運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-10-09 第32回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月九日(金曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員山田節男君辞任につき、その 補欠として横川正市君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            最上 英子君            安井  謙君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            山田 節男君            横川 正市君            牛田  寛君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政事務次官  加藤 桂一君    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君    郵政大臣官房審    議官      土生 滋久君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省経理局長 西村 尚治君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社副総裁    横田 信夫君    日本電信電話公    社職員局長   行広 清美君    日本電信電話公    社営業局長   大泉 周蔵君    日本電信電話公    社資材局長   和気幸太郎君   参考人    日本放送協会業    務局長     首藤憲太郎君    日本放送協会技    術局長     三熊 文雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査の件  (伊勢湾台風による災害一般状況に  関する件)  (電信電話事業全般の問題に関する  件)  (三重県における特定局に関する  件)  (郵政省職員に対する仲裁裁定実施  に関する件)   —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係伊勢湾台風による災害状況についての報告を聴取するため、参考人として日本放送協会業務局長首藤憲太郎君、及び同技術局長熊文雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 都合により、だいぶ延び延びになっておりました、先般当委員会で行いました委員派遣について、派遣委員から御報告を求めます。  第一班の鈴木強君から御報告を求めるはずでございますが、まだ出席がございませんので、次に第二班の御報告最上君からお願いいたします。
  5. 最上英子

    最上英子君 私は、柴田委員長森中委員とともに、去る七月二十五日より同月三十日に至る六日間、四国及び中国地方における逓信関係業務運営状況調査いたしましたが、その結果は会議録において御報告いたしますから、御承知をお願いいたします。
  6. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、第三班の御報告をお願いいたします。松平君。
  7. 松平勇雄

    松平勇雄君 私は光村君と八月三日より六日間にわたり九州地方における逓信関係事業並びにこれらの施設を視察して参ったのでありますが、その詳細は速記録に掲載いたしますので御報告は省略させていただきます。
  8. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 第一班の御報告をお願いいたします。
  9. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 第一班の御報告を申し上げます。  私は鈴木強君とともに、八月五日より十日まで六日間、北海道管内逓信関係業務運営状況について視察して参りましたので、その概要報告書をもってかえさせていただきます。以上でございます。
  10. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまの各班の報告に対し御質疑のある方は御質疑をお願いいたします。——別に御質疑もないようでありますので、委員派遣報告はこれをもって終了いたしました。  なお委員派遣の詳細な内容につきましては、便宜会議録に掲載いたしましてごらんを願う必要があると存じますので、会議録に掲載いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。   —————————————
  12. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  まず、郵政省所管にかかる今次の伊勢湾台風による災害一般状況について、佐藤郵政政務次官より御報告を求めます。
  13. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 伊勢湾台風による通信関係被害状況及び復旧状況等につきまして概要を御説明申し上げます。  本台風による通信関係被害東海近畿関東中心としてほぼ全土にわたって発生いたしました。私もさっそく名古屋へ急行したのでありますが、遺憾なことに東海地方被害はきわめて甚大でございます。  まず郵政関係について申し上げます。  伊勢湾台風の来襲とともに近畿東海北陸信越及び関東の各地区は、二十六日夕刻から郵便物運送を大部分停止しましたが、東海地区を除きまして翌日は大部分復旧いたしました。  現在では鉄道線路道路決壊などにより障害を受けている地域は、それぞれヘリコプター自動車による迂回、人夫送等によりまして処理しております。  現在まだ水没状態にあります愛知県の一部と三重県の一部につきましては、遺憾ながら郵便物をまだ配達できない地域がございますが、郵便局窓口で交付するとか、救援物資配給ルートに乗せるとか、あるいは転居先へ配達するとかできるだけ手段を講じまして、被災地要望に沿うよう努力いたしております。  郵政省におきましては、さっそく本省及び現地にそれぞれ災害対策本部を置きまして、係官を現地に派遣し、業務用資材復旧一般罹災者に対する援護措置部内職員救済のための活動を行なっている次第でございます。  なお、本台風によりまして郵政省の受けた被害は約三億円程度であろうかと存ぜられます。  次に電気通信関係について申し上げます。愛知三重両県を中心といたします電気通信関係被害はきわめて大きく、戦後における最大のものでございました。当初におきましては東京大阪間の通話は回線故障のため相当遅延し、三重愛知の両県の大部分及び岐阜和歌山奈良、滋賀及び長野の各県の相当部分にわたって市内電話故障のため通話できない地域があったのでございますが、現在では名古屋市内電話復旧率もほぼ七〇%に達し、東海地方を除きましてほとんどが平常に復しております。  なお、名古屋大阪間の重要回線を含む市外電話回線東海近畿地方におきまして若干残されておりますが、その区間はマイクロウエーブまたは迂回路線等によって回線の確保に努めております。また、被災地におきましては、滞留した電報ヘリコプター自動車、またはボート等を使いまして配達するよう極力努力いたしました。  なお、電電公社におきましては、本社並びに現地災害対策本部を置きまして徹宵災害回復に努めております。  電電公社関係被害額は約二十億円と推定しております。  最後放送関係についてでありますが、福知山放送局浸水のため災害直後十時間ほど放送を中止いたしました。  なお、NHKでは被災地における受信料免除実施しておりますが、そのための減収額全国で約一億一千万円、局舎施設等被害額が一千五百万円程度と見込んでおります。  以上は通信関係被災概要でありますが、詳細は郵政省事務当局電電公社並びにNHKより御説明申し上げることといたします。
  14. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 引き続きまして郵政事業災害並びに対策に関しまして、郵政事務次官から御報告を求めます。
  15. 加藤桂一

    説明員加藤桂一君) ただいま政務次官から災害の一応の輪郭につきまして御説明いたしたのでございますが、なお、詳細にわたりまして御説明申し上げます。お手元資料が配付してございますが、一応この資料によりまして要点を御説明申し上げます。  今回の十五号台風によりまする被害及び復旧状況は、十月八日現在でおおむね次のような状況であります。第一に郵便局舎被害でございますが、水没浸水地域並びに山間僻地調査がまだ十分に行われておりませんために、これらの地域調査が判明するに従いまして、若干増加するものとは思われますが、郵便局舎被災局数名古屋郵政局管内におきましては、普通局におきましては幸い全壊半壊も一局もございませんでして、特定局におきまして半壊が三カ所、それからその他の建物といたしましては全壊が一カ所、半壊が五カ所、床上浸水に至りますと、普通局が四局で特定局が八十局の多きに達しております。それから大阪郵政局管内におきまして、特定局におきまして半壊が三局、床上浸水特定局は四十一局といったような数字になっております。それから破損いたしました局と申しますと、名古屋管内普通局が五十三局で、特定局は五百九十四の多きに達しております。大阪郵政局管内では普通局におきまして十局、特定局は九局ということになっております。  それから次に職員関係被災状況でございますが、名古屋郵政局管内が最もその被害が大きかったわけでございまして、職員死亡普通局におきまして名古屋管内三名、特定局関係二名、その他二名で合計七名の死亡者を出したことはまことに遺憾な事態であったと思っております。それから重傷が五名でございます。大阪郵政局管内は幸い職員死亡重傷はございませんでした。それから名古屋郵政局管内におきまして、家族死亡普通局関係におきまして七名、特定局関係が八名その他二名合計十七名の多きに達した次第でございます。それから重傷が四名、行方不明が一名、大阪郵政局管内は幸い家族死亡重傷、行方不明はございませんでした。  それから職員住宅全壊半壊に至りましては非常に多くの数字になっておりまして、職員住宅全壊が大体名古屋郵政局管内におきましては二百八の多きに達しております。そのうち流失したものが二十一ございます。大阪郵政局管内におきましては十一の数字を示しております。半壊に至りましては、これは大体三分の一ぐらいこわれたものも半壊に入れておりますが、名古屋郵政局管内におきましては合計九百五十六件という大きな数字になっております。床上浸水いたしましたものは一千百十七件といったような多きに達しておる次第でございます。  次に郵便物運送被害状況でございますが、郵便物運送につきましては、交通機関被災に伴いまして、全国的に欠便、遅延が続出したのでございますが、特に愛知三重岐阜奈良福井鳥取の各県の被害が甚大でございます。これらの郵便運送線路被害に対しましては、緊急措置といたしまして臨時自動車便を開設するとか、あるいは人夫送、水路便迂回運送等方法によりまして、極力滞留郵便物の排送に努力いたした次第でございます。なお北海道、東北、信越関東四国の各地方被害につきましては、九月三十日までにおおむね平常に復した次第でございます。その詳細にわたりましてちょっと申し上げますと、東海地方におきましては関西本線と紀勢本線の被害が大きかったのでございますが、その名古屋——河原田間、これは目下開通見込みが不明でございます。それから徳和——多気間の不通、これは大体十月下旬開通する見込みでございますが、そういった線路故障に伴いまして欠便を生じたのでございますが、その間の郵便物運送対策といたしまして、名古屋——鳥羽間名古屋——松阪間に臨時専用自動車便を運行いたしております。また愛知県蟹江、弥富両局に対しましては、トラックによりまして、また愛知十四山局に対しましては自衛隊救助用ボートによりまして、三重長島及び桑名局に対しましてはヘリコプターを一台専用に借り切りまして、これによりまして郵便物運送しておる状況でございます。それから越美南線と申しますか、岐阜美濃下川郡上八幡間鉄道不通のために、オート三輪車によりまする連絡便を設定いたしまして、郵便物運送いたしております。その他は近畿地方におきましては山陰線、それから奈良県の上北山——浦向間、それから和歌山田辺——本宮間、こういった方面におきましては、道路その他の決壊によりまして故障が生じたのでございますが、これらも自衛隊ヘリコプター、あるいは人夫送によりまして運送いたしておる次第でございます。  なお北陸地方におきまして福井県大野、武生付近道路決壊、その他中国地方におきまして鳥取県の中部以東、それから鳥取、倉吉両市付近、島根県の松江付近、岡山県の北部等故障がありましたが、これらは十月四日から平常に復した次第でございます。  次に、窓口事務及び集配事務被害状況でございますが、窓口事務取扱いがまだ——これは水没したりいろいろいたしておりまするために、窓口事務取扱いができない局が、名古屋市内とその他の愛知県内と分けてございますが、災害当初におきましては名古屋市内で、無集配局に十四局の窓口事務取扱いできない局ができたんでございますが、現在は相当復旧いたしまして九局まだ窓口事務ができない状態でございます。それからその他の愛知県におきましては一局現在窓口事務ができない。それから三重県におきましては、現在一局窓口事務が取り扱えないというようなことになっておるのであります。従いまして合計いたしますと、当初二十一局が窓口事務が取り扱えなかったのでございまして、現在十局できない。やや半数復旧いたしたのでございます。なお応急措置といたしまして名古屋市南部に移動郵便車四台を配置いたしておる次第でございます。それから次に、集配業務のできない地域及びこの復旧見込みでございますが、現在集配業務のできないところの局が愛知県におきまして、名古屋市中川区の一部、これは中村局受付でございます。それから港区の大部分、これは目下排水に非常に努めておりまして、大体排水完了予定が十月十一日ということになっております。排水ができ次第業務復旧に取りかかるということになっておるわけでございます。それから南陽地区は十一月の二十日ごろになる見込みでございます。それから次に書いてございますが、大体津島市の方とか海部郡の非常にひどかった方面におきましては、十一月の二十日ごろにならないと排水が完了いたさない状況でございますので、それまで集配業務の完全な実施ができない状況でございます。  それから次に郵便物滞留状況でございますが、被災地あて郵便物で配達不能のために目下保管をいたしておりまする部数は、通常郵便物におきまして約十六万七千通、小包郵便物は約六千個たまっておる次第でございます。これに対する措置といたしましては、郵便局窓口で交付するというような非常手段をとる。あるいは救援物資配給機構を通じまして配達する、というような方法で早急に配達いたしたいと考えてやっておる次第でございます。次に集団避難先におきまする名簿の作成及び通信事務依頼信によるところの転居届を出していただきまして、転居先へ回送するといったような措置も講じておる次第でございます。現在名古屋中央郵便局におきまして保管しておりまする被災地区あて郵便物は、早急に同地区配達郵便局までの運送を完了すべく努力いたしております。それから被災のために要員措置が非常に困難でございますので、研修所訓練生約百人を動員いたしております。それからなお現在次の被災地あて小包郵便物受付を停止いたしております。それは愛知県の海部郡飛島村、十四山村、弥富町、それから三重県の桑名長島町、木曾岬村、このニカ所に対しまして小包郵便物受付を停止しておる状況でございます。  以上が大体郵政郵便関係被害状況並びに復旧状況でございます。  次に電気通信関係でございますが、これはいずれ電電公社から詳しく御説明があることと思いますので、省略させていただきます。  それから十ページに飛びまして、被災地に対する援護措置といたしまして、まず郵便貯金郵便為替及び簡易保険関係におきまして、郵便貯金郵便為替等非常払いをする。あるいは保険金倍額即時支払いをいたします。それから保険金非常即時払いをやります。あるいは保険料掛金払い込み猶予、これは六カ月間でございますが、払い込み猶予実施する。あるいは保険契約者に対する非常貸付金、これは大体三万円になってございますが、それを即時に貸し付ける。あるいは保険料前納取り消しによる保険料即時払いをやる。契約者貸付金弁済遅滞金免除をする。それから罹災地に対しまして、簡易保険救護班を派遣し、巡回診療実施する。こういうようなことをやっております。  次に、災害地に対する簡易保険資金融資でございますが、愛知三重岐阜、京都、奈良及び和歌山の各府県並びに右の各府県下の市町村に対しまして、簡易保険資金五十億円を災害応急資金として融資することに決定いたしまして、このうち十月三日までに八億二千三百万円を融資いたしましたが、さらに十月末日までには約十億二千万円の融資を行う予定でございます。  それから次に、災害救助のためのお年玉寄付金配分をいたしたのであります。愛知三重岐阜山梨長野、五県に対しまして、災害救助のため次のようにお年玉寄付金配分を決定いたしました。愛知県五百八十万円、山梨県三十万円、三重県百六十万円、長野県三十万円、岐阜県六十五万円、こういうふうにお年玉寄付金配分いたした次第でございます。  次に、NHK受信料免除でございますが、災害救助法発動地域、その他救済援護措置を講じられました地域に対しまして、特に被害の甚大であった契約者に対してはNHK受信料を三カ月間免除いたしております。  次に、災害救助法発動地域の一部におきます罹災者からの発信電報の料金の免除取扱い実施いたしております。  それから次に、業務用復旧資材の調達及び送付でございますが、名古屋郵政局からの要望によりまして、被服、車両、式紙類等業務用品で流失、破損したもの等を本省及び各郵政局におきまして調達して、直ちに送付いたしまして。現在までに送付済みのものは約二千万円の金額でございますが、総額おそらく五千万円程度に上る見込みでございます。  それから次に、被災職員に対する措置でございますが、災害救助法発動地域所在の官署に勤務する職員に対しまして、俸給の繰り上げ支給実施いたしました。これは約七日間の繰り上げ支給をいたしたわけでございます。  それから次に共済組合におきましては、職員及び家族死亡等に伴う弔慰金並びに住居、家財の被災に伴う災害見舞金概算払い及び現金払い実施いたしております。これは総額約四千万円の見込でございまして、現在二千七百万円すでに支給済みでございます。  それから元名古屋地方貯金局庁舎、これは新しく名古屋地方貯金局ができましたので、それの旧庁舎の一部を模様がえいたしまして、被災世帯十二世帯を目下収容いたしております。そのほかになお三世帯を収容いたしております。  それから被災職員に対する義援金を全職員から募集することといたしまして、目下募集中でございます。  次に、名古屋逓信病院、大垣、桑名、静岡、津の各診療所及び神戸逓信病院並びに長野郵政局医務室医師看護婦等によります診療班を編成いたしまして、被災地職員救護及び防疫に当っており、また東京逓信病院医師名古屋へ急行いたさせまして、現地における救護指導に当らせております。  それからビタミン剤外傷薬包帯等医薬品を、現地において調達いたしました医薬品とともに配付いたした次第でございます。  大体以上の通りでございます。
  16. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 続いて、日本電信電話公社関係伊勢湾台風におきまする災害状況につきまして、日本電信電話公社総裁の御報告を求めます。
  17. 横田信夫

    説明員横田信夫君) お手元に、「伊勢湾台風による電気通信関係被害状況ならびに復旧状況について」という冊子を差し上げてありますので、これを一々やると相当長くかかると思いますので、これでごらん願うとともに、二、三申し上げたいと思います。  先ほどから郵政政務次官事務次官からもいろいろお話がありました。われわれの方の問題についてもお話があったわけでありますが、重複を避けて御報告させていただきたいと思います。  その調書の一番最後の表の二枚、これは十月七日ですからちょっと前になっておりますが、その後これよりなお復旧数は多くなっております。この表をごらん願いましてもおわかりのごとく、市外電話回線電信回線市内電話回線、これを分けてみまして、この市外電話回線障害のあったところは全国的にわたっておりますが、今まだ残っておりますのは東海近畿、それから関東の一部、これは主として山梨県であります。前の被害完全修理ができないうちにまたやられたというような関係関東に残っております。それから近畿の方は、これは奈良県であります。奈良県の山の奥が相当やられております。これは一般復旧とともにこれから措置が講ぜられるのでありまして、一挙にはなかなかむずかしい問題が残っております。電信回線におきましても、残っておりますのは東海近畿、これは近畿もごくわずかでありますが、主として東海、それから市内電話回線も大きいものはこれは東海でありまして、東海岐阜三重愛知三県にわたっております。この被害完全回復というものは相当時期がかかるのじゃないかと思っております。  以上のような状況でありますが、この市外の方も全国にわたる幹線につきましては、あの台風のありました翌朝、午前中に大体おもなる幹線につきましては措置が講ぜられまして、マイクロウエーブも一部三時間ぐらい停止したところがありますが、そのもとの長さには回復いたしております。ただ、市外幹線の大きなところで残ったのは、現在も実は残っておるのでありますが、名古屋から三重県を通って大阪の方へ抜けている、これがまだ完全修理ができておりません。これは搬送ケーブルでありますが、この搬送ケーブル名古屋から出ていっているのが弥富中継所というところへ出ておりますが、この弥富中継所が、まだこの辺が私の背よりもまだ高く、六尺ぐらい水がたまっております。従いまして、弥富中継所の中も浸水いたしまして、電源は完全にいかれておりますし、窓ももちろんあけることができない。これの応急措置といたしましては、水がたまっておりますが、そこへ土のうをつけて、特別なケーブルの出口だけ土のうを両側から積んで、その中の水をかい出して、その中継所のまあ建物がないと同じような、要するに建物の中の中継機あたりは生かすのに相当長くかかりますので、その外のケーブルをつないでいく、従って完全な修理はできませんが、それによって障害になったもののうちの百二十回線ぐらいは今ようやくどうにかこうにか、ちょっと質が悪いけれども直して、その土のうの外はまだ水が六尺ぐらいたまっておる、こういうような非常な困難な作業現地従業員はやってくれております。もちろんこれは組合の方から申し入れがありましたが、あまり無理な作業をやらしてくれるな、こういう申し合せがあったのでありますが、われわれとしてもそういうつもりで、これは長期戦になるものですから、そう無理な作業をするなということでやっておりますが、むしろ従業員が自主的にほんとうに働いてくれているという状況であります。なお、こういう作業につきまして、全国の各通信局から約数百名にわたる応援隊が今東海地区へ行っておりますが、これは非常におもしろい現象——おもしろいと言っては何でありますが、非常にわれわれとしても感銘深い現象と思っておりますが、各通信局から行った応援隊は、やはり自分の通信局はほかの通信局には負けないんだというくらいのつもりで、非常に作業をしてくれている。われわれとしても、自主的なそういう努力をしてもらっているので、非常にありがたいことだと思っております。しかしそれにいたしましても、長期戦でありますので、あまり無理はしないということについては相当にわれわれも配慮している、管理者側の方でも配慮しているというのが現状であります。  そういうようなわけで、今の弥富中継所はそういう近辺の応急修理ができませんが、そのほか三重県の方に全般に行っておりましたロード・ケーブルと言っておりますが、ロード・ケーブル、このケーブルがやはりあれは何とか橋という橋、並びにその辺の堤防と一緒に全部持っていかれた。そのために三重県へ行く幹線ケーブルがいかれたままで、三重県下と名古屋方面との通信は完全に途絶した。従ってその三重県南部の方との通信連絡は大阪を通じてやっておる、こういう状況だったのであります。これも現在回復いたしております。しかし回復しておるとは申しましても、これも橋並びに堤防と一緒に持っていかれたものでありまして、その付近は今でも水が一ぱいであります。もちろん背は届きません。相当の急流です。従いましてその復旧はどういうふうにしておるかと申しますと、その復旧は、やはり途中のマンホールは抜いて、水に近いところでどうにか引き抜いて、マンホールを引き抜いて、その間は水の中にケーブルをなまのままぶち込んでいる。それで通信を回復した、こういうような情勢です。従いまして、これも本格的な復旧にはならない。これはどうしても水が全部なくなってからいよいよ本格的復旧にかからなければならぬ、こういうような情勢でありますので、一応復旧したとは申しましても、ほんとうの復旧には相当の時日を要する。またそういうような応急的なままでほうり込んであるわけでありますので、ときどき途絶をするというようなことはやむを得ない。障害が起るというようなことはやむを得ない場合もある。それは今の市外の大きなまあ全国的な幹線ないしローカル幹線状況としては今のようにして一応復旧しておる。しかしそのほかの市外の線、裸線等につきましては、もうこの愛知三重岐阜三県に行ってみますと、電柱あたりはほとんどが傾いている、また倒れているのがある。それを全部直すのはとてもできないので、そのままの形で線を生かしておるというようなことで応急復旧は一応済んでおりますが、そういう程度の応急復旧でありますので、それを本格的に直すのにはまた相当時日がかかるだろう。そういう応急復旧だけは、どうにかこうにかこの個所を除いては今済んでおるというような状況でございます。  それから市内の加入者の問題でありますが、この加入者の問題は、家が崩壊したもの、そのほかまだ水につかっておるものというような関係でありまして、それが直らぬ限りにおいては直らないものと、それから名古屋市内等における障害の中には、実は障害になったり、また聞えたり、また障害になったりというのが相当あります。これはどういうことかと申しますと、名古屋市内の架空のケーブルが、ほとんど風のために物が飛んでいる、それでケーブルにぶつかって、見たところはわからぬけれども、穴があっちこっちにできている。これを全面的に直すのにはやはり相当時日がかかるだろうと思います。そういうような障害があるものですから、雨が降ると、雨が降ってケーブルの中にずっと入っていくと障害になる。乾いてくると通じておる、こういう個所がまだ相当多いのであります。これも漸次直していかなければならぬと思っておりますが、まだそれを全面的に架空ケーブルを取りかえるという段階までにちょっと入りかねる問題でありますので、こういう点で御迷惑をかけたということと、今の水が引かないところの措置が十分でないというようなことであります。  まあ今のようにいたしまして、従業員は非常に士気は盛んで、一生懸命仕事をいたしてくれておりますが、なお従業員被害状況等につきまして、その次の表にありますが、死傷関係は、これは東海のほかは従業員といたしましてはありませんが、東海において一人だけ従業員の死傷があります。これは四十幾つの女子であります。婦人でありますが、一人死亡をいたしております。あと負傷が三十一名、家族については十二名の死亡者があるわけであります。  なおこの罹災家族といたしまして、従業員で今住む家もないという人たちにつきましては、今臨時にわれわれの庁舎の利用できるもの、そのほかを動員いたしまして、一応全部を収容いたしております。  なお、私たちのこの復旧とあわせまして、一番初めにわれわれが心配いたしたことは、赤痢、チフス、あるいはこの作業中きたない水の中へ入るので破傷風、そういうような問題でありますが、これについては直ちに東京方面からも応援が来ますし、医療品もできるだけ動員いたしまして、これについての万全の措置もいたして参ったつもりであります。幸いにして今までに従業員の中にそういう赤痢、チフス、破傷風というようなものの死傷というものはまだ出ておりません。幸いにそういう状況であります。  なお、その従業員につきまして、共済組合の貸付あるいは給料の繰り上げ支給、その他の措置につきましては、ただいま郵政次官からお話がありましたのと大体同じような措置を全部講じてきております。  なお災害地における罹災者電報の発信の無料扱いあるいは電話料金についての支払いの時期の延期というようなことについても、それぞれ措置を講じてきております。  まだ言い落したことがあるかもわかりませんが、一応被害の概況報告と、講じてきた措置について御説明申し上げます。以上でございます。
  18. 柴田栄

  19. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 災害地各地の放送局におきまして、尾鷲その他四放送所、それからテレビの放送所一カ所で空中線装置がこわれるとかいう若干の被害はございましたけれども、放送に支障の起りますような大きな被害は幸いにしてございませんでした。ただ各地におきまして停電が起りましたがために、中継局におきましては一時放送がとまりました場合もございますが、中央放送局、その他の各放送局におきましては、直ちに備付の自家発電機を稼働いたしまして、放送を続けましたがために、受信者に御迷惑のかかるということが幸いにございませんでした。  それから局舎につきましては、名古屋、津、岐阜長野、甲府、浦和、こういう各放送局の局舎は、屋根が飛ぶとか、あるいは壁が落ちるとかというような相当の損傷がございました。これは目下応急修理をいたしております。  なお職員の宿舎につきましても、被災地職員の社宅約八十戸が相当大きな損傷を受けまして、住居にたえないところもございます。これらも直ちに応急措置をいたしまして、万全の措置を講じております。これらの被害を通じまして、日本放送協会の職員には幸いにして一名も犠牲者はございませんでした。  台風が起りますとともに、九月二十六日にNHKではラジオ、テレビのワクをはずしまして、直ちに台風情報を刻々放送いたしました。特にラジオでは普通の放送時間が終りましたあと、すなわち午前零時から以後五時まで、三十分ごとに台風情報を放送いたしまして受信者の注意を喚起いたしました。で、その後もただいまに至るまで連日災害状況を各番組を通じまして詳細に速報しております。  この十五号台風伊勢湾台風による被害は、全壊半壊、流失、床上浸水、以上のものを合計いたしますと、全国で約三十一万でございますが、この地方は大体において普及率がよろしいところでございますので、受信者が非常に多いのでございます。これらの受信者がどのくらいあるかという推定をただいまいたしておりますが、何分にも被害が大きうございますので、的確な把握はまだできておりません。ただいまの大体の推定では、被害受信者が、ラジオで二十四万八千件、テレビで五万二千件というふうに推定いたしております。これらの受信世帯に対しまして、NHKでは次に申しますような施策を実施しております。  第一は、受信料免除でございますが、ただいま申し上げましたラジオの二十四万八千、テレビで五万二千の受信者に対しまして、十月から十二月までの三カ月間の受信料を全額免除することにいたします。大体その金額は、これも推定でございますが、一億一千万くらいではあるまいかと考えております。先ほども申し上げましたように、いまだ十分な把握はできておりませんので、あるいはこれより上回る数字になるのではないかと、かように考えておる次第でございます。  それから日本放送協会では直ちに十五号台風NHK助け合いを実施いたします。これは中央共同募金会と共同主催で九月二十八日から十月二十日まで実施しております。そうして放送を通じまして、一般から義援金の拠出を訴えておるわけでございます。ただいままでの状況を申し上げますと、十月七日現在におきます大体の概数は、義援金の集まりました金額が二千三百四十万円でございます。それから義援品が八十二万八千点ばかり集まっておりまして、直ちにこれは中央共同募金会を通じまして被災地送付されております。  それから避難所におきましてラジオ、テレビ、その他がございませんがためにニュースがわからない、あるいはいろいろな告知が届かないという不便がございますので、直ちにそのような大きな避難所に対しましてテレビとラジオを貸与いたしまして、そこでニュース、それから各種の情報を速報いたしまして、またその土地の役場などとタイ・アップいたしまして広報をいたしております。  それから名古屋市内各地に市と共同で速報班を設置しまして、二ュースのほか救援活動の情報とか、その他災害地への伝達事項などを掲載しております。  また被災地で安否がわからない人なども非常に多うございますので、その連絡のためにラジオで尋ね人の形式で毎日二回ローカル放送で行なっております。  それから名古屋医大、三重医大の協力を得まして、NHK診療団二班を編成しまして、被災地の患者の診療を行なっております。また、そのほか日赤、簡易保険局と共同主催で、岐阜三重各県下に各一班、計二班の診療団を派遣いたしておりまして、放送を通じまして、いろいろの指導、注意を行なっておりますのと並行いたしまして、実際の診療相談に応じております。  それから被災地のラジオ、テレビが非常に故障をしておるものが多うございますので、大体推定では、被災したラジオが総計十万、テレビは二万ぐらいあろうかと思われるのでございますが、直ちに受信機の修理班五班を編成いたしまして、この修理に当っております。  これが大体の状況でございますが、幸いにしてNHK本来の速報は今回の台風中にも続けることができまして、受信者へ注意を喚起することができましたのは、非常に仕合せと考えておるわけでございます。
  20. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ありがとうございました。  以上、大体今次の台風被害状況について御報告を願ったわけでございまするが、日程の都合もございまするので、郵政事業関係は午後に回しまして、さしあたり、日本放送協会関係並びに電気通信関係について御質疑のある方は順次御発言を願いたいと存じます。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 今度の台風被害は、特に伊勢湾台風、さらにそれに先だって参りました六号、七号の台風等の被害が非常に甚大になっておるわけでありますが、もちろん台風は天災でありますから、人為的にこれを防ぎ得るということについてはいろいろ問題があるでございましょうが、大きく言うと、平素日本の治山治水が政策的に非常に欠除しておった、こういうことが言えると思います。私はきょうそういう問題をここで論議しようとは思いませんので、とりあえず、今御説明のありました中の電気通信関係電波関係について二も三質問をしておきたいと思います。  その前に、私たち現地をつぶさに視察してみまして、特に電通関係災害復旧については郵政、公社当局の適切な措置があったと思いますが、非常に涙ぐましい努力を現地の人たちがやっております。そして比較的復旧が迅速に進んでおると思います。特に罹災した住民の気持としては、電灯を早くつけてくれとかあるいは電話が早く引けるようにしてもらいたいとか、道路を直してもらいたいとかいうことが頭の先にくるわけでありますので、そこで先般山梨県の武川村などというところでも、たまたま公社の社員が、橋が流れてしまって局に出られなかった。自分のうちにおったところがその部落に通ずる市外線が切断されてしまった。それを復旧するために資材がないわけでありまして、たまたま自衛隊員が救援されたときに、ゴム線を少し運んでもらってそれを使ってすぐに復旧して、非常にまだ電灯がつかないという中で電話が通じたというような美談があったわけでありますが、いずれにしても、私たち総括的に現地を拝見さしていただきまして、復旧に対する対策はかなり私は迅速にいったと思いまして、この機会に関係者にあつくお礼を申し上げておきたいと思います。  ただ今副総裁からもお話がありましたように、この伊勢湾台風被害については、非常に山梨長野等の七号台風と違いまして、規模も非常に大きいし、現在でも市内電話、それから電報の積滞、市外通話の復旧等ができておりません。従って電電公社としてはできるだけの努力はしたのでありましょうが、どうしても技術的にこれらの今残っている地域については復旧方法がなかった、こういうことだと思います。しかし私はもう少しこういう非常災害の多い国ですから、平素通信政策というものが、もう少し風や雨にたえられるような施設ができないものがどうか、こういった点をまあしろうとながら考えてみるわけであります。マイクロ・ウエーブが幸い完成しているところは、テレビの中継網の場合でも非常に短期間で障害が直っておりますが、何といっても搬送とかあるいは普通の線ですと、水につかり、風に倒れてしまう場合には措置ができないと思うわけでありますが、そういう抜本的な風水害に対する恒久的な、もう少し基本的な対策が公社自体としてお持ちになっておられるかどうか。それと同時に、今現実におくれておる電報ですね、一万四千通あるわけですが、こういう積滞を解消するためにどういう方法をとっておられるのでございましょうか。たとえば臨時者を雇うということも考えられますが、こういう問題とからんで、それもしろうとではうまくいかないでしょうし、災害を受けた地域ですからなかなかそういうこともできないと思いますが、この一万四千通に上っておる電報の促進を今積極的にやっておられると思いますが、どういう工合にやっておられるか、そういう点を具体的にいま少しお話し願いたいと思います。  それからもう一つは、市内、市外の通話の不能区域に対する対策ですが、これは一生懸命努力をされていると思うのですが、大体見通しとしてはいつごろに全部が復旧するか、そういう点を一つ伺っておきたいと思うのです。
  22. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと鈴木委員、お諮りいたしますが、電通関係はほかにもいろいろ御質疑があると思うのです。NHK関係、ちょっと参考人の方お急ぎになっていると思いますので、もしお差しつかえなければNHK関係を先に済ましていただいて、電通関係をそれからやっていただきたいと思います。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 それでは委員長の御注意もありますから、その議事進行に協力いたします。  NHKには一つお尋ねいたしたいのですが、今いろいろと救援カンパとかあるいは医療班の派遣とか、そういったものをやられておりますが、これは政府も中部に救済対策本部を持っておられるようでありますが、そういう政策の一環としておやりになっておるものでございましょうか。それともNHK独自の立場で資金カンパをし、救援資金と救援品を集めるという、そういうことはNHK独自でやっておられるのでございましょうか。  それからもう一つ、私たち暴風の場合に電灯線が切れてしまいます。そうすると普通のラジオですと、なかなか一番聞きたい情報も聞けないということになるわけでありまして、非常にそういう点、通信が断たれてしまいますと、真暗な中にいるような気持になるわけでありまして幸いトランジスタ・ラジオというようなものが最近非常に発達をしておりまして、そういうものを何かこういう事態に備えて、たとえば公共施設に対してNHKは聴取料を免除しておるというようなこともありますし、これはまあ国との関係でもう少し研究しなければならぬと思いますが、何かこういう非常事態に最小限度台風情報ぐらいは聞けるような、そういうような方途を確立したらどうかというような気持を持つわけでありますが、まだそういうことについてお考えございませんでしょうか。もちろんこれは聴取者がいられることでありますから、強制的にトランジスタを買えというようなこともできないと思いますが、何かそこに、一部落に一つなり二つなり、最小限度でいいからそういうものを設置して、非常事態の場合に備えるというような、そういう対策を考えていただけないだろうか、こういう点だけを伺っておきたい。
  24. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) お答え申し上げます。  最初の募金の問題でございますが、これはNHK独自と申しますよりも、中央共同募金会が主体になりまして、中央募金会のわれわれはお手伝いをする、そういう意味におきまして共同主催の形式をとっておりまして従来もこの種の大きな被害のございました場合は実行しておるわけでございます。これはNHK放送を通じまして、ニュース、現場の災害状況、その他を聴取者に訴えまして放送を通じまして国民の同情と注意を私ども喚起いたしまして、で、並行いたしまして中央募金会の募金というものをお助けする、この趣旨になっておるわけでございます。従ってこの募金は全部中央募金会にプールいたしまして、NHKは受け付けましたものを全部トンネルでございまして、そのまま全部中央共同募金会に入るわけでございます。そうしてその金品の配分その他につきましては、すべて中央共同募金会の方針によりまして、中央募金会の決定で行われておるわけでございますので、NHKといたしましては、中央共同募金会の募金を放送その他を通じてお助けする、こういう趣旨でございます。  それから医療班でございますが、これはこれまた直ちにNHKとしましては、このような場合には医療講座、その他の放送をすぐ開始しておりまして、そうしてたとえば破傷風の起る危険のある場合はこうしたらいいとか、あるいは傷口ができた場合は、こういうふうにすぐに手当をしろとか、非常のそういうふうな措置、その他予防の放送をこれは番組として実行しておるわけでございます。それから、それと並行いたしましてその放送を助ける手段といたしまして、若干の医療班を編成いたしまして、受信者に直接接触いたしまして受信者の診療、その他の予防について相談に応ずる、こういうことをしておるわけでございます。従いまして、これらはすべて現地の日赤、その他の救護団と相談いたしまして、その方針によって実行しておるわけでございます。  それから最後のトランジスタ・ラジオの件でございますが、まあ今回のような場合に、事後手段としましては、先ほども申し上げましたようにすぐにトランジスタ・ラジオを被災の各地に置きまして、そうしてニュースを伝えるというふうなことをさっそくやっておるわけでございます。トランジスタ・ラジオにスピーカーをつけまして、集団避難所にはニュース、その他広報事項を伝達するということをやっております。事前の問題につきましては、各戸に、各家庭にトランジスタ・ラジオを備えつけろということをNHKとして勧奨するかどうかということにつきましては、まあいろいろ研究いたしたいと考えておるのでございますが、実際の問題としまして、最近のラジオはトランジスタ・ラジオが非常に多くなって参りまして、メーカーの出荷状況、その他を見ましても、相当たくさん出ておるわけでございますので、今後は各家庭にトランジスタ・ラジオが相当設備されていくのではないかと考えております。現に今度のような場合も、停電しましても、トランジスタ・ラジオがあったんで状況がわかったというふうなこともいろいろ話も聞きますので、今後はだんだん普及していくのではないか。ただ積極的にNHKが各戸にこれを備えつけたらいいというふうなことにつきましては、別にそれはNHK業務の本旨からはずれるわけではございませんので、こういうふうな事態の場合の心がまえとしましてですね、こういうふうなことも考えていいんじゃないかというふうな勧奨のようなことは、今後受信者に注意をするというふうなこと、手段もとっていいんじゃないかと考えておりますが、十分研究させていただきたいと考えております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 その前段の募金運動のことですが、もちろん私は趣旨については大いに賛成です。自発的にやられようが、あるいは中央共同募金の一翼としてやられようが、これはまあけっこうだと思いますが、しかしNHKの本来の使命というのは、報道を十分に伝達するというところに使命があると私は思うのです。ですから、今、首藤常務理事のお話を伺って、いわば付帯的におやりになっている、こういう趣旨ですから、よもや、そのことが本来の使命であるNHKの仕事に支障があるとは私は考えませんし、いいことだと思いますがこういう非常災害に際して、今お話のありましたようないろんな損傷を受けているわけですから、むしろその方を一日も早く回復して、本来の目的を達成するための道をまず開いていく、こういうことが私は適切な方法ではないかと思うわけであります。だからといって、その今御協力いただいているその運動について、私は今ここで文句を言おうとか何とかということは毛頭考えておりませんが、その辺のあんばいをどうおやりになっているかということが多少心配でありましたからこういう質問をしたわけであります。  それから、このトランジスタ・ラジオのことですが、もちろん各戸にできるだけトランジスタ・ラジオを設置してもらいたいというふうなことは、話の上ではできると思いますが、それを制度化してどうこうということは、これはとうていできません。従って私の言っているのは、各地方自治体等、部落別に見ましても、多少公共施設等もあるでしょうし、そういうとこには、最小限度予備的なものであってもいいから、そういうものを何か設置させるような、義務づけというと問題があるかもしれませんが、そういうような方法を将来にわたって考究されて、ああいう事態が発生した際には、適切に台風情報、その他県内の模様等も、また国の模様等も罹災者が聞いて、安心をして再起できるような道を報道の面から開いたらどうか、こういう点を私は今ここで考えているわけですから、この点は御答弁にもありましたように、一つ十分考究していただいて、適切な御処置をお立てになるように、こうお願いしておきたいと思います。前段の点については、私の危惧は危惧であって、全然報道の本来のNHKの使命からいって支障はないし、完璧にやり得る自信がある、こういうことだと思いますが、念のために私は一応伺っておきたいと思います。その点どうですか。
  26. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) ただいまの鈴木委員の御趣旨は、まことにごもっともでございまして、われわれもそういう趣旨においてこれを考えております。NHKは単なる慈善団体ではございません。ただNHKの公共性と、それからNHK放送を通じて社会に寄与する、こういうためには、それに付帯いたしました仕事といたしまして、こういうお手伝いをするということも有意義であろうかと、こういう考えでやっておりますので、御趣旨はわれわれも同様の趣旨でやっております。
  27. 野上元

    ○野上元君 首藤さんにお聞きしたいのですが、職員罹災者が約八十戸あるというお話ですが、それは今度の被災地における全部ですか。
  28. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 主として名古屋中心としましたところの社宅でございます。
  29. 野上元

    ○野上元君 大体全部でどれくらいあるのですか。
  30. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 社宅の数でございますが、ただいまちょっと私はっきり記憶しておりませんけれども、これはそのうちのごく一部でございます。
  31. 野上元

    ○野上元君 それではそれの救援状態はどうですか。
  32. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 職員の方は、これはさっそく住居にたえませんものは、すぐにほかの間に合います土地に今応急に建てております。この冬を越せますようなものを今建てておりますので、そこべ収容するという手配をいたしております。
  33. 野上元

    ○野上元君 NHKの公共的な立場から、NHKの活動は、ややもすると外部的に非常にはなやかでありますが、それをささえているのは従業員でありますから、従業員の罹災状況等について当局側として十分に一つ慎重に調査されて、すみやかに復旧をし、その公共サービスができるように尽力をしていただきたいことを、特に私要望しておきたいと思います。
  34. 森中守義

    森中守義君 ちょっと放送関係について一、二承わっておきたいんですが、取材をしまして、それから電波に出るまでにどのくらい時間がかかるんですか。
  35. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 台風が起っております最中は、御承知の通り、気象台側と連絡しましてすぐに速報しております。場合によりましては、気象台の現場から直接にやっております。これはほんとうに速報をいたしておるわけでございます。それから、そのあとの被害の問題でございますが、今回のような場合には、場所によりまして、なかなか被害状況がわからぬ場所もございます。で、そういうところにつきましては、すぐに記者が出動しまして、わかりましたことはやっておるわけでございますけれども、時間的な問題につきましては、これは場合々々によりまして、すぐにやるものもございますし、ちょっとおくれるものもございますが、なるべくは、もう現地からすぐにするという方針をとっております。で、そのためにヘリコプターなども使用いたしまして、翌日からすぐに活動しまして、現地状況をすぐになまのまま放送取材としてとっておりますので、ごく特殊の例外を除きましては、大体におきまして、いわゆる速報というものが今回も行われているんじゃないかと考えておるのでございます。
  36. 森中守義

    森中守義君 それから、今のについては多少意見があるんですが、もう一つ、台風速報を聞いてみますと、さて、これは聞いている人が、全部言われている内容がそしゃくできるかどうか。たとえば風速何メートル、雨量何ミリ、こういうふうにごく専門的気象用語が出て参ります。そういうものが果してそしゃくできるか。それからもう一つは、そういうようなことからして、あまり丁寧過ぎまして、二十五メートル吹けば瓦が吹っ飛ぶとか家が倒れるんだということになると、必要以上に恐怖心をかり立てるという、こういう面も考慮されるでしょうけれども、しかし聞いていて、ここ数年間の台風速というものが、少くとも気象知識のある者、そういう人たちに聞かせるような内容のものが多い。もう一つ、今言われる現地からの放送ですが、どうしたって情景の描写が多過ぎて、ただそれを一つのニュースあるいは社会現象的なものとして材料を提供している、こういったような感じが非常にする。ですから、平素協会においてはどういう台風体制をとられているか。たとえば配置されている人員、特に今回のように、台風の直前には、大体の進路にしましてもいろいろわかっていると思うんです。ですから協会としての報道体制、それからもう一つは、受信者全部を対象に放送されているでしょう。たとえば放路が伊勢湾にきた。その地域には川があるとか、あるいは海つきである。この地域は今言うように、何ミリの雨が降れば水かさがどのくらいになるというように、もう少し砕いたようなもので、その想定をされる危険地域に対して特別な放送が行われているのかどうか。そういう点どうなんですか。
  37. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 予報の場合の言葉使いとか専門語の問題でございますが、これは私どもとしましてもいろいろ検討しておりまして、やはりこれは標準的のものでいかなければならないというので、気象用語辞典というものが標準的なものになっておるのでございますが、それを標準にいたしましてそうしてなお気象台の協力を得ましてやっておるわけでございますので、それを平易化してやっておるつもりでございます。ただ場合によりまして御説のように、少しむずかし過ぎるというふうな場合もあるかと思うのでございますが、ただいまやっておりますのは標準的な気象用語辞典をもとにしまして気象台と相談いたしまして、そのためには御承知のように番組審議会などにおきましても、こういう問題も十分検討していただいておるわけでございますが、そうしてやっておるわけでございますが、なおその点につきましては、今後一そう将来の問題に対しましてさっそく研究さしていただきたいと考えております。  それから取材の問題でございますが、これは現地でも記者が配属されております。それで通常の場合でございましたら、これですぐに取材ができるわけでございますが、今回のような場合になりますと、そういうわけにも参りません。それでさっそく東京を初め各地から記者をすぐに急派いたしまして活動に入っておるわけでございます。なお先ほど申しましたように、ヘリコプター、飛行機などもすぐにチャーターいたしまして、万全の措置を講じておるわけでございますけれども、今回の件につきましては、先ほど申し上げましたように、たとえば県とか市へすぐ連絡をとりましても、県や市が皆目見当がつかないという状況だったのでございます。それでNHKとしましては、すぐに出動いたしまして、若干県や市よりは先に情報をつかんだ面もあるのではないかと考えておるのでございますけれども、またその反面、多少まだわからない場所につきまして速報がおくれた面もあるのじゃないかと考えております。いずれにいたしましても、将来もこういう場合の非常体制というものは、常に考えておきたいというふうに考えております。
  38. 森中守義

    森中守義君 これはまあこれから先の報道関係の場合ですね、少しいろいろ意見の交換をいたした方がいいかと思いますが、やはり感じとしまして、ただこれは台風が来た、被害があったというようなことを報道されているにすぎないという感じが非常に強いのですね。さてこれでどれだけの予防措置になるか、こういうような気持を私は今度気象の速報を聞いていながら非常に強くいたしました。それで、できるなら、できるだけ事前に、一週間あるいは十日ぐらい前からテレビを通じて、図を書いて見せるとか、雨がこのくらい降ればこの程度の川はこうなるのだというような、そういう知識を平常の報道の中に多少でも入れてもらいますと、だいぶ、風が何メートルだ、雨が何ミリということになると、もっとわかるのじゃないかと思うのです。これはまあ意見ですから差し控えますが、大体わかりました。
  39. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) その点につきましては、今後なお一そう考慮したいと考えておるのでございますが、従来ともまあ平生からそういうふうなものは社会番組においてやはり実行はしておるわけでございます。で、それは、たとえば婦人番組、そういうものにおきまして、台風が近づきますと、その解説的なものを平易にやるとか、こういうふうなこともやっておりますけれども、お説のような点につきましては、今後一そう一つ強化していき、研究してみたいと考えております。
  40. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それではNHK関係、一応御質疑ございませんようでしたら、先ほどの電気通信関係鈴木委員の質問にお答えいただきまして、続いて御質疑を願いたいと思います。
  41. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 先ほどの鈴木さんの御質問に対してお答えいたします。  台風被害につきまして、あらかじめ予防、防護について考えなければならぬじゃないか、こういうお話、いかにもごもっともに存ずるのであります。公社といたしましても、従来これに対する対策といたしまして、根本的には、少くとも幹線におきましては、ニルート主義と申しますか、二つの幹線を用意いたしておるのであります。現在の状態でありますと、北海道から本州を通りまして九州に至る幹線につきましては、マイクロ・ウェーブの施設によって回線を作ると同時に、同時ケーブル等のケーブル幹線も作る、こういうことによって進んでおります。今後もこのニルート主義、もしくはできるならば三ルートというふうに、多くのルートを変えて、連絡の全く途絶することのないようにということを、将来も強化して考えていかなければならぬと考えております。  なお、そのほかに地方的の回線までニルート主義でいくということは、非常にけっこうでありますが、なかなかこれは金のかかることでございますので、なかなかそこまでは手が回りかねると思います。そこで現在やっておりますのは、非常無線の携帯用の無線機を要所要所に配置いたしておりまして、連絡の切れた場合にはそれを利用するという程度のことはやっておりますが、これは何と申しましても、やはり回線数はそうよけいとれませんので、あまり根本的な解決にはならぬかもしれませんけれども、とにかく、とりあえず途絶することのないようにというかまえのために、さようなことをやっているのであります。今後もこの点については十分考慮いたしたいと考えております。  それから、そのほかに中継所の設計等につきましても、従来はどちらかと申しますと、機械等は、建築上の関係もありまして、大てい一階に機械を置いたのがまあ普通なんですが、これは今度のような場合を考えますと、むしろこれはどこか高い、二階等にこれを上げるのが適当じゃないか、かようなことを考えますので、将来はこのようなことについても考慮いたしたいと存じております。  それから中継所電話局の位置につきましても、まあ、従来も考慮しないわけではなかったかと思うのでありますが、今後は一そうこの位置について考えまして、なるべく水害被害等のない高い場所を選ぶ、これも一つの将来の防護策であろうかと考えるのであります。  なお、ケーブル等を敷設いたす場合には、従来は比較的経済的に、距離をあまり迂回しないように、できるだけ直線的にやっているわけでありますが、今後は多少不経済であっても、しょっちゅう被害の起るような場所は避けて、迂回しても、なるべく被害の少い場所を選定してやると、かような点を私どもは現在考えているわけであります。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 あとの二、三残っている点については、またどなたか関係者でもけっこうですからお答えいただきたいと思いますが、せっかく総裁からお話がありましたので、基本的な災害対策に対する通信線路の確保ですが、これについては、なるほど今お話のような構想はお持ちになっていると思うのですね。たとえば今お話が出ましたように、機械室を二階ぐらいまで持ち上げていくとか、あるいはこの線路を、直線距離をとらずにできるだけ高地をとるとか、この点は今度の山梨の武川、さっきもお話ししましたが、武川の市外線の配置が、当初考えると非常識のようなことがいわれたようです。しかし山の方をずうっと通ったために市外線が全部助かったということがあるのですね。そういう点を逐次おやりになっていると思うのですが、少くともこの前の熊本の台風のときにもいわれましたことですが、今言ったように、機械室が一階にある、一階ないし地階みたいなところにあるのですね、低いところに。ですから電池室が一番下にあるというようなことで、多少水が出ましても、そこが最初にやられてしまうというようなことで、そのために通信ができなかったということがあるわけです。ですからもうあれから三、四年もたっておりますし、何かわれわれは局舎設計計画等についても、そういう配慮が必ずしもやられているとも思わないのですよ。ですから、やはり実行にその経験を生かして、どんどんやるというような方法をとっていただかなくちゃいけないと思うのですね。幸いこの中央幹線といいますか、中央ルートは、今総裁お話しのように、マイクロ、同時ケーブル等を強化されていきますれば、そういう問題は私はないと思うのですが、要はローカル線の場合にそういうことが言えると思いますから、非常無線を動員するということもけっこうです。しかし非常無線ということについても、無線という考え方が、どうかするとだんだん下降線をたどっていくというようなことで、日本のような非常に災害の多い、天変地異の多いところでは、むしろ非常の災害に備えても、非常無線施設というものは、かなり活発に意欲的に配慮していただかないと困ると思うわけです。ですからそういう点もあわせて考えてみるときに、まだまだ天災であっても人為的にこれを救い得る道、しかも被害を最小限度にとどめ、しかもその被害復旧する早急な道というものは考えられると思うわけです。ですから、お話を聞くと、いつも考えておるとか、いろいろ具体的に対策を練られるようなお話を聞くんですが、どうも何年たってみても同じことが繰り返されていく、こういうふうに私は思うんです。ですから、もう少し、せっかく第二次の五カ年計画にも入っておられるようですし、そういう点も一つ十分勘案されて計画の中に具体的に織り込んでいただくようなことをしていただきたいと私は思うのです。そういう点を総裁からもう一つお答えいただきたいと同時に、さっき申し上げました市内電話市外電話、それから電報積滞、こういったものが、今いろいろ努力をされて、これは非常な努力をされたと私は思います。にもかかわらず、遺憾ながらまだ復旧されておらない、停滞がある。こういうものを今どういうふうに積極的にやろうとしているのか、非常に心配な点もありますから、この機会に伺っておきたい、そう思ったわけであります。
  43. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいま鈴木委員の御指摘になりましたことは、きわめて適切なことと考えますので、今後は十分注意いたすつもりであります。  なお、先ほどお話しのありました停滞中の電報をどういうふうに処理するかという問題につきましては副総裁から……。
  44. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 電報の停滞しておるものについてどういう措置をいたしておるか、また市内電話あたりでまだ復旧していないものはどういうようになっておるかという問題であります。電報につきましては、ここに一万五千通とたしか出ておりますが、これもほんとうに刻々こうやっておるものですから変っております。この問題は、今一番現在の近いのを当ってみますと、今七千五百通ぐらいに減ってきております。御承知のように停滞している電報は、相手が行方不明と申しますか、わからぬのが一番多いんです。そこで探し回ってこれを配達しなければならないということと、それからまだ家があるけれども、その家に、もちろん配達は現在車だけで、あるいは徒歩で行けるような所だけでやめておるわけではありません。ボートでも行っておりますし、ボートがむずかしい所はいかだというようにして、あらゆる方法でやっておりますが、何分とも、先ほど先生の言われたように、ここはほかの被害地と違いまして、私も行って予想外でしたが、非常に水がまだ残っている所が多い。そういうわけで、あちらこちらで自分の知り合いをたどっていってもどこへ行ったかわからぬ、近所へ聞いてもわからぬ、そういった人が多いんですから、今そういう人を探しながらやっております。で、毎日そういうものを探しながら、今までわかっていたものが毎日二千五百通ぐらいずつわかっていっております。そういう工合で努力いたしておりますが、何分こういうような情勢でありますからなかなかむずかしい。しかしこれも先ほど申しましたように、今の、配達のために従業員にあまりそう無理なことをいつまでもしいていくべきじゃないと思います。その辺の配慮はいたしておりますが、そうやってできるだけ探し回っている。最近はことに罹災者があちこちへ分宿することになったので、そこらは全部連絡しております。そうやって探しながらやっておりますが、なお電報の中にも、御承知の見舞電報と、ほんとうに緊急なものと両方ありますが、もちろん、これは通信の秘密上の問題でありますから、これは配達人にはもちろんわからぬわけでありますが、ただ着信検査のところでこれはある程度わかる。そこで単なる見舞電報——見舞電報でもこれは心のこもった電報ですから、もちろんこれは今のようにいろいろやっておりますが、ことに見舞電報以外の非常なものについては、これは特に一生懸命やってくれておるというようなことで、いろいろ手配いたしております。決してこれをほってあるわけじゃないのです。毎日々々そういうふうに二千五百通ぐらいわかっていっておる、こういうような状況であります。  それから市内電話の方も、これも先ほどから申しましたように、幸いにして市内電話名古屋市内電話局はつかりませんでした。そこで電話局の中は大体いいのです。そこであとは線路、架空ケーブル、市内ケーブルはもう大体いっております。で、架空ケーブルは、先ほど申しましたようにほとんど傷がついていますので、これを全面的に取りかえるのはむずかしいですが、非常にはっきりわかるのはもう今から取りかえている。ただ相手のお宅がまだ水につかっているのみならず、どうにも手がつかぬというようなところが残っておりますので、これもここにきょう差し上げたものに対して、五万七千とあるが、現在五万となっております。これもできるだけ回るようにいっておりますが、これも大体現在見込みではありますが、先ほど申し上げた中にありますように、復旧見込みとしましては、お手元の六ページにありますように、名古屋市内は十月十五日までに大体九〇%くらいはいくだろう、あと一割は、どうも非常に浸水、それから家の崩壊というような事情もありますのでなかなか全部はいかない。こういうようなことで、各地別に九〇%までは十月十日ないし十月十五日くらいまでにはいけるという見込みで、毎日それぞれの措置を講じておるわけであります。  なお先ほどマイクロ・ウェーブ等の幹線のほかに、地方のローカル線についてもそういう問題を、マイクロに匹敵するようなものを考えたらどうかというような問題につきましても、総裁からお話しがありましように、ローカル線についても今後配慮していくというようにいたしたいと思いますが、ことに今後一万一千のマイクロというものがローカル線に使われることになりますれば、この一万一千というものと、それからX60というような非常に通話量の多いケーブルですね、これをどういうふうに組み合せていくかという点に相当の配慮の余地がある。実をいうと、無線ならば絶対に大丈夫かということになると、これも問題でありまして、実は相当古い鉄塔でありますが、四日市の港湾無線の鉄塔が三基あるうちに今度二基倒れた。私の方のマイクロ・ウェーブのやつは全部をやはり六十メートルの風速を標準にしていっておりますが、これはびくともしていないという点において非常に心強いわけであります。御承知のようにあの愛知地方におきましても、たしか電灯線までは六十標準で鉄塔ができているはずじゃないかと、私もしろうとですからよく知りません。これが相当あちこち倒れています。そういうこともありまして、やはりある程度、両方さればといってこれをそれ以上の規格に上げると、ほんとうにえらい金がかかるということにもなりますので、その辺の問題はあると思います。  それから中継所の問題あたりにつきましても、先ほどから総裁がおっしゃったように、いろいろ迂回経路もやっておりますし、それから危ないところは少しでも床を上げるとか、ことに雪害地あたりにおいては、御承知のようにつかるものですから、出入口も上の方に持ってくる、電源も上に持ってくる、ケーブルの出入りも建物の上の方でやる、こういうような設計を今いたしております。それからそうでないところでも危ないところはそういうふうにしているのですが、これも危ないところという認定が非常にむずかしいのでしてたしかに弥富中継所なんていうのは、あの川を越えた長島の方は従来とも危ないとは皆思っておったのですが、実をいうと弥富が危ないとはほんとうに思っていなかったらしいのですね。これは住民自身が思っていなかった。われわれの方もその常識であそこをそう思っておった。ところがあれがああなった。さればこれを全国のやつを床を上げていったら金がかかってえらいことになりますから、そういう点でいろいろむずかしい点もありますが、なおこういう今問題を教訓にいたしまして、できるだけの万全の配慮をしていこう。三重県に対する問題もそういうことで、場合によったら今後の復旧としてはこういうものを考えたらいいんじゃないかと、こういうことを研究しております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 根本対策については一つどうぞ、総裁からも副総裁からもお話しありましたので、私たち国民の立場に立って何とかこういう事態に立って一番必要な通信というものを確保するように非常な御努力をお願いしたいと思います。  それから今のお話の中で、電報の配達のことが出て参りましたが、今でもお願いすると、いつ着くかわかりませんよ、こういうことを局で言います。また遅延承知という方法をとられていると思いますが、しかし今度の災害電報が何日おくれたか、私データを持っておりませんが、たとえば四日なり、六日なり、多いのは一週間なり配達が不能で局にとめおいております。そういう方々は遠くにいる方ですから、現地にも行けないし、その安否を気ずかっておりますから、お話のように見舞電報でもそういう心理が動いております。ですから、そういう長期にわたって配達不能の場合には、何か発信人に対して、そういう趣旨を伝えるような方法をとっておられるのかどうか。打っておきっ放しで、ついたのかつかないのか皆目わからぬというのが今の現状だと思いますが、そういうくらいの配慮はこの際一つやってやることが私は大事ではないかと思います。  それから積滞が一万四千通から七千五百通にだんだんなってきたのはこれはけっこうです。しかし大体行方不明とか、あるいは全部埋没してしまったとか、そういうようなことがあっても、それは一、二軒の家で、全然消息のわからぬというところは別としても、大体どの家はどこへ行っておるとか、どの家はどこへ避難しておるとか、そういう点は私はわかると思います。ですから、それを追っかけていく努力というものは大事だと思います。現場の職員をもってやれと言ってもそれは不可能でしょう。山梨あたりの場合ですと、一般業務に携わっている人たちも、率先してその配達に入ったということもございます。それが非常に早く配達をいたしまして、市当局からもだいぶ感謝をされておったと思いますが、そういう苦労をしても、それはあなたのおっしゃるように、そう長くは続きません。ですから、それならばそれで非常の要員も多少雇い上げて、そういう者を早く使われるとか、そういう適正な措置をやればもう少し私は方法があるのじゃないかと思います。そこらに対して最善の努力をしていただいていることは承知しながらこういうことを言うので、多少現地の事情からして無理だと言われるかもしれませんけれども、何かそういう道が残されているような気もするのです。ですから、一つこういうような問題に対して、今私の言ったような配達不能の場合の親切なことずてとか、あるいは多少非常要員を雇い上げても、その電報を一刻も早く配達するような方法はさらに考えられないでしょうか。
  46. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 先生の御説まことにごもっともでございます。今現地におきましては臨時の人の雇い上げ等でできるものはやっておりますし、ただ私もその点については、行ってみるまでは、今度のものがほかの災害地とちょっと情勢が違うということが非常に明瞭にわかりましたけれども、台風の場合は、今ぐらいまで時日がたちますと、先生の言われるようにどこへ行っておるだろうか、大半はつかめたのです。ところが、今度のはほんとうにつかめぬのがあるわけです、まだ。これは抽象的に言ってもなかなかわかりませんが、ほんとうのところ、今でもまだ死体を長島あたりでは突っついて歩いております。流されておるところにいろいろの木片などがあってそこを突っついておる。そういう情勢でしてもちろん個々のあて先の所までは全部探しにいっております。行って残っておる家は皆聞いておる。近所も聞いておりますけれども、これはなかなか、それでもなおかつわからないというような情勢が相当多いので、実はその点は今度の名古屋の方のあの情勢は、私もいろいろ災害のあとのやつをあちこち見て回りましたけれども、ちょっと今までよりは想像できないひどいものだと思います。なおしかし先生の言うようなことについて現場を督励することについてはできるだけ万全を期したい、こう思っております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それから配達不能の場合の措置
  48. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 配達不能、今のどの地域がそういうことで遅延を承知してまあ、先生のおっしゃるのは遅延承知だけじゃなしに、この人はおよそ着くだろうとか、着かぬだろうという見通しがつかぬかというような御質問かもわかりませんが、実はそこまではなかなか手が回りませんで、まあ、遅延を承知して電報を打っていただきたいということの、電報の受け付けのときにそういう手配をしているという程度しかいっておりませんが、先生のおっしゃるように、そこまで、できればやり得るわけですが、ちょっとまだそこまでいっておりませんが、なお研究して………。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 副総裁、それよりも私の言っているのは、配達不能の期間が三日なり四日なり五日なりあるわけですね。送った人は、電報はおくれるが着いているだろう、こういう判断をしている。ところが、電報が行方不明のために依然として配達できない。そういうふうな場合に、発信人に対して電報は行方不明で配達不能ですというような意思の伝達ができないかどうか。現行法上は確かできぬと思いますけれども、こういう際に一つ運用の面でもやれば、私はできないことはないと思います。法的にできないということであるのかどうか、その点ちょっと解明してもらいたいと思いますが、そういう措置をやり得ることがこういう事態に対して親切な公社のあり方ではないか、こういうことが一つなんですね。そちらではどうなんですか。実際問題として、打っておきっぱなしで、ちっともわからぬというのが、現状でしょう。それから副総裁お話ですが、なるほど行方不明になっている。一つの部落が全部流されてしまったということであっても、これは関係市町村ではだれとどこの誰兵衛は行方不明であって、どこの誰兵衛はどこへ避難しているということは大体においてもうつかまえていると思います。ですから、地方自治体あたりへいってみると、死体が確認しなければ死亡にできない、遺族に対して現実には死んでしまっているということがわかっておっても、行方不明というようなことになっている。これは千名あります。四千何名は死体が上ってきている。のですから、一家全滅して、どうしても行先がわからぬという場合は、これは私は今あなたのおっしゃったようにあると思いますが、大体これは地方自治体あたりと連絡すれば大体つかんでいますよ。でなければあの数字が出ないわけですから。そういう点、うまく協力していただければ一日、二日遅延しても配達できないことはないと思います。そこら辺はもう少し、公社になったのですから、国民のほんとうにサービスをこういうときにこそ十分にやってやるというふうな気持になれば、やり得る道がもう少しあるのじゃないか、こういう気がするわけですね。
  50. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 御注意の点については、なおいろいろわれわれも研究したいと思っておりますが、今の行方不明というようなものの情勢が、実は今度の場合、先生のおっしゃるのと……、はっきりしてない場合が相当多いのです。しかし、お話のごとく、いつまでも配達できない電報を、いつまでもそのままにしておいていいかということになると、確かに問題でありますので、長くなった電報については、努力したけれども、どうしてもできなかったというようなことを、発信者の方へ連絡するというようなことをも研究いたしたいと思います。というのは、これはわれわれの方も、われわれの従業員の生死不明がこんなに長くつかめなかったことはほんとうに初めてです。私どもの方の従業員すら、次の日曜日までには三百五十名ぐらいまだ行方不明でつかめなかった。月曜日になってようやくわかってきたというようなことで、こんなに長くかかったのは今度初めてですが、そういうふうな情勢で、まだ県市、そのほかでもはっきりしないという人がまだ相当あります。少くともああいう、どこへ救済して、どこへ入れた、こういうようなものは非常にはっきりわかっておりますから、こことも連絡して完全についております。市とのそういう連絡もついておりますが、そういう意味で、従来のものよりは、ことにこの点が長く人数が残っておりますが、その辺は御了解願うとともに、従来よりはこんなに長くわからぬ、電報も多いものですから、これについては特別に、先生のおっしゃるような研究をいたしたい、こう思います。
  51. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、一応、午前は、この程度で休憩いたしたいと存じます。    午後零時十分休憩    —————・—————    午後一時十五分開会
  52. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 午前中に引き続いて会議を開きます。  電信電話事業一般、主として第二次五カ年改訂計画問題について御質疑のある方は御発言を願います。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 委員長は第二次五カ年計画に問題をしぼられているようですが、そういう趣旨ではございません。きょうの質問はあまりそのことにとらわれずに、関連はもちろんありますが、やりたいと思いますから、一つ委員長の御了承をお願いいたします。
  54. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 差しつかえございませんから、関連して全般にわたって御質疑を願います。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 最初に総裁にお尋ねしたい第一点は、電電公社の労務政策についてでありますが、このことについては私は新総裁に就任されてから一度お尋ねをしたことがあると思います。で、そのときお答えになりましたようなお考え方で今日労働政策を堅持されていると思うのでありますが、しかし最近の動きを見て、われわれが非常に心配をするのは、一方では公社の合理化が相当急ピッチで進んでおる。それに伴っていろんな労働条件に影響を来たしてきております。かつてあなたの前の梶井総裁の際に組合との間に、この合理化を遂行する場合には従業員の労働条件というものを向上さしていくということも確認がされているはずだと思うのです。ですから具体的に職場がなくなり、配置転換や職種転換をされる人たちの立場から見ると、もう少し覚書なり、確認に基いて労働条件の向上ということを考えてもらいたい、そういう気持があると思うわけです。そういうむずかしい合理化が進む過程ですから、私は何といっても労使がほんとうに腹を割って、この問題に対してどうしたら少しでもよくなるか、しかもそこで働いている労働者や経営者が所期の目的を達成することができるか、こういう大局的な立場に立ってやっていただかなければならぬと思うわけでありますが、どうも多少最近の傾向を見ておりますと、労働条件を向上しようとして要求している労働者に対して、何かしら弾圧的な、強圧的な、態度をもって労務政策を行わんとしているのではないか、こういう点を私は危惧するのです。ですから、この前にも申し上げましたように総裁、副総裁職員局長、労務課長、こういうふうな組織的の一つの形態もあると思うのでありますが、一々総裁が具体的な問題に対して意見を述べ、指導をするということはむずかしかろうと思いますが、しかし総体的、基本的なあり方については、絶えずあなたのおっしゃる思想が現実に労務政策の上にとられているかどうかということは、もう少し私は一番最高の立場にある総裁としては御配意いただいた方がいいじゃないかという気がするのです。今の状態というものを見ると、労使間の間隔というものがだんだん離れて、問答無用、話し合いもあまりやりたくないというような格好にいっているのではないですか。ここであらためて総裁からあなたのほんとうの、合理化を進行する過程においてどういうふうにしてこの困難な問題を乗り切ろうとするのか、こういう点を一つ承わりたい。
  56. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 労働問題というものが公社の仕事を円滑に運んでいく上において非常に重要な関係を持っていることは申すまでもないことであります。私どもも決してただいま御指摘のあったように弾圧しようとかあるいは組合の方と問答無用にするようなことは毛頭考えておりません。どこまでも話し合いをし、腹を割って話し合いをしながら進んでいく、かように考えております。もしさような誤解を招いたとすればまことに不徳のいたすところでありまして恐縮なんであります。ことに先ほども御指摘のありましたように、先年前総裁のときでありますが、将来の合理化の問題に関連いたしまして、組合側もできるだけ協力をしていただきたい。われわれの方もできるだけ腹を割って話して、待遇改善その他労働条件の改善について、できるだけの措置をしようというふうな、大体の話し合いが当時成立を見たわけであります。私どもとしてはその趣旨に基いて今日まで引き続いてやっているつもりであります。あるいは組合側からごらんになりますと、どうもまだ不十分だという考えがあるかもしれません。私どもの真意は今申し上げた通りであります。このごろも引き続きあらゆる問題について、常に話し合いを続けているつもりであります。先般も御承知のように、仲裁裁定の第四項でありますか、裁定が下った問題の分配その他の問題につきましても、何回か話し合いをした結果、円満に両方の意思が合致いたしまして、これを配分することに取り運び中であります。これが最近の一つの例であります。その他の問題につきましても十分話し合いを進めながら措置をしていきたい、かように考えております。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 総裁のお考え方は前回私お尋ねしたときと同じだと思うのです。私はそうあるべきだと思います。ただ今私が指摘したように、問答無用ということは、公社側が何でも相談しないでやろうということではない。そういう意味で言ったわけではないのです。要するにお互いに、電電通の労働組合というものがあるのですが、その組合と公社側においてほんとうにコンタクトを重ねて、そうして意識の統一をして、よく話し合いをしていくことであると思うのですが、そういう気分が、組合側にも、もう公社はなかなか話してみたって話にならぬというような感情を持っているのじゃないかということを私は言ったのです。ですからそれは非常に困ったことで、長い歴史の中でも、電電通の労働者が、絶えず、第一次五カ年計画から出発して、五カ年間の事業に対する協力態勢というものも相当強く持って、しかも公社とねばり強く話し合いを続けて、所期の目的を達成するようにやってきたのですが、たくさんある労働運動の中でも、少くともそういう点については良識を持ち、健全に運動を進めてきた組合だと思うんですよ。そういう組合がなぜ今日電電公社は頼むに足らず、相手にしないという態度を持ってきたかということに対して、あなたはどういうふうに考えておるかということです。あなたがそういう基本的な立場に立ってやられているとしても、具体的に出てきている労働政策というものが、そういう印象を組合員に与えているということは、これは重大な問題だと思うのです。組合員がもし行き過ぎがある、間違いがあれば、これをただすことについて、われわれも努力しなければなりませんし、交渉の当局者である公社側の皆さん方も、もう少し理解するように話し合わなければならぬと思うんですよ。そういう点がだんだんだんだん薄れて、公社側と組合側との懸隔がだんだんだんだん離れつつある。ですからそういうことが、どういうところに原因があるのか、反省をしてみたことがあるのですか、総裁は一番上に立って指示をしておられるのですから、一々具体的問題まであなたがタッチされるのではございませんが、副総裁なり職員局長なりは、そういう点についてどう判断されておりますか。これは職員局長から聞きたいのです。
  58. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいま御指摘のように組合側からごらんになりますと、公社必ずしもどうも所期の通りに働いてない、行動していない、かようなおそらく気持を持っておられる点もあろうかと思うのです。しかし御承知のように公社はやはり公社法の法律の規定のもとに、いろいろな制約を受けつつ働いておるのでありますから、必ずしも組合の御主張の通りあらゆる場合に聞けることばかりとは限らないのであります。いかに組合から話されても聞き得ない点も、限界というものは御承知のようにあるのですから、自然組合からごらんになると、もう少し聞いてもいいんじゃないかという気持もあると思うのですが、この点は組合側でも十分一つ御了解を願わぬと、われわれとしては法律の制約を離れて、これを超越しては判断はできない、こういう点だけは一つ御了承願いたい。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 私もその点はよくわかっています。ですから従来からそういう点については、必ずしも組合側の要求が百。パーセント通るとは限りません。これはお互いに妥協しなければならぬと思いますから、そういう誠意をもって団体交渉をして、そういう事態の解決のために努力してきたと思う。これは私どもは第二次五カ年計画が来年度から拡大修正されるという時期において、労使の円満なる運営と、従業員が一致協力をして総裁から一職員まで奮然として仕事に取っ組んでいくかまえがなければいかぬと思う。第一次五カ年計画の中ではまだまだそういう気分が両者の中にあったと記憶している。しかしながら最近はいかんながら総裁が考えるような、要求が通らぬから、公社があまり言うことを聞かぬからということもあるでしょう。これは一つの政策として自由民主党の政策もあり、政府の政策もあるでしょうから、かつての総裁の立場と皆さんが新しくなってからの立場というものは違うことはわかります、政治的情勢として。そういうことがあるとしても、要求が解決する、しないということは、さっき言ったように、あなた方の権限でできる場合とできない場合があるわけです。無理なことをやれということは無理ですが、そういうことは端的に今までの団交でも幾たびかやってきておる。しかしもっと、労使が相反発する場所でなしに、お互いに理解を深めて、ほんとうに裸になって話ができるという態勢が私はほしいと思うのです。そういうことを作ることが一番大切ですよ。ところがそういう関係がだんだん薄れていくということは、現実問題としてこれはどこに原因があるのでしょう。私は職員局長、副総裁総裁、労務課長なりが大局的立場に立って、あなた方が指導方針を出して、それに乗っかって労務課長が先頭に立ってやるということでなければいかぬと思うのです。われわれは、なぜそういう考えが出てきたかと思う。多少出先の方で行き過ぎたことをやる傾向がある、そういうことが無用な刺激を組合に与えておる、そういう点はもう少し反省してみて下さい、現実にあるのですよ。うまくいっているとは私は思いませんよ。私は組合委員長をしておりましたけれども、私どもがやっていたときの空気と違います。そういうことで、果して第一次五カ年計画の拡大修正をしようといったってどうかということは、制度上の欠陥を是正することもあるでしょうけれども、特にその点が心配される。だからその点について職員局長は今総裁が言われたような基本的な労務政策については持っているわけです。あなたは直接の職員局長としてどういうふうな方針でやられておるのですか、私が聞いておるようなことがないと断定できますか。
  60. 行広清美

    説明員(行広清美君) お答え申し上げます。鈴木さんのお話でございますが、私どもは先ほど総裁からも申しました通り、基本的な考え方というものは、特に第二次五カ年計画の円滑な遂行のために職員、または特に組合の協力を求めなければならないというふうに考えております。その場合に私どもとして常に心がけておりますことは、やはりそれぞれ組合の立場もあると思いますし、また私どもの立場もあるわけでございます。その場合にお互いの立場はやはり十分に尊重し合っていこうじゃないか、ただ立場の相違からくる問題については、お互いが言いたいことはできるだけ言い合う、とことんまで話し合う、その上に立って、私どもといたしましても、筋の立つ限りにおいては、お互いが歩み寄っていくべきであるという考え方を基本としてやっているつもりであります。そこで個々の問題をとらえてみた場合におきましては、意見が正面衝突いたしまして、対立のままで持ち越すということもございますし、お互いが円満に妥結することもあるわけでございますが、御承知のように、最近の問題はいろいろとむずかしい問題が出て参っております。なかなか話し合いがうまくいかないというケースもだんだんとふえて参っているのではないかというふうに私どもは心配しているわけであります。そこでその間におきましても、私どもはお互いがやはり立場を尊重し合って、誠意をもって相互の問題を解決していこうというような気持でやっているつもりでございますので、従って、今御指摘になりましたような問題というものはないように考えております。また私自身はそのようにじかに感じとっているわけでございますが、なお、そのような点につきましては、今後十分に注意いたしまして誤解なり行き過ぎのないようにして参りたいというふうに考えます。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 今の職員局長のお話を聞いていると、私も何ら異議を申し上げることはないのです。私はむしろきょうは労務課長に来てもらいたかったのですが、来ておらないようですから質問できませんけれども、あなたは重要問題についてもちろん正副総裁に御相談なさることもあると思うのです。全国に十一の通信局があるわけです。その十一の通信局職員局なり労務課というものと絶えず密接なる連絡をとっていると思うのです。そういう中心的な役割を果すのはあなたでしょう。それを補佐するのが労務課長です。労務課長とあなたの間にほんとうの意思の統一がありますか。すべての問題について緊密なる連絡をとってやっておりますか。私は、あなたが今言われたように、従来と同じように、電通労働組合との間に非常に話し合いをして理解を深めて、そうして徹底的に論議し合って、その中から妥結点を見出だしていくのだという判断をされているけれども、これは大間違いだ。私はない、はっきり言ってね。そういう認識の相違もあると思うのです。私の言っていることが間違いかどうかわかりませんけれども、私は少くとも組合の内部事情についてはだれよりも知っている者だと自負しております。あなたがそういう判断をもって労働組合をごらんになっているとすれば、それはとんでもない見当違いです。ですからそこにそういう問題が介在するということをもう少しお考え願って、そういうことのないように、今あなたが説明として述べたような、そういう思想でほんとうに接触を保ち、理解を深めていくような道を切り開いてもらいたい。労務課長にまかせる範囲もあるでしょう。しかし何といったって職員局長というものが労務というものについては最高の責任者だと思う。その上に総裁、副総裁があるとしても、やはりあなたが一番の指導力を発揮して、今申されたような思想が各末端まで伝達できるようなことにならなければ、ほんとうの慣行は出てきません。そこらについては非常に認識の相違があります。ありますから、そこで私は論争しようとは思いませんけれども、そういう判断では間違いですから、もう少し研究してみて下さい。そうしてその隘路がどこから出発しているのか。お互いに論争し意見が食い違うということは、個々の労働組合、労働界だってあるのです、そんなことは別なんだ。要するにもう少し労使の信頼感、そういうものがなければだめなんです。そういう点については欠如が公社にある、はっきり言って。そういう点をもう少し自己反省してみていただきたい。また次の機会でもいいですから、間違っているかどうか、そのお答えをしていただきたい。うまくいっているのですか。
  62. 行広清美

    説明員(行広清美君) 鈴木委員から非常に具体的なお話が出まして、まことに恐縮なんでございますが、私自身は今御指摘のありましたようなことは決してないというふうに確信をしております。で、これは申すまでもないことでございまして、スタッフのやる仕事とそれから責任者のやる仕事というものは、当然おのずからそこに差異があるわけでございますし、従ってスタッフがいろいろと申しておりますことにつきましては、これはある程度観測的に申しているような場合もありましょうし、あるいはまた意見を打診するというような意味で申しているような場合もあると思いますけれども、しかし事重大なる問題につきましては、私どもは常に一体になってやっているわけでございまして、一スタッフの問題ではないと思っております。そこで最近におきまして、私どもが重要な問題につきまして、総裁以下スタッフに至るまでの間において意思の疎通を欠いたというふうなことはないと確信しておるわけでございます。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 それは、あなたの抗弁はもういいですよ。ないと言うのだからないでいいでしょうが、事実認識として相違があるということを私ははっきり指摘しておきます。  正副総裁に特に私が強くお願いしておきたいことは、やはり今の電通労働組合との労使関係というものについては、今職員局長がおっしゃっているようなものではありません。ですからもう少しく幹部諸君とも腹を割って、どういう問題についても、ほんとうに労働組合員であり、公社の職員であり、また皆さんは公社の先輩なんだ。立場は違っても、立場の相違の中から出てくる公労法上の労働運動というものが、法律の中でやられるわけですから、お互いにその法律を守ることも大事でありましょうし、行き過ぎがある場合にはお互いに相戒めていくということも、これは必要でしょう。そういう点を総体的に判断をされて、第二次五カ年計画に取っ組む態勢の一つとして、労使間の健全なる確立といいますかについては、もっと配意をしていただきたいと思うのです。きょう私は具体的な問題には一切触れません。最近起きておる事例等を見ましても、広島や岡山や全国各地に中継機械化なり、自動化なりに伴って、いろいろなトラブルが出ております。これは現実に職場がなくなって、他の職種にかわっていく人たちから見れば、人間としてやはり自分の今まで長年やってきた仕事場でやりたいという気持もあるでしょうから、そういう点を事業の発展の中で、時代の趨勢に即応して、その事業になくてはならぬということを十分認識さして、そうして協力する態勢を整えないといけないのです。ところが私どもも話がどういうところまでいっているか知らぬが、きのう、おとといあたりも広島や岡山についてもある程度の弾圧が出ている。弾圧というと語弊があるとすれば、処分が出ている。この処分のやり方についても、ここで論争をしようとは思いませんが、こういう中で悩む現場の労働者、職員の姿というものをもう少し大局的に判断してやって、そうして非常な努力をする中で解決するというような方法をとらないと、中途半端な処分をして、それに対して反発が出てくる。だんだんと雪だるま式に大きくなって、これがすなわち一般国民の事業である電通事業というものに支障を来たしてくる。これは国民から見れば、迷惑千万な話ですから、どうぞ一つ労使間のそういう問題については、私は公社がほんとうに五カ年計画を立派に作ることも大事なんだが、それとこれとは全く同じ比率で考えてもらわなければ困ると思うのです。そういう意味で十分の御配慮をいただいておきたい。そういうことだけきょうは申し上げておきたいと思うのです副総裁一つどうですか。
  64. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 先ほど総裁からお話のありました方針に従って私もこの問題についてはほんとうに誠意をもってやっているつもりであります。前の総裁、副総裁に比べまして、われわれが特に頑迷固陋な点は一つもないと思うのです、人相の問題は別としまして。ほんとうにそのつもりなんです。組合の方もその点はわかってくれているのじゃないかという自負心を幾分持っておりますけれども、ほんとうに話し合うつもりでやっております。ただ一般の情勢が、先生がおられて組合をほんとうに指導しておられた当時と幾分違いも出てきている点はあると思います、社会情勢が。しかしそういう点もありますが、いずれにいたしましても、今、先生のおっしゃったように、これは五カ年計画の樹立以上に私は重要な問題だと思います。五カ年計画ができましても、この従業員の動向というものがその反対に走った場合、五カ年計画の遂行はできません。しかしさればといって、私どもは従業員の動きというものが法に違反してもかまわぬ、暴力をしてもかまわぬというような動向になったのでは、われわれとしてはその問題についてはやはり断固たる態度をとらなければならぬという場合も、ほんとうに涙をもってそうせぜるを得ないということがあり得ることがあるということを一つ御了承願いたい。これは私たちは決してそういう従業員全般と手を握ろうという気持を離れる気持、手を握ろうという気持を離れてやることじゃない。しかしそういう場合も場合によってはある、これも全体からいうと、全体の従業員、その組合の正常なる、健全なる発展のために、私たちも共通の広場を求めていくということにほんとうに全力を尽していきたい、こう思っております。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 この問題は非常に副総裁がおっしゃったように、あなたの言われるようなものなんですね、実際大事なことだと思います。ですから一つ何といったってその話し合いをして問題を解決するという団体交渉の場が一番大事ですから、そういう点を百パーセント活用してお互いに信頼というものをやはり増すようにならぬといかぬと思いますから、そういうふうに一つ心がけていただきたいと思います。  それから次に質問したいのは、大臣もおりませんので、きょうは政務次官がお見えになっておりますが、日本の海外通信政策というものはどうあるべきか、こういう点についてはどうも私、国会へ出てからも、つくづく感じているのですが、はっきりしたものがないのですね。だから、この予算を審議する場合でも、たとえばNHKに対する外国放送の交付金の問題を見ましても、非常に不十分である。それから電波関係のいろいろな割当をする、技術を研究する会議等に対する出張旅費を見ましても、郵政当局が要求するものの半分も出ない、三分の一に削られてしまうということで、何か国際的な通信方策というものが欠けているのじゃないかという気がしてならないのですね。そこで、先般私は太平洋海底同軸ケーブルの問題につきましても御質問申し上げたのですが、これも大臣は、なるほど政府が積極的にこれをやっているのだということを言っているのだが、現実にはこれはKDDとATTの間の折衝に終っているようですね。日本政府が乗り出してどうするかということに対する検討なり努力というものがあまりない。ですから、私はこの海外通信政策というものに対して今の自由民主党内閣はどういう政策を持っておるのか、そうしてその一番主管庁である郵政省というものは大体どういう考え方を持っているのかということが、きょうは最初にお聞きしたいことなんです。どうでございましょうかね。
  66. 加藤桂一

    説明員加藤桂一君) 鈴木先生の御質問でございますが、従来郵政省といたしましては、御承知の通り、監理官室がございまして、国際電信電話会社の監督その他をやっております。従いまして実際の業務は国際電信電話会社で行なっておるのでございますが、御説のような海外通信政策を日本といたしましてどう処理していくかといったような方向をきめるといったような重大問題につきましては、もちろん郵政大臣の責任でございまして、その点につきましてはわれわれも従来から努力いたしておるのでございますが、何分にも問題が大きいだけに、御満足のいくようないまだ結果が出ていない点もあるかと思いますが、先生方並びに各方面の意見も聞きまして、郵政省といたしまして、完全な海外通信政策を確立するという点につきましては、今後も一そう努力して参りたいと考えておる次第でございます。なお、予算要求におきましては、従来ややもすればそういった面におきまして大蔵省の十分な査定を受けることができなかったような点もあったかと存じますが、来年度の要求におきましては、相当われわれといたしましても熱を入れて、そういった方面の予算を獲得いたしたいと考えておる次第でございます。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 どうも抽象的でよくわからないのですけれども、なるほどこの六年前に国際通信というものは会社組織になってKDDでやっておられます。電信電話のトラフィックの問題については国際電電というものが国際電信電話株式会社法の中において政府の監督の中でやっております。これはかなりの成果を上げていると思うのですね。しかし、その一方ひるがえって技術提携といいますか、技術協力といいますか、こういう点については、もちろん通産省の所管になるものもたくさんあると思いますが、たとえば今盛んにフィリピンだとか、ベトナムだとか、あるいはタイに電電公社が海外事務所の連絡室を設けるとか、いろいろやっておられるのですよ。しかしながら、そういうものを一元的に国がどう監督をし、統一をするかという道が全然ない。ですから日本の優秀な電気通信機器というものが、こういう後進地域というと語弊があるかもわかりませんが、東南アジア、特にアフリカ方面とか、これから電気通信設備を改良していくという国々にとってみると、どこかの国から買入れをしなければならぬということになると思うのですね。KDDの方は通信に関する限りはある程度うまくいっている。ところがそういった技術関係に対してはどこが盛んになって、どこがやるかさっぱりわからぬという実情に置かれていると思うのですね。現在の公社法というものは国内の少くとも電信電話事業というものをどう円満に公共性を持ってやっていくかということが趣旨でやっておるのですから、外国の通信まで、たとえば建設計画をお手伝いするとか、そういうことは法律の建前からいってできないと思うのですよ。できないのだが、現実に電電公社がバンコックにそういう海外事務所を持たなければならぬという事実、しかも通信の機器を売り込むだけの仕事であるならば、だれでもできると思うのです。しかし現実に設計をし建設をいたし補助をするということになると、これは今日電電公社というものは、日本の中では通信に関する限りは電電公社が実力を持っておられると思うのです。だからこういう電電公社というものをそういう方面にどう活用していくかということをもしお考えになるならば、法律の改正も必要であればしなければなりませんでしょうし、そういう正面切って日本の通信技術というものが各国のお役に立てるような道を開くことが、私は非常に大事な段階に来ていると思うのです。そういう点については、何もそういうことが今までのところないのじゃないですか。先般アジア協力会議というものができたようですが、あれは社団法人の組織で、これはだれが統一してこれをコントロールして、多数のメーカーを掌握してやっていくのかということについては、私は非常に疑義を持っているのです。要は通信施策というものが、そういう技術面を含めた国策としてどうやるかということになるのじゃないか、郵政省——次官どうお考えですか。
  68. 加藤桂一

    説明員加藤桂一君) 御説のように東南アジアを中心といたしまして、お互いの電気通信技術の交換でありますとか、あるいは資料の交換であるとか、あるいはコンサルタントの派遣といった、そういった技術面を通しましての東南アジアとの電気通信関係の開発といったような仕事は、非常に現在のわが国の国情といたしましても重要な問題であると考えるわけでございまして、先生のおっしゃいますような公社法の改正とか、そういった基本問題につきましては、われわれはまだ今確としてお答えする資料を持っておりませんが、最近におきまする具体的な問題といたしましては、御承知のように九月二十二日付をもちましてアジア通信協力会議というものの社団法人の認可を郵政大臣としていたしたわけでございます。この内容につきましては、また岩田監理官から詳細に御説明いたすだろうと思いますが、そういった面を通じまして、通産省とこれは郵政省の共管でございますが、通産省におきましても千五百万円くらい来年度の予算にそれに対する補助費を要求しておるといったような状況でございます。また郵政関係の予算要求といたしましては、これは外務省の予算要求の中に入るのでございますが、アメリカと、それから東南アジア方面はバンコックに郵政省関係官を一名ずつ外務省の職員といたしまして駐在官を設ける、そういった予算を今日要求いたしておる次第でございます。そういうわけで、まあ先生のおっしゃるような技術面を通じての電気通信関係の東南アジアその他海外進出といったような問題は、これは非常に郵政省といたしましても大きな問題でございまして最近郵政省関係の先輩の方々の間におかれましても、郵政省に大いに協力して、そういった基本的な方針を樹立するということに非常に協力の態度をいただきまして最近これは非公式でございますが、そういった会合を持たれつつあるといったような状況でございまして、大いにわれわれといたしましても、今後これは勉強しなければならぬと考えておりますが、これは現在郵政大臣も外国を見て回っておりますものですから、大臣が帰りましたら、またおそらく新しい事情も見て帰ってくると思いますが、大臣が帰られましたら、至急そういった面におきまして相談いたしまして、郵政省といたしましても基本的な確たるそういった政策を打ち出すということに努力をいたしたいと思っております。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 私は非常にこの面については政府自体が立ちおくれておると思うのです。今度社団法人のアジア通信協力会議というものが発足しましたが、これはあくまで社団法人であって民間組織なんですね。私はこういう民間組織に、少くとも海外的な政策をやらせることについては、私は非常に疑義を持っております。定款その他も私ちょっと内容を拝見させてもらっておりますが、先般理事長になられました近藤儀一さんですか、あの方に私はちょっと御意見を承わってそのときに私は反対だということを言っておいたのですが、なぜそういうものの必要性を認めて、通産省、郵政省の両大臣が——主管が郵政省になっておりますが、大臣が認可になったと思いますけれども、認可をする前に、国策として政府自体がこういう問題をやるということをサボっておいて、そうして民間の協力者があるからといってそこへ頼んだのか、これは日本の国策としてはとるべき道ではないと思うのです。果して協力会議というものがどういう運用をなさるか、その資金に対して今何か一千何百万かの補助を出すということを言っておりますが、補助を出してそういう民間の人たちにやらせていくということであるならば、この際思い切って政府がこの問題は直接国の機関としてやるというところまで私は踏み切っていいと思うのですよ。そういう基本問題を放置してというと語弊があるかもしれませんが、あと回しにしておいて、ここで言われれば、そのことについては郵政大臣が帰って来てから大いに検討しますと言われるが、これは次官を責めるのはちょっと酷かと思いますけれども、通信政策の問題ですから、内閣の閣僚あたりでないとどうかと思いますけれども、大臣がおられないですから、一応政務次官に私は大へん失礼だと思いますけれども、あなたにお答えをいただくわけですけれども、どうもちぐはぐで、そういう基本方針というものを全く忘れたような格好にしておいてから、行き当りばったりのような、そういう社団法人でやっていくということになれば、果して幾つか知らぬが、メーカー連中も金を出し合うのでしょう。その運営がどこでどういうふうにコントロールされているのか、これはいろいろな政治的な動きと関連して、私はアジア協力会議自体が非常に困難な道を歩むのではないかという気がするのです。だからやはり政府のぴちっとした統制、企画の中に、はっきりとした方針をきめて、それが国と国との間の協力関係においてやり得るような道を開いたらどうか。それだったら、商事会社かなにかを作って、それに機器を売ってもらう仕事をさせればいいのです。しかし現実には今言ったようなかりにアジア協力会議が作られたとしても、具体的な設計や測量や建設をだれがやるのですか、まさかこのまま協力会議が人を雇って、そこでやるというわけにはいかないでしょう。大局的な指導をだれがやるのですか。これはやはり私がさっき言ったように、日本の場合は電電公社というものが何といったって力を持っていると思うのです。そういうものをどういうふうに中でやっていくのか。根本を改正せずして、何か出てきたその中で、公社法というものの中においてわれわれが指摘するようなことがどんどんやられていく。まあ今度タイ国政府と覚書を結んで通信訓練センターかなにかを作るそうですが、日本人が何名とか先生の名前や人数まできまっている。これはどこからこの派遣する人たちの金が出るのか、まさか電電公社の金の中から出して、そういうものをやらせるとは夢にも思いませんけれども、現実に今までフィリピンの通信建設に対して賠償の一環としてやられる、電電公社から測量に行っている、そういう金はだれが出しているのですか、出張旅費は、またその人をだれが使っておりますか。そういう点まで考えると、厳密に公社法からいうと疑義が出てくると思うのです。私は本元を直しなさいというのです。そういう必要性があればわかるのですから。そうして政府が積極的に電電公社というものを使って、その技術を貸してもらって協力するという道を開くなら堂々と開きなさい。こういうことをやらないでおいて、現行のできない法律のワクの中で海外協力をやらせるということになる危険性がこの協力会議の中に出てくると思うのです。そういうところまでほんとうに考えて今度認可されたらどうなのか、私は疑義を持っているのですよ。
  70. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいま国際電信電話の将来の計画というものについて、政府はどういう考えを持っておられるかという御質問が根本であると同時に、アジア協力会議というものが行き過ぎておらぬかということにもだいぶ疑義があるというふうにも私は聞き取っておりますが、これに対して私は一政務次官で、その施策、将来の計画に対する答弁をすることは私としては今日でき得ません。大臣も三十三日には帰られるし、十分海外の設備計画等を見て参られると思います。そこで大臣が帰られましたら、責任ある大臣から答弁を願うようにし、省議として今日の御質問の趣旨を十分伝えまして、次回の委員会に大臣からその施策計画というものを御答弁してもらいたいと思います。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 政務次官のお答えですから、ここでこれ以上やることは無理だと思います。次官のおっしゃるように一つ帰られたら、今私が申し上げたような趣旨をどうぞ検討していただいて、次の委員会に一つ御回答いただくようにして、これは一つ終ります。  それからその次にお尋ねしたいのは、電電公社の工作工場の長期運営計画についてですが、これは一つ資材局長さん来ておりますね——和気さんにお尋ねしたいのですが、今年の一月十二日に労働組合側との間に覚書確認事項ができておりますね、それで縮小、廃止、統合という計画が一応了承されたわけです。その後、工作工場の長期運営計画については、われわれは、非常に紆余曲折があった問題ですから、国会としてもその後の運営計画の確認がどう進捗しておるか非常に関心を持っておるわけです。私たち具体的にたとえば廃止される当該通信局あたりの実情を調査して見ますと、必ずしも確認されたことが生かされているとは考えられない節がたくさんあるのです。たとえば東京は鶴見と麹町と荻窪が三つ一緒になり、それに庁舎が入る、新しい庁舎を芝浦にお建てになるような計画もあるのですが、その局舎計画を見ましても、現在四カ所に分散しておる建物、坪数をちょっと調べて見ますと、坪数は一万二千六百一坪、それに建っている総建物の坪が五千五百七十九坪になっているのですね、今度お建てになるという芝浦の新庁舎は約三千百十坪だということです。そうすると少くとも二千田百坪以上の坪数が減っているのですね、建坪が。そうなりますと、たとえば覚書の第四項にある工作工場の運営に必要な設備投資は今後もやりますとか、あるいは前段にありますように、工作工場は将来にわたって安定した、かつ健全な工場として運営するという前提に立ってここに九つの条項を設けて公けに出されているのですが、こういうものは、ほんとうに公社がやるべきであれば、建設する場合においても反映してこなければならぬ。もちろんこれは建物の近代化とかなんとかありますから、合理的に持っていけば、必ずしも坪数が多いとか少いとかいうことで、あなた方の方針がぐらついたこいうことにならぬと思いますが、総体的にいろいろな条項に対する各段階において交渉状況を見ておりますと、非常にそういう点が関連をされて心配されている点だと思います。特に荻窪工作工場等について修理品目の整備もありますから、こういう点についてはここにある第二条項第三条項と書いてのりますけれども、この点が話し合いをするとか、事前に意見を聞くとか、そういうことになっているが、そういうことはやられずに計画が進んでいく、こういう点が強く出ていると思うのですよ。これらについては覚書を結んだ電電公社の本社においてどういうような判断をされて指導されているのか、現状に私の危惧するような点がないのかどうか、これを一つお答え願いたいと思います。
  72. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) 工作工場の問題についてお尋ねがございましたのとお答えいたします。工作工場の長期運計画につきましては、ただいま先生のお話通りでございまして、一月に基本的な覚書を締結いたしました。ところがなおそれの実施細目につきまして、引き続いて組合と交渉を重ねまして、四月の終りごろに細目の協定が整いまして、五月から新しい態勢でスタートしたという経過でございます。従いまして、私どもとしましても、細目を相談するに当りまして、十分組合側の意見を尊重いたしまして、基本的は覚書の範囲内で譲れる点はできるだけ譲るということで、最終的には細目をきめたわけでございます。その後これで約半年近く推移しておりますが、その間におきまする現地での工場側と組合側の問題につきましては、私の承知しております限りでは、締結いたしました細目の覚書の線に沿って円満に行っておるというふうに私は了解しておるのであります。ただいま先生の御指摘のございました芝浦に作ります統合工場の問題でありますが、これは坪数が少し少うございますが、この点につきましては、今あそこに統合いたします以上は、少くとも事務等は共通にできるとか、または品種の中で整理する品目もございますが、車両工場を別棟にするといったような点がございまして、現在の工場の坪数がそのまま今度の設計の中に盛られておるということでございまして、あれもいろいろ建築上の内容につきましても、組合側と相談をいたして設計をしたのでございます。そういう点で仕事の量それから統合による事務関係のスペースの節減ということで、ただいまの坪数が減ったということでございます。決して必要以上に坪数を減らしたということではないのであります。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 その交渉は覚書に基いて、工作工場の所在する各地方通信局の責任において、この覚書によってやっているわけですか。
  74. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) 最終的の覚書を中央本部と組合側で締結いたしまして、それから先の実行につきましては、地方で交渉をして進めていくということになっております。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 そのようになされておると思うのです。従ってあなたも一度現場の実情を回ってみてもらいたいと思います。調べてみてもらいたいと思います。今私が申し上げたようなことが現実に下部の交渉段階にあるのです。ですからあなたがおっしゃったように、坪数が減るのだが、これはこれこれの理由でこうなっていくのだという説明も、私は十分なされていると思いません。ですからあなたの方でお作りになっておる長期運営計画の中で、たとえば荻窪工場というのは行く先、どうなっていくのか、具体的に要員算定までやって資料が出ている、それを見ると、まるきり人が三年たち四年たっていくと有名無実になってしまう、そういう格好になっている事実から、やはり組合員はわかっておるわけです。そういうことを先手を打って将来は荻窪の工作工場をなくしていくのだと、そういう考えでやられておるのじゃないか、覚書の中にある設備投資をやっていくのだということがあるのだが、大体予算を幾ら組んであるのか、経理局長もおられるようですから、大体幾ら組まれておるのかと、そういうことまで問題になってくるので、必ずしも本社と結んでうまくいっているのだというふうに思っていないのです。もう少し本社の方も指導性を発揮して、具体的に配置統合というものが、東京のほかにもあると思いますが、沼津あたりにも沼津の改式、三島の改式、いろいろ統合してあなた方がさっき言われたように、そのときにおいて工作工場の人たちを持ってくるのだということを言っておるけれども、三島の工場は二・三年たったら人が一人も要らなくなる、百六十人の人たちの配置転換で一応沼津に持っていっても改式になる、そうすると人が要らなくなる。工作工場を受け入れるということはなくなってしまう。改式のときにやるから工作工場は心配ないといっておる。ところが現実にはそういう動きがあるので不安動揺しているわけです。それらの点についてもう一つ私は下部の実情を把握していただいて、安心を持てるようなことをしてもらいたいと思う。せっかく結んだ覚書ですから、せめて残された人、残されたというよりも、残された今後の工場の運営はもちろんのこと、配置されていく人たちの処遇については、配置転換については万全を期してやってもらわなければ、覚書が生きてこないと思うのです。これは政務次官も向うの人だから知っていると思う。三島、沼津は大へんな騒ぎです。そういう点は資材局長がおっしゃっているようにしごく簡単にいきません。もう少し指導性を発揮してもらわなければなりません。
  76. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) ただいま先生からいろいろ御注意があったのでございますが、もちろん私どもとしても、そういうことでただいままで参ったつもりでございます。沼津につきましてただいま具体的にいろいろ御指摘があったのでありますが、沼津は今度配置します工場の中では規模が大きいのでございます。特に私ども沼津の配置問題については本社としても関心を持って、この点につきましては東海通信局と密接な連絡をいたしまして、沼津の配置転換につきましては、ほかに比べて比較的円滑に進んでいるということで承知しております。特にあの近辺に自動改式が引き続いて開始されますので、こういう場合に、こういうところの技術要員に転換をしていくといった計画で沼津に関する限りは配置転換工場の中で最もうまくいっているよう思にいます。なお、ただいま御指摘のありました点は十分注意いたしまして円滑にいくようにいたします。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 ぜひその点をよろしくお願いいたします。  これは営業局長の所管になると思いますが、料金体系の是正の問題ですが、これはあなたが就任される前ですね、昨年の国会において、今、たとえば大阪の周辺の地域大阪市内との料金の問題ですね。東京でもそうだと思いますが、そういった点が全国的に出てきていると思うのです。この料金体系を是正してやるということはいつの日かやはりやらなければならぬことだと思うのです。前回のいきさつは、少くもこの次の通常国会にはそういう改訂をやりますという明確な答弁をいただいたわけです。あなたが就任される前のことですが、そのことは私は今日も生きていると思う。ですからわれわれは通常国会にはそれが出てくるものと期待しておるわけです。そうしませんとおさまらないですよ。そういう経過がありますから、私はきょうは念を押しておきたいと思います。これは国会の答弁からして出てくるものと私は判断をして今から準備しておりますが、公社の方はどんなですか。
  78. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) お答えいたします。料金の合理化の問題につきましては、御指摘の通り前にもいろいろ研究して意見を申し上げまして、その確定した時期につきまして私実は詳しく存じなかったのですが、できる限り早く出すということで、私も就任以来努力して参ったのであります。そうしてて可能ならば今度の国会にも出すようにいたしたいと考えていたのでございますが、実はいろいろ研究してみます過程におきまして、非常に大きな問題に打ち当ったのでございます。と申しますのは、当初はこの大都市周辺のものにつきましては、アメリカ、イギリス等において行われております市内帯域制度という形をとるならば、うまくいくのではないかということもございましたので、それに沿って進んで参ったのでございますが、その後検討いたしておりますと、そういうやり方をすることは、将来の全国自動化の際に市外番号計画上非常に窮屈な問題になり将来困るんではないか、その後またイギリスにおきましても非常に画期的な料金改訂が行われまして、私たちの学ぶべき点が非常に多くあるような感じがいたしたのでございます。それでさらに根本に立ち返りまして検討を進めて参りまして、大きな骨子につきましては腹案ができておるのでございますが、何分にも非常に大きな改訂になるものでございますから、将来の動向も考えなければいけませんし、また世論のいろんな御批判も仰がないと、軽々に決しかねるのじゃないかという感じがいたしまして慎重にしておるのでございますが、決して速度をゆるめる気持はなく、日夜その点で研究を進めて参っておるつもりでございますので、何とぞ御了承を願いたいと思います。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 まあ時間も、他の委員の質問がありますから、制約されておりますから簡単でけっこうです。そうすると、次の通常国会にはわれわれは出てくると、そういうふうに今判断している。またそうしてもらわなくちゃ、約束ですからね。それは見通しはどうなんです。
  80. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 私からお答えいたします。この電信電話料金の問題につきましては、前々から懸案でありまして、この問題の研究はずっと怠りなくやってきておるわけでありますが、ただいま営業局長がお話いたしましたように、なるほどこれは技術的問題といえば技術的問題ですが、部分的な料金改訂という問題を初め考究しておったのが、どうしても部分的で済まなくなった。で、全面的な料金の改正という問題にどうしても関連を持たざるを得ない。しかもこの一年ぐらいの趨勢を見ますと、やはり欧州方面の各国の料金制度の改正というものも非常に新しい傾向を将来に残して見通して立っていくという大きな傾向になりましたので、そういうものを勘案いたしまして考えていきますと、どうしてもこそくなもので間に合わなくなった。その点でこの最後の成案というものは通常国会までに今の見通しでは間に合いかねるのじゃないか、こういう情勢でありますので、われわれとしてもなお今後ともできるだけの努力はいたしますが、必ずしもこの通常国会に提出して御批判をお願いするということができないかもわからないということは御了承願いたいと思います。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 まことに足りない答弁で、われわれからすると不満なんですが、まあ経営者がかわられたですから、そういうこともそこで言えると思うんですが、しかしわれわれは国会の立場ですから、経営者がかわろうがかわるまいが、公社がそういう方針でおやりになっていただけるものと確信をしておるわけでして、多少皆さんからすれば、酷なことを言いやがると思うかもしれませんが、われわれはそういう意味で、国民の非常な熱意をもっての要望ですから、希望ですから、できるだけ一つ作業を急いでいただいて、通常国会に間に合していただくように、切に一つ拍車をかけていただくように特にお願いをしておきます。  それから御出席の企画局長と経理局長は、地方委員会の方で質疑があるそうですから、経理局長はせっかくいらしていただきましたが、時間もないので、実は三十五年度の予算の大綱くらいはお聞きしたがったんですが、時間の関係でできませんので、けっこうです、その方々は。それからもう時間がないですから端的でけっこうですから、運用局長さんおられますね、衆議院で大へん問題になっておりました集線装置の問題はあなたの所管でございましたかな。営業局長ですか。これは結論だけでけっこうですよ。あなたの方では今の集線装置の執行が今の公衆電気通信法から見て疑義があるということを考えているかどうか、疑義があるならば、それをただす方向に今やっておるのかどうなのか、できるならば私はそうしてもらいたいと思っているんです、次の通常国会あたりで。それだけ簡単に結論だけでけっこうですから……。
  82. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) 集線装置につきましては、現在の公衆電気通信法を作るときには実は予想されなかったのでありまして、現行法をそのまま解釈するについては、必ずしも疑義がないわけじゃありません。しかしながら私たちといたしましては、あれを運用する立場といたしまして、できるだけあれに沿ったような趣旨でできるだけ運用しているわけでございますが、適当な改正の機会がございましたら、疑義のないようにしていただきたいと希望をいたしております。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 時間がないから一つだけ最後に聞きたいんですが、建設局長は見えていますか……。建設工事の本年度の進捗率というものはどうなっていますか。前年度たしか九十八億ですか、残りがありましたね、今年の進捗率はどんなふうになっていますか。
  84. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 本年度の進捗率について、今、手元に詳しい数字をもってきておりませんが、われわれの予定の進捗計画に比べまして、四月、五月が相当おくれました。四月、五月での傾向でいくと三十日近く、一月近くおくれるのじゃないか。それを六、七、八で、予定の進捗率を十二、三日まで取り返してきております。そこで今十数日はまだ予定部分に対しておくれておる、こういうことが今の進捗の予定であります。数字的にも、今ちょっと持ってきませんでしたが、今の進捗予定と実績はそういうふうなことであります。従いまして四、五がちょっとおくれましたが、六、七、八と非常に仕事が進捗いたしまして、ちょっと安心したところへもってきて、正直申しまして今度のあの災害が、先ほど、けさ方御報告いたしましたように、実は今、名古屋復旧全国から人を回します。これも最初の予定は、実は十五日で一応、応急復旧を切り上げて、また各通信局に帰ってもらおう、それで今の建設の予定通りの線に合わしてやってもらおう、こう思いましたが、ちょっと十五日じゃ無理じゃないか、そういう意味で今後なお非常にがんばらなければならぬ問題が多々あると思いますが、できるだけそういうように六、七、八と予定を相当取り返えして参りましたが、今度の災害でまた非常な難関にきておる。しかしできるだけの方法を講じてやっていきたい。大体今のことを言うと、この災害以前の計画としては年度の繰り越しが約八十五億、昨年より少しいいような、その程度予定計画でいくようにいろんな準備を全部進めておってきたのでありますが、この災害でどうなるか、もう一ぺん検討し直さなければならぬ、そういう状態であります。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 特に第二次五カ年計画の改正をしようとする際ですから、国民の側から言うと、公社の実情がよくわからない。従って繰り越しをされていく、今年度の初頭までの繰り越しを見ても、何かしら予算というものが、公社に工事能力がないために繰り越されていくんだというような一般的な見方をするのです。これは公社には公社の言い分もあるでしょうし、技術的にまたできない点もあるでしょうが、いずれにしても工事を完全に百パーセント年度内にやるというのが建前だと思います。それが年々歳々おくれるというのは、この委員会で何回か指摘されているのですが、そういう原因を抜本的になくする方法について何かやったのですか。たとえば四、五がどういう理由でおくれたか知りませんが、また六、七、八で取り返えした、こういうことですが、年間の計画に対して万べんなく計画局というものができておりますから、それぞれの関係局と十分連絡をとって、残りのないように業者関係についても一年を通じて、全面的に工事計画が出ていく、こういう方向をとればやれないこともないと思うのですが、そういう点がわれわれが見ておっても、公社の運営上のやはりどこかに欠点があるのじゃないか、そういう点をやはり明確にしないと、第二次五カ年計画で千四百十八億の建設資金を使って、三十五年度でやろうとする意気込みは、意気込みとしてけっこうですが、そういう態勢は全然どこにもみえないじゃないか、こういうことなんですね。
  86. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 非常に簡単に御返答を申し上げまして、ちょっと誤解を起したかもわかりませんが、繰り越しの問題につきましては、これはでさるだけ繰り越しがないというのが本来の建前でありますが、約一割ぐらいの繰り越し、この作業の平準的な意味においては、一割以下の繰り越しという程度は、ある程度場合によっては必要じゃないか、こういうようなことも考えられます。ことに、まあ過去の実績をずっとある程度御研究願うと何ですが、前の逓信省時分も、たしか小さい計画で、あの当時に比べて今の計画は非常に大きいのですが、あの当時でも、一割以上の繰り越しでいったのか割合に順調な方だったというようなことであります。まあ四月入ってすぐというようなことで……。いずれにしろ一割以下の繰り越しならば、ある程度お許しを願った方がかえって年間を通じての平準化のためにはいいのじゃないかということが考えられるのでありますが、もちろんわれわれこれを横着するという意味ではありません。それからただいまお話のありましたように、今後非常に大きな計画をやるために、いろいろな準備をしないとできないのじゃないかという問題につきましては、お話通りでありまして、従来ある意味においては非常に精細ではあるけれども、あまり個別的な設計等の特殊性に陥りすぎでおって、工事がこれだけ大きくなり、計画が大きくなったときには、必ずしも適合しないというような仕事のやり振りを全面的にかえていこうとして、先般来ほんとうに相当熱心に研究いたしまして、その一部は本年度中から実行に移していくということで、こういうことである意味では相当画期的な対策ができつつあります。本年度のうちからその一部分は実行に移されていくだろう、こういうふうに考えております。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 時間が一時までという約束で、それが延びてしまったものですから……。運用局長をせっかく呼び出して中継機械化のことでお尋ねしたかったのですが、大へんありがとうございました。これで終ります。
  88. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは本問題は本日はこの程度にいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  89. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に郵政事業関係伊勢湾台風による被害状況及びこれが対策に関しまして御質疑がある方は御発言を願います。
  90. 野上元

    ○野上元君 今回の台風十五号によりまして郵政関係職員の中に多数の犠牲者が出たことにつきましては、心から気の毒に思い、かつまた設備あるいは宿舎等に甚大な被害があるということを聞いて非常に遺憾に思います。また当局はすみやかにこれが復旧作業に当られているということについても、私たち十分敬意を表するものですが、しかしながらこの種未曾有空前の被害に当ってこれを復旧する場合に、私は郵政当局だけの計画ではなかなかうまくいかないと思うのです。従ってこういう場合でありますから、あなた方は郵政省にある労働組合復旧作業についての打ち合せをされたかどうか、お聞きをしたい。
  91. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいま野上委員からの御質問の、復興作業についての打ち合せをしたかどうか、こういう御質問でありますが、実は私、十月一日に熊本に出張しておりまして、急遽帰りまして現地に慰問とかつ実態を見に参りまして、現業の働いておる諸君と、よくお願いもし、打ち合せて参りました。また帰りまして直ちに、五日に再度向うに参ったのでありますが、とうてい復興問題を……今日の今を処理すること自体もなかなか困難で、非常に現業員の諸君が日夜何物をも忘れて専念してやっていてくれる、そこで実は七日の日でありましたが、地区労の地方委員長ですか、木下君と、愛知地区労の宇野君、それから全逓の中央執行委員ですか、長島君、それから長谷川君などが見えておりまして、ちょうどお会いいたしましていろいろお話も聞き、御要望も聞いて参ったのであります。それで今日私どもといたしましては、率直に申し上げますと、復興対策に対してこうしようとか、ああしようとかいうことは、現業員の皆さんと私どもは未だ話しておりませんが、地域的に名古屋名古屋三重三重と、対策本部がありまして、対策本部の方におきまして目下一日も早く復興計画、同時に罹災者の住宅に対しあるいは器具に対しても万遺憾なきを期するようにということで、私から申し伝えて参りました。特に事務次官も郵務局長も皆行っておられまして、万全を期すように今いたしております。
  92. 野上元

    ○野上元君 これは従来こういう災害のあった場合には、必ず郵政当局と全逓本部との間においてこの対策が練られて、両者がやはり調査をして、そしてすみやかな復旧作業に当る、こういう慣例であったわけです。しかも今回のは空前の大被害でしょう、しかも尊い職員の人命が失われていくような場合に、こういうときこそ郵政省がつまらない面子を捨てて、やはり全逓と話し合い、そしてこの復旧を容易ならしめる、そして国民大衆のサービスに万全を期するということを私はやるべきだと思うのです。この点についてやられていなかったということについて私は遺憾の意を表しておきます。この問題についてきょうはこれ以上やりません。  それで特に先ほど事務次官が詳細に説明された中で、郵政職員被災職員に対して全職員から義捐金を募集しておる、こういうことになっておるわけですが、これまた郵政当局が文書を出すだけが目的ならばこれは別ですが、そうじゃなくて、実際に金を集め、そして被災者に対して有効な救助の手を差し伸べるということが目的であるならば、これまた私は全逓とやはり話し合わないとなかなか金が出てこないと思うのです。組合組合で金を集めるというようなことになって、非常に職員は混乱をする、こういうことも考えられるのです。そういう点について話し合いをする意図はないのですか。
  93. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 義捐金を募集することにつきましては、かつて組合と一緒にやったこともございます。こういうときでございますから、組合と別々にやるという必要は私はないだろうと思うのです。ところが、この話が起きましたときに、もう組合の方では、組合独自でやるんだというようなお話もあったように聞いておりますので、それなら、ダブったって別に弊害もあることじゃないということで、私どもの方は急ぐことでもありますから出したわけです。しかし、ここに来てうまく話をつければついたでけっこうなんです。別にそう肩を怒らして、別にやるのだとそう力んでおる気持はありません。
  94. 野上元

    ○野上元君 それでは具体的に聞きますが、全逓委員長と大臣の連名をもって文書を出される用意がありますか。
  95. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどお話がございましたけれども、野上委員長からお話がございませんでしたし、すでに出してしまっておりますから、あらためて、あれはやり直すというほどのこともない。ですから、個々の局で一緒にやるならけっこうだ、こういうように思います。
  96. 野上元

    ○野上元君 この災害の調書の中にありまする局舎の数は膨大な数に上っておるのですが、名古屋管内大阪管内、それぞれ全局舎の何%に当っておるわけですか。
  97. 板野学

    説明員(板野学君) お答え申し上げますが、全局舎のパーセンテージは出ておりませんが、大体局数を申し上げますと、名古屋郵政局管内では、床上浸水が四、床下浸水が……。
  98. 野上元

    ○野上元君 それはわかっておる。パーセンテージ、規模を知りたい。
  99. 板野学

    説明員(板野学君) 名古屋が五百九十四、大阪管内で七十八となっておりまするから、大体六百五、六十あるかと思います。そういたしますと、約三割幾らになりますか。三割程度、二割か三割と思っております。
  100. 野上元

    ○野上元君 私は、こういうふうに、かりに二割とか三割とか、あるいは四割というような膨大な被害が出るということは、平素における、どうも局舎の整備状況が悪いからだと思うのです。幸いにして、局舎八カ年計画というものを、今、立案され、着々実行されておるのですが、これを急速変更して、この事態に特別な措置をやられるというような計画はありませんか。
  101. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私はいいことを言うてもらったと思って感謝しております。実は私、就任して日が浅いのでありますが、あちらこちらをだいぶ視察さしていただいて、少くとも、各個人々々、あるいは公共的の重要な文書、郵便物を初めとし、貯金、保険、それらのものをお預りしておる局舎が木造であって、果して一朝不幸にして火災にあった場合には、どういう処理が一体できるか。少くとも、公共的に貢献をなさなきゃならぬ、安心して預からなければならないのに、こういう局舎というものが今日存続しておったことに、実は私は不満を抱いておる。そこで、三十五年度の予算は、是が非でも要求額をふやしてそして、その予算を獲得をしたい、こう私は考えておって、目下その方に当局とともに、今、大蔵省と折衝の段階に入っております。特に各委員の方々は、特別に御声援と申しますか、御支援を賜わって、実現できるように、特に御協力を願いたいと、私ども特にお願い申し上げたいと思います。
  102. 板野学

    説明員(板野学君) ただいまの数字は二〇%ではなくて四%でございます。全体の約四%。
  103. 野上元

    ○野上元君 全体とはどういう意味ですか。
  104. 板野学

    説明員(板野学君) 全局舎数の四%。
  105. 野上元

    ○野上元君 いやいや、その地域における……。
  106. 板野学

    説明員(板野学君) 地域ですか、それはまた後ほど……。
  107. 野上元

    ○野上元君 それで、今回特に御要望したいことは、局舎関係要望したいことは、局舎八カ年計画によりましても、これはなかなか進まぬわけです。ところが、今回、両方合すと千五、六百に上る局舎が破壊ないしは使用不可能になっておるわけです。従って、局舎八カ年計画なんというものは、この際、全然もうそれは問題にならぬような気がするんです。従って、そういう根本的な問題についても、十分に考えてもらって、局舎の整備の万全を期してもらいたい、これを要望しておきます。
  108. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私はこういうことも実は考えておりました——住宅公団に財政投融資なんかの金を回しておる。自分のところで集めた金を大蔵省が御自由にされて、そうして、これだけの局舎が古いものであって、いつも火事になればこわい思いをしなければならない状況。いわんや、現業員の働いておる諸君は、職場にいそしんで働けるような局舎でなくて、何か裏長屋で働いているような局舎で、いい政治、いい行政が行われるかどうかということでありますから、何も他人のところまで貸してやる必要はないのじゃないか、その金を郵政省で、こっちで使うようなことを考えてもいいのじゃないかというように、私は極端に考えております。どうぞ一つ御協力を願います。
  109. 野上元

    ○野上元君 非常に心強い政務次官のお言葉を聞いたわけですが、初めは脱兎のごとく終りは処女のごとくならないように、ぜひ政務次官の健闘を頼みます。  それから、私は被害地帯と連絡をとっておるんですが、以下申し上げるような点について、現地でも非常に困っておるので、若干こまかい問題になるかもしれませんが、この際、当局の方針を聞きたい、こういうように考えますので、一つ一つお答え願います。  まず第一に、膨大な滞貨郵便物を配送するためには人が要るわけですが、ところが、人を採用するのに、現地では非常に困難である。とりわけ、御承知のように、今日は非常勤を雇う場合に、一人の賃金が二百三十円ないし二百五十円ということになっておるわけです。そんな金では、とてもじゃないが、現地では採用できぬ。従って、この際、思い切って特別な措置をしてもらいたいという声が非常に強く現地からある。この点について当局はどういうように考えておられるか。
  110. 板野学

    説明員(板野学君) お答えいたします。滞貨郵便物の処理のために、名古屋地域におきまして、貯金局からの応援、あるいは高等学校の生徒の応援、あるいは部内の訓練者の応援等を合せまして、百四十名ばかりの非常勤その他を使用いたしまして、この処理に当っておりますが、本月十五、六日ごろには、大体市内の大部分地域排水完了できる。そうなりますと、この物の処理も相当スムースにいくのじゃないかと考えております。それらに対する非常勤の採用方につきましては、これはもう現地から申し出のある限りの数字につきまして、私どもは幾らでもやる、人海戦術をもってもこれに一つ当るというつもりで手配をいたしております。それでありますから、現地から、名古屋から申し出がありますれば、私どもはいかような処理でもすると、こういう考えを持っております。
  111. 野上元

    ○野上元君 そうすると、私の質問したポイントは、賃金のワクにこだわらないで採用してよろしい、こういうわけですね。
  112. 板野学

    説明員(板野学君) 私どもは、それでなければどうしても雇うことができないという場合には、そのような考え方でやります。
  113. 野上元

    ○野上元君 それから、そういう臨時の雇いを入れることも非常に今日大切なことですが、この際職員として、こういう大災害でもありますから、特に郵政事業の公共性にかんがみて、日夜血みどろの健闘をしておるわけですが、とりわけ、時間外労働がはなはだしく長くなっておるわけです。これらについて、いわる郵政省が持っておられる超過勤務手当を、現地要望するだけ出される用意があるかどうか。
  114. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) それは現地から要望がありますれば当然のことと思います。
  115. 野上元

    ○野上元君 では次。それから補食費の問題があるのですが、泥の中でまあとにかく労働をやっておるわけですし、腹も減るわけです。従って、補食費を現在支給することに郵政省としてはなっている。ところが一回の補食費がわずか三十円であって、三十円では全然何も買えない、こういうことで実際には有効でない、こういうまあ声があるわけです。従って、これを百円なら百円というふうに臨時に値上げをする用意がありますか。
  116. 板野学

    説明員(板野学君) 私が名古屋におりますときに、その三十円という金額はきまったのでございますが、これは名古屋市内普通局、いわゆる水害で現に水につかっておるところもつかつてないところも一様に相当の物がございますので、平均一人三十円ということになっておりますから、水害地帯につきましては、声があれば五十円というふうなことになるというふうに私は説明を聞いております。これは私どもは現に水につかっておる熱田、中村、あるいは港区のようなところは、ある場合によっては別の方法で、あるいは超勤の問題等も、臨時関係もございますけれども、そういう方法でまあ腹が減って仕事ができないというようなことのないように考えて参りたいと思っております。
  117. 野上元

    ○野上元君 まあ復旧が始まってくると、だんだん見舞状だとか見舞品が殺到してくることが十分予想できるわけですが、その際における機械化というか、これを輸送するときの、配送するための機械化についての予算的な措置はどういうふうにされる予定ですか。
  118. 板野学

    説明員(板野学君) 主として運送便の問題になりますけれども、これはどのような物が参りましても、臨時運送費をもってまかなうことができるというふうに私どもは計画をしております。まあ一番困難なのは集配の問題、特に水のまだつかって引かないというようなところの、いわゆる運送運搬する用具の問題につきましては、これはいわゆるただいま現地からの要求もきておりますが、早急にこれを配置いたしまして、そうして遺憾のないようにいたしたいというように考えております。
  119. 野上元

    ○野上元君 具体的に現地の要求ということはどういうことですか。
  120. 板野学

    説明員(板野学君) ただいま臨時運送便は別といたしまして、集配用機動車関係のものにつきましては、軽自動三輪車が五両、スクーターが六十三両、原動機付自転車が五十九両、普通の自転車が七百四十八両、合計八百七十五両のものが現在要求がきております。
  121. 野上元

    ○野上元君 それからさっき、今の問題に関連して非常に繁忙というか、困難な状態がくる、かつ繁忙がくると思うのですが、それについての特別な職員に対する対策を考えておられますか。たとえば年末繁忙手当のごときものを臨時に出すとか、そういう報酬を考えておられますか。
  122. 板野学

    説明員(板野学君) 先ほど人事部長からちょっと話がございましたように、これは超過勤務手当をもって処理する、あるいは補食費をもって処理するというふうなことになると思いますけれども、特別に年末のそういうような手当を出すということも、また特別のあれも要るものですから、私どもの方としては打ち合せばまだ完了しておりませんけれども、まあ超勤というような形でこれが処理できればというふうに考えております。
  123. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ちょっと私から一つ。実は先ほど給食費の問題の増額を言われましたが、五日の日でしたか、対策本部で、罹災者の給食費が五十円であった、五十円ではとうてい食べられないのだというので、私どももそれに参画しまして七十五円にいたしたのであります、これは罹災者に対して。ですから対策本部と打合せまして、七十五円までいくかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、罹災者に対しまするすべての便宜、公共物の配達あるいは小包等の輸送に関しても異常の努力を注がなければなりませんから、そうした問題については対策本部とも十分打ち合せて御希望にかなうようにいたしたい、私はこのように考えております。
  124. 野上元

    ○野上元君 ほかの問題ですが、今度職員での被災者の中で、この報告書の中にもありますように、家を失った多数の人が貯金局あるいはその他の場所に収容されておるわけですね。従って、彼らもいつの日かは自分のところに帰らなければなりません。ところがもう家は流れてないということが懸念されておるわけですが、これらについては、早急の措置としては、三坪ばかりのバラックを建てて応急の対策を講じられておるというふうに聞いておりますが、それだけでは将来の問題として解決にならないので、この復旧がなったのちにおいてこれらの宿舎を一号官舎といいますか、二号官舎といいますか、ああいう種類の官舎をこの被災地に思い切って建てる計画があるかどうか。
  125. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 実は対策本部といたしましては、三坪か五坪ということに相なっておりますが、郵政事業に関連しておる方あるいは罹災者の方々、それらに対しましては、実は私郵務局長と一緒に七日に帰って参りまして、昨日郵務局長とも打ち合せまして、この復旧、あるいはたえられないものは改築してしまう、崩壊したものは新しく建て直さなければならん。ただし家だけ復旧したって、これはだめなんだ、家だけ復旧するについては、たとえば半壊であるとか床上まで上った水だとか、今日まで十日も二十日もつかっておれば、そうりっぱな家に入っておる人はないだろう、ゆえに相当くさっているだろう、これに対する修理があるだろう、従って、これは家屋だけではいかぬということで、かまど一つにしても茶わん一つにしても、もう使えないものがあるに違いないのだ、これは救助品だけでは間に合わないから、これらのことについて省としても十分考えて、融資の道も講じてやらなければならんじゃないか、このように目下省内において相談中でございますが、御期待に沿うようにできるだけの努力をするというふうにいたしております。これは現地におりました永島君、長谷川君、宇野君、木下君からもそういうような要望がありましたから、そういうふうにいたしております。
  126. 野上元

    ○野上元君 さらに現存の郵政住宅あるいは独身寮の破損が非常にはなはだしいので、すみやかにこれを修理する予算を出してもらいたい、こういう希望が強いですから、この点についてもよろしいですか。
  127. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) それはよろしいでしょう。
  128. 野上元

    ○野上元君 以上のような点が現地と私が連絡をとった点で問題があった点です。従って、これらの問題については、前に戻りますが、こういう非常時の場合であるので、郵政省としてもできるだけ郵政従業員の家屋を確保する、あるいはまた生活を確保するということによって、郵便事業のサービスの向上、復旧ということについても十分考慮してもらうために、組合側と十分連絡をとりながらやってもらいたい、こういうふうに私は特に要望しておきます。よろしいですか。
  129. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) よろしゅうございます。
  130. 森中守義

    森中守義君 厚生福利関係ということで、弔慰金、見舞金を支給したと、こうありますが、これはあれですか、弔慰金、見舞金の金額は一人どのくらいになるのですか。
  131. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 弔慰金、見舞金につきましては、それぞれ法律及びその規定でこまかくきまっているわけであります。それに従って出すつもりであります。
  132. 森中守義

    森中守義君 額は現行規定で幾らになりますか。
  133. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 現行規定ですと、本人が死亡いたしますと一カ月分、家族死亡いたしますと半カ月分、それから家屋の被災の場合ですと〇・五カ月から、全壊等の場合ですと三カ月という金を出すと、こういうふうになっております。
  134. 森中守義

    森中守義君 これは昨年の伊豆台風でもって、特に私から発言を求めて、少くとも現行の規定が創設された経過年数というのはかなりたっておる。従って今人事部長が答弁された額としては、少くとも情勢に合わない。もちろんこれは郵政省だけに制限されたものでないのですから、少くとも政府機関で現行の給与ベース程度には多少考えた方がいいじゃないか。そうしなければ、せっかく弔慰金、見舞金ということで出ましても、実情にそぐわないようになって参るということで、研究課題にやってみて、そこで検討したらどうかという話をしておったのですが、これは昨年の状態のままのようですが、どうですか、これをやってみて。
  135. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 実は新聞で森中先生も御承知かと思いますが、私もそのときの記録を忘れたのですが、二十八年の九州の災害のときの特別立法、そのときに私どもが作った法律なんですが、それ以上に悲惨なものである、惨害が大きいのだというので、政府も自由党も社会党さんも、みな協力いたしまして、この臨時国会に補正予算を組み入れる場合に、特別立法を拡大して、二十八年の特別立法以上に拡大して、この救済復興に当ろうというのが政府、自由党、社会党の皆さんの御意見のようであります。やがて、私もけさ七時からその何へ出席いたしましたが、大体の意見がそこに一致しておるようでありますから、森中先生の言われるごとくに相なると私は考えておりまして、時に私どもといたしましても、郵政事業に携わる者に対しては、御期待に沿うようにしたいとこう考えて、決意も私はしております。どうぞ一つよろしく。
  136. 森中守義

    森中守義君 これはまあ実際問題として研究課題として研究してもらっていたにかかわらず、いまだに修正されていないようなので、まあここでけしからぬの怠慢のと言ってもみても始まりませんが、やはりこれは実情に沿わないということだけは事実だと思います。
  137. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) それは事実です。
  138. 森中守義

    森中守義君 だから、その点は政務次官お話で、どうなるかわかりませんが、極力われわれはそうしたいと思うのですが、その問題はそういうことでしておきますが、今度の場合、さっき鈴木委員から午前中出ましたように、NHKでも電電公社でも、事前に少くとも災害を予防する、あるいは職員被害を少しでも縮小して、それで事業の運行も極力適応の体制がとれるように事前の対策が必要だと思うのです。大体あの進路に来るということだけはわかっていたようですが、何かそういうことで関係の向きには、災害関係の事前の措置はとられておったと思うのですが。
  139. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 実は私、事前のことも必要なんですが、災害を未然に防ぐことが必要だということをいつも私どもは叫んで、河川費の予算を特別会計にせよというのが、昨年私ども叫び出したのですが、ついにとうとう大蔵省に握りつぶしをされた。で、今度は河川費の予算も特別会計というものが必ず生まれるものだ、今度は相当皆さんも決意を新たにしておってくれるようであります。そこで実は現地に行って参りまして、実情を調査した結果、どうしても必要なものがあり。ということは、あの川の中を、泥水の中をゴムボートで走って歩いておる。これはなかなか百メーター行くのに四十分もかかる。あっちで木に当ったりこっちで何に当ったり、いろいろなことで悲惨な思いをして現業の諸君は努力してくれておる。いわんや、私どもはそれに一緒に乗せてもらった。そして見て歩いたが、これではどうもいかぬ。そこで水没しておる関係もあるし、電話を引きたくても引けないじゃないかというので、携帯無線ですか、携帯無線を郵政局といいますか、あるいは電波監理あるいは監察局、郵政局というものが一体として、一つの郵政局を主体として、一カ所に少くとも三台か五台かくらいずつ備えつけておいて、つまり。パトロールのやっておるような工合なものを設備したらいいんじゃないかというような話も現地で出まして、それで帰って参りまして、きのう七日の晩おそく帰りましたものですから、きのう一日その相談をいたしておりましたが、これとても予算に関係のあることであるし、まあ使用方法あるいは予算の捻出方法等も一つ十分省議で研究をしようということで今やっておりますが、この災害を未然に防ぐ方法、この対策方法ということは、ただいま申し上げたごとく、少くとも河川費の予算をまだまだ今の何倍かに増額してやるとか、あるいは局舎にいたしましても、木造でない不燃化建設にして、未然に防ぐことも必要じゃないか。私は大体、不燃化建設というものは郵便局舎として今後は徐々に改造していかなきゃならぬ、こういうようにまあ考えておる。これを三十五年度の予算をできるだけ取って、そしてそういう危険のある場所から逐次改造していく、このように今考えておるような次第であります。
  140. 森中守義

    森中守義君 まあわかったようなわからないような、どうも私も少し理解しにくい点がありますがね。さっきから野上委員庁舎の問題に触れておる。それで政務次官の方では、大へんけっこうだ、こういうお話ですね。
  141. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) そうです。
  142. 森中守義

    森中守義君 八カ年計画の場合は、どの程度の数であるか、内容は知りません。だけれども、一からまあずっと順番がついていたはずですね、八カ年計画の分は。その分の中に予算として今度の分が食い込んでいくのか、今度の倒壊の分は別個にまた臨時的な措置として予算を計上していくのか、それはどっちなんですか、区別は。
  143. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) この災害復興に対しては八カ年計画以上に要求ができるものと十分覚悟をしております。それは八カ年計画以外に復興していただく。
  144. 森中守義

    森中守義君 わかりました。そうすると八カ年計画はそのまま八カ年計画として変更しない、倒れた分は臨時的にその分は建てる、こういうことですね。
  145. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) それはいわゆる補正予算の中に繰り入れていただく予定であります。   ━━━━━━━━━━━━━
  146. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、本問題については一応終えまして、この際、前回の光村委員からの三重県における特定局に関する御質疑に対して、佐藤郵政政務次官より発言を求められておりまするので、これを許可いたします。
  147. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 前回の参議院における逓信委員会、すなわち九月十日の委員会において光村先生より、三重県度合郡御薗村の無集配特定郵便局設置に関する御質問があられたそうであります。これに対しまして大臣が御答弁申し上げるのが当然でありますが、海外に旅行中でありまして、かわって私から答弁さしていただくことをお許し願いたいと思います。  この御薗村の無集配特定郵便局は、三十二年当初、地元、同時に光村先生からの御要望もあられたようであります。そのときに予定が五十局新設するということであったそうでありますが、予算関係上、三十三年に相なりまして二百局設置するということに相なって、一度光村先生にお断わりをして、予算がないとか、あるいは地域とか人口問題だというようなことを言ってお断わりをしておいて、そうして三十三年度に、光村先生にも御通告も、あるいはお話も申し上げないて立ってしまったということについては、まことにその手落ちのあったことについては申しわけなかったと、まあお許しを願いたいと思う次第であります。  当時私どもも郵政省関係しておらなかったものであるし、その後こういうお話をお聞きし、特に速記録を読ましていただいて、これはまことに不都合千万である、このように考えております。今後かようなことのなきよう十分善処させます。どうぞこの度合郡の御薗局設置については、まことに申しわけなかったと、遺憾の意を表する次第であります。どうぞお許しを願いたいと思います。
  148. 光村甚助

    光村甚助君 私の質問の要旨は、別に私に通知をしてくれなかったからどうというのじゃないのです。速記録を読んでいただいたからおわかりでしょうが、自由民主党の人が頼みにいったら聞いてやり、社会党が頼みにいったら……。郵政事業というのは行政の面でそういう差別をつけるのかということを聞いたのが、趣旨なんです。ところが、そういうことはないと大臣は言われますけれども、現にその問題があったのです。あなたが速記録を見ておりますから詳しく言いませんが、あそこの御薗村の人たちが、たくさんの実際署名をとって、何回も働きかけて、国会でもこれは請願が採択されているのです。そうしてほかにも郵便局をやりたいという希望者もあったのですが、さっきあなたがおっしゃったように、設置基準に合わないというので延び延びになっておった。そこの日赤の人の中からでも、郵便局を自分ら作ってやりたいという人がおったのですけれども、部外者というものはあまり任用されないからというので、その人たちも押えたことがあるらしいのです。それにもかかわらず、二百局ふえたのは、これは非常にけっこうなんですが、そのいきさつというのが、三重郵便局の主事で、岡谷という主事の男がいるのですが、その人が非常に熱心な希望者だったのですね。ところが名古屋郵政局ではどういうことをやっているかというと、自民党の相当の幹部の人がまた特定局長に一人申し込んできた。そうしたらその三重郵便局の主事を押えるために、わざわざ名古屋郵政局へ呼んできて、お前は課長にしてやるからあきらめろということを言って、そうしてそれを一人引っ込めておいて自民党の人が推薦しておいた人が一人しか立候補者がないということで、そうして一人だから、他に希望がないから、当然その人が任命されるのは当まえのような仕組みにしておる。そうしてこの特定局長が適任者かどうか、私はこの前名古屋に行って聞いてみると、前自動車の運転手をされて非常に成功された人です。だから、私は職業の点については言いませんが、事務的能力に欠けておる。そうして特定局長になったから、講習に呼んでみても、自家用車で、九時からの講習に十時ごろ出てきたり、十一時ごろ出てきたり、非常に特定局長として不適任なんだ。こういう人を自民党の人がわざわざ頼んだからといって持ってきて、従業員の中に非常に熱心な希望者がおるにもかかわらず、そういう策を弄してまで、特定局長を作るのに、自民党と社会党と差別待遇をしなければならぬかというのが私の言い分なんです。別に私に黙って作ったからけしからぬということでは私はないのですよ。そういうことがあるのだ、郵政省に。それだけじゃなくて、過去にも郵政省というのは人によっていろいろ差別をつけているたくさんな郵政行政というものを知っている。ここで言いたくないが、まああなたは非常に血の気の多い、もののわかった人だというが、そういうことをあなたやられたらどう考えますか。
  149. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) どうもまことに申しわけないことで、今後そういうことの断じてないようにいたしたいと思います。私自身も就任以来今日まで、むしろ佐藤はお前は社会党の人間かなんと言われるようにやっておるわけで、公平に私は今後やり、同時に私の意を——これも死ぬまで政務次官をやっているわけではないのですから、そういうような気運を植えつけていきたい。そうして今日光村先生からそういう御注意を受けましたことは、記録の上にも残るし、郵政省自体も十分今後考えていただけるものとし、私からも注意して、今後あやまちなきようにいたしたいと思います。
  150. 光村甚助

    光村甚助君 なかなかあなたの心意気は私は買いますよ。しかし、あなただってそれは長く政務次官をやろうとはおっしゃられない。もちろん、来年の六月ごろまた改造があればやめるでしょうが、ただ口先で物事は解決しないのです。ちょいちょいかわるから、やめてしまえばもう知らぬというような態度で、さっきの局舎の問題でもそうですが、郵便局舎なんというのは、あなたが大きなことを言っておられたようですが、ほとんどバラックのような普通局がたくさんある。こういうところには貯金も預けにいかない。鉄筋コンクリートのりっぱなものができてくると一ぺんに貯金もふえてくるというような実態なんです。郵政省は金がないとおっしゃるのですが、今の郵便料金でそれができるかできないか、私は知りませんが、これは値上げをしろとは言いませんが、電電公社建物というのはりっぱなのがどんどんできている。郵便局というのは実にそれはまあなっていない建物全国にたくさんあるのです。あなた、一年の間にそれを片づけろなんということは、私は言いませんが、ただこういうところに来て、はったり言うだけではほんとうに意味をなさないから、実際にほんとうの業績を上げるという意味でやっていただきたいのです。まあ局長の問題は私追及しませんから、あなたは非を認めておるから。ほんとうに郵政行政に打ち込んで、一年の間に何とか一つ業績を上げるようにやっていただきたいと思うのです。ただここで大きなことを言うだけじゃなく、そういうつもりでやっていただきたい。
  151. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ありがとうございました。
  152. 森中守義

    森中守義君 人事部長に念のために聞いておきますが、もちろん、今の特定局長の任用の方法というものは、自由任用制であることは私も承知しております。だけれども、現状というものは、だんだんむずかしくなるというが、複雑になるというか、そういう一定の標準に照らして人を当てはめていくという、そういう適正な措置が行われておりますか。
  153. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 非常に抽象的にお答えして申しわけないと思いますが、私はこれはもう御承知のように郵政局長の権限にまかせておりまして、いろいろうるさくなって参りますと、本省に伺いを立ててくるわけであります。そこで基準につきましては、先ほどおっしゃいましたように、簡単な基準であるわけですけれども、任用いたしますときには、監察局の調査をとり、監察官は現地におきまして意見もとるというようなことで、きめておりますので、今の段階におきましては、大体において公正な人事が行われておる、こういうふうに考えております。
  154. 森中守義

    森中守義君 地方郵政局長が扱いかねて、あなたの方に送ってくる、つまり異数な案件というのは、年間を通じてどのくらいあるか。
  155. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 時と場合によってずいぶん違いますけれども、最近はもうほとんどないというくらいに少うございます。大体郵政局でやるということにいたしております。
  156. 森中守義

    森中守義君 主として上ってくる内容はどういうものですか。
  157. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これも大体場所的に非常にきまっておりまして、極端なことを申し上げますと、広島——中国、熊本等に非常に多いようであります。それで一がいになかなか言いにくいのでございますけれども、部内者と部外者、どっちをとるかという問題も一つあります。それから部内者同士でその局の人をとるか、それともほかの局から持ってくるかというような問題もあります。それからいろいろな人の御紹介がありまして、その調整をしなければならぬという問題もあります。しかし大体、結局、普通局でございますと、本省でもわかりますけれども、特定局になりますと、どの局がどういう立場にあるのかということがなかなか本省にわかりかねますので、できるだけ郵政局で話をつけ、そうしてまた連絡もとるというやり方をして、今のところやっております。
  158. 森中守義

    森中守義君 さっき政務次官光村委員説明された、こういうさっきのような内容のものですね。これは私は単に御薗の問題だけではなくして、他にも類似した案件がかなりあると思う。だから今政務次官の言葉を借りるならば、遺憾である、そういうことで省当局の意向が一応表明されたので、それにさらに追い打ちをかけるというのもどうかと思うけれども、直接にそういう案件を処理していく人事部長として、そういう行為が正しいと思いますか、どう思いますか。
  159. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) そういう行為といいますと、今の三重県の問題でございますが、三重県の問題につきましては、局長任用そのものの問題は本省に上ってきておりません。それで、今おっしゃいましたように、やはり公正に、何人かの競争者がおりますならば、それをやはり公正な調査をしてきめていく、こういうことであるべきだろうと思います。
  160. 森中守義

    森中守義君 これも厳密に詮議立てしていきますと、政務次官が大臣にかわって一応国会で答弁をする……。極端にいうならば、名古屋であるか、どこであるか知りませんが、明らかに扱い上の黒星だということは一声えると思う。そういうのが果して処罰に値するのかどうか、明らかに考えようでは値すると思うのです。しかし、そういったような案件がかなり全国的にあるというような現状はここに私は言わない。言わないでもあなたが一番御存じです。何かの方法で、そういう必要がないように是正の方向に将来いきたいと思いますか。あるいは今までの人事部長の答弁だと、主として地方の局長にまかしてあるから、その裁量にまかせる。従って郵政省としては特段の配慮をしない、あるいは指示をしない、現状のままでよろしい、あるいは何かの方法を変えていく、その点はどう思いますか。
  161. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 非常に実はお答えしにくいわけでございまして、結局、具体的な何といいますか、ケースが起った場合に、どこからか非常にいい人を持ってくるわけでございませんで、立候補をされております何人かの方の中から、最も優秀な人を公平に選ぶというやり方だと思うものですから、何か抽象的な文句で指導も非常にしにくいのじゃないか、こういうふうに思っております。何か非常にお答えしにくいことなものですから、そういうふうに申し上げておきます。
  162. 森中守義

    森中守義君 大体意味はおわかりいただいておると思いますから、あまり回りくどい表現も、具体的な個々の例を引用するというふうなことは、かえってあなたの御迷惑だと思うから、それは言いませんが、少くとも最も正常なしかも望ましい状態でないということは、人事部長一番おわかりだと思う。だから、あらゆる機会を通じて、どういう適切な方法があるかということは、それは考えていただきたい。少くとも現状のままではいけない。これは一つ率直に事実を事実として認識してもらいたいと思います。  それからもう一つ、これは自由任用制をとっている今の省の方針からいけば、これもなかなか答弁がむずかしいと思いますが、特定郵便局の主事とか主幹あるいは普通郵便局の課長とかあるいは主事、こういう部内経験者で、しかもそれは長年の経験者である。ところがこのほかに部外者が、学校の先生とか、あるいはいろいろな役場の助役さんとか出ている。こういう場合に、だれが見てもこれは部外者ですね、経験年数から言っても、人柄から言っても。こういうようなことは、今私どもは幾つも事実として知っております。部内者をはねのけて部外者を持ってくる。中にはこういうのがある。具体的に言わないつもりでしたがね。戦時中にパージになって、しかももう六十才になる、元郵便局長をやっていた人でですよ。六十才といえば大体徐々にではありますが、特定局長もある淘汰の段階にきていることは、これは間違いありません。そういうもう六十才になった人を持ってくる。ところがもう一人の方は、ちゃきちゃきの五十才前後の優秀な特定局の主事であった。その人を出し抜いてまで六十才になった。パージになった人を、今さらのように起用したような例もある。こういったようなことを考えると、やはり正常でない、どう考えてみましてもね。だから部内者優先という原則は、なるほど今の制度からしてはないとしても、実際の運用上そういうようなことでやっていけるのじゃないかと思うのです。そういうこともあわせて一つ指導の面でやっていけませんか。
  163. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、特定局長が非常に個々的なケースでございますから、なお今後もより公平に、それからより慎重に選ぶように、こういう指導をしていきたいと思います。
  164. 柴田栄

    委員長柴田栄君) では次に、郵政省職員に対する仲裁裁定実施に関する問題について、御質疑がある方は御発言を願います。
  165. 野上元

    ○野上元君 つい最近ですね、郵政省職員の中で組織されている全特定に対して出された裁定を実現するために、郵政省と全特定との間のみにおいて、協約が締結されたということが言われておりますが、それは事実でありますか。
  166. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 全特定、全郵政と協約締結をいたしました。
  167. 野上元

    ○野上元君 私は今回郵政省がとられた行為によって、給与上の問題において、著しい不公平が生まれる結果になると考えるわけです。このことは、佐藤政務次官の最も好まざるところであろうと私は考えているわけであります。従いまして、私は佐藤政務次官が、なぜこういうことになってしまったのか、なぜあなたの意思に反してこういうことになったのか、あなたの現在の心境をまず伺いたい。
  168. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私は同じ郵政事業に携わっている者は、全部同志と心得ております。どうしても皆さんとともに、同じように公平に給与ベースも、給与しなければならない、こう考えておりましたが、仲裁裁定がされているのが全郵政と全特定とだそうであります。これは私の就任前である。それをそのままいつまでも遅延しておくことはでき得ないということで、一応協約を結んだようであります。そこで私自体といたしましても、二十数万の全逓の皆さんにも、一日も早く裁定を受けられて、そうして皆さんにも差し上げるようにしなきゃならないという気持に変りは持っておりません。そのように何とか早く裁定が得られるようにしていただきたい、こう念願して日夜頭を痛めておることは、野上先生も御承知のことと私は思っております。
  169. 野上元

    ○野上元君 私は、本日は大臣がおられないので、特に政務次官に質問するわけですが、そういうことについてあなたが日夜頭を痛められておるだけでは、それは問題の解決にならないのですよ。これはあなたがいつも言われておるように、郵政省の中で働いておる職員はみんな平等の利益を受けなければならぬ、こう私は考えるわけです。それが現実にそう行われなければならないと思うのですよ。幾ら郵政当局の最高幹部が考えておっただけではだめだ。ところが、実際に考えることとは別のことをあなた方がやられたわけです。ところがあなた方は仲裁裁定が出ておらないと言われるけれども、公労委会長からは、聞くところによると、あなた方の郵政省に対しても、全逓にも、同様にこの裁定を実施するように要望する、こういうことが出ておるわけであります。これは、かつて国鉄労働組合と機関車労働組合との間にこの仲裁裁定の問題にからんで起きた問題に対する、一つの処理方法であったわけです。それからその処理方法を当時政府はのんだわけなんですから、今回も同じことが行われているのにかかわらず、なぜ全逓にのみこの勧告を、要望を無視するのか。この点についてはっきりした政務次官の答弁を求めたい。
  170. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいまそういう命令が出ておるというお話は、初めて聞いたわけです。まだ私は聞いておりません。その間に対しては、当局の方から答弁をしていただきたい。
  171. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 実はその問題につきましては、私は政務次官お話しをしたつもりでございますけれども、あるいは早口で政務次官のお耳に達しなかったのかもしれませんが、国鉄の場合につきましては、御承知のように、国労に裁定が出まして、そうして機労にもこれを実行するという勧告が出ております。同時に私の方に対しましても、国労にこういう手紙を出しておるが、それを参考にするようにという写しをつけまして郵政大臣あてに文書がきておる。
  172. 野上元

    ○野上元君 私の聞いているのはそういう要望書がきておるのにかかわらず、今回は全逓にのみこれを黙殺するというのは、明らかに政府の全逓に対する不当弾圧じゃないか。不当労働行為じゃないかということです。その点を明らかにしてもらいたい。
  173. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 実はその問題につきまして、私もよく耳にはさんでおらなかったのですから、これはいけないというので、大蔵省の方に乗り込んで、何とかして予算措置方法をしてくれなければ、全逓の諸君にやる方法がないじゃないかということで、ちょっと小手あたりに当ってみたところが、勧告だけじゃだめだ、裁定が出ておらぬから、今その予算を出すわけにいかぬ、こういうような話だったのであります。そこで実は私どもも先輩もおることだし、先輩に何とかこの問題の解決策を君らが入ってくれぬかということで、目下その先輩に頼みながら大蔵省とも折衝するようの段階です。もしこれが大蔵大臣がいたなら、直接ぶつかってみようと思いましたが、大蔵大臣も何か海外に行っておられるし、そこまで腰を据えて交渉ができ得ない。いわゆる勧告だけではだめだ、裁定が出ておらなければだめだ、こういうので、今日いまだ御期待に沿えないような実情であります。
  174. 野上元

    ○野上元君 そういうことは非常に私は無責任だと思うのだ。あなたの日ごろ考えておることと、全くそれは相反したことを行なったと私は考えざるを得ないのだ。現実にですよ、郵政省職員の中に給与の問題について大きな差がついたというのは現実なんだから、もしもあなたが協約に調印したということになれば。そういうことになれば、あなたが考えておることは全く相反した現実の姿が出ておるわけなんだ。  私はさらに質問したいのですが、仲裁裁定が出た日に、たしか衆議院においては予算委員会でわが党の委員が質問して、大蔵大臣が答弁しておるわけです。全逓に対する裁定はどう考えるか。その点については全逓に実施しないとは言わぬ、できるように努力いたしております。こうこうふうに答弁しておるし、その後、前大臣である寺尾氏が、本議院の議員である寺尾豊氏が、これまた私の同僚議員に対して、全逓に必ず実施するから、君を通じて全逓にその旨を伝えてくれ、こういうことを言っておられる。にもかかわらず、今日突如としてそういう政策を変更したというのは、一体どういうところにあるのか。私は前大臣と現大臣の間には、何ら郵政事業について、あるいは労働政策について関係がないものか、この点はどうですか。
  175. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 前大臣と今の植竹大臣との事務引き継ぎ、そうした政治的の行政面の話し合いというものは、私は聞いておりませんが、いずれにいたしましても、(野上元君「あなたは何も聞いておらぬ」と述ぶ)それは大臣が向うに出発されるときに、その話は私に引き継がずに行かれておるのであります。ゆえに私は、一日も早く大蔵大臣が帰ってきたらば一つ当ってやろう。ただいま大蔵大臣もそういうことを言われておったというあなたからのお話でありますから、特に私は意を強うしてその交渉の段階に入れるのじゃないか、こう考えております。
  176. 野上元

    ○野上元君 これは私が言っているのじゃなくて、ちゃんと衆議院の予算委員会において言っておる。参議院においても鈴木委員から質問して、ちゃんと大蔵大臣はそのように答弁しておるのです。にもかかわらず、しかも勧告が出ておるのに、これを握りつぶしてやったという点について、あなた知らぬというなら、一つ事務次官でも人事一部長でもいいです、一つ答弁してもらいたい。
  177. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 裁定が出ましてから、衆参両院で諸先生の御質問に対しまして、大蔵大臣がお答えになっておりますことは承知いたしております。それは全逓にやらないとは言わない。しかし、何といいますか、予算総則の規定が非常にはっきりいたしておりまして、裁定がないと給与総額の変更はできない、こういうふうに非常にはっきり書かれておりますために、非常に苦慮いたして研究いたしております、こういう御返事であったろうと思います。そこで私も予算総則を見ますると、御承知のように給与総額をふやすときには裁定がなくちゃならぬ。そこでその勧告書を見てみまして、何とかこれは裁定ということはないかと思って見ましたけれども、御承知の通り、公労委の会長から郵政大臣あての手紙で、本件は全特定に対する裁定であって、全逓に対するものではない。しかし国労、機労の例もあるからしかるべく、こういった意味の文句を書いてあったわけであります。従って私たちといたしましては、給与総額をふやす方法といたしまして、大蔵大臣ができる権限というものは、やはり裁定がなければ給与総額はふやせないのだ、これは非常にはっきりしておるわけであります。しかし何とか全職員の希望もあろうと思いますし、それから翌年三月まで、会計年度は一年間もあることでありますから、何とかその間にいい局面が打開できないだろうかということで、待っておったわけであります。御承知のように、この裁定を実施いたしまするためには、十一億の経費が要るわけでございますけれども、その十一億の経費を給与総額のほかにふやすというには、裁定がないとだめだという明文がはっきりいたしておりますので、八月の全逓の大会前後にもそういう問題が非常に残っておるのだということは、たびたび大臣の声明にもあった通りであります。そこで全部の人にそういうことを上げたいという気持は、われわれもみんな持っておるわけでありますけれども、事務的にはどうしてもこれは方法がない。そこで一方裁定をもらっておりますところの全特定と全郵政に対しては、これをいつまでも延ばすわけにいかんということでございますので、全特定と全郵政は調印いたしました。しかし全逓に対しましては、今言ったように、財源のめどがつきませんので、これは保留いたしておるというのが現状でございます。
  178. 野上元

    ○野上元君 人事部長の言を聞いておると、裁定が出なければ給与総額はふやせない、こういう一点ばりです。それでは機関車労働組合の場合に裁定は出ておらない、要望書によって給与額をふやしておる事実がある。これは一体どうあなたは考えられますか。
  179. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これは私、国鉄の経理内容をつまびらかにいたしておりませんけれども、四十万の国労に対しては、裁定が出ております。従って四十万人の給与改訂のお金というものは給与総額にプラスされたものだと、こう考えておるわけでございます。ところが機労の場合には、これは従事員がおそらく四万から五万だろうと思うわけでありまして、国労に比べますと一割くらいのことだったと思うのです。そこでそれをどう処理されますか、少くとも九割からの人間についての予算措置ができますならば、あるいは大きな経理の中でございますので差し繰りがついたんじゃないか、その点のところはそうじゃないかと思います。私たちの方では、この全特定の分だけでは一億そこそこの経費しか動きませんので、残りの十億という経費というものはどうしても捻出することができない、こういう事情の違いがあることは御了承いただきたいと思います。
  180. 野上元

    ○野上元君 当時国鉄の裁定が出たときの機関車労働組合組合員数は、はっきり記憶しておりませんが、少くとも五万をこえておったと思う。その五万に対する給与総額が差し繰りできるというようなことを、あなたは実際に考えられるのですか、そういうふうに政府の予算というものは粗雑にできているのですか、その点どうなんですか。
  181. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) よそさまのふところでございますので、私その点についてくわしい資料を持っておりませんけれども、値上げする分だけについて、九割の措置ができて、あと一割の措置というものは、郵政の場合とは格段に違うのじゃなかろうかということははっきりいたしております。
  182. 野上元

    ○野上元君 それでは機関車労働組合に対して仲裁裁定が出ておらないのに、なぜ当局は実施したか、その趣旨は一体どういうところにあるのですか。
  183. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これもどうも私、国鉄の当事者でございませんので、的確に申し上げかねるわけでございますけれども、大多数の人についての財源の見通しがついておりますので、そういうことに踏み切られたのじゃないか、これは全く仄間でございまして、正確な御答弁にならないかもしれません。
  184. 野上元

    ○野上元君 私はそう思わぬのですよ。私は、少くとも機関車労働組合には仲裁裁定が出ておらぬのだから、法律的に厳密にいえば、同じ政府がやったんだから、当然私は機関車労働組合に出すべきじゃないと思う、あなた方が言われるように法律を解決されるならば。ところがなぜ出したかといえば、やはり同じ企業の中における職員の中で、差別ができるということは、これは重大な問題なんです。従って政府は思い切ってああいう措置に出たのだろうと私は思う。これが正しい労働慣行だと思う。郵政だってそうなんです。こういう状態で大きな組合に差別をつけておいて、年末を協力してくれとか、災害になったから協力してくれといっても、それは組合にもやはり感情があるのだから、残念ながら……。感情でものを処理すべきでないけれども、しかし当然人間の集団なんだから、これは感情がある。そういう点を考えれば、当然これは差別待遇をすべきでないと思う。その点について郵政省の労働政策というのはどういうふうに考えられておるのか、私は思い切ってやるべきだと思う。その点について政務次官どうですか、あなた賛成でしよう。
  185. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私はいずれにしても予算処置に関係のあることであるが、これは先ほどから申し上げるごとく、ほんとうに出してやりたい、一緒に出したい。そこでもっと早くこの全特定というのですか、全郵というか、それだけの裁定は出ておるが、それを早くやりたいと言うが、待て、協定を結ぶのをずっと延ばしてきたのです。というのは、何ものかの打開策を早くしなけんばならぬというので、人事部長事務次官も非常にこれには苦慮されて、とにかく延ばせるだけ延ばしてここまで引っぱってきた。これ以上もうでき得ないらしいというので、そういうお話がありましたから、それならやむを得ないじゃないか、とにかく大蔵省に当ってみょうというので、小手当りはしておるようなわけであります。ただいまあなたの言われるように、私が当時速記録を読んでおれば、大蔵大臣に体当りでもしたかもしれません。その速記録も読まずにおりましたので、大蔵大臣と交渉の段階に入らず、そのうち大蔵大臣も海外に出張されたというので、実は皆様方の考えておる以上に内心苦慮して、どうか打開策の道は講じなければならない。どうしても同じ職場で働いておる者であるから、公平に皆さんにもやりたい。やるには予算が必要だ。それじゃ今の大蔵省の役人だけを相手にしても仕方がないから、大蔵大臣の帰ってくるのを待って交渉の段階に入って、予算獲得をするより仕方がない。それには私個人一人でやっただけでは足りないからというので、友人知己に、あるいは先輩に頼んで目下交渉する段階、あるいは協力を求めることをお願いしておるような次第であります。
  186. 野上元

    ○野上元君 私は郵政政務次官の気持を何べん聞いても仕方がないので、現実に差別が出たということについて、私たちは非常に遺憾の意を表しておるのです。
  187. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私もまことに残念なんです。
  188. 野上元

    ○野上元君 そこで、私の言いたいのは、そういう仲裁裁定を実施する場合に、明らかに同一企業の中における職員の中に著しく差別ができるということがわかりながら、これを実施するということについての政府の、郵政当局の、私は、何といいますか、政治の感覚というか、行政上のセンスというか、ものに非常に欠けておるのじゃないかという気がするのです。それと同時に、私が申し上げることを誤解されては困るのだが、私は、全特定の、あるいは全郵政の諸君が利益を得ることについてとやかく言う筋合いのものではない。しかし問題は、そういうことによって差別がされるということに問題があるのです。この仲裁裁定を実施した場合に、明らかに差別待遇で差別が出てくるんだが、そういう仲裁裁定は憲法の精神に違反して、労働法、労働基準法等の精神に違反するのではないか、そういうふうに私は考えるのです。むしろ藤林公労委会長の出された要望書を同時に解決して、初めて私は仲裁裁定というものが法律的な効力を発するのではないか、また労働行政としてもそうあるべきじゃないか、私はこう考えるのですが、政務次官はどうお考えですか。
  189. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私は憲法がどうとか、法律がどうとかいうよりも、むしろ人間、人情論でいくべきものだ、こう考えております。それはなぜかというと、同じ一軒のうちに住みながら、あなたの言われるように差別待遇をするということはまことに遺憾です。ゆえにこの差別待遇を取り除くことが生きた政治じゃないか、これに協力していくということが、われわれの今日与えられたる職務じゃないか、このように考えます。また決心しております。そのようにする決意を持っております。
  190. 野上元

    ○野上元君 それならばなぜあなたは一方的に実施するのですか。
  191. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) そこで私が先ほど申し上げましたごとく、大蔵省に一部当ってみたらば、仲裁裁定が出ておらぬから残念ながら出せないのだ、片方は出ておるんだということであったのであります。そこで会長からそういう勧告が出ておることも私は知らなかったのです。聞いておらなかった。もし私がそれを聞いておったとするならば、勧告が出ておったということを大臣から私に、出発まぎわでもけっこうです、私に教えていてくれたならば、私はより以上今日、毎日のようにその交渉に大蔵省に行っておったかもしれません。けれどもそれが聞き及んでおらなかったところに、私にもあやまちがあるだろうし、大臣も私に教えていかなかったことには、何か自分も忙しかったかもしれませんが、いずれにしても重大な問題であったというように考えて、何とかこの打開策を考えなければならぬ。そこで何とかではどうも頼りないではないかという追い打ちがあなたの方からくることを十分私も承知しておりますが、今このまま直ちにそれでは出すと申し上げても、予算措置というものが何もない。十一億という金は一体どこから捻出するかということになってくると、これはなかなか今直ちに出せない。それじゃ相済まないじゃないか。それがすなわち差別待遇だ、こういうことなんで、私どもも、どうしても同じ屋根の下に、同じ職場に働いている以上、公平にお互いが分ち合うことが必要なんだから、その希望がかなえられるように最大の努力をするのが私どもの役目じゃないか、こう考えておるし、また覚悟もしております。
  192. 野上元

    ○野上元君 さらに質問したいのですが、この仲裁裁定を実施することによって全逓の組合員との差別待遇が出るのと同時に、全特定の職員の諸君の中にも差別待遇ができるのをあなた知っておりますか。
  193. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私は知りません。
  194. 野上元

    ○野上元君 こういうことをあなたは全然知らないで、ただ平等に、平等にと言われても話にならぬと思うのですよ。問題はこういう重大な要素を含んでおる仲裁裁定をなぜあなた方は強引に実施されなければならないのか、そこに私は今問題があると思う。あなたが知らないというのならば話にならぬ。この仲裁裁定を実施したことによって、同じ全特定の組合員であっても、これがもらえる者と、もらえない者ができる。そういう仲裁裁定の協約の内容になっておる。そういうばかげた協約をなぜ急いでやっていかなければならないか。その点についてあなた答弁できなければ人事部長一つ答弁してもらいたい。
  195. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げますように、全逓には仲裁裁定同様のものを実施いたしたいというのが省をあげての気持であります。しかし、たびたび申し上げますように、今のところはっきり予算総則で規定しておりますものですから、財源を増す方法がないということで、これは全逓には実施を保留せざるを得ない。全特定に対しましては今まで延ばしておりますが、これ以上延ばすことができませんので調印いたしました。それから同時に先生のお言葉を聞いておりますと、われわれ非常に苦慮しておりますけれども、あえて大会前に全逓がこのままの状態を続けられますと、非常に困難な問題が起ってくるということはたびたび申し上げたわけでございます。もしも全逓がいわゆる正常化して、裁定をもらいますならば、今直ちに実施もできるという問題があるわけであります。そういう点も一つお含みおきをお願い申し上げたいと思います。
  196. 野上元

    ○野上元君 全逓には、それではあなた方は団体交渉権がないというふうに断定されておるのですか、どうですか。
  197. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私としては団体交渉をお断りする、こういうふうに考えます。
  198. 野上元

    ○野上元君 団体交渉権がないと見られておるのかどうか。
  199. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 法律的にはいろいろな意見があろうと思いますけれども、少くとも私たちは、今団体交渉をお断りする、こういうふうに考えております。
  200. 野上元

    ○野上元君 去年の六月、東京地裁に対して幹部の不当馘首に対する提訴をやっておるわけです。そして私の方は訴状に理由を述べておるわけです。それに対するあなたの方の反対論旨が私の手元にあるのです。それを見てみますと、「原告全逓が、団体交渉権を有しないと主張したことは一度もない」こう言っておるわけです。従って裏を返せば全逓には団体交渉権があると解釈してよろしいのですか。
  201. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げますように、法律的にはいろいろなことがあろうと思いますけれども、団体交渉権がないという言い方でなくて、団体交渉しなくてもわれわれいいのだという解釈をとっております。
  202. 野上元

    ○野上元君 問題は団体交渉権があるかないかという問題ですが、団体交渉権があるのに、あなたの方で不当に団体交渉を拒否された場合には、それは明らかに不当労働行為ではないか。そうではなくて、団体交渉権の方をぼやかしておいて、とにもかくにも団体交渉はお断わりするという御答弁は、これは重大な問題になると思うが、これは人事部長は……。
  203. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) それらの点は労働法規の解釈の問題でございますから、私がいろいろ申し上げてもどうかと思うので、先ほどから団体交渉をお断わりすると、われわれは。従ってもう一つの例としましては、公労委でも裁定が出ていないということもあわせお考え願いたいと思います。
  204. 野上元

    ○野上元君 今裁定の問題については若干離れておる問題です。いわゆる全逓には団体交渉権がないので、裁定も出ないのだということを、あなたはしばしば警告したというから、現在の状態で、全逓に団体交渉権がそれではないのだ、ないと郵政省は判断しておるのか、こういうふうに聞いておる。
  205. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 労働法規の解釈の問題でございますから、先ほどから申し上げておりますように、私たちは団体交渉をお断わりしても不当労働行為ではない。われわれは団体交渉をお断わりする正当な理由を持っておるということだけ申し上げておきます。
  206. 野上元

    ○野上元君 東京地裁に出された私の方の訴状に対する反対の意見の発表があるわけです、あなたの方に。その文書によると、原告全逓が団体交渉権を有しないと主張したことは一度もない。これはあなたの方がそういうふうに言われておる。従ってこの原告全逓が団交権がないと言ったことは、一度も言ったことはないということは、ここでいう原告全逓とは、しばしば私たちが言っておるように、解雇三役を含めての全逓に対して団交権がないと言ったことはないのだと、こういうふうに解釈できると思うが、その通りですか。
  207. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 資料を実は全然持っておりませんので、はなはだあいまいなことを申し上げるようでございますが、私としましては、その団交権の問題そのものよりも、やはり先ほど申し上げるように、仲裁裁定の問題というものがなければいかないという点だけを先ほどから申し上げておるわけでございます。そのこと自身についての資料をきょうは持っておりませんので、今一般的に申し上げられるのは、当然解雇三役を含めて、含めてというとおかしいが、解雇三役がおられるので、全逓とは団体交渉しなくても不当労働行為にならない、こういう気持であります。
  208. 野上元

    ○野上元君 団体交渉権と、それから団体交渉の関係とをどういうふうに考えておるか。たとえば公労法の十条ですか、交渉委員の任命というのではない、指名というか、公社は、公社というか、当局では当局側の交渉委員を指名し、労働組合は労働組合側の交渉委員を指名する、こうなっておる。その中には、いわゆる組合の中から指名するということは全然書いておらない。従って交渉権も私はあると思うが、しかも労組法六条を準用すると、この公労法から見て、明らかに私は全逓に団体交渉権があると、こういうふうに解釈しておるのですが、労働省の中でもあると解釈する人も相当多数あるようですが、郵政当局は一体どう考えるのですか。
  209. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 法律の解釈の問題は、有権的解釈をするところが政府としては出すべきだと思います。私としてどう思っておるかということは慎しむべきではないかと思う。少くとも省全体としては違法三役を抱えておる全逓と団体交渉をしないことは、いわゆる正当な理由で団体交渉をお断わりすることができるというふうに解釈しておりますので、それ以上の法的な問題につきましては、やはり責任ある法解釈の当局が政府の意見として言うべきである、こういうふうに私は考えております。
  210. 野上元

    ○野上元君 では、あなたが全逓との団体交渉を行わなくてよいと言う法律的根拠は何ですか、公労法ですか。
  211. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) それも明らかに公労法四条三項に違反する状態を続けておられますので、お互いに信頼し合って団体交渉をすべきでありますけれども、法規をお守りになっておられないということであるならば、私たちとしても団体交渉をお断わりしても不当労働行為ではないと考えております。
  212. 野上元

    ○野上元君 公労法四条三項は、御承知のように、公共企業体等の職員でない者はその組合組合員あるいはまた役員になれない、こう明記されておるわけです。そのことはまあ一応あとに譲るとしても、そのことは書いてある。しかしそのことは構成のことを書いておるわけです。ところが十条には交渉委員制度というものがある。これは自由に労働組合が指名することができる。職員の中からでなくてもいい、こうなっておるのだが、これらの解釈についてはあなた方はどう解釈しますか。
  213. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 本件につきましては、少くとも組合規約で委員長委員長がいないときには副委員長、こういう人たちが組合を代表するというふうになっております。そういう代表権のある方が法律に違反の状態になっておりますと、公労法の保護は受けられない。そういう方から委任を受けたところの交渉委員とは団体交渉をいたしかねる、こういうことでございます。
  214. 野上元

    ○野上元君 そうすると全逓という労働組合はいかなる法律に律せられておる組合なのですか。
  215. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 全逓がいわゆる労働組合法上の労働組合であることはもちろん当然であります。しかし公労法上の条文に違反しておりますので、その点については違法状態を持ったところの労働組合、こういうふうに考えておるわけであります。
  216. 野上元

    ○野上元君 労働組合法上の労働組合である、こういうふうにあなた方は認識されておりますか。
  217. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 労働組合法上の組合であって、たとえば公労法の組合じゃないとか、いういろんな言い方があるようでありますが、そういう言い方は私はしておらない。少くとも労働組合であるけれども、公労法上に定めるところの法規に違反した組合である、こういうふうに考えております。
  218. 野上元

    ○野上元君 そこで私が言いたいのは、公労法十条の解釈についてあなたの方は見解を述べられないのだが、これは公労法の四条三項とは関係なく交渉委員という者はだれでもいいのだ。別に委員長でなければならぬ、副委員長でなければならぬということは書いてない。しかも組合員の中から選ばなければならないということも書いてない。とにかく自由に労働組合は指名することができる、こうなっておるものを、あなたの方は、委員長あるいは副委員長が違法だからだめなんだ、この一点張りでは、この公労法十条の解釈は一体どうなるのですか、おかしいじゃないですか。何もならぬ、公労法十条は。
  219. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私は少しもおかしく、まあ何といいますか、変だとは思わない。と申しますのは、その組合では規約等で委員長あるいはまた副委員長というものが組合の意見を代表いたしまして、いろんな法律的な効果が出てくるわけです。その方が法規に違反した形でおられますと、組合としてのそういう行為というものについての法律効果がいささか問題になってくる。そういう人から委任を受けたところの交渉委員というものは、これはやはり正当な場合じゃないのじゃないか。普通の正当な場合におきましては、委員長があり、その人から交渉委員の指名を受けて参りますと、その人たちが交渉される結果が法律的な効果があることは当然であります。もとになる人が法律違反の状態であるならば、その人から委任を受けられた方とお話をしても、それはちょっと、何といいますか、効果が疑わしい問題じゃないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  220. 野上元

    ○野上元君 交渉委員の指名というのは、何も私が指名しなくてもいいのです。これは全国大会あるいは中央委員会等のごとき、労働組合の決議機関が存在するわけであります。これらの正当な決議機関が指名した場合にはその人が交渉委員になるということになっているわけです。その場合に、だれに指名しょうといいじゃないか、これはこの法律の精神なのです。公労法四条三項と何ら関係はない。
  221. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私は、そうじゃなくて、やはり組合の代表権者という者がはっきり組合長であるならば、組合が委任するというときには組合長が委任する、こういうふうに考えております。
  222. 野上元

    ○野上元君 そうすると、かりに現在の全逓の委員長が馘首されてなく、あなた方の言う法律に違反していない状態であれば、その委員長はだれに交渉委員を指名してもいいのですか。
  223. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 現在の法律はそうなっていると思います。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 関連して質問していいですか。
  225. 柴田栄

    委員長柴田栄君) どうぞ。
  226. 鈴木強

    鈴木強君 私はさっきから全逓の仲裁裁定の実施に対する郵政省側の御意見を承わっていると、どうしてもわからない点がありますから、この点を一つはっきりしていただきたいと思うのです。この事件はすでに仲裁裁定に全逓側が申請をして、それが政治的ないろいろないきさつから受け付けられず、ついに裁定が出なかった。そこでそういう経緯の中で、ちょうど本年の三月三十日の日に予算委員会で私は佐藤大蔵大臣に質問をしている。そこにはこういうふうに書いてある。  一つ読んでみますと、「郵政関係は御承知のように全逓の関係職員関係でございますが、この組合は仲裁裁定を受けておらないのであります。郵政省関係で仲裁裁定を受けておりますのは、きわめて小さい団体である特定局関係のものだけでございます。これは一万五千前後だと思いますので、残っておる二十三万の処置、これをいかにするかという問題があるのであります。御承知のように、先ほど説明いたしましたように、予算総則では仲裁裁定が出た場合における移流用であるとか、あるいは予備費の使用というようなことを規定はいたしておりますが、仲裁裁定が出ない場合においてのかような処置をつけるという方法が、実はないものでありますから、この点では手続的に相当検討を要する、裁定が出ておらないから知らないというわけにもいかない問題だと思います。そういう意味でもう少し——時間がかかっておって、どうも各方面に心配をかけて大へん申しわけなく思いますけれども、この種の措置でございますから、十分各方面から検討いたしまして、あとに問題が起らないように処置したい、かように考えておる次第でございます。」、こういうふうに答弁されている。  ですから、さっき人事部長が言われたように、形式的には予算総則で移流用する場合、確かに仲裁裁定に基いて公労法の関係で予算措置はできるのであります。私はその質問をしたときに、個人的に佐藤さんとお話ししたわけであります。そのときにもやはり、今最後に言っておりますように、問題が起らないように措置しなければいけない、ほうって置けない問題である、こういうことをはっきり言っておったわけです。そこで当時仲裁裁定の出たときに、それぞれ二十億、三十・億、四十億、そういう額が必要なのですから、われわれは予算措置をすべきである、こういう立場に立って大蔵大臣を追究したわけです。ところが当時、全逓、国鉄あたりは一応予算措置をしなければならぬかとも思うが、大体移流用によってやり得る、こういう解釈に立ってあの当時補正は組まなかった。組まないということは、少くとも郵政省の既定の予算の中でやりくりできるということでしょう。そういう見解に立って補正予算を組まなかったのです。ですから、当時から全逓に出ないということはわかっておったし、それを解決しなければならぬということも、大蔵大臣がここで発言いたしているようにはっきりしておったわけです。今になって郵政省の人事部長の話を聞いていると、それがないから、予算総則上は、厳密な解釈からは、あなたのおっしゃる通りだと思うのですが、これは政治的にも国会の中で取り上げられていることです。しかも予算措置をしなくとも移流用できるという立場に立って仲裁裁定を実施したわけですから、あなたの方で移流用をしようとすれば私はできると思うのです。今あなたは一銭も動かせないように言うけれども、そんなことはやろうとすればできることなんだよ。二百五十円くらいのことはできるんだよ。私はほんとうのあなた方の意思というものは、ILOの問題にからんで、政府のああいう一方的なひとりよがりの対策というものが出てきておるわけだ。これは自民党の労働部会もそうだ。そういうものときびすを合せてここで何というか、強引に前にそういうようにやろうといったことまでほごにしていやがらせをやろうとしておることが、私は端的に政治の裏の真相だと思うのですよ。だからあなたが言っているように、形式的な答弁でなくて、当時のいきさつから考えてみて、やはり二十何万という全逓職員というものを全然適用から除外してやるなんてことはもってのほかですよ、僕に言わせれば。これはあなた方の、何億か知らぬけれども、郵政省の既定の予算の中で差し繰りすればできないことはないですよ。郵政大臣が、今聞いてみると益谷さんですか、海外出張中の代理をやられているそうなんで、その人にも来てもらいたいと思うわけなんだが、大体無責任ですよ。一番大事な政務次官にしたって、あなたは早くしゃべって聞きとれなかったかもしらぬということを言ってとぼけているけれども、こういう重大な大臣の留守中をあずかる政務次官が十分意思を確かめて、政務次官も前からそういうことについては人一倍努力してくれたということはわれわれよく知っているのですよ。そういう留守中の一番大事な問題について、政務次官事務次官かどうか私は知りませんけれども、早くしゃべったから聞きとれませんで話をしましたという、そんな無責任な答弁をこの神聖な国会の中でやられることはもってのほかですよ。なぜさっき言ったように、提示されたときに、藤林公労委会長から特に、仲裁は出ておらないけれども、一つ何とかやってくれないかという強い要請もあったはずだ。そういうことを聞いてみれば、政務次官は知らないというので、そんな不親切なことでもって勤まりますか。もってのほかですよ。だから、そんな法律的にどうとかこうとかいうことは、すでに三月の三十日の仲裁裁定が一括出たときに国会の中でもって質疑をして問題がないように解決するということは、これはあなた解決するということは、こんなようなことになるのじゃないのです。あとに問題が残らぬように解決してやらなければ済まぬということを大蔵大臣が言っているんだ。そういうやはり歴史的な過程というものを経て、ここに全逓の仲裁裁定というものがあるわけですよ。それを二十三万の全逓に対してあまりにも冷酷無惨だよ。政務次官の言うように、一つは人情論かもしらぬわ。法的にどうかということよりも、まず実施することですよ。そういう点に立ってもう少し郵政事業というものがほんとうに国民に迷惑をかけずに、この年末から年始にかけて運行できる体制を作ることこそあなた方の責任なんだよ。それをますます全逓をおこらして混乱を起すようなことを何のためにやっているんですか。それであなた方は郵政省の管理者と言えるんですか。ばかげて話にならぬですよ。だから、移流用ができないなんてことははっきりしているんだが、それを解決しようということが、当時の大蔵大臣の御見解でもあったわけですから、たまたま大蔵大臣も外遊されておったというようなこともあったかもしれませんけれども、私はもう少しこういう重大な問題について、少くとも政務次官なり留守中の全体の体制の中でやらなければいけなかったということを感ずるわけですね。だからやれるんでしょう。あなた方の中で移流用やればできるんですよ。なぜそれができないんですか。
  227. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この前の通常国会で、裁定が出たあとで鈴木先生がいろいろ御質問になりまして、私そばで拝聴いたしましたし、できるだけ私たちもそういたしたい、こういうつもりでおりました。ところが、先ほど申しますように、公労委の文書というものが、これは全逓に対する仲裁裁定ではないということをはっきり書いてあるのです。それから予算の流用をいたしますときに、予算総則で明らかに裁定がなければ流用ができないということが書いてありますので、実は非常に困ったわけであります。従って、結果がいろいろ出てくるだろうことは十分予測されることでございますので、私は省議等においても全逓の出しております指令、その中にはもちろん公労委の勧告もあるわけでございますが、そういうことも全部御説明いたしたつもりであります。しかし私自身はこの問題常に念頭にある問題でございますので、多少こまかく御説明いたしたつもりでありますけれども、あるいはお聞きのがしいただいたのじゃないかというふうに、実は私の説明が足りなかったのじゃないかというふうに——政務次官が御存じないとおっしゃいましたが、私はその説明が足りなかったことについては十分おわびしなければならないだろうと感じておるわけであります。しかしこの問題が非常に大きな問題であるということでありますので、たびたび私は省議を開き、あるいはまた個人的にも大臣等にお願いして、大臣のお留守中にこういうことが起っても問題でありますので、こういうことについては大臣御出張前にすべて御決裁いただいて処理をしてきた事情でございます。従ってこの問題が事務的には非常にはっきりいたしておりますものですから、私たちとしてそのゆえに全逓の分をやれないという理由のもとに、片一方現実に裁定をもらった組合を半年以上待たせるということができないので、とりあえず措置をいたしまして、全逓の方は正常化し、裁定のもらわれる日をお待ちしょうこういう態度をとったわけでございます。   ━━━━━━━━━━━━━
  228. 柴田栄

    委員長柴田栄君) この際、委員変更についてお知らせいたします。  本日、山田節男君が委員を辞任せられまして、その補欠に横川正市君が選任せられました。   ━━━━━━━━━━━━━
  229. 鈴木強

    鈴木強君 人事部長の御答弁の中で、確かにいろいろな点が私にはくみとれますよ。ですから酷なような実は気もします。しかしILOの批准の問題とこれとは多少性格が違うのですよ、基本的に。ですからあの問題は、平行線で今おります。しかし仲裁の問題については特にああいう段階の中ですでに仲裁が出て、しかもその措置については国会を通じて意思があるわけですね。ですから私は時期を失してしまって非常に残念です。残念ですけれども、しかしやはり一つのめどを立てて解決をしてやるということが重大問題です。だから私はまあ政務次官もそういういきさつについては十分御了承にならない点があったようですから、これは一つ今までのいきさつをもっとよく詳細に事務次官からお話しをして佐藤さんも帰ってきたんでしょう、もうね。彼いない留守にやったんだから、ちょうど植竹さんと行き違いになったんだから、少くともこういう発言をしている大蔵大臣がいない留守にきまったということなんですよ。しかし、これは発言として議事録に明確に載っておることですから、政府の意思というものはわれわれがはっきり感得しておったわけです。だからILOの問題とは違った意味においてこれだけは必ずやってくれることと思って期待しておったのです。ところがあなた方はILOの問題とひっかけてしまって、その方のことからますます感情が激突しているような格好になっちゃって、ついにこういうところまで飛ばっちりがきたんですよ。それに対して遺憾の意を表しなさいよ。それを僕は政務次官の方に意見を聞きたいですね。あなたもあなたですよ。前に決裁しておるというなら、そのときにもう少し事情を確かめてやってくれてもよかったと思うのです。あなたもどうかと思うのですけれども、政務次官というものは、これは形式的なものじゃないんですよ。そういう意味じゃ政務次官のウエートは相当強いものだと考えているので、問題を一日も早く実現してもらいたいのだ、率直に言って。そのためには、佐藤さんも帰ってこられたんだし、こういう発言も明確に出されておるんだから、もう政治的に道を開いていくような方法を政府が意思表示をすれば、出せば出るんですよ。こんなものはILOの問題にひっかけてしまったという経緯がなかったら、現実に予算委員会で発言をして確認してきておる問題だけに、僕は非常に憤激にたえないのだ。これでは民主政治というものはできないですよ。問題を起さないでやりますといっても、問題が現に起きている。そんな事態の収拾がありますか。これは人事部長に言ったってちょっと問題だと思いますけれどもね、そこら辺は事務次官から佐藤さんに言ってくれなければ困りますよ。
  230. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいま速記録を見せていただいて、三十四年三月三十日の予算委員会で大蔵大臣が言明されておるその速記録を見せていただいて、ちょうど私も頭の中にこびりついている問題が解決の光明を見出せるのではなかろうかというふうにも考えておりますが、いずれにしても三月三十日のときには私はまだ政務次官でもなかったが、そのとき、ちょうどロンドンに国際会議に行っておった、今日記帳を見たら。幸いにその速記録の日付も見せていただいたし、その速記録をさっそく取り寄せまして、もって大蔵大臣に、あなたはこういう言明をされているがどうかということで、いま一度大蔵大臣と折衝してみたい。これは一度や二度じゃ、とても片付くまいと思いますが。  そこで、公労法がどうとか、十条がどうとか、八十何条がどうとか言われてみたところが、私どものような労働行政にしろうとのものにはわからぬ。わからぬと言っては申しわけないが、少くともこういうものは労働大臣が、出てきてはっきりしてもらいたいと、私はこう考えておるのでございます。けれども、事、郵政省に関する問題でありますから、あなたのただいまの速記録を見せていただき、かつ私も取り寄せて読んでみまして、そして大蔵大臣と折衝を何回でもいたしてみたいと、こういうつもりでおりますから御了承願いたいと思います。ほんとうに知らなくてどうも……。
  231. 光村甚助

    光村甚助君 わかる話を、じゃあ、あなたにしてあげますけれども、わからぬ問題をしてもしようがないから……、政治家はうそを言ったら、私は信用がゼロだと思うのです。あなたはどう思いますか。
  232. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) その通りだ。私はうそを言ったことはありません。
  233. 光村甚助

    光村甚助君 政務次官だとか大臣だとかいうのは、在職中に言いっぱなしにして、責任をとらぬでいいものですか。どう思いますか。
  234. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私はとります。
  235. 光村甚助

    光村甚助君 速記録に載っていませんが、前のあなた方の自民党出身の寺尾郵政大臣は、実施しますと言ったのですよ。はっきり、私は職を賭してもやりますと言ったのですよ。それは一回や二回じゃない。三回くらい私は陳情に行って、そう言っている。速記録に載っていないけれども、前の大臣がはっきりこういうことを言っている。前の大臣はやめたのだから、これはやらぬでもいいという考え方ですか、あなたの考え方は。
  236. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私は、前の大臣がどういう御答弁をなさっておられますか、あるいはどういうお約束をしておられるか、まだ速記録も読んでおりませんからわかりませんが、私は、ただいま鈴木委員から、その当時のときの質問した内容、同時に大蔵大臣の答弁したもの、これを旨といたしまして交渉して、御希望にかないたい。  と申しますことは、私はまだ速記録に、何回も申し上げるが、そういう約束をしてあるかないか、それも知らなかった、大蔵大臣が……。と申しますことは、私どもが御要望にこたえられるようにいたしたくても、これは予算に関係があります。そこで予算、金を出してもらわなきゃならぬ。この要求に行けば、仲裁を受けていないからだめだとか、どうとか下っぱの役人が言っている。それで大蔵大臣が幸いにして鈴木委員の質問に答えられまして、そのように答弁してあるという、その速記録を持って交渉の段階に入りたい。今までは、ただ私の一片の気持の上で交渉しておりましたが、今度は、そういうりっぱな速記録がある以上は、これはほごにはできまいと、こう考えております。  そこで寺尾前郵政大臣がどういうお約束をしておったかということも、私は委員でもなければ、その当時、質問あるいは答弁の内容も知りませんものですから、もしそういうことがあったならば、私どもとしても、より以上の寺尾さんの意見を聞き、また実施することが当りまえだ。そこで、政務次官、お前は、約束したものをほごにしてもいいのかと、こういうことを言われるならば、私は責任をもってでき得ないものはでき得ないもののように、私は、身をもっておこたえいたします。
  237. 光村甚助

    光村甚助君 事務引き継ぎというのは、どういうことを引き継ぐのですか。  少くとも郵政職員の中に、二十二万という人間を擁している全逓という大きな組合があるわけです。それが、仲裁裁定を実際実施するかしないかということは、これは非常に大きな問題なんですよ。事務引き継ぎの中には、そういうことで、あなた方は、人事部長も立ち会わなかった、政務次官も事務引き継ぎはやらなかったのですか。事務引き継ぎというのは、大体どういうことをやるのですか。
  238. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 事務引き継ぎということは私に御質問より、あなた方の方が先輩で、郵政事業に対してはベテランであるから、十分御承知のはずですが、私は公労法がどうとか、ILOがどうとかいうような問題は、ほんとうをいえば、労働省でやってくれるものだと、私はこう考えておりました。  そこで、労働問題に対する事務の引き継ぎというものは、前政務次官から受けてはおりません。ただ一般行政に関する問題、そういう問題については、事務の引き継ぎを十分受けておりますが、今日この大きな課題になっておる労働問題では、どうとか、どうしなければいけないとかいうような引き継ぎは、前政務次官からは受けてはおりません。
  239. 光村甚助

    光村甚助君 いや、その事務引き継ぎの問題は、私があなたに聞いたのは、これは一番郵政省にとっては大きな問題なんです。これが一番。小さい問題じゃないはずです。そういう大きな問題を言わない政務次官も、どうかしているけれども、あなたも、もう少し勉強すべきなんです、こういう問題は。  それからもう一つ、この間、九月十日の委員会にあなたは来なかったけれども、寺尾さんがたまたま私の隣に坐った。そのときに寺尾さんに雑談として、私は、寺尾さん、あなた職を賭しても全逓の二百五十円実施すると言ったじゃないか、大蔵大臣が実施するといったから。こうはっきり言っている。人事部長は、大臣の事務引き継ぎなんかのとき、こういうのは、前大臣から今の大臣に引き継いでいるのを知らないのですか。
  240. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 郵政大臣が全逓に実施すると明言されたことは、私は全然存じません。  それから事務引き継ぎは、大臣同志がなさることでございます。もちろん新大臣、新政務次官には、当然われわれ所管の仕事を持っております者が、こういう問題がございますという御説明は申し上げるわけでございます。政務次官にも、いろいろ御説明申し上げまして、政務次官は、この労働問題については、おれが何とかして軌道に戻すように一生懸命努力するんだというお話がありまして、そのつど、私もいろいろ御連絡には参り、御指示も受けておるわけでございます。  ただ何と申しますか、今の労働関係の法規というものが、非常に正確ないろいろな規定をしておりますものですから、こまかいことにつきましては、私の御説明が十分足りなかったのじゃないかということでは、非常に恐縮に存じておる次第でございます。
  241. 光村甚助

    光村甚助君 だから私は、信義の問題です。いやしくも自由民主党出身の大臣が、実施しますと、職を賭しても実施しますと言っておきながら、今度、新しく来た大臣が知らないと、実施できないなんと、こういう、うそを国会で言われるということになれば、私たちは、どこを一体信用すればいいのですか。あなたを責めたって仕方がないけれども、自民党の、あなたの方の出身の大臣なんです。そういう人が、職を賭しても実施しますと約束しておきながら、実施できないなんて、だれを一体世の中、信用したらいいのです。あなたどう思います、こういうことを。
  242. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 御心中、よくわかります。
  243. 光村甚助

    光村甚助君 いや、わかるだけじゃ困ります。前の大臣が、はっきり言ったんだから、それは、どうしてくれるのですか、そういう問題は。大体だれを一体、世の中信用すればいいのですか。
  244. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ゆえに、私自身は、ただいま鈴木委員から御指摘にあずかったことを旨といたしまして、交渉の再開を重ねてやりたいと、こういう……。やりたいじゃない、やるという決意を持って、その実施に向っていきますということをお約束したいと思います。
  245. 鈴木強

    鈴木強君 政務次官の決意はわかりましたが、あなたは、大蔵省から金をもらっているようなことをいうけれども、もうこれは、補正予算の措置はやらなかったでしょう、全部。この仲裁については、本来なら、そんな僕らは、十億だって五億だって、既定予算の中でやりくりできないはずなんだ、そんな、でたらめじゃないから。補正予算組むといったのだ、仲裁裁定をくれた分については。ところが大蔵大臣は、予算流用でやり得ると、こういうことになって、労働省と相談した結果、ついに仲裁裁定に伴う補正予算というものは組まないで済んだ。だから各省とも、既定の予算でやりくりしている。だから、予算総則上の仲裁裁定がない場合には流用できないということをたてにとって向うは頑張っているわけです。  ですから、あなたのところで大蔵省から金をもらってくるあれはない。別に仲裁裁定が出たものとして、あなたのところの予算を差し繰ってもらえばいいのです。そういうことだから、決して軽卒に大蔵省から金をもらってくるというようなことではないのですから。
  246. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) その予算総則の件については、経理局長もおられますから、一つ局長から御答弁願いますが、私の聞き及んでおります範囲では、とうてい省内にはないというふうに聞いております。
  247. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) ちょっと私から申し上げますが、国鉄や電々に対しましては、先生御指摘のように、補正予算は組まない、ただ移流用でいくということになっております。  ですから郵政省でも、当然できるのではないかというお話のようですが、実は郵政省といたしましては、先ほどいろいろ政務次官、人事部長から申し上げましたように、予算総則十三条にはっきり明記してある規定があるのです。御承知だと思いますが、これによりますと、裁定があった場合には、大蔵大臣の承認を得て予算の移流用または予備費の使用でいけるということになっておるわけです。ところが全逓に対しましては、先ほどの御説明のように、裁定がない。ですから財源はあるわけなんですけれども、予算の移流用の措置がならない。移流用する、給与総額をふくらます措置がないものですから、郵政省では、事務局と申しますか、大蔵省と、いくら折衝してもできないということでございます。
  248. 鈴木強

    鈴木強君 それは、さっき私が言っていることです。だから政務次官が大蔵省から金をもらってこなければならないというものですから、私はそんなことをやってもらっては困ると申し上げたのです。  要するに仲裁裁定が出たということの判断で、大蔵大臣が予算委員会で言っているように措置してくれれば、郵政省はできるわけだ。だから、何も十一億や十億ぐらいの金は、郵政省はできるわけだ。大蔵省に行って頭を下げてもらってくる必要はない。移流用でできるのだ。そこを間違えないようにやってもらわなければならないということを念のために申し上げたのです。
  249. 横川正市

    横川正市君 今の問題に、ちょっと関連して質問いたしますが、予算総則十三条によって、弾力条項の発動による条件として仲裁裁定が必要なのだ、これは支出負担行為をする場合に。ところが仲裁裁定がなくて、実際上予算の流用はできない。これは、今の経理局長の説明があるわけです。  それなら、今ここで直ちに、人事部長の言うように、全逓が、政府の言うごとく正常化する、そしてこの支出負担行為が生まれてくる。かりに全逓が行わない、それでも解決しなければならないというような場合が起った場合でも、郵政省の場合には、予算上の移流用はできないと、こういうふうにお考えになっておりますか。それとも、おそらくそういう場合には、正常な組合に復したのだから、仲裁ヘ持ち込んで、そしておそまきながら仲裁をもらうだろう、それに従って予算の支出負担行為をするのだ、こういうふうにお答えになりますか、どちらですか。
  250. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) お答え申し上げます。  全逓が合法化いたしました場合も、予算上の事務的な手続から申し上げますと、やはり裁定をもらって正式に大蔵大臣の承認を得て予算の移流用、あるいは予備費からの使用を解いてもらう、そして給与総額をふくらまさないと、全逓二十五万に実施するということは不可能ではなかろうかというふうに考えております。
  251. 横川正市

    横川正市君 それでは、人事部長にお聞きいたしますが、紛争解決は、単に仲裁だけで解決するわけではない、両者で合意をした場合には、それぞれ紛争解決をするわけなんですから、その場合には、仲裁を最高にして、調停委員会で解決する場合、ないしは団体交渉の席上で即刻解決する場合と、こういうふうにあるわけです。  たとえば仲裁に持ち込まないで問題を解決したという場合に、予算の支出については、どういう方法をとりますか。
  252. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 非常に架空の話なものですから、はっきり私、お答えしにくいんですが、この仲裁裁定といいますか、仲裁裁定と同じようなことを実施するのに、組合と、何といいますか、何か解決……。
  253. 横川正市

    横川正市君 支出負担行為を伴うものとして、たとえば最高は仲裁裁定だと、それから、調停委員会の調停によって問題を解決する場合もあるわけです。それから第三者の介入機関に持ち込まないで解決する場合もあるわけです。そういうような場合に、今まで往々にして大蔵省と事務当局との折衝過程で、ある程度弾力条項の発動を了解してもらって支出するという場合があるわけです。  ですから、たとえば今のような場合、全逓との間で二百五十円を、これを実施するということになれば、それはあなたの方で団体交渉の結果として結論が出れば、支出することができるかどうか、こういうことなんです。
  254. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) いろいろなケースがあると存じますが、今までは、たとえば本俸ですね、基本給等につきましては、やはり第三者の仲介と申しますか、それを得ていると思います。一番原則的なものは、仲裁裁定を得た場合ですね、第二番目には、調停段階で、あれは二十八年でございましたか、何とか実施いたしたいと言っておりましたけれども、予算化が間に合いそうもないということで、調停段階で実施する方法はないかと大蔵省と話しましたが、どうしてもそれはだめだということで、その際には、国会で予算の補正をしていただいたというふうに了解をいたしております。  それで基本給というものは、やはり付加給全体にも響く問題でございますし、それから将来も相当拘束するので、基本給の場合には、大体第三者の特に裁定を得ているように思います。そのほかの付加給等の場合には、弾力条項の発動等で、これは一時的な金でございますから、第三者の了解を得ないで、正当な団体交渉をして、その結果に基いて弾力条項を発動する等で処理しておるという場合が多いと、こういうように考えます。
  255. 横川正市

    横川正市君 今の過去の例から説明すると、そういう方法で処理したことが多いというお話なんですが、実際上の取扱いとして、事務当局は、弾力条項を発動する場合に、まあかりに本俸であった場合でも、仲裁裁定がない場合は、一切これは解決でき得ないということで、すべての紛争を仲裁に持ち込んでいって、仲裁の裁定をもらう、こういう方法で解決をしたのか、または仲裁にいかないまでも、弾力条項の発動をやって給与問題を解決する、こういう場合も、私はあったというように思うわけでございますが、そういうように方法が二通りある場合、前者でなければ絶対だめだということは、私は間違いなんじゃないかというように思うんですが、その点は、事務当局として、どうお考えになっておりますか。
  256. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 基本的な給与につきましては、当事者間で予算の範囲内でしかるべくやる、そうして、翌年以降に尾を引いてしまうということは、やはり正式なやり方としてとるべきじゃなかろう。それはやはり第三者の判定を得てそうして政府も、これに拘束される、当事者としての郵政省が、団体交渉で拘束されるだけではなくて、政府も、これに拘束されて、予算化を義務づけられるというふうにするためには、やはり第三者の仲裁等をもらうのが正式なやり方じゃなかろうかと思います。  しかし、今申し上げましたように、付加的な超過勤務とか一時的な給与につきましては、これは、もう弾力条項を、収入見通し等で、郵政省が当事者としての拘束力だけで、大蔵省から発動してもらうということは多くあると思います。
  257. 横川正市

    横川正市君 もっとはっきり説明してもらいたいと思うんですが、弾力条項の発動で、本俸に関係のあるものは、仲裁裁定をもらわなければ移流用できないと、こういうふうにお考えになっておるんですか。
  258. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 基本給につきましては、そうだと思います。  ただ給与総額をいじりますときに、三つ例があったかと思います。これは果して、私が説明するのが筋かどうか疑問でございますが、裁定があったときの条項、それから弾力条項を発動する場合、それからその予算の基礎になっておるところの給与準則を変更する場合、たとえば、予算上何人も認めて、扶養手当は、一人幾らときめておった。ところが、当該年度に限って、非常にたくさん出産があったというようなときに、それは給与総額は変更できる。こういうような規定もあろうかと思うわけです。  そこで、何といいますか、正式にベース・アップをしていくというようなときには、やはり正式のルートをとるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  259. 横川正市

    横川正市君 正式のルートということは、それ一つしかないということを正式のルートと言うのか、それとも、私は、紛争解決の場所というのは、団体交渉と調停、仲裁という段階があるんであって、そのいずれの場所にあっても、双方が合意をした場合に紛争は解決する。だから、給与の場合は、仲裁に行かなければ絶対にだめだという、そういう何かきめられたものがあるのですか。
  260. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) その点について何かはっきりきめたものがあるというふうに私は存じておりません。あるいは主計当局その他、あるのかも存じませんが、ただ、あの予算総則の規定によりますと、だれが読みましても、はっきり給与総額をふやすときには、仲裁裁定があったときだけと、あまりにもはっきり書いてありますので、私たちは、そういうのが基本的なやり方であろうと、そういうように了解しております。
  261. 森中守義

    森中守義君 ちょっと人事部長に、一、二問聞いておきたいのですが、この場合は、金じゃないのでしょう。あなた方が出せないとおっしゃっておることは、今まで、たとえば加藤事務次官が仙台の方に出張した、そのときに、全郵政、全特定には出す、全逓には出せない、こういうのが新聞記事に出た。それが、たまたま前寺尾郵政大臣が、われわれにさっき光村委員が言ったように言明をしたあとですよ。これが一つ、われわれ納得できない。さっき鈴木委員が、そういうことをだいぶ詳しく言われたので、繰り返して申し上げませんがね。  そこで、結局、人事部長に聞きたいのは、金ではない、問題は、その裁定が出ていないから出せないんだと、こういうさっきからの説明でもあれば、それじゃ機労はどうなる、こういう問題になってくる。機労の場合には、さっき野上委員が言ったように、数としては少い。まああなたも、それはほかのよそさんの会計だから、内容はわからぬけれども何とかしたんだろうと、こうおっしゃると、筋としては、機労でも、裁定がないのに出たということであれば、全逓だって、出そうというあなたの意思があれば、大蔵省に対しては、私は言えると思うのです。  ところが、そういったような本筋は、大蔵省に言わないでいて、今のように総則の問題が出てきたり、準則の問題が出てきたり、筋としては一体どうなんですか。機労という前例があるのに、全く、これは同じケースです。
  262. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これは、仲裁裁定が出ましてからの国会の問答、あるいは郵政省の現在の気持というものは、できるだけ全員に出していきたいということであります。しかし、予算総則の規定で、仲裁裁定がないと給与総額はふやせないということになっておりますので、その財源をふやす方法を考えていきたい。  そこで、機労の場合にはやって全逓の場合はなぜやらないのかというお話でございますけれども、国労の場合だと、四十万の人に対しては裁定が出ておるから、給与総額はよそからふやせた。ところが、機労は、ごく少い数でございますので、その中で、何かやり繰りしたのか、そうじゃないかと私は思っております。ところが、全逓と全特定の場合に考えますると、裁定をもらったのは、ほんとうに両者合せまして一万五千そこそこだろうと思います。その人に対する金は、当然予算はふえますけれども、全逓に対する十億程度の金というものは、これは、ふやす方法がないのだと、従って全逓でも、やはり裁定を受けられることにして御協力願ったらいいじゃないかということをさっきから申し上げておるわけであります。
  263. 森中守義

    森中守義君 そこがやっぱり違うのだ。私が言っているのは、筋としては、裁定が出ていないから、郵政は出せないとおっしゃる。ところが、機労と同じだ。郵政も書簡がついてきた。だから、金の多い少いじゃない。
  264. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 裁定がないから、機労や全逓には出せないと、こういう言い方はしておらぬわけです。出したい。出したいけれども、裁定がないと、給与総額がふやせない。だから、新たな裁定を実施するわけでございますから、新たな金がいるわけです。その金を差し繰りするかなんかでやってしまうことになりますと、共食いになってしまいますので、新たな財源が当然要る。その場合に、予算総則で、裁定があると、その財源がふやせるというふうになっているわけです。  したがって、国鉄の場合には、全体で四十五万の職員がおりまして、四十万については、裁定が出ましたので、その金はふやせた。そこで、その一割ぐらいの機労の人ですから、それも一緒にめんどうを見て上げる。それから、私たちのほうは、一割未満の人にだけ裁定がありましたので、その分の財源はプラスになりますけれども、残りの二十二万の人に対する裁定がありませんので、どうしても行政的には給与総額をふやす道というのは、直接開かれていない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  265. 森中守義

    森中守義君 これは非常に大きな問題だし、あなた方も、よく慎重に、こういう所へ引っ張って来られたと見えるから、機労の実情をお聞きになっておると思う。  そういうことになれば、予算総則というのは、これは、やはり国鉄も郵政も同じでしょう。だとするならば、機労で十三条、郵政で十三条ということは、何ら変りない。だから、私は、やはり金のあるないでなくて、裁定あるいは機労の書簡ですね。裁定はないけれども書簡がある。それを理由にして、内輪で差し繰りをしたのか、あるいは総則十三条によったのか知らんけれども、やっておる。郵政だって、金が多い少いというだけの問題です、筋としては。裁定は出ていないけれども、書簡によって機労が出しておるのなら、郵政だって出せるはずです。ところが大臣が言明したり、あるいは大蔵大臣が予算委員会で答えておるにかかわらず、積極的に大蔵省に折衝しようとしない。ただ、理由としては、裁定が出ていないから、いきおい総則十三条に関係があるからという理由で引き延ばしたというのは、明らかにILOの問題だとか、そういう一連の労働政策の上の問題だ、こういったように私は考える。  おそらく郵政省は、よく慎重に、しかもどこででも問題になっておるのだから、機労の内容を知らないで、ここまで持ってきていると思えません。機労の事情を、知っている限り説明して下さい。
  266. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) さきほどもお話のように、金のあるないだけじゃないかというお話、その通りでございます。結局、国労の場合には、四十万の人に対して予算がふえましたので、あと五万の人については、しかるべくやったのだろうと思います。郵政省の場合には、ほんとうに一割に満たない人の分が流用できるだけで、ほかの分が流用できませんので、その点で財源的に非常に困る、こういうことであります。
  267. 森中守義

    森中守義君 操作の場合には、あの十二条によろうとよるまいと、これはやはり大蔵省は認証するんでしょう、予算の執行については。そうなると、大筋として、裁定はないけれども書簡によって出るということになれば、かりに郵政省が機労のように内部の操作がきかなかった、だから給与準則をふくらますために大蔵省と話すということになれば、機労という前例があるのだから、ほんとうにあなた方が差別をしないで、しかもその他の労働問題と関係なしに、これを片づけたいということをしばしば今までこの場で言明された意思からするならば、当然大蔵省に対して、もっと積極的に、この問題については話を進めてもいっこう差しつかえるようなことはない。しかも、大蔵大臣は、予算委員会で三月三十一日に答えておる。そういう点の扱いというか、あるいは全逓に対する考え方というか、その点が片手落ちではないか、こういったように聞いておるんですが、もう一回、その点をはっきりして下さい。
  268. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 大蔵大臣もお答えになっておられますように、予算総則の規定が非常にはっきりいたしておるのであります。  そこで、私たち、いろいろ苦慮いたして、全特定をいつまでも待たせるわけにいきませんので調印いたして、全逓は、正常化するのを待っておるという状態であります。  片手落ちでないかというお話でございますけれども、そういう問題が起るということは、たびたび全逓にも連絡をいたしておるわけでございます。そういうことが起るのでありますから、何とか、そういうことが起らぬように、一つ協力願いたいということを、私の方でも、特に要望して参っているわけであります。
  269. 森中守義

    森中守義君 だから二百五十円と、その他の問題を関連して考えているところに、矛盾がある。二百五十円は二百五十円で、どうして踏み切らないか。大臣だって、しばしば言明している。また予算委員会の内容も、さっき読まれた通りです。  であるにかかわらず、しかも機労の前例があるにかかわらず、ことさらに全逓だけ裁定が出ていない。あるいはその書簡だけではだめだというようなことは、理由にならないじゃないですか。ほかに、やはり意図するものがあるだろう、こう言われても、私はしょうがないと思う、どうですか。
  270. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) たびたび申し上げますように、省は、全逓にもやってやりたいという気持であります。  しかし仲裁裁定がないと、給与総額がふやせないとかいうことになりますと、給与総額内でやりくりすると、郵政省だけの責任で、タコの足を食ってしまう形になる。タコ足みたいなことになってしまったら、将来に残す影響は非常に大きいと思いますので、やはり正式のルートを通じて、これが解決をしていきたいと、こういう気持であります。
  271. 森中守義

    森中守義君 それは、年間を通じた金のことだし、十一億かりに差し繰りで、前金か何かで出す。出しておいて、あなた方はほっとくつもりですか。そんなばかなことは、郵政省の会計はしないでしょう。経理部長もおいでですけれども、筋としてわかるのならば、十一億出して、年間の中で話はつきますよ。おそらく十一億出して、タコの足を食ってしまう、そんなばかなことは、郵政省の経理はやっていないでしょう。そういうのは理由にならないでしょう。  問題は、積極的にそのほかの問題と切り離して、二百五十円を出そうという意思があるのか。あるいはまた、さっき鈴木委員が言っているように、その他一連の労働政策として、美にわれわれから見ると、やることがきたない。そういうきたない措置をもとって、一つの労働政策をやろうとしたのではないか、こういったように、私はなってくると思う。  どうですか、これは、もう少しはっきりと事務当局としては、いろいろやってみたと……。
  272. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 事務当局としましては、何とか全逓にもやりたい、今まで待ってきたのです。  しかし申し上げましたように、どう考えましても、はっきりしておりますので、方法がない。それならば、やはり第三者を納得させるやり方で、将来の道を開いていくべきではないかというふうに考えるわけです。一方全特定、全郵政等は、裁定をもらっておりながら、その実施を半年も待たしております。これを実施しないわけに参りません。そういう点で、全特定全郵政には実施いたしますが、全逓には、正常化が近いことをみんなで待っている、こういう態度を持っております。
  273. 森中守義

    森中守義君 第三者の納得するというのは、こういうような問題で紛争が起きないということを、第三者が納得するのですよ。出すべき金は出さないで、それで問題が起きる、それで第三者は納得しますか。第三者が金を出すわけではない。第三者が納得するようなことは、こういうきたないやり方で問題を起さないように、郵政省やってくれ、こういうことですよ、国民の求めているものは……。  それをあなた方は単なる形式にこだわるというのか、あるいは他に意図するものがあったのか、ことさらに二百五十円を出さないでいて、問題を紛糾する、それでは、第三者が納得しません。その辺がやはり政務次官の政治的な問題になってくるだろうけれども、政務次官、どうです、こういうお考えを郵政省のお役人さんはお持ちなのです。
  274. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 先ほど申し上げている通りです。
  275. 森中守義

    森中守義君 どうでございますか、理由はきわめて明確になってきたのです。  要するに大蔵大臣が言明したということ、大臣が非公式な席上であったにしても、数回にわたって言明をしている。また機労にも、そういう先例はある、出したいという先例は……。これらの既成事実を重ねていって、ILOの問題をなぜくっつけなければならないか。しかも人事部長は、第三者の納得する方法、こういうお話だけれども、第三者は、ごまかして納得するものじゃない。単なる役人の形式やあるいは片意地で、問題がこじれることを第三者は期待いたしませんよ。円満な解決の方法を求めている。どうですか、私どもに言わせると、それはやっぱり、大臣と政務次官がおいでになるけれども、非常に責任のある地位にありながら、とにかく役人の言うことに……。
  276. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) いろいろお教えを伺って、勉強になったようです、私としても……。だいぶ皆さんに掘り下げ、掘り下げて、私どもの知らざることも御注意願って、非常に私には勉強になりました。  そこで、勉強になっただけじゃだめじゃないかということで、少しおしかりを受けることは覚悟しておりますが、私は、この問題を機労がどうとか、あるいはやったことに対してのやり方、あるいは郵政当局において、予算総則の上において、内輪でできるじゃないかということもあるし、それからいま一つは、森中委員の言われるごとく、ILOににらみ合せてやっているのがあるのじゃないかというように考えられることも、また一理あることと思います。  そこで、実は佐方人事部長とも、私はよく話したのでありますが、八月でしたか、全逓が九州大会を終えた直後、党の何ですか、特別委員会とか何とかいう倉石君がやっている委員会がある。これが、何ものかのアドバルーンを上げて、だいぶテレビに出たり、新聞をにぎわしておったから、それは責任のない立場にある、——党としての政策であるかもしれないが——責任のない立場にあるのだから、それが何も、アドバルーンを上げることはないじゃないか、ゆえに倉石委員会というものを聞く必要はないじゃないか、問題は、同じ一軒のうちで働き、同じものを食べている姿じゃないか、それで今日、公労法の何条がどうとか、ILOがどうとかいうのでなくて、今お互いが、にらみ合っているような姿であってはいけないから、党の今の政策をどうとかこうとか言う倉石委員会に耳をかさなくてもよろしい。  そこで、それにはわれわれだけでは、とうてい片づかない問題もあるであろうから、むしろ先輩の皆さん、それらの党に、ものわかりのいい人があるだろう、たとえて言えば、光村先生から、今御指摘のありました寺尾さんが前大臣であられた、これは、身をもって私が責任を負って立ちます、こう言われた人もあるだろうし、その前には、非常にものわかりのいい、郵政行政には非常に御努力下すっている元大臣であられた田中角榮君もおるじゃないか、それらの人たちの意見も聞き、御心配にもあずかって、そしてこの問題は、早く急速に解決をつけなければならぬ、それには、全逓と当局とだけではでき得ない、そこで参衆議院の逓信委員会の皆さんにも御配慮、お力を借りて、そして前郵政大臣、元郵政大臣であられた方々にも、まず御心配にあずかって、一日も早く正常化して、お互いが話し相手になれるようにしなければならないのじゃないか、それには今の倉石委員会は、アドバルーンを上げて、自分だけスタンドプレーをやればいいかもしれないけれども、それでは、実は摩擦というものが大きくなる一方だから、あまり聞いてくれるなというので、私自体も、あまり聞きません。私自体も、一度も行ったことがない、呼び出しがあったが……。こういうことで、佐方人事部長も、この問題の解決については、ずいぶん苦心いたしておりますが、その機が、今日見出せないということは、まことに残念に思っております。  幸い、きょう御指摘をあずかりまして私にも心強さを持ったのでありますから、私の言葉として言うならば、ただいま皆さんから御指摘——光村さんから、前郵政大臣の寺尾さんが言明された言葉、そして鈴木委員からも、三月三十日の予算委員会で大蔵大臣の言明された言葉——それらを全部、十分私が刻み込んで、脳裏に入れて、そして御期待に沿える段階に、私が活動しなくちゃならない立場と義務がある、このように私は考えておるのです。  どうか一つ、本問題は、きょうここで、どうせよ、ああせよと申されるよりも、しばらくの間のお時間をおかしを願いたいというのが私のお願いなんです。そして希望のかなえられるような段階に早くしたい、こういうのが私の今のほんとうの心情であります。  ただいま森中委員からの御指摘のようなことも、十分私は教えにあずかって、感謝しておるような次第であるから、何とか軌道に乗せ、解決を見出すようにしたい。これのみを私の在任中の一つの仕事としていきたい。在任中と言っても、来年の六月なんという、ばかなことは申さぬ。きわめて近い時間に、どうか皆さんのお力をかりて、気持いい方向に持っていきたい、これのみを今、念願しておるような次第であります。
  277. 横川正市

    横川正市君 真情あふれる政務次官の意見の吐露があったわけで、私は、それはもう少し、やはり具体的にやれる方法というものを、これを聞かないといけないと思うのです。  ですから、政務次官北海道へ旅行されて、札幌で記者会見をしたのを私ども新聞発表で知りましたが、九月中には何とかなるよというふうに、記者会見をされておったようでありますが、もうすでに十月に入っておるわけであります。それから、そのときは全特定、全郵政との調印行為は、まだ行われておらなかったのですが、その後、調印行為が行われておるという情勢の変転があるわけです。ですから、私は、もう少し政務次官の裏づけとなる、われわれが期待してもいいという、裏づけになるものが明確にされるならば、これは大へん私は、きょうの委員会は、実があったということになるんで、その点についてお伺いしたいと思います。これは、政務次官であります。  それから、人事部長にちょっと、これは間違いなら間違いと、はっきりしておいてもらわないと、答弁が何かあとで、でたらめで了承しておったんだろうと言われると、私どもも困るわけですから、そういう点で明確にしてもらいたいのは、国労と機労との関係は、これは明確に登録組合として違うんですね、性格が。これは、国鉄労働組合と動力車組合といいますか、そういうふうに明確に違うのです。そこで、仲裁を実施する場合、交渉代表者の形態からいって、国労に仲裁が出たものは、それが国鉄職員の全体のうちの何割かを占める、たとえば四分の三とか、二分の一とか、そういったものを占めているから、その影響で機関車労働組合に対しても、弾力条項を発動して、そして給与上の債務を履行した、こういうふうにあなたの方で言っているのか、それとも、先ほどのように、四十万もある中からしぼってみたら、五万のやつが出てきた。それで、動力車のやつは実施したんでしょう、こういうふうに言われておりますと、後者の方は、これは、まあおそらく不可能なことなんじゃないかと私どもは理解をするわけですが、この点について、人事部長の先ほどの意見は正しいのか、それとも、間違っておるのか、はっきりしていただきたいと思います。
  278. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私から答弁いたします。  横川先生からの御質問、まさに私、九月中に解決のでき得るめどを発言いたしました。また、できるのだ、こういうふうに言明しました。まさにその通りであります。  それは、今の全逓と郵政当局との間というものは、一つも話の広場というものがない、話し合う機会というものがない、現在の段階では。ですから、あなた方のようなりっぱな先輩各位の方々に御心配していただいて、そうして話の広場を作っていただきたい。これができるならば、私は、話し合えば必ず、ものの解決はできるという考えを持っておるわけです。また、そう解決をつけるのが当然なんです。そこで、九月中にはできるであろう、このように申し上げましたが、今日、いまだ話の広場というものができ得ない。  そこで、今私が、その意図は一体どこにあるか、こういうことを申されますが、その話の広場まで、あなた方にお作りを願って、先輩であるあなた方に、経験者であるあなた方に、話の広場を作っていただいて、お互いにひざを交え、くつろいだ気持で、ほんとうに話し合っていただきたい。そのとき、私の持っておる私案とか、あなた方の持っておるお考えとかというものをお互いが話の広場で、しっかり、ゆっくりと御尽力と話をさしていただけば、でき得るものである、このように私は考えておるし、また、そうさしていただきたいというのが、私の考えておることであって、そう願いたいと熱望しておるゆえんであります。  ただ抽象のように思われますが、こういうことを考えておるのだといえば、これは、議論になってしまって、また、この委員会が、何時間やっても同じだということになる。  そこで、経験ある、手腕ある皆さんの御心配にあずかって、どうか話の広場を作っていただきたい。これが解決の唯一のめどだ、このように私は考えております。
  279. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどの御質問につきましては、私が申し上げましたのは後者の方であります。従いまして交渉代表者であるとか、四分の三を占めているという理由ではございません。
  280. 横川正市

    横川正市君 後者であるということになりますと、もちろん、行為を行なった当事者では人事部長はありませんから、ただ同じ行政部門で、その所属は違っておりましても、国鉄当局の行うことと郵政当局の行うこととが、それほど天と地と違うわけはない。  そこで、後者である場合は、四十万の仲裁裁定の金が、機労の五万に支給できるだけの幅と、それから内容をもって国鉄労働組合側の仲裁を実施したということになるわけですが、そういうふうに理解していいですか。
  281. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) そのことと、あるいは中で少し差し繰りがあったかどうかわかりませんが、私が先ほど申した通り、後者の方であります。
  282. 横川正市

    横川正市君 差し繰りということになると、先ほどあなたの言ったように、基本的な給与については、仲裁裁定がなければできませんという意見と、これは言葉じりになるかもわかりませんが、いささか違うわけなんです。  それからもう一つは、四十万の単位組合に出た仲裁を、五万の単位組合である機労に及ぼすということは、私はおそらく、できないというのが、あなたの考えじゃないかと思う。それをなぜ、国労だけでやったじゃないかと、あなたはお答えになるか、その点を明確にしていただきたい。
  283. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) それは、公労委の会長から国鉄総裁への書簡というものが、この裁定は、国労に対するものであって、機労に対するものではないのだ、しかし、機労にも、国労並みのことをやってほしいというふうに勧告がございましたので、国労に財源措置ができて、やったと思います。
  284. 横川正市

    横川正市君 その通りだと思うのです。   そこで私は先ほど、たしか野上委員からも質問があったと思うのですが、公労委の栗林会長から仲裁裁定が出されたときに、出されて全逓側の問題も解決しなさいという文書の問題なんです。これの取り上げ方の問題、私は、これは事務当局は先ほどから、仲裁は全逓にも実施してやりたい、これはもう非常に熱意ある気持で善処をしたが、どうにも解決の方法がない、それにはやはり仲裁をもらわなければ、いけない、こういうふうに言っておるわけですが、私は今の機労の問題と関連して、この文書は、およそ国労に出された仲裁に付属して出された機労に対する文書と同質のものというふうに私たちはとっていいのではないか。私は、これは憲法論議をするつもりはないのですが、ちょっと憲法の解釈の一、二を読んでみますと、今の政府のとっておるのは、結局自然法というやつを、だれしもが認める形というものを、条文にはないけれども認めていこうという、そういう形で憲法解釈をしているようです。そうすると、今の仲裁裁定の中で、少くとも実施したいという気持が先行しておって、そして団体交渉再開に兵糧攻めにしてやろうと、あるいはこれをやれば、三役は解決するのじゃないかという対抗的な効果をねらわないで、あなたたちの方が、この仲裁裁定の文書を読んだら、これは私は、機労に実施したのと同じ結果が出てくるのじゃないか。その場合に、おそらく省側は四十万対五万という数字を言うでしょう。しかし私は、これは予算上の問題で、一人だろうが十人だろうが、一人だろうが百人だろうが、国家資金の出される道というものは、そういい加減なものじゃないと思う。そういう意味合いからいうならば、これは一万だろうが十万だろうが、その違いというものは、大よそ理論的に私は説明されるものだ、こういうふうに思うわけなんですが、どうも、先ほどからの部長の答えでは、どうもつじつまが合わないようなんですが、その点、少しはっきりしてもらいたい。
  285. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 全逓に対して、全特と同様の裁定を実施するようにという書簡は、これは国労の場合と全く同じだと思います。  ただ先ほどから申し上げましたように、数的な比率が非常に違う。しかも郵政省の場合におきましては、人件費のやりくりも、なかなか容易でございませんので、そこで私は、裁定をもらってきてもらわないと困る。いわゆるタコ足的な給与になってしまってしかもそれは郵政省が自分の責任においてやることになってしまいますと、翌年以降の問題に影響をもってくるんじゃないかということで、私は基本給については、やはり第三者の仲裁で、そういうことをやっていきたい、こういうことを申し上げたのであります。
  286. 横川正市

    横川正市君 それは、今の人事部長の答弁は非常に苦しい事務当局の答弁だと思うのです。  だから、これは政務次官のおそらく私は責任範囲だと思うのです。なぜかというと、郵政当局は全逓との間で二百五十円の問題は解決をしたい、しかし今言ったように、比率の問題その他でできなかった、これは私は、政治的な解決の場所をあなたの方で求めてやらない限り、事務当局はしゃちほこだっても、これは無理な問題です。  その事務当局の無理な問題を政治的に解決してやる場に、はしなくもあなたが先ほど言われましたように、自由民主党の中の政府とは違う形で、倉石委員会というものが作られて、その圧力をかけて、その圧力を事務当局が受けておるというふうに、私どもは直観的に感ずるわけですよ。  そうすると、この問題を解決したいという熱意は、少くともその責任の大半は、私は大臣、政務次官にある、こういうふうに思うわけですが、あなたは、先ほど言った具体的な解決の方法として、倉石委員会なるものの正体を暴露して、本問題の解決のために、最善の努力をするということは、この意向を、事務当局に対して排除してやることだと、こういうふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  287. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 御指摘の問題については、まさにその通りで、党の政策とか、そういうものは、当局をあずかっておる以上は、私は、党の政策も尊重しなければなりませんが、今の場合のものの解決の目途をつけるためには、耳をかさないでおるつもりであります。ですから一応人事部長にも深入りをして聞かないでくれ、また聞いてもおらないようであります。たまには聞くが、うわのそらで聞いておいてくれという程度で今はおるから、それは、私の言うことは間違いないと思います。
  288. 光村甚助

    光村甚助君 きょうも、うわのそらで聞いておるんじゃないか……。
  289. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 光村委員には、いつもお叱りを受けますが、いつも私はそう申して、むしろ当局も、一日も早く話の場を作るようにしていかなければ、この年末に差しかかって大きな問題があるがどうするかということで、実は悩んでおるのが現実です。どうか、党の政策のことは、私は、耳に入れておりません。
  290. 横川正市

    横川正市君 そこで最後に、一つ明確に確認しておきたいと思うのですが、今までるる私の方と、それから人事部長との間の意見のやりとりで明確になりましたように、全逓に仲裁裁定を実施できないのは、これは比率の問題である、こういうことに、大体結論がなったわけなんでありますが、この点について政務次官から、明確に一つ確認をしておいていただきたいと思います。四十万対五万という比率です。一万対二十二万という比率ですよ。
  291. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) 私は、一人であろうと万人であろうと、私は同じように解釈しております。昔のことわざに、五本の指のうち一本切って痛くないか、五本みんな切れば痛いのかとよく言われますが、一本の指も、五本の指もみな同じことだと思います。(「それは実施するということになるのか」と呼ぶ者あり)私は、実施することに最大の努力をする、もしできなかったら、私は私だけなりの進退を決する決意であります。
  292. 野上元

    ○野上元君 ちょっと速記をとめて下さい。
  293. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  294. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を起して。
  295. 野上元

    ○野上元君 先ほど冒頭に申し上げましたように、本仲裁裁定を実施することによって郵政省に働く職員の中に、大きな給与上の差別ができる、こういうことが明らかであるので、われわれの見解としては、そういう裁定を実施することは、これは違法である。従って、藤林公労委員長の勧告を同時に実施するならば、この仲裁裁定も同時に私は生きてくると思うんだが、その点について、人事部長の見解を求めたい。
  296. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げておりますように、仲裁裁定が出ませんと、何といいますか、郵政省は義務を負いません。しかし義務を負いませんけれども、何とかみんなに出、したいという気持は、十分持っております。しかし裁定がないために、給与総額が増加できないということで、今当分、実施はできないのであります。  しかし一方、当然裁定をもらった組合に対しましては、われわれは義務を負うわけであります。これをいつまでも遷延することはできないんじゃないかということで、全特定と全郵政とは調印いたしました。そして、全逓とは、調印できる日を待っておる、あるいは裁定同様の給与改訂のできる日を待っておる、こういう気持であります。
  297. 野上元

    ○野上元君 私も、仲裁裁定そのものずばりが無用であるというところまでは考えてはおりませんが、しかし少くとも、その裁定を実施するために、大きな格差が生まれるということは事実なんだから、その点については、それは郵政省は、この仲裁裁定を実施することを保留し、そして紛争解決まで待つと、こういう措置は、どうしてとれなかったんですか。
  298. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げますように、すでに裁定をもらっておる組合というものを、もう一口、大きな方が、なかなかやれないからお前は待っておけということは、そういつまでも待っておるわけにはいかないんじゃないかということで、裁定があったところは、調印して実施しているということになっておるのであります。
  299. 野上元

    ○野上元君 かつて全逓に裁定が出、そして協約が調印されて実施された場合に、非組合員も同時に何らかの措置によってこれに見合う引き上げが行われておるんですが、今回、全逓の組合員でなくて、しかもいずれの組合にも入っておらない諸君に対して、どういうふうな措置をとられたか。
  300. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) いわゆる未組織の人につきましては……。
  301. 野上元

    ○野上元君 あれは非組合員ですね、管理者的。
  302. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 問題は二つございます。未組織の人については、実施いたしません。  それから管理者につきましては、御承知のように、これは仲裁裁定は、本来出ないものなんです、そういう制度になっておりませんから。郵政省としては、これはいつかは当然実施しなきゃならぬ問題だし、それを実施してやることが、当局の義務だと、こういうふうに考えておりますけれども、今当面は、とりあえず裁定を実施していく、裁定の出たところだけを実施していく、こういうつもりでおります。
  303. 野上元

    ○野上元君 今日まで、全逓に出た場合には、直ちにそういう法的措置が行われたんですが、仲裁裁定を、今回の全特定の場合にのみ待っておるというのはどういう意味なんですか。政治的意図に基くんですか。当然やるべきじゃないですか。
  304. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げますように、われわれの義務として、当然やるべきだと思いますけれども、とりあえずは、裁定が出たところを実施するのだというスタートをいたしております。両者だけに対して差し当りは実行していきたいと思います。
  305. 野上元

    ○野上元君 そうすると未組織の者と今言った非組合員との給与ベースの引き上げは、いつやろうとするのですか。
  306. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 今後の推移を見て考えていきたい思っております。
  307. 野上元

    ○野上元君 今後の推移というのは、どういう意味なのですか。あなたの方は、当然やるべきじゃないのですか。そうしないと、組合に加入しておる、あるいはおらないからと言って、差別待遇をしてはならぬということになっておるのですから、そういう法律に私は触れてくると思うのですがね。どんどんやられたら、どうなんですか。
  308. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) おっしゃったような、いろんな問題が出てくると思いますが、今後の推移の中には、野上委員の格段の御協力を得ることもあろうかと、こういうふうに考えておりますので、慎重に推移を見ていきたい、こういうことであります。
  309. 野上元

    ○野上元君 私は、仲裁裁定を現実に実施できないと思っておったのです。手続上から見ても。ところが、やられている。非常に苦心惨たんしてこれを作られておるようですが、ここで言う事業場というのは、どういうことなのですか。
  310. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) たとえば、一つ一つの事業場、極端に言うと、一郵便局ごとに、こういうふうに解釈しております。
  311. 野上元

    ○野上元君 それでは、ある郵便局の局員の中に、たとえば全特定が四分の三であった場合には、それは全局員に及ぼす。ある局では全特定が四分の三に満たない場合には、全局そこには引き上げをやらない、こういうふうにきめたわけですか。
  312. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 法律の解釈には、いろいろ問題があるようでありますが、当該主管の方と打ち合せました結果、全特定が四分の三でありますときには、そのほかの全特に入らない人がおりましても、そこに実行する。逆な場合には、実行しないというふうなことにいたしております。
  313. 野上元

    ○野上元君 私は、そこが非常に問題があると思うのです。あなたの方が、この仲裁裁定を実施するために、法律の目をくぐってやられたという形跡が非常に強いのです。私が事業場と考えるのは、労働協約が締結されたときに及ぼす、その労働協約の効力が及ぶ範囲、これが私は事業場だと考えるわけです。  そういう個々ばらばらの郵便局事業場だという、あなた方の最近における主張は、過去における主張とは、全く私は違うのじゃないかと思うが、その点最近変ったのですか、見解が。
  314. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この問題につきましては、私は、法律の目をくぐってというのじゃなくて、法律の正規の解釈の通りに実行しておる、こういうつもりでおります。
  315. 野上元

    ○野上元君 それは、あなたの非常に苦しい言いのがれだと思うのですよ。  そういうふうにかっては一郵便局の、たとえば全逓の組合員が要求をした場合に、当局の所属長に、それは全逓本部との関係でありますから、あなた方には、そういう権限がないのだ、事業場というのは、郵政省全体のものなんだ、こういうふうにあなた方は今までは言っておられたのですが、急にこの仲裁裁定を実施するに当ってそういう解釈を乗り越えて事業場だけということを、局単位に事業場という解釈をされることについては、どうもわれわれ納得できないのですがね。
  316. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 一箇の局ごとに団交するわけじゃありません。それは、あくまでも全特定本部、あるいは全郵政本部と本省とで協定しまして、その適用されるところは、全特定の四分の三のところは、全特定員でなくても施行する、こういうことでございまして、個々の局ごとにやるわけじゃない、ただし、その四分の三という解釈の場合の事業場というのは、個々の郵便局、こういうことでございます。
  317. 横川正市

    横川正市君 関連して。  「「昭和三十四年四月一日以降の俸給制度に関する協約中一部改正に関する協定」の実施に関する覚書」この四項、五項、六項の各項について、現在の事業場の、それぞれの給与を受くべき組合員の範囲、いわゆる全特定の、ないしは全郵政組合員の範囲を所属長が、それぞれ最終的にはこれは決定をすることになっておるようなんですが、その四、五、六のこの協約の趣旨を、私どもは非常につかみかねるわけなんですが、今の事業場決定の問題と関連性がありますから、説明をしていただきたい。
  318. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この協約関係につきまして、土生審議官から答弁させていただきたいと思います。お許しを得たいと思います。
  319. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 御承知のように労働組合法十七条というものがございまして。それによれば、労働協約は四分の三以上の組合員と労働協約がある場合には、その事業場の全部の職員に、その協約が拡張適用されるという規定があります。  その規定をそのまま適用してもいいわけですが、末端においてまたいろいろ解釈上の食い違いが生じて、その紛争が起きないように本省と、それから全特定と全郵政本部とにおいて、その法律の解釈を相互に確認する意味合いにおいてその覚書をとりかわしたのであります。そういう趣旨であります。
  320. 横川正市

    横川正市君 これは、相互に確認した文書になっておらないですよ。たとえば「六、所属長は職員から届け出をうけた場合等は、名簿その他の資料に基いてそれらにかかわる職員が裁定実施職員に該当するか否かをすみやかに決定するものとする。」いわゆる決定権は、所属長にあるわけですよ、この覚書からいけば。これでいくと、一項の協定付則第五項というのは、この項目に対して労組法の十四条は、どういうふうに関連させて考えたのですか。
  321. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) ただいま、ここに条文を持ってこなかったので……。ちょっとその覚書を見せていただきたいのですが。
  322. 横川正市

    横川正市君 どうぞ。
  323. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 労組法の十七条の規定の適用によって裁定を実施しなければならない職員というのは、法律上からいえば、自動的にきまるということにもなるわけです。しかしそれのやはり認定権といいますか、それについては、やはり組合は所属長に決定権を認めたと、こういう趣旨なんです。
  324. 横川正市

    横川正市君 これは、もう明らかに決定をする場合には、不当取扱いについては、係争が起った場合に、その請求を相手側に与えたという、法的な一つの根拠を相手側に明確に与えておるとかなんとかという、そういう一つの説明もあろうと思うのですが、これは明らかに私は組合介入、不当労働行為というような行為が、この中にきわめて濃厚だというふうに読むわけなんですが、この点について、労組法の第十四条でいきますと、「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。」という、その協約の、これは覚書でありますけれども、発効の条項に、私は違反をすると、こういうふうに考えるわけですが、この関係と、どのように解釈をされてこの十七条の適用をこのような条文で表現されたのか、もう少し詳しく一つ説明していただきたい。
  325. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) この点は、結局こういうことであります。全特定の組合員、あるいは全郵政組合員というものは、今までは、別に局としては、そういう名簿はないわけです。それで組合から届け出さして、あるいは本人からの届け出だけで、給与を支給するということもどうかということで、それをきめるための手続というものを、どうしてもきめなくちゃならない、その手続をきめただけでありまして、何らそのほかに意図はないわけであります。
  326. 横川正市

    横川正市君 意図があるかないかということを、ここに条文として現わしておるのじゃないわけですね。ことに法律事項というものは、締結してしまったときの意思というものとは、全然別個の意思で歩くわけです。ですからその歩く一番危険性というものは、その協約を結んだ当事者間の意思というものが、当然協約の中に生きてこないで、片方だけの意思が動くということは、これは、もう明らかに組合に対する介入だと考えられても仕方がないということを、私はこの覚書締結後の解釈として生れてこないかと、この点について、省側はどういうふうにお考えですかということを聞いておる。  これは、締結したときの意思は、こうだったといったって、協約を結んで上まったあとには、協約は一人歩きをして、そして第三者が判断をする場合には、いろいろとこれは生れてくるのは当然なわけです。そのことを締結当時の精神だということで、所属長に、すべて支給すべき範囲内を決定する権限を与えたということで、これで、あなた了解するということはないと思うのです。
  327. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 所属長が、ただ何にも根拠なしにきめるということでなくて所属長は、本人の届け出、あるいは一方全特定の組合からは名簿が提出される。その届け出と組合との提出された名簿とつけ合わしましてそうしてその全特定の組合員、すなわち裁定を実施する組合員に間違いないということを確認するというその手続でありまして、所属長の意思によって組合員を減らしたりふやしたりするというようなことは、結果的に起り得る余地はない、かように考えておるわけであります。
  328. 横川正市

    横川正市君 土生さんは当事者で、これはたしか文案作成者の責任者ですから、そのときの趣旨を説明されているのだろうと思うのですが、私はそうではなしに、この六番目の趣旨というものは、最終的には給与、いわゆる仲裁裁定による給与の実施をして給与を与える職員というものの決定権というのは、所属長が持つのだと、こういうふうにこの六というものは読めますというのですよ、それは一体、そういう場合に、おそらくこれは全特定は、判こを押したのでしょうが、それを認めたと、こういうふうになっても、たとえばこれは係争事項になった場合には、明らかに管理者の組合介入ということにならないか、この点を聞いておるわけです。  それはなるかならないか、あなたではだめだ、だれか法律顧問でなければだめだ、あるいは裁判所へ持っていかなくちゃいけない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、その点は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  329. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 「所属長は職員から届け出を受けた場合等は、名簿その他の資料に基いて、それらにかかわる職員が裁定実施職員に該当するか否かをすみやかに決定するものとする。」ちょっと字句としてはあまり適当でなかったかどうか知りませんが、この決定というのは、結局事実認定という趣旨であります。
  330. 横川正市

    横川正市君 私は、あなたの趣旨からいけば、これは全特定側の役員と、それからその事業場における職場の長とが協議をして、そして明確になったものを両者でこれを確認し合う、こういう趣旨だろうと思うのです。一方的にその仲裁実施の債務履行を履行するのに、所属長の決定に待つというような考え方というものは間違いだと思うのです。  まあいずれにしてもこの点については、私はここで明確に間違いだ、ああそうでございますと、こういうふうに認めなければ承知しないというわけではないのですが、この事項は、多分にそういうような内容を含んでいる、こういうことを指摘したいと思うのでありますが、同時に、先ほど野上委員の指摘されたように、この事業場の認定なんです。これは基準法によって、三六協定その他の締結をする場合の事業場というのは、基準法に明確に、それぞれ結べることになっておる。しかし全逓の場合には、これは上部機関が結んで、基準法によるところの時間外勤務については、それぞれの事業場に及ぼすと、こういうことに私はなっておると思うのです。  そういう建前からして、今二つ問題がありますのは、たとえば仲裁裁定というのは、全特定従業員組合ないしは全郵政従業員組合に、これは一括しておりたものです。これはだれが何といっても、全郵政あるいは全特定に加盟している組合員の利益をチェックするわけにはいかぬと思う。それなのに、たまたまここに労組法十七条をもってきてチェックをした、これは、私は少くとも職員に平等な賃金の形というものを行なったのではなくて不平等な給与を職員に与えた、こういうふうにならざるを得ないのでありますが、その点について、まあ実施された省側としては、どう考えておりますか。  同時にこれは、私は仲裁裁定をもらった全特定で、仲裁裁定実施をされない、これに対する債務履行はどのように行なうつもりですか。それからもう一つは、これは、もうすでに条約として結ばれております九十八号条約の第二項に、これは差別待遇をしてはならないという当面の条約のこれに抵触をするというふうに考えるわけですが、この点について、これは土生さんがお答えになるよりか、人事部長のお答えの方がいいのじゃないかと思うが、その三項目は、人事部長からお答え願いたい。
  331. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 最初の二点について、お答えいたします。  第一点の問題でありますが、その点につきましては、労組法の主務官庁であります労働省とよく相談いたしましてそしてそのような措置をとったのでありまして労組法十七条は、強行規定でもありますし、われわれ今回とった措置が労組法十七条にぴったり適合するということを十分確認した上で実施したのであります。  なおこれによって全特定の組合員では、裁定は実施されない少数の人が出てきますけれども、これについては、別に省としては救済措置ということは考えておりません。  次の第三点でございますが、九十八号は不当労働行為の規定、これは、労組法の十七条の国内法で規定されているわけであります。この点についても別に違反しないという結論に達しております。
  332. 野上元

    ○野上元君 人事部長にお聞きしたいのですが、これは重要な問題で、将来に禍根を残す問題だと思うのです、この事業場の問題は。だからお聞きしておきたいと思います。  あなたの解釈を今後遂行されていくということになると、永久に組織に入らない組合は、仲裁裁定が出ないということになれば、それがその局の大多数を占めている、四分の三以上を占めている場合には、永久に仲裁裁定の実施は行われないということになると思うのですよ。この点は、非常に私は重大だと考える。で、過去において、全逓が妥結をし、そして仲裁裁定を実施した場合において、全逓が今までほとんどの局において四分の三以上を占めておったからいいのですが、今後全逓の組合に入らないというような局があった場合には、そのあなたの事業場という考え方からいくと、その事業場に所属する職員には、仲裁裁定は及ぼさない、こういうことになると思うのですが、それでもいいですか。
  333. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 将来、全逓とも正式な団交ができ、そういう時代になりましたときには、当然全職員に実行するつもりであります。今だって、正式に団交したいつもりであります。当然郵政大臣が給与準則を作りまして、全職員に実行するようにいたしたいと思います。
  334. 野上元

    ○野上元君 仲裁裁定が出ておらないから、できないのですよ。その人に仲裁裁定が出ておらないのに、給与準則を実施するのは、おかしいじゃないですか。
  335. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私は、何らおかしくないと思います。仲裁裁定が出ておらないけれども、全逓にもやりたいのだ。しかし仲裁裁定が出ていないために、給与総額がふやせないのだということを私は申し上げているだけでございますが、将来大多数の人に仲裁裁定が出て参りますときには、それはごく一部の未組織の人は、省としては、給与準則を作ってやっていきたい、こういう気持であります。
  336. 野上元

    ○野上元君 それを詭弁だというのですよ。全逓が、将来あなたの言うように正常化して、協約を結んだ場合には、全逓が協約を結んだその協約の及ぼす範囲をもって、事業場とみなす。そしてその四分の三以上全逓があった場合には、全職場に及ぼすのだ、こう言うのですよ。  ところが今回の場合は、そうじゃないのだ。今回の場合は、個々の局に、その事業場というものがあって、そして全特定が、その局で四分の三以上なければ、その局には実施しないのだ、そういうふうに勝手に解釈するということは、明らかにそれはおかしいのじゃないか、法律的見解から見て。
  337. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほど申し上げておりますように、給与総額をふやす場合には、その金額の比率の問題が、一番ガンになっているということを申し上げておるわけです。ということでございますので、私は、何ら論弁を弄しているわけではありません。
  338. 野上元

    ○野上元君 それは給与総額がないから、今回に限って事業場を局におろした、こういうことになるのです。だから給与総額があれば、事業場は、また全郵政に広げる、そういう勝手な解釈というのは、成り立たぬじゃないかという考えです、どうしても。
  339. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) どうも繰り返すようでございますけれども、別に、勝手なことを申し上げるわけではありません。
  340. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと人事部長、あなたの、さっきからの御答弁で、僕はわからんのですが、というのは、経理局長も言ったように、仲裁裁定が出ておらんので、予算の移流用ができない、こういうことが一つの筋なんですね。そこのところを一つ今までのいきさつからいって、特に仲裁裁定の当時の藤林会長の要請もあるのだから、国会との関連で、仲裁裁定が出たものとみなしてやればできるわけでしょう。さっき横川委員の質問のときにも答えられたそうですが、たとえば国鉄の場合、四十万と五万と例をとりますね。国鉄の場合には四十万の国鉄がやって、機労の五万がやらなかったが、それは比率の問題でやったのだと、こういうのですね。  しかしそれはおかしいですよ。たとえ五万であっても、国鉄の給与総額というものは、予算総則によってやはり仲裁裁定が出た場合に、それを根拠にして、予算措置が、補正予算ができなければ、既定経費の中で移流用していける。物件費を差しくってもいいということになっておる。たとえそれが、額が少いからといってそういうことをやらずに、国鉄、機労というものがやったのだというのは、これはわからんのです、どうしたって。たとえそれが五万であっても、要する金が一億であっても、七千万円であっても、当然それは移流用の金をとるでしょう。だからそこは、比率の問題でない。結局仲裁裁定の関係で、予算総則をどう動かすかということによってきまるのですから、そこのところのあなたの答弁は、要するに額が少くて移流用しなくてもやれたのだ、こういうことになると、予算総額というものは、国鉄はそれだけ、給与令か何かあったかもしれませんけれども、それでやれる場合はいいですが、そうでない仲裁裁定のときは、とても給与令にあっても、それを支出することができない建前ですから、額が少くとも仲裁裁定実施が行われたと同じような手続をとってやっておるわけでしょう。そこのところを全逓の場合も、比率でなしにおやりになる場合に、補正予算はどうせ組まれてないわけですから、移流用によってやらざるを得ないということになる。あなたの答弁は、どうも額が少いから、そこのところは適当にやったのだという答弁ですから、そこのところを、もう少し明確にしてもらいたい。
  341. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申しておりますように、私国鉄の経理当局でございませんので、はっきり何でやったか存じません。しかし少くとも四十万については、裁定が出ているから給与総額はふえると思います。しかし一割の人間について、差し繰ってやったかどうか、それは存じません。しかし郵政の場合におきましては、全特定の一万五千人についてだけは、明らかに給与総額をふやすことができる。しかし二十二万の人については、今のところ給与総額をふやすことができないということで、国鉄の場合とは、非常に違っておったのではないかということを申し上げたのでございまして、国鉄の場合には、私は、断定する立場にもございませんので、推測でございますけれども、郵政の場合には、裁定の出ていないものが多いのでございますので、給与総額をふやす道がないということを申し上げたわけでございます。
  342. 鈴木強

    鈴木強君 推定だと、あなたがおっしゃるならば、もちろんわかっているかわからないかしらないが、しかし、おそらく調べておると思う。だから給与総額の中で、ほとんどやり得た、だから、当時の機労が移流用しておる、移流用しなければできないから、そういう措置をとっている。そこで今度、全特定なり、全郵政なりやる場合に、あなた方は、予算の移流用を仲裁裁定が出ておるからやったんでしょう。だから比率の問題ではない。これは要するに、給与総額の中から出すということはもちろんである。当然それは出すべきである。しかしそういうことは、比率の問題ではない。法的に仲裁裁定というものを根拠にしてやったということは、僕にはわかる。国鉄の場合も機労の場合もそういうことをやっておる。だから残された道は、仲裁裁定が出たものとみなして、政府がそういう方針をきめてやれば、大蔵大臣と郵政大臣が協議し、承認を得てやるということになっておるので、それはやり得るということになる。だから比率の問題ではない。これは率直に言って私はそう思う。それだけははっきりしておいてもらいたい。
  343. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 仲裁裁定とみなしてということが、行政当局にできるかということだと思います。  そこで、私は事務的に考えまして、はっきり、明文になっておるのですから、決して移流用できないと思います。
  344. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  345. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を始めて下さい。
  346. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいま野上委員より重ね重ね、あるいは鈴木委員光村委員横川委員森中委員から、根強く掘り下げられまして御質問を受けました、本問題は、とうてい事務的に解決のつけ得られるものでないと1私は考えられます。  ゆえに本問題は、政治的に解決をつけなければならない。それには私は、最大の努力を惜しまず働いて、そうして御希望にかなえられるよう努力し、きわめて近い時間に、朗報がもたらし得られるようにしたい、御承知願いたいと思います。
  347. 横川正市

    横川正市君 これは、私はできれば、きわめて和気あいあいとして審議をされております逓信委員会の与野党の委員の方々に、実地を実は見ていただきたいと思ったわけでありますが、これは、きょうはかないませんので、日をあらためて実際にこの実情を見ていただきたいと思うのであります。  それは実は昨日、私たまたま足立の郵便局を見て参りました。ここは、大体が定員は百二、三十名しか入ることのできない局舎の坪数です。そこに非常勤と実在定員を合せまして三百五十人くらいいる。その実情たるや、たとえば女子職員が三十名くらいいるうちに、更衣室がありませんので、一坪くらいの女子便所を利用して更衣室に代えております。それから宿直室がありませんので、四畳半程度の小使室の畳の上に宿直をし、男子の居間になり、それから小使さんの仕事場になる、こういうような状況です。たまたま仮設されております五十五坪くらいの建物が夏になりますと、室内温度が四十度くらいに上り、上はトタンぶき、それか、木造の仮設舎であります。しかしここも、とうていこれを収容することができない狭隘な状態であります。こういうようなきわめて劣悪な状態の中で、職員というのは非常にふんまんやる方なく仕事をやっておりますが、その第一は、何かと言いますと、局長が団体交渉、あるいは話合いという格好のものにも応じないということ、それで局長の意思を私は本人からは確かめませんでしたが、いずれこれは、確かめなければいけないと思っておりますけれども、それは、大臣命令で話合いをするなと言われておるから、私は国から給与をもらっている以上、話合いはいたしません。一切職員とは口も聞かない、こういう状態であります。おそらくこのまあ作業場としては、最大の劣悪な場所にあります。足立の局で、この個々の問題で解決をしようとする能力のない局長を相手にして話合いもできないというところに職員の非常なふんまんが盛り上っておるわけです。そのことが郵便滞留の大きな原因になっているということをいろいろ昨日実地に見て参りました。行く前に郵政当局の意見をただしましたところが、郵政当局は、ここの局長は、きわめてりっぱな人で、そうして郵政当局も、これを支持しております。組合の中に、きわめて尖鋭な分子があって、そうしてそれらが紛争を起して滞留物を持っておりますという意見を聞いておったのであります。ですから潜在的には、そういう意思で、私は現地に行ったわけでありますが、行ってみて、見ると聞くとは全然違うという実情を見ております。  これは、今問題になっております団体交渉再開のために、省側は第一には、団体交渉を再開の道の一つの方法として、すべての話合いに応ずるならば、それが管理者が当然設備その他については、十分仕事ができるようにしてやらなければならない。それを全然しないでおいて、それらの要求においてさえシャットアウトをする、これは私は人道問題だと思う。ことに足立の局に、みんな行って見たらわかりますが、便所で更衣室にしているという局は、おそらくこれはほかの官庁では見られない実情だと思う。ただ、局長との話合いのできないというこのふんまんが、よりより郵便物の滞留物の処理に影響しているということは、私は非常に残念なことだと思うのでありますが、こういう事実を郵政当局は知っているのかどうか、たとえば第一としては、局舎の現況について、この実情を知っておって、なおこれを放任しておるのか、それとも、これを解決するために、何らかの措置をされておるのか。私は足立区を地図的に見てみますと、現業の局は、西に位して、ちょうど卵で言いますと、一番端に位するところです。ですから、できれば、あれは足立の現局は百四、五十名の幅でありますから、それをそのままにして、少くとも二百名以上を収容する第ニ足立局というものを速急にこれは作るべきだと、こういうふうに思って、八カ年計画の実情について聞いてみましたが、足立の局は、八カ年計画に入っておらぬというわけです。これは、私はどうも郵政当局は、実情を知らないのではないかというふうに感知した第一の理由であります。  もう一つは、局舎を建てるのに、土地を購入するとかしないとかいう問題が起っておるということをちょっと聞きましたが、それには、非常に単価が高いから買えない、そういうことで局舎の建築が延びておる、こういう場合も大いにあるようであります。しかし、もし足立の局にしてそういう実情があるならば、私は当面する地価の状況というものを十分把握をして、郵政当局は手を打つべきだ。高いから買えない、局が建てられないということでは、問題の解決にはならない、こういうふうに思っておるわけでありますが、そういう点には、何らかの処置を講じられようとしておられるのかどうか。  それから、ここは御案内のように本木町という、いわばスラム街で、人口が何人住んでいるか、実際上の国勢調査もできないという地域が集団してあるわけです。その実情を的確に数字的に把握をしておらないために、定員の算定その他に非常に大きなそごをきたしておる、こういうことが言われておりますが、実際上、東京の全区域にいわれるわけでありますけれども、この予定とは全然別箇に、どんどんどんどん、ふくらんでいく人口状態というものを解決するには、増屋の問題とかあるいは非常勤の解決の問題とか、こういったことに対して、きわめて緩慢なのではないか、こういうふうに思われるわけでありますが、それに対して、何らかの下局から、いわゆる東京郵政局から上申があり、本省では、解決のために努力をするこういうふうにやられておる事情があるのかどうか。  それからもう一つは、郵便局長が、当事者の能力の中で、すなわち支部の職員との話合いというものまでも、一切をシャットアウトしておるというふうに聞くけれども、これはシャットアウトしておるのか、していないのか。私は中央の交渉が、今の四条三項の問題で動きがとれなくなってきておるという実情が、事業所の下部の段階まで、それを及ぼしておるというのは、非常に政策的な政治的なにおいが強いと思う。  そうでなくて現場でものを解決するという場合には、現場の仕事をしやすくするという方法として当然これは管理者がとられるべきであると思うのでありますが、それをやられておらなぬと、郵便局長が言っておるが、それは、郵政当局が指示をしておるのかどうか、この点を一つ明確にしいただきたいと思います。  まあ、参考としては、時間外の職場大会を開いても、その責任者を局長室に呼んで説教するそうであります。説教されたという人に私は会って参りましたが、そういうことで、きわめて労務対策はゼロであります。こういうような実情を上司としては知っておるのかどうか、この点を一つ明確にしていただきたい。私は重ねて質問はいたしませんが、この点について、明らかにして、できれば政務次官、あすでも足立の局へ即刻行って実情を見ていただきたい。私は、もし行かれるというのであれば、お供してもいいと思います。
  348. 板野学

    説明員(板野学君) それでは、私から局舎の問題並びに定員その他賃金の措置の問題について、お答えいたします。  ただいま先生御指摘になりましたように、足立の現局舎五百七十坪でございまして、定員が二百七十二名、それに非常勤者が二十名ございまして、二百九十二名という実情でございます。従いまして、これは一人頭が二とちょっとという坪数でございまして、平均よりも、これは非常に狭い。これは私どもも、ただいまの郵便局長からも、郵政局からもよく話を聞いておりまするので、早急に一つ、分室を設置いたしたい、こういう方針をきめまして、現在敷地、土地八百坪建物にして三百坪を、年内にこれは一つ計画をして実行に移したい、こういうことで、非常に急いでおります。  局舎の面につきまして、東京のこういうところに、こういう不良なものがあるということにつきましては、私どもも、まことに申しわけないというふうに考えておりまするが、ただいま郵便局舎の八カ年計画の基本計画を拡大いたしまして、大都市におきまするこういう局舎を早急に救済していきたいというふうに考えておるわけでございます。今後とも私どもできるだけ早い機会に、この分室の計画の実現をはかっていきたいというふうに考えておりまするので、御了解願いたいと思います。  それから定員、あるいは賃金の問題でございまするが、大都会におきまする、特に東京中心といたしまして、非常に人口がふえておる、かつ郵便物がふえている、また郵便物も三種とか五種とか、非常に容量の多い、かさむ物がふえているということを私どもも承知いたしておりまして、そういう郵便物の非常に増加するような地帯に対しましては、定員はもちろん、賃金予算の特に重点的配分をいたしておるわけでございまして、東京郵政局管内の割当の約七割か八割の定員なり賃金なりが、ここに配置されるという状況でございますが、しかしながら、非常に物あるいは人口の増加の激しいものでございますので、三十四年度には、七月にも増員をいたしましたし、また今度十一月にも実情を把握しつつ、十一月の初めには増員をしていきたい、このように考えておりまして、なおただいま先生がおっしゃいましたように、各東京市内の、大都市におきまするそういうような実情を早急に把握するようにいたしまして、業務の運行上に阻害のないように、今後とも一そう気をつけていきたいというふうに考えております。
  349. 佐藤虎次郎

    説明員佐藤虎次郎君) ただいま横川委員から御指摘のありましたことにつきましては、郵務局長から答弁がありましたので、私は、その件については省略さしていただきます。  あすにも視察に歩いたらどうかということですが、私も、実はそういうところに行きたくてたまらぬのです。ところが、あす土曜、日曜をかねまして、実は七号台風のときには行って参りましたが、十五号台風で、実は愛知県の方に、名古屋に行っていたために、郷里の方の災害地にいかなかった。ですから、十日、十一日、土曜、日曜と、静岡に行って参ります。で、十二日に帰って参りますが、十三日は、ちょうど衆議院の逓信委員会があるので、できたら十四日ごろにお供さしていただいて実情を見さしていただきたいと思いますが、お許しを願えればありがたいと思います。
  350. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 実際の団交、話し合いを各事業場ごとにするなということにつきましては、御承知のように、いわゆる団交は、もちろんいたしておりませんけれども、話し合いと団交という差別が、非常にむずかしいものですから、向うの局で、話し合いと称しまして、相当つるし上げをやるというような問題もありましたので、話し合いはしないようにということを申し合せました。しかし、その間、問題によりまして、日夜同じ職場で働いている人でございますから、おのずから、そこはいわゆる団交的なものと、そうでなくて、ほんとうに問題があったときの苦情処理的なものとは違うだろうと思います。実情は、さっそく東京郵政局と打ち合せまして善処したいと思います。
  351. 横川正市

    横川正市君 ちょっと調査が違うのじゃないかと思います。局舎の正式の坪数は二百八十七・十五坪、それから仮設の木造が五十五・五坪、それから定員は、非常勤が十七名、定数非常勤が十名、短期非常勤が二十名、学生アルバイトが二十名、三百五十名が仕事をしている。ですから、下局の報告が、少し違うようでありましていわゆる狭いところでたくさん働いているという度合いは、いささか資料の上では違うようです。  それから話し合いをするな、団交をするな、それからそれに似通ったこともするなということは、これは人事部長の言われているようなものではないようです。もっと狭く、もっと厳格に考えて、もう、それは大へんな対立関係を持っておるようです。ですから、その点は、申し添えておきたいと思います。  それから政務次官、十四日ということであれば、ぜひ一つその日でけっこうでございますから、見ていただきたい。
  352. 板野学

    説明員(板野学君) ただいまの数字で、なお不正確な点がありましたら、あらためて調査いたしたいと思いますが、現局舎は五百七十坪でございまして、おそらく、私の申し上げましたのは、定数的非常勤が二十名でございまして、そのほか最近物溜めがありますために、ほんとうの臨時の非常勤がおります。  しかし、そういうものに対する局舎は、平素はなかなか金の関係で手当ができぬもんですから、非常に手狭になっておるのじゃないかというふうに考えております。
  353. 野上元

    ○野上元君 この前の委員会で、資料郵政当局に要求しておったんですが、局舎八カ年計画、輸送関係の五カ年計画、各事業別、貯金、保険、郵便に関する長期計画書、こういうものがありましたら提出してもらいたいと、こういう要求をしたのですが、きょう局舎八カ年計画だけしか資料が出ておらないのですが、そのほかの資料は、一体どうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  354. 柴田栄

    委員長柴田栄君) いかがでございますか、ただいまの資料、御提出をお願いできますか。郵政省、よろしゅうございますね、御提出願えますね。
  355. 板野学

    説明員(板野学君) 輸送の五カ年計画というのは、実は、そういうのがないのでございまして、ただいま国鉄幹線のいろんな輸送方法につきまして、国鉄の計画がございますので、私の方は、その国鉄の計画を聴取し、またそれに対する対策を国鉄輸送幹線郵便物輸送対策委員会というものを設けまして、ただいま、その点の検討をいたしておる段階でございます。  それから機械化というか、自動化につきましては、一応五カ年計画というものを昨年作りましたので、その大ざっぱなところは、資料として持っております。しかし、これは、検討いたしまして至急提出いたしたいと思います。
  356. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 貯金、保険の長期計画、十年計画というのは、連絡いたしましたら、当該局においては、そういった資料がまだ作っていないということでございます。
  357. 板野学

    説明員(板野学君) 郵便は、ただいま申し上げましたように、局舎の関係と自動化の関係、これが出ておるわけで、あとには長期計画というものは、財政計画は、一切私どもの方で計画をやっておりますし、あと定員の関係、人事部の関係、経理部の関係になるもんですから、そういう面の長期計画はないもんだと思います。
  358. 森中守義

    森中守義君 この前郵政大臣が業界紙に発表していたでしよう、ああいうのはないのですか。十カ年計画、業界紙に出していたのがある。
  359. 加藤桂一

    説明員加藤桂一君) 森中先生のおっしゃるのは、確かに各新聞紙上に出ましたが、郵政事業の長期計画というのじゃないかと思います。あれは郵政大臣、就任されまして一カ月以上たちましたので、大臣が、事業上のそういった長期計画についての対策を各事業局が立てるように指示をしたいということで対策を研究しろという意味で、各項目をあげて出されたものが発表になったわけでございます。従いまして目下それについて、検討いたしておる状況でございます。
  360. 野上元

    ○野上元君 できるだけ資料は、早目に出してもらうように……。
  361. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御要求もございますし、審議の都合もございますので、資料は、あるだけのものを一つ、御要求に応じて、なるべく早く御提出願いたいと思います。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会