○横山
委員 それでは、
委員長によろしくお願いをいたしておきます。今は四時半でございますから、私は率直に言って二時間ぐらいと思っているのですけれども、お疲れのことでございますから、問題点を提起して、恐縮ではございますが、次会にお取り計らい願いまして、冒頭に御協力願って御
答弁を主管大臣から願いたいと考えております。
私が問題にいたしたいのは、最近における
中小企業金融であります。機会がございまして
中小企業金融をいろいろ調べておりますうちに、これはどうしても
現状ではいかぬ、根本的に
改善をしなければならぬということに、私としては考えが至ったのであります。
たとえば、もうすでに人口に膾灸されているところではありますが、
中小企業金融の欠陥というものは、一律にそれぞれの
金融機関を引いて申しますと、相互
銀行は、御承知のように歩積み、両建で、幾ら借りているのやら、あるいはまたその利子が幾らやら、ちっとも利用者にはわからぬという
状況が一向
改善をされず、そして相互
銀行本来の掛金業務がだんだんウエートがなくなって、そして、大臣みずからが、相互
銀行の
中心業務は掛金業務でなければならぬけれども、最近では漸次減退して、
金融制度における大きい特質が失われているということを
銀行大大会で言っているわけです。
信用金庫はどうだろうか。信用金庫に今実際の効果というものが出ているであろうか。ところが、信用金庫それ自体が、組合精神がなくなって、
銀行の立場というものを強調している。コストは高い。それから人による運営というものは一向打破しきれない。そして、今やいいところと悪いところとの落差が非常にあって、整理統合が叫ばれている
段階である。
信用組合はどうであろうか。信用組合は、私どもはかねて言っているのでありますけれども、各県の県知事の政治的な配慮によって作られたりなんかしている。
そして、全般の
中小企業金融の中で、大蔵省の監督のらち外にある不動産
銀行はどうであろう。不動産
銀行は、本
委員会で不動産
銀行の設立を了としたときには、
中小企業のためであったはずだ。それが今
中小企業金融のために不動産
銀行は一体動いているであろうか。そうなりますと、もうそういうような性格は看板だけであって、実際は、
中小企業金融のために、本筋を生かして零細
企業に重点を置いているようなことは絶対にないと言っても、はなはだしくない。
信用保証協会はどうであろうか。一言をもって評するならば、信用保証協会は、保証しなければならぬものも保証しない。それが信用保証協会の運営業務といったら、信用保証協会は怒るかもしれぬ。私の方は保証してもらってこいというから、
銀行へ責任をみんな預けてしまうような
状況ではあるけれども、しかし、それではそれで信用保証協会に責任がないと言えるであろうか。私は断じてそれは言えないと思う。今も私は信用保証協会の必要性については認めるけれども、しかしながら、その運営についてはどうしても
改善の必要があると思う。
商工中金はどうであろうか。一例を申し上げますが、商工中金へ行って、個人の金あるいは一つの会社の金を借りたら
——中小企業金融公庫の金を借りれば、たしかそれは九分三厘です。ところが組合の金を借りたら九分六厘です。自分のところの金よりも、よそさんの金の方が安いという
状況です。そして、その運営についても、また欠けるところが一ぱいある。
中小企業金融公庫はどうであろうか。これは、たとえば直
貸しを申し込んだら、まず三ヵ月か四ヵ月かかる。これで一体
金融といえるであろうか。しかも、その機構、人事については、
中小企業者の
要望にこたえるところがはるかにない。
国民金融公庫はどうか。大体今申し込みが
平均六十万だそうでありますが、実際これに対して貸されている
金額は、
全国平均で二十三万、
都市平均で二十七万だという話です。そうすると、まるっきり半分しか必要を満たしてない。しかし、これは顕在
需要でありますから、
潜在需要から比べるならば、
国民金融公庫は全くその
中小企業者の
要望にこたえてはおらぬ。はなはだしきに至っては、中金にしろ、
国民金融公庫にしろ、信用保証協会の保証をとって金を
貸しておるというばかげたことが、議論の上では、だれしも、そんなことはおかしいのですがと言っているのだけれども、これが
当りまえのように行われておる。
零細
金融として設立された中金あるいは
国民金融公庫に、なぜ一体保証協会の保証が必要なのか。今まで何回も本
委員会で指摘されながら、
国民金融公庫に保証をとらしておることを、どうして一体
政府は認めておるのであろうかということを考えてみますと、この
中小企業金融の
状態については、まるっきりでたらめな
状況だと私は思うわけです。しかも、それらを通じて、
政府機関はともかくとして、民間の
中小企業金融機関は、昔と違って絶対につぶれないという一つの保証によって守られておる。そうして
政府の
銀行行政というものが公けにされないで、非公式に、秘密、隠密に指導されておるために、何らその欠陥というものは表に現われてこない。だから、何か事が起った場合においては、今
政務次官をしておられる奥村代議士のごときは、野党のような旺盛なる意欲をもって
政府を追及されたことがあるのであります。その人が
政務次官になられたのでありますから、私はここに格段の
改善がなされると思うのでありますけれども、この際問題の所在を明らかにしていく必要があると私は思います。
こういう機構の不完全、機構の戦国時代にさらに便乗をいたしまして、では、
中小企業全体の
状況はどうかと申しますと、これは、たとえば神武以来の不況になった場合の例を取り上げてみるとわかるのでありますが、あのときの
状態を考えますと、私どもは、たとえば池田大蔵大臣と
懇談会をいたしまして、たしかあのときには百五十億でありましたか、そのほかの分も合せて三百五十億を不況のときに
中小企業金融の中に投入をしたのでありますけれども、その結果、
中小企業向け融資の
状況は、三十一年度に合計五千五百六十二億、三十二年度には投入したにかかわらず二千九百四十三億、三十三年度はもとへ戻って五千六百六十七億、これに比べて、大
企業の方は、三十一年度が六千六百二億、三十二年度はまさに七千七百七十億、三十三年度はもとへ戻って五千二百四十四億、つまりこのことは、デフレの場合においては、極端に大
企業に融資が順調にいき、
中小企業にはどんなに金をぶち込んでも、
金融が不工合になるということを意味しておるのであります。私が何を言いたいかというと、従って、単に、
中小企業向け
資金を多少増減することによっては、
中小企業金融というものは救われない根本的な欠陥がこの際あるのではないか。つまり、
中小企業金融機関の機構の問題、そうして
資金の配賦の
状況について根本的な
改善をしなければだめではないかということを、私は指摘したいのであります。
そこで、次会に
政府側から所見を伺いたい点を申し上げますから、どうぞ、できたならば、次会は、
政府の
中小企業金融に対する今後の
改善方針、そういうものをまず冒頭に伺いたいのであります。それを伺って、それから私の質問をいたしたいと思うのでありますが、その
改善の中に御
検討を願いたい二、三の点を申し上げたいと思うわけであります。
第一は、こういうことを
検討していただきたいのであります。それは、たとえば建築をします。この場合に土建業者と建築主の間に紛争がございます。そういう場合には、その事態を収拾するための紛争処理
機関というものがあるわけですが、
金融についてはそれがないのであります。私は妙なことを申し上げますが、税金だって苦情処理
機関がある。建築だって苦情処理
機関がある。だから、この
金融についても、そういういざとなれば
——大丈夫だというのでありますが、
金融機関とそれから
預金者ないしは
銀行、
金融機関から金を借りた者との間に、
金融苦情処理
機関というものを置く意思はないかどうか。これを各財務部ごとに置く必要がありはしないか。私は、こういう紛争の二、三の例を知っております。これは
政務次官がかつて問題に取り上げたこともあるのでありますけれども、そういう問題を
大蔵委員会でやる、あるいはどこそこでやるといってもやれない。そういう問題は、全く
金融機関がいざとなって必死になったならば、これはつぶれるかつぶれないかという場合であるから、
預金者なりあるいは金を借りた者の立場というものはどうしても抹消される。そういう点で紛争処理の機構をお作りになる意思がないかどうか。これが第一であります。
それから、第二番目は、信用保証の問題であります。先ほども申し上げましたように、保証を必要としないものに保証をさせ、保証をすべきものについて保証をしない、こういう言い方を私はいたしました。多少極端かもしれませんが、信用保証協会というものが健全な運営、利益の上る運営をしようと思った場合、あるいは
銀行がこれから少し窓口を締めるそうでありますが、窓口を締めようと決意した場合においては、往々にしてこのあやまちというものが爼上に上ってくると私は思うのであります。いわんや、保証協会は県や市で運営をいたしておりますから、その県や市は、
金融相談所といいますとすぐに保証協会に行かせるわけであります。保証協会に行かせるから、保証協会は、それでは私のところで保証してあげますから、これを持って
銀行にいらっしゃい、こういうことをやります。県や市が
金融機関の宣伝をしませんで、保証協会の宣伝をしていく。そうすると当然こういうことになってくる。その危険性を私は方々で承知いたしておるわけでありますが、その
改善策やいかんという点であります。また、信用保証をしてもらったものに対して、
金融機関が
金利を安くすることは当然ではないかと思っております。これは、保証をしたものは
銀行は代位弁済ができるわけでありますから、当然それの
金利を安くしてもいいのではないか、ということ等の御
検討を願いたいのであります。
その次に、サラリーマン
金融についてであります。これは
中小企業金融とちょっと違うのでありますけれども、その昔庶民金庫というものが御存じのようにございました。しかし、今あらゆる分野において
金融の道が大なり小なり開かれておるのでありますが、ここに一つ欠けたるものは、サラリーマン
金融とでも申しましょうか、庶民
金融であります。これは金を借りることができません。せいぜい
住宅金融公庫とか何かによって、間接的に金が借りられるのでありますが、これは借りる方の立場ではありません。貸す方の一方的采配によって、抽せんその他によって決定せられるのであります。現に金を借りるサラリーマンが、たとえばもう退職金をカタにしてうちを建てたい、あるいは娘を嫁にやりたい、あるいは子供を大学へやりたいというような場合において、どこから金が借りられるのであろうか。労働組合のあるところならば労働金庫から借りられるけれども、その場合はせいぜい月給二月分くらいしか借りられません。従って今一番取り残されておるところがこれではなかろうか。私は、一案として、そのサラリーマン
金融というものを労働金庫にやらしたらどうであろうかと思っているわけであります。労働金庫の員外利用を認めたらどうか。預貸率の
状況から考えて、それは可能ではなかろうか、こう思うわけであります。
それから、同じく労働金庫を取り上げましたついでに御
検討願いたいのは、かつて参議院の
大蔵委員会で取り上げました社内
預金の問題であります。私は、今日ほど
金融について直接ないしは間接的に
政府の一つの方針が浸透いたします中で、社内
預金だけが放置されているということについては、いかがなものかと思うのであります。おそらく私の
推定でも九百億くらいあるといわれておるのでありますが、その社内
預金を禁止をするということも一つの
方法であり、ないしは高利を取り締るというのも一つの
方法であり、ないしは
預金の最高を押えるということも一つの
方法ではなかろうかと思うのでありますが、この社内
預金について
政府が今放置をしておるということについては、いかがなものであろうか。特に
中小企業などは社内
預金をさして、それを自分が使って、会社がつぶれて、従業員に銭が返せないというようなことは、往々にして見られるところでありますけれども、それについての御
見解を伺いたいのであります。
その次は、貸金業法の問題であります。佐藤大蔵大臣は、貸金業法について、先般車中談でしたか、選挙最中で公約をいたしました。その公約についていろいろと私は
意見があるのでありますが、この際
政府の立場を明らかにしていただきたいのであります。貸金業法について、どういうふうに、どういう角度で提案をするのかどうかという立場を明らかにしてもらいたいのであります。
その次の問題は、
中小企業金融公庫と
国民金融公庫の立場についてであります。私は根本的にこの
国民金融公庫というものの飛躍的な性格の変更を
意見として申し上げたいのであります。それは六十万
要望が出ておる中で二十三万しか
貸してないということ、それから今日の機構、人事でどうして一体
中小企業金融の
状況を満たすことができるかということ、もら一つは、今の
中小企業民間
金融機関の先ほど申しました
状況からいって、この際一つ
国民金融公庫と
中小企業金融公庫とを一本にして、そうしてたとえば国民
銀行というようなものを設立をする。もうすでに、一部の学者の中には、これをたとえば二本にするという
意見も出ておるわけでありますが、そういうような
方法をとることによって、
中小企業金融について
政府が飛躍的な機構の充実強化をすべきではないかと私は確信をいたしております。この国民
銀行についての私の具体的な
意見についてはさらに申し上げたい点がございますけれども、もうすでに頭のいい方ばかりでございましょうから、大体何をねらってあるかということはおわかりでありましょう。要すれば、民間の
中小企業金融機関の今日の欠陥を根本的に是正し、そうして
政府の
中小企業金融についての基本的な考え方を、一番最初の発足のときから歴史的にも変ったのでありますから、この際思い切った
改善をすべきではないかというのが、私どもの
見解なのであります。
それから、その次には、先ほど申しましたが、相互
銀行の
改善案であります。相互
銀行の問題点は、もう人口に膾灸されておるところでありますけれども、大臣が相互
銀行大会で言った言葉だけでなくして、実際問題としていかにあるべきかということについての
政府の態度、方針、また希望するところを明らかにしてもらいたい。掛金をしていって、実質的には最後にはもう少ししか残っていないのにかかわらず、借りた全額の利子をいつまでたっても払わなければならぬというばかげたことや、幾ら借りておるか、幾らが利子なのかわからぬというようなことは、もうなくならなければならぬと私は思うわけであります。
まだあと、二、三あるわけでありますが、それは今言うと誤解を生じますから、以上のような点について
政府の所信を承わって、その際に
意見を述べたいと思うわけであります。それらの具体的な問題の根底をなす問題として、前提として明らかにしていただきたいことは、
経済情勢の把握であります。今日の
経済情勢をどういうふうに把握するか、それが
中小企業金融にどういうふうな影響をもたらすかという前提をお示しを願って、その中で諸般の問題についての御説明をお願いいたしたいと思うのであります。
私も、朝から待っておったわけでありますから、ほんとうならば、これらの問題について、時間をいとわずに十分に
質疑応答を尽したいところではございますけれども、お集まりなさっていらっしゃる皆さん方のお気持の辺もわかるような気もいたしますから、問題を提起いたしまして、次会冒頭にこれらの問題について
政府側の詳細なる御
意見を伺い、それについて質問をいたしたいと考えるわけであります。私の自分勝手かもしれませんから、
委員長の御
意見を伺って、今やれとおっしゃれば、今からでもやりますので、
政府側の態度も伺ってみたいと思います。