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1959-08-24 第32回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年八月二十四日(月曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 堀川 恭平君 理事 中島  巖君       逢澤  寛君    川崎末五郎君       島村 一郎君    砂原  格君       高橋  等君    徳安 實藏君       橋本 正之君    服部 安司君       堀内 一雄君    石川 次夫君       東海林 稔君    山中 吾郎君       山中日露史君    山本 幸一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君  委員外出席者          総理府事務官         (自治庁財政局         財務課長)   松島 五郎君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局次         長)      田中  彰君         文 部 技 官         (文化財保護委         員会事務局建造         物課長)    服部 勝吉君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    太田 康二君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         通商産業事務官 長田 正夫君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 八月十一日  委員久野忠治君、小川豊明君及び見玉末男君辞  任につき、その補欠として林唯義君、栗林三郎  君及び久保田豊君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員久保田豊君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として兒玉末男君及び小川豊明君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日  委員堀内一雄君及び松澤雄藏辞任につき、そ  の補欠として田中角榮君及び賀屋興宣君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣君及び田中角榮辞任につき、そ  の補欠として松澤雄藏君及び堀内一雄君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十四日  委員松澤雄藏君及び武藤武雄辞任につき、そ  の補欠として高橋等君及び山本幸一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員高橋等君及び山本幸一辞任につき、その  補欠として松澤雄藏君及び武藤武雄君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件(台風第七号等による災害  対策)      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件につきまして調査を進めます。この際、河川局長よりこのたびの台風災害につきまして発言を求められております。これを許します。山本河川局長
  3. 山本三郎

    山本説明員 お手元資料が差し上げてありますが、縦刷りの七号台風(八月十二日—十三日豪雨を含む)による災害被害状況及びその対策というのがございます。これは八月二十二日現在におきまして、県並びに地方建設局から報告のございましたそのままの数字を掲げてございます。順序に従いまして御説明を申し上げます。  第一ページはすでに御承知のことでございまして、八月の十二日ないし十三日の豪雨に引き続きまして、台風七号が、この図面に示すように本州を横断いたしたのでございまして、あとで申し上げますように非常な豪雨を発生したのでございます。また風も非常に強うございまして、住宅立木等に非常に大きな被害を及ぼしたわけでございます。  第二ページから第五ページにかけまして、建設省直轄改修をいたしておりまする河川につきましての警戒水位を突破いたしましたる河川出水状況並びに流域の雨量、それから被害状況並びに被害報告額が掲げてございます。これでごらんいただきますように、出水警戒水位を突破いたしましたる河川は、関東北陸中部近畿の各地方に及んでおります。このうちで非常な大きな出水を見ました分は、関東利根川水系でございます。それから富士川水系中部に参りまして木曽川水系揖斐川、それから近畿に参りまして淀川でございまして、これらの河川につきましては、計画高水位を、いずれもある地点におきましては突破いたしておる次第でございます。それらの河川におきまする被害報告額は、第五ページにございますが、二百二十四個所で二十一億五千九百万円余り報告と相なっております。  次は、第六ページの直轄でやっておりまする砂防災害でございまして、関東中部北陸の各河川におきまする砂防工事被害状況でございまして、これの被害額が十三個所で七千六百万円余りと相なっております。  次は第七ページでございまして、便宜私から御説明申し上げますと、直轄工事をやり維持管理をしておる部分の一級国道被害でございまして、これが六十六個所で六千三百万円と相なっております。  以上が直轄災害でございまして、これを合計いたしますと二十二億九千九百万円と相なっております。  次は、第八ページに参りまして、これから以降におきましては、府県並びに市町村が担当いたしまする公共土木被害状況がしるされております。これでごらんいただきますように、先ほど申し上げました各地方の二十三府県被害が発生いたしております。これに出水状況、あるいは被害地域等が書いてございますが、その点は書きものによりましてごらんいただくことにいたします。このうちで被害の大きいものは、先ほど御陳情のございました山梨県が、現在の報告は六十億ということ相なっております。それから長野県が五十五億でございます。それに引き続きまして十ページの滋賀県が二十五億ということに相なっております。その他十億をこす被害を受けておる県は、京都福井三重、それから岐阜におきましても、揖斐川の支流でありまする牧田川の堤防決壊いたしまして、土木災害としては少いわけでございますけれども、二千五百町歩の浸水が発生いたしまして、現在なお浸水を受けておる状況でございます。以上申し上げた各府県が十億以上でございまして、それらを合計いたしますると、補助として取り上ぐべき府県並びに市町村の行いまする公共土木施設被害報告額は、二百三十二億二千九百万円でございまして、以上建設省所管公共土木施設災害の総額は、直轄補助を合せまして二百五十五億二千八百万円ということに相なっております。  それでは便宜上、道路状況等も書いてございますので、わかる範囲におきまして私が御説明申し上げます。  十二ページは一級国道被害状況及び交通処理状況でございまして、これでごらんいただきますように、その後非常に復旧努力をいたしておりますが、なお多少の復旧ができないところが残っておるような状況でございます。詳しいことは道路局長から御説明があると思います。  十六ページ以後におきましては、建物の被害状況がしるされております。これにつきましても、御要求によりまして住宅局長からお話があると思います。  次は十八ページでございますが、5、といたしまして復旧対策が書いてございますので、これにつきまして若干の御説明を申し上げます。  一般的事項といたしましては八月十五日に、災害の発生の直後でございますが、建設省に七号台風災害復旧促進本部を設置いたしまして、災害の直後に建設大臣山梨県及び岐阜県、政務次官長野県の被害状況を視察されました。  次は、今次災害の中で特に被害が激甚でありました山梨県、長野県、京都府、滋賀県、福井県、岐阜県、三重県及び静岡県に対しまして、災害状況調査並びに応急復旧工法の指導に当らせるため、現地にそれぞれ係官を派遣いたしました。  次は、山梨県知事要請がございまして、災害復旧事業処理につきまして応援をほしいというお話がございました。これは技術家でございますが、それに応じまして埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、茨城県の各都県からさしあたり各五名ずつ、合計いたしまして二十五名を応援に派遣することを了解をいただきまして、それぞれ手配を完了いたしております。また長野県知事要請によりまして、同じく災害復旧処理に当らせるために、北陸地方建設局から九名を派遣することに決定いたしております。  次は、災害状況調査を待ちまして、早急に緊急査定を実施することにいたしております。その結果を待ちまして、予備金支出をお願いするわけでございますが、当面の復旧資金といたしまして、要請に応じましてつなぎ融資のあっせんを行うような考えでおるわけでございます。  第二番目は、直轄河川復旧対策でございますが、直轄河川の破堤もしくは決壊のため、次期出水に対し危険のおそれ大きいものにつきましては、年度既定経費、これは河川改修費等すでにきまった経費がございますが、これで立てかえ払いをいたしまして、緊急工事を行うことといたしております。その河川別の内訳は次の通りでございまして、これによりまして、たとえば富士川等は一億二千万円をすでに支出を決定いたしまして工事に着手しております。さらに岐阜県の木曽川水系揖斐川につきましても、六千二百五十万円の支出を決定いたしまして、工事に着手いたしております。  以上合計いたしまして、合計十河川に三億一千九百万円の事業費を決定いたしまして、それぞれ応急復旧工事に着手いたしております。  道路住宅等復旧対策もございますが、これは各局長から御説明をしていただきます。
  4. 佐藤寛政

    佐藤説明員 道路災害のおもなものについて御説明申し上げます。ただいまごらんいただいております資料の十二ページでございますが、この十二ページに一級国道被害状況及び交通処理状況といたしまして、二十二日現在の状況をごらんに入れてございます。今回の災害によりまして、道路におきましても各所に大小無数災害を受けたわけでございます。直ちに維持費等をもちまして、小規模のものは復旧努力いたしまして、交通支障のないようにいたしておるわけでございますが、そのうち一級国道交通どめに至りましたものを、ここに資料としてごらんに入れたわけでございます。一級一号、いわゆる東海道線におきましては箱根、それから三重県の鈴鹿の前後に相当な災害を受けております。しかしながら、これらはただいまは応急復旧いたしまして、とりあえず一車線交通を可能にいたしました。鈴鹿峠を越えまして滋賀県内に入りました土山町に、この資料の上から三番目に白川橋と書いた部分がございますが、この橋梁が、落下ではございませんが、非常に破壊をいたしましたので、この線は迂回線をここに書いてございますように、迂回路をもって交通処理はいたしておりますが、本線一級一号線それ自身は交通不能でございまして、ただいまこの橋梁応急修理によりまして、とりあえずやはり通すようにいたしたい。見込みでは、本日中に交通可能になる見込みでございます。それから東京付近では、十七号の三国国道、またその先の湯沢の付近、それからまた十八号の碓氷峠等にそれぞれ相当な災害がございましたが、これらは維持費または工事費をもちまして、一応交通可能な状態になっておるわけでございます。それから長野県の十九号がやはり相当やられまして、交通不能になったわけでございます。この十九号のおもな部分長野—松本でございますが、この区間は国の指定区間ではございませんので、県の鋭意なる努力によって、今日では交通可能になっておる状態でございます。  それからその次八ページに参りまして、二十号でございますが、二十号と申しますのは、東京から甲府通りまして松本まで参ります路線でございますが、これは山梨県のまん中を通っておる路線でございまして、この甲府の先も手前も非常に大きな災害を受けたわけでございます。しばらく交通途絶状態でございましたが、まずもって甲府までの交通は可能になり、現状におきましては、韮崎から長野県界に至る区間の間に、なお交通が通らないところがございますが、これは橋梁もみなやられた。それから川沿いでございますから、道路路床が流されておりますので、両側から一個所ずつ攻めていかなければなりませんので、かなり手間取っておりますが、これも県の努力によりまして、調査によりますと、本日中に交通が可能になる、こういう話でございます。  それから十四ページの方に参りまして、岐阜県内にもございましたし、それから十四ページの一番下に書いてございます二十一号の近畿、米原町醒ケ井、これが岐阜県から滋賀県を通って大阪へ入りますいわゆる東海道の二次線、大事な線でございますが、これがやはり現在のところ交通不能でございまして、これも調査によりますと、二十四日、本日中に交通開始になる、こういう情報でございます。  ちょっとミスプリントがございます。十三ページの一番下の甲府—韮崎市間交通不能と書いてございますが、これは大事なことでございますが、交通不能じゃございませんで、可能のミスプリントでございますから、御修正をお願いいたします。こういう状態でございまして、相当やられました。直轄指定区間になっておりますところは、維持費をもちましてさっそくにも復旧にかかっておるわけでございますが、簡単なものは一日、二日で交通可能に相なっております。大きなもの、つまり鈴鹿の先の土山町、それから山梨県の韮崎から先というようなところは、ちょっと工事が大きいのでおくれましたが、今明日から交通を開始する、こういうような状況に相なっておるわけでございます。簡単でございますが、以上で御説明を終ります。
  5. 稗田治

    稗田説明員 住宅関係被害並びにこれが対策につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  お手元にお配りいたしました資料の十七ページにございますが、全壊が三千二百四十六棟でございます。流出が七百五十八棟、全壊、流出合計いたしまして四千四棟でございます。そのほかに半壊になりましたのが九千六百十八棟あるわけでございます。  それでこれが対策といたしましては、十九ページに書いてございますが、滅失住宅に居住しておりました低所得者を入居させるためには、地方公共団体要請に応じまして、当該地方公共団体の区域内の滅失戸数の三割に相当する戸数までは災害公営住宅の割当を行うつもりでございます。御案内のように、災害公営住宅と申しますのは、第二種公営住宅のことでございまして、補助率は三分の二でございます。  その次に住宅金融公庫対策でございますが、災害復興住宅融資といたしまして、建設につきましては一戸当り三十万円まで、また補修につきましては、一戸当り十五万円までを申し込みに応じて逐次貸し付けをすることになるわけでございます。なお災害復興住宅のほかに、従来の個人貸付住宅金融公庫の普通の住宅がございますが、これも災害用特別ワクとして若干残してございますので、これにつきましても用意をしておるわけでございます。これは十五坪までの住宅につきまして、恒久的な復興をいたすわけでございますが、七五%の融資を行うということになるわけでございます。単価等につきましては、それぞれ構造、種別によって地域差等もございまして、千差万別でございますが、そういう災害特別貸付用意もいたしておるわけでございます。住宅金融公庫におきましては、災害直後直ちに係官を派遣いたしまして、この災害復興住宅融資の準備に当っておりまして、現在までに市街地におきまして、貸付相談所並びに申込所を四十八ヵ所開設いたしております。なお逐次この相談所並びに申込受付所はふやしていく予定でございます。  以上簡単でございますけれども、住宅関係被害並びに復興対策につきましての御説明を終ります。
  6. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 質疑の通告がありますから順次これを許します。堀内一雄君。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 このたびの台風が、被害地域が大きくて非常に激甚であったということについては、先ほど三県の知事からも陳情のありました通りで、まことに驚きのほかないのでありますが、私は今度の災害に際しまして、政府が適時適切なる処置を講じ、ことに建設大臣初め関係人たちが、現地を視察して適切なる指示を与えたり、さらには自衛隊が出まして応急処置をやってくれたということは、喪心しておりました被害民並びに地方人たちを非常に鼓舞し、また光明をもたらしまして、自力更生努力しているありさまは、まことに政府処置が適切であったということを思うのでございます。にもかかわらず、私はこの際、一つには政府の意図を示すことによって、地方復旧対策上の当事者参考にいたし、さらには現地要望等につきまして申し上げたいと思うのでございます。  第一は自衛隊の救援のことでございます。自衛隊現地に派遣されて、そしてあの優秀なる機械力と非常な熱意を持って復旧作業に従事されたことは、非常に地方民も喜んでおるのでございますが、ただ、考えますれば、自衛隊には自衛隊の教育、いろいろな関係もありましょうし、従いまして現地人たちは、できるだけ長くあのこともこのことも自衛隊にやってもらいたいというような希望を持っておるのでございますが、そうもいかないことと存じます。しかもこの復旧に当っておる人たちは、その辺の見通しがつきませんために、いろいろの計画にも支障を来たしておるように感ずるのでありまして、そういう意味から、建設省といたしましては、この自衛隊に対する期待は種類的にはどういうものであるとか、その程度においてはどういうことまでは自衛隊に期待しておるのだというようなことを、一応御発表になりますことが、地方復旧作業上に非常に参考になると思うのでございますが、それに対して大臣の御所見をお伺いしたい。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 今回の七号台風が突風と豪雨によりまして山梨長野ほか二十幾つの府県に多大の被害を与え、地域住民の非常な苦痛の状態を、私はまことに御同情申し上げる次第でございます。建設省といたしましても、直ちに緊急応急手配をいたした次第でありましたか、孤立状態に陥っておりまする一部の人たちを救出し、またこれらに対する空中からの食糧その他の運搬、あるいはまたこの孤立状態を解消するためのあらゆる措置につきまして、いち早く自衛隊出動要請いたしました。この自衛隊出動によりまして、これが着々打開しつつありますることは、まことに私は感謝いたしておるところであります。われわれといたしましては、この孤立状態が解消いたしますならば、自衛隊に対して、それ以上の復旧事業に対しての御加勢を願うということは考えておりませんので、孤立状態が解消し次第、自衛隊はお引き取りを願うというように考えておるのであります。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 孤立状態という解釈についても、私はちょっと不明の点があるのでございますが、とにかくわれわれが今一番心配しておりますのは、次に来たる台風でございます。気象庁の長期天気予報によりましても、今後九月一ぱいくらいまでに四回くらいの台風が来るだろうということをいわれておりますが、ひとり今度の災害地ばかりの問題ではありませんけれども、ことに今度の災害地に行っていろいろ調べてみますと、二十二号台風のときの砂防決壊等復旧がまだできていなかった。それが今度の災害の重要な原因になったということは、先ほど各県の知事陳情の中にもありましたが、現実にそういう姿を私ども見ておるのでございます。そこで、これがある程度対策ができないときに台風がさらに来るということになりますれば、その災害をまことに大にするということを懸念するのでございまして、こういう点から、いわゆる孤立という意味はどういう意味でございますか、先ほどの知事陳情等の中にもありましたように、川の流れというものがほとんど原形もなくなり、堤防もみんななくなってしまっておるようなところにつきましては、一応その砂防応急処置ぐらいのところは、自衛隊の力でやってもらえないかというようなことを、災害復旧当事者としては非常に望んでおるようでございますが、その点について、いま少し確実な御返事を願います。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 自衛隊には自衛隊本来の使命もあることでありますし、一応道路も開け、あるいは道路復旧と並行して、あらゆる緊急応急の手当を、自衛隊に並行してやっていただいております。また建設省及び各県におきましても、総力をあげて復旧をやっておりますので、一応孤立状態が解かれれば、私は自衛隊自衛隊本来の使命に帰って差しつかえないと思っております。また建設省としても、県としても力を合せて、これらの応急対策については、十分万全を期しておる次第でありますので、この点につきましての御不安は除かれることだろうと思います。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 第二にお伺いしたいことは、今度の現実災害の起ったところにいたしましても、二十二号台風善後措置ができていなかった、結局これは災害復旧計画によることでございまして、それは急にというわけにもいきますまいが、私は現在、一年度改修がどのくらいの地域に終っておるか、第一年度の分がまだ終らないところがどのくらいあるか、概略でよろしゅうございますから、全国的の数をお伺いしたいと思います。
  12. 山本三郎

    山本説明員 災害復旧進捗の問題だと思いますが、これは法律の定めるところによりまして、緊要工事は三カ年で復旧しろということが法律に定められております。その趣旨に基きましてやっておるわけでございますが、災害の発生した年におきましては、緊要工事全国平均いたしまして三〇%、その他のものを含めますと二五%の進捗率に相なるわけでございまして、第二年度緊要工事は、三割やりまして残りが七割ございますが、そのうちの五割を次の年にやります。全体の災害といたしましては、次年度は全体の四〇%ということに相なっております。そういうふうにやっております。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 それは災害法に基く計画で、一応予算面はそうなっておりましようが、私のお伺いしたいというのは、現に今度の山梨県の大武川での非常な大きい砂防のごときは、第一年度は着工していない、そういうようなことで予算の編成とか、いろいろな関係から、計画の中ではそうなっておるが、現実にどんな様子かということを私は非常に心配するのですが、その辺についてもう少しお伺いいたします。
  14. 山本三郎

    山本説明員 これにつきましては、査定当りまして、この緊要度現地査定官がきめて参ります。従いまして、たとえばA、B、C、Dというようなクラスに分けて参ります。それに従いまして緊要度を勘案いたしまして、国から県に予算を流すわけでございます。その流す金の率は、先ほど申し上げましたような率で流すわけでございますが、県はそれを受け取りまして、もちろんその三〇%は全国平均でございますが、非常に急ぐ工事のあるところは三〇%をこえて県に配付いたします。県は受け取った金の範囲内におきまして、自分の県のうちで緊要工事から施行するわけでございまして、たとえば山梨県におきまして、昨年の災害があって、そのうちでどうしてもやらなければならぬものをまず第一に、たとえば孤立している町に行く道路がやられているというようなものがまず第一だと思うのです。それから次は、仮橋をかけておるものは、次の出水期までは持たぬから、これをかけかえなければいかぬというふうに、順序をきめましてやっておるわけでございまして、大武川等が着工できなかったとするならば、そのほかに急ぐ災害がありまして、着工に至らなかったという状況ではないかというように私は考えております。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 もちろんやっておられるでしょうが、この点一つ再調査をされて、そうしてできるだけ促進しておいていただきたいと思うのでございます。  その次にお伺いいたしたいと思いますのは、昔から災害は忘れたころにやってくるということを申しますが、今度の災害地の各地を見ましても、河川敷の中に家を建てておったり、工場を建てておったり、また引揚民の方々などが、久しく水害がなかったために、そういうところへどんどん耕地などを作られて、自力更生努力しておった。そういう人たちが非常に災害を受けておられるというようなことが多いのでございますが、そういうような点から、河川敷というようなものを使う上において、当局においてどんなふうな方針でやっておられますか、そのことをお伺いしたい。
  16. 山本三郎

    山本説明員 お説の通り河川の敷地の中に工作物を作りましたり、あるいは土地を利用するにいたしましても、流れを阻害するようなものを作りますと、必ず災害の原因になるわけでございます。実は戦争中に食糧増産とか、あるいは土地の利用とかという見地から、河川敷がある程度放漫に利用されたような傾きがあります。そういうものが、現在におきましてもまだ相当散在するわけでございまして、これらの移転につきましては、非常に県の当局も苦労をしておるわけでございますが、何せ住んでいる人間をよそに移さなければならぬということでございますので、かわりの土地をやらないとなかなか行くところがないというような状況で、苦しんでおるわけでございます。しかしこれにつきましては、関係者が非常に骨を折りまして、移転地等を考えてやりまして、移転するような措置をとっておりますが、お説の通り、川の中にそういうものがありますと、必ずその結果対岸に影響するようなことがありますので、建設省といたしましては厳重な通達をいたしましては——従来もやっておるわけでございますが、中にはそういうふうな行き場所がないというようなために移らないものもございます。中には法律を無視いたしまして、知らぬ間に建ててしまうというようなものもあるわけでございますが、これらにつきましては、強硬手段をとりましても、私は公共の利益を守るために強力に措置していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。今後ますますそういう点につきましては、注意をいたしたいというふうに考えております。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 道路建設、そのほかにつきまして、土地収用法の問題が上っておるのでございますが、この問題は、逆にこういう公共の土地を無断使用せられるという事例もたくさんあるようでございますので、私は将来土地収用法等の問題を検討されるときに、大臣におかれまして、ぜひそういう点の方もお考えになっていただきたいと思います。  その次にお伺いいたしたいのは、今度のダムの水害について、先ほど山梨県知事陳情している中に、一瞬にして部落がなくなったということを二回言っておられましたが、現地調査して見ますと、ほんとうに一瞬にして、逃げることもできないような形で、非常に大きい水が出てきた、こういうことでございます。それで、私は明治四十年ごろにあった水害の記録等を見ましても、やはり同じような記録があった。それをいろいろ調べて見ますと、どうも今度の山梨県の水害のように、大きい山くずれがあって、適当なところに水がたまってしまった。またしばらくたつと、その水がすっと減ってしまって、人が渡れるというようなことを考えましても、私は結局ダムができて、そのダムが決壊したというような事態じゃないかというふうに考えておるのでございます。そういうような意味から申しましても、多目的ダムの必要をますます痛切に感ずるのでございますが、この際多目的ダムの建設等につきまして、こうしたような災害の起ったような場所につきましては、優先的に一つお考えになっていただくような御意図があるかどうか、お伺いしたい。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。堀内委員のお説の通り被害のはなはだしい、非常に激甚をきわめたその個所の状態を調べてみますと、多くの場合、山くずれのために、土を含んだ水が流れてくる、その力が平水よりも非常に強い、同時に中に木の株とか、あるいはまた立木、そこらにあったあらゆる障害物を一緒に流しておる、そういうようなことによって、非常に被害が倍化されたのではないかと私は思います。従いまして、かような状態を取り除くためには、お説のようにまず山を治めていくということがどうしても大事だと思います。しかし山全体を治めていくということについては農林砂防等の関係もありますので、でき得ればいささか後退したところへ、適当な場所に多目的ダム、特に防災ダム等を積極的に建設していくということは、この被害を最小限に食いとめる唯一の道であろう、かように私も思っております。
  19. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、大臣の根本方針はわかりましたが、今度の災害対策といったような意味において、現にその被害を受けたようなところを御調査になって、適当なところがあったならば、それは優先的にやるというお考えがあるかどうか。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 もとよりただいま調査中でありますので、調査の結果、これはいわゆる地盤の崩壊による出水被害の原因であると認めた場合には、その地域の再度の被害を除くために、どうしても優先的にこれを施行する必要があると思っております。
  21. 堀内一雄

    堀内委員 本日の新聞等にも御発表になったようでございますが、治山治水の五ヵ年計画を御計画のようでございますが、私はここで繰り返す必要もありません。建設省の白書等を見ましても、この五ヵ年計画によって治山治水をやることが、いかに必要であるかということは、もう申すまでもありませんが、私は経済基盤云々といったようなことを言う前に、とにかく国土を安定させるということが、その経済基盤の前の問題だというふうに考えておるのでございまして、たまたま練達の村上建設大臣を迎えておることでございますので、この際私どもは、この五ヵ年計画をことしこそ、この成立を期待しておるのでございますが、一つがんばっていただきたいと思います。  そこで、これは農林省関係かと思いますが、今度の災害は、もちろん多くの雨によって起ったことに違いないが、いわゆる戦時中から非常な乱伐をしたということが重要な原因になっておるのです。それで、私は今度の風水害を見まして、非常に多くの木が折れておる。この折れておる木の状態というものは予想以上で、大臣はよく御存じの通りでありますが、そこでこの木が折れたのは、やはり乱伐したと同様の結果になるのではないかということで、私は将来山を治めるということは、植林ということが非常に重要と思いますので、ぜひその点につきましても御参考にしていただきたいと思います。  建設省に対する質疑は大体それで終りでございますが、次に農林省の方にお伺いしたのですが、まず今度の災害地域というものは、山梨長野といったような果樹園地帯というものが非常に多かったというようなことから、果樹の方の関係被害が非常に多いのでございますが、天災法等に果樹がワクの中に入っておるかどうか、また入ってないとしたならば、今までの青森のリンゴの災害等については、どういうような対策をやってきたかということをお伺いしたい。
  22. 増田盛

    ○増田説明員 今回の災害におきます山梨長野等を中心としまして、果樹に莫大な損害がありましたことは御承知の通りでございます。これに関しましていろいろ対策を考えているわけでありますが、まだ実態が明らかでございません。とりあえず天災法の出動を待ちまして、これによりまして——これは果樹農家に限定されたわけではないのでありますが、一戸当り十五万円を限度にして営農資金の貸し出しが行われるわけであります。これに対して、いろいろ金額の多い少いに関する議論もあるかと思いますけれども、大体今までの災害においては、この範囲内で運用いたしましてやってきております。大体実績を見ますと、やはり去年の狩野川台風、伊豆台風の例におきましても、果樹農家の場合には、一般農家よりも、十五万円が限度でございますけれども、貸出率が多いようでございます。なお果樹の場合におきましては、やはり通常の営農資金に対する要求よりも、たなの処置、特に山梨長野のようにブドウ園の多い場合には、たなが多いわけでございます。こういう果樹だなのようにきわめて多額の経費を要するものは、現在いろいろな手段を講じて復旧努力いたしておると思いますけれども、この果樹だなの復旧をどうするか、それから倒壊した木を、もう一度起し直しまして活着させるわけでありますが、これに対する対策をどうするか、全然枯死してしまったものに対する処置等いろいろの段階があると思います。果樹だな等は、これは農業施設でございますから、私は農林漁業金融公庫の災害資金で処置ができると思います。  なおホップの点がございますが、これは果樹ではございませんけれども、やはり一連の果樹地帯において起った現象でございまして、このホップのたなの復旧等に関しましても、現在は農林漁業金融公庫の災害資金のワクにはございませんけれども、やはり一連のものとして措置した方が適当ではないかと見ておりますので、現在各方面に折衝中でございます。  なお、いろいろなものに関しまして国庫の助成がないのかという点も考えられるわけでありますが、率直に申し上げまして、過去におきます果樹を中心にしました災害に対しては、補助金を支出した例は少いのでありまして、最近の例におきましては、凍霜害に一部例を見ているわけでありまして、昨年度の例もございましたけれども、樹勢回復のための肥料費、薬剤費については、凍霜害に限ってほぼ二、三例出しております。風水害の場合には、昭和二十八年に一度あったきりで跡を断っております。しかし今回の災害は特に被害が甚大でございます。やはり特別の措置を講ずる必要があるのではないかと思います。何を補助するかといえば、いろいろ研究を要するかと思いますが、特に零細補助金、あるいは個別補助のために使途不明ということで、あとでもんちゃくを起すのも困ります、そういう点をもう少し工夫しまして、現地の方々の御要望等も十分にくみ入れまして、私どもの方でもう少し研究いたしたいと思っております。ただいま考えておりますのはそういう点でございます。
  23. 堀内一雄

    堀内委員 いま一度お伺いしますが、天災法のワクの中には果樹は入っておりますか。
  24. 増田盛

    ○増田説明員 入っております。しかし天災法は、法律に明文がございます通り種苗、それから肥料、農薬、こういうふうに、使途は営農資金でございますから明記してございます。しかし当然入っております。
  25. 堀内一雄

    堀内委員 今のお話を聞きまして、私は非常に喜んでおるのでございますが、とにかく現地の様子を見ますと、あの倒れたブドウだなをみんな出て復旧する。学童まで出てこれに協力しておるというふうに、いわゆる自力更生といいますか、そういった姿を、私どもは涙なくしては見られないような気がするのでございます。同時に今の果物のモモとかにしても、落ちたモモをみんなで集めたり、いろいろしておるのでございますが、さらに倒れてしまった根をどうするか、ここ三、四年は、聞いてみますと、ほとんど元へ返る見込みがない。そういうようなことになりますと、農家としても非常に困ることになりますので、この際ぜひ特別の処置を考えてもらいたいと思うのでございます。  次に中小企業庁の方にお伺いします。私は一昨年九州の災害のときに、たまたま建設省に勤めておりましたので、現地に行きましたところが、例の諌早の災害で、お盆の前で中小企業の、ことに商店の人たちが非常にたくさんのものを仕入れた、それが水害でみんな流れてしまった、ところが農業の方には、天災法という特別の法律がありますが、中小企業の方にはそういうものがないということで、当時中小企業の方に特別の金融処置をしたように思っておるのでございますが、その姿は、今度の災害地においてやはり同じだと思います。現にみんなお盆を当て込んで商店が買い入れた、それがみんな流れてしまったというようなことを各所で聞いておるのでございますが、そうしたようなことに対して、長崎の諌早その他でやったあの処置と、今あなた方の考えておることをお伺いいたしたいと思います。
  26. 長田正夫

    ○長田説明員 御説明申し上げます。諌早の場合に行いました措置は、まずとりあえず中小企業金融公庫、国民金融公庫、それから商工組合中央金庫の三つの政府機関を通じまして、できるだけ復旧資金を迅速に貸し出す、こういうことのために、それぞれ現地の窓口及びこれらの機関の代理店を通じまして、もう建物その他の固定資産が流失されておりますので、できるだけ担保を徴収することを緩和いたしまして、信用保証協会を利用する、あるいは信用保険制度を利用するというふうなことによりまして、被害の実態に応じた貸し出しをやることにいたしました。その後被害の実情が非常に大きくて、中小商工業者の立ち直りのためには、どうしても金利負担を軽減する必要があるというので、特に中小企業金融公庫と国民金融公庫の貸出金利につきまして特定のもの、零細企業でございますが、従業員三十人夫満の製造業、商工業につきましては、五人未満のものにつきまして三十万円以下、及び貸出金融につきましては期間三年以下につきまして、一応六分五厘の特別金利を適用したわけであります。これを閣議決定で行なっております。今回の災害につきましても、非常にその被害が大きいというので、私の方でもさっそく三機関に指令いたしまして、現地の窓口、及び代理店の窓口を通じましてその復旧資金の需要につきまして、一体どのくらいあるであろうかということを今調査さしております。まだ調査がはっきり出てきておりませんが、とりあえず前例に基きまして、担保条件を緩和する、あるいは貸出手続をできるだけ迅速に行う、その他貸付期間、それから資金の使途、また貸付条件につきましても、できるだけ実情に応じたように緩和するというような優先措置を考えております。なお資金手当につきましても、まだはっきり実態が全部つかめておりませんのでわかりませんが、できるだけ現地の支店、代理店でとりあえず優先的に流すことにいたし、その状況に応じましては、原資の確保のための特別な措置も考えなければならないのではないかというふうに考えております。なお金利につきましても同様でございますが、その点につきましては、もう少し実態をつかみましてから、関係各省とも協議した上で考えていきたい、かように存じております。
  27. 堀内一雄

    堀内委員 この前の諌早の例もあることでありますから、手ぬかりはないことと存じますが、要は時期を失せず早くやってもらいたい。長野山梨もそうですが、ああいう全県下的にひどい災害地では、全部流れてしまったのです。そこの復興といったところで、食糧の問題はさることながら、この場合もう何もないのですから、そういうような意味から、やはり中小企業の、ことに商店などを早く復活するということは、現地復興に非常に関係があると思いますので、ひとつ時期の方を努力してもらいたい。  次に文部省の方へお伺いしたいのは、文化財の問題ですが、今度の災害で一番目立つのは、木がやられておる。それと森がやられておる。森の中には神社があるというようなことから、神社の被害というものは非常に多い。現に静岡県の富士宮の神社のごときは境内で四百本の木が倒れておる。しかも非常に大きい木が、至るところで倒れておるというようなことで、非常な災害を受けておるようでございますが、ああいう文化財等に対する現在の被害状況、またこれに対してどのような処置をしておるのか。さらに神社庁のことはおわかりかどうか知りませんが、神社等に対してどんな対策を立てておられるか、それをお伺いしたい。
  28. 田中彰

    田中説明員 今回の台風による文化財関係被害状況は、最も大きいのは、県別に申しますと山梨県でごいざます。その他今御指摘の静岡、長野等数府県にわたって、これが被害額はただいま判明いたしておるもので約四千万円に及んでおるわけでございますが、被害状況は、大体今お話もございましたが、神社、寺院等建物が多いのでございます。ひどいのは倒壊をいたしております。御承知の山梨の善光寺の山門は倒壊をいたしております。なお本堂は傾斜をいたしておる、その他あるいは建物の柱が折損をいたしておりまするとか、あるいは倒木のために建物が倒壊をしておりまするとかいうような状況でございまするので、全体の被害の金額を早急に取りまとめまして、高額の国庫補助をいたしまして、これが復旧に万全を期したいと思っております。
  29. 堀内一雄

    堀内委員 私の質問はこれで終りますが、最後に建設大臣初め各政府の当局が、適時適切に非常に御尽力をいただいておることは、私ども現地を回って見ましてみな感謝いたしておるのでございますが、しかし、先ほども申しましたように、九月末までにはまだ四つ来るという予報もありますし、かたがた、ぜひともこの応急措置をお急ぎいただくと同時に、罹災民が非常に自力更生のためにがんばっておりますので、この際ぜひ皆様の共同のお力で、これを助けていただきたいと存じます。  以上で私の質問を終ります。
  30. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に、中島巖君。
  31. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大臣に伺いますが、私、新聞なんかで見ただけでありますけれども、今回の災害に対しまして、被害額の点から申しますと、ただいま河川局長から説明がありましたように、公共土木施設災害二百五十五億というような数字が出たわけであります。先ほど長野県の知事より陳情書も出ておりまけすれども、長野県の公共土木施設災害関係といたしましては五十五億となっておりますが、総額において二百三億というような数字が出ておるわけであります。従って、この長野県の例などによって申しますと、総計では約一千億以上になるということはほぼ想像がつくわけであります。そこで社会党といたしましては、二、三日前にこの災害対策のために臨時国会を召集するように、成規の手続をもって政府に要求したと聞いておるのであります。また椎名官房長官などの談話によると、臨時国会は召集しない、こういうようなことも新聞で見たわけであります。その辺が非常にあいまいでありますので、そういう問題について、閣議で話し合ったことがあるかどうか。それらの内容について、大臣よりお聞かせを願いたいと思います。
  32. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。この災害復旧に対して、補正予算をやらなくちゃならないかどうかというようなことについての臨時国会を開くかどうかという点については、閣議等では一度も話が出たことはありません。今までは一度もまだ話題に上っておらないのであります。
  33. 中島巖

    ○中島(巖)委員 社会党で正式に要求した場合において、そういうことは閣議に諮らずに、総理の方で直接臨時国会を開く開かないというようなことを決定するわけですか。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 社会党から要望されたのは、先般の閣議の翌日か、その閣議のあとだと私は想像しておりますが、社会党から要望がありますれば、それは必ず閣議の議題になると思います。明日あたりの閣議にはあるいはそれが話題になるかもしれませんが、今までの閣議では、一度もまだ話題になっておりません。従って、前回の閣議後に社会党から御要望があったのじゃないかと私は思っております。
  35. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま大臣よりの御答弁をお伺いしますと、前の閣議以後において社会党から要望があったのだから、次の閣議においてそういう相談が多分あるだろう、こういうように解釈してよろしいわけですね。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 これは、官房長官から諮ることでありますので、その相談が閣議に出ますかどうかについては、私から明確なお答えはできませんけれども、かような問題については、私の常識としては、やはり閣議に官房長官が持ち出すものだろう、かように思っております。
  37. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、政府の方が臨時国会を開く開かぬというようなことについて、何ら話題に上っておらぬ、こういうことになりますと、結局現在の予備金並びに立法措置において、この災害に対して十分復旧ができるというお考えのもとに、今までそういうお話が出なかったのだろうというように私ども想像するわけであります。そこで大臣にお尋ねするのは、まず第一点としまして、現在の予備費がどの程度あるのか、そして緊急査定の額がどのくらいな程度であるかという点について御説明願って、われわれ並びに災害民の安心のできる御説明を願うことが一つと、もう一つの問題は、この災害に対する現在までの立法、ことに建設省関係としましては、公共土木施設災害の国庫負担法において十分であるというように考えておられるかどうか、この二つについて大臣の御所見を承わりたいと思います。
  38. 村上勇

    村上国務大臣 ただいまの予備金が幾ら残っているかということにつきましては、八月十五日現在で七十三億予備金が残っておるように記憶いたしております。従いまして、今回の災害あるいは初項以来の災害復旧が、この金でまかなえるかどうかというような御質疑であろうと思いますが、ただいまのところでは、私はこれだけあれば十分まかなえるのじゃないか、かように思っております。従いまして、今の国庫助成の総額が、目下一応査定をいたしておりますので、査定が終りますればはっきりした数字が示されます。その数字を見た上で、国庫の今日の予備金がもし不足ならば、これはどうしても措置をしなければならないと思いますが、私はただいまのところでは、この予備金で十分間に合い得る、こう思っております。
  39. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今大臣が言われた七十三億の予備金というものは、建設省関係だけで七十三億ですか。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 これは国全体で七十三億であります。
  41. 中島巖

    ○中島(巖)委員 先ほど河川局長の答弁で、二百五十五億という数字になって、これを三・五・二の割合で行うというと、建設省関係の本年度行うべきものが七十六、七億になるわけだろうと思います。その他農林関係、一般に非常に大きな数字になるわけであります。そうしますと、結論といたしまして国全体で七十三億なんだが、建設省関係で第一次工事をいたしまして、大ざっぱに見まして七十六、七億が必要なわけであります。その他農林関係やいろいろありますから、三・五・二の割合で行うとすれば、おそらく二百億近いものが必要ではないかということが大体想像ができるわけです。ところが、これもすぐ金の要るわけではなくて、査定を終って受け渡しをするというような順手を経ていきますと、結局臨時国会以降に金を支払うような分が非常に多くなる、そういうような見通しのもとに、ぎりぎり一ぱい予備金で負えるのじゃないか、こういうようなお考えだろうと思うのですが、そういたしますと、次に小さな災害が来ましても、臨時国会を召集して補正予算を組まなければならぬというような段階になると想像するのですが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  42. 村上勇

    村上国務大臣 予備金でとうていまかない切れないという場合には、予算の補正をする必要がありますけれども、私はただいまの状態では、予備金で間に合っておる、かように思っております。  なお、先ほどの三百数十億に対して七十何億という中島委員の御質疑に対しましては、河川局長から一応御説明いたさせます。
  43. 山本三郎

    山本説明員 ただいま二百五十億余り報告がされておりますが、これに対しましては、実績を作りました上で査定をいたします。それで従来の実績によりますと、査定いたしますと八割か八割五分というように減るわけです。それから今申し上げましたのは事業費でございますので、国の負担率をかけますと、これは一番低い場合は三分の二でございますから、それだけ低くなります。従いまして二百五十五億の三割というのは当然に要らないわけでございまして、一割ちょっとあれば間に合うというふうなことになるわけです。負担率と査定率を、従来の実績によって見ますと、そういうことになります。  それからまた二百五十五億につきましても、まだ実際に設計書を作ったわけでもございませんし、測量等もされておりませんので、これらの数字はまだ相当動く数字ではないかというふうに考えております。
  44. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま河川局長から大体のこまかい数字の説明があり、私もそう了承しておったわけです。しかしこの公共土木施設災害復旧という点のみではなくして、その他万般に対して被害をこうむっておるわけだから、私はこれは臨時国会を召集して、そしていろいろな特別立法をこしらえて、補正予算を組むべきである、こういうように考えておるわけです。これは大臣と私との見解の相違でございますから、押しつけることはできませんが、そういうように私は思っております。  次に、私は長野県でありますので、長野県のことだけは詳しいつもりなんですが、御承知のように長野県は再建整備団体で、この陳情書にもある通り、二百三億というような膨大な災害をこうむったわけでございます。私の記憶する限りでは、過去において何度か災害を受けたのでありますが、大体五十数億以上の災害を受けたことはないと思います。そういたしますと、今回は最も大きな災害の四倍近いところの災害を受けておるのじゃないかと思うのです。従いまして、この特別交付税だとか、あるいは起債について特別の配慮をしなければ、再建整備団体としてやっていけないのじゃないか。ここ二、三日前にも、臨時県会を開いて、二十数億の災害臨時費を通したような状態にあるのです。従いまして特別交付税なんかについて、あるいは起債などについて、自治庁としてはどういうような考えを持っておるか、それをお伺いいたしたいと思うわけです。
  45. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまお尋ねがございました災害に伴う財政措置の問題でございますが、先般被害の非常に甚大な県並びにその県にあります市町村に対しましては、とりあえず九月に交付いたすことになっております交付税を繰り上げて、八月の二十四日に交付いたしまして、さしあたりの資金措置を講じた次第でございます。なおこれは一時の資金繰りのための繰り上げ支給でございまして、これだけで終局的なものではございませんが、ただいまお尋ねのございました起債並びに交付税の問題につきましては、まず起債の問題については、公共事業につきましては国で査定をされました事業執行額の地方負担分の一〇〇%を充当することにいたしております。その起債につきましては、将来償還財源については、九五%までを交付税法上保障することになっておりますので、一般公共事業につきましての災害復旧の財源負担の問題については、さしたる問題がないと存じております。  なお単独事業につきましても、公共事業の査定額に応じまして、それぞれ措置をいたすこととしております。  それから特別交付税につきましては、従来も同様でございますが、被害額のうち公共事業の査定額の二%、たとえば長野県でかりに百億の公共事業の災害がございますと、二億の特別交付税というようなものを措置いたしまして、それによって一般的な応急措置に必要な資金の財源としていただいておるわけであります。  なお、災害救助費等につきましても、地方負担の一定割合を特別交付税で措置をするというような措置を講じてきている次第でございます。  なお長野県のことでございますが、長野県は再建団体でもございますし、財政的にも非常に困難が予想されるわけでございますが、幸いに同県は、従来財政の健全化に努められまして、相当額の積立金も保有しておられますので、それらをある程度この際使って応急措置を講ずるというような面につきましては、再建計画の変更上もこれを承認すると申しますか、そういうような方向で進みたいと思います。
  46. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで建設省と自治庁と両方にお尋ねしたいのですが、今自治庁のお話だと、災害公共土木施設国庫負担のついたものに対しては、一〇〇%起債を認める、その起債の償還に対しましては、基準財政支出額と認めて、九五%の償還債を保障する、こういうお話でありましたが、そこでお尋ねしたいことは、俗に小災害といっておりますけれども、たとえば町村におきましては十万円以下の災害、市や県におきましては十五万円以下の災害、これは結局国庫負担の方法がないのであります。これはしょっちゅう非常な問題になっておるのでありまして、災害のたびに委員会から常に政府に対して要望しておるのですが、現在の法律では、やりようがないというようにわれわれは考えておるのでありますが、これに対して、建設省としては何か案があるかどうか。  それから自治庁にお伺いすることは、町村において一件の災害の額が百万円以上に達した場合には、これに起債を認めるというようなことになっておるように記憶いたしておりました。しからばその起債は、どの程度の率を認めるか、すなわち具体的に申し上げますと、一〇〇%認めるとか一三五%認めるとか、今までの例はどういうふうにそれをやってきたか、この一点と、それからもう一つの点は、これは建設省の方へお尋ねするのでありますけれども、結局こういうような災害の額を、一ヵ所十万円以下というように切ることは非常に不公平じゃないか、すなわち地方公共団体の基準財政収入額を基準として、そして災害の額によって補助を出すような立法をすべきではないか、こういうように考えるわけですが、これらについてお考えになったことがあるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  47. 村上勇

    村上国務大臣 ただいまの小災害に対する補助の対象を引き下げるという問題は、しばしば国会でも、また政府におきましても問題になっておったところでございまして、去る二十八年のあの異常の大災害の際に、この対象を引き下げたことがありましたが、それが非常に何千ヵ所、何万ヵ所というような数になりまして、それの査定あるいは会計検査その他に非常な手数がかかったばかりでなくて、そのためにまた一部ではあまり感心しないような事柄もあったように承わっております。非常に事務的に繁雑にもなりましたので、当時立法措置はありましたが、これを一括してある程度の起債を認め、そしてそれをあとで国が特別交付金等によって補給していったという例はあるのであります。しかしながら、その後この対象を非常に引き下げるということは、まず物理的に非常に不可能な場合もあるので、それがそのままになって、今日十万円以上を対象ということに市町村の場合にはなっておるのであります。先般の九州災害から、ずっとこれに対して、その対象率を引き下げてくれという御要望はずいぶんわれわれ承わっておりますので、いろいろと研究はいたしておりますけれども、まだ結論に到達するところまで至っておりません。
  48. 松島五郎

    ○松島説明員 公共災害の問題でございますが、従来も公共災害査定額に応じまして、それぞれ公共災害の多いところは、小規模災害も多いという一般的な事情を考慮いたしまして、一定の比例的に起債の配分をいたしておるわけでございます。今回も相当の公共災害がありますので、従ってその原則に従っていっても、そう大きな問題がないのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。なお一件限度の問題につきましては、私直接の担当でございませんので、はなはだ恐縮でございますが、詳しい事情を存じませんが、河川道路、そういったものを、災害の場合には全部含めて起債の限度をきめておると思いますので、お尋ねのような特別な問題は、あまりないのではないかというふうに考えております。なおこれは直接担当いたしておりませんので、まことに恐縮でございますが、その程度のお答えしかできませんことを御了承願います。
  49. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私のお尋ねしたのは……。
  50. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 ちょっと中島さん、途中ですけれども、三十五年度予算について、北海道開発審議会に大臣が諮問されておりますので、一時ちょっと中座させていただきたいのですが……。
  51. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私の方はけっこうです。
  52. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 それでは、政務次官がかわりにおりますから、大臣、ちょっと中座を許します。
  53. 山本幸一

    山本(幸)委員 議事進行。大臣はいつ来られるのですか。
  54. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 済んだらすぐ来ます。
  55. 山本幸一

    山本(幸)委員 何時ごろですか。
  56. 村上勇

    村上国務大臣 北海道開発審議会の予算の諮問ですから、一時間半ぐらいでしょうね。
  57. 山本幸一

    山本(幸)委員 私もちょっと一言あるのですが、あなたの立場を考えて簡単にやりますから……。  端的に申し上げますが、今伺った報告書は最終的なものですか、御答弁を願います。
  58. 山本三郎

    山本説明員 これは、現在までに各府県から報告されてきておるものでございますので、今後異同は考えられるわけでございます。
  59. 山本幸一

    山本(幸)委員 異同があるとすれば、当然ふえるだろうと思うのです。私どもの常識では、減る異同はないと思います。私どもも水害地を見ておりますが、当時報告したものよりもっとどんどん追加をされておる現状です。従って、これは私どもは中間的なものと了承してよろしゅうございますか。これは政治問題だから、大臣、どうですか。
  60. 村上勇

    村上国務大臣 これはふえる場合もあり得るでしょうが、減る場合もあり得るのです。
  61. 山本幸一

    山本(幸)委員 その大臣の答弁は、ちょっとおかしいと思うのですが、それはそれでよろしゅうございます。結果を見なければわからぬから、よろしゅうございますが、そうすると不確定ですね。不確定だといわなければならぬと思うのです。不確定だとするならば、場合によればふえる場合もあるのだ、あなたのおっしゃるように減る場合もある。おそらくお聞きの皆さんは、減る場合もあるというのは、大臣の詭弁だと思っております。皆さんは、ふえる場合が、ほとんど過去の経験からいって常識だと思っております。いずれにしても不確定であるということは、私は間違いがないと思う。そうだとするならば、先ほど中島君の質問で、あなたの答弁にありましたように、いわゆる予備金支出だけで必ずしも十分とは私は言い切れないのじゃないか、こう考えるわけです。そこでその点は、私と大臣の見解の相違ですから、問題がありましょうが……。
  62. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 簡単に願います。
  63. 山本幸一

    山本(幸)委員 簡単にやりますが、そこで私は、大臣にさらに伺いたいのは、そうすると、当然やはり臨時国会の問題が出てくると思うのです。従って臨時国会は、単なる政府の行政上の措置だけでなしに、できるなら人心の不安を一掃するような努力政府も国会も必要だと思うのです。その点は、大臣はどうお考えになりますか。
  64. 村上勇

    村上国務大臣 山本委員のただいまの御質問は、ふえるという仮定のもとに御質疑なさっておるのでありまして、従来の例から申しまして、ふえたということは、ほとんど私は記憶にございません。従いまして、私どもはこれ以上ふえるものだとは思っておりません。これを厳格に査定してみますと、まず今は、ただ単に一方的な報告でありますので、私は査定の結果は、これ以上ふえるということは考えておりませんので、今の予備金から申しますと、あなたの御意見と私は必ずしも同じだということは言い得ないのであります。
  65. 山本幸一

    山本(幸)委員 その点は村上さん、私は議論の過程でちゃんと認めておるのです。不確定という言葉を使っておるわけですが、問題は、私の言うのは、ふえる場合も減る場合もあるが、査定は必ず減りましょう。査定でふやしたことは、かつてなかったのですから、これは減りましょう。しかし報告そのものは、ふえるという常識に私は立っておるのです。議論はやめましょう。しかし問題は、政府の行政措置以外に、もっと被害地の人心の不安を一掃せしめることが必要であると思うが、どうか、必要であるとすれば、政府と協力して、国会が開かれることによって、国会も政府も真剣になって災害に対する対策を講じておるのだということを見させるのだが、その意味においては、私は臨時国会は必要だと思うのです。そこで賢明な大臣ですから、当然一日、二日のうちに招集される閣議において、あなたはその意味において、臨時国会を開いた方が妥当だ、そういう主張をせられると思うのですが、どうですか。
  66. 村上勇

    村上国務大臣 予備金措置できる限り、ただ災害があったから、予備金があるにもかかわらず、必ず臨時国会を開いて補正するというようなことを、建設大臣として要望するということは考えておりません。
  67. 山本幸一

    山本(幸)委員 建設大臣が臨時国会を開く意思がなければ別ですが、私はやはりそういう不確定なものであるということを前提とすると同時に、人心の不安を一掃せしめるためにも、特に当面の責任者の建設大臣は、願わくは単なる予備金だとかなんとかいうものにこだわらないで、あるいは臨時国会をおそれないで開いて、国会と政府が協力して災害地対策をするという態度に、ぜひ出てもらいたいと思います。これは私の要望です。  その次に一つだけ、大臣は時間がなさそうだからまたゆっくり伺いますが、今度の災害で私が見たところでは、相当部分前の災害と同一個所がある。これはあなたもごらんになったと思うのですが。そこで、今後の復旧対策等については、単なる復旧をするのか、改良を伴った復旧をやるのか、そういう点はいかがです。
  68. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。今回の災害で、前回被害をこうむったところが再災害を受けたというところは非常にわずかであります。これはもう従来の災害の例から申しましても、非常にわずかな例でありますが、不幸にして復旧が、時間的にそういう災害の来るまでに間に合わなかったというような不幸な事態があることは、まことに遺憾であります。ただしかし、従来の災害をこうむったものを、いたずらに原形復旧のみにとどめるか、あるいはこれに改良を加えた復旧をするかどうかというような御意見に対しましては、建設省としては、あくまでも必要があれば十分改良復旧をいたしたい、かように思っております。
  69. 山本幸一

    山本(幸)委員 最後に一点だけで終りたいと思います。あなたも岐阜県を視察せられてよく見られたと思うのですが、今度の災害の中に、全部であるかどうか、そういう政治論は別問題として、天災でなく人災のきらいが多分にあると思うのです。あたがな視察せられた岐阜県の揖斐川と牧田川の逆流によるあの二ヵ村約二千戸の被害は、現に建設省堤防の補強工事をやっておって、たまたまそこにコンクリートを敷設するということで穴を掘っておった。しかもあのどしゃ降りの堤防の切れる前日までその工事をやっておったということです。そのために、そのところが非常に脆弱になって、一挙に決壊をした、こういう事実を私は現地へ行って見てきておるのです。あなたもおそらくその点の見落しはないと思いますが、そうなると、これは単なる天災とは言えぬわけですね。私はやはり国の責任に帰すべき問題が相当含まれておると思うのです。そこで、これは単なる岐阜県だけの問題ではなしに、全国綿密に調査すれば、あるいは他にもあるかもしれぬと思います。そういういわゆる政府の責任に帰すべきような問題が含まれておる場合には、その災害対策は、被害の全面的な国庫負担をするのか。私は政府が積極的な態度をとられることが、被害者を非常に安心させると思うのですが、そういう対策をおとりですか。
  70. 村上勇

    村上国務大臣 山本委員は、どういう機関によってさような調査をざれたか、私はむしろお聞きしたいのでありますが、私が現地に参りまして詳細に調査し、また地元の人たちの意見も聞き、建設省の出先機関の報告を聞いて判断したところでは、あの脆弱な個所をまさに復旧しようとして、御承知のようにレールを敷き、ちゃんと準備万端整っておる、そうしてあと幾日か時日があれば、その後にあの大雨が降ったならば、あそこは完全に補強されておった、しかしちょうどそういう回り合せの悪い、その施設を十分にやらないうちに、あの大雨となったということでありまして、決して建設省があそこへ穴をあけたとかなんとかいうことはないので、私から言わしめれば、あの地域は、堤防に沿ってほとんどの農家が建っております。そしてむしろあそこのかさ上げとか、あの堤防の強化をするためには、農家の立ちのき、あるいはいろいろな隘路がそこにありまして、それらがああいうようなことになっていなければ、あの堤防復旧も完全にできたと思っております。これはどちらがいい、悪いは私は申しませんけれども、ああいうような隘路がありますために、思うように仕事を積極的にやることができなかった。しかしもしかすに時間をもってすれば、必ずあの台風、あの被害から完全に免れているであろうと、私はいかにも残念に思っております。そのどちらに責任があるとかいうようなことは申されませんけれども、ともかくも建設省の出先は、あの措置に対して何ら不都合はなかったということは、私ははっきり認識して参っておりますので、どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  71. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 山本君、大臣が審議会で諮問案を諮られる時間となりましたから……。
  72. 山本幸一

    山本(幸)委員 重要な問題だから……。
  73. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 しかし一問という約束でおやりになったのだから……。
  74. 山本幸一

    山本(幸)委員 一問のつもりだったけれども、大臣の答弁が違うから、おのずから出てきますが、それはいずれ必要な参考人を呼んでお調へ願えばいいと思う。また国会も必要であれば参考人を呼んで、事実を明らかにしたいと思うのです。私は、今あなたの御説明通り堤防補強工事をやっていたということだけは言っているのですから。問題は、建設省が土手をつぶすために穴をあけたのではなくて、土手を補強するために、コンクリートを流すために穴をあけた。ところが豪雨の前日まで、雨の降っていることを承知で、前日まで工事に着手せられて——当然被害が予想せられるときには、工事の半ばのものに対して、臨時の措置を講じなければならぬのですよ、それを建設省がやらずに、やりっぱなしで帰ってしまっておる。従ってそこが脆弱だから破れたということで、地方で問題になっているのです。私は見てきたのです。しかしそのことは、今言ったように、さらに今後明確にいたしたいと思います。  一般的な議論として、もし国の責任に帰すべきようなものを含んだ場合には、それについては、大臣の方は全額国庫負担でそれを救済するような心がまえがあるかどうか、それを一つ聞いおきたいと思います。
  75. 村上勇

    村上国務大臣 山本委員は、どこから聞いたのか、私はどうも理解に苦しむのですが、私の調査したところでは……。(山本(幸)委員「私は行ってきたんだから」と呼ぶ)私も翌々日か参りまして十分調査し、地元の方々、建設省出先の局長はじめ各現場の支所長ともども、その状況調査したのでありますが、建設省が逃げ出したというようなことは、あなたの認識不足でありまして、建設省では、あの最後の提防が決壊する八時二十五分まで、あそこへちゃんと踏みとどまって、そしてあの堤防に対する手当をしたのでありますけれども、ともかくこれはとうていだめだというので、一万何千というあの住民、あるいは牛馬までも全部土手に待避させて、そのあとであの堤防決壊したということになっておりますので、むしろ私は、今回の措置については、おほめの言葉をいただくかと思っておりましたところが、現地山本委員から、何かこう変なお小言をちょうだいして、これは一つよく御調査の上で——私は決して責任を回避するものではありませんけれども、絶対にさようなことはありませんので、もう一度ぜひ御調査願いたい。
  76. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 中島君……。
  77. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常に時間もおそくなりましたし、お聞きしたいことがたくさんありますが、問題をしぼることにいたします。  おそらく今後この程度の災害があれば、必ず臨時国会を召集せねばならぬ、こう思うのですが、そこで常に一番問題になりますのは、単独災害、小災害の問題であるわけですが、これは自民党の建設部会におきましても、何らかの措置を講じなければならぬ、こういうふうに言っているわけであります。私の想像では、おそらく建設省としては、大蔵省の方へ折衝を今までに何回かしたことがあるのじゃないか、そして結局大蔵省の関係で、この立法措置ができなくているのじゃないか、こういうように私想像するわけです。従って本日は、大蔵省から担当の方に来ていただいたわけでありますが、つまり小災害といいますと、くどいようではありますけれども、町村なんかにおいては、建設省関係では十万以下、それから県関係においては十五万以下が補助の対象にならない、こういうことになっているわけであります。ところが最近の台風、ことに六、七、八月ごろの台風の特徴としまして、梅雨前線にぶつかる関係でもって、局地的に非常な被害があるわけです。そうしますと、この十万以下の単独災害というものは非常に数が多い。そして二十八年災におきましては、一個所十万円を七万円とかというように切り下げておりますけれども、これは私は適当ではないと思うのです。と申しますのは、地方公共団体の負担能力に応じて国は救済すべきである、こういうふうに考えるのです。そういたしますと、地方公共団体の財政収入に比較いたしまして、その災害の累積が大きければ大きいなりに救済するような立法措置を講ずべきが当然であるというように考えるのでありますが、これらに対して、大蔵省としては研究をなされたことがあるかどうか、研究なされたことがあるとすれば、どういう点に難点があってこの立法措置ができないのであるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  78. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。小災害の問題でございますが、先ほど現在の措置については、自治庁の松島課長さんの方からお話がございました。二十八年災の場合に、やはりこのことがいろいろ問題になりまして、先ほど建設大臣からも措置をいたしたようなことはお答えがございましたけれども、私の記憶いたします範囲では、二十八年災の場合におきましては、土木関係については一応現在の限界、つまり府県災害については十五万円、市町村は十万円という限度をそのままにいたしまして、それより小規模のものにつきましては、起債で措置するということを行なっております。この起債につきましては、こらいった小災害ばかりでなく、その他のものも特別な起債がございましたが、そういったものについて元利補給をしております。その後の災害当りまして、やはり小規模の災害について何らかの措置をいたすべきではないかという御要望はたびたびございました。もちろん私どもの方といたしましても、この問題をいろいろ研究しなければならぬということで、三十年当時一応災害国庫負担法の一部改正をやろうということで、各省集まっていろいろ議論をいたしたことがございますが、当時その問題もいろいろ研究いたしました。それで、主としてそれは各省の課長関係の担当者の会議でございましたが、研究いたしました結果、この小災害制度について一応出ました結論としましては、ともかく現在の限度、つまり補助負担の対象になっております災害につきましても、これは現地査定を全部やるという建前でいきたいわけでありますが、当時の実情としますと、一〇〇%やるということはなかなか困難である。これは人的な問題、それから期間的な問題、いろいろ問題がございます。それにさらに件数の非常にふえる小災害というものを取り込むことは、査定事務、そういった意味の事務管理の面からいっても、非常に欠陥が多いということがありまして、これを引き下げることは非常に問題が多いというような結論であったと思っております。最近の事態といたしまして、昨年度災害当りまして、狩野川台風災害でございますが、土木関係につきましては、小災害につきまして特に最後まで問題になることはございませんでした。農地関係災害などにつきましては、何か特別の補助をしてはどうかということがございまして、結局起債の特例法で起債を認めて、その元利補給をやるというようなことが国会の修正によって入った事例がございます。公共土木につきまして、どうしてそう大きく財政的な問題にならないかと申しますと、これも先ほど自治庁から御説明がございましたように、現在の制度でも、こういった小規模の災害を含めまして、起債で見ることになっております。これはどの程度であるかということは、いろいろ問題もございましょうが、一応過去の実績等から見て、補助の裏の負担の起債と同様に、一応全部を見るという建前でやっております。ただ市町村別に見て非常に小規模であるという場合には、起債が認められない場合があるようでありますが、一応建前は見ることになっております。そこで起債を見ましたあとで、当然これの元利償還が必要になってくるわけでありますが、元利償還につきましては現在の制度で地方財政計画に織り込み、また交付税法によりまして、その一部について交付税で措置をするという建前になっております。従いまして、元利償還の公債費でございますが、これが非常にかさんでどうにもならぬということになると問題になるのでありますが、従来いろいろ大きな災害がございましたけれども、そういったものについて、特に償還で困っておるというような事態は、そう私ども耳にいたしておりません。現在の制度でやっていくということで、あまり大きな支障はないのではないかというように考えております。
  79. 中島巖

    ○中島(巖)委員 実は顕著な例を一つ申し上げますと、たしか昨年の災害でしたが、私ども長野県の南部ですが、平谷村という村があるわけです。これは非常に貧弱村でありまして、財政収入が一ヵ年に七十万くらいしかない、そういうところでもって四十個所くらいの小災害が起きたわけです。これではどうにもやりようがないのです。従って、梅雨前線の特徴として、一個所に非常な豪雨が起き、その結果小災害が非常に頻発する、こういうところに対して何らかの措置を講じなければならぬ、こういうように考えるわけなんです。従って私の考えとしては、この十万円を七万円に下げるとかいうようなことでなくして、村の財政収入とにらみ合わして、その小災害の額が大きい場合にはどういうふうにして補助を出すか、国庫負担をするかというような点に気をつけて、立法措置を講ずべきではないか、こういうように考えるわけです。今自民党の建設部会においても、この問題を非常に大きく取り上げてやっておられるようでありますが、私の方でもやっておるわけです。従って政府においても何とか考慮願って、次の国会においては立法措置を講じてもらいたい、こういうことを強く大蔵当局に要望するわけなんです。  それから先ほどちょっと聞き落したのですが、これらの小災害の規模が相当大きくなると、起債を認める額はどの程度、何割くらいを従来認めておったか。それからこの起債の償還に当っては、やはり他の公共土木の公共団体負担と同じような償還方法を認めるのであるかどうか、この二つの点を自治庁にお伺いしたいと思います。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほど御説明申し上げましたように、公共事業の査定額の一定割合を基準にいたしまして起債の割当をいたしております。従来も大体それで、特別なものを除きましては、ほぼ小災害は起債の対象になっておるのではないかと私は考えております。なおその償還の問題でございますが、これにつきましては、普通交付税のうちで、現在は二八・五%に相当するものを基準財政需要額に算入をいたしまして、交付税上必要の措置を講じておる次第であります。
  81. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 それでは本日はこれで質疑を終ります。     —————————————
  82. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に、委員派遣承認の申請につきましてお諮りいたします。  このたびの台風第七号等による災害実情調査のために、現地委員を派遣したいと存じますが、その旨議長に承認を申請することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議ないものと認め、さように決します。  なお派遣委員の人選、派遣地、期間等の決定及び議長に対する申請手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議なしと認め、さように決します。  次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会      ————◇—————