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1959-10-21 第32回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月二十一日(水曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君       天野 光晴君    今井  耕君       倉成  正君    坂田 英一君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    野原 正勝君       早川  崇君    福永 一臣君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       八木 徹雄君    保岡 武久君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    實川 清之君       館  俊三君    中澤 茂一君       西村 関一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君  委員外出席者         総理府事務官  森岡  敞君         大蔵事務官         (国税庁直税部         長)      白石 正雄君         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (大臣官房長) 斎藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      茅野 一男君         水産庁次長   高橋 泰彦君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 十月二十一日  委員和精一君及び松浦定義辞任につき、そ  の補欠として福永一臣君及び館俊三君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員館俊三辞任につき、その補欠として松浦  定義君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  派遣委員より報告聴取  農林漁業災害に関する件(台風第十四号及び第  十五号による農林漁業災害問題)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林漁業災害に関する件につきまして調査を進めます。  まず、先般台風第十五号等による農林漁業災害実情調査するため派遣いたしました派遣委員より報告を聴取いたします。  角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 伊勢湾台風による被害調査班として去る十月四日から六日までの三日間愛知県及び岐阜県下に派遣され被害状況調査して参りましたので、この際私から農林水産関係被害状況について調査概要を御報告申し上げ、今後の対策樹立の参考に資したいと存じます。  本班は農林水産委員会建設委員会とで編成され、本委員会からは私と倉成委員調査に参加いたしました。  報告方法といたしましては、時間の都合もありますので、調査班行動等については報告を省略し速記録に掲載することをお許し願うことといたしまして、両県の被害概況被害特殊性等について重点を置いて御報告を申し上げ、最後に両県の要望事項を一括申し上げ、あわせて調査班として若干の所感を述べさせていただくことにいたします。  以上御了承いただきまして、まず愛知県の被害概況特殊性について申し上げます。  去る二十六日夜半愛知県下を襲い未曽有猛威をふるった台風第十五号は、県下全域にわたって、海岸河川の破堤、溢水、山くずれ、地すべり、道路、橋梁の決壊流失家屋倒壊流失埋没浸水工場の破壊、浸水田畑農作物流失、冠水、林木の倒折等甚大な被害をもたらしたのであります。県当局報告によりますと、十月三日現在、死者二千三百三十九名、行方不明九百六十二名、負傷者六千四百五十七名に達し、罹災者総数は三百万を突破し、被害総額は二千百六億円に上り、空前の惨事を招来したのであります。このような激甚被害をもたらした直接の原因は、台風十五号が史上まれに見る超大型台風であったことと、本県台風進路の右側に位置しており、台風来襲時が折あしく満潮時直前と合致したためこのような大被害をもたらす結果となったのであります。  このように惨たんたる災害実情被災民窮状等につきましては、あらためてるる申し上げるまでもなく、すでに報道機関等を通じ十分御承知のことと思いますが、われわれが現地に参りましたのは被災後一週間以上も経過しておりましたが、名古屋市南部から三重県にかけ、また知多湾一帯にわたり、陸地は広ぼうたる海面と化し、泥水の中に家屋工場田畑浸水し、おびただしい流木、家財が浮遊し、罹災者はぼう然自失の状態にあり、中には肉身の行方を求めて彷徨している者もあり、その惨状は実に筆舌に尽しがたいものがあったのであります。このような悲惨な姿に接したのは初めてでありまして、自然の猛威を前にはしなくも消え去った人間建設の跡をまのあたりに見て、天の非情か人間の非力かと疑念を抱いたのであります。  しかして、農林水産業関係では、農地農業用施設被害として、田畑流失、埋没、冠浸水四万七千四百四十一ヘクタール、被害額約七十六億七千二百九十四万四千円、その他農林水産業全般被害額二百二十三億八千二百七万九千円に上り、その総額は実に三百億円をこえるものと見込まれております。  農林水産関係被害の中で最も大きいものは、耕種農作物被害百二十六億四千七百六十二万六千円を筆頭に、林業治山関係五十四億六千十五万六千円、水産関係十五億三千六百六十七万七千円、農用施設十一億八千二百十六万三千円、農協施設七億八千百二十五万円、家畜五億四千百十八万五千円、養蚕関係二億三千三百二万二千円となっております。  農作物被害といたしましては、水陸稲を初め、雑穀果樹類蔬菜類イモ類温室花卉露地花卉工芸作物等が多大の被害をこうむっており、稲の減収見込みは十万五千四百四トンと見込まれております。  水産関係では、漁船、漁具、漁港施設水産養殖施設被害が大きく、特にノリの主産地である海部郡が激甚被害をこうむったため、ノリ被害はことのほか大きいようであります。  また、林業関係では、風倒木が百六十七万三千七百石で、被害金額二十五億千五十五万円と見込まれ、また製材工場も多大の被害をこうむっております。  その他、特に目立った被害といたしまして、本県は御承知通りわが国における主要な養鶏地帯でありますので、この面における被害が特徴的でありまして、鶏の被害は、死亡、廃用傷害等合せ六十四万二千四百四十八羽に上り、被害金額三億一千七百一万七千円と見込まれ、そのうち二十万羽程度は種鶏用であるだけに、わが国養鶏振興上からも重要な問題を提起しているというべきであります。また、鶏舎はほとんど全部が全半壊、大破あるいは流失し、私たち被害現地において冠水地倒壊鶏舎の上に生き残った鶏が食べるえさもなく羽ばたいている姿をしばしば見受けたのであります。養鶏が当県における農家主要現金収入源となっている点、及び当県はわが国主要種鶏地帯である点等からいたしまして、この面についての特別の救済措置を講ずる必要性を痛感いたしました。  次に、農地農業用施設被害中では、開墾、干拓関係被害が特に甚大で、被害額は五十二億三千八百万円と見込まれており、伊勢湾知多湾沿岸干拓地は、鍋田、衣浦、碧南の三国営干拓を初めとし、代行補助干拓地区は全部海岸堤防決壊し壊滅的な打撃をこうむり、開拓農家も、三千二百戸中、その三分の一以上に当る千百四十戸が全壊し、七百十六戸が半壊または大破し、特に、海部郡弥富町鍋田干拓地は、海岸堤防七千五百メートルのうち七千メートルが高潮に流され、わずか五百メートルだけが残ったのみで、海面下一メートルの干拓地六百三十八ヘクタールは海没し、全家屋百六十四戸は一瞬にして跡形もなく流失し、わずかにふろ場のコンクリート土台が家の位置を示しておるだけであり、災害当時の居住者三百十四人中、三日現在の調査で、死者六十六名、ほとんど絶望視されている行方不明者五十六名を数えているのであります。この鍋田干拓は、国営事業として総工費約十億五千万円で二十二年に着工され、内部工事を残し本年ほぼ完成し、三十年から豊橋の農業訓練所の研修生が入植しており、六百三十ヘクタール中七十八ヘクタールに本年初めて水稲の植付が行われたのでありますが、成績がよく、反当り七俵から八俵の収穫が予想され、ようやく入植者の長い間の汗と夢が実ろうとしていたやさき、今回の災害にあったのであります。しかも、台風襲来の四日前の二十二日には一カ年の訓練所生活を終えた青年が南端の海岸堤防に近い愛知農村建設隊宿舎に入ったばかりでありますが、悲運にも全滅の災いにあったのであります。これらの入植者は、長野県を初め、中部、関東地方の農村の二、三男で、土に一生を託す決意に燃えて入植した春秋に富んだ青年たちであり、また犠牲者には新婚者、乳幼児も多く、まことに痛ましい限りで、まさに悲劇中の悲劇と申すべきでありましょう。同じく国営の衣浦干拓も、ようやく外部工事が完了し、あと入植を待つばかりとなっておりましたが、これも堤防決壊し大被害をこうむったのであります。その他、直轄、代行、補助、すべての干拓地が大打撃をこうむったことは、今回の災害における特記すべき事項でありまして、この点につきましてはあとでも若干触れたいと思いますが、干拓政策のあり方に大きな教訓と警告を与えているのであります。  なお、愛知用水公団関係につきましては、県委託事業被害として、支線水路関係開墾関係等で約一千三百九十二万八千七百五十円程度と見込まれ、一般が激甚被害をこうむった割合から比較しますと軽微であり、予定期限内完了をはかるために支障を招くおそれはないようでありました。  次に、岐阜県における被害概要と特質について申し上げます。  台風第十五号は、三重亀山付近を経て本県に入り、大野郡荘川村を通過、その間、中心付近の気圧は九百三十ミリバール、直径七百五十キロメートルに及び、二十六日二十一時十五分には岐阜市においては最大瞬間風速は四四・二メートルを記録するとともに、集中的豪雨を伴い、その降雨量は養老郡上石津村で四百四十九リに達したほか、県下全般にわたり三百ミリ前後の降雨をもたらす結果となり、これがため、長良川、揖斐川、木曽川水系は、急激なる水位の増加を来たし、各所で堤防を溢流決壊してはんらん、大洪水を招来し、県下全般に四百十五億円に達する被害をもたらしたのであります。ことに、本県は、さきに八月十二日から十四日に至る集中豪雨並びに八月二十六日の台風第七号による被害を受け、その傷のいえないうちのたび重なる災害であり、その痛手はひとしお深いものがあるのであります。  農林関係被害総額は百二十四億五千二百十九万三千円と見込まれ、うち農業関係は七十九億四千七百六十三万円で、その内訳は、水陸稲雑穀果物等農作物被害は六十億九千九百八十九万円、次いで、農地農業用施設十億四千二百二十五万二千円、蚕糸関係四億三千七百万円、畜産関係三億五千五百二十九万八千円、農協関係一千三百万円となっており、果樹被害としては、本県はカキの主産地であり、美濃富有ガキ被害が大きく、また、クリ、ナシ等相当被害をこうむり、果樹全体として十億円以上の被害が見込まれています。  林業関係被害額は四十五億四百五十六万余円で、その大宗をなすものは風倒木被害であり、約百万石、三十六億円程度被害が見込まれており、この百万石は岐阜県における年間適正伐採量相当するものといわれております。愛知県とともに風倒木の多いのは今回の被害の特徴であり、風倒木対策について特段の考慮を払う必要があろうと思量されるのであります。  なお、岐阜県の被害で特記すべき事項として、多芸輪中が再度堤防決壊し、八月に続いて大被害を受けたことでありまして、応急措置により牧田川の決壊場所を仮締め切りし、また排水ポンプを設置するなどして、ようやく秋まき野菜を播種し、発芽を見るに至ったやさき、再度の災害にあったのでありまして、被災農民の落胆、これまた深いものがあったのであります。  また、本県においては開拓地関係被害が四億数百万円に上り、戦後入植以来今日まで立地条件の悪い土地で不振にあえいでおった開拓者が、開拓営農振興臨時措置法によりようやく立ち上りつつあったとき、今回の災害にあい、その基盤は根底からくつがえされたのであります。開拓地被害は、本県のみに限らず各県の開拓地においても、災害と関連していろいろと問題を提起しているので、開拓民救済については、これまた特段の考慮を払う必要があろうかと思うのであります。  以上両県下における農林水産関係被害概要について申し上げましたが、これら両県は、さっそく、災害対策本部を設け、災害救助法を発動するとともに、食糧配給の確保、復旧資材あっせん技術対策等応急対策について昼夜を分たず努力し、また自衛隊に対しても出動を要請し、救援、復旧に全能力を傾注いたしておりましたが、同時に、国に対し、農林水産関係について次の諸点についての早急実施方を強く要望いたしておりました。すなわち、  一、天災融資法を発動し、特別被害地に指定し、既借入資金償還延期措置を講ぜられたい。  二、自作農維持創設資金ワクの拡大をはかり、なお手続簡素化をはかられたい。  三、農業改良資金技術導入資金貸付財源として予定していた償還金のうち償還が困離となった分に対し、早急に国庫補助措置を講ぜられたい。  四、農林漁業金融公庫主務大臣指定災害復旧対象施設の畜舎に鶏舎を、また、孵卵施設対象に加え、あわせてこれが貸付金利の引き下げ及び融資手続簡素化をはかられたい。  五、農業共済金の仮払い及び再保険金概算払いを早急に行うとともに、建物共済について国の再保険措置を講ぜられたい。  六、新農村建設による農林漁業金融公庫からの借入金の償還延期措置を講ぜられたい。  七、非共済農作物及び家畜についての救済措置を講ぜられたい。  八、再生産に必要な種子、種苗、肥料、農薬及び家畜あっせん並びに購入等について国庫助成されたい。  九、本年産米について政府売渡米減額補正並びにその手続簡素化をはかられたい。  一〇、被災農家について概算金返納期限延長並びに利息免除措置を講ぜられたい。  一一、米の時期別価格差期限を延長されたい。  一二、罹災農家用種もみ確保について特別の措置を講ぜられたい。  一三、罹災農家に対し、飯用米を確保するため、生産者価格による保有量相当する米の配給と代金の延納措置を講ぜられたい。  一四、被災地家畜貸付について、物品の無償貸付及び譲与に関する法律に基いて家畜貸付を実施されたい。なお、種鶏の補充並びに集団養鶏地帯及び被災鶏舎復旧に要する資金融通利子補給方途を講ぜられたい。  一五、家畜防疫対策に要する経費について補助金を増額されたい。  一六、飼料の流通の円滑化と牧野の復旧をはかるため特別の措置を講ぜられたい。  一七、農地及び農業用施設災害復旧事業並びに除塩事業に対し、その事業費の十分の九を補助されたい。  一八、干拓堤塘復旧及び地区内の耕地整備事業については全額国庫負担とせられたい。  一九、湛水地域湛水排除に要する費用は全額国庫負担とされたい。  二〇、被災農民に対し救農土木事業を起されたい。  二一、耕地復旧のため起債及び融資ワクを大幅に拡大するとともに、利子軽減措置を講ぜられたい。  二二、暫定措置法第二条第四項の政令で定める共同利用施設に、農業漁業協同組合及び森林組合等の事務所を追加指定されたい。  二三、風倒木の売却に伴う所得税減免措置を講ぜられたい。  二四、天災融資法漁船等設備資金を加えられたい。  二五、漁船保険金早期支払いができるよう融資措置を講ぜられたい。  二六、被害を受けたノリ養殖業者に対し、復旧資材種つけ等について助成措置を講ぜられたい。  二七、農業気象観測施設整備充実をはかられたい。  二八、愛知用水支線水路事業並びに開墾事業に関する災害復旧事業費については、愛知用水公団事業資金中、国庫負担資金として処理されたい。  以上、両県の被害概要要望事項等を中心に申し上げましたが、最後調査班としての意見を若干申し上げたいと思います。  まず、私たち被災状況をまのあたり見て直感いたしましたことは、予想はしておりましたものの、被害があまりにも激甚かつ深刻でありまして、これでは並み大ていの方策では被災民救済、早急な復旧はおぼつかないということでありました。旧来の観念にとらわれず、勇断をもって適切なる措置を講ずべきであり、われわれとしては、先述いたしました現地要望事項に一日も早くこたえてやるべきでありますが、特にこの際緊急を要する問題として、生活方途を失ってとほうにくれている被災農林漁家安心感と将来への希望を与えるために、当座の生活資金を与えてやることがまず第一に必要と思うのであります。生活資金として被災農家に対しては幸い自創資金貸付方途が開けておりますので、早急に貸付ワクを拡大し、融資条件の緩和、手続簡素化等特例措置を講ずべきことと思うのであります。ただ、漁業者に対しては、現行制度では生活資金融資の道がありませんので、この点特別の方途を講ずべきことと思うのであります。  次いで、住宅についてでありますが、鍋田のように家屋田畑流失した地域に対しては、仮締め切りを行い復旧するまでに相当の年月を要し、その間復旧工事等に従事して生活をつなぐといたしましても、宿舎が問題となるのでありますから、このような地帯に対しては、将来も利用できるような形の共同宿舎を早急に建設してやるべきであり、また、一般農家に対しても、家屋倒壊が特に零細農家に多いので、住宅金融公庫の融資条件を改める必要があり、さらに、開拓地被災住宅、農舎、畜舎等については、かねてからの要望でもありますので、半壊を含めて補助対象とすべきと思うのであります。  以上、特に緊急を要する問題を提起いたしましたが、その他、今回の調査を通じ、両県の被害状況から、今後の対策樹立の上においてぜひとも配慮の必要がありと気づいた点、及び災害から得たとうとい教訓として早急に確立さるべき抜本策等について申し上げたいと思います。  一、今次の災害は、全戸、全財産が一瞬にして喪失し、しかも農作物収穫皆無の被災者が多く、現行法規による措置ではとうてい救済でき得ないから、二十八年災以上に特別立法措置を講ずるべきであり、また、復旧事業は従来の三、五、二の比率にとらわれずに早急に完工すべきであり、さらに、災害復旧についての原形復旧の原則が不適当であることは今までしばしば指摘されてきたところでありますが、いまだその弊害が改められないのはまことに遺憾でありまして、この点すみやかに改むべきものと思うのであります。  二、今回の災害原因について、台風第十五号は過去の経験を越えた未曽有のものであったことは事実としても、事前の配慮措置に万全を期しておったならば、もっと被害を軽少に食いとめることができたと思うのであります。今次の災害状況を見ますと、河川海岸等における防災措置がきわめて不徹底であったと考えられます。また、私たちは、被害現地において、海岸堤防工事農林建設運輸各省の所管にまたがり、それらの間において、あるいは直轄工事地方団体工事との間において、設計上、工事進捗度等において不統一があり、これが災害発生重大誘因となっているとか、二十八年第十三号台風のときに補強工事を行なった個所は今回決壊が少かったが、当時の査定で補強工事が削られたところはほとんど決壊し多大の損害をこうむったとか、また、干拓地において、海岸に面している堤防に比し、河口に沿った河川堤防の方が設計上弱体であって、そこから決壊した事例が多いとか、さらに、地盤沈下に対する措置がことさら軽視されてきたというようなことをしばしば指摘されたのであります。かりにこのような理由によって災害防止措置がおろそかにされてきたといたしますと、まことにゆゆしい問題でありますので、この点につきましては、すでに災害発生についての技術的な検討専門家によって開始されておりますので、その調査結果に従って、関係者は、事とうとい人命にもつらなる問題でありますから、虚心たんかいに改むべきは改め、欠陥是正に努めるべきであり、なお、今後は、海岸堤防工事については統一的に一貫して施工し、特に干拓堤防国土造成国土保全の見地からも全額国庫負担で防災を旨として、特に堅固な工事を行うべきでありましょう。また、今回の被災地と同様な運命にある海面より低い干拓地は京浜、阪神地区を初め全国至るところにありますので、これらの地帯に対しても抜本的な防災措置必要性を痛感いたしました。  三、鍋田初め多数の人命犠牲者を出した海岸干拓地水防上の配慮についてでありますが、鍋田の場合でも、関係者水防上の配慮を怠ったわけではなく、万全の処置を尽したようでありますが、夜間であったこともさることながら、避難場所が全然なかったことが多数の犠牲者を出した原因とされております。もし干拓地内の比較的安全なところに鉄筋四階建程度の緊急時の避難場所を兼ねた学校、病院あるいは他の公共建築物でもあったならば、少くとも人的犠牲はあれほど悲惨なものとはならなかったであろうといわれております。また、干拓地には昔から潮待ち場という水面積を残しておくのがならわしとなっており、外国でも、オランダ、揚子江のデルタ地帯等では、堤防で囲まれた土地の三分の一は水面積として残しておき、大水の場合に備えていると聞いておりますが、わが国の場合、この点についての配慮がネグレクトされているようであります。今後の干拓地内部設計において、以上の諸点について十分なる検討配慮必要性を痛感いたしました。  四、今回は干拓地被災が大きいため除塩事業に対する対策が特に必要でありまして、少くとも事業費の九割以上は国庫補助とするとともに、除塩のためのポンプ油代等についても助成措置を講ずる必要があると考えられ、この点特に申し添えます。  五、両県とも開拓地被害が甚大であり、これが対策として特別の配慮必要性について先述いたしましたが、なかんずく開拓地に対する災害融資についてこの際抜本的な対策考慮の必要を痛感いたしました。すなわち、開拓者に対しても天災融資法による融資の道が開けており、毎年一応のワクは認められておりますが、農家経営組合が弱体なために金融機関融資対象にならないとして除外されるものが多いのでありまして、一般農家に比し劣悪な自然条件下にある被害開拓農家に対しては、開拓者資金融通特別会計から長期低利の三分六厘五毛、据え置き五年、十五カ年償還災害資金融通する以外に救済方法はないと思われます。もちろん、これがためには、三十四年度開拓者資金融通特別会計追加予算を計上するとともに、必要な法律改正を行うべきでありましょう。  六、果樹に対する被害対策につきましては、第七号台風の際にも種々論議されたところでありますが、今回も多額の被害をこうむっておりますことは先述の通りでありまして、これに対する当面の対策として、融資の面ばかりでなく、樹勢回復用肥料代農薬代改植費果樹だな復旧資材等について助成措置を講ずべきであり、同時に、果樹園芸が今後のわが国農業経営の展開の中において中心的位置を占めることを考えるとき、これを機会に果樹共済初め恒久的な果樹に対する災害対策を確立する必要があろうと考えます。  七、養鶏被害の大きいこと、及びこれに対する特別対策必要性については先ほどもちょっと触れましたが、特に被災者に対し現金収入の道を開いてやる方途として、今後、養鶏は重要な役割を持つものでありますから、種鶏の補充並びに集団養鶏地帯及び鶏舎復旧等に要する資金融通するとともに、これが利子補給を行うべきものと思われます。  八、新農村建設によって作られた施設の損害も有線放送を初め多数に上っておりますので、これについては、公庫からの借入金の償還猶予を行うとともに、その復旧に対しても特別助成措置を講ずべきものと考えます。  九、風倒木被害の大きいことは今災害の特徴として先述いたしましたが、これが対策といたしましては、風倒木の伐採、搬出に要する経費について特別低利資金融資を講ずるとともに、風倒木は素材生産にあたって歩どまりが低く、かつ利用上適正伐期未満のものが多いようでありますから、これら農林業者の所得税を減免することも当然であり、また、利用伐期未満の風倒木跡地造林に対しては国庫助成の措置を行うとともに、この際森林火災保険制度を台風災害にも適用するよう検討すべきものと考えた次第であります。  十、水産関係対策として、先述の漁業者に対する生活資金方途を考えるとともに、漁船保険組合が手持金不足のため保険金の仮払いに事欠いているようでありますから、国の再保険金の支払いを早急に行うとともに、その間のつなぎ資金融資とこれが利子補給を行い、また、保険夫加入の漁船に対しては少くとも五〇%以上の被害のものについては、市町村または漁協が漁船の建造を行い得るよう助成の道を講じてやり、同時に、これが利子補給を講じてやる必要があろうかと思うのであります。また、ノリ被害状況とこれが対策必要性につきましては先述いたしました通りであります。  十一、愛知用水関係の被害は先述の通り比較的軽少でありまして、この点不幸中の幸いと申せましょう。ただ、少額ながら愛知県の委託工事分が被害を受けており、この点、先般当委員会において桑原愛知県知事が期限内完工について協力を約束していった経緯もありますので、今回の被害分については当然愛知用水公団事業資金国庫負担資金として処理すべきものと考えるのであります。  以上でありますが、今災害が多くの面においてわれわれに与えてくれた教訓を生かすためにも、この際、こそくな対策で当面を糊塗するようなことは避け、国家百年の大計に立って抜本的治山治水対策を全国的に確立し、二度と今回のごとき惨事を招来せぬよう人事を尽すべきことを切望いたしますとともに、多数の犠牲者の御冥福を衷心よりお祈り申し上げ、私の報告を終る次第であります。(拍手)     …………………………………
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、天野光晴君。
  5. 天野光晴

    ○天野(光)委員 伊勢湾台風と称され空前の災害をもたらした台風十五号による被害調査のため、山梨、長野両県下に派遣されました第五班を代表いたしまして、私から農林水産関係被害状況及び現地要望を概略御報告いたします。  第五班は、農林水産、建設、文教、商工及び社会労働の五委員会により編成され、去る十一日より三日間にわたり現地を視察いたしましたが、山梨、長野の両県は、去る八月十四日の七号台風中心が通過して未曽有災害を受けたばかりのところへ、さらに十五号台風によって追い打ちをかけられ、その被害は深刻をきわめておりました。  すなわち、山梨県は、台風七号によって三百十余億円に上る被害を受けた上に、雨量三百五十リ、風速三十七メートルの十五号台風の強襲によって、大部分の応急工事は水泡に帰し、さらに百余億円の被害を加えたのであります。  また、長野県は、二百五十億円の被害をもたらした七号台風に続き、降ひょうの被害も受け、さらにその直後に十五号台風に遭遇し、三災害を合計し三百五十億円をこえる被害額となっておりまして、被災者はまさにぼう然自失なすところを知らずという惨状を呈しているのであります。  このうち、農林水産関係被害額を見ますと、山梨県は、七号、十五号両台風により、耕地流失埋没四十五億円、農作物果樹及び営農施設五十二億円、林業関係百七億円、計二百五億円の被害額であり、長野県は、七号台風、降ひょう、十五号台風を合せ、農作物果樹、耕地、水産、畜産関係で百二十四億円、林業関係で五十一億円、計百七十五億円の被害額となっております。  次に、私ども一行の視察行程と現地状況をかいつまんで申し上げます。  第一日は山梨県下でありまして、まず中央線日下部駅に下車、山梨市、塩山市、勝沼町の被害状況説明及び陳情を受け、引き続き石和町におもむき、同町及び一宮町のおもに果樹被害を視察、また陳情を聞きましたが、長年丹精をこめたブドウ及びリンゴが打ち倒され泥にまみれている惨状は目をおおわしめるものがあり、現地においては、天災法による融資の増額、自作農維持創設資金の増額と手続簡素化等を望むとともに、被災農地の政府買い上げを特に要望する声がありました。  次に県庁に到着、県下各代表の説明等があり、また午後は龍王町、同町農林高校、田富村を経て、この間中巨摩郡下を視察、河川堤防決壊による耕地の埋没農作物流失等の状況をまのあたりに見たのでありますが、地元の声として特に注目すべきは、天災法による営農資金が末端において渋滞しつつあるという点でありました。  さらに、増穂町の河川決壊個所を遠望しつつ韮崎市に至り、釜無川のはんらんによる耕地及び学校、住宅被害を視察したのでありますが、釜無川の流域は耕地が二百町歩にわたって全滅し、今なお土砂・大石に埋もれたままでありまして、治山治水の根本対策はもちろん、家屋農地復旧に対する援助について国の思い切った措置が必要であると痛感いたしました。     〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕 第二日は、長野県諏訪地方から始まり、まず諏訪湖の流木による漁業被害を視察、次に上伊那、下伊那地方の視察をしつつ泰阜村に至り、主として風による家屋被害の実態を調査いたしましたが、被害は特に貧窮農家及び開拓農家がはなはだしく、また山間僻地のため資材・資金の入手が困難で復旧がおくれがちな状態であります。なお、被災した水稲には穂発芽が多く、等外米が多く出るものと予想されるので、この買い上げについて特段の配慮要望されました。  この日は、引き続き北上して、塩尻市を経て松本市に到着、途中日没のため詳細な視察はできませんでしたが、各代表者より、特に営農資金の拡大、償還延期、利子補給等、並びに共済金の早期支払い等についての要望がありました。  第三日は、松本を出発、豊科町に至り、さらに穂高町、松川村を経て大町市に到着、この間、この地方を複雑に流れる各河川決壊状況を視察し、また山腹の土砂くずれを遠望いたしましたが、特に、松川村においては、終戦後入植した開拓民が壊滅的打撃を受け、今後の営農にも大きな不安を感じている状態でありまして、各河川の水源地の治山事業の促進方が強く要望されたのであります。また、豊科町では、特産のワサビが大被害を受け、この復旧につき特に高額の補助考慮されたい旨の陳情がありました。  次に長野市に至り、県庁において各代表者より説明及び要望を受けましたが、特に、県議会代表よりは、去る七号台風災害に関し衆議院農林水産委員会が行なった決議をそのまま実行していただきたい、要望はこれに尽きるとの発言があり、われわれの責任を痛感したのであります。  日程の最後として須坂市におもむき、時間の都合で被害の全貌は見られませんでしたが、特に果樹被害及び水稲の倒伏状況を視察、そのまま長野より帰京したのであります。  以上ごく簡単に調査地の実情について申し上げましたが、次に両県下各地の要望事項のうち農林水産関係のものを一括して申し上げます。  第一に、農林水産業施設災害復旧については、1、高率の補助率適用、2、小災害に対する特別助成、3、共同施設の復旧に対する高率補助。  第二に、営農資金融通については、1、自作農維持創設資金ワクの拡大、2、天災法による営農資金のすみやかな融通、3、各資金についての償還延期。  第三に、農作物果樹被害については、1、農薬、種苗、樹勢回復用肥料、土性改良用石灰等の購入費に対する助成、2、倒伏果樹、工芸作物の復旧に対する助成、3、果樹災害に関する補償制度の確立。  第四に、被災農家の営農復興については、1、政府所有の麦類、雑穀の特別価格による払い下げ、政府所有飼料の無償払い下げ、2、農業共同利用施設、共同農機具の復旧、新設についての大幅助成、3、食糧の特別価格による延納売却及び概算金返納時期の延期、利子の減免、4、共済金の早期支払い。  第五に、開拓農家被害については、住宅及び畜舎復旧に対する助成及び特別融資。  第六に、林業関係については、1、治山事業の促進と根本方策樹立、2、被災者に対する国有林払い下げの配慮及び風倒木の優先的払い下げ。  集約して大略以上の通りでありますが、これらの要望につきましては、当委員会においても、また政府においても、今後なお深く検討すべきことを切望し、はなはだ簡単ながら御報告を終ります。(拍手)
  6. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 神田大作君。
  7. 神田大作

    ○神田(大)委員 伊勢湾台風による被害調査について御報告申し上げます。  去る十月八日から十二日までの五日間にわたって、運輸、建設、文教及び社労の各委員とともに、三重、奈良、和歌山の三県の被害状況調査いたしたのでありまして、本委員会からは私と秋山委員の参加を得て調査に従った次第であります。  今回の台風は瞬時にして五千名以上にも及ぶ死者及び行方不明者を出していることからも容易に想像されます通り、その被害は、範囲においても、あるいはその深度においても、昨年の狩野川台風、またはかつての大災害であった昭和二十八年災害を上回る未曽有災害であったことを、現地調査するに従い、実感として強く受けて参った次第であります。  以下、各県の被害状況について御説明申し上げます。  まず、三重県におきましては、全県下にわたって災害救助法を発動しているのでありまして、死者及び行方不明者合せて千三百人余を出し、また、物的被害においてもその総額千五百億円に上っている状況であります。  私どもはまず被害の最も甚大であった四日市市、川越村、桑名市及び長島町に参ったのでありますが、これら北勢部の地方は、木曽、揖斐、長良の三大河川を初め、町屋川あるいは朝明川等の各河川が大洪水のためはんらんし、または山なす大津波のため、堤防はことごとく決壊して、想像を絶する大被害をもたらしていた次第であります。これら市町村においては、二週間を経過しているにもかかわらず、今なお浸水のままになっており特に三大河川にはさまれたデルタ地帯である木曽岬村及び長島町のいわゆる輪中におきましては、全町村ことごとく水没しており、千六百ヘクタールの水田は跡形もなく一面の湖と化し、ところどころに傾いた屋根が見られたのであります。しかも、応急の仮締め切り工事ははかばかしく進捗せず、的確な完了予定すらいまだ立たない悲惨な現状でありました。このような事情のため、この地方の農漁民はほとんど県下各地に分散疎開せざるを得ない実情であります。また、この地を横断している国道一号線あるいは国鉄関西線、近鉄等も今なお二メートルに及ぶ水中に没しているのでありまして、復旧資材の輸送等に大なる支障となっている次第であります。かかる中にあって、私どもが参りました九日夜、ようやく自衛隊の手でべーリー橋と呼ばれる鉄橋が長島町に通じたことは、水没地帯復旧に明るい光を与えたものでありました。  その後、海岸線に沿って富洲原町、鈴鹿市、白子の漁業地帯を視察したのであります。これら海岸地帯においても、津波のため、堤防決壊はもとより、漁船、漁港及び水産加工施設はことごとく破壊流失して、徹底的な損害をこうむっていた次第であります。  また、伊賀盆地にある名張市に参ったのでありますが、山間奥地における集中豪雨のため、市の中心部を流れる名張川がはんらんして、全市にわたって浸水し、山林を初め農地農作物等に莫大なる損害を与えていた次第であります。  なおまた、紀西線が不通等、交通途絶のため南勢部及び志摩地方の被害地は視察調査することができなかったのでありますが、この地方におきましては、瞬間最大風速五十一メートル、大王崎灯台においては六十一メートルという猛烈な強風のため、あるいはこれに伴う津波のため、臨海部落の被害はことに甚大であって、とりわけ、これらの地方は真珠養殖地帯である関係から、真珠養殖業に与えた被害は壊滅的なものがあったと思われます。  このように、県下全域にわたって被害をこうむっており、県当局報告によりますと、農林水産関係被害総額は二百三十六億円余に上り、このうち、農作物七十億円、農地農業用施設二十八億円、林業四十九億円、畜産七億円及び水産関係八十一億円となっている次第であります。  次に、奈良県について申し上げます。  奈良県下においては、山間奥地における集中豪雨のため、山合いの渓流に沿って山林が崩壊し、あるいは地すべり、山津波を起し、または支流、本流が驚異的に増水はんらんして、四十八市町村のうち十九市町村に災害救助法を発動する大被害をもたらした次第であります。しかも、被災地が奥地であって、ただ一本の道路によって交通が保持されていたこれらの地帯が、その道路が寸断されたため調査が行き届きにくい等の関係から、現地を直接視察するに及び、その被害の深刻であることを痛切に感じたのであります。  私どもは、榛原町において県当局から全般にわたっての説明を聴取するとともに、内牧から栂坂峠を越えて曽爾村及び御枝村と、旧伊勢街道に沿って参ったのでありますが、宇陀郡の最も奥地であるこれらの地方においては、山林の崩壊著しく、また地すべりも見られ、河川ははんらんし、農地はもとより、道路はことごとく決壊して、陸の孤島と化している悲惨な状況でありました。  また、吉野川流域についても、年間の降雨量が日本一と称せられる大台原山系における集中豪雨のため、奥地山間部における各河川がはんらんし、東吉野村、川上村を初め、吉野川本流に沿った下市町、大淀町あるいは五条市においても、かつて見ない大災害をもたらした次第であります。今回の吉野川における増水は驚異的というほかはなく、五条市における河川の警戒水位は三・六メートルであるのに対し、七メートル余の量水計最終水位をはるかに突破して十メートルに達したということでありました。  これらの被害総額は約百六十八億円ということであって、このうち、農林関係被害は、山林関係が最も多く、林地の崩壊、林道の決壊等三十二億円、農作物十三億円、農地農業用施設八億五千万円、畜産五千万円、計五十四億円ということでありました。  次に、和歌山県について申し上げます。  和歌山県においては、吉野川の下流である紀ノ川沿線の橋本市を初め、高野口町、かつらぎ町及び那賀町等の被災地を視察調査いたしました。これらの地方の被害も吉野川流域と同様であって、紀ノ川がはんらんし、荒れ狂う濁流に加えて無数の流木により破壊力を倍加し、堤防決壊し、橋梁をこわし、あるいは逆流して、人家はもとより、農地農作物等に莫大な被害を及ぼしていたのであります。  また、私どもは調査することができなかったのでありますが、今次台風が上陸した紀南の海岸線はもちろん、熊野川流域等に相当被害をもたらし、また、ミカンの産地である有田、日高地方においても、成熟期にあるこれら果樹被害が莫大であったとのことでありました。  これら和歌山県下における被害総額七十二億円のうち、農林水産関係被害額は約四十一億円であって、農地農業用施設五億五千万円、農作物十九億四千万円、畜産五千万円、林業八億六千万円、及び水産関係六億六千万円であります。  以上、簡単に被害調査概要について申し述べたのでありますが、次に、各県関係者から数多くの要望が強くあったのでありまして、これらの要望事項についてはそれぞれ御報告すべきでありますが、愛知岐阜調査班から詳しく報告があったので、重複を避け、簡単に各県の特徴的な事項についてのみ若干御報告を申し上げます。  三重県におきましては、全国真珠の約八割を生産しておるのでありますが、この養殖業が津波のため壊滅的打撃をこうむったのでありまして、被害額五十四億円に及んでおり、これが復旧について強力な施策が要望されており、公庫融資についてのワクの拡大、利子の引き下げはもちろんのこと、二十八災と同様、個人施設を暫定措置法対象とするほか、養殖いかだとともに真珠母貝を施設に含めること、あるいは、天災融資法関係についても、融資限度を百万円まで引き上げる等、要望があったのであります。  また、奈良県においては、山林の崩壊、地すべり防止のための山林砂防の整備とともに、この地方にあっては山が唯一の働き場である関係から、林道等の復旧がその日その日の生活に直接影響を持つ深刻な問題であって、これを緊急に復旧されるよう要望があったのであります。なおまた、これら災害に対する根本対策として、吉野川上流に多目的ダムを建設すること、及び、同一水系である和歌山県内の紀ノ川と同様吉野川についても直轄河川に編入してほしいとの強い要望があった次第であります。  また、和歌山県においては、成熟期にあるミカンその他の果樹被害が甚大であって、しかも農家経営果樹収入に依存している関係から、果樹被害に対する助成措置を講ぜられるよう強い要請がなされた次第であります。  以上、簡単でありますが、御報告を終ります。(拍手)
  8. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 次に、實川清之君。
  9. 實川清之

    ○實川委員 私は、第二班を代表いたしまして、福井県、京都府及び滋賀県下における台風第十五号等による農林水産業の被害について、調査概要を御報告いたします。  本調査班に参加せられました委員は、私のほか吉川委員長でありまして、十月八日から十二日までの五日間にわたり、福井県、京都府及び滋賀県の被害地を調査し、また、今井耕委員は、現地参加として、滋賀県下を一行とともに調査されたのであります。  ただいま第一班及び第四班からるる述べられましたように、台風第十五号により愛知県、三重県及び岐阜県がけたはずれの被害を受けている関係上、その他の府県の被害は過小評価されがちな印象を受けるのでありますが、現地に参りますと、決してそうではなく、平年度の災害からすればまことに大きな被害を受けており、愛知県等の激甚地と同様の、いまだ水没地区もあり、収穫皆無に近い町村も数多く見られたのであります。その被害等につきましてごく簡単に御報告いたします。  最初福井県に参ったのであります。福井県は、九頭龍川の本支流と県西部の小浜市以西の小河川堤防決壊による、農地農業用施設を初め、各種農作物等に激甚被害を受けているのでありまして、福井県の総被害額四十四億円のうち、農林水産業被害は十六億円に上り、その内訳は、農作物において、水稲被害三億五千万円を含めて四億四千万円、農地農業用施設で六億六千万円、林業で四億五千万円等となっているのであります。  現地調査は、時間が非常に制約されておりましたので、県西部のみにしぼり、小浜市の中央を流れる南川の下流にある大手橋付近の被害から始め、南川上流の多田部落、田縄川沿いの須縄部落、さらに上流の遠敷郡名田庄村久坂部落、納田絡部落、棚橋部落及び大飯郡川上部落等、河川、渓流からの土砂流出による農地流失埋没被害地を調査し、次いで大飯郡和田村の漁港被害を視察いたし、一応福井県の調査を済ませたのであります。  福井県は、人口七十五万、一般会計の予算規模九十億円程度でありますが、被害額台風第七号と合せて約百億円となっており、人口一人当りの平均被害は一万三千円、県財政の一年分に相当する大被害であったのであります。  次は京都府であります。京都府は、由良川流域、特に大江町、福知山市、綾部市と木津川上流の笠置町が大きな被害を受けておりまして、府の被害額は八十億円に上り、そのうち農林漁業被害は三十億五千万円で、農作物被害は水稲の十億五千万円を含めて十四億三千万円、農地農業用施設七億三千万円、林業四億八千万円、水産二億二千万円等となっているのであります。  われわれは、福井県から舞鶴市に参り、激甚中の激甚地、由良川流域の被害調査に入ったのであります。まず下流の大川橋から上流に向い、町の水稲被害八割以上といわれている大江町を経て、福知山市内被害地を回り、綾部市に入り、戸田部落、栗井堰を調査して、京都府庁に参ったのであります。京都府庁にて府内被害状況要望を聴取し、直ちに被害地の木津川流域を調査しつつ笠置町に参り、京都の日程を終えたのであります。  京都府において特筆すべきことは、由良川の治水、防災問題であります。八百数十年にわたり水害と戦ってきた歴史を持つこの由良川は、古くからその防災、治水が重要視せられていたにもかかわらず、いまだに洪水調節等の施設は何一つ設置されず、ただ災害を受けるたびごとに堤防を補強する程度で、何ら根本対策が顧みられなかったようであります。現在までに六十一回に上る災害の記録を郷土史に残している由でありますが、土木技術等の幼稚な昔はともかく、科学の進歩した今日においてなお今回程度の雨量で大災害を繰り返すことは、全く災害対策の貧困と言われても弁解の余地はないのでありまして、現在実施に移そうとしている大野ダム建設の早期完成をはかるとともに、さらに、必要な治水施設を増設し、福知山盆地における農業経営の確保をはかるべきであると痛感した次第であります。  次に、滋賀県の被害状況等について申し上げます。  滋賀県の今回の被害は琵琶湖の北部各河口にある干拓地が大被害を受け、台風後二週間を経た十月十一日現在においても、いまだ一メートル以上の水につかり、水稲は茶褐色に枯れ、侵入した水はすでに黄色に変じ、臭気を放って、まことにむざんな状態を示していたのであります。滋賀県の湖北部のこの地帯を流れる河川はことごとく天井川といわれ、平地から四、五メートル以上も高いところを流れ、国鉄線、国道等はその下を走っている状態であります。従って、一たび河川がはんらんすれば、河水は平地に流れ落ち、農地住宅は立ちどころに水没するわけであります。  滋賀県の被害総額は四十九億二千万円となっており、そのうち農林水産被害は十九億七千万円に上り、農作物は十四億一千万円、農地農業用施設三億円、林業二億四千万円等となっているのであります。  現地においては、日野川の小南部落、西横関と、天野川の能登瀬部落、醒ケ井町、山東町柏原の堤防決壊による農林被害等を調査し、続いて、現にポンプ排水実施中の干拓地、中主村の野田沼干拓、近江八幡市の水茎干拓及び米原町の入江干拓を親しく見て回ったのであります。滋賀県は、琵琶湖の排水を瀬田川一本の水路にその命を托しているわけでありまして、湖水が増水し、瀬田川の排水能力を越えると、周辺の農地たちまち水没せざるを得ない状態にあり、瀬田川の排水路の拡張は防災の必須要件とせられ、調査団も強くその必要性を感じて参ったのであります。  以上、現地状況について、ごく概要のみ申し上げましたが、各府県とも、これが復旧策については種々の要望がなされたのであります。その個々につきましては、各班において述べられた事項で尽きておりますので、再び繰り返すことを避けますが、第一班の要望事項をもって本班にも共通する要望と御了承願いたいと存じます。  最後に、一言つけ加えたいことがございます。すなわち、本第十五号台風被害のうち、その相当部分は、二十八年災の公共事業が予算の関係で完成がおくれていたため再び大被害を生ずるに至ったということ。次に、愛知県、三重県及び岐阜県が史上最大の被害を受けている関係上、世間の耳目がここに集中し、その他の府県もきわめて激甚被害を受けているにもかかわらず、災害対策の実施の上においてとかく軽く見られやすいということであります。それぞれの府県において、また個々の被害者にとっては、その深刻さ、災害の痛手には何らの甲乙はなく、対策の取扱いはあくまでも公平敏速に、かつ同様の手厚さをもって救済の手を差し伸べられたいのであります。このことは災害に悩む現地の切なる訴えであることを申し述べて、報告を終る次第であります。(拍手)
  10. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 中澤茂一君より資料要求の発言を求められております。中澤茂一君。
  11. 中澤茂一

    ○中澤委員 大野政務次官に資料要求をいたしますが、一昨日の新聞を見ると、各省の要求額がもはや大蔵省に出ておる。しかるに、建設省だけは新聞に発表したが、あとは閣議で発表しないことを申し合せたとかいうことを新聞が書いておる。そういうことは、まさに国会軽視、国会無視だと思うのです。少くとも、そういうものがまとまったら、当然、われわれのところに、今大蔵省とこういう折衝をしておるのだという資料を本日出すべきだ。場合によれば、われわれも大蔵大臣の出席を求めて、どうしてもやらなければならない問題を追及しなければならない。とにかく、政府与党の中においても大蔵省は災害予算をできるだけしぼろうという態度をとっておることは明らかなんだ。そういう点について、本日午後なり、もし間に合わなければ明朝なり、現在農林省が大蔵省に要求しておるところの要求額は科目別に一体どうなっておるのかということを示してもらいたい。その中で、たとえば自作農資金の問題などは、もはや絶対足りない。どれだけ補正要求をしておるのかということは、当委員会としてだれしも知りたいところであります。そういう点について、閣議で何か要求額発表をやめようということを言ったとか言わないとかいうことを新聞が書いておる。しかし、建設省は新聞に発表しておるのです。だから、現在の大蔵省と折衝しておる要求予算の明細を、一つ当委員会にこの際資料として御提出を願いたい。
  12. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 私からお答えいたしたいと思います。  ただいま中澤先生から、今回の災害に伴う予算の要求についての資料の御要求がございました。われわれといたしましても、予算の要求の資料につきましては、目下大蔵省に一応の概算という形で出しております。しかし、資料として提供するまでには、いろいろの前提といいますか、方針の未確定の要素がございまして、たとえば、今回の災害に伴う補助の考え、あるいは復旧の進度、あるいは融資補助との関係、これらにつきましてはいろいろの考え方が成り立つということで、いろいろの場合におきます数段の資料というものをもって実は大蔵省に対して折衝するということにいたしておる段階でございますので、これが農林省のぴしゃりとした要求であるという形になりかねない部分があるわけでございます。特に、また、被害状況におきまして、数字がその後においてまた変るというふうな今回の特色もございまして、そういう段階でございますので、現在の段階で申し上げられる数字は申し上げたいということに御了解願いまして、資料につきましてはもう少し検討させていただいたらいかがか、――これは私の個人的な意見でございますが、率直に、今要求をぴしゃり出せ、こういうことになりますと、これからどうそういう点を調整するかという問題がございますので、口頭で申し上げるような段階のものにつきましては申し上げたい。資料として農林省要求額一覧表という形では、今の段階ではちょっと出しにくいという状況にございます。御了解願いたいと思います。
  13. 中澤茂一

    ○中澤委員 そういうことが当初私の言った国会軽視だと言うのです。われわれは、現地に五班も出して調査をして、いろいろな要望事項や何かを持っておるわけであります。そのわれわれの意見をいれずに、あなた方が勝手に大蔵省と折衝して、大蔵省がのまなかったからどうもうまくなかった、そして決定したものを当委員会にこうだということは、今次の災害が未曽有でなければ私は了承します。こういう死者五千人以上も出しておる未曽有の大災害のときに、なおかつそういう依然たる態度は了承できません。これはあなたを責めても無理なんです。これは大野政務次官に聞きたい。そういうことで当委員会の意見もその中に入れて、そしてなお大蔵省が了承しなければわれわれ大蔵大臣をここに呼び出せばいい。大蔵大臣に、これをなぜやらないんだ、こういう要望があるんじゃないか、どうして銭を出さないんだと責めればいい。われわれは被災農民のために全力を尽してやりたい。あんた方ばかり勝手に大蔵省と折衝して、これはのまなかったから仕方がない、こういうことは今次の災害では絶対に許されない。そういう意味で、われわれは、資料を提出さして、場合によれば大蔵大臣に、いかなる理由でこういう正当なる要求がのめないかということを追及しなければならぬ。これは官房長ばかりを責めても無理なんですが、政府として閣議で発表するとかしないとかいうことを新聞で書いているから、僕は言うのです。そういうばかな話はないですよ。少くとも農林省としては農民のために最善の対策を立てておるので、それに対して大蔵省が徹底的に抵抗しておる。その抵抗しておるものを打ち破るためには、当委員会が大蔵大臣をここへ出席要求してやることが国会のあり方としても正しいんだと思う。そういう点について官房長や皆さんを責めたって無理な話なんですが、一体大野政務次官はどう考えていらっしゃるか。
  14. 大野市郎

    大野説明員 ただいま官房長より、農林省の事務手続といたしまして、予算要求を折衝中であるので、その経過を述べた次第であります。閣議においてその折衝過程の問題の発表を差し控えろというような話題が出たかどうかは、大臣よりその旨のことを聞いておりませんので、その点は私から答えかねますが、ただいま官房長から述べました通りで、御承知のように、政府部内として、予算の国会に対する提出ということは、統一した見解のもとで政府として提出する建前でございますので、従って、農林省としては、諸般の問題につきまして御要望を当然織り込んで要求はいたしておるのでございます。従いまして、折衝過程の政府部内の問題でもありますので、資料という形で当委員会に差し出すことを御猶予いただいて、その御心配をいただくことはよくわかりますので、災害関係の御審議の過程において申し上げられる限りの最大限度の事柄を、数字が政府部内において確定いたしておりませんので、そのつど、必要なる部分に対しまして、こういう経過で折衝中であるという形で述べさしていただいて、部内のいまだ確定しない要素がありますので、委員会としてはそういうふうなお扱いで御了承願いたいと思います。
  15. 中澤茂一

    ○中澤委員 要求額そのものを閣議の申し合せ事項で出さないといいうならいい。きのうの新聞を見てごらんなさい。建設省は要求額の大綱を発表しているじゃないですか。閣議の申し合せ事項というものは現にくずれている。それを、農林省だけがそういうことはわしの方はやらないというのはおかしい。政務次官はどう考えるか。それならば、建設省が発表したということで、あなた方が突っ込めばいいじゃないですか。建設省が発表した以上は、農林委員会農林省に対して資料を出せと言ってどこが悪い。理屈は成り立つでしょう。これは折衝する意思があるのですかないのですか。きまってから、大蔵省がのまないから、きまったから仕方ありません、いつもこれです。それなら調査団は出さない方がいい。だから、建設省が発表したから、農林省の要求する資料を出してちっとも文句がない。どうですか、政務次官、大臣と話して、午後の委員会に資料を出すか出さないか。それを出さなければ委員会の審議はやめてしまいます。
  16. 大野市郎

    大野説明員 中澤委員の御意見でございますが、予算の提出は政府がいたすのでございまして、農林省は政府部内の機関でございます。従いまして、予算の要求の過程でありますし、その意味で、私は閣議がどういう決定をしたかということも実は聞いて参りませんのでその点は保留をいたしますが、そういうふうな私は見解を持っておりますので、折衝過程のものを当委員会に資料という形で御提出することに疑義を持っております。その点なお大臣ともよく意見を調整いたしまして、この点に対して午後また機会をいただいてお答えをいたしたいと思います。
  17. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して……。  こういう形で資料を出されたらいいと思う。農林省において省議で決定されたその要求の内容ですね。これは出すも出さぬもない。農林省が、今次の災害対策として特に臨時国会に補正予算が出るわけですから、それらの関連の中で、当然これは省議で方針をきめて予算の要求はやられるのだから、その省議決定して現在要求中の資料は出せると思う。そういう形でこれは出していただきたい。  もう一点は、予算と関係のある農林省関係の災害対策の必要な立法措置、あるいは要綱等による行政措置、これらをどの程度に作業を進めておるか、これを中澤君の予算関係の資料と同時に出してもらいたい。
  18. 大野市郎

    大野説明員 ただいまの御意見でございますが、当農林省といたしまして、省議を決定いたしまして大蔵省に対する予算折衝をいたしておるのは間違いございません。なお、それに伴います法律改正あるいは法律を作る必要のあるものが幾つかございますので、それらに対しまする準備も進めておるのでございます。ただ、確定をいたしておりません数字でございます。この点については、予算案は政府が提出いたしますものですし、閣議でどういう決定がされたかということも、先ほどお答えいたしました通り聞いておりませんので、大臣とその点さらに折衝いたしましてお答えをいたしますから、それまで御猶予いただきたいと思います。
  19. 中澤茂一

    ○中澤委員 農林大臣が午後来るということですから、一応保留いたします。
  20. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 第三班の派遣委員報告は、都合により明二十二日聴取することといたします。  なお、午前の会議はこの程度にとどめますが、休憩中に災害関係の映画を別館ホールで上映いたしますので、各位の御観覧を願います。  午後二時二十分より再開することとして、これにて休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十四分開議
  21. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、資料要求に関する発言を求められておりますので、これを許します。中澤茂一君。
  22. 中澤茂一

    ○中澤委員 実は、午前中大臣が来なかったので政務次官と一わたりやったのですが、どうも大臣が来なければこれはけりがつかぬ、こういうことで、一応留保したのです。今回の災害は御承知のように非常に未曽有の大災害なわけで、それについては、私も記憶がありますが、二十八年災害には、われわれ農林委員会は毎晩九段の宿舎で十二時までかかって数字まで積み上げて、そして農林省が要求しておる数字と合して、これをこっちへふやそうじゃないか、これはこっちへふやそうじゃないかというので、二十八年災害はわれわれ自体が数字の検討までやったという事実があるのでございます。そこで、この未曽有災害に当りまして、現在農林省として大蔵省に要求しておる資料、これは水没地帯があるのですからまだ固まらない面もあると思うのですが、しかし、その資料を、どういうものを要求しておるのか、どういう程度に考えておるのか、今の要求を当委員会に秘密文書でもいいから出してもらいたいと、午前中こういう要求をしておるわけです。ところが、これに対して、政務次官の方では、それは大臣でなければちょっとわからぬというので、そこであなたにおいでを願ったから、それを出していただけるかどうか。これはやはり出していただかないと、たとえば自創資金の要求が非常にある、しかしこれに対して一体どういう補正をやろうとしておるのか、われわれが現地調査をして要望を受けたようなそういうものが一体農民のために事実要求として出されてまかなわれるのかどうかという、これは一つの例ですが、小災害の問題、高率補助の問題、あらゆる問題があるわけなんです。そういう点について、今大蔵省と折衝しておるものを資料として、秘密でもいいからわれわれ当委員会に御提出願いたい、こういうことなんです。
  23. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまのお話につきましては、これはなかなか色よい返事ができないのであります。これはまだ政府間におきまして相談をいたしております段階でございまして、さようなものが公けの資料として論議の対象となるということは、国民にもいろいろ誤解を与える原因となりますので、私どもといたしましては、政府としてはこう考えるということをきめましてから、これは資料としてどころでない、議案として御審議願う、こういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 中澤茂一

    ○中澤委員 これは事実ですか、新聞に書いてあったのですが、各省要求が膨大になっておる、そこで、これを新聞に発表してしまって、大蔵省が徹底的にしぼった場合、非常に被災地からうらみを買う、この際一つ閣議申し合せでこの要求のものについては発表しないことにしようという申し合せをしたということを新聞が報道しておりますね。そういうことはあったのですか。
  25. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 閣議の話をいろいろここで申し上げるわけにもいきませんが、しかし、予算の編成におきまして各省が大蔵当局に対してどういう要求をしておるかということを発表するということは、これは非常に好ましくないことでございまして、閣議でさような話があるなしにかかわらず、さような発表をするということはすべきものじゃない、私はさようなことはいたさない考えでございます。
  26. 中澤茂一

    ○中澤委員 しからば、その閣議の申し合せか何か知らぬが、それはあなた方が常識的に発表しないというが、建設省は新聞に大体款と項くらいに分けて発表したじゃないですか。それを、ほかの省はそういうことはやらないと言うのはおかしいじゃないですか。建設省の方は、きのうかおとといの新聞に、建設省の要求額というのが出ております。だから、そういう点について、あなたばかり約束を守ったって、村上建設大臣が約束を破っているのだし、しかも、新聞に公表しろと私はあなたに要求しているのではないのです。当委員会に秘密でもいいからその資料を出してくれ、その資料についてわれわれはいろいろ現地調査した結果聞いた意見や何かのものがわれわれの考えているように盛られているかどうかということを検討してみよう、こういう考えなんだから、外部に議員が責任を持って出さないというなら、それはお出しになっていいと思うのですが、どうでしょう。
  27. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、これは、長い間、さようなことがいいのだということで、政府間の交渉の経過はこれを世の中に出さないようにいたしておるわけなんです。これがたまたま何らかの方法で新聞等に漏れることがありますが、それは非常に遺憾なことでありまして、私どもといたしましては、どういういきさつで建設省あたりでああいうことになりましたか、これはもう非常に――建設省の予算というのが新聞に出ているそうですが、それが真相を伝えているものとは私は思わない。すなわち、建設大臣が統一的にほんとにこういうふうにしたのだというふうに発表したものだとは考えませんが、もし万一さようなことがありとすれば、はなはだ遺憾である、かように考えております。
  28. 中澤茂一

    ○中澤委員 私は、そういうことは、今さっき申し上げたように、二十八年災害のときには、われわれは毎晩九段の議員宿舎で夕飯を食いながら数字まで計算して、農林省とつき合せて、こっちをふやそう、あっちをこうやろうとやったという事実があるのですよ。これは、私の記憶が間違ってない限り、ここにいられる方も、毎晩十二時まで数字作業を農林委員会の皆さんがやったのですよ。そういうことがあるんだから、何もそれを出してもわれわれはどうこうということじゃない。ただ、その中で要求が盛られなければまずいので、こういうふうにきまったからあとは好き勝手にやれ――大野氏はさっき提案権があるんだからと言うが、その提案権の前の問題です。われわれは政府の提案権を侵してやろうということは考えているんじゃないので、提案権が政府にあることはきまっているのですよ。その前に、一体どういう被災地農民の要求が盛られているかということをわれわれは公正に判断したい、こう思うのですよ。これは別に何も私は筋の通らないことを言っておるわけじゃないのです。それはお出しになったってちっとも私は差しつかえないものだと思うのです。それをわれわれはまた公表しようというわけじゃないのですから、いま一度、どうです大臣、その辺を考えて、しかも建設省が発表しちゃっているのを、おればかり一生懸命岸さんの言うことを聞いているという手もないでしょう。
  29. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 中澤委員災害対策に対しまして御協力下さるという御熱意に対しましては、満腔の敬意を表します。さような意味合いにおきまして、私も、差しつかえない限りにおきまして、こういう考えを持っておるんだということは申し上げます。それでまあ大体のところは御察知願えるのではないか、かように考える次第でありますので、まあその辺で御了承願いたい、かように思います。
  30. 中澤茂一

    ○中澤委員 しかし、じゃあこれは委員長にまかせるが、私は、秘密会にしてもらってもいいから、各局の局長さんなり何なりが、大体どのくらいどういう要求をして、どういうところに問題があるか、――大蔵省は新聞を見ても非常に非協力なんだ。大蔵省というのはいつもそうなんだから、場合によれば大蔵大臣にここに出てもらって、一談判やらぬと、とてもこれはケリがつかぬと思うのです。だから、ある程度資料を出していただけるなり、説明を聞くならば、大蔵大臣の出席を求めて、一体どうして削るんだということを追及してみなければいかぬと思う。  そこで、一つ大臣に基本的なことでお伺いしておくが、政府も、これは立法でも何でもすべての措置が二十八年災害を下回らないということを言っておるのだね。そういうことを政府でも申し合せで言っておるんでしょう。その点はどうなんです。二十八災を下回る対策をやるつもりか、二十八災を上回る対策をやるつもりか。二十八災のことはわれわれは全部知っておりますが、その基準の上下というものはどの程度に考えておりますか。
  31. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まだ予算がきまりませんから、政府の統一的な見解はきまりません。しかし、私といたしましては、二十八年の災害というものを横ににらみながら、これは災害の性質上いろいろの変化もあるわけでございますから、対策に遺憾なきょうにいたしたい、かように考えております。
  32. 中澤茂一

    ○中澤委員 どうも、横ににらみながらと言うが、二十八災を横ににらんだだけではだめだから、二十八災を基本にしてやるのだ、ある場面においてはこれを上回りましょうということが、今度の災害対策では必要なんですよ。だから、横ににらんで二十八災以上の対策をやるんだ、ある場合には二十八災でとまるが、あるものはそれ以上やるんだという点はどうでしょうかね。
  33. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 横ににらみながらと申し上げましたのは、全部が全部百パーセント同じだ、こういう意味じゃないのであって、災害の規模等から見まして、二十八災の経験というものを十分参酌しながら、私は、場合によればあれ以上の対策もなければならぬし、また、ものによりましては、そこまでいかぬでいいものもあるし、さように考えているという意味でございます。
  34. 中澤茂一

    ○中澤委員 それじゃ、どうしますか、これは委員長に一任してもいいが、しかし、大体のアウト・ラインがわからないで、きまってしまってから、ほれきまっちゃった、さあこれでお前ら勝手に審議しろ、そういうでたらめをやるなら、こっちは審議を拒否しますよ。やはり、ある程度、こういうものについてはこういう考え方を農林省は持っているのだということを明らかにしなければいかぬと思うのですよ。それに対して大蔵省がどうしてもいかぬと言うならば、やはり、重大な問題に対しては大蔵大臣の出席を求めて、そうしてわれわれはその問題を追及していかなければならぬ。さもないと、どうも新聞だけではっきりわかりませんが、大蔵大臣は非常にしぼろうとしておる気配が見える。大体村上建設大臣が非常に憤慨しているなんていうことが新聞に出ているのですからね。だから、そういう点、一つ委員長におまかせするが、大体要求額は各局このくらいやっておる、そうして法律にするとか小災害をどうするとかという問題点はどこにあるのだということは、われわれに御説明願えると思うのですよ。これは委員長に一任します。
  35. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤委員の御発言の通り、私どもは二十八災において九段の宿舎でやったことを記憶しております。しかし、大臣の答弁を伺っておりましても、一応政府の責任者としての御発言としては妥当であると委員長は考えます。(「妥当じゃない」と呼ぶ者あり)しかし、大臣におかれても、今御発言されましたように、大体の方向を資料でなくて口頭をもって述べる程度のことはやってもよろしいという御発言がございましたので、大体の腹がまえと申しますか、この災害に対する対策の考え方を表明されたいと思います。農林大臣。
  36. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、この災害に対する対策の考え方といたしましては、この災害が非常に特異な性格を持っておるという点に注目をしようというふうに考えております。すなわち、今までの災害等におきましては、長期間にわたりまして水没地域が非常に広範な面積において出るというようなことはまれであったわけであります。さような今回の災害の特異性というものに対しまして十分尽すところがなければならぬ、かように一つは考えております。それは、対策の性格と申しますか、さような点でございます。  それから、対策程度、深度という点につきましては、ただいまも申し上げました通り、二十八年度災害の経験々参酌しつつ、場合によりましてはそれを上回る対策もあるであろうし、場合によりましてはそこまでいかぬでもいいものもある、かような考えをもちまして、その災害の性格に応じた対策をとる、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。  それから、第三に、いろいろ議論のありまする原形復旧かあるいは改良復旧かという問題がありまするが、これはその事案の性質にもよることでございまするけれども、どうしてもこれは改良復旧でなければならぬというものにつきましては、改良復旧をもって臨みたい、かように考えておる次第でございます。  全体の対策を講じた効果、結果といたしまして、非常に特殊な場合、特殊な事例を除きましては、来年の春の植付にはこれを必ず間に合せるという速度をもちまして事業を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 吉川久衛

    吉川委員長 大臣には本日の質疑において概論的なことを時間の関係もありますのでお伺いをいたします。それから他の各政府委員の諸君にこまかい点にわたって質疑をいたすつもりでございますが、政府委員の諸君に申し上げておきますが、ただいまの大臣の御答弁の趣旨に沿うてそれぞれの局の考え方をできるだけ具体的に差しつかえない限度まで答弁せられることを希望いたしておきます。  台風第十四号並びに第十五号による農林漁業災害に関する質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。  丹羽兵助君。
  38. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私は、幸いに農林大臣の御出席をいただいておりますので、大臣に一言根本的な大臣自身のお考えを承わっておきたい、こう考えております。先回の委員会のときには、大臣現地へ御出張いただきまして、私のお尋ねに答えていただくことができなかったのでありますが、それ以上に現地で、ただいまお言葉のありましたように、今回の災害の特異性、また惨状と申しますか、目も当てられないような姿をお忙しい中に見ていただいて、それに対しての対策をとっていただきましたことを深く感謝するものであります。  特に、今度の災害で政府は名古屋に対策本部を設けられ、総理にかわって副総理が本部長に、石原長官が副本部長としておいでをいただいております。ただいま農林大臣のお話を聞きますると、今度の災害中心としてでありましょうが、二十八年をながめつつ来年の作付に間に合うように復旧をしていきたい、こういうお言葉でございますけれども、副本部長は、名古屋におきまして、二十八年災害以上の措置をとるということを関係者にたびたび漏らしておられるのです。私、やはり二十八年の災害及び三十三年の災害の際にとられた立法並びに助成措置以上の措置農林大臣所管のことについてはとっていただかなくちゃならぬと思うのでして、総理初め副本部長がそう言っているのに、大臣が、横目でながめて、必要のないようなことも生ずるなんて言われますが、根本的に、私は、全体的にこれはそれ以上のものをやっていただかなくちゃならぬ、こう思うのです。  そこで、先ほど資料要求の面から中澤さんとのやりとりがございました。大臣自身の大蔵省に対する復旧に要する予算要求の考えはほぼわかるのですが、どういう考えでやっていただいておるか、また、自信を持ってやっていただけるのか。われわれ議員の力を借りずとも、少くとも福田にまかせろ、おれがやってみせるのだ、この災害はおれの力によって必ず復旧させてみせるのだというあなたの根強さはわかるし、またそれを聞いた農民は大へん喜ぶでしょう、罹災者は大へん力強く思うでしょうが、思うからしてもっと突っ込んで一つお尋ねしておきたいと思いますが、きのうも閣議で今度の災害に関する立法措置一、二をおきめになったようであります。それから、その前に七つほど、今度の特に災害中心として開いていただける臨時国会に出そうという措置をすでに閣議でおきめになった、そういうような新聞が出ております。大臣が新聞のそれは違うとおっしゃるならば別なんですが、新聞はそれを報じておるのです。だからして、閣議でこういう方針でいくのだときまったこと、あるいはまた、農林大臣としてこういくんだというようにすでにきまっておる方針、と同時に、その立法措置の内容もきめられておるのでしょうから、何も政府部内のやりとりの話は言えないとか、世間に誤解を招くからいけないというのではなくして、もうおきめになっていらっしゃる、閣議まで決定しておるところの点を、一つお聞かせ願いたいのです。そして、大臣の口からそれを聞かしていただいて、農民の立ち上る力にしていただきたいと私は思います。  特に申し上げておきたいのは、この災害復旧ということも大事でしょう。しかし、現在は、農民自身、特に大臣ごらんになっていただいて御存じのように、もう二十日も、今まさに一月になるというのに、水の中に半分くらいつかっている。しかも、この半分くらいつかつているほとんどが農林地帯なんです。こういうようなことも一世紀前のことのように思われるのですのですけれども、こういう諸君は、一体どうしてもらったらいいのか、どうしてほしいのか、それすらわからない。どうしてほしいということも、もう考え出せない。実際、自失ぼう然と言いましょうか、みずからを忘れてしまったような姿になっておるのですから、私は、災害復旧の問題もさることながら、まずこういう人たちに政府がどうして救済の手を差し伸べてやるかということが差し迫った問題だと思う。家がなくなった、食うものがない、そうして水の中におる。広い陸地の開墾地等は参りましても、家が吹っ飛んでしまって、豚も牛も外で走り回っておる。わずか一坪、二坪の小さいバラックを作って、せっかく今まで苦心惨たんたくわえてきたものをなくした開拓者というものもおるのです。これに対して政府はどういう救済の手を差し伸べてやるのか。根本的な災害対策も大事ですが、今言ったように、しっかり立ち上ってくれというように、救済の手というか、きょう立ち上るための愛の手を差し伸べる方針を私は承わらせていただきたいのであります。  ちょっと言い過ぎた点があるかもしれませんが、ほんとに大臣が見られたあの姿が今日残っておるのです。もうすでに大臣お行きになりましてから十日以上もたっているから、よもやそうお考えにならぬでしょうけれども、まだそのまま残っているのです。こういうことは一体どういうところに原因しておるのか。何のために今日の時代に救われずしていつまでもほうっておるのかということについては、これは次の機会、ほかの機会に尋ねてもいいと思うし、ここに綱島先生がおいでになりますけれども、今度災害を受けたところは、小さい言葉で言うと地盤沈下、大きな言葉で言うと地すべりなのです。それを、三年も四年も五年も前に、綱島委員長のときに、あの地帯の地すべり対策を考えておかなくちゃならぬということを国会から政府に言ってあるのです。それが全然やられぬ。先ほどもお話が出たのですが、十三号台風のときに処置したところは全然こわれていない、そう申し上げた方がいいと思う。やってなかったところが全部です。それはどういうことかと言えば、綱島先生の注意しておられたように、地すべりしたものを全然考えない。しかも、その地すべりした上に農林省が大きな開拓地をお作りになり、防潮堤をお作りになった。地盤沈下一メートル以上もしておるところに普通のものを作ったからして、鍋田開拓地なんというものは、今日目も当てられない姿になっておる。これはこれとしまして、今後またせっかくそのために国会を開いていただけるのでしょうから、根本的な問題等は予算委員会等に出まして私もお尋ねしたいと思っておる。けれども、特にあなたにおすがりするのは、今日半分以上の者が困っておるのですから、福田にまかせろ、おれが交渉するからまかせておけ、立ち上らしてやるというその言葉を力としてみんな水の中におるのですから、そのあなたが今まで閣議においてどれほど法律を作って助けてやろうとしておいで下さるのか、そしてまた、どの程度の臨時の措置をとってやろうと考えて交渉しておって下さるか、あるいはどの程度までその交渉が実っておるということを一つお聞かせいただいて、安心さしてやっていただくように、質問をするわけであります。
  39. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今度の災害が非常に特殊な性質でございまして、いまだに水没地地域に住居している者もあり、また住居が、また畑が水没しているというものがある。私も先般現地を視察いたしましたが、視察後の状況につきましても、その刻々の報告を受けまして、よく現状も承知しております。それで、とにかく、冬に向ってお気の毒な方々があられるわけでございますから、当面の大きな生活の維持ということにどうしても全力をあげなければならぬ。さような角度から、閣議の方でもいろいろ検討いたしまして、あるいは毛布を増配いたしますとか、あるいは応急住宅の単価というもの、また戸数をふやしますとか、あるいはたき出しの食事を今までは五十円というものを九十円まで引き上げますとか、いろいろそういう生活の維持安定という面を、今までとらなかった施策をどんどん進めておるわけであります。しかし、問題は、水がひけるという点にあると私は考えておりますので、先般名古屋の現地を視察いたしました際も、一緒に参りました農地局建設部長に、とにかく契約をしてくれ、君は契約が済むまで帰ってはならない、こういうように申し伝えまして、とにかく居残ってもらい、その後建設部長が帰って参りまして、こういうふうに契約を了しましたから帰って参りましたというので、水のひけるためのポンプ作業に関するもろもろの契約でありますとか、その他作業急施に関する契約でありますとか、いろいろ早急に取り進めておるのです。しかし、鍋田地区のごとく、御承知通り困難な作業もありまして、水が全部ひけるというまでには年末までかかるというような見通しのところもあるわけであります。非常に私どもも苦慮いたしておる次第でございますが、とにかく一刻も早く水をひかせなければならぬというその方向に今全力をあげておる次第でございます。さらに、水がひけ、作業をだんだんと復興の方へ向けていかなければならぬという際の対策といたしましては、基本方針としては、農作業が来年の春からちゃんとできるということを目途として今やっておりまして、必ずそういうふうにいたしたいというふうに存じておりますることは先ほど申し上げた通りなんです。また、同時に、安心して今後は営農ができるようにというので、状況においては改良復旧主義をとって参るということもただいま申し上げた通りなんです。前途に希望を持ちながら、この復興途上をとにかく切り抜けていただくということに相なりまするが、先々はこうなるんだということにつきましては、私どもも万全を尽し御期待に沿っていきたい、こういうふうに考えておる次第でありまして、その具体的な施策につきましては、お話のように、すでに法律案として閣議で提案をきめたものもあります。それから、今後きめていくものもありまするが、今後きめていくものは大体予算と関連を持つものでございまして、その具体的な詳細につきましては、なお数日の時間をおかりいたしますれば明細に申し上げることができる、かように考えておる次第であります。
  40. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 大臣も忙しい中を非常に広範囲の地区をごらんいただき、御視察いただいて、御激励のお言葉もいただき、なおまた政府の大臣として農民諸君に力強いお言葉もいただいて、それについては非常に感謝しておりまするが、特に私の強く要望というよりもお尋ねをし、また大臣自身がやっていただきたいのは、内閣総理大臣がおいでになって、そしてそのときに副本部長も立ち会い、その他の高位高官の要人が立ち会われて、総理自身が、これはもう空前――空前というお言葉をお使いになっておる。こんなことは空前の被害である、未曽有被害である、だからそれは二十八年災害以上の考えをもって臨むから安心してくれ、こういうことを言っておられる。なるほど、それを横にながめてやっていかれる大臣の態度というものはわかるのです。特に、建設もあれば文部の関係もあるでしょうが、あなたのやる、農林大臣として所管をいただく範囲においては、二十八年災害以上の助成の方途を講じていただきたいのです。またこれはいただかなくちゃならぬと思うのです。よそのことはわかりませんよ。それは建設省の関係においてはそれ以下でいいと考えられるような向きもあるかもしれない。また文部においてはそういうような考え方を持つ面もあるかもしれませんが、特に農林大臣として所管いただける農林方面については、総理がそう言っていらっしゃるのですから、そう遠慮せずに、遠慮してしまっては大へんなんですから、全面二十八年以上にやっていただかなければならぬと思う。その点重ねてお尋ねしておきたいと思う。
  41. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、今度の災害農家の立ち上りにつきまして、できる限りの手を尽してこれを応援をするつもりです。必ず御期待に沿い得る、かように考えておるわけなんです。ただ、言葉の端のような点になりますが、二十八年災をそのまま適用するか、あるいはその上を適用するかというようなことになりますれば、技術的に、ものによりましていろいろ事情が変ってきたとかなんとかということがあるのです。たとえば、小団地農地の問題につきましては、あのときは補助金を出すということをやったわけであります。ところが、それがいろいろ批判もあるというので、今度は起債によりましてこれを地方団体にまかせてあるというような切りかえもあるわけです。さようなことを考えますと、非常に理詰めに言いますると、そのまま、あるいはそれにプラス・アルファというふうに申し上げられない点が多々あるのです。しかし、私の気持といたしましては、今度の災害の異常的性格を見ますると、それの対策がとうてい間に合わぬものもこれも多々ある。それから、今みたいに、事情が変ってきておるというために、これは修正した方がいいだろうというふうに考える面もあるのでございます。しかし、そうこういたしまして農家が立ち上りに困るというようなことは根絶するというふうにいたす考えでございます。
  42. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 先ほど中澤さんとのやりとりで、いろいろ誤解を招かれることにもなるし、政府部内の折衝も、今からそれを出すわけにいかないとおっしゃいまして、その点与党の一人としてわかるのですが、それではお尋ねしたいのは、今も大臣自身が口に出されましたように、ただ水没して水の中におる人ばかりでなくして、一年間丹精込めたすべてのものを失い、家を失っておる者は、陸地にも平坦地にもたくさんあるのです。こういう方々が、大臣がどういうような法律をこしらえ、また暫定緊急措置をとっていただいて助けてくれるかということを、みな待っているのです。だから、まだ交渉の過程にあるものは、それはそれでいいのですけれども、今まで閣議でおきめになって新聞に出したものなら、これはもう――たとえば、自作農創設資金というのは、現在は二十万円が最高であって、年五分という利息である。しかし、この二十万円ぐらいでは、今度の罹災農家というのは、これは全然立ち上ることはできない。だから、これはもちろん直していただけるでしょうが、そういうようなことも先般の新聞に出ておった。そのワクをふやす、あるいは貸付限度額をふやすというようなことが出ておったのですが、そういうような、これは一つの例ですけれども、今までにおきめになっていらっしゃることを、そう隠さずに、もう二十六日には国会召集になるのですから、しかも閣議で決定したら、一日も早く教えてやって下さい。みんな待っているのですから。その一日早いことが農民にとってどれだけ強く力を持ってくるか。それをここで一つお聞かせいただきたい。
  43. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 それでは、これはまあいろいろ政府部内の話し合いの結果どういうふうに処置いたしますか、法律案を出すにいたしましても、災害に関する法律案というものは予算を伴うものでございます。それで、法律を出さぬでも予算を出して一向差しつかえないものもありますし、法律を必要とするというものもあります。また、いろいろ相談の結果、法律自体の内容について修正を加えるということもありますが、まあ、そういう留保つきで、ただいま法律案として考えられるあらゆる問題はこういう問題だという意味合いにおきまする農林省の提案予定法律案、さようなものを申し上げます。
  44. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 それでは、私から、今回の災害に関連いたしまして、農林省といたしまして、予算の関係等の見合いもございますけれども、場合によっては立法を必要とする事項ではなかろうかというような問題点につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず第一は、今回の災害に伴います各種の金融関係の措置でございます。この金融関係につきましては、御承知のような天災融資法の問題が一つございます。それから、農林漁業金融公庫の関係がございます。  天災融資法につきましては、今回の被害が特に個人の農作物被害あるいは畜産物被害、水産物被害等が非常に大きいという点にかんがみまして、特別被害農業者というものが相当出るのではなかろうか、従って、現在の貸付限度十五万円では不足するのではなかろうかという意味におきまして、法律上現在十五万円と書いておりますが、この点を検討いたしております。それから、内容の第二点といたしましては、従来、天災融資法の関係では、農作物被害だけを取り上げて、そして被害農業者の対象をきめて参ったのでありますが、先ほどの午前中からの御報告にもございましたように、畜産物の被害が特に大きい、そういう関係もございますので、農作物被害のほかに、やはり畜産物被害も含めて、被害農業者というものをきめていく必要があるのではなかろうか。この点も、現在の法律農作物に限定いたしておりますので、その点も検討してみる必要がある。従って、畜産物被害農業被害に入れるということになりますと、従来も経営資金の中で小家畜等の購入を見ておりましたけれども、家畜の購入という点もはっきりうたう必要があるのではなかろうかというような問題もあります。また、三重県あるいは愛知県等におきまして、相当漁船、漁具の被害がある、あるいはまた真珠等の養殖関係の被害もあります。そういたしますと、それらの貸付限度は、十五万円のほかに、それぞれ別の貸付限度を設ける必要があるのではなかろうかというような点が検討をいたしておる点でございまして、これらに関連いたしまして天災融資法の改正を要するのではなかろうかという点でございます。  第二点は、農林漁業金融公庫の関係でございますが、これは大体におきましては運用の措置でできると思っております。先般当委員会におきましても御決議になりました個人施設に対する貸付限度の拡張も、業務方法書でぜひやりたいと考えております。一施設当り二十万円の貸付限度額につきましては、今申しましたように引き上げていきたいと思っております。また、これに関連いたします当委員会からの御決議のありました金利等の問題も、検討の問題の一つでございます。ただ、今回の災害に伴いまして、相当大きな災害資金の追加ワクを設ける必要が出てくるのではなかろうか。そういたしますと、これも法律事項ではございませんけれども、資金ワクをふやすことによりまして、公庫等に採算関係から増資をするとかいうような措置が必要である場合も生するわけであります。これらは他の政府金融機関一般の取扱いがどうなるかということと関連してきまる問題でございまして、農林公庫だけの取扱いでどうこうというわけにはきめかねる問題でございますが、問題の第二点としては公庫法の問題があるわけでございます。  それから、第三点は、農林水産関係の施設の災害復旧に関連する問題でございます。この内容は、御承知のように、二十八年災におきましては現行法と違いました補助率を適用いたしております。その補助率は、その後におきまして、昨年の狩野川台風に基きまして暫定法の改正もいたしたのでございます。従って、二十八年当時における暫定法の補助率はその後において改定いたしておりますけれども、二十八年当時の補助率と現行補助率とが違いますので、この点をどう考えるべきかという点を検討いたしております。同様な意味におきまして、共同施設あるいは開拓地における住宅、農舎あるいは水産養殖施設等につきましての補助率につきましても、二十八年当時の法律の適用を見ておるような例にも徴しまして、これを予算的にやるか法律的にやるか、どういう補助率にするかという点を暫定法の内容として検討いたしております。  第四点は、今次の被害が、特に海岸堤防決壊、あるいは長期にわたる海水の湛水というような被害愛知県、三重県等において相当生じております。そこで、それらの地帯におきますところの除塩措置というものが必要ではなかろうかということで、これについての措置をどうするかということを検討いたしております。  同様な関係でございますが、公共土木についての国庫負担法がございまして、農林省関係の施設につきましても、たとえば漁港、林野関係あるいは除塩等の関係は、この公共土木法の特例で二十八年では措置いたしておったのであります。これは建設省の一般河川等の取扱いと同様な問題でございまして、地方公共団体等の負担率等の関係から、現在の公共土木国庫負担法に基く国の負担が適当であるかどうであるかということについて検討いたしておりまして、それの結果によりまして、この法律の特例法を出すかどうかということに相なるわけでございます。  それから、これも建設省の所管にかかる問題でありますが、風水害に伴う堆積土砂の排除、それから、同様に、これは二十八年にはございませんけれども、湛水地域における海水の措置の問題というような問題も、堆積土砂と同じような方法で考える必要があるかどうかということで、これも考えるとすれば立法事項になるのじゃないかというようなことで検討いたしております。  第七点は、米の安売りの関係の法律でございまして、これは被害農家に対して生産者価格とほぼ同程度の価格で国が還元売却をするという措置でございまして、これは大体農林、大蔵とも方針を決定いたしまして、近く閣議に出すという段取りに至っているものでございます。  それから、なおそれ以外の措置といたしまして、今回の災害に伴いまして、三重愛知岐阜等の三県、あるいはその他の県におきましても、農業共済組合連合会が建物の共済をいたしておりますけれども、風水害を共済事項といたしまする支払いに事欠くようなところも出てくるのではなかろうか。といたしますと、これに対する資金措置を講ずる必要がある。その資金措置を講ずる方法といたしまして、現在、農業共済基金は、農作物家畜、つまり再保険しておるものについての資金融通の道は業務上できることになっておりますけれども、建物共済についての資金融通の業務は行えないということになっておりますので、そういう道を開く必要があるのではなかろうかということで検討いたしております。  それから、第九点は、漁船被害が今回は一万数千隻にも及んでおるという被害の結果が出ておりまして、特に沿岸の零細な漁民救済の意味から、とうてい漁船の金融による復旧が困難な事態が相当あるのではなかろうか。従って、これらの零細漁民を対象として、特に小型漁船に対しては、単純な金融でなしに、たとえば漁業協同組合が所有し建造して、それを、小型漁船流失、沈没、破壊いたしたような漁民に対して貸付する、その協同組合が建造する資金に対する助成というようなことをやる必要があるのではなかろうかというような考え方が、この漁船保険について地元からも要望があり、またわれわれとしても検討をいたすべきものではなかろうかということで、これは主として予算の問題でございますが、立法しろというような御意見もございまして、これもまた検討いたしておる問題でございます。  立法に関連するような事項についてわれわれが目下検討いたしておるのは以上申し上げたような点でございますが、いずれも補助率なり財政負担に関連するものが非常にありますし、また、財政投融資全般に関連する問題も含まれております。また、他の金融機関の取扱いとの関連のある問題もございまして、農林省限りできめ得ないものが大部分でございますので、われわれとしては、そういったようなことをにらみながら検討を続けておるのでございます。  以上簡単でございますが……。
  45. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 福田農林大臣から、広範囲に、またこまかにわたって、これによって罹災地、災害地区を復興させよう、また立ち上らしてやろう、それと同時に、そこを安住の地になるように、再び災害を重ねないで、勇気を出して立ち上るように各般にわたって御心配いただいており、その方針というか、やってやろうというお考えを承わりまして、非常に力強く思うものであります。  今、最後に、これらのことはすべてよそとの関係もあり、予算との関係もあるので、こうはしようと思っているが、折衝中であるということで、この点もわかるのですが、もう二十六日に国会が開かれる。そしてそこに予算を出されるのでありましょうから、全部が全部まだ交渉中だ、話し合いができていないとは思われない。一部はきまっているだろうと思う。そこで、今言っていただいたようなことをやっていただくと、初めて立ち上っていけるのです。だから、交渉の過程にあるものはやむを得ませんでしょうから、私は一つ一つ大臣にお尋ねしようとは思わない。大臣は、そういう方針を示して、これをやってやれば立ち上っていけるだろう、これをやれば救われるだろう、こう考えて方針をお示しになって、交渉し、予算措置も考えていただき、あるいは立法措置も交渉していただけるし、一部は閣議の決定になっているのでけっこうですが、そこまできているものなら、そうしたお考えのもとに、――これからちょっとこまかくなりますが、今お示しいただき、お考え下さっておることがどの程度まで進んでおるかということを、一つ注文をつけるようなことになるかもしれませんが、要望に近いような言葉になるかもしれませんがお尋ねしつつ、自分の考えも述べたいし、特に多数の皆さんがこれから続いてお尋ねになるでしょうから、私だけで時間をとってはならぬので、きわめて簡単に要点だけをお尋ねいたしますから、交渉の過程というか、きまっておることを一つお聞かせ願いたいと思っております。  第一に、これらの農民は、とにかく開拓者と言わず水没者と言わず、低地で農業にいそしんでおる者全部の声は、金を貸してくれということなんです。金を貸してくれ、おれたち土地を持っているのだ、また努力して返すのだから、とにかく立ち上りのために金を貸してくれ、すべてをなくしてしまったんだから、これが一番強い声なんです。先ほど大臣も言われましたように、公共的な補助率なんというものは、それは全体のことですから農民たちは言わない。とにかく、おれたちは食うものがないのだし、とっつかなければならない、住む家がない、豚を飼う畜舎も、牛を飼う畜舎も、鶏を入れる鶏舎もない、鶏も死んでしまった、とにかく鶏が飼えるだけの金を貸してくれ、こういう声が非常にやかましいのですから、そういう点を中心に置いて私は一つ尋ねてみたいと思うのですが、自作農創設維持資金融通法に基く災害資金ワクをふやしてほしいということも関係者から頼んでおるのです。貸付最高限度のお話も今あったのですが、災害でありますから、貸付の限度の引き上げ、こういうものは当然やっていただかなければならぬ。自作農創設資金ワクと貸し付ける金額、これをふやしてくれ、利子は当然また一つ考えてほしい、こういうのです。それと同時に、もう一つ問題は、ぎょうの角屋さんの御報告にもありましたように、非常に零細農家被害を受けております。これは三反持っていない。いわゆる自創資金といえば、三反以上の自作農者でなければならぬわけなんですが、三反持たずとも、そこらの境にある零細なる農民には考えていただけないか。この二点を官房長から一つお尋ねしたいと思います。どうでしょう、ワクはふやしてもらえるか、貸付金額はどうか。
  46. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 その前に、ただいま交渉の過程における問題の全般についてでございますが、実は、先ほど申し上げたと思いますが、米の安売りに関連する法律は、農林、大蔵、ほぼ話が決定いたしておりますので、これは近く閣議手続の段取りになろうかと思っておりますが、それ以外の法律事項につきましては、われわれ内部におきましても事務当局として検討いたしておる段階でありますし、それからまた、大蔵省とはもちろんこれらの問題につきましても話し合いを進め、協議を進めておりますけれども、財政投融資全体の問題、あるいは他の補助率との問題、そういう点につきましての大蔵省内部における意思、方針といいますか、それらにつきましても、すべてまだわれわれは承知できない段階にありますので、実は、すべてが、説明のしっぱなしで、こちらの希望なり考え方を十分向うに説明しておる、こういう段階でございますので、おのおのの件名につきまして、これがこういう段階でこういうふうになったというようなところまで実は申し上げられない点を一つ御了解願いたいと思うのであります。ただ、早急を要する段階でありますので、われわれといたしましても、逐次詰まるものについては詰めたいということで督促はいたしておりますけれども、しかし、全般がすべてそういうふうな状況にありますので、先ほど大臣からもお話がありましたように、いずれ早急にきまるべきものでありますが、今の段階では全般といたしましてはそういう段階にあるということを一つ御了承願いたいと思います。  今御質問のありました自作農資金ワクの問題でございますが、われわれといたしましては、当初の予算百億というワクにつきましては、今回の災害では不足するのではないかということで、資金ワクの拡大につきましては要求いたしたいという考えを持っております。
  47. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 それでけっこうですけれども、農林省としてはこのワクをふやしていただかなければ、農民は金を借りる手はほとんどないのです。だから、ほんとうに農業者、漁業者の立場を考えていただくならば、大蔵省はとやかく言うでしょうが、何としても大臣の力、御努力によってワクをふやしていただきたいということを強くお願いしておきます。  それと同時に、ちょうど自治庁からもおいでいただいておりまするが、天災融資の関係で、半分はもちろん政府が持って利子を下げる、半分は政府の方で考えていただきましても、あとの半分を、県、当該市町村というか、市町村で負担をしなければならぬ。そうなりますると、この負担をする利子の予算措置で、とにかくどこの町村も被害を受けておるのですから予算措置をしてくれない。それを考えてくれないと、せっかくいい法律があり、お金は借りることができても、その政府のあたたかい気持を受けるわけにいかない。一番問題は、県よりも市町村がこの利子の補給をとやかく言うのですけれども、その点は、今回は内閣総理大臣も本部長も県の方にいらっしゃって、特別交付金または起債等によって町村負担にならないような方途を講ずるから安心してくれと言っておられますが、自治庁、それに間違いございませんか。一つ自治庁の関係者から承わっておきたいと思います。
  48. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたします。  天災融資法に基きまして行います利子補給額の中で都道府県や市町村が負担をしております分につきましては、従来から特別交付税で措置をいたしております。今年の災害につきましても従来通りの考え方で行なって参りたいと思います。
  49. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そうすると、従来特別交付税によって補っておるから、そういう御心配はないということですが、事実そういうようにすべてがまかなわれ償われてきておるならば、今回そういう声は出ないと思うのです。ところが、それが盛んに出るのです。しかし、きょうの御答弁で、その出る声は打ち消されるであろうと私は信じております。どうか御答弁の通りに、天災融資法によって利子補給になりました市町村負担分は必ず交付金によって穴埋めをしていただくように御配慮いただくことを重ねて申し上げておきたいと思いますが、間違いありませんか。
  50. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたしました通りでございます。
  51. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に、もう少しお尋ねさせていただきますが、先ほど農林省で交渉中だと言われております、今回のこの水没いたしましたところの除塩工事といいますか、除塩作業、これは私もこの間じゅうからずっと行っておるのですが、まだ水が完全にひいておりません。ひいておるところでは、腐り果てたくさい稲があるのです。これを取らないと完全な除塩作業ができない。これは十三号台風のときにあの付近でよく経験しておりますので、今腐った稲を取り去っておるのですが、これは聞くところによりますと大蔵省なんかはいい言葉を与えていないようであります。農林省としては除塩作業についてどうでもこうでも農民のためにやっていただけるかどうか。これは大臣には釈迦に説法かもしれませんが、少くとも三年くらいは米はとれないのです。せきとめて来年から作付の用意をさせるというが、何を作付させていただくのですか。米ならこれはだめです。私の方がよく知っておる。三年間は米はとれない。三年の間に石灰を入れたり水で洗ったり何かして完全な塩の除去をしなければなりませんが、それには稲がついておったらだめだから、一銭にもならないことは知っておりますが、今稲を刈り取っておるのです。だから、これらのことについて、大蔵省に泣きを入れるような頼むような情ないことではなく、うんと力を入れてやっていただけるかどうか、農林省のお考えを承わりたい。
  52. 伊東正義

    ○伊東説明員 今の御質問の除塩の問題でありますが、これは、私の方といたしましては、二十八年災と同じような方針でこの仕事をやりたいということで、客土、石灰、土地改良というようなことにつきまして今予算の要求をいたしております。これらにつきましては、先ほど官房長が申しましたように、大蔵省とはまだ話し合いがついておりませんで、要求をしておる段階でございますので、そうした過程を経た上できまっていくものだと思います。
  53. 吉川久衛

    吉川委員長 丹羽君に申し上げますが、大臣の時間の都合がございますので、大臣に対する質問だけにしていただきたい。もしその他の御質問でしたら、ちょっとあとにしていただいて、角屋君に譲りたいと思います。  角屋君、農林大臣に対する質疑だけをお願いいたします。角屋堅次郎君。
  54. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、台風十五号の災害対策中心に、大臣に対して所見をお伺いいたしたいと思います。  私の出身県の三重県を初め、愛知岐阜中心にいたしまして起りました今回の十五号台風被害の模様については、けさの委員会報告でも、愛知岐阜の視察をした経過について御報告申し上げた通りでございます。昭和二十八年度の十三号台風というのが、やはり伊勢湾中心にして大きな被害を及ぼしましたけれども、大臣も御承知だと思いますが、この十二号台風のときと今回の伊勢湾台風のときの被害というものは格段の相違がある。たとえば、人的被害死者行方不明者負傷者等を対比いたしましても、伊勢湾台風の場合には死者四千七十一名、十三号のときには百十一名、行方不明においても、四百五十一名に対して五十六名、負傷者においても、三万四千二十五名に対して二千二百六十七名、締めまして、人的被害において、前者の三万八千五百四十七人に対して後者はわずかに二千四百三十四人という、これだけ大きな相違があります。また、建物被害等を見ましても、全壊、流失半壊、床上浸水あるいは床下浸水等のうちで、全壊、流失半壊等を十三号台風と比較しますと、大きな懸隔がございます。全壊においては、前者の三万八千七百七十三に対して後者は二千九百七十、流失は、三千二百五十八に対して後者は千四百三十七、半壊は、十二万七千七百四十五に対して後者は一万二千五百八十四、床上浸水、床下浸水等も同様の状況でございまして、住家の被害を見ましても、締めて、前者は三十六万一千二百三十七、後者は十七万五千五百四十七、非住家におきましても、前者の十五万四千八百七十に対して後者は二万四千六百三十九、人的被害、建物被害だけを見ましてもこれだけ大きな懸隔がございます。現実に災害の実態等をつまびらかに調べれば調べるほど、十三号とは比較のできない大惨害をこうむっておるわけでございまして、愛知県において、ここに書いてありますように被害総額二千九百億円、三重県において千六百億円をこえ、岐阜においてもおそらく五、六百億円をこえるということに相なるだろうと思います。  こういう甚大な被害を受けておる台風災害対策として、先ほど農林大臣は、二十八年災を横目に見ながら、それを上回るものもあるだろうし、下回るものも場合によってはできるかもしれない、こういう話のようでありますけれども、私は、今度の十五号台風と十三号台風との被害の規模における懸隔からいたしましても、各県における罹災民の非常に甚大な数からいたしましても、これは当然二十八年の十三号台風を上回る災害対策をとらなければ、災害の復興は不可能だと思うのであります。試みに、三重県の場合に、財政的に現行の法律を適用いたしまして一体県の負担がどれだけになるかという場合に、大体百五十億になるだろうといわれておる。それを二十八災に準じて考える場合には百億程度に減額をするだろう、さらに、三重県から共同で要請をしておる特別立法等によるところの助成措置等を考えるならば、三重県の場合に大体五十億になるだろうといわれており、この最高度の三県の要請を適用した場合においても、三重県は五十億からの借財を背負っていかなければならぬ。今日の三重県の財政規模を御承知かと思いますが、大体百五十億でございます。こういう百五十億の財政規模において、最大限の要請の適用をしたといたしましても、五十億からの借財を背負っていかなければならぬ。もちろん県としては積極的な建設面もやらなければならぬ。しかも一方において災害復興もやらなければならぬという現状にある。これは愛知県の場合も岐阜県の場合も私は同様だろうと思う。こういうことを考えて参りますと、今度の十五号台風に対するところの考え方の基本的な態度として、政府の腹がまえとして、これにどう対処するかという考え方においては、先ほど丹羽先生も触れられましたが、現地のなまなましい状況を見られた益谷さん、あるいは石原さんなんかが、二十八災を上回る対策を講じなければならぬという実感を持たれるのは当然だろうと思う。同時に、福田農林大臣も、現地にわざわざ参られまして視察されたのですから、その点において私は感を同じゅうするだろうと思う。そういう観点から見まして、先ほど、二十八災を上回るものもあれば、あるいは条件によっては二十八災を下回るものもできるかもしれないというお話があり、また、同時に、官房長から大体八つ九つの農林省の腹案についてもいろいろお話がございましたが、そういう腹案の中で取り上げておる補助率等の問題についても、私は補助率が前進をしておるならばお伺いをしたいと思うのですが、二十八災を上回って考えておるかどうか。たとえば、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の問題、あるいは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の関係の問題、こういう二つの法律の問題について、補助率の上において果して二十八災を上回って考えておるのであるかどうか。こういう点が私は災害復旧の場合の一つの大きな問題だろうと思う。あらためて農林大臣にお伺いしますけれども、二十八災を上回る措置という積極的な措置を、私は今日三県の被害対策においては緊急に必要としておると考えるのですけれども、この点について先ほどのような答弁でもって対処されるつもりであるかどうか、再度お伺いしたいと思います。
  55. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 たびたび申し上げているのですが、今回の災害は非常に惨たんたる性格のものであります。それで、それに対処しましては、応急措置におきましても、先ほど申し上げましたように、今までとらなかったもろもろの施策をとっておる次第でございます。なおまた、これから復興という段階に入りますれば、その復興の措置につきましても全力を尽していくという考えでございまするが、その尺度を、二十八年とおっしゃいますが、二十八年災以降におきましていろいろ二十八年災の措置等を検討してみますると、二十八年災の措置が必ずしもよくなかったという反省も私どもしている面もあるのです。そういう面につきましては修正しなければならぬと考える。また、同時に、今回の災害特殊性から見まして、あの措置では足らないという点も多々考えておるのです。そういう意味におきまして、総合的に万全の対策をとるというふうに申し上げておりますので、何か対策を渋っておるというような印象のお話でございますが、決してさようなことはございません。大いに積極的に農家一般罹災者が明るい前途を持って立ち上れるというための万全の対策をとる考えでございます。
  56. 角屋堅次郎

    角屋委員 大体、伝えられるところによりますと、先ほど言われました八つないし九つの想定をしておりますいろいろな法律案と関連をいたしまして、農林省の方から現在大蔵省の方に予算要求をしておるのは百五、六十億のものじゃないかというふうに考えておるわけです。あるいは精密な数字としてはもっと上回っておるかどうかということはよく承知しませんが、農地関係あたりで大体百億、その他の林野、水産等いろいろなものを含めまして、百五十億から、よほど福田農林大臣が積極的に考えましても二百億までが限度で要求しておるのではないかという感じがするわけですが、大体の予算総ワクとして要求しておる額について、この際お漏らし願いたいと思います。
  57. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 百五十億というお話でございますが、百五十億以上でございます。大いにこれを上回っておるということは申し上げますが、しかし、これは、先ほど来中澤先生からもお話がありますが、折衝の過程のことでございまして、いろいろ無用の議論も出てくるおそれがありますので、これはかんべん願いたいと思います。
  58. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで、災害復旧の問題で、私ども現地を見て参りましたが、二十八年の十三号台風のときに相当程度改良主義を加えた海岸の護岸等を三重県の場合にもやりまして、その護岸が今度の災害で非常に大きな役割を果しておりますけれども、しかもなお、三重県の場合で言うならば、志摩から南北にかけて、あるいはまた主力の鈴鹿方面から北西にかけては、こういう十三号台風海岸堤防をもってしても破堤をしておるという現況でございます。同時に、これは、私が愛知県を視察した際にも、やはり十三号台風のときのは全然破堤をしておらないということではなくて、非常に大きな高潮と早い激甚な風とを伴いましたために、各所においてこれが破堤をされておる。しかし、十三号台風相当程度積極的な改良主義をとったということで、今度の大災害を受けた中においてもなおかつ被害を軽減しておるということは言えるだろうと思う。今度の災害は非常に異常な災害であるというふうに言われておりますけれども、今後の災害復旧の場合に、公共施設の問題にしても、農地農業用の施設の問題にしても、ものによっては、改良主義をとりたいということよりも、むしろ原則的に改良主義を打ち立てて、そして積極的な災害復興をやるべきではないか。この点については、海岸河川等については、私ども新聞で承知しておるところでは、学問的、専門的に検討しておる、こういうことも伝えられております。元来、こういう堤防、漁港その他いろいろな問題については、むしろ学問的に検討して設計基準が立てられたものを予算の許す範囲内において最大限に実施をするということが私は基本でなければならないと思う。ところが災害復旧の場合には、ややもすれば、従来の法律原形復旧主義が原則であるということにこだわって、改良主義を積極的にとると言いながらも、現実にこれが査定その他で現地に査定官が参りました場合にどこまで積極的に改良主義をとるか、こういうことは私は大きな問題だろうと思う。同時に、今度の災害で新聞等で指摘しておりますのは、御承知のように、海岸法の中では、農林省あるいは建設省、運輸省等、それぞれ所管の違う海岸の関係がございます。こういう問題、あるいは鍋田、城南を初め干拓地におけるところの堤防の問題、こういうことから、農林省の堤防というものは建設省の堤防よりも弱いのではないか、これは一体いかなるところに原因があるのか、こういうことが非難を含めていろいろ論議されておることも、大臣聞かれた通りだろうと思う。私は、この干拓地における農林省が取り扱うところの堤防問題というのは、やはり採算ベースを基礎にして考えるというところに一つの問題点があるのではないかと思う。建設省の場合には公共性ということに力点を置きながら設計をする。そこで、同じ伊勢湾に面しておる海岸でありながら、それぞれ所管が違うために、設計の基準において優劣ができる。そういうことで罹災を免れたり多くなったりするということは避けなければならないと思う。今日海岸の問題は各省にまたがっておりますけれども、こういう問題についても、建設農林、運輸等において統一した設計基準というものはやはり十分打ち合せの上に立てて、今後の災害復旧に当らなければならないのじゃないか。これがそれぞれまちまちな各省のセクショナリズムにおいてなされておる、こういうことであったならば、再び同じような災害を同じ条件のもとにおいて繰り返す、こういうことに私は相なるのじゃないかと思う。  そこで、積極的な改良主義をとる場合において、地方財政の関係から言って問題になるのは、原形復旧に見合った分だけの高率補助をやってくれるのか、あるいは改良復旧も含めて高率補助の適用でやってくれるのか。つまり、災害関連事業なり災害直接事業というふうな形で仕分けをされて、相当大きな負担というものが地方財政にかかるかどうかということが大きな問題になっておる。今度の海岸河川等の場合には、積極的な改良主義をとらなければならぬことは明らかになっておる。その場合に、改良主義で設計をした分について、災害復旧事業の中に織り込んで高率補助の適用をやるかどうか、これが一つの問題だろうと思う。これは、単に農林省のみならず、建設、運輸等を含めてそうだろうと思うが、こういう問題に対する農林省としての、あるいは政府としての見解を含めてお伺いできれば、明らかにしていただきたいと思います。
  59. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 お話のように、復旧に当りましては、必要によりましては積極的に改良主義でいくというふうにいたしたいと思っております。その場合の関連工事補助率という問題でございますが、これはお話のように、建設省にもそういう問題があり、また運輸省にもさような問題があり、私の方にももちろんそういうふうな問題があるわけでございます。大蔵省と今回の予算編成を折衝する場合の一つの主点にもなるわけであります。私どもといたしましては、それを含めまして、もとの補助率と同じ率でいくべきであるという考えを持っておりますが、これは地方財政に非常に関連のある問題なんです。そこで、自治庁にも関連を生じてくるわけでございまして、私どもの立場としては、できる限りその方向でこの問題を処理していきたい、さような方針で関係各省の御相談には臨もう、かように御了承願いたいのです。
  60. 角屋堅次郎

    角屋委員 若干抽象論のところがございますが、時間の関係もありますので、次に移ります。  この機会に、さらに具体的な問題に入る前に、私どもいろいろ新聞その他で承わっておるところでは、農林大臣は、最近の閣議において特に発言を求められ、災害等の問題に対しては、災害基本法ともいうべきもの、あるいは災害総合立法ともいうべきものを来たるべき通常国会に出すべきではないか、こういうことを閣議で発言されたやに聞いておるわけでございまして、これは、例年災害が頻発をいたしておりまして、特に最近その災害で非常に大きな損害を与えてきており、その際いろいろと災害に関する法律等が出てきましたけれども、これら災害に対するところの諸立法というものを総合統一をした一つの法律というものを検討すべき段階に来ているのじゃないかという感じもする。閣議等で、災害総合対策法というふうに仮称で伝えられておりますが、どういうことをその中味として農林大臣は発言をされたのか、今後の恒久的な対策の一環の問題でございますから、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  61. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 今回の伊勢湾台風のごときは、まれに見るめったにないものでございますが、かようなめったにない事態が起きましても、秩序正しく整然と敏速に対策ができるようにというのが、私がさようなことを申し上げておる趣旨でございまして、その内容といたしましては、戦争のことを申し上げては恐縮でございますが、戦時中には警戒警報というものがあったわけでございます。それに対しましては、どういうふうに政府各機構が動くかということはちゃんときまっておった。災害が今度また起るという場合におきまして、やはりこれを予知するところの機能というものを持たなければならぬことは当然でございますが、そういう予報があった場合には、政府各機関はかような態勢をとるべきものである、――たとえば、その際において最も重大な問題は、ただいまの法制下におきましては、秩序正しく整然と避難をさせるという法的な根拠はないわけであります。自主的にさようなことをやって、全員災難を免れたというような地域もありますが、これはたまたまそういうふうにうまくいったというだけの話であって、最後の法制的な裏づけというものはないのです。さようなことも、警戒警報段階、すなわち台風直前の状態におきましては必要があるのではあるまいか。また、台風が一たび起った場合におきまして、今回自衛隊というものが非常に活動しております。自衛隊の出動というような任務もきめておいた方がよかろうと思います。それから、中央におきましては、対策本部を、総理大臣がその災害程度の判断によりいかなる地点にいかなる規模のものを設けるかということもきめておいた方がいいのではあるまいか、かように考えるわけでございます。次いで起り得る問題は、厚生省を中心とするところの罹災救助の活動でございますが、その活動の準則というようなものも法的にきめておいた方がよかろう。さらに、さような際に、農林省その他各省におきまして、米の問題でありますとか、木材の問題でございますとか、こういろ問題もきめておいたがよかろう。それから、さらに、次の段階は復興の段階でありますが、復興の諸対策といたしましては、恒久的な立法を必要とするものもあるし、台風被害状況に応じて措置すべき臨時的な立法もあります。ともかくその基本的なことはきめておいた方がよかろう。これらの一連の災害法典というものがありますれば、災害に臨みましても、政府の活動も敏速に行くし、国民もこういうことがなされるのだという期待も十分にできますし、通常国会にはそういうようなものを準備いたしまして御審議願った方が、災害を根絶する対策の一環としてこれは必要ではあるまいか、かように考えた次第であります。
  62. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいまの問題については、論議は次の機会に譲りまして、先ほどの災害復旧の改良主義という問題に関連をして考えなければならぬ問題があろうと思います。つまり、農業関係の土木なり農地農業用施設なり、こういうものについての改良主義の問題と、災害の際に個人の災害を受けたものをいかに改良主義で復興していくか、こういう問題が私は考えられなければならぬじゃないかと思う。つまり、被害激甚地の、たとえば三重県で言えば木曽岬、長島、あるいは桑名から川越等を含めての異常冠水地帯、あるいは愛知県の海岸地帯、あるいは岐阜県における多芸輪中地帯、こういうふうな被害激甚地もございますが、いずれにいたしましても、災害復興に当って、単に農業的なものに対する改良主義的な災害復興だけではなしに、いかにして個人の関係のものを改良主義でもって新しい方向を見出していくか、これともどもに伴わなければ真の災害復興にならないじゃないかと思う。現実に私ども現地を見て参りますと、きわめて危険な海岸の近接地域において、やはり二十年のときにもやられた、二十八年のときにもやられた、今度の台風でもやられた、また再びそこに家を設けようという設計を立てておられる。これは改良主義の程度をもちましても全面的に防ぐということは至難な場合があるだろうと思うが、こういう宅地の問題にしても、あるいは農業経営の関係の問題にしてもそうですし、あるいはまた、漁船関係その他の問題については、先ほど官房長からお話がありましたが、漁業協同組合なり市町村等で共同化の芽生えとしてそういうものに助成していくという考え方は、私はこの意味では賛成でございますけれども、災害の場合に、単に農業関係の公共的なものの改良主義ばかりでなしに、農林省の舞台においても、個人に関係する面についても積極的に改良主義をいかにしてとっていくか、私はこういうことが総合的に考えられていいのじゃないかと思う。これは単に農林水産関係ばかりでなくて全体的にまたがる問題でありますけれども、新しい村作り、新しい町作り、新しい農業経営あるいは林業経営、漁業経営として、改良主義というものを積極的に考えていくということは私は必要だろうと思う。そういうことでなければ、せっかく金をかけても、貧弱な家、貧弱な漁船、貧弱な状態の農地という形で、また苦しい生活を続けなければならぬということになるだろうと思う。そういう新しい個人の関係するところの改良主義というものを具体的に今日の段階においてどういうふうに各局関係なり各庁関係において考えておられるかという点を、大臣からまず基本的な点について聞きたいと思う。
  63. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 もちろん、お話の通り、個人が復興されなければ災害は復興されたとは言えません。さようなことから、たとえば家を作るという際におきましては、開拓地においてブロック建をするようにいたしたいとか、いろいろ個人の住宅等につきましても配慮を加えていきたいと思います。なお、しかし、災害から復興するという過程におきまして、農業近代化の方向というか、それを取り入れていくという考え方、これは非常に重要なことではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。たとえば、農地をどういうふうに復興するかというのも、今までのこまごま区切った形よりも、復興と同時に土地の交換分合もできておるとか、あるいは農地の経営面積が広くなる形でありますとか、そういうものが好ましいとか、いろいろあろうと思いまするが、とにかく、立ち上る際に、農業経営の合理化という方向は大いに進めて参りたい、かように考えておる次第であります。
  64. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省としては、今農林大臣が触れられたように、農業経営あるいは農業の近代化、こういうような観点から災害地の復興をどうするかということを積極的に総合的に考えていくという考え方で今後に対処してもらいたいと私は希望しておきます。  これは具体的な問題にさらに入るわけですが、二十八災を上回るか下回るかという問題の関係で、たとえば小災害の関係がございます。二十八年のときは小災害については九割補助ということをとっておりまして、問題があったということが言われる。事実あったでしょう。しかし、去年の伊豆の災害の場合にとった起債方式、――農地の場合は五〇%、農業用施設の場合は六五%に見合う起債ということに相なるであろうと思う。それの年賦償還についての元利補給、こういうことになりますと、二十八災を上回るか下回るかということの結論は明らかだろうと思う。しかも、この小災害対策の問題については、二つの条件がございまして、そういうもので振り落されるところの小災害の事業がたくさんございます。そういうことになってくると、二十八年のときには問題があったかもしれませんけれども、市町村の負担の面からいたしますと、これは下回ることになるのじゃないか。だから、こういう問題については、やはり起債方式をかりにとるにいたしましても、農地の五〇%なりあるいは農業用施設の六五%に見合う起債ということにしていいのかどうか。この点については、二十八災との対比において、あるいは例の二つの制約の条件の緩和の問題を含めて、根本的に検討してもらわなければならぬ。小災害の問題は被害総額から見ても相当大きな比重を占めておるものですから問題になるわけですが、この点どうですか。
  65. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 下回るか上回るかという議論は、大体において被災者中心にした議論ではあるまいかと思うのです。被災者中心とした議論だといたしますと、大体昨年の方式で二十八災のときの効果をあげておるのではあるまいかというふうに見ておるのです。ただ、比較検討いたしますと、二十八災の方では、非常に零細な補助金なものですから、その運営がうまくいかなかったということで、いろいろな批判も出ておるのでございまして、利害得失を比べてみますと、私どもは昨年の方式の方がすぐれておるのではあるまいかというふうに考えるのです。ところが、今度は、今御指摘の地方財政の面に参りますと、地方財政でそこばくの負担をすることに昨年の方式からいきますとなる。その点ではマイナスの面があるわけであります。ところが、地方財政といいますと、私どもが見ましていろいろそこだけでは解決できない問題があるわけなんです。地方財政の財源というようなことになりますると、各種各様の問題があるのであります。その方面の対策がプラスになっておるかマイナスになっておるかという総体論から見ていきませんと、地方財政上有利か不利かということは言えないと思うのです。さようなことを考えまして、上回っている、下回っているというのですが、基準にどういうふうに当てはめていったらいいのか、私どもも非常に当惑しますが、しかし、昨年の方式の方がとにかく運用しやすいということだけは言えるのではあるまいかというふうに考えまして、そういうふうなことを考えてきた次第でございますが、なお、御必要がありますれば、これは非常に精細に農地局長が研究しておりますから、農地局長から申し上げてもけっこうです。
  66. 角屋堅次郎

    角屋委員 後ほどでけっこうです。  金融関係の問題に入りまして、先ほど官房長からありました、天災融資法関係あるいは自創資金の問題、あとの自創資金の問題については、過般来いろいろ検討して参りました際に、残額は大体十六億五千万円程度である、こういうことが言われた時期がございます。今日、自創資金の要請というものは、愛知県なり三重県なりあるいは岐阜県等からとらまえましても、現地要望からいきますと、これだけでも百億を上回っておる、こういう状況に相なっておるわけです。これは、単に三県のみならず、台風六号、七号、集中豪雨、さらに十四号、十五号にかけての全国的な被害も多いわけでありますし、同時にそれに関連しての自創資金の要請も非常に強いわけでありますが、一体、自創資金として今折衝中の段階では、あらかたどれくらいの総額を追加として要請しておるか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  67. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これも先般来と同様の問題でございまして、どれくらいということは申し上げかねますが、御期待に沿い得るように要求はいたします。
  68. 角屋堅次郎

    角屋委員 次に、これは、この前農林委員会が開かれたときに、大野政務次官だったかと思いますが、小枝さんですか、米の時期別格差の時期の延長等の問題について石田委員とか私らが触れたことがございますが、この問題については大臣とも十分相談をして二期目の段階のときに間に合うように検討してみたい、こういうことを言っておられたわけでございますけれども、いまだに何ら答えが出ておらない。これは去年も御承知のように数県の数地区について実施をしたという実例がございます。今回の伊勢湾台風等の実情からいたしましても、この際、やはり、被災農民に対する現金収入にいささかでもプラスになるように、また、当時の災害状況からいたしまして、いろいろやはり予約米の供出等については悪条件に置かれておる、こういう点を考えまして、災害救助法の発令された市町村等について格段の考慮を今後の時期延長の問題に払うべきじゃないかと思いますが、この点についての大臣の見解を承わっておきたいと思います。
  69. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのお話は各地からいろいろ伺っております。農林省におきましても種々検討いたしたのですが、ざっくばらんに申し上げますると、これは地域的に限定することが非常に困難な問題でございます。それから、そういうむずかしい問題を地域的に困難を冒してやるよりは、むしろ、先ほども報告がありました米の安売りの法律案だとか、あるいは被災者に対する農林省以外のいろいろな施策がございますが、住宅の問題とか、あるいは毛布の問題、食糧の問題、さような問題等をもってしていく方が、むしろ政府全体としてはやりいいのではあるまいかというので、ただいま特例措置はやるまいというような考えになっておるのであります。それから、なお、供出の全体の状況はどうかというと、これは全国的には非常に好調でございます。それで、被災農家の場合におきましては、確かに、あの混乱の直後におきまして、米の運搬等非常に障害を受けたということはあったと思うのでございます。さような状況でございましたが、先月末はもう経過し、十日も経過し、二十日も経過しておる、こういうことになってしまっておりますので、まあ総合して考えまして、なかなか実行の困難なさようなことをするよりは、ほかのいろいろなそういうような措置をとっていくというところで、一つ被災者の皆さんにがまんをしていただこうかと、今そういう心境になっている次第です。
  70. 角屋堅次郎

    角屋委員 無為無策のままについに時期別格差の奨励金のつく時期は見送っておる。これは熱意をもって災害対策に当るという当初の福田農林大臣の言明からするとまことに遺憾なことだと私は思う。供出状況ということを言われますが、やはり、今度の災害の実態から見ると、家屋等も含めて個人災害程度は深刻なんです。でありまするから、やはり、悪条件下にあってもなるべく現金のいい条件のときに供出をしたい、これは当然だろうと思う。だから、私は、これは去年とことしとの供出状況とかなんとかいうことだけから対比をしてこの問題の時期別の延伸をやるかどうかということは不適当だと思う。もっとやはり災害地の復興対策の一助として考える、こういう政治的配慮が必要じゃないかと私は思う。さらにこの点については再検討をしてもらいたいと思います。  なおまた、予約米の例の一石二千円の延納問題に関連をして、いわゆる愛知三重岐阜等のいまだに浸水をしているような農村等においては、全然家屋もやられ、田地田畑等も荒れ果てているという状況の中では、これはむしろ一カ年の延長という問題を越えていわゆる全免にしてもらいたい、こういう強い要請が現実に出てきておる。私は、今日の実態からすれば、これは率直な声だろうと思う。今後の問題の検討に当っては、一カ年延長の問題にとどまらずに、そういう被害激甚地域については予約金の問題についてもこれは全免にする、こういうところまでの勇断が私は必要じゃなかろうかと思いますが、この点についての大臣の見解を承わっておきたいと思います。
  71. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 さようなことができれば非常にいいわけでございまするが、まあ延期ということでいきたいと、かように考えておる次第であります。なお検討はいたします。
  72. 角屋堅次郎

    角屋委員 次に、いろいろ問題がたくさんあるわけですけれども、大臣にはあと二人ほど質問予定者もございますので、今度の災害はいろいろな方面に甚大な被害を与えておりますが、開拓関係の問題について、大臣も御承知のように、干拓地における開拓者の問題、あの終戦後入った岐阜愛知三重等各地におけるところの開拓者の問題、こういう問題については、住宅問題にしろ、あるいは農地農業用施設、いろいろな問題を含めて、非常に大きな損害を生じておる。そういうところから、住宅問題については、半壊を含んでやってもらいたいとか、あるいはいろいろな制限措置等についてもこれを撤廃してもらいたい、あるいは、その他助成融資等の問題についても、積極的に政府融資の形において長期低利のものを一つやってもらいたい、旧債のいろいろな問題等もありますので、これらの問題も含めて善処を願いたいという強い要請が出てきておるわけです。最近のパイロット・ファーム、北海道等の開拓農家は別として、終戦後どさくさのうちに入った開拓者が、粒々辛苦今日まで開拓地において再建をやってきて、一挙にすべてのものを失い去るような惨状にあるこういう開拓者の問題について、大臣としては基本的にどういう態度で今日臨もうとしておられるのか、お伺いしておきたいと思う。
  73. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 開拓者は、かような災害がなくとも、なかなか今後の営農というものに困窮しておる状態であるというふうに私は考えております。とにかく、農業を営んでおる中におきましては、開拓者の方々ほど――全部とは申し上げませんが、相当以上に苦しい立場にある方はあるまいというふうな認識に立ちまして、今後の恒久対策は進めたいと思いますが、特にそういう方が災害にあったのでありますから、これは他の農家の方々とは別に特別の対策をとらなければならぬというふうに考えておるわけであります。さようなことから、農家復旧につきましても、また、農舎、畜舎復旧というようなことにつきましても、あるいは営農資金融資、また、現在借りておるところの営農資金の処置ということにつきましても、ただいま御意見がありましたような方向において善処したい、かように考えております。
  74. 角屋堅次郎

    角屋委員 今度の災害の場合には、従来もありましたけれども、特に災害復興と関連をいたしまして、救農土木事業の要請が各県ともに非常に大きく起ってきております。特に、いまだに長期湛水をしておるような地区を含めまして、各地において救農土木事業で現金収入の道を来年の植付期までに得たい、いろいろな条件のもとにおいてこれが出て参りまして、農林省の予算要求の中でも、大体三、四十億に上ると思いますけれども、救農土木事業の計画というものを作っておられるやに承わっておるわけであります。この問題については、やはり、災害問題と関連をして、救農土木事業措置要綱というか、あるいはこれがさらに前進をして法律条項になるかわかりませんが、根本的に災害問題と関連をした救農土木事業というものについて考えてみる必要があるのじゃないか。ややもいたしますと、農林省から大蔵省に折衝する場合に、こういう救農土木事業というものは冷たい目で見られておる、なかなか実現をしないというのが従来の実情であります。あんなに極端にやられた岐阜県の多芸輪中救農土木事業の問題についても、折衝の段階においては非常に難航したということを私も聞いております。やはり、救農土木事業の問題について、もっと根本的に災害問題と関連をして実施できるような措置を考える必要があるのじゃないか。今度農林省では、大体三十億になりますか四十億になりますか、災害復興と関連をして救農土木事業を計画しておるということを聞いておるのであるけれども、それが実際に実現をするためには裏づけが必要でないかと思うのですが、そういう点を伺います。
  75. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 救農土木事業は、その当該災害の場所の状況に応じてこれをやっていくつもりです。ただ、救農土木事業と申しましても、農林省の施策ばかりには限らないのです、あるいは建設省が道を作るということでもいいのだし、あるいは運輸省が海岸堤防を作るのだということでもいいわけでございますし、政府各般の行政の中にいろいろ救農的性格があるわけでございます。さようなことでございまして、そういうものを総合いたしまして、現金収入を必要とする地区に対する現金収入獲得の道は作っていきたい、かような方針でおります。
  76. 角屋堅次郎

    角屋委員 水産関係の問題のうちで、全国に関係県は十九県ほどございますけれども、特に大きな生産の比重を占めております三重県の真珠の問題についてお伺いしたいのです。これは大臣も大臣就任の伊勢神宮参拝のときに真珠視察に行かれたかと思うのですけれども、今度の台風十五号では五十数億に上る被害を受けておるわけであります。これは、今年度とるべき真珠の玉のみならず、来年度以降の問題、あるいは作業場その他の真珠諸施設の問題等を含めて、五十数億に上る大きい被害を受けておる。この点については、二十六年のルース台風あるいは二十八年のときの助成措置等いろいろあるわけでありますけれども、あの当時の被害から見ると、全く違った大きな被害を生じておりまして、特にこれは三重県以外の真珠地区においてはそう甚大な被害というわけにはいかないと思います。こういう点から、真珠の被害に対する助成融資ということについては、今後の輸出産業の中において占める真珠事業の重要性から見ても、真剣に考えてもらいたい。同時に、真珠に対しては、それに従事する従業員が、たとえば三重県だけ考えましても約一万人に上ろうとしておる。それがこういう真珠の大被害によって生活の道を失うという問題もはらんでおる。でありますから、そういう問題も含めて、真珠事業の今後の災害の復興並びに将来の発展のためにどうすべきか。もちろん、これは、従来から問題になっておりました生産規制の問題、良質な真珠の生産という問題、こういうことを含めて抜本的に考えてもらうと同時に、助成あるいは長期低利融資等の問題について積極的に考えてもらいたいと思いますが、この点についてお伺いしたいと思う。
  77. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 真珠はわが国の重要な輸出産業でもあります。ただいまお話しのような状態もよく承知しておりますので、できる限り、ただいまお話しのような内容をもちまして、それを実現するように努力しておる最中であります。
  78. 角屋堅次郎

    角屋委員 林野関係の問題のうち、特に今度は風害が非常に激しかったために、岐阜愛知三重を含めまして相当大量の風倒木が生じておることは御承知通りであります。その点については、本日も、林野庁を中心にいたしまして、関係の団体あるいは関係業者等を含めて、風倒木対策をいろいろ相談を願っておるやに聞いております。同時に、この風倒木対策と関連して、換金に値しない風倒木等の処理の問題について、ややもすればそれがそのまま置き去りにされる、またこれが病虫害の原因になる、こういうこと等もありまして、やはり風倒木の処理問題につきまして適当な助成措置も含めて考えていく必要があるだろう。これは単に今風倒木をパルプ産業なりその他にどうはいていくかという問題以外の問題が存すると思う。同時に、今後植樹等の問題も含めてどう措置していくか。例の最近になりまして作りました長期低利の据え置きを置いた融資の問題等もございましたが、これは総額にいたしましても七億程度のものでございますから、これで十分そういう方面に振り向けられるということにならないと私は思いますけれども、相当大量の風倒木等を生じておるので、こういう問題についてはやはり万遺憾のない措置をする必要があるだろう。  同時に、国有林野事業関係の今回の災害復興に対する援助措置というものについては、今はこれは具体的には触れませんで、後ほどそれぞれの関係の方からいろいろお伺いしたいと思いますが、こういう問題についても、単に隣接市町村ということに限らずに、今回の被害の甚大な状況から見て、弾力性を持って国有林野事業の関係の材木を災害復旧に役立たせる、しかもこれは安価に役立たせる、こういう面についても、従来もある程度積極的に進められておるわけですが、今後も、これは、長期にわたる問題ですから、積極的に計画を推進してもらいたい、こういうふうに思うわけですけれども、大臣のお考えを承わりたいと思います。
  79. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま、林野方面につきましても、災害復旧につきましてはいろいろ方策を相談中でございます。特に、一番問題になりますのは、春ごろになりますと虫が出てくるわけです。かようなことになりますと、全国の森林に非常な被害もあるわけです。そういうところにも注意しながら、風倒木の処理は多少長期にわたるかと思いますが、御趣旨の線でこれを遺憾なくやっていきたい、かように考えておる次第であります。
  80. 吉川久衛

    吉川委員長 関連して中澤茂一君から発言を求められておりますから、これを許します。中澤茂一君。
  81. 中澤茂一

    ○中澤委員 大臣にこの際ちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。私は、今度の十五号でも、山梨を調査いたしまして、長野へも委員会の十一人の皆さんを御案内したのです。山梨でも長野でも言ったことは、十五号の方にみんな気をとられてしまって、六号、七号を忘れてしまうのではないかということをどこへ行っても心配しておるのです。そこで、予算要求ももはや出ておるし、折衝も始めておりますが、それは一体、六号、七号と十四号、十五号を包括的におやりになるお考えであるか、六号、七号は別対策だ、十五号だけはこういうやり方でいくという考え方であるか。これは非常に大事な問題ですから、大臣から、包括的に八、九月も一緒にやるか、十五号は別途でいくか、これをはっきりしておいてもらいたいと思います。
  82. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これはいかなる対策をとりましても、地域的な指定というものがあるわけであります。しかし、それはそれといたしまして、これをいかなる台風に適用するかという問題に相なりますると、まだ最終的に態度を政府といたしましてはきめておりません。しかし、率直に申し上げますると、大体大勢といたしましては、七号以降に包括的に適用するということにしようではあるまいかというふうな傾向でございます。
  83. 中澤茂一

    ○中澤委員 何を聞いてもどうも傾向みたような話きりですが、やはりこれは毎年そういうふうに包括しておるんですが、六号なんかも、九州を聞くと小災害で非常に激甚なものが局地的にあるんです。ですから、これをおやりになるなら、六号、七号、十四号、十五号、みな合わしておやりにならぬとまずいと思う。片方だけが、たとえば小災害の問題にしても、七号以降で切ると言われると、九州の六号の小災害は、その特例なら特例を作ったその適用を受けられないということになる。そうなるとやはりうまくないと思う。やはりそれは、六号、七号、十四号、十五号、全部包括的に含めていくんだということでないとまずい。それは、大臣の言うように局地的に違う問題があるのはわかっているんだ。しかし、一つの特例を作る場合、六号を抜いて七号以降で切るという考え方はまずいと思うんだ。そういう点については傾向が七号以降だという傾向をひっくり返して、これは六号以降全部やれ、こういうことで御主張してもらいたい。これは基本的なことで、非常に心配しているんですよ。おそらく、九州の衆だって、さてな、七号以降やるなんていうと、六号はどうなる、それならおら方の小災害はどうなってくると、必ず問題になる。ですから、特例をやる場合には、六号以降を包括的にやるのですかどうですか。
  84. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 御意見は十分くみまして、そういうふうにやりたいと思います。     ―――――――――――――
  85. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  86. 吉川久衛

    吉川委員長 それでは速記を始めて。  参考人決定につきましてお諮りいたします。すなわち、先般来調査を続けて参りました通運料金の改訂問題並びに農林水産物の輸送等の問題につきまして、明二十二日午前十時より参考人から意見を聴取することとして、参考人の人選等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。以上について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。     ―――――――――――――
  88. 吉川久衛

    吉川委員長 西村関一君より資料要求の発言があります。この際これを許します。西村関一君。
  89. 西村関一

    ○西村(関)委員 災害対策の問題に関連をいたしまして、私の地元の滋賀県の愛知国営灌漑排水事業につきまして資料を要求いたしたいと思います。  今回の災害に当りましては、愛知川本流は何らのはんらんをいたしません。被害を及ぼさなかったのでありますが、支流関係や小河川関係がはんらんをいたしまして、御承知通り干拓地が全滅するというような甚大な被害を受けたのであります。愛知国営灌漑排水事業につきましては、すでに十月五日に起工式が行われておるのでありますが、本委員といたしましては、いろいろ資料を検討いたしたい点がございますので、この際次の資料を要求いたしたいと思います。  一、基本計画書  二、事業費、その負担割合(国、県、農民別)  三、年度別の予算支出額(国費、県費)、工事進捗状況  四、水没地の補償基準、各戸ごとの補償支払い額、水没農家に対してこれまでにとってきた措置、将来の計画  以上であります。
  90. 伊東正義

    ○伊東説明員 御要求になりました資料は大体出せるのでございますが、ただ一点、今まで水没地帯の人で話し合いがつきまして各戸に幾ら金を払ったかという資料は、実はいろいろ問題がございますので、今まであまり出しておりません。基準は当然でございますが、各戸に幾らというのは、一つまた別途の機会に資料でなくてお話しいたすようなことにさせていただきたいと思います。そのほかの点は資料として差し出したい、こういうふうに考えております。
  91. 西村関一

    ○西村(関)委員 それはどういう理由で出せないのですか。
  92. 伊東正義

    ○伊東説明員 名戸別に幾ら払ったかという問題でございますが、これは、一般的に農地反別だけで幾ら出すかということのほかに、補償の基準の中には精神的な問題とかいろいろ言われておることがございます。今先生が御要求になりましたのは非常に問題になっておる地区でございまして、残った人、出ていった人、出ていった人の中でもいろいろ問題があります。そういう際に、今御要求になりましたような各戸別に幾ら金を払ったかという資料を私の方で公けにいたしますことは、今後の補償交渉その他にもまずい点がございますので、これは一般的な基準でごかんべん願いたい、そのほかの点は資料として差し出したい、こういうふうに思います。
  93. 西村関一

    ○西村(関)委員 大体伊東局長の言われる点も私にはわからないことはないのでありますから、それ以上のことは局長の良識を信頼して私要求しないことにいたしますが、しかし、今別の方法で私に知らせるというお言葉でございましたから、その良識に信頼いたしまして、一応了承いたします。
  94. 吉川久衛

    吉川委員長 本日の議事はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時より開会することとして、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会