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1959-07-31 第32回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年七月三十一日(金曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動 本日委員小柳牧衞君辞任につき、その 補欠として大谷藤之助君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            大谷藤之助君            木村篤太郎君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            永岡 光治君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    内閣官房長官  椎名悦三郎君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    人事院総裁   浅井  清君    人事院給与局長 滝本 忠男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (国家公務員給与に関する件)  (岸総理外国出張に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日、委員異動がございました。小柳牧衞君が辞任され、後任に大谷藤之助君が選任されました。以上御報告いたします。   —————————————
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 国家公務員制度及び恩給に関する調査のうち、国家公務員給与に関する件を議題として調査を進めます。  まず、去る七月十六日人事院から事掛出されました一般職職員給与についての報告及びその改訂に関する勧告につきまして、人事院当局の御説明を求め事ます。
  4. 浅井清

    説明員浅井清君) 人事院は、今月十六日に一般職国家公務貴給与について報告を申し上げ、あわせてその改訂に関する勧告をいたしたのでございまするが、その内容の概略について申し上げ、なお御質疑等もあれば、詳細に申し上げることにいたしたいと思います。  第一に、今年三月における公務員平均給与月額、すなわち俸給扶養手当及び暫定手当を合計したものでございまするが、それは一万九千七百四十円でございまして、昨年三月のそれより約一・八%の上昇となっております。  第二に、一方本院が本年三月現在において行いました職種別民間給与実態調査の結果によりますと、いわゆるきまつて支給する給与から時間外、手当を除きました、いわゆる基準内給与平均月額は一万六千六百六十六円でございまして、昨年より約三%上昇しておるものと見ております。  第三に、公務民間におきましては、職員構成異動率等に差異のあることは、すでに御承知通りでございまするので、官民給与較差を右の一ヵ年における給与水準の動きだけで判断することは適当でございません。そこで、本院は毎年やつておりますように、調査の精度をさらに高め事るために、調査対象人員を拡大いたしまして昨年のほぼ二倍に当る約三十五万の従業員について調査いたしましたが、その結果と昨年本院が行いました公務員給与支払状況調査の結果に基きまして、職種別比較を行いまして、その結果を総合いたしてみますると、公務員給与は、全体として約五・七%民間のそれを、下回っていることが認められたのでございます。  なお、この職種別比較の結果は、公務員研究職及び医師給与が特に民間のそれに比して低いことが認められ、また等級別に見ますると、本年四月の初任給改正及びこれに関連いたしました俸給表改正考慮いたしますると、民間に比べまして公務員中級職員給与が総体的に低いことが認められたのでございます。  第四に、一方本院が算定いたしました独身成年男子標準生計費は、本年三月におきまして七千九百三十円となり、昨年より三百七十円上昇しておるのでございます。  以上より判断いたしますると、民間給与との均衡公務員給与実態等考慮いたしまして、各俸給表中級職員並びに研究職員及び医師について、それぞれ俸給表の実情に即しました適切な給与改善を行い、あわせて俸給表の整備を行うことが必要と認められたのででございます。  次に本院の調査によりますと、公務員期末手当勤勉手当年間合計二・八ヵ月分に対しまして、昨年度事中に支払われました民間賞与等特別手当は二・九ヵ月分でありまして、公務員のそれは約〇・一ヵ月分民間のそれを下回っておることが認められましたので、六月に支給する期末手当を〇・一ヵ月分増額することが必要と認められたのでございます。  以上述べました諸点に基きまして、人事院は次の事項を実現するために、一般職職員給与に関する法律改正することを勧告申し上げた次第でございます。  すなわちその第一点は、俸給表につきまして、中級職員並びに研究職員及び医師給与改善するとともに、俸給表を整備するため、それぞれの俸給表改正することでございまして、その第二点は、期末手当につきまして毎年六月に支給する期末手当を〇・二ヵ月分増額することでございます。  なお、今回の勧告実施しまする場合には、一般職職員給与に関する法律の適用を受ける公務員につきましては、俸給表改訂年間約四十一億円、期末手当増額年間約八億円の経費を必要とする見込みでございます。  人事院といたしましては、この勧告ができるだけすみやかに実現されるよう、国会におきまして適切なお処置をおとり下さるよう切望する次第でございます。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいま政府側出席の方々は、浅井人事院総裁滝本給与局長、以上でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。なお、佐藤総理府総務副長官は、やがてこちらに到着する見込みでございます。
  6. 横川正市

    横川正市君 概要なんですが、まずこの俸給、それから扶養手当暫定手当合計月額、本年三月の一万九千七百四十円、これに対する民間給与との比較数字の上で出されているわけですが、先般当委事員会で私は、ことにその三公社現業との給与比較についてどういうふうにお考えですかという点を御質問いたしましたところ、人事院総裁は、その点について一番苦慮いたしておるのだという御回答だったわけです。当時はまだ勧告準備段階でありましたので、そういうその総裁の苦慮されている点が今回の勧告ではどういうふうに具体化されたか、これが第一点。  それから第三点は、今総括的な説明によりますと、中級職研究職医師職、これは私は今までの人事院勧告の歴史的な段階で、ことにこの中級職の中だるみの問題は、一番最初低額所得者に対する勧告部分的是正、第二番目は高額所得者に対してこれまた部分的是正、それから今回は中級職について是正を行うきわめて芸のこまかいところで、しかも引き上げを必要とするところは、三年がかりでようやく何か一本化したような俸給表体系を見るような結果になつたような説明ですが、それはまあ別として、今回なお民間ないしは同種、同業におけるところの比較をいたしました結果、中級研究医師職がそれぞれ是正をされる結果となつたと、こう言っておりますけれども、今回のこの勧告というのは一体これは是正を主体とした是正勧告なのか、それともいわゆるそれらの引き上げ、三%程度の違い、あるいは五%の違いというものを、これを埋めるためにべース・アップをするということで勧告されたのか。これはまあこの点は概要としてはきわめて明確にしておかなければならぬ問題だと思うのです。その点を第二点として御説明いただきたい。説明員浅井清君)お答えを申し上げます。第一点でございまするが、ここには現われておりませんが、三公社現業の最近の給与改善考慮したつもりでございます。その点につきましては、給与局長から具体的に御答弁を申し上げたいと思います。  第二の点は、これは両方であると言い得るわけでございます。御承知のように、べースと申しますることは、もう申すまでもなく総平均のことでございまするから、これはどの部分給与改善をいたしましても上昇するわけでございます。いわゆる一律べース・アップではございませんけれども、今回の勧告がこれは何パーセントかのベース・アップかと仰せられれば、これはおおむね四%程度のべース・アップになるのじゃないかと思っております。なお、これは結果論でございます、このべース・アップということは。  それからどういうふうにべース・アップをするかということは、二通りでございまして、第一はただいま御指摘中級職員改善、第二には特に民間との開きの多い研究職医師等給与改善、こう両方であると考えております。説明員滝本忠男君)ただいまの三公社現業をどのように考えたかということにつきまして補足説明をいたします。人事院比較いたしまするのは、これは公務員法によりまして民間給与ということになっております。三公社現業は直接比較いたすべきものとはなっておらないのでございます。ただ、三公社現業といえども、もとは一般職でございまして、現在の関係から申しましても、民間従業者よりも公務員と非常に深い関係にあるわけであります。そういう関係がございまするので、絶えずこういう三公社あるいは五現業給与がどうなっておるかということにつきましては、人事院といたしましては非常に注意深く見ておるのでございます。で、これは政府部内のいろいろ資料があるようでございまするので、われわれもこういうものを若干拝見させていただいておるのでございまするが、現存、本年の三月ごろにおきまして、おおむね電電あるいは郵政というものは、これは国家公務員に比べまして水準相当商いという状況承知いたしております。国鉄電電あるいは郵政に比べますと若干低いというようなことを承知いたしております。この春のいわゆる労働委員会におきまする仲裁裁定の結果におきまして、おおむね国鉄を除きますと一・二五%くらいの改善が行われたように承知いたしておるのであります。国鉄郵政電電に比べまして低かったので、さらに加算して改善が行われたのでございまするが、国鉄を含めましてもなおかつ二・五%くらいの改善になるのではなかろうかというように承知をいたしております。直接われわれの方といたしましては、郵政あるいは電電国鉄水準比較するということはやらなかったのでございまするが、全事体的にどういう関係になるか、少しでも近づけたいという努力はいたしておるのでございまして今回の給与改善、これはいろいろ見方があるのでございまするが、たとえば三月現在の状況で申しまするならば四%前後、これは現在の俸給表を基礎にしてものを言うか、あるいは三月現在でものを言うかによりまして、多少の率の違いは出て参りますが、おおむねその程度改善にこれがもし実施されればなるのではなかろうかというふうに考えております。これは三公社現業におきまして一そうさつさつと行かれてしまうならば、これはまた話は別になるのでございまするけれども、われわれの方は努力してこの較差をできるだけ縮めるようにいたしたいということでやつておるのでありまして、この勧告がもし実現されまするならば、よほど現在の三公社現業国家公務員間の較差というものは、縮小の傾向に向うのではなろうかと、このように考えております。
  7. 横川正市

    横川正市君 その第一点は是正でもあるし、是正をすれば必然的にべース・アップにもなるのだ、こういう答弁なんですが、これはその体系をそれぞれ記録しながら権衡をとつていくと、結果的に上も下も上げなければならなくなるだろうという中級職是正、これは是正を中心とした改善であつて、結果的に全体的にアップがあったのだと、こういうことになるのだと思う。私の言うのは、資料は三十万にしても三十五万にいたしましても一緒にしてとるわけですね。それから物価上昇その他についても、大体これは数字の面に現われてくるのに一緒でとれてくるわけですね。ですから、民間給与との比較ないしは物価等上昇伴つてース考えるという場合には、べース・アップ、いわゆる平均ースというものを引き上げておいて、それから重点として、あるいは中級、あるいは研究職、百医師職にその特別な考慮を払つていくのだ、こういう格好をとるのが在来私たち考えておる最も妥当なべースの出し方だと考えておる。今の総裁の言うのはそうではなしに、中級職研究職医師職というものをまずピックアップをして、特に中級職は前二回のべース・アップ相当下回っておるから、これを是正しなければならない。結果的に俸給表を直してみたら全体的に上げなければならない。これがこの俸給表の中に出てきた私は内容ではないかと思うのです。ことに、引き上げる方を見てみますと、金額にして三百六、七十円、それから七等級の三級か四級ですか、これは二百円から二百二十円、それに対して上っているところは二千二百円、二千円程度と、こういう引き上げを行なっているわけですが、これはとりもなおさず、五等級中級を上げたために、結果的になだれのように下の方に石がころがつて行つたという格好で、今度の俸級表というやつが出てきているわけです。その点が私たちにとつてはちょつとふに落ちかねるわけです。たとえば物価上昇は全体的に平面的に生活の面からぶつかつてくるわけですね。それから事、民間給与上昇の面も、同じように、比較すると平面でぶつかるわけですね。ただ、そのぶつかったところは、中級と、それから研究医師職が、中級職というのは在来の経過から、それから研究職医師職というのは、これは公務員とそれから民間との場合の重要視しているその度合いの違いから、それぞれ給与について差が出てきておる。それを今回是正しようと、こういうことになつたわけですから、私はまあこの点では、給与是正をしたのであつて、そういう民間給与ないしは物価ににらみ合せて今回給与のべース・アップをしたのではないと、こういうふうに今回の勧告についてはとれるわけなんですが、私の考え方はどこで間違つているのか、一つ指摘していただきたい。  それからもう一つは、今の滝本給与局長の意見でいきますと、もっともその比較対象になるのが、公務員の場合には三公社五興業でなければならない。もちろん、民間ストライキ権を持ってそれぞれ企業の経常の問題とにらみ合せて賃金の決定を行なっておりますから、民間賃金をとる場合には、規模の大小ないしはどの辺までで線を引くかということによって、貸金というものはきわめて明確な違いを来たしている。ですから、民間賃金との比較の場合にも、私はやはり公務員の場合には中以上の企業対象としてとられることの方が望ましいのではないかと、こう思っておりますが、その点では、小企業にも類する企業を幅の中に入れていくと、そうなって参りますと、平均ではあまり顕著な上昇率を示さないというのが、これは資料上で出てくる数字だと思う。その中でも一番公務員内容的にも業務的にも非常に類似産業としております三公社現業の場合は、これは私は最も手つとり早い資料として、民間賃金に見合つたものだと、こういうふうになるんだと思うわけです。今の給与局長のお話しでは、今回の仲裁裁定実施を急速にしてもらつて、そうして今回のこの勧告実施されれば、あまり開かないというふうに言われておるわけですが、私はまあ、今回の仲裁実施の中でも、たとえば国鉄の場合には六百五十円の上昇、それからその他は二百五十円の上昇と、差をつけられたことは、これはきわめて不満だとは思っておりますけれども、こういう業種、それから職務内容との比較においてさえ、いろいろとり方があつて、その一番下の線をとつてみても、今回のこの勧告とはいささか開きがくるんではないだろうか。この点で一番私は問題なのは、これはやはり三公社現業には団体交渉権があつて、そしてその水準を獲得したと。ところが、人事院勧告した場合には、その団体交渉権の問題を全然抜きにしてお考えにはなっておらぬと思うのです。やはり、その点も考慮して考えておられる。そうすれば、最も手つとり早い資料になる三公社現業一般公務員との賃金という問題は、もっと私は接近していいのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。そういう点から比較いたしまして、なぜもっとこの要望をいれられなかったのか。なぜもっと組合側の主張をこのべース勧告と同時に、まあまあでもいいから満足する段階だというような、そういう結果にならないで、全く今度は人事院御用化が、この線からは強く指摘をされているという、まあきわめてこの問題については不安定な労働事情一般公務員に与えた勧告を見られていると、こういうことについては、非常に私は、人事院として、いささかその点についての考え方といいますか、思慮といいますか、そういった点が欠けておつたのではないかと、こう思うのでありますが、その点は一つこれは総裁から答弁をしていただきたいと思います。
  8. 浅井清

    説明員浅井清君) 横川さんのお説によりますれば、結局、ある一定率を一律にべース・アップすると、それで足りなければ、その上にたとえば研究職とか何とかを積み上げると、こういうことが間違つておるのかというお尋ねでございますが、これは決して間違つていないと思います。そういう方法ももちろんあり得ると思うのであります。しかしまた、人事院とりましたような方法もあり得るので、これはその時と場合に応じましてどれをとるかという問題になってくる。昨年は人事院初任給と、並びに下の方に積みましたのであります。本年は中級職のところを積んだわけでございますから、上の方に実はしんほうをしてもらつておる。この上級の職員は実は民間との開き相当多いのでございますが、これは上の方にしんぼうしてもらつたという形になっておるのであります。もちろん、人事院も、過去のインフレ時代におきましては、横川さんの御指摘なつたような、一律べース・アップ方法とつたようなこともたびたびございます。しかし、これは要するに、給与政策に対する判断の問題でございまするから、横川さんのおっしゃるのも確かに一つ方法であると思いまするが、人事院といたしましては、今回のような方法をとることを、今の段階において適当と認めたと申しあげるほかはないと思うのでございます。  第二番目に、三公社現業関係は、われわれといたしましても、考慮いたしまするが、国家公務員法によりますれば、民間貸金生計費というものを考慮するということが第一になっておりますので、民間比較しておるつもりでございます。  それから、五十人以上では賃金が低くなるのではないかという御指摘でございますが、これは五十人以上の企業ではございませんので、事業場についてやつておるものでございまするから、都道府県に分けて調査いたしまするときには、大きな会社の支店のようなものでもやはりこの中には入っておるのでございまするから、非常に小さな零細なる企業が入っておつて、そのために民間賃金が非常に低くなっておるというふうには、案はわれわれは考えていないのでございます。  最後に、三公社現業には団交権があり、一般職公務員には団交権がないから、そこを考慮しろ、これはもう当然のことでございまして人事院といたしましては、五、七%ぐらいの官民給与比較考えまして、そのうちおおむね四%のべース・アップをいたす、残りの約二%というものは、今年四月から行われておりまする給与改善考慮の中に入れると、こういう態度で臨んでおる次第でございます。
  9. 永岡光治

    永岡光治君 関連して、基本問題についてちょつとお尋ねいたしたいと思うのですが、資料とり方ですが、実はこれを見ますと、公務員分布状況が、六大都市東京を主として、あるいは大阪とか、大きなところになると思いますが、その分布状況がどういう比重になっておるのか。それからそれに対比してとつておる民間資料は、それにならして、たとえば国家公務員の数が、東京ではかりに八〇%であるとすれば、民間給与とり方も八〇%東京とつておるのかどうかということが一つ。なぜかと言いますと、この生計費を見ますと、あなた方は全都市を見ているけれども、国家公務員分布状況というものは、私の知る限りにおいては、地方にはごくまれなんです。おそらく東京が大部分だろうと思うのですが、あるいはまた六大都市、中でも大阪が一番大きいと思うのですが、そうしてみると、生計費消費者物価指数を見ましても、全都市では一・二%上昇ですが、東京は二・五%上っておる。それから、一世帯当り平均支出金額を見ましても、全都市は七・九%だけれども、東京では一二・七%というような非常な増額を示しておるのです。そうすると、大都市国家公務員が多いのですが、その多いところは非常に上っておるにもかかわらず、それと比較する民間が全都市とつたのでは、これはあまりピンぼけになります。ほんとうの比較する範疇としては私は不均衡比較になると思うのですが、どういう分布状況を、これは国家公務員分布状況の率に応じて、民間会社比較もそういうようにその事に応じた分布状況とつておるかどうか、それを私伺いたいと思うのです。
  10. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) われわれの方で民間賃金調査いたしまする場合には、国家公務員分布状況とは一応無関係にこれはとつておるのであります。われわれの方の民間給与調査におきましては、五十人以上の全事業場とつて、そしてその事業場における公務員と対比できる従業員調査する。すなわち日本における五十人以上の全部の事業場公務員と対比し得る従業員を調べたと同じ結果になるような調査方法をやつておるわけでございます。それでいわゆるランダム・サンプリング法というものによりましてやつておりますから、全数調査ではもちろんございませんが、その結果は大体そういうことになるようにとつております。  それで今回の給与公務民間との比較でございますが、その場合にはどういうふうにやつたかと申しますると、まず公務員の現在の暫定手当地域区分がございまするので、これで民間会社を一応換算をいたしま事して、公務と同様な暫定手当が出ておるものというふうに考えまして換算いたしまして、全部同じ地域に換算してしまうわけでございます。そういたしますると、たとえば行政(一)という俸給表につきましては等級別に、その等級の中がまた大学程度学歴であるか、あるいは短大程度学歴であるか、あるいは高等学校程度学歴であるか、学歴別に一応分けまして、そしてそれをさらに年令別に分けまして、そして細分された区分における平均賃金を出す。これは民間公務も同様に出すのであります。その際問題にいたしますのは、民間従業者分布ではないの事でありまして、公務員がどういうふうに年令別分布しておるか、それだけを問題にいたしまして、すなわち公務年令別人員分布というものがございまするが、その年令別分布に、それぞれ年令別平均賃金と申しますか、平均単価をかける。公務平均単価をかける。また公務のそういう年令別分布に対しまして民間年令別平均賃金単価をかける。そしてそれを総合する。その総合されたものを比較するというやり方でやつておりますので、民間のわれわれが調査いたしましたものがどういうふうに分布しておるか、地域別分布しておるか、あるいは年令別あるいは学歴別分布しておるかということは、この際問題にならないような方法調査しておるつもりでございます。
  11. 永岡光治

    永岡光治君 しかしそうは言うても、私はその資料とり方はやはりいけないと思う。国家公務員分布状況に応じたその地方における実際の金額を出してみないと、民間のあるいはそれに類似したものを出してみないと、これには地域給も含まれておりましようし、その他いろいろな給与があるわけですから、正確な比較が出ないと思うのですよ。全国あまり国家公務員分布していないところまでの都市を引つぱり出してきて、ここの給与はこうだからといってみたところで無意味だと思う。何ら比較する理由がないと思う、それでは全然意味がないと思う。ここにあげられている基本給というものは、地域給を含められた基本給だというふうに解釈しておったのです。それが間違いないとすれば、なおさら無関係国家公務員のいない都市を、さもたくさんいるかのごとき印象を与えるような建前をとつてきて比較すること自体無意味だと思うのです、どういう理屈をつけたにいた参しましても。私はそうでなしに、国家公務員民間分布状況を同じくするものをとつて、その分布の中で、もちろん五十人以上のいろいろな職種もあるでし上う。そうしてこの比較をしないと正確な比較が出ないのであつて、あなたの説明はどこまでも、あとで一応直したにしても、推定で直すのであるから、ほんとうの実際の姿は出ないと思う。そういうところに根本的の誤りがあると私は思う。だからここにも明らかに出ておるように、繰り返して私申し上げますが、生計費を見ますと、全国都市では一・二%の物価指数の上昇だけれども、東京では二・五%の上昇をしている。家計の支出の状況を見ますと、全都市では七・九%にすぎないけれども、東京では一二・七%も増加しておる。こういうような状況になって大部分国家公務員の大半が東京にある事と私は思うが、そういうものを、関係のないいなかの方の県庁所在地かどこか知らないけれども、そういうところの企業民間水準はこうだ場と引つぱり出してみたところで、何ら意味をなさないと私は思う。そういう意味でそこに決定的な私は欠陥があることを第一点に指摘したいと思う。どうでしょうか。私はもう一度ただしておきます。
  12. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) そういうふうな御見解を今承わつたわけでございますが、われわれの方といたしましては、民間賃金というものがどういうふうな状況になっておるかということも調べるわけでございますので、これはやはり現在われわれがやつておりまするような方法によりましてこそ、民間賃金を的確に知り得るゆえんではないかというふうに考えておるわけでございます。もう一つ生計費東京とそれから全都市において非常に違うと御指摘なつたのでありますが、この問題につきましては、なるほど本年はこういう状況になっておりますが、過去二、三年の例を見ておりますと、東京において上るときには全都市においては割合上りが少い。それからそれが隔年別に循環して参りまして全都市の方が上りが多いときに、東京の上りが少いというような事情があるようでございます。それからまた、月によりましていわゆる季節変動というものが非常にあるのであります。人事院はやはり三月現在ということでものを考えてありまするので、特にその点は季節変動があるということを承知しながらも、なおかつ三月の数字を押えておるのですけれども、季節変動という問題も、だいぶ顕著に現われます場合と、そうでない場合とがあるようでございます。それからまたわれわれの方といたしましては、生計費はやはり東京におきますものを現在計算いたしておるのでございまして、東京における標準生計費というものを計算いたしておるのでありまして、現在のところ全都市におけるものを計算しておる、あるいは全国平均を計算しておるというようなことではないということを申し添えます。
  13. 永岡光治

    永岡光治君 この問題は根本的な問題ですから、私たち今の滝本給与局長説明でも納得いきませんので、これはいずれ機会をあらためてただしていきたいと思うのでありますが、もう一点だけ基本的な問題でただしておきたいと思いますので、横川委員御了解いただきたいと思います。去年の三月と今年の三月に公務員給与は、これだけ上つたという比較をしております。そうしてその上に今年は四月からですか、四月からその初任給引き上げなつたのであるから、その分を加える、そういうわけですが、民間は今年の三月で初任給引き上げその他は見ていない。なぜそれは見ないのですか。あった場合はどうするのですか。必ずあると私は思うのですが。
  14. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど総裁から御説明申し上げましたのも、いわゆる公務の四月以降におけるこの法律改正になりまして、四月以降の給与改善が行われておるわけでございますが、それを加えていいということを申し上げたわけではないのでありまして、比較で示しておりますように、各俸給表別に民間相当職種との較差は実は非常に違うのであります。ただそれを全体総合してみますと、五・七%という基準内における給与較差ということになるのであります。で五・七%差があったのでありますが、人中院の判断としては、おおむね中級程度のところ、すなわち大学を卒業いたしまして、おおむね十年程度たちましたところ、三十二才、それから短大出でありますれば十三年程度のところ、三十三才前後、高卒の場合は卒業後十六年くらいを経過した三十四才前後、その辺くらいの行政職(一)の五等級の三号、四号辺を一番の中心にいたしまして、その辺におきまして、千円内外にこの給与増額がされるような放神を今回はいたしたのでありまするが、それでその結果は先ほども申しましたように、四%程度ということで、人事院といたしましては、五・七%差があるから、それを全部やらなければならぬというふうに考えたわけでもないのであります。かりに五・七%ということにいたしましても、これは俸給表別に格差が違うのでありますから、かりに五・七%やつたとしても、行一では相当のまだ較差が残るという問題が出て参ります。また医療職俸給表の三のごときは、現在でも公務の力が高いのであります。むしろこれを減じなければ五・七%の給与改善ができないという問題ももるのであります。人事院といたしましては、やはり現在における較差の問題、各俸給表刑の民間との較差の問題、それから公務における各俸給表間の従来の関係の問題等、あわせ考慮いたしまして、たとえば医療職俸給表の三のごときもこれを全然上げないのでもない、やはり相当上げる。ただ上げる場合に、行一のような民間との較差相当あるものとしての上げ方を若干控えるという程度でやつたのであります。その結果が四%程度になる、こういうわけであります。なお、本年の四月以降に給与法が改正されまして、その結果二%給与改善があったということを申し添えたにすぎないのであります。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 いずれこれはあとでただしますが、どうも私たちは、その場限りの言い逃れで説明しているようでございまして、万人を納得させるためには、いつも絶えず比較するときに、同じ範で、同じべースで、同じ対象でもって比較しなければならん。こっちは都合のよいのをとる、こっちも都合のよいのをとる、それぞれの立場で都合のよいものばかりとつて、そうしてある意図をもってその目的に合うような資料を作つているとしか考えられない。そういうことのないようにしたいということで私は質問をしているわけでございますが、これは質問の最中でありますから、これはまたあらためてただしたいと思います。
  16. 中野文門

    委員長中野文門君) 先ほどから佐藤総務副長官、増子公務員制度調査室長が出席をいたしております。
  17. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さっき委員会が始まる前に、人事院総裁と、給与局長出席なさつてつて、そのうちに総理府長官がおいでになるだろうということだった。そうしたところが、公務員制度調査室長と副長官がおいでになつたと委員長から御紹介がありました。私は先般十六日勧告があつて内閣委員会はきょうとあす開かれることがわかつている。この問題は重要な問題として取り上げられることは明白なことで、勧告が出る前の前提と勧告が出たあとの処置という面で当然政府委員が必要になってくる。僕は事務局を通じて総理府総務長官出席を覆面をもって前に要求しておいた。もちろん総理府の佐藤さんは副長官で、場合によれば総理府を代表する資格はありましょう。しかしこの問題について内閣官房長官もおいでにならぬ、総理府総務長官もおいでにならぬというようなことは、僕は非常に政府委員出席として不満なんです。それで今から横川さん質問されるわけですから、どういうわけで官房長官と総理府総務長官おいでにならぬのか。少くとも事務局を通じて僕は書面をもって要求しておいた。佐藤さんはかつて人事院の事務総長をされたし、佐藤さんと浅井さんと、滝本さんとではコンビがそろい過ぎている。総務長官もおいでにならぬ、官房長官もおいでにならぬ、非常に不満なんです。どういうことでおいでにならぬのか。それでちょっと釈明をしてもらいたい。おいで願えるのならすぐおいでいただきたい。  それで横川委員の質問を続けて下さい。
  18. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) ただいま、総務長官、官房長官出席のことでお話しでございましたが、官房長官ただいまちょっと閣講中でございまして出席できません。総務長官は旅行中でございますので……。
  19. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員会があるということがわかつてつて旅行するというのはいかんですよ。人事院勧告があると、これは今の内閣では総理府総務長官が担当になっておるわけだ。責任大臣は岸さんになっておるわけですよ。内閣総理大臣岸さんは外国に行っているからしようがないですけれどもね。しかし、事務を国務大臣にかわつて担当している総理府総務長官内閣官房長官はこの委員会に備えて待機していなければね。おそらく選挙区に旅行なさつているのだろうと思う。それまでは副長官答弁なさつていただくのは気の毒だから控えてもいいですがね、それは副長官、けしからぬですよ。旅行している人においで願うわけにいかぬから、帰つたらこういう点があったということをお伝え願いたい。委員長からも将来注意を喚起していただきたい。官房長官、閣議が終つたならばさつそく本委員会に出席するようにお手配方お願いいたします。以上です。
  20. 横川正市

    横川正市君 先ほどの総裁答弁なんですが、私の考えているような方法もあるので、人事院考えているような方法もあるのだと、こういうことなんですが、あなたの方から出された資料を見てみても、民間給与の全体比較を職業別に総合してみると、公務員給与民間給与に五・七%下回っているという数字が出ているわけですね。その五・七%は今度の実際の資料では七等級と五、六等級のクロスしている六、七階級のところに当てはめて、あとはこう全部山のすそのように低めているわけですよ。もちろんこれは前回の勧告は八等級にある程度厚くしたから、それから結果的に格差、上下の等級格差がこれが出ておつたんで中だるみが出て、その中だるみを是正するのだということで、ここに民間給与との差の五・七%を当てはめたと、こういうことで、一応つじつまは合つているわけなんです。しかし、実際上はこの民間給与との賃金差というのは、これは何もここの一部分にだけ差があったのではなしに、全体にあるわけですね。だから、これは資料上明確なんですから、全体にあると、これはもうはつまりお認めになると思うのです。それからもう一つは、最近の国民生活の消費水準というのがずっと上ってきているわけです。それに対して戦前、昭和九十一年ごろのべースと比べてみましても、これは当時を一〇〇にいたすと最近は七〇から八〇の線でとまつているわけなんです。そういう戦前の状況から比べてみて、現在のやつはとまつている。それに対して現在消費生活が非常に上昇してきている。これはもう一般の風潮ですから、たとえば地域給を制定したときは、農村は文化費は必要でないが、都市は文化費が必要だから地域給をつけると、こういう理論があった。そうすると、一般の公務外の消費生活が高まつてきているのに、公務員だけがその生活を戦前以下に押えていって、そしてそれでがまんをしなさいと、今の消費生活の上昇度合いから見ると無理だということが出てくるわけです。しかも、その消費生活も全体的にこれは当つてくるわけですよ。一級だから当らない。八級だから当るというわけではないわけですね。そういう点からいうと、私はやはり一律のある程度の床上げをして、その上で重点的是正を行なっていくというのが、これは当然のべース・アップの形態として当面とるべき手段じゃないか、こういうように私は思っているわけなんです。ただ、人事院のような方式もあるというけれども、人事院はなぜ当面これだけの要請をされるような事情がたくさんあるのに、人事院考えていることを正しいとして打ち出されたのか。この点が私の考え人事院考えとは違うわけですから、私は私の言つたような方式をとるのが当面非常に、ぜひ必要だと、こう思っているし、人事院は、いや、人事院の方式もあるという方式でこれは勧告を行なつたわけで、その方式をとられた理由というのは私はあると思うのだ。ただ、先ほどあなたが言つたように、当面経済も安定しているから、安定の中ではこういう方式の方が正しいと思いましたと言うけれども、私はそうではなしに、この国民の消費水準がずっと上つたということは、これは公務員の生活なんというのは、あるいは質金というのは、安定どころか非常に不安定になってきている。今はちょうど戦後のあのインフレどきのベース・アップには見合いませんけれども、ある意味ではそれに匹敵するくらいの不安定な賃金差というものがあると思うのです。ことにあなたの方の出されたこの資料を見ると、成年男子の一ヵ月の生計費を見てみますと、これなんか食費は一食四十円ですよ、とつているのは。一日の食費が百二十一円です。それから光熱費、被服費、住民費、雑費なんというような中で、この住居費の千三百七十円というのは、一体これは何を基準にしてこれはとられたのか。今どき東京の住いの中に畳一枚借りても千円取られるのに、そういう中で独身成年男子の住居費、光熱費合せて千三百七十円だなんという数字は一体どこから出されたのか。それからこの被服費にしても、その他まあ雑費にしても一日六、七十円です。こういうことが一つの基準になって今回のこの是正並びにべース・アップが行われたということになると、どうも私はつじつまが合わない内容だと思う。もう少しこれはやはり私たちにも納得のいくように、たとえば食費一食ライスカレー一ぱい食べても六十円とか八十円、あるいは夜の食事は百二十円とか。少くとも四十円で三食まかなうなんといっても、これはおそらく朝はコッぺパン一箇に牛乳一ぱい、昼めしはラーメン一ぱい、夜はライスカレーでも食べるというようなことで、何のうまみもない食費になっているわけです。ことに畳一枚借りても千円するという東京の住居で光熱費まで入って千三百円というようなことはこれはどういうことですか。雑居ですか。そんなことで私は生計費を出して、それを基準として上昇率を先ほど言つたように全体的には五・七%上っているのに、ひどいところは一・一%、九千八百五十円で一・一%というところは、ちようどこれは嫁さんをもらつて子供一人ぐらいいる人もいるわけです、この中に。そういうような段階のところまで、この一・一%でおさえてしまう。これは私は少し勧告それ自体に説明のできない、非常に無理、不合理があるような気がするのです。だからそういう点から人事院がなぜこういう方式が正しいと思われたか。その点を明快に一つ説明していただきたい。
  21. 浅井清

    説明員浅井清君) さいぜん横川さんの仰せられました一律のベース・アップの方式をとるのか、あるいはわれわれのやつて参りました方式をとるのか。もとより人事院インフレ時代におきましてはずっと一律べース・アップの形式をとつておつたのでございます。ところが、経済が安定いたして参りますれば、大体これは昇給制度を主としてやるべきものだ。なおそれ以外は民間との給与の相違でやるのだ、こういう考え方でやつておるのでありまして、どちらがよいかということは、議論の尽きない問題でございますが、ただ、人事院といたしましては現在においては人事院のやり方でよりいいのではないかと思っているだけでございます。なお、標準生計費は従来から漸次カロリーを改善いたし、消費水準上昇に見合せておりますが、なおその点につきましては給与局長から御説明させます。
  22. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 人事院では独身成年男子標準生計費を毎年計算いたしておりますが、これは例年御説明申し上げていることでございますが、食糧費につきましては、いわゆるマーケット・バスケットというものを組みましてやつている次第でございます。マーケット・バスケットは、いわゆる消費カロリーというものが基準になりますが、これは国民一般が事実上において消費しているようなカロリーを基礎にするということでやつているのでございまして昨年は二千四百九十カロリーということであったのでございますが、三千五百二十カロリー、これは国民一般の消費といいますと、男もあり、女もあり、老年もあり、子どももあり、いろいろあるわけでございます。それを成人換算いたすわけでございます。そのときに十八才の成年独身男子を考えておりますので、二十才以上の成年独身男子に換算いたします場合にこのカロリーも多くなっているのでございます。この二千五百三十カロリーというものを基礎にいたしまして、それではこれをとるのにどういう食品別にとるかと申しますと、現実に国民栄養調査なり、あるいは総理府の家計調査というものに現われて参ります食品分別にどのような食品がどのくらいの量とられているかということを見まして、すなわち人事院が勝手に中の内容をきめるのではなくして、事実上そういうものがとられているところを移してくるという方法によりまして、このカロリーを食品分別にそれぞれ量をきめる。そうしてその価格は実行価格、すなわち総理府統計局の家計調査に現われておりますような価格を採用いたしまして計算するということで計算いたしまして、三千六百六十円という数字を出しているのでございます。先ほど御説明になりましたように、たとえば朝飯だつて外食する場合には幾らかかる。これは事実問題としてそういうことはわかるわけでありますけれども、われわれの方ではそういうふうに朝飯が幾らかかる、昼飯が幾らかかる、それで食糧費が幾らかかる、三十日で幾らかかる、そういうような計算方式ではないのでございます。一般的に統計的なこういうものを作り上げている。従いまして具体的な事実問題としてでなくお聞き取り願いたいというふうに考えるのでございます。なお住居費、光熱費、被服費、雑費等につきましては、これはマーケット・バスケットを作るということができませんので、これは総理府統計局の家計調査から世帯人員別に見ましたならば住居費、光熱費、被服費、雑費がどのような支出であったかという状況を分析研究いたしまして、その割合から一人の場合にはそれがどうなるということを数学的な補正によりまして導き出す。これは本年三月の状況においてどうなるという数字をここに算出して、住居、光熱費であれば千三百七十円ということにしているのでございます。従いまして東京において畳一畳借りるのにどれだけかかるというお話もございますけれども、統計的に見ましたならばこういう数字になる、さようにお聞き取り願いたいと思います。
  23. 横川正市

    横川正市君 大体標準生計費云々の場合には、交通費その他は雑費の中に入るのですか。
  24. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 交通費等は雑費に入ると思います。
  25. 横川正市

    横川正市君 平均で出されたということになれば、私は先ほど永岡委員の御質問の中にあったように、これは平均であるから東京の場合にはこれよりかもっと高くなっているのですという説明にはなりませんし、それから地方でありましてもまたこの平均によって平均以下で生活できますという、こういう説明にもならないわけです。私はやはりこういうような、平均でとるとこういうことになりますということを紙上で出される。それが一つの基準になって賃金の算出のときの基礎になってしまう。こういうことは、これはもちろんそのほかにいい方法がなくて、これがやはり一番いい方法なんだということでかりにこれをとられる場合にしても、いささか私は資料としては、これをとるのは無理なんじゃないかというふうに思うわけです。同時に実際上の貸金をもらつて生計しているものは、今回の場合であれば官民の給与差の五・七%というものは、これは少くとも五%程度は全部が一律に引上率になって現われてくる。その上に是正の、たとえば七%を使つて、これでもってこの重点的是正を行なっていくというような、そういうその方法をとるか、あるいはもっと研究職か医療職の場合には別途財源を求めてこれらの是正を行なっていくか、こういう方法がとられてしかるべきだったと思うわけであります。そういう点から非常に今回のこの是正を主体にしたべース・アップなつたようなこういうこの勧告に対しては、私どもはきわめて不満足だったというように思うわけですが、まあそれは勧告された結果でありますので、現在これ以上質問いたしましてもやむを得ませんが、ただ、これを実施するのに、いつものように何月であつても一向あなたまかせ、勧告してしまつた国会や内閣まかせということで、勧告についての日時その他については全然触れておらぬわけですね、今回の場合も。大体人事院として、何月から実施してくれたらいいのかということを聞くのが関の山くらいに私はなるのじゃないかと思うのですが、それに対しても人事院としては明確にお答えできるのですか。このままだったら、いつ政府が実施いたしましても年度内なら一同かまいません、三月三十一日でもよろしゅうございますというように見えるわけなのですが、その点について人事院としてはどうお考えになりますか。
  26. 浅井清

    説明員浅井清君) 人事院といたしましては、これを実施するためには法律改正と、予算を必要とするわけでございます。そこで人事院といたしましては、法律の提案権もなし、予算の編成権もないわけでありますから、そこで勧告にはなるべく早くということを書くのが、なるべくすみやかにということが、これが人事院の言い得る最大限度になっているわけでございますから、そこでそう書いているのであります。しかし、私どもといたしましてはこれはできるだけすみやかにこれはやつていただきたい、そういうことははっきり申し上げられるのであります。
  27. 横川正市

    横川正市君 ちょっとこれとは関係はないわけですが、一点お伺いして終りにしたいと思うのですが、先般三公社現業一般職全部が退職年金法の施行によって恩給法からはずれたわけなんですが、人事院の人事管理上依然として残つております事務官制度と事務員制度との二つの呼び名が依然として残つているわけです。これは恩給適用職員としての事務官名であり、それから共済年金制度適用としての事務員名があったのであつて、そのほかは何の理由も私はないと思うのでありますが、これは前にいろいろ説明いたしましたことは、人事院関係する内容であると、こういうことでありますし、その他それぞれ関係するわけでありますが、人事院としてはこのままの呼び名をそのまま存続するつもりか。それとも一本化して、別に呼称を、これを作るつもりか。公務員という明確な呼称があるわけなんですから、私は事務官、事務員というものはこれはなくなってしかるべきだと思っているのですが、この点について御見解を一つお伺いしたいと思います。
  28. 浅井清

    説明員浅井清君) ただいまの公務員法の建前から申しますれば、官というもの、すなわち事務官にしろ技官にしろ、この官というものは漸次なくなるような建前になっているのであります。しかし、それがためには職階制を実施いたしまして、その職階制の名称が公けの名称になると、こういう建前はできているわけでございます。ところが職階制というものは、まだ実施されていないのでございますから、そこで事務官というものがとかくいろいろ残つているわけでございます。ことに、これは恩給法との関係で御指摘のように残つている。これをどうするかということは、人事院としてはまだ結論は得ていないのであります。これは一つ総務副長官から総理府側の考え一つお聞き下さることがいいと思います。
  29. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) ただいま事務官、技官のこの官名をどうするかという問題について御質問がございましたが、ただいま人事院総裁からお答えがありました国家行政組織法のたしか附則だったと思いますが、職階制が実施されるまで、事務官、技官の官名が残るというふうに現在の法律の建前はなっております。職階制の実施とにらみ合せてこれを考えなくてはならないと思いますが、ただいま御質問のありました通り、この十月から共済組合法が実施されまして、恩給法によりますと官吏だけが恩給がつきまして、雇員、用員につきましては恩給がつきませんその別がなくなりますので、その方面につきまして官吏と雇用人と分けております実益もなくなりますし、将来いろいろと検討してみたいと思っております。
  30. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと関連して。さっきの横川さんの質疑に関連して一つ伺い、一つは要望いたしますが、先ほどから質疑が繰り返されておりましたが、私も統計数学を少し研究したものですが、普通の統計でも、その比較とそれから統計数のとり方で、相当自分が期待している統計結果というものは出せるものです。ましてや、こういう給与の問題では、あなた方は人事院であれだけの部下を率いておつてやられれば、口は便利なものでどんなにも言い逃れできますよ。しかし結果としてこういう出された勧告は、私は私らの直感として、かえつて直感が当ると思うのです、納得いたしかねる点がたくさんあります。しかし、ただ研究職とか医療職に考慮を払つたというこの着眼点だけは私はいいと思うのです。しかしなおこれは引き上げてもいいように私は思います。それから初任給は昨年若干引き上げをやつたけれども、まだまだ日本の公務員初任給は低いということが言える。それから最も問題点は、このべ・アですね、これは勧告すべき私は時期に来ていると判断します。あなた方はべ・アを必要だと考えて、そうして結論を出そうと思えばすぐ出てきます。私は自由自在にこんなものはなると思う。その点で、これは要望なんですがね、浅井総裁はずっと人事院総裁を御苦労にもお勤めいただいておるわけですが、人事院の発足当時の気迫を一ぺん取り返していただきたいと思うのです。少し最近政治的配慮が過ぎると思うのですよ。この点は、私は要望として申し上げておきたいと思う。  これに関連して、その一つの質問が出るわけですがね、それは先ほど横川委員が、ことしもこの勧告実施期日について明記してないが、どうだと言つたところが、自分らには法律案の提案権もなければ予算編成権もない云たということを言われた。当然です。こんなもの私は顧慮する必要はないと思う。そんな法律提出とか予算の編成は、これは政府当局で配慮すべき問題であつて、国会並びに内閣に対して、人事院は信念を持って勧告すればいいと思います。法律とか予算とか、そういう点にあまりにも幅広く政治的配慮を下されるところに、私は公務員諸君からあなた方が不満と不信を買つていると思うのですね。この点は私は将来の人事院のためにも非常に惜しむものです。そこで、この期日については、できる限りすみやかに実現されるよう、こういう表現がせい一ぱいだという御答弁なんですが、しかしあなた方があなた方の持っているデータで結論を出して内閣と国会に勧告する以上は、この結論は何月何日から実施するのが適当だという、こういう私は見解を持っているはずだと思う。持つべきだと思う。持っていなかったら不見識だと思う。それを私は横川さんは聞いていると思うのです。あなた方の結論はね、何月から実施するのが妥当だ、こういうように自分らの勧告した結論については見解を持っているか、ということを、横川さんは聞いていると思うのです。それを答弁されぬのは私は不満です。それを答弁していただきたい。それを見解を持っていなかったら不見識ということになりますよ。当然私はそれは給与局長としても事務当局の見解として持っていると思うのですね。また、人事院を代表しての人事院総裁は当然そういう見識を持って、そうして勧告を出しておる。ただ表現をこうしているだけだ、こう思いますので、その何月何日から実施するのが適当だという見解のもとに、こういう結論を勧告されたか、それをお答え願いたい。
  31. 浅井清

    説明員浅井清君) ただいまの御質疑で、何か人事院が政府に気がねを最近している、こういうことは決してないのでございます。これは非常にうわさがあるが、そういうことは絶対にございません。それから期日を明示しない態度から、さように御推察になりますけれども、われわれとしてはただいま言つたように、やはり予算の編成権や法律の提出権を持っていないのでございますから、こういう国会のような席上でこれをいつ実施せよ、こういうことを仰せられるなら、われわれとしてはできるだけすみやかにこれは実施してもらいたい、かように申し上げるほかはないのであります。
  32. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょつともう一回、これは私は納得できないですよ、浅井さん。総裁、そういう無責任なことは私はないと思うのですよ。人事院発足当時の経過をお考えなつたら明確だと思うのですよ。そのために人事院の権限がああいうように法律で保障され、そうして内閣と国会に勧告するということになっておるわけだから、それは内閣も国会も尊重するだろうが、法律を出し、それから予算編成権を持っている内閣が、どういう予算を編成して、そうして立法府に対してどういう予算を審議してもらうか、これは内閣の責任と権限でやることなんであつて人事院勧告を出すのだから、出す以上は、あなた方のデータで結論が出れば、公務員給与制度をあなた方は担当しておるわけなんだから、だからデータで結論が出たら、この結論はいつから実施するのが適当だ、あなた方が、なんでしょう、民間給与との差を研究する場合でも、三月なら三月という基準をとつてやつているわけでしよう、そうして結論を出してくるのだから、だから純粋に公務員給与制度、給与表、こういう点から考えた場合に、それは内閣の予算編成等で考えは内閣にあるだろうが、ともかく人事院としては、この勧告をいつからやるのが適当だ、こういう見解を持っている、これを持っていなかったら無責任ですよ、不見識ですよ、ここで私はそういう答弁じや逃がしませんよ、それを答えて下さい。これを答弁したからといって、何もあなた、なんでしよう、内閣から圧力が加わるわけじゃないでしよう。さっきも御遠慮なさつていないということですから、それは当然そういう責任のある、権威を持っている立場として、当然私は述べてしかるべきだと思う。また給与局長としても、事務当局としてこういうデータを積み重ねてきて勧告とた以上は、これはできるかできぬか知らんが、いつからやるのが妥当だ、こういう見解を持っているはずですよ。持っていなくて勧告するという不見識なことはないですよ。私は二人の答弁を求めます。
  33. 浅井清

    説明員浅井清君) 人事院創立時代には、非常に元気で、そういうことを言つたと仰せられますけれども、さようなことを言つたことはないのです。ただ一度だけ例外があるのです。勧告実施期日を勧告の成文の中に書いたことはただ一度あります。しかし、それ以外におきましては、いつもでき得る限りすみやかにと、こういうことを言っておりますから、そこで私はさように申し上げておるのであります。ただ矢嶋さんがしいて仰せられれば、この官民の給与比較ということは、三月現在でなされておる、そういうことだけは言えると思います。
  34. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでどういうことになるのか。(笑声)それがあなたの悪い病気だというのですよ。それからあなた、次を答えて下さいよ。だから期目的に考えた場合に、三月のデータで比較しているのだから、だからその時期を実施期日とすれば、あなた方の見解をもってすれば均衡はとれる、こういうことですね。給与局長、そうですね。あなた、データを積み重ねた人なんですから責任がありますよ、そうでしよう滝本さん。
  35. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいま総裁が申し上げましたように、われわれの勧告はすべて本年三月の現状において作成したものでございます。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間の制限もあるようでございますから、三点だけ、人事院総裁にお伺いしておきたいと思うのです。実は今回で十回の勧告をされたように報告されておりますが、前からの勧告を見ましても、先ほど横川永岡委員から質問いたしましたが、きわめて生計費にいたしましても、民間給与とり方にいたしましても、非常にわれわれとしては不満の点があります。この点につきましては、再度質問することをやめまして、そういうものを総合いたしまして、勧告のたびに人事院総裁なり人事院の諸公が政府の財政状態を考えて、勧告内容を若干そういうものに合うようにされることは、独自の人事院考え方でなされておるのかどうか、この点明快に一つ説明願いたいと思います。  それから第二点でございますが、この人事院勧告の影響するところはきわめて大きいのです。民間給与にも影響すると思いますが、特に直接に影響するのは、地方公務員なんです。国家公務員の場合よりも地方公務員の場合は、数倍の地方公務員が各地方自治体に働いておる。過去何回かのその勧告によって、人事院勧告を政府がこれを実施すると、今の法律体係ではそのまま地方公務員に適用されるというような状態なんです。こういう場合に、地方公務員給与の実態を人事院の諸公が十分把握しているかどうか。もし把握しているのならばどういう点か、具体的に一つこの勧告を出すに当つて、地方公務員のデータをどういうところで調べておられるか、この点を一つ説明願いたい、かように思います。
  37. 浅井清

    説明員浅井清君) 二点お答えをいたしまするが、第一には、財政のことは全然考えておりません。第一にこれは考えると申しましても、どんな財政状態になっているのか、これは人事院当局にはわからんのでございますから、われわれとしては政府がなるべく金の少く要るようにと思って勧告しているというようなことは全然ございませんから、その点は御安心願いたい。  それから地方公務員のことですが、これは実は人事院の所管外なんでございます。でございますから、この地方公務員給与問題がどうなっているかということは、これは自治庁ではわかるかもしれませんが、人事院としてはわからんのでございます。従いまして、人事院としては、人事院所管の公務員だけなんでございます。団交権を持っている五現業というものは全然考えてないのでございまするから、これはちょっとその影響はわかりませんのでございます。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院総裁は、そういうことで言い逃れされると思うのです。しかし、これは非常に不親切だと思うのです。なるほど法律上の見解からいうと、国家公務員のための人事院だから、それを勧告すればいいとおっしゃるかもしれない。しかし実態はそうじゃない。国家公務員に準じてやられておる地方公務員の数十万というものは、それによって規制されている。この実態を無視して、法律の権限がないからそういうものを調べておらない、これはきわめて不親切だと思うのです。従って、今日の法律体系はそうであろうとも、やはり地方公務員の実態をよく調べて、これはどういう影響をしているかということを考えてもらいたい。本日は時間の関係でこれで打ち切りますけれども、その点だけ要望しておきたい。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 私、一つだけ再度質問をして次回に譲りたいと思いますが、この勧告には、総裁地域給のことについては、将来の問題について触れられていないわけですね。先般の給与法の改正で、十月から暫定手当の五%分は本俸に入れることはきまつているわけですが、あとの問題を一体どうするかという問題は全然触れられておらない、国会においても非常に関心を持たれている案件なんです。かつて地域給の是正法律案として国会に出ておりましたが、途中国会の解散となりまして、日の目を見ないまま、不遇の立場にある方がたくさんあるわけでありますが、将来この地域給の問題をどうするかというその点を、特に一つ総裁から答弁してもらいたい。これは生計費その他の問題とも触れてくるわけですが、よく聞いていただきたいのは、あまり物価が変動しないじゃないか。東京と地方はあまり開きは最近なくなつた。むしろ東京の方が安いぞというような声が多いようでありますから、いずれにしても暫定手当が五%本俸に入るという問題、将来この地域給をどうするかという問題をはっきり伺いたいという点が第一点。  それからもう一つ佐藤さんがおいでになりますが、佐藤さんに、一つ政府の立場からお答えいただきたいと思うのですが、従来の委員会で同じ町村の中に地域が非常に分れておる、最高四級地もあればゼロもあるし、三級地もあればゼロもあるということで、それは人事異動で非常に工合が悪いから直してくれということを再々要望して、二回にわたる委員会でもはっきり覚えているのは、あれは田中伊三次自治庁長官ですか、まかせておけ、必ずこれはやるのだということをはっきり言明して、浅井総裁はここで聞いていると思うのですが、やつていないわけです。一体政府としてそれをやるのかやらないのか。やるとすればいつやるのか、その点を一つ明確にしてもらいたいと思います。
  40. 浅井清

    説明員浅井清君) 地域給の問題でございますが、これは暫定手当としてすでに固定化されてしまいまして、もう地域給という名前もなくなつた。同時にこれに対する人事院勧告に関するところの条項が給与法から削除されております。ですからこれは人事院のもう権限外の問題になっているのだと私どもは実は解釈しておる次第でございます。なお、生計費のことにつきまして何か御質問がありましたが、これは給与局長から。
  41. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) ただいま暫定手当の問題並びに市町村合併等によりまする、現在においては暫定手当でございますが、地域給の不均衡の問題につきまして御質問がございましたが、暫定手当の問題につきましては、この前の国会におきまして五%だけ本俸に入れまして本年の十月一日から実施されることになっておりますが、将来の問題につきましては暫定手当というものになっております性質上暫定的のものでございまして将来これを長く存続すべきものではないと考えますけれども、これを解消しますにつきまして、いろいろ都市と農村等との生計費等の差もございますし、将来とくと研究したいと思います。また、ただいまの市町村間の不均衡の問題につきましては、お話しの通り内閣委員会等におきましてもたびたび御質問がございまして、われわれといたしましてもこれが不公平なことは重々わかつておるのでございますが、これにつきましても、暫定手当となりまして地域が固定化されております関係上、これをやりますとまた新たな不均衡も起るおそれもございますし、どういうふうにいたしますか、いろいろむずかしい問題がございますので、現在もなお検討中でございますが、なるべく早く結論を出したいと考えております。
  42. 永岡光治

    永岡光治君 ただいまの浅井総裁答弁の中で、これはこの前面定手当にかえるときにやはり問題にしたことを、はしなくも総裁はまた繰り返しているわけですが、あのときは地域給ということは削られたから勧告の権限がないとこうおっしゃった。それは間違いだと思う。給与全般についてどういう項目があるか、あなたは勧告する権限を持っているということを念を押したはずです。そしてあなたは了解したはずです。それにもかかわらず地域給の関係については勧告する権限を持っていませんというのは改めてもらいたい。あなたは給与全般について、暫定手当であれ、給与全般については勧告する権限を持っているわけですから、その点を念を押しておきたいと思うのですが、そこで暫定手当というものに限定してもけつこうですが、地域給という名前は省略してもけつこうですが、不均衡をそのまま放置するわけには参りますまいと思うのです。この十月一日でこういう方向にいくというふうに解決するならば別ですが、そうでない限り、あなたはこれに検討を加えて、不均衡のあることは事実です、絶対事実なんですから、そういう点についてあなたは一体どう考えるか、また人事院として当然それはやつてもらわなければ困るのですよ。不均衡をそのまま見逃しているということは、人事院としての職務怠慢ですよ。ですから、それは是正さるべきだと思うのです。だから東京に該当するもの、あるいは群馬に該当するもの、大分に該当するものそれぞれあるでありましょうが、そういうところに当てはめれば、四級地三級地でなくなつたところでも、そういう是正だけはぜひ行なってもらいたいと思うのですが、再度この点について意見を聞きたいと思います。  それから佐藤長官は、将来研究するのじゃないですよ、実際実施されていなければならない問題ですよ。それでなければ、これは食言ですよ。だからその点は将来じやなくして、いついつかまでにやるということを明確に答弁してもらいたい。
  43. 浅井清

    説明員浅井清君) どうも永岡さんとちょっと意見が違うのですが、私のところは給与法から地域給の勧告権が取り除かれたので、しかも御定手当として固定されてしまつておる。だからこれに対して給与法上人事院勧告権を持たないと、こういうふうに考えておる。従いまして、この暫定手当を将来どうするかということについては、私どもは何もただいまのところ結論は持っていないのであります。
  44. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) お答えいたしますが、このたびの五分の繰り入れによりまして、最も不均衡の点が多うございました一級地と二級地の点は一緒になりますので、ちょっと数字は忘れましたが六〇%、七〇%の市町村合併によります不均衡が解消されますが、なお二、三〇%の不均衡が残りますので、その点につきましては研究いたしたいと思っておりますが、時期をいつまでということは、ちょっと今のところこの機会に申し上げることができませんので、御了承願いたいと思います。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 私は、その浅井総裁の見解について不満であります。確かに地域給という文字は除かれましたが、あなたは給与全般についてそれは公平であるかどうかということについて監視をする、そして不均衡があればそれを是正する責任を私は持たれておると思う。人事院総裁としてこれをあなたは否定されますか。
  46. 浅井清

    説明員浅井清君) 給与全体についてわれわれが絶えず改善考えることは、これは否定できないと思います。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 全体といいますと、そうすると級別ないしは地域別に不均衡があつてもよろしいという見解ですが、その不均衡をなくす責任を持っていないと考えますか。
  48. 浅井清

    説明員浅井清君) これはただいま副長官が申されましたように、政府として考えていただきたい、かように考えております。
  49. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、あなたは全般じゃなくて、個人別にあなたのところでは苦情処理委事員会もあつて、その権限はあなたのところにあることは承知のはずです。人事院は個人別だとか地域別についての不均衡は全然タッチしてはならぬということを、あなたは考えておいでになるか、私は公務員個々の問題についても、全般の問題についても、当然公務員を守るべき義務があるはずだと思うのですが、どうですか。
  50. 浅井清

    説明員浅井清君) 私はお説の通りだと思います。
  51. 永岡光治

    永岡光治君 だとすれば、その地域的に不均衡があつてきわめてそれが不合理だとするならば、それについてあなたは取り上げて勧告するのが当然じゃないか。それは義務違反じゃやいですか、そういうことをやつたら法律違反ですか。
  52. 浅井清

    説明員浅井清君) それはあのときの給与改正から来ておるのですけれども、あのときに、この人事院勧告権を削除しておるのです、給与法の中から。それについては永岡さんと私の解釈が違つておるということに煮詰つてくるわけです。
  53. 永岡光治

    永岡光治君 そのときの速記録を出してみてもいいですが、そういうことじゃないですよということで、みんな確認してやつたはずです。立法府の意思を曲げないで、すなおに聞いてもらいたいと思う。かりに千歩譲つてそういうことがあったとしても、地域給という名目がかりになくなつたとしても、給与地域給、超過勤務手当、とにかく収入なんですから、給与に不均衡があるということについて、あなたはそれを是正する責任がないなんて、そんな逃げ口上を言つたら大へんですよ。あなたは何のための人事院かということを考えだら、どういう立場であれ、給与全般についてあなたは責任をもって是正する義務を持っておる、また勧告する権限を持っておるのです。その点は十分一つ含んでおいてもらいたいと思う。もしあなたは私の意見に疑義があるとするならば、本日は私はここで争おうとはいたしませんが、機会を改めてまた論争いたしたいと思いますが、そういう意味でぜひ一つこれは考えてもらわなければいけませんということだけを要望いたしておきます。
  54. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    午後零時九分速記中止    —————・—————    午後零時二十一分速記開始
  55. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 佐藤さん、さっきのに関連してだが、暫定手当を先般五%本俸に繰り入れましたね。あとはいつ繰り入れる予定ですか。繰り入れる方針は前からきまつていると思うのだ。
  57. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) 暫定手当の五%繰り上げたあとの問題でございますが、先ほどもお答えいたしました通り、これは暫定手当の性質上、繰り入れるべきものだと思いますが、いつ繰り入れるか、その点につきましては、暫定手当を全部廃止するかという問題、廃止した場合の公務員給与都市と農村との関係等も考え、また、その場合のいろいろな各種手当等の関係考えなくてはいけませんので、あとの問題につきましては現在研究中で、まだいつというところまでは結論は出ておりません。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どこで研究していますか。
  59. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) 私どもの総理府の公務員制度調査室におきましてもそれを研究しております。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 室長おりましたね。
  61. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) 今ちょっと外に出ておりますが、すぐ参ります。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 勤務地手当暫定手当なつた場合に、大体将来逐次本俸に繰り入れていくという大きい方向というものは、私は見定められたと思うのですが、あなたはどうお考えになっていられますか。
  63. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) 地域給が暫定手当法律改正になりましたときのいろいろな論議から考えまして暫定手当を将来なくすという方向は、大体皆さんの御論議のあれだと思います。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、公務員室長に伺いますが、暫定手当をなくすために、次の段階で五%本俸にまた繰り入れることにするわけですが、その法律案はいつごろ国会に上程するめどを持って、どの程度まで研究が進んでおられますか。
  65. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 御承知のように、今年の十月から五%本俸に入るわけでございますが、従って一応十月以降は三段階になるわけでございます。さらに一部本俸を増額いたしますということになれば、これを三段階そのままでいくか、あるいは二段階にするかというような問題もいろいろございます。それから、いわゆる暫定手当は、御承知のように地域給の変形したものでございますけれども、いわゆる給与制度として今後地域差というものに根拠を置いたものがなくてもいいかどうかというような問題、それからもし地域差を加味した手当考えるといたしますと、その地域差というものを今後どのような形で補足するかというような点もいろいろ問題がございます。かねてから私ども今まで検討いたしておるわけでございますが、現在の段階ではまだ、結論を得ておらないわけでございます。従いまして、その法律案の改正時期等につきましても、今の段階では申し上げるまでに至っておりません。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことでは、公務員の期待に沿えないと思う。怠慢のそしりを受けると思うのですね。先ほど高崎市から陳情があったですけれども、私どもは聞いて初めて、私は知つたわけですけれども、常識的に考えまして、宇部宮と前橋と熊谷、こういう所と違う、足利よりも一つ下だというのは、常識的に考えてもおかしいという感じがしますね。これは公務員諸君は不満のあるのは当然だと思う。先ほど雑談に出ましたように、人事院としては引き上げを予定していたが、当時の国会情勢でこれが廃案になつた、その後暫定手当になってきた、こういうことなんですね。その地域差を残すか残さぬか、残すとすれば、どういう形で残すのが適当か、今検討中だということですね。しかし、今までもう何年か経過しておる。当事者にすれば不満が出てくるのは当然ですよ。そういうアンバランスというものを早く直して、乏しきはともかくも、等しからざるを嘆くようなことが公務員にないように配慮しなくちやならぬ。そういうことを解決する責務が私は増子さんのところにあると思うのですね。あなた方が早急に結論を出そうと思って努力すれば、私は、こんなことは長いこと論じられ研究されてきたことですからね。この十二月召集される通常国会に間に合うように結論を出そうとすれば出ますよ。それからまた、検討中々々々というてのらりくらりいこうとすれば、二年も三年もかかりますよ。そういう性質のものですね。ただ、内閣の方針と、また当面の責任者として、室長としてこれに携わつているあなたの決意と見識次第によって、時期的にどうでも私は動く性質の問題だと思う。いつごろを目途にとにかく公務員制度調査室の結論を出して、上司の裁断を仰がんとしているのか、お答え願いたい。
  67. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 御指摘のように、早急に結論を出す必要があろうと考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この段階でいつというふうには申しかねるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういう場合に、今のアンバランス、不均衡是正もあわせて考慮するという方向で検討されているのだと思いますが、その点はどうですか。
  69. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) アンバランスという点は、いろいろあると思いますけれども、もちろん新しいいわゆる地域給的なものとしてつまり恒久的な制度として残すとすれば、もちろんそれを考えなければならないと思います。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点で、先ほど永岡委員総裁を追及したのだと思うのですね。私は、やはり人事院としては、そういうアンバランス、不均衡是正、今後制度がどうあるべきかという点については、専門的な知識、力を提供して、ともに早く結論を出すようにすべきだと思う。それは私は、人事院は決して逸脱していることにならないと思うのです。これに対する、これは滝本さんの見解を伺つておきます。  それと、佐藤さんに伺いますがね、公務員室長はどちらでも動けますよ。作業はぽつぽつやつておりなさいとあなたから指示すればやりましょうし、この通常国会に間に合うように結論を出しなさいと指示すれば、それは一生懸命やりますよ。行政機構というものはそうしたものです。一体総理府長官なり副長官としては、公務員制度調査室を叱咤勉励して、結論が早く出るように指導指揮しているのか、するのかどうか、その決意を室長の前でお答えおき願いたい。まず滝本さん。
  71. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど人事院総裁から申し上げましたように、人事院といたしましては、ただいまのところ、給与改正が行われまして、地域給の勧告の条項が、人事院の権限に属します条項が削られ、そうして暫定手当というものが創設された形でできておりまする現状におきましては、人事院は、暫定措置については、権限なしと、ただいま総裁が申しましたような見解をとつておる次第でございます。で、われわれが事務当局として一般的に給与問題としていろいろな問題を研究しておるということは、これはまあ当然の責務と考えまして、それはやつてはおりますけれども、人事院としては、先ほど総裁が申されたようなことであります。
  72. 佐藤朝生

    説明員佐藤朝生君) 暫定手当の問題につきまして重ねて御質問がございましたが、暫定手当の解消と申しますか、暫定手当をどういうふうにするかという問題につきましては、われわれとしてもなるべく早く結論を出したいと考えております。その点は矢嶋さんの御意見と同じでございます。
  73. 永岡光治

    永岡光治君 今の滝本給与局長答弁について、私は先ほどあとに譲ろうと思いましたけれども、その答弁がありましたから念を押したいと思うのですが、一般職職員給与に関する法律の第二条第三号、二条の前段には「人事院は、この法律の施行に関し、左に掲げる権限を有する。」第三号ですか。それに事職員給与額を研究して、」給与額ですね。給与額というものは、もうどんな項目を問わずすべての給与が入っていると解釈するのですが、「給与額を研究して、その適当と認める改訂を国会及び内閣に同時に勧告すること、この法律実施及びその実際の結果に関するすべての事項について調査するとともに、その調査に基いて調整を命ずること」不均衡の調整ですね。「調整を命ずること並びに必要に応じ、この法律の目的達成のため適当と認める勧告を附してその研究調査の結果を国会及び内閣に同時に報告すること」と明示してあるわけですよ。当然これは入るわけですよ。入らないという意味はどこにあるわけですか。
  74. 浅井清

    説明員浅井清君) そのお読みになりました、次の第六号でございまするか、そこに地域給のことが書いてあったのでございます。地域給の勧告権が削除されておる。それに対する永岡さんとの見解の相違だと思います。
  75. 永岡光治

    永岡光治君 地域給は削除されておりますが、暫定手当は削除されておりません。
  76. 浅井清

    説明員浅井清君) 削除のときには暫定手当というものはなかったのであります。
  77. 永岡光治

    永岡光治君 ですから現行法には暫定手当があるわけですね。地域給という項目はなくなりました、あなたがそう固執するならば、地域給という法律はなくなりましたね。けれども暫定手当というものは新しい法律に残りました。いいですか、当然それはあなたが調査研究する義務はありますよ。
  78. 浅井清

    説明員浅井清君) これ以上述べてもちょっと見解の相違になりますから申しませんです。
  79. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  80. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 官房長官人事院勧告の点について数点伺います。先般人事院から内閣に対して給与に関しての勧告がなされたはずでありますが、この内容をどういうふうにとられておられるか、また閣議においてどういう協議がなされたか、お答え願います。
  82. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 七月半ばでございましたか、内閣に対し一般職職員給与に関する報告があり、それの改善についての勧告を受けたのでございますが、政府といたしましては、従来ともに人事院勧告は尊重するという建前をとつておるのでございますが、今回も同様にその勧告を忠実に尊重したいと考えておるのでございます。閣議におきましては、まだ検討する程度まで研究しておりませんので、まだ閣議にはかかっておりません。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 こういう勧告は官房長官が受けられるわけですが、閣議の世話役を務めるのも官房長官、当然勧告があったら直ちに閣議の議題に供することは私は人事院勧告を尊重するゆえんだと思うのですが、まだ議題に供していないのですか、懇談会にも供していませんか。
  84. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 勧告内容は披露いたしましたが、これに対して、いかに対処するかという案は、まだできておらないのです。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 閣議の議に供するのは、いつやられる予定ですか。
  86. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) きわめて重大な問題でございまするので、総理もただいま外遊中でございますから、総理の帰国を待って十分の打ち合せの上でこの問題の措置を考えたいと考えております。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは何ですか、今政府部内で検討しておいて、正式な閣議の議に供するのは、総理のお帰りになつた後に供する、議題に供すると、こういうふうに了承してよろしいですか。
  88. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) この取扱いにつきましては、十分に総理が帰国の上で協議いたしまして、その取扱い方をきめていきたいと考えております。それで、閣議に出す等の問題は、その取扱いの一つの重要な方法でございますけれども、どういうふうに措置するかというようなことは、かなり重要な問題でございますので、各関係閣僚とも十分打ち合せの結果、政府の案をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 人事院勧告を尊重するということでございますが、しかし、重要な問題だということです。そうすると問題点は、どういう点だとお把握なすつていらつしやるのですか。
  90. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 勧告のよってきたるその根拠といいますか、今年の三月末日の経済諸情勢に基いて勧告されたのだというように、勧告内容には書いてございませんですけれども、そう承わつたのでございます。従って、今年の初めからさかのぼつてやるべきであるというような補足的な御説明もその際承わつております。しかし、事財政に関する問題でありまするので、従来の慣例はもちろんのこと、予算等の点も十分考慮いたしまして、果してその時期にするというような御希望に応じ得るかどうか、これも十分に考えてみなければならぬ。まあ、そういったようなかなり重要な問題をはらんでおりまするので、慎重に考慮した上で取扱いを決定したい、かように考えるわけであります。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 原則として公務員給与民間給与均衡がとれるようにすべきだという基本方針に立っておられると思うのですが、念のため伺います。
  92. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) もちろん、そういう点も十分に考慮した上で考えなければならぬと思います。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この勧告内容については、先刻来本委員会において各委員勧告者であられる人事院当局との質疑が行われたわけですが、その際に、各委員から相当疑問な点なり、不満な点が指摘されたのであります。また、人事院勧告を出すに当つて、少し政治的配慮が過ぎるのではないかという批判的な発言もあったわけです。まあ、私の眼から見れば、本年度はともかく来年度の予算編成には、政府は苦慮するであろうというような点も人事院はかなり配慮して、非常に最小限の勧告をなされたと私は判断している。だから公務員諸君に不満があり、官房長官公務員諸君よりいろいろ陳情があられたと思うのですが、そういう現象として現われているわけですね。で、先刻も人事院に伺いましたところが、本年の三月の数字でこの勧告は出したというのです。従って公務員給与民間給与との関係考えるとき、予算化が秋になるか、来年の春の補正予算になるか、それはともかくも実施だけは三十四年の四月一日から実施と、こうするのが筋が通つているし、また不十分な勧告であるけれども、その勧告を尊重するゆえんだと思うのですね。だから基本方針としては、政府としては三十四年の四月からこの勧告を受け入れて実施する、尊重していく、こういう方向で政府部内で検討、努力されるべきだと思うのですが、官房長官はどういうお考えでいらつしやいますか、お答え願いたいと思います。
  94. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 申し上げた通り、問題は従来の慣例もございましょうが、その点も十分に調べますが、一番肝心なところは、財政の問題だと思います。それらの点を十分に考慮した上できめるべきものであると、そういうふうに私も考えております。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院勧告の問題についてはいろいろと討論がありましたが、特に今度の勧告そのものは、もちろん不満でございますが、もしこれを実施する場合に、先ほど人事院総裁にも僕は申し述べておきましたが、これに影響するところの地方公務員の問題、特に町村の職員は、きわめて劣悪な給与におる。あるところはわずか平均七千円から八千円というところがある。こういうところも一つ、単に国家公務員給与改訂ということでなくして、それが及ぼす地方公務員の影響を十分考えていただきたいと思うが、官房長官はそれについてどういう見解を持っておられるか、御意見を聞きたいと思います。
  96. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 政府の一般職給与改訂の問題に関連して、やはり考えなきゃならぬのは、お説の通り、地方事公務員の問題も出てくるのでございます。それらの点も十分に考究した上できめたいと考えております。
  97. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  98. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。   —————————————
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いずれ総理がお帰りになっていろいろ向いたいと思うのですが、その前にちょっと数字について若干伺つておきたいと思うのです。総理の外国出張計画は、今のところスケジュール通り順調に進んでおりますか。
  100. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) ただいま予定通り順調に進んでおります。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 総理の外国出張の国費支出額は幾らに確定されておりますか。
  102. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 外遊のための経費といたしまして、予備費二千百十二万一千円、それから政府既定経費の中から一千五百万円、合計三千六百十二万一千円でございます。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これ以外に在外公館に対して特別予算を配分したというようなことはありませんか。
  104. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) それはございません。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは、在外公館は外務省から配分を受けた年次予算内でやられているということで、相当PRあたりで予算を使つておられるようですが、ありませんね。
  106. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) ございません。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 随行者の員数と職名を念のためお聞きします。
  108. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 随員と同行議員一行を申し上げます。随員といたしましては、欧州の方から申し上げます。内閣官房副長官の松本俊一君、外務省の欧亜局長金山政英君、外務省経済局参事官加藤匡夫君、内閣総理大臣秘書官岸信和君、同和田力君、外務事務官の木村勇佑君、以上が随員でございまして、それから同行の議員は欧州につきましては衆議院議員今松治郎君、衆議院議員渡海元三郎君、参議院議員江藤智君の三名でございます。それから中南米を申し上げます。中南米の方の随員は内閣官房副長官松本俊一君、外務省アメリカ局長森治樹君、外務省経済協力部長関守三郎君、この関守三郎君に限つてブラジル、アルゼンチン、メキシコのみでございます。それからなお随員といたしましては、内閣総理大臣秘書官岸信和君、同じく和田力君、それから外務事務官木村勇佑君、同じく外務事務官辻羊三君、以上でございます。それから、同行議員といたしましては、衆議院議員田中龍夫君、同じく大久保武雄君、参議院議員山本利壽君、以上三名でございます。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この欧州並びに中南米の同行議員六名の旅費は、党費から出るのですか、それとも国費事から支出しているのですか。
  110. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) ただいまちょっと調べておりますから、お待ち下さい。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まだわかつていないですか。
  112. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 今調べており事ます。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは結論だけ聞いておけばよろしいのです。  それから次に、勲章は何個持っておいでになりましたか。その種類と数をお教えいただきたい。
  114. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 外国人の叙勲数七十三。それから在留邦人叙勲数三。それから第三といたしまして在留邦人の褒章数五と、これだけでございます。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 数はわかりましたが、その勲章の種類と数ですね。
  116. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 勲章は七十六個でございますが、その内訳を申し上げます。大勲位菊花大綬章、これは三個でございます。それから、勲一等旭日大綬章三十個、勲一等瑞宝章十七個、勲二等旭日重光章十個、勲二等瑞宝章八個、勲三等旭日中綬章五個、勲三等瑞宝章六個、勲四等旭日小綬章一個、勲四等瑞宝章四個、勲五等瑞宝章二個、以上七十六個。それから、褒章数五と申し上げましたが、その内訳を申し上げますと、黄綬褒章三個、藍綬褒章二個でございます。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 きょうは意見はやめておきますが、ただ資料をお願いしておきたいと思うのです。御承知のごとく、栄典制度が新憲法下に新しく発足していないので、外国人にだけ旧栄典制度で勲章を差し上げて、日本人の場合はなくなつた功労者にだけ授与しているわけですね。生存者というものにはないわけですね。それで今、栄典制度が大きな問題として論じられているわけですが、外国に日本国の首相としておいでになるに当つて、まあ勲章を持って行かれるということは常識だと思うわけですが、非常に種類の多いのに私は実はびつくりしているわけなんです。これは、今後栄典制度を検討する場合に、よほど突つ込んで検討しなければならぬ問題と思っています。御承知のごとく、大勲位菊花大綬章からずっと段階が旧栄典制度であるわけですが、これほど差等をつけて持って行かなければならないのかということが、僕の外交センスではわからないのですが、これは他口論することとします。資料として出していただきたい点は、総理がお帰りになりましたらば、これと交換に総理が勲章を持って来られると思うのです。それで、どの程度の種類の勲章をどの国から持って帰つたかという資料を出していただきたいです。それと日本から送つた勲章の種類と対照した資事料ですね。これは今後の国際外交の面で検討すべき問題だと思いますので、お帰りになつたら資料を出していただきたい。  それから、過去二ヵ年間、日本においでになつた外国人の大統領並びに総理、それから日本政府あるいは日本国会が、お客さんとして、国賓としてお招きしておいで願つた外国の方の、その団の員数とわが国の滞在日数、それを資料として次の委員会までに出していただきたい。  きょうはこれで終りますが、先ほどの同行議員の経費は自民主党の党費で出たのか、国費で出たのか、それだけをお答え願いたい。
  118. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 同行議員の旅費は国費で出しております。
  119. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  120. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起して。
  121. 横川正市

    横川正市君 今の同行議員の旅費の支弁について、国費でまかなわれたというわけでありますが、これは何といいますか、どういう身分をもって向うへ行くということで旅費を与えたのか、その点を一つはっきりしてほしいと思うのです。
  122. 椎名悦三郎

    説明員椎名悦三郎君) 別に身分は、外務省の何だというような身分を与えないで、そのままで外務省から出しておるようであります。
  123. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは今、横川さんからお聞きしたから、ちょっと官房長官にだけ耳に入れておきますがね。いずれこれは総理がお帰りになってやりますが、私は初めからこれは国費で出していると言っておつたのですが、私の党内では、これは自由民主党の党費だと、こう言っている。ところが、やつぱり私が予想した通りなんです。官房長官だから申し上げておきますが、先般の参議院の予算委員会で、内閣官房とそれから総理府が使つている交際費と報償費は、全部合せると昭和三十四年度の予算では二億八百万円になるのですよ。その中で、国会が終るたびに、あるいはときどき岸さんが総理官邸で自由民主党の諸君だけを招んでパーテーをやられるわけですね。それで、この前の予算委員会で、社会党のある議員から、国費で自由民主党の議員だけを招んでパーテーをやるのはおかしいじゃないか、そんなものはやらんでいいじゃないか、こういう指摘がありました。そうしました、ところが、岸さんも、確かにまずいから、今後国費を使つてやる場合は、野党、与党と両方の議員をお招きします、こういうことを、何もそういう形式的な招きを受けて、国費を使う必要はないとその人は反論しておりましたが、果せるかな先般の国会の終了後御丁重な御案内状をいただいて、与野党の議員を総理官邸に招いてパーテーをやられたわけです。社会党の議員が何人行つたか、それは私知りませんが、予算委員会の公約を守られたわけです。そういうささやかなところはそういうことをしておいて、そうしてこういう総理大臣の外国出張、これは私は一がいに意味ない云々とは言いません。それはいろいろ問題点はありますけれども、お出でになることけつこうだと思う。しかし、総理の海外視察旅行の成果を上げるために欠くべからざる専門的な技術を持つた、たとえば松本官房副長官とかあるいは経済関係の人とか、通訳関係の人とか、秘書官とか、こういうような人は行ってもいいと私は思う。ところが同行議員ははっきり言って派閥構成、論功行賞的なものになっておる。衆参の振り分けからいっても、それから自民党内部でもそういうふうに構成しておつて、よく使う手としては外務省参与として辞令を出して外務省予算で出張するという手を与党がよく使うが、今度はそういう手は使つていないのですか。ささやかなパーテーあたりを国会が終つたあとに、常任委員長から、正副議長を全部吸い上げとつてそして社会党と一緒にパーテーをするということをしておつて、こういう問題はほおかぶりして派閥構成の代表を選んでそして国会議員の身分のまましかもそれを与党側だけから純国費で行かれるという状態に問題があると思う。これはあなたに言ってもなんですから、きょうはこの程度耳に入れておきます。いずれ他日機を見てこの点は総理にただしたい。総理は今外国を強行軍で旅行されているさ中ですから、きょうはそういうことはできないのですから……。
  124. 中野文門

    委員長中野文門君) 本日は以上をもって散会いたします。    午後二時十三分散会