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1959-08-01 第32回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月一日(土曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            永岡 光治君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 赤城 宗徳君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    大蔵省管財局国   有財産第二課長  細川 俊三君    運輸政務次官  前田  郁君    海上保安庁長官 林   坦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (次期主力戦欄機機種選定に関す  る件)  (第二次防衛計画に関する件)  (駐留軍提供施設返還後の措置に関  する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日は、国の防衛に関する件を議題として調査を進めます。  政府側出席の方々は、赤城防衛庁長官門叶官房長加藤防衛局長小山装備局長山下経理局長小幡教育局長前田運輸政務次官林海上保安庁長官、以上でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁長官にお伺いいたしますが、主力戦闘機種の問題が、ちようど六月中旬、内閣改造党人事で非常にもめているさなか、きわめてこつ然として、昨年の四月十二日の国防会議内定白紙還元されたということについて、国民は理解に苦しんでいるわけですが、白紙還元になった理由と、ことに内閣改造党人事がもめているさなか、何の理由があってかようにこつ然と早急にやられたのか、その点御説明願いたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、昨年の四月に次期戦闘機についての国防会議内定があったのであります。ところが、当時採用しようとする機種等につきましては、現実にそういう機種ができておらなかったわけであります。でありますので、これを日本に適当するような形に換装するといいますか、変えた場合を基礎としていろいろ検討して、グラマンの98J—11というものを内定いたしたわけであります。ところが、その後この新機種が開発されたといいますか、できてきました。実はその当時はG98J—11という機種もできておらなかったわけであります。それから、その他ロッキード関係におきましても、F—104Cというようなものができております。あるいはコンベアもできております。ところが、今申し上げましたように、その後開発された新機種ができてきましたし、あるいはまた資料等につきましても、アメリカの方の軍の機密で資料提供ができなかったものもあるわけでございます。ところが、解除されまして、そういう資料等につきましても、相当新しい資料が整ってきた、あるいはまた現実戦闘機種ができてきた、こういう情勢になりましたので、そういう情勢基礎として国防会議懇談会等において検討を進めてきたわけであります。でありますので、本年の六月に現実に新しい機種ができておるということであれば、その機種現地において操縦して、運用上あるいは性能上の特質を確かめてから最後決定をした方がよろしかろう、こういうことになりまして、六月に内定白紙還元して、新たに出発して、現地に現在あるところの戦闘機を操縦し、そのためには調査団派遣して調査をするのが適当であろう、こういうことになったことは先刻御承知かと思いますが、そういうような事情であります。  また、内閣改造あるいは党人事等を改めた時期にそういう決定をしたということは、何か特別の理由があるのかどうか。こういうお尋ねでありますが、昨年の四月に内定しましてから、国会の当委員会等におきましても、いろいろこの問題についてお尋ねやらお話がありました。その他国防会議におきましても、懇談会という形で、相当検討をしてきたわけであります。そういう検討をしてきましたので、現在の国防会議メンバー等におきましては、今までのいきさつを十分検討してきた建前もありますので、いきさつ等をよくのみ込んでおる国防会議において、内閣改造とか党人事とかいう問題とは関係なしに、一応どういうふうな扱いをするか、こういうことをきめた方がよくはないか、こういうことで調査団を出して再出発するといいますか、新たに現地について調査をする、こういう結論を出したいきさつになっております。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのいきさつについて理解できない点がありますので、もう一回伺いますが、五月二十六日に国防会議議長である総理大臣の岸さんは、当時の防衛庁長官伊能さんに対して、ロッキードにしたいという意思表示をした。これに対して当時の伊能長官は猛烈に抵抗を示している。そして六月の十日ごろから十二、十三と防衛庁事務当局背景とする伊能長官国防会議議長である岸内閣総理大臣とは非常に意見が対立をしております。そうして六月十五日の会議では新たな資料の提示が何もなくて白紙還元されたと、こういうことになっているわけです。新たな資料が出なかったということは、国防会議事務局長が先般当委員会答弁しているわけなんですがね。その点いかように理解したらよろしいのか、もう少しその点説明を願いたい。
  6. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国防会議議長である岸総理大臣ロッキードにしたいと、こういうことを発言したり、あるいは伊能長官に命令したといろ事実はありません。私も官房長官として国防会議懇談会あるいは会議等に出ておりましたが、内定について白紙還元をして、新たにもう少し検討した方がいいじゃないかと、こういうことは言われておりましたが、ロッキードにきめなくちゃならぬというようなことを発言した事実は、私は承知しておりません。それから新しい事実が出なくて白紙還元したんじゃないかということでありますが、最後懇談会がありました翌日、正式の国防会議があったのでありますが、その懇談会の席上におきましては、財政的の根拠及び価格の点、こういう点で資料提供を受けて、それに基いて懇談会をやりまして、その翌旦正式の国防会議を開きまして白紙還元調査団派遣、こういうことになったわけであります。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨年本問題が起って以来、私どもは本委員会で再三、再四にわたってこの案件調査したわけですが、そのときに、ともかく新主力戦闘機種を選定するに当りましては、できた飛行機日本のパイロツトを乗せてみたらどうか、従って現地調査する必要があるのではないか、机上だけで考慮して決定するということは適当でないということを主張し続けて参ったわけですが、そのわれわれの主張はやはり必要があるということにお認めになったものと了承してよろしいかどうか。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、当委員会等におきましても、私も中間的に矢嶋委員の御質問等に答えたことがありますが、一度は試験的に買ってみるのも方法じゃないか、そういうことも私お答えしたわけであります。しかし、いろいろ買ってみるということでは、費用が相当かかるということで、結局現地調査団派遣してテストしてみることが一番妥当な公正な方法でないか、こういうことになりまして、それにつきましては矢嶋委員の御発言、御意見等を相当尊重された形で、こういう結論が出た、こういうふうに私は考えております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いますが、先ほどもあなたは昨年の内定のときにはG98—J11、こういう飛行機ができていなかった。しかし、その当時の調査並び源田空将もその当時おいで願ったわけですが、エンジンも3型から7型に変えた、ただエンジンの型が変っただけで飛行機はできてないけれども、専門的な立場から見てそう変ったものではないのだ、だから不安はない、こういうことを答弁されておった。ところが当時、衆議院決算委員会に証人として出た当時の川島幹事長、今も幹事長にカムバックされておりますが、川島幹事長は、速記録防衛庁だけで調査させることは疑惑を招いて適当でないから、だから防衛庁だけでなくて他の分野からも人を人れて調査しなくちゃならぬ。そうして特に川島さんと、当時は河野さんは党内野党でなかった、党内与党だったのですが、河野一郎さんは国防会議事務局長にも強い圧力を加えて、これは速記録に残っているのですがね、ロッキード説明を聞け。それで聞き方が悪いというのでしかりとばして、当時の国防会議事務局長は、ずいぶんまいったはずです。そうして八月七日、九日に、当時の資料なんですが、これは川島幹事長と、それから河野一郎さんの強い今井事務次官広岡事務局長に対する圧力によって、ロッキード懇談会が開かれた。メンバーまでちゃんと出ているわけなんですが、こういう経過があるわけです。従って六月十五日の白紙還元の当時の共同通信から流れた地方新聞を見ますと、私は熊本新聞を見たのですが、六段抜きで、グラマン白紙ロッキードに傾いてきた。そうして岸総理佐藤蔵相急変と書いて、伊能防衛庁長官不満という六段抜きの記事で、全国の地方新聞にも出ているわけです。従って国民は非常な疑惑を持ってこの問題を見ているのですが、それで時間があれば、あとで触れようと思うのですけれども、失礼かもしれませんが、一般の世論は、赤城防衛庁長官は、新主力戦闘機種ロッキードにきめる使命を持って防衛庁長官になられた、こういうふうに邪推か、推察されているわけなんですね。確かにここに木村大先輩がおられますが、木村さんは日本防衛庁の生みの親ともいうべきそういう方面では私は功労者だと思う。それ以来防衛庁長官は、参議院でずっと出ているわけです。杉原さんの時代津島さんの時代佐藤さんの時代伊能さんの時代。今度に限って衆議院側から、しかも、官房長官赤城さんが防衛庁長官になられたというだけに、国民疑惑は倍増されているわけです。従って後刻調査団派遣される、それに触れますけれども、防衛庁長官としてこの国民疑惑をいかにして解かんとするのか、あなたの御心境なり決意を伺いたい。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろの揣摩憶測や何かのあることも、私は承知しています。ただ、衆議院から特に自分を選んで出すのには何かあるのじゃないかということは、非常に誤解だと思います。衆議院からは御承知のように、まだ船田中君も防衛庁長官になっております。それから防衛庁というものがここでも議論がありましたように、とかく防衛庁長官の任期といいますか、防衛庁長官に在職していることが非常に短いというような指摘もありまして、そういう意味から私が適任であるかどうかは別としまして、防衛庁長官ということに対しても、再認識をしたといいますか、前から認識をしておったかしれませんが、とにかくそういう意味で私を防衛庁長官ということにしたと私は考えておりまして、ロッキード採用させるために派遣派遣というか、防衛庁長官に任命したと、またされたというふうには考えておりません。そこで、そういう関係がありますから、調査団派遣して、調査団の公正なる調査の結果に待つ、これは御承知でありましょうが、この問題については日本ばかりではありません。西ドイツ等におきましても、相当数調査団を出して、アメリカ現地に送致して見ております。カナダにおきましても現地でやっています。それから最近におきましては、スイスにおきましてもアメリカ調査団を二十人ぐらいと思いましたが、出して、現地について調査をした。こういうことになっておりますので、先ほど申し上げましたようないきさつもありますが、やはり調査団調査に信頼して、その公正な調査基礎としてきめていくのが至当である。そのきめ方によって今までの疑惑等が一掃されると思いますので、いかにここで私がいろいろなことを申し上げても、決定の仕方がまずければ何にもならぬことでありますから、公正なる決定によって揣摩憶測やら疑惑というものは解消していきたい、こう考えております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのうちに内容論に入りますけれども、長官、やはり納得できないところがあるのですよ。それは内閣改造党内人事のもめておるさなかに急速に白紙還元されたということは、やはり僕は伊能さんの身分の関係等があると思うのですよ。防衛庁長官はしょっちゅうかわってはならんということは、私は何回も主張し、岸さんにも何べんも要望したのです。続いて防衛庁長官を勤めることは、赤城さんにかかわらず、伊能防衛庁長官でそれはけっこうなんです。しかし、今まで委員会に臨んで参った津島長官、それから左藤長官伊能長官、この主張とそれを支えて参りました防衛庁事務当局のこの委員会に臨んだ態度から言えば、白紙還元になった場合には、相当やはり責任問題が起って参ります。だからそこの主管大臣国会、立法府に対する責任問題と、内閣改造とを一本に片づけようと、同時に片づけようと、こういう政治的な配慮のもとに、あの六月中旬、非常に御多忙なさなかにこの問題をきわめて強引に急速にやられたわけで、それは政治家としてのセンスを持っておる人たちは、直ちに想像できるわけです。だからなかなかあなたの答弁通りに受け取るわけにいかない。だから私は国民疑惑を解いてほしいということをまず前提に伺っておるわけです。今技術部技術第一課長高山さんという一佐がまだ在任されていると思うのですが、この人が昨年十月の二十四日に本委員会参考人としておいでになって公述されたその速記録がありますが、私はとうとうと述べられてまくし立てられたので、私は将来に、速記録に残してあるのだが、この速記録は少くとも五年間残しておきますので、あなたは専門家だから歯が立たぬ、今あなたがおっしゃった速記録は少とも、五年間とっておきますから、あなたも忘れないようにと言っておいたのですが、今私高山さんに会ったら、白紙還元して海外調査団を出すことになったら、高山さん、私に対してどんな顔をするだろうかと思っているのですが、だから、お気の毒だから私はここには出席を願わんでおるわけなんです。こういう数々の疑問があるわけですが、その疑問には私答えていただかなければならぬという立場で伺ったわけです。  少し内容に入って参りますが、今度は源田空将団長として派遣されるということですが、この調査団は、調査して帰って、それを防衛庁長官報告し、それを事務当局内で検討し、そうしてある現地調査防衛庁内の検討と合せた一つ防衛当局結論が出たものを、国防会議議長報告なり、答申をするのですか。それとも今度の源田調査団現地調査した結果を、それを国防会議議長答申報告されるのですか。どういう性格のものですか。
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 調査団の任務といたしましては、わが国次期戦闘機としての運用上、及び性能上の見地から適否を比較検討するため、調査対象機種についてみずから操縦し、試験するとともに、その武器体系適合性調査して防衛庁長官報告するということになっております。でありますので、防衛庁長官である私は、その報告基礎といたしまして、国防会議議長にその調査の結果をまあ何といいますか、具申するというのか、その報告をする。でありますから、一応私が報告を受けて、それを国防会議議長報告するということに相なります。事務的にどうこうということは、そのときによりますけれども、事務的に報告をなおそれを訂正するとかなんとかということはないと考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、実質的にもう源田調査団現地における調査の結果というものは、ただ事務的に防衛庁長官を通るだけであって、内容現地から持って帰った報告は、そのまま国防会議議長具申報告される、こういうことですか。それとも源田さんが現地調査して帰る。帰ったものをあなたの防衛庁庁内で一緒にディスカッス、検討して、そうして一つ防衛庁としての責任ある結論を出す、そうしてこれを国防会議議長具申報告する、いずれの形をとられるのですか。
  14. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 源田調査団報告報告として私が受けて、それを国防会議議長に申達するといいますか、これが筋だと思います。それから国防会議の方から、防衛庁側としてどういう考え方かということになれば、私の方でそれを基礎といたしまして、適当なる意見を付して国防会議の方へ出すことに相なると思います。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから次に、調査団性格ですが、私はこの調査団というのは、今アメリカにある飛行機のいずれか、絶対的にいいものがなくても、そのうちのベター、いずれかを選択して報告しろと、こういうものでなくて、アメリカの今ある飛行機検討すると同時に、アメリカの兵器の生産発達状況等も広範に視察検討されて、場合によると、今この時期にいずれかの一機種を選んで二百機なり、あるいは二百四十機なり生産過程に入るということは適当でない、こういう場合によれば報告もなされる性格の私は調査団であるだろうと、こう考えているのですが、その点はいかがなんですか。
  16. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 主として次期戦闘機FX操縦テストに当るわけでありますが、しかし、今お話しのように武器体系適合性というようなことも含んでおりますが、これは戦闘機種としての武器体系適合性もありますが、しかし、戦闘機種以外の武器による防空というようなことも、これは参考といいますか、ある程度の調査はしてくるということに相なるかと思います。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 明確に承わっておきたいのですがね。いずれかの戦闘機種を選定する。そしてそれを二百機生産するということは確定していないと思うのですね、私は。その二百機作るのか、二百四十機作るのか、それとも全然作らないのか、そういうものを全部白紙の形で飛行機のことを検討し、今後の日本防衛装備をどうするかという広い角度から私は調査されるものと思っているのですが、そうじゃないのですか。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一次防衛計画におきまして、飛行機は千三百機作る、こういう計画になっております。しかし、その中で次期戦闘機は三百機ということになっておったのでありますが、いろいろな関係から二百機ということにした。しかし、これにつきましては、第二次防衛計画等を策定いたしまして、国防会議できめることになっておりますが、今、最後決定をしておるわけでありませんけれども、次期戦闘機については二百機を予定しておる、こういうことになっております。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの答弁をもってすると、源田調査団というのはどの主力戦闘機かを選定してくる使命を持っておるということなんですね。ところが、他の角度から承わりますが、昨年源田空将が本委員会において証言されたときには、率直に言って、日本防空という立場からこの問題を考える場合には、三機種くらいが必要になろうという源田さんは見解を表明されているのですがね。一機種にするか、二機種にするか、三機種にするか、また要撃戦闘機のみにするか、あるいは制空戦闘機要撃戦闘機と二種にするか、いろいろな見方があると思うのですが、それらの点について調査団に何かのワクをはめてあるのか、それは全部白紙立場調査を命じているのか、その点承わりたい。
  20. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 調査団ワクをはめてはおりません。ただ、調査対象機種としては、グラマンロッキードノースロップコンベア、この四機種調査対象にいたしております。いろいろな機種を併用するということは、日本のいわゆる国防基本方針にもありますように、国力、国情に応じて、ということになりまするならば、日本財政事情やその他から、いろいろな機種を採択するということはちょっと無理かと思います。でありますので、結論的には一つ機種を選定する。こういうことに相なろうかと思います。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 源田調査団の構成は、あなたの方で任命したのですか。源田団長があのパイロット五名ですね、これはお選びになられたのか、どうですか。
  22. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私が任命したのでありますが、その任命についての人選は、団長である源田空将その他、また源田空将として諮るべきところに諮ったと思うのです。その具申によって私が任命した、こういうことです。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民にいろいろ疑惑がありますので、念のために承わっておきたいのです。私はしろうとながら四機種をいろいろな資料で調べてみると、それぞれ長短があるようです、かりに選択する立場に立つた場合。ノースロップなんかというのは最近できたようですが、安いようですし、コンベアなんか今まであまり相手にされてなかったけれども、これは米軍が最もよく使っている安全度の高い、若干スピードは落ちるようですが、相当やはり高く評価される飛行機のようです。しかし今わが国で一番国民によく知られ、それから政界でも論じられているのは、ロッキードグラマンなんですね。それで念のために承わっておきますがね。今まで防衛庁当局は、本委員会における答弁では、ロッキードがかりに、私はノースロップコンベアが問題にならぬということを言ってるんじゃない、かりにこのロッキード採用になる場合は、主契約川崎航空従契約が新三菱重工グラマンの場合は、主契約が新三菱重工従契約川崎航空だ、こういうことになっているわけです。また、今までのグラマン社並びロッキード社と、日本の商社並びに生産会社との今までの行きがかりから言っても、大体そういう系列がすでにできているわけです。これらの点について、いろいろ巷間うわさがとんでおりますので、あるかないかわかりませんが、政治献金等とも関連があるとか、いろいろ揣摩憶測が行われているわけですよ。だからこの点、今私は承わっておきたいのですが、かりにロッキードなりグラマンがきまった場合の生産会社というものは、先ほど私が申し上げましたように、今まで防衛庁当局から言明されておった線というものが変ることはない、こういうふうに了承しておってよろしいのですか。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) どういう機種にきまるかわかりませんが、きまってからの契約は、通産当局がやることになります。でありますので、その事情調査した上、通産当局が適当な航空機製造会社契約を結ぶ、こういうことに相なろうかと思います。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃさらに私は追いかけて伺いますがね、こういうことが伝えられているのですよ。河野一郎さんはもう徹頭徹尾ロッキード主張されておったわけですね。昨年の八月二十五日にグラマン決定されるはずだったのです、当時の防衛庁長官によって。ところが、八月二十二日に河野一郎さんが、その背景には児玉さんがいるのですがね、児玉さんの意を受けて、河野一郎さんが、当時の田中衆議院決算委員長を使って、八月二十二日に衆議院決算委員会でこの問題が爆発したわけです、爆発をね。だからこの六月中旬の内閣改造と、党人事のごたごたのときに、ロッキード採用に踏み切ったことは、これは党内野党に下った河野一郎さんの顔を立てた、こういう見方をしている人がずいぶんいるのです。ところがですね、昨年四月十二日に国防会議内定したときに、グラマンというのは、これは岸さんは相当そのときはグラマンに傾いた。その前は岸さんはロッキードだったのです。ところが、急に四月十二日にロッキードになったので、一番憤慨したのは児玉さんなんです。児玉さんという人は、その事情をよく知っている人である。その児玉さんから河野一郎につながった。で、衆議院の田中決算委員長につながっている。こういうことになった。だから岸さんは、新三菱重工に仕事をさせなければならぬ義理合いになっているわけです。四月十二日内定後に新三菱はアメリカに社員を派遣していろいろ準備したわけです。だからもし新三菱重工にならなければ、新三菱重工としては、岸さんに猛烈な反撃を加える、こういう情勢もあるわけです。だからかりにロッキードになった場合に、今までの川崎航空との関係は切れて、新三菱重工になるであろうという憶測がある、果せるかな、先般朝日新聞だったと思いますが、源田調査団出発を前に機種問題をただすというので特集している。これは、だれが応ぜられたか知りませんが、防衛当局に問いただすという一問一答形式で出ているわけです。そこにこういう問いが出ている。そこで私はびっくりした、だから念のために伺っている。ところが私の問いに対してはきわめて長官白々しいお考えをなさっているので、もう一ぺん念を押して伺っているわけです。問として、「もしロッキードに決ったら生産会社はどこになるか。」という問、それに対する防衛当局の答え、「昨年グラマン内定した時、生産については新三菱重工が七、川崎航空機が三の割合で受持つことに話合いができた。機種が何に決っても、この原則は残るはずだが、」この原則は残るはずだと、こういうふうに答えているわけです。そうなると、ははあ、やっぱりそうだったかと今までの疑惑にさらに輪をかけて国民は疑念を持つわけです。従ってもう一ぺんお答え願いたい。
  26. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 大へんうがったようなお話でありますが、それはやはり一つの世間の説としては承わっておきますが、それが事実だというふうには、私は考えておりません。でありますから、そういうことがあるといたしまするならば、そういう疑いやらなにかがなく払拭するようなことにいたしたいと考えております。なお、先ほど申し上げましたが、機種決定したときに、通産当局契約すると、こう申し上げましたが、間違いでありますので訂正いたします。通産当局防衛庁と相談して、航空機産業行政の立場から決定するということに相なります。でありまするから、そういう立場からこれもあらためてそういう立場からきめることであります。今どの機種がきまればどこと契約するのだというようなことは、予想したり考えておりません。ですから、決定の上において、今申し上げました航空機産業行政の立場から通産当局防衛庁と相談してきめるということになっております。そういう公正な立場からきめていきたいと、こう考えております。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今度は内容に少し入って参りますが、F—86F、これを日本が初めて作ったのは昭和三十一年、昭和三十一年に十六機作ったわけです。今アメリカ軍は、F—86Fは在日米軍は全然使っていないわけです。F—86Dしか使っておりません。それだけF—86Fというものは今落ちてきたわけです。ところが明年度さらに四十三機なお作るというわけです。昭和三十一年に初めて作りかけて、もう米空軍としては時代おくれだというのでF—86Dにおきかえて、現在F—86Fは使っていないのです。ところが、なおこれからそんなものを来年度四十三機作るということをあなたは発表しているわけです。こういうことから考えても、またグラマンを確信を持って内定をし、われわれにああいう説明をされて、一年を経過せずしてさらに白紙還元調査しなければならぬというふうな発達進歩の状況から考えて、二百機国内生産するのだ、時代おくれの飛行機になろうがなるまいが、二百機の生産で新主力戦闘機種決定していくのだ、こういうやり方は、私はF—86Fの愚を繰り返すことになる可能性が強いと思うが、これにはどういう見解を持っておられますか。
  28. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 次期戦闘機決定いたしましても、現実にそれができてくるまでには相当の期間を要するわけであります。で、日本といたしましては、F—86Fの生産計画をし、また、防空上それを必要として生産を続けておりますので、その空白を来たすことは防空上困ることでありますから、F—86Fにつきましては、計画通り生産を続けていく、その後においてFXの生産に、採用に移る、こういうことになっているわけであります。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないから次に進みます。安保条約の改定が行われますと、バンデンバーグ決議の趣旨に制約されて、共同軍事行動をすることに相なるわけです。従って、新主力戦闘機種の選定に当っては、安保条約を企図されている政府の防衛当局としては、これと関連づけて新主力戦闘機種の選定をされると思うのですが、いかがです。もう少しわかりやすく言えば、共同軍事行動をとることは義務づけられて参るわけですから、だから今アメリカがどういう飛行機を持っているか、どういう飛行機が沖縄にあり日本にあるかということと無関係では、新主力戦闘機種は選定しないであろうというふうに私は考えるのですが、その点はどうお考えになっておりますか。
  30. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 聞くところによりますと、NATO等におきましては、そういう点が非常に強く出ているようであります。しかし、今、日本において考えておりますことは、安保条約が改定されて共同防衛ということにはなろうと思いますが、機種選定が直接それに結びついてやらなくちゃならぬというふうには考えておりません。いろいろな事情からそういうことも一応は考えられるかと思いますが、直接安保条約の改定、バンデンバーグ決議の趣旨を取り入れるから機種の選定が同一機種ということにしなければならないという拘束は受けないと思います。
  31. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ちょっと関連。さいぜん機種問題で矢嶋委員から御質問があって、それが新しい方向へ別の案件に進まれるようでございますから、機種問題のさいぜんの矢嶋委員の質問の中でちょっと理解しがたい点がありましたから、その点だけお尋ねをしておきたいと思います。その内容は、さいぜん矢嶋委員お尋ねの際に、防衛庁長官は、源田調査団報告をそのまま国防会議防衛庁長官報告される。その上で機種決定についてさらに国防会議から要求があれば防衛庁としての意見を提出する、こういうお話がありましたが、そうすると源田調査団報告防衛庁の見解というものの関係がどうなるのかという点について、私理解に苦む点がありますので、一応もう少し詳細にお話をいただきたいと思います。
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 源田調査団調査の結果の報告を見ませんと、その点をどういうことか断定はできませんが、とにかく報告報告として、なまのままで国防会議の方へ出すべきだ、こう思っております。ただ、国防会議としてほかの観点等からも、たとえば財政上の問題とか、科学の問題とか、その他いろいろな国防会議としてまだ検討する要素等があって、防衛庁側としては、どういうふうな考え方であるかということでありますならば、防衛庁としての防衛立場からこれは意見を出す、こういうことに相なろうかと思っております。しかし、調査の結果の報告が断定的な報告になるか、あるいはそうでない、まだ含みを持っておるものか、いろいろこれはワクをはめて出すわけでありませんから、その結果はどういうふうになるか今予想できません。でありますので、今申し上げましたようなことに相なろうかとこういうふうに考えておるわけであります。今どうこうということをはっきり申し上げるのには調査団の結果に、調査報告によりませんと申し上げられないだろうと思います。
  33. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 それではもう一点お尋ねをしておきますが、調査団派遣に際して、新聞等で防衛庁長官の見解が明らかにされたように記憶しておりますが、新聞等でありますから、この際明確にお尋ねをいたしておきたいと思いますのは、しからば源田調査団報告がどういうものであるかまだわからないということについては、よく理解ができるわけでありますが、源田調査団報告が提出せられた暁においては、防衛庁はその報告についてどういう態度をとられるのか、それを尊重し、十分その趣旨を防衛庁の見解として国防会議にお出しになるかどうか、その辺を伺いたい。
  34. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 責任ある調査団派遣しまする以上、調査団結論防衛庁としては尊重する、こういう建前で派遣するわけでございます。
  35. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういう条件になりますと、ちょっとただしておきたいのですが、源田調査団はどこの要請に基いて派遣することになったのですか。国防会議の要請なのか、あるいは防衛庁の要請で防衛庁長官の要請で派遣することになったのか、どちらの要請で派遣することになったのか、まずその点をただしておきたいと思います。
  36. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 去る六月の国防会議結論白紙還元調査団を出す、こういうことに相なっておりますのは御承知通りでございます。そこで、この調査団派遣につきましては、防衛庁長官の責任によって防衛庁長官の任命によって調査団派遣することにいたしたわけであります。国防会議から派遣するということはありません。
  37. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると国防会議の責任ではなくて、防衛庁長官の責任で一切この問題の調査及び報告の処理はあなたの考えでこれは処理せられるべきものと理解してよろしゅうございますか。
  38. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 処理の問題は別でありますが、調査団派遣についての責任そのまた結果の報告ということにつきましては、防衛庁長官が全責任を持つ、こういうことであります。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは将来重要な問題になって、場合によると防衛庁、航空自衛隊は分裂するおそれがあるのですよ。だから私は聞きますが、この調査団は、防衛庁として長官として出すのだったら、源田さんの報告をなまのまま国防会議に持っていくのはおかしいですよ。あなたは防衛庁長官として出したら、その報告を持ってきたものを防衛庁で十分ディスカッションして、そして防衛庁結論として国防会議に持っていかなければおかしいですよ。だから僕はさっき述べたんですよ。ところが、この調査団派遣は取り扱いようによってはいろいろとれるようになっておるけれども、しかし私の判断では、六月の十三日から十五日にかけて、これは直ちに白紙還元しようとしたところが、当時の伊能防衛庁長官は猛烈に抵抗した。だから、その調査団を出すという条件ならば白紙還元に応じよう、しかし、調査団派遣するということが明確でなければ白紙還元には絶対に応じられない。もしそういうことになれば、今まで事務当局として国会に臨み、防衛庁内に努力してきた今井事務次官とか、あるいは小山装備局長加藤防衛局長が責任をとる場合が起ってくるだろう、こういうことさえ伝えられた。これは私は防衛庁長官からも聞いていない。これは新聞記者の皆さんの一部から聞いたのです。私の判断から言っておる。一体、この話は間違っていない。それで取りようがあるだろうけれども、六月十五日の白紙還元になったときの国防会議の条件として、これは派遣されることになった。そういうふうに私は判断するわけです。しかし、源田さんが、だから私は源田さんに今日来てもらいたいということを言ったわけです。この人の態度は非常に重要なんです。だから源田さんが持って帰ったのをそのまま国防会議議長報告する。もし必要があったら、防衛庁としてまた出すであろう、こういう伏線、これは私はちょっとおかしいと思います。しかし、時間がないからさっき私は追及しなかったのですけれども、伊能さんから出ております。ということは、やはり私は信じないのだけれども、ロッキード・ラインというのはずっと引かれてきたというわけですから、あなたから源田さんから。それからグラマンロッキードと争った当時、私は大体旧海軍系がグラマンを推した。その当時のロッキード派と言われた松前空将補は北部に転任させられた。ところが今度あなたと源田さんのコンビに、松前さんは航空総隊司令として北部から帰ってこられた。そうして源田調査団のパイロット三名というものは非常にウエート、重要性を持つ。ところが、この三名ですが、私のところには人名もわかっているが、僕の調べたところによると、当然だろうけれども、源田さんとは非常に懇意な人ばかりですよ。源田さんがこうと言えば、それに逆らった意見なんかはけない義理合いの人が大体選ばれている。それで信じたくないけれども、いろいろな政治的配慮からロッキード・ライン、そうしてノースロップとかコンベアなんというものはただ調査対象にするというさしみのつまにつけられておる、こういう見方をしておる人はずいぶんある。私たちは社会党としてはまた別の見解を持っているけれども、とにかく先ほど伺ったように、あなた方の内閣の方針として戦闘機をいずれか一つ選ぶということになって四つの機種調査対象にしたということになれば、源田調査団というものは、その調査団がどういう構成になっておるであろうが、全く白紙できれいな立場でその対象になっているものをあらゆる角度から調査されて帰って、そうして防衛庁に持って帰られて、防衛庁の内部でもそれぞれ担当者、専門家があるだろうから、一緒に報告検討して、そうしてその調査団を任命したところの赤城官房長官にそれを答えられて、そうして赤城官房長官国防会議の議員でもある、それからまた、議員の中でも防衛庁の担当国務大臣として責任も権限も私は大きいと思います。その責任において国防会議議長報告する、こういう形が僕は正しいものだと思います。ところが、さっきのような伏線のようなものというのは、やはりいろいろのうわさを考えるときに国民疑惑を増すと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろお話がありましたが、白紙還元前のお話を聞いても私困ると思うのです。白紙還元した以上は、これは公正な立場でやるということを信じていただくよりほかない。ですから白紙還元前の話をいろいろ言われましても、それは白紙還元した以上、そういうことは全部なしにして、新たに出発したいという心がまえであります。  それから今源田空将とパイロットのつながり等もお話がありましたが、これはやはりジェット機に乗った時間とその人の人間的な性格、主として乗った時間等を標準として私の方へ言ってきましたので、そういう公正な立場から選出したのでありますので、そのつながりが何か目的を持ったつながりであろうというようなことは、御懸念されないようにお願いしたいと思います。  それからまた人事の異動等につきましても、順序がありますので、何も機種選定とのつながりにおいて人事の異動をしたのではない、こういうことに御了承を願います。(永岡光治君「私の質問に答えていない」と述ぶ)それから今お話がありましたが、源田調査団報告は、これはなまのままで国防会議に出す、必要があれば私の方で意見をまとめて国防会議に出すということを申しました。国防会議の方から出してくれというようなことであれば、出すということを申しましたが、これは今のお話のように、当然私の責任において、防衛庁側としての意見は付すことになろうと思います。ですから、さっきのは少し受けて立つようなことでありましたが、受けて立たんで、やっぱりなまのままで、報告報告としていたしますが、私の方の意見というものも国防会議には当然出すことに相なろう、こう考えております。
  41. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 最後に関連で、やや今の答弁でわかった感じがしますが、さいぜん防衛庁長官は、報告報告としてなまのままで出す、その他国防会議から求められれば、財政上その他の理由もあるから、防衛庁意見を出す、こういうお話しでありましたが、ただいまのお答えとその間に若干の食い違いがあるわけですが、財政上の理由その他日本において調査せらるる範囲のものは、一応すでにパイロットが行って乗るという以外の点においては、昨年以来の国防会議もしくは国防会議懇談会において、論議は尽されておるように私は考えるわけです。  そこで、さいぜん防衛庁長官は、白紙還元以前の問題についてとやかく言われても困る、これはお説の通りで、私も全く同感であります。従って白紙還元以後になった今日において、防衛庁長官は、源田調査団意見を尊重するとかように明確に言われたわけでありますが、それと同時に、防衛庁意見も出されるというのでありますが、その防衛庁意見基礎になるものについては、過去において国防会議もしくは国防会議懇談会において論議せられたもの以外のものであるのかどうか、またそれらの点について、そのときの意見をどういうものを出されるかということを私はここで聞こうとは思わないのでありますが、新しい事情、その後の白紙還元以後の新しい事情について、御意見を出されるということであれば当然でありますが、もし新しい事情等現在御念頭にあられるならば、私はあらかじめ伺っておきたい。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 新しい事情について検討することは当然だと思います。そこで、防衛庁側として新しい事情ということはどういう点ということは、今私の方で気づいておる点はありません。ただ、先ほどから申し上げておりますように、内定当時と違って、現在新しい機種ができて飛んでいますから、そういう新しい調査の結果というものがもたらされることと思っております。それは新しい事情だと思いますが、しかしそのほかに、今特に新しい事情というものを私どもが考えている点は、あまりないような気がいたします。
  43. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 私は、その点については、源田調査団調査の結果を尊重されるとあなたが言っておられるので、それに対する何らの疑惑は持っておらぬわけでありますが、その他、国防会議から意見を求められたら、防衛庁としては、財政上その他の理由を勘案して、防衛庁意見を出すとこう言われたので、それらの点については、すでに今日までにおいて、財政上その他の理由については尽されておるように私には感ぜられる。従って見解を出されるという際においては、源田調査団調査の結果を基礎としてやられるのか、別途、財政上その他、何らか新しい事情に基いた意見を提出されるのかどうか、こういう点を実はお伺いしておるわけです。
  44. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 源田調査団調査を尊重し、これを基礎としてやることは当然でありますが、それから財政上、価格の問題等につきましても一応論議が尽されたのでありますが、御承知のように、この分担といいますか、生産に当って、アメリカの方がどれだけ費用を出すかというような点などは、まだ確定しておらないことは御承知通りであります。そういう点もありますから、新しい事情がどういうことであるかということは、今あまりないと思いますけれども、そういう点などもまた残っておる点もあるかと思いますので、そういう点を申し上げたいと思うわけであります。
  45. 永岡光治

    ○永岡光治君 もう一回確かめておきたいのですが、そうすると、源田調査団派遣は、国防会議派遣ではなくして、防衛庁長官の責任においてここで派遣をした、つまりあなたの意見をまとめるために、あなたの自信を持つために調査団派遣される、従ってその調査報告は、そのままずっとあなたは国防会議にそれを報告するとこう言う、それからあなたの意見も添えて報告するとこう言うのですが、何かぴったりしないような気がするのですが、どうなんですか。あなたの責任で派遣した以上、あなたはそれを受けて、あなたの判断のもとに、国防会議報告するのか。それとも報告報告として、そのまま源田調査団報告をして、それにただあなたの意見としてつけ加えるものがあるとするならば、つけ加えて報告するのか、どっちなんですか。もう一回明確にしておいていただきたい。これは今後重大な問題になるわけです。
  46. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 調査団派遣するということは、国防会議決定であります。でありまするから、調査団派遣するのでありますが、その派遣につきましては、防衛庁長官が責任を持つ、そういうことでありまするから、調査団調査の結果というものは、これはなまのまま一応国防会議報告するのが筋だと思います。しかし防衛庁といたしまして、各般の事情からこういうものが適当だというふうなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、聞かれれば私の方から出すということを申し上げましたが、聞かれないでも、これは責任上国防会議に出すということに相なるわけであります。
  47. 辻政信

    ○辻政信君 関連いたしまして。簡単にお伺いいたしますから簡単にお答え願いたい。この機種問題が世間の疑惑を招き、こんがらかった根本原因はどこにあるか。それは、こういう純粋な軍事専門的な事項を国防会議にかけたことが誤まりの根本です。この点については、伊能防衛庁長官の態度は正しいと思う。これはパイロットの専門的意見を尊重されて、これをどのくらい作り、どういうふうに編成するか、その予算とにらみ合した防衛計画をおやりになるのが筋であります。そこを間違っておった、川島さんでも、河野さんでもいろいろおっしゃるが、一体ジェット機を見たこともなければ、乗ったこともない人たちが、利権屋とか民間浪人を交えて、この問題をこんがらかしたというところに、今日の政界に疑惑を起した根本原因がある。でありますから赤城長官は、今度長官に新しく就任なさった以上は、この国民疑惑を解くために全努力を尽していただきたい。従いまして、私は源田調査団報告防衛庁において審議をされて、それは直接国防会議に出さない、防衛庁意見はこの通りだ、機種については少くともしろうとが口を出すな、こういう態度をおとりになるべきものと思います。いかがですか。
  48. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 前半の御意見は私もその通りだと思います。どういう船が防衛上必要だとか、どういう飛行機防衛上必要だとか、こういうことは自衛の責任を持っておる防衛庁でこれは決定すべきだと思います。ただ、御承知のようにいきさつがありまして、そのいききつというのは、第一次防衛計画等国防会議に諮りまして、飛行機は千三百機なら千三百機を三年間に作ることになる。その中からたまたま話が戦闘機の話になりまして、国防会議で実は決定すべきものでない方へ走っていって機種の選定に議論が集中して、その問題でたびたび会議が開かれてきた。こういう事情になっています。だからほんとうは辻委員の御意見のように、これは防衛庁側決定すべきだと思いますが、いきさつがそうなっていますから、それで相当論議をされてきていますから、今もう国防会議の権限外だということできめるというわけには参りませんので、まあいきさつ上、これは一応私どもの方で調査団意見を尊重し、国防会議に最終決定はまかしていくということになると思います。しかし、今後はこういうことを国防会議に諮ったり、議論に上せるということはすべきものではない、こういうふうに考えています。
  49. 辻政信

    ○辻政信君 悪いいきさつだということはあなたは自覚されておりますからいいのですが、悪いということがわかったらなぜ改めないか、今からでもおそくない、きっぱり改めなさい、この機会に。  次にお伺いしたいことは、源田調査団派遣なさる目的がグラマンロッキードコンベアノースロップ、この四つの花嫁候補、そのうちのいずれをもらうのか、もっと広い視野の上に立って、世界の進運に即応するように、ミサイルにどのくらいの予算をかけ、飛行機にどのくらいの予算をかけるという見通しに立って任務をお与えなさろうとするのか、もう一度はっきりお答え願いたい。
  50. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 調査団の任務は四つの機種について操縦の上選定をすると、こういうことにいたします。しかし、武器体系上どういうことがいいかということも、これはやはり検討を合せてしていくべきだと思いますが、しかし、そのことはこれはやはり調査団の主目的ではないと思います。調査に行ってみましてそういうことも調査をされることに相なろうと思いますが、主目的ではない。それをどういうふうにするかということは、これは次期国防計画等におきまして検討すべきことだと、こういうふうに考えております。
  51. 辻政信

    ○辻政信君 赤城さんは政治家であり、源田さんは専門家なんです。その専門家源田さんに大きな政治的な問題をきめることは無理ですから、主目的として四つの候補から選ぶのはいいと思います。しかし、防衛長官政治家でありますから、その専門家が出す意見を世界の軍事情勢とにらみ合せて、現にアメリカにおきましては、軍事予算の配分がミサイルは年々増加していっている、飛行機は年々減少していっている。こういうことはあなたが政治的な全般の見地から大筋を間違いないようにしなければならない。それには今度調査団をやるのですから、副目的と言われたが、私から見ると、むしろ機種四つのいずれをとるかということよりも、ミサイルにどれくらいの重点を置き、飛行機にどれくらい置くかということが、国民の関心の的だと思うのです。その点についていかがですか。少し小さい問題に頭を突っ込み過ぎておりませんか。
  52. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御説の通りであります。小さいことに頭を突っ込んでいるわけではありませんで、次期防衛計画等におきましては、やはりミサイルに力を入れようというような計画もいたしております。ただ、機種問題におきましては、いろいろ先ほどから各委員からもお話がありましたように、疑問もあったり、疑いもあったり、いろいろなことがありますから、公正な立場源田団長みずからも乗り、操縦者も連れていって、性能上、運用上の適応性というものについて検討してくることは、これを主目的にすることはやむを得ないことであります。
  53. 中野文門

    委員長中野文門君) 簡単に……。
  54. 辻政信

    ○辻政信君 簡単にやります。私は源田君を非常に信頼しているのですが、実は少し疑問に思うことがある。それは最近出た週刊朝日「源田空将との一問一答」、そのところに、源田君の答えとして、「調査期間は長いほどよいが、まず、確信ある結論を出します。一つだけをというのではなく、どっちでもいいという結論になるかもしれない。また、この方がよりいいということになるかもしれない。しかし、二つの機種性能を並べたようものは出しません」、こうなっておるのですね。そこに非常な私は実は疑惑を持っておる。今、問題は、四つの、四人の花嫁候補が上っている。そしてグラマンは、これは器量が少々悪いが従順である、安全性が高い。ロッキードは非常に性能が強い。器量はいいが、亭主をしりに敷くというようなくせ者だ。(笑声)そういうことで議論がからまっておる。源田君が行って、四人のうちの二人がほしいというような意見を出したのでは、これは収拾がつかなくなります。長官としては、この混迷を脱するためには、はっきり信念を持って一つを選定して下さい。そうせんと、二つを持ってくると、持参金の多い少いでまた政治家がそこへ介入いたしまして汚職の疑いを持たれる。国のためにこの一点だけは出発前に長官として源田君に責任を持って四人のうちの一人にきめてこい、こういうことをおやりにならんというと、政界の疑惑は解けませんよ。それについてどう思われますか。
  55. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは源田調査団長を信頼する以外に道はありません。信頼して調査をまかせる、こういうことにいたしたいと思います。
  56. 辻政信

    ○辻政信君 私が言うのは、あなたが出発前に任務をお与えになるでしょう、長官として。どっちでもいいという意見を持ってこいではいけない。この混迷を解くためには、性能のいいものを君が専門的にどっちか一つ選んできなさいということを指示しなさい。それが、一任して勝手にやらすということは、長官としての責任は工合悪いです。いかにして政界の混迷を解くかということなんです。今は、だから何ものにもとらわれずに、純技術者として、専門家として、一つのものを選んでこいというのでなければ、今さら出す必要はない、また同じ混乱を繰り返すのですから。おそらく答えははっきりするでしょう。グラマンでもよし、ロッキードでもよし、こうなったときにはあとの収拾をどうしますか。  さらに聞きますが、一体、この戦闘機を整備されるのに、敵の爆撃機を撃つという観点に重点を置くのか。それともミサイル兵器を空中で運ぶというミサイル発射台、プラットホームの、その道具としての戦闘機に重きを置こうとするのか。これは専門的になるが、おわかりにならなかったら幕僚でお答え願いたい。
  57. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) もちろん調査をしてくる以上、最も優秀な適応性を調査してくるのでありますから、どれでもいいというような結果では、これはまずいと思います。でありまするから、一つのいいものを調査してくる、調査の結果は一つが一番いいということにこれはしたいと思います。  それから戦闘機は爆撃機を攻撃するものか、役に立つものか、あるいはミサイルを運ぶための準備のものかということにつきましては、私は、攻撃ミサイルを運ぶということまでは、今考えていないと思いますが、なお、詳しくは防衛局長から答弁させます。
  58. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) これは辻委員よく御承知と思いますが、戦闘機はまず第一に爆撃機を要撃することを任務とするものでございます。ただ、爆撃機に対する要撃の任務が、最近はだんだんとGMをもって爆撃する、これはおっしゃるほど択一的ではなくて、私は両方だというふうに思っておるのであります。
  59. 辻政信

    ○辻政信君 日本が考えなきゃならぬことは、爆撃機による侵略、これは防ぎやすい、スピードはおそいし、ずうたいは大きいから。しかし、ミサイルに対する防衛というのは非常にむずかしい、戦闘機ではできない。ミサイルに対してほんとうに防ごうと思えば、消極的な防衛手段じゃだめでありまして、向うがもしミサイルでやってきたら、こっちもそれに対してミサイルで報復するという力、それを持たぬ限り、ミサイルによる侵略の防衛はあり得ない。技術的な、狭い防衛態勢はとり得ない。それはしろうとでもおわかりになるだろうと思う。そうなってくるというと、日本防衛計画の根本をきめるのに、予想する侵略の相手が爆撃機でくるかミサイルでくるかということをまず判断をされて、それに対して日本防衛はいかにあるべきかということを検討して、次期戦闘機はどうするか、爆撃機を撃つならば、ほかの性能を犠牲にしてもこれは上昇スピードの早いものをとらなきゃならない、ミサイルに対する報復の力を持つには、こちらもミサイルを運ぶプラットホームとしての性能、その性能というのは、安全度と航続距離が問題になる。安全度と航続距離に重点を置くか、上昇スピードに重点を置くかというのが国防の根本にかかって参ります。こういうことをよく検討されて源田君に指令をされんとむだがある、こう思いますが、いかがですか。
  60. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御意見はよく伝えたいと思います。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、時間が長くなるから、あと二問で終ります。その一問は、さっき関連質問のときに、辻委員の質疑に対して赤城防衛庁長官答弁に重要な問題があったと思うのです。念のためにはっきりしたい。それは、新主力戦闘機種の問題を国防会議にかけたこと自体が誤まりである。だから、今後はそういうことをしないように、というので、あなたは何か、今後もう諮るべきでないと思うという意味答弁をされた。この問題については、きわめてこれは重大です。ということは、今までの防衛庁長官は、国の防衛という立場から戦闘機種をどの程度、どういうように採用するかということは、国防会議の構成に関する法律から当然諮るべき案件だ、これでずっと答弁を通してきている。私はそれが正しいと思うのです、法律上とか構機とかは。ただ、それを運用する人がいけない。でないと、今後防衛問題がいろいろ、われわれは反対だがミサイルが起る場合に、防衛庁当局検討して、純軍事的な角度からばかり検討するわけでしょう、専門家だから。そういう人が結論を出して、それがイニシアをとっていくようになったら大へんなことになると思う。私は、機構としては当然国防会議で彼此決定すべきもので、ただ、国防会議の限界と、それから防衛庁当局の限界、おのおの限界があると思う。ただ、今度の問題が混乱したのは、その結果がよかったか悪かったかは別として、四月十二日、国防会議内定した、その当時は河野一郎さんは経済企画庁長官として国防会議の一員であった。その内定したときの国防会議の一員である河野さんが先頭に立ってこれに疑義を挟んで、非常に河野さんと懇意な田中決算委員長を通じて、衆議院決算委員会に上って、それで国民疑惑の問題になってきた。このことがよかったか悪かったか別として。この問題は運用する人であって、機構としては、防衛に関して、新しい主力戦闘機を入れるか入れぬか、入れればどういうものを入れるか、どの程度入れるかというようなことは、これは国の予算やら、国民生活やら、防衛やら、あらゆる角度に広範にして深刻に影響を及ぼす問題だから、当然私は国防会議に諮られる性質の問題だと思うのです。その点で、先ほどの答弁は問題があると思いますので、もう一ぺんはっきりお答え願っておきたい。
  62. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 非常に私の答弁に対する誤解があると思います。もちろん国防会議におきましては次期戦闘機採用するのかしないのかというようなことは、国防会議できめる国防計画防衛計画の中に入るわけです。でありまするから、財政上の問題とか、あるいはまた国防計画防衛計画上、次期戦闘機を三百機にするとか二百機にするとか、あるいは次期戦闘機採用するか、あるいはミサイルを採用するかというようなことは、これは国防会議で当然諮るべきだと思います。しかし、ミサイルのうちの同じミサイルがあった場合に、どのミサイルがいいとか、また戦闘機種を、同じような機種があるときに、その機種のどれがいいのかということまでこれは立ち入るのは、国防会議の私は機能の圏外だと思います。こういうふうに考えております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その見解は了承しました。そこで最後の質問ですが、その前提として伺いますが、アメリカの軍当局から発表になって新聞にも載っておりますが、次のことをあなたは認めるかどうか、それを伺って質問しますが、それは沖縄に大型核兵器がすでにある、それから名古屋を中心にある在日米第五空軍機は核兵器運搬可能の能力を持っておる、このことをあなたは承知しておるか、認めるかどうか、ちょっとそれをお答え願いたい。
  64. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 沖縄のことは承知しておりません。また名古屋にあるものにつきましても、向うから報告、あるいは私の方から調査はまだしておりませんので、その点につきましては承知しておりませんので、お答えできません。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では最後の質問です。先ほど辻委員とあなたの間にも質疑が行われておりましたが、私は非常にまじめなことだと思うのですよ。沖縄に大型核兵器があるわけです。それから岸さんは国会で、小型核兵器を持ち込むことは憲法には違反しない。ただ、今の岸内閣の政策として持たんだけだ、こう言うのです。それからあなたは最近ミサイルを積極的に導入すると言っておるわけです。そのミサイルは核弾頭をつけるミサイルを入れてくるのです。ただつけないというだけで、いつでもつけられる。それから、地対空の小型核弾頭をつけられるミサイルというのは、日本の自衛隊に装備されるんです。そして今度は飛ぶ飛行機は、小型ミサイルを運搬できる、今、辻委員からちょっと出たところの運搬できる、そして、核弾頭をつけられる、積載能力のある飛行機というものをアメリカ日本に期待しているわけです。そして、大型核兵器の問題は、沖縄にある米のそれに期待する。これが日米安保条約の今度改定による、バンデンバーグの決議からくる相互防衛条約、共同軍事行動をとる場合の戦略面からそういうものが当然出てくるわけです。そのコースを選ぼうとしているわけですよ。だから、ミサイルの件についてはあとでほかの人が質問しますから、私はここでしませんが、今度の主力戦闘機種の選定に当っては、安保条約改定による共同軍事行動をとる場合を予想し、その主力戦闘機には積載能力がある、空対空のミサイル、小型核弾頭ぐらいつけられる、積載能力があるという角度から選ばれようとしているのではないか。これは、最近のアメリカの極東における軍事政策、それから、それを受けて立つ日本防衛当局、それから安保条約の改定、そういう点から、そういうことがいい悪いは別として、当然予想されることで、非常に私は重大な方向をたどっていると思うのですが、そういう点については防衛庁長官としてはどういう見解を持っているのか。ただ漫然と安保条約改定をやる、その場合には共同軍事行動をとることが義務づけられる、そういう約束もする、で、アメリカは今どういう飛行機を開発している、また日本並びに極東にはどういう飛行機アメリカは配備している、そういうことも何ら考慮することもなく、ただこの四つの島ということだけを考えて、あなたの角度から防衛という立場から主力戦闘機を選ばれようとするのか、そういうことは常識上から考えられぬ。もしそういうことで国民の血税を千数百億も使われるということなら言語道断だと思う。そういう点は防衛庁長官としてどういう見通し、見解を持っておられるのか、一つ詳細にあなたの構想を承わりたい。
  66. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 安保条約が改定され、また安保条約におきましてバンデンバーグ決議の趣旨をそれに取り入れるということになっているから、これは共同防衛というような形になるのは、これは当然だと思いますが、共同防衛になるから必ず核兵器をつけたミサイルを採用しなくちゃならぬ、こういうことには結論は少し早いと思います。早いばかりでなく、第二次防衛計画、これは決定的なものではありせんが、構想としてミサイルを導入すると、しかし核兵器をつけないもの、こういうものの開発導入をはかりたいという考えは持っておるわけです。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では念のために最後に伺っておきますがね、それでは安保条約の改定に当っては、たとえ小型核兵器といえども、日本の自衛隊は持たないことはもちろんのこと、在日米軍、これがたとえ小型核兵器といえども日本の領海、領空、領土内に持ち込むことは拒否するということが、完全に日本の意思でできるような安保条約の改定をするということを確認してよろしいですね。
  68. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この点は目下外務大臣が交渉中でありますが……
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの方針です。
  70. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) それにつきましては、岸内閣の方針に基いて協議事項を設けて、装備配備等についてのことについて、わが国の方針と違うようなことにつきましては、これを拒否するようなことにいたしたいということで交渉中だと私は承知しています。
  71. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  72. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。
  73. 辻政信

    ○辻政信君 最後に申し上げます。この戦闘機源田君が視察いたします際に一言お伝え願いたいことは、選ばれた調査団はいずれも名人ばかりです。名人芸によって決定されないように、普通の能力を持った兵隊がそれを扱うのだと、その点によく留意をされて、安全度ということ、戦闘機の趨勢は、スピードはもちろん尊重されますが、将来の趨勢としては、スピードよりもむしろ、空対空のミサイルの能力によってスピードをカバーしていくという方向に進んでおる。これをよく頭に入れられて、単に名人芸で、おれならこなせる、よかろうという結論を出すというと、とんでもないことになるということが一つ。その次は、サイドワインダーをまたアメリカから買おうとしておるが、こういう小型のものこそ消耗品として日本で国産しなければならない。このサイドワインダーの国産ができない理由がどこにあるか、いわゆる秘密保護法がないためにできないのか、パテントを譲らないためにできないのか。もう一つF—86Fというものは、世界であの飛行機を新造しておるのは日本だけです。もうすでに兵隊の位で言えば国民兵役、こういう兵器になっておる、それを新たに四十三機作ろうということは、飛行機メーカーを養うための予算の消耗としか考えられない。それをなぜ続けなければならないか、現在持っておるF—86Fの整備機数で訓練に差しつかえがあるならば別問題、私の知っている限りこれは余っておるはずです、現有機は。その上さらに将来役に立たぬということを知りながら、四十三機を明年度発注しようということは、明らかに日本の兵器メーカーを養うための予算の浪費になると思う。この点を赤城さんからはっきりお聞かせ願いたい、三点。
  74. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 源田調査団長に対する辻委員のお考えは私も伝えておきます。それからサイドワインダーがアメリカから買わんで、国内生産をしたらいいのではないか、それについてのネックはどこにあるということにつきましては、事務当局からお答えさせます。  それからFー86F四十三機を、もう時代おくれのようなものだけれどもなぜ生産をするか、これは防衛産業育成だけの目的じゃないかというような御意見でありますが、先ほどから申し上げましたように、日本としてはまだFー86Fという機種も必要だ、そしてまた、次期戦闘機決定する前に、その機種を充足していくということが必要であります。こういう建前から(辻政信君、使いきらないで余っている、現在」と述ぶ)生産を続けよう、こういうことに相なっておるわけであります。  なお、こまかいことについては事務当局から答弁させます。
  75. 小山雄二

    説明員小山雄二君) サイドワインダーの国産の問題につきましては、前年度予算で十六発、まずそれを実験的に、運用実験をやってみようという段階でございます。将来の国産等につきましては、その実験の結果とかんがみまして、それを国産するかしないかという方針をきめまして、今御質問のようなネックはどうかという段階までいっておりません。まだ交渉はしておりません。おそらく国産をするということになりますと、その時期には大体国産の了承は得られるのではないか、すでにNATO等もやっておるのですから、その実験の経過を見ましてから。
  76. 辻政信

    ○辻政信君 関連してちょっと、おかしいです。今のは。十六機買っているでしょう、そしてまた来年買おうというのでしょう、予算で。それはおかしいです。実験用なら十六機でたくさんです。それを国産するかせぬかということは、むしろパテント、秘密保護の問題だと思います。もう一つF—86Fは必要だから作るとおっしゃるが、現在持っておる機数とパイロットの数、私の調査では余っておるはずです、機数がこなせずに。それをさらに四十三機、余っておるやつをオーバーして作るということは、メーカーを食わすだけです。その二つをはっきり御答弁願います。
  77. 小山雄二

    説明員小山雄二君) サイドワインダーの問題は、おそらく国産することになりますとも、パテントの問題、秘密保護法の問題があるかもしれません。先ほど申し上げましたように、もうちょっとたちますれば、秘密保護の問題もなかろうし、パテントも相当合理的な話し合いができやしないか、こういう見通しでございますが、最初の十六発もまだ入ってきませんので、それの実験の推移と見合せましてそれをきめたい、こういうことでございます。
  78. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) F86—Fの生産のことでございますが、現在は余っております。ただ次期戦闘機が、先ほども御説明がございました通り、着手するまでに相当の期間がかかります。着手いたしましてからも、二十数カ月もかかるという見通しでございますので、昭和三十六、七年時分にはまだ次期戦闘機の使えるものがほとんど少ないのであります。その当時の状況を考えますと、パイロットが余りまして飛行機が足らなくなる。その当時のことをずっとなべて考えまして生産を継続したいというふうに考えております。
  79. 辻政信

    ○辻政信君 どのくらい余っていますか。パイロットの数、飛行機の数……。
  80. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 約七十機余っております。   —————————————
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私赤城長官が去る二十六日札幌で発表になりました第二次長期防衛計画について二、三お伺いしたいと思いますが、ただ時間の関係もありますので、重点的にしぼってお伺いしたいと思います。この第二次計画を見ますと、これは安保条約改定を前提とする総合戦略を基本としております。そこで決定的に対米従属の防衛態勢となって、日本が再び戦争にまき込まれる危険性がきわめて大きくなってくると考えられる。そこでこういうことでは、平和を愛する国民の意思に真向から反するのではないか、こういうふうに私どもは考えるわけです。その点を明確にまず伺いたい。
  82. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の点について関連。これは一つ防衛当局、特にまた長官にお願いしなければならぬと思うのですが、新聞ではどんどん発表されているわけです。それからまた、二、三日前の新聞でしたか、きのうでしたかよくわかりませんが、防衛庁の三十四年度の増強計画ということでこれは、自民党の政調会の国防部会ですか、これはあなた方が御出席になりまして説明されておりますが、説明されていることは、私たち悪いというのではないのです。そこまで進んでおるならば、主管委員会であるわれわれになぜその資料を提出してくれなかったのか、これを一つただしたいと思います。一番大切な審議権を持っている私たちに、きょうは八月一日ですが、あなた方が発表されたのはずっと前でありますが、なぜ私たちに資料をよこさなかったか。その真意を一つただしたいと思います。
  83. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第三次防衛計画等は対米依存度が非常に強くなって、戦争にまき込むおそれがあるのじゃないか、こういう伊藤委員の御質問、私どもは第一次防衛計画を立てまして三十五年度までは計画ができているわけであります。しかし、防衛計画は一年や二年ですぐにできるものじゃありません。さっきの飛行機の話にいたしましても、戦闘機のことにいたしましても四、五年先までかかる、こういうことでありますから、長期の防衛計画を立てることが必要であるのであります。そういうことでありますから三十六年度から四十年度にわたっての次期防衛計画を作ろうということになっておるわけであります。その考え方といたしましては、安全保障条約が、今の安全保障条約はアメリカがただ日本を守ってやる、こういう対米依存度が非常に強い。極端に言いますならば、何かお抱えのような恰好での安全保障条約でありますから、安全保障条約が改定になれば、日本の主体性というものも相当これは出てくるし、そうしなければならぬ。そういう考え方から日本防衛につきましても主体性を確立する、その点につきましては三十六年度から四十年度までの防衛計画を策定していく、こういうことが必要だ、こういう点から今検討中なのであります。そこで札幌で記者団からいろいろ聞かれましたので、構想の一端を述べたのでありますが、この構想におきましては、なお防衛庁内におきましても検討を加え、あるいは国防会議等にも諮らなければなりませんが、まだそういう段階にいっておりません。でございますので、昨日の自由民主党の政調会の国防部会等におきましても、三十五年度の業務計画の骨子及び次期防衛整備計画等のあらましの構想を申し述べた程度であります。でありますので、これはいろいろな機関を通じ、国防基本方針にのっとって、国力、国情にも応じたものに固めていかなければなりませんが、まだそこまでいっておりません。いっておりませんので、正式にお知らせするまでにいっておりませんので、今検討中であるということを御了承願いたい。
  84. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の質問に対する回答が、まだ知らせる段階でないというようなことで、ぼかしておるようでございますが、その段階がどういう段階であれ、自民党における国防部会にまで発表する段階になっているものが、なぜこの委員会資料が提出できないのですか。
  85. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 自民党の国防部会には、こういうような考えであるけれどもということで、いろいろ御意見は聞いておるわけであります。でありますから、御意見を聞く段階なので、それがきまっておるならば発表できましようけれども、発表ではなくて、意見を聞く資料提供している、こういう段階ですから、発表の段階ではありません。
  86. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは私はごまかしだと思うのです。あなたの方は基本方針というものを添えて、これは朝日新聞ですが、いつのでしたか、よくわかりませんが、三十日に開かれているわけですから、おとといですね、おととい開かれて、すでに要綱まで全部刷られて報告しているわけです。あなたの方で説明しているわけです。この内容を見ますと、きわめて細部にわたって意見を聞いて、これからまたさらに修正しよう、そういうことはあり得るでしょう。あり得るでしょうが、いやしくも大綱がきまって、本日はこの委員会防衛計画を聞こうという委員会です。その際に当って、あなた方がこれをほおかぶりしようというのは、これはけしからぬと思う。今日の段階でこの程度まとまっておるということがなぜ報告できないか。とやかく言うことは省略いたしますが、その計画を提出して、私は説明を求めます。
  87. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お尋ねがあれば、私の方の構想は申し上げますが、きまってないものをここでこうだと言っても、これは国防会議もあるし、それぞれの機関もあるので、きまらないものを前もってこの委員会に提出することは差し控えたい。御質問があって、こういう点はどうなっておるか、構想として述べたようだけれども、この点はどうか、こういうことでありますれば、私どもの方から、その点ははっきりお答えできる点はお答えしたい。
  88. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは私は資料の提出を要求します。その説明を要求します。それから質問をいたします。これは基本でございます。その説明を聞かなくては質問はできません。まず、第二次五カ年計画の構想、そういうものの説明を受けて、それに対して私は質問を続けたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 防衛計画資料というまでにまだいっておりませんから、その提出は差し控えたいと思います。
  90. 永岡光治

    ○永岡光治君 新聞社はどこでスクープしたのか知りませんが、この新聞記事を見ると、かなり細部にわたっての項目に分けて記事を書いております。これは資料としてあなた方自民党として出したかどうか、私これも知りませんが、たぶん出しておると思いますが、出していないのですか。全然あなた方口頭で説明されたのですか。何も資料を出さずに、ただ口頭だけで説明したというのですか。それでありますればそれでもけっこうでございますから、その説明を要求いたします。
  91. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 政調部会に対しましては、こういう構想でいきたいという印刷したものは出しました。しかし、当委員会防衛計画あるいは次期防衛計画、あるいは三十五年度の業務計画を出す資料ではありませんで、それをきめていくための資料として自民党の防衛部会に出したのであります。それをそのまま正式の委員会に出すことは、いろいろな誤解を受けますので、それはぜひ差し控えさしていただきたいと思います。
  92. 永岡光治

    ○永岡光治君 その自民党に説明する資料をあなた方出して、そしてこちらで要求して、それを出せないという理由はどうなんのですか。私それはおかしいと思うのです。すなおに考えてもらいたい。それをもとにしてこれは質問はあるでしょう。ただ説明を聞いただけじゃわからぬと私たちは思うのです。だから、それを具体的に書いたものを出してもらいたい。それは正規であろうとなかろうと別です。あなた方今固まったものでないというなら、それもけっこうです。今の段階においてこの程度の考えだというものがあれば、そういう刷り物を出してもらいたいという私の要求は決して無理じゃないと思います。なぜ出せないのですか。
  93. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 計画につきましては、それぞれの機関の議を経て固めていかなくちゃなりません。でありますから、まだ固める最小の素案は出したくないと思います。でありますので、御質問がありまして、あるいは新聞等に出ましたことでこういう点はどうかというようなことでありまするならば、これは何なりとお答えいたしたいと思いますが、まだ固まっておりませんで、ほんとうの素案でありますから、その点は素案として出すのは差し控えたいと、こう思っております。
  94. 永岡光治

    ○永岡光治君 素案を一つほしいというわけです、私は。素案を出してくれ。それに基いて私質問するわけですから。新聞というものをもとにして質問するということをあなたしろと、こういうんですが、それよりもあなた方が素案を持っておる、その素案を示してほしいというのが、これはどうしておかしいのですか。すなおに考えて私の要求を入れるべきだと思うんですがね。新聞にはこうやってどんどん出ている。自民党にも報告している。しかし、私たちには素案の提供ができない。どうも私には了解できないんですがね。おそらく国民が聞いたらおかしいと思うですよ、だれが聞いても。私たちは固まった案として質問するわけじゃないですよ。素案は素案という受け取り方で受け取って、あなた方に質問するわけですから、すなおに出していただきたい。
  95. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  96. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  97. 永岡光治

    ○永岡光治君 三十一日の朝日の記事によりますと、「防衛庁の増強計画、三十五年度」として、「防衛庁は三十日、自民党本部で開かれた同党政調会国防部会に三十五年度の自衛隊業務計画の骨子を説明した。」、こういうような前書きからずっと取り上げてその内容がことに掲載をされておりますが、以下私がそれを読み上げますが、そういうような考えを今この時点において考えておるのかどうか、その点をただしていきたいと思います。  まず、「基本方針」でございますが、「1陸海空三自衛隊の統合運用をはかるため、三自衛隊の均衡をとりながら防衛力の総合的発展につとめるとともに、統合幕僚会議の機能を強化し、統合幕僚教育を開始する2三自衛隊の後方支援能力の整備につとめ、とくに通信電子部門と調査能力の強化をはかる3装備の近代化をはかるため、装備品の研究開発を促進し、対空誘導兵器の導入(来年度には地対空のナイキ、ホークはまだ考えずに、空対空のサイドワインダーだけに限る)をはかるとともに、将来の対空ミサイル部隊育成に備えて要員を教育のため米国に派遣する4医官など衛生幹部の充実をはかると同時に技術幹部養成のための人事管理制度につき総合対策を検討する5米国からの無償援助の漸減と装備品の近代化に備え、研究開発体系および調達体系を合理的に充実し、国内の防衛産業育成をはかる。  陸上自衛隊1方面隊の充実、治安警備体制を強化するため必要な自衛官と職員を増員する2部隊の運用方法を研究する教導団を新編し、空てい団などを増強する3野外通信能力を強めるため方面通信運用大隊を新編する4第七混成団(札幌)を改編し、その機甲化をはかる5施設作業力を強化し、民生協力を推進するため施設部隊を増設する6弾薬の調達と生産設備の維持について積極的対策を講ずる(注=弾薬はこの数年来年間一千トンを国産しているが、訓練用に七千トンを使い、その差六千トンを備蓄十万トンから食いつぶしている。さらに通産省は従来国内の弾薬製造業者に毎年、助成金を交付していたが、来年度からこれを打切る方針であるため、陸幕では来年度から従来の二倍ぐらい発注することを要望している)。  海上自衛隊1従来海上護衛中心だった自衛艦隊の編成にP2V大型対潜しょう戒機などの航空部隊を加えて改編する2操縦教育を統制するため必要な改編を行うとともに自衛官を増員する3対潜作戦の遂行、老朽艦の補充などの建造に着手する4老朽化した掃海艇(一八〇トン)十隻を除籍し、雑船とする5既定計画によりP2V対潜しょう戒機十機を引続き生産する6米国からUF(水陸両用救難機)P5M(水上しょう戒機)の供与を期待する。  航空自衛隊の1西日本地区の防空態勢を強化するため西部航空方面隊を編成する2第六航空団を新設する3米軍から全国二十四カ所のレーダーサイトの引継ぎを完了するとともに、その近代化をはかるため必要な改装を行う4災害時に際し航法援助を行う機動的通信力をもつ部隊を新編する5これらのために必要なる自衛官を増員する6既定計画によりF86Fジェット戦闘機の最終年度分四十三機を生産する7T1ジェット中間練習機十四機の国産を開始する8次期戦闘機について国産のための必要な準備を行う9空対空誘導弾サイドワインダーを引続き米国から購入する(注=三十三年度十四発、三十四年度九十発購入のためそれぞれ予算を計上したが、入手が遅れ、最初の十四発が今秋到着の予定)10これまでもたなかった偵察機と古くなつたC46輸送機三十五機の更新をはかるため「新機種」について研究する11小松飛行場(石川県)など新設基地の取得をはかるとともに築城飛行場(福岡県)の滑走路延長、千歳飛行場(北海道)の改修などを行う12これまで緊急迎撃体制を実施していた第二航空団(北海道千歳)のほか中部、西部各方面隊でもできる範囲内で警戒待機を行うよう実動態勢を整備する」。  こういうように掲載されておりますが、大体この時点においてはこういう程度のことを今防衛庁の方としては考えておいでになるのかどうか、確かめておきたいと思う。もし私の質問でこれがそうでないとすれば、どこがどういうように変っているのか、その点をお尋ねいたします。
  98. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私のところへ来ているものと大体同じでありますが、非常に違っているというか、数字の点などではまだ固まっておりません。そういう数字はまだ入っておりません。検討中です。数字の検討についてはまだ固まっておらぬものがあります。
  99. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、数字といいますと私が読み上げた文のどういうところですか。数字というのは主として艦艇の隻数ですか、それから飛行機の数、そういうものがまだまとまっていないと、こういうことでしょうか、具体的に一つ説明いただきたいと思います。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 要する三十五年度の業務計画等もまとまっておりませんから、結論に達しておりませんから、説明の点では国防部会等にも説明いたしましたが、その数字等についてはまだ内部等においても結論はまだ出ておりません。ですからどの数字がどうということはありませんが、そこまではっきりり言われても困るのです。そこまではいっていないのです。ですから大体は構想は今お読みになった通りであります。内容につきましては、なお確定しておりませんから、少し違っている点もあるかと思いますが、これはまだ確定前ですから何とも申し上げられません。
  101. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは引き続きお伺いしたいと思いますが、この計画を見ると、防衛産業の育成ということを非常に重視しているようにうかがわれるわけです。そうだとすると、日本経済そのものに戦争経済の要素を導入することになって、再び軍国主義の土台を作り上げてしまう、こういう危険性が多分にあると思う。この点を明確にしていただきたい。
  102. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように今の自衛隊につきましては、米軍からの供与が相当多いわけであります。無償のものもありまするし、有償のものもありまするし、あるいは分担して生産しているものもあります。これが先ほど申し上げましたように、日本の自衛隊の主体性を相当確立していくということになれば、日本で生産できるものはやはり日本で生産していくと、こういう建前がこれは当然だろうと思うのであります。特に防衛産業を育成しようということではなくても、当然防衛産業面で日本で生産できるものは生産していくと、これがやはり技術の進歩その他におきまして平和産業の方の先べんをつけることに、結果的に相なろうかと思いますが、特に育成するとか何とかということでなくても、当然日本で生産するということに相なろうかと、また、そういう計画も立てなくちゃならぬだろう、こういう考え方から構想の一部として出ているわけであります。
  103. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この計画によると、四十年度には現在の防衛費の約二倍に、二千九百億、まことに膨大な軍事予算を予定している。現在で社会保障、その他国民生活が安定してない折りに、一そうこういうことでは国民生活を窮迫に追い込む、そういう危険性が多分にある。こういう点をどういうふうに考えますか。
  104. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国の総生産に対する防衛費の比率は今のところ一・七%であります。ところが、自衛隊ができてきましてから、総生産に対しての比率はあるいは二・八%であった場合もあります。ここ一、二年は今のような数字で、ことしは一・七%ということです。国民所得が経済五カ年計画、あるいは十カ年計画によって年々六・五%程度の伸びが見られておるわけであります。そういうことで昭和四十年度の国民総所得というものを計算しますると、十三兆余になっているわけであります。でありますから、今の所得に対してというわけではなくて、昭和四十年度に国民総所得が伸びたときを予想いたしまして、そのときに防衛費というものがどれくらいのめどにまで行ったらよかろうかというような、一応のめどを見たのでありますが、それが昭和四十年度の国民総所得の二%から二・五%の間くらいが防衛費として必要最小限度のものではなかろうかと、こういうふうな予想のもとに二千数百億という数字が出ているわけであります。今の国民総所得から出した数字ではなくて、経済の伸び、国民総所得の伸びを経済計画に従って計算してみた、それに対する二%からあるいは二・五%の間ぐらいの数字に大体めどが最小限度なるわけであります。しかし、今のお話しのように国民生活を圧迫するというようなことは極力控えなくちゃなりませんし、また国防の基本計画の中にも、国力、国情に応じて防衛態勢を作っていく、こういうことになっていますから、この数字も一応のめどであります。考え方としては国力、国情に応じた防衛費というものを考えているわけであります。
  105. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 説明ではございますけれども、現在の約千五百億程度の防衛費であっても、社会保障費とか教育費、あるいは農林対策費が年々減らされておる。こういう実情の中で、しかもこれが倍額になるというようなことは、これは重大だと思うのです。今御指摘になった国防基本方針の中にも民生の安定ということを非常に第二条で強調しているわけです。これは御承知でしょう。そういうことで国防基本方針は御承知のように岸内閣自体が作られた国の方針で、国防方針もこの国防基本方針主張しておる、また強調しておる民生の安定とはどうしても矛盾すると思うのです。どうしても相いれないものだと思うのです。これを一つ明確にしていただきたい。
  106. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 現在の国民総所得のままで、今のような二千数百億ということになれば、これは相当民生を圧迫するだろうと思います。しかし、先ほどから申し上げましたように昭和四十年度におきまする経済の伸び、国民総所得の伸びというものを計算しまするというと、二%程度、ちょっと上を超す程度であります。でありまするから、当然そのときの経済の伸びには、社会保障費とかあるいはまたその他の民生の安定の費用も計上されることに相なろうかと思います。でありますので、今のままですと非常にこう倍近くなるようなびっくりするような数字でありますが、生産の伸び、国民総所得の伸びというものを考えて二%程度ということで、二%をこすという程度である場合には、ほかの方の費用も相当伸びてくるという予想で、大体そういうめどをつけたのでありますけれども、今のお話しのように国防基本計画にもあるし、あるいはないといたしましても、これは、民生の安定ということが、これが自衛の、日本を守る一大要素だと思います。そういう点については慎重に進めていきたいと考えております。
  107. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、核弾頭を予想したナイキとかあるいはホークのようなミサイルの持ち込みを発表しておるようですが、これは、それは間違いありませんか。まず確かめたいのです。
  108. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 発表しておるものは核弾頭をつけないミサイルというふうに発表しております。その通りでありまして、核弾頭をつけないもの、ことに次年度においては、三十五年度においてはサイドワインダーというものを考えておるということでありますから、核弾頭をつけることを予想してでなくて、核弾頭をつけないということで導入すると、こういう考え方であることを発表したのでありまするが、その点はもしも発表の記事に違ったことがありまするならば、それは私の申し上げることがほんとうなんでありますから、そう御了承願いたいと思います。
  109. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 防衛庁の考えがだんだん危険な方向へ進んでおるのですが、以前は核弾頭、たとえばエリコン導入の際に核弾頭はつけられないのだからいいじゃないかと、こういう言い方をしておったわけです。ところが、最近は核弾頭をつけ得るものでも、つけなければいいではないかと、そういうふうに表現が変ってきておるのです。今、長官も言われたように、このことが問題だと思うのです。これに間違いないか。
  110. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 核弾頭をつけないものを導入するというのが基本であります。でありまするから、将来の兵器の発達でどういうふうになるかしれませんが、核弾頭をつけられるものであっても、核弾頭はつけないということは、これははっきりしているわけでありまするから、かりに、核弾頭がつけられるものを導入するようなことになっても、核弾頭はつけないと、それよりももっと以前において核弾頭はつけないものを、装備できないものを導入すると、開発すると、こういうことに考えていただきたいと思います。
  111. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今私が指摘したように、初めはエリコンのように、つけられないからいいだろうと。今度はつけられるものでもつけなければ核武装にはならないではないか。一見まことに低姿勢のように考えられるわけですが、これはまあ結局核兵器持込みに直結すると思う。非常に危険な要素が含まれておると思う。この点はどうでしよう。
  112. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 危険といいますか、御心配の点もありますが、核兵器は装備はしない、また持込みはしない、させないということをはっきり内閣としても態度をきめていることです。御心配はあるかもしれませんが、御心配のようなことはしないつもりであります。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど矢嶋委員からも指摘があったように、核爆弾を積める飛行機でも積まなければいいではないか、こういうことも今言ったことと通ずるのであります。これはまあ形式論理の上からはまさにその通りだと思う。つけられるものでもつけなければいいではないかと、一応形式論理的に言うとそれでいいわけです。ところがそこに非常に危険性があるのであって、かくして既成の事実を作り上げていってしまう。そこに一つの、これは巧妙な陰謀だろうとわれわれは見ておる。この点は何といいましても、私どもはそういうふうに確信をしておるのです。その点を一つ明確に願いたい。
  114. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりますように、今申し上げましたように、核兵器の装備はしない、また持ち込ませないということで一貫していきますから、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  115. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ほんとうに核武装をしないというならば、また断言できるなうば、核爆弾を積める飛行機を用意する必要はなし、また積める飛行機を飛ばす必要もないではないか、こういうことが言えると思うのですよ。にもかかわらず、必要のないものまでこういうふうになぜ導入し、なぜ飛ばすか、そこに問題がある。これはいろいろおっしゃっても、これは確かにそれ以外にないでしょう。核武装しないならば核爆弾を積める飛行機を用意する必要もなし、飛ばす必要はさらにないわけです。このことはどうにも私どもには納得できないのであります。
  116. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 核爆弾を積む飛行機を用意するという考えを持っておりません。ただ、ミサイル時代に入っておりまするので、日本の自衛の点でも防空の点でもミサイルを開発し導入する、これは防衛の責任を持っておる者としては当然だと思います。しかし、それがすぐに核武装だというふうにお考えになることは少し早計ではないかとこう考えます。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。あのね、長官、早計じゃないかと言けれども、聞くにたえないですよ。あなたのおっしゃることは、国民をごまかすにもひどいですよ。今アメリカは、アメリカの自由国家群の支配下の国に、大型核兵器もそうですが、各国は自由に持って、自由に使わせないように、できるだけアメリカの支配下においてアメリカの意思によって使う使わないかきまるようにという戦略でいっているわけですよ。まして小型核兵器など、欧州においてもそうですが、極東アジアにおいてもそうですが、できるだけ自由国家群のアメリカの息のかかった国に持たせようとしているわけです。そして小型核弾頭をつけられるミサイルを持たせている。そしていつでも小型核弾頭を配給できるような態勢にいっているわけです。だから伊藤さんの言っているように、小型核兵器を持たない、持たせたくないと言うならば、小型核弾頭をつけられるそういうミサイルを持ち込まなければいいじゃないか。あなたはホークを積極的に導入すると言っているが、ホークははっきり核弾頭がつく、また防衛庁はボマークを考えているが、ボマークははっきり核弾頭がつく、そういうつけられるものをアメリカは持たせようとしているのです、安保条約の改定による共同軍事行動という立場から、アメリカはそれが必要だ、そういうつけられるものを持たして訓練しておいて、いざというときには核弾頭を配給する。これはNATOに対しても同じ方針なんですよ、アメリカは。だからあなた方の今言っていることは、特に先般ミサイルを積極的に導入するという談話を発表しておるが、それは明らかに核武装の道を歩いていっておるわけだ。それを聞いておるわけだ。だからミサイルの開発だとか、まあエリコンだとか、サイドワインダーだと言っておられるわけですが、導入するに当っても、小型核弾頭といえどもつけられるミサイルは、絶対に入れないという方針でいけば、あなたの答弁はその点矛盾しない、しかし、核弾頭をつけられるミサイルを積極的に導入するということを言っている以上は、非常にごまかしですよ。矛盾がありますよ。アメリカの今の世界各国への態度から。だから伊藤さんはそこを聞いておるのだから、はっきり答えて下さい。小型核弾頭といえども装備できる。つけられるミサイル、ホークだってそうです。ボマークだってそうです。そういうものは絶対に核武装しないのだから日本に入れない。必要ないのだ。こういう点を確認してもらいたい。
  118. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) どういうミサイルを導入するか、まだその種類等については計画を持っておりませんが、核弾頭をつけないものだということを考えております。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 つけられないもの。
  120. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) つけられないもの。しかし核弾頭がつかるものでも、それは核弾頭をつけないでも、ミサイルとしての機能を発揮するものもこれはあると思うのです。それでありまするから、そう一がいに言えないと思のです。しかしこれについて、まだどういうものを導入するとか、開発するとか、ということは考えておりませんが、核弾頭はつけない、持ち込まない。あるいはまた装備しないということがはっきりしているんですから、かりに核弾頭がつかるものを導入する場合があるといたしましても、核弾頭はつけない。核弾頭をつけないでミサイルとしての作用を……。(「沖縄に置いてある。すぐ持って来れる。アメリカは」と呼ぶ者あり)だけれども今どういうものを入れるかどうかということをきめておるわけでもなんでもない。根本的には核武装をしない、装備をしない。それはもうはっきりしておるわけですから、申し上げておきたいと思います。
  121. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いろいろ御答弁があるわけです、けれどもね、核弾頭をつけ得ないもの、これの導入はもうどなたが見ても問題がないわけですね。ところが、核弾頭をつけ得るものも、つけないからいいのではないか。さっきから繰り返しておるのですけれども、これはつけ得るものでもつけない。これはつけないというのは結局一時的のことであって、必要……いや戦争というようなことになれば、これは簡単についてしまうわけですね。これでは結局意味がないと思う。そこのところがはっきりと確信を持って言えない限りは、すなわち核弾頭をつけ得るものは持ち込まない。こう言っていただけば、私どもはこういう質問を繰り返す必要はなかろうと思うのですが、そこのところをはっきり言えないわけですか。また言えないとすれば、なぜ言えないのか。まだ私どもには納得できない。そこのところをはっきりしていただきたい。
  122. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 兵器の問題について私も詳しくは承知していませんが、かりに核兵器をつけないでも、ミサイルとして非常に機能が発揮できるということであれば、またそれを導入することもあるかと思います。それを導入したから核弾頭をつけるのだというふうにはお考えにならないように、それは装備はしないということですから、こういうことを申し上げるより今のところ申し上げるあれはないのです。
  123. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このことは非常に重大であるので、また次回に保留して、時間の関係で次に進めたいと思いますが、予備兵力を作るために自衛官の短期養成制度だとか、あるいは民兵制度を考えておるようですが、果してそういうことを考えておられるのかどうか、事実かどうかということ。もし事実とすればこれは非常に大きな問題で、結局これは徴兵制度につながる問題だと思います。当然そう考えられる、この点を明確にしていただきたい。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどからお話がありましたように、国力、国情に応じて防衛の費用、経費ということも考えなくちゃならぬと思います。それからいろいろな戦術といいますか、そういうものが変ってきている。ですから、むやみやたらに人員を増す、人を増すということは、これはよほど考えなくちゃならぬ、こういうふうに考えておりますが、今の態勢だけでは人の問題にいたしましてもこれは不十分だ。それで幸いに予備自衛官という制度も、法律的にも国会の承認を得てできておりますから、そういう予備自衛官を増していこう、こういう考えは持っております。それから何といたしましても、日本の全体の防衛という観点から見まするならば、国民の協力というものを得なければなりません。そういう点におきまして、民間の人でこういうものに協力してもらうところの団体といいますか、こういうものがあれば協力をしてもらう。こういうような考え方で、民兵という考え方ではありませんが、そういうことで国民の協力を求める意味におきまして、予備自衛官あるいは国民の協力を求めることに考えを進めていきたい、こう考えております。
  125. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で遺憾ながら次へ進みますが、第一次の防衛計画で陸上は十八万になる。これは旧陸軍時代の二十三万に比べると、数においては劣っておるわけですけれども、いわゆる旧師団に相当する管区隊の戦力を見ると、大体毎分発射の鉄量は約五倍、これに機動力等を加味計算すると、軍事専門家の話では、大体九倍、約十倍ぐらいの戦力がある、こういうふうに評価しているわけです。そうだとすると、これは旧陸軍時代よりはるかに強い戦力となっている。これでも憲法第九条には違反しないのか、こういう問題が出てくるわけです。これをどういうふうに長官は考えますか。
  126. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 旧軍時代と人員等について相当近い人員になっているが、これが憲法第九条に違反するかどうか、違反していないか、こういうお尋ねであります。この点につきましては、再々申し上げておりますように、旧陸海軍等におきましては外へ出ても戦争をするというような形の一般的なものでありましたが、日本の自衛隊は直接及び間接の侵略に対して国土を防衛する、こういう建前になっております。でありまするから、自衛権がありまする以上、自衛の範囲内でありますから、憲法に違反しておるというふうには考えておりません。自衛隊法等に基いて編成がなされているわけでありますので、憲法違反というふうには全然考えておりません。
  127. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 第一次防衛計画でもそうであるのを、第二次防衛計画が進めば、この戦力は飛躍的に強力となる。それでも憲法第九条違反ではないか、こういう問題も起きてくると思うのです。この点を明確にしたいのですが、次回に譲るとして、最後にパイロットの養成についてちょっとお伺いしたいのですが、結局〇・九マッハのF—86Fでさえもパイロットの養成に非常に遺憾の点がある。十分パイロットは養成できていない、こういうような実情であるわけです。ところが、今後源田調査団が帰って来て、グラマンとかロッキード、いずれにきまるにしても、二マッハのこういう超音速の飛行機になると、いよいよパイロットの養成はお手上げになるのではないか、こういうことが一応も二応も考えられるわけです。こういうような超音速の戦闘機のパイロットの養成に、防衛庁は十分確信を持っておるのかどうか、こういう点をはっきりしていただきたい。
  128. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、航空自衛隊は発足が非常におくれまして、まだ五カ年ばかりです。そういう関係から、パイロットにつきましても、中間的なパイロットの不足を告げておったのでありますが、最近、非常にこの訓練及び充足率がよくなっております。でありますから、若いパイロットがどんどんジェット機も乗りこなしておるという現況でありまするから、パイロットの充足には全然不安等はない、こういう見通しであります。
  129. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 最後に、これは七月二十八日の毎日新聞の報道ですが、七月二十三日に北アルプス登山中の千葉大学の医学生が急に肺炎を起しておる、生命危篤となって、そういうことを考慮して、地元の大町署が二十七日、長野県知事を通して防衛庁に自衛隊のヘリコプターの派遣方を依頼した。ところが、防衛庁では、山岳飛行の経験がないから、そういうようなことで慎重を期したのはいいのですが、慎重を期し、当日夕刻までには救援に差し向わなかった。ところが、よく調べてみると、前日の二十六日にも、長野県警本部では事態を重視して、これは当該者を松本市かあるいは大町の病院に入れる必要がある、ぜひ入れなければならない、そういうような考え方から、同じく知事を通して防衛庁に申し入れておる。ところが、防衛庁は山岳飛行の経験がない、あるいは天候が悪い、そういうような理由でこれを断わっておる。その後行ったかどうか、報道はあと切れておりますが、こういうことが事実なのかどうかということ、もし事実とすれば非常な問題だと思いますが、この点を明確にしていただきたい。
  130. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 災害その他、そういう今のような事故等につきましては、自衛隊は極力救援に出ております。例を申し上げればたくさんあるのでありますが出ております。今の具体的の例については、まだ私、聞いておりませんから、当局から、もしわかっておればお答えいたします。わからなければ、なお書面かなんかで御報告申し上げたいと思います。
  131. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこでお伺いしたいわけですが、事、人命にかかわる重大問題であるので、何を差しおいてもヘリコプターを派遣すべきであると私は当然考えるわけであります。二つには、日本防衛庁のヘリコプター隊ともいうべきものが、これは日本中どこへ行っても山岳がある、その山岳の訓練をまだやっていない、これは、もしその理由が、山岳帯の訓練をまだやっていないからということであるならば、日本全国どこへ行っても山岳があるのに、こういうことをやらない。そこで私たちは、二マッハの次期戦闘機を急ぐ前に、西ドイツがとっておるように、まずパイロットの養成をやるのが順序ではなかろうか。そういう山岳でもりっぱに乗りこなせる、そういうパイロットができて初めて二マッハの主力戦闘機、そういうところへいってもおそくはないと思うんです。そういう順序があろうと思いますが、たまたま、こういう山岳においてこういう問題が起きたとき、すぐ馳せ参じて人命救助ができなかったということがもし事実であるならば、ゆゆしい問題だと思います。これは、とりようによっては非常に重大な問題だと思いますが、この点を明確にする必要があろうと思います。
  132. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) パイロットの養成についてはお説の通りであります。でありますが、今の次期戦闘機等はできるまでに四、五年かかるわけであります。だからといって、このパイロットの養成訓練を怠るどころかなお進める必要がある、こう思いまして極力やっております。今のヘリコプター等につきましても、今非常に少いので山岳の訓練をやっているかどうか私もまだ承知しておりませんが、とにかくパイロットの養成につきましてはお話のように大いに力を注ぐつもりでおります。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して一点だけ。あのね長官、さっきのミサイルの問題、あなたはごまかされているからもう一ぺん私は伺います。私の所論に間違いがあったら反駁して下さい。あなたは、さっき永岡委員の読み上げたのを肯定されたわけですが、ホーク、ナイキの名前をあげてミサイルを積極的に導入する方針であると、こういう談話を札幌並びに旭川でされているわけです。このことは日本の核武装のスタートを切った、こういうことになるのですよ。その理由を私申し上げます。一つには、さっきちょっと触れましたが、アメリカの極東戦略、それからアメリカの息のかかった各国への兵器供与の状態、それとバンデンバーグ決議の趣旨を織り込んだところの日米安保条約の改定、外的にはこういう要素から日本の核武装がスタートを切ったことになる。それから専門的には、ミサイルを積極的に導入するというこの言葉は、核武装のレールに乗ったことになるのですよ。あなたは非常に重要視しないで談話を発表し、こういうように答えられておりますがね。ということは、私の研究では間違っていたら反駁してもらいたい。ミサイルといったらすぐ核兵器じゃない、私の研究では。ミサイルは一般用と軍事用がある。一般用は運搬用と偵察用がある。その軍事用の中でも攻撃用と非攻撃用があるんです。非攻撃用は哨威とか偵察とか運搬のミサイルがある。それから攻撃用のミサイルは地対空、空対空、空対地、こういうミサイルがある。ホークとかナイキというのは、あなた方の出した書類によっても、明らかにこれは地対空のミサイルなんですよ。だから攻撃用のミサイルじゃないのです。だからミサイル・イコール核兵器じゃないのですよ。ミサイルの分類があるのですよ。ところがナイキ、ホークというのは地対空のはっきりしたミサイルなんです。攻撃用のミサイルなんです。しかも、ホークは核弾頭をつけられるミサイルなんですよ。だからナイキとかホークを、積極的にこういうミサイルを導入するということは、これは小型核兵器をスタートとする本格的核武装のレールに乗るわけなんですよ。ミサイルでは専門的な立場からいっても、また先ほど言いました日本アメリカ関係アメリカの極東戦略、それから各国に対する兵器供与の関係からも明らかにそうなんです。だから、先刻僕の質問のときにちょっと言いましたように、大型核兵器というのは沖縄あるいは小笠原にでんと据えているわけなんです。で、日本の自衛隊に地上に地対空の小型核兵器ミサイルを持たせて、それから飛行機は空対空の小型核弾頭くらい運べるところの飛行機を持ってくる。それでアメリカは極東におけるところの戦略態勢を日本も含めて立てているわけです。それで間に合わぬ場合には、沖縄にあるところの大型核兵器でいこう。日本が憲法改革をした後には、日本自体にも大型核兵器を持って極東におけるところの守護神に日本になってもらいたい、こういう長い計画のもとにアメリカは臨んできているわけです。その一端としてこのミサイルを積極的に導入するという発言が出ているわけです。この発言はあなたの発言だけじゃなくて、先般加藤防衛局長今井事務次官アメリカへ行かれたわけですが、そのときにこういう話が出ている。前にも出ている。過去、四年前、ペンタゴンの国防次官補はこういう構想を発表している。そういうなにで来ているわけです。だから、ミサイルを積極的に導入するなんという発言をしておって、小型核兵器というても絶対入れないのだ云々というのは非常に矛盾しているので、危険きわまりないことだと思う。あらためて一つ答弁を求めたい。それで僕のミサイルに対する勉強した範囲内で言う点、間違っていたら指摘してもらいたい。間違っていない。
  134. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 矢嶋委員のミサイルに対する研究は間違いないと思います。私もあまり深くはわかりませんが。しかし、今のお話しのように、ナイキとかホークとか名前出しましたが、これはもちろん地対空というような形で、飛行機だけで日本防衛が成り立たぬという場合に、ミサイルをもって日本防衛をするということは、日本防衛を担当している者としてこれは当然だと思います。それなるがゆえにアメリカの戦略態勢が全世界に小型核兵器を持たせるのだから、それによって日本も持たせることになるだろうと言いますけれども、日本としては先ほど申し上げましたように日本防衛のために自衛隊があるので、日本日本としての主体性を持った、最大の責任をもってこの防衛態勢を確立していかなければなりません。そういう点から考えまして、やはり飛行機だけじゃなく、地対空あるいは空対空等のミサイルというものもこれは準備しようとするということは、これは日本防衛として当然だと思います。でありまするから、それが日本が、アメリカの戦略的なことの一環としての核兵器を持たされることだ、また持つことになるのだということに飛躍することは私はどうかと思います。日本としては日本としての憲法上の問題もあるし、日本防衛という責任からもミサイルを導入開発しようということでありますから、それが核装備と直ちに直結し、あるいはアメリカの作戦によって核武装させられるのだ、こういうふうに私は考えておりません。やはり主体性を持って日本防衛に当るためにミサイル等の採用が必要だ、こういうふうにミサイルの採用を考えているわけです。
  135. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官は私の伺っているのに答えていないのです。小型核兵器も持たない、それでアメリカが持ってほしいという点は、これを事前協議で拒否するというなら、ミサイルは核弾頭をつけられないミサイルの方が、より偵察に、より哨戒に、より運搬に能率が上るのですよ。今言ったようにミサイルに種数があるのです。しよう戒用とか、偵察用とか運搬、これは科学者の研究にも使うことがある、ロケットの練習にもなる。そういうわけなら、小型核兵器の弾頭も持たない、また、持ってほしいと言われても、それを拒否するというなら、核弾頭をつけられないミサイルを初めから入れたらいいわけですよ。それを聞いているわけです。だから、小型核弾頭をつけられないミサイルを入れるなら積極的に入れる、こういうことにお答え願いたいと思います。その点聞いているわけです。
  136. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 核弾頭をつけないミサイルを積極的に導入するつもりでおります。しかし今のお話を逆に言えば、何といいますか、核弾頭がつけられるものを入れてもこれは核装備をしないということと、あるいはまたこれを持ち込まれる場合には、これを拒否するということになっているのならば、核弾頭をつけるものを入れても、それは拒否しあるいは装備しないということですから、これは裏を返してみれば、それを入れても差しつかえないというようなことに相なりはしませんか。
  137. 中野文門

    委員長中野文門君) 約三十分間休憩いたします。    午後一時十一分休憩    —————・—————    午後一時四十九分開会
  138. 中野文門

    委員長中野文門君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の防衛に関する件を議題として調査を続行いたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  139. 永岡光治

    ○永岡光治君 時間があまりありませんので、深い質問はできませんが、二、三質問をいたしたいと思います。防衛庁長官にまずお尋ねをいたしますが、それは安保条約改定に関する長官としての見解であります。御承知通り、憲法第九条では戦力の保持は禁止されておるということでございまして、その保持に反対をしておるわけであります。今日までの政府及び与党のとり来たった態度は、自衛のためならば、自衛のためである軍隊は持つことができる。まあ言うならば戦力も保持できるということで改定を行われようとしておりますが、国民も非常に重大な関心を示しているのは、御承知通りであります。ついては他衛の場合ですね、軍隊は使用できるのか。私はできないという解釈を持っておりますが、その点間違いないでしょうね。たとえばアメリカと安保条約の改定によって、日本が自衛でなくて他衛のために軍隊を起されるということになるおそれが十分あると思うのです。そういうことは、絶対軍隊を起さない、少くともそういうことは言えるわけですね。他衛です。もっと具体的に言いますと、アメリカの基地がたたかれた場合に、日本はこれに共同防衛の義務ありと称して軍隊を動かすことになると思うのですが、これは自衛でなくて他衛だと思うのです。その際にもなお日本の軍隊を動かすことはできるという解釈を持っておるのかどうか。
  140. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 自衛と他衛についてはっきりした定義というか、これはちょっとむずかしかろうと思います。日本の憲法では自衛権を否定しておりませんし、これは固有の権利だと思いますので、最小必要限度の自衛力、戦力を持つことは許されていると思います。しかし、今のお話しのように、共同防衛という形になって海外派兵、そういうことはこれは当然憲法に禁止されておることだと思いますから、これはできないと思います。他衛ということはどの程度になるか。たとえば日本にある当地に対して攻撃を加えられたときに、日本の領土、領空が侵犯されたということで、これに防衛態勢をとるということは、これはあり得ると思います。しかし、海外派兵ということは、これは憲法上許されておらないことで、自衛の範囲を越すこと、こういう意味であります。
  141. 永岡光治

    ○永岡光治君 今、うわさされているような安保条約の改定が不幸にして実現するということになりますと、具体的に申し上げますと、沖縄の基地にあるアメリカアメリカは沖縄に基地を持っておりますが、その基地がたたかれた際に、どっかの国に、これについて共同防衛の義務を生ずるのですか。生ずるとすれば、それは他衛ではないのか、自衛になるのか。
  142. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 安保条約の改定の中の地域の問題でありますが、現在交渉中では、沖縄、小笠原は条約の区域の中に入らないということになっていますから、従って今の仮説のように、沖縄が攻撃された場合には、日本の自衛隊が出動するということはあり得ないことだと思います。
  143. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは今予定されておる地域、日本の領土、日本の領土の中にアメリカの基地がある。その基地に対して日本を攻撃する、日本国民を攻撃する、日本国を攻撃するというその対日本との関係についても、どうもそういう意図を持っていなくて、アメリカの基地だけをたたきたい、アメリカ軍をたたきたいという意図を持って攻撃を加えられた際、これは他衛と見るのか自衛と見るのか。私はこれは他衛ではないかと思うのですが、その際にも自衛ということで共同防衛の任に当ることになるのか、その点をお尋ねいたします。
  144. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) アメリカの基地は日本が条約上供与することになろうと思いまするし、現実の問題といたしましても、アメリカの基地と日本の基地とが同じような場所にあることもあると思います。しかし、それがないといたしましても、アメリカの基地に対して攻撃が加えられたと、こういう場合には日本の領土、領空を侵犯する、こういう形になりますので、自衛隊としては、これは自衛のために発動する、こういうことに相なろうと思います。
  145. 永岡光治

    ○永岡光治君 しかし、なぜそれは自衛になるのか、アメリカの基地をたたこうというのです、日本にはごうもそういう敵意を持っていない。ただアメリカのみに敵意を持ってこれをたたこうというときに、それはなぜ自衛という範疇に入るのか、概念に入るのか、その点を明確に私はただしたいと思うのです。
  146. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) アメリカに基地を供与しましても、もちろん日本の領土であります。日本の領土内のアメリカの基地に対して攻撃を加えるということは、日本の領土あるいは領空を侵犯することに相なろうと思います。そういう武力的な攻撃をアメリカの基地に加えられたときにはもやはり日本の国土及び空を守るということで自衛権が発動され、自衛隊の行動が許されると、こういうふうに考えております。
  147. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはなぜ自衛の概念に入るかということです。アメリカという特別な、日本国民に全然敵意も何もない、アメリカ軍だけをたたこうということです。それがなぜ自衛になるのかということです。アメリカ軍をです。これは他衛じゃないかと思うのですが、これはどうして自衛になるのですか。それが私にはわからない。
  148. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 単にアメリカの基地だけをたたくということはあり得ないと思いますか、かりにアメリカの基地だけをたたく、日本には敵意を持っていないということでありましても、アメリカの基地をたたき、あるいは日本の一部を占領するという危険性もあることと思います。そういう点から考えまして、やはり自衛の範囲内と、こう考えております。
  149. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは押し問答をしてもしようがないですが、基地ということでありますから、かりにアメリカ飛行機日本の領土にある基地から飛び立つアメリカ飛行機に攻撃を加えた場合、日本の領海をちょっと出たくらいのところで、それは共同防衛に入るのですか、入らないのですか。どこかの国がアメリカの基地から飛び立った飛行機に対して大挙して攻撃を加えた際に、それに対して共同防衛の義務を生ずるのですか、領空外です。
  150. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 日本の領空外において戦争が起きていくと、こういうことに対しましては、日本の自衛権の発動はないと思います。
  151. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはその程度にとどめておいて、午前中論議の問題になりました増強計画についてお尋ねいたします。一応私が読み上げたこの朝日記事に載っておることは、基本方針として認められておるようであります。あとは数字だけが明確でないと、こういう話でありますから、これはさておくといたしまして、その基本方針の中に一として、「陸海空三自衛隊の統合運用をはかるため、三自衛隊の均衡をとりながら防衛力の総合的発展につとめるとともに、」云々と、そこでお尋ねするわけでありますが、「自衛隊の均衡をとりながら」、その均衡とはどういうことですか。何かの目的があって、その目的に対してこの均衡がとれると、その均衡の解釈です。どういうものを均衡と、この場合は考えておるか、具体的にお尋ねいたします。
  152. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一は、御承知のように自衛隊の中で一番先に発足したのが陸であります。その次に海、それからその次に空。従いましてその充実の点につきましても、今の順序のように、先に充実したものとあとから充実に進んでおるものと差があります。そういう点におきましてこの充実の度合を均衡のとれるようにするということが一つであります。それから陸、海、空と、こういう三つの自衛隊が総合した防衛力ということでなければ、これはいけないと思います。そういう点におきまして連絡、協調及び防衛の場合の一つの作戦といいますか、そういうことが緊密でなければならない、そういう点で緊密化をしてきたと、こういうことであります。
  153. 永岡光治

    ○永岡光治君 充実の度合いを均衡をとらせるという、その充実とは何に対する充実ですか、陸海空とそれぞれありますが、それはやはり相手といいますか、一応何か頭に描いた防空態勢があると思う。どこからどういう兵力で来た際には、こういう防ぎ方をしなければならぬということがあるだろうと思うのですが、そういうものがなくて、何か充実々々というけれども、何の目的を持っての充実というのか、どの程度を持って充実と定めるのか、その充実の度合いがあると思うのですが、それは何によってきまるのですか、その充実の度合いが均衡をとるようにしたいと、こういうことでございますが、その充実はどういうことを示しているのか、よくわからないのでお尋ねするわけです。
  154. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) たとえて申しますと、空なら空の方におきまして、先ほどから問題になっておりまするように、戦闘機がまだ不十分であるとか、あるいはまた人の問題にすれば、パイロットの訓練が足らないとか、あるいはまたミサイルの問題があるとか、こういう点があとから発足していますので、そういう点を補っていく、あるいは海につきましても艦船の供与等が非常に多い、あるいはまた腐朽したものが相当出てきておりますので、そういう点も変えていくと、こういう点によって初めて陸と海と空とがともかく最小限度の防衛の均衡がとれるということに相なろうかと思います。どこの国からどういうふうに侵略された場合ということほど、それほどまでにまだ予定したり何かするほど、日本の自衛隊はまだそれにはほど遠いものがあろうと思いますので、そういうものを考えているのでなくて、発足の当時から充実したいというめどを持っておったものの充実を補って均衡をとる、こういうことであります。
  155. 永岡光治

    ○永岡光治君 よくわからないのですが、やはり何が充実なのか、私にはわからないのです。その陸軍の充実の度合いはどの程度が充実なのか、海軍はどの程度が充実なのか、充実されることになるのか、それからあるいは空軍はどの程度充実されるようになるのか、それが一つと、それぞれまた三つの均衡をとると、こういうわけですね。その均衡と充実とは何を目標にしているのか、目標。そうしてその均衡とは、たとえば陸軍が七で海軍が二で、あるいは空軍が一と、そういうことをいっているのか、均衡とは何か目標がなきゃならぬと思います。きめる以上は抽象的に均衡だとか充実だといっても、納得しないと思うのですね、これは抽象論ですからね。だから何をあなた方は目標にして充実というのか、均衡とは一体具体的にどういうものを均衡がとれると解釈するか。八・一・一が均衡なのか、五・三・二が均衡なのか、六・二・二が均衡なのか、一体均衡とは何なのか、その点を私は尋ねているのです。
  156. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 一応の目標というものは、御承知のように陸軍は陸上兵力十八万と、海の方は十二万四千トンの艦船、飛行機の方は千三百、こういうものが第一次防衛計画にきめられておるわけであります。これの充実というものが、これは必要だと思います。それから均衡の点でありますが、均衡は、御承知のように今の自衛隊が自衛の目的を果すために、戦争前のように陸軍とか海軍とかいうことに分れておらなくて、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊というような形で統合幕僚会議というものがありまして、そこで三自衛隊の総合連絡をはかっておるわけであります。でありますので、具体的に申し上げますならば、統合幕僚会議をもう少し強化いたしまして、三自衛隊の総合的運営をはかっていく、こういうことを考えておるのであります。
  157. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、今の答弁で理解できることは、陸軍は十八万、それから海軍は十二万四千トン、空軍が千三百、これが充実の今の段階における度合いですね。これの割合において均衡とれることを均衡と……、この率においてですね。たとえば陸軍はかりに十七万であるならば十八分の十七ですね。それから海軍の均衡とれるということは十二万四千トンかけ十八分の十七、それから空軍は千三百かけ十八分の十七、これが均衡とれておると解釈されるわけですか。何かほかに均衡とれるということはあるのですか。
  158. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今のお話しのように、算術的な均衡というわけには参らぬと思います。やはり防衛を担当していく上においての緊密なる連絡、こういうことのための均衡が必要だ、こういうふうに考えております。
  159. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは論議をやめます、幾らやっていてもどうもはっきりしないようでありますから。ただ私が聞きたいのは、非常に科学の進歩する時代ですから均衡々々とか、充実々々といっても、非常に抽象的でむずかしいのでありますから、一体一つの目標があって、その目標についてどれが均衡かと、そういうことを十分研究していかなければ意味がないのじゃないかというように感じられるので、ただしてみたわけなのですが、ねらいはそういうところということで解釈いただければいいと思います。  次に、その基本方針の五の中に、「米国からの無償援助の漸減と装備品の近代化に備え、研究開発体系および調達体系を合理的に充実し」、ということがありますが、調達体系を合理的に充実しということは、具体的にどういうことを考えておるのですか。
  160. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 防衛局長から答弁いたさせます。
  161. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 三十五年度の業務計画は、先ほど長官のおっしゃいました通り、まだ具体的に固まっておるわけではございません。考え方を今検討しておる段階でございます。ここで申しておりますることは、大体におきましてアメリカからの無償援助というものは漸減の方向にあるということは、これはどうも否定できないように思うのでございます。防衛庁としてもだんだんと武器その他につきましては、国内調達の方面に移るようにならざるを得ないのじゃないかというように考えておるのでございます。調達等につきましては、現在陸上自衛隊には各補給処——海上自衛隊は補給処はございませんで、各地方総監部等でやっております。航空自衛隊は二つの補給処を持っておりますが、これらの補給処の運営等を検討して能率よくしたいという趣旨のことでございまして、具体的にどうこうというところまでまだ考えておるわけではございません。
  162. 永岡光治

    ○永岡光治君 時間もないので、はなはだ残念でございますが、合理的というのは何か、調達庁との関係の問題が含まれていることになりますか、なりませんか。調達機関としての……。
  163. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 調達庁との問題も一つの問題でございますが、そこまでまだ具体的に入っておりません。
  164. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは次に、陸上自衛隊の方に関係いたしまして、六番目に、「弾薬の調達と生産設備の維持について積極的対策を講ずる」ということになっておりますが、そのうちで弾薬はここ数年来年間一千トンを国産しておる。それから訓練用にどのくらい使うかというと、七千トンとなっておる。従ってその差が六千トンある。従ってその六千トンは備蓄されている十万トンから食いつぶしている。そこでそのあとで「さらに通産省は従来国内の弾薬製造業者に毎年助成金を交付していたが、来年度からこれを打切る方針であるため、陸幕では来年度から従来の二倍ぐらい発注することを要望している」という記事がありますが、こういう考えを持っておるのかどうか。
  165. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 弾薬の問題につきましては、永岡委員もお読みになりましたのですが、大体今までの米国からもらいましたものが、十万トン余りあるわけでございます。これはしかし十万トンございますけれども、弾種によりまして、多いものと少いものといろいろあるわけでございます。相当余裕のあるものもございまするし、毎年の訓練射耗にも足りないというようなものもあるわけでございまして、毎年の訓練射耗にも足りないようなものを、お示しになりましたような数字で今まで調達してきておったわけでございます。しかし、これもやはり米国からの援助ということがだんだんむずかしくなりまするので、将来は国産に持っていきたいという根本的な考えを持っております。そこにありまする今お読みになりました数字は、陸幕でそういうことを要望しておるということでございまして、これらの点につきまして、現在予算の要求をどういうふうにするかということともからみ合いまして、検討中でございます。
  166. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは、そうすると三十五年度予算を提出するときにはきまる、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  167. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 三十五年度予算の要求までには、将来にわたりましての方策を何とか確立をしたいと思っております。三十五年度で全部解決するという問題ではないと思います。
  168. 永岡光治

    ○永岡光治君 時間がないので大へん残念ですが、航空自衛隊の項に入りますが、その六の項で「既定計画によりF86Fジェット戦闘機の最終年度分四十三機を生産する」。これは先ほど辻委員からも質問があったのでございますが、それから七の項では、「T1ジュット中間練習機十四機の国産を開始する」、それから八として「次期戦闘機について国産のための必要な準備を行う」。それから九として「空対空誘導弾サイドワインダーを引続き米国から購入する」、これは「三十三年度十四発、三十四年度九十発購入のためそれぞれ予算を計上したが、入手が遅れ、最初の十四発が今秋到着の予定」、それから十の項目として「これまでもたなかった偵察機と古くなったC46輸送機三十五機の更新をはかるため「新機種」について研究する」ということになっておりますが、こういうことは、この記事の通り受け取っていいのかどうか。
  169. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 大体その通りでございます。現在御承知だと思いまするが、まだわれわれは偵察機を持っておりません。偵察機をぜひ持ちたいという要望がございますので、私どもも必要だと思います。どういうふうな偵察機を持とうかということも検討いたしております。C46輸送機、これはもう生産の打ち切られた飛行機でございまして、これをだんだんやはり消耗して参りますので、この後継機を何にしようかということも現在検討中でございます。サイドワインダーの点につきましては、先ほど装備局長が申し上げた通りでございます。
  170. 永岡光治

    ○永岡光治君 さらに航空基地の問題ですが、小松飛行場、これは新設ということですが、それから築城飛行場の滑走路の延長、それから千歳飛行場の改修、それから十二の、「これまで緊急迎撃体制を実施していた第二航空団のほか、中部、西部各方面隊でもできる範囲内で警戒待機を行うよう実動能勢を整備する」という、この十一、十二の項目も、この通りに考えておるものと理解してよろしいですか。
  171. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 飛行場の関係から申し上げますると、小松にはぜひ飛行場を一つ作りたいと考えております。築城の飛行場の滑走路は、もう少し延長したいという考えでございます。漸次やはり訓練の段階から実用の段階に入っていきつつあるのでございまして、それに応じまして飛行場等の要望も出ておるわけでございます。それから千歳の滑走路は相当いたんでおりますので、これは改修の必要があるのでございます。迎撃体制の問題は、御承知のごとく、北海道地域におきまして第二航空団が担当しておるだけでございますが、これもやはりだんだんとパイロットの養成、訓練の進みますにつれまして、われわれの手で日本の領空をぜひ守っていきたいという考えを持っております。
  172. 永岡光治

    ○永岡光治君 第二次防衛計画は、いつごろ大体まとまるお見通しでありますか。これは長官の方にお尋ねいたします。
  173. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今のところでは、十一月ごろを予定して作業を続けております。
  174. 永岡光治

    ○永岡光治君 この第二次防衛計画と第一次防衛計画とは、当然私は関連してくると思うのでありますが、私が先ほどずっと読み上げましたことは、その第二次計画のいかんにかかわらず、一応こういうふうに受け取っていいのか。念のためにお尋ねしておきたい。
  175. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今の三十五年度の業務計画は、前からの引き続きでありますので、第二次計画と離れてこういうことにしたいと思っております。しかしその中には、検討していきますと、第二次計画との間におきまして、重なり合いがあると思います。これは第二次計画はまだ十分に検討しておりませんので、幾分の重なり合いは出てくると思います。大体三十五年度の業務計画は従来の継続でありますので、今お示しの、あるいは答弁いたしました方向で進めておるわけであります。
  176. 永岡光治

    ○永岡光治君 大ざっぱに言いまして、第二次防衛計画のねらいとするところは、どういうところにあるのか。大まかでけっこうです。
  177. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 基本的な考え方は、先ほどから私から答弁をいたしましたように、日本の自衛隊の主体性を確立していくということにあるのであります。そこで、陸の方におきましては、人員の増加をこの五カ年間にあまりしたくない。十八万をこしますが、それがあまりこさない程度にしていきたいというふうに考えております。それから予備自衛官というような数をふやしていくように考えております。それからまた弾薬等の備蓄、生産等につきましては、先ほど防衛局長が答弁した通りであります。  それから海上自衛隊につきましては、老朽船舶が相当出てきておりますので、これをかえていきたいということ。それから対潜水艦に対しての防備態勢を強化したい。でありますので、これはでき得るならば、小さい航空母艦でしょうが、ヘリコプターの空母というものを持ちたいというふうに考えております。  航空自衛隊につきましては、先ほどから問題になりました戦闘機のFXの生産、それから防空GMの導入とあわせまして、全般的に防空兵力を増強したい、こういうふうに考えておるのが大体の構想でございます。
  178. 永岡光治

    ○永岡光治君 きょうは一応構想を聞くにとどめまして、意見を述べません。いずれ機会をあらためて質問いたしたいと思います。そうすると第二次防衛計画というものは、質的に特に取り上げられるものは、新しい主力戦闘機種の問題が特筆すべきであって、そう大してあとの問題は、三十五年度の今までの第一次防衛計画とそう構想は特に飛躍的に変ったものではない、こういうふうに受け取れるわけですが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  179. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今のお話しのように質的に強化し、また近代化をはかっていくという考え方で進めておるわけでありまするから、兵器あるいは戦術、戦略等のいろいろな進歩もありましょうけれども、三十五年度の業務計画とそう違った考え方でなく、長期的に構想を整備していきたい、こういうふうに考えております。
  180. 辻政信

    ○辻政信君 業務計画に関連しまして、要点だけ簡単に、時間がありませんから、答弁も簡単にお願いします。今度の計画のねらいは、内容的には三軍統一の思想を強く打ち出されて、統幕会議を強化する、この点にあります。これは容易ならぬことであります。よく決心されたと敬意を表します。しかし、これをやられるには、長官はよほどの決意をもってやらんと羊頭狗肉になるおそれがある。第一の抵抗は、内局の文官幕僚から起ってきます。第二の抵抗は海上幕僚自衛隊から起ってきます。それはアメリカの軍制にならっておる日本の軍制であります。アメリカはこの三軍対立に悩み抜きましたが、最近ようやく踏み切ったようでありますが、最近のワールド・レポート誌によりますというと、軍事統幕者の間で次第にまとめようとしているのは一軍制をとることである。三軍を一軍にする、つまり全軍隊を攻撃部隊と防御部隊に分け、一人の最高司令官に統轄させ、全員同じユニフォームを着るようにすることと、これがアメリカの大体の傾向であります。これに対しまして、アメリカの海軍は今でも非常な反対をしておるのであります。この海上幕僚自衛隊も同様に反対する空気にあると私は察しておりますが、それを押し切って、きれいに三軍統一をやられる決意があるかどうか。いま一つは、防衛庁の内局のお役人さんたちは、やはり内局が軍政と軍令とともに握ろうというところに無理がある。統幕を強化するならば、純然たる軍事事項である軍令、軍用、こういう面は内局を通ぜずに長官の最高幕僚としての仕事をやらんというと、軍政、軍令がごっちゃになって非常な混乱を招く原因でありますから、この一つの障害を排除して、あくまで額面通りに統幕会議を強化して三軍統一に踏み切られる決意があるかどうか、それを承わりたい。
  181. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今アメリカの構想のように、あるいは今お示しのように、三軍統一まで持っていこうという考え方は今持っておりません。今の統幕機構において強化していこうと、こういう今のところの構想であります。しかし、それにつきまして海上自衛隊の方からの不満といいますか、あるいはそれを好まないという空気はないわけではないというふうに私も聞いておりましたが、この間中、この統合幕僚幹部を強化するということにつきまして、海上自衛隊も快くその点には今のところ協力しております。内局の問題につきましては、御注意の点もありますから、よく注意したいと思います。
  182. 辻政信

    ○辻政信君 ことしやられる具体的な問題は、統幕の人員増加と統幕学校を作ろうとしております。この統幕学校というのはおかしい。わずかに二、三十人の学生に一つの学校を作ろう、これは悪く解釈すれば、老朽幹部の避難所のような感じがする。現在幹部学校というのがありますから、この幹部学校の中でこれらを教育するようにされたらいかがですか。
  183. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、今の幹部学校は陸、海、空と三つに分れております。この三自衛隊の連絡強化をはかろうということになりまするというと、その上といいますか、それはアウフヘーベンしたような形でこれを作る必要があるのではないか、こういう構想から幕僚幹部学校という形で三十人程度の幕僚の幹部になる、首脳部になるところの人々を養成して連絡強化をしていく、こういう考え方であります。
  184. 辻政信

    ○辻政信君 学生三十人に一つの学校を作りますというと、校長から小使まで作らなければなりません。こういうことは陸上幹部学校の中に併置をされて一向差しつかえないのであります、事務係統その他は。もう一ぺん考え直していただきたいと思います。  次に申し上げたいことは、陸上自衛隊一万増員はおやりになる気持かどうか。これは去年の国会でも相当荒れましたし、私は個人として大反対であります。世界の軍事情勢が量よりも質に変ろうというときに、一万増員する金があるならば、なぜ内容の改善にそれを充てないのか、その点についての長官の所信を承わりたい。
  185. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今のような情勢の推移もあることと思いますが、今までの第一次計画によりましては、十八万ということになっております。この方向に持っていきたいと思いますが、なおさらに検討を加えてみるつもりであります。
  186. 辻政信

    ○辻政信君 あまり昔立てた目標にとらわれないで、時代の進運をお考えになってもらいたい。そこに赤城さんのような、りっぱな人を持ってこられた原因がある、有力な閣僚を。それからもう一つのこの原因の根本は、戦略兵団十個欲しいというそういうところからきている。その十個はすでにでき上っておるのですが、こんな陸上自衛隊の予算があるなら、それで他の方面の質の改善をなさる、これは私の所見として申し上げておきます。  次に、中部方面隊の準備本部長に池野陸将を採用されておる。池野陸将はどういう方か知りませんが、この前の国会においては、北海道演習のときに、九州から釣ざおをかついで、そうらん節を歌って大問題になった人です。これは御承知のはずでありますが、そういう人を中部方面隊の指揮官にしていいとお考えになっておりますか。
  187. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 北海道の演習のときに、釣ざおを持っていったということで相当非難をされたということは、私も承知しております。しかし、人物形態といいますか、いろいろそのほかの方面もよく調べてみまして、適当な人だというふうに考えまして任命をしたわけであります。
  188. 辻政信

    ○辻政信君 そんなことをおっしゃるなら資料を出しますが、九州の現地部隊の兵隊から投書が来ている。その島嶼によりますと、うちの総監は演習が熱心じゃない。ほとんど毎日のように魚つりに行っている。毎日つりに行っている人でなければいけないのかということが、あの現地部隊の兵隊から投書が来ております。必要があったらごらんに入れますが、それが各方面から見て差しつかえないというなら、一体軍の高級指揮官がそうらん節を歌って釣ざおをかついでおっていいのか、この時代に。もっとほかにあるじゃありませんか、適任者が。どこが人物形態といわれるのか、それをはっきり承わりたい。
  189. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) それはせっかく部隊からの投書でありますが、その投書が全部をきめるものとは思いません。でありますので、その釣ざおを持って行った当時のことも私はよく調べてみました。そういうことから非難をされるということは、まことに遺憾でありますけれども、しかし、その他の点におきまして私は適任だというデーターをたくさん持っておりましたので、そういう点はあったとしても、これは中部総監にはいいものだ、こういう観点から任命したわけであります。
  190. 辻政信

    ○辻政信君 軍隊の指揮官で一番大事なのは、その点なんです。どのように能力がすぐれておっても、自分の部下から信頼を受けないのじゃ指揮官の資格はない、ほかの役職とは違う。あの真剣な演習のときに、最高幹部の一人が九州から釣ざおを持って行って、そうらん節を歌って世の中の非難を受けたということは、軍の指揮官に関する限り、これは致命傷ですよ。ほかの仕事とは違う、会社の役員とは。会社の重役の人事で、これは少々間違っても、能力があるというのと違うのですよ。自衛隊の長官というものは、よろしゅうございますか、一人の兵隊の投書で左右せよというのじゃないのです。
  191. 中野文門

    委員長中野文門君) どうぞ質問……、何か答弁要りますか。
  192. 辻政信

    ○辻政信君 答弁要ります。
  193. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 投書がある根拠を、データを持っていると、それは一人の部下の者からの投書であると、こういうお話しでありますが、その投書だけによって私はその人物を判定するわけにはいかぬ。しかし、今のお話しのように指揮官が指揮がゆるんでおるとか、あるいは非常に非難されることがあるとかというようなことにつきましては、これは私も十分考えなくちゃならぬと思います。しかし、いろいろ実情も調査しましたが、あの当時非難されました釣ざお事件のときも、あるいはこの委員会等その他におきまして実情の報告があったと思います。非難すべきそれほどのものではないけれども、やはり問題になったというその事自体、確かにこれは遺憾だと思います。しかしそのほかの点におきまして十分な注意を与えましたけれども、適当なものとこういうふうに考えて任命したわけであります。しかし、今の指揮官というものの態度あるいは性格、そういう点につきましては、御指摘のように慎重にしなくちゃならぬということは、私ども強く考えております。
  194. 辻政信

    ○辻政信君 次に、今度国防省に昇格するということが自民党内の多数の意見のように拝聴しておりますが、事実でありますか。
  195. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、防衛庁の機構も相当広いといいますか、機構も大きい機構を持っております。それからまた負担財政の面におきましても、相当の予算を持っております。でありますので、総理府の外局というような形でなく、やはり責任体制をとって防衛省ということにした方が私は適当だと思います。しかし、これにつきましてはいろいろまだ問題があろうかと思います。でありますので、これは国会方面のいろいろな意向等も勘案した上に最終的には決定いたしたいと思いますが、私としては国防省にすべきだと、こういうふうに考えております。
  196. 辻政信

    ○辻政信君 李承晩ラインで日本の漁業さえ保護できない程度の自衛隊が、一体自衛隊という名前をつけるだけでもおかしい。それが国防省というのは恥かしい感じがします。名前を変える必要があるならば警察予備隊の元の名前に変える方がふさわしい。看板だけ高く掲げて、内容は何ら国民の期待に沿うておりません。以下李承晩ラインの問題について若干質問いたします。  最近、李ラインで海上自衛隊が米軍と共同して演習をやるということが出ております。それは台湾のけさの電報によりますと、蒋介石の海軍がまた同じ時期にあの水域で米第七艦隊と共同演習をやるのですが、日・台・米共同の連合演習というふうに見て差しつかえありませんか。
  197. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 対馬海峡及び日本海方面で海上自衛隊が演習をいたすことになっております。これは俗に日米共同演習というふうに普通言われておるのでありますが、御承知のように、言葉じりかもしれませんが、正式には特別訓練と、こういうことになっておるわけであります。それで日本海、対馬海峡方面の訓練は七月三十日から八月三日まで、参加部隊といたしましては、日本側は第九護衛隊及びP2V若干等であります。アメリカ側は、右の今の訓練の目的に沿って、潜水艦を含む艦艇若干及びP2V数機と、こういうことであります。日本海方面におきましては従来演習訓練をしたことがないのであります。太平洋方面におきましてはその訓練をいたしましたが、しておりません。そういう関係でありますので、八月一日から八月十五日まで訓練をしたい。その場所は九州北岸、日本海、津軽海峡等の日本沿岸海域であります。参加部隊としては、日本側は第七護衛隊並びにP2V及びS2F若干であります。これは今お話しのように、台湾の方とアメリカの方と一緒になってやるというふうなことでなくて、日本の海上自衛隊としての訓練も必要であります。対島方面、日本海方面におきまして訓練をするということにいたしたのでありますが、ちようどそのときにアメリカの艦隊の演習もありますので、日本の訓練の不十分な点を、アメリカ側の潜水艦を含む艦艇若干及びP2V等の数機の参加を得て訓練をする、こういうことに相なったわけであります。
  198. 辻政信

    ○辻政信君 日韓会談が急転直下して順調に開かれようとするときに、その李ラインで演習をやることが、李承晩に刺戟を与えないとお考えになるか。その点は外務大臣と連絡なさったかどうか。それを伺いたい。
  199. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、この計画は日韓会談が急転直下する前の計画で、それを進めておったのであります。しかし、このことにつきましては、外務大臣及びアメリカ側とも話し合っておったわけであります。そこでそのあと、一昨日ですか、急転直下して、日韓会談の再開ということになったわけであります。この演習計画は、その再開の韓国側の申し入れより前に計画され、また、ある場所において聞かれましたから、そういう計画があるということを私の方で言っておったわけであります。日韓会談に私は影響はないと、こう考えております。
  200. 辻政信

    ○辻政信君 既定通り、あくまでやりますか。
  201. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 既定通り、あくまでやります。
  202. 辻政信

    ○辻政信君 実弾を持っておりますか。
  203. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) その点は私はまだ承知しておりませんから、よく調べてからお答えをいたしたいと思います。
  204. 辻政信

    ○辻政信君 これは重大な問題です。紛争地域に初めて日本の海上自衛隊が出ていく、その目の前で日本の漁船が李承晩の警備艇にやられたときに、自衛隊の船が出ていって、そうしてそれを見送るだけで指をくわえて見逃がすということがありましたならば、これは相当の問題が起って参ります。また、そういうことの不時の事件を考えて武装して行くのか行かないのかということは重大な問題ですから、長官は腹をきめて演習を御指導なさらなければなりません。  では、運輸大臣がおらんそうですから、政務次官にお伺いしますが、政務次官は大臣に代って一つ責任を持ってお答えを願いたい。数字がわからなかったら、ばく然でけっこうですよ。李ラインにおいて今まで漁船と人員が拿捕されたが、その総計はどのくらいになっておるのですか。ばく然でけっこうです。
  205. 前田郁

    説明員前田郁君) きょうは大臣がおいでにならんので、私がお答えいたしますが、拿捕された数は、隻数で二百五十九隻でございまして、人員で三千二百六十九人、これで残っているのが今百五十四隻で、まだ帰らない者が百六十四人、こういうことになっております。
  206. 辻政信

    ○辻政信君 大体私の調べた資料と同じですが、けしからぬのは、人間はどうにか返すが、取った船は韓国がみな使いまして、漁民に貸して金を取上げておる。政府は優秀な船は警備船に改造して、またその警備船で日本の漁船を襲っている。豆がらで豆をいるようなことをやっておる。これくらい国際法を無視した野蛮な侵略行為はないと思うのですが、こういう事態に対しては、防衛長官は侵略とお認めになるかどうか、それを伺いたい。
  207. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 侵略とは認めておりませんけれども、重大関心をもってこれに対処する用意はしておるわけであります。
  208. 辻政信

    ○辻政信君 これだけ踏んだりけったりされて、侵略と認めないということは、どういうわけですか。どう解釈されますか。国際紛争とごらんになりますか。
  209. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは直接及び間接の侵略というふうにとれない。こういう事情から私は侵略でない、こう考えております。
  210. 辻政信

    ○辻政信君 白昼公海の上で、堂々と国際公法で許された仕事をしておる罪のない日本の漁師が、たまを撃たれながら、船も人も引っぱっていかれるのが侵略と言えないか。飛行機で爆弾を落さない限りは侵略といえないのですか。
  211. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国際法的にあるいは国内法的にいろいろむずかしい問題と思います。国際的にも非常に問題があります。私は侵略と今認めておりません。なお、研究いたします。
  212. 辻政信

    ○辻政信君 では対島に上ってきたら侵略と認めますか。
  213. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) もちろん侵略と認めます。
  214. 辻政信

    ○辻政信君 竹島を取られたことを侵略と認めるか。
  215. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 竹島に人は向うの韓国の者が来ておるということは聞いております。それを占領したということに相なっておるかどうか、これもよく検討しなければ結論は出せんだろうと思います。
  216. 辻政信

    ○辻政信君 冗談じゃないですよ。私は昭和二十八年の九月に李ラインと竹島をこの目で見てきた。日本のはっきりした領土の上に、李承晩の旗が立っている。その後約一カ月ならずして、大砲を備えつけているのですよ。そうして漁船が近づくと撃つ。これが侵略でないとか、まだわかっておらぬとかいうことは、非常にこれは工合が悪いですよ。いかがでありますか。対馬を取られたら侵略だと、竹島は現に取られている。これは侵略とお認めになるかならぬか。
  217. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国際的な問題にもなりますので、この点につきましては、これに対してどういう措置をとるか、たとえば国際司法裁判所に提訴するか、そういう点も一応の検討の問題だと思うのです。検討いたしたいと思います。
  218. 辻政信

    ○辻政信君 そんなことを聞いているのじゃない。対馬へ上ったら侵略だとはっきり言っているから、それじや竹島を取られたって現実は同じじゃないか、日本の領土で……。その侵略か侵略じゃないかということを承わりたい。
  219. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実情私もよく承知しておりませんが、今のようなお話しであるとすれば、一つの侵略行為だとは思います。
  220. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ海上保安庁長官、あなたは警備隊から報告を受けて知っているでしょう。今どうなっておりますか。
  221. 林坦

    説明員(林坦君) 竹島の状況につきましては、海上保安庁では定時的に巡視をいたしておりますが、今竹島上に灯台が立っております。それから武器を持った韓国の兵隊であるか、あるいは警備船の乗組員であるかわかりませんものが、そういうものが数名いるようでございます。
  222. 辻政信

    ○辻政信君 今ごらんになった通りの状況です。灯台は日本の灯台じゃない。李承晩が作った。大砲は李承晩の大砲であります。文官か軍人かわからぬが、とにかく人間が武器を持っている。これほどはっきりした事実を侵略と認めない、研究の余地がありますか。
  223. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 事実をなお、さらにはっきり調べなければ、侵略であるかどうかということは言えませんが、今の辻委員のようなお話しであると、私は侵略であると思います。しかし、それに対処する方法はどうするかということにつきましては、これは国際的な問題もありますから検討したい、こう考えております。
  224. 辻政信

    ○辻政信君 私の証言じゃ納得できんから、海上保安庁の長官答弁を求めている。事実はこの通り間違いないのです。侵略されている。そこで防衛庁は直接侵略、間接侵略に対しては守ると言いながら、国民から千三百六十億円という金を巻き上げている。竹島問題一つ解決できない。李ラインにおける漁師が保護できない。そうしてあえて国防省という看板をかけようとする。そこに国民に対して納得のいかんものがあるということを私は言っている。なぜ奪われた領土を取り返そうとされないのか。あるいはそれは国際紛争であるから、憲法第九条で力を行使することを禁ぜられているというふうに逃げるかもしれない。憲法第九条は自衛権を認めていると言っている。自衛権ということは、自衛隊とその行動であります。自衛行動を認めないならば、自衛権を認めないことになる。そうすればこのようにはっきりした事実に対して対処できないというので、国民にどのつらを下げて、防衛予算を増加せよと言うことができますか。ただの金を使っているのじゃない。国民を守るという決意があり行動があってはじめて税金を出している。あの九州の漁民のお気持をお考えにならないか、いかがでありますか。
  225. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 九州の漁民の気持もその他もよく考えています。考えていますが、問題は国際紛争というようなことで、より以上の拡大した問題に持っていくかいかないかというような、こういうこともよく考えなければ、これはいけないと思います。そういう点から、なおその処理方法については検討を加えたいということであります。たとえば一人の人が殺されたからといって、それで自衛隊が発動して、戦争行為みたいなことをやるかやらないかということは、これは考えなくちゃならない問題だと思います。そういう点は政治家としての辻委員もよく御承知であろうと思います。そういう点は、なお対処方法について考えなければならぬと思います。
  226. 辻政信

    ○辻政信君 わかりやすい例をとりますと、現在の李承晩ラインのやり方は、町のグラウンドの中で子供が野球をやっている。そこへ愚連隊が入ってきて、そのグラウンドに線を引いて、これは愚連隊ラインだから、その線をこえたボールはめし上げる、入ったやつはぶんなぐる、それを巡査がそばで見ている。ぶんなぐられて泣く子供を巡査が見ておって、愚連隊に注意しないと同じですよ。この警察が日本の政府であり、なぐられているのが日本国民である。それで一体国民に政府を信頼せよ、自分は防衛庁長官で、第二次計画をやるのだ、あまりに国民に対して不信とお考えになりませんか。
  227. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 絶対に不信だとは考えておりません。日本防衛のために責任を持ってやっていることなんです。竹島だけの問題で、私は不信を買っていると思いません。むしろ、国民に信頼される態度で、私はやっていると思います。
  228. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ聞くが、対島の防衛はどうなっておりますか。
  229. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 対島に対しましては、万全の方法を考えております。近くあそこに司令部を置いて、いつでもあそこが占領される場合には、こちらから増員できる、派遣できるようにいたしておりまするし、また、道路の計画等につきましても、横断道路等が非常に不十分であります。この道路等も開発するということで、いつでもここに問題が起きれば、海上自衛隊が出動できる態勢を整えております。
  230. 辻政信

    ○辻政信君 はなはだ不可解な御答弁であります。私の言うのは、あの裸のままではいつやられるかわからんから、侵略を未然に防ぐ意味において、事前に責任を持って防衛の処置を講じなさいと言っておる。あなたは、今、もし取られたら、司令部があるから、軍艦も道路も整備してあるとおっしゃるが、取られたらではいけない。取られる前にやるのが防衛じゃないですか。何の必要があって対馬の防衛強化をちゅうちょされるのか、それを承わりたい。
  231. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今のは間違いです。取られないためにそういう措置をとるということを言っているのです。取られてからじゃ間に合わないです。(笑声)
  232. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ聞くが、あそこはあなたごらんになったことがありますか。私は見ておるんです。島民が六万、朝鮮人が三千人おる。密輸をやっておって、武器を持っております。それを守る巡査が百人しかいない。それで飛田勝の町長にどうするのかと聞いたら、消防団にやらすと言う。しかし消防団はトビ口しか持っておらない、こういう実情です。そこで数年前から、責任を持ってあそこに陸上自衛隊、海上自衛隊を置きなさいと言っておるが、置こうとしない。その理由は何かと言ったら、政府は、今のところ李承晩を刺激するからだという。あなたもそのつもりで今まで置かれないのですか、刺激するということで。
  233. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどからお話し申し上げたように、あそこへ司令部を置いて、そうしていつでも動員できるような体制を考えておるというのですから、どうも私の前のような話をしておられるようですが、私は前の話と今の話と違う考えであります。
  234. 辻政信

    ○辻政信君 司令部というのは頭なんですね。手足を持たなければ司令部じゃないのです。司令部を持っていくからには、陸上、海上の動く部隊を持たなければ、防衛にならない。あなたのようなえらい人を一人持っていっても、防衛にはならない。司令部の人員はおそらく四、五十名だ、それ以上ないでしよう。それで一体守れるか、いざというときに動員するとおっしゃるが、そんなものじゃない。何がゆえにあれほど切迫した第一線に陸上自衛隊と海上自衛隊を置くことをきらうか。一体、日本の海上自衛隊というものは、本拠が横須賀にあることが間違いなんです。アメリカを敵とする配置をとっておる。そうじゃなしに、われわれの予想する紛争は、日本海方面にあるから、海上自衛隊の配置を根本的に日本海側に転換をしなければならない。特に対島には、竹敷という日露戦争の東郷艦隊が入っておった要港があるのです。地理的条件並びに国際的な要請から、竹島というものは重要だということを数年やっておるが、そこにおる加藤防衛局長以下その連中は、みな外交上の刺激だと言って今まで逃げてきた。これは私は実情を知っておるのですよ。あなたは司令部を持っていけばいいとおっしゃる。ところが、司令部というのは頭だけですよ。付随する手足を持たずに防衛というものは成り立たない。来年度の計画に、思い切って陸上自衛隊と海上自衛隊の一隊をあの地理的条件の整っておる所におやりなさる意思がないかどうか。
  235. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 海上自衛隊の一部はあります。それから、陸上自衛隊においては、司令部を置きますが、いつでも増強できることは、軍事専門家の辻委員承知だと思いますが、何もそこにおらなくたって、三十分かそこらで幾らでも動員できる体制に整えようと思えばできるし、また整えております。でありますから、これにつきまして決してほうっておくわけじゃなく、ただ、大きな自衛隊を置くか置かないかということは、六万の島民の安心感、信頼感ということがあろうかと思います。そういう点におきまして、一部海上及び陸上の司令部的なものは置くつもりでおります。いつでも数分といいますか、数十分といいますか、そのくらいで防備態勢につけるだけの用意はいたすわけであります。御心配、また御注意の点は、重々私なども頭に入れて万全を期したいと思っております。
  236. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ具体的にお伺いしましょう。司令部は一体何人おりますか。これは防衛局長に……。
  237. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今、大臣がおっしゃいましたのは、司令部を置く構想を持っておる……。
  238. 辻政信

    ○辻政信君 ないのでしょう、現在。
  239. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 現在も海上自衛隊の連絡隊がおります。
  240. 辻政信

    ○辻政信君 何人おりますか。
  241. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 三十四年度におきまして五十名だけ増員する予定でございます。今、辻委員のおっしゃいます対島の防衛は、私どもも十分考えておるのでございます。ただ御承知のことと存じますが、陸上部隊を置くにいたしましても、訓練の場所がないのです。それが一つの悩みになっております。また、わが国防衛の観点から申しますれば、あそこの列島というものは、海上作戦の上において、非常に重要な意味を持っております。なんとかあの辺におきましては、制海権、海上における優勢を確保したいという構想を持っておるのでございます。海上及び航空における優勢を確保できますれば、私は、そんなことは全然ないと思いまするが、かりに上陸をしようなんと思いましても、簡単にできるものではないと思います。海上及び航空の備えをやりたい。あわせて陸の備えもやりたい、こういう構想を持っております。
  242. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  243. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。
  244. 辻政信

    ○辻政信君 時間がないそうですから、それじゃ赤城さんに念を押しておきますが、私はこの業務計画を見て、最大の欠陥は対馬の防衛がゼロだということです。司令部だけ置いて、五分や十分で陸上部隊、海上部隊が行けるというようなことはない、それははっきり申し上げる。私は現場を見ておる。演習場がないと加藤君は言っておりますが、加藤君は行ってみたことがありますか。あるでしょうが、あそこは岩山でほとんど畑に使えない。演習というのは、現地におる部隊がそこを守るのですから、現場が一番いい演習場になる。あなた方は、演習となったら広場でないとできないという観念を捨てて、島民の要望を来年度の防衛計画にぜひお入れなさるように、李承晩を刺戟するとかなんとか言っていると、竹島の二の舞いになる。そういうことじゃない。日本防衛のために何の遠慮も要らないですから、そういうことだけ強く要望して、あなたに対する質問を終ります。
  245. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。李ライン問題について私も質疑をしたいと思って、保安庁に資料を提出願い、長官にもおいで願っておったのですが、今、辻委員から質疑がありましたから繰り返しません。ただ私の伺いたいのは、辻委員の質疑の角度と少し違う角度であったわけですが、時間がありませんから繰り返しませんが、ただ一言申し上げておきたい点は、辻委員からいろいろ質疑がありました対馬の防衛の問題、李ラインの問題でありますが、韓国に対しては、アメリカは経済的、軍事的援助援助をずいぶんしているわけなんです。だから相当アメリカは、韓国に対しては発言権を持っているはずです。で、先日来の日韓会談の再開の問題にいたしましても、アメリカの態度というのは非常に影響しておるわけです。だからこの李ラインの問題にしても、あるいは対馬の防衛の問題にしても、当然私は外交が、きょうは外務大臣をそれで私呼んだわけですが、お出でになっていないから質問できませんが、強力なる外交が先行すべきであって、おっ取り刀で兵器をもって対処するというような方針というものは軽々にとるべきものでない。こういう見解を私は持っておりますので、その点は意見として一言申し上げておきます。  今日保安庁から詳細な資料をいただきました。それから防衛庁関係からもヘリポート関係資料を提出していただいたのですが、伺っておきたい点は、根本の問題ではなくて李ライン問題の解決策ですが、日本の漁民は出漁をするのに、貧乏であるから無線機を持っていない。無線機を持たせるようにするのが方法だと思います。それから海上保安庁に飛行機があって警備して、そろして情報を伝達するというようなことが適時的確に行われれば、李ライン問題はあんなに紛争が起らないと思います。まあ、ラインがあること自体が問題ですが、ヘリコプターがあっても相当に安全操業というものは守られると思います。それで資料を出していただくと、飛行機というものは問題にならない。それからヘリコプターも海上保安庁というのは持っていませんね。持っておっても、九州全部でわずか一つというわけでしょう。それで自衛隊の資料を見ますと、西部方面隊にヘリコプター二、鹿屋航空隊に一という寥々たるものです。ですから、この李ライン問題の安全操業についてもそうですが、またしょっちゅう九州は災害のある所なんですが、何か災害があると川の中州に孤立した、アメリカ軍のヘリコプターが行って救済したといって美談として新聞にでかでか出ますよ。またどっかに重病人ができた。その重病人をヘリコプターに乗せて病院へ運んで助かった、米軍の美談みたいに、そのつど大きな新聞記事が出るわけですが、僕は、日本の自衛隊なり、海上保安庁はそういう場合に警察の連絡でヘリコプターをよこせないものかと疑問に思っておりました。そして自衛隊なり、保安庁から資料を出していただくと、なるほどどちらもヘリコプターを持っていないわけですね。一体こういうことであなた方の使命は達成できるのかどうか。その点を防衛庁長官と、保安庁の長官がお見えになっておりますから、反省も含めて今後の対策を一つお答えを願いたい。李ラインにおける日本漁民の安全操業の立場と、それから災害対策とか、あるいは国民の危急の場合を救済する、そういう陸上並びに海上における救護という立場から、それぞれの方からお答えを願いたい。
  246. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 外交的に李ライン問題をきめていかなければならぬことは、御指摘の通りであります。御承知のように日韓会談が決裂といいますか、再開できなかったときの状況は、李ライン問題をめぐりまして、漁業問題、安全操業問題がデッド・ロックに乗り上げていたということであります。それにつきましては御承知でありましょうが、水産庁側も原案に基きまして、日本から李ライン問題に対する漁業の点を一つ提案をいたしました。その提案をのめないということで、そのまま再開にならない、交渉が途絶しておったのであります。今後再開いたしますならば、当然この問題が一番先に取り上げられるべきだと思います。  それから警備あるいは偵察、救護その他につきましてヘリコプターが非常に足りないのじゃないかという御指摘であります。災害等につきましては、御承知のように去年の伊豆災害その他九州方面の災害につきましても、離れ小島になったような所にヘリコプターで人を運び、物を運んだような例はたくさんあるのであります。不十分であると私どももよく承知しておりますので、こういう方面は増強したい、こういうふうに考えております。
  247. 林坦

    説明員(林坦君) お手元にお配りいたしました海上保安庁関係の巡視船艇及び航空機の配属状況の図について若干補足いたしますと、これは一応私どもの方としましては、配属した管区に配属されているものを一応出しているわけであります。もちろん、李ライン問題が特殊の業務をわれわれの方に課している関係もございますので、大体機動的にこれも処置いたしております。従って、ここにあるほかに実は先般来問題になりまして七管区の中の船のほかに八管区あるいは三管区、四管区、五管区等から、さらに全体で五隻程度のものを増強して、そうしてあの方面を何とかさらに警備を増強するような応急措置をとったわけでございます。しかしながら、これは直ちにもうほかの管区に相当の穴を生ずるという状況でございまして、やはり最近の遠距離海難、あるいはいろいろのほかの問題を処理いたします上に、船艇の問題の上にもいろいろ不足を感じております。これは李ライン問題に対しまして、われわれとしてはどうしてももう少し船艇の増強を必要とするというのが現状でございます。  さらに今御指摘のございましたように、ヘリコプターはまことに数も寒々といたしておりまして、一カ所一機ぐらいづつ置いて処置いたしております。これがきわめて足りない状況であることは、御指摘の通りでございます。私どもといたしましても航空機、特にヘリコプター関係の増強につきましては、今後の私どもの方の海上保安庁の任務達成上最も重要な点といたしまして、今後考慮していきたいと考えております。
  248. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政務次官お見えになっていますから、これは十分海上保安庁の充実については努力をしてもらいたい。海上並びに陸上における秩序の維持と国民の生命財産を守るということが海上警察、陸上警察の使命なんですから、この点については赤城防衛長官国務大臣として善処すべきだと思う。まことに先輩である政治家のあなたに反省を促すことは、私は失礼かと思いますけれども、あなたに国務大臣としてのあなたの反省を促したいことがある。それは今の李ライン問題を中心とする海上警察力については、海上保安庁長官から説明があったようにきわめて不十分である。ところが、本日、第二次長期防衛計画並びに昭和三十五年の業務計画も発表になりましたが、一応は話も出た。これらは全部これは安保条約の改定、バンデンバーグ決議の趣旨を入れた安保条約の改定という日本の歴史的な一つの転換期になって、そうして本格的な軍事国家、再軍備へとすべり出す現われとして出ておる。今井さんと加藤さんが先般アメリカへ行ったのですが、これは長期防衛計画の話し合い、打診で行ったし、それで招かれて行っております。これは将来ときが解決するでしょう。だから十一月末までに第二次長期防衛計画を作るということは、安保条約の改定と不可分の関係にある。それから三十五年度の業務計画、膨大なものを出しているが、これは防衛分担条項が削除されてから百十一億、こういう防衛分担金がなくなる。そうなりますと、一般方式を運用しますと、明年度は本年度より防衛庁関係費は二百五十億から三百億ぐらいふやすということがワクがはまってきておる。そういう立場からこういう業務が出ておる。そうして第二十九回の国会防衛庁、海上自衛隊を審議したときに、統幕会議性格を非常に論議された。そのとき吉田内閣でしたが、吉田内閣は自衛隊は戦力でないというので統幕会議、こういう性格になった。ところが、これはもとの参謀本部みたいの性格、今あなたが言われている統幕会議の強化という方向にしたいということになった。そうなると軍隊になり、戦力になるからというので、統幕会議というものは現行法律のようになっているわけです。ところが、この統幕会議を強化するわけでしょう。そうして国防省にもしたいというわけでしょう。これは明らかに自衛隊の戦力化です。軍隊化、こういうものがはっきりと出てくるわけで、これはすべて安保条約の改定と関連があって、日本の歴史的の大きな転換期になって、私は重大な問題だと思っている。それから反省を促したい点は、統幕会議の軍隊らしい強化とか、あるいは国防省の昇格というようなものは、率直にいって憲法九条を改正してから着手すべきで、それをやらずしてこういうものの独走する点については、私は尊敬する政治家であるけれども、赤城国務大臣に反省を促したいと思いますが、御所見を承わりたい。きょうはそれで終ります。
  249. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) もちろん、お話しのように、自衛隊は日本の自衛を目的とするのでありますが、その自衛というものも、だんだん国際情勢あるいはまた兵器の近代化によりまするならば、これは自衛の力といいますか、力もいつも同じでいいというわけにはいかぬと思います。そういう点から考えまして、業務計画あるいは五カ年計画におきましても、質的強化をはかって、近代化をはかっていく。これは自衛隊としてその機能を発揮するに必要な限度だと思うのであります。  それから国防省の問題は、これは今防衛庁というものが総理府の外局という形で置かれておりますので、名前が国防省というか、何かわかりませんが、とにかく省としての責任体制をとるということも筋だと思います。しかし、これにつきましては、先ほどから申し上げますように、いろいろ国会の意向やら何かも相当検討した上でなければならぬと思いますので、最終的結論を私の方で持っているわけじゃありません。しかし、それが日本の憲法違反であり、あるいは軍国主義化するということでないと思います。自衛力というものも自衛隊というものも、これは推移に従って、これは当然いつも同じような形でなく、防衛に必要な、ことに質的あるいは近代化で強化されていく、こういうことは目的から見ましても必要なことだ、こういうふうに考えます。   —————————————
  250. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 群馬県大泉地区のキャンプ・ドルウ、それと付属飛行場返還後の措置について二、三お伺いしたいと思いますが、時間がございませんので、二、三重点的にお伺いいたしまするから、簡明にお答えいただきたい。この問題について、私は三月三十一日の当内閣委員会で、各面にわたって質問いたしましたが、そのときの防衛庁の責任者としては、防衛庁が自衛隊を進出させる場合は、地元民の十分なる了解がなければ絶対に進出はしない、こういう態度を従来からも固く守ってきたところである。従って、地元民の協力がなければ基地を設ける意味は全然なくなってしまう。従って自衛隊としても十分戒心しているところである、こういう態度は現在ももちろん変りはないと思いますが、このことについて長官としてはこのお答えに異議がないかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  251. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 基地を設置する際に、地元民の意向あるいは希望というものを十二分に尊重しなければならないことは申すまでもないと思います。ただ、ほんとうに必要な基地であります場合には、私どもも十分に納得するだけの手はずを尽していきたいと思います。  そこで、大泉のキャンプの問題でありますが、これはいろいろその後の検討も続けまして、国内における他にこれにかわるべきものが大体予想できてもそういう方面にできるような情勢にあります。でありますので、しいてここを、大泉の飛行場を使用しなくちゃならぬということではないということに今いっておりますが、なお詳しいことは局長から。
  252. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ところが、ごく最近私が現地に行っていろいろ各面に当ってみますと、そういうりっぱな態度であるわけですが、実際には防衛庁としては、地元出身の自衛官などを利用して、盛んに反対者に対する切りぐずし工作をやっている、こういうことを各面から聞いているので、これは事実らしいでなしに、事実のようであります。そうだとすると、これは非常に不可解であります。そういうりっぱな態度を持っているなら、地元民をぜひ納得させたいというのであるならば、地元民の代表と堂々と話し合いの機会を持ったらいいと思う。それを地元出身の自衛官などを利用してこそこそと切りくずし工作をやるなどということは、まことに不可解である。もしやっているとすれば、これはもうさっそく今後は一つぴったりとやめていただきたいと思います。その点いかがですか。
  253. 山下武利

    説明員山下武利君) お尋ねの大泉キャンプの問題につきましては、前国会のこの委員会でもお尋ねがありましたときにお答えいたしております通りの態度を、今も保持しているわけでございます。当初自衛隊といたしましては、陸上自衛隊の部隊並びに学校等をあの場所に設置いたしたいという希望を持ちまして、大蔵省にその旨を申し出ておったのでございます。その後地元の方があそこを工場誘致の地帯にしたいという非常に強い御要望がありまして、私のところにもその旨のお申し出がありまして、私どもも十分に地元の方と御懇談をいたしたのであります。その結果、防衛庁といたしましては、できるだけ地元の御意向を体しまして、他に適当な土地を見つけるなり、あるいは既設の設備をできるだけ活用するなりいたしまして、何とかあの基地を使わずに済むようなことができないかということを、目下内部でも検討し、また関係の御当局とも打ち合せをしている段階であります。ただいま伊藤委員の申されましたように、地元の自衛官等をして何か切りくずし工作をしているといったような事実は一切ございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  254. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係でごく簡単にやりますが、今お話しのあったように、地元の協力なければ進出しない、そういうことで、一方地元民としては、これは群馬県あげて、県議会の決議まであげているわけですが、特に地元地区では自衛隊の進出絶対反対、そうして首都圏整備法に基く工場誘致を非常に熱望しているわけです。この声はだんだん高くなっている。今切りくずし工作などは絶対にありませんと、局長はそうおっしゃいますが、私も実際地元へ行ってそういうものを直接聞いているわけです。あなたの耳にまだ入っていないであろうけれども、実際にはそういう工作はあるわけです。そうだとすると、結局この問題は今、長官も言われたように、他にかえ地も考えられるし、無理に強行しないという意図であるならば、ここではっきりと県民の心を心として、この辺でもう強行進出するような態度を中止したらどうかと思います。この態度をはっきり長官からお伺いしたいと思います。
  255. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まだ少し問題が残っておりますけれども、大体におきましては他にこれにかわるべきものを見つけているわけであります。その見つけている方面がもう少しかたまりませんとまだいけませんので、しかし、しかし無理押しはいたしません。その点御了承願いたいと思います。
  256. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 決して無理押しをしない、他に適地を一つぜひせっかく努力をしたい、そういうことであるならば了承できるわけです。そこで、この問題に関連して返還の時期ですね。この前の三月三十一日の当委員会での御答弁では、私有地と並びにその私有地にある建物の一部は返還になった、他の大部分については近い将来返還になるであろう、そういう意味答弁が大蔵省並びに防衛庁の経理局長からあったわけですね。ところが、その三月三十一日からもうすでに四カ月も経過しておるわけです。いまだにこの返還については見通しがないのかどうか、もし見通しがあるとすれば、これははっきり言っていただきたいと思うのです。この点どうですか。
  257. 山下武利

    説明員山下武利君) 防衛庁といたしましては、あそこの基地を従来米軍があまり使っていないという事実から、返還があるいは近いのではないかという見通しのもとに使用計画を立てまして、大蔵省の方に提出をいたした次第であります。じかに米軍と返還について見通しを打ち合せたということはありません。また、その後そういうふうなことを米軍にただしたという事実はございません。
  258. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 毎回、何の情報も具体的には入っておりません、わかりませんということなんですが、結局この問題については、地元が非常に要望しておるわけなんですよ。そこで何とか一つ積極的に、これは大蔵省非常に関係があると思うのですが、一つ積極的に働きかけていただいて、何とかめどをつけていただきたいと思うのです。もうずいぶん前から、なるべくこれは相当近い将来ということを盛んに言っておったわけなんです。近い将来とすると、もう相当たっておるわけです。何か日米行政協定に基く施設特別委員会がこれは所管だと思うのですが、これは大蔵省の方にお伺いしたいと思うのですが、その後何回ぐらい施設特別委員会が持たれておるのか一つ、そして大蔵省はどのように具体的に働きかけてきたのか。これはもともと日本の土地ですから遠慮など要らぬと思うのです。態度がもうきまったのだから、いつ幾日ということではっきり積極的に働きかけていただきたい。そういうことを一つお伺いしたいと思います。
  259. 細川俊三

    説明員(細川俊三君) お答えします。実は今お話しになっておりますキャンプ・ドルウの問題は、先ほどお話がございましたように、建物約四千坪が返って参りまして、その後、その土地はことしの六月の十日に国有財産の関東地方審議会で三洋電機に売り払いをするという方針にきまりました。あとの今お話しになっております商業地区並びに住宅地区、それからこのキャンプ・ドルウの跡に残っております問題、これらの問題に関しまして、調達庁ともいろいろお話を進めまして、今この返還を申し入れていただくように準備を進めております。従いまして、今の見通しでは、この八月の施設委員会に間に合うようにというふうにして進めるつもりでございますが、そういうふうなことになっております。
  260. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間がありませんので、最後長官に強く要望しておきたいと思うのですが、結局地元民、群馬県あげて反対しておりますが、特に大泉、尾島、宝泉、太田、この四地区が強力にいわゆる首都圏整備法に基く工場誘致を熱望しておるわけです。ところが、万が一間違って自衛隊が進出してしまうと、首都圏整備法に基く工場誘致が取り消されなければならぬ。これは先ほどお話しに出たいわゆる防衛の、国防基本方針である民生の安定ということにも関連を持っておる大事な問題なので、ぜひ地元民の心を心として、ぜひ一つ他に適地を求めてこの問題は早急に断念していただきたいし、また、そういう方針を確立していただきたい。そういうことを最後に強く要望申し上げておきます。時間の関係で残念ながら終りたいと思います。
  261. 中野文門

    委員長中野文門君) 答弁要らんな。
  262. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これに対するお考えを一つ……。
  263. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 全国の基地について今のような反対があるからやめるというわけには参りませんけれども、今の大泉の場合には、いろいろ事情も私どもも聞いております。またほかにもかわる場所があるようでありまするから、これは急速にその方向へ進めていきたいと、こう考えております。
  264. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記やめて。    〔速記中止〕
  265. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。  本日の委員会は、これをもって散会いたします。    午後三時二十六分散会