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1958-12-23 第31回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月二十三日(火曜 日)    午後三時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六号   昭和三十三年十二月二十三日    午後三時開議  第一 海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第二 昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  議員吉田萬次君は、一昨二十一日逝去せられました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  竹中勝男君から発言を求められました。この際、発言を許します。竹中勝男君。    〔竹中勝男登壇拍手
  4. 竹中勝男

    竹中勝男君 ただいま議長から御報告のありました通り、議員吉田萬次君は、一昨二十一日急逝されました。同僚議員といたしまして、まことに痛惜至りにたえません。ここに同君の御生前を回想いたしまして、つつしんで哀悼の意を表明いたすものであります。  吉田君は、明治二十五年一宮市に生まれ、名古屋大学医学部の前身である愛知県立医学専門学校を卒業され、自来、同地にて医院を開業され、現在に至っておりますが、この間、昭和二年には京都帝国大学にて医学博士の学位を受領される等、研究心もはなはだ旺盛でありました。ことに、その専門とされるところの神経系統の病気の治療に対しては、患者が君を慕つて全国各地から蝟集するほどの好評を得ておられたのであります。  また一方では、郷党の厚い信頼のもとに、早くより政治に志を向けられ、大正十年以来、一宮会議員に四回当選、その間、議長に一回当選され、また、昭和九年以来、愛知会議員に三回当選、その間、議長に一回当選され、さらにまた、昭和十七年から昭和二十二年まで、二期にわたって一宮市長を勤められたのであります。このように、同君は、弱冠二十九歳をもって地方政治に関係されて以来、三十有余年、うまずたゆまず、ひたすら誠実に市政や県政に尽してこられたその御努力と業績は、まことに輝かしいものがあるのであります。こうした大きな実績が、昭和二十八年の参議院議員当選をもたらしたことも、けだし当然の帰結と申さねばなりません。  吉田君の本院議員としての御活躍は、学術教育関係において特に多く見ることができるように思います。同君は、当初より文教委員に選任され、長い間、同委員会の理事として、きわめて精励恪勤、その豊富なる経験と卓越したる識見をもって文教振興のために尽されたのでありますが、ことに、ここで申し述べたいことは、同君が、日本学術振興、わけても大学充実、私学の育成に心を向けられるとともに、恵まれない勤労青少年教育僻地教育振興努力されたことであります。同君は、つとに郷里の一宮市において女子教育事業を興されましたが、これが、現在は短期大学から幼稚園までを含む一宮女子学園として大きく発展し、みずから学園長短期大学学長を兼任されていたことからも、うかがえるように、君は、青少年充実した教育をすることが国家再建の基盤であることを信念とし、かつ誠実に実践されたのでありました。また、昭和三十一年には日本ユネスコ国内委員に、同三十二年には科学技術政務次官に任命されておりますことも、各位の御承知のことでありまして、わが国教育学術、文化に尽された功績は、実に著しいものがあると思うのであります。  吉田君は、人となり温厚篤実、事に当つて真摯、人に対しては終始温顔をもって接せられ、従って、何人からも信頼され、敬愛される人柄でありました。今、突然、幽明境を異にせられ、もはやその御姿を親しくこの議席に拝見することのできないことは、まことに悲しみにたえないところであります。  今や、内外の諸情勢ますます多事多端にして、国会の責務また重大ならんとするとき、吉田君のごとき有能の士を失うことは、国家のためにも、本院のためにも、惜しんでも余りあるものと言わなければなりません。  ここに、同君の御逝去に対し、つつしんで哀悼の辞を捧げるとともに、衷心より御冥福をお祈りする次第であります。(拍手
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) お諮りいたします。吉田萬次君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました弔詞朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院議員正五位勲三等吉田萬次  君の長逝に対しましてつつしんで哀  悼の意を表しうやうやしく弔詞をさ  さげます  弔詞贈呈方は、議長において取り計らいます。      ——————————
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 内閣から、国土総合開発審議会委員田村文吉君、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員岸良一君の辞任に伴う後任者を指名されたいとの申し出がございました。  また、離島振興対策審議会委員西川彌平治君の逝去に伴い、同委員に欠員を生じました。  つきましては、この際、日程に追加して、国土総合開発審議会委員その他の各種委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
  9. 杉山昌作

    杉山昌作君 これらの選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議提出いたします。
  10. 田中茂穂

    田中茂穂君 私は、ただいまの杉山君の動議賛成いたします。
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松野鶴平

  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。運輸委員長大倉精一君。    〔大倉精一登壇拍手
  14. 大倉精一

    大倉精一君 ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、この法律案要旨を申し上げますと、現行法海運同盟に関する規制は米国の海運法にならつたもので、海運同盟活躍についてきわめて厳格な制限を加えているのでありますが、そのため、特に昨今の世界的な海運不況のもとにおきましては、航路経営の不安定のもの多く、従って、運賃の不安定を来たし、海運業経営を悪化させているばかりでなく、わが国輸出入貿易の発展に悪影響を及ぼしている趣きであります。この法律案のねらいは、航路の安定をはかるために、海運同盟に関する現行法の厳重な規制原則として撤廃し、国際的な慣行となっている海運同盟自衛手段を認めることによって、これが強化をはかり、また、海運同盟の結成もしくはその強化の困難な定期航路における適当競争につきましては、運輸大臣勧告を行なって調整措置を講じ得ることとすることであります。  さて、質疑及び討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決に入りましたところ、本法律案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。文教委員長竹中勝男君。    〔竹中勝男登壇拍手
  18. 竹中勝男

    竹中勝男君 ただいま議題となりました昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案につきまして、文教委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。  この法案は、本年九月に来襲した台風二十一号及び二十二号による公立小中学校施設災害復旧経費に関する特別措置を行うことを目的とするものであります。  現在、一般的には、公立学校施設災害復旧費国庫負担法適用によって、公立学校災害復旧の促進がはかられているのでありますが、今回の台風はまれに見る豪雨を伴うものでありましたので、各地に相当な被害が起りましたが、特に静岡県狩野川のはんらんによる局地的被害はきわめて甚大なものがあり、公立学校施設被害も、一般法適用によるだけでは、早期復旧を期し得ない地域もありますため、これらの地域災害復旧については、国の負担割合を特に高める等の特別措置を講じ、義務教育施設の早急な復旧をはかる必要があります。  以上が政府の本法律案提出した理由でありまして、法案内容の骨子となりますところは、(一)昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧について、特に災害地域政令で指定し、この地域については国の負担割合を四分の三とすること、(ニ)経費算定方法について、原形復旧を基準とするが、これが不可能または不適当な場合は、効用復旧または代替復旧等改良復旧ができること、の二点でありますが、なお、このほかに、用語の意義経費の種目、適用除外都道府県への事務費交付等について、所要規定を設けております。  委員会審議の過程におきましては、各委員から、(一)政令による本法適用指定地域、(ニ)学校起債と他の起債との均衡、(三)適用除外内容、(四)校舎床下の堆土排除に要する経費国庫補助、(五)学校給食状況とその対象人員、(六)育英会による罹災学生生徒救援状況、(七)罹災学生生徒就職対策、(八)共済組合貸付金利子軽減、(九)社会教育施設復旧対策、(十)原形復旧改良復旧との関係等について、きわめて熱心な質疑が行われましたが、これらの質疑内容及び政府答弁の詳細につきましては、会議録によって御承知いただきたいと存じます。  かく討論に入り、日本社会党を代表して松永委員より、「政令による地域指定伊豆一円を含めること、社会教育施設早期復旧のため、明年度における助成に特別配意をするとともに、復旧起債についても格段の努力を払うこと」の二点を要望して、賛成意見が述べられ、緑風会を代表して竹下委員から、「災害復旧のための国の負担金等の使途について不正不当の起らぬよう、十分な注意のもとに、学校教育の正常な運営目的を達成するように」との希望意見を付して賛成の表明がありました。  続いて、採決の結果、本法案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書提出した。  公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案可決報告書      ——————————
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。  「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。内閣委員長永岡光治君。    〔永岡光治登壇拍手
  24. 永岡光治

    永岡光治君 ただいま議題となりました公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法律案改正の要点を申し上げますと、  その第一点は、健康保険法の一部改正に伴う改正でありまして、この改正におきましては、療養給付についての一部負担制度改正されたことと、保険医療機関に関する規定保険医療機関に対する罰則規定改正されたことなどに伴い、所要改正を行わんとするものでありまして、このほか不正受給者から費用の徴収のできる規定も新たに加えたこととであります。  その第二点は、国家公務員共済組合法改正に伴う改正でありまして、転出、復帰、転入組合員長期給付に関する規定についての所要改正であります。  その第三点は、短期給付関係改正でありまして、その改正内容は、被扶養者範囲及び組合員資格喪失後における継続給付受給資格要件につきまして、健康保険法規定の例にならい、それぞれ所要改正をいたすこととしております。  その第四点は、更新組合員についての長期給付関係改正でありまして、その改正内容は、増加恩給を受ける権利を本人の希望により消滅させて、その者の恩給公務員期間組合員期間に算入できるようにすること、共済組合職員であった期間退職年金受給資格期間として算入すること、組合員期間職員期間に準ずる国家公務員であった期間運営規則で定めるものを加えること等のための改正をいたすこととしております。  その第五点は、主務大臣共済組合に対し監督上必要な命令ができることにするとともに、役員等法律違反に対する罰則規定を整備するための所要改正をいたすこととしております。  内閣委員会は、前後二回委員会を開き、この間、永野運輸大臣松野総理府総務長官その他関係政府委員出席を求めまして、本法律案審議に当りましたが、その審議におきまして、三公社職員退職手当割増支給の問題、責任準備金の一部を資金運用部に預託する問題、付加給付制度実施見通し短期給付給付内容改善の問題及び国家公務員退職年金制度問題等の諸点につきまして、質疑応答がありましたが、その詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。  本日の委員会におきまして、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して伊藤委員より、「本法律案においては、一部負担制度を設けたこと、短期給付内容改善を行なっていないこと、付加給付実施見通しがあいまいであること、軍人恩給期間通算規定がないこと、五現業組合員に見合う退職手当割増支給の配慮がなされていないことの理由により、本法律案に反対する」旨の討論があり、次いで本法律案につき採決いたしましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと議決いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  26. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後三時五十三分休憩      ——————————    午後五時四十分開議
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。参事報告させます。    〔参事朗読〕 本日衆議院から、同院において修正議決した左の内閣提出案を受領した。よって議長は直ちにこれを地方行政委員会に付託した。  昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案本日委員長から左の報告書提出した。  国民健康保険法案可決報告書  国民健康保険法施行法案可決報告書  昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案可決報告書  地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案可決報告書  昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和三十一年度政府関係機関決算書議決報告書  昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書議決報告書      ——————————
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、   国民健康保険法案、   国民健康保険法施行法案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。社会労働委員長久保等君。    〔久保等登壇拍手
  30. 久保等

    久保等君 ただいま議題となりました国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案について、社会労働委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  まず、国民健康保険法案について申し上げます。  この法律案は、現行国民健康保険法を再検討し、財政上の裏づけをするとともに、国民保険基礎法として、現行法を全面的に改正しようとするものでありまして、去る第二十八回国会に続き、第三十回国会に提案されたのでありまするが、ともに審議未了となりましたので、前国会における審議経過を考慮し、これに修正を加えた上、再び本国会に提案されたのであります。  この法律案要旨とするところは、  第一に、国民保険態勢の確立のため、国の責任を明確化したことであります。すなわち、従来の補助金負担金に改め、療養給付の二割はどの保険者に対しても負担することとし、新たに療養給付費の五分に相当する調整交付金制度を設けて、国民健康保険財政調整し、負担の公平及び内容充実をはかることといたしたのであります。  第二に、給付内容充実であります。従来の国民健康保険は、健康保険と比較いたしますと、給付範囲の面でも著しく劣つていたのでありますが、これを健康保険同一とし、また給付割合についても漸進的に向上することができるようにしたのであります。  第三に、国民健康保険における療養担当者制度につきましては、最近の医療実情に応ずるとともに、各般の規定におきまして、公私医療機関を差別せず、全く同一法律的取扱いとしております。すなわち、国民健康保険の被保険者は、都道府県知事登録を受けた国民健康保険医または国民健康保険薬剤師から療養を受けるものとし、国民健康保険療養給付取扱いをなさんとするものは、その旨を都道府県知事に申し出で、これが受理されることを要するものとしたこと等であります。また、健康保険法規定による保険医療機関保険医等の取り消しによって、国民健康保険療養取扱機関国民健康保険医等地位を失わないようにする等、その地位の安定をはかったことであります。  第四に、昭和三十五年度までに市町村国民健康保険実施する建前としたことであります。  以上がこの法律案要旨でありますが、本法案につきましては、国民保険達成重要性にかんがみ、特に内閣総理大臣及び大蔵大臣出席を求めて、慎重審議を行なつたのであります。  すなわち内閣総理大臣よりは、社会保障基本方針として、今後は国民保険及び国民年金の完成を中心に社会保障を拡充し、その内容充実させていきたいとの答弁があり、国庫負担の増額問題については、大蔵大臣より、適正な国庫負担率各種社会保険における補助均衡からきめられるべきで、国民健康保険だけの特別措置は望まれないという答弁がありました。  厚生大臣に対しては、国民健康保険運営基本的政策について質疑を行ない、前回の政府原案には、保険制度によって医療の本質を拘束するという考え方に行き過ぎの点があったとする所信が表明せられ、給付率引き上げについては七割実現に努力するとのことでありました。  その他、療養取扱機関国民健康保険医との療養担当責任の限界、並びにこれらに対する違反処分をめぐる諸問題について、あるいは国民保険地方財政関係等について、政府当局に対し、きわめて熱心な質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、木下委員より日本社会党を代表し、国民保険を実現し、医療保障制度を確立するには、欧米諸国におけるごとく、社会保険により、すべての傷病等が無料で治療せられるところまで進まぬ限り、その本来の意義が達せられない。そこで、当面わが社会党は、少くとも国家負担を三割とし、医療給付を七割に引き上げることによって、医療保障の拡充に大きく踏み出すべきであると主張し、また療養期間が三年をこえても完全治癒まで療養給付を行うべきであると主張し、かかる少額の国庫負担のもとに国民健康保険実施することは、地方財政を圧迫し、国民の期待に反するものとして、反対の意を表せられました。  討論を終了し、採決の結果、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  続いて木下委員外五名より、次の附帯決議を付する旨の動議提出されました。   国民健康保険法附帯決議  一、政府は、できるだけ早く、わが国における医療制度改善、特に医療担当者法律上その他に占める地位について根本的検討を加え、所要法律改正を行うべきである。  二、すみやかに、国民健康保険のみならず健康保険においても、出産の給付については現物給付原則とするよう措置し、保険助産婦登録制度を考慮すること。  なお、右の措置がとられるまでの間は、将来においてとられるべき措置に支障を来たさないよう、本法運営について考慮すること。  三、政府は、国民保険の円満なる実施運営をはかるため、医療制度社会保険制度との調整について根本的検討を加え、可及的すみやかに所要立法措置等を講ずること。  四、療養担当者権利保護苦情処理のため、公正なる中立裁定機関を設置すること。  五、政府は可及的すみやかに国庫負担率及び療養給付率引き上げ努力すること。  六、国庫負担概算交付率引き上げ、その精算措置をすみやかに行うとともに、調整交付金算定基礎となるべき療養給付費見込額については、実績相違が生じないよう努め、万一、相違が生じた際は、予算の補正等措置を考慮すること。  七、保険者事務費に対する補助については、その実情にかんがみ、実質的にその全額を国庫において負担するよう措置すること。  なお、診療報酬支払いについては、その期日を明確にするよう行政的措置をとること。この木下委員外五名の提出にかかる附帯決議案について採決を行いましたところ、全会一致をもって本法案附帯決議を付することに決定いたしました。  次に、国民健康保険法施行法案について申し上げます。  本法案は、国民健康保険法案施行のため必要な経過措置を定めるとともに、関係法律整理を行おうとするものでありまするが、その要旨とするところは、  第一に、昭和三十六年三月三十一日以前においても、厚生大臣及び都道府県知事が、国民健康保険実施市町村に対して、事業の開始につき、勧告または助言を行うことができることとしたのであります。  第二に、国民健康保険法案におきましては、国民健康保険を行う主体を、市町村及び従前の特別国民健康保険組合に限定しましたので、昭和三十六年三月三十一日までの間は、現に事業を行なっている普通国民健康保険組合及び農業協同組合等社団法人についても、引き続き国民健康保険を行うことができることとし、これらに対する国庫負担等については、市町村とみなすこととしたのであります。  第三に、国民健康保険法案におきましては、療養給付範囲健康保険同一といたしましたが、当分の間、政令で定める範囲のものは給付を行わないことができる道を開いたことであります。  第四に、現行法に基く療養担当者等が、新法の国民健康保険医国民健康保険薬剤師または療養取扱機関となることに伴う必要な規定現行法国民健康保険法案との被保険者範囲相違による必要な調整規定を設けることとしたのであります。  第五に、国民健康保険税の賦課方法を整備する等、国民健康保険法案施行に伴つて必要な関係法律整理を行うこととしたのであります。  以上がこの法律案要旨でありまするが、本案につきましては、国民健康保険法案と一括して審議を行なつたのであります。質疑討論を終り、採決の結果、多数をもって原案の通り議決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      ——————————
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、  昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案、  地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。地方行政委員長田中啓一君。    〔田中啓一君登壇拍手
  35. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいま議題となりました昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  まず政府原案について申し上げますると、本年度の災害による被害額は、昭和二十八年に次いで大きく、いわゆる公共施設にかかる被害額のみでも約七百五十億円に達し、そのうち七、八月及び九月の災害により被害額は約七百億円と見られております。本法案は、これら七、八月及び九月の風水害による被害の甚大な地方公共団体に対して、起債特例を認めようとするものであります。  しかしてその内容は、第一に、この場合の地方債は地方財政法第五条の特例とすること、第二に、この地方債発行の目的は、地方税等の減免による歳入の不足を補うため、または災害対策の財源に充てるためであること、第三に、この地方債の資金は、資金運用部資金または簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金をもって充てるものとし、地方債の利息の定率、償還方法は、政令で定めることなどを要点とするものであります。  以上のごとき内容政府原案に対しまして、衆議院において、「風水害により被害の著しい地域を包括する市町村施行する農地その他の農林水産業施設にかかる災害復旧事業のうち、一カ所の工事費用が三万円以上十万円未満のものの経費に充てるために発行を許可された地方債については、国は、毎年、当該年度分の元利償還金に相当する額の地方債元利補給金を当該市町村に交付するものとする」旨の修正を加えて、本院に送付して参つたのであります。  地方行政委員会におきましては、十二月十二日、愛知国務大臣より提案理由について、次いで、二十三日には衆議院議員亀山孝一君より、衆議院の修正の理由について説明を聞き、また、当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行いましたが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて二十三日、質疑を終了し、討論の後、採決の結果、全会一致をもって本法案衆議院送付案通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次に、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、全国多数の地方公共団体議会議員または長の任期が、昭和三十四年四月または五月中に満了する実情にかんがみ、これらの選挙期日を統一して行うことを定めるものであります。  まず、政府原案について、その内容の概略を申し上げますと、  (一) 期日を統一する選挙範囲については、(1)明年四月及び五月中に任期が満了することが予定されている地方公共団体議会議員または長の任期満了による選挙を行う場合、(2)これらの議会議員または長について選挙を行うべき事由が発生し、四月中に選挙を行うこととなる場合、並びに、(3)明年四月及び五月中に選挙を行うことが予定されていない地方公共団体議会議員または長について、選挙を行うべき事由が発生し、四月中に選挙を行うこととなる場合について、これらの選挙期日を統一することといたしたのであります。  (ニ) 選挙期日につきましては、前例にもかんがみ、都道府県及び指定都市の選挙にあつては四月二十三日とし、市町村選挙にあつては四月二十八日とするとともに、これらの選挙期日を告示する日については、各選挙選挙運動期間が公職選挙法に規定する最短期間となるように法定し、  (三) この法律規定により統一期日に行われる各選挙は、法律上当然に同時選挙の手続によって行うものとするとともに、統一期日に行われる選挙の候補者となつた者は、関係区域において行われる他の選挙の候補者となることができないこととして、いわゆる重複立候補による弊害の除去をはかり、  (四) この法律適用を受ける選挙の手続、その他その執行に関し特に必要があるときは、政令で特別の定めをすることができるものとしたこと等がその骨子でございます。  以上のごとき内容を有する政府原案に対しまして、衆議院において、次のような修正を加えて本院に送付をしてきたのでございます。  すなわち、衆議院修正の要点は、  (一) 指定都市以外の市及び町村の選挙期日たる四月二十八日を四月三十日に改めること。  (ニ) 四月二十三日または同月三十日に行われる選挙における公職の候補者の届出または推薦届出は、郵便によってすることができないものとすることでございます。  地方行政委員会におきましては、十二月十六日、愛知国務大臣より提案理由について、また、十二月二十三日には衆議院議員古川丈吉君より、衆議院修正の理由について説明を聞き、また、当局及び衆議院側との間に質疑応答を重ね、慎重審議を行いましたが、その詳細については速記録によって御承知を願いたいと存じます。  十二月二十三日質疑を終了し、討論に入りましたところ、格別の発言もなく、採決の結果、全会一致をもって、本法案衆議院送付案通り可決すべきものと決定した次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、  昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算、  昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算、  昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書、  昭和三十一年度政府関係機関決算書、  昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書、  昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書、  以上各件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。決算委員長小西英雄君。    〔小西英雄君登壇拍手
  40. 小西英雄

    ○小西英雄君 ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算ほか三件につきまして、決算委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本件は、三十二年十二月二十三日国会提出されまして、今回審査を終えたものであります。  まず、本件の内容の概略を申し上げます。  一般会計では、歳入決算額一兆二千三百二十五億余万円、歳出決算額一兆六百九十二億余万円で、差引千六百三十三億余万円の剰余を生じましたが、このうち、三十一年度で新たに生じた純剰余金は千一億余万円であります。また前述の歳出決算額のほかに、翌年度への繰越額が四百四十億余万円あったので、百四十二億余万円が不用額となつたものであります。  次に予備費は、予算額八十億円に対し、ほとんど全部を使用されました。また、国庫債務負担行為のうち、財政法第十五条第一項に基くものは、限度額二百三億余万円に対し、実際の負担額は百二十四億余万円であり、同条第二項に基くものは、三十億円に対し、実際の負担額は九億余万円でありました。公債は、内外債を合わせ、年度初め現在額四千八百三十三億余万円、年度中の発行額三百四億余万円、減少額四百五十四億余万円で、年度末現在額四千六百八十三億余万円であり、借入金は、年度初め現在額四百九十七億余万円、年度中の借入額千余万円、減少額一億余万円で、年度末現在額四百九十五億余万円であります。  特別会計は、その数が三十七でありまして、各特別会計の決算額の総計は、歳入決算額が二兆二千三百十四億余万円で、歳出決算額が二兆七十四億余万円であります。  政府関係機関は、その数が十でありまして、各機関の決算額の総計は、収入決算額九千七百七十八億余万円、支出決算額八千三百六十六億余万円であります。以上が決算の概略でありますが、詳細は決算書類についてごらんを願います。  本件については、本年四月二日関係各省及び会計検査院から説明を聞きまして、本十二月二十三日まで実に三十五回の委員会を開き、また、六班の委員派遣によって現地をつぶさに調査し、検査院の批難事項千百二十八件のほか、決算に関連し、または国家財政の調査として、前回審議を終えるに至らなかった農林中央金庫等の融資の問題を初め、江戸川における汚水放流による漁業の被害事件、日本航空株式会社の管理運営状況並びに航空交通事業に関する件、国鉄客車清掃事業の民間委託に関する件、あるいは愛知用水公団の事業実施と請負契約処理の適正化等の問題を取り上げ、慎重に審議を重ねました。詳細は会議録によってごらんを願います。  審議を終了するに当りまして、当委員会の決議をもって、防衛庁、農林省、郵政省、日本国有鉄道及び愛知用水公団に対し、さらに強くその反省と決意を促すため、警告を行なつたのであります。  審査の結果といたしまして、内閣に対し、総括的に次の警告を行う必要を認めましたので、その概要を申し上げます。  第一は、綱紀の粛正刷新であります。  公務員の非違行為は、関係当局の努力にもかかわらず、決算検査報告等で明らかにされた不正行為だけでも、その額は約一億円に上り、その他、収賄等の忌むべき事件が多数摘発されており、綱紀の粛正は未だしの感が深いのであります。また、依然として、各種法令、予算の違背事項あるいは不経済事項が繰り返し行われており、公務員の公金軽視の風潮がなお強く、国民への奉仕に対する自覚の不足が痛感されるのであります。内閣及び関係当局は、職員の教育訓練を充実するとともに、上司もみずから高潔を持し、確固たる信念と決意をもって責任の追及をさらに厳正にし、もって綱紀の刷新に努むべきであります。  第二は、制度及び運営の整備改善であります。  まず、自主的な規制と監督について申し上げます。  会計秩序の維持と経理の適正をはかるためには、みずからその統制を強化し、内部牽制を確立することが緊要でありますが、全般にその成果の発揮が十分でありません。また、中央機関の方針が地方出先機関に徹底していない向きがあり、さらに海外支払いの経費等で検査及び監督の行き届いていないものが見受けられます。これらの事実にかんがみ、政府部内における統制監督の機構を整備し、有効適切な運営に一そう努力を要するものがあります。また政府関係機関を初め、政府出資団体及び国が財政援助をしている公私団体等に対する監督行政においては、問題も多く、不当不正を抑制するはもちろん、事業運営の合理化を促進し、財政資金が十分効用を発揮するよう、適切な施策の実行が肝要であります。  次に、予算の効率的運営についてであります。  工事の施行、物件の調達等における予算の不経済使用の例は依然として多いのでありまして、ことに特殊関係にある業者との契約に遺憾な事例が多く、また入札において競争の実を必ずしもあげていない現状に対しては、当局の適切な措置、対策が望まれるのであります。さらに予算の編成及びその執行方法については、その合理性と効率性を一段と推進して、いわゆるこま切れ予算の計上や総花的配分の弊をすみやかに一掃し、また行政の大綱に着目して、真に有用な経費の実をあげるよう運営する要があり、各種補助金、助成金等については、その積算及び執行を合理化するはもちろん、項目の減廃統合について再検討を行う要があります。  次に、財産の管理運用についてであります。  国有財産の取得、管理及び処分については、政府においても国有財産審議制度を設けており、財産の実態調査に着手するなど、改善への努力は認められますが、その成果はいまだ十分でなく、これが調査及びその整理態勢を強化し、二兆円に上る国有財産の管理運用の万全を期すべきであります。  なお、各企業特別会計、日本国有鉄道及び日本電信電話公社等における財産の企業的運用、各省庁機関の庁舎の合理化について、一般の努力が肝要であります。  次に、機構運営の簡素化についてであります。  行政機構及びその運営の簡素化は、強く一般からも要望されているのでありますが、決算審議に徴し、各省の所管にわたっている港湾行政の管理運営及び事務処理が複雑非能率であり、利用者の不便も多い問題があり、そのほか、北海道における開発行政の一元的な運営、保育所における保育料の徴収基準及び国民健康保険助成金の交付要件の簡素化等の問題があります。  政府は、すみやかに、行政本来の目的を達成するよう、これが簡素化について適切有効な対策を講ずる要があると認められます。  以上、概略を申し述べましたが、これらの諸点は、連年繰り返し警告しているにかかわらず、いまだ改善への成果が十分とは申せないのであります。財政処理全般としては、ようやく三十年度ぐらいを契機として、順次改善への傾向にあることは、一応首肯し得られるところでありますが、特に、前記の諸点に対する施策の徹底について、政府の一段の強い反省と努力が要望されるところであります。以上は、決算委員会として党派を超越した意見でありまして、本件採決の際における各委員の熱心な討論でも明らかであります。各委員からなされました討論要旨を申し上げますれば、  まず、自由民主党を代表する平島委員から、「承認するに当り、政府に対し次の事項を強く申し上げたい。三十一年度は三十年度に比し批難事項の減少を示し、努力改善の跡は認め得るが、なお多額の不正不当の指摘があるのは、国民の信にこたえるゆえんではない。一円の金のむだ使いもないようにすることが血税を納める国民への責任であります。また、公金、公物軽視の風がいまだに少くない。特に、警告を受けた各省その他において、警告の趣旨を体し、業務の監督、統括、内部監査等に格段の努力を要望したい。なお、不正不当支出に対する善後措置については、制度そのものについて反省検討し、関係者の処分については、形式的に流れず、もっと適切妥当な処置を講ずる要がある。要するに、国民の血税を主とする国の財政が、合法かつ合理的に経済的に使用されるよう、一段の努力を払い、国民の信用と信頼を深められることを強く要望したい。」との御発言がありました。  次に、日本社会党を代表して相澤委員から、「決算審議の過程で目立つことは、請負その他の契約、補助金の経理について、なお多数の不当事項があり、また、各省における出資団体等に対する監督も不徹底である。これらについては、大臣初め官僚の反省の不足によるもので、当委員会の警告にもある通り、一段の努力を要望する。ことに、各種契約については、悪質業者の排除につき断固たる決意を要する。補助金の不当経理についての監督も、さらに強化すべきである。また、政府関係機関の会計は気がゆるむ傾向が考えられ、政府の監督も不十分であり、今後緊張して自粛されたい。防衛庁、農林省、郵政省、国鉄、愛知用水等は、当委員会から警告を与えられていることを銘記すべきである。また、防衛庁については、予算繰越、不用額が多く、水ぶくれ予算のため放慢に流れやすく、不当事項も多いので、予算編成の当初において十分に緊縮すべきである。」との御発言がありました。  緑風会を代表する奥委員から、「国の財政は正しく実行しても国民の福利を完全に守ることが困難なのに、決算を見ると、なおその上に、多数の不正不当、むだ使いが行われているのは情ないと思う。下積みの方々から種々の陳情を聞くが、それらはきわめて微々たる金額の問題であり、多数の国民がこのように困っているのに、一方では何億という不当が行われている。検査報告の指摘はほんの一部である。各省等は不当防止に努力し、また、相互の連絡を密にして、むだの生じないよう、責任感と熱意を持って今後格段の注意努力を払うよう望みたい。警告決議を受けたもののみでなく、政府全体として、予算の有効適切な使用に努め、国民の信頼を得るようにせられたい。」との御発言がありました。  最後に、共産党を代表する岩間委員から、「ただいま警告決議がなされたが、これをこの場限りのものとせず、その趣旨の実行されることを見守ることとして本件を承認する。次の二点を強調したい。一、公安調査庁、警察、内閣調査室等において、経費が不明朗な形で使用されており、会計検査院の検査も行き届いていない。これは、調査費といっても、実はスパイの費用であり、その陰には人権侵害の行為も行われている。これは、平和憲法下においては許されない事態である。二、各官庁、政府関係機関には外郭団体があつて、当該官庁等の出身者が多く入っており、その結果、工事請負等になれ合いが行われている。これは汚職の源泉となっているから、これを根絶するため、官庁出身者の関係会社等に就職を禁止するような措置をとる要がある。右のような改善によって国民の疑惑を一掃することが決算委員会の任務と考える。」との御発言がありました。  以上の討論を終りまして、採決の結果、全会一致をもって、審査報告書の通り異議ないものと議決した次第であります。  以上をもって、昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算ほか三件の報告を終ります。  次に、昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書に関する決算委員会審議経過並びに結果を報告いたします。  まず、本件の内容の概要を申し上げます。  昭和三十一年度において、一般会計、特別会計を合計した国有財産の増加額は三千三百八十二億余万円、減少額は二千三百四十四億余万円、差引純増加額千三十八億余万円でありまして、本年度末、すなわち昭和三十二年三月三十一日における国有財産の現在額は二兆二百九十一億余万円となっております。この内訳は、行政財産一兆千二百七億余万円、普通財産九千八十四億余万円でありまして、行政財産をさらに分類いたしますと、公用財産四千百八十八億余万円、公共用財産八十五億余万円、皇室用財産九十五億余万円、企業用財産六千八百三十七億余万円となっております。  次に、国有財産の無償貸付は、一般会計、特別会計を合せて、昭和三十一年度における増加額は九億余万円、減少額は八億余万円、差引純増加額は八千余万円でありまして、年度末における無償貸付の現在額は五十一億余万円となっております。  決算委員会におきましては、右二件につきまして、政府の説明並びに会計検査院の検査報告の説明を聴取いたしました上、昭和三十一年度決算と並行して慎重審議いたしましたが、本件の内容をなしますところの国有財産の取得、管理及び処分に関し処理の適正でない点、財産管理の基礎資料をなす実態調査が十分でない点につきましては、別途、昭和三十一年度決算において審査を行いましたので、この二件の計算書については、異議がないことと議決いたした次第でございます。  以上報告申し上げます。(拍手
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これよりただいま報告のあった各件の採決をいたします。  各件全部を問題に供します。各件は、委員長報告通り決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって各件は、全会一致をもって委員長報告の通り決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した案件  一、故議員吉田萬次君に対する追悼の辞  一、故議員吉田萬次君に対し弔辞贈呈の件  一、国土総合開発審議会委員、海岸砂地地帯農業振興対策審議委員及び離島振興対策審議委員会選挙  一、日程第一 海上運送法の一部を改正する法律案  一、日程第二 昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案  一、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法案  一、国民健康保険法案  一、国民健康保険法施行法案  一、昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害をうけた地方公共団体起債に関する法律案  一、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案  一、昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算  一、昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算  一、昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書  一、昭和三十一年度政府関係機関決算書  一、昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  一、昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書