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1959-03-11 第31回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十一日(水曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 三月十日委員前田佳都男君辞任につ き、その補欠として増原恵吉君を議長 において指名した。 本日委員佐藤清一郎君及び増原恵吉辞任につき、その補欠として最上英子 君及び前田佳都男君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            新谷寅三郎君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            石坂 豊一君            前田佳都男君            宮田 重文君            三木與吉郎君            最上 英子君            鈴木  強君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政省電波監理    局次長     荘   宏君    郵政省電波監理    局法規課長   石川 義憲君    郵政省電波監理    局放送業務課長 館野  繁君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会理    事       前田 義徳君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまから開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。  三月十日、前田他部男君が委員辞任せられまして、その補欠増原恵吉君が委員に選任せられました。  三月十一日、佐藤清一郎君、塩原恵吉君が委員辞任せられまして、その補欠最上英子君、前田佳都男君が委員に選任せられました。   ━━━━━━━━━━━━━
  3. 手島栄

    委員長手島栄君) 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて御質疑のおありの方はどうぞ順次御発言願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 大臣がまだお見えになっておりませんので、その間NHK理事者皆さんに御質問を申し上げたいと思います。  その一つは、今回の法改正によりましてNHK理事がふえて参ります。この点について私また大臣にもご質問申しますが、一応そのNHK側のこれに対するお考えをお尋ねしておきたいと思いますが、現在まで三名の理事の方々で相当膨大な放送業務をあずかっていただいておるわけですから、御苦心もあったと思いますが、しかし今回大幅に理事をふやすことになるわけでありますが、その際今予定をされる理事は何名になりますか。原案が修正されて七人以上十二人までになっておりますね、従って、その幅が多少そこにあるわけですが、とりあえずは何名理事を補充される予定でございましょうか。具体的にそのお考えになっている構想をお尋ねしたいと思います。
  5. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 実は理事の選任につきましては、まだ具体的な問題について協会としてきめておるわけでございませんで、会長が現在あるいは御自分の考えを持っておられるかもしれませんが、いずれにいたしましてもこれをきめます場合には、所定の手続によりまして経営委員会にかけなければなりませんし、ただ現在われわれとして、まあ常識的に考えておりますことは、最低今までも御説明申しましたように、七名はどうしても要るのでございますが、やはり運営したとえば理事分担とかあるいは地方理事を置くとかというふうな問題を関連して考えますと、あるいは十名ぐらい必要ではないかというふうに考えております。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 まあ多少無理な質問をしているわけでありまして、法律が今審議の過程ですから的確な御答弁がいただけないかもしれませんが、しかし法案を提出するに際じては、協会側意見も十分お聞きの上で出されていると私は思うわけであります。ですから現状理事ではどうしても協会業務を執行する場合に役員の数が少な過ぎる。これは私ども常識的にわかります。まあその幅を持たしたこともわかります、理屈は。しかしこうやりたいんだという協会側の御意思が固まっているはずだと私は思うのです。法案が通るか通らないかわからないから、通ったあと考えるんだというならそれでもけっこうですが、そういうことでやるならば御無理な質問になるわけですが……。もう少し、この委員会は内輪な委員会でもありますし、協会のやはりお考えを十分に私たちお尋ねして、ほんとうにふやすべき必要があるならば、これはわれわれとしてもそれに協力したいという気持を私は持っているわけです。ですから今まで三名の理事でやって参って、非常にまずい点がこういう点もある、こういう点もある、従って放送事業相当拡大をしていくわけですから、それに対してはこういう理事運営をもって、こういう心がまえ一つ協会あり方に対して筋金を入れていきたいんだ、こういう私は御持論はお持ちではないかと思いましたから御質問申し上げたのですが、多少私も無理なことを承知しておりますので、まだ全然法案が通らないので、協会としては通ったあとでやろうとしているのか、あるいは今日構想をお持ちになっているのか、こういう点を最初にそれでは明らかにしていただきたいと思います。
  7. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 現在の段階におきまして、相当具体的ないろいろ検討はしておりまして、先ほど申し上げましたように、会長自身としてはある程度考えがきめられかけておると思いますが、何分まだ表に出て具体的にどの局とどの局とを関連して理事を置くとか、そういうふうなことを具体的に表に出して決定しておる段階ではございません。最低七名という線はぜひお願いしたい。そのあと七名ないし十名というむしろそこが一番問題がある点で、これらの点につきましても十分、場合によっては経営委員会の基本的な方針を伺って具体的にはその場合にきめる、こういうふうに考えております。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、この法改正の際に経営委員皆さんには意見をまだ聞いていないということですか。
  9. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 現在出ております放送法につきましては、経営委員会として完全にもう御審議を経ておるわけです。ただ具体的な、つまり理事をどうするか、何名赴いてどことどこに配置するかということにつきましては、まだそこまで至っておりません。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 どうも不明確なんですが、会長はある程度のお考えを持っておられるかもしれぬ、会長がこなければわからぬということだと思うのですが、しかし会長が独断専行するわけでもないでしょうし、そこは役員的な理事というものがあるわけですから、当然経営委員会皆さんにも、理事者としての考え方をおまとめになって、法改正が出された場合にはどうするとか、あるいは法律改正の前には私は構想をお持ちになって、七名とおっしゃったのですから、それじゃその七名についてはどういうふうな配置にしていこうとか、そういうことはあらかじめおきめになっておられると私は思うのですが、まだかいもくわからぬということでは、非常にやはり審議する場合には困るわけですが、会長がお見えになっていなければわからぬということであれば、これは会長がおいでになるまでお待ちするほかないが、しかし七名要ることは大体意見が一致しておる、あと七名から十二名までの五名をどうするかということはこれは別でありましょうが、一応七名は最低限必要だという話もあるわけですから、そういう場合に大体の構想としてはどうするかということは、これはおきめになっておるのじゃないでしょうかね。その点どうなんでございますか。個々名前をあげなくてもいいですよ。
  11. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 具体的な問題としてでなくて、七名に対してまあ基本的にどういうふうに考えておるかという御質問のように伺いますが、大体今の理事は一応人数も少いものですから、具体的にどれとどれを分担するという明確な、何といいますか組織の上の担当は持っておりませんで、三名の理事理事会を構成しまして、会長、副会長一緒審議するということになっておりますが、今度増員になりました場合にはそれぞれ担当の任務を持たせまして、そうして多少今後機構改正があると思いますので具体的にちょっと申し上げかねますけれども、それぞれの分担に従って仕事を進めていく、そういうふうな形にしたい、こういうふうに思っております。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 どうも自信がないようなふうにとれますが、先ほど私十二人と言ったのはこれは間違いで、七人以上十二人ということですね、これは訂正しておきますが、そうすると現在は理事が五名で、おもな担当もきめないで三人が合議的にすべての問題についてやっていく、こういう機動性のある運営をやられておるようですが、そこらに私は現状非常に無理があるのじゃないかと思うのです。たとい三人でもやはり大まかな業務分担をなさって、そうしてその方が中心になって専門的に研究されて理事会で決定されて経営委員会に持ち込んでいく、こういうふうな御方針を私はとっておられると思っておったんですが、そうでなしに三人が部署もきめずにすべての問題を同じ立場でやっておった、こういうことになりますと、多少現在の運営についても私は疑義を持ちますね。特にそういうことであるならば、今度少くとも当初の君名から十名が、七名から十二名に修正になりましたけれども、そういう理事あり方について私はNHKがもっと確信をもっておられないと非常に困ると思うのですよ。少くとも私は増員をするということに対しては相当な理由根拠を持ち、しかも今後理事会運営についてはこういう方針でいくのだという確たるやはりお考え方を持って、今の民放と相対峙して公共放送としての使命をどう発揮するかということを、私は理事者ほんとうに真剣に考えてもらわなければ、ただ七人なり十二人にふやしてみたって、私はこれは妙味がないと思うのですよ。ですから私はもっと進んで今後の理事会の基本的なあり方等についてもこの際承わっておいて、ほんとう協会が他の民放等に比べてもっと優位性をもっておやりになる、という不断の心がまえをお持ちだと思っておったのですが、非常にそういうあいまいなことであるとわれわれの期待に沿わないのですがね。これは会長が来なければわからないのですか、副会長がお見えになっておるので、多少行き過ぎた質問かもしれませんが、ここでわれわれは理事増員をしていこうという立場に立つ場合には、どうしてもそこまではお考えを聞かしていただいて、NHKの今後ますます健全な発展を希求したいと思うのですがね。
  13. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 初めに現在の理事の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように公式には担当というのは一時やっておったことはありますけれども、現在は担当制というものははずしております。しかしながら、今一名欠員でございますが、理事が三名おりました時分には、それぞれの理事の過去の経歴あるいは専門などで一応番組についてまあ大きな立場から指導していく、技術について大きな立場から指導していく、それから業務部門につきまして指導していくという、こういう大体の大ワクは会長から特命によって作って、理事会におきましても特にそういう部門について注意を払っていくというふうな状況でやっております。それからなお次の、増員いたしました場合の理事の構成その他につきましては、非常に今の段階でこまかく具体的に申し上げにくいという状況でございますが、実際上はたとえば事務系統あるいは放送系統あるいは技術系統というふうに分けまして、中の機構に応じてそれぞれの、たとえば事務系統といいましても経理とか総務とかそういうのがあるわけです。技術系統によりましても技術局あるいは研究とかいろいろあると思うのですね。そういうふうな分類に従って最も重要なる部門責任をとらす、というふうな形でいくことになるだろうと思います。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 端的にお答え下さい。それではこの法律案改正する当時から今日までの間に、まだ経営委員会でもあるいは理事会としても今後の理事会あり方ですね、私は希望するならば理事の分掌ですね、その他理事会運営に対しても一つのこれは規約と申しますか、運営上の細則というものを自主的におきめになって、そしてその何名かの理事が総体的に当る場合はもちろんそうでありましょうが、現状でもやはりさっきの補足がありましたからこまかな点はわかりましたが、そういうふうなものをやはり明文化して、そうしてそれぞれの理事諸君専門的にその問題については一つ研究をしていく、そうしてそれを総体的な理事会でさらに御検討願う、こういうふうにした方が非常に能率的に機動的に動けると思うのですよ。どうしてもそういうことがまずいという理由があれば私は固執いたしません。むしろフリーで現状格好でやった方が、それの方がむしろ能率的だ、効果的だ、こういうことであれば、私は経営になにもわれわれ深くタッチしようということではないのですよ。タッチしようということではないのですが、およそそういうことはおきめになってやった方が、理事会は特にこれから人数も多くなることですから、運営上はその方がよろしかろうという気持を持っておるものですから、経営そのものに対して私は何よ言うわけではありませんが、理事会あり方ぐらいはやはり明確にしておく方がよかろう、こういう思想を持っておるものですからね。ですからお尋ねをしているわけですが、そういうことがまだ今の段階では何もきまっていない、こういうのか、論議をしたことはあるかどうか、そういう点を一つ最初にそれではお聞かせ願いたいと思います。
  15. 溝上けい

    参考人溝上けい君) われわれのつもりとしましては、今お話のありましたように、担務をつけない理事を七名ずらっと並べる、十名ずらっと並べるということではございませんので、当然増員いたしました場合には、今のお話のように明確にそれぞれの責任を持つた部署につけたいということになるのかと思いますが、なお現状としましては、実は放送法改正されますと、まず第一に定款の問題が出て参りまして、これが一番急ぐ問題ですから、若干その中の字句にも関連があることでございまして、現在定款改正につきましては具体的に研究を進めておるという段階でございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、理事会運営の今後の方針ですね、そういうものについては今までまだ具体的に検討を進めている段階であって、コンクリートされたものもない、一応の案もない、こういうことですか。
  17. 溝上けい

    参考人溝上けい君) いわゆる検討しておる段階であることは確かなんで、それにつきまして事務的にはいろいろの案が幾つか出て、それを検討しておりますが、最後の決定、これでいくのだという最後の線はまだ出ておりません。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 最後のは法律改正関連がありますからわかりますが、その幾つかの案というのは、それは会長のところでやられているわけですか、それとも副会長なり理事皆さんの中でよりより話して一つの案ができたとかいうことですか。それをまだここで発表するということはできないのですか。
  19. 溝上けい

    参考人溝上けい君) まあ事務的にはあまりこういう問題は、機構の問題にしろ人事の問題にしろ、あまり大きく広げることは弊害がありますから、ごく少数の者で検討しておりますが、ここでいろいろな案についてこういうものがある、こういうものがあるということをここで申し上げることはお許し願いたいと思います。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 それはお許し願いたいということであれば私はそれ以上は申しませんが、それならば私は意見として申し上げておきますが、先般来私申し上げているのは、決して今後の理事会運営に何とかかんとか文句をつけようということではないのですが、公共放送使命からして、私は理事会あり方というものは非常に重大だと考えているのですよ。ですからその構想なりあるいは方針なりというものが、まだ関係者の間でいろいろなことを考えているのだということでなしに、少くとも最低七名必要であるならば、こういう陣容で、こういう格好でいきたい、そうして理事会運営はこうやっていくのだ、そうして公共放送使命を全うするために理事者が渾然一体となっていくのだ、こういうぐらいの確信のある態度をやはりおきめになって、そうしてわれわれがこの法案審議をする場合に、どうしてもこういうふうにしてもらわなくちゃNHKは今後の協会運営上困るのだ、それくらいの私はやはり自信がなければ、われわれ審議する場合に、そういう自信も聞けずに、何か理事の数をふやすのだというふうなことでは、世論で世上言われていることを裏書きするようなことになってしまう、やはりわれわれ法律審議をする場合に必要なものは認めていかなければなりませんし、だれが何と言おうと間違った批判ははねのけていくということが大事ですから、われわれが立法府を預かって今審議をしようとする段階において、なおNHKがそういう理事会あり方に対して構想がまとまっていないというのは非常に不安なんですよ。ですからもう少しこれは、明後日かいつか近く正式に国会を通過して成立しようという段階にきているのですから、そういうことでは私は非常に法案審議にも悪い影響を与えると思うのですよ。ですから相なりますれば一つ早急に、この法案が上ります前にそういう確固たるものを作って、そうしてわれわれに一つお示ししてもらいたいと思うのです。これはもしあした上るとすればきょう一日しかないのですから、これは一つよりより協議でなしに、理事会なら理事会経営委員会なら経営委員会諸君にも相談して、最小限度七名から十名になっておるが、とりあえず協会としてはこれだけ理事を補充していく、その分担はこうしていく、そうして理事会あり方についてはこうだ、そうして公共放送のためにやっていくのだ、こういう方針をやっぱり私は出してもらいたいと思うのですよ。できますか、それは。
  21. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 理事会運営の方の問題につきましては、これは先ほど申しましたように、分担を明らかにして理事会運営を一そう……、まあ理事会にかける事項も再整理する、機動化するとか、あるいは活発化するということは、これは在来の理事会と根本的に、人数はもちろんふえますけれども、根本的に運営が変るということはなかろうと思うのですが、できるだけ能率化し、機動化していくというふうな考え方でおりますが、個々理事についてまあ具体的にどの部署とどの部署のものに理事を充てるかということにつきましては、ちょっと御趣旨のようにきょう、あす中にきめかねるんじゃないかという気がいたします。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 まあこの質疑の中からの問題点発展から、私はいやにいやがらせみたいにとられては迷惑なんですが、そうではなくて、あなたが最初最低七名は必要だと、しかしあとの五名の幅については今後地方理事をどうするかというようなこともあるので、会長考えになっているでしょうが、まだはっきりしていない、こういうことだったのです。ですから部署がすぐ名前にも通ずるのですから、いろいろ人事上支障があることも私よくわかっているのです。ですからそんなところまで私はここでやれと言っているわけじゃないのです。大よその分担と、いうものはこういうふうな形に七人のうちの一人はここを分担し、一人はここを分担する、それは現在の何部長がどこにいくか、それは知りませんが、しかし、一つ理事はどういう点を分担する、一つ理事はどういう点を分担すると、それで七名のたとえば動員する最小限度必要だという理事諸君の一応の分担ですね、大体そういう方向ぐらいはおきめになれるんじゃないですか。そういうふうな点と、むしろ私の言っているのは、この点も大事ですけれども、今後増員をして新しい世代に即応する理事陣容を作るということですから、それならば従来と同じようにやっていくということもないでしょうし、そこにはまた妙味を発揮して、今おっしゃったように能率的に機動的に、しかも効率的に理事会がスムースにいくならばやっぱり大構想を立てておかなければならないと思うのですよ。ですからそういう老婆心から、あの法案審議に当って、もし十二名必要だとするならば十二名でもいいと私は思うんですよ。そういう根拠がはっきりせずして七名以上何名だ、そういう私は抽象的なことでは困るという気持があったものですから、多少無理なことだと思いましたけれども、審議が終る段階ですから、せめてそういう構想ぐらいは、一つ協会から確信のあるところをお聞きしておきたいと思いましたから申し上げたのですが、どうせ間に合わないものを出せといったってこれは無理な話ですから、私の言っていることを誤解せずに一つお聞き取りいただきまして、そういう今後の協会理事会としての、理事者としての運営なり心がまえというもの、そういうものについては一つ万全の対策を立てておくように強く要望しておきたいと思うわけです。  それから教育放送のことですが、今やられている教育放送を私たち見ておりますと、当初ですからなかなか理想的なものもできないと思うのですが、もう少し私は、民放でもやるようになるわけで、この点はなかなかむずかしいと思うのですが、教育あり方というのは放送を通じてやる場合でもあるいは直接学校においてやる場合でも、次代をになう青少年の問題はもちろんのこと、一般成人に対しても教育放送あり方のいかんによっては重大問題が生じてくると思うのです。ですからこの教育放送に特にNHK重点をおいてやっていただきたいと思っておるわけです。そういう場合に、その放送番組の充実ということについても鋭意努力をされておると思うのですが、文部省あたりからとやかく言われるまでもなく、NHK自体として自主的にこれはおやりになるわけでありますが、そういう場合に一朝間違うと非常に大事な影響を与えることになるので、教育放送については特に私たちは深い関心を持っておるわけですが、私は端的に言ったら、テレビを通じてやる教育放送、それから義務教育として学校でやる教育ですね、こういうものとやっぱり同じような角度で見なければならないと思うので、たとえばテキストなんかもできるなら一つ国あたりが負担をして、そうして特に恵まれざる青少年中学にも行けないという子供が三十万も四十万もいるのですから、東京の向島のある中学では校長さんが自発的にそういう子供たちを集めて、昼間はでっち小僧をしたり店屋の番頭をしている者が集まって来てやっているわけです。これは根本的には義務教育が六三は少くともやられることになっているのですが、現実的にその義務教育の恩恵に浴せない——これは家庭の事情でしょうが——子供がいるということ、こういうふうな点を考えると、むしろ私はテキストぐらいは政府が無償で配るくらいのことを考えてもいいのじゃないかというくらいに思っておるのですがね。そういうふうな点は、やつはりもう少し対政府との関連の中で、教育放送については相談をする余地が、そういう面においてはあるのじゃないかというくらいに考えておるわけです。そこで、今やられている教育放送番組、これは審議会におかけになっていると思うのですが、もうちっとバラエティに富んだようなものができないものかしらという気持を持つのですが、たとえば科学技術関係なんかに相当重点をおくとか、それから青少年の思想問題が盛んに言われておるときですから、情操教育的なそういうふうなものを見ていくとか、そういうものに重点のかけ方を当面お取りになった方がいいように思うのですが、そういう点の番組編成に対してはどういうふうなお気持を持っておられるでしょうか。
  23. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 非常に広範な御質問で的確に御説明申し上げられるかどうかいぶかっておりますが、私どもも根本的には全く鈴木先生と同じような考え方を持っております。たとえばお話の前提にありましたテキストなどにつきましても、文部省あるいは郵政省にお願いする方法もあるかもしれませんが、NHK自体としても、公共放送として教育放送が主たる任務の一つであるという点から申しますと、将来財政が許されるならば、あるいはまた財政をできるだけほかの部門で切り詰めて、テキストなどはできれば無料頒布したいという意欲も十分持っております。それから今日のあの教育放送の編成方針と申しますと、ラジオ、テレビを通じまして幾つかの柱に分れておりまして、たとえば学校放送、あるいは学校に行けない方々のための補習教育放送、それからまた職業技術放送、それからまた一般社会教養的な教育放送、それから特に今度は対象を分けまして、成人向けであるとかあるいは幼児向け、あるいは婦人向けというような幾つかの柱を立てまして、それに基いてラジオ、テレビを通じまして年間計画を立てて、総合的にやっていく。おそらく鈴木先生の御意見の中では、その総合的な考え方が非常にばく然とした結果になるのではないか、という点を御指摘されているのじゃないかと思いますが、この点はまた同時に、地方教育放送審議会それから中央の教育放送審議会などを通じまして、年間何回かにわたってこの教育放送を通じての実験をやっていただきまして、総合的に御意見をいただいて、次の年度の放送を組むという方針をとっております。たとえば学校教育放送におきましても、明年度以降はさらに学年別、細分化いたしまして時間と対象をはっきりさして参りたい、そういうふうに考えております。それからまた補習教育におきましても、去年は幸いに高等学校講座が、いわゆる学校に上れない、働きながら勉強される方々のためのスクーリングの三分の一を、NHK放送を聞いていれば免除されるというところまでこぎつけました。それからまた技術教育につきましては、たとえば農村の二男三男の対策、あるいは農村の多角経営のために、ある程度の軽工業あるいは手工業的な教育を施す必要があるという建前で、これも今年度から強化いたしまして、明年度は一そうはっきりこれを強化する方針でおります。それから特に、自然科学の発達に伴いまして、従来私どもの調査あるいは諮問委員会などの御意見を伺いますと、むしろおとなの方が子供の場合よりも自然科学に対する知識に欠けているというような、奇妙な現象が戦後出て参っております。そのためにはやはり科学教育を二分いたしまして、すでに基礎的知識を持っている若い方々のためには、それに即応する教育編成方針を立て、それからすでに相当な年配になっておられて、これまでの生活の中で新しい科学的な教育の環境に恵まれておられなかった方々のためには、その演出内容を全く変えまして、その意味での社会教養番組の一部として、自然科学の知識を吸収していただくというような方向に参っております。  教育テレビジョンにつきましては、現在のところ東京だけでございまして、明年度は、御審議いただく予算を御承認いただければ、さらに大阪にも四月一日から始める予定でありまするが、この番組の中では特に土曜、日曜にわたって一般教養と、まあ将来は私どもの理想としては、大学にいけない方々も、どの地点におられても、もし大学教養の資格をとりたい場合にもとり得るような日曜大学というものを、今は一週一回でありまするが、将来はNHK放送大学というような建前で、これを何カ年計画かで拡充して参りたいというように考えております。さらにまた土曜、日曜の夜間におきましては、たとえば一般社会教養の場合でも、文芸あるいは芸術に関することはもとよりのことでありますが、たとえば報道放送におきましても、そのニュースの背景というものを組織的に皆さんに知っていただく必要があるという意味で、現在のところは一種の冒険ではございますが、報道番組の一時間番組教育テレビジョンで組んでやっているというような実情であります。端的に申しますれば、教育テレビジョンの場合には、地域的には、全国的視野に立ちますとローカルでもございますし、それからまた将来の全国的視野に立つ組織化の一つの試験的な意味も持ちまして、大体鈴木先生の御指摘になった点に即応できるような幾つかの編成方針を立てておりまして、明年度以降はさらにこれをはっきりさせて参りたいと、このように考えております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 非常に広範なお考えを持たれているので安心するわけですが、特に今お話の中にもありましたように、たとえば通信教育というのが最近やられているのですが、それはたしか一年のうち何時間かちょっと忘れましたが、東京に来て実際にスクーリングをやるわけですね、そういうことをやらないと資格が認められないということになっております。だからそういうものをテレビで補充してやるというような考え考え方の一端にありましたが、そういうこととか、将来放送大学なりやられるなら非常にけっこうです。またそれは全国的なネットワークの関係で直ぐというわけには参りませんでしょうが、将来そういう方向にいくことはけっこうですが、現状は東京に一つしかできていないのですね、大阪その他逐次ローカルの方もできてくると思いますが、とりあえず私は現状においてはこの教育放送というものを考えなければならぬと思います。将来の構想構想としても、とりあえず教育放送重点をどこに置くべきか、限られた地域を対象にして効果をあげるようにするということになると思うが、全国的には多数の恵まれざる家庭の子供たちが、中学にもいけないという子供たちがたくさんいると思いますが、大体都会地に私は集中しているように思う。この点いなかで百姓でもしている家ですと、まあ六三の義務教育ぐらいは最小限度これはやっていないことはないと思います。ところが東京あたりでは、学校に行きたいが、親もやりたいが、現実にはたとえば三千円でも四千円でも働かなければ生計が保てない、これは義務教育の方からいくと違反することになりますね、みずから。しかし現実にはそういう者がいるわけですから、それを六三の義務教育をやらぬのはいかぬ、親が悪いのだということではいかぬと思います。この現実の問題を解決するためにも、そういう中学にも行けない子供がいるということが事実とすれば、それに対して国があたたかくバックアップしてやるということが大事だと思います。これは民放に期待してもちょっとむずかしいと思いますが、そこはやはり公共放送としてのNHKがやらなければならない仕事だと思うのです。これは筋からいけばおかしいと思いますが、これは別に国策全体の問題として、国の政治の欠陥でありますからこれは大いに直す方向にいくべきだが、このような問題を解決する意味において、今おっしゃったようにできればテキストぐらいはNHKが自主的に編集されたものでもいいが、それを無料で頒布して、こういう機会を通じてこういう人たちを救っていくという方法は私はとり得ると思います。協会がその金を全部出しておやりになるということはこれは理想であって、なかなか協会の現在の経営の実態からすると私は無理だと思いますから、そういうことを今ここで申しませんが、こういう問題も一つ政府とも連繋を十分にとっていただくようなことをお考えの中に入れてやっていただきたいと思います。これは監理局長はおられるけれども大臣がおらぬので非常に残念なんですが、そういうような思想は現実の問題を解決するという立場に立てば私は妥当なことだと思うのです、それらのことについても一つ十分相協力をして、局長あたりも、おれは電波のことならということではなしに、頭の中に入れておいてもらいたいと思うのです。  それから私は何回も見ておりませんから、そういう見てない者が批判するのはけしからぬということになるかもしれませんが、教育放送の中でニュースを放送しますね。これは民放の場合だったか、NHKでは教育番組の中で一般的なニュースみたいなものは放送しておりませんか。
  25. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 普通のラジオでは特別に定時的あるいは定期的にはやっておりません。ただ教育テレビジョンでは一週間のうち土曜日の、たぶん七時半からだと思いますが、一時間だけ一週間のニュースを解剖して、その裏面の、たとえば国際問題であればこれはどこから尾を引いているか、それからいろいろな青少年の事件があればその背景はどうであろうかというような、いわゆるニュースそのものじゃなくて、ニュースの背景を組織的に解説する番組をやっております。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 私は日本教育テレビを見たのですが、朝日新聞のニュースなんか六時か八時か十分か十五分やっておりますが、ああいうことも内容によるので、一般的なニュースであれば価値がないと思いますけれども、特に教育放送としての上に立ったニュースというものが必要だと思うのですよ。NHKが今日一週間分をまとめて解説的にやられているようですが、できるなら教育放送にふさわしい番組をその日のうちに五分でも十分でも入れるようなことはできないものですか。そういうことは時間の関係でできませんかね。
  27. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 編成の仕方いかんによってはできないこともないと思います。率直に申し上げて。しかし実は私どももその考え方を持ったのですが、NHK現状の施設それからマイクロウェーブの現状その他から考えますと、せいぜい五分以内しか一日できない。そうしますと、充分以内のニュースというものは表面だけをなでて、果してそれが教育放送のニュースとして適当であるかどうかということを検討いたしまして、結局当分の間一週一回ではあるが一時間でやっていこうと、そういう実はこれは裏面を告白した次第でございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 大臣がお見えになったので、協会皆さんに対する質問は一応これで終りますが、ただし今の教育放送の点は非常に私たち重大な関心を持っておりますので、どうぞ一つさらに御検討いただいて、より効果的な放送ができますように、この点特にお願いしておきたいと思います。  それで、大臣がお見えになりましたから、この前私は質問が中途で終っておりますので継続さしていただきたいと思います。  この前経営委員会あり方について大臣質疑を中途までやっておきましたが、会長を入れるか入れないかという論議の途中で終っておりますが、大臣のお考え方も私たち否定はいたしませんが、やっぱり現状経営委員会の中に、協会の執行の最高責任者である方が入ってこられた力が、非常に私はいいという思想をまだ持っておるわけでありまして、なるほど今の経営委員会あり方は、議決機関であると同時にある程度の指導的な立場をとってやられておると思うのです。私はむしろそういう方がいいと思うのですよ。今度は即事の皆さんが数がふえますから、ある程度理論的には切り離していくということもわかるわけですが、執行機関と議決機関を判然と分けてそうしてやるというところに、やはり私どもとしてはその妙味がなくなるような気がするので、経営委員会というものがただ議決のしっぱなしで、あとは執行部にまかして、執行部の悪かったということを批判するのだということでなしに、やはりいわゆる指導的な立場をとって、経営委員会というものは常時いい意味において指導鞭撻をしていくということが、これは法律をどう変えてみたってこれはあり得ることですよ、執行上は。またそうしてもらわなければいかぬと思うんですよ。そうするとまあ大臣のいわゆる理論というやつも、その私の考え方を否定するところまでいかぬわけですよ。これは鶏が先か卵が先かの論議になるかもしれませんがね。もう少し私は納得できるような論拠があって会長を抜かしたということになると、また私の考え方変えますけれどもね。前回までの大臣の御説明では納得ができないのですよ。ですからもう少し自信のある考え方があるんでしよう、大臣。そういう自信のあるやつを僕らに聞かしてもらいたいと思います。
  29. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これはやはり鈴木さんがおっしゃるように、経営委員会の一メンバーとして委員として置くということにもやはり特徴があって、今おっしゃるようなことの御意見が行われると思うんです。今度の放送法改正方針といたしましても、やはり責任を明確にするという建前を、まあ基本的な建前とでも言うのでしょうか、そういうものを立てている。そうして今御指摘にありましたように、今度は七人以上十人というようにかなり理事の数も増員をさせる。従ってまあ理事にはおのおのその所管と申しますか、責任立場を明らかにしていく、こういうことになってみると、やはり経営委員会の方は議決機関という形をとるということが、おのおのの職責を明らかにするということにおいてよくはないかということであって、これが鈴木さんがおっしゃる方がいけないからこうしたというのではなくて、この方がベターではないか。こういうふうにお互いが責任を持ち合っていく、そうしてその間の連絡は会長が自由に経営委員会に出席して、いろいろの意見も述べることができるし、またいろいろ拝聴もしてそうして執行部との調整あるいは連絡協議というものをやっていこう、この方がよくはないか。まあこれもいろいろ検討をいたしました結果、まあこの際こういったような形がはっきりするのじゃないか。こういうことできめたので、ここがこういうふうにいいからということで、ものさしではかるようにいいとか悪いとかいうことではないわけなのであります。何かこういうここははっきりさしておいた方が、この際には責任の所在も明らかであるし、そうして分担の面にも、そういうふうな一応の形をはっきりしておく方がよかろうということでございますから、実際はそうであっても出席ができて発言もできる、自由だということにおいて、鈴木さんの御心配の点もそういったようなことにおいてカバーできるのではないか。まあこんなに考えているわけでございまして、私がこれが絶対だという、はっきりした、このシステムがいい、すぐれているということの強い自信があるわけではございません。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 どうも大臣お話を伺っておっても、あまりその自信はないんだがこれがベターだろう、観念論で法律をかえようとしておられるようなことで、私はちょっと奇異に感ずるんですが、むしろわれわれがはっきりしてもらいたいのは、たとえばさっきも協会皆さんに、今後理事がふえるので、ほんとうにこれから民放も発達する過程において、今後委員会ほんとうに中心勢力になって、国民の期待に沿うようにやってもらわなければ困る。とかく独占企業とか、これはまあ独占企業でなくなったんですが、私は、役所なんかもそうなんですが、役所なんかのことをいえば経営諸君は、ほんとうの民間会社の経営諸君に比べたら企業意欲は問題にならぬですよ、取っ組む意欲は。民間会社に比べてごらんなさい、重役が先頭に立って向うはち巻で朝からやっております。それが役所の方なんというのは、けさも私は自動車に乗って来たんだが、役所に出て来るのは九時過ぎですよ。やはり上役がそうやっていれば下役がそれにならう。綱紀の粛正とか何とか労働組合の面では盛んに言うけれども、実際は綱紀が弛緩しております。そういうようないろいろな面からいってみて、やはり経営の今後のあり方というものは、私らはほんとうに本腰を入れていくようなことをNHK諸君にもやってもらわなければ、太刀打ちができないということを考えている。だから今後の経営委員会あり方については、われわれは法案審議する際に確固たるものを一つ示してもらいたい、こういう立場に立って私は質問したんですけれども、まだ遺憾ながらコンクリートされたものはないというお話ですから、ないならないでやむを得ないから早く作ってくれないか、ということをお願いして参ったんですが、だから私は経営委員会自体、理事をふやすと同時に、経営委員会というものの任務というものは非常に重大だと思います。経営委員会自体というものは、もっと基本的に常駐をしてそうして報酬を十分払って、ほんとう協会の仕事に専念できるような経営委員会を作っていくならまだいいんですが、そうじゃないんです。多少日当をふやすようなことをしてごまかしている。やはり経営委員会はあまり動けないような格好にしておいて、そうして根拠もないのにこれがよかろうというような観念論で、ベターだからしたんだというような、そういう、大臣あまり盲信的な考え方よりも、法を改正するときには、やはりそういうポイントをはずさぬようにしていただきたい。そうすれば私らも大賛成で、もろ手をあげていくんですが、どうも残念ながら一つ一つ突いていっても確信がないんですがね。ですから今の現行法上の業務運営を指導統制するということは、これは確かに表現はきついように私も思うのです。指導統制するということになりますと、これは相当に理事の権限というものをあるいは侵害するような場合も出てくるかもしれませんから、これは多少表現は直した方がいいかもしれませんけれども、根本的な思想のあり方というものは、これは経営委員会の充実であると思うんです。そうしてそれが多少の指導性というようなものを持って、やはり絶えず協力してやるという、これは指導統制というよりも指導協力をするということです。そういうふうなやはり方法にした方がよかろうという気持を私は強く持っているわけです。ですから会長が全責任者として執行の業務に当るわけですから、そういう会長がお入りになって、責任を持って一票を行使していく。場合によったらこういうことが出てきます。経営委員会でおきめになっても、会長として責任をもってやれないというようなことが、もしかりにあったとしたらどうなるんですか。会長に拒否権でも与えることをこの法文に作っておくならいいと思いますが、意見意見で言いっ放しで、少くとも責任をもって議決に参加できないというようなことになると、そういうことがあり得ると思うんです。まさか良識ある経営委員会諸君ですから、これは暴論かもしれませんが、しかしそういうこともあり得ると思います。そういう場合の会長立場はどうなるんですか。そういったもろもろのやはり問題が出てくると思うんです。ですから、やはり私は現行の形の方がよかろう。多少指導統率なんということが悪いとすれば、この辺は若干の修正を加えるとしても、思想としては私は今の方がいいと思うんです。これ以上聞いても答えがありませんか。なかったらいいんです。
  31. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これは私も、鈴木さんがなかなかそういうところに高い識見をお持ちになっておるから、私もそこはごく謙虚に申し上げておる。私はこれを自信をもってやったということは、はっきり申し上げておきます。ただ私の申した、いわゆる会長に執行機関の最高の責任者としての強い実権を持たしていかなければならぬ、こういうことからいってもやはり議決機関であるところからははずすわけにもいかない。しかし私の申した考え方というものに対しては、やはりこれをまた別の形の、現行の形において論が立つわけですから、そこは両論あるということは私としては認めておりますけれども、私はこれは自信をもってこういう形がよかろうということでやったわけでありまするから、ただ御指摘のように、経営委員会の活動が非常に消極的じゃないかということは、確かに私もそういうことを思います。月に一回とかいうようなことを、しかも地区別に出て来ておる経営委員が月に一回くらい出て、そうしてまあどういう審議をしましても、それはやはりそのときの客観情勢とかあるいはいろいろの突発問題とか、関連するいろいろの情報網とかいうようなものは、常にこれはそれに接しておって、そうしてその会議を開いていくということでないと、これはやはりそうすると鈴木さんのおっしゃるように、むしろ常置してこれをやるとか、あるいはそうでなければ相当回数を多くしてこの経営委員会を開くとかいうことは、私は今後どうしても日本放送協会として、経営委員会の運用ということからいってそういう形にすべきものである。そうしてそのつど日当ということは、いかにも少いようですけれども、これが今回のきめといたしましては、今まで無報酬でやっていただいたことはこれは非常に矛盾であるから、一つこの際は旅費と日当その他相当これには考慮を払って、できるだけのその範囲においては最大限の手当を差し上げようというようなことにしたのでありまするから、むしろ回数を多くしていただいて、そうして強力に経営委員会使命を成果あらしめていただきたい。同時に、会長はいわゆる執行機関の最高の責任者として、確固たる信念をもって一つ進んでいただき、経営委員会と執行部との調和あるいは協力、こういうことにも十分働いてもらいたい。こういう趣旨でありますから、この辺のところは一つ鈴木さん、どうぞ一つ十分御了承をお願いしたいと思うのであります。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 まあ大臣が非常な自信をもって今答弁されたんですが、ほんとうの腹はさっき言ったのが大臣の腹です。それはもう明らかだと思うんです。大臣は正直ですから私の質問も正直に言ったんだが、やはりそういう自信確信のある考え方に立つならば、私は今あなたがみずから認めておられるように、経営委員会はだれが招集してだれがやるのか、年何回開くのか、さっぱりそんなことはきまっていない、どこにもそんな規定はない。もし常駐ということができないならば、せめて法改正の中で、たとえば経営委員会は一月に何回とか、そういうふうなことくらいまで私はきめた方がよかろうと思っておったけれども、その大事なところが抜けているんです。けれども法律をせっかく改正するんだから、そういう点が非常に抜けておってうまくなければ、むしろあなたの考え方を取り入れるような方法にしたらどうなんですか。それでこれはまあこれ以上は、大臣、もう言いません、自信確信をもって運営できるというなら、私は今後大臣の御自信確信のありさまを運営の上で見ていきます。  それで協会の方にちょっとお尋ねしたいんですが、経営委員会は今まで大体ここ一年くらいの間でいいんですが、何回くらい開かれておりますか。
  33. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 定例的には月に一回でございますが、予算あるいはその他の重要な事項のあります場合には、引き続いて数回開くこともございます。それからなお、まあ各委員地方に大体おられるわけですけれども、委員長だけは在来からずっと東京の方でございまして、重要事項につきましては常時委員長と御連絡と申し上げますか、御指導を仰ぎながらやっております。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 たとえば委員会を開催してほしいと協会側で思うことがあると思うのですね。一月に一ぺんでなしに、もっと開いてもらいたい、こうお考えになるでしょうが、実際は非常勤ですから、しかも地方におられるのでなかなか連絡もとれないということで、やはり多少委員会の開催が理事者の思うようにいかなかったこともあると思うのですよ。そういう御懸念は私は察することができるのです。そこでこの招集の権限というのは、これはもちろん会長がお持ちになっておると思うのですが、この経営委員会独自で経営委員会を開くというようなことをやるのが今までの建前なのか、あるいは協会側一つ開いてもらいたい、こういう要請をして開く場合が多いのか、その点はどんなふうでございましょうか。
  35. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 経営委員会の招集は委員長名で招集いたします。それで予算その他緊急のものでぜひ早急に開いていただきたいときは、会長から委員長の方へ要請しまして、そしてまあ一日やそこらのずれはあるにしましても、大体われわれ希望するように開いていただけることになっております。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つお尋ねしたいのですが、大体今後は理事会というのが、役員会が相当に強化されておりますが、今まではそうでなかったわけですね。それで、こういうと語弊があるかもしれませんがいずれにしても人手不足です。それで経営委員会を月一ぺん開くというようなことで、大して協会経営自体にはそう支障はないものでしょうか。一ぺんぐらい開かれておれば大体うまくいくような状態なのでしょうか。
  37. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 経営委員会で御審議願います——まあ御審議といいますか上程されます事項は、その期間におきましての協会の重要な執行事項の報告と、それからあとはたとえば放送法改正というようなことがありますれば、そういった問題はもちろんですが、そのほかの一応放送法の中でも経営委員会にかけるべき事項として、たとえば置局の問題とか役員の報酬の問題とか、そういう問題がきまっております。そういう問題は必ずかけます。それ以外に毎月の財政状況とか、そういったものは別途また資料として相当膨大なものをお配りして見ていただく。そういうふうな程度の場合は、大体月に一回で一応おもな事項は全部処理されておりますが、ただ突発的に急な一回で足りないような場合は、先ほど申しましたように別途要請して開催していただく、こういうふうな仕方になっております。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 まあ過去の実績に立って、月一回程度開かれるならば協会業務執行にはそう大して支障がない、こういうお話ですから、その点は了承いたします。ただこれから協会が非常に御苦労いただくわけでありまして、そういう場合に常時経営委員との御連絡がとれて、そして何ごとといわず相談してやる、こういうような格好をとられた方がよりベターだと思うわけですから、まあ一つ運営の面については万遺憾のないように、今後とも格段の御配慮をいただくようにお願いしておきたいと思います。  この問題の論議はまだ残されておるようですが、一応終って次の質問ですが、これはまたやるかということで皆さんには毛ぎらいされるかもしれませんが、国際放送のことについてちょっと大臣にお尋ねしますが、きのう総理大臣に大まかな線は申し上げたのですが、総理大臣は内容をよく御存じないので、時間の関係もあり、途中でやめておきましたが、昭和三十三年四月一日に当時の郵政大臣田中角榮氏から日本放送協会に対して、国際放送の実施命令書というのが出ております。この内容を見ますと、三十三年の四月一日から三十四年の三月三十一日、今年の三月三十一日までの放送について具体的な事項を命令しておりますが、六に各放送区域別の一日の放送時間及び送信電力の基準、こういうものがきめられております。これを見ると、明らかに十五方向十五時間、出力百キロないし五十キロ、二十キロ、こういう電力によって放送しなさい、こういうふうに明らかに命令をしているわけなんです。これは放送法との関連もありますが、この命令書を見ると、なるほど前段には「この命令書による国際放送の実施にあたっては、国会の承認を得た貴協会昭和三十三年度収支予算及び事業計画等にしたがい、その内容を充実し放送効果を高めるように努められたい。」こういうことになっておりまして、何だか政府から交付する金が少いので、申しわけ的にここに入れたような気がするのであります。これと第六項との関係から私は非常に疑問を持つわけでありますが、十五方向十五時間の放送をするのは、これは協会がおやりになっている全部の放送時間であり、全部の放送区域なんです。そうしますとインド、パキスタン一時間放送しなさい、以下ずっと書いてあるわけです。そうしますと、この一時間の中で放送している経費というのは、少くとも私は五億近いものがかかっていると思うのです。にもかかわらず前段におきまして苦しまぎれに「国会の承認を得た」予算の中で……、こういうふうにごまかしている、これはもってのほかだと私は思うのです。前任者のやったことですから私は知らぬと言われても、これはある程度人情的にはわかりますが、しかしそうは言えぬと思うのですね。何回もこれは本委員会でも問題になっておりますので、こういう私は無責任な命令書を出して、そうしてその裏づけになる八千万円くらいの金しか出していないというのはどういうことですか、大臣、こんな無責任な命令書を出されては困るのです。
  39. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これは大へん論議の多い問題でありますが、政府考え方といたしましては、一応政府の編成をいたしまする予算の範囲内ということでこの八千九百八十六万六千円というものをきめたのでありますから、過日も局長が答えたように、十五方向十五時間というのは、これではもうささやかなものになるかもしれません、それからまた不十分でありましょう。それ以上、相当かけておるから、その犠牲というもの、その費用というものは、NHKが出しておる、しかし、出す根拠としては、やはりNHKにおいても、国際放送を行うという方針を立てて、ここに政府のこの命令の、この間の表現ではありませんけれども、骨と皮に肉をつけ、やはり若干そこに形を整えて、国際放送というものを、より政府の命令以上の成果あらしむべく、NHKがこれに協力しておる、これに犠牲を払っておる。  こういうことは言えると思うのですが、ただ、その際に問題となると思うのは、政府の命令でやらすのならば、必要な費用は出さねばいかぬじゃないか、それを放送法にもはっきり示しておるじゃないかという論は、確かに私は正しいと思う、しかし、それが政府の現在の予算編成におけるいろいろな資金の、予算の数字のやりくりというのですか、そういうようなことで、常に削減をせられておる。今回も二億何千万かを要望したものが、わずかに九千三百万円しか認められなかった。  そういうことに対しては、昨日も総理が答えましたように、今後はそういう点については、一つ予算というものをできるだけ増額するように努力をしていくということであって、この点は、まことに私は申し訳がないと思います。政府があまりにも国際放送に対しての予算というものが、少額過ぎるということに対しては、非力な私において、十分取り得なかったという責任は、重々感じておりますので、今後の問題として、総理なども、昨日鈴木さんにも、要するに今後の問題としてできるだけ増額をしていきたいということでありますから、この点については、私がかわりましても、引き継ぎ事項といたしまして、国際放送に対する予算というものは、できるかぎり実際必要な韻を取るべきだということを引き紡いでいきたいと思っております。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 大臣が、頭からあやまってしまわれると、私は人がいいから、あまりものも言えないのですが、しかし、命令書だけは一つ、はっきりしてもらいたい。  あなたが申し訳ないと言うのは、田中さんのしりぬぐいをされているわけですから、少し酷だと思いますけれども、これは監理局長もおられるので、私は、はっきりしておきたいのですが、これは三十二年度の命令書については、私がだいぶ追及して、田中さんも参っちゃったのですよ、率直に言って。それで逃げ道を頭をひねって作ったのが、国会の承認を得たというこの文句なのです。あまりにも知恵がなさ過ぎる。私たちは、国際放送というのは原則として協会政府がやらせるのだ、こういう解釈をしているのです、放送法の解釈を。ところが、あなた方は、いやそうじゃないのだ、協会協会で、おやりになる分はおやりになって、政府政府としてやるのだ、こういうふうに言われているのですよ、私はその論議は、間違いだと思っていますが、かりに百歩譲って、その理論を認めたとしても、この命令書は、明らかに放送法違反です。  これは、なぜかというと、第六項目には、一日の放送時間、放送電力の基準というものがはっきりここにしるしてある。協会が、これ以上一時間オーバーして、二時間やっておって、それで金がかかって協会が出すということであれば、これまたわかるのです。だから私は、この文句が、かりに一日の放送時間というものを、一時間以内において、政府が命令した予算の中でやりなさいというならわかるのです。しかし、一日一時間十五方向やれといって命令しておいて、五億以上もかかる放送費用というものを国民の、国内聴取者から取った金でもってまかなっているというようなことは言語道断です。こんな間違った命令書を出されて、これを唯々諾々としてやっている協会の方も協会だと思うけれども、しかし、そのやらせた責任者は政府ですから、こういう放送法に違反するような命令を出すことはけしからぬと私は思う。  その当時の経過というものは、監理局長よく御存じだと思うので、あなたはどういうつもりで、これを書いたのですか。
  41. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 本件につきましては、放送業務課長より答弁いたします。
  42. 館野繁

    説明員(館野繁君) 恐縮でございますが、事務的な見解を一応述べさしていただきます。  今、鈴木先生のおっしゃいました命令書の第六項でございますが、確かに一日一時間各方向、すなわち十五方向に対しまして、各一時間及び送信電力百キロワット及び五十キロワット、一方向につきまして二十キロワットの指定をいたしまして、命令を出しております。  この一時間の放送につきましては、現在NHKが行なっておりまする編成の内容及びそれにかかりまする経費からいたしますると、この命令の裏づけになっておりまする交付金の積算は、確かに少うございます。しかし、この命令に基きまする交付金の積算といたしますところと、NHKが現に行なっておりますところの、同じ一時間でありましても、算出の根拠が違っているわけでございまして、たとえばそれぞれ放送を依頼いたします方の謝礼金、それから、いろいろ録音盤の使い方、テープの使い方等の編集費及び実施費、その単価が非常に違うことが一つと、それから鈴木先生も、昨年もおっしゃっておられました使用周波数の点で、経費の違いが出てきております。  従いまして、現在NHKが行なっておりまする状態におきまする一時間の番組には、非常に交付金の内訳は足らないわけでございまするけれども、命令の範囲といたしましては、これは、いろいろと中には非常識だとおしかりを受けますような点も多々ありますことは私どもも存じておりますけれども、とにかくぎりぎりの編成費、資材費、謝礼金等によりまして、交付金の積算をいたしておりまするので、一時間のうち三十分分というような意味で交付金が積算されているわけではございませんので、その点を御説明いたします。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 そういうことになりますと、私は、もうこのままでおけないと思うのです。それでは資料を出して下さい。十五方向に対して八千万円でやるという、それは録音盤の扱い方とか、あるいはその放送の内容によって、今までは番組審議会というものはなかったわけですから、おそらくどういうふうにしておきめになったか知りませんけれども、郵政省が、それだけ確信があってやられたとするならば、一つ、一日に一時間やるその放送で、八千万円でやれるという確固たる資料をお出しになって下さい。  それから周波数の関係だとおっしゃるのですが、周波数は、おそらく二方向ないしあるいは三方向出しておったかもしれませんが、私たちは、国際放送の聴取状況協会からいただいて見ておりますが、なるほど東ア向けは波長を一つにしてやっておられますが、三十三年の大よその聴取状況は、良好だということになっております。しかし、これも私にいわせるならば、東南アジア全体としての綿密な資料に基いているかどうかということは、これは私は、ちょっと疑問があると思います。  これは、協会にお尋ねしなければわかりませんが、スマトラ、ジャワ、マライ全体から東南アジア全体にかけて、どことどことどこの聴取状況をとったのか、この点も一つ協会から伺いたいと思いますが、いずれにしても、波長を減らしたのは、東南アジア向けの一方向だと思うのです。  ですから、そういうことが大きな根拠になっているとは私は考えられません。少くとも八千万円で一日一時間十五方向をやられるということは、非常識もはなはだしいものだ、もしそれがあるとすれば、私は命令書が、一日一時間の範囲内において、政府が交付する金のうちで、協会におやりなさい、こういう命令書であれば、これは私は、筋が通ると思う。  それを、一日一時間十五方向ということをはっきり命令しておいて、その基準を示しておいて、そこで五億円もかかるものを協会から出しているのは、ことしも五億じゃないですか、去年だって、私は五億くらい出されておると思うのです。郵政省がそれを億に削っておりますが、協会がやろうという思想は、そこにあると思う。それだけかかるものを八千万円でやらせようということは無理であるし、そういうことは、私は少くとも理屈にはならぬと思うのです。率直にこの命令書が行き過ぎであったらあったということを私ははっきりしてもらいたい。  そうしたら私はそれ以上は追及しませんが、そういう無茶なことを協会に押しつけて、責任のがれをするということは、もってのほかです、私に言わせれば。法律があるのだから法律に基いて、あなた方が解釈してわれわの解釈と違うような解釈をとっておいて、その上にまた、そういうことを言われるなら、一つ明確な資料を出していただいて、その上で、この問題は私は、さらに論議したいと思う。
  44. 森中守義

    ○森中守義君 関連して……。今、館野課長が説明をされた積算の根拠が違っておるということですね、ちょっと私、理解しにくいのですが、どういう意味ですか。  私は、要するに国際放送の交付金の積算をされる場合に、少くとも協会側と、どこ向け何時間、これにはどういう周波数を使って幾らであるか、さらには、今言われるような謝礼金であるとか、あるいはテープの使い分けであるとか、そういうものが、やる側とやらせる側との話がある程度意見が折り合って、交付金というものは積算をされるのが、大体常識だと思う。  ところが今の御説明からいけば、どうも、郵政省は郵政省で勝手に積算をしておる。しかし、その実施命令を受けた協会側は、勝手に放送をやっておる。そこに大きな額の相違が生じてくるとするならば、これは予算編成そのものに重大な問題がある。  だから積算の根拠が違うというのは、一体何を指しておるか、それを少し具体的に説明をして下さい。
  45. 館野繁

    説明員(館野繁君) お答えいたします。  資料の点につきましては、早急に作りまして提出いたします。ただ、鈴木先生の五億というお見込みの金額でございますが、三十三年度につきましては、NHK予算におきましては二億二千万円弱と私たち承知しておりますので、交付金は約半分弱についていると了解しております。  それから今、森中先生のお話の点でございますが、交付金の予算を作ります際には、ありていに申しまして、NHKと郵政省は協議はいたしておりません。私どもが、従来の交付金の積算ベースというようなもので、来年は、どのくらいの命令にかかわる国際放送をすべきであるかということを郵政省が考えまして、それに望ましい金額というものを一応事務的に積算いたしまして、大蔵省に概算要求をするわけでありますが、この方向その他につきましては、命令を将来受けるであろうNHKとは、別に実施についてはお打合せはしておりません。  それから、その単価の違いでございますが、予算の交付金の積算ベース、これは御承知の通り、事務当局としましては、私ども郵政省の事務当局の力の至らない点でございまするが、大蔵省の財務当局が考えまする積算の、何と申しますか、積算の取り方と、私どもとの間にも、非常に違いがありまして、それの結局、両者の何といいますか、交渉の結果きまるものが、交付金の積算ベースでありまして、一方NHKNHKといたしまして、予算を国会に提出するに際しまして、来年度はこれくらいの経費をかけて、これくらいの規模でやりたいということをNHKの予算で組んで参りまするので、必ずしもその積算の根拠及び規模等が合致するとは限らない現状に現在ございます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 国際放送の、政府が命令するその命令のやり方と、実際にやられている点は、ちょっとペンディングしておきます。資料をいただいてから、意見を申し上げますので、これは、一つ委員長も、その資料を待って私の意見を聞くように、委員会運営を、一つ取りはからっていただきたいと思います。
  47. 手島栄

    委員長手島栄君) 資料は、あすまでにできますか。
  48. 館野繁

    説明員(館野繁君) あしたまでに提出いたします。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 それで、きのうも総理大臣に対して、時間がなかったからあまり長く言いませんでしたが、これは大臣おられるので、私も遠慮をしておったのですが、そこで、総理としても、国連を中心として日本の平和外交を推進しようということは、たびたび国会でも言われておるわけでありまして、そういう立場からするならば、放送を通じて、日本のあらゆる問題を外国に知っていただく、それと同時に、在留邦人に対する祖国のあたたかい雰囲気に接してやらせる、こういうところに国外放送、国際放送の意義があると思うのです。  ですから、少くとも国際放送というものは、やはり実のある、内容の充実した、やはりりっぱな、各国に負けないような放送をするというのが政府の建前です。それを八千万円に切って、問題にならないような内容を、これでやれというようなことをするところに無理がある。あなたの方でも、ことしも一億というのを、これは最小限度必要だということでお出しになったのでしょうが、半分の九千万円になっちゃった。協会は五億ほしいといっている。そういうことですから、郵政省自体としても、大臣の言われているように、非常に不満だと思う。  ですから私は、従来この問題に対しては、長い間、国際放送あり方について口をすっぱくするほど申し上げてきたのです。新会長を迎えて、過般、私は国際放送についての御意見を承わったのでありますが、会長としては、もちろんいろいろお考えもあるでしょうが、政府のひもつきになりたくない、こういう思想に立てば、これは協会独自でおやりになりたいという気持も私、わかります。だがしかし、NHK全体の経営を見た場合には、やはり今値上げをしなければならぬというところに追い込まれてしまっている。減価償却もできないということで、三十三年度の予算なんか、まことに危険千万なものが編成されているわけです。そういうことで、協会が努力されている。しかも一方国民から見れば、ほとんどがラジオを聞いている。そうして聴取料を払っている。しかし、まだサービスの改善をしてもらいたいという声がたくさんあります。難聴地域の解消も、私たち地方を回っていますと、まだまだ解消されておりません。最近の妨害電波なんかによっても、大へん迷惑しているところがある。ですから、もっと出力を多くして、強力な電波を発射してもらいたいというのは、国内のラジオを聞いていると、当然のことです。  そういう段階で、協会の、国際親善になり、しかも国の方針としておやりになる放送事業に対して、負担をかけるということは、これは、私はしのびないと思う。けっして政府から出すからそれがひもつきになって、協会をがんじがらめにするということは、放送法でできない建前です。ですから、この点は一つ会長にも御安心をいただくことに——特に今御出席をいただいておりますから、ちょっと横道にそれますが、申し上げておきます。そういう立場に立っていくと、やはり政府が国際放送に対しては、積極的な態度をとるということが大事です。ですから、ことしの予算のこの放送法改正にしても、予算の審議に、いずれなると思いますが、われわれは、そういう点について、非常に今まで不満に不満を重ねているわけです。  幸いここに放送法改正ということが行われるので、われわれは従来の解釈上、協会がやり得る国際放送と、政府が命令する国際放送との問題について、両論あるわけですわ、解釈について。結局政府の方では、この予算が足りないものですから、こじつけ的に今やっている協会のやつは、これは政府が命令していないのだ、協会が独自にやっているのだ、こういう責任のがれをしている。私は、これはけしからぬことだと思うのですが、だから、そういうことのないように、解釈の不統一がないように、はっきりさすべきだということが、私は与野党を通じての一致した意見であったと思うわけなのです。  ですからこの放送法改正に際して、その点を明確にして、三十三条でありましたか、政府が命令してやらせる、こういうのがあるわけでありますから、九条の関連で、九条二項だと思いましたが、多少解釈の無理な点があったわけですから、そういう点を今度は明確にしてやるというのが、私は大臣としての取るべき道ではなかったかと思うし、それは、この委員会のほとんどの空気がそういうことに与党の皆さんも主張されておったわけですから、そういう改正がやられると思いましたら、どうもこの法律解釈が、荘次長がこの前に、私の質問に対して言われておったのですが、第九条の「協会は、第七条の目的を達成するため、左の業務を行う。」第七条は、あまねく公平に日本全国いたるところで受信できるようにしなさい、こういうことであるから国際放送を、この項に持ってくるのは、ちょっと理屈が合わないというふうなことで、今度は法の第九条の二項を「協会は、前条第一項及び第三項に規定する業務のほか、国際放送を行うものとする。」ということで、まあ、その辺の法文上の体裁は整えていただいたのでありますが、一番大事な国際放送に対する政府の一貫した思想というものが、遺憾ながら入っていないのです。依然として、今までのような解釈が残っている。  そうしますと、協会協会でやるんだ、政府政府で、金を出すんだ、こういうふうな国際放送に対する考え方がずっと残っていくのです。非常にこれは困ったものだと私は思っているのですが、どうして本委員会の今までの審議の経過からして、そういう趣旨に沿うような法律改正をやらなかったのです。この点を私は承わりたいのです。
  50. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) この国際放送に対する政府が命令書を出しておる。これに対して、政府は当然放送法に示す通りに、この費用を政府が持たなきゃいかぬ、これはもう、その通りだと思います。  従って、この三十三年度の命令書にも、御指摘のように、第七項に、この国際放送実施については、昭和三十三年度の国の負担とする費用はこれこれの範囲内とするという、非常に鈴木さんの御指摘では苦しいここに一項を加えておるということの御指摘でありますが、私も国際放送を命令をする限りにおいては、国際放送の性格あるいは目的、こういうものに鑑みて、その費用は、国際放送がほとんど十分な成果もあげられないような予算を盛るということは、きわめて政府としては、私は不十分だ、こういうことは、御所論の通りだと思います。  従いまして、私どもは、今後少くも政府の命令をしたこの十五方向、あるいは三十四年度におきましては十六時間、こういう放送を命令をした以上一は、それを放送し得るよう、国際放送として形を整えるだけの予算というものは、政府が、これは当然出すべき責任があるということは、私は何の疑いも持たない。ただ政府が、予算のやりくりその他で非常にそれに対して削減をしたり、それに対する結果として非常に貧弱になってくるのであるから、まあこういう苦しい答弁も申し上げるというわけでありますが、今、館野課長が申し上げたのも、これは、まあNHKと私の方とで、積算の予算編成のときの基準なり考え方というものに相違があるという事実を申し上げたのであって、これに対しては、資料でお調べ願う。こういうことにいたしましても、私の考えといたしましては、全く鈴木さんと同じ意見でありまして、今後は、これはNHKも国際放送をやるのでありますから、その国の命令をした国際放送の内容を、さらに豊富にするとか、あるいは時間をふやすということは、今後とも行われることと思います。  しかし私の責任といたしましては、政府が命令をしたこの国際放送に対しては、あくまでもそれに必要な予算は、責任を持って政府に計上させるということに、最善の努力をいたしたいと思いますし、総理にも、きのう、かなり徹底したそういう考えの認識もあったのでありますからして、今後とも、私どもも一つ責任を持って、その実現を期することで、一応、御了承願いたいと思う次第でございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 大臣の率直な御意見は、私もわかります。まあ人間は、間違いもあるし、気がつかないこともあるでしょうから、過失は過失として、お互いにこれは戒め合っていくというのが世間ですから、私はまあ、それでいいと思いますが、ただ、なるほどあなたのおっしゃっているように、これは私は、電波監理局長が館野さんを追及しようと思わぬのですよ。結局、政府方針が、そういうことになるので苦しい、これは資料を出していただけば、つじつまの合った八千万円でやるような、レコードをかけっ放しにするような、そういう内容が出てくると思うのですよ。だけれども、今大臣が、すでにそのことを察知して、先にもう、あやまつちゃったのですから、私はあした言うことがなくなったのですが、やはり少くとも八千万円で、一日一時間、十五方向をやらせようということが、どだいおかしいのですよ。もう政策の欠如ですよ。外国放送というものに対して、口では、国連中心の平和外交を唱えておりながら、実際にやっていることは、全くなっておらぬというのが実際であって、事務当局は苦しい、レコードをかけっ放しの、何だ、こんなものが、日本の放送か、こういうことをやってごらんなさい。日本の政府は、何をやっているんだ、むしろこれをNHKがやれば、金がとれたかもしれないが、NHKは、良心的なものだから、自分の金で内容を充実してやっている。これは大へんNHKには感謝しなければならぬと思うのですが、そこで大臣は、私のポイントをそらしてしまったのだが、放送法改正について、そういういろいろ疑義がある。協会協会でおやりになるんですよ、これは、大臣の言われるような、苦しい答弁をいつまでもやっているのですよ。そういうことのないように、放送法改正と同時に、はっきり明文化して、その内容については、あなたの言われるような思想を入れていただいて、実のある日本国は、敗れたりといえども、文化国家として意欲を持っているのだ、こういう国際放送をやるように、仕組んでいくのが大事だと思うのですよ。  ですから、放送法改正の際に、とかく金がないために、逃げておった、そういう逃げ口上をなくするような態勢を、まず裏付けを作ることなんですよ。それをおやりにならなかったところに、また問題が残ってくるのを非常に残念に思うのですよ。そういう点についてなぜおやりにならなかったかということを私はお聞きしたのです。
  52. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これは、私は現行法ではっきりしていると思うのです。ただ、政府がそれに対して、出ししぶったり、いろいろ出さないから、そういうことになっているのです。放送法の三十五条には、国の負担とするとあって、これ以上はっきりすることはできないのじゃないか。  あと政府に、その責任をとらせるということが、私は残された問題じゃないか。かように考えております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、とかく今まで放送法の解釈上については、二つに分れておったが、幸い寺尾郵政大臣を迎えて、この放送法改正審議に当って、この委員会として確認し、国会として確認することは、従来から変っておらなかった、われわれの主張が正しかったと、こういうふうに私は、この委員会で確認をして、それから、もう一つお尋ねしたいのは、あなたも予算が足りないことを認めているんです。郵政省が、せめてやりたいという二億何ぼかという予算を大蔵省に折衝したでしょうが、ところが、それが不幸にして政府全体としての理解がないために、大削減を食ってしまって、半分になってしまった。  それは、今からでもおそくはない。予算には、予備費というものもあるのです。ですから、岸総理も認識を改めているだろうし、大臣としても、そういう認識に立っていただくならば、予算は、いずれ通過するでしょうが、私は大臣に確答を得ようとは思いません、これは無理ですから。しかし、総理とも相協力して、できるならば、予備費の一部でも国際放送に回していただいて、そうして政府責任ある放送をやるように、どこまで、できるかどうかわかりませんが、一つ大臣に、今後とも努力を私はお願いしたいのですが、その点は、いかがでございましょうか。
  54. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 昨日も、このことは、ただいま申しましたように、総理も十分このことについて認識を改めておるところでありますから、私は、その御指摘のように努力ということに対しましては、極力努力をいたします
  55. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) さっき、ちょっと途中でございましたが法律の解釈につきまして、大臣のおっしゃいましたのは、国際放送というのは、本来NHKがやるべきものだが、また別に政府の方からも命令を出しまして、国際放送を実施することができる。その政府が命令をした分に対しましては、政府から交付金をさし上げるということでございますから、その点は、御了承をいただきたいと思います。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 そんなことじゃないんですよ。あなたは、今までの論議を聞いていないから、そういうとぼけた、ぴんぼけのことを言うんです。その論議なんか、全部出尽したんですよ。大臣意見が違うなら、意見を統一して、後からやったらいいじゃないか。ぽかっと出てきて、メモをもらってやるというのは、不見識じゃないですか。  そういうことは、全部論議した上で、大臣責任をもって、言われたことじゃないですか。そのことが、もし意見が違うんならば、大臣と御相談なさって、あしたでもはっきりしたらいいんです。
  57. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) あの大臣の御答弁に対しまして補足する必要がある、かように助言がありましたから、申し上げたのでありまして、私の申し上げたような御解釈であれば、けっこうだと思います。大臣の御答弁で。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 その補足は、違います、私の理解する範囲においては。  そうであるならば、皆さんの仲間の中で意見が分れておるんですから、一つ意見を統一して、改めて御答弁を願いたいと思います。あしたでもいいです。  それから政務次官が見えたので、ちょっと法律改正問題とは違いますが、テレビの物品税の問題について伺っておきたいと思いますが、昨年の六月三十日までは、十四インチ以下のテレビに対する物品税が一七%の特例で軽減されておったのですが、当時、四月一日からの二〇%の物品税については、非常に過酷であるから、一つ、物品税の軽減を今後ともやってもらいたい、そういうことを強くわれわれは主張しておったわけです。で一つ、政務次官にも努力していただいたし、大臣にも努力していただいたんですが、その後税制の一部改正が国会にも出ております。しかしその中を見ても、テレビに対する税を、少しでも免除してやろうというような思想が入っておるわけなんです。今日、急速にテレビも発達をして、百五十万から二百万円へと、どんどんふえてゆくと思うんです。で、今までは、ある程度金持でなければ買えないというような状態もありましたが、最近ですと、みんな安いサラリーマンでも、月賦制度ができまして、比較的うまく買えるようになっておりますね、大衆向きになってきております。だから私どもは、ぜひともこのテレビに対する物品税は、できるなら廃止していただきたいんですが、もっと率を引き下げてもらいたいという念願を持っているわけです。  で、今日十四インチ以上のは、庫出価格の三〇%、十四インチ以下は、庫出価格の二〇%と、こういうことになっておりますので、非常にわれわれとしては、不満に思っているんですが、その後税制改革の一環として政府はどういう努力をされましたか、一つ、この点は、この機会に伺っておきたいと思います。
  59. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) テレビの受像機の物品税につきましては、かねて鈴木委員におかれまして、現存テレビの普及の段階にあります状況として、少しでも物品税が安いことが好ましいということで、非常な御熱心な御主張をいただいておったわけでございますが、この問題につきましては、郵政省といたしましても、全く同感でございまして、先般来、明年度予算の編成に当りまして、物品税の全面的な改正をするという時期でもございましたから、大臣初め私ども、御指摘のテレビの受像機の税金につきましては、ちっとでも安いようにということで努力をしておったわけでございます。大臣は大蔵大臣に会われたり、書面で申し入れをされましたりしたわけですし、私どもも、政務次官、事務当局に折衝を重ねましたわけでございますが、私どもの力足らずと申しますか、国全体の考え方といたしまして、テレビの受像機は、最近御指摘のように大へん生産の価格も下って参っておりますし、それから他の物品税との比較におきまして、テレビの受像機に税金をかけることはやむを得ないだろうと、税率も問題でございますが、それにつきましても、昨年の六月末で時限法が切れまして、その後十四インチ以下におきましては二〇%、それ以上のものにつきましては三〇%という物品税がつきますというそのことが、やはりそのままで据え置かざるを得ないというようなことになったのでございまして、この点、まことに遺憾には思っておりますけれども、さような事態で、テレビの受像機につきましては、価格の三〇%、十四インチ以下におきましては二〇%ということで、大体きまりそうでございまして、さような法律案が出されたようなわけでございまして、その間、御趣旨の点もございましたし、十分努力はいたしたつもりではございますけれども、御期待に沿うことができなくて、非常に残念に思っておる次第でございます。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 まことに、その通りで、私も残念に思うのですが、これは、国全体としての税収の問題も、もちろんあるでしょう、しかしながら最近の租税の徴収なんかを見ましても、今度も、三十三年度の一般会計の補正が、特二号で出ておりますが、これらの予算の内容を見ましても、相当に、政府に余裕財源というものができてきているんですね、ですから、私はもちろん、まあ撤廃していただきたいというのは、基本的な考え方ですが、それも無理でしょう、ですから、もう少し、政務次官もおっしゃっているように、何とか税率を下げて、特に十四インチ以下というのは、ほんとうに一般家庭向きですから、ですからその税金ぐらいは去年の六月ぐらいの状態に置くことが必要ではないか。しかもやれば、私は国全体の予算から見てできないことではないと思うのです。要は、さっきから言っているように、やはり放送事業というものに対する政府全体としての取り組み方、これは郵政大臣なり、あなたは所管の責任者として十二分に御発言なさったと思います。そのことについては心配はないわけでありますが、しかし全体として遺憾ながらできないということになりますと、これはあなただけでなしに、国全体も、やはり国民の一人として不満に思うのです。何とかこれはできないものかという気持を持つわけです。ですからもう少し、せめて十四インチ以下くらいの物品税の課税について減税していくというような、そういう方法はやれば私はできないことではないと思うのです。ですから、不幸にして今度の他の税制改革と同時にできませんでしたけれども、そういう考え方を今後も一つぜひ主張し続けていただいて、できるだけ早い機会にもう少し軽減するような御努力をしていただきたいと思うのですが、この点は一つ大臣からも御所見を承わっておきたいと思います。
  61. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) このことは、ただいま政務次官からも、非常な努力をしたけれども、その成果が上らなかった、非常に遺憾であると申し上げましたが、私どもはこれでそのままにしようという考え方は毛頭ございませんので、次官もお答え申し上げましたように、今後とも鈴木さんの御熱意にこたえ、また一般聴視者のために、また健全なテレビの放送があまねく国民によって聴視できる、しかも、それはできるだけ安い受像機を求め得られる、こういう観点にも立ちまして、十分一つあらゆる努力を払いまして、その実現に進んでいきたい、かように決意をいたしております。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、この物品税の問題は以上で終りまして、次に、今度の改正で国際放送番組審議会というのが設置されることになるわけですが、この審議会の運用等についてはどういうふうになっているのですか、一応一つ御説明をしていただきたいと思います。
  63. 石川義憲

    説明員(石川義憲君) 国際放送につきまして番組審議会が特に作られておりますけれども、ほかの国内の審議会と同様に、審議会自身でいろいろな運用の内容をきめるわけでございます。そしてやっていくということでございます。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 それはそうでしょう。私はそのことよりも、従来、国際放送番組審議会というのはなかったわけです。今度新たに設けておよその理由、それを聞きたかったのです。
  65. 石川義憲

    説明員(石川義憲君) 簡単に申し上げます。国際放送は、先ほどから論議が出ておりますように国内放送と違いまして特殊な立場をとっております。それで国内放送番組審議会におきましては、その放送区域内の聴取者を代表して、あるいは番組基準を作成をする、あるいは批判をするという役目を果たしておりますが、国際放送につきましては、さらにより違った国際的な見地からものを見る人、そういう人が必要であるという点と、任務といたしまして、実際に外国と——国内で聞くのではありませんので、そういう見地からものがわかる人を選ぶ。従って構成のスタッフ、メンバーは、当然国内のものとは異ならなければならぬ、そういうふうに考えております。そういう意味でこれを別にすべきであると考えたわけでございます。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 従来国際放送に対して、今もいろいろ論議をしたところですが、一定の放送の内容等につきましても明確な基準がなかったわけですね。ですから私たちも、ぜひ国際放送に対しても、さっきからのいろいろな意見を総合して、権威ある内容にしていただきたい、こういう思想を持っておりましただけに、この審議会設置を私は非常に意義があると思っております。ただ、今後もこの委員会運営についてはより自主的におやりになるでありましょうが、この法律で明示をして、責任を持たしてやらせるというからには、今後その国際放送番組審議会できめられたことは、従来以上に権威のあるものである。従ってそういうものがますます権威を持って参りますと、さっきからの問題点も徐々に私は解消していくと思うのです。とかくそれがないものですから、与えられた当てがいぶちの中で適当に命令をしなければならないという苦しい立場に郵政省は追い込まれたわけですが、それに対しても私は前進した点だと、この点は賛意を表するわけですが、ただ、今後この審議会の権威をどう生かしていくかということは、先ほどからの論議に非常に関連がしてきますので、経営の、番組の内容にタッチしていただきたいということではないのですが、政府当局としても相当にこの番組審議会の権威というものを保持していくような考え方を持たなければ意義がないと思いますので、そういう点に対して大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
  67. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これはもう御質問の通り、国際放送としてこの番組を組み立てるということですから、その視野においても国際的な十分な認識と、また識見を持つ必要があろうと思います。現在でもNHKの中に国際放送審議会が作られております。これは現在のところでは佐藤尚武さんが会長でありまして、十数名で作っているわけでありますが、これは仰せの通り、国際的に非常な識見と、そうしてりっぱな視野を持って、国際放送番組としてふさわしい、その目的に十分合致し得られるような番組を編成できるような学識経験者、その他有力者を選びたい、かように考えております。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 その次にお尋ねしたいのは、第四十九条の二に新たに「報告」ということが入っておりますが、これは非常に論議のあるところでございまして、これは手回しがよくて、早手回しに「逓信大臣」になっているが、大臣が「この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、協会に対しその業務の報告をさせることができる。」、こういうふうに規定されているわけでありますが、これは見方によると、きのうも総理と質疑のあった政府協会に対する……。
  69. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) ちょっと、これは実は衆議院で修正になりまして、そしてこの所は訂正をしてないでしょうかしら。「報告」が「資料の提出」と、こうなっておりまして、それから第四十九条の二、「郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、協会に対しその業務に関し資料の提出を求めることができる。」、こういう衆議院の修正になっております。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 御丁寧にありがとうございました。ちょっと修正するのを忘れておったもので、大へん失礼いたしました。申しわけありませんでした。で、「逓信大臣」が「郵政大臣」になり、「業務に関し資料の提出を求めることができる。」、こうなっておるわけですね。しかし、これは言葉の表現であって、業務に関し資料の提出が求められる、結局、業務に関する報告なんですよ。大して私は意味がないように思うのですが、まあしかし修正をしてあるので、そういうふう理解しましょう。しかし、これは解釈の仕方によりますと、多少政府協会に対して立ち入り権を認めるような格好に私はなると思う。この法の運用上、非常に今後問題を起してはいけないと思いますから、私は念のためにお尋ねをするわけでありますが、この「政令の定めるところにより、協会に対しその業務に関し資料の提出を求めることができる。」というのは、どういうことですか、具体的に一つこの立案の趣旨をお聞かせいただきたいと思うのです。
  71. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) それじゃ課長から……。
  72. 石川義憲

    説明員(石川義憲君) お答え申し上げます。衆議院の審議の際に、大体考えている案を申し上げたのでありまして、その後「資料の提出」と変りましたけれども、内容的には大体次のようなことを考えておることを申し上げます。まず項目を二つに分けまして、協会の分でありますが、日本放送協会につきましては、役員の任免、受信契約の状況、国際放送の実施状況研究の成果、番組基準及び放送番組編集に関する基本計画並びに世論調査に関する事項、放送番組審議会の構成及び人事放送番組審議会の答申または意見に対し、会長の行なった措置、訂正放送の実施に関する事項等ということも大体いただくことに予定をいたしております。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 第一番目に言われた人事の報告なんですが、これは従来——協会にお尋ねしますが、法律に規定をされていなくとも、人事の異動したような場合には郵政大臣に対して、こういうふうに変りましたというような口頭か何か知りませんが、そういう連絡はおとりになっておりませんでしたでしょうか。
  74. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 役員の異動につきましては、正式に御報告いたしております。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、ことさらにここに法律に規定するということが、何か意図があるように私たちは思うのですが、そういう趣旨ではないのですか、この人事の問題を入れたのは。
  76. 荘宏

    説明員(荘宏君) 別段、何か裏に隠された意図があるのではないかというお尋ねでございますが、全然何もございません。ただ、事実を事実として、郵政大臣として承知したいというだけのことでございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 それと関連をして、私は今お述べになりましたような資料をおとりになるということは、現行の放送法の中でも、日本放送協会の収支予算なり事業計画なり資金計画なり、こういうものについては、すでに郵政大臣に提出をして、郵政大臣意見を付して国会に御提案になっているわけでありますから、そう、その協会経営の全般について、ひょっとすると、この運用いかんによってはいろいろな問題が派生をするような法文を、ことさらに私はここに書く必要はなかろうじゃないか、こう思うのです。寺尾郵政大臣にこういうことを言っても、それは失礼になるのですが、前の田中郵政大臣は、郵政省を逓信省に改めるというような思想の中に、大へん見当違いなお考え方を持たれておったことを私たちは知っておるわけでありまして、幾たびか大臣にも反省を求めたこともあります。ついに、当初電務局を作るという案も引っ込めたのですが、あれもその表現上は、現在ある監理官制度をなくして電務局にするのだ、だから一向に監督権の強化をしようなんということは考えておらぬし、何ら不都合じゃないのだ、こういうことを言いながら、われわれの何回かにわたる意見の開陳によって、そういう危険があるならば一つやめようじゃないか、こういうところまで折れて、予算委員会においても、分科会で、ついに田中郵政大臣も引っ込めた事実があるのです。院議に従うというところまで、素直に下ってくれたのですね。それとこれと思い合せて見るときに、私たち非常に将来まで心配するのは、法律というものは、作られますと、その解釈が、人がかわり時代が変って参りますと、非常にその運用、解釈上では困ったことが起きる。ですから、できるだけ、放送協会というのはもう経営委員会があり、会長を任命して、その会長が全責任を持ってやっていただくことになっているわけですから、建前としては。ですから、ちょっかいを出すような形のものを、できるだけ一つ法上からは抜いて、現に私はいろいろな重要施策については、今、法に明定されている三十七条二項等によってもおやりになっているし、また人事の異動その他の重要な問題についてもこれは了承して、会長以下協会の役員諸君が緊密なる連繋をとっておやりになっていると思うのですね。だから、ことさらにああいう資料の報告をさせるような条文を作ると、いろいろな意味でやはり意見発展をしていく。人事の問題についても、私たちは、田中郵政大臣が郵政官僚を天下り的に持っていったということも、これは戦後初めてですよ。そういうことがあってはならぬということで、戦後は民主的にやられたにかかわらず、また昔のような人事をやってきている。そういうことに残念ながら関連をして考えたくなつちやうのです。ですから、私は今お述べになったような、もう少しわれわれが納得できる資料をお求めになるということであれば……、できるのだからやらなくてもいいのだということになれば、そういう解釈はできるでしょうが、しかし、これはできると法律になっていると、これはやりますから、非常にそういう法律解釈上の問題点発展するようなものを、あえてここに法文化す必要は私はなかろうというふうに今でも思っているのですが、今後の問題もありますから、この際はっきりしたお考え方を伺っておいた方がよろしいと思って、私はこういうふうに執念深く申し上げているわけです。
  78. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これは鈴木さん、気にするというと幾らでも気になるもので……。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 気にしたくなる……。
  80. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 所管のことについて、どういうふうな経営状況だろう、これは確かに資金計画、事業計画も出るのですから、年の初めとかいうものには、年度の初めにはわかるかもしらぬけれども、今どういうふうな、日進月歩に変っておる状況も、たまには資料を下さいということで提出を求めて、ああうまくいっている、こういう点じゃけっこうだ、このくらいのことができないということになると、これを所管しておる省としても、さっぱりどんな運営をしておるか、どういうふうにそれらが遂行されておるかさっぱりわからぬ、こういうことも実は懸念をしたわけであって、このことの内容を私は見ていただいても、この資料をとって圧力を加えるとか、あるいは統制を強化するとかいうようなことはほとんど見当らないのじゃないか。だからこの程度のことは、しかもこれは報告を求めるというと少しかたくなりましようから、資料の提出というようなことで、なかなか国会等においても、個人の財産まで資料を出せとかこうだとかいうような、非常におきついことをやっていらっしゃるのですから、これは資料の提出くらいはNHK並びに各放送事業者等に、この程度くらいはお認めを願いたいということで、もうこれは最小限度にしぼりしぼって、しかも資料提出というようなことであって、私どもはこの資料をもらって、そうしてこれを種にどうこうするということは、私のみならず、何人にもそういう意図ないしは考え方もありませんが、なおまた、これによって時変ってこれをどうこうするというようなことの御懸念ということもありますけれども、これは十分後任者にも一つこのことを伝えまして、この意図を十分徹底をさせたいと思うのですけれども、これ自身で、この資料提出のこの一応政令として考えておりますものを衆議院の審議の過程においてお示しをしたわけですが、この程度のことは私はお認めを願いたい、かような考えでございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 それではお尋ねいたしますが、大臣御就任以来、協会が何をやっておるのだかさっぱりわからぬ、おれは放送を監督しておるのだがということで、あなたは現実にこれはいかぬと、これはおれに早く知らせてくれなければとんでもないことだということがおありでしたか。田中さんのときには、会長は手前が任命するといって岸さんのところへかけつけていってやったような経過もあるので、これは法律を知らなかったからと私は思うのですが、あなたは未来永劫大臣になってくれるなら、私は安心してまかしておいていいけれども、あなたが幾ら太鼓判を押しても、時代が変っていくのですからね。そういう必要性があって、現実にこれは大臣として責任を持てなかったということがありますか。
  82. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) そういうことはございませんが、ただ常に関心を持ち、NHKがどういうふうな運営をしておるか、これが聴取者全体の福祉の上に、あるいは公共放送として全きを期しておるかというようなことも、これは関心を持つべきであり、こういうことにも意を用いるべきであり、私どもはきわめて不勉強ですから、そういうことを特に感じたということもございませんけれども、むしろこういうふうにはっきりさせておく方が、行き過ぎをある点制約ができるのじゃないか、私は逆にそういう考え方も持っておるわけであって、この程度のことを資料として提出できるということにしておけば、逆にかえっていろいろなことを無制限に求めるとかいうようなこともなく、かえってそれがよくはないかと、こういう考え方も持っておるわけであります。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 大臣は正直だからそう言われるので、行き過ぎということを今おっしゃったのですが、やっぱり資料を出して絶えず見ておかなければならない、行き過ぎ等があってはいかぬということを言われたが、私は言葉じりをとるわけではありませんが、少くとも政府が任命した経営委員会があり、経営委員会の任命した会長があるわけですね。ですから放送事業を監督するのは郵政大臣としていいのです。だから不勉強であろうがあるまいが、やはり政府全体として放送事業に対する監督権というものを持っているわけですから、これは私は法律がどうあろうとごうあろうと、とにかく憲法が保障するように、法律に基いて大臣は監督しなければならぬ立場にあるわけですから、こういうことは当然のことなんです。現実に行き過ぎがあって、どうも政府が監督しておるのだが、自分の意に反するようなことを協会がおやりになるようなことが過去にあったとすれば、これは話は別ですが、私はそうではないと思うのですよ。今まで私も三年近い議会生活ですから短かいですが、私はなかったと信じております。そうであるならば、なぜこういう資料の提出を求めるかということですね、これはやつぱり疑義を持つのは当然ですよ。私の言いたいのは、大基本方針としての政府考え方も、やはりきのうもあなたに申し上げたように、放送されておる放送が、政府の監督によってスイッチが切られて、聞く人が何を聞いておるかわからないというようなことでは、私も現実に放送監督をやりました経験を持っておりますが、そういう時代から、少くとも戦後、協会というものが新しい法律の中で、経営者に経営をすべてまかせて、そうしてその良識によって、法の制定するところに従って公正に真実を伝えていくという、それが協会に出された使命なんですよ。これをやっていくのが経営者、協会会長、もしその人に意思があれば、人事面においてやっていくことも最大の権限を持っているのだ、経営委員会の任命権は……。ですからそこまで、協会が何かやるが、行き過ぎてはいかぬということを言われることが、すなわち放送に対する、何と言おうと、一つの郵政省の私から見れば行き過ぎだ、私はそう思うのです。それがただ単に放送事業だけではなしに、最近の政府の一連の考え方というのが、たとえば三公社についても、私たちは七年前に公労法があなたの御協力を得られて作られたときに、国会に首を出していたからよく知っていますが、公共企業の新しい経営方針というものが、経営者を信頼できないということから、いろいろな点で政府が眼を光らせようとする……。
  84. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) ちょっと待って下さい。弁明申し上げます。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 発言の途中ですよ。
  86. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 途中で申し上げなければならないことですから。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 発言を押えるのですか。
  88. 手島栄

    委員長手島栄君) まだいかぬですか、いかぬならとめますよ。
  89. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) これは、先ほどの私の答弁が悪かったわけです。鈴木さんに全く違った解釈に私の答弁がとられたから申し上げないと、あまりそれが進んでいくということは……。私の行き過ぎということを申し上げたのは、NHKの行き過ぎをさしたのじゃない。これは表現というのでしょうか、答弁の仕方が悪かった。だからそういうことではなくて、むしろこういうふうに資料を要求ができるということで、はっきりした項目できめておくと、省としての行き過ぎ、監督者としての圧力というのでしょうか、あるいはまた、いろいろ監督を強化するというようなことの行き過ぎが、こういうふうにはっきりしていると、これ以上のことは資料は求められないということですから、これ以上こちらの監督者の行き過ぎということをある程度規制できる。こういうことを申し上げたので、NHK云々じゃございませんから、それが間違うと困るので私が特に発言を求めたのであります。森中さん、そういうわけです。(森中守義君「懇談会じゃないのですから正式に発言を求めて」と述ぶ)これははっきり委員長の許可を求めました。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 特に、これは言葉のしりというのがあるから、私は生一本でまじめ一木でばか正直なんです。だから言うことがちょっとかんにさわるかもしれませんが、その点は話術だから大臣もしんぼうして下さい。私も日本語を勉強していたのですよ、小さいときから。ですから大臣のさっき言ったことはやはり、今弁明されたからわかったのですが、そうじゃないです。これは速記録を読んでもそうじゃなかったです。だから、私は、大臣が弁明されましたから、大臣の意図はわかりました。わかりましたが、にもかかわらず、そういうことになると、むしろ逆であって、資料を提出することが要するに監督権、立ち入り権にならないのだ、こう考えられたと思いますが、そうおっしゃっても、やはり資料の提出を求めるということは従来にないことをやるわけでしょう。しかも、協会に行き過ぎがないし……。私は、放送法の精神というのは、やっぱり経営者にすべてまかせる、そして大方針としての放送法に対する監督権というのは、これは政府におありですから、これは政府がおやりになるのは当然のことなんですが、しかし、どうもことさらにこういう資料の提出を求めるということは、やっぱりあなたが言うような考え方と逆に、政府協会に対する制約というものがこういう面から出てくるのじゃないか、こう判断するのは、あに私だけじゃないでしょう。こう思うのですがね。ですから、大臣も就任以来そういうことがなかったというのに、これは前からのいきさつですから、大臣も苦しいと思いますけれども、しかし、良識ある国民が、こういうものを協会に対して報告させるというようなことになりますと、やっぱり言論、報道に対する介入ということが盛んに言われている時期だけに、こういう面から、何かしら協会に対しての介入というものがやられるのじゃないかという気を持つのですね。ですから、私はそういう意味で意見を申し上げておるわけですが、どうも私は大臣の言われている理由では、資料を、さっき言われたような内容であれば、その必要はないと、こう思うのですよ。だから、どうしてこういうものを入れたのかなという疑問を持っておるのです。
  91. 山田節男

    ○山田節男君 この例の資料提供ですね。これについて、本案、放送法の一部改正法案の要綱がたしか村上郵政大臣以来われわれの方に来ています。おそらく、今回加えて六回か七回になります。その中で二番目だったかと記憶しておりますが、今なにを持っておりませんが、例の立ち入り調査ということが明らかにうたってあったわけです。これがだんだん変化してきて、衆議院では、業務報告を求めるのが資料提供ということになった。この一事をもちましても、これは私、鈴木君とそういう結果から同じような印象を得ているのであって、これは非常に私も不満です。なぜかと申しますと、一体、放送協会NHKは、法律に基いての、これは一種の公共企業体です。公法人であります。当然郵政大臣の監督権がある、これは申すまでもないことであります。日本が新しい憲法のもとで法律を作る場合、これは英米法的な考えをもって——終戦後は全部英米法の精神です。そうしますと、新憲法の英米法を型どった放送法の精神から申しますと、たとえばNHKであるとか、あるいは商業放送会社も、たとえば年次報告は郵政省に提出しなければならない。これはアメリカの連邦通信法ですね、一九三四年の通信法にも、年次報告はこれをFCCにしなければならない、こういうことになっている。これはなぜするかというと、郵政大臣の権利として、当然業者に対しては、資料を求めるじゃない、報告を求めることができる。これは法に明示しなくても当然のことなんです。ですから、英米法の体系できているこの法案からいえば、立ち入り調査ということはもちろんいけない。資料提供ということにしてありますが、今申しましたように六回も七回もずっとしてきて、いよいよ残ってきたのが言葉の上では資料提供、非常にやわらかいけれども、精神からいえば、どうも、ことにこの法制の体系からいって、そういうことをしなくても、年次報告をすべし、これは義務規定にされていいわけです。その他のことはうたわなくても、資料提供なんというようなことは、当然大臣としてはできるのですから、ことに、商業放送といえども一種の公共事業ですから、当然これはできることですから、何もここでこういう誤解を受けることをしなくても、むしろ、しないほうが法体系としたら、ば新憲法の精神に合うわけです。そこに、なぜここへこういうものを入れるか、法の体系からいってもおかしなものです。ましてや、最初は立ち入り調査ということをはっきりうたってわれわれに見せておるんです。そうして化けてきてこういうふうにするから、やっぱりそれは前の精神が残っているだろうと疑われるのは、これは私はしようがないと思うんです。ですから、法の作成の技術的に見てこれは非常にまずいと思うんです。もし、やりたければ、協会はもちろんであるけれども、民間放送会社も年次報告を郵政省に提出しなければならないという、ことはやはり断然だと思うんです。そんな資料の提供権まで法律にうたう必要はないんです。そういうことがいわゆる官僚主義なんであって、そこに何も入れる必要はないんです。そこらあたりの法律考え方が、どうもアメリカの軍政下の間に非常に自由民主的な精神であったものが、どんどんいろいろな法律が、独占禁止法もそうでしょう。どんどん昔の旧ドイツ式の日本式官僚主義になってくるというところに一つの危険を感ずるのであって、ですから、今、鈴木君の言うのは、ただ単に個々の一項目をとらえて言うという以上に、これは、われわれ立法者として、立法の立場という、ものの考え方というものが、そうじゃないんです。そこを、いわゆる事務官僚といいますか、当事者が、こういうような旧態依然とした考えで旧ドイツ法の考えでもってこういう規定を置くというところに、私は、非常に何といいますか、矛盾があると思うんですね。ですから、そういう意味におきましては、今、鈴木君の言うような理由も一部であります。もっと根本的に考えて、これは法の立案する面から考えなきゃいかぬ。だんだんこういう問題が起ってくる。だから、そこにわれわれしつこく言うことは、もっと立法者の立場から言うと、独占禁止法もしかり、その他いろいろな法律が、どんどん中央統制式になり、官僚統制式になる。これはデモクラシーの一面から言うと、一つの邪道に行っておるのじゃないかということが言えるんです。われわれ立法者としては、そこは非常に堅持しているわけですから、この点から言うと、これは無用の規定であって、もし入れるのだったら、年次業務報告をすべし、これはけっこうなんです。これは義務づけられていいです。資料提供なんということは、これはうたう必要はないです。うたうということは、何かやるんじゃないかということですね。さなきだにどうも郵政省が……。
  92. 手島栄

    委員長手島栄君) 山田委員、御質問ですか、御意見は……。
  93. 山田節男

    ○山田節男君 ええ、質問です。どうもいろいろ干渉し過ぎて困るということを言うんですから、私は、こういうものは必要ないと、かように考えるんですね。
  94. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 御質問並びに御所見はよくわかるのでありますが、私は、この項目によって、この資料を求むることができるということによって、むしろ協会のと自主性というものを絶対に認めておるのだと、資料のみが目的であって、しかもそれを限って求めることができる、それ以外には郵政省としては何物も求めもしなければ、規制もしないのだということでありますから、この項目によって、山田委員がおっしゃるように、これはもうなくても資料の求められることは当然だといったような御所論ですけれども、そういうようなことでも、こうしてはっきりしておくことであれば、報告を求めるというようなことはもちろんすべてやるべきでない、資料のことでさえもこれに一応規律してあるのであるから。こういうことで、むしろこれは緩和に緩和をするために、自主性を十二分に認めるために、これが衆議院の審議の過程でもこういったようなことになったので、流れが、一つの経緯が、前に立ち入りからこうなったというので、やはり獅子の子は獅子だというような御解釈のようですけれども、私どもはそうは考えていない。これはこんなことは書かぬでもできるとおっしゃることを書いたということは、むしろこれがNHKの自主性というものを全く絶対に認めておる、こういうことでありますから、何とかこう一つこの点をお認めを願いたいのですが、どうでございましょうか。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 答弁を聞けば聞くほど、われわれはあなたのほんとう考えていることが——あなたが腹の中ではそういう僕らの言うことを認めているんだが、大臣という立場で出しておるものですから、何とかというようなことになると思うのですが、私は山田委員がさっき関連で基本的なことを言っていただきましたが、五十九条というものを見ると、四十九条に対する罰則を設けておるのです、これは。いいですか、「第四十九条の二の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をした者は、一万円以下の過料に処する。」と、ここまでその罰則まで設けて義務づけるというところにも、もっと言えば、私たちは非常に疑義を持つんですよ。報告をさせるなら、させるだけであるなら、まだ僕らはわかるのですよ。しかし、今度はあとに、怠ったら過料にするというのは追い打ちですよ、これは。これであなた、協会の自主性を尊重するとか何とか言われてみたって、これは受け取れませんよ。だから皆さんは、私たち質問すると、この基本的な思想というものから、まあわれわれの思想を認めながらも、何かこじつけて、そういうことをやったって全然問題はないのだと言いながら、そういう追い打ち的なところまでやっているのを見ると、ますますこれは疑義を持つのです。どうですか、大臣、全くこれは不可思議ですよ。何にも必要のないことをこんな罰則までくっつけて過料に処すということまでやって報告させるというようなことは、これはおかしいですよ。
  96. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 先刻来鈴木委員並びに山田委員の御懸念はよくわかります。けれども、私どもは何ら官僚統制のようなことをやる意思はないのでございます。従来NHKあるいは民間放送との間に私どもがやっていましたところの資料の提出という友誼的な関係を、かような法律に書くことによって事務的に自動的に行われるようにした。そういうことにすぎないのでありまして、事実従来とてもNHKからはいろいろな報告が、資料の提出がございました。たとえば電波監理当局といたしましてぜひ知らねばならない情報がございます。たとえばNHK技術研究所が、どういう研究がどういうふうに成果を得ているかどうか、あるいは今度の改正法案によりますところの番組審議会の活動状況だとか、あるいはNHKの場合でしたならば、番組審議会会長にどういう報告をして、どういうことをやっているか、あるいは訂正放送がどういうふうに行われたかというようなことは、放送法の実施についてどうしても電波監理当局としては知らなければならない事項であろうと思うわけであります。従いまして、かようなことは義務的に、催促しない。何と申しますか、かようなことはやかましく言いますというと、NHKは従来報告の義務はないのでありまして、法律的の義務はないのであります。いやだと言えばそれまでだとも言えるだろうと思うのでありまして、がようなことのないように、ますます油送法の精神が徹底して行われるように、われわれはNHK政府との間がもっと緊密に進行するようにという意味で、かような条項を盛った次第でありまして、何らかような御懸念はあろまい。特に従来の経験からいたしましても、かようなことは絶対あるまいということを確信してかような条項を設けた次第であります。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 民放もだいぶ発達をしてきていますから、民放NHKとある場合には競合することもあるでしよう。ですから、今NHK技術研究所を持ってだいぶ研究されておる。それから番組その他についてもNHKのおきめになったことを、どういうようなことをやったのだということを、これはもう他の放送事業者も知りたいでしょう。そういう技術の交換とか、あるいはその放送番組の情報交換ということは、これはやっているのでしょう、現実に。第九条にも「放送番組編集のため、ニュース及び情報を収集し、並びにこれを他人と交換すること。」というようなこともございますしね。今あなたの言われたような考え方は、指導面においてやられておられると思うのですよ。ですから、根本的にあなたたちの思想の中に、任命した経営者というものに対して信頼感というものが持てないということなんですよ。それは良識ある経営者と、それを監督する郵政省との間に、少くとも一番基本である経営委員会というものを任命しておるわけだから、さっき申し上げたように、だからそれは信頼感ですよ、問題は。その人との間に、どうもその資料をとっておかなければ、あの経営者がうまいようにやっていくのではないかというようなことが、濱田局長の言葉の中から出てくるのですが、それは大きな間違いですよ。そういうことであれば、これは断じてわれわれは認めがたい。少くとも放送というものの自主性、中立性というものが強く主張され、そうして任命された経営者が、少くとも公共放送使命に立って思う存分やってもらうというのが放送法使命、性格なんです。目的なんです。だからこの任命された経営諸君及び理事諸君を信頼をして、そういう人たちがお預りをしているのですから、それに対して監督上、たとえばのお話ですが、たとえば行き過ぎがあったとか、そういう場合には政府としても反省を求めるということはやり得ることであるし、何もことさらに資料をとっておかなければ安心できないという、そういう信頼感といいますかね、経営者との、そこに私は問題があると思うのですよ。そういうことであったならばこれは大へんなことですよ。やはり私たちは、公共企業体の場合でもそうですが、やはり経営委員会というものがあり、そこに任命された理事者諸君がおって、そういう人たちに、公共企業体といっても、これは経営者にすべてをまかすというのが事業のあり方なんです。それをどうも最近は、多少なりとも政府が目を配っておかなければ安心ならぬというのが最近の思想ですよ。そのことがこの中にも出てきておる。これは条文を全部を指摘していけば、私は何時間でもやりますけれども、委員長もだいぶ時間を気にしているようですから、私はそう多くは申し上げませんが、幸いに今日は会長以下協会理事者諸君も来ていただいておるわけですから、少くともそういう局長の言われるような判断でNHKというものを見る場合には、これは放送事業というものはどうなるかわからぬと思う。もっとすなおに経営者を信頼し、そうして経営者の自主性にまかして、思う存分やってもらうというような腹がまえを持たぬことには、これは放送事業は伸びぬと思う。特に公共企業体というワクの中でNHKがこれから伸びていかなければならぬ。一方では民間放送というものがある。だから時宜に即した妙味を発揮していただいて、そうして公共放送使命を発揮していただくというのは、これは経営者の諸君責任で、さっき会長もおられなかったが、ずいぶん詳しく今後の理事者心がまえと役員の今後の運用について私はほんとうにくどくどしく言ったのです。会長あとから副会長にもお聞きいただきたいと思いますが、やはり経営者というものがそれは本腰を入れてもらわなければ困りますから、これは経営者に望みます。しかし罰則まで加えてそうしてその資料の提出を求めるというようなことは、私は行き過ぎだと思うのですがね。皆さんの御答弁を聞けば聞くほど非常に疑義を持ってくるというのが私の気持なんです。罰則なんかなくしていい。
  98. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 鈴木委員の御所見はよく了解いたしましたが、先ほど私が申し上げましたことは、NHKあるいは民間放送政府の間に信頼感がないからだという、そういう考え方では毛頭ございません。信頼がいかに強くても、あるいは強ければ強いほど、私は、かような事務的な条項は設けておいた方が、この激甚な日常の業務を果すときに聞違いがなかろうし、それから効果があるだろうと、そういう考えに基いてかようにいたしたという結論に達したのでございますから、御了承願いたいと思います。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 どうも個々の条文の審議を続けていくと、いろんな不備の問題が露呈をしてきておりまして、まことに、放送法改正をするとはいいながら、幾多の不安と危惧を残してしまうような気がするのです。ですから、参議院は幸いにして第二院という立場に立っておるわけでありまして、審議はできるだけ詳細に尽すというのが建前だと思いますから、私、ずいぶんこまかいことまで申し上げているのですが、しかし、せっかく放送法改正が今ここに何代かの歴代内閣を経て提案をされた機会に、なおかつ、こういった国民の疑惑を持つような点が残されておることは、これは私は残念に思うのです。しかし、まあこれからの審議の中でどうなりますか、これはわれわれはわれわれとして考えますが、いずれにしても、時間の関係もありますから、私、一応これで質問は終りたいと思いますが、最後協会にちょっとお尋ねをしたいのは、きのう私からお願いをしました資料が出て参りましたが、この国際放送の聴取状況、これはなんでございますか、どういう経過を経てこういう資料をおとりになっておるのでございますか。
  100. 前田義徳

    参考人前田義徳君) これは、各国にモニターをお願いしておりまして、そのモニターは、日本人である場合、あるいは外務省の出先公館、あるいはまた同時に、その国の現地人に委嘱いたして行なっております。大体アジア地域から百十四名、濠州地域が二十二名、南北アメリカ地域七十五名、ヨーロッパ地域六十名、アフリカ地域十名、合計二百八十一名から定期的な報告をいただいております。これに基いて大体この表を作成したわけでございます。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 この中で特に問題になるのは、華北向けと華中向けの放送ですが、十二月には妨害電波のために聴取困難だと、こういうことが書いてありますが、これは特に問題だと思いまして、華北、華中のことですから、おそらく、きのうの委員会でも森中君から総理大臣質問があった問題とも関連をして、もう少し整理をしていかなければ、根本的に解決できないと思うのですが、こういう妨害電波のために聴取ができないということになりますと、せっかく国費を使って放送をする、その放送が聞き取れないということでありましては、これはまあ金をどぶに捨てるようなものであって意義がないと思うので、これらに対する対策は、政府も協力をして早急に樹立をする必要があろうかと思うのでありますが、これは一つ、監理局長とNHK側意見を聞いておきたいと思うのです。
  102. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 受信の障害につきましての具体的な報告をただいま私受けておりませんので、詳細はわかりかねますけれども、かような場合に対処しまして何らかの方策を講ずるように、たとえば周波数を変えるとか、あるいは外務省等に連絡をいたしまして、かようなことが起らないように善処するつもりでございます。
  103. 前田義徳

    参考人前田義徳君) NHKといたしましては、やはり郵政省にも協力していただくという建前をとりながら、かつ自主的には各放送局とは従来からも友好関係を持続しておりますので、特にNHKの国際局長から一応私信をもって北京の放送局長あてに連絡をとったりいたしております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 協会の御努力は具体的におやりになっているのでわかりましたが、政府側のこれに対する協力態勢が多少これは足りない点があると思うのです。根本的には国交を回復して、早く電波協定というものをやりませんと、根本的な解決にはならぬと思うので、そういう点はきのうの質疑の中で、政府としても積極的におやりになるようでありますが、そういうこととあわ出せて、今局長が言われたように、これは五十キロですね、近距離でしたら、平常な場合には私は五十キロでも明瞭に聞えると思いますが、これは意識的に妨害電波を出されると太刀打ちできませんので、やはり外務省を通ずる、と言ったって、国交を回復していないときでありますから、なかなか困難でしょうが、何か一つ知恵を出していただいて、そうして協会の方では、わざわざ局長名で向うの局長に、そういうことのないようにしてくれということをお願いしているようでありますから、もっと積極的に政府として対策を立ててもらわなければいけないと思います。一つその点今後努力していただけますか。
  105. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 御注意のごとく、外務省を通ずるのみならず、他の方法、どういう方法があるかわかりませんが、たとえば民間の主催する会議等を使うこともできましょう。とにかく、いろいろな機会、いろいろな方法を通じまして、このことがいい解決に導かれますように積極的に努力をいたしたいと思います。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 前田さんにちょっとお尋ねいたしますが、きのうも御質問がありましたアジア地域の放送関係者の会議を持つそうでありますが、そのときに、きのうの総理の御答弁ですと、もちろん、これは協会が自主性を持って協会が主催されるのでありますから、政府として不当に干渉されることはいけないと思いますが、せっかくそういう会議を持たれるのですから、できるならば、電波通信、郵便なんというものは、これは思想、立場、そういうものを乗り越えて呼びかけをして、こういう問題があればあるほど、やはり現地と密接な連繋をすることが必要だと思います。だから、きのうはちょっと不明確になっておりましたが、政府としてこういう答弁でいいと思いますが、協会としては、具体的にそういう会議に中共を招聘するというような御意思がありますか。これはパス・ポートや、いろいろな問題がございましょうが、できないものかどうか。
  107. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもも第一回放送会議の主催者となるときにその問題を研究しまして、多分前回のこの委員会でも山田委員から御質問を受けたわけなんでございますが、いろいろな国際環境——これは必ずしも左であるとか右であるとかということを私ども自身が割り切っての国際環境でなくて、国際環境の実勢から考えまして、やはり建前としては、すでに外交関係を開いている国を中心とした方が実際的効果が上るというような建前から、第一回、第二回はその原則に従って実は招集して、会議を開いて参ったわけでございます。それからまた、特に御理解をいただきたいと思いますのは、このアジア放送会議は、東京で開かれた場合は、NHKがそのスポンサーとなるという建前でございますが、一種のアジア放送会議の連合体でございまして、その会議の席上、会議自体の自主性をもって次のスポンサーを決定する、そういう建前にもなっておりますので、そういう運営上の問題から、今日までは御期待に沿うような会議の範囲を決定することができませんでしたけれども、私どもといたしましては、将来もアジア全体が一つになっていける方向に努力いたしたいと考えております。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 私はちょっと途中で委員会を、予算委員会の関係で抜けたりしましたので、前に委員の方々からいろいろ質問がなされておったことをきょう重複してお聞きしたかもしれませんが、その点は非常に御迷惑をおかけいたしましたが、以上で私の質問を終ります。
  109. 山田節男

    ○山田節男君 今の鈴木委員最後の二つの質問関連して、ちょっと私補足的に御要望申し上げたい。これはNHKの方ですが、今、国際放送の聴取状況の資料の中で、韓国、華中は十二月には妨害電波のために聴取困難、これはたしか中共が昨年の南京の大会後、あらゆる外国の放送電波を妨害しておる。いわゆるジャミングを行なっておる、こう私は聞いておるのであります。でありますから、今、日本から五十キロワットであろうが百キロワットであろうが、今の周波数でやれば必ず向うはジャミングする。これは単に日本だけでない。イギリスその他、とにかく自由諸国から来るのは全部ジャミングやっておる。ですから、これは、ことに岸内閣としてこの問題をあれしたところで、今の情勢ではとても中共は聞かない。おそらく、国内対策の問題から生じてくるのではないかというふうに私聞いておる。そこでこの裏をかくというわけではございませんが、この五十キロワットの波を三波出せば、三波ともジャミングするかもしれないが、そういう一つの方法があるのではないか、技術的に。ですから、外交交渉では中共に関しては、特に岸内閣では向うは寄せつけないというのは事実です。NHKとしてのこういう方面への到着を確実にする方法としたら、さらに技術的に検討する余地があるのではないか、こういうふうに私は考える。これは一つ検討願いたいということと、それから最後に、アジア放送会議の問題でありますが、これは御承知のようにラジオの放送連盟が、自由諸国と共産主義諸国の放送連合、今一つあるわけですね。私、一昨々年中共に行きまして、向うの電務部長に会いましたところが、日本と大いに放送関係は緊密な連絡をとりたい。これは思想じゃないのです。であるからして、NHK放送も聞いておるけれども、これにはいろいろ批判の余地があるが、とにかく中共と日本は放送文化においても大いに交流したいということを言っておるわけです。これは私は第一回のアジア会議のときにも申し上げましたのですけれども、国際的には共産諸国と、それから自由国家群との放送連合が分れておりますけれども、日本の、そういうソ連、中共という近接した国とも非常に放送関係、利害関係があるのですから、オブザーバーでもいいからこれを出席させるようにして、こっちの今のいろいろ困っている問題、向うも困っている問題があるのですから、外務省なり、内閣にそれを——ことに郵政大臣にこれを申し上げて、そういう意味から、思想を別にして、放送会議にはぜひ共産主義諸国の諸君もオブザーバーとして招請すべきだ。ところが当時NHKの、これは永田会長だったと思いますが、やはりどうも政府に対して、共産主義諸国の者をオブザーバーとしてアジア放送会議に招待されることをちゅうちょされた。これはけないと思うのですね。ですかこれは重ねて私は申し上げますこれは郵政大臣並びに岸総理、外務大臣も御了解になって、今春三たび開かれる東京の会議では、たとえ儀礼的でもいいから、オブザーバーとしてこれは招待すべきものだ、私はかように思います。ですから、この点も特に郵政大臣にお願いしますが、この無線電気通信放送に関しては、もう共産主義がどうのこうのと言わずに、これはイデオロギーの問題ではないのですから、もっと高い見地から、一つこのアジア放送会議にはソ連、中共あるいは北鮮、こういうものをオブザーバーとして招請することは、何らこれは技術的におかしいことはない、当然のことだと思う。この点は一つNHKが今回もやられるようでありますし、郵政大臣も、外務大臣はよくわかると思うのです。ですから思想は別として、アジア放送会議にはもう少し範囲の広い、われわれの利害関係の深いものですから、よく話し合いができるような場を一つ作ることが絶対必要だと思いますから、郵政大臣もその点については、技術的な意味から十分一つ御考慮願いたいことを強く要望いたしておきます。
  110. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日のところはこの程度にとどめたいと思います。  これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会