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1959-08-28 第32回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月二十八日(金曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   委員異動 七月三十一日委員大谷藤之助辞任に つき、その補欠として小柳牧衞君を議 長において指名した。 本日委員加藤シヅエ辞任につき、そ の補欠として亀田得治君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鹿島守之助君    理事            井上 清一君            苫米地英俊君            堀木 鎌三君            森 元治郎君    委員            笹森 順造君            津島 壽一君            野村吉三郎君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            藤原 道子君            大和 与一君            佐藤 尚武君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   説明員    外務政務次官  小林 絹治君    外務大臣官房審    議官      三宅喜二郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告   —————————————
  2. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  3. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) 速記を起して下さい。  まず、委員異動について報告いたします。去る七月三十一日大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として小柳牧衞君が選任されました。   —————————————
  4. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) 本日、先般当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員の方から報告を承わることにいたします。  まず第一班島根県に派遣された委員の方から御報告をお願いいたします。
  5. 井上清一

    井上清一君 第一班は、去る七月十七日より二十三日まで七日間、鳥取、島根の両県下に森、石田、私の三委員が参りました。視察目的は、主として李ライン問題であります。  海上保安庁の第八管区では、李ラインにおける漁船操業状況巡視船による特別開成現況について説明を聴取いたしました。また、美保基地航空自衛隊輸送航空団米空軍高尾山レーダー基地視察いたしました。  ここに調査報告書用意してありますので、詳細は会議録に譲ることとして、報告にかえたいと存じます。御了承をお願いいたします。
  6. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) 報告書が提出されておりますので、これを会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) 御異議ないと認めます。  次に、第二班大阪府、兵庫県及び和歌山県に派遣された委員の方から御報告をお願いいたします。
  8. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 第二班の調査の結果を概略報告申し上げます。  派遣委員杉原荒太佐多忠隆及び堀木鎌三の三名であり、なお事務局側より渡辺専門員山田参事が同行いたしました。  当班のおもなる目的といたしまするところは、まず経済外交推進建前からいたしまして、わが国海外貿易におきまする関西経済界の占める比重並びにその体質等をつぶさに調査いたしまするとともに、一方移住問題に関しましても和歌山県庁外務省神戸移住あっせん所等、親しく現地の当事者に接し、その実情調査いたしたいという以上二点であります。  第一の点につきましては、先月二十七日大阪国際ホテル七階会議室におきまして、府側より佐藤知事市側より橋本助役、また外務省より吉田大使等関係者多数列席いたしまして懇談いたしたのであります。  以下概略を申し上げます。  まず、及川府商工部長より大阪貿易現状及び大阪における輸出産業現況等につき説明を聴取したのでありますが、その概略をごくかいつまんで申し上げますと、大阪貿易の特質といたしまして、輸入より輸出が多く、品目といたしましては軽工業品輸出が比較的多数を占め、また輸出先といたしましてはボンド地域、とりわけ東南アジア向けが多数を占めるとの説明でありました。  問題点の第一といたしましては、従来大阪輸出はあまりにも繊維重点が置かれたきらいがありますが、後進国におきます軽工業の勃興により、繊維市場は近年年とともに狭まり行く傾向にありますので、今後は重化学工業製品輸出重点を移す必要があり、ために堺臨海工業地帯の完成が急がれておる現状であるとのことであります。  第二点といたしましては、東南アジア諸国外貨不足が恒常化しつつある実情に照らしまして、従来の市場構造を、この際再検討し、濠州、ソ連等市場開拓に努力いたさねばならないとのことであります。その他デザイン行政の強化、大阪港及び国際空港整備拡充等が、この際、府としてなすべき急務であろうとの説明がございました。  次いで当委員側より、大阪における輸出産業の母体たる中小企業に関連いたしまして、たとえばアメリカにおいては中小企業に対するアドミニストレーシヨンが非常によくいって、規模も適正であり、商取引技術も進歩し、中小企業中小企業としてりっぱに成り立っているが、関西においてはその点どの程度行政面から手が伸びて、どの程度よくなってきているか、また、府の行政作用等によって零細企業がレべル・アツプしたような効果具体的実例いかん等をただしたのに対して、府といたしましては、産業近代化設備融資といたしまして二十六年から約五十億、保証協会による保証総計約五百億、また技術指導費といたしまして今日まで三億五千万円を計上する等、できるだけの対策を行なってきておるので、相当の効果を上げていると信ずるのであるが、企業者側にそれに応ずる熱意を示さない者がいるのは遺憾である。また、零細企業につきましては、輸出産業に直接関係あるものは向上しているが、下請関係は旧態依然のまま放置されているのが実情である旨の説明があり、その点につきましては、重ねて当委員より中小企業対策は結局一つ一つモデルを作ってピック・アップしてやるべきであり、何もかも包括的にしないで、個別的に対策を樹立すべきであろうとの意見が披瀝まれたのであります。  その他、国際空港整備臨海工業地帯埋め立て等に関する問題等につきましても、熱心に討議いたしたのであります。  最後府市側より、日中貿易は昨年五月通商途絶以前、阪神は月額一千万ドルの貿易の四〇%強を占めており、また途絶後も香港経由貿易がかなり行われている実情でもあり、また業界といたしましても、これに非常な熱意を持っているので、何とか前提条件打開見通しを早くつけていただきたい。また第二といたしましては、輸出手続簡素化貿易許認可権限の大幅な地方委譲を早急に実現してもらいたい旨の要望がなされました。  次いで商工会議所におきましては、杉会頭、小田原副会頭を初め、市商工会議所外交部会の代表約三十名余りと懇談を持ったのでありますが、まず杉会頭より派遣委員の紹介がありました後、財界側より東南アジア市場現状見通しに関連して次のような実情が述べられたのであります。  一、経済協力については、題目だけで少しも実現していないのが現状である。たとえばビルマでも賠償協定に基く経済協力は少しも実現していない、これには資本財輸出代金の延べ払いの金利が西独中共等に比べ、高過ぎるのが原因しておる。二、現地在外公館の人員があまりにも少ない、また機械の輸出に伴う技術員の数が不足している、これが経済協力一大障害となっておる。三、通商航海条約未締結の国が多いため、営業の自由、滞在の自由を持っていないので、地についた経済協力が不可能である。四、在外支店の設置を日本側で制限しているのは遺憾である。  以上の隘路を打開すれば、東南アジアは最近中共西独の進出が盛んではあるが、努力次第で同地域への輸出の伸び悩みの現況を打開する機会がもっとあるのではないかとの意見が披瀝され、また当委員からも、実質は経済協力でなく、商業べースに乗っているだけで、資金最も限られ、また入札にも政府許可が要るため、弾力性に乏しい。またビルマから生産財設備財等について思い切った政策を日本がやってくれないという苦情がきている等々の意見が述べられ、終始熱心に議論がなされたのであります。最後財界から、結局コマーシャル・べースだけでは、西独中共に立ち向かうとき、それを採算に乗せようとしても不可能であるため具体化ができない。そこで、よほど国として考えてくれない限り、民間の力だけでは東南アジアに対する輸出の伸張はむずかしい。また、これに関連してジェトロ駐在員拡充に力をいたしてもらいたい。これらの要望は、今春アジア公館長各位と当会議所において懇談いたした際にもお願いしたのでありますが、その後、政府が少しもその実現に努力いたしてくれないのは遺憾である旨述べられたのであります。  次に第二点といたしまして、移民問題でありますが、以下その概略を御報告申し上げます。  和歌山県におきましては、県の二大施策の一として移民問題に力をいたしておることは御案内のごとくでありますが、七月三十日県庁におきまして、私ども小野知事を初め県移民課の諸君より耕しくその実情を承わって参ったのであります。  元来、和歌山県は戦前より移民の盛んな所でありますが、戦前は主として北米合衆国、カナダヘの移民がほとんどでありましたが、戦後はブラジルへの移民が大多数であり、パラグヮイヘは伐根より始めねばならぬ実情等にもよりましてごく少々、またアメリカへは派米労務者と申します短期移民がほとんどであります。しかも全体を通じまして、いわゆる自営開拓移民はほとんどまれであります。なお、ブラジルには最近主として現地での成功者の出資によりまして、和歌山不動産会社現地土地を購入いたしまして、県からの移民受け入れておるとのことであります。  当委員より、移民に関しまして、現在最大の隘路となっておる点は何かとただしたのに対しましては、やはり移住者資金の問題であります。一応自己資金は、行く先にもよりますが、一家族最低五万円くらいあれば行けることになっておるのでありまするが、県の実態調査によりますると、渡航までの諸経費を含めますと、最低家族当り平均八万円くらいかかるので、移民に踏み切る零細農家は、財産整理をしても借金等返済いたしますると、この経費が出せない者が多いのであります。しかも財産処理の問題でございますが、移民はいろいろの手続等によりまして許可が非常におくれ、きまりまするとすぐ出発いたさねばならぬようなケースがほとんどでありまする関係上、どうしても足元を見透かされ、財産を買いたたかれる実情で、ために県下移民希望者も最近は幾分下降線をたどっているとのことであります。最近この弊害にかんがみまして、国に農業拓殖基金設立及び運営要綱なるものができまして、本年度三千万円の予算を計上いたしておりますので、将来はその補助金等にもよりまして、知歌山県農業拓殖基金協会を設立いたし、移住者土地等を購入する者に農協から資金を貸し付けるようにいたし、農協の債務は協会が担保するようにし、買手市場をふやし、あるいは競売等によりまして、かような弊害をできるだけ少なくしていきたい旨の説明がありました。  なお、当委員より移住農民受け入れに関連して、コチヤ産業岩崎農場等実情いかんとただしたのに対しましては、コチヤ産業は住み込み二千円くらいの低賃金で、県としては推奨できかねるとの説明があり、また岩崎農場イタリア移民を多く雇用し、日本人の移民に対しましては、賃金等の点で受け入れに消極的であるとのことでありました。また貸付金返済状況につきましては、貸付金は四年据え置きと八年償還となっており、すでに返済期間のきたものも若干あり、県としてはっきりしたデータはつかんでおらないが、約二%くらいが返金しているのではないかとの説明がありました。  次いで七月三十一日神戸移住あっせん所におもむき、所長より業務の概要の説明を聴取いたしました後、当委員より自営開拓移住者はどのくらいの資金を必要とするか、また返済方法いかんとの質問に対しましては、二年くらいのつなぎ資金開拓資金最低限必要であるとの説明があり、返金は現地通貨円建レートでいたすことになっているが、最近ブラジル為替相場が下落しているので、返す側にとってはいろいろ問題があるとのことでありました。  また移民には眼疾者が多く、乗船の際にこれがしばしば問題となり、また乗船しても現地入国拒否にあった例も一、二あったとのことであります。  なお今回の調査に関連いたしまして、久保田鉄工堺工場住之江織物住吉工場及び丸善石油下津製油所視察いたし、委員一同大いに裨益するところがありました。  顧みまして、はなはだ短期間ではありましたが、現地での御協力のもとに、予期以上の成果を上げることを得ましたことを喜びといたしますとともに、最後に、今回の視察に当りましてお世話になりました関係官民各位に深甚の感謝をいたしまして報告を終ることといたします。
  9. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) それでは、ただいまの両班の報告に関し、御質疑のおありの方は御発言願います。政府側からは外務省小林外務政務次官三宅審議官、高町経済局次長高木移住局長。農林省からは藤井振興局拓植課長西村水産庁次長通産省通商局から西宮市場第一課長、高橋第三課長代理、金井為林金融課長がそれぞれ出席いたしております。  質疑のある方どうぞ。——質疑のある方ございませんか——。別質疑はないようでございます。   —————————————
  10. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) ただいま委員異動がございました。加藤シヅエ君が委員辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。以上報告いたします。   —————————————
  11. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  12. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) 速記をつけて。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 この一班、二班の報告書はまことにけっこうでありますが、これについて関連することがありますので、二つ、三つ、付いたいのは、何といっても、今、国民が注目していて、私ども地方にいきますと、李ライン問題というのは、農村の方も非常に心配しておりましてどうするのだ社会党は、という質問をどこでも受けるのです。  そこで第一は、自衛船がこの間出ていきましたが、これについて、政府関係筋の方は、大いにしっかりやれなどと激励をしたり、東郷元帥まがいの格好した大臣らしき人が、あの海のあたりをふらふら動いて激励しておるのですが、政府は、もう海上の、あの辺の李ライン付近保安については、民間自警団おまかせになったのかどうか。まず根本方針一つ伺いたいと思うのです。
  14. 小林絹治

    説明員小林絹治君) あれは自警船が出ておる、それで今度は拿捕したのだというような意味のことを柳大使が言っておりまして、あすぐらい帰ってくるのですが、これは韓国政府意向柳大使考えか、まだはっきりしません。かつて六ヵ月間ばかり拿捕しなかったことがある。そのときにはああいう自衛船というものは出ていなかった。現在出ておりますのは四隻、水産庁海上保安庁の船が出ておるのですが、いずれ柳大使韓国政府と打ち合わせをして参りますれば、果して韓国政府意向かどうかということが、州任してくればはっきりするわけでありますが、あれが出ていないときには拿捕しなかったのだ、あるいはそういう考え韓国政府も持っておるのじゃないかと考えておるわけです。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 私がお尋ねしたのは、もう政府に手がないので、民間自衛船に、あの辺の李ライン拿捕などさせないという行為が、地方関係漁民自警団おまかせになったのかどうか。政府は手なしか。責任回避かと、こういうことを聞いている。
  16. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 政府の方で、今自警団のやっているようなことと同じことをやるということになると、その影響としては、結果は同じだ。それから自警団の方もいろいろ話をしておりまして、なるべくやめたい。しかしながら、やめたいということについては、拿捕しないということでないと、やはり拿捕をするなら自警団自衛船を出さなければならぬということになっておるのです。もし、政府の方から巡視船というものを出せば、今は四隻出ておるのですが、あとやはり二隻ほど出さなければならない。二隻を出すについては五隻ぐらい船の用意がなければならぬ。これについては少くも二億円ぐらいの金がかかる。それは大蔵省との折衝がありまして、今のところなかなか予算が出そうにありません。そこで、政府が放置しておるというわけではないけれども、そういう事情のもとに、現在、自衛船に対して自粛してもらいたいということを申し入れて、自衛船の方でも、拿捕するならやはりやらなければならぬ、拿捕しないということならそれは出なくてもよいという態度なのです。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 自衛船というものは何か力をもっているような、ただいま政務次官お話ですが、どんな力をもっているのか。拿捕するというなら出すという以上は、何か一つ相手を押えつけて威圧するだけの力を持ったものでなければならぬはずだが、どんな力があるのかということが一つと、それから、今後、李ライン問題は、民間の力によって解決していくことになるのですか、政府は直接やらないで、巡視船というはっきりしたりっぱな海上保安任務を持った船があるのに、こんなものは役に立たないので、民間にやってもらって、李ライン問題を民間の力で押えてもらうことになるのですか、どうなのですか。
  18. 小林絹治

    説明員小林絹治君) そういうわけじゃないのです。さっき申しましたように、拿捕されるから、拿捕されないように自衛船が出て早く知らせるという仕事をしている。向うに対して威嚇するとか何とかいうことは、そういう性質を持っていない小さい船で、そんな力も実力もありませんから……。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 小林さんも昔のなかなか政治家で、答弁はお上手のようだが、一体、自衛船という名前を許していくのかどうか。
  20. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 民間自衛船と言っているのですから、その名前までこういう名前にしろと言うことは、そこまで言う必要はないというような考えです。名前は何とつけようと、それは出漁している漁船に対して拿捕しにやってくるから用心しろという知らせをする建前のものなんです、これは。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 政府巡視船という当面の任務を持ったものがあるのですから、これによって十分取り締まりもできるはずだと思うので、この自衛船などという刺戟するような名前を奨励するようなことは、やめる御意思はないかどうか。
  22. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 巡視船見張り船というような名前は、水産庁海上保安庁名前は使っておりますけれども、それは今四隻出ているのです。あの広い海上を四隻では出漁その他の漁船に対してなかなか無電その他の準備も十分ないので、ことにちょうど日韓会談中六ヵ月間というものは、向うは一隻もつかまえていないことでありますから、さっき申しましたように、この隻数をふやすということになれば、それは現存自衛船が出ておるのと向うに与える影響は同じこと、影響いかんにかかわらずこれをふやすということになると、外務省考えだけではいかない。やはり予算がなければならない。その予算折衝等もしつつあるのですが、そういう状態です。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 政務次官お話はきわめてのんびりしているのだが、お魚は毎日々々とりにいく、出漁しているのでありますが、あくまでも外務省としては関係省協力して三隻ですか、四隻ですかつける……。
  24. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 今四隻出ている。あと二隻くらい出したい。しかし二隻を出すについては五隻くらい用意が要る。交代に行かなければならないから。そこで予算関係になってくる。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 おやりになるかどうか。
  26. 小林絹治

    説明員小林絹治君) それは現在自衛船が出るから拿捕するということを、さっき申したように柳大使が言っている。韓国政府がやはり柳大使考えと同じか、帰任したらわかりますが、政府の方で自衛船をふやしても、民間で出しておっても、向うに与える影響は同じことなんです。そこで、向う拿捕しないようにしてもらう。この間も拿捕したらすぐ抗議を申し込んである。向うでも拿捕しないと、そうなれば、自衛船の必要はないということになるわけです。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 私のお尋ねしているのは、民間にはたよらないで……。今のお話を聞くと、政府巡視船民間自衛船もみんなあわせて協力してやっていくという態度ですが、政府政府民間に心配させないでこっちだけでやっていくから、自衛船というぶっそうなというか、穏やかでない名前のものが出ることはやめさせる、こっちでちゃんとやってやるという御意思があるかどうか。
  28. 小林絹治

    説明員小林絹治君) あれは政府の方で奨励したわけではないし、あれは自発的にやっておるものです。あれを政府の方でやめろということは法的の権限はないのです。そこで勧告しておるのです。向うでは自衛船が出るからつかまえるのだというから、自衛船が自粛して出ないようにしてくれないか。そうすると、金子会長ですか、向う拿捕さえしなければ自衛船を出す必要はない、要するに、向う考え次第だということですが、政府としてあの自衛船をやめろ、やめた方がいいという勧告はできるけれども、やめろという法的の権限はないのです。そこで、しからばあとに残る問題は、政府はどうするのかということになるわけですね。政府自衛船が必要ならばまだあと三隻ぐらいは出したらどうかということですが、これは繰り返して申し上げるように、予算関係で、外務省だけではそれはできない。今日の推移としては、前の過去六ヵ月間のように、会談中は拿捕しなかった。こっちの漁船がどこのラインまで行ったかというようなことについても、それぞれデータもありますけれども、ずいぶん魚をとるのですが拿捕しないということになる、やはり出漁の方でも安心をするわけですが、そこで、このたびの日韓会談の間に、どうするかということは向うとの話し合いがある、こっちだけできめても相手があることですから、こっちの思い通りにいくかどうかわかりませんけれども、そういう結論に達するように努力しております。
  29. 森元治郎

    森元治郎君 私の気持はおわかりにならないのかどうか疑うのですが、私の申し上げておるのは、勧告はできるが法律的な力はないと、こういう御答弁ですが、こういうものは法律々々でやるものじゃなくて、政府に信頼があれば勧告は喜んで聞くわけですね。法律だから聞くとも限らない、しかも勧告はそういうことを自粛してくれと勧告しておるのだが、一方で政府関係の国務大臣のような人まで大いに激励しておるというようなことは、ただいまの御答弁をぶちこわすことだと思うのですが、自民党の政府があるのだから、責任政府で持ってやるのだと、その責任がないから民間の人が出ていくのでしょう。だから私の質問は、政府がとってかわって、君たち気をつかって出漁しないでよろしい、おれがやってやるからということを言ってやらなければいけないのじゃないかということを伺っておるのです。片一方で自分の政治の悪いところを民間にお手伝いさせて、適当に外交の具に民間船自主性とごまかして取引するということはますい、全部政府がやるべきだということを言っておるのです。
  30. 小林絹治

    説明員小林絹治君) それは政府には御承知の通り予算関係もありますから、それはそういう建前からいえば、自衛船をどんどんふやしてやればいいかもしれません。けれどもそれは予算関係もあるし、いわば政府がそこまで装備ができない。そこで民間の方ではしびれをきらして自衛船を出したと思うのです。ところで拿捕された。前の日韓会談中には自衛船も何も出なかったけれども拿捕しなかったという状態なんです。でありますから、そこで政府がどんどん予算関係なく金を出して自衛船を作ってやったらいいじゃないかという議論は、少し走りすぎた議論のように考えます。
  31. 藤原道子

    ○藤原道子君 関連して。森さんの質問は、何も予算とか自衛船をどんどん出すとかということじゃないと思うのです。政府は、一体外交をどう思っているのですか。私たちは、自衛船を出して激突してもやれというようなことは絶対に言っていない。何のために外交というものがあるのですか。日韓会談のその後の経過はどうなっているのですか。力とか予算とか、予算以前の問題です。その心がまえを伺いたい。
  32. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 予算ということを申すのは、予算ということも政府考えのうちに入ってこなければ話にならぬ、そこで申したのです。
  33. 藤原道子

    ○藤原道子君 外交が弱腰なんですよ。
  34. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 政府は大てい弱腰だということは、昔からいわれております。けれども、しからば今、森さんにお答えしたように、どんどん自衛船を作って、民間なんか何もしないでよい、政府がやってやるというところまでいかない状態なんです。それは、外務省のやり方が悪いという御批判はあまり当らないと思うのです。
  35. 森元治郎

    森元治郎君 どうも両方でうまく合わないことははなはだ遺憾にたえません。今おっしゃったように、どんどん自衛船を作ってやれというようなことはできないとおっしゃるが、そんなことを私は一ぺんも尋ねていないので、政府海上保安庁という名前海上保安をつかさどる役所があるのだから、お前たちは引っ込んでいなさい、私がやって上げますということをなぜ強く言って実行していかないかということを伺っているので、自衛船保安庁が作れということを私は一つも申し上げていないのです。そこで、こういうことについて責任を感じないかどうか、自衛船をやむを得ないといって激励などをして、一方ではただいまのようにあまり過激な行為はやらないようにという勧告をして、とたんにつかまったということは、政府のだらしなさを実証されたので、その責任をお感じになっているかどうか。
  36. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 私は海上保安庁とか外務省等が、それをどんどんやれといって激励をしたという話は聞きません。聞きませんが、森さんも御経験上おわかりになると思うのですが、政府側は大てい激励するものなのです。(笑声)悪いからやめておけと言う政治家はあまりないのです。でありますから、どういうことを言ったか、はっきりわかりませんが、政府は弱腰だからお前たちしっかりやれ、と言ったかもしれませんけれども、政府建前としては、そういうことを激励したはずはないと思います。
  37. 森元治郎

    森元治郎君 それで大臣は故意に激励しているのですよ。あごひげはやした大臣は大いに激励している。
  38. 小林絹治

    説明員小林絹治君) それはおそらくあり得ないことであります。責任のある外務大臣が、自衛船をどんどんやれ、もしそういうことを言っていたら私どもが承知しない、そういうことはあり得ない。
  39. 森元治郎

    森元治郎君 ところがあり得るのが政治だな。だから責任を感じられるかどうか、それだけを一つ
  40. 小林絹治

    説明員小林絹治君) 責任を感じないような政府はありません。
  41. 森元治郎

    森元治郎君 感じたら実行することが大切です。
  42. 小林絹治

    説明員小林絹治君) もしあなたが政府側に立たれて、われわれが、森大臣責任を感ずるかといったら、責任を感じますと同じことを等えるでしょう。感じない政府があるわけはありません。  しからば、この点について政府のやり方が間違っておるので、どうするのだという御質疑に対しては、政府はこうする考えであるということをはっきり申し上げます。責任をもちろん感じます。責任を感ずればこそ、しっかりした処置をとる。昔から外交という字を書くと、ふりがなには「なんじゃく」と書く、軟弱という字を書くと「がいこう」というふりがなをつける。軟弱外交というのは何十年使い古した言葉で、それを利用する方からいえば軟弱です。またやっている者は、この通りしっかりやっている、どこが軟弱なんだということですね。
  43. 森元治郎

    森元治郎君 小林さんの御意見を伺っていると、あなたが満州におられてよくお使いになった慣用語が大へんなつかしく……。まあ漫才はこのくらいにして責任を感じられたならば実行していただく。これ以上どうも外務大臣が来られないと無理のようでありますから、お尋ねはとめて、次に日韓会談ですね、これについての大きい見通しと、それからこの会談がどうも北鮮帰還を途中から水を差して、思うように帰さないように牽制しているような感じを受ける。日本外交はダブル・プレーがなかなか上手で、だからアメリカもときどき信用しないんですが、片方で北へ帰しつつ、また反共陣営にも適当に気を持たせるというような傾向がありますので、この点はどうなっているか、二点をお伺いいたします。
  44. 小林絹治

    説明員小林絹治君) ダブル・プレーか何か、そいつは見方がありましょうが、しかし、これも言わぬでも森さんよくわかって聞いておられるんだろうと思います。外交のことですからあけすけに何でもかんでもこっちの腹を皆割って話をするということは非常に困難です。そこで筋の立った話をしていこう。現に日韓会談にしましても、今度は再開をするということになれば、こちらは筋を立ててもらってから本式のこっちの腹を割っていくという建前になっておる。結局、双方がこの日韓会談を有終ならしめるという考えを持たぬことには、一方だけではできないわけですから。それでいいですか。(「わからないよ、それじゃ」と呼ぶ者あり)
  45. 森元治郎

    森元治郎君 外務委員会の権威のために私の質疑はこの程度で終ります。
  46. 小林絹治

    説明員小林絹治君) なお、海上保安庁関係については、政府委員が来ておりますから、説明申し上げてもよろしゅうございます。
  47. 井上清一

    井上清一君 じゃ一つ李ライン問題に関連いたしまして若干質問したいと思います。実はこの間島根県の方に参りまして、いろいろ県当局その他漁業関係の連中あたりからいろいろお話を承わったのですが、ただいま六月末現在で刑期未了の者、また新たに抑留された者がまだ百六十数名釜山の収容所におられる。それで抑留者の待遇がだいぶよくなってきたとは申しますものの、なおまだ不十分な点が非常に多いようです。そしてまた抑留者の家族その他また関係者は、非常に待遇、処遇の問題についていろいろ懸念をしておられるんです。それで、なぜ一体こうした問題についてもっと政府が積極的にやらぬかというふうに、非常にそういう点に不満を持っているように私は見受けてきたんですが、日韓会談の経過においてこれまで政府が抑留者の現状調査するということについて申し入れをなさったかどうか、そしてまたこういう問題について、ただ単に国際赤十字にまかしておくというようなことじやなしに、日本から係官を派遣するとか、あるいはそういうふうな話がよく出たんですが、日本のいろいろ事情を国会議員が調査するのもけっこうだけれども、むしろ国会議員がいろいろ談判をして何か向うへ行って抑留者の実情調査することをやったらどうだというような意見もそのとき出たわけなんですが、何か今後の交渉においてやり得る可能性があるかどうか、そういうお考えがあるかどうかというような点について、若干伺いたいと思います。
  48. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) その問題につきましては、すでに日韓会談が始まります前に、漁夫の問題というのは解決し、また抑留されているものの状態は改善すべきであるという見地から、外務省から韓国代表部に対して、日本から赤十字あるいはその他の関係者を釜山の抑留所に、収容所に派遣して、その実情調査したいということを申し入れたのでありますが、先方はこれを断わりました。そこで今度は赤十字国際委員会に対しまして、抑留されている漁夫の状態が満足なものでないといういろいろ情報が入っているから、これを委員会から代表を派遣して調査してもらいたいということを申し入れたのであります。委員会が、今、北鮮問題でいろいろ韓国との間で問題がありますので、韓国の赤十字社の人をして釜山の収容所を調査せしめるということを要請するということを韓国側に申しまして、韓国側で韓国の赤十字がそこを調査いたしたのであります。向う側の赤十字が調査したわけでありますが、その報告では、その状態は悪いものではない、人道的に取り扱われているという報告がきたという知らせがございます。現在のところはそういう状態であります。
  49. 井上清一

    井上清一君 ただいまの御報告によりますと、韓国の赤十字が韓国の国内事情について非常に満足すべきものであるという報告がきたという御意見であるけれども、てめえのことをてめえがやってけなすわけはないので、もうちょっとこの問題について積極的に、かつ強力に一つ外務省として交渉をお進めにならんことを希望したいと思う。前々からの問題でありますけれども、せっかく韓国日韓会談をやろうとしているのだし、こういう機会にこそもっと強く推し進めていただきたいと思う。韓国に対しては、日本は代表部を認めているけれども、向うじゃ日本は何もやっていない、人をやっていない、こういう点においても非常に従来からこの点に私どもは不満をもっている、一方的だと……。日本としては非常に不面目なことだと思っている。こういう点について、外務省のもっと積極的、かつ強力なる態度を私どもは希望していた。ところがその後一向に、こちらには代表部を置いているけれども、日本の代表部は一切向うに入国を認めない、こういう態度だし、ことに抑留者の問題についても、従来から頑迷なる態度をとっているのは非常に遺憾だと思う。こういう点について十分に将来お考え願いたいと、こう思います。
  50. 三宅喜二郎

    説明員三宅喜二郎君) ただいま井上先生のお述べになりましたことにつきましては、今後とも積極的に一そう努力したいと思います。  なお、御承知の通り北鮮帰還問題について協力するために日本にやって来ておられます国際赤十字委員会のジュノー博士が韓国赤十字の招待を受けて、日本における用務が終われば韓国に行かれることになっておりますので、政府からも漁夫の釈放の早急実行ということについて協力してもらいたいということを申し入れております。その際、博士においては釜山の抑留所も見ていただけると思っております。  なお、従来抑留されております漁夫に対する慰問品が、必ずしも本人に届かないというようなこと、あるいは韓国側によっていろいろ品物によって数量を制限しているということがございまして、今後は赤十字国際委員会を通して慰問品が送れるようにしてもらいたいということも委員会に対して申し入れておったのでありますが、委員会においてもこれを韓国側に交渉いたしまして、原則的にはそれに同意して、赤十字委員会側から日赤に対して、慰問品を送る相談もいろいろしているところであります。
  51. 鹿島守之助

    委員長鹿島守之助君) ほかにどなたか御質疑ございませんか。どなたかございませんか。社会党の方はございませんか……。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十分散会