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1959-03-27 第31回国会 参議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)    午前十時五十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和三十四年三月二十七日    午前十時開議  第一 科学技術会議議員任命に関する件  第二 関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協力協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第四 日本国ユーゴースラヴィア連邦人民共和国との間の通商航海条約締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第五 漁港法の一部を改正する法律案衆議院提出)  第六 漁船法の一部を改正する法律案衆議院提出)  第七 酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第八 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第九 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一〇 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一一 公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第一二 国会職員法等の一部を改正する法律案衆議院提出)  第一三 核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一四 輸出品デザイン法案内閣提出衆議院送付)  第一五 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件(衆議院送付)  第一六 昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)(衆議院送付)  第一七 昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)(衆議院送付)  第一八 昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書衆議院送付)  第一九 昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書衆議院送付)  第二〇 昭和三十三年度一般会計予備費使用調書(その1)(衆議院送付)  第二一 昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その1)(衆議院送付)  第二二 昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、科学技術会議議員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、科学技術会議設置法第七条第一項の規定により、科学技術会議議員内海清澄君、梶井剛君、茅誠司君を任命することについて、本院の同意を得たいとの申し出がございました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 この際、私は、治安対策に関する緊急質問動議を提出いたします。
  6. 田中茂穂

    田中茂穂君 私は、ただいまの吉田法晴君の動議賛成いたします。
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 吉田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。吉田法晴君。    〔吉田法晴登壇拍手
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は、日本社会党を代表して、去る三月二十四日、新橋駅裏のステージにおける社会党訪中使節団報告演説会の際の右翼団体演説妨害及び暴力を初め、最近特に顕著になって参りましたいわゆる右翼動向、これに対する政府治安対策について、公安委員会委員長及び法務大臣官房長官等政府代表に、その所信をたださんとするものであります。  去る二十四日、新橋ステージ社会党訪中報告会での右翼妨害は、ビラまき、のぼり等にとどまらず、太鼓をたたき、ヤジを組織し、のみならず、広告塔の上に上った男が、発煙筒を四本、五本と聴衆に投げ込み、これに気をとられている聴衆関係者のすきに乗じて、二名の暴漢が壇上にかけ上って、社会党旗と弁士の氏名等を書いた紙をむしり取ったものでありますが、その目的としたところは、文書や立会演説等、いわば民主主義的な方法によって社会党と争うというのではなくて、暴力によって演説会を混乱させ、社会党撲滅に乗り出そうとしたものであることは、その押し立てていたのぼり等をもってしても明白であります。右翼団体あるいは右翼暴力事件は、もちろんこれだけではありません。ことしの二月二十五日には、藤山外相に対して、在日朝鮮人北鮮帰国促進に反対し、その信念が気に食わぬとして外務大臣暴力をふるっております。また、同じ二月十一日には、昨年同様、三笠宮邸に押しかけておるし、昨年の十月十四日には、九段会館で行われた日教組臨時大会会場に押しかけて、五名の者が発煙筒五本を投入しております。その四日前の十日には、昨二十四日と同じ新橋ステージで、中国国旗を焼却する事件が起っております。昨年の九月十五日には、都の勤評反対中部地区大会に参加した社会党宣伝カー火炎びんを投じて放火した事件が起っております。同じ日、名古屋では、勤評反対デモに参加した教職員にたばこの火をすりつけ、塵芥を投げつける等の事件が起っております。また、その一カ月前には、和歌山で勤評反対デモに参加した者に集団暴行が行われ、年末には、同じく勤評問題で小林日教組委員長外数名に対して、これを殺しかけるほどの集団暴行を行なっていることは、周知の事実であります。  昨年中に、こうした右翼によって起された暴力事件紛争事件は、合件七十五件の多数に上っておるというのでありますが、警察庁の説明によっても、うち二十二件は反共活動、二十件は政治活動というのであります。反共活動というのはどういうことかということを尋ねますと、スト関係あるいは勤評関係だというのであります。また別の説明によれば、昨三十三年の右翼による事件の大半は勤評関係したものであるというのであります。右翼諸君が言うところ、書くところ、あるいは右翼に関する研究の教うるところを総合しても、最近の右翼反共と称して暴力的攻撃の目標とするところは、共産党あるいは共産主義よりも、反総評、反労働者あるいは反社会党であり、ソ連、中共、北鮮等、いわゆる彼らが共産主義諸国と称する諸国といかなる形にしろ接触し、あるいは友好的な外交関係をとろうとするものに対して向けられております。警務実務研究会というところで編集しております「右翼警察五十講」という本の中には、最近の右翼事件具体例をあげた後、以上の諸事件を分析してみると、一つには、逼迫した資金面を打開するため、手段を選ばぬこの種事件の続発が考えられる。もう一つは、反共、反総評活動が、組織的にあるいは計画的に進められる様相を示していること等が言えるとし、右翼指導者の中には、国家革新をなし遂げるには、まず維新政府を樹立することが前提であると述べておる者もあり、あるいは、大衆組織の行き詰まりの反面、彼らの分析により客観情勢が熟したと考えるときには、一挙に事態を解決しようとする意図もうかがわれ、政府要人容共派指導者に対する行動十分注意が肝要であるとしております。ここに警戒、警告をしておるものはテロであります。こうした最近顕著になって参りました右翼の台頭と相次ぐ暴力行動に対して、警察及び法務当局はいかなる態度をとってきたか、また、とろうとするか、まず承わりたいのであります。  社会党訪中報告演説会妨害に対しても、十三名の暴行容疑者がいたというのに対して、三名しか逮捕取調べをしておりません。このことは、去る二十四日のことだけじゃなくて、さきにあげました具体的な事例のすべてに当てはまることであり、あるいは中国国旗事件のごときは最も軽く取り扱われております。これが労働組合の幹部や組合員であった場合には、関係のない者まで引っぱり、あるいは弾圧の口実にされ、少からざる人々が無実の罪に問われていることは、国民をして非常な疑惑を持たしめるところであります。さきにあげた具体例等について、警察法務当局としてはいかなる処置をとってきたか承わりたい。  なお、さきにあげた一年間の右翼事件の具体的な事例、これは警察側から提出された具体例であり、説明でありますが、その最も多いものは労働運動関係するものであり、その特徴は、「激化していく労働運動に対して、当初とられた反対演説や、ビラポスター等による大衆啓蒙運動あるいは労働団体に対する集団坑議では効果が薄いとして、最近では、直接行動による妨害労組員に対する暴行事件等を惹起している」と、さきにあげた「警察五十講」が教えているのであります。「右翼右翼団体資金はほとんど寄付金にたより、特に、政界財界要人との連携を強める結果となるおそれがある」と書いておりますが、最近の右翼事件が、前述のように、労働運動に対して行われるという事実、このことは、一面に、財政的理由から財界あるいは資本家とつながったのではなかろうかと想像されまするが、争議の際には、最近必ずスキャップ暴力団が使われ、あるいはそれに右翼団体関係して参っておりますが、こうした場合に、警察の不公平な取扱いが顕著に最近見られて参りました。その一つの例でありますが、昨年の十月二十一日、不当首切り反対闘争ストを行なった千葉我孫子千葉食品株式会社労働者約五十名が、工場内で決起大会を行い、スキャップに対して正門のところでピケを張ったことがありましたが、会社側団交を申し入れ、団交を予定された午後三時には、団交のかわりに五十名の暴力団警察官の見ている前でピケを突破して工場の中に入った。五時には暴力団は増強され、工場窓ガラス窓ワクを投げつけられ、十数名の負傷者が出ておりますが、製造されたパンのたなに使うラックの棒を二十数本、やりのように投げつけた。佐久間保君という三十才の組合員は、この鉄棒が胸に当り、肋骨を骨折し、整骨院に入院した後、ことしに入ってでありますが、このことが原因となって死亡をいたしております。この人命を奪った暴力に対しては、警察は何ら取調べ調査もしようとしないばかりでなく、寄宿舎からほうり出された組合員に対しては、ふとんを盗んだとか、工場周辺ビラを貼った者に対して、営業を妨害し、あるいは名誉を棄損したと、調書をとっているというのが事実であります。また、川口市の富士文化コンロ株式会社では、ことしの一月、女子従業員十六名を含む五十三名が組合を結成したとして、会社側は、二十日、この諸君にロック・アウトを行うとともに、児玉誉士夫氏と関係のあると称せられる右翼暴力団三十余名を雇い入れ、工場の者とともに駅に待ち伏せをし、自動車を二台並べ、その中に組合員をはさんで、郡司洋子(十六才)以下十数名の男女を強制的に工場監禁強制労働二十日に及んだのであります。これらは人権問題でもありますが、財界人というか、資本家諸君右翼との結びつきの一例と考えられるのでありますが、これらについて、警察法務当局の所見と態度とを承わりたいのであります。  最後に、政界要人、特に岸総理あるいは官房長官等政府要人右翼関係についてお尋ねをいたしたいと思います。五・一五事件及び二・二六事件は、極端な国家主義を奉じた軍人右翼と結んで行なったテロであることは、私が今さら申し上げるまでもありませんが、こうした右翼軍人との結びつき、軍閥と官僚の結合が、満州事変となり、あるいは満州国の建設、さらに新体制とかあるいは準戦体制、そして支那事変、大東亜戦争となっていったのでありますが、その間に、岸信介氏、矢次一夫氏あるいは児玉誉士夫氏等々が活躍したことは、今日明らかな歴史的な事実であります。こうした日本の過去の失敗は再び繰り返してはならないというのが、私ども日本国民のひとしく決意をいたしておるところでありますが、最近、岸総理は、再び矢次氏等を、あるいは台湾、韓国の外交関係にも使っておられた。あるいは児玉誉士夫氏等の名前が、政界財界に活躍しておられるということが明らかになって参っております。「民族政治」という雑誌を見てみますと、岸さんが中谷等右翼諸君のホープであり、民族革命のにない手であるとされております。国会周辺に貼られているポスター等を見てみますと、右翼の言っているところが自民党の言いたいところではないかと想像されるのでありますが、憲法改正にしても、再軍備の促進にしても、安保条約の改定にしても、道徳教育から勤評、警職法まで、しかも労働運動に対する考え方もそうであります。おまけに、赤城官房長官の「わが百姓の記」という本のたいこもち記事まで「民族政治」に大きく出ております。本年度予算書には、内閣関係報償費一億八千四百七十三万円、情報調査委託費として一億八千三百万円、その他が計上されております。報償費は機密費的な性格を持ち、総理内政外交推進に寄与したか、あるいは寄与すると期待される者に支給されるというのであります。この中には内閣調査室費の三千万円を含み、それは重要施策推進に協力する民間人情報調査に協力した者に交付支給されると説明されております。これら総理府関係予算から右翼団体に支出されておるのではないでしょうか。これら矢次一夫氏と総理関係雑誌民族政治」の記事等を見ておりますと、まさしく動かぬ証拠がそこにあると感ぜられるのでありますが、官房長官の明確な答弁を承わりたい。もしこのことを肯定せられぬというならば、報償費調査費等の実績と支出明細表を出して反証を願いたいのであります。  一九五二年「当時の滞日外人記者ヘッスル・ティルトマンは、「右翼分子警戒せよ、放任すると高い代価を払わねばならぬ」という直言を書いておりますが、その中で、「日本当局者たち左翼分子のあとをつけ回すのに忙しいという理由から、いまだに存在し、ある場合には拡大し、場合によっては広がっているこれら右翼団体は、時期を待っている。彼らは確かに武器を隠し持っているようだ。彼らは戦前に何人かの日本の最も偉大な政治家たちを殺した者の同類である、彼らは時期が至れば他人を殺すに躊躇しないであろう。しかも、日本政府警察は奇妙にもこの危険に無関心のようであった。これは人に、一部の高官が思想の上で極端な国家主義思想に同調しているのではないか、との疑いを起させる一つの事実である。」こう書いている。そうしてこの記事最後に、「また日本を再度滅亡への道に引き込むような思想の説教をやめさせることが強く希望される」と申しております。  今や、岸氏の総理就任岸内閣の言う日米時代に入るという事態によって、さらに事態は進展し、岸総理岸内閣右翼関係も新たな段階に入ったのではなかろうかと考えるのでありますが、政府を代表し、治安対策責任の衝にある法務大臣公安委員長、一官房長官等は、この失敗を再び繰り返す心配は全くないと断言できますかどうか、治安責任者として、はっきりこの際承わりたい。(拍手)    〔国務大臣青木正登壇拍手
  10. 青木正

    国務大臣青木正君) 現在いわゆる右翼と称せられる者が、全国的に見て四百団体前後、その構成員が七万名ほどあると言われておるのであります。そのうちには、一人一党のようなものもありますし、また必ずしも実行運動と申しますか、暴力的な行為に出ないものもあるのでありますが、しかし、その中には、御指摘のように、ややもすれば、自分の主張を通すためには、言論でなしに実力をもって主張を通そうというような考え方に立っておる団体も少くないことは、御指摘通りであります。警察といたしましては、そういうような団体に対しましては、常に警察本来の責務を果すために、できるだけその動き等につきまして注意をいたしまして、事前にそういうことのないように防止する万全の措置をとっているのでありますが、遺憾ながら御指摘のように、昨年におきまして七十数件というような、いわゆる右翼による事犯があったことは、私どもは遺憾に存ずる次第でございます。また、こういうあり方に対しましては、警察として、当然事前に防止することにつきましても万全を尽すべきであり、いわんやそれが一たん現実の問題として、そういう事犯が起きた場合には、法に照らしまして断固たる措置をとらなければならぬことは言うまでもないことと存ずるのであります。  で、三月二十四日の新橋ステージにおける社会党演説会に対する妨害行為、このことにつきましては、警察側といたしましても、そういうような動きがあるということが事前に察知されましたので、当日三百二十数名の警察官を現場に派遣いたしておりまして、そうして事前に警告し、またこの一部の人たちが蠢動したことに対しまして、警察としてできるだけこれが排除をし、会場の静穏を保つように努力したのでありますが、お話のように、一部の者がステージの後方の広告塔に登り、発煙筒を投下し、あるいはまた社会党党旗を下げるとか、あるいは淺沼書記長に対して何か紙を投げつけるというような事犯がありまして、警察としては、その事犯に対しまして遅滞なく措置をいたしたのでありますが、十三名を逮捕、検挙して、三名を送検いたしたのであります。その十三名を逮捕して、それを直ちに釈放したということにつきましてのお話でございますが、警察といたしましては、そのうちの事犯のある者は、いわゆる軽犯罪法違反の者もあり、また、そうでなしに建造物侵入等事犯等もありまして、それぞれの事犯に応じまして、警察として当然やるべき措置をやったのであります。しかして、それ以外の、先ほどお話になりました千葉県における我孫子所在千葉食品ストライキに関連する問題、あるいは文化コンロ不法監禁事態等につきまして、当時いろいろ問題もありまして、警察側といたしましても調査もいたし、捜査もいたしたのであります。しかしまだ捜査の残っておる点もありますので、現在引き続き調査をいたしておるのであります。  なお、根本的の問題として、右翼に対する根本対策いかんというようなことでありますが、これはお話のように、現在の日本、言うまでもなく、そのあり方が、かつての戦前のような日本であってはならぬことは言うまでもないのであります。私ども日本国民があれだけ大きな犠牲を払ってかちとった民主政治、これを守るために、私どもはあくまでも戦っていかなければならぬ。そのためには、右翼であろうが左翼であろうが、これはいやしくも法を無視して、そうして暴力によってみずからの主張を通すという考え方に対しましては、これはもう言うまでもなく、警察といわず、あらゆる方面で、これを排除していかなければならぬわけであります。特に警察といたしましては、戦前警察と違いまして、あくまでも国民に対する奉仕者としての立場、そうして民主警察を守っていかなければなりませんので、日本の新しい時代に対応する警察あり方として、日本の新しい時代を作るための民主政治、その民主政治を擁護するために、私ども警察としては当然最善を尽してやっていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 大体のところはただいま青木大臣からお答えいたした通りでございますが、いわゆる右翼の問題についていろいろ御心配でございますが、最近のいわゆる右翼動向につきましては、法務省といたしましても十分に注意をいたしておるのでございます。たとえば、ただいまの状況におきましては、直ちに破防法によって規制することを要するというような疑いのある右翼団体は、ただいまのところは認められないのでありますが、傾向といたしましては、その方向に走るような言動をなす者もあるのでありまして、これらの点については十分に注視をいたし、また、しかるべき措置をとり得るようにいたして参りたいと思います。  次に、今日の右翼団体の大体の現状としては、それぞれの一応独自の思想や理念によって行動しているものと思われるのでございまして、外部の何者かによって、かいらい的に操縦されておるというものは認められないのでございます。いわんや、ただいま御指摘がございましたが、財界であるとか、あるいはまた政府であるとか、こういうようなところから、かいらい的にこれらを操縦するというようなことは断じてございませんので、その点の御心配は御無用と存ぜられるのであります。  次に、新橋ステージにおける事件につきましては、かような事件が発生いたしましたことは、私といたしましてもきわめて遺憾なことと存じます。ただいま青木大臣からお答えいたしましたように、私どもとしては、右翼たると左翼たるとを問わず、また事のいかんを論ぜす、暴力は絶対に排撃すべきであることは言うを待たないのでございまして、暴力の追放ということにつきましては、今後ともわれわれの念願として、信念として、絶対にこれを排撃するようにやって参りたいと思うのでありまして、このステージ事件につきましては現に捜査中でございますが、しかるべき結論が出ることと存じます。  次に、千葉食品富士文化コンロ等について具体的な御質疑がございましたが、これは捜査といたしましてはただいま警察が担当しておられる段階でありますが、一面、法務省といたしましては、人権擁護立場から、実はきわめて最近にも関係者から陳情や申し立てもございましたので、今後十分に調査をいたしたいと考えておるわけでございます。  大体以上お答えを申し上げました。(拍手)    〔政府委員赤城宗徳登壇拍手
  12. 赤城宗徳

    政府委員赤城宗徳君) お答え申し上げます。  右翼団体背後等につきましては明確でありませんが、いわゆる右翼団体あるいは個人に対しまして、内閣報償費あるいは調査費等から経費を支出しておる事実はございません。  御引例になりました「民族政治」の中谷武世君の雑誌の中に、私の著書の「わが百姓の記」の広告が載っておるがどうかということでありますが、中谷君とは戦前から知っておるのでありますが、中谷武世君と平凡社下中弥三郎氏と私とは、非常に親しい間であります。私の著書平凡社から出版しておりますので、平凡社との関係広告を出しておる、こう考えます。私の方と直接関係はありません。  それから右翼団体活動等に関しまして、その背後関係政府が関与しているのではないか、こういうお疑いでありますけれども、こういう事実は政府としては絶対にございません。あるいはまた、岸内閣がいわゆる右翼団体を育成するとか利用するとか、こういうことをしてはいないかと、こういうお尋ねでありましたが、そういう点も全然ございません。政府といたしましては、法務大臣からも御答弁申し上げましたように、左翼とか右翼とか、定義は一定しておりませんが、いずれにいたしましても、極端な活動に対しましては厳に警戒を要し、それに対しましては十分な取締りをすると、こういう考えであります。(拍手)      ——————————
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、お諮りいたします。  四国地方総合開発促進に関する決議案増原恵吉君外二十一名発議)(委員会審査省略要求事件)  本案は、発議者要求通り委員会審査を省略し、日程に追加して直ちにその審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本案議題といたします。まず発議者趣旨説明を求めます。増原恵吉君。    〔増原恵吉登壇拍手
  15. 増原恵吉

    増原恵吉君 ただいま提出されました四国地方総合開発促進に関する決議案について、発議者を代表いたしまして、その提案の趣旨説明をいたします。  まず決議案を朗読いたします。    四国地方総合開発促進に関する決議案   四国地方は、本来、本土と海を隔てて相互の交通連絡に著しく円滑を欠くのみならず、地域内各県を繋ぐ道路、鉄道等交通網をはじめ、港湾その他の施設の整備は甚だしく立ち遅れ、輓近における経済諸情勢の進展に即応し得ない実情にあり、更に又、本地方は、宿命的台風豪雨の常襲地帯として、累年の災害に悩まされ、ために、旧態依然たる経済の悪循環を繰り返して、産業は振わず民生の安定向上また期すべくもなく、ひいては地方財政に難渋を来たし、本地方の後進性はますます顕著の度を加えている。   隣接する和歌山県についても、その後進性と災害頻発の実情は、四国各県と類似の自然的立地条件のもとにおかれ、同地域を併せて総合的対策の確立を必要とするものと思料する。   他面、これらの地方は、由来、豊富な未利用資源を包蔵しながら、未だにこれが調査活用の積極的方途を進むるに至っていないことはまことに遺憾である。   よってこの際、四国各県及び和歌山県を一丸とする画期的防災対策を強力に推進すると共に、交通運輸等公共諸施設の整備充実を図り、更に進んで未利用資源の積極的開発、産業基盤の培養強化に努め、以て経済の助長発展を期することこそ、ひとり本地方民生の安定、福祉の増進を図る所以たるのみならず、国土総合開発の大局的見地において、刻下喫緊の急務であり、国の建設的施策に俟つところ極めて大なるものがあるといわねばならない。   叙上の趣旨を以て、政府は速かに本地方開発に関する基本方策を樹立し、これが実施を推進するため、昭和三十五年度を契機として、予算上、法制上所要の措置を講じ、以て施策の万全を期すべきである。   右決議する。  以上でありますが、簡単に内容の説明をいたします。  荒廃した国土の復興と経済の再建を達成することは、わが国の当面するまことに重要な課題であります。このためには、国土保全の総合的推進を、資源の開発、産業の立地計画のもとに促進しなければならないと思うのであります。すでに、この国土総合開発の一環として、北海道、東北、九州の各地方におきましては、開発促進の立法化が成り、着々実現の段階にありますことは、まことに同慶にたえないところであります。しかしながら、四面環海の一大離島である四国地方におきましては、経済発展の基礎条件である交通整備の現状を見ましても、本州並びに九州との海陸連絡路の整備は完璧でなく、さらに四国地域内の鉄道はいまだ循環線の完成もほど遠く、その設備の近代化も十分でありませんし、また全国的に最低位にある道路港湾の整備等の問題が累積しているのであります。それに加えて、本地方は台風豪雨の常襲地帯であり、それによる年々の被害は、はかり知れないものがあります。また地盤変動による海岸施設の被害復旧はおくれており、このような事情のもとにおきましては、四国各県の自主的な推進と努力のみではその開発は遅々として進まず、その前途たるや百年河清を待つの感なきを得ないのであります。今や、この地方の後進性を打開するために、国家的立場に立つ建設的な施策を講じない限り、民生の安定も産業経済の発展も期待できないのであります。同時にまた、隣接する和歌山県も、その後進性と災害頻発の実情は四国地方と全く類似しておりますので、この際、同県を合せて総合的な対策を立てることが適切であると考えられるのであります。他面また、この地方は、豊富なる水資源、森林、地下資源等、未利用資源を包蔵しながら、十分な調査も行われていない状態でありますから、将来これらの開発が進められまするならば、わが国産業経済の振興に幾多の貢献をなし得るものと信ずる次第であります。  このような地位的特殊性と経済立地上の重要性にかんがみまして、今後防災対策と特段の開発方途を確立されますことは、本地方民多年の宿望たるのみならず、国家経済の大局的見地において、きわめて緊要であると存じます。これら地方開発の結果は、産業の近代化を促進し、経済基盤の培養強化に資する等、本地方に画期的新生面を切り開かんとするものであります。このような国民生活向上と、わが国経済発展上欠くことのできない重要施策に対しまして、政府は、すみやかに四国地方開発に関する基本方策を樹立し、これを強力に実施推進するため、予算上、法制上、所要の措置を講ぜられるよう、特に期待するものであります。  以上の趣旨をもちまして、ここに本決議案を上程することといたしましたが、さき本案は衆議院において満場一致議決されましたことを申し添えまして、満場の諸君の御賛同を切にお願いする次第でございます。(拍手
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。湯山勇君。    〔湯山勇君登壇拍手
  17. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました四国地方総合開発促進に関する決議案賛成をするものでございます。  わが国において後進性を指摘されておりました地方は、北海道、東北、九州、四国の各地方でございますが、すでに前三者につきましては開発促進のための立法がなされ、あるいはすでに開発が進められておるのでございます。にもかかわらず、ひとり四国地方は今日なお取り残されているのでございまして、四面海によって隔絶されている本地方は、本土との交通が著しい悪条件にあるため、全般的に産業経済が立ちおくれ、最近の日本経済の進展に即応し得ず、他地域との差はますます大きくなってきている、そういう傾向にあるわけでございます。すなわち、四国地方の人口は、全国の約四・八%、五%に近い人口を持っているのでございますけれども、工業生産はわずかに二・九%、さらに、第二次産業は、全国平均二三・八%に比して、わずかに一七・四%にすぎないのでございます。こういう状態にあるために、労働力の吸収もきわめて悪く、最重要産業である農業におきましても、農業経営は次第に細分化され、零細化されつつある実情でございます。こういう状態でございますから、住民の所得も、以上のような要因から次第に低くなって参りまして、約五%の人口を持っておりながら、銀行預金はわずかに二・三%、あるいは国税の収納金はさらに少くて一・四%にすぎないのであります。従って、みずからの投資力もきわめて低く、さらに、地方財政の財源も枯渇し、民生はきわめて不安定な状態に置かれております。加うるに、本地方は、先ほど御指摘のありました通り、台風の常襲地帯に当っておりまして、連年災害の累積は地方財政を圧迫して、総合開発の自主的な推進をなし得ない状態に置いているのでございます。  以上のような現実に立って、この四国地方を開発していくためには、まず第一に、経済発展の基礎要件となる交通網の整備、港湾設備の拡充、こういった産業誘発条件の整備を必要とするのでございます。現在、四国の対本土輸送は、その大半が機帆船によってなされておりますが、これを近代的な交通機関によって日本経済の幹線に密着せしめねばならないのでございます。また、地区内四県にわたる鉄道、道路等の交通網をさらに整備し、港湾施設の増強と相待って、臨海工業地帯を主軸とする近代産業発展の基礎たらしめる必要を痛感するものであります。  第二には、未開発資源の開発であります。本地方は、水の資源がきわめて豊富でございまして、四十一万八千キロワットの既開発電源のほかに、未開発包蔵電源は約百十八万六千キロワットございます。つまり、開発されているのはわずかに四分の一程度にすぎないのでございます。さらにまた、工業用水についても、大口需要を十分受け入れるだけの能力を持っているのでございます。これらのことは、単に四国地方のみならず、わが国経済全般の観点からも重視しなければならない点があると思うのであります。さらに、林産資源も豊富でありまして、未開発山林は六十万八千ヘクタール、木材資源は推定四千八百六十万立方メートルに達して、すみやかなその開発利用を待っているような状態でございます。農業資源の利用にいたしましても、西南暖地の特性を生かしつつ、豊富な水資源を利用し、土地改良、干拓、開墾の促進、さらに、これに伴って酪農、果樹、蔬菜、園芸等の振興により、本地方農業の一大躍進が期待されるのであります。さらに、四国は太平洋及び瀬戸内海に囲まれております。これらの水産業の振興もきわめて重要な問題であると言わなければなりません。  以上のような資源の開発と並行して、どうしてもやらなければならないことは、本地方が台風常襲地帯であるという特性にかんがみての台風に対する対策でございます。河川の改修、治山治水、砂防、地すべり対策あるいは地盤沈下、海岸の浸蝕等の海岸の保全、老朽ため池の改修、急傾斜地帯産業対策、これら万全をはからなければ、総合開発の達成は期しがたいのであります。これらの諸条件は、自然的な立地条件の相似している和歌山県についても同じように言い得るのでございます。よってこの際、政府は、ただいまの決議案が可決されることを契機として、四国四県の県民並びに和歌山県民の多年にわたる願望にこたえ、本地域の総合開発と防災対策の強力なる推進をはかり、法制上、予算上、必要の措置をすみやかに講ぜられんことを、ここに強く要望し、本決議案に賛意を表する次第であります。(拍手
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、世耕国務大臣から発言を求められました。世耕国務大臣。    〔国務大臣世耕弘一君登壇拍手
  20. 世耕弘一

    国務大臣(世耕弘一君) ただいまの御決議に対しまして、政府といたしましては、慎重に検討いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと存じます。(拍手)      ——————————
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書締結について承認を求めるの件、  日程第三、日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協力協定締結について承認を求めるの件、  日程第四、日本国ユーゴースラヴィア連邦人民共和国との間の通商航海条約締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)、  以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長杉原荒太君。    〔杉原荒太君登壇拍手
  23. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を一括して御報告申し上げます。  まず、関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書締結について承認を求めるの件について申し上げます。  この議定書は、ブラジルの新関税法の制定に伴って、ガットにおける同国の関税譲許表を新しく作り直す必要が生じ、そのため、これに関連して、ガットの関税交渉会議がわが国を含む二十五カ国参加のもとに昨年ジュネーブで開催され、その結果作成されたものであります。この議定書に基きまして、わが国はブラジルから十四の税目の関税譲許を獲得するとともに、ブラジルに対して二つの税目の譲許を与えることになっております。  本件の審議におきましては、この議定書に基いてわが国がブラジルから獲得する権利、及び同国に与える義務の具体的内容、並びにブラジルの関税譲許に関連して新たに定められた他のガット諸国の譲許に均霑することによってわが国の得る利益、現在停滞状態にあるブラジルとの貿易の打開策等の点について質疑が行われました。     —————————————  次に、日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協力協定締結について承認を求めるの件について申し上げます。  カンボディアにおきましては、昭和二十九年十一月、サンフランシスコ平和条約に基く賠償請求権の放棄を通告して参りましたので、政府はこの好意に報いるために、同国に対し、経済開発のため援助を供与する用意がある旨を申し入れておったのであります。その後、昭和三十二年に至り、カンボディア政府より、農業及び牧畜の開発のため、わが国の援助を得たい旨の希望の表明がありましたので、自来交渉を進めて参りました結果、本年三月二日この協定の署名が行われたのであります。  この協定は、わが国がカンボディアに対し、総額十五億円の無償の援助を、原則として三年の期間内に、日本国の生産物及び日本人の役務の形で供与することを定めたものであります。しこうして、この援助の内容としては、主として農業技術センターと、家畜の改良をはかるための種畜場の設置が計画されておることが付属書に定められております。  本件につきましては、種畜場設置の計画は、牛のごとき場合、熱帯方面においては特に注意を要すると思われるが、いずれの側から持ち出されたのか、またその種畜の種類はどういうものであるか等の点について質疑が行われました。     —————————————  最後に、日本国ユーゴースラヴィア連邦人民共和国との間の通商航海条約締結について承認を求めるの件について申し上げます。  政府説明によりますと、わが国とユーゴースラヴィアとの間の通商航海条約は、大正十二年に締結されたものでありまして、戦後の実情に適しない点がありましたので、昭和二十八年以来、新条約の締結について交渉が進められました結果、本年二月二十八日、ベルグラードで本条約の署名が行われたのであります。  この条約の内容は、戦後わが国が他の国との関係においても採用しております一般通商航海条約の原則をできるだけ取り入れたものであります。  本件につきましては、新条約を必要一とした具体的の実情、他の国との通商航海条約と特に異なる点、並びに両国間の通商関係の現状等について政府説明が求められました。  委員会は、昨三月二十六日、以上三件に対する質疑を終え、討論、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三件の採決をいたします。  三件全部を問題に供します。三件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三件は全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、漁港法の一部を改正する法律案、  日程第六、漁船法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)、  日程第七、酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長秋山俊一郎君。    〔秋山俊一郎君登壇拍手
  28. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 ただいま議題になりました農林水産委員会付託の衆議院提出にかかる漁港及び漁船関係の、また、内閣提出の酪農振興関係等三つの法律案について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。  まず、漁港法の一部を改正する法律案でありますが、昭和二十五年、漁港法が制定され、自来全国にわたり漁港の整備が進められ、しかして漁港は、その位置、規模及び利用度等によって、第一種から第四種までに格づけされ、利用範囲が全国的なものは第三種漁港として取り扱われております。しかして、これらの第三種漁港も、水揚高の多寡、あるいは国民経済に対する寄与の度合い等におのずから差異がありますので、この際、第三種漁港のうち、水産業の振興上特に重要な漁港で政令で定めるものを特定第三種漁港とし、これらの漁港については、国以外の者が行う漁港修築事業でありましても、その修築計画は、農林大臣が漁港整備計画に基いてこれを定めることとしようとするのがこの法律案が提案された理由とその内容であります。  委員会におきましては、提案理由説明を聞き、質疑に入り、特定第三種漁港の選定基準、及び予定漁港、特定第三種漁港の修築計画とその実施方法、及びその予算的裏づけ、並びにこれが既定の漁港整備計画に及ぼす影響、この法律案の真のねらいとその効果、漁港整備に関する参議院の決議に対する政府措置漁港法と港湾法との関係等について、提案者あるいは政府の見解がただされ、その間において、特定第三種漁港の選定基準及び予定漁港については、年間の水揚量五万トン以上、水揚量に対する県外出荷量の割合が五〇%以上、入港動力船の総トン数二十五万トン以上で、接岸施設が水深四メートル以上、長さ百五十メートル以上と予定し、この基準に適合するものとしては、長崎、博多、下関、焼津、三崎、銚子、塩釜及び八戸の八港が予定される旨が答えられ、また、特定第三種漁港の修築に対する予算的裏づけについては、今後極力努力したい旨、三浦農林大臣及び佐野大蔵政務次官から政府当局の意図が述べられました。  かくして質疑を終り、討論に入り、千田委員から、漁港修築費予算の増額を要望して法律案賛成が述べられ、他に発言もなく、採決の結果、この法律案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次は、漁船法の一部を改正する法律案でありますが、現行漁船法におきましては、漁船はすべて登録を受けなければならないことになっており、現在登録を受けている漁船は約四十万隻で、そのうちには、櫓、「かい」のみをもって操業する一トンに満たないきわめて小型のものが約十九万隻も含まれているのでありますが、これら小型漁船を使用する漁業者は、すべて沿岸における零細な漁業者で、これらの者に登録及び検認を強制することは、その者の漁業に支障を与えるばかりでなく、ほとんど実益がないという理由で、総トン数一トン未満の無動力漁船については登録を廃止することにしようとするのが、この法律案が提案された理由とその内容であります。  委員会におきましては、提案理由説明を聞き、質疑に入り、漁船登録の意義とその実益、及びこれが廃止の理由とその利害、政府の漁船建造の方針等について、提案者あるいは政府の所見がただされ、かくして質疑を終り、討論に入り、千田委員から、小型漁船の登録廃止後の善後策について政府の善処を要望して、法律案賛成が述べられ、他に発言もなく、採決の結果、この法律案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、酪農振興法の一部を改正する法律案について申し上げます。  第一に、この法律案の提案の理由でありますが、昭和二十九年、酪農を急速に発達させるため酪農振興法が施行され、以来、乳牛の飼育も、生乳の生産も、また牛乳及び乳製品の消費も、ともに急速な伸びを示したのでありますが、最近牛乳及び乳製品の消費の伸びがようやく鈍り、過剰の傾向が現われ、酪農のためいろいろ困難な問題が起ってきましたので、このような事態に対処して、酪農経営を計画的に改善し、生乳の公正な取引を促進し、また、牛乳及び乳製品の消費を増進し、過剰乳製品について計画的に保管する道を開く等の措置を制度化しようとするものであります。  次は、法律案の内容でありまして、その骨子は、概略次のようであります。  第一は、法律の目的を改正して、従来は酪農の急速な普及発達をはかることを目的としたのでありますが、これを牛乳及び乳製品の生産から消費に至るまでの各段階を均衡させつつ酪農の健全な発達を所期するものとし、  第二は、指定地域における酪農事業施設の届出とその適正配置に関する規定を設け、集約酪農地域の周辺の特定の地域を指定地域として、その地域のうちにおいて酪農事業施設を新設または変更しようとする者は、都道府県知事に届け出なければならないこととし、その際、都道府県知事は、その施設の配置を適正にするため必要な勧告をすることができることとし、  第三は、所定の条件に該当する市町村は、その区域内における酪農経営の改善を図るため、酪農経営改善計画を作成することができることとし、その作成及び変更の手続を定め、これが実施に対する国の補助及び奨励措置等に関し規定し、  第四は、生乳等の取引契約の内容のうち、価格、数量及び代金の受け渡し方法に関し、生乳生産者と乳業者との協議について規定し、また、生乳等の取引に関し、これが販売事業を行う農業協同組合等の乳業者に対する契約または団体協約の交渉の申し込みについて、農林大臣または都道府県知事が乳業者に勧告することができる制度を設け、さらに生乳等の取引に関する紛争の調停について、都道府県における機構を強化するとともに、中央においても調停を行い得ることとし、このため農林省に中央生乳取引調停審議会を設け、また、都道府県に条例で都道府県生乳取引調停審議会を置くことができることとしたのであります。なお、この点に関し、衆議院において、知事があっせんまたは調停をなし、農林大臣が調停の処理を決定する場合を拡大する修正が加えられたのであります。  第五は、国産の牛乳及び乳製品を学校食用に使用する措置を法定し、なお、国はこの措置を実施に要する経費を補助することができることとしております。  第六は、牛乳及び乳製品の需給の不均衡に伴う価格の低落による緊急の場合に、農林大臣は学校給食に供することができる国産の乳製品の保管計画を定め、酪農振興基金の債務保証機能の活用と相待ってその需給の調整をはかることとし、  第七は、農林大臣または都道府県の報告、徴収及び立ち入り検査の場合及び対象を広げることとした等であります。  委員会におきましては、先ず提案の理由その他について説明を聞き、質疑に入り、集約酪農地域の周辺に設ける指定地域の意義、その区域及びこれが定め方、集約酪農地域と指定地域との関係、乳価等の約定の具体的方法、酪農審議会委員の構成、市乳と原料乳との関係、酪農審議会と中央生乳取引調停審議会との関係、都道府県生乳取引調停審議会の設置を任意とした理由、市町村における酪農経営改善計画作成の具体的方法、牛乳の生産費と乳価との関係、乳価の維持安定対策、牛乳の需給とその見通し、乳製品の保管方法、草地改良事業の拡大、乳業育成の基本方針、国民栄養と農畜産物の生産ひいては関係行政の合理化、酪農の指導体制、牛乳及び乳製品の消費の拡大等の事項について、諸般の問題に関し当局の所見が尋ねられ、その当否がただされ、かくして質疑を終り、討論に入り、東委員から日本社会党を代表して法律案賛成し、なお各会派の共同をもって、この法律の施行に関し、酪農事業施設の規制の適正等七つの事項にわたり政府の善処を求める趣旨の附帯決議が提案され、続いて千田委員及び清澤委員から、それぞれ意見あるいは希望を付して法律案及び附帯決議に賛成が述べられ、続いて採決の結果、全会一致をもってこの法律案は附帯決議とともに原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、この附帯決議に対し、高橋農林政務次官から、その趣旨を体し善処したい旨、政府の見解が述べられました。  以上、これが詳細は会議録に譲ることを御了解願い、報告を終ります。(拍手
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者挙手〕
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。運輸委員長大倉精一君。    〔大倉精一君登壇 拍手
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、現行法中、理事の定数の増加、関連事業への投資及び運輸大臣の職権の一部委任について改正しようとするものでありまして、改正案に関する政府説明によりますと、  第一の理事の定数の増加につきましては、支社制度を強化するため、理事のうちから支柱長を任命し、理事会に支社の実情を反映させると同時に、理事会の意向を支柱に徹底させるための措置であるとのことであります。  第二の関連事業への投資につきましては、日本国有鉄道が他の運送事業者と共同使用する輸送施設の運営を行う事業に対して、予算の範囲内で投資することができるようにしようとするものであります。  第三の運輸大臣の職権の委任につきましては、運輸大臣の職権のうち地方の事情を具体的に把握している陸運局長に行わせた方が適切で、かつ能率的であるものについて、これを陸運局長に行わせることができるようにしようとするものであります。  以上が政府説明の要旨であります。  次に、委員会における本法案に関するおもなる質疑について申し上げます。委員会における質疑は、主として国鉄機構のあり方及びその運用、特に理事支社長制をとる場合における採算性の強化により生ずる公共性の欠如、民間企業への圧迫、国鉄の投資の対象、新たな大臣権限委任事項について、各般の角度より各委員から質疑が行われました。が、それらは会議録によりごらんを願うことにして、運輸大臣及び政府当局並びに国鉄総裁よりの答弁及び説明のおもな点について申し上げます。  まず第一は、現在の六つの支社の支社長を理事をもって充て、新たに輸送力の強化をはかるため、新潟、広島及び高松にそれぞれ支社を新設したいということでありまして、次は、理事となる六支社の支社長と新設の三支社の支社長との間には何ら権限の差異はつけないということであります。次に、将来投資の対象として考えておるのは自動車ターミナルであるが、昭和三十四年度には予算に計上しておらないとのことでありました。なお、国鉄の五カ年計画実施に関する責任体制及び職種別要員の充足に関しましては、早急に責任体制の強化をはかり、職種別要員の件については、企業の近代化、事務の機械化による余剰人員の配置転換及び自然減による補充のほか、善処したいとのことでありました。  質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して相澤委員より、本法案に賛成の旨の意見の開陳があり、本法案が日本国有鉄道の公益性より採算性を強調していること、及びこのために労働強化を生ずるおそれがあることを指摘し、その実施に当っては、公益性を尊重し、労使協調して業務の運営に当るべきであるとし、また部外投資についても慎重にこれを行うことを希望し、さらに次の附帯決議案を委員会の決議とすることを提案せられました。すなわち、   日本国有鉄道経営の実情にかんがみ、政府並びに国鉄当局は左記事項につき至急善処すること  一、支社制度の整備をはかること。  一、支社長と専門業務を主管する者との待遇の権衡を考慮すること。  一、鉄道監理局の区域等につき再検討を行うこと。  一、業務量に応じた要員の適正なる配置につき再検討すること。  次に、日本共産党を代表して岩間委員より、この法案の実施は、支社の間に格差を生ずること、公益性の保持並びに民主的運営に逆行すること、国鉄経営の現状から見て部外投資に反対であること、陸運局の現状から見て大臣権限の地方委譲は十分その効果が期待し得られない等の趣旨から、本法案に対し反対の旨の意見の開陳がありました。  以上で討論を終り、直ちに採決に入りましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。また相澤委員提案の附帯決議案につき採決いたしましたところ、これまた多数をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  34. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第九、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、  日程第十、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員会理事千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手〕、
  37. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案ほか一件につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を一御報告いたします。  まず、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  科学技術庁の現在の機構が、科学技術に関する基本的かつ総合的な政策の企画立案という面では必ずしも十分とは考えられないので、これをよりよい体制に編成することにより、科学技術振興に関する政府の施策の遂行をさらに周密なものとするとともに、あわせて、科学技術会議の発足後、同会議の円滑な運営に資するため、また、これに加えて、現在ますます複雑膨大化する原子力行政に対処するため機構の一部を改組する必要があるので、この法律案を提出するに至った次第であるというのが、政府の提案の理由であります。  次に、本法律案の改正の要点を申し上げますと、その第一点は、従来の企画調整局及び調査普及局を廃止し、これにかえて計画局及び振興局を設ける点であり、その第二点は、今回の機構改正の趣旨にかんがみ、科学審議官の職務に関する規定を改正することとした点であり、その第三点は、原子力局に従来置かれている次長一人を二人に増員することとした点であります。  内閣委員会は、前後三回委員会を開き、この間、高碕科学技術庁長官その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案を審議いたしましたが、その審議におきまして、科学技術庁設置以来の業績、科学技術関係予算と科学技術振興に関する政府の今後の対策、科学技術関係の技術職員の処遇、原子力関係行政機構拡充の必要性、原子力局に次長一人増置の理由等の諸点につきまして質疑応答が重ねられました。  昨日の委員会におきまして質疑を終り、討論もなく、直ちに本法律案を採決いたしましたところ、全会一致をもって、衆議院送付の原案通り可決すべきものと議決せられました。  次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず、本法律案の内容を申し上げますと、最近鉱工業地帯の一部において地盤沈下の現象が著しく、産業の発展並びに民生の安定上憂慮すべき問題を生じている。すなわち、地盤沈下に起因して公共施設の機能低下あるいは災害発生のおそれ等の事態を生じ、この現象をこのまま放置するときは、産業の発展を阻害するだけでなく、国土の保全、民生の安定上重大なる支障となると考えられるので、経済企画庁の付属機関として、地盤沈下対策審議会を設置しようというのが、政府の本審議会設置の理由として述べているところであります。  なお、念のため申し添えておきますが、当初の政府原案には、このほか、九州地方の開発に関する重要事項を調査審議するため、九州地方開発審議会を経済企画庁の付属機関として設置することになっておったのでありますが、衆議院におきましては、議員提出にかかる同審議会の設置に関する規定を含む九州地方開発促進法案が別途可決せられましたのに伴い、同審議会の設置に関する部分は修正削除となったのであります。  内閣委員会は、前後三回委員会を開き、この間、世耕経済企画庁長官その他関係政府委員の出席を求め、本法律案の審議に当りましたが、その審議において、地盤沈下対策審議会設置の理由と、これを経済企画庁の付属機関とした理由、本審議会の運営方針、地盤沈下に対し政府の従来とってきた対策及び今後の対策、特にその原因究明についていかに調査研究がなされたか。  また、地盤沈下に対してはすでに応急的にその処置が講ぜられている現状下において、本審議会の設置により、逆にその処置が遅延を来たすおそれはないか等の点につきまして質疑応答が重ねられました。   昨日の委員会におきまして質疑を終り、討論もなく、よって直ちに本法律案を採決いたしましたところ、全会一致をもって衆議院修正送付の原案通り可決すべきものと議決せられました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十一、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長早川愼一君。    〔早川愼一君登壇拍手
  43. 早川愼一

    ○早川愼一君 ただいま議題となりました公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、建設業者または建設工事の設計監理等を行ういわゆる建設コンサルタントの海外における事業活動促進するため、当該事業活動に必要な資金の調達について、これらの業者の担保能力を増強し、金融の円滑化をはかろうとするものであります。すなわち、土木建築工事の請負業者または建設コンサルタントが、外国における事業活動に必要な資金について金融機関から融資を受け、あるいは信用状の開設を得た場合には、前払金保証事業会社がその債務を保証できることといたしております。現行法では、前払金保証事業会社は、本来の業務である前払金保証事業のほか、公共工事に関する資金の金融保証事業及び建設工事用機械の購入資金の金融保証事業を兼業しておりますが、このたび新たに兼業として海外建設事業に関する金融保証事業を行い得ることとしたのであります。  本法案は、二月十一日に付託され、以来、参考人として、保証事業会社、建設コンサルタント、大中小の建設業者の意見を聴取する等、慎重審議を行なってきたのであります。  委員会における質疑のおもなる点は、保証事業会社の保証により建設資金を確保する方法が、海外建設協力の促進策として妥当かいなか、輸出入銀行の業務運営状況、保証事業会社の現況、事業方法書の記載事項等についてでありますが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して田中委員から、「わが国の海外建設協力の促進のため本法案は暫定的措置として一応これを了とするが、この方法をもってしては、この問題を基本的に解決することは困難である。よって政府はみずからの責任において金融その他の援助について積極策を講ずべきである。」との附帯決議を付して賛成する旨の意見が述べられました。次いで、自由民主党を代表して稲浦委員から、本案並びに附帯決議案賛成の旨、発言があり、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。続いて、田中委員提案の附帯決議案について採決の結果、これまた全会一致、委員会の附帯決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  46. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十二、国会職員法等の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長高橋進太郎君。    〔高橋進太郎君登壇拍手
  47. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 ただいま議題となりました国会職員法等の一部を改正する法律案の議院運営委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本法律案は、国会職員法、議院事務局法、議院法制局法、国会法及び裁判官弾劾法のそれぞれ一部を改正しようとするものであります。改正のおもなる点は、  第一に、現在、国会職員には参事、主事及び調査員、調査主事という身分上の区別がございますが、これを廃止して、それぞれ参事及び調査員とするとともに、右の区別廃止に伴い、職員の任用基準は、本属長がこれを定めることとするものであります。  第二は、条件付採用に関し、国家公務員法と同趣旨の規定国会職員法中に設けるとともに、事務局の必要な部に副部長を置くことができる道を開こうとするものでございます。  第三は、議院法制局の事務処理に関する規程を定める手続を簡素化せんとするものでございます。  以上が本案の内容の大要でございますが、本委員会におきましては、慎重にこれを審議いたしました結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  48. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十三、核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第十四、輸出品デザイン法案(いずれも内閣提出衆議院送付、)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。商工委員会理事島清君。    〔島清君登壇拍手
  52. 島清

    ○島清君 ただいま議題となりました二法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、核原料物質核燃料物質及び原子炉の規則に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この改正法案の骨子は次の通りであります。改正の第一点は、原子炉の事故に基いて第三者に損害を与えた場合のことを考え、原子炉設置の許可申請のときに、その場合の損害賠償措置を明確にさせ、これを許可する場合の基準を政令に委任する規定を加えております。なお、賠償措置を変更する場合も許可を要することとしております。改正の第二点は、核燃料物質原子炉以外で使用して原子核分裂をさせる場合にも、使用済燃料の処分の方法を明らかにし、その変更も許可を要することにしております。改正の第三点は、核燃料物質を臨界実験装置に使用する場合には、これの許可基準として十分な技術的能力を必要とすることの規定を加えたことであります。なお、使用済燃料の定義を拡大して、原子炉の燃料として使用した場合に限らず、原子核分裂をさせた核燃料物質使用済燃料として取り扱うように改正しているのであります。  以上が改正法案の骨子でありますが、委員会においては、原子力政策全般の問題から、この改正法案の第三者災害賠償措置について活発な論議が行われたのであります。特に、第三者災害賠償措置については、賠償責任が過失責任か無過失責任か、原子力責任保険についての諸問題、中でも地震災害による保険適用の可否について、あるいは損害賠償の場合、国の責任はどうあるべきか、国家補償についてはいかなる考え方を持っているか等について政府にただしたのであります。これに対して政府は、「これら賠償措置の具体的な制度については、現在慎重に検討中で、近い将来、できれば明年くらいまでに結論を出し、法制化したい。」また、原子力政策全般については、「今後、第三者災害補償制度をも含め、慎重かつ強力に行う」という見解を披瀝したのであります。  以上で質疑を終了し、討論に入りましたが別に発言もございませんでしたので、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。     —————————————  次に、輸出品デザイン法案について申し上げます。  本法案は、輸出品のデザイン等の模倣や盗用を防止して、輸出貿易の健全な発達をはかろうとしているもので、その内容は、第一に、輸出貿易上、デザインの模倣を防止することが特に必要な貨物であって、しかも、輸出入取引法に基く業者の協定ではその目的を達成できない貨物を、特定貨物として政令で指定します。第二は、この特定貨物を輸出しようとする者は、そのデザインと商標について認定機関の認定を受けなければ輸出ができません。第三に、業者は、この認定機関に対し、自分のデザインを登録することができるとしております。この登録とか認定とかを受けるデザインは、自己のデザインか、他人のデザインを侵さないものでなければならないことはもちろん、仕向け国の工業所有権やデザイン等を侵害するようなものであってはならないとするのであります。第四は、この登録、認定を行う認定機関は、その機関からの申請を待って通産大臣が指定するものであります。また、これが監督を行うことも規定してあります。以上が本法案の骨子であります。  委員会におきましては、各委員から熱心な質疑が行われましたが、そのうちおもな点は、輸出入取引法、不正競争防止法、意匠法等の現行法規では、輸出品のデザイン盗用の防止はなぜできないか、本法のデザイン登録と意匠法の登録との関係はどうか、仕向け地に適したデザインの研究調査はどうなっているか等でありましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  質疑が終って討論に入りましたところ、島委員すなわち私から、本法案には、今国会に提出されている輸出入取引法の改正案の通過を前提とした「輸出入取引等の秩序の確立に関する法律」という法律が引用されているが、現在の審議状況とにらみ合せ、これを輸出入取引法に改める旨の、各派合議に基く修正案の提出とともに、修正部分を除く原案に対しては、デザインの盗用防止による輸出取引の秩序確立のためにはやむを得ない必要な措置であるとの賛成意見が述べられました。  討論を終って採決に入りましたところ、島委員すなわち私提出の修正案並びに修正部分を除く原案は、全会一致をもって可決、よって本法案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定をいたしました。  以上御報告を終ります。(拍手
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、輸出品デザイン法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十五、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長手島栄君。    〔手島栄君登壇拍手
  58. 手島栄

    ○手島栄君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件につきまして、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会の昭和三十四年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げますと、  まず、収支予算につきましては、ラジオ関係においては、収支おのおの百六十九億六千三百余万円でありまして、これを前年度に比べますと、総額においてそれぞれ二十九億七千四百余万円の増加となっております。また、テレビジョン関係におきましては、収支おのおの百二十億七千百万円でありまして、前年度に比べて、それぞれ四十四億九千六百余万円の増加となっております。  受信料収入については、ラジオにおいては、受信料を改定して月額六十七円を月額八十五円に、テレビジョンは前年度と同額の月額三百円として、それぞれ算出しております。  また、事業計画につきましては、その重点を、ラジオにおいては、老朽施設の改善、放送番組の充実、研究活動の強化及び国際放送等の充実に、テレビジョンにおいては、総合及び教育テレビジョン放送局の全国的置局の推進並びに放送時間の増加、番組内容の向上等、放送の充実及び研究活動の強化等に置いております。  これら収支予算等に対し、郵政大臣は、「おおむね適当なものと認める、ラジオ受信料の改定については、ラジオに関する諸計画の緊急性にかんがみ、今後、契約者の増加による収入増加がほとんど期得し得ない現状においては、この程度はやむを得ない」旨の意見を付してあります。  逓信委員会におきましては、佐藤大蔵大臣並びに郵政省及び日本放送協会の各当局につき、詳細にわたり質疑を行い、本件の慎重審議をいたしたのでありますが、そのおもなる点を申し上げますと、ラジオ受信料の値上げの理由については、難聴地域を解消すること。教育番組、教養番組等の充実拡充をはかり、わが国放送文化の水準の向上に努めること。及び老朽施設の近代化のため特別償却を行う必要があるが、受信者の増加を望めないので、やむなく今回の改定となったが、受信者の負担の増加を最小限度にとどめるように、経営の合理化と技術の改善によって経費の節約をはかり、将来値上げは予想していない。国際放送に要する経費は、政府が負担すべきではないか。受信料免除者の受信料は政府において措置すべきではないか。教育、準教育テレビジョン放送局の置局計画に対応して、極超短波帯の研究を急速に行うべきではないか。周波数の割当及び中継施設が計画通りにいかぬ場合においても、教育放送を重点的に行うべきであること、及び従業員の待遇の向上並びに厚生施設の拡充に努めるべきであること等であります。なお、詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して森中委員より、受信者の獲得、既契約の確保、国際放送費及び免除受信料等の政府負担により収入の増加をはかるべきであって、値上げを行うべきではないとの理由により反対、次に、自由民主党を代表して新谷委員より、受信料収入によって経営する協会において、受信者の増加は頭打ちとなり、一方、難聴地域の解消、老朽施設の改善、番組内容の充実等に多額の資金を要するので、この程度の値上げはやむを得ないとして賛成の意見が述べられましたが、なお、協会に対し、協会は、その公共的使命にかんがみ、全国放送網の早期完成、社会教育、教養水準の高揚等に万全の考慮を払うべきこと。なお、教育テレビジョンの全国普及の必要なるUHF帯の周波数の研究、及びUHF帯とVHF帯との混合により生ずべき各種の障害除去のための研究、並びに、ラジオ、テレビを通じての微電力局を無人操作するため必要とする技術的研究等については、その独自の立場から格段の努力を払うべきであるとの要望がありました。次いで、無所属クラブを代表して長谷部委員より、値上げは好ましくないが、一そう充実した教育、教養等の放送を期待して賛成する旨の発言がありました。  かくて討論を終え、採決いたしましたところ、多数をもって原案通り承認すべきものと議決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  59. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本件に対し、討論の通告がございます。発言を許します。光村甚助君。    〔光村甚助君登壇拍手
  60. 光村甚助

    ○光村甚助君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関し、承認することに反対の意見を表明するものであります。  本案は、ただいま委員長の報告にありました通り日本放送協会の昭和三十四年度における収支予算などであります。しかして、その内容はラジオ受信料の値上げを骨子とするものでありまして、現行月額六十七円を八十五円に改定し、三十三億四千万円の増収をはからんとするものであります。  私は、まず協会が突如としてこの約三〇%に相当する大幅の値上げを提案するに至ったいきさつを申し述べたいのであります。日本放送協会は、公共放送の担当者として、三十四年の長い間、比較的安定した経営のもとに、わが国の政治、経済、教育、文化の向上発展のために多大の功績をあげてきたのでありますが、最近、民間放送事業の飛躍的発展と技術の著しい進歩によって、放送界の様相が一変いたしますとともに、公共放送に対する国民の要望もまた非常に強くなって参りました。協会は、この情勢に即応するため、経営の体制を整備する必要に迫られたのであります。しかしながら、協会が現状から脱却して、よくこの時代の要請にこたえるためには、まず幾多の困難な問題を解決せねばならないのであります。しこうして、これが解決のためには、政府の行政上の措置を必要とする点が多いのであります。すなわち、あるいは受信料の性格の明確化、協会に交付すベき資金予算化、低利融資のあっせんその他でありまして、これらをすみやかに実施することが事業安定の前提条件であります。たまたま、過般、放送法改正の審議の際においても、これが実施の決意を強く政府に促したのでありますが、政府は、いたずらに末節の問題にとらわれて、ついにその実行の誠意を示さなかったのであります。今日、協会の経営が行き詰まった原因も、多くは政府の無策に帰すべきものでありまして、その責任はまことに重いといわなければなりません。といって、協会に責任が全然ないとは申せません。協会が、ただ好調の安易になれて積極的熱意を欠き、他力本願をもって終始した罪もまた軽からざるものがあります。世論を無視して料金を引き上げ、経営不安の責任をもっぱら受信者に転嫁するがごときは、容認しがたいところであります。(拍手)  言うまでもなく、値上げは容易にこれを許すべきではありません。なかんずく、公益事業の料金においてしかりであります。政府並びに協会は、現行の料金が昭和二十九年以来据え置かれたため、諸物価に比較して著しく低廉となっておるので、受信者の家計に与える影響もきわめて軽微であるとの口実のもとに、引き上げを行わんとしているのでありますが、料金はその事業の固有の事情によって決定すベきもので、単純に他の事業料金の比較によって左右さるべきものではありません。公益事業料金は、それがたとえ低率であっても、国民大衆の心的、物的両面に深刻な影響を与えるものでありますから、もろもろの事情を慎重に考究の上、決定いたさねばなりません。一たびこれをあやまたんか、国民の反撃を誘発するのみならず、ひいてはインフレの原因をなすに至るのであります。私が本案に反対する根本の理由もまたここにあるのであります。  以下、提案の具体的事項について、さらに所見を明らかにいたしたいと存じます。  政府並びに協会は、値上げの理由として、昭和三十二年以来ラジオの新規契約者が次第に減少の傾向をたどり、三十三年度においては三十万、三十四年度においてはわずかに十万余にすぎないものと見込み、自然増収が多くを期待できないためであるというのであります。しかしながら、全国各地方別の普及率を見ますと、九〇%の所もありますが、六〇%ないし七〇%程度の地域も相当に多くあるのでありまして、これらの低率地域を現在の全国平均八二%にまで伸ばすならば、一〇%以上、すなわち少くとも百五十万の新規契約者を容易に獲得することができ、現行料金によって優に十億円の増収をあげることができるのであります。この事実は、たまたま協会もおおむねこれを認めております。すなわち、三十四年度の新規契約者は、料金値上げをしても、なおかつ、百三十五万としております。従って、普及はいまだ頭打ちとなっていないのであります。われわれの所見通り順調に伸びておるのであります。しかるに、奇怪なことは、廃止契約者が百二十万に達するという点であります。百三十五万の新規契約者を獲得して、百二十四万の既契約者を失うという説明を、われわれは信ずることができないのであります。協会は、新契約者の開発のため多大な経費と努力を費しておりますが、もしこのことが事実とするならば、さながら、「ざる」で水をすくっているにひとしいものでありまして、愚策のはなはだしいものと申さねばなりません。普及率が相当高くなるに従い、新規開発が困難となり、ある程度伸びが鈍くなるのはやむを得ないのであります。かかる段階に至れば、むしろ既契約の確保が重要な問題となるのであります。協会は、料金値上げを企図するに先だち、この廃止契約者の防止対策を真剣に検討すべきであったのであります。五カ年計画案によると、昭和三十七年度に至る各年度において、百二十数万の廃止を予定しております。協会が依然としてかかる安易なる態度であるならば、民間放送の飛躍的発展を見つつある今日、協会の予想をこえて、ますます脱落者を増加せしめ、危機の再来を招くおそれなしとしないのであります。協会は、よろしく新規契約者の開発と既契約者の維持に積極的努力を傾け、少くとも十億円以上の増収を期待すべきであります。  次に、協会は、三十四年度において国際旅送の拡充を計画いたし、これが本年度の所要額として一億六千万円を増額し、前年度の一億七千万円と合せて総額三億三千万円を計上いたしておるのであります。そもそも国際放送は、国際親善の増進、貿易の促進、文化の交流など、今日わが国が国策として行なっているものでありまして、これに要する経費はすべて政府の負担であることは放送法の明記するところであります。国内受信者の負担すべきものでないことは申すまでもありません。かねてから委員会の審議においてその違法が指摘せられ、政府もまたその実行を言明いたしているにもかかわらず、毎年度、予算の不足を理由として経費の大部分を協会に負担せしめているのであります。政府はすみやかにこれを予算化して協会に交付すべき責任があります。  次に協会は、学校、生活保護者その他に対し受信料の免除を行い、その数は三十三年度までに五十五万世帯に及んでおり、三十四年度はこれを六十七万世帯に拡大せんとしているのであります。学校教育を助成し、生活困窮者の家庭に放送の恩恵を及ぼさんがために受信料を免除するこの企図は、まことに適当でありまして、私も賞賛を惜しまないものであります。しかしながら、その免除総額六億余円をあげて協会の負担としたことは、不当の措置と言わなければなりません。申すまでもなく、教育は国の事業であります。生活困窮者の救済は政府みずからこれを行うべきものであります。協会が財政基礎の確立のためと称して料金値上げを強行しながら、その反面、その資金を事業の目的外に使用することは、受信者を欺くものと言わなければなりません。政府責任の回避によって、協会は国際放送の所要経費三億三千万円と合せて十億円に及ぶ無用の支出をしいられているのであります。政府の反省を強く望むものであります。  また、協会の三十四年度事業計画によると、ラジオにおいて放送番組の充実、中波放送網の完成、老朽設備の改善、FM放送の開設、職員の待遇改善、研究機関の充実などをあげておりまして、その計画はきわめて適当であり、私もまた賛意を表するものでありますが、これに対する資金計画は一部不適当と認められるものがあるのであります。すなわち、まずFM放送の開設のため一億円余を見込んでおることであります。協会はFM放送を第三放送として全国普及を計画いたしておりますが、FM放送は混信防止のため特定地域に実施せられるもので、しかも、今日いまだ実験段階にあるにすぎません。従って、FM放送の全国普及は現段階においては不急の計画でありまして、これに関する予算もまた無用であります。  私が遺憾に思うことは、老朽施設改善のために十六億円を予定していることでありまして、協会資産のうち償却を要するものは総額七十九億円でありますが、これを三十七年度までの四年間に全額償却することとし、三十四年度十六億円を充当しております。協会の説明によれば、昭和二十九年以前の設備機器は老朽化したので、特別償却をいたす必要があるというのでありますが、二十九年以前においても償却は行われていたのでありますから、今日、突如として一挙にかかる巨額の償却を行う理由のあるべきはずがありません。協会が国民の事業体として国民のために善良なる経営管理をいたしておるならば、かかる事態を発生することはあり得ないのであります。もとより設備の近代化、能率化は、これをはからねばなりません。かりにこのことが事実とすれば、受信料の値上げの愚をもってせず、よろしく政府の財政資金など低利の資金をもって充てるべきであります。  以上、私の指摘したところに従って、政府及び協会が相互に誠意をもって収支の検討調整をするならば、現行料金をもってしても十分運営ができるのであり、すなわち値上げの必要はないのであります。言うまでもなく、料金の値上げは、経営の実態と社会の反響を慎重に考慮してこれを行うべきものであります。特に受信料の値上げは、受信者の納得を得ることがきわめて困難であります。今日においてさえ、その収納に摩擦があるのであります。ましてや値上げをすれば、ますますその度を強くするものであります。値上げをする前に、よろしく協会は世論を聞き、その使命を反省し、慎重にその運営のあり方を再検討せられるべきであります。  最後に、このラジオ受信料値上げを無責任にも容認し、また、私鉄、電気、ガス、水道、新聞、さらに入浴料金の値上げを強行せんとする政府の矛盾に満ちた一連の施策については、ここにあらためてその反省を求めるものであります。(拍手)岸政権は、口に減税を唱えながら、現実には、間接税的なラジオ受信料、私鉄運賃、電気、ガス料金、そして入浴料金の値上げを何ら恥じ入ることなく実行しようとしているものであります。諸物価は上昇の線をたどるばかり。世間から、岸内閣のことを値上げ内閣といわれております。下るのは岸内閣の信望のみであります。かくのごときは、岸内閣の減税の公約に反するものであり、国民生活に過重の負担をしいるにほかならないものであります。ここにおいて、政府は、協会予算編成に際しても、当然の負担である経費をすみやかに交付するとともに、新規拡充資金の融通を極力あっせんし、受信料値上げを抑制すべく努力すべきであります。  以上をもって私の反対討論を終ります。(拍手
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件承認することに決しました。      ——————————
  63. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十六、昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)、  日程第十七、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)、  日程第十八、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書、  日程第十九、昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書、  日程第二十、昭和三十三年度一般会計予備費使用調書(その一)、  日程第二十一、昭和三十三年度特別会計予備費使用、総調書(その一)(いずれも衆議院送付)、  日程第二十二、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書、  以上七件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。決算委員長西川甚五郎君。    〔西川甚五郎君登壇拍手
  65. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 ただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)外五件の事後承諾を求めるの件並びに昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書について、決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。  まず、予備費使用の内容を概略御説明申し上げます。  第一に、昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)につきましては、昭和三十二年度一般会計予備費の予算額は八十億円でありますが、そのうち、昭和三十二年十二月二十七日までに使用されました五十九億四百余万円につきましては、第二十八国会で承諾を与えておりますので、今回は昭和三十三年一月十四日から同年三月三十一日までに使用されました二十億八千九百余万円について承諾を求めているのであります。  第二に、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)について申し上げます。昭和三十二年度各特別会計予備費の予算額総計は七百二十一億七千九百余万円でありますが、そのうち、昭和三十二年十二月二十七日までに使用されました三百六億四千二百余万円については、これまた第二十八国会で承諾を与えておりますので、今回は昭和三十三年二月十二日から同年三月二十九日までに使用されました百五億九千八百余万円について承諾を求めているのであります。  第三に、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書について申し上げます。この規定に基き、予備費使用の例に準じて、予算を超過しで支出の行われましたものは、第二十八回国会で承諾を与えました七千五百万円を除き、印刷局特別会計、資金運用部特別会計並びに特別鉱害復旧特別会計の分であって、合計十六億三千五百余万円であります。  第四に、昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書について申し上げます。この規定に基き、予備費使用の例に準じて、予算を超過して支出の行われましたものは、郵政事業特別会計の分であって、十三億九千百余万円であります。  第五に、昭和三十三年度一般会計予備費使用調書(その一)について申し上げます。昭和三十三年度一般会計予備費の予算額九十億円のうち、昭和三十三年四月四日から同年十二月二十六日までに使用されましたものが七十億三千九百余万円あります。  最後に、昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その一)について申し上げます。昭和三十三年度各特別会計予備費の予算額総計千九十六億千百余万円のうち、昭和三十三年四月二十二日から同年十二月二十六日までに使用されましたものが四百四十七億六千九百余万円あります。  決算委員会におきましては、以上六件について当局説明を聞いた上、慎重審議いたしましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。質疑を終り、別に討論もなく、採決の結果、右六件は一括して承諾を与うべきものと全会一致をもって議決いたしました。  続いて、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書について御説明申し上げます。  昭和三十二年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基き、災害復旧その他緊急の必要がある場合に、国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち、政府は駆潜艇「きじ」の大破による復旧修理につきまして、昭和三十三年三月七日、閣議の決定を経て、総額一億五千万円の範囲内で、国が債務を負担する行為をすることといたしております。  決算委員会におきましては、当局説明を聴取した上、慎重審議いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと思います。  かくて審議を終了し、採決の結果、全会一致をもって異議がないと議決した次第であります。  以上で御報告を終ります。(拍手
  66. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより七件の採決をいたします。まず、  昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)、  昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)、  昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書、  昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書、  昭和三十三年度一般会計予備費使用調書(その一)、  昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その一)、  以上六件全部を問題に供します。委員長の報告通り六件を承諾することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  67. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって六件は全会一致をもって承諾することに決しました。      ——————————
  68. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書を問題に供します。  本件は委員長報告通り決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  69. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件全会一致をもって委員長報告通り決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 科学技術会議議員任命に関する件  一、治安対策に関する緊急質問  一、四国地方総合開発促進に関する決議案  一、日程第二 関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書締結について承認を求める件  一、日程第三 日本国とガンボディアとの間の経済及び技術協力協定締結について承認を求めるの件  一、日程第四 日本国とユーゴースラウィア連邦人民共和国との間の通商航海条約締結承認を求める件  一、日程第五 漁港法の一部を改正する法案  一、日程第六 漁船法の一部を改正する法案  一、日程第七 酪農振興法の一部を改正する法律案  一、日程第八 日本国有鉄道法の一部を改正する法案  一、日程第九 科学技術庁設置法の一部を改正する法案  一、日程第十 経済企画庁設置法の一部を改正する法案  一、日程第十一 公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十二 国会職員法等の一部を改正する法律案  一、日程第十三 核原料物質核原料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律  一、日程第十四 輸出品デザイン法案  一、日程第十五 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求める件  一、日程第十六 昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)  一、日程第十七 昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)  一、日程第十八 昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書  一、日程第十九 昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書  一、日程第二十一 昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その2)  一、日程第二十二 昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書