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1959-07-10 第32回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年七月十日(金曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 岩本 信行君 理事 床次 徳二君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君    理事 森島 守人君       愛知 揆一君    菊池 義郎君       椎熊 三郎君    園田  直君       竹内 俊吉君    千葉 三郎君       森下 國雄君    山村新治郎君       大西 正道君    勝間田清一君       田中 稔男君    帆足  計君       穗積 七郎君    八百板 正君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君  委員外出席者         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         外務政務次官  小林 絹治君         外務事務官         (アジア局長) 伊関佑二郎君         外務事務官         (経済局次長) 高野 藤吉君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 七月三日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として園  田直君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員高田富之辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として高  田冨之君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員北澤直吉辞任につき、その補欠として千  葉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員千葉三郎辞任につき、その補欠として北  澤直吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三日  一、国際情勢に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関し調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。菊池義郎君。
  3. 菊池義郎

    菊池委員 外務大臣は三日ばかり前の閣議におきまして、日米防衛分担金は今後ゼロになるということをおっしゃられましたが、分担金がなくなることは、今後米軍全額を負担するということでございましょうか。それとも日米双方でもって負担するという意味でありましょうか。この点お伺いしたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 行政協定二十五条二項の防衛分担金がなくなるわけでありまして、その限りにおいて分担金は支払わないでいい、こういうことになるわけであります。
  5. 菊池義郎

    菊池委員 そうしますると、軍の活動の上でもって省略される仕事はどういうことになりましょうか。分担金がなくなりますと、軍の仕事のなくなる部分がなければならぬことになりますが……。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御質問趣旨がはっきりしませんが、日本が出しておる分担金を出さないことになるので、軍の仕事が省略されるというのはどういう意味ですか、はっきり了解いたしかねますが、従来防衛分担金日本で出しておりますが、それを出さなくてよくなるわけであります。出さなくなるについては、それだけの費用がかかれば、アメリカ側全額を出すということになります。
  7. 菊池義郎

    菊池委員 安保条約期間でございますが、結局この日米安保条約を結ぶということは、共産圏を対象としての条約でなければならぬというふうに考えられるわけでございます。自由主義国家の侵略というものは、ないわけでございます。中ソ同盟条約期間が三十年になって、もう十年経過して、まだあと二十年ある。それなのに日米安保条約期間が十年というのは、どうも短か過ぎるような気がいたしますが、これは大体何を基準として考慮されたのでありましょうか。国連が強化されて、これが世界各国の安全を保障するなんという時期は、まだ十年や二十年、三十年たってもこないのではないかとわれわれには考えられるのであります。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約期間につきましては、いろいろな御意見がございます。菊池委員のお述べになったのも一つの御意見だと思います。われわれといたしましては、現在の国際情勢もにらみ合せ、また国連等の機能が軍縮に向って進んでは参っておりますけれども、そうした動きも、御承知のように全般的軍縮の問題についてはまだ進んでおりません。またたとえば部分的である核実験の禁止というような問題についても、二年越しやっておりますけれども、まだ進んで参りません。そうした諸般情勢を勘案してみまして、われわれとしては十年が適当ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  9. 菊池義郎

    菊池委員 その十年の期間米国の方では反対したのか、あるいは向うも十年ということを希望しておるのか、大体双方合意点に達しているわけでありますか。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 最終的草案確定を待ちます必要がありますけれども、現在までのところこの問題を話し合いまして、アメリカ側にも異議がないということでございますから、ほぼ十年ということが最終的には決定されると思うのであります。
  11. 菊池義郎

    菊池委員 米国の方ではもっと長い期間を希望しておったのではございませんか。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 米国側もいろいろ期間の問題については考えておったかもしれませんけれども、今までの話し合いで特に十年ということに最終的に話し合いをしておりまして、十年ということに異議は持っておらぬようでございます。
  13. 菊池義郎

    菊池委員 そうすると十年というその期限は、どちらの方から切り出した話でございますか。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 二国間の交渉に当りまして、いずれの問題も、どちらから切り出したかということは、はなはだむずかしいわけであります。諸般情勢を考えながらわれわれとしては話し合いをいたしておるのでありますが、しかし私といたしましては十年が適当だろうということを申したわけでございます。
  15. 菊池義郎

    菊池委員 この安保改正は、新聞の報じておりまする通り、来春に延ばされるわけでございましょうか。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 来春まで延ばすとか延ばさないとかいうことをきめたわけでないのでありまして、御承知のように交渉に入りますまでは、われわれといたしましても各省間の連絡もございます。あるいは交渉進捗の必要もありますので、できるだけある時期を目標にして交渉を進めていきたいということを申しておったわけでございます。しかしながら交渉に入りますと、やはり問題点によっては相当論議が尽されなければなりませんし、日本側としてもアメリカ側の論に反駁しなければならず、そういうようなことでいつこれができるかということは、交渉に入ってからは、むしろ申しにくくなる関係があるのであります。われわれといたしましては、できるだけスムーズに、円滑に交渉を進行させながら参っておりますけれども、御承知のように二国間の交渉のことでありますから、最後に一字の問題についても一週間も二週間もかかるということもございます。そういうような状況でございますから、今いつということを申し上げかねますけれども、われわれとしてはできるだけスムーズに、なるべく早くまとめていくように努力はいたして参りたいと思います。
  17. 菊池義郎

    菊池委員 来たる臨時国会にまとめるという見込みはないわけでございますか。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今申し上げましたようなことからいたしまして、臨時国会にまとめるとかまとめないとかいうのじゃなく、まとまりましたときに国会に対して批准を要請するということに、手順としてはなっております。
  19. 菊池義郎

    菊池委員 もしか来春に延期するようなことがありましても、米国側は別に不満や何かはないという見通しでございますか。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 特に何か交渉を延期いたしておるということはないのでありまして、できるだけ交渉をスムーズに円滑に、しかも交渉当事者としてはできるだけ早く妥結したい。ただ特に夏休み等まで撤廃して急いでやるという必要もないのじゃないかとは思っております。
  21. 菊池義郎

    菊池委員 国際捕鯨条約からノルウエーオランダ脱退してしまった。それであの条約はほとんどもぬけのからみたいになってしまったのでございます。オランダノルウエー言い分もずいぶん無理な言い分だとは思いまするが、これを何とかしてまとめて、彼らをもっとこの条約に引きずり込むような手は、外務省では考えておられませんでしょうか、どうでしょうか。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 経過につきましては事務当局から御説明申し上げますが、御承知のように、国際捕鯨会議状況から見まして、二〇%ソ連に割り当てまして、そしてその後の頭数をどういうふうに話し合いをしていくかということで非常な困難な問題があります。これが六月までにもし脱退するならば、脱退通告を事前にいたしておかなければならぬのでありますから、従って先般二月でありましたか、もし話がまとまらないときには脱退をするかもしれぬということを予告しておいたわけでございます。先般ロンドンで国際捕鯨会議がありまして、その際日本代表者が行かれまして、いろいろ話し合いをいたしました結果としては、今脱退をしない方が適当であろう、そして将来の問題をワク内において協議するのが適当であろうということで、その方針を貫いたわけでございます。従って脱退はいたしませんでした。そういう経緯でありますので、今後ワク内にとどまりまして、各国と十分な話し合いをしていくということにいたして参りたいと考えております。また脱退をしなかったという事実が、現在の交渉においては必ずしも日本側に、頭数等の問題について異議がないわけではございませんけれども日本脱退しないで協力するということの事実そのものは、各国とも十分日本の誠意を認めて、捕鯨条約ワクを支持してやっていくということに好感を持っておるように伝え聞いております。経過につきましては事務当局から申し上げます。
  23. 高橋通敏

    高橋説明員 ただいまの捕鯨条約の問題でございますが、御承知通り一部の国が脱退いたしたわけでございますが、脱退いたしましても、捕鯨のいろいろな規制条件、これはやはり実体的には順守するということを声明しておりまするし、従いましてたとい脱退したところで、われわれの方としては、われわれが条約にとどまって実体的にやっていくことに非常な差異は何もないと考えております。
  24. 菊池義郎

    菊池委員 わかりました。  それから小笠原島民の補償問題です。アメリカの方から外務省にも通知があったろうと思いますが、その後の経過はどういうふうになっておりますか。
  25. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 小笠原の補償問題につきましては、昨年ワシントンに行ってこの問題を取り上げて以来、小笠原帰島連盟の方々とも相談をし、またアメリカ側とも折衝をいたしたわけであります。最終的にはアメリカ側議会に補償の法律案を出すことになって、金額は六百万ドルということに決定いたしたわけでございます。それで現在フルブライト法案として議会に出ております。従って議会がどうこれを御決定になりますかは、アメリカ上院決定を待っているという状況でございます。
  26. 菊池義郎

    菊池委員 軍用機の問題、グラマンにするかロッキードにするかという議論がだいぶやかましくなりましたが、その種類はどちらにいたしましても、軍用機をMSAによりまして日本に取り込むという手はございませんでしょうか。
  27. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 アメリカが、軍事協力意味におきまして日本援助を与えておりますことは、今日までも与えております。従いまして、これを国産化していくという場合に、アメリカがどの程度軍事援助を与えるかいなかということは、今後の問題だと存じます。
  28. 菊池義郎

    菊池委員 あと防衛庁に対する質問がありますが、外務大臣に対する質問はこれで終ります。
  29. 小澤佐重喜

    小澤委員長 帆足計君。帆足君に申し上げますが、この前の残りの十五分ということで御了承を願います。
  30. 帆足計

    帆足委員 承知しております。  最初にお尋ねをいたしたいことは、例の朝鮮人帰国の問題でございますが、大へん見通しがつかずに深刻な社会問題になっておりますので、正確なお答えをお願いしたいのです。情報がまちまちでありますけれども手続上からいえば、現在の仮調印で赤十字国際委員会日朝赤十字正式手続として取り上げておるのでしょうか、その点をお伺いしたい。
  31. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 両赤十字協定文国際赤十字に提出いたしまして、そうしてこれが承認を求めておるのが現在の段階でございます。いろいろまちまちの電報が来ておりますので、はなはだなんでありますけれども、公電で来ております限りにおきましては、ボアシェ委員長がこの協定について日赤にいろいろの質問をしたいと言っておりますので、むろん公式に取り上げていると私どもは考えております。
  32. 帆足計

    帆足委員 御承知のごとく両赤十字会談意見がまとまりましたので、だれしも常識としてこれでこの程度のモーラル・サポートならば当然国際赤十字協力してくれるものと期待しておりましたのが、今日のごとく見通しが多少つきかねるような状況になっておりますので、帰国を急ぎます朝鮮人とたしましては、十万の朝鮮人諸君が家を畳み、旅支度をすでに整えまして、また求めるに職業もございませんから、今方途に迷っておるという状況だと思います。この人たちに対して日本政府は誠意ある態度見通しを示さなければ、非常な不安と恐怖に陥ることは当然予想されるのでございます。従いまして、お尋ねいたしたいのは赤十字国際委員会手続といたしまして、今日本政府が提案しております問題についてどういう手続がなされるか。たとえば総会というのは一日開かれてあとは一カ月に一度ぐらいかどうか、現在赤十字委員長審議しておりますのはどいう資格審議しておるのか、次の正式の総会はいつであるか、大体ある程度期限ということが予想されるのか、制度上はどうなっておるのか、そういう多少こまかいことを正確に、大臣ではおわかりにならぬ点は大臣補佐から一つお伺いしたいと思います。
  33. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 こまかい点につきましては事務当局から御説明を申させますが、先般の井上ボアシエ会談にいたしましても、現在のところ国際赤十字としては、この問題を慎重に審議するということを言っております。従って当然慎重に審議をし、今お話申し上げましたように日本赤十字についても説明を求めるということをやっておりますので、引き続き審議をいたすことと私ども信じております。ただその会合の開き方等につきましては、事務当局から御説明申し上げます。
  34. 伊関佑二郎

    伊関説明員 赤十字国際委員会定時総会というものが月に一回でありましたか二回でありましたか私ちょっと忘れて覚えておりませんが、必ずしも総会にかけるということでなくとも、あるいは結論が出れば臨時総会というふうな方法もあるのじゃないかと思っております。それで現在のところはボアシエ委員長が検討しておられるという段階であります。
  35. 帆足計

    帆足委員 これはきわめて重要な問題でありますから、アジア局長におかれましてももっと正確にお調べを願いたいと思います。なおただいまの段階では、この前開きました総会は一日で終ったのか、またはずっと継続審議をしておるのか、一応終ってしまって委員長のもとで中間審議をして、いわゆる事務局審議をして、そして臨時総会なり定期総会を開くのか、そこいらのところはきわめて重要なことだと思いますので、重ねてお尋ねいたします。
  36. 伊関佑二郎

    伊関説明員 総会は六日で終ったのでありまして、その後は委員長のところで審議中ということになっております。総会という形でなくて委員長審議しておるという形になっております。
  37. 帆足計

    帆足委員 きょうの朝のラジオ放送によりますと、岸総理が外遊されますが、そのために留守中は朝鮮問題の解決は期待できないというような意味のことを私は間接に聞いたので不正確でありますけれども、そういうことでは困るのでありまして、いつお帰りになる見通しでありますか。またお留守中は外務大臣がおられることですから、朝鮮問題に関する限りは外務大臣の御主管で決定し得るワク内のことであると思っておりますが、重要なことですから一つお尋ねいたしたい。同時にきょうの閣議外務大臣報告を聞いてから総理としても心をきめるというようなニュースもありましたので、どういうことを御報告になったのか、われわれにも聞かしていただきたい。
  38. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 岸総理は明日立たれまして八月十日に帰朝される予定になっております。この問題につきましては、ただいま両赤十字国際委承認を求めておりますので、国際委承認をして参りますれば、当然留守中といえども問題を処理していくことに相なること当然でございます。なお私は本日の閣議経過説明いたしたわけでありますが、両赤十字合意に達したこれらの協定文国際委承認を求めるということで、両十字ともその同意の上で、ことに北鮮赤十字は二日に総会が開かれるのを六日に延ばしましてもそれまで待っておったわけであります。従ってその両赤十字合意のもとに行われるということを報告いたしたわけであります。同時に六日の総会においては、さらに慎重に検討をするということであって、こうしたことを報告いたしたわけであります。なお六日に国際委員会が慎重に討議をするという結果として、北鮮側は一時代表帰国する、しかし承認があればいつでも調印にジュネーブに出てくる、そのためには人を二人残しておくということを声明文に出して立たれた。同時に日本赤十字側においても葛西副社長は報告を兼ねて帰朝いたしますが、井上部長は現地におって引き続き努力をしておる。なお政府といたしましても釜山の抑留者引き揚げの問題もございますので、この問題につきましても特に奥村スイス大使をして側面から援助するように、国際赤十字委員諸君話し合いをするように命令をいたしております。従って奥村大使ジュネーブに行かれましてこれから折衝をやっていくことになります。そうして北鮮側日本赤十字側とはともに国際委承認を持つということには意見が一致しているし、また両代表団においても北鮮側は二人、こちらも井上君以下を置くという同じ状況になって、今国際赤十字委員会承認待ちという状況になっております。またその承認をできるだけ早くもらうために努力しておるということを岸総理報告いたした次第であります。
  39. 帆足計

    帆足委員 国際赤十字仕事といえば、平和時においては人権の問題に対して協力を与える、モラルサポートを与えるというのが大体の限界だと思いますが、この国際赤十字の職能の限界に対しまして、多少日本赤十字において認識を誤まっていたのではないか。外務大臣の四月一日の当委員会におけるお話ならば筋が通っておりましたけれども、それより越境したいろいろな発言があって、新聞等においても日本政府側が無定見といわれたのは残念なことだと思っておりますが、しかし国際赤十字モラルサポートを望むというのが両赤十字一致した意見であります以上、われわれは当然それを期待するわけですが、現在のところ大きな変化がなく、大体においてこれは明るい見通しであるというふうにわれわれ承知をして、事態の推進を期待しておってよろしいでしょうか。
  40. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国際赤十字会合その他につきましては、そのメンバーの方々は非常に厳重に口を織しておられる点がございます。秘密主義とはいえないかもしれませんが、非常に言動をつつしんでおられますので、どういうふうに考えているかということは相当推測が入ると思います。しかし現在のところ私どもとしては国際委承認が得られるものと考えております。また国際赤十字が今日の判断を下して参ります上においても、努力しておられることも認められるのであります。ボアシエ委員長新聞に言われたこともいろいろ誤解もあり、あるいは報道等に誤まりもあるのじゃないかと思われる点もあります。またボアシエ委員長は一カ月ほど留守をしておられたので、留守中の状況等も知られない点があったのではないかと思います。いずれにいたしましても現在われわれとしては両赤十字が待機しておると同じように、できるだけ国際委員会の理解を得るように側面から努めて参りますと同時に、その決定がなるべく早く下されるように努力して参りたいと思います。
  41. 帆足計

    帆足委員 それでは事態は推進されつつあると理解いたしまして、日本政府といたしましては新潟港の設備等、これは突貫工事をしましても一カ月もかかるといわれておりますから、会談の模様によって仕事を中絶するようなことなしに、予定通りのスケジュールで大蔵大臣厚生大臣とも相談して準備を進めてもらいたい。またそういう態度をとることが問題促進に明るい方向に進むことであると思いますが、外務省の腹がまえを承わりたい。  それからもう一つは、韓国におる米軍がこの問題について多少蠢動して、国防省や国務省に何か働きかけをしておるということが、椎名官房長官の談話として伝えられております。私はこれは意外なことで、韓国米軍国際連合軍としておるわけですから、また日本との関係から申しますならば、こういうときにもぞもぞすべき性質のものではないわけです。そういうことならば、何の日米友好関係ぞやと言いたくなるわけであります。従いまして、李承晩ラインの問題もそうですけれども日本政府としてはアメリカとよく話し合いまして、こういう不合理なことに対して、韓国におる米軍またはアメリカ極東軍が多少なりとも政治的動きをすることのないように、明確な話し合いをつけておいていただきたい。李承晩ラインの問題などは、その問題さえ政府が明朗にすれば、あと海上警察の問題でありますから、海上警察ならば私はこれは多少強化しておいた方がいいと思います。自衛隊の出動ということになりますれば、憲法で禁止されておりますし、また隣邦の頭の工合がどんなに悪くても、やはり平和の道を進むのが国際連合及び日本憲法趣旨でありますから、韓国の軍も軽挙盲動を考えるなどということがあってはならず、日本もまた憲法上そういうことがあってはなりません。それを明確にしておきさえすれば、あと海上警察のスマートな活動で済むわけです。そういう考え方で、海上警察として二、三隻李承晩ライン哨戒艇をふやす必要がある。また海上警察としての必要なる措置をとる必要がある。かくてこそきわめて明朗であって、平和国家としてふさわしいのである。そのためには軍事上の争いと問題をはっきり区別しますために、韓国後見役たるアメリカ外務大臣ははっきり話をきめておかれることによって明朗化する。もしその明朗化アメリカが好まずに、何か極東に水虫があってむずむずしていた方がアメリカとしては気分がいいというような不心得な心がけであるならば、安保条約交渉などは御中止なさった方がよろしいと思う。私はもちろん安保条約には全面的に反対でありますけれども、こういう問題が明朗にならなければ、保守政党としてこれを提案すべき資格なしと言われても返す言葉がないと思いますが、こういう基本問題について頭を整理して米軍話し合い、またアメリカ国務省と話し合ったことがあられるかどうか。外務大臣の御心境を承わっておきたい。
  42. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 第一の御質問関係は、主として厚生省関係あるいはそれに伴います予算の大蔵省関係でありまして、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、閣議において、時間的にどの程度ということを現在の段階で申すことは非常に無理でありますけれども、とにかく近く国際委承認を得るだろうということを前提として報告をいたしておりますので、そういう状況のもとにそれぞれ厚生省あるいは大蔵省等で御考慮をいただくことができるのではないかと思っております。また外務省として、承認を得られるならば、当然それらの国内業務というものは他の省の方々がやっていただかなければならぬことであります。それらのことについては常時連絡をして参りたいと思っております。  韓国に駐屯しております国連軍、もしくはその中のアメリカ軍というものが蠢動しておるという事実は、私は断じてないと思います。そういうことはあり得ないことだと存じております。閣議決定をいたしましたのが二月十三日でありますけれども、北鮮帰還の問題について議会で私が発言をいたしましたのはたしか一月二十七日か八日だったかと存じておりますが、その前後から韓国側におきまして、この問題について相当強硬な、しかもわれわれの信じられないような、帰還船を砲撃するとかいろいろなことを言い伝えられておるように新聞紙上にもありましたし、またそういう放言をする人もあったかと思います。この問題が起りました当時、私としては当然アメリカ側、マッカーサー大使に対しましてその点については言及しているわけでありまして、アメリカがそれらのことに対しては制御してもらわなければ困る、またアメリカ側としてもそういう無謀なことをさせることはないということを言っておりますので、私どもといたしましては、アメリカ側が何か蠢動して、今のお話のような水虫のかゆさというようなことをやっているとも思えませんし、またそういうような何がありますれば、アメリカ国連軍の立場におきましても、アメリカ自身の考え方からしても、それを制御するということは当然のことだと思っております。
  43. 帆足計

    帆足委員 時間が過ぎましたので、最後に一点だけお尋ねいたします。先日の参議院の外務委員会におきまして、外務大臣安保条約審議に当って重大な御答弁をされているようです。私は速記録をまだ読んでおりませんし、新聞だけのことでありますから不正確かも存じませんが、私どもが考えますと、保守党の立場から考えましても、アメリカとの安保条約関係は、一つは昔の日英同盟のような、NATOのような軍事同盟の問題、もう一つは基地の貸与の問題、二つの問題があると思うのです。前者はどこの国でもある問題でありますが、後者となりますと国土、すなわち民族のはだに触れる問題でありますから、軽々しくはだを許せばこれはパンパンである、めかけである、保護国であると言われても返す言葉がないということを私は指摘しました。軍事同盟だけであるならば、保守政党間におけるガール・フレンドくらいのところでしょうが、基地を貸すということになれば、これはめかけの疑いがあるということを申さざるを得ないのであります。現に五島列島に参りますればフォックス・トロット地区、これは軍事基地ですが、ホテル地区、またはゴルフ地区、こういうような基地があるということならば、確かにこれはめかけではあるまいかと言われても——こういうことを外務大臣は御存じかどうか。私はブリのかまが好きですが、そのかまの一番あぶらっこいところが近ごろなかなか手に入らないと思っておりましたら、フォックス・トロット地区はブリの集まるところで、ここでアメリカの海軍が演習をしておる。こういうことをほったらかしておいて何の安保協定ぞや、こういう感を深くいたしましたので、この点特に注意を促します。そういたしますと、結局結論として、具体問題としては国土の防衛の問題、基地を貸すという問題、最後に、その基地をアメリカ軍アメリカ極東政策によって使用するという問題、この三つの問題をそれぞれもっと深く討議をしておかなければならぬと思います。ところがその問題につきまして、外務大臣は、基地をアメリカ極東政策のために使うというような場合にはわれわれは中立を守りたい、すなわちアメリカ極東政策として軍を極東に動かすときにはわれわれは中立を守りたいという発言をされております。私はそういう方向はよい方向だと思いますが、それならば、アメリカ軍極東においてアメリカ極東政策から第三国と紛争を起しましたときには、日本は中立を守る、この御発言は今後とも守っていただけるかどうか。そうだとすれば、たとえば金門、馬祖の問題などにおいて、これにイギリスもフランスも賛成でなかった、藤山外務大臣も腹の底で賛成でなかったことは、カナダやまた英国の外務大臣とあのとき胸襟を開いて語った心中は、われわれはエキス光線ですかして見るくらいもうよく存じております。今度外務大臣よりも岸さんが英国に行くというのは、一体どういう御心境で行かれるのか、そつなき外交をやるために行かれるのか。それとも藤山さんと同じような心境で、やはり英国の声を大きく聞いて、保守としても特定の国の言うことだけでなくて、またもっと目を広く広げようというお考えなら、それも一つの見識ともいうべきものでしょうが、先日御回答になったように、アメリカ極東政策には自分らは合流しないと言われるならば、金門、馬祖のような問題で日本の基地を貸すということは今後はあり得ないことになるであろう、私はこういう感想を持ってあの記事を拝見したのですが、きょうは時間がありませんから、それについての正確な御答弁を一つ直接承わりまして、それについての再質問やわれわれの意見の開陳はこの次の機会に譲りたいと思いますが、一つそれについて十分明快なお答えを承わりたい。
  44. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま帆足委員のお話しになりました私の参議院における質疑応答というものは、社会党の羽生委員質問をされた点だと思います。羽生委員はこういうことを言われたのでありまして、自分たちでも、日本が他国から侵略をされるというようなときには、日本だけで守れない、どこかの援助を求めなければならぬということは、わかる。だからその限りにおいて、立場上決してそういう事態を自分たちは否定はしないのだ。従って日米安保条約というものを、自分のその立場から言えば、今から作っておかなくてもいいんじゃないか。そういうときには必ずどこかの国の援助を得なければ、自分たちではできないということはよくわかっている。従ってその点だけでは自民党の立場と同じなのだ。しかし今からそういうものを作っておく必要はないじゃないかということが、御質問の第一点だったと記憶いたしております。私どもといたしましては、まだ現在の国際情勢というものが必ずしも安定もしていないし、あるいは非常な空虚な場面ができてくれば、そこに事が起りやすいのであって、従ってそういう点についてはやはり責任をもって政治をやっていく、将来の侵略に備えていくということであるならば、現在からある程度の準備をしておくということが、予防的な効果もあるし、またいざというとぎに、羽生委員の言われるように他国から援助をするというその他国がどこであろうと——われわれはアメリカが適当であると思っているので、そういう意味においては現在から準備をしておくことがいいのであって、その意味においてわれわれは安保条約を考えておるわけであります。従って今回の安保条約の改正に当っても、考え方としてはその前提である。しかも現行安保条約の自主性の足りないところを改善していくという改正の立場をとっているのであるから、従って今言ったような点からいいましても、また手続上の問題からいっても、現在の基地を貸与していくということ、そのこと自体をわれわれは適当と考えておる、こういうのが質疑応答の第一点であったのであります。  なお今の日本の地域以外の第三国の紛争に対して、日本としては、外務大臣の言われるように、その場合に基地を作戦に使うときには協議事項になって、そしてイエス、ノーを言う。岸内閣の場合、多くノーと言うということをいっているならば、その限りにおいてはその場合中立的立場ではないか、というのが羽生委員の第二の御質問であったわけであります。私はそのときに申し上げたのですが、われわれは外交政策上、中立主義をとっておらぬ。極東に紛争があった場合に日本基地から出ていっては困るのだ、といって出ていかなかった場合に、それを中立主義ととるかどうかということは、そこまでわれわれも考えてないのであって、われわれは外交政策全体としては中立主義ではない。しかしアメリカ軍が出ていく場合にノーと言うことは、なるほどその場合その紛争に関しては中立的な立場ではないか、こういうことを申し上げただけであります。
  45. 帆足計

    帆足委員 それではまたあとにいたします。
  46. 小澤佐重喜

  47. 菊池義郎

    菊池委員 来年度の国防計画で特に今までと違う大きな点はどういう点か、簡単に一つお伺いしたい。
  48. 門叶宗雄

    ○門叶説明員 来年度の国防計画は、御承知通り昨年の国防会議において三十三年を基点とする三カ年計画が御決定になりまして来年度はその第三年の最終年に当るわけであります。従いまして国防会議において御決定になりました陸については十八万、海については十二万四千トン、空については千三百機といの目標を達成する最後の年次として目下計画を進めておる段階でございます。
  49. 菊池義郎

    菊池委員 米軍は漸次全部撤退することになるのでございますか。
  50. 門叶宗雄

    ○門叶説明員 米軍の撤退につきましては、御承知通り陸については補給部隊を除きまして、出動部隊は全部一応撤退いたすことにいたしております。空、海につきましては、さらに大幅の撤退をやるということはただいまのところ承わっておりません。
  51. 菊池義郎

    菊池委員 ロッキード、グラマンの問題はその後どういうふうになっておりますか。
  52. 門叶宗雄

    ○門叶説明員 防衛庁の次期戦闘機の問題につきましては、先般国防会議において、一応昨年四月十二日の国防会議の内定を白紙に還元して、あらためて調査団を派遣して機種を選定するということに御決定に相なったわけであります。防衛庁としては、その国防会議の御決定の線に沿うて調査団の派遣その他について準備を進めておる段階であります。
  53. 菊池義郎

    菊池委員 それはわれわれも非常に満足に存じます。防衛庁としてはどうしてもこの国防会議の結論をもって真剣に実行に移してもらいたい。断じて所信を曲げてはならぬと思います。事務局長あたりも辞職するとまでいきまいたくらいでありますから、ぜひともこの国防会議の結論をあくまでも尊重して所信を貫いてもらいたいと思うのであります。その調査団はいつごろ出すのでございますか。
  54. 門叶宗雄

    ○門叶説明員 いつごろどういう陣容で出すかということは、まだ私承知いたしておりません。
  55. 菊池義郎

    菊池委員 私は商取引でもって軍用機が左右されるということは、軍の士気にも非常なる影響を及ぼすし、国民の頭脳にも非常なショックを与えることでありましておもしろくないと思います。何とか外国のものを買わないで日本で作る計画が立たないものであるかどうか、そういう点をお伺いいたします。
  56. 小幡治和

    ○小幡説明員 現在まだそこまで日本における生産技術が発達しておりませんので、今のところやむを得ず外国から買うということをせざるを得ないという状況であります。
  57. 菊池義郎

    菊池委員 これまで委員会でもたびたび質問で出ましたが、どうも防衛当局の答弁がはっきりしませんので、いまだに疑問が残るのでございますが、日本の海上自衛艦はその戦闘力においても決して韓国のそれに劣ってない。はるかにその実力においては韓国のそれをしのいでおるということを聞いております。それだのにいつも韓国の艦艇が現われると逃げてばかりおる。どういうわけで逃げるのかどうしても不思議で不思議でわれわれには理解ができないのでございますが、日本の海上自衛艦は決して観艦式のためにばかり作ったものではなくて、いざという場合には戦って、そうして日本の漁船を守るために作られたものであると解するほかないのでありますが、どういうわけであんなに逃げてばかりいるのですか。なぜ逃げさせるのですか、こういう点一つお答え願いたいと思います。
  58. 小幡治和

    ○小幡説明員 逃げておるという事実はないのでございまして、御承知通り李承晩ライン侵犯ということで韓国がいろいろ日本の漁船に対する拿捕等をやられておりますが、まことにこれは残念なことでございますけれども、しかし何といいましても韓国はやはり自由主義国の一連のいわゆるわれわれの隣国でございますし、そういう面ですぐ武力というふうなことも考えられません。何度も政府から御答弁申し上げております通り、結局この問題は現在の法律あるいは閣議決定等に基きまして海上保安庁がそういう漁船の保護あるいは漁民の保護等に当っておることになっておりますので、海上保安庁の巡視船が極力そういう損害を未然に防止するためにいろいろ努力いたしておるような状況でありまして、自衛隊そのものが直接これにぶつかって逃げて歩くというふうなことは絶対ございません。
  59. 小澤佐重喜

    小澤委員長 菊池君、申し合せの時間が過ぎましたから簡潔に願います。
  60. 菊池義郎

    菊池委員 わかりました。韓国新聞を見ると、日本の艦艇の逃げ足の早いこと疾風のことしと書いてあるのです。なぜ逃げてばかりいなければならぬような海上保安庁の船を使って海上自衛艦を使わないのか。向うの方で発砲しておるのですよ。こちらでもって応酬したところで戦争になるという心配は全然ございません。これは国際常識上絶対に戦争にはならない。何の心配はない。なぜこれをそのままに放置するのですか。この点がどうしてもわからない。
  61. 小幡治和

    ○小幡説明員 先ほど帆足委員の御質問に対して外務大臣がいろいろお話し申し上げました通り、われわれといたしましてはそういう暴というものに対してやはり暴をもって報いるという考え方ではなくて、やはりこれは外交交渉によって日韓の間のああいうことのないようにうまくまとめていくという段階として、今日政府としては全力をそそいでおるような次第でありますので、われわれ防衛庁の方といたしましては直ちに今御説のようなことでいくということは考えられておりません。
  62. 菊池義郎

    菊池委員 新島の誘導弾の試験場の問題ですが、あれは三代の長官がかわってもまだ手がつけられていない。騒動がだんだんだんだん大きくなるばかりなんです。早くやらないとだめです。断じて行えば鬼神も避くという支那人の言葉があるように早くやればいいのです。決行しないとますます騒ぎが大きくなって困難になります。ちゅうちょ逡巡するならやめてしまった方がいい。やめてしまうと国防上に何か支障でも来たしますか。やるつもりかどうか。また今後いつごろまでこれを引っ張るつもりか、いつごろになったらやるつもりか、またやる必要がさしてないというならば、これはやめたらどうか、お伺いしたいと思います。
  63. 小幡治和

    ○小幡説明員 この問題は従来の国防方針という面からあくまでもやるつもりで、決していろいろごたごたがありましても、そういう点に対してもう一ぺん再考するとか何とかいうことは考えられておりません。あくまでもやるつもりであります。またやらざるを得ないと思っております。現在のところだんだんと折衝を重ねていったのですが、この間の地方選挙なんかのあとを見ましても非常に好転いたしてきておりますので、もう一息で村当局、村民との方々とも話し合いをつけて、うまくやられるようになるのではないかというふうにわれわれとしては考えておるわけでありまして、防衛庁としてもさらに努力して、早くお説のように円満解決するようにいたしたいと存じております。
  64. 小澤佐重喜

    小澤委員長 大西正道君。
  65. 大西正道

    ○大西委員 初めに忘れない先にお願いしておきますが、島津日赤社長を参考人として呼んでいただくことをあとでお諮り願って、おきめ願いたいと思います。
  66. 小澤佐重喜

    小澤委員長 承知いたしました。
  67. 大西正道

    ○大西委員 私の質問は北鮮帰還の問題と安保条約に対する期限の問題と、それからもう一つは在日米軍の基地を攻撃した場合の問題について御質問いたします。  今日は日赤の社長が見えないのですが、前委員から質問のありましたように、国際委決定がおくれておるのですが、このおくれておる責任は日赤にあるのか、日本政府にあるのか、これに対してどのようにお考えになりますか。
  68. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今日これらの責任がどこにあるということは、まだ申し上げかねると思います。御承知のように朝鮮赤十字日本赤十字との間に話し合いがつきまして、それを国際委員会に持ち出してその承認を得るということであります。初めの予定では七月の二日というようなことが予想されておりましたが、委員の旅行等で六日に開かれたのであります。従ってそこに持ち出されまして検討を続けておるということでありますから、別段何かいろいろな手落ちがあったとか何とかそういうようなことはわれわれは考えておらないのであります。
  69. 大西正道

    ○大西委員 私は日赤の代表は、少くとも日朝両国間ですぐ調印しようじゃないか、それを条件付調印と申しておりますが、そういう態度であったはずであります。それを政府に問い合せて参りましたところが、外務省といたしましてはそれに対してノー、反対の意思表示をされた、そのためにこの調印がおくれた、こういうふうに聞いておるのでありますが、そのいきさつについては間違いはございませんか。
  70. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 六日に赤十字国際委員会会合がありまして、そのとき国際赤十字が、ただいま申しましたように、これはさらに慎重に検討した上でご決定しよう、こういうことであったわけでございます。そこで北鮮赤十字側が、八日の朝に代表が一応帰りたい、代表は長期にわたって滞在しておりますから、一応帰りたいということは時に申すわけであります。こちらの方でも二月以来井上氏が行っておりますし、四月以来葛西氏も行っておりますから、長期にわたっておりますから、代表としては当然だと思います。ただその際に果して北鮮側がどういう気持で帰りたいのかというところに問題があったと思います。これを決裂に導く意味において帰ろうというのか、あるいは決裂を賭して帰りたいというのではないのであって、あくまでも国際赤十字承認を得て調印はするのだけれども、やはり長くなれば代表としても一応帰りたい、そこらの判断が必要だと思います。むろん日本赤十字といたしましてはそういう事態に対しまして、あるいは条件付な調印をしておいた方がいいのではないかという意見はございました。ただ私どもは結果から見ましても私の考えましたところではよかったと思っておるのでありますが、北鮮赤十字代表は帰ったけれども国際委承認を得ればジュネーブでまた出てきて調印をする、こういっておるのでありますから、決して決裂を賭して帰るという状況にはなかったということを判断して差しつかえなかったわけであります。しかも両赤十字とも国際委承認を前提にしてということで、今のように手続上も待期の態勢をとっております。従ってかりに条件付であるとはいえ、調印をすることによって、何か国際委に調印したものを押しつけるというような形よりも、仮調印で承認前に話し合いをして承認を得るということの方が、国際委員会の性格からいって、そういうものを何か両赤十字が圧迫するという形をとることも、承認さえすれば好ましいことではないのではないかという判断に私どもは立っております。従ってそのときの事情から見て、条件付仮調印というものが必ずしも適当でないというのが私の判断であったわけであります。
  71. 大西正道

    ○大西委員 要は国際委の調印を早くかちとることであります。その点につきまして、あなたは北鮮の方と十分了解ができて、それで満足してしばらく中絶というように御答弁でありますけれども北鮮赤十字の声明を見ますと、明らかに日赤が責任を持って国際委承認を得る、こういうことを約束してきたのである、あげてその責任は日本側にあるのだ、こういうふうにいっておるのであります。私はそういう考え方から見ますと、今のあなたのおっしゃるような状況で、この調印があとに延びたのだ、こういうふうに私は見られないのであります。この点につきましては、私どもこの委員会におきましても、国際委承認ということについての見通しを開いたときに、日朝間で話し合いをする、その小さな各条項ごとに国際委承認を得てまとめつつあるから心配は要らぬというふうな話があったのであります。そういうことから考えますと、これは朝鮮赤十字のいっておるごとく、国際赤十字承認を得るということは、まさに日本側の責任が非常に大きいと私は思うのであります。その努力がなされたか知らぬが、しかしその功ならなかったということ、この点については私は大いに責任を感じなければならぬと思うのであります。あなたのお考えでは、しばらく時をおくんだ、こういうことでありますが、私はそれがそういうふうにうまく運べばけっこうである、しかしそう楽観ばかりもできぬのではないかと考えておるのであります。見通しのことは何ともいえないといわれるけれども、しかし私はむしろこの際日朝間での調印をやって、そのことによって国際赤十字承認をすみやかに得るという方向を選んだ方がよかったのではないかとも考えるのであります。こういう意味におきまして、私は大いに日本側の責任はあると思う。特に日赤に対して条件付の調印を待ったというような態度を示された外務省に対しては、私は大いに責任があると思うのであります。この点についてすみやかにこの承認に持ち込むために具体的にどういうふうな手をとられようとするのか、この点を抽象的でなしに一つお示しを願いたいと思うのであります。
  72. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今日のわれわれといたしましては、むろん今のような北鮮赤十字話し合いの上で国際赤十字承認のもとにこれを行うという話し合いをいたしております。むろん先般の声明書等の前段等については日本の立場についていろいろな意見を述べておられます。しかしわれわれとしては、最終的には国際委承認を得るために努力をいたしておるのでありまして、それが若干長引きましたからといって、ただ日本側の責任だというわけには参らぬのではないか、しかもこの交渉を通じまして、話し合いのことでありますから、日本側も非常に譲歩したというようなことがとられておりますけれども北鮮側でも譲歩しておられるのでありまして、お互いに話し合いの上で円満にこれを持っていこうということでありますから、その意味においては、やはり私どもでき得るだけ今後の問題について、努力をして参ることが必要だと思います。  いかなる努力をしつつあるかということでありますが、むろん当面赤十字交渉の主体であり、ジュネーブにおられることでありますから、赤十字といたしましても井上外事部長が残存して、それらについて理解を求めるように努力をしておられますし、また外務省としては特に側面からこれを援助する必要がありますので、奥村大使ジュネーブに出しまして、そうして各方面を歴訪する、その他の方法によりまして一日もすみやかに承認の得られるように側面から努力をいたしておるわけでございます。
  73. 大西正道

    ○大西委員 推進の努力をするということでありますが、それについてもふに落ちないのは、葛西副社長ほかもう一名が帰ってくるということであります。私は国際委に対して十分了解をとりつけるというなれば、むしろ現地においてそういう努力がされてしかるべきじゃないか、これが帰ってくる、そういうことになりますと、これは国際委代表日本にでも来て、そこで話し合いでもするというのか、どういうことなのか。問題は国際委の了解を深めるということである。そうして承認に踏み切るという一点にかかっておるとするならば、むしろそれと反対のような葛西副社長の帰国というようなことは受け取れぬのであります。この点は日赤の社長に聞く方が当然かもしれませんけれども、一体これはどういうふうにお考えになりますか。
  74. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろんこれらの問題についてわれわれが努力して参りますことは当然のことであります。一日もすみやかにそうした問題を解決することが好ましいことなんであります。ただ葛西副社長が帰るという事実は、井上外事部長も残っておられますし、一応長期の交渉のありました過程等につきまして、やはり報告を受けておきますことも、今後の動き方において参考になると思うのであります。報告を受けた上で葛西氏に出てもらいますか、あるいはまた報告の結果として、われわれはニュアンスのあるいろいろな話があるとすれば、それは電報その他で尽きないニュアンスのあります状況を聞き取りまして、そうして今後の展開をはかる上に参考にしていくことが必要なことではないかと私ども考えております。
  75. 大西正道

    ○大西委員 どうも国際委日朝間で取りきめたところの協定については理解がいかないとか、われわれから考えるとまたこれは理解のいかない情報が流れてくるのであります。そこで私は日朝間で取りきめたところの協定、取りきめを、仮調印をしたことであるから、この際公表すべきではないか。そうしてこれは何も隠す必要はないのであって、公表して問題の所在がどこにあるかということを明らかにしてもいい段階にきているのではないかと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  76. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 こうした交渉の過程におきまして、協定の成文その他を公表するかしないかというのは、関係当事者の話し合い、またそれらのものを説明する第三者の立場等を考慮して参らなければなりませんので、今直ちにこれを公表することが適当であるかどうかということについては、私どもなお疑問を持っております。
  77. 大西正道

    ○大西委員 次に安保条約の問題でありますが、まだ日本側の原案がはっきりあなたの口から示されないので、確実と思われるものに基いて私は質問を申し上げるのでありますが、在日米軍に対する攻撃、これに対しまして日本が共同防衛の責任を負う、こういうことが新しい条約に規定されるということになっておると思うのでありますが、その際にこの在日米軍に対する攻撃があった場合に、日本といたしましては米国の防衛に対してこれに協力する、そういう建前をとるのか、あるいはそれは日本に対する攻撃だと見て自衛権発動をするのか、そのいずれでありますか。ここのところを一つ明確にしていただきたい。
  78. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本における基地を攻撃してくる、またその際、アメリカの飛行機と申しますか、施設を攻撃するということは、日本を侵略することだと考えられるのでありまして、われわれとしては当然自衛力の発動があると思っております。
  79. 大西正道

    ○大西委員 そうしますと、もう一回繰り返しますけれども米軍基地に対する攻撃は日本に対する攻撃だと見て自衛権を発動する、こういう解釈なんですね。そういたしますと、アメリカの基地に対する第三国の攻撃に対して日本が共同防衛の行動に出る、援助する、こういうふうな考え方はとらないのだということですね。この点を明らかにしていただきたい。
  80. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本の基地におります米軍を攻撃することは、日本の領空、領土を侵して攻撃をすることでありますから、当然自衛権の発動がありますし、またアメリカが攻撃されれば、それに対してアメリカとしても自衛権を発動しなければならぬ状態にあろうと思います。従ってお互いに共同動作をとるということは、当然の帰結ではないかと思っております。
  81. 大西正道

    ○大西委員 政治的にそういうことは自明の理でありますが、これを法律的にはっきりとしたいと思うのです。総理大臣並びにあなたが、本会議委員会において答弁されておるように、米軍基地に対する攻撃は日本に対する攻撃である、日本の領空、領土を侵すから、日本の自衛権の発動、すなわちここでは個別的な自衛権の発動ということになると思うのですね。そうしてこれを守るのだ、こういう考えである、そういたしますと、バンデンバーグの決議によりまして、自助と相互援助ということが米国のこういう条約を結ぶ外交方針になっておりますが、一体日本はどういう場面に相互援助の適用があるのか、この点はいかがでしょうか。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本にあります基地そのものが攻撃されるという場合に、それは日本の領土が攻撃されることになることは当然だと思います。同時に、そこにあります米軍の施設が攻撃されるということは、米軍に対する攻撃でもあるわけであります。従ってその場合に、それらのものを共同の自衛力の立場において守っていくという共同の行動をとりますことは、先ほどから申しているように当然のことであります。そのこと自体は、お互いに助け合っていくということであろうかと思いますし、バンデンバーグの決議の趣旨もそこにあるのだと思っております。
  83. 大西正道

    ○大西委員 米軍の基地に対する攻撃に対して、日本がこれを援助する、共同行動をとるという場合、この場合の自衛権の発動は集団的自衛権の発動であろうと思うのです。ところが、米軍に対する攻撃は日本の領空、領土を侵すから、日本の独立のために個々に自衛権を発動するという場合は、これは個別的な自衛権の発動だと考えるのです。そういたしますと、バンデンバーグの決議は、当然自助と相互援助ということを果さなければならぬ、日本米軍基地に対する攻撃は、日本の個別的な自衛権の発動によってこれに対処するというのであるならば、一体集団的な自衛権の発動、すなわち、バンデンバーグの決議でいえば、相互援助というところはどこに充足されるのか、私はされないと思う。問題は、政治的な問題ではないのであります。一体、米軍に対する攻撃の場合に、日本の自衛権の発動は集団的な自衛権の発動なのか、個別的な自衛権の発動なのか。今あなたのおっしゃるのでは個別的な自衛権の発動だという。そうすると、集団的な自衛権発動ということは実際はあり得ない。ないとすればバンデンバーグの決議の趣旨は充足されないということになる。こういうことになりやしないかということを私は言っておる。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本にあります日本の領土である基地、そこにはアメリカ軍もおるわけなのです。従って集団的な防衛体制がとられておると思っております。またそうしたときに、発動の方法は個々であろうとも、共同動作をとって参りますことは、集団的な自衛権を行使するということになろうと思います。なお非常にこまかい法律解釈は条約局長から御説明いたさせます。
  85. 高橋通敏

    高橋説明員 ちょっと補足をさせていただきます。ただいまの、集団的自衛権であるか個別的自衛権であるかという点でございまするが、法律的に見ますに、ただいま御指摘の通り、まず第一に個別的——個別的と申しましても集団的と申しましても、それは自衛権でございますが、この場合は個別的な自衛権であるというように考えております。ただその場合、集団的かどうかということは、集団的自衛権の解釈の問題であると思います。そこで、集団的自衛権というのは、御承知通り国連憲章五十一条で新たに設定された権利でございまして、これをどういうふうに解釈するかということは、法律的にはいろいろ解釈が分れているということは御指摘の通りでございます。そこで通常それを解釈します場合は、海外派兵と申しますか、一国が攻撃された場合に、その国に対して、自国の自衛権ではないが、その国の自衛権が発動する状態のときに、そこに援助におもむいてその国を援助する、そういうふうな権利だというふうに解されていると思います。そういうことになりますと、この場合は、日本にあるアメリカの基地が攻撃されましても、同じく日本の区域内の問題でございまするから、そのような集団的自衛権という権利を援用しなくても、個別的自衛権で法律的には解釈できる問題であると思います。  そこで、たとえば、もし米国の領土が攻撃された場合に、日本から援助におもむくという権利であれば、これが最も通常の形式における集団的自衛権の発動の形式ではないかと考えております。
  86. 大西正道

    ○大西委員 それでは、今の外務大臣の御答弁によりますと、日本憲法は、集団的自衛権の行使についてはこれを認めておる、何らの制限も加えていないのだ、従って米軍の基地に対する第三国の攻撃に対しては、これを共同防衛、援助するのだ、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  87. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今条約局長も御説明申し上げました通り、われわれとしては個別的な自衛権の発動、しかし共同動作をとるということがあり得るわけでありまして、またなければならぬと思います。そういうこと自体が憲法に違反しておるとは私は考えておりません。
  88. 大西正道

    ○大西委員 どうも話が食い違うのでありまするけれども、問題を整理して申しますと、日本憲法は集団的な自衛権の発動行使というものを認めておるかどうかということなんです。その点なんです。
  89. 高橋通敏

    高橋説明員 ただいま御指摘の点でございますが、これは、それでは集団的自衛権を認めているかどうかという場合の集団的自衛権をどういうふうに解釈するかという問題じゃないかと思うのです。  そこで、通常集団的自衛権というのは、A国とB国がございまして、B国が自衛権の発動をする状態のときに、A国からB国領域を越えてB国に援助におもむく権利ではないか、これが集団的自衛権であるというふうに解釈しますと、この場合は集団的自衛権ではない。ただそうでなくして、この場合、日本の領域におきます場合に、日本も自衛権を発動している、アメリカも自衛権を発動している、そのような状態で両方の個別的自衛権が同時に競合して行われているような状態をながめまして、これをまた集団的自衛権というならば、これは集団的自衛権といってもいいかと思います。要は、言葉の解釈、法律的な内容の問題じゃないかと考えております。
  90. 大西正道

    ○大西委員 私は、これは集団的自衛権をそういうふうに解釈されるのは非常におかしいんじゃないかと思う。その解釈の点は別にいたしまして、集団的自衛権ということにつきましては、若干の異論はあろうとも、国際法的にかなりコンクリートな解釈ができておるはずなんです。そうでしょう。しかりといたしますれば、もちろん日本国連憲章の五十一条によって個別的な自衛権、集団的な自衛権は認められております。しかし個別的な自衛権でも、憲法九条によってその行使、発動は制限されていることは事実なんです。それを解釈となれば、あなたの方はでたらめな解釈をしているけれども、われわれは百歩譲ってあなた方のような解釈をしましても、この個別的な自衛権というものは無制限ではないということは明らかです。そういたしますと、もう一つの場合の集団的な自衛権はどうなんだということなんです。制限された形であろうとも、あるいはどういう形であろうとも、日本憲法はこの集団的な自衛権の行使、発動を認めておるかどうかということを私は聞いているのです。そんな解釈の問題がどうだこうだということではない。確定した解釈の上で一つ御答弁を願いたい。特例を持ってきて、解釈にまだ一つの結論が出ていないようなことでもってこれを糊塗されては困るのであります。さらに論を進めれば、アメリカの在日米軍基地に対する攻撃をアメリカに対する攻撃だと見て、日本がこれに対して共同防衛行動をとるということになれば、これは日本の国内の米軍の基地であろうが、あるいは日本国外のアメリカの領土であろうが、明らかにこれは日本の集団的な自衛権の発動なんであるか、どうなんだということなのであります。そこのところをもう一つ明確に解釈して下さい。
  91. 高橋通敏

    高橋説明員 たびたび同じようなことを申し上げるようで恐縮でございますが、集団的自衛権、個別的自衛権というふうに、集団的自衛権が一つありまして、それから個別的自衛権という観念がまた一つあるというふうにわれわれは考えておりません。われわれはやはり攻撃された場合に、それに対抗する権利として存在するのは自衛権だと考えております。そこで自衛権の頭にインディビジュアルあるいはコレクティプというふうに形容詞がついているわけでありますが、あくまでもその本体は自衛権であり、自衛権ということになれば、われわれは憲法上の自衛権の解釈によってすべてが規定される、こういうふうに考えております。
  92. 大西正道

    ○大西委員 日本国に対する外国の攻撃に対してこれを守るということは、これは明らかに個別的な自衛権の発動ですよ。しかしここに日米安保条約の新しい相互防衛条約を結んだ場合に、締約国の一方に対して攻撃を加えられた場合には、これに対して共同行動をとるということを明らかにしているじゃありませんか。そういたしますと、日本の国土に対する侵略に対して自衛のために自衛権を発動するという場合と、相手国に対して援助をする場合とは、これは明らかに違いますよ。その場合を集団的自衛権の発動だと私は考えているのです。自衛権が一つだということは明らかです。しかし集団的自衛権と個別的自衛権と分ける以上、何もそこに違いがないとは言えないでしょう。自国の防衛のために行使する権利は、個別的な自衛権だと考えて差しつかえない。同盟条約関係にある相手国に対する攻撃に対して援助を与えるという場合は、これは個別的自衛権の発動によってはこういうことはできないのです。当然そこに集団的な自衛権の行使ということによって、初めてこれが可能になるわけなんです。そうじゃないですか。いかがでしょうか。
  93. 高橋通敏

    高橋説明員 私が御説明申し上げておりますのは、その場合にそれは集団的自衛権というふうにお考えになって、そういうふうな言葉でお呼びになるという場合でありましても、われわれは個別的自衛権、すなわち通常の自衛権——集団的自衛権がその場合発動が可能であるといたしましても、それは本来の自衛権、個別的自衛権でこれは当然制限を受けるものだ、こういうふうに考えております。
  94. 大西正道

    ○大西委員 そうしたら、ここに両条約の締約国の一方が攻撃を受けた場合に、他国がこれに対して共同防衛の行動をとるといった場合には、その自衛権はどういう種類の自衛権なんですか。
  95. 高橋通敏

    高橋説明員 その場合、通常の場合でありますれば、集団的自衛権を発動して行動できる。しかしわれわれは日本憲法の範囲内でやろうという考えでございますから、共同行動をとる場合においても、また相手国を援助します場合においても、日本の自衛権の範囲的でこれを援助しなければならない、私はそういうふうに解釈しております。
  96. 大西正道

    ○大西委員 そういう政治論を導入して、そういうことを言っちゃいかぬですよ、政治論で逃げちゃいかぬですよ。国連憲章五十一条の関係はどうですか、五十一条に集団的自衛権、個別的自衛権ということをはっきり書いておるじゃありませんか。それをはっきりして、日本憲法は集団的自衛権の発動を認めておるか認めてないか、そのことを明確に御答弁になればよろしいのであります。問題はそれから発展します。
  97. 高橋通敏

    高橋説明員 私が了解いたします範囲では、国際法上の国家としては集団的自衛権は持っております。そういう権限を国際法上はわれわれ持っておりますが、憲法上われわれが理解します範囲では、そのような権限を憲法上では制限された範囲でわれわれは持っている、こういうふうに考えております。
  98. 大西正道

    ○大西委員 そういたしますと、バンデンバーグの決議の自助と相互援助、特に具体的には今回の米軍の基地が攻撃された場合に、共同防衛のゆえをもって集団自衛権の発動によって日本がこれを援助するということは、私はできないと思うのです。いかがです。
  99. 高橋通敏

    高橋説明員 それはバンデンバーグ決議の自助と相互援助という問題でございますが、相互援助がすなわち直ちに正確な意味における集団自衛権でなければならないというほど、あの決議が正確な——正確なと申しますか、厳格なものではない。相互援助というのは、いろいろな援助の方法があると思います。それでございますから、これはアメリカの決議の問題でありますが、それが常に集団的自衛権でなければならないというほど、厳格なものではないと考えております。
  100. 大西正道

    ○大西委員 それはバンデンバーグの決議の相互援助と、自衛権の一つの形としての集団的な自衛権というものが、その概念が完全に一致してうらはらの問題だと私は言いません。しかしながらここにバンデンバーグの決議のいわゆる相互援助を効果的に実現するためには、どうしてもこの自衛権の中の集団的な自衛権の発動がなくしては、バンデンバーグの決議の相互援助というものも実は私は充足されてないと思うのですが、どうですか。
  101. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本が侵略を受けたとき自衛の行動をしますことは、憲法解釈上許されておることだと思います。同時に、アメリカが自分の自衛権を発動するということも、これまたアメリカの立場において当然だと思います。そういう意味におきまして、両者が共同の動作をとるということ自体が憲法に違反しているとは、私ども思っておらぬのであります。
  102. 大西正道

    ○大西委員 もっと具体的に言いますと、米軍基地に対する攻撃に対して、米軍は個別的な自衛権を発動してこれに対処する、そのときに日本が集団的な自衛権の発動によってこれに協力援助する、こういうことが考えられる。日本に対しての攻撃の場合は、日本が個別的な自衛権の発動によって自衛の手段を講ずる、これに対して米国はいわゆる集団的な自衛権の発動によって日本援助するのです。その場合にアメリカ基地に対する攻撃は、これはアメリカに対する攻撃だと見て、集団的な自衛権によってこれを援助する、そういう建前をとるのか、いや領土、領空を侵すからこれは日本に対する攻撃だと見て、日本の個別的な自衛権において発動するのか、ここのところは政治的にはそれはどっちも同じだ、一緒になるということになるけれども、建前上私は非常に違うと思うのです。そこのところを明確にしていただきたいと思うのです。明確にしていただかなければ、次の問題が発展しないのであります。
  103. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本におけるアメリカの基地が攻撃された場合に、日本も自衛権を発動しなければならぬと思います。アメリカも自分の軍の施設が破壊されるというときには、自衛権を発動するだろうと思います。その際共同動作をとりますことは、今回の条約で規定されていくと思いますが、そのこと自体はすぐに集団行動であるかどうか、いわゆる集団安全保障の行動であるかどうか、個々の自衛権が共同してやるんだということ自体が、先ほど条約局長説明しましたように、集団安全保障の体制でいくのかどうかということは、法律上疑義があるのではないかと思います。しかし今申し上げましたような過程において進んで参りますれば、憲法上特に違反の点はないと考えております。
  104. 大西正道

    ○大西委員 時間の関係で、私はそれはもう一回一つ明らかにしておきたいと思うのでありまするが、よもや日本か集団的な自衛権の発動ということを憲法で許しておるというふうには御答弁にならないと思う。だからこそ参議院の本会議における答弁でも、岸総理は、それは目的のいかんにかかわらず、日本の領海、領空を侵すから、日本に対する攻撃だと見て、これに対処するのが当然だと言い、またあなたもこの間床次君の質問にそういうように答えられておるのであります。そういたしますと、私は、そこでバンデンバーグ決議の相互援助ということが——これは政治上の問題じゃないです、そういう法律上の建前から言っているんですが、その結果充足されないことになる。それでは日本はこのバンデンバーグ決議の相互援助を、どの点がどんな場合に充足されるかという問題が出てくる。そうなってくると、あなたはこの席上では、沖縄、小笠原問題はもう条約区域からはずすと言っておられるけれども、自民党の安保条約の改定の草案を見ますと、その点は必ずしもあなたが言われる通りになっておらぬ。やはり米国と十分協議して、そして事をきめる、こういうように非常にぼやかしておるのであります。私はあなたの言葉を信じたいが、党自体がそういう態度をとっている以上、今申しましたバンデンバーグ決議の問題から見ますと、これはやはり何らかの形でもって相互援助の責任を果すというような場面を、あるいは沖縄、小笠原に求めるんじゃないかという懸念が私はあるのであります。だからその点を明らかにしたいために、私はこの点を申し上げておるのであります。
  105. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 バンデンバーグ決議の精神というものは、やはり自分でもって自分の国を守るだけの準備のないような国とこうした防衛条約を作っても意味がないんだ、従って少くも自分の国は自分で守るという意思を持っているという——それは経済的な事情で、そういうようなことを決意しても、なかなか十分に自衛力も持てないということはありましょうけれども、そういうことを前提にした国と、こういう決議を結ぶということが必要なんです。それがやはり相互援助する建前になるわけだと思うのであります。でありますから、今申し上げたような点から見まして、バンデンバーグ決議の精神というものが、かりに書き表わされて参りましても、今の精神というようなことを取り入れて考えて参れば、差しつかえないんであります。バンデンバーグ決議そのものの法律的用語そのままなり、あるいはその法律的解釈なりを何も今回の条約に書き加えなければアメリカはこの条約の調印に応じないとは言っているわけじゃないから、私どもとしてはそれで十分だと思っております。何か小笠原、沖縄等を入れて、そこに何か相互援助の別の道が隠されている、そういうことは今回の交渉においては現われておりません。
  106. 大西正道

    ○大西委員 意外に時間をとったのですが、もう一つ、この前の委員会でも、協議の問題につきまして、あなたは英語のコンサルトということを協議と訳して、それは拒否権というものがある、自分はそう思う、こういうように言っておられるのであります。私はその解釈が非常に無理であるということは、当時の論争を聞いてもそう感じておったのでありまするが、あなたがそう言われるなれば、何かの約束が私はできておるのかもしれないと思う。従って、拒否権があると言われるなれば、非常に誤解のある表現はすべからく明確にしなければなりません。従いまして重要な拒否権があるかないかという協議の内容というものは、最も重大なものであるから、あなたの言われる拒否権がある——その拒否権のあるという表現の仕方は、それは同意がなければならぬとか、いろいろな表現はあろうが、その解釈を、コンサルトという言葉の内容を、交換公文なりによって明確にされるということが必要ではなかろうかと思うのです。だから、その点はどうなのか。
  107. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先般来御議論のありましたところは、私どもたびたび承わっておるわけであります。ただ従来からコンサルテーションが協議と訳されていることは事実であります。また何か他の訳語を……(「誤訳だ」と呼ぶ者あり)誤訳であるかどうかは知りませんが、慣例的に英文でのコンサルテーションを協議とやっております。また、この前穗積委員が言われましたように、日本語の協議という意味はコンサルテーションよりもっと強くて、なるほど拒否権があるらしく聞えるがというような御質問もございました。従って、コンサルテーションと協議がどう違うか、非常に画然と違うかということは、私も英文学者でありませんから、はっきりここで申し上げるわけに参りませんけれども、従来の通例的な慣例から申せば、コンサルテーションを協議とし、しかもその協議というものは、日本語では穗積委員も言われましたように、非常に強い意味が含まれているということもあるわけでありますし、しかもその協議というもの自体、日本語で書きますことは、英文と日本文とが正本となるわけでございますから、私どもそうした解釈で差しつかえないと思っております。従って、協議自体は拒否権があるとしてこれを進めて参って差しつかえないのだというのが、現在の考え方でございます。
  108. 大西正道

    ○大西委員 これはコンサルテーションでなくて、今言うように協議だということになれば、当然明確にアグリーメントということにしなければならぬ。しかもそれでもいけないということになれば、私は少くともそういう交換公文において、そう解釈する、拒否権を持つものだと、これはおかしなことだけれども、あなたがその点を固執されるならば明確にすべきだと思うのです。いたずらな紛糾をあなたも求めないでしょう、これは明らかにすべきです。それから、協議々々と申しまして、今お話のございました行政協定二十四条は、当時の岡崎外務大臣は、そんなものはちょっと話し合うというだけで大した意味がないと言っているのですよ。笑いごとじゃないのだ、大事なことだから。そうでしょう。そこのところをもっと責任のある答弁をなさらぬと、そんな、私は英語なんかはよく知らぬがというようなことは——私だってよく知らぬけれども、それを研究して一つ明確な規定をしたいというのが、これは国家の運命に関する重大問題じゃないか。そういうことでこの問題を糊塗されては私は困ると思うのです。一つそのあなたの言われる解釈を明確にすべき方法はどうなさるか、このことを私は最後に聞いておきたいと思うのです。
  109. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は決して糊塗して申し上げておるわけではないのでありまして、われわれとしてはこうした条約を作ります場合に、慎重に用語等についても検討して参らなければならぬのは当然のことであります。従って私としてはそう簡単に糊塗する、あるいは自分が英語の知識が足りないところだけで無理押しをしようとは思っておりません。それぞれやはりその専門家その他の意見も聞いて、そしてこれをきめることは当然だと思います。ただ現在、協議という日本の言葉で表現される以上は、協議がととのわなければ行われないのでありまして、そのこと自体が拒否権を持っているということは、私は明瞭だと思っております。従って今日の段階におきまして、私としては協議という文字を挿入することによって、今お話しの問題は解決すると考えております。がしかしお説もありますから、さらに十分検討はいたします。
  110. 小澤佐重喜

    小澤委員長 森島守人君。
  111. 森島守人

    ○森島委員 外務大臣にお尋ねしたいのですが、今大西君のあげた協議の問題です。これは予算委員会においても加藤勘十委員から、また当委員会におきましては穗積委員からも御質問がございました。しかし、あなたの答弁はきわめて不満足である。協議という以上は、断わることもあるのだから、よもやアメリカ日本のいやだということを押しつけてくることはないだろうというふうな御説明だった。国際信頼の上からもそういうことはないだろう——これは岸さんも大体同様な答弁をしておりましたが、あなたのおっしゃる通りの解釈であるといたしましたならば、あなたの発言が条約の効力をきめる上においていかなる力を持っておるかということを、私は端的にお答え願いたいのです。
  112. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、協議であります以上、協議がととのわなければこれが実行されないのでありますから、拒否権はあるものと私は考えております。その上に、先ほど補足してお話がありましたように、それを犯して——協議をすべきものを、現実にはそれでは協議をしなかったと同じことなのでありますから、そういうような協議をしなかったと同じような実体でもってアメリカがこの条約違反を犯すと申しますか、あるいはその協議をしないでやろうというようなことは、これは考えられもしませんし、またそういうことをやればアメリカの信用を失墜するのじゃないかということを補足的に申し上げておるわけであります。
  113. 森島守人

    ○森島委員 そこで私お伺いしたいのは、参議院の予算委員会で、それでは議事録をとっているかということが問題になったようです。これに対して、議事録はとってないがメモだけはとっておりますというのが藤山さんのお答えだった。それは議事録やメモが果していかなる効力を持っておるか、専門的な見地から権威のあるお答えをしていただきたい。
  114. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 森島先生も御承知のように、外交交渉で速記録をとりながら交渉するということはほとんどないと思います。メモをとりながらやるのが通例の慣習だと思います。われわれメモをとってやっておりますけれども、そのメモは、次の会談あるいは前後を通じての会談の参考にして参るわけであります。従ってそれらのメモをどういうふうに整理して議事録に載せるかというような問題が後段に出てくるのではないかと思いますが、それが普通の方法であり、森島さんもやはりそういう御経験ではないかと存じております。
  115. 森島守人

    ○森島委員 いや、それはいろいろ場合がございましょう。山東条約のときはりっぱに議事録をとっておりまして、それが最後の条約解釈の上において大きな力を持った、そういう例もございますから、必ずしも、今藤山さんの言われたように、一がいに断定はできません。しかしメモをとっておるのも、次回の会議において議事録を整理するという趣旨でとっておるというお話でございますが、そういうものなら、条約の最終的な解釈をする上においては、何ら法律的の効力を持っていないということを私は断言して差しつかえないと思う。やはり穗積君から指摘がありましたように、どうしてもこの場合にはコンサルトという字をやめて、これが日本語に訳して協議であるから拒否権があるとかないとかいう独断的な解釈をおやめになって、やはり国際慣例に基いてアグリードという字をお使いになった方がいいと私は思っておるのであります。これに対しては、今大西委員に対して、考えてみようというお答えでございました。  条約局長にお伺いしますが、条約局長は、コンサルトという字には同意権を含んでおる、拒否権を含んでおる趣旨外務大臣を補佐しておるのだ、こう言っておりますが、これについても確たる御確信がありますか。
  116. 高橋通敏

    高橋説明員 私は、たびたび大臣から申されておりますように、この間申し上げましたように、コンサルトして、コンサルトでととのわないときに、それを強行することはない。従いまして、その意味において拒否権を含んでおるのだというふうに考えて申し上げたわけであります。
  117. 森島守人

    ○森島委員 そこで、さっきの大臣の御答弁にも、ふとしてお触れになったのかもしれませんが、慣例があるのだということをおっしゃいましたが、慣例があるのなら一つここで現実に示していただきたい。コンサルトという字には、そういう場合に使われた慣例があるのなら、ここですっかり示していただきたい。
  118. 高橋通敏

    高橋説明員 条約上は、協議ということはもちろんいろいろな場合に使われておると私は考えております。ただ、これはほんとうに協議という場合に、やはり協議ということを書いた以上は、これは実体的な協議でなければならない。従いまして、ちょっと口をかけたとか、ちょっとインフォーメーションに行ったというだけでは、やはり協議ではないと思っております。従いまして、ほんとうに協議ということを考えますれば、やはりどの条約でも、協議と書く以上はそういうふうに解釈をするのが原則ではないかとわれわれは考えております。
  119. 森島守人

    ○森島委員 正文が日本文と英文とになるというお話ですから、これで両方の解釈が合わなかった場合には、国際信用を増す、相互信頼を増進するどころか、日米両国間に思わざる不測の事態を生ずるおそれもあるのですから、これに対して私の求めるのは、コンサルトを協議のような場合に使った事例がございましたら、これは急ぎませんから、一つお調べの上でこの委員会に御提出願いたい。委員長、しかるべくお取り計らいを願います。  そこで私が指摘したいのは、これは藤山さんにも聞いてもらいたい非常に重大な問題があります。ワシントン会議において、日英同盟を廃止するために四国条約というものができました。四国条約の中には、太平洋における島嶼たる領土、これに対して問題が起きた場合には云々するというやつがあります。これが調印前であったか、調印後であったか、私ははっきりいたしません。これはいずれ調べてはっきりいたしますが、調印前後の時代だったと思いますが、このときには条約にインシュラー・ポゼッション島嶼たる属領、領土という言葉について、アメリカ大統領と条約の締結に当ったヒューズ国務長官の間で見解の相違が起きて、非常に重要な問題になりました。そこでやむを得ず追加協定をやって、日本に関する限りは日本の本土を含まないという留保をいたしましたが、これらにつきましては、条約の解釈というものはいかに重要なものであるかということを、私は端的に示しておると思う。この点についても、藤山さんがあくまでもコンサルトに固執して、しかもこれには同意権を含んでいる、拒否権を含んでいるというふうにお考えになるなら、私はあなたの政治的な責任というものは非常に大きな時代が来ると思う。これは私たち反対党の立場だけではない。自民党の中でも意見が合致していない部分があるということは、昨日総理大臣新聞記者会見で言っておられるが、もしそういう場合がありましたら、あなた事後になってどういう責任をとられますか。私は外務大臣としての大きな責任の問題だと思いますが、御所見を伺いたい。
  120. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 もちろん最終草案を作りますときに、字句上の問題についても慎重にやってもらわなければならぬことは当然でありまして、これらの問題についてわれわれとしては十分話し合いをし、また日本の考えていることが端的に表われるようにして参ることは当然だと思います。ただいま、協議ということ自体が拒否権を持っている、そういう解釈で進んだ場合に非常に重要な問題が起って、お前は責任をとらざるを得なくなるかもしれぬとおっしゃいましたが、私は本条約交渉に当りまして——単にこればかりではございません、私は全部の条約の締結に対して重大な責任を持っていると思っておりますので、その責任を痛感しながらやっております。
  121. 森島守人

    ○森島委員 重大なる責任を痛感しておられればこそ、あなたのおっしゃる内容をコンサルトで表わすことは不可能なのですから、そこで一歩を譲って——まあ面子の問題もありましょう。しかしこういう面子の問題にとらわれずに、アグリードということで日本の同意権を持っているということを明らかにマッカーサー大使との間でお話し合い願って、アメリカ承認を取りつけるだけの御努力をなさるのが、私は外務大臣の責任だと思うが、これをおやりになるかならぬか伺いたい。
  122. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は協議が拒否権を持っているということを考えておりますので、現在地の用語を使うような考え方は持っておりません。しかしながら、むろんいろいろ御意見は伺いながらわれわれとしてやっていくことは当然でありますから、それらの問題については十分承わっておこうということは、先ほど申し上げた通りであります。
  123. 森島守人

    ○森島委員 私はもうすでにコンサルトで話し合いがついていると思うので、これをやり変えることはできぬのだということだろうと思うのですが、非常に謙虚な態度じゃないですよ。もう少し世論のあるところを聞いて、正しい条約をお作りになる努力を続けられることが私は必要だと思う。これは私重ねて外務大臣に警告しておきます。おそらく自民党の中でも、その問題が大きく出てくるだろうということを私は期待している。条約を作ったあとにこういう点について留保等がつきました場合には、いかになさいますか。
  124. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私としては最終的にでき上りました条約について、十分責任を持ってこれが批准等に臨んで参るわけであります。その際、お話のありましたように、留保その他いろいろな問題がありますれば、私としての責任は考えて参ることは当然でございます。
  125. 森島守人

    ○森島委員 時間がありませんので、この程度で終えまして、私もう一つお聞きしたいのは、今大西君の質問の中にありましたが、在日米軍に対する、基地でもよろしゅうございますが、攻撃をすべて日本に対する攻撃と認めるというのですが、それで間違いないのですね。
  126. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私どもはそういうふうに解釈しております。
  127. 森島守人

    ○森島委員 私はこれは非常に危険だと思う。昔の陸軍の例を引いて相済まぬのですけれども、藤山さんもおそらく御承知でしょうし、政務次官なんかよく知っているはずです。ノモンハン事件や張鼓峰事件というのがあったけれども、これらの大きい事件は、すべて大部分日本の軍隊の挑発的な行動が原因をなしている。日本におるアメリカ軍といえども、挑発的な行動に出る分子がないとは絶対に私はいえない。やはりその危険性もあると思うので、在日米軍に対する攻撃を直ちに日本に対する攻撃と断定するのはあまりに過早である。私はその点におきましても、在日米軍の挑発的な行動によって起ることもあり得るということも、御考慮に入れられていただかねばならぬと思う。これはノモンハン事件や張鼓峰事件で明らかです。そんな事件が絶無とは私は考え得ないのです。藤山さんはこれに対していかなる御見解をお持ちになっておるか。
  128. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 在日米軍が出過ぎた行為をするかしないか、むろん出過ぎた行為をされては困ることは当然なのであります。事態が起りましたら、われわれとしては国際情勢の推移その他話し合いをいたして、情勢の判断をして参らなければならぬのですが、そのときに出過ぎた行為をするようであれば、むろん警告もして参らなければならぬと思います。しかしアメリカといたしましても、みだりに出過ぎた行為をして、何か戦争を挑発するような行為をするとは私ども考えておりません。
  129. 森島守人

    ○森島委員 しかし軍のやることと、あるいは国務省のやることは違う。やはり重の本質というものをお考えにならなければならぬ。そういう危険性のあることは十分お考えにならなければならぬ。しかるにもかかわらず、藤山さんのこれまでの答弁から見ますと、何らそこに事態を究明するとか、あるいは原因を突きとめるというふうな努力をしないで、在日米軍あるいは在日米軍基地に対して攻撃があったら、自動的に日本の自衛権が発動するのだという御解釈をとっておられますが、これは非常に危険だと私は思う。この点に関してさらに明らかにしていただきたい。
  130. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん自衛の行動をとります場合に、慎重であるべきことは当然だと思います。しかし今も申し上げましたように、われわれとしてはいろいろな場合情勢判断をお互いにして参り、またそれらを通じて日本側意見も言い、必要があればアメリカ側に自省してもらうことも当然なことだと思います。従ってアメリカがみだりに挑発的な行動をとるということは、考えられないのではないかと私は思います。
  131. 森島守人

    ○森島委員 外務大臣としては、こんな公けの席上において、挑発的行為に出ることはないと信ずるとおっしゃるのは、私は外務大臣の立場として了承いたしますが、さらにこの場合を詳しく御研究になって、場合を分けて対処するようにしなければ、非常な危険が日本に起ってくることがあるということを、私は御警告申し上げておきます。  外務大臣の時間の都合もあるようですが、私もう一つ……。委員長に対してお願いがあったのですが、実は四月二十七日の委員会におきまして、外務大臣もおいでになりましたが、日本と英国との間で、コールダーホール型の原子炉を輸入するのと引きかえに、百万ポンドのサヶ、マスのカン詰を輸出するということにしたいきさつがあるのでございます。これは私は外務省の電報の写しを持っております。これについて電報一通を外務省から資料として御提出を願っている。前の櫻内委員長は善処するということをお約束になっておりますので、委員長におかれましても一応善処を願いたい。これに対する外務省の立場と申しますか、それはどういうふうになっておりますか、一つお伺いしたい。だいぶ日にちもたっておりますから、すでに御善処になっているものと私は信じておりますが、もしこれを懈怠しておるならば、役人としての責任の懈怠であると思うので、どういうふうにやっておられますかお伺いしたい。
  132. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先般の委員会でもって、コールダーホール型の炉を買い入れるということと、サケ・カンを売ることとを引きかえにしたという森島委員の御質問でありましたけれども、サケ・カンとコールダーホールの買い入れと引きかえにしたことはございません。御承知のように、コールダーホールを買うか買わないかということは、原子力委員会が厳密な調査をしているわけでありまして、むろんわれわれしろうとが、そういうものを買っていいというようなことを独断で進めていくことは、あり得ないと思います。従ってサケ・カンを売ったからコールダーホール型を買うということはございません。現に原子力委員会において、コールダーホール型についてまだ慎重な検討を進められておるのは事実でありまして、買うとも買わないとも原子力委員会が御決定になったということは、私ども聞いておりませんから、そういう事実はないと思います。  外務省の電報が出たのを森島委員のお手元にお持ちだということで、この点についてはどういう処置をとったかという今の後段のお話でありますが、私どもとしてはそういうことがあっては相ならぬわけであります。森島委員であるから幸いだったかもしれませんが、他に出てはならぬのでありまして、そういう点については部内の十分な戒心を要するよう訓達もいたしましたし、また今後そういうことのないように努力もいたしております。またそれらについての調査等もいたしましたが、今日外務省の文書が、外務省から直接出ませんでも、関係各省には回っている場合もございます。従ってそれらの経路につきましても、なお十分慎重に考えながら処置して参りたい、こういうように思っておりますので、いたずらに疑いをかけることは相ならぬと考えております。
  133. 森島守人

    ○森島委員 外務大臣は私の質問をお取り違えになっていると思うのです。当時私は、ロンドンの中川臨時大使から外務大臣にあてた電報百八十七号というものの、エッセンスでもけっこうですからそれをお出し願いたいということを願っておいたので、これに対する御所見を私は求めた。別に機密電報の取り扱いその他に関する外務省のお取り扱いをお尋ねしたわけじゃないので、この資料の提出についてはいかにお考えになっているか。それから科学技術特別委員会の岡委員から聞いたのですが、岡委員質問に対しては、外務省の経済局長が、全然うそだと言って否定されたということを承わっておりますが、これが事実であるかどうか。  もう一つ私が申し上げたいのは、コールダーホールと引きかえにしたというのじゃない。貿易協定の一部に、サケ、マス百万ポンドを入れて、それとつじつまを合せて原子力発電炉を買うことにしたということで、私は危険性、安全性に関する明確な見解の出ておらぬ今日、これを買うことを前提として貿易協定を結ぶがごときは、日本の原子力発電に関する基本方針をきめる上において、非常に軽率じゃないかという点について外務大臣の責任を私は問うた。私はむろん原子炉をどういうのを入れるかということになりますれば、おそらく原子力委員会で御決定になることは子供でもわかっておる。そういうことを外務省できめたと言って外務省を責めているのではない。こういう問題のあるにもかかわらず、私はこれには政治的な意図が含まれておるということは、確言はできませんけれども、ほぼ推測しておるのでございますけれども、私はその裏にいかがわしい政治的取引があったという印象をぬぐい去ることができないのです。この点を御質問申し上げておる。資料を御提出になるかならぬかという点と、それから経済局長から、あなたでけっこうですが、経済局長が岡委員に対して私の持っておる電報——数通持っておりますが、内容にわたっても私は経済局長と応酬したいと思っておりますが、これは全面的ににせものであるとか、あるいはいいかげんなものであるというふうな御答弁をなさったと聞いておりますが、この点が事実であるかどうか、もしにせものであるとか信用できぬものであるとかいう御見解ならば、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
  134. 高野藤吉

    ○高野説明員 第一点の御指摘の電報につきましては、そういう内容にわたった電報はございませんので、百何十何号でしたか、そういう電報はございませんので提出しておりません。  第二点の牛場局長が御説明申し上げたのは、そういうサケ、マスカンとコールダーホール型の原子炉との関係は、全然ウェートの問題が違うから全然そういう事実はないと御返事申し上げたと私は記憶しております。
  135. 森島守人

    ○森島委員 それでは私は突っ込んでお伺いいたしますが、私が申し上げた電報はここに数通あるのです。通し番号になっております。私は経済局長がいかに否定されても、事実だということを確信している。あなたの方で材料がないから出さぬというくらいの御答弁では済まされぬと思っておる。私はそれじゃ交渉の内容にわたってお伺いいたしますが、貿易協定の最後の段階において問題になりました品目はどういうものでしょう。
  136. 高野藤吉

    ○高野説明員 日英間の貿易協定におきましては、お互いに輸入を制限しておりまして、これをお互いの特産物をある程度輸入を認めるという協定があります。しかしこれは両国の約束におきまして公表されておりません。しかしその中には御質問のようにコールダーホールは入っておらないことだけは明らかにお答え申し上げられます。
  137. 森島守人

    ○森島委員 きわめて不満足な答弁です。私は重要な問題ですから、この内容を突き詰めるためにも、交渉の最後の段階において大きく品目として取り扱われたものは何か、これだけのことを御説明になれぬという理由は私はないと思う。
  138. 高野藤吉

    ○高野説明員 日本がイギリスから輸入するものは毛織物製品、ウイスキー、自動車、機械、おもなものは大体そういうものでございます。それから日本からイギリスに出ますものは織物類それからカン詰類がおもで、あとは雑品その他でございます。
  139. 森島守人

    ○森島委員 私もきわめて不満足なのですが、さっきは公表できぬことになっておるから説明はできぬというお答えで、今私の再質問に対して内容の一部を御発表になったと思いますが、これは私はきわめて不満足な御答弁で、それではこっちから申しましょう。  最後の段階において問題になりましたのは、第一、カメラが問題になっております。第二に、トランジスター・ラジオ、第三には玩具及びスポーツ用品、第四には自動車及びデュープリケート・マシンとありますが、こういうものが問題になっておる。このいきさつについても私の持っておる電報に関する限りには、英国の当事者と詳細なる中川代理大使との間の応酬がございます。これを見ましても私は絶対にこの百八十七号というものがあるということを信じて疑わない。ここにも書いてある。「三日パーシパルの求めにより応訪したところ、原子炉とサケカンについての書簡案は日本側申し入れ通り受諾するが、カメラ以下四品目の増額要求は、大臣とも十分に相談したにもかかわらず、以下のようなディスアポイティングな結果しか伝えられぬのはまことに残念である、といって次の通り述べた。」といってパーシバルの応酬をこれに出しておる。これを見ましても、どうしても百八十七号というものは、この原子炉の問題とサケ、マスのカン詰の増額輸出の問題と、これの基本をなしておると思うので、外務当局に対してこの電報をお出し願いたいということをお願いしたのですが、これは絶対にありませんか。
  140. 高野藤吉

    ○高野説明員 先ほどから御説明申し上げておりますように、原子炉とサケ、マスを交換して、そういう交渉をしたことはございません。従ってそういう電報はございません。
  141. 森島守人

    ○森島委員 そこでカメラについてはどういうふうな向うの態度でございました。
  142. 高野藤吉

    ○高野説明員 方々でいろいろな交渉をやっておりますので、私もこまかい全部のことは、そのつどのことは、ここで記憶しておりませんが、カメラの点はあったように記憶しております「が、具体的には入らなかったのでありますが、今記憶しておりません。
  143. 森島守人

    ○森島委員 それは一々こまかいことを御記憶になっておると私は期待いたしませんけれども、最後の段階において重要な交渉経過を経ておるときなのですから、これくらいのことは経済局長としても十分御承知だと思う。それをすら私の前に事実を明らかにできぬというのは、百八十七号というものはないのだという前提に立って、あくまでもこれを否定し続けるという立場から来ておる結果だと私は思うのですが……。
  144. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 こまかいこういう問題につきましては、当時の交渉であり、牛場経済局長が二日ほど前に中近東の会議から帰ってきております。いずれ牛場局長が十分詳細御説明できると思いますから、それまでお待ちをいただきたいと思います。
  145. 森島守人

    ○森島委員 私は外務省筋からも、お前はえらいものを手に入れておる、一体どこから手に入れたのかということで省内の幹部が騒動を起しておる。一ぺんお前にも会って話を聞きたいということを外務省の幹部から話があったことは事実です。これはいかに経済次長が否定されても、私は事実だということを信じて疑わない。もし、それが事実なら事実として率直に認めて、率直に善後措置をおとりになった方がよいのだと思うので、外務大臣に対しましても——この問題に対しましては私から出たということじゃない。これは重大な問題です。日本の原子力発電の根本に関する重大な問題です。これは百万ポンド、それは一部ですよ。百万ポンドだけじゃないのです。かの電報によりますと、大きいワクは百万ポンドとれたが、あとの品目の増額率は少いのだというふうなことがはっきり出ている。私は非常に不満足ですが、外務大臣のお時間もあることですから、次会に譲りまして、牛場経済局長に出てもらってこの点について一つ詳しく討議をしたいと思います。質問を打ち切ります。
  146. 小澤佐重喜

  147. 穗積七郎

    穗積委員 きょうは時間がありませんが、外務委員会を継続的に開くわけにいきませんし、安保改定の交渉は閉会中といえども進むわけですから、きょうは簡単に内容に入りたいのですけれども、それは割愛いたしまして、取扱いについて一点と、条約解釈について一点、この二点だけお尋ねしておきたいと思うのです。  第一点は、この安保交渉担当の外務大臣、あなたは交渉を始められてから早期調印ということを非常に主張してこられた。そして通常国会中もそのことを言い暮らされた。最近になるまでその態度でおられたわけですが、去る月曜日の内閣と党との連絡会議で、少くとも臨時国会には出さないで通常国会以後にしようというふうなことになり、従って調印についてもそうあわてたことはないというようなお取りきめになったようです。昨日総理が外遊前の記者会見におきましてもその問題に触れて、同様趣旨の、あわてたことはないということを言っておられるわけなんです。これは実は担当のあなたの責任ではなくて、われわれがかねて危惧いたしましたように、安保条約改定に伴う新たなる日米間の相互防衛条約なるものは、国民の安全と生活に重要な関係があるというので、われわれ野党だけではなくて、自民党内部においても良識の方々は内容について非常に心配しておられた。それがだんだん交渉を煮詰めてみますと、日本の安全をこれ以上確保し、日本アメリカとの関係においては対等平等の自主性を確保するのだといううたい文句が、内容において次々に、必ずしもあなたや岸さんが当初安易に考えておられたような状態ではなくなってきた。こういうことであるならば、やはりもっとじっくり考えるべきではないか。さらに自民党の内部においても、または世間一般におきましても、国民生活に一番関係のある行政協定の改定の問題についても、いろいろな点について私は多少の材料を持っておりますけれども、ここで一々申し上げませんが、当初予期したような改定の問題は、達成するのに困難な状態になってきた。そのことがおくれた原因であると私は思うのです。そういうことをお考えになれば、あなたは、担当しておる仕事の立場から見れば、早期調印をして片づけたいというお気持になられるのは無理からぬことですけれども、私はやはり本来の民間から上った外務大臣に期待する国際的な常識というものをここでもう一ぺんふるい起していただいて——岸さんは今度行かれて東西両陣営の緊張緩和の問題についてもじっくり話をし、協力もしたいと言っている。また交渉しておるアメリカ本国におきましても、昨年からの選挙の情勢やダレス氏がなくなったあと情勢をずっと見ておりますと、次の大統領選挙も来年に迫り、しかもアイゼンハワー政権の交代も大体国際情勢から見まして予測されるところでございましょう。そういうことでありますならば、この際その面子とか仕事師的なセンスにとらわれないで、じっくりと内容についても検討をしながら、国際情勢動きも見て、少くともアメリカの大統領選挙まで交渉をあわてまいという態度で延期すべきだ。——われわれは反対でございますけれども、打ち切っていただきたいと思うが、政府の立場から見てもそういう態度をとられることが私は最も賢明ではないかというふうに考えるわけです。これはあなたの立場に立って私がものを考えたときの考え方をちょっと申し上げたのですが、それに対してあなたは最近一体どういう感じを持っておられるか、今度の安保条約交渉の調印までに至る取扱いについてこの際所感を伺い、国民にあなたの意のあるところを明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  148. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先般の閣僚と覚との間の懇談会におきまして、安保条約を通常国会にかけるとか、臨時国会にかけないとかいうような決定があったわけではございません。むろんこの問題は調印の時期等とにらみ合せて党が決定すべき問題だと思うのでございまして、先般の会議ではまだその段階に至ってはおりませんことむろんであります。私はかねて申しておりますように、安保条約を取り上げました私の立場から申して、現在の安保条約がそのままでいいとは考えておりません。何らかの形でもって改善を加えることができる、またしなければならぬと存じております。しかしながらその改善を加えるということにつきましては、十分な用意と慎重な態度でなければならぬことむろんであります。従つって私自身そういう気持を持ちまして十分慎重にこの問題を取り扱っていきたい、こう考えております。ただわれわれこの交渉に当っておりますものから見ますれば、この春以来の状況において、交渉を開始するまではやはり一定のめどをつけまして、その辺のところでは一つ調印に持っていくようにみんな努力していかなければならぬ。それに合せて各省も協力してもらいたい。特に行政協定等の意見の取りまとめということにつきましては、各省もそれぞれ忙しい立場にもありましょうが、これがじんぜんとして延ばされますことは、そうした意見を総括して交渉に当ります外務省としてははなはだ迷惑なんでありますから、やはり一定の期間内にできるだけ歩調をそろえてやってもらいたいということを申さざるを得ないのであります。従ってそういう目標をつけてお願いをし、またこれらの問題について党内にも、むろん改定交渉でありますし、御指摘のように重要な問題でありますから、条約地域の問題その他につきましてもいろいろ御意見があることむろんであります。しかしこれもやはりある方針を一定の期間にはきめていただかなければ、交渉をやるという私自身の立場から申しますれば、じんぜんとしてそうしたことがきまりませんことは適当でないのでありまして、従ってこういう時期までにはなるべく党も一定の方針をきめてもらいたい、われわれとしてそういう限度においてやっていきたいということは当然申さなければならぬことだと思っております。しかしそれらのものが党の考え方もきまり、あるいは各省もそれぞれお出しになって、そしてわれわれ交渉に入って参りますと、今度は最終的な調印の時期というものは、実はいついつ調印できるということははなはだ言いにくいものでありまして、穗積委員も御承知通り、この種条約を作りまして、比較的合意しやすい問題はどんどん片づいて参りますけれども、数少くはあっても合意しにくい問題が残って参りますれば、それらについては合意しやすい問題の何倍かはやはり交渉にはかけなければなりません。そういう意味からいいまして、数が少くなったからといって最終的に時間が早くなるとはなかなか申しかねるところだと思います。でありますから、五月交渉に入りまして以来、私は特に時期等を申したことはないのであります。ただもちろん総理が外遊するという事実もすでに既定の事実でありますから、まとまるものならばできるだけ早くまとめていきたいというのは当然のことでありまして、われわれとしてはできるだけスムーズにこの交渉が参りますように努力をして参りたい。しかし先般来申し上げておりますように、まだ草案を作る前段の合意にある程度話し合いがついたという段階でございますから、また行政協定につきましてもまだ残っておる点が相当ございます。これらのものをやって参りますと、いついつまでに必ずできるということは申しかねるのであります。従って今日臨時国会に出すように間に合せろといわれても間に合わない場合もあります。通常国会に出すように延ばせといっても必ずしも延びない場合もあるわけでございまして、そこらの点は今後のわれわれの交渉をできるだけ円滑にやっていく。また私ども交渉を持っております者としては、できるだけまずこういう交渉が早く妥結しまして、夏ならば夏休みをとることが好ましいことなんでありますから、そういう意味においては個人的な意味で急ぐということは申し上げられると思いますが、実情は今申したような段階であります。従って今日私としては普通のテンポで今後この交渉をやって参るつもりであります。特にこの交渉を中止するという考え方は持っておりませんし、党においてもまたそういう考え方は持っていないと私は信じております。
  149. 穗積七郎

    穗積委員 それではあなたは単に外務省の長官としての立場だけではなくて、自民党内における有力なる党員であられるわけですから、党並びに内閣の大体の大勢というものはつかんで交渉をなさらなくちゃ、これは衝に当る者としては迷惑な事態が出てくることは当然なんです。そういう立場で私はお尋ねいたしますが、あなたは党内外の情勢をながめ、相手との交渉経過をながめられて、大体この調印はいつごろ、批准はどの国会でという大体のめどなくして交渉というものは行わるべきじゃない。一体あなたはどういう考えを持って今交渉に臨んでおられるわけですか、これからおやりになるつもりであるか、その点ちょっと明確にしていただきたい。
  150. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大体私ども最後にいろいろ残っております問題は、先ほど申し上げましたように問題が数が少くなったといっても、やはりむずかしい問題が残ってくるということは当然でありますから、これらの交渉に若干の時日が、今までのテンポよりも一つの問題を解決するのにかかるということは申すまでもないことだと思います。従っておそらくこれらのものをまとめまして、条約草案あるいは協定草案を作って最終的に字句の整備等をしますのには、やはり九月まではどうしてもかからざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。しかし何かそういう最終的にどうしてもいろいろな問題、かりに一点でありましても問題が残って参りますと、そのことだけで一週間や十日かかる場合もございますから、それが早くなる場合もあり、おそくなる場合もございましょうけれども、大体秋口にかかるということだけは事実でございます。
  151. 穗積七郎

    穗積委員 この安保交渉の取扱いについて、今申しました通り遷延いたし、また遷延する見込みになってきたのは、あなたの責任というより内容が深刻であるからなんです。特に日本の防衛義務がどぎつく出てきて、バンデンバーグ決議はそのまま条約の中に盛り込まれるということ、そして一方今の安保条約よりは対等平等の立場を取り戻すことができるんだといっておった協議事項における拒否権が取りつけられない、期限についても台湾、韓国、フィリピン等の条約と違って、十一年間というような長期の期間が据え付けられる。さらに行政協定の改定についても思うようにいかない、これらの重要な交渉の結果が、自民党内部まで含めて国民の非常な不安と疑惑を持たしめておること、これが私は今日の調印をおくらしておる根本的理由だと思うのです。そうなって参りますと、今の取扱いについて外交上もう一点お尋ねしたいのは、そういう内容を持ちましたきつい新条約になりますと、あなたがかねてこの委員会においても表明され、またあなた個人の心中においてもお考えになっておると私ども信じておる中国との問題は、こういう内容を持った新条約ができるといたしますと、あなたがお考えになっているように、安保交渉を妥結した後に次の仕事は中国だ、そう簡単には参らないうらはらの関係になっておると思いますから、従って私はそれがあなたの真意であり、ここの委員会において安保問題だけでなくて、日本の外交の重大な問題として中国との打開の問題についても十分考えたい。しかも大臣がかって提案された外相級における政府機関同士の話し合いというのは情勢上まだ早いように思うから、たとえば河野私案というか、党内から出た党と党の使節団で一ぺん話し合ってみる、そういうことについては十分考慮していきたいと思うということをこの前の国会委員会において、私ども質問に対してあなたは外務大臣として責任ある答弁をなさっておる。その後何らの動きを示しておられません。そして安保条約交渉の内容は今申しました通り、自民党を支持する方々、自民党の党員の中においてすら不安と危惧を持ち出して、さらに検討しなければいけないというような態度を生むほどの内容を持っているわけですから、従って仮想敵国に、その安保条約の向うところの標的になっております中国としては、より関心を持ってその内容を見守っておる。そういう点から見ますと、あなたの安保改定と日中打開の二つの外交政策というものは、いよいよ具体的にここで行き詰まってきたと思うのです。そこで私は先ほど言うように、国際情勢の緩和を待つ、アメリカの大統領選挙の情勢動きを見、さらに岸さんの今度行って打診してくるという東西巨頭会談等のヨーロッパを中心とする動き、これらを少くとも一年間というものは検討する必要が生じてきているのではないか。同時に中国の問題についても、私はこの選挙前の構想として受け取られるようなしりつぼみになるあなたの表明ではなくて、誠意ある表明になるためには安保条約の再検討とともに、一方においては中国との問題をやはり具体的に行動の上でお取り上げになるべき時期がきたのではないか。特に十月一日は国慶節十周年で、そうして経済発展も相当の計画を具体的にわれわれは見て取ることができる段階になりました。そういう意味においてぜひ一つ再考慮をされながら、一方において中国の問題を取り上げるべき時期だと思いますが、安保条約の取扱い方と、中国問題打開の進め方について、あなたのお考えをこの際国民の前に明らかにしておかれることがよかろうと思うのです。これは日本のために必要なことですから、この際機会をつかんで一つあなたの所信を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  152. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 安保条約の改定に当りまして、私ども安保条約七年の過程と、その間におきます国民世論の動向を顧みまして、またたびたび申し上げておることだと思いますが、衆参両院における外務委員会その他の質疑応答を通じて、これが改正すべき点があるということを私ども確信して、この改定に当ってきたわけでございます。従いまして改定に当りまして、むろん党内に若干の問題についていろいろ御意見があったことは先ほども申した通りで、沖縄を入れるか入れないか、あるいは期間の問題につきましても、長期の考え方の方もございます。いろいろな点について考えもありましょうが、しかし五月二十日前後でございましたか、四月二十日前後でございましたか、党の方針もきまりまして、そうして総務会を経て一つの党の基本的な要綱もきまりまして、先般の閣僚と党との懇談会、三役との話し合いにおきましても、私のやっております交渉そのものが必ずしも党の定めました基本的要綱に違反していないし、逸脱をしないで交渉が続けられておるということは確認されてきたわけであります。従って私のやっております交渉について党が大局に立って同じ意見のもとに推進をしていただいてきておる段階だと存じております。そういうことでありますので、われわれ交渉自体はむろん慎重にやって参らなければなりませんし、十分に交渉中も各方面の御意向を聞きながら、われわれとして取り入れるべきものは取り入れ、そしてこの交渉をりっぱな形において仕上げていくという努力をして参らなければなりませんけれども交渉自体を私どもとして今申し上げたような、しからば現行安保条約のままで置いておいていいのかということになりますと、必ずしも置いておいていいというふうには私ども考えておりません。一〇〇%改善ができなくても八〇%でも改善する方がよりベターであることは申すまでもないのであります。そういう意味において今後とも努力して参りたいと思っております。  対中共との関係でございますが、私は今申し上げたような基本的な態度でやっておりますので、特に新しく中共に何か敵視的な条約を作るというのではないのであります。現在ありますものを日本の自主性を入れ、日本の持っております何か卑屈な立場というものを払拭していこうということなんでありますから、そのこと自体が中共を刺激することは私はないと考えております。そういう意味から言いますれば、安保条約自体が中共を特に敵視して新しい条約を作るというような——現在ありますものを日本の自主性を入れた立場、もし従属的なにおいがあればそれを消していくという立場でありますから、中共側もでき上ったものについて理解を持ってくれるだろうと私は思っております。その意味において理解を示すだろと思います。でありますから、これ自体が中共との将来の関係に対して何か悪い影響を与えるとは考えておりません。中共問題はこの問題とは別に、われわれとして、また岸総理も言われておりますように、経済関係の交流を拡大し、その他両国の平和な交流のために必要な措置はできるだけとっていきたいという趣旨をとっております。でありますから、適当な時期にそういう方法をとっていこうということをわれわれも考えております。今御指摘のありましたように、その段階としてどういう順序を踏んでいくかということは、相手側の立場もございますから、こちらの一方的な考え方だけでは処置して参れないと思いますけれども、時期が参りますれば党の使節等を出すというようなことも、決して捨て去っておるわけではないのであります。そうした問題を十分考慮に入れながら、中共との関係の調節というものは進めて参りたいと思います。同時に今申し上げましたような趣旨で安保改定をやっておりますから、そのこと自体中共との関係の再調整に当りまして決してじゃまになるものではないという考えで対処しておるわけでございます。
  153. 穗積七郎

    穗積委員 今の問題は非常に重要でございまして、大臣の御答弁は、私はそういうことではまだ満足するわけにはいきません。しかしさらに突っ込んでお尋ねしたいのですが、時間がありませんからこの問題は次の機会に割愛をいたしたいと思っております。  そこで先ほど申しました第二の質問をいたします。これは条約解釈についてのことでございますので、大臣からできればお答えをいただきたいが、場合によりましたら条約局長からお答えいただいてもいいわけだが、いずれからお答えいただいたとしても大臣御同席のことでございますから、外務省としての正式かつ権威ある解釈として御答弁をいただきたいと思うのです。それはごく結論だけを申しますと、今度の条約の中にバンデンバーグ決議のおもなる趣旨が盛り込まれて、一方においては憲法の規定と手続によって云々という日本憲法の規定の文字も盛り込まれる、こういうことであるから心配はないということですが、問題は解釈なんですね。そこでお尋ねをしたいのは、われわれとしては、日本憲法の禁ずる条約を結ぶことはできないと信じておる、すなわち日本憲法ワク外の取りきめをしてもわれわれは国民としてそれに拘束力を感じなくてもよろしい、こういう解釈の立場にわれわれは立っております。だから政府は心配するな、日本憲法の規定の範囲内においてと言っておられますが、そこで心配になることは、日本憲法の規定に従う、そのワクがバンデンバーグ決議の趣旨を排除する、つまりバンデンバーグ決議の方が日本憲法第九条その他の平和規定よりはオーバーフローするものであるから、この条約は、憲法の規定という文章を生かせば日本憲法ワク内において行われるのだ、こういう解釈をして説明しておられるのだが、そこでお尋ねをしたいのは、今言ったように、日本憲法の規定に従えばバンデンバーグ決議のいかなる趣旨といかなる規定を排除するものであるか。バンデンバーグ決議と日本憲法との食い違いを具体的にここで明らかにしておいていただきたいと思うのです。それでないと安心ができませんから……。
  154. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 バンデンバーグ決議というものが法律上あるいは何か規定上非常に他国を拘束するというようなものでないことはむろんで、アメリカ議会がこの種条約を結ぶ際の最高の一つの指導方針と申しますか、指針としてこういうような考え方で条約を結ぶべきであるということを示した一つの大きな方針ではないかと思います。従ってバンデンバーグ決議の一々の字句を必ずしも条約に挿入することの必要はないわけであります。適当な字句は、これを取り入れてやっても差しつかえがございません。また全部の字句を取り入れなければアメリカがこれに応諾しないというものでもないと存じております。またそういうことで落ちつき得るのだと思っております。要は先ほども申しましたように、バンデンバーグ決議の趣旨というものは、やはりアメリカ条約を結ぶとき、全然おれは何もしないんだ、自衛の努力もしないんだというような国といたずらに条約を結ぶのは適当ではないのじゃないか、やはりそれぞれの国のそれぞれの立場はありましょうけれども、自衛ということが非常に大事だというふうに国民が考え、またそれに対して自分の努力すべき範囲内においては努力するという国とこの種の条約は結ぶべきであるというのが、バンデンバーグ決議の大きな趣旨であろうと私は思います。またアメリカ政府におきましても、その趣旨に沿ってこの種の条約を結ぶ国を選び、また結んでいきつつあるのではないかと思うのです。ですから私どもとしてはそういう解釈の上に立ちまして、今申し上げたような趣旨でありますならば、別段日本憲法に抵触するわけでもございませんし、そうした趣旨を織り込むことによって何らの困難な事態条約上約束するわけではございませんから、ないわけでございまして、その意味におきましてバンデンバーグ決議の趣旨を織り込むということを申しておるわけでございます。
  155. 穗積七郎

    穗積委員 この問題も重要なことですから、もう少し時間をいただいて討議しておきたいと思うのです。  最後に一点だけ、こまかい話は他の機会にいたしますが、われわれが危惧することは、今の御答弁の中にすでにわれわれの危惧が証明されているわけです。というのは、今バンデンバーグ決議は日本憲法に何ら抵触しない、日本憲法を持っていてもバンデンバーグ決議はみんなのみ込むことができるだんという御解釈のようです。そんなばかなことはないんですよ。私は実はこの問題は個々の具体的な場合において抵触するケースが非常に出てくるというふうに思っておる。のみならずさらに根本的なことは、憲法の根本的精神と、バンデンバーグの具体的に要求しておるあの決議の内容というものは根本的な矛盾がある、対立がある、異質のものであるというふうに考えております。しかしそれはこの前から、岸総理またはあなたと議論いたしましても、バンデンバーグ決議並びに日本憲法の解釈において、両方ほとんど歩み寄らして、先ほど大西君の質問に対しても、集団的自衛権は日本憲法の忌避するところではないというふうな御答弁にだんだんと近づいてきておる。しかし具体的な場合を想定した場合に、日本憲法の禁止によって、具体的措置、行動のとれない場合が、このバンデンバーグ決議を条約の中に生かすことによって多く出てくると思うのです。それらのことについても、私は具体的に、仮説的な例をあげて質問したいと思っておりますが、おそれることは、今おっしゃった通り日本憲法の規定内にあるということで、国民は安心しろと言います。実は、その日本憲法を変質してしまって、バンデンバーグ決議の方が優先的になって、バンデンバーグ決議が日本憲法に何ら矛盾しない、全部矛盾しないのだ、根本的精神においても具体的措置においても矛盾しないのだという拡大解釈——拡大解釈じゃなくて日本憲法に対する革命的な異質解釈を今なされようとしておる。そのことを私は心配しておるから、この際は一方にバンデンバーグ決議の文章が盛られ、一方で日本憲法という字句があった場合に、それをちゃんとピントを合しておきませんと、どれが一体日本憲法の規定という文章によって、バーンデンバーグ決議によって生ずる具体的な場合を排除するものであるか、その解釈を聞いておかぬと、日本憲法というものは国民をだますための空文にすぎなくて、バンデンバーグ決議、アメリカの要求というものが全部義務としてわれわれにしょわされてくる、こういうことになることを私は危惧して質問したら、あなたの御答弁はその通りの裏返しのことを言っておる。私の危惧ではなくて、それは不当なる政府の拡大解釈、異質解釈をすでにしておられることを今の答弁の中で証明しておられるわけです。バンデンバーグ決議は日本憲法の精神に反しないワクの中に全部入るのだと言わんばかりの御答弁でございます。これは私は大いに異議を差しはさんでお尋ねしたいところでございます。ですから、きょうは時間がないから具体的なことについてお尋ねしませんが、今の御答弁に対して条約局長は一体どういうふうにお考えになっておられるか、そのことを具体的に明確にしておいていただきたい。それで私は質問を打ち切ります。
  156. 高橋通敏

    高橋説明員 ただいま大臣からお話しの通りでございます。この規定は宣言的な、抽象的と申しますか、デクララトリーな規定である、従いましてあの宣言自体に個々の権利義務というものを規定しまたは直接出てくるというふうな条文ではないというふうに御説明申し上げてよろしいかと思います。
  157. 穗積七郎

    穗積委員 それではあとの具体的な措置行動、ケースについては保留いたしまして、次の機会に大臣並びに局長にお尋ねいたしたいと思います。     —————————————
  158. 小澤佐重喜

    小澤委員長 この際参考人招致の件についてお諮りいたします。北鮮帰還問題について、島津日赤社長を参考人として御出席を求め、その意見を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 小澤佐重喜

    小澤委員長 御異議がないようでありますから、さように決定をいたします。  なお、その招致の日時につきましては委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 小澤佐重喜

    小澤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  次会は公報をもってお知らせすることにいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十五分散会