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鈴木強君 それで、きのうも総理
大臣に対して、時間がなかったからあまり長く言いませんでしたが、これは
大臣おられるので、私も遠慮をしておったのですが、そこで、総理としても、国連を中心として日本の平和外交を推進しようということは、たびたび国会でも言われておるわけでありまして、そういう
立場からするならば、
放送を通じて、日本のあらゆる問題を外国に知っていただく、それと同時に、在留邦人に対する祖国のあたたかい雰囲気に接してやらせる、こういうところに国外
放送、国際
放送の意義があると思うのです。
ですから、少くとも国際
放送というものは、やはり実のある、内容の充実した、やはりりっぱな、各国に負けないような
放送をするというのが
政府の建前です。それを八千万円に切って、問題にならないような内容を、これでやれというようなことをするところに無理がある。あなたの方でも、ことしも一億というのを、これは
最小限度必要だということでお出しになったのでしょうが、半分の九千万円になっちゃった。
協会は五億ほしいといっている。そういうことですから、郵政省自体としても、
大臣の言われているように、非常に不満だと思う。
ですから私は、従来この問題に対しては、長い間、国際
放送の
あり方について口をすっぱくするほど申し上げてきたのです。新
会長を迎えて、過般、私は国際
放送についての御
意見を承わったのでありますが、
会長としては、もちろんいろいろお
考えもあるでしょうが、
政府のひもつきになりたくない、こういう思想に立てば、これは
協会独自でおやりになりたいという
気持も私、わかります。だがしかし、
NHK全体の
経営を見た場合には、やはり今値上げをしなければならぬというところに追い込まれてしまっている。減価償却もできないということで、三十三年度の予算なんか、まことに危険千万なものが編成されているわけです。そういうことで、
協会が努力されている。しかも一方国民から見れば、ほとんどがラジオを聞いている。そうして聴取料を払っている。しかし、まだサービスの改善をしてもらいたいという声がたくさんあります。難聴地域の解消も、私
たち地方を回っていますと、まだまだ解消されておりません。最近の妨害電波なんかによっても、大へん迷惑しているところがある。ですから、もっと出力を多くして、強力な電波を発射してもらいたいというのは、国内のラジオを聞いていると、当然のことです。
そういう
段階で、
協会の、国際親善になり、しかも国の
方針としておやりになる
放送事業に対して、負担をかけるということは、これは、私はしのびないと思う。けっして
政府から出すからそれがひもつきになって、
協会をがんじがらめにするということは、
放送法でできない建前です。ですから、この点は
一つ、
会長にも御安心をいただくことに
——特に今御出席をいただいておりますから、ちょっと横道にそれますが、申し上げておきます。そういう
立場に立っていくと、やはり
政府が国際
放送に対しては、積極的な態度をとるということが大事です。ですから、ことしの予算のこの
放送法の
改正にしても、予算の
審議に、いずれなると思いますが、われわれは、そういう点について、非常に今まで不満に不満を重ねているわけです。
幸いここに
放送法の
改正ということが行われるので、われわれは従来の解釈上、
協会がやり得る国際
放送と、
政府が命令する国際
放送との問題について、両論あるわけですわ、解釈について。結局
政府の方では、この予算が足りないものですから、こじつけ的に今やっている
協会のやつは、これは
政府が命令していないのだ、
協会が独自にやっているのだ、こういう
責任のがれをしている。私は、これはけしからぬことだと思うのですが、だから、そういうことのないように、解釈の不統一がないように、はっきりさすべきだということが、私は与野党を通じての一致した
意見であったと思うわけなのです。
ですからこの
放送法改正に際して、その点を明確にして、三十三条でありましたか、
政府が命令してやらせる、こういうのがあるわけでありますから、九条の
関連で、九条二項だと思いましたが、多少解釈の無理な点があったわけですから、そういう点を今度は明確にしてやるというのが、私は
大臣としての取るべき道ではなかったかと思うし、それは、この
委員会のほとんどの空気がそういうことに与党の
皆さんも主張されておったわけですから、そういう
改正がやられると思いましたら、どうもこの
法律解釈が、荘次長がこの前に、私の
質問に対して言われておったのですが、第九条の「
協会は、第七条の目的を達成するため、左の
業務を行う。」第七条は、あまねく公平に日本全国いたるところで受信できるようにしなさい、こういうことであるから国際
放送を、この項に持ってくるのは、ちょっと理屈が合わないというふうなことで、今度は法の第九条の二項を「
協会は、前条第一項及び第三項に規定する
業務のほか、国際
放送を行うものとする。」ということで、まあ、その辺の法文上の体裁は整えていただいたのでありますが、一番大事な国際
放送に対する
政府の一貫した思想というものが、遺憾ながら入っていないのです。依然として、今までのような解釈が残っている。
そうしますと、
協会は
協会でやるんだ、
政府は
政府で、金を出すんだ、こういうふうな国際
放送に対する
考え方がずっと残っていくのです。非常にこれは困ったものだと私は思っているのですが、どうして本
委員会の今までの
審議の経過からして、そういう趣旨に沿うような
法律改正をやらなかったのです。この点を私は承わりたいのです。