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1959-03-03 第31回国会 参議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三日(火曜日)    午後二時六分開会   —————————————   委員異動 二月二十五日委員西田信一辞任につ き、その補欠として伊能繁次郎君を議 長において指名した。 二月二十六日委員石坂豊一辞任につ き、その補欠として榊原亨君を議長に おいて指名した。 二月二十七日委員松野鶴平君及び伊能 繁次郎辞任につき、その補欠として 小林英三君及び左藤義詮君を議長にお いて指名した。 三月二日委員横川正市君辞任につき、 その補欠として江田三郎君を議長にお いて指名した。 本日委員左藤義詮辞任につき、その 補欠として青柳秀夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     古池 信三君    理事      大川 光三君    委員            青柳 秀夫君            大谷 瑩潤君            小林 英三君            野本 品吉君            吉野 信次君            北村  暢君            辻  武寿君   国務大臣    法 務 大 臣 愛知 揆一君   政府委員    法務大臣官房司    法法制調査部長 津田  實君         —————    最高裁判所長官    代理者    (事務総長)  横田 正俊君    最高裁判所長官    代理者    (事務次長)  内藤 頼博君    最高裁判所長官    代理者    (総務局総務課    長)      海部 安昌君    最高裁判所長官    代理者    (人事局長)  守田  直君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○裁判官報酬等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付、予備  審査) ○検察官俸給等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣送付、予  備審査)   —————————————
  2. 古池信三

    委員長(古池信三君) ただいまより法務委員会を開会いたします。  まず最初に、委員異動について御報告いたします。  本日左藤義詮君が辞任せられ、補欠として青柳秀夫君が選任されました。   —————————————
  3. 古池信三

    委員長(古池信三君) 本日は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、以上三法律案につきまして、これを一括して議題といたします。  前回に続いて質疑を行います。御質疑の方は、順次御発言を願います。
  4. 大川光三

    大川光三君 私は、ただいまの議題となりました三法案のうちで、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、この両案につきまして、前回に引き続いて質疑をいたしたいと存ずるのであります。  質疑内容に入りまする前に、特に申し添えたいと存じますることは、これから申し上げまする私の質問は、前回の二月十七日になしました質疑連続でございます。ところが、たまたま二月の十七日の委員会が済みました直後、私ども委員会は、東京地方裁判所裁判官一同より本件に関する要望書を入手いたしました。また、引き続いて二月二十三日、二月二十五日に、東京高等裁判所裁判官一同及び大阪高等裁判所裁判官一同より要望書を入手いたしたのでございまするが、私の論議は、この要望書以前の論議連続でございまして、もとより要望書は、詳細にこれを拝見いたしまして、趣旨は了承いたしましたが、それがために私の最初質疑が変更されるというわけでないことを御了承いただきたいと存じております。いま一つは、一体裁判官並びに検察官待遇改善に関しまするわれわれ法務委員会考え方は、従前と少しも変っておらぬという点でございまして、その一例を私の立場で申し上げまするならば、ちょうど第二十六国会におきまして、同じく裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案議題となりまして、当時私は、法務委員としてかようなことを申し上げているのであります。「両法案提出趣旨は、裁判官及び検察官報酬または俸給について、一般政府職員との権衡を考慮し、適切なる報酬または俸給の各月額を定めるというにありまして、御趣旨はまことにけっこうと存じまするが、ただこれだけでは、裁判官及び検察官が表面上の報酬または俸給が、一般政府職員権衡が保たれるというに過ぎないのでありまして、実質的にはいまだ両者の不権衡を免れません。申すまでもなく裁判官一般政府職員と異なりまして、みずからの責任においてのみ国民の生命、身体、財産について関与もし、他のいかなるものに対してもその責任を転嫁することが許されない重要な立場に置かれております。また検察官は、上命下従関係にありといえども、常に被疑者被告人と直接に取り組み、担当事件については常に勤務時間を超過し、寝食を忘れ、身命を賭して公益擁護の任についているのであります。この重い責任を負荷されておる裁判官検察官責任を容易に上官に転嫁することのできる政府職員とを一視同仁に、同一の待遇をすること自体がすでに不権衡であると言わなければなりません。」以下省略いたしますが、このわれわれの考え方は、裁判官並びに検察官は、ともどもに他の一般職員に比べて優遇をしなければならぬ、待遇をよくしなければならぬという考えを当時申したのでございまして、その考え方は、今もなお変っておらないのだということも、あらかじめ御了承をいただきたいと存ずるのであります。  そこで、質疑内容に入りますが、前回法務大臣から御答弁をいただきましたうちで、多少私自身で十分得心のできないところがございまするので、重ねてこの点をお伺いいたします。前回私は、法務大臣に対しまして、憲法第七十九条、第八十条に規定する裁判官相当額報酬とは何かという質問をいたしました。それに対しまして法務大臣からは、裁判官職責の重大なこと、国民の信頼を十分保持し得るに足るような待遇を保障する趣旨であると考えるという旨の御答弁がございましたが、この御答弁は、裁判官報酬優位原則を認め、一般国家公務員よりも上位待遇を与うべきであるとの御趣旨であるかどうか、私はさように解釈いたしたのでございますが、念のため改めてここにお伺いをいたします。
  5. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 前回、時間の関係もございまして、詳細に申し上げることができなかったのでありますが、ただいまの御質疑に対しまして、詳細にお答え申し上げたいと思います。  御承知通り憲法は、旧憲法に比べまして、三権の分立をさらに徹底させ、すべて司法権裁判所に属するとともに、司法行政の面においても、最高裁判所に、下級裁判所裁判官として内閣が任命すべきものの名簿を作成する権限、これは憲法の八十条第一項でございます、や、司法事務処理に関する事項等についての規則の制定の権限、これは七十七条第一項を賦与しておりますが、かように、司法の独立が徹底化されました結果、憲法が、内閣に、予算を作成して国会提出する権限憲法の七十三条五号、それから法律に定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理する権限、七十三条四号を賦与しておることの均衡上、内閣の傘下にあります一般公務員の場合と異なりまして、裁判官について、特に憲法に、裁判官はすべて定期に相当額報酬を受ける旨の規定を置いたものと考えるわけでございます。  次に、相当額とは、裁判官の地位にふさわしい生活をなし得る額を意味するものと思われるのでありますが、具体的にどの程度の額をもって相当額というべきかは、そのときどきの経済事情にもよることでありまして、その時代の国民一般生活状態や、ことに他の公務員給与等をしんしゃくしてきめらるべきであろうと考えるわけでございます。裁判官に対する報酬一般政府職員のそれより高額にすべき旨の規定憲法に示されているものとは解せられない。かように存ずるわけでございます。
  6. 大川光三

    大川光三君 一応の御説明をいただきましたが、私ども考えからいたしましても、その感を同じゅうする場合が多いのでございまして、たとえば、裁判官報酬優位原則については、法律上何らの規定がない。かえって裁判官報酬法の第二条の二、第九条、第十全等には、特別号俸の設定、各種手当の支給、ベース・アップ等一般官吏の例に準ずる旨の従属的規定を置いておりまするが、その結果は、御承知通り昭和二十五年以後の裁判官一般官吏との格差消滅の不利と相待ちまして、ややともすれば、裁判官報酬まで、一般官吏報給の例に準じて、これと同額に定められなければならないかのごとき印象を与えやすいと存ずるのであります。そこで、一体こういう法制下におきまして、むしろ報酬優位原則明文をもって規定するというようなことについて、御当局は何かお考えがございましょうか、伺いたいのであります。
  7. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず、この憲法上の問題になりますと、先ほど申し上げましたように、現行憲法において、裁判官報酬検察官を含む一般政府職員よりも上位でなければならないという原則憲法にうたわれているものではないということは、先ほど申し上げた通りでございます。  それから次に、裁判官一般政府職員よりすぐれた待遇を与えますことは、先ほど申しましたように、裁判官職責重要性にかんがみて必要であると私は存じます。同時に、先ほど申しましたように、これは、そのときどきの経済事情その他の関係も十分考えなければならないものでございますから、個々の報酬に関する改正の際に、具体的にその内容を定めるということにするのが最も適当ではないかと考えるのでありまして、一般的にさらに裁判官報酬優位原則明文をもって憲法規定するとか、あるいは他の単行法によって規定するという必要は私はないと、こう考えておるわけでございます。
  8. 大川光三

    大川光三君 前回法務大臣の御答弁によりますると、今回は、判事のみ特号俸を置くことによって一応筋を通したということでございますが、この特号俸と申しまするのは、あるいは在職年限、あるいは年令等関係のないことでございましょうか、お伺いをいたします。
  9. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは、この際、多少立案の経過にも及びますが、くわしく申し上げたいと思うのであります。  私は、先ほど来申しておりますような原則論から申しまして、かねがね判事報酬については何とかして考えていかなければならないというふうに考えおりました。現在ももちろんそう思っております。ところが、差し上げてありまする資料でもおわかりいただけますように、まあ常識的に御説明申し上げますならば、昭和二十六年の改正のとき以来、ずっとこの一般国家公務員と差がなくなってきておりますもので、今回のこの改正につきましても、実は、率直に申しますと、最初関係当局の間で作りました案というものは、七万八千円という最上位にございまして、これは一般国家公務員と全く同額改正案になっております。一口に言えば、一般国家公務員がだんだん上って参りまして、第二回国会できめていただきました二十三年当時は四割も差があったものが、もうなくなってきてしまった。特に二十六年以来全く同額扱いになってきておりまして、そこで、何とかしてもう一クラスでもせめて判事待遇を改善したいという考え方から、ようやく何回か閣議でも審議を重ねまして、八万円という一つのランキングができたのでございます。この点は、私は非常によかったと、十分ではないけれども、まあ一つ、一格高い位がここにはっきり明定されることは、まずまずよかったという私としては感じを持ったわけでございます。ところが、このことはいろいろの御議論もあると思いますけれども給与関係ということになりますと、財政当局にも実はいろいろの意見があり、また、予算編成関係もございまするのでありまするが、この一つ上げた級を作るについては、これは、判事の現在の状態からいって、相当高齢の人である、あるいはまた、一号俸を相当長期にわたってもらっておられるような方に対して適用するのが筋であるというような特に財政当局等意見も強くありましたがために、これは、この特号俸をどういう場合に適用するかというような運営の基準と申しますか、関係当局の気持を一つきめておいてもらいたいということから、最高裁判所事務総長法務次官大蔵次官の間で協定を作りまして、特号は六十三才以上の方に適用するというようなふうに協定書を作ったわけでございます。これらの点につきましては、大体ごく簡単でございましたが、経過を申し上げますと、さようなことになっております。
  10. 大川光三

    大川光三君 御説明の中で、いわゆる特号に該当する判事は、一号の判事を永年勤めた人または高齢の人ということで、高齢については六十三才云々ということが協定で結ばれているのだという御説明であったと思いますが、さように伺ってよろしゅうございますか。
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは、実は法案を立案いたしますときにも非常にいろいろの点から苦慮いたしまして、結局覚書を作りまして、政府及び最高裁判所の間に意見がまとまって、そうしてその意見がまとまったあとにおいて閣議で決定をして、御審議を願うべく国会提出をいたした次第でございます。
  12. 大川光三

    大川光三君 ちょっと伺いますが、現在は、検事定年が六十三才、裁判官が六十五才というように心得ておりますが、その通りで間違いないのですか。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その通りでございます。
  14. 大川光三

    大川光三君 そういたしますと、まあ私どもは、この特号ということをもって、判事優位の原則がここに頭を出しているのだというように心得ておるのでありますが、もし六十三才でもう検事定年になってしまって、六十三才以上の検事はおらない、ただ判事のみが実在するという場合においては、相手がないのです。相手がない場合に、これで判事優位ということはちょっと受け取れぬと思いますが、いかがでございましょうか。決して理屈を言う意味ではないのでありますけれども、ちょっと納得がいきかねるのであります。
  15. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その点は、まことにごもっともに伺えるのでございます。ただしかしながら、先ほどもちょっと申し上げましたように、特に二十六年だったと思いますが、そのときの改正以来、天井判検事全く同列になっておったわけでございますから、たとえば六十三才をこえた判事さんたちも、定年になるまで天井がみんな一緒になっておった。そこで、先ほど申しましたように、私はこれで十分であるとはもちろん考えておらぬわけでございますが、少くとも判事定年が高い以上は、高い級を作るのは当然であって、それで、従来に比べますと、六十三から六十五の間の判事の方に対しては一つ高いものが作られるということになる意味において、この沿革から申しますと、私は、この限りにおいては、少くとも判事優位の原則が新たにここでできたというふうに考えまして、先ほど申しましたように、決してこれはもう十分とは毛頭考えませんけれども、まあ一歩なり二歩なり前進であったと考えるわけであります。  それからもう一つ、これもお尋ねがあるかと思いますが、最近いろいろと新聞等にも報道されておりますが、同時に、私どもの非常に困りましたことは、一般国家公務員と、七万八千というところが一つ天井になってしまったものですから、呼び名の点においてずいぶん苦労いたしました。しかし、判事優位といいますか、そういう格好を号俸の上で表わそうとすると、検察官が逆に一般国家公務員よりも一級下目にならざるを得ない。そこで、その点を考慮いたしましたから、実額においては特号ということで、六十三以上の方に優位性が認められる。それから、検察官一般国家公務員よりは下に呼称されることは困りますので、そこで、従来の号俸呼び名から申しますと、一号は同じ一号じゃないか、これじゃ検事の方がよくなり過ぎたじゃないかというお話もあるようでございますが、これは、一方において、判検事の方で判事の優位を保ちながら、検察官一般国家公務員よりも下の呼び名にならないようにという苦心をいたしまして、この原案に相なっておるわけであります。
  16. 大川光三

    大川光三君 そこで、実例についてちょっと伺っておきたい。この従前一覧表によりますと、東京高検検事長とその他の高裁長官とは、ずっと俸給月額がいずれも九万五千円という号俸が出ております。そこで、一体平検事から高検検事長になる年数と、判事補から高裁長官になるその年数というものに差があるかどうかという問題であります。私の調査では、結局同じ九万五千円のところへ到達いたしまするのに、検事側の方が多少早い。裁判官の方が長く年数がかかるというような統計が出ようかと思いますが、この点について、もし資料がございましたら、ちょっとお教えを願いたいと思います。
  17. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまのお尋ねでございますが、具体的に比較の点につきましては、私どもただいまのところ手元に資料はございません。ただ、ただいまもお話のございましたように、検察官におきましては、検事総長以外の者の定年は六十三才、従いまして、検事長は当然六十三才以内にならなければならないわけであります。一方、高裁長官の方は六十五才を定年としております。そこで、そういう定年の上の開きの関係上、やや年令の若い人が検事長になるということは、自然あり得ることだと思うのでありますが、具体的に検事任官後何年をもって検事長になるかということにつきましては、具体的に人によって異りますので、一がいにこれを申すごときはできないわけであるというふうに考えております。
  18. 大川光三

    大川光三君 これも実例でございますが、かつての大阪の例を取りますと、御承知通りに、大阪高検検事長に藤原末作という人がおられました。ところが、同じように大阪地方裁判所所長小原仲という人がおりました。これは同期生です。同時に任官している。一人は裁判官に、一人は検事任官をして、ともに優秀な検事であり、裁判官であったのでありますが、二十数年後には、一人は検事長、一人は地方裁判所所長という実例がございまして、このことは大阪だけではなしに、他の地区にも相当ある実例でございます。そういうところから考えてみますると、山頂に到達するのに、一方は三十年かかっている、一方は二十五年で到達する、こういう場合に、いわゆる位置ごとの列をそろえるというと、むしろ検事が優位におって、裁判官が劣勢であるというような感じを受けるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  19. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま申し上げましたように、具体的の実例につきましては、ただいまお話のような実例はあるかと存じます。試みに、一般認証官になります年限につきまして、少し古いのでございますが、比較したものがございますので、それを申し上げますと、東京高裁長官平均年令は六十三くらい、それから、その他の高裁長官平均年令は六十二くらい、それから東京高検検事長平均年令は六十三くらい、それからその他の検事長並びに次長検事平均年令は五十八、そのほかの一般の他の特別職認証官考えてみますと、宮内庁長官は五十三、それから公正取引委員会委員長は五十八、衆議院事務総長は五十三、参議院事務総長が五十三、法制局長官は四十七、衆議院法制局長は五十三、参議院法制局長は五十七、大体そういうふうな平均年令、これは最近五カ年の平均年令であります。これから考えますと、なるほど検事長につきましては、先ほども、定年高裁長官よりも低いという事情によりまして、平均年令が低くなっておると言われますが、ただし、他の認証官に比べますと、非常に高いわけであります。そういう点をあわせてこの問題考えないと、正確な判断ができにくいんじゃないかと私ども考えておるのでございますけれども、しからば、具体的にどういうふうにすればいいかということにつきましては、ただいま結論を得ておるわけではございません。
  20. 大川光三

    大川光三君 なおこの点は、私もよく検討いたしますが、法務省の方でも御検討をわずらわしたいと思うのであります。時間がありますれば、その表をいただきたいのでありますが、時間の関係で進行いたします。  最高裁の事務総長がお見えになっておりますので、この機会に伺いますが、先ほど法務大臣から、本法案提案に先立って協定ができておると言われました。その協定内容はほぼ想像はついておるのでありまするが、結局最高裁判所側事務総長法務省の方は法務省事務次官、それから大蔵省大蔵事務次官の三者がお寄りになって、お話し合いがあったと伺いました。が、この協定の中で、判事特号は六十三才以上に適用するという内容については、検事総長も了承されておるのかどうかということをまず伺いたい。
  21. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君)  この協定のできましたいきさつにつきましては、先ほど法務大臣から申し上げましたのでございますが、われわれといたしましては、せっかく、先ほどお話のようないきさつで、八万円という一般行政職並びに検察官については特別の号俸がここに積み上げられましたことは、非常に喜ばしく存ずるのでございまするが、これを認めますることについては、それがついた法案を出すことについては、どうしてもこういう協定をしなければ、そういう法案提案はできない。大蔵省法務省と合議をしてこの法案を出すことになるわけでございますが、法務省並び大蔵省の強い要望がございまして、われわれといたしましては、こういう制限が設けられますると、せっかく認められました特号を受けられるものが非常に制約いたされますので、こういう協定には応じがたいのでございましたが、しかし、いろいろ勘案いたしまして、これをけりまして、判検事おのおの一号、行政官の上の人にやはり同じランクの法案が出まして、幸いに国会で修正でもございまして、八万円というようなものがもし認められますれば、それも一つ考え方でございまするが、諸般の情勢から考えまして、多少の——多少どころではない、非常な制限がございましても、やはり八万円という特号が認められる方が裁判所にとって有利ではないかというふうに考えまして、いろいろ理論的に、また実際問題といたしましても、この協定はのみにくい協定でございましたが、やむを得ずこれを認めました。そして八万円の特号のついた法案提案ということになった次第でございます。
  22. 大川光三

    大川光三君 最高裁判所には裁判官会議があって、人事その他の面についてのお仕事をなさっておると伺っておりますが、その協定内容は、裁判官会議にかけられたのでありましょうか。
  23. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) この報酬法案提案せられるまでのいきさつにつきましては、ときどき裁判官会議を開いていただきまして、報告をいたしておったのでございます。八万円の特号がこういう協定づきで最後の線が出ます際にも、今までの経過とともに、それを御報告をいたしまして、そして具体的なことは、事務当局の取扱いにおまかせを願った、こういうことになっております。
  24. 大川光三

    大川光三君 そういたしますと、結局正式に裁判官会議の同意があるものと、あるいは事務当局に委任されておやりになるにしても、一応これは、裁判官会議の事前または事後の承諾があると見てよろしゅうございますか。
  25. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) 結局裁判官会議の議を経ておるといってよろしいと思います。
  26. 大川光三

    大川光三君 そこが実は法務委員会といたしましては一つの重要な問題点であるのであります。われわれは、実際問題として、事件で、あるいは調停をするときがある、和解をするときがあります。そういうときに、調停官がどちらか一方を押えつけなければ調停ができないということは実際問題として間々あるのです。けれども、大いに積極的に賛成する場合、消極的に賛成しておっても、和解調書の基礎となるべき和解条項というものができてしまいますと、再び和解条項の作成当時にさかのぼって、その和解調書がいいとか悪いとかいう論議は許されない。しかるに、一番私の遺憾に思いましたのは、先ほど事務総長がお見えになる前に申し上げたのでありますが、今日の論議は、二月十七日の裁判所から要望書が出る以前の論議の継続であるということを私は申した。と申しまするのは、なるほど要望書内容をつぶさに拝見しますると、御無理ごもっともな論議であります。しかしわれわれは、先んじてこのことを非常に心配いたしておる。法務委員会は、先の裁判官報酬問題についても、これは重要な問題であるから、裁判官報酬一般職よりも上げ、検察官も同様にこれを優遇しなければならぬということは、法務委員会多年の主張であるし、方針であるのであります。しかるに、いやしくも最高裁判所裁判官会議の議を経てなされた調停条項、調停条項と言うと、ちょっと語弊があるかもしれませんが、法案の原案作成について正式なるルートを経てこられ、そうして原案ができて、ここに法案となってきた。それを下級裁判所裁判官が連名をもって委員会要望書をお出しになる。このこと自身が私は大いに考えさせられるのであります。もとより裁判官の切実な要望というものは、自分の重要なる職責を守り抜こうという熱意から出たものでございまして、一般世の中に行われておる賃上げ闘争としての集団的陳情でないということを固く私は信じておるのであります。しかし、その要望書を出すことについて、一体最高裁判所と何らかの了解があったのか、あるいは勝手に下級裁判所裁判官がああいうことをなさったのか、その点をまず伺います。
  27. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) 東京地裁その他の下級裁判所から国会方面に要望書が出ておりますが、これは、いずれもその各裁判所裁判官の発意によりまして出たものでございまして、最高裁といたしまして、特にその提出につきましてかれこれ申したことは全然ございません。
  28. 大川光三

    大川光三君 その下級裁判所裁判官がああいう集団的に要望国会になさるということについて、一体最高裁判所は、それが是であるのか非であるのか、あるいは是非を論ずべきものでないというお考えであるのか、要望書が出たことについての最高裁判所意見を伺っておきたい。
  29. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) 最高裁判所といたしましては、実はこういう熱烈なる下級裁判所裁判官の意思を察知いたしまして、それを予算なり、法案に盛られまするように最大の努力を払うべき責務があると考えるのでございます。従いまして、普通の場合でございますると、こういう形で国会下級裁判所裁判官から直接に御陳情を申し上げ、いろいろ要望を申し上げるということは、非常な異例と申してもよいかと存じます。ただ、この法案につきましては、先ほど申しましたようないろいろの事情によりまして、最高裁といたしましては、やむを得ずこの協定のつぎました法案提出に賛成をいたしましたのでございますが、下級裁判所といたしましては、これは、この要望書にもございますように、単に金額の問題でなく、司法が重要なことであるというので、そのおのおのの裁判官の気持を最高の国家機関であられる国会へ陳情申し上げ、そうしてできればそういう気持をおくみ取りいただきたいということでございますので、われわれといたしましても、そういう形をとらなければならないようになりましたことにつきましては、最高裁といたしまして責任を感ずるのでございまするが、しかし、そういう要望国会になされるということは、これもやむを得ぬことと存じまして、特にこの国会への提出を阻止するしか、そういうような手段はとらなかった次第でございます。
  30. 大川光三

    大川光三君 私どもは、ただ裁判所法案提出権をお持ちになっておらぬということについては、常に留意をいたしまして、すべての法案審議に当っておるのであります。そこで、勢いのおもむくところ下級裁判所裁判官がそういう挙に出られたということのその真意は了承するのにやぶさかではありません。しかし、今後はむしろ最高裁を通じてこういう要望をなさるのが妥当ではなかろうかと、かように考えます。と申しまするのは、いやしくも三者協定ができて、それが法案となって出てきたものを、一体法務委員会がその政府原案を直ちに修正することができるだろうか、それは不可能を要望されているのにひとしい、かように考えるのであります。これは私の私見でございまするけれども、むしろそういう要望があれば、それはやはり最高裁判所をお通しになるのが順序ではなかったかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  31. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) 全く仰せの通りでございまして、裁判所方面の意向は、最高裁を通じてなすのが常道であろうと私も考えます。
  32. 大川光三

    大川光三君 そこで、ちょっとまた法務大臣の方へ戻って伺います。  前回法務大臣の御答弁のうちに、裁判官待遇引き上げについて、今後いろいろと任用制度の問題にも触れてくると思う、かように御答弁がございました。一体任用制度の問題について、この際法務省は手を入れられるというお考えでございましょうか、伺いたいのであります。
  33. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これもまた、この前、時間の関係もございましたので、非常に抽象的に申し上げたのでございますが、実は今回の今御指摘のこの問題に関連いたしまして、これは私も、実は私の現在の立場で、裁判所判事諸公一同ということで意見が出ておりますことや、その中に書いてありますことについて、私は何ら言うべきではないと思いますので、これはわざと差し控えさせていただきたいと思いますが、やはり報酬俸給問題というものは、ただいまは、たとえば位階勲等であるとか、そのほか名誉なり、あるいはその職責重要性を表示するものはほかに何もございませんから、非常にこの俸給問題というものは重大に扱われるという点については私も同感でございます。それから、問題を二つに分けまして、今回のこの御審議を願っておりまする法律案それ自体については、まあ私どもとしては、不注意に、ケアレスに国会提出したのではございませんで、ただいまもお聞きの通り法務省といたしましては、最高裁判所の御意見があって後に、それまで実は再々予算関係法律案というので、閣議でも促進されたのでありますが、相当の時間の余裕を置いて手続が終了いたしましてから出しましたことと、それから閣議でも、これは一回で通りませんで、何べんもこれは、いわゆる判検事待遇という問題、その重要性ということにかんがみて、相当の議論を尽して、結論として、この法案を現状においては最善のものとして御審議をお願いするような手続をとったわけでございますから、この法案自体についていろいろ陳情書等に書いてありますことは、相当私は誤解もあるように思います。その点は残念に思うのでございますが、これは、お話をすればわかっていただけるものと思うのでございます。ところが、いま一つ問題として、これでいいのかどうかということになりますと、私は、これともうほんとうに並行して、待遇問題については、先ほど申しましたような関係もございますから、どうしてもこれは考え直さなければいかぬ、相当積極的な案を作るべきだと私考えておりますが、まだこうやったならばいいというような具体案を持っているわけではございません。  それから、任用資格の問題でございますが、判事検事の任用資格には、御指摘のように、差のあることはその通りでございますが、これは、率直に申しますと、実際問題としては形式的な差異であって、実質的な差異とはなっていないような私は感じがするのであります。たとえば、判事補十年以上の在職者は、ほとんどもうこれは例外なく判事に任命せられます。換言すれば、判事補はやがて昇進して判事に任命されるんだということを言い切ってもいい現状ではないかと思われます。これは裁判所のことでありますが、わきから拝見いたしておりまして、そういうような感じがいたします。この点は、検事が順次昇進してゆくのとどうも実質的に差異がないように思うのであります。しかし、このような判事任用の現実の姿は、さりとて早急に変更さるべきものでもございませんので、制度的に根本的な変革が加えられない限り、判事に対する給料について、検事に対する給料とは特に格差を制度的に設けるということは、先ほどもちょっと法律あるいは憲法問題の御質問のときにも申し上げましたように、特に格差をつけるということはいかがかというのが私の率直な気持でございます。従って、任用の将来の制度をどうするかということは確かに一つの研究問題である、これを俸給問題とあわせて、私は将来問題として考えるべきではないかという気がいたしますが、今かように直したらどうかという具体案を持っているわけではございません。
  34. 大川光三

    大川光三君 法務大臣は、三時から衆議院においでになるようでございますから、いま一点だけ伺っておきます。  先ほどいわゆる三者協定について裁判所側の御意向を伺いました。お聞きの通り、決して満足して御賛成にはなっておらぬのであります。そこで、この三者協定というものが一体いつまで続くのか、任用制度の検討のときに、すみやかにこれは一つ破棄していただかなければならぬと考えておりますが、いかがでございましょうか。
  35. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点、ちょっと申し落したのでありますが、政府部内の最終的な打ち合せのときには、この協定書に書かれてあるようなことを実は法律案自体の上に書いてくれという、かなり一部に強い要望がございましたが、これを私は、先ほど申したような経過から言って、そうなると、恒久的なものになりますから、それは私自身もいかがかと思いまして、法律案に出すことは取りやめにいたしました。ただ、そのかわりにと言っては恐縮でございますが、期間的にも、あるいは重さから申しましても、裁判所のこれを適用する運用の気持はこういうふうにやるのだということを、まあ念のためと申しますか、大蔵事務当局の安心等のためにこの協定を作ることに私は応じました。それから同時に、最初には閣議決定と申しますか、大臣同士の協定ということの形式も話題に上りましたが、これは事務的に運営の問題であるから、事務次官最高裁判所事務総長との間で協定すればいいのではなかろうか、こう考えて、協定書ができたわけでございます。
  36. 大川光三

    大川光三君 それでは一言伺っておきますが、結局その判事特号を六十三才以上にしろ新たに設けられておるということは、いわゆる裁判官優位という点を前提にしてのことでございましょうか。
  37. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほど申しましたように、なるべくこの裁判官の現状を尊重したいということで、優位の原則を恒久的に法律などの上に私は確立するということには踏み切っておりませんけれども先ほど申しましたように、個々のこの法律について、俸給を定めて参りまする場合に、なるべく判事に対して高い立場を与えたい、こういう気持でございます。
  38. 古池信三

    委員長(古池信三君) それでは、委員の各位にちょっとお諮りいたします。法務大臣が衆議院の本会議に出陣を要求されておりますので、退席を認めたいと思いますから、御了承を願います。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  39. 古池信三

    委員長(古池信三君) 速記を始めて。
  40. 大川光三

    大川光三君 津田さんにちょっとお伺いいたします。  この報酬俸給問題ですが、これは現実にはやはり昇進俸給制的なものであると考えます。しかるに、報酬俸給の別表には、一般俸給表にあるように昇給期間の基準というものが明示されていないようでありますが、それはどういうわけなんでございましょうか。
  41. 津田實

    政府委員津田實君) 俸給表には、一般職の場合と異なりまして昇給期間の定めがございませんが、一般職におきましても、高給の者につきましては、たとえば一等級の者につきましては、昇給の期間というものが定めてございません。これは、人事院の規定によっているわけであります。そこで、裁判官報酬等に関する法律の十一条におきましては、「裁判官報酬その他の給与に関する細則は、最高裁判所が、これを定める。」こういうことになっております。  それから検察官俸給等に関する法律におきましては、「法務大臣は、初任給、昇給その他検察官の給与に関する事項について必要な準則を定め、これに従って各検察官の受くべき俸給の号等を定める。」「前項に規定する準則は、法務大臣が大蔵大臣と協議して、これを定める。」これによっているわけであります。
  42. 大川光三

    大川光三君 認証官との今度は関係でありますが、この改正に伴いまして、認証官である裁判官検察官一般裁判官検察官上位者との収入差というものは、これはますます狭まつて参りまして、中には、検事一号が検事長月額平均においてしのぐというような変則事態も生ずるようでありますが、認証官報酬俸給を大幅に引き上げるとか、あるいは認証官にも管理職手当を認めるとかいうようなことにしないと均衡を失するのではなかろうかと、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  43. 津田實

    政府委員津田實君) その点は、従来も政府部内においても問題になりましたところでございますが、お手元にございますと思いますが、「裁判官検察官報酬俸給一般政府職員の給与との比較変遷表」によってごらんいただきましてもおわかり下さいますように、認証官につきまして、特別職、すなわち裁判官以外の特別職認証官につきましては、ベースアップがございますが、据え置かれておる場合も多いわけであります。現に、現在におきます内閣総理大臣、各国務大臣内閣官房長官等の俸給表はいまだ施行されておりませんにかかわらず、内閣総理大臣と同格である最高裁判所長官、それから国務大臣と同格であります最高裁判所判事検事総長というような者につきましては、現在の特別職認証官の給与額の表と同じ額を認められて、その通り施行されておるわけであります。これで、実質上の給与の差異が各大臣と最高裁判所長官あるいは判事との間にあるわけであります。そういうような状態もございまして、今、この一般認証官俸給を増額するということは困難な情勢にあるわけであります。それに伴いまして、最高裁判所長官以下判事判事と申しますか、認証官たる裁判官、あるいは検事総長以下の認証官たる検察官につきまして、俸給を上げるということは困難な実情になっておるわけであります。こういうふうに、一般特別職の職員の場合と裁判官検察官たる認証官の場合とパラレルにいかなければならぬかどうかということには、やはり問題があると思うのでございますけれども、これは、報酬俸給法律ができました当初からの、何と申しますか、慣例的になってきておるものでありまして、今直ちにこれを改めるということは困難であると思いますが、この点はまた、先ほど大臣も申しましたような任用資格の問題とか、そういう問題が解決されれば、自然に解決されていく問題ではないかというふうに考えておる次第であります。
  44. 大川光三

    大川光三君 以前に伺っておったのですが、裁判官の給与改善の一環として、当局では、管理職手当支給対象の増員、調査研究費、職務雑費等の新設を計画せられまして、予算要求をせられたやに伺っておりましたが、これらの手当の内容並びに予算折衝の状況はどうなったか、これを伺いたいと思います。
  45. 守田直

    最高裁判所長官代理者(守田直君) 私からお答え申し上げます。  ただいまお尋ね調査研究費の点でありますが、これは、要求予算が、最高裁判所裁判官月額で三万円、その他のいわゆる一人前の判事に各一万円、合計一億四千九百十六万円といった額の要求をいたしたわけであります。次に、管理職手当でありますが、これは、判事二号以上、簡易判事三号以上のそれぞれ特殊のポストについておる人たち、合計千名程度の者につきまして、俸給月額の二五%ないし一二%程度の管理職手当を支給し得るように要求いたしました。これらの調査研究費及び管理職手当につきましては、まず調査研究費は、全然いれられなかったわけであります。それから、管理職手当は、そのうちわずか百二十八名に限りまして認められましたが、そのほかの部分の新しい要求は、全部認められなかったという状況であります。これは、私たちの努力の足りなかった点もありますが、また、技術的にも下手だった点もあったかと思われますので、今後十分努力いたしたいと思っております。
  46. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま裁判所側から御説明がありましたが、検察官について申し上げますと、検察官につきましては、高等検察庁の次席検事、高等検察庁の部長検事、地方検察庁の検事正、地方検察庁の次席検事並びに最高検察庁検事、高等検察庁の支部長、地方検察庁の支部長及びこれらの官職に準ずる検察官で、法務大臣の指定する者につきまして、月額の一二%の、俗称管理職手当といいますが、特別調整額を付することになっておりましたが、現在の員数は、検察官にしましては百六十八名でございます。本年四月以降の予算に計上されておりますものが、検察官二百三名でございまして、従来より三十五名増加いたしております。
  47. 大川光三

    大川光三君 ちょっと裁判所側に伺いますが、先ほどの認められた百二十八人の管理職手当という中には、簡裁判事は入っておるのでしょうか、いかがでしょうか。
  48. 守田直

    最高裁判所長官代理者(守田直君) 新規に認められました百二十八名につきましては、簡裁判事は入っておりません。だいたい在職二十七年以上の判事につきまして認められたというにすぎないのでございます。
  49. 大川光三

    大川光三君 私は、以前から、この簡裁判事の中ででも、特に管理監督的地位にある、司法行政事務掌理者の指名を受けておる簡裁判事に対しては、管理職手当を当然に出すべきじゃないかという考え方を持っておるのであります。御承知通りに、簡裁判事のこれらに該当するような人は、地区的に申しますと、大体衛星都市における簡裁の判事に多いのであります。ところが、衛星都市において、たとえば、小学校の校長であるとかいうのは、当然に管理職手当がついておる。おそらく警察署長等もついておると思うのであります。それに対抗して、ただ裁判官と検察管の優位という問題よりも、こういう一般行政職の人とも考えてみて、簡裁判事にも管理職手当あってしかるべしと、かように考えますが、いかがでしょうか。
  50. 守田直

    最高裁判所長官代理者(守田直君) 本年度簡易判事司法行政事務を掌理する人合計二百八十六名につきまして予算の要求をいたしたわけでありますが、残念ながら認められなかったわけであります。今後、お説の通り、当然ポスト的に管理者手当をつくべき性格のものでありますので、ぜひ実現いたしたいと思っております。
  51. 小林英三

    小林英三君 大川さんの質問に関連して。先ほどから裁判官並びに検察官報酬俸給問題について、専門家であります大川委員からるる質疑応答があって、私ども非常に耳を傾けて拝聴しておったのでありますが、それに関連いたしまして、私は、特にこの際、国会審議権という問題について御質問してみたいと思います。  先ほどから法務大臣あるいは最高裁の横田事務総長なんかの答弁を聞いていると、法務大臣も、それから事務総長も、ともに、この審議中の報酬問題等につきまして、非常に遺憾の意を表せられた。ことに愛知法務大臣は、二十二年のときには他の公務員との問において四割も違っておった、二十六年のときも改正して、今日ではほとんど同額になっておるというようなこともある、非常にただいま審議中の報酬問題については内心は遺憾なんだ、しかし、三者会談といいますか、大蔵省等との会談において、三者協定ですか、協定に基いてやむを得ずこういうものを出してみたということでありました。しかし私は、大蔵当局との協定ということは、これは予算に関連した財政当局との間の協定でございまして、われわれ国会において審議するものから考えれば、参考にはできますけれども、しかし、これはわれわれの審議権に対して強制力はない、将来とも。私はそう思うのです。ですから、予算を超過するようなことがあったって、この問題は、憲法にも規定してあるように、相当額報酬をやるべきものであって、その相当額とは、今日の他の公務員に比較してこのくらいやるべきものであるという、国会審議においてわれわれが修正することができることだと思うのです。ところが、大川委員の御質問に対して事務総長等の御答弁というものは、何だかこう、国会審議というものを非常に軽視したように聞えるような御答弁があったと思うのです。私はそう思う。先ほど大川委員がおっしゃったことは、こういう三者協定ができていると、これは、実質的に今後の報酬改正等の問題に困りはしないかという御親切な御質問であって、これはどこまでもわれわれは参考にする問題だろうと思うのですが、この点に対してはどうですか、国会審議権と今の大川君の御質問は。
  52. 横田正俊

    最高裁判所長官代理者横田正俊君) われわれがこの案をのみました事情の中で、ちょっと国会で修正していただく道も一つあるなというようなことも申しましたが、この法案ができますにつきましては、いろいろな事情がございまして、結局われわれといたしましては、いろいろな観点から、やむを得ずこの法案をのまざるを得なくなったのでございますが、しかし、もちろん国会方面におきましてこれ以上いろいろ御修正をいただくなり、あるいは三者協定というものは法律の上に全然出ておりません、いわば裁判所行政官庁の間の話し合いのごときものでございますので、もし国会がこの法律を文字通りにそういうような制約を顧慮しないで運用せよというような御意向がはっきりございますれば、もちろんわれわれは、その御意向を尊重して運用いたしたいと考えております。
  53. 大川光三

    大川光三君 もう少し、事務的なことをお伺いいたします。これは、裁判所にも検察庁にも関係のあることでございますが、質問一つにして申し上げます。いわゆるこの判事の現在の特号七万五千円は同額の新二号に切りかえられるべきものと思われますが、その切りかえ規定がない。しかし、当然にこれは切りかえられ、別に新二号への発令措置を要するものと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。これは、検事の現特二号についても同じことが言えると思いますので、御見解をお伺いいたします。
  54. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまのお尋ねについてでございますが、御承知のように、現在ございます俗称判事特号検事の特二号と申します七万五千円は、法律上は、裁判官報酬に関する法律の第二条の二、検察官俸給に関する法律の第二条の二に根拠を持つものでございまして、第二条の二には、一般官吏の例に準じあるいは一般の例によって、その高い額の給与をすることができるという趣旨になっております。従いまして、法律上は七万五千円という額はどこにも出ておらない。そこで、その額を、改正法案におきまして、改正法の別表の何号かに切りかえるという措置は立法技術上困難であります。従いまして、この切りかわった場合にいかなる措置になりますかと申しますと、当然やはり現在の改正法案によりますれば、判事二号あるいは検事二号同額の者に発令するということが相当であると思いますし、またそうすべきものだというふうに考えます。
  55. 大川光三

    大川光三君 最高裁の方もそういうふうに、同じ趣旨でございましょうね。
  56. 守田直

    最高裁判所長官代理者(守田直君) 全く同一の理由によるものでございます。
  57. 大川光三

    大川光三君 もう一、二、三点……。最近お伺いしますと、現在裁判官の欠員が百名になっておる。検察官の欠員は四十名にも達しておる。まさに裁判官並びに検察官とも補足難に直面いたしまして、これは、司法の危機とさえ言われておるのでありますが、一体現在の在職十年をこえる判事補は、判事の任命資格を備えておるものは判事に任命すべきであると考えておるのでありますが、この点に対しては、かりに十年以上在職しておっても依然として判事補でとどまっておる人も多いのでありますが、これはどういう事情に基くものでございましょうか、伺いたいと思います。
  58. 守田直

    最高裁判所長官代理者(守田直君) まず、判事補の特一、二号といった、この号の報酬を支給されております判事補は、大体戦地から復員しまして、同期の者はすでに判事になっておりますが、裁判官の任命資格の関係で、同期よりは遅れて、まだ判事補にあるというような人、あるいはすでに十年の任期は来ておりますけれども、その間相当長い間病気をいたしまして、判事補としての修練が十年にまだ達していない、そのために一人前の判事として任官させることにちゅうちょされる、そういった人たちでありまして、普通の判事補で、しかも、十年たちました人たちは、すべて現在の判事の欠員状況の下においては判事任官いたしております。
  59. 大川光三

    大川光三君 やはりそれに関連するのでありますが、今度は簡裁判事特号についてのお尋ねでございます。簡裁判事に新たに特二号俸を設けられておるが、これは一体どういう理由でやっておるのでありましようか。
  60. 津田實

    政府委員津田實君) 判事定年は六十五でございます。簡易裁判所判事定年は七十才。そこで、判事定年に達した者が簡易裁判所判事に任命されることがあるわけでございまして、さようないわば有資格の判事は望ましいわけであります。そういう方々にとりましては、簡易裁判所判事になった場合に格段に給与が下るということを防ぎますために、簡易裁判所判事に特二号を設けたというわけでございます。
  61. 大川光三

    大川光三君 ちょっと最後に、いわゆる法曹一元化の問題についてでありますが、在野法曹から、裁判官または検察官に人を求めようという場合には、結局は相当額報酬問題が伴ってくると思うのであります。それがために弁護士の収入状況を調査する必要があるというので、当委員会においてもさような発言がなされておるのでありますが、その後、当局では、弁護士収入の調査という点についてのお調べをなさっておるかどうか。最近日本弁護士連合会の要望書によりますと、少くとも弁護士の収入額を月額十万円と見て、それに匹敵するような裁判官検察官報酬または俸給を出すべきである、そこまで司法官を優遇しなければだめだ、こういう意味要望書が出ておるのでありますが、それと思い合せまして、一体弁護士収入の調査を進めておられるかどうか、伺いたいのであります。
  62. 津田實

    政府委員津田實君) 前々回から、すでに大川委員からさような御質問をいただいておるわけであります。実は私どもも、弁護士収入の実情というものについては、非常にこれを調査し、かつ資料を得たいということを考えておるわけでございます。御承知のように、こと収入に関することでございますので、実際問題としては、非常にこれは困難でございます。税につきまして、所得税法の許される限りにおいて公表しておるというような性質のものもあるわけでございますけれども、それはごく一部の事柄でありますので、そういうようなものを資料にするということもできませんし、ほかには、個人的に一々お伺いするというわけにもいきませんので、非常に困難であります。弁護士連合会に対しましても、正式に資料を求めたことはないのでありますけれども、雑談的にお話をいたしました場合には、連合会においても、なかなか把握困難であるというような御趣旨を伺っておる。そういう実情でございますので、弁護士の報酬、所得といいますか、その内容は、ただいまのところ遺憾ながら調査把握いたしておらない次第であります。なお、いかにして弁護士から判事あるいは検事を求めるかというような問題につきましては、これは、現在の制度におきましてはなかなか困難であって、言うべくして実現ができないという状態になっておると思います。ことに弁護士の方々の収入と判事検事との収入の差もさりながら、仕事の内容自体の非常に複雑、まあ、いわば過労であるというような問題につきましても、弁護士から判事検事になることの魅力をなくしているのじゃないかというような点もあると見受けられるのでありまして、そういうような問題、結局、訴訟手続の問題と裁判機構、検察機構の問題全体について相当の改善手段を講じない限り、報酬のみによりましては、なかなか弁護士から判検事を求めることは困難ではないかと思うのでありますけれども報酬もやはり一つの大きな要素であることは、これは間違いないと思っておる次第でございます。従いまして、たとえば法曹一元を実現いたしますにつきましての前提条件というようなものを検討いたします場合におきましては、やはり判事検事たるべきものの、つまり裁判官の職務の内容自体に相当訴訟法的に、制度的に改善を加えますと同時に、任用資格につきましても、裁判官あるいは判事につきましては、相当違ったものを考える。弁護士からも名誉ある地位として判事になるというような制度になることが、非常にこの法曹一元化に至る近道であろうと思います。それに至りますまでには、いろいろな前提条件を克服しなければならぬと思いますので、それらにつきましては、鋭意検討を進めておる次第でございますが、まだ結論を、あるいは方針と申すべきものをここで申し上げるだけの段階には至っておらぬ次第でございます。
  63. 大川光三

    大川光三君 法曹一元化の問題は、まあ非常に言うべくして実行の困難な問題でありますが、私は、これはちょっと今、私自身の思いつきでありますが、たとえば裁判官報酬における英米流の定額報酬制というものも、一応わが国においても考慮しなければならぬのじゃないか、こう考えるのです。卑近な例かもしれませんが、この立法府の報酬というもの、国会議員というもの、端的に申しますと、これは一律平等なんです。ところが、司法部におきましては、いわゆるまあ在職年限に応じて格差があるわけですね、非常な。一律にしてしまったらどうか。いやしくも十年なら十年経って裁判官になった、いわゆる判検事になった場合には定額の報酬を出すのだ。国会議員は、ここに先輩の方々おられるけれども、古い方も当選直後の方も、全部一律なんです。そういうこととあわせ考えて、司法部においても、そういう思い切った案が考えられないだろうかということは、私の思いつきの試案でありますけれども、一ぺん御所見を伺いたい。
  64. 津田實

    政府委員津田實君) 定額報酬問題は、私どもも十分検討いたしております。英米にもちろん例があることでございますので、わが国にもできないわけではないと思うのでありますけれども、やはり問題は任用制度の問題に帰着すると思います。要しまするに、検事、弁護士あるいは大学の法学教授というような人を含めた、いわゆる広い意味からの最優秀者をすぐって判事に任命することができれば、その方々に定額報酬を、しかも、高額な定額報酬を与えても、何人もこれは非難をしないだろうと思うのでありまして、そういう制度に持っていく必要があるということはわかるわけでございます。ただ、それがいつ実現できるかという問題に対しましては、先ほど申し上げましたように、訴訟手続の面その他の面におきまして、いろいろ前提条件があるわけでございます。そういうものを一歩々々片づけていくということが当面の問題であるというふうに考えておる次第であります。
  65. 大川光三

    大川光三君 最後に私、先ほど小林委員からの御発言に関連して、私の考え方を申し述べたいと存ずるのであります。  先ほど裁判所並びに法務大臣との質疑応答のうちで、三者協定ができて、その基礎の上に立った本法案について修正をせよということは無理な注文であるというように申しましたが、それは決して、法務委員会としての審議権を放棄するとか、あるいは法務委員会審議権が三者協定に基く法案に拘束されておるという意味ではないというのが私の考え方でございまして、もし、速記録の上で、国会の——立法府の審議権がこれによって拘束されるというような、私の発言の趣旨がそういうふうでございますれば、これは訂正をいたしたいと、かように存じております。
  66. 古池信三

    委員長(古池信三君) 他に御発言はございませんか。
  67. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の第十六条、それから検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の第三条、この両方に、「恩給、退職手当若しくは寒冷地手当又は国家公務員共済組合に関する法令の規定の適用については、暫定手当の月額のうち最高裁判所が定める額は、報酬とみなす。」というのが一方にあり、一方は「法務大臣が大蔵大臣と協議して定める額は、俸給とみなす。」と、こうありますね。そこで、私が伺っておきたいのは、この「共済組合に関する法令の規定の適用」、これでありますが、これは、現在提案されております国家公務員共済組合法の一部改正、その法律が成立するものという前提に立っての規定になっておりますか。その点をお伺いしたい。
  68. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま仰せの通りでございます。
  69. 野本品吉

    ○野本品吉君 それでは、この点については、あとで大臣に伺いたいと思います。  それからもう一つは、この前の国会でも、私どもも最近における法務行政のヒットであり、また国民一般も非常な期待を寄せております総合刑事政策研究所、あれについては、その後どんな状況で進行しておりますか。それをちょっとお伺いしたい。
  70. 津田實

    政府委員津田實君) 法案の面で申しますと、衆議院において本会議で可決されまして、ただいま参議院の内閣委員会に付託されております。本日提案理由の説明を行いまして、質疑が続行されるという状況になっております。なお、今の問題を含んでおります法務省設置法の成立を予想しまして、部内におきましては、いろいろ準備を進めておる次第でございます。
  71. 古池信三

    委員長(古池信三君) 他に御発言はございませんか。——別に御発言はなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。次回は三月十日火曜日午後一時より委員会、同じく零時五十分より委員長及び理事打合会も開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会