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1959-02-17 第31回国会 参議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員異動 二月十三日委員川村松助君及び下條康 麿君辞任につき、その補欠として岡崎 真一君及び苫米地義三君を議長おい て指名した。 二月十四日委員岡崎真一辞任につ き、その補欠として川村松助君を議長おいて指名した。 二月十六日委員藤原道子辞任につ き、その補欠として坂本昭君を議長おいて指名した。 本日委員苫米地義三辞任につき、そ の補欠として下條康麿君を議長おい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            後藤 義隆君            中野 文門君            松永 忠二君            竹下 豐次君    委員            大谷 贇雄君            川口爲之助君            川村 松助君            近藤 鶴代君            下條 康麿君            林屋亀次郎君            吉江 勝保君            岡  三郎君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    文部政務次官  高見 三郎君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中    等教育局長   内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文部省体育局長 清水 康平君    文部省調査局長 北岡 健二君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (昭和三十四年度文教関係予算に関  する件) ○社会教育法等の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。  委員異動がございますが、特に前回委員と異なる分についてのみ報告をいたします。  二月十六日、藤原道子君が辞任されまして、補欠として坂本昭君が選任されました。   —————————————
  3. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 前回に引き続き、昭和三十四年度文教関係予算を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 湯山勇

    湯山勇君 前回義務教育費国庫負担金に関連いたしまして、来年度の教員定数の増について、大臣にいろいろお伺いしておったわけでございまするが、前回質問によりまして、すし詰め教室解消の五カ年計画が一年ずれてきておる、そういういきさつと、それから定数増の中に昨年の法律及び政令によって増加した分が見込まれていない、こういうことについていろいろお尋ねしたわけでございますが、結論的にはそういった一年ずれたこと及び定数増の中へ政令によって増加したものが含まれていない、そういうことによって予算通り定員増が行われない、そういうことがいろいろ現場に支障を来たす、そういうことについては大臣の責任において早急に対策を立てるという御言明をいただきましたので、その大臣からお約束いただいたことについて、どのような措置をおとりいただいたか、まずお伺いいたしたいと思います。
  5. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) お話ございまして、ごもっともでございまするので、さつそく処置をいたしておきました。十六日付で各都道府県知事都道府県教育委員長にあてまして「昭和三四年度における教職員暫定定数算出方法について」という通牒を出しました。その要旨は、三十三年五月一日以後、三十三年度中において、教職員増員を行なつた府県にあつては、本則定数に対する現員の充足率が最高となつた時点における数値を基礎として、改正政令附則第8項の方式による算定を行い、これによって得られた数を目途として、本則定数充足について一そう努力されることは望ましいことと認められるので、この趣旨を御了知の上、適切な措置を講ぜられるように御配慮願うという趣旨の通知を出しておきました。  で、これによってやつていきますれば、精算負担国庫負担の方もめんどうを見まするし、それから地方関係の分につきましても本則定数の範囲内であれば、交付税制度の策定の基準等もここに置いておりますので、間に合うと考えておる次第でございます。ぜひこの通牒趣旨に従って、各府県措置をされるようになおこれからもせいぜい促進をはかつて参りたいと考えております。
  6. 湯山勇

    湯山勇君 さつそくにそういうような通牒を出していただいたことについては非常に感謝をする次第でございます。  ただ、この際お願い申し上げたいことは、望ましいという表現の御通牒をいただいただけでは、おそらくなかなか実際には大臣が御期待になつた通り増員が行われにくいのではないかという懸念を持っておりますが、これについては、一つ文部省として直接それぞれの県の様子はおわかりだろうと思いますから、今の指導助言あるいはその他の方法によって、今通牒をお出しいただいた趣旨のことが実現するようにぜひ御尽力いただきたいと思います。問題は、やはりこの教育委員会側にあるのではなくて、知事あるいは県の理事者側にあるのでございまして、ただいまの交付税等の問題にいたしましても、明確な指示がなければ約束がなければ、なかなかできにくい問題だと思いますから、なおこの上とも御善処をお願い申し上げたいと思います。
  7. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御要望のあります通りするつもりでございます。
  8. 湯山勇

    湯山勇君 それから、前回やはりお尋ねした中で、私いろいろ考えてみまして明確にならない点は、今回教育機会均等予算の中で要保護あるいは準要保護、こういうものが新たに加えられて参つた点については、先般内藤局長からある程度お話がございましたけれども、どうも私にはその区別がはっきりしないので、重ねてお尋ねいたしたいと思います。それは、特に今回実施なつ学校保健法実施に伴う問題が多いかと思いますが、要保護及び準要保護児童生徒医療費補助についてでございますが、これは前回生活保護ではどうも行き届かない点があるからそれでそういう分について文部省予算の方で見ていくのだ、こういうお話でございましたけれども、本来生活保護というのは、そういったような画然とした区別があるはずはないのであつて、これは当然生活保護によって治療しなければならない児童生徒もその対象になるべきものだと思います。ところが、その中をこういうふうに分けてくるということになると、これは厚生省の方の予算との関連もありますし、それから当然それらの単価の問題、機関の問題、いろいろあると思いますから、これは特に法律に基く新規な御要求でございますから、もう少し内容について伺いたいと思うわけでございます。まず、要保護あるいは準要保護、特に要保護ですけれども、その中で厚生省の方と疾病種類によって協定ができておるかのような前回の御発言でございましたが、それはどういう根拠に立ってどういう協定ができておるのか、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  9. 清水康平

    政府委員清水康平君) ただいまお話がございましたが、御承知のように、生活保護法を見ますというと、扶養義務のある人あるいは他の法令に規定してある場合は、それが生活保護法に優先するという規定がございます。従いまして学校保健法につきましても要保護、準要保護につきましてそういう規定がございますので、児童生徒疾病については学校保健法で見るということになっております。しかし、そうはいいましても、何から何まで学校保健法で見るというわけには参っておりません。それで法律に基く政令に定むる疾病だけでございます。それを申し上げますというと、トラホーム、それから結膜炎、それから伝染性皮膚疾患——これも白癬と疥癬と膿痂疹に限られております。それ以外のものは保護法に譲ることになっております。それから中耳炎、それから蓄膿症——蓄膿症と申しましても乳様突起炎を伴わないものに限るということになっておりますので、伴うものは生活保護法で見ることになるわけでございます。それからアデノイド、このアデノイドも指定されております。それから齲歯——虫歯でございます。それから寄生虫卵保有、この八種目が指定されております。法律に基く政令によりまして学校保険法で見ることになって参るわけであります。これは要するに伝染病あるいは学習支障のある疾病といたしまして、こういう病気が発見されたならばすみやかに治療をいたしまして、学習支障ないようにいたすというのが目的でございます。それでただいま申しましたように伝染性皮膚疾患でも三種類に限定しておりますし、それから齲歯にいたしましても、これは御承知のごとくいろいろな程度があるようでございます。C1、C2、C3、C4というようなものがあるようでございますが、要するにこれは潜在鶴歯とでも申しますか、アマルガムの充填で治療できるものだけでございます。それ以外のものは学校保健では見ない。要するにこういう伝染病あるいは学習支障のおそれのある疾病を早くなおすというところに目的があるのでございまして、その限りにおきまして学校保健法でやつているような次第でございます。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 それで大体内容はよくわかりましたが、そうすると、たとえば蓄膿症なら蓄膿症にいたしましても、学校保健法によってやつてつたけれども、手に負えなくなると今度は生活保護に回す、そういう、場合によれば、疾病によっては切りかえが途中で行われるというようなことがあるわけでございますか。もう少し申しますと、たとえば中耳炎なら中耳炎にいたしましても、まあ簡単な手当で済む間はいいのです。中耳炎手術をしなければいけないというような事態なつた場合には、これはもうこの適用からはずされて、今度は生活保護の方に移る、こういうことになるわけでございますか。
  11. 清水康平

    政府委員清水康平君) ただいま申しました以外の重い病気になりました場合には、生活保護法で見てもらうということになるわけであります。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 私がお尋ねしているのは、病気種類はこれでよくわかりましたし、大体の程度もよくわかりましたが、たとえば蓄膿症なら蓄膿症にいたしましても、それが進行していって非常に重くなり手術を必要とするというような事態なつた場合には、もう学校保健法適用じやなくて、今度は生活保護法適用ということに、同じ人間が治療の過程において切りかえられるという場合ができるのじゃないかということをお尋ねしているわけでございます。
  13. 清水康平

    政府委員清水康平君) 建前といたしましては、たとえばアデノイドというようなものでも手術するようになりますと向う——向うと申しますか、厚生省で見ていただく、それから齲歯でも今、C1、C2だけと申しますか、潜在齲歯だけでございまして、歯を抜くというようなことは生活保護法で見ていくということになっております。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると、ここで特に私は気をつけなければならない問題は、この法律によって治療を続けておつて、どうもこれは重いから生活保護の方に切りかえようという場合に、これは大臣が一番よく御存じのように生活保護のワクは相当窮屈です。そこで、この子供生活保護の方に回してやろうという段階になって生活保護の方で締め出されまして、結局そのまま放置されるというようなことがあつてはこれは大へんなことになると思いますが、その辺が円滑にいくような方策というものは厚生省との間にちゃんとお話し合いがついているのでしょうか。それはそれ、これはこれというような格好でばらばらになっておるのか、その辺お伺いいたしたいと思います。
  15. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御指摘の点につきましては、最初学校保健法を作る際に、厚生省にこの問題は持って参りました。学習上非常に支障があるからどうしましょうということで御相談に参つたわけでございます。ところが、厚生省といたしましては、率直に申しますと、ぜひそこまで厚生省としてもやりたいが、こういうものはとてもそこまで手が伸びぬので、ぜひやつてもらいたい、しかし、これはどうしても学校保健法で手の届かないところはこちらでもって見るようにするから、こういうことでこの話が進んでおるわけでございます。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 その点よくお話し合いができているようですが、なお末端ではそういう点は十分了解できてないだろうと思います。ぜひそういうことが支障なく行われるように徹底方をお願いいたしたいと思います。  それから……。
  17. 相馬助治

    委員長相馬助治君) その質問はそれで終りですか。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 ええ、今の点は。
  19. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 関連して私からお尋ねしておきたいのですが、この種の社会保障の問題については、かつて内閣審議会委員もやつて、若干関心を持っておつたのですが、実はこの文部省厚生省との間の話し合いは、事務的に行われていたかもしれないけれども、事実は円滑にいっていないというのが現状ではないかと思うのです。それをだれがかぶつているかというと、診療担当者である地方医者とか病院がかぶつているというのが現実じゃないかと思う。いわゆる事務的には話が中央ではできているとしても、現実の問題として進みつつある病気、それから治療しなければならない子供、これを目の前に置いて事務手続云々を申していることができないので、勢い診療担当者が積極的にやるかやらぬかというふうな問題になっているというのが現状のように思うのです。今の体育局長の答弁も、もちろん悪意があるものとは思いませんけれども、湯山委員指摘の問題は、下部ではそう簡単にいっていないようでございますので、なおこの際現実を調べて、厚生当局とも打ち合せられて、一つ完全なるものたらしめるように、本予算に関連して私からもお願いしておきたいと思います。
  20. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまの問題、私も細目を知りませんけれども、委員長指摘のようにする必要があると思います。一番大事なのは、理屈は先ほど体育局長から御説明した通りですが、御承知のように、生活保護法だと社会福祉事務所へ行きますし、第一、窓口が違います。移管の場合は、たとえばこっちで扱つていたものを向うへ移したら必ずそれを引き継ぐ。引き継ぎ手続をどうする。おそらくそれは文部省厚生省との間にできているのだと思いますけれども、そういう点をもう一度念を押さしまして扱う役所も違うことになるはずだと思います。うまくいくようになお当つてみたいと思います。
  21. 湯山勇

    湯山勇君 それから次に、この問題でお尋ねいたしたい点は、教科書補助などについて準要保護というのを見込んでおられますし、修学旅行についても見込んでおられますが、私は医療費補助対象になる要保護、準要保護というのは、こういう御指摘なつたような疾病は大部分貧困に伴うものが多いと思います。今の皮膚病にいたしましても、トラホームにいたしましても、結膜炎にいたしましても。そうすると、ただ普通考えられておられるように、要保護が二・五%で準要保護が二%という、この算定はどこに根拠をもっておやりになつたのか。右へならえでおやりになつたとすれば、これは少し低きに失するのではないかという感じを持ちます。と申しますのは、すぐその下にある特殊学校におきましては、要保護が一一%、準要保護に至っては三四%で、この特殊学校おい対象になるものは四五%、約半数になっております。で、これに一番近い状態にある、こういう疾病を持っておるものを、その十分の一、他の要保護、準要保護と同じような率で御計算になると、これは非常に窮屈になるおそれがあるのではないかということを考えますが、この医療費補助対象となる要保護の二・五%、準要保護の二%は、これはあまりにも低きに失するのではないか。特にそれにかなり近い条件にある特殊学校の要保護、準要保護に比べて、あまりにも低きに過ぎるのではないかという感じを持ちますが、それについて文部省はどういうふうに御把握になっておられるのか、伺いたいと思います。
  22. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御指摘の点は全くおっしゃる通りでございまして、私どもいろいろ調査いたしましても、何と申しますか、貧困の階層の方々の被患率は相当に多いのでございます。たとえば、トラホームにいたしましても、結膜にいたしましても、あるいは伝染性皮膚疾患中耳炎、こういうものにいたしましても、相当多いと見込んでおるわけでございます。それで、これは学校衛生統計調査によりまする全国の被患率がございますが、それをそのまま持ってきてはどうだろうかと思いまして、この学校保健医療費補助に対しましては、貧困方々の被患率が非常に多いと思いますので、五割増しということで計算をいたしておるような次第でございます。
  23. 湯山勇

    湯山勇君 五割増しにいたされたのがこういうふうになつたのか、たまたま偶然に一致したのか、たとえば、修学旅行の方も同じような率になっておりますし、それから準要保護のパーセンテージは他の教科書の場合、その他もみな二%になっております。こういうふうに考えてみると、果してそのままの率を適用していけるかどうかということに私は非常に疑問を持つもので、これは何か右へならえでやつたかのごとき印象を受けるのですけれども、五割増しになればもっとふえる——これはわかりませんけれども、もっとふえてしかるべきじゃないか。特に特殊学校おいては要保護が一一%、準要保護が三四%、これは小数点があるわけではないのでしよう。そうすると、四五%になっておるし、それと一番近い状態にある、こういう疾病を持っておるものが、その十分の一で押えられるというのは、いかにも少な過ぎるような印象を受けますけれども、これで十分だとおつしやれば私は何をか言わんやで、これはどうなんでしょうか。
  24. 清水康平

    政府委員清水康平君) 五割増しいたしましたところは、説明が足りなかったのでございますが、トラホーム結膜炎、それから三種の伝染性疾患皮膚疾患、それから中耳炎蓄膿症でございます。それからアデノイド齲歯、特に齲歯は非常に多いのでございます。これは一ぺんにはできませんので、実は被患率のこの学校衛生統計の三分の一を本年見ようと、全部見ようとするというと、齲歯医療費だけになってしまうおそれがありますので、齲歯の方を三分の一にし、アデノイドの方を二分の一というふうに計算し、他方トラホームとか結膜皮膚疾患中耳炎蓄膿症の方を五割増しにいたした計算でございます。実施いたしまして、その状況によりましては、より一そう要求しなければならぬと思っている次第でございます。それから、ただいま湯山先生から、特殊学校については四五%あるじゃないか、そのうち要保護が一一%で、準要保護が三四%、これは実に多いのでございまして、びつくりするくらい、約十倍ございます。これにはいろいろ原因があるかと思いますが、何と申しましても盲と、ろうが先天的な場合もありましようけれども、後天的な場合も相当あるように聞いております。言いかえれば、生まれてから、少くとも十才くらいまでの間に耳鳴りなど早くなおしておかなければいけない、トラホーム結膜をほうつておいてはいかぬ、そういう意味合いからもぜひ耳とか目などを早くなおしておく必要がある。そうすれば、特殊教育の方の率も次第に少くなっていくのじゃないかと思っているような次第でございます。まことにしろうとのような意見でございますけれども……。
  25. 湯山勇

    湯山勇君 それから、今の点はよくわかりましたが、何しろ初めのことですから、一つ十分御検討いただいて、将来改善すべき点は改善していただきたいと思います。  次に、これで果してなおるのかどうかという問題でございます。およそ医療費には、それぞれ治療基準がありまして、大体どれだけいけばなおるというのがあると思います。これは医療単価の問題とも関連して参りますが、果して今厚生省の方でおきめになっている医療単価、そういうものと、大体この病気がどのくらいでなおるという平均治療日数があると思います。それらを照らし合せてみて、果して金額についてこれはあまり少な過ぎるのじゃないかという、これも印象ですけれども、これだけの子供を、こういうこれだけの病気をなおす、トラホームにしてもそんなに簡単になおる病気じやありませんし、中耳炎にいたしましても、もうあの子供たち中耳炎というのは相当長期を要する性質を持っておると思います。果してそういうことをちゃんと見込まれて、医療単価、つまり耳なら耳の中耳炎手当一回何点で幾らというのがございますが、そういうものと合せて検討した上でこういう金額が出てきたかどうか、これを一つお伺いいたしたいと思います。
  26. 清水康平

    政府委員清水康平君) 医療単価の問題でございますが、これは出し方の問題いろいろあると思いますけれども、御承知のごとく、甲表乙表がございまして、これは厚生省と打ち合せまして、統計によりますというと、甲表の被患件数は全国は一割五分になっております。それから乙表は八割五分になっておりますので、これを勘案いたしまして、点数に所要の日数をかけまして、そうして割合を出して単価を出しておるわけでございます。それで旧単価と比較してみまするというと、それぞれ全部上っておりますが、ただアデノイドだけこれが少くなっております。たとえばトラコーマにつきましては、単価が、これは日数が二十五日でございますが、千三百六十一円、こういうことに相なっております。旧単価は千八十円、中耳炎にいたしますというと、これは十七日というふうに見込みまして、甲表乙表を勘案いたしまして、旧単価、七百二十円が七百五十七円というふうになっておるわけでございます。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 今の中耳炎が十七日でなおるというのは、これはどういう根拠があつておきめなつたのでしょうか。予算の方から日数をしぼつてきてやつたということになると、途中で足りなくなって困るというような事態が起るのじゃないかということを心配しますが、その点どうなっておるのでしょうか。
  28. 清水康平

    政府委員清水康平君) 補助積算といたしましては、ただいま申しました通り、たとえばトラコーマは二十五日、トラコーマといっても、いわゆる重トラ中トラ、小トラとか、疑似トラとか、いろいろあるようでありますが、そのいろいろの条件によって二十五日でなおるのもあるだろうし、二十日でなおるのもあるでしようし、四十日でなおるのもございましょうし、これは予算積算単価で二十五日になっておりますが、これが果して妥当かどうかという点につきましては、実施を見まして考えていかなければならぬと思いますけれども、厚生省、大蔵省と打ち合せの結果、一応二十五日になっております。御参考までに申しますというと、トラコーマが二十五日、結膜が八日、それから蓄膿が八日、中耳炎が十七日というふうになっております。
  29. 湯山勇

    湯山勇君 これもやつてみなければわからないと思いますけれども、これでもし実際足りなくなつた場合は、将来補正するとか何かしないと、この国庫負担法の場合は、これは問題ないのですけれども、国庫補助の場合はそういう何かなければ、予算がなくなつた場合に、実際に治療が打ち切られるということがあつては困ると思うのですが、その点は心配のないようになっておるのでしょうか。
  30. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御指摘の点はごもっともでございますが、一応これは大体の平均をとつておりますので、今後の実施状況によりましては考えなければならないと思っております。
  31. 湯山勇

    湯山勇君 もう一点、この問題についてお尋ねしたいことは、そこで大体全貌は明らかになりましたし、今のような御配慮があれば、大体心配の点はあまりないと思います。ただ一つ心配なことができてくるのは、こういうふうにお医者さんが中耳炎治療をする、トラコーマ治療をするというようなことがございましても、これはこの前の学校保健法のときにもずいぶん問題になりましたが、巡回の制度を作つて、巡回診療などやつていこうというようなお話もありましたけれども、ここで治療をしていく、特にトラコーマにいたしましても、結膜炎等にいたしましても、これは島の僻地とか、山奥の小さな部落とか、そういう所に非常に多いと思います。かえつて都会は割合にきれいですから、そういう病気が少いと思うのですが、むしろお医者さんのいない所にこういう病気の罹病率が多いというようなことを考えてみますと、せつかくこういうふうにしていただいてやりましても、実際に当つてはそういう恩恵を受けられない。必要なところに医師が差し向けられないというような事態がずいぶん起つてくるような感じがいたします。それについては特に対策がなければならないと思うのですが、特別な対策をお持ちになっておられるかどうか、伺いたいと思います。
  32. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御承知のごとく、僻地につきましては、本年度から総ワクはわずか五百万円でございますが、僻地につきまして大体医療機関から十二キロ以上離れた所に、お医者さんを僻地に巡回診療に回らせる、回ってもらうという経費をとつておるわけでございます。これとただいま御指摘の、いわゆる学校病との関係でございますが、この点につきましては診療いたしまして、もしトラコーマ結膜が発見されたならばどうするかという問題が出てくるわけでございますが、病気程度によりましては、毎日医者のところに通つていただくなり、学校で洗眼していただくなりしなければならぬと思いますけれども、なおこの点につきましては今後十分検討いたしまして、より一そう充実していかなければならぬと考えておる次第でございます。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 この点に対する御説明はちょっとまだ安心ができないのですが、と申しますのは、今のように十二キロといえば元の里程に直して三里ですから、子供の足で歩いても三時間、往復六時間かかるわけでございます。そうすると、せつかく初め診察を受けて、これはこうだから治療を要すると、こういうことになっても、診療機関までが十二キロ以上の所について特別な配慮をしておる、こうおっしゃっても、なかなか十二キロまでのところだつて往復六時間ですから、子供の足で通うというのは大へんな負担ですし、実際問題としては不可能になってくるのじゃないかという気がいたします。で、これについては、私は巡回診療というようなことだけじやなくて、特に夏休みとかそういった長期の休暇を利用してやると。そうすると、ずいぶんお医者さんに対して無理がいくと思うのですね、その期間中……。だから、何かそういう点についての特別の配慮がなければ、結局今お話のような点では、僻地の子供たちは救われない。特に必要のある僻地の子供たちが救われないという事態が、これは今からでも予見できることで、これについては私はもっと積極的な対策が必要じゃないかということを感じますが、その点いかがなものでしよう。
  34. 清水康平

    政府委員清水康平君) 本年初めて予算に計上したわけでございますが、この実施につきましては、各方面の意見を聞き、ただいまの御意見も参酌いたしまして、十分遺憾ないように処置いたしたいと思っております。夏休みを利用するとかその他いろいろな方法があるだろうと思っております。
  35. 湯山勇

    湯山勇君 私、まあきようはこの点だけお尋ねして、あとは次回にしたいと思いますから……。これは大臣にも特にお願い申し上げたいと思います。他の点についてはいろいろ御準備も整つておられるからまず心配ないと思いますけれども、今の僻地診療につきましては、どうもお話を聞いても非常に不安に感じます。そこで、まあいろいろ御検討いただいて、実施に当つて僻地が取り残されるということのないように、さらに早急に御検討いただきたいと思います。そのことを強くお願いしておいて、この点についての私の質問を終つて、あとの問題についてはまた次の機会にさせていただきたいと思います。
  36. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の点で関連して、少し私、あるいはもうすでに御答弁になっておられるのかもしれませんが、実際はどういうふうに一体各市町村に分けていくのかということであります。ちようど教材費かなんかのように、給食のように、各市町村でそういう人の数を出して、必要費用を県の方へ要求をして、そうしてそれに基いて県が配分をしていくのか。普通の場合には、教材費のような場合には、大体生活保護の児童を調べて、それに配分をして、各市町村へ分けておるわけなんです。ここに出ておるように、二分の一、四分の一の準要保護なりあるいは要保護の児童の費用を市町村で負担しなければできないわけですから、市町村に予算を計上しておかなければ事実上この仕事はできないわけです。そうなってくると、勢い私は大体こんなふうになるのじゃないかと思うのですが、各市町村で該当する学校病と思われるような患者の数を出し、そしてそれに要する費用等を申請をさせて、そしてそれに基きながら、なおかつ全体の生活保護の児童の数に按分をして、それと調整をして、各学校の割当分をきめてしまつて、結局各学校では割り当てられた金額の中で補助的にこれを使つていく。もちろん要保護児童、準要保護児童に使う。そういうふうになっていくのじゃないかと私は思う。今お話しのようなことが事実上個々の子供にほんとうに適用されて、いわゆる病気治療されるまで一体めんどうを見れるかというと、実情は、結局そういうふうにしても足らぬところはPTAなりで負担していくという形になるのじゃないかと思うのですが、これは一体市町村に配分をしていく具体的な案としてどういうふうなことを考えておられるか。
  37. 清水康平

    政府委員清水康平君) 今新しい予算でございますから、検討していかなければならぬと思いますが、ただいまおっしゃったようなことに、配分の仕方としてはそういうようなことになるのじゃないかと思いますけれども、なお検討いたしたいと思っております。ただし、この学校保健法を見まするというと、これは市町村が、設置者がそれに対して補助したならば、こっちも補助するというのじやございませんで、これは設置者が、「について必要な援助を行うものとする。」こう書いてあるわけです。だからして、安心してできないわけでございますけれども、その点は普通の、たとえば給食のように設置者がこれこれ補助したならばその半額をやるというのとちょっと違いますので、やはりこれは学校教育の円滑な実施をはかるには、どうしても学校保健が大切だという認識のもとに、設置者がその熱意をもってやつていただき、国もそれに対してできるだけの補助をし、援助をし、指導をしていくということがいいのじゃないかと思っておりますが、私どもできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  38. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうなってくると、私は逆に、ちようど教職員の給与費の義務教育国庫負担のように、要するに市町村でそういうものに対する要保護児童、準要保護児童に治療をしたという実績のあるものに対して国が半額を負担していくということになれば、実際に活用できるところの費用の負担ができるわけです。要するに市町村が支出したものの半額を国がめんどうを見ていってやるというのならば、これは実にいいことなんですけれども、実際は予算も制限されておつて、それをやろうとするのだから、勢い私の今申したような配分の仕方の方向になっていかざるを得ないと思う。そうすると、今湯山さんがいろいろ質問されたことも絵にかいたぼたもちということになると思うのです。こういう点は、その他のものもそうでありますけれども、特にせつかく生活の困る子供病気治療をとにかく国が負担してやろうというのだから、実情に即したようなやり方にしていかないと、やはり実際にはなかなか法の考えておることが実施できない。大まかな、要するに学校に対する補助金というような結果になってしまうということになると思う。そうしてそれに基いて大体市町村が予算化してない以上は市町村も出せないということですから、結局学校に先に配分ができてない限りは、学校で治療することはできないのですから、おのずから県の方から先に、むしろあなたの方に幾らやるから、幾ら予算化せよということになってきて、それで予算化したものの範囲でやっていくということになると思う。実際に学校病の実情とは非常に違つた配分にもなってくる。今までのこういう配分の中で教科書のつまり補助などにしてもそうでありますが、配分の仕方について非常に問題があることも、また教科書もそうですが、特にせつかく治療を始めるのですから——結局学校によって非常に不十分なところもあれば徹底してやるところもある、非常に大きいところを対象にするところもあれば小さいところを対象にすることもあるということになってくるので、そういう点については、実施をされた上で特にその欠点を十分に御調査をなさつて、あらためて考え直していくという方向がむしろ今度の場合には大事じゃないかと思うが、その点お聞きしたわけです。今度そういう点については私たちもどういうふうにして配られていくのか、どうして実施されていくのか、十分にいろいろとお聞きした上でまた意見等を申し上げたいと思います。
  39. 清水康平

    政府委員清水康平君) いろいろ貴重な御意見を拝聴させていただきまして、いろいろな意見を参酌し、十分その点遺憾のないようにやつて参りたいと思います。まことにありがとうございました。
  40. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 関連して。学校衛生のことについて非常に御努力なさつておるようでありまして、まことにけつこうだと思っております。特にトラホームですね、これは私から申し上げるまでもなく、トラホームが多いか少いかということは、その国、その地方の文化の程度を証明するものだとまで言われておるわけでありますが、学校の方で今お話通りに力を入れていただくほかに、社会教育の方で父兄の教育をしつかりやつていただかなければならないのじゃないか。近ごろだいぶ衛生思想も家庭でも発達いたしましたので、昔のようなことはもとよりないわけでございますけれども、それでもまだトラホームに関する考え方が甘い母親などが相当おるように思うのであります。せつかく学校で治療されましても、うちでまた洗面器を一緒にする、手ぬぐいを一緒にするというのでは何のために治療したのかわからない。そこがもとになります。どうもやはりいなかほど先ほどお話の中にありましたように、トラホームが多い。特に海岸地帯などは砂の関係などがありまして多いわけでございますから、地方によっては砂の多い所は防風林を植えるとか、そういうところまで努力しておるところもあります。社会教育ということは、この問題と非常に関連のあることであると思うのですが、あなたの局の方と社会教育局との方には、この問題について何か連絡をおとりになって、そちらの努力も願うことになっておるのでありましようか。
  41. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御指摘の点はごもっともでございまして、事実児童生徒トラホームに例をとりましても、どこからきたかというと、大体これは兄弟とか、親とか、家庭のいろいろな関係だろうと思いますので、家庭の心からなる協力を得なければならないと思っておるわけでございまして、先般も社会教育局の人が集まりまして、これを実施するときにどうすればいいかということを打ち合せておるようなわけであります。なおしても、うちへ帰つたら、また、どうもうちの人が全部トラホームか、あるいは洗面器は一緒になっておる……。で、これらをどうするかという問題につきまして、よく部内とも協議いたしまして、学校教育上の学校保健、あるいは学校安全に関係するわけですが、学校、家庭、社会三者が共同して一致してやつていかなければいけないと思っておる次第でございます。
  42. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 これは地方によりまして違いますけれども、婦人会が生活改善の運動なども盛んにやつておるところもありますけれども、相当強力に活動しているところもありますのですね、そういうところで台所の改善だとか、冠婚葬祭がどうだとかという問題は盛んに取り上げられておりますが、衛生の問題も、特にやはりこの際いい機会と思いますので、盛んな活動が起るように、社会教育部面からも一つつていただくように要望をしておきたいと思います。
  43. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいま竹下委員からお話のございました通り、まことにごもっともの点でございましてやはり各省それぞれやりながら、十分力を合せていないものもあると思いますから、文部省の中でも体育局、社会局十分力を合せて参りますし、あるいは初中局もそうであります。厚生省とも連絡をとりまして、地域組織の末端がよく動きますよう、なおこういう面でも一つ予算ができましたら、落ちついて関係省とも打ち合せながらやつて参りたいと思います。
  44. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 これは私の少い経験でありますけれども、私の近親の者が小学校に出ておりまして、そして目の検査をしてもらつたわけですね。これは少し前のことなんです。ところが、帰ってきての話に、先生が消毒しないで私の目をこうやつて見て下さるんですよ。前にはとてもひどいのが先生に見てもらつた。私はすぐそのあとでしてね、うつりはしないかしらんとかいって、家に帰ってすぐ話した。そのときには何ともなかったんですけれども、果してうつつたんですね。幾日たつたあとだか知りませんけれども……、ほんとうにそういうことがあります。これはやはり検査される生徒がもとより子供でありますし、先生に、それはきたないですということを言う子供はありやしません。そこに先生の気がゆるむのじゃないか。ことに大ぜいのものを一時間に何人もやるわけですから、先生の方でもうちの病室で検査するときよりも、やはりめんどうでもあるし、気がゆるむというようなことになるのじゃないかと思っております。まあ、その点は非常に校長先生あたり気をつけていらつしやるのかもしれませんけれども、校長先生も言いにくいことであろうと思っておりますし、よほどうまくやらないと成果は上らないだろうと思いますが、これは文部省で直接おやりになることでもありませんけれども、そういう点を特に一つ御注意下さいますように、私の聞いた例はただ一つでありますけれども、しかし考えてみるというと、やはり私の近親の者だけがそういう手でいじられたはずはありません。ほかの子供もやはりたくさんうつつている者がいるはずだと思います。治療治療になりませんで、かえつて伝播を助けることになる点もあるかと思っております。この点私からお願い申し上げておきたいと思います。
  45. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 給食関係が関係者によって非常に苦しい中でも、とにかく子供の嗜好に合うように改善されてきていることは認めるわけですが、しかし一番の問題は、われわれが学校を直接視察してみて、給食を直接取り扱つている作業員の身分の確立と待遇の改善というものが、依然としてほつたらかされておるわけです。そうしてこれはよく考えてみると、その人たちが一生懸命調理したり器を洗つたり配ぜんをしたり万般のことをやつておる。そういうふうに給食を推進しているほんとうの役割をしている人は、あの作業をしている人だと思う。しかし、依然として身分の保障とか待遇の改善が遅々として行われておらぬということを、私はこの目でつい最近も調査してきた。これをどういうふうに文部省がお考えになっているか。この問題は私は等閑に付せられない問題だと思いますので、一つよくお聞きしたいと思うのです。
  48. 清水康平

    政府委員清水康平君) 給食に従事している従事員の身分と待遇の問題につきましては、給食が充実していくに従いましてますます重要になり、何とかしていかなければならぬ問題であり、数年前から問題になっておるわけでありますが、御承知のごとく待遇につきましては、これは昨年十八学級を基準といたしまして、一人九万二千円地方交付税交付金で算定されておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、少くとも三百人に一人くらいを置くことが理想でございますので、その線に沿うて努力いたしておるわけでございますが、少くとも三十三年度は、今申しましたように、一人九万二千円つけられておりますが、これをもっとふやしてもらいたいということにつきまして、関係官庁とただいま折衝中でございます。  それから身分の問題でございますが、身分は、この中には相当の方が——大体三万人くらいの方の身分が不安定でございます。学校給食法に基きますと、こういう負担は設置者ということになっておりますけれども、国といたしましては、その財源的な措置をできるだけ考えてやらなければならぬと同時に、身分につきましても何とかこれを安定するように慫慂いたしておるようなわけでございますが、急にはそこに参っておりませんことは、まことに遺憾なことでございます。大体私どもの統計で見ますると、三万人くらいの人がまだ不安定の状況にあるようでございます。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 急にはと、まあ清水さん言われましたが、これを要請されたのは、今あなたが初めに言われたように長いんですよ。要望されている日時というものはずいぶんたつている。今になって、急に要請されても困るというが、実際現場の給食をしているところを見てくると、大体千五、六百人で三人くらいが一応雇用員になっておるわけです。あとは臨時みたいなものになっているわけです。それは地域によっていろいろ違いましようが、とにかく作業をしているのを見れば、まず一種の戦場にいるように、とても大へんな仕事です。蒸気がまのところから調理から全部跡始末をやつている状態を見たときに、これは文部省の方がやはり積極的に子供たちのためにしてくれよということを作業員に要請するには、とにかく身分の一応の安定ですね、うんと高いところを望んでいるわけでもないですよ。とにかくやつていることは、日雇い的な臨時的な、こういうようなことでは私は非常に気の毒だと思う。そうして非常に賃金が安い。やつている仕事は子供の命を預つている、実際の。何か起きると、それが大きい問題になるが、それが過ぎるというと、全く縁の下の力持ち以下の仕事をやつているということで、私はこういう点については、この身分関係については、やはり文部省自体が、一つ、学校に従事している給食の人々なんだから、その人々に対して一応のとにかくよりどころというものを、安定するものを働いている人に与えるということでなければ、私は今後給食という問題についてはやつぱりそこに心配があるというふうに感じてきた一人です。で、今の答弁では、私はどうも時間の経過を見てみても納得できないのだから、もう少しこういうふうに明年度なら明年度考えてみたいというふうな施策を私は聞きたいと思うのです。それでなかったならば、何百人、何千人の子供のために調理している人が全然保障されていないということに——ほとんどの人がそうです。あと市役所とか何とかの雇用になっている人が少々おるということで。ですから、この状態をもう少し何とかしてやる必要があるのじゃないか。これは校長先生の管理職手当よりか先にこれをする必要がある問題ですよ。私はそう考えてきた。だから、体育局長が体育でオリンピックその他もいいけれども、私はやつぱり学校の保健の基本条件のこの給食という問題についてはもう少し積極的な施策をお願いしたいというので聞いたのですが、今の答弁は、私はもうちょっと積極的な答弁を聞かしてもらいたい。
  50. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  51. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて下さい。
  52. 清水康平

    政府委員清水康平君) 先ほど、私、三万人の方々が安定していないと申し上げたのでございますが、それは大体そのうち雇員の人が一万人ばかりおります。それから用員としてとにかく辞令が出ている人がやはり一万一千人ばかりございまして、この人たちも夏休みなどの関係がありまして、その間は何にもない、俸給をくれないというような関係もありまして、ひつくるめて三万人と申しましたが、雇員にもならず、用員にもならないという人が、全くの日雇いというような人たちが八千二百五十三人おるわけでございます。私は少くともこの八千二百五十三人の人を雇員くらいにしていただいて、雇員にして採用していただいて発令していただいたならば、少くともそれだけでも身分はよくなるのじゃないかと思って、これから指導助言して参りたいと思っておる次第でございますが、財源の問題につきましては、先ほど、せつかく自治庁関係と折衝しておると申しましたけれども、実は一両日中に確定のところ、しつかりしたところがわかると思っておつたのでございますが、大体もう一人ふえまして十二億というものが交付税交付金でもらえる見込みが立っておるわけでございます。しかし、それでも少いのでございまして、もう一人ふやせば三百人に一人くらいになるのじゃないか。そうすれば身分の、財政的方面にもある程度基礎がつくだろう。少くとも再来年はもっとふやしたい。  それから今の身分の問題でございますが、三万人の人は雇員であり用員でありその他でございまするけれども、この人たちの身分をもっと安定する必要があるが、とにかくそのうちの八千二百五十三人の雇員でも用員でもない、どつちつかずの人たち、この人たちのことはどうしても雇員なりにしていただくように努力して参りたいと思っておる次第でございます。ただしこの点につきましては、われわれといたしまして予算的な補助ということも考えられないわけでございません。しかし、御承知のごとく学校給食の施設、設備につきましては、原則といたしましては設置者の負担になっております。従いましてこれについては、予算を要求するよりも、自治庁と折衝しておるような実情でございます。  それから、これともう一つあるのでございますが、やはり給食に非常に関係のある問題は、給食の栄養管理職員という問題があるわけでございます。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 それ、今これから聞こうと思っていた……。  今の点について、私は最近において国家公務員において恩給制度が一応改変されて、退職年金制度で、新しく一つあまねく働いている人にこれをやろうというふうな方向が出てきているわけです。それでやはり私の考え方は、誠実にまじめに働いていけば、その仕事を通して望みなきにあらずと、自分の生活自体においても努力の積み重ねによって、給食の作業員をしていてもやはりそこに一つの明るさがあるということにならなければならぬという建前で私は言っているわけです。ですから、これは、私は、学校の中で今の給食ということは、実に膨大な作業であり、実に重要な仕事になってきているわけです。これをいってみたらば、実際学校は給食を軸にして運転しているような印象を持つのですよ。これは重要なものですよ。これによって子供がとても喜ぶか、もうおざなりなものならばいいかげん食い散らかして行ってしまうか、もうほんとうに一生懸命にやつているところは味もいいし、それで子供も喜んで食べる。いろいろな形がありますよ。それは材料費の関係もある。ただ今言つたように、何といっても待遇が劣悪過ぎて、そうして身分が不安定だということが、これがもう根本原因ですね。だから、この問題については今言つたような点を、まあ全部一ぺんにやつてくれといいたいけれども、それはなかなかできないかもわからぬ。だから、その点は年度を追つて一つこの点については何とかするという今の方向を強力にやつてもらう必要が私は速急にあると思う。特に私はそういう点を痛切に感じてきたわけです。  特に今栄養士の問題が出ましたが、定員数が学校はぎりぎりですよ、最近は。その中で、栄養士が非常にどこにもいるというわけではない。しかも、これもPTAに費用負担してもらつてつているところもある。私は、栄養士のないところはほとんど学校の先生が時間をそれにとられて、給食担当係になつたならば、まるで自分の学級の方のめんどうはようできぬというぐらいな実情にあることも私は見てきたのですけれども、栄養士はどのくらい今なっているのですか。どういう状態になっているのか、その点一つ聞かしていただきたい。
  54. 清水康平

    政府委員清水康平君) これは昨年の九月三十日の調査でございますが、学校給食関係で栄養士としておられますのは千八百四十九人おります。(岡三郎君「千八百四十九人では問題にならぬ」と述ぶ)都道府県教育委員会のもの四十三人、市町村教育委員会三百三十四人、小学校千二百七十七人、中学校八十二人、高等学校四十九人、学校給食会六十四人、全部で千八百四十九人おります。それでただいま岡先生からお話がございましたように、学校の先生が栄養的な知識を発揮するというか、栄養的なこと、給食について非常に指導しておられるわけでありますが、学校給食が普及充実し、内容が特に栄養ということを考えて参りました今日、衛生との関係もありまして、どうしても栄養士を配置しなければならぬということは申すまでもないわけでございまして、それで三十四年度予算におきまして、やはりこれは地方の職員になるわけでありますが、率直に申しますと、一番の理想は学校に一人ずつ置く、給食をやつているところに一人置くのが一番の理想だと思います。そうなりますと、理想は一番それがいいのでございますが、学校と申しましてもわずか三百人、四百人のところもあり、多いところもありますので、本年は教育委員会に栄養士を置きまして、来年度の予算といたしましては、概算要求といたしまして教育委員会に栄養管理職員を置きまして、その栄養管理職員が各学校を回る、あるいは指導する、あるいは一緒に給食に従事してやつてもらうということで予算を要求したのでございますが、本年は、その予算は認められなかったということはまことに残念なことでございます。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ、市町村単位にやるというのも一つ方法だと思いますが、理想という話があったが、千八百四十九人というのは、これは一体何だということになるのですよ。一体日本の学校は幾つあるのだと、こう聞きたくなる。橋本さんは厚生大臣をやつていたからこの点はよくわかると思うのですが、日本の学校に比して千八百四十九人の栄養士ですから、学校の先生がてんてこ舞いですよ。それで勤務評定されるのでは一体何の勤務評定をされるのかということが起つてくる。栄養を、うまく食わせれば自分の学級の方はできない。自分の学級の方に精出せば、給食の方はおざなりにまかせます。献立表を作つて、それを押しつけて、あとどうということはできない。だから、実際問題としてもう少しその実態を見てもらつて、暫定的には、それには学校の先生の中においても、そういう方面について研究をせられた人もあるのだから、とにかく学校においては栄養士のないところは定員を一名それに伴つてふやして、それについて一つ暫定的に処置していこうというような、一つの定員のワクをふやしてでもいかなければ……。学級担当、栄養給食担当ということは、これは両立しないですよ。現場に行って見てくればね。だから、そういう点で私は無理を言っていないつもりですが、まず栄養士をできるだけ置くようにやつてもらいたいこと、学校に一人という理想を持っているけれども、それも今言つたように一足飛びにいかないとすれば、教育委員会関係で、大中小ありますから、数を相当考えてもらつて、明年度は必死にこれをやらなければならぬという前提に立って暫定的に、給食を担当している先生方は大へんだから、一つそれについて定員のワクを考慮しよう、そこまでいけば、それでやるならば、私は栄養士を置こうということにもなってくると思うのです。ですから、これは実際に学校に行ってみるというと、もう大へんです。だから、もう少し何とかこれを実情に即するように適切な運営ができるようにしてもらいたいと思うのです。学校における授業と給食という、いずれも重要な問題の中で苦労している先生方に対して、結局それが学校全体に影響しているわけです。ほかの方の先生がそれをやはり見てやらなければならぬということにもなるわけですから、だからそういう点についてもう少し改善といいますか、そういう現状に即して善処をするということをお聞きしたいのですが。
  56. 清水康平

    政府委員清水康平君) 栄養管理職員の概算要求は、御承知のごとく三十二年ごろから大蔵省に要求しておるわけであります。三十四年度も相当ねばつたのでございますが、とれなかったことはまことに残念しごくでございますけれども、再来年度はぜひ何とかその獲得をいたしたいと思っております。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 それまでの一つ方法としては……来年はわかった。
  58. 清水康平

    政府委員清水康平君) それで問題は、必要であることはわかったのでございますが、財政その他の関係で私どもの今の考えといたしましては、教育委員会に置くという考えでぜひ三十五年度は処置いたしたいと思っております。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 その点の意向をお互に強力に推し進めていこう、文部省もやつていこうという点はわかったのですが、しかし三十二年度から、もう来年、三十四年度ですね、実際少しファイトが足りないと思うのですよ、もうちょっと徹底的に給食の実態を、大臣がちらつと行っておぜん立てができたところを見たつて、これはだめですよ、ほんとうの日常の中における考え方というものは、文部省のそれぞれの担当者が行ってもなかなかこれは形式的のところだけしか、いいところだけしか見せない。いいところだけというのでは、だれが苦労したのだかさつぱりわからぬ、学校の運営がどうなっているか、どう影響しているかがよくわからぬ。よくできています。ところが、その陰にはうんとしわ寄せがあるわけですよ、それですから、千五百人も、二千人もの学校になってくれば、もう朝から給食が終るまで戦争みたいなものですよ。その中で数が多くなれば多くなるほど先生が一人じや済まぬでしよう。だから今言つたような、作業員や何かにできるだけまかせるけれども、新しい作業員が来たり何かしたときには、やはり先生が、万一伝染病でも起つたら大へんだという気持があるからなおさらですね。そういうふうな点で私は見るに見かねているというのが現状ですよ。だから、そういうふうな点で、やはり学校の定員の中でそういう要素も一応織り込んで考えなければ、正常な学校運営ということを初中局長も言うが、私は初中局長は正常運営ということをどう考えているかということもほんとうは聞きたい。現実に行ってみるというと、容易でないですよ。だから私はこれについてもう少し何とか現状を打開する、一歩前進の答弁をお聞きしたい。それは、来年度が教育委員会によって云々ということは一応わかりましたが、それが来年度実現すればいいけれども、しかし、大蔵省がそういうふうにして拒否するならば、これはほうつておけない問題なのだということで、学校教育の重責をになっている文部省が専門的な立場から、これは、ではおれたちのワクの中で何とかして相談していかなければならんというところまでいけば、大蔵省も考えると思うのだが、手をこまぬいて下にしわ寄せばかりしていたのでは困るので、これは一つ橋本文部大臣の御答弁をお聞きしたいと思うのです。
  60. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学校給食の問題、非常に重要でありますが、何分にも戦後ずっと伸びてきた。まだ体系立つた整備ができておらない点は御指摘通りだと思います。私も十分実情において検討して参りたいと思いますが、特に今お話にありましたように、直接処理をいたします者、また献立等の監督をいたします者に関しましても、これはかまえてほかの一般の教職員と同じように整備をはかつて参りたいと考えます。具体的にこうして予算ができてみますと、この予算の中でできる限りのやり繰りをするということは、これはなかなかむずかしい問題でありまするので、私も何かこの与えられた、すでにできかかっている予算のワク内でどういう工夫があるかというお尋ねでございますが、これはなかなか即答いたしかねるのですが、これはせいぜい検討いたしまして、できるだけ体系立つた整備の方向へ持って参りたいと思います。  考え方といたしましては、これは大事なのは、学校給食に関しますいろいろな資材整備等の経理の関係、それから内容を栄養的に見て参ります栄養指導の問題、それから具体的な調理の日常労働の面と、大きく分けて三つぐらいの要素があると思いますが、やはりまずどうしても、まあ栄養士を各学校に一人ぐらいということは理想であると思いますが、これもなかなかすぐにはいきかねると思います。当面の問題としては最小限度、教育委員会単位には持って、栄養指導のできるようにする。将来やはり大きな学校については学校専属の栄養管理者のいるような方向へ持って参る、というようなこと、それからもう一つ、当面日常調理をいたしまする、給食労務をやつておる人たちの、これは身分を、学校というもうはっきり固定された構成要素の一つだと思います。校長から小使さんから給食婦に至る学校職員の体系というものの中に、はっきり織り込んで財政計画も立てていく、職制も立てていくという方向に持っていきたいと思います。今でもかなりそういう方向で文部省も努力へ向つておると思いますけれども、不十分な点はたくさんあると思います。そういう方向へ急速に持って参るように努力をしたいと思います。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 簡単に私、学校給食の根本問題、今大臣からお話がありましたが、現在の学校給食は任意実施になっております。ここに私は一つ欠陥があると思います。今のように、学校給食の学校教育における重要性が認識されて参っておる段階におきましては、すでに現在の法律が二十九年にできたわけでございますから、それからすでに五年も経過しておる。相当普及もしてきたという段階では、私はもう法改正をして、これはもう全校全部実施するという方向へ持っていかなければならないのではないか、当然そういう検討がなされるべきだと思います。そういうことになれば、私は当然今の栄養士の問題も、ただ事務折衝によって置く置かないじやなくて、こういうことこそ法律によって栄養士を置くと、これは経過措置が要ると思いますけれども、法律によって置かなければならない。病院なんかでそうなっておるように、そうしなければならない段階が来ておると思います。そういう点について、政府の方で、今の任意実施を必ずやるのだ、やらなければならないという義務は、義務制という言葉は悪いですけれども、そういう制度に変えるような、何といいますか、考えがあるかどうか。そうすれば当然今の栄養士の問題、それからこれに従事する人の問題も法律によって規定すべきではないかということを考えますが、そういうことを考える必要はないとお考えになっておるか。もうそういうことをしなければならない段階が来ておるというようにお考えになっておられるのか、これは基本的な問題でございますから、大臣のお考えも伺いたいと思います。  局長にお聞きして、大臣の御決意も。
  62. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御承知のごとく学校給食は、年を追うに従って普及実施して参つたわけでございますが、現状を見まするというと、児童生徒数では小学校が六〇%、児童数六〇%でございます。学校で四〇%普及しておるわけでございます。中学校は一〇%くらい普及しておるというような、まだ普及拡充の時期でもございまして、まだそれでも全国的に見まするというと、ある県などは小学校は七%くらいの県がございます。それから、ある県へ行きますと九〇%を越しておるところがございます。  それから農村と都市を比較してみまするというと、農村は平均三八%くらい、それから都市の方が六、七%伸びております。こはれ一食の金額はわずかなものでございますが、やはりこの給食費というものは父兄負担になっておる関係上、積み重ねると相当の金額にもなるわけでございまして、私昨年五月からこの学校給食もやつておるわけでございますが、ただいまのところはやはり任意に参りまして、もっとより一そう充実、普及、宣伝……宣伝と申しては語弊がありますが、普及、充実に邁進して、ただいま湯山先生のおつしやいましたことは、普及、充実をして参りまして、別に検討してみたいと思っておる次第でございます。
  63. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 委員長から特に発言させて下さい。体育局長の答弁は、少くとも大臣の答弁の意を体していないと思うのです。大臣がおっしゃっておることは、給食婦も校長、学校職員と同じように系列化して来ておるし、そして固定化しておる。いわゆる学校という経営体の中においては欠くべからざる一要素をなしておるという非常に明確に事態を認識された、そうして将来の抱負に燃えた御発言があつて湯山君がこれをですね、念を押しておるところです。すなわち大臣のお考えを具体化するためには、法改正をやる以外に手がない段階に来ているのです。法改正の意思が事務局にないならば、せつかくの今の大臣の御見解も御見解だけにとどまつて、実現はとうてい不可能なのです。これはもう学校給食法というものができてきた歴史的な過程をお知りになればよろしいと思うのです。すなわち、あの法律が問題になつたときには、政府から現在の法律案が提案されて、それから議員提案で理想案が出ていたのです。その当時の与党の中においても、この法案は議員提案で出ている方が正しいのだ、しかし一ぺんに義務設置にしては問題が輻湊するからというので、暫定的に今の法律を認めて、ないよりはある方がいいのだというので、この議員提案した側も折れまして、満場一致でこの法律案は両院を通過しているのです。そこでですね、現在の段階に来ましては事務当局としてもですね、実態を積み重ねて、しかして後に考えるということでなくてですね、大臣の意を体してもうちょっと積極的にですね、この問題を善処するというような意欲がなければ、この国会に対するあなたたちの責任も果せないし、また大臣の気持をもですね、率直に実現できないと、こういうふうに思うのです。体育局長の立場からはあまり突つ込んだことは言えないのだということはわかりますけれども、大臣の答弁の直後なのですから、もう少し自信にあふれた答弁を私は御期待したいと思うんです。
  64. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学校給食の問題は、文部省としても、できるだけやらせて参るつもりで今まで指導して参つたはずでありますし、それから現実にやつておりまするところはますますこれがやはり整備をされていくという方向にあつて、やつたりやめたりというようなことは今後とうてい考えられない。やつているところはずっとやっていくと思いますし、従いましてそれに必要な予算、人員の整備も必要だと私も考えております。ただ、学校給食を全面的に義務として法律規定するかどうかという点につきましては、私は将来の方向としては、これはやつて非常にけつこうなことなんですから、一般の所得水準の増加だとか、財政の問題等いろいろな関係がございますと思いますけれども、将来なるべく学校給食を早く全体的に普及させる方向が私望ましいと思いますが、ただ現在のところの普及状況でありますると、いきなり義務にするのも多少無理があるのじゃないかと思いまするので、それならまたいつかわからないのに義務ということを先は書いておくというのもどうかと思いまするので、私は将来の問題としては小、中学校、特に小学校についてはこれは全国的に学校給食をやるのが望ましいと、そういう方向でせいぜい努力をいたしまするし、予算、人員の整備もはかりながら、この学校給食を本格的に、ちようど国民皆保険をやりましたように、法律に義務で書いてしまうということについては、もう少し考えさせていただきたいと思います。
  65. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  66. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  67. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 給食の、全国の小中学校における普及率につきまして局長から御説明を承わつたのでありまするが、これが始まりまして今日まで数年の間に、年々歳々実が上っているだろうと思います。その統計をお持ちでありましようから、今でなくたつて、あとで書いたものでもお配り願いたいと思っております。  それからこの後、三年なり五年の間にそれがどういう率で、どのくらいにふえるお見通しでありますか、これも一緒に表にしていただきたいと思います。これは、先ほどからお話の出ておりまする、法律の改正なり新しい法律の制定と関連する問題だと思います。お願いいたします。
  68. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は今の点については、大臣の先ほどの答弁に従って、一つわれわれも理想を持っているし、大臣も理想を持っているようですから、その方向へ近づけるべくこれは子供たちのために一つがんばろうということで、それは一応それでやめて、次にここに準要保護児童の生徒給食補助、この点について文部省当局は一体給食費が払えない子供はどのくらいのパーセンテージがあるか、それをどう考えておるか、ちょっとお聞きしたいのです。ちょっと私が見たところでは、この補助現状とちょっと食い違い過ぎているという工合に考えております。
  69. 清水康平

    政府委員清水康平君) 準要保護児童の概算要求といたしましては私ども四%要求しておるわけでございます。しかし、その四%の要求の内訳といたしましては、御承知のごとく給食費の補助は二分の一以上設置者が補助した場合その二分の一というふうになっておるわけでございまして、四%要求しておるわけでございますが、その半分の二%は全額補助、設置者が全額援助するものとして二%要求しておりまして、それからあとの二%は設置者が二分の一要求するものとして二%要求しておるわけでございます。合せて四%要求しておるのであります。
  70. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで、実態として給食費が払えない子供をこれでカバーしていると思いますか、実際の運営上……。これは私は、もうちょっと率直に言いますが、学校の先生は、これはそれぞれの学校の周辺の状況によって異なりますが、非常に給食費を集めることに困難をしておりますよ。これは住宅街の堂々としたところは別にして、都市の周辺地帯で相当生活に困っている地帯の先生は、給食の金を集めるのに学校からその自宅へ行って、それを集めるのにとつても苦労していますよ。それが集まらないと自分の財布から、月給から子供の給食費を払つているのですよ、実際問題として…、立てかえて払つていて、そうしてPTAの方でくれればいいけれどもくれないところでは……、だから人情のある人ほど自分の俸給から子供に出しているという現象が現実に行われております。私は相当それを見てきた、実際言うと……。そうしてしかも三百円集めるのに、毎日毎日五十円とか三十円とか集めに来てくれなんて親に言われて、先生は分割払いでそれを取りに行くこともあるし、それからきびしい先生は、なかなか集めるのに要を得ている人がありますが、若いそうでないような先生はもじもじしていて、結局自分の財布から出さざるを得ないようになっているように、これは先生が集金しているのですね、給食費というものは責任を持って、こんなことは私はあり得べからざることだと思うのですよ。これこそ給食費というものは実情に即して学校の中で事務職員を置いて、給食係なら給食係を置けばそれできちつと整理していけるというふうに考えられるのがが、こんなに銅貨を袋に入れて、給食の金を……、そうしてたまたまそれを取られる人もあるけれども、カバンへ入れて持って運んで帰られる。それでも納めるまでには金が足りないから、自分の金で立てかえてやらなければならぬ。とにかくこういうふうな実情の中で、私はこの準要保護児童の給食の国の費用の負担というものは、まことに私は今のところでは情ないと思う。実際その実情をどういうふうに考えておられるかわからぬが、子供がどうしても払えないと、それは設置者が持つべきだという文部省の意見でしよう、そうじゃないですか。そういう児童をどういうふうにしたらいいか、体育局長から聞かしてもらいたいと思います。私は実情論から言っているのですからね。とても給食で先生方は困っておりますよ。
  71. 清水康平

    政府委員清水康平君) 先ほど来、岡先生から、給食に従事しておられる方々が献身的にやつておられる、実にもう大へんだというお話は、私も一、二回見まして、これはもう全く従業員の人たちも、それから先生方も、これは普通の物を配るのと違いまして、食べるものでございますので、衛生の方面も考え、それから健康管理も考え、授業も考え、大へんでございます。中には、ただいま申しましたような準要保護児童がございます。私どもといたしましては、この準要保護をどうするかという問題が、予算的にみますると一番であります。それで本年はごらんの通り、約七千万円ばかり予算がふえまして、従来ほぼ実施人員の一・五%のものを二%見てもらつたということになるわけです。しかし、この二%と申しますのは、先ほど申しましたように、これは設置者が全額負担するという意味の二%見てもらつたわけでございます。たとえば三十四年度の二%は、これは学校が、まだ六〇%ぐらいしか達しておりませんけれども、十五万二千二百人でございますけれども、これは実際は伸びがありまして、二十二万六百九十人ぐらいに伸びる見込みでございます。と申しますのは、先ほど来申しましたように、給食費の全額を補助する、全額を援助するという場合の二%でございます。しかし御承知通り補助は全額はもちろん、二分の一以上設置者が援助した場合、それを補助するということになっておりまするから、二分の一以上、あるいは六割、七割というものを払いますので伸びるのが一つと、それからもう一つは、二%の算出の基礎は、御承知のごとく給食にはA型、B型、C型がございましてA型は大体五日か六日になっておりますが、原則は五日でございますが、このA型を基準にしてとつております関係上、予算計算上では二%となっておりますが、大体二・九%ぐらいになる見込みでございます。しかしこれで全部救われるかという問題が残るわけでございますが、率直に申しまして、あと一%はどうしても必要じゃないかと思うわけでございます。全額補助する、全額援助するものとして、それに対して国の補助するものとして、あと一%はぜひ必要だというふうに考えております。でありまするから、三十四年度予算おいては、一%に相当する人は、国では特に残念なことでありますが、そこまでは手が伸びないというのが現状でございます。
  72. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、その答弁は納得できない。それではあと一%だと幾ら予算的にいってかかるのです。私はほかの一般的な費用から考えてみて、そんなに大した費用だとは思いませんよ。子供にしても、払えないということがどのくらいつらいかわからない。先生にしてみれば、その払えない子供のところへ金を取りに行くその苦労というものは大へんです。しかし一学級、たとえばこういういろいろな国庫の補助とか保護児童のあれで払つても、その上に紙代すら払えない生徒が一つの組に五人いたとする。そうするというと、一人三百円で、五人で月々千五百円ですよ。毎月々々そんな金を先生が負担するということになれば、通勤手当は二百六十円とか三百円とか百五十円とかいっているが、問題にならぬですよ。だからこれは全般的とはいいません。地域によっては非常に貧富の差が最近開いてきている、これは日本の特徴ですね。非常に経済的にいい地域と悪い地域というものの懸隔が、私から言わせれば非常にはなはだしい。そういう面で、総体的な運用の面も私は重要だと思いますが、相当の地域のような気がしていても、実際にいって、給食費の払えない子供はどうですか、それを一体どうしておりますか。学校によってはPTAで負担して出して立てかえている。ところが、PTAの予算がない場合には、先生が自分の負担になってくる。初めからあなたの学級は幾人、あなたの学級は幾人、だからこのくらいはいいけれども、それ以上はみ出したものは自分で埋めている。大体学級の構成もまちまちですから、そうするというと、それに伴うところの支出というのは、個人によってずいぶん違つてくるわけですけれども、学級によっては先生が相当負担せざるを得ない。そうして金を集めて持っていって、そうして非常に苦労しているわけです。だからこういうふうな点については、少くとも先生方も苦労する。苦労は承知しているわけですが、少くとも私は実情に即した今言つた四%程度は、実際にこれを予算計上しても、私はこの点は文句の出るところがないと思うんです。一%どのくらい費用がかかるんですか清水さん。
  73. 清水康平

    政府委員清水康平君) あと一%増すことにいたしまして大体一億六、七千万円、大体の見当はそういうことであります。
  74. 岡三郎

    ○岡三郎君 そのくらいの費用を、あなた来年はとれるでしようね、それをはっきりした答弁を聞きたいと思う。非常に教育を暗くして、工合の悪い問題ですよ。
  75. 清水康平

    政府委員清水康平君) 本年は七千万円増加したわけでございますが、来年は、あと少くともただいま申しました意味における一%は、ぜひ微力の限りを尽して計上するように努力したいと思います。
  76. 岡三郎

    ○岡三郎君 大臣に聞きますが、七千万円で学童の全体の中でやるというならば、実際七千万円で、まあ私はふえたということをとやかく言いたくないけれども、少くとも私は一%という数は、これはぎりぎりの最小限度、これでは実際は足りないと私は思っております。今非常に失業者がふえておりますから、特に駐留軍関係の人がいる周辺なんというものは、実際払えない。横須賀あたりは、失業者が一ぺんに三万人も出ている。こういうふうな急激なる増加で、これは雇用条件がよくなれば、また父兄の収入がよくなれば、修学旅行の費用なんというものは出てくる。修学旅行補助をするということもありがたいが、もっと緊急の問題がある。人気取りのこんなようなことをやらないで、修学旅行補助はいいんですよ、これは私はいいと思うんですが、こういうことよりも、もうちょっと先にやるべきものがある。今給食費の払えない子供は身につまされた問題です。こういう基礎条件というものを進めていって、そうして百尺竿頭一歩を進めてもらう、こういうふうに今言つた一億六千万円とか二億とか三億ならば、今のところ何とか暫定的にいくわけです。だから私はそういう面で文部大臣に、ぜひとも先生方が自分の財布から——いいんですよそれはたまには。しかし、定期的に毎月々々児童の給食費を払わなければならぬという現状、こういったものを地域的に見るときに、学区域のいい所にいる先生方に比べて、人一倍以上苦労して、しかもその上に、なおそういう苦労をしている。だからそういうふうな点で、教育というものをやつている人に、そういうことの心配をこれ以上かけてもらいたくないという私は気持がある。だから、そういうふうな点で、一つ明年は実情を調査して、そうしていろいろと経済状況の変動もありまするけれども、少くとも今あなたが言つたように、四%程度——今の二%の倍です、四%程度は最小限度——これでも足りないんですよ、ほんとうは……、しかし、四%程度は必ずやつてもらいたいと思う。予算も大したことはないと思う。これは橋本文部大臣一つお願いしたい。私は厚生大臣としての感覚がおありになると思うから、これを特に要請したいのです。
  77. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 総体的にはこれでかなりカバーをしておるものと思いますが、お説の通り国内の生活状況のむらなどもずいぶんございますから、十分実情を調査いたしまして、これは、本来のねらいが、給食費の払えない者のないようにしたいという建前のものでございますから、そういう者のないように十分予算的にも検討いたして参りたいと思います。
  78. 相馬助治

    委員長相馬助治君) いまだ質疑が続いておりますが、午前中はこの程度にて終つて休憩に入りたいと思います。  午後は一時四十分より再開をいたしまして、社会教育法の一部改正案について取り扱いたいと思います。  休憩に入ります。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後二時三分開会
  79. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  社会教育法等の一部を改正する法律案を議題に供します。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この前、あなたのおいでにならないときに、私、社会教育主事の問題につきまして局長にお尋ねいたしました。そのお答えを、大臣が御出席の席で、あとで簡単にお願いしたので、その点はお聞きだったろうと思いますが、初め私がお尋ねしたことをお聞きでありませんでしたから、お尋ねいたしました要領を簡単にお耳に入れておきたいと思います。申しましたのは、社会教育の必要なことは、都市であると地方であるとにかかわらず、全国的、すべての国民に対して必要なことである。ところがこの案によるというと、大きな市、人口一万五千以上の町村、一万五千以下の町村と三段階に区別し、それに対する主事の配置の問題について前後の差を設けられておる。そういうことになっておるのはどういう理由でありましようかというお尋ねをしたのに対して、予算の都合が主であったというお答えだったのであります。そういう点は、私も初めから想像できるところでありまして、予算の都合で、一緒になかなか主事を配置するだけの大きな予算がとれないという事情もあるだろうと思いますので、そこに多少の時期の違いをお作りになつたこともやむを得ないことだと思いますが、一万五千以下の人口のところについては実施の最後の期日がきまつていない。なお承わりますと、運営の面で、できるだけ早く充実するようにしたいという局長のお答えであったと思います。私、考えまするに、都市はなかなか思想方面にしても、いい意味か悪い意味か別にしまして、新しい思想がはやつたりするというようなこともありまするし、地方の方ではそうではない、おくれているということもあります。いずれを先にすべきかということは、考え方、判断によっていろいろ違うだろうと思っておりますが、文部省の方では、とにかく都市の方から順次それらに及んでいくのが、この際必要であるというお考えであろうと思っておるわけであります。しかしまた考えによりましては、ごくざつくばらんの言葉で申しまするならば、悪ずれしていない地方の青年子女というものを、この際にしつかり力を入れて教育をして、社会教育の方の方にも力を入れていくということが非常に大事なことじゃないかと思います。まあでき得べくんば、一緒にやるべきじゃないかというのが私の持論なのであります。大臣に、この際、希望申し上げておきたいのは、一万五千以上、一万五千以下の町村に、それを充実する時期をできるだけ早めることに御努力を願いたい。それもなかなか運営の面だけでは実施が困難でありましようから、でき得べくんば、やはり政令でおきめになるがよいと思う、こういう希望を持っているわけであります。それにつきまして、大臣のお考えをこの際お聞きすることができたら。
  81. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 財政上の都合、その他いろいろな実情で、前に社会教育局長から御説明申し上げたような方針でいるのでございますが、お話のございましたように、この社会教育の充実ということは、きわめて重要でありまして、ぜひやりたいと思って今回も改正案の提案を申し上げているわけでありまして、従いまして、その末端の実際的な動きをいたしまする社会教育主事の充実は、きわめて大切でございますので、今財政計画の上で、いつまでということをはっきり申し上げられませんが、私、年度を経過する間にずっと検討しながら、これはもうできるだけ早い機会に、全体に設置をすることにいたしたいと思います。
  82. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それから公民館の運営につきまして、いろいろ御配慮願つていつるようでありますが、私もこの案につきまして、まあ原則的に賛成でありますが、この都市を中心に、いわゆる殿堂式の公民館、りつぱなものをお作りになるということ、これはまあけつこうだと思っております。そのことはまた必要なことであると思うのでありますが、そのほかに、地方には部落の集会所という小さいものがたくさんあるわけであります。これも近ごろ、数年前に比べてだいぶん活用されているようでありますが、私いなかに帰って、いなかを回ってみたりしますというと、なかなか私などの希望のようには進んでいないのが今日の状態であると思っております。都市あるいは町村の中心にある公会堂というものは、どういう部面に利用されるかというと、やはり町村全体の集会があるとか、あるいは婦人会の町単位の会があるというような場合によく利用されるのであります。あるいは図書館の設備のあるものもあるだろうと思っております。それはそれなりにいいのでありますけれども、その所在地から半道以上も離れた部落になりますというと、なかなかその公民館を利用するために出かけていく青年子女は少いのであります。またそれだけのひまもないだろうと思っております。幸い地方には小さい部落集会所というものがありますので、この活用方法をもう少し努力し、研究しましたならば、公民館が一ヵ所にあるそれ以上の効果をおさめることができるのではないか、こういうように私は考えておるわけであります。現在それについて文部省の方でも御努力になっておるようでありまするけれども、どういうふうにやつて指導しておられるか、具体的の今日の状況を承わりたいと思います。もう少しこまかく申し上げますというと、たとえば農村の子弟というのは、家へ帰って本を読みたいと思いましても、家の電気は暗い。そして兄弟、子供なんかもたくさんあつてやかましいというので、せつかく読書でもしようというような気になりましても、それはなかなかできないというのが農村の今日の生活状態だろうと思っておるのであります。そこには幸いに部落集会所というものがある。これは毎日毎晩、おとなによって使われているわけでもありません。遊んでいる時間が相当あるわけであります。おとなの方でもその点をよく考慮して、まあ一週間のうちに何時間とか、あるいは幾日とかは青年子女のために活用させるということを考えて、そして電気の設備なり、あるいは机の設備などでもよくしてやる、あるいは図書の問題なども考えてやるというふうになつたならば、勉強もしやすくなるし、大へんみんなの知識の交換をする場所にしてもいいのじゃないかというふうに考えているわけであります。それから費用の問題についたしましても、中央から——その地方における中央ですが、町村役場の所在地とか、あるいは公民館の所在地というところから離れておりまするものは、そういう方面に、その建設その他の費用を拠出するよりも、むしろ自分たちのごく手近な部落集会所のために金をかけるという方が、金も集まりやすいんじゃないか、そして張り合いもあるんじゃないか、かように私は考えております。この点につきまして、局長から今の状態を承わりまして、あとで大臣にこの問題に関する意見を拝聴したいと考えております。
  83. 福田繁

    政府委員(福田繁君) いろいろお話通りに、部落集会所と申しますか、部落公民館と申しますか、名称はいろいろ使つておりますけれども、要するに、そういった市町村の中での特定の小地域の部落等を対象にいたしましたそういう施設というものは、非常に社会教育の場におきまして重要な点は、前々から言われておる点でございます。いつも公民館関係者が集まりますと、そうしたいわゆる部落公民館、いわゆる公民館の分館と私どもは称しておりますが、分館の振興をはかつてもらいたいというようなことは、いつも言われております。ところで、現在は大きな公民館もかなり都市にできて参りますけれども、そういった分館に関するその活動、あるいは事業というものを振興するためには、いろいろ基本的の問題があると思います。最初に、私どもは第一番に考えなければならぬと思いますのは、現在の二万数干もあるような、公民館の分館あるいは部落公民館と申しておりわけでございますが、それが法的に何ら根拠を持っていないという点でございます。従って、いろいろな事業活動をいたします際に、こういった公民館の分館が、法的な根拠を持たないために、この施設の充実、あるいは設備の充実、あるいは専任の職員を置くというような場合に、いろいろな不便がございます。従って、第一番にそういった公民館の分館というものを、法的に一つはつきりした根拠を置きたいというので、今回の改正におきましては、公民館の分館の規定を設けまして、公民館の運営上必要ある場合には分館を設けることができるというようなことにいたしたのであります。次には、そういった法律上の根拠ができますと、さらにその中の内容の充実になって参りますが、これはいろいろ考え方がございますけれども、今申しましたような、設備を充実するという点でも非常に重要でございます。ところが、なかなか乏しい予算でやるものでありますから、思うように十分設備が充足できない場合もあります。従って、私どもといたしましては、まあ本館と申しますか、その地域の中での相当充実した公民館との援助関係を、もう少し強化していくようなことから、たとえば今やつておりますのは、そうした大きな公民館に、ある程度設備の補助金を集中的に出しまして、そこの設備を充実してもらつて、移動式の図書、あるいはその他のいろいろな機材を分館に運んで、そこでいろいろ事業をやります際に、それを援助するというような方法を講じております。また、人の問題につきましても、その部落だけで人を雇う、あるいは小さな館に全部専任の職員を置くというようなことも、一々できがたい事情でありますので、そういった場合に本館の大きな館から、さらにそこに置かれておる職員を派遣して、そこに援助してやるというようなことを考えておるわけでありまして、そういったいろいろ分館活動を振興させるために、できる限り本館あるいはその地の有力館から、これに協力援助するというような態勢を作つて参りたいと考えて、そういう方向に指導いたしておるわけでございます。
  84. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今、分館のお話がありましたが、部落の分館のごときは設備が整つていない。大きなものでなくても、やはり相当な規模のものであるということを前提としているわけじゃないでしょうか。ほかの言葉で申しますと、私の言いましたような小さい部落の集会所を分館の取扱いにするということは、法律内容に含めてあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  85. 福田繁

    政府委員(福田繁君) お話になりました点も、十分私どもは考慮いたしておるつもりでございますが、御承知のように、地方の実情はまちまちでありまして、分館と申しましても、非常に大きなものもございます。そういった分館というのは、一般的に申しますと、町村合併などで合併された新しい町村には、今までその村の一つの公民館であったものが、合併後は、その新しい町村の一つの地域の館、あるいは分館というような格好になっておるものがございますが、そういったものもありますけれども、今おっしゃるような、ほんとうに人も設備も何もない、単なる部落の集会所的なものもございます。しかしながら、その集会所的なものを公民館の分館として扱うには、これは法律上、予算上の問題がからんでくると思いますけれども、できる限りそういうものを私どもは分館としての扱いをして参りまして、そうしてそういった部落館の充実、あるいは活動を促進していきたいというように考えております。
  86. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私の希望しておるところは、政府からの補助金をお出しになる、そういうふうの経済的部面のことを考えてみますと、今なかなか部落の小さいところまでは、市町村の役場あたりにしても、なかなか金をだせないというようなところも多いかと思います。じつとしておれば、あまりそういう私らの希望を達するのに縁の遠いことになっていくんじゃないかという心配をしておるわけであります。ここでそういう部面についても特に力を入れ、そうしてでき得べくんば金銭の配付、経済的な援助もする、政府もそういう意向であるというようなことを文部省の方で考えていただき、実行してもらえば、大へんそこにけじめがついて、はっきりした振興になる、かように私は考えておるわけであります。今ではなかなかそこまでいっていないんですね、少しずつ皆が理解してきましたから、その部落によっては熱心なところもありますけれども、一般的に言いまするというと、やはりそうでないところの方がよほど多いわけであります。
  87. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまも仰せのように、いろいろケースがございますが、これが単なる部落民の共有財産として扱われているような場合であると、直接補助なり、あるいは金銭的な援助ということは非常にむずかしいと思いますけれども、できるだけそういった部落館あるいは部落集会所的な施設も、一般の公民館の分館が、事業活動についていろいろ貢献すると同様に、やはり相当重要なものでありますので、できるだけそういった方向に私どもは考えて参りたいと考えております。
  88. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 町村の実情等を考えてみましたときに、分館として人をつけるような扱いをするのか、現状におきまする公民館と言っておつたり、部落集会と言っておるのを、どの程度までそうするかということは、少し具体的に考えてみなければならないと思いますけれども、規模あるいは利用度等、相当程度と見得るならば、なるべく竹下委員からお話のございましたような方向を、地方でも立てさせるようにしたいと思います。
  89. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私の見込みでは、各部落にありまする、その部落集会所を利用して、社会教育の方にお使いになるならば、公民館を利用する人よりも、むしろ人の数にしてもよほど多くなるのではないか、それだけ効果が多いのではないか、そして比較的金もかからないで済むのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。ただいま大臣のお考えを承わりましたので、これ以上にお答えをしていただく必要はありませんので、その点をお含みを願つて御努力を願いたいと思います。  引き続いて質問いたしたいと存じます。これは、この法案に関係がないわけじやありませんが、直接にこの条文とどういう取り組みになっておるというわけでもありませんが、非常に大事な問題であると思うので、この機会にお尋ねしたいと思います。  私がお尋ねしたいと思うのは、近ごろ、国家というものと国民との関係がどういう関係にあるものであるか、どんなに緊密であるかというようなことを、国民が全く知らないわけでもないのでありましようけれども、そういうことに関する関心の薄い人が非常に多いのではないか、かように私は見ております。これでは非常に困るのでありまして、何よりも先に、国家がどうとうものであるか、国民はそれとどういう関係があるか、国家の成長、正しい発展というものが、われわれ国民の生活にどんな重大な影響があるかということは、何よりも先に国民としては知っておらなければならない重大な問題であると考えております。ところが、いろいろな理由もありましようけれども、終戦以前に、この国家観念につきまして曲つた解釈をし、思想を抱いて、そうしてそういう方面の人たちが、軍部を主として政治その他の有力方面の人が、そんな誤まつた考えでもって社会の大衆を指導した、それで余計な戦争も始めたり、負けてしまつたというような事実があったように思うのであります。その結果、国民は塗炭の苦しみを受けるというようなことに終戦後相なりましたので、国家ということを口にするということを、何だかはばかるような気分さえあるのではないか、国家々々と言うといかにも保守的であるとか、あるいは反動的であるとか、そこまで深く考え込まないにしても、何となしに、そういうふうな気持を持っておる国民が相当に多数あるのじゃないか。政府の方で、この問題に関する態度をじつと見守つておりましても、国家問題についての宣伝と申しますか、国民の正しい理解を深めるというような直接の努力というものを見ないのであります。これは非常に困つたことではないか。悪く言うというと、どうもこの問題を取り上げるというと、世間の一部がうるさい、あるいは現政府は保守の極端なものであるとか、右翼の最右翼の思想を持っているとか、そういうようなふうの考えを持ち、非難する人がまた出てこないとも限らない、これは私の少し考え過ぎかもしれませんが、あるいは政府の方でも、そんなことになつちや世間を騒がす、まあ触れずにおこうというような考え方をお持ちになっている人も、従来、十数年の間にあったのじゃないか、かように私は疑つておるわけであります。これは非常に大事な問題でありまして、もう終戦後すでに十数年たちまして、国民の気持もようやく落ちつこうとしておるような状態であります。この際、この問題がまだ正しく理解されず、ある一部の人は国家の問題を取り上げるというと、これはもとの戦争時代に返るきざしであるとか言って主張する、ある者はまた、権力の横暴それ自体を推奨して、昔の日本の権力時代、警察政治とか、あるいは軍の横暴とかいうようなことを謳歌するような、極右の考えを持っている人がないとも限らない、両方が相対峙しておりまして、なかなかいいところに落ちついた正しい国家観念、国家と国民との間の緊密な関係などについて理解を持つ国民がなかなか少いのじゃないか、そういうことを研究しようとする努力が私にはそうたくさん見えないのであります。その点を私は大臣の御意向も承わりたいし、まあ、私としてはむしろお願い申し上げたのでありますが、この際、国家問題をしつかりお取り上げになって、そうして政府のこれに対する御見解を表明されまして、国民がこの国家と国民との関係、国の発展を国民の福祉の増進のために、この間の緊密な関係を保つていき、協調をしていかなければならないというふうに、正しく理解させることに最善の努力をされることが非常に大事だと思うのであります。これは単に思想だけの問題でありませんので、その問題がよくわかつてきまするというと、単に思想だけでなくして、あるいは実業の方面、工場の成績にいたしましても、あるいは貿易の方面にいたしましても、農事の方面にいたしましても、すべての問題で自分の福祉をはかると同時に、国家の隆盛もはからなければならないというふうに、緊密一体の点を理解させるということが、もうなによりも私は先のことじゃないか、これに対する努力を、まあ私はよく知らないのかもしれません、政府の努力を。どういう機会にどういうことを国民にお示しになっておるか、一々私は存じておりません。もし今日まで、そういう私の希望するような点について御努力なすつたことがありますならば、今日までの歴史を聞かしていただきたいし、歴史と申しましても終戦後のことである。それから、これからなさろうとお考えになっている点があるならば、その御計画も承わりたいと思います。もっとも、まあ国家の観念とかいうようなことは、政治学者に聞きましても、法律の学者に聞きましても、社会学者に聞きましても、なかなかむずかしい問題でありまして、国家とは云々というような学理上の定義を政府がすぐお下しになるということも、これは困難なことであろうと思います。また、それは軽率にされては、はなはだ困るわけでありますので、私はただ何と申しますか、政府だけの考えで国家の定義を下すというようなことをなさるのは、これは多少の危険がある。また痛くない腹を探られるという心配もあろうかと思いますので、もし私の希望するようなことを実現しようというお考えでもありますならば、あるいはそういう問題に関心の深い学者、経験者等の意見でもお集めになりまして、そして政府としての気持もしつかりお固めになって、いかなる機会に、いかなる方法でこれを進めていくべきだということを御決定になることが必要であろうと思うのでありますが、ただ、何らかの形でそういうことをして、お考えになって、実行に着手していただかなければならない差し迫つた問題であると私は確信して疑わないのであります。この問題に関しまして、大臣のお考えをお伺いしたい。
  90. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 戦後今までの間、文部省がどういった態度できたかということにつきましては、私、具体的なそれぞれ事実はまだよく存じません。私、今日考えておることを申し上げたいと思っておりますが、ただいま竹下委員から、るるお話し下さいました問題は、戦後におきまする日本国民思想の問題で、きわめて重要な一つのポイントに触れておると思います。従来、天皇の大権というものを中心にした明治憲法下におきまする国家国民のあり方というものに対して、戦後とにかく個人の尊重という点を非常に強調されたことは、確かに事実でございまするし、それはそれで私は戦前の状態に対して必要だと思いまするけれども、しかしその間において、一つには、まあ占領下において、日本人に国民意識というものを非常に低調にさせようという占領政策もございましたろうし、まあいろいろな点から関連をいたしまして、国民の国家意識というものが、非常に私は低くなっておる点があると思います。で、その点に関しましては、単に人間が社会人として生存をしているというだけで決して満足な発展ができるわけじゃないので、国家というものを十分に国民は考えていかなければならぬわけでございます。今日の世界の情勢を考えてみましても、何といいますか、民族の独立というような点については、戦前に比べてますます進みつつある。今日世界中を見ましても、昔のような帝国はだんだんに姿を消して、それの民族が独立の国家をかまえながら、つまり上下の関係はかんべんできないけれども、横の連携はとるという形で、つまりそれぞれの国民が自分の国の歴史と伝統に非常に目ざめた形で、独立意識をますます強くしながら、新たな国際協調が生まれている状態でございます。従いまして私は、竹下委員心配でございましたけれども、私は国家意識というものを、今日の時代におきまする国家というものを正しく把握するということが、決して保守反動でもなければ、国際協調に反する問題でもないので、むしろ常に正しい国家観念を養成し、国家意識というものを認識いたしますることが、ほんとうにやはり国際協調のもとになっておると考えるのであります。で、今日の日本の実情を見ます場合に、まあ占領下から引き続いたいろいろな状態から見まして、確かに社会人としての生存ということのほかに、今日の世界において、国民が国家というものの中で発展しつつあるという状態についての認識、また意識というような点が、私は多少正しいあり方から見て、動揺であるとか、何とかいう不満足な点が私はあろうかと思います。そういう点について私はあらためて何か学者の議論を聞く必要もないので、これは要するに、私はやはり国民の日常活動におきまして、日常活動の基礎になります青少年の教育の点につきましても、私はやはり今日までの歴史と伝統というものに対する正しい認識を持ち、そしてそこに誇りを持って、そして正しい国家意識、国民意識を持つということが、むしろ私は今後におきまする、つまり戦後ここまでいろいろ物質的にも発展をいたして参りましたし、あるいは文化的、社会的にも発展をして参りました日本を、もっともっと発展させるために、私はやはり正しい意味における国民意識というものをはっきりするということは、単に社会人として生存していく以上に非常に大切なことであつて、けつこうなことであると私は考えております。ただそれだからといって、政府として何かきわだった、特別に何か行事をやるとか、あるいは委員会を作るとか何とかしなければ、それがはっきりしないというようなことはないんじゃないか、むしろ日常私どもがそれぞれの仕事をやる部面において、そういう面を腹の中に考えておればいい。ことにこの教育の面につきましては、人間が単に社会人として生存していくということだけでなしに、今日われわれ歴史的な存在で、祖先から引き継いだ経済的な、文化的な、社会的な遺産の上に今日は栄え、今後も栄えつつあるという、やはり歴史と伝統に対する認識を持ち、誇りを持ち、その上に将来の発展を考えるということについては、今まででもだんだんに骨を折られてきたと思いますけれども、今後においても骨を折つて参りたいと考えております。私は誤解を避けますために、繰り返して申しますが、正しいやはり国家観念を持つということは、私ぜひ必要だと思います。決して五十年前、百年前の国家主義といったような点を考えているわけではありませんので、今日でも、中央ヨーロッパにおきまするドイツ、フランス、イタリー、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグという六ヵ国が、いわゆる欧州共同体を作つた、あの西洋史の上で何べんも血みどろな戦争を繰り返した国が、十七カ年間に関税の障壁を撤廃し、十七年後には資本も労働も自由に利用できるようにしようという協定を結んでおる今日においては、従来のいわゆる古いネーション、ステートの観念というものは変つて参っておるのでありまして、ただし共同体の状態を見ましても、みんなやはりドイツ人はドイツ語を話し、ドイツ文化を誇りながら、新たに六カ国二億何千万の共同を考えるという形であります。そういう平和の維持、生産力の拡大というための国際協調をますます進めつつある今日の状態、人類は、とにかくやはり苦しみながら漸次成功しつつあると私は思っております。そういう、要するに平和の維持と生産力の拡大に対する国際協調の面の拡大ということを、人類の悲願として努力しつつある今日の国家というもの、その国家というものの中の国民として、まず第一にわれわれが動いていくということについては、単なる社会人として生存するということのほかに、十分な認識を持たなければなりませんし、また、青少年教育の方面でも持たせなければならないと思います。私は特別きわだつてどういう仕事をするということでなしに、やはり常に世界の現状に対する認識を持ち、また、将来あるべき方向に対する努力を怠らないと同時に、総体的な心がまえで、やはり教育の場に臨む、あるいは教育以外の行政の場に臨んでいく、そういったような態度でいくべきものだと考えておりまして、私が所管行政を担当するに当りましても、なお私検討してみます。これだけじや足らぬところがあるのだというならば、何らかの措置を考えてみます。当面のところでは、そういったつもりで、あらゆる行政の場に臨んでいくというつもりで見て参りたいと思います。
  91. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は人類の生活の将来を考えてみまするというと、やはり世界連邦と申しますか、あるいは一つの国と申しますか、でき得べくんばそうして、この間の民族は違つておるにしても、お互いの利益を調和して、そうして一本でやっていくというような時代がくるのかもしれない。しかし、これはなかなか今申しましても夢のような話でありますし、現在の国際情勢から見るというと、どうしても人類の生活のために、やはり集団生活をしなければならない。その集団生活の一番大きな、そうして強固なものはやはり国家である。国家の発展ということは、とりもなおさず、その国民の福祉の発展である。それぞれの国がいい国家として発展しましたならば、すべての世界人類が幸福な生活を送つていくということになるのであります。われわれ日本人である以上は、やはり日本の国家というものの存在を、はっきり何よりも先に国民が把握するということが根本の問題ではないか。幾ら自分で理想を持ちまして、世界は一致していかなければならないと言ってみたところで、これはなかなか急に望み得ないところであります。そして自分たち国民がりつぱな国民となり、りつぱな国を、しかも強い——強いというのは、決して軍国主義の意味ではありません。正しく強い国家となるということは、これはほかの民族のためにも、ほかの国家のためにもいいわけであります。お互いにそういうふうに切磋琢磨していくということが、人間の理想でなければならないと思っておるわけであります。ただ、先ほど学者云々ということを申しましたが、私がそれを申しましたのは、こういう考えを私は持っておるのであります。大臣のお言葉のうちにもちょっとあったようでありますが、古い国家観念と今の観念と違う。これはおそらく学者たちに聞いても、昔のような十九世紀、二十世紀の初めのような学説を出しておられたのでは、国家の定義にならないだろうと思います。そういうことは大臣御自身はよくおわかりだろうと思っておりますけれども、しかし、あなたの部下として働いておられる多数の人たちがそこまで考えておるか、研究しておるか、これは疑問だと私は思います。さきにも申しましたように、学問的に定義を下すということは、これは容易なことではないと思いますが、政治、法律各方面からの知識の出し合せをいたしまして、そしてこの際の日本としては、国民にどういう観念を与えることが必要であるかというようなことは、十分検討しなければならないと思います。そこを文部省だけでおやりになるのは多少の危険が伴いはしませんか。あるいはまた一部には何かまた復古主義と申しますか、もとの軍国主義に返る何らかの意図を持っておるのじゃないかという誤解を招かないとも限らないので、そこはよく慎重におやりになることが必要ではないか。こういう意味で私は申し上げたわけでございます。まず国家というものの性格というものが、原理的に正しくその観念がきまりましたならば、その後に現実の正しい運営が各方面にできる、こういうことになっていくわけであります。たとえば憲法の第三章、国民の権利義務の各条章の運営にいたしましても、国家と国民との関係がどんなものであるか、対立的なものではなくして一体のものであるかというようなことが、はっきりわかつていきましたならば、その権利義務の各条章の運営についても、またそれぞれの意見がはっきり把握されるということになって、いたずらな争いなんというものは出てこなくてもいいのだ、全く出ないというわけには参りませんけれども、やはり相当に落ちつきやすい。また落ちつくべきところに意見の一致も出てくるのじゃないか。よく国会で問題になりますのは、公共の利益のために云々ということが問題になりますが、何べん繰返されても同じような議論になるわけであります。そういう問題にいたしましても半ばやはり学理的にも国家観念を、そういうことで各人みんなに学者になれというわけには参りませんから、それは困難ですけれども、漠然ながらも、やはりそういうものの基礎観念を身につけてやるということが、きわめて必要ではないか、かように私は考えたわけであります。現に日本の国家、日本のみならず、ほかのそれぞれの国にいたしましても、国際連合に入っている以上は、従来のような広い範囲の主権をやはり国際連合にある程度つていく、この点はそちらの方におまかせしますということになっておる。国家の観念の定義ということは、これは容易なことではない。そういう意味で申し上げたわけであります。その点一つ御考慮願いたいと思います。
  92. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私、重ねて申し上げますが、私も率直に申しまして、とにかく戦後今日まで十四年を過ぎて参りまして、日本もずいぶん回復はいたしましたけれども、どこかしらん、やはり塩の抜けたような感なきにあらずと私は思います。それはやはり敗戦後、いろいろな問題がありまして、いいことも悪いこともいろいろございましたけれども、その間において、やはり一つ何といいますか、国民的な、あるいは民族的な誇りといったものに、一つの自負心というものにひびが入つたと私は思っております。この点については誤解をされると困りますけれども、何も古い国家観念でどうこうというわけではありませんが、私はやはり、フィヒテがナポレオン戦争のあとに骨を折りましたように、日本国民としての歴史と伝統に対する正しい認識を持ち、持っておるものに対する誇りと自負を持つということは非常に必要なことで、まだ今日欠けておると思いますので、私は文教行政を考えるに当つても、そのことは始終腹に置いて参りたいと思っております。ただいまお話のございました問題につきまして、そういうことを考えてやるのに、ただ考えてやると、かえつて復古調のように考えられるおそれがあるから、国家の観念といったようなものを国民の前に明らかにする意味において、いろいろ学者の意思等も聞きながらやつておるのだということがわかるような方策を考えておるかというお話については、私、御意見を十分尊重して参りたいと思います。ただ、どちらかと申しますれば、むずかしい議論の前に、私はやはり日本人が日本語を話しながら、日本的なものの考え方をしながら、日本的な生活様式をしながら、日本の経済的、文化的、社会的なその遺産の上に立って発展を考えるというのは私は当然な話じゃないか、むずかしい議論をする前に、やはり国家というものに対する正しい認識というものは、私は当然あまり議論せずに持たなければならぬじゃないかとは考えております。  それともう一つは、私はこの機会に申し上げたいと思いますのは、国家と国民との対立関係といったような問題だとか、あるいは公共の福祉というものに対する考え方というふうな問題についてのお話がございましたが、私はその一番基本的な問題としては、戦後、とにかく国の体制というものが全く変りまして、そうして国民主権の憲法下にとにかく民主政治が行われている。ただ、その民主政治というものは、やはり国民の政治意識なり、またそれぞれのものの考え方といったような点で、これは非常によく行われる場合と、なかなか十分でない場合とあると思いますけれども、しかし、やはり私は民主政治というもの、国民主権というものをほんとうに真剣に養い育てていく、われわれはもうこの民主政治をほんとうに守るのだというところに、一番われわれの国家というものを考える、国家の利益と国民の利益とが、常に一緒であり、また、公共の福祉というものは、やはり私人の発展のために必要なんだということを考える根本があると思いますので、私はぜひしんぼう強く民主政治というものに対する自信を持ち、これを育てていくようにすることが、実際の政治の面でも、また青少年教育の面でも、私は非常に必要なことだと考えておる次第でございます。ただいま竹下委員お話のございました点については、十分考えて参りたいと思います。
  93. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今の民主主義との関係のお話でございます。けれども、私も結論は全く同感でありまして、私は国民が国家の尊厳をはっきり把握するということそれ自体が、民主主義の運営に最も大事なことである、かように信じておるわけでございます。  それから、私この問題をこの際取り上げました動機を申し上げますると、社会教育法の改正について、いろいろ社会教育主事の採用だとか、その講習だとか、御尽力下さることになっておるわけであります。学校の教育、社会教育の各部面で、従来に倍して、その講師に当るような人たちが、これは具体的問題になりますけれども、やはり国家ということに関するお話の度合いを、従来よりも多くしてもらいたいという私の希望があるわけであります。これはだれでも考えておることでありましょうが、この問題は、私はお話がありますれば、おとなでありましても喜んで拝聴する問題じゃないか、いろいろ疑惑を持つ人もありましょう。話して聞かせれば、なるほどというところで、しつかり自分が固まつていくというような国民が非常に多い、そこにはぐつと押すという努力が、私の目から見ると少いように見えますので、それをやつていただきたい、それでこの機会を私は取り上げましてお尋ねをしたわけでございます。大臣のお気持はよく私も了解ができたと思っておりますから、この上も特に御尽力をお願いしたい。
  94. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 国家観念をはっきりさせるということについての遠慮は無用だと存じますが、実際、戦後の状態を見ますときに、部分的にそういうふうな妙な遠慮というものがなきにしもあらずと思いますので、そういう点は十分考えて参りまして、そういうふうな社会教育の面におきましても、そうした話題を特に避けるといったような風潮は決してないようにいたしたいと思っております。
  95. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 あまり長くなりますから、一応私の質問はこれで終ります。あとでまた時間がありましたらお伺いします。
  96. 湯山勇

    湯山勇君 社会教育法について若干お尋ねいたしますが、その前に、前回、松永委員から質問のありました青年団と、それからこれに対して指導の立場にある教育委員会との関係、これについて最初二、三伺いたいと思います。  青年団の活動というものが、これは自主的なものだということは、大臣以下皆さん十分御認識になっておる点だと存じます。そこで、教育委員会と青年団との間にいろいろな行事を共催していくという場合があるのでございますけれども、そういう場合に、教育委員会の言う通りしなければ共催はしない、便宜をはからないというような考え方は、これは私はよくないことだと思うのですが、ただ文部省としては、従来、教員組合の研修大会は共催しないといったような方針をとつておられるようないきさつもあつて、青年団の研修会等についても教員組合に対するのと同じような立場で、言う通りしなければ共催しないんだというようなことを指導しておられるかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  97. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまお尋ねでございますが、青年団が県内で研究大会等を開きます場合もいろいろあると思いますけれども、これを教員の研究大会と同一視しているというようには私ども従来考えておりませんので、教員の問題は別でありますけれども、青年団のいろいろ研究大会につきましては、内容によりましてもいろいろ地方によって違う場合がございます。従って、内容自体で、内容がよければもちろん県が共催するという態度に出ると思います。従って、青年団自体が独自におやりになる場合は、これはもう別に県の教育委員会が関係する面ではございませんが、共催する場合には、これは共催者たる県教委の立場というものもございましょうし、また、青年団自体の希望というものもありましよう、従って、そういった希望なり、あるいは県教委の考えなり、そういったものが合致して共催されるわけでありますから、これに対して、かれこれ文部省からいろいろ指導するということは今までやつておりません。
  98. 湯山勇

    湯山勇君 そういう場合に、従来の慣例から見て、青年団の自主性というものを尊重した立場で、教育委員会はこれに臨んで行くということが私は基本でなくてはならないと思うのですが、その点についてはどういうふうに文部省としてはお考えでしょうか。
  99. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは程度の問題だと思います。と申しますのは、これは共催という立場をとれば、青年団自体のいろいろな希望もあるかもれませんが、希望の中で、かりに十のものを十取り入れなくても、八つでがまんしなければならぬという場合もございましょうし、県の教育委員会としては、やはり自分が共催者の立場に立つという以上は、県の教育委員会の方針に反するような共催はできにくいのではないか、従って、教育委員会もまたいろいろな考え方があると思いますけれども、教育委員会としても、自分の主張を十のものを八つで折れるというようなこともあり得ると思います。従って、これはあくまで両方共催の場合には話し合いできめて行くのが筋であり、従って、青年団の自主性を十分尊重するということは望ましいのでありますが、共催となりますと、やはり両者のおのおのの立場というものを十分お互いが尊重し合つて行事をする、これが望ましい問題だと思います。
  100. 湯山勇

    湯山勇君 その県の教育委員会の方針というのが、大体基本はどういうところに置いておるわけでしょうか。われわれの考えでは、県の教育委員会の方針にしても、市町村教育委員会の方針にしても、あるいは文部省の方針にしても、憲法なり教育基本法、この方針で貫かれているべきものだと思うのですけれども、それ以外に別な方針があるかどうか、これは一つ念のために伺つておきたいと思います。
  101. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは一般的に申されるならば、おっしゃる通りだと思いますけれども、その事業を実施します場合に、個々の事業の内容とか、あるいはその事業の実施方法等について、県の教育委員会としては、いろいろ方針が出るかもしれません。これは具体的な問題にぶつからなければ、これはわかりません。一般的には申し上げられないと思います。
  102. 湯山勇

    湯山勇君 そこで、具体的に申し上げたいと思うのですが、これは新聞にもそれと同じような記事がずっと出ておりますが、それは愛媛県の連合青年団ですけれども、連合青年団がその経過を刷つたものにも出ておるわけですが、こういうようなことは、これはいかがなものでしょうか、従来はずっと三泊三日の研究会を青年はやつてきておつたわけです。ところが今回共催について話し合いをいたしましたところが、まず日程が三泊三日はよくないから一泊二日にすべきである、それからその次に、研究大会の開会に当つては、従来、若者の歌というのがあります、これを歌つてつたのですけれども、開会に当つては、若者よという歌よりも君が代を歌いなさい、それから、その次には、平和と民主主義というのを青年団はスローガンとして掲げております。ところがその平和と民主主義もソ連式とアメリカ式とがあるから、あなた方の平和と民主主義というのはアメリカ式でもソ連式でもいけない、ユネスコの考えでなければいけない、まあこういったような条件を出しまして、こういうことがいれられなければ一切共催はできないということで、ずいぶん交渉に交渉を重ねて、ついに決裂をして、青年団は単独でやらなければならない、こういうことになつたことを新聞も伝えておりますし、青年団自体もそのことを発表しております。こういうところまで教育委員会が干渉するといいますか、そういうことがあつていいかどうか、これについて文部省のお考えを伺いたいと思うわけです。
  103. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまお述べになりました新しい事実、私は新聞を拝見いたしておりませんので、愛媛県にそういうことが現実に持ち上っておるかどうかわかりませんが……。
  104. 湯山勇

    湯山勇君 もしそうだとすれば。
  105. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは仮定の問題になりますので、意見を申し上げられないと思いますけれども、しかし私が以前聞いたことのありますことは、愛媛県の青年団と県教委の問題につきましては、前から多少、今お述べになりました問題とは別でありますけれども、いろいろ集会を開きます場合に、共催ということでいろいろなやりとりがあったということを課長から聞いておりますが、たとえば一例をあげますと、青年団の方は、以前の集会でも三泊三日を主張する、県教委は地教委の要望によって、この一泊二日でございますか、二日に縮めたい、そういうような話があつて、いろいろ話し合いができなかったというようなこと、あるいはまた中学校を貸してもらいたいというときに、その中学校がふさがつてつて、会場がなかなかうまく借用できなかった、それでもってその集会がうまくいかなかったというようなことをいろいろ言っておるということは聞いております。しかしながら、今まで私が県の教育委員会の人から聞いたところによりますと、県の連合青年団と申しますか、その青年団の幹部の申し分なり主張というものも、必ずしも客観的に言いまして正しいかどうかということは、これは一がいに言えないのではないか。青年はいろいろ青年らしい希望を持っておりますから、またある場合にはそれが非常に無理な注文となる場合もございましょうし、そういった意味で必ずしも正しいとは言いがたい問題であります。従って県が、県とその青年団と共催という立場をとれば、やはり県が干渉するというようなことは別にいたしまして、県としてもやはり一つの考え方があると思いますので、それに従って両者が円満に話し合つて、この実行をするというのが正しい行き方だと私は考えております。しかも、そのビラを拝見いたしますと、県の教育委員会は、広告だから、青年団の言うことを全部聞くべきだといったような意味のこともあったようでありますが、そういった考え方については、これをにわかに賛成はいたしかねます。そういった多少の無理もあるのではないかというふうに考えますと、これはやはり十分両者が話し合つて内容のりつぱな研究集会であれば、これを実施するようにした方がいいのではないかというように考えております。
  106. 湯山勇

    湯山勇君 いろいろ青年団自身の考え方というものについては、これは私はまたあとでお聞きしたいと思っております。ただ、問題は、県の方で組まれている予算、これまでの予算ですね、それはもう三泊三日にしろ、一泊二日であろうが、県の負担をする分については関係がないわけです。そういう場合に、しかも地教委は大部分は旅費を出すというような態勢のところで、とにかく三泊三日ではいけない、一泊二日でなければ共催しないというようなことが果して妥当かどうか。それから、問題は別にあるにしても、たとえば君が代を歌わなければいけない、若者よの歌ではいけない、あるいはまたユネスコ式の平和と民主主義でなければいけない、こういったような県教委側の要求というものがいれられなければ共催はしないのだという言い方ですね、がある。そのことの事実が、かりに局長御存じないとすれば、仮定としても、そういうことがあつていいかどうか、文部省としてどうお考えになりますか。
  107. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは、この集会の事業の内容なり、性格にもいろいろよってくると思いますが、私はこの平和、民主主義といったような点がいろいろこれはあるかもしれません。こういった問題こそ、やはり青年と県教委側が十分よく話し合つて正しい意味にこれを解釈してやるべきだと思います。
  108. 湯山勇

    湯山勇君 もう少し端的に言っていただきたいのです。私は平和と民主主義の把握の仕方が違つておれば、それこそ県の教育委員会から行って、そうしてそういうことについては助言者も出して、社会教育主事も出て行って、そういうことをその研究大会の場で議論すれば、もっと青年全体が把握できていいと思うのです。それを、ただその上の方での話し合いだけで、とにかくユネスコ式でなければいけないとか、そういったような、これはいろいろそれまでのいきさつもあると思いますけれども、とにかくそういう格好で共催しない、そうすると、青年諸君はどうするかというと、今度は大会を開くための資金カンパを民間へ持っていってしなければいけない、こういうことになってきておるわけです。そうなれば一そう青年と県との縁というものが切れてしまうわけです。必要な助言、指導、そういうこともできないような会になってしまう。そのことはまた教育委員会にとつても一そう不幸なことではないかというように考えますが、その辺いかがお考えでしょうか。
  109. 福田繁

    政府委員(福田繁君) そのお述べになりました今度の会合の性質なり、内容をよく存じませんので、もし間違いがあれば訂正いたしますけれども、要するに、そういったいろいろな青年の考え方というものは、これはあると思います。従って、一般的に申すならば、やはり青年の考え方も十分県の教育委員会としては聞いてあげて、教育委員会としても、そのかわり共催に入る以上は、やはり十分自分たちの考え方というものを青年団によく話して、そうして両者が円満に話し合うというのが私は一番いい方法だと思います。ただこの場合、共催をしてもらいたいという強い要望でございますけれども、やはり共催をするということを要求する以上は、青年団もあまり感情的に走らずに、県の教育委員会とよく相談をするというようにしていただきたいと私は考えております。そういった予算も、すでに組んでおられるようでありますし、また、市町村の教育委員会も旅費等を負担するということであれば、これは現在の法制のもとでは共催以外には方法がないと思いますけれども、一般的に言えば、私どもはそういう場合には、共催でなくて、補助金としてこれを適正に使用することの方が適当ではないか、そういうふうに考えております。
  110. 湯山勇

    湯山勇君 私もそこにだんだん話を持っていくつもりでしたが、補助金になれば一そうそういうものには出せない。県の教育委員会と考えが一致していない限り共催もしない。その方針に反するものには補助金も出さないというような拘束が、この法律でやはりつくのではないかという心配が多分にあるのではないか。今のような場合にしても、若干考えが違つていても、かりにそれにしても、共催したから、それで県の教育委員会が全面的に青年団の意見に賛成だということにはならないと思うし、むしろそういうときこそ共催と同じ立場に立って、そうしてその議論の場、分科会の場で、それを一緒に論じていくという態度こそ私は必要なことではないかと思う。そうでなければ、こういう共催さえもしないというのに、一方的に補助金だけ出すということになると、これは一そうその方がむずかしくなるということが考えられるのではないかと思うのですが、局長はどうそれをお考えでしょうか。
  111. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私ども一般的に申し上げますと、共催という場合は、これはその県なり、あるいは国がやります場合は国の事業の一部としてやるわけでありますから、これは非常に性格がはっきりいたしておるわけであります。従って、その事業の内容に、いろいろやりたいという希望や条件が非常に多く出てくるということは、これは当然のことであると思います。しかしながら、一方、補助金という場合には、その団体自身が自主性をもっておやりになる事業に、公共団体あるいは国が適当な事業と認めてそれを出すわけでありますから補助金の適正な使用をはかる趣旨からのいろいろな報告、その他のいろいろな監督はあると思いますけれども、事業そのものは、これは団体自身が自主的におやりになる。従って、今おつしやいましたような点は、むしろ補助金にした方が少いのではないかというふうに考えております。
  112. 湯山勇

    湯山勇君 その点は私と非常に考え方が違つておりますから、またもう少しあとでお尋ねしたいと思いますが、また青年団の問題に返りまして、私は今のようなことだと、これは青年団と教委との共催というようなことは、実際はどの県でも不可能になってくるのではないかと思います。と申しますのは、役所というのは、大体もう現状に順応していく、文部省でもずいぶん予算の要求はしておられましたけれども、それがいれられない場合、ずいぶん不満もあると思うのです、文部省自身も。しかし不満があつても、もう今の場合、出てきていろいろ予算についてお尋ねした場合には、それはもう現状でいいんだ、現状順応の御答弁をなさる、すし詰め解消にしたつて、一年間もずれても、それはもうやむを得ないのだ、実際はふえるといっただけふえなくても、これもやむを得ないのだ、こういった御答弁をなさる、これは役所の行き方だと思います。ところが民主的な団体というか、もっと率直に言えば特に青年なんかは現在の社会情勢にあき足らない、また、そういうことがなければ私は青年としての意義がないと思います。その現状に県のやり方についても批判を持っている、教育委員会自体の社会教育についても批判を持っている。これは私は当然だと思う。その批判を持っている青年の申し出を、お前たちの言うのとわれわれは違うということから共催もしない、こういうことになっていくと、一体青年団というものは、今後そういう形におい教育委員会というものと共催することが、おそらくできないのじゃないかと思います。そのことは、何もこういう社会教育法のできない戦争中においても、やはり同じようなことがあったと思いますし、戦前においてもそういう事例はたくさんあるわけで、そういう場合に行政府のとる態度、あり方というものは、私は今、局長の言われたように、共催だからどうとかいうことではなくて、もっと青年に対する理解とこれに対する支援ですね、そういうことが必要ではないかと思うわけです。共催という言葉にこだわつておられますけれども、それは局長の言われた通り、やむを得ずそういう形態をとるわけで、もし今のような格好でこだわられるとすれば、私はむしろ第十三条は削除しないで、教育委員会の思うように、文部省の思う通りやるならば、共催一点張りでいけば、もう気にいらないものは一切ボイコットできる、むしろこの方が、私は県教委などが望むところではないかとさえ考えるわけです。今、共催をするというのはそうじゃなくて、やむを得ずそういう形をとつているので、本来、補助金でやりたいけれども、現在の規定ではそれはむずかしい、そこで一応格好は共催にしよう、こういうところが実情じゃないかと思うのですが、局長はそうはお考えになりませんか。
  113. 福田繁

    政府委員(福田繁君) おっしゃるような事例もいろいろ世間にはたくさんあると思います。補助金が出せないので、やむを得ず共催にするという格好になっております。従って、そういった場合に、私は最初に申し上げましたように、なるべく青年団の自主性を尊重しながらいくということは、これは行政に当る人の心がまえだと思います。やはりその限度と申しますか、いろいろ問題がある場合には、これはできない場合もあるかも存じません。従って、愛媛県の場合を私は今具体的に存じませんので、あまり深く申し上げることもできませんけれども、ほかの県では青年の研究集会等が多く共催の形で現在も行われておる、今お述べになりましたように、非常に何か対立したような関係はそんなにないのではないかと考えます。
  114. 湯山勇

    湯山勇君 そこで、この問題については一つよく御調査願いたいと思います。それは一方的に教育委員会だけの意見を聞けば、こういうトラブルのあったあとですから、必ずしも正鵠を得ない点があると思いますし、また、青年団だけの意見を聞くこともあるいは一方的になるかもしれません。そこで、この問題は前回、松永委員指摘されたように、相当最近各地方で起つております。こういうことを考えてみると、必ずしも愛媛だけの特殊なケースと言い捨てるわけにもいかぬ点もあると思いますので、この法律を審議する上に私は非常に貴重な資料だとも思いますから、一つ両者の言い分なり、それから第三者の公平な判断等を文部省おいても御調査つて、その上でまたこの問題については一つお尋ねいたしたいと思いますから、御調査願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 調査いたします。
  116. 湯山勇

    湯山勇君 そこで、それは御調査いただいてからお尋ねすることにして、法律の中で、まず憲法との関係、これはいろいろな御議論もありましたし、それから法制局の意見も出ておりますけれども、これについては憲法との問題は全く安心だというように言い切れるかどうか、私やつぱり多少疑問があるわけです。と申しますのは、福田局長から法制局へお尋ねになつたのに対する回答におきましても、項目をあげてずっとやつておられますが、その結論は、解してよいであろうというように、あまり明確な断定にはなっておりません。それから、これはどうも憲法に触れるというようなものにあつても、条件をつけて、相当すると考えられるからであるというような、明確な断定にはなっていないわけです。で、こう考えてみますと、それからまた参考人として見えた田上さんの御意見にしても、社会教育事業には出せないけれでも、団体には出してもいいんだというような一応の御解釈がありましたが、これにいたしましても、確かにまあ机の上や口の上では、これは事業、これは団体というふうになりますけれども、具体的に物をもって出した場合に、それが果して事業に出したのか、そうでないのかという判断は、なかなか私はむずかしいのじゃないかと思うのですが、この点について文部省の方ではどういうふうに御判断になっておられるのでしょうか。これはもうきわめて明確で、だれが考えても間違いなくぴしぴしやれるんだというようにお考えになっておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  117. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 憲法上の、教育の事業と社会教育関係団体の事業との関係でございますが、おっしゃるように非常にむずかしい点は確かにございます。しかしながら、私ども従来これをいろいろ研究して参りました。法制局におきましても、これを従来ずっと研究して参りました。私の方から法制局に照会をいたしまして、この回答を得たのでありますが、それによりまして、私どもは今後、実施上には十分細心の注意をいたしまして実施するつもりでございます。従って、法制局の見解として、この補助金の対象にしても差しつかえないという事業については、これは団体の事業の中でも明確にこの事業を区別いたしまして、そういう対象にする場合は区別して参りたいと考えております。従って、おっしゃることは、おそらくその事業とその経理の問題になってくると思います。そういった点についてはこれは十分区別いたしまして、その対象なつた事業というものを明確にして補助金を出すというように考えておりますので、支障はないと思っております。
  118. 湯山勇

    湯山勇君 私も局長が法制局へお尋ねになつた資料をいただいて、それを見てお尋ねしておるわけですが、それによりましても、局長の方でお尋ねになつた事業について、これは差しつかえないという方の見解についても、これはもう大丈夫だという見解ではなくて、教育に該当しないものと解されるという程度の判断しかされていないわけです。最終的には、その出された補助金が憲法に抵触しておるかどうかという判断は、これは局長の判断でも最終的な決定にはならないのだし、また、法制局の判断でも最終的な決定にはならないのじゃないかと思うのですが、ある事業に補助金を出して、それが憲法に抵触しておるかどうかという最終的な判断は、どこがすることになっておるわけでしょうか。最高裁になりますか、どこになりますか。
  119. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは私どもはもちろん行政府でございますので、行政府の解釈はこうだと言っても、それが最終的に争いになつた場合に、こちらでこうだという決定は、それはできないと思います。従って、具体的なケースにおきまして、そういった争いがあれば、これは裁判所のきめる問題だと思います。しかしながら、こういった従来から内閣法制局の解釈というものは、私どもとしては政府部内で最高のものでございまして、これに従わざるを得ない。従って、これ以外にはまたないわけであります。
  120. 湯山勇

    湯山勇君 この問題は憲法との関係があるから、私はよけいむずかしいと思うのです。ほかの場合であれば、おっしゃる通り政府の解釈でやつていけると思いますけれども、それがもし憲法に抵触するという判断をする人があった場合には、これは普通の行政上のいろいろな措置と違つて、簡単にはいかない要素を持っている。そこで、そういう場合に一体どうなるかという心配をしておかねばならないと思います。政府の方でこれは適正である、憲法に抵触しない、こう御判断になっても、果して裁判所がそう判断するかどうか、これはわからないと思いますので、こういう法律の場合は、特にこれならば憲法には絶対抵触しない、そういう心配は絶対ないというだけの御用意がなければ、いろいろ社会教育団体のやつている事業の中でも、法制局の見解でも、あるものは憲法に抵触する、あるものは抵触しないと解釈される。この程度のものでは私は非常に不安ではないか。もし、今のように、かりにまあある団体に補助金を出した場合に、どうも自分たちとは扱いが不公平だというようなところから、そういうことを一々取り上げて裁判所に持ち込むというような事態が起つた場合には、せつかくこれをやりましても結局何にもできない。実際問題としては何一つできないというようなことになると、せつかく法改正をしても、それはかえつてトラブルを増すばかり、こういう心配が私はあると思います。これはどうお考えでしょうか。
  121. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまの御質問の中に、法制局はこう解せられるというように書いてあるのは弱いというように仰せになりましたが、法制局は従来そういった用語を使うのでございまして、私どもは、そういう解せられるという用語が使つてあれば、それはそうだというように従来から慣例的に読んでおります。従って、これは何も弱いというようなものではないと思います。こういった事実を鮮明しているということでございます。  次の問題として、争いの問題でございますが、これはこの法律に限らずに、いかなる法律を制定いたします場合におきましても同様な問題があると思います。御承知のように、最近におきましては、昔のように行政訴訟というものは制限列記いたしておりませんので、いかなる場合でも行政訴訟もでき、裁判の対象に一応なり得るのであります。従って、この法律の改正ばかりでなく、他の立法をする場合においても、そういう問題は当然心配をすれば起き得ると思います。従って、これのみについてそういった心配をする必要があるかどうかということについて、私は多少の疑問を持っておりますけれども、私どもとしましては、今申し上げましたように、憲法に抵触しない範囲内の事業については、ごく明確なもののみにこれを限つて、しかもはっきりしたもの、区別した事業についてこれを出す道を講ずれば、そういった争いの問題は起きないのではないかというように考えておりまするので、行政的には、そういった争いの余地を残さないように、できるだけ指導をいたしたいと考えております。
  122. 湯山勇

    湯山勇君 一般論で局長お答えになりますが、私はこの法律に関する限りは、そういう意味での一般論は通用しないと思いますのは、従来、憲法による制約とそれから社会教育法による制約、まあ二重制約という言い方は悪いかもしれませんけれども、とにかく二つの制約がありました。そして、そのうちの一方の制約をこれではずそう、で、はずしたために、今度はもう憲法の制約だけが出て参つたわけです。ところが、憲法というものは、そんなにこまかく規定してあるものではありませんから、それの解釈はかなり幅がある。その幅について、憲法学者、特にこの委員会に来ていただいた方も、これはごく狭義に解釈すればと、こういう条件をつけて、ああいう見解をおとりになっておるので、この解釈は、きわめて狭義に解釈すれば高見さんのような解釈も出てくるかと思いますが、そうでない解釈をする学者もたくさんあることは、局長も御存じの通りです。憲法に抵触するかどうかの判断も、これは有形のものでしていないのです。形に表われたものによって区別ができるのならば私は簡単だと思いますけれども、憲法に抵触しないという判断の根拠は、この法制局の見解によりましても、精神的または肉体的な育成をはかるべき目標があつて計画的にその達成をはかるのでないから、それは該当しない。だから、もし同じ事業でも、目標があつて、それから計画的にそれをやつたということになれば、これはひつかかることになります。ところが、その目標というようなものは、これは形に表われたものではありませんし、計画というものも、これもないといえばないし、局長指摘になっておる記録にしても、あるいは機関紙の発行にしても、あるいは連絡調整にしても、その他活動の普及、向上、奨励とか、そういうことにしても、計画があるといえばある、ないといえばない。競技会にしたつてそうなんです。これはいろいろ議論が分れ過ぎると思う、こういう点については。目標があつて計画的にやらない限り憲法に抵触しないというので、その判断というのは、きわめて微妙なものがあると思います。こういう微妙な点は、同じことをやつても、そういう目標と計画があるかないかによって抵触するしないを判断するというようなことは、非常にむずかしいのではないかと、こういうことを考えますので、局長が言われるように、そんなに簡単にこれは判断できないのじゃないか。そこで、実際やつて、やつたことについて異論が出て、これが裁判に持ち込まれるという、そういう形態は、今のように憲法が他の法律ほどこまかくできておりませんから、そういうトラブルが起つてくるのじゃないか、こういうことを私はどうしても懸念せずにはおられないのでありますが、いかがでしょうか、そういう懸念はないのでしょうか。
  123. 福田繁

    政府委員(福田繁君) いろいろ御心配いただきます点は、私どもよくわかるのであります。しかしながら、この解釈が非常にむずかしいということも、これはいろいろ具体的な場合にあろうかと思います。しかし、同じ憲法八十九条に関連する問題としては、私立学校の助成の問題も、すでに解決済みの問題としてあるわけであります。私どもは私立学校は憲法八十九条に申しますところの、公けの支配に属するものだというような解釈をとつておりますが、おっしゃるような意味で、これは公けの支配に属するか属さないか、わからないのだというような議論がもし立つたとすれば、私立学校に対して補助金を出した場合に、一般的にそれに異議を申し立てる訴訟が起らないとも限らない、これはおっしゃる通りだと思います。しかしながら、今日、私立学校は公けの支配に属するもので、これに対して補助金を出すということは不都合ではない、むしろ妥当なものだというように立法政策的に考えられるわけでございます。従って、そういう懸念は一般的にはございませんが、また昨年、全国的な運動競技団体に対しまして、十三条の特別として体育関係の団体に補助金を出し得る道をお認め願いましたのも、やはりそういう問題がもし起きるとすれば、つきまとうわけでございます。しかしながら、この十三条の特例を作りました場合にも、そういった問題でなくて、これはむしろ立法政策的に十三条から特例を設けても差しつかえないということで、これをお認め願つたわけです。従って、私どもは一般的に十三条についても、そういった事業に出します際には細心の注意を払う必要はございますが、おっしゃるような御心配の点はないように考えております。
  124. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  125. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して下さい。
  126. 湯山勇

    湯山勇君 それで、この回答は回答としても、とにかく計画的に、たとえば研究会、読書会、鑑賞会、講演会、あるいは専門的、技術的指導者の養成、こういったことにしても、この回答のイの(2)のところにあるように、「計画的にその目標の達成をはかるものでなければ」というようなことがついております。こういう表現でもってこれを区別するということは、実際は各県教委にしても、地教委にしても、文部省にしても不可能だと思います。主観的になってしまうと思うのです。そうすると、トラブルを起す余地が多分にで持てくる。そこで、私立学校の場合は個々のものについて、たとえば理科教育について、こうする場合はこう、この場合はこう、というふうに、法律でそれぞれ個々の場合を規定しているし、先般の教委に対して出す場合も、お互い議員の間で、まあ国会において意識統一をして、この場合はこれでいいじゃないかということをやつておるから、これについては、今、局長の言われたのはケースが違うと思います。今度の場合も、あらゆるものを行政府の判断にまかすと、こういうことになっておるので危ない、危ないというよりも、実際問題として、だれかが、これは全部すべてが違憲だ違憲だというので訴訟に持っていけば、これは何もできないことになってしまうという心配があるわけです。そういう心配を持っておるから、それに対して伺いたいと思うわけです。
  127. 福田繁

    政府委員(福田繁君) おっしゃるように、私立学校の補助の場合はいろいろ書いた場合もございますが、補助のやり方なり範囲につきましては、かなり広範囲にわたっておるものと私考えております。従って、この場合においても、積極的にこれこれに補助をするような規定はございませんけれども、この解釈に従って明確に補助をして差しつかえないという事業については、私どもは指導によって地方に対して明確にそれを示して、その範囲で融資する場合はやつてもらうというふうにしたいと思います。
  128. 湯山勇

    湯山勇君 それでは具体的にお尋ねしますが、研究会は補助対象になるかならないか、たとえば婦人会が今度こういう研究会をしたい、そこで補助をもらしたいと言ってきたときに局長はその研究会に対してお出しになりますか、なりませんか。
  129. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 研究会あるいは読書会等においても同様な問題があると思いますが、そういった研究会の内容によって、法制局の言っておるような一定の目標に従って、教育者と被教育者が一定の目標に従って教育をされるような、そういった形のものであれば、これは出し得ないというように私は答えます。
  130. 湯山勇

    湯山勇君 研究会に計画目標のない研究会というものはまずないと思うのですが、そういう点は、同じ研究会でも出せるのと出せないのがある、今の局長お話で言えば。しかも、それが計画の有無というようなことがその判別のポイントとすれば、なかなか私容易なことでないと思うのです。無計画な研究会に補助を出すなんということはあり得ないことだし、そうかといって、その計画がどういう計画のところまでは出せるけれども、計画がこうなつたときは出せない、こういうことも実際にはこれは判断できないことになってくると思います。こうなってくると、今、局長が言われたように、研究会でも出せるのと出せないのとがある、講習会だつて出せるのと出せないのとがある、こうなると私は運営上はきわめて問題が多いことになる、こう思うのですが、どうでしょうか。
  131. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それは研究会なら研究会の事業の内容というものをはっきり、あるいはその計画をはっきり提出してもらえば、それに従って判断するということになりますので、そう間違いはないと思います。
  132. 湯山勇

    湯山勇君 その判断がむずかしいと思うのですが、これはそこまでいきますと、やはり法制局を呼んで、法制局自身の持っておる具体的な判断を尺度にしないと、局長はそういうふうに言われますけれども、むずかしいことはだれが考えてもはっきりしています。そこで、この十三条削除については、かりに削除するにしても、こう野放しな削除は私はいかぬと思う。大臣もお聞きの通りなんですが、これを削除して、そのままこれでフリーにしてしまうというような、それくらい、問題が多いのですが、何か考えなければならぬというふうに大臣はお考えになりませんでしょうか。
  133. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 大臣の答弁の前に、ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  134. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記復活。
  135. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) この問題については、やはりある程度趣旨で判断をするよりやむを得ないと思っておりまして、過去におきまして文部省が尋ね、法制局から回答がございましたこの趣旨に従って判断をいたしたいと思っております。従いまして、何かあまりぎりぎりいつぱい欲を張つて、何もかも出したいというと、憲法八十九条に抵触するという、すれすれのところへいきはせぬかというおそれはございますけれども、やはりこの法制局の見解に従って、そうした憲法に抵触するようなところまでいかないで、節度を保つてこの法制局の見解に従って運営していくというよりいたし方がございませんし、また、私はやはりいい意味において社会教育を十分にやつた上で、補助金を出してくれという要望もございますし、また、私は出した方がいいと思いますので、従いまして、法制局の見解というものをよく運用をいたしていくということによって、ただいまお話のございましたような問題を、あまり具体的にきちつと施行規則できめるようなきめ方というものは、私は実態に即してきめにくいと思いますので、やはりこうした趣旨に従って、節度を保つて運用していくということにいたしたいと思っております。
  136. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時五十一分散会