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1959-02-10 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十日(火曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員の異動 二月六日委員塩見俊二君及び仲原善一辞任につき、その補欠として柴野和 喜夫君及び井上知治君を議長において 指名した。 二月九日委員大谷瑩潤君及び井上知治辞任につき、その補欠として堀末治 君及び仲原善一君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            田中 茂穂君            仲原 善一君           小笠原二三男君            河合 義一君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁漁政部長 武田 誠三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (漁業制度調査会に関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  漁業制度調査会の件を議題にいたします。  過ぐる第二十八回通常国会において漁業制度調査会設置法が成立したのでございますが、本日は、その後におけるこの調査会運営状況及び今後の見通し等について、水産庁当局の御説明を求めることにいたします。  ただいま出席農林省当局は、高橋農林政務次官武田水産庁漁政部長のお二人でございます。
  3. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 漁業制度調査会のその後の経過について御説明を申し上げます。  漁業制度調査会は、第二十八国会において成立をみました漁業制度調査会設置法に基きまして、昨年六月に発足をいたしました。調査会は、七月農林大臣から、現行漁業に関する基本的制度を改善するための方策いかんという諮問を受け、その後今日まで引き続き審議を続けて参っておるわけでありますが、その間、まず総会を三回開催いたしまして、漁業をめぐる客観情勢につき一般討議を行い、第三回の総会において、沿岸漁業の諸問題をおもな議題とする部会及び遠洋沖合漁業の諸問題を担当する部会二つを設け、その後、それぞれの問題につき、各部会において一般討議を行なってきております。沿岸漁業を担当する部会は、現在までに四回開催をいたしまして、漁業権制度水産協同組合制度等につき討論を重ねて参っておりますが、まだ一般論としての論議過程でありまするし、なお、一般討論を必要とするところの漁業調整制度漁業許可制度知事許可河川湖沼、内水面における漁業制度等の問題がありますので、これらの問題等につき、今後なお一、二回の一般討論が予定されております。  遠洋沖合漁業問題の部会は、現在まで三回開催いたしまして、主要漁業の現状から漁業許可制度遠洋沖合漁業経営の安定につき、沿岸漁業沖合漁業との調整等の問題につき、一般討論を重ねて参りました。遠洋沖合漁業については、国際関係に影響される面が多々ございますので、その面からの検討も要請されておる次第でございます。  以上のように、調査会は目下のところ、漁業についての諸問題について一般討議中でありますが、一通り一般討議が終了するのを待ちまして討議事項を整理し、あわせて、問題をしぼって所期の目的に沿いたい所存であります。  なお、討議主要論議経過につきましては、漁政部長から説明を申し上げることにいたしたいと思います。
  4. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ただいま政務次官から制度調査会の今日までの経過の概要につきまして御説明を申し上げたのでございますが、制度調査会におきましての論議内容等につきまして、おもな見解並びに議論をされております事項につきまして、やや詳しく御説明を申し上げたいと思います。  漁業制度調査会が開かれまして、最初の二回は、現在の日本漁業につきましての一般的な何と申しますか、漁業を取り巻いております情勢等につきましての各委員の御見解並びにこれらについて、今後どういうふうに制度調査会運営していくかということにつきましての御議論があったわけでございます。まず最初に、現在の日本漁業につきましての認識の問題と申しますか、という点でございますが、この点につきましては、従来から御承知のように沖合から遠洋へ、沿岸から沖合へというような新漁業への進出ということを一つ方向といたしまして、船の大型化あるいは装備の改善というようなことに伴いまして、どしどし大型の船が作られ、沖合漁業遠洋への進出を試み、また、沿岸小型漁船も、これの動力化あるいは大型化というような方向で、沖合漁業への進出が試みられ、それぞれの段階において大きく発展をして参ったわけでございますが、御承知のごとく、国際漁業関係その他で、地域漁業への進出等につきましての一つ頭打ち状態と申しますか、各種の制約を受けるようになってきておる。従いまして、現在の日本水産業あり方としては、そういった過去におきましての遠洋進出していくという方向については、一つの転機を画してきているのではないかということが一つ問題点として取り上げられたわけでございます。この点につきましては、おおむね各委員とも同じような御見解でございまして、今後日本漁業振興し、進展させていくということのためには、どうしてもそれぞれの漁業におきます経営の安定という方向への施策の転換がぜひとも必要であろう、そこへ重点を置いていくということの方向ではないかというような御議論が強かったわけでございます。それからなおまた、そういった漁業経営の安定というような方向への問題とからむわけでございますが、従来は食糧増産というような線に沿っての増産至上主義と申しますか、そういった方面からの施策がとられて参ったわけでございますが、最近の動物蛋白消費状態その他から見て参りますると、日本消費者の食生活の動向が、漸次肉類あるいは卵、牛乳といったような酪農関係消費が御承知のように非常に伸びてきております。で、水産関係動物蛋白の摂取といたしましては、やや頭打ちと申しますか、その消費伸びはやや停滞的な傾向を示してきておるわけでございます。そういった面からも、水産政策としては、一つの従来の方向をややこの際再検討してみる必要があるであろうというような御意見が、基本的な問題としていろいろお話があったわけでございます。こういうようなことから、現在の遠洋漁業沖合漁業あるいはまた沿岸漁業それぞれにつきまして、その経営安定をいかにはかっていくかということを一つ中心的な考え方として、今後のこまかい問題について、それぞれ議論を進めていこうということでございまして、そこで、第二回の調査会のあとで、それぞれ部会を設けるということにいたしまして、一つの方の部会では、沿岸漁業漁業協同組合中心といたします水産業協同組合の問題を中心として取り扱う部会と、それからもう一つ部会では、遠洋漁業沖合漁業関係中心として議論する部会というように、二つ部会に分けたわけでございます。本調査会の会長は御承知のように井出委員でございますが、沿岸並びに漁業協同組合関係をおもな議題といたします部会部会長は、片柳委員にお願いをいたしました。それから遠洋漁業につきましての部会長は、飯山委員が担当されるということに相なったわけでございます。  それぞれの部会で今日まで議論をいたして参っております事項は、お手元に「漁業制度調査会における一般討論課題」という刷りものがお配りしてございますが、ここにございますAといたしまして「今までに一般討論された課題、」Iの「漁業をめぐる一般情勢について」、中が「漁業発展方向について」「沿岸漁業振興について」「沖合遠洋漁業について」、こうございますが、大体この一に掲げてございますような事項につきまして、第一回及び第二回の総会におきまして、各委員から一般的な御見解の発表があったわけでございます。その中の各委員のおおむね一致しております御見解は、私が先ほど申し上げたようなことでございます。そのほか、こまかい各委員の御見解展開されたわけでございますが、それらにつきましては、その後のII以下の問題にからみまして御説明を申し上げたいと思います。  沿岸関係部会におきましては、このIIにございます漁業権制度、それからIII水産業協同組合制度、それから漁業権漁業協同組合との関係と、大体この三つの問題が今日まで議論をいたされました。  それから遠洋沖合関係部会におきましては、Vにございます「沖合遠洋漁業について」と書いてございますような内容のことが話題として議論をされたわけでございます。  そこで、沿岸関係部会におきまして問題となりました事項並びにおもな議論を申し上げたいと存じますが、沿岸漁業関係につきましては、沿岸振興をいかにするかということを一つの目標にいたしまして、これらの各制度、問題に議論展開をされて参ったわけでございます。そこで、沿岸漁業振興につきましては、当然にいわゆる沿岸漁家層、従いまして、おおむね三トンから五トンくらいの動力船を持った漁家層というものが中心になるわけでございますが、これらの沿岸漁家についての保護振興ということをどういう形で今後持っていくかということが一つ議論対象になったわけでございます。で、その場合に一つの大きな問題は、現在の漁業権制度におきまして、御承知のように現行漁業法におきましては、旧漁業法専用漁業権制度の廃止をいたしまして、御承知のような共同漁業権というような形にいたし、いわゆる根つぎ磯つきの魚につきましての漁業権、で、浮き魚につきましては、これを許可漁業対象にして参ったわけでございます。そこで、そういったまあ前提一つあるわけでございますが、現在の沿岸漁家保護振興をはかって参りますためには、沿岸漁家のまあ何と申しますか、操業いたします漁場を確保するというような方式がとられる必要があるのではないかということが一つ問題点として提起をされておるのでございます。これは、そういった沿岸漁業というものを旧来の専用漁業権の意味というような形で、漁業権という形で、確保せしめることが必要なのではないかというような御議論と、それに対しましては、必ずしもそういう形で沿岸漁場を確保する必要はないので、現行法のような許可制度というようなものを中心に考えていっていいのではないかというのと、まあ二つ見解が対立をしておると申しますか、展開されておるわけでございます。で、これにつきましては、現在の沿岸漁家層の持っております船は、だんだん従来の無動力船から動力船になって参っております。で、また船のトン数も少しずつ大きくなっておるわけでございますが、そういうことから漁場としては、その操業範囲がだんだん広くなっていくという関係にございます。そういうことで昔のような各部落々々の地先水面を限っての専用漁場というようなものの考え方では、一方で、漁業操業力としてはだんだん大きくなっておるにもかかわらず、それの操業します漁場としては、かりに専用的な形にいたしましても、非常に制限をされてしまって、かえってそれでは沿岸漁業振興にはならないのではないかということが、まあ現行法考え方でもございますし、先ほど申し上げた許可漁業的な方向でむしろ考えていっていいのではないかという方々のお考えの基盤になるものと思います。そういうことで、これは特に結論が出ておるわけのものではございませんが、一つの大きな問題として取り上げられておるわけでございます。  それから同じ漁業権の中におきまして、御承知定置漁業権の問題があるわけでございます。定置漁業権の問題につきましては、いわゆる現行法におきましては、組合優先主義をとっておりまして、漁業自営組合によります漁業自営ということが一つの基本的な筋になっておると思っておりますが、この点につきましても、現在の組合によります定置漁業権経営なり、あるいは運営というものが、必ずしも名実とも組合それ自身が行なっているというふうには考えられない面もあるわけでありますが、これらの点につきましても一つ議論展開されておるわけでございます。  そのほか区画漁業権等につきましても議論が行われておりますが、これにつきましては、ちょうど今議論の最中でございまして、特にここで申し上げるほどのところまで立ち至っておりません。  それからなお、漁業権全般を通じまして、これは漁業権協同組合との関係に相なるわけでございますが、御承知のように、漁業権は主として共同漁業権あるいは定置漁業権等につきましては、協同組合管理主体に相なっております。それで、同時に現在の漁業協同組合は、経済事業を行う経済事業体でもあるわけでございます。そういった二つの性格を漁業協同組合が持っておるわけでございますが、漁業権管理主体であるという観点からいたしますと、現在の共同漁業権その他の保有のされ方が、何と申しますか、歴史的に見ますと部落的なものの寄り集まりが保有する、共有するというような形から発展をしてきておりますものでありますので、漁業権中心に考えて参りますと、漁業協同組合あり方が、非常にこまかくなると申しますか、小さな単位で組織されてくるという形があるわけでございます。一方で、漁業協同組合経済主体としての活発な活動ということに力を置いて考えて参りますと、これはどうしても地区的にはある程度の広がりを必要としてくる、組合員の数としても相当の規模であるということが要請されて参るわけでありますが、その両者の間にいろいろと矛盾衝突する面が出てくるわけでございます。そこで、調査会におきましても、漁業権管理主体としての一つ組合と、それから経済事業を遂行していく組合二つに分けたらどうかというような御意見も一部に出ておるわけでございます。それに対しましては、漁業権というものに基盤を置いて組合経済活動なりなんなりをしていくということがぜひ必要である、同時にまた、現在の漁村におきましては、そういった二つ団体を作ることは、何と申しますか、団体を維持管理して参りますための経済的な負担能力といったような点からも、むしろ二つに分けずに一つであることの方が望ましいという有力な御意見等展開をされておるわけでございます。それで、漁業権漁業協同組合との関係におきましてのおもな問題点は、今のような点が一つ議論の点になっております。同時に、そのことが漁業権の免許に当りましての組合優先主義その他の問題にからんで議論展開されていくというような形になっておるわけでございます。それから同時に、漁業権組合との問題にからむわけでございますが、漁業権管理主体として、たとえば共同漁業権漁場管理と申しますか、いわば漁礁その他の設置によります漁場の改良といったような問題、あるいは区画漁業権等管理運営問題等につきまして、現在の漁業協同組合の果しております役割等につきましても、いろいろと議論がなされておるわけでございます。  大体漁業権並び協同組合との関係は以上のようなことでございますが、その次に、水産業協同組合━━まあ主として漁業協同組合でございますが━━につきましては、基本的な問題といたしまして、協同組合均質性と申しますか、等質性と申しますか、組合を構成しております組合員方々の質の均一化ということがぜひ必要ではないかというような御意見と、それから漁業組合が、漁業協同組合一つ地縁団体として、そういう等質性というようなことにあまりこだわる必要はない、特に漁業権共有主体でもある組合そのものを考えていく場合には、むしろ等質性ということに重きを置き過ぎると、かえって組合発展を妨げる結果となるのではないかというような御意見とが二つあるわけでございます。漁業協同組合の質的な問題としてはそういう問題がございます。  それから組合系統事業強化の問題につきましては、これは経済事業主体としていく事業強化の問題でございますが、こういった面で一つの問題は、水産の、まあ何と申しますか、特殊性からいたしまして、優良な漁港を持っております組合は、そういった立地条件が非常によろしいということで、何と申しますか、自然に強い組合になっていく。同時に、水産物特殊性から加工業関係水産物加工関係との関連を十分に持っていかないと、やはり組合事業としての伸びが達成できないのではないか。そこで、現在の水産業協同組合法におきましては、加工業者組合水産業協同組合法で設立し得るのでありますが、一つ系統組織の中にそういった加工業者団体等も取り入れていくという必要があるのではないかというような御見解も出ておるわけであります。単なる全国漁業協同組合連合会を頂点といたします系統事業ということの強化のほかに、そういった外縁的な広がりというものをさらに強くしていく必要があるのではないかというようなことも問題とされておるわけでございます。  大体、沿岸漁業並びに協同組合関係につきましては、そういったような事柄が、もちろんそのほかいろいろございますが、おもな点として議論をされておりますが、次に、遠洋関係の問題でございますが、遠洋漁業の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、漁場的に、もちろんまだ新漁場が全然ないというわけではございませんが、だんだん狭隘化してきておる。同時に、遠洋漁場につきましても、処女地でありますときには、非常にその漁獲率等もいいわけでありますが、それが漸次低下おしてきておる。それから一方で船型あるいは装備というものはどんどん改善されていくというようなことで、見方によりましては過剰投資操業力の過多というような面も現われてきておると思われるのであります。こういうことにからみまして、遠洋沖合関係漁業については、現在の許可制度というようなものについて、さらに検討を加えていく必要がある。と同時に、いわば自主的な調整というようなことが今後考えられていく必要があるのではなかろうかというようなことが一つ中心問題点になっておるのであります。  それから同時に、御承知海洋法につきまして、昨年の春、国際会議が持たれたわけでございますが、今後、この海洋法審議されました内容等にからんで、遠洋漁業というものをどう考えていくか、同時にまた、これは沿岸漁業問題にもつながる問題であろうと思いますが、今後海洋法というものが論議されたということを前提にいたしまして、遠洋沖合漁業というものをどう考えていくかということが一つの論点になっておるわけでございます。そういったこととからんで、沖合遠洋漁業の安定という問題を取り上げておるわけでございます。  それからなお、沖合漁業沿岸漁業との間には、沿岸漁業操業力が増して参るのにつれまして、どうしても相互の間の紛争というものが激化してくるという状況にならざるを得ないわけであります。これらの問題につきましては、漁業調整の問題として、制度的に今後どういうふうにこれを解決していく手段を見出すかということが問題であるわけであります。これらの沖合沿岸との関係につきましては、今後沿岸関係部会沖合関係部会との間での相互調整的な会合が持たれて、議論が進められて参ると思っております。  大体、ごく大ざっぱでございますが、以上のようなことを中心にしてこまかないろいろな各種議論展開されておるわけでございます。  なお、今後一般討論を予想されます問題といたしましては、お手元にお配りいたしましたもののBに書いてございます問題でございます。で、今申し上げた沖合沿岸漁業との調整問題、あるいは沖合漁業相互の間におきます調整の問題、あるいはまた沿岸漁業内部におきます調整問題という問題があるわけでございますが、それらの紛争につきまして、現在は御承知のように、漁業調整委員会制度というものを一つの支柱といたしまして、紛争調停に当っておるわけでございますが、これらの調整方式の問題、あるいはまた現在の漁業調整委員会の問題というものについて、今後、これはまだ全然議論展開されておりませんので、今後問題としていただきたいと思っておるのであります。  それからまた、現在の漁業許可が、沿岸漁業につきましては知事許可制度に相なっておりますが、これにつきましても、各県間の何と申しますか、各県にモンロー主義的な動きが非常に強くなっておるわけでございますが、これらの問題について、今後どういうふうに考えて参るかということが問題点でございます。  それから河川湖沼につきましての内水面漁業につきましては、これまた全然議論に上っておりませんので、これらについては、海の漁業と違います特質を一つ持っておるわけでございますので、河川漁業につきましては、一括してさらに御議論を願いたいというように考えておるわけでございます。従いまして、一般討論といたしましては、このBに掲げておりますような事項を、今後一、二回部会を開いて議論をしていただきまして、その上で問題点を整理をいたし、さらに、各御議論内容に基礎を置きつつ、今後の問題を個別にこまかく掘り下げていただきたい、かように実は考えておる次第でございます。  おわかりにくかったかと思いますが、概略の御説明を終ります。
  5. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの御説明に対して、質疑を願います。
  6. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、特別調査会の御報告を聞いたのでありますが、結論として、これが大体まとまった場合に、国会とはどういう関係になりますか。
  7. 武田誠三

    説明員武田誠三君) この調査会におきまして答申がございますれば、それに基いて、現在の漁業法なりなんなりというものについて改正をいたします必要のあります点については、法律改正の準備をいたしまして、それについて国会審議を願いたい、かように考えます。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 答申それ自身を、一応こちらに非公式なりなんなり発表して意見を問うようなことはないのですか。
  9. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 国会の御意見はどうかということをお伺いするということは別といたしまして、この審議会におきます議論経過なり、あるいはそういった答申が出ました場合には、当然こちらの方にも密接な連絡を持って、御報告も申し上げ、御説明も申し上げるというように考えております。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 この顔ぶれを見ますと、非常に俗にいう沿岸漁業に縁の遠い顔ぶれじゃないかと思っていますが、この点、どう思われますか。
  11. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 先ほど申し上げましたように、漁業制度調査会といたしましては、沿岸漁業ももちろん大事な部門でございますが、沖合い、遠洋漁業全般につきましての御意見を伺いたいと、まあこういうことでございますので、お話のごとく、遠洋関係に主として関係を持っておられる委員の方もございますが、沿岸関係にたんのうな委員の方も、ずいぶん数多くおいでになるというふうに心得ております。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 わしらが見ますと、こちらに何県協同組合というふうに出ておりますが、これは、今漁業協同組合は、沿岸漁業協同組合沖取り漁業協同組合というふうに分れているのですが、そうでなく、大体何々漁業協同組合となって、その中には沿岸も加われば、沖取りも加わっている、こういう性格のものが多いのではないかと思っておりますが、その点はどうなっておりますか。
  13. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 現在の水産業協同組合法によりまして、地区総合漁協と、それから業種別漁業協同組合、両方できるように相なっております。全体で臨海の漁業協同組合が約三千余りございますが、そのうちの大部分が地区漁業協同組合であります。地区漁業協同組合は、沿岸漁業者も、また同時に、沖合いの漁業者も加入をいたしておるわけでございます。それから別途に、業種別漁業協同組合といたしましては、カツオ、マグロの漁業協同組合もございます。あるいは底びきの漁業協同組合もございます。これは主として沖合関係の大きな漁業者を中心とした業種別組合が、それぞれこれはそれほど多いわけではございませんが、結成されております。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはまことに不勉強なお伺いですが、いろいろ御説明を聞く上に、この際明らかにしておきたいと思うんですが、沿岸漁業というものと、沖合遠洋漁業といいますか、俗にいう沖取りというんですね、それと遠洋漁業と、大別して三つに分れるわけです。これは定義的にどういうふうに分れるんですか。それがはっきりしないんですが、定義的にはどういうことなんですか。
  15. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 沖合漁業、あるいは遠洋漁業沿岸漁業というふうに私ども呼んでおるわけでございますが、これを何と申しますか、ここからここまでが沖合いで、ここからここまでが沿岸という、特に定まったものがあるわけではありませんが、大体の概念といたしましては、日帰り漁業をおおむね沿岸漁業と称しておるわけであります。日帰りができますような程度の漁業以下を沿岸漁業、それから国内に根拠地を持ちまして、国内に水揚げをする。従いまして、日本の近海でやっております漁業で、日帰り以上のもの、そういったものが、沖合漁業というふうに一応考えております。それからさらに遠くへ出て参りますものが、一般的に遠洋漁業というふうに称されておるわけでございます。
  16. 東隆

    ○東隆君 私がお聞きしたいのは、この水産業協同組合法、あるいは漁業法、こういうものが制定されたときは、やはり占領下でありますから、だいぶ弱体化の方向に法律を作られた気配がないか、こういう問題があると思います。たとえば、農業協同組合法の場合なんかには、法律そのものの中では大して問題でないけれども、農林省の方でとった措置の中には、たとえば役員の問題であるとか、そういうような問題、あるいは縦割りの問題とか、いろいろな問題があったわけです。それと同じようなことが、やはり沿岸の漁民の協同組合の組織とし、実はそれを強力なものにしていくために都合の悪いようなやり方がたくさん出ている、こう思うわけです。そこで、たとえば加工の方面を別に切り離して、そうして規定をした、そういうような問題は、これは明らかに加工を専門にやっているものを中心にして協同組合を作ったんですが、これは、中小企業者等の協同組合法によってでもけっこうやれる問題なんです。それをわざわざ水産業協同組合法の中に規定をして、そうしてやった問題なんかは、これは明らかに沿岸の漁民の協同組合が加工の方面に伸びていくことを完全に食いとめているような形をしておるわけです。そういうふうな面が出てくる。だから、そういうような面がたくさんあるんじゃないかと思うのですが、私は、今、それを一つ気がついているんですけれども、これは当然直して、そして、沿岸の漁民のみによって開いていかなきゃならぬ、こういう問題が一つあるわけですね。それからもう一つは、沖合関係に関連をして、機船底びきといったような業種別協同組合、これを認可したことが、私はこれはまた漁村におけるところの階層分化を非常に進めていった形になっておる。それで、連合会にたとえば自営をさせない、こういう問題に関係する。これは明らかに沿岸の総合的な漁業協同組合が仕事をやる場合に、一つ漁業を部門にして、それを大きく発展させようとする沿岸漁業協同組合の系統の連合会がやり得ないような形になっておるわけです。そういうような、どちらかというと沿岸の漁民が力を伸ばして、団結の力でもってどんどん水産業を発達させるような態勢になっておらぬわけですね。今の水産業協同組合法そのものがそれをはばむような形になっておるわけです。そういうような点が私は当然この中で論議をされてこなければならぬ問題で、そういう意味で、この制度調査会もあるんじゃないかと、こう思ったんですが、今、お話を聞いたところでは、そういうような問題があまり出ておらぬようにも思いますし、どういうふうになってますか。
  17. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私の御説明が多少足りなかったとも思うのでございますが、漁業協同組合の問題につきまして、お話のような業種別組合というものをどういうふうに考えていくか、それから加工関係組合をどういうふうに今後考えていったらいいかということは、当然問題になっておるわけでございます。ただ、これにつきまして、今日まで、今後の一つ課題で、協同組合問題がちょうど、今、議論が中途半端なところでございます。今後、この点についても漸次議論がされていくと思っておりますが、その中で、先ほど申し上げましたように、一部の委員の方からは、加工関係につきましては、加工業者が確立をしておるということが、同時に、そこにおきます鮮魚なりなんなりの価格維持に貢献をしておるという面も多分に見受けられるわけであります。そこで、そういう両者の間の関係というものをどう考えていくかという場合に、これを取り込んで考えていった方がいいじゃないかというような御意見もあるわけです。それから同時に、先生のお話のように、そこのところが明らかに分離していくというふうな考え方の方がいいのではないかというような御意見もあるわけであります。それからもう一つの問題としては、今の底びき関係なり、あるいは沖合漁業方々だけの協同組合というものが、業種別組合としてあるわけでありますが、そういう相当の資本力を要する漁業というものが、地区の総合漁業の中に入っている方がいいのか、あるいは、そういうものは別にしてしまった方がいいのか。これはたとえば、先生も御承知と思いますが、漁業協同組合で借金等で首が回らないというような組合が相当あるわけでございますが、その場合には、相当大きな漁業をやっておる方の着業資金というようなものが組合から出ていって、それが焦げついてしまって、組合本来の事業資金が、借り入れが非常に困難を来たす、こういうような場合も相当見受けられるわけであります。そこで、その組合についての等質性の問題がそこにきておると思いますが、質的におおむね似たような人たちだけで組合を結成すべきであるという御議論が一方にあります。そうでなくて地縁団体として相当大きな人も含めた組合態勢をとるべきだという御意見二つ出てきておるというような状態であるわけでございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと関連して今の漁業協同組合で、いわゆる漁業家といわれるような方と零細漁業の方とごっちゃになって一つ組合運営しておる点にいろいろ問題点のあるのと同様に、いわゆる漁村といわれる地方では、一方麦等を中心とする畑作と一本釣りというような形の半農半漁、こういう漁村が非常に多いのですね。そこでは一方には農業協同組合があり、一方には漁業協同組合がある。一単位の漁村あるいは漁家でいいますと、両方に加入しておる。それで両方とも不振であるという状態が各地にあるのです。こういうようなものを、漁業とか農業とかいう業種の縦ワクをやめて、農業と一本の経営を考えるような、そういう意味の協同組合というようなものを考えるというようなことで検討されたことがあるのかどうか。あるいはそういう関係にあるものはどういうふうに運営をしていくのが効率的であるというふうに考えておるのか、お伺いします。
  19. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ただいまの御質問の半農半漁地帯におきます組合をどういうふうに考えるかという問題でございますが、先ほど申し上げましたように、漁業組合につきましては、原則的に漁業権管理主体という面を一つ持っておるわけであります。そういうことから、現在の農業協同組合一つの形というものは、現状ではちょっと考えられないのではないかというふうに存じますが、そういった半農半漁的な、ほんとうの沿岸の小釣り程度のもの、あるいはテングサ取り、海草取りといったようなものしかやっていないというような半農半漁的な所におきましては、主としてそういった組合漁業権管理組合として現在運営をされておるというようなのが主たる形のように実は考えております。もちろん、そういった組合というものを農協との関係においてどう考えていくかということは、これは大きな問題でございますので、あるいは漁業制度調査会以上のところで取り上げざるを得ない問題かと思いますが、現在の段階におきましては、農協と組織的にどういうふうに考えていくかというところまでは実は議論も出ておりませんし、考えてもないような状態でございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは法律改正との問題もあると思いますが、私の申し上げるのは、制度上、農業協同組合漁業協同組合とが一体になる農業協同組合というようなものを作るべきであるというまでの議論は私はしない。ただ漁業協同組合主体になっていい地域なら漁業協同組合主体になって、その中で農業生産なり、流通の問題も取り扱える部門を置いて一体の運営をするという行き方、この程度のところまでは、制度上の問題があるなら、改正してでもやって、その零細なそして自立でき得ないような協同組合をここにでかしておかなければその金融の対象にもならぬし、何の対象にもならぬという制約を取っ払うのがいいのではないかというような感じを持つので、その程度のことはどういうことなのか、そういうことをもう一度お伺いしたい。これはさっき議論があった通り、一つ漁業協同組合の中で一本釣りの漁業者と、いわゆる漁業家といわれる独航船やなんかを出すようなそういうものと一緒に組合員であってほとんどの幹部は船持ちといわれるような人が幹部になっておる、金融面の方も独占して零細漁業者には流れない、こういうような弊害等もある中に漁村の封建性というものがいつまでたっても残っている。そういうような点は、現実にそちこちに見受けられるのですね。そういう意味では非常に根本的な問題として討議されていいと思うのですが、一方、そういうところでもないようなほんとうに貧しい漁村という中におるいわゆる漁民、あるいは農漁民といっていいそういう半農半漁の地帯において何か生きていく道ということを考える場合には、漁業協同組合一本の運営ということだけで、その協同組合の不振を克服するうまい手だてというものがあろうかどうかということは疑問だと思うのですね。ですから、資金的にも一体化して全村をあげて運営していくというような総合的な生産なり、流通なり、そういう活動をやれるような組織でなかったら工合が悪いんじゃないかという感じを持つので、しろうと論で質問したわけですが、どうですか。
  21. 武田誠三

    説明員武田誠三君) お話のような現在の協同組合の末端におきます活動状況というものからいたしますと、お話のごとく、何と申しますか、うまくいってないという面があると思っております。で、これらの点につきましては、むしろ経済事業団体として農協の方が強いと申しますか、十分な活動をしておりますような場合には、漁業それ自身としての団体としての経済活動がそもそも弱いというような場合には、漁業組合にそういった仕事を課すということはむしろ無理であろうと思います。で、そういった意味合いから農協関係でのその面での村全体をながめての共同的な経済活動ということを私どもとしても期待をいたしたい。同時に、漁業が主である場合、漁業組合で農業関係の方の面での何らかの援助ができれば、そういうふうな考え方も取り入れていってしかるべきだというふうに考えますが、大筋として、必ずこうである、ああであると言うことはなかなかちょっとむつかしいのではないかと実は思うのであります。で、末端におきますそれぞれの実態に応じて処理してゆかざるを得ないと思うのでありますが、同時に、そういった半農半漁的な、主として農が強くて漁が弱いというような所については、むしろ農を中心にして、そこの村の振興対策というものを考えてゆくことが必要ではないかというふうに思うわけでございます。で、新農山漁村建設の考え方なり、あるいはそういった総合施策を農林漁業を通じて持ってゆくというふうに考えてゆくということが、今後、そういった部面については、ことさら必要になってくるのではないかというふうに思いますが、現在制度的にこうというふうには実はちょっと割り切れない問題があるように思っております。
  22. 千田正

    ○千田正君 今、小笠原委員からもお尋ねがありましたが、たとえば零細漁業と称するこの面をどういうふうにして一応のレベルまで引き上げてゆくかということは、私は今の漁業制度改正に当っては、一つの根本的な施策でなければならないと思うんです。従来の問題にしましても、たとえば漁村を対象としての金融、助成等の問題に関しましても、地方に行ってしまうと、ボスの連中に壟断されてしまって、実際の零細な漁民の方へは渡っていない。ということは、金融を対象とする場合においては、一応それを受け入れるだけの態勢がなければ貸せない、融通できない、こういうことが原則にされている結果、いつまでたっても国のそうした施策の恩典などは受け入れられないのでますます零細化してゆくというのが現状だと私は思うんです。こういうことはあなた方、漁政を担当されている立場からいうて、ある一定のところまで漁民の生活を引き上げてゆくということになりますというと、今までのやり方を相当改正していかなければならないと私は思うんです。たとえば業種別組合なども非常に多い北洋の問題を一つ取り上げてみても、あのはえなわ等、あるいは母船に隷属するところの独航船なり、もろもろの組合が出て、その上にはみなボス的な存在がつながって、あるいは政治的バックとの間の連係があって、場合においてはいろいろな問題を引き起しておる、こういう問題についても、根本的にこの際メスを入れて考えていかなくちゃならないんではないかと思う。ことに最近に至っては、国際漁場の面は、海洋問題を含んでいろいろな面において日本水産業というものは海外からまさに締め出しを食いつつある、こういう現状においては、国内の政治家は相当大幅に考えなければならない、こういう問題について重点的に考えておられるんですか、どうなんですか。
  23. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今のお話の問題は、業種別組合といったような問題についてどう考えるかという問題にも通ずると思うのでありますが、私どもといたしまして、現行法の建前から参りますと、農林大臣の認可の権限は法的に適正であります限り、実は当然認可をせざるを得ないというような形になっておるわけであります。従いまして、たとえば北洋の独航船の組合等につきましても、これを認めてゆくことがいいかどうかという点については、行政上いろいろ問題があり得るわけでありますが、形式的にはやむを得ず認可せざるを得ないような形になっておるわけであります。これは一つ協同組合というものの本質といいますか、考え方をどういうところに基盤を置いて考えていくかという問題ともからんで参ると思いますが、できるだけ個々の漁業者が共同の力でそれぞれの事業を伸ばしていくというような方向での団結並びに事業活動というものを私どもとしては期待をいたしたいというように考えておるわけであります。従いまして、今度の制度問題等につきましても、そういった点についても、十分に議論を尽していただいてよりよき制度にいたしたいというように実は考えておるわけであります。
  24. 千田正

    ○千田正君 もう一点、漁業制度にこれは付随しまして、表裏ともに持っていかなければならない問題としましては、魚価安定政策の問題並びに漁船保険及び漁業共済等に対する裏づけの問題、そういう問題は、現在としては多少表には出てきておりますけれども、農業協同組合のような相当強い線で打ち出されておらない。それにはなぜか、欠点がどこにあるかというと、さっきから各委員がお尋ねしているように、私も尋ねておるように、施策対象としての組合なりなんなりが種々雑多であって、そうして対象になるべき一つのものが、受け入れ態勢が十分にできていない。そういうところに漁船保険にしましても、漁業共済の問題にしましても、ちっとも進んでないい。こういう問題は今後の漁業制度の問題を討議する上において当然起きてこなければならない問題と思いますが、ただいままで承わった面においては、そういう問題が出ておらないようですが、どうなんですか。
  25. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 魚価安定の問題と申しますか、さらに広く流通改善の問題として考えていいと思うのでありますが、流通改善の問題につきましては、それ自身といたしまして別途に市場調査会等の関係もございまして、現在の流通機構の問題としては、そういった面で取り上げて参りたいと思っておるのでありますが、漁業制度それ自身としても、当然魚価問題を含みます流通問題は大事な問題であると考えております。これにつきましても、協同組合の問題を今後掘り下げて参ります場合に、並びに沖合遠洋漁業等についての経営安定というような点を考えて参ります場合に当然出て参ります問題と思います。魚価安定の問題につきましては、私どもとしては、一つの問題は流通機構の問題、それから同時に、系統組織と申しますか、系統組織におきます集荷、販売という面の強化の問題が一つあると思います。それから同時に、今度は取ってくる方の側、漁船の側におきます一つの何と申しますか、自主調整的な動きと申しますか、同時にまた、私どもの方での漁業許可の運用をどういうふうに考えていくかというような問題が一方でどうしてもからむと思うのであります。現在、特に昨年非常に大暴落をいたしましたサンマ漁業等につきましても、一方で魚価をどういうふうに浜上げになったものについて安定をさせていくかという問題と同時に、御承知のように処理能力をオーバーして、一つの漁港に水揚げされるというようなことが、同時に魚価の値くずれを来たしておる原因にもなっておるわけであります。両方の面を今後どういうふうに調和を保って持っていくかということが一つの問題であると思います。そういうような意味合いからの御議論調査会においても今後取り上げられて参るというふうに考えておりますが、私どもとしては、とりあえず一つ施策として、来年度の予算におきましては、サンマとイカの価格を流通調整と申しますか、価格安定とまでは大上段には踏み切れないかもしれませんが、流通調整的な措置を講じたいということで予算の計上もいたし、御審議をもお願いするということにいたしておるのでありますが、今後の漁業者の経営安定という問題には、当然そういった問題も一つの大きな問題として取り上げざるを得ないというように考えております。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどは漁村という問題から御検討を願いたいという向きのことを言ったのですが、こういう制度の問題を根本的に考えるのに、こういう討議前提としてあるのかないのかということでお伺いしたい。それは農村において米作水田地帯等は、協同組合の手引きもあって相当な経済的な行為ができるような基盤を持っている、そういう所ろから農村の民主化ということも当然進んできておるのですね。ところが、山村畑作地帯といわれる所はまだ断層がある。まして漁村、漁村といっても漁村的な村ばかり言うのじゃない、たとえば八戸とか、宮古とか、釜石というようなりっぱな漁港を持ち、都市的な形態の所でも、一本釣り漁業者、いわゆる船乗りの方の関係を集落的に見れば漁村的なものですよ、生活状態は。そういう意味でいわゆる、磯ものを取るにしても、あるいは一本釣りに行くにしても、自前で漁業に従事している漁業労働者、こういう一家を形成している者がどういうふうにして生きていっているか、そういう実態をよく御研究になっているのかどうか。今、大体一本釣りに行くにしても、無動力ではとても遠くまで行けない、資金的にも困る、こういう向きを無理して、おやじさんがやっているとすれば、息子も何人かそういうことをやれるかというとやれない。頭のいい者は大体機関士なりなんなりの免状をとる勉強をして、そうして大型の漁船の方に移っていく、そういうこともできなければ、単に漁撈者として漁船に雇われて出稼ぎに出る、うちに残っている女、子供は磯ものを取る、あるいはコンブでもワカメでも、そういうものの漁業権のあるのは、年間何回か、困ったときに取って暮す、畑地の幾分ある者は、女連中が麦作なりバレイショ栽培をやる、こういう状態で漁村それ自体において漁業に従事して全家族が食っていけるという状態になっている所はほとんど少いのじゃないかと思うのですね。それでそのことがいかに沿岸漁村における民主化を妨げ、封建的なそのままの状態にあって、国家全体からみれば、どんなにそれが断層になっておるかということははっきりしていると思う。そういうものを全体として国民の生活水準なら生活水準、経済水準なら経済水準というものの上に引き上げていくのにどうしたらいいか、そのためには漁業制度をどうしたらいいか、こういう前提検討をされておるということがあるのかないのか、こういうことを伺いたい。それは一般の南方の漁業なりでカツオ、マグロをやる、あるいは北方へ行ってサケ、マスをやる、こういう漁業発展すれば、従ってそれに従事する漁撈者、こういうものの生活も引き上るのだ、そういう間接的なことを言うにしても、さっきのイカの話ではないけれども、結局沖取りをしたほんとうに額に汗して働いた人たちの利益の部分というものは、かえって東京におって築地における問屋、仲買、小売、こういうものの利益に奉仕する。漁撈者も利益を収奪される。あるいは漁業経営者も収奪れさる。そういう流通の点にむろん大きな問題があります。これも何とか十分な施策として考えなければならぬが、まずもって漁業家と漁撈者、零細漁民、こういう立場を対比して考えるならば、漁村の民主化という立場からいっても、まず零細漁民に対してどういう施策をやっていくか、制度的にあるいは組合の問題としてはどういう方向で経済水準を上げていくために役立つような制度を作るか、こういう検討を資料をもって、日本の人口のうちの漁民の置かれた地位、あるいは漁民の生態、こういうものを十分に調査され、把握されて御検討になっておられるのかどうか、こういう点を伺いたい。
  27. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 現在の沿岸漁家の専業、兼業別に第一次センサス、第二次センサス等を通じて見て参りますと、専業の沿岸漁家は年々減っているという状態であります。第一種兼業漁家はおおむね横ばい、ないし、専業漁家がそちらの方に転落していくと申しますか、あるいは兼業をするというような形で横ばい、ないし、やや増加、それから第二種兼業も同様に増加の傾向を見せております。一つの動向といたしまして、沿岸漁家におきましては、まあごく無動力船程度のいわゆるほんとうの零細な沿岸漁業者といわれます部面におきましては、青壮年階層と申しますか、労働力の高い連中は沖合遠洋漁業の漁夫あるいは土木事業その他に転出をしていく。高齢層ないし婦女子関係の労働が一本釣りないし沿岸の採草、採貝といったようなことをやっておるというのが、一つの零細な沿岸漁家の形であると思います。それから動力船を持ち、ややトン数も大きなものを持っております沿岸漁業者におきましては、それはおおむねそこの家族労働を主とする沿岸の小釣りなり、あるいは網漁業をやっておるという形であります。これがやや大きく、十トンないし二十トンぐらいの船になって参りますと、それに数名の漁夫を雇い入れて経営をしておるというようなのが、大体、今、沿岸におきまする漁家の三つの種類に分け得ると思うのでありますが、そういう漁船の面から見ました形、それから労働力をどういうふうにしてまかなっておるかというような状態につきましては、私どもの方も統計調査部等を通じて、時々調査をいたし、そういったものに基きまして、沿岸漁業というものについて今後どういうふうにあらねばならないかということを内部的にも議論をいたし、また調査会にも、そういったことを一つの現状として把握をして、今後の御議論展開していただきたいということにお願いをいたしておるわけであります。そこで一つの問題といたしましては、ただいまの漁業法におきましても、漁家というものについての定義と申しますか、といったものがあります。それから漁業組合組合員の資格等もそれに準じまして、年間三十日ないし九十日以上漁業に従事する者というものを組合員の資格にいたしておるのでありますが、そういった点について、それをさらに引き上げる必要がある、どういうふうに考えていくかというような点も議論をせられておるわけであります。十分であるかどうかは存じませんが、ともかく、そういった面につきましても十分目を向けて努力をしていただきたいというのが私どもの希望でもございますし、また委員方々もそういった観点からの御議論展開していただいておるというふうに心得えておるわけであります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 お願いは、日の当る業態にある漁業家といわれる者にだけ目を向けることでなくて、そういう俗称、非常に悪い言葉ですが、零細漁民といわれる、旧来の漁業形態の中で、先ほど御説明のありましたように、いろいろな業態に変っていかざるを得ない、そういうような下層漁業者のために真剣な討議をせられて施策を作られるようにお願いしたい。それは、磯ものの繁殖を願うために、投石だ、それなんだとかいうようなことを言ったって、国家予算全体の各国民階層に配分する予算の問題からいったら微々たるものです。まことに不当ですよ。一般に漁業者それ自身に対する政府の施策というものはどういうことがいいという決定的な対策を編み出せない悩みがあることが大きな原因でしょうけれども、決定的な手を打つということがない。ですから、こういう調査会等があって討議せられる際に十分な御検討を経て、いい成案があったら国会にもどんどん出して、われわれにも協力でき得る機会を与えてもらいたい、そういう点をお願いしておきます。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと、今の小笠原さんの問題の具体的なものになりますが、ということは、水揚市場が中央卸売市場法の適用外地にできます。この市場関係におきましては、地方市場としては水産が一地大きいかと思うのであります。これはすベて適用外であり、私設市場という形をとっていると思います。今の中央卸売市場法から見れば。そこで、そういうものを作ります際に建物、敷地。一応水揚げの海岸の築港というようなことで相当金がかかりますので。その市場を作るために、ある地区漁業協同組合が五つなり六つなり寄りまして一つの水揚市場を作ります場合に、力のある者が金を出していきますが、力のない弱小組合員は金がない、こういう問題が出てくる。非常に阻害せられて、場合によりますと仲間にも入れないというようなことで紛糾しているものも見受けられるが、こういうものに対して、農林省としてはどういう指導と━━これからこういうものが発達してくるのだろうと思いますが、指導と、その実質を備えさせるために努力しておられるかどうかということですが、この問題が一つ。  それから協同組合が前の専用漁業が解かれて共同漁業になりまする際に、一応専用漁業者から国が代償を払ってこれを買い上げられた。それで新しき漁業協同組合漁業権をとりまして、協同組合の漁区並びに定置網等の漁業権管理と同時に、漁業協同組合に投資をしていく、こういう場合に、まず出て参りますのは、その定置網なら定置網を入れるために多額の資本が要るために、まあ漁業協同組合の資産の投資の大部分を、一、二の人が半分ぐらい持ってしまう。その上なお金が足らぬというので別の漁業組合のようなものを作って、それが別の形でその漁業協同組合組合として参加していく。こうしてやりました際に、参加の形で一つ契約を行う。そういうために、たとえば一カ年一億円の漁獲高があるとすると、そうすると特別の漁業協同組合を作って、漁業協同組合との間に結ばれた契約は水揚げの三割を特別の組合が持っていく、こういう契約がある。それからあとへ残りました者には、大体組合の株券を半分持っていく、こうなります。そうしますると、一億円のうち約三千万円は、これは経費は負担しなければなりませんが、それを抜きにして計算しますと、三千万円は特殊組合として一応持っていく。利益として少数の人が持っていく。同時に、その人が漁業協同組合へ五割の投資をしておりまするから、従って、利益のあとの七千万円の半分三千五百万円を持っていく。そうすると少数の人が約六割五分、一億円の利益の大体六割五分を持っていく。あとの有象無象がようやく三割五分を分ける。こういう形のものが出ているのですね。こういうやり方が果していいのか悪いのか、これは非常に重要な問題だと思うのですが、農林省はこういう問題に対してどうお考えになっているのですか。現実にあるのです。
  30. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 先ほどの市場の問題でございますが、私どもとしては、漁業協同組合の共同販売所として、これの拡充をできるだけ指導をしているわけであります。これに、共同販売所の形といたしましてのものについては、梱包物資その他の面での援助をして参っているというような形でありますが、先生からのお話の点につきましては、具体的にさらにお話を別途伺いますれば、個別の問題としてどういうふうなことであるか、まあ考えさしていただきたいと思いますが、一般的には漁業協同組合のやります共同販売所の拡充という線につきましては、私どもといたしましては、奨励の立場に立っているわけであります。  それから定置漁業権経営参加並びにそれの利益配分といったような問題にからんで、定置漁業経営というものをどういうふうに組合との関係で考えるかという問題であると思うのですが、私どもとしては、定置漁業権については、できるだけ組合自営といったような方法ないし当該地元におきます漁家の経営参加ということを中心に実は方向としては考えているわけであります。ただ、現実の問題といたしましては、お話のごとく、定置漁業経営いたしますについての資本の問題あるいは経営技術の問題等々がございまして、一足飛びにそこまで行きかねる場合が多々あると思うのであります。漸次そういった面におきます組合なり、あるいは水産組合といったようなものの指導権を確立をしていくというような方向で着実に定置漁業につきましての組合自営という方向を進めて参りたいと思うのでありますが、同時に、定置漁業につきましては、御承知のように漁、不漁が、ともかく魚の動きを待つわけでありますから、相当激しい波があり、一般の漁船をもって行います漁撈漁業との間にはさらに差があるわけであります。そういった意味合いからのリスクというものをどういうふうに考えていくか、制度的にもどうカバーしていくかということが一つの問題に相なるわけであろうと思うのであります。これらの点につきましては、先ほども千田先生からお話がございましたような、漁業共済の制度というようなものをどう今後裏打ちをしていくかという問題とからむと思うのでありますが、しかし、定置漁業というものを、現在の私どもとしての考え方としては、やはり地元の組合なり、地元漁民の一つの権利として、それの完全な自営に参加していくという方向へ進めで参りたいというのが私どもの現在の立場でございます。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、今農林省の考えている形と、今私が例に出しました定置網を中心にした漁業協同組合の形とは、全く相反している、こう思うのですがね。こういうものを現実において改正するには、どういう方法をとったらいいのか。
  32. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 現在の定置漁業権の免許の方針は、確かに組合優先ということでございますが、過去におきます当該漁業権ないしそのほかの定置漁業権につきましての経営の実績、経験があるかないかというような問題、それから漁業権運営していくだけの能力があるかどうかというような問題等々、いろいろな条件をもとにいたしまして、県の漁業調査委員会におきます漁場計画に基いて、その漁業権の設定についての申請をし、それに基いて調整委員会でも審査をし、さらに知事が免許を与えるというような形になっておりますので、すべてがすべて漁業協同組合に免許が行われておるものでは必ずしもございません。しかし、考え方といたしましては、組合というものに権利を与えられ、それがみずから行なっていくということを一つの方法として打ち出しておるわけでございます。従いまして、現実の個々の定置漁業権の免許のあり方ないし経営の現状におきましては、お話のごとく、そこまでほど遠い状態になっておるものがあることはやむを得ない段階ではないかというように考えております。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言うのは、漁業協同組合経営主体を持っておるような形になっているが、内容は一、二の人が全部掌握して、利益の六割五分を持っていく。これは二、三の人ですよ。こういうことを放置しておいていいのかということです。
  34. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 放置しておっていいのかという単刀直入のお話でございますが、これは当該漁業権の権利行使の内容につきまして、具体的によく私どもの方としても調べてみて、まさに免許の内容と背馳をしておるというようなことがございますれば、これについては当然考えざるを得ないと思いますが、そういった、何と申しますか、条件その他、もし具体的に個々の漁業権というお話があれば、それについて私どもの方で、県当局なり何なりにも十分調査をさしてみたいと思います。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 わしの言うておるのは、個々の漁業権じゃないんです。漁業協同組合という、一つ管理主体と作業主体というんですか、この二つをもって漁業協同組合をやっているが、その内容において、株券を半分持っておる、あるいはそれを運用するために別の投資組合のようなものを作って、そしてそれが漁業協同組合の中に入っておって、それらの利益配分になると、二、三の人が、大体組合の総利益の六割五分を持っていく、大部分の人はあとの三割五分しか分けられない、こういう実態になっておるが、そういうあり方がいいのか悪いのかということを言っているのです。表はさらに問題はありません。問題はありませんが、内質においてそういう形がとられておる。これはひとり私が今お伺いしておる具体的な場所だけでなく、そういう傾向は、非常に紛争を起していることが方々にあるのではないかと思います。漁業協同組合経営とか、あるいは町村の経営とかというような形で実際は出ておりますが、内質においては、ほとんどそうでない。別な、今言うたような利益の大部分を持っていく内質を備えたものが方々にある。そこで、漁業協同組合を脱退して、旧漁権のある海区の部分でも分けてもらって、そこで自分たちだけの定置網を少数な漁民で作っていきたいという要求がたくさん出ている。そういうものが私は東海道方面にたくさん出ていると思います。そういう商業行為の進んだところほどそういう問題が多く出ているが、そういう問題を、この漁業制度調査会等でそういう問題をどの項で一つ研究してやられるのか、研究の対象になっているのかなっていないのかということと、農林省はそういうやり方に対して、どういうふうな考えを基本的に持っておられるか。私は全く不合理だと思うんだ。共同漁業権を与えたことは何ら価値がない。同じことなんですよ、それは。こうわれわれは考えざるを得ないが、どうなのかということです。
  36. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今のお話でございますが、農林省としては、そういう形が好ましいとは考えておりません。ただ、一つ経過的な問題としてそういうことが起ることもまたやむを得ない場合もあると思うわけでございますが、こういった問題につきましては、どこで議論しておるのかというお話ですが、調査会議題といたしましては、漁業権制度の問題といたしまして、定置漁業権が当然問題になっておるわけであります。定置漁業権というものについての免許のいたし方なり、あるいはこれらにつきまして、現在賃貸その他の行為を禁止されておるわけであります。そういったものがあまり現実離れをしてしまっておるのではないかというような御意見もあります。むしろ実態に合せた方がいいんじゃないか、賃貸できるというような方向を考えたらいいじゃないかというような御議論もございまするし、あるいは組合自営という方に、現在考えておりますように持っていった方がいいという御議論もございまするし、いろいろな議論が出ておりますが、まだ結論的なところまではいっておりません。そういうような状況でございます。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 この場合ですね、旧占有漁業権協同組合という形に変って、そうして経営せられているだけであって、私は共同漁業権が成立するときには、一つ協同組合区域というものを中心にして、均分にその利益が分けられて、漁権の民主化、こういうものが考えられるんじゃないかと思うんです。ところが、少し大きな区域における、ことに最近は町村合併等が行われて、相当大きな町村単位の中に幾つかの漁業協同組合を含んでいる。こうなった場合に、旧占有的な漁業権を持っていたその海区だけが漁業協同組合として、何か独占的な、やはり同じ考え方でそれを占有しているということは、漁業法によって、国が一応漁業権の民主化のために、代償を払ってこれを買い上げたという考え方と私は違ったものがあるんじゃないか、それが今の結果になっているんじゃないかと思う。
  38. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今のは定置漁業の問題と思いますが、旧来の定置漁業権の更新も免許の対象にいたしておりまするし、賃貸、売買等もできるという形であったわけであります。これを新しい漁業制度におきましては、一般的な意味におきます定置漁業のうちで、特に大きなものだけを定置漁業権、いわば身網の水深が二十七メートル以深よりもっと深い所で行います定置漁業対象といたしまして、それよりも浅い所で行います広い意味の定置漁業、同じような網を使ってやります定置漁業につきましては、これは漁業権内容にいたしておるわけであります。漁業権内容につきましての行使については、漁業協同組合の定款あるいは内部規約の定めるところに従いまして、その行使を組合内部できめる、こういう形になっておるわけであります。それから定置漁業権につきましては、いわゆる大きなものにつきましては、免許の主体として漁業協同組合に優先的に免許をいたしますが、協同組合が適格でない場合には、個人に参る場合、あるいは水産組合に参る場合もございますが、ともかくそういった意味の定置漁業につきましては、その免許の内容に基きまして、それぞれ本質的には協同組合の完全な自営ということが一つの方法でございますが、現在の段階では形式的な自営という形で、実質的にはそれに対する他人資本の導入というような形のものが多々あるというのが現状であるというように考えておるわけであります。
  39. 仲原善一

    仲原善一君 この制度調査会委員の人選といいますか、そういう場合の基本方針か何かありますかどうか、まず第一にお伺いしたいと思います。
  40. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 委員の人選の基本方針と申しますか、委員の人選につきましては、これは先ほども申し上げましたように、漁業制定━━現在の漁業法あるいは協同組合法あるいは水産資源保護法といったような、漁業基本的制度についての法律制度かあるわけでありますが、従いましてそれらの問題に関連いたしまして実際に漁業協同組合運営を行なっておられる、あるいは当該漁業についての経験のおありの方、ないしはこれらの問題につきまして従来から経済的な面なり、あるいは法制的な面で専門的に御研究になっておられる方という、いわば学識経験のおありになる方々ということを一つの基準にしてお引き受けを願ったわけでありますが、特にこういう方面から何人、どういうところから何人というような特別な基準を設けてやったわけのものではございません。
  41. 仲原善一

    仲原善一君 この名簿を拝見しまして、実はこの協同組合関係が五人ばかりいらっしゃいますが、これは大体沿岸漁民関係の代表というふうに考えられますけれども、ところが、兵庫県が二人出ておるというような関係もありまして、ところが、実態を考えますと、同じ沿岸漁民を代弁すると申しますか、知識の深い人でも地域によって相当違いがあるのではなかろうかと考えたわけなんでありますが、たとえば九州方面はだれも入っていない。それから、あれほどやかましい山陰漁場のまき網沿岸漁民の実態について詳しい人もいないというような関係で、そういう意味で地域的な考慮もあわせて考えていただければという気持が実はしたものですから、一応任命のときの方針というものをお伺いしたわけでありますが、まあねらいはそういうところで質問したわけであります。
  42. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 御承知のように、漁業問題につきましては、たとえば北海道におきます漁業と西の方の漁業とは形態も内容も相当違っております。それから、いろいろな漁業紛争と申しますか、地方的な大きな問題というものも瀬戸内海とお話の山陰では違った問題を含んでおります。それぞれ非常に地域性と申しますか、地方性を持っておるわけでございまして、それぞれについての関係の方を網羅するということになりますと、実はもう大へんな数になってしまうということも実は考えられるわけであります。で、私どもといたしましては、全般的に学識経験者として各界からも認められておられる方というような意識のもとに委員の方をお願いをいたしたわけでありますが、同時にこの制度調査会におきまして、個別に、特に必要な問題があります場合にはそれぞれ専門委員をわずらわして御意見を承わりたいというように実は考えておるわけであります。で、今後の調査会におきます審議の進展に伴いまして、専門委員の方を随時お願いをいたして議論に参加していただくということも起って参ろうかというように考えております。
  43. 仲原善一

    仲原善一君 ただいまのお話で大体わかりましたが、人数の少い委員の中で、同じ県の、しかも漁業協同組合長あるいは連合会の会長と申しますか、まあ二人も出ておるというようなのよりも、やはりその点は何となく地域別に考えた方がいいのじゃないかというような気がいたしましたので、そういう質問を申し上げたのですが、ただいまのお話で専門委員というので、特に特殊な事情の地域については考慮するというお話ですから、それでよかろうと思いますが、その点をちょっとお願い申し上げておきます。
  44. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 兵庫県の香住から西上さん、それから同じく兵庫県の漁連の会長として三浦さんが出ておられますが、これは実は三浦さんをお願いいたしましたのは、瀬戸内海の連合海区の漁業調整委員会の会長をしておられまして、瀬戸内関係と香住の裏日本関係とは、まあ漁業の形態からいきましても何からいたしましても、非常に違うわけでございます。そういうような関係等もこの人選の中には一つ考えられておるものと思っておりますが、特に意識的に一つの県から二人というようなことでやったわけのものではございません。
  45. 東隆

    ○東隆君 私はお話を伺っておって、結局沿岸から沖合沖合いから遠洋と、こういう方向、あるいは小さな船が大型に変っていく、こういうような方向、これは私は基盤がやはり沿岸の漁民を、あるいはそれの組織しておる漁業協同組合を組織して、それが伸びていかなければならぬと、こういう考え方なんです。今の形でありますと、沿岸の漁民、沿岸漁業協同組合を踏み台にしておるかもしれませんけれども、しかしそうじゃなくて、中の力のあるものが沖合漁業に出て、また遠洋漁業に出ていく、こういう形になっておるので、形は私はその通りにいっておるかもしれないけれども、中身は私は非常に違ったものになっていると思う。で、水産庁の私は理想としておるところは、やはり沿岸漁民の力が結集されて沖合いに出ていくと、それからそれがまた遠洋の方に出ていくと、こういう形ができてこなければならぬ。その形をやるのには、何としても沿岸漁業協同組合の育成強化ということに私は重点が、漁業制度調査会の重点がそこに向けられなければならぬと思うのです。ところが、ここでは調整だの何だの、そういうようなことが中心問題になって、そうして場合によっては沿岸漁業協同組合がただ共同漁業権管理者になるか、でなければ沖合い、あるいは遠洋漁業に対するところの労働者を供給する組織になるか、そんなようなふうな意味に考えられて、非常に心配なのです。そこで、中心問題をどこに持っていくかというと、やはり沿岸漁業協同組合を育成強化して、そうしてそれの組合員がりっぱな生産を上げ、そうして生活もよくなる、こういう態勢に持っていくことが、これが漁業制度調査会の私は中心課題でなければならぬと思うのです。そいつがどうもだいぶ横の方にそれていっているように聞かれたわけであります。それで、そういう観点からすると、たとえば沿岸漁業協同組合の部落的な小さなやつを統合して行政区域でもってやられるというような問題も解決のしょうがない。解決しようとすれば、漁業権なんかの問題についてもいろいろな検討を加えなければならぬし、いろいろな問題があろうと思いますが、そういう点で沿岸あるいは沖合い、遠洋というような二つの部分に分けられておる研究の仕方ですね、これも私は一つの方法だろうけれども、やはり漁業協同組合中心にしてやる一つの問題と、それから漁業法中心的の問題にする、こんなふうに二つに分けてやるべき筋合いのものじゃないだろうか、こういったように思ったりするのですが、今のところはどうも私がねらっておるようなこととだいぶ方向が違うように見えるので、その結果どこへ出てくるかというと、漁業法改正と、それから水産業協同組合法改正にめどを置いておるのだというのですから、私はやはりそっちの方で中心的に二つ対象にして、そうして片方の方は沿岸漁業協同組合を育成強化していく、その場合において特殊漁業協同組合というものがいかなる役割をしているか、そいつをやはりはっきりさしておく必要があると思う。農業の方で、実のところをいうと、特殊協同組合という、たとえば酪農業協同組合一つ取り上げても、こいつと、それから総合的な普通の農業協同組合との関係それからそいつの連合会なんか、そういうふうなものになってくると、水産の方をそいつに比べてくると、沿岸漁業協同組合には仕事ができないようにしておるのじゃないか、沿岸漁業協同組合は仕事ができない。加工の面なんか非常に限定されてしまって、そうしてほとんどやれない。だからまず加工もできないし、それから今度外へ出ていくのには特殊漁業協同組合を組織して、それでそいつがやっている。しかもそれは組合ですから、従って別な沿岸漁業協同組合の方へいって荒し回って、ギャングみたいのことが起きてくる。だから、かえって総合的の漁業協同組合を、沿岸漁業協同組合組合員にして、連合会に特殊事業を認めるような形に持っていけば、そうすればどういうことになるかというと、十分に、沿岸協同組合組合員ですから、組合の害になるようなことをするような、そんなことは起きてこない。だから、一つの問題を考えてみても、特殊業種別協同組合、そいつは單位組合として認めておるけれども、その連合会そのものに自営をさせ、仕事をさせる、こういう体制を整えていれば、私は普通の協同組合と同じような概念、農業の方面における考え方と同じような考え方水産の方も見ていけるのじゃないだろうか、こう考える。そうすれば、沿岸漁業協同組合の結集した力が沖合いに出る。沖合いが遠洋の方にも出る、そんなような形で可能なわけです。そいつを考えないでやたらにやっていくと、私は非常に摩擦ばかりこしらえちゃって、そうしてそれでもっていかないものは、これは単独で株式会社こしらえてやればいい。株式会社にするのは都合悪いというので、そいつに圧力を加えているなら、沿岸の漁民の自由なる意思で作った協同組合が仕事ができないように制限を加えるのは間違いである。だから、今のやつは制限をしておるような形でできておるから、この点をどういうふうにお考えですか。
  46. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 現在の漁業法、あるいは水産業協同組合法地区のいわゆる総合単協なり何なりの活動を故意に、何と申しますか制限をするというようなことでも規定をされておるものとは実は考えておりません。むしろ考え方としては、あまりにも自由であり過ぎるために、むしろそういう形になってくる面があるのではないかという気はいたしますが、特に漁業協同組合に加工事業はやってはいけないというふうな、積極的にそれを阻止する規定は特にあるわけではございません、むしろ漁業協同組合におきまして、そういった加工事業が発達をしていかない、目ざましい伸展を遂げていっていないということの一つは、やはり組合の大きさと申しますか、当該組合に集荷されて参ります鮮魚量の問題なり何なりが一つの問題でもあるわけであります。それから同時に、御承知のごとく、水産関係の産地市場につきましては、漁業協同組合がこういった仕事に手をつけます前に、いわゆる商人市場的に形成されておるところもずいぶんたくさんあるわけであります。そういうところにおきましての商人資本が非常に強いということのために、伸び悩んでおるというようなところもあろうかと思います。しかし、全般的には単位漁業協同組合一つの大きな仕事はやはり共同販売事業であり、それにつながりましての加工事業が年間稼働し得る形においてできます場合には、逐次それが伸びてきておるというような実は形になっております。一つの加工施設を作りましても、沿岸漁業に依存しております限りにおいては、なかなか十分に当該加工施設が運営されるということが望み得ない場合が相当あるわけであります。そういうことからなかなか発達をしにくいという面も実はあるわけでございまして、いろいろな面から私どもも検討を加えて参らねばならないと思いますが、特に漁業協同組合の事業活動というものを制限するという方向制度を作り、あるいは運営をしておるということは全くございませんので、やはりお話のごとく、協同組合活動並びに系統組織運営というものの強化を第一の方向として私どもとしても指導に当っておるつもりであります。
  47. 東隆

    ○東隆君 私はその単協がやり得ない面は、これは私はやはり単協の結集した連合会がこれをやはりやらなければならぬと思います。ところが、連合会の方では、私は共同販売の問題でもそういうようなことができないというわけじゃないのですけれども、たとえば船を持って魚をとるということは、これはできないことになっておる、事実上……。そこで、底びきなんかは結局組合をこしらえている。だから、そういうような場合に連合会がやり得るということにすれば、結局沿岸漁業協同組合が参加をして、機船底びきの連合会を組織するわけです。そしてその連合会が魚をとる、こういうことになればどういうことになるかというと、沿岸漁業協同組合漁業権を荒すようなことはできないわけです。そういうような問題ができてくるので、そういう形でもって積み上げたものを作っていかなければ、結集された力でもって遠洋漁業沿岸漁業協同組合がやるという体制にはならぬじゃないか。沿岸漁業協同組合は力があるからというので、それは焼津あたりだの何だのそこら辺のはあるいはできるかもしれません。やろうとすれば、形を変えればできるかもしれませんけれども、しかし普通の場合にはそいつはできないでしょう。だから、連合会に認めていって、そうしてその連合会そのものは大きく出ていく形をとっていかなければ、沖合いから遠洋というものに漁民が参加してやっていく体制はこれはできません。資本の方は、これはどこからでも資本を集めてやりさえすれば、経営者がそいつを使ってやりさえすればできる。これは何にも問題はない。そっちの方は自由だけれども、ところが、協同組合を通してやっていくという場合に、連合会で、中心の生産の方面、それができないような体制を作り上げていくということは、これは完全に漁民の自由なる意思でやっていくやつに対する大きな制限ですよ。その点を言っているわけです。単協に何ぼ認めても、単協の資本というものは弱いので、そういうことができるわけはない。ですから、それの結集された形でもってやっていけば、連合会でやれるということになれば、農林中金だって何だって出していく。そっちの方で何もできないわけではない。資本だって、かえって農林中金が北洋漁業だの何だのに資本を流すよりも、沿岸漁民の結集した力の連合会に農林中金が資本を出したり、あるいは農林漁業金融公庫が資金を融通する、これが法律をこしらえた趣旨に合致していると思うが、そうじゃないですか。今農林漁業金融公庫からだいぶ漁船などを作る資金を株式会社に出しておる。あれなんかは私は非常に間違った金融の仕方だと思う。そういう点が私は中心課題だろうと思う。協同組合というものを中心にして漁民の生産、漁民の生活、そういうものを考えなければならない。こういう考え方から見ていくと、漁業制度それから水産業協同組合法というものは非常に間違った形によって進んでいって、そうしてその形でもって伸びるものが伸びないであるのじゃないか。こういう面があるからそれを直していかなければならない。それはやはり協同組合の本質から考えていって進めていかなければならぬ問題じゃないか、そういう考え方に立てば、今の漁業金融なんかの制度は非常に間違った形で行われておる。そういうものを是正していかなければならない。そういう点なんです。
  48. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ただいまのお話の点は、漁業組合の自営問題にからむと思います。現在の規定上、漁業協同組合連合会の自営を特に制限をしておるわけではございませんが、現実の当該漁業についてのリスクなり、あるいは経験というようなもの、また連合会の力自身もきわめて強いというところまでまだ育っておりませんような現状から、なかなかそこまでは現実には、行われてない。先々の形として調査会におきましても漁業自営の問題として議論は一、二行われております。今後もこの点につきましてはまたさらに掘り下げられるものというふうに考えております。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 魚価の問題をさっき出されたが、これはよほどこの調査会で掘り下げてもらいたい。ということは、最近相当の資本を投じた場合は大衆魚というのですか、そういうようなものが非常な水揚げが行われる、そういうものが塩干魚等の形で市場へ流れておる、それは非常に安い。ところが、沿岸漁民のとる漁獲は大体、時によりますとイワシとかそういうようなもののいわゆる大衆魚といわれるものの時期的な豊漁ということはあるけれども、そうでない場合は大体平均してとられておる。これは昔は、そういった塩干魚冷凍等の非常に加工物の進歩しなかった時分には、鮮度をもって相当な価格で売られておったと思う。それが鮮度を無視して、他から安い冷凍塩干魚等が入ってくるために近海ものが価格で押されて魚価が非常に下っておる、こういう面が見られるけれども、これが第一番の沿岸漁民の弱っていく最大原因になっているのではないか。こういうことを考えられるのですけれども、それと同じようなものが、大きな中央市場等を中心にしてやはりもう一種の独占資本的な動きによって塩干魚等が価格の何というのですか、価格がもう通常きまって、ほとんど利盛というものが仲買いその他にきまりまして、今問題になっておることは漁政部長よく御存じだと思う。そういう結果が問題になって、塩干魚に対する価格の問題に対して中央市場の仲買人その他が問題にしておることは御承知の通りであると思う。ああいう形でぐんぐんと押してきまして、沿岸漁民を経営的に非常に困難に陥れている面が多いのじゃないかと思うが、こういう問題に対して一つ徹底的方策を考えていただくことは非常に重要だと思いますので、これの流通問題というものはこれからまだ出るかもしれませんが、今の段階においては討論対象にならないでおるから、これは農林省があらためて出してでもやはりそれを中心にした問題が出て参りますれば、今、東君が言われるような点までのものが、考えられるものが出てくるのじゃないかと思う。私はそういう点に非常に大きな穴があるのではないかと思う。そういう点をお考えになっておるか。
  50. 武田誠三

    説明員武田誠三君) この漁業制度調査会におきましてただいまお話の価格問題、魚価算定方式といいますか、並びに流通機構の問題等にからんでこの調査会でやるのかどうか、そういうお話でございますが、私としては今の流通機構の問題につきましては、市場に関します調査会の方で取り上げていただきたいというふうに考えておりまして、協同組合の系統強化の問題、系統事業をどう持っていくかというような問題、あるいは経営安定といったような面から見た価格問題、あるいは流通問題という意味合いでの取り上げ方をお願いをしておるということでございます。
  51. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) この問題は、この程度にいたしまして、この調査会の進行につきまして、また時々当局の御報告をいただくことにいたしまして、本日は、この程度にいたしまして散会いたします。    午後零時五十九分散会