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1959-10-06 第32回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月六日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君    理事 安井 吉典君       加藤 高藏君    鈴木 善幸君       高田 富與君    津島 文治君       富田 健治君    中島 茂喜君       三田村武夫君    太田 一夫君       加賀田 進君    川村 継義君       佐野 憲治君    下平 正一君       中井徳次郎君    北條 秀一君       矢尾喜三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  委員外出席者         総理府総務長官 福田 篤泰君         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      江口 俊男君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    高柳 忠夫君         大蔵事務官   米山 武政君         文部事務官         (大臣官房長) 齋藤  正君         建設政務次官  大沢 雄一君     ――――――――――――― 十月六日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  台風十五号による地方自治体における被害状況  及びこれに対する災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政及び警察に関する件について、今回の伊勢湾台風による各地の被害状況等に関し調査を進めます。この際総理府総務長官より、その概況について御説明を願います。福田総務長官
  3. 福田篤泰

    福田説明員 このたびのいわゆる伊勢湾台風は、予想以上にきわめて災害程度が甚大でございまして、大体一番最近の災害概況を御報告申し上げます。  昨日の夜までに入りました集計を見ますと、死者が四千百三十一名、行方不明が千名、建物全壊三万二千二百六十三棟、半壊九万五千三百六十二棟、流失三千八百四十六棟、床上浸水十九万二千六百九十一棟、罹災世帯三十二万八千四百十七世帯罹災者の概数は百四十五万一千五百七十六名、まことに甚大な範囲災害を受けておる次第でございます。なお公共施設の方面では河川、道路、港湾等公共土木施設が約五百三十五億、農地農業用施設等農業水産施設関係が二百八十二億、文教施設四十八億、合計八百六十五億という報告を受けておる次第でございます。  右のほか、交通通信施設に相当の被害もあり、また農作物、漁船、農林水産物商工業資産等産業災害の損害もきわめて甚大と思われますが、今のところ、具体的な計数はまとまっておらない状況でございます。  大体これが今までの災害概況でございますが、これに対しまして、政府としてどういう態度を今後とらんとするか、もちろんこの災害の最大にかんがみまして、あらゆる手段、あらゆる方法をとりまして、政府が全力をあげてこの救助対策に遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
  4. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。三田村武夫君。
  5. 三田村武夫

    三田村委員 いわゆる伊勢湾台風すなわち十五号台風災害状況のことは、ただいま総務長官から御報告がございましたが、委員各位も御承知通り今度の災害は、かつて見ない深刻かつ深度の深いものでございます。これは大きな自然の脅威とでも申しますか、現在のところ、非常に高まって参りました科学をもってしても、この台風に対して全面的にこれを防止する道はないようでございます。しかしながら、実際この災害の場面に直面した政府またわれわれ国会といたしましては、可能なる最高度手当をしなければならぬことは言うまでもないのでございます。私も災害地岐阜県でございますが、岐軍県は、御承知のように八月の集中豪雨による被害、さらに今度の伊勢湾台風による被害、わずか二ヵ月ぐらいの間に重ねて二度の深刻な災害を受けたのでございます。実際地元自治体立場からいたしますと、特にその深度の深い地域におきましては、十年や十五年立ち上ることが不可能だ、こういう現状でございます。ただ言葉の上で十分の手当をするとか、あるいはまた現在の法律制度の上で、できるだけのことをやるというくらいのことでは、とても被災者立場は救われません。個人々々の被災者立場は救われないばかりでなく、これを実際行政の面であずかっておる自治体立場もいかんともなしがたい現状でございます。われわれも現在の法律上、現在の制度上可能な範囲は存じておりますが、しかしながら、現在の法律上あるいは制度上手がないということで放置し得る問題ではないのでございます。ここに政治の一番大きな責任があると思うのでございます。もちろん政府もその点についての十分な検討用意はあることと思いますが、特に私は本委員会の冒頭に政府を代表して出られました総務長官に申し上げておきたいのでございます。そしてあらためて総理及び関係各省大臣立場からの政府用意なり決意なりを伺う機会があると思いますが、この際この委員会を通じて、政府処置いかんと最も重大な関心を持っておる罹災者国民に対して、政府立場からの一言の決意態度の御表明を私は願いたいと思うのでございます。  実際委員長罹災県の一人でありますが、三重県にいたしましても、愛知県にいたしましても、岐阜県にいたしましても、この災害の前にぼう然自失、つまり表現に言葉がないというのが私は適切だと思いますが、なす処置を知らないという状態であります。これは総理現地を見られましたし、昨日、一昨日は皇太子もわざわざ御慰問に来られたのでありますが、総理現地を見られ、各省大臣現地をつぶさに見て、しっかりやって下さい、立ち上って下さいという言葉一つの力づけにはなりますが、その言葉だけでは立ち上れるものではないのであります。だから私はここで特に政府立場から総務長官が言明しろといっても無理かもしれませんが、とにかくその気持としてはっきりしてもらいたいことは、現在ある法律、それだけでは間に合わぬことがたくさんある。これはおわかりになっていると思います。こういうものに対してはすぐ目の前に控えております臨時国会特別立法をやるのだ、それから足りない予算面はこれを補正するのだ、そうして十分な手当をする、これは必ずやるのだということだけは私は言明していただきたいと思います。まずこの点から政府立場をお伺いいたしたいと思います。
  6. 福田篤泰

    福田説明員 ただいまの御指摘の点は重々ごもっともでありまして、今までの既成的な観念だけでは、この大規模な災害の対処には不十分だと私ども考えております。従いまして本日の閣議でも重要議題になると存じますが、たとえば来たるべき臨時国会における補正予算編成だとか、あるいは二十八年度の前例もございますが、相当広範な救助に必要な特別立法、こういう点も当然考慮せられるものではないかと考えておる次第でございます。
  7. 三田村武夫

    三田村委員 きょうは具体的な問題を掘り下げて伺おうとは思いませんが、特に私は今頭の中に深く刻まれておる一、二の問題について申し上げ、特に御考慮願っておきたいと思いますが、率直にわれわれが災害現地の実情を見て思うことは、今度の災害については、幅もさることながら、深さが非常に深いのです。たとえばこれは三重県にも愛知県にもありますが、岐阜県のいわゆる多芸輪中地帯災害のごとき、これは八月十三日の集中豪雨で堤防が欠壊して、面積にして三千町歩世帯数にして二千世帯、人口にして一万二千、これが完全な水没地帯になってしまったのです。約一ヵ月余を要してようやく仮締め切りをやり、排水も完了してぼつぼつ自分のうちに戻り、落ちた壁に手入れをして畳の表がえをやり、これから立ち上ろうとしているところをまたまたやられてしまった。そしてこの間も名古屋における災害対策本部でいろいろ検討を加えたのですが、どうしてもまだあと二十日くらいかかる、八月十三日から通算するともう三ヵ月半、百日以上、一年の三分の一を水浸しになっておるという悲惨な状態にあるのです。しかもそれに対する対策としては、現在の法律上どうしても手が及びません。これは完全に収穫皆無でございます。ここは純農村地帯でありまして、米以外に収穫はないのでありますが、完全の収穫皆無、米は一つもとれません。のみならず、自分の持っておったものも失ってしまった。家もがたがたになって入れない。一切のものを失ってしまっていわゆる無一物です。しかもそれに対する水が引いたあと手当や何か考えてみますと、これは災害措置法農地の概念に入らないものがある。そして営農資金を借りても、あるいは災害救助法による特別融資の道をつけても、いわゆる生活資金手当をする道はないのです。つまり営農資金にしても何にしても、農業経営に必要な資金は貸すのだという建前になっておりますが、来年の収穫期まで一切無一物で食べていかなければならぬ、着ていかなければならぬのが、そういったものの手当の道がない。悲惨そのものであります。そういうものに対しての立法措置をどうしても考えていきませんと、われわれ国会としての責任は負えないような気がする。仕方がないのであります。こういう点も私は改めてもらわなければいけないと思う。自治体はとても責任は負えません。この八月災害手当について、われわれ党においてもいろいろこれを検討し、それぞれ農林委員会建設委員会でも案を考えて、この小災害に対する手当をするといっておりますが、現に災害町村立場からいたしますと、今日の前で食うものがない。復旧工事をやらなければならない、査定が済んでいない、金はこない、借りに行ったって市中銀行は金を貸さない、どうにも処置がない。こういうときに何とか災害復旧なり、羅災者立場なりを考えて切り開いてやっていくことが私は政府責任だと思うのです。ところが、現在のままではなかなかそれができない。これは非常に私は悲しいことだと思う。これをどういうふうにしたら動いていくかということをこの際考えておかなければいけないと思うので、自治庁あたりでも、こういう現在の災害に直面して、私は穴だらけだと思うんだが、どうやってその穴に対して手当をしていくか。臨時的な当面の手当と同時に、恒久的手当考えておきませんと、営々辛苦、ようやく地方自治体の健全な姿に戻ったやつが、ここでまたこわされてしまった。あと五年や十年かかったってとても立ち上れやしない、悲惨そのものであります。そして地方自治体健全化とか、あるいは自治の振興と言ってみても、口だけでは何にもならぬ。これが現実でありますから、これはぜひ十分お考えを願いたいということと、それから私率直に申しますが、すぐ予算編成期に入ります。われわれも与党の一員でありますが、特に申し上げたいことは、罹災者立場になると、農協に預金があるとか、どこかに金の余裕があるものはその金でやれという立場なんです。しかし実際の罹災者健全財政どころか、均衡財政も何もありゃしない、赤字赤字、何ともしようがない現状なんです。ところが、この災害対策に対する政府立場からすると、これは予算の問題がすぐ出てくる。政府だけは健全財政均衡予算で、罹災者赤字でもおかまいなしということは、政治の定石として許されない。だから予算の窮屈ということはわかっておるが、本年度自然増収が年度内六百億あるなら、少くとも六百億くらいの金は思い切って出して、当面の急場の処置をするというくらいの決意がなくてはいけない。総務長官政府立場として、この点ぜひはっきりしていただきたいと思います。けさの新聞を見ると、建設関係で二百何十億予算補正をしなければならぬというのが出ておりました。またこの間も建設大臣の言明として出ておりましたが、それは政府直轄建設関係予算がそれだけ要るなら、それの何倍も何十倍も地元町村負担は多いのですから、そういう点をどうやって町村自治体立場手当していくか、つまり立ち上れる処置をどうやっていくかということは非常に重要な問題でありますから、これは長官も十分お考え願いたいと思います。御意見がありましたらこの際伺っておきたいと思います。
  8. 福田篤泰

    福田説明員 ただいま三田村委員のおっしゃいました地方公共団体がいかに苦しんでおるかということは御指摘通りでございます。現在まで政府といたしまして実行いたしましたのは、御案内の通り交付税の繰り上げ交付、これは御承知通り十一月分を十月の二日に交付いたしたわけであります。もう一つの点はつなぎ融資で、従来二十億を二十億ふやしまして四十億のつなぎ融資といたしたわけであります。なお、これも必要に応じましては資金運用部からも予算の増額も考慮しておるわけでございます。今後考えられるのは、今お話もありました小災害の問題、その他いろいろなこまかい問題が起ってくると思いますから、この点は関係自治庁その他各省とよく連絡いたしまして、手落ちのないようにいたしたいと考えておる次第であります。
  9. 三田村武夫

    三田村委員 自治庁政務次官がこられましたから、一つ自治庁の方にお伺いいたします。丹羽さん御承知の、今日の自治体は率直にいってそう健全じゃないのです。力がないのです。こういう災害の場合に何とも処置がないということは現実の姿であります。しかも被災者は目の前におる。常に被災者立場から要求を受けるものは第一線の自治体の長です。市長であり、町村長であります。また町議会、村議会責任者であります。現地に行ってみると全くお手上げの形なんです。これは自治体健全化――自治体というものを正しい方向に持っていかなければ民主主義の基礎は育ちません。しかもこういう災害の場合に、自治体が全部お手上げという形であっては、どうにもたまらないという気がするのであります。政務次官は、内務省にも長くおられましたし、自治体のあり方がどういうものかよく御存じだと思いますが、私は、この際ほんとうに思い切った法的の処置も必要だと思います。それから今総務長官が言われましたいろいろな手当の道もありますが、たとえば交付税の問題にいたしましても、特別交付税手当するといったって、なかなかそれはいつ来るかわからぬものを待っておって始末にならぬという状態であります。現在の災害自治庁もよくおわかりだと思います。石原長官現地に行って指揮しておられますからよく御存じだと思いますが、現在のところ、どういうふうな御方針をお持ちでありますか。もし現在すでに何かお考えがありましたらこの際伺っておきたいと思います。
  10. 丹羽喬四郎

    丹羽説明員 ただいま三田村委員から適切な御意見を拝聴いたしました。今回の大災害につきましては、まことに同憂の至りでございます。私ども、ただいまの御意見に全然同感でございます。大体におきまして普通災害におきましては、年の予想といたしましては被害額二百億程度のものを予測をいたしまして、財政予算を組んでおるような状態でございます。今回も、今のところはっきりいたしませんが、約千五、六百億にも上るのではないかといわれているような災害に対しましての措置というものは非常にむずかしい問題であります。とりあえず自治庁といたしましては、先ほど普通交付税の繰り上げを災害府県並びに町村に対していたしまして、幾分でも援助のあれを示した次第でございますが、御承知通り、私ども臨特法廃止の問題からいたしまして、ことに一般の治山治水費国庫負担の率が下ったことにつきましては、御承知のように地方行政委員皆様とともに、あのときは非常に猛烈な反対をしたのでございますが、それは通らなかった次第でございます。そういった面からいたしましても、自治体負担額というものは非常にふえて参っております。自治体健全財政を危殆に陥れるいろいろな要素がございますので、今回を契機といたしまして、委員皆様の御協力をいただきまして、できるだけ自治体自主的税源の確立のために努力したい、こう思っております。
  11. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ちょっと関連して。いろいろ一般的なことをお尋ねしたいと思いましたが、それは昼から石原国務大臣も参りますので、そのときに譲りまして、あなたに関連のあることだけ私は伺ってみたいのですが、それは災害救助法というものがありまして、そうして中央中央災害救助対策協議会などが置かれておりまして、あなたがたしか事務局長か何かになっておられるのじゃないかと思います。これは一体今度どういう活動をしておるかということであります。今度のあの大災害で当面非常に問題になりましたのは、食糧がない、船がない、衣類がない、薬品がないというふうなこと、それから連絡の問題でございます。警察連絡する、あるいは自衛隊連絡する。自衛隊の出動を要請するためには県知事を通じていかなければならぬが、しかしまず第一に県知事連絡ができない。そういうふうな困難の中から今立ち上りがようやく始まっておるということなのでありますが、こういうふうに法律はあるのです。対策協議会事務局長とされまして、そういう物資の調達とかなんとかいう問題について、あるいはまた災害が起りましたときに、どういうルートでどう連絡をつけるかというようなことについて、これまでどういう対策をやられてきたか、またそのことについて欠点があるならば、今後どういうふうにやっていったらいいかということについて、あなたのお考え方をちょっと伺っておきたいと思います。
  12. 福田篤泰

    福田説明員 今御質疑通り災害救助対策協議会というものは、災害救助法に基きまして常時設潰しておりますが、こういうふうに災害が発生した場合、自然的に活動を始めるわけであります。それに並行いたしまして随時災害復興対策協議会を作るとか、あるいはこの前の福岡に設けましたような対策本部を今度は名古屋に作るとかするわけでございます。今般の伊勢湾台風におきましても、二十八日の午前直ちに総理官邸協議会を開催いたしました。御承知通り総理が会長であり、私が事務局長をいたしております。その席上で関係各省大臣、それから民間では国有鉄道あるいは日赤でありますとか、関係の深い民間代表もほとんど全部おそろい願いまして、根本的な連絡方法その他を打ち合せしたわけであります。その後は、その下に幹事会を設けまして、各省の次官を中心といたしまして、こまかい点につきましては常時打ち合せをいたしておるわけであります。本日の朝刊でも一部報ぜられておりますが、明日の幹事会でも、大蔵省を中心とした金融のやりくりあるいは操作につきましての打ち合せをやる次第であります。いろいろな点つきまして連絡を密にしていく、また同時に各省連絡なりあるいは調整を絶えず見ておるというのが任務でございます。常時やっております。
  13. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私は、そういうことをお尋ねしておるのではありません。そういうものがおありで、そのもとにあって平時からどういう準備をしておられるかということなんです。起ってから集まったんでは間に合いませんでしょう。そういうことをお尋ねしておるのです。
  14. 福田篤泰

    福田説明員 実は常時の活動の問題ですが、これは率直に申しまして今まで不十分であったと思います。先般の閣議でも、たとえば今度の高潮による被害また災害の本質から申しまして、やはり常時からもっと科学的な台風実態調査でありますとか、あるいは予備訓練と申しますか、各省の常時一つ訓練が必要でないかということが指摘されたわけでありまして、今後そういうことのないように、十分常時における研究その他についても活動して参りたいと考えておるわけであります。
  15. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私はこういうことを強く要望しておきたいのだが、ただそういう精神的な面だとか、法制を整えるということだけで事足れりとしておってはならないのでありまして、今回の大事件に際しまして、私はやはり物資の貯蔵といいますか、そういうことを強く要望しておきます。ほとんどありません。たまたま私も現地におりましたが、災害地が他の災害地物資の補給を要求しておるというふうなことであったり、まことに混乱の極であります。そしてまたどう言いますか、これはさっきも三田村さんが指摘されましたが、終戦後の地方財政混乱が因となり果となりまして、事件が起りましても早い手を打てない。あとをだれが収拾してくれるか、赤字を作ってもだれが収拾してくれるかわからない。どこまでは県の責任で、どこまでは国の責任、どこまでは個人責任か、それがはっきりしない。しない間は出せないというふうなまことに怯懦な風潮が一般的であります。たまたまあの台風は土曜日の午後でありました。災害がいよいよ大へんだというのがわかったのは日曜日。土曜、日曜は連絡がとれない。まことに一両日ぼう然としておったというふうな姿でありまして、平生からこういう法律があるのですから、これによって十分事前発動準備物心両面準備が必要だと思います。物の準備も大体わかっております。どういうところでどういう災害が起るか。あるいはちょうど高潮と一緒になりまして、午後六時か七時ごろに紀伊半島に上陸したのでありますから、名古屋に参りますのは、ちょうど同じ高潮の時刻と一時間ずれるかどうかということが、もう四、五時間前から専門屋の間ではわかっておる。わかっておるが、二時間前になると電気はとまる、ラジオは聞けない、こういう事態になりましたのですが、そういうことについての政府のこれまでのやり方が、どこか法律を作ってあとはもう投げやりと言えばはなはだおしかりを受けるかもしれぬが、私の方から見るとそういう感じがしてなりませんので、もう時間がありませんから、特にあなたにこのことだけを要望しておきます。
  16. 濱地文平

    濱地委員長 この際三重県、愛知県、岐阜県の東京事務所長がお三人来て、報告かたがた陳情したいと言っておりますので、休憩をいたしまして、陳情を聞くことにいたします。  この際暫時休憩いたします。     午前十一時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十九分開議
  17. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、石原国務大臣にちょっと申し入れておきたいと思いますが、本日の引き続いての委員会におきまして、二時半ということで、私ども二時半から今まで待って、ちょうど三十分待たしてもらいましたが、まことに残念に思います。多分事務官連絡が悪かったのだろうとお察し申し上げますが、今後なるべく時間に関しましてはむだのないように、お上手に一つ御計画を願いたいと思います。  この際、災害対策副木部長として、きのうまで現地におられました石原国務大臣から、その概況につきまして御説明を願いたいと思います。石原国務大臣
  18. 石原幹市郎

    石原国務大臣 まず時間におくれまして申しわけございません。これは事務官連絡が悪いのでなしに、私、いろいろと閣議がございましたり、記者会見でいろいろ質問等を受けておりまして、大へんおくれまして申しわけございません。  今回の伊勢湾台風被害はまことにわれわれ想像しておりました以上に非常に甚大なものでございまして、多数の死者を出し、また数万町歩に及ぶところが今日もなお水没をしており、商工業の中心である名古屋の南部がいまだに水が引かない状態にありまして、まことに遺憾にたえないところと思っておる次第であります。  政府におきましても、九月二十九日に中部日本災害対策本部名古屋に置くということを決定になりまして、益谷副総理が本部長となり、不肖私が本部長代理ということで、二十九日夕刻すぐ行け、そこで私は直ちに問題の多い各省の主管局長または官房長を全員引き具しまして、その夜の汽車で立ち、三十日から愛知県庁内に中部日本災害対策本部を置いたわけであります。  まず中部日本災害対策本部の対象としておるところは愛知県と三重県と岐阜県、県内至るところ非常な惨害でございますけれども、しかし災害対策本部としてはその中でもさらに最も重点を置いた仕事をしたいということを相談いたしまして、とにかくなお水没あるいは浸水しておる地域におる人々の救出援護、この徹底を期していかなければならないのではないか、それから海岸堤防がこわれておるのでありますから、一日も早くこれらの地域の潮どめ工事、あるいはまた無数の河川の破堤個所の潮どめ締め切りをやる。この二つにまず全力を注ごうということを決定いたしました。その地域といたしまして、名古屋市の南部、それから次は海部郡、海部郡のほとんど全地域でありますけれども海部郡の浸水地帯、それから三重県に入りまして、木曽川の下流地帯、木曽岬、長島町、それから桑名に及ぶ地帯でございますが、この浸水地帯、それから岐阜県に入りまして、牧田川が破堤して浸水しております養老町の多芸輪中地区約三千町歩、これはこの八月にも一度破堤いたしまして浸水したところでありますが、今回の災害でまた破堤をした。この四地区を重点対象といたしまして、先ほど申し上げましたような措置をやろうというわけであります。  それで名古屋市南部におきましては、市なり自衛隊の協力を得ましていろいろ避難を始めておるわけでありますが、ここは名古屋市に全く密接したところでございまして、一応各所の小学校その他に避難をしておったわけでありますが、名古屋市につながっておる南陽町、元の海部郡でありますが、そこはいわゆる農村地帯で、完全な水没地域になっております。ここの人々を一刻も早く救出いたしませんと、長引けばこれはまた病気も出たりいろいろなことになる。ここらの人々は、海部郡その他の地域も同じでありますが、一同がこの地域を死守して、自分たちが出ていってしまったならば、ここらは放擲されるのじゃないか、海にされてしまうのじゃないかというような非常な不安感を一つ持っておる。それから家財その他の道具がありますので、出ていってしまったならば、一体これらの家財道具その他がどうなるのだということで、なかなか出たがらないのであります。しかし長くなりまして病人等が出ても困るのであります。それからまたそれらの水没地域に食糧の補給、ことに水の補給が非常な難事業でありまして、海岸地帯まではある程度の大きな船で入れますけれども、それから先ずっと中へ入って行くには、小さい船を用意しなければならぬ。船の動員等もまずやらなければなりませんし、それから各戸に配るには一升びん等を集めなければなりません。一升びんあるいはカンを集めるというようなことで、末端配給を考えなければならぬ。水の配給には一番苦労しておったようであります。そういうことから救出に努力をする。海部郡では大体一万人ぐらいの人を救出したいという目標で始めたのでありますが、大体六千人くらいをヘリコプターあるいは自衛隊の海上舟艇等で救出できました。それからあと二千人くらいは縁故でいろいろの方法で出ておるようでありますから、まず八、九分通り救出できておると思います。それから三重県の木曽岬、長島、この方面では三千名を救出目標にいたしまして、本日までのところ二千数百名出ておりますので、これは大体三千名近い人が救出できておると思います。とりあえずこの救出と、それから避難先の援護ということに万全を期しております。  名古屋市の南部は、何といたしましても、これは下水の施設からいろいろの施設が全部とまっておりますので、工場の汚水、それから一般の汚水、こういうものが充満しております。一刻も早くここを締め切って排水をしなければならないのでございまして、名古屋市内の南部は、山崎川、大江川、庄内川、天白川という四つの河川の堤防が破堤しておるのであります。それぞれの修理個所を検討して実は五日を目標に――昨日であります。五日を目標にこれを締め切って、それから六日から、本日から排水にとりかかって約六日間、十一日には排水を完了しようという目途で全力をあげたのでありますが、ちょうど大潮時期にぶつかっております。普通の川の堤防が破堤したのは、一時破堤いたしましてもあとは減水してしまいますから、工事が比較的順調にいくわけでありますけれども、潮の干満が毎日ひどいのであります。しかも大潮時期であります。潮の満ちるとき、あるいは引くときは、ちょうど激流のようになって破堤個所を流れてだんだんそこを掘っておるような状態であります。それから名古屋港にありました貯木がはんらんして水の通路をじゃましておるとか、いろいろの地帯で予想外に困難な事態になりまして、天白川は、おくれましたけれども大体きょう午後には締め切りができて、その天白川の流域地域はきょうのうちに、約束の六日から一部排水にかかれるという見通しを持っておるのでありますが、先ほどラジオからの連絡によりますと、さらに天白川の一部が補修したところがまたくずれたのかどうか、非常に難工をきわめておるという報告がありましたので、私もびっくりしておるのでありますが、とにかく天白川区域はきょう午後から排水にかかり得る。それから山崎川は、上陸用舟艇を七隻発動してもらって――道路だけでは、細い道路で、自衛隊その他のダンプカー等が入りましても、一ぺん入ったのがまた引き返して次が入っていくというふうな非常なむずかしい所であります。それで上陸用舟艇を七隻も稼動いたしまして、今度は川の上からもどんどん土のうを入れて、自衛隊員も約四百五十名くらいそこで活動しておりまして、八日には大体締め切り、あと一週間くらいで排水に取りかかれる。大江川は今日中に大体いけるのではないかと思っております。圧内川というのが一番困難な破堤個所でございまして、ここにはいよいよ最終会議におきまして、名古屋港が持っております鉄鋼船の土を運ぶ土運船というのがあります。長さ三十三メートルくらいの船であります。それを七隻ここへ、いよいよ旅順港閉塞みたいなことでありますが、七隻その破堤個所にずっと並べて、大潮のときを利用してこれを埋める、その間にずっと土のう、石のうをつめていくということで名古屋の高校の生徒二千人、消防団員四百人を動員いたしまして、土のうや石のうを作って、九日を目途に締め切ろうとしておるわけであります。でありますから、十一日ころに排水を完了するという予定であったのが、いろいろの事故に遭遇をいたしまして四、五日おくれつつあるというのが現状でございます。  それから海部郡木曽川下流、これらの地帯に対しましては、これは一望の海でありまして、ちょうど徳川時代の初期に返ったというような状態でありまして、その地図でごらんになるとわかりますが、津島市というのがだいぶ内陸に入ったところにあるわであります。津島市の市役所付近は潮の満ち干で、満潮のときにはどんどん水が高くなり、引き潮のときには引くというような状態でございます。それでこの海部郡には、海部郡と木曽川下流を目標に、日本全国のサンド・ポンプ船、浚渫船の動員でき得るものを全部集めよう、こういう浚渫業者を名古屋に集めまして、建設省と港湾局がそれに参画して動員計画を立てたわけでありまして、それらの地帯に全体で一万八千馬力のポンプ浚渫船を動員するという計画ができたわけであります。海部郡南部には約七千馬力のディーゼル船あるいは電力船をそこに配置をする。電力船は電気が通じなければ動かないのでありますが、現在水没しておるのであります。そこをケーブルをもって電力をつなぐとか、水没しておる変電所を早く生かすようにするとか、いろいろな工夫を講じて、これは中部電力が責任を持つということで、四十五日間に海岸堤防の締め切りを海部郡はやる。それからあと排水に一、二週間、十日くらいかかるわけでありますから、海部郡の目途はそれで立っております。  それから木曽川下流の木曽岬、長島の部分でありますが、これが地図でごらんのように、木曽岬などというのは州でありまして、周囲が全部やられておるのでありますから、これを完全に囲うには、それだけのポンプ船を動員いたしましても五十五日間海岸堤防の締め切りにかかるわけであります。長島も同じく五十五日かかる。ただ長島は途中細くなっている所がございますが、その道路をかさ上げすることによって、これは約二週間でできます。道路をかさ上げして北部は早く排水にかかる、全体ができ上るのは二ヵ月以上でありますけれども、北部地帯は早くかわかそう。桑名の方は二週間で大体でき上る予定であります。これはポンプ船約二千馬力、それから木曽川下流の木曽岬、長島には約九千馬力のポンプ船を配置する。そういうふうにこれは日本の埋め立て能力のほとんど総動員と言っていいかと思います。これに自衛隊が今まで五千人くらい活動しておったのでございますが、さらに施設隊、工兵隊あるいはダンプカー、こういうものを北海道、九州、全国から約五千人さらに動員をいたしまして、約一万名の自衛隊がその周辺で活躍するという体制を立てて、それらの地区の締め切りに当る。今計画の立った浚渫船は、それぞれ補修をしたりあるいは運航途中のものもありますけれども、一昨日、昨日ごろまでは、あの辺を歩いたけれども、まだ浚渫船が見えないではないかとやかましく言っている人もございましたが、これは東京なりあるいは四国なり、全国から集めてくる浚渫船でありますので、逐次そこに集合してくることになると思いますが、とにかく配置の計画も立て、目標も立てて、活動開始の段階に入っているということを、ここで皆さんに申し上げておきたいと思います。  その締め切りと救出援護の二つの目標を立てましてから、これからの問題は、いわゆる物資や資材や金の問題でございまして、これは各省あげて協力してくれておりますが、まず罹災救助の一日の給食費五十円であったのを、五十円では全く栄養失調になるということで、とりあえずこれを五割増し、七十五円ということに上げまして、これは上げたことによって、給食施設のあるところでは、みそ汁の一ぱいもつくようになった、あるいはカン詰が行き渡るようになったり、サンマの一匹も焼ける、こういうことになっているかと思います。  それから応急仮設住宅という坪当り一万六千円で五坪、八万円の家でありますが、従来流失、滅失家屋の三割以内ということであったのでありますが、今回のような状態からいって、そういうことは言っておられない、四割以内というように限度を上げまして、さらに町村によってどうしても必要であるというようなととろは、もっと具体的に相談をしてそのワクを上げよう、応急のものについてはそういう措置をとり、さらに住宅につきましては、建設省その他からも話があるかと思いますが、住宅金融公庫もたくさんの受付所を開設いたしまして、十日からごく簡易な手続でやれるということで、さらに認定に手間取るというようなことがあってはいけないから、そういう場合には、大阪府庁等から職員を派遣してやる。  それから郵政省は郵政省で、はがき郵便を出すのに金もないという人もありますから、とりあえずはがき五枚、封緘はがき一枚を収容所に見舞として配る。大蔵省あるいは郵政省では、郵便貯金、銀行預金の引き出しも簡易な措置でやれるようにする。それから中小企業に従事している諸君が、名古屋市内においても水に浸っておりますから、休業されております。体業中の手当を出すにいたしましても、事業主は金がない。そこでとりあえずの措置といたしまして、事業主が、これは職を離れているという離職票を簡単に出して、それをもとにして失業保険をもらえるようにしてやろう、――これは最後には法律改正を要するのだそうでありますが、法律改正ができるまでの間でも特別の措置をとろうではないか。農林省は農林省で、収穫皆無のところに対しましては、保険金額の七割をとりあえず融資する。これは本決定と同時にその金が渡ることになるわけでありますが、こういうふうに各省あげて今度はいろいろな特例の措置を講じているわけでありますが、遺憾ながらこういうことが末端の人に、一体どういう措置が講ぜられているのか、金はどうなっているのかということが一向わかりませんので、中部災害対策本部で、きょうのうちくらいでおそらくできると思いますが、早わかり表を取りまとめて印刷に付しまして、各市町村あるいはおもな罹災者に配ろう。新聞も協力してくれまして、その原稿ができたならば各新聞に全部載せるからということで非常に協力してくれております。  それから衛生状態を落しましたが、これは厚生省からまた御報告があるかもしれませんが、真性赤痢その他が若干出ておりますけれども、これは特別に多いというほどのものではありません。特に集団発生、爆発的発生という事態はありませんので、これは不幸中の幸いと思っております。ただ冷え込んでいるのと、空腹だったり、乾パンのようなものばかり食ったり、いろいろなことで下痢その他があるようでありますが、下痢でも疑似赤痢というような形にして、なるべくこれを隔離して看護に当る。ただしかし、不潔であります。名古屋市の南部の不潔は前にも申し上げましたが、もう汚水処理場が全然機能がとまっておりますから、あの名古屋市の陸上の方の都心から流れ出る汚水も一応あそこへ行って自然にたまっているというような形で、屎尿処理の問題も非常な問題であろうと思いますが、名古屋の今の能力としては、十万人分くらいの屎尿を廃棄する廃棄投棄船しかないのであります。東京、大阪、神戸、川崎等に増援を頼んでいるようでありますが、それぞれの都市も、一ぱいもなくなるとその都市が困るというような状態で、屎尿廃棄船の応援態勢というものは、実際問題としてはなかなか困難ではないか。しからば油送船を代用しようじゃないかということまで研究しておりますけれども、これは一度使ってしまったならば二度と使えないというような問題もあり、そういう非常な苦労までしておる。衛生自衛隊活動によりまして、水没地域の津島その他には消毒薬を配ってやるとか、それからにおいのひどいところには乳剤を配布するとか、そういう措置をとっているわけであります。  それから名古屋港は、やはり何といっても日本の中心都市であり、外国貿易の中心地で、一刻も早くこれを回復しなければならぬということで、この八日に稲永という埠頭を一つ使えるように海上自衛隊、保安庁の非常な協力でただいま簡単な掃海をやっております。あのあたりに貯木が非常にはんらんしたため沈木、浮木等がありますので、この掃海に当っている。  それから三重県と名古屋との交通は、関西線も私鉄も国道も全部水没しているわけでありまして、国道はあらゆる努力をして、この十日間くらいで何とか干潮時にはトラックが通れるようになるような方法をとる。交通途絶でありますので、海上自衛隊の船が名古屋港と四日市の間を三日からですか、定期船として一隻動いております。これは復旧要員、復旧資材の運搬あるいは公用で動く人を原則として優先して連絡に当っているという状態であります。  それから水没地域を除いては大体のところは電気は点灯されたと思います。これは岐阜愛知三重三県を通じてですが、ただ三重の山奥には非常な山くずれ、川が決壊して交通不能なところがあります。こういう不能地域は別として、大体電気は復旧した。それから水没地域に対しては、電柱に一つでも電気がつくというようなことでも、やはり非常に勇気づけることではないかと思いまして、電力会社に非常にやかましく頼みまして、水没地域に対しては電柱になるべく電気をつけるようにという手配をしてもらっております。家庭にはやはり危なくて送れないそうです。ぬれた手で電気をひねったりいろいろなことをすれば、そこで事故を起したりしてもいけないということで、水没家屋には実際問題として電気を送ることはなかなか困難ではないか。  それから知事会議も、二回にわたりまして三県、奈良県にも来てもらいまして、総理主宰のもとにやって、各県の実情、要望を聞いております。それから愛知県でありますけれども、県下の市町村長を私の方で一回集めました。自民党主催で一回集めたようでありますが、そこへ出まして、いろいろ要望を聞いたり、こちらの考え方を述べておりますが、それらの要望といたしましては、大体いろいろなところで出ておる議論のように、中小企業の融資を早く出してくれとか、あるいは農林関係のいろいろ資金の問題でありますとか、あるいは起債の問題であるとか、あるいは税の減免の問題であるとか、あるいは交付税の配付の問題であるとか、そういういろいろの要望が出ております。これはまた当委員会等でいろいろ御研究を願いまして、それぞれの対策を講じて参らなければならぬと思うのでありますが、要するに今日までの災害から見ますれば、大体今までうすうす考えておったのは、昨年の三十三年災に対する措置で大体いいのじゃないかと考えておったのが、今回の伊勢湾台風によりまして、おそらく十三号台風の二十八年災のときとりました措置に近いものを、あるいはそれ以上のものを考えていかなければならないのではないかということをわれわれも考え出しておる次第でございまして、皆様方の特段の御指導、御鞭撻によりまして至急いろいろな考え方をまとめて参りたいと存じます。以上現地状況を兼ねて御報告を申し上げます。
  19. 濱地文平

    濱地委員長 次に、警察庁において取りまとめられました被害状況について御説明を求めます。江口警察庁警備局長。
  20. 江口俊男

    ○江口説明員 お手元に一通の資料を御配付申し上げたと思いますから、それにつきまして簡単に御説明をいたします。  まず「台風十五号による被害状況について」これは本日の午前六時までに私の方に参りました連絡を取りまとめたものでございまして、事実はおそらく昨晩おそくの現在であろう、こう考えております。その一番最後に、「過去における主要台風被害状況調」というものを御参考までに載せておいたのでありますが、昭和九年の室戸台風及び昭和二十年の枕崎台風というものが、今回の台風よりも専門的な言葉で言いますと、何ミリバールというような点におきましては強かったそうでありますけれども、実際はその被害を越しまして今回のような大きな被害が出ているというわけでございます。私たちも初めは室戸、枕崎に次ぐものかという感覚でございましたけれども、刻々入りまする被害の情報がそれを上回って参りました点はまことに残念でありますが、これは通りました地域が密集地帯であること、あるいはちょうど高潮にぶつかったというようないろいろな悪条件がそういう結果をもたらしたものと聞いている次第でございまして、そういう観点から取りまとめてみました一覧表が表としてあとの方につけ加えてあるわけでございます。  概括して申し上げますと、本日の午前六時までの人的な被害死者が四千百三十一名になっております。これは全国でございます。行方不明がなお千名ございます。負傷者が一万四千八百十八名、建物の全壊いたしましたのが三万二千二百六十三むね、半壊が九万五千三百六十二むね、流失が三千八百四十六むね、床上まで浸水いたしましたのが十九万二千六百九十一むね、罹災世帯が三十二万八千四百十七世帯罹災者の概数が約百四十五万という数字になっているわけでございます。もっとも建物の全壊、半壊以下の部面につきましては、またそれぞれ専門の分野におきまして、あるいはこれ以上の数が出てくるかと思いますが、少くとも人的な被害におきましては、四千百三十一名の者につきましては、何のたれがしであるというところまではわからない者も含めますけれども、一応死体を確認した数でございます。この内訳を申し上げますと、これは御承知のように今回の台風が九州を除きましてほとんど全国にわたっておる。ことにひどかったのは、ただいまも大臣からお話がございました愛知三重岐阜、奈良等でございますけれども、それ以外におきましても兵庫、滋賀、群馬、青森、山梨、長野というようなところにおきましては、従来でありますれば、人的被害としても相当ひどかった、こう申し上げる、すなわち十名以上の死者を出している府県でございます。その詳しいことにつきましては各県別に表に明示をいたしておりますので、後ほどごらんをいただきたいと考えます。そうして現在におきましても、今なお救助作業をやっておるという地域は、ただいまのお話にもございましたように、愛知県、三重県、岐阜県、それから奈良県の一部というようなところにございますが、その事柄につきましては、ただいま詳しいお話がございましたので省略をいたします。今申し上げましたのが被害の大要でございますが、これに対しまして私たち警察としてとりました措置をお配りしていると私思いましたが、お配りしていないそうでございまして、あとでごゆっくりお読みをいただきたい、こう申し上げるわけにいきませんけれども、とにかくいろいろな悪条件、それに伴う手落ち等も皆無ではもちろんなかったと思いますけれども現地におきましては、とにかく二十五日に台風襲来が必至だということは、本庁から全国に指示をいたしましたが、それに基きまして関係各県は全部そういう手配をいたしております。従いまして、台風に襲われました愛知三重岐阜等を初めとして、二十六日の台風が参ります前には、全部非常招集をかけまして一応全員配置についておって、ああいう結果になったのでございまして、その点は将来への先訓としても十分検討を要すると思いますが、とにかく大きな災害が参ります前に電燈が消えたとか、あるいは災害と同時に通信機関がだめになったとか、あるいは私たちが従来経験しました災害に比べますと、同時にあらゆるところに災害が多発したというようなことのために、なかなか手の届かなかった点もございますけれども、とにかく二十六日の夜、二十七日、八日という場合におきましては、それが警察事務であるかどうかというようなことは別としましても、まず避難民の誘導あるいは難民の救助、続いては死体の収容というようなことに忙殺をされておったようでありますけれども、現在におきましては、ただいまのお話のように各方面とも分担をきめて着々その復興に当っておられるようでございますので、私たちの仕事といたしましては、災害後と申しますか、災害中におきます治安の維持、すなわち被災害者の気持を幾らかでも安くするという意味合いでございますが、盗難の予防とかあるいは物価が暴利にわたるものについての取締り、あるいは無用な交通についての整理というようなことに力を上げているように聞いておる次第でございます。  また各地に一斉に襲いました災害でございますので、すぐには間に合わなかったのでありますが、現地の要望通りの装備で、要望通りの人数を警視庁、大阪府その他から派遣しまして、今愛知三重について地元の職員と一緒になって活動している次第でございまして、これは少くとも相当期間現在の体制を維持しなければならぬ、あるいは場合によりましては、さらに増強しなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。  以上被害の概要と、私たちのとりました事柄につきまして簡単に御説明申し上げました。
  21. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告がありますから順次これを許します。纐纈彌三君。
  22. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 今回の伊勢湾台風は、今まで自治庁長官警察の方からも御説明がございましたように、おそらく最近にない非常な大災害でございます。気象庁のあれからいえば、室戸、枕崎台風よりもあるいは弱かったということでございますが、災害程度はまことにそれを上回るはなはだしいものでありまして、全国的にこの被害は実に甚大でございます。なかんずく中部の愛知三重岐阜等の災害につきましては非常に激甚でございまして、罹災者に対しましては、それぞれ各方面から十分なお手当をなさっておるようでございます。ことに応急の措置といたしまして、食糧の問題、衣料の問題あるいは死体の片づけであるとか、医療の問題、さらには避難させるとかいうような措置については、いろいろ御努力をされておりますことは、私どもほんとうに感謝いたしております。ことに今回は中央におきましても、政府の方におきまして、中部日本災害対策本部というものを作られまして、災害復旧の問題に全力をあげて当っておられますことは、まことに感謝にたえません。しかし避難民の方から参りますと、この災害措置に対しましてもいろいろ非難があるようでございます。そこでようやくにして対策の機構も完備いたしたのでございますから、ぜひとも今後は避難民からの不平もないように、一つ十分の手当をおつけ下さいまして、一日も早く人心を安定し、気の毒な避難民の救済にお骨折りを願いたいということをこの機会に特にお願いを申し上げる次第でございます。  そこでとりあえずの措置としては、いろいろ講じられておりますが、さてその仕事をいたします上におきましても、いろいろ政府としても施策をしなければならぬと思いますが、先ほど自治庁長官からの御説明では、今度の災害に対しましては、二十八年度の災害においていろいろ特例を設けましたが、それと同等あるいはそれ以上の特例を設けなければならぬのではないかというような御意見を拝聴いたしております。私どももぜひともあの二十八年の災害に対する特例以上のものを作っていただかなければならぬと考えておるわけでありますが、とりあえずそれに対しまして、政府といたしましていかなる特例を法律によってこの際設けられるだろうかということの一応のお見込みがありましたならば、幸い大蔵政務次官建設政務次官もお見えになっておりますので、それに対する政府の方針を一応お聞かせいただきたいと思います。
  23. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これはこれから関係各省におきまして、大蔵省においては減免の問題もありましょうし、それから農林省、厚生省、たしか二十八年災のときは約二十八か九くらいの特例の法律ができたと思いますが、ここでまだ一々どういう法律が出るということは申し上げかねますけれども、あのときとられたような措置は大体考えていかなければならぬのじゃないだろうかということを考えつつあるところであります。しかし、これはそれぞれの政党なり政府なりの間で検討し合って最後のまとめをしていきたい、そういうことではないかと思います。
  24. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 まだ具体的におきまりにならないということは当然だろうと思いますが、やがて臨時国会もお開きになることが決定したようでありますので、ぜひとも早急に一つ検討されまして、その政府の方針を示していただきたいというふうに考える次第でございます。  次に、いつも災害のときには問題になりますが、この応急措置のほかに、いよいよ復旧なり復興するという問題になりますと、融資ということが非常に問題だろうと思います。ことに今度の災害につきましては、水害も非常にひどいのでありますが、風害によってやられたところもある。ことに風害等による災害というものはほとんど個人の財産、なかんずく全壊家屋、半壊家屋というようなものにつきましては、非常に貧困な方々が被害を受けられておるという、非常にかわいそうな状況があるわけであります。そこでいろいろ融資の問題についてそれぞれ手配をされておるように思いますが、さてこれを金融機関において実際にやるということになりますと、償還の確実性がないものには貸せぬとか、なかなかむずかしいようなことを言うことがあるようであります。これに対しましても、政府としてもいろいろと考えておられまして、そういった方針をいろいろ全部にPRするというようなことで、その措置がとられておるということをお話しになっておりますが、どうも今までも、いろいろさっそくそういうことをやってもらえるだろうかということを聞いても、さて係のところでは、なかなかそういうふうにいかぬというようなふうで、どうもまだ役所の末端にもそれが通じておらないというようなこともございまして、そういう点からも相当不平が起っておるのであります。それらの点も一つこの際、無制限に幾らでも金を出すというようなことをちょっと新聞でも聞いておりますが、そういうことでありましたならば、法律がどうだこうだというようなことではなく、災害の救済というものは何といったって速急にやらなければならぬ。金も早く手に入らなければならぬ、資材も早くもらわなければならぬ、そういうところにありまするので、どうせ金の問題等は予算によって組まれるわけでありまするから、一応方針がきまっておりましたならば、出先においても相当責任を持ってそういった点を早急にやらしていただきたいということを考えておるわけであります。  それにつきまして、まず地方債の問題でございますが、いわゆる大災害のないときの普通の災害におきまする起債の計画はどの程度金額で準備されておりますか。それについて大臣がおわかりでなかったら、一つ事務当局からでもお伺いしておきたい。それと同時に、今度のような大災害に対しまして、当然起債のワクをふやしてやらなければならぬと思うのでありますが、それに対しましてはどのくらいの金額を要するか、またそれに対してはどういう方向で考えておられるかということを一応お尋ねしたいと思います。
  25. 石原幹市郎

    石原国務大臣 本年度の現年災の起債のワクといたしましては、一応本年災害を大体二百五十億くらいと想定して、三十五億のワクを用意しておったわけでありまするが、今回の伊勢湾台風その他と考え合せまして、これではもちろん不足に相なりましたので、今回の臨時国会その他を目標に増額をはかっていきたいと考えております。しかしその額は御承知のようにまだ査定も済んでおりませんし、これからいろいろの特殊立法が講ぜられていくということになりましたならば、各種の補助率の引き上げ等もこれから考えられるのじゃないか、それによりましてまた数字が変って参りますので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、おおむね二百億前後くらいの増額が必要なのじゃないかということを事務当局では検討しておるような次第であります。
  26. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 今査定の問題がちょっと出ましたが、実は査定の問題につきましては相当罹災者の方からいつも文句があるわけです。たとえば農林省と建設省が別に来る。それに一応査定してもらったら、さらに大蔵省からやってきて、またもっときつい査定をするというようなことで、災害対策にほんとうに苦労してやっておるのに、ぽつぽつと何回もやってこられて非常な事務の支障を来たすというようなことがある。今までそういうことをやられたので、これはいつも災害のときに申されるわけなんでありますが、一つ関係の者が本省の方から連絡をとって一緒に行って、そこで一応の査定をして、それが大体一つのめどになるという形に持っていくならば、非常に早くその査定も済みますし、地元の方もそのためにいろいろの点助かると思うのであります。そういうことをやっていきたいという考えを持っておるのですが、それに対しましては政府の皆さんどういうお考えでございましょうか。
  27. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 私から御答弁申し上げます。今まではさようなことがときたまあったかとも思いますが、今回の場合は特にそういう御要望も強いので、農林省や建設省の査定官が一たん査定したものを大蔵省がまた査定をし直すというようなことはいたさないという方針であります。農林省なり建設省なりあるいは文部省の査定官が災害復旧の査定をいたしますときに、現地におきまして大蔵省の出先の財務局から出ております主計官が立会して査定いたしますから、一度に査定できるようになる、こういうことでありますから、そういう御心配のないように運びたい。またそのような態勢を整えておりますから御安心願いたいと思います。
  28. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 今までたまにそういうことがあったというようなお話でありますが、どうもわれわれの聞いておるところでは、必ずしもたまではなかったようであります。今度はそういった方針でありますならば私もけっこうでありますから、ぜひそれに対する非難のないように一つやっていただきたいということを重ねて要望いたします。  次に、被災公共団体に対しまする特別交付税で今まで一応これに対する御措置をされておったようでございますが、今回は、その問題につきましてはいかような措置をされておるのか。おそらく今度のような大災害のときには当然不十分だと思うのであります。ことにまた不交付団体が大へん被害を受けておる、こういう際におきましても、これは交付税でありますが、特別交付税で見れるんじゃないかと思いますが、それらに対しまして、特別交付税でどういう処置をされますか。そうしてまた特別交付税が不足だという事態もできるのじゃないかと思いますが、そういう場合に対する措置が何か考えられておりますか、それも一つ伺っておきたい。
  29. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これはただいま御指摘になりましたように、特別交付税だけでまかない切るということは、今度はとうていできないと思うのでありまして、別に歳入欠陥債といいますか、あるいは災害対策債といいますか、そういうような起債も認めていかなければならないと思うのであります。  それから今回の補正予算によりまして、財源の更正いかんにおいては、交付税のワクもさらにふえるのじゃないか。その際には、それを大体特別交付税のような使い方でやっていきたい、こう思っております。それから不交付団体、たとえば名古屋市のような、こういうところも今回の災害にかんがみまして、特別交付税の配分に当りましては何らかの考慮をしていかなければならぬ、さように考えております。
  30. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 次に、市町村の小災害復旧事業債の元利償還金に対しまする元利補給は三八・二%となっておるようでありますが、これはどうしても、この際公共土木災害復旧費の国庫負担行為に準じまして、三分の二あるいはそれ以上にすべきじゃないかというふうに考えておりますが、そういうことも一つ考え願っておきたいと思います。  なお、いわゆる土木小災害の復旧事業の地方債につきましては、府県分についても、市町村措置と同様に国において元利補給をするということがやられてしかるべきじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、それにつきましても一つ意見を伺いたいと思います。  なお、農地災害に対しましては、昨年の伊豆地方の災害に対しまして特例法を規定いたしたわけでありますが、あの方法は非常にこの小災害を受けました農民は喜んでおられますが、今度の災害におきましても、そういう声が非常に多い。この点もぜひとも昨年の例によりまして、今回もその特例を作っていただきたいと思います。それに対します自治庁としてのお考えを伺いたい。
  31. 石原幹市郎

    石原国務大臣 いろいろお尋ねがありましたが、前後するかもしれませんが、農地災害の問題については、昨年の災害に当ってとられた措置と同じことをやりたい、今度の臨時国会にもそういう法律案を出したい、これはすでに準備をやっておるわけであります。  それから県の土木小災害は、これは建設省の方からお答え願ったらどうかと思いまするけれども、最初申し上げましたように、今回の伊勢湾台風によりまして、今まで考えておった災害対策だけではなかなか処理し切れない問題がいろいろ起きておると思います。大幅な災害対策が必ずや講ぜられることを私も確信しておりまするし、そういう方向に私といたしましても努力いたしたい、かように考えております。
  32. 大沢雄一

    ○大沢説明員 公共土木災害に対する措置の問題でございますが、市町村災害に対しましては、先般来、党におきます災害対策委員会等におきましても、小災害に対する措置を講ずるという方向で検討されております。私どももこの実現を強く期待をいたしておるわけでございますが、府県の小災害につきましては、七号台風までのところにおきましては、御案内の通り公共土木の災害国庫負担法が高承負担の建前でできておりますので、特にこれを講ずる必要がないようにも考えて進んで参ったのであります。しかし、ただいま自治庁長官からお答えのありました通り、今回の伊勢湾台風の非常に激甚な様相にかんがみまして、これにつきましても特別の措置を講ずる方向で検討いたきなければならぬのではないか、かように考えてただいま検討いたしておるような次第であります。
  33. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 最初もちょっと申し上げましたが、今度の災害は風が相当災いしておりまして、それによりまして全壊家屋あるいは半壊家屋の被害を受けた方は、大体生活扶助を受け、またそのボーダー・ラインにある方、いわゆる貧困な方が非常に多いことは、これは全般的な傾向だと思うわけであります。と申すのは、ある程度裕福にやっておられるところは相当りっぱな家を作っておられますから、風等にも強いが、そういう方々は、なかなか家を修理するわけにはいかない。ちょっとした風が吹いても倒れそうなのが、ああいう大きな風でほとんど倒れてしまっておる。そこで応急仮設住宅あるいは住宅金融公庫等で資金の世話をされていただけるだろうと思うのでありますが、それも貧困の方でございますので、なかなか償還の確実性がないので、金融機関としてはおそらくいろいろ文句をつけるのじゃないかということがわれわれに想像されるわけであります。もちろん国からそういった金融公庫の金――これは産業の方の融資の問題でも同じでありますが、非常に貧困者で、それを償還するだけの確実性のない者に、金融機関が無条件で貸すというようなことは想像できないのでありますから、そういう人を今度の災害において救わなければならぬ。いわゆる多分に社会保障的の考え方をもってやらなければいかぬと思うわけなんでありますが、そういう点について、それはもちろん考えられておると思うのでありまするけれども、そういう場合において、金融機関において、市町村の保証でもなければとうてい金を貸してくれることができないじゃないかということをわれわれは想像するわけでありますが、そういう場合において、地方自治団体が非常に財政的に困っておる際、そういう問題につきましては、市町村が保証するというようなことを許されるかどうかというような点について、一つ自治庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  34. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今お話しになりましたように、応急の仮設住宅は、ワクもふやし、とりあえずの処置をとっていきたいと思いますし、それから今回の災害に当っては、農林省が中心になりまして、木材の価格の暴騰を防ごうというわけで、営林局が中心になって、営林署その他で木材の直売所を相当設けるそうであります。それで価格も災害発生の日の前日の価格で、これを売る。それから公売なども当分控える。公売にしますと値段がつり上るおそれがあるので、公売なんかも当分控えて、木材も安く供給するような措置をいろいろ講じて、側面的にも住宅建設の援助になるようにしたい。それから公庫の貸し出し手続は認定を簡易にしたいということは、先ほど申し上げた通りであります。  最後に言われた市町村の保証という問題、これは今までもやっておるそうでございまして、さらに非常に大量にそういう問題があるとかどうとかいう場合の措置等については、さらに検討をしてみたいと思いますが、今市町村が保証するという程度のことは現在のところやっておるそうでありますから、御了承願いたいと思います。
  35. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 文部省に学校問題で一つお尋ねしたいと思います。  今度の台風でだいぶ学校がつぶれたというところがあるようでございますが、さて災害の復旧の原則はいわゆる原形復旧ということで、これは建設省の方にも関係があるそうでありますが、いわゆる原形復旧ということが今までの原則になって、それが査定もだんだん緩和されてきて、幾分の改良を加えられてきておることは伺っておりますけれども、つぶれてしまった学校は相当市街地に多いんです。そこでぜひこの災害時から鉄筋コンクリートにしたい、こういうことを強く要望している。それを木造の原形だということになると、建設省にも影響するわけなんですが、そういう問題につきましても、地方の実情によっては原形でなく、改良をするのが当然必要である。私どもは、今後学校のごときは鉄筋コンクリートを原則とすべきだと考えておるわけでありますが、ぜひとも今度の災害に対しましても、その点は一つ地元の要望をいれて鉄筋を許すと同時に、それに対する補助も鉄筋の規格によって認めていただくということが一つ。もう一つは、今度の台風でこわれはしないが、非常に傾いたとか、ねじくれておるとかいうことで、一応見てもらうと、これは危険校舎だということで使えない、相当危険度のひどいものもある。そこで、そういうものはこわれてないのだから、それを何とか手直ししようというようなことを言われるのじゃないかということを非常に心配しているわけですが、それらにつきましても、ある程度何とか立ってはいるのだけれども、つっかい棒をしたり、相当被害程度が強いものは全壊と同じような扱いによって、これを改築するというようなところまで、応急に努力をしてやっていただきたいということを考えるわけなんですが、それに対しまして、文部当局の御意見を承わりたい。
  36. 齋藤正

    ○齋藤説明員 公立学校の施設の災害の復旧につきましては、ただいまお話しのように、国庫負担の際の工事費の算定は、原則は原形復旧でございますけれども、原形復旧が著しく困難である、あるいは不適当な場合には、それにかわるべき施設すなわち改良されたものも国庫負担の対象となり得るわけであります。なお、お話しのように今回の災害に対しましては、現地の方から私どもの方にも強く改良復旧の点について御要望が参っておりますので、その点は十分御要望の点を検討して参りたい、かように考えております。  なお倒れかかった建物の問題でございますけれども、半壊のものは全壊に準じて取り扱うように考えて参りたい、かように考えております。
  37. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 今の原形復旧の問題は査定の問題がいつも災害のときは起るのでありますが、これは建設省の関係、たとえば山間で木橋であったものが今度流れた。あるいは県道なんかも、いろいろな関係で木橋にしてやっておったというのを、今度やはりかけ直すというような場合にはぜひ永久橋にしてもらいたいということを希望いたしておるわけでありますが、そういう意味で学校の問題も原形復旧という査定でなく、ぜひ相当ゆとりのあるような査定また地元の要望をいれていただくという意味でやっていただきたいと思うのであります。  今ちょっと道路の問題が出ましたのですが、最近の災害状況を見ますと、室戸台風だとか、あるいは枕崎台風よりも気象庁の台風としては強くなかったが、災害が大きかったといううな結果が出ておるわけであります。この根本は、やはり治山、治水、いわゆる砂防とか河川の改修とかいう問題が非常におくれておると私は思うわけであります。それが非常な問題になって、たとえば奥の方の山くずれのために橋が落ちてしまった。そこで橋げたが落ちたのが流れてきて、次の架橋にぶつかって、また根こそぎ流れてきた木材がぶつかって、そうして橋が落ちた。橋のところにぶつかって、今度は橋は鉄筋だったからよかったかもしれぬが、その周囲の堤防がそれだけくずれたということで、今度はそっちの方の堤防が切れて災害が起きたというようなことから考えてみまして、どうしても河川砂防の根本的な国策を立てることが私は一番大事なことと思うのであります。毎年わが国が災害によって費す費用は幾らあるか、私もちょっと覚えておりませんけれども災害を毎年繰り返す費用の半分ぐらいを河川砂防の方に使ったならば、おそらくその効果というものは非常にてきめんに出て、おそらくその災害が二分の一あるいはもっと防がれるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございまして、そういうような点につきましても、この際ぜひとも――道路五ヵ年整備計画というものができて、道路はだんだんやられておりますが、その根本の山と川を治めることがおくれておる。本日の災害各地を視察した方の報告によりましても、河川の改修とかを相当根本的にやられたところはほとんど災害がない、防がれておる。それがやられていないところ、またいいかげんの原形復旧等でやっておるところがまたやられてしまって、災害が非常に多くなっておる。こういう現実を見てきておるわけであります。それをきょうも強く報告されておりますが、そういう観点からいたしまして、ぜひともこの際、わが国の年々の災害を少しでも少くするためには、根本の河川砂防の対策政府において講じてもらわなければならぬというふうに強く考えておるわけでありますから、それに対して次官のお考えを伺いたいと思います。
  38. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいま、再々繰り返します災害多発の根本原因は、公共土木の立ちおくれのためではないか、山と川とに対するいわゆる治山治水の根本対策の樹立の必要性につきまして、纐纈先生から適切なる御意見が述べられまして、私の所見をお尋ねいただいたわけでございます。全くお話しの通りでございまして、災害の根本原因は、国土の開発利用に比較をいたしまして、治山治水のいわゆる公共土木の不均衡、治山治水投資の立ちおくれということが根本原因であると、私ども建設省におきましては考えている次第でございます。本年のような異常な年の災害を別といたしましても、昭和二十一年から三十年までの災害の平均をとってみましても、年々災害によります直接被害額は二千四百億円に上っております。死亡いたした者も千三百二十四人という平均数に達しているわけでございまして、国民所得に対します災害の比率をとってみますと、国民所得の三・一%の損害になっておるのでございます。これは戦前の昭和九年から十七年、いわゆる戦時体制に入りまして、相当公共土木が犠牲になりまして、災害も多かったそのころと比較をいたしてみましても、その当時の被害額は七百八十億円、国民所得に対します率は一・六%でございまして、戦後でございますが、約二倍に災害被害額が上っておる。しかも年々一千三百二十四人という貴重な人命が失われている、こういう状況にあるわけでございます。これにつきましては、二十八災のあと、この災害の克服の対策といたしまして、いわゆる既存の対策が樹立されたわけでございますが、これは総額として一兆二千億以上の国費を要しますので、さしあたり戦前の国民所得に対する被害率の程度まで、年々の被害額を千億程度引き下げるということで、いわゆる新治山治水五ヵ年計画というものを建設省といたしましては考えまして、三十三年度を起点として五ヵ年、三十七年度まで三千五百億、この程度はどうしても責任省といたしまして最小限度必要であるという観点に立ちまして、ただいま大蔵省の方に予算の要求をいたしておりますようなわけでございます。最小限度のことでございまして、今回の伊勢湾台風の様相等を見ますと、これでは足りないではないかという気もいたすわけであります。しかしながら、一面にこの対策の遂行に当りましては、国の財政力の関係、また市町村、府県の財政力の関係、これらも見合せまして、やはり府県、市町村に対する地方負担の軽減ということも同時に考えて参らなければなりませんので、今のところ、一応そのような計画のもとに要求いたしておるような次第でございます。ぜひ皆様の御支援をいただきまして、この対策の実現をはかりたいということが私どもの切なる希望で、またどうしてもやらなければならない明年度の基本の問題であると考えている次第でございます。
  39. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 あまり私一人で質問をしていてもいけませんので、これで最後にいたしますが、実は最近の地方財政は非常に窮屈になっております。地財法が行われるようになりまして、地方財政の立て直しをやったが、その根本の原因はいろいろありますけれども、二十八災という災害で地方が非常な負担を受けた。しかもなかなか補助金を国の方からくれなかったというような問題が相当一つの原因になっております。今年度も地方税としてはだいぶ減税をされております。やや経済界は好況になったと申しましても、地方財政としてはそう多くを見るわけにはいかない。それにもかかわりませず相当地方財政というものは窮屈になってくる。ことに三十三年度の決算から見ましても、非常に赤字団体が今度はふえてきておるわけです。今年度の地方財政状況も必ずしも楽観を許さない状態。いわんや来年度におきましては、さらにいろいろ市町村あるいは住民税の減税の問題がはね返ってくる。それから公共事業も次から次へと加わってくる。それから職員のいわゆる給与費というものが非常にふえてくる。また来年は中学生が非常にふえてくるわけでありまして、そこで各市町村でも教室が足りないので、これをある程度処置しなければならぬということになって参るわけであります。  そこで、われわれが地方財政として一番苦しんでいることは、要するに国のやっておりますところの公共事業の割当につきまして、地方と国との費用の分担につきまして、どうも地元負担が多過ぎる。ことしも臨特法の廃止によりまして三十七億くらいの減収を見ておるわけでございますが、これにつきましては、とりあえず二十一億の政府資金の起債を認めていただいて、どうやら府県も息をついたというような形でございますが、すでに臨特法の廃止によって、それだけ赤字が地方では事業分量において出て、どうにもしようがないというような状態に追い込まれておるわけでございます。そこで直轄事業におきましても、公共事業等におきましても、少くとも、もう少し地方自治体に対する地元負担というものを少くして、ことに公共性のあるもの、もちろんそれは地元の受益がありますけれども、やはり公共性のあるものにつきましては、もっともっと国の方が負担を十分いたして、そして地方自治団体の負担を軽減せしめていただかなければ、おそらく来年度の地方財政というものは、ほんとうに行き詰まって、再び赤字で困ってしまうというような状態になるのではないかというようなことを、私はこの災害を顧みてそういう感をまさに深くするわけでございます。ことに来年はおそらく免税、減税という処置をとらなければなりませんし、地方の税収入は非常に減ってくるということもありますので、ぜひともそういう意味におきまして、ここに大蔵政務次官もおられますので、国の公共事業、直轄事業というものに対しては、従来以上に国の方で十分の負担をしていただきまして、そして少しでも自治団体の負担を軽減せしめて、地方財政を豊かにさして、健全な地方自治体の育成ができますように、この機会に切にお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  40. 濱地文平

    濱地委員長 中井先生。
  41. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 国務大臣に少しお尋ねをいたしたいと思います。二十九日に早速おでかけになって、現地でいろいろと陣頭指揮をなさって、さっきも詳細な御説明がありましたが、その御努力に対しましては大いに敬意を表するわけでありますが、私は、今回の台風のこれまでのことと、それから将来のことのうち二、三点だけ大まかな点を御質問したいと思うのであります。  第一点でありますが、午前中にも総務長官にお聞きしましたが、災害救助法というものがありまして、それに中央、地方に協議会があるのです。法律でちゃんとなっております。総理大臣が協議会の会長であり、総務長官事務局長で、あなたもおそらく副会長か何かになっているのではないかと思いますが、そういう組織があります。災害が起りますや、直ちに会合した。こういうのでありますけれども、せっかく二、三年前からそういうことになっておりますが、それに裏づけとなるようなものがない。予算の都合もありましょうが、たとえば必要最小限度の薬品であるとか、乾パンであるとか、そういう食糧であるとか、補修の資材であるとか、そういうものがあるのかといって聞きましたところが、実はこれまであまりなかったというような返事でございます。今度の災害でも、私は聞いたのでありますが、名古屋市や愛知県あたりではあまりそういうもののたくわえがなかったということです。政府はこういうことについてどういう考えでおられるのであるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  42. 石原幹市郎

    石原国務大臣 お話しになりましたように、政府にも災害救助対策協議会というものがございまして、各省いろいろ災害対策について連絡協議していくという形になっておりますが、私はただいま詳細をよく存じませんけれども、戦時中その他には災害備蓄品とか、こういうものの備えが万全であったと思いますが、その後、今御指摘のような資材あるいは食糧物資等が大災害予想して備蓄されておるという具体的の形を私は詳細今存じませんけれども、今回の災害措置等から見まして、直ちに全国的に乾パン、食糧その他の動員もでき、名古屋点には現に数十日分の食糧もありますし、そういう問題についての現実の不安はなかったと思います。材木その他についても、今回の災害について備蓄されておったわけではございませんけれども、貯木場その他があって、それがかえって災害の大きな原因になったということにまでもなっておるのでございまして、御指摘のような、今後こういう応急事態に処してのいろいろな対策ということは、これを契機といたしまして、さらに考えておかなければならないのじゃないか、かように考えております。
  43. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今石原さんは、あなたがいらっしゃってからあとのお話をなさっているのではないかと思うのですが、それは今は五十日分があるかもしれません。実はあれは二十六日に台風が起りました。二十七日は日曜日であります。ここに新聞記事があります。三十時間食わず孤立というふうに大きく書いてあります。翌日、翌々日にかけましては全く困ったのが、私は実情であろうと思うのであります。従いまして、あなたがいらっしゃって、まさかいいことだけお聞きになったわけではないと思いますが、この点はぜひとも将来にわたりまして積極的な手を政府は打つべきであると私は思っております。どうも終戦後毎年々々方々で大災害が起りますから、薬品とか、あるいは腐るものなどはむだになることもありましょうけれども、建築の資材などは、今日相当技術も発達しておるのでありますから、組み立て式の応急在宅のごときは、県を中心といたしまして五十や百戸のものを、場合によっては人口比率その他でもって適当なものをあらかじめ用意しておくというようなことが、台風国といわれます日本のほんとうに国土を守るという意味におきまして、これまでのような考え方ではなくて、何か新しい方式をこの際政府考え出してみるべきである、こういうふうな判断をいたしております。そういう面から実は冒頭にそのことを御質問申し上げたのでありますが、今はいいでありましょう。しかし二十六日から七日の二日間は、現地は大へんなことでございました。私は、二十六日に現地で暴風にあいまして、行けるところだけ行こうじゃないかということで行ったのでありますが、名古屋まではもちろん行けませんでした。そういうことで現地状況をいささか知っておりますので申し上げた次第でございます。もちろん、そういうものを貯蔵いたすにいたしましても、貯蔵する場所その他いろいろございましょう。慎重な検討を要すると思いますが、この点はぜひとも一つ政府考えてもらいたいと思うのであります。  それからもう一つ、あなたの御報告を伺いますと、一々ごもっともな点が多いのでありますが、現に災害にあった者の立場から考えますと、御報告の中で、天白川とか名古屋の大体築港から東の方あるいは築港付近、これの潮どめは十一日ごろに終るということでございまして、大いに大馬力でおやりになって、そのくらいはかかると思いますが、海部郡が四十五日かかるというお話であります。三重県の木曽岬が五十五日かかるということでございます。長島が同じく五十五日、これはどうもいかにも、現地において技術屋さんが計算をなすった数字であろうと私は思うが、いかにもどうも被災者から見ますと、長過ぎるように思うのであります。こういう点についても、おそらくあなたが名古屋にいらっしゃったときにも、いろいろ議論はあったろうと思うが、ここのところは五十五日というのじゃなくて、せめて一ヵ月ぐらいとかなんとかいうふうな手がどうして打てないのか、この点を一つ伺ってみたいのであります。承わると、木曽岬は三キロばかり堤防が決壊しておるという記事もありますし、実際はもっと大きいのかもしれません。私も場所はまんざら知らないわけではないのでありますが、この木曽岬が五十五日かかるのならば、私どもの常識ですれば長島はもっと短期間でいきそうにも思うのであります。この辺のところを、大臣技術的なことはおわかりでなければ、どなたか関係の方でもけっこうでございます。どうも災害が起りましてから二ヵ月以上ということでありますが、この辺のところをもっと早くならないか、お尋ねをしたいと思います。
  44. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これは中井委員現地をよく御存じでありますから、われわれよりさらにより一そうわかっていただけると思うのでありますが、木曽岬であるとか、長島は、むしろ詰めて五十五日に短縮できたというような現状でありまして、全部水没しておるのでありますから、陸路によって土砂を運搬するとかという方法は、ただいまのところ講じられないので、要するに海の方から浚渫船で海中の土砂をサンド・ポンプで上げて破堤個所を直していくという方法でありますので、まことに現地の人にとっては歯がゆい思いでありましょうけれども、日本の今の埋立技術とか、ただいまの動員能力では、詰めて詰めて全国の埋立関係のもの、建設省、運輸省、最高首脳陣が名古屋に集結して、これだけにできるのであります。しかし私の方も、一刻も早く救える地帯は救いたいというわけで、先刻の説明のときにあるいは落したかもしれませんが、海部郡の北部につきましては、国道一号線の南に旧街道があるのでありますが、この旧街道をかさ上げすることによりますれば、あの道路をかさ上げして三週間で締め切られる。でありますから、南方の海岸の締め切りと同時に旧街道のかさ上げによって二十一日間でそれを締め切って、北部地帯は二十七、八日でかわかしていこう、こういう二段がまえの戦法をとっております。木曽岬村については、遺憾ながら途中で区切るところがない。長島町については、それが中央部にありますので、北部は二週間で締め切って、それからかわかそう、こういうことでありますので、長くかかる地帯の人々についてはまことにお気の毒でありますけれども、これ以上いいかげんなことをここで申し上げまして、三十日で締め切っみせるのだということを言って、おくれたならば非常な何でありましょう。名古屋市について私どもが五日ということを目標にあらゆる努力をいたしましたけれども、いろいろの障害によって四、五日現におくれつつあるのであります。     〔委員長退席、纐纈委員長代理着席〕  まことに残念でありますけれども、ただいまの技術陣によりまして、ここで一応こう申し上げておくほかはないと思います。自衛隊等もこの周辺に一万人集結しておりますので、だんだんかわきかけてくると、さらにピッチが上ると思いますので、陸上からの輸送もききますから、あるいはある程度の短縮ができるかと思いますけれども、ただいまのところは、今申し上げました目標で一応全力をあげて進む、こういう態勢をとっております。
  45. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の木曽岬と長島のせきとめの問題でありますが、一応技術屋が集まって、そういう結論になったとおっしゃるのですが、きょうあたりの新聞を見ますと、国道一号線は何とかしてこれを通したいというふうなことでありまして、もう干潮時にはここ一両日で通れるようになるのではないか、かように思います。さらにまた今の津島方面の話、津島から南の方の海部郡の話がありましたが、津島地域におきましては、住民が一致団結をいたしまして、みずからの手で堤防を補修して、一昨日あたりから排水を始めたということがあるわけであります。木曽岬は、国道が通りましたならば、あなたのおっしゃるような、海からでなければ何もできないというふうな地形でもないわけで、こういう点はもっと具体的に検討して――それは責任問題もありましょう。五十五日でできるといって七十日かかってはたまらぬということもありましょうが、こういう問題は、五十五日かかるといえば、たいてい五十五日かかってしまう。四十日といえば、四十五日くらいかかっても何とかやれるというふうな、これは理屈ではありませんけれども、日本人のこれまでの気持といたしまして、やはり政府としては叱咤激励するような日限を作ってがんばってもらいたい。  それからあなたは自衛隊のことを言われるが、自衛隊は二十万おるのです。そのうちこういう仕事の役に立たぬ自衛隊もたくさんおるかもしれませんけれども、この間までようやく二千くらいであった。ようやく今八千とか一万とかいうのですが、どうしてこういうところに自衛隊がずっと大挙してやって参りましてこれを直さないか、時期がおそすぎる。もっと端的に言いますれば、いろいろあります。たとえば災害の起りました翌日に、方々に県から連絡をしたが、それは大阪と三重県では管轄違いだとか、いろいろなことを言うたとか言われたとかあります。しかしそんなことは済んだことですが、来るならばもっと徹底的に早くたくさんやって来てもらいたい。社会党の考え方からいたしますると、国土建設隊的な動きをこういう際にこそ積極的にやってもらいたい。こういう意味から申し上げるわけでありますが、現実のことは、その他どれくらいの災害であるとか、金額はどうだということを今大臣にお尋ねいたしましても、なかなかわかりにくいし、そう重要な意義もなかろうと思いますので、私はこれからのこともありますから、原則的に将来のことにつきまして四点ばかりお尋ねをいたしたいと思います。  さっき纐纈さんからの御質問の中にも一部ございましたが、災害復旧費につきまして、あなたの御回答の中でも、ことしは二百五十億くらいの災害の見通しで、三十五億を起債に見た。しかし今度はだいぶん起債をふやさなければならぬというふうなお話がございました。二百五十億として三十五億という数字は、一割何分という数字でありまして、実は終戦後災害復旧については、初期は二、五、三という比率であった。最近は三、五、二ということで災害復旧をやろうということになっておりますが、こんな思想をもう一擲したらどうでございましょう。といいますことは、理屈はつけようでございます。災害の起った年には設計もしなければいかぬ、調査もしなければいかぬ、査定もしなければいかぬ、そしていよいよ工事が始まる。四月までにはそう金は要らないので、三でいいのだというようなことを言いますが、中には全部できるものだって幾らもございます。にもかかわらず、そういう一般論から逆算をいたしまして、予算は三、その次は五、最後は二、こういう考え方を――もう皆さんがもはや戦後でないと言っているのですから、戦後でないならばどうして一擲なさらぬか、この考え方についての大臣のお考えを私は承わりたい。もう三年計画で復興するの何のということはやめたらどうか。昭和二十八年の災害が去年、ことし、まだ金額的には残っておりますよ。そんなことをもうやめたらどうか。今の国の財政に余裕があるとかないとか、いろいろな理屈はありましょう。われわれからいうと余裕はあると言うし、皆さんは余裕はないと言うかもしれませんが、地方財政の困難なときに比べましたならば、これはもう比ではありません。それからこの三、五、二というふうな思想は、私は昭和二十八年にも衆議院の本会議で言うた記憶がございます。これは昭和十二年の神戸の大災害から起った思想であります。ちょうど支那事変の年でありまして、そういう軍事費やその他の関係で三ヵ年になったように私は伺っておるのであります。これをもうその後二十数年もたちまして、これだけ復興したと皆さんが誇示される日本の財政の中におきまして、いまだに災害復旧が三年でないといけない、こういう考え方は、私はもってのほかだと思うのですが、この点を一つ大臣に伺っておきたい。
  46. 石原幹市郎

    石原国務大臣 この三、五、二の問題につきましては、だいぶいろいろ各地で意見も出ておるようであります。しかし、これはおよその大きなめどとして、三、五、二というめどを立てておるわけで、具体的には、簡単なところは、事業ができるところは、もう一ぺんにやってしまうところもありましょうし、三、五、二の比率でなかなかそれだけの事業量が消化できないところもあるというようなことで、これは一応のめどのワクということで、現実にはいろいろの幅で行われておるようであります。しかし御指摘のように、災害は早く復旧しておかなければ、また次のがやってきて大へんな場合もあるのでございますから、この三、五、二の問題等についても、さらにいろいろと議論されることと思うのでありますが、少くとも今回の水没地域の締め切りその他につきましては、こういう比率であるとか、そういうことを一切顧慮するところなく、集中的、献身的に行われておるわけでございます。御意見のところはよくわれわれ将来の議論の参考にいたしまして、さらに検討することにいたしたいと思います。
  47. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の大臣のお気持はわからないではないが、どうですか、この際、政府としては三、五、二でやるなどという看板をおろすのだということをこの委員会一つはっきり言ってくれませんか。その辺に大蔵官僚もおるのだが、今のお話を聞くと、たとえば適当にやっているのだ、幅を持たしてやっているのだというようなことを言っているが、それならばこんなに騒ぎはいたしません。あなた方がそう思っているだけだ。下へいくとみなそれを言いますよ。三、五、二だ。二十八年の災害で困っておりますのは、三、五、二と口では言うが、実際は一「三、二、三「三くらいであった。だからやらなければいかぬということでやってしまう。一億円の工事をやってしまう。政府からは千五百万円しかそのときはこない。あとの八千五百万円の利子は翌年八百五十万円かかるのだ。その翌年は三千万円くらいしかこぬ。次は五百万円かかる。一億円の災害が実質上一億三千万円にも四千万円にもなる。それを地方自治体中央この三者でもってだましたりだまされたりしている。会計検査院が来たら、建設省と会計検査院はまた意見が違うとかいうので、台風騒動みたいなことをやっているのである。映画にもあったでしょう。この辺のところを政府ではっきり言えば、そういう金利問題だとかいうつまらない派生的なことはなくなるわけです。その点を私は言っているのです。事態に即応して金を出して、早く工事ができるのは早く出す、長くかかるものは先によこせとは、自治体といえども、あるいはまたそういう団体といえども――農協その他いろいろと工事を請け負う団体がございますが、そういうものといえども要求はしないだろう。そういう点についての考え方を言うわけだが、もう看板をおろしたらどうだ、私はそれを申し上げるのだが、どうですか。
  48. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これは先ほども答えましたように、現実災害の個所の大きさ、仕事の量、それなどによってまた問題も変ってくると思うのでありまして、今、二十八年災は今年中までくらいかかっておるところがあるというお話ですが、これは金を押えたからというのではなく、本年中までかかっているところもありますが、二十九年災はもうすでに済んでいる。そういうふうに破砕個所の大きさ、仕事の量なども違うと思うのであります。あなたのお気持はよくわかりますが、私は大蔵大臣ではないので明言できないが、三、五、二でいい、これでやらなければならぬという感じは私は持っておりません。けれども、やはり国の財政の都合その他でこういうことがあるのだと思います。今度の臨時国会では、治山治水、災害対策がおそらく根本問題になろうかと思いますので、政府等においても相当考え方を変えてくるのじゃないか、かように考えております。
  49. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 私からお答え申し上げます。この三、五、二で三年かかるということは、これは必ずしも国の財政上の事情からばかりでないと考えております。実際問題として、そんなに一ぺんに復旧工事が一年でやれるかということもあります。そこで直轄工事は二年でやっております。それから三、五、二にこだわらずにことし五割出すのもございます。実際問題として来年度になれば、ことしの災害復旧が三、五ですから八割できるわけで、それで大体いけるのじゃないか。ただ、二十八年災については、これは御承知通り、この年度の分だけは特におくれてきた。その後は三、五、二を確実に励行しておるということでありますから、御了承願います。
  50. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今のお話でありますが、三割と五割でやれば、二割は少々おくれてもいいというふうな、そういうお話の中に、今地方自治体と国との間のさまざまな財政的ないろいろな問題が輻湊しているように私は思います。それから今あなた方は、三、五、二で、都合によっては早くやっているということを言うておりますが、それは去年からことしにかけてのことなんですよ。たとえば狩野川台風、あれはこの間私は見に行きましたが、下流の方は割合によくできております。それでも奥に参りますと、何とかいう温泉がございますが、その方面へ参りますと、まだ去年のままであります。いろいろ伺ってみると、やはりこういうものに影響がある。まあ下流からやっていくのだという御議論でもあろうかと思いますが、皆さんがそういうお気持でも、一たびそういう三、五、二ということで出ますと、末端に行くとそうなってしまうというのが今の政治の実態です。それを私は皆さんに訴えたわけであります。ぜひこんな看板は引っ込めてもらいたい。できるだけ近い機会に引っ込めてもらいたい。  次に、これとも関連があるのですが、これまでの復旧は大体原形復旧が原則でございます。これをこの際改良復旧に踏み切るべき時期だ、こう思うのであります。改良復旧をやっているところもたくさんございますが、それは負担率が違う。原形復旧と改良復旧との間に、口ではうまいことを言うが、実際は負担率が違いますので、なかなか行いにくい。これを原形復旧だ、改良復旧だと言わずに、近代的な土木技術の現状においてどれが一番いいかというふうな、積極的なる施策が望ましいと私は思うのですが、この辺のところの見解を伺っておきたい。そうしまして、それに対する負担部分などは、今度は、先ほども大臣から言われたように、おそらく特別立法を出されると思うが、その中において、従来と同じような原形復旧なら非常に高度な補助をする、しかし改良ではできないというのでは、また私はさいの河原の石積みだと思う。現に今度の二十六日の台風で、実は四日市、桑名、それから名古屋方面にかけては高潮と風が一緒になった。そこで大災害を受けて、それから南の方の鈴鹿市だとか、津市とかの方の海岸はあまり災害はなかった、こういわれております。しかし、この委員長の御出身の神宮の木などはほとんど倒壊をしたというふうなこの状態の中で、実際は、二十八年の台風三重県の鈴鹿地区というものがあります。四日市から少し南でございますが、それから南三十キロにわたりまして非常に堅固な改良復旧をやった。三重県が今赤字で困っているのはこれですが、そのためにこの三十キロは実はびくともしない。風の力なり量なりはほとんど同じでございます。潮の関係はこれで防いだ。改良復旧だから防いだ。こういう事実があるのですから、その負担部分などを政府が一々言あげして、そうしてこの日本の災害対策をやろうというのは私はどうしてもわからぬ。この際にはこの線を一つ踏み越えて、ぜひとも政府は施策をなすべきであると私は思うのでありますが、そういう点について一つ大臣の見解を伺っておきます。
  51. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先に一応私の考え方を申し上げます。また大蔵当局からも意見の開陳があると思いますが、私も、今回のこの伊勢湾台風被害状況をずっとつぶさに見たり、話を聞いたりいたしまして、今度のこういう海岸災害等で原形復旧なんという考え方はもうおそらく考えられないと思うのです。ことに干拓地の干拓堤防のようなことは、やはり三省も四省もして考え直さなければならぬ問題だと私も痛感いたしております。今後の災害復旧に当りましては、大体改良復旧的の考え方はもう世論になりつつあります。今あなたが言われましたように、改良ということはやはり技術の最高でいこうということと私は考えまして、そういう方向にいくように私といたしましては努力をし、主張をしたい、かように思っております。
  52. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 中井委員と全く御同様な御意見を先ほど纐纈委員からもお述べになりまして、また石原大臣からも同感の意を表されたわけであります。私ども災害地を回りまして、今度の災害につきましては、特に原形復旧だけにとどまらずに、改良復旧をやらねばならぬと痛感いたしました。そこで大蔵省としましては、農林省なり建設省なりと打ち合せまして、原形復旧と申しましても、完全な復旧のできるように査定の基準を変えております。たとえば先ほど纐纈委員からもお話がありましたが、橋梁で申しますと、府県道にかかる橋梁以上の重要な橋梁につきましては、これは永久橋に復旧するということに方針をきめておるわけであります。なおまたいわゆる災害関連事業として改良事業を大幅に取り入れていこうという方針をとっております。ただしかし、あまり限度なしに改良事業に踏み切りますと、災害事業でない普通の改修事業と区分がわからぬようになってきます、また負担部分も不明確になる。こういうことでありますので、その点が苦心の要するところでありますので、御了承を願いたいと思います。
  53. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の点はもう抜かりはないと思うのだが、改良復旧を原則としろということは、府県、市町村あるいは地元住民の負担という意味においては、これまでの原形復旧と同じように扱う、こういうことでありますから、この点は幾らしても負担は別だと言われては非常に困るのです。その点は念のために私は要望をいたします。  それからこういうものとの関連なんですが、一般論に戻りまして、二十八年に特別立法を出しました。去年も出しました。狩野川の台風、ああいうものに対してこの際恒久化したらどうでございますか。今回の災害などでも、これは石原長官も御体験であろうと私は思うのだが、非常な災害を受けて、みなぼう然としておる。何をするかということになった場合に、府県や市町村自治体の職員は、これまで十四年間赤字々々で苦しめられておりますから、すぐ経費のことが気になる。これはもう長年の習慣になっておる。私は、これは政府の罪だと思う。従って元気が出ません。創意工夫、どこでどうするか、一応やれという考え方が出てこない。どこにどういう法律があってどうなりますか、どこへ電話かけてもうまくいきませんので、まだそのままにいたしております。警察にも無線はございますけれども、その無線の準備などはできません。こういうことで、これは確かにそういう気分的な面で何か不安があるのですよ。これは私はそういう人たちを悪いと言っておるのではありません。制度として不安がある。積極的にやれない不安がある。その不安をやはり国が取り除いてやる。そのためには、災害にはどういう方法でやるのだ、あと一つの掃除をしてやろうというふうな考え方でありませんことには、積極性が出てこない。そういうふうな感じを実は私は現地におりまして非常に持ったのであります。そこで特別立法を今度の臨時国会でおやりになるかもしらぬが、それを期限つきのものではなくて、将来にわたってそれが発動できるような手配が必要ではなかろうか。私は一定の条件のもとに恒久化をしてもらいたい、そういう考え方をするものでありますが、政府はどういう見解でありますか、伺っておきたい。
  54. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今中井委員が言われたような考え方も一部にはとれると思います。ただし、そのスケールによりましてやはりいろいろ組み合せがありまして、この程度の規模のときにはこのセットでいくとか、これはこれでいくというような、そういう程度考え方はいるんじゃないかと思いますが、毎年ある程度行われるような特別立法のようなものは、それぞれ組み合せにして、一つ災害に当って発動する恒久的な形の立法、こういうことも考えられまして、それらの問題もやはりこれからの国会の論議その他を通じて固まっていく問題ではないかと考えます。
  55. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の問題でありますが、いろいろ技術的にも困難なことも出てくるかもしれませんが、今の日本の内政で一体何が一番重要か。毎年夏になると、九州か、四国か、中国か、どこかで災害が起る。近ごろは北海道にまであるそうでございまして、けさほども坂田さんからもお話を伺ったのでございますが、そういうことから考えますると、日本の内政で一番重要なのは、これを何とか絶無にというわけにはもちろんいかぬかもしれませんけれども、手を打つ、今のような場当りのものであってはならぬという意味から申し上げたわけでありまするから、政府も十分にこの点は研究をしてもらいたいと思います。  そこで、あと二点ばかり、これはまた具体的なことでございますが、今度災害にあいましたのは、いわゆる東海地方の臨海工業地帯といいますか、そういうことになろうかと思います。すなわち名古屋市の南の方、それから四日市、桑名地区であります。従いまして、大工場の被害はもとより、中小企業から何から大へんな被害でありまして、これの振り出しました手形その他について、大蔵省はきのうかおとといか、特に行政的な手配をなすったやに私は新聞で伺うのであります。そういうこと、たとえば九十日の手形を二百十日台風手形といわれるというふうにまで延ばしてもらうとかなんとかいうふうな措置でございます。適当にやったという記事が新聞に出ておりますが、果して事実であるかどうか。そういうことをやるのなら、どういう手続で、どうしておるのであるか、銀行が承知しなかったらそれでしまいのものではないのか。この辺のところ、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  56. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいまお尋ねになりました被災地における企業家の発行した手形の延べ払いの措置につきましては、これはそれぞれの金融機関が自発的にやっておるのでありまして、大蔵省から指示したものではありませんが、適当な措置であると考えております。
  57. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 大蔵省はどうして指示しないのですか。できないのですか。その辺のところを聞かせて下さい。たとえば法律でそういうことをすることができるのかどうか。地域的な一種のモラトリアムみたいなものなんだが、そういうことを大蔵省がしないで、銀行が自発的にやっているということですか、その辺のところはどうですか。大蔵省はする意思がないのかどうか。
  58. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 これは個々の実情によりまして適当に措置すべきことであって、一律にどの地域においては何ヵ月間支払いを延ばすというふうなことを政府から指示するほどのことではない。金融機関の自発的な措置にまかせた方が実情に即した妥当な措置ができる、かように思っておる次第であります。
  59. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういたしますると、そういう御判断で、金融機関には自発的にやることは黙認をする。奨励をするんじゃないが、黙認をする。その辺のところ、これは私は争いがきっと起ると思うのです。でありまするから、現実に銀行が自発的にやるというが、どういう銀行がどの程度に、どういう話になっているのか、銀行といってもたくさんございますが、その辺のところを詳しく聞かせていただきたい。
  60. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 政府といたしまして、政府資金を融資しておりまする国民金融公庫とか、中小企業公庫とか、そういう政府の金融機関におきましては被災者に対しまして、返済の期限がきておりましても、それを半年なり一年なり返済をおくらせるというふうな措置政府みずからとっておる次第であります。金融機関がこれに準じて適当な措置をとるということは政府も認めておるところであります。
  61. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この点は非常に技術的にもむずかしいし、デリケートな面もあると思いまするから、私もあまり専門屋でもありませんので、この程度にいたしておきます。  最後に、これまでの罹災者の援護につきましては、一般的に見まして、政府予算措置をし、その他をやりますのは、大体公共物の損壊破損、道路、橋梁、堤防、学校、そういったもの、それから農地全般、こういうことになっておるわけであります。中小企業その他につきましては、損害はあくまでその会社なり個人が持つという建前をずっと堅持をいたしておる。これは今の日本の資本主義の考え方からいって、それも理屈はないわけではありませんが、今日のようにこう大集団でやられますと、その辺のところはどんなものであるかという疑問が私は出てくるのであります。たとえば、先ほども大臣のお話にありました一日五十円の給食でございますが、それを七十五円にするとか、そういうものはもちろん国もその一部を負担することになっておるのでありますが、それ以外に、何か罹災世帯生活資金というふうな形で手を打つ道はないか。これまではそういう場合にも、家がこわれたらそれを建てる八万円まではどうこう、あとは利子がついて返さにゃならぬ、こういうことであります。実際政府は、しばしばそういう貸付金についてはいろいろな放送をいたしました。中小企業金融公庫その他そういう団体を通じてどんどん出すということになりますが、借りる方の側から見ますと、これはもらうんじゃないから、当面その場はしのげるにいたしましても、利子もつく、返さねばならぬということになると、いざというときになると、これは政府が言うほどなかなか数も出てこない。現実の面としては予算が余る。ですから、うんと出すという形にもなる。手続は非常にめんどうというふうなさまざまなことがあるように思うのです。そこで私は、こういう問題についても、単に農地だけではなくして――これはまた根本原則になりますと、災害責任はどこにあるのか、国家にあるのか、地方にあるのかということになってこようと思いますが、そういう理屈はあとにいたしまして、こういう大災害に際しましては、罹災世帯生活資金というふうなものを一世帯当り十万円というふうな形で出す。これは出しっぱなしか、あるいは貸付金か、いろいろ研究も願わねばならぬと思いますが、少くともその利子をそう取ってもらっては困る。こういうものは、天災何とか法というものがありまして、一番安いのが大てい三分五厘になっておりますが、それでも貸付の最高限度がある。大てい六分五厘というふうなことです。六分五厘ということになると、五年もたちますと、やはり相当な金利になりますので、こういう問題について一つ思い切った手を打つ考え政府にないかどうか。私どもはぜひそういうことをやってもらいたい。四、五年据置、利子は当分取らぬというふうな考え方でも何でもいいと思いますが、そういうことについて見解をこの際伺っておきたいと思います。
  62. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいまの御質問は被災民の方に生活資金のごときものを差し上げるようにしたらどうか、一口に言えばそういうお尋ねと存じます。現在までは、政府御存じ通り融資の道はいろいろ講じておりますが、生活資金ということまではいたしておりません。これはもう終戦後ずいぶん災害がありましたが、そういうことはありません。ただ今度は、たとえば一村すっかり海水に沈没して、家財も一切なくなってしまったというふうなことになりますと、これはどういたしますか、政府としてもまだそこまで協議は進んでおりません。現在の法律規定でいきますと、そういうことはできかねる、こういうわけでございます。
  63. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 これについて北條さんからも関連質問があるようですが、私の今申しているのは、これは新しい提案であります。こういうことをやることは、そんなことはできぬというのは、これまでの一般的な、まあ、あなたをさして言うわけではありませんが、大蔵省あたりの皆さんのお考えであったと思います。何か日本の国体にでも触れるとでも思っているような考え方、それはおかしいのだ。実際よく考えてみますると、生活援護なんというものもどんどん出されております。そうしますと、そういうものとの関連で、福祉国家という建前からいきますと、やはりこの辺のところをやるのが私は政治じゃないかと思うのです。一万戸かかりまして十億円ですか、十万戸かかって百億円、査定もこんなものは簡単にわかりましょう。大体このごまかしたのごまかさぬのというような事務的なことばかり気にかかって踏み切れないというのじゃなくて、私はやはりこういう面も今後考えていくことは、これは天災国日本なんですから、何も外国に例がないということは私は理由にならぬと思う。ほんとうですよ。日本の今の内政で何ができるかというと、私は、やはり道路の輻湊とか、こういう問題とか、三つ、四つしかないと思うのですよ。それをなぜ政府は思い切ってやらないのですか。飛行機を買うとか買わぬとかいうことも、皆さんの御意見からすればけっこうでありましょう。しかし、もっと根本的に――これは思いつきじゃないと思うのです。その辺のところを一つ掘り下げて私は考えてもらいたいと思う。  そこで今度五千名ばかり死亡ということでありますが、こういうものに対しまして、自治体はそれぞれ五千円とか一万円とか見舞金を出しているだろうと思いますが、国はこれはいまだかつてあまりやったことはない。こういう問題等についても、一つついでに私は皆さんに率直な御意見を伺っておきたいと思います。これで私の質問は終ります。
  64. 北條秀一

    ○北條委員 先ほど生活資金の問題について中井委員からお話がありましたので、関連いたしまして簡単にお聞きしたいと思います。  先般の七号台風のときにも、現地調査いたしました際に、私は大蔵省と折衝をいたしまして、大蔵省もそれに同調されたのであります。従いまして、生活資金を出すということは容易でないでしょうが、しかしここに一つの例をとりますと、引揚者国債、それから遺族国債というのがあるのです。しかもことしは引揚者国債は二十一億円これを買い上げることになっておりまして、十八億円は県に割り当てた。三億円が中央に残されておるはずであります。その三億は七号台風で全部消化するだろうと私は思うのでありますが、この際、愛知県、三重県、岐阜県の三県にいっております引揚者国債を大体推定いたしますと、六十億円くらいあるんじゃないかと思うわけです。でありますから、愛知県のごときは全県下百十一も災害救助法を受けておる、そういうふうな状態でありますから、この際思い切って引揚者国債を買い上げたらどうか、こういうことを私は特に申し上げたいのでありますが、それに対して、ここで大蔵省として答弁ができますならば、はっきり答弁していただきたい。
  65. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいまお尋ねの、被災者の方の所持しておられる引揚者国債及び遺族国債をこの際全額買い上げるということにつきましては、政府としてはこの際実施いたしたい、こう考えまして、その範囲等につきまして検討中であります。
  66. 北條秀一

    ○北條委員 もう一つだけ申し上げておきたいのですが、現在の引揚者国債、遺族国債の買い上げは、生活困窮者の場合に買い上げるということになっておるのです。ところが生活困窮者と言いますと、買い上げてもらう方がはなはだ精神的におもしろからぬ印象を持つわけです。今回のような有史以来の大災害でありますから、従って、被害者を精神的に激励するということが一番大きなことでありますから、災害を受けた人であってそういった国債を持っている人はどんどんと政府で買い上げる、こういうふうにすれば非常にいいかと思います。従いまして、今検討中だということでありますから、その内容を具体的に、しかもこれから大規模に買い上げてやってもらいたいということを一つと。もう一つは、生活困窮者だというふうなけちなことを言わずに、災害者の持っておる国債は買い上げよう、こういうような方針を打ち出していただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。
  67. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 御趣旨まことにごもっともに存じますので、従来のいわゆる生活援護者と申しますか、そういう範囲だけでなしに、被災者全部買い上げる。ただしかし、被災の区域につきましてはなかなか広範でありますので、その範囲をどの程度にきめるかということについてただいま検討中であります。
  68. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私、最後に質問したのだが、死亡者に対する見舞をどうするかということについて答弁がないのですが……。
  69. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 先ほどの中井委員の御質問に御答弁が漏れておりましたが、死亡者に対するお見舞と申しますか、お弔いの金と申しますか、今までその例はございません。もし出すといたしましても、たとえば家族五人全員なくなられたという場合に、一体それはあとのどなたに持っていくかというように、なかなか簡単に具体案ができるものでありません。これはおそらく……。
  70. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 それじゃ申し上げます。あなたはそういうふうに思いつきでお返事なさるけれども、こういう問題について、私が先ほどから言いましたように、これまでの明治憲法の思想でこういうものを推しはかってもらっては困るというのが私の根本的な立場なんです。戦死をしたのなら、これはお見舞をやらなければいかぬ、大へんだ。しかし災害なら、お前ら勝手に死んだんだ。こういう思想では近代国家といえるかどうかというような建前から、私は申し上げているのです。それで地方自治体にまかす、お前らやれ、国は見ぬ、そういうことでいいのかどうか、こういうことなんです。だれにやったらいいかわかりません、そんなものは同じです。戦死をした場合に、あとの遺族のどこへ持っていくか、こんなことはきまり切ったことです。そういう回答をされると、私はどうも少しさびしくなるのですがね。日本における災害、これはおもに台風による災害ですが、世界で特殊なものです。それはこういう台風が定期的にくるというような近代国家というのはあまりないのですから、先例はないかもしれませんが、そういう意味で新しいセンスでもって考えていくことはないのか。福祉国家というふうなことを盛んに皆さんが言うておられるが、こういうことをやられてはどうかという意味でお尋ねを申し上げておるわけでありますから、そう簡単に、それはちょっと例がありませんからむずかしゅうございますというようなことでは困るのですが、どうでしょう。
  71. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 これは決して議論を申し上げるわけではありませんが、国としては、被災者の方に災害救助法でもっていろんな対策を講じる。なくなられた場合は埋葬料も災害救助法で出る。そこで市町村の方でお見舞金を差し上げておられるところもあります。これはまことにけっこうなことでありますが、国としてこれをいたすということになりますと、たとえば恩給法であれば、遺族の方は三親等内とか、なかなか厳格な法律規定がなければできないことでありまして、そういう意味においてこれはよほど検討を要することであります。こういうふうにお答え申し上げた次第であります。
  72. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 三田村委員
  73. 三田村武夫

    三田村委員 実はあすも本委員会が開かれることと思っておりましたが、きょうだけで終りだそうでございますから、先ほど来の纐纈委員中井委員質疑に対する石原国務大臣政府関係の方々の御答弁に関連して簡潔に一、二点、要望とあわせてお尋ねいたしておきたいと思います。  先ほど石原長官は、大体政府の心がまえとしては二十八災を基準にし、あるいはそれ以上の手当を必要とするのじゃないか、こういうことを御言明になりました。われわれも災害県の一人としてその通りだと思っておりますが、そこで問題は、それなら災害地現状はどうなっておるかということであります。これは現行法規のもとで行政上可能なことはその通りいたしております。また現在の予算範囲内で可能なことをいたしております。しかし石原長官御言明の通り、今回の深刻な災害に対する手当は、現在の法律、現在の予算だけではまかない得ない。そこで新しい立法をするのだ、予算も補正するのだ、こういう立場でありますが、それは現場の当事者、すなわち市町村に参りますとわからないのです。一番因っておるのはそれなんであります。だから、これはできるだけ早くお示し願いたい。そしてこれは来たるべき臨時国会にお出しになるのでありましょうから、予算補正の面も、新しい立法の面も、少くともここ数日中に大体の要綱だけはまとめて御発表願いたいと思います。そうしませんと、地方は混乱して何ともいたし方がない。現地自治体に参りますと、これは現在の法律で可能な面、これは現在の予算で可能な面、これからあとは新しい立法で処置するのだ、新しい予算処置するのだという区分はないのであります。これはぜひお考え願いまして、できるだけ早く御処置願いたいということであります。ただばく然として二十八災当時と同じことをやるといっても、実際の災害者はわからない。市町村当局者もわからない。二十八災を受けたその場所の町村当局はわかりますが、そうでない場所はわからないのであります。これは県においてもはなはだ不明確だと思います。従って、これは実情を石原長官御存じ通り、地方に参りますと、府県でも、町村でも、事務的にやることは、現在の法律範囲内、現在の予算範囲内での構想と計画しか持っておらぬ、これが現実であります。これは役人としては当然の立場でございますから、その点は特に御考慮を願いたい。これは要望であります。  それから石原長官にお尋ねいたしておきたい一、二点でありますが、これも長官自治行政のベテランでよく事情を御存じでございますから、多くを申し上げませんが、こういう災害の場合は、その経済的負担がどうしても地元自治体にいってしまいます。収拾のつかない混乱の中にどうして自治体自治体住民ともどもに立ち上るか、苦慮おうのうの渦巻の中にあるのが今日の現状であります。何とか新しい生きる道を示してやらなければいけない。これは政府の当然の責任だと思います。大蔵当局もそうでありますが、その点に関して私は率直に申し上げたい。ここに大蔵政務次官もおられますが、政府一体の立場からお考え願いたいことは、国だけは健全財政――これははっきり申します。国だけは健全財政赤字は出さない。これは建前としてけっこうだと思いますが、そのしわ寄せは全部地方自治体にくる。県がしょい込む、自治体がしょい込む。お前の方は赤字でおやりなさいというなら、やらなければならぬことはやりますが、そのかわりあとの始末はどうするのだということをお示し願いませんと、実際やれない。市中銀行で金を借りろ、なるべく融資しろということは、府県なんかであっせんをいたしておりますが、政府の金融機関は別といたしまして、地方の金融機関にいきますと、だれが責任を持ってくれるかわからないものをそう簡単に出せやしない。これは当りまえのことであります。だから、そういう点について今どういうお考えがあるか。特に石原長官は中部日本災害対策本部の本部長代理として実際現場の指揮をやられまして、十分御存じであろうと思いますから、この際伺っておきたいのでありますが、言葉を繰り返すようでありますが、こういう場合の災害対策の経済的負担がどうしても地方の自治体にいってしまうのだ、これを自治庁長官としてどういうふうに処置されるか、どういう将来の見通しを立てていったならば地方の自治体は光明があるかということを一つこの際お示しを願いたいと思います。
  74. 石原幹市郎

    石原国務大臣 最初の御要望の点でありますが、これは私、申し上げましたように、とりあえず応急対策として措置しつつある各省の事項は、印刷物にいたしまして一刻も早く――きょうあたり本部で印刷できておるかと思うのでありますが、知らせたい、こういうことであります。  それから今後の問題については、二十六日に臨時国会が召集されるということが決定されまして、二十日までに予算を出せ、それからそれらに関連してやはりいろいろの立法の案を検討しなければならぬということになると思いますから、今申されましたようなことについては逐次明らかになっていくと思います。  それから地方財政との関係でありますが、とりあえず町村つなぎ融資を非常に渇望しておるわけであります。私、現地でいろいろ聞いて参りましたが、つなぎ融資については十分の手配ができておりまして、現実に要望しておるものはどんどん処理されていっておりますし、さらに大量の金が用意をされておる。こういう現実状態で、つなぎ融資については何らの心配はない。それから今後の問題についての、国だけ健全財政で地方は何とかやっておれというこの態度は、私も地方自治を担当する責任の一人といたしまして、この問題にはこれから真剣に取り組んでいかなければならぬと思っております。今回の災害については、そういう意味でいろいろな特例法を講じてもらいたい。起債をやるにしても、元利を補給するとかいろんな特例法を講じてもらいたいし、おそらくある程度講じられると思います。それから根本の問題としては、地方行政の各位からもいろいろ御声援をいただいておりますように、交付公債などというようなああいう安易な考え方は根本的にいかないということを私は主張しておる一人であります。それから将来地方に、先ほど来いろいろお話が出ておりましたが、道路をある程度国が負担している面がふえておりまするが、河川、治山の費用、こういう国が国土保全の建前でやらなければならない事業を、その地元に相当の額を負担させるということは、これは全くおかしなことで、よく言われるのでありますが、利根川の上流の治水治山をやるのに群馬県でいろいろ負担しておるが、その効果の最も大きなものを受けるのは、下流の東京であるとか、埼玉であるとか、千葉、茨城、こういうことになるのでありまするから、こういうものはほとんど全額国でやるべきか、それとも国の負担すべき部分を相当ふやすような措置をとってもらわなければならぬ。私も微力でありまするが、できるだけそういう主張をしていきますので、皆様方からもせっかく御支援と鞭韃をいただきたいと思う次第であります。
  75. 三田村武夫

    三田村委員 それから今の新しい予算措置立法措置に関連しての問題であります。先ほど来両委員からお話が出ておりましたが、たとえば原形復旧を改良復旧に改める問題、さらに小災害に対する手当、こういった問題、新しい予算措置、新しい立法措置がとられましても、その計算の基準は査定にあるのです。ところが、現在はすでに査定が終りつつある。その査定は現在の法規のもとで、現在の制度のもとで査定が行われているのです。それが基礎になって計算を積み重ねて参りますから、私は、実際の災害とはだいぶ食い違ったものが出てきてしまうと思うのであります。新しい立法措置ができるのだ、新しい予算措置ができるのだという建前で現在査定が行われておりません。これは、はっきり当局も御承知通りだと思いますが、従って査定のやり直しをやらなければならないということになるのであります。でありますから、せっかくこの大災害に対する予算措置の基準、法的処置の基準をここでお出しになるならば、査定もその意味で、その含みでやっていただきたいと私は思います。そうしませんと現実に合ってこない、現場に合ってきませんから、この点一つ石原長官、ぜひとも政府においてもこのように、農林省も、あるいは建設省も、文部省の学校災害に対する査定についても、十分その含みをもってここで一つ実施していただきたいと思います。これはどうでしょうか。
  76. 石原幹市郎

    石原国務大臣 この災害の査定についてはばらばらに、建設省が査定すると、あとまた大蔵省が来てやる、こういうことでは困るということを、この間現地でも非常にその話が出まして、いろいろ係官といいますか、当局から、なるべく一体になって行って行うように、それが早くもできるし、考え方も統一できる、そういうことでやりたいということをそれぞれの当局から申しておりました。私は、これは今度のような機会から、なるべくそういうことに実行してもらいたいと思うのです。幸い大蔵政務次官もおられるし、そういう方面の主計官も来ておられるようでありますから、そちらの方からも一つお答えを願っておきたいと思います。
  77. 三田村武夫

    三田村委員 ちょっと答弁の前に、私の申し上げるのはそういう意味ではないのです。ばらばらになることも困りますが、現在の査定は正直に言って辛いのです。今の法制のもとに、今の制度のもとに、今の規制のもとに行われますから辛いのです。これが新しい立法をする、たとえば小災害についても新しい立法でいくというならば、査定の基準も変ってくる。それから新しい災害に対する国の負担率を高めるという立法が行われるならば、査定の基準も変ってくる。そういう面がありますから、現在行われている査定、たとえば建設省、農林省あるいは文部省、そういうところで行われておる査定を基準にして予算措置立法措置をやってもらっては困る。新しい立法のもとで、新しい予算措置のもとで査定をやってもらいませんと、災害現実に合わない面が出てくるということを申し上げる。その点に対する政府のお気持、お考えを伺っておきたいということです。
  78. 石原幹市郎

    石原国務大臣 二十六日から臨時国会ということでありますから、早急に何らかの当面の予算を作らなければならないので、一応の考え方は、急に査定が全部できるわけでもなし、今お話しのようにいろいろ特殊立法も行われることでありましょうから変ってくると思う。そこでとりあえず応急の予算を作って、それから臨時国会中か、あるいは通常国会にかかってもさらに補正を行なっていく二段構えでやったらどうかというような意見がきょうの閣議でも出ておりましたので、そういう考え方であれば、おそらくあなたの今言われるようなことと大体マッチしていくんではないかと思いますが、そういうふうな考えがきょうの閣議でも各方面から意見が出ておりますので、そういうことになるのではないかと思います。
  79. 三田村武夫

    三田村委員 もう一点。石原長官承知の、今度の災害だけではありませんで、いつの災害でもそうでありますが、国が直接担当する、たとえば工事施行の責任者である直轄工事以外に、府県、市町村の当然負担すべき災害が非常に多いのです。たとえば府県道、町村道、非常に多いのであります。それは従来の建前からいたしますと、やはり地方自治体負担区分だから、府県は府県、市町村は市町村でやれということになる。橋でも道でも何でもそうですが、しかしこれは大へんなことで、容易なことではないのです。そういう場合に対しても府県道、府県の責任において架設しておる橋にいたしましても、あるいは町村責任にある町村道にいたしましても、あるいは林道にいたしましても、こういったものについてもあわせて総括的に――災害対策は全体総括一体になるものでありますから、どのように処置するか。予算措置も、愛知県にしても、あるいは三重県にしても、岐阜県にいたしましても、基準税収以上何倍も何倍もの災害に及んでおるのでありますから、なかなか地方の自治体負担でできやしません。そういう点もあわせて予算上の考慮をわずらわしたいと思います。この点長官どうでしょうか。
  80. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 それでは私から御答弁申し上げます。府県の災害とか、あるいは市町村災害、非常に負担が重くなるということでありますが、これは詳しく申し上げると時間がかかりますが、現在の政府の方針としては、農地、農業用施設などの災害についてはいわゆる暫定措置法、それから公共土木施設についても、国庫負担法という法律に基いて、災害がその府県、市町村の団体の標準収入額を特に大きくオーバーするという場合には累進して国庫補助率がふえる。それからまたそれの地方負担、府県または市町村負担分は起債で見る。その起債が今三十五億見てあるわけですが、これは足りないということであればまたワクを広げる。それから十万円以下三万円以上の小災害についても、これは去年の狩野川台風災害においてとりました処置、それ以上の処置を今度の臨時国会政府から提案してとる。こういうことにいたしておりますので、これは大体やれるのじゃなかろうかと思っております。
  81. 三田村武夫

    三田村委員 これは質問ではありませんが、一言要望しておきます。せっかく今度の災害対策として新しい立法上の措置をお考えになるならば、たとえば現在の天災融資法、それから自作農創設維持に関する融資の道、いろいろな道がたくさんあるのですが、非常にややこしい。これを一本に整理された方がいいと私は思う。天災融資法の適用を受けるためには災害救助法を発動しなければならないというような窮屈な道があるのです。ところが災害救助法を発動いたしますと、市町村といたしましてはめんどうな問題が出てくるのです。そういったことでなくて総合的に、こういう災害の場合にはどういう措置をとるか、先ほど中井委員から出ましたが、現在の建前は、個人の経済的損害に対しては政府に補償の道はありません。けれどもが、食っていかなければならぬ。営農資金といたしましても、来年のとれ秋までは何とかして農業がやれるように立ち上らなければならぬが、そういう道もない。これは全体の災害に対する手当というものを一本の法律に書き直せばもっとすっきりすると思う。こういう点も、今度新立法をやられるなら御考慮願いたいと思います。天災融資法とか、ややこしいものがたくさんあります。これは三分五厘、これは何分何厘とか、いろいろなものがありますから、一本のさらっとしたものにしてやってもらいたい。ぜひ一つ、この際抜本的な災害対策に対する画期的な立法をお考え願いたいということを特に要望いたしまして、今日の私の質問を終ります。
  82. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 太田委員
  83. 太田一夫

    ○太田委員 たくさんあるのですけれども、少し削りたいと思います。  まず現地の住民の気持から申しますと、今度の大災害には、何といっても復旧の速度がおそかったために非常に不安が多いわけであります。不安が多いのですけれども自分の生まれた土地を捨てるわけにはいきませんし、それからまた日本人が海岸のないところに住もうといったって住めるものではありませんので、その点非常に悩んでおるわけです。そこで、政府としては一日も早く民心の安定をはかるべきだということが要望されるわけですが、今日になってはもう日がだいぶ過ぎておる。当然これは行われておるものだと思っておるわけですが、先ほど来の石原長官その他のお話で、ほぼ現地においては何らかのものがなされておると理解していいと思うのです。たとえばその中で早わかり表が発表される。それにはおそらく二十八年災のときと同じような内容が盛られていると思うのです。そうするならば、きょうの先ほどの何人かの御答弁にはあまり的確なものがありませんでしたけれども、もうちょっと、この程度以上のことはやるということがはっきり示されてもよかったのじゃないだろうかと実は聞きながら思っていたのです。  そこでまず具体的な話をちょっとお尋ねしたいのですが、今度の災害の中で、海岸と堤防の災害が非常に大きいのです。その海岸と河川の堤防の復旧に非常に大きな金がかかる。それから現在こわれているところの仮締め切り、応急締め切り工事がある。これも非常に大きな金がかかる。これらに対してどのくらいの金を出してくれるだろう、どのくらい国庫負担をしてくれるだろうということが現地で非常に心配していたことです。そこでみんなの腹の中では十分の九は国庫が負担してくれるだろうと思っております。それから仮締め切りの問題については全部やってくれるだろう、こう考えております。そういう点については特別立法の内容とからみ合せてどういうお気持であるかを承わりたい。  なお、その仮締め切り、応急締め切りの問題に関連いたしますが、決壊したところに土のうを投げ込むのに、命令がこないでなかなかやれなかったところがあるのです。実際上もう二日も三日もたってしまっているのに、土のうがそのそばに積まれているが、地元民がなぜそれを決壊口に入れないのかと言うと、これはまだ指令がこないからやれない、こう言っているところがあったのです。それからもう一つ、その場合に、どうして入れないのだろうということをうわさする中に、それは多分砂上の楼閣という言葉があるけれども、がらくたを決壊口に投入してしまいますと、あと本工事するときに非常に金がかかる。だからそういうことのないようにするために、災害でできた決壊口の応急処理はあまりあわてないでやってもらいたいというような気持があった、こういうことが言われているのですが、まあそういうことはないだろうと思うのですが、現地へおいでになった長官の御感想と、あわせて今の河川並びに海岸の堤防の復旧工事、これに対する国庫負担は十分の九、これは持ってくれるだろうと考えておりますことに対するお答えをいただきたいと思うわけです。
  84. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今、お話のありましたように、われわれまず民心の安定をはかるべきだということに全力を注ぐために、潮どめなり締め切りのめどがいつごろかということ、これを立てなければならぬのが一つと、それから例の救出と救護、これに力を入れまして、さらに早わかり表等を作ったわけであります。そこで今御指摘になりました費用の負担部分につきましては、財政局長からいろいろ詳細申し上げたい思うのでありますが、一、二の例としてとられました土のう云々の土のうの処理のようなことは、これはそういうことは全然ございません。どこの現場でごらんになったことか、よくわかりませんが、私どもは一刻も早くあれの締め切りを完成したいというわけで昼夜突貫作業であれをやらしておるわけであります。それで私も現場へ行ったときに、潮の流れが干潮、満潮のときに激流のようになるので、そこへケーソンというか、あるいは大きな石を入れなければ、土のうを入れても流失してしまうというような個所が若干個所あるのであります。そういうところへたまたまの話ではないかと思うのでありますが、指令がこないから入れないとか、がらくたを入れておいたからどうとか、そういうことは絶対にないということを申し上げておきたいと思います。かりにそういう不謹慎なことを言うておった請負業者か現場があったとすれば、御指摘下さいますれば厳重処分というか、将来指名もしないというような措置までするということをここで申し上げておきますから、御指摘を願いたいと思います。
  85. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 先ほど奧村政務次官からちょっとお話があったわけでありますが、現行法では、災害の規模が非常に大きくなりますと、一定の限度を誠えるものにつきましては、基本の国庫負担率が三分の二でありますのに対して四分の三、さらにそれ以上は全額国庫、こういうことになっておるわけでございます。二十八年災害のときには、その基本の負担率も引き上げたわけでございまして、そういうことにつきましてはまだ方針は何もきまっていないので、現行法で参りました場合に、具体的に申し上げますと。土木工事でありますれば、府県工事が一個所当り工費十五万以上のものから国庫負担の対象になって参ります。そうしまして復旧費の総額が標準税収入の五〇%までの部分につきましては三分の二を国庫が負担いたします。五〇%をこえて二〇〇%までの部分については四分の三を国庫が負担いたします。二〇〇%をこえます部分につきましては国が全額を負担することになっているわけでございます。愛知県の場合には、標準税収入がかなり大きいわけでございますので、必ずしも全体を合せました場合に国庫負担率が九十何パーセントになるというようなことはないわけでございますけれども、山梨県のような場合には、国庫負担率がその結果九十数パーセントになってくる。こういうことに現在すでに制度ができておるわけでございます。農林災害につきましても、それぞれ特別な法律があるわけでございます。
  86. 太田一夫

    ○太田委員 現行法では間に合わないから新しいものを作らなければならない、こういうことに特別立法の要請が非常に強くあるということはこの際皆さんにおいて理解していただきたいと思うのです。そうしますと、今度農林水産業施設の災害に関する国庫補助につきましても、やはり農地あるいは農業施設、漁港、林業用の施設、こういうものも現行通り以上にこれを引き上げて補助をするという、そういう内容はまだ指示されておらないのですか、その点を一つ
  87. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 農地、農業用施設の災害復旧についてのお尋ねでありますから、私からお答え申し上げます。  これの現行法が実はあまり一般に周知されておりませんので、幾分誤解があろうかと思います。それは現行法でも非常に災害がひどかった地区において、たとえば農家の負担が一戸当り八万円をこえる場合には、八割国庫補助というふうになっておりますので、その点ちょっと詳しく御説明申し上げます。  農地、農業用施設に対する災害復旧につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、農林水産業施設災害復旧に関する暫定措置法によって規定されております。御承知と思いますが、農地については復旧費の半額の国庫補助、農業用施設については六割五分の国庫補助。しかしただいま申し上げますように、その災害復旧事業の受益者である関係農家の一戸当りの災害復旧額が八万円をこえる場合には、農地の場合は今申し上げました基本の規定は五割でありますが、これが八割になる、それから一農家当り十五万円以上の分については九割の国庫補助、農業用施設につきましても、関係一農家当り八万円をこえる分につきましては、これは基本は六割五分でありますが、八万円をこえる部分は九割、十五万円をこえる部分は十割の国庫補助、こういうことに相なっております。従って実際面におきましては必ずしも五割と六割五分の負担ではなしに、農業用施設においては、国全体の今の災害予算の二割ぐらいは高率適用を受けております。それから農地については五割くらいは高率適用を受けておりますから、昭和二十八年災の九割補助とそんなにはなはだしく懸隔があるとは考えておらぬのであります。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 今の場合は二十八年災の九割補助が前例としてあるのですから、これを下らず、さらにそれを強化されるというふうに理解できればしておきたいと思うのです。もちろんそういうことでしょう。二十八年災以下の取扱いをするということは、今度はないという先ほどのお話であった。それでいいと思うのですが、できれば二十八年災以上強化するというならば、絶対に十分の九の補助を下げてはならないと思うのです。この点は一つ御尽力いただきたいと思いますが、農林漁業者の心の中には、さらに天災融資法の関係、それから自作農創設維持資金の問題、それから農林漁業金融公庫、この三つの資金の問題があるわけです。この経営資金と事業資金でございますが、これにつきまして、今のままではとても間に合うわけではありませんから、天災融資法もたしか金利は六分五厘ですけれども、金額が少い、十五万円です。しかも手続は煩瑣で、なかなかもってやってくれない。これではいけないわけです。これは非常に簡素化されて、ワクもふえるわけですが、少くとも農家にとっては三十万円は、ほしい資金なのです。この点を考えられて、自作農維持資金にいたしましても、あるいは天災融資資金にいたしましても御配慮いただきたいと思います。それから特に金利を下げることと――これはもちろん天災融資法はたしか五億だと思いますから、安くすると同時に、手続は今まで非常に長くかかっております。これをぜひとも今度は早急にやれるようなふうにしていただきたい、こういう点につきまして当局の見解を伺いたいと思います。
  89. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 天災融資法による融資の措置につきましては、政令によって実際の事柄をきめるわけでありまして、ただいまお述べになりました借り入れする罹災者の利率につきましては、国庫の利子補給は幾らになるかということ、それから一戸当りの借り入れ最高限度額は幾らかということについては、これは政令できめるわけであります。今回の場合において幾らにするかということは、まだ、ただいま検討中であります。
  90. 太田一夫

    ○太田委員 しかし、それはおそらく早わかり表の中に書いてあるんじゃないですか。それをお書きにならなければ、今のままでは三十万円というのは意味がないんじゃないですか。
  91. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ごもっともですが、天災融資法あるいは農林漁業金融公庫からの災害の融資、これは災害救助法などの一応の応急救済が済みまして、いよいよ借り入れの申し込みがあるというのは、どうしても一月くらいたってからになりますので、政府としても、それまでに具体的に方針をきめて周知徹底する、こういう順序になっております。
  92. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の問題ですが、奧村さん、融資の限度額なんかは政令できまっておるから、法律改正をせぬでもいけるのですか、どうなんですか。それから償還期限などについても何かできるのですか、ちょっと伺っておきたいと思います。何か法律改正をしなければならぬと思うのですが……。
  93. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 お答えいたします。ちょっとまことに恐縮ですが、一つだけ先ほどの答弁が間違いましたので訂正をお願いいたしたいのであります。借受人の利率につきましては、これは三分五厘に法律できまっておりますから、政令で政府がかえるということはできません。しかし融資の総額、それから一件当りのつまり最高金額、それから償還期限、これは法律では五年以内でありますから、五年以内で何年にするか、これは政令できめる。その三件は政令できめるのでありますが、これはただいま検討中であります。
  94. 太田一夫

    ○太田委員 そうしますと、自作農維持資金の問題にも関係をしてきますけれども、自作農維持資金はたしか条件がありまして、罹災者だからといって、なかなか簡単に貸すわけにはいかないということに建前ではなっておるのです。しかし今度の場合はそんなことは言わなくて、何か政令によって範囲を拡大して貸すのは罹災者にも貸す。これは最低二十万円までは貸せるわけですから、二十万円をちょっとふやして三十万円くらいにすれば、自作農創設維持資金で農家は何とかやっていけるわけですね。この点は、条件が緩和されるということについては見通しがあるわけですか。
  95. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 説明員から説明いたします。
  96. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 私、直接の担当でございませんが、ちょっとお話をいたしますが、自作農の維持資金につきましては、この資金の本来の目的が、災害等の事情によりまして自作農としての地位を失う、たとえば農地を売らなければならぬ、こういうような事態になるものを助けるという意味で本来行われているものでございます。従いまして、自作農資金の貸付というものはやはりそういった意味のことを重視して運用されているように伺っております。これは農林省の方の方針としてそういうふうになっているわけであります。従いまして、今回の災害につきまして、自作農資金の融資につきましては、運用上いろいろ考えられることもあるかと思いますけれども、そういった原則はやはり守っていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 もしもできないといたしますと、実際は今農村には自作農創設維持資金を持ち込んでくれと言ってきているのです。ところが、これはたんぼを売らなければならぬという認定になると、やはり貸してもらえない。しまったというときには、天災融資法の方がどうとかなってしまうということになると大へんなんで、天災融資法というのは、苗だとか種だとか、いろいろな肥料とか農具だとかいうものでしょう、こういうものを対象にしたものでしょうけれども、今度の罹災者の場合には、おしなべてそういうものが必要なんだから、あまりむずかしい条件を言わないで、これらのものを救ってもらいたいという気持が多い。ところが、あまり今の建前々々で言われると、天災融資法もあまりありがたくなくなってしまう。自作農創設維持資金でもやれない。そうなると、農家はちょっと立ち上るのに困るのです。売らなければならぬという今のままの条件じゃなくて、もっと緩和された条件で自作農創設資金もあるいは天災融資法も貸すということにならなければいけないと思うのですがね。とにかく家の流れちゃった人は何にもないんだから、生活資金もその中に見なければならない。ちょっとその辺……。
  98. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 農家に対する融資は天災融資法に基く融資、それから農林漁業金融公庫からの災害融資、それから今の自作農創設特別資金、こういうものがいろいろあります。これをどのように活用して今回の災害融資に間に合せるかということについては、ただいま検討中であります。そこでまだ関係政府説明員がおりませんので、後ほどまた具体的に御答弁をいたしたいと思います。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 それではやむを得ませんでしょう。しかし災害対策の基本的な問題ですから、これは農林省のことだとか、あるいはこれは大蔵省のことだということで、お互いになおざりにしてもいけないことだと思うのです。その点一つお含みおきいただいて、自治庁長官も、特にそういう点については民心安定の立場から会議においては十分強く主張していただきたい。  それからもう一つ、農家に関して一つお尋ねしたいことがあるのですが、それは特に干拓地の堤防だとか、あるいは開拓地の損害ですね。開拓地の災害に対する復旧、これは非常に金がかかる。しかもまたこれはもう何といっても急いでやらなければならぬものが多いのですが、こういうことに対しても起債の特例を認める、あるいは全額国庫負担をするというようなことも考えられると思うのですが、農村の復旧に対してはそれぐらいな意気込みを盛った対策が立てられておるかどうか、これは石原長官にちょっとお尋ねしておきます。
  100. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほどからいろいろお話ございましたが、自作農の維持資金、あれなども早わかり表に書く程度のことはとにかく早く内渡しはする、限度とかいろいろの問題はございましたけれども、内渡しをするというようなことを農林省の方できめておるようでありますから、そういうことが早わかり表にどんどん載ってくることで、当座の問題で、いろいろ根本の問題は第二段にまとめられていくと思います。  それから今の干拓堤防の問題は、私も先ほどちょっと触れたのでありますが、今回の伊勢湾台風被害のことから考えまして、やはりどういう形でこれを復旧していくかということについては、相当検討しなければならぬと思います。今までの農林関係の堤防が比較的脆弱であったということは、今度の伊勢湾台風で相当はっきり論議されておることでありまするから、その点は根本的に考えられることと思うのでありますが、干拓地の堤防の問題は、これは国がやっていることでございまするから、もちろん国が全額を負担してやることになると思います。それから一般の海岸堤防の問題につきましては、先ほど財政局長がお答えしましたように、その県の標準財政収入とかいろいろのことが基準になってそれぞれの負担率がきまっておるようでありまするから、その線に沿うてやることになると思いまするが、何分にもたびたび申し上げておりまするように、今回の伊勢湾台風災害というものは史上空前とまで言われておるのでありますから、これから現実予算を組んでいく際には、さらにまたいろいろの構想が打ち出されるのじゃないかと思うのであります。私も責任者でありませんから、これはこういうふうにするということはここで申し上げられませんけれども、特別な今までにない考え方をもって今度の伊勢湾台風災害対策についてはいろいろな問題が論及されていくということは、私はここで申し上げておきたい。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 次に進みまして、これは商工関係になるかと思うのですが、特に大蔵省におきまして巨億の資金を確保いたされまして、中小企業金融公庫並びに国民金融公庫、商工組合中央金庫に対してこの預託をされる。そうして三十万円まで六分五厘の金利によって中小企業金融公庫並びに国民金融公庫は貸すということが内定をしておるというふうに伝えられております。これに対しまして三十万円まで六分五厘はちょっと少いと思うのですが、しかし内定しておるのなら――今、それまでは絶対に内定をしておるのか、さらにこの額をふやし金利を下げることについて考慮をするという段階であるかどうか、この点についてどういう実情でございますか。
  102. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 十四号台風までの措置といたしまして、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫から一口三十万円までの分につきましては、三年間利率六分五厘で融資をする、三十万円まではというので、三十万円をこえる部分は通常の利率、国民金融公庫であれば九分三厘ですか、中小企業金融公庫も九分ですか、三十万円以下の分については六分五厘で特に利率を低める、こういうことで融資を進めております。なお、今度の十五号台風に対しては、今までのワクでは不足を生ずるということで、どの程度ワクを広げるかということについて、ただいまお述べになりましたように百億になりますか、この点はまだ検討中であります。いずれこれは臨時国会において明らかになるわけでありますが、今新聞に載っておることは決してまだきまったことではありません。検討中であります。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 このワクは三十万円という前例がありますが、本年度もここまでおやりになるおつもりでしょう。しかし、これはもうちょっと上げて、たとえば中小企業の金融公庫ならば法人、個人百五十万円というワクがあります。それまでぐらいは六分五厘にする、あるいは三年でなくして少くとも十年というくらいな思い切った対策考えてほしいと思うのです。  それに関連して、中小企業に対する信用保証協会の貸付金が、現在中小企業には、ほとんど各市町村自治体の方から信用保証協会の貸付金をお取扱いするから、ぜひ一つ御希望があったらお申し込み下さいというようなことが回っているのです。ところが、これは金利的に保証協会の保証料というのがそれにつくのだから、絶対に安くなくて、大体一割くらい考えなければいけないのです。だから、みんな店を直したくても何したくても手も足も出ない。中小企業としては少くとも五百万円くらい金が要るのです。だから市中銀行の金利にプラス保証料を出して五百万円借りた。五百万円では当座バラックの工場ができるだけで、なおあと千五百万円も借りなければならないというのは幾らでもあるのですから、この信用保証協会の貸付金の制度はいい制度だと思うのですけれども、さらにもっとこれ以外に大幅な中小企業に対する融資のこともお考えになる必要があると思うのです。その点について実情はどうなんですか。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいま御指摘の中小企業保証の制度につきましては、保証料を引き下げようということにつきましては、各府県においてただいま検討中であります。いずれその検討の結果、予算措置が必要であれば申し出てくると思いますが、まだ、ただいまその段階であります。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 中小企業は金が非常にかかるのですが、中小企業の中に入るか入らぬかわからぬのですが、屋台店というのですか、屋台が流されてしまったというような人に対して、たしか一万二千円、この生業資金ですか、これは無利子で出ますか。
  106. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 説明員をして答弁させます。
  107. 米山武政

    ○米山説明員 ただいまの国民金融公庫は、零細の資金を貸すことを目的としているわけでありますが、普通の場合は個人については、二十万、法人については五十万までは普通の限度で、それ以上の特別の場合はもっと大きいのがありますが、しかし通常の場合には、ある程度貸し出しに当りましては保証人を立てるとか、いろいろめんどうな手続がありますが、普通の、特に小口のものについては、そういう手続を廃止して早急に貸すようなことをしておりますから、災害なんかの場合も、当然そういうのが大いに活用されるのではないかと思います。ただし、利率は先ほども申し上げましたように九分三厘が通常の金利でございますが、特別の場合には六分五厘の程度であります。
  108. 太田一夫

    ○太田委員 国民金融公庫の更生資金というのは、特別五万円で五年間六分だと思うのですけれども、生業資金一万二千円、無利子で貸す。こういうことがいわれておるのですが、それはあなたの方じゃなくて、地方の自治体が大いに奨励すべきことなんですが、それではあなたの方ではないということにしまして、世帯更生資金という社会福祉協会を通じて貸すというのがあるでしょう。世帯更生資金はどうなんですか。これはボーダー・ラインに対して三万円くらいですか。
  109. 米山武政

    ○米山説明員 国民金融公庫の貸し出しでございます。
  110. 太田一夫

    ○太田委員 そこでボーダー・ラインのことが出ましたから、ついでにちょっと聞いておきたいのですが、労働者が天災によって就業できなかった。これに対して失業保険の適用をする。離職票を出すということを先ほどおっしゃった。しかし、そのほかに生活保護を受けておる人で困る人があるのですが、それに対しましては、何か今までの生活保護法以上に強化する対策考えておるか、生活保護以上の強化された内容のもの、たとえば罹災者援護法とかいうものをお考えになっておられるかどうか、この点を。
  111. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいまのところ、災害対策本部でも、その構想についてはまだ聞いておりません。失業保険については、事業主が金がなくて、休業中のあれは払えないから、離職票を出して、それをあとで失業保険に切りかえるように、これはきょう労働大臣にもそのことを私からも強く要望いたしておきましたし、現地では大体そういう措置をとりたいということで労働省に具申しておりますので、おそらくそういう処置がとられると思います。
  112. 太田一夫

    ○太田委員 失業保険の方はそれでいいと思うのですけれども、生活保護の関係は少し弱いのじゃないでしょうか。実際、今の生活保護の関係で今度の罹災者を処遇していくのにはとても間に合わない。これはもっと思い切った強化した内容のものを作らなければならないと思うのですが、その用意というものは全然ないのですか。
  113. 石原幹市郎

    石原国務大臣 あなたの御質問に対して的確なお答えになるかどうかわかりませんが、罹災救助法の期間は大幅に延ばさなければならぬという問題は一つあります。それから罹災救助の対象が非常にふえると思います。ワクは非常にふやさなければなりません。それから罹災者救助の対象になる人の認定、こういう事務を敏速にやらなければならぬ。こういうことをきめておるのでありますが、罹災救助の内容を大幅に引き上げて、今お話しになったような生活資金とか生業資金のようなものを罹災救助法によってふんだんに出していくというようなこと、まだ論議されておりません。承知いたしておりません。
  114. 太田一夫

    ○太田委員 今おっしゃった中で、災害救助法によるところの給食というのが、うんと上ったのですか。
  115. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これは一日五十円というのを、とりあえず五割増しで七十五円ということです。
  116. 太田一夫

    ○太田委員 日にちは……。
  117. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今度は長期対策でありますから、期間はまだきめておりませんが、二ヵ月でも三ヵ月でも、水没地域の人たちは、水がかわかなければ帰れませんから、これは延ばすということであります。
  118. 太田一夫

    ○太田委員 それは確認してよろしいですか。
  119. 石原幹市郎

    石原国務大臣 よろしいと思います。
  120. 太田一夫

    ○太田委員 本来ならば、あれはたしか六日だったのです。
  121. 石原幹市郎

    石原国務大臣 それはもっと延ばします。
  122. 太田一夫

    ○太田委員 あとは家のことでちょっとお尋ねしたいのですが、仮設住宅は四割にきまったということですが、必要ならそれ以上やってもよろしい、これはいいことだと思うのです。ところが災害公営住宅につきましては、どうも国庫の方の補助もあんまり強いかまえがないし、やはり三割見当だといわれておりますし、これもなるべく数多く作らせて、国庫でなるべく多く補助するということにならないといけないと思うのですが、この八・五坪の災害公営住宅に対して、対策本部政府としてはどういう対策であるか。
  123. 大沢雄一

    ○大沢説明員 災害公営住宅につきましては、ただいま御意見通り、流失いたしました住宅の三割を公営住宅として――第二種公営住宅、これは十二坪になりますが、それを建てることを認めておるわけでございます。そうしてそのことは三分の二国庫補助ということに相なっております。目下のところ、まだこの基準の変更ということまでは論議が進んでおらぬように承知いたしております。
  124. 太田一夫

    ○太田委員 これは少くとも四割くらいにワクを広げて、国庫補助は四分の三にして、残りは起債を認めるというくらいにしなければ実情に合わないと思うのです。それに関連をして、住宅金融公庫の方で、これは先回建設省の方でしたかに承わったのですが、何でもワクを少し広げまして、災害特別貸付に三十万円、五分五厘、十八年の期間でこの貸付をしてもよろしいということに内定した、こういうお話を聞いたのですが、これはほんとうでございますか。
  125. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいま御意見の点は住宅金融公庫の災害住宅融資だと思いますが、これはお話の通り、三十万円、五分五厘で十八年、修繕費の場合の限度は十五万円、かように相なっております。
  126. 太田一夫

    ○太田委員 今の件、もうちょっと詳しくおっしゃっていただきたいのですが、たとえば据置とか、償還期限がそれぞれ違っておる。
  127. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいまのお尋ねでございますが、新設の場合は三十万円限度で、利率が五分五厘、十八年となっております。修繕の場合は十五万円で、償還期限は今ちょっと調べておりますが、短縮されておると承知いたしております。
  128. 太田一夫

    ○太田委員 それはたしか期限十年で一年据置ということじゃないですか。建設の場合は三年据置のあと十五年の払い、用地が要る場合は、三万円まで追加するということでしょう。そういう数字はあなたの方から承わりました。ほんとうでしょうと思いますが、特に農家の場合を対象といたしますと、今まで二十坪という制限があるのですが、農家は二十坪では足らない。狭いから三十坪を認めろという声があるのですが、これについてもあなたの方としてはほぼ了解点に達しておられるというお話なんですが……。
  129. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいまの据置期間だけが、建築の場合は三年、それから補修の場合は一年ということが違うだけでございまして、補修も、建築も、その他の点は同様でございますので、私の方の申し上げ方が少し足りませんで、その点は訂正申し上げます。
  130. 太田一夫

    ○太田委員 農家の場合は、三十坪まで広げて認めてくれますか。
  131. 大沢雄一

    ○大沢説明員 農家の場合広げるということはごもっともに存じます点が多いのでございますが、実は明年度の予算の要求におきましては、そういう点を考え予算要求をいたしております。ただいまの災害対策としてそこまではまだ検討いたしておりませんが、十分検討してみたいと思います。
  132. 太田一夫

    ○太田委員 大いに検討して実現をしていただきたいと思うのです。そういう三十坪ぐらいなければ、農家がかりに住宅金融公庫から借りて建てるにしても、非常に不適当なものになりまして、実情に合わぬものですから、よくお考えをいただきたいと思います。  続きまして、それではその次のことをお尋ねしたいのですが、教育、特に学校関係の復旧でございますが、学校についてかわらとか、ガラスとか、くぎだとか、トタンというようなものを特に確保して、その補修のために準備をされる用意ができておるかどうか、あるいはそれでなくして、何か補助の引き上げでも考えられておるか、その点はどういうふうでございますか。
  133. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 御承知のように公立学校の復旧につきましても、すでに現行法があるわけでございます。一学校につきまして、土地なり、家屋なり、工作物なり、設備なりが、それぞれ十万円以上でなければ国庫負担の対象にならないわけでございます。それを十三号台風までの間において、一応内定しておりました考え方は、一学校ごとに全部合せまして復旧費が十万円をこえています場合には、直接国庫負担の対象にしないけれども、地方債を認めまして、その一部について元利補給をいたしたい、地方交付税措置と合せまして、現行法の国庫負担と同じ程度のものを与えるようにいたしたい、こういうことになっておったわけであります。
  134. 太田一夫

    ○太田委員 あとでおっしゃった地方債を認めて、――一校合計十万円以上のものに地方債を認める特典を与えよう、それも一進歩でありますけれども、二十八年災害と同じように、学校は四分の三、あるいは社会教育施設は三分の二というのは、当然これはあるとわれわれは考えておるわけです。そのほかに学校には、現在小麦の粉だとか、あるいは給食用の脱脂粉乳などのなくなったのもありますので、そういうものを二十八年災と同じようになされるものだと思っておりますが、そういう点をあわせ――今までのお話を聞いておりますと、大臣は最低二十八年災以上のものを考えておるとおっしゃいますが、個々に承わっていきますと、今の場合、学校の四分の三国庫負担の問題がどうもあやふやである、これでは困ると思うのですが、これは必ず四分の三負担は二十八年災と同じだ、社会教育施設もそうだ、脱脂粉乳も、小麦の粉の補償についても二十八年災と同じように全額国庫で負担する、こういうことをわれわれは考えて、一応当事者に話したいと思うのですが、そういうふうにみな期待をしておると思うのです。こういう点について実際、当局としてどう考えておられますか。
  135. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほど私申し上げましたのは、今度の伊勢湾台風のあの現状に即して、今まで考えられておった災害対策の予定では処理し切れないという構想を申し上げたので、今度の臨時国会あるいは通常国会等で、いろいろな特別立法が講ぜられて、初めて二十八年災と同様、あるいはそれにまさるものがある意味ではできるかもしれぬ。そういう構想でありまして、今事務当局の方から、これはこういう考えであるということをここで全部申し上げることはできないと私は思うのでありまして、そういう方向に向って努力をしているということで、この段階においては御理解おきを願わなければ、議論が平行線になって合わないだろうと思うのです。
  136. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ちょっと関連して。今の大臣の御答弁、それはそうだろうと思いますが、私は実情を一つお話して、今の太田君の要望を実現してもらいたい。それは当然だと思うが……。私は桑名市に行ったのです。助役の話では、桑名市には公立の学校が十七ある。使える学校は二つしかない。十五全部だめなんです。これが実情です。これは一つ一億かかるとして十五億円復興にかかる。太田君は四分の三国庫負担をすると言ったが、それをしんぼうするとしても、四分の一で三億か四億かかる。桑名市という小さい人口六万の市が学校の復興だけに三億もかかる。こういうことでありますから、四分の三なんということは当然で、私はもっともっとやっていただきたい。それよりも、ここにきますと、やはり金利だと思います。いくら九割補助をしても、あとの一割が何十億という数になるというのが今度の現実でありますから、その辺のところをどうぞ政府の諸君は認識を強めてもらいたい。桑名という町はあまりうそを言わない。これまでも誠実な市であるのです。実は今度の災害などは、十年前から前任の桑名の市長が、揖斐川の堤防が決壊すればこの町はこうなる、何とか補修しろということを毎年々々十年叫んで、それがとうとうやってきたということなんで、実際実情なんですから、どうぞ現実から逆算した大蔵当局も実際に考えてもらいたい。それだけ申し上げておきます。
  137. 石原幹市郎

    石原国務大臣 よくわかります。
  138. 太田一夫

    ○太田委員 最後になりますが、今中井さんがおっしゃった通りでありまして、現地の方では、実に今度の災害が大きいから応急対策災害事業費というものはぜひとも全額補てんをしてもらいたい。しかもその起債については当然特例をもちまして元利償還金の補給をするということにしてもらいたいという声が非常に多いのです。同時に、おそらく自治庁といたしましても当然見越されていると思うのですが、地方税の市町村民税並びに固定資産税の減免が相当過大であろう。それから同時に大蔵省としても、おそらく所得税の減免というのも相当大きな数字を見込んでいらっしゃるだろうと思うのです。そういうような税収入の減も相当ありますし、それに関係していろいろ今度の災害の経費も多いのですから、特別交付税くらいのものでとても埋まるものではない。そういう点を考えて、病院、水道等の復旧費もあることでありますから、一つこれは思い切った全額補てんの方法考えていただきたいものだと思うのです。そこで私は、そういう考え方は御賛成をいただけるものだと思うのですが、特に今度の減税については、大蔵省並びに自治庁におきましては、地方税についてどの程度あるものと見込んでいらっしゃるか。これをついでに承わって、そういう地方財政に及ぼす影響に対しまして、全額国庫の方で補てんをしてもらいたい、こういう要望を特に申し上げておきたいと思うのです。
  139. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 国税の方の諸税の災害に対する減免措置につきましてはいろいろありまして、これは所得額によっていろいろ法律が違っておりますので、一がいに申し上げられませんが、大体被災者の被災損害額は所得から控除して課税しないということになっておりますし、間接税については、たとえば酒など被災したという場合にはそれだけの分の税額は差し引く、こういうことになっております。今度の十五号台風による租税の国税に関する減免額はどのくらいであるか、今まで調査中でありますが、災害のために二百億前後減収になるのじゃなかろうかと考えております。
  140. 金丸三郎

    ○金丸説明員 災害による地方税の減免につきましては、昭和二十八年に基本的な通達を出しておりまして、各災害ごとにそれにのっとりまして、各市町村ごとに減免の条例を出して措置をいたすようになっておる次第でございます。市町村ごとにいたしますので、まだ私どもの手元で総体で幾らになるというような計数はわかっておりません。なお、減免をいたしましたあと全部国の方でめんどうを見るようにという御要望でございますけれども、市町村の財政事情にもよりましょうが、減免いたした分だけを直ちに全部国で補てんをするということはなかなか困難ではなかろうか。減免したものに対しまして特別交付税で考慮をいたしますほか、できるだけ各市町村の財政全体を総合的に考えまして、それによります打撃をいかにして将来健全化していくか、そういうふうに総合的に考えて参ることが適当ではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  141. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことでしょうが、よほど考えていただかないと、地方の市町村におきましては、固定資産税だってもう半分取ってあるでしょう。取ったものは今度の減免で払い戻さなければならぬものも出てくるでしょう。そうすると今度ずいぶん大きな影響があるのですから、今度の災害は二十八災以上のものだと思えば、地方の財政の不足に対する国家の補てん対策というものは思い切ったものを考えていただかなければならぬと思うのです。その点については考え方としては同じでしょう。これは自治庁長官に伺いたい。
  142. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 減免後の財政措置の問題でございますが、私からお答えをいたします。よく御承知だと思いますが、歳入欠陥債、特別交付税というようなもので補てんをいたしております。そういう従来の措置によりまして、先ほど税務局長からお話しいたしました原則に基いた措置でありますならば、その減収額の全額を補てんできると思っております。また団体によりまして、私たちがとっております措置が減免額を完全に補てんできないような場合においては、その団体について特別に補てんできるような措置考えるべきものだ、かように存じております。
  143. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 阪上君。
  144. 阪上安太郎

    ○阪上委員 もうだいぶ長い間質疑がなされておりますので、二、三わずかな時間質問したいと思います。  先ほど纐纈委員から質問があった問題でありますが、治山治水の費用、それから災害復旧の費用、これを昭和二十六年以降からずっとながめてみると、大体災害の多かった年には治山治水費が少い、そして災害が少いときには治山治水費が若干上回るというような比率でもってずっと今日まできておる。そこでこういう数字からながめてみましても、何か財政的な見地から、一定のワク内において災害復旧費と治山治水費とがお互いに共食いしておる。タコ足配当のようなふうにして、タコの持っておる足を食いつつお互いが取り合っておるという情勢が出てきております。大蔵省としては、何かそういうワクをちゃんと持っておって、治山治水費災害復旧費とをプラスした総額というものを大体毎年考えており、そしてその中でお互いにそのときに災害が多ければ治山治水費を減らしていく、こういうような考えでおられるのか。これは一つ次官からお答え願いたい。
  145. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 実は私、大蔵政務次官を拝命してまだあまり時間がたっておりませんので、十分の研究もできておりませんが、しかし御承知通り災害復旧費も治山治水費もともに公共事業費であります。そうすると、公共事業費のワクの中でお互いに共食いをするということが起っておるのじゃないか、そういう傾向はあろうかと思います。なぜかと申しますと、御承知通り国の予算全体、ほとんど全部法律に基いて当然必要な経費が大部分を占めておりますので、公共事業費の中で、災害復旧費がふえますと残りの治山治水費が減る。もし災害復旧費がふえても治山治水の経費が減らないということであれば、それはよほど政策的な経費として余分にもらわなければならぬ。そういうことは、おそらくどなたが大蔵大臣になられてもなかなか至難でなかろうかと思うのです。大体事務当局もそのように考えておるのであります。
  146. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこが私は問題点じゃないかと思う。おそらくそういう御答弁を承わると思っていた。しかし、それじゃこの災害防止とか、わが国の国土保全というものはできません。災害復旧費と治山治水費を同じもので組み入れていくということで、とうてい国土保全というものを口幅ったく政府が言ってもだめであります。ことに今政務次官からそういう回答に接して、私は非常にがく然としておる。これじゃ国土保全の方向へ一歩も前進しないことになる。大蔵省がもしそういう考え方を持っていたならば、私は、この災害復旧費と治山治水費関係をずっと見ておって、全く治山治水なり災害復旧は一体どこがやっておるのか、これは建設省がやるのでもなければ、農林省がやるのでもない、大蔵省がやっているのではないか、こういう感じを受けるのです。こういう考え方を改めてもらわなければいけないと思うのです。しつこいようですけれども、もう一ぺん見解を聞きたい。
  147. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいまの御質問は、主として今までの予算のあり方についての御質問でありますから正直に申し上げたのでありますが、しかし今後の対策といたしまして、ただいま御指摘のような意見政府部内でも非常に高まって参りまして、政府部内において治山治水対策懇談会と称するものを作りまして、極力治山治水の経費が災害復旧費に食われるというようなことのないような仕組みを一つ打ち立てたいと、ただいませっかく検討中であります。
  148. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで建設次官にお伺いいたしたいのですが、あなたは先ほどおっしゃった新治水事業五ヵ年計画、これは昭和三十三年から三十七年の間に五ヵ年計画でやりたいということでもって、相当力こぶを入れられたように私聞いておるのです。ところが、これは大蔵省の反対でぶちこわれたというように聞いておる。そこでその治山治水五ヵ年計画の内容ですが、よく私は存じておりませんけれども、はんらん可能面積というようなものの出し方についても相当問題点があろうかと思うのです。  それからいま一つ、先ほどお話がありました国民所得に基準を置いて一千億円を減じていくという考え方、これは経済成長率を考えていったならば、こんなことはわけないことだと私は思うのです。だから、そんなものに基準を置いておやりになることは、私は相当問題点が出ると思いますけれども、かといって、そういう的確な基準が出ないからといって三千五百億円というものが不当だということには私はならないと思うのです。この場合、先ほど治山治水費災害復旧費の関係をざっと見たわけなんでありますけれども、あなたの方でそういう計画をはっきりと確立されておらないということが、今言ったように災害復旧費が毎年々々治山治水費を食っていくというような格好になってしまって、そうして災害の気象上の悪条件等が重なって、いろいろな問題もありましょうけれども、私は、そういう永年計画というものを河川について、あるいは防潮その他について持っておられないから、従ってそういうような共食いの形になっていくのではないか、こう思うのです。そこでこの場合どちらからお伺いしてもいいのでありますけれども、なぜ大蔵省はこういった重要な治水の問題について、その永年計画について、ただ単に基礎が十分でないというような観点から放置しておって、積極的にこれを何とか適正なる基準をもって五ヵ年計画の内容を決定していくということに対して、全力を上げて協力するというような政府全体的な考え方からこれをどうしておやりにならなかったか、なぜ反対されたかということなんです。  それから建設省については、今言ったような理由で指摘されて、あと気のきいた基準を持ったところの五ヵ年計画がいまだに樹立されないのかどうか、この二点をそれぞれから一つお伺いしたいと思います。
  149. 大沢雄一

    ○大沢説明員 お尋ねの趣旨はまことに私、ごもっともに存ずる次第であります。この頻発する大きな国民の犠牲における災害につきまして、国土保全の責任を持っております建設省といたしましても、もとより政府全体ではございますが、特に深い責任を感じなければならないと存じております。ただし、建設省といたしまして決して基本計画がないわけではございません。昭和二十八災のあと理想的に近い基本治山の対策をきめましてここに持っております。それに従いまして予算の要求、治山治水の計画は立てておるのでございますが、私、公共事業費の中で、治山治水費災害復旧費と合せてワクがあるということをただいま奧村政務次官から伺いまして非常に驚いた次第でございますが、私は、そういうことはおそらくなかったのじゃないかと信じておりますわけであります。ただし、国の財政の都合で、われわれの要求しておりますこの基本対策に従った予算が与えられなかった、それにつきましては私どもの努力の足らぬということも責任は免れぬと思いますが、一定のワク内で災害復旧費と治山費と、これを合せて考えて、一方が伸びれば一方は減らす、そういうことであっては、とうてい災害頻発の悪循環を断ち切れるものではありませんから、そういう査定の仕方はおそらく大蔵省としてはしておらなかったと、私としては考えておりますようなわけであります。私どもは、先ほど私が申しましたように、被害の軽減の金額と申しまするか、国民所得との割合は、戦前ということを目標にしておりますが、ただし、個々の河川その他につきましては、全国の河川につきまして詳しく検討いたしまして、積み上げ計算におきまして昭和三十三年を基点といたしまして五ヵ年計画で三千五百億、こういうものを出して考えております。決してただ経済成長率、公共投資、そういうワクからしぼり出された金額でそういうことをやっておるのじゃございません。基本といたしまして河川あるいは治山、こういうものをシラミつぶしに検討いたしまして、この河川についてはどうしてもここまでは必要である。こういう積み上げ計算でいっておりますことを申し上げたいと存ずるのであります。
  150. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 先ほどの私の答弁は、多少建設政務次官考えが食い違っておるような印象を与えましたけれども、それは私、最初に申し上げましたように、政務次官になりましてから間なしでありますから勉強が足らない。ですから、私の申し上げたことは、皆様と同じ議員として予算を見ておったときに質問をしたと同じ感じを受けました。こういうふうに答弁をおとり願いたいと思います。  つきましては、今度はどうであるかということになりますと、ただいま申し上げましたように、懇談会を作って慎重に検討を加えて、これには経済企画庁長官も入っておりまして、今の建設省のお考えだけでなしに、経済成長率その他いろいろな要素も加味して、将来継続して一貫した方針でやっていけるような方針を打ち立てようということでせっかく努力中でありまして、その点は建設省と意見は食い違っておりません。ただいま検討中でありますので、これ以上私も詳しく申し上げられませんが、御了承願います。
  151. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 関連して、先ほどから治山治水の五ヵ年計画あるいは国民生活と経済の伸びとの比率、その他一般的な基本的なことが議論になっておりますので、私も、この際一つ皆さんにお尋ねをいたしたいのであります。それはここ二、三ヵ月間でありますが、しばしば政府並びに自民党におかれましては、災害対策事業について何か特別会計のようなものを考えたらどうだろうか、あるいは考えておるが何のだれ兵衛は反対である、企画庁あたりではあまり賛成をしておらぬというふうなニュースを実は伺うのであります。私どもの理解によりますと、それは特別会計もけっこうな考え方であるかもしれませんけれども、別に災害というのは水道を建設しましたり、鉄道をつけたりするような、そういういわゆる採算性のあるものでは断じてございませんし、また国土を守る最も基本的なものであります。いわば教育よりももっと基本的なものであると私は思うのであります。教育なんかについても、教育税というようなものをとれば、あるいは教育だけを特別会計にするというような話もありましょうけれども、今はまだそんなものはございません。そこで私は、特別会計にしろという根拠、どういうところでそういうことを言い出しておるのか、どうも了解しかねるのでございます。別に社会党が党議としてどうこうということではございませんが、どうもその辺のところは了解しかねる。例によって裏から解釈いたしますと、何か予算を取りにくいから特別会計でうまくやろうというような、むしろ大蔵省とほかの省との関係だとか、あるいはそういうふうな政府部内の力関係、政党内部の力関係、そういうものから自然とわき出たものではなかろうか。これはいい悪いを申しておるのではございませんが、実はそんな感じで受け取りながらあの記事を承わっておるのでございますが、ちょうど今阪上氏から基本的なお尋もありましたから、関連をいたしましてこの災害対策についての特別会計というような議論が、現状においてどのような姿で、どの程度のものであるかということにつきまして、これは建設政務次官なり、大蔵政務次官なり、また自治庁長官も首を突っ込んでいらっしゃるのならば一つ現状をお聞かせいただきたい、かように思うのであります。
  152. 大沢雄一

    ○大沢説明員 ただいまのお尋ねでございますが、災害復旧費についてこれを特別会計で計上するという点につきましては、私も聞き及んでいない次第でございますが、治山治水質を継続的に一定の基本対策に従ってやるという意味において特別会計という問題が論ぜられております。これにつきましては、三十四年度の予算要求の際におきましても、非常に問題になった次第でございます。その際、港湾特別会計が新しく三十四年度で設置されましたので、いろいろその点とも関連をいたしまして、特別会計の設置等の問題につきましては、なお一年見送って検討するということでただいまの予算が成立したように承知いたしておるわけでございます。  特別会計設置の基本的な考え方は、御承知のように現在ダムの建設費が特別会計になっておりますが、これも含めまして、治山治水は根本的な建設の政策といたしましてこれを継続いたしまして、年々国土保全、開発に即応しておくれを取り戻して災害を防ぐというためには、どうしても継続的に相当多額の国費を投じなければこれを根絶することができない。その多額の国費を投ずるということになりますれば、そこにいろいろ財政上の工夫をいたさなければなるまい、こういうことを建設省としては考えたわけでございます。もとより治水公債というような考え方もございますが、しかし、この公債を発行することを考えなくとも、たとえば現在直轄事業につきましては御承知のように他方負担交付公債をもって納入されておるわけでございます。この交付公債分をちょうど道路の五ヵ年整備計画におきまする特別会計と同様に、これを借入金でまかないますれば、先借りしてこの治水費を捻出できる、こういうふうなことになって参りますので、速急に治水事業費を拡充いたしまして、現在のような災害復旧費が増大をいたしまして、ほとんどその他の一般的な治水費と同額になっておるというような災害復旧の悪循環を断ち切れる、こういう観点から特別会計の設置ということを考えておるわけでございます。そういう点が今災害と関連いたしまして災害復旧事業費の特別会計ということに新聞紙上等で伝わっておるかと存ずる次第でございます。
  153. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私もそれでよくわかりました。誤解も多少あったと思いますが、ここでお尋ねをいたすのでございますが、先ほどダムが入っておるというお話があったが、そういう特別会計にいたしますと、何か収入――電力会社がダムを使うとか、あるいは治山治水でありますから、山の中の道路なども管理をして今の道路公団などと多少の関連を持つとか、そういうふうなこともねらっておられるのであるかどうか。ただ単に治山治水の予算を確保する、その特別会計としては、収入は一般会計からの繰り入れ、そういうようなことでいくのであるか、その辺のところをちょっと聞かしてもらいたいのですが、どうでしょうか。
  154. 大沢雄一

    ○大沢説明員 今お話がございましたが、特別会計の収入がなければ特別会計の設置ができないかどうかという点につきましては、会計法の問題としていろいろ議論があると思うのであります。これにつきましては学者その他もいろいろと説があるようでございますが、必要な場合には特別会計の設置ができるという説を唱えておる者もあるわけでございます。私どもといたしましては、特別の収入といたしましては、治水特別会計を考える場合に、道路のガソリン税におけるがごとき特別の収入はございませんが、ダム会計も含めまして、これによる電気事業者の分担金とか、あるいはまた河川の改修等に伴う土地造成による収入、そういうものも含めまして、やはり一定の計画に従った継続的な相当大幅な治水投資を考える、そのための必要として特別会計を考える、こういう考え方に立脚いたしておるわけでございます。
  155. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 それは建設省の案でございますか。
  156. 大沢雄一

    ○大沢説明員 建設省としてそういうことも考えて今検討いたして進めておるわけでございます。
  157. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ただいま建設政務次官が御答弁申し上げましたように、治水五ヵ年計画を完全に遂行するには、建設省としては特別会計を作ってはどうかという一つ考え方を持っておられるわけであります。しかしこれを決定するのは、御承知通り来年度予算が最終的に政府予算案として確定するときにきめるべきことであって、ただいま大蔵省また企画庁その他関係各省検討中でありまして、まあ検討中のことですから、あまりこれは確定的なことにお聞き取りいただくと困るのでありますが、必ずしも特別会計を作らなければ治水五ヵ年計画が完遂できないというわけのものでもなし、また特別会計というものの要素が、ただいまの政務次官のお述べになったようなことで条件がかなえられるかどうかということも、大蔵省としてもいろいろ検討しておることであります。その辺のところを御了承願いたいと思います。
  158. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、小さいことですが、先ほどから災害救助法関係ないしそれに関連する質問があったのですが、建設次官にお伺いしたいと思います。特別失対ですが、いくら災害融資をいろいろと各方面からやったといたしましても、実際耕地を奪われ、あるいは商業の基盤である店舗を奪われ、あるいはまた小企業あたりでどうにも仕事が始められないというようなものについては、いろいろ融資の道もありますが、同時にそれまでの期間、現金収入というものを与えなければならぬと思うのです。この場合、たとえ自分の家を片づけるにしても、あるいは田畑の埋没の復旧をやるにしても、自分の家で自分が働いて、そうしてしかもそれが特別失対を適用されるというような形、一般失対でもいいのでありますが、特にきょう建設大臣にお伺いしたいのは、特別失対で何かそういったものを大幅にワクを広げて、現金収入があるように救済してやるというような考え方がおありかどうか、それをお伺いしたい。
  159. 大沢雄一

    ○大沢説明員 災害復旧に関連をいたしまして、特別失対の予算を要求するということは、今のところ建設省としては、率直に申しましてそこまで考えておりません。しかし、災害復旧事業を進めるにつきましては相当に労力が要ることであります。ことに、災害によりまして職を失った者が多発いたします地帯におきます災害復旧事業につきましては、離職者の吸収ということを十分考えてやらなければならぬと考えておる次第でございます。
  160. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでは建設省としては、早急にその対策として特別失対を拡大してやっていくという考えはない、こういうことなのですね。そこで中部日本災害対策本部長代理として、長官は、現金収入を与える意味において、こういうことを強く要求される気持はありませんか。しかも、今被災地から運んできて、五十日なり六十日なり全然現金収入の道がないというのが、逐次救助されているわけです。即座にこういうものに失対事業を適用してやるということをやらないと、いくら金を貸してやる、貸してやるといっても、それは返さなければならない金ですから、当分飯を食っていくために現金収入を、たとい三百円でも三百五十円でも一日に手に入るようにするということは、私はきわめて適切ではないかと思うのですが、どうなんですか。
  161. 石原幹市郎

    石原国務大臣 対策本部立場からお答えしたいと思います。農林大臣が救農土木事業を大幅に起したいということを明言しておりますから、おそらく予算要求すると思います。そういうことと関連いたしまして、失対あるいは特別失対、そういう事業をおそらく関係各省から要求されることと私は思っております。また要求してもらいたいと私は思っております。
  162. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それからいま一つ災害救助法関係でお伺いしたいのですが、応急仮設住宅ですけれども、これは先ほどの大臣のお答えで、大体全体の四割程度のものを認めようということなんです。そこでいま一つ、事業の中にあるこわれた家の応急修理ですね、これはかなりの件数に達するのじゃないかと思うのです。これはやってやらなければならぬと思っているのですが、そういう配慮が行われているかどうか。救助法の八条ですかにあると私は思うのですが、これは一体どういうふうにお考えになっておりますか、またどういうふうに見込まれておりますか、お伺いしたい。
  163. 石原幹市郎

    石原国務大臣 災害対策本部でこの間まで打ち合せておりますところでは、住宅金融公庫がこの十日から一斉に受付を開始して、三県の県内に非常にたくさんな簡易な受付所を置いて認定事務を急速にやり、足りないところは大阪府等からも職員の応援を得てやるという建前でいたしておりますので、災害救助法の方ではおそらく小さなことだと思いまするが、住宅金融公庫の補修資金を簡易に貸し出す、こういうことで措置をとりたいと言っておりますので、おそらく相当の件数がそれで処理されるのじゃないかと私は思っております。
  164. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこなんですが、それを公費で、応急仮設住宅と同様な扱い方で修理をまかなっていくという法の解釈にはならないのですか。二十三条ですね。
  165. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 住宅金融公庫の、ただいまの石原国務大臣が申し上げました補修のための融資、これは最高十五万円まで、これはなるべく早く貸し出せるように手配をしておりますが、これは融資でありますので、国費でもってということにはならぬと思います。
  166. 阪上安太郎

    ○阪上委員 応急仮設住宅は公費でやるのでしょう。
  167. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 その通りです。
  168. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この救助の事業内容の二十三条に、応急修理という項目があるのじゃないですか。
  169. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 関連。私は先ほどから言っておりますが、もの考え方をこの際改めないかというのです。今の質問なんかみなそれに関係をするのです。皆さんの御答弁は、災害があったら、その災害を受けた者はもうしようがないのだ、それが資金負担をせい、損害を負担せい、金は貸してやるが、いつか返せ、利子も取るぞということだが、これではおかしいじゃないかということをさっきから私はくどくど言っているのです。現に政府は無拠出の年金を老人たちに出しているじゃありませんか、そうでしょう。そういうふうに世の中が変っているのに、こういうものをすべて被災者負担にして、個人責任のように、これは原則であるかのごとく考えて、そうして物事を判断していくというその基本を何か改めないかということを私は先ほどからたびたび申し上げているのです。今の質問なんかそれとの関連なんですが、そういうつもりで答えてもらいたいと私は思うのですが、いかがでしょうね。
  170. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 十五号台風は発生してからまだ一週間余りでありますが、順を追うて政府としてはできるだけの処置はとっているつもりであります。まずつなぎ融資を出しまして、それによって応急住宅を作っていく。あるいは災害救助法によって、トタンなりその他の資材を提供する。それから融資については今せっかく融資を進める。こういうふうにやっておりますので、現行法でできることはどんどん進めている。しかし今お尋ねのように、現行法のワクをはみ出すことについては、これはせっかく臨時国会も近いうちに開けることでありますから、それまでに政府政府の方針を確立して法律に提案する、こういうことでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  171. 阪上安太郎

    ○阪上委員 災害救助法の二十三条に、「救助の種類は、左の通りとする。」とあって、そこで、「収容施設(応急仮設柱を含む。)の供与」それから「炊出しその他による食品の給与及び飲料水の供給」、それからその他ずっとございまして、「災害にかかった者の救出上及び「災害にかかった住宅の応急修理」、こういう項目がはっきりと現行法にあるのですよ。とかく今までの災害で忘れられている措置なのですが、こういうものは公費でやるものではないのですか、この点どうなんです。
  172. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 災害救助法は厚生省の所管でありますが、厚生省の政府委員が参ってませんので、便宜私からお答えをいたしまして、あときょうの御質問の点を厚生省に連絡いたしておきたいと思います。その結果また後刻御答弁できると思います。災害救助法につきましては、御指摘のように救助の種類を規定いたしております。それらにつきまして府県が事前に計画を立てる。その計画の内容につきましては、厚生大臣の承認を得ておかなければならない、こういう建前になっておったと思います。そしてその費用につきましては、原則として府県費で支払って参りまして、半額基本的には国庫負担がある。さらに程度を見まして国庫負担をだんだんと重ねていくわけであります。従いまして、その応急修理につきましてどの範囲まで厚生大臣の承認が得られる内規になっているかという問題だと思うのでございまして、その点明確に今承知しておりませんのでお答えができないわけでございます。厚生省に連絡をいたしまして、後刻御答弁をいたしたいと思います。
  173. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今までの災害を見ておりましても、応急修理に対してはほとんど顧慮が払われていない向きが多かったように私は思います。そして応急仮設住宅等についてはある程度迅速に実施したい、こういうことでありますが、今回の状況を見ましても、この額は相当な額に達するのではないかと思うのです。これに対して在来通り以上に措置を講じてやるということが、ほんとうに困っている人、難民を救済する方法じゃないかと思う。一つ国務大臣の方もこの点をもう少し検討されて、強く実現を期していただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  それから建設次官に簡単でけっこうですが、私、昨日福井県の災害を視察してきたのです。そこに御承知のように九頭竜川という川もございます。非常に大きな河川です。ところが適用河川ですか、直轄河川としての区域はきわめてわずかな部分であって、あれだけの広大な川の上流一帯が全部準用河川になっている。ああいう弱少府県であれだけの川をかかえて、あれだけの膨大な地域で準用河川という扱いを受けておるということについては、とうていでないが復旧できないのではないか。大へん大きな災害でもって、愛知県、三重県あるいは岐阜県の災害があまりにも甚大であったために消されておる向きもあるのでありますけれども、一体準用河川と適用河川の認定の基礎はどういうところにあるか、一ぺんこの際伺っておきたいと思います。
  174. 大沢雄一

    ○大沢説明員 まだ建設政務次官に就任して間もないので、直轄河川の認定の基準というものを詳しく承知いたしておりませんが、改修の必要の非常に大きい河川、また数府県にまたがる等の重要な河川、そういうものがそのほかにもあると思いますが、直轄河川の認定の基準になっておると承知いたしております。今回の災害に関連いたしまして、九頭竜川につきましても大へんな災害が起きましたが、そのほかの多くの河川につきまして直轄に移管の希望が各般の点からたくさん起ってきておるわけであります。これらの点につきましても、先ほど申し上げました新治水五ヵ年計画の経費等とも関連をいたすわけでございまして、私どもといたしましては、必要な河川にはできるだけ国の、政府責任におきまして完全に改修を一日も早くしたいという気持を持っておる次第でございます。
  175. 阪上安太郎

    ○阪上委員 新治水計画の中に、今申し上げましたような川について、区域を延長していくとか、拡大していくとかいうようなものも含めて、やはり治水計画というものが考えられておるのかどうか、簡単ですがちょっと伺いたい。
  176. 大沢雄一

    ○大沢説明員 九頭竜川そのものにつきましては存じませんが、いろいろな河川につきまして、そういう点がいろいろと検討されておる次第でございます。
  177. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 安井吉典君。
  178. 安井吉典

    ○安井委員 私も一時間くらいあるのですけれども、時間がおそいですから、一つ三分間にまとめまして、政府に対して今度の補正予算を組む場合の要望を申し上げたいと思います。  その前に、もう作業がすでに始まっているでしょうし、これから本格的になるだろうと思いますが、けさの新聞にも出ていますけれども、大蔵省としてあるいはまた政府として、災害補正予算に対する態度をちょっとお話しいただきたい。二百億を組むとか、二段に組むとか、きょう出ていたようですが、どうでしょう。
  179. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 ことし初めから十四号台風までの国庫補助を要する災害被害報告額と申しますか、これは大体約八百五十億、今度の十五号台風災害被害報告額が約八百億。そこで十四号台風までの災害復旧についての応急の支出として、国庫の予備費から今まで数十億出して参りまして、現在予備費が約四十億残っております。十四号台風までの被害ですと、どうにか予備費でもまかなえるかと思っておりましたが、今度の十五号台風災害処置につきましては、とうてい予備費も足りないということで、なるべく早く補正予算を提案して御審議願いたい、こういうことであります。  そこで、災害復旧に関する補正予算は一度で組むか二度で組むかということでございますが、これは災害復旧の復旧費の査定がなかなか早く終了できないと思います。今までの経験でいきますと、災害が発生してから約三ヵ月くらいたちませんと、全体の査定が終らぬということでございますから、今度の臨時国会におきましては、一応の災害復旧費の予算を組みまして、その中には予備費をなるべく多く組んでおく。そうして通常国会においてもう一度災害に関する補正予算を組む、かような考えを持っておる次第であります。
  180. 安井吉典

    ○安井委員 その額の方は多いに越したことはないし、そういう方向で一つお願いしたいわけですが、その二段がまえという考え方ですね。最初のものを組んで、しばらく模様を見てあとのものを組む、こういうことだと思いますが、どうも岸内閣は中共というと静観だということですが、これは中共と字が違います。日本の中京ですから、こちらの方は静観というふうな態度あとを見るというようなことじゃなしに、やはりどんどん次から次に申請が出てくると思うんです。一たんふところにあって、出てきたらすぐ出してやる、そういう態勢でなくてはいかぬのじゃないか、私はそう思うわけです。特に通常国会ということになりますと、それで補正予算がきまることになれば、おそらくこれはもう冬になってしまう。そういうことになりますと、冬将軍の来襲の中でこれをやらなければならないということになると、やらないと同じことになるんじゃないか。特に愛知県だけじゃなしに、全国的に山国もありますし、北国もあると思います。ですから、やはり二回に分けるというような、そんなけちな考え方じゃなしに、第一回で思い切り組んでおいて、そして出てきたら出してやる。そういう態勢こそほんとうの正しい行き方じゃないか、こういうことです。その点一つ考えいただきたいことが第一。第二番目は、新聞報道によりますと、今度の最初の組み方は直轄事業に重点を置くというような報道がありますが、どうでしょう。
  181. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 第一点の、二回に組まずに、補正予算を一回で組めというお説でございますが、しかし、これは二回に組んだからそのために復旧事業がおくれるという御心配は絶対ありません。と申しますのは、つなぎ融資を出す、あるいは直轄事業には予備費を出す、それでも間に合わぬ場合は、復旧事業を認定するというようないろいろな方法があります。それは一回で組むに越したことはありません。しかし、御承知通り予算は歳入においても、歳出においても、なるべく確実なところを組まねばなりません。歳入につきましては、大体補正予算の財源としては租税の自然増収を見込むという方針であります。そうしますと、御承知通り、法人税収入の自然増収をなるべく的確に見ようとすれば、九月期の決算の結果を見なければならない。といたしますと、十、十一月、そこで財源の面でもある程度確定したところを見たいと思いますと、どうしてもこれは二回に組んだ方が間違いがなかろう。かように考えます。  それから第二点のお尋ねの直轄事業については予備費から出すということについてでありますが、直轄事業はつなぎ融資などの処置はとれません。また起債の方法もありません。これは予備費から出すことが一番大切な方法でありますから、これをやり、直轄以外のことはつなぎ融資、あるいは起債その他いろんな方法がありますから、そういう方法でやっていく、こういうことであります。
  182. 安井吉典

    ○安井委員 見越して予算をたくさん組んでおいても、全部使ってしまわなくてはならないというわけじゃない、余ったものはあとへ残せばいいんですし、また実際問題として、余るような予算をお組みにならないんじゃないですか。ですから、これは思い切って今回御計上いただくというふうな方向でお進みをいただきたいことを要望いたしておきます。あとの問題は予備費だけのことですか。今ちょっと新聞を見ますと、今回は地方から出てくるいろいろな資料が直轄事業が大部分だから、今回の補正は直轄事業に重点的に補正を組む、こういうような新聞報道ですけれども、そうじゃないんですか。
  183. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 今の御指摘のようなことではありません。ただ比較的予備費を多く組むということであります。
  184. 安井吉典

    ○安井委員 今度組む補正予算は、直轄事業に対する災害復旧費が重点であって、つまり補助事業といいますか、地方が独自にやるようなものはあと回しになるんじゃないかということをおそれているものだから、予備費じゃなしに、今度組まれる補正予算をお尋ねしているわけです。
  185. 奧村又十郎

    ○奧村説明員 さようなことはございません。
  186. 安井吉典

    ○安井委員 結局、最後に一つ申し上げたいことは、地方財政は非常に悪かったのが、一たんようやく立ち上りかけた。ところが最近また情勢が悪くなってきているわけです。そこへもってきて、今度はむざんにも引き倒されたという格好です。愛知県や名古屋なんかは大体において富裕な自治体だと思います。それでもおそらく大へんですよ。今度の災害は、十五号だけじゃなしに、その前からずっとつながっていますから、寒村や、特に漁村なんかは沿岸漁業がどうにもこうにもならない。だから、財政もどうにもならない。そこへもってきて今度の災害です。にっちもさっちもいかない状態だと思うわけです。だから、今度の災害補正予算の組み方、その他これからの災害対策の中においても、地方財政に対してそれを強くカバーするという姿勢――これは一つ政府の中でも特に大蔵省に申し上げたいのですが、強くそういう姿勢をもって善処していただきたいと要望しておきます。
  187. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 門司君。
  188. 門司亮

    ○門司委員 私は総理大臣がおいでになったらほんとうは聞こうと思っておりましたけれども、大臣、政務次官がお見えになっておりますから、お聞きだけしておきたいと思います。  それは今の災害に対する国の法律ですね。これは実際たくさんあるんです。この法律をちょっと見ただけでも、水防というやつがある。水防法の十条には、気象庁長官建設大臣と地方長官との関係がちゃんと書いてあって、災害が予知されるときにはこうしなさいと書いてある。それからもう一つ、やはり水防法の九条の中には、同じように災害対策については随時区域内を見て回って、災害に対処しなければならないということがちゃんと法律に書いてある。こういう法律一つある。それからその次にありますのは御承知のように河川法がある。河川法の二十三条にも洪水防御に対する緊急措置がちゃんと書いてある。それから次には海岸法がある。これには津波、高潮、波浪を防御するために法律の一条に目的が書いてある。その次には砂防法がある。これにはやはりこれと同じような国土保全ということがちゃんと書いてある。  このように、法律はたくさんあるが、一体この法律はほんとうに生きているんですか、死んでいるんですか。法律制定当時の趣旨に従って役人が忠実にこれを守っておったら、今度のような被害はなかったと私は思う。ある程度押えられておると思うのですが、いかがですか。法律はないわけじゃないですよ。水防法には、今述べたように、十条には洪水予報を気象庁長官から建設大臣にして、それが地方長官に行って、そうして防御するようにちゃんと書いてある。そのほかの法律にもちゃんと書いてある。にもかかわらず、やはりこういう事件が起る。起ったあとで、よかったとか、悪かったとか、あらためて砂防をやるとか、あるいは河川の修理をするとかいって騒ぎ回っているが、どうでしょうか。ほとんど毎年々々何回となく繰り返す災害ですから、一本の法律にまとめて、どっかで責任を持って、これを完全に防御するように日ごろ心がけてやっていくというような処置はできないですか。法律は幾つもあるのですが、みんななおざりになっているわけです。見つけ出すと、このほかにまだ法律があるんじゃないかと思う。だから、これはあなた方の方でそういうことが考えられないですか。もう少しはっきりしたものに直していく。そうして九条にしても、これは厚生省の分だ、建設省の分だ、農林省の分だというふうなことじゃなくして、まとまったところでやれるようなことはできませんか。どうせ災害の多い国なんですよ。台風常襲地帯法というようなものがちゃんと法律にもある。こういう法律がありながらできておらぬ。この点に対する政府当局の総括した御意見を聞いておきたいと思う。
  189. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今お話しになりましたような点は、要約してまとめてみれば、災害防止に関する基本法のようなものがあったらどうかというようなことになるんじゃないかと思います。そういう問題については、今回のような災害にかんがみて、そういう問題等もさらに検討されていい問題の大きな一つであろうと思いまするが、しかし御指摘になりました河川、海岸、砂防、これはみなそれぞれの河川なら河川を守る河川に関する法律がありますし、あるいは海岸法なら海岸に関する法律で、やはりそれぞれの規定があると私は思うのでありますが、今の基本法のようなものをこしらえたらどうかというような、御意見として、私はこれは拝聴しておいていいと思うのであります。それから、今回の災害について、こういう法律が生きて活用されておればこういうことはなかったのじゃないかというのは、これはちょっと私はどうかと思うのでありまして、極端にいえば、中京方面、伊勢湾方面には何百年にもない災害だといわれているので、伊勢の神宮のあの数百年たった森が、ジャングルのようになっているという話を聞いておるのです。これは何百年もなかった風ではないかということをあの地帯で言っておるのでありまして、これらの法律が生きて忠実に活用されておったならば、ああいうことはなかったのじゃないかなどということは、これは私は受け取れないと思うのでありますけれども災害に関する基本法のようなものを一つ考えて、そういうものを見たならば、大体災害防止の態勢がどうなっておるかということがわかるような法律考えたらどうかということは、これは十分傾聴すべき御意見だと思って拝聴しておきたいと思います。
  190. 門司亮

    ○門司委員 私は何も、もし法律が生きておったら今度の災害が防げたとは申し上げませんよ。災害というやつは、人間の考えも及ばないことだ。地球がなくなるようなことだって、あるいは今に起るかもしれない。どんな大きな地震があるかわからない。私は大正十二年の震災にもあっておりますが、戸数で七十万、死者が十二、三万もあったのですけれども、こういう大きなものがあったのです。これは天災ですから、そういうこともあります。しかし、天災を防止することのためにできた法律が完全に生きているか生きていないかということは、これはだれの責任なんですか。天災だからやむを得ぬということでものが片づけられるなら、私は法律は要らぬと思う。天災の災害をできるだけ少く食いとめようとする――水防法の中には、水防の責任者はだれかというと、水防組合ということにちゃんとなっておるでしょう。今日、水害予防組合という組合が方々にありますよ。ありますけれども、これはほとんど何も仕事をする団体ではございません。ただ、河川を改修することの陳情団体ぐらいにはなりますが、それ以外にはほとんど使われておりません。こういう実情なんです。水防法を読んでごらんなさい。水防の責任はどこにあるかというと、水防組合にあるとちゃんと書いてある。水害予防組合というものがないわけじゃありません。ちゃんと選挙をして、りっぱな議員がおって、地方の市町村長がこれの議長であることは間違いない。法律的にはりっぱな組合ができておるが、これの活用は実際できておらない。またやっておらない。そういうところに私は問題があると思う。だから私は、さっき申し上げましたように、人間の考え及ばざる大きな天災地変のあることはわかっておる。しかし、その災害を幾らかでも少くするということが政治だと思う。政治が忘れられていると思う。この海岸法なら海岸法が、かりに全部生きておったとするなら――この海岸法の中にも、ただ漫然としてこういうものを防御するのだということが書いてあるわけじゃない。こまかい規定がちゃんと設けてある。ある程度都道府県知事なり、あるいはこれには防風林その他の関係で農林大臣にも関係がありますが、これらの諸君と話し合って、そうして必要ならば措置をせよと書いてある。だから私は、今の大臣のような、天災だから仕方がないというようなあきらめのものの考え方であってはならないと考える。従って、今のような御答弁で満足するわけに私は参りませんが、もう一応聞いておきますことは、この次に出てくる実際の災害に対しまする一つの問題としてありますのが、大きなこれに対処し得る力というのは一体どこにあるかということであります。これは一つは治安の確保その他の問題がありましょう。警察力が一つありましょう。その他水防団がございます。あるいは消防団もこの場合には出動を命ぜられることになっておる。それ以外の組織に自衛隊がございます。自衛隊法の八十三条の二項には、明らかに出動することができると書いてある。これは地方長官の要請がなくても出動しても差しつかえないということが書いてある。これらの問題が、災害の起った場合には 一応組織的に活動し得る団体だということになっておるはずだと私は思う。これらの団体も有機的な訓練をしなければならないということが、今申し上げましたようにある程度幾つかの法律の中にちゃんと書いてある。水防団は水防団として水防法の中に水防の訓練をせよと書いてある。また事実上訓練をやっておると私は思います。そういう組織体が、一方にはこういう法律に基づいてできておる。しかし今度の水害を、私現地をまだ見ておりませんので実際わかりませんが、新聞紙の伝えるところによりますと、この組織の中でやはりフルにこれが動き得て、そして住民から非常に感謝されておるかというと、私は必ずしもそうではないと思う。ことに災害地における罹災者は、かりにこれが水防団員でございましょうと、あるいは消防団員でございましょうと、ほんとうに自分の一身を挺して、自分の家庭を顧みないで尽力されておる涙ぐましい方があることはわかっております。そのほかの組織体としてのほかからの応援のできるものは、大体警察と今ある自衛隊である。これらの中の組織が、新聞紙を見てみますと、あまり円滑にいっていなかったようにわれわれは聞くのでありますが、この点に対する連絡は一体どうなっておったのか、どういう処置がとられておったのか、その辺の状況がもしおわかりでありましたら、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  191. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私も災害発生直後の詳細な状態は、責任を持ってここでお答えをするほどよくは究明、承知いたしておりませんけれども、発生直後の自衛隊の出動懇請その他において、もう少し早かったらよかったのではないかということが言われておるようでありますが、自衛隊のその後の活動につきましては、これは正真正銘現地におきまして、報道機関その他あらゆる方面から非常に感謝をされておるということを、ここでお伝え申し上げておいていいと思うのであります。それから警察力の動員につきましても、警察はそれは本来の任務でありますから、これをいろいろ宣伝するということはできないと思うのでありますけれども、ほとんど不眠不休、家族を失った者も相当あるのであります。家族を失っておるけれども、家へもずっと帰れなかったという者も相当ある。それからさらに警視庁の機動部隊の応援、あるいは三重県の方には大阪から機動部隊を入れる、こういう有機的の措置もとられておるのであります。自衛隊も逐次増強されまして、最初申しましたように、北は北海道、あるいは九州から約一万以上の自衛隊が入っております。海上からの救援につきましては、海上保安庁の舟艇があそこに大部分集結する。こういうような形で、それが、ああいう未曽有の水没でありましたので、スタートにおいて若干おくれた感じはなきにしもあらずでございますけれども、その後の救援態勢については、相当徹底してやっておるように思うのであります。  それから最初の問題について、天災だからやむを得ない、そんな考えは毛頭ないのでございまして、いろいろ法律を並べられまして、この法律の運用その他についての御意見でございましたので、これをわかりよくするために、災害防止基本法のようなものでも考えて、全体の統制をとり得るような法律でもあればさらにいいのじゃないか、そういう意味で非常にいい意見として拝聴しておきたい、こういうふうに申し上げたのであります。御了承願いたいと思います。
  192. 阪上安太郎

    ○阪上委員 簡単に一つ自治庁にお答えを願いたいと思いますけれども災害基金の積み立ては、一体今幾らほどになっておるのですか。
  193. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 それは御承知のように、各府県の積み立ての最小額が五百万円ということになっておるわけであります。とにかく五百万円を積みまして、あと毎年それに対してプラスをいたして参るわけでございます。しかし現在におきまして総額を私も承知しておりませんが、それほど大きな額は積み立てていないと思います。またそうしなくてもよいいろいろな諸制度ができておるのではないか、こう思っているわけであります。
  194. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 本日はこれをもって散会いたします。     午後七時三十九分散会