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1959-02-10 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十四年二月十日(火曜日) 午前十時四十七分開会
—————————————
委員
の異動 二月六日
委員塩見俊二
君及び
仲原善一
君
辞任
につき、その
補欠
として
柴野和
喜夫君及び
井上知治
君を
議長
において 指名した。 二月九日
委員大谷瑩潤君
及び
井上知治
君
辞任
につき、その
補欠
として
堀末治
君及び
仲原善一
君を
議長
において指名 した。
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
秋山俊一郎
君 理事 雨森 常夫君 堀本 宜実君 東 隆君
清澤
俊英
君 北 勝太郎君
委員
田中 茂穂君
仲原
善一
君
小笠原二三男
君 河合 義一君 棚橋 小虎君 千田 正君 北條 雋八君
政府委員
農林政務次官
高橋
衛君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
説明員
水産庁漁政部長
武田
誠三君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
の件 (
漁業制度調査会
に関する件)
—————————————
秋山俊一郎
1
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) ただいまから
農林水産委員会
を開きます。
漁業制度調査会
の件を
議題
にいたします。 過ぐる第二十八回
通常国会
において
漁業制度調査会設置法
が成立したのでございますが、本日は、その後におけるこの
調査会
の
運営状況
及び今後の
見通し等
について、
水産庁当局
の御
説明
を求めることにいたします。 ただいま
出席
の
農林省当局
は、
高橋農林政務次官
、
武田水産庁漁政部長
のお二人でございます。
高橋衛
2
○
政府委員
(
高橋衛
君)
漁業制度調査会
のその後の
経過
について御
説明
を申し上げます。
漁業制度調査会
は、第二十八
国会
において成立をみました
漁業制度調査会設置法
に基きまして、昨年六月に発足をいたしました。
調査会
は、七月
農林大臣
から、
現行
の
漁業
に関する
基本的制度
を改善するための
方策いかん
という諮問を受け、その後今日まで引き続き
審議
を続けて参っておるわけでありますが、その間、まず
総会
を三回開催いたしまして、
漁業
をめぐる
客観情勢
につき
一般討議
を行い、第三回の
総会
において、
沿岸漁業
の諸問題をおもな
議題
とする
部会
及び
遠洋沖合漁業
の諸問題を担当する
部会
の
二つ
を設け、その後、それぞれの問題につき、各
部会
において
一般討議
を行なってきております。
沿岸漁業
を担当する
部会
は、現在までに四回開催をいたしまして、
漁業権制度
、
水産協同組合制度等
につき
討論
を重ねて参っておりますが、まだ
一般論
としての
論議過程
でありまするし、なお、
一般討論
を必要とするところの
漁業調整制度
、
漁業許可制度
、
知事許可
、
河川
、
湖沼
、内
水面
における
漁業制度等
の問題がありますので、これらの
問題等
につき、今後なお一、二回の
一般討論
が予定されております。
遠洋沖合漁業
問題の
部会
は、現在まで三回開催いたしまして、
主要漁業
の現状から
漁業
の
許可制度
、
遠洋沖合漁業
の
経営
の安定につき、
沿岸漁業
と
沖合漁業
との
調整等
の問題につき、
一般討論
を重ねて参りました。
遠洋沖合漁業
については、
国際関係
に影響される面が多々ございますので、その面からの
検討
も要請されておる次第でございます。 以上のように、
調査会
は目下のところ、
漁業
についての諸問題について
一般討議
中でありますが、一通り
一般討議
が終了するのを待ちまして
討議事項
を整理し、あわせて、問題をしぼって所期の目的に沿いたい所存であります。 なお、
討議
の
主要論議
の
経過
につきましては、
漁政部長
から
説明
を申し上げることにいたしたいと思います。
武田誠三
3
○
説明員
(
武田誠
三君) ただいま
政務次官
から
制度調査会
の今日までの
経過
の概要につきまして御
説明
を申し上げたのでございますが、
制度調査会
におきましての
論議
の
内容等
につきまして、おもな
見解
並びに
議論
をされております
事項
につきまして、やや詳しく御
説明
を申し上げたいと思います。
漁業制度調査会
が開かれまして、
最初
の二回は、現在の
日本漁業
につきましての一般的な何と申しますか、
漁業
を取り巻いております
情勢等
につきましての各
委員
の御
見解
並びにこれらについて、今後どういうふうに
制度調査会
を
運営
していくかということにつきましての御
議論
があったわけでございます。まず
最初
に、現在の
日本漁業
につきましての認識の問題と申しますか、という点でございますが、この点につきましては、従来から御
承知
のように
沖合
から
遠洋
へ、
沿岸
から
沖合
へというような新
漁業
への
進出
ということを
一つ
の
方向
といたしまして、船の
大型化
あるいは
装備
の改善というようなことに伴いまして、どしどし大型の船が作られ、
沖合漁業
は
遠洋
への
進出
を試み、また、
沿岸
の
小型漁船
も、これの
動力化
あるいは
大型化
というような
方向
で、
沖合漁業
への
進出
が試みられ、それぞれの段階において大きく
発展
をして参ったわけでございますが、御
承知
のごとく、
国際漁業関係
その他で、
地域漁業
への
進出等
につきましての
一つ
の
頭打ち
の
状態
と申しますか、
各種
の制約を受けるようになってきておる。従いまして、現在の
日本
の
水産業
の
あり方
としては、そういった過去におきましての
遠洋
へ
進出
していくという
方向
については、
一つ
の転機を画してきているのではないかということが
一つ
の
問題点
として取り上げられたわけでございます。この点につきましては、おおむね各
委員
とも同じような御
見解
でございまして、今後
日本
の
漁業
を
振興
し、進展させていくということのためには、どうしてもそれぞれの
漁業
におきます
経営
の安定という
方向
への
施策
の転換がぜひとも必要であろう、そこへ重点を置いていくということの
方向
ではないかというような御
議論
が強かったわけでございます。それからなおまた、そういった
漁業経営
の安定というような
方向
への問題とからむわけでございますが、従来は
食糧増産
というような線に沿っての
増産至上主義
と申しますか、そういった方面からの
施策
がとられて参ったわけでございますが、最近の
動物蛋白
の
消費
の
状態
その他から見て参りますると、
日本
の
消費者
の食生活の動向が、漸次肉類あるいは卵、牛乳といったような
酪農関係
の
消費
が御
承知
のように非常に
伸び
てきております。で、
水産関係
の
動物蛋白
の摂取といたしましては、やや
頭打ち
と申しますか、その
消費
の
伸び
はやや停滞的な傾向を示してきておるわけでございます。そういった面からも、
水産政策
としては、
一つ
の従来の
方向
をややこの際再
検討
してみる必要があるであろうというような御
意見
が、基本的な問題としていろいろ
お話
があったわけでございます。こういうようなことから、現在の
遠洋漁業
、
沖合漁業
あるいはまた
沿岸漁業
それぞれにつきまして、その
経営
安定をいかにはかっていくかということを
一つ
の
中心
的な
考え方
として、今後のこまかい問題について、それぞれ
議論
を進めていこうということでございまして、そこで、第二回の
調査会
のあとで、それぞれ
部会
を設けるということにいたしまして、
一つ
の方の
部会
では、
沿岸漁業
と
漁業協同組合
を
中心
といたします
水産業協同組合
の問題を
中心
として取り扱う
部会
と、それからもう
一つ
の
部会
では、
遠洋漁業
と
沖合漁業
の
関係
を
中心
として
議論
する
部会
というように、
二つ
の
部会
に分けたわけでございます。本
調査会
の会長は御
承知
のように
井出委員
でございますが、
沿岸
並びに
漁業協同組合関係
をおもな
議題
といたします
部会
の
部会長
は、
片柳委員
にお願いをいたしました。それから
遠洋漁業
につきましての
部会長
は、
飯山委員
が担当されるということに相なったわけでございます。 それぞれの
部会
で今日まで
議論
をいたして参っております
事項
は、お
手元
に「
漁業制度調査会
における
一般討論課題
」という刷りものがお配りしてございますが、ここにございますAといたしまして「今までに
一般討論
された課題、」Iの「
漁業
をめぐる
一般情勢
について」、中が「
漁業
の
発展
の
方向
について」「
沿岸漁業
の
振興
について」「
沖合遠洋漁業
について」、こうございますが、大体この一に掲げてございますような
事項
につきまして、第一回及び第二回の
総会
におきまして、各
委員
から一般的な御
見解
の発表があったわけでございます。その中の各
委員
のおおむね一致しております御
見解
は、私が先ほど申し上げたようなことでございます。そのほか、こまかい各
委員
の御
見解
が
展開
されたわけでございますが、それらにつきましては、その後の
II
以下の問題にからみまして御
説明
を申し上げたいと思います。
沿岸関係
の
部会
におきましては、この
II
にございます
漁業権制度
、それからI
II
の
水産業協同組合制度
、それから
漁業権
と
漁業協同組合
との
関係
と、大体この三つの問題が今日まで
議論
をいたされました。 それから
遠洋沖合関係
の
部会
におきましては、Vにございます「
沖合遠洋漁業
について」と書いてございますような
内容
のことが話題として
議論
をされたわけでございます。 そこで、
沿岸関係
の
部会
におきまして問題となりました
事項並びにおもな議論
を申し上げたいと存じますが、
沿岸漁業関係
につきましては、
沿岸振興
をいかにするかということを
一つ
の目標にいたしまして、これらの各
制度
、問題に
議論
が
展開
をされて参ったわけでございます。そこで、
沿岸漁業
の
振興
につきましては、当然にいわゆる
沿岸漁家層
、従いまして、おおむね三トンから五トンくらいの
動力船
を持った
漁家層
というものが
中心
になるわけでございますが、これらの
沿岸漁家
についての
保護
、
振興
ということをどういう形で今後持っていくかということが
一つ
の
議論
の
対象
になったわけでございます。で、その場合に
一つ
の大きな問題は、現在の
漁業権制度
におきまして、御
承知
のように
現行
の
漁業法
におきましては、旧
漁業法
の
専用漁業権
の
制度
の廃止をいたしまして、御
承知
のような
共同漁業権
というような形にいたし、いわゆる
根つぎ
、
磯つき
の魚につきましての
漁業権
、で、
浮き魚
につきましては、これを
許可漁業
の
対象
にして参ったわけでございます。そこで、そういったまあ
前提
が
一つ
あるわけでございますが、現在の
沿岸漁家
の
保護
、
振興
をはかって参りますためには、
沿岸漁家
のまあ何と申しますか、操業いたします
漁場
を確保するというような方式がとられる必要があるのではないかということが
一つ
の
問題点
として提起をされておるのでございます。これは、そういった
沿岸漁業
というものを旧来の
専用漁業権
の意味というような形で、
漁業権
という形で、確保せしめることが必要なのではないかというような御
議論
と、それに対しましては、必ずしもそういう形で
沿岸
の
漁場
を確保する必要はないので、
現行法
のような
許可制度
というようなものを
中心
に考えていっていいのではないかというのと、まあ
二つ
の
見解
が対立をしておると申しますか、
展開
されておるわけでございます。で、これにつきましては、現在の
沿岸漁家層
の持っております船は、だんだん従来の無
動力船
から
動力船
になって参っております。で、また船のトン数も少しずつ大きくなっておるわけでございますが、そういうことから
漁場
としては、その
操業範囲
がだんだん広くなっていくという
関係
にございます。そういうことで昔のような各部落々々の
地先水面
を限っての
専用漁場
というようなものの
考え方
では、一方で、
漁業
の
操業力
としてはだんだん大きくなっておるにもかかわらず、それの操業します
漁場
としては、かりに専用的な形にいたしましても、非常に制限をされてしまって、かえってそれでは
沿岸漁業
の
振興
にはならないのではないかということが、まあ
現行法
の
考え方
でもございますし、先ほど申し上げた
許可漁業
的な
方向
でむしろ考えていっていいのではないかという
方々
のお考えの
基盤
になるものと思います。そういうことで、これは特に
結論
が出ておるわけのものではございませんが、
一つ
の大きな問題として取り上げられておるわけでございます。 それから同じ
漁業権
の中におきまして、御
承知
の
定置漁業権
の問題があるわけでございます。
定置漁業権
の問題につきましては、いわゆる
現行法
におきましては、
組合優先主義
をとっておりまして、
漁業自営組合
によります
漁業自営
ということが
一つ
の基本的な筋になっておると思っておりますが、この点につきましても、現在の
組合
によります
定置漁業権
の
経営
なり、あるいは
運営
というものが、必ずしも
名実とも
に
組合
それ
自身
が行なっているというふうには考えられない面もあるわけでありますが、これらの点につきましても
一つ
の
議論
が
展開
されておるわけでございます。 そのほか
区画漁業権等
につきましても
議論
が行われておりますが、これにつきましては、ちょうど今
議論
の最中でございまして、特にここで申し上げるほどのところまで立ち至っておりません。 それからなお、
漁業権全般
を通じまして、これは
漁業権
と
協同組合
との
関係
に相なるわけでございますが、御
承知
のように、
漁業権
は主として
共同漁業権
あるいは
定置漁業権等
につきましては、
協同組合
が
管理主体
に相なっております。それで、同時に現在の
漁業協同組合
は、
経済事業
を行う
経済事業体
でもあるわけでございます。そういった
二つ
の性格を
漁業協同組合
が持っておるわけでございますが、
漁業権
の
管理主体
であるという観点からいたしますと、現在の
共同漁業権
その他の保有のされ方が、何と申しますか、歴史的に見ますと部落的なものの
寄り集まり
が保有する、共有するというような形から
発展
をしてきておりますものでありますので、
漁業権
を
中心
に考えて参りますと、
漁業協同組合
の
あり方
が、非常にこまかくなると申しますか、小さな単位で組織されてくるという形があるわけでございます。一方で、
漁業協同組合
が
経済主体
としての活発な活動ということに力を置いて考えて参りますと、これはどうしても地区的にはある程度の
広がり
を必要としてくる、
組合員
の数としても相当の規模であるということが要請されて参るわけでありますが、その両者の間にいろいろと矛盾衝突する面が出てくるわけでございます。そこで、
調査会
におきましても、
漁業権
の
管理主体
としての
一つ
の
組合
と、それから
経済事業
を遂行していく
組合
と
二つ
に分けたらどうかというような御
意見
も一部に出ておるわけでございます。それに対しましては、
漁業権
というものに
基盤
を置いて
組合
の
経済活動
なりなんなりをしていくということがぜひ必要である、同時にまた、現在の漁村におきましては、そういった
二つ
の
団体
を作ることは、何と申しますか、
団体
を維持
管理
して参りますための経済的な
負担能力
といったような点からも、むしろ
二つ
に分けずに
一つ
であることの方が望ましいという有力な御
意見等
が
展開
をされておるわけでございます。それで、
漁業権
と
漁業協同組合
との
関係
におきましてのおもな
問題点
は、今のような点が
一つ
の
議論
の点になっております。同時に、そのことが
漁業権
の免許に当りましての
組合優先主義
その他の問題にからんで
議論
が
展開
されていくというような形になっておるわけでございます。それから同時に、
漁業権
と
組合
との問題にからむわけでございますが、
漁業権
の
管理主体
として、たとえば
共同漁業権
の
漁場
の
管理
と申しますか、いわば漁礁その他の
設置
によります
漁場
の改良といったような問題、あるいは
区画漁業権等
の
管理運営
の
問題等
につきまして、現在の
漁業協同組合
の果しております
役割等
につきましても、いろいろと
議論
がなされておるわけでございます。 大体
漁業権並び
に
協同組合
との
関係
は以上のようなことでございますが、その次に、
水産業協同組合━━
まあ主として
漁業協同組合
でございますが━━につきましては、基本的な問題といたしまして、
協同組合
の
均質性
と申しますか、
等質性
と申しますか、
組合
を構成しております
組合員
の
方々
の質の
均一化
ということがぜひ必要ではないかというような御
意見
と、それから
漁業組合
が、
漁業協同組合
は
一つ
の
地縁団体
として、そういう
等質性
というようなことにあまりこだわる必要はない、特に
漁業権
の
共有主体
でもある
組合そのもの
を考えていく場合には、むしろ
等質性
ということに重きを置き過ぎると、かえって
組合
の
発展
を妨げる結果となるのではないかというような御
意見
とが
二つ
あるわけでございます。
漁業協同組合
の質的な問題としてはそういう問題がございます。 それから
組合
の
系統事業
の
強化
の問題につきましては、これは
経済事業
を
主体
としていく
事業強化
の問題でございますが、こういった面で
一つ
の問題は、
水産
の、まあ何と申しますか、
特殊性
からいたしまして、優良な漁港を持っております
組合
は、そういった
立地条件
が非常によろしいということで、何と申しますか、自然に強い
組合
になっていく。同時に、
水産物
の
特殊性
から
加工業関係
、
水産物
の
加工関係
との関連を十分に持っていかないと、やはり
組合事業
としての
伸び
が達成できないのではないか。そこで、現在の
水産業協同組合法
におきましては、
加工業者
の
組合
も
水産業協同組合法
で設立し得るのでありますが、
一つ
の
系統組織
の中にそういった
加工業者
の
団体等
も取り入れていくという必要があるのではないかというような御
見解
も出ておるわけであります。単なる
全国漁業協同組合連合会
を頂点といたします
系統事業
ということの
強化
のほかに、そういった外縁的な
広がり
というものをさらに強くしていく必要があるのではないかというようなことも問題とされておるわけでございます。 大体、
沿岸漁業
並びに
協同組合関係
につきましては、そういったような事柄が、もちろんそのほかいろいろございますが、おもな点として
議論
をされておりますが、次に、
遠洋関係
の問題でございますが、
遠洋漁業
の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、
漁場
的に、もちろんまだ新
漁場
が全然ないというわけではございませんが、だんだん狭隘化してきておる。同時に、
遠洋漁場
につきましても、
処女地
でありますときには、非常にその
漁獲率等
もいいわけでありますが、それが漸次低下おしてきておる。それから一方で船型あるいは
装備
というものはどんどん改善されていくというようなことで、見方によりましては
過剰投資
、
操業力
の過多というような面も現われてきておると思われるのであります。こういうことにからみまして、
遠洋沖合関係
の
漁業
については、現在の
許可制度
というようなものについて、さらに
検討
を加えていく必要がある。と同時に、いわば自主的な
調整
というようなことが今後考えられていく必要があるのではなかろうかというようなことが
一つ
の
中心
の
問題点
になっておるのであります。 それから同時に、御
承知
の
海洋法
につきまして、昨年の春、
国際会議
が持たれたわけでございますが、今後、この
海洋法
で
審議
されました
内容等
にからんで、
遠洋漁業
というものをどう考えていくか、同時にまた、これは
沿岸漁業
問題にもつながる問題であろうと思いますが、今後
海洋法
というものが
論議
されたということを
前提
にいたしまして、
遠洋沖合漁業
というものをどう考えていくかということが
一つ
の論点になっておるわけでございます。そういったこととからんで、
沖合遠洋漁業
の安定という問題を取り上げておるわけでございます。 それからなお、
沖合漁業
と
沿岸漁業
との間には、
沿岸漁業
の
操業力
が増して参るのにつれまして、どうしても
相互
の間の
紛争
というものが激化してくるという状況にならざるを得ないわけであります。これらの問題につきましては、
漁業調整
の問題として、
制度
的に今後どういうふうにこれを解決していく手段を見出すかということが問題であるわけであります。これらの
沖合
と
沿岸
との
関係
につきましては、今後
沿岸関係
の
部会
と
沖合関係
の
部会
との間での
相互
の
調整
的な会合が持たれて、
議論
が進められて参ると思っております。 大体、ごく大ざっぱでございますが、以上のようなことを
中心
にしてこまかないろいろな
各種
の
議論
が
展開
されておるわけでございます。 なお、今後
一般討論
を予想されます問題といたしましては、お
手元
にお配りいたしましたもののBに書いてございます問題でございます。で、今申し上げた
沖合
と
沿岸漁業
との
調整
問題、あるいは
沖合漁業相互
の間におきます
調整
の問題、あるいはまた
沿岸漁業内部
におきます
調整
問題という問題があるわけでございますが、それらの
紛争
につきまして、現在は御
承知
のように、
漁業調整委員会
の
制度
というものを
一つ
の支柱といたしまして、
紛争調停
に当っておるわけでございますが、これらの
調整方式
の問題、あるいはまた現在の
漁業調整委員会
の問題というものについて、今後、これはまだ全然
議論
が
展開
されておりませんので、今後問題としていただきたいと思っておるのであります。 それからまた、現在の
漁業許可
が、
沿岸漁業
につきましては
知事許可
の
制度
に相なっておりますが、これにつきましても、各県間の何と申しますか、各県にモンロー主義的な動きが非常に強くなっておるわけでございますが、これらの問題について、今後どういうふうに考えて参るかということが
問題点
でございます。 それから
河川
、
湖沼
につきましての内
水面漁業
につきましては、これまた全然
議論
に上っておりませんので、これらについては、海の
漁業
と違います特質を
一つ
持っておるわけでございますので、
河川漁業
につきましては、一括してさらに御
議論
を願いたいというように考えておるわけでございます。従いまして、
一般討論
といたしましては、このBに掲げておりますような
事項
を、今後一、二回
部会
を開いて
議論
をしていただきまして、その上で
問題点
を整理をいたし、さらに、各御
議論
の
内容
に基礎を置きつつ、今後の問題を個別にこまかく掘り下げていただきたい、かように実は考えておる次第でございます。 おわかりにくかったかと思いますが、概略の御
説明
を終ります。
秋山俊一郎
4
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) ただいまの御
説明
に対して、質疑を願います。
清澤俊英
5
○
清澤俊英
君 これは、
特別調査会
の御
報告
を聞いたのでありますが、
結論
として、これが大体まとまった場合に、
国会
とはどういう
関係
になりますか。
武田誠三
6
○
説明員
(
武田誠
三君) この
調査会
におきまして
答申
がございますれば、それに基いて、現在の
漁業法
なりなんなりというものについて
改正
をいたします必要のあります点については、
法律改正
の準備をいたしまして、それについて
国会
御
審議
を願いたい、かように考えます。
清澤俊英
7
○
清澤俊英
君
答申
それ
自身
を、一応こちらに非公式なりなんなり発表して
意見
を問うようなことはないのですか。
武田誠三
8
○
説明員
(
武田誠
三君)
国会
の御
意見
はどうかということをお伺いするということは別といたしまして、この
審議会
におきます
議論
の
経過
なり、あるいはそういった
答申
が出ました場合には、当然こちらの方にも密接な連絡を持って、御
報告
も申し上げ、御
説明
も申し上げるというように考えております。
清澤俊英
9
○
清澤俊英
君 この
顔ぶれ
を見ますと、非常に俗にいう
沿岸漁業
に縁の遠い
顔ぶれ
じゃないかと思っていますが、この点、どう思われますか。
武田誠三
10
○
説明員
(
武田誠
三君) 先ほど申し上げましたように、
漁業制度調査会
といたしましては、
沿岸漁業
ももちろん大事な部門でございますが、
沖合
い、
遠洋漁業全般
につきましての御
意見
を伺いたいと、まあこういうことでございますので、
お話
のごとく、
遠洋関係
に主として
関係
を持っておられる
委員
の方もございますが、
沿岸関係
にたんのうな
委員
の方も、ずいぶん数多くおいでになるというふうに心得ております。
清澤俊英
11
○
清澤俊英
君 わしらが見ますと、こちらに何県
協同組合
というふうに出ておりますが、これは、今
漁業協同組合
は、
沿岸漁業協同組合
、
沖取り漁業協同組合
というふうに分れているのですが、そうでなく、大体何々
漁業協同組合
となって、その中には
沿岸
も加われば、
沖取り
も加わっている、こういう
性格
のものが多いのではないかと思っておりますが、その点はどうなっておりますか。
武田誠三
12
○
説明員
(
武田誠
三君) 現在の
水産業協同組合法
によりまして、
地区
の
総合漁協
と、それから
業種別
の
漁業協同組合
、両方できるように相なっております。全体で臨海の
漁業協同組合
が約三千余りございますが、そのうちの大部分が
地区
の
漁業協同組合
であります。
地区
の
漁業協同組合
は、
沿岸漁業
者も、また同時に、
沖合
いの
漁業
者も加入をいたしておるわけでございます。それから別途に、
業種別
の
漁業協同組合
といたしましては、カツオ、マグロの
漁業協同組合
もございます。あるいは底びきの
漁業協同組合
もございます。これは主として
沖合
い
関係
の大きな
漁業
者を
中心
とした
業種別
の
組合
が、それぞれこれはそれほど多いわけではございませんが、結成されております。
清澤俊英
13
○
清澤俊英
君 これはまことに不勉強なお伺いですが、いろいろ御
説明
を聞く上に、この際明らかにしておきたいと思うんですが、
沿岸漁業
というものと、
沖合遠洋漁業
といいますか、俗にいう
沖取り
というんですね、それと
遠洋漁業
と、大別して三つに分れるわけです。これは定義的にどういうふうに分れるんですか。それがはっきりしないんですが、定義的にはどういうことなんですか。
武田誠三
14
○
説明員
(
武田誠
三君)
沖合漁業
、あるいは
遠洋漁業
、
沿岸漁業
というふうに私ども呼んでおるわけでございますが、これを何と申しますか、ここからここまでが
沖合
いで、ここからここまでが
沿岸
という、特に定まったものがあるわけではありませんが、大体の概念といたしましては、日帰り
漁業
をおおむね
沿岸漁業
と称しておるわけであります。日帰りができますような程度の
漁業
以下を
沿岸漁業
、それから国内に根拠地を持ちまして、国内に水揚げをする。従いまして、
日本
の近海でやっております
漁業
で、日帰り以上のもの、そういったものが、
沖合漁業
というふうに一応考えております。それからさらに遠くへ出て参りますものが、一般的に
遠洋漁業
というふうに称されておるわけでございます。
東隆
15
○東隆君 私がお聞きしたいのは、この
水産業協同組合法
、あるいは
漁業法
、こういうものが制定されたときは、やはり占領下でありますから、だいぶ弱体化の
方向
に法律を作られた気配がないか、こういう問題があると思います。たとえば、農業
協同組合
法の場合なんかには、法律そのものの中では大して問題でないけれども、農林省の方でとった措置の中には、たとえば役員の問題であるとか、そういうような問題、あるいは縦割りの問題とか、いろいろな問題があったわけです。それと同じようなことが、やはり
沿岸
の漁民の
協同組合
の組織とし、実はそれを強力なものにしていくために都合の悪いようなやり方がたくさん出ている、こう思うわけです。そこで、たとえば加工の方面を別に切り離して、そうして規定をした、そういうような問題は、これは明らかに加工を専門にやっているものを
中心
にして
協同組合
を作ったんですが、これは、中小企業者等の
協同組合
法によってでもけっこうやれる問題なんです。それをわざわざ
水産業協同組合法
の中に規定をして、そうしてやった問題なんかは、これは明らかに
沿岸
の漁民の
協同組合
が加工の方面に
伸び
ていくことを完全に食いとめているような形をしておるわけです。そういうふうな面が出てくる。だから、そういうような面がたくさんあるんじゃないかと思うのですが、私は、今、それを
一つ
気がついているんですけれども、これは当然直して、そして、
沿岸
の漁民のみによって開いていかなきゃならぬ、こういう問題が
一つ
あるわけですね。それからもう
一つ
は、
沖合
い
関係
に関連をして、機船底びきといったような
業種別
の
協同組合
、これを認可したことが、私はこれはまた漁村におけるところの階層分化を非常に進めていった形になっておる。それで、連合会にたとえば自営をさせない、こういう問題に
関係
する。これは明らかに
沿岸
の総合的な
漁業協同組合
が仕事をやる場合に、
一つ
の
漁業
を部門にして、それを大きく
発展
させようとする
沿岸漁業協同組合
の系統の連合会がやり得ないような形になっておるわけです。そういうような、どちらかというと
沿岸
の漁民が力を伸ばして、団結の力でもってどんどん
水産業
を発達させるような態勢になっておらぬわけですね。今の
水産業協同組合法
そのものがそれをはばむような形になっておるわけです。そういうような点が私は当然この中で
論議
をされてこなければならぬ問題で、そういう意味で、この
制度調査会
もあるんじゃないかと、こう思ったんですが、今、
お話
を聞いたところでは、そういうような問題があまり出ておらぬようにも思いますし、どういうふうになってますか。
武田誠三
16
○
説明員
(
武田誠
三君) 私の御
説明
が多少足りなかったとも思うのでございますが、
漁業協同組合
の問題につきまして、
お話
のような
業種別
組合
というものをどういうふうに考えていくか、それから
加工関係
の
組合
をどういうふうに今後考えていったらいいかということは、当然問題になっておるわけでございます。ただ、これにつきまして、今日まで、今後の
一つ
の
課題
で、
協同組合
問題がちょうど、今、
議論
が中途半端なところでございます。今後、この点についても漸次
議論
がされていくと思っておりますが、その中で、先ほど申し上げましたように、一部の
委員
の方からは、
加工関係
につきましては、
加工業者
が確立をしておるということが、同時に、そこにおきます鮮魚なりなんなりの価格維持に貢献をしておるという面も多分に見受けられるわけであります。そこで、そういう両者の間の
関係
というものをどう考えていくかという場合に、これを取り込んで考えていった方がいいじゃないかというような御
意見
もあるわけです。それから同時に、先生の
お話
のように、そこのところが明らかに分離していくというふうな
考え方
の方がいいのではないかというような御
意見
もあるわけであります。それからもう
一つ
の問題としては、今の底びき
関係
なり、あるいは
沖合漁業
の
方々
だけの
協同組合
というものが、
業種別
組合
としてあるわけでありますが、そういう相当の資本力を要する
漁業
というものが、
地区
の総合
漁業
の中に入っている方がいいのか、あるいは、そういうものは別にしてしまった方がいいのか。これはたとえば、先生も御
承知
と思いますが、
漁業協同組合
で借金等で首が回らないというような
組合
が相当あるわけでございますが、その場合には、相当大きな
漁業
をやっておる方の着業資金というようなものが
組合
から出ていって、それが焦げついてしまって、
組合
本来の事業資金が、借り入れが非常に困難を来たす、こういうような場合も相当見受けられるわけであります。そこで、その
組合
についての
等質性
の問題がそこにきておると思いますが、質的におおむね似たような人たちだけで
組合
を結成すべきであるという御
議論
が一方にあります。そうでなくて
地縁団体
として相当大きな人も含めた
組合
態勢をとるべきだという御
意見
と
二つ
出てきておるというような
状態
であるわけでございます。
小笠原二三男
17
○
小笠原二三男
君 ちょっと関連して今の
漁業協同組合
で、いわゆる
漁業
家といわれるような方と零細
漁業
の方とごっちゃになって
一つ
の
組合
を
運営
しておる点にいろいろ
問題点
のあるのと同様に、いわゆる漁村といわれる地方では、一方麦等を
中心
とする畑作と一本釣りというような形の半農半漁、こういう漁村が非常に多いのですね。そこでは一方には農業
協同組合
があり、一方には
漁業協同組合
がある。一単位の漁村あるいは漁家でいいますと、両方に加入しておる。それで両方とも不振であるという
状態
が各地にあるのです。こういうようなものを、
漁業
とか農業とかいう業種の縦ワクをやめて、農業と一本の
経営
を考えるような、そういう意味の
協同組合
というようなものを考えるというようなことで
検討
されたことがあるのかどうか。あるいはそういう
関係
にあるものはどういうふうに
運営
をしていくのが効率的であるというふうに考えておるのか、お伺いします。
武田誠三
18
○
説明員
(
武田誠
三君) ただいまの御質問の半農半漁地帯におきます
組合
をどういうふうに考えるかという問題でございますが、先ほど申し上げましたように、
漁業組合
につきましては、原則的に
漁業権
の
管理主体
という面を
一つ
持っておるわけであります。そういうことから、現在の農業
協同組合
と
一つ
の形というものは、現状ではちょっと考えられないのではないかというふうに存じますが、そういった半農半漁的な、ほんとうの
沿岸
の小釣り程度のもの、あるいはテングサ取り、海草取りといったようなものしかやっていないというような半農半漁的な所におきましては、主としてそういった
組合
は
漁業権
管理
組合
として現在
運営
をされておるというようなのが主たる形のように実は考えております。もちろん、そういった
組合
というものを農協との
関係
においてどう考えていくかということは、これは大きな問題でございますので、あるいは
漁業制度調査会
以上のところで取り上げざるを得ない問題かと思いますが、現在の段階におきましては、農協と組織的にどういうふうに考えていくかというところまでは実は
議論
も出ておりませんし、考えてもないような
状態
でございます。
小笠原二三男
19
○
小笠原二三男
君 それは
法律改正
との問題もあると思いますが、私の申し上げるのは、
制度
上、農業
協同組合
と
漁業協同組合
とが一体になる農業
協同組合
というようなものを作るべきであるというまでの
議論
は私はしない。ただ
漁業協同組合
が
主体
になっていい地域なら
漁業協同組合
が
主体
になって、その中で農業生産なり、流通の問題も取り扱える部門を置いて一体の
運営
をするという行き方、この程度のところまでは、
制度
上の問題があるなら、
改正
してでもやって、その零細なそして自立でき得ないような
協同組合
をここにでかしておかなければその金融の
対象
にもならぬし、何の
対象
にもならぬという制約を取っ払うのがいいのではないかというような感じを持つので、その程度のことはどういうことなのか、そういうことをもう一度お伺いしたい。これはさっき
議論
があった通り、
一つ
の
漁業協同組合
の中で一本釣りの
漁業
者と、いわゆる
漁業
家といわれる独航船やなんかを出すようなそういうものと一緒に
組合員
であってほとんどの幹部は船持ちといわれるような人が幹部になっておる、金融面の方も独占して零細
漁業
者には流れない、こういうような弊害等もある中に漁村の封建性というものがいつまでたっても残っている。そういうような点は、現実にそちこちに見受けられるのですね。そういう意味では非常に根本的な問題として
討議
されていいと思うのですが、一方、そういうところでもないようなほんとうに貧しい漁村という中におるいわゆる漁民、あるいは農漁民といっていいそういう半農半漁の地帯において何か生きていく道ということを考える場合には、
漁業協同組合
一本の
運営
ということだけで、その
協同組合
の不振を克服するうまい手だてというものがあろうかどうかということは疑問だと思うのですね。ですから、資金的にも一体化して全村をあげて
運営
していくというような総合的な生産なり、流通なり、そういう
活動
をやれるような組織でなかったら工合が悪いんじゃないかという感じを持つので、しろうと論で質問したわけですが、どうですか。
武田誠三
20
○
説明員
(
武田誠
三君)
お話
のような現在の
協同組合
の末端におきます
活動
状況
というものからいたしますと、
お話
のごとく、何と申しますか、うまくいってないという面があると思っております。で、これらの点につきましては、むしろ
経済事業
団体
として農協の方が強いと申しますか、十分な
活動
をしておりますような場合には、
漁業
それ
自身
としての
団体
としての
経済活動
がそもそも弱いというような場合には、
漁業組合
にそういった仕事を課すということはむしろ無理であろうと思います。で、そういった意味合いから農協
関係
でのその面での村全体をながめての共同的な
経済活動
ということを私どもとしても期待をいたしたい。同時に、
漁業
が主である場合、
漁業組合
で農業
関係
の方の面での何らかの援助ができれば、そういうふうな
考え方
も取り入れていってしかるべきだというふうに考えますが、大筋として、必ずこうである、ああであると言うことはなかなかちょっとむつかしいのではないかと実は思うのであります。で、末端におきますそれぞれの実態に応じて処理してゆかざるを得ないと思うのでありますが、同時に、そういった半農半漁的な、主として農が強くて漁が弱いというような所については、むしろ農を
中心
にして、そこの村の
振興
対策というものを考えてゆくことが必要ではないかというふうに思うわけでございます。で、新農山漁村建設の
考え方
なり、あるいはそういった総合
施策
を農林
漁業
を通じて持ってゆくというふうに考えてゆくということが、今後、そういった部面については、ことさら必要になってくるのではないかというふうに思いますが、現在
制度
的にこうというふうには実はちょっと割り切れない問題があるように思っております。
千田正
21
○千田正君 今、小笠原
委員
からもお尋ねがありましたが、たとえば零細
漁業
と称するこの面をどういうふうにして一応のレベルまで引き上げてゆくかということは、私は今の
漁業
制度
の
改正
に当っては、
一つ
の根本的な
施策
でなければならないと思うんです。従来の問題にしましても、たとえば漁村を
対象
としての金融、助成等の問題に関しましても、地方に行ってしまうと、ボスの連中に壟断されてしまって、実際の零細な漁民の方へは渡っていない。ということは、金融を
対象
とする場合においては、一応それを受け入れるだけの態勢がなければ貸せない、融通できない、こういうことが原則にされている結果、いつまでたっても国のそうした
施策
の恩典などは受け入れられないのでますます零細化してゆくというのが現状だと私は思うんです。こういうことはあなた方、漁政を担当されている立場からいうて、ある一定のところまで漁民の生活を引き上げてゆくということになりますというと、今までのやり方を相当
改正
していかなければならないと私は思うんです。たとえば
業種別
の
組合
なども非常に多い北洋の問題を
一つ
取り上げてみても、あのはえなわ等、あるいは母船に隷属するところの独航船なり、もろもろの
組合
が出て、その上にはみなボス的な存在がつながって、あるいは政治的バックとの間の連係があって、場合においてはいろいろな問題を引き起しておる、こういう問題についても、根本的にこの際メスを入れて考えていかなくちゃならないんではないかと思う。ことに最近に至っては、国際
漁場
の面は、海洋問題を含んでいろいろな面において
日本
の
水産業
というものは海外からまさに締め出しを食いつつある、こういう現状においては、国内の政治家は相当大幅に考えなければならない、こういう問題について重点的に考えておられるんですか、どうなんですか。
武田誠三
22
○
説明員
(
武田誠
三君) 今の
お話
の問題は、
業種別
組合
といったような問題についてどう考えるかという問題にも通ずると思うのでありますが、私どもといたしまして、
現行法
の建前から参りますと、
農林大臣
の認可の権限は法的に適正であります限り、実は当然認可をせざるを得ないというような形になっておるわけであります。従いまして、たとえば北洋の独航船の
組合
等につきましても、これを認めてゆくことがいいかどうかという点については、行政上いろいろ問題があり得るわけでありますが、形式的にはやむを得ず認可せざるを得ないような形になっておるわけであります。これは
一つ
の
協同組合
というものの本質といいますか、
考え方
をどういうところに
基盤
を置いて考えていくかという問題ともからんで参ると思いますが、できるだけ個々の
漁業
者が共同の力でそれぞれの事業を伸ばしていくというような
方向
での団結並びに事業
活動
というものを私どもとしては期待をいたしたいというように考えておるわけであります。従いまして、今度の
制度
問題等
につきましても、そういった点についても、十分に
議論
を尽していただいてよりよき
制度
にいたしたいというように実は考えておるわけであります。
千田正
23
○千田正君 もう一点、
漁業
制度
にこれは付随しまして、表裏ともに持っていかなければならない問題としましては、魚価安定政策の問題並びに漁船保険及び
漁業
共済等に対する裏づけの問題、そういう問題は、現在としては多少表には出てきておりますけれども、農業
協同組合
のような相当強い線で打ち出されておらない。それにはなぜか、欠点がどこにあるかというと、さっきから各
委員
がお尋ねしているように、私も尋ねておるように、
施策
の
対象
としての
組合
なりなんなりが種々雑多であって、そうして
対象
になるべき
一つ
のものが、受け入れ態勢が十分にできていない。そういうところに漁船保険にしましても、
漁業
共済の問題にしましても、ちっとも進んでないい。こういう問題は今後の
漁業
制度
の問題を
討議
する上において当然起きてこなければならない問題と思いますが、ただいままで承わった面においては、そういう問題が出ておらないようですが、どうなんですか。
武田誠三
24
○
説明員
(
武田誠
三君) 魚価安定の問題と申しますか、さらに広く流通改善の問題として考えていいと思うのでありますが、流通改善の問題につきましては、それ
自身
といたしまして別途に市場
調査会
等の
関係
もございまして、現在の流通機構の問題としては、そういった面で取り上げて参りたいと思っておるのでありますが、
漁業
制度
それ
自身
としても、当然魚価問題を含みます流通問題は大事な問題であると考えております。これにつきましても、
協同組合
の問題を今後掘り下げて参ります場合に、並びに
沖合遠洋漁業
等についての
経営
安定というような点を考えて参ります場合に当然出て参ります問題と思います。魚価安定の問題につきましては、私どもとしては、
一つ
の問題は流通機構の問題、それから同時に、
系統組織
と申しますか、
系統組織
におきます集荷、販売という面の
強化
の問題が
一つ
あると思います。それから同時に、今度は取ってくる方の側、漁船の側におきます
一つ
の何と申しますか、自主
調整
的な動きと申しますか、同時にまた、私どもの方での
漁業許可
の運用をどういうふうに考えていくかというような問題が一方でどうしてもからむと思うのであります。現在、特に昨年非常に大暴落をいたしましたサンマ
漁業
等につきましても、一方で魚価をどういうふうに浜上げになったものについて安定をさせていくかという問題と同時に、御
承知
のように処理能力をオーバーして、
一つ
の漁港に水揚げされるというようなことが、同時に魚価の値くずれを来たしておる原因にもなっておるわけであります。両方の面を今後どういうふうに調和を保って持っていくかということが
一つ
の問題であると思います。そういうような意味合いからの御
議論
も
調査会
においても今後取り上げられて参るというふうに考えておりますが、私どもとしては、とりあえず
一つ
の
施策
として、来年度の予算におきましては、サンマとイカの価格を流通
調整
と申しますか、価格安定とまでは大上段には踏み切れないかもしれませんが、流通
調整
的な措置を講じたいということで予算の計上もいたし、御
審議
をもお願いするということにいたしておるのでありますが、今後の
漁業
者の
経営
安定という問題には、当然そういった問題も
一つ
の大きな問題として取り上げざるを得ないというように考えております。
小笠原二三男
25
○
小笠原二三男
君 先ほどは漁村という問題から御
検討
を願いたいという向きのことを言ったのですが、こういう
制度
の問題を根本的に考えるのに、こういう
討議
が
前提
としてあるのかないのかということでお伺いしたい。それは農村において米作水田地帯等は、
協同組合
の手引きもあって相当な経済的な行為ができるような
基盤
を持っている、そういう所ろから農村の民主化ということも当然進んできておるのですね。ところが、山村畑作地帯といわれる所はまだ断層がある。まして漁村、漁村といっても漁村的な村ばかり言うのじゃない、たとえば八戸とか、宮古とか、釜石というようなりっぱな漁港を持ち、都市的な形態の所でも、一本釣り
漁業
者、いわゆる船乗りの方の
関係
を集落的に見れば漁村的なものですよ、生活
状態
は。そういう意味でいわゆる、磯ものを取るにしても、あるいは一本釣りに行くにしても、自前で
漁業
に従事している
漁業
労働者、こういう一家を形成している者がどういうふうにして生きていっているか、そういう実態をよく御研究になっているのかどうか。今、大体一本釣りに行くにしても、無動力ではとても遠くまで行けない、資金的にも困る、こういう向きを無理して、おやじさんがやっているとすれば、息子も何人かそういうことをやれるかというとやれない。頭のいい者は大体機関士なりなんなりの免状をとる勉強をして、そうして
大型
の漁船の方に移っていく、そういうこともできなければ、単に漁撈者として漁船に雇われて出稼ぎに出る、うちに残っている女、子供は磯ものを取る、あるいはコンブでもワカメでも、そういうものの
漁業権
のあるのは、年間何回か、困ったときに取って暮す、畑地の幾分ある者は、女連中が麦作なりバレイショ栽培をやる、こういう
状態
で漁村それ自体において
漁業
に従事して全家族が食っていけるという
状態
になっている所はほとんど少いのじゃないかと思うのですね。それでそのことがいかに
沿岸
漁村における民主化を妨げ、封建的なそのままの
状態
にあって、国家全体からみれば、どんなにそれが断層になっておるかということははっきりしていると思う。そういうものを全体として国民の生活水準なら生活水準、経済水準なら経済水準というものの上に引き上げていくのにどうしたらいいか、そのためには
漁業
制度
をどうしたらいいか、こういう
前提
で
検討
をされておるということがあるのかないのか、こういうことを伺いたい。それは一般の南方の
漁業
なりでカツオ、マグロをやる、あるいは北方へ行ってサケ、マスをやる、こういう
漁業
が
発展
すれば、従ってそれに従事する漁撈者、こういうものの生活も引き上るのだ、そういう間接的なことを言うにしても、さっきのイカの話ではないけれども、結局
沖取り
をしたほんとうに額に汗して働いた人たちの利益の部分というものは、かえって東京におって築地における問屋、仲買、小売、こういうものの利益に奉仕する。漁撈者も利益を収奪される。あるいは
漁業経営
者も収奪れさる。そういう流通の点にむろん大きな問題があります。これも何とか十分な
施策
として考えなければならぬが、まずもって
漁業
家と漁撈者、零細漁民、こういう立場を対比して考えるならば、漁村の民主化という立場からいっても、まず零細漁民に対してどういう
施策
をやっていくか、
制度
的にあるいは
組合
の問題としてはどういう
方向
で経済水準を上げていくために役立つような
制度
を作るか、こういう
検討
を資料をもって、
日本
の人口のうちの漁民の置かれた地位、あるいは漁民の生態、こういうものを十分に
調査
され、把握されて御
検討
になっておられるのかどうか、こういう点を伺いたい。
武田誠三
26
○
説明員
(
武田誠
三君) 現在の
沿岸漁家
の専業、兼業別に第一次センサス、第二次センサス等を通じて見て参りますと、専業の
沿岸漁家
は年々減っているという
状態
であります。第一種兼業漁家はおおむね横ばい、ないし、専業漁家がそちらの方に転落していくと申しますか、あるいは兼業をするというような形で横ばい、ないし、やや増加、それから第二種兼業も同様に増加の傾向を見せております。
一つ
の動向といたしまして、
沿岸漁家
におきましては、まあごく無
動力船
程度のいわゆるほんとうの零細な
沿岸漁業
者といわれます部面におきましては、青壮年階層と申しますか、労働力の高い連中は
沖合遠洋漁業
の漁夫あるいは土木事業その他に転出をしていく。高齢層ないし婦女子
関係
の労働が一本釣りないし
沿岸
の採草、採貝といったようなことをやっておるというのが、
一つ
の零細な
沿岸漁家
の形であると思います。それから
動力船
を持ち、ややトン数も大きなものを持っております
沿岸漁業
者におきましては、それはおおむねそこの家族労働を主とする
沿岸
の小釣りなり、あるいは網
漁業
をやっておるという形であります。これがやや大きく、十トンないし二十トンぐらいの船になって参りますと、それに数名の漁夫を雇い入れて
経営
をしておるというようなのが、大体、今、
沿岸
におきまする漁家の三つの種類に分け得ると思うのでありますが、そういう漁船の面から見ました形、それから労働力をどういうふうにしてまかなっておるかというような
状態
につきましては、私どもの方も統計
調査
部等を通じて、時々
調査
をいたし、そういったものに基きまして、
沿岸漁業
というものについて今後どういうふうにあらねばならないかということを内部的にも
議論
をいたし、また
調査会
にも、そういったことを
一つ
の現状として把握をして、今後の御
議論
を
展開
していただきたいということにお願いをいたしておるわけであります。そこで
一つ
の問題といたしましては、ただいまの
漁業法
におきましても、漁家というものについての定義と申しますか、といったものがあります。それから
漁業組合
の
組合員
の資格等もそれに準じまして、年間三十日ないし九十日以上
漁業
に従事する者というものを
組合員
の資格にいたしておるのでありますが、そういった点について、それをさらに引き上げる必要がある、どういうふうに考えていくかというような点も
議論
をせられておるわけであります。十分であるかどうかは存じませんが、ともかく、そういった面につきましても十分目を向けて努力をしていただきたいというのが私どもの希望でもございますし、また
委員
の
方々
もそういった観点からの御
議論
を
展開
していただいておるというふうに心得えておるわけであります。
小笠原二三男
27
○
小笠原二三男
君 お願いは、日の当る業態にある
漁業
家といわれる者にだけ目を向けることでなくて、そういう俗称、非常に悪い言葉ですが、零細漁民といわれる、旧来の
漁業
形態の中で、先ほど御
説明
のありましたように、いろいろな業態に変っていかざるを得ない、そういうような下層
漁業
者のために真剣な
討議
をせられて
施策
を作られるようにお願いしたい。それは、磯ものの繁殖を願うために、投石だ、それなんだとかいうようなことを言ったって、国家予算全体の各国民階層に配分する予算の問題からいったら微々たるものです。まことに不当ですよ。一般に
漁業
者それ
自身
に対する政府の
施策
というものはどういうことがいいという決定的な対策を編み出せない悩みがあることが大きな原因でしょうけれども、決定的な手を打つということがない。ですから、こういう
調査会
等があって
討議
せられる際に十分な御
検討
を経て、いい成案があったら
国会
にもどんどん出して、われわれにも協力でき得る機会を与えてもらいたい、そういう点をお願いしておきます。
清澤俊英
28
○
清澤俊英
君 ちょっと、今の小笠原さんの問題の具体的なものになりますが、ということは、水揚市場が中央卸売市場法の適用外地にできます。この市場
関係
におきましては、地方市場としては
水産
が一地大きいかと思うのであります。これはすベて適用外であり、私設市場という形をとっていると思います。今の中央卸売市場法から見れば。そこで、そういうものを作ります際に建物、敷地。一応水揚げの海岸の築港というようなことで相当金がかかりますので。その市場を作るために、ある
地区
の
漁業協同組合
が五つなり六つなり寄りまして
一つ
の水揚市場を作ります場合に、力のある者が金を出していきますが、力のない弱小
組合員
は金がない、こういう問題が出てくる。非常に阻害せられて、場合によりますと仲間にも入れないというようなことで紛糾しているものも見受けられるが、こういうものに対して、農林省としてはどういう指導と
━━
これからこういうものが発達してくるのだろうと思いますが、指導と、その実質を備えさせるために努力しておられるかどうかということですが、この問題が
一つ
。 それから
協同組合
が前の専用
漁業
が解かれて共同
漁業
になりまする際に、一応専用
漁業
者から国が代償を払ってこれを買い上げられた。それで新しき
漁業協同組合
が
漁業権
をとりまして、
協同組合
の漁区並びに定置網等の
漁業権
の
管理
と同時に、
漁業協同組合
に投資をしていく、こういう場合に、まず出て参りますのは、その定置網なら定置網を入れるために多額の資本が要るために、まあ
漁業協同組合
の資産の投資の大部分を、一、二の人が半分ぐらい持ってしまう。その上なお金が足らぬというので別の
漁業組合
のようなものを作って、それが別の形でその
漁業協同組合
へ
組合
として参加していく。こうしてやりました際に、参加の形で
一つ
契約を行う。そういうために、たとえば一カ年一億円の漁獲高があるとすると、そうすると特別の
漁業協同組合
を作って、
漁業協同組合
との間に結ばれた契約は水揚げの三割を特別の
組合
が持っていく、こういう契約がある。それからあとへ残りました者には、大体
組合
の株券を半分持っていく、こうなります。そうしますると、一億円のうち約三千万円は、これは経費は負担しなければなりませんが、それを抜きにして計算しますと、三千万円は特殊
組合
として一応持っていく。利益として少数の人が持っていく。同時に、その人が
漁業協同組合
へ五割の投資をしておりまするから、従って、利益のあとの七千万円の半分三千五百万円を持っていく。そうすると少数の人が約六割五分、一億円の利益の大体六割五分を持っていく。あとの有象無象がようやく三割五分を分ける。こういう形のものが出ているのですね。こういうやり方が果していいのか悪いのか、これは非常に重要な問題だと思うのですが、農林省はこういう問題に対してどうお考えになっているのですか。現実にあるのです。
武田誠三
29
○
説明員
(
武田誠
三君) 先ほどの市場の問題でございますが、私どもとしては、
漁業協同組合
の共同販売所として、これの拡充をできるだけ指導をしているわけであります。これに、共同販売所の形といたしましてのものについては、梱包物資その他の面での援助をして参っているというような形でありますが、先生からの
お話
の点につきましては、具体的にさらに
お話
を別途伺いますれば、個別の問題としてどういうふうなことであるか、まあ考えさしていただきたいと思いますが、一般的には
漁業協同組合
のやります共同販売所の拡充という線につきましては、私どもといたしましては、奨励の立場に立っているわけであります。 それから
定置漁業権
の
経営
参加並びにそれの利益配分といったような問題にからんで、定置
漁業
の
経営
というものをどういうふうに
組合
との
関係
で考えるかという問題であると思うのですが、私どもとしては、
定置漁業権
については、できるだけ
組合
自営といったような方法ないし当該地元におきます漁家の
経営
参加ということを
中心
に実は
方向
としては考えているわけであります。ただ、現実の問題といたしましては、
お話
のごとく、定置
漁業
を
経営
いたしますについての資本の問題あるいは
経営
技術の
問題等
々がございまして、一足飛びにそこまで行きかねる場合が多々あると思うのであります。漸次そういった面におきます
組合
なり、あるいは
水産
組合
といったようなものの指導権を確立をしていくというような
方向
で着実に定置
漁業
につきましての
組合
自営という
方向
を進めて参りたいと思うのでありますが、同時に、定置
漁業
につきましては、御
承知
のように漁、不漁が、ともかく魚の動きを待つわけでありますから、相当激しい波があり、一般の漁船をもって行います漁撈
漁業
との間にはさらに差があるわけであります。そういった意味合いからのリスクというものをどういうふうに考えていくか、
制度
的にもどうカバーしていくかということが
一つ
の問題に相なるわけであろうと思うのであります。これらの点につきましては、先ほども千田先生から
お話
がございましたような、
漁業
共済の
制度
というようなものをどう今後裏打ちをしていくかという問題とからむと思うのでありますが、しかし、定置
漁業
というものを、現在の私どもとしての
考え方
としては、やはり地元の
組合
なり、地元漁民の
一つ
の権利として、それの完全な自営に参加していくという
方向
へ進めで参りたいというのが私どもの現在の立場でございます。
清澤俊英
30
○
清澤俊英
君 そうすると、今農林省の考えている形と、今私が例に出しました定置網を
中心
にした
漁業協同組合
の形とは、全く相反している、こう思うのですがね。こういうものを現実において
改正
するには、どういう方法をとったらいいのか。
武田誠三
31
○
説明員
(
武田誠
三君) 現在の
定置漁業権
の免許の方針は、確かに
組合
優先ということでございますが、過去におきます当該
漁業権
ないしそのほかの
定置漁業権
につきましての
経営
の実績、経験があるかないかというような問題、それから
漁業権
を
運営
していくだけの能力があるかどうかというような
問題等
々、いろいろな条件をもとにいたしまして、県の
漁業
調査
委員
会におきます
漁場
計画に基いて、その
漁業権
の設定についての申請をし、それに基いて
調整
委員
会でも審査をし、さらに知事が免許を与えるというような形になっておりますので、すべてがすべて
漁業協同組合
に免許が行われておるものでは必ずしもございません。しかし、
考え方
といたしましては、
組合
というものに権利を与えられ、それがみずから行なっていくということを
一つ
の方法として打ち出しておるわけでございます。従いまして、現実の個々の
定置漁業権
の免許の
あり方
ないし
経営
の現状におきましては、
お話
のごとく、そこまでほど遠い
状態
になっておるものがあることはやむを得ない段階ではないかというように考えております。
清澤俊英
32
○
清澤俊英
君 私の言うのは、
漁業協同組合
は
経営
の
主体
を持っておるような形になっているが、
内容
は一、二の人が全部掌握して、利益の六割五分を持っていく。これは二、三の人ですよ。こういうことを放置しておいていいのかということです。
武田誠三
33
○
説明員
(
武田誠
三君) 放置しておっていいのかという単刀直入の
お話
でございますが、これは当該
漁業権
の権利行使の
内容
につきまして、具体的によく私どもの方としても調べてみて、まさに免許の
内容
と背馳をしておるというようなことがございますれば、これについては当然考えざるを得ないと思いますが、そういった、何と申しますか、条件その他、もし具体的に個々の
漁業権
という
お話
があれば、それについて私どもの方で、県当局なり何なりにも十分
調査
をさしてみたいと思います。
清澤俊英
34
○
清澤俊英
君 わしの言うておるのは、個々の
漁業権
じゃないんです。
漁業協同組合
という、
一つ
の
管理主体
と作業
主体
というんですか、この
二つ
をもって
漁業協同組合
をやっているが、その
内容
において、株券を半分持っておる、あるいはそれを運用するために別の投資
組合
のようなものを作って、そしてそれが
漁業協同組合
の中に入っておって、それらの利益配分になると、二、三の人が、大体
組合
の総利益の六割五分を持っていく、大部分の人はあとの三割五分しか分けられない、こういう実態になっておるが、そういう
あり方
がいいのか悪いのかということを言っているのです。表はさらに問題はありません。問題はありませんが、内質においてそういう形がとられておる。これはひとり私が今お伺いしておる具体的な場所だけでなく、そういう傾向は、非常に
紛争
を起していることが
方々
にあるのではないかと思います。
漁業協同組合
の
経営
とか、あるいは町村の
経営
とかというような形で実際は出ておりますが、内質においては、ほとんどそうでない。別な、今言うたような利益の大部分を持っていく内質を備えたものが
方々
にある。そこで、
漁業協同組合
を脱退して、旧漁権のある海区の部分でも分けてもらって、そこで自分たちだけの定置網を少数な漁民で作っていきたいという要求がたくさん出ている。そういうものが私は東海道方面にたくさん出ていると思います。そういう商業行為の進んだところほどそういう問題が多く出ているが、そういう問題を、この
漁業制度調査会
等でそういう問題をどの項で
一つ
研究してやられるのか、研究の
対象
になっているのかなっていないのかということと、農林省はそういうやり方に対して、どういうふうな考えを基本的に持っておられるか。私は全く不合理だと思うんだ。
共同漁業権
を与えたことは何ら価値がない。同じことなんですよ、それは。こうわれわれは考えざるを得ないが、どうなのかということです。
武田誠三
35
○
説明員
(
武田誠
三君) 今の
お話
でございますが、農林省としては、そういう形が好ましいとは考えておりません。ただ、
一つ
の
経過
的な問題としてそういうことが起ることもまたやむを得ない場合もあると思うわけでございますが、こういった問題につきましては、どこで
議論
しておるのかという
お話
ですが、
調査会
の
議題
といたしましては、
漁業権制度
の問題といたしまして、
定置漁業権
が当然問題になっておるわけであります。
定置漁業権
というものについての免許のいたし方なり、あるいはこれらにつきまして、現在賃貸その他の行為を禁止されておるわけであります。そういったものがあまり現実離れをしてしまっておるのではないかというような御
意見
もあります。むしろ実態に合せた方がいいんじゃないか、賃貸できるというような
方向
を考えたらいいじゃないかというような御
議論
もございまするし、あるいは
組合
自営という方に、現在考えておりますように持っていった方がいいという御
議論
もございまするし、いろいろな
議論
が出ておりますが、まだ
結論
的なところまではいっておりません。そういうような
状況
でございます。
清澤俊英
36
○
清澤俊英
君 この場合ですね、旧占有
漁業権
が
協同組合
という形に変って、そうして
経営
せられているだけであって、私は
共同漁業権
が成立するときには、
一つ
の
協同組合
区域というものを
中心
にして、均分にその利益が分けられて、漁権の民主化、こういうものが考えられるんじゃないかと思うんです。ところが、少し大きな区域における、ことに最近は町村合併等が行われて、相当大きな町村単位の中に幾つかの
漁業協同組合
を含んでいる。こうなった場合に、旧占有的な
漁業権
を持っていたその海区だけが
漁業協同組合
として、何か独占的な、やはり同じ
考え方
でそれを占有しているということは、
漁業法
によって、国が一応
漁業権
の民主化のために、代償を払ってこれを買い上げたという
考え方
と私は違ったものがあるんじゃないか、それが今の結果になっているんじゃないかと思う。
武田誠三
37
○
説明員
(
武田誠
三君) 今のは定置
漁業
の問題と思いますが、旧来の
定置漁業権
の更新も免許の
対象
にいたしておりまするし、賃貸、売買等もできるという形であったわけであります。これを新しい
漁業
制度
におきましては、一般的な意味におきます定置
漁業
のうちで、特に大きなものだけを
定置漁業権
、いわば身網の水深が二十七メートル以深よりもっと深い所で行います定置
漁業
を
対象
といたしまして、それよりも浅い所で行います広い意味の定置
漁業
、同じような網を使ってやります定置
漁業
につきましては、これは
漁業権
の
内容
にいたしておるわけであります。
漁業権
の
内容
につきましての行使については、
漁業協同組合
の定款あるいは内部規約の定めるところに従いまして、その行使を
組合
内部できめる、こういう形になっておるわけであります。それから
定置漁業権
につきましては、いわゆる大きなものにつきましては、免許の
主体
として
漁業協同組合
に優先的に免許をいたしますが、
協同組合
が適格でない場合には、個人に参る場合、あるいは
水産
組合
に参る場合もございますが、ともかくそういった意味の定置
漁業
につきましては、その免許の
内容
に基きまして、それぞれ本質的には
協同組合
の完全な自営ということが
一つ
の方法でございますが、現在の段階では形式的な自営という形で、実質的にはそれに対する他人資本の導入というような形のものが多々あるというのが現状であるというように考えておるわけであります。
仲原善一
38
○
仲原善一
君 この
制度調査会
の
委員
の人選といいますか、そういう場合の基本方針か何かありますかどうか、まず第一にお伺いしたいと思います。
武田誠三
39
○
説明員
(
武田誠
三君)
委員
の人選の基本方針と申しますか、
委員
の人選につきましては、これは先ほども申し上げましたように、
漁業
制定
━━
現在の
漁業法
あるいは
協同組合
法あるいは
水産
資源
保護
法といったような、
漁業
の
基本的制度
についての法律
制度
かあるわけでありますが、従いましてそれらの問題に関連いたしまして実際に
漁業協同組合
の
運営
を行なっておられる、あるいは当該
漁業
についての経験のおありの方、ないしはこれらの問題につきまして従来から経済的な面なり、あるいは法制的な面で専門的に御研究になっておられる方という、いわば学識経験のおありになる
方々
ということを
一つ
の基準にしてお引き受けを願ったわけでありますが、特にこういう方面から何人、どういうところから何人というような特別な基準を設けてやったわけのものではございません。
仲原善一
40
○
仲原善一
君 この名簿を拝見しまして、実はこの
協同組合関係
が五人ばかりいらっしゃいますが、これは大体
沿岸
漁民
関係
の代表というふうに考えられますけれども、ところが、兵庫県が二人出ておるというような
関係
もありまして、ところが、実態を考えますと、同じ
沿岸
漁民を代弁すると申しますか、知識の深い人でも地域によって相当違いがあるのではなかろうかと考えたわけなんでありますが、たとえば九州方面はだれも入っていない。それから、あれほどやかましい山陰
漁場
のまき網
沿岸
漁民の実態について詳しい人もいないというような
関係
で、そういう意味で地域的な考慮もあわせて考えていただければという気持が実はしたものですから、一応任命のときの方針というものをお伺いしたわけでありますが、まあねらいはそういうところで質問したわけであります。
武田誠三
41
○
説明員
(
武田誠
三君) 御
承知
のように、
漁業
問題につきましては、たとえば北海道におきます
漁業
と西の方の
漁業
とは形態も
内容
も相当違っております。それから、いろいろな
漁業
紛争
と申しますか、地方的な大きな問題というものも瀬戸内海と
お話
の山陰では違った問題を含んでおります。それぞれ非常に地域性と申しますか、地方性を持っておるわけでございまして、それぞれについての
関係
の方を網羅するということになりますと、実はもう大へんな数になってしまうということも実は考えられるわけであります。で、私どもといたしましては、全般的に学識経験者として各界からも認められておられる方というような意識のもとに
委員
の方をお願いをいたしたわけでありますが、同時にこの
制度調査会
におきまして、個別に、特に必要な問題があります場合にはそれぞれ専門
委員
をわずらわして御
意見
を承わりたいというように実は考えておるわけであります。で、今後の
調査会
におきます
審議
の進展に伴いまして、専門
委員
の方を随時お願いをいたして
議論
に参加していただくということも起って参ろうかというように考えております。
仲原善一
42
○
仲原善一
君 ただいまの
お話
で大体わかりましたが、人数の少い
委員
の中で、同じ県の、しかも
漁業協同組合
長あるいは連合会の会長と申しますか、まあ二人も出ておるというようなのよりも、やはりその点は何となく地域別に考えた方がいいのじゃないかというような気がいたしましたので、そういう質問を申し上げたのですが、ただいまの
お話
で専門
委員
というので、特に特殊な事情の地域については考慮するという
お話
ですから、それでよかろうと思いますが、その点をちょっとお願い申し上げておきます。
武田誠三
43
○
説明員
(
武田誠
三君) 兵庫県の香住から西上さん、それから同じく兵庫県の漁連の会長として三浦さんが出ておられますが、これは実は三浦さんをお願いいたしましたのは、瀬戸内海の連合海区の
漁業調整委員会
の会長をしておられまして、瀬戸内
関係
と香住の裏
日本
の
関係
とは、まあ
漁業
の形態からいきましても何からいたしましても、非常に違うわけでございます。そういうような
関係
等もこの人選の中には
一つ
考えられておるものと思っておりますが、特に意識的に
一つ
の県から二人というようなことでやったわけのものではございません。
東隆
44
○東隆君 私は
お話
を伺っておって、結局
沿岸
から
沖合
い
沖合
いから
遠洋
と、こういう
方向
、あるいは小さな船が
大型
に変っていく、こういうような
方向
、これは私は
基盤
がやはり
沿岸
の漁民を、あるいはそれの組織しておる
漁業協同組合
を組織して、それが
伸び
ていかなければならぬと、こういう
考え方
なんです。今の形でありますと、
沿岸
の漁民、
沿岸
の
漁業協同組合
を踏み台にしておるかもしれませんけれども、しかしそうじゃなくて、中の力のあるものが
沖合
い
漁業
に出て、また
遠洋漁業
に出ていく、こういう形になっておるので、形は私はその通りにいっておるかもしれないけれども、中身は私は非常に違ったものになっていると思う。で、
水産
庁の私は理想としておるところは、やはり
沿岸
漁民の力が結集されて
沖合
いに出ていくと、それからそれがまた
遠洋
の方に出ていくと、こういう形ができてこなければならぬ。その形をやるのには、何としても
沿岸
の
漁業協同組合
の育成
強化
ということに私は重点が、
漁業制度調査会
の重点がそこに向けられなければならぬと思うのです。ところが、ここでは
調整
だの何だの、そういうようなことが
中心
問題になって、そうして場合によっては
沿岸
の
漁業協同組合
がただ
共同漁業権
の
管理
者になるか、でなければ
沖合
い、あるいは
遠洋
の
漁業
に対するところの労働者を供給する組織になるか、そんなようなふうな意味に考えられて、非常に心配なのです。そこで、
中心
問題をどこに持っていくかというと、やはり
沿岸漁業協同組合
を育成
強化
して、そうしてそれの
組合員
がりっぱな生産を上げ、そうして生活もよくなる、こういう態勢に持っていくことが、これが
漁業制度調査会
の私は
中心
課題
でなければならぬと思うのです。そいつがどうもだいぶ横の方にそれていっているように聞かれたわけであります。それで、そういう観点からすると、たとえば
沿岸
の
漁業協同組合
の部落的な小さなやつを統合して行政区域でもってやられるというような問題も解決のしょうがない。解決しようとすれば、
漁業権
なんかの問題についてもいろいろな
検討
を加えなければならぬし、いろいろな問題があろうと思いますが、そういう点で
沿岸
あるいは
沖合
い、
遠洋
というような
二つ
の部分に分けられておる研究の仕方ですね、これも私は
一つ
の方法だろうけれども、やはり
漁業協同組合
を
中心
にしてやる
一つ
の問題と、それから
漁業法
を
中心
的の問題にする、こんなふうに
二つ
に分けてやるべき筋合いのものじゃないだろうか、こういったように思ったりするのですが、今のところはどうも私がねらっておるようなこととだいぶ
方向
が違うように見えるので、その結果どこへ出てくるかというと、
漁業法
の
改正
と、それから
水産業協同組合法
の
改正
にめどを置いておるのだというのですから、私はやはりそっちの方で
中心
的に
二つ
を
対象
にして、そうして片方の方は
沿岸
の
漁業協同組合
を育成
強化
していく、その場合において特殊
漁業協同組合
というものがいかなる役割をしているか、そいつをやはりはっきりさしておく必要があると思う。農業の方で、実のところをいうと、特殊
協同組合
という、たとえば酪農業
協同組合
を
一つ
取り上げても、こいつと、それから総合的な普通の農業
協同組合
との
関係
それからそいつの連合会なんか、そういうふうなものになってくると、
水産
の方をそいつに比べてくると、
沿岸
の
漁業協同組合
には仕事ができないようにしておるのじゃないか、
沿岸
の
漁業協同組合
は仕事ができない。加工の面なんか非常に限定されてしまって、そうしてほとんどやれない。だからまず加工もできないし、それから今度外へ出ていくのには特殊
漁業協同組合
を組織して、それでそいつがやっている。しかもそれは
組合
ですから、従って別な
沿岸漁業協同組合
の方へいって荒し回って、ギャングみたいのことが起きてくる。だから、かえって総合的の
漁業協同組合
を、
沿岸漁業協同組合
を
組合員
にして、連合会に特殊事業を認めるような形に持っていけば、そうすればどういうことになるかというと、十分に、
沿岸
の
協同組合
は
組合員
ですから、
組合
の害になるようなことをするような、そんなことは起きてこない。だから、
一つ
の問題を考えてみても、特殊
業種別
の
協同組合
、そいつは單位
組合
として認めておるけれども、その連合会そのものに自営をさせ、仕事をさせる、こういう体制を整えていれば、私は普通の
協同組合
と同じような概念、農業の方面における
考え方
と同じような
考え方
で
水産
の方も見ていけるのじゃないだろうか、こう考える。そうすれば、
沿岸
の
漁業協同組合
の結集した力が
沖合
いに出る。
沖合
いが
遠洋
の方にも出る、そんなような形で可能なわけです。そいつを考えないでやたらにやっていくと、私は非常に摩擦ばかりこしらえちゃって、そうしてそれでもっていかないものは、これは単独で株式会社こしらえてやればいい。株式会社にするのは都合悪いというので、そいつに圧力を加えているなら、
沿岸
の漁民の自由なる意思で作った
協同組合
が仕事ができないように制限を加えるのは間違いである。だから、今のやつは制限をしておるような形でできておるから、この点をどういうふうにお考えですか。
武田誠三
45
○
説明員
(
武田誠
三君) 現在の
漁業法
、あるいは
水産業協同組合法
が
地区
のいわゆる総合単協なり何なりの
活動
を故意に、何と申しますか制限をするというようなことでも規定をされておるものとは実は考えておりません。むしろ
考え方
としては、あまりにも自由であり過ぎるために、むしろそういう形になってくる面があるのではないかという気はいたしますが、特に
漁業協同組合
に加工事業はやってはいけないというふうな、積極的にそれを阻止する規定は特にあるわけではございません、むしろ
漁業協同組合
におきまして、そういった加工事業が発達をしていかない、目ざましい伸展を遂げていっていないということの
一つ
は、やはり
組合
の大きさと申しますか、当該
組合
に集荷されて参ります鮮魚量の問題なり何なりが
一つ
の問題でもあるわけであります。それから同時に、御
承知
のごとく、
水産関係
の産地市場につきましては、
漁業協同組合
がこういった仕事に手をつけます前に、いわゆる商人市場的に形成されておるところもずいぶんたくさんあるわけであります。そういうところにおきましての商人資本が非常に強いということのために、
伸び
悩んでおるというようなところもあろうかと思います。しかし、全般的には単位
漁業協同組合
の
一つ
の大きな仕事はやはり共同販売事業であり、それにつながりましての加工事業が年間稼働し得る形においてできます場合には、逐次それが
伸び
てきておるというような実は形になっております。
一つ
の加工施設を作りましても、
沿岸漁業
に依存しております限りにおいては、なかなか十分に当該加工施設が
運営
されるということが望み得ない場合が相当あるわけであります。そういうことからなかなか発達をしにくいという面も実はあるわけでございまして、いろいろな面から私どもも
検討
を加えて参らねばならないと思いますが、特に
漁業協同組合
の事業
活動
というものを制限するという
方向
で
制度
を作り、あるいは
運営
をしておるということは全くございませんので、やはり
お話
のごとく、
協同組合
の
活動
並びに
系統組織
の
運営
というものの
強化
を第一の
方向
として私どもとしても指導に当っておるつもりであります。
東隆
46
○東隆君 私はその単協がやり得ない面は、これは私はやはり単協の結集した連合会がこれをやはりやらなければならぬと思います。ところが、連合会の方では、私は共同販売の問題でもそういうようなことができないというわけじゃないのですけれども、たとえば船を持って魚をとるということは、これはできないことになっておる、事実上……。そこで、底びきなんかは結局
組合
をこしらえている。だから、そういうような場合に連合会がやり得るということにすれば、結局
沿岸
の
漁業協同組合
が参加をして、機船底びきの連合会を組織するわけです。そしてその連合会が魚をとる、こういうことになればどういうことになるかというと、
沿岸
の
漁業協同組合
の
漁業権
を荒すようなことはできないわけです。そういうような問題ができてくるので、そういう形でもって積み上げたものを作っていかなければ、結集された力でもって
遠洋漁業
を
沿岸
の
漁業協同組合
がやるという体制にはならぬじゃないか。
沿岸
の
漁業協同組合
は力があるからというので、それは焼津あたりだの何だのそこら辺のはあるいはできるかもしれません。やろうとすれば、形を変えればできるかもしれませんけれども、しかし普通の場合にはそいつはできないでしょう。だから、連合会に認めていって、そうしてその連合会そのものは大きく出ていく形をとっていかなければ、
沖合
いから
遠洋
というものに漁民が参加してやっていく体制はこれはできません。資本の方は、これはどこからでも資本を集めてやりさえすれば、
経営
者がそいつを使ってやりさえすればできる。これは何にも問題はない。そっちの方は自由だけれども、ところが、
協同組合
を通してやっていくという場合に、連合会で、
中心
の生産の方面、それができないような体制を作り上げていくということは、これは完全に漁民の自由なる意思でやっていくやつに対する大きな制限ですよ。その点を言っているわけです。単協に何ぼ認めても、単協の資本というものは弱いので、そういうことができるわけはない。ですから、それの結集された形でもってやっていけば、連合会でやれるということになれば、農林中金だって何だって出していく。そっちの方で何もできないわけではない。資本だって、かえって農林中金が北洋
漁業
だの何だのに資本を流すよりも、
沿岸
漁民の結集した力の連合会に農林中金が資本を出したり、あるいは農林
漁業
金融公庫が資金を融通する、これが法律をこしらえた趣旨に合致していると思うが、そうじゃないですか。今農林
漁業
金融公庫からだいぶ漁船などを作る資金を株式会社に出しておる。あれなんかは私は非常に間違った金融の仕方だと思う。そういう点が私は
中心
課題
だろうと思う。
協同組合
というものを
中心
にして漁民の生産、漁民の生活、そういうものを考えなければならない。こういう
考え方
から見ていくと、
漁業
制度
それから
水産業協同組合法
というものは非常に間違った形によって進んでいって、そうしてその形でもって
伸び
るものが
伸び
ないであるのじゃないか。こういう面があるからそれを直していかなければならない。それはやはり
協同組合
の本質から考えていって進めていかなければならぬ問題じゃないか、そういう
考え方
に立てば、今の
漁業
金融なんかの
制度
は非常に間違った形で行われておる。そういうものを是正していかなければならない。そういう点なんです。
武田誠三
47
○
説明員
(
武田誠
三君) ただいまの
お話
の点は、
漁業組合
の自営問題にからむと思います。現在の規定上、
漁業協同組合
連合会の自営を特に制限をしておるわけではございませんが、現実の当該
漁業
についてのリスクなり、あるいは経験というようなもの、また連合会の力
自身
もきわめて強いというところまでまだ育っておりませんような現状から、なかなかそこまでは現実には、行われてない。先々の形として
調査会
におきましても
漁業自営
の問題として
議論
は一、二行われております。今後もこの点につきましてはまたさらに掘り下げられるものというふうに考えております。
清澤俊英
48
○
清澤俊英
君 魚価の問題をさっき出されたが、これはよほどこの
調査会
で掘り下げてもらいたい。ということは、最近相当の資本を投じた場合は大衆魚というのですか、そういうようなものが非常な水揚げが行われる、そういうものが塩干魚等の形で市場へ流れておる、それは非常に安い。ところが、
沿岸
漁民のとる漁獲は大体、時によりますとイワシとかそういうようなもののいわゆる大衆魚といわれるものの時期的な豊漁ということはあるけれども、そうでない場合は大体平均してとられておる。これは昔は、そういった塩干魚冷凍等の非常に加工物の進歩しなかった時分には、鮮度をもって相当な価格で売られておったと思う。それが鮮度を無視して、他から安い冷凍塩干魚等が入ってくるために近海ものが価格で押されて魚価が非常に下っておる、こういう面が見られるけれども、これが第一番の
沿岸
漁民の弱っていく最大原因になっているのではないか。こういうことを考えられるのですけれども、それと同じようなものが、大きな中央市場等を
中心
にしてやはりもう一種の独占資本的な動きによって塩干魚等が価格の何というのですか、価格がもう通常きまって、ほとんど利盛というものが仲買いその他にきまりまして、今問題になっておることは
漁政部長
よく御存じだと思う。そういう結果が問題になって、塩干魚に対する価格の問題に対して中央市場の仲買人その他が問題にしておることは御
承知
の通りであると思う。ああいう形でぐんぐんと押してきまして、
沿岸
漁民を
経営
的に非常に困難に陥れている面が多いのじゃないかと思うが、こういう問題に対して
一つ
徹底的方策を考えていただくことは非常に重要だと思いますので、これの流通問題というものはこれからまだ出るかもしれませんが、今の段階においては
討論
の
対象
にならないでおるから、これは農林省があらためて出してでもやはりそれを
中心
にした問題が出て参りますれば、今、東君が言われるような点までのものが、考えられるものが出てくるのじゃないかと思う。私はそういう点に非常に大きな穴があるのではないかと思う。そういう点をお考えになっておるか。
武田誠三
49
○
説明員
(
武田誠
三君) この
漁業制度調査会
におきましてただいま
お話
の価格問題、魚価算定
方式
といいますか、並びに流通機構の
問題等
にからんでこの
調査会
でやるのかどうか、そういう
お話
でございますが、私としては今の流通機構の問題につきましては、市場に関します
調査会
の方で取り上げていただきたいというふうに考えておりまして、
協同組合
の系統
強化
の問題、
系統事業
をどう持っていくかというような問題、あるいは
経営
安定といったような面から見た価格問題、あるいは流通問題という意味合いでの取り上げ方をお願いをしておるということでございます。
秋山俊一郎
50
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) この問題は、この程度にいたしまして、この
調査会
の進行につきまして、また時々当局の御
報告
をいただくことにいたしまして、本日は、この程度にいたしまして散会いたします。 午後零時五十九分散会