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1958-12-16 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十六日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   委員の異動 十二月十二日委員北村暢君及び小林孝 平君辞任につき、その補欠として棚橋 小虎君及び戸叶武君を議長において指 名した。 十二月十五日委員大河原一次辞任に つき、その補欠として吉田法晴君を議 長において指名した。 本日委員吉田法晴辞任につき、その 補欠として大河原一次君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            河野 謙三君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            田中 茂穂君            大河原一次君            河合 義一君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            北 勝太郎君            島村 軍次君   衆議院議員    芳賀  貢君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    農林省蚕糸局長 大澤  融君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局参事官    花園 一郎君    通商産業省企画    局次長     磯野 太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会  設置法案内閣提出) ○昭和三十三年七月、八月及び九月の  豪雨及び暴風雨による被害農家に対  する米穀売渡特例に関する法律  案(内閣送付予備審査) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○繭糸価格の安定に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○農家負債整理資金融通特別措置法案  (衆議院送付予備審査) ○寒冷地畑作農業振興臨時措置法案  (衆議院送付予備審査) ○農林水産政策に関する調査の件(農  林漁業水質汚濁防止に関する件)   —————————————
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告  いたします。  去る十二日北村暢君及び小林孝平君が辞任され、棚橋小虎君及び戸叶武君が選任されました。   —————————————
  3. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、北村暢君の委員辞任に伴い理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。  互選方法は、成規の手続を省略し、便宜、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めます。よって清澤俊英君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案閣法第二九号)(十二月十日内閣提出、同日委員会に付託)、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案閣法第二号)、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案閣法第三号)及び繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第一四号)(いずれも十二月十日内閣送付予備審査)を一括して議題といたします。  順次提案理由説明を求めます。
  6. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま上程になりました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案提案理由を御説明申し上げます。  青果物魚介類肉類等いわゆる生鮮食料品流通改善をはかることは、農畜水産業経営改善する上からも、一般消費者の利益を増進する上からもきわめて重要であります。これら牛鮮食料品流通におきましては、品質が変化しやすく迅速な取引を要するという生鮮食料品の特質から、産地あるいは消費地卸売市場において大量の需要と供給が集中し、その市場取引によって価格が決定されているのでありまして、卸売市場はいわば生鮮食料品流通機構の中核をなしているのであります。政府は、大正十二年に中央卸売市場法が制定されまして以来、同法に基きまして中央卸売市場の育成及び指導監督を行なって参つたのでありますが、現在までのところ、中央卸売市場を開設した都市は六大都市を含めてわずかに十六都市でありまして、消費都市卸売市場を建設して流通経費の節減と価格の安定をはかるという同法の目的は十分には実現されていない状況であります。また中央卸売市場の開設、取引機構取引方法などに関する現行制度につきましても、生鮮食料品流通事情の変化にかんがみまして根本的に検討すべき点が多いと存ずるのであります。さらに生鮮食料品卸売市場としましては、中央卸売市場法対象とならない一般消費地卸売市場及び水産物水揚地に開設されておりますいわゆる産地市場がきわめて多数ありまして、現に流通上重要な地位を占めているのであります。これらの市場につきましては、一部の都道府県においては、条例を制定して指導監督を行なっているのでありますが、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかる上におきまして、これらの市場の業務の公正な運営を確保し、市場中心とする流通秩序整備をはかることが必要と認められるのでありまして、これらについても、適切な対策につきましてすみやかに検討を行う必要があるのであります。  以上のよう生鮮食料品流通事情にかんがみまして、生鮮食料品卸売市場につきましてすみやかに全般的な検討を行い、対策の確立をはかりますために、さきに第二十八国会における中央卸売市場法の一部を改正する法律審議に際して、両院農林水産委員会付帯決議によって御要望のありました御趣旨も考慮しまして、臨時調査会を設置することとし、これに必要な法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容について概略説明申し上げます。  まず農林省付属機関として臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置することとしておりまして、調査会所掌事務としましては、農林大臣の諮問に応じ生鮮食料品卸売市場についての対策に関する重要事項調査審議することとしております。次に、本調査会の組織でありますが、調査会委員三十人以内で組織するものとし、このほか必要に応じて専門委員を置くことができることとしております。これら委員及び専門委員は、生鮮食料品卸売市場対策に関し学識経験のある者のうちから農林大臣が任命することとしております。調査会の答申につきましては、卸売市場対策を緊急に確立する必要があることにかんがみまして、調査審議の結果をこの法律の施行の日から一年以内に農林大臣に答申するものとしております。このほか、この法律の制定に伴いまして必要とされる農林省設置法の一部改正を行うこととしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、ただいま上程されました昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知の通り本年七月以降九月に及ぶ間において屡次にわたりわが本土に来襲いたしました台風並びにこれらの台風に前後して各地を襲いました豪雨によりまして、狩野川のはんらんにより惨害をこうむりました伊豆地方等米穀生産に損害を生じその減収により飯用食糧にも事欠く農家を生じている状態であります。  ここにおきまして、政府はかかる農家に対しましてその食糧の不安をなくするために政府所有米穀特別価格で売り渡し、他の災害対策と相待って米穀の再生産確保に寄与したいと考えましてこの法律案提案した次第であります。  次に、本法案の骨子につきまして御説明申し上げます。  第一点は、本法案対象となる災害は、本年七月、八月及び九月の豪雨及び雨により政令で定める地域内において生じた災害と規定しております。すなわち適用地域政令で定めるのでありますが、被害程度調査いたしまして、これにより地域の指定をすることといたしているのであります。  第二点といたしましては、本法案によりまして米穀の売り渡しを受ける農家は、その生産する米穀災害によって著しい減収を来たし、そのためその生産する米穀飯用として消費する量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けることといたしております。  第三点といたしましては、政府都道府県及び市町村を通じて被害農家米穀を売り渡すことにしている点でありますが、これはなるべく被害農家米穀の購入が立法の趣旨に沿って行われるようにはかつているのでありまして、政府都道府県市町村が一体となって農家の救済を期しているのであります。  第四点といたしましては、被害農家米穀をおおむね生産者価格をもって購入できるようにはかつている点であります。  以上が提案理由概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  本年三月の融雪害、四月から五月にかけての水害、特に七月以降の相次ぐ豪雨及び二十一号、二十二号を中心とする台風により、静岡県を初め各地に激甚な被害をもたらしました。とりわけ農林業関係施設ははなはだしい被害をこうむり、農家はたび重なる災害のため、多大の困難に遭遇し、農林業生産に支障を来たしている実情であります。このよう事態に対処しまして、  一日も早く損壊施設復旧をはかり、農林業生産の回復をはかることは、焦眉の緊要事でございます。  従来、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律に基く農林水産業施設災害復旧事業費に対する国の補助につきましては、甚大な被害を受けた地域に限りまして、高率補助適用をすることとして被災農家等負担の軽減をはかつてきたのでありますが、農地及び奥地幹線林道以外の林道につきましては、農家負担能力等から見まして、現行補助率では十分な復旧を期待することができませんので、被害が特に激甚な場合についてさらに補助率を引き上げ、農家負担を軽減して災害復旧事業の促進をはかり、農林業生産力の増進と経営の安定をはかることといたしました。  以下、この法律案概要を御説明申し上げます。  現行法におきましては、農地及び奥地幹線林道以外の林道災害復旧事業につきまして、一般地域のものは、当該事業費の五割を補助いたしておりますが、その年の一月から十二月までに発生した災害により甚大な被害を受けた地域におきましては、災害復旧事業費のうち政令で定める一定額以上の部分については、高率補助にはなっておりますものの、いかに被害額が大きい場合におきましても、農地にあつては十分の八、奥地幹線林道以外の林道にあつては十分の七・五の補助率にとどめられておりました。今回の改正は前に御説明申し上げた趣旨により、この高率補助適用部分のうちさらに政令で定める一定額以上の部分について、農地にあつては十分の九、林道にあつては十分の八・五の補助率適用し、補助率を累進的に高めることにいたしたのであります。  なお、この改正された新制度は、本年の一月から十二月までに発生した災害にかかる災害復旧事業から適用されることとなっております。  以上がこの法律案提案する理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由説明申し上げます。  政府は、第二十九特別国会において成立いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法によりまして、日本輸出生糸保管株式会社を通じて生糸及び乾繭買い入れを行うことにより繭糸価格の安定に努めてまいりました。同会社は、現在までに相当大量のたな上げを行なつたのでありますが、その後の需給事情はなお好転するに至っておりません。このよう事態に対処して今回夏秋蚕繭につきまして、生産者団体が約三百万貫を市場よりたな上げして繭及び生糸価格の安定をはかろうとしているので、この円滑な実施をはかるためたな上げした繭の保管会社買価格を特別の価格とすることができるようにすることが必要となつたのであります。  この法律案は、以上の趣旨によりまして、日本輸出生糸保管株式会社夏秋蚕繭を特別の価格買い入れることができるようにするための改正でありますが、以下、法律案内容についてその概略を申し上げますと、  第一は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法による日本輸出生糸保管株式会社の繭の買入価格を一万一千二百五十トン(三百万貫)の範囲内の数量については、政令で定める額に保管費用等を加えた額とすることであります。  第二は、これに伴いまして同会社が同法により買い入れ等を行なって取得した生糸又は乾繭政府買い入れる場合における買入金額限度額を五十億円増額して二百億円としたことであります。  以上が繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されますようお願いする次第であります。
  7. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 以上の法律案のうち、ただいまから臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案審査を行います。  なお、その他の法律案審査は日を改めて行うことにいたします。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記を始めて。  本法律案につきまして御質疑の向きは御質疑を願います。
  9. 青山正一

    青山正一君 一点だけお聞きいたしたいと思いますが、農林省の省議で決定いたしました三十四年度のこの生鮮食料品に関する、この流通に関する予算内容をごく大ざつぱで一つ説明願いたいと思います。
  10. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 三十四年度予算として要求をいたしておりまする生鮮食料品流通関係予算をかいつまんで申し上げますと、第一は、流通対策関係といたしまして、従来からやつておりまする青果物需給調整協議会、これをさらに拡充して進めて参りたいということが一点でございます。それから青果物市況の速報をいたしますために、六大都市及び福岡につきまして傍受いたしました市況を迅速に把握いたしまして、これを適当なるマス・コミュニケーションの波に乗せたい、さように考えております。それから第三点は、輸送方法包装等につきまして——包装荷姿でございますが、これの合理化をはかりますことが、現在特に青果物につきまして非常に緊急な仕事でございまするので、それの試験、輸送費補助、これをはかつていく。それから第四点といたしまして、従来青果物流通関係につきましては、地方庁においてできる限りの指導はいたしておったのでございますが、これに専念をする職員は現在地方庁に置いてないのでございます。今後の方向といたしましては、できる限り、特に出荷面指導におきまして、きめのこまかい指導を進めて参る必要があるのでございます。そのために地方庁に専任の職員を置きまする助成をいたしたい。  以上が流通関係でございますが、次に、市場関係につきましては、中央卸売市場中心といたしまして、今後青果物及び水産関係流通改善をはかるということは、農林省が年来考えておりまする基本の線でございます。それに即応いたしまして、中央卸売市場整備費につきまして若干の助成をいたしたい。  以上で青果物流通改善といたしまして現在要求いたしておりまするのは、三十四年度の要求額が約五千四百万円、それから市場関係では約四億七百万円の予算要求いたしております。
  11. 青山正一

    青山正一君 ただいま経済局長から主として青果物中心とした予算内容説明があったわけでございますが、中央市場はただ単に青果市場ばかりではない。魚市場もあるわけなんですが、その面の予算もはっきりと水産庁には組んであると思われるのですが、その点をお伺いいたしたい。
  12. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 今、農林省所管関係が、特に流通関係につきましては、青果関係が私の方、水産関係水産庁というふうになっておりますので、今、私は主として青果中心にして申し上げましたが、水産物流通改善につきましては、水産庁所管といたしまして、卸売市場指導及び調査費あるいは水産物出荷連絡協議会費水産物取引改善費水産物消費拡大調査指導費、その他合せまして六千二百万円程度要求いたしております。  なお、畜産関係についてつけ加えて申し上げますと、項目はたくさんございますが、畜産関係では約一億程度要求をいたしております。
  13. 青山正一

    青山正一君 この予算に関する限りは、非常に農林省の労苦を多といたします。非常に今度は予算をたくさん計上しておられるという事実を私自身は認めたいと存じます。そこで、本題に移りたいと思いますが、この前、いろいろ自由党なり、社会党から御質疑があったわけでございますが、それに対して農林大臣なり農林次官からいろいろお答があったわけでございます。もちろん経済局長あたりからもお答えがあったわけでございますが、その答弁をそのまま今の現在においても了解してもよろしゅうございますかどうか、その点について承わりたいと存じます。
  14. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま御質問の点に関しましてお答え申し上げますが、この前の臨時国会におきまして、本法律案に関連して各般の御質疑がございまして、私ども政府の立場から御答弁申し上げたのでございますが、その点につきましては、今日もその当時と何ら変っておりませんので、その通りの方針で進みたいと、こういうふうに考えております。御了承願いたいと存じます。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっとお尋ねしておきますが、今度できますこの調査会調査対象というのは、あくまでも生鮮食料品ということに限られておりますか。それとも、調査対象一般農産物に及ぶことも可能である、こういうことですか。
  16. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) 法律調査会の機能のところにも書きましたように、生鮮食料品対象として考えております。広く一般農産物という考え方では農林省は考えておりません。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 私は、これは希望ですが、どうせこういうふうな調査会を作って、各界の権威者に三十人も寄っていただくんだから、主として生鮮食料品卸売市場調査ということでいいんですが、この機会に、一般農産物、たとえば木材であるとか、問題になっている生糸であるとか、こういうものにも論議が及んでもいいというだけの弾力性を持たせる、むしろ及ぶことを私は願った方がいいんじゃないかと、こう思うんです。特に私はこの機会に、強く農林省当局にお願いしておきたいのは、かりにこの調査会問題外といたしましても、この機会一つ問題を出しておきますが、数年前に、私は農林委員会に所属しておりますときに、農林省当局に訴えたことがありますが、最近の農村におけるところの経営転換の中で、大きく浮び上ってきたものは花卉栽培です。数年前までは、都市近郊の一部の農村に限られておった花卉栽培が、最近は非常に広範囲にわたって参りました。ところが、この花卉栽培をやっておる農家から見ますと、草花に対しての市場法適用がない。それがために農林省でも目下鋭意調査されておるようでありますけれども花卉流通というものは非常に乱れております。その乱れたシワが、全部草花生産者に行っているといっていいくらいであります。市場任意市場である、従って、これがつぶれる、その被害は一切農家がかぶるというようなことであります。また市場草花小売関係、これあたりを見ましても、いたずらに煩瑣であり、いたずらに暴利をとっておるということが現実の姿であります。こういうものを十年、二十年前と同じように、どこまでも市場法対象外に置いてそうして傍観しておるということは、これから三年、五年先のことを考え、また農村経営転換を非常に指導しておられる農林省におきましては、市場法適用するしないは別問題としましても、もう少しくこの問題に真剣に取り組んでもらう時期ではないか、こう思うんですが、これについての御所見を伺いたいと思います。
  18. 大河原一次

    大河原一次君 今の質問と関連して、あわせて御答弁をいただきたいと思います。今問題になっております生鮮食料品流通機構というものを出されておりますが、これはここの中に出ておるように、二十八国会の場合に、衆参両院農林水産委員会付帯決議がついております。従って、付帯決議を加味されて出されてきたというふうに説明になっておりますが、それなら、なぜ今回生鮮食料品のみに限ってこういう機構改革という面を出したのであるか、今の河野さんとも関連するが、その他の機構改革という面を現在考えておられるかどうかということも、あわせて御答弁願いたい。
  19. 須賀賢二

    政府委員須賀賢二君) ただいま御指摘のございました花卉等の問題につきましては、目下振興局の方で、園芸振興調査会その他の系統機関を通じまして、いろいろ検討いたしておるわけであります。まだ問題の掘り下げ方は、市場、いわゆる流通機構その他の問題にまで進んで参っておりません。御指摘ように、花卉につきましては、そういう問題が強く伏在をいたしておるわけであります。われわれの方といたしましても、振興局の方の検討の度合いと見合いまして、そういう問題に取り組みます段階になりました場合、ともに十分連繋をとりまして検討を進めて参りたい、さように考えております。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 同時に、今、大河原さんからもお話がありましたが、この機会に、生鮮食料品以外の農産物、たとえば今の木材の問題とか、生糸の問題とか、こういうものは、生鮮食料品から見れば、比較的問題は少いというだけであつて比較の問題であつて、これらも、必ずしも完璧のものではないということだと思いますので、この機会にあわせて調査対象にすることもできるというように、法文にかりに書かなくても、そういう幅を持つた態度で臨まれることが願わしいと、こう思うんですが、これはどうでしょうか。
  21. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま河野委員の御質疑の点は、私どもといたしましても、全く同様に感じておる点でございます。この法案の直接の目的といたしましては、生鮮食料品流通対策ということになっておりますが、それは根本的な問題といたしまして、やはり農産物全般に関するところの流通機構対策というものについての一つ方向を見出しますその際に、生鮮食料品としての特徴を加えて結論を出すということに相なるかと存じます。従って、この調査会審議の経過におけるところのいろいろな中間的な結論または論議というものは、その他の農産物流通機構改善にも一相当大きな、何と申しますか、改善についての資料になり得るというふうに考え、またそういう方向にぜひ発展して参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  22. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議がないと認めます。それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようですが、討倫は終局したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議がないと認めます。それではこれより採決に入ります。  臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  25. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  27. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、農家負債整理資金融通特別措置法案(衆第二号)及び寒冷地畑作農業振興臨時措置法案(衆第三号)(いずれも十二月十三日衆議院送付予備審査)を一括して議題にいたします。  順次提案理由の御説明を願います。
  28. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました農家負債整理資金融通特別措置法の提案理由を御説明いたします。  北海道を初めとする寒冷地帯並びに常襲水害地帯の多くの農家が、二十八年以降数次にわたって連続災害をこうむりましたことは御承知の通りであります。国及び地方公共団体は、その都度それぞれ金融対策等の応急措置を講じ、急場をしのいで参りましたが、これらの災害時に借り入れた資金のうち多一顧のものが、ついに過度負債として固定化するに至っているのであります。しかも、これらの地帯におきましては、いまだ災害を未然に防止する諸施設の整備がおくれかつ一般に土地生産力が低く、加えて平常年でも通常の借入金を返済した場合は、その余剰でどうやら家計を維持することができる階層の農家が大部分を占めておりますため、災害時に累積しましたこれらの過度負債は、それ自体が年々延滞利子を加算して膨張し、現在では農家経済の循環過程において、重大な悪影響を与えるようになっているのであります。このよう事態をこのまま放置いたしますならば、多くの農家は、農業経営の正常な発展をはばまれるのみならず、農家経済の破滅を招来するものと予測せられ、その結果は債権者たる系統金融機関等も甚大な打撃をこうむる結果となるのであります。  特に北海道等一部地区におきましては、社会不安の様相を呈しつつあり、非常に憂慮すべき状況にあるのであります。かかる事態に対処いたしますためには、北海道等の災害常襲地帯において過去の天災のため現在すで、に償還能力以上の多額の過度負債を有し、その経済が撹乱されている農家に対し、新たな立法措置を講じ、政府の金融調整による負債の長期分割償還、農家負担金利の低減等の措置をすみやかに講じ、これらの地帯の負債問題を早急に解消し、農業再生産の基礎を確固たらしめることが緊急の要務であると信ずるものであります。  以上がこの法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に、この法案の骨子を簡単に御説明いたしたいと存じます。  その第一点は、すでに天災による多額の固定化負債を有する農家であって、現在その農業経営が著しく不安定な状態にはあるが、今後積極的に農家経済の再建をはかろうとする意欲を有している者に対し、農林漁業金融公庫が、低利、長期の負債整理資金を融通し、農家の固定化負債を流動化せしめようとすることであります。  第二点は、農林漁業金融公庫から負債整理資金の貸付を受けようとする者については、負債の整理計画等を含む農家経済再建計画を樹立せしめ、その再建計画を都道府県知事が認定し、その認定を受けた者に対し、農林漁業金融公庫から当該計画を実施するために必要な資金を利率年三分、償還期間三十年以内で融通することにしているのであります。  第三点は、負債整理の所期の成果を上げしめるためには、農家の再建計画の樹立、実施に関する重厚な指導、助言並びに条件緩和等に関する債権、債務者間の調停、あっせん、勧告等が必ず伴わなければ効率的な成果を期待することができないことは過去の経験に徴し明らかでありますが、これらに要する経費のすべてを常襲被災害地帯の地方自治体に負担せしめることは、現在の地方財政の実情に照らし、きわめて至難であり、かつ適当でないと思われますので、都道府県農家経済再建指導員を設置いたします場合、その設置に、要する経費及び都道府県が、農家負債整理についての調停、あっせん、勧告等を行う機関を設置する市町村に対し補助を行う場合は、その補助に要する経費につきまして、政府予算の範囲内でその全部または一部を補助することとし、この負債整理対策の成果を完全なものにしようとしているのであります。  以上、簡単に農家負債整理資金融通特別措置法案提案趣旨内容を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。  次に、寒冷地畑作農業振興臨時措置法提案理由を御説明いたします。  まず、この法律提案するに至りました経緯等について申し上げたいと存じます。  北海道を初めとする寒冷地帯の農業は、その開発以来劣悪な自然条件のもとで地域農民のたくましい努力により、食糧増産酪農振興等わが国農業の発展途上に多大の成果を上げて今日に至つたのでありますが、常襲的な冷害凶作及経済事情の変動により農業経営はいまだに不健全であり、従って、農家経済もまた不安定の実情にあります。すなわち寒冷地帯の農業は、昭和二十八、二十九両年の連続冷害により、大きな打撃をこうむつたのでありますが、さらに加えて昭和三十一年には四十数年ぶりという大凶作に見舞われましたため、農家負債は急増し、農業経営は著しく悪化するに至り、ために農民は営農意欲に燃えながらも、苦境に呻吟しているのであります。このような農民の窮状を打開するため、もとより国としても、また地方公共団体としても、もろもろの応急対策を実施し、何とか再生産の維持に努めているのでありますが、今日までの施策は農民の当面する窮状の打開策にとどまつているにすぎないのでありまして、もし今後長く根本策の確立を怠り、このよう事態を放置いたしますならば、寒冷地帯の農業は常に冷害凶作の災害に見舞われ、農民がいよいよ塗炭の苦しみに陥りますことは想像にかたくないところであります。それゆえに、昭和三十一年の大凶作を契機に寒冷地帯の農業振興のための恒久対策を樹立すべきであるとの意見がほうはいとして高まつてきたのであります。  寒冷地帯の畑作農業経営の特色は、寒冷がはなはだしいという気象条件と特殊土壌が多いという劣悪な土地条件のもとにおいて、農耕期間が短かく、土地利用が制約されている上、土地改良の立ちおくれと地方収奪的な農法ににより地方が著しく低下しており、生産手段が整備されておらず、営農技術の水準もまたきわめて低いため、農業生産力が著しく停滞しているのみならず、さらには農産物価格の変動等の影響をも受けて一そう不安定なものとなっているということであります。従いまして、寒冷地帯における畑作農業の振興をはかるためには、このような自然的な制約条件に対応して、農業生産上における各般の基礎条件を整備するとともに、地方の維持増強、生産手段の整備、営農技術の向上等のために必要な措置を総合的に実施し、もって寒冷地帯に適応する農業経営、すなわち家畜を組み入れた主畜経営または混同経営を確立することが絶対不可欠の要件であります。しかしながら、これがためには、多額の投資を必要といたしますので、冷害により経済的な苦境にある農民が多額の自己資本を投下し、寒冷地帯に適応する農業経営を確立することはもとより至難のことであります。  また、農林漁業金融公庫資金その他の制度資金の融通、あるいは国庫補助等の方法により行われております各種の補助助成措置も、ともすれば、米麦の増産に重点的に振り向けられる場合が多く、特に融資については金利、償還期限等の条件が寒冷地帯における農民の経済状態に適合していないため、通常の金融ベースに乗らないという欠陥があると存ずるのであります。政府においても、以上のような寒冷地帯の畑作農業の実情にかんがみまして、昭和三十二年度に実施いたしました寒冷地農業調査の結果に基き、本年度から農林漁業金融公庫資金の計画的な融通による畑作営農改善対策を、実施し、これまで組織だった政策としてほとんど取り上げられていなかった寒冷地農業振興対策を、現行諸法規の許す範囲内で著しく前進させたのでありますが、この対策におきましては、農業生産の基礎条件の整備が並行して行われがたく、金利や償還期限等の融資条件がかなりきびしく、さらには指導の組織的な強化が容易でない等の難点があることを指摘せざるを得ないのであります。すでに衆議院農林水産委員会においても昭和三十三年四月二十三日、全会一致をもって寒冷地農業振興対策特別措置の確立に関する決議を行い、これが立法化の必要を明らかにいたした経緯にかんがみましても、寒冷地帯の畑作農業を振興させるためには、その実態に即応した基本対策を総合的かつ計画的に実施する必要があると思うのであります。  以上がこの法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に、本案の骨子について簡単に御説明いたしたいと存じます。  まず第一に、寒冷地畑作農業振興地域の指定についてでありますが、農林大臣は、平年度において、五月から九月までの積算温度が摂氏二千六百度以下、無霜期間が百七十日以下または七月及び八月の平均気温が摂氏二十度以下であつて、耕地利用率が百分の百十以下の畑作を主とする農業地域で主畜経営または混同経営によらなければ、その地域内の農業者の経営の安定が得られないと認められる道県の区域の全部または一部を寒冷地畑作農業振興地域として指定することとしているのであります。  第二に、以上の寒冷地畑作農業振興地域について、自然的経済的社会的条件に応じて、農業経営の目標を定めることでありますが、この農業経営の目標につきましては、道県知事の定めるものを農業経営基準、また市町村長の定めるものを営農類型としているのであります。  第三に、農業振興計画の樹立及び実施に関することでありますが、これは、寒冷地畑作農業振興地域内の農民の経営を以上のような目標に到達しやすくするため、市町村長及び道県知事並びに農林大臣が農業生産基盤、農業生産手段及び生産物の流通機構整備に関する農業振興計画を定め、政府はこの計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならないとしているのであります  第四に、寒冷地畑作農業振興地域内の農民の経営が、さきに述べました目標に到達するために必要な長期低利資金を融通しようとするものでありますが、これは、まず農民に自己の農業経営改善計画を樹立させ、次に、これを道県知事が認定し、その認定を受けた者に対し、農林漁業金融公庫から、当該計画を実施するために必要な資金を利率三分五厘、償還期間三十年以内で計画的に融通することとしているのであります。  第五に、指導の強化に関することでありますが、これは、農業経営改善計画の作成及び実施を指導させるため、特に道県に農業経営改善指導員を置くことができることとし、この設置に要する経費の一部を補助ようというものであります。なお、道県知事及び市町村長が指導を行うに当つては、自主的な協力組織として作られた農家群と密接な連絡を保つて指導を行い、その効果を高めることとしているのであります。  以上が、この法律の主眼点となっているのでありますが、これらの五つの事項の実施によりまして、寒冷地帯における農民の営農を具体的に改善し、自然的社会経済的な悪条件に対応する強靱な農業経営を確立し、すみやかに農業生産力の発展と農業経営の安定をはかり、もって国民経済の発展にも大きく寄与せしめたいと存ずるのであります。  何とぞ、御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  29. 関根久藏

    委員長関根久藏君) これらの法律案審査は、日を改めて行うことにいたします。  ここでしばらく休憩して午後一時より再開いたします。    午前十一時三十六分休憩    —————・—————    午後一時四十五分開会
  30. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 委員会を再開いたします。  農林漁業水質汚濁防止に関する件を議題といたします。この件は、長い間当委員会の問題として大きな関心が払われておりましたところ、本件に関連して今国会政府から公共用水域の水質の保全に関する法律案及び工場排水等の規制に関する法律案、また、衆議院議員赤路友藏君外四十六名によって、水質汚濁防止法、案が提出されておりますので、本日はまず政府提案のものについて、経済企画庁及び通商産業省当局から一応説明を聴取することにいたします。  まず公共用水域の水質の保全に関する法律案から始めます。  なお、衆議院における審査の模様等についても、あわせて説明を願います。  また、御質疑の向きは、両法律案説明が終つてからお願いいたします。  政府からの説明員は、経済企画庁調整局参事官花園一郎君、通商産業省企業局産業施設課長川原英之君、水産庁漁政部漁業調整第二課長菊地荘弥君、以上であります。
  31. 花園一郎

    説明員(花園一郎君) ただいま議題となりました公共用水域の水質の保全に関する法律案提案理由及びその要旨並びに逐条説明を申し上げます。  近時、都市人口の増大、鉱工業の急激な発展にもかかわらず、都市下水道の整備が著しく立ちおくれ、工場、事業場等においても汚水処理施設の整備に欠くるところがありましたため河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域が年々汚濁され各種の問題が随所に発生するに至りました。  すなわち、汚濁水の放流に起因して水産業等の関係産業に相当の損害が生ずる等の事例が増加する傾向を示しておりまして、この傾向をこのまま放置するときは、産業相互の協力を害し、均衡のとれた経済発展を阻害するだけでなく、これに起因して紛争等を惹起し、また公衆衛生の向上をも期しがたいと考えられるので、政府といたしましては、かかる事態に対処する措置として新たに本法を制定し、水質保全のために必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生に寄与させようとした次第であります。  以上がこの法律案提案理由であります。  御承知のように、欧米の工業先進国においては、すでに十九世紀以来、水質汚濁の規制についてその対策論議されており、わが国においても、さきに資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告がなされ、その後引き続き、政府部内において複雑多岐にわたるこの問題について種々調査研究してきたのでありますが、このたび成案を得まして提出の運びとなつた次第であります。  次に、本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一に、水質基準についてでありますが、本法は各省所管の汚濁水規制に関する各種行政法規に対しいわゆる基本法的な地位に置かれるものでありまして、本法によってこれらの行政法規の運用統一をはかり、直接の取締り等は各行政機関にゆだねることになるのでありますが、この運用統一の基本となるべきものが水質基準でございます。まず、経済企画庁長官が公共用水域のうち汚濁による相当の被害が生じまたは生ずるおそれが高い一定の水域を指定水域として指定し、当該水域について水質保全上必要であるとともに具体的に遵守可能な水質基準を定め、工場排水等の規制に関する法律、鉱山保安法、下水道法等の主務大臣がこの基準によって現実の取締りを行い、これによって本法の目的とする水質の保全を実現しようと期している次第であります。なお、この基準は公共用水域の水質の保全をはかるための行政上の基準でありますので、当事者の民事上の免責規定ではないのであります。  第二に、水質審議会についてでありますが、経済企画庁の付属機関としてこの審議会を設け指定水域の指定、水質基準の設定等の重要事項については、この審議会で慎重審議の上決定することといたしております。なお、水質保全に関しましては、地下水の汚濁等今後の研究に待つべき課題も多々あると考えられますので、公共用水域及び地下水の水質の保全に関する基本的事項を水質審議会の所掌事務に掲げ、今後の施策の検討の場とした次第であります。  第三に、水質汚濁による被害に関する紛争についてでありますが、この種の紛争は、近来各地にしばしば見受けられるところでありますが、解決に迅速を要し、また判定に専門的知識を要する等、本来裁判制度になじまない性格を有するため、ややもすれば両当事者の力関係に支配され、必ずしも、農水合理的な方法で解決を見ているとは言いがたいものがあります。これを放置するときは、産業相互間の協和を害するのみならず、社会問題化するおそれなしとしないので、水質保全行政の一環として本法に、都道府県知事による和解の仲介制度を設け、紛争処理を合理的な軌道に乗せようとはかったのであります。  最後に、本法の施行に伴い経済企画庁において関係行政機関の水質保全行政を調整する等の必要を生じますので、附則において同庁設置法の一部を改正し、関係条文の整理を行なつた次第であります。  以上が法律案提案理由と、その要旨でございますが、引続き、逐条説明を申し上げる次第であります。  まず、公共用水域の水質の保全に関する法律案概要説明をいたします。  この法律目的と性格でございますが、すでに御承知の通り、都会人口の増大、鉱工業の発展に伴う水質の汚濁、これが関係産業に非常な損害を与え、あるいは公衆衛生上も看過しがたい影響を生ずるなどの問題が生じておりますので、これに対してこの規制措置を講じたわけでございます。それで、第一条から三条までが実は総則ということになっておりますが、これにつきましては、第一条で「この法律は、公共用水域の水質の保全を図り、あわせて水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、これに必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。」ここで「水質の保全」という用語についてでございますが、これについては、これまで、あるいは汚濁防止、または汚濁規制、幾多の用語例がすでにあったわけでございます。ただこれらの汚濁防止なり、汚濁規制という用語例を考えてみますと、それはあくまでよごれたものを前提にして、かつそれを防止する、または規制するというような手段的な一つの限界を用語の中に、用語の意味として持っておりますので、この場合、さらに改善趣旨をも入れて、ただし、これを水質改善と言い切るには、現在まだよごれておらぬ所はその必要がないわけでございますので、従って、その広範囲の意味において水質保全という用語を一応とつてみたわけであります。従いまして、この「保全」という用語を使いますときは、もちろん水のよごれ方、また、きれいなあり方、これが非常に種、雑多な段階があるわけでございますが、いいものはいいものなりに保全する、悪いものはさらに改善をするという趣旨をわれわれは考えた用語でございます。  それから第二条に「何人も、公共用水域及び地下水の水質の保全に心掛けなければならない。」、これはもちろん心がけ規定ということになりますが、この心がけ規定的な規定は、前例としては、水道法にやはり同じような心がけ規定があります。これにつきましては、もちろん法的な規制力を用いませんことにはなるわけでございますが、一応、特に最近、今後において問題になるであろうと思われます地下水をも含めまして規定いたした次第でございます。  第三条の「定義」でございますが、『公共用水域」とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他の公共の用に供される水路(公共下水道及び都市下水路を除く。)」ということになっております。これは公共用水域というのは、もう御案内の通りでございますが、さらに公共用水域ではない、私設ではあるが、これに接続するものをこの法律適用範囲にいたした。「公共溝梁」という言葉でございますが、これはたしか自治法にあった言葉であります。「かんがい用水路」というのは、これは用排水路とお考えいただいて、要するに灌漑用の水路、川水路、排水路、両方と考えていただきたいと思います。「その他の公共の用に供される水路(公共下水道及び都市下水路を除く。)」、公共下水道は、下水道法に非常にきびしく規定されておりまして、終末処理施設を有しておるものでございます。さらに都市下水路につきましてもそういうものでございますが、これらは一応下水道法の適用を受けておりまして、その力でそこの水質基準がきめられるということになっておりますので、これは除いたわけでございます。この際、そうなりますと、工場から流れます水が、直接公共用水域に入ります場合は、当然これの規定を受ける。それから、それが公共溝渠と申しまして、いわゆるみぞでございますが、みぞに入ってから川に流れ込みます場合は、みぞを通って工場まで規制が及ぶ。灌漑用水路も同じでございます。それから、その他の公共の用に供される水路は当然でございます。それから除かれるものは、その出口でこの法律は一応適用がとまるわけでございます。従いまして、公共下水路に汚水を流しております工場は、直接的にはその方の法律が働くということになります。  それから第二項で、「水質基準」とは、工場、事業場、それから鉱山、水洗炭業の事業場から指定水域に排出される水の汚濁の許容限度をいう。この場合は、「放射線を発生する物質による汚染を除く。」、これは放射線関係法律が別にございますので除いたわけでございますが、この規定では、この規定にございます通り、一応適用範囲をここで規定しておるわけであります。  それじゃ、水質基準とはどういうものかということになりますと、一応、一つの河川について指定水域がきまりますと、おおむねその水域の本流の汚染度、汚濁度を予定しながら、それぞれの工場からの排出水について汚染度を決定していく。従いまして、Aという指定水域がございますれば、その水域に汚水を流す工場は、BOD何パーセント以下とか、またはぺーハー幾ら幾ら以内、またはそういうふうな大腸菌の含有量幾ら幾らというふうな規定が一般的にございまして、それでその工場の出口で汚水をはかって規制していくということになるわけでございます。  第二章に「水質基準」というものがきめてありますが、まず第四条で「経済企画庁長官は、公共用水域のうち、当該水域の水質の汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれの高いものを、水域を限って、指定水域として指定する。」、従いまして、関係産業に相当の損害または公衆衛生上見のがしがたい影響が生じているもの、またはそのおそれのあるものを指定するということにいたしておりまして、ここで指定水域の指定の仕方について一応規定しておるのでございます。それで指定水域を指定いたしますと、その指定水域にかかる水質基準をきめろということを二項に規定しております。従いまして、この場合、指定水域がきまりますときは、当然その水質基準というものは、大体同時に規定されていくということがここに書いてあるわけであります。それから第三項で「必要な程度をこえないものでなければならない。」、これは要するに過度に水質基準をきめて、汚水を流す工場、事業場に、必要以上に除去施設等の負担を背負わせるということがあってはなりませんので、あくまで必要な程度のものであるということをいっておるわけであります。これらの水質基準または指定水域の指定につきましては、水質審議会の議を経てきめる、変更するときも同様である。  これらの指定水域なり水質基準というものが特定の河川別に設けられますという関係上、問題は明らかに地方問題でありまして、そこの所轄の関係都道府県知事の関心並びに行政関係から非常に関係が深うございますので、関係都道府県知事意見を聞かなければいかぬ、指定する前に意見を聞くのだということをいっておるわけです。  第六条は、公示の規定でございまして、公示とともに関係行政機関の長に通知する、その公示によって効力を生ずるということになっております。  第七条が遵守義務でございますが、これは「排出水を排出する者は、当該指定水域に係る水質基準を遵守しなければならない。」、これはやはりこのままでは心がけ規定の趣旨になるわけでございますが、一般的遵守義務を規定したわけであります。  それから第八条は、調査等の必要がありますときに、関係行政機関に必要な資料の提出を求め、または経済企画庁長官が関係行政機関の長に対し勧告することができる。これは、たとえば、鉱業法の所管大臣である通産大臣に、たとえば渡良瀬川の水について足尾銅山がなかなか整備をしておらぬというようなときには、もう少し引っぱらなければいかぬじゃないかということを企画庁長官から勧告することができるということで、鉱業法の所管大臣は、渡良瀬川について経済企画庁が水質基準をきめますならば、その基準の遵守について真剣に取っ組むように勧告されることになる。  第九条は、今度は関係行政機関の長、関係地方公共団体の長その他の関係者に対する調査協力義務でございます。これは調査といいますと、実はこの水質基準の設定は、もう大半の努力が調査にかかるということになるかと存ずるのであります。なぜかと申しますれば、各関係業界の非常に利害の対立が見られる問題でございますので、基準の設定は相当な慎重さと、それから説得力を持たなければならない。その意味で調査に万全を期して、各方面からその調査についての効果を争われざるよう程度にまで内容整備しなければならない。そのためには、われわれただいま考えておりますところでは、やはり渇水期、豊水期、つまり一年を通じて、たとえば淀川なら淀川という川について一年を通じて常駐いたしまして、渇水期、豊水期それぞれの川のあり方、それを一応調べ上げる。また、そこからいろいろとりました資料につきましても、たとえば汚水そのものについてみれば、一定した分析方法適用して化学的または物理的内容の、何といいますか、ずさんにならないよう方法をとらなければいけないという意味で調査というのが非常に力を要しますので、これに対して関係方面の協力を求める趣旨のものでございます。  第十一条に水質審議会を置くことになっております。経済企画庁に水質審議会を置く。これはすでに本年度予算において五十二万円の予算が計上されておるわけであります。従って、この法律ができましたならば、二月以降においてさっそく実は開きたい、かように存じておる次第でございます。これはただいま申し上げましたような指定水域の指定または水質基準の設定その他基本的事項に関して審議いたしますということになっております。  審議会の組織は、委員二十人以内で組織する。この二十人は大体関係行政機関の職員学識経験者から任命することになっておりますが、関係行政庁が実はやっと数えて実は十ございます。総理府内から申しますと、科学技術庁、経済企画庁、自治庁、それから各省関係では大蔵、農林、通産、厚生、建設、運輸、法務、こういった関係がございますので、この方面のまず次官クラスの人、また地方公共団体の関係がありますので、地方公共団体の、つまり都道府県知事のうちから代表者の方々を学識経験者としてお迎えする、それ以外に関係産業として考えますのは、農業、水産業、それにマイニングの鉱業、それからインダストリーの工業、それから醸造業、それから化学工業といったふうな、非常に広範囲な対象を持ちますので、二十名ではいささか難点を感じたのでございますが、十五条にさらに専門委員を三十名置くことにいたしまして、これでその方面の、特に専門的な部分につきましては、こういう方で調整する、かように存ずるわけでございます。水質審議会がもし働くようになりますれば、これまで力関係または大衆陳情等によって、問題が争われ、または黙殺されるというふうな今までのあり方に対しましては、これが一つのそういう問題に対する相談の場所ということになって、問題が円滑に解決される糸口になるのではないか、かように存ずる次第でございます。  当審議会はさらに資料の提出等を関係行政機関の長なり、地方公共団体の長にお願いするということになっております。それで審議会はさしあたり経済企画庁調整局がこれを処理いたすということになっておりますが、これにつきましては、衆議院におきましても、また関係各省におきましても、既存の部局の一部において処理するということでは、これだけの大問題はやはり処理困難ではないか、これについては何らかの独立機構をこの際考えてほしいという要望が強く出ておるように私伺つております。  さらに第四章で和解の仲介を入れたわけです。これがこれまでの水質汚濁関係の……このたびの提出法案に新しく入つた章でございます。これは内容といたしましては、工場、事業場から公共用水域に排出された水または水の処理によって生じた物で、工場、事業場から公共用水域に廃棄されたものによって生じた被害、これは非常にむずかしい書き方でございますが、水の被害はまず当然、それから工場、事業場から排出される水、水を出すときに、上澄みだけ流して、遺物は丘の上にほうつておく、そうして今度は適当にたまつたところで公共用水域にほうり込むというやつを、実はこれは特に鉱山関係等においてあるということでございますが、それを一応こういうふうに規定しております。ただし、カツコの中で、「(鉱害及び水洗炭業の施業による被害を除く。)」ということで、それぞれ別個の特別法を持っておりますものについては、ここにはあがつてこない。鉱害につきましては、鉱業法の和解、水洗炭業については、その方の和解ということになるわけであります。それから「損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じたときは、」、これは単に損害賠償という金額的紛争だけでなく、たとえば施設紛争、この際排水路を別に作れというような関連紛争も一応これで考えていいんではないかということにしてあります。  都道府県知事は、仲介員候補者というものを毎年十五人以内委嘱しておきまして、名簿を作つて、そうしてそのうちから五名以内を指定して、特定の案件についての仲介の労をとつてもらう、こういうことになりますが、これはあくまでこの仲介員候補者は「一般公益を代表する考及び工業、農業、水産業その他の産業又は公衆衛生に関し学識経験を有する者」ということで、利害関係者という趣旨はこの際入っておらぬわけでございます。これも十五名といいますと、非常に実は関係産業が多ございますので、若干これはなお多いことが望ましいでのはないかという意見もあったわけでございますが、特定の仲介対象については、やはり関係産業というものが相当制約されるだろう、従いまして、仲介員五名以内を指定することになっておりますので、これでいきますならば、当然一般公益代表者が一名、それ以外に、それぞれの関係業者が、学識経験者が四名ということに相なるわけであります。ですから関係行政機関は、二十三条は、要するに仲介員から請求があったときは、たとえば足尾銅山の被害について、仲介員から足尾銅山の資料をよこせ、また足尾銅山の鉱害についての県の資料はないか、通産省はどうかという場合に、都道府県知事を通じて、そういった協力を求めるということになっているわけであります。  附則におきましては、公布の日から三カ月以内に施行いたしたい。ただいまのところ、法案の御審議が、これを前の三十国会提案いたしましたときの考え方からいたしますれば、若干おくれて参っているわけで、はなはだ残念でございますが、法案ができましたならば、なるべくすみやかに政令で定めまして施行いたしたいと存じている次第であります。  ただ四章の規定は、特に都道府県に対する和解の仲介関係においては、これに対する都道府県予算の編成その他ございますので、来年度当初から施行いたすことになると思います。  経済企画庁設置法の一部を修正いたします点は、先ほど十七条の説明で申し上げました通りとりあえず調整局でこれを取り扱うという趣旨において条文修正をいたしまして、水質審議会の規定は、肥料審議会の次に一項目を起したわけであります。
  32. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をとめて。    〔速記中止
  33. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。
  34. 花園一郎

    説明員(花園一郎君) 以上、まことに概略でございますが、概要説明を終りたいと思います。   —————————————
  35. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 続いて工場排水等の規制に関する法律案説明を求めます。  この法律案についても、衆議院における審査のものと合せて説明を願います。
  36. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいまから簡単に御説明申し上げます。  工場排水の規制に関します法案の提出の目的につきましては、ただいま企画庁の方から御説明がございましたので省略させていただきます。  工場排水等の規制に関する法律案について具体的な御説明を若干申し上げますと、まず第一に、この法律は、ただいま企画庁から御説明のございました基本法でございます水質保全法に対する取締法、実施法であるというふうな法律でございます。実施法、取締法として工場排水法を新しく提案いたしましたゆえんは、御承知の通り工場、事業場以外につきましては、すでに鉱山保安法、下水道法、あるいは水洗炭業法等の実施法が従来からございまして、これらのものから出ます排水、汚水の処理、その弊害の防止につきましては、一応の法体系ができ上っておるわけであります。ただ、従来それが運用について、十全に運用が行われなかった原因といたしましては、その基本法でございます水質基準その他を規定いたします水質保全法という基本法が従来ございませんでしたので、その運営がうまくいかなかった、こういう点だろうと思います。従って、従来の法律体系から抜けておりました工場、事業場につきまして新しく基本法の設定に伴つて取締法、実施法を提案する必要がございましたので、この法律提案いたしましたわけでございます。  簡単にこの法律の大体の骨格を申し上げますと、この法律におきましては、まず排水、汚水を出すところの製造設備、あるいは洗滌設備等をこの法律におきまして特定施設というふうな名のもとに把握いたしまして、この特定施設、これは今申し上げましたように汚水、排水を出す施設でございますので、大体、主として一般産業におきましては洗源設備等がおもになりますが、生産工程の全部にわたりまして汚水、排水を出すものにつきましては、製造設備一般が特定施設として指定することになると思いますけれども、その特定施設を設置、変更いたします場合には、これを事前に主務大臣に届け出さすことにいたしております。そうして、その特定施設の設置、変更あるいは汚水、排水の処理施設の使用方法等につきまして、六十日以前に主務大臣にこれを届け出させます。そうして、その六十日の間に主務大臣が、この特定施設の設置については水質基準の確保に適しない、あるいはこの汚水処理方法でいけば水質基準の確保に適しないというふうなことを判断いたしましたならば、六十日以内に、その改善について指示をいたすことになっております。従って、逆に言いますと、主務大臣に対して届け出をやりましてから六十日以内の間は、業者は特定施設の設置、変更あるいは汚水処理施設の設置あるいはその使用の方法について、足踏みをして待っておるわけでございますけれども、六十日が経過すれば、その申請通りにやつてもよろしいということになります。六十日以内に主務大臣の方から指示があれば、その指示に従って、その指示通りに変更する、こういうふうなことを、つまり事前審査中心にしてこの法律を考えておるわけでございます。  それが本体でございますが、それから第二番目といたしまして、予防的な規定といたしまして、特定施設を設置しておりまして、ただいま企画庁から説明のございました指定水域に放流水を放流する業者につきましては、排水の状況について毎日これを記録させる、あるいは必要があればそういう業者から報告を徴収するというふうな予防的な規定を第二点としてここに織り込んでおります。  第三点といたしましては、これは強制的な規定でございますけれども、特定施設を設置しております業者が主務大臣の承認を受けて、たとえば主務大臣の承認を受けました場合でも、指定水域に放流水を放流しました場合に、水質基準に適応しないというふうな現象が生じました場合には、これは常時そういう状況を把握いたしまして、特定施設の変更あるいは特定施設の一時的な使用の中止等の事後的な強制的な改善命令を出す、こういうふうなことが第三の点でございます。  そのほか第四点といたしましては、これは企業の公益的な立場、あるいは企業の倫理道徳的な立場から他産業との調整の関係でこういうふうな汚水の処理をやるわけでございますけれども、この汚水の処理につきましては、それが直接には企業の利潤に奉仕しないというふうな意味合いからいきまして、たとえば中小企業等にとつては相当な負担になりますし、それからまたこの水質の基準の設定、あるいは汚水の処理につきましては、日本におきましては新しい事項でございまして、そういう点で技術的な研究を今後進め、それを普及させる必要がございますので、第四点といたしまして、そういう国の助成的な立場をこの規定の中に織り込んでおります。つまり、こういうふうな汚水の処理等につきまして、国は資金の供与その他について援助をいたしますと同時に、技術の研究について、これを推進するというふうな規定を織り込んでおります。  ただいま申し上げましたような大体四つの点がこの法律の中における中心的な規定でございますが、第五点といたしまして、この法律の規定によってした処分に対して不服のある者については、主務大臣に対する異議の申し立てを認めております。つまり、事後の救済の規定を織り込んでおります。  大体、この法律の骨子につきましては、以上申し上げた通りでございますが、お手元にございます工場排水等の規制に関する法律案をごらんいただきまして逐条的に簡単に申し上げますと、第一条は、ただいま申し上げましたよう目的でございまして、新しく製造業とつまり抜けておりました工場、事業場、「製造業等における事業活動に伴つて発生する汚水等の処理を適切にすることにより、公共用水域の水質の保全を図ること」がこの法律目的でございます。  第二条は、この法律でいろいろ出て参ります言葉の定義をそこに示しているわけでございますが、ただいま申し上げました「特定施設」、これは第二項にございますが、それから第三項におきまして「汚水処理施設」というふうなこの法律の定義を掲げております。  それから第三条は、これは水質の保全でございますが、「特定施設を設置している者は、その特定施設から排出される汚水等の処理を適切にし、公共用水域の水質の保全に心掛けなければならない。」、こういうふうなことは一種の訓示規定ではございますけれども、水質保全法にもこういう趣旨の規定がございますが、それを受けまして特に特定施設を設置している者は汚水、排水を出す可能性が非常に強いものでございますから、そういう特定施設を所有している者に対して一種の義務規定をここに規定したわけでございます。  それから第四条でございますが、第四条は先ほど申し上げましたように特定施設の設置などの届出を規定しております。この規定によりまして特定施設の設置、変更については、あらかじめ主務大臣に、ここにいろいろ書いてございます七つばかりの事項について、これを主務大臣に届出することになっております。  それから第五条でございますが、第五条は経過措置でございまして、これはこの法律が施行になりました後に、従来指定水域でなかったものが指定水域となつたような場合、あるいは従来ある製造設備がこの法律にございます特定施設でなかったけれども、ある理由によって特定施設になつた、そういうふうな場合には、これは特定施設になつた日、あるいは特定水域になつた日から三十日以内に主務大臣に届出することになっております。これは経過規定でございます。  それから第六条でございますが、第六条は特定施設の使用の方法等の変更の届出でございまして、先ほど申し上げましたように、特定施設の設置そのものの届出は、第四条で届出をするわけでございますけれども、一たん設置いたしました特定施設につきまして、その使用の方法を変更するとか、あるいは汚水の処理の方法を変更するというふうな場合には、この六条の規定によりまして、これを主務大臣に届出させることにいたしております。  それから第七条は、汚水等の処理の方法の計画の変更等の命令でございまして、先ほど申し上げましたように、届出があった日から——その届出を受理した日から六十日以内の間で、主務大臣はその業者の汚水の処理の方法に関する計画の変更を命じ得ることにいたしております。それから第七条の二項でございますが、これは第一項におきまして、汚水の処理の方法の計画の変更を命じただけではその水質基準を確保することが困難であるというふうな、いわば特例的な場合があると存じますけれども、これはたとえば水質基準が相当高度であるような場合、あるいは現在の技術水準におきましては、その特定施設の規模を縮小いたしましたり、あるいは最後の場合には、どうも現在の技術水準では、その特定施設の廃止を命ずる以外、水質基準を確保することができないというふうな場合もまれにはあろうかと思いますが、そういうふうな場合には、単に方法の変更命令たけではなくて、特定施設それ自体についていろいろ計画の変更または廃止を命ずることができる、こういうことにいたしているわけでございます。  それから第八条は、実施の制限といたしまして、ただいま申し上げましたように、届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、いろいろのことをやつてはいけない、こういうふうにいたしております。  それから第九条は、使用開始の届出でございまして、届出をいたした者が、特定施設でございますとか、あるいは汚水処理施設の設置、変更の工事をした場合には、その開始をしたということを届出しなさいということにいたしております。  第十条は、氏名の変更等の届出でございまして、先ほど申し上げましたように、第四条におきまして、いろいろ氏名、名称、住所を届出することになっておりますが、それが変更された場合には、第十条の規定によってその変更の届出をすることになっております。  第十一条は、承継の規定でございまして、この法律によりまして、いろいろ政府に対してした届出あるいは主務大臣の承認、そういうふうな権利義務の関係につきましては、その間に特定施設の譲渡、譲り受けがあるかと思いますが、その譲渡、譲り受けの場合には、そういうふうな届出、あるいは承認というふうな行政行為は、譲受人に承継をされるというふうな、承継の規定でございます。  第十二条は、汚水等の処理の方法改善等の命令でございまして、先ほど申し上げましたように、主務大臣が常時実情を把握いたしまして、必要があると認めます場合には、汚水の処理の方法改善、あるいは特定施設の使用の一時停止というような措置を命ずることになっております。  第十三条は、先ほども申し上げましたように、予防的な規定といたしまして、水質の測定を業者に義務ずけておる規定でございます。  第十四条は、本件の実施を確保するための立ち入検査の規定。  第十五条は、報告の徴収の規定でございます。  第十六条、第十七条は、先ほど申し上げましたように、国の援助、それから技術の研究に関する規定でございます。  第十八条は、本法によります処分に不服のある者の、主務大臣に対する異議の申し立てを規定しております。  第十九条は、その異議の申し立てがございました場合の公開聴聞の方法の規定でございます。  第二十条もそれでございます。  第二十一条は、ここに主務大臣をいろいろ書いてございますが、これは各特定施設の所管大臣が、この法律による主務大臣になりますので、大蔵大臣以下五つの長がこれになっております。  第二十二条は、権限の委任の規定でございます。  以下第二十三条から第二一十七条まで、罰則の規定を書いております。  それから最後に、附則といたしまして、基本法でございます水質保全法とあわせまして、公布の日から三月をこえぬ範囲内で、政令に定める日から施行することになっております。  附則の一番最後に、地方税法の特例を書いてございますが、そこにございますように、汚水処理施設につきましては、地方税に関する固定資産税の免税規定にあげておる次第でございます。  以上申し上げました。
  37. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御質疑の向きは御質問を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。    午後二時四十八分速記中止    —————・—————    午後二時五十七分速記開始
  38. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十八分散会