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1959-08-11 第32回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月十一日(火曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員村尾重雄君辞任につき、その 補欠として北村暢君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            阿具根 登君            木下 友敬君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            小柳  勇君            北村  暢君            藤田藤太郎君            常岡 一郎君   国務大臣    労 働 大 臣 松野 頼三君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    警察庁警備局警    備第一課長   本田 武雄君    警察庁警備局警    備第三課長   倉井  潔君    法務省刑事局公    安課長     川井 英良君    林野庁長官   山崎  斉君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省労働基準    局長      堀  秀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告労働情勢に関する調査の件  (合川事件に関する件)  (京都市交通局労働組合の政令第二  百一号違反問題に関する件)  (北陸鉄道労働組合スパイ事件に関  する件)  (労働者災害補償保険問題に関する  件)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。  労働情勢に関する調査を議題といたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) その前に委員異動を御報告いたしますが、本日付をもって村尾重雄君が辞任いたしまして、その補欠として北村暢君が選任されましたことを御報告いたします。   —————————————
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) まず、委員派遣報告をお願いいたしますが、本日は労働関係部分派遣委員報告をお願いいたします。  まず、第一班の報告を常岡君にお願いいたします。
  5. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 福島県、栃木県下の労働行政関係について申し上げます。  雇用失業関係で目立つのは、福島常磐炭田地帯失業者でありまして同県産業の大宗である石炭産業不況に陥っている結果、本年一月から六月までの企業整備件数は二十三件で、すでに整理された人員は千五百人を数え、前年の約二・五倍に増加しております。しかも、これを吸収すべき適当な公共事業もなく、県当局においても、対策に苦慮しておりました。このことはまた、炭鉱地帯において失業者の子女が保育所を退所したため、保育所経常費が割高となり、経営に困難を来たすという現象をも生んでおります。また、宇都宮市営の失対労務者のための托児所は、児童福祉法の定めには従っておりませんが、きわめて実際的、有効的な施設であり、労働厚生両面において研究を要するものと考えます。  また、本年度の公共事業費は、建設省関係で見ても、昨年度に比べて約四百億円という相当の増額を見ておりますが、これが果して現実に消化され得るかどうか。栃木県においては八五%しか受けられないとのことでありました。従って、公共事業を通して失業対策考えることには限界があると考えられます。  総合職業訓練所についても、両県において視察いたしましたが、訓練種目訓練定員ともに年々増加し、すぐれた設備を持ち、ことに栃木県においては一部種目において夜間職業訓練をも行うなど、その努力に見るべきものがあり、就職率も良好で、特に農村の二、三男対策として効果顕著であるため、訓練所の増設を望む声が強く聞かれました。ただ、待遇の点から見て、指導員確保にはある程度の困難を伴っているように見受けられました。  また、先般成立した中小企業退職金共済法に対する期待は大きいのでありますが、その啓蒙指導事務等に要する費用は全額県費負担実情にありますので、国庫予算を県に交付してほしいとの強い要望がありました。  次に、先般成立した最低賃金法については、労働基準局が積極的にその啓蒙に当っておりますが、予算的措置が不十分であり、最低賃金審議会は最近委員の選考を終った程度であってまだ十分なる活躍をしていない実情であります。すでに最低賃金に関する業者間協定の締結せられたものは、福島県で一、栃木県で六を数えておりますが、中には協定通り賃金の支払われていない事例もあるとのことであります。  最後に視察いたしました栃木県鬼怒川のけい肺労災病院は、その研究設備が優秀でありまして、りっぱな業績をあげております。ただ何分僻地に存在するので、そのことが患者入院志望率に深い影響を及ぼしておりますが、本病院は、将来全国けい肺患者中央病院として運営すべきであると考えます。  入院患者からは次の要望がありました。第一に、終身療養を可能とすること、第二に、休業補償の額について現行の六〇%を一〇〇%に引き上げること、第三に、休業補償のスライドの幅について現行二〇%を五%とすること、第四に、けい肺以外の私傷病をも治療できるようにしてほしいこと、以上であります。  簡単でありますが、これで御報告を終ります。
  6. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ありがとうございました。  それでは第二班の報告を阿具根さんにお願いをいたします。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 第二班の調査につきまして労働関係の所見の主要なるものを御報告申し上げます。  福岡県における主要産業である石炭鉱業は、目下きわめて不振であり、これに伴うて多数の離職者を生じ、その失業対策生活保護並びに関係地方団体に対する影響は、はなはだ重大なる問題となっているのであります。これがため県においては、県失業対策本部県議会においては、石炭産業合理化に基く失業対策特別委員会を設けて、問題の処理に当っておるのであります。  七月二十九日、福岡県庁において県庁幹部並びに福岡労働基準監督局長より一般所管行政について説明を聞きました後、さらに当面の石炭鉱業関係失業対策等につきまして県の労働、民政両部長、県議会石炭産業合理化に基く失業対策特別調査委員長市町村会代表たる志免町長炭労代表者福岡労働基準局次長より、深刻なる実情説明を聞き、右に関する要請を受けたのであります。県の調査によれば、石炭鉱業関係において従来の離職者一万三千三百人に加えて、今後さらに二万二千人の離職者が生ずる見込みであります。すなわち、石炭合理化による買い上げ炭鉱離職者見込みが五千四百人、石炭需給計画に基く中小炭鉱整備による離職者見込みが五千六百人、大手筋炭鉱企業合理化による離職者見込みが一万一千人、合計二万二千人であります。  以上の離職者について転職、自営、帰郷、失業保険受給等を考慮に加えるとともに、既発生離職者をも勘案して、結局昭和三十四年度においては、年間平均約一万一千八百人について対策を必要とすると県は推定しているのであります。しかも、この数字には、大手筋炭鉱企業合理化による離職者数は、一応含まれていないとのことであります。  他方、生活保護について見れば、本県人口約四百六万二千余人のうち、昭和三十四年五月現在における被保護世帯三万二千七百九世帯人員十万一千三百二十人、人口一千人に対する被保護人員二四・九%であり、今までにない記録の趣きであります。また、県下の地区別にこれを見れば、昭和三十一年五月の保護率は、炭鉱地区二二・五%、北九州工業地区一七・八%、一般中小都市一七・二%、農村地区二二・四%、県総計一九・二%、昭和三十四年五月の保護率炭鉱地区三三・九%、北九州工業地区二三・三%、一般中小都市一九・四%、農村地区一四・四%、県総計二四・九%でありまして最近一年間の炭鉱地区における被保護人員増加率が他の地区に比して芳しく多いのであります。この傾向は、石炭鉱業合理化臨時措置法による百万トン追加買い上げ等のため今後ますます増大のおそれのあることは県当局を憂えさしておるのであります。県及び関係市町村においては、主要産業たる石炭鉱業の不振、休廃止に伴い各種租税収入の激減を来たしたる反面、生活保護費失業対策事業費、その他民生安定対策費等の急速なる増大となり、財政状態が極度に悪化し、失業対策事業の拡充、当面の援護措置等にも財源の不如意を訴えておるのであります。  県当局は、石炭鉱業離職者対策に関して次のように要望しているのであります。  一、公共事業等への失業者吸収計画を拡大し、必要な措置を講ずること。  二、遠賀川の改修その他国の直轄事業を拡大実施すること。  三、鉱害復旧事業を繰り上げ実施し、鉱業権者負担分について、長期融資措置を講ずること。  四、別枠としての石炭鉱業離職者緊急就労事業を創設すること。  五、吸収漏れ離職者について、一般失業対策事業を実施すること。  六、離職者について、職業紹介及び職業訓練強化し、自立自営を助成すること。  七、生活保護費確保保護機構強化をはかり、不就学児童に対する処置並びに養護施設及び託児施設の設置について特別の措置を講ずること。  八、離職者に対する移動資金支給対象を拡大し、離職者移動就業を容易ならしめるとともに、旧炭鉱住宅残留者の電灯及び水道について適切なる措置を講ずること。  九、石炭鉱業の安定のため恒久的対策を講ずること。  十、県及び関係市町村財政強化について有効なる措置を講ずること。  十一、以上について必要なる立法措置を講ずること。  以上であります。  炭鉱関係離職者生活状態は、七月三十日終日、炭鉱地区を回って視察したのでありますが、特に休廃止炭鉱住宅残留を余儀なくされている人々の生活状態は著しく貧窮なものが多いのであります。お手元に配布しました。パンフレット炭鉱離職者生活実態」にも記述されてありまするように、大部分は、電気、水道を断たれましてろうそくや遠方からのもらい水の生活であり、家屋は破損するにまかせ、見るも痛ましく、栄養も不十分のため病気にかかりやすく、労働力も衰えますので、ますます貧窮するというような悲惨な例が多い模様でありますが、配布のパンフレットによっても御承知を願いたいと存じます。なお、この状況写真帳を持ち帰りましたのでごらんを願います。  炭鉱地帯視察の後、小倉市において、炭鉱労働福祉事業団経営にかかる小倉職業訓練部九州労災病院視察いたしました。  労働者福祉事業団小倉職業訓練部は、昭和三十年四月の開設でありまして、訓練種目は、訓練期間一カ年の自動車整備科機械科塗装科ブロック建築科事務科及び活版印刷科のほか、駐留軍労務者離職対策として、訓練期間六カ月の夜間訓練自動車運転整備、コンクリートブロック及び溶接について行なっているのであります。修了者就職率は、昭和三十三年度において一般訓練修了者百五十八名中百二十名、平均八二%、夜間訓練所修了者七十三名中五十四名、平均七四%であります。  労働者福祉事業団九州労災病院は、昭和二十四年二月の開設にかかり、入院設備三百八十二床に対し、本年七、月二十七日現在の入院患者三百五十二名、そのうちけい肺患者二十三名、外傷性脊髄障害患者九十八名でありまして、土地柄けい肺及び外傷性脊髄障害患者が多いのであります。  これらの患者けい肺特別法の改正に非常なる関心期待を持ち、今回の視察に際しまして次のような要望をいたしました。  一、けい肺保護法適用範囲を拡大し、認定基準以下の者にも法を適用すること。  二、脊髄損傷患者で退院後もそのため発生した病気については、外科的処置を認めること。  三、全国に適当な場所を選定し、授産場を設け、治療と並行し、手芸工作を指導すること。  四、休業補償を一〇〇%に引き上げ、終身支給とすること。  以上をもって御報告を終ります。
  8. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま両班の報告がございましたが、これを中心に質疑をお願いいたしたいと思います。なお、本日は、政府側出席者松野労働大臣労働省亀井労政局長石田職業安定局長等が御出席でございますので、お含みの上、御質疑をお願いいたします。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 今の報告に対して二点伺っておきたいと思います。時間がありませんので、要点だけ質問いたしますが、第一点は、委員長も直接見ていただいたと思いますが、この炭鉱失業者実態については県からも相当陳情があったし、実態ごらんになったと思うのです。調査団ごらんになりまして、これはもう非常に焦眉の問題であります。で、これは来年までとか再来年までとか待てない実情です。従って、もう当委員会として、特に委員長はこういうふうな実態ごらんになって、救済に対してどういう御決意をなされたか、お聞きしておきたいと思います。
  10. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 委員長に対する御質問のようでございますが、私は地元の阿具根委員高野委員、なお、同行いたしました数名とともにつぶさに現地を見せていただきました。私も現地考え方を表明いたしたのでありますが、焦眉中の焦眉の問題である。かように認識をいたしたのでございます。県庁実情を聞きましたのと、さらに翌日現地を見まして、なおその感を深ういたしまして、私も委員長といたしましてこの問題解決のために一生懸命になろうと、かような決意のもとにただいま個人としても行動しておりますことを御報告いたします。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 第二点はそれに関連するのですが、今国鉄の十河総裁志免炭鉱を払い下げるということで運輸省に申請いたしました。で、払い下げる方針については大臣の決裁を受けましたけれども、そのほかの問題についていろいろ紛糾いたしております。われわれが特に現在の北九州石炭産業労働者生活実態を見、かっこの石炭産業はどんどん政府が買い上げていかなければならぬような実情にある。今国営国管にこそやっていかなければ、大企業ですらできないような石炭産業である。この実情にあるときに現在採算が立っている志免の山を民間に払い下げていって、そうしてその困難の中に民間産業にまかせていくということは、現在職員が三千二百、家族を合せると一万人の生活が、委員長ごらんになったような、あの石炭産業実態の中に投げ込まれることになる。それを非常に心配いたしまして、現地の方では血みどろの反対の陳情なり、その他の方法で政財界に対して訴えております。そういう志免売山の問題について北九州実態ごらんになった委員長として、どのような考えをお持ちになったか、できたら、この際お聞かせおきいただきたいと思います。
  12. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 実は志免炭坑も見せてもらいたかったのですが、時間の都合でわれわれの調査班現地に行くことができませんでした。しかし、石炭産業全般模様を見て、間接に志免炭鉱状況も推しはかれる節があるのでありまして、ただいま御意見のような節もあるかと考えております。なお、払下げ等の問題はわが委員会所管外ではございますが、これに関連するいろいろの問題は当委員会所管でもございますので、私は非常な注意と関心を持っておりますことを報告いたします。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 第一点については、まあ委員長の御決意も聞きましたので、早急にこの委員会としても救済対策に積極的に乗り出してもらうように希望いたしますとともに、第二点については、関係委員会でもそれぞれ要請をいたしますけれども、当委員会として慎重にこの問題が処理されるよう、一つ十分の御配慮を願うことを要望いたしまして、質問を終ります。
  14. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) はい、よくわかりました。
  15. 高野一夫

    高野一夫君 労働大臣に御見解を聞かしておいていただいた方がいいと思いますが、私も離職者のいろいろの状況について調査もし、話も聞き、実態も見たわけでありますが、焦眉の急を要する対策と、恒久的対策必要性現地の人も盛んに言われたわけであります。その必要があると思います。ところが、焦眉の急といたしまして、それじゃ現在一万余りの離職者をどういうふうに仕事吸収できるかということになると、実際問題としてなかなか容易ならぬ点があろうと思います。それはまず家族ぐるみできるだけ現地を離れたくない。集団的の生活はこのまま続けたい、こういうようなこと、それから期間を限らなければならないかもしれない。年令的に調べれば五十才以上が圧倒的に数が多いということ。そこで現地に、それじゃどういうような、直ちにそれらの人を吸収し得る、集団的に吸収し得る仕事があるかというと、現地にはそれらしい仕事も見つからない。公共事業と申しましても、いろいろそう簡単にいくまいと思うわけであります。かりに河川改修工事あるいは高速度自動車道路建設等いろいろ皆希望したわけでありますけれども、こういう面で吸収するとすれば相当の時間を要する。いわゆる恒久的対策になるだろうと思います。そこでしかもそれまで待てない事情にあることは、これは中共その通りであります。その待てない事情にある、しかもいろいろの制約を受けた状態にあるそれらの人をどういうふうに、現地からあまり遠く離れさせないようなふうにして、就職、就業せしめるかということは、実は私は現地を見ていろいろの話を聞いて、非常にこれは頭を悩ますべきことであって、直ちに現地でこうしたらいいじゃないか、ああしたらいいじゃないかという案が、実は正直のところ浮ばなかった。そこでこれは東京へ帰って皆さんと御相談申し上げるなら急場を救う方法はあろうかということを、とつおいつ考えておるのでありますが、現地官民各界事業実情からいたしまして、果して焦眉の急を救うことがどうしてできるだろうかという点については、どうもなかなか容易でないと思うわけでありますが、何か労働省の方にこうしたらよくはないかというような案でもあれば、事務当局からでもけっこうでありまするあるいは総対的の根本的の考えとして、労働大臣の御見解を聞かしていただければ、この機会にお述べになっておいた方がよかろうと思います。
  16. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 石炭が今回のいろいろの政策から非常に局部的な発生が目立ってきた。この意味が今回の石炭問題の一つの特徴かと思います。もう一つは、ただいま御指摘のように、このものがたまたまただ景気の上下に影響する一時的のものである。あるいは産業そのもの相当根本に触れる問題で、この二つが実はこの石炭対策の議論のまだ決定はしておりませんけれども、大きな問題じゃなかろうか。長期的なものはいずれまだこれは産業政策に関連いたしますから、一応あとにしていただいてさしあたり本年の集中的な局部的なものについては今年度予算内における公共事業のやりくりで、その予算配分及び使用を急いでもらおう。北九州には、三十四年は三十三年に比較しまして、ある程度四十億ばかり公共事業重点的に実は予算内に組み入れてございます。これもまず十分に生かしてもらいたい。これはもちろん促進をいたすことも第一です。  第二番目には、一般失対の今日ございますワクを繰り上げながら、重点的に配分をその地域に与えるというのが第二番目です。  第三番目には、やはりある程度移動可能な方は移動するための移動資金という考えで、他地域労働力のある程度希薄なところに移動していただく、この三つがさしあたり考えられることでありまして、ことに北九州の場合は、特にあの地域特別鉱害というものもかねてからございますから、これも一つ促進したい。なお、各地の河川及び特別な実は問題を将来はやはりある程度国家事業重点にその地域に投入するという形をとらなければ、やはり長い間の安定はできないだろう。しかし、さしあたり三十四年度予算範囲内としては、ただいま申し上げました三つの点を重点に第二四半期、第三四半期からこれを実施して参りたい。一番、今日問題になりますのは福岡及び福島県から、つい先般、県会議員の各派の代表の方も来られてそのときもよく話をいたしましたが、地方実情と、あるいは中央の感じと多少そこに食い違う点のものがある。一番大きなものは、先ほどの阿具根委員及び常岡委員から御説明のあったように、地方財政にある程度影響が今日きておるから、そう中央へ言っても受けこなせないかもしれないというお話も実はございました。そのあと地方自治庁においでになりまして、地方財政の方は御相談いただいたかと存じますけれども、そういうわけで、私がただいま方針を申し上げましたが、現実には、ある程度やはり地方財政影響するためにスムースにいかないという点があるような陳情もいただいて、私ども関係大臣と、そのお話は閣議の終了後、直接個別に話しておりますが、まだ御返答をいただいておりませんが、関係大臣としては十分自分仕事としてお考えいただいているのじゃなかろうかという、そういうことをあわせながら今日やっておりますのが、緊急な労働省方針でございます。
  17. 高野一夫

    高野一夫君 三十四年度の予算を執行することによって失業者吸収が十分にできるということならば、これにこしたことはないわけでありますが、これについてはどうか一つ政府の方が地方当局と直接密接な連絡を取っていただいて早急に具体的な話をお進め願うということをお願いしておきます。この問題については、これで。
  18. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が報告して質問するのはおかしいですが、私の報告調査団の一致した視察の結果でございまして、この報告に対して政府所管大臣の御意見を承わりたい、私はこう思うわけでございます。  大臣の話を聞いておれば、炭鉱が今一時不況になった、これが永続するものであるかどうかわからないし、この不況によって当然出てくるであろう失業者に対する対策は三十四年度において予算を獲得してやるべきである、こういうふうな御意見だろうと思うのであります。もろちん、それもありますが、現在これだけ出ておる失業者は、これはもうすでに労働省責任になっておる、私はこう思うのです。石炭合理化法案が出たのは三十年であったろと思いますが、そのとき私どもは、ういうことをして三百三十万トンの石炭を買い取るならば、まず出てくるであろう失業者をどうするか、失業者対策ができない以上は賛成することはできない、こういうようなことで反対してきたわけです。そのとき政府側としては、失業者に対してはこれこれの仕事をやるのだ、柚子原線もやるのだ、あるいは鉱害復旧をやるのだ、これでどのくらい失業者救済するのだということを答弁されたけれども、それが実施されないから現在の失業者になっておるわけです。そういたしますと、今またちょうど三十年のときの合理化法案を作るときのような答弁を松野労働大臣がされようとは私は思っておらなかった。これは前のことをくり返すだけであって、この一年二年後には、ただいま私が報告しました以上の失業者が出てくるゆゆしい問題だ、かように思うわけです。だから今の問題、今後出てくるだろう問題、二つ処理をしなければならない。今の問題をどうするかというならば、鉱害復旧をくり上げてやる、あるいは一般失対に対する考え方を変えていく、いわゆる、特にそういう炭鉱地帯失業者に対してはマル炭とかマル石と言っておりましたが、こういう取り扱いもやっておった、そういうことをまず今やるのだ。それから今後出てくるであろう、通産省の政策考え方によって出てくるであろう失業者に対しては、こういう対策を持つべきであるという二つの私は対策が立たなければできぬ、かように思うわけです。だから二つに分けて、現在出ておる失業者、それも石炭合理化によってほとんどが失業しておる、その失業者に対する責任政府にある、あの法律案の出たときにはっきりそれを政府説明されておる、そうするとそれが現在実施されておらないからこういう失業者が出てくる、だからこれに対する一体対策はどうするのか、焦眉の問題、今の問題です。これは行ってごらんになればわかりますけれども……。家に雨が漏るのではなくて家の中に雨が降っておる、私らが行けば見せものではないから来てくれるなという感じが強い、政府から、国会から、県からあるいは市からいろいろな方が見にくるけれども、何をしてくれたか、おれたちは見せものではないのだ、こういう感じが非常に強い、そこまで行っておる、あの写真を見てごらんになればわかるように、春先になればヨモギを食い、セリを食っておる、こういう今の日本の実情から、終戦直後ならいざ知らず、今の日本の実情からこういう生活が人間として許さるべきかどうか、こういうことを考える場合に、あえて憲法の問題は持ち出しませんが、私は代々の労働大臣労働対策だけ考え失業者対策をおざなりにしておった、こう言わざるを得ないのです。そうするならば、最も有能な松野大臣が、今度労働大臣としての責任をになっていかれるとするならば、今までの歴代の労働大臣でできなかった失業者対策については、こういうことをやるのだということを一つはっきりと示していただかなければ、今までの通りであったならば、大臣はだれがかわろうと、大臣はどういう方であろうと、極端なことを言えば、能力も何もなくてよろしい、ただ大臣大臣としてのポストにすわっておればあとは官僚にまかせる、事務官にまかせる、こういう結果になってくると思うのです。だから私は大臣が就任された当初に、石田さんのときは一応世間から片手にあめを持って、片手にむちを持った労働行政をやったといわれた。倉石さんのときはその片手のあめを捨てて、両方の手にむちを持ったといわれた。松野さんは両方にむちを持つのか、両方にあめを持つのか、労働省というものはサービス機関であって、労働者が政府の中で一番頼るべきところである、その本来の姿に立ち戻ってもらいたい、こういうことまで私は言ったはずであります。ところが、今の御答弁を聞いておれば、やはり今までの大臣が言われた通りである、そうするならば松野大臣としての、みんなが期待しておる、その日食うこともできない、子供を学校にやることもできない、ところが、学校に行けば同じ子供であって、給食させないわけにいかない、給食させるからその学校は赤字で困っておる、こういう実態を解消する今の抜本的な問題を持っておらなければいけない、私はこう思うのですが、松野大臣一つ御所見を伺っておきたいと思います。
  19. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 阿具根委員現地を御視察の御報告の中にありましたように、今、一番当面対策としては過去の整理というのと、今後の問題と、今後の問題は二万二千人、今御説明の中にもありましたように、約一万一千というのが大手で、しかもこれは予想される数字でありまして、確定的なものではございませんし、今後この推移によってあるいは一万一千が五千になるかもしれませんし、あるいはどうなるかこれはわかりませんので、さしあたり三百万トンの買い上げによりまして、約五百十五人というのが昨年来実はずっと整理をして参りました残りで、あと百万トンの増加をいたしましたからこれに対するものは大体これが三、四千人と予想されておりますのがいわゆる既定の失業者でございます。そういうものの対策としては三十四年度予算というのが決定しました以上、三十四年度予算の有効かつ適切な運営をいたしますには、ただいま申し上げましたととが予算の可能なことでありまして、今後これだけでは予想される新事態に対処することはできませんので、三十四年以後に起ります新事態に対しましては、もちろん三十四年度中の予算のやりくりあるいは三十五年度予算の編成ということが今後私に課せられた大きな実は責任ではなかろうか、私も実は就任以来雇用というのが労働大臣として一番大きな問題とこう考えまして、私は鋭意長期計画とかあるいは雇用審議会の答申とかというものを十分尊重して、私は実は雇用対策をやりたいのだというのが私の今でも偽わらない信念で、右手にあめを持ちませんかわり左手にむちも持ちません。私はできれば両手に米を持って労働行政をやりたいというのが偽わらざる気持であります。しかしながら、おっしゃるように非常な苦労をされておる。今日では三十四年度予算の、今日私に与えられた権限内においては、三十四年度予算の一番有効な、あるいは予算がある程度超過するかもしれません。しかし、そういう予算に縛られず、現状を打破するならば、第三四半期、第四四半期における予算をより以上繰り上げて使用することが、今日私が答えられる最大限度である。これをもって足りるとは思いませんし、九月には三十五年度予算の構想、あるいは三十四年度予算中のいろいろな問題も出て参りましょう。これにはやはり今までの足らないところにおいては、大きな公共事業的なものをここに集団的に投入するということが、私は現地の住民及び失業者に対する一番早い対策ではなかろうか、そういう感じを今日持っておりまして、私も九州の一人で、よく福岡県の実情を見ながら、涙の出るような現場を私も二、三拝見いたしております。何とかしたい、できるならば各市町村、主として市と県を督促して、地方財政も何とかほかの予算を削ってもこの予算に回すようにしてくれぬかということを私の気持として要請しております。中央の方も私は地方財政に合せるように、私も努力いたしましょう。ある場合には高率適用ということもございますから、これも私に与えられた権限内で運用いたしましょうということで、今日やっております。人数がぴしゃっと合いませんところでははなはだ申しわけありませんが、私に与えられた権限内の、気持はできるだけのことをいたします。と同時に、できるだけでは抽象的でございますから、具体的に言うならば、本年度予算はこういう編成過程になっておりますから、これをこういうふうに使いたい、こういうのが先ほどの気持で、もちろんあれで満足とは思っておりませんが、与えられた権限内において、国家予算ですから、予算外のことまでは私は多少遠慮しておりますけれども、私の気持は、三十五年度予算にこれを繰り上げたいと、率直に考えております。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 松野大臣は両手に米を持った労働対策をやる、失業対策をやると言われましたから、私はそれにもう一言お願いをしておきたいのは、両手に米を持って見せたんでは、よりひどいのです。あなたが両手に米を持たぬでも、あなたの両手の米を食えない人にあげるのが政治です。今までのやつは、その米を見せただけです。こういう失業者が出た場合どうするか。抽子原線も作ります。鉱害復旧もやります。繰り上げもやります。干拓もやります。何をやりましたか。それは両手に米を持っておったというだけです。持つことはだれも持つ。やっていただきたい、実施していただきたい、こういうことです。だから実施するためにはどうするか。鉱害復旧事業を繰り上げるとおっしゃいましたから、それは一つ繰り上げてぜひともやっていただきたい。それからもう一つ、別ワクとして石炭離職者の緊急就労事業、別ワクとしてこれは一ぺんやったことです。マル石として。そうして特別な処置をしていただきたいということと、一般失業者は先ほど大臣も触れられたように、県、市町村は鉱産税その他の減少によって収入は減ってくるし、失業者はふえてくる。一般失業者のワクを広げてもらっても、市町村がついていけないというのが現実です。こういう問題に対しては、国が全額補償するような別途の方法を構じてもらわなければ、これは私は市町村がやっていけないだろうと、かように思うのです。特に大臣の御出身のお隣りの大牟田とはいろいろ御議論があるかと思いますが、二十万の都市で六千人の失業者がある。失業者が五千数百ある。これではやれといってもやっていけない。また、筑豊地区もその通り、よその県から比べれば、県で二千人ぐらいの失業者がおるのに、市町村で三千人から四千人の失業者を持った場合、やっていけるかやっていけないか、一般失業者のワクを広げるということでなくて、そういう点が私は松野さんがせっかく両手に米を持ってやるぞとおっしゃったのだから、そういう点をやっていただかねば一般失対のワクは広げてやるぞ、公共事業のワクは広げてやるぞとおっしゃるのは、米を両手に握って米を食わせるぞというだけであって、実際に本人に渡すのではないから、実際の人たちに渡すような政策をしていただきたいとかように思いますが、今の三点についてはどうですか。まだほかにもいろいろございますが、これは通産省関係になりますから、この次に通産省関係の方々に御質問申し上げたいと思うのですが、局長からでもけっこうです。
  21. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 高率適用を今までやっております県は、県が五つ、市が五十二、まあ町村は抜きにしまして、大体これが高率適用で、これは御承知のごとく、そこの地方自治体の予算の千分の四五を超過しておるという予算の編成の市及び県にこの補助金を出しております。当然大牟田などというところは昨年はどうか知りませんが、本年はおそらくその高率のあてはまるところで、大牟田はもちろんその高率適用の県でございまして、これでまあ五分の四まで、約八割の政府補助ということになっておりますが、なおこれでもあとの二割が非常に過大な場合は一例具眼委員御指摘のようにそれは一つの算術数字であって、市がこれだけで十分だとは私も思っておりませんので、高率適用をより以上弾力的に運用したいという感じを持っておりますが、これは地方財政の自治庁大臣ともよく御相談せにゃなりませんので、私の気持としてはなるべく異常な過激なところは災害が急にあったようなものですから、何らかこういう臨時的なものを、非常に過大な場合にはより以上の高率を適用したい。なお、今までの機械的な五分の四というのをもう少し私は来年度から運用を変えていきたいと実は思っておりますが、これははっきりきまっておりませんが、私はそういう気持で来年度予算の編成には当りたい。どうも私自身も地方に回ってみますと非常に機械的なことを、これは地方財政の内容を批判するわけではございませんが、ことに失業者というのはそれ自身が非常な予算を食うと同時に、生産の逆に鉱産税及びすべての財政を逆に大きな欠陥をあける、二重の実は負担になっておりますので、私も実はこの失業予算をもう少し三十四年度予算にはより以上高率の金額をふやしたい、これは非常に努力するつもりでおりますので、この点は本年はこういう予算になっておりますからその運用だけで一つおまかせを願いたいと思います。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 この問題は今松野大臣が言われた、もちろんそのことも焦眉の問題です。しかし報告書の中にもありましたように、県知事が十項目になんなんとする要請を出しておりますけれども、そういうような総合対策を早急にやらなければ、たとえば四十億の増額一をやりまして公共事業をふやしますというだけでは救済できないわけです。昨年もそれと同じようなことをやっております。それでもなお年々失業者増大して参ります。従いまして、私は委員長決意を聞きましたのは、当委員会が積極的にその決意になって知事やその他の団体から要請が参っております総合的な対策を早急に政府の問題として積極的にやらなければ、単に公共事業費四十億増加だけでは救済ができないということを私は感ずるわけであります。従って私はもっとこの問題について阿具根委員も言いたいだろうし、私も言いたいけれども、時間も制約されておりますし、次の機会もありますから早急に市及び県から出ている問題を検討して当委員会の決議とする。あるいはその他の委員会の決議としまして政府が全面的に乗り出してきて総合対策をやる、そういうことを前提としてこの調査報告について私は質問を打ち切ったわけです。従って、そういうことで委員会として確認してもらって、もちろん労働大臣労働問題は早急に積極的にやる、その他の問題は当委員会が検討して直ちに政府の問題として総合的に乗り出すように、この議事を運んでもらいたいと思います。
  23. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま阿具根委員質問の中にもございました通産省関係は、きょうは政府側出席を求めておりません。従って、他の機会に御質疑を願うという運びにしたいと思います。なお、小柳君のただいまの御発言は私も個人としてはいろいろ意見を持っておりますが、理事会で今後のこの問題の取り運びを相談させていただくということで御了承願いたいと思います。
  24. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 今のに関連して私からも政府にお願いなり質問をしたいのでありますが、先ほど来委員お話のように、今日の石炭状況は非常に私は憂慮にたえぬと思うのです。しかし、今後どうするかという問題はいろいろ検討を要する点があるでありましょうが、お話のように、さしあたって出ている失業者をどうするかということはほっておけない問題だと思うのです。それで失業救済事業予算を繰り上げて使用するということはさしあたっての処置としては私はけっこうだと思うのですが、一つお願いをしたいのは、ただ予算のワクを繰り上げて地方にまかせてこれでやれというふうな抽象的な御処置では私は救われないのじゃないかという気がするのです。九州の炭鉱地帯状況は私は行って見ませんからわかりませんけれども、私の方の関係しておる山を見まするというと、炭鉱というのは町中には少くてへんぴなところにある。そうして宿舎を簡単には出れない。昔のいわゆる炭住に住んでいる者が多いのであります。でありまするから、地方庁にこれだけ予算をやるからこれで一つ失業者救済しろ、こう言って投げられても、一つ地方庁が地方財政の関係から好まぬという点もありましょうが、それを説得してやらせましても、抽象的に福岡県なら福岡県で何億の失業救済事業をやれよということでは、具体的にこの石炭失業者は救われない。一般的の失業者はそれによってある程度救済され、その影響炭鉱失業者救済されるということは間接には考えられますけれども、さしあたって今追い出されている炭鉱失業者はほっておけない問題でありますから、予算を組まれるときにも、ただ当局石炭失業者はこれこれあるから一つこれで失業救済をやれよというようななまやさしいようなお考えでは私はいかぬと思う。やはり積極的にその具体的な失業者の出ているところに、あるいは根本的には大きな道路を作るとかどうとかという問題があるでありましょうが、昔私どもは戦前に供給事業といって相当多額の金を出して、そして各農村のほんとうの失業者にばらまくといってはおかしいが、何でもいいからこれで役に立つ仕事をしろということでやったことを私は記憶しております。従って、その際には大きな道路ではなくて小さな道路も必要であればそれを整備するというふうに御処置をなさらないと、ただ従前のように失業救済事業を何億とった、そしてこれでもって失業救済をやれ、単に失業者が出たからこれで一つできるだけというだけでは実際にかゆいところに手が届かないという気持を私は自分の山口県の実情を持ってすれば感ずるわけであります。あるいはそういう御趣旨をなさっているのかもしれませんが、どうか一つ緊急に繰り上げ使用をなさると同時に、その予算が実際にその失業している人々に手の届くような親切さと努力をなさることを私は要望いたします。
  25. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは委員の国政調査に対しまする報告に対する質疑はこの程度で終了したいと、かように考えますが、最初私が発言いたしましたように、ただいま吉武委員のお言葉のように私も受けとって帰っております。なお、それ以上に北九州石炭に伴います問題は、山口県あるいは長崎県、佐賀、北海道等と異なったさらに深刻な問題もある。かように私は見てとっておるのでありまして、わが委員会が親委員会になって今後いかように運ぶかということは理事会でとくと相談を願って案をまとめていただく。かようにお願いをしたい、こう考えます。
  26. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 時間がございませんから一点だけ希望を申し上げる意味においてお尋ねしたい。  それはけい肺患者病院視察いたしまして、死の恐怖におびえながら全快の見込みのない病人であるだけに、その人たちが療養の期限を切られて生活の不安まで感じます姿は、実に痛ましい限りであったのであります。要望には書いてはおきましたが、私報告いたしましたけれども、これは特に御考慮を願いたい点であって、人数が少いということが一つの理由であるのと、もう一つは過失とかなまけたとかいうことによっての失業ではなくて、事実は勤勉なればなるほどこれは痛ましい姿になっておりますので、これほど悲惨な姿はない。これをなおざりにすることは勤労意欲の非常な障害になるものである。こう思いますので、それについて特別な御措置を願いたいと思いますが、それに対する大臣の御所見をちょっと拝聴したい。
  27. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) けい肺問題は多年の問題でございまして、特に本年は審議会を作って本年中にその対策を立てろという付帯決議の御趣旨もございまして、ただいま審議会で十月中には結論が出るかと存じます。そうすれば、年内にはその答申に従って対策を立てる。付帯決議の趣旨がございまするので、その順序で今運んでおりまして、常岡委員のおっしゃるように、非常にけい肺の重症者について問題点がある。あるいはけい肺の度合いをどこで切るかということが一つの議論の焦点になるかと存じますが、今日は審議会をお願いしておりますので、私の意見は差し控えまして、十月中には答申が出るかと存じますので、それを待ちましてその答申の線に沿い政府として対策を立てたい。また法律改正の要があれば準備をいたしたい、こう存じておりますので、非常に御心配のようなことは私どもも重々承知しておりますけれども、今審議会で審議中でございますので、私の意見は本日は差し控えたいと思います。
  28. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではこれをもって派遣報告に対しまする質疑を終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  30. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起して下さい。   —————————————
  31. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、一般労働問題に関する件を問題に供します。御質疑をお願いいたしたいと考えますが、政府側出席者は、先ほど労働省側の報告をいたしましたが、さらに堀労働基準局長が御出席であります。法務省からは竹内刑事局長をお呼びしたのでありますが、ただいま川井公安課長がかわって出席しておられます。警察庁からは江口警備局長が所用で出席できず、倉井警備第三課長出席であります。林野庁からは山崎林野庁長官出席されておりますことを御報告いたします。  それでは先ほど懇談で申しました順序で御質疑をお願いしたいと考えるのでありますが、まず合川事件についてを議題に供します。
  32. 北村暢

    北村暢君 私は今議題になりました合川事件について御質問申し上げますが、最初にまず法務省、警察庁が合川事件の概況を御承知であるかどうか、お答え願いたい。
  33. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) 概況の御説明を申し上げるのですか。
  34. 北村暢

    北村暢君 いや違う。時間がございませんから、内容がわかっておればくどくど必要ないのです。わかっておればわかっておることを前提にして御質問いたしますし、全然わからないということになると各委員も御存じない方も多いですから、それを若干話さないと質問ができませんから、そういう意味で質問をしておるのです。
  35. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) わかりました。合川問題でありますが、御承知のように、要点だけ申し上げますが、問題は現場作業員の給与の出来高払い制から日給制へ切りかえを要求して全林野労組と林野庁との団交を重ねて参ったのでありますが、一応の了解点に達したのでありますが、そのあとにおきまして下部組織の盛り上りが相当にあったかと思われまして、その間に、了解点に達したあとではありますけれども、不法事件が発生いたしたのであります。  その不法事件の概況を簡単に申し上げますと、こういうことであります。本年の七月十六日でありますが、林野庁当局側の合川営林署事業課長横尾幸一それから秋田県の林野局の事業監察係長佐藤良辰の両名が、合川の営林署の雪田沢材採事業所に作業現場の実態調査及び分会員の説得のために来所したのでありますが、これを知りますと、全林野の秋田地方執行委員の紀国栄氏、それから同じく全林野の合川分会執行委員の渡辺茂雄氏、それから全林野の合川分会の福田文之助氏、この五名は折りから同所に集合しておりまして、四十名の分会員とともに右課長を取り囲みまして、そうして同日の午後五時三十分ごろから九時三十分ごろまでの間に、今申し上げました横尾課長及び佐藤係長の両名に対して、多衆の威力を示した上で、数回にわたり両人の胸ぐらを取って手を引っぱったりあるいはからだを押しつけたり、また、けり上げるという暴行がなされたのであります。  こういう事件がありましたものですから、秋田県警察におきましてその後捜査を進めましたところが、今申し上げました五名を被疑者として特定できましたので、秋田県地裁から逮捕状を十九日にいただきまして、そうして二十日に五名を逮捕したのであります。以上の状況であります。
  36. 北村暢

    北村暢君 法務省の公安課長はわかっておられるのかどうか、それだけ簡単に。
  37. 川井英良

    説明員(川井英良君) 所轄地検からの報告によりまして事件の概要は承知いたしております。
  38. 北村暢

    北村暢君 ただいまの警備第三課長の事件の概要の説明をお伺いいたしましても、私どもの知っている逮捕状あるいは勾留状等から調べた事実からいたしましても、だいぶ違っている点があります。しかし、これを一々やっている時間的余裕がございませんのでそれは避けたいと思いますが、ただ非常に大きな問題で二、三ありまするので、了解点に達した以降においてこういう不祥事件が起きたと言っておりますが、了解点、この出来高給から日給制に切りかえる、賃金体系を切りかえる要求の問題でもめておりましたが、それが了解点に達したということではないのでありまして、これは問題は何も解決してない。ただ団体交渉をやるかやらないかというようなことで、今まで実力行使をやっていたのを一時解いて、そしてまあやや平静の状態に入った、こういう状態の中です。  それから問題が、直接ここでその問題について紛争が起ったように言われておるようでありますが、実際はそうじゃないのでありまして、この営林署の事業課長と監査課の職員とが行きました際に、この雪田沢の事業所というのは長い間紛争いたしておりまして、ほかの各事業所においては賃金が供託されておるわけなんです。賃金体系がきまらないために受け取れないということで供託されておるのですが、たまたまこの雪田沢の事業所の賃金は五月分まではこれは供託もされてないし、本人にも支払われてない、こういう問題があったわけなんです。そこでこれはここの事業所だけに営林局はこういうふうにして派遣しているのではなくして、各事業所にこういうように派遣しているのです。ただそこで問題が起ったのは、賃金が払ってないということに問題が起りまして実はこういう四十数名、四十名ぐらいの人が集まって、直接の賃金の支払いの責任者の事業課長が来たのでありますから、それで払ってない賃金はどうしてくれるのかという問題が起ったのであります。そういうことで実は事件といいますか、四、五時間にわたってどうしてくれるという問題が出てきたこういうことなんであります。しかもこれは計画的とか何とかいうことで暴力行為がなされたとか何とかいうことではないのでありますが、逮捕状によりますというと、共謀の上にこの事件が発生したかのごとくに言われているのであります。ところが、これは共謀する余裕も何もないのでありまして非常にとっさに起った事態であり、しかもこれが逮捕状なり勾留状を見ましても、明らかにこれはとっさの事件であるということが判断せられるのであり、しかも労働法上の問題ではなくして、暴力等に関する法律違反、こういうことでもって逮捕されておるのであります。従って、捜査のやり方について私ども納得がいきませんので、これから二、三の点について質問いたしたいと思うのですが、この事件が逮捕状に共謀の上ということになっておるのですが、勾留場にかわりますというとその共謀ということが取られておる。従ってまた、この出来高給から日給制に切りかえる、こういう問題ではなくして勾留状においては賃金暫定払いを要求したと、こういうふうに変ってきておる。逮捕状と勾留状と変ってきておる。そういう実態があるわけなんですが、その場合にですね、私はこの共謀ということの逮捕状の理由のもとから、その後において逮捕がなされてから、捜査が行われておるんでありますが、その捜査が分会の事務局それから秋田の全林野の地方本部、この組合の事務局が捜査されておる。で捜査当局に私も県警の本部長なり何なりに抗議をした際に言っておるんですが、これは明らかに暴力行為の違反事件であって労働組合運動を弾圧する目的ではないと言っておるにもかかわらず、非常にとっさに起った事件について共謀という名のもとに、組合の事務局を捜査した。これは私は捜査上の行き過ぎ行為でないか。こういうふうに考えるのであります。従ってこの点を一つお伺いしたい。  それからもう一つ、この捜査のやり方でありますけれども、営林署の分会の事務局を捜査する際に、そこの分会の書記長がおるにかかわらず、立ち合いは営林署長が立ち合いで捜査が行われる。しかもその事務局にはかぎがかかっておったんでありますが、窓から入って捜査をやって、組合の関係者は一人も入れない。こういうことで強引な捜査をやっておる。こういう事実がある。これに対して一体捜査当局はそういう捜査のやり方というものを指示しておるのかどうか。これは私ども捜査上のやり方としては、非常に不適切である。このように考える。  それからもう一つは、捜査上の問題としては、多数の人に任意出頭を求めておる。ところがこの任意出頭に応じない。で組合が指令をしてこれを任意出頭に応じないのだ。そういうことからして検事と刑事が数名の自宅に夜十時ころから乗り込んで、自宅に行って、家に上り込んで尋問をやっておる。こういう事態があるわけです。こういうようなことは非常に捜査権の乱用ではないか。このように考えるのですが、一体そういう捜査のやり方というものが、常識的に考えて適切であるのかどうなんか。また、そういう指導をしておられるのかどうか。どうなんかという点を一つお伺いいたしたいのであります。まずその三点について。
  39. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) 捜査のやり方に関する御質問のようでありますが、秋田からの報告によりますとですね、どうして強制捜査に踏み切ったかということに対する秋田県からの報告によりますと、事件の規模内容から総合的に判断して強制捜査を行わなければ捜査の目的が達せられないという判断から、強制捜査に移ったと聞いております。御質問の中に共謀してというようなお話がありましたけれども、本件につきましては暴力事犯等処罰に関する法律を適用しておるのでありますが、この威力を用いてということでやられたのであるというふうに報告を聞いております。ですから共謀してというのではなくて威力を用いてそういう暴力行為がなされたということで、暴力行為等処罰に関する法律を適用した、こういうふうに聞いております。  それから第二点でありますが、合川分会の事務所の捜索の際に窓を壊して事務所に入っているというような御質問のようでありますが、一線の報告によりますと、組合の責任者が出勤しておられないで、また、出勤して来られました組合の職員の人に聞いてみましても、事務所の入口のかぎの所在がわからないので、そのために令状執行の必要上やむを得ず営林署長立ち合いでそして施錠のない窓から入ったものである、こういうふうに聞いております。御承知だと思いますが、捜索令状執行に当りましては、必要かつ相当の限度において錠をはずしたりあるいは開封したりするという必要な処分が許されているのでありますけれども、本件の場合はそういうこともやっていないので施錠のない窓から入った、こういう報告を聞いておるものであります。  それから第三点の強制捜査を行いました五名以外の者について任意出頭を多数かけている。そのかけ方が午後の十時ころ検事の指揮においてなされたという御質問のようでありますけれども、この点につきましてはおそらく検察庁に送致されてからの問題であろうかと思いますし、私の方には詳細参っておりませんのでお答えできないのでありますが、もし時間の余裕をおかしいただければ詳細調査いたしまして御説明申し上げます。
  40. 北村暢

    北村暢君 第一点の共謀の問題なんですが、逮捕状に明らかに共謀の上とこういうことが出ておるのです——出ておるのですが、これは私がお伺いしているのは、共謀ということ、多衆の威力ということであるから共謀してやったのではないか、共謀する余裕というようなものも私ども考えられないし、とっさに起った事件であるし、しかもそれが暴力事犯であるということであるならば、計画的に共謀したとか何とかという理由をもって逮捕状が出ておって、それでそれを理由にして組合の事務局を捜査する。そこの雪田沢で起った暴力事件であるならば、それだけの事実認定でもってそこの捜査でもって事たりるはずなんであるが、組合事務局をなぜ捜査しなければならないか。しかも組合員の立ち合いも——書記長もおったにかかわらず、立ち合いも何もさせないで押収していっている。組合事務局を捜査すること自体がこの暴力事犯と何ら関係がない、このように考えるのですが、その組合事務局を捜査するということは明らかにこの暴力等の取締りの法律違反ということの名のもとに労働組合を不当に介入したものではないか、このように考えるわけでありますから、これが非常に労働組合が計画的にやってそういう形でやったとするならば、これは組合運動の一端としてやったんだから、組合事務所を捜査するということもあり得るかもしれない。ところがそうじゃなくて、起訴状を見ましても明らかに勾留状を見ましても共謀というものは逮捕状にだけありまして、その後の勾留状には共謀というようなことは出ておらない。だから私どもの解釈からすれば、逮捕状に共謀というような字句を入れて組合事務所なり何なりを捜査する、こういう口実のためにこういうものを入れたのではないか、こういうふうに悪く言えば解釈できるのです。従って、こういう暴力事犯について、しかも偶発的な問題であるにもかかわらず、組合事務局を捜査する、これが私どもどうしても納得いかないので、これはやはり労働組合に対する一つの弾圧行為じゃないか、こういうふうに理解するのです。その点をお伺いしたい。
  41. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) 労働組合あるいは労働争議に対する警察の立場は、これは御承知のように、警察庁長官あたりから毎回御説明しているはずでありますが、争議そのものに対しては警察は全然関与しないのでありますが、その過程におきまして暴行傷害等の違法行為が起れば、これを警察としては放任するわけには責務上参らないのであります。今回の事件もそういう立場から第一線でやられたのでありますが、組合そのものを弾圧するとか何とかいうことは毛頭考えておらないと思うのであります。そこで、それではなぜ組合事務所等を捜索するかということでありますけれども現地からの報告によりますと、あるいは御質問のように初めからそういう共謀計画はあるいはなかったかもわかりませんけれども、あるいはあったかもわかりませんが、この現場におきましては三人の共同犯行がなされてあるというようなことが第一線の報告にあるのであります。従って、事前に精密な共謀計画がなくても、現実の現場においてそういうような形が現われれば、これはもう皆さん御承知の通り、暴力行為の適用が可能なのであります。そういうようなことで暴力行為を適用したのだろうと思うのでありますが、そのほかにこの三名につきましても、この地元の労組だけでなしに、地本の方が参加しているというようなこともありますし、その組合の闘争の一環としてといいますか、それと直接関係はあるいはないかもしれませんが、その運動としては、その直後においてといいますか、一応の先ほどの御質問にありましたような関係で了解点に達した。その後において行われたということは、それはおそらくその裏に——裏といいますか、共同謀議的なもの、さらに上級機関のそういうようなものがあるいはありはしないかという関係で捜査されたものと思うのであります。
  42. 北村暢

    北村暢君 これは今の説明で私は了解しません。特に雪田沢の事業所で起った偶発的事件に対して、捜査された場所というのはこれは合川の分会で、相当距離も離れている。しかも秋田市の地方本部の事務局まで捜査しているのですね。偶発的に起った暴力事件と認定しておるものに対してそういうところまで捜査している。これはどうしても私は今の説明では納得いきませんし、そういう必要もないし、組合運動に介入する意思もないという捜査の方針からいってもこれは不適正である、私はそういうふうに思っております。これは水かけ論みたいになってもあれですから次に移りますが、もう一つ先ほどの事態で、ほかの組合員に対して任意出頭を求めた際に、夜家まで押しかけて捜査をやった。強制調査をやったのはあとで調べる、こういうふうに言っておりましたから……。もう一つその場合に組合員が——この事件とは関係ない組合員ですよ、——その組合員の奥さんが少し精神状態がおかしくなって子供さんを殺した事件が起っておるのであります。それに対して、その主人に対して参考人か何かで警察へ呼んでいるのですが、その呼んだ者に対して、そういう妻が犯した殺人について出頭を求めたのに対して、その求められた主人に対して約十時間にわたって、この暴力行為の問題に対して捜査をやっているんです。こういうやり方をやっておる。これはもう、だまして詐欺で連れてきてそして聞いているというふうにしか私ども考えられない。こういうことはあっていいことかどうか。これは十分調べてもらいたいと思いますが、これは人権じゅうりんもはなはだしい問題だ。そういうことをやっておる。これを一つ参考までにもう一度秋田の県当局で調べていただきたい、こういうふうに思います。  それから次に申し上げたいのは、勾留の理由、これは法務省の方から答弁願いたいと思うんですが、勾留請求の理由の中に、黙秘権を使っておるから勾留するんだというようなことを言っておる。それから、任意出頭に応じないで拒否しておる、組合の統制力が非常にきいているからそれで勾留するんだ——勾留請求の理由にしておるわけです。これは証拠隠滅と黙秘権の行使というものはどんな関係にあるか。勾留するからには、証拠隠滅か逃亡のおそれがあるということで勾留せられる、これは普通の解釈でありますが、黙秘権をやっておるからこれは勾留するんだ、こういうことは成り立たないと思うんですが、先月の二十日に逮捕されまして今日なお勾留されておるわけです。しかも、事犯は、私どもから見れば、相手が、被害者である者が賃金を払うとか払わないとか言っておって、それに対して何らけがをしているわけでも何でもない。時間的に若干ありましょう。まあここでは五時半から九時半ごろまで、こう言っておるんですが、そのくらいの交渉をやったんです。やったんですが、この交渉をやったことを、威力をもっておどかしたとか何とか、こういうふうにとられているようですけれども、私どもはあくまでもこれは労働問題だと考えておる。威力をもってやったわけでも何でもない。賃金払っていないものを、いつ払うか、こういうような交渉でもつれ合っている問題だ。そういう問題に対して、しかも、相手がけがも何にもしていない。こういうごく軽微な、まあ、なぐるぞと言ったとか言わないとか問題があるんですが、これが脅迫だとか何とかいう問題になっておる。労働組合運動の中でこれくらいのことは、私はいいとは言わないけれども、それをもってして直ちに暴力等の違反事件だと、こういうふうにすることに対しては、私は非常に軽微な問題である。それに対して今日なお勾留をして、その理由が、黙秘権を行使しているからだ、こういうことで勾留するということは、私はけしからぬと思うんだけれども、どう考えておられるか、一つお答え願いたい。
  43. 川井英良

    説明員(川井英良君) 七月の二十日に警察で逮捕をいたしまして七月二十二日に検察庁に身柄の送致を受けまして、検事の方から裁判所に対して勾留の請求をいたしまして、その結果、勾留状が出まして、自来、八月一日に公判請求をいたしまして、今日三名の身柄がいまだ拘束中であるということは、ただいま御質問の趣旨の中にございましたように、私どもの方にも報告がその通り参っております。ただ、勾留請求の際に、検察官が勾留請求の理由といたしまして、黙秘権を行使しておるとか、あるいは参考人に任意出頭を命じましたところが、任意出頭に応じないからというようなことを記載して勾留諾求をしたかどうかということについては、私の手元には報告が参っておりません。そこで、そういうことが書いてあったといたしましてお答え申し上げますというと、なるほど、勾留請求の理由は、犯人逃亡のおそれ、ないしは証拠隠滅のおそれがあった場合に限られるわけでございます。そこで、証拠隠滅のおそれがあるということだけ、あるいは逃亡のおそれがあるということだけを抽象的に書きましては、裁判官にいわゆる疎明する疎明資料としては十分でないわけでございます。そこで、実務の取扱いといたしまして、逃亡のおそれがあるという理由として具体的に、これこれしかじかのことがある、証拠隠滅のおそれといたしましては、犯罪事実の証明がなかなか困難な事件であるということを疎明するためにいろいろ具体的なことを書くのが実務の実際になっております。そこで、法律上権利として認められております黙否権の行使でありますとか、あるいは任意出頭に対する拒否権でありますとかというふうなものを、そのままの形において記載したということでありますれば、記載の事実としては適当でないように思いますが、当該検察官の考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、証拠隠滅のおそれがあるという抽象的な、法律が要求しておる要件の具体的な説明としてさようなことを記載したものではないかと、ただいま私、想像するわけでございます。
  44. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 北村君、先ほど警察庁への質問に対して、現地から報告が来ているから答弁したいという希望がありますから、倉井課長の答弁を求めます。
  45. 高野一夫

    高野一夫君 これは懇談でもいいのですが、四件を一時ごろまでに済まそうという約束ですが、一つの事件だけで長時間とるというと、あと三件やれませんが、どうしますか。
  46. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  48. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) 御質問の件は、福田金治氏を参考人として出頭を求めたときのことと思われます。実は同人の奥さんがたまたま発生した殺人事件の容疑者であったのでありますが、その事件の状況を聴取する必要が生じまして、七月の二十五日に米内沢署に任意出頭を求めて取調べを行なったのであります。その殺人事件の取調べが終りましたあとで、同人は今回のこの事件の参考人でもありますのと、それから殺人事件や何かがありましたので、その御家庭内も取り込んでおって一度帰してまた再度出頭していただくのも気の毒であるというような判断のもとに、本人の了解を得て今回の事件について実情を聴取したものであって、強制にわたった事実はないということを聞いております。なお、十時間にわたって調査をされた、こういう御質問のようでありますが、実は二十五日の午後一時に任意出頭しまして、それから殺人事件については午後二時三十分まで状況聴取をした、それから午後二時三十分から午後六時三十分まで合川事件、この事件について事情聴取をし、そのあと引き続いて午後十時まで合川事件についてこれは検察官が取調べを行なった、こういうふうな報告が参っておりますので、御報告申し上げます。
  49. 北村暢

    北村暢君 報告を、説明を聞いたって意味がないので、あなた方はそういうものに対してどういうふうに考えておられるか、切りかえてやったといえばそれまでの話だけれども、しかし、私どもは実際ペテンにかかったというふうにしか考えられないような要素がある、そういうことは、私は捜査権の乱用だと、こういうふうに思うんです。だから、これは見解の相違で聞きませんが、まずその次にお伺いしたいのは、この問題は先ほど申しましたように、実際は秋田の地方公務なり何なりで全般的な問題として、逮捕状に出ているような出来高制から日給制に切りかえるというような、こういう問題で起ったのではなくして、五月までの賃金の不払いに対してその賃金を一体払ってくれるのかどうかという、七月の段階で今この紛争が起きているのです、偶発的に、たまたま事業課長が来たから。そういう事態なんですね。だから賃金の不払いに対して、これは営林署のミスであったようですが、供託されるべきものが供託されていなかった。また、五月までの賃金が供託されていなかったということがはっきりしたのです、このときになって。そこで問題が起った。でありますから、私はこの賃金問題に対してこれだけの紛争が起きて、やりとりがあった。まあ四、五時間やりとりがあったわけです。そうして九時半ごろに帰っているわけですが、その時間行われたからといってこれを直ちに暴力行為等の処罰に関する法律を適用するということは、この法律自体が労働組合を暴力団視するような形でこの法律を適用する。この法律の成立した過程からいって、これは暴力団であるとか何とかというようなことが対象になっておって、労働組合の紛争に対しては適用しないんだというのがこの法律の趣旨なんです。その法律の趣旨をあえてここへ持ってきて労働組合——今あなたのおっしゃっている点からいえば、当然労働組合の中における紛争です。特に賃金の問題のやりとりなんです。これに対して暴力行為の取締りの法律を適用するということ、このこと自体が私はもうすでにこれは組合に対する弾圧だと、こう断定しても差しつかえないと思う。こういう問題に対してどういう見解をお持ちか。  それから労働大臣は、労働者がこのような形において弾圧を受けているものに対して一体こういう検察のやり方というものが妥当なのかどうなのか。非常に軽微な問題ですよ。なぐるとかなぐらないとか、言ったとか言わないとか、ひじが当ったとか当らないとかという問題、肋骨が三本も五本も折れたとか、それからカン詰にして包カンをやったとかという問題ではないのですよ。労働組合の交渉の中で往々にしてあることなんです。そういう問題が直ちに暴力行為ということでもってやられるということに対して、そういう官憲の介入ができて、これがやはり労働問題の中において私は微妙な関係にあると思う。秋田の組合と当局とが約三カ月から四カ月にわたって紛争を起して、いまだに解決しないで、その力関係において非常に微妙な関係にあるところにこういう暴力行為ということでもって官憲の手を入れるということは、私は、いかなる弁解をしたってこれは組合に対する不当介入であり、不当な弾圧である。このことによって組合と当局との力関係というものが破れる、こういうふうにすら考えておるのです。そういう問題に対して労働大臣は、こういう官憲の介入というものが正しいと見られるのかどうなのか。こういうことでは労働者の権利というものは保護されないと思うが、労働大臣の所見を承わりたい。
  50. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 労働者の権利というのはあくまでも最大限に守らなければなりませんし、私もその気持で今日おります。ただ労働組合法第一条に「いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」というこの一条が第一条に非常に強く規定されておりますので、暴力以外の正当な理由というものは労働組合法で最大限に保護されておると言いますけれども、暴力行為については労働組合法の中にもあくまで排除してございます。ただ、事実はどうか知りませんけれども、暴力という限定がありました以上は、労働大臣としてはこれは違法な行為である、ただ、暴力の判定については個々においてこれは解釈が違いましょう。従って、現地の警察及び取締り当局が暴力と判定するならば、労働大臣としてはこれは労働組合法の違法な行為だという判定を下さなければなりません。これはその場その場の現場においてこれは解釈されるものだ、暴力はあくまで、いかなる場合においても権利からはこれは除外される。また、権利の行使のためにその暴力を使うことは断じて許せない。これは労使共に対等なものだと、私はこう考えております。
  51. 北村暢

    北村暢君 法律適用についてどうですか。
  52. 倉井潔

    説明員(倉井潔君) 警察としましては、先ほども申し上げましたけれども、組合運動とか団体交渉自体に対しては介入するものでないのはこれは申し上げた通りであります。しかしながら、万一団体交渉等に伴って不法事犯が発生するようなことがあれば、それはたとえ労働争議を伴うものであっても、その予防、鎮圧に努め、犯罪の捜査を行い、被疑者を逮捕することは、われわれ警察の責務として当然なことでありまして、これは労働争議自体に介入するものではないと信じております。  また、暴力行為を労働組合には適用すべきでないという御質問、御意見のようでありますけれども、暴力行為取締りに関する法律は、対象のいかんにかかわらず、そういう場合があるならば、適用すべき場合があるならば労働組合といえども適用の除外になるものではないと信じております。
  53. 北村暢

    北村暢君 ただいまの労働大臣の答弁は、これは暴力行為をやったということであればこれはまあ私は否定はしないのです。しかしながら、今私が言っているように、全く軽微な問題なんです。これは。けが一つ、すり傷一つ負っていない。そしでこれは傷なんか負ってなくてもいいというふうに警察当局は言っているのです。警察はなぐるぞと言っただけでも犯罪は成立するのだ……、それは確かに法律上はそういうふうになっている。しかしながら、この五月までの賃金を払っていないという問題に対して、労働者が賃金を払ってくれ、払ってくれということでやって四、五時間もめたとかもめたいとかいう問題が、しかもこれがその現場でなしに四日間かおいて逮捕なされておるのだが、これは私は、営林当局なり何なりの一方的な意見によって逮捕が行われたのじゃないか、このように感じているのです。しかも逮捕状と勾留の理由と非常に差ができている。それは最初はあまり事態がわからないで逮捕してしまった、よくよく調べてみると非常に困った事態になっているというのが私はもうその警察の事態じゃないかと思うのです。そういうようなほどの軽微な問題なんです。だから私は労働大臣にお伺いしたいのは、その暴力行為があったらそういうふうに警察がやったというのはこれは法律からいって当りまえのことである、そういうことを聞いているのじゃなくて、こういうような軽微な事件に対してこれは全林野の問題じゃなくして私どもも、この前に猪苗代においてこういう問題が起っている。従って、弁護士も私どもも行っているし、一切労働組合は暴力をやっちゃいけないのだということをもうこんこんと言い含めている。いかなる場合があっても暴力をふるってはいけないのだということを指導もしているし、組合もそのつもりでいる。でありますから、こういう突発的に起った問題であり、この経微な問題に対してどんどん警察が暴力だと認定してやられるということは、先ほど言ったように、労使関係で非常に微妙な段階にあるときにおいてこういう形が出てくるということは、労使の力関係というものに非常に大きな影響を及ぼしてあなた方が労働組合に介入する、労使間の問題に介入する意思がない、あるいは弾圧する意思がないというけれども、結果的にはこれが非常に大きな影響を及ぼすのです。これは事実なんです。そういう点からいって、私は、労働問題に対するこの警察当局の慎重な態度というものがもっとあってしかるべきだ、こういうことを言っておるのです。でありますから、労働大臣に対しても、これは全国至るところに起っておるのですから、そういう問題に対して一つ、捜査の方針にしたって、労働組合を頭から犯罪視するような捜査のやり方に対しては、労働大臣としては、やはり警察当局相当労働者の保護の立場から意見があってしかるべきだ、こういうふうに思うのです。そのことをお伺いしているのです。
  54. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 団体交渉において、暴力行為を伴わなくて完全に団体交渉というものが行われるのが正しい姿でありますし、各地で実はその姿で行われておりまするたまたま今回の問題は、警察取締り当局が暴力行為と認定したならば、これは私としては、事実をよく詳細に聴取して、実際に暴力行為の判定に誤まりなければ、これは私が取締り当局の行動を是認すべきだ、従って、その現場の行動によって判定すべきだと思う。これは非常に、各種の場合、拡張解釈されて組合を弾圧するという目的をもって使われ、その影響が多大に現われますならば、私どもの方も十分考えなければなりませんが、今日は比較的平穏な状態。たまたまこの合川という所でこれが行われたということでありまして、団体交渉というものが正規のルートに乗りつつある今日の状況の中で、暴力行為の伴う事態は、非常に私は嘆かわしい事態であると、かように考えております。ただ、合川の現場の問題は、現場認定というものは私どもの方に届いておりません。しかし、やはりある程度威圧的に、ある程度集団的にやられたという風潮は見えますので、もう少し取締り当局の判定と行動を見ながら、これが非常に今後の労働問題に影響があるならば、労働大臣として当然発言すべきだと思う。まだその認定に至っておりませんので、取締り当局の捜査の推移を見ながら、私はこの結果を待ちたい、かように考えております。
  55. 高野一夫

    高野一夫君 議事進行について。これは、私は静かに伺っておって、北村委員の方は暴力行為でない、何でもないとおっしゃっておるし、取締り当局の方は暴力行為と現地で判定したのだからと解釈されておるので、聞いておってこれは水かけ論になる。結局、現地において第一線の取締りに当った人を呼び、また労組側の人も呼んで証人喚問でもやらなければ、果して暴力行為であったかどうかの判定は当委員会としてはできないし、この質疑はすでに小一時間も引っかかっておる。きょうは一時前後に終りたいということで、すでにこの問題に入りましてから五十分たつ。あと二十五分で三件やらなければならない。多少延びたとしても、まだ大きな問題が、社会党側からの質疑の問題が三件あるわけですが、どうしますか。この問題は、一つ適当に北村委員の方でもお考え願って、委員長の方で御裁断願いたい。
  56. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  57. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  58. 北村暢

    北村暢君 最後に、私は林野庁長官が見えておりますからお伺いいたしますが、私は、この現在の合川の事件もそうでありますが、ほかにも起っているのでありますが、合川事件は非常に長い間紛争を続けている。そしてこの合川の問題は、まず団体交渉に入るか入らないかということで二カ月も三カ月もかかっている。これに対して私は、組合がいいとか当局が悪いとかということではなしに、やはりこういうことで国有営林事業という国民のための営林事業経営というものが、これは大なり小なり非常に大きな影響を受けている、損失を受けているということに対して、これは私は世論が許さないのじゃないかと思うのです。  そういう点からお尋ねしたのですが、林野庁の画一的な労働対策、いわゆる旧来の慣行なり何なりというものを全く無視した、正規の団体交渉を少しでも、いわゆる拠点闘争とかいっているのでありますが、こういうようなものに対しては一切交渉に応じない、こういうような形できていると思うのですが、これに対して私は、理由のいかんにかかわらず、問題がここまで延びてきているということに対しては林野庁にも相当責任がある、このように私は考えているのです。従って、一つ今後の合川の問題その他についての対策について、いかような考え方を持っておられるのか、これをまず第一点としてお伺いをいたします。  もう一点は、これに対して相当な行政処分がある、これはまあ私どもの容喙するところではございませんけれども、しかしながら、この問題がこのような形で相当長引いて労使間が紛争を起している、お互いに私は責任というものがある。ところが、当の営林署長は今月の何日かでどこかの計画課長に栄転をしている。そういう形でケリがなされて、今後組合に対する処分だけが重くのしかかっているということに対しては、これはやはり納得できない。お互いにやはり責任というものはとられなければならない、このように考えるのですが、どのように考えておられるか、この点についてお聞きしておきます。これで私の質問を終ります。
  59. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 第一点の問題でありますが、林野庁といたしましては、従来からも、労使の双方におきます正常な平穏な形におきます団体交渉はどこまでも続けて、問題の解決に誠意をもって当っていくということにならなければならぬと思うのでありまして、合川におきます今後の問題につきましても、同様な考え方をもちまして、当局といたしましても誠意をもって話し合いを続けていく。で、解決点を見出すということに進んで参りたいと考えている次第であります。  第二の処分の問題についてですが、これにつきましては、組合がこの闘争のいろいろな過程におきまして行いました行動というものにつきまして、われわれといたしましては、詳細な資料と調査の結果に基きまして、行政処分は必要な場合におきましてはそういうものをやっていくという考え方で進みたいと思っている次第であります。
  60. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、合川事件についての質疑はこの程度で終了いたしまして次に移ります。   —————————————
  61. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、京都交通労働組合の政令違反問題についての質疑に入ります。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 時間がありませんので、私も端折って質問をいたしたいと思います。これは法務省にお聞きします。  この事件については御存じだと思うのですが、政令二百一号違反として、京都交通、京都の市電の従業員が休暇闘争をやった。で、その処罰、行政処分を受けた中のある人が二百一号違反として刑事問題として京都の地方裁判所において裁判が行われたのですけれども、免訴になっている。それが高裁に行き、原審が棄却されて、あらためて裁判をやれ、最高裁に行ってもそういう結果がでているわけです。問題は、労働省にも非常に関係があると思いますけれども、国鉄を初めとする公共企業体等労働関係法というものができて、これには昭和二十四年の四月一日から、政令二百一号とは関係なしに、罰則というものがこの法律から離れて、国家公務員も離れている。それから地方公務員は二十五年に地方公務員法ができて、これも政令二百一号から離れている。地方の公共企業体の労働者だけ、数万の方々が宙ぶらりんの形で、二十七年の地方公営企業労働関係法ができるまで宙ぶらりんであった。この公営企業労働関係法の中で、政令二百一号というのは、二十七年の四月二十八日ですかで終るわけでございますけれども、付則三項においてその処罰が継続されている形で、いまだにこの事件が京都地方裁判所で審理をされ  ている。  私たちの問題にしたいことは、たとえば鉄道とか、塩とか、専売ですか、そういう形のものについて、特別立法をせよという形で公労法ができて、同じような業態に従事している地方の市電の労働者だけが別個に政令二百一号の違反にかかっている。憲法の建前からいっても、法のもとに平等であるという精神が没却されて、いまだにその裁判の中で呻吟をしている労働者があることは、これは非常に不当なことではないか。だから、積極的に今の地公労法の付則三項というものが削除されるという条件が生まれてくることが一番いいと思うのですが、その問題にまで進まなければならぬ事案だと思います。そこで、この今のような中における昭和二十四年からこちら、二十七年にできる間における市電の労働者の置かれていた位置、労働関係について、私は法務省と労働省見解を聞きたいと思います。そうでないと、この二百一号政令違反として残っているのは京都市電の労働者だけなんですから、非常にこれは不公平な、法のもとで不公平な取扱いが行われておる。これについてまず法務省から、このような取扱い、このような法体系の中でどういう工合に見ておられるのか、御意見を承わりたいと思います。
  63. 川井英良

    説明員(川井英良君) ただいま仰せの通り、二十六年に公訴を提起いたしまして、一昨年か免訴になりまして、以後検事控訴いたしまして、二審は原判決破棄という判決がされたわけでございます。破棄判決に基きまして、お話通り被告人の方から上告をいたしまして、最高裁判所で大法廷を開きまして、このケースを審理いたしました結果、ただいまお話しのようないろいろ錯雑した法律体系になっておりまするけれども、大法廷の結論といたしましては、いろいろ立法政策その他の問題もあって、かような錯雑した法体系になるのもやむを得ないのだ、こういうふうな、簡略申しますとそういうふうな趣旨でもって、憲法十四条、すなわち法のもとに平等という今の仰せの条文に違反しないのだというふうなことで、被告人側の上告が棄却になったわけでございます。そこでまた、これもお話通りでございますが、二審の破棄の判決に対しまして上告して、それが棄却になりましたので、京都地裁の第一審にもう一回逆戻りしたわけでございます。ただいま京都第一審におきまして初めから事実審理をいたしておりますのがこの事件のケースと、こういうことに相なっているわけでございます。  先般国会方面からもこの事件につき、ましてすでに終ってしまった二百一号について、今ごろ裁判をしているというのはまことに適当でないじゃないかという趣旨からのお話もございましたので、私どもさっそく研究いたしまして、実は私のもとにおります参事官を直ちに京都に派遣いたしまして、この事件の最初からのいきさつ並びにその情状、その後における被告人の方々の身上の変化、身分の変化というふうな万端についての実は調査をさせてその調査に基きまして、法務省といたしましていろいろ、私、上司と協議をいたしたわけでございます。その結果、私の考え方といたしましては、大法廷まで持ち出しまして、大法廷の結論といたしまして憲法十四条に違反しないと。なお、御承知の通り、二百一号につきましては、十四条のみならずほとんど憲法の全条文、関係全条文にわたって大法廷の判決がありまして、この二百一号はいずれも憲法違反でない、こういうことになっておりますし、それから十四条におきましても本件ケースとして詳細な判断がなされましたので、その大法廷の判断というふうなものに基きまして、できる限り第一審の審理を、差し戻し後の審理を急がせる。急がせて、その上において事件の処理といいますか、収拾ということを考えるのが適当であろうと、こういうふうな結論に落ちつきまして、私どもといたしましては、京都地検に対しまして、地裁と連絡いたしましてなるべく本件審理を急いで、早く事件の判決を確定させるように努力した方が適当であろうということを、指示と申しまするか、伝達をいたして、事件の審理の経過を今見守っておるというような状態に相なっております。
  64. 亀井光

    説明員亀井光君) ただいま法務省から御見解が述べられました通りに、最高裁の判例の中でも、まあ具体的に申し上げますと、「両者の身分関係および労働関係の分野について、企業の主体、組織規模、性質、会計経理、労働条件その他の具体的事情に即し、」きめられておる「両者の労働関係に対する罰則の適用について差異が生じたからといって、これをもって直ちに、所論のように、不合理な差別的取扱をしたものであって憲法十四条に違反するものであるということはできない。」、このような最高裁の結論に従いまして、今直ちにこの付則の三項を削除するというふうな意思はないのでございます。
  65. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 法務省の方にお尋ねするのですけれども、裁判を急がせるというのはどういう意味なんですか。私のお聞きしているのは、先ほど私が申し上げましたような経過の中で、宙ぶらりんな状態の中でこの事案というものが進んできておるわけですね。そうして昭和二十七年の四月二十八日ですか、占領が解けて、政令二百一号がなくなって、片方の同じ業態である国鉄その他はその刑事的な問題からはずされておるわけです。労働関係でははずれている。それで、その地方の公共企業体の労働者だけが三項で、「従前の例による。」というような付則三項をつけて、ことさらにこの問題を、その裁判をする根拠にしているとしかわれわれは考えられないのですね。二百一号がなくなって、それで宙ぶらりんな間で二十七年には地公労法ができて、それにも罰則規定がない。それで二百一号の場合だけを、どういう意味でこういう格好でつけたものか知りませんけれども、三項でつけて、それを唯一な根拠として裁判が行われている。これはどうも、どう見てみたって、われわれには理解ができない。それと、高裁で行われ、最高裁でそういう結論が出たから急いでいるということの意味が、私はわからない。何のために急ぐのです。私は、そういうものは、その根拠になるものが、三項というようなものをちょいとつけてそれを法律根拠にしているということに第一の不満がある。私としては理解できないのです。しかし、行われている事実は、今の原審に差し戻ったやつを急いでいるということになると、なおわからなくなるのですがね。もう一度そこのところを説明して下さい。
  66. 川井英良

    説明員(川井英良君) 先ほど説明いたしましたように、非常に曲りくねった裁判の経過をたどっておりますために、今日まだ審理未済のままで残っているという、いずれにとってもまあ好ましくない不幸な状態になっているのが現状だと思います。お説のように、その根拠になっている法律を改正するか何かしてしまえば、なるほど根拠はなくなりますので、裁判は途中でありましても、公訴棄却か何かというような判決でおさまるかもしれませんけれども、法律の改正ということにつきましては、私どもといたしましては何ともいたしかねますので、現実のあるべき——ある法律体系のもとにおきまして検察を行い、また裁判に協力するという与えられた私どもの立場から申しまするならば、なるべく早く事件を処理して、そうして事件を確定させて、できる得る限り被告人の立場にある人たちにも早く確定した、おさまった生活をしていただくということよりほかに、ちょっと私ども法務省の立場といたしましては手がないような気がいたしまするので、われわれといたしましてはなるべく早く事件を終了させろと、こういうふうな指示をいたしたわけでございます。
  67. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、そういう一般的な意味で早くという意味なら、あなたの方の職掌柄の問題でしょう。私のさっき理解したのは、いろいろ問題があるから早く片づけてしまおうという意味なら、非常な重大な問題がある。私はそう理解したから、お尋ねしたのです。問題は、私は、法のもとで平等であるということの建前からして法務省は今のような市電の従業員と鉄道の従業員との関係、それで宙ぶらりんに置いておいて、それだけを政令二百一号の違反行為だといって、三十四年になっている今日、そういう問題を取り上げて裁判をしているということ、これは実際にどういう工合に……。先ほどのお話ですと、大法廷まで開いたからそういう格好の中で急いでいるということになったのだが、法のもとに公平であるという建前についてどういう工合にお考えになっているのですか。今の同じ鉄道、交通事業に携わっている従業員の、片方は国、片方は公共企業体ですね、そういうところで法の平等だということについてはどういう工合にお考えになっておりますか。
  68. 川井英良

    説明員(川井英良君) 大へんむずかしい問題で、私にはうまく答えられないかもしれませんけれども、このケースが大法廷に係属いたしまして、御承知の通り、判例集にもこの大法廷の判断が詳細に載せられております。その中で、たしか佐伯弁護人だと思いますが、今の十四条の点につきまして、国鉄の職員と公営企業の職員との間に法律上こういうふうな差別の取扱いが行われているということはまことに適当じゃないのじゃないかというようなことから、条理を尽し資料を集大成いたしました、非常に膨大な上告趣意が出ていることは御承知の通りであります。私もその上告趣意を承知いたしております。その条理を尽した趣意に対しまして、これにこたえて、また現在の日本の最高裁判所の大法廷がある程度条理を尽しまして、そういう上告趣意にこたえて、本件はそういう上告趣意があるけれども、他のいろいろな事情、たとえば今亀井局長が一部分を読まれましたけれども、そういうふうな事情からいたしまして憲法十四条には本件は違反しないのだと、具体的なケースで最高裁判所の大法廷がそういうふうに言い切っております。ので、私ども検察、司法の実務家といたしましては、やはり最高裁判所の判例の範囲内でもって仕事をしていくというふうな建前になっておりますので、ただいまの御質問に対しましては、私の立場といたしましては、最高裁判所の判断しておりますような理由に基いて、私も同じような考えを持っているのだと、こういうふうにきょうのところは答えざるを得ないと思います。
  69. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、最高裁判所の判例についてここで議論しようと思っていない。事実問題として、こういう動きの問題、法務省はよく御存じだと思うのです。この二百一号からきた中で残っているのは、公共企業体のここだけは、これは三項としてつけてそうしてそのために何人かの労働者が犠牲になっているといいまするか、そのために非常に苦しんでいるという、これは実際問題としてこういう形のものについては、今回初めて私は質問するのですけれども、こういう具体的な問題が今まで続いておったんですから、適切であるかどうかという問題は、単に最高裁の判例がこうだからどうだからということでなしに、そこはもっと人間生活に直結して、国の社会の中で直結した状態の中で私はこのような問題をもっともっと考えてもらいたかったと思うりであります。そういう疑念もあったんだということを仰せられておられる以上、なおさらのこと、私は事前にもっと早く考えてもらいたかったと思う。  そこで、私は、この三項の問題が問題点として残っているから、今あるので、この問題は、私は、削除であるとか、この法の改正の問題であるとかいうことは、国会において論議することでしょう。だから、その問題は、そこまで私はきょうは入ろうとは思いません。思いませんけれども、あまりにも法務省は、二十七年に講和条約が行われて、そうして三十四年になってきて、今でも政令二百一号の問題が、それによって裁判がされているなんということは、私は非常に残念しごくだと思います。日本は独立国といいながら、非常に残念しごくだと私は思うのです。だから、その点はいずれあらためてまた法務省との間に、きょうは時間がないからやめますけれども、議論をいたしますけれども、よく一つ考えてもらいたいと思うんです。単に、いろいろなややこしい問題があるから、早いこと裁判を進めて早いことケリをつけてしまうのだというものの考え方には立ってもらいたくないことだけは、一つ私は希望しておきます。  それで、労働大臣に、時間がないようですから、一つお尋ねをしたいのですけれども、まあ労働大臣は最近に御就任になったのですから、過去の事情はよく御存じないと思うんです。今の地方公共企業体の労働者がこういう状態に置かれている。今私がお話ししたような状態に置かれている。これは十年から前の話になりますけれども、その占領が終って八年も十年もたっているのに、二百一号のあと地公労法の付則三項に残っているから、そういうことによって裁判が行われている。こういう情ない状態は、私は、労働大臣としてももっともっと関心を持って、あれは裁判のことだから裁判でいうことでなしに、労働者をどうしたら保護できるかという立場に立ってこの問題はやはり考えてもらわねばならぬ問題じゃなかったかと私は思うんです。だから、そういう点について大臣の御所見も一つ承わっておきたいと思います。
  70. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この問題だけは特に経過規定として生きているものですから、現在法律の示すままに行政をやっているわけでございます。しかし、全般的にこれを、藤田さん、やはり古い法律ですから、いろいろな面で私は考える余地があると思う。ここばかりでもなかろうと思います。まあ願わくば、いずれ労働問題であるいはいろいろ検討するかもしれませんが、そのときはこういうものも含めて検討したいと思いますので、あらためて御賛成を得るような機会がありはせぬかと思いますので、この問題だけを私は取り上げるわけには参りませんので、総体的に、やはり相当古い法律ですし、勅令をそのまま与したのもこうやって残っておりますので、これはいずれ、私個人ではいけませんので、審議会か何か設けまして検討したい、こんなように考えております。
  71. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、それの三項の問題は、そういう御見解で、一般論としてはいいでしょう。大臣見解としてはいいでしょう。しかし、こういう状態が、二百一号違反行為で裁判ざたになって残っているのは、この一件だけなんですよ。それが十年もたっているのに、この状態にあったということに、労働大臣労働省としてはもっと関心を持ってこの事態の解決のために私は気を払うべきではなかったかということを言っているのです。
  72. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) よく私も注意を払いますが、この問題も裁判がだいぶ係属しておりますので、この問題には一応私としては、大法廷でも審理が行われたことですから、これに批判はいたしませんが、労働法をつかさどっておる労働大臣としては、諸般の問題として私も検討したい。もちろん、これもその事項の一つでございます。こういう考えで実はけさこの説明を聞きまして、私もこんなものも残っておったかと実は気づいたわけで、これだけ残っておるということが明らかになりましたので、しかし、残っている以上はこれに従うべきだ、私は今日はこう考えざるを得ません。一いずれ総体的に洗いたいと、こんな考えであります。
  73. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ、最後に希望しておきます。これは労対の面からいって、労働行政を扱う労働大臣労働者の立場から、今初めて気がついたというようなお話がありましたが、実際こういうものによって苦しんでいる何人かの労働者がおったという、そういうものにも十分やはり労働行政の中で気をつけてもらいたい。それからまた、こういう宙ぶらりんにされておった労働者が、これによって今時分、十年もたってこの二百一号違反行為で裁判が行われておるというようなことの根拠になっておるのが、地公労法の付則三項です。だから、この処理の問題も一つ労働省も法務省も十分に熱心に問題と取り組んでもらいたい。きょうはこれだけでやめます。いずれこれだけではなかなかおさまる問題じゃありませんから、あらためてこの問題については一つ意見を聞きたいと思います。
  74. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、本件の質疑はこの程度で終ります。   —————————————
  75. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、北陸鉄道労組スパイ事件についての質疑に入ります。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは警察の方に特に……。
  77. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  78. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) では、速記をつけて。  どうぞ、藤田君。本田警備第一課長出席いたしております。
  79. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 石川県の北陸鉄道労組で起きた警察官のスパイ事件として、実情を御存じでございましょうか。
  80. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) はい、一応……。
  81. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは、二、三お尋ねしてみたいと思うのですが、この北陸労組、組合自身といたしましては、そこで使っているプリンター、プリントを専門にやっている人が、組合の書類をある警察官——長井という人ですか、その警察官を通じて、月々二千円、三千円をもらって、そしてその書類を、組合で作成する一切の書類を二年間その警察に流しておった、そういう事件なんです、これは。  まず第一に聞きたいことは、労働組合運動そのものに警察はどういう見方を持っておられるか、どういう工合に労働組合というものを見ておられるか。それから、こういう格好で組合の内部に干渉を——金を使い人を使って、そして立ち入ったスパイ行為ですね、これは。こういうことをやるということを警察の方針とされているのかどうか。それから、どういう法律でこういう行為をおやりになっているかというようなところから、お聞きしてみたいと思うのです。
  82. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) 第一点の、労働組合運動あるいは労働組合というものに対して警察がどういうふうに見ておるかということでございますけれども、われわれは、警察法第二条によりまして、公共の安全、秩序の維持のために平素から仕事をしておるわけでございますが、労働組合運動そのものにつきましては、その正当な組合運動につきましてわれわれは全然無干渉の立場をとっておるわけであります。ただ、この労働組合運動に随伴して起るところのいろいろな暴力事犯とか法律無視の不法事犯に対しましては、そのときどきに応じてこれに対して対処するという立場でございます。この点は終始一貫変っておらぬようであります。  それから、第二番目に、スパイ行為をしておるというようなことでございますけれども、われわれは決して労働組合の中ヘスパイを放って、労働組合の情報をとるというようなことは毛頭考えておらぬのであります。われわれの考えておりますことは、あくまでも日本共産党の動向把握という見地から、その組合内に非常に統制力が伸びつつある、あるいは非常に強いというような場合に、その日本共産党の組合内におけるところの活動あるいは統制力の浸透状況、そういうものを把握いたしますために、その組合内の協力者から情報を提供していただく。その方法も、あくまで適法であり、かつ妥当な範囲において、情報を提供していただくというような立場をとっておるわけでございます。
  83. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、不法事件には介入する、一般の労働運動には介入しない。これは不法事件も何も起っておりませんね、平生の問題ですから。それから、労組の中で共産党が云々というお話がありましたけれども、しかし、それも正規の形で組合から情報をもらうというような格好のお話がありました。これは御存じの通り、長井という巡査がプリンターの大河ですか、大河という人に、あるところに、児島さんといいましたか、そこの家を通じ、奥さんを通じて、その人を通じて、また直接のときもありますけれども、金を二千円とか三千円渡して、そしてその人から情報をとって、そして金と交換にそういうことをやっておったというようなことになっておるわけですけれども、これは御存じだと思うのです。これは何ですか、警察の指示でおやりになっておるのですか。
  84. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) この問題につきましては、われわれは現地である石川県の警察本部から次のように報告を受けております。この大河というプリンターでございますが、これは昭和二十二年の当時に、金沢の駐留軍の警備員として勤務しておったのでございますが、そのころ長井巡査とすでに面識があったわけでございます。ところで、その長井巡査が自分の父の時代から親交のありました金沢市内の西野写真館へ出入りしておったのでございますが、昭和三十一年の十月ごろにたまたまこのプリンターの大河書記も、写真の趣味があったということから、その西野写真館へときどき遊びに来ておりまして、そこで顔を合せて仲よくなったわけであります。その後、大河書記もいろいろと茶飲み話などをしておる間に、長井巡査の勤めておりますところの警察の仕事を理解してくれまして、何かでも役に立てばという気持から、むしろ自発的に約二年間にわたってこの労組内における共産党の関係の資料などを提供してくれて、大体この西野写真館で会っておったというような状況でございます。その間、長井巡査から月々若干のお礼をしておったようでございますけれども、これはあくまでも実費弁償の意味でございまして、いろいろそのために車馬賃などが要るものでございますから、それに対する実費弁償というような程度で謝礼をしておったように聞いております。
  85. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 実費弁償というお話がありましたけれども、それでは実費弁償というのは結局金を払っているわけですね。金を払って、組合の情報を一つ残らずそこから取ってくる。で、そういうことを警察は命令してやらしているのですかということを聞いておる。
  86. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) 先ほども申し上げましたように、組合の情報を一切がっさい取ってこいというようなことを長井巡査が大河に命令したことはないというふうに、われわれは報告を受けております。
  87. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、どの範囲の書類を取ってこいというふうになっているのですか。
  88. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) おそらく組合内におけるところの党勢力の状況でございますね、だれが党員になったとかいうようなことを主として聞いておったように思います。
  89. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 昭和三十二年の七月からこちら、組合業務で印刷するやつを全部提供しておるわけですね。そしてそのプリントをやっている人は、組合の組合員でもない、役員でもない。だから、ただプリントを請け負っているというだけなんです。だから、本人はそのプリントをもらう権利もない、組織からいっても。その権利のない人がそのプリントを、長井さんと大河さんの経路を経て一枚残らず警察に入るというようなことですね。それから、回り回って、大河という人は組合の業務の書類や事項を盗用しているということになりますね。これはもらう権利がない人がその書類を一切自分で勝手なところへやる、やったところが警察官の長井さんだと、こういうことにもなってくるわけですね。そうすると、警察官と、本部の命令であったかなかったか、その点が先ほどから明らかにならぬのだが、その点は書類、事項を盗用したということになりませんか。
  90. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) まあ警察といたしましては、あくまでも、先ほど申し上好ましたように、党関係の資料をできるだけ提供してもらいたいというふうに本人に指示をしておったと思います。おそらくまあ、組合の一切の資料を提供したというならば、それは本人が任意に提供したのである、そういうふうに考えております。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 組合の資料を提供するというときに、正規に組合に行って組合の動向を知らしてくれとか何とかいう形でお取りになるとか、個人が、組合の人が見せてやるとか、そういうことが正規な警察官の、団体に介入しないというならば、そういう形以外に出ていかぬのじゃないですか。それを組合員の資格もない、組合の書類をもらう権限のない人たちを通じてこういうことをやることは、これもいいとは警察はおっしゃらないと思うのですけれども、どういう工合に見ておられますか。
  92. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) われわれは、何度も申しますように、組合内におけるところの党活動の状況を知りたいのでございます。そのためには合法であり、妥当と思われる範囲で、いろいろな手段を使うわけであります。その意味におきまして、組合内におきまするところのプリンターを協力者にしたわけであります。その協力者の任意に提供するものをもらっておったわけでありますが、われわれはあくまでもその組合内におけるところの党活動の状況を知りたいわけでありますからして、組合運動そのものに関するところの情報をほしかったわけじゃございません。そういう情報ならば、先ほどおっしゃいましたように、組合員に面接をして正規の方法で取るというのが、これはあくまでも正面的な、最も妥当な方法と思いまするけれども、党活動の情報というものは、なかなか普通の手段では取れないのであります。従いまして、状況に応じてあくまでも適法であり、妥当な方法でそういう協力者を求めて、その中から取るということは、これは許さるべきものであると考えます。
  93. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 党の活動の状況をおつかみになる、探されるということは、それは警察の立場で、どの党においてもあるかないか私は知りませんが、しかし組合の業務一切の書類を取って、場合によっては上部団体の指示まで何とかならぬかというような話まで出て、そして金をもらって、そして取っているというようなことになりますと、あなたのおっしゃることとこれはだいぶ違うのじゃないですか。そういうような気がするのですがね。どうですか。
  94. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) これは何度申し上げても同じことでございまして、われわれは任意に提供されたものは、これは受け取りますけれども、そういうものは必要ないものでございまして、あくまでも党の関係の資料を要求しておりました。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 議事進行について。今、本田第一課長は非常に重大な発言をしております。この日本の政党政治のあり方に対して、特定の政党を、警察権力を使って、金を使って調査しているということを発言している。これは課長の答弁を今から聞いても私は意味がないと思う。従って、あらためて警察庁長官なり、最高責任者にここに来てもらって、今答弁いたしましたこの事実に基いて、私は警察活動のあり方に対してもう少し究明したいので、本日はこの問題については保留して、次の機会に警察庁長官など関係者を呼んで再度審議するということを提案いたします。
  96. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 藤田君、ただいまの小柳君の御発言でよろしいでしょうか。
  97. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあ問題は今小柳君の言った通りだと思うのでありまして、重要な発言だと私は思っております。ただ、この問題は、いずれもきょう一回で終るものじゃありません。しかし、申し上げるだけ申し上げておきたいと私は思うのです。  一つは、組合の書類を一枚ももらう権限のない人が書類を持って、それを示唆したといいますか、それを警察の命令であったかなかったか知りませんけれども、そういうものが長井巡査を通じてどこへ書類が行ったか知らぬけれど、そういう行為というものは私は盗用ということになりはせぬか、これが一つの問題点になると思うのです。それから、これは法の根拠についてで、どういう法律に基いてこういうことをおやりになっているのかということも、私はちょっと御見解を聞いておきたいと思うのです。それで、今ああいう御意見がありましたし、また一回で終りませんから、どうせあらためて、このような事案がほかにもありますから、それをあわせてここでお聞きしたいと思います。どうですか、その盗んだということになりやせぬかということと、それからどういう法律によっているかという、その二点の見解を聞いておきたいと思います。
  98. 本田武雄

    説明員(本田武雄君) 盗んだことにはならないと考えております。あくまでも本人が任意に提供したものを受け取ったので、そういう扇動教唆をしたという事実はありません。
  99. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま小柳君から議事進行をかねた御発言がありましたが、他の委員の方の御発言を求めます。それじゃ、藤田君、本日はこの程度にとどめてよろしゅうございますか。  それでは、ただいまの問題は本日はこの程度にとどめまして、次に移りたいと思います。   —————————————
  100. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次は、労災保険問題についての質疑に入ります。
  101. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私は、大臣がおいでになるときにと思いましたが、閣議があるということで、やむを得ませんから、関係の局長からでけっこうだと思います。御承知のように、社会保険関係につきましては、昨年医師会と厚生当局との間にいろいろのいきさつがあって、医療契約は、ようやく甲乙という点数を採用されて決定をしたのでありまするが、労働省関係においては、労災保険について、労働省関係と医師会との間に、現在従前の契約が結ばれておると思うのであります。で、社会保険についての甲乙の点数計算の問題についても、相当議論のあるところでありまするけれども、まあとにかく一応結末を見た。それに対して、今度労働省関係の労災保険の点につきましては、労働省はどういう御見解を持っておいでになるかを承わりたいと思います。
  102. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 労災保険における診療は、御承知のように、労働基準法による事業主の災害補償責任を保険するという労災保険法の趣旨からいたしまして、その診療料金の取扱いにつきましては、発足の当初から、一律的な取りきめによりませんで、必要の程度に応じ、各地方ごとに医師会、指定医、その他関係者と労働基準局との間で協議をいたしまして、妥当な診療費を定めまして、いわゆる慣行料金と称しておりますが、実施して今日に至っておるのでございます。
  103. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 今、私がお聞きしようとしたのは、その点もありますが、昨年一般社会保険について医療改訂が行われたんだが、労働省関係の医療契約については、改訂をなさるつもりなのか、しないつもりなのか、その点をお聞きしたいのであります。
  104. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) これは各基準局におきまして指定医、医師会、その他関係者の方と御協議をいたしまして、労災保険の診療につきましては、御承知のように、健康保険が一般の私病を対象にしておるのでありまして、こちらの方は業務上の傷害、傷病に対しまする診療を行うことになるわけでございまして、おのずから若干の隔たりがあるわけでございます。また、現在各地区におきまして、それぞれ医師会その他関係者との間で協定を結んでおりますが、今回の診療報酬の改訂等に伴い、またその後のいろいろな事情からいたしまして、自分のところは今までのようなことではどうも工合が悪いというような要望をなさっておる県も若干あるわけでございます。そういうようなところにつきましては、私どもの方といたしまして、現在の労災保険法の趣旨とにらみ合せまして、適正な診療をはかるために、関係者とよく御相談をいたしまして、そうして改訂が必要であれば改訂を行う、こういうことでございます。
  105. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 そういたしますると、私の疑念を持つのは、一般の社会保険について医師会と厚生省との間に相当問題あって改訂をしたんですね。それから労働省関係は、社会保険の点数計算をもとにして、今お話しになったような、いわゆる各地区の慣行料金というものを作られておる。その趣旨は、今御説明を聞きますと、やはり一般の社会保険は、私病を含めた問題であり、社会保障の観念の上に立っているからであるが、労災保険は、事業者の責任をただ保険をしただけである、だから違うんだと、こういう。そこで、違うことは当然だと思うのですが、昨年十月に一般の医療改訂をやってそうして労災の方は、希望があればやる、希望がなければやらない。というと、ほうっておけばほうっておくというお考えなのか。改訂をするならば、それに基いてどういうふうに改訂をなさるか。点数計算にしても、甲乙の点数計算が改まっておるはずである。労災保険は、従来の社会保険の点数をもとにして慣行料金というものができておるのですから、そうすると、一般の社会保険の方の点数計算というものが変ったならば、改訂をするということが当然のことじゃないかと思うのですが、今のお話を聞いてみると、希望があればする、希望がなければほうっておくということでは、どうでもいいというふうなお考えのように見えるんですが、一体労働省として、はっきりした方針というものはないんですかどうですか。
  106. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) これは健康保険の診療報酬単価の改訂に伴いまして今まではこれは各県によっていろいろ方式がございまするが、従来は健康保険の点数表を準用いたしまして、それから旧単価に対処しまして、それらを考慮した上で各県の実情に即した単価の改訂をやったわけであります。今度診療報酬の点数表並びに単価が改訂されたという問題に即応いたしまして各県で、これはどの県でも、関係者の間からいろいろな御希望なり御注文なりが基準局に出ておるわけであります。そこで、基準局と各県の関係者との間で話し合いをいたしまして、当分今まで通りやっておった内容で、旧点数表と旧単価を準用していくというようなことで話し合いがついたところもございますし、それから新点数表と新単価を参考にした新しい単価で今後やっていこうということで話し合いのついたところもございます。また、若干の県におきましては、まだ話し合いがつかないで、今までの方式によって行われておるというところもございます。今のような実情でございますから、私どもの方といたしましては、関係者と基準局との間で話し合いを行いまして、話し合いのついたものはそれでやっていくし、それから話し合いが残っておるところにつきましては、さらに話し合いを十分進めまして、これは各県におけるところの関係者につきまして、十分その御希望を伺った上で協定の基礎の話し合いを進めていく、このような考え方で進めておる次第であります。
  107. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 そうしますと、次にお聞きしたいんですが、この労災保険については、医師会との契約は、政府側の相手方はどこなんですか。労働省なんですか、地方の基準局長ですか。
  108. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 地方局長と指定医等の関係者の協定でございます。
  109. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 そうしますと、地方の基準局長は、勝手に契約が結べる権限が委任されておるんですか。それはどういうふうになっておるんですか。
  110. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 地方局長に、原則として関係者と話し合いをいたしまして、適当な方法を協定するというふうに指示してございます。ただ、私どもの本省の立場とい、たしましては、これはやはり各県相互間にあまり不均衡が生ずるというようなことになりますると、これはいろいろな問題を生ずる場合もあろうと予想されますので、著しく不均衡を生ずるような場合には、われわれの方の意見地方に申しまして、それをもとにして話し合いを進めるように内面的には指導しておりますが、原則として、これは各県の局長と関係者と話し合った上で協定を結ぶ、このようにまかせておるわけでございます。
  111. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 そうしますと、この労災保険の予算というものは国の予算に計上されておるわけですね。事業主が負担はするけれども、一度国の予算に入って、契約は、今のお話を聞くと、各地方の基準局長に一任しておるんだということですが、そこで極端にいうならば、どんな契約を結んでも、委任した以上はいいというふうにも受け取れるんだけれども、しかし、そういう勝手な処置は国としては私はとらるべきはずはないと思うんです。だから、形式は基準局長地方の医師会との間に契約がなされようとも、しかし、その方針、やり方というものは、中央労働省が指示されるべきはずのものである。また実際に指示されておると思うのですが、地方庁に対してはいつどういう御指示をなさったかをお聞きしたい。
  112. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) これにつきましては、本年度の初めに全国の労災課長会議等を行いまして、関係者で協議いたしました際に、原則としては、ただいま私が申し上げましたように、各県の局長と関係者との間で話し合いを進めていけというふうな話をしたわけでございます。そういう指示をいたしております。ただ、これは先生御指摘のように、本省として全部まかせっきりで、どんな協定ができてもいいという趣旨のものでもございませんので、話し合いをするに当りましては、その経過は本省に報告するということにさせております。
  113. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 そこで、ことしの春、一月に御指示になったということですが、私が聞いておるところによりますと、まあ今日まで六カ月以上、もう八月になっているのですが、その間に各地方で改訂になった府県が幾つあるのか、改訂にならぬ県が幾つあるのか。
  114. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) ただいま私こまかな数字を持っておりませんので、後刻お届けいたしますが、改訂になりました県も相当ございます。なお、新点数表におきまして、その新点数表を準用するというようなことで話し合いがつきましたのが、北海道のほかに約二十数局に及んでおる状況でございます。その他の県につきましては、旧単価で当分いこうというふうに話し合いのついておるものもございますし、それから話し合いがつかないで、目下話し合い続行中のまま、一応今までのような形で進めていくということで、話し合い継続中のものが若干ございます。
  115. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私がこういう質問をいたしまするのも、今の御答弁を聞いても、労働省方針というものがはっきりしない。地方庁に責任をまかせたような格好になっている。そしてどうでも話がつけばそれできめていく、つかなきやほうっておくというような状態に置かれるから、地方においては医師会と関係当局との間に争いが絶えないのです。元来厚生省関係の問題にしても、医師会との間に相当問題があるわけです。これはまあ、私は今ここで厚生省関係の問題まで触れようとは思わない。一応妥結したことだから、けっこうですが、われわれ党としても、再検討しようとして今調査会も作っているわけです。労働省関係の方でも、改訂をなさるなら改訂をする、そしてその改訂はどういう方針で改訂をやるのか、そしていわゆる単価のきめ方あるいは点数の取り方、それはどういうふうにしていくか、そういう方針のもとに各地方々々の慣行によって単価は違うだろうと思うのです。そういう方針を指示されないから、私は地方庁へ行って聞いてみるというと、今年一月に指示されて、八月になるのに、今までほったらかしている。何もやっていないのです。それで、医師会との間にがたがたやっているだけです。聞いてみると、それを解決するという努力がされていない。努力がされていないはずですよ。今あなた方の話を聞いていると、それは地方にまかしている。こんな大事な問題を、形式的には地方の基準局と医師会との間に契約を結ぶことでしょうけれども、国の大事な基本方針というものがなければならぬ。そしれを地方の基準局長にまかせ切りにして、妥結すればけつこう、妥結しなければほうっておく。ほうっておいたら、現在の料金でやっていけるじゃないかという態度でやられるから、地方においては争いが絶えないのです。これは私は、本省の方が、改訂するならどういう方針でどういうふうに改訂していくということをよく地方に指示されて、そして一月に指示されたということですが、一月から今日何回一体この問題について会議をやり、御指示なさったのですか。解決したところはけっこうですが。
  116. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) ただいまお話が、ございましたが、私ども報告を受けておる限りにおきましては、大多数の県におきましては話し合いがつきまして新しい協定が実施されておるわけでございます。ただ数県におきまして、まだ話し合いが残っておるという面もございます。その数県の中で、いろいろな事情がございまして医師会との間で摩擦等を生じておるというような例がありますことは、まことに遺憾でございます。これにつきましては、私ども考え方といたしましても、なるべくすみやかに話し合いを妥結して新しい方法による新医療報酬の支払いを行うというように、労働基準局の側においてもできるだけ努力したいと、かように思います。
  117. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私は、今の局長の御答弁は、そうされるのが当然だと思うけれども、おざなりの御答弁だと思います。それは、私は、こういう質問をするためには、何度も地方庁にも行ってみたけれども、料金の改訂をするには、お互いにきちんとした資料をもとにして、そうして現在行われている料金は、この資料に基いてこうなっている。今度の点数計算で甲乙という点数計算が出てきたならば、現在のを直せばこうなる、そうしてこれをどれくらいに上げたならば、全体の予算とにらみ合していいかどうかということは、詳細の資料なしに、ただ妥結すればどこでもけっこう。地方の基準局長は、それほど詳細な、言っちゃ悪いけれども、頭脳を持っていませんよ。ですから、本省である程度の専門家によって資料を作って検討をして、しかし、それでも社会保障と違うから、医師会との間に話がつかなければ契約もできぬことですから、契約をする努力をなさることは、これは当然だと思うが、何らの資料なしに、ただ地方の医師会と話し合え、話がつけばやってやる、つかなければほうっておく、それじゃおれの言うことを聞かない者はほうっておくぞということと同じです、結論からいえば。私は、地方庁にも今まで事実行って調べてみたが、何らの資料を持っていない。ただ、おれたちは単価がなんぼで、それでよかったら契約する、悪かったらほうっておく。それだから、医師会の方がむきになってやあやあ言っているという状況なんです。  私は、合理的な線で解決せらるべきもので、厚生省だって、これは事業主が負担するといいながらも、国の予算でやっているのですから、無理なことはできぬでしょうし、また医師会の方でも、現在慣行料金によって契約しているのですから、それが点数が変ったらその変ったことに対処してどういうふうにするかということは、当然資料に基いて御検討をなさるべきものじゃないか。地方にまかすとしても、地方の基準局長も具体的に——これは地域的に多少違うと思います。あるいは都市における医療と、あるいは農村における医療とは、多少の違いがあるかと思うのですが、そういうところの資料を努めて取って、そのデータに基いて折衝されれば、医師会の方も納得されて、それじゃこういうところでやろうかというふうなことになるのじゃないかと思うのです。これで私は時間が相当たちましたから、くどくなりますのでやめますけれども、私の感じたところでは、地方庁、労働省の本省も、これらの問題に対してほんとうに取っ組んで合理的な線で解決をしようという熱意がありません。率直に言って、熱意がない。そうして紛糾をほったらかしにされる。そうしてそのうちくたびれてついてくるならばついてこい、ほうっておけば現在のままでいい。現在のままでいいのだったら、何年たってもほうっておけばいいぞということにもなる。せっかく社会保障について昨年あれだけ医師会との間に問題があって、そうしてようやく落ちついたのであれば、これを機会に、それをもとにして、現在の慣行料金というものに即してすみやかな解決をされたい。医師会の方で現在の点数計算でいいということなら、けっこうだと思いますよ。けれども、県によっては争いのある県があるわけですから、ある県は一月に指示されて今日もう八カ月、八カ月になってもほったらかしにしておくということは、私は役所として誠意を欠いているという感じがしますから、鋭意努力されんことを希望いたして、質問を終ります。
  118. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、質疑の通告も全部終了いたしましたので、本件に対しまする調査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後一時四十二分散会