○
政府委員(
濱田成徳君)
大臣の御
答弁を補足いたしまして御
説明を申し上げたいと思います。
大臣の
ラジオ・
テレビジョンの
チャンネル・
プランあるいは
置局につきまして
お話がございましたが、これは序論と申しますか、あるいは全体の
基礎的方針というようなものを申し上げた次第でございまして、
新谷委員の言われますところの、
日本全体のことを
考えて、具体的に、しかも
場当り的でなく、真剣にやってもらいたいという御要望につきましては、私
ども非常に感銘いたします。また
同感をもって絶えずその
方針の
もとにやって参っているつもりでございます。
さて、最初にお触れになりました
FM放送につきましては、
チャンネル・
プランをただいま作りますことにはいろいろ困難があります。また考慮すべき幾多の
条件がありまして、
新谷委員が仰せられるように、今これを直ちに決定したり発表することは、時期尚早のように思うということと、私
どもは全く同じ
考えを持っておるのでございます。申すまでもなく、
わが国では
標準放送がほぼ飽和に近いくらいに
普及しておりまして、
ラジオの
受信機の台数も千五百万台になります。これを
FMで一挙に置きかえてしまうということは、むろんこれは不可能に近い仕事でありますし、またこれを徐々に置きかえていくということにしましても、いろいろなむずかしい前提なり
条件がございますので、慎重にこれをただいま考慮し、
検討を続けておる次第でございます。目下のところ、
FMは
混信妨害の
対策に使うのがまず第一であります。次に、今日ではいわゆる
総合番組の局がたくさんふえまして、
NHK、
民間放送、町方ともそういう
意味におきまして
番組の
対応性を
FMによって解決するということはもはや必要はなかろう。むしろ
公共の
福祉ということを特に
考えて、特殊な
番組の
放送をするということからだんだん始めていくのがよろしかろうというふうな
考えを持ちまして、今後三年後に、あるいは六年後に十年後における
日本の声の
放送の姿をわれわれは頭に描きつつ、いろいろな
検討をやっている次第でございます。
もう
一つの困難の
事情を申し上げたいことは、これらの
電波チャンネルは、現在
電電公社とか、あるいは防衛庁とか、あるいは他の
通信事業とかに使っておりまして、直ちにこれを
放送に回すということは困難な
事情にございます。そういう
事情もありますし、かてて加えて、この
FMの
受信機というものは中波の
受信機と全く違いまして、今日では価格も高いし、これを
普及さすにはいろいろ困難がございます。そういうわけでありまして、これをだんだん置きかえていく
方法としましては、まず
混信妨害対策から、それから特殊な
番組から始めるのがよかろうという
考えでございますけれ
ども、どういう時期にそのやり方、その
置局をどういうふうにやったらいいかということにつきましては、いろいろの
議論と問題があるのでありまして、先ほど御
質問の、大
都会においてまずやるということでありますが、これは一番
現実の問題として、
FMの
受信機を持っている
人たちが多いのだろう、それから
放送をやる材料、タレントとか何とか、そういうふうなものが豊富であるだろう。要するに
FMを経済的に
放送をしてだんだん進めていくには、大
都会の方が都合がよかろうという
考えに基きまして、
NHKをしてまず
実験放送を大
都会からスタートさせるのがよかろう。だんだん時間を延ばしていきまして
受信機の数を増し、
FMに対する理解を深からしめて、漸次これを
全国的に落してしまえばよかろう、こういう
考えなんでございまして、決して
地方の
事情を考慮しないとかいうふうなことではございません。それが大体
FMの問題でございます。
次に、
教育放送、
テレビジョンの
教育放送の分につきまして
お話がございましたが、
教育放送は、
新谷委員が仰せられるごとく、大
都会よりもむしろ
地方の方が大事だ、
北海道であるとか
九州であるとか、そういうところの方が大事だという
お話がございましたが、これは全く
同感であります。けれ
ども、やはりただいま
FMの場合において申し上げましたように、実際に
教育放送を行う手だて、
方法等は、
地方の方よりも
東京とか
大阪の方が非常に便宜であるという
現実に支配されまして、
地方を考慮しないではありませんけれ
ども、まず大
都会において試験的に、
教育放送について訓練の割合に少い
日本において、まず
東京、
大阪において
NHK——もっとも
東京では
民間もございますけれ
ども、この大
都会においてやっていくのがまず順序だろうと、そう
考えまして、大
都会から始まるということになった次第でございます。もちろん、やがて、なるべく早い時期に東北とかあるいは
北海道とか、あるいは
九州の南部とか、そういうところにおいても
教育放送が
NHKにおいてまず
実施せられるのが最も望ましいことであろうと
考えております。
次に、しからば、その
教育放送の
チャンネルが少いではないかというふうな
お話がございましたが、全くその
通りでありまして、ただいまの
VHFの
チャンネルでは、
東京と
大阪の二カ所の
NHK、それから
東京の民放一カ所、それ以外に
VHFをもって
教育放送をやり得るところは
全国において
数カ所、いろいろ
苦面をしまして
数カ所であろうと
考えております。でありまするから、それ以上、先ほど申し上げましたように、
いなかにおいてやろうというような場合には、どうしても
VHF以外に
チャンネルを求めざるを得ません。それにつきまして、この前の
委員会でも御指摘がありましたように、
UHFを使うことが
考えられますので、この
UHFにつきましては
NHKの
研究所におきまして、この
UHF大
電力放送の試験を鋭意やるように、それから
郵政省におきましては、
電波研究所においても
UHFの技術についてこの
研究を進めるようにということを、昨年以来鋭意これをプッシュいたしております。そういうわけで、私
どもといたしましては、
UHFの
放送が
実施できるように、このような心組みをもちまして、いろいろ
考えを進めておるのでありますけれ
ども、この
UHF等を
実施することになりますと、
VHFと
UHFが競合して重なり合うことになりますときに、いろいろな
聴取者側の不便が予想されますので、どういうふうに
UHFの
置局をしたらいいかということは非常に問題があるのでございまして、このことはすでにアメリカにおきまして、この
UHFと
VHFのいわゆるインター・ミニチュアといいます現象によりまして、非常な批判があります。非常な
論議の種になっておりますので、われわれは再びその轍を踏まないように、いろいろな角度から、いろいろな
方面から将来これを
考える。来年、再来年でなしに、今後数年後にわたってのこの
電波の姿を
考えていかなければならないと、そういうふうに
考えております。
次に、
教育放送は
NHKだけを
考えて
民間放送は
考えないのかというような御
質問でございましたが、これにつきましてはいろいろ
論議がございましたけれ
ども、
NHKというものは、本来この
教育放送のようなものに熱を入れるべきであるという非常に多数の人の御
議論であります。また私
どももそう
考えます。そういう
意味で、
NHKがまず
教育放送を主要な任務と心得て、そこに全力を注ぎ、その影響を
民間放送に及ぼして、
日本の
放送の
番組の適正向上化ないしは
公共の
福祉に適合するように持っていこう、そういう
考えでございますが、
民間放送は
教育放送をやってはいけないという理由はないのみならず、むしろ
民間放送も
NHKと競って
教育放送をやるべきであるというのが、私
どもの
考えでございますし、また非常に多くの方々の支持を得ている
議論であろうと思うのであります。アメリカの例を申しますというと、
教育放送はコンマーシャルでは成立し得ないというので、多くは大学か財団法人等がやっておりますけれ
ども、
日本人とアメリカ人の物の
考え方あるいはその本の読み方とか教育に対する見方というものは、だいぶ違うのでありまして、私は、
日本においてはアメリカのノン・コンマーシャルと違った
教育放送が可能であろう。要するに、これをやる
教育放送の経営者あるいはプロデューサーの
考えいかんである。そう
考えておるのでありまして、先ほど
新谷委員が御指摘のように、
東京に
民間放送教育局が一局、
大阪に二局、
北海道に一局、これはもっとも準教育局と称しますものでありますけれ
ども、なるべく教育
番組に力を入れた
放送が
全国においてなされますように、そうして
全国的に
番組の向上ができて、
放送法でいいますところの教育、教養と報道、あるいは娯楽との均衡が
NHK、民放を通じてその全体的によくやられる。で
ほんとうの
意味において
日本の
テレビジョンが
国民性の向上に、
公共の
福祉に適合するようになるということにしたいという
考えでございまして、それらを
考えまして、今年、来年でなく、数年後、五年、十年後における
日本の姿を
考えつつ、さらにはカラー・
テレビジョンが
実施されますときにどういう
チャンネルを使うか、
UHFを使うか、
VHFを使うか、まだ決定しておりませんが、それらを勘案し、いろいろな角度から立体的な構想を練っているわけでございますので、何とぞ御了承願います。