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1959-03-03 第31回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三日(火曜日)    午前十一時七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員光村甚助君辞任につき、その 補欠として藤原道子君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            新谷寅三郎君            松平 勇雄君            森中 守義君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            前田佳都男君            三木與吉郎君            鈴木  強君            山田 節男君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政大臣官房電    気通信監理官  松田 栄一君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政事務次官  小野 吉郎君    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君    日本電信電話公    社副総裁    横田 信夫君   参考人    日本放送連合会    専務理事    高田元三郎君    日本大学教授  金丸 重嶺君    評  論  家 御手洗辰雄君    朝日新聞論説副    主幹      熊本 良忠君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件郵政事業運営に関する調査の件  (郵政省当局が行う表彰等に関する  件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (日本電信電話公社工作工場問題  に関する件) ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまから開会いたします。  委員変更について、お知らせいたします。本日、光村甚助君が委員を辞任せられまして、その補欠に、藤原道子君が選任せられました。   ―――――――――――――
  3. 手島栄

    委員長手島栄君) 理事会の申し合せにより、本日は、郵政事業運営に関する調査並びに電気通信並びに電波に関する調査議題といたします。  右の件に関し、御質疑のおありの方は、どうぞ順次ご発言を願います。
  4. 森中守義

    森中守義君 小野次官及び佐方人事部長質問を二、三しておきます。  その前に、先般光村委員からも、小野次官は忠告を受けておることがある。私もまた、予算委員会欠席をした理由を追及したことがあるが、大体、委員会には、どういう連絡を受けていたのですか。おそらく委員部からは、十時開会という通告を受けていたはずです。この委員会も、出席がおくれたために、約三十分間、開会がおくれておる。委員会に呼ばれても、欠席をする、たまたま来るかと思えば、一時間有余の遅刻をする。委員会をなんと思っておるか。一応、そういうことについての心境を聞いておきたい。
  5. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 今日の委員会に対しまして、出席要求は、ただいま受けて、すぐ参ったわけでありまして、以前に、何も受けておりません。
  6. 森中守義

    森中守義君 委員部には、きのう連絡をしてあるし、きょう次官が、委員会出席通告を受けたということは、詭弁ではないか、委員部の方に、そういう手落ちがあるならば、後刻調査をしたいと思うが、要するに委員会出席もしない、出れば、おくれてくる。  いつだか光村委員から、説明員あるいは政府委員は、委員が待機しなければ出席しないのか、こういうきつい詰問を受けたことがあったはずです。その後、あなたの態度は変っていない、しかも、今の答弁は、通告を受けたのは、けさであった、そういう単なる理由しか言っていないが、私は、理由と同時に心境を聞いておる。心境について述べてもらいたい。
  7. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 各省の事務次官は、出席要求があれば、出席をいたしますか、委員会に常に出なければならない、こういうふうにはなっておりません。私は、それにもかかわらず委員会には大体におきまして出るのを例としております。  今回の問題につきましては、放送法審議があるのだという件名通告を受けておりまして、これについて、だれだれが出席要求されておる、これは数日前から見ております。きょうの議題の問題も、けさほど聞きまして、出席要求有無を確かめたのでありますが、事務次官に対する出席要求は、正式にはないということで、役所の方で待機をしておったわけでありますが、先刻、出席要求があるのだという連絡を受けて、直ちに参った次第であります。
  8. 森中守義

    森中守義君 放送法審議だけであろうなどというのは、それは独断だ。ちゃんとけさの公報にも、郵政及び電電公社行政に関する調査という案件が出ておる。委員会放送法だけやっているのではありません。  しかも、けさ通告を受けたというが、成規の手続きを経て、きのう事務次官人事部長を招致してある。しかも私の部屋には、きのうの夕刻事務次官代理であるかだれか知らぬけれども、御質問内容は、どういうものでしょうか、こういう照会までもらっておる、それを、事務次官が知らぬというはずはない、とぼけちゃ困る。  なるほど事務次官が常時国会に待機しておらなければならぬという、そういう国会法も何もない、ないけれども、説明員として出席の求めがあれば、これに応じるというのも当然だ、それに先回は出席しなかった、決算委員会に出てこなかった、しかもその理由は、繰り返して言うようであるけれども、衆議院逓信委員会云々ということで出てきていない。のみならず大胆、政務次官要求をしたところが、大臣政務次官は、和共に使いを出して、丁重に決算委員長と社会党の議運の理事及び質問要求者である私に、いんぎんにことわりの話がついた。小野事務次官は、何もしたことはないではないか、そういうところに、私が心境を聞きたいというのは、国会を何と思っている、こういうことを私は聞いておる、そういう心境が披瀝されていない。  だからして、通告けさ受けたと、こう言うけれども、さっき言ったように、きのうの夕刻には、私のところに電話照会があって、事務次官及び人事部長に対する質疑内容をお漏らし下さいという電話があった、それをして、事務次官が、けさ通告を受けたという、そういう理由は成り立たない。だれが計ったんですか。きのう私の部屋に、質疑内容を聞かしてくれという……。話が合わぬではないですか。そういう、そらぞらしいことで言いのがれをしますか。少しばかにしていないか。おそらくあなたの代理だろう、きのう私のところに、質疑内容を聞かしてくれと言ったのは。しかも、それをけさになって質疑通告を受けたということは、どういうことですか、時間が合わない。いやしくもかわりの者から、質疑を漏らしてほしいという、そういう連絡を受けた以上、すでに昨夕には、事務次官のところに、本日の出題要求の話は届いていたと私は思う。合わないではないか、あくまでも、本朝通告を受けたと言って、言い切れますか、言い抜けるか。
  9. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 私は、真実、事実を申し上げておるのでありまして、そこに、何らかの省内における手違いがありましたということは、まことに申しわけないと思いますが、昨日、そのような議題森中委員照会したことも知りません。その結果も聞いておりません。けさほど、質問の事項は、郵政関係では、表彰関係についてこれがあることになったのだ。まだ出席要求有無は、後刻連絡するということで、待機しておったのでありまして、この点には、何ら間違いはございません。  ただ、森中委員の御了解になっておられる通りに取り運ばれておれば、これはまた、それがそうでなければならなかったのでありましょうが、そのような点について、多少の手違いがあったのではないかと思います。私も森中委員に、どのような質問内容を予定せられておるのか、それをお伺いするようにということも、もちろん伺っておりませんし、文書課の方から回りましたきょうの委員会議題としては、放送法改正の問題、これで参考人意見をだれだれ、だれだれについて聴取されるということで、当省内における出席要求については、私は、その中に入っておらなかったのであります。
  10. 森中守義

    森中守義君 省内の、そういう不統一を私は聞こうとは思わない。どういう用件に限らず、直接、話をしなければわからぬのか。郵政省内のだれかが、しかも国会関係のある人であれば、責任のある人が連絡をしているはずです。そういう手違い理由に釈明をされても了承できない。次官といえども、局長といえども、部長といえども、郵政省内部の問題だろう。そういう内部の不統一理由にして、出席がおくれたとか、連絡を受けたのがおそかった、こういう理由にはなりません。  また、そういうものは、事務系統の最筒責任者として、だれよりも小野次官掌握すべき筋合いのものだ。そういう理由をつけるならば、平素における事務次官掌握が悪い、はなはだもって不統制だ、そういう非難、攻撃をされても、やむを得まい。どうだ、その点は。
  11. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 不肖、まことに、いろいろ手落ちがあることと思います。まことに遺憾に存じております。
  12. 森中守義

    森中守義君 これから先の、いろいろな行動なり何なりによって、一応、こういう問題についての結論を出す時期に来ていると思うから、これ以上、深入りはしませんけれども、少くとも、ああでもない、こうでもないという理由立てをして、この場さえ言いのがるればいいという、そういう小野君の態度というものは、昨秋来、顕著なものがある。本来ならば、承知すべきところではないけれども、先の審議関係もあるから、一応私は、そのことについては終っておきますが、少くとも省内の不統制を表面に出して、しかもその理由が、省内における最高責任者として、言うべきことかどうか、はなはだ疑問がある。突き詰めて言うならば、事務次官としての国会対策に対する常時掌握が行われておるかどうかという、こういう点にも疑問がある。そういう数々の問題を残しながら、一応そのことに関する追及は、私はきょうはやめておきたい。  そこで、二、三質問をしたいのですが、郵政省表彰基準というものは、これはどういう内容ですか。
  13. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 表彰基準といいましても、いろいろあるわけでございますが、どういうなんでございましょうか。
  14. 森中守義

    森中守義君 これは、はなはだどうも私の質問の要領が悪かったのですが、電気通信事業関係、それから郵便事業関係、この二つの表彰を当面はさします。  そこで端的に言うならば、先般、九州熊本郵政局管内で七局か、八局が、表彰選考に入っておる。もちろん全国的にも、だいぶそういうのがあるようですが、私は熊本郵政局管内を聞いたので、それをさすわけですが、主として普通局ですね、こういうところが、急に表彰直前において、選考に入っていたということがはっきりしておるのにはずされた、こういう事件がある。従ってこの基準というものは、どういうものであるのか、また選考に入っていたのに、急にはずさなければならないという理由が生じたのか、そういうことを承わっておきたいと思います。
  15. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 郵便電気通信につきましては、過去一年間、特に郵便の場合ですと、二月一日から翌年の一月末月までの期間対象といたしまして、その間のいろいろな業務成績というものが非常に優秀である。これは郵務局で非常にこまかい基準を作っておりますが、郵務局が、そう認めました局で、その間に犯罪事故がなかったというところを点数で表わしまして、上位から表彰するものなんで、地方郵政局長表彰をいたしましたものの中で、特に優秀なのは、翌年、大臣表彰をする。その大臣表彰の前に、地方郵政局長表彰もある、こういうことになっておるわけでございます。  先般、この一月末日までを対象といたしまして、大臣表彰全国で七十局、それから郵政局長表彰が三百九十七――四百局近くございますが、大臣表彰七十局と地方郵政局長表彰を約四百局いたすことにきめたわけでございます。その時期が、一月末日までの成績を見ましたので、二月の末から三月の初めにかけて、全国一齊に表彰式をやろうということになったわけであります。  ところがその直前になりまして、御承知の二十五日の日に、春闘の第一波で、一時間か二時間食い込む職場大会をやるところが出てきたわけです。そこで各事業部門から質問が出まして、そういうところは、表彰すべきかどうかということが議論になって参りました。そこで私たちといたしましては、省内でいろいろ論議をいたしまして、対象としては、この一月末までであるけれども、二十五日の日の職場大会は違法だから、これはやらぬでほしいと大臣から全逓にも通知を出しますし、各郵便局でも、当該局の支部に、そういう通知を出したわけです。しかし、それにもかかわりませず、二十五日には職場大会が行われた。そうしますと、二十五日に職場大会をやらぬで低しいと言っておいたのに、それを聞かずにやったところが、二十七日になると、その局は、非常に優秀であるから表形するというのも、どうも世間の聞えもどうだろうかというようなことから、大臣表彰は、そういうところはとりやめようというので、実は全国で七局だけ、大臣表彰をとりやめました。そこで次点のところが、その穴埋めといいますか、上って、結果的には七十局表彰をいたしましたけれども、七局は、大臣表彰を落したわけです。  各郵政局に対しましても、本省としては、こういうふうにやっておるからというので、郵政局長の判断にまかせることにして、郵政局連絡をしたわけです。その結果熊本でも、大臣表彰で一局、それから郵政局長表彰で七局が、その選から落ちておることになっております。
  16. 森中守義

    森中守義君 そうすると、表彰する選考対象期間というものは、たとえば本年の表彰時期が済んで、その翌日から次年度の一月まで、こういうことになるのですか。
  17. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 郵便の場合ですどういうことになっております。
  18. 森中守義

  19. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 期間は同じでございます。
  20. 森中守義

    森中守義君 それから今、藤岡の話か出たのですが、基準の中に、労働運動も入っているのですか。
  21. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 在米、春闘の問題、労働運動は、当然業務表彰対象に入れておりません。しかしそのつど、やはり何といいますか、付加的の要素としましてきめていく、郵務局自身基準の中には入れませんが、最後省内で決定いたしますときに、そのときどきの情勢によって、基準に入れたり、はずしたりいたしております。  具体的に申し上げますと、期間といたしましては、昨年の二月一日からでありますけれども、昨年の春闘のことは、今度の考慮にほとんど入れておりません。しかし、年末等におきまして、非常に業務規制闘争があった所は、おそらく点数の面、その他で違いが起っておりますから、労働運動業務面の、そういう点で対象になっていると思います。
  22. 森中守義

    森中守義君 労働組合に、郵政省経営参加を認めているのですか。
  23. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 認めておりません。
  24. 森中守義

    森中守義君 認めていないのに、対象にするというのは、理屈に合わないと思うのですが、おそらく私は、たとえば普通局の場合は、事務を中心にして、大臣表彰なり、あるいは郵政局長表彰対象になっていると思うのですが、それが労働運動があったからそれで選考に落ちるなんということは、これは、本筋をはずれておりませんか。
  25. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 普通の場合の考えは、そうだと思います。それで、御承知のように労働運動というものは、業務表彰対象に入れておりません。  たまたま今度の場合でありますと、先ほど申し上げました二十五日、職場大会をする。大体、八十名程度の地方局表彰する、ところが職場大会が行われては、非常に困るということを、こちらから言うわけです。そうして一日、二日しまして表彰するということになりますと、理屈から考えますと、対象期間でないからということもあるわけでありますけれども、一般に表彰を受ける感じからしますと、きのうは警告し、きょうは表彰するということは、どうもあまり時間がくっつき過ぎやしないかということで、省内意見を取りまとめまして、今回は、そういう措置をいたしました。
  26. 森中守義

    森中守義君 どうも、常識的にはわかるのですが、わかるということは、理解できないことはない。そのことがいいというのではないけれども、郵政省は、労働運動表彰対象に入れていないという人事部長の話であるが、それは当然のことである。またそういうことは、相手の方も望むべきことでもないし、そういうことはあり得ない。いわんや経常の参加もさせていない以上は。そこでどうも、きのうのきょうで都合が悪いという話だけれども、事業体表彰するわけでしょう。労働運動と何の関係がありますか、元来、私は私見として、表彰という制度かいいか悪いかという問題には、別個の意見を持っている。持っているけれども、事業体表彰すべきであるのに、組合が何かやったから、これをはずすなんというのは、これは、私は郵政省表彰の本質に大いにもとっている、そう思いませんか。それと同時によく、私はそういう当該現場局長さん、課長さん方が黙っていると思う。無理に抑えているのではないですか、おそらく事業体を、国の行政機関の出先として表彰を中央なり、地方郵政局長がやろうというのに、しかも表彰を受けるまでの局長課長の苦労というものは、一通り、二通りのものでない、それを対象基準でもないし、また対象とすべきでもないような相手理由を、この中に持ち込んできて、これを落すなんということは、およそナンセンスだと思う。現場局長あたりから、苦情が出てきておりませんか。
  27. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 御指摘のような問題は、確かにあると思います。直接現場からの苦情というものは聞いておりませんが、しかし当然、問題としましては、そういう点を一体、どう計らったらいいかということをみんな大いに議論をいたしたわけでございます。  ただ、同時にまたこれは、全く私的なことでありますけれども、組合等からも電話で、その点は、はずしたらどうだろうという話もありました。私はそういう点は、一応参考にして議論をしたけれども、何分にも、二十五日にやるなという職場大会を、一時間でもやり、少くとも幾らかの業務違反行為がある。そこを一日あければ、表彰対象がきまっても、表彰するのは困る。これは出過ぎた話だけれども、われわれの方も、せっかくきめているから、そこには、はずしてもらったらどうだろうということを言ったけれども、そういうわけにはいかぬということで――全国一斉に職場大会をやったわけでもありませんし、各県で二、三個所選んでやるわけでございますから――特にそういうところをやらなくてもいいんじゃないかと、出過ぎた話だけれども言った。そこまで干渉は受けなくてもいいということでとにかくそこを表彰しろという電話の話は聞きました。しかしそれは、もちろん正式な交渉でも何でもありませんけれども、私の立場としましては、先ほど申し上げました常識的かもしれませんけれども、何分にも、やはり違法行為があって一両日で、――大臣表彰が、やはり積極的にプラスするわけでございませんから――今度は遠慮したいということで、今回は、そういう措置をとったわけであります。
  28. 森中守義

    森中守義君 これは、全逓から依頼を受けたとか、そういう意見があったというのじゃなくて、私は郵政事業の正しい運行という、こういう観点から、この質問をしているわけですが、どうもやはり理屈に合わないという気がしてしょうがない。  しかも、きのう闘争をやってきょう表彰する、世間体に格好が悪い。こういう話であるけれども、郵政省は、世間体表彰しているのですか。そういうあいまいなものですか。そういうことであるならば、だれか与党の議員が、あの局を表表彰せい、こう言えばいいんじゃないか。どこかから頼まれれば、それを入れてみたり、はずしてみたり、そういうあいまいな表彰ですか。また、世間体をはばからなければならないような表彰なのですか、どっちなのですか。
  29. 佐方信博

    説明員佐方信博君) あの局を表彰しろという話があったから表彰した、そういう例は私は存じておりません。それから、世間体といいますか、理論的な問題としては、対象期間の問題でございますので、いろいろ私たちも、ほんとうに考えましたし、将来といえども、相当考究しなければならないと思っております。  しかし、この問題につきましては、どうも、きょう違法行為をやって、あしたは別のことであっても、積極的な大臣表彰をやるということは、筋道が何といいますか、純理でなくて、やはり何か、すっきりしないのではないかということでやったわけでありまして、本米、表彰というものは、世間体といいますか、そういうことでなくて、その局の過去の成績というものを、いろいろな方面からこまかく見まして、それを積み重ねていって、そして表彰していくというものであろうと思います。
  30. 森中守義

    森中守義君 よく話を聞いて答えて下さい。  私は、そういうことがあったとか、そんなことを言っているのではない。つまり、ある議員が頼んだからしたとか、しなかったとか、そういうことを言っているのではない。要するに、郵政省表彰というものかすこぶるあいまい模糊としていないかという、そういう理由づけをするために、今のことを言ったのであって、それ自体をさしているのではない、  従って、先刻から言っているように、一年間の実綿による選考の結果、表彰に入っていたのを、全く見当違いの事態が発生したために、一年間の実績を棒に振らせるというようなことは、いやしくも、これはすべきでないと思うし、また労働組合郵政省表彰をさるべきものでもないし、すべきものでもない。全然対象外なんだ。そういう対象外のものが、何かやったために、その局の事業体に影響をもたらすような措置というものは、少くともこれは、私は郵政事業の正当な運行の面から考えるならば、当を得ない。これは明瞭です。  しかも、しばしば論議されているように、労使間の正常な慣行ということか言われているのに、一面の考え方からいけば、こういう面からも、労働運動規制を加え、あるいは現場における管理者労働組合対立抗争を起させる、こういう道具に使っているのではないか。私は率直に、そういう見解を持っている。その点はどういうふうに考えているか。
  31. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 先ほどのお言葉、少し誤解しておったようでありますが、私は、何といいますか、表彰につきましては、その局の過去の実績というものをこまかく見ておりまして、それを一応、基準にして表形する、今回、これは先ほどから申し上げておりますように、あまりにも間近かな問題でございますので、遠慮させるということをいたしたのであります。それを表彰等をもって労働運動を何か規制をする、そういう考えは毛頭ございません。  今後、こういう問題がいろいろ起りますと、表彰期間といったもの、それから表彰時期等につきましては、無用の坑争が起らないような配慮をしていったらどうかというような議論すら、内部で固めつつありますので、そういう気は一切、毛頭ないのであります。  ただ、先ほど申し上げましたように、私は、全国一斉に職場大会をやるのではなくて、一県で、この場合でございますと、二局か三局でやったわけでございますが、特に大臣表彰をする所をしなくてもいいじゃないかということも、決して強制でも何でもありませんけれども、私としては、そういうことも言えるのではないかということは、先ほど申し上げましたように、非公式ではありますけれども、計ったことはございます。  そのゆえをもって、何か表彰労働運動規制その他の関係にからませるということは毛頭ございません。今後も、そういうことはしたくない、こういうふうに考えております。
  32. 森中守義

    森中守義君 それで、これは私は、最後に書いたいのは、少し神経が過敏になっているのか、あるいはまた小細工が過ぎるのか、どうも、そういう気がしてならぬのです。  そこまで郵政省は、いろいろとこまかく気を使う必要がありますか。表彰事業体、労働対策は労働対策、こういう別個に割り切っていかないと、人事部長は、そういうことで無用な紛争を生じたくないという意見であっても、末端の局長なり、課長なり、さらには、一緒にいる全逓の諸君には、あなたが百万言費しても、こういう問題のために、全く紛争が生じないとは保証できません。どう考えてみても、芸がこまか過ぎる。もう少しおおらかに郵政事業を経営できませんか。だれか発議したかしらぬけれども、少くとも、一年間、しし常々として働いた結果、表彰選考に入り、それで大臣表彰なり、郵政局長表彰をさせようというときに、見当違いの人のやったことを巻き添えにして、表彰からはずすなんということは、どう考えてみても、常軌を逸しておりますよ。  しかも常軌を逸しているこういう話しのついでに、もう一つ私聞いておきたいが、ILO批准というものは、郵政省がやるのですか。何となれば事務次官の通達か何か知らないけれども、春闘をやれば、ILO批准に影響があると言ったのか、あるいはILOの批准をしないと言つたのか、どっちか知らぬけれども、とにかく相当強いことを言っている。ILOの批准をやるのは、国会がやるのだ。郵政省ができますか、批准が……。そういう権限を、国会郵政省に与えた覚えはない。まことに僭越しごくだ。ILOの批准にまで、およそ、言及をして通達を出すということは、もってのほかだ。人事部長、首をかしげているけれども、そういうことを智つた事実がある。いつ郵政省は、国会からILOの批准の権限を与えられたのですか。まことに無礼千万だ。  こういうところにもあまりにもこまかに気を使い過ぎる、ある意味で度を越しておる、こういうことを言っておるのです。
  33. 佐方信博

    説明員佐方信博君) ILOの関係につきましては、御厨知の通り、もう当然国会で御論議なさることでありますので、私どもは、そういう権限があるとは思っておりません。  また各省の間におきまして、いろいろな意見が出ても、それを代表するものは、労働省であるという考えでありますから、ILOの通牒等は一切流しておりません。ただILOといいますか、総会の答申でありますとか、その後のいろいろな動きでありますとか、そういうことは情報としては流しております。私たちがILOの問題を全逓とのことで正式に何か通牒を流しておるというようなことはいたしておりません。  それは御了解いただきたいと思います。
  34. 森中守義

    森中守義君 なるほど通達と情報なら、性格的にかなり違うだろうけれども、かりに課長の中田君のところで立案をして――私の聞いたのでは、小野君の名前で出ておるという話を聞いておる。それは資料としてこの次、出してもらいましょう。そういう情報ならば情報、通達なら通達、いずれでもけっこうですか、この次、資料として出してもらいます。  そこで、その情報かあるいは通達か知らんか、内容としては、これはILOに言及している。闘争をやれば、ILOの批准をしない、あるいは影響かあるという、こういう表現であるかも知れないけれども、少くとも郵政省があたかもILOの批准機関のような、そういうたわけた表現を使っておるという話を聞いて、私ならず、おそらく国会に席を置くすべての議員は、同様に憤慨をするでしょう。郵政大臣政務次官事務次官人事部長、管理課長等に、ILOの批准を国会はまかした覚えはない。言うにも事欠いて、そういう越権も越権、大それたことを言うべき筋合いのものじゃないと思う。はなはだもってこれは遺憾千万だ。だからして二月二十五日の問題で、表彰も取りやめて、ILO批准をするとかしないとか、こういうばかげたことを言うような郵政省の最近の動向については、大いなる不信を持たざるを得ない。  これについて大臣代理として政務次官がおいでになっておる、さらに事務当局の責任者である小野君がいる。お二人から私はそれぞれ弁明を求めたいと思う。
  35. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 国際条約の批准が――国会にその権限がありますことは当然でありまして、郵政省にさような権限は委譲されたことはございませんし、さように私ども毛頭考えていないわけでございます。  ただ、どんな情報か存じませんけれども、流したといたしますならば、私もはっきり見ておりませんけれども、御指摘の御論旨から想像いたしますと、ILOの八十七号を批准するについては、現行法を尊重して、全逓が一日も早く正常化することがその促進になるのだ、というような趣旨のものじゃないかと思うのでございまして、さようなことは、現政府が考えておりますことでございますので、郵政省といたしましても、従業員には通達というか情報を流すというようなことはあるかもしれんと思いますけれども、批准の権限が郵政省にあるなどということは、毛頭考えていないのでございます。
  36. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 森中委員の御質問の御趣旨ごもっともでございまして、私ども、ILO条約の扱いにつきまして、郵政省がこれをとやかくできるというふうには毛頭考えておりません。かつて、文書によりましょうと口頭によりましょうと、そのようなことを私自身の記憶として扱ったことはございませんし、またただいま御指摘のような文得の内容等も、全然承知をいたしておりません。
  37. 森中守義

    森中守義君 ただ、承知していないで、これまた抜け切るつもりですか。私は逓送であったか情報であったか、そのいずれかと言っている。あるいはその他によったかもしれない。  いずれにしても単に私はうわさ話でここに言っているわけではない。また郵政当局としても、こういうことを正式に委員会の中で追究されたということで、事実無根のことを追及されて黙っている手もないでしょう。なぜ政務次官事務次官も事実を事実として直ちに調査をして答えると言わんのか。そういうあいまいな答弁では承知できませんよ。調査をして答えるとなぜ言わんのだ。
  38. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 小野事務次官ともあわせて、かわりまして、私から御答弁申し上げます。  御指摘のことにつきましては、十分調査をいたしまして、はっきりお答えいたしたいと思います。
  39. 森中守義

    森中守義君 それで、最初にまた返りますが、今の表彰の問題は、これは一つ私は、郵政事業の基本的な経営にも論及すべき問題であろうと思うので、郵政審議会にかけなさい。果してそういう郵政当局のとった措置が正当なものであったかどうかというのを審議会に諮問をすべきだ。また、国会国会として別な機会に、私はこの問題は論及したいと思う。そういう、かねて筋を通すとか理屈を通すということを常時口にしている郵政出局が、筋の通らんことを勝手にやっておいて黙って見ておるわけにいきません。だから次回の審議会にかけて、――おそらく税場の所属局長あたりは非常にふんまんやる方ないものがあると思う――表彰基準かくずれて。何のために基準を持っておるか、わけがわからん。ひいては末端における勤労意欲にも影響しましょう。  そういうことを考えるならば、これを一つの労務対策として、やったらいい。世間体が悪いからそういう措置をとったということでは、これは済まされる問題ではない。郵政審議会にかけて、十二分に審議委員諸君の意見を徴するのが正当であらうと思う。その結果をここへ持って来なさい。それが一つ。  それとILOの問題は、廣瀬政務次官から調査の上回答するということであったから、そのことにおいては、了承いたしましょう。その回答を私は待っている。  従って、今の表彰の問題は、審議会にかけて正当な措置であったかどうかという判定を受けてもらいたい。その結果を報告してもらいたい。約束できますか。
  40. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 前段のILO条約のことに関しましては、私が責任者でございますので、さっそく帰って取り調べて政務次官に御報告いたします。  それから表彫のことを郵政審議会に諮問に出すべき性質のものかどうか、ちょっとこれは私、所管でもございませんので、相当研究しなくてはならんと思いますが、同時に、郵政審議会の決定によって、これをきめる問題かどうか、ちょっと私、まだ納得しかねる点がございますので、これは帰りまして関係の連中と、よく相談してみたいと思います。当然かけていいと、私がここで言明できるものかどうか、ちょっと私、自信がございませんので、しばらく研究さしていただきたいと思います。
  41. 森中守義

    森中守義君 人事部長は、何年人事部長をやっておりますか。
  42. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 足かけ一年半でございます。
  43. 森中守義

    森中守義君 足かけ一年半の間に、審議会に何回出席したか。
  44. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 直接人事部関係のことで、審議会に諮問することはございませんで、ほとんど郵務、保険等が多かったのでありますので、私は、あまり出席いたしておりません。
  45. 森中守義

    森中守義君 審議会の記録なり、あるいは規約なり見てごらんなさい。そういう不見識なことでは困りますよ。最高首脳の一人である人事部長が、審議会に付託すべき案件内容について知らないなんという、そういうばかな話はない。これは調査するまでもなく私が見たのだ。付議すべき案件だ、また事業経常上、たとい付議すべき事項に指定をされていなくても、どうしても審議会にかけて諮問をすべき事項だと認定をするならば、より積極的に審議会を活用すべきだ――これが、私は人事部長の答えでなければならぬと思う。そういうような、はなはだ、はかばかしい答弁で質問をごまかされてはたまらない。  もちろん、審議会に諮問をしたからといって、これで問題は終ったというわけじゃありません。委員会は、将来もあるのだから、この問題については、一応の結論を出すというか、そうしなければ、郵政省内における表彰の問題、さらにはまた、末端の現業における従業員あるいは管理者諸君の誠意にこたえる道にならぬ。そういう意味から、私はこの表彰の問題を重視をしておるので、審議会にかくべき性質のものだ。かけて、ここへ答えを出して下さい。もう一ぺん答えを……。
  46. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 表彰基準か、非常に大事なものであって、いろいろ御指摘のありましたような問題について研究しなければならぬ――それは、私ぜひそうしたいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、本件を郵政審議会にかけて、そうして、その答申を待つべきものであるかどうか、私が、どうも御返事すべき立場にございませんので、その点、御意見は、十分私拝承いたしましたけれども、帰りまして、その審議会の責任者の方と、十分よく相談してみたいと考えますので、その点だけ御猶予願いたいと思います。
  47. 森中守義

    森中守義君 それなりに了承はしておきましょう。了承はしておくが、はなはだ人事部長は、審議会の運用その他郵政事業の運用について、不見識であるということを承知をして了承しておきます。
  48. 鈴木強

    ○鈴木強君 時間の関係で、午後から公聴会も予定していますから、二つほど電電公社の当局にお伺いをしておきたいと思います。  その一つは、たびたび今回、本委員会におきまして問題になりました工作工場の基本方針についてでありますが、前回私が、その後の交渉経過は、どうなっておりますかお尋ねをした際に、九項目の了解点に達して、組合側と電工三号の問題については妥結をした、そして今後具体的な問題について団体交渉に入っていく、こういうお話でありました。そこで私は、非常に何回か問題になりました問題が、労使の妥結を得た限りにおいては、われわれはそれを了承いたしますが、問題は、今後の工作工場の長期基本的な通常方針というものを立てませんと、今まで何回か問題になって参りました件が解決をし止せんので、具体的な資料ができましたら、一つ国会にもお示し願いたい、そういう御要望を申し上げて、おったわけですが、その後、どんなふうになっておりますか、組合との交渉の経緯の大まかなところを一つ、お尋ねしたいと思います。
  49. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) お答え申し上げます。  お話のように、一月十二日の覚書に基きまして、以後、組合しいろいろ打ち合せをいたしてきておるわけでありますが、その後進行いたしております概要を申し上げます上、御承知のように、減品目――どういう品目を工作工場から落していくかという減品目表の提示をいたしましたのは、一月二十六日であります。二月十日から協議を開始いたしております。それから第二に、工場計算規程の改正につきましては、二月五日に経理局の案を、それから二月二十三日には、工場管理に必要な価格管理と作業管理の実施通達内要の要素、これも案でありますが、それを指示いたしました。  それから第三には、あの覚書に基きまして今後、工作工場の建築の増改築をどうやるかということについての予定を組合と話し合ったわけであります。東京、名古屋及び大阪の三工場について話し合いました。  それから第四といたしまして、御存じの、工作工場で修理しなくて、外部に修理を発注するという外注品目表を三月三日に提示いたしました。  そういうようにいたしまして組合と、いろいろ話をいたしてきているわけでありますが、ただいま組合と話が、いろいろな点でまだ解決せずにおります問題の要点を申し上げますと、その第一点は、原価計算における決算報告、この決算報告につきしまて、その決算した決算報告を組合では、通信局で決算伝票の処理をしてもらいたいと主張いたしておりますが、私たちの力は、一般の決算が通信部、地区電話局等を決算単位として決算いたしておりますので、これは一般と同じルールによってやっていきたい、こういうことを主張いたしております。それから細くの方からは、この決心の場合の、ものの引渡価格――出納単価と申しますその中から、労務費を削除してほしい、いわば工作工場で、ご承知のようにものを修理いたすわけでありますから、その原付料のほかに働く人の労務費というものが加わって修理費が出るわけでありますが、その引渡価格から、労務費を除外してほしいという話が出たわけであります。われわれといたしましては、これを引渡価格から、労務費を除外するということは困るので、今まだ所が続いているわけであります。  なお、ご承知の、この工場計算規程を廃止して、諸種の手続をできるだけ簡易化していこうという点において一致いたしているわけでありますが、それをやる細目について、なお幾分の問題が残っているという点があるわけであります。私どもといたしましては、この工場計算規程の従業員に対する圧迫感の緩和、あるいは事務の緩和という点から、従来やっておりました指図書、これは廃止いたしたいとこう思っております。  それからの次の作業日報、これは従来価人ごとに取っておったのでありますが、これを組単位に改めで簡易化してやっていきたい、こういうように提案いたしております。そのほか、これは規定そのものではありませんが、工作工場の各工場で修理の結果が、どうなっておるかということを、しさいに分析できるようにというので、規程にある以上の、いろんなこまかい分析もやっておりまするが、そういうことについては、その運用が行く過ぎないように、これからいたしていきたい、こういうようなことで話し合っておりまするが、なお、組合の方におきましては、その辺で、なお幾分の議論が、ここに残っておるわけであります。  それから外注品目につきましては、まだわれわれの方からも、説明の段階でありますが、組合の方は、すべて工作工場で修理したい、こういうことを前提にして、いろいろ話が進んでおるわけであります。われわれの方といたしましては、外注品目について工作工場で必ずしも適当しないというものについては、やはりこれは外注品目でいきたい。ただその契約のやり方等については、従来工作工場を通じていなかったのを工作工場を通じてやるというようなことによって不安を起さないようにするというような方策はとっていきたいということで話を進めておるわけであります。  大体、その後の経過の主たる大きな問題は、以上のごとくでありますがなお具体的に申しますならば、たとえば荻窪工場においての工場の現品目というようなものが、具体的な問題として、今のような線で、どういうものが、どうなるかというようなことが、なお組合と話し合われておるわけであります。
  50. 鈴木強

    ○鈴木強君 副総裁の御説明で、概略わかりましたが、ただ私は、なぜこういうしつこくお伺いするかということなんですが、もちろん私も、経営は経営者におまかせてあることであるし、その範囲においては、経営者が自信を持っておやりになっていただきたいとのです。  ですから、そういう意味において、経常にけちをつけるとかなんとかいうことじゃなしに、特に一般的にオートメーションが非常に進んでおる事業の中で、工作工場の問題は、基本的に不安定な姿が現れている中で、公社が合理化しようという考え方もわかりますが、ただ現実的に、全体としての賃金標準等も、オートメーションが進んでいる段階ですから、慎重に一つやっていただきたいという、こういう趣旨で申し上げております。  特に、当初出された電工三号については、洗練された格好になっておりますし、きわめて重要視しているわけですが、われわれの念願は、どうか一つ、今までのような不安定な状況からせっかくここで組合と話し合いができて、大まかな線では了承ができたわけですから、この際、ほんとうに労使が長期賢定の基本方針というものをはっきり出していただきたい、こういう点を、私たちは念願しておるわけなんです。  そこで、今お話の個々の具体的な問題についてはわかりましたが、その交渉をするというか、あなたの方の基本的な考え方が、何かこう、総体的に解決しようということじゃなしに、たとえば第三条に、覚書にありますような新技術の導入等は、これは何回か国会でも論議になり、そういったものも含めて、修理品目の取捨選択は、当然やっていただけるものとわれわれ期待しているわけなんです。  ところが、今お話の、そういった特に近代化されていく、新技術の入っていく公社のそれに即応する新体制を完備することこそ、私は大事な問題であろうと思うのです。ですから、そういう長期の展望が、かりに困難であっても、大体の思想というものは、やはりお固めになることが私は大事だと思うのです。  そういう点かなされずに、廃止をしていく減品目の問題を、重点的に論議をしてみたりするものですから、非常に私は従業員側にも、不安を与えているのじゃないかと思うのですね。ですから交渉をする、その態度というものが、長期安定基本方針というものを、そういうものを総体的に出して、その中で検討するという態度がちょっと私は欠けているように思うのです。  ですから、そういう点については、副総裁どういうふうにお考えですか。私は、それが正しいと思うのですが。
  51. 手島栄

    委員長手島栄君) ちょっと、きょうは時間が非常におくれていますので、午後からの参考人の時間のやりくりが非常につきにくいから、簡潔に一つ。
  52. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) お話の点は、まことにごもっともであります。  そういう意味で、この組合との交渉妥結も、最初、こういう考え方でいこうという意味での根本的な考え方のものとして、まとまったのが、一月十二日のものでありますか、あの線に沿って、問題は、あとは個々的にやはり話し合っていかなければ、減品は減品、あるいは工場計算規程のその後の処理はどうするか、そういうふうに話をして解決していかなければ、やはり解決しないのでしょうか。  もちろん根本的な考え方としましては、最初の基本協定の中に、工作工場をこういふうにしていくのだというのができておりますので、私たち考え方は、そう不明確ではないと思っております。  ただお話のように、たとえばその搬送機、小型搬送機というものが、永久に工作工場の修理品目から除かれるか、あるいは現在どうかと、こういうような問題になりますと、永久というような問題になると、非常にむずかしい。ただ現在のように搬送機器は、今まで工作工場で修理しておるものは中型搬送機でありますが、これは今後とも、やはり修理していくとになろう。小型搬送機になりますと、一日一日進歩いたしております。今、向上変化しつつあります過程にありますし、またコンパクトな部品として取りかえるようになっておりますので、これは障害が起きたときは、直接メーカーに戻して、メーカーで直してもらう、これが当然、現在の段階としては、一番正しい方法であろうと思いますので、現段階としては、そういう方法でいく。将来について、これがほんとうに安心してきた場合に、どうなるかという問題は、また別だと、こういうような問題は、やはり起るわけであります。  そういう意味で、それも永久にどうなるということを確定しなければならんというような点は、幾分梓来にわたり、不明確なことが起きるのはやむを得んだろう、こう思うわけであります。
  53. 鈴木強

    ○鈴木強君 電工三号について、一通信局一工作工場ということでなくて、最初は、もっと四国なり新潟なりを廃止しようという考え方が、公社の考え方だったのですね。それが国会で無理じゃないかというわれわれの意見から凍結されて、その後、一通信局一工作工場という考え方が出てきたわけです。  ですから今、現在佐賀と沼津、奈良、そして、荻窪、鶴見、町は一緒になるわけですが、いずれにしても廃止をされる工作工場が、現実に出てくるのです。そこに長年奉職してきた職員の立場からするならば、非常に川柳があります。しかしこれも基本的な長期運営方針を立てて、非常に安定した中で、この専業というものが、公社の一環としてやられるという大局に立って、おそらく組合側もよく私はいっていると思うのです。おそらく組合側が了承していなければ、現状維持でいったと思うのです。  しかし諸般の客観情勢、いろいろ今後の公社のあり方を考えて、公社側も組合側も、譲り合って、一通信局一工作工場までおりてきたということは、私は、その陰には、長期方針をぜひこの際、打ち立てるという、抜くべからざる思想があったと思うのですね。  ですから問題になるのは、整理品目の選択でありましょうし、新技術の導入に対して、どう対応していくかという問題でありましょうし、さらに工場計算規程を廃止してもらいたい、今御指摘のような、いろいろ労務管理の問題とか、決算の方法等、いろいろ複雑な問題がありますから、基本的に、工作工場の不安定になっておった要素を、この際取り除くということが労使とも考えられるというのですが、そういうところに私は問題があると思うのです。  少くとも、そういう三つぐらいの基本問題というものを、やはりお示しになって、そういう中で、一つ話し合いをしませんと、減品目は減品目、外注は外注だ、新技術の導入等に伴う工作工場のあり方については、ちょっとここのところ、基本方針は立たない、だからしばらく待ってくれ、こういうことでは、私はいかんと思うのです、素直に言って。ですから、もっと総体的に、覚書の内容に基いて、公社が話し合いをするという気がまえを持っていかなければ、この問題は、解決しませんよ、率直に言って。  私は、この前も、そういった問題を中心にして、特に廃止されていく諸君の職神転換なり、配置転換の問題なりについても、十分に一つ配慮をして、従業員に迷惑のかからないような形でできるだけ一つやっていただきたいと、こういうことを要望もしておったのですが、そういう総体的に方針を打ち立てていくお考えはないですか。それがないと、私は非常に問題だと思うのです。この点いかがでございますか。
  54. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいまのお話は、基本的な考え方として、われわれ同じようなつもりでやっております。  ご承知のように、あの基本協定で話し合いましたように、一通信一工場、また関東と東京は、これは一緒にすると、こういうことで、そのままいっているわけでありまして、この方針を変えておることは毛頭ありません。  なお、その後も、ただいまの減品目についても、それからお話のように減品目と新技術、ことに新技術による外注品がどうなるかというようなことを全部明らかにしろ、こういうお話でありますが、できるだけ明らかになるものは、明らかにするようにいたしていきたいと思っておりますが、何分承知の新技術製品いうものが、今後どうなるかということは、これはほんとうに、なかなかわからない、いろいろな変化をいたしておるわけであります。そういうもののいろいろの新技術製品の中で、どれが果して工場修理に適するかというものについて、もちろん意識的に、工場修理品目を減らそうという気持を、われわれは持っておりません。ただ現在といたしましては、今のような搬送の、小型搬送機あるいはそういうような、あるいはマイクロ機というようなものが、これは修理工場に適しないものであろうと私たち考えております。ただ、今の新しいと申しましても、公衆電話機――5号型ボックス用の公衆冠話機、あるいは卓上講習電話機、三号磁石式電話機、こういうものが、新しい種類のものでありますが、これは工作工場に適するものであるから、こういうものはやっていくのだということを指示いたしております。
  55. 鈴木強

    ○鈴木強君 そのことはわかるのですよ。わかりますが、むしろ私は、荻窪の小型搬送機器の修理工場、さらにまた奈良の計器類の修理工場、こういうのが、主体になっておったところですね、そこの、その工作工場の運営というものが、一通信局一工作工場という形に名前が変って、自主的に今までやってきた、その部分の品目というものは、逐次なくなりて、実際には、もう仕事かなくなってしまって、統合とい形にはなっておりますが、新しく統合された工作工場では、ほとんどそういうものがなくなってしまうということになると思うのですよ。  ですから、おそらく荻窪、奈良あたりの特殊工作工場については、今申し上げた修理品目なり新技術の導入というものは、そういうものは、非常に大事な問題である。あとの多数の工作工場は、電話機を中心にしておりますから、交換機とか、電話機とか、そういったものでありあすから、私は、品質が改良されたとしても、二十五万ないし二十八万、三十万と、電話の新機器がふえてくるのでありますから、修理も相当にふえてくるのじゃないかという気もするのですけれども、問題は、その特殊工場の今一番問題になっておる点なんですね。  ですから、一方従業員側から見ると、一工作工場一通信局にするということは、必ずしも修理品目がなくなるということでなしに、むしろ新しい技術に対応する修理卒業というものは存続していくのだという、やはり考え方を持っておりますね。ですから、当初のうち、問題になっておりました、年度を切って、これは全然使いものにならぬというものは、廃品にしていくということは、これは当然、お互いにお考えになったでしょうけれども、それだでは、私は問題が解決せぬと思うのであります。  ですから、あんた方の交渉の態度として――交渉の態度というか、基本方針をわれわれは作っていただきたいという態度の中に――非常に困難でありましょう。そういった特殊工作工場でやっておるこの工場経営を合併されても、どういうようにやっていくか、その品目をどうするかということは、むずかしい問題でありましょうが、しかし副総裁のおっしゃるように、皆目見当がつかぬ、そういうものではないと思います。私は一年々々、新しく機器が変っていくというものでないと思いますから、現状において、なし得る一つの対応策というものが、どういうところにあるかというその腹は、やっぱりあると思うので、これは、私はこまかいことまで、一々ここで――工場計算規程についても、ずいぶん問題ありますよ。ずいぶんありますけれども、ここで、あなたに意見を聞こうは思わないが、やっぱりそういう基本的な問題を含めて、話し合いをされていただくように、基本方針を公社が立ててもらいたい。  そういう上に立って、やはり全般的の安定政策というものをお考えにならないと、どうも、われわれが仄聞するところによると、第一条に修理品目があるから、そこからやっていくのだ、それもけっこうでしょう。けっこうなんだが、総体的にやはり論ずる中の一こまであれば、これは了承できるが、一番大事な、そういった、新しくどういうものを修理できるのかというものがきまらずしていけば、結局、現在の修理した品目が、どんどん落とされていきますよ。そうすればお先まっ暗ということになるのですね。  そんなことを私は公社が考えておやりなっておるとは思わないので、やはり工作工場を長期安定化していこうという思想の中には、少くとも今後の新技術を導入するかまえは、一つ作っていくということで、第三条の中に、そういうことも確認されておると思うので、そういう問題も、十分含めて一つ話し合いをしていただくような形にできまいものかどうか。私はぜひ新技術導入は、そういうふうにしていただきたい、そう思うのですがね。
  56. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) お話のごとく、大体、一番問題なのは、特殊工作丁場だろうと思います。ほかの工場以上に。ただいまのお話の御指摘の荻窪工場、これは一番問題が多いし、また荻窪工場の従業員の方々が、いろいろ将来を心配されておるという気持もわかるのであります。  この荻窪工場は、御承知のように、現在やっております修理品目は、搬送機器、それから計器、測定機、電信機、無線機、これだけのものをやっておるわけであります。  そこでただいま申し上げましたように、そう不明確なことを言っておるわけじゃないのです。搬送機については、三十年ごろまでに出て参りました中型搬送機、これは、今後も修理いたします、こう言っておるわけです。ただ、小型搬送機の現在のものは、現在のところ、これは工作工場の修理に通しない、これは現在は適しないということ、これも、はっきり言っているのです。まあ、はっきり言っているところが、ある意味において不安を起しているのですが、現在は、確かに小型搬送機器は、工作工場の修理には不適当だろうと考えております。  それから計器、測定機、これは御承知のように、全国のものが、ある程度荻窪工場に集まってきて、あそこで修理されておったわけでありますが、これは、各工場でも修理できるものですから、全国のものを全部集めなくても、関東通信局一円を中心にして、今後荻窪工場でやっていこう。それから電信機につきましても、電信機の、問題の三十六号を五十号に改造していく、この電信機については、これは相当の仕事にたりますが、これは今後工作工場で、そのままやっていく。無線機についても、マイクロ・ウエーブのような、こういうものについては、今の小型搬送機と同様に、現在は、工作工場として修理品目には不適当だ、しかし従来のものについては、これはやっていくのだ、こういうように考えるのです。不明確な点ばかり残しているわけじゃなくて、相当はっきりいたしておる点は、はっきりいたしておるわけであります。  まあそういう点で、小型搬送機器も、やはり修理したいという工作工場の従業員の気持もわかりますが、現在では、少くともそれは不適当だろう、こういうことで話しておるわけであります。
  57. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、私のこまかに今言っている思想は、どうぞ一つ、この覚書が結ばれたのですから、この覚書全体としての構想をお立てになって、そうしてその構想の中で、組合との話し合いをしていただきたい。とにかくこま切れみたいになりますと、非常にまずいと私は思うので、幸い今のように具体的に、ある程度取捨選択かできるとすれば、これは非常に幸いなことであるし、努力をしていただくことはわかりました。  それであれば、もう一歩一つ進めて、ある程度の今度は、長期安定政策ですから、方針ですから、そういうことでスタートしているのですから、そうい五年なり十年なりの先まで、必ずしも的中するかどうかということは困難ですから、これは一つ、また論議していただくことにしても、やはり公社で確たる方針をお示しにならないことには、これは話になりませんよ。  ですから、そういう総体的に第九条に集約されているこの覚書了解事項に基いて、今後とも、一つ積極的に話し合いを進めていただいて、円満に解決をし、せっかく一通信局一工作工場の始末ができたのを機会にして、今後一切の不安のないような形で、一つ工作工場を運営していただきたい、こういうことを私はここで副総裁に申し上げているわけです。  ですから、そういう思想で、今後お話し合いをしていただけますか。
  58. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) われわれの気持としましては、従来とも、そうでありましたし、今後とも、できるだけ円満に、協議の方法で話し合っていただきたいと、こう存じております。
  59. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ非常に、この点、問題があると思いますが、今の副総裁の御答弁で、一応了承いたしますが、われわれ、せっかく国会の中で、何回も何回も論議した問題でありますから、必要以上に重大関心を持っておりますから、一つぜひ、前回もお願いしたように、資料その他も整備できましたら、一つお示ししていただくと同時に、特に配置がえされていく人たちの立場等も御了承していただいて、万遺憾ない態勢で、この問題を処理していただきたい、そういうことを強く要望して、この問題、終りたいと思います。  それでは次に、公社の経営の問題について、ちょっとお尋ねをしておきたいのです。今、電電公社の三十四年度の予算を見ましても、八百五十億の建設財源をとにかく作って、二十八万個の電話を架設しようと、こういう方針なんでありますが、これは、もちろん予算委員会でも論議になると思いますし、場所をあらためてやってもいいようなものでありますが、しかし当面私は、公社の基本的な経営のあり方について一つ伺っておきたいと思います。  それは一つ、まず、八百五十億の建設資金を、われわれが見た場合に、自己資金が六百三十九億、外部資金が二百十一億、こういう比率になっております。千八百六十五億という目標を設定して、三十四年度の計画を立っておられるのですが、そういう事業の拡張ですね、拡充という方向に非常に熱心にやられておりますが、その割に、そこに働く職員に対する待遇面については、これは前田さんもここにおられますが、いつかも三十四年度の予算の編成当時にお話し合いをしたことがございますが、前田先生も非常に理解をしていただいて、従業員の待遇の面にいてどうだろうかという、私のこれは、ちょっとプライベート的なお話でありましたが、御意見を伺った。非常に理解をもって定員その他待遇面については、思い切ってやらなければだめだと、こういう御意見も、私たち承わっているのでありまして、おそらく与党の皆さんも、同じ気持を持たれていると思うのです。ですから、経営者の皆さん方が、実際に現在の公社経営の中でオートメーションをどんどんやっていく、事業拡張をするということは、これはけっこうなことでありますが、しかしその反面、実際にしし営々として働いている職員諸君に対する待遇の面は、非常に私は不完全だと思うのです。  特にことしを見ましても、三百十四億ぐらいの純利益がございまして、それがその資本勘定に入っていく、こういうような予算の経理にもなっているだけに、生産指数の点を見ましても、公社発足当時を一〇〇とすれば、おそらく一二〇か一四〇ぐらいまでに生産が上っていると思うのですね。それにもかかわらず待遇の面は非常に低い。ここに従業員が勤労意欲を持つ従業員を持てない大きな原因があると思うのです。ですから経営者というものは、少くとも公社法に明定されたその法の中でおやりになる権限が私はあると思うのですよ。  ですから、公社法第三十条においても、給与の問題については、もちろん民間賃金や公務員職員の賃金というものは考えてやらなければなりませんが、しかし職務の執行上、責任の度合いに応じて、公社は自主的におきめになる権限を持っておいでになる。ですから、公社当局が、今日これだけ生産性を上げ、これだけ能率を上げ、これだけ合理化しているにもかかわらず、賃金その他従業員の待遇について、どういう思想を持っておるのか、私は疑問を持つのです。公社の総裁がほんとうにこの問題について心の底から、こういうように理解をして、従業員に、その事業の協力を要請しているのか、そういう基本線が、どうも私は、ぐらついているように思うし、非常にその信念がないようにも思われる、これは大へん僭越かもしれませんが。  そこでこの際、総裁がお見えになっていただければけっこうですが、副総裁がおられるのですから、副総裁をわれわれは信頼しているので、少くとも経営の最高レベルに立っていられる副総裁として、私の言っている思想について、どうお考えですか、まず、その点を伺いたいと思うのです。
  60. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいま御指摘のありました点で、私どもの従業員の生活の向上をいたしていくことは、われわれも衷心から望んでおるところであります。  ただ、御承知のように、われわれの公社の従業員の待遇というものは、公社法に定めてありますように、公務員と民間と、両方の給与を前提にいたしまして、勘案して定める、その内容は、職務の内容責任の度合いによって能率を加味してきめていくのだと、こういうように公社法にきめられておりますが、これはやはり、われわれの方の給与の考え方の根本だろうと思います。  そういうような意味におきまして、私たちのこの給与というものが、ただいま御指摘がありましたが、従来から生産性の向上そのほかに伴って、どういうように上ってきたかという点は、後刻数字的に差し上げてもよろしゅうございますが、相当上ってきておると私は思っております。この点は、先般来、労働調停委員会においても、両者から資料を出して調停委員長に差し上げたわけでありますが、私どもの従業員の給与というものが、一般産業界の給与の上昇に対して、決しておくれているものじゃないと私たちも自負いたしております。ただしかし、なお今後とも生活向上をすることは、一番望ましいことと思っておりますが、ただ、われわれの事業も独占事業でありますし、われわれの従業員の給与を世論の認める幅を越えて上昇させるということは、やはりできかねる問題かと思います。  なお、このわれわれの公共企業体におきましては、給与のほかに業績手当と申しますか、事業の成績が、予定以上にいいという場合に業績手当を支給いたしてきておりますが、この手当の支給も、二十八年以来、相当の支給を毎年いたしてきておるわけでありまして、今後とも、生産性の向上に従業員にも大いに協力していただいて、その生産性の向上による配分というものが、やはり従業員の方にも返っていく、それによって生活上に資せられていくことが非常に望ましいことであると私ども考えております。また、私どもも、そういうように努力しますし、また、従業員の方々の御協力も、そういう方向で得たいということを衷心から考えております。
  61. 鈴木強

    ○鈴木強君 思想的にはわかりました。しかし、第三十条の解釈にしても、あなたが、第二項の「国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して」というように書いてあるのですが、もう基本的に国家公務員や民間事業の従業員の給与というものを前提にしてお考えになって、――そこら辺は多少私は認識の相違があると思うのです。問題は、この公社法が制定された当時の両院の議事録をわれわれよく、詳細に拝見してみますと、まだあなたは、この公社法制当定時には、たしか経理局長だと思いましたが、終始、衆参両院の審議に参画してきた立場から、一番公社の中で、立法精神を理解されておる方だと思うのですよ。そうい方が、今副総裁になられて経営の全責任をになわれておる。これは、もちろん経営委員会というものがありましょう。あなたはその経営委のメンバーの一人でありますし、やはり思想として、生産性を向上して、従業員にもその利益が還元するようにということはわかります。そういう思想を持っていただいておるということは、これははっきりわかりますが、そういうことだけでは、私は問題は解決しないので、具体的に生産性を見ましても、第一次五カ年計画の電電公社の付加価値生産性なんかを見ましても、公社法発足当時の二十八年を一〇〇としても、一四一に上ってきておる。一方五カ年間における従業員の待遇の方を見ると、職員の数においたって、電話電話機の加入者数、市内通話、市外通話、こういうようなものを全部見ましても、一五〇とか一九〇とか、非常に実績が上っておる。にもかかわらず、定員の方は一〇九%で、これは遅々として、定員措置はやられていない。なおかつ、事業収入の面を見ましても、職員一人当りの事業収入の面を見ましても、職員一人当りの事業収入をパーセンテージで見ますと、二十八年を一〇〇にすると、一四七、基準内賃金を一〇〇として一二六と、これは生産性と賃金というものが、完全にギャップになっているのですね。ですから、今政府が、生産性向上を盛んに唱えておられる。この思想を聞いてみると、もう一生懸命働いてもらって、生産を上げ、能率を上げ、事業を合理化して、そしてその分け前は従業員にもやる、また資本蓄積にも回すのだ、こういうことを言っておられる。  であるならば、電電公社が具体的に五カ年計画で示された実績というものは、これは明らかな私は事実だと思う。そういう事実の上に立って、やはり一般的に見て、私は何も中小企業や、もっと零細企業の業者のことを考えれば、悪いとは言いませんよ、悪いとは言いませんか、公社発足の精神というものが、やはりそこにあったとするならば、そういう方向に経営者の皆さんか勇断を持って努力されるということが私は当然だと思うのですね。  ところが、今労働問題とか質金問題は、公労委に回っていますから、私は別にここでそういうことについてどうこうということではありません、いずれ公労委で、問題を解決して下さるでしょうが、しかしそこに臨む公社の態度にしても、賃金引上げということはできないのだ、こういうふうな私は思想に立っているのじゃないかというように極言すれば見えるわけです。これでは経営者の皆さんは大体どういう思想を持ってやっているのか疑問を持つのは当然だと思うのですよ。  だから何か三千円の要求を出すと、そういうことは、もう機械的にだめなんだということで、団交においても、あまり積極性がない。今度は、それが公労委に入っていっても、積極的な、そういう態度が出ないということになったら、だれがこれを解決するのですか。公社の賃金問題は、少くとも公社の正副総裁を中心として経営者自身がきめるのでしょう。きめられたい場合に、その一つの方法もあるでしょうけれども、きめるのが建前なんです。だれにも厄介にならなくったって、これはできることなんです。もっと熱意と努力と経常の方針というものをはっきりすれば、できることだと思うのです。  ところがどうも一般産業との関連も、これは相当考えなければならぬことですから、われわれも、そのことを無視してやれとは言いません。しかしこれまでも生産性を上げているわけですからね、もう少し、私は積極的に、具体的に問題を出してもいいんじゃないかと思うのです。  業績手当のことなおっしゃるのですか、これはもう期末手当においても〇・二五というものは、一般公務員から比べて、予算というものが少くなっている。これは業績手当というものがあるから、それでやるということになるのですから、だから業績手当も、私の知る範囲では公社発足当時から見ても、必ずしも業績手当が多くなっているとは思いません、率直に言って。毎年目標額が、無理に設定され、その目標額が伸びてきますと、弾力条項の発動も困難になってくるでしょうし、ただ、唯一の業績手当自体が、今日従業員に希望を与えておりますか、私は与えてないと思うのですよ。  だから、そういう逃げ口は、これは、全体的な賃金体系の中での逃げ目じゃないのです。もうすでに予防線を張って、その分だけは最初から揃えることを考えてやっておられる。  私は法案審議の際に、給与予備費の問題についても、委員か触れられている議事録を拝見するのですが、その当時は、給与総額の是非論が出て、一応、しかし国有であるし、給与総額というものは設置しなければならぬと。廃止論も相当強かったですが、一応、そうなった。しかし物品の変動その他の場合が相当想定されますので、同条は、給与予備費が組めることになっているのです。その際でも、かなりの給与予備費というものを考えるということまで、実は速記録に載っている。そういうことも、最近の実績を見ておりますと、だんだんだんずれている。たとえば給与総額内部の移流用すら、だんだん窮屈になっていく、こういうばかげた政策を、いわばある程度押しつけられていると思うのですが、藤さかそれに唯々諾々としておられるとは思いませんけれども、私は、もう少し公社の経営者の皆さんか、やはりふんどしを締め直して、従業員の待遇問題については、一つ努力してもらいたいと思う。  岸総理大臣が私の質問に対して、三公社の中で実績を上げ、能率を上げサービスをよくしてきているのは電電公社だということを認めておる。認めておるにもかかわらず、賃金の面になると、一般公勝負との不均衡が出ている。何ら公社としての特性が今日見られない。そういう政府の一般的な賃金政策の中で、公社は、どうあるべきかということは大事なことです。  もう少し私は勇断をもってやれないものかどうか、この点どうです。
  62. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 私、先ほど申し上げましたのか、少し言葉か足りなくて、不十分な点もありましたので、ちょっと補足させていただきますと、公社法三十条の二項で「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」この問題の理解の仕方において、私の理解の仕方を十分、先ほど申し上げたのは表わしてないと思いますので、実は、これが公社法の現状でありますが、これについて、いろんな考え方があるわけです。  御承知と思いますが、例の公共企業体、審議会の答申では、「国家公務員及び民間事業の従業者」これが落ちているのです。公務員の給与に準じて、と、こうある、こういう考え方も確かにあると思うのですか、私はやはり、現行の公社法のこの精神の方がいいだろう、国家公務員に準ずるだけではなくて、「民間事業の従業者の給与」、これも入っている方がよろしい、だから、現行法律の方か私はいいじゃないかということをちょっと申し上げたつもりでおったのですが、まあ私の考えは、そういうつもりでありまして、ただそのかわり、こういうことの、今申し上げましたような公企体のような、審議会のような考え方もありますので、そのためには、こういう民間事業の従業者の給与という言葉を残していくためには、われわれの方の従業員は、民間事業に負けない能率を出しておる、こういうやはり実績と誇りと、こういうものを今後とも大いに持ってもらわないかん、そういうことを前提にした、やはり現行法の建前が、私はいいだろう、決して、公務員に準ずるというだけでいっては、われわれの公共企業体の生れた、ほんとうの意味はないという意味で、私は二項の解釈を申し上げたつもりでおります。ちょっと言葉が足りませんで、非常に恐縮いたします。  なお、ベース・アップの問題につきましては、その意味で、これは三十条かベースの問題だろうと思います。ベースの問題につきましては、やはり今後ともうんと能率を上げていって、確かに世論のどなたが見られても、電電公社の従業員は、非常によく働いて能率があんなに上っておるのに、もっと給与が上るべきではないか、これが、もう世論の皆さんの意見になってくることを私は心から期待いたしております。また私も、そういうようなことにたるように、今後ほんとうに従業員と一緒に努力していきたいと、こう思っております。必ずしも私は、正直に申し上げまして、現在のわれわれの電々公社の給与について、あなたは、確かにそう言っておられますが、全部の世論が、そういう声にまで結集するまで、まだいってないのではないかということをおそれるわけです。  なお、それから今の調停委員会が、ベース・アップの要求に対して、われわれが応じ得られない点につきましては、ただいまの従業員の、組合からの要求につきまして、ああいう要求をいれるといたしますならば、約五十億円の財源が要るわけでありますが、とても、そういう要望に応じかねる状況であります。のみならず先ほども申し上げましたように、現在は、必ずしもベース・アップの状況に適しておらないと私ども認めております。物価そのほかの経済情勢からして、そう私は考えております。この点は、いろいろ意見の相違もあるかと思いますか、現在は、その時期ではないと私は考えております。  なお業績手当の点につきましては、各公企体の特性によって、相当の差異が認められておりますか、これは成績のいかんによって、相当の差異が今後ともあっていいように考えております。
  63. 鈴木強

    ○鈴木強君 時間がないので、非常に大事な問題で、もう一つ。  それは、副総裁が時期でないということをはっきり言うから、僕は言うんですよ。  片方では、世論を作るとか、従業員がよくやっているということを言っておられる。矛盾じゃないですか。世論を作るのはだれですか。電気通信事業をほんとうに理解しているのはだれですか。私は十八万従業員と、それから国会における衆参両院の逓信委員の諸君を中心として理解をした人たちがおりますよ。そういう人たちがおりますよ。そういう人たちが一生懸命で現行の公社の経営実態を話して、そうして、われわれが一生懸命公社法を作ったときの精神からして、非常におかしくなっているということをあらゆる機会に言っているわけです。そういうことをあなたは認めておるんですね。世論を作るのはあなた黙っておれば出てきませんよ、やはり事業の実態を認識しなければ。冷房があるからぜいたくだといようなことで、一般的な観念になってしまう。  もっと副総裁に望みたいことはそういうことでなしに、今日、それでは三公社の中で、給与総額が全体に占めるパーセンテージがどうなっているか、これもよく御存じでしょう。それから六百三十九億という自己資金を作る、そのこと自体も、電話の利用者から見ると引けないという苦情と、現状のサービスか悪いということと二つあると思うのです。しかしながら結局、その自己資金に頼られて、二十万、二十五万、三十五万と電話がふえていく。結局利潤三百数億というものが、資本勘定に入ってくる。そうすると、料金は高いんじゃないですか。私は、そんなに三百億も四百億にも近い利潤をあげているならば、もっと架設されている人たちにサービスをよくすべきだと思う。そういうことに金を使うならいざ知らず、純然たる設備投資として金を使うというのは、もってのほかです。電話の料金は高いと私は思うので、そうなると、もっと、高いなら安くしてやって、その中で、政府にも協力していただいて、新しくつける電話は、半分くらいはつけてあげましょう、しかし半分くらいは、政府から資金を出してもらってつけないことにはやり切れないと思う。  そういう、やはり言われることと、実際やっていることとの間に、重大な私は意見の食い違いがあることが……これはまあ公労委でやられたことですから、私は、別にどうこうというわけではないんですが、しかし心がまえとして経営者が、そういう何といいますか、一般的な情勢から見て、賃上げすべき時期でないということを考えて、そうして第二次五カ年計画に、さらに協力してもらいたいということはナンセンスですよ。  これはそういう点について一応きょうは伺っておいて、時間がないから、次に私は質問を継続したいと思います。
  64. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 先ほども申し上げましたように、従業員の生活の向上ということについては、われわれも心から希望いたしておるわけであります。  しかしこの従業員の給与のベースというものについては、やはり世論の納得のもとにいけるという私は推進でなくちゃならぬと考えております。なお料金の問題について、お客さんに対するサービスという点から、今の料金が高いんじゃないかという点のおしかりを受けましたが、御承知のように前回の料金値上げのときに、この料金値上げをするゆえんというものから、われわれの拡張いたしておる、あるいは拡張整備の計画でありますが、来年度八百五十億、その中を、およそ分けて参りますというと、約七割というものが、現在のお客さんのサービス同上に充てられる資金になっております。  御承知のように即時通話あるいは改式――磁石化、自動共電、あるいは共電から自動というような改式のサービスあるいは即時のサービスあるいは通話速度を上げるというようなサービスの向上に充てられるものか約七割あるのでありまして、そういうような意味におきまして、また効用面におきましても、加入者がふえるということは、現在のお客さんに対しても、確かに利用価値が増すというような意味で、この料金の収入から上るものが、拡張財源に充てられるということは、必ずしも不当じゃないということで、前回の料金値上げは認められたわけであります。先生のお話も一説ではありますが、そういうような意味で料金が値上げを認められたわけでありまして、私どもといたしましては現在の料金必ずしも高いものとは存じておりません。  なおしかし、今後ともサービスの向上、その他については、努力してゆくし、また従業員の生活の向上についても、できるだけ努力してゆきたい、こう考えております。
  65. 手島栄

    委員長手島栄君) 他に御発言もなければ、本調査事件についての質疑は、本日のところ、この程度にとどめておきます。  それでは、一時まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十六分開会
  66. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまから再開いたします。  これより放送法の一部を改正する法律案について、参考人の方々から御意見を承わることといたします。  本日御出席参考人の方々は、日本放送連合会専務理事高田元三郎君、日本大学教授の金丸重嶺君、評論家の御手洗辰雄君、朝日新聞論説副主幹の熊木良忠君の方々でございます。  委員会を代表いたしまして、参考人の各位にごあいさつ申し上げます。本日は、御多忙中にもかかわりませず、わざわざ本委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。本法案につきまして、何とぞ御忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じますが、審議の都合上、参考人の方々の御発言の時間は、おのおの二十分間程度でお願いいたすことにいたしまして、全部の参考人の方々の御発言が終りましてから、委員側から御質疑を行うことといたします。  それでは、これから順次御意見を承わりたいと存じます。まず、高田元三郎君にお願いいたします。
  67. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) 私は、ごく簡単に一応の所見を申し述べまして、あとは皆様の御質問に応じてお答えするというようにいたしたいと思っております。端的に申し上げますが、私はこの放送法の一部を改正する法律案に、大体において賛成するものであります。  第一に、現行放送法は、申し上げるまでもなく、昭和二十五年に制定されたものであります。NHKと民間放送とが、今日のごとく、二本建になって全国にラジオ、テレビ放送網をしいて、電波による強力なるマスコミを行うというような、発達した段階以前のものでありまするから、この事態に即応する改正は、たとえ部分的、暫定的でありまして、必要だと思うからであります。  第二に、言論表現の自由を規制、束縛する法規は、なるべくない方がいいことは申し上げるまでもありません。しかし放送の公共性、ことに電波という公共のものを、委託を受けて、あるいは免許によって使用する放送事業の性質を考えますると、必要妥当な規制を受けるといういとは、これはやむを得ないことだと思うのであります。特に電波のマスコミの威力か今日のごとく強大なものとなりまして、その国民に与える影響力はまことに甚大なものかあって、これを善用すれば教育教養の場ともなるが、これを悪用すれば犯罪の示唆を与えるものとなる、こういうようなことを考えますれば、何らかの規制はむしろ必要だと思うのであります。ただこの規制は必要な最小限にとどめて、あとは事業者の自主的規制に待つということにしなければならぬと思うのであります。今側の改正は努めてこの趣旨を取り入れたものと見られるからであります。ことに今回の改正案が昨年の春国会に提出されましてから、各方面の要望を取り入れて、幾つかの修正がされておる点なども、私どもは好感が持てると思っております。たとえば第四十九条の二の、郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、協会に対しその事業の報告をさせることができる、こういうような条項のごときは、業務報告に名をかりて、放送番組の内容あるいはその他に不当の干渉をするおそれが必ずしもなきにしもあらず、こういうような危惧を感じさせるものでありましたが、報告を求めるというのを、資料の提供を求めると修正した点などはその一例であります。これでどれだけ干渉の危険性がなくなったかはわかりませんが、ともかくそういう危険をできるだけ少くするという意図と努力がはっきりくみ取れることは確かだ思うのであります。その他放送内容についての事後措置期間あるいは一般放送事業の事業者の番組審議会の共同設置を認めた点など、いずれも当事者の要望をある程度取り入れた修正として、好感を持つものであります。  次に、私は改正案に関連して二つの希望を申し上げたいと思います。一つは改正案の趣旨が最小限の必要な規制であって、なるべく放送事業者の自主的規制にゆだねるとういことはよくうかがえるのでありますが、これが運用に当りましては、この立法当時の意思を十分尊重して、くれぐれも言論表現の自由の不当の干渉とならぬよう、十分の配慮をしていただきたいということであります。自主的規制だけでは十分でない場合もありましょう。ことにNHKと民間放送か全国的に併立し、しかも、ある地方におきましては同一区域内に幾つかの放送局か存在することになりますると、不当の競争が行われる結果、番組内容が重復したり、低俗になったり、また好ましからぬ番組がふえたりする危険があるかもしれません。しかし、これが社会的な問題になる場合には、世論の批判、反撃を受けて、そこに自主的規制か適当に行われることは期待して差しつかえないと思うのであります。現に最近のテレビ番組におきまして、チャンバラや殺しの場面が多くて、青少年に与える影響が懸念されて参りましたが、世論の批判を受けて自粛自制がすでに行われてきたのが今日の実情であります。ただこの自主規制は今日以上にもっと十分にやるというような工合にすることは、あくまで必要だというふうに考えております。御審議の過程におきましても、この自主的規制が奨励され、十分効果を上げるようになるよう、御配慮を願いたいと存じます。  第二は放送法の根本的の改正についてであります。今回の改正は暫定的なものであって、NHKと民間放送の二本建の現状に一応即した改正でありまするが、この二本建の放送事業が互いに提携協力して、わが国の放送文化の向上発展に寄与できるようにするためには、さらに新たな努力が必要だと思います。私ども放送連合会もこれにできるだけの努力をするつもりでありまするが、この現状及びいよいよ発展する将来に適用するためには、どうしても放送法の根本的改正が必要だと思うのであります。これには複雑な問題もあり、慎重な考慮を必要とするものも多いのでありまするが、一日も早くこの根本的改正ができまして、協力態勢が確立されるように、有力なる各位の御尽力を切に願いたいと存じます。  これで私の陳述は一応終らしていただきたいと思います。
  68. 手島栄

    委員長手島栄君) 次に、金丸重嶺君にお願いいたします。
  69. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) 私は放送法の一部を改正する主要点が番組編成の向上にあると、こう考えまして、その点におきまして今回の改正につきまして賛成の意見を持つ一人でございます。放送か今日の大衆伝達の方法の最も強力な手段として広く浸透いたしておりますことは申すまでもないことでございます。文字を通じまして伝えますことは、多分に理性的な判断を通しまして解釈というものが行われるものでありますが、直接耳から受けるもの、特に視覚を通じまして受け取られるものは、感覚的な受け入れ方でございます。感覚は直接に解釈とか判断を通さなくてそれが強く影響されるだけに、この結果は、年齢層の差におきまして、また知的発達の程度に応じまして、その影響も非常に大きな力を持っておりますことは当然のことでございます。しかも受像機または受信機というものは各家庭にございまして、これらの受け取り方の異なるものが、同時にこれを児たり聞いたりいたしておるのが現状であります。ことにテレビジョンの普及というものは、その影響を一そう深めて参りました現状のように思われます。テレビジョンに現われますイメージは、非常に具体化されたものの現象として受け取られますだけに、その影響は一そう大きいということも当然なことでございます。  これらはもう今さら申すまでもないことでございますか。私が昨年から今年の正月にかけまして、欧州及びアメリカの芸術教育の視察とともに、放送関係の視察に参りました。その中でこれに関しますような一つの例を聞いたことがございます。これはボストン放送局WGBHのプロジェクト・マネジャーから実例として伺いましたことでございますか、ある家庭でおばあさんに子供かピストルを向けたという話がございます。ところがおばあさんは、これは芝居のまねであろうと思いまして笑っておりますと、子供は何気なしにそのピストルの引金を引いて、ほんとうに殺されてしまった。この事件が昨年の十月のことでございます。テレビの影響であるというので、非常に問題になったというのでございます。おばあさんはピストルを向けられましても、それを芝居と理解する、子供はいつも殺される場面を見ていても、別にこれを何とも思わないので、そのまま受け入れまして、悪いことをしたとは思っていなかったということでありました。放送関係の番組についての慎重な考慮を必要とするという世論が強くなりまして、児童心理学者などを集めまして、番組上の問題につきまして、検討をした話を聞いたのであります。アメリカでもこの番組の内容につきましては、有識者のすべてが大きな問題として今日でも考えておるわけであります。  こういう例を申し上げるまでもなく、テレビジョンの放送から受けられますところの大きないろいろな影響というものは、ある年齢によって何らかの影響を与えないものも、またある年齢層においては非常な悪影響を与えるということがあるわけでございます。そういうような問題から考えましても、今回の改正に当りまして、国内放送の番組向上の適性化について重点をおかれましたことは、出然すぎるほど当然のことと考えられるのであります。この立場から第四十四条に、協会及び放送事業満が番組の麺別及び放送の対象とする者に応じて番組編集の基準を定めるということ、またその番組の基準を公表するということをお定めになることは適切なことであると考えられます。その根本におきましては適切なものと存じますか、ただこの条文中に一、二――私は法律の条文用語というものに対してはしろうとでございますので、あるいは間違っているかもしれませんが、一、二について多少意見を申し述べたいと思います。  それは第四十四条の一にございます「豊かで、かつ、よい」という言葉がございますが、この「豊かで、」という意味は非常に文学的な形容に満ちておりまして、大へん抽象的な表わし方であるような思われます。で、この意味は通念としてはわかるのでありますが、この内容につきましてはきわめて判断に幅の広さを感じまして、その判断に苦しむわけであります。またこの第三項にございます、公安及び善良な風俗を害しないことというのがございますが、この善良な風俗というものをいかなる範囲において解釈するかということはまた問題があるのではないかと思います。すべて法律は最小限度の問題につきまして押えるものであって、解釈の主観によって疑義を生ずるというものはなるべく避けていただきたい、こういうふうに考えるものであります。なぜならば、あまりに末梢的な問題にまで立ち入りますことは、勢い放送技術の上におきましても担当者を萎縮させますし、従って放送文化の発展をそこねることにもなる。またその結果、国民の興味から遊離するという現象を伴って参りますと、この有力なマスコミの媒体もまた意味のない形になってくるおそれがあると思います。またこれらの抽象的、かつ解釈の広い用語をもって規定いたしますことは、その運営に当りまして、ある場合は言論表現の自由を制約するところのおそれなきにしもあらずと考えるのであります。これは改正の御趣意の中にも見られますように、放送の自主性を確保するとありますが、この協会並びに一般放送事業者を通じまして、関係者の自律によって、こうしたことを適正化することが望ましいのであります。また別に番組の基準とか、あるいは番組の審議機関というものが設けられます以上、その機関及び基準において適正なる方法が講ぜられるのではないかと思考いたすものであります。  次に、第四十四条にございます教育番組の編集の問題でございます。申すまでなくこの教育放送というものは、今後に課せられました大きな問題でありまして、この適正なる運営は、大きな教育の上における発展を期待できるのでございますが、この中の条文に、この編集に当っては、組織的かつ継続的であることを必要とするというふうに規定されております。もちろん学校放送というようなものにおきましては、継続的であることの必要は当然でありますし、教育自体がやはり継続された中に行われることは当然のことでございますが、一方、成人教育などにおきましては、ある場合は、単一な番組の中に教育的内容を入れることによって、効果をあげる場合もあると存じます。特に、常に変化しつつある社会現象の中にありまして、教育的問題を取り上げる場合は、適宜に変化させる必要があると思います。アメリカの教育放送も、主として組織的かつ継続的なものがその主眼とはなっておりますか、山には、組織的ではあるが継続的でないものもございます。そこで、私はこの条文の中に、継続的であるというこの規定を入れることにつきまして一応の疑義を感じた次第でございます。  他の、協会の組織運営の問題につきましては、私たち門外漢でございます。すべて番組編成上、よりよい番細を作られるという趣旨においての改正と考えられますので、いくつかの、ただいま申し上げました問題を除きまして、この改正につきまして、私といたしましては同感の意を感じました次第でございます。  簡単でございますが、私の所見をこれで終ります。
  70. 手島栄

    委員長手島栄君) 次に、御手洗辰雄君にお願いいたします。
  71. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) 私は言論界の全く自由な立場におる一人として、所感を二、三申し上げます。  この放送法改正案を拝見いたしますと、現状を全面的に是認した上で、当面の必要な改正をお考えになっておる、そういう感じがするのであります。その限りにおいてはおおむね妥当で賛成する点が多いのでありますが、この改正案の前に一つ考えねばならぬことはないかということを考えます。  それは電波割当の根本の考え方が私は少し違っておるのであります。現在の電波放送の状況を見ますというと、先にできましたNHKというものをすべて既成事実として、これにまず必要な電波を割当てていく、ラジオ、テレビともに割当てていく、そしてその余ったものを民間放送に分配しておる、そういう感じがいたすのであります。これはNHKがすでに三十年の歴史を持ち、今日までの業績から見まして、今のところいたし方ないかもしれませんけれども、民間放送がわずか十年の歴史を持ってこれまで発展して参りました状況を考えれば、もはやこの辺で考え直すべき時期ではないか。と申します意味は、NHKは公共放送でありますから、その立場として一つ考えてもらう。一般の放送については民間放送を主体にすべきではないか。電波の割当はその立場から一つ再検討をする時期にきておるように私どもには考えられます。今日NHKのラジオにおきましては、第一放送、第二放送の電波が割当てられておる。これが全国幾十の地方NHK放送局となり、テレビにおきましては普通のテレビ、それに今度は教育テレビの電波が配付されておりますが、テレビの場合は別といたしまして、ラジオの場合にこれほど多くの電波をNHKに編重する必要があるかどうか。これは今日の民間放送の発展から考えますれば、もはや娯楽、報道あるいはその他の一般教養におきましても、民間放送に相当程度まかしていいのではないか。それが本筋のように言論、報道、表現の立場から考えるのであります。  そこでこれは私見として申し上げますが、ではNHKはどういう方向にいくべきが至当であるかと考えますというと、まず簡単に申しますれば、今日の第二放送を主とし、これに報道を加えていく、たの方向がNHKとしてとるべき方針ではないか。その他一般娯楽等においてはこれは民間にまかせるべきである。たとえば民間放送では実際にはスポンサーの関係等でやることの困難な長い演劇――三時間、四時間というような長い芝居などを完全に放送する、あるいはまた一時間、二時間かかるような大きな音楽なども、これも民間放送で完全放送をやれといっても不可能でありますから、こういうようなものは当然NHKの領分ではないか。国民はそういうものを期待しておると思うのであります。あるいは講習会であるとか学術上の問題であるとかといったようなものは、これは当然NHKの放送が取り上げるべきでありますが、これらについて第二放送の現状を見ますというと、これまたすこぶる不完全である、こういうことを考えますと、第一、第二と分けないで、NHKは今日の第二放送的性格のものをもっと掘り下げて完全なものにしていく。それによって余る電波、浮く電波はこれを民間に配付して、民間の放送が他の方面においてもっと発達する方向に持っていく、これがもう考えられていい時期ではないか、これが私の第一に申し上げたい点であります。しかしこれは言うてもなかなか現状では行い得るものではありません。今日この委員会で申し上げたところで直ちに行われるとは思いませんけれども、一つこの委員会でお考えになるように、将来のため記憶にとめていただきたいと思うのです。  第二には、現状是認、今の電波の割当をこのままにして置いての改正案は、大体において私どもも賛成いたします。しかし二、三の点について希望を申し上げますというと、第一番に、NHK、民放を通じて、言論、表現の独立自由を守るために相当注意深い取扱いが行われている。これは非常にけっこうだと思います。たとえばNHKについて申しますと、その独立を尊重するために第二十七条で「会長は、経常委員会が任命する。」こういうような規定もあるようであります。これらはNHKに対して行政権が干渉することを防ぐ用意だと考えられますが、ただここで一つ御注意を喚起いたしたいと思いますことは、NHKの予算、決算、収支の問題につきましては、これを郵政大臣を経て国会の承認を得なければならないという規定のようでありますが、郵政大臣国会議員に対してNHKの予算決算について、これを議員に対して説明をしなければならぬのでありますが、NHKの収支の問題につきましては何の監督権もない。報告を求めることはできるようでありますが、内容について何ら監査することも、容喙することもできないわけであります。行政権がNHKの番組編成、言論、表現の自由に干渉することは、これはもうきびしく慎しまねばなりませんけれども、それと収支の問題とを区別して考えることはできないはずはないと思うのであります。この点につきまして、NHKにおいては経営委員会が監督するという仕組みになっておりますが、経営委員会の人々にしからばNHKの全収入の責任をまかせていいのであるかということになりますと、ここにも問題がありはしないかと、そう考えます。たとえて申しますれば、いよいよラジオの聴取料の十八円の引き上げが認められるようでありますが、この十八円の使途について私どもは相当な疑いを持つ者であります。どういう疑いかと申しますると、ラジオの発展充実のため、これが用いられるのであるか、あるいは新しく進歩しつつあるテレビのためにこれが用いられるのであるか、これは疑う余地があると思うのであります。もちろんNHKの予算等においては、これは全部ラジオに用いられるという説明をなさるに相違ありませんけれども、これらについて疑えば疑えないことはないのであります。もし私の疑いが少しでも事実といたしますならば、これは実にゆゆしいことであろうと思うのであります。申すまでもなく遠い将来はとにかく、現在及び近い将来においてテレビを設置し得る人は相当な高い収入を持っている者でなければ、これはできません。この高い収入の人々に対するサービスのために低い収入の人々、それらの方面からの聴取料を現在三カ月二百円から一カ月八十五円に上げる。十八円を増徴する。その十八円の一部でもテレビの方にもし使用されるとしますと、これはけしからぬ話です。これは私の猜疑かもしれません。そういう疑いを持つ者であります。これは一例であります。そういう点から考えましても、こういうものは、衆参両院の逓信委員会で詳細お調べになることと思いますが、その場合だれが責任者になるのであるか、郵政大臣はおそらくこの委員会に出て参りまして、皆さんからいろいろ究明されることと思いますが、これに対してその責任は負いながら、これに対して何ら監査の力を持たないという点は、私どもちょっと了解しにくい。これは言論、表現の自由とは別であろうと思います。こういう点についてどうもこの放送法の改正の内容について私ども多少の心配を持ちます。でき得れば、監事三人以内あるいは三人の監事の任命について経営委員会郵政大臣の同意をもって任命するというような規定ができるといたしますならば、郵政大臣としても相当なこれは安心がいくのではないか、両院における委員会に出て参りましても、おのずから自信もできて参るのではないかとそう思います。この点においてこの放送法第四十条における収支に関する国会の承認の条項、これらに多少あいまいな点が残されておると思いまするので、私は言論報道の自由は尊重すべし、しかしながらNHKの財政についてはある程度の規制が必要ではないかとこう考えます。  次に、経営委員の人選、第十六条の第二項にあるのでありますが、全国から名地区を代表して八人の委員を選ぶ、そのほかに四人の人をそれにかかわらず選ぶ、こういう改正は非常に妥当だと思います。その場合にもしでき得ますならばこの四人の人選について、この法律にこれを規定するがいいか悪いかは別でありまするが、これは全国的な文化、教育あるいは労働、宗教あるいは科学といったような各方面の権威者を一つこの四人の人選の場合には考慮する、そういうようなことがこの十六条のどこかに入ることができまするならば、経営委員の人選が非常に妥当になるであろう、こういうことを考えます。もしでき得まするならば、そうせられてはどうかとこう考えます。  その次に、番組審査の問題でありますが、この解約の作成及び運営についてはずいぶん入念に自由を侵さないように、そうしてまた社会に害毒を流さないように用意されておることは非常に尊敬いたします。しかし番組審査委員会というものの今日までの状況から考えまして、これだけでそうりっぱな成績をあげ得るかというと、これはちょっと私には疑問に思われるのであります。一つでき得まするならば、この番組審査委員にもいわゆる識者といわれるような、この法律にあげられておるような人々のほかに、父母の代表といったようなものを一つ加えていただきたい。これはいかに今日のラジオ、テレビが効果があると同時に、その反面社会に害毒を流しておるかということはすでに知られたところであります。その見地から見まして、世の父母が特に最近急に発達しておりますテレビによる悪影響に困惑しておるかということを考えますれば、各審査委員会にはぜひそれぞれの地区における父母の代表を何らかの形で加えてもらいたい、これも一つの私の希望であります。  第二には、これにありませんけれども、審査委員会のほかに各放送局には常時、まあ一年に一回でけっこうでありますから、世論調査をやる、そしてその世論調査の結果を尊重する義務を加えていただきたいのであります。審査委員は特定の数人の人々で行われることであります。もちろん十分な検討をせられるでありましょうけれども、しかし人間でありますから偏せないとは限りません。そこで広い世論の反映を一つ求めて、その世論調査を各放送局の責任においてやるか、あるいは共同調査でやるかは別といたしまして、そういうものを毎年少くとも一回以上はやる、その結果を尊重させるという義務を一つ課していただきたい。これは決して言論、報道の自由を束縛するものではなく、むしろ世論に従ってこれを運営するという方向にいくので、言論機関としては望ましいことと思うのでお願いしたいと思うのであります。近ごろのこの状態を見ておりますと、NHKにおいてすらも相当ひどいものがあるようであります。先ほど高田さんからもお話がありましたように、殺人とか、いろいろ好ましくない放送、特にテレビの場合にはこれがひどいのであります。先般も「週刊朝日」の記者が土曜日、日曜日の二日間、テレビ三社の放送をずっと調べて見ますというと、二日間に七十二の殺人がテレビの映像に出てきた。私ども折々夜の番組を見ておりますけれども、一時間見ておりますと、二件、三件の殺人が必ず出て参ります。それも実にひどい、陰惨なのが出て参ります。こういうことは、映画の害毒は映画館に行かなければないが、家庭においてはスイッチを入れればすぐ出てくる。いかにこれが社会に害毒を流しているか。大へん悪いことばかり言うようでありますけれども、これらを考えますというと、父母の代表、世論調査による義務といったようなことがこの際権力によらざる義務的な、また自立的な方法としては適当であろうと考えるのであります。  それからNHKの研究機関、あるいは要員の養成というようなことが、この中に規定され、それが民間にも利用させるというようなことがありますが、さらに一歩を進めて、このNHKの諸機関――研究機関というようなものは、養成機関というようなものは、全国民の聴取料によってこれは成り立っておるものでありますから、その考えから見まして、第九条に、これらの研究や養成に民間の放送局も共同使用をする、あるいはまたその研究に民間機関から参加するというような道を開くことを一つできればここにお願いいたしたい。そのために必要であればNHKと民放各社との連合の常設委員会でも作るぐらいのことが一つこの際御考慮願えないか、そういうことになりますというと、民間の放送もずっと改善進歩するであろうとこう考えます。  最後に、一つぜひお願いいたしたいことは、これは局間放送における資本の構成と役員の構成であります。どういうことかと申しますると、近ごろのテレビの発達によりまして、民間放送の資本が非常に急速に増大しております。これに伴って、免れない現象かもしれませんけれども、新聞の資本が放送局に非常に巨大な率を占め始めております。と同時に、その放送局の人的構成、特に支配的人事において新聞社の支配力が非常な勢いでこれは増大しつつあります。これは非常に危険なことであろうと思うのであります。何が危険であるかといえば、いわゆる言論の独占化であります。これは中央の大新聞がごらんのごとく近来地方においおい進出いたしまして、単に販売網の拡張のみならず、地方において印刷を初め、大資本が地方の文化を侵すと言っては語弊がありますけれども、進出して、地方における言論の支配力というものはだんだん中央の大資本に屈しつつあります。一面において地方における新聞資本がラジオ、テレビの資本構成の中に大きな比率を占め、また、人事においても新聞社と兼職をやる、そのために地方における言論報道が一部の資本家あるいは悪く言えばボスの手に帰する傾向が著しいのであります。これは現実の事態であります。このことは三十一年だったと思いますが、だれの大臣の時代でありますか、村上郵政大臣の時代だったと思いますけれども、テレビの免許に当って、これについて通牒が出ていることを記憶しております。新聞社の資本は放送局の資本の十分の一をこえてはいけない、あるいは実際の責任者、支配者として新聞社と放送局とを兼務してはならない、こういうことが免許条項のたしか条件であったように記憶いたしますが、そのとき大部分の放送局はその通達に従って、新聞社の資本もそれほど大きくなく、また役職員につきましても遠慮して、当時新聞社の社長と放送会社の社長とを兼務しておったようなところは、大部分辞退して、それぞれ単独の経営者になっております。ところが、それをしなかった放送局もあるのであります。のみならず、最近の傾向では双方をかねるという傾向がまた著しくなりつつあります。この状態を放任しておきますと、中央地方を通じて申せば、中央新聞大資本の全国的な言論の一元的統制、権力によらざる金力による言論の統制、また地方的に申しますれば、それぞれの地方における少数の人々の金力による言論の独占化、一元化という傾向が今尻に現われつつあります。これは非常におそるべきことでありまして、権力による言論報道の統制、干渉ということがいけないと同様に、あるいはそれ以上かもしれない、個人による言論の一元化、統制、そういう傾向が今みえるのであります。これは今日において一つ厳重に戒めないと、十年も経てばこれは手がつけられなくなるのじゃないか、さように思います。ということは、中央における新聞大資本の地方進出の勢いが今非常に急である。これは言論の自由ため、また国民の自由を守るためにぜひともお考えおきを願いたいと思う。このことを、この法律の中でもし規制することが困難であるといたしまするならば、一つ本委員会において付帯決議でもしていただきたい、私の記憶では、これはたしか昭和三十一年のテレビの全国的認可のときの付帯条件であったように記憶いたします。違っているかもしれませんが……。そういうことがあったが、それが行われない。近来それが全然無視されつつある。この状態を私は言論人としておそるべぎ将来を予想いたしますから、ぜひ一つこの委員会においてこの法律にさようなことが加筆できるならば加筆していただきたいし、できないならば、せめて付帯決議として郵政大臣の認可の場合、あるいは免許の更新の場合に、そういうようなことを、言論の統制、独占化の起らないように一つ厳重な条件をつける、こういうことが望ましいのでありますが、この放送法改正の機会にこのことが行われないということは私は残念だと思います。  以上、私の所見を申し述べました。
  72. 手島栄

    委員長手島栄君) 熊本さんの御出席が少しおくれるようでございますから、ただいままでの御三人の方々について御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  73. 鈴木強

    ○鈴木強君 高田先生に一つお尋ねをいたしますが、先ほど先生の御意見の中に、今回の放送法改正に際して特に要望された中に、根本的に一つ改正をしたらどうか、こういう御意見があったように思うわけですが、前段に触れられておりますように、放送言論の自由はあくでまも守っていくというお考えを含んでのようですが、時間の関係でおそらく抽象的に根本的改正というようにおっしゃったと思うのですが、今先生のお考えになっている構想をお持ちでしたならば、この機会に承わりたいと思います。
  74. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) 根本的の改正につきましては、まだその必要を痛感しておるというだけでございまして、具体的にどういうような点について根本的の改正をするかというようなことまで深く検討はしておりませんが、ただ私が承知しておる限りにおきましては、すでに民間放送連盟等におきましては、おそらく再三当委員会にもその代表の方が出られて、民間放送側として、こういう点について一つ根本的に改正をしてくれというような要望があったのだろうと思うのであります。単に民間放送に限らず、そのほかにおきましても、現行法――これは暫定的の改正をいたしましても、まだ今日のNHKという公共放送と民間放送が二本建になっておる点につきまして、もう少し根本的の点に触れまして、たとえば私は民間放送連盟が要望しておる中に、放送内容とか、放送の番組の性格とかいうような点まで、公共放送といわゆる商業放送と二つに分けるというようなことをやるのは、はなはだ困難だろうと思うのでありますが、先ほど御手洗さんがここで述べられましたような工合に、おのずからやはり公共放送と商業放送の間には、性格と申しますか、ニュアンスと申しますか、そういう相違があるのじゃないか。必ずしもNHKが娯楽番組をやっちゃいかぬとか、そういうものは全部商業放送に譲ったらどうかという意見には私は賛成いたしませんで、やはり公共放送としての行き方は、少くとも先ほど御手洗さんが述べられたような方向に、一つ特色を出すという点にもう下段とはっきりしたことをやる必要があるのではないか、こういう点、放送法できめられるかどうか、私しろうとでわかりませんが、そういう点、つまり民放が要望しておるような、NHKと民放連と違った性格を持っておるという点を、もう少し放送法で区別してもらいたいというような点も、これは考えるべきじゃないか。それからたとえば先ほど御手洗さんが述べられた中にも、現存NHKでやっております技術研究所とか、いろいろその他の研究機関とかございますが、こういう点につきましても、民放連の方におきましては、これは一つ共同の機関にして、単にNHKの機関でなくして、独立した機関で、NHK、民法それぞれが一つこの恩恵にあずかれる、またその研究に関与できるようなふうにしてもらいたい。そういうような工合に何か放送法を改正をしてもらいたいというような点も盛り込んでおるように聞いておるのであります。まあこれになりますると、やはり受信料と申しまするか、その問題に関連がある問題だろうと思います。現在におきまして、受信料はNHKだけが徴収するということになっておりまするが、現実にはNHKは見もしないし聞きもしない、民間放送だけを聞いておるという人も相当あるのじゃないかと思うのであります。そういう場合には、やはり受信料の性格というものが一種の聴取税というような性格のものになりますれば、もっとはっきりしたことになるのじゃないか。従ってそういう場合には聴取料の大部分はNHKの経営に充てなければならぬが、一部は民間放送の発展とか、先ほど申しましたように、技術の研究というものを助成する、そういう方面に使用するということは、これは当然じゃないかと思います。そういったような受信料の問題とか、いろいろございましょうと思いますが、まだ詳しく内容に触れて、どういう点を改正したらよかろうかというようなことまで検討しておりませんが、ただ申し上げたいのは、繰り返しでございますが、NHKという公共放送と民間放送という商業放送が二本建になっておる別状に十分即応した改正をしていただきたい。ただいまのところ一応の改正には――一応即応したことになっておりますが、まだ私は不十分であろうと思うのであります。不十分でありますから、そういうような要望も起るのだろうと思います。その点を一つ御考慮を願いたい、さように考えております。
  75. 手島栄

    委員長手島栄君) それでは熊本良忠君の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  76. 熊本良忠

    参考人熊本良忠君) まず最初に、私の考え方を、結論を申し上げておきます。この改正案は現在の段階においてはまずまずというもので、特別に反対すべきものを含んでおらないと思います。その範囲での賛成だと御承知置き下さい。  現在の放送法が施行されましたのは昭和二十五年であります。それ以来民放のステーションの数が非常にふえておりますが、テレビ放送の普及も進んでおります。従って非常に情勢が変っております。現在の放送法のままではいけない。さらにこれから予想される問題といたしましては、テレビ放送のもう一段の普及、さらにカラー・テレビの放送開始、それに超短波の放送開始などいろいろな問題を控えておりまして、放送界の状態はこれからも非常な変化を呈することと思います。それならば今そういうあらゆる状態を想定した根本的な放送法あるいはその関係法の改正をしておいたらいいのではないかという考え方も、おそらく出ると思うのでありますが、これは現在差し迫った状態では、ちょっと間に合いそうもありません。それからまたNHKと民放またラジオ放送とテレビ放送、一般の放送と教育テレビの放送というような、それぞれの分野がどういうように落ちつくかというようなことも、ちょと現在では予想がつかないというのが正直なところでありましょう。それならば、こういう放送事業の将来の姿に対応する根本的な立法はそのときに譲ることにして、あるいはもっとはっきり申し上げるなら、その場合にはまた根本的な立法もあるものということを前提といたしまして、現在の情勢ではこの程度の改正は賛成していいのじゃないかと思います。  さて、個々の点について若干考えますことを申し上げておきたいと思います。今度の改正法で放送番組審査会というものの設置、これが最も大きな問題になっておりますが、これは実際はそれぞれの民間放送局でこれに似たものを作っておるのが実情であります。従ってこの点では特に法律をもって規定する必要があるかどうかは、これまた論議のあるところでありましょう。しかしながら法律でおきめになって悪いという理由もないと考えます。従ってこれは番組審査委員会、放送番組審議会というものをお作りになるということは必要であり、また法律でこれをおきめになっても差しつかえないと思います。  さて、この放送番組審議会というものができてからの機能でありますが、それについて若干希望しておきたい点は、まず第一に審議会の人選ということであります。これは大切であることは申し上げるまでもございません。それから今度は機能という点では、この改正法案でも放送番組の基準について諮問を受ける、それから編集の基本計画についても諮問を受ける、さらに番組の適正化のために必要と思われる場合には意見を述べることができる、そういうふうになっておりますがこの点は今の法案にあります範囲、つまり放送番組をきめるための原則の決定、それから番組が何らかの意味で行き過ぎをやっている場合の警告の範囲にとどめる、この放送番組審議会の正しいあり方ではないかと私は考えるのであります。なぜかと申しますと、この放送番組についての各個人の意見なり好みというものは、実にまちまちなものでありまして、ある人は浪花節放送がもっと多い方がいい、ある人はもっとジャズ放送が多い方がいい、それぞれ審議会の委員に選ばれた人が自分の好みに従って注文を出していたら、結局はこの放送事業者の番組編成の自主権というものが放送番組審議会のために侵される、また場合によっては、その特定の、あるいは若干の委員の方の好みのために、かえって放送番組が乱される、そういうこともなきにしもあらずと心配するのであります。この点は今度の改正案で全国の全部の放送事業者がこういう機関を作らなければいけないことになっておりますが、それが地方の小都市などになりますと、ことにそういう弊害が出てくる場合があるのじゃないかと思うのであります。と申しますのは、地方の小さな範囲で土地の有力者というような方が審議会の委員になられる。そうすると、諮問機関であり、また意見を述べる機関であるにしても、その委員会が非常に毎日の放送番組の上に口を差しはさむ、あるいは特定の人が好きな番組を差し込む、そんなこともないではないと心配するのであります。従ってこの番組審議会の機能は放送の基準をきめる、それから行き過ぎを演じた場合の注意をすること、そういう範囲に厳重に限った方がいいのじゃないかと思うのであります。  それから今の点に関連するのでありますが、今度の改正案で政府側は放送事業者の自主性を侵さないということを非常に強調しておられます。これは非常にけっこうなことで、ぜひそれを守っていただきたいと思うのであります。しかしながら幾ら自主性を尊重されても、肝心の放送事業者の方にこの機構をうまく運営できなければ、結局少しも放送番組の向上、適正化が実現しない。そういう事態も考えられますので、かりに政府の方で放送事業の自主性を完全に非難の余地がないまでに尊重されるとしたならば、放送事業者の方は十分に自主的に放送番組の向上、適正化に努力してもらいたいと希望いたします。この点では、まあ最近のテレビ放送のテレビ番組の中に殺人が多過ぎるとか、殺人の方法が実に具体的に簡単明瞭に示して見せる、そういう弊害も盛んに問題になっております。かりに一つの放送局がそれを自制しようとしても、いろいろの競争局がある場合にはできない場合もあるかと思われるのであります。ここは各放送局とも根本的にこの問題を考え直して、思い切った放送番組の適正化に努めてもらいたいと思うのであります。そこまで考えて参りますと、この番組審議会というものは、各放送局各事業者ごとに設ける、そういたしますと、極端な場合を想像いたしますと、まあ一つの土地に二つないし三つの放送局がある。どれかの放送局は殺人番組をやめたい、またもっと難度の高いものにしたいと思っても、競争相手の放送局が、それをやらないという場合には、かえってそれにつられてどうしても番組の向上ができないというふうなことも考えられます。そういたしますと、この番組審議会というものも、各放送会社または放送局ごとにあるのでは実はいけない場合もあるかもしれない。かと申しまして、それではこれを全部を総括した全国的なそういう番組審議会、または審議機関を設けたらいいかどうかということになりますと、これは政府による番組統制の道を開く危険もある。また相当に強い反対もある。またもう一つは、そういうものを作らなくても、現在のところでも、すでに相当に民放連なりまた、NHKなりが総括的な立場から番組の審査機関、批判の機構を持っております。当分はそれでやってみてもいいのではないか。ですから特に全部の放送番組を総括する機関、そういうものは当分の間しばらく放送番組の自粛に待って、それは必要がないだろうと私は考えております。それからこの改正案の他の点といたしまして、NHKの経営内容、経理内容などに改善、自律の道を講ぜられておりますが、これもけっこうなことと思います。ただ一つ気になりますのは、NHKの経営委員なり理事なりの人員が増員されておりますが、この増員されたところへほんとうに適任の人が入るかどうか。まあ遠慮なく申し上げれば、お役人の古手の割り込み場所になるのではないか、そういう心配も出て参ります。この点は十分に良心的な任命をされて、ほんとうに適任の方を入れる、そういうふうにやってもらいたいものであります。すべてこういう制度は人が中心でありまして、先ほどの放送番組審議会にいたしましてもNHKの新しい増強された陣容による経営の確立にいたしましても、まあ適材を得ること、適材を探し出すことに、放送事業の発展向上という純正な立場から努力される、そういうことを希望してこの法案改正に賛成していいかと考えております。  これで終ります。
  77. 手島栄

    委員長手島栄君) 御質疑願います。
  78. 鈴木強

    ○鈴木強君 御手洗先生にちょっとお尋ねいたしますが、先ほどの先生の御意見の中にNHKの予算、決算の問題について御意見がございました。特に今回十八円の聴取料の値上げを考えておる段階ですから、この放送料の使途については、国民が相当関心を持っていることは事実と思います。今おっしゃったように、放送料金の値上げですから、それが従ってテレビにこれを使うということについては、これは御意見通り全くおかしなことであるし、また、やってはいけないことと思います。そこで、今、NHKの予算それから決算については、当然国会にもこれが提案をされ、予算については郵政大臣意見書を付して委員会の承認を得て、国会の承認を得てやることになっております。また、決算の方も、会計検査院の承認を得てさらに国会が承認をしていく、こういうふうになっておりますので、その使途については、私は、少くともラジオの料金をテレビに使うということのないように、十分これは規制をしておるわけなんですから、ですから、先生のおっしゃったような御心配は私ないと思うのですが。ただ、御指摘の通り、具体的にかなり御意見があるようですから、もし御手洗先生のお気づきになった点で、現実にラジオの料金がテレビに使われておる、こういうようなことがございましたら御指摘いただきたいと思います。それが一つ。  もう一つ、先生の御意見で問題になりますのは、いつも私たちが言っております国際放送のことなんです。これは、今日民放ももちろん国際放送をやってはいかぬということはございませんが、現在、日本では国際放送はNHKが一つやっておるわけでありまして、しかも、これについては放送法の示すところによって政府が協会に命令をして、現在、十五方向・十五時間、この国際放送をやっておるわけですが、その費用が、三十四年度の予算を見ましても、約三億二千万円くらいかかっておるわけです。われわれは、三億二千万円の国際放送の料金を国内のラジオの聴取料から支弁することは、これはおかしい、そういう余裕があるならば、当然難聴地域の解消とか、あるいはもっと電力を上げるとか、国内のサービスをやることであって、外国放送にその金を使うことはまかりならぬ、こういう主張をしておるわけですが、現実に協会がやっております予算は三億二千万円、それに対して、放送法の示すところによって、外国放送は、命令したものについては政府は金を出さなければならない、こういう規定になっておるわけです。これは、すなわち先生の御指摘のように、国内の聴取者の料金によってこれをやることはいかぬという建前だと思うのです。ところが、政府が補助するのは九千四百万円、実際は三億二千万円、だいぶギャップがあるわけです。これは非常に私たちおかしなことだと思いまして、若干、この放送法の建前が協会独自の立場でおやりになることも解釈によってはやれるようになっておりますが、しかし、私は、原則的に国際放送というものは政府が命令をしてやらせる、従って、そのかかる金は幾らかかっても出すべきだ、こういう思想をとっておるわけですが、それが今日なかなか実現をしない。それは、明らかにラジオの受信料によって国際放送その他に使われておる。こういう事実がございますので、これは問題ちょっと関連がありますので、先生、御意見ありましたら、一つこの際お聞かせいただきたいと思うのです。
  79. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連事項で。私も、大体今の御質問と同様なことを考えていたのですが、概念の問題かわかりませんけれども、先刻御手洗さんのお説を承わっておりますと、法律上の規制を加える、すなわち、たとえば財政収支の問題については郵政大臣が監督権を掌握する、あるいは監査権を持つ、この方がより効率的であるというように拝聴いたしました。ところが、現行法では、御承知のように郵政大臣が協会の予算は提出されて、それで大臣意見書を付して国会に出す、その際に意見書がついておれば直接に協会側を国会に招致して、それで意見を徴することができると、こういうふうになっておるわけです。従いしまして、聴取料を税金化していけばおのずからその方法もまた変ってくると思うのです。しかし、じかに協会が聴取料を聴取者からとっておる今日において、政府すなわち行政機関を通じて、そういう措置を行うのがいいのか、あるいは国会といういわば国民の代表である機関が直接にそういうものに関知するのがよろしいのか、この点は概念の問題であろうかと思いますが、私どもは政権即行政機関、こういう見解にある限りにおいて、極力そういったような不当な行政機関――政府の介入、干渉を排除すべきである。現行法が、言論機関である日本放送協会に対して非常に控え目に、しかも民主的に財政収支の状態を掌握しておる、こういったように認識を持っております。従いまして、その点についての御手洗さんのもう一度御意見と、さらに加えて、非常に突拍子もない質問になるかもわかりませんが、官僚といってもピンからキリまであります。しかし、言論人である日本放送協会、それと官僚である郵政省の良識と善意は、どちらの方がより高度なものであるか。これはやはり、行政機関の中に存在している役人と、言論機関の中に存在する日本放送協会の、おのずから持っている何ものかが私は異なっていると思います。従って、私どもは、報道人と官僚、いずれを良心的に評価すべきか。この点非常にむずかしい概念論かもわかりませんが、これもあわせてお答えをいただければ幸いかと思います。
  80. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) 料金の使途の問題に私が一つの疑いを投げかけたこれは一つの例でありますが、実際やっておるかどうかというわけではないのであります。十八円の値上げをもって、ほんとうにラジオだけにそれが使われるのか。それともテレビは、ごらんの通りに非常な赤字の経営で、当分まだなかなかこれが黒字になるというのは容易なことではない。そういう点からこれは疑う一つの例であります。決してそれをやつておると私は言うわけではない。そういうようなことが他にもいろいろ疑惑を持たれる点があるのでありますから、そういうことを明らかにするために、郵政大臣が両院の委員会意見書を付してお出しになると申しましても、その場合に十分な自分に説明の自身があり得るかどうかということを考えますというと、事前に協会の収支の状況を明らかにしておくということが好ましいように思われるのであります。そのことは、言論の自由ということとはどうも私には関係がないように考えられます。そのことについては、この改正案にもずいぶん注意深く取り扱われておるのでありますから、その面から見て申すのではないので、これはやはり郵政大臣がまず最小限監事の任命ぐらいに同意権を持つということになりますれば、その運営内容、財政の状況に対して平素からつまびらかにすることができる、そういうことが安全で、国民に対しても親切ではないか。今の御質問の、両院が直接にNHKの予算、決算に対して審査し、それを民主的に把握しておるから、それでいいではないかというお話のようでありましたけれども、ごもっともでありますけれども、その以前に、郵政大臣がこの電波行政というものを担当しております責任者として、何らかの形で内容をつまびらかにしておくということがなぜ悪いか。その方がむしろいわゆる民主的にこういうものを運営する上においてもいいのではないか。  官僚と言論人とどちらかと言われますと、言論界の一人として私も御返答に困るのでありますけれども、(笑声)しかし、これはおのずから常識の判断に帰するところがあるだろうと思います。が、しかし、郵政大臣に私の申します最小限、監事の任命についての同意権ぐらいがあったところで、官僚がNHKの経営あるいは番組、言論の内容にまで干渉できるというような時節ではないようで、それよりはやはり平素からそういうことを明らかにしておく方がいいのではないか、こう私には考えられるのであります。  もう一度もとの話に戻りまして、国際放送の経費の問題をお話しでありましたが、お話しの通りに、私どもも平素から、これはちょっとNHKに対して気の毒ではないかと思いますこともありますが、しかして、これはこういうふうに私どもは解釈したらどうかと思います。対外的な放送の場合に、政府のやるというものと、自由な民間、あるいは今のNHKのような公共機関が自由にやるのと、どちらが信用があるか。報道、言論というようなものは信用がもとであります。信用がなければ、いかに詳細にりっぱなものをやりましても何にもならないのであります。政府の金でやっておるということになりますというと、外国の信用というものは、ゼロとは申しませんが、非常に落ちる。たとえば、ソ連の放送を世界各国がどういうふうに見ているか。これに対して、BBCとかABCあたりの放送に対する世界人の信用、これはまあ共産圏と非共産圏では違うかもしれませんけれども、おそらくBBCにいたしましても、ABCにいたしましても、これはそれぞれの国民のインタレストを反映いたしておることは明らかでありますし、やはり言論人としての自由な立場がある。そこにああいうふうな信用度があるのだろうと思います。しかし、これはやはり、NHKが犠牲を払うというように見えますけれども、あまり補助などをもらわないで、聴取料の範囲内でやることが望ましいのではなかろうか。そのことは、私のさきに申しましたラジオの料金増徴をテレビに使うのはけしからぬということと矛盾するようでありますけれども、しかし一般国民から徴収いたしますラジオ料金というものは、今日ではだんだん税金のようなことになりつつあるのでありまして、日本全体の利害のために全国民から集まります聴取料の一部を使うというようなことは、他の場合でも、たとえば外交機関、貿易機関というようなものにも税金が使われているのでありますから、そういうふうに考えるというと、三億が十億かかりましても、ラジオの聴取料のうちから日本の利害を代表する海外放送の費用を払うことは、まあNHKには少し気の毒かもしれませんけれども、差しつかえないのではないか。ただ、言論の対外的信用の面からいいますと、それが望ましいかどうか。むしろ九千万や一億の補助金はない方がいいのではないか。全然別の立場で、言論人の良識によってやっているといった方が信用度が高いと思うのであります。
  81. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ御意見はわかりましたが、ただ、われわれ、NHKの予算あるいは決算を国民の立場に立って承認し、あるいは内容を十分に検討しておる立場から申しますと、先生の御懸念のような、テレビの方面にラジオの金が流れていくと、こういうようなことがないように十分にわれわれは監視をしておりますし、そいう予算の組み方をしておりますが、これはもし具体的な例がないということになりますと、私は御安心をいただきたいと思うのであります。そういう仕組みになっておりますが、特に御手洗先生が発言をされましたので、何か具体的にお知りだったらと思いましてお尋ねをしたわけであります。  それからもう一つ、外国放送の面は、確かにこれは意見としていろいろ分れるわけでありますが、先生のおっしゃるような民間人の立場に立って国際放送をやっていくということも、これは一つの方法でございまして、今もその道は開けておりますが、今日まで日本の国際放送はNHKオンリーでやっておられるような状態でありまして、特に私は、この料金の使途についてとかく今問題があると思うのです。たとえば、テレビ、ラジオの二つを聞いている家庭からすると、ラジオを聴取する時間が非常に少い。そうすると、多少まけてくれないかという意見も端的にあると思うのです。ですから、やはり私は、国内放送の聴取料として聴取者からとるわけでありますから、その金を国際放送に使うということはちょっと矛盾を来たしておる。ですから、別に考えていただいて、民放がもっと充実されて、自力で国際放送をやっていくと、こういう形になりますといいのですが、今は中途半端な形でありまして、協会が政府の命令によって国際放送をやる道も開かれておる。現実には十五時間十五方向なんというのでは非常に少いと思うのでありますが、実際予算の面で、国内の聴取料をそうたくさん食って国際放送に回されると、これはおかしなことで、国の国策として、もちろん政府の信用度というものはいろいろあるでしょうが、とにかく公共企業体としてのNHKが政府の代弁者のような形になって今放送するようになっているわけですから、ですから私はやはり、国内料金を徴収したもので二億幾らも国際放送に使っていくということになりますと、国内の受信者からすると相当不満があるのではないか。当然税金の中からそういうものは出して、日本国の国際親善なり貿易なり、いろいろな面に寄与する立場に立って国際放送がやられるのですから、そういう気持を持っておるのですが、これは意見の対立するところですから、先生の意見としては承わりまして了承いたしましたが、どうぞ前段のことは、われわれ十分やっているつもりでございますから、ラジオ、テレビ、別に会計を編成されておりまして、問題ないと思います。
  82. 森中守義

    森中守義君 大へんどうも最初まわりくどい表現になりましたが、要するに財政収入の権限について、大臣に持たせるかどうかという非常に大きな問題ですが、在来、私どもがしばしば協会予算を審議する過程の中で、あの常時協会の業務調査の中で、具体的にいろいろな郵政省対協会との関係を了知しているのです。つまり現行法で、こういうように控え目な法律であるのにかかわらず、郵政省はどんどん介入、干渉していくきらいがたぶんにある、これはもう事実問題としてあります。しかも言論には、直接そういう財政収支の問題は関係はないのではないか、こういう御意見のようですけれども、やはりそれも一応、時によっては必ずしも私どもはそう割り切れないと、こういう気持があります。何となれば、それじゃ言うことを聞かなければ財政投融資しないということで、人をほうり込んでみたり、あるいはいろいろな業務上に制約を加えたり、それが現行法では許されている――許されてはいないが、ある行政行為として、協会に対してつまり上位に立つ監督官庁という立場で、いろいろなことが行われやすい状態に私はあると思う。それを大っぴらに法律上監査権を郵政大臣が保持するとか、あるいはまた予算の裁量権を郵政大臣が保持する、こういうことになると、今まで私どもが控え目に協会の自主性を尊重して、いやしくも言論報道の抑圧、抑制にならないようにという、現行法による放送法の精神というものがくずれていく、こういうことが今まで幾つかの事例の中に私どもは見てきておる。従って、やはり戦後における放送法の制定以降一貫して流れている、協会に対する、つまり言論機関に対する国の措置としては一番正しいのじゃないか、こう思っておるのでございますが、それであまり法律上大ぴらにワクをはずして、権限を郵政大臣に保持させるということは、さなきだに行き過ぎが起りがちな状態の中に、正々堂々とそういう行為を行わしめるような結果になりはしないか、こういう危惧の念を持っておるものですから、ことさらに御意見に反論みたいなことで大へん恐縮でありますが、ちょっと意見を申し上げます。
  83. 山田節男

    ○山田節男君 これは主として私御手洗さん、それから朝日新聞の熊本さんの御意見を聞きたいのですが、他の高田、金丸両氏にもお伺いしたいと思うのですが、この今、民間の放送、特にラジオ、テレビジョンが今春以来非常にふえた。ことに民間放送界ではラジオ、それからテレビが論説を持つべきだ、論説ですね、いわゆるリーディング・アーティクル、そういう意見があるわけです。これは御承知のように放送法の第一条で放送自由の、放送における表現の自由というものは不偏不党でなくちゃいかぬから、こういう憲法があるわけですね。これは御承知のように戦後においての新聞はさほどでもありませんが、しかし戦前におきまして数多くの新聞があって、その新聞によってある一つの政治的あるいは社会的な事実に対する主張が相当、これはニュアンスのみならず、イデオロギーによっても違うという例がある。ラジオ、テレビにおいても論説を持つべしと、こういうような意見に対してどういうようなお考えをお持ちか、それを一つ承わりたい。
  84. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) ラジオ、テレビにも新聞のようなその社の独自の主張を持てという議論があるというお話でありますが、私どももそういうことを折り折り耳にいたしますが、これはどうも危険なことではないか。新聞のようなあるいは雑誌のようなものは、これは全然自由に企業できるものでありますが、紙と活字があれば、だれでもできるのでありますが、電波はこれは国民の共有物でありまして、使用の限度がある。その国民の共有物を使って一部の人が自分の主張を宣伝するというようなことに使いますというと、これは非常に危険なことが起る。先ほど私が最後に申し上げましたこの言論独占一元化の危険が、すでにその芽を出しつつあるということを申し上げたのも、それに関連しておるのであります。そういうようなことが今の状態で進んで参りますというと、私は単に杞憂に終らないのじゃないか。もっと極端なことを申しますというと、地方放送局の中には、今日新しい資本を集めて経営に乗り出しておりますけれども、ラジオの場合には大体黒字経営を続けてきておりました。けれども、テレビとなりますというと、どうなるかわからない、あるいは長い赤字経営にならぬとも限らないと思う。また番組の編成、制作等に非常な費用を要しますから、そういうような場合には、当然系列化の問題が起きて参ります。それに引き続いてスポンサーの争奪戦、それから資本の合併というようなことも起るかもしれない。多分そういう時期がきやしないかと私は心配いたします。それと今あなたの御指摘になりましたこととあわせて考えますというと、金力による言論統制といいますか、独占化ということが、これは私は非常な心配を持つのであります。  従いまして、今お話のようなことが起らないためにも、それは主張をしたければ勝手にしてよろしいが、国民の共有物で限られた電波を、一部の人がそれを自由自在に駆使して勝手な言論をやるということは、これは危険だと思います。そういうことから考えますというと、この放送法の改正の機会に、もし法律の案文の中に私の申すような規制が困難といたしまするならば、せめて郵政大臣がかつて認可、免許の条件として与えられ、しかもそれが全然今日無視されておる状態をお考え合せになりまして、国会の権威において付帯決議でもおつけになり、郵政大臣は後顧の憂いなく、強い態度で民間各放送局にこれを規制するというか強制して、そうして金力による言論の一元化とか独占化というようなことを防いでいただきたいということを私は切にお願いするわけでございます。
  85. 熊本良忠

    参考人熊本良忠君) ただいまお話にありました不偏不党という意味ですが、私どもも分野は違いますが、ラジオ、テレビと分野は違いますが、やはり新聞関係の仕事に従事しまして、いつもその問題を考えるわけです。私は私なりにこういうふうに考えておるのですが、不偏不党というのは無色透明、いつも何もないということではない。ただ、そのものを考え態度、判断する態度が、あらかじめ何かによってきめられていない。それは皆さん方の場合には政党、あるいはまた政党に属しない人ならば、自分は何々主義の信奉者だと、そういう立場があると思いますが、新聞の場合の不偏不党とは、あらかじめある態度を拘束されていない。問題によって、古い言葉でありますが、是々非々の判断を下す。場合によっては政府に賛成し、場合によっては野党に賛成する、それでいいのだと考えております。  さて、それではそういう立場での論説、今言われております論説なるものをラジオ、テレビも持っていいかどうかということになりますが、その場合に私が考えておりますが、今民放などで論説といい、あるいは論説のスタッフを持ちたいといっているところがあると思いますが、それはある程度まで比喩の意味でいっておるので、私どもが新聞で論説といい、雑誌の巻頭論文でいう論説というのと同じ意味のものにまではなっていないと思うのです。逆の方から御説明申し上げますと、普通のあるできごとをNHKなり何なりが特集番組として報道する場合にも、場合によっては非常に、明らかに露骨なまでにある特定の判断に導くような構成がなされている場合がずいぶんありますが、せいぜいのところそれに準ずる程度のものだろう、それ以上を越えたならば――あるいはその程度も私は限度があると思います。それはなぜかと申しますと、新聞などの場合には、とにかくきめられた百数十行の範囲であらゆる点を考慮し、そして反対者にも一応納得してもらえると思うことを網羅しなければいけないわけでありますが、ラジオ、テレビで、大ていは五分ないし十分の短時間でいろいろな写真も入れ、いろいろな添え物を入れて論じる場合には、結論がそのままになまのままに出てくる。それをいつもやっていることは、確かに御手洗さんが言われたように非常に危険です。ですからまあ論説という、今民放が論説を自分の社の論説と言っているのは、大ていは若干比喩の意味で、ほんとうの意味の論説にはなっていない。それからまた、それがほんとうの意味の論説にいくのには、もっと放送時間に時間をかけなければいけない。また材料の緻密さ、議論の緻密さを必要とする。ですから、おのずからそこに限界があるので、それを飛び越えて結論をなまで出す、あるいはその結論に都合がいい情景なり材料なりを並べて、そしてそのままに何かの結論を押しつける、これはやはり危険がある。それは放送番組を編集する人が、その自分の判断なり何なりに責任を持ち、そして今度基準ができますが、そういうものに忠実であれば、その限界はおのずから分れるのじゃないか。私はそれを越えて、どこかの社が始終非常に露骨に、簡単直截に、何々に解すべし、何々に実行すべし、そういうふうな論説または論説的番組を出しておるなら、やはりそれはおのずから世論の批判が起り、またそれをチェックする力が出てくるでありましょうし、また出てくべきだと考えます。
  86. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) 私もやはり前の二人の方と同意見ですが、どうも放送に論説があってはいかぬということは言えないと思うのですが、まあしかし、やはり放送の性質から考えて望ましいことじゃない、やるにしてもなかなかむずかしいと思います。下手をやったら非常な危険があって、やはり放送法や何かで放送に期待をしているような、番組について期待しているようなものを逸脱するおそれが多分にあるだろう。そういう点から非常に望ましくないというふうには考えております。
  87. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) 私も今三人の方がおっしゃられたように同感でございまして、先ほど私が申し述べましたように、放送という耳と目から入りますものの特質から参りまして、論説というものはなまで出されるおそれが多うございます。きわめて短かい時間になまで出された、結論を出された問題が、いかにいろいろの意味において影響を与えるかということについて危険を感ずるものでございます。ことに、民放の形態がいろいろとその資本形態の中から独占的な傾向が現われているということを前提にして考えてみましても、この問題については慎重な考慮が必要だろうと、こう考えております。
  88. 山田節男

    ○山田節男君 大体皆さんの御意見わかりましたが、ことに私、テレビで――まあラジオもそうですけれども、ことに国会のテレビ放送なりの場合ですね、たとえば予算委員会において岸総理その他の閣僚に対する野党、与党の質問の状況です。これを全部テレビに出すわけじゃないので、きわめて部分的のものを出すが、そのカットする工合によって、ことに政党人としまして非常に不公平がある。国民に与える影響が、たとえば社会党と自民党の両派の代表がやって、演出されたテレビに出ただけを見ますと、どうも自民党が優勢で、自民党が正しくて野党が無理言っているのじゃないかと――ラジオの場合にもそういうようなことがあるのですね。ですから、それは全面的にやっていればわかるけれども、カットしてやる、編集するときに。そういうようなことで、非常に不偏不党じゃなく、意識的に妙な結果を及ぼすことは、これは従来しばしばあるわけです。私は、ラジオにしてもテレビにしても、いわゆる論説ですね、そのときのトピックに対しての適当な解説、これは不偏不党、事実を述べるのですから、解説ですから問題がないが、どうもニュースの場合は、やはりその編集のやり方によって、ニュアンスというものにおいて非常に与党に有利であって野党に不利だと、こういうような例がしばしばあるわけです、ここらあたりを、一つの番組審議機関でどういふうに規制するか、何か方法はないかと、私は、この改正案を政府が出してからいろいろ考えてみたのですが、どうもそこまで規制を加えるということは事実上不可能だし、幸い、法律上一カ月間はテープなりを保存しなければならない、こういうことになっているのでその責任を追求できますから、たとえば御手洗さんとか山浦貫一さんのように、論説というよりも時事の解説に非常に公平な観察をするという点でお書きになったものを見ると、この程度のものが果してそれじゃあ不偏不党であるかということにつきましては、いろいろ見方によって、その立場によって解釈するわけです。ですから、今の論説ということにつきましての四人の方の御意見は大体まあ一致していると、こう思うのですけれども、ニュースということについて、あなたたちが政党人以外として、そういうニュースの欠点というようなものをお感じになったことはないでしょうか。これはどなたでもよろしゅうございますが、御手洗先生どうですか。
  89. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) どうも長い間のことでありますから、お話のように、社会党に不利なような場合もあり、自民党に不利なような場合もあると思うのでありますが、これは、私も新聞を長くやりました経験から、ラジオのニュースも扱い、編集者の心理状態を推測いたしますと、これは、自分がラジオの編集をやったことはございませんから推測でありますが、非常に混雑した場合、長いものを整理いたしますのには、なかなかそう第三者が見るようなわけには参らないと思います。どうしても一番興味のある、全体としてはクライマックスのところをつかんでいく。ことに、ラジオやテレビのような短かい時間にやるものは、そういうことになると思います。そうしますというと、その場合に損をすることもあるであろう。それからもう一つの問題は、どうも新聞記事でもそうでありますが、最初の部分に力が入るようであります。あとの方が重要であっても、カットされるということが多い。これはラジオやテレビのような場合に非常に免れないと、私は見ておってそういうふうに感じるのであります。その結果として、御指摘のようなことがしばしば起るであろう。しかし、編集者は、故意に自民党に不利なように、社会党に不利なようにということは、容易にそれはやれることではありませんし、かりにあるといたしましても、たちまち局内においてこれは問題になり、大衆からの投書も参りましょうし、あるいは新聞や雑誌の批評などでもしかられますから、そういうことは永続するものではないと思います。やはりこれは世論の力でやっていく、そういう見地から、私は番組審議委員会のほかに、世論調査を各放送局に義務化してはいかがであろうか。その世論調査を義務化して、その結果はどうであろうかということになりまずれば、各方面の意見が集約され、だんだん是正される一つの方法だろうと思うのであります。
  90. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 参考人の方から詳しく公述をしていただきましたし、質問に対してお答えもいただきましたので、私からはただ一、二の問題につきまして、きわめて実際的な問題としてお尋ねをして御意見を伺いたいと思います。  一つは、先ほど熊本さんのおっしゃったことに関連する問題で、これは一つ熊本さんと高田さんからお答えいただきたいと思いますが、それはちょっとお触れになったのですが、番組審議会を作ることはけっこうである。しかし地方の小さな局に参りますと、実際上いわゆる営業政策に押されてしまって、局と局との競争上とかということで、結局ラジオにしろテレビにしろ、自分の局のダイヤルにダイヤルを回してくれないと、これは商業放送としては意味をなさないですから、何とかしてダイヤルを回させようという努力をするわけでありますね。従って常業政策上いろいろな問題が起るであろうが、この際は各放送局の放送事業者の作る番組審議会へ一応まかすべきで、内容を見てから、将来何か中央に一つの一本の審議機関でも作ったらどうかと思うという御意見だったと思います。しかし今日新聞、雑誌等を見ましても、ラジオ、テレビ放送局を見ましても、大体において、極端に申しますと、常業政策に押されておるというのが事実だろうと思うのでありますが、ことに小さな地方の新聞等になりますと、販売店なんかのいうことが非常に強くその社の書いておりまする紙面に現われてくるのが通例でありまして、ことにラジオとかテレビになって参りますと、販売店のようなものはもちろんでありますが、いわゆるスポンサーの考え方によって番組内容が左右されるということは非常に強いだろう、より強いだろうと思うのです。で私は、私見としていろいろこれについては意見を持っておりますが、現に民間放送連盟では、これはもうすべてのラジオ、テレビの関係者が入っておりまして、自主的に番組審議のようなことをいたしております。相当の制裁規定もあるということを聞いております。これは法制上どうするかということは別にしまして、各事業者がやる番組の適正化のための審議のほかに、そういうふうな自主的な民間放送連盟等の行なっておる番組審議機関を、中央のお互いの申し合せによって何か適当な機関に仕上げて、それを活用していくというような方法は賛成かどうか、また実行ができるかどうか、その点についてお考えがあれば熊本さんと高田さんからお伺いしたいと思います。  それからもう一つの問題は、御手洗さんの今までお話しになったことでございまして、これは非常に大問題でございますから、ここで端的に御意見を、結論を伺うことはできないかと思いますが、言論機関の独占化の傾向を何かの形で防いでいかないと大へんなことになるという御心配、これは私どももそういう感じを持っております。アメリカ等の例を見ましても、これはそれぞれに相当の実際的な行政措置を講じておるように聞いております。ただこれにつきましては、二つの点をこれは御手洗さんと金丸さんからお伺いしたいと思うのでありますが、きわめて実際的な問題としてお答えをいただいてけっこうなんですが、この放送につきましては、ラジオにしろテレビにしろ、地方の小さな局になりますと、自分では番組編成をほとんどできないのですね。大体においてやはり大きな局の番組を流してもらうとか買ってくるとか、いわゆるネット・ワークのような形でもって運営する方が番組の内容がよくなりますし、国民の期待にも沿えるという結果になると思うのです。ごく一部分はローカルの放送があるにしましても、大体の教養番組とか、あるいは娯楽番組とかいうようなものは、大体大きな局から買ってくるとか、流してもらうとかいうような手段方法を講ずるのが通例だろうと思うのです。  そういうことになりますと、この今度の改正案にも、一つの放送事業者からもっぱら番組の提供を受けるような契約をしてはいけないというような規定がございまして、いわゆる親会社、子会社のような関係を強く結んではいけないという、まあ精神的な規定がございますが、そういう関係になるとすれば、やはり資本的に、あるいは人的に何か関係を持ってくるのが、普通のこれはまあ経済的な活動をする人たちとしては選ぶべき道だろうと思うのですね。それとの関係をどう調和するかということだろうと私は思うのですが、それにつきまして、これはいろいろ方法がございましょう。まっこうから法律でもってこういう場合はいいが、こういうことをしてはいけないとかいうふうに、はっきりと書いていくのも方法でしょうが、そうでない場合を考えますと、それをどういうふうに調和していったらいいかということについて、実際上の問題として何かお考えがあれば伺いたいと思いますし、それから多少理屈になって恐縮でございますが、御手洗さんから特にお伺いしたいと思いますのは、そういうふうな言論機関独占の方法は、今ここで放送とか、従って、ラジオ、テレビの法律がありますから、法律案に関連してお述べになっているわけでありますが、ひとりこれはラジオ、テレビの問題ではないと思います。すべてのやはり新聞、雑誌等を含めまして、あらゆる言論機関に共通する問題だろうと思うのです。  今日のたとえば新聞なら新聞の例をとりましても、非常に読者層を広めていって、あるいは地方紙を買収していくというようなことが行われているのじゃないかと思われるのですが、そういう問題についても、やはり御手洗さんが自由の立場からお考えになりまして、ラジオ、テレビと同じように、言論の独占という傾向を何らかの形でもって防いでいかなければならないというふうにお考えになりますかどうかですね。その点もあわせてお考えを伺いたいと思うのです。
  91. 熊本良忠

    参考人熊本良忠君) 先ほど私が申し上げましたことで、少し誤解があるかと思いますので、繰り返して御説明申し上げます。まあ私が心配しましたのは、この放送局同士の競争などで、なかなか番組の向上が、適正化が進まない場合があり得る。それならば、それをいろいろな放送局を通じての考える機関が要るのではないかとまで申し上げたのですが、そのために、特定のそれでは政府によりまた何かを作るかと申しますと、それは今民法連、あるいはNHKが自主的にそれぞれの機関を持っている。それの自主的な反省にまかせるのがいいのではないかということが私の考えでございます。まあそれの努力に期待したい。それから、それがもしどうしてもいけないにしても、やはり政府の手でそういう機関を設ける、これは実効よりはかえって弊害の方が多い。やはりあくまで業者の、その事業者の自主的な努力に待ちたい。その関係は、ちょうど映画における映倫制度と同じ関係だと御承知おき願えればけっこうだと思います。今おっしゃったのと同じことになると思いますが、やはり業者の自主的な反省、向上連動に期待したい。それが正道だろうと思うのであります。  それから、それに付随して申し上げますと、私ちょっと気になるのは、地方などの小さい都市で一つの放送局がある。その放送局が番組審議会を作ったとしても、なかなかうちの放送局がやっているこの番組は低劣だ、この番組はつまらぬからやめようとまではいかないのではないかと思うのです。そんな、今度の修正案では、この地域がダブる場合には共同で設けてもいいということになったようでありますが、むしろその方がいいので、あるいは場合によったら隣接した地域のブロックごとに二つ三つの放送局のそれぞれの推薦する人たちで共通の審議会ができた方が、総括的な、どの放送局も、やっているこの番組はちょっとおかしいじゃないかというふうなことが、総括的な立場から言えるのじゃないかと思っております。これももちろん自主的な規制の運動であります。
  92. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) 新谷さんの御質問について私からちょっとお答えいたします。この番組審議会、それから今御質問の点は、私どもも非常に考えている点なのでございますが、実際問題として非常にむずかしいのでございます。私もNHKの番組審議会などにも関係しておりますが、これは確かにあった方がいい。ただそういう、いわゆる何といいますか、学識経験者という方々をそろえておいて、その人たちの批判を聞くということがあるのですから、あった方がいいのですけれども、番組審議会があるから、それによって番組の内容の適正化とか向上とかが期待できるかというと、これはなかなかむずかしいと思っています。ことに、民間放送の場合は、今お話がございましたような工合に、非常な競争があるので、一社だけがそれに、なるほどもっともだということで言っても、ほかの方がやっている以上は、なかなか引っ込めることはできないというふうな場合もあり得るだろうと思います。  要するに事業者の自律自粛というものをどういうふうにして強くするかということに帰着すると思うのですが、そのためにどうも法律で規制するということは、もとより皆さんも御反対だろうと思う。われわれもそういうことは望ましくない。よくよくの場合は仕方がないと思います。どうしても自律ができなければ、ある程度法の規制を待つよりしようがない。それは最後の手段ですが、何かそういう一つの機関があったらばというようなことも考えます。ことに、番組内容の改善ということばかりでなくて、先ほど私ちょっと申し上げましたが、番組に非常に重複している場合がある。  たとえば相撲の放送というようなものも、今度は東京に四つの民間テレビができて、NHKと、五つ、これがほとんど相撲の放送をやる。あるいは野球の放送等にしましてもそれと類似の場合が多い。非常にむだな話じゃないかと思う。放送事業者自身もまことにむだな話で、何とかしてやめたい。そんなことをやり合っているのだが、どうも今の場合仕方がないのだ。結局、スポンサーがつかなくなるまで待つよりしようがないということを言っておる状態なのです。放送連合会というものが組織されましたのも、一つはそういうむだを排除するとか、あるいは自粛自律というようなものを一つお互いに話し合ってやるようにしようじゃないかということでできたと思うのです。まだできましてから日も浅いことでございますし、それから、もともと、これは話し合いの場ということで、これはもう勧告もできず、そういうようなことをする機関でも何でもないのですから、お互いに話し合って、一つそういうことをやめていこうじゃないかという程度のことでございますから、これはなかなか、やはり今のような場合むずかしいのであります。やっぱりどうも、ある期間たたないと、なかなかむずかしいのではないかと思うのでございます。ですから、今の場合はとりあえず、こういう放送法の改正法の程度でやっていただいて、さらに一つ様子を見てもう一段と考慮していただくという工合にしたらどうかと、かように考えております。
  93. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) 先はどの二つの問題でありますが、まず第一の放送と新聞の関係でありますが、これはもう、これが協力し合うということは当然のことであります。また、日本の状態から申しますというと、アメリカなどとはよほど違っておりますから、これはもう放送と新聞が資本的にも人的にも交流して協力をするということは、これはいたし方がないのみならず、またこれは発達する近道だと思いますからいいのであります。けれども、新聞を経営し、新聞を支配しておる力が、同時にその地方における電波をも支配するということになりますというと、これはもう繰り返し申しますように、非常に危険があるので、これは党派を超越した問題でありますけれども、特にそう言っちゃあれでありますけれども、社会党の方々は相当なこれは御不便を感じられるのではないか。だから、社会党に限ったことではありませんけれども、つまり資本的な支配力の弱い側にとっては、かなりのこれは危険を含む問題である。そういう意味から申しますというと、大衆に危険がある、こう思うのであります。そこで、協力はけっこうであります。けれども、互いに自主的に、侵さない、一方が一方を支配するようなことがないようにする、こういうことがぜひこれは必要だ。今日その芽が現われつつあるのであります。  これは現に、具体的に申し上げると差しさわりがあるから申し上げませんか、おそらく皆様も選挙区においてそういうことをお感じになっている点がありはしないかと思うのでありますが、これは今始まったばかりでありますけれども、十年もたつとどういうことになるか、これを私はおそれるのであります。  そこで、これを具体的にどう処置をするかといいますと、なかなかむずかしいことであります。古論の制約になることでありますが、ただ、電波の場合には、これは国民の共有にする、繰り返して申し上げますが、こういうものを一部の人の独占にまかせるということは、これは許されないことでありますから。先年郵政大臣の通牒によって免許の条件にしたことがあるのでありまするから、この免許の条件を励行するということん国会の権威においておやりになるということが、私は一番近道ではないか。またそれは、国会が国民を代表する、国民の意思を代表する国会において、そういう意思表示をされて規制されるということになれば、これは一向差しつかえのないことでありますから、危険がある秘度防げると思うのであります。これを一つ、まあ私繰り返して申すようでありますか。  それから、新聞における言論独占傾向のお議でありますが、こういう席でそういうことを申すことが適当かどうか、そういう判断はできませんが、まあお話でありますから私の感じを簡単に申し述べますと、これもまた、印刷術の遊歩、通信方法の科学の進歩によりまして、最近非常な勢いで全国的に言論機関の大きな独占的支配が進みつつあるように思います。戦前にもそういう危険があったのであります。戦時中には日本全国の新聞を一つの会社にまとめて、その権力を一部のもので握ろうというような、実にとほうもないことを企てた者すらあるのであります。今日ではそういうことはむろんできるとは思いませんけれども、あのときは権力によってこれをやろうとした。今日においては、金力において、全国的に一つにはできませんけれども、ある程度の独占的支配をやろうと思えばできる。現にその傾向が起りつつあることを私どもは憂えます。  これはアメリカにおける、たとえばスクリップス・ハワード系のような新聞もあるので、これはアメリカのように金力がものをいい、非常に大きな力を持って自由放任にされておる国でありますから、ああいうことがやれますが、日本においても今日はやろうと思えばできないことはないのであります。ことに印刷術、通信方法の進歩は、そういう危険を予感せしめつつあります。方法は幾らもあるのでありまして、そういうことが起りますと、言論、ことに報道が独占される。まあ独占までいかないまでも、ある程度少数者の手に日本全国が押えられるということになりますと、報道による国民の判断にまず先入感を与える、非常な誤断を与えるという危険が起ります。中央において間違った報道を流す、これが全国のその系統の言論機関に、新聞、ラジオ、テレビ、一切に流れるということになりますというと、これは考えただけでりつ然としなければならない。そういうことが、これは単なる何といいますか、杞憂ではないので、現に芽が起りつつある。それはまた競争的に今起りつつあることを私は繰り返し申し上げたいのであります。具体的に申しますことははばかりますけれども、これはごらんになればわかることでありますから、お話の、お尋ねのことに当るかどうかしれませんが、私の所感を申し上げます。
  94. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) 先ほどお尋ねの第二の問題につきまして、きわめて実際的にというお話がございましたので、実際的な問題につきましてお答えをいたします。  先ほどお話のございましたように、地方の放送局、テレビ局は、いずれもまずまず第一に、地方事情によりましてタレントがない。それらのことからその地区で全プロを組むことはとうていできませんので、各局からネットでもって送られる、そのネットの契約をしているのが実情でございます。これは私が知識がないので、あるいは間違っているかもしれません。今までの事情を聞いております範囲では、ある特定の、たとえばNTVとかKRとか、特定なところと特約された系列がやはりできているというように感じられております。先ほど親分、子分という形容がございましたように思いますが、そうしたように、一つの親会社からというような形でプログラムがネットされていくというようなふうに感じられます。そうなりまして、ある特定の放送会社から送られるネットでほとんどのプログラムを埋めることになりますと、その地方の性格というものは非常に薄れて参ります。地方審議会を置きましても、その審議会を置いた意味というものは、単にローカルのごくわずかのプログラムだけに限られてしまうというようなこともあるのではないかと思います。今度の改正によりますと、これらプログラムを各放送局に流用できるというようなことになりますと、大へんこの点道が開けて参ると思います。  アメリカでも、現に私が参りましたところでは、教育放送がおもでざいましたが、このプログラムは各局のものを自由に選択いたしまして計画をいたしておるようでありまして、いいプログラムは、たとえばアメリカのボストンで放送いたしますものをカナダから買い入れまして、カナダからのプログラムである部分を埋めるという場合もございます。またNBCのプログラムの中にボストンのものを使うというように、部分々々を取捨選択いたしまして、その放送エリアの中で最も適当と思われるものを収拾選択いたしましてプログラムを作っているようでございます。こうしたことがもし許されるならば、おのずから、その選択権が地方審議会に与えられるわけでありまして、ローカルは、タレントその他の関係から、あるいは経費の関係からごく小部分になりましても、選択することの問題を地方審議会がやることになれば、関係することになれば、おのずから何らかの調和というものがそこにできるのではないかと思います。しかしながら、もう一つの意見としましては、地方局が単独にプログラムを、全プロを作ることがなかなか不可能といたしますと、いろいろの問題が起きて参りまして、いずれも中央からのプログラムを買う、部分的にしろ買うということになりますと、またこれにもいろいろの問題が起きて参る。  そこで、これは私見でございますが、現在地方紙が連合体を作りまして、おのおの利害を異にいたしました地方紙が集まりまして一つの取材をいたしておるところがございます。そういうような形で地方局の特定のものが一つの、タレントの一番多い中心都市にプロムラムの実際製作をやるところの機関を置いて、そしてそれをまた特定のその局に、お互いの経費の上から支出いたしまして配給するというような方法も考えられるのではないかと思います。現実の問題といたしましては、プログラムの改善ということに関係いたしますことでございますが、地方局が多くの時間をローカルで組み立てることはなかなかできないことであります。従って、そのローカルのプログラムに対して、地方審議会が一応の指導方針を与えることは大切でございますが、それと同時に、他のプログラムにも及んで、ネットのプログラムもどういう方法にしてこれを取り上げるかということについては、これから研究しなければならない問題がたくさんあると思います。
  95. 森中守義

    森中守義君 それでは、ちょっと先に金丸さんに一つお伺いいたします。  最近外国からお帰りになったというお話でございますが、外国の中で、わが国の日本放送協会と大体同一のような性格を、もしくは類似した性格の放送番組の中で、大体一日の電波を出している中で、どのくらい論説をとっておりますか。つまり、今の協会でいえば、九時五分からのニュース解説ですね、あれを十分間やっておるのですよ。
  96. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) 論説の時間をどれだけとっているか……。
  97. 森中守義

    森中守義君 ええ。ちょっとそれを……。
  98. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) これは私資料はもらって参りましたが、論説の占めております時間の分量というものをまだ調べておりませんので、ちょっとお答えができません。
  99. 森中守義

    森中守義君 私のこれは非常に簡単な資料に基くのですが、一般の新聞ですね。これは新聞協会の統計によりますと、一般新聞の補説の平均が二%になっております。あとまあ政治問題を一一・二%、経済を九・三%、社会問題を一八・四、文化関係を一五・一、スポーツを六・二ということで、全体の時事問題を扱っている紙面のスペースはかなり大量にとってある。それから朝日新聞を一つ新聞の中から抜き出してみますと、論説が二・六%、それから外信が七・四、政治が七・〇、経済が六・六、社会が一一・〇、スポーツが三・八、文化が一一・一一と、こういったように、大体朝日新聞あたりを標準にとるのが最も妥当な見方だと思うのですが、これに対する日本放送協会の一日の電波発射時間の比率は、十分間で、比率でいけば〇・九%、非常に率としては落ちておるということですね。先刻、いろいろ御手洗さんあたり御意見が述べられておりましたが、やはり日本放送協会という特殊な性格を持つ放送機関としては、もう少しこのニュース解説等を率を固めるべきじゃないかというような意見を私は持つのです。もっともその中身と表現の方法は、これはいろいろありましょう。ありましょうけれども、少くとも国民から受信料、対価を取ってやっている機関としては、もう少しこの点におけるサービスというのですか、それと、実際問題として国民の教養を高めていくという、こういう観点からもう少し高める必要があるのじゃないかと思うのですが、まあこの点について御意見を聞かせていただきたいと思います。
  100. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) 先ほど御手洗さんからもお話がございましたが、NHKの性格について第二放送的性格を強めようということがございました。これは第二放送のような性格、いわゆる教育的なあるいは解説的な内容を持つたものだけにする、ということについては私は疑問を持っておりますが、今お話のように、公共放送の特殊性といたしまして、時事解説、ニュース解説あるいはまあ論説という問題につきましては先ほど問題がございましたが、解説的な内容をもっとふやしたいということにつきましては同感でございます。入れたいと思います。これはBBCが一番やっておる問題でございます。
  101. 森中守義

    森中守義君 BBCでどのくらいとっておりますか。
  102. 金丸重嶺

    参考人(金丸重嶺君) いやそのパーセンテージは今ちょっとわかりませんが、一番強くやっておるようです。
  103. 森中守義

    森中守義君 それから御手洗さん、ちょっとお伺いいたしたいと思います。さっき母間放送の話が出ておりましたがね、大体民間放送を現状でAクラス、Bクラス、Cクラス、こういったようにかりに分類ができるとすれば、やはり言論の一元化をねらっているのは、キー・ステーションを持っておるAクラスではなかろうか、こういう工合に思うのです。そこでAクラスはAクラスの立場からB、Cクラスは、B、Cクラスの立場から、経常の保障までも放送法によろうとする動きがあるようです。あるいはそういう意見を方々で聞いて参りました例もあります。しかしなるほど周波数をもらったのは放送法によって、ないしはさっき害われた条件によって下りているわけですが、しかし会社の成り立ちというのは放送法によっていないのですね、商法と民法によっているわけです。だからすべての経営上の保障までも放送法によろうとするのは、私はどうも解せぬ。従って放送業務、それからあと民法、商法による会社の経常上の保障というのは、やはり区別をすべきじゃないか、こういう意見を私は持っておる。従って今回この改正案が提案をされたときに寺尾郵政大臣も、これは民間放送の将来の問題等もあって、必要最小限度のものである、こういう表現を郵政大臣は使っておったようです。その裏を返していけば、いずれもう一回、この種法律の改正を必要とするということを暗示しているわけですよ。私はもちろんそういうことには反対ですが、基本的にはやはり放送業務だけが放送法によるべきであって、あと経営上の保障というものは民法、商法、別な方法によるべきだ、こう思っておりますが、それだけに現行法にいう放送法の製作者あるいは五十一条、二条、三条、まあこれは大へんこまかな条一文で恐縮ですが、この現行法三条で一般放送事業者のことを規定しております。あとは日本放送協会の適用している諸事項を準用する、こういうことでありますし、大体放送業務だけを中心に放送法によるべきであるとするならば、一向にこの現行法を、民間放送が将来こうこうこういうようになっていくきらいがあるから、それに対処するために放送法の修正を加える必要はなかろうと思うのですが、その点、一つお聞かせいただきたいと思います。  それからことに先刻言われました中で非常に私もまた同様に危惧するのですが、このキー・ステーションを持っているAクラスあたりが、これが実際問題として資本構成等で一元化した場合、おそらく一ないし二というふうに将来系列が統合されていくのじゃないか。そうなった場合に日本放送協会と並立をして、非常にはげしい、たとえば周波数の争奪戦をやるとかあるいは番組の醜悪な争奪戦をやる。こういうことを行い得る状態が将来予想されて参りますので、そういうことを将来の問題として考える場合に、先刻どうも現在の郵政省の免許の方式といいますかあるいは実情というものが協会偏重である。こういう御意見でありますが、これは私は現在の協会の性格上あながち非難攻撃をすべきものでもない。しかも言論の一元化というものが、商業放送の場合に行われ得る可能性を今日予見できるならば、やはり協会偏重という言葉が当か不当かは別問題として、あながちそのことは非難されるべきものじゃない。こう思うのですが、この点について一つ御意見を伺いたいと思います。
  104. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) 大へん重大な問題でありますが、前段のお話については全く無条件に同窓であります。同感であります。このことを私は非常に心配しているのでありますが、ただお話の経営困難になる、そういうような場合にこれは統合されるおそれはないかと思うのであります。しかしそういうものに対して免許を与えておくということが間違いではないか。国民の共有物である電波を与えられた者が、自力で経営のできないような者に電波を貸しておくということは、私は間違いであると思います。当然そういうようなものは免許を取り消してしかるべきであろうと思うのでありますが。ただプログラムの製作、また実際に中央、海外等のニュースの面だけを考えてみましても、地方局が独自の力でそれを全部こなすということは、これは不可能であります。従ってそういうようなものにある程度の系列化の起るということはこれは当然のことで、内容を向上させるためにも必要なことでありましょうが、要するにそこは限度の問題であり、資本的に支配されるというようなことになりますと、これはもう現在の放送法の根本精神といれない結果になるのであります。こういうものに対しては、これはやはり郵政大臣で処置をされるということが行政上の方法でありましょうけれども、やはり国会においてこれをバック・アップして、国会の権威のもとにそういうことをさせないというようなことが必要ではないかと考えられます。この点はもうあなたの御所見と全く同感であります。  第二番目のお話になりますと、NHKと統合されたものとが対立するようなことになりはしないかというお話でありますが、遠い将来のことは私ども予見はできません。けれどもまず私どもの予想し得る将来を考えれば、とても一つや二つにこれが統合されていくというようなことは不可能、少くとも非常に困難なことだろうと思います。これは今日の文化、経済、交通のそれぞれの発達というようなことを考え合してみますと、地方放送局がおいおい内容を充実していくという可能性はあると思う。ただし落伍者が出るということはあるいはあるかもしれません。そういうものが前のお話のように保障の問題というようなことが起るといたしますれば、それはそういうものに電波を与えて経営させるということが間違いなんであって、これは保障などというようなことが起れば、これは民間における自由の立場、独自の放送経営とは申せないので、これは半分国家の補助といいますか、NHKの補助によって成り立つ。でありますからそんなものは存在の意義がないことになると思われます。ただ最初に私が意見を申し上げたときに付け加えましたように、NHKにおける聴取料の集積というものは二百億以上と思いますが、それらをもって放送電波専業の発達のためにいろんな研究をやる、要員の養成をやる、そういうことを民間放送の発達のために利用させ、積極的に協力させるということは、これは別に差しつかえのないことで、これは経営とは別の問題であろうと思います。それでありますからそういう面における協力関係、あるいは参加ということは一向差しつかえないと思います。しかし経営的に保障を与えるとか要求するとかいうようなお話のようなことは、私どもも折々耳にするのでありますが、もってのほかであって、それはもう全然民間放送というものの意義をなくするもので問題にならぬことだと思います。
  105. 森中守義

    森中守義君 高田さん、一つ今のことについてどういう御所見がおありですか。
  106. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) どうも先ほどからなかなかむずかしい問題であります。ありますけれども、これはいずれ将来起る問題でございます。今御手洗さんからもお話がありましたが、民間放送、ことにテレビができましてから、ラジオの場合は御承知のような工合でみんな自立自衛が完全にできておりますから問題はないと思いますけれども、テレビの問題、これは近い将来に必ず何らかの形で系列化ということは免れがたいことだと思うのであります。今どういうような系列化が考えられるか。いろいろありましょう。新聞による系列化ということも考え得る一つのあれだと思いますし、あるいは、東京にキー・ステーションを持った親会社と申しますか、それの資本的のつながりを持ったところの系列化ということも考えられる。完全にそれがはっきりした系列化ということは言い得ない。また、相交錯した場合もあるかと思いますが、いずれにいたしましても、系列化というような問題は、テレビの場合はやむを得ず起るのじゃないかと思います。でありますから、最初郵政省において全国的にあれだけの多数のテレビ局に免許が与えられたときと、これは全く違う情勢が必ず私は起ると思うのでありますから、そういう場合に処してどうしたらいいかということ、これはなかなか重大な問題だと思うのであります。ことに先ほど御手洗さんがたびたびここで言われていたように、言論独占化というようなこと、かりにそういうようなことが行われるとしたならばまことに重大なことだと思う。それはあくまでも排除するためになんらかの手をあらかじめお打ちになっておく必要かある、これは全く同感であります。  ただここでちょっと御手洗さんと私と少し意見を異にする点があるのは、新聞と放送というものがどうも切り離し得ないような形に現在もうすでになっておりまするし、どうも新聞社として放送のあれを持たないということになると、これからの激しい競争にとうてい勝ち行くことはできない。これはもう現実の姿じゃないかと思う。そういう場合に、やはり新聞じゃどうしても放送会社の経営というものに何らかの形で参与しなければならぬ。現在もそう考えております。将来ますますその傾向が強くなるのじゃないか。ただその場合に、先ほど御手洗さんから繰り返して述べられたような工合に、独占化ということにならぬように一つ手を打たれるということは、これは全く同感なんであります。  それならどういうような方法が考えられるかというと、これはなかなかどうもむずかしくて、今私どもも手はないと、今は別に考えてもおりません。具体的に構想を持っておりませんが、しかし一つの方法は、先ほど御手洗さんが育ったように、すでに免許条件というものに規定された所がある。あれが現実的に行われておらない、また将来ますます行われないようになるということをお考えになれば、その点を一そう厳重な規制をするということ、これは果して現実に行われておるかどうかわかりませんが、それは確かに一つの方法じゃないか。でありますからそういうような事態が必ず私は起ってくると思う。  やはりそういう場合には、もう一つ放送法の根本的の改正というものが必要じゃないかというふうに考えているわけであります。
  107. 森中守義

    森中守義君 あと二つだけお尋ねいたします。どうもこの御質問は仮定の話みたいになるのでどうかと思いますが、非常に大事なことでございますので、ひとつ御所見をお聞かせいただきたい。  その一つは、今岸内閣のお考えによりますと、日米間の連係の関係ですとか、あるいは国際間の緊張とかこういったようなことからして、どうもわが国も軍機保護法あるいは防諜法的なものをよりより検討せざるを得ないだろう、こういうことを本院の本会議においても岸総理が数回にわたって答えたことがあります。私どもは、この軍機保護法なりあるいは防諜法なりということが、その表題が示す通りに中身に至っては、まさにこれは、さっきの御手洗さんのお話じゃありませんが、りつ然たらざるを得ない。で、いきおい防諜法あるいは軍機保護法というのは、直ちに言論統制、言論抑圧、こういうものにすぐ連鎖反応的に考えざるを得ないのです。したがって、現行法によるあるいは今回の政府提案による放送法の一部改正、こういうものに限っては言論抑圧や言論弾圧というそういうきらいはないと思います。しかし、そうは言うものの、昭和二十八年でしたか、第四次吉田内閣のときに、塚田当時の郵政大臣が、あれは三木鶏郎とかいわれましたが、どうもNHKのマイクを通じて総理大臣を侮辱したとかあるいは国会議員を凌辱をした、まあこういうようなことで実はこの放送法の改正め動機が始まっております。その後、言論機関を初め多くの国民の反撃があって今日に至り、今日のこの改正は、当初吉田内閣で塚田郵政大臣が提案をしたその改正の意図とはおよそ変化をしてはおりますが、しかしそういう意図がある限りにおいて、しかも防諜法、軍機保護法というものが今日の岸内閣の頭脳の中にしまい込まれておる限りは、やはりこれは危険をどうしても感ぜざるを得ません。で、そういうような場合に、軍機保護法と防諜法と放送法と何か関係があるか、こういうことでは済まされないのですが、もしも防諜法あるいは軍機保護法的なものが出た場合に、この法案をどうするかという具体的な審議の方法なり、将来の問題は別問題でありますが、そういうことが現在予見されます。またそういう場合に、こういう放送法という重大な使命を有する部面をどういつたようにわれわれは扱うべきか、まあそういうことをこの際お聞かせいただければたいへん幸いだと思います。
  108. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) この改正案の内容を拝見しますと、今お話のようなことを防ぐためには、ずいぶん細心の注意が払われているようであります。さきほどあなたと私とが逆の立場に立つような工合になるような問答があったくらいで、かなりこれは言論報道の自由については用心深く守られておるように思うのであります。その点で私どもこれはたいへんいいと思うのでありますが、防諜法、軍機保護法となりますと、全然話が別でございますし、これは一体今日の日本の憲法で軍機保護法を適用するような対象があるかどうか、ということから話が始まらなきゃならぬでありましょうし、防諜法についても同様なことが言えるのじゃないかと思いますから、今日の場合私どもそういうことについてかれこれ論議をするということは早いのじゃないかと思います。事実それが問題になりました場合に、おそらくそれは憲法論議からして始まるのではないか、そういうふうに考えるのでありますが。
  109. 手島栄

    委員長手島栄君) 高田さんどうでしょうか、御意見ございますか。
  110. 高田元三郎

    参考人高田元三郎君) 私も御手洗君と全く同感でございます。
  111. 森中守義

    森中守義君 確かにそういう御答弁以外には、今日無理かと思うのです。しかし私どもが危惧していることあるいはまた将来に対する一種の不安というような、そういう気持はあらかた御想像いただけると思います。それと同時に、私は一つ具体的にそのことを指摘しておきたいと思いますのは、現在存在する日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法というのがあります。この秘密保護法の一条であったと思うのですが、この中に防衛秘密事項がございまして、この事項の中のものについて、「不当な方法で、防衛秘密を探知し、又は収集した者」は「十年以下の懲役に処する。」こいうう刑事罰がある。これは行政解釈のしようでは、すでに軍機保護法とかあるいは防牒法というものは存在はいたしませんけれども、やり方次第では、NHKの取材記者が、たとえば江田島の方に行ったとかあるいはどこかのある基地に行って、それで正当な手段によらざる方法によって、しかもそれは防衛秘密を漏らすという主たる目的ではなくて、取材ということでこれを取った場合はこれはどうなる。しかもこういう事件はまだ起きてはいない。しかしいよいよ日米間の軍事上の提携が強化されていくような今日の潮流においては、必ずしもこのことが否定できない。それでなくても――これは他党のことをこういう席上で言うのはどうかと思いますが、NHKのニュース解説が、たとえば警職法のとき、あるいはその前すこぶる反政府的であるというので、NHKの某氏を与党の政調あたりが呼んだ。あるいは今度の予算編成のときあたりも、平素NHKはけしからぬ、実に反政府的だ、反与党的だ、こういうことできめつけられた事実も私どもは聞いております。そうすると、現存する防衛秘密を規定した事項、これに取材記者の問題がひっかかってくる。あるいは日常において日本放送協会がこれ以上、言論の自由を守るという立場から、公正な所見を発表する際に威圧を加えられる、こういう事実か現在存在します。それやこれや考え合わせていきますと、どうしてもやはり私どもは、昭和二十八年の第一回の放送法の改正の意図というものが、もう少し政府が日本放送協会に関して監督権を強化しなくちゃいかぬ。しかも三木鶏郎さんは自発的に退陣をしたのかあるいは協会をして政府が退陣せしめたのか、そこのところは何とも言えませんけれども、この放送法改正の意図は、最初は明らかに日本放送協会の弾圧に始まっておる。それがその後弾議会を設けたり数回にわたって提案したが、かなり強い抵抗にあって今日では全く事務的な一部修正ということに形を変えてきたわけですが、提案の意図というものはそういう意味じゃなかった。従って私は先刻からお聞きしておりますように、民間放送の関係も、放送法の操作あるいはNHK関係の法律の準用、もしくは一般放送事業者三つで事足りる、従ってもうこれ以上の法改正は必要ないのだ。こういうことを主張したいのですが、これは私の意見も少し述べ過ぎたようですけれども、やはりもう将来放送法の改正は必要なかろうという見解に対して、どういうお考えでございましょうか。
  112. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) これは私日進月歩の世の中でありますから、当然次の機会にまだまだこれは改めなければならぬ点がいろいろあるだろうと思います。その重要な一点は、私は最初申し述べましたように、電波の割当の基本方針そのものに私ども疑いを持ちます。これをもっと民間に開放すべきものであり、NHKの三十年の歴史、功労は尊重いたしますけれども、時勢が変りつつある。科学の進歩がこれほど急速な時代に、三十年前のような考え方で電波の割当をやっていることが間違いであると思います。これは一つでありますが、その他いろいろな点でこれからおいおいカラー・テレビ放送もありましょうし、FM放送も出て参りましょうし、いろいろなことがありますから、それに応じて折々に改正されるのは出然だと思います。  ただ根本において、繰り返しお話しになりますように、言論報道の自由を守るということは、これはどこまでも貫かなければならぬ。今お話がありましたが、三木鶏郎の事件からこういうことが企てられたということは私どもも承知いたしております。しかし当時考えられておったようなNHKに対する権力の介入、統制ということはほとんどこれはなくなってしまっております。こういうことはこれは世論の力または国会における御論議などが反映したものであって、やはり改正というのは確かに正しく改められつつあるのであって、今後といえども国会が健全であり世論が健全であればそんなに心配することはないのではないか。  今最初に御指摘になりました防衛機密の第九条の問題は、多分これは日米行政協定から出て来ておる問題だと思います。日米行政協定そのものに対しても、すでに今日は数年前に比べてよほど世論が変ってきておるので、今お話のようなことも自然消滅をするのではないか。新たに軍機保護法、防諜法、そういうものが出てくれば、これはそのときにもう一度憲法の条章から論議が始まることではないか。まあそれまではこういうふうに、最初の吉田内閣当時の考え方がこれほどまでに正しく改められて国会において審議され、これが大方成立しそうな今日の状態から考えまして、世論も健全であり、国会の御良識も非常に健全であるということを私ども信頼しております。
  113. 森中守義

    森中守義君 もう一つ最後に大事なことですが、例のチャンネルのときの条件ですね、さっきからお話しになっております、あれは法制化した方がよろしいという御意見でしょうか。
  114. 御手洗辰雄

    参考人御手洗辰雄君) 可能であれば私はその方がよろしいと思います。しかしもし困難でありますならば、本院において付帯決議としてでもおやりになれば、おそらく郵政当局としてはそういう危険を防ぐのには大へん好都合ではないかと思います。一たん出された、しかもそれが私ども見るのに正しい方法であり、それが無視されておる現状が非常に危険をはらんでおると思うのであります。そこででき得れば法制化される方がいいのではないか。しかしそれはさっきお話の中にありました商法の規定、民法の規定なんかとも関連がありますから、なかなか簡単にはいかないのではないかと想像するのであります。しからば両院の権威のもとに付帯決議として郵政大臣行政措置をバックしてやる。そうしてそういう危険を防ぐということがいいのではないか、こう思います。
  115. 手島栄

    委員長手島栄君) これにて参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々におかれましては、御多用のところ長時間にわたりまして、それぞれ有益な御意見の御発表を賜わりましてまことにありがとうございました。席上、はなはだ失礼でございますが、厚くお礼申し上げます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十九分散会