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坂本昭君 どうも薬務
局長、血液銀行について初めて聞かれたものだから、実態の大事なポイントをつかんでないと思うのです。私は、そういう点で、
予算的な面においても全然考慮されていない。しかも、日本の医療の面において一番大事な点なのです。今
説明のあった点で、特に当
委員会で私は考えなくちゃならぬ点は、まず第一に、公立もあるけれ
ども、公立もこれは十分公立としての役目を果していない。これは国立の
病院でありましても果していない。株式会社が多いということです。日本の血液製剤というものは株式会社で営利を目的として売られているという、これが一番大事な点なのです。これは一体、
厚生省当局はどうするか、これが第一の点。次に、不合格者が非常に多いということ、しょっちゅう血を売っている常習者が多いということです。それから一番大事なのは、世界各国にある預血、供血の
制度が、日本には非常に少いと言われるけれ
ども、全然ないと言ってもいい。つまり、日本の血液銀行の組織は、もう国民皆保険というところまできておって、全く軌道に乗っていないということです。そこでただいま
局長は
答弁されましたが、私はそれよりももっといい
答弁があるのです。それは丹羽文雄が「血液銀行」という小説を書いておる。これはすばらしい小説ですよ。もう薬務
局長あたりが
説明するよりも、一番大事な点は全部言い尽しております。しかもこれは去年です。これは全部読むわけにはいきませんが、この中に、監督の立場にある
厚生省がいろいろな点で怠っている点がある。
厚生省は、血液製剤関係の法令集の中に、採血及び供血あっせん業取締法というのがある。この中にもいろいろその採血する者に対する指示、あるいはあっせんの手数料、こういうことを規定してある。これはやっていますか、私は何もやっていないのじゃないかと思うのです。それから、今の比重の問題についての監督をやっているが、やっていない。その証拠には、丹羽文雄が実にこまかく書いてありますが、比重が減ってくるというと、その比重をごまかす方法がある。これに書いてあるのは、ヒロポンですか、ヒロポンのような注射をすると比重が変るという、これはどうもおかしいと思う。しかし、私も実はこの前、供血者の中にまぎれて数カ
所見に行った。見に行っていろいろ見ますと、比重を測定する前に何か特殊なものを使うというと比重をごまかすことができるらしい、そういうことをやっている。それから、この中には、採血をする場合には、あっせんをする場合には、その比重を見る、それから次に何べんと、やはりそれをいろいろとこだわらなければならない、そういうことも規定されておるのだけれ
ども、私が行ったときに、一人供血者をつかまえて、君、これで何べん来ておるのだと言ったら去年の十一月ですが、十一月の四日と八日、十二日、十八日、二十日と来ている。私はびっくりしました。そして、これは十一月から始めたのかと聞いたら、十月、その前から来ている。一回四百円です。月に七、八回来れば、四百円というと三千円以上の
収入になります。それで食っている。そしてもう、こうなってくるというとひどい貧血があります。
厚生省の階段なんて上れません。しかし血を取らないというと、じっとしておられない。
一つの中毒みたいなそういう状態になっている。これに対する監督がちっともできていない。しかも企業は株式会社で、その配当は相当高い。こんなでたらめな
制度のもとに国民皆保険ができたら、これは大へんなことなんです。少くともこういう点では外国のまねを私はしていいと思うのです。しかも、最近、特に去年あたりから、新聞紙上には供血者からピンはねをする。これは横浜のあるプラントではぐれん隊が供血者からピンはねをして、そうして、ただでさえ生活に困っている人たちの上前をはねている。血液銀行を根城に供血者をしぼる。つまりプラントに並んでいる場合には順番札があるのです。その順番札をぐれん隊が押えてしまって、そして採血のときにその上前を取っている。供血に並んでいる人にチケットを売り渡すわけですね。こういうような状態であるにかかわらず、
厚生省は手をつかねて何にもしていない。一体、私はこれをどうするつもりか、これはまず
厚生大臣に伺いたいのです。こういうプラッド・バンクの問題というのは、非常に薬品としても大事であります。従って薬務局がこれを
所管しておりますが、金額で言っても、今三十万リットルと言いましたが、これは普通のびんに二百グラム入っております。だからそうすると百五十万本ぐらい売られている。売る場合には大体千四百円ぐらいですから、約二十数億というものがこの血液に関して金が動いているわけなんです。これは相当なものですよ。しかも輸血によって生きる死ぬが定まる。こういう大事なところの血液銀行の組織が日本では営利にまかせられて、そしてこれを
厚生省としてはなかなか手段を講じていない、これは非常に怠慢だと思う。
大臣のまずお考えを聞きたい。それから
局長のこれに対する具体的な方策を、
責任のある具体的な方策を伺いたいと思う。