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1959-10-05 第32回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月五日(月曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員異動 十月一日委員加賀山之雄君辞任につ き、その補欠として森八三一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            村上 春藏君            相澤 重明君    委員            金丸 冨夫君            佐野  廣君            鳥畠徳次郎君            三木與吉郎君            村松 久義君            大倉 精一君            重盛 壽治君            中村 順造君            基  政七君            大和 与一君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   説明員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸大臣官房企    画課長     深草 克巳君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督    局参事官    井上 健一君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    運輸省航空局長 辻  章男君    気象庁総務部長 多田 寿夫君    気象庁予報部長 肥沼 寛一君    気象庁予報部業    務課長     田嶋 節夫君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 敏夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (伊勢湾台風による被害に関する  件)  (昭和三十五年度運輸省関係主要施  策に関する件)  (日本国有鉄道志免鉱業所に関する  件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。十月一日、加賀山之雄君辞任、その補欠として森八三一君が選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) この際お諮りいたします。今次の伊勢湾今風による運輸省関係被害について当局から説明を願います。
  4. 深草克巳

    説明員深草克巳君) 官房長が今衆議院の運輸委員会に参っておりますので、私かわりまして御報告さしていただきます。  お手元に「台風第十五号による交通施設被害状況」というのを配付いたしておりますのでこれに従いまして御説明申し上げます。  これは土曜日の朝現在でございます。その後対策その他については変更があると思いますが、まず国鉄被害につきましては、関西線武豊線、越美南線、紀勢線、名松線、山陰線、篠山線、この第一ページに書いてございますのはまだ開通をいたしておらないところの表でございます。中でも関西線線路冠水のためにどの程度被害か現在わかっておりませんで調査中でございます。武豊線は大体きょうあす開通見込みであります。山陰線も一部については明日開通見込みでございます。そのほかは大体十月の中旬あるいは下旬、関西線に至りましては水が引きませんとわかりませんので、いつ開通できるか見通しが立っておりません。  それから二ページ目に本台風によりまして被害を受けましたが、その後開通いたした線区並びに不通区間数を参考までに掲示いたしてあります。この右の欄の棒が引っぱってあります下の分は、第一ページで申し述べましたものの再掲でございまして、まだ開通していない区間相当多いということを示しております。全部で四十七線区百九十五線区被害を受けまして、一たんは不通になったということでございます。  それから第三ページの十五号台風によります国鉄自動車被害状況でございます。自動車被害は主として道路の決壊による被害が多うございます。調度関係被害と合せまして四千二百四十四万五千円という額に上っております。  それから四ページをおあけ願いまして、私鉄でございますが、名古屋中心といたしましての私鉄が全体で約十一億の被害を出しております。名古屋鉄道名古屋交通局近畿日本鉄道三重交通、福井、東濃、京福、豊橋、遠州、北恵那、三岐、山梨、近江、北丹、京阪で、私鉄関係割合開通が早うございまして、名古屋鉄道の一部を除きまして大体開通をいたしております。そのほか近畿日本鉄道が一部開通見込み不明、それから三重交通の志摩線が開通見込み不明ということでございます。  復旧対策のおもなものとしましては、私鉄関係では、復旧資金融資のあっせん、それから地方鉄道軌道整備法の条文に該当いたしますものにつきましては補助金の交付をいたします。それから第二といたしまして、災害地向け物資運賃減免措置、これは台風が起りましていち早く下部に命令をいたしまして、災害災者救恤用寄贈品、これに対しましては九月の二十八日から十月の二十七日まで一カ月間無賃の取扱いをするようにいたします。それから罹災用物資に対しまして二十八日から十二月の二十七日まで五割引、これは救援物資復興資材その他でございます。  次は船舶関係被害でございますが、従来の台風では船の関係はあまり被害もございませんでしたが、今度は非常に大型の船が乗り揚げ破損その他をいたしておりまして、沈没が四百七十一隻、六千二百十四トン、乗り揚げが四百四十三隻、七万二千二百五十二トン、この中に相当大型の船が入っております。それから破損が千四百二十二隻の一万八千百八十七トン、流失が三百八十八隻の千三百九十九トン、行方不明が五隻の千五百八十八トン、その他が二百八十六隻の三千三百七十一トン、合計で十万余トンの船が沈没乗り揚げ破損流失、行方不明となっております。これに伴います人員被害といたしまして、死者十七名、行方不明五十二名、合計六十九名となっております。それから運輸省海上保安庁船艇被害は下に書いてございますが、十五隻の九百二十一トン、被害が千十八万五千円。その次の六ページでございます。航路標識関係被害としましては総額九千九百万円。そのほか海上保安庁として受けました被害としましては、陸上の通信施設が約三千万円。それから名古屋西防波堤灯台信号所、これは高潮のために浸水いたしまして機能を停止いたしました。それから庁舎関係が約二千万円。職員の被害死亡一名、重傷一名、家族の死亡が二名、海上保安庁関係のものだけでございます。  それから順序がばらばらでございますが、海上保安庁として本災害でとりました措置のあらましを申しますと、あの付近を管轄いたしております第四管区本部の処置としましては、台風の来襲前の二十六日の十二時に第二非常配備体制をとり、十七時に第一非常配備を発令いたしまして、警戒を実施いたしておりました。二十時十五分から二十一時の間、約四十五メートルの強風のために、各部の施設に壊滅的な打撃を受け特に通信機能がとまりましたので、被害把握並びに救難活動に非常に困難を来たしたわけでございます。翌日八時に対策本部を作りまして、災害救助関係機関との連絡をはかって、その後、警備救難に万全を期しております。海上保安庁の本庁の方では、係官の派遣、あるいは他管区からの巡視船航空機などの応援派遣緊急指令をいたしまして現在活躍中でございます。で他地区からの船舶派遣の際に「げんかい」「若草」に、日赤の救援物資並びに警察から依頼のありました機材を積載をいたして、名古屋に急行いたしております。それから「むろと」に海上保安庁関係通信機機材緊急輸送をいたしております。各船舶名古屋到着の模様は、その次のところに書いてある通りでございます。航空機も同様でございます。  現在、巡視船艇及び航空機がどういう活動をいたしておりますかと申しますと、八ページの上の方に書いてございます。巡視船艇が全部で十二隻、航空機が六機、これで伊勢湾渥美湾、三河湾、熊野灘沿岸等において被害状況調査遭難船行方不明者の捜索、船舶乗組員及び乗客の救助被災海面治安維持孤立地帯人員救助救援物資輸送、海上の遺体収容、急病人の輸送等に従事いたしております。十月二日から名古屋—四日市間に巡視船一隻を就航せしめまして、公用のための輸送に当らせております。  次は一般自動車関係でございますが、被害総額二十四億五千七百万円、不通路線の数も相当多数に上っております。そのほか車両施設損害相当大幅なものになっております。特に名古屋地方中心になっているわけでございます。  九ページに参りまして、港湾関係被害状況でございます。各府県別に書いてございますが、被害個所数被害額備考欄におもな港の名・前が掲げてございます。相当港湾関係としましては、東海地方のみでなくてその他の地域被害を受けている。被害個所数から申しますと六百十五カ所、これは同じ港でございましても、こわれた所が二十メートル以上離れております所は別個に勘定をいたしております。従って同じ港で被害個所数が数カ所に上るということもございます。被害額は四十四億三千百四十万円、これは補正予算として費用を要求することとなると思います。中部地区災害対策としましては、港湾関係としまして、三川下流締め切りのため、ポンプ船手配建設省連絡の上、ポンプ船業者に指示をいたしております。それから大阪市所有のディーゼルポンプ船名古屋市に貸すようにということもいたしております。これは締め切りが終りましたら活動を開始すると思います。  それから名古屋地区締め切りのための材料運搬のために必要な曳船、サンパン、小型プリストマン、こういうものにつきましては第二、第三港湾建設局において二日までに手配を完了いたしております。  それから十ページに参りまして、倉庫関係被害額といたしまして、倉庫自体被害額は二億二千四百七十三万円、それから倉庫に入っております荷物の被害が、四十九億六千八百五十一万円約五十億という数字でございます。まだつかっておるところもございますし、倉庫に入っております被害の全体はまだわかりませんで、これよりもっとふえるものと思います。  次に航空施設でございますが、被害総額が千二百七十万円、名古屋航空保安事務所航空無線標識所、それから大阪航空保安事務所東京航空保安事務所、串本の航空標識所のそれぞれの建物通信設備、宿舎、そういったものの損害でございます。  十一ページに参りまして船員厚生施設愛知県、三重県でございますが、全体で二千万円、それから次が観光施設でございます。旅館、ホテル、ユース・ホステル、それからこの被害総額五億一千四百九十五万円、二百四十七件。  最後のベージは気象庁関係被害でございます。新聞でも御承知のように名古屋の気象台の方は相当やられておりますが、全体で二千六百一万八千円という数字でございまして、建物が大部分でございます。これも東海地区のみでなくて、札幌、仙台、東京、こういった所もかなりの被害を受けております。  非常に端折りまして簡単でございますが、十月の三日までにまとめました交通施設被害状況の御報告を申し上げました。
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  6. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは速記をつけて下さい。  ただいまの説明に対して御質疑のある力は順次御発言を願います。
  7. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 ただいまいろいろ貴重なデータを、一応この資料に基いての朗読をただいま拝聴しておりましたが、この本日のデータ数字の、また今後も当委員会において、数字に対しましては何千円ということはあまり必要はないのじゃないかと思います。万なら万というところで、一応一つ各局あるいはまた省内のいろいろの関係方面から出てくるのが、もうてんでんばらばらになっておるということでは、朗読している人すらさっきから非常に、大きな間違いを朗読しておられます。私さっきから二重まるをつけましていろいろ整理をしてみましたが、ほとんど大半が間違っております。これでは聞いている側からいっても何かしら頭にぴんと響きが非常に悪い。五億二千何百万円というのを五千二百何十万円とも言い、あるいはまた三千何百万円を三億何千万円とも読んでいるというような、数字整理の仕方につきまして今後十分御注意を願いたいと思います。同時にまた、このデータに対しましてもあらためてさような錯誤のないように一つ御提出を願いたい。こういう希望を申し上げておきます。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 私も一つ希望を申したいのですけれども、今の報告もけっこうですけれども、私が今期待しておったのは、今次の災害は普通の災害とは違った特質があるのです。そういう今次の災害特質について当局はどういう工合に把握をしているか、そういうことを私は聞きたかったということと、それからこの災害現状に対して当局としては何をやったか、これからどうしようとしているのか、こういうことを報告をしてもらいたいと思っておったのですが、これはあとから一つつけ加えて報告を願いたいと思います。
  9. 天埜良吉

    天埜良吉君 第九ページのところに港湾施設被害状況が書いてございますが、この中には海岸堤防のことがやはり入っているのじゃないかと思いますが、その点を一つお伺いしたいのと、海岸堤防のことについては、波のことその他高潮のことについて一番運輸省が研究をし、やっているはずでございますが、新聞等を見ましても一向運輸省というのは出て参りませんし、このような点についてどういうようなふうな対策をしておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  10. 基政七

    基政七君 私もちょっと関連して御質問したいのですが、十月三日の調査に基いているのですが、その後復旧はまあ着々とやられているはずだと思うのですが、それらの計画と大よその見通しについてわかっている範囲を御説明願いたいと思います。
  11. 中道峰夫

    説明員中道峰夫君) 港湾関係の今次の災害につきましては、名古屋港それから愛知県、三重県その他でございますが、大きな災害を受けましたのはその県関係が多いわけでございます。そこで名古屋港の港湾災害状況岸壁護岸等決壊が若干ございますが、一番大きな問題は、護岸決壊によりまして名古屋の市中に洪水が浸入いたしまして、これが現在まだ排水が済んでおらないというふうなことでございます。それでただいまお話の海岸堤防は、港湾関係で、二十八年の十三号台風のときに建設省建設省運輸省関係では運輸省関係それぞれ海岸堤防復興施設をしたわけでございます。今回これらにつきまして、港湾関係海岸堤防被災状況は、このただいまの資料の中に計上されております。ただ現地が非常に交通通信が十分にまだ回復いたしておりませんので、さらに今後事情が判明いたしますとこれらの数字が追加され、あるいは変更されてくるのではないかと思います。それで海岸堤防につきましては、港湾関係港湾に接続する港湾区域海岸堤防を、現在調査団派遣いたしまして詳細に調査をする手はずをいたしております。できる所から現在もうすでに調査にかかっておるわけでございます。  ここでちょっと申し上げたいのは、名古屋の今回の災害特色といたしまして、愛知県の海部郡あるいは三重県の木曾川の河口地域名古屋の市の南部という方面高潮——異常の高潮でございまして、名古屋港といたしましては有史以来の高潮であります。大体ふだんの水位から三メートル五、六十程度水位が上昇しておりまして、名古屋港の岸壁から見ましても一メートル以上の増水をしておるような状況でございます。それらの潮が市内に侵入し、また海岸堤防あるいは河川堤防決壊をいたしましてそれから海水が侵入する。これが普通の場合でございますと、高潮が去りまして水面が低下いたしますと自然排水が起るわけであります。しかし今次の場合には、海岸堤防あるいは河川堤防決壊いたしましたために、海とその侵入した地域とがつながっておりまして、それらの堤防を締め切らない限りこれらの排水ができないというのが現状でございます。これが今次の災害の最も特色と申しますか、非常な非惨な状況を呈しておる部面でございます。これらにつきまして港湾関係といたしましては、実は所管の問題がございますけれども、そういうことにかかわらず、とりあえず名古屋港の南部につきましては、名古屋港の管理組合の持っております技術陣を総動員いたしまして、ただいま自衛隊とも協力のもとに、庄内川の河川堤防約二百メートルの決壊個所応急復旧をやっておるわけでございます。大体の目標といたしましては、この五日を目標締め切りを一応終わりまして、あす六日から排水にかかる。もともと海面より低い地域でございまして、ふだんの場合でも水がたまりますとこれをポンプによって排水するというような状況でありましてそれらのポンプ排水に対するポンプ手配、そういうものもいたしておりまして、六日から排水にかかって大体十二、三日ごろにはこれらの地域排水を完了する、というふうな準備を中部災害対策本部では立てておりまして、管理組合はそれらの堤防締め切り工事をやっておるわけでございます。それで今の愛知県の海部郡あるいは木曾川の河口付近につきましては、これは建設省直轄河川あるいは愛知県、三重県の関係でございますが、これらにつきまして被災が非常に激甚でございますので、この堤防を締め切るために、どうしても港湾で使用いたしております大型ポンプ浚渫船というふうなものを全国的に動員してこれに投入しなければ、とうていこの締め切り工事早期に完了することはむずかしいということで、私も現地に参りまして建設省と協力いたしまして、全国の浚渫関係業者名古屋へ集めましてこれらの手配をする。また一方大阪、静岡、千葉等の各県が持っておりますこれらの浚渫船動員をいたしましてこれに投入をする、というふうな手配を一応やりましたわけであります。これにつきましては現地電力がなかなかまだ復旧をしておりませんので、どうしても電力を使わないディーゼル式ポンプ船を持っていかなければならない。これが現在のわが国ではそれほど数が多くないわけでございます。大型が現在最近できたのを加えまして二はい、それから中、小型が十くらいでございまして、それらの中でとりあえず使えるものを動員をいたしまして、もうすでに一ぱい活動いたしておりますし他の一ぱいは回航中でございます。なお電力復旧電力関係促進をいたしておりまして、大体の見通しができておりますので、ポンプ船が到着する時分には電気の動力も使えるというふうな事情でございますので、それらを合せましてこれらの締め切り工事に必要なポンプ船は現在のところ一応手配を終了いたしてきたわけでございます。  なおこの締め切り工事につきましては、自衛隊を要請いたしまして、あらゆる技術力、あらゆる方策を講じまして早期に完了をするという方針で進まれておると考えております。   ━━━━━━━━━━━━━
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは次の運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず昭和三十五年度運輸省関係主要施策に関する件を問題といたします。  来年度の運輸省関係施策の主要なものについて説明を願います。
  13. 前田郁

    説明員前田郁君) わが国経済が目下発展拡大の途上にありますことは御承知通りであります。また今後のわが国経済に課せられております要請が、経済構造近代化体質改善とにより、安定した成長を恒常的に続け得る体制を作り上げることにあることも、ひとしく各位のお認めになるところであると存じます。このようなわが国経済の現段階を前提といたしまして、運輸省におきましては、来年度すなわち昭和三十五年度の重要施策を決定するに当って次に申し述べます四本の柱を立てて政策遂行基本的態度といたした次第であります。  第一には、経済発展に先行し得る輸送体制の確立をはからねばならないということであります。かつて神武景気といわれました時代に、輸送力が大きな隘路となりまして、経済の動きに即応し切れなかったいきさつは周知のところでございます。わが国経済における産業基盤の立ちおくれは依然として解決されておりませず、特に輸送力につきましては、今なお慢性的な隘路状態を呈しております。産業基盤強化いたしますることは経済拡大発展基礎要件であることは、申し上げるまでもないところでありますが、特に輸送力のごときは経済発展に先行して整備され、常にある程度のゆとりを維持し得る状態に置かれていることが理想的な姿であると存ずる次第であります。かかる体制を確立するに当りましては、長期的見通しの上に立った輸送需給計画を策定し、各輸送機関の特性とその近代化とを考慮しつつ総合調整を行い、効率的輸送体係を形成していくことを基本として推進して参りたいと存じます。  来年度におけるこの点についての具体的な施策といたしましては、まず港湾整備につきましては、昭和三十三年度より実施いたしております港湾整備五カ年計画を推進いたしますとともに、港湾機能向上をはかり、また臨海工業地帯の開発の促進をはかることを企図いたしております。  鉄道関係につきましては、昭和三十二年度より実施されております国鉄五カ年計画の推進と一般の新線の重点的建設、東海道新幹線の建設工事促進計画いたしております。  自動車輸送の問題につきましては、バストラック路線の秩序ある整備充実自動車高速化に伴う諸対策の樹立及び自動車行政機構充実強化をはかる所存でございます。  次に、都市交通網整備の点でありますが、国鉄私鉄バス等を一体とした総合的整備を推進いたし、大都市交通円滑化をはかりたいと存じます。  内航海運につきましては、船質改善促進いたし、船腹の需給調整を行うとともに、国内旅客船整備に努めることといたしております。  なお船員対策といたしましては、最低賃金制度浸透拡大策を講じ、労働条件向上をはかりたいと存じます。  国内航空につきましては、国内航空路線及び地方空港整備拡充及び国内航空運送事業輸の振興をはかる所存であります。  造船業及び鉄道車両製造業につきましても、これらの事業の健全な発達をはかるために、適正操業量の確保に努めたいと存じます。  以上に要します経費といたしまして、昭和三十五年度における運輸省予算要求額は、一般会計におきましては約五百七十五億であります。このうちには、特定港湾施設工事特別会計への繰り入れ百十九億円及び当省関係機関への政府出資百三十六億円を含んでおります。財政融資希望額につきましては、国有鉄道の分が未決定でありますので、これを除きまして三百四十四億円であります。  基本的態度の第二といたしまして、国際収支改善に寄与するため、貿易外輸出及び船舶鉄道車両輸出をより一そう振興することであります。  わが国経済安定成長をはかるがためには、貿易依存を宿命とするわが国では、国際収支の恒常的な拡大均衡を確保する必要があります。経済成長が速まりますると、輸入が増加いたしまして国際収支が悪化する傾向が往々にして伴いがちであります。このために、商品輸出増大を期することは言うを待たないところでありまするが、海運航空及び観光事業等による貿易外輸出増大をはかることに重要な意義が存しますことを、私どもますます強調いたしたいのであります。  具体的な施策といたしまして、まず外航海運につきましては、船隊構成質的強化をはかりつつ、引き続き外航船舶建造を推進いたしますとともに、海運企業経営基盤強化のための抜本的諸施策を講ずることを計画いたしております。また三国間輸送への進出に対しましては、政府助成措置を一そう強化いたし、あわせて太平洋横断客船建造及び移民船に対する助成を実施いたしたい所存であります。  これらとともに船員対策といたしましては、船員教育の充実強化、外国船への積極的進出及び海外を重点とした船員の福利厚生施設整備を行うことに鋭意努力いたしたいと存じます。  次に、国際航空につきましては、ジェット機時代に即応いたしまして、世界一周を目途とする国際航空路網の拡大強化を推進いたしますとともに、国際航空運送事業に対する助成強化いたし、またわが国国際空港の飛躍的整備をはかることに努める所存でございます。  国際観光の面におきましては、特にオリンピック東京大会の開催を目標として、国際観光客に対する宿泊施設及び国内旅行施設等、その受け入れ施設の拡充整備に万全を期するとともに、諸外国に対する観光宣伝の強化及び観光客に対する接遇の改善を大いに促進いたしたいと存じます。  船舶及び鉄道車両輸出につきましては、海外市場をさらに開拓いたしますとともに、これら製造工場の近代化合理化を促進いたし、製造コストの低減化をはかりたいと存じます。  国際協力の面におきましては特に鉄道、造船、港湾等の分野における技術者の交流及び技術の輸出を、より一そう推進いたして参ることといたします。  以上に要する経費といたしまして、昭和三十五年度における予算要求額は、一般会計におきまして約二百十三億であります。そのうちには、政府出資要求額八十五億円を含んでおります。財政融資希望額につきましては、ただいまのところ外航船舶建造のための融資額が未定でありますので、これを除きまして五十三億円であります。  第三といたしましては、交通の安全を確保し、自然災害を防除し、また海上治安を確保いたしまして、国民生活における福祉向上に、より一そう寄与することであります。およそ運輸機関は国民大衆の日常生活に密接に結びついておりますゆえに、交通事故の防止を中心としたいわゆるサービスを向上することによりまして、それぞれの機能を十二分に発揮できるよう努めたい所存であります。  具体的施策といたしましては、海上交通の安全を確保いたしますために、船舶検査業務を強化いたし、航路標識、水路業務を含みます海上保安業務を拡充整備いたしますとともに、海難審判機能強化して参りたいと存じます。  陸上交通の安全の確保につきましては、鉄道の老朽施設の取りかえ、踏切り施設整備等を考慮し、自動車交通につきましては、人的、物的検査施設整備充実事業監査の強化を重点対策といたし、航空につきましては、航空保安業務の充実強化及び保安施設整備をはかり、安全性の確保に努めることといたします。  さらに地盤沈下等による港湾地帯における災害の防除に努め、離島等僻地における交通施設整備のために、強力な国家助成を行い、地方民生の安定に努めて参る計画であります。  次に気象業務につきましては予報精度の向上、防災気象業務及び基礎的気象業務の整備、気象資料の国際交換施設整備等に鋭意努力を払うことといたします。  海上治安の点につきましては北洋、東シナ海等公海における漁船保護のために、巡視船艇航空機等を増強いたすことを重点といたしまして、治安体制強化をはかることといたします。  以上に要する経費といたしましては、来年度の予算要求額一般会計におきまして百十三億円であります。  第四といたしましては運輸関係科学技術の振興をはかることであります。最近における科学技術の進歩発達は、わが国経済構造近代化体質改善との原動力として作用いたしており、今後わが国経済拡大発展のためには、科学技術の振興をより一そう進めることが現下の急務であると存じます。運輸関係におきましては、原子力の開発利用の伸展と運輸機関の高速化近代化の要請とに対応し、半面これに伴い増大する事故災害の防止を考慮いたしまして、運輸関係の科学技術の振興に鋭意努めることにいたしたいと存じます。  具体的施策といたしましては、原子力船建造のための研究体制整備することとともに、原子力の平和利用の研究を推進して参りたいと存じます。また運輸機関の高速化近代化の要請に対処するため、それぞれ関係分野における技術の開発、試験研究の促進を強力にはかることといたします。  これに要する経費といたしましては、来年度の予算要求額一般会計におきまして約十七億円であります。  以上が運輸省における昭和三十五年度重要施策の概要であります。何とぞよろしく御指導、御協力のほどをお願い申し上げます。  なお伊勢湾台風による当省関係災害は、相当膨大な額に達することは、今まで受けた報告によりましても十分想像のできるところであります。ただいま現地に係官を派遣いたしまして、中部災害対策本部と協力して、応急措置並びに災害調査に当らしめております。その結果、当省の港湾関係等におきましても補正予算をお願いすることとなると思いますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
  14. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの御説明及びそれに関連する事項について、御質疑の方は順次御発言を願います。
  15. 大和与一

    ○大和与一君 今御説明あったのですが、この資料ではおっしゃったこととだいぶ中身が違うわけですが、これに、てにをはをつけただけですな。これを三十五年度にやるわけですが、順番でいきまして大事なのはどことどこを大体やりたいと、こういう御成案がおありになるかお尋ねしたいと思います。これは協力指導してくれといったって全部一ぺんにやるわけにはいかぬのだから、どういう目安をお持ちになっておるか。具体的にどういうものがまず委員会に出てくるのか、そういうものがおわかりでしたら御説明をいただきたいと思います。
  16. 前田郁

    説明員前田郁君) 午後大臣が出席されまして詳しくお述べになると思いますが、ただいま私が説明申し上げましたのは、四つの柱を立てましてそれを重点的に推進していきたい、こういうわけであります。  なおこまかい点は局長その他から御説明申し上げます。
  17. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいま政務次官からお話がございましたが、四つの柱といたしましても第二の鉄道輸送というものに対する関係は、これは国鉄中心でもございましょうが、これに対してお伺いしたいのは、第一に昨年は、前年度予算額として、財政資金として五百五億を出されている、今回は百三億しかのっていない。それから一般会計の概算要求として出しているわけでありますが、私の疑問を持っておりますのは、鉄道の近代化ということを非常に強く推進せられておる、特にこれがまた今わが国産業の基本的な交通施策として非常に重大であるということは、すでに国民全般、経済全般からの強い要請であると私も心得ているわけであります。しかるにこのかねての五カ年計画というものが策定せられて、そうしてこれを力強く推進せられておるようでありまするが、この百三億円あるいはまた前年度予算額として、要求の五百五億円という資金手当で、大体それでよろしいのかどうか。また今回かように少くなっている、これは間違いかもしれませんが、なっているとするならば、一体五カ年計画はどうなっているのかということをお伺いしたいのであります。  第一、要求額は非常に出ていない、資金手当は自己資金で十分にできておるかということであります。私は五カ年計画説明を伺って、間違いかもしれませんが、この計画のうちには、あまりに国有鉄道自体の自己資金、自己収益を基本として改善をするという率が、非常に他の企業者として考えた場合に、非常に多い部分を占めている。ところが一方労働組合その他の労働攻勢あるいはまた賃金水準というものは、どんどん上っているのであります。従って私のその当時疑問を持っておりますのは、かような労働賃金の向上に伴って、果してあの計画通りにいくかどうかということは、初めから非常に心配をいたしておりました。ところが今回の御要求が果してこれだけであるとするならば一体どうするか、昨年資金手当もかようにいたしておるにもかかわらず、これがさらに減っているというところが私はわからない。おそらく計画通りには非常にやっておられることは、たとえば旅客の面におきましても、サービス改善その他電化あるいはまたその他の施設等について、見るべきもののあることは周知の通りでありまするけれども、しかしながら今年からは最も国民の生活というか、産業経済の基盤である貨物に手をつけてやられるということを、国鉄総裁は明言されており、またこれには非常に力を入れるということでありまするが、旅客よりも貨物の施設というものは、人の目には見えないけれども非常に金のかかる問題であります。しかるにこの方面につきまして非常に出ていこうということ、あるいはまた三年前かの貨物輸送の隘路というものを、根本的に打開するための複線施設とか、あるいはまた電化その他の輸送力増強ということについては、着々御計画せられておるようでありまするが、この予算でよろしいのかどうか。あるいはまたそうでなくて、五カ年計画というものは、あれはさらに十カ年計画に手直しをしてやるというお話もちょっと伺っているのでありまするが、その辺のことはよくわからないのであります。もしいずれにいたしましても、やるというためには金の手当ということは、これはもう最大であります。その方がかように出ていないということは、一体どういうことになっているのか、これが私、国鉄輸送の根本的改善あるいは近代化の推進ということの基本に対しての御意見が、急にお変りになったのじゃないかというような感じもいたしますので、この点をお伺いしたい。  第一は要求額ははなはだ少いということの疑問が一つ。その次には五カ年計画を一体どういう工合に推進しておるか。予定よりもずっと進んで四年計画、三年計画で済むというような御計画であるのか。あるいはまたどのくらいおくれておるのか、この進捗度合い。それから十カ年計画、これは私この前だったか、国鉄当局の方々からの御意見で十カ年計画でなければ——五カ年計画の構想では、とうていもう今日の産業の急速なる進展には、間に合わないというようなことを伺っておりましたので、この十カ年計画というものはまだ発表するところまでは至っておらないかもしれませんが、少くともかようなことを目前にしてのこの予算額としては、どうも五カ年計画自身には概算要求額にも全然出ていないという状況でございますので、この点を伺いたいのであります。
  18. 前田郁

    説明員前田郁君) ただいまお尋ねのありましたうちで、百三億円の金のことは、これは政府出資のことでございまして、そのほかに財政投融資が多額に上っております。その額はまだ国有鉄道で検討中でありまして、いろいろこまかいことは国有鉄道の方から御説明申し上げたいと思います。
  19. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 御説明申し上げます。国鉄は最近旅客におきましても、貨物におきましても増加の傾向をたどっております。ことに貨物は三十三年度が低調でございましたが、最近になりまして非常に上昇の率が増加いたしております。それでこれは何といたしましても、やはり輸送力を増加いたさなければならぬという目標のもとに、来年度の予算の要求をいたしております。しかしながらただいまのところでは、予算が監督官庁である運輸省に御提出いたしたのでございまして、大蔵省の個々についての折衝はまだ受けておりませんので、はっきりしたことを申し上げる段階まで至っておりませんですが、来年度の予算といたしましては、五カ年計画相当する工事費といたしましては、総額で約一千四百億を要求いたしております。昨年はこれが九百九十億程度でございましたが、ただいま申し上げましたように、輸送力を急に増強しなければ、刻下の輸送要請に追いついていけないという意味合いで、千四百億円の要求をいたしております。この千四百億円と申しますのは、ただいまの御質問にも一部触れておりましたが、五カ年計画が資金の上でいささかおくれを生じております。ただいま三十四年度までで前半の三カ年が経過いたしたのでございますが、それまでに予定した資金よりも約四百ないし五百億くらいの資金不足が生じております。これを何とか後年度、三十五年度及び三十六年度において回復いたしたいというのが一つと、五カ年計画の原案におきましては、三十五年度は約千二百億の年度割となっております。それにただいまのおくれを取り戻すという意味合いの二百億を加えまして、大体一千四百億円の要求をいたしております。ただしこれは国家全般のワクのうちでございますから、いかような査定を受けるか、これは今後の推移にまたざるを得ないのでございますが、国鉄当局といたしましてはぜひ五カ年計画を達成したい。それには工事費をぜひふやしていただきたい、こういうつもりでございます。ところがこの五カ年計画の資金は一部は自己資金、一部は借金、国家投融資、公募債、利用債その他の借入金でございます。ところがいろいろの情勢に影響を受けまして、自己資金が実は来年度相当減少いたす見込みでございます。三十四年度予算におきましては、資本勘定へ自己資金として繰り入れましたのが約六百億でございましたが、三十五年度は百億見当減るのではないか。かたがたただいま申し上げましたように、工事費はぜひ五カ年計画を遂行するに足るだけの資金を用意いたさなければならぬ、という意味合いからいたしまして借金がふえる、こういう情勢でございます。  ただいまの御質問にお答えいたしますと、国鉄は五カ年計画をぜひ達成いたしたい。それには自己資金が不足いたしますが、これはぜひ国家のカで借入金をふやしていただいて、五カ年計画を満足に達成いたしたい、こういう予算を御要求申し上げている次第でございます。  それからもう一つのお尋ねの新長期計画でございますが、国鉄は最近動力近代化委員会の答申にございまするように、動力の近代化を少し長期をもって検討していかなければならぬというような趣旨もございますし、それから国家におきましても、あるいは新長期計画を企画庁の方で立てられるというようなことも伺っておりまするので、そういうことになりますれば、十カ年計画程度の長期計画を、さらに勘案いたさなければなるまいかと考えております。しかしそれは五カ年計画と食い違うものではございませんで、五カ年計画をのんで、その上で最近におきまする日本の経済発展に歩調を合わせた計画を立てる。五カ年計画をのんで、その上積みを考えまして新規の長期計画を立てる必要が起るのではないかと考えまして、ただいまそちらの方も検討中でございます。
  20. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいま資金関係は財政資金としての手当は調査中で、これに載っていないからというお答えをいただきましたので、いささか安心をいたした次第でございますが、ただいま副総裁のお言葉にもありますように、五カ年計画自身というものが、非常に資金的におくれているということであるなら、これはゆゆしい問題でございまして、ことに五カ年計画自身というもの自体が、わが国産業から考えても、国有鉄道自体のこの近代化はもちろん輸送力につきましても、すでに三年前にあれだけ輸送隘路いってやかましく言われておる状況でもありますので、これにはやはりすべての産業の基盤として、どうしても力強く、かつ現実に実行していくということにならなければならないと、かように考えるわけでございまして私どもは当時の点から考えて、その予算自体が五カ年間で貨物施設でわずかに七十八億だというようなことを伺っておるわけでありまするが、おそらくこれでは最近の荷動きには問題にならないというふうな意味から、今の五カ年計画もさらに修正して十カ年に変えなければならぬということの意にも解せられますし、いずれにいたしましても、もう景気も若干上向いて参っておりますし、数量自体の国有鉄道の来年度の御計画は二億トンの目標であると、かように承知をいたしておりまするが、かようになりますれば、神武景気以上の輸送数量を現実にもう来年度に入ってすぐやらなければならない。かようなものが実際遅々として資金手当の関係からできないとするならば、これは政府も国会のわれわれも大いに協力して、これを実現さしていくということの誠意がなければ、私は、ただいたずらに国鉄を追及するだけでは、これは問題にならぬのでありまするから、この意味において、この予算自体の計画を、御当局は正確に、一つ早急に、最近のこの情勢の上昇傾向にあるものに対する態勢を御調査になり、御計画になって一つわれわれにお示しを願いたい、かように考えるわけであります。  なお、貨物拡充というような問題も、おそらく今回の災害等につきましても、事務的にあるいは技術的に非常に混乱を招くでありましょうが、一般経済傾向の上昇、現に荷動き関係の増加という点に対処いたしましては、今度こそ悪口ばかりを言われないように、一つ態勢を固め計画を固めてやっていただくようお願いしたいと思うのであります。
  21. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  22. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて下さい。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 自動車関係一つだけお伺いしておきたいのですけれども、この三番の自動車輸送という中で、自動車輸送態勢の確立という項目で二千八百万円計上されておる。その下に自動車行政の充実強化というところで百万円、こういう金が計上されておりますし、それからそのあとの方で陸上交通の安全というところで、自動車交通の安全確保というところで四億一千万円という金が計上されておる、こういう関連性について説明をしていただきたいと思います。そして具体的にどういうことをしようとするのかという点について説明をお願いします。
  24. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 自動車輸送態勢の確立強化につきましては、まず第一に基本的な輸送統計の整備をぜひいたしたいと思いまして、その方面の予算二千四百万円の要求をいたしております。そのほかに、高速自動車国道の経済調査についても調査いたしたいと考えておりますが、この「バス及びトラック路線の秩序ある整備充実促進する。」ということに関しましては、バス及びトラックの路線申請が最近非常に多うございますので、それらにつきまして今申しましたような基本的な統計から整備いたしまして、十分な資料を整えると同時にその方針的なことについて考えを確立していきたい。そのためにはこの第三自動車輸送のハにございます自動車審議会、というようなものを設置することを要求いたしまして、この予算が通りました場合には、自動車に関しまする最近の諸種の問題がございますので、それらの自動車輸送のあり方についての諸問題及び自動車行政のあり方について、検討をする方向にいきたいと考えておりますのと、さらに、自動車行政の充実強化に関しましては、現在自動車関係は非常に問題が多うございますし、大体人員と予算が足りないという点に相当根本的な問題があるわけでありまして、機構の拡充をわれわれとしてははかりたいと考えておりますが、その前に実は人員と予算とをもっと獲得して、十分な輸送秩序の確立その他の方針を打ち立てていきたいと考えておりますので、機構の改革については保障部の設置その他を要求いたしておりますが、現在の内局である自動車局の機構をもって行政措置を進めていきますと同時に、私どもが今考えておりますことは、都道府県に所属しております陸運事務所が、現在におきましては仕事がやりにくい状態になっておりますので、これらの点に関しまして現在自治庁その他関係省と、その移管についての折衝を開始しているのでございます。そういう点に関しまして、自動車の行政が円滑にいくような措置を考えていきたいと思っております。  そのほか高速自動車輸送対策の樹立に関しましては、昭和三十七年には高速自動車国道も完成する予定になっておりますので、その上を走ります自動車につきましても、高速対策、これは自動車の機械設備の問題、あるいは輸送方式の問題その他について考慮をしていく。これはもちろん自動車審議会にも諮られて討議されることになると思うのであります。  それから自動車交通の安全確保に関しましては、これは根本的な問題でございますので従来も重点を置いて措置をして参りまして、本年度におきましても相当な予算の増額をみたのでございますが、来年度におきましてさらに自動車検査登録機能強化等を積極的にはかると同時に、自動車運送事業の監査の充実強化もはかりまして既存業者に対しまする監査というものを厳格に実施していきたいと考えております。  そのほかに自動車輸送秩序の確立に関しまして、白ナンバータクシーとかあるいはトラックのもぐり営業とか、そういうものがございますので、これら道路運送法違反の取締りに関して強力な措置を進めていきたい。そのほか自動車事故の防止に関しまして運転者の疲労度の調査とか、あるいはタクシー事業の特別監査とか、タクシー乗務距離の策定に関します資料を収集することについてのデータを集めるような措置を考えていきたいと思っております。  以上がこの二点について触れたところでございますが、そのほかに自動車損害賠償保障制度に関しまして、無保険自動車が現在相当ございます。ことに軽自動車は無保険の率が非常に多くて、三割程度は無保険という状態でありますので、これらに関しましては、積極的に保険をつけさせるような方途を講じたい、という措置のための予算要求をいたしております。これは登録検査の関係関係いたしまして、他の小型及び普通車等検査をいたしております自動車につきましては、相当加入率もいいのでございますが、軽自動車に関しまして保険を積極的につけさせる方法を講じたい。  そのほかバス・ターミナルに関しまして東京の丸ノ内にオリンピック対策も控え——オリンピックがなくても実は今の東京駅の周辺のあのバスの混乱状態ではもう輸送力を増強することができませんので、政府出資八億円を要求いたしまして、バス・ターミナルの特殊法人の設立をはかっていきたいという予算の要求をいたしております。以上が自動車に関しましての御説明でございます。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 私は端的にわかりやすく一つお伺いしたいのですけれども、陸運局並びに陸運事務所関係、この部門には相当人員の増加あるいは施設強化も必要だと思うのですが、そういう部門に対しては人員をどのくらい増加される予定であるか、あるいは予算はどのくらい増額をされるか、それを一つ具体的に説明願いたいと思います。
  26. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今正確な数字を申し上げるのはちょっとあれで、概数で申し上げることをお許し願いたいと思いますが、三百四、五十名程度の要求をいたしております。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 金額にして予算増額はどのくらいになりますか、この部門に投入される金額は。
  28. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今総計をしたものをちょっと持って参りませんでしたので、大至急総計いたしましてお答え申し上げます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 この関係についてはあとからまたいろいろお尋ねすることにして、次に気象関係についてお尋ねしたいのですけれども、気象関係の予算もここに書いてありますけれども、気象関係の方おいでになりますか、きょうは。気象関係について今次の災害にもかんがみて、現在の気象業務についての隘路、欠陥はどういうところにあるか、これを一つ説明を願いたいと思います。
  30. 多田寿夫

    説明員(多田寿夫君) こまかいことは私まだ来たばかりで正確な御返事ができませんですが、一番の隘路は人員の不足という点でございます。まず人間の問題はそれでございますけれども、第二番目におきましては予報精度の向上のために、もう少し何と申しますか、精密な機械を入れるということが第二点。それから第三番目におきましては、むしろこれが一番重要かと思いますけれども、御案内のように気象業務というものは国際的な業務でございますので、国際的な関連において仕事をする。この意味におきまして、国際通信網の整備、この点が大きなもう一つの重要な点でございます。この三つだと思います。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 その隘路、欠陥についてどういうことに予算が組まれておるのですか。
  32. 多田寿夫

    説明員(多田寿夫君) まず最初に、人の方の問題はちょっとあとにしまして、もう少し精密な機械を整備した方がいいという点では、たとえばここでちょっと専門的な言葉になりますが、無線受画装置を現在大まかな点についてはございますが、府県予報部とか各大きな気象台のところにはございますが、それ以外のいわゆる気象台及び通報所にはございません。それを要するに簡単に申しますれば、天気予報図をそれぞれの測候所が受ける模写電送装置でございます。これがまず整備されておりませんので、これを整備させるというふうな問題、あるいは専門的になりますけれども、天気予報をするにはかなり上高層の観測をしなければならない、そういう施設、あるいはもう少し観測点の整備という意味で測候所の新設、あるいは各地におけるもう少し無線ロボットというようなこまかい観測点の整備、こういう点がございます。それからもう一つ最後の国際通信網の整備といたしましては、これはちょっとこまかくなるのですが、先ほど申し上げましたように、われわれの天気予報というのは、この日本だけの天気予報だけではだめでございまして、極東の天気予報ひいては北半球の天気予報という大きな天気予報図というものを作りまして、それをだんだんこまかいデータを加えましてそして各地の予報をする。こういう関係になりますので、まず北半球の天気予報図というものを作らなければならない。これにつきまして北半球を五カ所に分けておりましてその観測する地点は、ニューデリーと東京、ニューヨーク、モスクワ、それからハンブルグですか、この五つが世界の気象できめられておりましてそのうちニューヨークとモスクワとハンブルグは、ハンブルグだと思いますが、その三カ所はすでにそれぞれの担当区域で気象を観測することがきめられております。それでお互いに資料の交換をしておる。ところがニューデリーと私の方の東京にはまだその観測する施設はもちろん十分あるのですが、これをニューヨークヘ伝えるとか、あるいはニューデリーへ伝えるという通信網が整備しておりませんので、北半球の全般的な天気図が作れないという点がございますので、この点を至急に整備したい、この二つでございます。  それから最後の人員でございますが、これは百六十五名、三十五年度の予算で要求しております。  これは何と申しますか、天気予報をします際におきまして、その場合によって御存じのように、いろいろサービスという業務がつけ加わるわけでございます。たとえば端的に申しますと、今度の台風のときに、どういうような状況でくるかというような天気相談所その他の普通の従業員が当然の仕事以外のサービスをしなければならない。これは予算の上では、なかなか認められておりませんし、また要求するのはなかなかむずかしい問題である。今後は、これを何とか認めてもらおうと思うのです。そういう非常に大きな、国民の要求してくる当然不可欠な業務ですね、当然、こちらもサービスをしなければならない。そのために非常に人員が少い。われわれとしても組合あたりより責められておりまして、これを何とか予算の上で獲得して、もう少し働きやすいようにしたいというのがわれわれの念願でございます。百六十五名三十五年度は要求しております。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 これは、気象業務は専門的にわたって、一般の人にはなかなか理解がしにくいのですが、もう少しやはりこういう災害があったチャンスに、気象関係については、一般にわかりやすくPRをしなければならないと思うのです。今度の台風でも、肝心なときに名古屋の気象台の屋根が飛んでしまって、気象観測ができない、あるいはまた風速計も四十何メートルで飛んでだめになってしまう、地震計も肝心の地震のときにはだめになってしまう。肝心なときにだめになってしまう機械は、幾らあってもしかたないということで、そういうような予算を十分取らなければならない。これには、やはりわかりやすくPRする必要があると思う。これは自動車関係のお役所も同じだと思うのです。そういうところがどうもPRが足りないということから、予算が十分取れないという点があるので、この機会に関係の、そういう方面については、十分一つPRをやってもらいたいと思う。  特に、今の北半球の天気図はお話がありましたけれども、たとえば北方定点観測あたりは、かつてたいへん問題になったのですが、最近は、その後さっぱり予算が組まれていない。ただここに気象観測船の新造というものがありますけれども、こういう点については、一体どういう関係になっておるのか、北方定点について、現在どうお考えになっているか。
  34. 多田寿夫

    説明員(多田寿夫君) そのうちの最初の、PRの問題でございますが、これは、まことに私も同感でございまして、多少専門的であるために、また組織上、私たちの方の構成メンバーが非常に専門家といいますか、非常に技術者でございますために、ややそういう点において、私もきわめて痛感した次第でございますので、今後は、名先生の御協力によりまして、盛んなるPR運動をやりたいと思います。  あとの二つの問題につきまして、ちょうど予報部長が来ておりますが、こまかく御説明願えると思います。
  35. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) ただいま大倉先生の御質問につきまして、お答えいたしたいと思います。  全般的のことは、先ほど総務部長から御説明がございましたが、私たちの仕事で、問題は二つございます。一つは技術を向上させていくということでございます。もう一つは、そうやって出した予報なり警報なりを一般に徹底させるという、この二つだと思います。  技術の方は、私ども一生懸命やつておりまして、先年来電子計算機なども入れていただきまして、これについて、一番われわれ困難を感じておりますことは、あの台風などがきますのが、日本の南の海であって、最近気象の警報などが多少向上いたしましたために、それが出ますと、船はみんな退避してしまいまして、その判断の材料となるのは、台風の中に入っていって観測する米軍の飛行機だけでございます。南方定点というのが、一隻ございますが、それもたった一つでございますから、そういうわけで、資料が少いということが一番の難点でございます。しかしこれは、ちょっとお金ではなかなか解決はできない問題で、先ほど御質問のございました定点の問題もございますが、定点一隻に相当のお金がかかります。それをしかし一隻では、あの広い半経五百キロというような台風の中の詳しいことは観測できないのでございます。今後は、おそらく飛行機の問題に移行していくのではないかと思います。で、非常に膨大な予算のことは今申し上げても夢のようなことになりますので、私ども、せめて今使用し得る材料をもっと正確に使いたいということを主として考えております。  それは一番簡単に観測ができますのはレーダーでございます。レーダーですと、先ほど申しました日本の海を、南の海を全部観測するには五百キロの距離の観測ができるレーダーでなければだめなのでありますが、今そういうレーダーはございません。それでまん中辺は、一応もうやむを得ないとして、眠ってしまいましても、せめて三百キロくらいまで近付けたらば、それはレーダーでつかまえるというような方向をとりたい、こう思っております。  それからもう一つは、先ほど、先般の十五号台風についての予報は、比較的世間の方に好評をいただいたのでありまして、私どもほっとしているわけでございますが、しかしそれにつきましても振り返って見ますと、その内容は、非常に私どもは不満足なのでございます。台風が上陸するといった時間よりも約一時間早く上陸しております。そのために風が吹いてくる、雨が降ってくるのも、これも早まっております。それから警報というものは、もちろん重大な災害が起るということを予想して言っているのでありますが、それをもっと詳しく言うならば、一体雨が多いのか風が強いのかというような内容的なことも詳しく言うべきであると思うのですが、そこを詳しく言うだけの技術を私ども持っておりません。技術を持っていないというよりは、むしろそれを刻々つかむ観測がほしいのでございます。それなら、たとえば二十六日の午後から風が強くなって参りましたが、そのころから伊勢湾の沿革で潮が刻々どう変ってくるかという状況をつかんでいれば、数量的にこのくらいの高潮ということが言い得るはずじゃないかと思うのであります。そういうのを現在残念ながら持っておりません。例をあげて申しますと、そういうような問題でございます。  それからもう一つ、第二の問題でございます。私どもでやりましたのは、多少不正確でありましても、これを十分に徹底さしてお知らせすることをやらなければいけない。この点に関しまして、先ほど総務部長から人が足らないということをお話がございました。この理由は、かつての天気予報、あるいは気象の警報というのは、それほど精度が高くありませんでしたために、世間からそれほど問題にされない。従いまして観測をやり、天気図を作る、その作業をやるのに、何人人が要るかということを算定されて今の業務が成り立っているのでありますが、その作業の合間に、十分世間の要望におこたえができた。しかしそれが、今は全然できない状況でございます。非常に問い合せが多くて、やはり専門に電話にかかっている人その他がなくちゃ、これはできないような状況になってきたのであります。しかもそういうのは、今さらなかなか定員というのはむずかしいという状況で、ここが非常に隘路になっています。で、多少ともそれを緩和しようと思いまして、同時送話といいまして、こちらから一人電話をかければ、それが何箇所にでも通ずるという装置も要求してございますが、そういうようなことで今切り抜けようということを考えている次第でございます。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 まあ、時間もありませんが、気象庁の方が、ともすると技術屋が多くて、政治屋がないというせいがあるかしれませんが、予算要求あたりが遠慮がちじゃないかと思います。まあ観測船あたりは、何億円かかるかしりませんが、グラマンの飛行機から比べれば、これは安いです。ですから、要るものはどんどん遠慮なく請求して要求して、そうしてどんどんPRをする。そうしないと、台風は遠慮なしに、毎年、毎年来ますから、ですから、どうか一つ強気になって要求をしてもらいたいと思います。特に人員のごときは、人間は幾らでもおりますから、どんどん一つ、遠慮なく御請求をなさった方がいいと思います。
  37. 相澤重明

    ○相澤重明君 政務次官にお尋ねしておきたいのですが、論文は、大へんよくできました。  そこで、第一の港湾整備について、鉱工業生産の拡大及び国土開発云々ということになっておるわけですが、鉱工業については、どのくらいの今年度は輸入を考えておるのか。特に相手の国との輸入協定等の問題もあるわけですが、私も、今度参議院の代表として東南アジアを回らしていただいたのですが、そういう点から考えまして、まだ港湾整備について、十分とはわれわれ考えられないのですが、とにかく当面政府としては、どの程度のことを考えておるか。それを第一点御説明をいただきたいと思うわけです。  それから第二点の問題は、日本の産業に重大な影響を持つところの石炭鉱業について、政府は、どういう措置をとろうとしておるのか。これは運輸省は、少くとも経済省の中の一部でありますから、そういうものは後刻運輸大臣からお話もあろうかと思うのですか、一応この中で港湾機能向上ということが取扱い貨物量の問題になっておるわけですから、そこで、そういう石炭鉱業については、どういうふうに対策をお考えになっておるか、荷役の問題も含んで、一つ説明をいただきたい。それから第三点は、国鉄輸送の問題と、これは関連をしてお尋ねをしたいりであります。第一の一項の海峡鉄道と新線の建設についてという項がある。これについては国土開発、産業振興、輸送の効率化、まことにけっこうなことである。一応具体的に、どういうことをお考えになっておるか。たとえば北海道の場合、国鉄と北海道開発庁との間で、今、北海道の青函トンネルを考えておるのか、四国トンネルを考えておるのか、こういうような今、海峡というものに対するところの鉄道建設について、どう考えておるのか、そういう点についてお答えをいただきたい。あとたくさんありますから、とりあえず、あまりやってしまうと、お答えかむずかしいから、それだけ一つ答えて下さい。
  38. 前田郁

    説明員前田郁君) ただいまの第一の問題は、これは港湾局長が見えておりますから、こまかいことですから、一つ港湾局長から説明してもらいます。
  39. 中道峰夫

    説明員中道峰夫君) 今の五カ年計画におきます工業材料の輸入計画でございますが、これは通産省の方で計画を立てておるわけでございます。各種目別に数量が上っておるわけでございますが、これは、表がございますので、後刻、表で御説明さしていただきたいと思います。
  40. 相澤重明

    ○相澤重明君 次、さっきの質問を説明して下さい。
  41. 中道峰夫

    説明員中道峰夫君) 石炭の問題は、これは御承知のように、特別会計で、昨年から石炭の積み出し積み上げ港についての整備にかかることになったわけでございますが、最近の情勢で、石炭産業について、いろいろの問題がございます。しかし、港湾関係におきまして、石炭の価格に占める輸送荷役費というものが、非常に重要だということで、そういう点から港湾における石炭輸送についての施設は、さらに一そう重要じゃないかと考えますので、その石炭産業と関連した港湾輸送と、それの荷役の軽減ということで、さらに一そう内容を検討いたしまして、三十五年度の予算に特別会計で計上するという方針をとっておるわけでございます。
  42. 前田郁

    説明員前田郁君) 石炭鉱業に対する措置の問題でございますが、日本のエネルギーの質的変更が行われまして、石炭については、需要が非常に減少しておりまして、政府としては、石炭は安くするという対策とともに、石炭企業態勢に伴うところの失業の問題に対しましても、対策を併行的に研究しなければならぬ、こう考えております。  この間、私、福岡に参りましたが、九団体の陳情を受けまして、それが全部石炭不況に伴う問題でございまして、これもただいま本省において研究しつつあるわけでございます。
  43. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 海峡連絡鉄道についてお答えいたします。  北海道と本土を結びます青函隧道、それから本土と四国を結びます明石及び鳴門海峡の隧道、あるいは橋梁等につきましては、すでに建設審議会において御決定がございましてその調査を進めております。すでに双方合せまして数百万円の調査費を使用いたしまして、目下その調査を進めておる次第でございます。一方、海峡、青函の方は、総工費が、ごく見当でございまするが、約六百億、それから四国の連絡の方は約四百億というような大きな工費でございまして、しかも双方とも、まだ国鉄で経験しないような非常にむずかしい工事でございますので、これは十分に調査をいたしまして、万全を期さなければならぬということで、その調査には相当の予算と技術をお願いいたしておる次第でございます。  三十四年度におきましては、双方合せまして三億の予算をもって調査いたしておりまするが、従来までは弾性波による調査、その他一部ボーリングもいたしましたが、さらに進んで海底の地質調査を精密にいたしますには、まだ二、三年、あるいは数年かかるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  44. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、東海道新幹線の建設についてでありますが、これについては新線建設の利子補給とは別だと、こう思うのですが、それとも、それに含まれておるのか、先ほど金丸委員の御質問もあったように、五カ年計画現状とあわせ考える場合に、果してこの資金手当と、それから計画というものが行われるのかどうか、こういう点について、今までの経過を一つ説明いただきたい。  それから今年度のそういう資金手当ができたかどうか、こういう点を御説明いただきたいと思う。
  45. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 新東海道線のただいままでの経過は三十四年度におきまして三十億の予算をつけていただきまして、そのほかに国庫債務負担行為によりまして六十億だけのワクをいただいておりまするので、それで三十四年度を計画し、実行しております。  お手元にも、資料が提出してあると存じまするが、その資料で「東海道幹線増設工事経過並びに計画概要」というのがございますが、この図で見ますと、東京から大阪まで五百キロメーターでございます。上の線が引いてございます中で、Bと書いてございますのが橋梁でございまして、Tと書いてございますのが隧道であります。その下に全線延長五百キロメーター、橋梁延長五十二キロメーター、トンネル延長六十二キロメーター、田地十万五千アール、うち二万九千アールは国鉄用地と、こう書いてありますが、一アールは、御承知通りに百平米でございまして、大体国鉄で前に東京—下関間の弾丸列車を計画いたしましたときに用地買収をいたしましたのが、現在まだ約三万アール確保しておる次第でございます。  それで、その下の表を御説明申し上げますと、三十三年度におきましては航空測量による全線の調査は終了いたしております。航空測量による分は三十三年度で全部終っております。昭和三十四年度におきましては、先ほど申し上げましたように、三十億の予算とそれから六十億の債務負担行為をつけていただきましたので、それで一部工事に着手いたしました。測量の関係では、すでに七十キロメートル終了で、本年度中に三百八十キロメーターまで精密な測量を完了いたしたい、こう考えております。  それから用地につきましては、試運転線区でございますが、これは大体相模川から丹那隧道までの間、このところをできるだけ早く完了いたしまして、ここで高速度運転その他のいろいろな実験をいたしたい。それの大体試運転線区の用地買収を特に急いでいたしたい、こういうことでございます。  それから新丹那トンネル、これはすでに着工いたしておりまするので、その前後の用地を買収して参りたい。  次には、名古屋付近その他設計の進捗に応じて用地買収を進めて参りたい、こう考えております。  工事の方を申し上げますと、新丹那隧道は八月二十五日に入札いたしまして、この新丹那トンネルは東口と西口と、すでにこの前掘りかけてありますのが、そのままになっておりまするので、それの継続ということで、八月二十五日に両口を双方から掘り進むということで、請負人に入札に付し、現在着手いたしております。  それから次に試運転線区は準備中で、今秋中に着手を予定いたしております。これは、昭和三十六年秋までに完成する予定でございます。  それから3は、南郷山トンネル、新泉越トンネル、これは新丹那よりも東京寄りでございますが、この二つのトンネルに今年度中に着工いたしたいと、こう考えております。  それから三十五年度におきましては、測量として、三十四年度の残りの五十キロメーターの精密測量をいたしたい、用地も、残り全部にわたり買収を進めて参りたい。それから工事も、三十四年度に計画した残りを着手いたしていきたい。ことに大トンネル、大橋梁のような長期の工事期間を必要とするところから、順次着工し、ただいまのところ、昭和三十九年三月までに工事を完成いたしたい、こういう予定でございます。三十五年度におきましては、約三百億の予算を頂戴いたしたい。その内訳は、そのうちの百億を外資導入をしていただけないかということで、目下政府にお願いいたしております。その三百億のうち、百億は政府出資をお願いをし、残余の百億を借入金で手当いたしたい、こういう国鉄限りの考えでございますが、まだ予算の策定の途次でございますので、はっきりは申し上げられませんが、国鉄の意向としては、そういうことで進んでいる次第でございます。
  46. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の御説明では、三十四年度から五カ年計画の東海道新幹線工事の概要が明らかになったわけでありますが、先般国鉄では資金手当として、アメリカに担当者を派遣をしたようであります。その方の結果は、はっきりした決定をしたのでありますか。
  47. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 先般経理局長がアメリカに参りましたのは、他の所用もございましたので、いろいろな意味合いで渡米いたした次第でございますが、その際に、やはり鉄道新幹線につきましても、一応の説明をいたした方がよかろうというようなことで、幸いコネクションもございましたので、一応の説明をいたしたのでございます。しかしこれはまだ外債といたしまして、実は前にまだ国家として懸案の事業関係もございますので、私の方は、まあ予備的な下説明という程度にすぎませんで、もちろん外資導入は、現在はっきりしておる次第ではございません。  しかしながら私どもといたしましては、できるだけ今後の機会も利用いたしまして説明をして、できるだけすみやかに成立できるものなら、早く成立をしていきたいという努力はしていくつもりでございます。
  48. 相澤重明

    ○相澤重明君 さらにいま一点だけ、この点で確認しておきたいと思うのですが、先ほども金丸委員からの御質問の中で、今までの五カ年計画が、まだ十分に行われておらない。従って後半において、かなり無理が生じるのではないかという心配の中に、今の新線建設で資金が十分手当できないと、両方とも非常に混乱を来たすというおそれはないかどうか、こういう点を運輸委員としては、皆さんおそらく非常に関心を持たれておると思う。そういうようなことについて、国鉄当局の努力を一そう必要とすると思うのですが、そういう点についての心配がないかどうか。  それから二つ目は、この東海道線新幹線工事の要員計画というものが出されたわけでございますが、関係組合とも、十分話し合って労働条件については妥結済みである。こうしてあるが、先般本委員会で中村委員からダイヤ改正の問題についての御質問を申し上げ、その際、資料提出を要求しておりましたが、今回出されている資料によりますと、六千三百キロに対して必要な人員は三百七十人程度であるということだけで、以下云々ということになっておりますが、こういうことを考えると、一方においては実際に必要な人員をいわゆる手当ができないで、やはりこの新線建設ということだけで、頭がその方に向いてしまって日常業務というものが、おろそかになりはしないか、ですから端的に言えば、要員計画というものと、この工事というものの計画が、果して一致しているのかどうかという点について心配になる。そういう点について、前回の中村委員の質問に関係がありますから、一つお答えをいただいておきたいと思うのです。
  49. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) まず五カ年計画と鉄道、東海道新幹線の資金手当でございますが、先ほど申し上げましたように、五カ年計画も資金的には四百億ないし五百億近くの投入不足がございます。これは全体といたしましては約六千億のうちでございますが、これを何とか本年度、三十五年、三十六年において回復していただいて、ぜひ五カ年計画を達成いたしたい。ところが先ほども申し上げましたように、いろいろの諸般の関係で、自己資金が計画よりも不足しておりまして、そのために借金がふえるということに相なりますので、相当この資金の調達には各方面、ことに大蔵省、政府の御了解を得なければならぬ。それから新東海通幹線につきましても、やはり政府出資をお願いいたしておりますし、また外債というむずかしい問題もございますので、とうてい国鉄限りの努力では何ともならぬ限度がございます。私どもも、十分資金の手当につきましては、各方面にお願いいたす次第でございますが、運輸委員会といたしましても、ぜひどうぞ御支援をお願いしたい。特にお願いする次第でございます。  それから東海道新幹線に関しまする要員の問題は、お手元に資料を差し上げた通りでございまして、三十四年度上半期には約百八十人、それから下期になりますと、上半期の分も合せまして五百人程度の職員が必要と相なると思いまするが、これは、いろいろ業務上のやりくりを考えまして、必要人員を生み出して参りたいと考えておりまするが、これには、やはり労組の協力がなければならぬということで、先般来、再三組合の方と協議をいたしております。それで三十三年の十二月、それから三十四年の七月、それから三十四年の九月というふうに、再三にわたりまして相談の結果、協定をいたしておりまするが、大体におきまして、その協定の内容につきましては、配置転換やむを得ないような場合には、極力本人の意向を十分尊重する、それから宿舎についての手当を十分考慮する、そのほかにも労働条件の変更につきましては、労使双方で十分協議の上決定するというような申し合せをいたしまして、その線で進んで参りたい、こう考えておる次第でございます。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、自動車局長国鉄と両方ですが、運輸省のこの中に陸上交通の安全ということで、イとして鉄道の安全確保、特に踏切事故の激増に対処して、立体交差化と踏切施設整備。口が自動車交通の安全確保。先ほど大倉委員からも、予算上の中で質疑を申し上げたのでありますが、特に政府において、この踏切の交通事故に対して具体的にどう考えているのか、その一つとして、法律案を提案をする考えがあるのか。第二として、全国のこの膨大ないわゆる事故件数を考えた場合に、まずこの平面交差というものを取り除かなければならぬだろう、こういうことが前回の運輸委員現地視察の中にも、意向が明らかに出ておるわけでありますが、当局として、どう考えているのか、これは自動車関係については自動車局長、それから国鉄関係については小倉副総裁もおりますが、政府として政務次官から、まず立法の問題をどう考えるのか、それから第二の問題としてはこの施設に対する対策、こういうものを、それぞれお答えを一ついただきたいと思います。
  51. 前田郁

    説明員前田郁君) ただいまお尋ねの問題は、ただいま建設省と交渉中でございますから、いずれきまりましたら、また御報告申し上げたい。
  52. 井上健一

    説明員(井上健一君) お答えいたします。  鉄道と道路の交差に関しましては、現在道路法、それから鉄道の建設規程というふうに部分的に、いろいろ規定されておるわけでございますが、私から申すのは何でございますが、現在の立体交差をしなければならないという原則はあるのですが、どういう場合にしなければならないかという、この具体的な基準につきましては、非常にばく然としておりまして、結局現地状況によって関係者と話し合って、立体交差をするというふうな実情になっておるわけでございます。現在それで運輸省といたしましては、この立体交差、それから踏切の保安設備を含めまして、この問題は、道路の問題と、それから鉄道の問題と両方の共通の部面でございまして、両省でよく協議して政府として解決していかなければならぬじゃないかというふうな気持でございまして、その関係で立体交差につきましては立体交差、それから保安設備についても、現在の道路法以外に単独の体系的な立法をいたしまして、それによって規制していこうじゃないか、立体交差に関しては、できるだけ現在の基準を、交通量なり通過列車回数なり、そういうものから換算して、基準をきめてそれでやらせるという方向に進みたいと思っております。  目下、建設省その他自治庁あたり、関係省が、非常に多いわけでございますので交渉中でございまして、できるだけ努力いたしたいと思っております。
  53. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 今、井上参事官からお答えいたしましたように、踏切の立体化につきましては、運輸省の鉄道監督局と建設省の道路局等で打ち合せをいたしておりますが、自動車の事故に関しましては、踏切事故が非常に多いのでございまして、現在の踏切の状態において事故が起った場合には、私どもといたしましてよくその事情を調べて事故警報を出しまして、そのつど業者その他を指導いたしているのでございますが、そのほかに、事故防止を非常に言われました昨年の対策一つといたしまして、自動車運送事業等運輸規則も改正し、自動式が踏切を越えます場合の、たとえばバス等におきます踏切の前での一旦停車、それから車掌の降車誘導というようなことを、運輸規則の中にうたいまして、そういう点でも、事故をなくすように措置をいたしているわけでありまして、十分、その事故の発生原因を究明いたしまして、事故をなくす方向に持っていくという措置を現在いたしております。
  54. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 国鉄の運転事故は、最近非常に減って参りましたが、そのうちで踏切事故だけは、毎年増大いたして参っております。  現在三十三年度におきましても全国で踏切事故がおそらく二千件をこえたと承知しております。一日に、まあ六件くらいはどこかで踏切事故があると  いうことでございまして、これにつきましては、私ども非常に関心を持ち、また残念に思いまして、実は三十二年度に二十二億の特別の予算を考えまして踏切の改善に着手いたしたのでございます。  それには警報機をつけるとか、遮断機をつけるとか、四種を三種にするとか、いろいろな方法をとって参りましたが、やはり抜本的には、立体交差にするにしくはないのでございます。立体交差にいたしますには、道路管理者と費用の負担割合が、それぞれきまっておりまするので、国鉄だけではいたしかねるという点もございます。ここに資料もございます通りに、全国で約三十三カ所のうち、十六カ所くらいは、目下協議中でございますので、運輸省の指導も受けまして立体交差を促進して参りたい、こう考えている次第でございます。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、私が特に自動車局長に、この安全確保の点で、まあ希望したいのは、実は車両構造、いわゆる車体構造と道路の幅員、あるいは高度、こういうようなものがいつも各都市で問題になるわけです。いわゆるトラックが、あまり大き過ぎて荷物を積載したために、鉄道のレールを上げたとか下げたとか、擁壁に当ったとか、ところが一方においては、輸送力はなお増強を要求されているこの時代に、道路の幅員が依然として拡張されない。それがしかも運輸省建設省のなわ張り争い的に考えられる点もあるというようなことであっては、国民こそ迷惑するのであって、やはりこういう点は是正しなければならぬと思うのでありますが、そういうような点は、建設省運輸省との間に、どういうふうに作業というものは進められているのか。  それから国鉄副総裁については、今年度、平面交差を立体交差に若干考えているというお話しでありますが、やはり基本的に、平面交差のために通勤輸送等が非常に困難を来たしている。たとえば一つの例を申し上げると、京浜工業地帯の浜川崎の場合に、南武線から乗り入れの電車の旅客が、線路入れかえ等をやる場合に、平面交差のために遮断機を下されてしまう。そうすると、実際には三十分以上も会社に入ることができない。目の前に会社があっても入ることができぬ。こういうような問題は、各所に見られるわけです。あるいはこの間の池袋、新宿等の問題も、その通りだと私思うのですが、そういう点について、踏切対策についてはよほど真剣に考えてもらわぬといかんと思うのですが、それが一つと、いま一つは、これだけの、二千五百件からの事故件数を見ても、そのうちのいわゆる九九%というものは、実は国鉄の職員の事故でなくして、遮断機を突破して来るとか、横断中の自動車の車類が故障するとか、あるいは自動車類の運転が誤って線路に落ち込むとか、こういうのが九九%なんですね。従って国鉄の職員が、一生懸命にいわゆる交通安全確保のために努力をされておっても、他動的なものによって、こういう事故が起きているということは、この事件の内容を見て明らかになるわけです。こういう点について職員のいわゆる待遇あるいは用員関係というようなものについて、どう国鉄は考えておるのかということ、対外的のやはり踏切に対するいわゆる関心、いわゆる交通安全、こういうようなものについて、どういう措置をとっておるのかということ、この事故件数の中から考えると、他動的なものが非常に多い。こういう点で、国鉄当局のお考えをお尋ねしておきたいと思うのです。  それから自動車局長は、衆議院の方から呼ばれておって、大へんお忙しいようでありますが、いま一点だけ、自動車についてお尋ねしておきたいのは、この三十五年度の計画についてはわかりました。  そこで、先般、重盛委員から、本委員会で御質問がありました駐留軍離職者の対策について閣議了解事項としていわゆるハイタク認可申請の問題があるわけですが、話に聞くと、前回も、私御注意申し上げておいたんですが、業界の方では、非常にこれらの問題について何か力を出しておるように思うのでありますが、果してこの離職者対策というものが、政府できめたものが、そのまま実行されるのかどうか、こういう点が、非常にこれは、今大きな関心を持たれておるわけでありますから、政務次官並びに自動車局長の今までの申請された駐留軍離職者に対する審議の状況、あるいはいつごろそういうものに対していわゆるはっきりした態度が出せるのか、こういう点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  56. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 第一点の、自動車の車体構造等につきましてお答え申し上げますが、車体の構造その他自動車の安全の機構面につきましては、道路運送車両の保安基準という省令に規定してあるわけでございます。自動車に関しましては、保安基準で最大限の大きさなり長さなりを規定しておりまして、そうしてこのことは、国際道路条約というのがございますが、これには、まだ日本としては加入いたしておりませんけれども、この国際道路交通に関する条約というのに、加盟する必要もあり、またその輸出の面から申しますと、自動車バス、トラック等につきましても、国際的な企画を持たなければなりませんので、現在、保安基準に規定しておりますようなところが、大体国際的な基準でありますので、まあ、それをこの際いじることではなくて、むしろ国際的な基準の方に、われわれとしては合わしていかなければいけない。ことに輸出等を増進しますためには、合わしていかなければいけないと考えておるのでありますが、これが道路の現在狭隘なところがあるので、問題が起るわけでありますけれども、建設省と道路構造令の点等について打ち合せをいたしておりますが、その前に、バス等につきましては、安全という面と道路を通り得るかどうかという面につきまして、道路管理者及び地方の都道府県の公安委員会に対しまして、この道路については、こういうバスを通し得るかどうかというようなことをほぼ必要な場合には、一々照会をして、個々の道路について向うの意見をこちらにもらいまして、その意見を尊重して、行政措置をしておるわけでありまして、根本的に申しますと、やはりその道路の改善と申しますか、道路の改良をいたさなければなりませんので、そういう面につきましても、構造令の面と両々勘案しながら、建設省との打ち合せをしておる次第であります。  それから駐留軍離職者につきましては、お尋ねの件は、東京と理解してお答えしたらよろしいかと思うのでございますが、駐留軍関係の人々が集合いたしまして、ハイヤー・タクシー事業東京都の特別区内に申請しておりますものは、関係者が全部駐留軍労務省の関係でありますものが二十件、五百八十両ほど申請がございます。  それから駐留軍離職者が発起人の中にも入っておりますが、その他一部は、普通の民間人が発起人の中に入っておるという関係の申請が十三件、約三百五十両ほど申請をいたしております。  で、個人営業の問題もございますので、それらを全部集計いたしますと、件数にいたしまして七千二百三十七件、二万七千三百六十両が目下申請されておりまして、これに対しまして審査をしておるわけでありますので、閣議決定によりまする駐留軍離職者の優先的な取扱いということに関しましては、われわれは閣議の線を尊重いたしまして、そういう考え方で進んでおるわけでございますが、しからば駐留軍労務者の関係だけ、これら七千二百三十七件のうち取り上げて先に処分するかどうかという点に関しましては、ほぼ全部についての見通しがたちませんければ、処分にへんぱを来たすおそれもあるのではないかということも考えられますので、これらの点に関しまして、いかに措置するかということを東京陸運局とも打ち合せ、さらにこれだけの件数が、非常に多いものですから、何とかいろいろな措置を講じてできるだけ早く処分を進めたいということで、本省の方からも人員相当数、この措置のためだけに、東京陸運局に派遣いたしまして措置をやっておるわけでありまして、現在のところ、駐留軍労務者に関係の事案に関しましては、聴聞は、まずほぼ終りました。ほかの一般のものにつきましては、まだでありますが、駐留軍関係のものにつきましては、聴聞はほぼ終了いたしまして、今後その措置について、全般的な関係ともにらみ合せながら措置を考えていく段階になっておるという状態でございます。
  57. 小倉敏夫

    説明員(小倉敏夫君) 踏切事故につきましては、国鉄職員以外の不注意によるのが多数であるという御指摘でありましたが、国鉄としても、十分注意をいたして第四種踏切は、なるべく第三種に上げていきたい、こう考えております。  しかしながら、何分にも、全国で三万七千の第四種踏切がございますので、これの改善は、なかなか一朝一夕にいかないのでございます。それで私どもは、その第四種踏切につきましては、自動車の方で一たん停止をすれば、ほとんどその踏切事故の救済ができると考えまして、事あるごとに、一たん停車をお願いし、宣伝をいたしております。  それには毎年十月に踏切事故防止運動を開きまして、全国にパンフレット、ポスター等を用意して、一たん停車の励行をするように呼びかけております。そのほか毎年四月または五月に、全国交通安全運動が国家的に開かれるのでございまして、そういう機会も利用して、ポスター、パンフレット等で、一たん停車を要請いたしておるのでございます。  それから次に、踏切看守のことでございましたが、踏切看守は、非常にじみな職責ではございますが、人命を預かる、ことに列車の通過を預かる非常に重要な職務でございまして、それについては、国鉄としましても、十分待遇改善をいたしていきたいと、こう考えております。三十二年度には一級格上げをいたしましたし、また踏切手当の支給も新設いたし、これは、ささいなことではございますが、服装の改善服装がきちんとしておりますと、通行人も言うことを聞いて下さるというようなことも、通俗ではございますが、そういうこともありますので、制服を改善いたしたというようなこともいたしております。  それから最後に、駅の構内、あるいは構内に近接したところで入れかえるために通行者が非常に迷惑をされるという御指摘がございましたが、これは事実そうでございまして、私ども非常に心配もいたし、相済まないと思っております。ただ、これは昔には、あまり支障がなかったのでありますが、最近列車回数がふえたことと、ことに貨物の牽引定数がふえたために、やはり入れかえでは、構内はずれ、あるいは構内の先の方の踏切で入れかえが支障をするということが非常に多くなって参りました。  これにつきましては、やはり立体交差にするより以外に道はございませんので、立体交差の計画につきましても、そういうところをぜひ優先的に考えていきたいと、こう考えております。
  58. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ちょっと関連して。  今、相澤委員からの質問の中で、自動車局長に対する駐留軍労務者の新規営業の問題が出たのでありますが、私は非常に時間が忙しいようですから、これに対して、非常にこまかい点でたくさん意見がありまするが、それは、きょうは省略して別な機会に取り上げたいと思いますが、ただ聞いておりますると、何か、今度新しく許可される一般の新規営業、あるいは個人営業等と一緒に扱っておると、従って、これを切り離してやるというようなことは困難だというように聞えるのですが、御承知のように三年も四年も前から、離職者対策の問題としてどう処理するか、その一環として、一つ自動車の許可というようなことを考えておるというような一つの案が出されておる。  しかもそれは三十二年九月二十四日の閣議で決定されて、これを一つ処理していこうと、かなり推進されておったところへ、たまたま今度の自動車東京方面における二千八百台の増車ということが言われ、その中に折り込まれてしまっておりますね。けれども、たとえば東京陸運局の審議会の自動車輸送審議会が二千八百台をきめたときに、来年の六月三十日までという期限ができておると思うのですが、それを十二月、三月、六月というふうに記憶しておるのだが、三段階ぐらいに分けて処置をしたらどうかというふうな申請もあったというように聞いておるのですが、そういうことをいろいろ考え合せるならば、前の閣議決定等とにらみ合せて、もう少し具体的な方針を陸運局の方に示し、性急にこの問題を処理するということに努力してもらわなければならないのではないかと思いますが、この点、次官の考え方、それから特に自動車局長は、東京陸運局とどんなその後関係をとり、どういう状態になっているかということを、いま一応簡潔でいいですから、御答弁を願いたいと思います。
  59. 前田郁

    説明員前田郁君) ただいまお話の閣議決定の問題でございますが、それは、運輸省としては十分に尊重していかなければならぬわけでございまして今後の処置につきましては、東京陸運局長その他とよく相談しましそして最もいい方法によって解決いたしたいと、こう考えております。
  60. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 二千八百両の増車に関しましては、その増車が決定いたします以前から、駐留軍労務者関係の申請があったわけでございますが、駐留軍関係の労務者の関係の申請がございましても、実はこれは、東京陸運局の自動車運送協議会の答申を得なければ、単に申請があっただけでは、その措置ができなかったわけでございまして、二千八百両の増車の答申がございましたので、いよいよ手をつけるという段階になったわけでございまして、この点は、二千八百両の増車をすべきであるということがきまりましてから、すべての事項が動き出すものであるということを御了解願いたいと思うのでありますが、それによりまして、今、政務次官からお答え申し上げましたように、駐留軍労務者に関しましては、閣議決定の事項もございます。  これによりましてわれわれとしては閣議決定の線を十分尊重して措置をするということで、まず聴聞等につきましても、駐留軍関係の申請を、できるだけ先に審査をするということで措置をしたわけでございますが、その後自動車運送協議会等にも集っていただいて、まあ内部的な意見の交換も、東京陸運局としていたしたわけでありますが、今、先生のおっしゃったように十二月、三月、六月というような三段階に分けて二千八百両の増車をしたらどうかというような意見も、協議会の内部においては、あるいはあったように聞いておるのでありますが、その点に関しましては、この七千二百三十七件、二万七千三百六十両というような膨大な申請が出て参りました現在の段階においては、これらに関しまして、たとえば三段階に分けてやるというようなことは、非常にむずかしさが感ぜられるのでございましてこれらの点に関しましてわれわれが予想しております以上に多く申請が出たものでありますから、それについて、どういう措置をするかということを目下慎重に、輸送増強対策と同時に考えておるわけでありまして、そういう段階でありますが、先ほどから何度も申し上げておりますように、駐留軍労務者に関する閣議決定の線については、十分考慮をして、われわれとしては措置をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  61. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 この問題は、駐留軍の諸君の就職問題も関連しますが、いわゆる都内における交通緩和とにらみ合せて処置していかなければならぬわけです。従って年末も迫ってくるし、車がだんだん足らなくなる、別に白タクとかなんとかいうものが、どんどん増車されるということになってくると、非常に自動車局長としても処理がしにくくなるのじゃないか、この点を一つ考えて、いつごろにできるかという見通しをやはり立てて至急にやってもらわないと、関係者も非常に困りますので、その点の見通しがつけられるかどうか。  それから前田さんは、最近いわゆる政務次官になられたので、この歴史は、あまり御存じないと思いますが、これはかなり古くから問題になった重要な問題でありますので、一そう御研究なさって、一緒くたに処理するということでなく、前々からの大臣、あるいは閣議決定もあることですから、その線を生かして、御努力なさっていただきたいということを、これは御要望しておきます。  見通しはつかぬか、その一点だけ……。
  62. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 現在の段階においては、自動車運送協議会の答申が、来年の六月末までには措置をするようにということでありますので、これが、実は私どもとしては予想しておりましたのは四、五千件のつもりでありましたが、七千件をごえるという状態でありますので、実は、それだけ延びることになりますが、これは、来年六月末までよりか、できるだけ早く措置をしていきたいということで、鋭意努力しておりますので、この点、御了承願いたいと思います。
  63. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 新線建設に関連いたしまして、この予算、資金手当の問題でもう一度お伺いしたいのは、御提出になりました東海道新幹線に対する御計画を拝見いたしますと、三十五年度は三百億、それから三十六年度四百二十億、三十七年度四百九十億、三十八年度四百八十五億、合計一千七百二十五億というようなことになっておりますね、そうすると五カ年計画、これだけを実行するということにいたしましても、実績で示されましたのは、三十二年度で九百八十八億、三十三年度が九百二十八億、約二千億足らずしか、今、実際やってないのじゃないかと思うのですが、三十四年度千八十五億、これは予算に載っておるだけで、これは実績も見通しもおわかりにならないと思いますが、あるいはなっておれば、それを加えることになるのですが、ともかく新幹線と新しい五カ年計画五千九百八十六億円というものと合せて約、目の子八千億円程度になりますね、しかもこれに対しての新幹線の関係は、外債が百億で、これは三十五年度と言われるから、あとどのくらいか、ちょっとこれも知りたいのですが、とにかく借入金百億円ということになる、三十六年から三十八年まで、これを加えますというと、これは相当な額になる。そういうことになれば若干、新幹線ができることによって、従来の施設は、この程度でいいじゃないかという計画変更にもなると思います。  要は八千億に対して、約二千億しか今できていないというようなことで、あと五カ年計画では、ニカ年で二千四、五百億から、場合によっては三千億くらいになるのじゃないかと思いますが、五百億ばかり資金のズレがあると、こういうことですから、かようなことで、これを政府のこういう予算のうちに要求として上げられてただ単なる予算要求だけで、あるいはまた資金手当の要求だけでいったんでは、これはとうてい困難ではないかというようなことが、企業者として考えた場合にも、そういう感じがするわけです。  いわんや五カ年計画の、私の承知するところでは、五割から六割を自己資金及び五カ年内に返済をすべき金で計画されておるという、ここに非常に苦しい、言いかえれば企業からいけば、むちゃなといっては失礼ですけれども、そういう無理がある。これが結局自己資金自体が出るか出ないかという……、国鉄は一方において経営をしておるのですから、労働問題、質金の問題もある、片っぱしからこれは春の河原で崩れていくというようなことになったんでは、せっかくのこの計画なるものが、画餅に帰するということで、これは、次官にお伺いしたいのですが、かようなものについては、資金手当も一つ特別の措置を講じて、たとえば鉄道債とか公債とか、これはもう困難でありましょうが、そういう特別の措置を講ずる意思があるのかないのか、これをお伺いしたいと思うのですが、これが一点であります。  それからもう一つ、これは新幹線の方につきましては、これからでありますから、また後ほどお伺いいたしますが、もう一つ、次に同じ予算の関係で、結局予算前でありまするから一番これが大事だと思いますが、航空関係につきまして、国際航空関係は、大分計画を伺っております。もちろん四、五年後の見通しとして、口日本が、ああいうところで計画されることは、私は時宜を得たものと理解いたしておりまするが、国内関係につきまして、今のいわゆる国内輸送というものについての基本的な考え方は、一体どうお考えになっておるのか。ことにオリンピックを控えまして新幹線でも、それに間に合うようにやろう、道路も間に合うようにやろうということのように、国策がそれを中心としてやられておる際に、国内航空ということは、私はもはや政府としてその基本方針なるものがやはりできて、そうして民間の協力を得るなら得る方法として、あるいはまた政府が、これに対して、どういう補助政策をとるかという問題が、もうちゃんときまっておらなければならぬと思うのでございます。  最近のように国際関係においては、「おそらくジェット時代になてあれだけの御計画を進められれば、私は何も、日本の国際航空がけじゃないのですから、あらゆる各国のものが参りますから、私はそれはいいと思うのですが、一たび国内に入ってのこの国内航空という問題は、最近アメリカあるいは欧州方面をおいでになった方は、皆おわかりと思いまするが、やはり輸送関係、特に短時日の問に、多くの収穫を得ようというようなことで、ツーリストの動き方から考えて、国内航空を利用するということが、ほとんど一般の傾向になっておるのでありまするが、これに対して、今のような乗っても名古屋あるいは仙台へ行くのはどうも、もう命がけでなければ乗れぬ、まあ汽車にしておこうというようなことで、いつまでもおいておくことは、非常に私は日本の恥でもあるし、また実際、国内航空自体についての今考え方について、政府御自身が、これを民間の協力によってやるならやるように、今の全日空自体を強化していくとか、あるいはまた、ほかにいろいろ企業者もおられるようでありまするが、そういうものを一つまとめてどういくかということを、はっきりお考えになって、しかる後に補助その他の関係を国策として取り上げていくということをする必要があるのじゃないかと思われるわけであります。  やはりサンフランシスコ—ロスアンゼルスの間でも、今日において鉄道列車なんというものは、わずかの車両が目に二回しか動かない。あとは皆、国内の航空路というものに主要な旅客の流れというものが変っておる、そういう事実を至るところにわれわれは見るわけでありまするが、日本におきましても、オリンピック、オリンピックといって、それで騒ぐ必要はないといえば、それまででありますが、おそらく仙台であるとか、あるいは名古屋であるとか、大阪は日航がございまするが、かような方面の今の飛行機、新しいのが何か、最近国内用として一台来たようですから、ああいうものを早く強力にやられるような方法を、政府としても、やはり指導あるいはまた計画されて協力される必要があると私は思うわけでありまするが、これに対する根本的な国内航空状況、政策に対するお考えが、どうお考えになるかということをちょっとお伺いしておきたい。  採算関係について日航の現状を見ましても、これは国際線もよろしい、しかしながら、おそらく五年後の、あの計画になれば、日本だけが商売するのじゃありませんから、おそらく相当に困難になるだろうと思いまするが、国内におけるあの日本航空の実績から見ましても、国内においては、非常に安全に輸送されるという体制かできるならば、現に非常に動いておる、りっぱな成績をあげている、でありますれば、今度は、ローカル線においても、かようなものを、もう少し強化していく、そうしてこれに収容していく、そうして、外人あたりの国内輸送についても、よくこの需要に応ずるような体制を三十八年までに作っていかねばならぬと私は考えておるわけでありまするが、これについての運輸省基本的なお考えと、それからこれに対する対処策、お考えになっておりまするこれまでのお考えがありましたならば、お伺いしたい、かように考えております。
  64. 前田郁

    説明員前田郁君) 先ほどお尋ねになりました資金の関係でございますが、東海道新線及び五カ年計画の完成のための資金は、非常に莫大なものでございまして、目下外資導入を極力努力中でございまするが、なお資金運用部資金の増加、鉄道債券の発行増、政府出資というような問題に対しましてあらゆる努力をいたすつもりで考えております。
  65. 辻章男

    説明員(辻章男君) お答え申し上げます。  国内の航空に関しましては、御承知通り全日本空輸が、いわゆる幹線以外につきましては、主要な部分を占めておりまして、その他ローカル的な数社が航空輸送をやっておるわけでございます。  従いまして国内の航空輸送につきましては、全日本空輸が大きな分野を占めるわけでございまして、私どもの基本的な考え方としましては、日本航空がやっておりまする国内の主要幹線、これにつきましては全日本空輸も、その幹線をやらせまして、両者提携のもとにやらしていく。その他につきましては、全日本空輸を中心にやっていきたいというのが、基本的な考え方でございます。  企業の形態につきましては、御承知のごとく、日本航空は特別立法に基きます特殊会社でございますが、私どもは、国内の航空といたしましては、現在の私企業のベースでいいのじゃないか、かように考えております。先ほど全日本空輸の成績もいいじゃないか、もっとローカルもどんどんやっていけばいくのじゃないかという御意見がございましたが、実は遺憾ながら、全日本二空は営業成績としては良好ではございません。大体国内の路線としまして、いわゆる採算ベースに乗りますものは、全日本空輸がやっておりますラインで参りますれば、北海道から東京、それから大阪から土佐航路、そういう二、三の航路でございましてその他の航路は大体採算が悪いのでございます。まあしかし逐次需要もふえつつございますし、また郵便輸送の面で郵便物もふえつつございますので、逐次よくはなりつつありますけれども、現在の状態ではいわゆる採算ベースに乗った経営にはまだ至っていないわけでございます。私どもといたしましては、先ほどもお話がございましたように、昨年不幸な事故も起りましたので、特に航空の安全ということに主眼をおきまして、乗員の養成並びに安全訓練のための助成をしたいということで、来年度数千万円の予算要求をいたしております。で、これがもちろん主眼とするところは航空の安全の確保及びその増進でございますが、ひいては今過渡期にありまする会社企業に対しましても何ほどかのプラスになるのじゃないかと、かように考えております。  なお、オリンピックの外人の国内輸送の問題でございますが、現在そういう事情にございますので、特に今のところ、オリンピックの外人の国内観光についての航空に対する構想というものは持っておりません。この点はなおローマ等の模様も見まして今後検討していきたいと、かように考えております。
  66. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 今お話しの全日空が必ずしも仲びないということですね。これは伸びないというのは、今の状況じゃ伸びませんよ、それは。乗って命がどうなるかというようなことを心配するようではこれは乗りはしません。だからもう少しそれを強化する方法を、民間なら民間でもよろしいからやらして、資金の点なら資金の点で困るならば、政府がこれに対してあっせんをするとか、そういう方向にしてもう少し強力な、言いかえれば、飛行機をもう少し中型にして、そうして安心して乗れるようになれば、必ずこれはもう引き合うに間違いはないのですが、その点がどうも国家としてやはりそこに、民間企業だからといって放ったらかしておくところでは私はないと思う。それで特に北海道のごときにしましても、今度の、外人が来られるなら、何も東京にじっと座り込んでおるわけじゃないのだから、必ずこれは仙台にも行こうし、また北海道も簡単な日時で行けるならば見てこようとか、あるいは名古屋にも降りようとか、大阪それから京都、近畿地方はもちろんのことですね。九州にも飛ぼうというようなことを皆考えるのが、これはわれわれが旅行して外国で当然そう考えるのが人間の情なんですがね。だから必ずこれは私は引き合うと思うのです。そういう工合に今行かないのは、結局今の安全装置とか何とかということを皆さん方が非常に神経質にお考えになるのと同時に、お客さんがやっぱりそういうことを考えておるということで乗らない。だからあれがはっきりもう少し……。双発が必ずしも危いということではないらしいですけれども、一つとまったら落ちるから命がどうなるかということではやっぱりみんな乗らない。だから、同じ小型でも四発ならばだいぶ乗っておるということも聞いておりますし、だからそういうところを技術的に、及びお客さんの理解し得るような方向に改善していくということが大事なんで、これは国の政策として特殊会社の日本航空がやるか、あるいはどれだけの関連を持つか、あるいはまた民間に放しておってそれでやれるのか、こういうところの見通しをつけていただいてやはりこれを指導していくということにしなければならないのじゃないかと私は考えるわけであります。この点いかがですか。
  67. 辻章男

    説明員(辻章男君) 今の御意見ではございますが、ちょっと私ども納得しがたい点があるのでございます。それは全日本空輸に乗ることが命がけであるとかいうようなことがございましたが、これはさようなことは絶対にございませんので、私どもは、先ほど申し上げましたのは、営業成績として非常に成績が遺憾ながら悪いということを申し上げたんでございまして、これは御承知のように、機体の検査及びパイロットの検査の方法、そういうものにつきましては、どこの会社のいかんにかかわらず、私どもの方で厳重に検査し、調査して、それで合格したものだけにそういうことをやらしておるのでございまして、その点これは、今金丸委員が言われましたことが世間に知られますと非常に誤解を招きますので、この点は私はくれぐれもそういうことはないということを申し上げておきます。なるほど昨年全日本空輸は不幸な事故を起しましたので、一般の感じとしてはそういう感じを持たれる向きもありますし、また日本航空と比べますと、会社の企業の規模も小そうございますし、また歴史も浅いものですから、何と申しますか、日本航空に比べて全日本空輸の方が信用度が薄いというふうな、そういう感じもあるかと思いますけれども、実体はただいま申し上げたようなことでございまして、さようなことは絶対にございませんので、この点特に申し上げておきます。
  68. 大和与一

    ○大和与一君 駐留軍の離職者のことでですね、これは閣議決定を尊重するとおっしゃるのだけれども、私も今まで党におってだいぶんそのことに努力をしたのです。ところがあまり尊重していないのがほんとうだ。それで離職者がいくと、まあ書いてあるからそのつもりでおるけれども、実際にはやっていないのですよ。じゃ一体全国で何千くらいやっているか、具体的に教えてもらいたい。  第二に、今度東京で大体しわ寄せになったから大きな問題に取り上げられてきたんですけれども、この場合に資格要件が備わっておれば、一応選考の範囲に入る、こういう程度のことはおっしゃっても差しつかえないと思う。逆にいうと、去年も大阪でいろいろな大へんな問題があった。そのときに駐留軍の名前をかたるところまではいかぬけれども、便乗してあまりりっぱでない申請もあったかもしれない。こういうものは十分検討されているのでありますけれども、今度出ているやつでほんとうに離職者たちが自分の命にかえてこれで生きていこう、こういう閣議決定をにしきの御旗として一生懸命努力している。その資格要件の備わった者については一応選考のワク内には入っていいのじゃないか、こういうことを私はおっしゃっていただいても差しつかえないと思うのですが、その点についてお伺いします。  それからもう一つ航空の話が出たんだけれども、金丸君は全日本空輸に乗っていないかもしれない。私はときどき利用しているのです。航空の安全ということが政府として絶対条件として認めるならば……。実際乗っていないのですよ。日航の方は満員だけれども、全日空に乗ってみると、北海道から東京に来るといつもあいている。だから利用率が少い。安全性が絶対ということも信じたいし、政府も信じているなら、もっと乗るように政府の方でやはり指導助成すると、こういうことにならなくちゃいかん。それに一体金が要るのか、その他の方法があるのか、これはあなたの方で考えてもらうことにして、そういう点を一体どのように考えて指導しているか。あいていますよ。がらがらです。その点を私はちょっと聞きたいのです。その二点です。
  69. 国友弘康

    説明員(国友弘康君) 駐留軍関係離職者の申請に関しまする閣議決定につきまして、閣議決定の線を尊重してやるように通達をおろしております。と同時に、前の前の大臣のときに、電報等を用いまして何日かその優先的な取扱いについては陸運局の方に連絡をとっておりまして、その点については、陸運局としても開議決定というものを十分に了解して措置するようにいたしておるはずでございます。  それから実績に関しましては、東京陸運局で、これはハイヤー、タクシーの免許だけで申し上げます。あとトラックの免許、あるいは整備工場の認証というようなものもございますが、  それらを除きまして、ハイヤー、タクシーだけの免許を申し上げますと、東京陸運局管内で六件、大阪陸運局管内で六件、札幌陸運局管内で一件、新潟陸運局管内で二件、福岡陸運局管内で一件、合計十六件の免許をいたしておるわけでありましてこれらにつきまして優先的な取扱いということについては、私どもとしても考慮するように申しておりますので、その点は十分陸運局としても、含んで行政措置をすることと思っております。  それから資格要件の備わったものについて選考のワク内に入るという御質問の趣旨は、実はちょっと不分明な点があるのでございますが、私ども審査をいたします場合に、道路運送法の免許基準に該当するかどうかということを審査する。これを根本方針にいたしておりますので、道路運送法第六条の免許基準に合致しなければ、これは優先的な取扱いという閣議決定がございましても、まあ問題にされ得ないわけでございますが、この道路運送法の免許基準に該当するかどうかの審査をいたします場合に、閣議決定の線も十分尊重して選考するということになりますので、同じような条件のものが多いような場合には、もちろん駐留軍関係離職者の申請が取り上げられるということになると思いますし、それ以上に駐留軍関係の離職者の申請に関しましては、十分な考慮をして審査をしていくように指導をいたしておりますので、これらの点に関しましては、今後審査の進みますに従いまして、十分な措置をしていきたいと思っておる次第でございます。
  70. 辻章男

    説明員(辻章男君) ただいま御指摘がございましたように、たとえば北海道線をとりましても、日本航空と全日本空輸との乗客数が非常に違うということはおっしゃる通りでございます。これは御承知通り、日本航空はDC4といいます大きな飛行機を使っております。それから全日本空輸はDC3というもので、DC4が約六十名の座席がございまして、DC3は三十名。スピードも従って劣ります。また北海道の航空路に関しましても、日本航空東京から札幌直行でございますが、全日本空輸はローカル育成の意味もございまして、必ず仙台か三沢に、どちらかに降りていくという路線になっておりますので、飛行機自体のスピードが違う上に、そういうところに降りますものですから、約一時間ばかりも差があるというふうな点で、北海道へ行かれる方は、料金が多少、一割近く違うのでございますが、その料金の違い以上に、日本航空の方が便利だということで、そういうふうな乗客の動きになっておるのではないか。私どもはかように考えております。全日本空輸も、そういうことで、何か機種を改善していかなければいけないのじゃないかということで、実はこの十月からコンベア440という双発でございますが、スピードはDC4よりも早い新機種を二機入れまして、この十日から就航することになっております。  なお、将来の問題といたしまして、先ほど申しましたように、私どもは幹線以外は全日本空輸が圧倒的な部門を占めておりますので、幹線につきましても、日本航空と全日本空輸との提携をはかりまして、国内航空の振興をはかっていきたいという基本方針を持っております。それで、来年の五月以降に、今、日本航空が発注いたしておりまするDC8、超距離ジェット機四機が五月から十一月にかけて入ってくるわけでございます。大体これが入りますれば、太平洋の今の路線は全部ジェット化されますし、一部香港にもジェット機の就航ができるという次第でございまして、日本航空の社内の機材の運用から申しましても、また国際航空路におきまするジェット化の傾向からいたしましても、現在使っておりまするプロペラ機の相当数は国際路線では使えないという状態になって参りました。従いまして、それを少くとも相当部分は国内に就航さした方が賢明じゃないかという考えを持っておりまして、日本航空の今使っております飛行機も、私どもの考えといたしましては、一部全日本空輸の方に譲らせまして、譲った後においてなお提携を強化してやっていく。従って、今国内の幹線で使っておりますようなDC3は国内のローカル線の方に回してサービスの改善をはかりたい、かような考えでおります。
  71. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいまの説明でだいぶわかったのでありますが、私は何も今の全日本空輸の方が全く危険で乗れたものではないという悪口を言ったわけではない。これは監督官庁が安全についてはどこまでもお見守りになっておりましょうから、技術的にも寸毫のすきもないと思いますが、ただ一般的に考えて、いわゆる乗客として考える場合の性能といいますか、そういうものがそこにありますから、それを申し上げたようなわけでありまして、ただこの点について私の申し上げたいのは、経営の政策としての基本の考えと、次に予算で御要求になっております国際については東京及び大阪の空港の拡張ですか、それから国内では十二億はかり組んでおるのでございますね、空港の整備、こういうことになっておりますが、これは具体的にどこか、ちょっと伺いたい。それから国内航空の運送事業の補助というのが六千七百万円ばかり組んであるが、これはただ単に安全だけに限っているのか。それとも今のような全日本空輸あたりをもう少し強化して、そうしてほんとうにすべての整備をやらせるような方法を海運その他と同様に政府で考えようとしているのかその点が伺いたかったのだが、前に伺ったのはこれの前奏曲です。これを伺いたい。
  72. 辻章男

    説明員(辻章男君) 航空機の乗員に関する補助の問題でございますが、これは大体私どもとしてのねらいは二つあるのでございまして、一つは先ほどもちょっと申し上げましたが、乗員の養成とそれから現在就航しておりまするパイロットの安全訓練に対する助成でございます。乗員の養成と申しますのは、御承知のように今私どもの方では宮崎に航空大学がございまして、これの卒業生がみなパイロットになるわけでございますが、実はそれだけではなかなか、ことに定期航空に従事しますにはなお不十分でございまして、飛行機によりましては、なお社内で相当な訓練をしなければなりません。これは飛行機を使います以上、相当経費の負担になるわけでございます。そういうものに対します補助。それからすでに国内で一人前のパイロットとして飛んでおります者につきましても、これは私どもの方は年に一回緊急時のための、人が立ち合いまして訓練をいたす、たとえば上空での飛行中にエンジンがとまった場合にはどういう処置をするとか、そういうような緊急時の訓練をいたしますので、それだけ飛行機を遊ばせ、パイロットの訓練も受けなければなりませんので、そういうものに対する補助という形で補助をするわけでございます。これは国から補助をもらわなくても、会社としては当然やらなければならないところでございますので、それに補助をもらうということは、それだけ経理的にはプラスになるということで、先ほど申し上げましたように、国内の航空会社は皆経理的にはなかなかいい状態ではないのですから、経理的にも助成になるという二本をねらって考えております。  それから国内の空港の問題でございますが、来年度予算要求をいたしておりまする国内空港でございますが、これは国内の幹線のところでは福岡と名古屋、これは現在使っております飛行場を多少施設その他に手入れをする程度でございます。それから釧路、函館、女満別、北海道ではこの三つでございますが、離島関係では八丈、種子島、屋久島、伊豆大島、佐渡、福江、これが離島関係の空港。それからそれ以外では内地の空港では広島、以上の空港はすでに手をつけられたものを継続として手をつけていくというものでございます。来年度新規の問題といたしまして、私どもが今考えておりますものは、内地では富山、岡山、秋田、それから北海道におきましては岡珠、この四空港で、来年度から新規として手をつけたいというふうに考えておりまして、以上に来年度の所要の予算として十二億何がしというものを要求している次第でございます。
  73. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 前田さんに一つお願いしておきたいのですが、御承知のように一九六四年度には東京オリンピックが開催される予定です。先ほど金丸さんの御意見の中にもありましたように、もちろん運輸省の機構としてこの中でどうするという問題ではないと思う。しかし、国家的な行事であり、政府はやはりこれに相当強力な態勢で御支持を願わなければならぬ。そうした面から別の角度でお願いに上ることもあろうと思いますが、交通機関に関する運輸省限りにおいては、飛行機の面、今大へん詳しく説明されましたが、特にこれらの点に十分配慮していただきたい。あるいは国鉄で新線を作る場合に、あるいは自動車の拡充強化をはかる場合にも、五年先にはオリンピックが行われるのだということを常に頭の中にお置きになっていただいていることは承知しておりますが、これを契機に日本の運輸行政を刷新していくのだというような角度から取り上げていただきたい、これを一つお願いをしておきます。
  74. 前田郁

    説明員前田郁君) ただいまお話のオリンピック対策の問題でございますが、各省と連絡をとりまして、いろいろな研究をして、ことに運輸省は観光であるとかその他交通とかいろいろな方面に多岐にわたって関係がございまするので、今後できる限りの努力をいたすつもりでございます。
  75. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 午前中の質疑はこの程度にいたしまして、休憩いたします。    午後一時西十六分休憩    —————・—————    午後三時十三分開会
  76. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これから午前に引き続き委員会を開きます。  今月の十日に午前十時から委員会を開きますので、きょうは大臣も四時過ぎから御用があるようでありますから、なるべくそれまでに本日の委員会は終りたいと思います。御質問の方も御答弁の方も、そのおつもりでお願いいたしたいと思います。  伊勢湾台風による被害に関する件を議題といたします。  午前の委員会におきまして、今次伊勢湾台風による運輸省関係被害状況について説明を聞きました。この際、今回の被害に対して当局のとられた措置並びに今後の対策について説明を求めます。
  77. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 伊勢湾台風は、未曾有の被害を生みましたことは、皆さまも御存じの通りでありまして、従いまして運輸省といたしましても、直ちに現地官房長港湾局長、その他関係者を派遣いたしまして、二十九日から中部対策本部に詰めまして、交互に参っておるような次第であります。  その他、鉄道の無賃輸送であるとか、あるいは港湾局長は、直ちに堤防決壊その他を急速に補強するために、万般の手配をいたしまして、浚渫船、機械等、非常に多くを動員すること等でやって参ったのであります。  また、海上保安庁も、海上自衛隊と協力いたしまして、先方においてあらゆる努力を実は払っているような次第でありまして、私も明後日からあちらの方に参りまして、この委員会に間に合うように帰ってくる次第であります。  こまかいことにつきましては、官房長から説明いたさせますが、気象庁のこのたびとりました情報は、割合正確であったということをいわれておりますけれども、なお科学的にもっと気象庁というものを強化して、災害を予防する万全の策を講じなければならない、ということを痛感いたしたのでありまして、先般、科学技術庁の長官である中曽根大臣とも話し合いをいたしまして、先般発表いたしました予算その他の問題を気象庁については考えておる次第であります。詳細は官房長から報告いたさせます。
  78. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) ただいまの大臣の御答弁に補足いたしまして、運輸省といたしまして、災害復旧に対してとりました措置につきまして概要を御説明申し上げたいと思います。  まず、国有鉄道関係についてでございますが、国有鉄道は事故が起りました直後から、これが復旧作業、その他万般の問題につきまして、対策本部を設けて、実施をいたしておるのでございます。けさほど報告をいたしましたように、四十七線区、二百二十一区間不通個所がございましたうち、百九十五区間復旧を見ております。残りは七線区、二十六区間であります。特に関西線、越美南線、名松線といったようなところが現在なお開通見込み不明というような状況でございますが、一部冠水をいたしておりますところは、一般復旧対策によりまして水を吐かさなければならぬという問題がございまするが、いずれにいたしましても、災害復旧には全力をあげておる状況でございます。  なお、これはけさほど報告があったかと思うのでございますが、今回は台風の予報等の的確な把握から、列車の運転につきましては非常に慎重に国有鉄道の方で処置をいたしましたので、この種の台風には在来運転事故が伴いまして、旅客の死傷、列車の脱線等があったのでございますが、今回はそういったことは一件もなかったような状況でございます。  なお、災害の場合にいつもやっておりまする運賃の無賃あるいは五割引きの扱い、これは二十八日から直ちに実施いたしておりまして、これは私鉄関係につきましても同様でございます。私鉄関係につきましては、特に名古屋鉄道近畿日本鉄道、まあそのほかにもたくさんけさほど御報告申し上げましたが、特に大きな被害をこうむっておるのはこの両社でございますが、各社ともただいま自力で極力復旧に努めておるのでございますし、また地区によりましてバスまたは船舶によります代行輸送等も実施いたしておるのでございますが、政府といたしましては、各会社に対しまして災害復旧融資のあっせん、これにつきましては、全銀協に対しまして直ちに監督局からいろいろ手配をいたしておる次第でございます。しかしまた、地方軌道整備法による補助金の交付を考えておる次第でございます。  次に、自動車でございますが、自動は、私も現地へ参りましたのでございますが、非常に災害地で不足をいたしておりますので、これに対しまして近県から応援を出す。特にトラックでございますが、これにつきましては、普通車百五十五台、小型三十八台を静岡県あるいは大阪等の、近回りの被害を受けておりませんところから供出せしめまして、これを遺体あるいは救援物資輸送に充てておる次第でございます。  海運関係につきましての救助作業に対する協力といたしまして、十月二日目から愛知観光汽船株式会社の船を一隻使いまして、名古屋—横浜間の五往復の船の臨時の運転をやっております。また愛知観光汽船及び志摩観光汽船会社から一隻ずつ、二隻を使いまして、名古屋1四日市間、一日四往復で罹災者の輸送に充てさせておるのでございます。  なお保安庁の方といたしましては、名古屋—四日市間に、これは一般輸送ではございませんが、復旧関係のいろいろな人員、資材の輸送のために、巡視船でこれを運航するということをいたしております。海上保安庁は、御承知のように名古屋は第四管区でございますが、第四管区の本部自体も災害を、一メーター五十ばかり、海運局と同じように床上浸水をいたした実情でございますし、また、職員も非常に多数——実は海上保安庁四管本部並びに名古屋海上保安部、それから海運局と、みんな非常に職員も罹災いたしておりますが、保安本部としましては、直ちに災害対策本部を二十七日設けまして、巡視船艇あるいは航空機等を用いまして、いろいろ人命救助、あるいは水の中に隔離されておる格好になっておりますが、そこに対します食糧その他の配給、そういったような緊急の用務に当っておるのでございます。なお、四管区だけでは足りませんので、巡視船艇を他の管区から十二隻、航空機を六機全国から集めておるような状況でございますが、状況によりましては、さらに四管区人員的な応援をいたしませんと、実際の仕事に携わっておられる方も、自衛隊と一緒になりましていろいろやっておるのでございますが、そういうこともただいま計画をいたしておるような次第でございます。  次に、港湾の問題でございますが、被害個所の復旧、特に今回の災害の非常に大きな復旧の問題点は、すでに御承知と存ずるのでございますが、いわゆる干拓地帯が冠水をいたしておるということでございましてこれはどうしても堤防を固めまして、排水をいたしませんと、いつまでたっても水が引かないのでございます。だんだん高潮になってきております。そういう状況でございましてもちろん、各地に被害が大きいのでございますが、特に名古屋から愛知県の海部郡にかけての一帯、桑名の辺にかけましてのいわゆるデルタ地帯が、何と申しますか、一面海になっておるという状況でございまして、これには、どうしても堤防を築いて水を吐き出すという作業が必要なんでございます。今回の災害復旧の緊急な問題としては最大の問題であるといわれておるのでございます。そこで、これにはどうしても強力なポンプ船を全国的に動員して、一日も早くこれをやる必要があるということでございます。仕事から申しますと、在米の官庁の組織というようなものからいいますと、あるいは建設省でやるべきことであるとか、あるいは農林省で農地関係でやらなければならぬとか、あるいは港湾局であるとかといったようなことになるわけでございますが、今回は、名古屋に設けられました中部の災害対策本部で——このようなことはもう一切言っておる状況でない、これは当然のことでございますが、総力をあげて、各省どうこうということでなくてやろうというようなわけでございまして、中道港湾局長現地対策本部に入りまして、建設省、農林省、あるいは各地方の皆さん方とも相談して、現在持っておりますカ、ポンプ動員するということにつきましては万全を期したような次第でございまして、いろいろ場所によってそれぞれの早いおそいはございますが、大体において見通しが立ったということを報告を受けておるような次第でございます。  なお、名古屋港湾につきましては、実は相当被害を受けておりますけれども、一方、これを復旧いたしますことと同時に、瀬戸物の輸出の問題を中心としておりますが、名古屋港をやはり少しでも早急に若干でも使わしてもらいたいという要望がございます。これは、災害復旧の救済とか何とかいう問題よりは、ちょっとあとの問題となりますけれども、名古屋の海連局長の話によりますと、クリスマスに当て込んでアメリカへ向けるようなものが名古屋から出さぬと困るというようなことでありまして、これは今月の八日に、一部分ではございますが、名古屋港湾を使うような手はずにいたして、今それぞれそれの整備をやっておるということをけさ実は報告があったような次第でございます。あわせて御報告申し上げます。  なお、飛行機の関係につきましては、これはけさほどあるいは御報告いたしたのではないかと思いますが、鉄道の不通その他非常に急を要する旅客、医薬品、その他の問題がございまして、日航、全日空等、臨時便を出しましたりして、いろいろ活躍してもらっております。  なお、航空関係、気象関係施設につきまして、いろいろ被害をこうむっておるのでございますが、私どもとしましては、ただいま省内の各部局にわたります損害並びにこれが復旧の経費につきまして、とりまとめをいたしておるような状況でございまして、予備費の支出なり、あるいは普通予算の要求をとりまとめておるというような段階でございます。  なお、最後に、大臣から御説明を申し上げました気象関係の問題につきましては、先般閣議でも問題になりまして、今回の気象庁のとりました措置、これについての御批判ということではなくて、さらに積極的に、これだけの大災害をもっと、もう少しでもとにかく確実に、金をかけてもいいから、予報できないか、予知できないかというようなことでございます。これにはいろいろな問題が実は専門的にあるわけでございますが、レーダーの問題にいたしましても、あるいは電子計算機等の問題、あるいは潮位の観測——今回の災害に関しましては高潮が非常な大きな影響を与えておりますので、潮位の観測といったような点、そのほかいろいろ専門的に、今まで実は気象庁なりあるいは水路部なり、気象研究所なり、そういうところで、こうやるべきだ、あるいはやりたいといったようなことが押えられておった面もあるし、また、もっと新たな角度から考えていかなければならぬといったような問題もあるのでありまして、とりあえず、どういうものがあるかということにつきましては、科学技術庁と私どもも協力いたしまして、とりまとめをいたしておるのでございますが、さらにもう少し具体的に、どうしたら災害の予報と申しますか、予知がより確実にできるかというような点につきまして、急速にこれらの諸対策をまとめて、予算もこの災害に比べますと大した金額でございませんので、お願いをいたすようなことで、今準備をいたしておるような次第でございます。  以上、概略でございますが、対策の概要につきまして申し上げました。
  79. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの説明に対し、御質問のおありの方は、順次御発言を願います。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと伺いたいのですが、今の説明の中で、運賃の割引措置をしておられる、こういうことですが、それは貨物の運賃ですか。
  81. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 貨物の運賃割引でありまして、救恤物資は全然運賃はいただいておりません。復旧物資は五割引き、こういうことでやらしていただいております。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 今度の災害は時期的にも非常に特徴的なものがあってたとえば給料日あるいはその翌日に当っておって、ほとんど金を流してしまっておるという罹災者が非常に多いのですね。こういうふうな際であるから、この前の関東大震災あたりもそういう先例もあるように聞いておるのでありますけれども、市町村長の証明とか、何らかの方法によって、罹災者に無賃乗車等の方法を考慮される余地はないかどうか、お伺いします。
  83. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) ただいま実施いたしております運賃割引の制度は、ただいま官房長から御説明しましたような貨物の面でございます。旅客の面では従来こうしたような事態も少いので、先例があったかないか、われわれもよく知らないわけでございます。よく調べまして善処したいと存じます。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 こういうような未曾有の災害の場合においては、物の面もさることながら、やはり緊急の問題として、罹災者の面についてあわせて考慮してもらう必要があると思います。今度の場合、非常にたくさんな罹災者が、ほとんど現金を流してしまって無一文という状態が非常に多い。こういうような人々の非常に痛切な現地の要望の声としましては、無賃乗車あるいは大幅の割引乗車という措置をぜひとってもらいたい、こういうことを方々で私は聞いてきましたので、特段の一つこの点についての御配慮を願いたいと思うのですけれども、もう一度一つお願いいたします。
  85. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 私現地に参りまして、その後私と一緒に参りました広瀬国有鉄道部長は引き続きおるのでございますが、直後でございましたので、あるいはまだそこまで話が当時出ておらなかったんじゃないかと思っておりますが、広瀬君から毎日午前十時を期して私どもの方へ連絡をもらっておりますけれども、本部ではその話は聞いておりません。ただ一部は、名古屋の支社長もその本部の方へ詰めておりますので、何でも一つ要求があったら言ってくれと言っておりますので、あるいはそういった特に困られた方はやっておるんじゃないかとも思いますが、そういう点、よく調べまして、善処したいと思いますけれども、ただ私どもが参りましたときには、むしろ水の中につかっておるところが非常にたくさんでございまして、名古屋南部、あるいは海部郡とかあの一帯でございます。乾いた所、高台の方へ移ってもらいたいということについてさえも実は反対だと、これをこのまま家をあけて出たのでは困る、早く水を引いてくれということで、非常に殺気立っているような状況でございまして、その後、今月の一日くらいから、いろいろ説得しまして水につかっているところから出ていただく、そういう状況でありまして、今後一つ現地状況連絡をとって善処して参ります。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 今の答弁で、そういう実態に即して善処をするという御答弁があったので、これは非常に大きな期待を持って善処を見て参りたいと思います。  それからもう一つは、ただいま避難の問題についてお話があったのですけれども、それと関連して、交通関係ですね、復旧ということ、とりあえず交通を再開をするということが非常に大事なことのように思うのです。ですから、とりあえず交通を再開をするという方途について何か格段のお考えがおありになるかどうか。交通不能のところを再開をするということ。
  87. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 現在のところ国鉄私鉄とも、水の引いたところにつきましては急速に復旧工事を行なっております。ただ養老線が一部なかなかあきませんで、砂利の採集が養老線が多かったものですから、困っておったわけでございますが、現在養老線もあきましたし、冠水していないところにつきましては逐次復旧工事を実施をいたしております。水につかっておるところは、やはりまだ手のつけようがないわけでございまして、それでも道路があいておるところは、極力自動車局にも手配いたしまして、観光バスを集めまして、バス輸送に切りかえておる状態でございます。また現在ポンプ船で水を吐いておりますので、道路が出て参れば、まずとりあえずはバス輸送というものを急速にやりたいというふうに考えております。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 これは一つ大臣のお考えを聞きたいのですけれども、現地におりますというと、確かに自衛隊の諸君もよく働いて活躍してくれておりますけれども、全般的にいって、もっと自衛隊を投入すべきじゃないかと思うのですが、今細田官房長の方からの話もあったのですけれども、罹災者が避難することをいやがるというのは、家財道具が非常に不安である、盗難にかかったら不安であるという心理が非常に多いのです。ですから、こういう面につきましても、自衛隊に全面的に協力させれば解消すると思う。それを三千人とか五千人とか、六千人とか、ちょびちょびと少しずつ投入していくものですから、効果が集中的に発揮されないといううらみがあるのじゃないかと思う。この際、やはりそういう道路の決壊、橋梁の決壊あるいは通信網の復旧、そういう応急的な措置について、さらにまた擢災地におけるところの治安対策、たとえて言うならば、その広範な地域にわたった冠水地帯、こういう地帯にわたっては自衛隊がその警備に当る。そうして夜になれば、その住民が安心して安全な地帯に待避して安眠をとる。こういう工合にもっと大々的に自衛隊というものを動員する必要があると思うのです。少くとも数万人は動員してやる必要があると思うのですけれども、この点について大臣のお考えを伺いたい。
  89. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 今大倉委員のおっしゃいましたように、全く時宜に適したことに自衛隊が動かなければならぬということは同感でありまして、先般閣議におきましても、赤城防衛長官と話をいたしまして、全力をあげて自衛隊としてはその方面に投入してやるということを申しておるような次第でありますから、現在一万人くらいは動員しておるようでありますが、今御指摘のように水没しておるところから引き揚げないということは、盗難その他をやっぱりおそれるといいますか、未練があるのだから、それをやっぱり安全性を与えてやるということに対して万全の措置を講じたらいいと、こういうふうに思うのでありまして、御指摘のことを内閣にも強調しておきます。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 確かに一万人くらいおいでになるのですけれども、まだ私は足らぬと思う。われわれがかねがね主張をしておるのは、こういう国土の建設なり、こういうところにいろいろ——われわれは国土建設隊というのですけれども、こういうところにそういう指揮系統組織のあるものを投入をしていく、ですから一万人くらいじゃ足らぬと思う。たとえば橋梁の復旧にしましても、昔の工兵隊のやったように、今どういうふうにやるかわかりませんけれども、とりあえず橋梁を架設して交通復旧する。こういうことをやれば、孤立した部落なんか完全になくなってしまう。すぐに交通ができることになる。今舟艇が非常に足らぬと言っておるけれども、これも自衛隊の舟艇を全部動員して持ってくれば、決して足らぬことはないと思う。ですからこの際は、日本の災害であり、応急の全力をあげておると、こう言いますけれども、具体的に実現をしなければ何にもならぬと思う。しかも一日一刻を争うような非常な現地の状態であると思うのです。従って私は、自衛隊というものの持っておる機材機能、すべてのものを投入をする、こういうことを大臣からも特に関係者と協力をして、十分、一刻も早く実現をするようにお願いをしておきます。
  91. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 今御指摘のようなこと、全く同感でありますから、さっそくきょうでもなお一万人——まあとにかくできるだけ投入するということを言っておりますから、御趣旨に沿ってやります。官房長官にも申し伝えておきます。
  92. 大倉精一

    大倉精一君 それから、特に私が現地にずっとおりますと、交通関係では、トラックの問題もありますけれども、路線、道路の復旧というものが非常に大事だと私は思う。早急にやってもらわぬと非常に大きな障害があるのじゃないか。たとえば東海道線はもう大阪に通じませんね。それで中仙道を回っておりますけれども、関ヶ原—米原間が依然として不通である、こういう状態でありますけれども、こういう道路の完全復旧について、これは建設省かもしれませんけれども、トラックの方は運輸省の担当ですから、これについて格段の御努力を願いたい。どういう工合になっておりますか。
  93. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 災害地で非常に問題になりますことは、これはもう申し上げるまでもなく輸送です。国有鉄道の東海道本線が通りましたことで、一番太い輸送路が通ったわけであります。実は中部災害対策本部でも、この問題は非常に大きな問題として、道路の復旧ということは、罹災者の避難、救護、それと並行的な問題、並行的といいますか、それがないと補給がつかないという問題になりますので、道路につきましては、現在は大部分は自衛隊が、主要幹線から計画を立てて、実はいろいろのものが流れてきておる、大きな材木とか家のこわれたものとか、それを拾い上げて啓開をする、啓開といいますか、開く、その努力をするということで、もちろん私も発言をいたしましたのでございますが、これはもうだれも言うまでもないことでございまして、そういった方に重点を置きまして道路はあけようという努力をいたしておりますから、ただ自衛隊の、私が参りましたときは、まだあそこの混成団長といいますか、という人が言っておられましたが、非常に困難だということは、たくさんの機械化部隊が一ぺんに道路にかかるわけにいかない。あけ方は、両側からやっていくとか片側からやっていくしかないので、周囲から取っていくというわけにはいかないので、その点で非常に難渋しておるというお話でありました。これは当然そういうことがあると思いますが、いずれにいたしましても、道路の啓開につきましては全力をあげて対策本部で取り上げるということで着々やっていただいておることと私ども考えております。
  94. 大倉精一

    大倉精一君 一つ全力を尽してやってもらいたいと思うのですけれども、今の自衛隊のお話も、たとえばあそこは臨港地帯でありますから、陸上からたくさんの自衛隊を投入するということになれば交通問題がいろいろあると思うが、幸いここは臨港地帯だから、輸送船でもって入ってきて、あそこで上陸して作業を開始すれば、これはできないことはないと思うので、そういうことも一つ考慮の中に入れておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、気象関係強化するというお話でありますが、きょうも午前中気象関係の予算説明もありましたが、そういうような御決定で今度は一応できた気象関係の予算要求、これは修正要求されるということになりますか。
  95. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) そのように考えております。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 気象関係は、従来ともに災害があるたびに何らかの形でそういう発言があったのですけれども、どうもその結果においては少々のふくらましでもってその場をごまかしておる、こういう関係が非常に多かった。特にきょうも午前中肥沼予報部長から非常に控え目な御発言がありましたが、私は気象関係は、必要なものはどんどん要求したらいいじゃないかと言っておきましたが、大臣もこれはほんとうにその場の言葉だけではなくて、ほんとうに今度は予算の面において気象関係については画期的な一つ予算を組んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
  97. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) これは災害、天災ですけれども、一面やはり人知を働かして防御することを怠ったら人災でありますから、私しばしば大蔵当局にもこの問題をやかましく言っているのですけれども、なかなか大蔵省渋くて財布をあけない。だからこの間もこの問題についてちょうど中曽根君と私とでいろいろ話し合ってああいう案を出しておりますけれども、たとえば電子計算機を一つ据えつけただけでも、方向がわかり、そのために何十億という被害が免かれるのだから、一文惜しみの百失いということをやめて、金を出したらどうかということを言っておりますので、どうぞ一つ私どももやりますので、御援助を頼みます。
  98. 大倉精一

    大倉精一君 歴代大臣必ずそうおっしゃるが、どうもいざとなると工合が悪い、これはこの間も気象関係では大蔵省の主計官を呼んでここでいろいろ質問をしたのですけれども、そのときも主計官が全く自分の主観でもって、まるっきり横暴な答弁に終ったが、どうぞ大臣一つ腰を据えてやって下さい。  それから電子計算機あたりも前から言っていて、やっとあれを取りつけたという格好ですから、どうぞ一つ楢橋大臣、個人免許のあの勇をもって気象関係の方もやって下さい。
  99. 大和与一

    ○大和与一君 大臣にお尋ねしますが、第一に災害の実情が今日では完全場に把握されておるかどうか。その次には、総合対策本部というものがあるということですが、この責任者はだれか、お尋ねします。
  100. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 完全に把握されているとは正直なところ言えないでしょう。おそらくまだ次々と災害が拡大するということで発見されているので、そういうこともやはり科学的にあらゆる整備をしていないというところに欠陥もあると思うのですが、今災害対策の責任者としてやっているのは、益谷副総理がその責任者になってやっております。
  101. 大和与一

    ○大和与一君 私は自衛隊の方はやや統制がとれたと思うのですが、その他の場合にはなかなかなか大臣も経験がおありになると思うのですが、ばく然と集まっているから、横の連絡が、ほんとうの積極的な活動力というものがなかなかうまくいかないのです。ですから、大臣がおいでになるそうですが、その点十分に、総合対策は具体的に、ほんとうの責任者ができるように、その辺を特に御注意いただいて御提案をしてもらいたいと思います。  そこで次の質問になるのですが、今のところではまず人が問題になっているけれども、やがてこれがだんだん家にでも落ちついてきたら、救援物資です、これが大へんたくさん要ると思います。そうするとそれを大阪なり東京なりのそういう業者にあらかじめ手を打っておいて、しかも価格が暴騰しないように、あるいは競争が不当でないように、そういう点まで手を打って当然これはおやりになるのですが、そういう手を打ってあるかどうか。その次は人の問題ですが、どうせある程度の無理は皆承知でやっているわけですが、やはり人間にも限りがあるのだから、それに対して各官庁のアンバランス、いろいろな問題がありますけれども、やはり非常に無理をさせる人に対して、これもある程度の思いやりのある手当を出すとか、そういうことも、これはやはり政府としてやるのだから、当然責任を持ってその点もやっていただきたいと思います。その点について一体どのようにお考えになっておりますか。
  102. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) そういう物価の暴騰、その他不当なる利益をむさぼらないようにするということは、それは手を打っていると思います。また人等の問題も、こういう場合になりますと、ややもすると過重なことをさして、案外めんどうを見ないことが多いのですから、もし私が参りましたらよく注意いたします。
  103. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つ、また気象の問題ですが、太平洋の中で定点というのが二つあるということを、僕は前にこの委員会で聞いております。定点といっても船が動かぬわけじゃない、動いているのですが、けさの予報部長の話では一つだということですが、前より減ったことになるのですが、そうなると太平洋の気象がつかめるわけにはとてもいかぬと思います。一体そういうことは今までよりも気象の予報状況をつかむために状態が悪くなっているのかどうか、それを大臣にお働きしたいと思うのです。
  104. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) それはちょっと……。
  105. 大和与一

    ○大和与一君 説明員でもいいですが、わからなければあとからでもいいです。  ただそれに伴って、前から観測船を作るとか、ずいぶん委員会でも何べんも論議をされて、予算がなかなか通らなかったのですが、現在、一つはアメリカの情報に頼る、あとは太平洋上に定点が一つしかない、これでは遺憾ながら、大臣、やはりさっき言ったように、その辺の点ぐらいは幾つか持つようにしなければ、これは毎年繰り返されるようになるから、予算獲得のためにも非常にお骨折りをいただきたい、こう思うわけです。
  106. 田嶋節夫

    説明員(田嶋節夫君) 定点観測点は以前は北方と南方と都合二点でございました。現在は北方はやめまして南方一点だけでございますが、これも台風の時期だけでございます。それが実情でございます。
  107. 大和与一

    ○大和与一君 それで現在のことはわかったのですが、それじゃ、二つあったってもっともっと船を作ってもらいたい、定点をふやしたい。そのときでもアメリカの協力を得て相当な情報をつかんでおったのです。それが知らぬ間に減ったというのはどういうわけですか。その予算というものがほかの方へ繰り入れられて、より予報をつかむために有利になっているというお話ならわかるけれども、その辺はどうなっておりますか。
  108. 田嶋節夫

    説明員(田嶋節夫君) 定点に関することだけでございますと、これは減ったのは確かに前よりは工合が悪くなっていると思います。ただその後レーダーとか、あるいは米軍の飛行機による観測とか、そのほかいろいろなものがふえましたので、全体として見ますというと、数年前から見れば非常に向上しておると思います。こういう状況でございます。
  109. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 実はその点に関しまして先ほど一般的にいろいろ申し上げましたが、気象庁予算、新しくさらに再検討して要求するという中に、気象庁長官からいろいろな角度から総合的に現在どうすべきかというものが入っておりますから、私どうも技術的な点がわかりませんので、もし必要がありますれば、またあらためて気象庁長官なり、それぞれ担当の方に答えていただきます。そういう点につきましても、今度上げております、この間ざっと概算すると四十億くらい要るという話でしたが、そういう中には入っておりました。
  110. 大倉精一

    大倉精一君 今飛行機の話がちょっと出たのですが、太平洋の観測は、今アメリカの飛行機ですね、全部が。このアメリカの飛行機が、以前はアメリカの軍の必要ということから動いておったのですけれども、今はどうですか、あなたの方の要求において逐次随所に動いておりますか。
  111. 田嶋節夫

    説明員(田嶋節夫君) これはやはり米軍の軍の事情によることが主体になっておると思いますが、台風などが来ましたときに、現場の方から特にこの付近もよくやってくれとか、臨時にここもやってくれというようなことを申し入れますと、これは向うが便宜をはかってくれますが、ほとんどこちらの要求した通りにやっていると思います。迷惑といいますか、特に工合が悪いといって断わられたようなこともないようでございます。
  112. 大倉精一

    大倉精一君 これは以前、私が長官にお伺いしたときには、そういう協力もあるが、しかしながら、要求をしても、やはり軍の必要がある場合にはその要求に応じてくれない、ごうだったのですね。応じられないわけなんです。今気象庁で一番ほしいのは、定点観測の船もさることながら、自分の飛行機がほしい、これが私は非常に大きな要求ではないかと思います。最近においては台風観測ということが非常にウエートが大きくなっておるので、先ほど大臣が、気象庁の予算は獲得に努力すると、こうおっしゃったのですが、この飛行機について、相当大臣の認識を持ってもらうように、あなたの方からも言う必要があるのじゃないかと思うのです。特に大臣にお願いしておくのだが、そういう切望がずいぶん以前からあるのですが、まあこれはグラマンやそういうものを二機、三機節約して、そういう方に一つ回してもらうように、特段の一つ協力をしてやってもらうように、私からお願いしたいと思うのです。
  113. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) ごもっともな御意見で、努力いたします。
  114. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣に、時間がないから簡単にお尋ねしておきたいと思うのですが、今度政府でも異常な台風にする災害に対して補正予算を組むということをいわれておるわけですが、運輸省としてのもう大体の補正予算に対する額というものは、現在精算ができつつあるのかどうか、その点一つ
  115. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) けさほども私どもの方の企画課長から災害の概要については御報告申し上げましたのですが、補正予算につきましては、ただいま取りまとめ中でございまして、もう数日中に取りまとめができるかと思います。
  116. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほども御報告の中で、一番私どもがやはりら心配するのは、非常に悪性な病気が蔓延しておるいうのは、水が引かない冠水地帯、デルタ地帯が非常に多いということでありますが、特にこれは港湾関係あるいは堤防関係というものであると思うのです。そういうところについては、既定の作業の問題もあろうかと思うのですが、やはり災害として特に力を入れなければならぬ問題だと思うのですが、そういう点についても、すべて含まれておると理解してよろしいのですか。
  117. 中道峰夫

    説明員中道峰夫君) けさほど御説明がありました三十五年度の予算要求のほかに、今度の伊勢湾災害につきましは、現在現地地へ調査団派遣して、先ほど申しましたように調査をしております。さらに緊急査定をやりまして早急に被害額の算定をやりますと同時に、この応急の対策とあわせまして恒久対策、これは来年度の台風時期までにある程度のまた補強工事なり恒久対策を進めないと危険性があるということを考えますので、それらもあわせまして早急に応急並びに恒久対策を実施しようということで、現在それらに対する対策なり予算なりを算定中川でございます。それら合わせまして補正予算案を次の通常国会等に提出したいと考えております。
  118. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから港湾局長、今の堤防なり、あるいは港湾関係の水を引かせるのにまだどのくらいの期間で、これが大体水がはけるかというようなことは、まだ見通しは全然立っていませんか。
  119. 中道峰夫

    説明員中道峰夫君) それはけさほども申し上げましたのですが、大体地区に分けまして、名古屋市内の南部、いわゆる南陽町付近一帯というのが今当面する一番重要な浸水並びに排水の……。その次は、その次と申しますとおかしいですが、愛知県のつまり南部、いわゆる海部郡と称する部分であります。それからもう一つは、木曾川の下流地帯、長島、木曾岬、愛知県の桑名一地域、そういうふうな地域が現在浸水をいたしておりましてそれに愛知県だけでも大体四十五万近くの擢災者があるという状況であります。それでこの名古屋市の排水につきましては、けさほど申しましたように、名古屋港の管理組合が直ちに技術力を総動員いたしまして着工し、これには自衛隊動員いたしまして、大体、今明日に締め切り工事を終りまして、直ちに排水作業、その排水に対するいろいろなポンプ、その他の準備は一応それまでに完了するはずでございます。従って大体十二、三日ころにはこの名古屋地区の南、南陽町付近の浸水地帯は一応排水ができるということをきめておりましてそれに鋭意進んでおりますので、そういう見通しでやっております。おそらくそれはできると思いますし、またできなければならぬわけでございますが、そういう線です。それから今の南部海部郡、それから木曾川の河口地帯、これは木曾川の河川堤防がずたずたに実は被害を受けておる。それから決壊個所も非常に甚大でありますし、数も多い。それでこれは短期間にやるという、これはもちろん短期間にやらなければなりませんが、これもけさほど申しましたように、ポンプ船のような、大型の機械力を使わなければとうていやれないということで、現在手配を一応了したわけでございますが、見通しといたしましては、愛知県の海部郡の地帯は大体四十五日を目標にしてやっております。それから木曾川の河口地帯は二、三カ月くらいの目標でやっておりますというようなことでございます。それで、それに対しましてあらゆる技術力、機械力、それから自衛隊動員ということで、全力をあげて現在の最高の技術能力と申しますか、そういうものを動員して、一時でも早くやっていこうということで進めております。
  120. 大倉精一

    大倉精一君 今の報告の中に南陽町という名前があったのですが、あの南陽町は潮どめは不可能であるという工合に開いておったのですが……。
  121. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 不可能ということはございませんので、名古屋市の南部は、けさほど申し上げましたようなことで、今明日に締め切りを終って、直ちに排水を開始することになっておりまして、その不可能というのは、時日を相当要するというわけでございます。今の海部郡なり木曾川のあれま……。
  122. 大倉精一

    大倉精一君 もう一ぺん御調査を願いたいと思うのですが、南陽町の潮どめは非常に困難だという状況であった。あそこには材木がたくさんころがっておって、南陽町は非常にひどいということを聞いておりましたので、その再調査を願いたいと思うのです。
  123. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) けさほども申しましたように、私が直接参りまして、実は昨日まで行っておったわけですが、対策本部に行っておりまして、そういうことを全部やってきておるわけですから……。
  124. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから大臣に、この点は大臣にどうしても御答弁をしていただきたいことですが、国家公務員であるとか、あるいは国鉄職員であるとか、地方自治体の職員であるとか、こういう人たちが非常に多く躍災者になっておる。これは十六国会ですか、当時やはり台風がありまして、政府でも非常に問題になったことでありますが、これらの人たちの俸給、給料というものがほとんどなくなっておる場合が多いと思うのです。これは実際、先ほども大倉委員からもお話がございましたが、そういう場合の非常措置、こういうものは、当然この全体の対策本部で考うべき性格のものであると私は思うのだが、この内閣における運輸大臣としては、運輸関係の職員に対してはどう措置をされたのか、この点を一つお尋ねしておきたいと思うのです。
  125. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) おっしゃる通りの問題でございまして、さっそく各店全部やっていると思いますけれども、私の省だけのことを申し上げますと、給料の繰り上げ支給を直ちに指令いたしまして、なおそれから共済組合からの貸付金でございますが、これを臨時に手当をいたしまして、給料の繰り上げ支給でもなお足らないというようなものについては貸し出しをやる、こういうような方策を実はとっておるわけであります。
  126. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは当時内閣の中においては、たしか議事録を調べてみればわかると思うのですが、四・四・三ですか、この比率で対策を作ったのが前にあったと思うのです。そこで今度の場合のように、これはいかに天災とは言え、実際に個人の罪ではないわけですね。従ってその人たちの生活ということは、これは十分やはり国が全体で考えてやる必要が私はあると思うのです。単に給料の繰り上げ支給というだけでは、この被災者の人たちを私は救済するのは非常に困難である。こう思うので、自治体については、おそらく自治庁もそういういろいろな措置を内閣の中でされると私は思うのですが、運輸省並びに国鉄当局は、これらの被災職員に対する措置というものは、やはりそれだけでは私はあまりにもお粗末ではないかと、こう思うのですが、当面見舞金についてどうされたのか、あるいは今後一定の、今の官房長の言うように、住居を建てる場合の措置はどうなのか、こういう点もやはりお考えを持たれるのが、これは抜本的な対策ではないか、こう思うのだが、運輸大臣、今までの閣議の中でこういう点については触れておらぬのですか、どうですか。
  127. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 閣議の中で、罹災者に対して全般的に救済の道をできるだけ講じようということはありましたが、公務員について特別どうということは私聞いておりませんでしたけれども、閣議では……。
  128. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) ただいま私申し上げましたほかに、公務員の共済組合というのがありまして、罹災者に対する給付があることは、これは当然でございまして、この方の手当をいたしております。  それから今後の日出につきましては、実は今の段階では当面の措置の問題でございますので、これから家をどうするといったような——実際今の被災者の、特に今港湾局長の話されたように、水がまだかぶっておる地帯におきましては、その計画なども立たぬというのが現在の状況でございまして今後住居の対策、その他全般の問題と、公務員の問題、これとあわせ関連させて考えていかなければならぬと思いますけれども、今のところは、応急のそういった措置をとっていき、今後いろいろ考えていかなければならぬ問題だと思っております。
  129. 相澤重明

    ○相澤重明君 その点は私希望を申し上げておきたいと思うのですが、公務員なり、あるいは地方公務員の場合は、一般の躍災者の人ももちろんですが、これは家に帰っておるひまがないくらいに私はやはりお勤めに積極的に挺身しなければいけないと思うのですね。従ってそれぞれの全般的な対策はもちろんですが、各省庁においては、やはりその対策を立てなければ、やはり安心をして従事することはできないと思うのです。おそらく前のときもそうでありましたが、自分の家が流されておっても、実際にはそれを見つつ他の救援活動に従っておるという人が多いのですよ。そういう点は、やはり大臣なり各省庁の人たちがその立場に立ってやってもらわぬことには、私は職員は救われない、こう思うのですが、そういう点については、これは今後運輸大臣に、閣議の中で一つ十分の措置を講じてもらいたい、これは希望を申し上げておく次第であります。  それから、国鉄の総裁がおるのですが、国鉄の方は一体どういうふうな罹災状況になっているか。すでにもう現地からは全部職員の問題については報告はきているのですか、状況はどんなあれですか。
  130. 十河信二

    説明員(十河信二君) 私も昨晩まで実は災害地へ行っておりました。今度の場合は非常に広範な被害を受けておりまして職員の罹災者も二千数百人、それから犠牲者、殉職者が三人、死亡者が昨晩までに十二人、まだ今後なお出てくるかもしれませんが、そういう状態であります。とりあえずの救済手段といたしましては、必要な物資、たとえば夜具であるとか畳であるとかというふうなものを配給いたしますし、食糧品はいろいろなものを配給しております。恒久的な対策はいずれ今後十分に講じまして、職員が不安のないようにいたしたい。  なお、この際一つ申し上げておきたいことは、こういうふうに被害が非常に広範で、予想外に大きかったのでありますが、今申し上げまするように、国鉄職員も相当被害を受けておりますけれども、幸いにして職員の努力によって、お客さんにはほとんど被害者を出さなかった、犠牲者が一人も出ておりませんし、あまりけがしたという報告も出ておりません。この点は現地報告を受けまして私も感激して、感謝していたような次第でございます。
  131. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから大臣ね、先ほど大倉委員からも、官房長説明の中で質問があったのですが、非常災害の場合のいわゆる交通機関の取扱い方ですね。これについては、当面救援のためのいわゆる資材あるいは食糧、必需品等の扱いについては無料であるとか、あるいは五割引きであるというような話があった。しかし緊急避難をさせなければならぬ、こういう場合のいわゆる国鉄人員輸送あるいは私鉄に対する人員輸送、こういうものがこの交通機関に対する非常な大きな問題が私はあろうと思うのです。これは一つ間違えば、その輸送がおくれたために人命をなくする、あるいは物資損害を与える、こういうことになろうと思うのです。そういう場合に、内閣でそういう判断をされた場合に、当然その緊急措置というものがあってしかるべきだと私は思うのだが、今日でもやはり今までの運輸規則なりあるいは省令というものですか、そういうようなもので、五割とか無賃輸送とかいうものを貨物だけをお考えになっておるのか、この点はいかがなんですか。
  132. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 私まだ現地にも行っておりませんからちょっとわかりませんが、ほとんどが集団的に、汽車ですね、あるいは私鉄でもってどっかへ避難させる、あるいは輸送して他の地域に、汽車や電車、そういうものを利用してやらせるというようなことが現在起っておるかどうか、事実上の問題として、地域の情勢からいいますと……。ですから、いずれにしましても前例等の関係もあり、かつまた、いわゆる貨物その他についてもそういうものを考慮してやっておるような状況でありますから、いずれ私があっちへ参りますから、その事態を対策本部長とも打ち合せまして、御趣旨等のこともよく勘案してやっていきたいと思います。
  133. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の大臣の答弁でいいと思うのですが、これは先ほども気象の予報関係のお話もあったけれども、これは三十五キロ、四十キロの台風の吹いているときの措置じゃないのです。そうじゃなくて、事故が起きて、すでに台風によるところの被害が起きて、しかもあのような高潮が進んでくるときに、もう水のふえてくるということは目前にわかるわけです。そういう場合に、今の緊急避難をさせるということは、これはまあ現地におる者の的確な判断の問題だと私は思う。しかし通信線は途絶をしており、おそらく人の連絡といってもなかなかできるものじゃないと思う。そういうときには、やはり地方自治体の場合ならば、先ほども大倉委員のお話があったように、だれが罹災しておるかということは現地の人の、やはり市長の判断とか、町役場の判断とか、現地の鉄道ならば現地の駅長の判断、こういうようなもので適切な措置がとれるというくらいまで、これは緊急の場合はこれは閣議でも考えるべきじゃないか。もしおくれたために、今度の場合あったかどうかわかりませんが、もしそういうことがあるとすると、これは大へんなことであるから、そういう点についても、私はやはり今度の事故についても一応よく御調査をされて、そして大臣のおっしゃるように一つ今後の対策をやはり練っていただきたい、こう私は思うのです。これはまあ大臣の御答弁がありましたから、希望を申し上げておくわけです。  それから気象関係のお話も先ほど来各委員からも全部出るのですが、何といっても、私は実は八月、北海道の現地調査天埜先生と二人で行ったわけですが、どうもやはり力の入れ方が足りない。ですから、この台風のときばかりでなく、一般の問題として考えなければならぬ問題が私は多々あると思うのですが、私は詳しくは時間がないから申し上げませんが、そこで大蔵大臣を私ども運輸委員会で呼んで説明を求めるのもけっこうですが、やはり大臣として、経済閣僚の中で特に運輸交通をあずかる者として、私はやはり積極的な施策というものをこの中で私は今こそ急がなければ、やはり百年の悔いを残すのではないか、こう思うので、大臣の異常な決意を私はこの際披瀝をしてもらいたい、いかがですか。
  134. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 大へんありがとうございます。実は私もおかげをもちまして経済閣僚懇談会に入り込みましたから、御報告しておきますが、運輸大臣になりましてから、気象庁の強化ということは私が非常に取り上げまして、全国ほとんど、私北海道から九州まで参りまして、全部気象庁、測候所をたずねまして実情等を詳しく私は聞いて参ったのであります。ことに気象庁の人たちは、皆さんも御承知のように非常に学者的な人が多くて遠慮深いものですから、私が二、三日前も長官を呼んで、ハッパをかけると言っては何ですが、少し心臓強くいきなさいというくらいなところですから、それだけに大臣が配慮しなければならぬと感ずるのでありまして、今申し上げましたように、私もそういう考えを持っておりますから、こういう機会に災いを転じて将来の幸いにするということに努力いたしたいと思います。
  135. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 今の気象の関係ですが、私委員長と東北を回りましたときに、現地で要請が、レーダーを仙台方面にぜひともお願いしたいという現地のお話がありまして、直ちにこちらに帰りましてから政府当局にそのお話をお伝えしたわけですが、そのときに、広島が今度はできるから、広島ができたならばその次にやるから、予算には組まないというようなお話を聞いておりましたのです。これはこの台風の前なんです。それはレーダーということになればそう非常にたくさんの予算が要るわけでもないのだから、これは一つ両方とも要求をぜひしたらどうかということを申し上げておきましたのですが、これなんかは、今度は組んでおりましょうかどうでしょうか、こういうものこそ考えないと……。もうさっそくその実際ができてきたわけです。
  136. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) レーダーの問題につきましては金丸先生からそういうお話がございました。ただいま大臣から申し上げましたような点もございまするし、また在来の予算というようなことで考えるのでございますから、そういうことをお答え申し上げたと思うのですが、今回の災害にかんがみまして、いろいろ今まで実際はやりたくてもやれないというような問題を総ざらいしたというようなことでございますから、仙台のレーダーにつきましても、気象庁でレーダーの要るところは一切この際お願いしたいということで出しております。
  137. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御発言もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。   —————————————
  138. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 国有鉄道の運営に関する件のうち、志免鉱業所に関する件を問題にいたします。  まず、その後の本件に関する経過について十河国鉄総裁から説明を願います。
  139. 十河信二

    説明員(十河信二君) 志免炭鉱の問題につきましては、すでに御承知のように本年一月運輸大臣の指令を受けまして指名競争入札にいたすことになっておったのでありますが、その後、御承知のような事情でだいぶおくれました。去る九月二十三日に三井、三菱、住友の三社に対して、指名入札するから入札をしてもらいたいという通知を発送いたしました。ところが、九月二十五日にまず三井から、会社の内部事情のために、せっかくだが、遺憾ながら入札に応ずることをいたしかねる、辞退するという通告がありました。越えて二十八日に住友から、二十九日には三菱から、石炭事情の異常な革命的の変転が予想外に深刻なので、志免炭鉱を譲り受けても経営について自信を失っておるから、遺憾ながら入札は辞退させてもらいたいという通知があったのであります。  私どもといたしましては、志免炭鉱は単独では寿命がほぼ尽きかかっておるように思いましたが、隣接鉱区を総合的に開発をすれば、ある程度までこの寿命を延ばすことができ、従業員に対しても安定した職場を提供することができるのじゃないかと考えまして、石炭事情の悪化については相当程度見通しはつけておりました。急いで総合開発を進めたい、こう思ってやって参りました。その私どもの見通し相当甘くて、石炭事情は非常な深刻な場面に逢着いたしておるように思います。この指名競争入札というものはできなくなった。根本的にやり方を、考え方を変えなければならぬという場面に立ち至りました。この事情はひとり志免炭鉱だけでなく、日本の炭鉱業全体に関する重大問題であります。業者の方でもいろいろと対策を考究されましょうし、政府においても対策を樹立せらるることと存じます。私といたしましては、でき得る限り国の犠性も、従業員の犠牲も最小限度に食いとめ得られるような方法はどうすればいいかということをただいま研究さしております。いずれ、政府あるいは業界の対策ともにらみ合せまして、基本的の処置をきめたいと、こう考えておる次第であります。
  140. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 今、十河総裁が報告された通りでありますが、私が十月の二日に指名入札の目をきめました後に、国鉄におかれて今申されたような手順をとられましたが、三菱が最後に断わりまして、結局、指名競争入札という一月十日の永野運輸大臣がやりました決定は不可能に陥ったのでありますから、閣議において、私がその事情報告を申したのであります。従って、これは白紙に返って、新たな観点から志免問題というものを考えなければならない段階にきたということを報告をしておいたのであります。  一方、国鉄総裁から詳細な報告を受けましたが、私といたしましては、国鉄それ自身がそういう段階になった以上は、志免問題をどういうふうに今後考えるか、案を立ててもらいたい、それを持って見えたときに、客観的情勢をもって私が判断をするということを申しておいたのであります。  ただ、今日の段階に至りましては、組合側も国鉄側もこの冷厳なる事実、三つの会社が指名入札を辞退するという山の性格等を十分に考え、かつまた客観的情勢が、エネルギー源の大きな革命的変化によって炭鉱界がこういうような事態に急速にきたということが、また一つの三菱が辞退する大きな要因となっておりますし、また一面からいえば、この長い間の阻止運動等の闘争が一つの要因となっていることは、一つの見のがすことができないことでありまして、しかし、過去のことを言っても仕方がないので、現実にこういう事態になった以上は、国鉄当局と組合側とほんとうに腹を割って、共通の基盤に立って、最小限度に被害をといいますか、損害を食いとめ、最小限度に、犠牲者を出さないような方法によってこの問題の打開の道をつけるようにして案を持ってきてもらいたい、こういうことを言っておる段階でありまして国鉄当局におきましても、いろいろな諸点を今勘案していろいろと工夫しておって、その案を練っておるところだと私は思っております。
  141. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの御説明に対し、質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  142. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣、そうしますと、今の大臣の報告はわかりました。そこで、政府は全般的なエネルギー対策というものを三十五年度の中でお立てになる。もちろん、その中には労務対策というものもあると思います。そういうことについて、閣議ではすでに三十五年度の予算の中に御考慮されておるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  143. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 池田通産大臣の方で、この非常な炭鉱界の一つの大きな不況と申しますか、転換期にきておるために、一体どういう石炭対策を立てるか、これから出てくる労務者をどうするかというような問題につきましては、内閣においても労働大臣及び通産大臣等において、この問題と今真剣に取り組んで、一つ対策を立てつつあるのでありまして、おそらく、切迫した問題でありますから、この予算の上にもその問題を表現してくると思うのですが、まだ具体的なことは出していません。
  144. 相澤重明

    ○相澤重明君 十河総裁にお尋ねしておきたいのですが、今の御報告と、それから運輸大臣の御報告の中で、この今日の冷厳な事実の中に、当局も組合もほんとうに腹を割って一つお話し合いの上に善後策を講じよう、こういう御趣旨だと、私は大臣の今のお話を承わっておったのですが、十河総裁としては、今後そういうお考えに立っていくのかどうか。この点を一つお答えをいただきたいと思うのです。
  145. 十河信二

    説明員(十河信二君) もちろん、今後まあいかなる対策が立つかわかりませんが、よほど思い切った対策を立てなければならぬことと考えております。従って、経営者も労働者もともに真剣になって考えていかなければならぬと、そうして協力してもらわなければならぬと、こういうふうに考えております。
  146. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ十河総裁のことだから、今の御答弁で私も大体了承できると思うのですが、ただ心配されるのは、ただ話をすればいいというだけではないと思うのですね。やはりこれらの善後措置については、ほんとうにお互いが誠意をもってやらなければ、この問題はやはり解決はない。まあ今までの経緯からいって、どうも三社がいけないのだから、とにかく形式的に話をすればいいということでは、私は済まされない問題だと思うのです。そういうことをまた心配されて大臣の今の御発言があったと私は思うのですが、これはほんとうに志免炭鉱自体の問題ばかりでなくて、今言った国の政策の中の一つの私は大きな問題だと思う。そういう意味で、組合と当局の幹部の中でも十分腹を打ち割って私は対処をしてほしい、こういうことだけは、今の総裁の言明の中に私はうかがい知れると思うのですが、そういう点一つお答えいただきたいと思うのですが、総裁いかがですか。
  147. 十河信二

    説明員(十河信二君) 繰り返して申し上げまするように、これは並み大ていのことではいかぬと思うのです。だから、組合にもよほどしっかりと真剣に考えてもらわなければならぬし、われわれも真剣に考える、そうしてお互いに話し合って、最善の処置を講じたい、こう考えております。
  148. 大和与一

    ○大和与一君 大臣にお尋ねしますが、まあ済んだことでしょうがないのですが、一つだけこの前の委員会の幕切れのときに、私が大臣に、あっちこっち専門家に聞いてきめたいと、こうおっしゃっておったから、一体その青山調査委員会を含めて志免特別委員会報告を、それにまさる権威者あるいは権威ある機関というものがあるかと、こういう質問をしたら、ちょっとあわてて、そういう意味じゃなくて、とにかく聞く、これはそのときすでに私は、大蔵省なり通産省なりに何も話をやっていないということを知っておった。何もやっていないのです。そうすると、一体どういう権威ある人に、あなたが調査の質問をして、これできめようとしたのか。私はやはりその点が権威が足りないという感じがした。私の質問の内容は二つあるのだけれども、私は言いませんけれども、そういうようなつもりで質問したのですけれども、そうしたら、済んだら、二日に入札、えらく大臣はあわてて、さっさとやったなという感じがしたのですけれども、その辺に大臣として、国鉄も最善を尽したとしても、もう一つ、いろいろな情勢から判断されて、無理やりに結論を出されようとされたのでしょうが、ちょっとそのときの経過が納得できぬのですね。
  149. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) その後、これは私も社会党の代表の方々、労組の代表の方々といろいろ会いまして、千二百万トンと八百万トンと、二つの報告が出ておるので、大臣として、入札する場合においては、大臣がそれに対して的確な数を把握して、それで一つ入札に持っていったらどうかという話がありましたけれども、これは不可能なことであって、青山委員会という権威ある委員会が案を作り、また組合から選ばれた三名の人が作った報告というものを、私が権威筋に聞くと言いましても、これを判定することはできない。だから両方の報告をそのまま、なまのまま出して、これを入札の素材にするなり、あるいは石岩局長あるいは行政管理庁あるいは大蔵省の国有財産の関係、あるいはそれらの関係の方にもそのまま報告を出して、それをもって批判を受ける以外には方法はない。これを下手にまた自分でもって勝手に専門家を選ばして、また案を立てるというようなことは、事実上不可能でありますから、そういうことでやろうということに大体了承を得まして、そこで入札の日をいつにするか、こういうことになりましたが、私が諸般の情勢等を勘案いたしまして、あれは社会党の人に会ったのは十五日ごろでありましたが、そこで十月の二日ということを、事務局長をしております河野君の了承を得てきめたわけですが、今申し上げましたように、正直言って、三菱が断わるとは、ちょっとこれは遺憾でしたけれども、三菱は、やはり私は、相当あの問題について興味を持ち、かつまた、総合開発ができるという観点に立ってするのじゃないかと、その場合には、つまり一月十日の永野さんがやりました指名競争入札という性格が変ってくるから、それではそれに一応ストップしまして、国鉄側が、そういう結果になったならば、随意契約でやりますか、あるいは公開入札にしますかという新しい問題が出てくる。そのときはそのときのことで、一つ客観情勢等を見てきめようということにしておった。ところが何もかもああいうことで断わったものだから、基盤がなくなっちゃった。それが志免炭鉱で、あすこに副委員長もいるようだが、万歳といっているが、万歳じゃなくて、大へんなことになったのだから、真剣に考えなければならぬ。私の希望することは、どうも公共企業体で、今のような国鉄労組と国鉄当局とがことごとく対立するということは、両方ともやめてもらいたい。もっとやはり何か公共企業体として、お互いに提携して話し合いをしたらどうか。だから今度の志免問題のごときは、ちょうど両方とも一つの共通の基盤に追い込まれたのだから、これを契機としてもっと労使が腹を割った、公共企業体として国民の期待に沿うような方向にいってもらいたいということを希望している。
  150. 大和与一

    ○大和与一君 これからの問題で、さっき大臣からお話しがあったのですが、物の面でも経営の面でも損害を最小限度にしたい。人の面でも最小限度という言葉を使った。そうするとこれは私は人の方では何人か何十人かの整理をするという、こういう一体気持を持っておっしゃったのか、この辺一つお尋ねしたい。
  151. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) これはやはり国鉄が今の志免炭鉱を国鉄自身で経営するという場合に、国鉄の持っている本来の使命、また志免炭鉱の現状、こういうことから、これをいかに合理的にやり、これをして最小限度に国に対しても損害を少くし、かつまたその運営において犠牲者も少くしていくということについては、国鉄自身が十分にやはり山の実態その他を把握されて今後どういうふうにやっていくかという計画を立てらるべき問題であって、それに基いて、私がその方針がきまったらそれは批判すべきものであって、今人をどうこうするとか、廃山するとかどうしろというものじゃない。しかしまあ常識的に言えば配置転換という場合もある場合においては起ってくるでしょう。やはり少くとも国鉄が経営するについて、国民が納得するような方法で、これをやはり常識的にやるという線は肯定しなければならぬじゃないか。またこれは組合側も協力すべきじゃないかということを実は考えるのでありまして、私の気持から申し上げますれば、廃山とか何とかということを軽々に言うべき段階ではない。全知全能をしぼって、一体どうしたらいいかということを、国鉄当局及び組合が真剣に、私を捨てて考えるべき段階だ、こういうことを申し上げたい。
  152. 大和与一

    ○大和与一君 今の大臣の大へんりっぱなお言葉で、全知全能を傾けて一生懸命やるという、そのままその言葉をいただきます。そうしますと、その誠意を持ってやるときに、やはり総裁にもお願いしたいことは、労働組合が正常な労働運動をしている形の中で、だんだんと一つやはりきちっとお認めになって、これを誠意を持ってやらなければだめだと思う。それをもし足をかっぱらったり、組合を割るような気持は持っていないと思うけれども、そういう気持がかりそめにもあっては、正常な団体交渉はできないと思う。それだけは強く要望して、質問を終ります。
  153. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十八分散会