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1959-03-23 第31回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十三日(月曜日)    午後二時二十八分開会   ————————————— 昭和三十四年三月二十日予算委員長に おいて本分科担当委員を左の通り指名 した。            勝俣  稔君            下條 康麿君            苫米地英俊君            仲原 善一君            西田 信一君            安井  謙君            占部 秀男君            栗山 良夫君            中村 正雄君            松浦 清一君            島村 軍次君   委員の異動 本日委員占部秀男君、仲原善一君、安 井謙君及び勝俣稔君辞任につき、その 補欠として羽生三七君、小幡治和君、 鶴見祐輔君及び笹森順造君を予算委員 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      西田 信一君    副主査            栗山 良夫君    委員            下條 康麿君            苫米地英俊君            仲原 善一君            羽生 三七君   担当委員外委員            鈴木  強君   国務大臣    国 務 大 臣 伊能繁次郎君   政府委員    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    調達庁長官   丸山  信君    調達庁総務部長 大石 孝章君    調達庁総務部会    計課長     鐘江 士郎君    調達庁不動産部    長       柏原益太郎君    調達庁労務部長 小里  玲君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十四年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)    〔年長者苫米地英俊君仮主査と なる〕   —————————————
  2. 苫米地英俊

    ○仮主査苫米地英俊君) これより第二分科会を開きます。  参議院規則第七十五条によりまして、年長者のゆえをもって、私が正副主査互選管理をいたします。  これより正副主査互選を行います。互選は、先例により成規の手続を省略して、管理者にその指名を一任されたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 苫米地英俊

    ○仮主査苫米地英俊君) 御異議ないと認めます。  それでは私から、主査西田信一君を、副主査栗山良夫君を指名いたします。    〔西田信一主査席に着く〕
  4. 西田信一

    主査西田信一君) 皆さんの御推選と管理者の御指名によりまして私が主査の職務をさせていただくごとになりました。不なれのことでございますが、皆さんの御協力をお願いいたしまして、本分科会運営を行いたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  審査に入ります前に議事の進め方についてお諮りいたします。  当分科会昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算中、総理府のうち防衛庁調達庁経済企画庁科学技術庁外務省及び通商産業省所管について審査を行うわけでありますが、二十六日には委員会に対し報告することになっておりますので、その点あらかじめお含みの上御審議お願いいたしたいと存じます。  また、本日はこのうち防衛庁及び調達庁所管について、二十四日は通商産業省及び科学技術庁所管について、また二十五日は外務省及び経済企画庁所管について、それぞれ御審議を願うといった方法で進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西田信一

    主査西田信一君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。   —————————————
  6. 西田信一

    主査西田信一君) これより審議に入ります。まず、昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁及び調達庁所管を議題といたします。本件につきまして政府よりそれぞれ説明を願います。
  7. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) お許しを得ましたので、昭和三十四年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十四年度の防衛庁歳出予算総額は千三百六十億四千万円でありまして、これを昭和三十三年度の歳出予算額千二百億六千万円に比べますと、百五十九億八千万円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として航空機購入について三十一億八千二百万円、器材整備について百三十二億四千六百万円、施設整備について十四億九百万円、艦船建造について二十億四千八百万円、計百九十八億八千七百万円、さらに継続費として昭和三十四年度乙型警備艦建造費総額三十五億三千四百万円、うち昭和三十五年度以降の年割額二十六億九千六百万円並びに昭和三十四年度潜水艦建造費総額三十三億五千七百万円、うち昭和三十五年度以降の年割額二十六億五千四百万円を計上いたしております。なお、既往年度に計上された継続費のうち、潜水艦建造費につきましては、建造計画の変更に伴って建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年限及び年割額改訂することとし、昭和三十三年度甲型警備艦建造費につきましては、物価変動に伴う建造費減少に対応して、総額及び年割額改訂することといたしております。  まず、予算編成の前提といたしました職員定数及び各自衛隊の勢力の概略について申し上げます。防衛庁昭和三十四年度の予算上の職員定数自衛官二十三万九百三十五人、自衛官以外の職員二万三千八百六十五人、計二十五万四千八百人でありまして、これを昭和三十三年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官において八千八百三十三人、自衛官以外の職員において三千二百四十九人、計一万二千八十二人の増加となっております。以下これを組織別に申し上げますと、長官官房及び各局統合幕僚会議防衛研修所防衛大学校技術研究本部建設本部並びに調達実施本部職員定数自衛官四十三人、自衛官以外の職員三千二百十四人、計三千二百五十七人でありまして、昭和三十三年度に比べますと、自衛官において七人、自衛官以外の職員で百九十三人、計二百人の増加となっております。陸上自衛隊につきましては、自衛官以外の職員千四百九十九人を増員して、従来、補給処学校等に勤務していた自衛官自衛官以外の職員に組みかえる等の措置により、新たに三方面隊地区施設隊教育団等の新編及び改編を行うこととしておりますが、このため五方面隊、六管区隊、四混成団並びにその他の部隊及び機関を編成する陸上自衛隊職員定数は、自衛官十七万人、自衛官以外の職員一万三千四百八十人となります。  海上自衛隊につきましては、昭和三十四年度に増勢計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する乙型警備艦二隻二千九百トン、中型掃海艇二隻、駆潜艇三隻、潜水艦二隻及び潜水艦救難艦一隻、合計七千六百八十トンのほか、米国より域外調達大型警備艦二隻を含めて大型警備艦四隻、潜水艦一隻、輸送艦三隻、合計八隻一万五千百七十五トンの供与を受けるとともに、返還期限の到来した警備艇二十二隻、六千七百十トンを返還する等により、合計一万六千五百七トンの増加予定いたしております。この計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は四百十七隻、十二万八千三百八十八トンとなる予定であります。また、昭和三十四年度中に増加する航空機として、米国から救難飛行艇六機及び対潜哨戒機十二機の供与を期待するとともに、昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V対潜哨戒機三機の購入のほかに、ヘリコプター六機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十四年度末の海上自衛隊保有航空機は百九十八機となります。以上の艦艇及び航空機増加並びにこれに関連する陸上施設拡充等に伴いまして自衛官二千二百二十六人、自衛官以外の職員五百五十七人、計二千七百八十三人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、海上自衛隊職員定数自衛官二万七千六百六十七人、自衛官以外の職員二千七百六十九人、計三万四百三十六人となります。  航空自衛隊につきましては、昭和三十四年度において、米国より実用機六十機及び輸送機十三機の供与を受けるほか、実用機については七十五機を購入し、練習機については二十機の量産に着手いたしますので、従来の保有機数と合せ、昭和三十四年度末の航空機総数実用機五百二十二機、練習機五百三十四機、実験機八機、計千六十四機を保有することとなります。さらに昭和三十四年度は、防空及び訓練体制の強化をはかるため第五航空団飛行教育集団司令部等を新設することとして、自衛官六千六百人、自衛官以外の職員千人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、航空自衛隊職員定数自衛官三万三千二百二十五人、自衛官以外の職員四千四百二人、計三万七千六百二十七人となります。  次に予算見積り概要について申し上げます。  長官官房及び各局並びに統合幕僚会議運営に必要な経費防衛本庁六億二千万円、施設整備費二億五千三百万円、施設整備等付帯事務費四百万円、計八億七千七百万円でありまして、昭和三十三年度に比べますと、防衛本庁において三百万円の減少施設整備費において二千百万円の増加施設整備等付帯事務費において百万円の増加、計千九百万円の増加となっております。  附属機関すなわち防衛研修所防衛大学校技術研究本部建設本部及び調達実施本部運営に必要な経費は、防衛本庁二十九億六千九百万円、施設整備費四億九千九百万円、施設整備等付帯事務費七百万円、計三十四億七千六百万円でありまして、昭和三十三年度に比べますと、防衛本庁において、二億七千七百万円の増加施設整備費において二千三百万円の増加施設整備等付帯事務費において百万円の減少、計三億円の増加となっております。  以上の経費のほか、技術研究本部国庫債務負担行為として器材整備一億三千二百万円、施設整備三億四千八百万円、計四億八千百万円を計上いたしております。  陸上自衛隊運営に必要な経費防衛本庁五百九十億八千三百万円、施設整備費十三億七千五百万円、施設整備等付帯事務費二千百万円、計六百四億八千万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと二十八億六千万円の増加と相なっております。  このうち防衛本庁において三十三億四千八百万円の増加施設整備費において四億八千九百万円の減少施設整備等付帯事務費において二百万円の増加と相なっております。  このほか陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為器材整備十五億二千五百万円を計上いたしております。  この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十三年度における火器通信機車両等装備自衛官十七万人、自衛官以外の職員一万千九百八十一人の維持に要する経費が、防衛本庁におきましては五百八十五億五千八百万円、施設整備費におきましては十三億二千万円、施設整備等付帯事務費におきましては二千万円、計五百九十八億九千九百万円であります。  次に増勢分経費は五億八千万円でありまして、自衛官以外の職員千四百九十九人の増員及び所要の部隊編成に伴う経費であります。  海上自衛隊運営に必要な経費防衛本庁二百三十一億五千七百万円、施設整備費八億三千五百万円、艦船建造費三十五億二千百万円、潜水艦建造費一億六千万円、昭和三十二年度甲型警備艦建造費十八億三千百万円、昭和三十三年度甲型警備艦建造費九億九千九百万円、昭和三十四年度乙型警備艦建造費八億三千七百万円、昭和三十四年度潜水艦建造費七億三百万円、施設整備等付帯事務費一億五千五百万円、計三百二十二億三百万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと、六十五億三千三百万円の増加と相なっております。  このうち防衛本庁において五十一億千八百万円の増加施設整備費において六千九百万円の減少艦船建造費において一億二千二百万円の増加施設整備等付帯事務費において三千八百万円の増加と相なっております。  このほか、海上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為航空機購入四億七千五百万円、器材整備二十六億九千二百万円、艦船建造二十億四千八百万円、計五十二億千五百万円、また継続費昭和三十五年度以降の年割額として昭和三十四年度乙型警備艦建造費二十六億九千六百万円、昭和三十四年度潜水艦建造費二十六億五千四百万円、計五十三億五千百万円を新たに計上し、あわせてすでに議決を経ました継続費のうち潜水艦建造費については年限及び年割額改訂を行い、昭和三十二年度甲型警備艦建造費については物価変動等に伴い昭和三十四年度の歳出予算の計上について減額をはかるとともに、昭和三十三年度甲型警備艦建造費については物価変動に伴う建造費減少に対応して、この際総額及び年割額改訂をはかっております。  この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち昭和三十三年度末における建造又は引取予定のものも含めた艦船四百二十五隻(雑船を一含む)十一万千八百八十一トン、航空機百七十六機、自衛官二万五千四百四十一人、自衛官以外の職員二千二百十二人の維持に要する経費が、防衛本庁におきましては二百十二億五千二百万円、施設整備費におきましては六億四千四百万円、船舶建造物費におきましては二十二億九千八百万円、昭和三十三年度中型警備建造費におきましては十八億三千百万円、昭和三十三一年度甲型警備艦船建造費におきましては九億九千九百万円、施設整備等付帯事務費におきましては七千四百万円、計二百七十二億六千万円であります。  次に増勢分経費といたしましては、昭和三十四年度に増加予定いたしております艦船十八隻二方二千八百五十五トン、航空機二十七機、自衛官二千二百二十六人、自衛官以外の職員五百五十七人に要する初度経費を、防衛本庁におきましては十二億八千四百万円、施設整備費におきましては一億九千百万円、施設整備等付帯事務費におきましては八千万円、艦船建造費におきましては十二億二千三百万円を計上いたしております。なお、建造工程昭和三十五年度に及ぶ駆潜艇中型掃海艇及び潜水艦救難艦につきましては、このほか国庫債務負担行為に二十億四千八百万円を計上いたしております。昭和三十四年度乙型警備艦建造費及び昭和三十四年度潜水艦建造費におきましては、これらの艦艇はその完成までに三カ年を要する予定でありますので、昭和三十四年度歳出予算にそれぞれ八億三千七百万円、七億三百万円を計上するとともに、昭和三十五年度においてはそれぞれ二十億四千四百万円、二十億三千九百万円、昭和三十六年度においてはそれぞれ六億五千二百万円、六億千四百万円を年割額とする継続費を計上いたしております。またこれらの増勢分初年度維持費といたしまして防衛本庁におきまして六億二千百万円を計上いたしておりますので、増勢分歳出予算合計は四十九億四千二百万円であります。  航空自衛隊運営に必要な経費は、防衛本庁三百四十一億円、施設整備費四十八億二千二百万円、施設整備等付帯事務費八千万円、計三百九十億二百万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと六十二億六千七百万円の増加となっております。  このうち防衛本庁におきまして四十八億九千六百万円の増加施設整備費におきまして十三億四千百万円の増加施設整備等付帯事務費におきまして三千万円の増加となっております。  このほか航空自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為航空機購入二十七億七百万円、器材整備九十億三千五百万円、施設整備十億六千百万円、計百二十八億三百万円を計上いたしております。  この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十三年度末における航空機九百七十二機、自衛官二万六千六百二十五人、自衛官以外の職員三千四百二人の維持に要する経費として、防衛本庁におきましては三百二億四千五百万円、施設整備費におきましては十六億九千五百万円、施設整備等付帯事務費におきましては二千八百万円、計三百十九億六千八百万円であります。  次に増勢分経費といたしましては、昭和三十四年度に増加予定いたしております航空機百四十八機、自衛官六千六百人、自衛官以外の職員千人に要する初度経費防衛本庁におきましては二十八億五千九百万円、施設整備費におきましては三十一億二千七百万円、施設整備等付帯事務費におきましては五千二百万円を計上いたしております。また、これらの増勢分初年度維持費といたしましては、防衛本庁におきまして九億九千四百万円を計上いたしておりますので、増勢分歳出予算合計は七十億三千二百万円であります。  最後に以上申し上げましたことを要約いたしますと、歳出予算に計上いたしました千三百六十億四千万円の歳出予算は、これを現態勢維持分増勢分とに区分すれば、現態勢維持分は千二百三十四億八千四百万円、増勢分百二十五億五千五百万円となりますが、このほか、国庫債務負担行為航空機購入三十一億八千二百万円、器材整備百三十二億四千六百万円、施設整備十四億九百万円、艦船建造二十億四千八百万円、計百九十八億八千七百万円、また継続費昭和三十五年度以降年割額として新たに五十三億五千百万円を計上している次第であります。  以上をもちまして防衛庁予算概略説明を終ります。何とぞ慎重審議の上御賛成下さるよう御願いいたします。
  8. 丸山信

    政府委員丸山信君) 調達庁関係予算について私から御説明いたします。当庁の業務は御承知通り日米行政協定並び国連軍協定に基く諸業務でありまして、その内容を大別いたしますと、第一に、駐留軍等が要求する施設及び区域の提供管理返還並び  にこれらに伴う各種補償業務でありまして、第二に労務提供業務であります。第三に駐留軍等不法行為に基く損失補償業務でありまして、その他調達に関する契約から生ずる紛争の処理解除物件処理等業務がございます。  予算関係について申し上げますと、これらの業務処理するために第一に、項調達庁といたしまして十五億二千百九十八万三千円、項調達労務管理事務費といたしまして七億三千三百八十二万円、項国際連合軍関係補償費といたしまして五千五百六十二万円であります。この項の内容を御説明いたしますと、第一の項調達庁より支出するものは、調達庁業務遂行に必要な人件費及び物件費でありまして、この要求額は先ほど申し上げましたように十五億二千百九十八万三千円でありまして、前年度に比較いたしますと三千九百九十四万五千円の増額となっております。この増額のおもなる理由は、定員減に伴う退職金増加昇給原資等であります。第二の項調達庁労務管理事務費は、日米安全保障条約第三条に基く行政協定第十二条によりまして、合衆国軍の使用する労務者労務事務処理するために必要な経費でありまして、この要求額は七億三千三百八十二万円で、前年度に比較いたしますと六千二十万四千円の減額となっております。減額のおもな理由は、駐留軍の撤退に伴う駐留軍労務者減少によりまして、従ってその管理費減額となったものでございます。第三の項国際連合軍等関係補償費より支出するものは、国際連合軍との協定を実施するため、及び旧連合国軍提供しました返還土地等にかかる、各種補償に要する経費でありまして、この要求額は五千五百六十二万円で、前年度に比較いたしますと四千九百六十二万円の増額となっております。増額のおもなる理由はこの項目により支出していた国連軍協定実施に要する経費のほかに、旧連合国軍提供財産返還等に伴う未払い債務等処理するに必要な経費を計上いたしたためでございます。  以上が(組織調達庁として計上いたしました予算概要でございます。
  9. 西田信一

    主査西田信一君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止
  10. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。  それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次お願いをいたします。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は防衛関係予算につきまして分科会でお尋ねするのは実は初めてなものですから、若干幼稚なことを御質問をするかもしれませんが、御了承を願いたいと思います。  ただいまいろいろな金銭的な数字をたくさんお聞きしたのですけれども、どうもよく頭に入らないので概括的にお尋ねいたしますが、実は国会図書館から発行している「国会統計提要」というのがございますがね。これを見ますとずっと各年度別国民所得歳出総額、これに対する軍事費比率が出ているんです。たとえて申しますと、昭和三十三年度は軍事費が千四百六十一億六千五百万円、こうなっているんです。こういう経理の仕方をするとすると、三十四年度は一体幾らになるか。それをちょっと伺いたいと思うんです。
  12. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 御指摘のような考え方でお答えを申し上げますならば、千五百三十六億円程度に相なるかと思います。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、それは三十三年度の推定国民所得あるいは昭和三十四年度の歳出総額、この統計軍事費に対する比率はどのくらいになりますか。
  14. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 想定されております国民所得に対しまして大体一・七%程度でございます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 歳出総額に対しては。
  16. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 概略一〇・八%程度になっております。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはちょっと事務当局でけっこうですが、そうすると歳出幾らととっておられるんですか。
  18. 山下武利

    政府委員山下武利君) 三十四年度歳出は一兆四千百九十二億円。
  19. 栗山良夫

  20. 山下武利

    政府委員山下武利君) 八兆九千二百八十億円。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 防衛庁長官にお尋ねしますが、細部のことは別といたしまして、問題は、国民所得なり歳出総額に対して、防衛庁関係のいわゆる軍事費というものをどの程度に押えていくかということが、やはり国民の側からしますと重要な関心事だと思うのです。そこでこの統計を見ますと一番当初よりはだいぶ減ってきておりますけれども、ここ両年来国民所得に対する軍事費の率というのは一・七%、これをずっと踏襲しております。で、将来もこういうような方針で進めていかれるつもりなのか、あるいは別なお考えがあるのか、これを伺いたいと思います。なぜ私がそういうことを申すかと申しますと、国の経済成長に関するいろいろな方針国家財政の規模というものについては、いずれ大蔵関係のところで詳しく私は尋ねたいと思っておりますが、その相関関係を分析し議論する場合に、非常に重要なファクターにこれがなると私は思うのです。ですからちょっとお尋ねをしておきたいのです。
  22. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私どもは、そのときどきの経済情勢、御承知のように、国防基本方針国力国情に応じて、ということで国情に制約を受けておりまするが、私どもとしては、最小限二%、できれば二・七%程度のものを、今後国防費として充てたい。その点につきましては、将来の若干の計画等ともにらみ合せまして考えておりまするが、御指摘のように今日までの現状は、逐次減少いたして一・七%、これは日本と外国とをただ数字だけ比較いたしますことは、御指摘のように、それぞれ国情国力等も違いまするが、私どもの気持としては少くとも二%を下らざる程度、できれば二・七%を国防費として充てることが望ましいと、かように考えております。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、ただいまわが国経済成長率は大体六・五%と予定されているわけです。わが国経済成長率を六・五%と想定して、長期の経済計画が立てられているわけです。そうしますと、三十一年度の、基準年次に比較して、少しこれは期間が長うございますから冒険かもしれませんが、六・五%が確実に成長していくとすれば、昭和四十二年あたりは大体倍の国民所得になるわけです。七兆何がしかの国民所得が十四兆何がしかになるわけです。これは私が計算した結果そうなります。そうすると、ただいま防衛庁の方で、そういう工合にどんどん伸びていく国民所得に対して、常に二%ないし一・七%の軍事費を要請されていくということになりますと、防衛軍事費内容である装備などというものは著しく大きなものに私はなると思いますがね。その辺は、やはり適当な時期に頭打ちをさせるというお考えがありますのか。やはり少くとも国民所得が伸びるごとに、同じような比率で伸ばしていくと、こういうお考えでございますか、その辺をはっきり伺っておきたい。
  24. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 大へん重要なお尋ねでございまするが、現在の国力の成長状況というものが、かりに予定通りに伸びた場合には、御指摘のような数字と相なると存じます。その際における私どもの考え方としては、常に一つの目標をもって実は計画をいたしておりまするが、現実には、数字をごらんいただきますように、一・七程度しかそのときどきの国力で防衛費に回すことが困難であるということで、現実の処理をいたしておりますので、御指摘のような状況で、また同時に国際情勢その他に平和的な空気がきわめて濃厚に相なって参るというような際には、当然国防費もこれに応じて、ある程度の見合いをして、一定の減少ということもあり得るかと存じますが、今のところまあ、これはまだわからぬことではありますが、全体の情勢から望ましいところは、二%ないしは欲を言いますと二・七%あれば、どうやら計画をいたしております所要の整備目標には逐次達成する、かように考えております。将来の問題については、御指摘のごとく国民負担をいたずらに過重するということは決して本旨でありませんので、適切な考え方をいたして参りたい、かように考えております。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、今の長官のお答えを承わっておりますと、たまたま言葉のはずみで国民所得の一・七ないし二%を将来要求していきたい、こういうお考えのように伺いましたけれども、ほんとうはそういう工合に算術的に、ただ。パーセンテージを設定して要求していくというのではなくて、防衛庁としてはある一つの日本の自衛隊の最終的な装備の限界というものがきめられて、平等な年割をしてそれに近づけて、平等な年割をしていくと、当分の間一・七ないし二・〇を要求せざるを得ないのだ、遠い将来のことはよくわからない、こういう意味ですか。
  26. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 御指摘のように私二%ないし二・七%と申しましたことは訂正をいたしまして、一・七%強ないし二%とお考えをいただきたいと思いますが、お尋ねの点は、集約して考えますと大体お考えの通りたと思います。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと防衛庁が今日の時点において考えておいでになる、国民負担をなるべく軽減するという趣旨でお考えになっている、将来設備増強をしていかれようという最小限の限界と申しますか、あるいは言葉で言えば最大限の限界と言わなければならぬかもしれませんが、それはどの程度の規模のものでございますか。
  28. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) この点につきましては、先般来いろいろな機会に御説明いたしましたようだ、昭和三十五年度末を目標とし、また一部航空機については三十七年度を目標にいたしておりますし、第一次防衛の整備目標では、大体二%強というところで計画をいたしておる次第でございます。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは国民所得に対する比率がですか。
  30. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) さようでございます。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 私がお尋ねしているのは、その方は大体わかりました、そうでなくて、所要の経費を累計して。パーセンテージをとってみると、大体そのくらいになるのだ、こういうことなんだが、その基底をなしているものは、一応自衛隊の日本を自衛するために必要な最小限度の力というものを想定している、その力のところまでくれば、そんなに国民所得に比例して同じようにいつまでも増加していくつもりじゃないのだ、こういうようなお話が先ほどありましたが、それならばそういうような規模というものはどれくらいの規模をお考えになっておるか、そういうことをお聞きしておるわけです。
  32. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 大へんむずかしいお尋ねでありますが、私どもとしてはただいま申し上げましたように、第一次防衛整備目標は、御承知のように日本の骨幹防衛力の最小限ということで、あの数字を各般の観点から計画をいたしたわけでありまして、もちろんあの内容等につきましても、日本独自であれでやり得るという形ではなくして、日米安全保障条約の継続また国際連合憲章の加盟の継続、というようなことも前提といたしておるわけでありまするが、しかしながらさればといって、御指摘のように今後も野放図にどうこうするというわけでは決してございませんで、目下第二次防衛目標につきましては、どういう方向へ進むべきかということについてはせっかく検討中でありまして、その内容につきましても、私どもとしては人員の増備よりもむしろ——人員増備もさることながら、対潜水艦作戦あるいは対防空作戦、ガイデッド・ミサイルの研究というような方向に進めて参って、装備の点で精強を期したい、具体的の問題は目下せっかく検討中でございますので、これは同時にさいぜん申し上げましたように、そのときの国際情勢のいかんによっても異なると存じますので、私どもとしては常に最小限度の国民負担を願うつもりで今日まで至っておるわけであります。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 第一次の計画というのは三十五年度末、三十七年度末に一応終末するということですか。それの数字はどうなっていましたかね。
  34. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 自衛官十八万人、艦艇十二万四千トン、航空自衛隊航空機千三百機、これは三十七年度末ということでございます。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 第二次の目標のきわめてばく然たる構想を述べられたのですが、私が過日の総括質問や一般質問の中であなたとやりとりしたところの議論を伺ってみますと、まだわかりにくいところがあるのです。それは日本の自衛隊というものは独力では日本を自衛することができないので、国際連合憲章のワク内において、二国間、とにかく米日の共同防衛をするか、あるいはさらに国際連合憲章の中における他国との共同防衛をするか、そういうことにして日本の自衛を果していくのだ、こういうことをおっしゃったので、そこで今のお話だと、第二次目標が設定されて、依然として国民所得の二%程度を要求していくということになりますと、日本の自衛隊を適当なところで頭打ちをさせておいて、足りないところは他国の支援を得るという考え方と大分違ってくるのではないか、その点はどういうふうにお考えですか。
  36. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) この点は御承知のようにいろいろ世間のお考えもあり、またわれわれ政府といたしましてもでき得るだけ米国の陸軍には撤退をしていただいて、日本自身が少くとも本土、陸上に関する限り自分で守ろう、これはまあ一昨年からの日米新関係と申しますか、そういう格好で逐次今日に至っております。また海上や航空等につきましても、これはまあ急速には参りかねますが、逐次そういう方向で、私どもなるべく自分の国をある程度守る、もちろん全部はとうてい守るということはできません、現在の国際情勢の変転は全く予測し得ないというような状況にもありまするし、私どもは全く予想しなかったような金門、馬祖であるとか、あるいは中近東の問題等も昨年において発生するというような状態から、そういうような突発的な事態に際しては、もちろんそれは援助を受けなければならぬと考えておりますが、まあ逐次漸増をしていって、できるだけそういう最小限度のものは自分で守りたい。しかし自分で自分の国を完全に守り得るという域には、私は日本の現在の国力では困難かと、かように存じておる次第でございます。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは岸内閣方針として、私どもと遺憾ながら意見を異にしますが、一応御意見は御意見としてわれわれは承わっているわけなんです。ところがたとえば核兵器にしても、原水爆のごとき攻撃的なものは持たぬ、こうおっしゃっているんですから、これに要する費用は要らないということになるわけです。核兵器で攻撃的なものを持つということになれば、これはとてもたえられるものでないでしょうけれども、それは持たないとはっきりおっしゃっている。それは憲法上からもいけないというわけなんですが、憲法上岸内閣が違法でないと思われる、そういう攻撃用でない将来核兵器ができた場合には、それも持ち込むのかどうかという話がありましたときに、憲法上は差しつかえないんだけれども、岸内閣としてはそういうものは絶対に持ち込まないんだ、こういう工合にはっきりした一線が引かれておるわけですね。そうすれば核兵器を大中小を問わず持たないということになれば、あと自衛隊装備増強をやるということになれば、現在のあの様式の装備を中心にして、若干の質的な補充はあるでしょう、しかし十八万人、十二万四千トン、千三百機と、こういう程度でそんなに私は要らないと思うんですが、あなたが質的な改善をやるとおっしゃいますが、量的にまあ第一次の計画をさらに倍加していくということであれば別です。別ですけれども、質的な改善をやる、こういうことであれば、質的な改善の中というものはきわめて少いものではないか、私はそう考えるんですがね。ですから今おっしゃった国民所得に対する比率歳出に対する比率等はそういう格好にはならないので、いろいろな今まだ拡充の途中にあるんですが、第一次の計画というものは一応落着すれば、それで防衛力の拡充というものはほぼ一段落するんだ、こういう解釈を下していいんじゃないですか。
  38. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 理論的には御指摘の点も私どもよく理解できるわけでございますが、ただ一つ将来の国際情勢というものが、事前になかなかつかみ得ないという点に最も難点がある。これが世界の軍備拡張が、いろいろな論議を重ねておるにもかかわらず、行われる根本の事情ではないか。ただそれならそれで日本もそれに巻き込まれてよいかということに相なりますと、私はこれは極力避けるべきである。かように考えまして、私ども第二次の整備目標につきましては、できるだけ早く部内の研究調査を終りまして、国会、国防会議等にも報告をいたさなければならぬと考えておりますが、御指摘のような形に逐次減少していくということは最も望ましいことではありまするが、現実の問題としてさようにいくかどうかという点については、せっかくのお話でございますが、私どもも自信をもってお答えしかねる状況でございます。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 その第二次の目標というものを、ちょっとにおいだけでもかがしておいてもらえたら、大体私らも予測がつくんですよ。ところがそれは全然今言えないということで、こういう議論をしておるといつまでたっても、これはやっぱり理解する点にいきませんね。大体どんな工合にお考えですか。
  40. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 実は率直に申し上げまして、私自身もまだ具体的な内容事務当局から聞いておりません。これは正直に私は申し上げます。目下事務当局の中で空幕、海幕、陸幕を中心に統合幕僚会議において検討中でございまして、一応の成案ができた暁に防衛庁長官の前で立案方針、また立案内容、将来の見通し等について説明をいたさせたい、私はこの点についてはできるだけ早くやるべきであるという点は御同感でございまして、目下せっかく検討いたしておりますので、私のこれは長官の腹づもりとしてお聞き取りを願いたいと思いますが、また率直に他の委員会において私は申し上げましたが、七月末ぐらいには、三十五年度の予算についてはF・X等をも含めて、第二次骨幹防衛力の大体の概要だけは明らかにいたしたい、かように申し上げておる次第でございます。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは長官あれなんですね。僕はちょうど大正時代から、昭和の初めから終戦を迎えて、今日まで日本の国の姿が幾変転している姿を実際よく知っているわけですよ。そういう点で深くおもんぱかって、たとえばごの統計でも昭和十六年には国民所得に対する軍事費の割合は三四・六%である、それが昭和十九年は六八・三%である、こういう工合にとめどもなく国民所得軍事費に役人されて、非生産的な冗費に使われていったということは、これは軍人が専門家である、そうして何人の発言も介入を許さぬ。こういう態度ででっち上げていった、それを国会がのまされてそうしてきた結果こういう数字が出ておるんですよ。ですから今言っているように、日本の国力あるいは自衛力からいって、自分を守り得る力はとうてい持ち得ないんだ、近代戦においては。そういうことを岸内閣がはっきり言明している以上は、これがどうころんだところでそう大したしっかりしたものはできないということであれば、国民負担をかけないために一定限度でやはり打ち切る、こういう方針というものが必要ではないか。これがやはり政治家のやる仕事だと僕は思います。今空幕、陸幕の方の案ができたらそれを見るとおっしゃったが、軍人にこれはまかしておいたのでは私はいけないと思う。これこそやはり政治家が見るべきである。軍人の言うなりになるというのは戦争前と同じことです。だからそういうやはり信念の問題ですね、これをどうお考えになっておるか承わりたい。
  42. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私が申し上げましたのは、全く事務的な処理内容について率直に申し上げたわけでございまして、基本的な問題につきましては、御指摘のごとく岸内閣としては国防会議または防衛庁、私自身責任をもってこの問題は処理をいたさなければならぬ、同時にまた次期目標につきましては、国会においても私ども事態を明らかにいたす関係上論議いただかなければならぬ、基本の方針については漸減をすべきであるという点は、私どももよく理解できるのでございますが、現在は御承知のように、栗山先生は、独力では守れないということを、客観的に御理解いただけるように考えておりますので、アメリカの援助を受けておるというような微妙な立場にもありまするし、また日米安全保障条約等においても、かりに内容についてはそれぞれ違っても、現在の力を落さずに、少しでも自分で自分の国を守るという努力を逐次するというような点等も、一応の何と申しますか話し合い等もあります関係上、基本的な考え方としては私どももよく理解ができますので、できるだけ国際情勢が好転に向うということである限りにおいては、御期待の方向にも努力をいたして参る、こう考えております。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 その日本の自衛隊で日本を守れるか、守れないかという議論は、これはもうここで私はいたさぬことにいたしますが、私が了解しているのじゃなくて、僕はなまじっかのものがあれば、かえって私は日本を守る上において困るという社会党の本筋をやはり理解しております。それは話がそこまでいきましたから一口申し上げますが、大東亜戦争のときも、日本軍とアメリカ軍の交戦のために、第三者的な立場で被害を受けた諸国を見れば一目瞭然です。たとえばフィリピンをごらんなさい。フィリピンは日本軍の攻撃、そうして日本をフィリピンから追い出したアメリカ軍の攻撃と、これは往復攻撃を受けております。フィリピンになまじっか米国の駐屯軍が最初いたから日本軍が攻撃した。また日本軍が占領していたから奪還のために攻撃したのです。ところがその他のビルマだとかインドネシアだとか仏領インドシナというものは、あんなひどい被害は全然受けておりません。それで戦争が終ればさっとそこを引き上げて平静に戻った。ですから戦禍を回避する、しないという問題になれば、これは議論が分れるのです。これは大東亜戦争でひどい目にあったのは、フィリピンが外国の軍隊をなまじっか駐屯させておったためにそういうことになった。ですからそういう議論は別としまして、私がなぜそういうことを国民所得の立場から力説するかというと、今政治的にわれわれが非常に注意しなければならぬ問題は二つあります。その一つは日本の人口の老令化が非常に進んでいるということですね。たとえば昭和三十年から今日くらいまでは老令化指数というものは、日本は一八くらいです。これはゼロ才から十九才までの未成年者の総人口で、六十以上の老人の人口を未成年者で割ったものなんですね。それが一八なんです。ところがヨーロッパの各国はそれは大体四〇から五〇、五三になっている所もある。日本はそれほど老人がいつふえるかといいますと、これは急角度にふえているのです。人口問題調査所の研究によると、今一八という指数が昭和四十年には二八になる。昭和五十年には四三という指数になって、ヨーロッパの老令化の割合小さい方の国に大体勢ぞろいすることになっている。数からいっても一千二百万になります、六十才以上の老人が昭和五十年には。ですから、こういう人を社会保障でなんとか国が老後の生活の保障を見てやるということになれば、今から相当な国費を財政規模の中でこういうところへ分けていくことを考えなければならぬ。これがまあ非常に大きな一つの今の政治に直面している使命だと思います。近く国民年金の法案が通るでしょうけれども、あれなんかもう国民年金のほんの入口の入口でして、ほんとうに老人の生活を保障するということになれば、こういうことを考えなければならぬ。  それからもう一つの問題は、日本の国民一人当りの国民所得というものが、欧米先進国に比較して非常に低い。アメリカの十分の一とかイギリスの五分の一とかドイツあたりの三分の一、こういうことになっているのですから、一人当りの国民所得を引き上げてやることを考えなければならぬ。そうしなければ楽しみはないわけです。その前にはまず減税をやらなければなりませんが、戦争前には日本で勤労所得税を納めておった人は、御承知のように六十万か七十万です。それが今は九百万をこえているのです。こういうことだから大学を出て初任給をもらう場合に今は一万円くらいのものなんです。われわれの若い時代には大体七十円か八十円とすると、四百倍したところで三万円、あるいはそれ以上なんですね。それでしかも税金はかからなかった。今は一万円でも独身なら税金はかかる。そういう状態を早く脱却させていくためには、国民所得がずっと伸びていますから、その伸びているやつはけっこうですからそのままにして、国家財政の規模はなるべく圧縮して、しかも圧縮した国家財政の規模の中で頭打ちできるのはどんどん頭打ちしていかなければ、そういうところへ余裕財源を回すことはできないわけです。だからそういう構想を持つためには、何としても、防衛費なりというものについては、それはその衝に当られておる防衛庁の立場からいえば、多いにこしたことはないでしょうけれども、そういう大きな国民の福祉という立場からいえば、根本的に考えてもらわなければならぬ。こういうことを私はしょっちゅう考えているのです。他の分科会でも私はこの問題を一経済企画庁なり大蔵省とも、もう少し掘り下げて議論をしてみたいと思っておりますが、幾らわれわれが議論をしても、肝心の防衛庁の方でそういう理解が得られないとあれば何ともしょうがないわけです。そこで、先ほどからちょっと予算とは関係がないような角度からお尋ねに入ったわけなんです。それで、まあ伺うところによると、第二次の目標というものを本年の七月ころにはまとめたいというお話がありましたから、これはもしそういう御所存であるとするならば、大至急一次案でけっこうですから、得られて、そうして国民に発表せられて、今のような国民の要望と正面衝突しない、あるいはまた総合調整がつくには、そういう批判ができるような機会をぜひ作ってもらわなければ困ると私は思います。この点はいかがでございましょうか。
  44. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいま答弁申し上げましたように、できるだけ早い機会に作成をいたしまして、所定の機関を通じて一応の論議が尽された暁には、できるだけすみやかに国会にごらんに入れたい、かように考えます。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから大体今の計画は伺いましたが、これでアメリカの軍事援助というものはどの程度今度は期待しておられるわけですか。
  46. 山下武利

    政府委員山下武利君) 昭和三十四年度の概算要求の前提といたしましたアメリカの援助期待額でございますが、これは金額にいたしまして四百六十五億円ばかり見込んでおります。内訳を申し上げますと、陸上自衛隊につきまして約四十五億円、海上自衛隊につきまして二百五十四億円、航空自衛隊につきまして百六十四億円余りでございます。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 これだけの用事援助を受けるものとして、そして今お聞きした千五百三十六億ですか、これと合せて三十四年度の自衛隊の一応の現状維持、並びに装備拡充等が全部入っているわけですね。
  48. 山下武利

    政府委員山下武利君) ただいまおっしゃいましたように、予算額に対しまして、それの前提としてこれだけの額が一応期待されている、こういうことであります。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 最近、私もよく知りませんけれども、新聞紙の伝えるところによると、ドレーバー軍事援助調査団が、対日軍事援助を本年度から四割に削減する、こういうことを言い、米国政府方針を一応承認したということが伝えられております。それからアメリカの下院は、海外軍事援助について大幅な削減をすでに行い、アイゼンハワー大統領は米国政府に対する国会の非協力について非常に痛憤をしておるようですがね。こういうことを防衛庁としては、もうすでに確実な筋からお聞きになっておりますか。
  50. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 本問題はきわめて重要な問題でございまして、これが一昨日でありましたか一昨々日の夕刊でありましたか出まして、防衛庁といたしましてはさような事実は全くまだ聞知いたしておりません。率直に申し上げます。と同時に、これはちょっと速記をおとめ願えれば……。
  51. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  52. 西田信一

    主査西田信一君) 速記を始めて。
  53. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 内容につきましてはいずれ経理局長から御報告があるかと存じますが、一九六〇会計年度と申しますと、日本の会計年度とアメリカの会計年度は、御承知のように四、五、六、七と四カ月ずれておるわけでございまして、その間の関係等から従来、本年度におきましても、これは本委員会等あるいは予算委員会等でお尋ねがあったかと存じまするが、逐次減らされるのではないかというような御意見があったのでありますが、昨年の暮に本年度はトータルとしては約四百億、それからこれからの見込みにおきましても、もうあとわずか十日足らずでございますが、大体所定の四百二十数億というようなところには到達をするということで、今日までのところは何ら支障なく参っております。たまたまああいう新聞が出ましたので、さっそく私も一応それらの点については意向もただしたのでありまするが、まだ何らオフィシャルな連絡には接していないということでありますので、私どもとしては、何と申しますか従来のやり方、従ってアメリカの会計年度と当方の会計年度との食い違い、その他装備としてアメリカが当面一応不要になったもの等について、当方では整備上必要があるというようなもの等については、アメリカも非常に好意をもって処理をしてくれ、しかもそういうものも過去においても相当入っておりますので、現在のところ、私ども最善の努力をいたさなければならぬ、かように考えておりまするが、新聞の伝えるような心配まではいたしておりません。さような状態でございます。
  54. 栗山良夫

    栗山良夫君 一応今日の段階では、政府答弁としては私はそういうことだと思います。また常識的にもそうだろうと思いますが、しかしもうすでに米国の下院で海外軍事援助を削減したことは事実なんですね。これはもうはっきりしているわけです。従ってそれの流れをくんで対日軍事援助が削減されるであろうということは、オフィシャルな情報があるなしにかかわらず、アメリカの国会がきめたことだから、それの細目的な具体化をするまではこれは一応考慮に入れなければいけないのではないかと思うのです。そこで、もしオフィシャルな情報がないのでこの国会ではまだちょっと述べられないということであれば、プライベートな情報でもけっこうですからもう少し……。新聞に相当詳しく出ているのに、政府の方ではただ一言知りませんということでは、あまりにも責任者としては、もしそういうことであれば、研究が足りないということになるので詳しく述べていただきたい。
  55. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 速記をとめていただきたいと思います。
  56. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  57. 西田信一

    主査西田信一君) 速記を始めて。
  58. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただいまのお話の中にある、長官みずからがサウンドせられたというのは、アメリカ大使館ですか、それとも極東軍司令部ですか、アメリカ本国の当局ですか。
  59. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) これはまことにおそれ入りますが、そこまで私申し上げる自由を持つかどうかについても疑問がありますので、向う側の責任者の一人ということで御了承いただきたいと思います。
  60. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、その交渉され、サウンドされた人に対して、日本の国内新聞に海外電報としてこういうものが載っておるので、至急にオフィシャルな情報をもたらされたいというそういう要望をされておりますか。
  61. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私はその点については、できるだけ早く事態の究明が望ましいということは申し上げてあります。
  62. 栗山良夫

    栗山良夫君 僕らが非常に心配しておることは、もし伝えられるところが事実とすれば、今予算審議しておる防衛庁の三十四年度予算というものは、根本的に、相当な何といいますか、再編というか、削除というか、あるいは予算補正というか、何らかの形で計画通り遂行しようとすれば、これは予算補正を必要とするでしょうし、軍事援助が削減されたということをそのまま自動的に認めて補正予算を組まないということであれば、防衛計画そのものを縮めなければならぬ非常な重要な問題だと思います。で、今のあなたの御答弁によりますとですね、ちょっと言葉に含みがあるのだからよくわからないのだが、新聞に伝えているようなこういうことは実際にはないので、三十四年度予算に対日軍事援助の所定額四百数十億を予定して、そうしてここに組んでおる予算を可決すれば、当初の計画通り支障なくいけるとおっしゃるのか。あるいはアメリカの方の情報がまだわからないけれども、若干危惧の念があるというのか、その辺はどうなんですか。
  63. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 速記をちょっと……。
  64. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  65. 西田信一

    主査西田信一君) 速記を始めて。
  66. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこが非常に重要なところなんです。たとえば、心配がないわけではないが、大して心配はないとおっしゃった意味は、おそらく、新聞紙を通じて国民が最も心配しておる点と一致するのですよ。たとえば、ちょっとただいま新聞を読み上げてみますがね、こういうことが書いてある。「ドレーパー調査団が今回とった措置は「日本がいまの程度の防衛体制をとるならば、対日軍事援助も五年ぐらいで打切る。しかし日本が近代装備を備えた新らしい防衛体制をとることにふみきるならば、そのときは米国もまた軍事援助を行う」というかなり思い切ったふみきりかたをしたものと外務省筋も観測しているが、これが日本の防衛体制のありかたに新たな問題を投じたことは否めない。」と書いてありま    〔速記中止
  67. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。
  68. 栗山良夫

    栗山良夫君 公式的な情報が入っていないということが前提になって御答弁になっておりますから、私はそれを否定し、あるいはそれにとやかく申し上げて、質問を続ける実は根拠というものはないわけです。ですから、一応そうおっしゃれば、それをそのままそういう工合に受け取っておくよりしようがないと思いますが、問題は、今予算の締めくくりをしようとしておる重要な時期に、この問題についてあなたにただした結果、ただいまの御答弁がそのままそういう工合に、アメリカとの関係において実現すればよろしいけれども、しかし、もし、万一間違って、予算の編成の基礎をゆるがすようなことになった場合には、これは重要だと私は思うのです。で、この点については、まだ予算の締めくくりをいたしまするまでには若干の時間もあるわけですから、一つ緊急に日本の国会が、どういうことなのか、真相を知って国家予算の議決ができるようにこれは善処を私はせられたい。そうしないというと、今ここできっぱりと心配がないと言い切ってしまわれるならば、私は問題にしません。やはり若干言葉が濁っておるわけです。濁っていれば、これは予算審議に非常な影響があります、濁っていれば。ですから、きょようはまだ二十三日ですから、分科会は三、四、五、六と、それから総括質問が最後に残っております。その間に公式情報というものをアメリカから、取って、公式情報がこうありました、こういう工合に国会においてその内容説明をせられる私は義務があるのではないかと思います。もしこれがアメリカの方でうそであったならば、サウンドせられれば、うそと言ってくるでしょう。あるいは日本の新聞情報で、こういうところが違っているんだということをまた指摘してくるでしょう。とにかく、どちらにしても、これは日本の新聞が裡造したわけではないでしょうから、アメリカの電報、海外情報をもとにして記事になっているものでありましょうから、その点は、政府が努力せられればできないことはないと思います。その点についてのお答えを一つ承わっておきたいと思います。
  69. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  70. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。
  71. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは私が、非常に新聞の記事を材料にして、無理なお尋ねをしておるようにお取りかもしれませんけれども、これは決して無理なお尋ねではないのですよ。先ほどあなたがおっしゃったように、四百六十五億円は、軍事援助として最初から予定をして、そうしてこの予算はできているのだとおっしゃったわけです。そうすれば、四百六十五億円の対日軍事援助を受けられるか受けられないかということは、予算編成のときにおいて米国側と十分打ち合せて、了解のもとに援助を受けるわけですね。それじゃあこれだけ出そうということで話し合いがついて、予算をお組みになっているものだと私どもは理解するわけです。もしこの四百六十五億が、アメリカとの関係において約束がなかったと、想像で組んだのだ、交渉はこれからだとおっしゃれば、それは別ですけれども、そういうあやしげなものでないと私どもは理解している。それだから責任があるということを申し上げている。
  72. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 技術的な問題ただいま栗山先生のおっしゃるうちで、こう御了解していただきたいということを一つ大臣にかわりまして申し上げます。三十四年度予算の基礎として、先ほど経理局長が申しましたように、四百六十五億のいろいろな装備の期待はしているというその中には、向うの予算の会計年度では、たとえば五八会計年度の残りもございますし、五九年度の分もございますし、六〇年度の分もいろいろまざっているわけです。従って、新聞に書いてあります、非常に激減ということと四百六十五億は、すぐそのままは技術的には、内容的には結びつかぬという問題が一つございますことを、事務的にお答えしておきます。
  73. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはわかります。向うは全額削除するとは言っていないわけですからね。四〇%削除を言っているのですから、その点はよくわかります。そうすると、この問題は何ですね、どういうことになるのですか。これがはっきりしなければ、予算審議は実際上進行し得ないわけです。今、防衛庁の方で、こういうことは絶対にないのだ、こうおつしゃればいいのですよ。いいのですけれども、若干、それは相手のあるごとで、しかも下院の態度も正式に議決されてきまっているし、それの具体化で、日本だけを別扱いにして、その他の国を減らして、日本は全額持ってきてくれるのか。日本も四〇%減らすのか。そういうところに若干疑念がある。また、つけてくれるにしても、今のように、装備内容について向うから注文がつく、こういうようなことになれば、これはさらに問題は重要ですからね。従って、予算審議というものは、これ以上私はちょっと進められないような気がするがね、実際は。私はそう思う。
  74. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) その問題につきまして私の所見を申し述べさしていただきたいと思いますが、さいぜん経理局長並びに私が申し上げましたように、三十四年度の予算の基礎は、かような援助を期待をして編成をされておるということでありまして、日本の防衛庁自体の予算内容にはこれが入っておるわけではございません。従って、そういう問題等につきまして、一応算定の基礎である、従って、もし御指摘のような場合になれば、所定通り予算通りました暁においても、従来においてもそういうことはあり得ることで、毎回必ず予算通りにくると……。若干多いときもありますれば、若干少いときもあるということでございますので、この点は、あくまで予算算定の基礎でありまして、日本の予算自体については、計数上特にどうこうという筋ではない、この点も一応御了承をいただきたいと思います。
  75. 栗山良夫

    栗山良夫君 その点は、今の説明の範囲内だけならば了解いたします。しかし、とにかく三十四年度の防衛計画というものが、この四百六十五億を当てにしてできているということだけははっきりしているわけだ。ね、そうでしょう。もしこの四百六十五億が予定通り援助せられなかったときは、三十四年度の防衛計画は、自動的にこれは所定の計画より減らなければならぬと思うのです。また三十四年度の防衛計画計画通り実行しようと思えば、この不足分だけ予算補正をやって、日本みずからこれは調達しなければならぬ。そういう二つの場合があると思うのです。従って、もし向うからの援助が減ったときに、その防衛計画遂行上、今の二つのうちのどちらをおとりになりますか。
  76. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私どもとしては、さいぜん来私が申し上げておりまするように、この新聞の記事だけを基準にしてとかくの議論は、責任者の一人として避けなければなりませんので、この点はあくまで事態を明白にした上で処理をいたしたい。ただ三十四年度の予算は、御指摘のように、こういう四百数十億の対日援助というものを期待し一、その基礎の上に立ってできておるということも事実でございますから、もしそれが、予算の重大な変更を及ぼす等の大きな削減があるという際には、御指摘のように、あるいはそのまま繰り延べされるか、あるいは補正予算の措置をとるかということは、他の突発的な水害であるとか、その他の予算においても、そういうことは補正予算として決して絶無の事実ではございませんししますので、一般の予算補正の例に準じて処理をいたしたいと、かように存じておりますが、今のところ、私としては、さいぜん栗山先生に申し上げましたように、それほど大きな心配はいたしておらないということを申し上げる次第であります。
  77. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう一ぺん念のために伺っておきますが、この対日軍事援助の削減の有無にかかわらず、防衛庁が樹立した三十四年度の防衛計画というものは、既定方針通りに実行すると、こういうことでいいですか。
  78. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私どもは、目下御審議をいただいておりますので、するという確定的な言葉は、予算審議が済んだ後でないと申し上げられませんが、私ははっきり、これによって予算の執行をいたしたいということは申し上げることができるわけであります。
  79. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで大体明らかになりました。そうすれば、もし万一削減になったとぎには、予算補正はしなきゃならぬと、こういうことになりますわけですね。
  80. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 内容によって、重大な支障を生ずるという場合には予算の補正をする。しかし、補正をせずに済む程度の軽徴の点であれば、前例もあることでありますから、それで処理したい、かように考えております。事態は全部なるべく明らかにしたい、かように考えております。
  81. 栗山良夫

    栗山良夫君 それじゃその問題はこの程度にしておきますが、とにかく、緊急に向うから公式情報をとられて、予算審議が終了する前に委員会説明をせられることを私は強く要望しておきます。これだけあらゆる交通が便利になっているときですから、もし公式情報がこないということになれば、何かはかの政治的な意味、あるいはアメリカの外交、軍事政策的な意味からそういうことがまた伝わってきていないのだろうと思いますがね。それだけにやはり国民の関心は強いわけです。これは国民の関心だけじゃないですよ。私の持っている新聞では、財界も失望したと書いてある。財界の方もえらい気を落しております。そういう関係で、非常に重要な問題ですから。  それから最後に、この問題に関係するのですが、戦闘機の機種決定問題は、アメリカの予算が五八—五九会計年度の予算に計上をされているので、日本側としてはまあ直接関係はないと、ないかわりに、日本としてはこのアメリカの会計年度内に機種決定はどうしてもしなきゃならぬだろうということが報ぜられておるのですがね。私どももそう思うのですが、この機種決定の問題、どうお考えになりますか。六月末……。
  82. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいまの御指摘の問題は、気持としては私はそうあるべきであろうし、アメリカもさように考えると存じまするが、ただ現実に、五九会計年度の予算で切れてしまう、かような形には私ども考えておりませんことは、この点についてもできるだけ早く日本の態度を決定することが望ましいと、こういうような話があります点から見て、精神としては、私は栗山先生のお言葉よく理解できますが、五九会計年度を越えたらもう一切さようなことはないというようには解釈いたしておりません。
  83. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは解釈の問題ではなくて、アメリカの歳出予算の扱い方の問題だと思いますがね。そういう繰り越しができるような予算支出措置にアメリカはなっているのでしょうか。
  84. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) これは私は確定的なことは申し上げかねて、これは調査した上で申し上げるのがよかろうと思いますが、大部分のものは繰り越し可能というように処理されておるということを聞いております。金額か、あるいは聞くところによりますと八割とかというような話もあるそうでありますが、繰り越しについては認められておるということを承知いたしております。
  85. 栗山良夫

    栗山良夫君 この点も先ほどのこの対日援助の問題と同じことなんですがね。日本の防衛計画をあなた方は熱心に研究しておられるのですけれども、とにかく、アメリカの財布を少し当てにしてやっておられるのは事実なんです。その当てにしている財布の方が、口が締まるのか開くのか、そういうことをはっきり確かめないで、そうして運営せられるということは、私は非常に不用意だと思うし、国民の側からいえば、もうこれだけの負担で済むのだと思っていたら、また負担がふえたりしては困るので、もう少し的確にせられる必要はありゃしないですかね。もっと的確にせられる必要はありゃしませんか。たとえば、六月末までに機種を決定しなければ、アメリカと約束した機種の援助は得られないのか、あるいは六月以降、七月から以降に延びた場合には何%がくるのか、あるいは全然だめになるのか、そういうことを明白にされる必要はありませんか。
  86. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) アメリカの予算の制度のことについて申し上げます。これは毎年歳出権限法というものできめているのです。従来の例でいいますと、予算の大体、去年あたりは八割のようですが、八割までは債務負担、あるいはリザーブという言葉を一使っておりますが、こういうことに使うということをきめないと、あとは取り上げられるという規定があります。従って、日本でいうような債務負担行為をくっきりして、歳出までしてしまわなければ繰り越しになるというような観念はないようで、債務負担行為にして、あるいはこういうことでこういうものに使うのだということを財務省あたりの承認を得れば、すぐにその使い道がはっきりしさえすれば取り上げられないというような規定になっております。五九会計年度が、その割合なり時期をどうしますか知りませんが、大体、会計年度の六月に終ります例でいいますと、二ヵ月前あるいは一ヵ月前までに何割は使え、何割を今言った意味で使えというような、そうしなければ取り上げるという規定はございますが、それさえしておくならば、あとは繰り越しが自由というような制度になっております。
  87. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、六月末までに機種決定を見るとか何とか、日本側のはっきりした態度がきまらなければ、アメリカも債務負担行為として繰り越しの手続を得ることができないじゃないですか。まだ日本は機種決定をいつするのかわからないような状態にほおっておいて、アメリカの議会なり政府の方は、日本はまだきめないけれども、七月末にはきまるらしい、それじゃ債務負担行為にして保留しておこう、こういうことに今のお話を聞くとなるんじゃないですか。
  88. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 従いまして、一九五九年度の金で出そうとすれば、向うは出そうとするなら、あるいは金額留保の仕方その他いかんによって、どうなるかわかりませんが、先ほど長官からもお話がありました通り、それでなければあとは話にならないのだというふうには私ども考えておりません。
  89. 栗山良夫

    栗山良夫君 その機種の問題は、国内問題だけでなくて、アメリカの政府にもこれは相当ひんぴんと国内で問題になっているということは響いていると思いますが、それについてアメリカ側とのやりとりは全然今日までありませんか。これをどういうふうにしようとか、どういうふうに始末しようとかという、そういうやりとりはありませんか。これは大臣からお聞きしなければいかぬでしょうが……。
  90. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 大へん微妙な問題でございますので、できれば速記をとめていただきたいと思います。
  91. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中正〕
  92. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。
  93. 栗山良夫

    栗山良夫君 伺うところによりますと、機種決定問題については、一応内定はされているけれども、内定は内定として、いろいろ物議をかもしたので、ちょっと実行不可能に陥っている。そこで政府としては、近く第二次の機種調査団をアメリカに派遣をするというような御意図があることが伝えられておりますが、そういう御構想はおありでございますか。
  94. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 防衛庁長官としては、現在さような考え方は持ったこともございませんし、私の意見として発表したこともございません。
  95. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、一応内定はしている、ところがまだ断を下すところまではいかない。情勢の変化がきているのだが、それに対応するための使節団の派遣も考慮していない。こういうことになりますと、この問題をどう扱われるかということについては、私は結局、過日内定された線で、適当な潮どきを見てこれを実行に移される、こういう工合に理解する以外に道はないのですけれども、そういう理解の仕方ではいけないのでしょうか。
  96. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) まだ、国防会議が正式に取り上げておりまするし、その問題について最も重要な関係を有する防衛庁の仕事としては、そこまで踏み切ってはおりません。もっぱら調査をしているという段階でございます。
  97. 栗山良夫

    栗山良夫君 大よそいつごろになりますか、防衛庁方針としては。
  98. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) これは防衛庁長官に対する御質問と考えて御答弁申し上げますが、私は、なるべく早く機種の決定問題は処理をすべきものということで、実はその後の新しい事情等も調査をいたしまして、そして政府部内でいろいろ話し合いを目下内々ではございますがやっておりまするが、現在の状況では、今直ちにそれが確定的に動くという段階にありませんので、さらに一そう努力してできるだけ早くきめたい、かように考えております。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると大体大よそに言って、アメリカとの関係がありますので、お伺いをするわけでありますが、アメリカ会計年度にマッチするように六月末までにきまりますか、あるいは六月末までにはきまらないでさらに延びますか、この大よそのめどを一つお伺いしたい。
  100. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 私としては、ただいまの御指摘のように、できれば六月末までにきめたいという気持は持っております。しかしながら、それがかような政治情勢にもありますので、私の努力が実を結びますかどうか、この点についてはさいぜんのお話の点が、ドレーパー・ミッションの問題がありましたように、私として確実にどうこうという自信は今のところございません。できるだけの努力をしたいと、かように考えております。
  101. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、大臣の意思はわかりましたが、先ほど内定後もさらに調査を続行しているとおっしゃいましたが、その調査は、この前の内定の線は内定として一応たな上げをして、白紙の立場で、よりよいものをいずれか決定し得ると、そういう立場でお進めになっておるのですか。それとも、この間の内定の線を一応理論づけするための調査をおやりになっておるのか、その辺はどうなんでしょうか。
  102. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) さような詳細の内容につきましては、現在の段階では御答弁をしばらく控えたいと考えております。
  103. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、もう一へん伺いますが、それじゃそのそういうような事情まで含めて、対日援助の削減の空気、気配のあるときだから、少くともこの機種の問題については、せっかくアメリカの予算に載っておる所要の援助金をふいにしないような了解工作というものはとられたのですか。若干こちらはもたもたしているのだが、とにかく、そのうちにきめるからちょっとレザーブしておいてくれ、こういう意味の折衝というものは続けられておるのですか。
  104. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) おそれ入りますが、微妙な問題ですから、できれば速記をとめて下さい。
  105. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  106. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。
  107. 栗山良夫

    栗山良夫君 なかなか防衛問題は、もう少しきちんとしていないというと自衛力が出ないのじゃないですかね、そういうぼやっとしているところがあったのでは……。これ以上お聞きしてもあまり話が発展しないようですから、その程度にしておきますが、さらに、この機種問題が決定しないために、航空機産業に少からざる影響を与えているのですが、これはどういうふうに御理解なさっていられますか。
  108. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 機種問題の決定がおくれますために、航空機産業の仕事に穴があくということは、われわれ非常に、防衛産業ということのみならず、防衛庁の立場といたしましても、せっかく集まった生産能力が散るとか、ことに下請方面では、せっかくできたのがなくなって、また再建しなければいかぬとか、従って値段その他も、今後いろいろな、次の航空機のみならず、今の航空機の発注で単価、その他の点から非常に高くつくということで非常に困るわけでございます。従って、機種問題を早い機会にきめまして、早く着手したいということを熱望いたしているわけでございますが現在予想しておりますどの程度の穴があくかという問題は、先般通産大臣からも予算委員会でお答え願いましたが、通産省と一緒にいろいろ推定を立てております。かりに三十五年度の予算にこれが盛り込めるということを考えました場合には、機体会社で大体七百八十万工数の穴があくだろう——一工数というのは一時間当りの直接工の仕事量でございます。こういう推定を立てております。また、それに伴いまして、関連産業で相当の穴があくということに相なります。これに対して、現在いろいろ予算で考えられております措置、その他がどういうことになるだろうかという点でございますが、現在やっておりますE86の生産を、当初は、三十三年度までの予算では、三十五年の三月に終了する予定になっておりましたのが、これは御存じのようにF86Fが、今多少。パイロットより飛行機の方が多いというような関係になっておりますので、そういう点も考え、また生産上も、F86Fの生産も、今年の二月ごろから機数が八機べースから十機べースに上るという関係もありますので、それを上げないで横ばいにするというような関係もございまして、期間で九カ月おくらす、ことに三十四年度の予算ではそういう計算のもとに予算を組んでおります。これによりまして約百三十万工数の穴が埋められるという計算になっております。それが一つでございます。  それから第二番目は、T33はこの三月で済みますが、F86の方も三十五年の、来年の十二月で済みますが、その後の補用品はこのF86、T33を自衛隊が使っておる限りにおいては補用品を必要とするわけでございますが、こういうことは、仕事が済みますと、いわゆる治工具を全部片づけます関係上、一定年月分の補用品を一括発注する方か経済的でもあり、また仕事の段取りからいってもいいというわけで、三十四年度の予算の国庫債務で約二十六億の費用が入っております。こういうことによりまして約百二十万工数助かります。  第三番目は、通産省でいろいろ推進しておりまして、少し予算が入りました中型輸送機の仕事、この仕事で、通産省の推定では約四百万工数、これは試作機二機と試験機二機でございますが、そのうちでジェット機関係の飛行機会社に来る仕事量は約三百二十万工数ぐらい来るだろうという見込を立てております。従って、今申しました三つの一番初めのF86の生産のスロー・ダウンで百三十一万、一括発注で百二十万、それから中型輸送機の関係で三百二十万、計五百七十万工数ぐらいは助かりはしないか。従って現在の仕事量をベースとして完全な穴は七百八十万から五百七十万を引いた二百十万ぐらいの穴になりはしないかということを、通産省といろいろ作業をいたしまして、先般もこの数字を通産大臣は言われた、こういうことになっております。
  109. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の部品の一括発注を出されておるが、これは前に防衛庁で問題になったように、電池を三カ年分も買ってだめにしたというような問題がある。そういう種類の問題がありますか。仕事を作るために、必要でないものをしいて注文をしたなんていうことが起きないでしょうか。
  110. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) F86F、T33Aの部品は、生産の本体で約一割の部品を作っております。一割の部品というのは大体一年分ぐらいであります。この仕事が済みますと、その次の飛行機をやる、やらぬにかかわらず、その工場はその治工具を置いておくわけにいきませんので、全部片づけるわけであります。また、ばらばらに、かりにその治工具を一部置いておかして作るとか、あるいは日本で作れないものはアメリカから輸入するというような形をとりますと、相当高くなります。いろいろ試算をしておりますが、問題にならぬくらい高くなるということもございますので、大蔵省と話し合いまして、さっきも申しましたように、二十六億が国庫債務で入っております。この二十六億というものによりまして発注する両ジェット機の部品の使用分は、大体三十五年度、三十六年度分までを予定しております。二年分でございます。金としては、国庫債務でございますが、今年三十四年度発注して入ってきたものを三十五年度、三十六年度で使うということになります。
  111. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  112. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。
  113. 栗山良夫

    栗山良夫君 私まだいろんなことをお尋ねしたいけれども、長官が健康上の問題で先ほどから退席を求められておりますから、これは人道上やはり快くお聞きしなければいかぬと思いますが、もう一点だけ伺っておきます。  今の航空機産業の問題は、この航空機工業の振興法を作るときにもずいぶんこれは議論をした問題なんです。それでようやく関係メーカーが涙ぐましいような努力をして、そうして工作機もそろえ、技術者もそろえ、工員もそろえて、これから落ちない飛行機をこしらえようというところで、ぱたっとその仕事に停滞がきておるわけです。私は別に書物で読んでそういうことを申しておるのではなくて、有力な航空機製作所を実際に視察して、もう責任者が困り果てておる姿を見てきておるのです。どうしてもこの一年間の工数を埋めなければならぬ、どうしても埋められないという非常に難儀をしておる実態も見てきておるのです。従って、これはやはり政府の仕事ですから、政府に責任があるわけです、仕事を出すという意味においては、発注するという意味においては……。従って今二百十万工数、これは金額にすると、この間商工委員会で聞きましたときには二十億円くらいになるそうです。二十億円に及ぶ損害といえば損害だけれども、損害を与えて、なおかつ見通しが立たないということでは困るので、何としても至急に機種の決定をせらるべきだと思うんです。国民の理解し得るように早くせらるべきものだと私は思います。そこで、今何ですね、内職のような仕事をいろいろ計算に入れてだね、これで仕事はつなげるとおっしゃったんだが、実にさみしい計画だから、こういうことのないように、長官は一つ責任をもって善処をせられるべきであると私は思います。航空機を作ることは、どうもわれわれは賛成じゃないんだけれども、国費をあれだけ百億も投じて、国費というか、民間の費用も入っていますけれども、それだけの設備投資をして、その設備投資が十分に回転をしない、有効に使われない、こういうことなどは国家の損失ですから、これは何としても避けなければならない。そういう工合に考えて議論をしているわけです。この点は長官から一つ機種決定の問題について、直接関連があるわけですから、また民間の産業がそういう工合に非常に難儀をして困っている実情を認識していられるかどうか、認識しておられるとするならば、さらに一そう善処をするということについての所信の表明があって私はしかるべきだと思います。
  114. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいまのお尋ねは、全く御指摘通りでございます。私どもも、これらの問題につきましては、民間方面の意見を徴しておりまして、御指摘のように、できるだけ早い機会にこれを決定して、民間における作業の停滞、それに基く損害というものを最小限度にとどめなければいけない、この点は私も全く同感でございますが、さいぜん来お答え申し上げましたように、私どもとしてはできるだけ政府部内の見解をまとめ、また全体としての意見を調整をしてこの問題に対する解決をはかりたい、この点重ねて申し上げる次第でございます。
  115. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう一点、これに関連しまして、いわゆる航空機を中心に軍需産業というものがなかなか安定をしないので、そこで一部では、軍需産業というものを国有民営にして、そうして運営をしたらどうかという意見があるやに私ども伺っております。政府筋にはそういうような考えがおありでありますかどうか。特に防衛庁としては直接の衝でありますから関係が深いと思いますので、この際確認をしておきたいと思います。
  116. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 防衛産業一般につきましては、ただいまお尋ねの通りで、私どもさようなことは考えておりませんが、一部、赤羽のかつての軍が接収しておりました地域におけるタイヤ更生のプラントの問題、あるいはその他小銃弾等の、将来防衛庁として、みずから製作可能である。比較的何と申しますか、製作のしやすいものについて、若干のことは考慮に入れたことがあるそうでありますが、現在のところ、そういった大きな防衛産業について、国有民営というような考えはございません。
  117. 栗山良夫

    栗山良夫君 赤羽の何ですか、ちょっと私、わからなかったのですが。
  118. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 古タイヤの更生でございます。
  119. 栗山良夫

    栗山良夫君 古タイヤの更生と、それから小銃弾ですか、そういうものを国有工場で民営でやらせる、そういう構想ならあるわけでございますか。
  120. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) ただいま、長官がおっしゃいましたのは、古タイヤの更生——米軍がやっていた仕事を、米軍の機械をもらったわけであります。その経営は、その機械を民間業者にさせましてやっておるので、これは厳格な意味では国有民営とはいえませんが、施設防衛庁が持っているという意味で長官がおっしゃったわけでございます。  それから、たまの問題は、御存じのように、たまの発注も、特需で非常にふくれまして、設備もたくさん持っておりますが、その後、特需がなくなりまして、防衛庁の発注は、年々の撃つたま、その特殊なたまだけを少しずつ発注しておるわけで、設備と発注とのバランスは、なかなかとれないということで、これも、さっきの飛行機でおっしゃいましたような意味でなく、前々から議論がありまして、その過程において、これのめどがつかないならば、そうすべきじゃないか、そうすべきかもしらんという議論が、防衛のみならず、いろいろ大蔵省、通産省と話し合っている過程において、そういう議論が、一つあるという意味でおっしゃったと思いますので、まだ、全然具体的な問題じゃなくて、そういう議論としてあったのだ、そういう意味だということを申し上げておきます。
  121. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっと伺いますが、最近の自衛隊の募集、採用の状況は、どんな工合ですか。
  122. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 人事局長おりませんので、便宜私から、最近の自衛隊の募集状況についてお答え申し上げます。  大体、従来の自衛隊員の募集は、応募人員に比較いたしまして、三倍程度を応募者に得られれば、大体、適当な有資格者を得られるという状況でございましたが、昭和三十三年度におきましては、第一次から第四次まで募集をいたしております。その結果、平均いたしまして、大体応募人員六人につきまして一人の割合で採用する、こういう状況に相なっております。三十四年度におきましても、除隊者その他を含めまして、陸について二万程度の募集をいたす予定になっておりますが、今日までの状況によりますると、五人ないし六人に一人の割合というふうに考えられておりまして、ここ一、二年、募集の状況は概して良好というふうに考えております。
  123. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは陸、空、海、総括してでございますか。
  124. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 今申しましたのは、陸、海、空、平均でございまして、海などにつきましては、昨年の例からいたしますれば十四、五人から二十人に一人、陸について申しますと四人ないし六人について一人、空についても大体四人ないし六人について一人というような状況に相なっております。
  125. 栗山良夫

    栗山良夫君 除隊をする人は、相当たくさんおりますか、その率は。
  126. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 除隊者のはっきりした数字が、今手元にございませんが、大体、継続任用を希望する方が、相当、最近の傾向としては多くなって参っております。  ただ、陸について申しますと、二年で更新をいたすことに相なるわけでありますが、更新が二度、三度というふうに重なって、どうしても除隊した方がいいというような例は、最近におきましても、相当ございます。
  127. 栗山良夫

    栗山良夫君 防衛大学はどうですか。
  128. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 防衛大学の入学率は、ここ数年間、大体におきまして十二、三人に一人という志願率に相なっております。
  129. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで大学を卒業してから、自衛隊を離れる率はどのくらいですか。
  130. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 防衛大学を卒業して、自衛隊に志願せずして離職するという例は、ごくわずかと記憶いたしております。
  131. 栗山良夫

    栗山良夫君 今伺いますと、一番、私疑問に思っていたことは、空軍の方ですが、四ないし六人に一人採用可能な応募者がある、こうおっしゃったのですが、それほどまでにあるならば、空軍の方の塔乗人員が不足をするというようなことは考えられないのですけれども、それはどういうわけでしょうか。
  132. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 御承知通り、空の一人のパイロットを作り上げますまでには、第一段階におきまして、いわゆるメンターT34という飛行機の訓練をし、さらにT6G、これはやはり、同じくプロペラ機でありますが、それを経、ジェットT33を経て、最後にF86の実用機に乗るわけでございまして、この間、大体二年数カ月を要するわけでございます。最初採用になりましてから、適性検査その他によりまして、途中エリミネートせられる率が相当ございますので、当初予定している。パイロットを確保するという上におきまして、相当やはり困難が出てくるというふうに考えております。
  133. 栗山良夫

    栗山良夫君 去年も、ずいぶん自衛隊の飛行機の質の問題も、国会で取り上げられたのですが、問題は、優秀な乗員が十分得られないということは当時も、はっきりしております。過日、アメリカへ飛行機を返した場合も、搭乗人員が十分でないからというのが、一つの理由であったように私は思います。  従って、今後空軍を増強するように、せっかく努力をしておられますが、今の話を伺いますというと、飛行機の機数を増加するのに、十分なほどの搭乗員を得るのには、まだ計画的に十分ではないのですか。
  134. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私から申し上げます。パイロットのソースといたしましては、現在、一般大学を卒業いたしました者、それから高校を卒業いたしまして、操縦学生として採用いたす者、それから防衛大学卒業生、そのほかに昔、軍において飛行機搭乗の経験を持っておった者というふうなものをソースとして、パイロットの養成をしておるのであります。現在。パイロットは、七百数十名おります。この七百数十名のパイロットのうちで、プロペラ機の方の搭乗員の養成は、これは問題はないのでございます。大体、計画通り参っております。困りますのはジェットのパイロットであります。ジェットのパイロットにつきましては、今まで、日本で経験がなかったということが、第一の原因でございまして、昭和三十一年の春からジェットの訓練を始めたわけでございますが、今まで経験がなかったことによりまして、米軍の方の、その点に関する資料等をもとにいたしまして、パイロットの養成の計画を立て、たわけでございます。  ところが、実際やってみますと、いろいろな点におきまして、むずかしい問題が起って参ります。一つは、大きく申し上げますと、米軍のパイロットの養成等につきましては、ある程度の科学技術に関する、何と申しますか、国民的な水準が、やはり違うということが一つあると思うのでございます。日本の方では、米市の初歩の技術、科学知識に達するまでに、やはり時間がかかるということが一つございます。それから飛行機の訓練時間の関係で、一カ月間に、アメリカ等の資料によりますと、何時間飛べると思っておりましたのが、なかなかそれほど、天候の関係で飛べないということも一つございます。それから、ことに今まで、旧軍において、飛行機に乗っておりました経験のあった者につきまして、先ほども官房長から話がありましたように、淘汰率、各階段ごとに淘汰をしていくわけでございます。最初、初級の練習機に乗せまして、そこで不合格者は落す。次に中級の練習機におきまして、不合格者はまた落す。その次にT33というジェット練習機に乗せて、また不合格者を落し、86の最後の仕上げにかかるわけでございます。その間における淘汰率が、予想以上に多かったということも一つの理由であります。  それから、いま一つ整備員の方が、パイロットの方は、どんどん進むにしても、飛行機の整備員の教育が、関連して問題になるのでありまして、整備員の計画の総数といたしましては、ほぼ計画に近いところまでいき得るのでありますが、その限度が問題でございます。現在米軍の基準によりますと、一般的に基本的な整備の教育を受けましたものを、スリー・レベルと申します。それから、ある程度部隊の訓練を受けて、さらに再教育を受けましたものが、最後のレベルになるのでございます。それから、一人前のレベルに達しますと、セブンのレベルというふうに、三段階に分けておりますが、募集いたしまして、計画の上に近い数字になりましても、上のセブン・レベル、ハイ・レベルの段階の整備員が、なかなか教育できない。従って、思うほど飛行機が飛ばせない。天候の関係のみならず、整備補給の面からいきましても、思うほど飛行機が飛ばせないという事情が一つございまして、それから飛行場の整備が、私どもの思うほど進捗いたしませんでした。その関係からくる飛行時間のおくれというものも、一つあったのでございます。  また、いま一つ米軍の方の計画の変更に伴いまして、こちらの方の教育に向けようと思ったものを、米軍の方の事情の変更に伴いまして、他の方の飛行機の操縦教育の方に向けなければならないというふうなものもございまして、だいぶそういうふうな事情が積み重なりまして、今まで、当初考えておりましたものよりか、ジェット・パイロットの教育がおくれておるということに相なっておるのでございます。
  135. 西田信一

    主査西田信一君) 分科担当委員外委員の発言を許したいと存じますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 西田信一

    主査西田信一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことにいたします。鈴木君。
  137. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 私は、この防衛庁にお尋ねしたいのは、この通信ですね、非常に通信の拡充をお考えになっておるようでございますが、その予算が、どの程度計上されておりますか。
  138. 山下武利

    政府委員山下武利君) 三十四年度の予算の中で、通信費となって計上してありますものは、歳出におきまして総額八十億五千六百万円、ほかに国庫債務負担行為十億四千万円でございます。  で、八十億五千六百万円の内訳を申し上げますと、第一に、施設整備費といたしまして二億七千五百万円、第二に、専用通話料といたしまして十億二千八百万円、第三に、編成装備品費といたしまして十三億四千六百万円、第四に、器材費といたしまして十六億六千九百万円、第五に、教育訓練費といたしまして一億四千万円、第六に、装備品等維持費といたしまして二十八億七千七百万円、第七に、艦船建造費1これは艦船につけますところの通信機その他でございますが一の中に入っております通信費といたしまして六億二千百万円、第八に、研究開発費といたしまして九千六百万円、以上、合計いたしまして八十億五千六百万円でございます。
  139. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) この前、予算の総括質問の際に、日本無線とそれから住友ですか、そこいらに対して、通信の研究の委嘱と申しますか、長官は、何とかミサイルの試作を委嘱しておるというようなお話でしたが、そのことは、どういう内容なんですか。
  140. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 具体的の会社について、どういうものがいっておるかわかりませんが、長官が当時お答えになりましたのは、ミサイル関係のうちの、エレクトロニックスの部分ということを言われたわけですが、広くそういう試作研究は、主として航空機関係の通信機、それから研究段階では、航空機並びにミサイル部門の通信電子関係というものが大部分です。
  141. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) そこで、お尋ねしたいのでございますが、この文献等を少し研究してみたいのですが、今、電子管の研究をなさっておる、こういうお話でございました。六億近い金が全部それに使われておるとは私思いませんが、電子管の研究については、防衛庁で、どの程度今の成果を測定されて、どういうものをやられておるんですか。    〔主査退席、副主査着席〕
  142. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 先ほど私が申しましたのは、電子関係で申したわけであります。  今のお尋ねの電子管でございますが、そういう電子管その他の問題は、大体防衛庁自体で、そういう基礎的なものといいますか、一般的なものは、防衛庁自体が自分で研究するよりは、民間の成果を利用さしてもらうという意味におきまして、そういうものの基礎的な研究は、われわれはむしろやらずに、そういうものも使い、いろいろなものも使って、総合的にミサイルを飛ばした場合の地上との連絡だとか、ミサイルの何といいますか、かじをとるための電子関係とか、そういうようなことを主として研究しておるわけでございまして、電子管そのものについては、研究はあまりしていないということでございます。
  143. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 昭和二十四年の四月ころ、当時の国家地方警察が、東京工大、東北大、それと東大の各電気工学関係の方々に、磁電管の研究を委嘱をして、その成果が発表になっていることは御存じですか。
  144. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 具体的には存じませんが、電子管について、だんだん性能をよくするという研究が行われたということは承知しております。
  145. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 私の質問しておるのは、当時の国家地方警察が委嘱をして、その成果を十分に確認をされて、これは、もうりっぱな図書にもなっておるわけですが、こういうことを御存じですかと聞いておるんです。
  146. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 私は、具体的によく話は存じません。
  147. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) これは、電子管といい、磁電管といい、いずれにしても、近代的なミサイル等に装置をし、距離を測定するんだか何だかわかりませんが、そういう大出力の電子管というものを、防衛庁で研究されていることは事実でしょう。
  148. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) そういう一般的なものは、防衛庁は主としてやりませず、それを利用して、いろいろやるというような仕事を主としてやっておるわけでございます。磁電管、電子管そのものについて、今相当の力を入れてやっておるという事実はございません。
  149. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) ですから、あなたのところで約六億の予算をさいて、住友、日電、日本無線、そういうところに委嘱ということをして、今試作をしておる、こういう答弁を防衛庁長官は、この前やったんですよ。それは、何とかミサイルとか言っていましたけれども、私は、よくわからぬので、その何とかミサイルというものは、どういうものですか。おそらく日本無線なり、住友通信なりに委嘱をするということになりますと、試作をさせてもらっておるんですから、何を試作しておるのか、それがわからないということはないでしょう。
  150. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) ただいまの、その何か研究開発さすためにやる手段は、主として試作でございます。ただその試作は、通信関係は、全体といたしまして、レーダー地上標定レーダー、VHFのなるべく距離の長いレーダー、サイト関係の連絡をとるための情報、警戒組織に使う器材補用品、そういう種類のもので、大体、十一件で九千六百万円のものでございまして、六億というのは、ちょっとはっきりわからないのでございますが、この間御質問のときは、六億というようなことを言われましたですかなんですか、それをちょっと……。おそらく、器材費の方と一緒になっているのだろうと思いますが、研究自体としては、今、九千六百万円しかないのですが。
  151. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 最近、レーダーの研究も非常に進んでおられると思いますが、電子管のことなんかは、私は大して研究をして、わざわざ日電や住友に試作を研究させるなんということは、ちょっと時代離れをしている話だと思うのですが、そこで、長官は、確かに六億という数字を出しましたから、これは一つ、後ほど長官とよく打ち合わせをして、六億の内容については、どういうものであるか、一つ明確にしていただきたいと思います。時間(関係がありますから……。
  152. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 承知いたしました。調べまして……。
  153. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) それから、昨年十月、衆議院の予算委員会において、社会党の今澄委員が、防衛庁に対してお尋ねをした件がございました。  それは、練馬の陸上自衛隊の駐屯部隊がございますね。その道を隔たった向う側のところに通信隊がございますね。その通信隊の中で何をやっているのですか。
  154. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) お答え申し上げます。  この前、今澄委員の御質問になりましたのは、陸上幕僚幹部の第二部の別室のことであったと思います。陸上幕僚幹部の第二部というのは、これは第二部の仕事といたしましては、防衛及び警備の実施に必要な資材及び情報の収集整理及び配付、防衛及び警備に関する秘密の保全、暗号、地図及び空中写真の計画、情報の収集整理及び配布に関する技術的事項の教育訓練、情報関係の部隊及び機関に関すること、こういうふうなことでありまして、練馬にございます第二部の別室は、このうちで、外国の通信放送などを聴取いたしまして、軍事関係の情報を集めているというのが任務でございます。
  155. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) この外国の情報を収集しているという仕事は、確かに衆議院の答弁でもございましたが、そのほかに、暗号の研究をしている、こういう御答弁がございましたが、それがどんどん展開していって、最後には、外国放送の傍受をする、こういうようなわけですが、それは、どういうことなんですか。暗号の傍受か、交信か知りませんが、そういうことは御研究になっているのですか。
  156. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 暗号は、将来、防衛活動を考えます場合において、非常に大事な問題でございまして、暗一号の研究はやっております。
  157. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) この別室で、そういうことをやっているのでしょう。
  158. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 第二部の別室においてもやつております。
  159. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) これは、どういうことですか、具体的には。
  160. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 暗号の研究をやっております。自衛隊が使います暗号ですね。これもまあ解読ができないようなむずかしいものを考えております。
  161. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 電波に乗せて出していくというようなことはやってないのですか。
  162. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 第二部の別室は、受信の設備でございます。あす  こで、電波を出すということはございません。
  163. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 全然出してないですか。
  164. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ございません。
  165. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) さっき、あなたに質問したときに、磁電管の研究はしてないという御答弁でしたが、それは、事実に間違いありませんか。磁電管の研究をしているということま……。
  166. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) そういう基礎的なものは、よそでされました成果を利用さしてもらうという立場で、そういう大きなものは、やっておらないわけです。
  167. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) そうしますと、練馬の駐屯部隊のうしろにあります第二部の別室には、大出力の磁電管というものは絶対にありませんか。
  168. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 練馬は、大体、受信の方の設備が主でございます。発信その他のものは持っておらないはずです。
  169. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) あなたの今のお話ですと、外国放送を傍受しているというのですが、アンテナは何を使っているのですか。使用しているアンテナは、何ですか。
  170. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 練馬には発信設備は、アンテナはないのでございまして、これは、各地で磁電設備を持っている所がございまして、そこから通信を受けまして、ここで収集整理をしておるのでございます。
  171. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) その、アンテナは持ってないというのですが、アンテナがなければ、外国放送は傍受できませんでしてね。それは、どこからアンテナを引っ張ってきているのですか。
  172. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 埼玉県の大井、その他にございます。
  173. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 埼玉県の大井からアンテナを引っ張ってこなければ、外国放送が聞けないという、そんな不経済なことをやっているのですか。
  174. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私の承知しております範囲では、大井は、前に軍のそういう施設があったのでございまして、それを利用しておるのでございます。あそこはやはり受信の関係では、非常に好都合だというふうに聞いております。
  175. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) どうも、ここで言うのが、だいぶ水かけ論みたいになってしまいまして、非常に残念ですが、私は資料を主査を通じて要求したいと思いますから、今の質問は、保留いたします。  それで、練馬部隊の通信隊に、現在アンテナもございます。アンテナもあるようですし、われわれが見ると、大出力の磁電管らしきものもあるようでありまして、どう考えてみても、外国放送の傍受をしているだけだとは判断できません。従って、ここにもアンテナがございます、外形から見ますと。ですから、その使用しているアンテナは、どういうアンテナを使っているのか。それから大出力の磁電管というものは、実際あるのかないのか。  それから、暗号を研究しているとおっしゃられますが、暗号の研究は、ただほかでやっているのを、そこで傍受をして解読しているということでは私はないと思うのです。そういう実際に扱っている仕事の内容、それから、そこには、だれが従事しておるか、それからまた、しておるのは、通信士の資格のおありの方だとすれば、当然、電波法によって資格も必要でありますから、そういった点も、あわせて早急に資料をお出し願って、その上で質疑をした方が、具体的になると思うのですが、そういう点、一つお願いしたいのですが、それは出ますか。
  176. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 練馬には、高圧線の引込線と、低圧線でございますか、これだけしかないようでございます。そのアンテナは、テレビ用のアンテナが一本ということでございます。
  177. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) いやいや、ぞれは、今ここで弁解しても水かけ論的になってしまいますから、今私は、資料の要求をお願いしたわけです。ですから、そこで、どういう人がやっておって、何をやっているのか、そうして暗号の解読をしていると言いますが、その暗号の解読というのは、どういうことなのか。それから外国の放送を聞いているというのは、それは、どういう方面のやつを聞いているのか。それから大出力の磁電管というのを使っておるように、私たちは思うのだが、そういう事実があるかどうか、そういう点の資料を出していただきたいのです。あしたでいいです。
  178. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 明日提出いたします。
  179. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) それから、私は杞憂であってほしいのですが、しかし、これは防衛上の立場から研究をなさるということは、またあり得べきことだと思うのです。戦争が終結する前に、すでにアメリカ等においては、B29がこちらに盛んに飛んで参った当時、飛行機に乗っている操縦士を、強力な電波を出して麻痺さして、あるいはプロペラのとまる場合もあるでしょうし、そういう操縦士の機能を麻痺させる、いわゆる殺人電波と申しますか、そういう研究が、すでになり、実用化されたことは、事実であります。当時日本でも、その研究が、もう一歩のところで終戦になったように聞いているのですね。ですから、おそらく防衛庁の立場からすると、最近の急速な科学の進展に伴っていろいろそれに即応する兵器ですね。電波兵器も、その一つだと思うのです。レーダーの話も出ましたけれども、いろいろな問題がからんでおりますが、そういう研究をなさっておられるのではないかと私は推察をするのです。ですから、そういった一連の中に、磁電管の研究というものは、すでに日本においても、東北大あるいは東京工業大学、東大等に、当時国家警察本部が委嘱をして、その磁電管の研究には成功しているのですよ。今ごろ、そんなものを試作をするというのは、おかしな話であって、まあ日電や住友関係に委嘱をしておることも、もし、それがそうだとすれば、ちょっとおかしく思うわけです、私たちは。もう実用段階に入れるところへ来ていると思うのです。そういったことから、国民は多少危惧を持っておるのですね。そういうものは、原子爆弾ではないが、平和的に利用することが、国民全体の希望であります。これは一朝間違いますと、人殺しになる。そういう高度の研究を現在の防衛庁がおやりになっておるのか、なっていないのかということについては、相当、国民は心配しておると思う。ですから、そういう事実があるなら、この際明確にしていただいて、しかも、一朝有事の際であって、国民全般の身体や人命や、そういうものに対しては、絶対に危害を加えないという保障の中でおやりになることか大事だと思うのですよ。私は国民の一人として、そういう心配をしております。ですから、その事実を、この委員会を通じて、明白にしていただきたいというのが、私の考え方なんです。ですから、きょうは、まあ時間の関係もありますので、資料等も、十分、皆さんの方でもおわかりでないようでありますから……。  私たちが、実際に見聞をしてみますと、練馬もそうでありますが、あるいは福岡の太刀洗、…岩手県の小舟渡、それから北海道の東恵庭、ここいらに通信隊が、それぞれ駐屯をされておりまして、いろいろ研究をされておるようにわれわれは聞くわけでありまして、特に練馬は、近いわけでありますから、私たちは資料を出していただいて、納得ができ、内容がはっきりしませんときには、われわれは議員の一人として、その実体を一つ見せてもらいたい、こういう希望を持っているわけです。決して私はそれをやることがけしからぬというわけではありませんけれども、やはり危惧は危惧として、危惧であればけっこうですし、また事実とすれば、それを国民は安心して防衛庁の研究を見守るというふうな方法を出しておきませんと、非常に問題があると思いましたから、こういう質問を、大へん唐突で失礼でしたけれども、出したわけでありまして、特に昨年の衆議院の予算委員会で、すでにこの問題が提起されて、当時うまく皆さんの方では逃げておられるのですが、私は多少専門家ですから、いろいろ追って参りますと、どうもふに落ちない点が出て参りましたから、あらためて質疑をしているわけです。資料がないと、実は大事な問題ですし、質疑が進みませんから、明日、資料の提出をいただいてから、私はまた質問したいと思いますから、きょうはこれで、この防衛庁に対する質問は終らせていただきます。
  180. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 練馬の方の問題は、先ほど防衛局長からも申しましたように、通信、受信をしているわけであります。研究の方は技術研究本部でやっております。はっきり申し上げますことは、私も雑誌その他で、イギリスあたりで使用しているという話は読みましたが、そういう意味で強力な電波関係の技術を研究しているということは一切ありません。はっきり申し上げますことは、そういうものとか、核に関する問題は一切やっておりません。通信関係で主としてやっておりますのは、先ほど申しましたように、航空機それからミサイル関係に伴う電子関係、通信関係、それがもっぱら中心でございまして、それから艦船用のものでございますが、それも基礎的なものは、大体各研究機関を利用して、それを防衛庁装備にモディファイするかということを中心にして防衛庁では研究しております。こういうのが実情なんです。
  181. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 途中でお話が出てくると、また質疑が続いてくるのですが、不本意ですが、「電波かく戦えり」という元連合艦隊司令部付の海軍技術大尉の立石幸男さんという人が発行した本があるのですよ。これらの問題、これを見ましても、すでに日本艦隊が軍艦によって——これが電波兵器なんですよ。要するに電波兵器を実際に使っているわけです。それをしかもその当時に日本電気や何かに発注したという事実があるのですよ、この書物によりますと。ですから全然磁電管の研究をしていないということは、これは受け取れませんよ。防衛庁で磁電管の研究をしていないということはとんでもないことであって、研究をしているのですよ。しているけれども、それが果してどういうものであるか、私はこれを聞いてみなければわかりませんが、それから長官が私の質問に答えて何とかミサイルという言葉を使ったのですが、あなたは電子管ということを言われております。そのこと自体明かでないのですから、ですからもう少し今の問題についても相談しておいて下さい。その上で一つ質疑をしたいと思いますから……。
  182. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 私の申しましたのは、先ほど言われましたように、人を殺傷し、あるいは動力をとめるような意味のそういうものはやっていないというわけでありまして、あらゆる場合の電子関係を使いますから、そういう関係のものはもちろんやっておりますし、そういう意味で申し上げましたので、私ども技術的にはわかりませんが、聞きまして資料その他で……。
  183. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 次に、北富士演習場の問題でちょっとお伺いしたいのですが、昨年どなたか北富士演習場が、米軍が撤退したあと、自衛隊に使わしてもらいたいと交渉をなさったでしょう。これはどなたが行ってどういう内容を山梨県知事にお話しになりましたか。
  184. 山下武利

    政府委員山下武利君) 北富士演習場につきましては、昨年の九月十一日付の書簡をもちまして、防衛事務次官から天野山梨県知事宛に北富士演習場の使用についての御依頼状を送ったのであります。その要旨を申し上げますと、演習場が米軍より返還されたあとは、防衛庁としてはその一部を使用したいと考えておるので、どうかよろしくお願い申し上げますという趣旨でございます。使用の内容といたしましては、国有地が約六百万坪、民公有地が約百五十万坪でございます。御承知のように、北富士演習場は米軍の使用しておりました地域は約六千万坪にも上る非常に広い地域でありましたが、その後富士登山道、吉田登山道以西の地区はおおむね解除になりました。現在大体A地区と言われるところが未解除のままで残っておるわけであります。防衛庁といたしまして、引き続き米軍から解除になりましたあと、使用したいと申し上げておりますのは、その中の今申し上げた約七百五十万坪程度であります。そこで使用の方法といたしましては、国有地はそのまま使用いたしまして、民公有地の方は引き続きこれをお借りして行きたい。その際に、地元の民生安定上には十分に考慮をいたしたいということでございまして、例示いたしますと、たとえば演習場内にありますところの採草、採木等の入会慣行は十分にこれを尊重していきたい。それから演習場内において現在正式に許可されておるところの耕作、あるいは植林等につきましては、引き続きこれを認めていきたい。それから第三に、演習に伴う演習場内の荒廃に対する治山治水の対策等は十分にやっていきたい、それから第四に部隊を設置いたします場合に、雇用とかあるいは物資の調達等について十分地元の事情を考慮して参りたい。それから最後に、廃弾、廃物等の処理につきましては、地元の便宜をはかっていきたい、まあ具体的に申しますと、こういうことになるわけでございますが、要するに引き続き使用していきますについては、地元の民生安定ということを十分に考慮して参りたい、こういう書簡を昨年の九月十一日付で知事宛に出した次第であります。
  185. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 書簡をお出しになったというのですが、それはどなたかお持ちになったのでしょうか。
  186. 山下武利

    政府委員山下武利君) その点は私ちょっと今はっきりしたことを申し上げかねますが、書簡のことでありますから、おそらくはっきりいたしておることと存じます。ただこの趣旨につきまして、関係の者が二、三回地元に参りまして、知事さんにもお目にかかって趣旨を御説明したことがあるとは存じます。
  187. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) これはお宅の方の何とか幕僚というのがいっているですよ。私は今の内容についてちょっともう少し伺いたいのですが、あすこは御承知のようにA地区、B地区に分れておりまして、お宅の方で使いたいというのは、国有地六百万坪、民有公有地百五十万坪、合計七百五十万坪と、こういう御方針のようですが、その際、B地区はほとんど県有地だと思いましたがね、これはほとんど返還されるというお話だったのだが、その際にさらに現在のA地区に加えて拡張してもらいたいということを言っておるはずなんです。そういう事実はありませんか。具体的に申しますと、小倉山という所があるのですね。小倉山雁の穴地区といっておりますが、その所の私有地約三十万坪、それから中野村の社有地十万坪、それから大和ケ原、これは百万坪、合計百四十万坪をやはりA地区に加えて現在さらに拡張したいという御方針だと私聞いておるのですが、これは事実に間違いないのですか。    〔副主査退席、主査着席〕
  188. 山下武利

    政府委員山下武利君) 先ほどお話いたしました書簡におきましては、使用の希望範囲といたしまして、第一には今おっしゃいましたいわゆるA地区内の国有地全域、これが大体六百万坪でございます。それに加えまして小倉山雁の穴地区約三十万坪、中野村社有地に十万坪、大和ケ原周辺の恩賜林地区約百万坪、それからマックネァ・キャンプ及び付帯用水施設、これだけのものを使用希望範囲として図をつけまして明瞭にいたしております。
  189. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 最初からあなたの方で、質問したら事実を事実として答えて下さいよ。そういう具体的な内容があるのですから。私は今駐留軍が撤退をして当然にお使いになるならお使いになるとして、もっと適切な措置をおとりになったらいいのです。今ジョイント・ユースという言葉を使って、繋ぎにあそこを自衛隊が使っておる。現にもうどんどん鉄砲を撃っておる。こういうことは行政協定との関係その他から言って、私は非常に疑義があると思うのです。米軍が使用するならしようがないが、今の行政協定からいって。しかし、米軍が撤退したあとを、何か居座なりみたいに、地元民の了解のないのに、どんどんと鉄砲を撃って、ジョイント・ユースだと言っておることはおかしな話だと思うんです。そういう不手ぎわはどこから出ているのですか。そのジョイント・ユースということはどういうことですか。
  190. 山下武利

    政府委員山下武利君) 現在は先ほど申し上げましたように、A地区はまだ解除になっておらないのであります。ジョイント・ユースと申されましたが、行政協定の第三条にありますところの米軍の管理権の範囲におきまして、米軍の了解を得て、一時これを自衛隊が使用さしていただいておるという状況であります。もちろん解除になりましたならば、それの使用につきましては、十分に地元の方の御了解を得て、これを継続使用いたすつもりでございます。解除も近いだろうという見通しのもとに、地元との交渉を始めたわけでございまして、ただいま申し上げましたように、昨年九月付けをもちまして、正式に次官から山梨県知事の方に書簡を差しあげまして、使用の範囲並びに条件等を明示いたしまして、地元の御意向を伺って参ったのであります。山梨県知事もいろいろと折衝の任に当っていただきまして、この地区は中野村、忍野村及び富士吉田市の三つが利害関係を持つ地区でありますが、その三カ市町村長並びに議長さん等にも知事から十分にお話を願っておったのであります。大体におきまして御了解を得まして、本年に入りまして、二月十三日に山梨県知事のところに今の市町村長並びに議長の方にお集まり願いまして、解除になったならば、こういう条件でそれでは防衛庁の使用を認めよう、こういう大体の御了解を得た次第でございます。
  191. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) まあ後段のことは私まだ聞いていないのですが、要するにジョイント・ユースという名のもとに、あなた方は日米行政協定というものの解釈を適当にしておられるんじゃないですか。米軍が撤退をして、さらにまたこれを使用するという見通しがあるなら別ですが、少くともあそこを、マックネアキャンプを使って、その米軍は引き揚げておる、そうならば、国有地であろうと、公有地であろうと、民有地であろうと、あそこは長年の間、明治憲法以来終戦まで、日本軍があそこを演習地に買い上げておる経緯もあるし、特に富士山のふもとでもありますし、あそこに一大観光地帯を設定して、国内はもちろんのこと、国外まで観光誘致をしようということで、地元では、特に農民あたりは土地を取り上げておられるわけですから、米軍撤退後は返してもらいたいという強い要望もあり、私たちは何回か防衛庁、大蔵省、調達庁とお百度を踏んでいる事実があるわけです。ですから米軍が撤退しても解除になっていないという、そういう理屈の上に立って使用しておるということは、明らかに皆さんの方ではもうあそこを自衛隊が使うのだという既定事実の上に立って、米軍と話し合いをしておるのじゃないかと私は思う。当然米軍があそこをたたんで引き揚げるときは解除になるのは当り前です、行政協定の精神はそこにあるのです。それを自衛隊が使いたいために、そういう工作をしたのじゃないかというふうに私は思う。これは非常に推察をして悪いのですが、そこまで考えざるを得ないような実態になっておる。ですからもっとなぜ節度をつけておやりにならないのですか。住民からすれば、明らかに引き揚げておる、行政協定上、その解除しないという一つの口実の上に立って、今すでに、自衛隊が使うか使わないかの了承を与えない先に、米軍引き揚げと同時に入ってきて、あそこで鉄砲だまを撃っているということは、これはもう許すことができないのです。そういう不手ぎわをどういうふうに皆さんの方ではやられるのですか。
  192. 山下武利

    政府委員山下武利君) これは北富士だけの例ではありませんで、全国にも幾らかほかに例があるわけでございますが、何分にも狭い日本のことでありますので、演習場等におきましては、どうしても米軍が使っておりますものでも、それを一時向うが使用いたしていないような場合には、その了解を得て自衛隊が使わしてほしいというところがあるわけであります。そういうことから、今申し上げましたような行政協定三条の趣旨で、米軍の管理権の範囲で、その了解を得て使っているというのが実情でありまして、これは米軍が引き揚げてから使い出したのではありませんで、米軍が使っておる時代から、そういうふうな使用を米軍から認められておったような実情であります。もちろん米軍から解除になります暁には、これは国有地であろうと、民有地であろうと、正式な機関にかけまして、地元の十分な御了解を得た上で、継続使用いたしていきたいという気持にはごうも変りがないわけであります。
  193. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 私は防衛庁長官おりませんからね、経理局長のあなたに政策的な問題を申し上げるのは大へん失礼だと思いますよ。しかしやはり防衛庁方針というものに一貫性がない。たとえばあなたは、書簡を送ってだれかが知事に会って、そうしてこういうことでやってもらいたいという話を取りつけた。しかもそのことは当時山梨県の知事室で行われたのじゃないですか。一番大事な富士吉田なり中野なり、忍野なり、そういうところの地元の住民に対して何らの工作もしていない。皆さんは基地を設定する場合にも、米軍徹退後に使う場合にも、これは地元の了解を得て、そうして地元の意見も聞いてやるということを何回も言っておられるが、現にやっておるところは、山梨県知事にだけ会って手配しても何にもならぬですよ。もし皆さんがほんとうに誠意があるならば、地元に足を運んで、農民の人たち、労働者の人たち、多数の人たちが当時非常に反対しておったのですから、防衛庁方針を切々として説いて、かくしてわれわれは国を守りたいという気持で、なぜもっと謙虚にそういうほんとうに地元の人たちと話し合いができないのですか。地元の人たちからみれば、何だ、防衛庁なんかおれたちと相談してきめるというようなことを言っておるが、現実には知事室あたりに来て、そうして了解工作をして帰ってしまうという不満がものすごく出ておる。そういう皆さんのもう少し慎重さというものを私は国会を通じて希望したいのです。これはいずれまた、私は先般の委員会でも長官に申し上げて、長官も過去のいきさつについては、まあ陳謝というか、まずかった点を認めて、さらに地元と折衝するということを言っておられましたからね。ここでまたあなたにそういうことを言っても、どうかと思いますけれども、もう少し防衛庁は地元民の意向というものを十分しんしゃくをしてやっていた、たけたらと思うのです。地元の農民は素朴ですからね。それは自分が取上げられた土地をこの機会に返してもらいたい、というのは、千載一遇の機会で、今日まで長い間待っていた。それは入会権はあるかもしれないが、その入会権も実際鉄砲だまが飛び、銃剣を突きつけられて入会権は無視されておったのです。しかもあれだけ実弾を打ち込められて、これは後ほど調達庁にも御質問しますが、その損害補償等についても、地元の切なる要求があるにもかかわらず、十分な措置ができないというような現状じゃないですか。私は防衛庁長官というのは、これはしょっちゅうかわってしまいますからね。むしろ事務当局である最高首脳部の諸君がもう少しそういう点、長官を補佐し、長官の政治性がなかったことは、これは一また別途追及いたしますけれども、やっていただきたいというのが私の本心なんですよ。その点についてはどう思いますか。
  194. 山下武利

    政府委員山下武利君) もちろん防衛庁といたしまして、新しい演習場を取得いたしますような場合に、地元の十分な御了解を取りつけるということは、従来の例もございますし、北富士につきましても、もちろんそのようにはかって参ったつもりでございます。ただ演習場は、相当地域が広くて、利害関係が今申しましたような市町村にまたがっておる等の関係から、まず知事さんに、防衛庁の希望を申し上げて、知事さんを通して各市町にお諮りを願って、また御希望等も伺い、それに対するこちらの対策を立てるというふうな十分な手段を積んで参ったつもりでありまして、決して地元の意向を無視して既成事実を作っていこうといったような考え方はないのでございまして、その点は十分に御了承願いたいと思います。
  195. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) その点は私は了承できませんよ。手続は踏んでおられるが、逆の手続を踏んでいるのですよ。なぜじゃ知事室に行くとき、吉田には大月でおりれば一時間で行けるのです。そうして向うの市長なり区長なり、地元の人たちと話し合いをするという親切心がなかったか。手分けしてでもいいのです。そういう手順を踏まずに、ぽんと上から行って話をするので、せっかくある程度考えておった人が憤慨してくるのですよ。これは防衛庁のためにとらないところであろうと思うのです。そういう点を指摘する。手続上何もとらないということを指摘しているのではない。やり方が逆なんです。もっと現地へ行って、直接、あそこには組織的な団体がありますから、特に北富士の入会組合とか、農民組合とか、いろいろな人たちがいろいろな意見を持っている。そういう人たちを集めて、そうして皆さんの御方針を示して協力を求めるという、そういう率直な動きができないのですか。これは出張旅費だって、そういうために使うなら幾らでも使ってもいい。使わなければならぬところに使わないで、使わなくてもいいところに使うから、いろいろな問題が出てくる。そういうところは至近な距離です、富士山麓ですから、北富士は御承知通り五百万町歩くらいの土地が今回幸いにして返還されたという事実もあって、最近はそうしごく簡単ではないのですよ、地元の空気というものは。そういう点御理解いただいて、大臣が本会議で答弁されたように、至らぬところは、もっと積極的に防衛庁から乗り出してやるくらいの熱意を持っていただきたい。これは時間がありませんから答弁を求めません。  それから、調達庁皆さんには、だいぶお待たせして済みませんでしたが、今の問題に関連して。旧米軍が使用中に、入会慣行のある入会組合、あるいは富士吉田外二カ村の県有財産組合というのがございまして、これに加えて、吉田の市長からも、特別損失補償工事の施行を政府に出しているようであります。これは調達庁の関係だと思いますが、先般不動産部長とも、私お会いしてできるだけの努力をしていただきました。その点、この機会をかりて深く感謝いたします。ただその節にも申し上げましたように、この補償については、きわめて適当な、しかも敏速な御措置をとりませんと、今言った演習場の問題にもからんで、ますますその地元民を刺激すると思うのです。ですからこの補償のパーセンテイジが、忍野、中野、富士吉田と、それぞれ額が違っておったということも、過去においてあるわけです。いずれにしても、こういう問題については、現地の意向を十分おくみ取りいただきまして、その上で、納得するかしないかは別ですが、今の基地使用の問題と同じように、地元民と話をよくしていただきたいということを、私は不動産部長にもお願いしておったのですが、その後の経過はどんなふうでございましょうか。
  196. 柏原益太郎

    政府委員柏原益太郎君) ただいまお話のございましたいろいろな補償問題でございますが、とりわけ北富士の関係で、従来からいろいろと問題のございましたのは草等の雑補償の問題でございます。今先生からお話のございましたのも、この草に対する補償の問題が中心だろうと思うのでございますが、先般、地元の関係者の方がお見えになりまして、補償自体も迅速にやってくれということと、さらに補償する場合には、地元の関係者の意見を十分聞いて、実態に即した補償をしてくれという御要望がございました。そこで本庁といたしましては、実は補償関係の調査におきましては、北富士につきましては横浜局が担当局でございますので、とりあえず横浜局の調査の状況を聞きまして、地元からこういう御要望があった、それで重ねて調査する必要があると思うから、年度末も追って非常に多忙だと思うが、早急に状況々調べるようにしてもらいたいということを指示したわけでございますが、それに基きまして、横浜局といたしましては、地元の方にその趣旨を伝えまして、調査の方法等につきまして、いろいろ意見を交換したいということで、地元からの御来局を待っていたようでございます。その点についての地元からのお話もないので、といってそのままにしておきますと非常におくれますので、局の方からも積極的に地元の方に出張いたしまして、現地において関係者の方のお集まりを願って、調査の方法等について、どういう点について不備な点があるのか、そういう点について十分に御意見を承わりたいということで、相談申し上げたようでございます。その結果、地元の方といたしましては、すぐ内容的にいろいろむずかしい面もあるので、追って案をまとめて局の方へ申し出るからということになったようでございまして、現在、その案を局の方では待って、それに基いて具体的な調査をするという待機の姿勢をとっておるような状況でございます。なお、その際には、いろいろ従来からも、この問題につきましては、関係者の方からの陳情もありますし、また、その他からの陳情もありまして、本庁といたしましても、非常に重要視しておりますので、調査の際には、本庁からもしかるべきものを派遣いたしまして、調査をいたしたいと、かように考えております。
  197. 鈴木強

    担当委員外委員(鈴木強君) 大へん適切な措置をとっていただいて感謝しますが、従来横浜の局から行っていただいておったのですが、その過程で問題が起きて、ああいう陳情が本庁に出てきたわけでありまして、私もその節、一緒に参ったのですが、これはやはり今部長がおっしゃったように、一度至近な距離でもありますし、ぜひ一つ本庁の方からも出かけて行っていただきまして、ひざを交えて現地の意見も聞いていただいて、その積算の方法や査定の方法や、いろいろの問題があると思いますから、まあ一つ意見を十分聞いていただいた上で、適切な御処置をとっていただくように今後とも格段の御協力を賜わりたいと思います。で、時間もだいぶおそくなりましたから、これ以上申しませんが、どうぞ一つその点は御留意をいただきまして、きょうは長官もわざわざおいでいただいたようでありますから、特にこんなふうにもなっておりますから、また北富士の演習場の使用の問題と非常に関連があるものですから、せめてこういう補償は——ここでどのくらいと具体的に申しませんが、こんなにたくさんきているわけですから……。ですからこの点は十分一つ御理解ある態度で積極的な施策をしていただきますように強くお願いしまして、これで終ります。どうもありがとうございました。
  198. 丸山信

    政府委員丸山信君) ただいまの方針に沿うように最善の努力をいたします。
  199. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  200. 西田信一

    主査西田信一君) 速記をつけて。  他に御質疑がございませんか。——御質疑もないようですから、防衛庁所管について、ただいまの鈴木君の質疑を明日資料提出後に残し、調達庁所管については、この程度で終了いたすことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  201. 西田信一

    主査西田信一君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  明日は、午前十時から通商産業省及び科学技術庁所管並びに防衛庁所管の残余の質疑について審査を行いたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十四分散会