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1959-07-04 第32回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年七月四日(土曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君    理事 安井 吉典君       臼井 莊一君    加藤 精三君       金子 岩三君    亀山 孝一君       鈴木 善幸君    高田 富與君       津島 文治君    富田 健治君       中島 茂喜君    三田村武夫君       山崎  巖君    太田 一夫君       加賀田 進君    川村 継義君       佐野 憲治君    中井徳次郎君       北條 秀一君    矢尾喜三郎君  委員外出席者         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      江口 俊男君         警 視 総 監 小倉  謙君         警  視  長         (警視庁公安部         長)      石岡  実君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 七月四日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。 同日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として南  條徳男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三日  一、地方財政再建促進特別措置法の一部を改正   する法律案中井徳次郎君外十名提出、第三   十一回国会衆法第五号)  二、地方自治に関する件  三、地方財政に関する件  四、警察及び消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。門司君。
  3. 門司亮

    門司委員 メトロの争議について、前国会に引き続いてさらに御質問をいたしたいと思います。  最初にお聞きをしておきたいと思いますことは、この事件が単に会社側のいういわゆる争議行為としてのロックアウトというような行為でないという事実、これに対して当局の今日までの処置が、あくまでも当局側考え方ロックアウト一つ行為であるというようなものの考え方でなされておりますが、私どもは決してそうではないと思う。その一つの問題として起っておりますのは、御承知のように車のナンバープレートをみんなはずしておる。そういう行為は、単に自分品物であるから自分品物ナンバープレートをはずすことは一向差しつかえないという一つ解釈の上でやられておると私は考えておる。そうして自動車の運行を不能に陥らしめるというようなことが会社側一つ目的であったようにも当局はとられておるようでありますが、かりにそうであるとしても、その目的を実行することのために、御承知のように従業員の仮眠しておる部屋の窓を外からくぎづけをしておる。いわゆる七分板と申しますか、厚い板でこれを打ちつけて、そうして運転手が外に出られないように拘禁をしておる。この事実は、明らかにロックアウト範囲を越えた一つ行為であるということが考えられる。  それからもう一つの問題は、この事件は単に原宿営業所だけでなくして、御承知のように横浜の営業所も、目黒の営業所も、横須賀の営業所も行われておる。同時に最も計画的だと考えられるのは、当日、運転手が逗子に居住があることのために、一台の車を自宅の前にとめておった。その車のナンバープレートまでがはずされておる。だから、これは何と考えても会社一つ計画的の行為であって、そうして、しかもそれに対しては指揮をした人、命令をした人あるいは企画をした人がなければならないはずである。そうして、当然こういう事件があれば、偶発的と警察側は言っておるが、偶発的であると考えても、何らかの騒擾が起るであろうということは予測されることである。決してこれがスムーズに済まないであろうということが予測される。予測されるから、さっき申しましたように、仮眠所にいる運転手も出られないような処置を前もってとっておる。だから、どこまでも、これは単に警察側の言うロックアウト処置ではないというように私ども考えておるのであるが、この点について警察側はどういうようにお考えになっておるか、お答えを願いたいと思います。
  4. 柏村信雄

    ○柏村説明員 昨日警視総監からお答えいたしておりました途中でございますので、警視総監から続いてお答えをいたすべきと思いますが、ただいまお尋ねの点だけについて私からお答えを申し上上げておきたいと思います。会社側ロックアウトをし、またナンバープレートをはずすということにつきまして、人夫を雇ってああいう行動に出たということ、これ自体は私は計画的であったということに間違いないと思うのでありますが、きのう警視総監が申しました、暴力行為等処罰に関する法律の違反として最初検討をしたが、そういうことではなかったという答弁であったわけでありますが、その暴行傷害等行為が起ることについての計画性というものはなかったということであって、ロックアウトをし、ナンバープレートをはずして自動車を動かせないようにしようという会社側の意図、これは確かに計画され、実行されたものであるというふうに考えるわけでありまして、その過程におきましてお互いの間に紛争が起り、暴行傷害の事実があったということが、この事件は偶発的であったという趣旨で警視総監が答えたものと私は考えるわけであります。
  5. 門司亮

    門司委員 警察側はあくまでもそういうことにお考えになっておるようでありますが、さっきも申し上げましたように、従業員が仮眠しておる部屋を外からくぎづけをして出られないようにするという行為自身が、一体ロックアウト考えられるかどうかということです。これは私は人権の問題であると思うのです。この点について一体警察側はどうお考えになっておるか。こういうこともやはり計画の中に入れられておると私は思う。話し合いがなされておると思う。この点についての警察側解釈はどうなんですか。これもロックアウトのうちだ。従業員を外に出さないようにカン詰にしておく。しかもそれを外からくぎづけにしておくというようなことをロックアウトの正当な行為としてあなた方はお認めになっておるかどうか。
  6. 小倉謙

    小倉説明員 ただいまの点は昨日も御質問があったのでございますが、仮眠所組合員に対して、ロックアウトのバリケードを、作ること及びナンバープレートをはずす、この作業を妨害されないようにというような気持から仮眠所の窓などを板でくぎづけをする、こういうことをやったと申しておるのであります。このことは、会社側においてもそういうことを承知で行なったことは取調べの結果明らかになっておるのであります。決してこれは私は好ましいことではないと思うのでございますが、ただ、これが直ちに不法監禁に該当するかどうかということにつきましては慎重に取調べをいたしたのであります。その結果、ただいまのところで申し上げ得ることは、そのような板をくぎづけにしたということの目的が、作業を妨害されないようにというような一時的な目的であったこと、それからその板をくぎづけしたという程度も、直ちに組合員がそれを打ち破って出てきておるという程度のものであること、また、昨日もちょっとお話がありましたが、やはり裏から回って出てこれる、これは現実に一、二名回って出てきた者もあるのでございますが、そういう状況から見まして、これを直ちに不法監禁というようなことで問擬するのはいかがか、こういうふうに考えておるのであります。
  7. 門司亮

    門司委員 私は、今の御答弁会社側に非常に御好意のある御答弁だと思います。これは不法監禁でなかったということだが、監禁しておかなければ、出てきてわれわれの作業を妨害するであろうからという仮定のもとにやっておることは、監禁することの目的でやっておることですね。そうなんですよ。そうしなければ目的が達せられない。監禁しておかなければ自分たち目的を達せられないという考えでやったことですから、明らかに監禁したことに間違いない。そういう答弁では私どもは満足するわけには参りません。  それからもう一つ、次に事実に基いて聞いておきたいと思いますことはこの暴行の起ったときに、会社側ではどういう事態であったかということ、これはこの前も署長にお聞きしましたときに、こういう事件を何人が計画したかということも調べておらない、それから現場をだれが指揮したかということも調べておらない、同時にこれらに要する費用というものをだれが支払ったか、あるいは当日人夫を集めたのは、どういう人に依頼して集めたのかという、この事件の全貌を明らかにすることのためのこうした必要な取調べがちっとも行われておらないということは明らかになっております。私は、この種の事件をやはり正確にしていこうとする場合、少くとも今申し上げましたような、だれが計画して、そうしてだれが現場指揮をしたか、同時に人夫に対する賃金等は一体どこから支払われておるかというようなことが明確になり、さらに人夫に言いつけた仕事の範囲がどの範囲であったかというようなことも明確にしなければ、私は、この事件の解決は実際はなかなかつかないと思うのです。また、警察は当然それをやるべきだと思う。単に偶発的の暴行行為でないということは明らかなんです。もしあなた方が、この前の答弁のように、これが偶発的の暴行行為であったと言われるならば——私はきょう時間がありませんから端折って申し上げておきますが、現場では、暴行を受けた者の言葉をそのまま言いますると、会社側職制が来て、そうしてあれも組合員だ、これも組合員だということで、組合員をめざして暴行が行われておるのであります。これは私は、さっきの総監の御答弁にありましたように、会社側は、出てきて必ず妨害をするであろうから、あらかじめくぎづけしたという、この言葉の裏を返すものだと思います。いわゆる妨害する者はこれだ、職制がちゃんとこれが従業員だ、これが従業員だと言っているということを明らかに書いてある。私は、この事実はほんとうだと思う。そういたしますと、現場で明らかに指揮をした人があるはずなんです。暴行指揮をした人があるはずである。ロックアウト指揮ではなくして暴行指揮をした人がある。これが調べられておらない。この点について、そういうものが全然なかったという報告一体警察側はしておるかどうか。
  8. 小倉謙

    小倉説明員 もちろん会社側の方も十分取調べをしております。今日まで幹部を含めまして十何名かの会社側の者を厳重に取調べをいたしておるのであります。その結果、先ほど警察庁長官からもちょっとお話がありましたが、ロックアウトを行うこと及び自動車ナンバープレートをはずすこと、このことにつきましては確かにこれは会社側計画して、その目的を持って当日行動をいたしたことは明確になっておるのであります。そのことについては斎藤組という組に命じましてやらしたのであります。なお、詳しい点もいろいろ取調べは十分してあるのであります。ただ、お話にありました暴行そのもの会社側計画的にやった、あるいはやらせた、こういうことは現在までの取調べでは全然出ておらないのであります。もちろん当日現場会社の者もおりまして、ただいまお話のあったような、これは組合員だというようなことを言うた者がある、こういうこともあったということを私は聞いておりますが、これも調べておるのであります。しかし、それは暴行指揮したというようなことではないというふうに、取調べ上結果を聞いておるのであります。
  9. 門司亮

    門司委員 総監お話を聞いておりますと、今私が申し上げましたように、あいつは組合員だということを聞いておるが、しかし指揮をしたものではないということですが、私はこの点は非常にあいまいだと思います。何のためにそういうことを言うのか。これは明らかにその人間組合員だと指示して、そして組合員であったら暴行が行われた。だから、この問題については今の総監のような答弁では私どもこれを承認するわけにはいかない。同時に指揮命令をした人、会社側企画をした人がやはり明らかになってこなければならない。これはお調べになったと言っておりまするが、一体どの範囲をお調べになってどうされておるかということである。こういうものについても一向はっきりしておらない。 それからおかしいのは、警察側の発表と事実の食い違いが私どもの見方ではあるということであります。それの一番大きいのは警察側で主張いたしておりますたとえばナンバープレート四十一台分がはずされたと言っている。ところが、現場に行ってみると三十七台しかはずされていない。こういう食い違いが一体どこででてきたかということなんです。これはおかしいですよ。車が三十七台しかなくてナンバープレートが四十一台はずされたというようなことはおかしい。警察は一体どこでこういうことを調べたかということ。こういうふうに私どもはこの事件については疑問がある。  それから直接私は聞いておきたいと思いますことは、事件発生から警視庁機動隊が出て参りまするまでの警察側のとった処置であります。この処置については、署長意見を聞いてみますと、一一〇番から連絡がある前に一応連絡があったので四人の警察官を派遣した、こう言っております。私は、このことは時間的に見て参りますと、署長の言うこともあながちうそではなかったような気がいたします。そのことはどういうことかというと、たくさんの百人余りの人夫が来て、バラ線を張るとかあるいはナンバープレートをはずすとかいう暴行をやっておる。これを組合員諸君が見て、これをやられたのでは——とにかく無通告です、組合員ロックアウトをするぞなんという通告もなかったのですから、あわてて組合員諸君は、これをやられてはかなわない、あしたから商売ができないということで、原宿交番に行ってこれを訴えております。それから行く前に、隣の電話でこれを警察署報告をいたしております。ところが一一〇番が話し中であったという事実があった。だから組合員諸君交番を通じ一一〇番に電話をかけたその時間的の間というものは、警察はそれを知ってなかったと思う。警察が知ったのは原宿警察ではなく、お隣の警察管区からやむを得ず電話をかけたのが署長の耳に入ったのだと思います。ここで初めて一一〇番の連絡がとれたと思います。そういう時間的の問題がこの事件にはあるのであります。これは警視庁がその報告を受けられ、さらに調べられたことがあるかどうかということ、私ども調べましたようなことがあなたのお耳に入っておるかどうか。
  10. 小倉謙

    小倉説明員 これは昨日も私申し上げたと思うのでありますが、当日表参道派出所勤務員から警察署報告があった。これが第一報になっております。その後一一〇番でもちろん受けておりますが、この事件発生とその報告状況は私は通常状況である、こういうふうに思います。
  11. 門司亮

    門司委員 署長報告だけを受けられて通常報告と言っておるかと思いますが、近所からかけた一一〇番の電話の急報は、警察側との間にかなり長い間、場所がどこであるとか、どういうところであるかというようなことで、時間がかかっておるので、警察パトロールカーの到着までに二十五分もかかっておる。署長さんがお聞きになり、おいでになった一一〇番の報告は、原宿管区内からの電話ではなくて、やむを得ないからほかから電話をかけたということになっておる。その前に組合員の一人が表参道交番から一一〇番に連絡を申し出たが、一一〇番が込んでおるというので交番ではこれを受け付けておらない。この時間的の関係が、今申しましたように、二十五分もかかってやっとパトロールカー現場に来ておる。そして暴行が行われておるかなりの時間そのままで、これが暴行事件については何らの措置をしておらない。原宿署長が言っておりまするように、先に警察官四人が現場に来ておることは事実であります。しかしその四人の警察官も、この暴行については何ら手を出しておらない。それについての組合員の抗議に対しては、警察官入るべからずという札が立ててあるから入らなかった、こう申しておる。あなたの方では偶発的に起った傷害事件だといっておる。傷害事件が現在起っておる、警察官はなぜ入ってこれをとめないかと言うと、警察官立ち入り禁止と書いてあるから入らなかった。私はこういうばかげた話はないと思う。少くとも現行犯が行われている限り、組合員がスパイその他を防ぐために警察官に入ってもらっては困るというのは争議の常識ですよ。警察官が介入してもらっては困るというのは、争議に介入してもらっては困るということなんです。暴行を受けているときに、警察官がそう書いてあるから入らないというのでは、警察官としての教養はどうかと考える。こういう事実について警視庁に御報告があったかどうか、これを伺っておきたい。
  12. 小倉謙

    小倉説明員 いろいろお話がございましたが、事件——事件といいますのは暴行が行われたことでございますが、これが午前四時十五分ごろだと思います。そこで先ほど申しました派出所勤務員からの報告によって署の係長以下四名が直ちに現場に参りました。四時三十分ごろ署長以下五十名が現場に急行し、さらに若干おくれて機動隊一個中隊が現場に到着いたしたのであります。その暴行が行われた時間というものは、大体推定いたしますのに十分以下であったというふうに思われるのでございます。従いまして、警察官が参りましたときにはその行為自体は終っておったのでございます。多数の警察官が集まった三十分以後におきまして、現場におりました八十八名をとりあえず警察署に任意同行して取調べを開始した、こういう状況でございます。
  13. 門司亮

    門司委員 どうもその辺の時間的の食い違いが今の答弁でははっきりしないのですが、そういたしますると、警察側意見というものは、事件がすでにもう警察官が来たときには終っておったというように聞えるのでありますが、そういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。私は、この事件警察官が来たときに終っていなかったと思うのですよ。だからその点はどうなのですか。ほんとう警察官が来たときにはこの事件は終っておったのですか。機動隊が来たときは終っておった。これは原宿パトロールカーが来て、署長さんがおいでになって、それから十分、十五分もして初めて機動隊が来ているのですから、これは時間的にはずっとあとです。そのときにはすでに終っていたと思いますが、最初に四人の警察官が立ち会ったときには暴行が行われておったときだと考えるのだが、これはどうなんですか。
  14. 小倉謙

    小倉説明員 最初の四人がかけつけましたのは、おそらく四時二十数分であろうと思われますが、そのときには確かにその暴行行為の終りごろであったというふうに考えられます。ただ何分にも大ぜいの場合でございましたので、署長以下が参りましてから行動に移った、こういうことでございます。
  15. 門司亮

    門司委員 そうしますと、だんだん明らかになってくるようでありますが、こういう四人の人がおったときには確かに私のさっき申し上げましたように暴行が行われておった。そして四人の警察官は、これだけ大ぜいのところに四人じゃどうしようもないからというので何にもしなかった。そのうちに署長さん以下多少の人数が来た。しかし、そのときにはもう警察官が来たから人夫は引き上げておった。事実を申し上げますと、人夫の乗ってきたトラックはどっかに行っていなかった。違うトラックに乗ったためにそのトラックが走らなかった。走らないからトラックに乗ってまごまごしているうちに機動隊が来てみんなつかまった。こういうような喜劇みたいなことがあったということでありますが、私は事実はそうだと思う。それでなければみんな逃げてしまって、おまわりさんにつかまるまでまごまごしているやつはいなかったと思う、時間がありますから。すでに四人が来たときには終ったころであるとすれば、それから二十五分くらいたってパトロールカーが来ておる。署長さんが見えておる。それから十五分ないし二十分たって機動隊が来ておる。そうなると、事件が大体終ってからつ約三十分くらい時間がたって機動隊が来ておるのですから、それまで暴行したやつがそこらにまごまごしているわけはない。車があれば逃げておる。たまたま車を間違えて乗ったためにその車が出ない。まごまごしているうちにつかまった、私はこういうことだと思う。つまり大体時間的にはそういうことだと思いますが、もう一度繰り返して聞いておきますことは、その時間の間に組合員側としては一一 ○番に電話をかけた。ところが一一〇番が込んでいるからということで警察に通じなかったという事実があるのですが、これはどうですか。そういうことが一体警察にありますか。
  16. 小倉謙

    小倉説明員 一一〇番のことでございますが、これはときたまそういう込み合って話し中になるということもあるのでございます。当時の状況が果してどうであったかということは、正確な材料を私は持っておりませんが、そういう場合もあり得るということは申し上げていいと思います。
  17. 門司亮

    門司委員 私は、そういう場合があり得たのではちょっと困ると思うのですが、警視総監があり得るというお話であって、ちょうどたまたまそのときにはそういう状態にあったというようなことにカバーされておると思いますが、私ども考え方からいいますと、少くとも交番に行って連絡を申し入れたが、その交番から、一一〇番が込んでおるからといってこれを取り次がなかった。従って他の交番に行った。しかもそれは原宿警察の外の管区はどこになりますか、あそこは境だといっておりますが、ほかの管区から電話でかけたということを言っておりますが、こういう事態についても、当時のこの事件に対する警察側かなりの大きな時間的な手落ちがあったということを見のがすことができないのですが、こういうものについて警察側のお考えはどうですか。
  18. 小倉謙

    小倉説明員 私は、先ほども申し上げましたように、通常事件発生に際しての処置である、こういうふうに考えます。
  19. 門司亮

    門司委員 もう一つ、二つ聞いておきたいと思いますが、これはさっきの話に戻りますが、組合側からは、当日暴行の行われたときに、職制が、さっきあなたの方も認められたように、あれが組合員であるというようなことを明らかに教えておる。その人間に対して暴行に対する一つの教唆をしたものであるとして警察側にこれの逮捕を要求しておるが、これについては警察は何も手を触れていないという情報があるのですが、そういうことがありますか。
  20. 小倉謙

    小倉説明員 逮捕を要求したというようなことは私聞いておりませんが、ただ、そういうことを言った者があるという話を聞きまして取調べをしました結果、暴行を示唆したというような意味のものでないということになっております。
  21. 門司亮

    門司委員 私は暴行本人自身は行わなかったと思うのです。少くともこれが組合員だ、あれが組合員だということを何のために一体示唆したかということです。暴行が行われなければそういうことを示唆する必要はなかったと思うのです。これが組合員だ、あれが組合員だということを教えるから、人夫側がそれを殴ったというのです。組合員側人夫に襲いかかった事実はないのですよ。警察側はそれをはっきり認めてもらいたいのですが、組合員側人夫に殴りかかった事実はないと思うのです。これが組合員だ、あれが組合員だと言うから、会社側から言わせれば、妨害されることを防御するために暴行を働いたのかしらないが、私は、そういうことだと思うのです。だから当然、これが組合員だ、あれが組合員だと示唆した人は暴行共同正犯であると見ても差しつかえないと思うのです。ところが、それをいまだに、ただ調べてみたけれどもそういう事実がなかったというだけ、これが組合員だ、あれが組合員だと教えた者があるということは認めておる。なぜ一体その辺の事情をもう少しはっきりなさらないのですか。
  22. 小倉謙

    小倉説明員 ただいまの点は、私ども調べでは、会社の係長が人夫らに労働組合員だというふうに指示をしておったというような話があるので、それを取り調べたところ、その係長が労働組合員に追いかけ回されて、そのとっさに言った言葉であるというふうに取調べでなっております。
  23. 門司亮

    門司委員 どうもその点はおかしいのですが、その当時の写真もなかったことだと思いますから、あるいはそういう言いのがれをしておるのではないかと思いますが、私は、警察官はこの辺はもう少しこの事件自体について考えるべきではないかと思うのです。あと同僚の質問もありますから長く申し上げるわけにはいかないと思いますが、その辺は、もう少し警察はこの事件の真相、事件によって起ってきた原因を究明されないと、こういうものを単なる出会いがしらの偶発的の暴行事件というようにお考えになっているところに私は問題がありはしないかと思う。会社組合員との争議に介入するということは警察はぜひ避けなければならない。しかし、これは警察の介入という言葉がやや当てはまるように事実がなってきはしませんか。暴行を受けた組合員については、あるいは偶発的にやった一つ暴行行為だからといって、組合員もやはり処置をされております。ところが、片一方で計画した者については、調べてみたが別に何にもなかった。ことに暴行をやれなんということは命令しなかった。私は、おそらくどこのばかでも従業員をぶんなぐってこいなんて言うやつは一人もないと思う。しかし、そういう事態が起らざるを得ないような情勢に追い込まれておったということは事実である。また同時に、そうした計画がされておったことも事実であります。あらかじめこういう事件が起るということを、知っておったから、従業員が外へ出られないように窓をくぎづけしたということでしょう。同時にすぐそばに水道があります。これに自動車を洗うホースがくっついておりますが、それで水をかけた。こういう暴行が平気で行われている。そういう労働組合の組合員に対する暴行行為については何ら取り調べておらない。私がさっき申し上げておりますようにロックアウト範囲を越えておる。要するに人間を監禁しておる。そういう暴行行為については何ら警察が取り調べておらない。そうして単なる偶発的のものであったということだけの、いわゆる傷害罪というだけで取り調べようとしておる。ここに問題がありはしませんか。警察は監禁したほどではなかったというような変な答弁ですけれども、明らかに一時間でも二時間でも人間が出られないようにくぎづけにすることは監禁でしょう。時間の長短を問うわけでもございますまい。その行為自身人間カン詰めにしておく行為です。その行為については、どうして当局は取り締らないか。同時に外からホースで水をかけた者もいると言っておる。中がこわされておることもあなた方は御存じでしょう。この会社側行為についてどうして一体取り締らないのです。これは計画されておる事実ですよ。暴力団の諸君だけが偶発的にやったものじゃないですよ。その点を明確にされない限りは、これらの争議に対する警察行為はきわめて片手落ちであると言われてもしようがないでしょう。私どもはそう考えざるを得ない。だから、きょうはっきりお聞きをしておきたいことは、そういう会社側行為について警察がどういう処置をとったか、またこれから先とろうとするかということです。責任の所在を明らかにしてもらいたいと思う警察が単なる傷害罪だけで片ずけようとするところに問題がある。だから今申し上げましたような会社側行為に対して、警察はどういう態度をおとりになるのか、その点をはっきりしておいてもらいたい。
  24. 小倉謙

    小倉説明員 これはたびたび申し上げましたように、こういうような事態に立ち至るまでの状況につきましては、会社側も十分取り調べをいたしたのであります。このような事態発生したということにつきましては、これはもちろん好ましくないことでございますが、これを当初の取調べから暴力行為等処罰に関する法律の容疑で取調べを進めていきました結果、ただいまたびたび申し上げましたように、計画的に行われたのはロックアウト及びナンバープレート取りはずし等で、暴行そのものについては会社側計画的に行なったというだけの立証を得ておりません。
  25. 門司亮

    門司委員 あと関連して質問がありますから、私の質問はこれで終ります。私は最後に聞いておきたいと思いますが、どうしても計画的でないというお話ですけれども、今申し上げでおりますように、組合員が外へ出られないようにくぎづけにするという行為、さらにそれから水をかけたというような行為仮眠所が荒されておるという行為は、会社側計画された行為だ。ナンバープレートをはずしただけのことじゃない。ナンバープレートをはずしただけのことなら、私はやかましいことは言いません。これははっきり計画性を持っておるということなんです。くぎづけにすることは偶発的の事件ではございますまい。計画性があるからくぎづけにされた。だれか命令しておるに違いない。頼まれた百何人もの人夫が来て、その人夫の機転で、もしあいつらが出てくると困るから七分板を持っていってくぎづけにするということはできないはずだ。同時に材料を持っていかなければできない。板がそこに置いてあるわけじゃない。くぎがそこにあるわけじゃない。計画しなければできない仕事なんです。その計画しなければできない仕事を、単なる傷害罪だけとして警察が扱おうとするところに問題がある。私どもはそれをはっきりしたいと思う。こういうことが平然として行われてごらんなさい。あとで同僚から聞かれると思いますが、この種の小規模のストライキには警察権の介入がひんぴんとして起っておるという事実はこういうところにある。警察側の認識はきわめて不足があると思う。なぜ一体こういう明らかに計画された暴行行為について、もう少しきぜんたる態度をとられないのか。昨日も私が申しましたように、明らかに暴行行為についての集団的の計画性を持っておることは事実でしょう。持凶器に対する取締り法規はちゃんとできておる。刑法の二百八条の二は何のためにこれを加えたかということ、あれは三十一年か三十二年に新たに国会でこれが加えられておる。なぜ一体二百八条の二を加えたかということです。計画的に凶器を持って他に妨害を加えようとする者がある、それを未然に防ぐためにこういうものが必要だというので刑法二百八条の二はあとでつけ加えた法律でしょう。こんなことで問題がうやむやにされるということになりますと、将来会社側といいますか、資本家側の攻勢はどこまで出てくるか実際わからぬでしょう。単なる傷害罪、暴力行為ではないのである。この点をもう少し警察側ははっきりして下さい。私が今申し上げましたように、たとえばくぎを打ちつけるという行為は、中の組合員を出させないために打ちつけた行為でしょう。人間の監禁は一体あなた方は時間を観測されておるのですか。しかもそれは板を持っていく、くぎを持っていく、金づちを持っていって材料を運んでおるのです。人を監禁するには材料を運んでいかなければできない仕事です。それが計画的でないと言えますか。単に偶発的の問題だといって当局が片づけようとするところに警察の片手落ちがあると思う。この点に対して、もう少っしはっきりした態度を示しておいていただきたいと思う。
  26. 小倉謙

    小倉説明員 なぐり合いと言いますか暴行傷害と言いますか、この点につきましては、偶発的という言葉がいいかどうかわかりませんが、あらかじめそういうことまで考えられておったことではないという意味で申し上げたのであります。仮眠所に対する板のくぎづけ、これはお話しの通り会社側においてにもそういうことをやれという意図のもとに行なったことは確かであります。これはきわめて好ましくない事柄であると思うのであります。ただ、これを法律的にいろいろ問擬して研究してみましたが、現在の取調べでは、不法監禁という程度に問擬するのには不十分である、こういう現状であります。
  27. 濱地文平

    濱地委員長 この際、関連発言の申し出がありますからこれを許します。佐野憲治君。  佐野さんにちょっと御了解を願いたいと思いますが、あとの質問者もだいぶありますし、時間の関係もありますので、なるべく簡単にお願い申し上げます。
  28. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいま門司委員質問をお聞きしまして、私も門司委員と一緒に現地を調査した者の一員として非常に遺憾だと思います。それで私、今思い出したのですが、実は金沢の全逓の労働組合の方々の暴力行為等処罰に関する法律の公判が今開かれておるので、私、特別弁護人となって立ち会っておるのですが、このときにおける警察のいろいろな態度を見て参りましても、たとえば郵政局長が、労働組合の団体交渉に対して、職務権限がないからといって交渉を拒否しておる。これはあくまでも不当労働行為ではないかと思われる。そういうような状況の中で、ぜひとも団体交渉をというので、こういう話し合いのために組合員が押しかけた。これに対して局側はバリケードを築いておる。ですから、おかしいからどうしてもそれをのけてくれということで、窓ガラスが一枚こわれた。単にそれだけのことをもって、職務権限のない団体交渉をやったんだ。集団の威力を示して窓ガラスが一枚こわれた。だからその中におった責任者の二人は、当然暴力行為等処罰に関する法律違反だ。こういうので本人の自宅に警察が押しかけていって家宅捜索をする、逮捕状を突きつける、こういうことがなされておるわけですが、そういう労働組合としての免責規定があるにもかかわらず、警察が犯罪視したような態度をもって臨んでおることは、私は非常に遺憾だと、公判廷に臨みながらも思っておったのですが、それと比較いたしまして、今度の事件を見て参りますと、明らかに会社側のとっている態度に対しては、暴力行為等処罰に関する法律を適用すべきにもかかわらず、それを逡巡しておる。こういうところが何かおかしいじゃないかということを感ずるわけです。  ところで、メトロ交通株式会社が出しておる資料によりますと、この三十日の事件に対しましては、二十七日に東都乗用自動車協会に、組合との一切の交渉権限を委任してあるので、この自動車協会と会社側の首脳部が集まっていろいろ協議、相談をして、このような事業所閉鎖を計画したのだ、こういう趣旨のこと、並びにその計画実施に至る文書が出ておるわけです。これによりましても、当日乗用者三台、トラック四台、三輪一台、かじや二十、かけやあるいはバール、のこぎり、金づち、くぎ八貫目、鉄条網一巻、いろいろなものを用意して、朝の四時急遽押しかけておる、こういうことになっておるわけです。ですから明らかに計画されたものであり、かつまた東都自動車協会と会社首脳部が綿密な計画のもとになされたということは、会社自身も明らかにしておるわけです。  ところで、どうもおかしいということから感ずるわけですけれども、組合と自動車協会との団体交渉におきましても、会社側はこの計画を実施するために交番とも協議しておるのだ、こういうことを言っておるわけです。ですから警察は、こういう計画がなされて、おったことを事前に了解しておられて、この争議においてはこういうこともあり得るのだ、こういう考え方を持って、当日における行動をながめておられたのじゃないか。特に原宿警察署の態度から明らかにそういう点を感ずるわけですが、警察としては、こういう計画を事前に報告を受けておったわけですか、その点をお聞きしたいと思います。
  29. 小倉謙

    小倉説明員 そういうようなことは全然聞いておりません。
  30. 佐野憲治

    ○佐野委員 自動車協会の方では、そういう点を団体交渉の席において明らかに言っておるわけです。そこにやはり先ほど門司委員質問されておるように、警官の出動がおそかったとか、あるいはまた四名の警察官が行っても、それに対して手をこまぬいておる。あるいはまた目黒の場合における報告を見て参りましても、やはりパトロールカー大型一台がおって、終始事件を見ておって、事件が終ってからどちらかに去っていってしまった、こういうことが行われておる。こういうことからも感ずるわけです。それで暴力行為等処罰に関する法律から考えて参りましても、会社側のとりました態度並びに協会の態度は、共謀してやった共同正犯である。特にこのときにおける指揮者は、警備負という腕章を巻いている会社職制もこれに参加している。こういうことは会社計画表の中にも明らかになっているわけでありますし、かつまた凶器にいたしましても、多衆の威力を示して組合員を監禁するということ、しかも先ほどの警視総監答弁によりますと、うしろに逃げることができるのだというお話でありましたけれども、私たち現地調査をして参りましても、うしろはがけであって、とうてい逃げることはでき得ないわけでありますし、それから正当なロックアウトと申しますのは、いわゆる事業所閉鎖である。だから組合員を外に連れ出す、こういうのであるなら私もわかりますが、これを押し込める、監禁をするということが、正当なロックアウトであるかどうかは、常識上考えてもこれはけしからぬと思います。  それから、計画の中はナンバープレートをはずす、これも道路運送車両法十一条の違反である。こういう違法性であることを承知して、違法性あればこそ交番とも連絡をとって、警察との間に了解がなされておった。警察もまたそういう道路運送車両法の違反行為をやっている現状を見ていながらも、手をこまぬいておった。しかも目的の中において、そういうことをやること自体が正当なロックアウトじゃない、違法性の行為をやるという計画を立てているわけですが、そういう点に対してどのように考えておられるかをお聞きしておきたいと思います。
  31. 小倉謙

    小倉説明員 不法監禁になるかどうかという点につきましては、先ほど門司委員お答え申し上げた通りであります。あのうしろはたしかがけになっておりますけれども、出ることは出られる、そして表の方へ回れるような状況になっております。  それからナンバープレートの点でございますが、これは会社側では、当時の状況のままでは、また自動車を再び持ち去られる懸念があるので、これを紡ぐためにはナンバープレートをはずすほかはない、こういうような考えで行なったと申しておるわけであります。この行為が道路運送車両法十一条に違反するという点につきましても、これは会社側の幹部相当数を取り調べているので、この点は、私の方の考え方では違反になるという見解を持っております。
  32. 佐野憲治

    ○佐野委員 そこで会社側の団体交渉の答弁によっても、それはわかっておったんだ、だから交番にも連絡をとった。あるいは陸運事務所に対しては、事後において処置をするつもりでおったんだ。こういうように、すでに最初から違法性をやろうじゃないか、そのために多衆の威力を示して、しかも凶器を示してこれをやるんだ、こういう考え方のもとに計画が組まれておったのじゃないかという点は明らかだと思います。それに対して組合員の方からいろいろ陳述が出ているにもかかわらず、これを中心として取り調べておられない。たとえば凶器を示しているという——私たちも現地へ行っていろいろな凶器を見て参ったわけですが、バールのごときは五尺からある。あるいはまた工具なんかを振り回している。たとえばピストンは一貫目の重さである。こういう一貫目の重さのものを持って、警備員というマークをつけた者が組合員を追っかけ回している。あるいはまた馬の口ですか、これは一貫五百目からある。こういう重いものを振り回して、きさま出たら殺すぞ、そこに入っている、あるいは無理をして出ようとする者に対して、これを地下にたたき込む、そのためにけがをさせておるというような現状であるわけで、わずかの狭いあの地帯に二百名にわたるところの人夫が襲いかかって、四十名しかいない組合員カン詰にする、凶器を振り回してこれを追っかけ回す、こういうようなことはロックアウトというものではなくて、まさしく暴力団の労働争議に対する介入であるということは、門司委員の指摘された通りであります。こういうことを許しておることから考えても、あるいはもう一つトラックを四台、乗用車を三台も連ねて深夜の町を突っ走ってくる。これは当然道路交通取締法によって警察署長の許可を要するものと思います。にもかかわらず、こういう無許可のもとに人夫を乗せてやって参るというようなことから考えて参りましても、先ほど来繰り返して申しておりますが、会社のやっていることは、正当な労働行為としてのロックアウト行為ではない。少くとも暴力をもって労働組合を威圧するのだ、そのために警察がじゃまだから警察の了解を求めてやる、こういう考え方をもって一貫しておるところに暴力行為発生しておる。署長さんでさえも斎藤さんと言われるどこかの暴力団の親方。あるいはまた目黒の河合のおやじと言われている拳闘クラブのおやじ、こういう人が指揮者になって、凶器を持った人夫がやってきておるということから考えても、これはもう労働争議としての問題ではなくて、明らかに暴力団によるところの組合に対する威嚇であり、威圧である。こういうことが明らかでありますし、その中において行われている事象を見て参りましても、暴力行為等処罰に関する法律に確実に該当するものである。私はかようにも考えます。たとい現場にいなくても、東都自動車協会などというものは、共謀の共同正犯として当然逮捕すべき性質のものである。しかも凶器はたくさん残置されておる。あるいはまた事務所にあったところの組合の現金が盗まれておる。これは盗難の届出が出て参っておる。けがを現実に与えておる。組合は無抵抗である。四十名のところに二百名が押しかけてきておる。ナンバープレートをはずすために、かじ屋に行って特殊の器具をわざわざ作ってやっておる。こういうようなことの計画性考えると、その中から窃盗罪、傷害罪、あるいは監禁罪、封印窃盗罪、いろいろな罪名が生まれてくると思います。しかもこれらに対しましてほとんど取調べらしい取調べをやっていないということになって参りますと、証拠隠滅のおそれがある、あるいはまた証人を立てて内容をいろいろとくつがえすおそれが十分にある。これはだれが考えてもそうだろうと思います。だからこそ、逮捕状を持って、これらの会社並びに自動車協会、暴力団の指揮者、これらのものをやはり共謀の共同正犯として逮捕して、実はどうなんだ——組合側からも陳述が出ておりますから、これに基いて厳正な取調べをされることこそが警察権としての正当な行為じゃないか。それをなされてないところに、私は、冒頭に言いましたように、どうもなれ合いが行われておったのじゃないかと思います。そうしてまた正当な労働組合運動に対しまして、免責規定があるにもかかわらず、暴力行為等処罰に関する法律が全国的に適用されておって、これは労働行為でなくて集団威力を示すところの行為であるというのでどんどん検挙し、逮捕状を突きつけておるのに、片方において、労働組合法において何ら免責規定がない会社側行為、しかもいろいろの不法行為最初から予期して、法律を踏みにじってでも組合をやっつけてやるのだという計画を堂々と立てて、それに基いて行われた行為に対しまして、私は、警察当局が厳正な警察権を発動して事件の真相をきわめ、逮捕状を持って、そういう幾多の事犯を犯した者に対して徹底的な処罰をするという厳然たる態度を必要としておるのではないか、かようにも考えますので、それらに対する見解を警察庁長官並びに警視総監からお聞きしておきたいと思います。
  33. 柏村信雄

    ○柏村説明員 先ほど来警視総監からるる申し上げておりますように、今回の事件が、ロックアウトあるいはナンバープレートをはずす、またそのはずすことを短時間で容易にする目的をもって、一時仮眠所に対して板でくぎづけした。これだけの行為について計画性があったということは、これはもう事実で明白になっておるわけでございますが、実際に起りました暴行、傷害等につきましては、これは集団的に計画されたものではないということにこれまでの調べにおいてはなっておるわけでありまして、やはり警察といたしましては、法律に基き、証拠主義に従って厳正に法の執行をはかるということにならざるを得ないわけであります。いろいろと憶測は行われると思います。また警視庁としましても、当初そういう気持で取調べを進めておりながら、それに対する証拠を確保し得ないという段階において、傷害罪等によってこれを処断するという方向に変ってきておるわけでありまして、その間の警視庁取調べについては、私は、やはり慎重に厳正に行なっておったものというふうに判断をいたしておる次第であります。
  34. 濱地文平

    濱地委員長 この際、臼井莊一君及び阪上安太郎君からそれぞれ関連発言の申し出があります。時間の関係その他あとまだ質疑の方々が控えておりますので、一つきわめて簡単にお願いを申し上げたいと思います。阪上安太郎君。
  35. 阪上安太郎

    ○阪上委員 委員長から御注意がありましたので、きわめて簡単に質問いたします。  まず警視総監にお伺いしたいのですが、あなたは、メトロの事件に関しまして会社側が各方面に配布しております「組合の争議行為会社の対策」こういうパンフレットをごらんになりましたですか。
  36. 小倉謙

    小倉説明員 見ておりません。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それじゃ私から言いますが、この各界に出されたパンフレットの中で、先ほどあなたが門司さんその他からの質問お答えになりまして、このいわゆる乱闘問題は単に偶発的なものである、こういうことを言われておりますが、このパンフレットによって会社が自白しているのを見ますと、これはもうはっきりと暴力行為を行わなければならなぬということを前提としたところの内容を自白しておる。たとえばこれを読んでみますと、「責任者の分担をきめ、その指導によって日雇い人夫を動かすことにした。動員する人夫の数も、組合員の人数と同等くらいでは乱闘になるおそれもあるので必要以上の多数を集めて人員で圧倒する方法をとって、相手の抵抗を排除することを眼目とした。」というようなことをうたっておる。ここにうたってあるように、会社側みずからが自白しておるように、必要以上の人員数でもって抵抗を排除する。こういうことを言っておる限りにおきまして、人員でもって人員の抵抗を排除するということになれば、これは明らかに、暴力を肯定するものではないと言いつつも、はっきりとこれは暴力を予想して、そうして百五十名の計画が、当日には百七十五名まで増員して、そうして人の力をもって抵抗を排除しよう、こういうようなことをはっきりと作戦を立てて行なっておる。そこで、会社側の言うことをあなた方が知らないというならば、これはまことにわれわれとして遺憾でありますけれども、こういうことをはっきりと言っておるということが事実関係として出てきているこの段階におきまして、あなた方は、これをよく調査し、その結果これが事実だったということになっても、なおかつ先ほど言われた偶発的な乱闘であるというふうなものの考え方を固執されるかどうか、この点について一つお答えをいただきたい。
  38. 小倉謙

    小倉説明員 ただいまお読みになった資料は、よく拝見してみなければわからないと思いますが、ただいま読み上げられた点だけからの感じを申し上げますと、そういうような行為が起らない、むしろ起ることを避けるために、先ほどから問題になっております仮眠所の窓を板でくぎづけしたり、あるいは多数の者を連れて行ったりした、こういうような考え方もあり得るんじゃないか。私の方の取調べによりますると、その斎藤組というのはトビ職でありますが、その斎藤及び人夫のかしらに対して、乱暴はしないようにということを特に念を押しておるということは、相当数の者からの話で出ております。でありますから、初めから乱闘するというようなつもりで出かけたということは考えられないのであります。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたは今くぎづけにするとか、板張りにするとかいうことによって、そういう乱闘が起らないようにやったんだ、そういう解釈をしておられるけれども、私が今言ったのは、人によってこれを制圧しようということを会社側自体がはっきりと計画の中に盛り込んでおるということです。しかも必要以上の人数でもってやるんだ。くぎづけにするとか、板張りにするくらいならば、十人もあればできることだ。そういうようなことをはっきりとうたっておるのだから、あなたの解釈すること自体が無理じゃないか。百七十五名に増員して、そうしてその人の数は必要以上である。必要以上の数でもって抵抗を排除していくんだという場合は、人間人間の力関係を予想しているものだと私は思う。その場合、なお依然としてやはり今言ったようなお考えで終始されるのですか。
  40. 小倉謙

    小倉説明員 今までの取調べ状況では、先ほど申し上げましたことと同様でございます。
  41. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは論議しておってもしょうがないが、この点は、こういうことを会社側みずからはっきりと計画の中にうたって、すでに準備しておったということなんですから、この事実を一つ調べて下さい。そうしてこれに対して善処するように態度をきめていただきたいと私は思います。  それからいま一つ警察庁長官に伺っておきたいと思います。先はどから佐野さん等からも質問がありましたが、この事件は二十八日に細部計画ができ上って、そして二十九日に各営業所の準備が完了した。そして三十日の未明、払暁戦を展開した、こういうことになっております。このような暴力部隊の編成、行動、こういうようなものがきわめて平易に、安易に行われておるということは、これは治安維持上、私は大へん問題じゃないかと思う。そうして警察の方では、先ほど佐野さんが指摘しておられたように、七台のトラックを連ねて、しかもそれを閲兵までやっておる。この事実に対しまして、全然どこからもそれを承知する、その情報も得ることができなかったという警察は、一体どういう欠陥があるのか。繰り返して言いますけれども、こういう暴力部隊の編成がほんとうに平易に、何のこともなく行われておるというこの社会の現象を、治安維持の観点からどういうふうにお考えになっておるか、将来どういうふうにこういったものに対処をされるか、こういったことについて長官の御所見をお伺いいたしたいのであります。
  42. 柏村信雄

    ○柏村説明員 今回の事件自体を私ども見まして、非常に残念な事件であったと考えておるわけでございます。これはすべてと申すわけではありませんで、大企業におきましても、深刻、広範な闘争が先鋭化して、相当不法行為が行われることもありますが、最近の現象としまして、ややもすれば中小企業等におきまして、会社側の管理の不適正だとか、労組側の指揮者のはね上りであるとかいうようなことから、とかく正常な争議行為から逸脱した争議が行われるというような事件がありますことは、非常に遺憾に思っておるわけであります。  それからただいま暴力団的な編成行動というお話でございましたが、私の聞いておりますところでは、何か作業をするときにこういう者を雇う慣習が一部にはあるようでありまして、何も暴力のためにかり集めるということでなしに、人夫を臨時に集めることがあるようであります。しかしあの際に、ああいうふうな多数によってああいう行動に出たことが適当であったかどうかということになれば、おのずからこれは判断の余地が大いに存するところであろうと思うのでありますが、警察としましても、そういうものが非常な大規模な暴力行為に及ぶような事態をみすみす看過するということであってはならないと思います。あれは意図的には、先ほど警視総監がるる申し述べておりますように、当初は大ぜいで行って、同じくらいの数であればあるいは組合側に圧倒されるかもしれない、多ければまさか騒ぎはすまいというような気持からやったのではないかと思いますが、あの事件そのものは別としまして、一般的に申しまして、警察が知らない間に大ぜいの者が計画的な暴力行為等にかり立てられるようなことは、見のがすわけに参らないと思います。警察としましても、そういうような情勢に対処しての視察については、今後とも十分に配慮して参らなければならぬと考えておる次第であります。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の問題ですけれども、住所がはっきりわからないような人、みずから責任を持てないような人を百人近くもかり集めて、こういった部隊編成をやっておるということを私は先ほどから言っておるのでありまして、この点につきましてはこれはほんとうに重大な問題だと思います。こういった点については、警察当局においてもなおざりにしないで、こういったものに対する対処の仕方については真剣に考えていただきたい。これだけ申し上げて私は終ります。
  44. 濱地文平

    濱地委員長 安井吉典君。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 最近中小企業の深刻な争議が相次いで起っているようでございます。一月から四月までの東京都内の従業員三百人以下の企業の争議は、去年の同期は三十四件であったものが、ことしはもう六十件、そのうち経営者がロックアウトというような最後の挙に出たのが、去年は二件であったのが、ことしは七件というように非常にふえております。現在のものをちょっとチェックしてみましても、主婦と生活の争議、メトロ交通の争議、田原製作所の争議、第一電気精機の争議、興和工業の争議、高村建材の争議、光伸社の争議、高山精密の争議、富士文化の争議、その他ずいぶん多いわけでありますが、それの全体的な特徴は、労使の対立がきわめて鋭くなりまして、長期化の傾向があるということと、もう一つは、暴力事件がそれに伴って数多く起きているような傾向があること、それから第三番目には、警察権がどの争議にもずっと表面に出てきているということ、これらが特徴的なものではないかというふうに思われるわけであります。これらの争議の中でも、警察と労働争議というふうな関連につきまして、最も典型的なのが主婦と生活社の争議ではないかと思うのであります。この間、大ざっぱではございますが調べてきた結果に基きまして、警察当局のお考えをいろいろの問題点につきまして伺っておきたいと思うわけでございます。  まず初めに、先ほど来メトロ交通の争議につきましても、いろいろ警察庁長官からもお話がございましたけれども、このような中小企業争議に対する警察の基本的な態度、そういうようなものについてあらためて伺いたいと思います。
  46. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、昨日門司委員の御質問に対してお答えした通りございまして、警察といたしましては、労働争議そのものに対しては何ら介入する意図は持っておりません。労使間において定められたルールに従って行われる限りにおいて、当然に争議行為というものが展開される場合があるわけでございます。しかしながら、その間におきまして、ややもすればこれが常軌を逸脱いたしまして不法行為にわたるというような場合も間々あるわけでございまして、そうした場合は、かりに争議行為に関連して起った問題でありましても、警察としてはこれに対して必要、適切な措置をとらざるを得ないわけであります。警察が関係をいたすという場合は、そういうときに限られるというふうな基本的な考えを持って進めておるわけでございます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 今の基本的なお考え方に基いて、主婦と生活社の争議にも当られたのだろうと思うのでございますが、この争議の中で一番問題になりますのは、四月十七日の事件でございますが、その問題を中心にいたしまして、その他いろいろ出ております問題についてお尋ねを進めるわけでございます。  初めに共通的な問題というようなことでお尋ねをしたい点の第一は、この争議におきまして、組合側の情報収集でありますとか、退去の警告でありますとか、押収、捜索あるいは逮捕等の措置が行われているわけでございますが、何か労働争議を犯罪視するような傾向が警察側にあるのではないかというようなことも、その調査の中から私ひょっと感じたわけでありますが、その点どうでしょう。
  48. 柏村信雄

    ○柏村説明員 主婦と生活社におきまする争議も、非常に深刻でしかも長期間にわたって行われておりまして、先ほど来私が申し上げましたように、非常に遺憾な事件一つであるというふうに考えておるわけでございますが、ただいまお話しのような事案について、警察がタッチいたしました範囲は、先ほど来申し上げております警察の基本的な方針にのっとって行われたものというふうに私は理解いたしておるわけでございまして、何か具体的にこの点はどうだというお尋ねでもまたございますれば、私なり、あるいは詳細な事実問題については総監等からも御説明を申し上げたいというふうに考えております。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 今の情報収集の問題につきまして、争議に入りました直後の警察の情報収集活動について、組合側との間にトラブルがあるわけです。二月十五日ストライキに入りました直後、もう情報収集の活動が神田警察署の巡査によって始められておる。二月十七日に小型カメラで組合員のピケの隠しどりをしていたというのが組合員に発見をされまして、そこでだいぶもんちゃくが起きたという事件を私ども聞いておるわけでございますが、その点どうでしよう。
  50. 小倉謙

    小倉説明員 お尋ねの点は、二月十七日ですか、当日主婦と生活社の前において、組合員三十名がピケを張って気勢を上げておる。これが道路上で行われておりまして、交通妨害となるような状況であったので、警察官がこの状況を写真でとりまして、そのことに関連して組合員の方から文句が出まして、若干のトラブルがあった。こういう事実はございます。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 この問題は、ストライキが始まればもうすぐに何か情報活動に入る。だからストライキそのものが直ちに犯罪なのだという何か先入観念が警察の中におありのような、そういう印象を組合側が受けておるというところから、こういったような問題が起きてくるのだろうと思います。組合側は、警察側のこういったような行動によりまして、想像以上に刺激を受けておるわけです。だからすぐにそういうものから警察側の不当介入だといった気持になって、それがこの争議におきましても会社対組合でなしに、組合対警察の対立だ、そういった事態すらも中において起きておる事情もあるようでございますが、ストライキ即犯罪、そういったような考え方は、一つ完全に警察の頭の中から払拭をしてもらわなければならないと思うわけです。その点何か官公労の争議の場合と、現場におります警察官の人に若干勘違いがあるのじゃないかという気もするわけです。官公労の場合は、国家公務員法や地方公務員法のはっきりした規定があるわけですから、争議行為そのものにも問題があるわけでありますが、そういう考え方を民間争議そのものにも当てはめていくというような態度から、こういうものが出てくるのじゃないかと思うのですが、今申し上げましたそういう態度が、ずっと下部の警察官まで浸透できるような態勢になっておるのでしょうか。
  52. 柏村信雄

    ○柏村説明員 先ほどから申し上げておりますように、警察といたしましては、ただいまお話しの官公労等特に法規で禁止されておるものの争議行為等は別といたしまして、争議行為自体については何ら介入しないという基本線は、事あるたびに徹底するようにはかっておるわけであります。また、ただいまいろいろ情報活動というお話がございましたが、警察としては、使用者側とか労組側というものに何らこだわらずに、必要な調査をいたすわけでありまして、今お話がありまして、私も、あるいはそうした警察官の正当に行なっている行為が、組合側からの偏見によって誤解をされているおそれがあるのではないかというふうに感ずるのでございますが、たとえばその後の組合側についての取調べ等についても何ら協力する態度が見られない。何らと申しては語弊があるかもしれませんが、非常に非協力的である。告訴をしておりながら、告訴の事実についても陳述を拒否するというような態度があったということは、事実問題として遺憾なことでありますが、組合側にそうした偏見から生ずる誤解があったのではないかというふうに考えますが、警察といたしましては、決してそういうような争議そのものを犯罪祝するというようなことはもちろんございませんし、また不当にいろいろの調査とか関与とかをしているというようなことは厳に戒めておるところでありまして、必要な調査活動をいたすということについては末端まで十分徹底するように配意をいたしておるつもりでございます。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 今申し上げました点は、特にこれは末端まで十分に理解をしてもらわなければいけないのは当然でありますが、組合側の正当な争議行為——これは労働組合法ではっきり認められておりますが、その行為の中に警察が出てくるというようなことになりますと、労働組合側はもうそれによって萎縮してしまって、結局労働組合法に基づくところの労働者の保護規定がそれこそほごになってしまうというようなことになるおそれがあるから、私は特に繰り返して申し上げるわけなんですが、争議の場合において、警察が姿を見せてくる、そうして入ってくる、ただもうそれだけでも労働者側は心理的な圧迫を受けると思います。特に主婦と生活社の争議の場合は、女子組合員が非常に多いわけです。ですからそういったようなおそれは非常に多いわけであります。だから警察行動というものは、労働争議に対してはこれは非常にむずかしいと思うのです。それだけにきわめて慎重な態度で終始していただかなければならない。これは特に強く要望申し上げておきたいところでございます。  それから次に、警察側のメトロに対する場合も、先ほど来の質疑の中から私どもそういうふうな印象を受けるわけでございますが、何か会社側に一方的に傾いた行動に出るというような印象を受ける場面がこの場合もだいぶ多いわけです。百数十日に及ぶこの争議の中におきまして、初めから終りまで警察争議とがずっと接触を続けながらきておるようなのがこの争議でありますだけに、ことさらにそういうふうな気がするわけです。具体的な例を二、三申し上げますと、三月の九日から十七日までに持たれた団体交渉が再び決裂をいたしますと、会社側は十八日の未明に人夫数人と非組合員数人を率いた重役を先頭に、ロックアウト通告とともに、組合が占拠していた社屋になだれ込んでおります。その翌日は神田署に中闘委員十三名を威力業務妨害罪ですか、不退拠罪というようなことで告訴はしております。こういったようなことや、その他会社側が何か行動を起すと、その行動が相当暴力的な行動であるにもかかわらず、警察側がすぐそれに続いてくる。あるいはまた警察側が先に入ってきて、それから会社行動が起きてくるとか、特に二十四日から二十七日までは神田署の警官が会社行動の援護といったような姿でずっと出ていたというふうに組合側は言っているわけであります。そういうような点において、中立という立場じゃなしに、会社側を一方的に支援するというような動きが強くこれらの活動の中から出ていたんじゃないか。こういうような面はどうでしょう。
  54. 柏村信雄

    ○柏村説明員 具体的な点はまた別にお話し申し上げることと思いますが、会社側警察が何か共同の目的を持って組合に対しているような印象を持って今お話しでございましたが、そういうことは全くございません。先ほど来申しておりますような基本線に沿って警察は必要なる活動をいたしておるわけでありまして、現に会社側からの話としては、警察はさっぱりやってくれないという、むしろ不満とか抗議とかいうものをわれわれは聞いているような状況でありまして、両方から、どうも偏見によって警察が片一方に片寄っているとか、あるいは力を十分出さないというふうに見られているように思えるのでありまして、決して会社側行動を援護するとか、争議行為そのものについてこれを抑圧するというような考えは毛頭持っていないと私は理解いたしておるわけでございます。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 この争議の中心は、組合による職場占拠と、それから会社側ロックアウト、この二つのいわゆる戦術の衝突ということだと思います。争議行為としての職場占拠は、組合にとって避けられない現象で、学説や判例もともに職場占拠それ自体を違法とするような見解はほとんどないようでありますし、また会社側ロックアウトも、使用者としての正当な権利であるわけです。争議は労使のいわゆる攻防戦であるわけで、もとより労働法やその他いろいろな法令の規定やルールに従って行われるのが当然でありますが、その場合に、国の権力作用であるところの警察権力が介入して、一方だけを応援して、一方だけが非常に有利な立場になるということであっては、これはもう大へんなことだと思うのです。その点、今日までこの争議の中で、たとえば会社側から、あすはこういう行動に出るからそのとき応援してくれとか、その他暴力行為のおそれがあるからという事前連絡を受けてやったというような事情はございませんか。
  56. 小倉謙

    小倉説明員 そういうことはございません。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 一番重要な点があとにあるので、もう少し突っこんで伺いたいのでありますが、時間の関係上一応これでやめますけれども警察はそういう争議についてはあくまで中立なのだという原則は、終始しっかりと守っていただかなければならないと思います。  それから三月二十七日に、神田警察署署長名で労働組合の委員長に警告書が出ております。この問題についてちょっとお尋ねをしたいわけでありますが、この警告書は職場占拠を違法だとし、組合員と支援労組の退去を求めた趣旨のものであります。会社側が再三の退去を要求しているにもかかわらず、組合員や支援団体が占拠を続けているのは違法行為と認めるというようなことがいわれているわけでございますが、違法行為の認定の根拠は、この場合はどうだったのですか。
  58. 小倉謙

    小倉説明員 当時の状況を申し上げます。先ほどちょっとお話がございましたが、三月の二十日に、会社側から小川委員長等十二名を被告訴人として、不退去罪、業務妨害罪等で告訴があったのであります。その当時は、その実際の状況から申しましても、またそれまでのいろいろな経過から見ましても、この会社側の告訴は必ずしもその通りでないというふうな警察としては考え方で静観をいたしておったのであります。ところが、二十五日ごろからの状況をだんだん見ておりますると、四階の方は内部からくぎづけされておる。また入口に机をうずだかく積み重ねておる。こういうような状況で、排他的な占拠というふうな状況が見受けられ、また組合員のみならず、支援労組の人たちもそこに入ってがんばっておるというような状況でありますので、これはロックアウト後の状態としては違法の状態であるように思われますので、この点を警告いたしたのであります。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 ロックアウト通告後の職場占拠自体は違法だというその点ですね。学説や判例でもみなそういうふうなことなんですか。
  60. 小倉謙

    小倉説明員 単純なるすわり込みといいますか、これにつきましては、これを正当とする説と違法とする説と同説あるのでありますが、排他的な占拠の段階に至ります場合には、両説ともこれは違法であるというような見解が通説と存じております。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 この問題について、いわゆる滞留の問題でありますが、後に四月十四日の東京地裁の仮処分におきまして、現状の滞留というのが確認されたわけであります。今の違法論でございますが、それとの関係はどうでしょうか。
  62. 小倉謙

    小倉説明員 仮処分の決定の内容にあります滞留の問題につきましてはこれは会社側組合側によっていろいろ解釈の仕方が違うように伺っておるのであります。ただ、その内容をずっと読んでみますと、適法にロックアウトが行われた以上、組合が会社の事業所内において行なっておるすわり込みは、事業所の不法な占拠として許されなくなるものだというふうに述べておおるのでございます。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 この法律論の方は法務委員会の方や、あるいは社会労働委員会の方でも、これらの問題についていろいろ検討があると思いますので、私そちらの面に深入りはいたしませんけれども、ただ学説なんかでも諸説があるというふうな場合において、特に微妙な対立関係にあります労使の中に警察が入ってくるのですから、これはよほど慎重な態度でなければいけないと思うわけです。その点、この警告書事件が女子従業員組合員の多いこの組合に、非常に大きな心理的な圧迫というふうな形になっておりますという点は非常に遺憾だと思います。特にこの問題につきまして、この警告書は会社側の解雇通告が同じときに同時に行われているというふうになっているわけでありますが、何かその点おかしいような気がするのですが、どうでしょうか。
  64. 小倉謙

    小倉説明員 警告書の問題にきましては、お話しの通り、これはきわめて慎重に考えまして、先ほど申し上げましたような排他的な状況が見受けられましたので警告をいたし、警告に従ってある程度組合の方でも考えられた状況でございます。ただいまお話しの、会社側の解雇処分が同じころに行われたという点でございますが、これは全く警察としても意外に思っておるのでありまして、全然そういうことは知らないのみならず、予想もしない。ただ、この排他的な違法と思われるような占拠状態に対する警告を行なったのであります。たまたまそれが一致したということで実はこれは迷惑というような感じすら持っておるのであります。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 何か会社側に、きょうあたり警察の警告書が出るぞというようなことを警察側から連絡したり、あるいはまた会社側警察のそういったような動向を調べにきて、それに対して警察側が情報を流したりして、それによって、会社は同時的に争議自分の方に有利に導こうというような挙に出たのじゃないでしょうか、そういうような事情はどうでしょう。
  66. 小倉謙

    小倉説明員 そういう事実は全くございませんので、警告に行きました者が現場で初めてそういうことがあったということを張り紙か何かで承知した、そういう状況でございます。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 今警察側お答えでは少くも警察側としてはそういう意図はなかったというふうに言われましたけれども、結果的にはこれが同時に行われたということによって、警察会社側の主張のバックアップをしたというような印象を与えているということは事実だと思います。ストライキは、それをやる労働組合だけが常に悪く、会社側が正しい、だから会社側を助けてやらなければいけないといったような考え、あるいは不当介入だ、そう言われても仕方がないと思います。この場合において、どうでしょう。
  68. 小倉謙

    小倉説明員 先ほども申し上げましたように、たまたまそういうような時期が一致した結果になりましたことにつきましては、警察としても非常に迷惑と言いますか、意外に存じておるのであります。それ以後、さらにこの争議に関連しまいす処置につきましては、特に慎重に考えて参った次第でございます。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 これは特別に念には念を入れて慎重な態度で今後やっていただかなければならないことではないかと思うわけであります。次に、四月十五日の事件であります。これは青木直定組合員が社内に足を入れたのが不法侵入現行犯ということで会社側で押えられ、それが警察に出された。それで警察逮捕という結果になったという事件でありますが、この問題についての警察側の犯罪の認定、そういったような問題はどういうことになっておりますか。
  70. 小倉謙

    小倉説明員 四月十五日の件は、当日午前八時二十分ごろ、会社側から建造物侵入罪の現行犯逮捕した旨の連絡警察署にあったのであります。署員が現場に行きまして、事情をいろいろ聞きましたところ、早朝から組合員青木ら十五名くらいが同社の正面玄関前にピケを張っていたところ、午前七時四十分ごろ、同社内の非組合員の朝食を搬入してきた出前持ちのあとに続いて、組合員が同社内になだれ込み、会社側の者がロック・アウト中であるということを理由に、社屋の外に押し出そうとした際に、先頭に立っていた青木が、あくまでドアを締めさせまいとして、ドアの間に入り、なおも立ち入りを強行せんとしたので、非組合員らに逮捕されたものである。こういうような事情が判明したのであります。これは住居侵入罪の容疑がございますので、同人を警察署に同行いたしまして、取調べをいたしたのでございます。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 この事件もいろいろ問題はあるのですが、一番重要な点はこの逮捕につきまして、新聞やその他の発表で、こういうふうな警察署長の言明があるわけです。「逮捕した組合員は、東京地裁が立ち入りを認めた一階にいたが、立ち入りを許されていない二階、三階に行く目的をもっているかもしれないので、会社逮捕したのを引き継いだまでだ。調べて容疑がなければもちろんすぐ釈放する。」こういうふうな言明があったと伝えられております。つまり現行犯であるかどうかはわからないが、一応逮捕する。こういうふうな言い方を神田署長がされているそうでありますが、これはどうでしょう
  72. 小倉謙

    小倉説明員 その点は私も署長から、実はそういうふうに伝えられておるけれども、そういうことを申した事実は全然ないということで話を受けました。要するに常人がある人を逮捕したのでございますから、その逮捕が正当かどうかという点を、当然警察としては署に来てもらって調べたというのが事実でございます。
  73. 安井吉典

    ○安井委員 弁護士や、新聞記者に対する言明は、やはり今のようなことだと、はっきりそういうふうな表現で聞いた人があるのですが、その点どうでしょう。
  74. 小倉謙

    小倉説明員 私は、署長から先ほど申し上げたような報告を受けました。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 犯人とおぼしき者を逮捕する、現行犯であるかどうかわからないが、一応逮捕できるというようなことになりますれば、これはもうほんとうの市民の自由というものは根底からくつがえされるわけです。警察法や刑事訴訟法なんかの重大な問題であります。しかも、これが労使の深刻な紛争の中での事件なんですから、それだけに問題の出され方や、あるいはそれについての考え方というものが、大きくいろいろな場合に響いてきたと思うのですが、あなた方のお話は、署長はそう言われておりますけれども、実際そういうふうに話を聞いたという人がずいぶんいるのです。その点、署長にもおいでをいただいて聞くというようなことはどうでしょうか。
  76. 小倉謙

    小倉説明員 たびたび申し上げますように、署長は、そういうふうに伝えられておるけれども、そういうことを言ったことはないということを明らかに申しておるのでございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 とにかく繰り返しますけれども、こういうふうな重大な段階での処置でございますので、あまり軽率な態度で警察側が処理されてはこれは困ると思うのです。そういう点、一つ十分に最前線にありますような人たちに気をつけていただくようにしていただかなければならないと思います。  それから次は四月十七日の事件ですが、その前の四月十四日の日に仮処分が出まして先ほどからいろいろ話が出ましたように、争議の事実状態の確認といったような内容において仮処分が出たわけであります。それに対しまして、その後の十七日においては、会社側が掃除ということで四階に入って参りまして、ここで相当の暴力ざたまで起きている。こういうふうな事情で、それに基いて、あとで組合側に対する強制捜索やあるいはまた逮捕が行われているという事件であります。この事件に対しましての警察側処置一つお話し願いたいと思います。
  78. 小倉謙

    小倉説明員 当日、警察側は一一〇番等の急訴によりまして出動をいたしたのでございますが、入口のところで組合員が入ることを非常に拒否をいたしまして、しばらく立っておるうちに、大体騒ぎが終ったからという話がありました。話し合いがついたからというようなことでございましたので、一応警察側は引き揚げまして、その後直ちに調査に着手をいたしたのでございます。調査を開始いたしましたところ、会社側からの告訴があり、またいろいろな陳述があり、警察としましては、これは双方にけが人があるのではないかということで、組合側に対しましても、よく事情を話してもらいたいということで、たびたび出頭をお願いをしたのでございます。ところが組合側におきましては、なかなかこの出頭に応じていただけない、なかなか事情がよくわからない、こういうようなことで非常に困ったのでございます。その後の状況の捜査によりまして、建造物損壊あるいは侵入というような点あるいは傷害というような容疑が明らかになりましたので、必要な捜査をいたし、必要な被疑者を逮捕しまして取調べをいたしますとともに、さらに組合側に対しましても、被害者あるいは参考人等に、早く一つ事情を教えてもらいたいということで、たびたびお願いをして参りました。ところが、その点も十分な御協力が得られない。こういうような状況のうちに、この事件警察でやってもらわないで、検察庁の方でやってもらうからということで、警察に対する話は一応打ち切られたというような格好になっておるのでございます。
  79. 濱地文平

    濱地委員長 安井さん、なるべく一時までに質疑を終了していただくように御了解を願っておったのですが、まだあと二人ばかりありますので、どうぞその点お含みおきを願っておきたいと思います。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 急ぎます。この事件につきまして、初めから警察側は全然予見できなかったのですか。その四階のごたごたをいつ知りましたか。
  81. 小倉謙

    小倉説明員 先ほども出し上げましたように、一一〇番等の急訴によって承知をいたしたのでございます。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 警視庁の公安二課の松原係長が初めからこの事件を見ていたという話がありますが、どうなんでしょうか。
  83. 小倉謙

    小倉説明員 その点。私は正確に直接聞いておりませんが、あの争議は御承知のようにいろいろ紛議をかもしておる状況でございますので、外部から状況を見ておった。その事件現場にはもちろん本人がおったということはありません。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 しかし見ているとすれば、何か起きるぞというふうな予感なり何なりが、これはわれわれしろうとと違うのですから、おわかりになっていたのじゃないかと思うのですがね。
  85. 小倉謙

    小倉説明員 仮処分がありました直後でありまして、会社側組合側ともにいろいろな動きがありましたので、状況を見ておるという程度で外部におったということでございます。特にあのような事案に発展するというような予見といいますか、状況を知っておったということはございません。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 今の問題も、あげれば非常に多くの問題点があると思うのです。これも組合側の話なんかをお聞きいたしますと、この夜、四階には女子七名を含む十七名の組合員がいました。そして夕食にかかろうとしていたところへ、四十人近い非組合員が手ぬぐいやタオルで顔をおおい、ほうきやバケツを持って入り込んできて、あすからここで仕事を始めるので掃除をする、じゃまだから出ていってくれ、そう言いも終らないうちから、乱暴にいすや机を一カ所に寄せ始めた。その掃除ということは実は口実のようで、実際は電話線を引きちぎったり、いすをほうり出したり、これは雑誌社なんですから、電話というものがなければ、特に編集室ですから大事なものであるにかかわらず、そういうふうな措置をし、あるいは窓を締めてカーテンを引いたというような事実、五百ワットのライトで照明しながら八ミリのカメラで撮影をしたというふうなことも言われております。会社側の話も私ども聞いておりますけれども会社側は単なる掃除だけだ、そういうふうに言うわけでありますけれども、今申し上げましたようなこういった態度があったということからすれば、これはもう明らかに初めから、単にあくる日から仕事をするので掃除をするのじゃなしに、組合員をはき出してしまおう、そういう掃除が会社側に意図されていたのではないか、そういうふうなことが考えられるわけです。  それからもう一つは、この行動によりまして、だいぶけが人なんかが出ている。組合の方からのけが人がどれくらいで、それから会社側のけが人はどれくらいか、それだけお知らせ願いたいと思います。
  87. 濱地文平

    濱地委員長 あとから申し上げていいですか。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 けっこうです。
  89. 濱地文平

  90. 臼井莊一

    臼井委員 時間がないようですから、簡単に一、二点御質問申し上げたいと思います。今社会党の皆さんから、メトロ交通並びに主婦と生活社の争議のことについていろいろ御質問があったわけです。最近中小企業の争議が頻発して、しかもこれは深刻なる争議が行われておるということは非常に遺憾なことでありますが、事実はそういう趨勢にある。今御質問状況を聞いておりますと、何か会社側だけが、いわゆる経営者側だけが非常に非があるように聞えるような内容なんでありますが、私どもは、もとより経営者とかあるいは組合側、どっちにも加担するものではございませんけれども、ただ今安井君からも要望がありましたように、下の方の警察官に何か注意を与える場合に、その点が非常にむずかしいと思うのです。労働争議には直接関与しないということ、これは長官も警視総監も言われる通りで、もう当然だと思うのですけれども、いやしくもそこに犯罪行為があった場合には、遅滞なく、また容赦なくこれを取り締るということが警察の任務であり、これによって私は社会の秩序というものが維持できるというふうに考えております。ところが実際には、実情を私たちわきから見ていると、争議に対しては非常に警察署は細心というか、むしろ憶病に近いくらいに、なるべく関与したくないという、こういう状態が見える。これは争議の内容に関与しないことについてのそういう行き方は当然でありますけれども、ややともすると、犯罪行為があっても、これに対して取り締ることに何か憶病であるというふに見られる。そこで経営者側あるいは組合側、いずれの側からいたしましても、集団的な威迫行為とか暴力行為があった場合に、これが法律に従って警察署において取り締れないということになると、勢い自衛ということから暴に対するに暴をもってするということになって、そこにさらに一そうの騒動が持ち上って問題が大きくなるということになるのであります。そこで私の知っている一、二の例を聞きましても、ただいまのメトロの問題にしても、何か組合側の方を見ると、やはりそこに非常に行き過ぎた、むしろ犯罪を構成するんじゃないかと思われるようなことがある。ということは、たとえば争議の当初において、組合側が職員を取り囲んで、要するにつるし上げ的な威迫行為を行なって、そうして職場に出てくことができないようにして、職員が次から次へ自分の身の危険を感じて、また不安を感じて休んで出てこない。結局、それは職場というものが組合一方側の手によって管理態勢に置かれるということに持っていこうという、考えようによっては非常に巧妙な行き方かもしれませんが、そういうことはやはり私は違法の脅迫的な行為だと思うのでありますが、そういう事実があったかどうか、その点を一点お伺いしたいと思います。
  91. 小倉謙

    小倉説明員 ただいま具体的な資料を持っておりませんので、後ほどお答えいたします。
  92. 臼井莊一

    臼井委員 それではもう一つお伺いしますが、主婦と生活の争議の場合においても、何か組合員側が、やはりこれはそれをあるいはやるような情勢にあったからやったのかもしれませんし、興奮してのことであるかもしれませんが、何かシャツターを破壊して、そうしてそこに違法行為的な乱暴を働いたといううことがあって、それを何とかしてくれと言ったけれども、それも逮捕ができなかったということが経営者側の言い分のようなんでありますが、そういう事例もやはり御存じないのかどうか、その点を、一つ伺いたい。
  93. 小倉謙

    小倉説明員 ただいまお話の点は、おそらく四月十七日の先ほど私が申し上げた際の行動の一部であろうと思います。この点はその後慎重な捜査をいたしました結果、被疑者を逮捕いたしたのであります。
  94. 臼井莊一

    臼井委員 そこで、そういうふうに争議になると、ややともするとお互いに違法行為を行いがちでありまして、なお聞くところによると、たとえばメトロ争議において、ナンバーを経営者がはずさざるを得なかつった。そこでさっき承わりますと、ロックアウトをしているのに占拠しているというので、もしそれが出てくるというとお互いに乱闘になってはいかぬというのでくぎづけにした。それは違法であるというので、さっき社会党の委員諸君からその点を指摘をせられておるようですが、これは善意に解釈すれば、やはり乱闘になることを防いでナンバーをはずそうという挙に出たことは、先ほどの警視総監解釈もそういうような意味にとれた点があったのですが、しかしナンバーをはずさざるを得ないことも、やはり組合側自動車を持って大阪の方まで宣伝ですか何かに行ってしまったとか、あるいはその後も自動車を隠してしまう。要するに組合でその経営を管理するということ、これは考えようによると横領といいますか、何といいますか、そういうようなふうにも解釈できるような違法行為もあった。そこでナンバーをはずさざるを得なくなった。こういうことになったように承知いたしておるのでありますが、そういうふうにお互いに言い分としては確かにあるし、正々堂々と争議を行うことは、これはお互いに権利の主張でありますからよいとして、やはりいやしくも違法行為があった場合には、たとい小さな問題でも、これはやはり看過することなく、警察官としては厳重にこれを取り締るという態度に出ることが、秩序を維持して、自衛だ、自衛だといってお互いに暴力をふるい合うようなことにならない一つの予防にもなるのであります。そこで当初のあれに戻りまして、あまりに争議に介入することに注意するあまり、なるべく危ないものを避ける、触れないようにしようというので、違法行為まで見のがすことになると、秩序というものが保てない。そういう場合には、私は、やはり勇敢に法の示すところに従って、経営者側といえども、あるいは組合側といえども断固として取り締る、こういうことが必要だと考えます。その点について当局の御意見を伺いたいと思います。もちろん警職法も流れてしまった今日、社会党の安井さんの方では、なるべくそういうものには警察は手出しするなと言う。また前の委員の方は、経営者側で被疑があったのをなぜ見のがしておくのか、自動車に乗ってくるのがわかっておるのをなぜほっといたか。いずれにしてよいかということが非常にむずかしい。警察側の立場としては非常にやりにくい点はわかるのですが、何か違法行為のあったというときには、直ちにこれを断固として取り締る。こういうことであるべきだと考えますが、その点について御意見を承わりたい。
  95. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいまのお話、まことにごもっともに存ずるのでありまして、先ほど来申し上げておりますように、警察といたしましては、争議行為そのものに介入する意図は毛頭ありませんが、それに関連して起りまする違法行為というものについては、決してこれを見のがすことなく、厳正に取締りを実施いたしまして、法の適正な執行を期する。法秩序を確保するということに今後とも努力して参りたいと考えます。
  96. 濱地文平

    濱地委員長 川村継義君。
  97. 川村継義

    ○川村委員 長官にお聞きましておきます。約束の時間がきているようですから簡単に申し上げておきたいと思います。今日までいろいろの争議が起っておりまして、今だんだん質疑がありましたメトロの事件であるとか、あるいは主婦と生活社の問題であるとか、次から次に争議が起りまして、大へん好ましくない状態が生れているということは、まことにわれわれとしても残念に思います。しかし、おそらく当局もそういう感じを持っておられるのじゃないかと思いますけれども、何といいましても、何かしら警察の手段において公正を欠いている、あるいは片手落ちじゃないかと思われるような印象をぬぐい去ることができないと私は思うのです。特に近年これらの争議に非常に警官が入ってくる。警官が入ってくると必ず傷害事件が起ってくる。こういうような事態が出てきているということは、まことに私たちは残念と言わねばなりません。先ほど長官は争議そのものには決して介入する意思がない、こう言っておられますが、これはその通りだと思います。またそうなければならぬと思います。ところが、いつかも指摘したのじゃないかと思いますが、一地方の例の興国人絹の争議の問題、あるいは日産の工場の閉鎖の問題等においても、警察署長そのものが早く警官の出動を要請しろ、こういうことを経営者に再三再四要求しているという事実もある。それは幸いにいたしまして、私が今申し上げましたこの二つの事件は、経営者が警官の出動を要請するというようなことがなかったので、何ら傷害的な事件が起らず、落ちつくべきところにこの争議が落ちついている。今申し上げましたように警察官が、署長というような責任ある人が、出動を要請しろと要求するような、こういう事態は、私はこれは許せないと思うのです。先ほど長官が言っておられることと、末端のそういう第一線にあるところの人たちの行動との間には相当ズレがあるのじゃないか、こう考えざるを得ません。従ってこういう点については十分一つ長官としても今後の警察行政の面について注意を払っていただかなければなりませんが、特にお考えいただきたいと思うことは、先ほど申しましたように、警察官が出ていかれると必ず何かここに不祥事件、けがをするというような事件が起るということは、これはよほど行政を担当される責任者としても注意してもらわなければならぬことじゃないかと思うのです。  私がお聞きしようという事件は、先月の二十九日と昨三日に、熊本において自由労組の諸君と警官の衝突事件が起きておるようでありますが、これについて報告が来ていると思うのですが、どういう報告が来ておるか、それを一つお聞かせいただきたいと思う。
  98. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいまの前段について私お答えを申し上げたいと思いますが、警察官が出動すると必ず不祥事件が起っておるというお話でございますが、私は、そうは考えないのでありまして、ある事案につきまして警察の出動を要請するというのは、そこに警察が職権に基いて行動を開始すべき必要な状態があったときにおいて初めて要請という問題が起るのでありまして、それはとりもなおさずそこに不法行為が展開されておるという状況において初めて要請という問題が起る。あるいはもう不法行為が起る寸前であるというような場合において、暴行であるとか、あるいは傷害であるとか、あるいは不法監禁であるとかいうような場合に、事後に捜査をするということよりも、事態を未然にあるいは最小限度の被害をもってこれを食いとめるというようなために、警察官の出動が早い方がいい場合もあるわけでありまして、みだりに警察官が出たがって、出動を要請することを慫慂しているというような事実はないのでありまして、警察官が出れば事態がおさまるような状況にもかかわらず、非常な被害を受けて、あとでこれに対しての非常な苦情なりあるいは原状回復の困難というようなことを訴えられても、警察では間に合わない場合が多々ありますので、そういう場合に限って出動を要請され、またこれに適切に応ずることが警察としてその職責にこたえるゆえんであろうと思うのであります。  最後にお尋ねの熊本の事件、私はまだ報告を受けておりませんが……。
  99. 川村継義

    ○川村委員 今あなたがおっしゃったことはよくわかります。それはもうその通りでなければならぬと思うのです。ただ私が申したいことは、いろいろな争議の場合に警官の出動を見る。そうすると警官と争議団との間に必ず衝突が起きてくる。そこに負傷者を生ずる頻度が、前に比べて今日は非常に多くなっている。私はこういうふうに見ておるわけであります。熊本の問題の報告が来ていないということであれば——これは来ておりますか。
  100. 江口俊男

    ○江口説明員 ただいま報告が参っておりますのを私もまだ読んでおりませんけれども、大体のことを申し上げます。  昨日のことでございますが、簡単に要点を申し上げますと、二千五百名くらいの全日自労の人たちが知事に面会を求め、団体交渉をやりたいということを要求いたしましたが、知事としましては、正常なる労働慣行を樹立しようという既定方針のもとに——これは人数を限って知事が交渉に応ずるということでありますが、このことを主張いたしましたけれども組合側はこれを聞かない。ちょうど昨日は県議会の一般質問の最終の日に当っておりましたところから、議会に出席しようとする知事を待ち受けて面会を強要しようという戦術に組合側が移行いたしまして、そういう目的のもとに議会事務局周辺にやはり二千五百名の動員を行なって、知事が議会に入ろうとするところを妨害したのでございます。このことによりまして、知事からの要請もあり、警備部隊が約二百名、実力でその組合の妨害を排除して知事を入れることに当ったわけであります。この騒ぎを通じまして、公務執行妨害あるいは傷害というような容疑で組合員四名の逮捕者を出しているという実情でございます。この際、警察官の側におきましても十名の負傷者を出したという報告がただいま参りました。  なお詳しいことがあとの方に書いてございますが、まだ読んでおりませんので……。大体の事情はそういうことでございます。
  101. 川村継義

    ○川村委員 国会も休会になりますので、そういう点われわれも実情をよく調査してみたいと思いますが、私が申し上げたいのは、その事件の経過は私もよく存じません。ただ問題の警察官行動でありますが、簡単でありますので、きょうの新聞に報じておるのを読んでみますから、長官、お聞きいただきたいと思います。「就労日数増加と夏季手当を要求して闘争中の全日自労熊本県支部、同熊本分会の組合員約三千三百人は三日、同県下初の全面ストを決行、寺本知事との会見を求めて同日午前十時ごろから県議会議事堂を包囲したため、同日午後二時五十分、県庁内で待機していた熊本県警本部機動隊と熊本北、南両署員二百三十人の警官隊が実力を行使、組合員四人が公務執行妨害で逮捕され、自労側に三十人、警官側に八人の負傷者を出した。この際、ほとんど無抵抗の組合員に対し、警官隊は髪をつかんで引っぱり出し、よろめくのを背後からけったり、足を持ったまま引きずり出すなど手荒い行動をとり、組合員の怒声や婦人の泣き声で埋まった。」こう書いてあります。今そちらの方からお話がありましたように、事件の経過はそうであったかもしれません。これは先月二十九日にこういう手当の問題、給与の問題、就労日数の問題で知事に面会を求めたときに、知事がこれを拒否したために一騒動起しておるわけです。おそらく昨日の問題も、知事に面会する、交渉するというようなことで、今お話がありましたように知事の方から、会う場合に人数を区切るということがあって、もつれてきただろうとは思います。そういう点に警官隊の出動ということが出てきておると思いますけれども、この報道からいたしますと、狭い議会に二千名、三千名の諸君が押し寄せていけば、それは取り囲んだような状況にもなりましょうし、これは大へんだというような大きな事態をかもし出すということは考えられますけれども、ただ、その場合に警官隊が実力を行使して、今私が読みましたように相当逸脱しておるのじゃないかと思われるような実力行使をやってこれを排除しておるということなのであります。私がこう申し上げますと、おそらく長官は、それはよく実態を調査しなければわからないとお答えになるかもしれませんが、今私が申しましたような、ほとんど無抵抗の組合員に対し、警官隊は髪をつかんで引っぱり出し、よろめくのを背後からけったり、足を持ったまま引きずり出すなどの手荒い行動をとり、組合員の怒声や婦人の泣き声で埋まったと報じておりますが、こういう点について、警官隊の行動そのものについて長官はどのようにお考えになっておるか、この際一つお聞かせおきいただきたいと思います。
  102. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいまお話しのように、事情をよく調査してみないと実際わかりません。報道にあるいは誇大な点も時にないとは限りませんから、事実かどうかもよく調べてみたいと思いますが、最近行われます無抵抗戦術と申しますか、そういうものの一例としまして、たとえばコンニャク戦術というようなことをやる。これは非常にがっちりとすわり込んでスクラムを組んで通れないようにする。そしてこれを排除しようとして行けば足でける。ほとんど無抵抗というのですから、若干抵抗したというのはそんなことではないかと思いますが、そういうことで警察官等もけがをするわけであります。これを引き抜くためには、どうしても足を引っぱるとか、手を引っぱるとか、一人をはずすのに三、四人かかるというような状況において現在はこれを——一部知事なり何なりの通路をあけるということをやるのでありまして、背後からけるというようなことはおそらくなかったであろうと思いまするし、足を持つというようなことは、そういう状況においてやむを得ないという場合が非常に多いわけであります。熊本の実例は、私先ほど申し上げましたように全く知りませんので、これについて具体的に申し上げるわけには参りませんが、最近の事例としては、そういう事案がかなり多く見受けられるということを申し上げておきます。
  103. 川村継義

    ○川村委員 長官は今、やむを得ない事態にそういうことが起り得るというような御見解でありますが、あなたの御見解としてはおそらくそうであろうと思います。ところが、先ほどから各委員からもお話があったように、近時警察官諸君の中に、どういう指導がなされておるか知りませんけれども、労働争議そのものを何か罪悪視する、犯罪的に見るというような見方が高まっているのじゃないか。だから以前はそう心配するようなこともなかったのだけれども、近時こういうように争議などになりますと、すぐわっと襲いかかっていって、やむを得ないということよりも、もう心の中では敵対的な気持でこういうような諸君を処理しようとする気分が出てくるのじゃないか、こういう点、私は警察官の立場からして非常に残念に思うのです。今お話し申し上げて、お考えをお聞きしているような問題については、なるほどそれは実態をよく調査してみなければわからないと思いますけれども、御承知のような近ごろ起りました本州製紙工場の問題でございますとか、あるいはそのほか近年いろいろと組合側あるいは参加団体との間に警察官との衝突事件が起っておりますが、そういうようなことから、私が先ほど申し上げましたようなことを突っ込んで考えていかなければ、将来警察官行動というものが誤まった方向にいくのじゃないか、いわゆる当初申し上げましたように公正を欠いたり、あるいは不公平な取扱いになったりするようなそういう心配が出てくる、こう考えなければならぬと思うのです。今の実力行使の問題にいたしましても、これはよほど注意をして将来長官の方で指導していただかなければならぬと思うわけであります。やむを得ない場合も幾多あるかもしれませんが、それらのことは長官がおっしゃらなくともだれでもそれは良識として考えられる。まあ大へん変な言葉ですけれども、この前警職法がつぶれた。このことについていろいろ皆さんの方では何か不平を感じておられるのかもしれないし、岸さんの言葉をかりて言うならば、まあ何かの形で警職法はやっていきたいというようなことをたびたび言っておるから、どうもわれわれが勘ぐってみると、もう一ぺんああいうやつ出してやっていかなければならぬという、その理念の下工作みたいにこういう状態があるのじゃないかと思わざるを得ない。そういうふうに邪推をめぐらしてみなければならない事態が起るわけです。こういう点を一つ十分御配慮いただきたいと思うのです。この問題についてはまたそれぞれ実態も調査いたしましょうし、次の委員会等でお尋ねすることがあると思いますけれども、要するに私が申し上げたいと思うことは、実力行使ということについて、度を越した、今新聞が報じておるようなこういう状態が生まれるということは、決して好ましいことではない。警察官の取締り、処置することにはいろいろ苦しい状態があるかもしれない、やりにくいことがあるかもしれませんが、やはり警察官には警察官の職分というものかあると思う。それを大きく逸脱してその目的を達するということについては、よほど注意していただかなければならぬのではないか、こういうように考えるのです。いかがかですか、最後にお答え願いたい。
  104. 柏村信雄

    ○柏村説明員 確かに警察官が必要以上な行動に出るというようなことは厳に戒めなければならないところだと思います。しかしながら多くの場合において、決して警職法の下ごしらえとか、争議そのものを敵視するという意図をもって行動しておるということは万々ないというふうに私は確信をいたしておるわけでありまして、先ほど来申し上げておりますような警察の基本方針に従ってやっておる次第でありますが、時に争議行為が非常時に先鋭化する、あるいは大衆行動が激越化するということのために、警察としてもやむを得ず、そのことだけを見ると、もっと何か方法がありはしないかというような方法にまで行動をとらざるを得ない場合も起るということを御了承願いたいと思いまするし、大衆運動とか、労働争議とか、そのもの自体についてどうこうするわけではございませんが、こういうものを指導する人たちが、できるだけ冷静な、法に基いた指導をするという雰囲気も大いに作っていく必要があるのじゃないかというふうに考える次第であります。警察としても、戒むべき点は今後十分戒めて参らなければならぬと思います。
  105. 濱地文平

    濱地委員長 本日は、これにて散会いたします。  なお、次会は八月十日に開会する予定でありますから、お含みおき願っておきます。     午後一時二十五分散会