○梶本説明員 ただいまの先生のお話、確かにわれわれとしましては大いに反省を要する点があると思っております。私自身最近まで
現地の
陸運局長をいたしておりました体験から申し上げますと、
白ナンバーのもぐり
営業が最近非常にふえておりますが、昨年あたりから御
承知のようにぼつぼつ問題になったのでございます。それで
白ナンバーの
領置をするということをただいま
局長が申しておりますが、
使用停止というのはどういうことかというと、端的に申しますと
ナンバーを取り上げるということでございます。
ナンバーを取り上げられた車は売買の対象になります。売られるわけです。売った場合に登録を申請してくるわけです。
陸運事務所はその登録を拒否することができないわけでございます。そういたしますと、つかまえて
使用停止をした車が売られる、それが登録されるということで、それがぐるぐる回るわけでございます。しかも、たとえば兵庫県で行われたような場合に、その
ナンバーを取り上げた車が兵庫県で売買されればまだわれわれとしてもしっぽをつかむことができるのでございますけれども、兵庫県でそういう事例があった車が京都府で売られる、京都府で行われた車が兵庫県で売られるというわけで、近畿一円をまたにかけて車が売買されております。しかも乗用車の中古車は御
承知のように大体十五万から二十万円で現在入手できるわけでございますから、そのくらいの価格ならばそれほど売買することに困難を生じないわけでございます。そういうことで、
ナンバーを取り上げるような措置をする場合に、走ってくる
自動車をとめて赤い懐中電灯を出してやっておりますあの権限は、現在
運輸省並びに
陸運事務所にはございません。おまわりさんを動員して、警察権によって
自動車をとめてもらう。とめて、ストップされた
自動車に対して
陸運事務所の職員が乗り込んでそれを
調査するということに現行法の
建前はなっておるわけでございます。従って警察の非常な
協力を得なければなかなか効果が上らないわけです。上ってそういうふうにやりましても、ただいま申し上げたようなことが行われる。しかも繰り返し繰り返し執拗にわれわれとしては
取締りを行なっていかなければならないのですが、そのつど多数の警察官の動員をわずらわさなければならない。そういうことになりますと、おまわりさんがたくさん出られる割に
警察当局としては効果が上らないではないかというふうな御意見も聞くわけでございまして、この点につきましては全くわれわれとしては現行法の
建前では困っておるわけでございます。
それから
ナンバーを取り上げる、取り上げないの問題でございますが、たとえば現行法では本人が
ナンバーを取りはずして持ってくる、こういうことになっておるわけです。そしてそれが持ってこなかった場合にどうするか、
陸運事務所の職員なりあるいは執達吏を頼んでそれを行政代執行できるかどうか、こういう問題があるわけです。現行の行政代執行法によりますとこれはできないという
解釈になっております。従って本人がはずして持ってこない限りは、
陸運局の方なり
陸運事務所の方でその
ナンバーを強制的に取りはずすことができないという
状態です。そうすると残された手はどういうことかと申しますと、そういった
白ナンバーのもぐり
営業をやる者に対しまして運転
免許証を取り上げることが残された道になる。これまた
運輸省の
所管ではございません。御
承知のように公安
委員会の方ではかくかくの場合でなければ取り上げることができないということになっております。それはおそらく生活権の問題と関連するからだろうと思うのでございますけれども、そうすると行政代執行もできないし、プレートを取り上げた車も売買の対象になって登録が自由にできる、運転
免許証もしかく簡単には取り上げることができないというふうな
状態が、率直な現状でございます。
そういたしますと、今日そういった
状態がなぜ起ったか、それに対して
運輸省はどう考えているかということが次の問題だと私は思います。それが問題の焦点だと考えております。そうするとやはりそういった
白ナンバーが出現するような社会、経済情勢が何ゆえに起ってきたかということを
運輸省当局としては率直に反省しなければならないと私は考えております。それはやはり需給問題を真剣に考えていかなければならぬのじゃないかと私は思います。たとえば数年間一台も
自動車がふえないというふうな情勢をそのまま放置しておる。放置ではないかもしれませんが、とにかくふえていないという事実、こういった事実をわれわれは率直に
検討していかなければならないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。