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1959-03-31 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三十一日(火曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十八日委員小山邦太郎辞任に つき、その補欠として重政庸徳君を議 長において指名した。 三月三十日委員小笠原二三男辞任に つき、その補欠として戸叶武君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            重政 庸徳君            柴野和喜夫君            関根 久藏君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            堀  末治君            安部キミ子君            河合 義一君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    中小企業庁長官 岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林大臣官房企    画室長     久宗  高君    農林省農林経済    局農業協同   富谷 彰介君    組合部長   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林漁業基本問題調査に関する  件)  (農林漁業組合経済事業小売商  業特別措置に関する件)  (臨時生鮮食料品卸売市場対策調査  会委員に関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林漁業基本問題調査に関する件を議題にいたし、今国会内閣から提出され内閣委員会予備付託となっております農林漁業基本問題調査会設置法案について、政府当局説明を聞くことにいたします。  この件について、政府からの出席高橋政務次官総理府参事官福山芳次君、農林大臣官房企画室長久宗高君、三名の方がお見えになっております。  本件について政府説明を聞きます。
  3. 久宗高

    説明員久宗高君) 農林漁業基本問題調査会設置法案につきましては、だいぶ前でございますが、大臣から詳しく提案理由を御説明いたしましたわけであります。時間がたっておりますので、もう一度、要点だけ申し上げたいと思います。
  4. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここじゃ大臣説明なんて一ぺんもないです。詳しく説明して下さい。
  5. 久宗高

    説明員久宗高君) 御承知通り、数年来、農政の転換といった問題につきまして、いろいろ論議があるわけでありますが、農林省といたしましては、三十一年に農林白書を出しまして、その際、農林漁業現状につきまして、一連の問題を展開したわけでございますが、その際、前提として申し上げておりました国民経済の他の分野との関連あるいは農業内部におきます発展の不均衡といった問題につきまして、その後、行政を運営して参りますにつきまして、非常に苦慮しておったわけでございますが、御承知通り農業生産そのものは、数字にも現われておりますように、非常な伸展でございますが、一方、農家経済の側から見ました場合に、第一次産業——農林漁業を含めました第一次産業の他産業との発展の不均衡というものが相当目立って参っておりますのと、また農林漁業を特に所得関係から見ました場合に、相当のここに格差が出てきているわけでございまして、このような問題をいかに解決するかという問題に逢着いたしました場合に、どうしても農林漁業内部だけの問題では片づかない問題が非常に多いわけでございまして、他の国民経済機能との関連を十分に考慮した総合施策が必要ではないかというように考えて参ったわけでございます。この点は、御承知通り、日本の農業に特有な問題ではございませんで、世界の各国におきまして、やはりこのような第一次産業と、その他の産業との発展の不均衡、特に所得格差という問題をいかに調整していくかという問題が重大な関心になってきているようでございます。さような意味合いにおきまして、問題を扱って参りました場合に、当然のことながら農林漁業生産性向上という問題、特に所得の増大ということが焦点になろうかと思うのでありますが、これを達成いたしますにつきまして、もちろん農業内部におきまして、一般の施策検討が必要でございますが、さらに立ち入って考えました場合に、特に産業構造というような問題から考えました場合に、他産業との関連性、その国民経済の他の分野におきまする施策との関連といった問題につきまして、相当広範囲な、かつ、総合的な検討が必至であろうということから、さような意味を含めました基本的な問題につきまして、掘り下げた調査に基きまして、長期の計画を立てていくということを考えているわけでございます。さような意味合いから、今回政府におきましては、農林漁業基本問題につきまして、総合的な調査会を設けまして、長期の目標をそこに設定して参りたいということであるわけであります。さような意味から、一応便宜上、私どもの方から御説明はいたしておりますが、内閣調査会を設けることにいたしまして、広く関係者の御参加をいただきまして、今の基本問題を調査審議しようという建前をとっておるわけであります。  調査会は、委員三十名以内で組織することになっております。ほかに特別の事項調査審議いたしますために、臨時に二十名以内置くことができることにいたしておるわけであります。さらに、非常に問題が専門的な事項に承わたりますので、専門調査員を三十客以内設けることができることといたしました。また各省との御連絡の問題も出るわけでございますので、直接委員には御参加いただかない建前になっておりまして、幹事十五名以内を置きまして横の連絡をとっていくという建前をとっておるわけでございます。  調査期間といたしましては、いろいろ論議があったわけでございますけれども、一応二年ということを考えております。昭和三十六年三月三十一日限りといたしておるわけであります。  大体調査会考え方委員構成期間は以上のようなことになっておるわけであります。
  6. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの説明につきまして御質疑のある向きは御質疑を願います。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 諮問要綱のようなものは、何ですか、これは出すことになるのですか。内閣総理大臣が作って、提示して出すということなんですか。
  8. 久宗高

    説明員久宗高君) 諮問は、内閣総理大臣から御諮問いたすわけでございます。また、諮問の内容は、非常に包括的な御諮問になるというふうに考えられます。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、諮問案外に単独でこの調査会意見を答申することができるのですね。「意見を述べることができる」とありますね。そこの場合は、諮問関連があるのか、諮問と全然離れて必要と認めるものを調査会意見を述べるのですか。
  10. 久宗高

    説明員久宗高君) 第二条にございますように、調査会は、内閣総理大臣の「諮問関連する事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣意見を述べることができる。」というふうになっておりまして、関連する事項につきまして、意見を述べる建前になっておるわけであります。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、この調査会委員というのが三十名、臨時委員が二十人、そのほかに専門調査員三十人という数字が出ていますが、この委員顔ぶれですか、分野は総括して学識経験者となっておりますが、大体どういう方面から集められる予定なんですか。
  12. 久宗高

    説明員久宗高君) 基本問題に関連する分野が非常に多岐にわたりますので、委員範囲は非常に広範囲なものになるわけであります。ただ問題の一番中心になりますのは、やはり農林関係でございますので、農林関係の非常に関係の強い方がもちろん委員相当重要な部分を占めることになりますけれども、ただ、普通、今日までやって参りましたような農業関係調査なり、あるいは審議的な機関よりは相当広範囲に、他の国民経済の各分野にわたったような御関係も含めた相当広範囲な選任が必要であろうというふうに考えております。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常に広範囲なというから、どういう人だと、こういうことになるのですかね。広範囲になればなるほど、どういうような者を、あらかじめ三十人というのがきまるでしょうから。
  14. 久宗高

    説明員久宗高君) 非常に大分けにいたしますと、直接農業問題に御関係の深い関係と、それからいわゆる学識経験者の中で、特に学者の方の御参加が非常に必要になって参ろうと考えるわけでございます。と申しますのは、農業も含めました他の経済発展との関連という問題がございますので、学者の方の御参加相当期待せざるを得ない面が非常に強いわけでございます。それからもう一つ、これが他のいわゆる第一次産業以外の産業と、たとえば雇用問題一つ考えましても、非常に関連が深いのです。もちろん、いわゆる財界あるいは公益とか、そういった問題につきましても相当な御参加を得て、それとの関連を十分に明らかにして参りたいという考え方を持っておるわけでございます。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはまあ発足して相当長い時間をとっている。法律が通るか通らぬかということはまだわかりませんが、もう通ることははっきりわかっているのでしょうし、相当の日限をとっているのだから、そうでありましたなら、農業関係の深い人と、こう一口に言われるけれども農協関係とか、いろいろの関係の深い人たち、だが、農林省の中には御承知通り生産性向上研究をやっている人もあれば、あるいは農業調査会なんていうのもあれば、農業何とか調査会とかいうようなものもありますれば、いろいろそういった団体もある。また、あなたがおっしゃるような農科大学もたくさんある、こういうようなことにすれば、大体においてどういう方面からどれくらい、農業関係のそういう調査機関からどれくらい、実際の農業に従事している団体代表者からどくれらいと、三十名の基本くらいはもう大体構想としてでき上らなければならぬのじゃないかと思っているのだが、そうして何かそういう点になりますと、非常にぼやけているのだな。ぼやけてこれをこの委員会にははっきり言わないでおることが、たまたまわれわれはここから生鮮食料流通に対する調査なんていうものの委員に対しても、方々に大問題が出てきている。不平満々たるものが出てきている。こういうものが頭から一番大事なものなんでしょう、そういうものはまだ少しも、選考基本的な要綱というものができて、それで人選に入るということはできないのですか、ないのですか。ただ概念的に農業関係のあるもの、これに関連が深いから、関連があるものとかいうようなばく然たるものでなく、もっと基本的なものが私はでき上っていなければいけないと思う。
  16. 久宗高

    説明員久宗高君) 御指摘の通りの問題があると思います。農林省におきましては、もちろんこの基本問題の調査範囲その他から見まして検討は進めておるわけでございますが、ただいまお話の出ました農業関係のあるというふうに申しましても、最初この委員会農林大臣が出まして一般的な御質問を受けました際にも、たしか大臣からお答えしたと思うのでありますが……。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここではありません。初めてです。参議院の農林水産委員会では一度もありません。
  18. 久宗高

    説明員久宗高君) 予算の問題と関連しまして、たしか大臣がお答えしたと思います。今の農業関係と申しましても、団体がいろいろございまして、その団体代表者をそれぞれ入れるという建前はとらないということは、たしか大臣から申し上げたと思うのであります。もちろんそれが農業団体はとらないという意味ではございませんで、団体代表者なるがゆえにずっとそれぞれの業種別に頭をそろえていただくという建前はとっていない、むしろ農業機能的な観点から、さらにその個人としての学識経験重点を置きまして御参加いただくというのが本来の精神ではないかと、かように考えておるわけであります。ただ、それとの関連で、特殊な問題を扱います場合には、どうしてもそれでは不十分な問題が出ますので、さような意味から臨時委員という制度の活用が考えられるというふうに考えております。なお、全体の委員構成でございますが、たとえば学者何人、農業団体の御関係のある方が何人、あるいは第一次産業以外の方が何人という人数の割り振りにつきまして、いろいろ検討しておりますけれども、まだいわゆる確定的な、これが一番よかろうというところまで問題が進んでおりません。その点は基本問題そのもの範囲につきましても、国会議論を通じまして、いろいろの御議論が出ておるわけであります。さような問題を検討をいたしました上でやりたいと思っております。
  19. 千田正

    千田正君 関連して。今、清澤委員からお尋ねがあったのですが、従来農林関係にはいろいろこの種の委員会がありまして、学識経験者と称する学者など、相当多く羅列してきておる。ところが、出てくる顔ぶれを見るというと、いつでも同じような人たちであって、結論はいつでも抽象論だけで過ぎてしまう。この問題などは、ことに基本の問題を調査するというのですから、農林漁業が今や曲り角に来ておる。真剣になって考えなければならないので、調査会委員を選ぶに際しましては、従来のような先輩だから連れてきてやっておる、おれたちの教わった先生だからこの際敬意を表して連れてくるとか、あるいは団体の長だとかというようなことで、そんなような人間だけを集めたって、真に基本問題の結論などは出て参りませんから、この選考に対しては、どういう方法をとって選考をされるか、そういう点を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 久宗高

    説明員久宗高君) ただいまの御意見は、各方面からすでに出ておる問題でございまして、農林省といたしましても、もちろんさような考え方で実質的な審議が、しかも、相当掘り下げてできるような態勢をとりたいと考えておるわけであります。ただ、何分にも非常に広範囲の問題になりますので、また委員の数ですが、三十名といたしましても、機能別にかりに選んでみましても、おそらくそのくらいの数にたちまちなってしまうわけであります。そこで、本来の委員特別委員のかみ合せ、それから特に専門調査員といっておりますが、これとどういうふうにかみ合せるかといった問題を工夫いたしまして、処理して参りたいということを考えておるわけでございます。たとえば雇用審議会でございますとか、その他いろいろ従来ございます国民経済機能を、機能別に処理しております審議会その他があるわけでございますが、問題の性質上、特に雇用審議会をたとえば例にとりました場合に、非常にこれは関連の深い問題でございますので、そういった委員会との関連も制度的にやはりつけておく、あるいは委員関連においてつけておくということもございましょう。そういうような観点から他の委員会に特別に御関係のある方がやはり相当私はお入りいただかないと、この基本問題調査の進行上支障があるという点も考えざるを得ないのではないかというように思うわけでございます。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 委員のことは今幾ら言うてもなかなか解決はつかぬと思いますが、先ほども申します通り、これはもう相当作業は進んでおると思いますが、総理大臣諮問に答える、こういう諮問に対して答申する、これだと、こういうお話でしたね、説明が。間違いありませんか。そうすると、諮問すべき事項がまず先にきまらなければならぬですな、諮問事項というのですか。どういうところとどういうところを一つ重点として調査していく、これは場合によりまして調査がずんずん進んでいって必要性があってまたふえる場合はそう考えられると思うが、あらかじめ調査要綱ができ上って、それを中心にしてやはり人選という問題が出るのじゃないかと思うのだ。そうしてみますと、その要綱というものは、だれが基本になって今どこでそれを作って、大体どれくらいまとまっていますか。まとまっておりましたならば、それを一つ書類でちょうだいしたいと思っております。
  22. 久宗高

    説明員久宗高君) 最初提案理由説明にございますように、この基本問題が出て参りました一番問題になりますのが、農林漁業を含めました第一次産業と他産業との間の発展の不均衡というところに問題があるわけでございます。なお、もう一つの面から申しますと、所得格差が非常に開いてくる可能性がある、これをどう縮めようかという問題になるわけでございます。そこで、その二つの問題を考えました場合に、これは一つ要素からは出てこないわけでございまするので、二つ、三つの大きな要素からこれが出てくるわけでございます。そこで、そのような面の組み合せをどう判断するかということが、おそらく基本問題の調査会焦点になると思うのでございます。提案理由にも書いてございますように、少くとも農林省といたしましては、やはりいろいろな議論はございましょうとも、一応の問題が生産性をどう上げるかというところに具体的な焦点がしぼられると思いますが、それをどの程度の処置にいたしました場合に、所得均衡なり、あるいは他産業との均衡が得られるかというところを相当集めてみませんと計数が出ないわけでございますので、そこに問題がしぼられて参るというふうに考えるわけでございます。それでその考え方につきましては、いろいろな考え方があるわけでございまして、それをあらかじめ限定いたしまして、こういう方法でというところまで申し上げるのは、むしろ諮問する趣旨にもたがうのではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、問題の焦点といたしましては、生産性向上所得格差をいかに調整して参るかということで、それがポイントになると思いますけれども、それの個々の具体的方法そのものにつきましていろいろ御検討いただき、評価していただいてめどをつけて参りたいというのが諮問趣旨でございますので、御了承願います。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 その趣旨はわかっています。先ほどの御説明にちゃんと書いてあるし、提案理由説明にもこの二方向だけははっきりしておりますが、この二方向中心にしてどういう方面にそれが分れていくかというのが問題になるでしょう。だから、それはきまりましたかというのです。大体、一応その方向がきまったのか、それともその二方向調査委員会に初めは諮問して、方向調査委員自身がきめていくのか、それ自身調査委員会できめていくのか、諮問の中には大体の方向までも、いろいろな部門に分れるでしょう。それはたくさんの部門に分れるでしょうから、その分れたものに従って委員を定めていく。それでもまだこまがいものが出てくるから、臨時委員二十名というものが求められて、それから同格の調査委員三十名というものがそこに据え置かれる、こういう約百名に近いスタッフで調査をしようというのですからね。雑然としていくわけではないだろうと思うのだ。だから、大体そういうものの基本がどういうものかどうかということです。二大根幹を中心にして、ある程度までの調査をする範囲が分けられて、そしてそれがきまったのかどうかと、こういうことです、私の質問は。
  24. 久宗高

    説明員久宗高君) 農林省といたしましては、もちろんこの問題が出ましてから、鋭意内部検討しておるわけでございますが、今、私どもの考えております段取りといたしましては、当然、この調査会が発足いたしました場合に、一応既存の資料に基きまして農林漁業現状をさらに明らかにしたものをお出しした上で、現状がこうなっておりますがという、そこから入っていかざるを得ないのじゃないかと考えるわけでございます。そこで、まず最初に申し上げましたように、他産業との均衡がどの程度に破れているのか、その原因は一応どう考えられるかという点も含めました現状認識というものについて、相当の時間をかけてそれを御検討していただくことがまず最初のスタートになると思います。それを調査会でいろいろ御検討いただいた結果、その中からさらに具体的な、その均衡をいかに処理していくかという問題と関連いたしまして問題が出てくると思うのでございます。私どもといたしましては、さような意味から現状認識そのものについて、いろいろお考えが違う方も当然出て参るわけでございますので、それをあまり初めから限定いたしまして、こういう方向でという、こういう範囲でというふうに限定はいたしたくないし、また、いたし得る性質のものでもないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、もちろん諮問いたします前提といたしまして、さような現状認識から、少くともこういう分野につきましては問題があるだろうと考えておりますのをごく概略だけ申し上げますと、まず第一に、やはり需給の総合的な見通しという問題につきまして、これは従来ももちろんやってはおりますけれども、この際、やはり相当突っ込んだ御検討をお願いせざるを得ないのじゃないだろうかというふうに考えております。  それから、もちろんそれと関連いたしまして、大きくは二つに分かれるわけでございまして、農業部門で処理いたすべき問題、これは主として経営の問題というふうにお話しした方がわかりいいかと思うのではございますが、この中にいろいろな問題が含まれて参りますけれども、これもただ従来のようなばく然とした、経営の形態とか、そういうことじゃございませんで、今の具体的な需給見通し関連いたしまして、経営に関するいろいろの突っ込んだ検討がなされるのじゃないかと思います。これにはしばしば問題になりますような土地利用の区分でございますとか、土地高度利用について、いろいろ権利関係の調整の問題があるわけでございまして、こういった問題も本格的にこの際に取り上げていただく必要があろう。それからまた、全然角度を変えまして、しばしば問題になります価格対策の問題につきまして、価格流通分野といたしまして、その方面から取りかかっていく一つ研究の問題があると思います。ここでは主として価格支持政策そのものにつきまして、またそれの限界につきまして特に御検討いただく必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それからもう一つの問題といたしましては、それらを究明いたしました場合に、当然それとの関連におきまして、農業以外の国民経済の他の分野でやっておられます一連の問題、たとえば、金融でございますとか、財政、貿易、関税、運輸、こういった問題につきまして現にいろいろな施策が行われているわけでございまして、さような問題との関連におきます吟味というものが個別に検討された上で、最終的にそれを締めくくるものといたしまして、国民経済におきます農業地位役割というものが、しかも、長期に見ました場合にどういう形であるべきであろうかという問題が十分検討されて、また、それが本問題の中心課題になって参るというふうに思うわけでございまして、また、それとの関連におきまして、別個にその場合にどういう地位が、あるいは役割が要請されるかという問題と関連いたしまして、農業におきます投資——これは非常に広範囲な問題でございますが、農業におきます投資というものをどう考えていくべきか、具体的な方策いかんという問題は当然に出て参ろうというふうに考えるわけでございます。  これはごくあらましでございまして、これと関連いたしましたいろいろな個別問題があろうかと思いますけれども、非常に大きな筋だけ申し上げますれば、さような問題が少くとも検討の対象にならざるを得ないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、まだ大体においてこれはまとまっておらぬわけで、大体この方向だと、こういうことで、こういうものを諮問するのだというものはまだまとまっておらぬわけですな、今の御説明だと。ということと、いま一言先般出ましたような日本農業の問題点といったような白書的なものをいま一度作ってから本式な調査に入る、こういうことになるのですか。
  26. 久宗高

    説明員久宗高君) 白書的なものを最初に出すかどうかの問題につきましては、むしろそれをもう少ししぼりましたもので、農林漁業内部の細かい問題と申しますよりは、特にここで問題にされております所得格差がどうなっておるとか、あるいは他産業との発展の不均衡がどうなっておるか、そういう農業のもう少し広い意味の指標、こういったものにつきまして、必ずしも従来あまり十分でないように思いますので、特にその点に重点を置きまして、最初現状認識の資料を作ってお見せする必要があるだろう、それをごらんになりました上で、ここをもう少し詰めろとか、ここをもう少し明らかにしろといったような御意見が当然調査会の方からお出になると思うのでございまして、それとの関連におきまして相当詰めた調査が進行していく、その場合、どういう角度からどの程度調査をするかという問題につきましても、委員会におきましては、最初現状認識との関連におきまして、どの分野をどの程度にということが一番問題になると思いますので、これは主として調査会の方の御責任におきまして、めどをつけていただいて、十分な御検討をいただいた上で調査にかかった方が適当であろうというふうに思うわけでございます。さような意味で大筋だけ申しますと、さっき申しましたようなことが当然取り上げられると思いますけれども、それに私どもとしては限定する意味はもちろんございませんし、また、それ以外の問題におきましてもっと根本問題があるいはあるかもしれないという問題も考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、できるだけフルな資料によりまして、そういう今後詰めるべき問題の焦点を明らかにできるような資料をできるだけ調査会の発足に当りまして整備いたして参りたいという考え方で準備いたしております。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 あまりこまかく先のことを言わぬでいいのですよ。今現在そういう資料がまだまとまっておらないので、そういうものをこれから作っていく、こういうことなんですね。
  28. 久宗高

    説明員久宗高君) 白書でお出ししました程度のものはもちろんあるわけでございます。ただ、それの数字の処理の仕方とか考え方につきましても、すでに白書発表以後、いろいろ議論が出ておりますので、さような点に特に重点を置きまして資料を用意したいと考えております。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、用意したいですから出ておらぬのですね。簡単でいいのですよ。それはいつごろできるのですか、いつまでにでき上るお見通しなんですか。
  30. 久宗高

    説明員久宗高君) まあこれは資料の問題でございますけれども、完璧な資料ということになれば、これは非常に時間がかかる問題でございます。ただ私どもとしては、かような非常な完璧というような資料で時間をとってはいけないと思いまして、焦点が若干砕けている問題がございますので、たとえば白書の場合におきましても、さような点だけを明らかにして準備して参りたいということで目下準備を進めているわけでございます。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 それが、その準備は進めておりますがね、それは大体いつごろまでにできるのですか。諮問案として出せる参考書ですか、一応の諮問案として出せるものがいつごろまでにできるか、こう私は聞いているのです。
  32. 久宗高

    説明員久宗高君) おそらく調査会委員におなりになるような方がごらんになりまして、これで現状認識は十全だといったような資料ということになりますれば、私は非常に時間がかかると思います。それ自体が調査会のお仕事だと思いますけれども、ただ従来の白書なり、農林省で集めております統計その他につきまして、このような角度から基本問題を取り上げられます場合に、若干不十分だと思われる点がございますので、そういう点だけは発足までに詰めるだけ詰めてお出ししたいと考えておるわけであります。具体的に申しますと、たとえば生産性という問題についても、いろいろ御議論があるわけでございまして、計算の仕方につきましても、ただ計数の違いということじゃなくて、考え方そのものについていろいろな御批判もあるわけでございます。さような点は私どももできるだけ詰めたものをお出ししてみたいということで準備をしておるのですが、なかなかこれはむずかしいわけでございまして、いついつまでにというお話が出ました場合に、どの程度のものが出せるということにつきましては、はっきりしたお答えができかね三わけでございます。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 どの程度ができる、じゃない。大体いつごろまでにこれを発足するか。委員会を発足して第一回の会合を持つには、大体予定というものがあるでしょう。あなたが言うように、完全無欠の資料を集めるなんといったら、これは大へんな問題だと思うんだ。ある場合においては、せっかく集められた資料でも、足らないで逆のものが入り用になる場合もあるだろうし、それは波乱万丈だと思うんですね。波乱万丈でなければまたつまらぬ話ですが、とにかく農林省でない、総理大臣中心となって、いつごろまでにその諮問案を作る、そして出すんだと大体の方向を今お聞きしましたが、それに従って委員を営めるのか、大体委員はこういう方向がきまらぬうちに委員だけをさっとさっき言われるようなばく然たる範囲の中から選び出そうとしておられるのか、こういうことを聞きたいのですよ。
  34. 久宗高

    説明員久宗高君) そういう大きな線につきましては、何ゆえに基本問題調査会を設けるという点で一応私どもは明らかなつもりでございます。ただ、それの具体的な手段につきましては、いろんな考え方があるだろう。従って、その手段ごとにいろいろ委員をお考えするというよりは、やはりその手段と申しましても、やはり幾つかの大きな線に関連しましたその部分になるわけでございますので、今、申しましたように、調査すべき内容が細目まで確定しなければ委員が全部選びきれないという問題ではないと思うのであります。非常に大きくしぼって申しますれば、生産性向上という問題と所得均衡を保っていくという問題に限定されるわけでございます。それの手段方法はいろんな考え方がございましょうけれども機能的に見ますれば、さっきお話ししました三つないし四つの大きな方向になるだろうということでございます。従って、具体的に調査すべき個々の項目が全部きまらなければ委員の選任ができないというふうには考えておらないのでございます。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 あまりこまかしく考えておられるのではないかと思いますがね。大体の方向がきまって、二大方向はきまったでしょう。それに従ってその次の大ざっぱな方向ぐらいがきまりまして、そこでまず歩み出すんだと。そういう方向がきまってから委員を選び出されるのか、それとは別に委員を選び出そうとしておられるのか、こういうことなんです。
  36. 久宗高

    説明員久宗高君) 委員そのものにつきましては、この基本問題調査会の提案理由で書いてございます範囲から考えますと、個々の調査事項を細分化いたします前にきめなければならない、きめられる、また、きめてお諮りいたしまして、その具体的な入り方につきましては、さっき申しましたように、調査会の一番最初現状認識の問題が相当詳しく討議されると思いますので、それからさらに調査会の方でどのような部会を設けて、どの程度に入っていくといったような問題を御検討いただくことになって参るだろうと思います。なお、私の説明があるいは誤解を生じているかと思いますけれども諮問案そのものに非常にこまかくこの問題この問題この問題と書くことは考えておりません。もっと包括的な御質問をいたすことになると思うのであります。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、もう委員は、ここで大体の方向はきまったんだから、ここで委員は今選考中であろうと思うんです。だから、その選考の目標をどういうふうに持っておられる、こう私はさっきから聞いている。千田さんも同じことを聞いているんだ。そのぐらいのことがどういう方向で——学者系統という中でも、専門農業関係学者が何名ぐらいとか、現に農業団体等に従事している者から何人とか、あるいは農林省が持つ各種研究機関をどういうふうのところへ臨時に入れるとか、あるいは調査会の方にどうするとか、あるいは委員に入れるとか、それからそれに関連して他の金融、経済その他農業法人というような問題が出ておれば、相当問題になるだろうと思うんだ。そういうようないろいろな人を混ぜてどういうふうに持っていくんだとかと、これぐらいの大体目安がもうついておらんけりゃならぬだろうと思う。その目安の方向を大体において知らせてほしいと、こういってさっきから言うているんです。ところが、それはばく然と、農業関係者を使います、こういう学識経験者のいろいろの各方面にわたっての関係者も入れますと。これじゃわれわれはあまり納得しないのだ。大体の方向はどういうふうに今考えているとかなんとかというものが出てこんけりゃならぬものだ。それを私はお伺いしているんだ。それがまだ選考の過程に入らぬなら入らぬでいいですが、次官、どうなっております。この点はいつでも問題になる点なんです。
  38. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど来、久宗画室長から御答弁申し上げておる通り趣旨でございますが、この問題がとにかく非常に包括的な根本的な問題でありますだけに、分化してどういうふうな学者から何人というふうなとり方は、なかなかむずかしいのでございます。そういう意味で、まだ選考に取りかかった段階でございまして、そういうふうな点につきましても、それぞれ各方面の御意見を十分に参酌いたしまして慎重に選考いたしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  39. 東隆

    ○東隆君 私は、この調査会を問題に出されるに当って、その前提に例の農業基本法の問題があるだろうと思うんです。農業基本法、こういうようなものを中心にして調査会を設置するというようなことになったのじゃないかと、こう思うので、私は、農業基本法と調査会関連、これをはっきりさせていただきたいんです。
  40. 久宗高

    説明員久宗高君) この問題は多少誤解があるように思うのでございますが、一般に基本法を作れというお話が強く出まして、それとの関連でまあこういう問題が起って参ったと思うのでございますけれども農林省といたしましては、基本法そのものにつきましても、御承知通り、いろいろな国に基本法という名前そのものも、実はあったりなかったりのことでございまして、基本法という言葉で呼ばれております内容がそれぞれまちまちでございます。そこで、はっきり基本法を作るための調査会だという考え方はとっておらないのでございます。基本法をかりに作るといたしましても、問題になりますような内容はすべて農業基本問題の取扱いいかんによりまして、ある部分がたとえば基本法と言われるもののような形式をとらなきゃならぬものもございましょうし、さような意味から、基本法に問題を限定いたしませんで、基本問題の調査の結果、その内容が基本法を必要とするような部分を含んでくるということは十分に予想されることでございますし、また、それに反対ということではもちろんございませんわけでございます。ただ基本法というふうにばく然とした名前でそれに問題を限定するという考え方はとっておらないわけでございます。
  41. 東隆

    ○東隆君 そこで、この調査会を総理府に置いた理由はどういうわけなんですか。
  42. 久宗高

    説明員久宗高君) 総理府の方からお答えいただくのが適当かと思うのでございますが、便宜、私どもの方からお答え申し上げます。この提案理由にも申し上げておりますように、もちろん、私ども農林省といたしましては、農林行政そのものにつきまして、いろいろ検討しなきゃならない問題ももちろん私ども考えておるわけでございますけれども、たとえば、就業構造というような問題一つ考えましても、これが他の国民経済の各機能と非常に密接な関連がございまして、それとの関連なしには処理できないものが実は非常に多いわけでございます。さような意味で、これを農林省だけの内部調査会ではなくて、広く国民経済の各分野の御関係も含めて検討していただく意味におきまして、総理府の方にお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 東隆

    ○東隆君 そうすると、この調査会委員あるいは臨時委員その他の関係は、何ですか、農林漁業関係をしておる学識経験者、そういうようなものでなくて、非常に広範な範囲からお選びになると、こういうお考えですか。
  44. 久宗高

    説明員久宗高君) さようでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、何と申しましても、問題の一番核心になりますところは、まさに農業問題そのものでございまするので、ウエートの置き方ということになりますれば、常識的に考えましても、あるいは実際問題といたしましても、いわゆる農業プロパーの関係の方が非常に多くならざるを得ない。また、そうあるべきだというふうに考えておるわけでございまして、従来の農林省におきます他の委員会のような形ではなしに、相当広範囲な、第一次産業以外の関係の方の御意見なり、あるいは御意見を聞くのみならず、他の機能について、いろいろ調査会その他があるわけでございますので、そういったものとの具体的な関連をつける意味におきましても、相当広範囲な、第一次産業以外の方の御参加が必要になってくるであろうというふうに思うわけであります。
  45. 千田正

    千田正君 今、東委員の御質問は、非常な重大な問題ですね。この調査会法の目的が、単なる農業基本を変えるための調査調査会なのか、第二条にうたわれているように、内閣総理大臣諮問に応ずるためのいわゆる諮問機関としての調査会なのか、それを明確にしないというと、混同するおそれがあるのですね。いわゆる農林省直轄の調査機関であれば、農林省が、農業に対する改革なり修正なり、そういうものを明確にやっていこう、修正なり改革なりやっていこうというのか、ですね。それを総合したものを内閣総理大臣に答申をして、内閣をして農業及び農業関連する全般の問題を変えていくのか、その問題がはなはだ私は判明しないんじゃないかと思うんです。それをはっきりせぬと、従来の農業のいろいろな各種機関がありますね、それは農林省内におけるところの一つ諮問機関であって、農林行政に何らかプラスになるようにというあれなんです。これは総理府に置くというならば、やはり内閣農業全般に対し、農林省が管轄する問題ばかりでなく、農業政策上大きく転換するとかどうとかいう問題を特に大きく取り上げてやるために、総理府に置くというのか、その間の区別を明瞭にして下さい。
  46. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま千田委員の御質問でございますが、この法案にも、第二条には「農林漁業に関する基本問題」という非常に大きな取り上げ方をいたしておりますし、また同時に、委員及び臨時委員選考範囲も、農林漁業というふうなしぼり方をいたしませんで、単に学識経験のある者の中から任命するという建前をとっておるのでございますが、この趣旨は、提案の理由にも先ほど御説明をいたしました通り、第一次産業であるところの農林漁業におけるところの所得と他産業における所得格差の問題、または、その他それがよってもって起るところの原因になっておるところの第一次産業におけるところの過剰就業の問題であるとか、そういうような問題を取り上げまして、そうしてこの問題をどういうふうな方向で持っていったらいいかということを検討いたします際に、これは単に農林漁業内部の問題ももちろんございますが、内部の問題だけではとうてい片づかない問題が相当たくさんある。そういうような趣旨をもちまして、たとえば就業構造の問題であるとか、あるいは雇用の問題であるとか、または価格流通の問題であるとか、貿易の問題であるとか、そういうような他の方面関係についても、大局的な総合的な見地からこの問題を検討する必要があろう、こういうような趣旨をもちまして、特に総理府にこの調査会を置くことにいたしました次第であります。しかしながら、あくまでも問題の根本は、これは農林漁業自体に最も密接な関係を持っており、また、農林漁業自体の問題でございますので、そういう意味で、調査会基本農林省において行うと、こういう建前をとった次第であります。
  47. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。  それでは、暫時休憩いたしまして、午後一時半から再開いたしたいと思います。    午前十一時五十七分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  49. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 午前に引き続きまして委員会を再開いたします。  農林漁業基本問題調査に関する件を議題にし、農林漁業基本問題調査会設置法案について質疑を継続いたします。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 官房長にお伺いしますが、午前中調査会委員についてどういう顔ぶれ委員を得られるのか、顔ぶれじゃない、方向づけで、基本調査とにらみ合せて委員を決定せられるのかという点についていろいろ企画室長質問したのですけれども、全くわからないのですが、その点わかりましたら簡単に一つ説明していただきたいと思います。
  51. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 御質問調査会委員構成についてどのように考えておるか、こういう御質問だと思います。簡単にお答え申し上げたいと思います。現在われわれの考えておりますのは、この基本問題調査会の設置の趣旨から申しまして、農林漁業関係以外の部門にわたりまして審議検討する部分が非常に多かろうと思うのであります。もちろん農林漁業中心でございますけれども、当然それに関連して貿易、金融、財政、関税、いろいろの面に関係するものが多いと思います。従いまして、農林漁業関係者はもちろん入りますけれども、それ以外の関係者もその中に含めたい。同時に、この問題を検討いたします場合におきましては、広く各方面にわたりまして学識経験者意見を聞いて参る。ひとり農林関係学者ばかりでなしに、経済関係学者あるいは貿易関係学者、そういった方面学者意見も取り入れたい、こういう考え方であります。従いまして、大体の人的構成といたしましては、法案には委員三十名というふうにいたしておりますので、その三分の一は農林漁業関係の方、残りの三分の一の方は農林漁業関係以外の方、さらに最後の三分の一は学識経験者、純然たる学者といいますか、そういう方に委嘱できたらいかがかと、現在までのところはそういう程度に考えておるのでございます。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 大臣は来ますか、来られないですか。
  53. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 大臣はちょっと今見込みありません。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 それではこれで私は質問をやめますが、最後に、一体こういう農林漁業調査会などを約百人のスタッフをもって大がかりで調査を進められますが、結論としては、もちろん先ほどから御説明になる通りの二大方向についてお調べになったらわかるでしょうが、われわれとして、また世間一般としての通念としては、この調査会のできましたことは、結局最後には農業基本法のようなものを作って、そして農業の進む道を明らかにして、時と場合によって政策か違ってきていくようなちぐはぐのことを避けて、一つの目的に向って進んでいくいわゆる農業基本法、これを作って、農民の生活の安定と、この法案提出の基本的なちぐはぐを直していく、こういうことに帰結するものであるとわれわれは考えているのであります。従いまして、きょう大臣出ておいでになれば、この法案を出された基本的のお考え方——ただ調査するだけでは問題にならぬ。だからその調査の結果において、そういうことを最大の目標にする、あるいはそれ以上最大のものがあるとしても、それらを総合した範囲において自主的に基本法等を作って、農業を安定さしていく、結論はそこへ行くと思う。それに対してどういうお考えなのか。と申しますことは、世間で一方においてはこういう取りざたがあるのです。と申しますのは、いろいろ農業基本法を作って、こうせいとかああせいとかいうような意見もだんだん強くなってくるので、従って、全部自民党政府としてはそれをすぐやるといってもなかなかめんどうなところもあるし、そうも簡単にこの問題は片づけられない。農業以外のものと結んで、そう簡単に片づけられない。これは流通整備一つを考えてみてもそうだろうと思う。そういうような困難なものがあるから、もうよくわかっているのだ、従って、二カ年調査するなんということで、一応まあ一軸という言葉は当りませんが、気勢をそいで、そこでめんどうなものは全部逃げて入って、いよいよめんどうなものが出てくれば、先般来しばしばあります大臣の答弁などの中に、そういう問題は一つ今せっかく調査会を作っておるのでありまするから、そこで結論を出して云々というようなことに逃げ込んでしまうのは、何が何になるのかわからぬというようなことでは問題にならぬので、きょうはどうしても大臣は来られない——それさえわかれば、もうあとは何にも要らないのです、私は。基本法を作るのだといっても、そこまでの決心で今、調査会に乗り出してきた、こういうことをお伺いできれば、それですべては満足しているのですが、その点どういうふうに省内はなっているのか。これはひとり農林大臣だけではない、総理大臣中心になっているのでありますから。農林大臣の決心はどうか。
  55. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 農林大臣からお答えするのが筋かと思いますが、これらの問題に関連いたしまして他の委員会等でも農林大臣が答弁いたしておりますので、その趣旨に沿ってお答えいたしたい、こう思いますので、御了承願いたいと思います。  この調査会を設置いたします提案の趣旨につきましては、御説明申し上げた通り農林漁業と他の産業との間におきまして生産性の差があり、あるいは産業発展の不均衡がある、それに基きまして最近における所得格差農業と他産業との間によって相当見られる、こらの事態に対処して農林漁業者の生活の安定、所得の維持増進をいかにしてはかるべきかということに問題があろうかと存じます。これらの問題を、単純にそこに問題を置きましても、そこに至る過程におきましては、経済全体の問題にも関連いたしますし、農業政策だけでも片づけられない問題があることは御承知通りであります。御質問の中にありました農業基本法でございますが、たまたまこれらの同様な問題につきまして、御承知のように、ドイツでは農業法というものを作りまして、そうして他産業との所得均衡ならしめる、そのための毎年の措置を作るというような意味農業法というものができておるのでございます。また、それ以外の国におきましても、英国であるとかあるいはアメリカに同様の目的を持ったそれぞれの立法があることも御承知通りだと思います。ただ、いきなりこれらの法律の形式自身をわれわれが問題にいたします前に、それぞれその国の農業事情あるいは経済事情によりまして、そのよって立つ基盤というものが異なっておることも御承知通りだろうと思う。ある国では科学政策に重点を置くという基本政策もありますし、ある国では生産構造自身をもっと能率のいいものに引き上げていくということに重点を置いた基本政策もあるわけであります。従って、われわれとしては、法律を直接作るということを当面の問題とする前に、これらの国々によってそれぞれの基本政策のよって立つ地盤なり、あるいは内容なり、あるいは今後の目標なりというものに差異を持っておるのでございます。従って、われわれといたしましては、日本の現状に即してこれを考えます場合におきましては、それらの諸条件なり、あるいは前提なりを十分各方面にわたって検討いたして参る必要があろう、こういうことで調査会もでき、期間も二年といたしたのでございまして、これによって問題ははっきりして参る。ただ漫然と調査会に逃げ込むという意思は毛頭ないのでありまして、繰り返しこの点は農林大臣も、慎重な検討をするためには相当の時間も要するので二年間ということにし、調査会を設けたのであるということを申しておるのであります。従いまして、これらの調査審議の結果によりまして、当然立法を要するものも出てくると予想されるのでございます。しかし、それによりましてそういうふうな答申がございまするならば、もちろん立法化すべきものは立法化し、基本法的なものができますならば、それらも含めて、この審議会において検討されることと考えるのでございます。ただこれを作るのだというだけの問題としては、あまりにもいろいろの条件なり問題なり検討すべき事項が多々ございますので、そういう意味で法律にとらわれず、もっとその前の前提なり諸般の事情についての検討審議をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの官房長の答えは、大臣委員会その他の重要な責任のある場所でお答えになったことをまあ取り次がれたという形で出ておりますが、私はちょっとその細部の言い回しが非常に気になるのです。これだけの大がかりの調査をして、悪いところの基本的な調査ができ上ってくる、そうするならば、それは立法措置をとるべきものはとるに違いないが、少くともそれを基本にして立法措置をとって、そうして日本の農業の安定と農民の生活の安定とを考えていくのだ、同時に、産業関連による農業、水産業上の発展ということもその中に織り込まれるでありましょうが、そういうものを、この調査の結果、でき上ったものを中心にして法律等をもってきちんとしたものを一つする、その目的でもって調査をやっていくのだというぐらいのことを言われるべきだと思うのだが、ところが、調査の結果、場合によっては法的に措置するし、場合によってはとらぬというような、何が何だかわからぬような話になれば、この間の白書と同じことになると思う。あれだって、相当の難儀をして作られたものだろうと思うけれども、松岡君だかが病気になるほど勉強して作られたという話だが、非常にりっぱなものができておる。それはまあ欠陥があるかもしれないが——それが現在のあれになると、官房長はいろんなことを言っておられるが、われわれは、この点をどれだけ予算に盛られるなんていうことは一つも聞いていないのだ。そんなことじゃ役に立たぬ。これだけの大騒ぎをしてやるならば、その結論として、少くともこういう結論が出たならばそれを立法化すならば立法化して、そうしてここへ持ってくるのだと、それぐらいのことを言われるべきだが、言われないところに私は不満を持っている。今、これ以上申し上げたって仕方がありませんから、大きな不満を持っていますと、こういうことを申し上げて私の質問を打ち切ります。
  57. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま清澤委員の御質問でございますが、政府といたしましては、ただいまも御質問のうちに御意見のありました通り、これほど大がかりな大調査会を作ります次第でございます。従って、その調査会の結果、答申というものは、十分に尊重すべきことはこれは当然でございます。従いまして、お話のようにどこかへ逃げ込もうとか、そういったような感じは絶対持っておりません。むしろ、この答申についてはどこまでも尊重いたしまして、これが実現をはかることが筋として当然の筋であろうかと思うのであります。その点ちょっと申し上げておきます。
  58. 東隆

    ○東隆君 農林漁業基本問題調査会と、こういうトピックでもってこの調査会の設置をされることになるのですが、私は、憲法調査会関係はこれは国の基本の方をやるのだし、これもやはり農林漁業に関する基本問題を調査するので、見ようによっては、農林漁業方面に関する基本的な憲法に相当するようなものを作り上げるのだというふうに理解をしていいと思います。そこで、憲法調査会の方には社会党は入っておりませんけれども、議員が中に入っております。それで、この農林漁業基本問題調査会の委員の中になぜ国会議員を入れないか、こういう問題ですね。私はこれは、議員の中には相当農林漁業に詳しい人もいますし、経験者もいますし、おそらく将来総理府でもってこの調査会を設置されるときに、おそらく農林官僚の卒業した人たちの中からだいぶ入ってくることも予想されますが、そういう場合に、私は議員の中にもそれに十分匹敵するような人がたくさんいると思いますが、なぜ議員をこの調査会の中に入れないのか、その理由を一つ承わりたい。
  59. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 先ほども申し上げましたように、この調査会におきまする審議事項といたしましては、ひとり農林漁業の部面のみならず、他の財政、金融、貿易その他の部面の問題あるいは雇用の問題、こういったような問題にわたって当然検討されることになると思うのでありますけれども、同時に、今後の日本農業国民経済における地位とか、あるいは将来の方向であるとか、こういったような長期にわたる見通しのもとに論議されることになろうかと存ずるのであります。従って、私どもといたしましては、それぞれの専門的な事項について自由な立場で十分審議をしていただきたい、こういうことでありますと同時に、ここで答申案が出ました場合におきましては、それを政府におきましては、先ほど御答弁がありましたような立法化すべきものはする、あるいは行政に移すべきものは移しまして実行いたすということに相なろうかと考えます。従って、そういう場面におきましては、当然国会審議の経過なり、あるいはそれを政策化する場合の御審議をお願いすることになろうかと思いますので、常時国会と、この審議の過程、あるいは立案後における御審議国会に御連絡いたしますならば、十分円滑な連絡を得た措置がとれるのじゃないか、かように考えまして、この調査会におきましては、一応国会議員は入れないということにいたしたのであります。
  60. 東隆

    ○東隆君 私は、国会議員を入れないことによって政府がこれは一方的に、というと語弊があるかもしれませんが、委員をお選びになって、そうして調査を進める、私はその形は相当これは一方的な形のものができ上るのじゃないか、こういう心配がある。もう一つは、先ほど清澤氏が言っているように、この調査会を持っているということによって政府が責任を回避するという可能性が非常にあると思う。現に漁業制度調査会の問題を中心にしても、その問題は漁業制度調査会でもって調べた、こういうふうに逃げるような場合もなきにしもあらず、今までわれわれはそういう経験をいたしております。従って、単に漁業制度調査会だけでなくて、こういう調査会が議員を中に入れないでそうしてやることによって、ただ政府が責任をのがれるような、そういうようなきらいが非常にあるのじゃないか、そうして早く適切に手を打つべきものもこの隠れみのの中に隠れてしまって、そうしてやらないというようなことが起きてくるのじゃないか、こういう心配がある。従って、私は調査の過程においてどういうようなことが——議員が中に入っていない以上は、その調査会でもってどういうようなことが論議されているか、それからその調査会にどういうような資料が提出されているか、そしてどういうような方向に進んでいっているか、そういうようなことは随時知っておく必要があろう、これはことに農林水産委員会は、そういう点について、政府が進められていることについて十分に知っておく必要があろうと思うのですが、そういうような意味でこの調査会の中身その他を公開をする意思がございますか。
  61. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 御質問の中に公開の問題と、それから審議過程における資料の提供の問題と、二点御質問があったようです。審議の内容につきましては、何ら秘密にわたる事項はございませんし、多岐にわたった審議をしていただくことが望ましいところでございますので、われわれといたしまして、審議会で必要な資料は、もちろん国会方面におきましても御要望に応じまして御連絡をいたしたいと考えております。  委員会の公開、非公開の問題は、今、申しましたようなことから、特別に秘密会にすべきものとは考えておりませんけれども、これらは一応調査会ができました際における議事規則等を調査会に諮りましてきめることになりますので、そのときにおける審議の結果によってきまることと思いますが、われわれといたしましては、事の性質上、秘密にすべき事項であるとは考えておりません。
  62. 東隆

    ○東隆君 私は、議員がこの調査会の中に入っておらないことによって、政府は一方的に、というのは、これはまた語弊があるかもしれませんけれども、進められる、そういうようなことになっても、これはいろいろ問題があろうと、こう思いますので、できるがけ議事録であるとか、それから提出をした資料、そういうようなものは、そのつど一つわれわれに配付をするように私は希望をいたしておきます。  そこで、私はもう一つお聞きをしたいのは、委員と、それから臨時委員関係ですが、臨時委員というのは、これはどういう役割をするのですか。ここに書いてありますけれども、私が理解をするのは、たとえば農業以外の広範なものについて、人口問題であるとか、そういうような問題について、その道の人を臨時に御依頼をするとか、そういうような形をとるおつもりですか。それとも、普通の調査会委員ですね、この委員に、こっちの方面の者をお選びになるのか。二つあわせておやりになるようですけれども臨時委員の方は、何か分業的にやるような気持もするのですが、どんなふうにこれはお分けになるのですか。
  63. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 調査会におきまする審議事項といたしましては、おのずから事項が多岐にわたりますために、十分な審議をいたしますためには、必要によって部会制度を設ける必要があろうかと思うのであります。従って、この部会におきましては、さらに、今、お話のありましたように、特に人口問題が問題になるとかいったような場合におきましては、その部会に特に所属していただくような委員を選びまして、そこでいろいろ御論議願った方が便利ではなかろうか、そういうようなことに対しまして、臨時委員を設けまして、その部会に参加して、その部会におけるいろいろな審議には普通の委員と同じ立場で参加していただく、かように考えております。
  64. 東隆

    ○東隆君 そうすると、この臨時委員は、担当した項目が終れば解任をする。そして、常に二十名というのは、これは完全に満たしておくという必要もないわけですね。そういうような補助的な形によって余裕を残されておくと、こういうような意味になるのですか、この臨時委員は。
  65. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 二十名を初めから各部会に所属してきめておくのか、あるいは部会ができました場合に、その事項に応じまして必要な委員を任命していくことになりますか、まだその点はきめておりませんけれども、大体の考えとしましては、今、お話がありましたように、その事項に応じまして、必要によって臨時委員を二十名以内で置いて参りたい、かように考えております。
  66. 東隆

    ○東隆君 先ほどからまだはっきりわからないのですけれども、今、部会をこしらえられる、こういうようなお話であったのですが、大よそ部会は幾つぐらいお作りになって、どんなような部会にされるか、それはおわかりになりませんか、予定は。
  67. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 現在まだこの法案も審議中で成立もいたしておりませんですが、成立後におきまして、われわれとしても準備にさっそく取りがかりたいと考えております。ただ部会は、先ほど申しましたように、事項が広範にわたりますために、どうしても部会を設ける必要は必ず生じてくるだろうと予測いたしておりますので、予算におきましては一応四部会を設けるという予算の構成をいたしております。この四部会にするか、さらにそれ以上の部会をふやすかは、今後の問題でございますが、予算のときに四部会を設けました趣旨を申し上げまするならば、この調査会の当初の目的によりまして、農林業関係における所得格差相当あるといったような問題が一番の論議になろうかと思います。しかし、この所得格差の問題を論議すること自身が、これはいろいろ意見があることでございまして、これはどういう格差を比較すべきであるか、具体的に申し上げますならば、たとえば生産性で問題にするのか、賃金で問題にするのか、あるいは就労で問題にするのか、あるいは業者におきましても比較すべき対象はいかなる産業であるべきか、これらはドイツの基本法におきまする審議におきましても、いろいろ論議のあったところでございまするけれども、こういったつまり本来の調査のり目的に沿って前提となるべきそれらの問題を各方面から審議してもらうような、いわば総合部会と申しますか、そういったような部会は必ず一つ要るのではなかろうか、あと三つの部会でございますが、これは今度の調査会ができまして審議する内容に応じまして検討されていかなければならないかと思いますけれども、たとえば財政投融資の関係部会とか、あるいは価格支持制度に関する部会であるとか、あるいは農業の中におきましても、階層により、地域によって、あるいは経営の形態によりまして、それぞれ生産性なり所得格差なりといったことが見られるわけでございます。農業構造と申しますか、農業経営といいますか、そういったことについてのさらに進んだ深く掘り下げた検討も当然していかなければならないと思います。そういったような部会も設ける必要があるのじゃなかろうかというようなことを考えまして、予算上は一応四部会を設けるということにいたしております。
  68. 東隆

    ○東隆君 私は、意地の悪いような質問になるかもしれませんが、農林漁業基本問題の中心は、やはり耕地の問題、農地制度の問題、こういうような問題が基本になると考えるのですが、そういうようなことについての部会あるいはその他の項目をお考えになっておりますか。
  69. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 御質問の農地問題、土地利用の問題、これはもちろんこの調査会における重要な審議事項一つと考えておりまして、さきに申し上げましたように、日本の農家の所得が低いとか、あるいは生産性が低いとかいった場合に、日本のやはり零細性の問題であるとか、あるいは過剰人口の問題であるとかいうようなことが当然問題になりましょうし、また、農村の中における経営階層からいっても、それぞれの相違を示しておるわけでありまして、地域によってもさようであります。従って、土地利用の問題あるいはそういった面からの農地の問題の検討というものは当然審議事項一つになろうと、かように考えております。
  70. 東隆

    ○東隆君 土地制度についてのいろいろなことをだいぶ調査をされるようですが、今、当面しておる農業法人化の問題ですね、土地の集団化の問題、そういうような問題はこの調査会の中に私は入れてそうして調査をされると、また、だいぶ長くかかるのですが、農業法人の問題、今、言われておる農業法人の問題、これは私は別な意味で、営利法人ではなくて、営利法人ならざる法人をやはり作らなきゃならぬと思います。これは土地制度に完全に関連をしているものである。その問題、この中へ逃げるおそれはありませんか。
  71. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 本委員会並びに衆議院農林委員会におきましても、農業法人問題が農業経営の問題と関連いたして種々御論議がなされたのでございます。ただ、この問題を調査会の項目にすべきか、あるいは農地局の当面の政策問題として検討すべきかということになろうかと思いますが、いまだ、どちらでどうするかということは結論として申し上げる用意をいたしておりませんけれども、しかし、農業構造なり経営の形態なりといったような問題がこの調査会においては当然論議の対象になろうかと思いますので、そういう意味におきましては、当然調査会における審議事項一つになろうかと思います。ただ、今お話しになりましたような、さしあたりの問題として、農地制度固有の問題として法人化を、特殊の法人を作るか作らないかといったような問題については、農地局においてももちろん検討することでございますので、今、直ちに調査会だけでやるかやらないかということについての答弁は用意いたしておりません。
  72. 東隆

    ○東隆君 私は、この調査会がいろいろの問題について調査を進められ、そうしてある程度結論ができたときには、直ちにその結論によって起きてきておる問題に対処すべきである、こういう考え方を持つわけです。もしそいつをしなければ、これは三十六年の三月三十一日までですから、それからあとおやりになるということになると、これは非常に問題になろうと思います。農業法人の問題一つ取り上げても。従って、そういうようなことをおやりになるとすれば、この隠れみのの中に隠れてしまうことになるので、私どもはそれが非常に遺憾だと思うのです。そこで、今、お話しになったようなことでありまするならば、調査会でもってある程度進めて、そうしてそのものについての結論が出たら、直ちに問題を解決するためにその結論を用いる、こういうようなことにしなければ、教科書をこしらえ上げて、そうしてやるということも、これも一つの目的かもしれませんけれども、しかし、その過程において解決をすべきものをそんなに長いことぶん投げる必要はないと思う。もしぶん投げておくというならば、これはこの際分離して、そうして農業法人の問題その他に農林省一つぶつかって、早急に解決をしていただきたい、こういう考え方なんですが、これは決意できますか。
  73. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) ただいま御質問に対してお答えいたした通りでございまして、農業法人、特殊な法人格を持った法人を作るということについて、この調査会でいきなり取り上げるかどうかということにつきましては、答弁を差し控えたいと思いますけれども、ただ、調査会の運営といたしましては、われわれといたしましては、すべてを二年先の三十六年の三月三十一日まで待ってやるという考えは持っておりませんので、調査の進んだものにつきましては、その前の段階におきましても、できるだけ作業に取りかかり得るものは取りかかりたい、こういうことで、すべてを二カ年先に待ってやるという考え方では必ずしもおらないのであります。そういうことで一つ御了承を願いたいと思います。
  74. 安部キミ子

    安部キミ子君 この法案の提出に当って、あなたの方ではこれを作ることによって、今日の政治経済における矛盾、ことに農林漁業における矛盾が完全に解決できると、こういうふうにお考えになっているんでしょうか、今の社会機構、政治機構の中で解決できるとお考えになっておりますか。
  75. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) この調査会で対象といたしておりますような問題、つまり農家生活の安定向上ということは、農政本来の目標であるし、また常に現在におきましてもそういうことを意図していろいろな行政が行われているのでございます。従いまして、これによってすべての問題が解決するとは必ずしも考えませんけれども、しかし、現在のいろいろの条件のもとにおきまして、農業関係以外からも、広く国民経済的な見地に立って農林漁業者の生活の安定向上ということを検討して参りたいというのが、本調査会の設置の目的でございます。
  76. 安部キミ子

    安部キミ子君 そういう範囲内において、それを完徹するためには、さきに同僚の清澤、東両委員お話しになりましたように、農林漁業基本法というものにまで発展しなければこの問題は解決できないというふうにお考えにはなりませんですか。そこまで持っていかなければなまぬるいものになって目的が完遂できないのじゃないかと私は思うのですが、いかかですか。
  77. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 先ほど清澤先生の御質問に対してもお答えいたしましたけれども基本法の内容それ自身につきまして、いろいろその国その国の事情によりまして条件が異なり、あるいは前提が異なり、また、それを運営していく態度なりというものも、おのずからいろいろ条件に制約されてくることになろうと思います。そういう意味におきまして、われわれは基本自身を初めから作らないという前提で出発いたしているのではないのでございまして、そういう問題を考えていく上におきまして、いろいろの面から検討していく必要があろう、日本には日本の状態に応ずるような、条件に応じてものを考えていく必要があろう、こういうことを申し上げたのでございます。従いまして、これらの調査会におきまして十分な審議検討を願って、そうして基本法的のものが必要であるということになりますならば、もちろんそういうことも含めてわれわれとしては検討して参りたい、かように考えておるわけであります。
  78. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、農業基本法を作るような情勢が生まれることが目的と、こういう意味になりますね。
  79. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 調査会におきまして調査審議の結果、基本法的なものを作るべきであるというふうな答申になりますならば、もちろんそれに応じてわれわれとしては検討いたして参りたい、こういうことでありまして、基本法それ自身を直接作るという前提でこの調査会を考えておるのではないのであります。
  80. 安部キミ子

    安部キミ子君 目的がなくてこういうものを出したって意味ないじゃないですか。この法案の目的は一体それじゃ何ですか。
  81. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) たびたび申し上げておりますように、この調査会の設置の目的といたしましては、最近における各国の農政の一つの重要な問題といたしまして農林漁業部門と他産業部門とにおける所得格差あるいは生産性格差なりというものが生じてきた、これが各国の農政の一つの大きな問題になっておるのでございます。わが国におきましても、戦後、農業の生産力というものは相当著しい復興並びに発展を見せて参ったのでございますけれども、また、それに応じまして農業所得も絶対的な水準としては年々増加いたして参っておるのでございますけれども、これを他の、鉱工業部門の著しい生産の発展と、それに伴う所得の増加と比較いたしてみますると、なお、その間におきまして相当格差がある。一人当りの所得にいたしてみますると、大体他の二次、三次産業部門に対して約三割程度であるというふうなことが、最近の数字に現われておるわけであります。従って、今後の農政の一つ重点といたしましては、このような事態に対処いたしまして、農林漁業所得をいかにして維持増進することにすべきであるか、また、それによって農家の生活の改善、安定向上をはかる、それに対する措置はいかにあるべきか、こういうことが当面の問題になっておるのでございます。従って、これらの問題を検討いたします場合におきましては、ひとり農林省だけでこの問題に対する調査検討をいたすにはあまりにも問題が広過ぎる、広範にわたるわけでございます。財政の問題もあれば、貿易の問題もありましょうし、とりわけ、雇用、人口問題というような問題につきましては、農林漁業以外の全体の経済の動き方と関連いたしまして検討すべきものでございますし、同時に、それによりまして農林漁業の今後の方向なり、あるいはあり方なりというものについての客観的な立場というものが出てくると思われるのであります。その意味で、この調査会農林漁業所得の維持増進、生活の安定向上、こういうことを当面の目標といたしまして、ひとり農林漁業ばかりでなしに、それ以外の部門にわたりましても、広く審議検討をいたしたいと、こういうことがねらいになっておるのでございます。
  82. 安部キミ子

    安部キミ子君 大へんあなたの説明はくどくどしいですが、要点は農林漁業者の生活の安定と、それから所得向上といういろいろな、この人たちが憲法で保障されておる人間的な生活を確保する意味でこれを守ろうという趣旨のもとに出される法案でしょう。そういうことであれば、それは参考のために外国の研究調査も必要であろうし、それから各省の協力も必要でありましょうが、要するに農林省としては、この所管の立場において、農林大臣の責任においてこの法案を作って調査会を設置し、さらにそれが前進して農林漁業基本法というものに成長して、そうしてこれらの人たちの生活の安定を先ほどの目標のもとに確保するということが目的じゃないのですか。目的はそこにあるということをあなたは、簡単でいいのですから、はっきり言って下さい。ややこしいことを言わぬでもいいから、目的はこれとこれとこれとが目的である、従って、その目的を達成するには、結論的にはこういう基本法が必要になると思うということを簡単でいいですからおっしゃっていただきたいのです。
  83. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) たびたびお答えいたしておるつもりでございますが、要するにわれわれといたしましては、今、お話しになりましたような趣旨によりまして調査審議が行われました結果、基本法を作るべきであるというふうなことでありまするならば、十分それに応じて検討いたして参りたい。しかし、法律を作るとか、あるいは法律以外の予算なり行政措置でやるかということは、いずれも手段でございますので、当然これらの目的のためには法的措置もとる必要が生まれるだろうと考えますけれども、それだけを唯一の目的とした調査会でないということは、先ほどからるる申し上げておる通りであります。
  84. 安部キミ子

    安部キミ子君 それじゃ、それだけじゃない目的というのは何ですか。ただ調査して調査しっ放しで、それでたくさんの人を、金を出して機関を作って、国民の税金を使っていろいろわずらわして、そうしてむだな金を使うことが目的なんですか。そうじゃないでしょう、目的は。たくさんのお金を使っても、そういう大きな目標があればこそそのいろいろな金を使った意義があるのですから、その目的というものをはっきりあなたがここで打ち出されなければ、この法案を審議する価値ないと思うのですよ。この法案が何のために出されたかという目的があなたの方で明確にならないということは、私はおかしいと思う。慰みや何かじゃないのですよ、こんなものを作るなんて。態度をはっきりして下さい。
  85. 千田正

    千田正君 関連して。今、安部委員のおっしゃることなんだが、さっきも私伺ったのですが、農林省にいろいろな委員会がありますね、このほかに。今度最高の結論を出して、立法をするなり行政面において修正する、あるいは改良する、その最高の結論を出すための基本問題の調査会なのか。その点をはっきりしないと、今の安部さんの質問と同じことなんです、われわれの聞くのは。屋上屋を重ねたって意味ないじゃないですか。そのために金を使うなんて意味ないじゃないか。今までのような学識経験者ばかり集めたって何も結論が出ないじゃないか、抽象論ばかりじゃないか、こういうことになってくるわけです。だからはっきりした、この問題が何をやるのか、結論的には今までやっていたことだけじゃだめだから、屋上屋を重ねる感があるけれども、最高のいわゆる基本問題を決定するような内閣諮問機関としてのこういうものを置くのだ、そういう明確なことを言って下さいよ。もうさっきから聞きあきているのです、あなた方の説明は。どこに一体目的があるのだ。それから予算はどれくらいつけておるのですか。
  86. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) まず予算の方から御説明いたしますが、これはこの調査会内閣に設けられることになっております。この調査会の直接の経費といたしましては百二十四万円の経費でございます。
  87. 千田正

    千田正君 それはどっちですか、農林省ですか、内閣ですか。
  88. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 内閣の方の総理府に計上されるものでございます。それからこの調査会をやっていきます場合におきまするいろいろの事務局の役割農林省で担当いたしたい。同時に、これに関連したいろいろの調査業務をやって参りたいということで農林省関係といたしましては、約三千百八十二万一千円農林省の予算に計上いたしております。  それから第一の御質問でございますが、歯切れの悪い御答弁を重ねることで恐縮でございますが、目的はきわめてはっきりいたしておるわけでございます。ただこの目的を実視するための手段といたしまして、あるいは基本法というふうなお考えもありましょうし、あるいは既存の法律を修正するというふうな部面もございましょうし、あるいは農林省の農政の基本考え方を作って、それに基いて行政を運営していくという面もございましょう。従って、われわれといたしましては、この基本法というものがどういうものであるかということもおそらくこの調査会における審議の対象になろうと思いますけれども、その結果、今、お話しになりましたような基本法的なものが必要であるという、こういう御答申がありますならば、もちろんそういうことも含めた検討をお願いしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  89. 安部キミ子

    安部キミ子君 私はこの節、農山漁村の実態をちょっと見ておりますと、非常に深刻なものです。日本の農政がいかに貧弱かということを今ここで言いましても始まらないことですが、漁業に至ってはもうあなた自身が御承知通りです。内政においても、外政においても全く行き詰まって、もう日本の農民、漁民の生きる道はないんじゃないですか。このときに、おそまきながらあなたの方がこういう法案を出して、もう一度日本の農林行政を見直していこう、そして本腰を入れて立て直していこうとされる善意は、私は十分評価してもいいと思うのです。ただその態度がなまぬるいことでは、今日の日本の農林行政というものは救われないということなんです。そこで、よほど腹をかまえて、そうしてある場合には、考え方によっては日本の農林行政の革命的な役割をも果さなければ根本的な解決はない、そこまで深刻なものになっておるということを私は自分で見てきておる。当然あなた方のように行政に直接責任を持っておられる人たちはもっと真剣にこの問題を考えてもらいたいのです。そういう意味で、なまっちょろい法案を出して、何といいますか、お慰み的な、あるいはたくさん委員をかかえて、それで答申したわ、ああ聞きおくということが、過去、たくさん内閣の部内にいろいろなものができておりますし、それがそのまますなおに聞かれたことはまれでしょう。名目だけ何々答申があったとかいうけれども、それが本気に聞かれたことはない、今の政治では。そういうことじゃ困るということです。それで、こういうせっかくいい思い立ちに対して政府は本腰を入れて日本の農林行政というものを根本的に改革しなければならぬ段階にあるということをあなたもよく心に入れてもらって、そうして結論は先ほど言うたように、基本法というようなものにまで、それでもなまぬるい、私どもからいえば。私どもはそういうものができて農民、漁民が救われるとは思いません。おそらく、ごまかしといえば大へん失礼ですけれども、まあ気休めといいますか、そういう程度のものになるよりほかに、今の政治経済の機構の中では、資本主義の機構の中では私は成り立たぬと思います。ほんとうの根本的の解決にはなりません、率直にいえば。だけれども、その中でもあなた方がそういうふうに善意をもって本気でやられるなら、私が追求している目的のところをはっきり打ち出して、そういう方向に向って少々の抵抗はあっても、あなたが本気で農民、漁民を救おう、国の基本を立てかえよう、こういう考えがあれば、そこまでこの委員会ではっきり決意を示してもらいたい。これはもちろん農林大臣や政務次官にもお答えを聞きたいところでございますが、あなたの先ほどの答弁を聞いていると、何が何だかさっぱりわからぬなまぬるい答弁ですから、私どもは現実を見て、あまりにもかけ離れたあなたの御答弁には不満です。ほんとうに農民、漁民の苦しみは、あなたの答弁のようななまぬるいことじゃ解決できません。おそらくあの真剣な生活に飛び詠んだ姿を経験している人たちにあなたの答弁を聞かしたら何と言うだろうかと私は今憤りを持っているくらいです。そういう意味合いにおいて、あなたの今日のこの提案説明なり、あるいはこの法案に対するあなたの決意というものをもっとはっきりした態度でこの委員会で言明してもらいたい。こういう意味合いから先ほどこの法案が通過した暁に、あるいは今問題になっている諸問題が完全に解決できると思われますかという最初質問に私はくぎをさしておるわけなんです、お答えいただきます。
  90. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど来、官房長からお答え申し上げておる次第でございますが、そのお答えで、大きな目的の点は繰り返し申し上げておりますので御了解を得られたかと思うのでありますが、要するに、ただいまも御質問の中でいろいろ言われましたように、政府といたしましては時々必要に応じてそれぞれの施策を実行して参ったのでございますけれども、今日振り返ってみますると、他産業農林漁業との間に、たとえば生産性におけるところの格差、ひいては所得における格差というものが非常に大きくなって、しかも、その格差を狭めるということがなかなか実現しにくい状況にあるのがただいまの実態でございます。そういうふうな実態をよく分析いたしまして、こういうふうな際にもっと根本的にこの問題と取っ組んで、しかも、単に農林省という立場じゃなしに、まかは農林政策という立場じゃなしに、大きく国全般の経済政策の見地からこの問題と取っ組んで、大きく打ち出していきたい、こういうのがこの調査会を設置いたそうといたしますところの本旨でございます。従って、この調査会ができまして、調査会から答申が出ました場合におきましては、もちろんその答申を政府といたしましてはどこまでも尊重いたしまして、これが実現に邁進をいたしたいと考えるのでございまするし、また、先ほど来御質問にありましたように、この調査会を隠れみのにするというような考え方は絶対にございません。また二年間じんぜん日を送るという考え方もございません。時々必要な問題につきましては時宜に応じて調査会におけるところの御論議の結果をも十分に参酌し、農林行政と申しますか、政策の改善に邁進いたしたい、かように考えておる次第でございます。ただ先ほど来官房長が申し上げておりますところの、非常にこだわるようでございますけれども基本法を作るか作らぬかという点につきましては、これは基本法というものの考え方自体に、それぞれ基本法とおっしゃる内容が違っている点が相当あるのでございます。かような関係から、先ほど私が申し上げましたように、この際、根本的に検討したいと、そして出てきた結論に対して、思い切った措置をとっていきたいということが、すなわち御質問にありますような基本法を作れという御主張と相合致するのじゃなかろうかと、私はそういうふうに考えておるのでございまして、決して基本法を回避するとか、基本法はいやだという趣旨ではございません。ただ言葉の上の問題ではございますが、目的はそういうふうに農林漁業と他産業との間の所得格差または生産性格差というものをどうして縮めていくか、または、どういうふうにしたら国民経済全体がよくいくかという問題につきまして検討し、そして政策を立てていくと、その場合にその手段として、あるいは農業基本法という場合もありましょうし、また既存の法制を改正していくということも必要なことがあるでありましょうし、あるいはまた行政措置でもってある程度その目的が達成できるという部面もあろうかと思うのでございます。従って、この調査会の目的がただ一つ基本法の制定だというふうに限定している考え方はしていないということをお答え申し上げた次第でございます。
  91. 千田正

    千田正君 今、農林次官並びに官房長の考えておるようなあれだったら、この表題はもう少し変えなければなりませんよ。基本問題研究調査会ならばそれでいいですよ。あなたのおっしゃるような、非常にバラエティに富んでおる、あなた方の御答弁を聞くというと。そうしますと、さっき官房長のおっしゃった予算なんというものは、とてもそんな問題に使うような予算じゃないのです。そればかりの金で、こんなもので二年間でこの問題は解決できますか。あなたが言っておるような解決なりなんなり結論が出ますか。わずか百四十万か百五十万の予算を置いて、そうしてこれだけの内容にあるような委員をそろえて、そうして十分な研究が一カ年百五十万か百六十五の予算でできますか。事務局二、三人集めただけでそれは終ってしまうじゃありませんか、どうですか。
  92. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 調査会の先ほど申し上げました予算百二十四万円は、委員の謝金が大部分でございまして、農林省の方の関係は人件費並びに事務費、調査費ということになっておりまして、これに関係する一応スタッフといたしましては、農林省関係で約三十七名を予定いたしておるのでございます。で、お話しになりました二年間で果してこれができるか、できないかというお話でございますけれども、これは先ほどのほかの委員の御質問にもありましたように、いずれにいたしましても、われわれとしては、当面農政上のこれは非常に大きな問題である各種の施策につきましては、それぞれの分野におきまして行政を進めておるわけでございますけれども、同時に、いわば何といいますか、木を見て森を見ないといいますか、森自身をわれわれは現在問題にすべき時期ではないか、こういう見地に立ちまして真剣にこの問題に取り組もうという考えでございます。従って、大きな問題でありますので二年間で終るかどうかという御質問でございますが、われわれはあとの意味におきまして、従来、とかく審議会が一年くらいで終るやつを、特に本調査会は二年間というふうに期間を延ばしまして、その間にできるだけのことをやって参りたい。もちろん、先ほど申しました農林省のこれに携わる約三十七名というのは、調査会関係の仕事を中心にやるわけでございますから、われわれの気持といたしましては、これを内部検討いたしました際におきましても、全省的に一つこの問題を取り上げていこう、こういうことでございまして、われわれとしては、今御質問がありましたように、真剣な気分でこの問題に対処いたしたい、こういうことでございます。
  93. 千田正

    千田正君 趣旨はわかりますがね。今言ったようなそれくらいの予算では中途半端になるのじゃないか。あなたが今おっしゃったような、熱意もわかったし、その誠意もわかった。しかし、従来の調査会みたいな一年で、そんな簡単なものじゃないということはわかりましたよ。しかし、それにしたって、百二十万や百三十万のことであっては、実際あなた方の考えておるような問題、これはただ謝礼金だけでしょう。あなたの方の農林省独得のこれに対する地主の予算は、これに対してどれだけくっつけるのですか、これに対して。
  94. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 地主の方の、すなわち農地被買収者問題調査会の方は、これは農林省ではないのでございまして、これは総理府の方に全部計上されております。これは予算としては、調査として一千万円というふうに聞いております。しかし、先ほど申し上げました百二十四万というのは、調査会の主として委員の謝金、旅費でございまして、農林省関係といたしましては三千百八十二万一千円をこの関係調査会設置に伴う経費として計上いたしておるわけであります。もちろん御質問のようにこれだけで調査が十分かどうかという点でございますが、われわれとしては、一応これでやる。ほかに統計調査部のいろいろな調査もございますし、各局の調査もございます。それらの調査をも合せて十分活用して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  95. 千田正

    千田正君 だから、私は、官房長に、あなたのお話は足りないのじゃないか、この調査会に必要な予算はどれだけかと聞いたところが、あなたは百何十万考えておると言ったんでしょう。それでは従来からのプロパーだけの話だ。調査会は完全なもので、一応完全じゃなくてもあなた方が熱意をもって根本問題を調査するのだという熱意でやるならば、そのプロパーのものにさらにいろいろなものを入れて、一体、全体の予算をどれだけみてやっているんだと私は聞いているんです。今の三千何百万は農林省の予算の中から考えているんですか。
  96. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) これは非常に言葉が足りなかったので、はなはだ残念でございますが、農林省で計上している三千百八十二万一千円というのは、本農林漁業基本問題調査に必要な経費として今回新たに別途計上いたしたものでございます。
  97. 千田正

    千田正君 では、それと総理府に置いた予算と合計すると三千数百万となるわけですね、初めにそれを言わぬと。そうでなければ百何十万やなんかでできるのかとわれわれは言いたくなるのです。そういう熱意はわかったが、真剣になって下さい。今までのような御用学者を呼んできて、単なるパンフレットだけ出して、それで終れりというようなことになったら承知しませんよ。この問題は真剣にやって下さい。
  98. 安部キミ子

    安部キミ子君 今、千田委員がおっしゃいましたように、こういう機構ができましても、この機構が、調査会ができただけでは農民も漁民も救われないのです。これが具体的にどう農民や漁民に利益として反映するかという結論までいかなければ、今までいろいろな調査会ができても何の役にも立たなかったといっても過言ではないということを私はしばしば繰り返しているわけなんです。でありますから二年後にどういう結論が出るか。それ以前にあなたの方ではいい結論が出て、答申があればすなおに聞く、こういうことはまあ間違いなくお約束なすったわけなんですが、現実の姿がきょうあすにももう、ことに漁業の面では実に深刻なんです。山口県のことを言って私は大へん恐縮ですけれども、自分が地方区の選出議員だからそのことをよく知っているわけなんですけれども、李承晩ラインに脅かされて、それから今は中共でしょう、それからソ連の方から、そうしてまた近海の漁業の不振ときたらまったく話にならぬ。このような現実を、これは山口県だけではございませんでしょう。このような現実を一体だれがいつどのような形で解決してくれるかということを一日千秋の思いで待っているわけなんです。で、二年先だ、一年先だというなことは言っておられぬのです。でありますから、こういうふうに基本問題というような言葉が出ている以上、ちょっとやそっとの補助金を出すとか、あるいは融資をするとかいう問題だけでは解決できぬし、これはもう根本的な国の政策というものが打ち出されなければこれらの人たちは救われないわけです。これは漁民だけでなしに、農民でも同じようなことが大なり小なり当てはまると思うのです。でありますから、こういう大きな題目を掲げたこの看板通りの法案であってみれば、これは国の革命を、そういう農林行政においてはある一つの革命的な存在だといっても過言ではないほど私どもはこの額面から受ける印象はそのまま受けておるわけです。だから、農民も漁民もその意味で非常にいい法案ができて、もう自分たちは救われるのだというふうに考えているわけですよ。それがただ調査会という看板だけで終ってしまっては無意味だから、先ほど私どもが申しておりますように、ちゃんと目的がはっきり示されて、そしてこういうことを、調査会ができたならば、目的が、ここまでいって、そして農民、漁民にはこういう形で救われるんだといことが、目的として打ち出されなければ、こういう大きな看板を掲げて、金を使っても意味ないということなんです。そこで、私が先ほどから声を大にして、あなた方の、あるいは政府の腹がまえを、それが現実の政治の中で責任の立場にあるあなた方のその腹がまえを聞いて、そしてそれを実行してもらいたい、目的に向って突進し、結論を得てもらいたいということを言っているのです。ただ看板だけ掲げて、あるいはスタッフをたくさん集めてお祭り騒ぎで終ってしまっては困るということを私は言っているのです。ただ、先ほど高橋次官のおっしゃるような答えでは私は満足できませんよ。あんななまぬるいことでは意味ないことなんですよ。こういう大きな看板を掲げて、どうですか、ちゃんとこうこう、こういうふうな結論を得たいと思っている、当然それは現在の政治の姿ではそこへ行くのが自然じゃないですか。あなたもめくらでないし、政治がようわかっておるのだから、今日の日本の農林行政の政治の実態というものは御承知のはずですから、それらの現実を打開するにはこれより道はあり得ないと思う。この基本法を作って、そして根本的な改革といっても過言ではないのですが、そこまでいかなければほんとうのものにはならないと思うわけなんです。もうちっと深刻な現実を見ての答弁をしてもらいたい。
  99. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほども御答弁申し上げました通り、私どもはこの現実の農林漁業の実態というものについて、それぞれさしあたりの施策は講じて参っておりましたし、また現実に絶対額においてはそれぞれ生産も相当向上して参ったようでございますが、たとえばただいま御指摘のように、漁業においても、または林業においても、または農業自体においても、非常に困難な問題にぶつかっておる。その問題は、農林省というふうな小さな立場だけではとうてい打ち破りがたいところの問題であるというふうに考えますので、そういうふうな趣旨から内閣調査会を置いて、そうして大きな立場から、日本の経済全体の立場から、この問題と取っ組んでいきたいという考え方のもとに、この調査会設置法案の提案を申し上げた次第でございます。従って、これが十分なる成果を上げて、そしてそれが次々と実際の政策面に打ち出されてくるということを私どもは期待いたしておるのでございますが、ただ今日この調査会の答申がこうあるであろう、または、こういうふうなことを目標にするのだという具体的な答申を予定いたしまして、そうしてそういうふうなことでいくということはいかがかと考えますので、その点は私どもの意図のあるところだけを申し上げましてお答えにいたした次第でございます。もちろん先ほど来、お言葉にありますように、革命という言葉がふさわしいかどうかは存じませんけれども相当思い切った立場においてその基本問題とぶつかっていきたいというのが、私どもの意思のあるところでございますので、その点を十分御了承願いたいと存じます。
  100. 千田正

    千田正君 時間もだいぶ過ぎたから私結論だけ聞きたいのですが、これは一体総理府に置くものを、どうして農林省説明しなくちゃならぬかというのだ、僕からいえば。どういうことなんですか。そうして予算があなたの方から三千何百万もとられて、そっちの方へはわずかに百二十万しか使わない。むしろ、私はもっと言いたいのは、内閣なり総理府に置くならば、総理大臣諮問に応ずる、こういうものを作った以上は、総理大臣が農林行政に対しては、この答申によって何ごとかやるという確約を私どもはほしいのですよ。僕は農林省当局がただ説明する、金を出して説明するだけじゃ、何だか僕から考えればおかしいのだ、どういうことなんですか、これは。あなたの方へ置かずに内閣へ置くことを、あなた方は一生懸命説明しているし、金をたくさん出しているが、これはおかしいじゃないかというふうな感じがするのですよ。
  101. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 御質問の点ごもっともでございますが、ただ先ほど来お答え申し上げておりますように、農林漁業と他産業との間の所得格差があまりにはなはだしい、それを解決するのには農林省範囲内だけを考えておったのではなかなか解決できない、これはどうしても他の方でいろいろとなにしなければならぬという筋道にございますので、私どもはこういうふうな調査会が一日も早く成立いたしまして、そうしてその方に一歩早く進めていきたい、かような熱意から申し上げておるのでございまして、もちろん政府全体としてこの問題を十分取り上げて下さっておるのでございますから、その点御了承いただきたいと思っておるのでございます。
  102. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  本件はこの程度にいたします。   —————————————
  104. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、農林漁業組合経済事業小売商業特別措置に関する件を議題にし、今国会内閣から提案され、すでに衆議院を通過、ただいま当院商工委員会において審査中の小売商業特別措置法案に関し、政府当局説明を聞くことにいたします。  この件について政府から出席は、中小企業庁長官岩武照彦君、農林省経済局農業協同組合部長富谷彰介君のお二人でございます。  本法案について政府の御説明を求めます。
  105. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ただいま委員長からお話がありました小売商業特別措置法案と農業協同組合等の経済事業関係の問題でございますが、お示しの法律案は、目下参議院の商工委員会に付託されておるわけでございます。この法律案は、実は去る昭和三十一年に設けられました中小企業振興審議会、これは内閣に設けられましたが、その答申に基きまして、去る二十六国会政府提案で提出したものでございます。それが継続審議となりまして、二十八国会の解散で審議未了になり、去る三十国会に若干内容を変えまして政府提案で出したものでございますが、これが審議未了となりまして、本国会に三たび提案した次第でございます。衆議院で御審議の結果、内容がかなり修正されておりますが、今お示しの問題点につきましては、この法案の第十五条以下が関係しているかと思いますので、その点について御説明したいと思います。  初めにちょっと申し上げておきまするが、この法律案は、第一条の目的にございまするように、小売商の事業活動の機会を確保する、それから小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するという点を目的としておりまして、従いまして、小売商業の振興といった面につきましては、この法律案では直接触れておらないわけであります。従いまして、内容にありまする事項もそういうふうな関係事項のみに限られたわけであります。第十五条におきましては、この中小の小売商業者とその他の者との間に小売行為に関しまして起りました紛争につきまして、当事者の申請に基きまして都道府県知事があっせんまたは調停を行うという趣旨の規定を置いております。これは政府原案が若干修正されております。法案について申し上げまするならば、十五条の第一号の「製造業者がその製造に係る物品」というのが、政府原案では「生産業者がその生産に係る物品」とあったわけでありまして、その修正になりました理由は、私から申し上げるのもちょっとどうかと思いまするが、大体の御議論は、原始生産にかかる物品はこれから除くというふうな趣旨かというふうに聞いております。それから第二号は、いわゆる卸売業者の小売行為でありますけれども、これは修正がありません。第三号でありますが、これは製造業者または卸売業者以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業とその中小小売商との間に起った紛争とありまして、これがその他の者の小売行為に関する紛争であります。この点で農業協同組合等の行います小売行為との紛争が起り得るのではないかというふうな観点からの御調査かと思っております。第四号、これは直接御指名の調査点に触れておりませんので省略いたします。  それで、このあっせんまたは調停のやり方でございまするが、第十六条以下にありまするように、都道府県知事は、調停につきましては、一事件ごとに担任の調停員を委嘱いたしまして解決をはかるということになっております。それからあっせんにつきましては、これはまあ事実上のことでありまするから特別な規定はありません。  なお、あっせんまたは調停にかからない場合には、必要な勧告を行なってこの解決をはかるというのが第十七条でございます。  大体、あとはまあ手続規定でありまするから省略いたします。  そこで問題は、第三号のことかと思いますが、これはやはりその条文の趣旨からいたしますれば、農業協同組合等が行いまする小売行為につきまして紛争が起れば、都道府県知事にあっせんまたは調停の申請があり得るということは考えるわけであります。ただこの十五条の本文につきまして衆議院におきまして若干の修正がございました。当初の政府案は「あっせん又は調停の申請があった場合において、中小小売商の事業活動の機会を確保するため必要があると認めるとき」と書いてありまして、いかにも小売商だけを保護するというふうに解釈できる懸念がございますので、衆議院の修正によりまして、「物品の流通秩序の適正を期するため必要がある」というふうに狭められまして、中小小売商の事業活動の機会を確保するためということよりもむしろ、商品の適正な流通という見地から必要なときに調停を行う。だから小売商側の言い分も、これが物品の流通秩序を適正にするためには、その言い分が通るか、通らぬかということで、この調停、あっせんの機会は与えられるということで、ややあっせん、調停に乗り出すチャンスが狭められているんじゃないか、こういうように思っております。  大体法文の御説明はこの程度にいたします。
  106. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの説明に対して質疑をお願いいたします。
  107. 千田正

    千田正君 この法案を出した理由というのはどういうことなんです。たとえば、しょっちゅう農業協同組合やなんかと小売業者との間にしばしば調停を行わなくちゃならぬような問題が起きているんですか。私は不敏にしてあまりそういうことを耳にしないんだが、実際そういう問題が起きているとすれば、あるいはこういう問題を調停する意味において、法律的な問題が起きてくるんでしょうが、そうじゃなかったら、かえって繁文褥礼になってしまって、むしろ弾力性のある法律があることによってみんなが共存共栄できるのであって、それにまた一つの何だかしゃくし定木のようなものを作るために、ますますマイナスな面が出てくるんだと思うんだが、何か一体そういった問題でしょっちゅう衝突するとか、何とかいうことがどっかにあるんですか。
  108. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この立法の由来は、先ほど申し上げましたように、中小企業振興審議会の答申を受けたわけでございまするが、その答申におきましても、生産業者の小売行為については許可制にしたらどうかというふうな答申が出ておるわけであります。卸売業者についてはそのことがなかったかと思いまするが、それからなお、農協等の小売行為についても、消費生協に準じまして調整するようにというふうな答申になっておるわけであります。  それから現実に問題が起らないじゃないかというお話でありますが、これはわれわれ全国の例を漏れなく承知しておるわけでもありませんが、いろいろ聞きますると、あるいは若干小売商側が問題にしておることもあるようでございます。ただその問題にしているのが取り上げるべき問題かどうかということは、いろいろ問題があると思います。これは非常に地方的な、ローカルな問題でありまして、われわれもそういう話があったからといって一々それに動かされているというわけじゃありません。ただ生産者あるいは卸売業者の直売、小売行為については、これは全国でいろいろな問題が起っております。これは農協というわけではございませんが、あるわけでございます。ただそれを法律的に一がいに禁止とか許可ということでは動きません。こういうふうにケース・バイ・ケースに、問題が起った場合に、都道府県知事が取り上げて片づけた方がいいということにつきまして、こういうふうな規定を入れたのでございます。
  109. 千田正

    千田正君 これは小売業者の立場からいえば、今の法案はまことにけっこうなことなんだが、生産者並びに消費者、ことに消費者の立場に立った場合、消費者はたとえば生鮮食料品であれば、新鮮にして、かつまた、低廉なものを得たいわけですよ。ですから、むしろ、かりに農協なら農協にほしいと思えば頼む場合もある、農場に頼む場合もある、そういうことであって、そう大した問題じゃないのじゃないか。小売業者とかそういうもののためにだけ、生産者なり消費者なり、国民の大多数が望んでおるところにワクをはめるというのは、私はちょっとおかしいと思うんだが、立法的措置からいえば。
  110. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) お言葉でございまするが、これはワクをはめるという意味じゃございませんので、いけないというのじゃございません。ただそういうのが行き過ぎまして、問題が起ったときに具体的に事案に即して解決しよう、こういうことでございます。
  111. 千田正

    千田正君 むしろ行き過ぎというのは、そんなことを言い出す方が行き過ぎじゃないですか。
  112. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは私の方から申し上げまするが、やはりこの消費者さえよければ、あとは小売商はどうなってもいいというのでは困ると思いますので、ある程度小売商を通ずる必要があるものはやはり現実に小売商、売るんでございますから、それを利用してもらいたいものである。ここでこういう例をあげるのはいかがかと思いまするが、実はこれは私もまた聞きでございまして、そういう事実がほんとうにあったかどうか調べておりませんので、たとえばある県の農協で今お話のありました新鮮な魚を、これはたしか水産の組合等から委託を受けましたものか、あるいは買い取ったのかもしれませんが、かなり小売がございまして魚屋さんが悲鳴をあげたという事例を実は聞いております。それから、これは私はまた聞きでございますから、役所の方で一々それを調べて云々するということはいかがかと思いますので黙っておりますが、ただ問題は、小売商は排除しても生産者あるいは製造業者と直接港費者とが結んで低廉でいいものを供給しさえすればいいということではちょっと私たちとしても困ると思います。
  113. 千田正

    千田正君 それだから私は困ると思うのですよ。三つあったでしょう。大体生産者と、それから卸売、仲買い、それから今あなたが弁護している小売商とそれから消費者とある。国民としては消費者と生産者が一番多いのだから、あなたの今おっしゃった事例なんというのは、途中に仲買いなどが入っているからですよ。膨大な利益を搾取されている。流通機関という問題だったらその仲買いの問題を解決しなさいよ。小売商なんかの問題をとらないで、むしろそういうことを是正していって初めて適確な値段で小売業が扱うようになれば、こんな問題は調停もなにも起るはずがないじゃないですか。通産省はむしろ流通機構の改善として今の市場法なり、あるいは仲買商としてのこういう問題を解決して、こういうことを出してくるのがほんとうの出し方じゃないですか。
  114. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 流通機構の問題の改善、もちろん必要だと思っております。ことに生鮮食料品等につきましてはいろいろな問題もあるようで、せっかく農林省の方でも今度の国会にいろいろな法案を出されまして御審議願っておりまするが、それだけであとはいいんだと言われましても、現実の問題がいろいろあるのでございまして、(千田正君「きわめて遺憾だと言わざるを得ない」と述ぶ)やっぱりこういうことがあまり行き過ぎにならぬところで具体的に片づけたらどうかと、こういうことです。
  115. 青山正一

    ○青山正一君 これは農林省経済局御相談にあずかったのですか、この法案。どうなんですか。
  116. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 通産省の方から内示がございまして私ども御相談にあずかっております。
  117. 青山正一

    ○青山正一君 そうしてこの問題について今、長官のおっしゃられるようなふうなことで、ある程度妥協しているというのですか。はっきりとその線を出しておるわけなんですか、どうなんですか。
  118. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) いろいろ農業協同組合その他の行います販売事業が小売商と問題を起した場合には、都道府県知事のこういうあっせん、調停の対象になることは農林省として承知しておるわけでございます。ただしかし、小売商の活動の機会確保のための法律というわけでございますから、その程度のあっせん、調停を受けるのはこれはやむを得ぬだろうということで、農林省は了承したわけであります。
  119. 青山正一

    ○青山正一君 この農業協同組合課だとか、あるいは漁業協同組合課というのは、水産庁なり、あるいは農林省のどこにありますか、必ずこれはあると思います。そういうところとよく御相談なさったわけなんですか。
  120. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 私ども農業協同組合課が直接窓口をやっていたわけではございませんけれども農林省としまして通産省から御相談のありました際には、それぞれ関係の各課に連絡してやったわけでございます。
  121. 青山正一

    ○青山正一君 それでちょっとお伺いしたいと思いますが、あなた自身これは今、経済局の関係なんだろうと思うのですが、経済局におきまして流通秩序の関係の問題について、いろいろ生鮮食料品のそういった問題を最近の機会において調査会というものをはっきり設置してやっていくんだと、消費者の口に入るまでにいろいろな段階があると、そういった段階のこともおそらくそういうふうなところでいろいろ検討されるだろうと思いますが、その際に、先ほど長官の話があったいわゆるスーパー・マーケットの問題とか、いろいろこれはまあ出てこようと思いますが、これは裏を回せば五島慶太とかゴウトウケイタというそういう人たち相当悪さをしておるというふうなことも聞いておるわけですが、そういうふうな点を全般にわたって市場法の改正とか、あるいは生鮮食料品の改正の際に論ぜられるわけであって、そういう問題は国会で論ずるということはどうかと思うのですが、その面に関する限りは、その点どうなんですか。経済局自体としてそういうふうな点を、ここにも企業市場課長もお見えになっておりますが、いろいろそういうふうな面はその関係の面があろうと思いますが、それに全然何か筋の違ったものをぽかっとつけ加えて、そうしてその面もここに入れていくということは私はどうかと思いますが、その点の御解釈はどうなんです。
  122. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 私からお答えいたしますのが適当かどうか存じませんけれども、この法案に関しまして考えておりましたことは、さっきも申し上げました通り小売商の活動の機会を確保するという一つの法目的によってこの法律が考えられておる、一方また、この第十五条で考えておりますあっせん、調停と申しますことは、必ずしも農協なり漁協なり、そういった生産業者の団体の行います販売行為を規制するものではない、かりに紛争が起りましても、農協なり漁協なりの販売行為自身が正当のものであるという証明が、紛争調停、あっせんの機会にかえって内外に明らかにされるような場合があれば、それはそういうあっせん、調停の機能が非常にむしろ流通秩序そのものを改善する助けにもなるんじゃなかろうか、こういうふうな考えでこの法律に賛成したわけでございます。
  123. 青山正一

    ○青山正一君 経済局として、まあ農林省にありますけれども、どうも私はその点がわからないのですが、もしあなたのおっしゃるように、漁業協同組合課だとかあるいは農業協同組合課がよく相談にあずかって、そういうふうな結論をあなたに与えておるというふうなことであるならば、これは私はどうもふに落ちないわけなんですが、この点について、また清澤さん東さんおいでになりますから、いろいろ御質問あろうと思いますが、一応私はこの不満の意を表する次第であります。
  124. 東隆

    ○東隆君 私は小売業はこれは営利を目的にした業態だろうと思うのです。それから協同組合は生協もそれから農林漁業の協同組合、これは営利を目的にしておらぬと思うのです。従って、この営利を目的にしておるものの販売行為、それから協同組合の販売行為、これはおのずから違っておるわけです。それを同じような立場で見ることは、私は非常にそこに観念的に間違ったものがあろうと思う。この法律は結局どこをねらっておるかというと、購買会とか、あるいは生協であるとか、あるいは協同組合のその地盤において卸で販売をしないで小売販売をする、それに対して制限を加える、こういうのがこれは基本になっていると思う。また、この法律が出ることによって、それに対して猛烈な争議の調停だのなんだの申し入れをすることができるようにして、そうして私人がこれに対して命令を下したり、というようなことをやる、こういうようなことになってきて、同じ地位においてやろうとしている法律でないかと、こう思うのです。そこで私は、中小企業庁の方ではそういうような考え方をされているのじゃないかと思う。農協の方では、私は、もしそれと同じような考え方をお持ちだったら、これは大へんな話で、農協の場合におけるところの生協の購買事業だのなんだの、これは員外利用を非常に多くすると、生協に対しては法人税のある程度の減免がありますから、そういうような点で、場合によっては員外利用に対して制限を加えるということがあり得るかもしれません。しかし、販売事業の面については、これは決してそういうような面ではなくて、組合員が生産したところのものは、できるだけ有利に販売をして、そうして組合員のためになるようにするのが、これが協同組合のあり方なんです。販売の方法なんであって、その販売の方法を否定するような規制を受けるということは、協同組合としては私は間違いだと思う。そういうふうにお考えになりませんか。
  125. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 今の御質問でございまするが、この購買会及び消費生協に対しまする態度と、それから農協あるいは製造業者、卸売業者等に対しまする態度とは違っておるのでありまして、購買会及び生協の方は、これは員外利用については禁止し得る、つまり、それらの組織の本旨は、やはり従業員あるいは組合員に対して一定のサービスないし商品を提供するということが本体でございまするから、員外者に対する利用が小売商に著しい悪影響を及ぼす場合には、これは禁止することになっている。ところが、十五条の方にあげておりまする業態につきましては、これは一がいに禁止とか許可とかいうことではございませんで、従って、制限しておるということではございませんで、そういう事柄自体は別段否定しておるわけではございません。ただ、現実にそれらが行き過ぎて、物品の流通秩序の適正を阻害しているというときにあっせん調停を行い得る、こうなっておりまして、従いまして、何といいまするか、購買会等に対しまする態度とは違っておるかと思います。もちろん、御指摘のように、営利を目的としてそういう小売行為を行なっておるかどうかという点の区別はいたしておりません。これは、その行為を行なっておりまする主体の性格によることだろうと思います。被害を受けまする小売商の方から見ますると、その行為が営利を目的としておるか、あるいはそうでないかということによっては、まあ差別がないのじゃないかと、こういうように存じます。従って、これはあくまであっせん、調停ということで具体的な事案の解決をはかっておるわけでございまして、特にこれを規制するという趣旨のものではございません。今、協同組合部長が申しましたように、小売商側からかりにあっせん、調停の申請がありましたときに、都道府県知事が調べてみまして、逆に、そういうふうな農協等の生産物の販売行為が、これは流通秩序を適正化するものだという結論が出るかもしれません。やはり具体的な事案の問題だと思っております。一がいにこれを規制するという考えでいたしたわけではございません。
  126. 東隆

    ○東隆君 その規制をするということは、これは規制をすべき筋合いのものでないと思います。規制をするなんて、こういうおかしな——協同組合でもって総会で決議をして、そうして自分たちが生産したものを最も有利な方法一つ販売をして下さい、こういうふうに決議をして、そうして組合の理事者はその議決に従って販売をするのですから、それは卸売をする場合もありましょう。共同販売をする場合もありましょう。それから小売をする方が都合のいいような小部門のものはこれは小売をする方がいいかもしれない。地場で商品を小売をする方に向けた方がいいかもしれないし、それはみな協同組合の中でもってそういう販売方法を理事者に一任してやらせている。それに何も規制を加えたりなにかすることは大へんなことだと思う。私がここで言っているのは、紛争を起したりなにかするそういうようなきっかけがわざわざ条文があるために出てくるわけです。協同組合が小売をやっているから、あいつに一つけちをつけてやろうというので、この十五条の第三号でもって持ち出してくる。これは理由がないじゃないですか。理由のないものを、そういうきっかけをこしらえるような必要はない。それはどういうわけですか。わざわざこういう規定をこしらえて、そうして協同組合の販売行為、その販売行為というものは決して営利を目的としたものじゃなくて、これは組合員のためにするのだ、それに対して、それは組合員がみんなで総会で決議した方法でもってやるやつを、そいつはどうも営利を目的としているからけしからぬと、おれたちの仕事がもうからないからあいつにけちをつけてやれといって持ち出す、そういう理由はないじゃないじゃないですか。
  127. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) お言葉でございますが、現実にやはり製造業者、卸売業者の小売行為で問題を起しておりますのがたくさんございます。これは組合のことじゃございませんが、現に大阪あたりでも卸売業者が非常に小売をやって、大阪府でも実は何とかならないかと言ってきているわけでございまして、こういうような実情がございます。それから組合関係の問題につきまして、現にないから要らないのじゃないか、きっかけを作るな、こういうお話でございますが、ごもっともとは思っております。思っておりますが、しかし、いろいろこの農産物の販売等における今後の推移等を考えますれば、あるいは小売商側に著しい被害を与える場合もこれは予想できないわけじゃないと思います。たとえばリンゴの直売でありますとか、いろいろありますが、現在の程度ぐらいのものであればそう問題はないのかもしれません。その時と場所と量、あるいはやり方等によりましては、これは問題が起らぬとも限りません。営利を目的としていないから何でもしていいということになるとこれはちょっと問題がありますから、そこに両方ともまあまあという具体的の解決策が要るのじゃないか、そういうふうな意味で入れたのであります。  なお、三号は、これは先ほどちょっとそこを言い落しましたが、「中小小売商以外の者」ということになっております。従って、先ほどお話がありましたスーパー・マーケット、これは中小企業の小売商でない場合にはこの規定に該当するものと思っております。ただ現在のスーパー・マーケットはいろいろでございまして、大資本がやっているものもごごいますし、あるいは地方に参りますれば消費者が金を出し合ってやっているものもありますし、中には小売商が二、三軒合併してやっておるものもございまして一がいには申せない。ただ百貨店関係の資本でありますとか、あるいは私鉄関係の資本とか、こういうものにつきましては、これはこの三号の規定であっせん、調停が行われる、こういうふうに考えております。
  128. 東隆

    ○東隆君 今、リンゴの例なんかお話しになったけれども、たとえば、もう二、三日したらくだものをとろう、こういうような場合に風が吹いておっこちてしまう、そういうような場合に、これはほんとうに、清澤さんじゃないけれども、ばっとやらなければならぬ、投げ売りしなければならない、そういうこともあり得るし、いろいろな場合ができてくる。そいつを一々小売業者が成り立たないから、だからといって文句を言われたら、協同組合はこれは実際仕事になりませんよ。農業協同組合は、初めに言ったように、総会の決議で理事者にちゃんと販売の方法、あらゆる方法でもってやってもらいたいと、こういうのです。小売をやれば結局卸売価格であるいは小売りする場合があるかもしれない。そうすると、結局これは小売業者と値段で大した開きにならない。おそらく小売業者の値段よりも中間くらいとるでしょうけれども、それでも消費者は喜んでくるかもしれません。それは小売業者に響きます。そういうような事態が起きてくるのだけれども、これは片方は営利を目的としているのだし、片方は営利を目的としていない農業協同組合がやる仕事なんです。これに対して問題を起されるのは、これは迷惑至極な話だろうと思う。これを一々制限されたり難くせをつけられたりしたら、協同組合は、実際のことを言うと、組合員のためにいつでも変なことになってしまいますよ。協同組合とそれから小売商というものはこれは片方は消費者を対象に、消費者をお得意にしてやっている。片方の方は組合員が組合員のためにやっている。だから違うのですよ。形が全然違うのですから、その違っているものを同じ立場に立ってそしてけんかをしたやつの取り上げをすると、こういうのですから、私はどうも法律が最初からどうもピントのはずれたところをねらって、そして小売業者のために何か力になるような法律だと、こう思わせるためにそういうものを出されているのじゃないかと、そういうふうに考えられませんか。この法律は一体何を制限しようとしたのです。小売業者のために何をやろうとしているのですか。
  129. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 十五条の範囲で申し上げれば、先ほど来申し上げまするように、メーカーの直売あるいは卸売業者の小売ということはかなり大きな問題になっているわけでございます。それを何かの形で解決しようということでございます。でありますが、われわれとしましては、これを一律一体に禁止とか許可とかいうことではこれは解決できない。だからケース・バイ・ケースに事柄の具体的な妥当性を判定して解決しようというのがこの十五条の趣旨でございます。これはもうメーカーの直売と卸の小売というのは全国的にもかなりの問題があるのでございます。大きな問題だと思っております。そういうことでございまするので、これは単にゼスチュアといいまするか、安心を与える法律ではございませんです。ただ、今おあげになりましたような、まあ極端な場合におきましては、これはまたその場合には、かりに小売業者がかけ込んでも、これは特殊な場合だからいいじゃないかというふうに都道府県知事が裁定することもありましようし、あるいは小売を通じていったらどうかということもありましょうし、私としましては、これは私見で恐縮でございまするが、この小売商とそれから農業組合等の販売行為とはこれは両立すべきものだと思っております。何かの形でこの両者の調整といいまするか、共存ができるべきものだと思っております。ただ御指摘のように営利を目的としない行為でありますから、それは事業のあるいは性質は違うかもしれませんが、ひとしく消費者に対しまして小売をすることでございますから、これはやはり何かの形で両立していくべきものと思っております。こういうふうなあっせん、調停だけで何も両立するとは考えておりませんけれども、しかし、これはやはり全国に百数十万の小売商がおりまするので、農産物の販売に関しましてそういう協同組合の行為とこの小売商の営業とがあまりトラブルが起らないように、まあまあというふうな解決がいろいろあるんじゃないかと思っております。
  130. 東隆

    ○東隆君 それならば、たとえば北海道の例をとりますが、雑穀類で集荷業者がおるわけです。ある程度のものを集めれば、この集荷業者が卸にやるのです。ところが、その人は小売もやるわけです。そうすると卸、小売、こういう両面をやるのですがね、そういう人は一体どういう扱いをしますかね。小売商ですよ。小売をやるわけです。そして同時に集めるわけです。そしてその人はある程度のものが集れば卸、小売をやる集荷業者がほとんど全都ですよ。雑穀やなんか集荷業者が全都ですよ、北海道の畑作地帯は。そうすると、小売業者の方は一向差しつかえがない。そして農協の方はそれは一切まかりならぬ、そんなおかしな問題を起すので、そんなばかな片手落ちなものが出てくるのですがね。これはどういう意味に解釈しますか。
  131. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあ雑穀の方は私も具体的なことは知りませんけれども、先ほど申し上げましたように、農協は小売をしてはいかぬということは申し上げておりませんで、それは例は悪いかもしれませんが、多量にしかも安く、はでに宣伝されてやると小売商が参る場合もありはせぬかということで、あっせん、調停等があるかもしれないということを申し上げたのです。
  132. 東隆

    ○東隆君 たとえばこうなんです。アズキを一つ例にとりましょうか。そうすると、農協が集めますよ、そうしてそれを調製してみたりなんかして、そして小売の商品として十分売れるような態勢を作りあげます。それから集荷する者もちゃんと自分のところでそういうような設備を持って、そしてちゃんと調製をして、そして小売をどんどん売るのです。まさに農村においては、業者とそれから協同組合も同じ立場でもって競争しておるのです。そういうところに、協同組合の方はどうも小売をしておるから、だからといってその連中がきっかけを作る、そんなことをやっておかしいじゃないですか。だから、そういう問題が出てくるので、問題は同じような仕事をやっておるのですよ、農村では。農村ではみんな集めてきたのを小売をするし、たくさん集まってきたらそれを卸の方に回すのですよ。これは集荷をやっておるものはみんなこれをやっておるのです。地場でもってたくさん売った方がもうかるのです。だから、それをやるのです。それからある程度のものを集めれば東京にも出しましょうし、いろいろなところに出します。そうして卸、小売そういうことをみんなやっておるのです。農協の販売事業というものはそういうものが多いのです。木炭業をやっておる人がある。炭焼きをやっておる業者と、それから農協あるいは林業協同組合でもって木炭をやっている。そうすると協同組合の方は小売は困る、しかし、小売商の方はそれをもってやっておるのですから、それがそこのところにみんな買いに行くんです。そうしてある程度のものはよそへ出す、これはみんなこういうふうにやるんですよ。そういう結果、片一方の方には難くせをつけないで、難くせをつけるあれがないわけです。なんだ、お前の方はやめろといって協同組合の方にはやらせない、片一方は一方的にばかりそんなことを……。
  133. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) いや、それはちょっと違います。そこは十五条に「物品の流通秩序の適正を期するため必要」だ、こう書いてありますが、これは先ほど私ちょっと申し上げたように、ただいま非常に安い値段で、しかも、多量にはでな宣伝でじゃんじゃん売るということは、これは物資の流通上適当だというわけにはいかぬだろうと思います。卸売でも同じことです。今お話のありましたように、従来ある程度の小売をやっていることは間違いないと思います。ところが、たとえば今まで小売を通じてやっておったところへ、多量に直接小売をやる。しかも、卸値でやるのでも宣伝で多量にやるということになりますと、これは何本物資の適正な流通を期するというわけにはいかないので、これはまああっせん、調停ということになるわけであります。この点われわれとしては、農協、集荷業者ともに同じだろうと思います。だから何でもかんでも規制とかということじゃございませんで、かりに小売商からあっせん、調停の申請がありましても、これはもうお前の言うのは間違っているじゃないかといって府県知事がはねることもあるかもしれません。しかし、この条文は、衆議院で御修正を受けましたように、小売商の事業活動の機会を失うということじゃございませんで、物資の流通秩序の適正という見地から、都道府県知事がそれを取り上げるかどうかということを判断するわけであります。決して何でもかんでも小売商関係があればクレームをつけてあれするというわけじゃありません。
  134. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの東委員からのお話は、全面的に私も共鳴する点があるのでございますが、農業協同組合の本質論からいいまして、営利を目的としていない。そういうものを普通の営利を目的としているものと同列に扱うということが第一におかしいじゃないかという気がいたしますが、その第十五条の特に三号について、この内容を農協関係について特に考えてみますと、問題が二つあると思うんです。その一つは売る方と、もう一つは買う方です。購買の方については、これはやはり農薬だとか肥料だとか、これは組合員のために買って、そうして売ってやるわけですから、組合員のためにやるわけですから、員外利用を二割程度は認めてありますけれども、この分は大して大きな問題にはならぬと思いますけれども、問題は、自分たちの作った農産物を売る方ですね、販売事業は、これは当然にここで問題にしなければならぬと思います。生産物はすべて売るために作っているわけですが、これは組合員以外に当然売るわけです。一般消費者に売るわけなんですが、そういう場合に、農業協同組合の本質からいって、当然に直営といいますか、直売の組織もたくさん持っております。まあ十円牛乳をやってみたり、それから野菜を売ってみたり、それからいろいろ木炭を売ってみたり、そういう問題がたくさんあると思いますが、これは農政の面から見ますと、流通過程を合理化するという意味で、非常に重大な問題になっておりますが、なるべく中間マージンを少くして、生産者の手取りを多くし、消費者が安く買えるという、そういう中間のマージンを少くするというのが、流通過程の合理化の大きな問題の一つになっておりますけれども、そういうものが当然農協の直売制度によって具現されるということになろうかと思います。これは一般消費者にとっても利益でありまするし、国全体の経済の面からいっても、これは当然好ましいことだと思うんです。まあそういう場合に、現在小売商との間に、お話にもあります通りに、あえて問題は起っておらぬ現状である。そう将来にそういう問題も起らぬであろうと予想されるときに、そういうことが起るだろうという予想のもとに、無理にこういう紛争のあった場合に調停、あっせんできる、最後には勧告までできるというような法制を作ること自体が、まあ農協の本質からいって、ちょっとおかしいじゃないかという問題と、とにかくそういう販売事業については、かえって除外しておいた方が実態にも合うし、農協の本質論からいっても、農政の本質からいっても、これは妥当ではなかろうか、無理にここに入れて、農協を含めて、将来起るであろう紛争を予想しながら取り上げてやっていこうという考え方には、どうもわれわれは了解しかねる点がたくさんある。そういうふうに考えるわけですけれども、長官の御意見はどうなんですか。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して一緒に答えていただきたい。こういう場合はどうなんですか。わしらの地方へくると、農民が作ったものを毎朝売りに出る。これは長い間の習慣である。それが今の市場になった一番先の初期の問題ですが、そういうものが残っている。魚などもそういうことがあります。そういった場合に、炭などもそれに似たものがある、これは差しつかえないでしょう。
  136. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 「物品の流通秩序の適正」という見地からでございますので、今御指摘のような場合は、ほとんど問題にならぬだろうと思います。かりにそういうことをクレームをつけましても、府県知事ははねるだろう。それから十円牛乳等につきましては、これはいろいろ問題もあろうかと思いますが、流通秩序を適正化するために必要だということであれば、これはあっせん、調停のなにがありましても、知事は取り上げないであろうと思っております。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、個々の販売は問題にならないと言われる。これはおそらく問題にならないと言われる。私はそこが重大だと思います。仲原さんのは、農業協同組合は、その個々のやることを、営利を目的としないで、代理でやるわけです。何も農業協同組合がもうけようとしてやるんじゃない。そういう行為がばらばらで出てきては損じゃないか。僕らは、ばらばらで君らが毎日出て、一人で三時間なり四時間商売してもつまらぬじゃないか、ここで共同で一所で売ってもらった方がいいじゃないか、こういうことを言うんだけれども、だからわしらの方では、朝市、夕市という市があります。そこへそういうものが共同で、農協という形で出てくるか、実行組合という形で出てくるかして、共同で売る、そうすれば二人でも済む。二十人、三十人の村の大部分のおかみさんが出てゆくことは要らない、これを仲原さんが言っておられるんです。農業協同組合の行為はこれだと思うんです。前提となるものは差しつかえないという規定、それをまとめた協同組合の本質に従ってやったものがいけないというのは、これは大問題だと思うんです。これはそんなことをしないと、これは必ず私は大問題を起すと思うんです。この法律ができたために、あとでわざわざ紛争を起すと思うんです。だからその点を一緒にして、仲原さんのと一緒に御答弁いただけば時間が不経済にならない。
  138. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) こういうふうに私たちは考えておるのでございますが、農協の行われる行為、これは今、清澤委員お話のように、あるいは個々の農民の委託といいますか、どういうふうにできるかもしれませんが、やはりある程度数がまとまり、あるいは施設を設けますれば、これはいろいろな、単にその合計以上の経済的な影響は持つだろうと思っております。しかしながら、その影響ある場合に、すべてまかりならぬというわけではございませんで、やはり先ほど来申しましたように、ある程度既成の流通秩序であれば、これはまあそう問題はないと思いまするが、それを著しくはずれまして、私、先ほど例をあげましたような、多量に、かつ、非常に安い値段で、しかも、はでな宣伝等を用いまして行われますると、これはなかなか問題は簡単にならぬだろうと思います。そこで、私心配いたしまするのは、そういうようなことでございまするので、いやしくも農協の行う行為はいかなることでもこれは天下ごめんだ、このあっせん、調停すらも対象にならないのだ、ということになりますれば、これは一種の治外法権みたいなものでありまして、私たちといたしましても、これはいかがかと思っておりまして、そこらあたりに、やはりこれは物事の歩み寄り、調停の問題でございまするから、しかも、現地におりまする知事さんが両者の立場を見て判断なさることだと思いますので、決して行き過ぎはないと思いまするが、そこらあたりは具体的の事実に対する処理の問題でございまするので、都道府県知事にまかしておいていいのじゃないか、頭から農協は何をしてもいいのだということになりますると、これはまたかえって問題が複雑になると思います。そこらあたりは現地の行政に当る人が妥当に判断をしてできるようにしておいた方がかえって物事は円滑にいくだろう、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
  139. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で、農協は治外法権で何してもいいのだというふうな考え方では毛頭ないわけでございまして、実態を考えまして、現在そういう問題は何も起きておらない。あえて平地に波乱を起すような、こういう法制措置をとられることによって、何か言いがかりでもつけて、そういうわれわれの考えはどっちかというと消極的な意味から出ているわけでして、農協だから天下ごめんだというような、そういう、何と申しますか、行き過ぎの考えを毛頭持っておりません。実態が何も問題起きていない、だから従来通りでいいのじゃないかということなんです。それで将来起るであろうと予想されて、そういうふうに農協は何でもやっていいのだ、そういう観念、認識のもとにお考えになっておることが少し間違いじゃなかろうかというように私は考えておるわけです。  希望を申し上げると、やはり農産物の販売については、農協の行う、あるいは系統農協の行う、漁業もありますし、森林の方もありますけれども、そういう自分たちが生産した生産物の直営の販売については、これは除外してもらう方が最も妥当な常識的な考えじゃなかろうかというふうな気持がしておるわけで、その点たびたびお話を聞きますけれども、どうも納得のいかぬ点がたくさんあります。
  140. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は関連してちょっとお伺いしたいのですが、小売業者と協同組合というものが必ずしも競争ができないことはない、競争してやれるというようにお考えになっておるようでございます。長官は先ほどそういうお話もございました。そういう見地に立って考えてみますと、今日まで、ただいま仲原議員がおっしゃったように、問題になっておらない。だから問題になっておらないものを、こういうことを書くことによって、一つのきっかけになり、また条文ができたということによって問題が起ると思うのですがね。この条文をこしらえるという前提には、何かこういうことをしてはいけないのだということの現実なり姿というものを見られて、そうしてこういうものをやはり規制しておかなければ、書いておかなければ、将来小売業者というものが圧迫され、円満な運営というものができない、こういうことのために作っておこう、こういうふうにお考えになったのじゃございませんか。
  141. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 現実に見聞しておりまする事例からこういうことを考えたわけではございません。ただ現実にある程度農協系統の販売行為が消費者相手に行われておることは事実である、かなりあるようであります。まああの程度のことであれば、現在もクレームが起っておるという話は私ども聞いておりません。あるいは寡聞にして聞いていないのかもわかりませんけれども、私の耳には入っておりません。ああいう事業が、極端に申しますると、はでに、かつ、多量にやられますると、あるいは問題を起す可能性もあるのじゃないかということも考えるわけでございます。この立法の際に、まあそのことも頭に入れまして、一緒にというと言葉が悪いかもしれませんけれども、あえて除外をしなかったわけでございます。
  142. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  143. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記つけて下さい。
  144. 清澤俊英

    清澤俊英君 わしらこういうことを考えるのですよ。今問題は、大体農産品にしてみましても、水産品にしてみても、生産者価格と消費者価格との間には非常な差異があるのですね。そういう場合に私が思うのは、もっと農協が積極的に出るのがほんとうじゃないかというくらいのことすら思っているのだ。これは一体どこで直すのです。たとえば東京で大根を一本買うと十円だと、大体そういうものは地場を離れるときは十円で四本、二円五十銭ですよ。それが大体の比率になっているけれども、目の前でそういうことが行われている。そういう場合であるならば、農民としても共同の力で直売でも何でもやって一応の方法を立てる方針をとらなければ問題にならないのじゃないかと思うのだ。そういうことをやった場合に、今の法律は私は生きてくるのだと思う。私はスーパー・マーケットというようなものに対して、これは非常に制圧しておるのです。あれは生産者にはあまりいいものじゃないと思うのです、将来は。あれが全部でき上って、市場独占ですから、今の小売業には悪いということを考えている。それに対して小売商なら小売商というものがもっと生産者のことを考えて、消費者のことも考えて、あれに負けない組織をするくらいのことは社会の進歩だと思う。どこまでもけつについておってそうして今までの通りほうりっぱなしだったら問題は解決しないのだと思う。私はそれは中小企業庁の方針でもなかろうと思うのだ。こういう制圧を私は農協に加えられることは非常な苦痛であると同時に、将来農林水産の生産品の流通を改革していく上には、やっぱりある程度実力が要ると思うのですよ。そういう点からも私は絶大な障害になると思うのだ。これに対するあなたのお考えと、農林省のあなた方の考え方、こんなだらしないことでやって直りますか。この間も農林大臣にその点を質問すれば、自由党としましては自由経済を支持しているのだから、そういう清澤さんのような無鉄砲なこと、無鉄砲とまでは言われませんけれども、そんな統制をやってまでそういうところは直されませんと、直されないものは何で直すのです。何らかの方法で直さなければならぬ。こんなことをして、最近は豚などは下ってくる程度まで農協が小売へ進出していて、ある程度これを牽制しなければならぬ。あるいは、不幸にして環境衛生法にでも牛肉などかかっておったら何ができるか、これは見当がつかぬと思う。私はそういうことを考えまするとき、もっと基本的なもので考えていただかなければ問題は解決しないと思うのです。その点、お二人の御答弁を聞いて、これはもう質問はきょうはしません、一ぱいありますけれども
  145. 青山正一

    ○青山正一君 この問題に関連しまして、長官なり部長がお見えになっておりますが、先ほど農林漁業基本問題調査会設置法というような問題の提案理由説明なんかも聞きましたのですが、その際に、その提案理由の中に、農林漁業と他産業との間の所得格差はなお相当の開きを示しているのである。だからそういったものの均衡ある発展を確保して農林漁業所得の増大を通じて農山漁家の安定に資すると、こういうようなことで先ほどから安部さんもその点から非常に強調しておられるわけなんです。一方、内閣においてこういった種類の調査会を設けて何とかその点を解決していこうという反面において、そのすぐあとにこういうふうな問題が出てくるというのは、同じ農林省内において、どうも経済局のあり方と、また、こういった面をやる官房のあり方と、だいぶ食い違いが出ておるのではなかろうかと、こういうふうに考えるわけです。そんな点もあわせてお答え願いたいと思います。
  146. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 今、清澤委員お話でございますが、こういうような生鮮食料品等のいろいろな集荷、仲買の機構、あるいは卸売市場等の問題につきましては、いろいろの問題があろうと思っておりまして、実は私の方が直接解決の衝に当る地位でもございませんので、これはそれぞれの担当の方で解決に努力されていると思っております。小売商の面の問題としましては、先ほど来申しましたように、何かそういう直売の行為と小売商の営業とを両立させるような仕組み等もいろいろ方法はあるだろうと思っております。私も清澤委員お話のように、小売商だけがすべての小売行為を独占して、ほかのものは一切進出を認めないということでは、これは消費者はたまりません。やはりある程度、いわば生計に改善を与える程度の小売行為は、これはほかの質の小売行為があってもけっこうだと思っております。問題はそのやり方でございます。先ほど来申しますように、言葉は悪いかもしれませんが、あまり、いわば販売意識にかられまして、派手な宣伝、突拍子もない値段でじゃんじゃんやられますと、これはまた大へんなことになります。そこらあたりは、もう少し生産系統の直売等もやり方はあろうかと思います。現に私が先ほど申しました製造商品の面のメーカー直売、あるいは卸売業者の小売といったようなものも、まあほどほどのことであれば、そう問題にはならないと思いますが、これが誇大な宣伝と豊富な資金力と、それから目につく店舗でも持ってじゃんじゃんやりますと、これは小売業者は上ったりであります。消費者はその方がいいかもしれませんが、そんなことでは国の経済は困るだろうと思います。まあほどほどにというのが、先ほど来申し上げますように、この趣旨でございます。これは一つ私の方からもお願いでございますので、ぜひ農協系統の販売行為、小売の行為が両立しまするように、私の方からお願いしたいと思っております。
  147. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は、岩武長官、こういうふうに思う。もっと根本的な問題は、この法のねらいというものは、何というか、工業製品に主眼をおいて、そうして電気機具とか、薬品とか、あるいは化粧品、その他いろいろあると思う。そういうものの製造業者、あるいは卸が小売業の形態で販売をするということを阻止する、こういうようなことが大体のねらいだろうと、私の考えでは思うのです。ところが商品、これは私は、この衆議院で修正した製造業者というのと生産者というのが、これは一体どういうふうに違うのか、私もちょっとわかりにくいのですが、それはかりに違う意味があると仮定して考えてみると、農業者の作ったやつは全部完全競争なんですね。完全競争で、自分が値をつけて売るなんということはないのです。米に至りますまで一切消費者が値をつけて売るのであって、ほんとうの完全競争、生産者がたくさんあって、消費者がそれに見合うようにたくさんあってやるやつは、これは完全競争というのだろうと思うのです。ところが不完全競争あるいは独占に近いものについては、実はこういうことをしてやっておかなければ小売業者というものは困る。ところが農業あるいは漁業、山林業者、第一次産業が作っておりまする製品というものは、全く私は完全競争だと思っている。そういうものを、それらが作っているところの、営利を目的としない組合がそれらの代行をして、共同で販売をしてやろうという行為までここでとめるというのは、今まで対象にならなかっだ、しかし、今までこういうことがあるから、こういうものを作らなければならぬというのならよくわかるのですが、行き過ぎじゃないかといって、あなたが指摘をされて、たとえば木炭だとか、あるいはハムだとか、その他野菜のようなもの、そういうものをたくさんいろいろな格好で売っていると思いますが、そういうものがいけないじゃないかという、現実の実証に値する姿があって、それだからこそ、こういうものを作ってやらなければ困るというのなら私わかるのですが、そうでなしに、予防的な措置として、今まではそういうものはあまり具体的に見受けないが、しかし派手な宣伝をしたりするかもしれない、そういうことのために、こういうものを作っておいた方がいいのだということでは、ちょっと受け取れないと思うのです。ですから、われわれはこれは、たとえば漁業者あるいは農業者という生産者が直接作った、しかも完全競争の立場に立たされているところの生産者が共同して、これを有利に販売してやらなければならぬという建前から考えるならば、やはりこういうものが販売をする行為というものを制限してはいけない、こういうふうに私は考える。また、農協法の中の十条ですかの事業というものの中に、運搬だとか、加工だとか、販売ということをするのだという事業の中に入れてあるわけです。何も購買とは違うのです。購買というのは、組合員以外にそうたくさん売るということは、これは大へんなことが起ると思う。みずから作ったものを共同して売ろうというものだけは除外してやるべきだ、こういうふうにわれわれは考えます。その点について先ほどから問答があったわけですが、それは考え方が違うからコンニャク問答みたいになってしまいますけれども、それはどうお考えになりますか、つまり農民の作るものが完全競争の立場におかれている。そういう場合に、手をつないで、みずからの利益を獲得するために共同販売をするということは、当然なる協同組合農民の姿である、こういうふうにお考えになりませんか。
  148. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 実は私の企業庁におきましても、中小企業者の協同組合等いろいろ設立さしておりますので、協同組合の考え方につきましては若干問題があると思っております。お話しの点も私たち十分理解できると思っております。ただこの条文は、御指摘のように、主として現実に問題の起っておりますのは、製造工業関係の商品でございます。ただ、これは完全独占はまずないと思っております。不完全競争あるいはいわゆる寡占ということで、少数の製造業者の激烈な競争が逆に小売商に被害を及ぼしているという事態で、これはむしろ競争が災いしている点が非常に多いかと思っております。その結果、消費者も反射的に利益を得ておりますが、その中間にある取扱い業者が、それではたまらないという問題もありますので、こういう問題を提起したわけでございます。農協等の問題も、先ほど申し上げたようなわけでございますから、繰り返すのもあれでございますので、省略さしていただきます。
  149. 東隆

    ○東隆君 私は生活協同組合の組合長をやっております、不在組合長ですけれども。それで、組合員には小売業者が入っております。それからその地域内の小売業者はあまり組合の仕事に反対をしておりません。そこで問題は、私どもたばこを売っているのです。それから塩だとか、それから酒、清酒、これはもう実は値段がきまっているのです。これは価格は同じ価格で売らなければひどい目にあわされるのです。それから米も実は扱っておる。これも値段はきまっておる。こういうようなものは、その地域に住んでおる人の利益のために、ちょうどそこに生活協同組合があるから、そこにみんな買いにくるわけです。その地域内でもって組合に入っていない人もそこにくる。そうすると、これは組合員外に売ることになるのですが、そういうようなものまで政府は規制するつもりですか。
  150. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 現在、消費生協の法律の施行に当りまして、今の御指摘の員外販売の問題は、たばことか、それから塩とかというふうな一種の専売ないし統制商品等については、これは員外販売の許可を与えております。申請があれば与えております。それから、たとえば生活要保護者について、一定の証票を持ってきた場合には、売り渡していいというような員外販売の許可を与えております。そういうふうな、いわゆる地域社会の住民に対する便宜の供与ということは法律上も認められておりますし、また、その手続きもとられております場合は、これは私、別段小売商との問題は起らぬと思っております。ただ、それが員外販売の許可もなくて、普通の商品を、つまり競争商品を多量に員外者に売るという場合は問題だと思っております。一番いい例は米子の生活協同組合、その他若干あるようでございます。そういうことで小売商とのトラブルを起しておる地域もございますので、今度この法案で若干の、これはほんとうの規制であります。員外者に対する規制を行い得るという措置を考えておる。今御指摘のような場合は、現在の法律の施行におきましても円滑に行い得ると考えております。
  151. 東隆

    ○東隆君 私は小売業者とデパートの関係、それから生活協同組合とデパート、これは私は非常に問題があると思うのです。それで、今私どものところで扱ってきておる、たとえば砂糖の問題を考えてみますと、デパートは原価で売っておる、砂糖を原価で。で、原価で売っても実は化粧箱だか何だか、箱代だけでももうかる、だからそういうようなものは原価で売る、そんなふうなのが出てくるわけですね。これは商売の一つの、ことにデパートなんかでは、一番目立つものを店の一番目立つところに出して、それを非常に安い値段でもって販売する、こういうのが小売商に非常に響くのじゃないか、協同組合が市価とそれから原価との間の折衷価格で売っていても、これは響きましょう。しかし私は小売商が一番目のかたきにしているのはデパートじゃないかと思います。それから購買会等の生活協同組合法によって組織をしないもぐりの生協ですね、そういうようなものが問題になってくると思うのですが、そういうようなものに対しては、どういう態度をおとりになるのですか。
  152. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御指摘のように、小売商業に関しまするいろいろないわゆる問題といいますのは、これは小売という購買力の市場が非常に地域的に限られております。従って、その都市その地域々々の特性で問題になっている事例もいろいろ変ってきておるわけでございます。それで今のデパートの問題につきましては、これはむしろ大都市も小売商との関係はかなりございますが、中都市あるいは大都市の周囲の都市あたりが一番熾烈な問題を起しております。これにつきましては、別途、百貨店法等もございまして、新設ないし売場面積の拡張等につきましては制限をしております。許可制になっております。一々その土地々々の商業調整委員会というところで、両者の主張を解決させまして、通産大臣に答申をするという建前になっております。なお、御指摘のデパートの売り方の問題でございますが、ただいま御指摘の事例は、これはあるいはおとり販売というのに近い事例かとも思われます。ただ、御指摘のようですと、これはちょっとむずかしいかと思います。もう少し極端に参りますれば、もうまぎれもないおとり販売でございまして、現在、公正取引委員会の不公正取引方法でございますか、百貨店営業に対しまするそういう不公正取引の制限ということで、その行為を禁止しております。これあたりは個々の具体的事例がこれに当てはまるかどうかという問題は残っておりますが、一応そういう建前で、そういういわゆる詐欺というと言葉は悪うございますけれども、消費者を何と言いますか、若干過誤に陥らしめるような行為は取り締っているわけでございます。それから購買会でございますが、これはやはり大きな事業場のありまする地方の都市で、一番問題を起しております。八幡とか、あるいは日立あたりが、まあかなり問題もあるように思っております。それで、今回の立法も、員外者に対する販売を規制するというふうになっております。消費生協も、これもやはり地域と職域と両方ございます。むしろ地域の方が今までは問題を起した例が多いかと思いますが、職域の方もやはり員外者ということで問題が起っております。それで今度も消費生協法を改正いたしまして、員外者に対する販売を規制し得ることにいたしております。ただ、これは衆議院の御審議のときはいろいろ議論がございましたが、要するに、われわれといたしましては、員外者に対する販売には、まあ行き過ぎないようにということでありまして、従って組合員を獲得されて、その組合員に販売される分には、これはもう小売商業者から文句を言う筋合いではございませんので、この法律とは別段関係ないことでございます。その他、先ほどお話のありましたスーパー・マーケット等も、これはいろいろな事例がございまして、スーパー・マーケットというのはセルフ・サービス方式をとっている、何と言いますか、日用品の多数のものを売っている店のことを一応言っているようでございます。これは大資本の系統のものにつきましては、かなり東京にもありまするし、その他山梨でありますとか、それから二、三ございまするので、問題によりまして、この法律で処理したいと思っております。先ほど来申し上げましたように、小売商が自分たち経営合理化の延長発展といたしまして、たとえば近隣の店二、三軒集まって共同の店舗にして、そこでセルフ・サービス式のものをやっているという事例が、たとえば盛岡にもございますし、その他にあります。これあたりは、私たち考えましても、同じスーパー・マーケットでも、これはむしろ小売商業の合理化じゃないかということで、おそらくこの法律の対象にはならぬだろうかと思っております。あるいは中部地方のある都市におきましては、消費者が金を出し合いまして、主婦の店というような名称で、やはりスーパー・マーケットを経営しているのが二、三あります。これらも私は端的に申しますれば、小売商に影響はないことはないと思いますけれども、これはやはり消費生活の合理化という見地からだろうと思いますので、おそらくこの法律のあっせん調停ということにはならぬだろうと思います。
  153. 青山正一

    ○青山正一君 五島慶太のやっているやつはどうです。
  154. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) あれは、御指摘があるのは、東光ストアの問題かと思います。これあたりは、まともに第三号にひっかかるかと思います。
  155. 青山正一

    ○青山正一君 これははっきりしておりますね。
  156. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) はっきりしております。
  157. 安部キミ子

    安部キミ子君 スーパー・マーケットが出ましたから……。これは私の町で今大へん問題になっているのですよ。全然今まで商売をしたことのない人で、あるスーパー・マーケットの成果が目に見えてあるというので、また新しくお店を作ったわけです。そうしますと、その地方の小さな、人口が三万くらいの都市ですから、そういうものが二つも三つもできますと、小さな小売業者は全く上ったりになってしまいます。今あなたはそういうものは問題にならないと言いますが、たとえばとうふ一丁が十円でしょう、ところがマーケットにいくと八円なんです。それからまた次のマーケットにいくと、またそれより安く売っておる。そういうことになりますと、もう小売業者が上ったりで、悲鳴をあげております。こういうことは、このスーパー・マーケットの対象にならないのですか。
  158. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ただいまの安部委員の御指摘の事例は、これはスーパー・マーケットといいますよりは、むしろ小売市場ではないかと思います。
  159. 安部キミ子

    安部キミ子君 スーパー・マーケットと言っておりますよ。
  160. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) スーパー・マーケットと申しますのは、つまりセルフ・サービスをやっているということがスーパー・マーケットと、われわれが概念的に規定している一つの内容でございます。御指摘のとうふ等でございますれば、これはきかないだろうと思います。
  161. 安部キミ子

    安部キミ子君 これは一例ですが、万物そういう状態でして、一円違いましても、消費者はそこに寄ってくるわけですよね。それから地の利がいいものですから、官庁街の人たちは行き帰りにそこへ殺到いたしまして、朝の十一時ごろとか、あるいは晩の五時ごろになりますと、もう足の踏み場もないほど混雑しておる。それほど盛況なのでございます。
  162. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御指摘の事例が、小売市場に該当しますれば、しかもそういう弊害があるようでありますれば、この法律に指定いたしまして、新設あるいは拡張を規制するのが適当かと思っております。ただ、スーパー・マーケットは、これは店舗が一つでございまして、多数店舗ではございませんので、全体が一つ小売商になっておるわけであります。それで実は、小売商自体について許可制あるいは登録による制限措置を講じろという議論が、先ほど申し上げました昭和三十一年の中小企業対策振興審議会以来あるわけでございますが、この小売商を許可制にいたしますということは、これは小売者自体、すでに店を開いております者にとりましては、これはけっこうなことだと思っておりますが、他方、人口問題その他から考えますると、やはり一番手っとり早く仕事ができますのは、これは小売商業と実は飲食店でございます。農家の二、三男、あるいは退職したサラリーマン、官吏等が飲食店を始めるとか、小売商を始めるとか、いろいろあるだろうと思います。また、そうでなくても 最近の統計を見ておりますというと、小売商と飲食店というものが調査のたびごとにふえております。何とかしなければいかぬと思いますが、さりとて、これを一律に制限ということにいたしますれば、一体あぶれた労働力人口をどうするかということまで考えませんと、実はわれわれとしても踏み切りにくいわけでございまして、そのことは頭にありながら、あえてこの法律に登録制とか、許可制ということを入れなかったわけでございます。小売商側からそういう要望が非常に強うございますが、私たちも現在の体制のもとで、そこまでまあ職業規制を行う自信はないわけでございます。
  163. 安部キミ子

    安部キミ子君 もう一つ。それで、そこの経営者は、たとえば野菜類なんかは直接農家に行って買うんですよ。ですから、農家はそのマーケットの主人と取引しまして安く売ります。そうしますと、協同組合やらなんやらで市場がありますでしょう、その市場の野菜の価格より、売っているダイコン一本が、マーケットで買う方が安いんです。こういう事態がある。それが、二つも三つもマーケットができておりますから、もう徹底的に安く売るわけですね。農家の人たちは金がなかったりしますと、少々安いと思いながらも、つい現金が入るものですから、その業者に売るわけですね。こういう事態で、非常に今混乱していますが、何とかできないものでしょうかね。
  164. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 実は、そういう事態は、直接この法律に基いて云々ということは、まあ予定しておらないわけでございますけれども、そういうふうなマーケットあるいは小売市場相互間の激烈な競争、それによりまするまあ出荷者のあれもございましょう。それよりは、それに従事しておりますいろいろな人の迷惑もございまするので、あまりその事態がひどいようでございますれば、われわれの方も、直接法律の措置じゃございませんけれども、まあ関係の府県あるいは商工会議所等に事態の解決をあっせんさすということは、これは事実上の問題としては可能かと思いますが、法律的の権限に基いてこれを調停すべしということまでは、この法律では入っておりませんです。
  165. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  166. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  ただいまの御懇談により、この法律案について次のように申し入れることにいたします。文案を朗読いたします。   昭和三十四年三月三十一日      参議院農林水産委員長            秋山俊一郎    参議院商工委員長       田畑 金光殿    「小売商業特別措置法案」の件   只今貴委員会において御審議中の  この法律案について、農林水産関係  物資の流通の合理化と農林水産業  協同組合等の本質にかんがみ、農林  水産業協同組合等の販売事業を育成  する基本方針に則りかついたずらな  紛争を誘発することを防ぐため農林  水産業協同組合及び同連合会に対し  ては同法律案第十五条第三号の規定  の適用を除外するよう御措置願いた  く   当委員会の決議によって申入れま  す。  以上であります。今の案について御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認め、そのように措置いたします。   —————————————
  168. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会委員に関する件を議題にいたします。  この件について、青山委員から質疑の御要求がありますので、ただいまから御質疑を願うことにいたします。
  169. 青山正一

    ○青山正一君 質問を一括していろいろお聞きいたしたいと思いますが、この臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会委員の選任の問題について御質問申し上げたいと存じます。これは、たしか昨年の十月の二十三日に、ここにおられる須賀局長が、この審議の過程において、この調査会というものは、この法律案の第二条にあるように、生鮮食料品の卸売市場についての対策という考えであって、中央卸売市場だけの問題に限定せず、さらに類似市場とか、あるいは一般市場など、一般の問題をこの調査会の議案として審議していただく考えでおる、こういうことをおっしゃっておるわけでございますが、なお当日、三十人の委員人選について、東委員なり、あるいは清澤、小笠原、そういった委員から、紛争を起さぬというか、委員選出の団体範囲など、相当具体的に示されまして、当委員会でも、三十名の白紙委任状を渡すというようなことでは困ると、はっきり針をさし、政府もこの委員会の意向を十分了承したはずでございます。また、当日の再開委員会におきましても、当局は、たしか高橋政務次官から、調査会委員構成の大体の予定の説明をいたしたわけでありますが、その説明の中に、一般市場関係から五名、それから中央卸売市場からは九名、こういうことを予定しておるというふうに言われておったわけでございますが、政府はその意図を明確に表明したわけでありますが、さらに、十月二十八日の委員会においても、政府はこれを裏書きする説明と答弁をしている。しかるに、この委員顔ぶれを見ますると、はなはだしきは一つの会社から二名も出ておる。さらにまた、その会社の系列、また端的に言いますと、その子会社からも一名選任されておる、こういうふうな状態であって、全国に中央市場以外の市場というものは四千近くあるわけでありますが、魚類と青果を通じて、中央市場以外の市場から一人も出ていない、これは非常に妥当を欠くわけでございますが、また、当日の委員会の意向を全く無視されたというわけでございますが、この点について、一体政府はどういうふうなお考えであるか。また今後どういうふうにしてそういった点を処置するのか、その点を一つはっきりこの席上で承わりたい。
  170. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ただいま臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会委員の件につきまして御質問がございましたが、この調査会委員選考考え方等につきましては、過般の国会におきまして御審議をいただきましたときに、われわれも説明を申し上げました通りでございます。現在におきましても、当時御説明を申し上げました趣旨と特に変った考え方は持っておるわけではございません。ここにお手元にお配りしてありまする委員の名簿は一応予定者となっておりますが、去る二十六日に発令をいたしまして、二十八日に第一回の調査会を開催いたしたわけでございます。当委員会で御審議をいただきました際の考え方といたしまして、大体の構成と申しますか、選考の基準は、生産者、市場関係者学識経験者おのおの同数程度構成をするようにという御趣旨であったわけでございます。その点につきましては、われわれといたしましても、できる限りその趣旨人選をいたして参ったわけでございます。これはいずれも学識経験者という資格でございますが、従いまして、これをそれぞれの立場なり、背景によりまして分類をいたしますことは非常に困難であり、かつ適当ではないのでありますけれども、しいてあげますると、生産者代表が青果、畜産、水産物を通じまして九名、それから市場関係者が十二名、それから狭い意味におきます学識経験者が九名ということになっておるのでございます。  次に、中央卸売市場以外の類似市場、あるいは一般市場、あるいは水産物の搬出市場というようなものにつきまして、これらも中央卸売市場法によります市場と合わせまして、当調査会検討の対象といたすということは、その節に御説明を申し上げた通りでございます。現在もその考え方でおるわけでございます。従いまして、その面からの委員選考につきましても、いろいろ配慮をいたしたのでございますが、結果から申し上げますと、各市場関係代表者相当数ございまして、それらをそれぞれ当調査会に御参加を願いますために、やむを得ず、一般市場関係の方々が結果的には入っておらないという結果になっております。なお、一つの理由といたしまして、畜産関係につきまして、われわれが当初予定をいたしておりましたよりも多くの人数を割かざるを得ないような結果になった、と申しますのは、畜産関係におきまして、今回の調査会を設けました機会に、最もおくれておりまする畜産関係流通問題につきまして、この際、積極的に取り組んで参りたいという強い意思を持っておられますので、その趣旨を織り込みますために、若干畜産関係委員が予定より増加をいたしたわけでございます。そのような関係におきまして、一般市場、類似市場関係委員には御参加を願えたかったわけでございますが、この点につきましては、引き続き専門委員として、青果、水産それぞれ中央市場以外の市場の立場を代表せられまする方を、ただいま委嘱方を準備中でございます。すでに御本人に対して交渉をいたしておりますので、承諾を得られますれば直ちに発令をいたしたい。なお、専門委員委員との関係でございますが、これは過般、二十八日に第一回の会合を催しました際も、今回の調査会におきましては、いろいろ問題も錯綜いたしておりますし、また、それぞれの立場におきますいろいろな関係も複雑な問題がございますので、議事の運営の方法といたしまして、なるべく採決とか、あるいは議決とかいうような形に持っていかない、それぞれの委員のお考えを十分にお出しを願いまして、その最大公約数を何らかの方法で取りまとめて参るというような形で運営をして参りたいという御意向が、大部分の委員からも出ているわけでございます。われわれとしても、さような気持でこの調査会を運営して参りたいと考えておりますが、専門委員として御参加を願いましても、十分御意見を反映していただくことはできると考えまして、特に一般市場関係につきましては、さような趣旨で十分御協力を願いたい、さように考えているわけでございます。
  171. 青山正一

    ○青山正一君 場合によりますと、専門委員になるお方が、むしろ調査委員よりも位が上になるような場合も予想されるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。ところが、法制上は調査委員相当の資格を持っているのだ、専門委員はその下に位するのだというふうなことに大体なっているわけなんですから、そういうふうな関係から、むしろ調査委員からオミットされている連中が今度専門委員になって出る。その専門委員が非常な調査委員以上の人間であるというふうに思われるような節が出てきませんか。そうなると、なかなか専門委員になり手がないと思いますが、その点はどうでしょうか。
  172. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) われわれといたしましては、委員と専門委員との関係につきまして、いわゆる上とか下とかいうような考え方はいたしておりません。専門の問題につきまして、特に識見の高い方という方をお願いしたいと思っているわけでございます。従いまして、運営につきましては、先ほど来申し上げておりますように十分留意をいたしまして、専門委員の立場の方の御意見を的確に反映して参るようにいたしたいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。
  173. 青山正一

    ○青山正一君 そうすると、差し当り国会において皆さんからいろいろ御説明のあった不足の分も専門委員として取り上げよう、そうなると、それは二名ずつということになりますから四名、それならばあとの十一名ですか、そういうものの任命はいつになりますか、どうなんですか、その点は。
  174. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ちょっと聞き取りかねたのでございますが、専門委員の数は定数はございません。一応取りあえず一般市場関係の方を四名お願いいたしまして、あと、その他いろいろの問題につきましても専門委員をお願いすることが予想されますが、これは会長あるいは部会長が、今後議事を進めていきますこととのかね合いにおきまして、十分御参考の上選任されるものと考えております。
  175. 東隆

    ○東隆君 私はこの人選についてははなはだ、今説明がありましたけれども、遺憾なので、特に同僚の清澤委員がおりませんけれども、だいぶ問題にしているのでありますが、当時、この人選について農林政務次官がはっきりと答弁をされている中身は、これとはだいぶ違う中身になるわけです。議会でもって審議をして、そうして政府がそれに答弁をされて、そうしてそれについて違った形をされたのははなはだ遺憾なんです。それで綸言汗のごとしというようなことで、一度きめてしまったら変更することはできないのだ、こういうような考え方でもって、国会における審議のときに政府が示したものと違ったやり方をされるということは、これは私ははなはだ立法府を侮辱した行為だと、こういうふうに考えるので、私はきょうは、農林政務次官もおいでになりませんし、私の方の清澤委員も今この席におりませんから、そこで、きょうはだいぶおそくなっておりますから、この程度で閉じてもらって、そうして別に機会を作って、この問題についてはもう少しはっきりさせておかなければ、今後の仕事に差しつかえを生ずると考えますので、私はそういうことを委員長にこの機会に申し上げて、委員長はそういうふうにお取り計らいを願います。
  176. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これはちょっと事務的なことだけれども、金井さんという前から四、五番の方は全国青果物卸売会社協会副会長ですか、それから、しまいから二番目の樋口さんというのは全国青果物卸売会社協会会長ですか。
  177. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) はい、そうです。
  178. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そうすると、会長と副会長とがやっているのですか。
  179. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 会長と副会長でございますが、片方は東京におられる、片方は大阪におられるという地域的な違いはございます。それからこれは一つの資格だけここに出しておりますが、具体的に卸売会社の社長でありましたり、いろいろな三つ、四つの資格を兼ねておるわけでございます。その中の一つをここへえり出しておるわけでございまして、ここに書いた資格によって金井さんをお願いしておるというほど厳密な意味のものではございません。
  180. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ここで討議したという過程から考えると、同じ協会から会長、副会長を二人重ねて選ぶということよりも、違う目的があるなら、違った性格の人をやはり表としてはお書きになっておいた方が世間が納得しやすいと思うのですが、同じような協会から二人をお選びにならぬでも、もっと広い立場からおやりになった方がいいと思いますが、まあとにかくそれはよろしゅうございます。
  181. 青山正一

    ○青山正一君 それは、おそらく経済局長の過程においてはそういう気持で進んでおったのだろうと思うけれども、おそらく大臣の過程にいってそういうことになったのだろうと、こういうふうにこちらで解釈してもいいのじゃないですかね。
  182. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それじゃ本件はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時四十四分散会