年々負担しなければならないということでありまするので、できた澱粉がどんどんと政府に入ってくる姿、政府に売り渡されてくる姿というものは、決して策のよろしいものでないということは私も重々感じておる次第であります。かねて農業団体等につきましては、この自主調整につきまして、私どもの方からも種々要請をいたしておりまするし、また農業団体の方でも、それがまた国の政策にも沿うゆえんであるという、十分に御認識をいただきまして、積極的な調整をしていただいておるのであります。たまたま本年のような澱粉の生産状況でございますると、おのずから自主調整にも限度がございまして、政府にすべて入ってくるということにはなりましたけれども、しかし、その門に至りまする農業団体等の自主調整の御努力に対しては、私ども十二分に敬意を表する次第でありまして、今後これら農業団体の自主調整につきましては、その辺の事情をわれわれといたしましても尊重いたしながら、政府としてもお手伝いするべき点はお手伝いして参る必要があろうかと思っております。
  107. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 自主調整の必要なのは、澱粉もでありますが、特にカンショなま切りぼしの出回り期における自主調整ということは非常に必要であるのであります。でありますから、出回り期において農業団体が自主調整をやることによって、政府はなま切りぼしを買う必要がないようになってくるのであります。でありますから、従来においても、なま切りぼしは一回政府に買ってもらっただけであって、その後は自主調整をやっているのでありますから、私などはカンショなま切りぼしのようなものは、自主調整によって政府に迷惑をかけないようにしていただかなければいけない。そのためには、しかし、さっき申し上げますような経費が要るんだから、そういうふうなものは政府において見てやるべきじゃないか、見てやるんだと、こういうふうなことを言ってもらいたいと思うのでありますが、政務次官はいかがお考えですか、お尋ねしたいと思うのであります。
  108. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいまの自主調整に対しまする経費の関係でございますが、お説はごもっともに存じます。来年度の予算の関係もございますので、部内で慎重に検討いたしまして善処いたしたいと考えます。
  109. 東隆

    ○東隆君 私は、政務次官も来られましたし、振興局関係でありますが、実はジャガイモ澱粉の価格その他、おそらく今後において安くするのは政府考え方じゃないかと思う。そういうような考え方が私は非常にあると思う。そのためにはどうしてもジャガイモの反収を上げなければなりませんし、また面積を減す問題も起きて参りましょうし、いろいろ問題がくると思う。そこで、どうしても私は、この際農林省が力を入れなければならないことは、優良品種をどうしても作り上げていかなければならぬ、この問題に私はかかってくると思う。それで北海道におけるジャガイモの原々種農場その他の状態考えてみますると、非常に経費が少くて、そしてせっかく出た優良品種も、実のところを申しますと、病気にやられるとか、その他でもって問題にならない、そういうようなものが出ておるわけです。それからまた仕事を進めるために金がないものですから、農業関係の団体から寄付を仰いでやっている、こういうような始末で、私はほんとうの根本的な澱粉に対する対策等はできないと思う。そこで、畑作振興の意味からも、私は十分に農林省で原々種農場であるとか、あるいは試験機関であるとか、そういうものに対してジャガイモを中心にして十分力を入れなければならぬ、こう考えておるのですが、この点を農林省は一つはっきりそれを考えていただきたい、こう思うわけです。この問題は今までの農林省のやっておるようなやり方ではこれはもう解決のめどがほとんどない。北海道では村々でもって農協が外国から品種を入れてやるなんてそういうようなことまでやっておるような状態なんです。力の入れ方が非常に足りませんから、そこで、これは抜本的な考え方からまた畑作振興の考え方から、北海道はビートブームでそっちばかり気をとられておるようでありますから、そういうようなことのないように、一つジャガイモを中心にしてもっと掘り下げて考えていくようにしたいと思うのですが、この点どんな御覚悟ですか、私は一つお聞きをしておきたいと思います。
  110. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいまの優良品種の普及につきましては、これはもう当然力を入れねばならぬことでございますが、北海道でビートの問題がございますが、これは新しい形での甘味資源の問題でございますからクローズ・アップされておるのでございますが、それであるからといって北海道方面のただいまのバレイショ関係の手当を怠るなどということは毛頭ございません。従いましてただいまの優良品種によって歩どまりをよくするという形でイモ作の安定を期することは、御議論通り大切でございますから、予算面その他におきましても、決してただいまの御質問の御趣旨のような御心配はおかけをいたさない所存でございます。
  111. 東隆

    ○東隆君 今、政務次官からお話しがございましたが、今までのものが実に貧弱きわまるもので、これでは解決のしようがないと、こう申し上げたのです。それで今のお話ですと、現状でもいいようにも受け取れますので、そこで、それではだめだと、こう言っておるのですから、もう一度一つお答えを願いたいと思います。
  112. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) 言葉が足りませんで失礼いたしましたが、現状で十分であるということは毛頭申し上げた次第でございません。十二分に御趣旨を体しまして優良品種の改良助成に力を入れる所存でございます。
  113. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  114. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記つけて。  先刻のお話し合いにより、ただいま議題になっておりますイモ類及び澱粉の価格について、決議を提案いたします。決議案を朗読いたします。  以上の決議案を当委員会の決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認め、そのように決定いたします。  ただいまの決議に対し政府の所見を伺います。
  116. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいま委員会において御決議をいただきました決議の内容につきまして、特に原料基準価格あるいは農産物価格安定法の効果の十全を期すること、さらにイモ類並びに澱粉類の消費の拡大策につきまして、格段の御指示をいただいた次第でございますが、価格につきましては、ただいま政府において鋭意作業を進めている段階でございまするので、しばらく御猶予をいただきます。  なお、本日御決議をいただきました諸事項につきましては、決議の趣旨をできるだけ尊重申し上げまして、善処をいたす所存でございます。
  117. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでございますから、本件は、本日はこの程度にし、本日の委員会経過にかんがみ当局善処を希望いたします。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  118. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記つけて。
  119. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと農林省の買入課長がよくおわかりと思うのだが、買入課長おられないので、ちょうど大野次官が見えておりますから、一応おわかりになっているかどうか知りませんけれども、この問題は次の機会までに一つ取扱っていただきたいと思います。ということは、先般来新潟県で調製前に乾燥をやります。これを、電気会社が今まで、調製に対しましては一カ月を限って定額で相当割引を行なっております。それで、最近農林省当局の御指導もありまして、そしてこの調製の中で脱穀、乾燥、調製と、こういう順序で今作業を行なっている。そこで、われわれ農民の方から考えますれば、乾燥自身は調製の一部分なんだ。だから、調製として電力料金は割引すべきである、こういう考え方持っている。ところが、電気会社に言わせますると、調製という言葉はあるが乾燥という言葉はないんだから、これは割り引けないと、こういうけちな表現をしているのです。これはどうしても、農林省がこんなばかな、けちなことを言うていることはおかしい思うのです。先般来、須賀長友君に電話をしまして、通産省並びに企画庁の公益局に行って、一応の折衝をしてくれ、こういう話をしておいたが、きょうはその折衝の経過をお聞きして、場合によったら最も近い時期に両者にここへ来ていただいていろいろ話してみたいと、こう思っておったのですが、この点が今どうなっておるか、おわかりになればお知らせしていただきたいし、わからぬとしまするならば、これは一つそのまま放棄することなく、十分な折衝をしていただきたい。われわれは、ただむちゃに負けてくれというのじゃないのです。そこで、参考として新潟県の自家電力を一つ例にとってみましても、自分で作りました新潟県の電力が電気会社へ売られる場合、いろいろな規定によって、自分ですぐ配給することはできないで東北電力に売られる場合、猿田発電所のものは原価二円九十九銭四厘で、三面発電所のものは、東北電力へ二円四十五銭で売っておる。それが大口の工場には三円七十四銭、しかも大口工場の小口の分には三円八十五銭で売っている。ところが、農民を中心にした一般の電気の使用者に対しましては、大口のものにこれは八円五十八銭、一般家庭が使いますものは十円十二銭、こういう妙な電力料金の形成を持っておるのでありまするから、これは交渉すればわずかの調製の電力料ぐらいが、負けられるわけはないという理屈は立たないと思う。絶対に立たないと思うのです。だから、農林省としては、そういう点を十分考慮してこれは、脱穀、乾燥、調製と、こうなるのですから、調製も仲間です。それを、これだけを乾燥だなんというばかな話は絶対ないのですから、よく教えてやって、これは割引をするように御努力をお願いしたいと思います。来たる農林委員会までには一つその結果をお知らせしていただきたいと思います。
  120. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいまの御質問に対しまして、担当課長が都合できょう参っておりませんので、報告をいたすことはできませんが、御趣旨通りに調製という内容に入るべきものだと思いますので、この点は関係者に対しまして強く要請いたしまして、次回までにお答えを申し上げます。   —————————————
  121. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから、委員派遣の御報告をわずらわすことにいたします。  先般、台風及び豪雨等の災害に関する現地調査のため、第一班、静岡、山梨及び長野、第二班、石川、福井及び岐阜の各県に委員派遣が行われたのでありまして、派遣委員各位におかれましては、遠路お出向きをいただき、ありがとうございました。  ただいまから順次御報告をお願い申し上げます。  一班、清澤委員
  122. 清澤俊英

    清澤俊英君 委員派遣報告をこれからいたしたいと思います。  一班の方は、青田委員と私とで、静岡、山梨、長野の各県の順で視察して参りました。特に山梨では、安田議員、長野では棚橋議員が参加されたことを申し添えます。  今日の被害をもたらした台風七号は、最大連続降雨量六百二ミリメートル、最大瞬間風速四十数メートルという烈風と、まれに見る豪雨を伴い駿河湾に上陸、富士川を北上して甲府市西側を通過、長野県に入り、上田市を経て、日本海に抜けたものであり、きわめて多大な人的、物的被害をもたらしたのであります。二県における今回の被害の特徴といたしましては、去年の二十一号台風の傷跡のまだいえないところが呼び災害を受けた場所の多かったこと、大河川のはんらんは少く、概して中小河川、特に準用河川のはんらん及び上流渓谷の土砂崩壊による河川閉塞から生じた山津波的被害が特徴的であったことでありまする並びに果樹地帯の災害が多かったこと等であります。以下各県の被守事情を日程に従って報告いたしますが、各地の、要望については後に一括して述べることにいたします。  九月十七日、静岡市に着き、県庁において災害の総括的説明及び地元関係者の陳情を聞きました。御承知のように、この県は去年の台風二十一号によって伊豆地方に壊滅的な災害を受け、その復旧の途上再び災害をこうむったのであります。この県の被害は台風七号によるものと、その後に発生した八月二十六日の豪雨によるものとでありますが、台風七号については主として県東部一帯に被害をもたらし、死者行方不明者十四人、全半壊家屋二千百七十余戸を含む総被害額五十二億七千万円、そのうち農林水産関係の被害は、水稲三億四千万円、果樹、蔬菜等の農作物四億八千万円、農業施設四億円、家畜五百万円、林業関係二億二千万円、水産関係二億円となっており、八月二十六日豪雨被害の方は主として県の西部を襲い、死者行方不明者五人、家屋全半壊百余戸等、被害総額は十九億九千万円で、そのうち農作物被害は、一億九千九百万円、農業施設二億二千万円、水産関係三千万円、林業関係一億七千万円という甚大な被害を受けております。県庁を辞して西部地区の藤枝、島田両市の被災状況を見ながらいまだ豪雨被害のつめあとのなまなましい金谷町に参りました。金谷町は大代川という小河川の上流滝川河川部を中心として大被害をこうむったのでありまして総被害額約十四億円、水田、茶園等の農作物被害四千五百万円、農地流出埋没被害千五百万円等、家屋、橋梁、道路、耕地等が全町的に被害を受けております。現地ではまだ倒壊埋没家屋の掘り出しに努力が払われており、土砂流入によって河床は二メートルも高くなったとのことで、町民は再度の水害をおそれて安眠できぬ状態であり、早期復旧措置と根本的治山治水事業に強い要望がありました。  次に、焼津市の防潮堤の被害状況を視察いたしました。この市の海岸一帯は千三百メートルの防潮堤により年産四十億円に上る海産加工業者を中心とする市街地がささえられておるのであります。この防潮堤は明治四十三年に築造されたものであり、当時の位置は前面に相当の砂浜を有しておったのでありますが、潮流の変化から砂浜地は漸次決壊して現在は全く護岸防波堤となっておるのであります。従って暴風等の強力な波浪の侵食を受け部分的決壊を見、そのつど補強工作を行なってきたのでありますが、台風七号によって堤防に亀裂を生じ、調査の結果、中心部は土砂を詰めたるものの土砂は流れ去りて内部は空洞となり、現在波浪は築堤の根を洗い一日も放棄し得ざる非常に危険な状態になっております。市民の不安は深刻でありまして、私どもが視察に参ったことを知った住民数百名が集まってわれわれの一行を迎え陳情嘆願し、中には手を合せておる者もあり、感慨胸に迫るものがありました、これが補強工事は急送に完遂すべきものと見て参りました。地元の要望として数億を要する本工事については政府において急速なる施行を強く要望しておりました。  十八日、山梨県に入り、甲府着、直ちに県庁において七号台風被害の大略を聞きました。この台風は、明治以来五十九年ぶりの強風、豪雨だったとのことでありまして、死者行方不明者九十名、全半壊家屋五千余戸、総被害額は二百六十六億五千万円、そのうち農地農作物等被害、合計は六十七億六千万円であります。農作物被害で一番大きなものは、果樹でありまして、被害面積四千二百八十二ヘクタール、金額にして十四億五千万円、水陸稲等の主要食糧作物七億二千万円、耕地については、農地流失埋没千八百八十カ所、面積にして二千二百ヘクタール、金額は十四億三千万円、水路農道等の施設災害については、八千四百カ所、金額にして二十三億二千万円となっています。林業関係については総額九十三億二千万円となっています。県庁を辞し、韮崎市の水田流失、埋没状況を視察いたしました。韮崎市は今度の台風でほとんどの河川がはんらんし、人命家屋等に多大の損害を与え、農地流失は二百三十八ヘクタールという大きな被害を出しました。  われわれは特にそのうち、釜無川沿いの一の谷、祖母石を視察したのですが、被害直前まで品質で県随一の米を産していた美田も巨石のころがる河床同様の荒涼たる砂礫の原と化し、流失した民家の跡、土砂に埋った破れた家、わずかに流失を免れた建物もほとんど半壊同様であります。  次に、武川村を視察したが、この村の耕地は上流の堤防決壊による耕地の荒廃であって、二万貫くらいの巨石がごろごろとしておる一面の石川原化していた。その上至るところに山くずれあり、惨状目をおおうものあり、今さらながら台風の猛威を痛感いたしたのであります。そこから芦安村に向いました。途中御勅使用に流城の芦安林道を通ったのでありますが、今度の台風によって林道は完全に崩壊しており、至るところに山くずれがあり、少い耕地が石川原となり、復旧の道もなき個所が見受けられました。従って小河川の徹底的な治山治水について強い要望がありました。  次に、甲西町に向いました。この町は甲府盆地の南端に位し、西部山岳地帯及び中央平坦地より流出した大雨量を受けて滝沢川、坪川、支之瀬川、秋山川、塩野川等の天井川が決壊し、被害田畑中埋没四十ヘクタール、冠水三百九十八ヘクタール、浸水百二十八ヘクタールという大きな被害を受けております。冠水田のほとんどが収穫皆無であり、残余部分も病虫害の発生によって無収穫に近いものと見られた。  次に、増穂町に入りました。この町は戸川、利根川、坪川、畔沢川等の集まった天井川があり、この台風で各河川とも決壊し、田畑の流失埋没四十ヘクタール、冠水百三十八ヘクタール等家屋流失、道路、橋梁の流失等その被害額は二億五千万円にも上っています。応急工夢中でししが、天井川の状態は上流地域における土砂崩壊により河床は上り非常に不安定であって、根本的な治水の必要を要望せられ、われわれも痛感いたしました。  翌十九日、甲府市を去る三里の石和町の被害状況を視察し、地元の要望を聞きました。ここはブドウ、リンゴ等を栽培する果樹地帯でありまして、その歴史は比較的新しく、地方吸血病の対策のため水田を畑に転換したのでありまして、終戦当時果樹反別四十ヘクタールありましたが、現在は百四十ヘクタールの作付転換が行われておる。だから、果樹地帯としては日が浅く、まだ経済的効果が十分でないところへ、このたびの台風で致命的な被害を受け、全くなすところを知らぬ悲嘆のどん底に陥ったのであります。特に収穫の直前だったので一銭の収入も見ず、被害を倍加している。果樹園の総被害額は一億一千八百万円に達し、方途に迷っておる状態でありました。これが復興救済措置として、農民は一反歩を三万円で自作地を国が買い上げて、十五年間に自動的に売渡価格によって買い戻しを受けられるような特別措置の実現について強い要望がありました。  次に、甲府市に入り、甲運地区の被害状況を視察しました。ここはブドウを主とした果樹地帯でありまして、被害総額二億七千万円以上と見込まれています。県の現在まで行なった対策としては、被害作物に対する応急技術対策の指導徹底をはかり、落果の処理については加工可能なものはできるだけ加工し、そのために他県の加工業者の協力を要請、また倒伏したブドウだなについては、高等学校生徒並びに県職員等の共同奉仕作業によって原形通りにブドウ園を復旧したのであります。しかしながら、永年作物としてのブドウは災害の影響を三、四年引き続いて受けることが見込まれ、その被害は数年続き、真の復興は数年後となり、水田等の復旧とはその趣きを異にしております。現在自動車や汽車の窓から見るブドウはよく色づけや成熟したもののごとく見えるが、手にして見ますれば、いずれも未成熟の果実が腐敗して色づいたものであった。  次に、同地区の開拓地を視察しました。この地区の開拓者も主として果樹経営を行なっていますが、まだ営農の基礎固まらないところへ、今度の災害を受け、果樹園は荒廃し、その上に家屋はほとんど全半壊し、住む家なく、食らうに米なく、働くに所なき窮地に追い込まれてぼう然たるありさまであった。従って全壊家屋の全面的国庫補助、道路の国費支弁による復旧について強い要望がありました。  十九日、長野県に入りました。この県の被害総額は二百三億余円であり、そのうち農作物被害は六十一億七千万円であり、そのおもなものは水稲の被害の二十四億九千万円、リンゴ十三億九千万円であります。耕地関係被害二十三億二千万円、林業関係三十三億四千万円の被害を出しています。一方、この県には九月十一日午後六時から七時までの間、南佐久郡、北佐久郡及び小諸市地方に猛烈な降ひょうと豪雨害があり、水稲等農産物に激甚な被害を与えたのであります。農作物の被害面積は四千九百三十ヘクタール、そのうち水陸稲二千三百ヘクタール、二億九千万円、果樹百十七ヘクタール、二千七百万円等四億余円の被害を出しております。われわれは、まず被害の大きかった松筑地方、特に東筑摩郡の四賀村を視察しました。この地方は山間部であって、準用河川と中小河川のはんらんと山くずれであって、人的災害を初め住宅、農耕地、林道等その被害額は三十七億七千万円に上っています。四賀村においては農作物被害は四千七百万円、家畜関係二百万円、耕地関係一億五千六百万円、林道関係一億三千三百万円等であります。特に準用河川上流渓谷の砂防工事の必要性を痛感いたしました。  二月二十日、小県郡東部町に入りました。この町は全国唯一の西洋クルミの産地であって、五反以下の零細農家の最も重要な生産物として農家経営の主体的役割を果す収入源をなしておるのである。これが七号台風により一万六千本の原木のすべてが倒伏し、当時は再興の見込みも失われたのですが、倒伏した木から芽を吹き出し、これを起すことによって再興の近道であることを発見し、現在これが再植作業を行いつつありますが、一体の再植には約二千円を要し、資金面に苦労しておりました。再植後五年から十年、どうしても十分な収穫は期しがたく、国の援助を強く要望していました。  次に、去年の台風二十一号と今回の台風によって完膚なきまでに被害を受けた長門町に行きました。被害総額は四億七千三百万円、そのうち耕地九千五百万円、林業関係四千四百万円であります。ここの河川の荒れ方はすさまじく、水路は一変し、現在の流路は災害前の道路や家のあった所であります。復旧工事もすでに始まっておりますが、治山の必要について地元の強い要望がありました。  次に、北佐久郡に入り、望月町、浅科村、浅間町において降ひょうの被害状況を視察いたしました。この地方は昨年の二十一号台風、本年の七月豪雨、七号台風及びひょう害によって四度災害救助法の適用地域になったものであります。ひょう害による望月町の農産物被害は千六百万円、浅科村一億円、浅間町一億二千四百万円等とその被害額は多額に上っています。何しろ鶏卵大の降ひょうに、数度の災害に残された水稲、蔬菜、果樹、桑園等ほとんど全滅の状態で、惨状月もあてられぬ状態でありました。降ひょうが小地域の損害額過小のため天災法の適用地域外となっておるので、連続災害とみなし、天災法を適用するよう強く要望がありました。現地を視察し、年間数度連続災害地区に対ししゃくし定木的天災法適用除外は法の精神を誤まるものと思われるのであった。  以上をもって視察を終ったのですが、最後に各県の要望を一括して申し上げます。  一、災害農家の経営資金の早期融資と利子の減免並びに既融資金の償還延期をはかられたい。  一、自作農維持創設資金のワク拡大をはかられたい。  一、被災開拓農家住宅及び畜舎復旧の助成並びに特別融資の措置を講ぜられたい。  一、被災農林水産共同施設の復旧に対し、大幅な助成の措置を講ぜられるとともに、補助率を引き上げられたい。  一、国庫補助が規定されていない小災害について特別の救済措置を講ぜられたい。  一、農地、農業用施設及び林業用施設災害復旧等の国庫補助率を引き上げるとともに、国庫負担率の範囲を拡大されたい。  一、施設災害復旧の早期完成をはかり、根本的予防対策を実施されたい。  一、治山事業については崩壊地復旧を公共施設災害復旧に準じて行われたい。  一、果樹地帯については特別の救済助成措置を講ぜられたい。  一、農薬、肥料、種苗並びに倒伏果樹や工芸作物施設の復旧に対して助成の措置を講ぜられたい。  一、予約売渡米の減額補正、前渡金の返納猶予及び利子の免除等の措置を講ぜられたい。  大体以上のごとき要望がありましたが、特別の要望を二、三申し上げて報告を終りたいと思います。一、近来の水災害は堤防等の完備した大河川に少く、準河川以上の渓谷や中小河川による被害が目立って多い点であります。これは山間渓谷や小河川の砂防施設の不十分のため年々土砂の崩壊、流出により河床が上り、災害を大ならしめているので、奥地の治水策、特に土砂崩壊防止施設と砂防施設の国家負担による完備の急務なる点が要望されていました。  二が国庫補助が適用されない小災害について。このたびの災害は報告の通り山間僻地が異常な災害をこうむったので、すべてが小災害となり適用除外せらるることは、経営耕地の少きこの地区としては経済力も弱小にして復旧にも困難している状態であるから、特別の措置を要望せられておりました。ことに山梨県においては、岸総理大臣が現地視察の際、多くの被災民を前にして前例もあることだから特別措置を講じてやるとの口約もあることだから、ぜひ要望の実現するよう努力するようにとの強力な要請がありました。  三、果樹地帯の復興についてであります。前に報告の通り、果樹地帯には共済制度もなき特別農家経営地帯であります。果樹地帯が受けたこのたびの被害は、台風による果樹の折損倒伏であって、通例災害とみなされる果実の不作災害でないところに特別な意義が存在するのであります。すなわち、多雨、風害、病虫害による果実の不作の場合は、翌年度において回復の道があるのであるが、この年度の災害のごとく果樹自体が折損倒伏した果樹園自体の災害は、本年一年度の被災にとどまらず、樹勢回復に数年を要し、従って、収入が元通りになるには数年を要するのであって、向後数年間の連続災害とみなすことが至当であって、この数年間農業経営上容易ならざるものがあるのであります。しかも、耕地の復旧には補助金等の措置があるが、果樹園の復旧にはかかる何らの措置が見当らぬのであります。しかるに、大蔵省関係においては復旧の陳情に対し、果樹はもうかって金があるからと冷遇せられている由で、関係者は憤慨するとともに、異常な苦慮を払っておりました。ことに甲府市外石和町のごときは作付転換の借金のある上に基礎固まらず、毎年肥料、農薬、果樹園補強資材、飯米等はすべて仕越借り入れにて経営している状態のところに、収穫寸前の被災は一銭の収入も見ず、明日の生活にも事を欠く状態なる上に、果樹の手当と果樹園整備に追わるる農民は水田耕作者のごとく耕地復旧工事に従事することもできず、このままの状態にては自滅のほかないのであります。農業の経済経営を指導する政府は、果樹農家に対し深甚なる考慮を払い、十分なる復興策を講ずべきであるとの要望もあり、われわれも現地を見て同様に感じたのであります。  四、このたびの災害中心地が山間地区であり、従って、耕地が川沿いに存在しているのであって、しかもこの場所を除いて他に水田を持たぬ地区の災害である。はなはだしき一例は、全部落七反の耕地に対し、五反を流失荒廃せしめているのである。明年度作付までには泣いても笑っても復旧が必要なことは瞭然たる事実である。しかるに災害復旧は年次割三、五、二となっているため復旧がおくれ、翌年度またまた災害をこうむる状態となるから、復旧年次を耕地関係においては五、三、二と改め、急速なる復旧が要望せられ、なお河川の改修が伴わぬ耕地復旧が再災害をこうむっている現実にかんがみ、特に河川の復旧の急速な措置を要望せられておりました。  第五、土砂崩壊復旧について。山くずれの復旧が年度内の場合は、災害復旧として補助金等の関係もあって比較的復旧も楽であるが、翌年度に回ると一般山くずれとして復旧がおくれ、再災害の主因となる点にかんがみ、大部分を災害復旧として年度内施行をやってもらいたい、との要望がありました。  以上をもって第一班の報告を終りますが、最後に焼津防潮堤は一日も放棄できない重大段階に来ているものと存じますので、特別措置を講ぜられることが至当と認めるのであります。  ただ申し上げておきたいのは、第五番目はこういう要望がありましたが、これは間違っておるらしいので、それだけ訂正しておきます。
  123. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 第二班、秋山委員の御報告をお願い申し上げます。
  124. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第二班の報告を申し上げます。  第二班は戸叶委員と私とで、九月十七日から二十二日まで、石川、福井、岐阜の三県下を視察して参りました。  まず、石川県においては、八月十八日午前八時出発、永田農林部長説明を聞きながら、穴水町経由奥能登へ向ったのであります。最初に輪島市役所幹部の各位に会いまして、今次災害のお見舞を申し述べるとともに、被害の実情について説明を聞いたのであります。日本海中部にあった低気圧より南に延びる温暖前線は、輪島—前橋の線に停滞し、これに南及び北より冷暖両気流が押し寄せたため、八月二十五日夜半からの雨は、翌二十六日午前一時ころにいわゆる鉄砲水となり、その雨量も午前五時ころにはその極に達したのであります。このころ山間部での二百四十ミリの雨量は河川と低地を問わず土砂等を押し出し、あまつさえ午前七時の満潮時と相待ったため、河原田川、鳳至川等を一挙にはんらんせしめ、本市及び低地を一瞬にして濁流の渦中に没せしめたのであります。この雨量は当地方の警戒水位を四メートル余り上回っていたということであります。  今次水害は、集中豪雨で山腹の崩落が相次ぎ、このため立木は土砂とともに低地に押し流され、これがため、人家の倒壊、流失、埋没が多かったのであります。  当市の被害額は三十九億一千三百五十二万円で、死者四名、負傷者五十名、全壊八十戸、流失二十戸、半壊三百戸、農林水産関係被害六億一千万円となっております。三万円以上の災害個所が一千九百個所もあるので、特に一カ所十万円という暫定法の緩和についての要望がありました。  次に、本市から鳳至川上流沿いに付近の被害地を視察しながら三俣部落に向ったのでありますが、この間特にわれわれの目に映ったことは、山腹は爪でひっかいたように削り取られ、谷間の田畑は土砂、流木で埋まり、全く手のつけようのない惨状でありました。三俣部落においては、自作農資金のワクの拡大と、農業共済金の仮払いの早急な措置と、鳳至川に沿って約四十カ村の部落一帯のいわゆる地すべり地帯の措置等の要望が特にございました。  そこから再び穴水町に帰り、町当局から被害額二十億二千万円と、死亡、行方不明五名、重軽傷者六百名、全壊二十四戸、流失七戸、半壊四百十九戸、農林関係被害額五億八千万円という説明がありました。また、公共土木施設及び農業施設災害復旧費の早期決定と、高率補助の適用等の要望を受けたのであります。同時に能都町からかけつけられた代表者から、来春の作付に間に合うよう早期国庫の補助を願いたいという陳情もあわせ受けたのであります。  次に、此木部落から八ケ川の上流沿いを視察しながら門前町役場に到着したのであります。ここは被害額二十六億六千万円と、死者二十名、行方不明六名、全壊三十二戸、流失十八戸、半壊八十二月、農林水産関係被害額十二億七千万円、このうち耕地被害額七億円等であります。この地方としては、かつて経験したことのないことからして、神代水という百年に一度の大水害の現われではなかろうかという話も聞きました。特に当地方昭和三十一年七月と昭和三十三年七月に相次ぐ今次水害とで、ここ四カ年間に三回も大被害を受けており、そのため地方民の負担能力は皆無といってよいほどであるので、どうか高率の補助と起債のワクの拡大等の措置を願いたいという要望が強くあったわけであります。  かくして同町を後にし、海岸沿いに八ケ川河口の堤防決壊付近を視察しながら奥能登を離れたのであります。  金沢に到着後、小林副知事を初め、県幹部から県下全般についての説明を聞きました。台風六号、七号及び豪雨の総被害額百十億円、このうち本県南部地方を襲った台風六号、七号の被害額は三億七千万円で、奥能登地方を襲った豪雨の被害額は、九十九億二千万円、そのうち農林水産関係の被害額二十七億円であります。県としては、今次の災害総被害額が県の年間予算をオーバーしていることと、四年間に三回連続被災地である点を特に指摘され、国においても台風六号、七号及び豪雨を一括して措置されたいということ、県としては一億五千万円のつなぎ融資を考えているが、これに見合う早期の資金的措置を願いたいこと、自作農資金のワクの拡大を願いたいこと、天災融資法の急速な実施を願いたいこと、現行法の一カ所の工事五十メートル以内を百メートル以内に改訂のこと、小災害については、国庫補助対象の限度現行十万円を三万円に引き下げるか、あるいは当面市町村起債のワクを認めて復旧工事を促進し、償還期に補助対象とされたい等の特別措置を願いたいこと、昭和二十八年災害におけると同様な特別措置による高率の補助等、各種の要望が強くあったのであります。  福井県においては、翌九月十九日、まず北知事、県議会議長、福井市長並びに県幹部各位に会いまして、県下全般の被害の説明を聞きました。おもに台風六号は嶺北地方を、台風七号は嶺南地方を襲ったのであります。八月十二日の昼前からの降雨に始まって、同日の午後六時から九時までの三時間の雨量は、嶺北の山間部で二百ミリから二百八十三ミリ、次いで十三日の午後から十四旧未明にかけて嶺南地方がひどくて、十三日の午後三時から六時までの雨量は百ミリ、六時から九時までの雨量は八十二ミリという豪雨であったのであります。この間の総雨量は、山間部で四百ミリ、平野部で二百ミリから三行ミリに達し、その総被害額四十八億円、死者四名、行方不明一名、農林水産関係被害額二十五億玉千万円、そのうち耕地被害額七億六千万円、林野関係被害額五億八千万円、水稲、豆類、蔬菜、果樹の被害額合せて十二億円となっております。県からは、今次の水害が昭和三十三年の福井震水災、並びに昭和二十八年の台風十三号に相次ぐ大災害であるので、その永久的改良復旧等の必要があること、全県下にわたり山間部の小災害が多発したので、いわゆる十万円以下の補償を願いたいこと、また三万円以下の災害合計額が七千万円にも及ぶので、この点特に国の補助を願いたいということ、その他、営農資金の低利措置、自作農資金の増額、天災法の早期発動、農業共済金の前払い措置等が強く要望されたのであります。かくしてわれわれは丹生郡澱下村の尼ケ谷部落を訪れたのであります。この部落は七町歩の水田と三百町歩の林野に生活の根拠を置いている五十戸程度の小部落ですが、その被害額五百万円、このうち二百万円程度が地元負担額になるので、これを一戸平均にならすと、約四万円となり、昨年九月の災害に相次ぐ災害と、全くその負担にもたえられないという窮状が訴えられたのであります。また澱下村村長からも、昨年の九月十二日の局地集中豪雨の被害のため、単年度の復旧にすら特例債の恩典を受けなければならない実情なのに、今次の災害と連続したので、高率補助の特例の道を講ぜられたいことと、早期復旧のために国の助成を願いたいこと、林野砂防等の抜本的改良復旧事業の施行を願いたいこと等の陳情を受けたのであります。次に、海岸沿いに地すべりで目下工事中の現場を視察しながら、越前町の梅浦村に着いたのであります。ここでは町長から、被害額九千六百万円であったことと、大小合せて百九十一カ所の田地の流失、埋没等の復旧費に三千五百万円を要する見込みであるが、一戸平均二反歩当りの零細農家の多い本町としては、一部の農家を除いてほとんどが融資を仰がなければ復旧困難な状態であること、特に梅浦区の被害は多種多様にわたり、被害額の三千万円は財政的にたえられないこと、ことに林道梅浦線は当区の農林水産物の搬出に重要な道路で、しかも織田町笈松に通ずる緯線道路の損壊は一日も復旧をゆるがせにすることができないため、復旧工事の実施に当り、国の最高の補助を仰ぎたい等の陳情を受けたのであります。  次いで武生市を経由し、今立郡池田村役場を訪れたのであります。ここでは農林関係の被害は一億円であること、特に水稲の流失被害二十余町歩の皆無石数に対する水稲共済金の七割の仮払い金の支払いと、土砂冠水による七割以上の被害石数に対しての水稲共済金の五割仮払い金の支払い等について陳情を受けたのであります。  ここで直ちに小型自動車に乗りかえ、損壊している県道を徐行しながら土砂等により埋没した水田や地すべりを視察しながら、田代部落付近まで強行いたしました。  翌二十日は足羽村の安婆加を視察し、足羽村の代表から陳情を受けました。この地方昭和二十八年に洪水をこうむっており、農家戸数十六戸で、六町歩の水田を持つ安婆加は、今次の水害に百メートルに及ぶ堤防が決壊、田畑の流失及び土砂の流入排除に要する復旧費一戸平均十四万円の負担額にはたえられない等の窮状を聞いたのであります。  かくて福井県を終え、翌二十一日には岐阜県庁を訪れ、県議会議長並びに県幹部等の各位に会いまして、お見舞を申し述べるとともに、県当局から県下全般の被害状況説明を聞いたのであります。  八月十二日、十三日、十四日にわたっての集中豪雨は、揖斐川流域の西濃及び南濃地方を襲い、被害は激甚をきわめたのであります。すなわち十三日、十四日の二日間の降雨トータル六百ミリ、時間雨量にして九十三ミリとなり、これは岐阜測候所創設以来のことであると申しておりました。被災地は揖斐、長良、木曾三大川の合流地帯で、古来より輪中として発達した農村にして、水田農業を主体とした穀倉地帯であります。その耕地の冠水による被害は、この地方での農業経営の主体性を奪い、住民の焦燥と不安はきわめて深刻なものがありました。総被害額五十三億二千万円、そのうち最も大きいのが農林関係被害額二十二億八千万円であります。ことに広範囲に及び被害が大きかった輪中地域は、耕地面積の二千八百六十町歩のうち冠水地実に二千町歩にわたり、しかも水稲流失の収穫皆無という壊滅的打撃をこうむったのであります。その他全壊二戸、流失二十二戸、半壊千六百四十戸、床上浸水四百六十六戸、床下浸水六千三百二十九戸、被災者四万二千六百五十五名等がそのおもなものでありました。また、八月二十六日の豪雨は、揖斐郡、美濃市付近及び加茂郡等の山間部地帯を襲ったのでありまして、その被害額六億二千万円、うち農林関係被害額は二億二千万円でありました。特に被害の大きい輪中地域は、当時の湛水量がざっと諏訪湖の二倍ぐらいとなり、過去六十年間の計算基礎にして作られた揚水機十六個は、土砂が入ったため運転不能の状態となり、ちょうど水門の仮締め切り前でもあったので、自然減水によるほか、手の施しようもなかったのであります。結局八月十四日から三十一日ごろまでの間の自然減水と、その後修理された一個の揚水機の四—五日間にわたる排水作業とにより、約二十日間ぶりに排水を終ったのであります。この地帯は標高マイナス一メートル五十センチからプラス二メートルという低湿地帯でありますが、平年の雨期でも若干の湛水はあるものの、十六個の揚水機が十分排水を可能にさせていたわけであります。  しかるに今次の水害には警戒水位四メートル五十センチを約二メートルもオーバーしたことと、かつて一度も経験しなかった根古地の牧田川の堤防決壊が百五十メートルにも及んだことと、ちょうど満潮時であったこと等の悪条件により大被害を受けたのであります。待避命令の出た約四時間後には輪中一帯が泥水の海と化したのでありますが、人命に異状のなかったのは各部落に常備の舟を持っていたことと、適切な待避命令が発動されたこととによるのではなかろうか、と今さらながら当時の模様を述懐しておりました。  県としては天災融資法の発動、再保険金の概算払い、特別起債の措置、小災害復旧についての特別起債の措置、農林漁業借入金の返還の延期及び利子の免除、再災害防止のための関連事業の範囲、自作農資金の増ワク、再生産資材確保対策について、被災農家の食糧米について、予約米概算金精算時期の延期、病害虫防除対策について、被災農機具修理対策について、国有林材の払い下げについて等各種の要望があったわけであります。かくして岐阜県南濃県事務所を訪れ、所長の説明並びに要望を聞いたのでありますが、そのおもなものは、現在厚さ五センチから一メートルぐらいまでの土砂の堆積した部分が六十町歩ほどあるが、この堆積土砂をため池に運び、新たな耕地を作りたいこと、被災民は現金収入を得るために老人婦女を残し、遠くは奈良へ、また名古屋、大垣等の都市工場へ日傭となり、食い継ぎをしていること、六万石の減収となっていること、何とかして来春の作付に間に合せるべく検討中であること等でありまして、特に保有米の現物貸与、種子並びに飼料に対する補助金の交付または無償配付等の要望もありました。同時に養老町の助役からは、昭和二十八年のごとき特別の立法措置をされたいこと、自作農資金の増ワク、天災融資法の発動等の要望がありました。  次いで根古地の牧田川の堤跡決壊個所を視察したのですが、ここでは堆積土砂の排除費等は国において補助してもらいたいとの陳情を受けたのであります。  次いで南濃町役場の助役さんから、災害による各種融資の増額並びに早期貸出について、また昭和三十四年産米の予約前渡金の返済延期について、並びに保有米の現物貸与等の陳情を受けたのであります。その他県からは輪中地域に保有米が少いので目下県をあげて一升米運動を続けている等、その復旧対策に鋭意努力中でありました。  こうして三県下の現地調査を終ったのでありますが、結論的に言い得ることは、石川県は局部的に被害が集中していること、福井県は散在的に全県下にわたっていること、岐阜県は広域に及ぶ輪中の穀倉地帯の被害が大きかったこと等であります。また、三県を通じ小規模災害が多いので、一カ所十万円という暫定法の規定を適用拡大すること、公共団体の起債の特例を設けること、資材購入の補助措置を行うこと、米麦の安売り措置と予約米概算金返納延期及び利子の減免措置等を行うこと、来春の作付に間に合うよう査定を早期に済ませること、復旧工事に当り現行法の原形復旧主義を改良復旧主義に改め、河川の改良と治山治水の根本対策を樹立する必要があること等が考えられ、ことに石川県能登地方における三カ年連続災害地に対しての、復旧費の負債償還期限の延期、あるいは軽減等特別の措置を講ずる必要があること等を申し添え、報告を終らせていただきます。
  125. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) どうもありがとうございました。   —————————————
  126. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここで次の議題に移って災害の件を審議いたしたいと思います。  農林漁業関係災害の件を議題にいたします。この点については、すでにたびたび委員会の問題となったのでありますが、その後台風十四号及び十五号の襲来もあり、また、ただいま委員派遣の御報告も伺いましたので、本日重ねて議題として事情をきわめ、災害対策の促進に努めることといたした次第であります。この点について質疑の向きは御質疑を願います。
  127. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま六号、七号台風と、その間に発生いたしました集中豪雨に関連いたしまして、主要被災県を委員の皆様に調査をいただきまして非常に詳細な御報告があったわけであります。それぞれその報告に基きまして今後とるべき対策等につきましても具体的な事項を示してのお話がございました。その後十四号台風がございましたし、一昨日はさらに最大の十五号台風が来襲をしたというようにまことに残念なことでありまするが、和次いで災害が発生いたしました。特に十五号台風はただいまも御報告の中にしばしば引用されましたように、昭和二十八年の十三号台風にもまさるとも劣りません大災害だったと思います。これが対策につきましては、まだ調査をもちろん完了いたしておりませんし、被害の程度等についても詳細ではございませんから、今ここでとやかく論ずるということは早計かと思いまするが、私どもの入手いたしております資料におきましては、おそらく十三号台風、昭和二十八年の災害の程度を上回る惨害であろうと想像をいたしております。現に私の生家等につきましても今もって何らの連絡ができないというような状況に置かれておることを考えますと、昭和二十八年十三号台風のときにはそんなに二日もたっても連絡ができないというような事態はなかったのでありますが、今もってそういうような事態が、現に今電話をかけましてそういうような事態があるということを考えますと、これはもうまさに言語に絶する災害であったと思います。そこで、この対策につきましては少くとも昭和二十八年の十三号台風の際にとられました対策以上の政府の施策がなされなければならぬと思うのであります。そういうことにつきましていろいろ財政的な関係もあろうとは思いまするが、農林省当局の格別の御高配をいただきたいというふうに思います。  特にこの際、一つ私新しい問題として考えていただきたいと思いますことは、天災法その他によって融資が行われますけれども、すでに指摘されておりますように、農業経営の近代化、合理化をはかりますためには農業会議所におきましても農業法への問題が提起されており、愛媛県の立間農協におきましてはすでに、私は現地を見たわけではありませんが、しるされている記録によって拝見いたしますというと、きわめて私は合理的な新しい一つの方向を示していると思うのであります。そういうことは、今後の日本の零細農業の経営の上に十分取り入れていかなければならぬ一つの方向であろうと思う。それで、農機具その他の問題にいたしましても、今までばく然と各月に復旧をするという融資であっては十分ではないというふうに考える、自然そこには共同経営的な感覚を取り入れた合理的な新しい営農形態というものを作らしていく必要があると思う、そういうことに関連してもう少し積極的に今後あるべき農業経営の姿というものを考えながら対処していく。こういうような新形態に移るについては、今までのものよりも高本な補助をやる、資金の融資をする、特別の施策を講ずる。私はこういう災害を、災いを転じて福となすというような意味において特に考えなければならない点ではないかと思います。そういう点について特別の御工夫をこの際一つお願いしたいと思います。  それから三重県にいたしましても、愛知県にいたしましても、大体十五号台風の被災地は昭和二十八年の十三号台風の被災地とおおむね一致しておると私は思う。あのときには高率の補助をし、特別の施策をやって復旧しました。それが今度の台風によってまた決壊をして被害をこうむっておるということです。今まで委員会等におきましても原形復旧だけではだめではないかとしばしば指摘されておる。原形復旧というところに問題の所在があると私は思う。わずか六年前の災害で、そのときには非常に思い切ったことをやったつもりでおった。ところが、わずか六年目で決壊をしておる。こういうような事態というものはもう一ぺん反省しなければならない。  そこで、今回の復旧に関しましては、いたずらに原形復旧ということにとらわれないで、今後続いてあろう災害というもの、それと取り組んでの復旧というものを考えなければならない。結局さいの川原になって数億の金を投じて作った堤防が決壊をしてしまうということになるから、もう一ぺんほんとうに基本的な反省をして考えていく。そこに今度の災害と取り組んでいく政府の態度としては新しい方向というものを考えなければならないと私は思う。原形復旧だけではいかぬということを十分一つ考えていただきたい。それは六年前の災害のときにやったのが今回つぶれた、その状態一つながめてみますればそういう一つの結論がはっきり出てくると思いますので、そういうことを特に今度の災害の関係に関連いたしましてお願いを申し上げたいと思います。  以上申し上げましたことは、昭和二十八年十三号台風の際とられた対策を下回らぬ対策というものを考えるべきである。そういう決心で当っていただきたいということと、それから新しい営農形態として農業法人というものがいいか悪いかは別問題といたしまして、その持っている精神というものを取り入れて、新しい形態というものを作っていく必要があるのではないか。そこには資金の効率等についても相当有利な点が考えられるのであります。そういう点について遺憾なき指導をやっていただきたいということ、それが第二点。第三点は過去の災害復旧の実績にかんがみまして、特に十三号台風のときにやったものがわずか六年目で壊滅に帰した、こういう状態は私どもは反省しなければならない。それはかねがね原形復旧、原形復旧ということにこだわった、そこに問題が伏在しておるのではないかということが考えられますので、こういう点もこの際根本的に反省をして、来たるべき災害に、何も災害を求めるわけではございませんが、それと取り組んでいく対策を根本的に考えなければならないということを私は希望いたします。この点について次官の一つお気持を承われば非常に仕合せと思います。
  128. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいまの十五号台風が一番最近に被害をたくましゅういたしまして、この台風の結果につきましては鋭意集計中でございますが、お説のようにまだ全然情報の入手できない県がございまして被害の甚大なのに驚いておるわけでございます。ただいまの御意見にございました、いわゆる順序は前後いたしますが、まず第一にいわゆる原形復旧か、さらに改良復旧かという問題でございますが、この問題については、かねて問題になっておりまして、行政取扱いとしていわゆる著しく困難であるものとか、不可能なものであるとかというものに限って、改良復旧は原則的に行政措置で取り上げておったわけでございます。それから災害関連復旧事業としていささか改良復旧に近い形のものも取り上げられておったのでございます。しかし、やはり現実に同じ個所で災害が起きまするので、これは格段の原形復旧の思想から改良復旧の方へ踏み切るべきものだということで農林省におきましては、先般もその意思を統一いたしましてそういう趣旨で災害を見て大蔵省との折衝に当るべきであるということに意思を統一してございます。ただ、予算総額の問題がありまするので、部内でその査定でいろいろ現実には問題点が残ると思いますけれども、そこまで考え方は農林省としては統一して進んで参っているのでございます。  それから農業法人の問題にからんで、経営の規模の問題が御意見にございましたが、この点につきましての抜本的な問題は、目下いろいろ部内においても起案中でございまするのでその方向自体については今ここで申し上げる時期でございませんが、お説のような点もございまするので広い視野から、災害復旧にちなんでの視野で臨みたいと思います。  それから十三号台風と同じような扱いをするかどうかという御意見でございますが、この点は災害の度合いの報告を待ちまして善処をいたしたいと思います。
  129. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの私の報告の中にありましたね。これは長野の九月の十一日のひょう害の問題です。ひょう害に対して天災法が用いられないで非常に困っている。さっきも申し上げました通り、六号、七号の豪雨、それに今度のひょう害となりまして、きょうここへ被害桑苗とか稲を持ってきておりますが、桑苗はみんなとれてしまって、稲はまるっきり脱穀機にかけられない。従って菜でも大根でもほとんど壊滅の状態で、一カ年を通ずれば全く収穫皆無という実情になっている。ところが、そういうひどいものになっているにかかわらず、天災法にそれが十億以下か何かだというので当らぬということはこれは全く政治じゃないと思うのです。解釈の仕方によっては私は当然しかるべきものだと思う。これが桑です。皆落っこっている。これが稲なんです。わずかに災害に残った稲がこんなものです。これが豆だ。大根が皆土に入っている部分に穴があいている。こういう災害を受けているときに、これは閣議でも何でもきめて、解釈の仕方で私はどうにでもなると思う。これは、稲がわずかに残ったものがこうなっている。何にもならない。災害だけは年間に四回ぶっ続けに起きて、たまたま残った稲がこんな状態だ。これはしゃくし定木に天災法が当てられるの、当てられないの——天災法がなければ別の方法で金を出していただきたい。これは考え方一つだと思います。福岡市内の堤防の俵の問題とか、これは三浦さんががんばって、水防法にないけれどももらったでしょう。大野さんも一つこれはがんばってもらわなければならぬ。それは新潟であろうと長野であろうと農民の困るのに二つありはしない。これは一つどうなっておりますか。しゃくし定木なことは言いなさんなよ。怒りますよ。
  130. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) ただいま清澤先生からお話がありましたが、長野を中心といたしまして、岡山、富山、北海道等におきまして降ひょうを見たのでございます。われわれとしましてもさっそく現地に人を出しまして被害の状況を調べたのでございますが、現在被害見込み額は約三億円という数字に相なっております。先般の六号並びに七号の台風関係につきましては、実はいち早く天災法の発動をするということで、実は、ひょうの前に全部手続を済ませまして、天災法を発動いたしてすでに政令を公布したわけでございます。従いましてその後にこの降ひょう問題が起りましたので、実はこれを何とか救済する措置はないだろうかということでわれわれとしても真剣に考えておるわけであります。まあさしあたりの措置といたしましては、これはまだ最終的な意見ではございませんけれども、われわれ事務当局の話といたしましては、大体今回のひょうを受けた被害の激甚地が先般の風水害を受けた地域と大体同じ地域になっておるという関係もございますので、先般一応二十億というワクで天災融資法の融資額というふうにいたしたのでありますので、その資金の中から、現実には風水害を受けた農家も、それからひょう害を受けた農家も同じような地域であるということを長野県の当局の方も言っておりますので、従いましてそういうふうな措置によってやっていこうかという考えをとっております。しかし、これでなお救えない場合もありますので、場合によりましたら、今後災害というものは十四号、十五号なりの災害等も合せましてなおもう少し検討させていただきたい、かように考えております。しかし、天災法関係以外におきましても、たとえば自作農資金等につきましては、先般の春のひょう害のときにも出した例もありますので、いずれこれらにつきましても長野県全体の自作農資金というものを、一部はすでに内渡しいたしておりますけれども、今後の被害額に応じまして資金交付をするという際におきましても考えて参りたい、かように考えておりまする
  131. 東隆

    ○東隆君 私は農村関係の問題でなくて漁村の災害関係でありますが、これは第十四号台風が北海道道南の方面、ことに日本海岸を襲ったのは九月十八日でありますが、これによって漁村関係で、約二十三カ町村にまたがるのでありますが、死亡者が九名出ております。それから行方不明が四名、そうして漁船では動力船が六百六隻、無動力船が千四百六十七隻、それから漁具は七百六十八件、そういうような関係、それから漁港の方面は約三十六であります。そういうような大きな災害が起きたのでありますが、この今回災害に見舞われた所が実は北海道の道南の方でありまして、一番早く開けた所でありますが、北海道に視察をされる人はほとんど見向きもしない所であります。そういうような地帯に実は非常に大きな災害が起きた。高潮に見舞われて一部落が全滅というような、そういうような所もできて参りましたし、非常に大ろうばいをいたしておるわけでありますが、これに対して実のところを申しますと、ここが前年までずっと協議を続けておったところであります。従ってその前の時代に天災関係、災害関係の資金なんかもきておりますが、そういうような資金はほとんど延滞というような状態になっておる。そういう経営の方面から見ても、その他の面から見ても、救いがたい状態に置かれたところをやられた、こういう悲惨中の悲惨な状態になっておる。そこで、これに対するいろいろな方法は、これは今までの災害関係にありましても、一応実は書き並べて、そうして強くこれを要求いたしております。書面はもうすでに知事が持って、そうして農林省の方にもお伺いをいたしておるのでありますが、その方面以外に、私は特に考えていただきたいことは、幸いことし沿岸でもってスルメがとれておるわけであります。それで、そのスルメをとるための船がない。そうして食べるものもない。実に悲惨な状態に置かれておりますので、緊急に一つ船をチャーターして、そうしてとれるような態勢を作りたい。こういうので、町村でもって多少動いておるところもございますが、実は先ほど申し上げましたように、非常に困難なところでありますから、資金の融通の方法もない。こんなような状態に置かれておるところであります。そこで、一応の見通しをつけて、そうして資金の融通の面に対する保証のような形ができるならば中金も、あるいは道漁信連も、その他のものも出す可能性があろうと思いますけれども、今ほとんどそういうような道は完全に閉ざされた形になっておる。そういうような場合に、人の救済というような、そういうような問題も含めておりますけれども、緊急な方途を、先ほどの天災資金でありますとか、あるいは自作農維持創設資金は何でしょうけれども、そういうような恒久的な方法でなくて、緊急の資金の融通の方法、こういうものを考えていただかなければ救われないという状態になっておる。そういうものについてのめどを一つお聞きしたい。これが一点であります。それから、今申し上げたような状態でもって資金を融通するのにほとんど融通の道がない。こういうような場合における融通の仕方、これは今までの借金その他をたな上げして、そうして出すよりほかに方法がないのですから、そういうような方法を何らかの形でやるより以外にない、こう考えておりますが、これについての考え方。それから第三点は、先ほど森委員からお話がありましたが、やはり画期的な考え方でやはりよそに移すような方法考えなければ、これは解決がつかない。それはもうほとんど土という土は流されてしまって、そうして家はぶっこわされてしまって、そこに原形復旧どころの騒ぎじゃない。復旧してそこに家を建てて住まうということはすでに困難なような状態になっておるところもあるのですから、そういうようなものに対しては、私はやはりよそに移していく、こういうようなことも考えなければならぬような状態に置かれている。そういうようなものに対する考え方ですね。そうしてそういうものについては、今現に糊口の問題があるのですから、それを満たすためにも、こういうような方法も、これはなかなか自治体だけの活動では、これはやりようがない状態である。こういう悲惨な状態のケースですね。これについて私は緊急なる方途を、これを農林省の方でもってやり得る道を少しでも早く知らしてやりたい、こういう考え方なんですが、これを一つお伺いをいたします。  一般状態その他は、今まで災害に対しては十分にいろいろな方法を講じておるのですが、現行の形で、いろいろな方法はこれは計画を立て、そうしてお願いをするのですけれども、今申し上げた点は、これは緊急の点でありますから、特にお伺いする次第です。
  132. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) お答えいたします。今回の十四号台風による水産関係の被害は非常に大きいようでございましてまだ確実に全部がわかっておるわけではありませんが、現在わかっておるだけでも、十四号台風では約二十五億くらいになっているのじゃないかというふうに推計いたしております。御指摘のように、特に北海道の道南地帯では被害が相当多いように思いますので、とりあえず水産庁の調査資料課長を現地に特派して、現存調査中でございます。  それで御指摘の問題の第一点は、特に道南地帯では凶漁が続いておりますので単純な災害対策ではなかなか基本的な解決が困難ではないかという御指摘でございますが、この道南地帯はまさしく凶漁が続いておりますので、この災害は特に手痛い害を与えたというふうに私ども考えております。なお、御指摘のように緊急の措置といたしまして、被害町村で船をチャーターしたらどうかという御指摘がございましたが、この点も過日北海道庁の方から連絡がございましたので、この具体的な考え方をもう少し詳細に検討してもらいたい、私どもの方でも研究するからということでいきたいというふうに話し合っている次第でございます。  なお、第二の過去の焦げつきの分のたな上げの問題、それから第三の御指摘の漁村を移したらどうかというような御指摘もあったわけでございますが、その点は非常にこの地帯にとっても私たちにしても重要な問題でございますが、なおこの点は慎重に検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  133. 東隆

    ○東隆君 今の漁船のチャーターの問題なんですが、これは問題は船を借りるときの場合に、旅費代でも何でも、そういうようなものは、これは一時しのぎの生活の資金なんです。それから今ほとんど動力船がやられてしまっておるんですから非常にチャーター料が高くなっている、そういうようなものはある程度押えてやるのには、もちろん相当な形でもって組織的にやらなければならぬと思いますが、そういうものは団体がやり得ると思う。そこで問題は、緊急に金が要るんですが、計画というよりは金が一番先になるように考えるんですが、そういうものの出す道はないものですか。先ほど災害のときに土俵をこしらえたのを三浦さんは、これは全額じゃありませんけれども、出すようにしたようなそういう例もありますけれども、緊急な場合ですから私は特に計らいをする必要があろうと、こう考えます。
  134. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) ただいま現地に漁船保険関係の係官を派遣いたしまして、仮払いをいたしております。過日現金もその方に送りまして仮払いと、それからもう一つは大体の査定を取り急ぎやっておりまして、その査定を済ますことによって信漁連その他からの急速な融資の道も開いております。従ってさしあたりの非常に緊急を要する漁船関係の金融の問題としてはそのような措置でできるだけのことをやっておる次第でございます。
  135. 東隆

    ○東隆君 実はこれは非常に残念なことなんですけれども、漁船保険に加入しているのは何か六分の一ぐらいしかないような、そんなような数字で大あわてをいたしております。そこで、これはそういうような事情もやはり凶漁その他でもって苦しんでおるからそういう形が出ているのだと思うのでありますが、先ほど言ったチャーターの関係、それからたな上げの関係、それから移住の関係ですね、こういうような点をこれは緊急な問題として、一つ十分にお考えを願いたいのです。ほかのいろいろな法制その他によってなし得るところの道は私はもちろん強力に要請するのですけれども、今緊急の場合としてそれを特にお考えを願いたいと思います。
  136. 清澤俊英

    清澤俊英君 水産庁の方に伺いますが、さっき私の報告にあった焼津の防潮堤の問題ですが、もうよくおわかりだろうと思いますが、非常に緊急を要すると思います。今どういうふうになっているのか、一応お伺いしておきたいと思います。それから現地の人はもちろんのことですが、昨晩の夕刊を見ましても高潮で家屋が破壊している、そのような状態のところでもう根がどんどん洗われている。こういうような状態ですから至急にこれを完成してもらいたい。これは熱烈な住民の要望なんです。それから高潮で半田の町がほとんど壊滅したということもありますので、そういう事件が起きない前に何らかの処置がとられるかどうか、今どんなふうな情勢になっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  137. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) ただいま御指摘の焼津の件でございますが、実はきょう具体的に聞いて参っておりませんので、ちょっとお答えしかねますが、ただ私、聞いている範囲ではこのような漁港関係の災害につきましては、なるべく早く現地に調査官を出しまして時期がおくれないように補修その他の措置をすみやかに講じたいという方針でございますので、そのようにいたしたいと思います。ただ、具体的な御指摘の点はちょっと私聞いて参りませんのでお答えいたしかねます。
  138. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはあなたのところの管轄じゃないのですか、焼津の防潮堤は。ということは、現在も補強はしているのです。非常にゆるいけれどもやっているのです。それから、あなたのところで知らないと言われるとこれは建設か、もしくは別のところでやっているのですね。関係のあれはあるでしょう。
  139. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) 焼津の漁港関係の修築その他については、これは水産庁の所管でございます。従って漁港関係の災害の復旧ですと私どもの方でやっていると心得ております。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 防潮堤ですよ、防潮堤が漁港の前に町を防ぐためにずっとあれしているのですが、これは建設省の方ですね。あなたの方で御存じないといえばあるいはそうかもしれません。
  141. 高橋泰彦

    説明員高橋泰彦君) その点、具体的に調査いたした上ではっきりとお答えいたします。
  142. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 災害の激甚地に対して小災害復旧をやられることは、これは当然だろうと思いますが、そのやり方について、私の記憶違いでありましたらそのように御指摘願ってけっこうですが、地方自治体に起債を認めて、あとで元利償還をする、伊豆災害に対してそういう措置をとられましたけれども、技術指導に対して、たとえば農林省の査定とか、あるいは府県の技術官の査定設計という面についてあまり農林省の方で力を入れておられない。具体的に言うならば、県の技術者の設計指導に対しての事務費というようなものを従来見ておられなかったのではだかろうか、やり方としては県の地方評が指導して、町村が適当に工事をやる、そういうようなやり方をしておるために小災害が適切妥当な復旧をされておらない。従って再災害の原因を誘発する非常に技術的に見て脆弱な復旧のやり方をしておったのじゃないかと思うのですが、起債と元利補給というやり方は、それはそれで一つのあり方だと思うのでけっこうですが、技術指導についてもっと農林省が積極的に力を入れて責任を持つ体制をとられたらどうか、この点に対しての農地局長のお答えを願います。
  143. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 昨年やりました市町村起債に対します元利補給につきまして今、先生のおっしゃいました事務費の補助をいたしておらなかったことは確かでございます。御指摘の点ごもっともだと思いますので、今後予算要求をします場合にはその点を留意してやっていきたいと思っております。
  144. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  145. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  先刻お話し合いにより、ただいま議題になっております災害対策促進に関する決議案を朗読いたします。    災害対策促進に関する決議案   本年も既に台風及び豪雨等による災害が各地に頻発しその被害甚大であつてまことに遺憾に堪えない。   よろしく政府は、一層の努力をもつて災害対策を促進し、被害者の救済と災害の復旧に遺漏なきを期すべきである。   なお、従来閑却されていたと認められる次の事項についても格別の措置をなすべきである。  一、果樹の災害についてはこれが復旧に対する応急の措置とともに次の結実収入があるまでの期間における被災者の営農に対する救済援助  一、小災害の復旧に対する特別助成   右決議する    昭和三十四年九月二十八日       参議院農林水産委員会  以上の決議案を委員会の決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  ただいまの決議に対して政府の所見を伺いたいと存じます。
  147. 大野市郎

    説明員(大野市郎君) ただいま災害対策促進に関する御決議をいただきましたので、政府におきましてもその御決議の趣旨を尊重いたしまして、善処いたします。
  148. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件は本日はこの程度にし、本日の委員会経過にかんがみ、当局善処を要望いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時五分散会