○阪上小
委員 けっこうです。
一つあなたの方で、
学校教育ばかりに依存しないで
青少年対策は打ち立てらるべきだということで、わが国の
家庭内における教育の問題に
一つの隘路があったというふうに認められて、そして今も経験談も伺ったのですが、
一つその態度で、文部省へまかしておくという
考え方はやめて、もっともっと
地方行政として大きく市町村の固有事務というふうにまで
考えを持っていかなければなりませんが、
警察としてもやたらに介入していくというのはどうかと思いますけれども、PTAの会合もあり、婦人会の会合もあるのですから、そういった中であなた方が、やはり
性犯罪の問題などで
統計を取り上げてよく
説明をしてやるという態度をたんねんに続けていかないと、
家庭教育をやる人自身が教育の材料を持っていないということでは問題にならぬ。材料をむしろ提供してあげるという気持で、ただ性教育の問題ばかりでなく
警察がそういう入り方をすることは、必ずしも私は悪くないと思う。諸外国の
警察は
青少年に慕われておりますが、日本の
警察はきらわれております。それでは
警察の民主化も威信もなくなってくる。そういう面の
考え方もあろうかと思います。もっともっと
家庭教育とのつながりを
考えていかなくちゃならぬと思います。
いま
一つの理由として、
マス・コミの
影響を取り上げられております。
マス・コミの
影響がどうだ、そういうことはわかっているのです。
数字をたんれんに出されておりますので、われわれも確信は得たのですが、問題は
マス・コミと
青少年のつながりというものを
考えてみることです。ちゃちな
考え方だと思うんですが、あなたの方で保護センタ一を作るという。これも
一つのやり方だと思いますが、予算の上から見たら問題にならない。それでもそこへ頭を持ってこられたことはいいんですが、
マス・コミの主体をつかまえていく。たとえばスポーツでしょう、
映画でしょう、演劇でしょう、音楽でしょう、それから書物との
関係における読書の問題がある。こういったものを的確に取り上げて、
青少年が何を好んでおるか、好んでおるものが
マス・コミであって、その
影響を受けておるんだ。こういうふうに
考えて、そこでその主体であるところのものに対して、ただそれを取り去って
青少年から目をおおわせてしまうというようなことではだめです。その中に
青少年を押し込んでやる。そういったどんな
子供でも
ほんとうに好きだというものが五つも六つもある。先ほど言ったもののほかに、サイクリングを含んだ旅行も好きです。キャンプもそうです。これはスポーツに包括される。こういうものを与えてやるということを
考えないで、ただそういうものを、世間で大騒ぎをやっておるのでそれから
青少年を引き離すというようなことでは、こんなことはできやしないです。それを与えてやる。先ほどお話しになった西ドイツあたりでは、四千カ所もユースホステルを作り、ユーゲントハイムを作って、その場所をすべて
青少年に無料で提供しておる。わが国でも岸さんの政策で最近取り上げられて、
青少年の家をことしは五カ所くらい都道府県にできておるが、こんなものは五カ所やそこらではだめです。少くともわが国においては、人口から見ても五、六千カ所なければだめだ。あらゆる民間団体もこれの建設に協力すると同時に、市町村も作っていかなければならぬ。向うの例を見ると、
警察も作っております。労働組合も作っておる。教職員の組合も作っておる。そのほかに宗教団体、ローマン・カトリック教会であるとか、あるいは新教会であるとか、それから政党が作っておるというふうにして、あらゆる団体がこれを作っておる。そのほかに都道府県、市町村が非常に多くのそういう
青少年の家というものを作って、そうして今言った
マス・コミの
影響をのがれさすために、彼らに、それと同じ
傾向のものであって、しかも良心的ないい
環境にあるものの中に住まわせておる。そういうものを全部与えておる。そういうような行き方をしてるんですが、今言った保護センターというようなものについては、
警察関係法規において許された
青少年の保護である、その手段として
考える、これは
警察としてやむを得ないと思うけれども、そういう
程度のものではだめです。それも必要でありますけれども、それが直ちに
青少年保護
対策だ、こう
考えておったら間違いです。もっともっと大きな観点から取り上げなければならぬ。そういうふうに私は
考えるので、保護センターを作られるということは私は賛成ですけれども、ただ単に取締りのためとか、観護ということだけでなくて、もっと
警察が民主化されていく方法として、この
青少年問題を取り上げられることが一番いいと思うが、ただ、その方法が今述べられた
程度のものであっては、必ずしもそれで、
青少年に対して血道をあげて苦しんでおり、頭をひねっておるところの日本の国の婦人の人々を
ほんとうに喜ばしてやるものにはならない。もっと徹底した行き方を
考えていただきたいと思います。しかし、皆さん方だけの手ではだめだと思います。いまだにこれに対して起債の
一つも許さぬという間抜けた自治庁のやり方ではだめです。しかし、とにかく
マス・コミの
影響から全部シャット・アウトしてしまうというような
考え方ではだめなんですよ。この点
一つ考えておいていただきたい。
それから、先ほどもう
一つ問題が出ておりまして、世界的な
風潮だ、その
原因をつかむのに非常に困る、こう言っておられた。そこでこれは
参考になればどうかと思うのですが、先ほど言われた
例外である西ドィッでは、
青少年対策について真剣に取り組んで、比較的うまくいっているわけです。その西ドイツで
青少年対策として
考えている
一つの大きな理由は、最近
非行少年その他
青少年問題が出て悪化していく方向にあるということは、明らかに近代資本主義
社会における非常にどぎつい刺激が
青少年に大きな
影響を与えているということ。いま
一つは、近代機械文明の中において労働に対する非常に強度の精神的な緊張をしいられる格好になっていること。これは何も
青少年に限ったことじゃないけれども、
影響されやすい
青少年には甚大な
影響を与えておるという
見方をしております。その例として、私がいつも言うことでありますけれども、最近ヨーロッパにおいても、女の子の初潮が過去十年間に二年も早くなっている。こんなのは体位が向上したわけでも何でもない。端的に言うと、
青少年がませてしまっている。そのませた
原因の
一つは、今言ったどぎつい
社会の中にある刺激であり、その刺激の中には
警察が取り締るべきものがたくさんある。たとえば宮城前のあの広場でもって軽
犯罪に近いようなことをやっているような問題、そういったものを
子供が見ることによって直ちに
影響を受けてくる。あるいはネオン・サインが散らばっている銀座とかあの辺の裏町を歩いてみればいい。これは風俗営業等取締法の改正に基いて、皆さん方の方で相当力を入れていただくことによってある
程度防止できるでしょうが、そういったものから受ける
影響が明らかに
青少年を徒長させてしまっている。頭だけがませてしまって、そこからくる
非行の
原因というのが非常に多いと思う。
いま
一つは、みんな働いているが、時間に縛られ、機械に追われて、全く自分自身の自由な時間を持つことができないというようなことが労働の条件の中にある。住宅政策がうまくいかないために、八時間労働でも、往復時間を含めると十二、三時間の労働時間を持っている。そういうものからくる非常な精神の緊張をしいられる。それと今言ったようなことで
青少年はませてしまう。
いま
一つ向うで問題にしておるのは、これは労働省
関係でありますけれども、
青少年の完全雇用の問題なんです。小さいときから雇用に頭を縛られて、中学を卒業するときから就職難でああだこうだといって頭を使っているというようなことでは、
青少年というものはとても満足には育っていかない。
こういった広範な問題をおいて――西ドイツではそれに対して、
青少年をそういう
環境から救うためにどうしたらいいかということで、
警察なんかと協力して、現在の
青少年対策というものが打ち立てられておる。こういうことでして、日本で
青少年問題協議会が取り上げているような、ああいう非科学的な簡単な問題じゃない。同時に、文部省あたりが取り上げているような、
青少年の
社会教育が必要だとすれば、その
社会教育は文部省が担当するんだというような独善的なものの
考え方はないのです。むしろ、今言いましたように、近代の
青少年非行の
原因は、どちらかというと厚生行政の方に入っていかなければならぬくらいに
考えておる。もっと医学的な見地から検討されなければならぬ。そこで
警察の側におきましても、取締りの面ばかりでなく、幸いに若干の増額をみたところの科学
警察研究所もあるのだから、もう少し医学的な見地から
青少年というものを
考えていく。
社会的な見地から
考えることはあなた方の専門ですから、ある
程度手を打たれていると思うが、もっと深いところに
原因がある。そういう
原因があるものですから、世界的な
風潮として出てきておる。だから、表面に出てきたところの
非行の実態だけを頭に置いておったら、いつまでたってもこの
風潮は消えていかない。そういう
意味で
一つ警察の方でも、もう少し医学的な見地から
青少年問題を取り上げていくということを
考えていただかなければならぬ、こういうことなんです。お答えは要りませんけれども。
最後に
一つ委員長にお願いしておきたいのは、大体こういうふうに今
調査を進められて、現段階では
警察の段階が一応終りに近くなってきておると思います。これだけではとてもじゃないが
青少年補導小
委員会の目的は達せられません。ぜひ自後におきまして逐次こういう点、
警察は基本ですから、自治庁、厚生省、労働省、文部省、それらの
関係官を呼んで、
ほんとうに具体的な
対策を打ち立てていく
資料をできるだけ早く収集するようにして、おそらく今回の予算編成にはもちろろん間に合いません。しかし、
青少年のユースホステルを建てる場合に、都道府県、市町村が
ほんとうに力を入れてやっていくという場合には、起債などをこれにつけてやるくらいのことは、この
委員会からも強く主張することができるだろうと思うので、ぜひそういうような運営の仕方を
一つお願いしたいと思います。