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野上元君 ただいま
大臣からご
あいさつがあったのでございますが、これはもう儀礼的に申し上げれば、就任のご
あいさつに対して、けちをつけるのは筋ではないと思いますけれども、ご
あいさつの中で、ただ言、私の
立場からすれば、どうしても、これは聞き捨てならぬ言葉がございます。その点について、私の
立場から
意見を申し上げてみたいと
考えるわけです。
それは冒頭に、
全逓との労働問題についての御
発言がございました。私は、今日
参議院議員をやりながら、かつ
全逓委員長を努めている者でございますので、特に、その点については、一言申し上げておきたいと
考えるわけであります。
大臣は
全逓との間に、
団体交渉が開かれておらない、こういうことを申されました。これは確かにその
通りでありますが、
全逓がすみやかに正常にして明朗な姿に立ち返ってもらいたい、こういう御
発言があったのでありまするが、正常かつ明朗とは、一体どういうものであるのか。この点について、私は非常に
異議があるわけでございます。
私
たちとすれば、今日私
たちのとっておる態度は、きわめて正常なものであると
考えております。かつまた明朗なものであると
考えておるわけであります。私は、御
承知のように、昨年の春闘の責任を問われて、不当にも馘首されたのでありまするけれども、
組合員全体の意思は、再び
野上が
委員長をやれ、こういうことで満場一致決定されたのであって、これをもって、あなた方は正常でない、かつまた明朗でないと、こう解釈されるならば、私は
労働運動の
何ものかをあなた方はお知りにならない、こう言っても過言ではないと
考えるのであります。かつまた、私は
労働組合は、固有の
権利として、
役員を選出する
権利を
憲法によって保障されておる、この
権利は
何ものによっても奪い取ることのできないものである、こういう確固たる信念のもとに、今日まで
労働運動を続けて参っておるのであります。私は一年の長きにわたりまして
政府とこの問題について論争を続けて参りました。しかしながら、これが水かけ論に終っておりまするために、実は
ILOに提訴いたしました。
全逓の
考え方が正しいのか、
日本の
政府の
考え方が正しいのか、
一つ判断をしてもらいたい、こういうことで提訴をいたしたものでありまするが、御
承知のように
ILO総会、あるいはまた
理事会、さらにはまた、各種の
委員会等におきましては、ことごとく
全逓の
考え方は正しい、今日
公労法四条三項、あるいはまた
地方公労法五条三項があるのは、近代的な
労働組合法から見ておかしいではないか、こういうことが、はっきりと申されておるのでございまして、
政府は、どうか
虚心たんかいに
考えてもらいたいと希望する次第でございます。もしも
政府がすみやかに
全逓の三役改選にこだわらずに、
ILO八十七号を
批准し、かつ
公労法四条三項を削除されれば、
大臣が御希望になっておるようないわゆる正常な慣行が復活するわけでありますから、
政府としても、どうか
一つ虚心たんかいに、この国際的な
動きを十分に注目されて、善処されることを私は特に要望したいと
考えるのであります。
倉石前
労働大臣も、
ジュネーブの
ILO総会に出席されまして、帰ってきて、第一声を放っておられます。それは、どういうことかというと、今や
日本の
労働運動の問題についても、国際的な
連帯性の中で、国際的な
労働運動の視野の中に立って、物事を判断しなければあやまちを犯すであろう、こういうことを
倉石さんみずからが申しているのでありまするから、この点については、どうか
政府も、こういう国際的な
動き、あるいはまた国内においても、
労働問題懇談会等の
動きを十分に
検討されてすみやかに正常な
政策を積極的に
政府が打ち出されることを、私は逆に強く希望いたしておきたいと
考えるのであります。