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1959-10-22 第32回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月二十二日(木曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員の異動 十月二十一日委員佐野廣君、井上清一 君、小柳牧衞君及び藤田進辞任につ き、その補欠として赤間文三君、増原 恵吉君、西川甚五郎君及び基政七君を 議長において指名した。 本日委員小柳勇辞任につき、その補 欠として阿具根登君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上原 正吉君    理事            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員            青柳 秀夫君            川上 為治君            上林 忠次君            小山邦太郎君            西川甚五郎君            谷口 慶吉君            谷村 貞治君            相澤 重明君            阿具根 登君            北村  暢君            島   清君            武内 五郎君            石田 次男君            奥 むめお君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君    国 務 大 臣 石原幹市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    警察庁長官   柏村 信雄君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君    文部大臣官房長 斎藤  正君    文部大臣官房会    計課長     天城  勲君    文部省初等中等   教育局財務課長  安嶋  弥君    文部省管理局長 小林 行雄君    会計検査院事務    総局第一局長  秋山 昌平君    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員変更を御報告申し上げます。昨二十一日、佐野廣君、井上清一君、小柳牧衞君、藤田進君の辞任に伴いまして、赤間文三君、増原恵吉君、西川甚五郎君、基政七君が補欠として選任せられました。また本日小柳勇君の辞任に伴いまして、阿具根登君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書を議題といたします。  自治庁の部を審議いたします。検査報告批難事項は第七号から第十号までであります。  本件に関して御出席の方は石原自治庁長官藤井自治庁行政局長篠崎自治庁長官官房会計課長代理倉井警察庁警備局警備第三課長会計検査院第一局長秋山昌平君の諸君であります。  まず、会計検査院から概要説明を願います。
  4. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) それでは検査報告二十八、二十九両ページにあります自治庁関係不当事項について御説明申し上げます。  この四件は、新市町村建設促進法に基きまして、新しく合併しました新市町村一体化をはかる等のための施設整備事業に対する補助金でありますが、会計検査院におきましては補助を受けました市町村の六一%の検査を行いました。そのうち不当と認められたものがこの七、八、九、十の四件でございまして、その他は非常によく運営されておると思いました。  簡単に御説明申し上げますと、第七号は県の施設であります県道整備でありますが、これに対して村において自分の事業として施行しておりましたので、県の施設に対する事業については補助金交付すべきではないではないか、こういうことでございます。ただこの問題は現在となりましては、県道から村道変更になっておりまして、是正されたと同じような結果と相なっております。  次の八、九の二件は、いずれも三十二年度事業に対する補助金でありますのに、前年度施行済みのものであるのに対して補助を申請し、補助を受けたというのでありますが、これに対しては返還の措置がとられております。  最後の第十号でございますが、大阪府の岬町におきまして前年度において南海電気鉄道株式会社が道路の幅員を広げる等の工事をいたしまして、それを町に寄付いたしました。町といたしましては一文も負担していなかったのでありますが、これを補助対象として申請し補助金を受けておったのでありますが、会計検査院において指摘いたしまして、その全額はすでに回収済みと相なっております。ただ全く負担をしないで補助金の申請をいたしまして補助金交付された。発見されて返納されたのではありますが、まことに遺憾な事態だと存じます。  細部の点につきましては御質問に応じてお答えいたすことにいたします。
  5. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 次に自治庁長官から概要説明を願います。
  6. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 行政局長からかわって説明をいたします。
  7. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 概要の御説明を申し上げたいと思います。  最初岐阜県の上石津村の問題でございます。これは橋梁の整備事業に充てるために交付をいたしました補助金関係をする問題でございまして、今お話がございましたように、この案件は橋が二つになっておるわけでありますが、当時いずれも県道でございまするのにこれを補助対象といたしたものでございます。本件につきましては最初上石津村におきまして県道路線廃止とその村道編入とを早急に行ないますることを前提として、補助金交付を申請したものであります。岐阜県といたしましては、昭和三十三年の三月十四日の県議会に、県道路線廃止について議案を提案をいたしたのでありますが、いろいろな情勢から継続審議となっておりまして、三十三年の十一月二十九日の県議会におきまして、路線廃止議案が可決をせられまして所要の手続が終ったものでございます……。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと発言中ですけれども進行上のことで。決算検査報告会計検査院からすでに提出され、それから各省庁関係の「昭和三十二年度決算検査報告に関し国会に対する説明書」というのが出ているわけですね。あなたが今説明されているのはこのプリントされて出ていることを説明されているわけですよ。私は、会の運びとしては、所管国務大臣説明を求められたら、これとダブらないように大まかな国務大臣としての説明があってしかるべきだと思うんですよ。しかし、国務大臣災害対策現地本部長として向こうに出張されてお帰りになった直後であるから、あなたが起立したときにとやかく言わなかったのですが、事務当局としては当然なんですよ、簡単な文章を書かれて長官に渡しておくべきですよ。そういう補佐をすべきなんだ。それをしてないことが第一の誤まり。それから代ってあなたが立たれて、僕らが第三十一国会に出された説明書と同じようなことをここで承わるということは、審議の能率上非常にむだなことですからね。再考慮を促していただきたい。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 私は、今矢嶋委員の言うように、事務当局に一つ伺いたいんだけれども大臣政党出身であるからなるほど忙しい場合もあると思う。しかし、事務当局としては当然必要な措置をとって、決算委員会は何月何日何時からあるということは聞いておるはずなんだ。そういうことをなぜ大臣にも報告をし大臣にそのことをやらせないか。局長に、今どういう考え方準備をされておったか、それをまず伺いましょう。
  10. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 実は内部状況のことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、大臣災害対策の副本部長といたしましてたびたび現地等に出張その他の御活躍もしておられるわけでございます。むろんこちらにもお帰りになることもございますので、必要事項については連絡をいたしておったのでありますが、ちょうど私の方の内部事情で、言いわけにはなりませんですが、官房長がかわりましたり、その他官房長自体が今欠員になっておりましたり、いろいろなことがございまして、若干その点につきましてそごがございましたために、十分連絡がとれなかったという事態がございましたことは事実でございまして、その点は事務手続上のそごとしておわびを申し上げたいと思います。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 本院の決算委員会が、自治庁決算を行うということはいつ通知を受けました。
  12. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 私は本日委員会が開かれるということはきのう承わったのであります。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 委員長に一つお尋ねします。委員長は、本院の決算委員会自治庁の部を審議するということを、きのう通知いたしましたか。
  14. 上原正吉

    委員長上原正吉君) お答えいたします。これは事務局を通じまして、各省庁に十日ないし十二日の間に通知をいたしております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 局長いかがですか、今決算委員長お話ではすでにとにかく十日ないし十二日も前に各省庁通知をしてある。あなたはきのう聞いたということは何事だ、それは、いま少し明らかにして下さい。
  16. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 日程が変ってきょうということは、私はきのう連絡を受けたわけであります。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 あなたは公報を見たことがございますか。公報に掲載されてあるのを見たことがございますか。ちょっと公報を持ってきて読んでやって下さい、ずっと前から掲示してあるから。そんなことでもって局長がそういう形になるから、大臣を無視したような考え方が立つのです。きのうその通知があったからとは何事ですか。公報にはずっと掲載がしてありますよ。そういうような考え方準備をされて、この決算委員会というのは、少くとも国の行政を行なったことを、十分国民立場に立って審査をする機関であるから、あなたの方では準備を十分されてこの場合に臨まなければならぬわけである。しかも最高責任者である大臣国務大臣として非常に重要な職にある忙しいからだです。補佐するあなた方がよく大臣にそれを出さなくてどうしてできる。しかも今まで公報に載っている。国会において何月何日に決算委員会が行われるということは連日載っているんです。それをきのう聞いたとは何事だ、了承できんよ。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 相澤君の意見についてですが、国会から早く通知してあるわけですからね、実は御承知と思うのですよ。昨日やる予定になっておったわけです。ところが長官愛知からお帰りになった関係等もありまして、あなたのところの国会連絡関係の方の要請があってそしてきょうにしたわけです。だから国会との関係においてはその責任はむしろあなたより官房長ですよ。その官房長から連絡があってそして大臣が述べられることを起案する。そうして大臣に渡すその起案の内容はおそらくはあなたになると思うのです。だからその内容を起案して何も渡してないことはあなたの責任自治庁全体の国会に対する統轄についての責任官房長、だからこれは自治庁首脳部のみんなのミスということになるので、こうなればやっぱり国務大臣長官から何か立法府に対してあいさつがあってしかるべきでしょう。そうしてそれの了解ができたら次の審議に進む。今後こういうことは再びないようにしてもらわなければ、相澤委員のおっしやることは、ごもっともですよ。公報にずっと出て昨日開かれることになっていたのを、あなたの方の都合できょう開かれることになったのに、そこできょう委員会があるようになったことはきのう初めて知りましたなんと言うことは、そんなことは言っちゃいけませんよ。きのう開かれることになっておった、それがあなたの省の都合できょうになったのだから、だからきのう知ったというのは、きのう予定されていたのをおととい知ってなかったということになるので、そういうことを委員会速記をつけて言われるから、相澤委員にしかられるわけで当然だと思うのです。その点については十分反省して、何らかのごあいさつがあってしかるべきだと思う。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 委員長速記をとめて相談しましょう。
  20. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  21. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を起して下さい。
  22. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 本日の自治庁決算を御審議願いまする決算委員会に当りまして、いろいろ手違いがございましてまことに申しわけなく思っております。私もちょうど中部日本災害現地へしばしば行っておりますのと、それから愛知、三重、岐阜に関連してやはり奈良県であるとか長野、山梨、ああいう方面も非常な災害を受けておりますので、そういう方面等にも出かけたりいたしまして、東京に戻りますると閣議であるとかあるいは公安委員会、あるいはまた災害対策関係知事会議であるとか、各地の議長が集まっている、あるいは町村長会議長会議であるとかいろいろなことで忙殺されておりまして、きょうの決算委員会のこと等につきましても十分な打ち合せをしておく時間がなかったのでありまして、本日もちょうど一週間に一回の公安委員会でございまして、ふだん不在でありまするので、この日にはいろいろの状況報告を受けたり、警察管理上の対策を協議する一週間に一回の日であります。先ほどまでそれにおりまして出席もおくれたようなわけでございます。まあ率直に申し上げまして、従来からも決算委員会の方は官房長、あるいは主管局長等でお願いをいたしておりましたので、まあ私もその事務当局の方でいろいろ詳しく御説明を申し上げた方がかえっていいのではないか、わからない私がここへ来ていろいろ申し上げるより、その方がいいのじゃないかぐらいに思いまして準備不十分でありました。おわびを申し上げたいと思います。  またきょうの事務当局の運び方につきましても、官房長等欠員でありましたりいささか手違いがありまして、これもおわびを申し上げる次第であります。今後重要な決算審議に当りまして遺憾のないように対処して参りたいと思います。(「了承々々」と呼ぶ者あり)
  23. 上原正吉

    委員長上原正吉君) これより質疑を行います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず、先ほどから話が出ましたように、災害県に対する責任者としてさぞかし御心労のことと御労苦を多といたします。しかし先ほどから出ましたように、本決算委員会に対する態度というものに不十分な点があったことを釈明されたのですが、お話のように今後こういう事態の起らないように十分関係者で御留意いただきたいと思います。本日私は、この検査報告の件、自治庁長官としての所管事項と、それから国家公安委員長所管事項にかかわる最近の警察官の行動を、具体的一、二の例で伺いたいと思って関係者出席を求めましたところ、まあ将来有望な方でありますけれども警察庁長官おいでにならないし部長級おいでにならないで、倉井課長がお見えになっているが、これまた議員の出席要求に対して国会を軽視することもはなはだしいと思うのです。もちろん石原国務大臣国家公安委員長ですから最高責任者であります。しかし自治庁長官でもあられますし、そう行政運用の末端まで目が届くはすがないわけです。だから少くとも国家公安委員長を補佐する人としては、国会要請があったら長官が出て来るべきである。長官が出て来られなかったら少くとも部長級の人が出て来なければならない。一体将来いかに有望な課長といえども、これは政府委員の任命がなければならないし、国会にその課長さんを出席さしておいてそれで事足りる、それで国会委員質問を終了するであろう、そういう心がけというものは間違っていると思う。これはあと質問いたしますから、直ちに警察庁長官、それがどうしても工合が悪い場合には責任ある部長級倉井課長を帯同して出席すべきである。それをお願いしたいと思いますが、いかがでありますか。
  25. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 先ほど申し上げましたように今ちょうど公安委員会を開いておりまして、実は私次長にここへ出席するように話しておいたのでございますが、何か公安委員会で今説明中であったと思うのでありますが、警備局長はきょう何かの都合公安委員会にも出ないで、何か職務で出ていると思うのでありますが……。次長に間もなくここへ来るように連絡をとりたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではその質疑あとになりますから。  質問を続けます。この会計検査院から指摘されました七号から十号までの四件、これは会計検査院が指摘する通りに遺憾だと思います。三十二年度国会に提出されました予算案を検討してみますと、新市町村建設促進国庫補助金は三十一年は二億二千三百七十万円であった。それを一躍三十二年度では十四億五千八百何がしというように約六、七倍の予算増国会は議決をしておるわけです。従ってこの運用については自治庁としては十分留意すべきであり、また該当市町村においてもその方針に即応するようにやらなければならぬのにこういう四件が出たということは、非常に遺憾なことだと思います。この点について自治庁長官はこの方面のエキスパートですが、どうお考えになっておられるかということと、あわせて現行の自治庁設置法で私は十分この自治体助言指導はできるものだと思うのですが、今の自治庁設置法だけでは十分この自治体に対して助言指導が行き届かない、やれない、こういうような見解に立たれておるのかどうか、それもあわしてまずお答え願いたいと思います。
  27. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) お答えいたします。新市町村関係施設整備助成金は三十一年度から始まったわけでございますが、三十二年度から本格的に実施の段階に入りまして、今御指摘になりましたように前年度に比較して大幅に増額をしていただいたわけでございます。これによりまして新市町村一体化を達成をいたしまするために各種の施設を講じて参ることにいたしたわけでございますが、何分にも今までなかった補助金でもございまするし、その有効適切なしかもあやまちのない使用をいたしまするために、私たちといたしましてもできるだけの万全の措置は実は準備態勢としてはやったのでございます。すなわち知事会議等においても一般的な説明をいたし、さらに総務部長会議においても詳細な指示をいたしましたし、続きましては各ブロック単位地方課長会議を開催をいたしまして、われわれの方からも係官が出席をいたしまして詳細にわたっていろいろ指導をやったのでございますが、遺憾ながらこの四件について御注意をいただくことになりましたことにつきましては、われわれといたしましても非常に申しわけなく思っておるのであります。現在の自治庁の各府県なり市町村に対する指導態勢の問題でございますが、われわれといたしましては今の指導助言という態勢で何とかこれはやっていけるのではないか。これをさらに強化して強い権限を持つというようなことも、また別の意味においては弊害の起ることもありますので、私たちといたしましては現在のこの状況というものをもう少し強力に活用していく、また府県市町村というものについても協力を願い、悪いところについては積極的に指導を加えることによりましてこのような間違いの今後起らないように、できるだけの努力をしていきたいと思っております。私たちといたしましては現在の自治庁権限等で不十分であるというふうには目下のところは考えておらないのであります。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで数字をちょっと承わりますが、三十二年十四億五千八百万円何がしというものを計上したわけですが、当時の予算説明によると七百十市町村対象にしておると、こう説明してわれわれの審議を受けておるわけですが、今度の検査院報告を見ますと四百四十三市町村審査した、このうち四町村が欠格であったというような報告書が出ておるわけですが、これは七百十市町村に全部十四億余円というのが適用されたのかどうか、その点ちょっとお答え願います。
  29. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) お答えを申し上げます。施設整備関係では三十二年度中に完了をいたしましたものが五百六十九町村、それから三十三年度に繰り越しをいたしまして完了をいたしましたものが百四十八カ町村、あわせて七百十七カ町村に相なっております。七百十七カ町村と申しますのは、結局事業分量によりましてそのうち市町村によっては単年度でやれないものもございまするので、こういうものについては両年度にまたがって補助金交付しておるものもございますので、若干数字のズレがあるわけでございます。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計検査院の第一局長に伺いますが、八号、九号のようなケースはかなり他にあるんじゃないかと思う。隠れておってあなた方の目に届かないんではないか。また指導立場に立たれる自治庁にもお答え願いたいんですが、八号、九号のような類似案件というものはかなりあるのではないかと思うんですが、あなた方はどういう推定をされておられるか、まず会計検査院、次に自治庁からそれぞれお答え願いたい。
  31. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 自治庁関係のこの新市町村補助金関係につきましては、私どもの発見いたしましたのはこの二件でございまして、ほかに事例を発見することはございませんでした。ほかにないかというお話でございますが、私ども検査も相当念査いたしておるつもりであります。ただ絶対にないということだけは申し上げかねますけれども十分審査はいたしておるつもりでございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治庁の答弁する前に、もう一回会計検査院に伺いますが、この二町に県はやっぱり黙認といいますか、内諾を与えておったものと判断されましたか、その点はどうですか。
  33. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) そういった点までは私どもの方も事情は承知いたしておりません。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは実質的にはおそらく僕は八と九号は県が内諾を与えておったものと思うのです。だから県と町はつうつうですよ。こういう案件はかなり僕はあると思う、予算使用について。会計検査院も人と労働時間の制約を受けますから、検査が浸透し得ないでこのくらいしか出ていないので、実質にはこういう類似案件というものはあると私は判断するのだが、自治庁はどういうふうにお考えになっておりますか。悪い方向というものは直さなければならないのだから、会計検査院に見つからなかったからよかったと思っておったらあとでえらいことになる。
  35. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 私たちの気持といたしましては、この四件が出ましたことにつきましても非常に遺憾なことであるというふうに思いまして、この後につきましては特に厳重なる指導方針を打ち出しまして、県当局を通じて指導の万全を期しておる次第でございます。私たちの方も時折、人手もございませんですが、できる限りこれらの適正なる運営を期しますために、現地にもおもむきまして指導等をやっておるわけでございますが、今のお話がございましたような点につきましては、私たちといたしましては、会計検査院の言われまするように、絶対的にこのほかにないかというふうに言われれば、そこまで私、確信を持って、全部見ておるわけでもございませんので、お答え申し上げかねますけれども、しかし現在のあるいは当時からの県の指導体制から申しまして、まずまずこれ以上のことはないのではないだろうか、おおむね適正にやっておられるのではないかというふうに確信をいたしております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確信をしているのはけっこうですが、十分この点は注意していただきたい。  で十号はこれは悪質です。これは非常にいけないのです。こういうものに対しては若干の制裁を何らかの一面で加えるべきだと僕は思う。あなたのところから出された「会計経理行政上の処置及び刑事上の処分」という項に、川島省吾という名前が出ておるが、川島省吾という人物はどういう職を持った人ですか。このプリントのほかの所に出ていないのでわからないんですが、身分について説明願いたい。十号の説明の所に川島省吾という人が出ておる。亀崎というのは町長さんですね。
  37. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 川島省吾は当時岬町の総務課長をいたしておった人物でございます。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この四件の案件中で私の判断では一番悪質だと思う。これは監督者である大阪府と岬町の両者もこれはつうつうであったと思う。だからこういう自治体に対しては今後相当の、あなた方の指導助言面で若干の制裁を加えてしかるべきだと私は考えるが、そういう意見を申し上げておきます。  そこで長官に伺いますが、あなた方の助言指導が現法規で十分なし得ると思う、こういう答弁があったんですが、そういう点今後十分助言指導が徹底するようにやっていただかなければならぬと思う。私は具体的に若干の例を上げてあなたの御意見を承わりたいと思うのであります。それは緊急案件として承わりたい点は、災害に関する件。私は、この決算委員会が始まる前に検査院当局として、五百億前後の災害補正予算が編成をされ、そしてそれが国会で可決されて執行に移れば、今までの大災害があったときの例から推察すると、よほど効率的使用を適正にやらなければ、何十億という単位で国費がむだ使い———不経済に使われることが予想される。従って、そういう事態が起った後に、とやかく検査院あるいは行政管理庁があとを追っかけても意味がないから、検査院は内閣から独立しておるのだから、検査院としてもまた行政管理庁としても、そういう不当な事態が起らないように事前に善処、指導助言をしてしかるべきである、こういう意見を申し述べ検査院当局の答弁を求めて、そして出席局長に対しては、こういう質問国会であったということを、あなたの上司に報告して下さいということを注意をしておいたんです。ところがけさの毎日新聞には、具体的な問題が出ておるから、一つ私はあなたは現地の副本部長でもあるから伺って——国務大臣であり、自治庁長官であり、さらに災害対策現地の副本部長、実質的には最高責任者、そのあなたの自信ある、責任ある見解を私はこの席上を通じて承わっておきたいと思います。その具体的な例というのは、岐阜県の本巣郡巣南村、ここで山本という村長さんが九月下旬に選挙があって当選された。ところがこのたび全壊八戸、半壊が三十一戸である、しかるに救援物資の申請書には全壊十五戸、半壊三十八戸と水増し申請をして、そして余分の毛布、衣類等の救援物資を受け取って、そしてそれを村長並びに村長派の議員が勝手に処分した。ことに毎日新聞の報ずるところによると、村長選挙に努力をした議員並びに選挙民に対して、論功行賞的にそれを配分したということが伝えられておる。これは救援物資ですよ。今後予算が執行段階に入りますと、こわれていない橋をこわしてそして全壊になった、半壊ぐらいのを全壊ぐらいにこわして、そして補助を申請するというような例はかつて幾らでもあった。架空の川を作ってそうして補助金をとって検査院に指摘された例もある。だから当面救済が大事なんですが過去の事件からそういうことが推察されるわけです。だから私はこの前も質問しておいたのですが、こういう具体的な救援品関係についてこういうことが報じられているのですが、こういう点に一ついて自治庁長官は、また災害対策現地本部長としてはどういう見解を持たれるか、またこういう不幸な事案に対してその絶滅を期せられるためにどういう処置をとるおつもりであるか、お答え願いたいと思う。
  39. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま御指摘になりましたのは私もけさちょっと新聞で見たのでありまするが、この話はまだ現地その他で具体的に聞いたわけではございませんが、私は現地におきましてこの災害関係に関連していろいろ不正事犯があるというようなことについては、これは厳罰に処しまして今後こういうことのないようにする。それからいろいろ御指摘になりました水増し請求であるとか、便乗して予算をとるとかというようなことは、厳に戒めたいということを口がすっぱくなるほど言っておるのであります。災害地での窃盗犯であるとか不法行為に対しましては、これも新聞等で御案内だと思いまするが、検察庁、裁判所当局が非常な協力をしていただきまして、ふだんならほとんど微罪に当るようなものでもスピード裁判をもって厳罰に処しまして、最高のほとんど刑を要求し、課するというような方針で、あとこういうことのないようにさしておるつもりでございます。  それから今言われましたように、今回の災害についてあの水没地帯その他はもう言語に絶する悲惨な状態でございますけれども、これらに便乗していろいろ水増しで予算を要求しようというようなことがありましたならば、これは大へんでありまするので、今後ともそういうことは十分気をつけて参りたいと思いまするし、御指摘の事件についてもさっそく災害対策本部としても調べさせまして今後かようなことのないようにしたいと思います。私はまたいろいろ関係災害地も随時見て回っておるのでありますが、ただ災害報告をするばかりでなく、最近でき上ったばかりのりっぱな工事で、しかも川の水勢から考えてそれほど直面しているような場所でもないのに、非常にむざんにこわれているというような所もあるのでありまして、こういうことは私どもの方からも指摘いたしまして、工事に疎漏があったのではないか、こういうことまでも調べさせるような方法をもって今後の厳正を期していきたい、かように思っておるわけでありまして十分今の御注意は今後の運営上の参考に供して参りたいと思います。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあやふやにしてはいけないと思うのです。私はけさの毎日新聞だけを見たのですが、これは全国版で報じられているわけですから戒めとしても大事なことだと思いますから、さっそく岐阜県を通じて事の真否を早急に調査をさせて、その結果を本委員会報告していただきたいと思うのですがやっていただけますか。
  41. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) やりましょう。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 続いて伺いますが、これは事実だとすればこういう村長さんは私は道義的の責任があると思う。これは地方分権ですから、自治庁長官が辞職すべきだとかこういう命令権も何にもないことはもちろんわかっております。しかし地方自治というものを育てていくために自治庁指導助言をするという権限自治庁設置法にはうたわれているわけです。だから自治庁長官としての見解を承わりたいのですが、こういう新聞に報ぜられていることが事実だとすれば、こういう村長さんは私は自発的に引責辞職することが日本の政治を、さらにこの自治政治というものを健全に育てるために最も大事なことであると思う。ところが不信任案が村会に上程されたところが、新聞の報ずるところでは十四対二で否決された、だから私はそれを見た場合に、この毎日新聞の数字は誤まりなのかなあとも一応考えたんですけれどもね。しかしこういう記事を書く第一線の取材記者は慎重を期するでしょうし、またデスクにおいても影響が大きいだけに慎重を期すると思うんです。その第一線取材記者を経てそうしてデスクを通ってそうしてここに記事となって国民にまみえる以上は、この数字は私はまず間違いないものと考えていいのじゃないか。それはあなたの方で調査していただけばさらに明確になると思うんですけれども、この新聞記事が事実だとするならば、この村長には責任があり私は自発的に辞職もしてしかるべきだと思うんですが、自治庁長官はどういう御見解を持っておられるか、これを承わりたいと思います。
  43. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) これはまあ新聞記事でありますので、一応真相を調べてみなければ、新聞記事にこう出ておってこういうことがあったかどうかというようなことで、私ここで御答弁申し上げることもどうかと思いますので、仮定の前提のことの御答弁はお許しを願いたいと思うのでありますが、とにかく事実を調べまして、自治庁からその人に辞職を勧告するとかどうとかいう方法はとれないと思いますけれども、ことによりましたならば刑事事件を構成しないとも限りませんし、事件を構成しないにしましても非常に不当であるということであれば、県なり何なりを通じましていろいろ十分な警告をするとか、そういう措置は私はとり得るのじゃないかと考えますので、しばらく事実の真相がわかるまでお許しを願いたいと思います。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういう問題はスタートが大事ですからね。私は九州出身ですから年々歳々災害を受けて被災者の心情というのはよくわかるんです。十分国家でも救援の手を差し伸べなければならぬ、かようなことも一議員として考えております。しかし何といっても大きい災害がありますとその火事どろ的なものが現われてくる。大体五千余人なくなったこと自体世界各国の新聞紙上等に報じられれば恥かしい思いがする。人間がそれほど死ぬという日本という国はどういう国だろうと笑われるだろうと思う。情けないことです。しかも日本の新聞には死体から現金やら郵便貯金通帳を取っていったという人が逮捕されたとある。こういうのは外国あたりに報ぜられたら日本国民というのは一体どんな人間だということになって、お話にならないと思うんです。そういうことも国内的には報じられていますしね。被災者はとにかく死ぬか生きるかの苦労をしているし、そういうことを一番憂えるわけですから、こういう事案が一件でも起るということは不幸だと思います。おそらく私は毎日新聞の記者並びにデスクとしては、こういう事案が起ったからこれで一つ戒めて、今後災害復旧の段階にこういう不幸なことの起らないようにしたいという、山本というのですか、村長を責めるというよりも、そういう教育的な立場からこの記事を取り上げられたと思います。私は非常に適切だと思います。従って国務大臣としてもまた現地災害対策責任者としてもこの記事を無にしてはならないと思います。だから十分早急に対処していただくことを一つ特に要望しておきます。  それと類似の問題ですが、このささやかな予算の効率的な使用というものは常に心がけなければならぬことですが、まあ自治体の数が多いということもありましょう。また自治庁自治体に対する関与の限度というものもありましょうが、あまりにも最近自治体に問題が多過ぎると思う。で、最近私は新聞を見て胸を痛めた問題は、東京都内で水門をこしらえるのに地元としてはぜひ鉄製の水門をこしらえてほしいということを陳情した。ところが予算がないからというので十数万円の予算で木製の水門をこしらえた。ところが木製なるがゆえにこれが先般の十五号台風でこわれて千二、三百戸の家が浸水した。こういうことが災害特集として各新聞とも全国版に掲載されました。全く予算使用方法をあやまっているとまあ私はこの一例をもってしても痛感いたしたわけですが、ところがこういう具体的な問題が起っていますので、この点についてもこの際自治庁長官の見解を承わっておきたいと思う。  これは最近新聞に非常に報ぜられておりますが、地方議員団が今東京都で税金野球大会を開いているのが国民の関心事になっている。これは再建団体として自治庁にずいぶんお世話になっている自治体の議員さんもおいでになっているのじゃないかと思うのですが、まあこれが議員さんのポケット・マネーで東京にお集まりになってリクリエーションをやられるのはけっこうです。ところが東京都の場合は二百二十万円追加予算をやったというのです。税金野球大会のために二百二十万円の追加予算をやったというのですが事実なのかどうか。ちょっと私は考えられないことだと思うのだが、事実だとしたらこういうことはどうなんですか、これは仮定の問題でもお答えできると思う。もう相当の自治体が参加されているのですが、それらの県議会がそういう会に参加するために予算項目として何か当初予算予算化しているとか、あるいは必要になったらそういう角度で追加更正予算を組むということは、これは考慮の余地があるんじゃないでしょうか。その点については自治庁長官どう考えられているのかお答え願いたい。  それとあわせてお答え願いたい点は、東京都知事が先般二千四百万円の退職金を都議会の議決によって受領したですね。大阪の前知事が千八百万円の退職金を議会の議決によって受領しているのですが、こういうことについては自治庁長官としてはどういう見解を持たれているのか。私は自治庁関係予算審議に当っては、一応国務大臣のあなたの見解というものを承わっておきたいと思う。
  45. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 親善野球大会のために全国の県から県会議員のチームが集まってやっておる、それに対していろいろの部費なり県費等を計上して出しておる。これは私はお話のようにあまり適当なことではないと思っております。たしか昨年であったかと思いまするが、私の選挙区でありまする福島県でもやはりいろいろ問題になって、たしか県費を計上しないで一度出たことがあったように思いまするが、それぞれの地方でも相当のやはり批判もあり問題にもなっておることと思うのであります。私自身も率直に申し上げましてあまり適当なことじゃないとかように思っております。  第二番目の功労金の問題でございまするが、これはそれぞれ地元におきまして従来から自治体の首長、ことに市町村等の首長に対しましては、相当の功労金、感謝金を贈るというような慣例でずっときておるのでありまして在職中にその地方に尽した功績その他といろいろにらみ合わせ判断いたしまして、それぞれ地元がきめておりますることでありますので、これは一がいにこれがいいとかこれが悪いということは私は申し上げかねるとかように思っております。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この会計検査院が指摘されておる四件、これは先ほど申し上げましたように、新市町村建設促進に必要な予算として、昭和三十一年度に比べて飛躍的な予算を計上したのにこういう批難事項が出て参ったのです。特にこの十号のごときは私は全く意図的なものであり悪質だとかように考えるわけです。それでこういう問題を伺っておるわけですが、今後十分私は自治体の自治や自治権を侵害しない程度で適切なる助言指導をしていただきたいと思うのです。再建団体で相当国からめんどうをみていただいておる自治体でもいろいろ起っておりますよ。例をあげますと、山口市なんかのあの事件はひどかったですね。ごく最近ですが大分県の中津市の市長の問題等目にあまるものがあると思うのですね。ついに市長は辞職したようですが、こういう事案というものはずいぶん特に地方選挙が悪くなったいうこととも関係があるかと思うのですが、非常に事件が多過ぎると思うのです。で予算の効率的な使用という立場から、十分事前に防止できるように善処していただきたいことを強く要望しておきます。  警察関係質疑は、島委員が他に質疑があるそうですから島委員が終ったあとに、質疑を私はやります。ただ、今の要望に対して国務大臣の御答弁を求めておきます。
  47. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 先ほどからお答えいたしましたように、私も矢嶋委員の思っておられると大体同じような気持を持っております。今後十分みずからも戒心しまた部下をよく指導いたしまして、地方における指導助言、そういうことに万遺憾なきを期して参りたいと思います。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 災害関係の今矢嶋委員からの御質問がありましたから、私も関連してお尋ねしておきたいと思うのですが、今次の災害対策自治庁としてはどの程度の予算を臨時国会に出そろとしておるのか、概略を御説明いただきたいと思います。
  49. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 自治庁の方は自治庁予算としての直接の予算という形よりも、いわゆる地方財政に対する関係の問題になってくるわけでありまするが、ただいま考えておりますることは、地方が今回の災害に当りまして税収の方がなくなるとかいろいろ歳入欠陥を来たす、そういうものに対して足らざる面は歳入欠陥債を認めるようにしよう、また災害対策として罹災救助であるとか伝染病予防であるとか、いろいろいわゆる当面の災害対策費が要るわけであります。こういう問題についても災害対策債として起債のワクを認めていこう、そうしてそういうものの将来の償還については交付税の配付の際に十分考えていくようにしよう、まあそういう意味の一つの方策をとろうとしております。これは臨時国会にあるいは法律化されるかと思うのであります。  次の問題は、非常に問題になっておりまする普通災害に次いで大きな災害については、国庫の補助なりいろいろなことでめんどうをみるのでありまするが、いわゆる小災害━━市町村の例をとって道路などで言えば十万円以下のものはめんどうをみないことになっておりますが、それでは実際困るので、それを五万円くらいまで下げまして小さい災害についても起債を認めるようにしよう。それから農地がやはりこわされまして非常な被害を受けている所が多いのでありまするが、農地の小災害につきましてこれも十万円以上はいろいろめんどうをみることになっておりまするが、それ以下はみないのでそれを三万円ぐらいまで下げまして、その間は市町村で取りまとめて起債をして復旧に当らせる。その元利については適当な割合でこれを補給していく。こういう小災害についていろいろのめんどうをみよう。これは学校の施設についても同じことでありまして小災害にもめんどうをみる。それから普通の補助を出す災害につきましても、補助率をできるだけ特例法で引き上げてもらって、地方財政に大きな穴をあけないようにしていこうということで、幾つかの特例法が今度の臨時国会にも出されるかとも思っております。  それから今回の補正予算の財源のいかんによりまして、所得税、法人税、酒税のいわゆる三税の歳入から財源が計上されるということになりましたならば、必然的にその二八・五%は交付税に回るわけであります。交付税が相当額今度の予算で計上されると思います。その交付税はなるべく災害地に重点的に配付するような建前で配りまして、災害に伴う地方財政の収入減をできるだけ穴埋めをするような建前でやっていきたい。大きな筋としてはそういう方向を考えております。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 特例法を用意され、あるいは今の災害対策についての構想がわかりましたので、ぜひこれは関係地方については非常な御苦労のことと思いますから、二十八年の災害当時より私はもっとやはり国家的に根本的な対策考えなければいけない。こう思いますので、たとえば災害のいわゆる復旧作業についての従来の二十八年災害当時の割合から考えると、もっと今回は国家的に増額をしなくちゃならぬだろう。こういう点も考えておりますが、今のところはまだ取りまとめたものが御報告がないようでありますが、ぜひ少くとも先ほど矢嶋委員の言うように、大幅に災害地に対する国家予算というものを投入して、一日も早く現地の人が立ち上れるように私はやっていただきたい、こう思うわけです。  それから第二点としてお尋ねいたしたいのは、今回の災害に対して自衛隊が一万人からの動員をして、非常に感謝をされたということは御承知の通りであり、私どもも一昨日本院の決算委員会でその点は防衛庁長官に言っておきましたが、特に私は新聞ラジオでは自衛隊のことは非常に取り上げられたのでありますが、地方自治体の職員の努力というものは並み大ていのものじゃなかったろうと私は思うのです。いわゆる下積みの吏員の御苦労というものは、それは言語に絶するものが私はあると思う。従って自治庁長官は地方自治体の職員に対して、どういうふうにこれらの御努力に対してお考えになっておるかという基本構想を一つお尋ねしておきたい。これは防衛庁長官は後日いずれ報償等の中にそういう問題は考えていきたいということで、それからこの間の災害日の特別出動に対しては特別加給品等も支給されておったように聞いております。地方自治体職員の場合の非常な御苦労に対しては、私はやはり当時もうそれこそは家に帰れずに泊りがけでやっておった者や、あるいは家族をなくしてまでも働いておった人たちの幾多の美談を聞いているわけです。従って家のこわれた者あるいは家族の負傷をした者、なくなった者、またばらばらになりながらも、とにかくそういうふうに努力された人たちに対するお見舞を自治庁はお考えになっておったのかどうか、やったかどうか、こういう点に対して、少しく当時の御苦労に対して自治庁責任者としてどういう措置をとったか。  それからまた第二は、先ほど申し上げた防衛庁の方では報償等の点もお考えになっておるようでありますが、長官はどういうふうに部下職員に対するお考えを持っておるか、この際承っておきたいと思います。
  51. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お話のように、被災地の自治体の職員の今回の健闘ぶりは筆舌に尽せないほどのものがあったと思うのであります。しかも愛知県、三重県、岐阜県等におきましてはまだ現にことに愛知、三重においては、水没しておる広範な地域を持っておるのでありまして現在まだ被災している世帯も非常にたくさんのものがあるのであります。そういう人々を前にしまして自治体の職員だけにいろいろと手厚いことをするということもできませんので、まことに関係地方の自治体職員はほんとうに申しわけないぐらいな努力健闘をしておるわけであります。将来の問題としましては、もちろんわれわれといたしましても何らかの表彰なりいろいろな方法も講じたいと思いまするし、県当局におきましてもいろいろの措置を講じていくことと思っております。また自治体職員ばかりでなく、警察あるいは消防、こういう方面の職員も昼夜を分かたない勤務に服しておったわけであります。こういう地方に対しましては、若干の東京なり大阪の警視庁から増援部隊等も派遣をいたしまして勤務の援助をする。こういうこともやったわけでありますが、いろいろのお話のように美談その他もありますので、それぞれいま少しく落ちつきましてから適当な方法で善後措置を講じて参りたい、こう思っておるわけであります。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つお尋ねいたしたいのは、ただいまの長官のお言葉で了承いたしますが、この災害復旧のための事後処理というものは並み大ていなことではない。また同時に先ほど長官自身がお答えになりました中に、たとえばせき堤等の問題についてもまだ竣工早々のものでも今次の災害のために決壊をした所も見られ、従って根本的にそういう問題については再検討をする必要があるので、はないか、こういう御説明もあったので、私もぜひやっていただきたい。しかし、そのために実は自治庁の見解と地方自治体の見解と、若干予算あるいは定員等の問題で意見が食い違う場合があるわけであります。これは平常の場合においては、かなり厳格な意味でのそういうことも指導助言という立場から私も大切だと思うのでありますが、この前代未曾有の全く初めてといわれる大災害に対しては、よほど多くの人を吸収して仕事をしない限り、復旧ということは実は絵にかいたもちになってしまうだろう。そこでそういう特別措置というものが国家的な予算の中で考えられることと同時に、人の面でも私は考えていかなけりゃならぬとこう思うのでありますが、地方自治法に基いて、長官は今次の災害地に対するところの態度というものは、どういうふうにお考えになっておるか。特に定員問題についてはどうお考えになっておるか。この点もお尋ねをしておきたいと思う。
  53. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 警察とか消防とかそういうものの応援態勢については先ほど申し上げたわけでありまするが、しかし今当面しておりまする水没地帯の潮どめ工事は、何としても日本の技術陣の全力をあげてでも一刻も早くやらにやならぬ問題でありますので、建設省の精鋭を約三十名ばかり、愛知県と併任のような形で、技術陣の最高スタッフをあそこに動員をしているようなわけであります。それから全国のサンド・ポンプ船、浚渫船を、これは各地で埋立工事をやっておりまするが所によっては埋立工事をやめてもらいまして、そのポンプ船を動員して伊勢湾の被害地に集中しておるというような特例措置等もとっておるのであります。自衛隊は御承知の通り、一万二千名ばかり九州から北海道に至るまでの施設隊、工兵隊をあそこへ動員しております。こういうことでおよそ考えられ得る範囲の精鋭をすぐりまして今潮どめ工事に当ったわけであります。相澤委員の御指摘のように、もう私どもも法律とか定員とかそういうことを今考えないで、全力をあそこに傾注しておるということを申し上げるわけであります。
  54. 島清

    ○島清君 自治庁長官警察庁長官ですかを兼ねておられます石原さんに、競輪のことについてお尋ねをしたいと思います。競輪が六十数カ所設けられまして今非常に盛んに行われているわけですが、しかしながら競輪が法律的に実施できるようになりました法の目的は二つうたわれておるわけでございます。最初は自転車産業の振興のためにということと、地方自治に寄与するということの二つの目的でございましたが、最近は自転車産業といわずに機械産業の振興のためにというふうに置きかえられております。そこでその機械産業の振興のためにとうたわれておりますけれども、しかしながらそれは競輪をやるための欺瞞的な目的であって、実際は必ずしも機械産業には、過去においてはいざ知らず今日では何ら寄与するものはないと、こういう工合にいわれております。そこで東京都を中心にいたしまする自転車関係のメーカーの諸君が、かつては競輪を実施いたしまする振興会のメンバーに連なっておりました理事の諸君が、競輪を廃止しなければならないという運動を展開しておりますることは、長官も御存じの通りだと思います。それで機械産業の振興のためにという名目は実際的にもその関係者の諸君から反対を受けている、賛成されていないのだということが、これによっても明白だと思います。  さらに地方財政に寄与するということは、当時敗戦によりまして廃墟の中から地方財政をどうやって立て直すかというような時点においては、これは相当意義があったと思いますが、今日もう戦後ではないとこういう工合に言われております。従いまして地方財政の面からももう競輪の収益は不用ではないか、こういう工合に言われておりますが、しかしながら依然として競輪は盛んに行われておる。で、競輪場におきましては忌まわしい事件が続発をいたしております。それにつきましては警察官を派遣をいたしまして警備に当らしておる。まあこういったようなことは世界のどこにも見られない現象でございまして、むしろ道義的な表現をもっていたしますならば国辱であるということまで言えるのではないか、こういうふうに言うわけでございます。  そこで自治庁長官は、地方財政の建前から競輪の収益を今でも必要とされると考えておられるか、どうかですね。それから、競輪を実施するために警官隊を派遣をして、そしてピストルの保護のもとにばくちが行われておるわけですが、これに対しまする派遣人員は年間にいたしまして延べ何人くらいになるか、時間にいたしますと何時間くらいになるかですね、そして費用はどの程度使われているか。それから、これは競輪場の方に警官隊が派遣をされますと、警官隊のおかげをもって競輪が行われるというありがたい感謝の気持から、あるいは自転車振興会であるとか施行者の諸君から、何がしかの物品の提供があるものと常識的には考えられるわけですが、こういうものが行われておるのかどうか。言葉をかえますと、競輪場に派遣されます警官隊の費用の一部分を、その自転車競技をやりまする関係者の諸君に分担をしてもらっておるのかどうか。分担をしてもらっていないといたしますると盆暮に何がしかの贈りものがあるかどうか。ないといたしまするなら受け取っておる事実があるかどうか。受け取っておるといたしまするならば、受け取った人々はそれはけしからんわけですが、どういうふうな処分をしておるかどうか、こういうことについて御説明を願いたいと思います。  私は、東京都の自転車振興会の理事に名を連ねておりました諸君が、自転車競技は廃止をしなければならんという街頭署名運動までやりまして、東京都議会の方に請願を出しまして都議会の当該委員会におきましては、社会党が廃止に賛成をし、自民党がまあ今は廃止する段階ではない、しかしながらこれはいずれは競輪は廃止しなければならないのだ、こういうことで賛成ではないけれども地方財政上必要であるからというので、この請願を否決したという新聞報道を承知しているわけでございますが、それにかんがみましても、やはり地方財政の面からいたしましても、競輪の収益はもう必要はないのだということを私は言い得ると思うのであります。ですからこの地方財政の実情にかんがみてどういう工合に考えられておられるか、十分に御説明を願いたいと思います。  それから今災害のことで質問がございましたが、三重も岐阜愛知もまあ災害地でございますが、そこには競輪場がたしか七、八カ所あるはずだと思います。その災害を受けておりまするところの地域において——今は競輪は行われていないと思いまするけれども、その競輪をいつまでやらさないようにお考えであるのか、それをむしろこの機会において、もう永久に被害地の競輪場は廃止されるお考えはないのかどうか、その点について御説明を願いたいと思います。もしかりに石原長官警察庁長官として、あるいはまた自治庁長官として、また与党、自民党の側に立ってお答えになって、競輪は望ましいことではないけれども、しかしながら設備もあることだし、それから地方財政もなおかつこれに依存する部分が必ずしも皆無ではないから当分は存続するのだ、こういうような御答弁であるといたしまするならば、私は、競輪を行う所は賭博のてら銭によって何がしか利益するところはあるかもしれませんけれども、しかしながら競輪場を持たずに、この競輪収益を自己財政の中に入れることができない府県には非常な不公平だと思うのです。従いまして、六十何カ所ございまする競輪場を一括いたしまして収益を全国的に均等せしむる、こういうことであれば私はまあ当分これはそういうところでも若干意義があるかなあと思いまするけれども、ある所はばくちをやりある所はしないのだ、そしてしない所は全然収益がないのだというようなことでは、私はこれは不公平の限りだと思うのです。ですからもし存続せしむるということでございまするならば、こういったような収益均衡の建前からいたしまして、そして何か改善をするという意図があるかどうか、その点をはっきり御説明を願いたいと思います。  それから今まで地方財政の交付金については、競輪収益のある所とない所とでは、手かげんを加えておるかどうか、もし加えてないといたしますならば、これこそまたその手かげんを加えなけりゃならない問題だと思いますが、加えておるかどうかを御説明願いたいと思いますると同時に、もし加えてないといたしまするならば、今後そういうふうな処置をおとりになるというようなお考えはないかどうか、この点について御説明を願いたいと思います。
  55. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 競輪問題について、特に地方財政との関係からいろいろお話があったわけでございまするが、競輪その他ああいう種類のものの収益の地方財政全体の総額の中に占める割合というものは、そんな大きなものじゃございません。きわめて僅少なものでありまするが、しかし競輪をやっておる自治体というものがある程度に限られておりますので、競輪をやっておる当該自治体にとってみればこれはやはり相当大きな面を占めておると思うのであります。競輪については私どももいろいろ検討し頭を悩ませておるのでございまするが、大体の方向としては収益の比較的少いような所はできるだけやめてもらって、この際整理をしていきたい。競輪問題全体については、ただいま競輪場の施設者、作っておる人、それから競輪を施行する者、いろいろ団体が入りまじっておりまして、責任の帰属その他の不明確な点等もあって、いろいろ事件が起きましたときに思わざる不祥事にもなったりしておりますので、競輪全体についての運営というようなことについて、通産省においてもあるいはまた自転車振興団体等においても、いろいろやり方についてさらに一段の検討を加えておりまするので、まあそういう検討の結果をいま少しく見たいと思うのであります。  それから最後にお話になりましたような収益を全国的に均分するというような考え方、これは全国的に均分するというようなところまではまだ進んでおりませんけれども、ただいま私が申し上げましたように、競輪の施行、運営について今いろいろ研究を加えられておりまするが、その一つの考え方には、関係団体で地域的に収益を適当に分配をする、こういう構想も若干あるやに聞いておるのでありまして、今お話のような考え方も一部には考えられつつあるということを申し上げておきたいと思うのであります。とにもかくにもこの競輪を今やっておりまする自治体に対しましても、私は競輪というものに非常な重点をかけないように、今まではそれで学校の建築もやってきた、いろいろの施設もやったというようなことで現実には相当の効果をあげておる所があるのでありまするが、しかし、その自治体の財政が競輪の収入に大きなウエートをかけるような方向を、なるべく避けていくように指導をしていきたいと思っております。  それから、競輪収入と地方財政上の自治庁としての考慮の問題でございまするが、これは特別交付金なんかを配る際には競輪の大きな収入を持っておるような所にはあまり考えないとかいうような方法を考慮いたしておりまするが、この基準財政需要額といいますか、あるいは基準財政収入額というか、そういう方面では競輪収入というものは一応計算の外に置かれておるように私ただいま承知しておるのであります。  それから、警察官がどのくらい出てどうしておるかというようなその額は、ちょっと私もあるいは今警察庁長官の方でも、まあ相当な額にはなっているだろうと思いまするけれども、正確なことはちょっとわかりません。しかし、この費用は、一般の警察活動費の中から出されておるのでありまして、分担金を受けておるとかあるいはそういう団体から寄付をさしておるとか、そんなことは全然ございません。それから盆や暮にいろいろな物をもらっておるかどうかとかいうことも全然聞いておりませんし、警察の常識から考えましてもそういうことは私はあり得ないと、かように思っております。
  56. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいま柏村警察庁長官出席されました。
  57. 島清

    ○島清君 今、にわかに競輪取締りのためにどの程度の人員の警官が派遣されておるか、さらにこれは延べにいたしまして何十時間ぐらいになるかということについて御答弁がなければ、あとで資料によって御提出をいただきたいと思いますが、まあ新聞などの報道を見ましても、また私たちがちまたを歩いてみましても、相当世相というものは落ちついた反面、職業化しているような犯罪がかなりやっぱり跡を断たないのではないかと、こういうふうに考えるわけでありますが、たとえば暴力団なんかもそうでございまするし、さらにまた暴力団を英雄視しまするところの少年の犯罪等もそうだと思うのですが、さらにまた知能犯もふえて参りまして、東京あたりでは土地などを一つ利用いたしまして非常に犯罪が行われているわけですね。ところが被害者の方が警察の方に泣きついていきましても、警察じゃ手が足りないというので民事であるのか刑事になるのかわからぬというような事件については、警察官はあまり興味をもたないのですね。ですから泣き寝入りが非常に多いのですよ。それは、私は警察官の方が手が足りないから、そういうふうな手柄になりそうにもないような犯罪に手をつけたがらないのだと、こういう傾向があるのではないかと思いますが、石原長官はどうなんですか、今の警察の人数で日本のこの治安を確保できるとお考えになっておるか、それともやっぱり警察官がもう少しほしいのだ、もう少し増員をしてもらえばこういったような犯罪を撲滅することができて、市民生活の安定を確保することができるんだ、治安を理想的な形において維持するのには今の警官では足りないと思うのですが、どの程度の警官を必要とされるか、こういったことについて御説明を願いたいと思うのですが、それは競輪場に派遣されますところの警官との関連において私は聞きたいから御説明を願うわけです。
  58. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私は警察庁長官でなしに国家公安委員長で、長官は柏村長官です。
  59. 島清

    ○島清君 どちらでもいいです。最高責任者として。
  60. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 警察官の方につきましてはただいまのところ約一万名ぐらい足りないと思いまして、昭和三十四年度から三年計画をもって、まあ一万名増員計画というものを立てて予算要求をしておるわけでございます。昭和三十四年度には二千五百名認められておる、その計数からいきましたならば今度の三十五年度予算では四千五百名一応の要求をしているわけであります。最初は三十四年度に四千名、三十五年度に三千名、三十六年度に三千名として三カ年一万名計画で進んだのでありますが、三十四年度の四千名が二千五百名しか認められておりません。三十五年度では三千名と足らざる千五百名、四千五百名を要求してとりあえず三カ年で一万名の増員を行おうと、こういうことで計画を進めておるわけであります。
  61. 島清

    ○島清君 そのほしいというような増員の数ですね、それを競輪などに派遣しないでそういったような不必要な所に使っております人員を必要な所に効率的に配置して治安を守っていく、こういうようなお考えにはなりませんか。それがお考え願いたいと思う一点。  それから先ほど災害地において競輪場があって、今は確かに中止しておるはずなんでございますが、これを私はこの機会においてせっかく世論も競輪を廃止すべしというような方向に非常に高まっておりますので、率先して災害地の競輪場は廃止する御意向はないかどうかと、こういうことを伺っておったわけですが、それはまあ所管事項は通産大臣であるということは私はよく承知しておるのですよ。ですから通産大臣に対する質問はこれは通産大臣に対して質問をいたしますけれども自治庁長官としてさらにまた警察の最高責任者としてどのようにお考えであるか、こういうことを今お尋ねをしておるわけなんです。その点について御説明を願いたいと思います。
  62. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 被害三県下の競輪場をどうするかということについて私はただいま今すぐどうこうということを今まで考えたことがなかったので、ここで率直な御答弁を申し上げることはできないのですが、しかし二十八年災のときと今回のときと若干違っている気持は、二十八年災のときには、この特例法の中に競輪であるとか競艇などをむしろ特別の回数をふやして、災害対策に充てようというような意味の特例法が出ておったように思うのであります。今回はそういうことはもうやらない、こういう気持でそういう特例法はたしか出ないであろうと思うのであります。それだけの気持の変化というか変り方はあるのであります。災害を受けた三県の競輪場を今ここですぐこうするとかどうするということは、私から答えることはちょっとできにくいと思います。
  63. 島清

    ○島清君 何か柏村長官から御答弁があれば承わっておきたいと思います。
  64. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 先ほど大臣からお話のありました一万名増員計画というのは本年度から三カ年でこれを実施したい。しかしこれでもちろんもう十分というつもりではないのでございますが、あまりに一挙に増員ということも財政上の都合もあるでありましょうし、またわれわれとして優秀な者をしっかりと訓練をするというような意味からも、三カ年に一万名を増員するという、まあわれわれとしては遠慮した案を出して大蔵省と折衝しておるような状況であります。  ただいまお話の競輪等に出動します警察官等をより重要な方面に向けてはどうかということはまことにごもっともでありまして、警察だけの立場からいたしますると、競輪等に大事な警察官を警備のために派遣するということは、非常にまあなるべくならば派遣したくない。しかし何か事態が起きるおそれがあるということで、やはり常時ある程度の者は待機させねばならんし、また一たん問題が起れば相当数の者をこれに動員して鎮めるという必要もありまして、先ほど大臣からもお話ありましたようにかなりの数の人間を動員しているわけでございます。これらの数字につきましては、もちろんわれわれの事務当局において資料を整えておるわけでございますので、のちにごらんをいただきたいと思うわけでございますが、ただ競輪につきましてはこの際申し上げておきますが、出動ということだけの問題でなしに警察全体の立場からいたしましても、いろいろと競輪に関連いたしましてマイナスの面が多いと思うんでありまして、警察だけの立場からすればこういうものはなるべくない方がいいということは率直に申し上げ得ると思うのでありますが、ただいろいろ財政の関係であるとかその他の娯楽等の関係であるとか、政治的に大所からごらんになってこの程度の弊害にとどめ得るならば、やはり当分は存続するという方針でありますれば、それに応じて警察としてもある程度の出動とかこれに対する態勢を整えるということは、これは最小限度必要に応じてやることは当然の責務としていたし方ないと考えておるわけであります。
  65. 奥むめお

    ○奥むめお君 陳情の問題でちょっと伺いたいのですが、陳情政治について。陳情をやはりした方が有効でございますか。いかがなもんでございますか。
  66. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) それは陳情を受ける人の立場のものの感じによっていろいろ違う面もあると思いますが、少くとも私は陳情があったからどうするとか、ないからどうするということは全然ございませんし、大ぜいでぞろぞろ遠い所からたくさん来るような陳情は、かえってそれほど困っていないんじゃないかというような感じを持つくらいでありまして、私自身の気持から言えば陳情というものはそれほど私はウェートをかけておりません。
  67. 奥むめお

    ○奥むめお君 非常に陳情が目に余るわけでございますね、年々。それからことに何か今度のように災害があったり、あるいは何か突発的なことが起りますと、これはもう特に当路の方は一番たくさんの陳情を受けて弱ってなさるだろうと思うのですけれども、陳情するということは一つにはやはり政治に対する不信だと私は思うのですよ。(「それはそうだよ、してくれないから」と言う者あり)やはり行かなければしてくれないのだというふうな気持と、それから知りやせんのだ、行って聞かして説明してこなければ手が届かないのだという気持もあると思うのですよ。しかしまた一方から言えば、自分のその土地の立場をよくするために行ってくるという、あるいはもっと中にまあ東京に行ってちょっと息抜きしてこようという人もないかもしれませんけれども、あるいは行って一生懸命やっているのだという姿を見せずにはいられないという気持もあるだろうし、また地元も政府に対して不信の念が強くて、とにかく行ってくれなければ困るというのでせきたてるということもあると思うのですね。いろいろな事情でいらっしゃると思うのですけれども、私はこの費用というものは年間を通じて各県とも大したものであろうと思うのですが、これを今度のような災害のときに私の方が大きい三重や愛知に目を奪われてしまって忘れられやせぬか、あるいは片すみに追いやられやせぬかという心配をしている者もあるだろうし、いろいろ事情はあるだろうと思いますけれども、少くとも今度の大へんな大災害に対しまして、陳情はこなくてもしっかりやるのだ、来てくれたらかえってしないぞというくらいの何か特別の処置をお考えになったことはありませんか。このお金が一万円かかるとしてお結びが百円だとしても、一万円あればだいぶお結びができるわけですね、それだけの金を物で渡すなり金で渡すなりしても。私は、この際こういう非常の場合に陳情政治一掃という処置をおとりになれないものかどうか、ということをお伺いしたいのでございます。
  68. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 今回の愛知、三重、岐阜、の三県につきましては、中部災害対策本部を設置いたしまして、これは総理もあすこへ見えて三県の知事を集めて会議されたときの際においても、一切この災害対策本部で処理するのだ、東京へ出てくる必要は全然ないということを強く申し渡されました。現にこの三県から東京へはほとんど出てきていないように私は思います。また三重県と愛知県の交通がまだうまくいっておりませんので、三重県であるとかあるいは奈良県、あの西の方をカバーする意味で大阪通産局に中部日本災害対策本部の大阪連絡所を設けまして、そこで現地でいろいろの問題を処理するという態勢をとっております。今度は東京へあまり出てこないようにしてほしいということを厳に申し渡し言い渡してあるのであります。しかし今奥委員が言われましたように、自分の所が忘れられるんじゃないかというような意味でこのごろだいぶ来ておるようであります。私は来ている人に対してはむしろ今あなたが言われたようなことを私自身も特に言うておるのであります。これは今までもずっと前々から内閣でもたびたび陳情政治はやめてくれ、文書で一切を出してくれということを何回か通達のようなことをしておるのでありまするけれども、一向にその跡を断たないのであります。事情はやはり知りたいので、文書なりいろいろなものを送っていただくことは、非常にけっこうなんでありまするが、大ぜいの者が東京へ地方から、しかも市長であるとか首脳者が出てくるのならいいのでありますが、村会議員、町会議員が全員そろって出てくるというような態勢は何とか改めなければならないのじゃないか。これは政治に対する不信ということだけでは私はないと思うのであります。民主化の行き過ぎといいまするかそういう面も若干あるのではないか。これはともどもにこういうことは何か是正するような方法を考えていきたいものと私自身も思っています。
  69. 奥むめお

    ○奥むめお君 もう一つお伺いしたいのですが、実はこの十月、十一月の中旬ぐらいまでは全国的ないろいろな表彰式だとか催しものが非常に多いですね。さっきいろいろ問題が出ましたけれども、大体福祉大会だとか民生委員大会だとかいろいろなものが、私どもが勘定しただけでも十以上あるのです。それは大体済んでからまた地方でするか、あるいは地方へ持ってきてから全国の催しをここでするか重複している。東京でするときにだれが来るかというと、毎年来る人はきまっているのです、おざなりで。地方の顔のいい方が出てきなさるらしいのですけれども、これの補助金ですかね、地方自治体が出しますお金は私は相当だと思うのです。そうしてそれが何か形式的なものに終っておりましてむだな集まりがずいぶんこの秋は多いのです、毎年。私はこれをほんとうに有効に生かすのには、これを自治庁ですっかりお調べいただいてどれぐらいの補助を出しておるか、その点がどういうふうなところから……、各部局にも私はまたがっておりますと思いますけれども。そうしてこの際にもうああいう形式的なものでやめてもいいものはたくさんあるのですわね、一つその費用なんかもお調べいただいて、ここで抜本的な対策を講ずるのに必要な時代がきていると思うのでございますが、いかがでございましょうか。もし、何か私の方でも調べかけているものを差し出してもよろしゅうございますが。
  70. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) これは一つ今行政局長とも話したのですが、自治庁でもおもしろいと思いますから調べてみたいと思います。資料がございましたら一つ出していただきます。  それから全国大会なども同種類のようなものはなるべく一緒にするとか、ただ表彰のような藍綬褒章を渡すとか黄綬褒章を渡すとかいうのは、どうもこれはやはり東京で直接の責任者から渡されないと満足しないというような問題もありまして、御指摘のようにこの秋にはほんとうに十一月に入れば連日大会々々というようなことになってくるので、費用の問題は一つ調べてみたいと思います。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察庁長官お見えになりましたから、警察庁長官国家公安委員長に警官の警備出動関係について伺います。時間が迫りましたから、詳しく答弁していただきたいところは詳しくといいますから、そうでないところは簡単にお答え願います。  まず会計検査院の第一局長に伺いますが、この警察関係の捜査警備出動費、これを検査したかどうか、検査されたとするならばその所感はいかがでありますか。
  72. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 警察関係検査につきましては第二局で所管いたしておりまして、私承知いたしておりません。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二局となれば、あなた第一局長だからそれはそれで了としましょう。  では警察庁長官に伺いますが、現在の捜査警備出動費というものは十分なのか不足なのか、どういうふうに認識されておられるか、私きょう資料を持ってこなかったが、たしか昭和三十二年ごろは都道府県警察に対しては、補助金は三十四億円ぐらい予算に計上しておったのではないかと記憶するのですがね。この数字は正確に自信ありませんが、大体三十億程度、三十四億ぐらいじゃなかったかと思うのですが、捜査警備出動費に対してどういう認識を持っておられるかお答え願います。
  74. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 十分とは私申しがたいと思いますが、一応警察活動を果して責任を遂行していくにどうにかこうにか間に合うという程度の予算考えております。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 続いて伺いますが、警察の捜査警備出動費……大体設備費について財界あるいはその他から年額にして大まかにいってどのくらいな寄付金を仰いでおりますか、大まかな数字でいいから、あなたの直感でけっこうですからお答えを願います。施設整備費あたり地方に参りますと相当寄付に仰いでいる事実がある、だから皆無だということはいえないと思う。建前としては皆無かもしれないですが物質的な援助を仰いでいるはずです。大体どのぐらいになるか、大づかみに伺いたい。
  76. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 施設整備についての寄付につきましては、昭和三十年とたしか思いましたが、警察官による寄付募集というものを全面的に禁止する通牒を出しております。従いまして実質上市町村等において好意的に出していただくものにつきましても、これは全部県費の予算を通してやるという建前にいたしておりますので、現在警察等の施設費につきましては全額県費でまかない、その建前としては国庫から半額補助ということになりますが、半額を下回っておる補助が相当に多い実情でございます。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察法を引用するまでもなく、警察はきわめて中正公平な立場でなければならぬわけですが、一面にはこの主義主張という面もあるかと思いますが、他面にはやはり物質的な援助と申しますかそれらのつながりの関係で、今の警察というものがあるいは財界に、あるいは保守と革新とを分ければ保守の方に、若干偏向している傾向を感ずるのですが、長官としてはそういう反省はないのですか。
  78. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 警察としては、お話のように中正公平ということを旨といたしております。また先ほど申し上げましたように、寄付というものについては特に今お話のような弊害も伴いがちでございますので極力戒めておるわけでございまして、財界からの寄付とか保守勢力からの寄付というようなものは全く受けておりません。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはそれで承わっておきます。次に続いて承わりますが、ただいまわが国では安全保障条約の反対運動とかあるいは企業整備反対運動とか、いろいろな大衆行動があるわけですが、これに対する警察の警備出動というものが活発に行われておる。またそれと関連はないと思いますけれども右翼の動向というものは非常に顕著なものがございます。で伺いたい点は、現在この組織化されたところの右翼というものは団体数はどのくらいあり、人員は大まかにいってどのくらいとつかんでおられるのか。これらの動向について警察庁としてはどういう認識を持っておられるか。やや詳細にお答え願います。
  80. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、警察の立場はあくまでも中正公平でなければなりません。従いまして、ただいまお話の安保改定阻止闘争運動であるとか、あるいは企業整備反対闘争であるとかというものであるから、これを取り締るというようなことは全く考えておりません。賛成であろうと反対であろうと、これが法に触れる違法状態をかもし出すという状態において、警察は厳正に法の執行に当るわけでございまして、この建前は強く堅持いたしておる次第であります。  また右翼の最近の動向でございますが、これは確かにこうした情勢下において右翼がかなり活発に動きつつある。しかもこれはなかなかそううまくいくとは思いませんが、大同団結的な傾向すら一部に見られるような状況でございます。私、今ここで団体数というものを資料について正確に申し上げかねますが、かなり従来よりは強化される傾向にあるということは申し上げられると思います。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近全国的に組織化の傾向にありますので、右翼と目さるべき団体の数並びに人員は、できるだけ早く資料として提出していただきたいと思います。この動向というものを警察庁長官は常に把握していないと将来問題を惹起いたしますよ。資料として出していただけますかどうかお答えを願います。
  82. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 総体的に私は把握しているつもりでございますが、ただいまここで正確な資料を持ち合わせないので、正確に申し上げかねるということでございまして、後ほど団体数、またわれわれの推定いたしまする構成員数というようなものを資料に基いてお示しいたしたいと思います。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 限られた時間内で、私は具体的な例をあげて伺いますが、警察官は必ずしも私は少いということはいえないと思うのです。問題は使い方だと思うのです。ずいぶんむだなところに使っている傾向があります。その一、二の具体的な例をあげて伺いますが、先ほど警官が約一万人不足して三カ年計画でふやしたいということですが、これは慎重に検討を要する問題だと思う。一体、警官が多い国とか、ことに警官が丸腰でなくてピストルやこん棒を持っていかめしい姿でいる警官が多数警備についているというような国は、決していい国でない。最小限でなくちゃならぬ。そういう立場から私は一万人不足だということは了解しかねるわけですが、若干具体的な例をあげて伺っておきます。それは、最近安保条約の批判演説会とか企業整備反対の演説会、集会、あるいは大衆行動、これらには非常に必要以上に警官が出動している。そうして必ずそこには右翼が出没する。その右翼の配布するパンフレットは各県ともほとんど同じ内容です。それで、その右翼の行動に対して制服警察官並びに私服警察官が黙認の態度をとる場合が多い。非常に了解に苦しむ。ある会合で演説会をやっている。ところが妨害作戦でビラをまく。そういうことがあっても警官は黙認している、見送っている。ところが他の面でちょっと進歩的な分子が何か行動すると、事前に多数の警察官を動員して法をきわめて厳正に解釈運用して、これを検挙するなり弾圧なりするけれどもこれは私は偏向していると思う。こういう点はまず一般論として伺いますが、警察庁長官はどういう認識を持っておられるか、伺いたいと思います。
  84. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) まず警察官の数でございますが、お話のようなことから申せば日本は非常にすぐれた国であるということが言えるんじゃないかと思うのでありまして、欧米各国の警察官と国民の比率を見ましても日本が一番低いのであります。さらに一万名増員いたしましても警察官一人当りの国民数というものは一番多い。すなわち警察官一人が受け持つ分量というものは一番多いという状況でありまして、決して世界各国に比べて日本の警察官が多いというようなことでなく、むしろ非常に少いという実情であるということをまず申し上げておきたいと思います。  それから大衆運動について警察官が出過ぎるということでありますが、私どもの見解では決して出動が多過ぎるというふうには考えておりませんし、また右翼関係については非常に寛大であるが、進歩的な分子については非常に厳格であるというお話でありますが、これも先ほど来申し上げておりますように、警察は法の執行ということを確保する、法秩序を確実に維持するということに力を注いでおるのでありましてそういう思想的なものがどうであるかということによって区別はいたしておりません。現に例を申し上げますれば、この前名古屋で演説会の際に、右翼といわれる分子がビラをまいて妨害をいたしました。赤松勇さんなども若干のけがをされた事案がありましたが、このビラを集団でまいたということで、威力業務妨害罪を適用して検察庁に送るということをいたしたわけでありますが、今までビラをまいたということによって威力業務妨害罪ということを適用してやった例としてはこれが初めてでございます。何も右翼だからこれをやってみたというわけではないのでありましてだんだんこういうものも非常に激しくなるという情勢でもありまするし、確かに集団の威力を用いたという判断のもとにやったわけでございますが、そういう例からいたしましても右翼について寛大である、進歩的な分子について厳格であるというようなことにはなっていない、というふうに私は確信をいたしておるのであります。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警官の数については僕は形式的では論じられないと思うのです。その仕事の内容、それから僕の外国に行った場合に感じたことは、外国の警察官なんというのはおそろしい感じがしない、非常に親切である。そのサービスの度合というものが違う。そういう感じで今のような日本の警察官をさらにふやしていくということは、実質上は了解しないということを言ったわけですが、この問答はさておいて具体的に承わりたい点は、調査して報告するというようなことをお願いしておきましたが、たとえば鹿児島で十月十二日に安保改定の演説会をやった。これは社会党、自民党立ち合いの演説会です。猛烈な組織的なヤジをやる。そこで社会党の青年部長の木之下という人物がそれを制止したところが、会場外に出ろと言って拉致されていって顔までけられるような事態が起って打撲傷を受けております。そのときに私服警官が三人すぐそばにおってこれを黙過しておる、こういうことはまことにけしからぬことだと思う。あなたの方には報告がどういうふうにきているか。それから具体例をあげますと熊本で母親大会が先般あった。このときには右翼が入って暴力するであろうということはその前後の情勢から大体察知できるのですよ。自民党さんでは母親大会は偏向しているという声明を発して以来、そういう右翼の動きというものは全国的に現われて参っておる。だからああいう場合は、警察官の一人でも二人でもおいでになっておってそうして万一という場合に備えたらいいと思う。ところがおいでにならない。そうして会が始まってみると女性ばかりの集まりの所に、僕は傍聴に行っておったが、どこかに入っておった数人の者がビラをまいてかき乱す戦術をやる。女性ばかりだからあれよあれよと言うだけで一切手が出ない。それからさっきの鹿児島の組織的な暴力を振った方々は、指宿の教科課程の講習会があった場合にも出動しているわけですね。だから私の伺いたい点は、私服の方がおられて腹をけられたり顔をけられているのを黙認している。どういうわけでそういう者を制止しないのか。また今度国民体育大会の選手としておいでになる人が加害者の中に入っておる、というように党に報告がきておるわけですが、どういう報告がきているのか、また警察としてはどういう処置をされたのか、あるいは今後されようとするのか一つ承わりたいと思います。
  86. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 鹿児島の事案でございますが、少し今の矢嶋さんのお話と私ども報告を受けているのは事実が異なるように思うのでありますが、確かに十月十二日の午後七時半から鹿児島の農協会館で安保改定に関する討論会が、自民党側と社会党側の両方から二名ずつ出て演説会があったわけであります。この際に社会党側の弁士に対しまして太田何がしという者が相当目立ったヤジを行なった。それでその近所に着席しておりました、これは鹿児島の地区労評の事務局長の木之下氏という人でありますが、これがヤジをやめろというふうに制止したところがその太田というのが木之下氏の胸ぐらをつかんだので、木之下氏は、お前は暴力団かと言ったところが太田は直ちにそのとき手を離した。その後今お話では太田が外に出ろと言ったというお話でございましたが、私どもの受けております報告では、木之下氏が、ここにおると演説のじゃまになるから外に出よう、こう言って二人で連れ立って玄関口に出て、これに従って八、九名の聴衆も外に出たそうでありますが、玄関口で口論を続けられておる間に、その場にいた町田政雄という男が木之下氏をなぐり足げにするというような暴行をしたわけであります。この際警備のために現場に派遣されておりました鹿児島署員によりまして、傷害現行犯として逮捕を直ちにいたしておるわけでございます。木之下氏の負傷は全治約二週間ということでございまして、町田政雄につきましては現行犯逮捕をして、十四日に傷害容疑として身柄付で検察庁に送致をいたし、検察庁では勾留の上取調べを行ないまして、十七日に弁護士を身柄引受人にして釈放いたしておるわけであります。処分留保のまま釈放いたしておるわけであります。従ってこの際警察官がとった措置といたしましては、問題が直ちにひどい騒ぎが起るというふうには観察しておりませんで、しかしながら何か起る場合の準備といたしまして、私服警察官六名を場の内外に配置をいたしておったわけでございますが、これがその暴行傷害事案を見つけましてれ直ちに現行犯逮捕をして警察としての必要な措置をとっておるというふうに考えますので、決してこれを傍観しておったというふうな事実はないと私ども確信をいたしておるわけでございます。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が承わったところでは、私服警官があなたは六名おられたということですが、それはおられたのでしょう。ところが三名はすぐ近くにおったというわけです。そうして党員並びに地労の諸君は知っているので、やっているのをなぜぼやぼやしているのかと抗議してから、初めてその五名の諸君が職務執行に動き出したのでそれまでは全く黙認しておった。だからこちらから抗議でもしなければ、数人の者から寄ってたかって踏まれけられているのをそのまま終ったであろう。まことに不都合であり頼りないものだ、こういう報告を受け取っているわけです。で、今後安保条約の問題については立会演説会とかそれらがずいぶん行われるわけですが、十分しゃべり十分聞くことができるように、私はこういう所には警察はしかるべく秩序維持に努力をさるべきだ、もしそういう事件が起ったら逃避することなく、警察官は一名でも二名でも目撃したら直ちにそういうことを制止し、そうして秩序が保てるようにしていただかなければならぬと思うのです。そういう立場で私は伺っているわけですが、そういう趣旨のことを今後各都道府県に徹底さしていただきたい。  それから特に背景を一つ洗ってもらいたいと思うのです。何か背景がある。そうしてその根源は中央、東京に僕はあると思う。あるいは特定政党が尾を引いているかもしれない、特定団体が。それでその背景を洗ってみたことがあるかどうかということは、全く全国にわたって、ウ匠がウ飼いをしているように動きが全く軌を一にしておるのですよ。そうして。パンフレットの内容等も全く同じなんだから、その地方の若干の人数のそういう人々が行動すると思えないわけなんですね。それだけに危険性があると思う。どういうように認識されておりますか。
  88. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいまの事件につきまして、何か警察官が盛んに抗議をされてから飛び出したと、同じような趣旨の抗議というものは鹿児島県本部長も受けております。しかしながら事実は、私申し上げましたように、よほどの達人で事前にこれを防ぐように八方に目を配ってやるというようなことができますればともかく、そこの現場にやはり抗議をするような人もおったとなれば、よほど突差の間に暴行が行われておると見ざるを得ないのであります。これに対して少くとも現行犯逮捕によって事態をおさめておる。傷害が出る事前にこれを防げるということができますれば上々でございましょうが、とかくそうして逃げていって後の事後捜査になりがちなものを現行犯逮捕をしておるということでありまするし、警察の措置があれだけの会場の内外にとにかく六人という配置でそれをやったということでありますから、そう警察の態度を非難すべきものではない、私が申すと非常に工合が悪いのですが、そういうような気がいたします。  それから今お話の背後関係でございますが、実はこの町田政雄というのは照国会の会員ということになっておる、ところがその照国会というのは一体どんなものであるかと申しますと、会長の片平恒文というものがおるわけでございますが、この片平なるものが照国会というものを昭和二十三年に結成して規約とか綱領はないが、青少年の道義高揚と心身鍛練を目標としておるというふうにいわれておるのだそうでありますが、それじゃ組織はどんなものかといいますと、われわれの今まで知り得た範囲では片平と町田二人であるというようなことでございまして、さほど根のあるものではないし、またその行動が非常に中央から手が伸びた計画的なものであるという証拠は全くつかみ得ないのであります。ただこの片平恒文という会長は、ことしの七月に総合文化協会——総合文化協会というのは、これはたしか戸松慶議氏が党首になっておる国民社会党の文化部門を担当しているものだというふうに記憶いたしておるのでありますが、その総合文化協会の鹿児島県支部相談役というのに就任しておるそうであります。ただこの十二日の事案というものが非常に計画的なものであるということが言えないのは、むしろ外に出ようじゃないかと言ったのは被害者の木之下氏であって、木之下氏をおびき出して大勢で暴行を加えたというふうな事案でもございませんし、この事案を見まして、いろいろ先生のお話のような同種類の抗議は現地でも受けておるわけでありますが、われわれの今まで承知したところから判断いたしますれば、さほど根のあるものであるというふうには考えておらぬわけであります。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間も参りましたから、それに私の方に来ている資料とあなたの方の調査と若干食い違いがありますから、この点はさらに調査した上であらためてやることにいたします。  それからもう一件は、今度はこれとちょっと角度が違うのですが、東京で起った問題ですね。警察官の過剰な警備行動、過剰な職務執行行為によって女子美術大学の学生が負傷した事件が十月九日に起っておりますね。この件については調査しておいでになるようにということを予告しておいたのですが、それをまずあなたの調査結果を報告していただきたい。十月九日に安保条約反対について陳情大衆行動を都学連の学生がとった。その時に女子美術大学の島田とも子という学生が相当の重傷を負っておりますね。調査の結果どういうことが報告されているかお答え願いたい。
  90. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) やや詳しく申し上げましょうか。ます十月の九日の午後三時ごろから全学連におきましては参加学生約二百名を動員いたしまして、総理公邸に安保改定反対のための集団陳情を行いまして、官房長官から面会を拒否されたわけであります。陳情の目的を達しないまま午後五時十五分から四列縦隊となって無許可のデモ行進を開始いたし、総理公邸から特許庁—虎ノ門—田村町一丁目を通って新橋駅に至って同駅構内で解散をしております。この間虎ノ門で外務省方面に左折しようとしたところを警備部隊から、無許可デモ行進として公安条例第四条に基く警告制止の措置を受けて、その際にそのデモ隊が相当警察官の方に押してきた。それに対して警察官がこれを制止するという行為があったわけでありまして、その間に起った事案であるというふうに考えられるわけであります。  その状況をちょっと申し上げますと、これら全学連の二百名の者は、特許庁方面から四列縦隊で歩道上を行進して参ったわけてありますが、午後五時二十三分ごろに虎ノ門の角の文部省前まで来て、ここでデモの方向を外務省の方に向ける、こうなりますると従来の学生の過去の事例から、先生方も御承と思いますが、外務省、防衛庁前では非常に激しい蛇行進が行われることが通常でございます。またこの時間は非常に交通のひんぱんな時期でありまして、交通妨害となること、はなはだしいということで、これはまっすぐに新橋の方に向わせようという警備方針をとって、これによりまして麹町署の交通整理部隊一個分隊、それから第四機動隊の一個中隊がこれに配備されておったわけでありまするが、これが学生に対して警告をし、警告に応じないで、数回にわたって一団となって警備部隊の方にぶつかってきた学生があるわけでありますが、このために一時警備部隊も八メートルほど後退せざるを得ないというような集団圧力が学生によって加えられた。で、これを警備部隊が制止をいたしまして押し返すという状況があったわけであります。そこでこの間におきましてむしろ学生が街路樹の間から今度車道へ飛び出すというようなことにもなって交通が非常に混乱をし、またあるいは学生自身の身体にも危険が及ぶというような状況考えられましたので、これは急速に正常に戻すという措置を必要といたしたわけであります。従って待機中の第一機動隊の一個中隊の応援を得まして、計二個中隊が麹町警察署長の指揮を受けまして制止措置をとったわけであります。そうして新橋方面に誘導整理をいたしたわけでありますが、この間約五分間であります。その際に今お話のような負傷者が発生するという事案が起ったと認められるわけであります。  このけがの状況でございますが、初め警視庁で知りましたのは、その後そういうふうな制止を受けた学生がさらに蛇行進を行なって、これにまた制止に当りました警察官に暴行を働く者がおったというので、そのうちの一名を公務執行妨害罪で検挙したわけでありますが、この釈放の要求のために約二十五人が警視庁に抗議陳情にやってきた。この際に女子学生がその中に一人まじっておりまして、友だちの女子学生一名が麹町署員二名に右腕をねじ上げられて骨折したというような抗議をいたしておるわけであります。それでそういう事実があるかどうかということを調べることになったわけでございますが、そこで公安課員の現認いたしましたところによりますると、デモ隊が警察部隊に突入して現場が非常に混乱状態にありましたとき、現場におりました公安課員の話でありますが、うしろの方を見ると女子学生一名が右腕をハンカチでつりまして、二人の女子学生がこれを介抱しながら田村町方面に向うのを見た。それでどういうことであるかということでよく調べますと、千代田区内幸町の日比谷病院に入ったということがわかったわけであります。そこで病院をたずねまして診察に当った斎藤という医師から事情を聞いたわけでありますが、今お話のように負傷者は女子美術大学洋画部の四年生島田とも子でありまして、負傷程度は上右腕部骨折全治八週間である。現在入院中であるが、負傷原因については受診当時本人の語ったところによれば、文部省前で警察官と学生が抗し合いになり人波に押されてうしろに下った際、右後方にあった街路樹が右腕に当った。そのときに痛みを感じたと本人が述べておる。警察官の暴行についてはそのとき島田とも子は全く何も言っていないのであります。またこの女子学生の診察に当りました斎藤医師と小川医師は、上右腕骨に強く捻転された力が加わったため折れたものと考えられる。腕が木に当ったとき上腕がねじられたものと考えるのが最も適当と思われる。他人の暴力が加わったかどうかについては確実に断定はできないが肩、ひじ関節には特に異常がない点から、医学的には否定されるべきものと思われるというふうに言っておるわけであります。従って、非常にこういう負傷者が出たことは遺憾に存じますが、ああいう暴力的なデモが警察官部隊に対してむしろ積極的に押してくる。これを排除する際にこれを避難しようとした女子学生がけがをしたという事実は認められるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、警視庁に抗議に来た女子学生が言いましたような、署員二人に右腕をねじ上げられて骨折したということは全く考えられないわけでございまして、われわれのただいままで調べた結果について申し上げますと以上のような状況であります。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないから長く聞きませんけれども、私が調査したところとあなたの報告とは一致する所と一致しない所があるのですね。この島田とも子という人は間接的によく知っている人物なんです。まじめな性質なんですね。あなた方はよく思想的なことを言われるが何もそういうことはない人で「安保条約が危険だというような純粋な若人の気持からお友だち何人かと参加したということを言っているのですがね。学生が文部省の所で歩道に降りたというのは、そうでなく、霞ケ関の方に行くのを阻止するために警官が学生を歩道に追い落している。そうしてゴボウ抜きをやっているわけです。確かに警察は秩序も維持せんければならぬでしょうし、だから公務執行妨害するような者をゴボウ抜き、排除するということもあなたの権限で許されると思うのです。しかし前をゴボウ抜きされてうしろにおった女性が前に行ったところが、その女性にものすごく当ってきたらしいのですね、私の聞いたところでは。よく機動隊にはお若い人がおるので、一般の労働争議より学生に対しては非常に勇ましい勢いでぶつかって行くのはどういうわけだろうと思うのですが、そうしてその学生の中でも近ごろ女性に対して憎しみを持つのですが、私も一、二回ほかの事件の場合目撃したことがあるのですが、男女同権という格好で扱うのか知らんけれどもすごく当るですよ。でこの人は、今若干一致するのですが、プラタナスという木があるのですね、そこに押しつけられて痛い痛いと言って、やめてほしいということを叫んだというのですが、警官もやっぱり夢中になっておったのでしょうが無理やりそれを押したので、しびれてあと手が動かぬほどになったということですね。そのあと骨折がわかったということで、警官の行為としては僕は若干感情に走って逸脱していると思うのですよ。非常に警官の指揮に従わない、そうして秩序を乱し極端には公務の執行を妨害するというような者に対しては、それぞれあなた方の職権に基いてすることはけっこうでしょうけれども、ただ純粋な気持でついて行きおるのを、見さかいもなく追い込んで行って木なんかにぶっつけて、離してほしいというのを離さないまでに押して骨折までさせるということは、これは私は容認しちゃならぬと思うのですよ。しかもこの人は四年生で就職しなければならぬ人、大学の卒業生の就職試験は十月中旬にあるので就職試験も受けられない。家庭もあまり豊かな家庭じゃないらしい。しかも入院費はかかるというようなことでえらい気の毒なことだと思うのです。このときでも新聞も報じておりますが、学生は約二百名であり警官は四百人くらい出ている、というのはどの新聞にも書いてありますが、過剰じゃないですか、この点なんか。一体こう人には何ですか、警察は入院費の見舞ぐらいは出してしかるべきだ、補償してやってしかるべきだと思うのですがね。あなた方はどういう見解を持たれているのか、ほかの案件、それは学生の行き過ぎの場合もあるでしょう。しかし学生にしてみれば、都の公安条例なんかは違憲だというような地方裁が判決下しているのですがね。三回ですか下しているからそれで陳情に行くとすれば行きたいというような気持でやるでしょう。その中にはあなた方に若干抵抗するのもおるかもしれぬ。それはそれであなた方が処理しなければならぬでしょう。しかし見さかいもなく純粋な気持で行った学生、しかも女子学生に襲いかかるような態度で、しかも負傷させるというようなことがあっては、本人も気の毒だし困ったことだと思うのですがね、いかがでしょう。
  92. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 非常にお聞きするとおとなしいりっぱな女子学生であるように承わります。またそうであろうと思いますし、そういう方がけがされたということは私非常に遺憾に思うわけであります。ただとにかく四年生にもなっておれば、全学連がああいうときには相当な騒ぎをやる習慣があるということはわかっておいでであろうと思う。それからまた警察官が田村町の方にまっすぐに行くようには再々警告をしておるわけでありますので、その際にもわざわざ男学生について霞ケ関の方に強いて曲がろうとするというのも、少しやはり全学連についての御認識が浅いために何ということなしについて行かれ、またそういうデモなどになれておられないから、けがなどもされたということになるのかもしれませんけれども、何も女子だからおとなしくしろと私は申しませんが、全学連というものがとかく過激にわたることがあるということは学生の間にはもう知れ渡っていることであります。そういう中に入っていって特におだやかにやろうというのであれば、やはり警察官の指示に正しく従うというような態度は、善良な学生として持っていただきたいと思うわけであります。また警察官が特に島田さんを目のかたきにして、これを制止抑圧したというようなことは考えられないので、それは医師が最初に聞いたときに、警察官について話をしていないというような事実からも、とにかく逃げ出してそうして木にぶつかった、そこに押された者があるいは積み重なったかもしれませんけれども、そういう状況において骨折したというのが妥当な見方ではないかと思います。  今までの私の報告を受けたところから私の看得するところでありますが、そういうような状況でございまして、非常に事案は遺憾でございますが、警察のあのときとった措置というものが非常に越権であるとか不当であるとかということは、私は当らないと思いまするし、警察がそういう場合に気の毒という気持は別といたしまして、一々治療費等について責任を負うというようなことは、これはすべきものではないというふうに私は考えます。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が長くなると恐縮ですからこれで終りますけれども、全学連論については私も見解を持っていますしこれはここでは論じませんが、警官と学生、それから最近警官と労組、特に教員と激突する場合が多い。激突させる力があるんですね。これだけではわからないと思いますからもうちょっと具体的に申し上げますが、約一カ月ぐらい前に宮崎で文部省主催の教科課程の講習会があったのです。で、山口で激突したというからまた事が起ってはいかぬと思ったので、私出かけていったわけです。で、あそこの本部長現地で会ったのですが、なかなか優秀な物わかりのいいしつかりした人だと、私はちょっと会っただけだけれども感じました。で、先生方並びに宮崎の労組あたりが警官と激突——激突といっては表現が悪いけれども、とにかくいろいろごたごたが起りそうだというような情勢が出てきた。それでちょうど文部省の安達課長も来ておったわけです。それから宮崎県の教育長もおったわけです。だから私は政治的生命をかけて警官が実力行使をしないように説得するから、私に十分間でいいからちょっと会ってくれという要求をしたけれども出てこないわけです。だれに聞いてもどこにおるかわからないという。僕は政治的生命をかけて警官と衝突をさせないようにするからちょっと会ってほしいということをマイクで言ったけれども、おそらく文部省の安達課長だと思うが、教育長も出ていった人もどの車も一切帰ってこないわけです。それから宮崎の警察へ行って本部長に会うと、私たちも実力行使に入りたくないと言う、ごもっともだと思うのです。で、文部省なり宮崎県の教育委員会はもう少し善処してもらいたいというような気持を持っているわけです。だから私らも実力行使を今やって混乱を起したくないから、話しておさまるものならおさめてほしいという御要望なんです。ごもっともなことだと思うのです。ところが文部省とか教育委員会は問答無用だと、警察の力を借りて物事をやれば一番簡単だというような考え方を持っていますね。このことは警察を侮辱するものだと思う、警察を乱用するものだと思う。かように警察が使われていることについては、やはり警察庁長官としては政府部内で発言があったって私はしかるべきじゃないかと思うのです。そうして警察が実力行使するとか力に訴えるという場合は、最後の最悪の場合だと思うのです。だからあの場合に私が政治的生命をかけてやると言うのだから、おさまらなかったら私の責任を追及したっていい、議員を辞職するつもりでやろうと思っていた。子供が見ておるしまた市民も見ておるし、警察官にとっては教わった先生や隣組の方もおるわけで、雨の降る中でごたごたやるということは警察官にとってもつまらぬことだし、教育上も影響の甚大なことですよ。だから私は政治的生命をかけてやると言ったわけです。それをこういう場合公式的に考えて、よその地区でやったように強引にやられることについては、警察本部長は文部省と教育委員会に対して不満の意を表明しておりましたが、そういうように誤まって警察が使われないようにしていただきたい。ちょっと表現が過ぎるかもしれませんが、費用も相当要りますよ。長い時間待機していますから弁当も要るし、車も動かさなければならぬし、警備出動費は相当な金額になると思うわけです。  それから最近安保条約の反対の演説会とかいろいろあるわけですが、そのつどあなた方の責任上その立場もあると思うのですが、場合によると数が多過ぎる場合がある。過剰な出動、過剰な行為があると思う。それで勢いのおもむくところ二十才から二十四、五才くらいまでの人が危ないですね、行動が過ぎるために混乱をさらに大きくしたり、こういう島田さんみたいな負傷者が出てくるような事態が起るわけです。だから十分注意していただきたいと思う。  それから島田という人の負傷についてはもう一度一つ調査してみて下さい、もう一度ね、これは、本人は大体警官の顔を覚えているというようなことを言っている。直接私は聞いたのじゃないのですけれども、美大には実は私の娘が在学しているんです。同級生なんです。私の娘は行っていないんです。行っているとすればあなたから私は責任を追及されるかもしれませんが、(笑声)行ってはいないのですが、経過は非常によく知っているわけです。この生徒の家庭のことから性質なども知っているわけです。あなたは全学連というものを認識せず女子学生が行くのはいけないと言うが、それはちょっと言葉が過ぎていると思う。学生というものをよく認識していないと思う。そういうことで島田さんに対処したら気の毒だ、就職にも影響してくるし結婚にも影響してきます、警察庁長官がそう言ったというようなことになれば……。時間がありませんから終りますが、その点ちょっと伺います。
  94. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 集団的なものについての警察の出動ということの基本の考え方は私は矢嶋先生と全く同感でありまして、警察は最後にどうしても他の方法をもってはやむを得ないというようなときに出るということを原則にすべきだと、そういうことで、政府部内におきましてもその他につきましても、極力警察以外の善処すべきものをすべて十分に尽してもらいたいということは、重ね重ね申しておる次第でございます。  それからただいまちょっと誤解があるようでありますが、私は全学連というものの性質はわかっているだろうということは申しましたが、全学連がやるものに参加してはいけないということは絶対申しておりません。そういうことを言ったら大へんなお叱りを受けることは私はよく承知いたしております。そこはそういう意味でなしに、島田さんはそういうことをよく御承知なんだろうから、参加されても必ず警察官の指示等にはよく従っていただくことが望ましかったという趣旨で申し上げておるのですから、誤解のないように一つお願いいたします。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと長官にお尋ねしておきたいと思うのですが、最近新聞等でいつもよく大きく見出しが出るのは、非常な罪悪の伴う極悪犯人の事例が多いと思うのです。大へん失礼な話だけれども強姦罪のようなものとか、あるいは強盗であるとか、最近警察庁も非常に機動的に全国指名をして、そうして摘発に努力されておることは、私ども非常に感謝しております。が、この面で先ほど矢嶋委員からもちょっと警察庁予算の問題にも触れられたのでありますが、公安調査庁の予算使用方ですね、それと実際の現地にそういうふうに第一線に飛び回っておる刑事諸君や警備員の定員あるいは予算、こういうものがどうもアンバランスじゃないか、従って緊急手配をしたくてもかなり無理な仕事をさせておるというような点があるのではないかという印象をわれわれ持つわけです。従って現在の刑事なりあるいは警備に対するところの定員あるいは予算、そういうものについてあなた方は、たださっき言った全般の一万人の増員ということでなしに、そういう予防、特に警察の事案の予防をすることや、あるいはそういう極悪の事態が起きた場合の緊急措置、こういうものに対することが十分であるかどうか、この点についてあまりにも新聞の見出しが、何かその方に一般の眼が奪われるというようなことが、最近特に目立っておると私は思う。そういう点についてどうお考えになっているか、この際一つお尋ねしておきたいと思います。
  96. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 全体的な人員配置の問題でございますが、先ほど申し上げましたようにかりに一万名増員されても、いわゆる文明諸国と比較いたしまして非常に少い数でございます。従いまして、これを最も警察目的を遂行する上に必要なまた有効な配置をするということは、私の常に頭を悩ましている問題でございまするし、また配置いたしました人員について、これは正確に私の方で全部全国のものをこれこれということを言っているわけではないのでありまして、全体の定員を配置してこれをまた各府県本部長が適宜配分するということになるわけでありますが、各府県本部長にいたしましてもこういう点は非常に苦慮いたしておるところであろうと思います。従いまして、おおむね妥当な配置になっておるとは思いますが、さらにただいまのような点も考えて、十分配分には今後も検討を続けさせていきたいと思います。  また凶悪犯が非常に多くなっている、これは最近の犯罪の傾向としまして非常に顕著に出ております。少年犯罪についても特にそういう点が目立ちますが、全体として非常にこういう傾向が強い、これに対して警察官の緊急措置というものが十分であるかという端的な御質問に対しましては、私も遺憾ながら十分とは申し得ないと思います。しかしながら今われわれ非常に力を入れておりますのは、とにかく事件が長引いてくると非常に捜査がしにくいということでありますので、特に初動捜査、犯罪が起って間もなくの捜査というものを徹底的に突っ込んでやるということで、そういう意味の人員なりあるいは技術なりというものの検討、練摩ということについて特に配慮をいたしておりまして、各種会議においても幹部にはそういうことを特に強調をいたしておるようなわけでありまして、できるだけ御期待に沿うように処置いたして参りたいと思います。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 私は先ほど矢嶋委員も御指摘があったように、労働運動とかあるいは大衆行動の場合の警察官の出動というものは非常によく行われるけれども、反面対社会的に考えた場合には、凶悪犯罪というものは捜査の仕方によっては、今長官も言うように早くこれができさえすれば逮捕というものは割合早いと思う。ところが時間のロスがあるとなかなかこれはむずかしくなってしまうことだと思う。むしろそういう方面にこそ力を入れるのが、警察ではやっぱり今日では必要ではないか、こういう点を実は言いたかったわけです。  それから第二の問題でお尋ねをしておきたいのは、最近いわゆる高層アパートが、団地というのがたくさんできているのですね。この団地に対するところの実は警備というのは今のところはパトロール等が主体ですね。そこでこの東京都のようなところの機動力がある場合はいいのですが、全国的にみた団地を今形成している現状においては、なかなかそこまでいかぬと思うのですよ。機動力の増強ということも、もちろんわれわれ進んでやってもらわなければいかぬと思うのですが、そこで第一線で必要なことは交番であるとか駐在であると思うのですね。で、この交番とか駐在という設置基準というものは現在どうなっているのか。  それから第二は、たとえば交番なり駐在の設置基準というものを明らかにしてもらうと同時に、従来は地方自治体なりあるいはその地元が土地を寄付し、あるいは家を寄付しなければ警察官は置けないぞと、こういうのが通例だったわけですね。それが三十一年からかあなたの方で寄付行為というものはやめてもらいたい、これは初めてそういう通達をされたのですが、そこでだいぶ変ってきたと思うのですが、現在は交番なり駐在を設置する場合には、いわゆる地方自治団体の負担になるのか、それとも警察庁警察庁としての予算というものを持っているのか、この点についての一つ御説明もしていただきたいと思います。
  98. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 団地についてのお話でございますが、これは確かに従来警察署の管内において、人口が東京あたりでも非常にふえております。こういうものがふえているということは、結局警察官の数が相対的に少くて困るという問題があるわけでございますが、これは今までの二割増しの働きをするというようなことで、何とかまかなっていくことができますけれども、団地についてはどうしてもここに新しい要員を組織的に置くということが必要であって、今度の一万名増員につきましても、団地関係の増員分というものをやはり相当にわれわれ考慮をいたしているようなわけでございます。それまでの間はやむを得ずパトロールの強化というようなことでやっているわけです。  なお駐在、交番の配置基準でございますが、これは明確に中央の示している基準というものはございません。ただ駐在は大体町村合併前の普通の町村においては、一駐在一町村というのが普通でございまして、大きい所では複数の所もございますが、最近合併促進によりましてこれを一つにしてしぼるということは非常に困難であるというようなことから、一町村に幾つもあるという事例もございますが、実情はそういうわけでございます。交番については、やはり各都市の状況によっては、それぞれ設置基準というものを現地現地考えているようなわけでございまして、中央で示しているということはございません。またこれの設置についての費用を、従来は寄付に待つことがほとんど大部分であったわけでございますが、現在は建前といたしましては先ほど申しましたように県費でございます。しかしなかなか地方財政が苦しいということで、修繕費も十分にとれないという状況でございますので、なかなか県費そのものでいかないという場合が多い。従って地元町村等の実質上は寄付であって、県費にこれを受け入れて設置するというようなのが大部分と思いますが、まれにこれを町村あたりで建物を建てて、それを寄付するというものもあるように聞いておりますが、まだ先ほど申し上げた原則というものに例外的なものが、末端の派出駐在所等においては若干みられるのではないかと思いますが、しかしできるだけ弊害のないような措置をとるように指導いたしているつもりであります。
  99. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  100. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて下さい。  ではこれをもって自治庁の部、検査報告批難事項第七号から第十号までの質疑は、一応終了したことにすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  では午後二時十分から再開いたすことにいたします。それまで休憩いたします。    午後一時二十九分休憩    —————・—————    午後二時十九分開会
  102. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 休憩前に引き続き、委員会を再開します。  昭和三十二年度決算中、文部省の部を審議いたします。  検査報告批難事項は、第二百五十号から第二百五十二号までであります。本件に関し、御出席の方は松田文部大臣、天城文部大臣官房会課長、斎藤会計総務主査、西田大学学術局学生課長、小林管理局長、斎藤官房長、今村監理局助成課長、安嶋初中局財務課長会計検査院第二局長保岡豊君の諸君であります。  まず、会計検査院からの概要説明を願います。
  103. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 二百五十号ですが、静岡大学で債権者に渡すべき小切手を渡さないで、これを現金化いたしまして、支払いをおくらせまして、職員等に対する貸付金などに使用していたもので、会計実地検査を行いました当時三万六千九百五十六円穴があいておりましたものであります。検査の結果、この貸付金などを回収いたしまして、また、この穴のあいておりました三万六千九百五十六円は、責任者が弁償いたしまして、全部皆済いたしました。  二百五十一号と二百五十二号は、施設整備に対する国庫補助金の一四%に当る約八億円につきまして実地検査をしました結果、不当と認めた四件のうち批難金額が五十万円以上のものでありまして、二百五十一号は保有坪数の計上漏れの結果であって、二百五十二号は生徒数の取り方に過誤があったものであります。  以上、説明を終ります。
  104. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 次に、文部省から概要説明を願います。
  105. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 昭和三十二年度決算につきまして、会計検査院不当事項として指摘いたしました件数は、大学の経理につきまして静岡大学の一件、補助金につきましては東京都中野区沼袋小学校不正常授業解消工事一件であります。  これら不当事項の発生につきましては、まことに遺憾しごくに存ずるものでありまして、事情を詳細に検討いたしました結果、大学の経理につきましては、再びこのような事態を引き起さないよう、その制度を改めさせ、不当な貸付金は回収させ、使途不明金は弁償させる等の善後措置を講じ、また監督責任者に対しましては、懲戒処分をいたしました。補助金関係につきましては、補助金の返還を必要とするものにつきましては関係事業主体に対して返還を指令して返還させ、関係者に対しましては厳重に注意いたしました次第であります。  これら不当事項の発生にかんがみまして、大学関係については、従来に増して関係職員の資質向上に努め、職責の自覚を一そう促し、会計監督の厳重な施行等を行い、また補助金関係については、事業主体の直接指導に当る都道府県教育委員会の協力を得、かつ、これを督励して適正な執行に努力し、このような指摘事項を再び起さないよう、極力努めたいと存ずる次第でございます。
  106. 上原正吉

    委員長上原正吉君) なお補足説明がありましたら、お願いいたします。
  107. 天城勲

    説明員(天城勲君) 特に補足することございません。
  108. 上原正吉

    委員長上原正吉君) これより質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  109. 相澤重明

    相澤重明君 大臣にお尋ねしたいと思いますが、この指摘事項の二百五十号、債権者に支払うべき小切手を現金化し貸付金に使用するなど経理が紊乱しておるものと、これはもう指摘されておる事項を見ると、遺憾しごくだと私は思うのです。  そこでお尋ねしたいのは、資金前渡官吏が支払いを行なっておりますが、資金前渡官吏というのは、どういうふうに設置基準があるのか。各大学に、どういうふうに置かれておるのか。それから当時のこの静岡大学の校内の状況等からいって、何かこの経理関係の場所が別にあったように聞いておるが、その後どうなっておるのか、この点について、御説明をいただきたいと思います。
  110. 天城勲

    説明員(天城勲君) 大学の資金前渡官吏の制度につきましては、この制度の趣旨といたしまして、大学の本部から離れております遠隔の分校とか、あるいは離れております学部その他の施設につきまして資金前渡をやるのを原則といたしております。現在、従いまして資金前渡官吏を置いておるところは、かなりあるわけでございます。それから静岡大学につきましては、各学部とも、当時資金前渡官吏を置いておりましたけれども、この事件がありましてから、静岡市に所在いたします文理学部と教育学部につきましては、本部も静岡市にございますので、廃止いたして、現在は本部で直接支払いをいたしておるわけでございます。
  111. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、この静岡の場合の、今の遠隔地にあったもの、いわゆる少し離れておったところにあったから置いたということでありますが、そうすると、今、文理、教育等も、本校の方に移ったということなんですか。
  112. 天城勲

    説明員(天城勲君) 静岡大学におきましては、静岡市に所在いたしております教育学部と文理学部には、資金前渡官吏制度を三十三年度から廃止いたしまして行なっておりませんです。
  113. 相澤重明

    相澤重明君 次に、私は大臣に一つお尋ねをしておきたいのですが、この指摘事項の中の公立学校施設整備に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの、この中でも、二百五十一号の東京都中野区沼袋小学校の保有坪数の水増しですか、これは。こういうことについても、調査というものは、一体だれがやるのか、こういう点について、文部省としての最終的な決定をされる場合の態度というおのを一つ、この際、明らかにしておいていただきたい、こう思うのです。
  114. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 二百五十一号の件でございますが、学校の保有しておる坪数を、補助金交付の場合には基礎にして計算するわけでございますが、その保有坪数の一部を使わなかったという事例でございまして、具体的に申しますと、施設の台帳というものを作るわけでございますが、その台帳の整備が不十分でございまして、三十年度に建てた倉庫、それから三十一年度に建てた校舎——これは、台帳というのは、大体三カ年に一回ずつ作るという制度になっておりますが——ですから、その後できたものは、その台帳に記入していかなければならんのを、学校の方で忘れておったために記入されてなかったという事例でございます。補助金交付の場合には、大体、この台帳を基礎にいたしまして、補助金の申請に基いて金額を計算し、交付を決定するという制度になっております。  で、これは御承知のように、設置者である市町村長、一般の場合は市町村長から、県を通じて文部省の方へ出てくるわけでございまして、文部省としても、一応は、この設置者から出て参りました府県を通じて出される資料に基いて交付を決定しているわけでございます。補助金の決定の際に、すべての台帳、またその後の資料を精査すれば、これはあるいは発見できるものであるかもしれませんけれども、何分にも、非常に全国の補助金業務の件数が非常に多いために、こういったそごができたものでありまして、その点は、まことに残念に存じます。大体補助金とこの保有坪数の関係は、以上のようなことになっております。
  115. 相澤重明

    相澤重明君 今のことを、ちょっと整理しますというと、こういうことですか。地方市町村教育委員会の提出した書類に基いて本省は精査をして決定をする。従って、現地の調査はしておらない、こういうことですか。
  116. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 補助金交付の申請の出て参りましたすべての学校を調査はいたしておりません。ただ、私ども事務の陣容の許す範囲内で、手すきの際にできるだけ広く実情を見るということはいたしておりますが、何分補助金交付申請の出て参ります学校の数が、非常に多数でございますので、そのすべてを見るというわけには参らない次第でございます。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、これらの事件が、私は、会計検査院で指摘したこのこと、二百五十一号、二号がありますが、これだけではないと思うのですがね。もっと調べればあるいはあるかもしれない。しかしそれならば、こういう事故に対して、どうしたらば改善をするという、その対策はお立てになったのですか。
  118. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) その点につきましては、これは御承知のように年々随時、府県施設関係の担当の課長を集めまして会議をいたしますが、そのつど、こういった台帳の記入あるいは実態調査の記入の方法等について、いろいろと指導をいたしております。また実際、たとえば保有坪数の計算の方法等につきましては、きわめて技術的な面もございまして、故意でなしに、まあ不注意のために、実際計算を誤まるというような事例もございますので、そういったことの起らないように、きわめて私どもとしては綿密な指導をしておるつもりでございます。  また、先ほど申しましたように、会計検査院の御検査を待つまでもなく、文部省としても、できる範囲内で内部監査を実施するというようなことをいたしておりまして、できるだけ誤りのないように努力をいたしておるつもりでございます。
  119. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院にお尋ねをしたいのですが、今文部省の答弁は、やはり机上の精査をしておる、しかし会計検査院では、現実にこの公立諸学校危険校舎改築費補助金の経理の実態に関して、福島県外九都府県を実地に検査してみた、その結果、ここに指摘されたことが出てきたわけですね。そこで、今のような実際に事故が起きても、内部監査は厳重にやるけれども、いわゆる提出書類に基いて依然として精査をするだけだと、こういうようなことで、これらの事件がなくなると、会計検査院はお考えになっておるのか、この検査を終った後の所見を一つ、お尋ねしておきたいと思うのです。
  120. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 文部の施設補助不当事項につきましては、ここにあがっておりますようなケースが非常に多いのでございます。保有坪数のこと、それから生徒数、児童数のこと、そういう原因が非常に多いのでありますが、これは三十一年度と三十年度、二十九年度、こういうようにだんだん比較してみますと、減って参っております。  それは結局、今説明がありましたように、教育委員会指導して、教育委員会の方で、よくこれを監督させるということが、だんだん行き届いているんじゃないか、こう思っております。私どものこの検査をするパーセンテージはそう減っておりませんけれども、ここに掲げましたように、三十一年度と比べますと、ずっと減っておりますので、その点は、改善されたと思います。  しかし、今説明がありましたように、実地に検査をするということを、教育委員会なら教育委員会のものを、もっとやらせるということが必要ではないかと私ども思っております。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 文部省としては、今の会計検査院のお考えについて、そういうふうに現地の実地調査あるいは教育委員会に対する、そういう報告について具体的な事例をあげて指示をされたのか、それとも、従来こういうことがあったのは遺憾であるというだけの通達で終っておるのか、この点、今後の指導監督の問題にもなると思いますので、今の会計検査院の言われたような形で、あなた方は指導されておるのか、その点、お尋ねしておきたいと思うのです。
  122. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) ただいま検査院の方から御説明もございましたように、この三十二年度以前におきましては、御指摘を受けた件数は、実は相当ございましたので、やはりこの国庫補助事務手続を、できるだけ関係職員に十分徹底させなければいかぬということから、私どもといたしましては、具体的に、これは御承知のように、担当の職員も随時かわることもございますし、そういった新しい人も、できるだけ早く理解できるような、いろいろな。パンフレット類等もこしらえまして指導をいたして参っておるわけでございます。  その指導の際にも、やはりこうした検査院の御指摘を相当件数受けるということは、文部省としても非常に不名誉なことでございますし、国費の支出という点からも、遺憾なことであるということを、十分事例をあげて関係者に話をしておるわけでございます。でありますから、検査院の御指摘のような線に沿ってできるだけ、今後こうしたことの起らないようにという腹がまえのもとに、従来事務の改善をやってきたつもりでございます。  今回は、まあ比較的御指摘を受けた件数も少かったことは幸いでございますが、今後も、その点につきましては十分努力をいたして参りたいと思っております。
  123. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですが、九月の中旬に、神奈川県の教育委員の諸君が、全員辞職をしたということがあったわけです。これは教育委員会、いわゆる教育委員の任命制が行われてから、初めての私はケースだと思うのですが、大臣は、どのようにお考えになっておるか、所見を承わっておきたいと思う。
  124. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私も、そのことは聞いて存じておりますが、そのこまかい事情については、いまだ直接につまびらかにこれをいたしておりません。しかし県の方で何分にも任命権を持ってやっておられる事柄であって、こちらとしては、どういう、今申し上げたように、そのくわしい内面の事情をつまびらかにいたしておりませんために、ここで、はっきりと申し上げられませんけれども、まず、全部の教育委員が、ことごとく辞職されるというようなことは異常な事柄として、今後特にその辺の事情について検討して、今後の処置に参考にしたいと考えておる次第であります。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 文部大臣が教育に異常な熱意を持っておるということは、私どももかねがねおうわさを開いているわけであります。特に、あなたが大臣に就任されてから、日教組と十分に勤務評定等の問題についても、話し合えばわかるというあなたは態度を出されて幹部ともお会いをする、こういうようなことを聞いておったのでありますが、少くとも教育行政の担当者である教育委員会委員が、しかも全員が総辞職をするということは、任命制の中で、私は今までかつて聞いたことがないわけであります。  従って、それらについては、おそらく細かい点は、私は本省として当然聴取をしなきゃならぬし、調査もしなきゃならぬ。特に地方の府県の教育長については、文部省の意向というものは、かなり私はやはり指導的な立場であると私は思うのだけれども、全部これは地方の都道府県知事が教育委員を任命するものであり、教育長も任命である。こう考えて、具体的なそういう調査というものをされておらなくて、今の御答弁なのか、この点一つ、大臣の見解を承わっておきたいのですが。
  126. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は、できるかぎり重大な、教育委員会委員の総辞職という事柄でありまするので、機会を得ましたならば、自分がみずから一つ神奈川県の事情も調査、みずからそういう機会を持ちたいと、かように考えておる次第であります。
  127. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、これは一つ局長さんにお尋ねを、官房長でも、どなたでもけっこうですが、県の教育長なり、教育委員長は、文部省に出て、そして事態の御説明をされたということを私は聞いておるわけです。それらについて、文部省としては何ら聞いておらないのかどうか、この点を一つ、御説明をいただきたいと思います。
  128. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 実は、直接所管をいたしておりますところの初等中等局長が、公務のため昨日から出張しておりますので、実は神奈川県の教育委員長等が、どの程度の連絡をいたしておりますか、私、その事情をつまびらかにいたしておりません。
  129. 相澤重明

    相澤重明君 私はこの機会に、それでは大臣お話し申し上げておきたいと思うのですが、神奈川県の教育委員会は、白山君を委員長として、前任者ですね、そして教組の諸君と、実に三十数回、四十回にもわたるいわゆるお話し合いをして、そして勤務評定実施について実は成案を得ている。それが神奈川方式というものである、こういう点を私どもは聞いているわけです。  ところが、お話に聞くというと、この教育委員会並びに教育委員会委員長が組合と、そういうお話し合いをしてきめたことを、いよいよ実施の段階になった今日、それは教育のいわゆる精神からいって、文部省の考えている勤務評定には違反をしている、こういう考え方で、それに対するところの指導的な立場で、実は教育委員会が遂に収拾のできない立場になった、こういう話を聞いている。これが事実であるかどうか。しかも県の教育長は、文部省と打ち合せをして、そしてこれらについての態度を明らかにした、こういうことをいっておるのでありますが、神奈川県議会の議事録を私どもが読ましてもらうと、教育委員会委員諸君のいわゆる会議に、教育長は必ず出席しなければならぬと私どもは思っておるのですが、当時教育長は、教育委員会には、そういう打ち合せも受けておらないし、あるいは助言もしたことが少い、こういうようなことを後日指摘をされ、そして県会の中で、遂にこの点については、これは教育長の職務怠慢、教育委員会法五十二条違反である、こういうようなことも、各条文をとらえて指摘をされている。  しかし教育長一人が悪いというように私どもは思えない。事務当局の話も聞いてみると、これは教育委員会事務当局は別である、こういうようなことが盛んにPRされたのですね、もう神奈川県の中では、とにかく教育委員会総辞職、教育行政空白ということで、非常に大きな問題になっておるにかかわらす、私は内藤君が、担当者がおらぬから、文部省が知らぬとは、ちょっといただきかねるのですが、大臣、これらの問題について、まあ大臣も、お忙しいと思うのです、行政担当者として、国務大臣であるから、非常に忙しいと思うのですけれども、少くともあなたが、民主的にお話し合いをして、そして教育行政を推進しようという、当初の就任当時のあなたの立場を私どもがお伺いしている限りにおいては、これだけの、少くとも教育委員会法始まって以来の事態が起きたのに、その今の官房長説明でも、どうも十分知らぬ、こういうことは、ちょっとこれは私いただきかねるのだが、大臣いかがですか、所見は。
  130. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話、ごもっともと思います。しかし事実において、私はこまかいことを一々報告を受けておりません。きょうは突如、福井県の方にゆうべから初中局長は、私にかわって、私がいく予定でありましたところが、いけない事情がたくさんできまして、そしてかわりにやったのでありまして、そういう関係もありますが、事実調べなければならぬ問題も、聞いておかなきゃならぬこともたくさんありますが、一々まだ時間を持ちませんことも、一つあります。これも、その通りであります。  しかし、お話の神奈川県の委員会委員総辞職、そしてまた教育長の出席云々、事務当局との離隔状態というようなことについての事情を、私はまだ承知いたしておりません。そこで先ほど申し上げましたように機会がありましたならば、一つみずから直接その辺の事情を調べたいと、かように考えておる次第でありまして、私はできる限り、直接教育の重要な問題の現場の実情を、みずからこれを把握していきたい。むろん全面的にはできませんけれども、特殊の件に対しては、そういうことを考えておる次第でありますが、これまではいまだ、お話はごもっともなことでございますけれども、まだその時期に達しておらぬということを申し上げて、御了承願いたいと思います。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと議事進行。  今相澤委員質疑して、内藤局長いないために、十分の答弁ができぬでおるわけですが、それで、私は議事進行で発言するのですが、答弁できる関係者をすぐ呼んでいただくことですね。これは委員長に要望として申し上げておきたいのですが、立法府における決算委員会に対する認識、それから決算委員会を開くことに対する立法府の考え方にも不十分なところがあるが、それ以上に、行政府に不十分なところがあると思う。予算を編成して、そして立法府の審議を仰ぐときには、政府委員はもちろんのこと、来なくてもいい説明員の方まで、ぞろぞろついて来て、そして予算審議を仰いでおきながら、いざ決算となれば、検査院から指摘されたそのことに、ちょっと答えればいいわというような考え方で、監理局関係のが指摘されているからというので、管理局長課長二、三人をつれてくる。それで、事済むというような、こういう考え。これは文部省だけじゃないのだが、けしからぬことだと思う。  文部省だけでも会計検査院数字を見れば、予算現額は千五百六億ですよ。それから、支出済み歳出額は千四百八十九億なんです。千四百八十九億というお金をお任せしておいたのですからね。だから、この決算委員会で、われわれの十分でない態勢もあるけれども、二時間か三時間くらい、ちょこっと一局長と二、三の課長さんが行って済まそうなんという心がけは非常に間違っておる。のっぴきならぬことがあればだけれども、そうでなければ、国会が開かれた場合に、国会に出て、予算審議に臨んだ政府委員となるような局長は、来なければ、この決算委員会審議というものは、何も会計検査院から、最終的に活字として報告されたことだけじゃないわけですからね、その点は、きまっていない。これは、何も文部省だけを責めるわけではないのですが、今後わが院の決算委員会をやるに当っては、委員長から行政府に対して、そういう指示をしてもらいたい。  それから、本日内藤さんは、福井といえば、全国中学校長会に行ったのだと思う。これは、心がけが間違っておりますよ。中学校長会に代理で行ったようだが、それは大臣が行かれなかったら、政務次官が行くべきである。初中局というのは、義務教育関係を担当しているから、この千五百億になんなんとする予算中では、初中局のウエートというのは、一番大きいのですよ。その局長が、大臣にかわって、全国中学校長会におそらく行ったのだと思うけれども決算委員会があるのがわかっておって行くというのは、私は、心がけが間違っておると思うのです。それを呼び帰してほしいということは言いません。文部省だけでなくて、各省庁考え方がいけない。  それで、さしあたっては、きょう文部省を一応終る予定なんですから、だから、最終的には、相澤委員がただしたい点を答弁できる所管課長でも、説明員として来るように指示していただきたい。
  132. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 先ほど申し上げましたように、事情は、私直接聞いておりませんが、御質問の点にありました教育長の教育委員会に対する出席義務等の点について、御答弁申し上げます。御指摘のように……。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 木田課長を呼びなさい。ちょっと、私が言っていることを、あなた無視しちゃいけんわ。木田課長が来たら答弁できるでしょう。
  134. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) その点についても申し上げますが、地方課長は、ただいま海外出張中でございますので、御了承願います。
  135. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 課長補佐を呼びなさい。
  136. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 教育長は、もちろん、御指摘のように、教育委員会の、すべての会議出席して疑義について助言すべき責任を持っておるわけであります。ただ、私の間接的に承ったところによりますれば、いろいろ事実上の教育委員会の集まり、あるいは教育委員が直接会合を教組との間になされたということでございますので、法律上の問題で、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第十七条に定めております教育長の職務を、その点で怠ったんだと直ちには言えないのではなかろうかと思っております。  なお、神奈川県の勤務評定につきましては、地方公務員法に定めてあります勤務評定の制度そのものの、人事の責任者が評定をするという要素、それから勤務実績に基いて評定をするというこの要素を欠いている点がありましたので、そのことにつきましては、文部省として地公法に定めております勤務評定に欠けるところがあるんだということは見解を明らかにしておりますけれども、私は、その事自体が、今の文部省の見解そのものが、直ちに委員の総辞職に関係をする事柄ではないと、かように考えております。
  137. 相澤重明

    相澤重明君 官房長の今の説明ですと、あれですか、地方教育委員会というものは、本省がすべて決めたことを、その通り実施するものである、こう理解をしていいんですか。
  138. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 私、さようなことを申しませんので、教育委員会は、法律に基きまして所管の行政について独自に行なっていくものでございます。  ただ、文部省は、これも法律で定められておりますように、教育委員会の行う行政について指導助言をし、あるいは法律に違反する事項等があれば、その是正を図るという責務を持っておるわけでございます。  勤務評定につきましては、法律によってその任命権者が評定をするということ、勤務実績に基いて評定をするという二つの要素は欠くことのできないわけでございますから、神奈川県の定めました方式が、その点において欠けるところがあるということを申しますことは、別に教育委員会の自主的な行政運営を妨げるものではない、かように考えております。
  139. 相澤重明

    相澤重明君 そこが、私は非常に重大だということなんですね。  だから、今私のお尋ねしておるのは、文部省の考えておることを地方教育委員会が、その通り実施しなければいけないのかと、こう聞いておるわけだ。ところが、そうではない。そうすると、地方教育委員会が、自主的に教育行政を向上させ教育効果を上げるために、その職員を指導監督をしていく、あるいはその一環として勤務評定というものが行われていくんだろう、こう思うわけですね。そうすると、地方教育委員会が自主的に何回もの討論をして、そうしていわゆる法の精神に基いて、教育行政の向上を図ろうとして決めたことを、文部省は、自主的にやっていいんだと言いながら、それはいけないんだということは、いったいどういうことなんですか。
  140. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 教育委員会が自主的にやりますことは、もちろん法律に定められております範囲の事柄でございます。  御指摘の場合については、法律で定められております勤務評定の要素を欠くものでありますから、それを是正するようにと申すことは、格別教育委員会の自主的な運営を妨げることにはならないと思います。
  141. 相澤重明

    相澤重明君 そういう独善的な解釈をするからこそ、教育界が混乱をすると思うんです、私は。これはやはり、文部大臣が就任当時、自分は、いつでも話し合いもしてみたいし、話し合いによって、ものを解決をすると言われた方向と、今、官房長が話されていることとは、全く御意見が私は違うと思う。それは、なぜかといえば、日本語の「てにおは」の解釈をはっきりつけてもらわなければいけないと思う。  日本語というのは、非常にむずかしい。いわゆる法の精神というものは何か。これは、いわゆる教育の効果を上げるために、人間をよくつくることなんですよ。その人間の教育、人間をよくつくること、そのためのいわゆる行政立場においては、これを監督する者は、その教師が、はたして正しいことをよくやっておるかということを評定をするということなんです。そのことを解釈して、そのことを、こういうふうにやったらいい、ああやったらいいと、いろいろな方法があると思う。だから、それがどんぴしゃり、文部省のいわゆる「てにおは」でなければならんということであれば、地方教育委員会は要らないんじゃないか。それを私は、さっきから聞いている。文部大臣はノーと答えておったけれども、文部省の言うことを、直ちに地方教育委員会で行うのかと。文部大臣は、そうじゃないと、こう言っておる。あなたの言うのでは、文部省の言う通りしなさいと、こういうことなんです。  これはいったい大臣、どっちなんです。これは、日本語の解釈をはっきりしてもらわなければならん。いかがですか。
  142. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) だいたい地方の教育委員会、教育長においてその地方の教育の行政の全般のことをやっていくという建前であることには間違いない。ただしかし、その行為全体あるいは個々について、あえて文部省の方針に反するとか何とかというようなことでありますが、これを文部省として、勤務評定の問題にいたしましては、評定の形としては、これは整っておらない、体をなさぬ、勤務評定になっておらぬという程度に認められる場合においては、それは、たとえば長崎方式は文部省の見解として、これは他府県のもの、その他、いろいろ文部省で指導助言してきたこととは、だいぶ変っておりましても、やはり勤務評定の形をなしているものとして、相当程度に変ったものであるけれども、この程度なら認められるものではないかと思われるものに対しては、認めていくというような形をとっているわけであります。
  143. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の今の答弁ね、私は、その通りだと思うのです。つまり文部省は、法律事項に基いて指導監督をしているわけですね、法律事項に基いて。そこで法律事項に基いて、画一的に全国をやるなら、何も地方教育委員会は要らないのだ、文部省が独断でやればいい、ところが地方教育委員会法の精神を考えて、人間関係というものを無視した地方教育というものがありますか。そこに、文部官僚といわゆる地方教育委員——選ばれた地方教育委員との間の頭の差が出てくるのですね、頭の差が。  私はそこで、今大臣が言われたのは、たとえば長崎方式というのは、今文部省の画一的に考えた勤務評定からいけば、若干問題があるかもしれないけれども、しかし大筋として、教育効果を上げるために、そうして人間関係を、どうしてよく作るかということからいけば、これも一つの方法ではないかと言ったのが、今あなたの言われたことだと思う。  私は、そうするというと、東京都の場合とかあるいは神奈川県の場合とか北海道の場合とか、それぞれの地方の実情というものがあると思う、この地方の実情を無視するなら、これはもう国家統制でやればいい、国家統制で。そうでしょう、この点ははっきりしているんです。だからそこに地方教育委員会というものを一体自主的に認めるのか、いわゆる文部省が統制をして、そういうようにきめていくのか、こういうところが、私は今の大臣の答弁なら、まだいただけるのだが、さっきの官房長の答弁だというと、ちょっといただきかねる。ちょっと日本語の解釈が違うのです。この日本語の解釈をどういうふうに解釈するのか、これをはっきりしてもらわないと困る。  こういう点でさっきも私は申し上げたのですが、今の大臣の答弁では、いわゆる文部省が、法律事項として、こういうふうに指導監督していきたい、教育効果をあげていきたいというふうにお話になっているが、法律に基いて地方教育委員会というものが設置されて、そうしてその地方教育委員会が、この法律に基いて自主的に討議を重ねてきめたものについては、そのきめたことをわれわれは認めていこう、それが、たとえば長崎方式であっても、これは文部省として了解のできるものではないか、こういう点、今文部大臣の言われたことから、大臣どうですか。そうだとすれば、神奈川方式について、そうして勤務評定の事項からいって、二、三カ所、どうも文部省の考えているところより足りないところがある、文部省の考えているより、それがどんずばりいいなら、私は何も、地方教育委員会がみずから三十五回も四十回も話し合って、一年半も二年半もかかってやられたものが、民主的に運営されているものが、それが文部省の考えている「てにおは」と違うからいけないというのは、これは少し独善過ぎるのじゃないか、こういう点を指摘している。  その点からして、大臣の言う通りなら、私は了解できるが、さもないというと、教育界に混乱を起しておるのは、あなたがた、いわゆる文部省の幹部ではないかと、こういうふうに思われるのであるが、特に私は、この神奈川県の教育行政が空白事態を招来したということは、実にゆゆしい問題だと思う。しかし幸いにして九月の二十一四日ですか五日ですか、内山知事は、新たな教育委員を任命された、そうして事態の収拾を今はかっておるそうです。文部省にも、おそらくその点は、こまかい点でお話が行われておると思う。ですから先ほども申し上げたように、内藤局長がおれば、そういう点で、いろいろ私も、まだこまかい点質問したいことがあるけれども、これは一つ大臣として関係局長を調べると同時に、私は神奈川県の教育委員会の今までやったこと、それから法律の効果も、こういうものについて後刻調査をして、本院にその結果を報告してもらいたい。  それで私はその結果如何によってはですね、これはもう教育委員会の重大な岐路に私は立つと思う。せっかくあなたが大臣に就任されて、そうして今までの勤評闘争ということはどうも困る、父兄に迷惑かける——私も子供を持っているから、子供の教育のために惜しいと、こういうふうにあなたが言われたことについて、私も同じような考えを持っておる。  そこで、そういうことを、異常な混乱をさせないということが、あなたの立場であれば、そうすればですね、この点が、私ははっきり出てくると思う。そういう点について、きょうは私はそれ以上のことは法律的な立場で追及はしません。いずれ報告を求めて、それから後に至って御質問も申し上げたいと思う。しかし、少くとも私の見解とすれば、今までのお話を聞いておれば、異常に混乱をさしたのは、むしろ文部省の立場ではないか、こういう点は、私はまことに遺憾だと思う。そういう点のないように、今後は大臣は一つ、部下を統轄して努力をしていただきたい、こう思うのです。この点は、私は終ります。  いま一つ、大臣にお尋ねをしておきたいのは、実は、私ども八月から九月にかけて、参議院の代表として東南アジアを回ってきた。今ここにいる野本さんを団長として、私どもそれぞれ各国を回ってきた。その際に、各出先のいわゆる大使館、公使館等の在外公館の諸君ですね、これらの人たちから私どもに言われたことは、日本の輸出振興の一助にいわゆる映画があるわけですね。映画というものは、今非常に多くの関心も持たれておるし、また外貨獲得の一助にもなっているのです。  ところが、日本の映画の内容を見ると、依然としてチャンバラ劇が非常に多い。これは日本という国は、こういうものかという印象を現地の人は受ける。  そこで、この映画政策についての映倫ですか、これに対する文部省の見解はどうなのか。それからまた、そういういわゆる教育上の問題についても、外国との交渉について一体文部省はどう考えておるか。この点について一つ御答弁を大臣からいただきたいと思います。
  144. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 相澤委員のただいまの御親切な御注意、ありがたく承わりました。文部省も映画の推薦というようなことをやっておりますので、わが国の映画が海外に出る、特に東南アジア方面に出る場合に、チャンバラ劇の映画が多いということについては、よほど考えさせられることでございます。それらにつきましては、むろんそういう関係する外務省のごときところとも、よく相談をいたしまして、今後は適切な映画の輸出というようなことについて考えていきたいというふうに考えておるわけであります。
  145. 相澤重明

    相澤重明君 そこで映倫については、文部省の立場は、どういうことになっておりますか。
  146. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) お話の映倫につきましては、文部省は、これを直接監督するとか指導するとかという直接の権限もありませんし、立場にも立っておりません。これはあくまで映画界の自主的な何といいますか、調査機関であります。ただ二、三年前に、いわゆる太陽族映画等が起りまして、いろいろな問題が起りました際に、文部省としては、この映倫等が組織を強化して十分な機能が発揮できるように希望したことがございまして、その当時、かなり——これは文部省だけではございません、関係方面の要望がありまして、映倫の改組が行われて、そしてその後は、前よりは十分調査が行き届いてきた、かように承知しております。
  147. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、あれですか、今の御答弁をお聞きいたしておりますというと、映画の製作等の問題については、映倫がすべてきめるのであるけれども、文部省としては、そういう点については全然関係をしておらぬ、従って、どういう教育的な立場で外国に輸出されても、実際は、そういうことは関係がない、こういう理解の仕方になるのですが、そういうことですか。
  148. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 文部省としては、映画製作そのものに行政的な権限がないということを申し上げたわけでございます。  ただいろいろ実際上取り得ます措置、たとえば文部省で優良映画の推薦とか、あるいは教育映画の選奨、いい映画をできるだけ国民、特に青少年に見てもらいたい、こういう観点からの製作は実施しておりまして、決して無関心のわけではございません。ただ行政上の権限は、映画の製作あるいは輸出入等については、文部省としては持っておらないということを申し上げた次第でございます。
  149. 相澤重明

    相澤重明君 大臣いかがでしょう。商売というのは、個人がやるものだ、こういうベターな立場でいけば、そのままの私は理解でいいと思う。ところか少くとも日本を紹介をする、あるいは外貨獲得のために大いにPRをして買ってもらう、こういうことになると、これは一体、政府としてはどういう立場をとるのでしょうか。これは文部大臣、やはり国務大臣ですから、そういう点についても、当然お話が出てしかるべきだと思うのですが、特に東南アジアを私ども回ってみると、そういう点が、非常に強く胸を打たれるわけです。そこで今の画一的な御答弁であれば、文部省は、もう民間のものとは、全然別個のものである、だから映画製作については、映倫にすべてがあるのだから、また商売は民間であるから、これは自由に、こういうことになってしまえば、これは何ら意味のないことである。幾ら文部省が、日本を正しく認識してもらいたい、こう政府が思っても、外国には、その通り伝えられないわけですね。あくまで芸者ガール、フジヤマくらいのもの、あるいはチャンチャンバラバラが日本の実態である、こういうようなことでは、私は日本の今日の、いわゆる正常な姿というものを諸外国の皆さんに知ってもらうことはできないと思う。全部の諸外国の人が、日本に来て、実情を見れば、これは別に問題ない。しかし、それはなかなか各国とも、そういうわけにいかない、従って観光団が来るというのも、ごく制限をされている。映画等、あるいは日本人が外国へ行って、いろいろお話し合いをしたり、あるいは芸術の交換をすることによって、せめて日本を紹介するのが、せいぜいではないか。その大きなウェートは、やはりこれは映画が持つと思うのです。そういう点について、政府の考え方を私はこの際、大臣から承わっておきたい。
  150. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話の御趣旨のあるところは、よく了解できます。しかしまた、あまり理屈めいたことを言うようでありますが、御承知のように、文部省は、この映画の製作その他について、別に権限というようなものはないことは御承知の通りです。  しかし、そういうものを超越して、これは、やはり通産省なり、厚生省なり、外務省も、こういうお話の趣旨については、大いに関心を持たなければならぬと思いますし、また通産省も、単にコマーシャリズムによってのみやればいいというものでないと思います。こういう点は、大臣としてできるだけ話し合いで、そういうことのないように努力をして参りたいと、かように思います。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干伺います。まず会計検査院の保岡第二局長に伺いますが、あなた方は、会計検査院として各省庁の会計検査をする場合に、各省庁に臨む態度というのは、差があるのじゃないですか、同じ報告書を見て、内容的に防衛庁並びに農林省、あるいは建設省等に対する場合と、文部省に対する場合では、ずいぶん心がけが違うのじゃないかと思うのですがね、報告書から……。まあ防衛庁のなんなら、このくらいは大したことはないというような、こういう意識するとしないとにかかわらずあるのじゃないですか、僕は、これは重大な問題だと思うのですが、いかがですか。部内調整を、どうしているかということを聞きたい。
  152. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 結局、各省庁に対して違うということはあり得ないのでありますけれども、それをやっておりますものが、人件費のおもなものだとか、事業費のおもなものだとか、そういう性質が違っております。それで事業費が非常に大きいような、たとえば防衛庁のようなものでありますと、事業費の方が金額が大きいものでありますから、その方が不当の事項が大きなものが出てくるということで、たとえば防衛庁の方は、そっちの方に力を入れる。また文部省のようなものは、いろいろ新しい大学ができたりして、経理が、まだととのっていないものもあるのじゃないか、そういうので経理の方に重きをおいて見る。  こういう、その重点のおき方は違いますけれども、大体、会計検査院といたしまして経理検査を主といたしてやっております。そういうことであります。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ、その答弁は一応了承しますがね、実際は、相当違うと思う。こういう意見があったということは、会計検査院の部内の会議のときにも出して下さい。機会があれば、僕は会計検査官にもただしたいと思うのですがね。防衛庁か建設省、農林省の検査であれば、このくらいの報告書が出れば、報告書の厚さが大へんになって、もうこのくらいに切っておこうという、限度があると思う。たとえば文部省の二百五十一号、二百五十二号、この程度——これはいけないことですよ、もちろん……、いけないことだが、この程度のものを農林省、建設省、防衛庁に作っていったら、これは三冊ぐらいなければ足らぬですよ、私の直感だ、そうはずれないと思う。だから文部省に、今後甘くしろということを言っているのじゃないですよ。防衛庁、農林省、建設省あたりに、もう少し峻厳にやる必要がある。ことに先ほど申し上げましたように、防衛庁あたりは非常に専門が出て参りますから、検査員の量的、質的向上をはからなければなかなか引き当てはできない。この間も申し上げておいたから繰り返しませんが、一応、もう一ぺん意見も加えて承わっておきます。  そこで、検査院に伺いますが、二百五十一号、二百五十二号——これはいけないことです。いけないことだが、これは質的に言えばそう責めるようなことじゃないじゃないかと思うのですがね。こういう類似案件というものは、僕はかなりあると思う。それは、自分の子供が通っている校医の学校をできるだけよくしたいという、きわめて良心的な立場から出ているもので、だれも私するものじゃないし、ただ法規——規則には反している、だから直してもらうように指摘せざるを得ないのですがね。しかし質的に考えた場合に、憎しみを持たなくちゃならぬ、非常にきびしくしなければという、そういう質のものでは僕はないと思うのですがね。  従って他の省庁との比較という問題が出てくると思うのですが、どういう御見解を持っておられるか承わりましょう。
  154. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) おっしゃるように私も存じております。私の二局長になりました前から、この程度のものは、ずっと検査報告に載っております。それで、だんだんはっきりしているものだけ、たとえば返還を命ずるというものだけにしぼっていくというふうなことにして今やっております。  それで、おっしゃいますように、このあれは、文部省の作りましたものさしに当てはめて、それに違っているということでございますから、これは文部省といたしますと、特認ということもありまして、いろいろケース・バイ・ケースで、かなり違っておるわけでありますが、そのものさしに当てはまっていないということで、文部省も不公平のないようにやっておられますので、是正もしなくちゃならぬと思いますので、その点で掲げておりますので、おっしゃいますように、不当性を、ほかのあれと比較してみたときに、おっしゃることも、十分考えられると私は思っております。
  155. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、大臣に伺いますが、小学校でも、中学校でも、生徒が始終数が移動しているわけですが、文部省の施設に対する補助金が、うしろ向きになっていることは、非常に私は問題だと思うのですよ。これに若干関係がある。いつも、五月一日の指定統計で、補助というものをきめていくでしょう。来年の四月が来れば、子供がふえるということはきまっている、教室が幾ら足りないということは、わかっている、だから、そういう義務教育の生徒児童が、その学校に来るのだから、設置者としては、教室を作って迎えるのが当然ですよ。これは義務ですよ、義務教育ですからね。  ところが、四月から来るということがわかっているのだけれども、五月一日の指定統計によって、現に生徒数から、坪数が足らぬということがわからなければ、補助はしないわけですから、この、うしろ向きの補助方式というものが、非常に僕は災いしていると思う。だから、一度がんばって、ある年に、一回がんばって、前向きの補助というものをきめれば、これから毎年解決していくわけで、これは、事務当局のよく解決し得るところでなくて、国務大臣が、やっぱり閣議了解を取りつけて、ある年をがんばって、前向きにすると、翌年もいくわけですから、そうしない限りは、生徒数を若干手かげんしてやらなければ、子供が受け入れられないということが、必ず私は起ってくると思うのですよ。  まず、その内容を、よくのみ込めなかったら、管理局長からお答え願って、その後に、大臣からお答え願いたいと思います。
  156. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 一応、私からお答え申し上げまして、さらに管理局長から答弁させます。  お話しの点は、私も、直接にそういう事情に迫っておる県を、しばしば見ておりまして、陳情もたくさんお話のように、みすみす生徒が多くなつて、入れる教室がないということはわかっておるんではないか、だから、お話のように、少し前向きになって、これの受け入れ態勢を用意しなければならぬではないかということを痛切に感じておるものでございます。何とかして、これを一つ実現して、進んで法律の不備を何らかの道で補っていく方法はないものかと考えておるような次第でありまして、どうか、この点は、極力進めたいと思っておるのでありますが、この点については、どうぞ一つ矢嶋さんも御協力を賜わりまして、実現に持っていきたいと考えておるような次第であります。あとは、管理局長こ……。
  157. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 施設の負担金あるいは補助金を計算いたします場合に、お話のように、原則といたしましては、その建築を行う年度の五月一日の児童または生徒数をとるということになっております。  ただ、その翌年度に児童生徒数が増加する場合、それを予測して、その児童生徒数を計算するということができないことになっておりますが、特例といたしましては、特に顕著に児童生徒数が増加する場合には、その理由を十分調べまして、確実のものにつきましては、特認をするという制度がございますので、それで、多くの事例については救済が私ども、できるのじゃなかろうかと思っております。  御承知のように、翌年度の児童生徒数というものは、一面、将来の予測でございますので、数としては不確実な要素もございますし、また、この施設費の補助金を計算いたします場合、増加する場合はいいのでありますが、それじゃ、減少する場合にも、翌年度のものをとることにしたらいいじゃないかという議論も一面ございますので、そういった点も、私ども十分検討いたしまして、将来、確実に、この予測数というものがとれる、しかも、増加の場合だけをとって、減少の場合は、それを採用しないで済むというようなことになりますれば、その方法をとりたいと思って、ただいま研究しておるところでございます。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干、説明に理解できる点がありますけれども、私は、それには納得しない。  私が市町村長だったら、これはやりますよ。これはやるですよ。たとえば来年四月、ある学校を統合して、AとBという中学校あるいは小学校から、新たにCという学校を作るというような場合に、特認制度がある場合に、いかぬですよ。来年、新設校、第三校を作る、そこの生徒数が何人になるということがはっきりわかって、特認制度があっても、実際いかない。こういうものが来るということがわかっておっても、家も建てられない。ともかく、そこへ入れて、すし詰めにしてしまって五月一日が来て、五月一日の指定統計に数字が出ない限りは、県を通して、文部省の数字に上らぬわけですから、このうしろ向きは、非常に支障がある。私が市町村長だったら、県の教育委員会とか文部省の方々を、ごまかせるなら何とかごまかして、保有坪数をやりますよ。これは有能な市町村長ならやると思う。  だから、これは答弁を求めませんが、ぜひとも、必要以上に、余分にやれということを言うのじゃないが、若干の、特認の運用で解決できないのだから、前向きにする必要があるということを申し上げておきます。これは大臣、御研究になって、一つ、松田文部大臣の時代に解決できたという結果になるように御尽力願いたいと思う。お約束できましょうか。
  159. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 極力、努力いたします。真剣にやります。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次は二百五十号、これは悪質ですよ。これは、二百五十号は、けしからぬです。この処分を見ますと、相当処分しておるようです。  そこで、ちょっと伺いますが、前渡官吏が、途中かわったというのですが、伊藤実さんという人が前渡官吏になっておるが、もう一人の人は、だれですか。
  161. 天城勲

    説明員(天城勲君) 今御指摘の資金前渡官吏の問題でございますけれども、三十二年限りで、この文理学部の資金前渡官吏がやめたわけでございます。当時までの資金前渡官吏が、文理学部の事務長の伊藤実というものでございます。ほかにはございません。一人だけでございます。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ、事件が起って発見するまで伊藤さんだけだったですか。
  163. 天城勲

    説明員(天城勲君) その前任者は、もちろんございましたけれども、前任者はなくなりまして、途中から、この伊藤事務長が資金前渡官吏になっているわけです。前任者は、死亡いたしました。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、いつも処分が話に出るんですが、国家公務員法の八十二条を見ると、「免職、停職、減給又は戒告」となっていますが、やっぱり戒告が一番軽くて、その次が減給と、こういうふうに解釈されて運用されていると思うのですが、そうかどうかということ。  それから、たとえば塚本さんも望月さんも、これは、いずれも戒告です。これは、将来国家公務員としての身分に、同じように影響を及ぼすものかどうか、お答え願いたいと思います。
  165. 天城勲

    説明員(天城勲君) 懲戒の種類でございますけれども、懲戒免職が一番重いことは御存じの通りでございますが、その次は、大体停職、それから減給でございますね。減給も、率と期間によって軽重がございます。それから戒告という順序になろうかと思っております。  それから、今の御質問の趣旨が、あるいは取り違えておるかもしれませんが、一ぺん懲戒処分を受けますと、これはまあ履歴事項に残ることは事実でございます。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは非常にこまかいことになりますけれども、会計課長の望月さんと、それから事務局長の塚本さん、これは同じ戒告になっているが、これは、実質的にはかなり差があると思う。これは僕は、意見として申し述べておきます。それから、相当悪質ですからね。将来の身分にも影響する——気の毒だけれども、これくらいな懲戒処分は、僕は国民の税金に関することだから、あってしかるべきだと思うんだが、こういう処分の内容をきめる基準というものはどうなっているのか。他の省庁との連携調整というものは、いかように運用されているのか。  まあ防衛庁あたりのを見ますと、この文部省の基準でいけば、まだはるかに、僕は厳罰にしなければいけない質的内容を持ったものがあると思う。他省において、またしかり。従って、その私の疑問について、解明願います。
  167. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 文部省の部内職員に懲戒事例が発生いたしました際には、おおむね次官を長にいたしまして、関係局長ないし課長でもって臨時に委員会を編成いたしまして、そこで、各般の部内に起りました懲戒事例等の比較をいたしまして、まあ過不足ないように、きめて参っております。  本件につきましても、そのような手続をとりまして、一応処分をいたしたようなわけであります。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の省庁との連絡調整は……。
  169. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 懲戒処分をいたします場合に、他の省庁と、その件について連絡をすることはいたしておりません。  しかしながら、担当の人事主任官といたしましては、人事院等に出ます各般の事例というものを常に勉強していただきまして、その懲戒の処分の過不足がないように、常に心がけておる次第でございます。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に基本的なことを承わっておそれ入りますが、検査院に承わりますが、どういう処分をするかということは、それは各国務大臣権限で、あなた方、ただ歳入と支出の状況検査して報告するだけだ、こういうふうに述べられるだろうと思うんですが、その処分が、自分が検査したところでは、これは処分は非常に見当はずれだというような感じを持った場合ですね、非公式ながらも、何ですか、その関係省庁の係官に意思表示を非公式にでもするということがあるのですか、ないのですか、全くまかせきりで、ノータッチなのか、実際の運用面で、どうしているか、お聞きしたいと思います。
  171. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 一応各省でやられたものに対して、これは軽過ぎるというようなことを言ったことは、公式にはございません。非公式なやつは、ほかの方はわからないのでございますが、私が言ったこともまあ話の途中には、言ったことがあったかもしれませんけれども、ないと申し上げるべきだと思います。  それで、おっしゃいますように、特にどこが重いとか、どこが軽いとか、申し上げることはできませんが、私の担当しているところにおきまして、まあ若干は、差はありますけれども、その点について、やはりその各省庁内部のこともございますし、懲戒して、今度よくなればいい、よくなるために懲戒をするということを考えられまして、各省庁事情でやっておられるということでありますので、私ども、一応懲戒された者に対しては、今申しましたように、こちらから申した例はございません。そういうわけでございます。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは会計検査院と、それから文部大臣に聞いておいていただきたいのですが、会計検査報告をどういうものをするかということは、これは内閣から独立した検査院の仕事で、私の感じでは、各省庁によってアンバランスがあるという私の見解、認識です。これは、あなたの方から聞いておいていただきたい。  それから、文部大臣にお聞き願っておきたいことは、職員を、いやしくも処分する場合は、内閣としては、このバランスがとれてなければ僕はまずい、人を処分するのですからね。ある省の担当官が、非常にきびしい人で、その人の主張が、非常に強く反映してきびしくなる。それで、ある省では非常に、まあどういう表現をしますか、人によれば、温情家で、その人の意見が、非常に担当官の意見が支配して、比較的に軽くなるというようなことは、かりにもあってはならない。神様でないから、数学の方式を解くようにはいかぬと思いますけれども、私らが、しろうとでぱっと見たところでも、やはりかなりアンバランスがあるなあという感じを私は受けるわけです。だから内閣としては、この均等調整をされなければならぬと思いますので、この点は希望として申し上げておきます。  そこで次に、局長にお伺いしますが、この大学には農学部等があって生産物がありますがね、これは歳入に数字を計上してあるわけですが、そういうようなのは検査されたと思うんですけれども検査状況はどうか、承わりたいと思います。
  173. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) それは、私ども重点に取り上げて検査しております。農産物をよく売り払ったときに、農産物の数量をつけるということがあるのでありますが、そういうことのないように、生産した時に数量をつけ、それで売り払う時に売り払うというふうに、はっきりするように指導しております。
  174. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは、大臣に基本的な所信として承わりたいのですがね。私は、昭和三十三年の予算審議する時に、一番やかましく言ったと思うのですがね。非常に生産物による収入を過大に見積る傾向があると思うわけですね。都道府県に行ったら、なおひどいのは、ことに財政不如意な県になりますと、若干学校の維持費をカバーしようというので、実業系統の学校に、生産物をずいぶん歳入に予定するのですね。これは私は、基本的には、あまり芳ばしくないと思うのですよ。もちろん県立の学校でも国立の学校でも、生産した物を私視するとかいうようなことは厳にあってはならないけれども、しかし生産工場とは違うんですからね、あるいは生産農場とは違うんだから、そこは生産物の処理に当っては、教育的にもう少し私は扱うべきだ。若干過酷な面があります。これは予算書を作る場合に、文部省並びに大蔵省の態度が第一問題になるのですが、それ次第によっては、検査院は厳重にやらなければならぬですからね。  だからこの点、もう少し教育的な見地から私は再考慮、善処する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、大臣の所見を承っておきます。
  175. 天城勲

    説明員(天城勲君) 御指摘の通り、学校の生産物による収入は、いろいろな種類はございますけれども、私たちとしては、あくまでも教育とか研究の成果の収入ということで、目的が、教育実習とかあるいは研究にあるのでございますから、生産及び収入を目的として考えておるわけではございませんので、その点は、毎年の予算の時にも、一番心がけているつもりでございます。学校に不当なノルマをかけるような結果にならないように、今後も、十分気をつけていくつもりでおります。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣いかがですか。来年度予算の編成には苦慮しますから、また大蔵の主計当局から会計課長に圧力が加わってくることを私は予想している、だから大臣に承わっておきます。
  177. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私はよくわからないのですが、お話のように、そういう学校でできた生産物を、そう厳格に極端なやり方でやるべきじゃないというふうにお話、伺ったんですが、学校内の生産の場合は、一応生産物の価格等においては、これを予算面に計上するということは、当然やっていかなければならないものだろうとも考えております。  しかしお話のように、あまりに行き過ぎたやり方はむろんすべきでない、かように考えます。
  178. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは、来年度予算編成の場合に十分善処していただくようにお願いしておきます。  次に、会計検査院に伺いますが、あなた方は、各大学なら大学に配当された予算の支出が適正であるかどうかということだけを検査するのだと思いますが、行政管理庁の行政監査は違う角度からになると思うのだけれども、たとえば研究費の使途とか、あるいは大学の教授の方々の旅費の支出状況、そういうものを、ただ割り当てられた予算の支出が適正かどうかというだけでなくて、旅費が足らないで、教官が自腹で出しているとか、研究費が足らないで、教授が研究をストップしているとかというようなことについては、これは行政管理庁の所管になると思うのですが、使い方が悪いのだというだけでなくて、こうなるのは、こういう原因があるのだというようなことを、内閣からの独立機関としての検査院は、若干意思表示してこそ、僕はほんとうの会計検査じゃないか、こう思うのですが、そういう点は、全くノータッチですか、どうですか。  ということは、研究費あたりは僕は若干大学を見ているのだが、足りないのですよ。だから研究をストップしている場合もあるのですよ。そのために、その大学の農場でできたものを売って、その金を研究費のエネルギーの方に回したりしたような場合もある。しかしそれをやるというと、あなたの方につかまえられるわけだね。こういう点は、かなりあるのですよ。それから、昔だったら大学の教授というものは、社会的にも経済的にも、相当の地位だったのですが、今の九州あたりの大学の教授が東京に学会があって来るのに、三等車に乗って来ますよ。旅費打ち切りによって二等の旅費がもらえないで、三等車で来ています。そういう人を私は現に知っているのですよ。こういう点は、行政管理庁も、なかなかそういうようなことは目をつけぬだろうし、検査院もせぬとなれば、ゆがめられた予算の支出というものは、指摘され是正される機会がないと思うのです。それでは、ほんとうに実のある会計検査にならぬのですよ。会計検査院というのは、間違った点を指摘して、それを是正して、それがさらに前進するための目的を僕は持たなければならぬと思うのですが、そういう点で伺っているわけです。お答えを願いたいと思います。
  179. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 会計検査院は、おっしゃいましたように、歳入歳出予算に従いまして、その通りに行われているかどうかということを検査するのが主眼でございます。  おっしゃいました教授自身が自腹で出しているということは、これはちょっとわからないのであります。研究費が足りないことは、私ども存じておりましてそのことについては、ここにおられます会計参事官の方にも連絡をとりまして申し上げておるところもございます。それで、新たに予算をとられたという例もあります。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は、非常にけっこうです。検査院法によれば、ちゃんとあなた方の報告書は規制されているわけですからね、公けの報告書にならなくても、実質的に、よりよくするために、あなたたちが気づいた点がある場合には、非公式に担当官に連絡するというようなことがあることは非常に好ましいことだと思いますから、そういう、あなたのような考え方会計検査院の全般に、より以上普及徹底するようにお願いしておきたい。  次に承わりますが、三十二年度内部監査業務実績調というのを、文部省から資料を出されております。これは、非常に詳しく出されて、内部監査を相当やられているようですが、この中に書いてあることでちょっと承わりたいことは、教員の身分で、現在教育委員会に席をおいて、そうしてその業務をとっている公務員は、大よそ全国で何名ぐらいおられますか。お答え願いたいと思います。
  181. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 三十二年度決算について申し上げますと、地方交付税の交付団体、いわゆる政令県につきましては四百六十名、一般県につきましては九百五十九名ございます。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やはり相当な数あるのですね。  それで、内部監査でやっているということなんですが、漸減の方向はとっているわけですか。
  183. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) これは数といたしましては、大体毎年同じ程度の数が出ております。ただ、教員の身分で教育委員会に勤務するということ自体は、直ちに違法ということ、ないしは好ましくないというような事態でもございませんので、特に漸減するという方針も、とっておらないのでございます。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 たとえば、たしか僕は、法に規定があったと思うんですが、教科書選定等、あるいはその研究等に従事する教育委員会の職員は、やはり教師でないと工合が悪いですからね。そういう人が、教師の身分の人で、教育委員会業務に携わる人が、若干おられると思う。しかし、教員の身分であれば、これは半額国庫負担の対象職員になるわけですからね。もちろん定員にも入るわけですからね。だから、好ましきことは、なるたけこの数字は少くして、教育委員会の業務運営のために必要な公務員の必要な数だけは確保するということでなけりゃならぬと思うんですね。そうでしょう。  で、ここで大臣に伺いたいんですがね。都道府県では、なかなか教育委員会の業務運営に必要なだけの公務員を議会で承認議決やらないんですよ。その結果は、やすきについて、半額国庫負担ではあるし、教員を、身分だけを学校に置いて、そして教育委員会の業務をとらせるというような事態が起るので、これはやっぱり、ゆがめられた姿だと思うんですよ。これは自治庁長官とも関係がありましょうね。できるだけ、私が言いたいことは、教員の定数は、また別のもので論ずればいいことで、今、ここで確かめておきたいのは、教育委員会の運営に必要な職員の数というものは、これは、必らず確保するように指導しなければならぬと思うんです。この点についての文部大臣としてのあなたの御見解と、今後の善処をする決意があるかどうかを承わっておきます。
  185. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 教育委員会の担当すべき事務に必要な職員を財政上も、定数上も、そろえなければならぬという点は、お話通りでございます。  ただ一面、そのことと別個に、なお教員身分のままで教育委員会に——先生のおっしゃいました専門的な事項を担当する職員がやった方がいいという事情、むしろ先生なり、あるいは職員側の事情もありまして、これは前段の、教育委員会事務局の職員を充実するという必要は、もちろんその通り努力いたしますけれども、それでもなおかつ、教員身分の者が、若干その身分を持ったまま、あるいは給与に関して、その制度をしょったまま、教育委員会に勤務する方が、職員にとっても、教育委員会にとっても、都合がいいという事情もございますので、先ほど財務課長の答弁いたしましたように、これを廃止するという方向に、必らずしも考えないでいいではないか、かようにも考えております。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなれば、一つ、私は具体的な問題を、この際約束してもらいましょう。いい場合もあるというのは、こういう場合があるわけですね。具体的に一つ答えてもらいます。  教育委員会に、指導主事というのがおりますね。そうすると、学校に籍を置いて、そして半額国庫負担の対象職員として教育委員会指導主事になるわね。そしてある任期勤めて、学校に、本職に帰る。この人は退職金を計算する場合に、勤続年数は通算されますね。ところが、学校におる先生が、この人が、学校と縁を切っちゃって、教育委員会指導主事に就任しますね。そうして、今度は教育委員会の職員をやめて、ある時期に学校長に帰ると、この場合、退職金を計算する場合に、年限を通算しないですね。これは、僕はね……、いや、そうなんですよ。これは、非常におかしなことだと思うんですよ。だから、そういうことを考えれば、学校に籍を置いたまま教育委員会に入って、ここを出ていかなければ、勤続年数が通算されないから退職金を損するというような事態が起ってくる。そういうふうになってるでしょう。
  187. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 御指摘のような事実は、実は私、存じないのでありますが、教員をもって指導主事に充てます実益の一番大きい点は、従来でございますと、恩給の通算が可能であったという点でございます。  しかしながら、この点につきましては、先般、地方自治法が一部改正になりまして、そういう隘路もなくなったわけでございます。  それから第二の利点は、御承知の通り指導主事ということで発令になりますと、何と申しますか、一般職の俸給表が適用になるわけであります。一般職の俸給表と、教職員の俸給表との間には、若干の格差がございまして、教員から指導主事に人材を得るという場合に、その格差が、何と申しますか、じゃまになる場合があるわけでございます。そこで教員身分のまま指導主事にいたしますと、教職員の俸給表を適用したまま、指導主事の職務に従事させることができるわけでございまして、そういう利点から、ただいま申し上げましたようなことが、かなり一般的に行われているものと、考えております。
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、確かめておきますがね。教員が学校に、教育公務員の身分でおる。それで退職をして教育委員会指導主事になる。で、それからここをまた退職をして、教育公務員たる学校長に帰る、この期間を、退職金を計算する場合に、この勤続年数は通算される。よろしいですね、よろしいと答弁しておいて下さい。
  189. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 私、現在持っております知識では、よろしいかと思います。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もし私の言うようなことだったならば、あなたの考えのように改めにやならんということを認めますね。
  191. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) その方が穏当かと思います。
  192. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 はい、よろしいです。  じゃ、次に伺いますがね。  それでは、教員の身分で教育委員会に勤務する人があることが、学校教育上望ましいと私認めましょう。そうなると、そういう教職員というのは、大がい中学校の先生が多い。高等学校もありますが、比較的小学校の方が少いですよ。まあ、これは小学校でも中学校でもよろしい。そうなると、教職員の定員問題は、前から問題になっておりますが、若干私は考えておかなきゃならんと思う。今度、教科課程の改訂を三十六年、三十七年から、あなた方は改訂する計画を進められているわけですがね。具体的に中学校を取った場合ですよ。今度、技術課程等ができれば、これは施設設備は、今まで通りではできん。この施設設備を充実しなければならん。それからその面からも、教師が必要になってくる。で、きのうも福井の中学校長会で、一学級少くとも二人の教員で算出するようにしなければ、教育活動ができないということを議決したように新聞で報じられておりますがね。この教員の教科課程の変更、それから教育委員会に教職員が勤める、こういうようなことをあわせ考える場合に、現行の、この教職員の算出をする基準というものは、もう少し改善しなけりゃならんと思うのですが、この点は文部大臣、どういうふうにお考えになっておられますか……。ああ、課長でもよろしいですが……。
  193. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 御指摘のように、教育課程が改訂になったわけでございますが、実際の——まあ、これは三十七年から、中学校におきましては、その教育課程の改訂が実施されるわけでございますが、実際のクラス編成等を考えてみました際に、従来の職業課程が技術課程に変るわけでございますが、特にこのクラス編成には、大きな変動がないというふうに私ども考えておるわけでございます。従いまして、昨年度成立いたしました公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律、この法律と現状を比較いたしてみますと、なお一万人の不足があるわけでございますが、この一万人の不足を充実するということが、当面、私ども一番大事だと考えております。  従いまして、中学校の教員定数が十分である、あるいは十二分であるなどとは、実は考えておりませんが、当面の問題といたしましては、むしろ標準法にきめております定数まで、減員を充足していくということが、先決問題だと考えておるわけでございます。
  194. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その次善の方針を、私かりに認めましょう。  そうなると、それに必要なだけの予算計上をやる決意が、文部大臣にあるかどうか、お答え願っておきます。
  195. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) できるだけ、必要な定員の充足に対しては努力したいと思います。
  196. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、あなた、私は大した人だと敬服しておるのですが、できるだけというようなことでは、閣議は乗り切れませんよ。来年度予算編成から再来年——安保条約の改定でも行なわれた——今度は、三十六年度予算編成となれば、これは様相が変ってくる。閣議の空気というものは、これは文部大臣なんか、松田さんレベルの人が、よほどがんばらないと、とても五カ年計画云々なんかというのは、予算編成の閣議なんかには、私は問題にならぬ、ふっとんでいくようになると思う。それで、事前に警告のために、質問をし、お願いをしておるわけです。  そこで、時間がないのですから、この検査報告に関連して建物関係、少し伺っておきましょう。今御審議対象になっている昭和三十二年の予算を組んだ当時は、小学校の生徒が三十五万人ふえる。中学校は二十四万人生徒が減るということを前提に予算を組んだわけですね。そして執行経過が、今報告になっておる。ところが、今の時点に立つと、これは逆になっている。来年から中学校がじゃんじゃんふえていく。小学校の生徒が減っていく、こういうことなんですが、おそらく——私きょう資料を持ってくるのを忘れたのですが、ピークになるのは、昭和三十七年ごろじゃないかと思うのですがね。その時をマークしながら、あなた方対策を講じられると思うのです。ここに出された資料によると、五年計画千四百五十七億、一学級五十人というようなことが資料として出されておるが、この五十人というのは、四十五人ぐらいに修正せにゃならぬのじゃないですか。それをどういうふうにお考えになっておるか。これは局長に一つお答え願いたいと思う。  それから、ときどき新聞に、三、四年ののちにすし詰め教室でなくて、がらあき教室ができるというようなことが伝えられて、校舎建設意欲が、一部には減退している向きもあるのですが、私はがらあき教室なんか、数年のうちに日本にできるなんということはあり得ないと思うのですが、どういうわけで、新聞記者諸君は、ああいうことを書かれるのかと思うのですけれども、これらの点について、管理局長一つ、お答え願いたい。
  197. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 御承知のように、小中学校の児童生徒数は、これから数年の間に、非常に変化をいたします。小学校の方は、明年度以降、年々約七、八十万人ずつ減少して参ります。これに反しまして、中学校の方は、明年度は七十万、それから三十六年度には百万、それから三十七年度には四十万といった工合に増加して参りまして、三十七年度最高のピークの時期になるわけでございます。  現在の五カ年計画におきまして、この中学校の整備の場合を申しますと、この最高の三十七年のピーク時におきまして、学級の規模を五十人にする。そしてそれに必要な教室の坪数を整備するということで計画を立てておるわけでございまして、従って学級規模が五十人から四十五人に下るというようなことは、私ども現在の状況では考えられないわけでございます。  なお、がらあき教室というお尋ねでございましたが、これはなるほど、たとえば戦災等を受けましたような大都市等におきまして、いわゆる被戦災都市部の中心部が、人口が非常に少くなるというような場合に、児童生徒数が減るというようなことは起るかとも思いますが、全般的に申しますと、がらあき教室ができるというようなことは、そういった事態は、私どもとしては、予測されないわけでございます。
  198. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 管理局長に承わっておきますが、やはり情勢が許せば、少くとも一学級編成は四十人、ぜいたく言えば、先進国は三十人、三十五人ということが、たくさんある国があるわけですが、日本の置かれたいろいろな条件から、一応一学級四十人ということを目標に努力していくべきものだと思うんですが、その点については、局長はどういう見解をもっておられますか。
  199. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 現在の五カ年計画では先ほど申しましたように学級規模五十人というふうに想定をいたしまして計画を実施しているわけでございますが、お話にございましたように、理想的には私ども四十人程度がいいんじゃないかというふうに考えております。ただ五カ年計画で織り込んでおります中学校の整備につきましては、このピーク時におきます、まあ普通教室を少くとも整備しようということで、その当時おそらくは特別教室にまでは、なかなか手が及ばないんじゃなかろうかと、従って学級規模を漸減させると同時に、やはり特別教室もあわせて整備していかなければならぬのじゃないか。従って急激に五十人が四十人になるというのは相当困難かとも思いますが、行政の理想としては、そういうふうにいたしたいと思っております。
  200. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ、がらあき教室ができるような地域が局部的にでも現われそうな場合には、一学級四十人にすべきだと思う。それから、中学校は当分そういうことを考えられない。しかし、三十七年がピークになって、四十年、四十一年と減りかけたら、それを急速に、その特別教室に当然変換していかにゃならぬわけなんですね。だから一部には、政治家の中でも、今産児制限が徹底して、だんだん減っていくのだから、将来建物が余るようなことになれば無駄だから、そう無計画に施設を、予算を組んでいかぬでもいいだろうと、大ざっぱにそういう感じをもっている政治家も中におりますから、これらの点については、誤りなきを期してもらわなけりゃならぬと思う。  そこで、あなたの出した資料で、ちょっと伺いますが、この資料の、五カ年計画の中の三十四年度のところですね、国庫負担事業百九十二億と書いてあるが、こんなになっておったかね、予算。それと、第一、私は初めてだが、こういう書き方は正確なんですか。小数一位のところを、みんな小さく上の方に引き上げて書いてあるが、こういう書き方が正確なんですか、初めて見たのだが。  そこで、急ぎます。この、従来学校の建物というものは、これは、与野党通じて主張して参ったことですが、教育の場であると同時に、事件のあった場合には、国民の生命財産を守る。従って、その水難の起りそうな所とか、あるいは台風常襲地帯で風の吹く所とか、あるいは工業地帯で火災の危険のあるような所は、いちはやく鉄筋にすべきだということは、与野党を通じて論じられて参って、文部当局の主張もいれられて、昭和三十四年からフィフティ・フィフティで予算が組まれるようになったわけですが、今度の台風十五号で、さらにしみじみと官民ともに感じたようですね。  従ってその現われとして、この間の閣議でも岸さんが、学校は鉄筋にすべきだと、できるだけ高い所に建築をすべきだということを発言されたということが、ちょっと小さく報じられておりましたが、そこで文部大臣に伺いますが、どうです、来年度予算の編成に当っては、昨年五十・五十だったのですが、この率を、もう少し上げて、非常に希望が多いですね、鉄筋建築の希望というのは、これし猛烈な運動をしておるでしょう、各自治体は。まあ都道府県団体で、そして文部省で、また猛烈な陳情をして、やっと鉄筋のワクが二、三カ年計画で確保されるというようなことですが、それだけ設置者に意欲があれば、私は国家百年の大計からも、岸さんが、そういう発言をしてもいるいい機会ですが、一つの政策として、これを飛躍的に鉄筋のワクを引き上げるように来年度予算編成に望むべきだと、こう思うのですが、大臣の見解と決意を一つ承わりたいと思います。
  201. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今度の台風の被害地方面はもちろんのこと、全国的に、お話のように鉄筋コンクリートにしてもらいたいという要望が非常に強いことを、しばしば私どもも承わっております。従って先般の閣議なりにおきましても、台風災害地方の住民の要望はもとより、私どもも真実これは鉄筋に切りかえるよりほかはないという考えを強くいたした次第でありまして、その点を強く主張いたした次第であります。  でありまするから、今度の災害地の方面においては、どうしても改良復旧の趣旨を徹底して参りたいと、かように考えておりまするが、全国的の校舎の改築に当りましては、やはり五カ年計画ということで三百三十万坪でありますかの坪数を整備していかなければならん状態でありまするので、全部これを鉄筋にしていくということは、希望いたしましても、これは望めないことであると思います。しかしこれは、できる限りそういう方針でいきたいと思っておる次第であります。また長い目で見れば、校舎のようなものは、その社会のやはり中心、何か事あれば、それが付近社会の本拠になる所でありますので、こういう点からも、ひとり台風のみならず、震災その他の場合においても、そこが本拠となり得る堅牢なものでなければならんというふうに考える次第でありまして、できる限り、将来はそういう方向に持っていかなければならんと考えておる次第であります。
  202. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは、まあ御努力を要請しておきます。  それで、次は会計検査院に伺いますが、日本育英会の経理状況は、あなたの方の検査対象団体になっているのですが、検査をされた結果はどうか。特に私が承わりたい点は、返還が非常に成績が悪い。だから今のまま放置しておけば、数年たっというと運転に支障を来たすであろう。これは行政管理庁も、かつて勧告をしたところですが、対象団体になっているから、検査されたと思うのですが、検査状況はどうか、お答え願いたい。
  203. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 育英会は、毎年検査しております。先ほど申し上げておりますように、その経理の検査を主としてやっておりまして、今おっしゃいます返還の方も、私自身が向うの首脳者に会いまして、その返還の仕様について、話し合ったこともあります。そして職場に行って、勤めているのだから、職場単位に取ってはどうかというようなことも申したこともございます。経理上のことにつきましては、別に不当事項もございませんので掲げてございませんが、返還のことにつきましては、今申し上げましたように、十分関心を持ってやるつもりでございます。
  204. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、文部省側に伺いますが、これは文部大臣は、非常にほかの人と違って、相当徹底した特異な御見解を持っておられるのじゃないかと思うのですが、まず事務当局から数字を伺って、そうして文部大臣の御答弁を願いたいのです。  事務当局が、文部大臣が答弁する前に並ぶべき数字は、現在長欠不就学児童は、どのくらいあるとつかんでおられるか。これは通告してあるから、持って来ておるはずだ。  それから、さっき建物の問題がありましたが、校舎を建てるときだけではなくて、学校の運営費等に、ずいぶんと、まあ寄付を取られるのですね。私自身、今子供が二人行っているんだが、ほんとうに、なんですわ、家内から聞くと、大へんなんだね。この父兄のこの教育に対する寄付金は、全国で一体何百億くらいにつかんでおられるのか。あなた方が、予算要求をするような場合には、そういう数字は、やはり頭に入れてしなければならんと思う。教材費を一つ取っても、そうですからね、あるいは三百億あるいは四百億と言われておる。私は、それくらいでないと思うのですね。まだ大きな金額が、父兄から、子供かわいさの立場から、寄付のようなことで出されておる。一体、その総額はどれくらいと見ておられるのですかね。  これらと日本の育英制度、育英会の運用、この制度を、いかに拡充運用していくかということは、一心同体の問題。だからその数字を、まずお答え願って、そのあと大臣から、今の育英会の運用は、今のままで健全なのか。今後、これをいかように充実発展させていくおつもりなのか。よく論じられて参ったことなんですが、最近若干変って参りましたけれども、優秀な英才を教育していくのだという、それに大きな重点を置く考え方と、それから必ずしも秀才ということではなくて、やはり教育の機会均等というニュアンスも若干織り込むのだ。そういう角度でやっていけというような見解もあろうかと思う。松田文部大臣としては、どういう御意見を持っておられるのか。事務当局が答弁した後に願いたい。
  205. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 最初に、長欠の数でございますが、三十三年の四月から三十四年の三月までの、いわゆるその三十三年度について調査いたしました結果によりますと、小学校の長欠が、男女合せまして九万二千三百五十八人、中学校の長欠が八万四千二百三十一人、合計十七万六千人でございます。全体の比率を申しますと〇・七%でございます。  それから次に、父兄負担の問題でございますが、まあ、子供が学校に持って参りますお金、これには、いろいろあるわけでございますが、私どもが特に問題にいたしておりますのは、本来校費をもって負担すべき経費が、父兄に転嫁されておるという点でございます。従いまして学校給食費のごとく本来、父兄が負担するという建前になっております金額につきましては、これが父兄が負担いたしておりましても、特に問題にしていないのでございまして、本来、公費をもって負担すべき経費が、父兄に転嫁されておるという額が問題になるわけでございます。  その額は、三十二年度の地方教育費の調査によりますと百八十億円ということになっております。
  206. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 育英資金制度についてお答えいたしますが、大体この制度は、できてから今日まで、一般からはよい制度であるというふうに、私は承知いたしておるのでありまするが、正直申しますると、いろいろ考えさせられる面があるのでございます。お話のように英才教育というふうに持っていくか、あるいは機会均等主義の精神を汲んでいくかということになりますが、どちらにいたしましても、なかなかこの育英資金を、ぴったりと必要なつぼにはめるということが、これまた困難である。また金額をふやして、もう少し幅を狭めた方がいいという意見もあるようですし、それの反対の意見もあるようであります。いろいろの点で私は実際、この問題を今後さらに、大いに発展拡大せしめていくか否かについて考えておるところでございまするが、従って、今明確にお答えする域にないことを遺憾に思う次第であります。  なおいろいろの点について私の考えを申し上げたいこともございますが、今日の場合、その程度で御了承いただきたいと思います。
  207. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと関連して。  育英資金じゃなくて、私のちょっとお尋ねしたいのは、先ほど矢嶋委員から、施設関係等の問題の御質問があったのですが、今PTA等の寄付の問題がありましたが、施設関係については、全部公立小中の場合は、今出し得る態勢にあるのですか、どうなんでしょうか。
  208. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 御承知のように、設置者が建築をいたします場合、一つの補助の基準がございまして、その基準の範囲内では、もちろん補助金が出るわけでございます。  ただ従来、この補助金のワクに対しまして、学校建築の要望が非常に多いために、規格坪数だけ出なかった事例もございますが、最近におきましては、できるだけ規格坪数に充当する率を高めまして、本年度等におきましては九〇%以上の充当をしておるという状況でございます。ただ父兄の方は、その基準以上に、学校を整備したいという希望を持たれまして、学校と父兄とのお話し合いの上で、施設の応援をなさるという事例があるように私ども伺っております。
  209. 相澤重明

    相澤重明君 九〇%以上、本年度は出していますか。  実は私は、新しく今中学の分校の問題で、非常に悩んでいるのですが、私は横浜に住んでおる。私のうちのすぐそばに南中、南中学があって、非常に遠いところに、分校を今設置をしておるのですが、ほとんど資金がないのですね。それで各町内会長を集めて、それで寄付金を、どうしても取らなければいかぬというところまで苦悩をしているわけです。私自身、小学校の問題についても、講堂等については、実際は寄付金でまかなっておる。今のほとんど、いわゆる施設費は十分の一ぐらいのものですね。横浜のような場合は、戦災都市でありますから、もう今まであった学校には、みんな入ってきちゃって、二部授業がまだまだ行われておる。そういう中で、今のちょっとお話を聞くと、何だか、どこかよその国のお話を聞いておるような気がするのです。事実、そういうことが新設中学とか、あるいは二部授業の解消等について、資金的に行われておるのでしょうかね。  これはちょっと、いま一度お尋ねしておきたいと思います。
  210. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 小中学校の校舎の整備につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、大体、規格坪数の九〇%ということで補助金、負担金の交付をいたしております。  ただお言葉の中に、講堂という言葉がございましたが、小学校の講堂につきましては、現在補助の制度がございませんので、これはやはりお建てになろうとする場合には、設置者である市町村、または父兄等に御負担を願うというような形になろうかと思います。中学校の御負担につきましては、これは負担の制度がございますので、この点につきましては、非常に実は各府県、各市町村とも、希望者が多いものでございますので、先ほども校舎の九〇%というパーセンテージを、やや低く七〇%というものを本年度の目標にいたしておるわけでございます。
  211. 相澤重明

    相澤重明君 まあ大体、そういうふうに落ちていくだろうと思っておったのですが……。  それから、いま一つお尋ねしておきたいのは、鉄筋校舎の建築というのは、非常に希望されております、先ほどの御答弁の通り。  そこで、府県に大体どの程度、いわゆる鉄筋の校舎の建設予算というものがまかなわれておると、あなた方は判断をしておるのですか。文部省の予算の中で、今年度、たとえば三十四年度、七十六億ですかの小学校の分があり、その中に、どの程度のものが鉄筋でまかなわれておると思うのですか。
  212. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 御承知のように五カ年計画の初年度でございますので、本年度から、坪数におきましては五十対五十、木造と鉄筋との比率は、五十対五十になっておるわけでございますが、金額としては、単価の違いがございますので、大体、三分の二が鉄筋ということになっております。
  213. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二間あります。その第一問は、うしろ向きと前向きの両方含みますが、昭和三十二年から、原子力の研究費用関係を国立大学に計上したと思う、三十二年度からだったと思う、三十一年度には計上しなかったと思う。その後原子力の平和利用開発という立場から、順調な世界の進運におくれない状況に、大学はあるのかどうか、どういう認識を持っておるか、それとあわせて、関西に設置する予定であった研究用の原子炉ですね、あれは、文部省予算にやっぱり計上されておるような感じがするのですが、あれは一体、どうなっておるのか、それから今後の見通し。  それから、今度前向きの質問内容としては、もう少しこの電子化学、工学関係の新学科を急速に増設をする必要があるのではないか、それに対する御見解と、それからもう一つは、非常に相当数の国民が関心を持っておることは、造兵学科のことですがね、これは、日本の再軍備政策の推進、安保条約の改変に伴う今後のわが国の国防政策の変容とも関連して参るわけですが、財界では、すでに防衛産業委員会というものがあって、いろいろと構想を固められておるようですが、その筋からも、相当の要請があっているだろうと思うのです。  そこで、一部には造兵学科を大学に設置する考えがあるらしいと、それで東大の生徒あたり、非常な関心を持って、前防衛庁長官の伊能さんが、ちょっとしゃべったので、大学では、相当犠牲者が出るような、東大では紛争があったようであります。  けれども、東大の総長は、東大には造兵学科は絶対設けない、そういう意思はない、計画はない、こういうことを公開の席上で述べられているのですが、この東大の総長の見解というものは、全国の国立大学においても同様だ、かように承知しておいてよろしいかどうか、こういう点について、お答え願います。
  214. 天城勲

    説明員(天城勲君) 御質問のうちで、事務的にお答えできる点を最初に申し上げます。  原子力の研究につきましては、東京、京都、東北、大阪、九州、北海道、名古屋、それに東京工業大学、この大学を中心にいたしまして、重点的に、原子力関係の講座の増設をはかって参りまして、三十四年度までに、大体五十講座ほどの増設をいたしました。そして新しい原子力関係の研究の推進をはかっております。  同時に学生の教育につきましては、当初大学院の学生を中心に養成するという考え方で、これらの大学に原子力関係の大学院の研究科を開設いたしましたが、その後、三十三年度から、京都大学におきまして学部の学生の募集を始めまして、原子力工学科を開設いたしております。今後も、原子力関係につきましては、学科の要望も、これらの大学から出ておりますので、逐次検討していきたいと考えております。一方科学研究費におきましても、原子力関係につきましては、特に重点配分を考えまして、核反応のみならず、核融合関係につきましても、重点的に研究費の配分を行なっております。  それから関西原子炉の問題につきましては、御存じの通り、大学間の共同利用の研究用の原子炉ということで、主として大阪大学と京都大学が中心となりまして設置することにいたしまして、原子炉のかなりの予算を文部省に計上いたしておりますが、場所の関係で、いろいろ問題がございまして、現在、まだ最終的な決定になっておりません。  以上が、大体事務的にお答えできる点でございます。
  215. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 関西原子炉の点につきましては、今会計課長からお答え申し上げたことに、あまりつけ加えることはないのでありますが、これはすでに三年、予算を繰り越してきておるというような状態で、これ以上、また翌年へ回すというようなこともできない事情にあり、しかも、なおその敷地の決定をみないというわけでありまして、まことに残念で申しわけがないと思っておるのでありまするが、幾たびか決定したところが、地元民の強烈な反対で、今なお決定し得なということになっておりまするので、先般来、私も大阪へ参りまして、反対のために、ほんとうに決定できないような寝屋川地方の敷地決定については、大阪大学、京都大学では、共同利用するという点で非常に適切なところと思われるのでございますが、なお最後的決定に至らない。  それで私は、大阪方面のそれぞれ特別関係者に督励して、あらゆるPRをやって、早く決定しなければ、よそへ持っていかざるを得ないようなことになるんだといって、つとめて努力してきたのでありますが、残念ながら、まだ決定に至らない。しかし、今ようやく地元民も、非常に切実に協力するような事情も起ってきておると思います。  何としても急速にきめなければならぬことでありますので、目下鋭意努力中でございます。
  216. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 造兵学科の方は……。
  217. 天城勲

    説明員(天城勲君) 主管でございませんので、詳しいことは存じませんが、東京大学の話では、造兵関係の学科は置かないということを、総長も学生に答弁しておりますし、その他別の形で、一種の声明のような形を出しておられるので、私たちは、その点として現在了解しているわけでございますけれども、それ以外のことにつきましては、主管局長がおりませんし、私も、現在以上の知識を持っておりません。
  218. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、緒方大学局長がいないのですが、会計課長としては、来年度予算要求等について、将来の話し合いでも、他の国立大学に造兵学科を設けるというような話は、所管の緒方大学局長から一切受けていない、こういうように了承してよろしいのですね。
  219. 天城勲

    説明員(天城勲君) 造兵学科という問題については何の御相談も受けておりません。
  220. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、最後に伺いますが、大臣、あなたの人となりについて、いろいろと人から承わって、文教政策に期待を持っている者ですけれども、あなたが文部大臣になっても、やっぱりうまくいかない。一体、千五百億ばかりの予算を使っているわけですが、今の日本の文教政策というものは成功している、健全な状態にある、正常だ——あなた方の文教政策は成功しているという認識に立たれているのかどうかということです。  それは、日教組という団体もあり、いろいろあなた方と、意見の食い違うこともあるかもしれないが、結論として、私は成功しているといえないのではないか。今の日本の教育界の雰囲気といいますか、状態というものは、決して私は正常なものではない。だから、だれがいい、だれが悪いというようなことばかり言い合って、こういう状態をずっと続けるということは、これは国家として大きな損失ではないか、こういう点で、勝ち負けを争うというような感じではいけないのではないかと思うのですが、大臣は、どう考えているかということを私は承わりたい。  若干具体的に申しますが、たとえば最近、全国的に非常に厳重処分というものが行われている。近くは都内の、あれは北区の何とか小学校の伊藤前校長は、勤評を出さなかったからといって、懲戒免職になった。私は詳しいことは知らぬが、ああいう場合、校長が勤務評定を書かぬとなれば、校長として適当でないとなれば、降格したらいいと思う。まあこれは、東京都の教育委員会としてやったのでしょうけれども、常識的に考えて、校長が、書けという勤務評定を書かぬ、それでは校長として適当でないからといって、格下げして平教員にしておけばいい。ところが、教育公務員として死刑にも匹敵すべき極刑をもって、懲戒免職ということで応ずるというようなところは、どう考えても、どういう経緯があるかしらぬけれども、良識をもってするならば、それは正常でないと思う。この姿は高知にも現われている。予備勤評を書かなかったからといって、高知の高等学校の校長さんが四人、極刑の免職にあっていますが、こういう事案がある。あなた方に言い分はあるだろうけれども、こういうことが続いておって、一体……。それから教科課程については、第一線の先生は異論があるという、あなたの方では、強行しよう、それで、法規をたてに力で押して、それで教育が、一体成功するのかどうかという点には、私は疑問があると思う。  この点については、私は、具体的なことについて意見も承わりたいのですが、教科課程の講習会が、あっちこっちでもめている。先般一カ月ほど前、宮崎で中学校の教育課程の講習会が行われた。山口でもめているというから、またもめるのじゃないかと思って、万一、もめたような場合にはと思って、私は行った。果せるかな、混乱状態があった。そのときの私の認識では、宮崎県は、民生というのは、おだやかなところですよ、それで市民もたくさん見ている、どうも警官と、先生も入っている組合員が、衝突しそうだ、ゴボウ抜きとかなんとかありそうだ、そういうところを子供に見せたくない。それから警官にも、先生の教え子もいるのだから、衝突したくないというので、私は見守っておって、どうしてもこれはうまくいけそうもないからというので、私は、そのときは自分が成功しなかったら、議員やめるつもりだった。だから僕は、政治的生命をかけて、僕はこの事態をおさめるから、だから文部省のおそらく安達課長さんだろうと思いますが、乗っているから、どこに乗っているか教えてくれということを、宮崎県の教育委員会の人に言ったら、だれも教えない。バスは十二、三台あるが教えない。宮崎県の教育長に、十分間会わせてくれ。僕が会ったということになって、それを根拠に、僕がやれば、無用な混乱を……。僕は、政治的生命をかけてやるからと言ったが、教えない。それから宮崎で、文部省の課長さん、教育長さん、ちょっと十分間、僕に会ってくれと言った。僕は、責任ある立場で名乗っている。そのかわり僕は政治的生命をかけて責任を持っているのだ、ところが、どちらも会ってくれない。陰では、警察に早く実力行使をやってくれと言って注文している。それから宮崎県の警察本部長と、宮崎署長に会ったら、この二人は、話がわかっておった。私たちは、こういうところで実力行使をしたくない、だから、あなたが責任を持って、そうして、果してわれわれの実力行使をやらなくて済むならば、やって下さい。そういうためにも、五分間でも会って、それでまとまらぬから、実力行使してくれというならば、話がわかるけれども国会議員が名前を名乗って、五分か十分会ってほしいというのに、おってから、姿も出さんで、そうしてわれわれに実力行使してくれというのは、教育委員会、文部省も、どうですかねえと言って、やはり内面は、不満の意を表明しておった、このことはよそもそうだったからというので、南九州で、そういうことをやられたのかもしれないけれども、ともかく警察権力を借りて、そうしてやれば、事は簡単だというような、やすきについた考え方がきわめて強いと思う。僕は、それだから政治的生命をかけるということを言って、やったわけですよ。こういうところに私は問題点があると思うのです。  それで、いろいろな問題で好ましくない、お互い教育人で、教育家同士で、問題があっちこっち起っておりますが、人事委員会とか、あるいは裁判で争うような問題が、かなり起っているのですが、そのことについては、教育委員会の末端の人に聞くというと、予算が要ると、県議会に要求しても、なかなか予算がとれなくて困る。それでわれわれとしては、そういう一切の裁判費用は、人事委員会の問題とか、あるいは裁判の費用は、文部省に補助してくれということを要求しているのだが、文部省も不謹慎だと思うのだが、ある人は、信念を持ってやれ、それで人事委員会での問題だとか、あるいは裁判が起った場合には、その必要な予算を文部省は責任を持って何とか出るようにするから、だから、そういうようなことは敢然と応訴して、人事委員会なり、法廷で争ってもやれと、こういう激励をした事務官がおられるということを伝え聞くに至っては、それが、半ば激励のための冗談にしろ、そういうような心がけで、僕は千五百億の国民の税金を皆さん方にお使いいただいてやっていただいているわけなんですが、そういうようなことで、教育などというものを長い目で見た場合に、成功するものかどうか。それは、あなた方としては、先生方の態度とか、あるいは労働組合の態度について言い分があるでしょう、  しかし結論として、私は冒頭に申し上げたように、昭和三十四年、この時代のわが国のこの文教政策は成功であったと、こういう僕は、その評価は、後世有識者によって言われないのじゃないか。結論としては、やはり好ましからざる状態にあり、不能率な国民の税金の使用が行われているのじゃないか。そうだとすれば、だれが勝った負けた、だれがいい悪いというだけでなく、最善ができなければ次善、次善ができなければ三善でも、何かその対策を講じられるべきじゃないかというように、私はしみじみ考えているのですが、文部大臣は、現在のわが国の文教政策の実情をどう評価され、今後に対して、どういうふうに考えておられるか、最後に承わっておきたいと思います。
  221. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) だんだんとお話の点は、ごもっともと存じます。一々具体的の事実について申し上げ得られませんけれども、私も多少、直接接触した面もありまして、それらの点について、いろいろ考えておるわけでありまするが、私も就任以来、お話の、いろいろあるべき姿にない、正常な姿ではない、これを何とかして改善しなければならぬということに、日夜痛心いたしておる次第でありまするが、何分にも、やはり私は辛抱力が要ると思う。一朝にして、今日の状態をどんな施策をもってしても、私は簡単に解決し得るものではないと思う。ちょうど戦前は、余りにも行き過ぎて、極端に教育の事情が、曲った方へいったものを戦後、これは逆に、また曲った点もあると私は思う。これを、さらに正常化するためにやるには、急速にやろうとすれば、また逆に曲げなければならぬということを一応は考えるのでありまするけれども、そういう手段をもってしては、同じことを繰り返えすわけであるから、私はこれは辛抱力をもって、そして努力していかなければならぬ。それは一朝一夕にはいかぬ、といって、のんべんだらりとやっておられる問題ではございません。  そこで日夜苦慮いたしておる次第でありますが、いろいろやるべきことをやり、また努めて紛争などのないような方向に持っていくようにして、そうして漸次正常化していきたい、かように考えておる次第でございます。
  222. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おそくなりましたから、これで最後にしますが、私も、わが国の戦後の文教政策の流れを見ておって、天野さんまでが、党人でない文部大臣だったのですね、今考えても、僕は天野さんの文部大臣としての態度というものは、あるいは閣内における態度というものは、非常に認めらるべき点があったということを想起します。私は当時も、そういう評価をしておりました。  ところが岡野さんが文部大臣になるときから政党人になってきたわけです。そして名前は、具体的には失礼だから申しませんが、ある大臣の時代になったならば、自分は、政党内閣における政党大臣だから、自分は小使だということを、就任早々に発言された大臣も出られたわけです。世界の情勢なり、国の政治経済、教育、文化の情勢が、ずっと動いてきたということもありましょうが、天野さんが文部大臣でおられたころは、吉田さんが総理大臣であったわけですが、天野さん、相当信念のもとに、総理大臣に直訴もして、かなり内閣に、天野さんの文教政策に対する信念というものを反映しておった。  ところが四大政党が二大政党になるに従って、形の上では、日本はいよいよ二大政党時代に入った。従って政党の意向というものが非常に文教政策に影響して参ったということは、これは、どなたも否定できないと思うのです。まあ政党政治だから、それは当然だと言えましょうけれども、事、教育のことについては、限度があると思うのですがね。そうして、だんだんと、あるいは失礼だと言われるかもしれませんが、私の少くとも認識では、与党さんの意向というものが、政党という立場に立った意向というものが、必要以上に文教政策に影響を与え、支配を与えるという傾向が出てきたと私は信ずる。これは私の言葉が間違っておると思われる方があるかもしれませんが、ここ何年かたった後に、後世の有識者、史家というものは、必ずや、そういう評価をすると思うのです。  だから大臣に骨は折れるでしょうけれども、私が要望したい点は、お願いしたい点は、松田代議士なり政治家として、あなたはあなたなりに、りっぱな教育に対する識見、政策というものを私は持たれておると思うのですね。だから、文部大臣という栄職につかれましたならば、政党には派閥もあり、いろいろありましょうが、いろいろ事情はありましょうけれども、必要以上に、そういうところに牽制されることなく、これは、ほんとうに国家百年の教育を考えれば、相手のこともありましょうけれども、信念に基いた文教政策を打ち立ててやっていただきたい。これは私の切なるお願いです。  というのは、野人松田さんが、文部大臣になったときに、どういうことをやられるかということを私はひそかに期待して見守っておったわけです。大臣になられた直後のあなたの記者会見等によって、さすがこの松田さんの人柄が出ているなというような感じで、ラジオを聞き、また新聞も見たわけです。相手の出方によっても変ったでしょうけれども、その後、やはり政党の影響力というものは、相当あなたに、たががはまってきているということは否定できないと思う。そういうことは絶対ありませんと、言えば、あなたは答弁するでしょう。しかし、それは言葉上の問題であって、実質上は否定できないことだと思う。それで、ある意味において、私はあなたを激励するのですが、この日本の昭和三十四年時代の教育を救うと、国家の百年を救うという立場で、今後も一つ、御努力をお願いしたい。これは希望です。  それだけ申し上げて質問を終ります。
  223. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、これで文部省の部、検査報告批難事項、第二百五十号から第二百五十二号までの質疑は、一応、終了したものとすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  以上をもって、本日の審議は終了いたしました。次回は、明十月二十三日午前十時から、厚生省の部を審議する予定であります。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時五十四分散会