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1959-03-12 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十二日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員の異動 三月十一日委員横山フク辞任につ き、その補欠として重政庸徳君を議長 において指名した。 本日委員重政庸徳君、仲原善一君、小 林孝平君及び安部キミ子辞任につ き、その補欠として迫水久常君、酒井 利雄君、大和与一君及び小笠原二三男 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            迫水 久常君            関根 久藏君            田中 茂穂君            仲原 善一君           小笠原二三男君            河合 義一君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   衆議院議員            石田 宥全君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    振 興 局 長 増田  盛君    食糧庁長官   渡部 伍良君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通  臨時措置法案内閣提出衆議院送  付) ○飼料需給安定法の一部を改正する法  律案衆議院送付予備審査) ○農産物価格安定法の一部を改正する  法律案衆議院送付予備審査) ○農林水産政策に関する調査の件  (北洋漁業に関する件) ○小かん加糖れん乳等製造の用に供  するため売り渡す国有てん菜糖の売  渡価格の特例に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○日本てん菜振興会法案内閣提出、  衆議院送付) ○臨時てん菜糖製造業者納付金法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。  本日安部キミ子君及び重政庸徳君が辞任せられ、その補欠として小笠原二三男君及び迫水久常君が選任されました。   —————————————
  3. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題にいカします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  ほかに御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  6. 東隆

    東隆君 ただいま提案をされております北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案について、社会党を代表して賛成をいたします。  この際、私は、政府に要請をいたしたいと思います。それはこの法案と同時に社会党負債整理特別措置法案提案をいたしておるのであります。その理由は、凶作、冷害その他によって非常に膨大な負債を背負い込んでおる北海道の農家の負債整理をしなければ、私は営農振興その他をやりましても、これはなかなか所期の目的を達しない、こういうふうに考えるわけであります。従って、このたびの法案によるところの政府の意図しておるところを十全に生かすためには、やはり前提として負債整理が必要であろうと、こう考えるわけであります。ところが、遺憾ながらそちらの方面法案考えられませんでしたので、この際、政府に特に負債整理方面において自作農創設維持資金の活用の面、そういう面について十分に考えを進めていただきたいと、こう思うわけであります。ことに自作農創設維持資金は御承知のように低利でそうして長期の資金負債整理に非常にかなった資金でありますが、今までの経過から見ますときに、計画的に負債整理を進める、こういうふうな財源としては、私は資金源としては、実は非常におぼつかないものがあるのであります。これは例年災害その他が起きた方面にこの資金が大幅に回されるような形になっておりますので、従って、自作農創設維持資金によるところの計画的な負債整理はできないのであります。しかし、政府はこの資金によって、これと並行してこの法案による仕事をおやりになると、こういうようなお話でありますので、この際、政府は将来に向って自作農創設維持資金ワクを拡大するとともに、それをある程度あらかじめ分割をするなり、その他の方法によって適宜な措置によって計画的に負債整理ができるような取扱いをすると、こういうことをやっていただきたいと思うのであります。  それからこの法律によって作り出されるところのいろいろな計画は、これは末端においては改良普及員等がこれに携わるのでありますから、従って、この法律によるものとそれから自作農創設維持資金によるところの計画が、これはどちらかというと非常に複雑な形をいたしておるのでありますから、これをなるべく単一化されたところの形にしてやると、こういうような点について十分に一つ考えを進めていただきたいと、こう思うわけであります。  以上、私は政府要望をいたしまして本案賛成いたします。
  7. 千田正

    千田正君 ただいま議題となりました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案に対しまして賛成をいたしますが、私も一つ要望があるのであます。  寒冷地畑作営農は単に北海道のみならず内地におきましても、ほとんど北海道に比してこれに準拠すべきような営農形態土地も相当あるのであります。しかも、終戦後において引揚者あるいは帰還軍人等が荒廃した土地に入って、そして営農しておる実態を見た場合において、天然の災害は年中繰り返して襲ってきておる。この点では北海道とやや同じ形態を備えた所が相当あると思うのであります。でありますから、このたびの北海道のこの措置に対して、私も大いに賛成いたしますが、同時に、内地といいまするか、こちらの本島においても同様の地帯のあることはすでに農林省といたしましても御認識であると思いますので、そういう方面におきましても、抜本的な同様の政策を今後慎重に考えて実施していただきたい。この点を強く要望いたしまして賛成の意を表します。
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ほかに御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━
  12. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 飼料需給安定法の一部を改正する法律案及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院送付予備審査)を一括議題にいたします。  まず提案理由説明を求めます。
  13. 石田宥全

    衆議院議員石田宥全君) ただいま議題となりました飼料需給安定法の一部を改正する法律案並びに農産物価格安定法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  最初に、飼料需給安定法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  飼料需給安定法は、政府輸入飼料買入、保管及び売渡しを行うことにより飼料需給及び価格の安定をはかり、もって畜産振興に寄与することを目的として昭和二十七年に制定され、その後昭和三十一年に、政府の保管する輸入飼料について、その品質低下のおそれがある場合、これを買いかえまたは交換ができる旨の一部改正を行い、今日に至っておりますが、わが国畜産業現状を見ますに、自給飼料生産はいまだ十分でなく、購入飼料に依存するところなお大なるものがありますので、飼料価格をできるだけ低位に安定させることは畜産振興をはかります上に真にゆるがせにできない問題であります。それがためには、自給飼料対策の確立をはかりますとともに、購入飼料についても、養畜農民に対してなお一そう低廉かつ豊富にこれを供給するための各般の対策を強力に推進する必要があるのであります。  このような見地に立って、政府輸入飼料買入、保管及び売渡しを行う場合の準拠法たる飼料需給安定法を検討いたしまするに、二、三の点において重大な欠陥の存することが明らかでありますので、この際、これを是正し改善することが緊要であると存じ、ここに本案提出したのであります。  以下、この法律案内容を御説明申し上げます。  第一点は、第五条第二項の飼料売渡しに関する規定改正についてであります。すなわち、輸入飼料政府売渡しは、現行規定によれば、入札方法による一般競争契約によることを原則とし、政令で定める特別の事由があるときは指名競争契約または随意契約によることができるようになっており、実際には、ふすまについては、一般競争入札により、その他のものについては、若干の商社又は団体を指名し、そのものと随意契約を取り結んで、これを行なっているのであります。従いまして輸入飼料の実際の需要者たる養畜農民またはその構成する団体以外の多数の中間業者政府契約を締結して輸入飼料売渡しを受け、かなりの中間利潤を得て農民に転売し、そのために飼料価格の上騰を来たしているというのが実態であると存ずるのであります。そこで、輸入飼料売渡しについては、今後は、家畜を飼養している者が直接または間接の構成員となっている団体農林大臣の指定するものに対してのみ、これを行うことにしたのであります。  第二点は、第七条第一項の規定に関する改正であります。すなわち、政府は、国内飼料需給が特に逼迫し価格が暴騰した場合において、飼料需給安定審議会にはかった上で政府所有小麦を売り渡す場合に、その小麦から生産されるふすまの譲渡又は使用に関し必要な条件を付することができることになっておるのでありますが、この規定を発動する場合の条件があまり厳に過ぎるきらいがありますために、現実にその必要があるにもかかわらず、本法施行以来、いまだに本条の適用により所要の措置を講じた事例がほとんどないという状態でありますので、政府譲渡制限等規定の適用される場合を拡大いたし、飼料需給及び価格の安定をはかるため、政府が必要と認めるときは、前記の条件を付するものとするよう同条同項を改正することといたしたのであります。  第三点は、飼料需給安定審議会に、専門事項調査させるために専門委員を置くことができるようにいたしたことであります。  以上が、本法案提案理由並びにその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに、御可決たまわらんことをお願い申し上げる次第であります。  次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定されて以来、今日まで、米麦に次いで重要な農産物であるイモ類菜種、及び大豆について、これが正常なる価格水準から低落することを防止して参り、農業経営の安定をはかる上において相当の効果を発揮してきたことは疑いないところであります。なかんずくイモ作の安定と生産力維持に寄与した役割については見るべきものがあったと存ずるのであります。  しかして、農産物価格安定法運用上の最も重要な事項一つは、農産物等買い入れ数量及び価格決定する機構でありますが、現行法規定によれば、政府生産者団体意見を聴取し、それを尊重して決定するという仕組みと相なっておりますことは御承知通りであります。  米麦価格決定に当りましては、農林大臣は、米価審議会に諮った上で、その決定が行われておりますが、この点に関しては、イモ類菜種大豆は、米麦に準ずる重要農産物でありますにもかかわらず、生産、流通、消費の各方面関係者あるいは学識経験者等意見を徴する機構に欠け、単に生産者団体意見だけを聴取して、その決定を行うこととしておりますことは、行政上全く均衡を欠く措置と1称しても過言でないと存ずるのであります。これにかんがみ、この際、農産物価格安定法改正して、農林大臣諮問機関として、生産者団体のみならず、国会議員及び学識経験者等を含めて構成される農産物価格安定審議会を設置し、農産物価格の安定に関する重要事項調査審議することにより、畑作対策一般を含め、各界の意見を十分に取り入れることが適当であると思料し、ここに本案提出した次第であります。  以下、本案の骨子について申し上げます。  まず、さきに申し述べました趣旨にかんがみまして農林省に新たに農産物価格安定審議会を設置することといたします。しかして、審議会は、農林大臣諮問に応じ、農産物価格の安定に関する重要事項について調査審議するとともに、必要に応じ、農産物価格安定に関する重要事項について、関係行政庁に建議することができることとしております。  また、審議会農林大臣が任命する委員十五人以内で組織することとし、その構成は次の通りといたしております。すなわち、    衆議院議員のうちから衆議院が    指名した者     四人    参議院議員のうちから参議院が    指名した者      二人    生産者国体を代表する者             四人以内    学識経験のある者 五人以内  なお、専門事項調査するために、審議会専門委員を置くことができることとし、専門委員は、学識経験を有する者のうちから審議会の推薦に基いて農林大臣が任命することといたしております。しかして、政府が、農産物等買入数量及び価格決定する場合におきましては、審議会に諮りその決定を行うことといたしております。  以上農産物価格安定法の一部を改正する法律案のおもな内容について御説明申し上げましたが、何とぞ審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
  14. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これらの法律案審査は日をあらためて行うことにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  15. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 北洋漁業の件を議題にいたします。  新聞等の報道によりますと、ただいま開催中の日ソ漁業委員会は今やきわめて重大な段階に当面しているようでありまして、国民あげてその成り行きに非常な関心を払っておるところであります。この件につきましては、過般懇談会によって問題を取り上げたのでありますが、本日重ねて委員会の問題といたした次第であります。  まず政府当局からその後における漁業委員会経過及び現状等について説明を願うことにいたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  16. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。  それでは、当局説明を伺います。
  17. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 日ソ漁業委員会は、一月の十二日に始めましてから、資源問題を科学技術小委員会に移しまして、一月の二十八日から三月二日まで、二十六回の小委員会を開いた次第でございますが、そこで一応の取りまとめをいたしまして、そして本会議報告をいたしたのでございます。そこで、ごく簡単に小委員会での取りまとめを申し上げますれば、資源研究に関しまして、淡水生活期の科学的な生物調査と、海洋生活期の科学的な生物調査、それから過去の漁業統計、この三つを総合してやらなければならないと、こういう結論は合意いたしたのでございます。しかし、本会議報告の中に書いておりますように、日ソ双方はそれぞれの評価を異にすると、こういうことであるのでございます。ソ連側は、海洋においてはサケマスの数は増加しないのだから、淡水生活期における生物学的な資料—どれだけ親魚が遡上をして、そしてどの程度に産卵をし、稚魚が下っていったかと、そういうことが資源評価基礎になるんだと、こういうことをまず非常に強調をいたすのでございまするが、日本側は、それは出発点であることには間違いないのでありますけれども、河川稚魚の降下の段階においてすでに非常に高い自然減耗を受けるのでありまして、また海洋生活期におきましても非常に高い自然減耗がある次第でありまして、そこで、過去の信頼するに足る漁業統計資料生物的基盤というものに立った分析基礎といたしまして、淡水及び海洋生活期における資料分析をあわせて用いると、こういう行き方でなければほんとうのものはつかめないのだ、こういうふうな見解を披瀝いたしておるのであります、この辺、まだその評価の仕方につきまして意見が一致いたしておらない次第でございます。また、ソ連側が、日本沖取り漁業によりまして、未成熟魚がとられると、こういうことを非常に強く強調いたしておるのでございますが、沖取り漁業によって未成熟魚が混獲されるということについては、これは日本側も同意をいたしておるのであります。しかし、その混獲の程度及び資源に対する影響ということについては、両国また見解を非常に異にいたしておる次第でございます。また、雌に比べまして雄が成長が早いのでございまして、従って、漁期の初期の段階におきましては雄の漁獲が非常に多くなると、こういうことに関しましては、日本側ソ連側もこれを承認をいたしておるのでございます。しかし、そのことが資源の全体に与える影響ということについても、また両国それぞれ評価を異にいたした状態のままで本会議報告いたした次第でございます。しからば、今年の来遊資源に関しましてどういう見方をするかと、こういうことに関しましては、日本側といたしましては、今年の来遊資源豊漁である、こういう見解をとっておるのです。すなわち、マスに関しましては、今年は、一昨年約十万トン、日ソ双方を合せますれば十九万トン、これだけの漁獲を上げましたが、その年にその親から出ましたものが来遊をするのでありまして、従って、豊漁であると、こういう見解を持っておるのでございます。生だ、白ザケ及び紅ザケにつきましても、沿岸と沖取りと両方加えて考慮いたしますれば、漸次資源回復安定期に入ってきておると、そういうふうなことを考慮すれば、全体として来遊鮭鱒資源豊漁であると考えるべきであると、こういうことを日本側は主張いたしておるのに対しまして、ソ連側といたしましては、今年は小さな豊漁年である、こういうことを申しておるのであります。それは、一九五七年の湖河親魚マスについて非常に少かったと、また日本側も承認いたしておるのでありますが、マスの中でアムール系あるいは樺太系マスについては、今豊漁凶漁サイクルが、むしろ偶数年豊漁年で、奇数年凶漁年になると、こういうサイクルをいたしておるのであります。まあそういうふうなこともあげて、これはとにかく親魚の数及びそういう一部の地域におけるサイクルの異同というようなことからマスも少い。また、日本がまだ未成熟の魚を沖取り操業において毎年とってきておるのでございます。それによって鮭鱒資源を非常に減らした。また日本漁獲が雄に片寄っておるというふうなことが全体としての再生産のバランスをこわしている、そんなふうな観点からソ連側は今年は小さな豊漁年である、こういうふうな表現をいたしておる次第でございます。そういうふうな点におきまして合意をし、あるいは両方のそれぞれの見解をそのまま整理をいたしまして一応サケマスに関する資源の科学的な論議交換をとどめまして、いよいよ先週の金曜日から具体的な規制措置についての話に入った次第でございます。  その規制措置につきまして、ソ連側がまず提出をいたしました提案は、禁川漁区域及びこれは逆にいえば操業区域及び漁期についての提案をまずいたして参ったのでございます。すなわち北千島及びカムチャッカの東側におきまして四つの海域を定めまして、その海域においてのみ操業する、しかも、その東の端は、一番東に片寄っておりまする所におきましても東経百七十度ということにとどめておる。その他の区域に関してはオホーツク禁漁区域にすることは、これは昨年の交渉において今年からそうすることに協定をいたしておるのでございまするが、その他のアリューシャン海域に関しましても、あるいは北太平洋に関しましても、これを全部禁漁区域にする、また漁期につきましては、今日の協定によりますれば、始期がなくて、そうして八月の十日が終了日に相なっておるのでございますが、これを六月の一日または十五日から、七月の十五日あるいは二十日あるいは三十一日、こういうふうな終了日を設け、その期間のみを操業する、こういうふうな提案をいたして参ったのでございます。そこで、一体このソ連提案して参りました区域及び間期でどのくらいな漁獲量が今までの統計によってとれておるかと申し上げますれば、大体年によって変動はございまするが、過去たとえば五カ年間をとってみますと、少ない年では二一%、それから多い年で三二%、その程度漁獲量アリューシャン海域の総漁獲量に対する比率としてこの区域においてとり得るにとどまる、こういうふうな非常に驚くべき数字であるのでございます。そこで、これに対しましては、日本側といたしましては、まず第一に、こういう広範な禁漁区域を設けるということについては、これは条約で定め、また今日まで二回の会合において論議を重ねて参りました禁漁区域についての今までの観念というものを全く踏みにじるものである。条約が認めておる禁漁区域考え方あるいは漁業規制考え方というふうな精神をとにかく無視したものだということを非常に日本側としては強く主張をいたしておるのでございます。すなわち、今まで禁漁区域サケマス河川に近づいて、そして遡上していくということを保護するために、その沖合いの四十海里あるいは二十海里、また今年からはオホーツク海全体というふうなものをこれを禁漁区域にするということであるのでございます。かくのごとく一定区域を限りまして、そうして東の方まで全部禁漁区域にするということは、これは全く新聞にその通り—外務大臣あるいは外務委員会でその通り言われたかどうか知りませんが、新聞の報ずるところによると、外務大臣は非常に不思議な提案だということを言われたのであります。まさしくその通りである次第でございます。そこで日本側といたしましては、これはカムチャッカ及び千島の重要な海峡に対してただいま申し上げましたような従来から固まって参っております禁漁区の概念に相応する距岸の、一定の距離内の禁漁区域を設定すればそれで十分であるということで具体的に反対提案をいたしておりまする次第でございます。  次に、魚種別漁獲の問題という話が入って参りまして、ソ連側紅ザケについてのみ漁獲数量を限定しようということで、一万トンの提案をいたして参ったのでございます。昨年は紅ザケにつきまして魚種別漁獲規制ということが一体可能であるかどうかということで試験的に、日ソ双方会談の際の話し合いに基づきまして、日本側が千百万尾、これだけの数量ワクをきめまして紅ザケ漁獲規制をいたしたのでございますが、若干その数量は超過を現実の実績はいたしたのでございますが、しかし、とにかくトン数にいたしますと、去年そういうふうな規制をしましても、日本は二万五千トンの紅ザケを昨年は漁獲をいたしておるのでございます。そこで、これはまた非常な乱暴な提案であるのでありまして、これに対しましても目下われわれとしましては、具体的な反論をいろいろ準備をいたしております次第であります。  昨日に至りまして、さらに話が進展をいたしまして、流し網の網の目合いと糸の太さの比率を現在よりも若干上げるべきだ、現在は〇・〇一三から〇・〇一四になっておりますが、これを〇・〇一五から〇・〇一六程度に上げるべきであるというふうな提案をいたして参っておるのであります。この網の目合い及び糸の太さの問題につきましては、昨年の会議におきましても、さらに研究すると、こういうふうなことになっておりまして、日本側もその間にいろいろの研究をいたしておるのでございます。それらの見解を今後逐次反論として提出して参りたいと、かような考え方をいたしておるのでございます。で、本会議の進行はそこまでであるのでございまするが、おそらく今後の進行といたしましては、規制措置に関しまする見解を一応ソ連側から提案をいたしまして、本会議で引き続きこれについての討議が行われると、こういうふうな進行に相なるのではないかと、かように考えておるのでございます。さらにこの漁獲量あるいはカニの規制の問題等が、どんなふうな時点にどういうふうにこれから取り上げられていくかということについては、まだ現在におきましては予測を許さない、まあこういうふうな状況にあります次第でございます。  で、われわれといたしましては、条約の定めました趣旨によりまして、この委員会の場におきまして、科学的な立場に立っての論議をもっと交換し、積み重ねていく、こういうことがやはり必要であると考えておるのでございまして、また、そういうことの中に今までの経緯におきましても、当初出された提案の中で整理さるべきものは整理されて、そしていよいよ残ったものをどうするかというふうな段階が出て参るのでございます。まあそういうふうなまだ討論及び整理がまだまだ残されておると、こういう段階委員会はあると、かように考えて努力をいたしておる次第でございます。以上状況を御説明申し上げます。
  18. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの説明に対して、御質疑の向きは御質疑を願います。
  19. 千田正

    千田正君 ただいま長官の御説明によりますと、まあ大体資源論それから規制論、第三段としましては総合的に結論として漁獲量の問題、大体こう三段階に分けて御説明になっておるようです。日ソ漁業委員会もそういうふうな段階の経緯をたどって今日おるようでありますが、一番先の資源論の問題ですがね、資源論としましては、この日米カナダ条約にしましても、日ソ漁業条約にしましても、この資源を確保するということを一つのテーマにして、それに藉口して日本漁業規制をしておると、こういうふうにわれわれは見ておるんですが、日本の立場からいって、しからば、日本の方ではそうした資源の培養をしておらないかという点については、私は培養しておると思う。たとえば北海道、東北等の河川において、従来でも孵化、放流等の処置をとっておると、こういう点からいって、決してほかの国に対して何もやっていないんだということではないのであって、この点はどこまでも日本としては主張していいことだと思うし、それから、かりにその領土の内において一応の孵化されたものが、その魚が全部その国のものだというアメリカなり、カナダなり、ソ連なりのそういう議論に対しては、われわれは承服できない。生まれたころは、なるほど産卵したときはその領土の河川で産卵しましても、育ってきた、三年ないし四年という漁獲していい身長まで育ったものは、大洋の、いわゆるどの国においても侵されることのない公海において育った魚であるとするならば、これまた一方的にそうした資源規制というものに対してはあくまでわれわれとしては主張していいじゃないか、まあ第一段において、その時点の問題につきまして、これは日本としてはそれじゃあ資源の培養措置をしておらないか、この点はどうなんですか。
  20. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいま御指摘がございましたように、日本といたしましては、資源の積極的な培養をはかっているのでございまして、北海道の国営の孵化場におきまして、昨年はサケ豊漁に恵まれまして五億粒をこした数字、平年大体四億粒のつもりで準備をいたしておりましたために、ややあわてたのでございますが、とにかく能率を上げまして、五億三千万粒の人工孵化及び稚魚の放流をいたしました次第でございます。この孵化場の施設は、昨年のそういう体験もありますので、明年度は一そう強化をする、こういう考え方でいるのでございます。また東北等におきましては、水産庁の孵化場及び県組合等の孵化場によりまして、やはり同じく人工孵化、放流の仕事が行われているのでございます。議論の過程におきましては、日本資源の培養を重視していないというふうなことは、漁業委員会の場においても、言いがかりに取り上げられたことがあったようであります。しかし、現実はまさしくただいまのようにしておるのであり、しかもまた、そういうふうな日本のやっておる態度ということについては、これは委員会の場におきましても、非常に強く日本側からも先方に反映をさしている次第であります。ただ委員会論議としまして、三本建で資源を研究しなければならないという日本の主張は、先ほど申し上げました通りあるのでございます。  次に、それぞれの国の河川から下っていった稚魚が大きくなって、さらにその河川に上ってくる、それは自分の国のものだというふうな見解は、日本としては絶対にとるべき科学的な態度ではない点を機会あるごとに先方にも理解さしているのでありまして、先方もそういう素朴的な考え方委員会の場で主張している次第ではございません。ただ問題は、やはり資源の再生産、保続生産をはかりつつ、しかも、許される最大限度の漁獲量資源と見合ってとっていく、こういうことであるべきでありまして、そういう意味におきまして、両国資源についての見方が、ただいま申し上げましたように一致いたさないことのために、なかなか話しが難行をいたしている次第であるのでございます。
  21. 千田正

    千田正君 第二段の問題は、規制問題だと思うのであります。そこで、規制論になってきますというと、昨年はいわゆる日本側が十二万五千トンを確保するためにオホーツク海の漁場というものには入らないという条件で一応のところおさまったのでありますが、今年になるというと、こっちが、向うが何にも言わない先に、三浦農林大臣などは、とにかくうしろ向きには今年もやはりオホーツク海には行かないんだと、御承知通りオホーツク海といいますれば非常な広範囲にわたり、しかも、日本北海道の西北部がオホーツク海に面している。その面しているオホーツク海において、日本サケマスをとれない。ところが、オホーツク海には、いわゆる北海道において孵化培養したところの資源は相当オホーツク海には行っている。こういう所にオホーツク海に面した北海道の漁民がどうしてもわれわれにも漁をさせろ、何もこの海の漁というものは大きな会社、いわゆる母船式漁業だけが日本の国益というわけじゃないじゃないか、われわれの生活を確保するためにもオホーツク海というものはやはりわれわれの海として、今までも開聞以来すなどりしてきたところで、われわれが行けないという法はないじゃないか、そうしてもちろん揚げてくる漁獲としましては、母船式の船とは違って小さな船で行くのだから少ない。だから、こうした中小のいわゆる小漁民に対しても機会均等的に漁業をすることを求めておる。これに対しては、どうも政府側としてはがんとしてそれはいかぬというようなことを言うておるようなんですが、実際からいって、こういう問題はやはり日本の漁民の生活を守るという意味からいいましても、日本側としては、去年もことしも来年も、そっちには行けないのだという一つの建前をとるのは決して利口なやり方ではないと思うのですが、この点はどうなんですか。
  22. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 昨年の日ソ漁業交渉におきまして、オホーツク海に行かないということを取りきめたのでございますが、実はこれは今日の日ソ漁業条約を締結する当時からソ連側の非常に強い要請であり、一昨年の第一回の会合におきましても、ソ連側オホーツク海の禁漁を非常に強く要請いたしたのでございますが、とにかくその問題は昨年の第二回会合で、ソ連側としては提案をする自由を留保する、こういうことで一昨年はとにかくその方角に進めずに対処することができた次第でございます。しかし、昨年赤城代表がおいでになりまして、ソ連側といろいろ論議を重ねられた結果、日本側が日ソの漁業交渉を取りまとめていくということのためには、ソ連のこの強い要請を、とにかくその段階において掌握しておる程度ではあるけれども、一つの科学的な基礎の上に立ってオホーツク海における公海漁業というものが、資源の増殖をするのに適当な条件を与えるゆえんでないというふうな見解を受け入れて、そして昨年は半減、今年から禁漁するということを取りきめた次第でございます。決してこれは漁獲量を一万トンふやして十一万トンにすると、そういうふうなことの代償としてあの話を取りきめたのではないのでございまして、いかようにもあれ、また、いかなる表現を用いるにしろ、日ソ間の漁業上の問題をまとめるためには、こういう道以外には道がないということであの取りきめをいたしたのでございます。しかし、その結果、現実にあの海域に出ておりました母船及び独航船の諸君があの海域から追われることになる、また、かねてから北海道の沿岸の漁民があの海域に出たいという希望を抱いておりましたものをシャット・アウトする結果になりまして、それが今日のいわゆる基地独航問題として北海道漁民の悲願をかなえてくれという非常に強い要請になって、現地においてはいろいろな紛糾を来たしておるのでございます。しかし、とにかく今年から実施をして、そしてその様子を見よう、こういうことで本年から実施をして、資源上の影響について様子を見ようということで昨年取りきめましたものを、今年直ちにこれをひっくり返して御破算にして新しく話を始めるということは、これは日ソ間の話を円滑に進める上におきましてはマイナスであるのでございまして、そういう意味におきまして、過般衆議院農林水産委員会におきまして農林大臣は、この問題を提案をすることはできないということをお答えになりました次第であります。で、その結果、かねてからの希望がかなえられなくなった。沿岸に対しまする問題といたしましては、これはわれわれといたしましては、もちろん今日の沿岸振興対策が決して十二分なことをしておるとはわれわれは思っておりませんけれども、しかし、できる限りのことを北海道凶漁、不振地帯に対しましては今後も力を入れて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 千田正

    千田正君 そこで、オホーツク海の漁業の問題は私はなぜ早いかといいまするというと、最近におけるソ連の出方というものは、あなた方がそのように守っているにかかわらず、外務大臣が言うように、はなはだ奇妙な問題を持ち出してきた。ソ連自体が当初いわゆる日ソ間における紳士条約というものを守っていないじゃないか。守ろうとしていないじゃないですか。そういう現状に対して、日本だけが課されたところのものを守っていくのだ、条約を守るのだ、相手の方は言いたいほうだいの勝手なことを言う、そういうときに、日本だけは守るのだということをあえてここに揚言する必要はないと思う。向うが勝手なことを言い出してきている。たとえば千島におけるところの東の方の問題に対しては、今度区画を規制してきている。こんな問題は向うからしか出される問題じゃない。日本が自主的にオホーツク海に出ないということを言っている現状から考えたなら、よけいないわゆる暴力にひとしいような、強引にひとしいような問題を持ち出してくるというような相手に対して、日本だけがそういうことをかたく守らなければならないということは、そう正直に考える必要はないと私は思う。まだまだ外交の折衝の方でこの問題は検討する必要があると私は思います。  そこで次の、東の方の海域におけるところの区画を彼らは規制しよう、これは断固として、公海に対する自由の原則をあくまで規制するということになると、これは水産庁の行政上からいいましても、この方面に行っておりましたいわゆる従来のライン以外の操業まで規制されなければならない。そうしますというと、国内における独航船その他の船の調整をやらなくちゃならぬ、あるいは漁業転換をやらなければならぬ、これは重大な問題であります。この問題は一体どうするのか、これはあくまでそういう規制を当てはめられるということになるというと、おそらく北洋におけるところの漁業というものはノック・アウトされる。従って、次の資源論に入って、資源論から規制論に入ってきて、最終段階の結論としての漁獲量の問題になりまするというと、先ほどあなたがおっしゃったように、豊漁年におきましては従来とったものに比較するというとわずかに三〇%しかとれなくなってくる。かりに十六万五千トンを日本側が要求したとしましても、その最大限要求した十六万五千トンに対する三〇%というと、わずかに五万トン何がししか本年はとれないという結論に到達してくる。われわれとしましてはどうしても、かつての規制以外の海であったところに新たなる規制を設けられるということは、断固として反対しなければならない。こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  24. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 私は日ソ間の漁業条約及びこれに対しまする委員会論議の根底に横たわりまするものは、要するに単なる会社企業の問題ではなくして、日本の漁民大衆、さらに国民全般の世論の問題が根底にあるのでありまして、その声というものは、これはいかにソ連といえども、これを無視することは日ソの国交の大局の上からは絶対に私はやるべきでない、かように強く考えておるのでございます。そこで、ただいまの向うの提案いたしました操業区域及び禁漁区域、ことに東経百七十度以東の海域まで、西経百七十五度のあのアブステイン・ラインの方までも全面的に禁漁するというようなことは、これは新聞の報道するところによれば、日本政府の大臣方が奇々怪々の案だとか、あるいは不可思議なる提案だと、こういうようなことを言われたように、私は常識をこえるものであると、かように考えるのでございます。従って、これに関しましては、そういうことの非論理性というものを、われわれといたしましては委員会の場において、目下強力に主張をいたしておる次第であります。これについては先方の深甚なる反省を求めたいと、かように考えておる次第でございます。
  25. 千田正

    千田正君 最後に一点。これは私は非常に政治問題に入る問題であると思うので、特に注意を促したいと思うのは、最近ソ連側から、日本の現在通産大臣であるところの高碕達之助氏に、この問題について話があるから相談したい、こういうことを向うから言ってきておる。高碕達之助氏は現在は閣僚であって、通産大臣である。しかし、現実にどういう意味において日ソ漁業条約に対して介入しようとするのか知らぬけれども、身分としては大日本水産会の会長であるという名前のもとであるようですが、いわゆる当面の日本代表委員でないところの、政府代表でないところの、代表以外の人を呼んで、その中に政治的工作をされて、その人の発言があたかも日本の代表の発言であるがごとき将来の結論に到達するようなことがあっては、これまた重大な問題であると私は思う。この点については水産庁長官は一体どういうふうに考えておりますか。
  26. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 新聞紙上に高碕さんが政治交渉に当たられるというような記事が早々と出ましたことについては、われわれの新聞指導の不徹底を非常に反省をいたしておるのでございます。しかし現実には、先ほども申し上げましたように、まだまだこの漁業委員会の場におきまして、科学的な議論をかわして問題の解決をはかるという段階であるのでございまして、今の段階において政治交渉云々を口にするということは、決してこれはこの交渉を円滑にまとめるゆえんではないと、かように考えておるのでございます。高碕さんに対してソ連側から何らかの接近を求めたと、こういうような事実は、実は全然ございません。また同時に、日本側から、どなたにしろ、ソ連側に対して、今新聞で報道しておるような動きを政府の首脳部においてなさっておるという事実も、これも全然ございません。それだけ申し上げておきたいと思います。  ただいま申しました言葉の中で、あまり穏当でない言葉がありまして、新聞指導の不徹底という言葉は、これは取り消しまして、取材に対する協力の不十分と、こういう言葉にいたしておきたいと思います。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 三点ほど。今、一点の新聞の報道の指導の不徹底が取り消されましたから、その点はごく簡単にお伺いしますが、先ほどちょっとこの交渉に当っては、基本的に漁民の実態と国内の世論の高揚、世論を中心にして交渉の基本的なものとして進めていく、そうしますと、今取り消されましたが、もっと正当な理由があるならば、これを大きく取り上げて国民に知らせる、自分に理屈があるならば、その理由をもっと明確にして反論を戦わせることがなぜできないんだろうか、こういう点を言われたわけじゃないが、考えておるのであります。その点一点。その次は、オホーツク海の禁漁区の問題ですが、われわれが昨年承知しました感覚は、あの交換的というんですか、一応一万トンを本年の漁獲量に加えてオホーツク海の禁漁を承認していく、こういう問題につきましては、その当時われわれとしては、すりかえた、こういうふうに、おそらく国民の九割あるいは全部くらいがそういうふうに考えている。と申しますことは、現にその数日前だと思いますが、平塚常次郎氏がここへ出て、いろいろの日ソ漁業に対する意見を言われたときに、われわれは本年のような漁獲高の規制であるならば、今年の漁業は投げてよろしい、こう言われておるのであります。そこで、投げてよろしいということは、平塚さん、あなただけの考え方日本漁業家全体の考え方かと、こう私は質問をしたんです。ところが、その通りであります。われわれ漁業家としては、全部こういう不当なものを将来に残すくらいならば、本年はやめていい、もう決裂してもよろしいんだ、こういう悲壮な決意をしてここでそれを披瀝せられておりましたが、その当の平塚氏が交渉委員を免ぜられて、そうして他の人がこれにかわって、赤城農林大臣、高碕長官ですかは別としまして、農林大臣にかわって、その瞬間において、国民は何ら予備知識もなく、何もしないところへ、あっという間に一万トンを追加してオホーツク海を投げた、こう出られた。今聞いてみますと、それと一万トンとは別だと言われるが、われわれの感覚として、受け取り方としましては、これはすりかえた、はなはだけしからぬじゃないか。これはその時分の国論としましても、将来に日本は重大な過失を犯したんだ、一船団の利益のために重大なる日本の権益をすりかえたんだ、はなはだけしからぬ、これは日本の世論であったと思うんです。この実情であるにかかわらず、ただいまの御説明によりますと、一昨年から問題になって、昨年もこれが問題になって、昨年は半分の漁獲、今年は全面と、こういうことで話がきまったので、全然それとは別だ、こういう御議論になりますと、われわれは納得しかねるものがある。従いまして、その点をいま少し明確にしてもらいたい。それから御議論のような、議論せられたオホーツク海を中心にした漁業資源培養その他のためであるとするならば、日本が当然漁獲を禁止せられてとれないということになれば、しかしてみまするならば、相互間の道徳的にも、ソ連は大体とらぬでいるのかどうか、これは重大な問題です。現に入ってとっているのか、これはわかりませんが、私はとらぬということが、日本もとらせぬならばソ連もとらぬ、あるいはとったとしましてもごくわずか、明確にわずかのものだけをとるというくらいのものが提示せられてしかるべきだと思いますが、その点はどうなんですか。
  28. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) まず一番最初の世論の喚起の問題でございまするが、われわれといたしましては、この交渉の姿というものを国民にありのままに理解をしてもらうということが適当であると、かように考えておりまして、許される限りの範囲におきまして新聞等の取材には協力をいたしておる次第でございます。
  29. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  30. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。
  31. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 次に第三の、ソ連はとっておるのかと、こういうことでございまするが、昨年のこの問題に関しまする決定は、公海におけるサケマス漁業をことしから停止をする、こういう決定であるのでございます。従って、ソ連も公海においては操業をいたさないのでございます。ただ御承知のごとく、日本沖取りをする、従って、公海で操業するのでございますが、ソ連は沿岸の定置あるいは河川の網漁業等によって漁獲をする次第でございまして、従って、鮭鱒漁業自身につきまましては、オホーツク海については日本は全然やらないかわりに、実質的にはソ連は依然として今までやっておった鮭鱒漁業を継続してやると、こういうふうなことに相なるのでございます。ただし、日ソ漁業条約自身は、公海に対する条約でございます。沿岸、領海及び内水についてはあの条約は適用はない、こういう建前に相なっておる次第でございます。  次に、昨年の交渉におきまするオホーツク海の禁漁の取りきめをいたしました経緯に関しましては、先ほども申し上げましたように、これは一昨々年日ソ漁業条約が取り結ばれるそのときからのソ連側の問題であったのでございます。その際、ソ連側オホーツク海における漁業を減らせと、こういうことを要求いたしたのでございます。たしかその際の文句は、一九五七年以降減らせというふうなことをソ連側は非常に強く言ったのであります。ところが、日本といたしましては、これは一九五六年日ソ漁業条約の話し合いをしました際に予定いたしておりました船団の数をあの際大縮小いたしまして、たしか七個船団予定いたしておりましたものを二個船団減らして、二個船団を東に回し、三個船団はそのままやれる、そういうふうなことをあの際いたしたのございます。それによってあの際におきまするソ連側の強い希望というものは、これは日本としてはすでに措置をしたのだ、こういう考え方を抱いておったのでございます。ところで、一昨年の第一回の漁業交渉の際にソ連側は、あの条約締結の際に話し合いの中で申し入れをしたように、日本は一昨年からオホーツク海の漁業をやめてくれ、こういうことを先方は申し出て参ったのでございますが、それに対して日本としては、その話には応じられない、すでにソ連の希望についてはその年において実行済みだ、こういうことでその話をはねつけたところ、ソ連側といたしましては、それではその問題を明年の委員会に提議をする自由を留保して、今年はその問題に触れない、こういうことで一昨年の話がまとまりましたのでございます。そこで、昨年は委員会の始まりました当初から、その点についてはソ連は非常に強く当初から要求をいたしておった次第でございます。赤城さんが参られまして、いろいろイシコフとの間に折衝を重ねられたのではありますが、一九五八年はこれを半減する、その間に共同調査を行なって、その結果に基いて五九年から禁漁するようなことを考慮するとかいうふうな表現も使われ、あるいはまた先方が共同調査云々のことにあくまでもこだわりますので、とにかくその年には半減するが、翌年から禁漁するように努力をするとかいうような表現も使っていろいろ折衝されたのでありますが、先方はいかようにもあれ、とにかく一九五九年からは絶対にオホーツク海で操業はさせない。それはオホーツク海で操業されることによって、カムチャッカのあの西海岸に上るサケマスがこれが減って、そのために資源の保続というものが累卵の危機にあるのだ。従って、これはソ連としては絶対にどうしてもその五九年からは禁漁するのだという非常に強い態度であったのであります。そこで、それではその点についてはやむを得ないので、とにかく漁獲量をあくまでがんばろう、こういうことからいろいろ折衝されました結果、十一万トンという漁獲量日本に認めるというふうなことに話がまとまったのでございまして、従って、決して日本側がこれをすりかえて一万トンをふやしたというふうな経緯では毛頭ない次第でございます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 昨年の北海道における孵化ですね、五億粒やられた。これはいつごろから孵化放流を始められたのですか。
  33. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) これは水産庁が終戦後北海道の機関を吸収いたしましたその時からずっと継続してやっておりまする次第でございます。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 粒数は漸次なおふえているのですが、何億といわれるほどの大がかりなものはいつごろから始められたのですか。
  35. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 資料をもちまして後ほど毎年の放流あるいは下降稚魚の数を提示いたします。
  36. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  37. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。
  38. 東隆

    東隆君 先ほどからいろいろ委員が質問されたことにお答えがありましたが、私はやはりオホーツク海の問題ですね、これは何とか打開の手がかりを作っていかなければならぬと思うのです。それをこのままで投げていくわけに参りませんし、やはり何とかして手がかりを作っていく、そういうよう意味でやはり鮭鱒は、サケは孵化をした所に帰ってくるという性質を持っているのだし、従って、これは沿岸の漁民のやはり漁獲源をどんどんふやしていくことになる。これは何もそんなに問題でないと思うのです。北洋の、ことにカムチャッカを中心にしての問題が沖合いの問題をかれこれ言う必要はないので、それとは切り離して沿岸の漁民のとる量をふやしていく、こういう問題なんで、これを分離して考えることに何も問題がない。  それからもう一つ考えなければならぬことは、共同調査をして、その結果によって話を進めることになっておったと思います。ところが、私は共同調査というものはりっぱに行われたとは思わない。だから、このやり方は当初の話し合いと非常に違った形になって進んでおるのですから、この点についてもやはりがんばってみる余地があるのじゃないか、こういう点も考える。それからいろいろ新聞の取材の場合に、こういうような問題が外に出ていくと、こういうような問題は、私は先方がそういうことを言うのならば、日本の国はやはり民主主義の国だから、従って、十分に世論の上に立って進める筋合いのものだと、こういうようなことを言ってもいいと思う。向うは独裁主義の国なんですから、従って、自由にそういうような問題は政府みずからが考えればいいので、私どもの国はそういうところではないのですから、だから、あまり向うが外に漏らすとかなんとか言って、非常に何だかんだって言うよりも、かえって被害を受けているのは日本の国が被害を受けている。そういう点でやはり考えなきゃならぬ節がたくさんあると思う。私はやはり、せっかくモスコーでやらないで、今回はこちらの東京でやっておるのですから、少し中身が国民にはっきりして、そして国民の世論をやはり中心にして折衝を進めていく、こういう態度があってしかるべきだと思うのです。その場合に、私は国民のやはり強い世論というのは何かといえば、やはり沿岸漁民の意思を十分に結集して、そしてそれを基盤にしてやるのが、これが強いのじゃないかと私は思う。そういう点で今の交渉の仕方において非常に欠けておるところがあると思う。こういう点。それから私はさらに考えなきゃならないのは、沖合い漁業とそれから沿岸の漁民の立場ですね、これは非常に違っておると思う。で、北洋漁業の場合における日本の立場は沖合いでやっておるのだ、沿岸の側はソ連の方がやっておる。北海道で、たとえばニシンの混獲の問題なんかは、混獲をやっておるのは沖合い、そして定置をやっておるものが沿岸、これはもう日本の国内においても、あの問題によって実に問題を起しておる。しかも、それに援用されておることがどういうことで援用されておるかというと、資源は決して減らないんだと、こう言われておる。ニシンの資源も減らない。海流が変ったとか、いろいろな理由をつけて言われておりますけれども、決して資源は減らないのだと言っておる。これと同じことをやはり北洋漁業について、サケマス資源の問題についても言っておるわけです。これは北海道の沿岸の漁民が言っておることをソ連の方が強く主張して、そしてやっておるわけです。だからこれを考えてみたときに、どうも日本の今の立論をしてそうして折衝をしておるときの基礎になっている物の考え方が、やはり沖合いとそれから沿岸の関係でもって、どちらかというと、現実に減ってきておる事実を前におくと、それに圧倒されてくるような気配がして仕方がない、だから私はこんなような面から考えてみても、やはり孵化事業なりなんなり、そういうようなものを強力に進めていくことがかえって折衝を有利に導くことになるのじゃないかと、こう思うのですが、そういうようなことを強くやらなければならぬ、ことにそういうような資源なんかにしても、沖合いでもってとっている大企業者だのなんだの、そういうようなものは相当放出してでもやらんければならぬ問題じゃないかと思う。だから国費でもって、単に今のような程度のものでなくて、もっと大きな資源の培養をやって、こんなような大計画があってしかるべきものである、そういうような点も考えられないで、やたらに沖合い沖合いでもって荒しまくって、そうして資源論でもってぶつけられて、そうしてますます突き詰められていく、こういう問題も考えなければならぬ問題だと思う。  それからもう一つ考えなければならぬのは、ソビエトがやはりああいうふうに攻めてくる問題は、やはりアメリカの日米加の関係の例の東経百六十五度ですか、あすこの線を中心にしての問題がある。向うの方はこれを先にやって、そうして公海の自由に対して制限を加えて、公海の漁業の制限を加えてきておる。そうしてそのあとでソ連の方は、だんだんだんだん攻めてきておる、こういうような形が、歴史的に見てはっきりしてきている。アメリカであの線を西の方に抜ける運動が強くなればなるほど、ソ連の方に何といいますか、立論の基礎を与えるようなことになってくる。だからそういう点で、アメリカの方の線に対しても、これはやはり戦わなければならない、そういうような立場に置かれていると思う。だからこの線、それからまだ関連してくるオットセイの問題にしても、みんな関連してきているわけであります。だからアメリカの側には認めるけれども、おれの方には認めないじゃないか、何だ、こういう問題も出てくるじゃないか。そういうようななにでもって折衝を進めていくのに当って、非常に日本の立論の仕方が弱い点がたくさんあるのじゃないか、こう思っているわけです。こういう点をどういうふうにカバーして、そうして交渉を進めていくか、こういうことは私は非常に大切なことだと、こう考えているわけです。だから国内でもってできるような態勢をこの際どんどん作り上げていって、そうして突破口を見出す、こういう点は、先ほど清澤委員速記をとめて言われておりますけれども、私はやはりこの孵化事業なんというのは、これはもう膨大な形でもって進めていく、そうして少しでも突破口を見出していくというようなことをやらんければならぬ今時期じゃないか。これは委員長、だいぶ心配をされている問題だけれども、しかし、これは決意をしなければならぬときじゃないか。ますます狭められていく情勢にあるのですから、私はそういう考えを持ちますが、この点は一つ、なかなかむずかしいことかもしれませんけれども、考え方を伺っておきたい。
  39. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) まず第一のお尋ねの共同調査の問題でございますが、第二回の日ソ漁業委員会におままして、サケマス調査に関しましては、日本ソ連両国がこういう項目を分担してやる、こういうようなことが取りきめられているのでございます。すなわちサケマスの生活、ポピュレーションの構造、数量変動及び魚群行動、これは日本側調査をする項目である。それからソビエト側におきましては、これはいろいろこまかく相なっているのでありますが、サケマス成熟魚及び未成熟魚分布、回遊及び生態を沿岸及び沖合いの試験的漁獲によってこれを解明する、また、カムチャッカ及び千島列島のその沖合いの海況を調査して、そうしてその地域におきまする海況と、それからサケマス海洋学的な状況と、サケマス来遊との関係等を調査をする、こういうふうにそれぞれ項目の分担をいたしております。科学者をそれぞれの国に派遣するということは、これは共同調査のただ一つの柱にすぎないのでございまして、ただいま分担いたしておりまする項目を含めましたサケマス調査というものを、一そう強化拡充をして実行していかなければならない、こういうことについてはわれわれもその決意を固めております次第でございます。さしあたり明年度の予算の面におきましても、今年度に対比いたしますれば調査船の増加あるいは事業量その他の拡充等をいろいろ考慮いたしておるのでございますが、さらに今後の問題といたして、水産庁自身の今の機構というものも遠洋及び沿岸をも含めました資源調査のにない手として、適当なような機構の改組というふうなことも、将来の問題としてはぜひとも解決をいたしたい、こういうふうなことで目下いろいろ研究をいたしておりますという状況にあるのでありまして、ただいま御指摘のございましたような調査の拡充ということにつきましては、その方角に進みつつあることを御了承いただきたいと存ずるのであります。  世論の喚起の問題につきましては、われわれも世論というものが、これがこの条約取りまとめ一つの大事な背景である、背景と申し上げますよりもむしろそれが基盤である、かように考えておる次第でございまして、そういう趣旨から一そう国内の漁民及び国民大衆のこの問題の本質に関する理解を深める努力をいたして参りたいと、かように考えておる次第でございます。  孵化事業の重要なことについては、もちろんおっしゃる通りでございまして、まあ役所の仕事といたしましては、明年度も若干の拡充をいたしておるのでございますが、また同時に、民間の会社あるいは団体におきましても、たとえば北海道におきまする人工孵化、放流は、これは水産庁の孵化場でやりますけれども、それに対応いたしましたいろいろな、たとえば河川の保護その他いろんな関連事項につきまして、同時に、民間のそれらの連中の組織いたしました団体が協力しようと、こういうふうな申し入れもいただいている次第でございますが、しかし、私たちは今のテンポをもってこれが十分である、こういうふうには考えておらないのでありまして、今後ともこれを一そう拡充をいたしたい。ただその時期なり、あるいは内容なりに関しましては、なお一そうわれわれとしても努力を強化いたしたいと存ずるのでございますが、ただいまお話のありました国会での決議の問題につきましては、これはまたわれわれの方でも委員長のところで何かお尋ねがございますれば、またいろいろ御協力を申し上げたい、かように考えている次第でございます。  また、沿岸と沖合いとの関係について、北海道の中のまあ様子とを対比して、今日の日ソ間の問題についての御見解を御披瀝になった次第でございますれども、実は私はこの問題については、国内的には、これは漁業調整という観点からの、ある程度問題を解決せんがための線の引き方を大ざっぱにいたすことがあるのでございますが、国際間におきまするこの問題の解決につきまして、国内のそういう問題以上に、私はやはりあくまでも科学的な根拠というものの追及のもとに再生産が許される限度の、やはり最大の漁獲というものは、これは当然許容されるべきである。かように考える次第でございます。従って、こういう観点から一そう努力をいたしたいと、かように考えております。
  40. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私からちょつとお尋ねしますが、ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  41. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。  本件は、この程度にいたしまして、しばらく休憩いたします。    午後零時五十三分休憩    —————・—————    午後二時三十分開会
  42. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 委員会を再開いたします。  小かん加糖れん乳等製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案日本てん菜振興会法案及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案、いずれも内閣提出予備審査一括議題にいたします。  去る三月五日の委員会において、これらの法律案の前提となる政府の甘味資源総合対策について当局説明を聞いたのでありまして、本日は、法律案審査を行うことにいたします。  これら法律案提案理由については、去る二月十二日及び二月二十七日の委員会においてその説明を聞いたのでありまして、今日はまず、補足説明を求めます。  なお、これらの法律案は、先刻衆議院農林水産委員会において全会一致をもって原案の通り可決され、本日の本会議に緊急上程される予定とのことでございます。  補足説明を求めます。
  43. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ただいま議題になりました三法案について補足説明を申し上げます。  この法律を出しました基礎になる甘味資源総合対策につきましては、先般も申し述べましたが、日本の農業の発展、それに対しましてビート澱粉の糖価、あるいは西南諸島におけるカンショ糖、こういう甘味資源の増産の可能性がはっきりいたしました。それを取り入れまして、今後の十年間の目標というものを、大体百五十万トンの砂糖消費に対してその半分程度を国内自給したい、こういうことからいろいろな策を講じておるこの一環でございます。その中で、テンサイ糖は四十万トンを生産したい、これはただいま、現在三十三年度のテンサイ糖の生産が終了いたしました。約十二万トンのテンサイができております。三十三年の作付面積は三万五千町歩、こういうことでございまして、十年後四十万トンといいますと、四十万トンのうち三十万トンを北海道で期待するということになりますれば、反当収量の増加等を見ましても、約八万町歩に近い作付面積にいたさなければならない、これはお手元に配付しております「てん菜生産計画について」こういうところで、十年後の目標七万八千町歩、反収平均四千八百斤、こういうことで、それを目標にいたしまして、土地改良でございますとか、土壌改良でありますとか、品質の改良でありますとか、そういういろいろな問題を解決していただきたい。現在の調査では、化海道につきましては、畑作面積の中から、そういった土地改良、土壌改良を前提といたしますれば、十分それだけの作付面積は確保できるということでございますから、それに向って具体的な年次別の生産計画を進めていきたい、団地ビート糖につきましても、これは農林省資源というよりも、西南暖地における稲の早期栽培、それのあと対策問題の解決、あるいは畑作改善の解決の方策として、府県において相当研究は進んでおります。しかし、まだまだこれから研究すべき事項がございます。内地のテンサイ糖は十万トンを十年後の目標にしておりますけれども、やりようによっては、これに到達することは非常に困難であろうし、またやりようによっては、これの十万トンをはるかにこすことも、期待することは困難でない。こういうふうに考えるのであります。  そこで、まずテンサイ糖につきましては、現在てん菜生産振興臨時措置法がございまして、テンサイ生産について、寒地農業発展のためにその法律は出ておりますが、この法律の施行後、先ほど申し上げましたように、テンサイの生産の可能性ということが各方面からはっきりいたしますと、その法律の前提になるいろんな条件を解決していかなければいけない。技術的な問題のみならず、経済的な問題、すなわち、現在は関税が精糖一斤当り八円八十四銭、消費税が二十八円、こういうことになっております。そうしますと、現在の国際砂糖相場をもとにしまして、日本の適当な糖価というものを算定いたしますと、かりに糖価を七十一円といたしますれば、二十八円の消費税を引きますと、関税込みの一斤当りの輸入糖の糖価は四十三円が適当になる。しかるにテンサイ糖の価格は、てん菜生産臨時措置法のもとにおいて行なっておる適正価格を算定いたしますと、一番古くて、固定設備の償却の進んでおる日本甜菜製糖の製造するテンサイにつきましても、一斤当り四十五円をこすというふうな状況でございまして、関税、消費税をそのままにしておいたのでは、今後テンサイ増産がふえればふえるほど財政負担が多くなる。そういうことは大蔵省方面からいえば、もうテンサイ工場を作るのはやめてくれというふうな意見も出たほどでございまして、おもしろくない。そこでまず第一に、消費税を一斤当り十二円六十銭、関税を二十六円二十一銭ということにいたしまして、現在の砂糖相場からいえば、国内価格は、適正価格四十三円というものを、逆に六十円四十銭という関税込みの輸入糖の適正糖価というものが算出されるので、そういたしますれば、財政負担なくしてテンサイの生産ができる条件が整えられる。これをもとにして、まずテンサイの企業の意欲を大いに増進しよう、これが第一点であります。それをもとにしまして、一方におきましては、関税、消費税を振りかえることによって、非常に固定資産の償却の進んでおる会社では、制度の切りかえだけの理由で、特別な利益が出てくるということになりますので、その特別の利益をそのままその会社に保有さすことは、テンサイ振興のみならず、砂糖業界それ自身に相当悪影響を及ぼす可能性もある、こういうところで、これを特別納付金として政府一定期間納付さす、こういうことを一方で考えました。それが臨時てん菜糖製造業者納付金法案でございまして、この内容は、先般申し上げた通りでございまして、五カ年間に一キログラム当り六円を、昭和二十九年から三十三年までにテンサイ糖を製造して政府に売り渡した製造業者の製造場から、三十四年十月から三十九年九月三十日までに製造したものに対して、一キログラム当り六円の割で計算した金額を納付させる、これが第一点の問題であります。で、その納付につきまして、いろいろな手続、あるいは災害等の場合の減免の規定とか、あるいは特定の理由の場合の徴収猶予、こういうような規定を入れておるのが臨時てん菜製造業者納付金法案でございます。これは五カ年間に、現在の予定では、毎年三億三千万円ずつ納付いたさせまして、合計十六億五千万円の納付を予定いたしております。しかし、これは、実際の生産額によって、多少の金額の変動はございます。  次に、先ほど申し上げましたように、テンサイの生産は、十年間にはほぼ現在の三倍にもっていかなければならない。そのためには、試験研究、生産奨励、こういうことを相当思い切ってやる必要がある、こういうことから、日本てん菜振興会というものを特殊法人として作りたい、こういうのが日本てん菜振興会法案でございまして、その仕事は、テンサイの—その法案の二十三条にございますように、「てん菜に関する試験研究」、「てん菜の原原種及び原種の生産及び配布」、「委託を受けて前号の生産に係る原種によるてん菜の種子の生産及び配布」をする、「てん菜糖の製造に関する技術の企業化に関する試験研究をてん菜糖の製造業者及び農林大臣の指定するその他の者に委託して行う」、「国内産のてん菜糖の消費の増進を図るための普及」その他の奨励事業、こういうことにいたしておるのでございまして、これは従来、ここ数年テンサイ、テンサイということで、特に寒冷地の農業経営の安定のために、非常に重要視された作物でございますが、これを急速に、あるいは的確に伸ばすためには、現在の国の試験研究機関の一部門としてやるよりも、特殊法人で重点的にこれを行なった方がいいという私どもの考えから、特殊法人としてやりたいと、その前提には、先ほど申し上げました関税、消費税の振りかえによって、政府が特定の会社から納付を受ける納付金の額を、振興会の事業の財源として、特定、分離する。そうしてこの方にもっぱら向ける。こういうことにいたしたい、こういうのでございます。さらに、この振興会は、相当短期間に、まあ一般の試験研究に比べては短期間に効果を出したいというところから、一般の公務員法あるいは定員法というワクから脱却するためにも、一般の国の研究機構から独立した方がいいということになりますし、そういたしまして、国、都道府県、あるいは大学等のテンサイ、あるいはテンサイの研究に特殊の能力を持つ人材を取り入れる。あるいはまた、海外の先進国の技術者を招聘すると、こういうようなことを考えまして、そういうことをやるためには、やはり現在ある国の研究機関のワク外でやった方がいい。しかし、ワク外でやっても、あくまでもこれは国の行政の一環としてやらなければならない。こういう点から、国の研究機関と一体的な運営をはかるために、特殊法人といたしまして、国の特別の監督のもとに置いていく、こういうことでございます。そういうふうな研究体制とともに、同時にこれは上からだけの試験研究なり、指導というのでなくして、これが実際に耕作農民、あるいはテンサイ糖製造業者の利益の伸長ということも考えなければならないので、振興会の組織といたしましては、役員その他普通の法人の機構のほかに、広く関係者意見を聞きまして、業務の円滑、適正な運営を期するために、学識経験者十人以内で組織する運営審議会を置く、こういうことになっております。その他の事項につきましては、特殊法人の例に従いまして、出資金、あるいは監督規定、あるいは財務規定、そういうふうないろいろな規定がございます。振興会の法律案内容につきましては、大体特殊法人としてテンサイに特別な関係の事項はそういうことでございます。その他の事項は、普通の特殊法人の規定と同じでございます。  それから、小かん加糖れん乳等製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例の法律でございます。これは簡単でございまして、関税と消費税が振りかえられまして、従来消費税が小かん加糖れん乳の製造のためには免除されておりまして、すなわち二十八円斤当り免除になっております。ところが、今度消費税が十二円六十銭になりましたが、消費税の免税規定だけでは、その差額だけ小かんれん乳の砂糖の価格が高くなるということになります。それでは、小かん加糖れん乳の特質から工合が悪いということで、消費税の現行と改正との差額に相当する額は、政府の手持ちの国有てん菜糖の売渡価格をそれだけ割り引いて売り渡しする、こういうことを規定いたしておるのであります。  以上、法律案内容について補足説明をいたしました。
  44. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから質疑に入ります。質疑の向きは御質疑を願います。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 これを一つ資料について説明をして下さい。
  46. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) テンサイ生産計画案について御説明を願います。ただいま政府当局からお見えになっているのは高橋政務次官、渡部食糧庁長官、増田振興局長、昌谷食糧庁業務第二部長の四人の方が見えております。
  47. 増田盛

    政府委員(増田盛君) お手元に配付してありますテンサイ生産計画に関して簡単に御説明申し上げます。  第一表を見ていただきますと、これは北海道に関しまするテンサイの生産計画でありまして、第二表に北海道以外の府県の生産見込みが書いてあります。まず第一表に関して御説明を申し上げます。これは昭和三十三年現在のテンサイ生産の実績を基礎にしまして最終目標を立てるとともに、三十四年以降三十八年までの五カ年計画を作成したものでございます。すなわち昭和三十三年作付面積で申しますと三万五千五百二十八町歩でございます。これを三十八年に五万九千町歩に増大することにしまして年度計画を立てたわけでございます。反当収量が三十三年の場合には四千二百斤、これが三十八年に四千三百八十斤ということになります。さらに原料のビートの生産高がそれぞれ年度割りにしましてここに出してございます。そこで、この最終目標でありますところの作付面積七万八千町歩並びに反当収量四千八百斤に関しまして御説明を申し上げます。大体、目標達成年次はできるだけ短期間に遂行いたしたいと思って検討しておるわけでございますが、現在北海道庁との話し合いの結果によりますと、十五年くらいが適当じゃないかということになっておりますが、引き続きまして検討しております。その理由はあとで申し上げます。そして、この目標年次におきます作付面積七万八千町歩に対応する産糖量はおおむね三十万トンということになります。第二表を簡単に御説明いたしましてから、さらに第一表に関しまして詳細に御説明をいたします。  次に第二表をごらん願いますと、これは東北地方並びに関東以西のいわゆる西南暖地におきますテンサイ生産の見通しでありますが、これは先ほど食糧庁長官の御説明にありましたように、不確定の要素が多分にあるわけでございますが、しかし、今後十年間にこの程度生産を見込むことはあながち不可能ではないわけでありまして、むしろ最近の情勢によりますと、この程度のものが確実に達成されるのではないかというふうに考えられます。すなわち、東北地方におきましては、青森、岩手を中心にしましてすでに昭和三十一年より試験研究を行なっておるのでありますが、その結果によりますと、現在北海道で作付されておりますGW系統、特に導入二号に関しましては、北海道よりも青森、岩手の地帯におきまして反当収量も高いし台糖率もやや高い、こういう試験研究の結果になっております。従いまして、本年度はこの試験研究の結果に基きまして試作に踏み出すわけでございます。両県合せまして約百町歩の試作に対しまして国で助成をするわけでございますが、当面の目標といたしましては、この両地帯に大体一工場を設置いたしまして、栽培面積が六千町歩、反当収量は四千五百斤、産糖量にしまして二万トン、こういうことでございます。ただし、東北の南部畑作地帯を考えましていろいろ試作もいたしておるのでございますし、試験研究をやっているのでございますが、まだ播種時期、病害等に対する結果が十分に出て参りませんので、今後研究を続ける必要がありますので、宮城、福島等に関しましては今のところ計画は未定でございます。  次に、西南暖地につきまして御説明申し上げます。西南暖地は、現在工場設置の計画のありますのは大分県に一工場、それから岡山県に一工場、それから熊本県に最近一工場設置の動きがございます。その中で大分に関しましては三十四年度にテスト・プラントを作って実際の企業化に踏み出すというふうになっております。岡山の方は一年延びまして、三十五年度より実施する、企業化に移る。熊本に関してはまだ未定でございます。西南暖地に対するテンサイ生産の特徴といたしましては、北海道並びに東北地方が畑地を対象といたしておりますのに対しまして、西南暖地は主として水田裏作であります。御存じの通り西南暖地に対しましては、昭和二十七年当時から水稲の早期栽培の新しい技術が導入されまして、これによりまして現在急激に早期栽培の作付面積が拡大いたしておりますことは御存じの通りでございまして、これに対する研究の問題は、この早期栽培をやったあとの裏作として何を栽培するかということでございます。今までは蔬菜あるいは飼料作付等に力を入れてやってきたのでありますが、やはり過剰生産の傾向等のいろいろな問題がございまして、そういう点に関しましていろいろ検討中であったのでありますが、今までの試験研究によりますと、ビートが非常に適当している、こういう試験研究の結果が判明しているわけでございまして、とりあえず西南暖地に対しましては水田のあと作としまして、大よそ二万町歩くらいの作付をこの十年間で考える。さらに一部畑地帯に対しても作付を考えておる。この場合に、畑地帯の研究もまだまだでございますけれども、一応同じ畑地帯におきましても、中間地帯を考えるならば十分に栽培ができる試験成績が出ておるのでありまして、両方合わせまして約作付面積が二万三千町歩、反当収量で四千五百斤、産糖量八万トン、従いまして北海道が三十万トン、北海道以外の府県におきまして十万トン、こういう生産計画になるわけでございます。これは食糧庁長官から先ほど御説明があった通りでございます。  そこで、「過去におけるてん菜生産実績」というのが前後しております。「参考資料」というのがございますので、一番下のやつは過去におきますテンサイの生産実績でありますから、これに対しましては一応説明を省略いたします。  昭和三十三年におきましては、産糖量見込みが十一万トン、「参考資料」といたしまして、そこに「(1)てん菜生産目標作付面積の算出基礎」というのがございますから、これに対しまして簡単に御説明申し上げます。  これは北海道に関するものでございます。  まず、北海道の畑地の面積に関してでありますが、これが既耕地と開拓地というふうに二つに分れております。  まず、普通畑面積(A)として説明してありますが、既耕地で六十五万一千三百町歩、これは備考に書いてあります通り、既耕地の普通畑面積を算出したものでございますが、全体の畑面積は備考に書いてあります通り農林省統計調査部の調査によりますと、三十二年の調査でございます。七十三万八千三百町歩あるわけであります。それから樹園地、焼畑、切替畑、牧草畑等を控除いたしますと、普通畑が六十五万一千三百町歩になるわけでございます。開拓地の方は、これは北海道の第二次五カ年計画の開拓計画の数字によっております。この普通畑面積から若干テンサイの作付に不適な土地を控除したわけでありますが、それが三つございます。  「原因別対象外面積」として、そこに書いてありますが、まず一つは特殊町村に属する畑でありまして、これがおおむね四万四百四十町歩、特殊町村と申しますのは、都市の近郊地帯の果樹、蔬菜の地帯であります函館とか札幌、こういう都市近郊の地帯、それから純漁村、それからあちこちにあります漁村地帯、それから上川盆地のように大面積の水田が集団しているところに自家用の雑穀あるいは蔬菜を作っているような町村がございます。こういう町村を全部拾い上げますと四十九町村ありまして、現在こういう町村に対しましてはビートの導入が行われておりませんし、こういう町村まで積極的にビートの導入をするというように指導するのは不適当でございますので、これを除きました。  次には不良土壌の畑であります。九万九十町歩。これは土壌が不良なためにテンサイの作付に不適当な地帯であります。内訳としまして、備考にあります通り、泥炭地、それから粗粒性の火山灰地、それから砂丘地、及び傾斜地、傾斜地は傾斜度十一度ということで限界を引いております。傾斜度十一度以上の傾斜地、こういうものを全部集めますと九万町歩になっておりますので、これをとりました。  それからもう一つ零細経営農家の畑であります。これは一応経営面積が二町歩以下、田畑を含めまして二町歩未満の農家の経営する畑がちょうど三万四千四百六十町歩あるわけでございます。こういう二町歩未満の農家に対しましては、現在もほとんどビートの作付が行われておりません。非常にわずかでございます。しかも連作その他の点を考慮いたしますと、田畑合わせて二町歩未満という農家は今度のテンサイの指導から除外するのが適当ではないかということでこれも除外面積に加えまして、以上三つの除外面積を合わせますと十六万四千九百九十町歩になるわけでございます。従いましてこの面積を普通畑総面積六十五万一千三百町歩から差し引きますと、テンサイ作付可能面積が四十八万六千三百十町歩になるわけでございます。開拓地に関しましても同様に計算いたしまして、作付可能地といたしまして六万七千六百十町歩ということでございます。合計いたしますと、既耕地、開拓地両方の合計で五十五万三千九百二十町歩、これがテンサイ作付の可能地面積でございます。これに対しましてテンサイの作付率を出しておるわけでございます。この作付率もそこにあります通り、既耕地に関しましては一四・二%、それから開拓地が一二・五%、合計一四%となっておりますが、この基本的な考え方は、一応支庁別に営農類型に基づきまして、しかもさらに経営階層別に耕地の経営規模によりまして、備考にあります通りいろいろな段階に分けまして、それによりましてこの作付率を出しております。これと輪作との関係でございますが、輪作の場合を見ましても、五年輪作から長いので九年程度の輪作を考えておりますが、ただいま作付率といたしまして、作物の作付別にさらに詳細に検討しまして、輪作面積の以外に自由畑面積、すなわち輪作によらない自給的な作物—蔬菜とか雑穀、こういうものを毎年々々一定面積作る場合がございますので、そういうものを全部計算しましてテンサイ作付率として出したわけでございます。それによりまして最後に年々のテンサイ作付面積を出したわけであります。これによりますと既耕地六万九千六十町歩、開拓地八千四百五十町歩、合計いたしますと七万七千五百十町歩、先ほど申し上げました最終目標の七万八千町歩という面積に合致するわけでございます。  なお、参考までに下に不良土壌の種類に関しましてそれぞれ面積を出してございます。  以上でこの計画説明を終りますが、最後にこの計画を達成するための具体的な施策でございますが、これは現在のテンサイの価格維持していくということが何と申し上げましても基本でございますから、そのほかに土壌改良あるいは土地改良、すなわち暗渠排水、明渠排水等の排水、それから客土、こういうものを中心といたしました土地改良、それから心土耕、混層耕、深耕、それから酸性土壌の改良、その他不良火山灰地の改良事業、こういうものを総称しまして土壌改良、こういう事業を推進していく。それからビート耕作のさらに機械化を拡充していくという点を考えてございます。なお、そのほかに北海道の畑地農業の多年の念願でありました輪作、酪農、機械、こういうものをテンサイ生産と関連いたしまして、総合的に農業経営に織り込む、こういう施策は必要だと思うのでございまして、道庁に関しましても、長い間そういう方向で指導してきたのでありますが、今後新しいテンサイ生産計画を樹立するに当りまして、北海道庁をして新しい段階に即応したテンサイ生産拡大のための営農指導要綱をはっきり策定しまして、これに対して予算あるいは資金面の裏づけもあわせ考えまして、この生産計画の実行の完全をはかりたい、かように考えておる次第であります。
  48. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから質疑に入ります。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは初め十カ年計画というやつを大体十五カ年間に直されて、北海道のやつを見れば大部分が五カ年計画でございます。そうすると、全部の完成が、東北の調査等がおくれておるから、これらの全部が完成するには十五カ年くらいかかる。だから、北海道はこの計画通りに進めていく、こういうのですか。ここのところは幾つも同じようなものが出ておって……。
  50. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは内地に関しましては、十カ年の目標で私ども大いに努力いたしますが、北海道に関しましては、当初十カ年で計画を立てて実行をするように、いろいろ私どもの方でも研究いたしたのでありますが、実際実行される道庁の方といろいろ打ち合せ中でございまして、つまりそういう点は道庁の場合も十年ということで、いろいろ努力されておりますけれども、最後は市町村別の面積が確定しないと、その点は非常に問題が多いわけであります。現在道庁と打ち合せをいたしまして、道庁が長期計画を、町村別に末端からこれを積み上げてきております。その積み上げた段階によりまして、さらに私どもの方でそれを検討しまして、できるだけ短かい期間に、当初の十年の目標に合せるようにさらに検討をし直したい。こういうことでございまして、ここではむしろ検討中と、ここにお手元の表に書いてございますが、ありのままに私の方で資料をお出しした次第であります。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、この五カ年計画は大体のまあ参考と見ていいわけですね。参考の計画である。だが、実際は十カ年くらいでこの計画表をいま一応作りかえる、こう解釈していいのですか。
  52. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいま申し上げました道庁の数字によりましては、この計画がもう少しスピード化される場合があるというふうに御承知を願いたいと思います。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 この計画がもっとスピード化されるというと、もっと縮まるのですか。
  54. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この最終目標の七万八千町歩が十カ年ということになりますと、その年度区分の中間の数字が縮まるのじゃなしに、さらに数量、作付面積その他が伸びるのでございます。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、いま一つ、工場単位を六千町歩と見てすべてを計算していったらいいのか。これを見ると、生産指数がだんだん上ってきて、最後には四千八百斤くらいのところまでも、あるいはそれ以上いくかもしれませんので、従いまして工場単位は、今のところわれわれが考えておる割合、大体反別を中心として六千町歩と考えてよろしいのですか。
  56. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは、私どもの方で計算しておるのは反当四千百斤、百二十日操業、こういうものを一つの単位に考えております。ですから、反収が上れば面積が減ってよろしい。それを標準にしておる。しかし、ここにありますように、たとえば三万五千五百二十八ですね、今五工場ですね。ですから、七千町歩になっておるわけです。一工場平均しますと、三十三年。今年は天候の関係で反当収量が非常にいいわけです。将来は土壌改良とか、栽培法の研究でどんどん上るのです。今年は、当初四千百斤を予定しておったのですが、操業をほとんど終っております、実績出ておりますから、今年は今の六千町歩、四千百斤、百二十日操業が、これは今年は二百日近くも操業になっているわけであります。そうしますと、三月に入って操業している工場も出てきたわけです。これは大体十一月に掘り取りまして貯蔵しておきますと、貯蔵期間中に自家消費とか、糖度が低下するわけです。それから工場といたしましては、最も、結局は、砂糖分がよけい取れるような操業をするのが一番いいわけです。ところが、三十四年度には七工場になるわけですね。そうすると、三十四年なら四万二千五百町歩、これで六千町歩ということになるんです。そういうふうに、ある時期までは作付を、訓練いいますかね、徐々にふやしていって、それが適正規模をはるかに越したら、かえってせっかく作ったものがロスになるという、その限界のところに新しい工場を導入する。こういうことになるわけですから、一定の目標は、さっきの畑作面積からいえば、先ほど振興局長のお話がありましたように、一つのラウンドの目標と考えていただいたらいいんですが、可能のほとんど最高限に近い目標を掲げております。それにいくまではこういう経過を繰り返していきまして、工場を作って、そこで適正規模、あるいは場合によると工場を早く導入して適正規模の操業ができない場合が出てくるわけであります。そういうことで、出入りを繰り返しながら目標に到達する。ある目標に到達すればみんなが平等といいますか、大体経済単位で操業できる。そういうことを目標にしているわけです。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃこれを農民が作りますね。この価格は、どうも振興法から見ましても砂糖の価格についてはいろいろ考慮が払われていて、テンサイといいますか、原料テンサイに対しての工場との買付価格については、これは自由になるのか、何かそういうものが……。
  58. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは、てん菜生産振興臨時措置法の第五条に、第四条で政府が買い入れるテンサイ糖は、当該生産年において農林大臣が定める価格を下らない価格生産者から買い入れたテンサイを原料として製造されたものであって、政令で定めるものに限る、こういうことになっております。これによりまして、毎年テンサイの価格を告示しております。現在千斤当り三千百五十円、それは告示いたしまして、これ以下で買ったものは政府は買い上げないと、こういうことを規定いたしております。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、こういう問題が起きた場合に一つどういうことになるか。というのは、これは支持価格があるとしましても、作物ですから、豊凶があると思う。大体、六千町歩を基準にして、現在は四千百斤と、こういうものを中心にして工場を作っていくとかりにしましても、それが、これから見ると、大体四千八百ぐらいはでき上るだろうと思うが、そういうふうに生産は増大してくる。そこへ大豊作というようなものができて、非常に余る、こういう場合が出て参りますと、今もお話を聞いていると、作業日数によって、糖蜜の精度ですか、それが下って、原料の買い入れを安くしなければそろばんが合わぬというようなものが出て参りますと、必然的にそれより下ろうとする傾向を持ってくる、こういう危惧がある。同時に、今度これを工場側から見ますと、非常な凶作になった場合に、全体から見て三割も四割も足らんかったと、こういうような、極端な場合ですが、相当量が不足してきたというような場合が出てくる。その実際の緩和は、ただこれだけの問題ではなかなか片づかないと思う。そうこうしているうちに、だんだんと工場に農民が引きつけられて、その支配下に属するようになって、現在のあらゆる農家自身が、生産工場に隷属化するような形にだんだんなっていく危険性がないかどうかということと、いま一つ、これは、こういうふうな作付をしてきますが、この作付は許可制でおやりになるのかどうか、どこから何反と、個人にタバコのような作付統制をきちんとしていくのか、こういうような点を一つ……。
  60. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 第一点の、農民の隷属化の問題でありますが、これは第一に、テンサイは畑の流出等がなければ、北海道で—寒冷地では耐冷作物ということで、そう収量の変化がないというところでテンサイの奨励をしようということでございます。お話のように、天気がよければふえるということはございますが、天気が悪くて三割も四割も減るということは今まであまりありません。多少の出入りはあると思います。平均四千百斤というのは、今のテンサイ糖製造業者の話によれば、ちょっと低過ぎると思いますが、ただし新しいものをどんどんふやしていきますから、多いところは一万斤ぐらいとれるところもあると思います。そういうところが出ておるわけでございます。従って御指摘のように、非常にほんとうに何らかの関係で生産が落ちたという関係になると、テンサイ生産業者が成り立たないということになれば、今の振興臨時措置法の第四条で、政府が必要があると認めて、というところで買い上げて措置する方法ができると思います。こういう法律がなければ、冷害対策補助金とかいろいろな問題になりますけれども、場合によっては第四条を発動して買入れの道が開けております。それによって救済できると思います。余った場合には、これは操業日数を延ばして措置ができます。その際に、そういうことによっていずれにしても損が起きる、工場が予定した利益を上げることができない場合に、農民にしわ寄せをするのじゃないか、こういうことでございますが、こういうことがあってはならないからというので、第五条で、払わなかったものは、政府に買い上げを申し込んでも買い上げてやらない、そのかわり、一方では三千百五十円を逆に今度は何といいますか、指導といいますかで、農民に補償する、こういうことでございます。これはカンショ、バレイショ、澱粉の政府買い入れと同様な考え方に立っております。  それから、作付の許可制の問題でございますが、これは許可制は法律ではとりません。ただ、会社が、これは基本的には、従来は生産者の代表、これは北海道生産連あるいは中央会、そういう砂糖の製造業者全部と生産者の団体でございますね、包括的な契約で、どういうふうに原料の買い方、それからどういう場所ではこれだけの補助金は出す、こういう基本契約を結びまして、それに基づいて今度は一定の集荷地域ごとに、各製糖業者が個々に農家と契約を結んでいるわけであります。従いましてその栽培契約は、テンサイの生産者の団体とテンサイ製造業者との基本契約に沿って結んでおりますから、多少その何といいますか、それを基礎にして、それ以上の要求が農民の方から出ても、それ以下にテンサイ糖の製造業者が農家を圧迫する、こういうことはできないようにいたしております。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、買い入れ原料テンサイの検査ですね、品度検査というのですか、そういうものは大体どこがやられるのですか。生糸の検査のような検査所を設けてやるのか、買い入れ会社がやるのか、振興会がやるのか、もしくは民主団体的なものでこれを行わせるのか、そうでないと、やはり実際問題の取り扱いとしては、将来において不公平が出るのじゃないか。せっかく出したやつを、これはどうも精度がどのくらい落ちているとか、品がいいとか悪いとか、こういうことで、今繭の場合でも検定が一番問題になる。
  62. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 現在のところは、糖度検定をして買い入れるということはやっておりません。看貫、目方で検収して、従って各製造業者が看貫して買い入れる、こういうことです。将来の問題としてはお話のように、どうしても糖度を加味した取引が出てくるのじゃないかと思います。これはしかし、あくまでも将来の問題として考えたいと思います。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここに、何とか三%とかを見込むとかなんとかというのがありますからね、そういうものがあれば、乳牛などの場合でもそれが問題になるのですから、脂肪分が——集乳所の乳の検査などで。繭の場合でも検定が問題になる。まあいずれ問題になると思いますので、せっかく一つ何とか、さらに考えていただきたいと思います。
  64. 東隆

    東隆君 私は、今、振興局のこの計画を拝見したのでありますが、一番、私は大切なのは生産されたビートを輸送するということで、これがおそらく砂糖の製造における生産費に相当な部分を占めるわけです。それで問題はこれはずっと昔に、北海道で明治初年にビート工場を建てたときに、たとえば札幌の苗穂に工場があったときにすら、ごく近い江別市、あのあたりでも農家がビートを作ることを非常にいやがって、そうして屯田兵に強制的に栽培をさせるようにしたのだが、平なべでもって種をいって、そうしていった種をまいて、それでまいたけれどもはえなかったと、こう言って逃げたと、これは伝説みたいな話でありますけれども、こういうのは、これはなまのビートをやはり工場に輸送しなければならない、これが実のところを言うと一番大きな問題なんです。それで反別を相当ふやしてくるわけでありますが、その場合に一番制約を受けるのがまず交通関係であろうと思います。これを考えの中に入れないで生産計画を立てられると、これはもう相当なつまずきが出てくる、これが第一点です。  それからその次には、特殊土壌の地帯にビートが入っていかなければ、この反別はなかなかできない。というのは、ビートは連作はきかない作物ですから、従って、総体の面積が幾らありましても、やはり大きく見れば十年輪作くらいに考えなければならない、そんなふうに考えてくると十年くらいで一割ですね、そのうちに特殊土壌の地帯が非常にたくさんある。こんなふうに考えて参りますると、ビートの生産を進めるという場合に起きてくる問題は特殊土壌をどういうふうに改良するかということが、これが先行しなければならぬ問題になってくる。それでここには泥沼炭地と、それから火山灰地があげられておりますが、私どもの考えて心配しておることは、北海道に重粘土地帯がある、もちろん、泥炭地もそうですが、酸性土壌がものすごく多いということです。この酸性土壌の矯正をやらなければ、もうビートというものは絶対できない。これはちょうどホーレンソーと同じようなもので、酸性土壌には一つもできません。だから、今農林省が酸性土壌に対してとっておるところのやり方は、例の改良普及基金ですか、あの中から金を融通しておるというあの制度ですが、あれは二年くらいで返済することになっている。肥料扱いにされておるんです。これはこの際、もう少し年度をかえて大がかりにするような態勢を作り上げていかなければ、この計画は私は進んでいかぬと。それからビートの耕作はこれは混栽ですから、先ほどお話がありましたように、深起しをしなければならない、そういうような問題、それから酸性土壌に対する非常にセンシビリティが強いものだから、肥料もやはりチリ硝石を入れるというような、そういうような問題が関連をしてきて、おわかりだろうと思うんですけれども、そういう問題で土地改良という点については、酸性土壌の改良とともに、これはものすごく考えてもらわなければならぬ。これは載っておらぬわけです。そういう点はお話がありましたけれども、これが実は先行していかなければならぬ問題であります。  それからその次に私どもが心配しているのは、ビートを耕作することについて関係あるのですけれども、これは非常に労力を食うということです。これは農家が経営面積の一割をかりに耕作するということになったら、おそらく北海道の農家は耐えられないでしょう、自家労力でもってやれない。それでこれを進めるためには、やはり相当機械化その他を進めていかなければ、これはほとんどやれないわけです。それから種まきの場合は、たとえば今のような種のまき方じゃなくて、あれを粉砕して、そうして一つから一つ出るようにしてもらって、間引きだのなんだの困難な動作をなくするような、そういうめどをはっきり立てなければならぬ。そういう今申し上げたような点ですね、これは当然お考えになっていることだと思うのですけれども、それを私はもう少し具体的に計画しておいてもらわないと進まぬと思うのです。ただ、今のようなことだけでは、私はこれはなかなかむずかしいと思う。だから今申し上げたのは、これはみな相当な投資をしてもらわんければできない仕事でありますから、その点どんなふうに、土地改良とまた交通関係、そういうような面について、振興局、農地局はどの程度お進めになっているか、それをお聞かせ願いたい。
  65. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ビートのために畑地の土地条件を改良していくという問題は、結局するところ、北海道におきます大部分の畑作地帯の土地条件の整備の問題に通ずるわけだと考えております。従いまして、先ほど御指摘のありました通り、まず特殊土壌地帯が、特に北海道の場合におきましては、他府県よりも広範に分布いたしておるわけであります。この場合にまず最初私どもとして考えていく問題は、酸性土壌の改良でございます。酸性土壌の要改良面積は、これは十一万一千町歩と大体いわれているのでございます。それに対しまして、三十三年度までに改良されましたもの、及び見込みを加えますと、六万九千町歩に達しているわけでございまして、従いまして、三十四年度以降の要改良面積は、四万二千町歩ということになるわけでございまして、これに対しましては、御承知通り炭酸カルシウムを町当り一千貫程度施用するという目標を立てまして、これに対する町当り単価を割り出しますと、大よそ一万二千円くらいのものになると思いますが、これの事業費に対しましては—事業費は大体五億でございますが、この五億の七割程度のものを農業改良資金によってまかなっていく、こういうことでございます。次に、酸性土壌以外に広範に分布しておりますその他の不良火山灰性の土壌改良に対しましても、現在は農業改良資金で見得る建前になっておりますが、あまりまだ施行されていないのでございますが、大体こういう面積も十万町歩程度に私どもの方で考えているわけでございまして、たとえば苦土欠乏のような土壌地帯等もこれに入るわけでございます。これに対しましてドロマイトの施用とか、あるいは燐酸の施用によりまして町当り経費が一万五千円程度かかるわけであります。これに対する融資等も、酸性土壌改良の場合とあわせて考えていきたい。しかも、酸性土壌の改良に関しましては、一応当初の目的をここ二、三年のうちで果すわけでございますので、その後は大規模にそれ以外の不良火山灰性の土壌の部分を実施することが可能と思うのであります。  それから第三番目は、先ほど御指摘のありました海耕の問題であります。これに関しましては、御存じの通り、心土耕、混層耕用の耕土改良トラクターが、北海道に対しまして長い間補助として実施されておったのでありますが、三十二年度から、国有貸付、国有でこういうトラクターを購入しまして開放するという制度に切りかわっておるわけであります。現在までに、この心土耕、混層耕の事業面積はどうなっておるかと申し上げますと、大体調査によりますと、この対象になる不足土壌の総面積は四十四万五千町歩に上るわけでありますが、そのうち、機械耕の不能面積が若干ありますので、心土耕、混層耕の事業計画面積を四十一万三千町歩ということに押えておるわけであります。これに対しまして、昭和三十三年度までの改良面積は幾らかと申しますと、十五万一千六百五十五町歩であります。これだけは昭和三十三年度に改良を終るわけでございます。従いまして、差引残面積が二十六万一千町歩あるわけでございます。これに対しまして、今後の計画でございますが、結局、先ほど申し上げました通り、トラクターが、現在道有のトラクターと、それから国有貸付による国有トラクターと二つあるわけでございます。道有トラクターは、たしか三百十八台三十一年度までに補助しておるわけでございますが、その後廃棄したものがありまして、三百十八台のうち、廃棄台数が三十三年度までにありまして、その残りの台数を更新しながら使うということと、それから三十二年から始まりました国有貸付のトラクターを使用してやっていくということであります。これに対して、私どもの計画によりますと、大体三十四年度の国有貸付のトラクター台数が十八台でございます。この十八台を若干増加しまして、三十五年度には二十二台、三十六年度以降二十四台、三十八年度まで大体二十四台でございますが、この程度の国有貸付のトラクターの導入を今後はかれば、昭和四十二年度までに目標面積であります四十一万三千町歩の全部事業が実施できるという計算になってございます。従いまして、心土耕、混層耕の面に関しましては、私どもは十分自信を持っております。  次に、土地改良の面でございますが、これに関しましては、農地局関係の事業がいろいろ含まれておるわけでございまして、現在直轄明渠排水、それから団体営明渠排水、その事業が行われております。それからもう一つ、客土に関しましては、造営の軌道客土並びに団体営の馬そり客土が実施されております。これに対しまして、今後の事業といたしましては、直轄明渠排水に関しましては四万六千六百町歩程度の面積を見込み、それから団体営明渠排水に対しましては七万町歩という事業量を見込んでおるわけでございます。客土に関しましては、道営軌道客土が九千町歩、団体営の馬そり客土に一万八千町歩、これを見込んでおるわけであります。そのほかに、非補助事業であって、農林漁業金融公庫の資金を使用することが可能でございます。これに対しましては、過去の実績等を、古い実績しかまだ集計が出てないのでありますが、この点に関しまして、暗渠排水、客土等に関しましても、それぞれ現在までに相当の実績があるわけでございまして、今後、公庫融資の方の三分五厘等の資金を活用いたしますならば、十分にこういう暗渠排水なり、あるいは客土なりの事業が推進できるというように考えておるわけでございます。  それから交通関係の問題でございますが、この問題に関しましては、もちろん農林省だけの事業で行いますことは不十分でございますが、開拓地等に関しましては、建設工事費の活用によりまして、この面も考えて行いたいと思っております。それから建設省所管の事業あるいは道庁単独の事業、いろいろあるかと思いますが、先ほど申し上げました末端からの長期計画に伴いまして、逐次そういう計画が具体化して参るわけでありまして、この点に関しましては、農地局あるいは北海道開発庁あるいは道庁、こういう関係方面とも十分緊密な連絡をとって実施して参りたいと思うわけであります。  最後に、ビート栽培に伴う労力調整の問題でございます。この問題に関しましては、実は、現在国の事業として行われておりますのは、動力機械用のテンサイのための作業機、これを三十二年度から五セットずつ国有にしまして貸付しております。三十四年度におきましても、これに対する予算案を五百万余り計上いたしております。なお、この労力調整のためのビートの機械化におきまして、こういう大型のトラクターの導入ももちろんあるわけでございまして、それはそれで能率を上げるために活用したいと思うのでございますが、やはり現在の北海道の経営規模から申し上げますと、手労働にかわるのは、何と申し上げましても、畜力利用の作業機械じゃないかと思うわけであります。これに関して、たとえば播種機あるいは間引き機、あるいは堀取機、こういう畜力利用の作業機があるわけでございまして、最近におきましては、相当高能率の堀取機も完成を見ておるわけであります。たとえば堀り取りに関しまして例を申し上げますと、一日の作業能力が大体四、五反から一町ぐらいの作業能率があるということになっておりまして、値段なども若干簡易なものは相当安いものもあるようでございます。従いまして、播種、間引き、堀り取り、これの一貫した畜力化もできるわけでございまして、現在北海道におきましては、相当普及度も高いように聞いております。こういう点に関しまして、なお農業経営全体の面ともにらみ合せて、私どもも労力調整の面に関しましても十分に検討いたしつつ施策を進めたい、かように考えておるわけでございます。
  66. 東隆

    東隆君 もう一つは、今工場の設立について、非常にたくさん、何といいますか、地元からの運動もあるし、それから誘い込みの運動もある。そんなような形で、十勝管内なんか非常に問題だと思う。一方道南の方は非常に作付がとびとびになっております。そういうような地帯は、これは実は工場もなかなか誘致するのに困難だ、こんなような事情にあります。しかし、そこは当然積極的に作物を導入していかなきゃならぬのですね、そういうようなことが中心になって、今、国が取り上げているビートの耕作上に非常におもしろくない空気があるのです。そいつをどういうふうに調整をされるか、それの基本的な考え方をお聞きしておきたい。
  67. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは先ほど御説明のありましたテンサイの作付の年度計画でありますね、これをやはり具体的に町村別までブレーク・ダウンをいたしまして、確実にこの年度が具体的な町村ごとにできるということでありませんと、これは、このトータル、これだけできるんだから、先ほど私が申し上げましたように、一工場当り六千町歩、四千百斤、百二十日操業ならこれだけ入るじゃないかと、こう言われても、今のお話のように、新しい地域では相当密度が薄いということになりますと、工場としては採算あるいは操業が困難になりますから、その点も十分見きわめた上で、これから新しい工場の導入については気をつけていかなければならないと、こういうふうに考えております。現にことしの暮れから台糖だけで動くことになっておりますが、その地方では今六千町歩の確保について非常に苦労しております。これはテンサイ糖製造業者の努力も問題でありますが、行政庁としては、これにできるだけの援助を与えなければならない、こういうふうに考えております。  それから暫定的な問題としましては、これは作付地域は集まらなくても、今後のテンサイの生産の結果で、ある地域の工場は二百日の操業ができる、道南の工場は百日の操業しかできない、こういうようなことが予想される場合は、地域の問題は別としてやはりできたテンサイの需給調整をする必要があるんじゃないか、かように思います。
  68. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この間、甘味資源のときに伺ったんですが、まだ私が十分承知いたしませんため重ねて伺います。この農産物価格決定する順序、つまり重要農産物といいますか、そういうものについて米麦には、米についても米価審議会というものがありますが、テンサイの価格形成というか、価格決定というか、あるいは集荷区域といいますか、そして新工場になれば、たとえば六千町歩の中で完全に操業し得る材料が集まるとも限りますまい。おそらく密度によっては七千町歩も八千町歩も必要であろうかとも思う。そういう工場基準といいますか、価格の形成、そういうものを決定するための機関といいますか、そういうものがなければ、単に行政庁だけが権利を握ってやるというだけでは何か物足りないような気がしますが、たとえばイモの問題、菜種の問題、大豆の問題等もそれに準拠されるようなふうにも考えますが、当面のテンサイ糖の価格の形成あるいは新工場との関係、そういうことを考えて参りますと、たとえば暖地ビートのように非常に密度が、何といいますか、濃厚でないというような土地における調整指導というものに対して、運賃等をどういうようにされるのか、あるいは平均化してやるのか、そう問題も私は大きな問題だと思うのですが、どういうお考えを持っておられるのですか。
  69. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ただいまの問題は、北海道の場合と内地の場合、多少予想が変っております。まず北海道の場合でございますと、すでに工場ができておるところを見ましても、オホーツク海沿岸で紋別、網走に三工場—今二工場でことしの暮れから三工場動くということになっております。そうしますと、この工場の適正操業を行うための集荷地域の調整という問題が出てくるわけです、これはビートにつきましては、一つの特性は、ほかの作物と違って工場を中心にして一つの輸送圏と経済圏ができるわけですから、北海道の工場に内地の原料を持っていくということは起らないで、その地域の双方の中で問題が起ってくる、さらにまた、先ほど来申し上げましたように、これから伸びつつある産業でございますから、ビートの作付の伸びと工場の建設が絶えず一致しない、ある時期は工場の操業に多少不足の年があり、それがだんだんテンサイの生産が伸びていって、ある年には工場で多少処理しきれないものを処理しなければならないのじゃないかと、こういうことがございます。そういうことで工場の導入が行われておりますので、一つは、何といいますか、工場と生産者との関係が固定的である。一つは、固定的な中に新しい工場を導入するといいますか、今までの固定的な工場と生産者との関係が新しい工場の方に移譲せられなければならない、こういう問題が起ってくるわけです。そこで、工場を導入する際には、既存の工場と新しい工場とのそれぞれの責任者の間に、この工場ができたらどことどこのものはその工場、新しい工場に入れるということが一つの協約ができて暫定的なものでいく、しかし、将来はまた別途協定をする、こういうことでできておるわけでございます。ところが、その当面の問題でございますが、たとえば今の北見の芝浦製糖の工場、斜里の北連の工場、その間に日甜の美幌の工場ができます。そうすると、そういう約束はあっても、既存の工場の方は、あとから出てくるものになかなか渡さない、初め日甜が芝浦なり、北通の工場を建設するときには苦情をつけた、同時に、今度はあとから日甜の工場が新しくできるとまた、しっぺ返しでもありませんでしょうが、そういうふうにいろいろな悶着を起す、こういうのが現状でございます。そこで、この点が今までの工場の導入において、農林省なり、あるいは北海道庁がはっきりした目標を示しておらなかったということが一つの大きい理由ではないかということです。私の方では三月三日付で「てん菜の集荷に関する調整について」という通牒を出しまして、てん菜生産振興臨時措置法第三条で、テンサイの生産計画を都道府県知事が農林大臣の許可を受けることになっておりますが、その場合には必ずテンサイの販売計画といいますか、出荷計画といいますか、それを同時に入れろ、そういうことによってそれができなければ北海道でテンサイの生産はこれだけと、こう言われてもあとの調整ができないから、それを見て第三条の許可をする、こういうことにいたしております。そこで、さらにそれを道知事が勝手にきめるわけにいきません。これはどうしてもテンサイの生産者とテンサイ糖の製造業者の完全な理解のもとでなければ意味をなさないわけでありますから、それを作成する場合には、テンサイ生産者の団体製造業者その他の関係者意見を徴するために、それらを包含する協議会、これを都道府県ごとに設置してやる、こういうことをいたしております。そこで、今のテンサイ生産の伸長に相応する集荷計画なり生産計画、テンサイ糖の製造計画をまとめていく、こういうふうにいたしていくように通牒を出しまして、この原則は大体内地にも適用することができると思いますが、ただ、内地は府県ごとに畑作面積が北海道みたいに集中的でございません。従って、一つの県にテンサイ糖工場を二つも三つも建てるということは今すぐの問題としてはちょっと予想できません。まあ、北海道規模の工場ならば、今の状況でございますと、水田裏作にどんどん入っていくということになれば、これまた問題が北海道と同じようになりますけれども、現在の早植え稲の跡作あるいは畑作をもとにする限りでは、一県一工場がせいぜいじゃないかと思う。それも当初は百トン工場、五百トン工場、それから大きな千トンあるいは千二百トン工場という順序をとることになると思います。具体的には、たとえば大分県では新光製糖がそういう計画で県当局契約を結んでおる。岡山県では横浜精糖が具体的にそういう契約を結んでおる、青森県ではフジ製糖が同様の計画を進めております。ほかの県でもそういうふうな県のテンサイ糖の振興計画にマッチしてそれに合うような計画を進めております。ですから都道府県の場合は北海道でみるような問題はないだろうと思います。それがまあ隣県同士でお互いに争いになるとか、あるいは水田裏作で、ある県に二つの工場が集中的にできる、たとえば関東地方にそういう問題が起るとあるいは北海道と似た問題が起ると思いますが、今のところ内地の分はそういうことになっております。
  70. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は将来、今の価格形成の問題でありますとか、あるいは集荷区域の問題でありますとか、作付面積の関係とか、それらを審議する機関が必要だ、これを、要望いたしておきます。今の問題ですが、行政庁が、すなわち府県が完全理解のできまするような協議会を作って調整をするということなんですが、これは組合をつまり特約組合というものにして、会社と生産組合というものが、生産者団体とが特約を結んで取引をするという契約の上に立つことでなければ、価格その他利害関係が相伴う関係でありますから、私は非常に困難だと思う。完全な理解のもとに協議会を作るというてもそういうばく然としたものでは指導統制というものは私はできない。ことに地域が必ず錯綜して、自分のところは区域はどこそこの区域のようだけれども、どこそこの工場と取引することがいろんな関係上都合がいいというような問題も出てこないとも限らぬと思うのだが、そういう問題は考えちゃおりませんか。
  71. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは先ほど清澤委員から御質問があったと思いますが、北海道におきましては既存のものは、具体的には北海道農業協同組合中央会と、北海道生産農業協同組合連合会、北海道農民同盟、北海道農林連盟、それと日本甜菜製糖株式会社、芝浦精糖株式会社、これが基本契約を結びまして、それで耕作計画をどういうふうにするか、これは農業協同組合か、その場合は特殊な組合にするのか、これはいろいろあると思います。それから種子の配付あるいは耕作資金の貸付、農機具の購入あっせん、病虫害の防除、テンサイの受け渡し、代金の支払い方法、それから搬出の助成とか、早掘り、おそ掘りなど、そういういろいろなことを基本契約を一応きめておきます。それに従って今度具体的に個々の工場とその組合がやる、これが一応のひな形になると思います。
  72. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そうですが、最後にもう一つ伺いたいと思いますが、どうもこの原産地といいますか、主産地というものが今まで北海道に限られております。そういうような関係で土地改良その他の助成、それらの中心が北海道ということに限られたようなつまり印象を受けるわけなんです。まあ当然だと思います。それが悪いというわけではない。しかし、暖地ビートというものが現在出てきておる今日、しかも、水田裏作としてこれを奨励しようとして各県が取り上げ、ことに大分、熊本、岡山等には一応のテストケースとしての製造工場もできょうかという段階になって、暖地ビートに対する手当といいますか、考え方というものが私は少いと思う。これはテンサイ糖というものが、テンサイというものとテンサイによるところの糖をとるという、この二つの事業、生産製造にかかるわけですが、それらの問題がすでに発足し、向上をみんとしているにもかかわらず、これらの措置が足りないと私は思う。これは非常に全般的な国の視野に立って産業の開発あるいは奨励ということに事欠くのではなかろうかという印象を受けるのであります。ことにこの二十八年に出ましたてん菜生産振興臨時措置法を見ますと、暖地ビートというものには奨励もしないが買い上げもしないと書いてある。それにもかかわらず暖地ビートが現在出てきておる今日この大事業を見ましても、「この法律は、てん菜の生産増強を図ることによって、寒地における農業経営の合理化を推進する」ことをもって目的とするというふうにできておる。暖地というものが現在やっておるにもかかわらず、寒地の農業生産を増強するという建前による臨時措置法によって、すべてをひっくるめてやろうなんという考え方は、まことに私はずさんだと思うのだが、その点についてはどうですか。
  73. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) この法律ができましたときには、暖地ビートということは全然予想しておらなかったのであります。これは私自身が、ほかの国でやっておるのになぜ暖地にできないのか、それをやるのにはやはり暖地でやるととうが立つのが早いとか、いろいろなことで全然研究がなかったわけであります。その後、二十八、九年から三十年にかけての冷害において、それまでには、この前いろいろ東委員なんかからお話がありましたように、戦後の占領軍によっていろいろな品種の改良なり病虫害の防除なり、そういう指導を受けましたけれども、その結果、耐冷作物であるということがはっきり冷害のときにわかったのであります。そこで、耐冷作物として、これはどうしてもやらなければならぬということでこの法律ができておるわけであります。その後、さらにこのテンサイができるということになれば、今の製糖業者、輸入糖の精製業者もいつまでたっても輸入糖にたよっておるということでは、諸外国、先進国の例を見れば、とうてい工合が悪い、いつかは国内生産というものになるということでテンサイの研究が進んでおる。農林省ではある程度見通しがっかなければ試験研究はなかなか手がつかない。ところが、砂糖の精製業者の方では、自分自身の問題として暖地ビートの研究をしていく、それが何といいますか、非常に急ピッチにここ二、三年で表面化してきた。暖地ビートのお話は、二、三年というよりも、われわれ甘味対策をやってテンサイについて何かやろうというころから顕在してきたわけでございまして、これは先般も日本甜菜製糖の社長のお話を承わりますと、先生の方では、もう何といいますか、ずいぶん前から暖地ビートを研究しておったけれども、それは品種の関係とか、土壌、肥料、病虫害防除の関係でできなかったが、当然これはできるはずだったのだ、こういうことを言っておりましたが、今まではひそかに研究しておったのが、甘味対策等の関係で表面化してきた、そこで農林省もこれをバツクアップしなければいかぬ、そのためには、一方では寒冷地域のテンサイはもちろんますますやらなければいかぬ、同時に、暖地のものもやらなければいかぬ、それを急速にやるために、やはり今まで精製業者関係あるいは外国関係の知識を取り入れるというような組織がほしいということで、先ほど申し上げましたような振興会でやれば急速にできるのじゃないか、こういうことであります。このてん菜生産振興臨時措置法で、この法律によって全部を処置するのではなくて、法律は寒地のテンサイでございます。実際やることは従来やったことを模範にしてやるべきことが必要でございますが、できるだけそれをやっていく、それから今の暖地のテンサイは、もし政府が買い上げるということになりますれば、やはり法律が出ることになります。しかし現在、先ほど具体的になっております大分なり岡山のあれでは、要するに先ほども申し上げました六千町歩、四千百斤、百二十日操業の規模を達するのには、まだ相当の時日を要する見込みでございまして、その前に百トンプランで処理し、それは必ずしも白糖までやらないで、粗糖の段階でやって、自分の精製糖工場へ持ってきて精製するのだ、その次の段階では五百トンプランで、それも最後の精白までやらないで、やはり既存の自分の工場の関係で処理する、こういうふうなもくろみをやっておるのが実態でございます。しかし、これが確実に、そういう工場のいわば試験によってできるということになって、ほかの県にも及ぼすということになりますれば、何らかの可及的措置考えた方がいいんじゃないかと考えております。
  74. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は、やっぱりテンサイ糖というものの奨励、日本農業の推進という立場から、暖地においてもテンサイ糖ができるということが立証され、しかも、それが操業にかかろうという段階になってきたのでありますから、当然買上処置は、臨時措置法がやはり存続されて、残って、北海道の一部の生産が買い上げられるという処置が残る限り、やはりいずれのテンサイ糖においても、そういう買い上げの処置といいますか、そういう恩恵を与えるべきだ、こういうふうに思っております。またそういうふうに取り計らうべきであろうかと思うのでありますが、しかし、この法律を見ますと、第一条の目的を云々と書いてある。だから第一条の目的というのは、今いう目的、寒冷地の農業推進に関する問題であって、暖地のものは買わないということを規定してある臨時措置法によってこれをおしなべていこうという考え方自体がすでに間違っているんじゃないかと思う。すなわち、何といいますか、かみしも着てマンボズボンをはいたような、せっかくこういう法律を出して、根本的に改革をしようという当初に当って、臨時措置法を改正しないなんという考え方は全くよくないと私は思うのですがね。
  75. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) てん菜生産振興臨時措置法は、昭和三十七年三月三十一日までの時限法になっております。一方、先ほど説明しましたように、暖地ビートの問題も、まだ三年くらいで、北海道のビートと同等の結論に到達できるとはちょっと予想できないわけです。従いまして、私どもの考えでは、このてん菜生産振興臨時措置法も時限が来る前に、やはり寒冷地の実態に合うように直したらいい、こういうふうに考えております。従って、暖地のものも、その際、今度は寒地テンサイのみならず、暖地をひっくるめて、日本におけるテンサイというものとして措置してもおそくはないのじゃないか、こういう考えを持っております。振興会法なり特例法を出すときに、ずいぶんその点を議論したわけであります。これは農林省と大蔵省と多少意見を異にしておりまして、それを待っておったのでは実体の方が動かないから、その問題はまだ期間があることだから、そのときに解決したらいいんじゃないかというので延ばしておるのが実際の状況でございますから、その点御了承を願います。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 私、簡単に。七十五万トン達成の中に、カンショですね、十四万トン沖縄……。
  77. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) そうです。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 二、三日前の新聞を見ますと、沖縄独自で自分のものをやるという、潜在主権だけ、日本が十四万トン確保するということですが、どういうことになっておるのですか。新聞に、物交の問題で何割やるとか……。
  79. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 沖縄における産業といたしましては、農業関係ではカンショ、つまり砂糖とパイン、パイナップル以外にはないのでございまして、これは、現在沖縄における振興計画は急速に伸びております。そうして今のカンショ糖の生産計画も、新しくこれは分蜜糖の工場ができておりまして、昔は大東島に一つ工場があったのですが、それに準じた工場がどんどんできてきておるのでございます。従って、沖縄の十四万トンはそうむずかしいことじゃない。沖縄をなぜ内地に入れたか、内地並みにしているかということは、関税、消費税、つまり貿易関係では内地並みに扱っておるわけでございますから、当然内地と同等に考えておるのでございます。  ただいまお話がありました物交というのは、よくわかりませんが。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 物交というのは、沖縄自身が他の国と物交をやるという新聞が出ておる。砂糖をやるからおれのパインを何割か—その国はどこだったかちょっとわからぬ。二割だか三割だかのパインを買え、こういう新聞が出ていた。その中を日本が、どういう形でやるか。
  81. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これはまあ本来ならば、沖縄は、戦争前は沖縄振興費で相当の補助金—農林省関係の補助金でも相当の額があったわけです。従って、今は行政権が別になっておりますから、そういう直接的な仕事はできないようでありますが、まあやっぱり何らかの処置を講じなきゃいけないのが当然だと思います。ところが、その処置ができないから、沖縄が自衛的に、まあおやじがめんどう見てくれないから、おれは食うためにこうやるのだという計画は、あるいはあるかもしれません。しかし、それはあくまでも私どもの方と協議して、まあパイカンを日本内地に持って来る、今の計画では、来年、三十四年にはもう六十万ケースくらいできる、再来年には八十万ケースくらいということになりますと、大へんな数量になるわけです。それを日本で全部引き受けるということになれば問題ないかもしれませんけれども、今そのパイカンを全部日本内地に引き受けることは問題を提起しておりますから、もしそういうことになれば、それを処置するために、これをどこか買ってくれるところがあるならばそれを出したいということは、ちょっと想像はできます。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 しかし、それはやる気になれば、資材を安く売ってやるなり、方法は幾らでもあると思うのだ。表はどうだって、もともとはこっちのものなんだから。
  83. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  84. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記つけて下さい。  それでは本件は、本日はこの程度にいたしまして、きょうは散会いたします。    午後四時二十五分散会    —————・—————