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佐多忠隆君
フルシチョフの
軍縮演説あるいは
軍縮提案がなされた直後に、
外務大臣談なるものを私は拝見したんですが、それによると、何か非
現実的な、観念的な、新味のないものにすぎないというふうな、非常に消極的な
態度なり、見解が発表されたと記憶をします。その後、岸総理
大臣も非常に消極的で、
現実の
状態として、いまだ力がものを言っているんだから、力の裏づけによらなければ問題は
解決しないんだから、あまり
意味はないというような談話を発表をされております。しかし
世界各国は、少くとももっと違った、もっと真剣な
態度でこの問題を見ている、あるいは取り上げているんじゃないかとさえ思うんです。これはアイクと
フルシチョフとの
共同コミュニケにもありますように、
両者は、「包括的
軍縮の問題は現在の
世界の当面する最も重要な問題であることに同意した。両政府は、この問題を建設的に
解決するため、あらゆる
努力を尽すであろう。」というふうに、これは
フルシチョフの提案のあった後の
共同コミュニケですから、もちろんそれも考慮に入れながらの同意であると思うのですが、非常に積極的な
熱意を示していると思うのです。ことに
フルシチョフの提案は、すでによく検討をされたと思うのですが、四カ年三段階にわたっての
軍縮撤廃案で、そういう
意味では非常に思い切った提案でありますけれども、しかし問題を非常に
現実的にも考慮をして従って、その段階あるいは一般兵力の縮減の
方法その他については、これまで
西欧方が提案をいたしたいろいろな考慮を十分に織り込んで提案をしていると私は解釈をしている。特に、もしそういう全般的な包括的な
軍縮案が、今直ちにできないとなれば、部分的な
軍縮案でもいいのだと言って出した五項目等は、今直ちにでも具体的に検討をしなければならない諸項目を含んでいると思うのです。そういう
意味では、どうしてもこれは
一つの議題として取り上げて、
共同コミュニケが言っているように、建設的な問題として、建設的な
解決をやるように、全
努力を傾けなければならない問題である。そういう点からいえば、あの提案が単に観念的であるとか、非
現実的であるとか、新味がないとかとういようなことで一笑に付する、皮肉にせせら笑うということでは、もはや済まされない時期であり、段階だと私
たちは与える。特にわが国は、申し上げるまでもなく、憲法九条で戦争を放棄して戦力を保持しないことを
世界に約束をしておる。その
考え方が、今、
世界的な規模において、初めて
現実的な問題になりつつある時期であり、段階であり、そういう
意味においては、わが国は、その先見の明を
世界に誇っていいときが来つつあると私
たちは
考え、
主張して、いいのじゃないか、そういうふうな
立場、そういうふうな
考え方から、
軍縮の問題を取り上げなければならないし、従って、そういう点で、むしろ
日本こそは率先してこの
軍縮の問題を推進をする役割を果すべきなんじゃないか、こういうふうに思うんです。しかるに、
外務大臣もそうでありますが、特に総理
大臣その他においては、全くそれと逆な、水をかけるような
言動をしておる。ことにあなたが今企図されておるところの安保条約の改定、きょう朝日新聞で全条文が発表されているようでありますが、この真偽のほどは後ほど聞くとして、その第三条には、むしろこの際にあらためて
軍備拡張を
アメリカとの間に約束をするということを明瞭にうたっておられる。これまでは、たとえば安保条約においては、
アメリカ側が
日本に対して
軍備が漸増することを期待をするという
態度にすぎなかったのに、今やこれをはっきりと
両国の間に約束をするという態勢に切り変って参っておる。しかもその背景には、すでに防衛庁長官が明瞭に言っているように、第一次
軍備拡張計画では事足りないとして第二次の拡張計画を、非常に大きなものを構想をし、しかもすでに
アメリカとの間には約束を取りつけながら、着々とそれを進めているという
状態だと思う。そういう点を
考えると、
日本はこういう
世界的な
情勢と全く逆行をしておるとしか思えないのですが、
外務大臣は、これをどういうふうにお
考えになりますか。