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1959-02-27 第31回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十七日(金曜日)    午前十一時四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            松平 勇雄君            新谷寅三郎君            森中 守義君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            前田佳都男君            三木與吉郎君            光村 甚助君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政省電波監理    局次長     荘   宏君    郵政省電波監理    局法規課長   石川 義憲君    郵政省電波監理    局放送業務課長 館野  繁君   参考人    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会理    事       前田 義徳君    日本放送協会企    画局長     春日 由三君   —————————————    本日の会議に付した案件 ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまより開会いたします。  放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 先般二月十七日に郵政大臣にいろいろ御意見を伺ったのでございますが、もう少し一般的な方針について御意見を伺っておきたいと思います。  まず第一に、昨日の委員会で、放送法電波法との関係について、今後至急に検討を進めたいという御答弁がありましたので、法体系の問題は一応大臣の誠意に信頼いたしましてこの際は問題といたしませんが、二月十七日の最後の私の質疑に対して大臣からまだ実は御答弁がいただけないので、私から、午後からでもけっこうですから、お考えの上で御答弁願いたいということで終っておるのであります。それはやはり一つ方針の問題だと思いますが、今度それが適法であるかどうかということは別といたしまして、教育放送というようなものを考えられまして、そして教育放送については、予備免許のときに条件がつけられて教育教養番組等が全体の何パーセントくらいなければならないというようなことを明瞭に示しておられます。ところがいろいろ伺ってみますと、果して具体的に、ある番組教育番組であるか、教養番組であるか、娯楽番組であるか、それを判定する何らの客観的な基準をおきめになっておらないし、それを今後もきめようとはしておられないということを伺ったのであります。ということになりますと、全く各事業者がそれぞれこれは私は教育放送だと思っているとか、これは教養放送だと思っているのだということで、それぞればらばらの基準で判断を、従って自分の方は付せられた条件にあてはまっておると思っているのだ、どこが悪いのでしょうか、こういうふうなことになって、全く郵政大臣意図せられるような条件にかなった教育放送ができないといううらみがあるわけです。私は最後に申し上げたのは、何かやはりそういうことに対して客観的な基準のようなものをお示しになるとか、あるいはそれを適当な機関にまかせて判定をするまあ何といいますか、方法でもおきめになっているのか、何かお考えになっておかないと、ただあるがままにまかせるのだということでは動いていかないと思うのです。その点について御答弁がありませんでしたが、大臣から御意見を伺いたいと思います。
  4. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは実際問題として私は御指摘のように非常にむずかしい問題だと思うわけであります。従いまして、一応の教育番新というものはこれこれ、教養番組はこれこれと、まあきわめて大綱を示しておることは御承知通りであります。しかしこれがその放送したその番組そのものがそれに合っているか合っていないかということになりますと、全く御指摘のようなことであって、ある意味においてはどうも放任といったようなことにまで悪化する、まあそれがその放送法規制をいたしております精神に合致しないという事実は、私は確かにこれはそういう事実が起るのじゃないかと、またすでに起っているということも聞いておるわけであります。しかし第一次的な考え方といたしましては放送事業者の良識に待つと、こういうようなことで、その放送をしたものに対しては、番組審議会がそれに対する批判あるいはまた検討を加えて、そのことが次にはより訂正をされるというのでしょうか、より適切なものに漸次向上をさせていくというような自主的な、各放送事業者、各放送会社に所属をいたしまする番組審議会というものにゆだねている。しかしこのことは少し御指摘のようにゆだね過ぎてはいないか、それを何か郵政省においても一応基準をきめるべきじや、ないか、私はごもっともだと思いますが、ただ各事業者ごと番組審議機関の中に、まあどこでも御承知のように一応こまかい基準というようなものは作っておるようでありますから、そういうものを省といたしましては見せてもらって、その基準というものを、できるだけ放送法規制に適合するような形に基準を一応作ってもらっているその現状を見せてもらって、そうしてまたその放送に当ってはその基準というものをできるだけ順守していく、こういうようなことがこれは非常に野放しのような、少し厳格な人だとそれほど放任しておいていいかということになります。しかしかなりこのことに対してはもういわゆる、昨日も申し上げましたように、表現の自由がこうだとかいうこの確保ということに対しては、監督官庁である郵政省は全くもう報告の徴取もできない。資料というような形ならいい。まあ衆議院改正もそういう形に改正されたというような経緯もありまして、できるだけ放送事業者番組審議機関が自主的にやらす、一切ほとんどまかしてしまう。しかしそれには一応の放送法に示された教育教養あるいは娯楽番組というようなものの限界を基礎にした基準というものは、各放送事業者ごと番組審議会検討してもらい、そして放送したその直後に、あるいはその放送そのもの放送する前あるいはその後、その前後に十分これを検討して、そういったような逸脱あるいはそれに十分適合しないということのないように、あくまでも自主的にやらせよう。まあこういうことになっておりますが、先日新谷委員からの御指摘もありましたように、このモニターといったような制度を十分放送事業者等に生かしてもらって、そういうところで検討させ、またその基準もその放送事業者としてはりっはな基準一つ作ってもらう、適切な基準を作ってもらう、こういうことであくまでもこちらは自主的にやってもらうように相談もし、またそういうふうに指導協力をするというような考え方でいこう。こういうことでありますが、これはまあ御注意の点は十分私は警戒し、またこれをさらに十分検討して参らなきゃならぬとかように考えております。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 寺尾さんのおっしゃることは意味は私もよくわかるのですよ。しかし今お話の中で御答弁がありましたので、また問題が出てくると思うのですけれども、たとえば衆議院の一部かもしれませんが、言論報道の自由ということから、事いやしくも番組に関しては政府機関があまりタッチしちゃいかぬのだ、これもその通りだと思うのです。しかし教育放送というようなものにつきましては、番組内容をとやかく言われるわけじゃないと思うのです。番組内容を左向きのを右に向けろとか右のものを左に向けろとかいう、番組内容規制したりそれに対して当局が関与するという趣旨ではないのですね。むしろこれはこういう条件をつけてあなた方が許可しておられるのでしょう。自分たちのっけた条件が守られているかどうかということを見るのは、これは監督官庁の私は責任問題だと思うのですよ、手つとり早く言いますと。だから番組内容をとやかく言うのじゃなくて、あなた方が自分でつけた条件が守られておるかどうかということをお調べになるのだから、これはおやりになる責任があるので、それをすら言論報道の自由を妨げるのだということをだれかが言っているとすれば、これはずいぶん私は見当違いの議論じゃないかと思うのですよ。何か大臣はそれに非常に賛成したような御答弁、そういう意味の御答弁がありましたが、私は全然それは違うと思うのです。それをはっきりしておいてもらわないと、今のような空気で、これもどうも言論報道の自由を妨げるかもしれないからやめておこうというようなことなら、初めからもう条件をおつけにならぬ方がいい。それが一つです。  それからNHK番組につきましては、これは地方審議会もあり中央審議会もありますから、この中央審議会地方審議会関係でございますが、中央審議会というものは、NHKにおいては地方のそれぞれの審議会でやることについて、監督したり指揮したりする権限を持つかどうかはこれから先の問題でありまして、NHK内部規定もありましてそれはわかりませんが、おそらく中央審議会は各地方審議会に共通の問題とかそういった問題については、中央審議会の方で何らかの決定をするとか、大体の準拠すべきところを示すとかあるいは監督をするとかいうことは、NHKにおいてはおやりになるだろうと思うのです。問題は民放ですね、民放に私は問題があると思うのです。私はこの法律案立案のある過程において、あるいはこの前の法律案の出ましたときにも申し上げたと思うのですが、民放連というものがありまして、民間放送連盟では今郵政大臣お話になったように、自主的に番組適正化について相当努力もし実績を上げておるのです。で、私は何らかの形で、そういう民間放送事業者が現にやっておる事柄をやはり法律面に出したらどうか。そうしないと、各業者のやられる番組審議会というものにつきましては、これはそういうことはない、こういうことはないと言われるかもしれませんが恐らくやはり広告事業なんですから、事業営業という方面からいろいろの注文もあるのですね。だから番組適正化しようと思っても賞業の方に押えられてしまって、実際なかなかむずかしいだろう、一つ事業体の中ではですよ。だから自主的にといっても非常に限度があるだろう。だから営業方針に左右される場合が多いのだから、そういう点から言うと各事業者相当ばらばらな基準を設けることも考えられるということです。もしかりにNHK中央審議会のように、民放連等でどれだけの統制力を持つかわかりませんが、これはアメリカなんかの民間放送事業では、大体民間放送の、日本でいいますと連盟のようなものが相当統制力をもって、あるいはその懲罰規定もこしらえ、ネットワークの番組を流してやらないとかいう非常にきつい制裁を加えて、自主的規制をやっておるわけです。だから今あなたのおっしゃったような方向にかりに進むといたしましても、もう少し自主的規制なら規制ができるように仕組んでおかなければならないと思うのですよ。だから民間放送連盟等に何かオーソライズしたものがあって、それが各事業者番組について、今のたとえば教育放送を問題にしましたが、教育放送内容基準というようなものについてまちまちなことをやったとするならば、それはこうあるべきだと、自分たちはこういうふうにしようじゃないかということで、自主的にそういう基準をきめていくということもこれは可能なんです。そういうことを全然考慮されないものですから、今の法律案によりますと、全く各事業者自分考えで私はこう思いますというところに基準を置くことに認めざるを得ない。しかも郵政大臣はそれはそれ以上入ることはいかにも言論報道を抑圧するようなことになるので、そっとそのままにしておくんだと、趣旨はよくわかるがどうも実行がむずかしいというような御答弁しか得られていない。だから私はそこははっきり法制上の欠陥だと思うのです。しかしこの法律案をお出しになったについてはいろいろいきさつがあり、むずかしい点もあったでありましょうからお伺いをするのですが、事実上の問題としてこれはよく話し合いをして、民間放送連盟等にあるそういう機関が今までやってきた実績もあるし、経験もあるし、それをよくお調べになって、ほんとうに今言ったような基準をあなた方がおやりになれないならば、そういう連盟にまかして、連盟が自主的にやることをむしろあなた方が指導奨励されまして、そうしてそこに客観的な基準を早く求めていくというくらいの措置をおとりにならないと、これはもうこういったものは、今のままであなたの御答弁だとしますと、私は端的にいえばこういう条件をつけない方がいい、順守されないような条件ならつけない方がいいということを言わざるを得ないのですよ。いかがですか。
  6. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 第一点の問題は私は教育教養娯楽という番組内容について、これに主として重点を置いて先ほど御答弁申し上げましたが、御指摘のようにこれはそのことよりも、新谷委員の御質疑重点はその配分、要するに教育番組を何十パーセント、教養を何十パーセントこういうきめたことに対して、それが守られていないという際の方法はどうだ、こういうようなことについての第一点の御質問だろうと思いますが、私は御質問の御趣旨は全く同感でもありますし、この番組の要素、こういうものは予備免許を与えるまでというようなことではなくて、りっぱに申請帯にもそのことを、放送申請者がさような放送をいたしますということをはっきり示してきめてあるわけでありまするから、これはできるだけ放送事業者の道義的な責任と申しますか、あるいはまたその免許に記載された責任という立場から私はあくまでも守ってもらわなきゃ困るし、また守っていくことを相談もし、また今言うそういう方向協力をしていかなきゃならぬ、指導していかなきゃならぬ、こう考えるわけであります。一方番組審議会に対しまするNHK中央地方の両審議機関の二様の形があって、大体方針がどうにかやっていけるけれども、民放のものはこれが法的なものでないだけに各自が思い思いにやるということになれば大へんじゃないか、その通りであろうと思います。従いまして御指摘にもありましたように、幸い民間放送には民放連といったしっかりした、全民間放送会社を網羅したりっぱな連合体がございますからして、そういうものとの間におけるいろいろの折衝、あるいはまたこれと協力をして、この放送法の目的の成果をますます上げなければならぬのじゃないか、しかもこの荒木的な考え方方針といたしましては全く自主的にやるように、この法律改正案そのものがそういう精神をもって規制をいたしておるのであります。一応さようなことになることとは思いますけれども、やはり各放送事業者における意見というものを民放連が代表しておるということも言えるわけであります。こういったような分類基準その他の問題については、電波監理審議会等にも諮りましてそうしてその結果等において、この民放連等ともお示しのように十分話し合いをいたしまして、そうして民放連全国的に一つ基準なりまた方針なりを定めてもらう。こういうようなことを一つ全体を通ずる一つ基準を作ると、こう申しまするか、そういうようなものにも一つ注意もありましたから、そういう方向に進めていけば、この放送法に何ら抵触するとかあるいは表現の自由を阻害するとかいうことにはならぬと思います。幸い大へん適切な御意見も拝聴いたしました。今言うように民放連を通じて、電波監理審議会等にも十分一つ答申を求めまし、そうしてそうした全国を通ずる一つ基準あるいは方針というようなものを打ち立てていってもらう、さようにいたしたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣のただいまの御答弁で大体お考えもわかりましたし、これからおやりになろうとする行政措置方向もわかりましたから、大体これは非常に問題が多いと思いますけれども、一応この程度にいたしますが、今の御答弁の中にありましたように、これは私の多少意見になるかもしれませんが、電波監理審議会というものがあるのですから、郵政大臣が何も全部自分の独断でおやりになる必要もないし、それじゃむしろ法律からいいますと違法とはいわないまでも妥当ではない。電波監理審議会には重要な事項については意見を聞かれる必要があるわけですから、電波監理審議会を活用されまして、今の民放連のそういう機関を、もし実際的に使っていこうというならば、電波監理審議会意見も十分に聞かれて、またその運用に当っても、果してある番組教育番組として考えられるかどうかということに非常に疑点が多いと思いますから、そういう問題については、電波監理審議会とそういう団体の審議機関というものと、実際上十分密接な連絡をとってやることによって、これは事実上問題はだんだん解決していくものと思われる。何も私はこの際法制的にだけ整備すればそれでいいとは思いません。こういう放送のようなものはだんだんにやはり事実を積み重ねて、お互いに苦労をし経験を積んで、そうして全体をよくしていくという方向に持っていかないといけないと思いますから、法制だけが問題じゃないのです。そういう努力を積み重ねていくというお考えがなければ、これはまた先に申し上げたようにさらに混乱しちまってどこへいくかわからぬと思いますから、一つ申し上げておきます。  それから電波監理審議会を作られることは、一面においてNHK一般放送事業者との間の番組の調整といいますか、そういったものにも役立つわけです。ですから同じような基準で同じような考え方をもって、NHK番組に対しても一般放送事業者に対しての番組に対しても臨んでいくというようなことが、一番この際は望ましいと思うのです。これは御答弁だけじゃなしに、一つ法律案通りましたらぜひ実行に移して、あまりその放送内容が乱れないように、やはりその規律を保って放送が続けられるように、ぜひお考えを願いたいと思います。
  8. 山田節男

    山田節男君 ちょっと今のに関連して。私も実は同じ質問をする予定になっておったので、時間の経済上ちょっと関連質問をしますが、今の番組審議機関法制化する、そうしてその機関には一つ批判機関としての権能を持たせる、こういう建前になっておりますが、およそ番組という放送の最も重要な問題について法制化した機関がある以上は、これはただ批判するというだけでいいのかどうか。法制化された以上はこれを少くとも是正する。これはおそらく立案者建前としては、あくまで民間放送なら民間放送自主性を保とう、これは非常にいい意図だと私は思うのです。ところがこれからいよいよテレビが非常にふえまして、さなきだにスポンサー競争しなくちゃならぬ、ことにアメリカの例を見ましても、一九五七年になりましてテレビ飽和状態に達して広告が過剰になってしまった、もう一般視聴者テレビにあきあきしてしまつている。広告収入も減ってきているというのが今日非常に大きな問題になってきている。日本はこれからですけれども、これはやはり数年後における日本番組というのは、必ずやはりそういうものになるということをわれわれは予想しなくちやならぬと思うのです。幸い、こうして政府がいい番組を作らせなくちゃいかぬというような意図から、この機関法制化されておるのでありますが、先ほど来新谷君も言われておりましたが、私も、あまり競争が激しくなれば、単に番組審議機関批判したくらいのことで、実際問題として是正できるかどうか。批判だけでは、ことにこういう重要な社会的な任務を持っておるものは、ある程度是正する何かの処置がないと効果が上らない。ことに日本のこれからのテレビ業者競争を見ますと、これだけでは不十分じゃないか、そこでこの法律法制化すると同時に、批判というだけじゃなくて、これに対して適当な行政措置ということをうたうか、あるいは先ほど新谷君も言われたように、電波監理審議会というものもあるのですが、その部門で番組に対する一つの是正的な行政措置を、電波監理審議会現行法における法的の地位をもって、そういうことができるかどうか、それは私つまびらかにしませんが、できればこれは政令か何かでそういうことを考えるべきではないかと思います。どうもこの番組審議会がただ批判するだけで、ただ悪うございましたとお詑びするだけでは、この法の趣旨は徹底しないと思う。親しく是正すればいいですけれども、競争の激しい状態が出現しますと、そこにまたいろんな紛議が起きるのでありますから、むしろ私は、批判権を持たすならば、これに対する是正ということが付随しなくちゃならぬというようなこと、もしこれを法律でうたうことがいけなければ、電波監理審議会の方においてそういう行政措置がとれるような、罰則とまでは私は言いませんが、少くともこれを是正する、道義的にもこれは是正さすくらいな処置はしておかないと片手落になるのじゃないかと思いますが、この点もう一度はっきりお伺いしたい。
  9. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 山田委員の御趣旨新谷委員の御質問の御趣旨と全く同じであられるというように私は拝聴いたしました。この放送法の中において特に番組向上適正化ということが、今回の放送法改正の一番私は大きな柱だ、これがあるために放送法をまず必要最小限度改正をする必要があるということに考えておるわけでありますが、しからばその実際において番組のいわゆる基準の問題についてはかなり詳細に、第四十四条一項あるいは四十四条の三項一号の整備、あるいは四十四条第四項、あるいは四十四条第五項の新設、こういったような非常に詳細にわたって放送法では示しておりますけれども、しかしそれを実際に放送番組を組んで放送をするということに対するこれが批判とか、あるいはその結果に対する行政的な法的な処理というようなものをすべて自主性にまかしておる。こういうところに御質問のような問題点があろうかと存じますので、先ほど新谷委員にも申し上げ、また山田委員からの御質問の中に御意見等がありましたように、十分、放送事業者並び放送事業者が持ちまする番組審議機関、それらの自主的な良識ある放送番組に対する責任、この遂行というような問題に、さらにこれらに対する番組放送の前後を十分に検討をする必要がある。従ってそのことは、今御指摘のように、電波監理審議会等に私といたしましては十分諮問をいたし、意見も聴取いたしまして、たとえば民間放送連盟のそういう統一機関も幸いすでにできており、かなり信頼性もあるわけでありますので、こういう民放連の神部その他とも十分相談をいたしまして、そうして全国に、民間放送についてはそういうように、NHKについても番組審議機関等意見を徴しまして、公共放送といたしましての、きめてあります基準に適合したものが実際に放送されておるかどうか、そういうような問題点について十分に一つ話し合いをして、これに一つよりりっぱな、放送法示してあるその精神成果を上げられるように、こういった問題については具体的にも相談をしていかなければならぬのじゃないか。かように考えておるわけでありますが、民間事業者というものは、何といたしましても、事業が成り立つということを特に考えざるを得ない立場に置かれておりまするから、そういうスポンサーというようなものに左右せられることによって、放送番組低俗化ということも実際にあり得ることでありますから、あくまでもそういったようなことに対しては民放連等十分連絡をいたしまして、全国に通ずる一つ基準、また、すでに各放送事業者におきましても、かなり詳細に基準を作っておりまするから、そういうものを十分完備をさせまして、この放送というものがわれわれが願っておりまする所期の成果を上げ得られるように努力いたしたい、とかように考えております。
  10. 山田節男

    山田節男君 今の郵政大臣の御答弁、そのお気持はよくわかるのでありますが、たとえば映画の問題ですが、英米その他の諸国におきまして、映画につきましては一種の検閲といいますか委員会があって、やはり公序良俗に反するようなものはやられちやいかぬ、こういうようなものがあって相当厳重にやられておる。ところが日本におきましても、映画にもやはりそういったような検査の機関があるけれども、相当風紀上どうかと思うような映画が一般の観覧に供せられておるわけです。テレビがもしそういったような映画と同じような実に不徹底なことになりますと、その及ぼす害毒というものは非常に大きなものであります。そこでこの番組審議会を統制されることによって、言論統制じゃないかということをおそれるのは、そういったような意味じやなくて、昔の官僚統制になるということ、思想統制をおそれておる。だからこれは意見になりますけれども、今の大臣の御答弁でもお気持はわかります。しかし何と申しますか幸いテレビ、ラジオの放送事業は時限的な免許制度になっておりますから、三年たてば再免許するかどうかということには、過去三年間の業績というものが、経済的にも、あるいはことに番組の点において相当接点をされるような重要な点だろうと思います。ですから電波監理審議会あるいは郵政省の電波監理局その他において監督機関がありますが、郵政省としては再見許するかどうかというときに、やはりこの今の番組というものも、果してそれじや、こういう番組審議会が指示するようなものに忠実にやっておったかどうかということが、再免許をするか否かという裁決する場合のファクターとして、重要な要素としてとられるべきものかと思います。ですから現行法の今のこの機関に罰則を設けるとか、行政措置は明示しなくても、行政的に電波監理審議会あるいは郵政省の持っておられる再免許のとき、このときこそ放送事業を粛正する、放送の健全な発展を期する一番いい時期です。ですからこれを一つ政府におかれて善用せられて、この法律のそういう行政措置に足りない点を補うというような気持でおやりにならぬといかぬということをお願い申し上げます。
  11. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではもう少し大臣一般的な問題についてお伺いをいたします。  今日までの発達の状況を見ますると大体ラジオとテレビの二つに分けられますが、ラジオにはいろいろ最近のFMというようなものも出てくるし、テレビについてもUHFのようなものについても研究を進められておられる。一体郵政省のお考えといたしましては、このラジオ、テレビを通じましてそれぞれ別にという意味ですが、どういうふうに日本全体の置局の計画といいますか、どこにどういうふうに置いていくかという——場所までは関係ありませんが、全体においてNHKにおいてはここ、民間の放送についてはここ、こういうようなお考えがなければならないと思います。今までの免許の仕方を見ておりますと、私にはどうもその点がはっきりわからなかった、方針がです。免許の申請があったからそれがいいか悪いかということをいろいろの角度から検討されて、これを許可しよう、これは許可すまいということをきめておられるだけで、全体のラジオの局あるいはテレビの局をどういう点においてどのくらいの電力の強きで、どういうふうにやらしていくのが一番いいのか、という基本的な置局の計画というものについて、私はっきりしたものを示されたことがない。ラジオについては大体、ことに中波の方は相当発達をいたしまして、まあ大体の限界までにきておるように思いますから、これについてはいろいろ私も意見もありますけれども、今までも御荘意申し上げましたが、たとえば民放について一時電波監理審議会が、審議会といいますか委員会ですか、委員会当時一県一社主義なんということを盛んに言われて実に小さなものもたくさん入れられた。今日それが相当私はある意味においては弊害があるとは思っておりますが、これを今さら言ってもしようがありませんが、そういうふうな考え方テレビについてもやはりお持ちになっているのか、これから民間のテレビについては一体どういうふうにやろうとしておるのか、申請があったところだけ申請の可否を審査して、そうして許可不許可ということを決定するということだけでやられるのか。あなた方の最終の理想としては、今の与えられた周波数でいけば大体こういうふうな形でやるのが一番いいと思うというようなことがないと、そういう一つの公けの立場から見たプランがないと、ただその日暮らしのようた許可の仕方をされちゃ困ると思うのです。これはラジオのFM放送についても私は言えると思うのです、NHK及び民間の申請に対しまして。だからそういったものを含めまして非常に広範な質問になって恐縮ですが、もし今日そういったものをお答え願うことができなければ次の機会でもけっこうです。特に周波数がふえれば別ですけれども、そうでない限りは大体こういうふうにしていきたいのだ、特にテレビなんかの教育放送というようなことになりますと、民間の放送教育放送なんというものは一体どうされるのですか、そんなにチャンネルもないし。そうすると今は都会地なんかにぽつんとお許しになったけれども、これは一体どうしようとするか。こういうことについての方針はやはり私は少くとも国会には明瞭にされて、こういうふうに持っていくのだということを郵政大臣からお話しになって、そうしてこれは国民全体のものですから与野党を問わず大体の了承を得ておくというようなことが必要だと思う。そういう方向で研究も進めていかなければならぬと思うのですよ。その点について大臣もし今日お答えになることができますれば今日伺うし、もしそれについて何か資料でも出して説明しようということであれば次の機会でもけっこうです。一応それに対する御答弁を願いたいと思います。
  12. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) この問題は非常に重要であり、また非常にむずかしい問題であると思うわけであります。個々の問題、これらについての考え方ということにつきましては一応お答吏が申し上げられるのでありますけれども、御指摘のようにこの機会に十分調査いたしましてのしっかりした一応の方針、今日打ち立て得られまする一つ方針というものを私はここで十分検討する必要がありはしないか、全く御指摘通りでありますから、この点け次回あるいはその次ぐらい、これは明日であればその次ぐらいまでに私の方で十分、現状とまた今後の方針というようなものにつきまして、省議等も開きまして検討いたしました結果を、お答えさしていただきたい、かように存じます。御了承願います。
  13. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 どうぞぜひそうしていただきたいと思います。私は今までの免許の仕方がいいとか悪いとかいうのじゃありませんが、やはりその申請者が熱意をもって申請されるものですから、そういう基本的な日本国民全体に対するラジオをどうするかとか、テレビをどうするかというような非常に商い公けの立場からも、計画というものからはずれて免許が与えられるおそれがあったのではないか、またこれからもあるのではないかということを心配するものですから、これは個々の問題ではなくてわれわれ国民全体のラジオ、テレビをよくする意味で、ぜひそういう基本方針をまだ十分練っていないならば練っていただいて、そしてこの放送法改正の機会にこれからはこうやっていくのだということを示していただくことが、これは国民も大いに期待しているところと思いますし、われわれとしてもそれはぜひお話を伺ってそれについて一応意見も申し上げたいと思いますから、ぜひそう願いたいと思います。  それから次の問題でありますが、多少法律の問題になって大臣局長には恐縮でありますが、これも非常に重要な問題でありますから私触れておきたいと思うのですが、資料として出していただいたものを拝見いたしましても、また大臣の御説明を伺いましても、免許に当っていろいろの条件をつけておられる。これもお願いをして資料を出していただいたのですが、いずれも同じような形をとっておるのです。そして「電波法第八条の規定により、左の事項を指定して予備免許を与える」とこういうことで、予備免許の際に相当広範な事項について条件をつけておられる。この予備免許に当ってつけられた条件というものと、それから本免許を与えられる場合の条件というものが一体どうなっておりますか、現実には。それで予備免許に当ってつけられた条件というものが、今度は何か聞くところによりますと、本免許の際にはそういったつけられた条件を加味して、申請者の方でつまり申請の内容を変えて、自分の方としては予備免許の際にこういう条件を付されたから今後はこういたしますということで、予備免許の際に与えられた条件を満たした申請書を出していく、それに対して本免許を与えられるというような段階を経ておられるように思うのですが、現実の行政措置の場合にはどういうふうになっておりますか、ちょっとこの点御説明をいただきたいのです。
  14. 荘宏

    説明員(荘宏君) 予備免許のときには条件という言葉になっておりますが、一つの約束を申請者と役所との間で行なっておるわけでございます。それで役所といたしましては、その約束が守られることをまあ期待しておりますので、その後工事が落成いたしまして、電波法の規定によって届出があって、検査をしそして本免許を与える。そういう段階におきましては努めて、約束事であるからこれを完全に実行してもらいたいものである、こういう意思表示をいたしておるわけでございます。行政の実際上の扱いとしてその約束事の履行を求めておると、こういう状況でございます。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 荘君は法律の方も非常に詳しい方ですから、多少法律的なお考えで御答弁をいただきたいのであります。今、約束ということをおっしゃったが、公法上で、放送法電波法という公法の上で約束というのはどういう意味ですか。
  16. 荘宏

    説明員(荘宏君) 予備免許を与えました際に、事業者の方におきましては、自分の会社においてはこれこれの事項を、放送夢業をやっていく場合に必ず守りますという意思表示をしておる、役所もそれに従いまして、それを実行するならばまことにけっこうである、予備免許を与えるにふさわしいとして予備免許を与えてやる、そういう一つのお互いの間の予備免許を与えた際の、その行政行為の中に含まれている内容であると、かように考えております。
  17. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 よくわからぬ点がありますから端的にお聞きしてみましょうね。私はそれを問題にしておるのではないんです。ないんですが、非常に重要な事柄が予備免許の際につけられておるのですね。あなたは、申請者の方もそれでいい、そういうふうにしますということであれば、こういう予備免許を、「電波法第八条の規定により、左の事項を指定して予備免許を与える。」なんというようなことをしなくても、申請者の方もいたしますという、法律上大した効果を期待しないようなものであれば、こんなものをつけなくたっていいでしょう。あえてつけておられるのは、そこに何か法律的な効果を期待しておるに違いないんですよ。そうでしょう。そうであれば、そうであるだろうと思うから、私は問題にしておる。  第一に、私が聞きたいと思いますのは、角度を変えてちょっとお尋ねしますが、法律的な免許につけられたいろいろの、あなたは約束といわれたが、約束の内容、申し合せの内容かもしれませんが、それは法律的にはどういう効力を持っておるのですか。つまり免許条件であるかどうかということがちょっとわからぬ。これが第一です。もし条件でなければですよ、それが守られなかった場合においては、あなた方は免許を与える場合にどういう措置をされるのかということですね。つまり法律的にこういうものでないと免許はしないのだということで、条件をつけて予備免許を与えておられるとすれば、これはどうしても法律的には、守ってもらわないと免許を与えられるはずはないのですね。ところが条件でないというんなら、守られなくてもやむ々得ないから、そのときにはそういう話し合いはあったけれども、それが守られないから今度は新しい見地から見直していくのだということになるわけです、法律的にはですよ。どうも私は、まあ私も意見がありますが、これについては、法律的にどちらの法律解釈をとった方がいいかということについては、多少これは疑問があると思うのです。しかし郵政省がここに示されたように非常に広範な、中には資本構成から役員の構成に至るまで予備免許条件として申請者に出しておられる。一体これはどういう法律的な効果を期待してやっておられるか、ということを非常に疑問に思うものですから、それで私はお尋ねしておるのです。
  18. 館野繁

    説明員(館野繁君) それでは今、先生のお話に対しまして、きわめて事務的に書生論的な法律論になるかもしれませんけれども、私ども事務的に考えております点を一応申し上げます。  お話の第一点の予備免許の仕方でございますが、左の事項を指定して予備免許を与えるということは、これは条件だとか、要望事項だとかいうことに関係なく、電波法上、及びそれに従いまして免許手続規程という省令に定めました様式でございます。  それで、この指定事項と申しまするのは、電波法の第八条でございますが、予備免許を与えるときは、これこれを指定しなければならないというところに——電波法上規定されておりすすところに従いまして指定する事項でございます。すなわち工事落成期限、それから、電波の型式及び周波数、第三に呼出符号及び呼出名称、第四に四中線電力、第五に運用許容時間、これは電波法上、指定事項として定められておることでございます。  それから、たまたまここに資料として提出いたしました、この二年間ばかりに処分されました実例でございますが、お話のように、たとえばお手元の資料の第一ページの、日本教育テレビという会社のテレビジョン放送局につきましては、その電波法上、定められております指定のほかに、「なお、別記各事項を守るべきものとする。」というようなことで、先ほどから条件ということでお話がありますところの要望事項が記せられているわけでございます。  それで、これの法律的な考え方といたしましては、お手元の資料で、いろいろの書き方、場合が、今までの処分例としてございまするが、それらを通じまして、私どもといたしましては、この中の一点につきましては、法神上の条件であると考えております。  その一点と申しまするのは、お手元の資料の十六ページ以下に、「昭和三十二年十月二十二日予備免許の三十四社三十六局」というときの一斉処分の処分様式が出してございますが、これの中に、「条件(その一)」と、「条件(その二)」というのがございまして、この中の「条件(その一)」は、法神上の付款と申しまするか、条件考えております。すなわち、そのことが満たされなければ、処分の効果がなくなる、あるいは発生するというような法律上の効果が、その内容の実現いかんにかかっている、という意味条件と解しております。その他のものにつきましては、申請書記載事項について、特に審査事項——省としては、これこれを一つの審査の内容として重点を置いて審査をしたぞということを、予備免許を与えるに際しまして、免許人に対して申し渡しと申しますか、明らかにする一つの公けの宣言と考えております。  従って、公けの宣言の効果が、どうであるかということにつきましては、いろいろと法律論があるかと思いまするけれども、そのことがないために、自動的に法律的効果が消滅するという意味合いでは、条件でなく、また、直接的な効果というものはないものじゃないかと考えております。ただ、電波法上、無線局の免許を申請するものが、不正な手段によって免許を得たときは云々というのが、電波法の七十六条に規定されておりますので、その電波法上の別途の規定によりまして、自分は、こうするといっていながら、結果として政府をごまかしたという程度のことになりまするならば、その意味におきまして、その免許の有効性に問題があるかと思いますけれども、いわゆるここで条件と書いたから、それに反したからということで、処分上の効力としては免許が消滅するとか、その他の効力は出てこないのじゃないかと思っております。
  19. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣、いかがでしょうか。これもどうせ、あなた一ぺん帰られて、これをどういうふうに解釈し、どういうふうにして扱っていくかということが明らかにされなければいけないと私は思っておりますけれども、よく研究されまして、その上で、もう一ぺん答弁をしていただいた方がいいと思います。  今の課長の御説明でございますと、実に、いろいろな問題が出てくるわけです。「条件(その一)」と書いたところだけが、法律的に効力がある条件であって、「条件(その二)」と番いてあるところは、これは法律的に効力のない宣言であるとおっしゃるでしょう。宣言って、一体何でしょうか——そんなことを勝手に宣言されては困るでしょう。役所も、権限も何もないのにしかも、その通り心得べしというような意味で、その他を見ますと、「なお、別記各事項を守るべきものとする。」守るべしということでしょう。  だから、そういうものが宣言だなんということで、これは条件でありませんということのために、宣言とおっしゃるのだと思いますけれども、私は、こういったのは、これから先の運用の問題にも響くので、先ほど来、ね尋ねしましたような、たとえば教育放送の問題のごときも、何%以上といいましても、これは宣言であって、法律的に、何らの拘束力はないのだ。さっき電波法七十何条を引用されましたが、つまり政府をだました——役所をだまして、免許を得たということにでもなれば、それは罰則規定があるけれども、しかし直ちに免許の取り消しの問題でなく、これは罰則だけです。そういうことで、つじつまを合せていこうという、それは、若い役人の方には、それでいいかもしれませんけれども、放送の政策を論議する場合には、そういう解釈や法律の適用の仕方をしていこうとされても、それは無理だと思うのです。  で、あまりこれについて、いろいろ私から今申し上げますと、大臣も、お困りになる点があると思いますから、私はむしろ、もう少し、これは研究されまして、われわれにも、それは、こういう意味で出したんだということをはっきりとさしていただいた方が、私はいいかと思うのです。  ただ、私は、こういう内容が悪いということを今言っているんじゃない。ああいう形で、教育放送というものはあった方がいいと思うのです。ことにテレビなんかについて、教育放送があった方がいいと思うのです。しかし、それを法律上適法にもっていって、しかも、その内容も、郵政大臣が言っておられるような内容番組を組ましていくというのには、私は、やはりそこに、もとは、やっぱりわれわれお互いに法律で動いているんですから、法律上の根拠を持っておやりにならないといけないと思うのです。だから、そういう意味において、私は、もう一ぺん御研究の上で、御答弁になった方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) さようにさせていただきたいと存じます。この放送法改正案の審議の間に合いまするように、先刻の問題、ただいまの御指示、これらについて省といたしまして、一応、十分検討いたしまして、お答えをさしていただきたいと存じます。
  21. 荘宏

    説明員(荘宏君) ちょっと補足さしていただきます。  先ほど放送業務課長から、宣言という言葉を申し上げまして、いささか表現が適当でなかったようなきらいもございますので、宣言と申し上げました意味を、ちょっと申し上げさせていやだきます。  宣言とは申し上げましたが、これは、新たに創設的な法律効果を期待しておる宣言というものではございませんで、実は、申請者の方から、自分は、こうこういう計画によって事業を行いたいと、こういうことを申請書の内容として記載して出してきておるわけでございます。それで、予備免許を与えます際に、あなたは、こう言っておられますよ、それを認めた上で、予備免許を与えたのであります、という趣旨の、申請者の意思の、いわば確認という意味で、改めて書きあげてあると、そういう意味でございます。  従いまして、新谷先生が、先ほどおっしゃいましたところでありますが、あえて、役所の方で書かなくてもいいんじゃないかということになりますと、確かに書かなくてもよかった。ただ念のために、申請者の意思を十分、あなたは、こう言っておられるのであるということを明らかにしておくというだけの意味でございます。従いまして、創設的な宣言というものではございません。表現の適当でなかった点につきましては、おわびを申し上げます。
  22. 森中守義

    ○森中守義君 今のに関連をしまして、私も一つだけ言っておきたいことがありますが、前の田中郵政大臣のときに、この問題を私は一回やったことがある。  そのときに、前大臣は、すこぶる明瞭に言明しております。従って、今、荘君や館野君が言われるような、そういうあいまいな答弁は、この前されていなかった。従って、条件は、非常に明瞭な大臣の言明によって、私どもは了承しておるし、しかも、あの条件に違反した事実があったという一つの問題をとらえての質問の際でしたが、これは、私は正確な記憶があります。それによれば、今の荘次長の説明からいけば、申請者と役所との間に成立をした約束事である、その約束事が、果されることが期待される、まあ、こういう非常にあいまいな表現です。  従って、私が田中郵政大臣と話をここでしたときには、つまり条件一つの字句の解釈と、実体の解釈をめぐっての論争をしましたが、そのときに私は、条件は満たされなければ、条件としては成り立たない。従って、この条件に違反するような事実があったならば、即座に、これは免許を取り消すべきである、こういう質問をしたことがある。  そのときに、先刻言われたような、あいまいな答弁が出ましたから、それならば、条件じゃない、それは基準だというわけで、追い込んでいったところが、それは郵政大臣は、承知いたしました、即刻調査をして、予備免許を交付する際に、その後、違反した事実があるならば、調査をいたしますと。従って、条件は満たされなければ、条件としては成り立たないという言明をしたし、私は、行政行為、そういう問題については、拘束力を持つということで、前田郵政大臣との間には、この条件の問題は話がついておる。にもかかわらず、今郵政当局から宣言であるとかという、そういう法律上の言葉を引用して、あいまいな表現としか、私は受け取っておりません。  従って、寺尾郵政大臣が新しい角度から、今の新谷委員質問に対して統一ある見解を表明されることはけっこうでありますが、少くとも前大臣との間に、条件基準かという論争の結果、条件である、行政行為として拘束力を持つ、つまり、社内問題にも、違反した事実があれば踏み込めるというような解釈を、私は前大臣ととっております。これは一つ、速記録を明らかに私もしたいし、郵政当局もしていただけましょう。  ただそれが、せんだって、新谷委員から発言があったように、電波法あるいは放送法の何条の何項に準拠したものか、この準拠法については、多分に問題がある。しかし、それは電波法放送法という体系上の問題でもあり、この放送法を審議する過程の中で、これもまた、一つの大きな論争点になるでしょうけれども、少くとも、条件基準かという論争は、済んでおる。前大臣は、言明をしております。  だからして、今役所と申請者との約束事であり、その約束が果されることが望ましいという、きわめて漠然とした、拘束力を持たない一種の精神規定、精神解釈的な、そういう郵政当局の見解というものは、いわば前大臣が言明したことと、およそ食い違っておる。この点をも一つ含めて、明らかに、次回なら次回でもけっこうですから、大臣の方から答弁を求めたいと思います。  私は、前大臣との間に、話はついておる、そういうように了承しております。
  23. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 十分、その点も検討いたしまして、お答えをいたすことにいたします。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ちょっと速記をとめて下さい。
  25. 手島栄

    委員長手島栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  26. 手島栄

    委員長手島栄君) 速記を始めて。
  27. 山田節男

    山田節男君 今度の放送法の一部改正法案の第九条の、いわゆるNHKの業務規定の改正について二、三質問したいと思う。  今回の改正法案によりますと、NHK公共放送として調査研究すると、そうしてこれは一般に公開提供すると、並びに番組をも一般放送業者の用に供すると、こういうように規定されております。  これは見方によれば、従来放送法の根本的改正ということに関しまして、もう過去五、六年以来、NHKの技術研究所を開放しろとか、ことに商業放送の面から、痛烈な希望が出たことは事実です。その結果、現行法で、できるだけのことをやっているように私たちは理解しているわけですが、この番組の提供ということ、これは御承知のように、番組一般放送業者の用に供する、この問題ですが、あらゆる番組を要求があれば、NHKが提供しなくちゃならぬと、これは番組によりまして、たとえばニュースであるとか、その他きわめてドキュメンタリーな、記録的なもの、これはすこぶる簡単ですから、そういったものは、私は問題ないと思う。  ただ、御承知のように、今日のように放送事業が盛んになって参りますと、テレビで演出するドラマであるとか、あるいはクイズであるとか、その他独得の番組は、著作権であるとか、あるいはまだ今日では、日本では正当にこれを法律で保護を加えておりませんけれども、企画権というものも、ことに放送業が盛大になって、アメリカ等におきましては、企画権というものも、一つの著作権と同じように保護している。そういうような番組までも、要求があれば、これはNHKが提供しなければならぬということになりますと、これは非常に複雑な問題を予想しなければならないと思います。  それから同時に、こういったようなNHKの、放送法によって定められている業務からいって、これを有料でやるのか、無料でやるのか。有料でもしやるとすれば、なるほど技術研究所におきまして、実費で資材等を使用しているということは、私も聞いております。  ただしかし、番組の提供の場合に、これは、技術の提供とか、あるいは技術員の養成とか、こういうものとは、非常に違った性格を持っておると思います。ですから、一体、この法文で、番組一般放送にも提供しなくちゃならぬという義務規定は、どの程度まで考えておられるのか、これは具体的に一つ、お答えをいただきたい。
  28. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは私は、番組民間放送事業者等に提供するといったようなことは、きわめて特殊な場合だと、こう考えております。  たとえば、行事として非常に大きな、先般行われたオリンピックの競技であるとかそのほか国際的とか、あるいはまた、NHKがその番組の編成等に、NHK立場上、非常に優位に取り入れられる、こういったような放送番組においては、これは民間放送が、そういうふうな場合に、NHKに要望して、あるいはまたNHKから、これを提供する、こういうことであって、義務とかということでなくて、そういうことをNHKとしては、十分考慮して、民間放送の方の便宜をはかっていこう、こういう規定であると考えておりまして、そういう場合における費用の問題は、これは、あくまでも実費はもらうという考え方でおるわけであります。  なお、局長からも御答弁申し上げます。
  29. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 以上で尽きております。
  30. 山田節男

    山田節男君 これは、こういう法案要綱を作る前に、こういったように、公共放送民間放送と併用されている国、たとえばカナダ、オーストラリア、テレビにおきましては、イギリスが御承知のように民間放送公共放送と両方やっておるのですが、一体、そういうような国で、かような立法例があるのかどうか、これを一つお伺いしたい。
  31. 館野繁

    説明員(館野繁君) 私ども不勉強でありまして、詳細については、研究いたしておりませんけれども、御承知通り、昨年末のカナダの放送法改正以前におきましては、日本NHK相当する機関が、放送の監理行政の一部を持つと同時に、すなわち商業放送に対する監督権を持つと同時に、自己の放送局を経営しておったということでございまして、それが、法律改正になりまして、日本のように政府機関放送実施者が分れたそうでございますが、その昨年までの状況におきましては、構成が、そのようでございまするから、自己直属の放送局の番組監督権のもとにある商業放送の方に提供する、あるいは番組のいろいろ編成上について相談を受けるという事例があったように承知しております。  それから、イギリスにおきましては、BBCと商業テレビジョン局との間に、番組の交換あるいはそれに関する資料の交換ということが、便宜行われておりますかどうか私は存じませんけれども、御承知のように、イギリスの商業放送と申しましても、番組自体は、編集をいたしませんで、番組作成会社、数社からの番組をとって、いわば施設の運営を、その商業放送局が行うという体制になっているようでございまするので、そういう関係から、BBCとの間で、法律上あるいは規則上、やつちゃいかぬとか、やってよろしいとかということは別にきめてなく、もっぱら数社の番組提供会社からの番組を出していくというように承知しております。  従いまして、カナダの特殊の例を除きまして、改正法案にあげましたような法制例がほかにあるようには承知しておりません。
  32. 山田節男

    山田節男君 これは、非常に重大な問題だと思うのです。これを、公共放送の性格という部面から、別に法的に規制しないで、ただこの一カ条でもって、こういう番組を提供しなくちゃならぬというようなことは、これは私は大きな問題だと思うのです。  と申しますのは、大体、ラジオの民間放送が始まるときに、政府は、何を言ったかというと、要するに、民間放送がたくさんできるけれども、公共放送とお互に、プログラムの点において競争して、切磋琢磨して、そうして国民に、よりよい番組を送るから、であるから、民間と公共放送をお互に競争さした方がいいと、こういうことを一言っておる。  これは、私もある程度まではうなずける。だから私も、その点は期待しておったのでありますが、そういたしますと、公共放送から一方的に、番組を要求があれば、実費で提供しなければならない。逆の場合に、民間放送によい番組があったならば、公共放送が、これを実費でもって入れる、これを交換し得るという点も含んでいるのかどうか、これをお伺いしたい。
  33. 石川義憲

    説明員(石川義憲君) お答えいたします。  先生のお話でありますけれども、法律の条文の建前といたしまして、NHKに義務として提供しなければならぬということを規定しているのではなしに、NHKには、そういうことができるということにしてあります。その理由は、現在の九条は、制限列記の建前をとっております。できることを書かなければいかぬということであります。  従いまして、お話のように、公共放送と商業放送が切磋琢磨するということは、まことに望ましい姿でありますので、そのお考えは、全く賛成でございますが、厳格に言いますと、現行の法制では、NHKはそういうことができないと、こういう建前になっておりまするのを、実情に合うように合わして、番組の提供をすることができると、こういうことになっております。
  34. 山田節男

    山田節男君 反対給付の場合は、どうなるのですか。
  35. 石川義憲

    説明員(石川義憲君) 従って、NHKが商業放送から番組をもらってはならぬという規定もありませんし、それはお互に、よい番組があれば、提供し合ってやることは可能であります。
  36. 山田節男

    山田節男君 これは、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、これらの立法例を見ましても、番組を、公共放送民間放送に提供するというようなことを、私は聞いたことがない。  現に、ごく最近、イギリスのBBCの会長サー・ジェーコブが見えたときに、それから一昨年BBCの前会長のサー・ウィリアム・へーリーに会見したときにも——これはタイムズの主幹をしておりますが、このときにも、私は懇談したときに、日本では、公共放送教養のものを主にやれ、娯楽は民間でやるべしというような声があるが、公共放送のあり方として、そういう多年の経験からいって、どう思うかということを聞いたときに、これは、もう公共放送民間放送は、あくまで独立の建前で、そうして、このラジオの民間放送を始めたとき、所管大臣が言われたように、切磋琢磨して競争することによって、自粛自制して、かつ努力して、いいプログラムを作っていく。民間放送事業というものを政府免許したのも、これは自由主義経済の精神です。そういうことであれば、自由競争という建前にしておるのですから、今、ここに番組を交換できるような規定を作るというようなことは、私は、将来の公共放送民間放送のあり方を非常にあいまいにする。これは私、先ほど来申し上げましたように、公共放送の性格、目的が、一体どこにあるかということを明示するような根本法をなぜ作らないのかということ、私が、これまで何べんも申し上げておるのは、そこなんです。それをこの二面でもって、くずされておる。  今まで特に、商業放送あたりから、放送番組を提供してもらいたいという、そういう要求があったのかどうか。私たちは、そういう請願を受けておりません。受けておりませんけれども、こういうようなことをやるということは、政府の従来の方針を全くくつがえすものであり、それから自由競争の原理をくつがえすのじゃないかと思うのですが、この点について、もう一ぺん大臣の御所見を伺いたいと思います。
  37. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 山田委員の御所見は、私、よくわかるのでございます。ただNHKいわゆる公共放送といたしましてのNHKといたしましては、技術面におきましても、また番組編成といったような、高度の公共放送といたしましての高い使命を持っておりますから、それら研究した、あるいはその成果というものを、一般放送事業者に提供する、あるいはこれに奉仕をする、あるいはもっと端的にいえば、民間放送業者よりも、はるかに誕生も古いし、また高い使命も持っておりますから、それらの用に、できるだけ便宜をはかって、その育成に役立つような一つの使命を持っておる。こういうことにかんがみて、これは山田先生も、十分御承知でありますが、この第二項は、「左の業務を行うことができる。」ということと同時に、また、この法文も——私は、法律のことはわかりませんが、一般放送事業者の用に供す。要請があれば、NHK立場において、そういう民間放送事業者が、これは、自分たちにぜひ提供してほしい、こういうようなことに対しては、NHKとしては、その用に供するということを規定してあって、別にこれは、義務づけられておるとか、あるいは何でも押しつけるとか、あるいは何でもほしいからというので渡すとかいうようなことには考えていないわけでございまして、山田委員の御所見とは、あまりかけ離れておるというようには思っていないわけでございます。
  38. 山田節男

    山田節男君 御承知のように、この法律を制定した当時は、占領軍政下でありまして、英文が原文であって、日本文はむしろコピーであった。それでわれわれは、これを審議したと思う——私は、この放送法案については知りませんけれども——他の労働関係法律で、私、当時GHQに、何べんも行って感じましたことは、法律条文についての解釈ですけれども、何々することができるということは、英語でいうメイだろうと思います。メイという言葉を使います。法律論になりますが、英米法では、シュッドとメイと、どこが違うか、これは法律上、非常に大きな違いです。原則としましてシュッドという場合には、罰則がつきます。メイというのは、これは一つの強制規定ではあるけれども、日本語ではできるというから、そういうような解釈をしておりますけれども、メイとシュッドとの英文の法文の解釈をどうするか、これは、非常に大きな問題だと私は思うのです。これは大体、原文は英文なんです。で、その現行で、「何々することができる」というところの中に、今度この放送番組一般放送にも供与していくということを、しても、しなくてもいいのだ、こういうようなことを害われますけれども、そこに根本改正をしない限りにおいては、これは英文が原文として出てきた、しかもこれは、翻訳の法文なんです。ですから、ただ任意規定というものは、可能であるということを表示したにすぎないということをおっしゃいますけれども、今のように、民間放送から金を出せば、実費を出せば、譲り受けて公共放送にやり得るのだという説明がある。いわゆるギブ・アンド・テークというものを、ここに規定しているとおっしゃる。これは、先ほど申しましたように、日本民間放送をやたらに許したときは、政府の根本対策とは違ってくる、ここに非常に重大なポイントがあるということを申し上げておる。  ことにテレビジョンの演出というものには、これは、日本におきましては、まだ、そう金をかけておりませんけれども、これは次第に放送が激しくなれば、NHKのように限られた財源にいたしましても、相当テレビジョンの演出には金を使う。実費と申しましても、ものによったならば、数百万、数千万のものができるかもしれない。しかし、これは民間放送に、いいから一つ貸してくれ、こういったようになりますと、その著作権というものは、必ず付随して参ります。そうすると、公共放送の場合の著作権、われわれは俗に日本放送薄謝協会と申しておりますが、公共放送の場合ならば、一般芸能人に対しましても、一つの何といいますか、従来のしきたりもあり、NHKに対しては、いろいろ厄介にもなっている。名誉でもあるというので、非常に安くやる。ところが御承知のように、民間放送になりますと、どんどん芸能人の出演料を上げてくる。そうなると今度、これを公共放送番組、そういうものを貸し与えるということは、権利関係が非常に複雑になってくる。現に、これを外国、ことにアメリカにおきましては、芸能人の出演料の高いのに困っております。日本でも、民間放送に出た人は、NHKよりも数倍の実は謝礼をもらっておる。ですから、こういったようなものを考えますと、ただニュースとか、記録的なものを貸すならよろしいが、こうした漠然としておくと、そういうものを供与する場合において、どうなるか。実際問題において、非常に複雑な問題が起きてくると思う。  そういうことは、どうするのか、これは、政令かなんかによってきめるとかなんとか目途がなければ、こういう野放図のようなことをきめるということは、危険ではないか。実際上の問題として、どうされていくつもりか。
  39. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) よく、御意見はわかりますし、これは、この条文の運用についての非常に注意を要するところであるということも、十分わかります。  ただ、こういう民間放送事業者等が、要望したときに、これを提供するということができるということを、やはり設けておく必要はないかということが、このNHKが、公共の福祉のためにという前提のもとに、いわゆるあまねく日本全国において聴取できるような放送を行うことが、非常に大きな使命であると同時に、これは、NHKが持つ大きな一つの特権として高い立場から、こういうことを申し上げることができると思いますので、こういうような国際的な、そういったような番組放送といったようなときには、これを提供することがで奉る、こういう規定を残したのでございますが、いろいろな御所見を拝聴いたしましても、これが、きわめて影響も大きいということもわかりますから、その運用ということについて、十分慎重にやっていかなければならない。かように考えます。
  40. 山田節男

    山田節男君 今の大臣答弁では、私は承服しかねるのですが、国際放送のプログラムの交換ということは、これはよいと私は思う。これは、やはりギブ・アンド・テーク、それと国際親善の意味もあるのですから。今申し上げておるのは、NHKなり民間放送も、一つの企業体として、NHKといっても独立採算主義である。これはあくまでそういう意味におきましては、商業的にただ利益を得るというだけではないけれども、採算主義で自主的に経営しなければならぬということは、これは厳然たる使命を持っております。いわゆる商業放送は、企業体としてもちろんこれは追利主義でやっているんですから、そういう異なった公共と民間放送と——しかしながら両方とも一つの企業体である。しかも重要な営業のエレメントをなしているところの番組を開放するということは、公共放送だからやれるんだ。実際問題としてニュースだけならいいんじゃないかということをいわれるならば、それはまだ了承できる。こういう書き方をしておけば、たとえば五百万円かかったものも、商業放送の方から貸してくれという場合に、実費でそれをNHKが提供することになる場合に、これは単なる手数料ではなくて、一極の商業的な一つ事業になるという憂いが多分に出てくるわけですね。ですから、これはどうも私は今の御答弁では、今私が申し上げたようなことまで、実際問題としてそこまで意をいたしてこの法案を作られたように私どもには思えないんですけれども、これはNHKから私も意見を聞きたいんですが、時間がございませんから……、もしこれ以上の御答弁がなければ、もっと実際問題として重ねて御質問申しあげたいと思います。  それから次には、やはり業務内容の中で、標準放送かFMかどちらかでもって全国にあまねく放送せしむ、こういうことが事新しくうたってあるわけです。これはどういう意味なのでしょうか。現在標準放送で難聴解消に努力して、ほとんど九九%くらいまでにいっていることを報告されているけれども、FMで全国あまねく放送するということがうたってあるんですが、これはどちらか、どういう意味なのか、これを一つ解釈願いたいと思います。
  41. 荘宏

    説明員(荘宏君) ただいまの御質問は、改正案の第九条の第四項に関するお尋ねでございますが、ここに書いております趣旨を御説明申し上げます。ここに掲げておりますのは、NHKが義務的にやらなければならないところを明らかにしたにとどまるのでございます。すなわち、ここに書いておりますのは、NHKとしましては音の放送、これを全国にあまねく受信できるようにするということ、及び音と画が組み合わさったテレビジョンをまた、あまねく全国で受信できるように措置しなければならないということ、その二つを義務として書いておるわけでございます。そして音の放送につきましては、義務としては標準放送と超短波放送のいずれかということにしております。しかし、現実に局を置き、局を運営する場合に、二つは重なってはいけないのかということにつきましては、そういうことはいけないという規定は設けておりません。義務としてはいずれか一方でもよろしいという規定のみにとどまっております。そうして現実に置局をどういうふうにして、どのように運直するかということは、ここに具体的の計画として、NHK事業計画、収支予算で国会の御審議をも経ることになるわけでございます。こういう考えで四項の規定を立案した次第でございます。
  42. 山田節男

    山田節男君 この法文を見ますと、ラジオの全国放送——標準放送とFM放送ですね、これは現在は標準放送、中波でやっているわけですけれども、そうでない場合にはFMの放送でも全国的に一般にあまねくやるか、どちらかというのですから、現在の、極端にいえば、標準放送を全部FM放送に切りかえる時期があるということを予想して、こういう条文を考えられておるんですか。先ほど言われておるように、テレビジョンは、これは申すまでもなく音声はFMである、これは関係ないですよ、法文からいえば、と思うんですが、そこは一体どういう——今私が申し上げたようなおつもりなんですか。
  43. 荘宏

    説明員(荘宏君) ここに書いておりますところは、先ほども申し上げましたように、声の放送として、音の放送としては標準放送と超短波放送のどちらかによってやる義務があるということだけでございまして、標準放送をやめてしまって超短波に切りかえなければならないというようなことは別段書いてございません。従いまして、今後実際の問題といたしましては、超短波放送がだんだんできてゆくでございましょうが、そういう場合でも標準放送と超短波放送とが同じ地域において重複するということを否定するものではございません。そのやり方というものは、そのときの行政方針により国会の御審議を経る事業計画の上で現われて参る、かように考えます。
  44. 山田節男

    山田節男君 この問題は従来この委員会におきましても、外国からの強力な放送のために混信状態で、いわゆる難聴地区が非常にたくさんできつつある、これをどうするかといえば、結局技術的にいえば、増力するか、あるいはさもなくんば標準放送をFM放送に切りかえるか、この二つの方法しかないと私は思うんです。そういたしますと、こういうような書き方をしておくと、たとえば将来どうしてもシベリア、ソ連あるいは中共あるいは朝鮮、沖縄等の混信を、外国からの強力な混信を避けるためには、これはヨーロッパでやっておるように結局FMでやらなくちゃならない。しかしそうでないところは標準放送で従来のように受信機を変える必要はない、これは経済的に非常に負担になりますから。しかしどうしてもそういう不可抗的な混信がある場合にはFMに切りかえるということは、これは政府としても、あるいはNHKとしても考えなければならぬことだと思うんですね。こういう書き方がしてあると、私は文字通り読みますと、標準放送は、ラジオだけは全部標準放送でやっておるけれども、しかしそうでなくんばFMで全国にあまねく聞えるようにしなくちゃならない、こういうようにしてある。そういたしますと、今私か申し上げましたように、実際問題として、現在の難聴地区をFM放送にするかどうか、現在そういう世論も出ておる。それから周波数バンドの節約の点からいいましても、これは全国的にFM放送に切りかえるということを予想した場合に、受信機を持っておる聴取者の不経済になるのみならず、周波数の割当によって果してそういうことが可能であるかどうか。ですから将来のこういう混信による難聴地区の解消のためには、たとえば大都会であるとか、あるいはそういう海外からの強力な放送を、この電波の発射を受ける地方においてはFMでやる、こういうように標準放送と超短波放送との併用ということがむしろ将来技術的にいえば望ましいことなんです、またそうせざるを得ないんですね。しかし、一方においてこういう書き方をしておいて、そういうことができるかどうかということが私には実はわからないんですが、もう一度御説明を願いたい。
  45. 手島栄

    委員長手島栄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 手島栄

    委員長手島栄君) 速記を始めて下さい。
  47. 荘宏

    説明員(荘宏君) 先ほど御説明申し上げました中に不十分であった点がございますので、ちょっとつけ加えさしていただきます。標準放送と超短波放送とのいずれかと申しまするのは、読みようによりますと、標準放送だけ、または超短波放送だけ、そのいずれか、こういうふうに読めるわけでございますが、実は法案を作りました気持では、そういうことではございませんで、標準放送または超短波放送、このどちらかの音の放送によって全国あまねく、こういう意味なのでございます。従いまして、土地によって、ある所は標準放送、ある所は超短波放送というようなところができることをも法律上は可能なわけでございます。今標準放送全国でやっておる。これを一挙にやめてしまって、そして超短波放送にあしたから変る、こういうようなことを考えておるわけではございません。
  48. 山田節男

    山田節男君 先ほどから私が申し上げておるように、この法文は、大都会であるとか、あるいは外国からの強力な電波の受信のために混信で難聴地区がある、こういう所は部分的にFM放送をやる。それで他は標準放送をやるということで、併用ということがこれは含まれているわけですか。
  49. 荘宏

    説明員(荘宏君) 併用する場合ももちろんあるわけでございます。
  50. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 時間がありませんので質問を簡単にしますから、答弁の方も簡単でけっこうです。  三、四点お伺いしたいと思いますが、この改正案が通った場合のNHKの機構なり、NHKの機構を動かしていく問題については、きのうも前田委員からも若干その点について質問がありましたが、これはいずれ野村会長がお見えになったときにお聞きしたいと思いますから、これは留保しておきます。  それから、こういう問題が出てくると思うのですが、今度の改正案によりますと、番組の編集についての基本計画ですね。これは一応は経営委員会の権限になっているわけですね。経営委員会番組編成の基本方針をきめまして、そしてそれを会長以下理事会でその方針を受けて実行されるわけです。その場合に番組審議会にかけるわけです。基本方針も、私は経営委員会の適当と認めたものと、番組審議会の適当と認めるものとが必ずしもいかなる場合でも一致するとは思えないのです。角度が違いますからね。経営委員会NHKの経営という観点から見るのでしょうし、番組審議会というのは番組適正化ということから見るのでしょうから、そこで番組の編成の基本方針について両方の意見が一致しない場合にどうするかということは、これは理事者の方では非常に困る問題だと思うのです、その点についてはどういうふうにしようと思っておられるか。あるいは電波監理局長は、今のような問題について改正案ではそうなっておるが、これをどうさせようとするのか。理事者が全く動きがつかぬことになる危険が私はあると思うのですよ。その点が一つです。  それから、さっき山田委員からも質問がありましたが、この九条の七号の問題はだいぶ現在の書き方と変っていると思う。結局この問題は、私は山田委員意見が違うかもしれませんが、何といいますか、NHKが非常に商業的になって、番組を作ってどんどん売るなどという商売をやっては困ると思う。それはもちろんのことです。しかし自分で作った番組を有効に国民に提供することがあれば、私はこれは公共機関として進んで提供されてもいいだろうと思う。ただ問題は、法律案には「提供」とありますが、一体提供というのは有償か無償かということが、この問題のポイントだと私は思っている。いずれ質問しようと思ったら、山田委員からいろいろ御質問があったが、有償か無償か、あなた方はどういうふうに考えておられるか。電波監理局長は、立案趣旨は、これは有償でもよろしいということなのか、その対価は、公共機関としては適当でなければならぬけれども、しかし有償でもよろしいということなのか。特に私は外国に対しましては、いずれまた他の機会に申し上げますが、日本と文化協定の締結されているようなところにはお互いに、これは有償であると無償であるとを問わず、こういう番組を交換されるということは非常に望ましいと思っているのです。規定の趣旨は賛成です。賛成でありますが、そのやり方が問題です。根本は有償か無償かということで、有償の場合どういうふうにやるかということが問題だろうと思う。その点をお答え願いたい。  それから、これもちょっと山田委員から触れられましたが、教育放送教育テレビにしても、全国に普及させようということでありますが、御趣旨はよくわかります。そうあった方がよろしいと思います。しかし、これには全国的に見ると、第一に周波数の問題が起っている。第二には、これはどうしても中継しなければ問題にならないでしょうから、マイクロ・ウェーブとか、同軸ケーブルなりの中継の手段なりが整っておらないとできない。これはおそらく電電公社が担当するところだろうと思いますが、全国にあまねく教育放送教育テレビを受信させるに必要なそういう中継手段が考えられているかということと、それからNHKの内部関係できのうも御説明がありましたが、テレビジョンについては料金はいじらないということですね。全国教育放送を普及した場合に、私は第一に建設費の問題、第二には運営費の問題が起ってくると思うのです。そういうことで、一応ここに書いてありますようにテレビジョンもあまねく全国に受信できるような措置をしなければならないという中には、もちろん教育放送も含むのだということだろうと思いますが、そういう経済的な準備ができているのかどうか。こういうことを考慮した上でこの法律案を作成し、また、あなた方はそれに同意されたかということですね。私はその点について、教育放送教育テレビもあまねく全国ということについては、実際問題として非常に困難な問題がある。これについてはよほど政府自身がこれに対する社会教育というか、あるいはそういう学校教育の面からも相当に直接間接の援助をしてやらないと、ただ書くだけでは実際はできないのじゃないだろうかという心配がある。その三点につきましてまず御意見を伺いたいと思います。必要があれば電波監理局長からも当局のそれに対する態度を御説明願いたい。
  51. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいまの新谷先生の御質問に対して私どもの考え方を御答弁申し上げたいと思います。  第一点の番組審議会と経営委員会との番組編成の基本方針についての食い違いが起った場合にどういうことを考えておるかという御質問と拝しましたが、私どもの考え方では、番組審議会改正法案によりましても、大体会長の諮問機関という考え方を持っております。番組審議会は諮問機関ではございますが、同時に私どもの実際運営上の心がまえとしては、単に会長から諮問事項を下して、その答申をいただくばかりでなく、その答申についても、会長がどういうふうに処分するかというようなことを明らかにして、また番組審議会にも申し上げたいと考えております。それからまた、諮問事項以外についても番組審議会の献言あるいは勧告を喜んでいただきたいという気持を持っております。しかしながら、その点で、それでは番組審議会に異議があったときに経営委員会との関係はどうなるかという点では、今申し上げました経営委員会は、NHKの経営について最高の基本方針を決定するものであり、番組審議会は会長の諮問機関である、執行機関の長たる会長の諮問機関であるというところから考えまして、結局、最終決定は経営委員会の決定に従うことが当然である、このように考えております。しかし実際運営の問題といたしましては、私どもの心がまえは、かりにもそのような意見の食い違いが実際上の運営に影響のないように、私ども執行機関の一部を担当する者は細心周密の注意を払って運営の円滑化を期したいと、このように考えております。  それから第二点の民間放送に対して私どもが番組を提供する場合にどういう気持でいるか、有償とすることを考えているか、無償とするとを考えているかという御質問と拝しますが、これにつきましては、番組を提供する決定は私たちがやらしていただくという考え方を持っております。その番組の種類によって、有償である場合もあり、無償である場合もあると私どもは考えております。有償の場合に、NHK放送法上の基本方針にもとるかどうかという問題につきましては、NHKといたしましては、それが営利の目的でない場合には、かりにお金をいただいても私たちといたしましては、放送法精神にはもとらないであろうという考え方を持っております。実は、昭和二十九年以来今日まで、数回にわたって商業放送番組を提供している事実がございます。その番組は社会的に一般共通の番組であるという考え方に立って、商業放送の御要望に応じてきておりますが、その場合も、従来の経験でも無償の場合もあり、実費をいただく場合もございます。この点につきましては、放送法の御審議によってこの新しい改正法案ができる場合には、私どもといたしましては、さらに実行上その基準をはっきりさして参りたいと考えております。それからまた有償の場合、放送法精神にのっとって有償でその番組を差し上げる場合には、その受け取った金は雑収入として処理いたしまして、これをNHK番組の改善向上のために使う心組みでおります。私からはこの程度で……。
  52. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 先ほど新谷先生から御側間の第三点の教育放送の問題について御説明申し上げます。教育放送につきましては、NHKといたしましては、当然全国普及という前提のもとに総合計、画を立てておりまして、これは今までやっております総合番組よりは若干遅延いたしますけれども、計画といたしましては、全国四十九局、約五十局の局を完成いたしまして、全国にこれを普及するという前提でございます。ただ問題になりますチャンネルがあるかどうか、この点につきましては、現在までに東京、大阪の二局につきましては、これをちょうだいいたしまして実現いたしましたが、今後につきましては、まだどのチャンネルをどういうふうに使えるかということがきまっておりません。また数を数えましても、全国のすべての局において現在のVHFでもって放送する余裕はないように考えられます。それでまず第一希望といたしましては、できるだけVHFの周波数を教育放送の方に分けていただきたいこと、またどうしてもやむ得ない場合には、これは技術的に若干問題点と申しますか、あるいはVHFに比べれば不利な点がございますけれども、UHFを利用いたしましても、ぜひとも全国に普及いたしたい、こういうように考えております。UHFの問題は、これはVHF以上にまたチャンネル・プランの問題が確定いたしておりませんが、これらの政府御当局の決定を待ちまして最後的な計画を立てたい、こう思っております。  それから中継の問題は、これは先ほどお話のように、中継回線の建設の仕事は電電公社の方で担当していただいているわけですが、もちろん、これは電電公社としても採算の合う限度があると思います。大体において、現在までテレビの中継回線を作ります場合に、電話回線との共用ということが前提になっております。が、教育放送のようなものをさらに今後地方の小都市まで計画していきます場合に、どうしても電電公社の方の仕事として非常に不適当だというふうな場合がもしありました場合には、これを放送専用の回線という意味でわれわれの方で自分で作ることも技術的には可能だと思います。  それから建設費の問題につきましては、これは御説の通り相当膨大な費用がかかりますが、これは、われわれといたしましても毎年苦心をいたすところでございますが、幸いにして今年は財政投融資の面でいろいろ御配慮を受けている。こういう形で将来とも、NHKの総合番組はもちろんですが、教育番組放送網の確立につきましても政府並びに関係当局にも御援助をぜひともお願いしたい、かように考えております。
  53. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 こまかいことはまたNHKの予算審議の際にお伺いしますが、電波監理局長、今の問題の中で、あなたの方でぜひ考えてやらないと、ただ法律にこういうことを言ってもどうにもならない面がたくさんあるわけですね。たとえば、今の中継の問題でも、これはもうごく近い距離なら専用の中継線を作ったってそれはいいでしょうが、全国番組を流していくのにネット・ワークが要るわけです。それに必要な中継線というのはやはり電電公社が担当してやらないと無理だと思うのです。それについて、こういう法律案をお出しになるについては、従来のラジオとか総合テレビというようなものにつきましては大体の目鼻はついておりましょうが、教育放送まで全国あまねく受信させるようにするのだということをもし入れるとすれば、この点まで大体の話し合いをつけてないといけないのじゃないか。いろいろな電電公社の計画を聞きましても、そこまで計画は私聞いていないのです。あるいは私が寡聞にして聞いてないのかもしれませんが、しかしそこまでの話し合いはできているのかどうか。いつどの面でどうするということじゃなしに、中継線は通信線とあわせて、教育テレビの中継に必要なものは電電公社が将来担当していくというような大ざつばなことでも話し合いができているのかどうかということ、それから周波数帯の問題ですね、UHFの周波数帯を使わなければならぬということになるだろうと思いますけれども、それならばそれに対する建設の費用の問題もあるし、何もかもこれからの問題だと思いますので、今のVHFの周波数帯で一体どの辺までやれるのか。これも大体現在の段階においてもある程度のお考えがなくちゃならないと思うのですが、あなたの方としてはどんな準備がありますか。
  54. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) NHKによります教育放送全国実施という問題は、一般国民が非常に熱望しておるのみならず、政府も強く要望しておるところでございまして、先ほどの溝上副会長の御発言と私の考えは大体同じなんでありますが、すなわち、最大問題は周波数帯の問題でありまして、これにつきましては、ただいまVHFの波は、電波は、とてもNHKが現在持っております計画には間に合いそうもない、ただいま私どもが扱い得る波の数はとうてい間に合いそうもない。それで、しからば考えられますのは、お話のUHFであります。しかしUHFを使いますことは、御承知のように技術的にVHFに比べますならばやや困難があるのでありまして、この受像機の価格も高いし、いろいろなまだ未解決の問題もありますので、これは十分検討を要します。同時に既設のVHFとUHFを共存させるということについてはいろいろ問題があるのであります。これにつきましては、私ども慎重に考慮中であります。で、できますならば二、三年来御論議がありましたように、VHFならVHFだけで全国をカバーするようにしたいものだと、総合番組教育番組も、すべて全部VHFの方がよろしい。そうするにはどうしたらそれが可能かということにつきましても、いろいろな研究や調査を進めております。たとえば、技術的に何とかその方法がないかというようなことも勘案いたしております。まだ最後の結論は出ておりませんので、本日ここで明確なことを申し上げかねますけれども、かように鋭意調査をいたしておる段階でございます。  次の大きな問題は、新谷委員の御指摘のように中継施設の問題であります。これにつきましては、NHK教育放送局の具体的な置局が相当明確になりませんと、電電公社としてこれの計画を立てにくいということだろうと思うのであります。今日のところでは、電電公社のマイクロ・ウェーブの計画では、とうていNHKが、先ほど言われましたような全国的なネット・ワークに間に合うような施設はおぼつかない、そう思うのでありまして、全国計画を直ちに考えることができませんといたしますならば、ある段階を作って、第一年、今年度はどのくらいまで、来年はどのくらいまでというふうに区切りをつけてでも、このマイクロ・ウェーブを、電話と併用していく方式のマイクロ・ウェーブがいいのか、あるいは先ほどお話しのようにテレビジョン専用のやつがいいのか、いろいろのことを勘案し、ともかく、なるべく早く、全国あまねく教育放送が聴視できますように、電電公社あるいは関係方面にも政府として要望したい、そういう考えをただいま持っております。
  55. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 時間がありませんから、あまりくどくど申しませんが、あなたの方を経由して出してこられたNHKの今度の三十四年度の予算案の付属書ですね、それには教育放送の置局計図というものは年次別に出ていますよ。だから確定はしないが、それはむしろあなたの方で電電公社と交渉して、そうして中継施設を具体的に何年度にどこをやる、何年度にどこをやるということをしてやらないから、むしろNHKの方の置局計画がきまらないのですよ。これは中継する以外にないのですから、だから中継施設ができないために置局計画ができないというのが実情です。今日民放もそうです。中継施設がないために置局がおくれているというのは、おくらさなければならぬということはずいぶんありますからね。だから中継施設をもう少し、ほんとうにあなたが今言われるようにVHFの周波数帯でどこまでいけるかということを具体的に考えて、こことこことはやれるということであれば、その中継施設についてもう少しあなたの方で真剣に電電公社と交渉をされて、ここは何年にやれるということを目鼻をつけてやらないと、それはNHKの力ではできないのです。それは主管庁であるあなたの方の配慮によってそれが早くなったりおそくなったりするので、むしろ逆です、話は。ですから、私はその点は特にあなたに要望しておくのですがね、今後十分一つ考えていただきたい。  それから教育放送そのものについては、これはなるほど学校教育とか社会教育に非常に有益なものですから、全国に早くやりたいというその意味はわかりますけれども、もしそういうふうに公けの立場から、少くともNHK教育放送だけは学校教育、社会教育のために早くやりたい。それにはUHFの研究をもっと早く進めないといけないという結論を今おっしゃったでしょう。早くやりたい、問題が多いから、とすれば関係の研究機関なんかも今非常に、民間業者なり、ある意味ではあなた方の方でもカラー・テレビに一生懸命になっておるような気がするのですよ、私は。そういうことよりも——それはカラー・テレビができることはいいにきまっていますし、その方が商業放送としてはなおさら必要だと思います。しかし、そうじゃなくて、今のように教育放送という重要性をお考えになったら、研究機関を動員しても、カラー・テレビの研究をやめなさいとは言いませんが、それよりもまずUHF帯の処理をどうするか、技術的にどうするかということに、もっとあなた方真剣にならなければいけないと思うのです。  これは意見になるからこれ以上申しませんが、十分に考えて、教育放送がそれだけ非常に大事だというなら、もっとあなた方の努力もここに集中するような方策をとってもらいたい。これは私最後にそれだけ希望しておきます。
  56. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 新谷委員の御注意、大へん私ども同感に思います。しかし、教育放送の置局が、マイクロ・ウエーブの中継施設がまず第一の条件だというふうに言われましたけれども、それはもちろん大事な問題の一つには違いありませんけれども、その前にやはりチャンネルの問題が先決問題でございまして、ただいまのところでは、教育放送以外に普通の総合局の置局計画でまだ済んでいないものが相当数あります。先般の一斉免許の際に行われた、これはむろん白黒テレビでありますが、大体八割方なんですけれども、それ以外にまだテレビジョンがいつ見えるか明確でないところが相当数あるのであります。それらを勘案し、そうして教育放送も念がなければならないとなりますと、VHF帯だけではとうていまかない切れそうもない。ですから、御指摘のようにUHFの推進は非常に急ぐということは全く同感でありまして、そういう意味でUHFについての研究が不十分でありますならば、これをNHKの技術研究所のみならず、電波研究所においても一刻も早くやらなければならぬ。カラー・テレビも大事だけれども、それよりかも教育放送のためのUHFの研究の方がさらに大事だと言われる御趣旨は全く同感でございます。そういう意味で、ただいまのところではUHFの開発を鋭意やるように私ども指示し、また適当な措置等もとっているつもりでありますから、その点は御了承願いたいと思います。  しかし、教育テレビなるものを、ともかく日本全体に、あるいは大都会よりも地方に、地方の文化の行き渡らないところにこそ早くやった方がいいという考え方については、私どもは及ばずながら熱意を持っている所存でありまして、これにつきましては、もしチャンネルがなくても、NHKとしては総合番組の時間をさいても教育放送をやるくらいの意思があってほしいものだというような考えを持っておるのでありまして、教育放送につきましては、私ども日本のために、公共の福祉の増進のために、どうしてもこれは進めていただきたい。そういう強い念願を持っていることを申し添えさしていただきます。
  57. 手島栄

    委員長手島栄君) 本日の質疑はこの程度にとどめておきます。   これにて散会いたします。    午後一時二十三分散会