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1959-03-27 第31回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)    午後二時十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員西郷吉之助君及び本多市郎君 辞任につき、その補欠として三木與吉 郎君及び後藤義隆君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            大沢 雄一君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            郡  祐一君            小柳 牧衞君            田中 啓一君            成田 一郎君            三木與吉郎君            加瀬  完君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            森 八三一君   衆議院議員            渡海元三郎君   国務大臣    国 務 大 臣 青木  正君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    国家消防本部長 鈴木 琢二君    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁財政局長 奥野 誠亮君    自治庁税務局長 金丸 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十四年度地方財政計画に関  する件) ○消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより委員会を開きます。  委員異動を報告いたします。本日本多市郎君、西郷吉之助君が辞任されまして、後藤義隆君、三木與吉郎君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) 地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案昭和三十四年度地方財政計画に関する件、以上四件を一括して議題といたします。  前回に引き続きまして質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 森八三一

    ○森八三一君 私は、この際、青木国務大臣に、過日予算委員会でもお伺いをいたしたのでありますが、地方税の中にありまする、いわゆる通例申しまする遊興飲食税のうちの大衆飲食税についてであります。  過般の予算委員会で、この税法改正されましたときに、従前二百円まで免税であったのを、百円引き上げて三百円にした。その際に、従前五%の課税であった部分を、五百円まで一割という税法改正が行われましたときに、この委員会でいろいろ論議がございまして、当時の担当大臣でありました田中さんは、われわれ委員質問に答えまして、非常にもっともなことであるので、三十三年度には必ずこれを実現するというよう趣旨答弁をされておりましたので、その当時、この委員会ではいろいろ論議がありまして、一部は確かに減税になるのでありまするが、一部はかえって増税になるというよう措置でありますので、これは、減税の方向にそぐわないということから、修正すべきであるという意見があったのでありまするけれども大臣のそういうような誠意のある御答弁にかんがみましてそれを期待して、その当時における当委員会は、政府原案を了承したというよう過程になっておった。そのことが、今回税法改正が取り上げられておるのにかかわらず、不問に付せられておるのは非常に遺憾である。なぜそういうよう見送りにされたのかという質疑をいたしましたにつきまして、大臣の御答弁は、今ここに速記録がございませんから、私の記憶するところでは、十分そういう点も考慮をいたしましたけれども、昨年行われた衆議院選挙の際に、自由民主党としては、税法改正軽減についていろいろの公約をいたしました。その公約を実践しなければ、政党政治としては筋が通りませんので、その公約を実施することにいたそうと思いながらも、このいわゆる大衆飲食税軽減には手が回りかねたのだというよう趣旨の御答弁であったと私は記憶をいたしております。そういたしますると、これは非常にそこに問題が起きるので、なるほど年間通じて七百億円の減税をするという趣旨公約はございましたが、その前に、今申し上げまするような、委員会審議を通してはっきりした態度というものが表明されておる。それが見送りになる。そうしてその後に起きた公約というものが優先していくという姿は、私にはどうしても了承ができかねる。少くともこの委員会ではっきりお約束なすった答弁趣旨というものは、その前に優先して実践をせられなければならぬというように私は考えるのであります。そこで、その当時の速記の一部を調査室の方で調べてもらいまして、さらに私の記憶の誤まりでないかという点を確かめたのでありまするが、確かに私の記憶に誤まりはないのでありまして、「大臣の御答弁は、地方税全体が伸びれば大衆飲食の方は免税をする。大衆飲食伸びよう伸びまいが関係なしに免税点を上げていくのだ、こういうよう承知をしてよろしいわけですか。」こういう質問に対して「よろしいです。」と、こういうようにきわめて明確に言い切っておられるのですね。それが、今申し上げまするように、不問に付せられておるというのは非常に遺憾に存ずるのでありますが、これに対しまして、重ねて一つ大臣の見解を承わりたいと存じます。
  5. 青木正

    国務大臣青木正君) 予算委員会におきまする御質疑に対しまして、私お答え申し上げたのでありますが、そのお答え申し上げましたことにつきまして、なお不十分の点等もございますると考えますので、ここにあらためてお答え申し上げておきます。  大衆的飲食及び宿泊に対する遊興飲食税軽減合理化につきましては、当委員会におきまする付帯決議の次第もありまして、その実現にできるだけの努力をいたしたのでありますけれども、三十四年度におきましては、まことに遺憾ながらこれを実現することができなかったのであります。しかし、二十五年度におきましては、当委員会皆さん方の御協力を得まして、さらに地方財政充実強化をはかり、必ず御趣旨に沿う考えでありますので、何とぞ御了承願いたいと存じます。
  6. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの大臣答弁で、その趣旨はよく了解いたしますが、そのお話の中に、各位協力を得てという趣旨の御発言がございまするが、各位協力を得てという意味は、政府は、今私の申し上げておる、そうしてすでに前々回の税法改正のときにこの委員会論議せられました五百円、一千円の点までは免税措置政府原案として提案をする、それに対してわれわれ委員協力をするという趣旨であるのか、委員側でそういうよう提案をされたい、協力という意味はどっちの意味になるのか、それを一つ明確にしていただきたいと思います。
  7. 青木正

    国務大臣青木正君) もちろん、政府として、当委員会の御決議趣旨を尊重する考えでありますので、私どもの方として提案いたすものに、御趣旨を尊重して必ず実現をする、こういうことなんであります。御協力をお願いすると申し上げましたのは、従来から、地方財政の問題につきまして、財源強化あるいはその他の面におきまして、常に当委員会に御協力願っておりますので、三十五年度の財政計画編成等におきましても、従来同様格別の御協力を願ってと、こういう意味で申し上げたのであります。案を出しますについて、当委員会でそういうふうな案を作っていただく、こういう趣旨ではないのでありまして、案はあくまでも私どもが出すのでありますが、しかし、何といたしましても、委員の御協力を願うということでなければなりませんので、そういう意味で申し上げたのであります。
  8. 森八三一

    ○森八三一君 もう一点。今の大臣の御答弁の中で、「地方財政の」云々ということがございましたが、その趣旨は、今御確約を願ったよう税法改正が行われることになりますれば、当然地方税減収という結果が招来されます。承わるところによりますると、現在の見通しでは、大体三十三億円くらいの減収になるというように承わっておるのでありますが、お話にあった「地方財政云々という言葉は、そういうよう税法改正によって生ずる地方財政欠陥というものを是正をする措置を講ずるということを考えながら措置をする、こういうよう意味と理解されまするが、そういうように了解してよろしいのかどうか。
  9. 青木正

    国務大臣青木正君) 申し上げるまでもなく、減税という方の要請は、これを聞かなければなりませんが、同時に、私どもといたしましては、当然に地方財政健全化という線におきましても最善努力をせんければならぬと、私は考えるのであります。そういう意味におきまして、減税の当委員会における決議の意思を尊重することをやると同時に、一方におきまして、やはり財源の問題につきましても最善考慮を払って、そうして差しつかえないような形においてやらなければならぬ、こういう考え方を申し上げたのであります。ただ、減税はやりますということだけでは、私どもとしてはあまり責任のものじゃないか。やはりわれわれとしては、減税もやっていくが、しかし、それによって地方財政に影響のないよう最善努力をやはり尽さなければならぬ、こういう気持を申し上げたのであります。
  10. 森八三一

    ○森八三一君 あらかた今の御答弁で了解いたしましたが、地方財政は、非常に大臣の御苦労をちょうだいいたしておりまするように、かなりの困難をきわめている実情にある。そこへ、この措置が行われるということになりますれば、目下の見通しで三十三億くらいの穴があくということでありますから、今の御答弁趣旨は、その欠陥を生ずるについて、地方財政しわ寄せをしない何らかの方法によってそのカバーをするというようなことを考慮する、今ここで、私は地方交付税の率を上げるとかいう具体的なことを申し上げておるのではありません。何らか一方的にそのしわ寄せが困難をきわめている地方財政に押しつけられることのないよう措置考えつつやっていくのだ、こういう趣旨と了解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
  11. 青木正

    国務大臣青木正君) 三十五年度の地方財政計画のことを今日から申し上げることは、適確に申し上げかねるわけでありますが、しかし、御承知ように、所得税減税に伴うはね返りの問題もありますし、また、遊興飲食税減税という問題もあるわけでありますし、そういうものを全部総合いたしましてそうして、地方財政健全化の線をくずさないように、最善努力をせんければならぬことは当然でありまして、私どもは、減税のことはこととして当然やりながら、一方におきましては、あくまでも地方財政を守るということは、固くその線を守っていきたい、こういう考えに立っておるのであります。さらに、明年度は、国税地方税の配分の問題等いろいろな問題がありますので、全般的に考えまして、地方財政健全化がくずされないよう最善努力を払っていきたいと、こう考えておるわけであります。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 私が心配いたしますのは、いわゆる国民経済伸長率が五・五%になるであろうという見通し政府は述べておりますので、そういうように参るという結果になりますれば、当然今のままでほうっておきましても、地方財政というものが相当のゆとりが出てくる、計算的には。そこで、そういうことになるから、今、大臣お話になったような、所得税減税によるかぶりだとか、あるいは今度これが取り入れられて阻止せられる結果として生ずる減収というものが生ずるから、自然増収というものに隠れてしまつて、いいかげんになってしまうということは、非常に行政水準が低くて困っておることを、そのまま足踏みをさせてしまうということになる。私の希望いたしますのはそういうような将来生ずる税収の伸びというものは、行政水準の上昇して参りまするようにしなければならぬと思うのであります。でございまするから、この措置によって生ずるであろう減収というものに見合う額は、何らかの形において、やはり国の方で一つめんどうを見てやっていただきたい。そうでないと、これは処理できました。できましたが、結局自分自分の足を食うだけの結果に地方財政全体から見てもなってしまうということをおそれるのでありますので、そういう趣旨で了解していいかどうかということを申し上げておるのでありますが、税制全般に関する地方、中央を通じての調査会を発足せしめて、すみやかにその結論を出そう、その研究の過程において考えていくということでございますので、それも当然のことと思いますが、私は、そういうことが考えられるにいたしましても、地方行政水準引き上げていくということが当面の急務だと思います。思いますので、そういう趣旨をくずさぬような形においてこの減収の結果が補われていくということを考慮すべきだと、こう思うのですが、大臣のお気持はいかがでございましょうか。
  13. 青木正

    国務大臣青木正君) 考え方としては私も全く同感であります。もちろん、明年度伸びがどの程度になるか、そのときになってみなければわかりませんから、はっきり申し上げかねますが、しかし、考え方として、税の伸びがあるから、たとえば所得税減収に伴う……これでいいじゃないかというよう考え方には、私どもとうてい同調しがたいのであります。ただしかし、遊興飲食税減税に見合う財源としてはこれだというふうなことをはっきりここで申し上げかねるのでありますので、地方財政全体としてやはり考えていく必要があるのじゃないか。見返りの財源はこれだということは、そうはっきりと言いかねる場合も出てくると思うのでありますが、しかし、全体としてはやはり税の伸びがあるということは、それだけ国民生活がやはり伸びていくのでありますから、これに対応して、当然地方財政伸びていかなければなりませんので、自然増収があるからといって、国税の、あるいはまた、こういう減税はね返り自然増収で全部まかなう、そうして地方行政水準はいつまでも現状のままでいいのだということは、私は根本的にその考え方に反対であります。あくまでもやはりできるだけ行政水準を伸ばしていくというようにしなければならぬ。その伸びを伸ばしていくよう考え方に立って、やはり一方におきましては、減税の要望にもこたえていかなければならぬ、かよう考えております。
  14. 森八三一

    ○森八三一君 結論として、もう一ぺん確認しておきたいのですが、いわゆる大衆飲食税と称しておるのが論議になっております。五百円、千円の免税点引き上げにつきましては、昭和三十五年度の施策として、税法改正政府提案で実行に移されるということをはっきり約束せられたものと了解いたしますので、もしその了解に誤まりがありますれば、御訂正をいただきたいと思うのです。
  15. 青木正

    国務大臣青木正君) ただいまの御発言通りであると私思っております。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 関連して。今の森委員からの質問に対しまして、青木長官はお答えになって、大体これでわかったわけなんですが、最後に森委員から念を押されたことではっきりしたわけでありますが、その前提には減収というものがありまして、そのために、必ず三十五年度から免税点引き上げることができるかどうか、多少私どもも疑わしく思っていたのです。しかし、最終的に念を押して、その点ははっきりいたしました。  もう一つ、問題は、地方制度調査会答申の中で、やはりこの問題を議論したことがあります。それは、ちょっと私たちがいろいろと注文をつけましたために、字句修正という形で、言葉が少しやわらかくなっておりますので、私も原文を持っておりませんから、正確には言えないのでありますけれども最初の案では、免税点引き上げなどが行われたために大衆に対する負担が排除せられたので、これを引き上げる必要はないというようなきめつけ方をしていたと思うのです。それが多少字句修正がありまして、一応大衆負担が配慮されたから、この際は引き上げる必要がないというよう表現の仕方に変ったと思うのです。そこで、この際は引き上げないということは三十四年度であって、三十五年度からは引き上げるというふうに答申をお読みになることになりますか、どうですか。「この際」ということですね。
  17. 青木正

    国務大臣青木正君) お話ように、「この際は」という気持でありますか、そのときの「この際は」という表現は、的確に今、三十五年度はやるという具体的のことではもちろんなかったわけでありますが、しかし、考え方気持としては、この際はやろう、こういう気持を持っておったわけであります。この際は、私は三十五年度に実施したい、こういう考えであります。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 三十四年度では引き上げを実施しないけれども、「この際は」ということは三十四年度だけであって、三十五年度からは引き上げるお考えである、こう了解してよろしゅうございますか。
  19. 青木正

    国務大臣青木正君) ただいまの点につきましては、松澤委員お話通り、私ども、さよう考えております。   —————————————
  20. 館哲二

    委員長館哲二君) ただいま議題になっております四件につきましては、質疑はしばらく中止いたしまして、消防組織法の一部を改正する法律案をこの際議題に供したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないようでありますから、これを議題にいたします。  本案は、三月の二十五日に衆議院において修正の上、本院に回付されたものであります。本案に対します政府提案理由説明は、すでに聴取いたしております。これから質疑に入ろうと思いますが、その前に、まず衆議院側から、衆議院修正点についての説明を聴取いたします。衆議院議員渡海元三郎君。
  22. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいま議題となっております消防組織法の一部を改正する法律案は、衆議院において修正議決いたしましたものでありますので、その修正部分につきまして、修正理由を簡単に御説明申し上げます。  修正の内容は、政府原案中の第十九条、第二十条及び第二十条の二の改正条文を削除して、現行法通りとすることであります。御承知通り現行消防組織法の第十九条は、市町村消防が国または都道府県の一切の管理に服しないことを保障する規定でありまして、市町村消防責任を明定した第六条の規定と相待って、民主主義の本旨に基く自治消防原則を宣明している重要な条項であります。改正案では、この条文改正して、国及び都道府県市町村消防運営に積極的に関与するものである旨の規定を加えているのでありまして、改正趣旨消防に対する国及び都道府県協力援助強化促進せしめようとするにあることは了承されるのであります。しかしながら、国の財政的援助のごときは、本条の改正を待たずとも、別途措置できることであり、また措置すべきことであって、いやしくも自治消防原則に変更を加えるごとき印象を与え、せっかく盛り上っている市町村消防に対する責任感と熱意とに悪影響を及ぼす懸念のある改正は、この際差し控えるべきものと思うのであります。  右のごとき趣旨に基いて、第十九条の改正条文を削るとともに、全く同一の趣旨に基いて、第二十条及び第二十条の二の改正条文をも削除して、現行法通りといたしたのであります。  以上が修正理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同賜わらんことをお願いいたします。
  23. 館哲二

    委員長館哲二君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は御質疑願います。
  24. 鈴木壽

    鈴木壽君 改正案なりあるいは今の修正点に直接関係のない問題でございますが、ちょっと私、わかりかねるところがございますので、この際、部長並びに長官から——長官じゃなくて、公安委員長としてでございますが、お尋ねしたいと思います。  実は、この国家消防本部の質、性格と申しますか、あるいは、まあ国家行政組織上における一つの地位についてでございます。いろいろこう考えてみたりしましても、どうしてもこの国家消防本部の今言ったようなことにつきまして、はっきりしたつかみ方ができかねますので、この際、関係者としてどういうふうにお考えになっているのか、あとで私、法制局の方々にもお尋ねしなければならぬと思いますが、そういう意味質問するわけでございます。  消防組織法の第二条、三条、四条からして、国家消防本部というものは国家公安委員会に置かれるものであり、従って、本部長国家公安委員会指揮監督を受けるということがはっきりうたわれてあるのです。国家公安委員会一つの、何と言いますか、事務局的な性格を持つものであるのか。この点は、どういうふうにお考えになっておられますか。まず最初に、その点お聞きしたいと思います。
  25. 青木正

    国務大臣青木正君) お話ように、端的に申し上げまして、私も、消防本部というものの行政組織上における性格という問題につきましては、確かに非常に疑問と申しますか、あると私も考えるのであります。沿革的に、いろいろ聞いて見ますると、当時アメリカの占領下にありまして、そうあまり深く考えず、国家公安委員会の方につけるということにきめたものらしいのでありますが、しかし、御指摘のように、国家公安委員会のことをきめた警察法の中には、国家公安委員会権限といいますか、国家消防本部に対するものは何もないのであります。にもかかわらず、国家消防組織法の一部には、国家公安委員会に付属すると書いてあります。そこに非常に不明確な点があるのでありまして、国家公安委員会の方から見ると、消防本部に対して何らの権限もなければ、責任もない、こういうふうな格好になっている。一方消防組織法の方には、国家公安委員会に付いていると、こういうことが書いてあるのであります。そこで、しいて言えば、国家消防本部国家公安委員会事務局と、お話ように、そう解するほかはないのじゃないかというふうにも考えられるのであります。しかし、見方によりましては、これは、その他機関という観念も出てくるかと思うのでありますが、その法制上のいろいろ従来検討して参りました考え方につきましては、本部長の方から、法制上の問題につきまして、詳細御説明申し上げさしたいと思います。
  26. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) ただいま国家公安委員長からお話のありましたように、非常に国家消防本部国家行政組織法上の性格は、まことにあいまいな感じがいたしておりまして、ただいまお話のありましたように、国家公安委員会事務局と解せられる点もあるのでございますが、一面、今もお話のありましたように、警察法による国家公安委員会任務の中には、何ら消防についての国家公安委員会任務というものが掲げられておりません。それで、一方消防組織法の第五条の三項によりますと、国家消防本部長のいろいろ権限等が書いてありますが、国家消防本部長国家消防本部の職員を任免する権限を持っております。さらに他の法律、たとえば建築基準法とか、耐火建築促進法等によりますと、建設大臣が職務を行うに当って、国家公安委員会あるいは国家公安委員長意見を聞くというのではなくて、国家消防本部長意見を聞かなければならないという旨の規定がございます。また、水防法等にも、都道府県知事建設大臣の承認を受けた水防計画国家消防本部長に報告しなければならないというよう規定がございます。これらの点を見ますと、国家消防本部長権限は、事務局長権限よりも、むしろこの権限をこえた権限でありまして、むしろ行政機関の長に与えられた権限事項であると解さなければならないと思われるのでございます。この面から申しますと、国家行政組織法第三条第三項ただし書きにあります機関、すなわち外局としての長としての性格を持っておるものと解されるわけでございます。まあそういった点で、まことにこうはっきりしない点があるのでございますが、結局どこに当てはまるのだということになりますと、国家行政組織法第八条にいうところの「その他の機関」、第八条をちょっと読み上げてみますが、国家行政組織法の第八条は、「第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会及び試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」と、こういうことになっております。その「その他の機関」というものに入るものだと、こう言わざるを得ないよう性格を持っておるわけでございます。しかし、だんだんと申し上げましたように、国家消防本部長権限等から考えますと、必ずしもその八条にいうところの機関だけではなしに、国家行政組織法の第三条第三項のただし書きにいう外局的な性格の非常に強い機関だ、こういうことを言って差しつかえないと思われるのでございます。いずれにしても、ぴしゃりと、ここの条文に当てはまる機関だということは、非常に言いにくい機関になっております。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話を聞いておりましても、また、私自身こういろいろ考えてみましても、確かにぴしゃりと表現することのできないよう性格を持ったものだと思うのです。一体「その他の機関」とは何かということ、ここでは、おそらく普通機関あるいはそれに類するものというのが「その他の機関」じゃないだろうかと思うのですが、ともかくいずれにしてもはっきりしないのです。公安委員長お話ように、警察法の方では、何ら消防に関することが公安委員会の所管の事項の中に入っておらないというようなことです。ですから、その限りにおいて、その面からだけ見ますと、公安委員会の先ほどお尋ねし、また委員長からもお答えがあったように、事務局的なものともまた考えられない、こういう考え方に立たざるを得ないと思うのです。従ってどうも、警察法自体でなくとも、国家公安委員会任務あるいは権限等の中に、消防のことが所管できるような何かのものがあればともかく、今言ったように、そういうものが現在こうやってみてもないとすれば、どうもこれははっきりしないのだと、こういうことになると思うのです。本部長お話の中では、第三条の第三項ただし書きによる外局的な、そういうふうにも考えられると、こういうふうにおっしゃるようですが、さればといって、ここの第三条の三項にはっきり規定できるかというと、そうでもないと思うのです。そこで、これは水かけ論みたいな、変なことばかり言ってもわかりませんから、こういう機会に、法制局なり行管の方から、一つどう見ているのか、これは、国としての大きな役割を持つ機関でありながら、どうもあいまいなよう性格であるというふうに私ども見ますので、法制局並びに行管の方でどういうふうに見ておられるのか、どういうふうに規定づけておられるのか、この点を一つお答えいただきたい。
  28. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政管理庁の方の解釈といたしましても、組織法の上では、第八条の「その他の機関」というふうに解せざるを得ないものと考えております。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 法制局の方、おいでになりますか。(「今まだいません」と呼ぶ者あり)そうですが、それでは法制局の方には、あとからお伺いいたしますが、「その他の機関」というふうに行管の方ではお考えになっておられると、こういうのですが、まあ先ほど本部長も、「その他の機関」というふうに見るべきだろうというふうなお話もございましたのですが、もし「その他の機関」というふうに規定づけるとすれば、この消防本部組織令でございますが、こういうものがどう考えるべきものかどうかということなんです。国家消防本部組織令の一番初めに、「内閣は、国家行政組織法第七条第三項及び第四項の規定に基き、この政令を制定する。」と、この場合に、私の解釈するところによりますと、国家行政組織法の第七条第七項によってと、こういうことであるとすれば、これは行政機関として内部的ないろいろなものをきめる際に引用さるべき条項じゃないだろうか、こういうふうに考えるのです。とすれば、「その他の機関」というようにもし性格づけるものだとすれば、こういう組織法の、行政組織法ですよ、組織法の第七条第七項というような事柄が、ちょっとここに持ってきにくくなる問題じゃないだろうか。ここでは、考え方としては、一つ行政機関とし、それがまあ外局的な性質を持つか、どういうものか、まあともかくとして、一つ行政機関としての考え方に立って、こういうものから本部の組織令を作るのだと、こういう考え方に立っているものと思わざるを得ないのですが、その点どうですか。
  30. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 実は、私当時の事情をよく存じていないんで、まだ研究不足で申しわけでございませんが、国家消防本部には事務局的な色彩もあるというので、この条文を引いたということでございます。実は、当時の事情十分まだ研究しておりませんで、十分なお答えをできませんで、申しわけありません。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと申し上げます。先ほど私読み上げました国家消防本部組織令の消防本部の方からいただいたそれによりますと、「第七条第三項及び第四項の規定に基き」とこうありますが、実際は何か第七項になっておるんだ、こういうことだということでございましたから七項と申し上げたんですが、それでいいんですか。
  32. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) そうでございます。こちらの方でも改正してありませんので、現行法では第七条第七項になっております。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、ですから、事務局的なものだというのが強いというような解釈をどういうふうにしてとれるものか。さっきからまあ本部長委員長もお答えあったように、どうもはっきりしないことは確かなんですが、一体どっちの方のそれが強いものか。それによってやはりこういうようなものは考えられなきゃならぬと思うのです。まあ当時の事情として、今行管の万からお話がありました、事務局的な色彩が強いんじゃないかと、こういうふうなお話ですが、必ずしもまたそうでもないというふうにも考えられるのですがね。
  34. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) それでは、私どもの解釈いたしておりまする事務局的な性格という根拠をちょっと申し上げたいと存じます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、事務局的な性格もあることは、さっきから私もあるんじゃないかと思うのですね。それからあなたもおっしゃっておるし、委員長もおっしゃっている。と同時に、その他の機関であるとか何とかというようなことにもなってきているわけですね。そこで、いろいろな要素があるらしいのですが、この消防本部の組織を作るものからすれば、これは明らかに、どんぴしゃり事務局的だというお考えに立たざるを得ないと思うのですよ。そうでないと、法律に基くこういう規定でございますから、だからまあどんぴしゃりでなくても、とにかく性格としてそれがはっきり強いんだということでなければならぬと思うのです、このあなたの方の本部の性格というものが。そうでないと、私はこういうものは無意味だと思うのですが、そういう意味で、それでは一体強くて——本質的な点では、多少のあいまいな点は残っているけれども、もともとは事務局的なものだというふうにいえる根拠はどこかというわけなんです、ただ要素があるとかないとかということだけでなしに。
  36. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御承知ように、国家消防組織法にもはっきりとその点が出ておりませんし、また、国家行政組織法上にも、はっきりとした性格がうたわれてないので、結局、この国家消防本部組織令に初めて国家行政組織法との関係が出て参りますので、法律的なはっきりとした根拠というものは、これ一つしかないということでございます。それで結局、この現行法でいきますと、国家行政組織法の第七条第七項ですか、これに規定してあるのは、国家消防本部組織令の点からはっきりした性格を読み出すという以外に、現在の法規上の何ら根拠がないわけでございます。そういう意味から申しますと、国家公安委員会事務局としての性格が非常に強い、こういうことがいえるんじゃないかと考えております。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたの方は逆に、こういうことに規制するしかないのだから、規制したのだから事務局だというふうなちょっと議論のような御答弁だったようですが、もともとはこういうものだからこういう性格を持っているんだということを確かにさっきも——私もわからないからお聞きしているんですし、あなた方もお答えになっておりますように、いろいろなこういう要素があるようでございますから、しかし、何か本来の持つ任務なり権限なり性格等からして、やはりこういういわゆる国家消防本部なんといういかめしい名前である一つの役所でございますから、どこかでやはりもっとぴしゃっとわかるよう任務づけあるいは性格づけがないと、非常にどうも私ども、どう考えていったらいいかわからないというような点から、まず聞いているわけなんですが、しかし、あなたのさっきのお言葉の中では、たとえば「その他の機関」とも読まざるを得ないようお話もございました。で、「その他の機関」だとすれば——これは私の疑問ですよ。お尋ねというよりも疑問ですが、消防審議会とか何とか、いろいろなものがそこにくっついてくるということも、普通のその他の機関においてはないんじゃないだろうかと、これもおかしな性格ということを表わす一つ理由じゃないだろうか、こう思うのですが、まあこういう点、これはああでもあるようだし、こうでもあるようだとおっしゃるのですが、一体公安委員会なりあるいは政府の見解として、どれを強めた解釈をとっておられるのか、できればそこを、今これは、どうのこうのと言っても始まらないと思いますが、お聞きしたがったのです。そうして今度のたとえば消防本部消防庁にしたいとか、  いろいろな問題について、私どもがそういう場合にものを考え一つのめど  になるんじゃないだろうかと、今のこういう性格がかりにいけないならいけないと、だからこういうふうにしなければいかぬというようなものの考え方をすれば、私は今後の——あなた方はどういう位置づけを考えておられるのかわかりませんけれども、それはそれなりとして私は考えていけると思う。何かしらわからぬところに、さらにまた、今度妙な格好で、庁になればいいのだ、もしそういうようなことであるとすれば、ちょっと私どもとしては、もう少し掘り下げて検討しなければいけないんじゃないかという気持もあるものですから、お聞きするわけなんです。その点、私の言い方も非常にまずいのですけれども……。
  38. 青木正

    国務大臣青木正君) 率直に申し上げまして、あるいは、鈴木委員から、それならなぜ政府の方は早くそういうやり方をやらなかったかと、いろいろおしかりを受けるかもしれませんが、その点は一つ御了承を願いまして、私、はっきり申し上げますが、お話ように、私も、国家消防本部というものの性格が非常にあいまいである、その性格があいまいであるということの具体的な非常な障害の面を申し上げますと、たとえば、こういう性格でありますので、予算の獲得のときは、国家公安委員長が一応消防の予算をやるわけであります。しかし、国家公安委員長任務と申しますか、それには、何も消防をやれということは規定してないのであります。で、事実問題として私が大蔵省と予算折衝をやる、こういう格好でやっておるわけであります。そこで私は、こういうやり方は、今お話もありましたが、とにかく全国の火災の大きな問題、その消防市町村消防でありましても、国の機関としてできるだけ消防協力し、いろいろ研究等もやらなければならぬ。そのいう大切な機関をこういうあいまいなあり方で置くことは、私はどうしても不合理だと思う。そこで、飛躍する議論になるかもしれませんが、私ども、現行のこのままのものを改正するという考え方よりも、まだ提案されておりませんが、これはそこでどうしても、内政省なら内政省ができる場合なら、そこにはっきりした性格で、内局なら内局、外局なら外局というような、はっきりしたものにいたしませんと、こういう姿で私は不問に付すべきものじゃないとこう考えるのであります。そこで、内政省の問題はまだ出してないから、まだ成立していないのだから、これは、成立しない以上は、まだこれをもってはっきりとした行政機関にすべきじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、私は、できればこの国会において内政省を実現したいと、こういう考えを持っておりましたので、その機会に、この消防本部のあいまいな性格というものを、行政組織法上のはっきりとした性格に直したい、このままでいくと、これは直しましても直しようがないのじゃないか。どうしてもやはりはっきりした機関にしなけりゃならぬということを、私ども強くその点を考えておるのであります。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 本部長さん、あなたは事務局的だと言うし、それからまた、一つは、第七条第三項による一つの外局的なものだと、こういうふうに、まあこれは悪口になるかもしれませんが、しいて期待したいというよう気持じゃないだろうかと思うのですが、これははっきり言うと、もともと外局である、国家公安委員会のですよ。これは明らかに外局ですね。それであると、さらにそれの下の事務局的なものの性格だ。これはやはり確かに、今の公安委員会からの規定づけでなくて、行政組織法からの規定づけからすれば、そう読まざるを得ない部面もあるわけですね。しかし、一方あなたのおっしゃる、単にそれだけでなしに、建設大臣建築基準法の上であなたと協議しなければならない、それから水防関係では、大臣並みに扱っていると、もうこういうところに——それで果して外局のまた事務局の長がそういう取扱いを受けるべきかどうかという私は大きな問題があると思うわけですね。  どうも何べんも申し上げますように、私あなた方をどうのこうのと言うのじゃない。私自身わからないので、実は聞いているのでございますが、まああなたに対するのはそれで一応やめまして、法制局の方がおいでになるようでございますから、法制局の方にちょっとお伺いしますが、国家消防本部の持つ性格、というよりも、もう少し申し上げますと、国家行政組織法上におきますところの地位でございますね。これはどこに位置づけられるものであるのか。さっき消防本部の方々からのお話を聞きますと、いろいろの性格をあわせて持っているようにも聞きますし、行管の方々から聞きますと、第八条の後段で言う「その他の機関」だと、こういうふうに言う。違う考え方を持っておられます。法制局では、これをどういうふうに見ておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
  40. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 消防組織法国家行政組織法との関係でございますが、率直に申しますと、御指摘のように、この国家消防本部というのは、非常に何か特殊なものでありまして、国家行政組織法のどこの機関に当るかというと、どうもぴたりとしない点があるのは、どうもそう認めざるを得ないように思います。しいてどこかに当てはめようと思いますれば、御指摘のように、八条の「機関」か、あるいは、これがたとえば国家消防本部組織令の制定文で引用しておる条文が示すように、委員会の事務部局、これは改正前の国家行政組織法条文だと思いますが、国家行政組織法の第七条第三項及び第四項の規定に基き、国家消防組織令を制定すると、こうありますので、少くともこの昭和二十七年当時の政府当局といたしましては、やはりこれも公安委員会消防部門の事務局と、そういうような面もある。二つある。その面をとらえてこの組織令を作った、そう言わざるを得ないと思います。しかしながら、また考えてみますと、事務部局というのは事務局という名前を使うのが普通ですし、本部という名前を使っておる。しかもまた、普通の事務局といたしますれば、所掌事務として、本来の委員会なら委員会の事務をつかさどるのがそういう機関の普通の事務であります。そういうところから見ますと、これは非常に異例な形になっておるわけであります。どうもこれは、いろいろの法律を見ましても、国家消防組織法ですか、これ自体が何か風変りになっておりまので、御指摘のように、何というのですか、国家行政組織法ですか、そういう一つの基準なり規格をきめた法律から見ますと、どうもぴたりとしないという点が出てくるのは、御指摘の通りだと思います。従いまして、将来の問題といたしましては、なるべく規格に合した、そういう風変りでない、普通の型に直す機会があれば、漸次そっちへ持っていったらいいじゃないかと思います。  一応法律上の考えとしては、ただいま申し上げた通りであります。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話で、「その他の機関」でもあるというふうにも考えられるし、しかし、事務局性格で内部部局としての、そういう立場に立っての組織令をきめたのだというようなことですが、どっちにウエートがあるというふうにあなた方はお考えになっておりますか。どっちの性格が強いのかということです。
  42. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 付属機関と申しますか、第八条の「機関」というのを、また非常に突き詰めて考えてみますと、外局などと違って、非常にあいまいな点が正直に申しますとありますので、どっちがどうということを申されますと、ちょっとあいまいですが、少くとも付属機関ならば、内部組織は別に政令で書かなくてもいいということになっておるのです。ですから、当時の組織令を政令で書いた、私どもは、今これを、先任者の人たちの意見を否定するものではありませんが、当時一番フレッシュな考え方といたしましては、やはり事務局の方にウエートを置いて考えていたと、こう考えざるを得ないと思います。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、おっしゃるように、この一つの手がかりは、こういう国消本部の組織令というものが、こういうものによってできるとすれば、それは非常に事務局的な性格が強いものだと、こういうふうに考えざるを得ないのではないか。いろいろな発足なり、あるいは性格的なことにあいまいさがあったとしても、そういうふうに考えざるを得ないのはでないかと思いますが、一方の行管では、「その他の機関」だと、こうおっしゃるわけですね。そこで、さっきもちょっと申し上げたのですが、「その他の機関」に、何もこういう政令なんか作らないでもいいと思うし、そのうちに今度はさらにまた消防審議会なんという、今度はそのものの性格の問題も出てくるようが、そういう付属的ないろいろなこともどうもはっきりしない点があると、そういうふうに私は思うので、行管の方では、「その他の機関」と見るよりほかないとおっしゃるのですが、法制局の方ではどうなんですか、これは。
  44. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 現在の法律のどっかへ当てはめなければならないということで研究しますと、やはり非常にばく然とした表現になっておりますが、はっきりしないいろいろの性格のものが、行政官庁では、行政機構の中には現われる可能性があるので、付属的な機関を置いてやる。そこにはっきりしないものを一応位置づけるという程度でありまして、実は内容的に実質的な意味から見れば、やはりおっしゃるように、事務局的な性格のもののような感じはいたしております。これらはつまり、非常に複雑な行政機構で特殊のものでありますので、将来行政組織法というようなもので全部を完全に網羅していくということになりますと、もう少し組織法の方か、あるいはこういう特殊の機関を作る場合の作り方か、検討しなければならないのであるということは、部内でいろいろ今まで論議し、研究しておるところであります。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 法制局の方にお聞きしますが、こういうものをやはり何とかもう少し政府部内で統一した立場で規定できるような、そういうことが私は必要じゃないだろうかと思うのですが、それから、これは消防本部の方にも、今回組織法が変るのですから、できればこういう機会に、何かすっきりした解釈なり、そういうものを持ってくる方がいいのじゃないだろうかと、こういうふうに思うので、将来何かそういう面で、あなた方がいろいろ関係するところで御見討いただいて、特に私、主管しておる公安委員長の方にも申し上げたいのですが、あなたは自分の所管であるけれども、これは一体、何だかあなた自身も御疑問をお持ちになっていらっしゃるようですが、また無理もないことですが、これはどうでしょう。
  46. 青木正

    国務大臣青木正君) これは、私も先ほど申し上げましたように、こうい形のもので今まで放任しておいたのは、そう言うとおかしいのですが、おかしいと思います。そこで、先ほど申し上げましたように、自治省の設置法というものが、この国会でできれば同時に実現をはかって、そうして消防というものをはっきりした姿に持っていきたいと、こういう考えを基本的には持っておるわけであります。
  47. 野木新一

    政府委員(野木新一君) お説のところは、まことにもっともの点だと存じます。私どもの見解が突然入ってきて、別に打ち合せもしませんでしたので、行管の方と多少食い違ったかのような印象を与えておるようでありますが、私としても、現行法の中に規定する国家消防本部なるものがびたっと事務局一点張りに当てはめられるものかどうかということになりますと、これは一種の特殊のものがあるといわざるを得ないと思います。これは、当時できたいろいろのものがあるだろうと思いますが、全く普通の組織法から見ると、何といいまするか、まま子というか、非常におかしい、特殊の形態の法律として残っておるので、私ども、何とかこれを整理したいと言って、今度もちょっとやってみたのですが、消防法と消防組織法、これは二つともからみ合いまして、ここで手をつければほかへも手をつけるという、全面的に検討してみなければ、なかなか短期間ではで  きないというよう関係もありまして、なかなか手がつかぬというわけでありまして、将来の問題といたしましては、消防の機構、機能そのものに何かひそむ特異性でもあれば別問題ですが、特殊な行政は特殊な組織を醸成するという点がありまして、これも当然その点だと思います。一般論といたしましては、やはり国家行政組織法という一つの基準法なり、規格規定がありますから、それになるべく合せるように、すなわち普通のような形にしていきたい、そうするのがいいのじゃないか、これは、その通りだと思います。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは青木さん、あなたの方の自治省設置の問題と、これは別に関係なく申し上げておるのですが、あまりうまい口実になるようなことは……。これは冗談ですがね。私どもとしては、かりに外局なら外局としてはっきり、どこにどうということでなしに、それならそれで私いいと思うのです。それで、これは私、こういうものができてから、他の法律を作る場合にも、そういうずさんな検討のもとに、さっき本部長さんがおっしゃったような、たとえば建築基準法ように、もう少し突き詰めて考えていけば、あなたのあるいは公安委員長と話をすればいいかもしれませんけれども、まず協議というようなことをやるとすれば、これは何もあなたを無視してという意味じゃありませんよ。とにかくやっぱり私は、そういうところにただこういうものがあるのだから、これで協議する、こういうものがあるのだからこれと協議をする、あるいは消防の方と協議をするとか、あるいは報告すればいいのだと、簡単にやってしまって、今後あとからその持っておる性格というものを、あとから出て付与されたものによって、何かこういろいろなまた違った要素に考えざるを得ないというふうになってきておる面もあるのじゃないかと思うのですが、もともとは、そこまで考えておったわけではないけれども、今言ったような、他の法律ができる際に、そういうようなものができてしまった。ちょうど公安委員会というものは警察のための、これに消防をくっつけたために、公安委員会としては、おのれの分野の任務について何ら規定されないものであっても、この消防組織法があるために、自分の所管だというふうに考えざるを得なくなってきてしまう、こういうようなことになってきておるのじゃないかと思うのですが、これは、先ほど申し上げましたように、私自身がどう考えたらいいかわからないために、いろいろな方々からお聞きしたいと、こう思ってお聞きしたのですけれども、お聞きしますというと、私の思っていたような、あいまいさというものが依然として残っておる問題だと思いますので、これはぜひ一つ、省になるとか何になるとか、そういうことは別の問題として、現在のこの国家消防本部のあり方というよりも、むしろ性格あるいは行政組織上の地位、こういうものについては、これは統一した解釈なり、またそれにふさわしい内容も出るような、そういうものであってほしいということを、これは要望になりましたが、申しまして、一応この点、打ち切りたいと思うのですが、ただ最後に、そういう御検討については、青木さんやあるいは法制局の方でやっていただけるかどうか、最後に、簡単に私お聞きすればよろしゅうございます。
  49. 青木正

    国務大臣青木正君) 私も全く同感であります。こういうあいまいな性格にしておくということは、行政組織から見てもおかしいばかりでなくして、現実の仕事をやる面からいたしましても、やはり権限とか責任とかいうものをはっきりしておかなければ、ほんとうの仕事はできないのでありますので、私も、できる限りそういう早い機会に、はっきり行政組織法上の性格を与えなければならない、かよう考えております。
  50. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣帰られるなら一つだけ。今度の組織法の改正の中に、所管事項というか、所掌事項というか、国家消防本部の事項の中の改正の中に十三、十四、十五とつけ加えてあるんです。その中で、十三の問題と十五の問題は、消防法の改正もあって、この点については、われわれもあまり疑惑といいますか、質問するような事項もないわけでありますが、ただ、中の十四の問題です。「市町村消防に必要な人員及び施設の基準の研究及び立案に関する事項」、この「市町村消防に必要な人員」云々という項は、どういう必要があってここに入れられたのか、その点についてお伺いをしたい。
  51. 青木正

    国務大臣青木正君) 申し上げるまでもなく、現行の消防市町村消防、今後も市町村消防でなければならぬと私は考えております。ところで、市町村消防と申しましても、大きな、東京なり大阪なり、ここには相当の人員を持っており、相当の専門家もおりまして、十分自分の都市についての消防計画と申しますか、そういうものをりっぱに立てているのであります。ところが、小さな市町村になりますと、御承知ように、いわゆる消防団がこれを担当しておりまして、科学的に、一体自分の村を守るためには、どの程度の消防施設があり、どの程度の消防要員があればいいのか、こういうふうなことについては、なかなか研究しているひまもありませんし、また、専門的な知識も欠けているわけであります。現在は、一応の基準は示しているのでありますが、そうでなしに、私どもといたしましては、やはり国として、市町村にやらせることに無理なことは、国の責任において、あるいは国の負担においてそういうものを研究して、これを市町村に対して、これは命令するものではありませんが、あくまでもこれは勧告と申しますか、助言と申しますか、この程度の規模の地域、この程度の人口の市町村では、この程度の消防施設、この程度の消防施設ならばこの程度の人員が最も適当であるというふうな一応の基準を研究の上きめていきたい、こういうことなんであります。
  52. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣の今の御答弁で、ほぼわかったようなんでありますが、重ねて実はお伺いしたいことは、というのは、衆議院の方で第十九条を削除をされたわけでありますな。このことで、われわれも、この問題に関連のある十九条に関連しての疑問というのは消えたような形になっているわけでありますけれども、いずれにしても、往往原案として出すときにはそういう思想のもとにやられたと考えるので、私は、特にこの十四の問題についてちょっとお尋ねしたいのでありますが、この試験の基準の問題であるとか、あるいは火災を防止する計画の基準の問題とか、こういう問題は、一般的な基準の問題としてこれは共通する問題であります。しかし、消防に必要な人員というようなことになると、えてしてやはり具体的に、この村、この町ではどのくらい、こういうことにならざるを得ない。そこで、今大臣の言われたような適当な勧告ですね。あるいは何をするというような場合でも、それぞれの村、それぞれの町における規模というものがあり、人員関係というものは、施設の問題と違って、そういう普遍的なもので基準をきめられるわけのものではない。従って、どうもこの村、市に対しての勧告が、普通の物的な施設の場合と違って、ややいわゆる干渉じみた形のものに、従来のいろいろな例から見ると、なりがちになってくる。しかもこれは、地方財政計画の問題とは違いますけれども、やはり地方財政計画の場合に、一応の指針はあっても、現に市町村長は、実際物的な関係から、物的というのは施設じゃありません、金の関係から、やはり自治庁の指導監督に従わざるを得ないというようなことになってくる、この場合とは質的に違うと思いますけれども、どうもその十九条をここに入れたという思想から、私はひがんでいるかもしれませんが、その方に走りやすいような感じがしますが、そういう点については、明確に一つお答えをしても  らいたいと思うのです。いわゆる純粋の普遍的なる基準的な問題についてこれは研究あるいは立案をするのだ、そういうような点について、明確に一つしていただきたいと思うのです。
  53. 青木正

    国務大臣青木正君) 実は昭和二十七年に、「消防団の設備及び運営について」というのが出ておりまして、これを各市町村の参考のために基準として流しておるのであります。ところが、その後のいろいろな情勢を見まして、この前に作りました設備及び運営の基準というものをここで再検討する時期に今来ていると私ども考えるのであります。そこで、これを再検討するために審議会にかけたいと、こういうことなんであります。それから十九条との問題は、衆議院の方の段階で修正になったのでありますが、私は、衆議院委員会で、当初案を出した趣旨は、決して市町村消防というものの現在の本旨を没却する考えではないのでありまして、ただ、国がやはり協力をもっとやるようにせねばいかぬということのためには、現行法の十九条がかえって誤解を受ける、こういうことがありましたので、改正ようという考え方になったのでありますが、もともと十九条の本旨を変えようという気持は毛頭ないのでありますので、かえって変えることが誤解を受けるということならば、むしろこれは現行法通りでいいんじゃないかという衆議院側の御意向に対しまして、私は全く同感なんであります。そういうことで、十九条を現行法通りとすること、私ども、これは虚心たんかいに現行法に服することを了解したのであります。従って、十四条の関係も、そういう考え方に立っておるのでありまして、決して現在の市町村消防に対して、国が指揮命令するよう気持でやるのではなしに、全く市町村にむしろ協力するために、市町村でできないことを国がいろいろ検討して、古くなった前の基準を再検討していきたい、こういう考えであります。
  54. 占部秀男

    ○占部秀男君 その点は了承しました。もう一点だけですが、第四条の四の消防審議会の問題ですけれども、この消防審議会が今度の改正案では、「消防事務の運営に関する重要事項について調査審議する」と書かれております。ところで、これは、私が言うまでもなく、今の消防組織法によると、その管理というものは、これは市町村長がやっておる、そこで、その運営に関する重要事項というと、何か管理の面についての問題が相当含んでいくのではないかという感じを持つわけです。そこで、消防本部の所管事項といいますか、所掌事項といいますか、これは、今言ったように、今度の改正で十七か十八になるわけでありますが、その所掌事項を見ますと、現地消防の実際の運営の面よりは、いろいろなそうした点についての制度的なあるいは基準研究的な事項が中心になって所掌事項になっておると思うのです。そこで、おそらく審議会の運営面についての消防事務の運営に関する重要事項という、その内容は、その所掌事項の範囲を出ない形のものであると私は思うのですけれども、一応念を入れておきたいと思いますので、その点一つ……。
  55. 青木正

    国務大臣青木正君) まさにその通りでありますが、ただ、いろいろな技術的な問題について検討すると、こういうことであります。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃ本部長の方にお聞きしますが、消防本来の使命といいますか、仕事というものが、これはあるわけなんですが、現在では、本来の防火とか、そういうこと以外に、形はどういうふうな形で、どういうふうに施行されているかわかりませんが、いわばよそから頼まれたりして奉仕的な、本来の仕事でないという意味でございますよ、精神はどうあろうとも、そういう仕事をたとえば捜索とかあるいは警戒みたようなこと、こういう仕事に出る場合があるわけですね。そこで、そのことのよしあしももちろん一つの問題だと思うのでありますが、今、地方消防団やら消防団員等のわれわれに対する一つの要望と申しますか、訴えと申しますか、そういうことの中には、今言ったようなことで、死体捜索に出かけたとか、遭難者の捜索に出かけたとか、こういうような場合に、不幸にして事故があった、けがをしたりなんかしたというような場合に、これが公務でないというようなことから、いわゆる災害補償の取り扱いを受けることができないのだ、こういうことから、何とか、そういう場合でも、そういう災害補償の取り扱いが受けられるような、共済の方のあれに該当せしめるようにしてもらえぬのだろうかと、こういう声があるわけなんです。そこで、今言ったように、出ることをどこからどういうふうに出て、どうなるかわからぬけれども、いずれにしても、そういう場合に、いわゆる団のほとんど全部が出ていくというような場合があると思いますから、そういう場合に対して、公務と見てしかるべきものか、単なる他に対する助力なり、奉仕的なそういう役割として、いわゆる公務以外のものとして取り扱うべきものであるのかどうか、そうして現在またもしそういう事例があった場合に、どういうふうな取り扱いをされてきたのか、ちょっとそこら辺の事情を具体的にわかりませんものですから、そういう訴えを聞いた点から、  ちょっとお聞きしたいわけなんでございます。
  57. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防団員の公務災害補償の問題でございますが、公務災害補償は、消防の公務に限られておりません。ただいまお話のありましたような、町村長が災害救助その他の公共の仕事のために、市町村長が作業をしようとする場合に、消防団にこれを依頼すれば、これは市町村の公務上の任務でございます。その場合に、消防団が災害を受けた場合は、公務上の災害として措置するということにいたしております。必ずしも本来の消防でありませんでも、公務上の災害であれば、公務上の災害として補償の対象にいたしております。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、はっきりお伺いしますが、責任者である市町村長が団に対して、たとえば、いわゆる災害というようなことでなくても、先にちょっと申しましたような、遭難者の、山に入ってどうも何日も出てこないというようなことのために、捜索のために出てもらったというようなことも、もしその際に事故があった場合には、公務に準じたものの取扱いとして災害補償が受けられる、こういうことなんですか。
  59. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御承知ように、自治法の第二条に、これは第八号でございますが、公共団体の任務として、「防犯、防災、罹災者の救護」というようなことが出ております。これが市長村長の任務になっておりますので、この任務のために消防団の必要があって出動を命ぜられた場合には、当然公務ということで、災害救助の対象にいたしておりますので、おおむねお話の点は入ると考えております。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合、はっきり市町村長から出動を命ぜられておりますとか、あるいは正式にそういうものがなければいけないということになるのでございましょうね。団長の考え方だとか、市町村長がおらなくても、場合によっては、不在の場合に何かしなければいけないことがあるいはあるかもしれません。それは、団長とか何とかという人の裁量にまかせられておるものかどうか。
  61. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) お話の点は、いろいろな場合があるかと存じますが、市町村長から書類とかあるいは直接に口頭でこうしろ、こう命ぜられた場合でなくても、おおむね市町村長の意思として解釈される場合においては、公務災害の対象となり得るものと考えております。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、実は私もさっきお話ししたように、現在の取扱いがよくわからないためにお聞きしたのですがね、こういう消防関係の本庁の人からこういうことを書いて、こういう問題を何とかしてくれ、こう言われたのですが、今のお答えとはちょっと違うようなふうに聞えるのですがね。これは消防に直接タッチしている人の中の幹部のそれこそ大幹部の、わけなんです。消防任務をはっきり法文化せよということの一つの内容として、消防任務については、消防組織法消防法の各条に規定されているが、消防団には、法で定められている以外の慣習による奉仕的な公務もある。たとえば、危険防止のための祭典のような群衆の整理とか、山岳遭難による捜索等にも、組織力を持つがゆえに出動をさせられる場合があるのだ。しかし、こういう場合には、けがしても災害補償の共済、それには適用ならないから、何とかその点は適用になるようにすべきじゃないか、こういうことを書いてあるものですから、今お聞きしたことは、この人たちは、現場におりながらそういうことを知らなくてこういうことを訴えたのか、こう私思わざるを得ないのですが、その点、もう少しはっきり……。
  63. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) お話ような場合には、大体において公務災害の対象になり得ることと存じますが、一部には、消防関係でなければ公務災害補償の対象にならないように誤解をしているものもあるのではないかと思いますので、その点は、なお十分はっきりするようにいたしたいと思っております。私どもは、先ほど来申し上げましたような公務上の災害であれば、たとえ消火その他の純粋の消防の場合でなくても、公務による災害の場合には、できるだけ広く災害補償の対象にいたしたい、さよう考えております。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 念のためにあれですね、これは、今お伺いしましたように、何か末端のこういう消防のことに従っておる幹部の方でも、こういうふうな考え方を持っておるとすれば、私、現在のあなた方の考えられておる、そして従来とってきたそういう考え方について、十分徹底しておらないじゃないかと思うわけですね。これは、何でもかんでもいいかげんに名前を使ってやられても困る話なんですけれども、しかし、ここに書いてあるように、たとえば、山岳の遭難によっての行方不明、遭難したらしい、行方不明だ、親族が来たって手が足りないのだということで、頼まれる場合もあるので、そういう場合に行って、運悪くたまたまがけからすべり落ちたとか何とかということもあり得ることなんで、そういうことが当然、何といいますか、公務に準じて災害補償というものの対象になり得るとすれば、これはそれでいいわけなんですが、この人たちの解釈では、これはそうでないのだ、それで困るのだ、こういう訴えなものですから、この辺、一つはっきり徹底して、この災害補償の共済の運用に当っての不明確な点が、今言ったようなところにもし一つあったとすれば、はっきりさしておいていただきたいと思うのです。
  65. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど申し上げましたように、いろいろ一線で徹底しない点があるかと思いますので、その点は、十分公務災害というものはこういうものだという範囲を徹底するように、今後も努力していきたいと思いますが、この地方自治法にあります防犯、防災、罹災者の救護、こういうことは、はっきり公共団体あるいは市町村長の任務として書かれておりますので、これに該当する限りにおいては、当然に公務上の災害ということで、その点はできるだけ広く解釈して、公けのために、公共のために出動したような場合には、当然にこの条項にも当てはまると存じますので、おおむね公務災害には該当いたすと考えております。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 いたすと考えておりますということにより、むしろ私、これはやっぱり一つの解釈になると思う。たとえば、私なら私が山で三日も四日も帰らんで、みんな心配しているんだといった場合に、かりに私のために消防団員が出ることが公務だと解釈していいかどうかということに、あるいはこれは一つの迷いがあると思うのです。そこら辺、やっぱり具体的に一つやっていただかないと、はっきりしないんじゃないかと思うんです。ですから、防犯とか、防災とか、そういう自治法に載っけてある、市町村長のやらなければいけない仕事の中に当然含まれるというふうなものについては、それは心配ないんだと、こうおっしゃるんですが、今私の言ったような事柄が果して、そういう公共のためと考えられていいのかどうかということにおそらくこれは疑問があって、私にこういうことを言ってきたんじゃないだろうかと思うんですから、この点、やっぱりはっきり具体的にやらないと、今のただお答えだけでも、ちょっと私心配のような点がありますから、その点を一つ……。  それからもう一つ、ただ私、消防団の出動というものについては、やっぱりしかしいつの場合でも、市町村長なり団長が号令をかければ、どこでも何でも出かけていくんだ、こういうことだけは——またしかし、その事態を十分考えて出動すべきものであるかどうか、団員をそこへ出すべきものであるかどうかということについては、私これは、いろいろな過去の事例等からして、やっぱり戒めていただかなければいかん点があると思う。たとえば、お祭の群集の整理だと、これだって、それは考えようによっては必要だとも言えますし、場合によっては要らざることとも言えないこともない場合があると思うんです。いつでもそういう場合には出かけていけるんだというよう気持ももしかりにあるとすれば、そのために要らざる紛争なり、そういうものが惹起されるということも予想できまずから、これはしかし、出るためには、ほんとうに公務であり、あるいは公務に準じて、だれしもが至当と認めるような、そういう場合でなければ団員を勝手に動かしてはいかんというようなことについても、一つ今後のそういう出動等の場合に備えて、十分これは徹底していただかないといけない問題だと思うんですが、その二点を一つ、もう一度伺います。
  67. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 今のお設例にありましたような、お祭の問題等がありまして、場合によりましては、不明確な点はございますが、だんだんとお話のありましたような点は、地方自治法等から見ましても、いずれも公務災害と、こう見られるものじゃないか、大体それに該当するものと考えられます。それで、今回消防組織法の一部改正をお願いいたしておるわけでございますが、この改正法の施行の際には、そういう点も具体的にはっきりいたすように、十分地方に示したいと思っております。なお、今回の法の改正で、地方の指揮統制権等もはっきりうたっておりますので、なおさらそういう点等もはっきりと、内容をなるべく具体的に考えまして地方に示したい、かよう考えております。
  68. 館哲二

    委員長館哲二君) 消防組織法の一部を改正する法律案質疑は、この程度で終局したものと認めて御異議はご   ざいませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議はないようでありますから、質疑は終局したもものと認めます。本案に対します討論採決は次回に譲ります。   —————————————
  70. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは、引き続きまして、先ほど中止いたしました地方交付税法の一部を改正する法律案その他三件につきましての質疑を続行いたします。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記を始めて下さい。
  72. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣に、来年の大略のことをお聞きするわけなんですが、たとえば、税制調査会答申案に出ておる消防施設税の問題についても、この前ちょっとお伺いしましたところ、何とかしなくちゃならぬじゃないか、その取り方については、前のときには、損保関係に対するものがあり、今度は固定資産関係のものが答申されている。しかし、何とか消防関係をしなくちゃならぬということをおっしゃっていられたが、これが来年度はどう見通しがつくのかどうか、あなたの方として。おそくとも九月、十月ごろに結論が出てこなきゃならぬ。予算編成期前に結論をお出しになる、そういうことはどうなるのか。  それから、先ほどここでお聞きしておりますと、遊興飲食税の問題については、来年度は必らず減税をするというのですから、来年度新しく取るものと減税されるものについて、来年度はこういうことをするんだというものがほかにあったら、一つお聞かせ願いたいと、こう思っておるのです。私は、大臣質問するのはこの一点なんです。
  73. 青木正

    国務大臣青木正君) 地方財政計画に関連し、また、地方税関係におきまして、三十四年度の予算編成に当りまして、私どもが何とかこの機会に解決したいということで努力して参りましたのは、お話ように、消防施設税の問題、それから遊興飲食税の問題、それから所得税減税に伴う住民税はね返りの問題、さらにもう一つ、交付公債の問題を私どもは取り上げておったのであります。この四つの問題につきましては、できることならば、三十五年度に処置すべきものでありましても、今回方針だけはきめておきたいということでその方針で努力して参ったのでありますが、まことに私ども残念ながら、その実現を見なかったのであります。しかし、これはこの機会にあらためて、取り上げた問題でないのでありまして、もう昨年の秋以来ずっと取り上げつつあった問題でありますので、継続の問題として、どうしても三十五年度の方針を立てる前にきめたいと、こう考えております。そこで、今までのいろいろ各方面と折衝した過程におきまして、ある程度各方面の意向もわかっておりますので、先般来やりましたような交渉と違いまして、もっと具体的に話を進めることができるんじゃないかと、かよう考えております。私どもの所期する目的は達成できるかどうか、もちろん来年のことでありますので、無責任にそういうことを言うわけには参りませんが、しかし私どもは、この四つの問題は、自治庁に課せられたる最も大きな責任と、地方公共団体のために私どもぜひともやらんけりゃいかぬ問題という考え方に立って、全力を尽してこれが解決をはかっていきたいと考えておるわけであります。
  74. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私も、突然の話で、大臣としてこの四点についておっしゃることはわかりますよ。特に住民税の問題あるいは交付公債等の大きな問題でありまして、そう簡単にどうこうとは言えないのですけれども、しかし、自治庁は、何といったって、まあ七百億の減税に基いて百一億ですか、今年度は平年通り二百二十億見当になるかもしれません。それにしましても六・一%の伸びがある。従って、地方税関係においてはどのくらいの伸びを見るのか、いろいろ見方があるのですが、とにかく伸びる。そうしますと、その中で、地方自治体が非常にえらいものですから、国からやらなくちゃならぬということになるから、いわゆる住民税からする所得税はね返りの問題をどうするか、あるいは交付公債の問題、あるいは臨特法が廃止になる、あるいは町村合併、あるいは新市町村促進法の問題等で穴があいていく問題、いろいろの問題があると思いますが、そういうことはさておいて、私は一つここで大臣にお聞きしたいのは、たとえば、消防施設の問題については、少くとももう何べんか答申案が出ておる。私が知っておるだけでは、二度三度と出ておる。もうここらあたりで締めくくらなければならぬ。ですから、大臣が任期はどうかとかなんということじゃなくて、大臣をずっとお続けになることを前提として、少くとも自治庁として、大臣だけが約束するのじゃなくて、自治庁として約束されることは、消防施設税は、少くとも三十五年度には目鼻がつく、とにかくレールの上に乗るのだ、自治庁としてそういうお約束ができるものかどうかという点はどうでございましょうか。
  75. 青木正

    国務大臣青木正君) 消防施設税の問題につきましては、先般の当委員会でも私申し上げました通り消防施設税という形、あれだけに固執して果して解決できるかどうか、これも疑問があると思うのであります。その場合に、他の方策としてのやり方の問題、先般成瀬委員からお話のありましたようなことも一つの方法かもしれません。それから、私から申し上げましたような、また別な行き方もあると思うのであります。いずれにいたしましても、この前の昭和三十四年度の財政計画を立てるときに、消防予算を組むときに、第二段の方策についてある程度足を踏み込んでいく必要があるんじゃないかというところまで話し合いもいたして参ったのでありますが、遂に実現できなかった。しかし、答申も得ておることでもあり、答申があるなしにかかわらず、実際に今のようなあり方で、わずかばかりの補助金か何かを毎年毎年大蔵省から予算折衝で出すというようなあり方につきまして、私ども、どうしてもこのままでいいと考えられません。今度は、昨年と違いまして、いろいろ今まで折衝したこともありますので、三十五年度はぜひとも解決したいと、ある程度見通しを立てて、そう従来考えておったようなあり方ではできるかどうかは別といたしまして、ある程度解決の見通は立つのじゃないかと、こう考えております。
  76. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 消防施設税の問題については、まだ私も意見があるのですが、もっと希望として出したいのですけれども、まあお忙しいし、大沢さんのあれがあるそうですから、やめまして、次に、遊興飲食税については、先ほど森委員あるいは大沢委員から御質問がございまして、三十五年四月一日から実施するのだ、それは五百円であり千円であるというのに限られておるのか、あるいは公給領収証等までふくめての遊興飲食税全体の考えなのか。その辺のところも一つ明確にお答え願いたいと思います。
  77. 青木正

    国務大臣青木正君) 具体的に案を立てるに当りましては、もちろん、先ほど森委員から御指摘もありましたように、あれの中には、免税点の問題ばかりでなく、私どもは不合理な面もあると思うのであります。やはり合理化の線も検討していからければならぬことは当然と思うのであります。たとえば、段階の関係で不合理な点等も出ておりますので、それからまた、公給領収証等についてもいろいろ議論もあると思うのでありますが、今ここでどうというあれはありませんが、私どもは、遊興飲食税の当委員会決議を尊重してやります場合は、その減税のやり方につきましては、やはり自治庁として、いろいろな不合理な面等を検討してやらなければいかんと、かよう考えておるわけであります。
  78. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 心配する点は、今申しましたように、遊興飲食税全体の問題になって参りまして、いろいろの問題が出てくると思う。それで、それにからんで、いやいや、あのときはそうであったが、またやめるというのではなくて、そういう問題はかりにあったとしても、それはそれで残しておいて、五百円、千円の問題については絶対にやるのだ、どんなことがあっても、五百円、千円の問題については、今度どういうことになるかしりませんが、三十一日までまだ日にちがあるのだから、附帯決議をつけるか、どういう格好になるか、それがまた公給領収証の問題も出てきて、段階の問題も出てきて、何といいますか、ここは遊興飲食税の対象になるとか、ここはそうではないというような、また、風俗営業法なり何とかいういろいろな問題がからんで参りますから、そういうことで問題をぼかして、そっちの方から火の手が上って、解決できないということで、逃げられては大へんだから、これは、そういうことはないのだ、どんな場合でもこれだけは一つやるのだという確約をしてもらわなければならないと思うのですから、くどいようでございますけれども、あなたに質問を申し上げておるのはそういう点でございますから、そのところをはずさないように、一つ明確にしていただきたいと思います。
  79. 青木正

    国務大臣青木正君) 本体をはずすようなことは、もちろん私も考えておりませんが、しかし、これを改正する場合におきましては、やはり軽減、合理化ということは当然考えなければなりませんので、免税点引き上げ、まに税率の引き下げ、いろいろの合理化の線に沿って、本体をくずすことのないようにやりたい、かよう考えております。
  80. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、まだ固定資産税の問題等いろいろの問題題がございますが、大臣があれですから、これでやめます。
  81. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 大臣、時間がなくて恐縮ですが、ほんの二、三点だけ伺います。  昨日自治庁からいただきました資料によりましても、道路整備五ヵ年計画の地方負担関係におきまして、財政計画と照らし合せて、絶対的不足額というものが十三億円あります。それからさらに、軽油引取税の修正によりまして、約十七億の財源が不足することになっており、合せるというと、約三十億程度の絶対的不足額というものが出てくるわけでありますが、財政計画をもしこのままで、修正のままで地方税法案が通った場合には、財政計画を組み直されるのかどうか。これは、組み直していただかなければならないのじゃないかと思いますが、その点をまず一点。  それから、もう一つは、これは、財政計画上は超過負担というような問題がずいぶんここでも論ぜられましたが、こういうものは入らない。しかし、実際上はやっぱり超過負担というものが投資的経費等について起って参ります。そういたしまするというと、やはり相当地方財政はその点からも圧迫され、税外負担等は抑制しても、そういう問題が必然的に起ってくる。それからさらに、いろいろな点を考えていってみまするというと、たとえば、地方交付税の算定方法の改正による府県の財源の均衡化の見地からの改正で、これ自体は、私非常にけっこうな改正だと思いまするが、これによって約八十六億の、いただいた資料によりましても、財源の異同があるわけであります。こういう点は、地方の予算編成の上から行きますというと、これはもう予期せざる変動になって参ります。今のこういう点が、臨特法の廃止によります約六十億程度の、ことしの、何といいまするか、地方考えておりました財源の狂いとからみ合いまして、地方予算の編成は非常に困っておる。そういう状態が現在、あるいは公共事業は前年通り組む、あるいは八割減に組む、あるいは公共事業は前年通り組んだけれども、単独事業は組めない、あるいは給与の昇給その他の義務的経費の計上が見合わされているとか、これは、単に知事選挙等があるためのそういう配慮からの国家予算の編成でなくて、私は、財源見通しができないために、そういうやむを得ざる不正常な予算の組み方になっておる県が、これはもう非常に多いように聞いているわけであります。こういうことの結果は、おそらく私は、年度の半ばにおきまして、昨年も非常に大きな問題が交付税の配分について起りましたが、より一そう今年はこういう問題が起るのじゃないか。この臨特法の廃止に伴う約六十億円でございまするが、これについてのいろいろな要求がありまするが、単にこれだけでなく、今申し上げたようないろいろな点がからみ合わさりまして、私は、地方、ことに府県の予算の計上の上におきまして、おそらく知事選後に非常に大きな問題が起つくると思う。そういう場合にどう対処されるおつもりでおられるのか。これは、現実に必ず起ってくる問題であると思いますので、そういうことはないと思うというだけで私は済まされぬと思う。これについてどういうふうに対処されるお考えでおりまするか。われわれは、すぐ補正予算というわけにはいかぬと思いまするけれども、ワク外の起債を認めるなり何なりいたしまして、あとの措置は後年度にいたすとしましても、何とか地方団体でこの公共事業を受け入れてやれるようにしていただかなければいかぬ、こう思うわけでございますが、この二点だけ一つお伺いいたします。
  82. 青木正

    国務大臣青木正君) お話ように、遊興飲食税や軽油引取税の改正その他におきまして、当初予定しておりました財政計画が狂いましたわけであります。しかし、現在御審議願っておりまする財政計画をこの段階において変更しようという実は考えは持っていないのであります。途中におきまして、いろいろ財政計画上変更を来たすようなことはあり得るとは考えるのでありますが、しかし、今ここで、これだけの減収が出るからといって、直ちに財政計画を変更するまでのこともないのではないか。いろいろ、税の伸びの問題もありましょうし、あるいはまた、他の面で節約するという面も出てくるでありましょうし、一応この財政計画で御審議を願いたいと、かよう考えているわけであります。しかし、お話ように、公共事業の伸び、また臨特法の廃止等の関連におきまして、各府県あるいは市町村におきましてこの計画通りやれない、あるいはまた、公共事業の返上というような事態が起るのではないかという御心配の点等も、これでもう心配ないというようなことをここで断言するほど勇敢ではないわけでありますが、お話ように、なかなか今年の三十四年度の地方の財政は苦しいということは、よくわかっているのでございます。また、相当の工夫をいたしましても、なかなか思うように仕事ができないということもあろうと思うのであります。そこで、国庫負担金の配分であるとか、地方債の配分等につきましても、できるだけ各府県の実情等をよく承わり、よく打ち合せの上、できるだけの配慮をいたしていきたいと思うのであります。しかし、それにいたしましても、私は、これはまあ端的に申し上げまして、現在の財政計画でやって参って、私どもが期待し、また地方の当局が努力いたしましても、なかなか思うようにいかぬ点が出てくるのじゃないか。しかし、だからといって、今ここで、それならばこういう措置をすると言うのも、私はいささか早計に失するのではないか。そこで、予算執行の過程におきまして、いろいろ三十四年度の計画が進むにつれまして、その段階において、地方が、現実の問題として、公共事業の返上を余儀なくされるというような事態等が起って参りますれば、私は、それに対応いたしまして、当然何らかの対策を立てなければいかん。しかし、今ここで、こういう対策を立てるということを申し上げることはいかがかと思いますので、まああの財政計画によって、地方皆さん方にも最善の御努力を願いたいということで、現段階ではそれ以上申し上げかねるのでありますが、しかし、私といたしましては、予算執行の過程におきまして、地方の事情等をよく見まして、それに対応して、場合によったらば何らかの方法をとる必要があるのではないか、また、そういう気持で、大蔵省方面等に  対しまても、内には、私どもはそういう気持を常に吐露いたしておるのでありますが、しかし、率直に申し上げまして、この段階ではまあこの財政計画一つ地方の方々も窮屈でありましょうが、これで一つ努力を願いたい、こうお願い申し上げたいのであります。しかし、だからといって、あくまでこれでいいのだ、これで十分だというよう気持で、私は地方財政を三十四年度見ようという考えでないということだけを申し上げておきたいと思います。
  83. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 後段の点につきましては、大臣のお気持も推察つきまするので、善処をお願いいたしまして、私質疑を、大臣のお時間の関係もありますので、打ち切りますが、ただもう少し、ちょっとなお確めたいのは、前段の点でありまするが、この前段の点だけの問題として見ますれば、つまり、道路整備計画の地方負担財政計画上の不足と、軽油引取税の修正によりまする減、この程度のことでありますれば、この法案が成立いたしましても、修正のまま成立いたしましても、何とかこの財政計画を変更せずにやっていけそうである、こういうふうに了解してよろしゅうございますか、今の御答弁
  84. 青木正

    国務大臣青木正君) なかなか窮屈な面もあると思うのであります。また、場合によったらば多少、全体として事業をやるという考え方に立って、事業を三十四年度やる分を繰り延べるという問題も単独事業等において若干出てくることも予想されないわけではないのでありますが、しかし、一応この財政計画でやっていただきたい。なお、軽油の消費量の伸びの問題もあるのでありましょうし、あるいは揮発油の伸びの問題もあるのでありましょうし、そういう点等も勘案いたしまして、この財政計画でやっていただきたい、かよう考えておるわけであります。
  85. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 固定資産税関係でちょっとお伺いいたしますが、税制調査会答申案にも、固定資産の評価額を時価に近づけた方がいい、税率をどうこうするよりも、評価を近づけるのが先だというよう趣旨答申がなされておりますが、そういうことに対して、自治庁としては、どういうふうに今後処していかれようとするのか。
  86. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 答申にもございましたように、非常に正直に申しますならば、税率を引き下げてみるとか、そういう問題よりも、各地域におきます評価の問題、この統一の問題と、それから今おっしゃるような、時価にこれを近づける、こういった問題の方が実は固定資産税については根本的な問題でないかと、われわれもそう考えております。従いまして、別途御審議を願っておりまする総理府設置法の一部を改正する法律の中で、固定資産に関します根本的な、検討を調査していただきますために、調査会を作りまして、今後ニカ年間に、どういう評価の方法でどう具体的にやっていったらいいか、またどういう機構を使ってこれを調査したらいいとかいうような検討をして、いただきまして、この評価に関する根本の問題を今後二年間で十分に解決をして参りたい、こういうような決意をしております。
  87. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすれば、ニカ年間は、現状のままで行こうということになるのですか、逆に言えば。
  88. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) これは、御承知と思いますけれども、現在の評価が、三年に一ぺん評価がえいたしまして、ちょうど去年の初めから三ヵ年据え置きなものでございますから、ちょうどその期間に間に合うように実は結論を得たい、こう考えております。
  89. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 三ヵ年に据え置かれると、私は、だから、固定資産の評価を実は来年度くらいもう一ぺん再評価していただくよう答弁を得たいのだというよう気持が実はあったわけです。と申しますのは、名古屋市内に例をとりますと、ある一カ所が非常に盛り場的に発展いたして参りまして、地価が倍というか、三倍くらいに上っている所があるわけですね。それですから、固定資産の上においては、税の関係でいえば、全く捨て置かれるわけです。それがために利益を得ている人はだれかというと、いわゆる土地ブローカーの人が最大の利益を得ておられるわけです。それは、正しい税を支払うという人ならいいのですけれども、そうじゃない、そういう人たちは。だから、おかしなところに、何というのですか、うまい汁を吸う人が出ておるのじゃないか。だから、すみやかにそういうものは、なるほど法律は三年目に一ぺんとあるけれども、非常に地価の変動があるとか何とかいうような所は、一つ特例的に地域によって、何と申しますか、指定するとか何とか、自治庁じゃなくて、地方自治団体の何か特例と申しますか、そういうようなことで取り計らいができるようなふうにしてもらうと、この不合理というものが調整ができるじゃないか、こう思っておって、今みたいなよう質問をしているんですが、何とかそういう問題に不合理と申しますか、不当な行為が行われないようなものにならないものか、こういうのです。
  90. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまお話の、非常な激変を生じました場合には、課税権者であります市町村の方で、条文はちょっと記憶しておりませんけれども、現在の制度でも、特別の場所を見直すということができるよう規定になっていると思います。ただいま私の申し上げましたのは、全国全体の問題でございますから、もとの地租の時代の賃貸価格、これなんかも十年に一ぺんでありましたか、これを五年に一ぺんやってみますと金がかかり、やはり一回回転するのに二年くらいかかっておったような状態でございます。全体の問題といたしましては、やはりよほど慎重に考えまして、その上でもって実施するようになるのじゃないか。あるいは、仰せのような非常な激変地帯、これを臨時に見直すような制度は、現在でもあるようなわけであります。
  91. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 現在あるということなら、これは私の勉強不足で、非常に幸いだと思います。
  92. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 今、第四百九条の二項のように思いましたのですが、地目の変換がありましたり、その他特別の事情がある場合におきましては、当該土地または家屋をまた評価し直さなければいかぬというよう規定がございますので、的確にこれかどうか、今ちょっとわかりませんけれども、こういった規定でやれると思うのでございます。
  93. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 おっしゃったように、よくわかりました。しかし、この間ある固定資産評価委員の人にもお聞きしますと、これが二倍三倍に実際上っていく。しかし、固定資産の評価を二倍三倍に引き上げるということは実際困難だ。ということは、全体のものから見たときに、大体六割見当だということ、従って、六割増しに見れば、これが今度は——売買値段は別ですよ、登記値段に大体なっていくわけなんですね。というような点もございまして、なかなか二倍三倍になりにくい。実際はなっても、評価委員会としてそれは非常に困難だ。それがまた三年目に一ぺんだということになれば、これを五倍にも上げていかなくちゃならないというようなことで、非常に不都合品なことだから、一つ毎年やられるようなふうにと、こういうことでございましたが、今おっしゃるように、四百九条の二項ということですな。これで地方自治体もやり得るようでありますから、それはそれでいいと思います。  次に、ガスの固定資産税の問題についてお尋ねしたいのですが、実は、こういうことが地方に出てきたわけです。ガスをそこへ引いてやろう。しかし、ガスの固定資産税はその地方自治体で負担してくれと、なぜなら、工場誘致と同じじゃないか、地価が上っていくからというような点でいいから、一つ引いてやろう、しかし、自治体の方でそういう協力をしてくれ、こういうことになってきますと、地方自治体の方としては、まあ地価も上ることであり、住民も便利だというので、そういうふうなことになっておりますが、法律の建前からいえばおかしな話でありますし、また、ガスを実際引いてほしいというと、非常に施設が高くて、なかなか負担金がえらくて大へんですから、ここで一つガスの固定資産税というようなものを——他の固定資産の方には、新設されたものに対して非常に恩典を受けているものがたくさんございますものですから、それ並みに、それか、それ並みと同じようにすることは困難かもしれませんが、あるいはそれに近づけるように、近いような方向でやるというような、そういうことは自治庁としてお考になっておらないのかどうか。
  94. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまお話しになりました問題は、ガスの五カ年計画でありますか、拡張計画ができまして以来、新規に拡張した分についての固定資産税の減免、この問題が非常にやかましく要望されて参っております。いろいろ工業用にも使いまするし、また家庭用にも使いますから、そういった点で、実は、ことしの予算にからみましても非常に強い要望がございまして、これをしようかどうかということで、だいぶ検討いたしました。ただこれも、正直に申しまして、市町村の財政状況は苦しいものですから、今にわかにこれができないということで、一ヵ年十分検討しようということで、検討を今続けているところでありまして、できますことならば、まあそういう点もやって参りたい、こんな考えでおります。
  95. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何か、通産省の方の意向としては、まあ一つ新規のガスの固定資産税については、優遇措置を講じようではないか。しかし、自治庁の方としては、これは一つ消費面関係の問題であり、あるいは電気等と比較すれば、とても問題にならぬ普及率等もあるから、まあ反対じゃないかというようなことでありますが、ガスのあなたがおっしゃるような五ヵ年計画というのですか、あるいは、このごろの住宅——集団団地とかができるようなことになって、非常にガスの供給というものが伸びると思います。従って、まあガス関係の会社関係から出されたこれは資料だと思います。それを見れば、相当ガスの新規供給施設というものが、二百億ですか、年間約二百億くらいずつふえるようなふうになりますので、私は、もしこうなってくれば、ガスの固定資産税を若干、電気あるいは船舶等が恩典を受けておるようなふうに直されましても、ガスそのものからの固定資産税というものは、年間ずっとふえていくのじゃないかと思いますから、何か少し法的にも——融資の方も、何か今度政府の方で見られるようですから、税の方でもポンプの役割を果していただいて、ガスの方がずっと伸びてくるようになれば非常に幸いじゃないか。私の方の党内にも若干異論がございまして、正直に申しまして、私の方の党内にも、いや、ガスはもうけているじゃないか。料金等の決定も、私鉄等の運賃の決定と違っていいじゃないかという意見もあります。しかし、大体株の配当率等を見ましても、東京瓦斯が一割二分出しております。東邦瓦斯が一割四分くらいであったものが一割二分にするらしいのですが、そうすると、電気、ガスなどの関係が一割二分の配当で押えるというようなことになり、また配当関係のチェックも若干行政指導上において行われていくということになれば、当然新規供給施設に対するところの減免措置というものは講ぜられたって片手落ちじゃない。あるいはやり過ぎじゃないかというような非難は当らぬものである。むしろ他のそういう固定資産税関係で優遇されておるものとのバランスがとれて、むしろいいんじゃないかという考え方を持っておるのですがね。ぜひ一つ、あなたがおっしゃるように、来年といって、来年になっちまうとまたどうかなってしまうようなことにならぬように、来年ぜひこれが実現するように、なお御努力願い、また自治庁としても、そういう方向に大体あるようなことをおっしゃるのだが、実際問題としてやっていただきたいと思いますが、重ねてこれは要望というか、あなたの方の決意を一つもう一度聞かしていただきたい。
  96. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 正直に申して、まだ決意まではいたしておりません。いたしておりませんが、非常に強い要望もございまするし、また、今お話ようにそういうむげにおかしな、理屈のつかないものじゃないと思います。ただ、ある都市につきまして、相当の税源が入るべきものが、ほうっておけば入るものが入らないというようなこともございますので、そういう点は十分に検討いたしまして、できますことならば、御趣旨に沿えるようなふうに結論を出して参りたい、こんな考えでおります。
  97. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  98. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記を始めて。  それでは、ただいま質疑を行なっております四件のうち、地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案の三法律案に対する質疑は、これで終局したものとすることに御異議ありませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 館哲二

    委員長館哲二君) 異議がないと認めまして、さよう決定いたします。  三案に対します討論採決は、次会に行うことにいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十一分散会