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1959-03-26 第31回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十六日(木曜日)    午前十時三十九分開議   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            大沢 雄一君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            郡  祐一君            小柳 牧衞君            田中 啓一君            成田 一郎君            吉江 勝保君            加瀬  完君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君   国務大臣    建 設 大 臣 遠藤 三郎君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    自治庁税務局長 金丸 三郎君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省体育局長 清水 康平君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省道路局次    長       関盛 吉雄君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁行政局公    務員課長    今枝 信雄君    大蔵省主計局主    計官      相澤 英之君    建設省河川局次    長       曾田  忠君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十四年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより委員会を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案昭和三十四年度地方財政計画に関する件、以上四件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は御発言を願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省の方にお伺いをしますが、昨年からの道路整備五カ年計画で、昨年からということは三十三年度からでございますが、三十四年度は二年目で、いよいよ本格的に事業遂行されることになるわけでございますが、私ども担当委員会でもありませんし、詳細な計画そのものについての御説明を今ここでお願いする時間もないようでございますし、いたしませんけれども、全体として私ども考えますのは、この事業が非常に大きい事業であるだけに、事業遂行に当っては財源関係について特に関心を持つわけなんでございます。そのうち、さらに国の方の費用については、私ども全体としては何ら心配しなくてもいいと思うのですが、地方財政状態が現在のような状態である際でございますので、果してこの事業遂行地方財政の方にどのような影響を与えるかということにつきましては、非常な実は心配をいたすものでございます。最近地方団体人たちが、特に知事会あたりで言っていることなんですけれども、現在のような地方財政状況であるとすれば、こういう道路事業等も含めての公共事業の一部返還ということもあり得るのだというような声を聞くわけなんでございます。私も五ヵ年の全体としてはこれはどうにか遂行できるのじゃないか、一応消化ができるかもしれないということを考えるわけで、しかし団体についての消化状況というものはなかなか簡単には参らないであろう、従って今申しますように、これは杞憂にすぎないということであればそれまでですが、やはりどうしても一部消化できない、従ってお返ししなければならぬというような事態が起りはしないかということを心配されるわけなんで、そういう点から地方のこの負担について建設省としてはどのようにお考えになり、どのようなお見通しを持っておられるのか、こういう点について一つお話をお伺いしたいのです。
  4. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 道路五ヵ年計画を策定いたします場合に、私ども最も注意をいたしましたことは、正しい計画を樹立し、政府としての予算を流すというだけでは問題は解決しないのでありまして、これで果して地方の方においてこれが消化し得るやいなやという問題をあわせて検討する必要があるということで、大蔵当局とも自治庁当局とも密接な連絡をとりまして、この五ヵ年計画の策定をやったようた次第でございますが、大体大ざっぱた見通しをこの際申し上げておきたいのでありますが、昭和三十四年度の公共事業でやります場合に、三十三年度の地方負担分との関係におきまして大体百三十七億ばかり地方負担が増加いたしております。直轄事業で百五十億円、補助事業で五百四十三億円の地方負担分が生じますが、直轄事業では五十億のプラス補助事業では八十七億円ばかりのプラスになるわけでございます。合せて百三十七億ばかり三十三年度に比べて地方負担が増加して参ります。この百三十七億のうち直轄事業は大体五十億でありますから、この五十億に対しましては交付公債で参ります。補助事業の方が八十七億になりますが、この内訳を見ますと、一般会計りが二十五億、道路特別会計が五十十億、そして住宅関係が六億ということになります。この道路特別会計御蔵知のように五十六億ばかりふえて参りますけれども、これは軽油引取税の増の増収の面と地方道路税増収の点でこれを補っていけるものであります。道路税合せまして増収が大体六十四億程度見込まれるのであります。当初軽泊引取税については六十六億の増を見ておりましたが、衆議院の方の修正案によりますと、大体十五、六億の増加が減ずることになっております。大体五十億しか増収が見られないことになります。道路税の方が十四億ばかりふえて参りますわけで、大十四億ばかり税収の方がふえて参ります。従って着路特別会計の五十六億の増は税収増収によって十分まかない得る。ところが補助事業の八十七億円の中の一般会計分住宅の六億円合せで、三十一億というものが税の増徴の面ではカバーできないわけでありまして、これは一般地方財政収入の増、地方税収入の増が大体五百六十二億ばかりになっておりますし、それから起債の方が六十五億ばかり増加する計画になっておりますから、それでもって十分消化をしていくことができる、こういう見通しを立てまして、自治庁とも密接な連絡のもとにこの五ヵ年計画も立てましたし、三十四年度の公共事業計画も立てておるような次第でございます。もちろんこれをやって参りますと、地方特別財源というものが非常に窮屈になって参ることは御指摘通りだと思います。これらの点についてはなお自治庁当局大蔵省当局とも密接な連絡をとっておるのでありますが、いろいろ工夫をいたしまして、そして無理のないような公共事業の施行をやって参りたい、こういう考えでいるわけであります。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣の今のお話で、大体あまり心配なく遂行できるようだ、こういうお見通しのようでございます。私もさっき申しましたように、全体としては、特に一般道路の方におきますところのそれは全体としては私は何とかやっていけるのじゃないだろうかというふうに見ているわけなんで、ただしかし、それはいわゆる全体計画としての五ヵ年間の事業遂行という面であって、先ほども申し上げましたように、実は私ども心配するのは個々のいろいろな団体における負担というものはおおまかなこういう全体的な数字の上からだけではつかみがたいものがあるのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。そこで、たとえばこういうことが現実の問題としては出てきておりはしないか。なるほど道路のこれに必要な財源というものは地方においても大体においてまかなえるのだと、こういうことなんですが、しかし団体によっては消化しきれないもの、そういうものが出てきた場合、これは全体計画としては何とかするという建前ですから、何か富裕県の方に、まかなえるところにだけ偏在していくような形になりはしないかということが問題として予想されるのです。こういう問題、それからいま一つは、これは大臣お話の中にもありましたように、道路そのものはあるいはできるかもしれぬが、そのために他のいろいろな地方自治団体でしなければならない仕事の上に、道路のために大きな金を吸い上げられるために、ほかの方の仕事が不十分になってきはしないか、これらのとりあえず私の方としては二つの問題について考えておるわけなんです。こういう点について建設大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか
  6. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) お尋ねの第一点でございますが、地方団体によりましては、非常に地方財政の苦しい団体が出てきて、その地方団体は所要の公共事業ができないような場合が出てきているのじゃないかという点でございます。私どもの方ではそれぞれ道路建設についての一定考え方を持っておりまして、一級国道を最も重点的にやって参りますが、二級国道重要地方道というような工合に、交通量その他産業各般情勢を見まして、道路建設についての順序をきめておるわけであります。従って私どもは、金がないからその県にはやらないで、金のある県へ流していくというようなことはやりたくないのであります。ぜひこれは一定計画でもって消化してもらいたいということで、これを消化する場合に、全体のワクとしては消化し得るようなことになっておりますので、その細部の消化の具体的な方法については自治庁当局と十分一つ打ち合せまして、自治庁公共事業を担当するわれわれとが一本になって、地方財政の実情を眺めながら、しかも道路計画というものの本質をまげないようにやっていきたいということを考えておる次第でございます。  なお、お尋ねの第二点の、独立財源がなくなるために、単独事業ができなくなるではないかという点は、私どもも非常に心配しておる点でございます。しかしこの点は自治庁当局が最も注意し、最も心配しておって下さるところでありますので、責任の立場にある自治庁からはっきりしたお答えを願うことが適当かと思います。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、これは自治庁の方にもいろいろお尋ねをしたり、またこれからもしなければならぬ問題だと思っておりますが、道路計画の中には、今一般的な問題として申し上げておりますがまたお答えいただいております一般道路の問題なり、あるいは有料道路の問題のほかに、地方単独分で千九百億円という大きな金があるのです。私どもはこういう問題が実は一番心配なわけなんです。ですから国の補助もつき、場合によっては地方公債もつけてやったりなんかしてやっていける大きな仕事については、あなた方からいろいろお示しになっている、こういう計画のあるものについては、何とかそれはあまり心配がないからやっていけるのじゃないだろうかと思うのですが、問題はもちろんそういう問題も含むわけでございますけれども、今の千九百億に上る地方単独分について、これは私はやはりあなた方としても、それは自治庁の領分だ、こういうことでなしに、これは道路計画でございますから、どういう見通しか、地方のこれを負担する能力がどういうものであるか、そういうようなことについてのやはり一つ考えをお伺いしないといけないと思うのです。ですから特に私地方負担分という一般的な問題のほかに、特別に千九百億に上る単独事業分についての一つ考えのあり方でなり、あるいは見通しについてお伺いしたいと思うのす。
  8. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 五ヵ年計画を立てます場合に、御指摘のように千九百億円の単独道路事業というものを認めたのでございます。単独事業の分量をどの程度に測定するかということが非常に重大な問題の一つでございまして、自治庁当局ときわめて密接に連絡いたしまし、従来の経過等も聞き、現実にやっておる事情も調べまして、一部においては千九百億程度よりもさらに大きく、二千五百億程度まで実績としてはやっておる面も出ておるのではないかという議論も出ましたが、それは大き過ぎるという自治庁当局の強い意見がありまして、千九百億というところで一応まとまったのでございます。この千九百億は今までの見積りから参りますと、決して無理な数字ではないという結論を得まして、千九百億の単独事業というものを計画に織り込んだような次第でございます。その独立財源についての詳しいお尋ねは、むしろその当時から今に至るまで自治庁当局連絡し、折衝して、自治庁が詳しく計算をしてやっておりましたので、自治庁当局から詳しい説明をいただいたらけっこうじゃないかと思っております。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは一つ自治庁から。自治庁の方からこれについて決して無理じゃないのだということでおやりになったというのですから、この点について一つ説明をいただきたいと思います。
  10. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先日も単独事業について申し上げたわけでございますが、千九百億円の内容は、三十三年度は三百二十八億円、三十四年度は三百五十二億円と、だんだん増額して参りまして、五ヵ年間で千九百億円という数字を得ておるわけでございます。また特定財源のほかに地方交付税の方で基準財政需要額を年間三百億以上予定いたしておるわけでございまして、公共事業あるいは直轄事業地方負担額合せて三十四年度は六百四十三億円でありますが、六百四十三億円のうち、単独事業分が三百五十二億円であります。これに対しまして今申し上げました基準財政需要額は三百十二億円、特定財源合せまして、大体現在予定しております道路事業消化できるのだということも先般申し上げておるのでございます。なおこのほかに、今建設大臣がおっしゃっております、実績は非常に大きなものがあるのだということでございましたが、維持補修費等合せますと、そういう相当多額な額に上って参るわけでございます。改築関係だけとりまして、その程度金額を予定しておるわけでございます。
  11. 占部秀男

    占部秀男君 ちょっと今の点に関連して建設大臣にお伺いいたします。今の問題で、これは具体的な問題なんですが、というのは、各県の情勢を調べてみますと、これはいろいろな例はあるわけですけれども一つの例として、静岡の場合、これは御承知のように静岡県というのは、規模で言えばちょうど中くらいのちょっと上くらいの形になっているわけですが、その静岡の場合でも、これは決算で二十八年、二十九年、三十年、三十一年というふうになるに従って、公共事業費用というものはふえている。たとえば二十九年が四億四千三百、三十年が四億八千二百、三十一年が五億六千八百というふうにだんだんふえているのですね。これに今度は反対に県単事業というものになると、六億三千万から六億一千万になり、さらに三十一年度は五億を切っている、これは決算ですが、かようにずっとこう減ってきているのですね。国の直轄はと言えば、これが一億から二億六千になり、四億になっているというふうにふえてきているのです。つまり公共事業と国の直轄事業は、現実静岡の場合でもずっとふえてきているのに、それに反比例して県単事業のものはこういうふうに減ってきている。それで私は静岡のほかに三つ、四つの県だけ洗ってみたのですけれども、ほとんど同じように歩調を合せて、金額の多少はあっても、かような傾向になっているのですよ。三十二年の決算、三十三年の決算は今わかりませんので、ここでそのこまかい数字は言えないわけでありますけれども、おそらく道路の今度の問題に関連して、私は地方の方では、他の県の場合などはこれよりもひどい形がさらにことしは現われてくるんじゃないかということを、今鈴木さんの説に関連して心配しているものなんですが、こういうような点については、建設省の方としても自治庁との話し合いの上に、こういう県単事業の何と申しますか、急激な下降というようなものは、まずあまり今度はないというふうに考えて、この道路五ヵ年計画や何かの整備とも関連して考えてやられているのかどうか。そういう点についての検討はあまりなされておらないのか。そういう点をちょっと具体的に……。
  12. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 地方財政の専門的なことになって参りますので、むしろ自治庁当局からお聞きいただくことが適当かと思いますが、私どももだんだんとしりつぼみになっていきまして、独立財源を攻めてしまうというような行き方はあまり感心しないと思うのであります。静岡の場合も、実は私も静岡出身でありましてよく知っておりますが、有料道路に今度転換をして参りまして、今度は逆に三十二年ごろから逆な現象があるいは出てくるのじゃないかと思っております。しかし全体の趨勢は、私も詳しくは知りませんが、自治庁責任を持って見ていただいて下さるものと思います。私ども自治庁と協力をしまして、あくまで無理のない、実際にスムースに消化できるような方法一つとっていきたい、こう思っているわけでございます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 鈴木委員、それから占部委員質問に関連するわけでございますが、先ほど大臣は、道路五ヵ年計画に伴うところの地方単独事業も含めて財源は確保されていると、で、委員質問のような道路五ヵ年計画を進めるために、単独事業あるいはその他の地方団体側道路計画というものにそごを来たすようなことはない、そういう御趣旨のお話がございましたが、三十三年度と三十四年度の地方公共団体道路関係歳出予算を調べて見ますと、昭和三十三年は地方公共団体単独事業費が三百二十八億、それから国の直轄事業、あるいは国庫補助事業に関する地方負担金が、合計すると二百十七億、そのパーセンテージは、地方公共団体のその単独事業費と国に関係のある事業地方負担するものとの比率というのは六六%に当っております。昭和三十四年になりますと、地方単独事業費が三百五十二億、それから地方負担をする分が二百九十二億、八三%に当っている。こうなって参りますと、この数字というものだけ見ますと、この五ヵ年計画というものは、むしろ国事業主体であるものにウエイトが置かれておって、地方負担は、その国の主体である事業でむしろよけい負担を増大させている。こうなって参りましては、これは単独事業そのものというものは、どうしても幅を狭められてくるという私は結論にならざるを得ないだろうと思うのであります。で、質問がだいぶ長くなって恐縮でございますが、道路五ヵ年計画を進めることに異存のある者はどなたもないと思います。ただ地方団体側から免れば、今大臣からお話もございましたが、一級国道、二級国道整備される、あるいは有料道路がりっぱなものができる。そうなって参りますと、国道を通る自動車、あるいは有料道路を通る自動車というものは、有料道路国道だけにとどまりませんで、これは地方道にも当然入ってくる。そうすると、地方道に対する損傷度というものは、むしろ今よりも増大する形になります。しかし地方道そのものは、地方道路の何%かは改築されても、その住民にとっては主要道路であっても、国全体の道路計画なり、地方道路計画から見れば、割合に主要と見られないものにまで手を加えて、その他の道路計画に手を加えて改築していくというわけにはいかなくなってくる。そうなって参りますと、現在でも損傷度の大きい地方道路というものはますます損傷度が激しくなってくる。ところが今言ったような、この負担率が六六%が八三%に上ってくるということでは、どうも単独事業の方にしわが寄りまして、単独事業費の幅が狭められるという形にならざるを得ないのじゃないか。その点をどうお考になっているかということが一つ。  それからもう一つは、この地方公共団体道路関係歳出に対する特定財源歳入比率を調べてみますと、三十三年が三六%、三十四年が四四%と若干特定財源そのものは上った形になっております。しかしこれは軽油引取税なんかが変ってくれば、若干また変ってくると思いますが、それは一応問題外ですが、一応上ってはおります。しかし、国の今度の道路関係歳出に対する特定財源の国の分を見ると、三十三年は八二%、それから三十四年が八一%と、非常にこの財源が確保されている。それならばこの五ヵ年計画を進めるために、もう少しこの三十三年から三十四年のその負担率が六六%から八三%と、地方負担をかけてくるというような傾向というものを、国の方が財源が多くなるのだから、国の方でもっと何とかまかなっていくわけにはいかないか。またそれを考えないと、実際は建設省計画というものは地方に出てそごを来たすということにならないか、この点二つお答えをいただきたい。
  14. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ただいまのお尋ねの第一点でありますが、従来地方単独業業として地方独自にやっておりました地方道は、この五ヵ年計画では相当大幅に政府から金を出してやる地方道に変って参っておるわけであります。その詳しい数字はまた道路局長からこまかく説明をさせたいと思いますが、その意味地方単独事業の幅が非常に狭くなったということが、同時に政府の方の業業の幅が広くなっていると申しますか、むしろその点では地方の方も責任が——と言いますか、負担といいますか、軽くなってきておる面もあるわけであります。地方の方で、道路五ヵ年計画ということはそれはけしからぬ、地方単独事業をやるべきだという議論は、また別の問題になりますが、そういう意味で、地方でやっておったのと中央でやっておった道路の五ヵ年計画というものはかみ合ってきまして、ずっとその面を重要な地方道として政府が直接手をかけていく、こういう形で非常に大きく推進していく形が出ておるのでございます。  それから、特定財源歳入関係については、これは道路局長から説明をいたさせることにいたします。
  15. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) お尋ねの第一点の単独事業関係でございますが、これはただいまはっきりした数字は実は持ち合せがございませんが、先般四、五の県でお伺いしましたところによりますと、従来県が単独事業でやっておった、しかし、来年度は補助事業も相当やりそうな見込みだから、これを採択してくれこういう御要望がございまして、私どもの方の採択の基準に従いまして採択した量が、予算の総額の大体八%から一〇%、そのくらいになっております。これは、全国に対しましてどのくらいになっておりますか、ちょっと私数字を持ち合せておらないのであります。  それから、予定しております単独事業を実施いたします特定財源関係でございますが、軽油引取税増収が、政府原案のように予定通りいきます場合には、そうむずかしくなく実施できる見込みでございます。しかしながら引取税につきましては、衆議院の方の措置もございますので、来年度につきましては、十六億くらい予定よりも減額になるのじゃないか。これにつきましては、都市計画税、それから自治庁の方で基準財政需要の配分に見合って、事業の執行に遺漏がないように一つ措置するように、十分自治庁の方と御連絡いたしたい、こういうように考えております。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 関連の質問でありますから、簡略に質問をいたしますが、私が今伺っておりますのは、おっしゃるように、今までの単独事業国庫補助事業にかえたにいたしましても、大体御計画の表によりますと、舗装だけを取り上げてみても、一級国道は五〇%五ヵ年計画舗装が完了される計算になるのであります。二級国道が一四%、しかし都道府道県は舗装というものだけから考えると、二%しか舗装されない。こうなってくると、これは単独事業補助事業にかえたところで、未舗装道というものが、地方からみればまだ非常に残されるということが事実だと思う。そこで、千九百億というものが単独事業で今までの事業費に新しく盛られるならば、地方道というものは潤うわけでありますが、そうではなくて、さっき占部委員指摘されるように、事実は決算などからみると、単独事業というものは減ってくる、こういう傾向にあるときに、また直轄事業に関する負担金、あるいは補助事業に関する地方負担金というものが、三十三年度の単独事業が六六%であったのに比べて三十四年度は八三%というように負担加重が行われてくるとすれば、どうしてもこれは建設省考える幹線道路というものはよくなるかもしれませんけれども、各地方団体で行なおうとするところの独自の道路整備計画というものには、どうしてもまず国の五ヵ年計画予算をかけて、残ったところで地方の方をやるという形になっておりますので、これは現状の地方道の改修というものはむしろ手おくれになるということにならないか。この点が一つ。  それから、こんなに地方財源負担をさせなくたっていいじゃないか。国は三十三年度八二%、三十四年度も八一%という特定財源を持っているならば、ふえたところで四四%そこらしかない地方公共団体特定財源というものにあまりかぶせるようなことでは、かえって道路計画というものにそごを来たすことにならないか、こういう点を伺っておるのです。もっと率直に言うならば、これだけのことを地方にやらせようとするならば、むしろ地方道路財源というものに国の特定財源というものを振り向けるようなことを一体建設省ではお考えいただけないものかどうか。ガソリン税にいたしましても、これは使い方、考え方によってはもっといろいろ方法もあると思う。そういう点の御工夫はお持ちでないかどうか。こういう点について。
  17. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) お尋ねの第一点でございますが、道路整備五ヵ年計画では、まず一級国道というような国の大幹線、これの至急の整備を完成いたしますことに非常にウエイトを置いております。しかしながら、そうした大幹線だけでなく、同時にまたそれらの培養線となる地方幹線、さらにその支線、地方の未開発地における開発道路的なもの、そういう支線、相当毛細の道路整備にまで注意をいたしておるつもりでございます。従いまして、五ヵ年計画それ自体の中におきまして、先ほど申しましたように、従来地方単独事業といたしましてぼつぼつやっておったというようなものも、かなり大幅に取り入れてやることを考えておるつもりでございます。この全体に対するパーセンテージは、御指摘がございましたように、パーセンテージといたしましては、それは必ずしも低くはございませんが、地方の毛細道路になりますと、路線の延長も非常に長いことでございますので、パーセンテージはそれほどでございませんが、事業量といたしましては、二級国道等に匹敵するものをみておるつもりでございます。従いまして、従来単独事業でやっていたものも、この計画それ自体に相当取り入れていくことができる。しかしながら、さらに地方におきましては、単独事業の形で実施する必要があるものはたくさんあろうかと思うのです。それらにつきましては、この単独事業の見方でございますが、五ヵ年間千九百億という見積りに対しましては、従来地方が実施しておりました単独事業が年々やはり伸びていくことを予想いたしまして、財源措置等も考えておりますので、単独事業がワクにおきましても、それから実際仕事そのものにおきましても、単独事業でやっておったものが窮屈になるというようなことはなかろうかと思うのであります。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 財源を付与することは……。
  19. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) それから、財源問題でございますが、御承知のように、ただいま地方道路譲与税、それから軽油引取税という道路に対する特定財源があるわけでございます。これに対しましても、軽油引取税の方は、来年度から若干引き上げさせていただくようにお願いいたしておるわけでございますが、できますならば、この原案通り一つこれをお認め願い、全体的につじつまを合せておりますが、御指摘のように地方財政はなかなか窮屈な面もございますので、そうさせていただきたいものだと私どもは思っております。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 関連質問。先ほど大臣静岡の例をあげてお尋ねをしたのですが、その問題と、今局長の答弁されたことに関連するのですけれども、やはり地方道路関係ですが、なぜ私がそういう例をあげて言ったかというと、今度の道路整備五ヵ年計画に基く方向において、相当やはりアンバランスがどうしてもできてくるのじゃないかということを心配したからです。今大臣が言われた地方道路に対する補助計画、そういうことを大臣が言われましたが、この計画はおそらく今度の三十四年度の問題としては、これは局長にお伺いしてけっこうなんですが、たしか百十五億か計画のあったあの分じゃないかと思うのです、百十五億か地方道路に対する補助計画。私どもの入手した資料では百十五億という計画があって、しかもその計画の内容を洗ってみると、主要道路が六十四億、一般道路が四十八億、市町村道路が三億、こういうことで百十五億という、これはずっと前の地方財政計画発表の当時ですから、まだはっきりとあなたの方も数字的にまとまっていなかったと思うのですが、おおよその見当でのものだと思ったのですが、いずれにしてもそういうような資料を私の方では入手しているのですが、もしかりにこれが百十五億が百十三億になり、百二十億になるかは、そういう点は別にして、そういうような配分的な形になっていくとなると、かりに百十五億とすれば、主要道路がそのうちの半分をとってしまう。一般道路が四十八億、市町村道路に至ってはわずか三億の補助計画だ。そこで半分の主要道路というものは、おそらく国の施設に伴うものに直結した事業になってくることはこれは明瞭なんだ。そこで特に市町村道路のごときは三億くらいの補助計画で、一体どういうことになるかということを考えると、大臣がせっかく仰せになったのですけれども地方道路の問題についての補助計画のやり方については私は非常に不満足だ。特に今一番われわれが問題にしているのは、確かに国道がよくなる。しかし市町村道路、ことに町村道路に至ってはああいう始末じゃないか。そして国道なら国道道路計画でよくすることはわれわれは賛成です。賛成ですけれども、やはり町村道路、市道路というものについて補助計画をやるならば、補助計画をもっとはっきりしたものをやらんと、その結果はどういうことになるかといえば、結局そういうこまかいところを補修するために、あるいは改良するためには受益者の負担を増さなければならぬ、あるいは用地の買収費にしても、それがないから受益者が出さなければならぬ、税外負担がふえる一方です。地方人たち道路の問題で税外負担がふえてくるわけです。しかも市町村道路のような日常に関係のある道路はそれほどよくならない。こういうような結果に私は陥ってくるのではないか、こう思うのですけれども、そういう点についてはいかがですか。
  21. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ここに私は数字を持っておりますから、ちょっと申し上げたいのですが、今度の五ヵ年計画では、一級国道七千二百キロ改良いたしまして、舗装を六千二百キロ、それから二級国道については改良を六千キロ、舗装が三千七百キロ、それから一般地方道、今問題になっておりました一般地方道は一万七千九百キロの改良をやります。舗装を四千九百キロやります。主要地方道、まあ重要な県道になるのでありますが、これを一万一千五百キロ改良をやります。そうして舗装四千キロやります。国道に集中しておるというような印象を与えておりますけれども地方道に非常に力を入れております。国道だけできまして、それにつながるところの地方道整備されて参りませんと、国道の機能が発揮できませんし、ことに地方道の産業的な地位を考えまして一この方へ相当な力を入れていく、この数字をごらんになっていただいてもよくわかると思いますけれども、そういうような計画になっておることを御了承をいただきたいと思うのでございます。町村道の問題については、これは国道にも接触しない、重要県道にも接触しないというような町村道の問題は、町村の独立財源でいく以外にこれは手はないという事情でございます。今のは五ヵ年計画が終ったときの完成しておる数字でございますから……。
  22. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣が時間がないようでございますから、簡単にお聞きしますが、今のあなたのおあげになった数字ですね、確かにその通りと思うのです。しかしいずれにしても、そのものからいって、たとえば国道がこれだけの延長が改良されるのだ、あるいは舗装されるのだ、あるいは地方道がこれだけ改良され、これだけの舗装ができるのだと、こういうふうなことだけではちょっと変なことになりはしないかと思うのです。確かにあなたのおあげになったような数字からしますと、地方道の方がよけい改良なり舗装なりか伸びてきておりますね、しかし、では国道地方道とのキロ数はどうかというと、これはもう国道の方がはるかに短いのですから、ですからそういう単にどっちをよけいキロ数を多く改良したとか、舗装したということよりも、むしろあなたの方で別にあげておるようなパーセンテージで見る方が、むしろものの実態がよくわかるのじゃないか、こう思うのですが、そこであなたの方の五ヵ年計画の最終の三十八年三月末までの整備状況見込みではパーセンテージで見ると、国道の方は五三%の改良ができる、それから舗装の方は四〇%のものができる。しかし都道府県道は改良が二四・三%、国道の方の半分以下でございます。それから舗装がわずかに七・三%で、これはお話にならない舗装状況になるわけです。ですから私は先ほど来の話からしまして、国道を重点にやるのだということも、それは今回の五ヵ年計画では根拠もあると思うし、私はそれでいいのですが、と同時に何べんもあなた方もおっしゃるような、いわゆる培養線なり、直接地方住民が日常利用するようなそういう道路のことについても、これは十分考えていただかないと、単にキロ数だけが地方道の方がよけい改良され、あるいは舗装されるのだ、こういうようなことを言っても恩恵を受ける住民というものはそういうことではないと思うのです。そこで、一番初め私が申し上げましたような心配というのは、実はこういうような割合で国道、府県道ができておることは、ちょっと私ども残念だと思うところもあるし、さらに市町村道に至っては、かりに千九百億の金を投じ、あるいは場合によってはそれ以上の金高、事業量になるかもしれませんけれども、実態というものは、大きなパーセンテージになって表われてこないというところに問題がある。その問題というのは、国道等のために、あるいはあなた方の考えておる主要道路というようなものの改良なり舗装なりのために、地方は自分の直接日常使う道路のそういう舗装なり改良なりというものについても実は金が出ない。こういう結果を私は当然心配されるのであります。これは形の上ではいろいろ何といいますか、計画もできるでございましょう。あるいは無理のない計画だというようにお考えになるかもしれませんが、私も一応こういう計画は、何とかこれはできるに違いないと思うのです。しかしながら、その仕事ができても、もっと必要な特に地方道の方に、実は地方の住民からしますと非常に大きな不満があるけれども、それを満たしてやれるような金がないという結果が出てくるんじゃないだろうか、こういうことなんです。ですから計画がずさんで、地方財政状況を全然無視したとかということを私は申し上げるのではなしに、一応の計画としてはできるにしても、計画外の目に見えないところに私はしわ寄せが——地方財政の面からこの道路の完全な今後のあり方からしますと、しわ寄せが出ていくんじゃないかということが実は私は心配なわけです。ですから、この計画はりっぱな計画ですから、私どもも先ほど加瀬委員がおっしゃったように、だれも不賛成な者もいないし、より一そうやってもらいたいと思う。と同時に、こういう計画だけでなしに、この五ヵ年計画でこういう今言ったような結果が出るとするならば、この次に、できるかできないか知りませんが、かりに五ヵ年計画を国が考えるといった場合に、やはりこういう比率からする問題は私は解決できないじゃないだろうか。やっぱり国道地方道、主要府県道というようなものが大きなウエートを持っておる。これは国がやるから当然だというならば、これは当然かもしれませんけれども、大きなウエートを持っておられる。しかし、依然として地方住民が欲する自分たちのまわりの日常使う道路については、なお残された部分が非常に多くなっていく。今後十年たっても私はやっぱりそういうふうな一つのここに現われてきましたような割合で、やはり取り残された部面が非常に大きくなっていくのではないか。これでは私は計画そのものの今後の遂行状況というようなものについてやつはり考えてもらわなければいけないじゃないか、こういうことなんでございますが、この点どうでございますか。
  23. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) この五ヵ年計画は、道路関係の衆知を集めて練りに練った計画でありますので、いろいろこれをやって参りますと、地方の批判も出てくると思いますし、いろいろの問題が出てくると思います。もちろん道路計画はこの五ヵ年間で完成すべきもののではなくして、これは私の個人的な意見でございますが、次の五ヵ年計画というものを策定いたしまして、そして日本の道路の全体としての完成を期していきたいと思っているのでありまして、五ヵ年計画の推移をながめて、いろいろな批判を十分にとり入れて、その次の段階には足りないところを補っていくような意味る十分行き届いた五ヵ年計画を策定して参りたい。そういうようなつもりでおるわけであります。  なお、千九百億の独立財源の問題については、これは御指摘のように、確かに問題があると思います。なかなか苦しいだろうと思います。苦しい、だろうと思いますが、これは計算上はできるはずになっておりますので、よく自治庁当局とも密接な連絡をしまして、個々の地方団体と具体的な打ち合せをしながら、無理のないような施行をやっていきたい、こういう考えでおります。
  24. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは大臣一つ……。実は建設の方で大臣をさっきから待っているようでございますが、もしも大臣でなくともこの問題についてどなたか一つ……。道路特別会計のことにつきまして、ちょっとお聞きしたいのですが、まあ大臣が管理するということになっておりますから、大臣からお聞きした方が一番いいのではないかと思って私はあれしたのですが……。
  25. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 道路局長か……。
  26. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは大臣よろしゅうございます。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは局長から。  もう一つ、市町村道は、あなた方が考えている五カ年計画では、いわゆる一千九百億のそれからして、最終的に三十八年三月ではどの程度市町村道ではこの改良なり舗装なりができるような見通しなんですか。パーセンテイジでどのくらいですか。
  28. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 市町村道につきましては、御承知のように道路局の私どもの方では、特別なものを除きましては従来から予算上私の方では取り扱いませんで、計画局の、つまり都市計画という立場から市町村道をいろいろ見ておるわけであります。しかしながら、市町村道は、全国の道路の延長といいますと約八十万キロに、これははっきりした統計がなかなかつかみにくいのでございますが、約八十万キロでございまして、この整備率をその八十万キロ全体から申しますというと、まだまだ非常に少いものではないか、数字は私ちょっと申し上げかねますが、非常に少いものでございます。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただ局長さん、これは道路整備五ヵ年計画ですから、所管は計画局でも全体として千九百億を見込んでおるものですから、できればあなた方の方のこういう仕組みの中にこういうものもやはり一つ入れていただけるといいのじゃないかと思うのですが、あとで何かの形で一つ計画局の方と連絡いただきまして、その見通しについてお知らせ願いたいと思います。その点よろしゅうございますか、あとでお知らせいただけますか。
  30. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) よろしゅうございます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから道路整備の特別会計でございますが、実は私どもあなたの方のこの特別会計だけでなしに、農林省関係の特別会計等からしまして、特別会計のあり方について実は非常に疑問を持っておる点があるわけなんですよ、従来から……。今までの土地改良の特別会計なり、あるいはあなたの方の建設省でやっておった多目的ダムのそれなり、今度港湾関係とそれからいまの道路についての特別会計が新たに三十四年度からできる。従来から私どもは、いわゆる地方団体というような立場、あるいは地方財政というような立場からしますと、どうもこのあり方について申し上げますと、不思議だというか、不満を持っていた。ところが今度新しく三十四年度からできる二つの会計について、今直接問題とする道路整備の特別会計の問題、それのあり方についても同様な措置がとられておるところから、果してこれでいいものかどうか、改善される余地がないものかどうかというふうな実は考え方を持っておるのでお伺いするわけなんですがね。今度の道路特別会計では非常に大きな額を、他の会計より非常に大きな額を使うわけなんです。総額で九百八十二億円という会計になるわけですね。そのうち借入金の問題なんです。七十五億という借入金をして、これはあとで地方負担分として当然地方が支払わなければならぬという問題になってくる借入金なんですが、この借入れの七十五億につきまして、これは預金部の方、今は資金運用部ですか、資金運用部の方からは六分で金を借りてくる。ところが地方負担する場合には六分五厘で返さなければならぬ。こういう問題は私もどうしても納得できないわけなんです。地方負担をすべき金であるならば、直接地方団体が資金運用部から六分で借りて、六分で返すような仕組みでやったらいいのじゃないか、五厘というさやかどうもおかしいのじゃないか、さやという言葉は少し変な言葉ですけれども、そういう感じを受けるわけですね。大蔵省の方々にこういう問題について聞くと、これはほかでも、政府地方団体に貸す場合にはそういうことでやっているのだから、ほかの方とのつり合い上こういうことにしているのだなんて、こういう、ふうなことを言いますが、しかしこういう特別会計法を作って、特にまあ地方負担させる場合の金でございますから、私はできるだけ地方に変なそういうような迷惑をかけないような形で処理されるべきが至当ではないかと、こういうふうに考えるんですが、これはあなた方そういう問題について何か検討なさったことがあるかどうかですね、これはまあ従来から特別会計はこういうものだからこういうふうにやったまでだというふうに考えておられるのかどうか、その点一つどうでございましょうか。
  32. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ただいま御指摘の預金部資金を借りるときの利子の問題でございますが、まあ地方財政も非常に困難な際でございますので、できるならばそういうふうにいたしたいと、こう思いまして、従来そういう機会がございますと、そういう点も財政当局の方へ私どもの方としては何回もお願いしておったような次第でございます。しかしながら、伺いますところによりますと、この問題は道路だけでなく、今先生の御指摘になるように、他の場合もほとんどこういう扱いをしておるようでございまして、私どもとしては財政当局へそういうことをお願いするのですが、今日まではまだそういうことにならないので、少しでも地方財政を楽にいたすために、できるならばそういうふうにさせていただきたいことを考えておりまして、まあ機会がございますれば、またそういう交渉をしてみたいと思います。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこれはできるだけ楽をさせるとかさせないとかいうことでなしに、私は理屈としておかしいと思うのですがね。これは大蔵省に機会を見て私お聞きしなきゃいけないと思っておりますが、従来の大蔵省の答え方ではあなたのおっしゃるように、ほかの方もこうだからこうなんだと、しかし資金運用部から六分で出せるものだったら、これは地方団体だって六分で出して借りさせればいい話なんです。何を好んで五厘という、そういうものを取るかということ、私は実にこれはおかしな話だと思う。実はまあ交付公債全般にわたって利子の問題なんか、今問題になっておりますけれども、そういうことを一応離れましても、単にこの問題だけをとっても、私は実に不合理きわまるもので、政府が悪くいえばさや取りをやっているのじゃないかと、こういうふうに言いたくなるんですが、ほかの会計全部で五厘の差だけで七千二百万円ばかり、まあ特別会計としてどういうふうにお使いになるかわからぬけれども、差額がそういうふうに出る。今の道路の七十五億の特別会計だけで三千七百五十万円になるわけでしょう。五厘とするとね。これはどう考えても私おかしい方法だと思うし、ですから地方に迷惑をかけるとかかけないとかいうことでなしに、これは一つぜひ是正するようにしてもらわないといけないと思うのだが、どうでしょう。
  34. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) まあこの問題は、国と地方自治団体との間のことでございますから、まあ国がそこで五厘の差額を保留するということでなくいきたいものだと思っております。これは私どもの方がそう考えるばかりでなく、地方自治庁の方でもその点についてはいろいろお考えだと思いますので、よく地方自治庁の方と連絡して、今後一つできるだけ改善ができましたらできるように努力をしてみたいと思っております。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 こまかいことになりますが、五厘は特別会計内でどういう処理の仕方をするのですか。運用部の力には六分で返したらいいわけですね。そうすると地方団体からくる五厘というものの扱いはどういうふうになされておりますか、差額の五厘というものは。
  36. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) これはまあ交付公債として納まるわけでございますから、それだけのものが、特別会計の事業費のほかに諸費がございますから、そういうものにあてる財源になるかと思います。収入になると思います。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は交付公債で返す場合でも五厘は要らないと思うのです。これは正確に勘定してごらんなさい。これは決して五厘は要りませんよ。これは零細だといっても、あなたの方の会計だけでことしだけで三千七百五十万円が出るのですから、これは今後三十四年度五年度、六年度、七年度と四カ年先ですね。四カ年といったら相当な額になる。あなた方の計画では今後交付公債というものをもう三十五年度から三十七年度まで二百五十七億つけることになっておりますね。ことしの七十五億を加えますと三百三十二億ですか。これに五厘かけたら私相当な額になると思うのですがね。しかしそれは手数料とか何とかいうことで交付公債に分けてやったためにかかる経費ということについては、あまりに額が多過ぎると思うのです。地方から何かあなた方が——もちろんもうけ仕事じゃないのですけれども、これは特別会計で全部お使いになるだろうと思うけれども、変な金まで取っておるということになると思う。そういう理屈になると思うのですが、その点どうです。明確に一つ、あとからでよろしゅうございますから、交付公債によってやるために、まあ六分きっちりにはいかぬと思うが、私は六分五厘までの必要はないと思う。利息の計算からいって、そこら辺は私も実は正確に計算しているわけじゃありませんが、私の推定が誤まりであればお詫びしますけれども、ちょっと一応計算してみて下さい。これはおかしな話だと思います。
  38. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 今の預金部資金を借りるときの利子の問題につきましては、私どもといたしましては、機会を見まして、五厘という違いがなくいけるように一つ今後努力してみたいと思っております。それからなお、現状でこうなっておりますことに対する先生の御質問に対しましては、後ほどこまかく計算して御説明するようにいたします。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからもう一つは、この借入金に対する利子の取扱いの問題ですがね、私は今六分と六分五厘の差の五厘の問題だけ申し上げましたが、これは特別会計全体としての借入金であって、将来はもちろん地方負担になるという予想のもとに借入れするわけですけれども、しかし私はこういう性質の特別会計全体として借入れる金であるならば、特別会計全体としてその利子なりというものを考えるべきじゃないか、ですから一種の私は事業費全体のコストというふうに、六分なり六分五厘というものを考えていくことが至当じゃないかという考え方を持っておるのですが、この点どうですか。
  40. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですか……。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま一度申し上げますと、六分でも六分五厘でも、それは利率はどうでも、いずれ利子をつけなければいかぬという問題、これはあると思います。しかしその利子は特別会計全体の仕事をやっていくために、将来何といいますか、地方負担分ということを予想してあなた方借入金をするのでございましょうが、しかし仕事そのものからすれば、特別会計全体の立場で今足りない金を借入れするのだ、七十五億でも八十億でも借りるのだと、そうするならば、その利子のまるまるを地方負担させるべきでなくて、何百億かのその全体の仕事のコストとして利子を考えるべきじゃないか、従ってまるまる地方負担させることは不合理じゃないか、こういうことなんです。
  42. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) この道路の特別会計は、事業を実施いたしますためにいろいろな借入金ができるような形になっておりますが、ただいまのところ借入れを予想しておりますのは、直轄事業に対する負担金地方負担金分相当額でございます。従いまして、これは事業を実施いたします区域の各都道府県と申しますか、地方団体の実施にあわせまして計算いたしておりますもので、その点はあまり矛盾というものはなかろうかと思っておる次第であります。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話のように、もちろん直轄分の負担金の分でございますけれども、しかし特別会計を設けて一般の借入れをしたり、いろいろな収入があって、なおかつ、しかし現実仕事をする場合に、将来入ってくるけれども、今新しい地方から持ってこれないというので借入れをするわけですね、そこはわかります。しかし、だからそういうものは地方にまるまる利子なり何なりを持っていけるということよりも、むしろ仕事全体として、所要経費のうちの一部分の借入れであるから、全体として私経理されるべきじゃないかと思う。従って利子の負担というものもそういう形でやるべきじゃないかと、こういうことなんですが、その点やはり、どうしてもいやそうじゃないとお考えでしょうか。今の建前からすれば、そうでないというふうにお答えになるでしょうが、考え方として今私が申し上げたようなことも、これは十分やっぱり考えてもらわなければいけない問題じゃないかと思います。特別会計のあり方、特別会計をもって仕事をする場合に、全体の事業量に見合うその資金の調達において一部借入れをするのだと、だから私は全体の事業量なり事業の所要経費の中での借入れした分についての利子のこなし方ということが、当然私は考えられていいと思う。その点どうでしょう。
  44. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ただいまの御指摘の御意見は非常にごもっともにも承わります。しかしながら、これはいろいろ大きな影響を持つように拝察されますし、まあ複雑な事情もございますので、今後の問題といたしまして、私ども一つ慎重に検討配慮いたしたいと存じております。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 それで局長さん、そういうまあ私の考え方から、もう一つ関連してこういう問題もあるわけですよ。借入れの時期いかんにかかわらず、地方が利子を負担しなければいかぬというようなことも、実際にはあり得るわけなんですね。そうじゃないですか。この地方負担する場合の負担方法というのはどうなんですか。
  46. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) これは必要のときに借り入れるようにいたしておりまして、その必要もないのに借りて利子をつけるというようなことはいたさないはずでございます。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 必要なときに借りる、そうすると、たとえば直轄工事でも仕事を始めて、資金の必要なのはずっと年度の後半というような場合があり得ると思いますね。そういう場合には、その借りました何ヵ月分ということで正確にやって、地方に利子等も負担をさせるということなんですか。その点どうですか。
  48. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 御指摘のように、できるだけ後年度で、支障のない限り、持っております財源でまかないまして、できるだけ年度の終りの方で必要なときに借りまして、それからということにいたしております。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはまあことしからの計画ですからね、今後の運用の問題等にもなると思いますが、これはもし御承知でしたら、現在の建設省関係の多目的ダムのそれの状況をちょっとあとでお知らせ願えないでしょうか。いつごろの時期に借入れをして、どういうふうな従って利子の負担の仕方をしておるのかですね。
  50. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) ただいま多目的ダムというお話でございますが、道路につきまして三十三年度の実情を後ほど計算いたしまして、ごらんに入れるようにいたします。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、道路のそれもけっこうで、いただきたいと思いますが、特別会計ですからね、特別会計の処理としてどうしておられるのか、こういうことも実は聞きたいわけなんです。ですから、今度まあ道路として新しく道路整備特別会計というものができる。これは、ですから、今申し上げましたように、これからの、三十四年度からの問題ですから、これはいろいろ運用等においても今からどうのこうのと言っても始まりませんが、実際の今までありました多目的ダム等におきまして、たとえば三十三年度においてどういうふうに今私が申し上げましたような点を処理しておられるのかということを、あなたの所管と違うでございましょうが、連絡の上、もしお聞きできるようでしたらお知らせ願いたい、こういうことなんです。
  52. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 道路の特別会計三十三年度から実施しておりますから、三十三年度につきましても、そういうまだまあはっきり年度が終ったわけじゃございませんから、明らかではないにしても、大体のことはわかるかと存じますから、それら並びに、御要求でございますれば、多目的ダムにつきましても、所管の方へ連絡をいたしまして、御要求に沿うように努力をいたして参りたいと思っております。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 私三十四年度というふうにはかり勘違いで申しましたが、その点は、あなたのおっしゃる通りでございます。まあ一つ私この特別会計なり、こういう地方に対する負担のさせ方というものについては、私はやはりこの際一つ根本的に自治庁、大蔵省とも話し合いをして、やはり単に地方に迷惑をかけるとかかけないとかいう恩恵的な、そういうふうな地方財政が苦しいからどうとかこうとかいうことでなく、あるいはさっき私が申しましたようなことが間違った考え方かもしれませんが、私はそういうことも一つ十分考えていただいて、ぜひ一つ検討し、是正していただくようにお願いしたいと思いますが、重ねて一つそういう努力について御意向を承わりたいと思います。
  54. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) その点につきましては、先ほど申しましたように、自治庁ともよく御相談いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと存じます。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連して。今の点ですね、ことしの財政計画を見ますと、今まで自治庁は標準行政費の引き上げということを打ち出しまして、そのために特に道路橋梁等の維持補修といったようなものには重点を置いてきた。ところがことしの財政計画によりますと、維持補修費というものはもう全然ふえておらないのですね。結局こういうところに、やはりしわが寄っているということが、これだけから見ると言われると思うのです。ですから新規計画やあるいは主要道路というものは建設省計画通り進むとしても、結局その残された道路の維持補修の度合いというものは去年と同じ、予算が切られたわけじゃない。去年と同じであります。財政計画かふくらむなら、維持補修費もふくらんでこなければ行政費の引き上げにはならないのでありますか、これはさっぱりふやしていない。結局、まあふやすべき分というものが、結局道路五ヵ年計画の方に肩がわりした、こういう形になる。どうもえこじに物を見るわけではありませんが、国の計画のために住民の直接関係のあるところの要求というものが圧縮されてくる形になる。これは何も建設省に文句をつけるのではなく、建設省もやはり考えて、今の鈴木委員の御質問の、利子の問題にいたしましても、あるいは特定財源の問題にいたしましても、もう少し地方も同じように、国の計画が進むならば地方も同じように道路計画なら道路計画が進むような方法をとってもらわないとまずいと思うのですが、この点どうですか。維持補修費を一体さっぱりふやさないのは、そのための影響ということになりませんか。
  56. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 今、加瀬さんから御指摘のありましたように、限られたと言っては語弊があるかもしれませんが、限られた財源の中で何か重点的に仕事をしようということになりますれば、その重点のところはよろしゅうございますが、そのほかの方かだんだんに手元が窮屈になっていく、これは当然の理だと思うのでございます。それをあえてそこに重点を置いて仕事をするのかいいか悪いかという判断になりますれば、私どもは再々申し上げておりますように、補助事業、特に道路におきましては高率の補助をかけておりませんので、こういったような仕事につきましては、これは十分にといいますか、まあ仕事ができる。それから補助事業につきましても私はおおむねできると思うのでございますが、それ以外の単独の仕事におきましては、これはかなり窮屈になる。ことにまた考えなければなりませんことは、全体として見て、とにかくやれるにしましても、個々の公共団体別に見て参りますと、なかなか苦しいところも出てくる。ただ、具体的にまだ補助の分け前その他もきまっておりませんから、完全な回答を申し上げるわけに参りませんけれども、そういった点につきましても個々具体的に相談に応じまして、そうして今御指摘のありましたように、行政水準が向上できるように、乏しい中をも差し繰りまして努力をいたして参る決心でございます。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 もう一つ。投資的経費が三十三年度の全体比率二六四%でありますのに、来年度三十四年度は二八・一%それから維持補修費は三・四%が三・一%と減っている、行政費そのものは。金額はゼロ、据え置きだ。そうすると、指定されたところの主要道路や何かでないところは橋梁がこわれても、あるいは道路が非常にこわれても、去年程度にしか維持補修ができない。二十二号台風で災害をこうむった府県は相当多い。その、特に災害復旧か何かで投資されるところはいいけれども、災害復旧の対象にはならないが、道路や何か非常にこわれたというところが相当近県に多いと思う。そういう所は、事業量はふえたけれども維持補修の費用はさっぱりふえない。こうなってくると、一方は非常に道路の改修が進んで、一方にはさっぱりこわれた橋も掛けられない。極端に言うとこういう事態が生ずるのじゃないか。これでは困ると思うのです。そういう点も、大きく全体の道路行政とか土木行政とかいう点から考えて、建設省はどのようにお考えになっておられるか。
  58. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 先ほども申しましたように、従来単独事業で実施いたしておったような性質のものが、かなり国の補助事業という形で高率の補助でやれるつもりでございます。従いまして、昨年と同じ事業をやるのならば、単独事業は少くて済む、勘定の上ではそういうふうになるように補助事業の方で見ているつもりでございます。しかし、先生の御指摘のように従来ともに補助事業にいたしましても単独事業にいたしましても、実施しておりましたのは、もう必要やむを得ないぎりぎりのところをやっておるわけでございますから、若干でも従来単独事業でやっておったようなのが補助事業に取り上げられて実施できるということになれば、その次に、従来ははずれておったような、政策的に見てですよ、大事な仕事が残っておる、それをやることが非常に必要なものが残っておるわけでございますから、そういうものを実施するために、やはり相当な単独事業を見込むことは必要である。そうしてその単独事業につきましては、先ほども申しましたように、従来よりは少なからざる事業量を見ておるので、もちろん十分ではないかもしれませんが、従来よりは改善される方向へ年々向いつつあるというふうに私ども考えておるわけでございます。これは根本的に申しますというと、最近の自動車の数の増加、それからまた交通量の増加から考えて、全国の各道路に対しまして御要望を満たすようにいたしますには、さらにさらに多くの事業計画をいたさなければならないという実状にあるものと私は考えます。しかしながら、一方財源においてもいろいろな制約がございますので、実は、その中から最も緊急に必要なものをよりすぐりまして、五ヵ年計画にまとめ上げましたものが、ごらんに入れましたような数字になるわけでございます。従いまして、この五ヵ年計画に残っておる分で、まだまだやりたいものがある。それを処理するための単独事業費も相当見たいのでございますが、これもやはり限度がないと申しましては語弊があるかもしれませんが、限度かないくらいいろいろたくさんございますので、従来よりも相当改善されるということで、ただいまは進みたいと、こう思っておるわけでございます。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 私が伺っておりますのは、これは昨年でありますか、建設省のお出しになった統計の中にも、非常に地方道などに対しましては、当面維持補修に迫られておるものが多いという統計が出ております。自治庁ももちろん率直にこれを認めて、行政水準を引き上げるために維持補修費というのを新しく項目として出して、これが拡大に今まで努めてきた。ところが、その維持補修費はことしは据え置きだ。一方、五ヵ年計画というもので新しい投資的な項目ができた。五ヵ年計画はそれで済むんでしょうけれども、それは五ヵ年計画ですから、対象になったものでも五ヵ年目でなければできないものもあるわけです。ところが、維持補修費というのが据え置きになってしまうと、当面すぐ維持補修されなければならないものまで、この五ヵ年計画の投資のために、ある程度セーブされる。こういうことになるのじゃないかということを心配するのです。で、五ヵ年計画を進めるなら、当然維持補修費もやはりそれと同じ速度で投資的な経費として盛って、両方が進まなければ、結局、道路計画なり土木計画なんか進まないじゃないか。こういう点、自治庁はどうしてある程度財政規模が拡大しているのに、維持補修費だけ据え置きにしたのか、構成比そのものから見れば、三・四%から三・一%に減らしたのはどうなんですか。
  60. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財源がありますならば、維持補修費につきましても増額をはかるようにすることは望ましいと思います。しかし、どちらかといいますと、積極的に行政施設の水準を上げていきますためには、投資的な経費に重点を置いて参りたい。こう考えるわけでございます。投資的経費と維持補修費とを合せますと、三十三年度の配分が二九・八%でありますけれども、三十四年度は三一・二%というふうに上って参るわけでございますので、私たちの考え方からいきますと、相当前進して参ってきているのじゃないだろうか、かように考えておるわけです。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 合せるとそういうことになりますよ。しかし、福祉を受ける住民の側からすれば、投資的経費による道路五ヵ年計画の対象になる住民というのは、ほんの一部分で、大部分は維持補修費を増してもらって福祉を受けたいけれども、維持補修費がそのまま据え置きになったために、かえって五ヵ年計画の犠牲になって、橋梁なり道路の補修ということの改修が進まないということで難儀をするものの力が多くなってくる。これを自治庁としてこのまま見のかすという手はないと思う。維持補修費というものをふやせないまで犠牲を払って五ヵ年計画の方に投資的経費を投げ込む、こういう理由か一体どこにあるか。こういうことです。
  62. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) おっしゃることがわからぬわけではございませんけれども、積極的に老朽校舎があれば改築をする、道路でありましても積極的に改築舗装をする、こういうような方向に努力できますならば、そういう方が望ましいのではないか、こう思うわけであります。幸いにして、三十四年度では、かなり投資的な経費の伸びがありますので、それに重点的に財源を向けて参り、余裕があれば維持補修の方にも努力して参りたいと思います。ただ三十四年度におきましては、どうしても一挙にかなり大きな金額財政計画に掲げるわけでございまして、今後の推移を見ながら、財政計画上の数字の総額、さらに基準財政需要額におきます基準額の増額の仕方、そういうことも並行的に考えていかなければならぬのではないか、こう思っております。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 公共事業というものが非常に拡大されたために、維持補修費などという地方行政にとっては特殊な、しかも相当価値のある項目の内容というものを減らさなければならなかった、私はこう考える。公共事業費そのものがあんなふうに拡大されなければ、維持補修費などはもっと拡大できたのではないかと思うのです。が、これはいいです。  最後に、建設省にこの五ヵ年計画に伴うもの、それから建設省関係公共事業費なんかもいろいろあるわけですか、どうも今まで五ヵ年計画は一年やりましたが、対象になるところの一級国道、二級国道はまだいい、主要道路とか主要府県道とか、あるいはまた主要市町村道で、主要なものという認定がどういう組織によって、どういう経過をたどって決定されるか。そう質問する理由は、どうも政治的に指定される所が多い。重要とは思われない所が政治的に重要になったり、極端な人は、これは私が重要県道に指定してやる、私が主要道路に指定してやると、それがその通りになっている事実がある。これでは、まるで公共事業費が一部から非難を受けている通り道路五ヵ年計画もこれば選挙運動のためにのみしか使われない。全体的な道路計画というものを理論的に進めていくということとはうらはらな結果にならないとも限らない。こういう心配を私どもは現状の道路のいろいろな進捗状況から見て憂えざるを得ない。これはどういう組織でどういう方法で重要かそうでないか、こういうきめ方をしていくか。これを最後に伺っておきます。
  64. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 都道府県道の認定、それから都道府県道の中で、主要地方道と称しておりますが、それの認定の仕方かと存じますが、これらにつきましては、それぞれ道路法の中で一定基準が明示されております。この基準にどうしても合わなければいけない。それから道路法の基準はかなり大まかなものでございますので、さらに私ども道路法に従いまして、この路線の選択基準というものを内規的に持っております。それらをもとにいたしまして、この現在の交通量、また一応いつも十五年先を考えておりますか、十五年先における予想交通量、それから現状の悪さの程度等を判断いたしまして、実は道路局といたしましては、その道路関係の法規を扱う方の部分とそれから道路計画を立てます方の部分と相談いたしまして、路線の採択をきめるようにいたしております。  それで、この県道の認定なり、主要地方道の認定に対します御希望は、地元からはずいぶん強いものがわれわれのところにきておるのでございますが、それらの基準に従いまして、どうしても工合の悪いものは、やむを得ないその理由を申し上げましてお断わりをしているというものがずいぶんございます。そういうような措置で採択いたしておりますから、まずこれは客観的に合理的な取扱いができておるのではないかというふうに考えておるのでございます。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 基準というのはワクが大きい。基準に該当したものに全部選択基準の中に入るあるいは選択の対象になるということにはならないわけですね。そこで、基準という大ワクの中でさらに最後に選択されるまでの間において、政治的ないろいろ取引というものが介入しておらないか、事実をあげてみてもいいですが、当然これは交通量も多いし、主要県道だと思われる所が、さっぱり対象にならなくて、全然自動車も一日に何台しか通らないような所か案外なっているというような具体的な例もあります。こういうことでは、道路計画がまたちぐはぐになると思う。五ヵ年計画というものを、これだけの地方の持ち出し分を入れて、国と地方と一緒になった統一的な形で進められるということなら、道路計画そのものを、どういうものを対象にするかということを初年度から明確にして、逐年この計画を進捗していくというはっきりした計画を打ち出していただかなければ、いろいろ政治的な介入があまりに多くて、道路計画そのものそごを来たすのではないかということが、われわれから見ておると心配である。この点はどういうふうに計画が立てられるのですか、五ヵ年計画は。
  66. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 先ほどの主要地方道にするとかいう問題につきましては、まあ道路法できまっているほかに、基準があると申しましたが、それらにつきましては、道路関係道路審議会というのかございまして、道路審議会に諮問いたしまして、かなり詳細な基準を持っておりまして、それできめるわけでございます。それにいたしましても、ただいま先生の御指摘のように、いろいろ判断いたします場合に、それと同順位と思われるものかいろいろございます場合があるのであります、実際に。そういう場合におきまして、たとえばその路線の持つ性格、この沿線の人口の配分の関係であるとか、自動車交通量、それからその沿線の産業のあり方、私どもはこれを路線値というようなことを申しまして、一つのその道路の路線の重要さを示すような数値を考えておりまするが、そういった数値を出してみたり、それからもう一つは、私どもとしましては、道路網の大きさにつきましても、人口の多い所は、かなりこまかく整備を進めてもよろしいわけでございまするけれども、人口の少い所は、ある程度これは疎になるのはやむを得ないわけでございます。それにしましても、ある程度の、一つ道路の利用につきましての私どものルールがございます。これは、もし必要があればまた御説明いたしますが、そういったものをいろいろ勘案いたしまして、私どもとしましては、できるだけ公平に判断いたしまして、交通量の多い、利用度の多い、つまり路線値の高い、そういうものを採択するようにしているわけで、いろいろ地元から御要望がございますが、その御要望も伺います。伺いますが、一方において客観的な判断を下して、選択の順位等に誤まりないことを期しておるつもりでございます。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 選択に誤まりのないようにお心がけをしていらっしゃるということは、それはお立場からよくわかる。ところが、府県道の改修なりあるいは拡張なりというものであるならば、これは当然その府県に陳情をするなり請願をするなりというのが、私は筋合いだと思う。町村ならば、これは市町村当局なりあるいはそれに関係する県なりに。ところが、何々道路期成同盟会というようなものがあって、何々代議士といったような者や何々参議院議員といったような者がその同盟会の会長になって、直接建設省に何人か連れてやって来る。そして直接建設省の役人に会って、何々をやるとかやらないとか、これは一体どうだとか言っておる。こういうことでは、県なら県の計画というものが、建設省が先に約束手形を出すようなことになってしまうと、ごちゃごちゃになってしまうというようなことを私は心配するのです。約束手形を出したということはないでしょうけれども、ただ、県の計画や、県の当局をも担当者をも経由しないで、やたらに東京へ出てくるものを全部建設省が受けつけておると、結果においては、言い過ぎかもしれませんが、私がさっき言ったような、約束手形を出した、あるいはもらったというような受け取り力を地方民がする。それで行政系統が乱れる。県の土木出張所があっても、土木出張所一切おかまいなし、土木課があってもおかまいなし、土木部があってもおかまいなし、とにかく、だれだれ先生に頼んで直接会ってこなければ問題にならないと。五ヵ年計画ということになると、これがひんぴんとして行われる。これは行政当局として、それぞれの県なら県の計画というものを尊重していただくというお立場に立っていただかないと困ると思いますので、これはもうお答えいただかなくてもけっこうです、希望を申し上げておきます。
  68. 占部秀男

    占部秀男君 住宅局長にお伺いしたいのですが、その前にちょっと、道路局長がおられるときに一言だけお伺いしておきたいのです。これは奥野財政局長にお伺いした方がいい問題かとも思うのですけれども、やはり建設省お話し合いになったことのようでありますので、局長がおられるうちにお伺いしたいのです。それは、今度の三十四年度の地方計画に関連した問題なんですが、御存じのように、一般補助事業の分として樹五億取ってある。ところで、何かごとしは——ことしというよりも三十四年度の分は、公共事業に対する地方債の充当率を、各対象ごとに切り下げたと、こういうようなことを聞いておるのですが、さような事実はございますか。財政局長でも道路局長でもいいですが。
  69. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 公共事業費の財源地方債を充てます場合には、関係公共事業費を限定いたしております。限定いたしました公共事業費の地方負担額をもって予定をしております地方債の額を割りますと、四五%前後になるわけであります。前半は、都市計画事業については三〇%、その他については五〇%だったわけであります。それが、今申し上げましたように四五%、都市計画事業につきましては従来通り三〇%でございます。従いまして、若干下っておるということにはなると思います。
  70. 占部秀男

    占部秀男君 簡単にお伺いします。そうすると、従来の充当率でいく場合と今度の充当率の場合とでは、公共事業に対して総計的にはどのくらいの差がございますか。
  71. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ちょっと誤解があるかもしれませんが、充当率は五%程度下る、そのかわりそれだけ他の一般財源地方財政全体としては付与されてきているということになると思います。
  72. 占部秀男

    占部秀男君 私は一般財源を言っているのじゃなく、地方債の場合について、充当率が下ったことによって、地方債——充当率が下らなければ当然その事業量に対してはこれほどの地方債を予定しなければならぬところだったやつを、充当率が下ったために同じ事業量の場合で、どのくらいの地方債に対する金額に対して差ができるかこういう点をお伺いしている。
  73. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) あるいはちょっと誤解があるかもしれませんが、百五億円で従来の充当率より五%程度下って参るわけであります。言いかえれば、一割程度下って参るわけであります。従いまして、もう一割前後地方債が多くなれば、従来通りの充当率を続けていける、こういうことになるわけであります。
  74. 占部秀男

    占部秀男君 その充当率を下げるという問題は、建設省自治庁と話し合いの上に行なうのですか、そういう形でなく行なうものですか。
  75. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 各省とは特別に個々の事業についての地方債のお話はいたしておりません。地方財政全体を見まして、どういう財源構成がいいかというところで考えるわけでございます。実施段階につきましては、また地方のお考えも十分に承わって参る、こういうことにいたしているわけです。
  76. 占部秀男

    占部秀男君 その点で、私はどうも納得できないことは、これは地方財政計画全体の財源的な問題に関連して参るので、あとでまたゆっくり御質問いたしますが、相当今度の地方財政計画は、先ほど加瀬さんも言われたように、公共事業の積極施策から、苦しいという形が、これはたびたび私は言っておるごとだけど、出てきていると思う。こういうような充当率の問題、たとい地方債であろうとも、やはりそのときの財源の問題があるのであって、その充当率を引き下げるということ自体に、どうも矛盾したような感じを持つのですが、もちろん地方財政計画上からはつじつまが合うようになっているのですが、今こういうようなときにこういう充当率を引き下げるということは、何か特別な考えでもあったのですか。
  77. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 数年来とってきております地方債についての態度は、公共事業費に対応する財源としては、国はもとより租税収入でまかなっているわけであります。府県ぐらいの規模の団体になって参りますと、原則として公共事業費は一般財源でまかなえるように持っていきたい、こういうことから、一般財源を増額しながら、地方債を減額して参ったのでございます。数年前でありますと、地方負担は全額地方債で処理してくれ、その結果は、年々公債費が増加してきて、その負担にたえられなくて赤字を続発させるという事態を生じて参りましたことも御承知の通りでありますが、だんだん引き下げると申しますか、昨年からは対象の事業を限定して参ったわけであります。しかも充当率を五%というところまで地方債の額を引き下げたわけであります。今回は限定範囲は同じにいたしまして、充当率が若干下るという結果になるわけであります。前にも申し上げたのでございますが、直轄事業地方負担額地方債で処理していく、要するに、交付公債でございます。これも後年に負担を伴うものでございますので、その増加額七十八億円とこの一般会計に上っております六十五億円とを合せまして、三十三年度の地十債の額と比較いたしますと、二五%といったような大幅な増加になっております。従って私どもは、公共事業費については地方債の充当率をさらに高めるという考え方はとてもとれないという考えもあったのでございます。むしろ地方債につきます場合には公営企業に充当していきたいというつもりでございます。
  78. 占部秀男

    占部秀男君 その点については、先ほども言ったように、あとで地方財政全般の問題に関連してお伺いいたしたいと思います。  時間の関係がありますから、簡単に住宅局長の方にお伺いをいたします。今度の三十四年度の公共事業関係財政計画の積算の基礎を見ると、公営住宅関係で、たしか百九十九億でしたかの計画になっておって、そのうち地方負担分が八十三億ちょっと、こういうことになっておるようでありますか、これによって第一種住宅と、それから第二種の住宅と、どのくらいの建設予定になっておりますか。計画を知らしていただきたいと思います。
  79. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 三十四年度の公営住宅建設につきましては、第一種公営住宅が二万九百戸、第二種公営住宅が二万八千百戸でございまして、合計いたしまして、四万九千戸でございます。三十三年度に対比いたしますと、第一種におきまして九百戸増、第二極公営住宅におきまして千百戸増でございまして、一般公営住宅としましては、三十三年度に対比いたしまして二千戸の増でございます。それから予算額でございますが、公営住宅関係は、災害公営住宅も全部含めまして、百十六億一千八百万円何がしになっておるわけであります。前年度に対比いたしますと九億五千九百万円ほどの補助金の増になっておるわけであります。
  80. 占部秀男

    占部秀男君 ところで、三十三年度の分については無理でしょうけれども、三十一年度、三十二年度あたりは、計画と、実際にできた住宅との間に、計画が百パーセント完了されておるかどうか。そういうもののパーセンテージを知らしていただきたい。
  81. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 三十三年度の実績でございますが、現在計画戸数は、もちろん三十三年度におきましても四万七千一尺全部計画いたしております。現在の着工率でございますが、公営住宅におきましては多少調査の時期がおくれておりますけれども、十二月末現在で、九七%着工しておるわけでございます。進行いたしておりますのは二五%、十二月末で進行しております。計画戸数は、全部達成できるつもりでございます。若干そご等がございまして、繰り越しに——明年度にまたがるということが若干できるかと思いますけれども、繰り越し額におきましても、三十三年度は非常に前年度よりもかなりの額を縮めることができるのじゃないかという見通しでございます。
  82. 占部秀男

    占部秀男君 僕の言っているのは、三十三年度じゃなくて、三十二年、三十一年度あたりはどうかということです。
  83. 稗田治

    政府委員(稗田治君) ただいま、手元に詳細な数字は持っておらないのでございますけれども、公党住宅におきましては、計画戸数は全部達成してございます。ただ若干年度の繰り越しになるというようなものが、次年度に進行しておるというものがございますけれども計画戸数が達成できなかったということはないわけでございます。ただ、当初の実施計画をする場合に、多少の戸数が、地域的に単価を分ける関係で、多少実施計画の場合に、数字が四万六千戸とかという場合に、多少端数がはみ出ましたり、あるいは若干減るというようなこともございますけれども、それは何十という単位程度でございます。
  84. 占部秀男

    占部秀男君 そこで今度の財政計画からいっても、相当地方の方は苦しいわけですが、率直に言って、われわれの見通しとしては、今のような状態でいけば、県単事業をどんどん放棄するか、やむを得ず赤字を出すかというようなところにいきはせぬかということを心配しておりますが、特に住宅問題で一番問題なのは、単価の問題もありますけれども、それ以上に用地の買収、あるいは土地造成の費用というものが、相当年々各市でも、県でも大きくなっておるわけです。これらの問題について、建設省として、もう少し何とか処理するような方針は、今のところないものですか。その点を伺いたいと思います。
  85. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 御指摘通り用地の価格が毎年相当の高騰率で上って参っておりますので、公営住宅の実施に当りましても、宅地対策というのが非常に重要度を占めておるわけであります。それで、三十四年度におきましては公営住宅の用地費につきましては、一五%単価を引き上げたわけでございます。それで、なおこれを実施いたします場合には、予算単価を各地域別に用地をグレイドをつけまして引くわけであります。なお、その上に多少実情に合うようにというので、非常に便利な場所を手に入れた場合には、価格の高くなるのは当然でございますから、空地用地費というようなものを予算の中からとめておきまして、それによって調整をする。できるだけ実情に合わせるというようなことを考えておるわけであります。なお、用地の使い方でございますが、もちろん公営住宅には、建設大臣の定める建設基準というのがございますけれども、できるだけ用地を節約して使っていただく。なお、合理的な使い方をしていただくというようなことで、今後のこの苦しい用地費で実施の万全を期したいというように考えておるわけであります。従来の用地費につきまして、もちろん地域的に、事業主体によっては多少のふぞろいはあるわけでございますけれども、三十一年程度までは、大体全国で集計いたしますというと、用地費の持ち出しというものは出ていなかったわけでございます。
  86. 占部秀男

    占部秀男君 僕の言うことは、全国的な平均の場合でなくて、特に大都会のような場合が、この問題が最近大きくなってきておる。というのは、今、局長が言われたように、三十一年度の持ち出し分についてはということですけれども現実に、各県各市を歩けば平均した問題はそうなるかもしれないけれども、特に大都市のような場合、持ち出し分が相当ある。たとえば名古屋の場合でも、名古屋の市だけで、昨年、一昨年でしたか、これはもう一億も持ち出しが出ておる。なぜさような持ち出しが出ているかというと、一つには住宅協会のようなところがどんと大きく用地を買収するわけです。市の方では限られた財源しかない。ちょこちょこやらざるを得ない。そこでちょこちょこやりたくても、住宅協会のようなところが大幅にやられてしまうために、何とか財源をやり繰りして、それに対抗できなくても、せめてそれに見合うような費用でもって一応予定地を買っておかなくてはならぬ、あるいは予定地の造成をしておかなくてはならぬ、そのために、大都会には特にこの用地費の問題がこの二、三年大きな問題になってきておる。そこで建設省としては、まあ農村地帯の問題については私はよく知りませんけれども、大都市の場合については、今言った用地費の一〇%引き上げはもちろんけっこうですけれども、しかし、大都市についての特別な川地造成の何らかの措置を、当面講じてもらう必要があるのじゃないかということを、私はまあ聞いておるわけなんですが、そういう点については、何か特別なお考えは持っておりませんか、あるいはかりに持っていないとすれば、今後そういう問題についてはどうするか、まあ時間がありませんから、簡単にお伺いしたいと思います。
  87. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 先ほど申し上げました用地費の調整としまして、実際に用地価格が高い場合に、あとからアラス・アルファとして足すというようなことも、現在、予算の範囲内でやっておるわけでございます。なお、次年度以降のつまり用地は、年々高くなっていくものでございますから、先買いをしておくという制度も、公営住宅の中にはずっと回転してやっておるわけでございます。名古屋市等におきましても、相当の宅地が次年度以降用地としてもう先買いされておるわけでございます。そういうような先買いの制度と、なお、住宅金融公印に宅地取得造成の融資がございますが、これも一昨年法律を改善いたしまして、そのうちのまあ半分以上を占めない場合は、公営住宅の用地にこれを転用できるようにもいたしたわけでございます。そういうような先買い制度を今後も拡充していきたい。なお、東京都などにおきましては、自分のところで特別会計を設けまして、先買いの制度も実施いたしております。それぞれの用地の価格、場所に応じまして最も合理的な効率のある建て方を今後指導して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、これは希望としてお願いしておきますが、今言ったように、名古屋だ、東京だという所は、まあ富裕団体という言葉は、私たちはあまり好きじゃないですけれども、いずれにしても、財源関係は割合にほかの都市よりは楽な所です。ところが、財源関係の苦しい、特に赤字団体のような所で工場誘致のような問題かあって、工場がどうしても地方に分散的になって、そうして、どうしてもその工場に見合うところの住宅考えなくてはならぬ、こういうような場合に、財源のやり繰りがつかないために、しかも公営住宅協会のようなところでどんとやられるために、なかなか局長が言われているような形で先買いをしていて、いざ計画をもらったときにはすぐ建てようという、そういう所はなかなか少いのですよ。従って、そういう点について、やはり工場の建設あるいは産業分散と、こういうことに見合うところのそういった住宅用地問題を、建設省としては真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。  まあきょうは時間がありませんから、それだけお願いして、私の質問は終りたいと思います。
  89. 館哲二

    委員長館哲二君) 午前中はこの程度で休憩をいたしまして、午後は一時四十五分から再開いたします。    午後零時四十三分休憩    —————・—————    午後二時十八分開会
  90. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案外三件を一括して、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、御質疑願います。
  91. 占部秀男

    占部秀男君 きのうに続いて、給与費関係の問題でお伺いしたいのですか、まず、国費職員の問題についてお伺いしたいのですが、この国費関係の人員は、今度の国民年金に関する事務、この問題から、相当ふえてくるのではないかと思うのですか、この点はどうですか。
  92. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国費職員で地方団体に配置される職員数のことをお尋ねだと思います。国民年金の事務につきましては、御指摘通り、約千数百人増加されることになっておりますので、その部分は、当然増加することになってくるわけでございます。
  93. 占部秀男

    占部秀男君 これの給与単価は、どういうふうになっておりますか。
  94. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国費の問題でございますので、厚生省の方でそれを所管しているわけであります。
  95. 占部秀男

    占部秀男君 じゃ、この国費職員の単価の問題は、あとで厚生省関係にお聞きするとして、この扱いの問題について、これはまあ、財政局長よりは、今枝さんの方にお伺いした方がいいんじゃないかと思うのですが、この国費職員といっても、今、実際に都道府県に配置されておる職員を見ると、いろいろ内容的には複雑であるというふうに考えるわけなんですが、たとえば、地方事務官あるいは地方技官という形になっていても、健康保険関係や日雇い関係の職員についての指導監督権は知事にある。あるいは、道路運送法あるいは道路運送車両法の施行に関する職員の問題についての進退については、主務大臣が知事の意見を聞いて行うというように、非常に複雑になっておると思うし、さらにまた、この給与関係については、まあ単価は、今厚生省関係から聞きますけれども現実に、各府県警では、地方職員の場合とこの国費職員の場合との単価のズレかあって、その地方負担分といいますか、いろいろな面でカバーしているところもあるということも聞いておるわけです。こういうような事情にあるので、何らかこの問題を、同じ地方の都道府県に働く職員のことですから、同じような形に改善するようなことをしなければならないんじゃないかと思うのですけれども、この点については、自治庁側としては、どういうふうにお考えになっておられますか。
  96. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) ただいま御指摘の、都道府県に勤務する地方事務官の取扱いの問題でございますが、ただいまお話もございましたように、地方自治法の附則第八条に基きまして、都道府県に置かれております地方事務官あるいは地方技官、雇員、用人、これらの職員が従事いたしております事務は、健康保険、日雇労働者健康保険、厚生年金保険、船員保険、職業安定、失業保険、道路運送、これらの事業に従事をいたしておりまして、これを所管しておる省も三省にもわたっております。そういう関係で、業務はそれぞれ都道府県知事の管理のもとにございますか、人事につきましては、それぞれ所管の省が管理をしておるということで、業務の執行と人事の運営とに、若干一致をしない取扱いもあるわけでございまして、そういうことがひいては、御指摘のように、給与におきましても、その都道府県の一般の職員の給与水準と、これらの地方事務官なり地方技官なりの給与水準とに開きを生じておるところが、すべてではございませんが、特定の都道府県ではございます。現実に、都道府県の一般職員の方が給与水準が高いというふうな事実になっておることも御指摘通りでございます。この問題につきましては、地方自治法施行後相当の年月を経ておりまして、相当建前としては暫定的な取扱いになってはおるわけでございますが、いろいろと沿革がございまして、今日まで幾たびとなく論議の対象にはなりましたが、早急にこれらの職員を地方公務員に切りかえるというところまでは進んでおらないのでございます。そういう点につきましては、機会あるごとに、関係省の御意向も伺っておるわけでございますが、それぞれ業務の内容に若干特殊な事情がございまして、これを一挙に地方公務員に切りかえて、都道府県の職員とすることについては、やや問題があるように考えておるのでございます。しかし、御指摘のように、給与費の水準の低いところで何らかの措置を講じておるという事例も、御指摘通りあるわけでございます。そのような形は、地方財政の運営上あるいは職員の給与の取扱い上、決して好ましい扱いではございませんので、私どもといたしましては、正規のルートに乗るように、今後もいろいろと関係省と話し合いを進めてみたい、かように思うわけでございます。
  97. 占部秀男

    占部秀男君 何でこういうことをお尋ねするかというと、建前としては、私は、課長の言われるように、この問題は整理すべき問題であると思うのです。特に今指摘されるような第八条では、ここに、「政令で定める事務に従事する都道府県の職員は、第百七十二条、第百七十三条及び第百七十五条の規定にかかわらず、当分の間、なお、これを官吏とする。」と、「当分の間」という言葉を使っておる。こういうような扱いは、いわば不安定な扱いになっておるというわけで、従来からも、これは整理しなければならぬということは、私が言うまでもないことでありますが、特に今度の国民年金関係については、逆にふえてくるという形になるわけです。こういうようなやり方は、これはもう、今課長の言われたように、給与面においても、また、都道府県の事務の運営面におきましても、これは、非常なギャップを来たすのをさらにふやすような結果になる。そこで、自治法の附則の第八条の問題を整理するために、やはり自治庁としては当該の関係のある各省に呼びかけて、この問題の抜本的な、何と申しますか、整理あるいは整備といいますか、そういう点に乗り出すべきではないか、このように私は考えるのです。特に、今度は国民年金関係でありますけれども、今の社会保障的な国の行き方からいくと、こういう関係に置かれるような仕事、従ってそういうような人員、そういうものは、このままの状態で置くと、減るよりも、むしろふえる一方ではないかと、かように私は見通し的に考えられるので、この点について、何らか抜本的な方策を立てる今機会じゃないかと考えるのです。そういうような意味合いで、自治庁の方としてはそういうような意思があるかないか、そういう点についてお伺いしたいと思うのです。
  98. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 重ねての御意見でございますが、これらの職員の地方公務員への身分切りかえにつきましては、自治法施行後、各都道府県知事においても、強力なそういう御要請があって、一時はかなり気運も熟したという時期があったわけでございます。その後いろんな関係がございまして、特に主として地方財政の問題との関係から、率直に申し上げまして、都道府県側で受け入れについての熱意が若干弱まったというふうな経過があるわけでございます。そういう点、十分御承知かと思うわけでございますが、しかし、そういう実際上の動きはとにかくといたしまして、私ども地方自治行政に関係のある者といたしましては、地方自治の建前から申し上げまして、同じ国政事務でございましても、これを地方公共団体なりあるいは地方公共団体の長たる都道府県知事に委任をすることで実は十分ではないかというふうな考えを、率直に申して、持っておるわけでございます。御指摘の国民年金の機構の際につきましても、自治庁としては、そういうふうな意見を持っておったのでございますが、国民年金の機構の整備に関する行政審議会の答申の内容も、地方事務官をもって処理することが妥当であろう、こういうふうな御答申もあったわけでございます。社会保障制度として特別の、日本で言えば初めての制度でございますので、そういうふうな事務の内容に対する配慮から、こういう特別措置が設けられたものかと思っておるわけでございます。それ自体が全然無意味なものとも、われわれは考えておらないわけでございます。今後なお、そういうふうな社会保障制度の運営の問題をどうすればいいかというような観点からも、いろいろと検討いたしまして、関係省とも協議をいたしたい、かように思う次第でございます。
  99. 占部秀男

    占部秀男君 次に、これは体育局長の方とそれからあわせて今枝課長さんの方にもお伺いしたいのですが、例の三、四年前から問題になっていた学校給食婦の方に対する身分の確立の問題と、それから、例の単位費用の積算の基礎になる単価と人員等の問題にからめてでございますが、昨年度といいますか、三十三年度で、ああした形で一応入れていただいた。今度は、人員的には約倍の形になっておるわけです。そういう点では、非常に順次改善されていくという形で、非常にわれわれの方としてもけっこうな方向ではあると思うのですが、ただ、そういう形の中で、もう一息、私は、この問題に骨を折っていただかなければならぬのではないか。こういうふうに率直に考えるわけなのです。特に自治庁の方としても、各市町村に、この設置の基準について、いろいろな指導の文書等も発しておるわけでございますが、ごらんになったかと思いますけれども、三百人以下の所では一人という形で、三百人以上八百人未満は二人と、こういう形で出ておる。今度は、たしか四百五十人に一人ですか、そういうような形ではなかったかと思うのですけれども、もう少しこの点は、せめて三百五十人に一人ぐらいの人員的な基礎は見られなかったものか、そういう点についてお伺いしたい。
  100. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 給食に従事しておられまする給食従事職員の身分と待遇の問題につきましては、ただいまお話をされました通り、数年前から強い要望がございました。各方面の御協力があって、給食の内容も次第に普及充実して参りました。普及充実して参れば参るほど、この給食に従事しておられる方々の御努力というものは、まことに涙ぐましいものがあるのでございます。ところが、実情といたしましては、人員の数からいっても、身分待遇からいってみても、非常に思わしくなかったのでございますが、各方面の御理解と御努力によりまして、ただいま御指摘通り、昨年、一人十八学級、九百人に対して一人となりましたが、私どもとしましては、少くとも三百人に一人はぜひほしい。その後、本年また皆さま方のお力によりまして、自治庁の御努力によりまして、一人ふやしていただいたということは、まことにありがたく思っている次第でございます。しかし、これで十分ではないのでございまして、もう一歩進めて参らなければならないと思っているわけでございます。それで、私どもといたしましては、来年からまたふえるのでございますが、これをどういうふうに配分するか、またその待遇等も考えていかなければならないのであります。それで、私どもの調査によりますと、雇員でも用人でもない、身分がきわめて不安定な人が大体八千二百三十何人おります。用人でもない。それには、地方の立場から申しますというと、地方財政のこともありましょうが、あるいは夏休みのこともございましょうが、いろいろな事情があるかもしれませんけれども、もちろん、学校給食の重要性等を考えますというと、ぜひ地方でもその点に意を用いていただいて、身分の安定と、この私ども財源を措置してあるのでございますから、そのことも考慮に入れていただくように、通知あるいは会議の機会を通じまして今後指導いたして参りたいと存じている次第でございます。それから、学校と申しましても、大きな学校、小さな学校がございまして、これをどういうふうにして配分していただくかということにつきましては、今後自治庁とも連絡をとりまして、できるだけ早い機会にきめたいと思っている次第でございます。
  101. 占部秀男

    占部秀男君 身分の問題については、またあとでお伺いしたいと思うのですけれども、一応四百五十人に一人でございますか、これは、今度の財政計画の中で一歩を進めたわけでございますので、われわれも、その点については、文部省の御努力を多としているわけです。今、局長の言われたように、それだけではやはりどうにもならぬ部面があるわけでございます。しかも、三百人に一人くらいの基準はどうしても要るという状態になってきている。そこで、この人数の点については、何とか特別の措置というか、臨時的な措置で、もう少しふやすようなことは、今度の予算関係を通じてできないものでありますか。その点をお伺いしたい。
  102. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいまの御指摘につきましては、先ほど申しました通り、私ども決して満足しているわけではございませんが、今後とも自治庁とも折衝いたし、また、地方ともよく連絡をとりまして、できるだけのことをやっていただくように、最善の努力を尽していきたいと思っております。
  103. 占部秀男

    占部秀男君 なお次に、単価の問題ですが、これが人員的には一歩前進したという形で非常にありがたいと思うのですが、単価がたしか去年と同じだったと思うのですが、これはもう、この給食員の方々の各地におけるそれぞれの雇用事情その他もありまして、文部省の指導そのものがストレートでいくというわけではないのでありますけれども、しかし、何といっても、積算の基礎というものを確立しないと、やはり地方はどうしてもそれに藉口しがちになるわけです。たしか五千円だったと思いますが、五千円という単価は、非常に私は低過ぎると思うので、この点については、せめてこの際、人数の前進の点もあり、もう少し前進させてもらわなければならなかったのじゃないかと思うのですが、こういうふうな据え置きの形できめられたその理由はどこにあるか、お伺いしたいのであります。
  104. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 私ども、その点一番苦労しているわけでございますが、具体的に、こういう理由だというところまでは、なかなか調査しにくいのでございますが、どうも臨時的という考え方、それから夏休みというような、何と申しますか、その場限りだというような気持が…自分の学校で、非常に大切な給食に従事している職員だ、もっと広く考えれば、地方の職員だという気持を持ってもらわなければいけない。単なる機械的な臨時雇的な気持が一番大きな災いをしているのじゃないだろうかと思っております。幸いに、昨年文部省に体育局ができまして、体育につきましては、給食、学校保健を中心にいたしまして、体育、スポーツ、レクリエーションを一括してやることになりました。従いまして、各地方とも保健体育課あるいは体育課、保健課というようなものができましたので、その点を通じまして、より一そう趣旨の徹底をはかりまして、御趣旨に沿うように努力の限りを尽して参りたいと思っている次第でございます。
  105. 占部秀男

    占部秀男君 局長のお話なんですが、実は、今言われたように、機械的な労務者であると、あるいはまた、いわばその場限りであると、こういうような給食の方に対する受け取り方は、これはまあ一時、各地の市町村や、あるいは理事者側がそういう考えをとったかもしれませんけれども現実に、私ここ一年くらい各地を歩いてみて感ずることは、逆に、そういう形でない、今、局長の言われたような、地方公務員である、ことに給食問題は、これはもう人の生命にも関する問題になるので、これは地方公務員としてはっきりさせるべきであると、こういう気運が、むしろ各市の中で、この二、三年、まあ文部省の非常な指導のよろしきを得た結果かもしれませんが、非常に濃厚になってきているわけです。特にまた各市では、そのための切りかえも行なっておる。こういう事情にあるので、このときを契機として、やはり今の給与関係の問題ですね。これは、むしろ文部省の方で積極的に、私は、地方に呼びかけても、同じ地方公務員の中の人ですから、従って、地方公務員としてのあるべき待遇にこの人たちを引き上げるような方向を積極的にとってもらう今一番時期じゃないかと、どうも局長のお話ではよくわかるのですけれども、逆に、どうも文部省の方で、地方はこう思っていやしないか、こう思っていやしないかというので、何かしり込みをせられているような感じを受けるのですが、地方の実態は逆じゃないかと私は考えるわけなんです。この点について、文部省の方でキャッチされております所がありましたら、一つ教えていただきたいのであります。
  106. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいまの御指摘はごもっとでございまして、これから給食をやろうとする場合は、どうも私申し上げましたような気持があるようでございます。ところが、一たん給食をやってみまするというと、給食の影響というものがこんなにも大きいものかと思っている市町村が実際は多いようであります。そこで、一番ぶつかりますのは、やっぱり地方財源との関係でございます。それで、その点は、どうしてもこれは給食の重要性を……、もうやっている所はわかるのでございますが、まずこれは、単なる通知だけでもいけませんので、実は私ども、来月の十六日ごろですね、地方の主管課長を集めまして、その辺の点をもっと積極的に話も聞き、こちらからも申し上げて、趣旨の徹底をはかりたいと、ただいま計画をいたしておるような次第でございます。
  107. 占部秀男

    占部秀男君 そのことについて、今度は奥野さんに伺いたいのですが、今の単価の問題なんですが、まあ文部省の局長のお話では、今言ったような形で、やはりこの待遇問題についても善処しなくちゃならぬじゃないかと、こういう考えを持っているのですが、今度の財政計画では、これは奥野さんも非常に御苦心を下すって、人員的には前進したのですけれども、単価は依然として五千円にとどまっているのですね。こういう点は、もう少し改善の余地があったのじゃないかというふうに私は感ずるのですが、その点はいかがでございますか。
  108. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 単価五千円というのは、ちょっと私にわかりかねるのですが、給食婦を単位費用の中に算入いたします場合に用いています金額は、九万三千円のはずでございます。そして九百人について一名しか算入しておりませんでしたのを、二名算入いたしました結果、総額にして十一億七千五百万円という、かなり大きな額に上っておるわけでございます。
  109. 占部秀男

    占部秀男君 それは、一人につき九万三千円ですか。
  110. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ええ。
  111. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、月額はどうなりますか。これは十二で割ればいいわけなんだけれども……。
  112. 加瀬完

    加瀬完君 七千円にならない。
  113. 占部秀男

    占部秀男君 期末手当その他も入れてじゃないのですか。
  114. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 給食婦一名を所要経費の中に算入いたしましたのが、年額で九万三千円でございます。
  115. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、その九万三千円の中には、これはまあ、扱い方について僕はよく教えていただきたいのですが、やはり臨時的な手当あるいは期末の諸手当ですかね、まあ通常の一般の職員の力と同じというわけにはいかぬでしょうけれども、いずれにしても、そういうものも含まれての九万三千円であるのか。あるいは、いわゆる本俸的なものとしての九万三千円であるのか。その点を一つお話しいただきたい。
  116. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 所要の経費全額で九万三千円でございます。ちょっと私、今ここへその数字の基礎を持って来なかったのでありますけれども、休みの問題もございますので、後刻積算の基礎を御報告申し上げます。
  117. 占部秀男

    占部秀男君 じゃ、その単価の基礎の点については、あとでそちらの方で資料ができてからお伺いをすることにして、この点は保留しておきたいと思います。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 関連して。文部省の方にお伺いするのですが、今の給食婦の問題ですが、たとえば、定時制高校などの給食をする場合に、一体文部省は、いろいろ人員によって差はありますけれども、一校について補助額を幾らと押えているのですか。それから、それに対して県費の負担は幾らと御査定になっているか。それから、地元といいますか、一般からの負担はどれくらいになっているというように把握しておられますか。今、給食婦の問題が出ましたが、これは給食婦の問題だけにとどまらないと思う。給食設備全体、給食経営全体の問題について、文部省の私は御見解を承わりたいと思う。  そこで、今具体的に、定時制高校なら定時制高校というものを押えますと、普通の定時制高校に給食を開始するとすると、それに対する一体補助額は、文部省では、大体平均幾らと押えているか。県費の負担は幾らと押えているか。それに対する一般の持ち出し分をどのくらいと御想像なさっておられるか、その点……。
  119. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 給食に関する国の補助といたしましては、大きく考えまして二つございます。給食を実施しようとする場合、施設、設備に要する経費の二分の一を補助することができることとなっております。それから高等学校は、それの三分の一ということに相なっております。それから、これは義務教育でございますが、準要保護児童の給食につきましては、設置者が給食費に要する経費の半分以上を援助した場合は、それの二分の一を国が補助するということになっております。それは、定時制高校には関係ございません。大体二通り現実はなっておるわけでございます。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 定時制高校を押えますと、三分の一の補助ということになっておりますけれども、実際かかった経費の補助額が三分の一に該当している所はおそらくないと思う。とにかく文部省が出す金よりも県の持ち出す金の方が相当量多い。合算額よりも上回って地元の負担の方がまだ多い。こういう現状というものをもっと御認識いただいて、施設費なら施設費、あるいは給食の経理費なら経理費の全貌というものをおつかみいただかないと、どうもさっきの五千円のようなことが出てくると思う。大体私は、給食婦といいましても、これは原則として栄養士を入れなければならないと思うんです。栄養士は大体短大を出ておりますから、短大の卒業生が五千円で一ヵ月使い得るという計算はどこからも出てこない。ですから、これは文部省の方から一つ御主張なさって、自治庁の方で財政計画を組むときに、給食婦なら給食婦、栄養士なら栄養士の単価というものを幾らに押えるということをきめていただかないと、わずかに五千円ですね、各県の平均の単価は。五千円じゃできませんから、あと四千円なり五千円なりというものをほかの方から財源を補てんして、それでやっている。身分もさっきのように不安定だし、給与も非常に不安定、これで給食に経験豊富なエキスパートをそろえようたってできない。ですから、まあ今、給食そのものからいろいろ問題が起らないからいいようなものですけれども、栄養士がやめていくと、栄養士にかわって栄養士の資格のない給食婦が入ると、給食婦の質が低下すると、こうなってきて、もし生徒児童の身体上障害が起るようなことがあったら、これは大きな問題になると思う。しかし、その問題になる前提というものは私はあると思う。栄養士を入れられないという事実の上に立って予算が組まれておるというところに問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしよう、この点は。
  121. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいま栄養士のお話もあったんでございますが、給食の内容が充実して参り、給食が普及して参るに従いまして、給食そのものの内容の改善は、もちろん栄養的な見地からこれを推進していかなければならぬことは、ますます強くなって参っておるわけでございます。それで、給食に従事しておられる方々の中に、栄養士の免許を持っておられる人もありますけれども、非常に少いのでございます。それで、実は私どもといたしましては、給食をやっている学校に、一人ぐらいの栄養士は配置して、そうしてやっていきたいと、こういう気持を持っておるわけであります。しかしこれは、なかなかそう申しましても、急にはできませんので、できるだけ近い機会に、将来に、たとえば来年度になり、栄養士を学校それぞれに置くことができなければ、教育委員会にでも置きまして、そうして巡回の栄養の講習とか、実際の指導とか、まっ先に立ってやってもらうとかという計画を立てたいと思っておるわけでございます。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 体育局長さんですか。でしたら、もう一つ伺いますが、私たちは農村地帯から出ておるんですけれども、農村では、まあ酪農振興等で、非常に酪農が振興されましたけれども、なま牛乳の処理に非常に困っておる。ところが、ご存じのように、学校給食になまの牛乳をさっそく用いたいと思いましても、食品衛生法でどうにもならない。この点を文部省は何か、現地で生産される牛乳を学童給食に結びつけて処理することについてお考えがありますか。
  123. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいま御指摘の国内産の学校給食用の物資についてのお話でございますが、実は、特に昨年からこの点が強く叫ばれて、私どもといたしましても、国内産で、しかも、それが学校給食の値に響かない限りは、できるだけこれを利用して参りたいと思って、いろいろ準備を進め、本年も、その点は、大体農林省予算で十六億ぐらいの予算を組んだのでございますが、今度も大体十五億ぐらいの予算が組まれております。その中に、本年学校給食用として、国内のいわゆる牛乳をただいまのところ三十二万五千石予定しておるわけです。これは、ただいま御指摘がございました通り、ことに酪農地帯において牛乳を飲むのは当然でございますが、ただ問題は、その処理の問題、衛生の問題がございます。いろんなむずかしい手続、いろんなことがございまして、この点は、私どもといたしまして、厚生省とも連絡をとりまして、保健、衛生の点に欠けるところがなければ、簡単に、手軽にやるように折衝いたしております。それで、いろいろな法規などがございまして、隣でもって、そのなま牛乳の隣がこっちなのにすぐ飲めないとか、いろんなめんどうなことがあるようでございますが、学校給食で一番注意しなければならないのは、衛生の問題でございます。その点さえしっかりしてくれれば、どうか簡易に飲めるようにしてもらいたいと、今、折衝中でございます。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 簡易にといいましても、あの食品衛生法で、低温殺菌でなければならないという一条がある限りは、簡易な方法が出てこない。低温殺菌の設備をしなければ飲めないというのでは、結局今のような粉乳を扱うほかないと思う。これは結局、栄養的に見ても、私ははるかに劣ると思います。それから、子供たちの教育環境の経済力をつちかう上から言っても、なま牛乳をすく給食に向けてくれれば一石二鳥だと思う。ところが、折衝していただけるといっても、簡易にと言いますけれども、食品衛生法できびしく厚生省が指摘しているあの点を改善しなければどうにもならない。この点どうなんでしょう。
  125. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいま御指摘のことでございますが、もちろん、法律を改正するといいのでございますけれども、他に影響もあるようでございまして、法の範囲内において、行政上の措置において、学校給食として衛生上差しつかえのないような方法はないだろうかと言って、今折衝いたしているような次第でございます。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 悪いですけれども、もう一つ。それは、高温殺菌でもよろしいというような方向に持っていこうというお考えですか。低温殺菌であれだけの設備がなければということを限定して、どんなに簡易にしても、やはり数百万の金がかかります。それでは、実際には効果というものが非常に薄れると思う、
  127. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 文部省の方にも保健体育審議会というのがございまして、その中に、学校給食分科会というものがあります。その方面の権威者が集まって、いろいろ私ども御意見を拝聴し、諮問いたしているわけでございますが、そのところでも、何でもかんでも低温でなければならぬというのもおかしいじゃないか、半面、できることなら高温でもいいんじゃないだろうかというような意見がございます。それで、今その点を検討いたしまして、この点は、何とか国内の牛乳が普及でき、しかも、衛生上差しつかえない、また、栄養上も遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  128. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 先ほど来学校の給食婦の問題が質疑応答されておりますので、関連しまして、私もちょっと伺いたいのですが、今、問題になっておりますのは、義務教育に属する市町村立の学校の給食、あるいは定時制その他の高等学校の給食でございますが、国立の学校の給食については、給食婦の点は何人くらい、どのくらいの単価で見ておりますか。それをまず伺いたい。
  129. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ちょっとその書類を持って参りませんので、ここでお答えできません。まことに申しわけありませんが。
  130. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 それは、あなた方が予算を編成されておって、そして自分の所管に属する国立の学校について……。
  131. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 帰りまして、至急調査いたします。
  132. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 そういうものを御存知ないというのはどうですかな。では、大蔵省の方がそこへきているから、それは多分大蔵省でも知っているはずだと思うのですが。
  133. 相澤英之

    説明員(相澤英之君) 国立学校の給食関係の職員の経費につきましては、特にその分としては現在積算しておりません。それは、実行上どういうふうにしてやっているかと申しますと、御案内の通り、国立学校の経費は、生徒一人頭幾ら、教員一人頭幾らという、そういう積算になっておりまして、所要の旅費とか物件費を計上する形になっております。そこで、その物件費の経営的な経費は、その物件費からおそらく賃金の形で支出されていると思います。それからなお、給食の設備、施設の問題につきましては、国立学校運営費の中に、各種新営費あるいは各種修繕費等の計上もございますので、実行上その中からそういった給食関係の設備を整備しております。
  134. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 それじゃ、私が逆に教えてあげますが、昨年までは、これは国立学校には、給食婦の経費は一つも国は配賦しないのです。三十四年度から初めて一人分だけ見るごとになった。そこで、私どうもおかしいと思うのですが、市町村立の学校については、今まで九百人について三名として、今お話のように、一人分九万三千円、国が責任を持っている学校については配賦しないわけです。そこで、どういうことになっているかというと、しばしば問題になっている税外負担ということになってくるわけです。PTAの方では、給食婦の費用のために、少くともまあ一人百円くらいのものはこれは出しているわけです。これははなはだおもしろくない。少くとも市町村立について市町村で責任を負うというだけのものは、国が当然自己が管理している国立の付属の小中学校については負うべきなんです。それについては体育局長さん、どうお考えですか。
  135. 清水康平

    政府委員(清水康平君) ただいま実情を御指摘願ったわけでございますが、率直に申し上げまして、国立の学校については、先ほど相澤主計官のお話もございましたけれども、一応そうなっておりますけれども、不足分は父兄から、保護者から取っておるという実情は、これはいなめない事実だと思います。これが地方との関係が妥当であるかどうかということは、これは、申し上げるまでもなく、やはり給食として行う以上は、地方と同じように、やはり三百人に一人というのを財政的にやらなければならぬと思っておる次第でございます。その線に沿って今後参りたいと思っております。
  136. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 そのはっきりした、とにかく何百人について一人というふうに、あるいは二人というふうに見るならいいのです、見てないのです。そこがはなはだ、私は非常に国の責任としてよくないと思います。今の不足を補うといいまするけれども、それは新年度からのことなんです。今までは不足も何もない。全部これは父兄に負担させているわけです。私の関係している付属の学校だけじゃないです。全国そうに相違ないと思う。そこで、一つ文部省の方と大蔵省の方にも、これはぜひお願いしたいのですが、まあ一つ合理的に条理の立つように、ぜひ一つ来年度の予算から御査定を願いたい。取りあえず、今別にその単価等見てないので、既定経費からどういうふうにしてやるか知りませんが、一人分だけは三十四年度から出ることになっているはずです。そうとすれば、それはぜひ市町村と同じ、これは二人分だけを何とかぜひ見てもらいたい。これは私、強い希望でございますが、関連して、お願いかたがた意見を申し上げておきます。
  137. 占部秀男

    占部秀男君 ほかの問題もありますし、局長さんも文教委員会へ行かなくちゃなりませんので、時間的な制約もあると思うから、私は、これはもう少し詳しくやりたいのですけれども結論的に一つ御回答願いたいことがあるのです。それは、先ほどの給食婦単価の問題については、これはまたあしたでも、奥野さんから大いにお伺いするとして、いずれにしても、今までの質疑応答の中、あるいは前々国会以来の応答の中でも明らかにされたように、まず人員関係基準、これがまだまだ不十分であるということ、それから、単価についても、これはもう、私はたしか自分で計算をしたところでは、五千円だと思っておりますけれども、あるいは五千五百円かもしれない。まあ五千円見当と思っておりますけれども、こういうようなところでは、これはまた、もちろん今大沢先生も言われたように、これは非常に不十分であるということは、これは局長さんも認められておる。さらに、身分の扱いについては、これはまあ、私が言うまでもなく、ここのところ一年ばかりの間に幾らか雇用関係が、いわゆる市の雇用ということになった人もあります。現実には引き上げができた。しかし、大部分はまだまだ、失対関係であるとか、あるいはまた、PTA関係の何とか、こうわけのわからない、臨時職員とも違うような、変な形の人さえまだまだあるわけです。そこで、これは改善しなくちゃならぬということは、今局長さんも言われた通りでありまして、その点は、この三つの条件について改善していただけるものだということの確認に立って私はお伺いしたいのですが、来月の十六日に、今言われたように、実態調査的な会合が持たれるという。そこで、その十六日の調査といいますか、会合によって、やはり何らかの結論を出していただいて、至急に一つこの改善の歩を進めるような方向を打ち出していただきたいと思うのです。特に、参議院選挙が六月にありますから、その後には特別国会が、これは必ずあるわけであります。法律上あるわけでありますから、従って、特別国会なり臨時国会なりで、この問題、また一つ局長さんからその後の経過もあわせて一つ質問もしたいし、また、明らかにもさしていただきたい。かように思うわけでありますけれども、いずれにしても、来月の十六日を起点として、何らかの前進的な方向を一つとっていただきたい。こういう点を一つお願いしたいと思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
  138. 清水康平

    政府委員(清水康平君) いろんな方法によりましてこれを指導していかなきゃならぬと思いますが、私どもといたしましては、来月、さっき申しました通り、中旬に主管学校を集めまして、もちろん、この給食だけの問題じゃございませんけれども、よく懇談もし、指示もし、それぞれの地方々々の事情も加味し、その線に沿いまして努力いたしたい所存でございます。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 内藤さんにお伺いすることになると思いますが、まあ公共事業費の拡大とうらはらになるのでありますが、すし詰め学級の解消ということを政府がうたいまして、特に危険校舎の解消ということが打ち出されてあるわけでございますけれども、危険校舎は、文部省の説明によりますと、現状か、坪で申し上げて、メートルじゃなくて恐縮なんですが、百二十六万坪でございますが、一年二十八万坪ぐらいの計画で解消していく、こういう計算になっていると思いますが、それはそれでよろしいですね。
  140. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は、建築の方は私の所管でございませんので、管理局でございませんので、管理局長から答弁していただいた方がいいと思いますので……。
  141. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと今、財政局長が給食婦の単価の基礎の説明をちょっとしたいと言いますから……。
  142. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほど九万三千円の基礎を持ち合せておりませんでしたが、今調べましたところ、九百人の学校で給食婦二人という計算で、二人分で申し上げますと、本俸が十三万二千円、暫定手当が七千三百五十円、期末勤勉手当三万二千五百十六円、共済組合の負担金が一万五千六十円、合せまして十八万六千九百三十一円でありまして、二で割りますと、一人分は九万三千四百六十六円ということになっているわけでございます。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ、校舎の方はあとにいたしまして、それじゃ、いわゆるすし詰めの学級の解消のための教員定数や、一学級の生徒児童の総数などの問題は、内藤さんの方ですね。  そこで、すし詰め学級の解消といたしまして、まあ小学校の教員数を三十六万二百六十人、中学校を十七万九千百六十七人、それに自然減がありますから、この自然減を差し引いた純増、純然たる増加数を三千二百七十一人と、こう抑えておられます。ところが去年、いわゆるすし詰め学級の解消として、教員並びに事務職員として最小限不足数だといって、文部省から大蔵省に提出しました不足総数というのは、二万二千幾らという数だったと思います。昨年ですね。事務官も入れて、結局教育条件を整えるために、二万二千数百人というものが不足であるという現状を押えておって、それから、ことし純増として、三千二百七十一人だけ増しましても、これでは一体、去年から引き続いての本年度分のすし詰め学級の解消は、昨年度の文部省の計画の進め方よりも後退しておる。こういうことになろうと思います。去年出された数字と、ことしの三千二百七十一人の純増というものの関係はどうなるんですか。
  144. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) すし詰め学級につきましては、学級規模の適正化及び教職員定数の標準に関する法律を、昨年の春の国会で通していただいたわけであります。それに基きまして、昨年は、小学校を六十人までにし、中学校は五十五人をマキシマムにいたしたわけであります。それ以上のものを解消するということで、必要な政令を整備したわけでございます。  本年は、さらに五ヵ年計画を推し進めまして、小学校は五十八人、中学校は五十四人というふうにいたしたわけでございます。この計画で私どもは、生徒の自然の減もございますので、大体昭和三十八年には、五十人以上を全部なくしたい。総数で、これは生徒の増減がございますが、大体今の予定で参りますと、生徒のすし詰め学級を解消し、同時に、教職員の標準定数を確保するには、大体二万五千程度の教職員が必要かと考えております。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 本年度は中学校五十四名、小学校五十八名と押えたんですが、五十四名とか五十八名といったような数が、とてもすし詰め学級の解消の問題としては常識はずれであるという御認定は、文部省はお持ちじゃないでしょうか。外国の例で、後進国は別ですが、先進国で、五十人以上なんというところがありますか。大体ドイツが一番多くて四十人、しかし二部教授はあっても、四十人以上という学級定数というのは、全然ドイツは作らない。四十人をこえるものは、これは教育を行えないことと同じだという、こういう常識があると言われておる。スイスなんか、二十二名前後ですね。それから、ヨーロッパでは最も経済条件の劣っているイタリアあたりでも三十五名前後。それで、日本ですし詰め学級の解消という一つの大運動を起すなら、五十八人とか五十四名とかいうような目標を立てるというのは、これは、五十四人とか五十八名とかいうことがすし詰め学級ではないですか。そういう御認識が、私どもはどうも納得できない。
  146. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この教員算定の基礎が、各国みんな違うんでございます。今お話のように、欧米各国ともに、アメリカは例外でございますが、ソ連、イギリス、ドイツその他各国とも、大体四十人というのが一般の規定でございます。アメリカの場合は、三十人あるいは三十五人という数字がございます。これはどういうふうにして見ますかというと、結局、日本のような学級形態ではなくて、教員一人当り何人程度の児童数を持つか、こういう立て方をしているわけです。いわゆるピープル・ティーチャー・レイショを使っているわけです。この数字を日本でも使いますならば、教員総数で児童数を割れば私は出ると思います。大体小学校で四十名くらい、中学校は三十四、五名だと記憶しております。
  147. 加瀬完

    加瀬完君 文部省の御調査は、どういう御調査をなされたか知りませんが、私の調査したところでは、大体教員の定数というものは、むしろ定数でなくて、勤務時間数で押えて、一週何時間勤務ということで押えておりますから、一学級に教員数が一何人あるいは二・何人、こういう積算はちょっと困難だと思うのです。しかしながら、一人の教員が、教員数というものが何名の児童に当てはまるかという計算はどこでもしておらない。やはり一学級何名というふうに押えておる。いずれにしても、四十名ないし四十五名程度というものを標準に押えるならまだ話がわかるが、五十四名とか、五十五名というものを標準に押えて、これですし詰め学級の解消です、それで二万二千人くらい足りないけれども、今年は純増は三千二百七十一人にいたしました、これで五カ年計画をやってみて、一体文部省の二万二千人という昭和三十三年の不足数というものは、いつになったら解消できますか。
  148. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもも、決して五十人が理想とは考えておりません。できるだけ学級規模は小さい方が、教育的には効果が上ると思うのでありますが、その規模をどの程度に押えるかということについては、いろいろ問題があろうと思います。お話のように、アメリカあたりでは、教員の勤務時間を一週間二十五時間、こういうふうな時間で押えておりますから、その負担は大体生徒児童数によると思います。ですから、同一学年の編成方式をとっていないのです。三十なら三十、三十五なら三十五と、下学年の者と上学年の者を一緒にするという、複式のような教授形態というようなものをとっております。わが国では、同一学年方式をとっておりますから、その実情が違う。それから、わが国のような場合には、級外教員というような制度を置いている。もちろん、各国の実情はいろいろ違いますので、この点は、私どもも十分検討して参りたいと思います。  ただ、何年たったらそれじゃ五十になるかというまず第一のお尋ねでございますが、これは、三十八年には、年度別の計画を立てておりますが、五十に全部いたしたい。現在のところ、五十人以上の学級は約十二万八千ございますが、これは、昨年一万数千減少しておりますので、本年も、このすし詰め学級を解消するように積極的に努力いたしまして、年度を追いまして、三十八年までには、児童数の減少とあわせて、五十にいたしたいと考えております。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 私は、文部省を攻撃しようと思っているわけじゃないのですけれどもね。やはり資料の取り方というものは、日本に類似した形態のものを取ってきて参考にしていただかなければ意義がない。それは、アメリカといったって、義務教育を行なっている所もあれば、義務教育が施行されておらない所もありますから、その極端な例を持ってきたって意味がないと思う。ただ日本と同じような形態といいますか、類似した形態で教育経営を行なっている所で、日本の参考に非常になるという類似のものを持ってきて比較しなければ、私、意味がないと思うのです。それは、何もここで議論をしようとは思いませんから、もっとそういう意味の資料というものを取ってきて、日本の教育条件が劣っていないかどうかということを検討していただきたいと、希望だけ申し上げておきます。  その次に、今度の財政計画で、新設した補助負担金というものの振り分けかございまして、その中に、市町村の教育長の給与費の補助金というものを三億八千九百万計上してあります。それから、要保護及び準要保護児童生徒の修学旅行費の補助金というものを八千七百万円計上いたしてあります。いずれも、計上しておるそのことに私は異議を申しません。ただ管理職手当にいたしましても、市町村の教育長の給与に対する補助金にいたしましても、それらの額と、一体要保護あるいはそれに準ずる児童生徒の修学旅行の補助あるいは就学についてのいろいろな経済的な援助、こういうものの費用というものがバランスがとれておらないじゃないか。たとえば、八千七百万というもので要保護及び準要保護の児童生徒というものを何名を対象としておるのか、金額は幾らを対象にしておるのか、こういうどうも疑問があるわけでございますが、この明細はどんなことになっておりますか。
  150. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お尋ねの修学旅行の補助の経費でございますが、これは、小学校が十一万二千八百十三人、中学校が七万七千百九十六人で、約十九万人を対象にしておるのでございます。単価は、小学校が四百四十円、中学校が千六百二十円、もちろん、要保護、準要保護児童の対策としては、これだけではございませんので、このほかに、教科書の無償給与もございますし、さらに給食の補助もございますし、また、治療費の補助もございますので、総額で六億程度を計上しておるわけでございます。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十二年度の政府の発表した厚生白書の貧困水準以下の世帯というのは、二百四十六万世帯、千百十三万人というのが出ている。大体世帯数というものと児童数というものは似たようなものです。ですから、少くとも二百万前後の要保護並びに準要保護の児童数というものはあると想定できる。そこで、十九万人というと、概算一割です。一〇%です。一〇%だけを対象にして、あとの九〇%を対象外にして、修学旅行というものを計画されても、実際は、修学旅行の費用補助するものと補助しないものとの区分けというものか、非常に各学校では問題になってくるのではないか。一体十九万人という数字は、どこから抑えてこういう数字をお出しになったのですか。
  152. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 厚生省でやっておりますところの生活保護の対象のものがございます。これが児童数で大体、私ども計算ですと、二・五%、要保護児童が。そのほかに、準要保護世帯をどの程度見るかということは、これはいろいろ議論があろうと思います。私ども、決して二%で十分とは考えておりませんか、教科書、給食、治療費、すべて一応準要保護世帯を児童数の二%ということで押えておりますので、この基礎を使ったわけでございます。
  153. 加瀬完

    加瀬完君 要保護児童生徒は何名になりますか。それから準要保護児童生徒は何名になりますか、十九万人のうち。
  154. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは、四・五分の二になっております。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 具体的に数字になると、何名と何名ですか。少な過ぎると思うのですよ。
  156. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 小学校は、要保護が六万二千六百七十三人、それから準保護児童が五万百三十九人、中学校は、要保護児童が四万二千八百八十七人、準保護児童が三万四千三百九人であります。
  157. 加瀬完

    加瀬完君 これは、要保護児童というものよりは、準要保護児童の方のワクが拡大されておらなければ、私はおかしいと思うのですよ。ある水準で抑えれば、たとえば要保護児童が六万二千六百七十三人であるならば、この一・五倍とか二倍とかいうような、準要保護が多いというならばわかりますけれども、要保護が六万に対して準要保護が五万ということは、よほどこれは選定が困難を来たすということになっでくる。これは、そんなことを言うと悪いですけれども、大体幾らという予算を押えて、人間を割り当てて、要保護は、これは隠すわけにいかないから要保護を出すと、あと残りのが準要保護になる。準要保護は要保護より少くなってしまう。こういうことになってくる。自然な考え方をすれば、準ずるものは、その主体をなすものよりも拡大されてこなければ、実際は救済できないということになりませんか。
  158. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私、必ずしもそういう議論にはならぬと思います。生活保護の対象は、これは生活保護の基準に照らして、その中から当然算定されると思うのです。準保護児童になると、生活保護を受けているものに準ずるということですから、その準ずる程度が幅によってだと思う。非常に幅を広くすれば、お話のように、非常にふくらむし、その幅を要保護児童になるべく近いものという程度のものを拾いますれば、これは狭くなると思う。ただ、二%がいいかどうかということになれば、これは私どもも、決して二%で十分だとは考えておりませんけれども、従来の実績から見て、非常に二%では困るというほどの事態はまだございませんので、さらに準保護児童の二%のことついては、今後十分検討いたしまして、児童の就学か困難にならぬように努力いたしたいと考えております。
  159. 加瀬完

    加瀬完君 計画の立て方が私は非常におかしいと思うのですよ。ピラミッドですからね。ピラミッドの一番頂点に近いものが要保護の生徒なんですよ。それに準ずるものを押えれば、底面は広くなっているわけですから、人数だって当然拡大されるのが普通です。そうでなかったならば、これはもう、ほんとうの要保護から何か極端な条件で漏れた、ごく少数のものということにしか私はならないと思う。で、経費の上から、結局要保護の六万に対して、準要保護を五万しかとれなかったということであるならば、もっと拡大したいというなら、なぜ一体教育長に対する三分の一の補助金というものをここで急に出した。管理職手当というものを教頭にまで拡大しようというようなものの考え方をしたり、あるいは、校長に管理職手当を出したりする、そういう使途の目的というものと、一体この要保護、準要保護を拡大するという使途と、どっちが一体義務教育の上から大事かという考え方を、もう少し文部省としてお考え直していただくわけには参らないか。あるいは、どうしても教育長にそういうものが必要か、管理職手当が必要か、そういうものに義務教育の振興上出す金がこれだけあるならば、一体この準要保護あたりを、もっと幅の広い層を救うような経費というものをなぜ盛れないか。とにかく一千万以上あるところの貧困水準以下の人口で、少くもその中には二百万の児童生徒が含まれておりますよ。それに対しまして八千七百万というのは、あまり軽少に過ぎやしませんか。この点は、八千七百万でよろしい、それで要保護、準要保護十九万人でよろしい、こういうどうも御説明が私には納得できない。
  160. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今、教育長の補助その他の話が出ましたけれども、それは、それぞれ必要があって出したわけでございます。
  161. 加瀬完

    加瀬完君 ないとは申しませんよ。
  162. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それなら、準要保護児童の十九万人が少いとおっしゃいますが、私どもも、現在の資料では、まあまあこれで何とかやると、と申しますのは、教科書、給食、それから治療費、この三本の経費で今日まで来たわけなんです。その過程におきまして、まあ大体保護児童とそれに準ずるものはおおむね救われておると、ですから、その二%の基準を今回修学旅行に使った、こういうことでございまして、もちろん、この二%で今後足りないという明確な資料が出ますれば、これは私どもも、大蔵省に十分交渉して、増額をいたしたいと考えております。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 明確な資料が出ますればと言って、明確な資料を持たないということはおかしい。教科書のことをあなたはさっきから言うけれども、教科書は、義務教育は無償であるという原則が立てられているから、教科書も当然無償の方向に持っていくべきであり、単に要保護児童であるとか、一定のワクだけで教科書を無償にするということだけではまだ足りないわけです。しかも、教育委員会法を改正したときに、教育長というのは無資格のものにしてしまったわけです。そのときの考え方としては、あなたは、昔の学務委員くらいにしか考えておらなかっただろうと思う。そうでなくて、教育長というものに非常に厳格な教育行政の一つの大きな仕事をさせる権限を与えるということなら、当然その権限に伴う資格というものが必要であるはずだ。そういうことが審議されなくて、極端に言えば、公民権が停止されていなければ、前科十犯だって教育長になれる。今さら給与を三分の一補助をして教育長にやろうといったって、それなら、その資格そのものをもっと吟味しなければならないという法律的な反省を私はしなければならないと思うのです。ただ問題は、義務教育を推進するならば、義務教育を完全に受けられない児童生徒にもっとウエートをかけてもいいじゃないか。管理職手当を必要だとおっしゃるあなた方の立場はわかります。教育長というものももっと待遇されて、立場がはっきりしなければならないこともわかります。しかし、もっと必要なことは、義務教育を受けようとしても受けられない経済条件にあるものをどうして救済するか、義務教育無償というなら、無償らしい形をどうして整えるか、それが先だ。それにしては、宣伝の割には、経費かお粗末だと思うのですけれども、これは一体将来どういうようにしていこうというお考えですか。そこに大蔵省さんもおりますから……。
  164. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は、教育長の話が出ましたが、財政計画では、大体助役並みの給与を見込んでおるわけであります。本年も、月額四万四千円の給与を地方財政計画及び交付税の基準では見込んでおるわけであります。ところが、現実に、教育長が約三割程度、一万円以下、こういうふうに、一万円以下の給与ですと、教育長として職務を行うのに非常に困る。そこで私どもも、しばしば地方の教育長の待遇改善についてお願いをいたしましたけれども、十分効果があがらなかったので、今日やむを得ず三分の一の国庫補助という制度を考えたわけであります。  それから、今お尋ねのこの修学旅行の経費か少いじゃないかというお尋ねでございますが、今日、まあ最初のことでございますので、これで一応やってみまして、さらに改善充実して参りたいと考えておるのでございます。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 その教育長なり、校長職のような管理職的な立場のものに対して非常に御便宜を与えているということはよくわかりますが、一体それならば、一般の教職員関係かどういう状態に置かれているかという点で、それから、父兄が教育費等のどういう負担を負わせられているかという点で、若干伺ってみたいと思いますが、自治庁の方からはここに資料が出ておりますけれども、文部省の方でお調べになりました点では、いわゆる税外負担といたしまして、児童あるいは生徒平均をいたしまして、一人当りのPTAの負担は幾らになっているか。それから、PTA以外の学校寄付というものは幾らになっているか、この点、御説明がなければ、あとでお調べ下さってお答えいただきたいと思います。  それから、財政計画を見ていると、授業料、手数料というのは毎年々々上っている。今度も、四十四億程度に授業料、手数料がなっている。この中には、高等学校の授業料も相当幅を占めておる。大体昭和二十三年あたりから、高等学校の授業料及び入学手数料というようなものがどんな変化をしたという御調査がありますか。
  166. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 資料がございますけれども、今ここに持ち合せておりません。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 これは、各県によって違いましょうけれども、特に再建団体等は、再建法を適用して以来は、授業料を相当上げております。入学手数料というか、何か入学のときに納付する金額も相当上っています。ひどい所は三倍ぐらい上っている。昭和二十五年ぐらいから三倍くらいになっている。授業料でも、一・五倍ないし二倍に大体上っている。それから、PTAあるいはその他の学校の得付を合せますと、これは、世帯あたりは相当の金額になっております。こういう傾向の上に、今度は要保護あるいは準要保護の子供たちに対する社会的な援助というものがないということでは、義務教育について行けない家庭が当然できてくる。こういう点も、税外負担が教育費に特にたくさんかかっているという点、特に高等学校が特殊教育に返って、特別な経済力のある者でなければ高等教育へやれないという実情になっている点も、どのようにお考えになっておられるか。
  168. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) PTAの税外負担につきましては、私どももよく存じておりますが、その経費は、二つに問題がしぼれると思う。一つは、PTA父兄が子供の教育を充実していくということは、それだけ社会生活が安定してきますと、だんだん食糧事情が好転するに従って、文化的な経費がふえていく、この面と、それから同時に、税外負担としての父兄の負担の問題が出てくると思います。私どもは、この税外負担として、当然校費でまかなうべきものがPTA等でまかなわれている。この問題については、できるだけ父兄の負担を軽減したい。しばしばいろいろと地方財政計画の方でも御配慮いただいておりますし、また、国の面において、負担金その他の面でいろいろな努力をいたしておるのです。今日のところ、大体百八十億程度は予想されておるのです。これは小中学校でございますが、その百八十億のうち、職員の給与費に類するような経費が約十八億、それから教授関係の経費が百十三億、それから学校維持運営費、光熱水道料が二十二億、それから施設整備に対する関係のものが二十七億、これに対していろいろと、先ほどの給食費の問題もそうでございますが、PTA等で負担しておった給食の経費を十億ほど軽減するとか、あるいは教授関係の経費については、教材費の充実あるいは理科教育費の国庫負担の増額その他によって、できるだけ教授関係経費の負担を軽くする。あるいは建物の関係については、本年約二十億も増額いたしておりますので、全体的にPTAの税外負担をできるだけ少くするように、今後とも積極的に私どもは進めて参りたいと考えておるのでございます。  それから、高等学校が非常に授業料が高いのではないかというお話でございますが、一般物価に比べて、私はそう高くはなっていないと思うのです。と申しますのは、国立大学の授業料は現在九千円でございまして、戦前の百倍以下だと思うのでございます。公立の地方の授業料についても、現在の一般物価水準よりはできるだけ低位に押えておる、こういう実情でございまして、特権階級でなければ高等学校には行けないというような実情とは私ども考えていないのでありまして、どうしても困る者のためには、育英、奨学の制度も開いておりますので、経済的困難のために就学ができないということではなかろうと思うのでございます。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 それは話が逆ですよ。授業料や入学手数料というのか、累年どんなような増高のカーブをたどっておるかという、一つ各県の御調査をいただきたいと思うのです。そうすれば、傾向として、一般の者でも入れた者が、経済力の特殊なものでなければ入れないような方向に移っておるということは、これは文部省たりといえども認めざるを得ないだろう。育英資金をどうこうというのは、問題が別ですよ。授業料を高くして、入れない者は育英資金をやる。育英資金というものは、希望する者がみんな育英資金を借りられるものじゃない。育英資金などといものに頼らなくても、普通教育として行けるという前提か高等学校の教育になければならない。しかし、そういう傾向であったものか、徐々にその傾向というものか抹消されていくということについて私は伺っておるのです。それから、財政計画を見ますと、これは全部含んで、一般の職員も教職員も含めてでありますが、旅費、物件費の節約額が三十七億六千七百万ある。毎年旅費、物件費の節約というものがでてきている。一体毎年こう減らしてきて、さらに旅費、物件費の節約というものかまた三十七億である、この現状で、文部省関係だけに伺いますと、日直、宿直料なんというものか、大体各給与とも国家公務員並みであるということで、国家公務員に右へならえということで条例が作られているが、日直、宿直は、三百六十円と押えてある国家公務員に比べて、二百円を割っている所がある。そしてさらに旅費、物件費というものを節約されてくると、これを節約されるところの地方財政では、教員の日直料、宿直料あるいは旅費というものを上げるというわけにいかないのじゃないか。こういう点を文部省ではどうお考えになっておるか。日直、宿直料なんかは、非常に国家公務員と違う。さらに節約節約で物件費を削っていく。こうなってくると、一体問題になっておる国家公務員と地方公務員との、特に教職員との差というものをどう解決していくか。財政計画の上で、どのように御検討の上で、三十七億の節減額というものをお認めになったか。
  170. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 三十七億の節減額についての御説明は、自治庁からるるお話があろうかと思います。私どもの方といたしましては、宿、日直料について減額になっておることも、ここでよく存じております。で、できるだけ国家公務員の線にそろえるようにいたしたいと思います。ただ、給与の関係では、まだ国家公務員より一般的に地方公務員の方が優位にございまして、文部省あたりで採用するにも、大体五、六号下げなければならないような実情でございます。それから、旅費やその他についても、非常にしわ寄せが来ないかというお尋ねでございますが、現在のところ、教員の旅費については、私ども決して十分だとは思っておりません。できるだけ必要な経費は見て参りたい。国庫負担では、実績の二分の一の負担をいたしておりますので、必要な旅費については、御配慮いただくように指導して参りたいと考えます。
  171. 加瀬完

    加瀬完君 これは、管理職手当のときも問題になったのでありますが、管理職手当というものを小中学校長に出すということは、法律的に、厳格に言って疑義があるというような問題が出た。しかしながら、日直、宿直料というものを法律通りにやるならば、三百六十円を支給しなければならないということはきまりきっておる。ところが、こういうきまりきっておるものをさっぱりやらなくて、若干でも疑義のさしはさまれるものを、何かの関係があれば、それを優先して予算に持っていく。こういうことであれば、私は、正しい教育行政、文教行政とは言われないと思う。法律ということを主張されるならば、なぜ日直、宿直料というものを法律のように主張されないのか。
  172. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 地方の教員の俸給その他諸給与は、国家公務員を基準として各県の条例で定める、こういうふうになっておりますから、基準の幅の問題だろうと思います。若干上る場合もあるし、下る場合もある。給与、俸給のように、非常に上る場合もあるし、あるいは宿、日直のように下っておる場合も現実にございます。できるだけ、私どもは、国家公務員の線にそろえるようにいたしたいと考えております。
  173. 加瀬完

    加瀬完君 参議院の法制局では見解を出しておりますから、あなたの意見と法制局の意見は違っておりますので、あとで一つ、法制局の出された御見解を御参照していただきたいと思います。  次に、通勤手当がきめられたわけでありますが、通勤手当を施行してみると、非常にいろいろ不合理がある。たとえば、同じ市の中にありましても、中心地におります者は、通勤手当は別にいたしまして、他の給与は優遇されておる。それから、十二キロなり十五キロなり、バスで通わなければならないような、同じ市域であっても僻陬の所におる者は、きめられたところの通勤手当というものではとても足が出て、どうにもならないと言って、PTAにたよったりする。それで、さっき言ったような議論も、私たちだけでなくて、PTAの中からも出てくる。通勤手当というものができたのだから、通勤手当の中から正しく支給されたらいいだろう。今までは、先生方が来なくて困ったから、PTA、か負担しておったけれども、ところが、今度は、通勤手当も出たのであるから、われわれはもう出せない。こういうふうになって、そして通勤手当か出ても、結局通勤手当が出たために通勤費には足が出る。こういうような実情も諸所にありまして、私ども陳情を受けておるわけでございますが、通勤手当というものは、実情に応ずるような形には、支給の内定というものを変えられないものか。
  174. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは、国家公務員の基準が最高六百円で抑えておりますので、御指摘のような点もあろうと思いますが、私どもも、通勤手当というものがいろいろ問題になっておることは、よく承知しております。特に教員の場合には、大体学校所在地に居住することが建前になっており、その人たちは、住宅を借りておっても、その場合の住宅手当は出ない。逆に、よそから通っておる者の通勤手当が出るというような、そういう一面矛盾もありますし、今後通勤手当の改善については、私どもも人事院とよく御相談して、よりよいものにしていくようにいたしたいと考えておりますが、現在のところは、国家公務員法にそういう制度がきまっておりますので、今のところ、いたし方ないと思っております。
  175. 加瀬完

    加瀬完君 あるいは、その所在地に住みたくても、所在地に住宅を提供する者がない。そこで、所在地の教育委員会なりあるいは市町村の当局なりが、これはここから通勤しなければもう勤務に支障を来たす、あるいは、そこから通勤するのはやむを得ないという、やむを得ない方に証明を出すとか何とか、条件をきびしくしてもいいと思う。そこで、県の教育委員会なりで、それは地方の教育委員会の言っていることに間違いがないというふうな認定でも下れば、それは、県なら県独自で、そのものの通勤手当だけは別額を支給することができるというような便法というものをお認めいただくようなわけに、内容を変えてはいただけないでしょうか。
  176. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今の給与体系では、公立学校の先生は、国立の学校の給与諸手当を基準として定めることになっておりますので、なかなか困難かと思います。もちろん、その都道府県の自主的な財源でおやりになることは、これは妨げないと思うのでありますが、国の負担としては、六百円を限度にせぜるを得ないと思っております。
  177. 加瀬完

    加瀬完君 これは、奥野政府局長にお伺いしますが、国の方から一定のワクで来る通勤手当の額というものは、これは動かせませんから、そのままにして、それに県なら県が幾らか加えて、今私が説明したように、県の教育委員会で、だれだれはこの土地から通勤をせざるを得ない条件にある。従って、六百円限度では通勤費かまかなえない、六百円プラスアルファを県費として支弁をするという計画を立てたときは、お認めになりますか。
  178. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 給与の制度は、職種によって若干法律の表現は違ってきますけれども、教職員につきましては、国家公務員である教員の給与を基準として条例で定めるようになっておりまするわけで、その基準にはずれたような条例を定めることはないのじゃないか、また、実支出額の二分の一を国が国庫負担していることでもございますので、その面からも、国家公務員の通勤手当を基準として定められるものだと考えております。
  179. 加瀬完

    加瀬完君 基準はわかりましたよ。わかりましたけれども、文部省に聞いていただきたいのだが、たとえば、通勤費をあと百円なら百円、二百円なら二百円増せば、いい教員かある数得られる、こういう場合もあるわけですね。十三キロも十五キロも自動車で通勤するということになると、自動車はハスみたいなものはありませんから、毎日々々買わなければならない。非常にかさむ。しかしながら、それは自動車で通ったり、電車で通ったりして学校に行って、あまり自分自身の持ち出し分をなくして、自動車賃そのものを実費支給することができるということなら、僻陬の地でも、何名も中心地からいい教員を得られる。こういう条件にあるわけです。また、そういう実費支弁をしなければ教員が来ない。それは、PTAなりあるいは町村で支弁していた。ところが、町村合併なんかで、大きくなってしまいますと、町村でそういう便法を講ずる余地がなくなってきてしまう。PTAでも、大きな地域に拡大されたり、あるいは通勤手当が出るということになると、出しづらくなってくる。そこで、通勤手当が出ると、実際には通勤費そのものとしていただく額というものは下ってきます。そこで、みんな転任を希望して、どうにもならないという実態があるわけであります。だれが考えたって、そういう条件の所が何カ所もあるわけじゃない、それを県の教育委員会なら教育委員会が、市の教育委員会なら教育委員会が便法を講じて、今の基準の上に幾らか乗ってきて、僻陬の地であるからといって、実質的な義務教育の低下を来たさない、こういう目的で、通勤手当の取り増しをするというようなことも許容されることになるのか、厳格に言ってだめということになるのか。
  180. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 給与制度については専門じゃございませんが、やはり国でこしらえました制度を基準として地方が定めるということになっています場合には、それをはずれることのないようにしていただきたい、かように考えております。場合によっては、特に下宿で生活をしなければならないので、通勤するよりもかえって経費が余計かかる、奥地に家族と分れて生活をしなければならない、いろいろ事例を当ってみるということになりますと、数限りないわけであります。もとより、市町村がりっぱな先生に続いて長く勤務してもらいたいという気持から、特に住宅の用意をいたしますとか、いろいろの面でそういう努力をしておる点も見受けられるわけであります。法律が特にそれを拒否しておりません限り、そういううるわしい姿というものは、これはけっこうなことだと思いますけれども、国がこうあるべきだということを定めておることにはずれたやり方をして、とにかく自分の所だけがよければいいのだという考え方で地方団体がやりますことはいかがなものか、こういうような考え方を私たちは持っておるわけであります。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 それはおかしいと思う。はずれてはいないのですよ。通勤手当というものは、通勤者を優遇する意味で通勤手当が定まったわけですから、しかし、通勤手当が定まったために、実は通勤手当を受ける目的とはうらはらな結果ができてしまった。それをある程度態容補正するのと同じように、県なり市町村が補正するのを、財政計画上もはばむ理由はないと思う。文部省も、実質的に通勤手当を出してやるということになれば、そういう特殊な所には、やはり通勤手当によって特殊な通勤条件というものが満たされるような方法というものを講じていただかなければ、ただそれは、形式的な通勤手当を出したにしかとどまらないと思うのです。それならそれは、僻陬地勤務手当かなんかを与えるとか……、しかしながら、自動車が通っている所は僻陬地手当は与えられませんから、僻陬地手当ももらえない。通勤手当も非常に頭を切られる。実質的には、僻陬地手当以上の条件の悪いところがあるのです。やはりそういうところにも、教員が行ったがために、島流しになったというような低い待遇に切り下げられるという感じを持たせないようにしなければ、義務教育の確保ができませんので、これは文部省としても、ここですく御返事をいただくとか、御返答をいただくという筋合いのものではありませんけれども、実質的に通勤手当の価値が生ずるように、その点お考えしていただかないと、やはりどうしてもこぼれてしまうところの僻陬地などができてくるので、その点は、お願いをいたしておきます。
  182. 鈴木壽

    鈴木壽君 文部省と大蔵省にお聞きしまする前に、奥野さん、ちょっと最初に数字のことでお聞きしたい。  財政計画の中で、義務教育職員費の千九百八十六億二千七百万円、この額と、国の予算に載っている義教費の職員の給与の分の九百七十三億五千七百万円、これとの関係はどうですか。
  183. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財政計画に計上しております義務教育教職員の給与費は、国家予算に計上されております義務教育費国庫負担金計算の方式に準じて計算をしておるわけでございます。ただ、こまかい点を申し上げますと、義務教育費国庫負担金は、地方交付税の不交付団体につきましては、  一定の頭切りをやっておるわけであります。しかし、財政計画上はそういうことはいたしておりません。そういうふうに、若干食い違った点がございますが、基本的には、義務教育国庫負担金予算計上額に即した計算をしておるわけであります。
  184. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃ、今の点につきましては、あとでもう少しお伺いします。  内藤局長さんに、簡単にお聞きしますが、義教費の問題で、いろいろ財政計画の上でも、実は私ども、毎年のように、足りるだろうとか、足りないだろうとかいうことで論議があるわけなんですが、現実の問題として、地方団体にとっても、府県にとっても、実は非常に大きな問題なわけなんですが、三十一年度も三十二年度も精算分が六十億もある。もちろん職員費だけではございませんけれども、三十三年度でも、大体それくらいの額になるのではないかというような話なんですが、このように、毎年義教費が、いずれ一年たったあとで精算されなければならぬというようなことについて、非常に私ども残念だと思うわけなんですが、地方でも、これの負担についてやはり相当な負担をしておる、こういう状況を、何とかこれは一つ、毎年のように不足になることがわかっておって、もう少しこれは、予算を組む際に、単価の問題なり、そういう点について考えていく必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう、これは。
  185. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 全く御指摘通りだと思います。ただ、義務教育費国庫負担法は、御承知の通り実績負担の建前をとっておりますから、地方が出せば必ず二分の一出すという建前でございますので、どうしても国の見積りと現実地方が組むということのズレは、私、やむを得ないのではなかろうか。もしこれを、国の方が負担を定員定額で打ち切るというような制度をとれば、これは国の負担額というものは精算に出てこないわけであります。そうなりますと、かえって地方財政に迷惑がかかると思いますので、むしろこの義務教育の実績負担制度一は、地方財政の安定化の上においては、非常に好都合な負担金だと思っております。ただ、御指摘のように、この幅が少し大き過ぎるのじゃないかというお尋ねでございますが、できるだけ精算分と予算がなるべく近いということが理想でございまして、私どももできるだけ努力して参っておるのですが、一千億にも上る経費でございますので、多少一、二%のズレというものはやむを得ないと思っておるのです。そこで、過去数カ年の経緯を顧みまして、実は三十四年度では昇給単価を改めまして、従来二%組んでおりましたのを、昇給原資を三%に見込んだり、あるいは退職率を、千分の二十を二十五に引き上げるというような、こういうような点で、三十四年度についてはだいぶ改善をいたしたわけでありまして、私どもは、今後できるだけ地方の実情を見ながら、予算と精算ができるだけ幅を縮めるように、今後とも工夫いたしまして努力していきたいと思っております。
  186. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のお話の前段の問題、私、別にそういうことをお聞きしたのじゃなくて、地方財政が精算分があるからプラスになるとか何とかということでなくて、精算しなかったら大へんなことだし、あなたのおっしゃる実績主義でいくのですから、当然不足であったら精算されるべきであって何もここで定員定額でやれとかということじゃもちろんないので、今の法律なり建前からして、当然足りないところは精算する。ただ問題は、ですから最初から足りないことか毎年の例からわかっておるのですから、これはもう少し単価を上げればいいということがわかっておりながら、なぜそういうことをしないかということなんです、端的に申し上げますと。これはまあ、あなた方だけの問題でなくて、大蔵省の問題かもしれませんが、これはそういうことなんですよ、私がお聞きしたいのは。ですから、これは毎年、今言ったような、三十一年度も三十二年度も、大体六十億ぐらいの精算を必要として補正予算に組んでおる。三十三年度でも、大体その程度の額になるのじゃないだろうかというお話なんです。ですから、三十四年度でも、それは〇・〇一ですね、昇給分については上げられましたが、それで、三十四年度分かぐっと減るかというと、私は必ずしもそうはいかないだろうと思う。果して初任給の改訂分なりいろんな分も、もともと単価が低いのですから、むしろ私は、かりに三十一年度なら三十一年度、三十二年度なら三十二年度の単価というものを、どうしてもこれは支払わなければならぬものですから、一応押えて、それに必ずしもイコールということでないかもしれませんけれども、少くともそういう線で単価を押えて予算を組むべきでないだろうか、こういうことなんです、私の考えとして承わりたいところは。
  187. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説の通り、前年度五月一日の指定統計に基いて単価に、昇給分を見込んでおるわけなんです。担年実績単価を基礎にしておりますので、特定な低い単価を使っておるわけじゃございません。それから、教員の場合は特に、予測せざる事態として、退職がその年度によって非常に増減がございまして、退職手当の増減によって相当、十数億も狂うことがしばしばございますので、できるだけ、予測できる限りにおいては、正確に把握して参りたいと思っております。
  188. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話のように、退職の問題については、それこそ予測し得ないような点、だろうと思います。場合によっては、県では、優遇措置を講じて、いわば勧告と申しましょうか、勧奨と申しましょうか、そういう退職もたくさん出ることでございますから、これは一律に、率を毎年同じに見ていくというようなことは私は、不可能だろうと思います。その点はわかりますが、従って、まあこの精算分の中には、そういう退職に関する給与も、相当なウエートを持っておることは承知しておりますか、問題は、基本給の場合は、三十三年度で約二十六億の不足なんですから、こういう点について、もっと私は、的確につかまなければいけないんではないか、こういうふうな点を実は思うわけなんです。で、あなたは、決算の額で押えていくと言っておられますが、計算の方式は、果して決算の額に押えられているかというと、そうじゃないと思う。決算の額で押えていくならば、三十四年度の場合、これは三十一年度の決算高、三十二年度の決算高、その額等の単価を押えて、一致しておりますか。
  189. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 三十二年の予算単価を使うときに、三十一年十月一日の実績を基礎にしたわけなんです。ですから、実績の見方に問題があろうかと思いますけれども、できるだけ、今後ともなるべく実績に最も近いところの時期をとりまして、誤まりなきようにいたしたいと考えるのでございます。ただ、教員の場合は、年度末の人事でございますので、そのときに、これは予測できないんでございますけれども、相当高給者を整理しますと、平均単価がある程度落ちるわけなんです。だから、その落ち方がどの程度かによって、昇給原資も変ってくると思います。こういう点で、普通の公務員の場合は、それほど新陳代謝がないんですけれども、教職員については、年度末の大幅な人事がございますので、こういう点については、多少予測しかねる事情があるのでございます。それと、いま一つは退職手当、この二つが一番大きな問題でございます。
  190. 鈴木壽

    鈴木壽君 今あなたがおあげになった二点は、私もそうだろうと思います。ただしかし、三十一年の十月一日の月給で押えたそのものにすでに問題があり、その後のいわゆる昇給の原資となる率の見方とか、こういうところに問題があって、それが適正とは思えないような形において積み重ねられたままに、それが今度三十三年度の単価になって、三十四年度の予算計上の単価になってきている。こういうところに私問題があると思うんです。ですから、必ずしも決算のそれではなくて、当初からの単価の押え方が問題だろうと思うんです。そこで、お話では、今後はそういうことはないようにしようというんですが、当初あなた方が大蔵省にかけ合う際のそれとは、だいぶ違った格好になってきているんじゃないかと思う節もあるんですが、大蔵省は、一体こういう問題についてどうです。相澤さん、今、内藤局長が言ったような意味でほんとうに検討し、是正なさるというようなお気持はあるんですか。どうせ払わなければいけない金なんですから、それだったら最初からあまり……あとで一年たって、精算をしなければいけないというような、地方にも迷惑のかからないような、幅をできるだけ少くするような私計算なり予算の計上の仕方があるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  191. 相澤英之

    説明員(相澤英之君) 義務教育費国庫負担金の精算の問題につきましては、昭和二十八年にこの制度が始まりましたころは、十億程度でございましたが、それが三十二年度は二十九億になりまして、その点では、予算の見積りと実績とが開いたことの原因の一つが、予算の積算が少し辛過ぎたんじゃないかと思われる点かありましたが、この点は、はなはだ私どもとしても遺憾に存じておるわけでございます。そこで、三十四年の義務教育費国庫負担金の積算におきましては、ただいま初中局長から答弁でございましたが、昇給率を、従前の二%を一%引き上げて、三%といたしますとともに、実績が相当伸びております退職手当につきましても、本俸に対する見込み割合を従前の二%から二・五%に引き上げる等、その積算につきましては、従来の実績を勘案いたしまして、かなり手直しをしたつもりでございます。ただ、これで果して実績にどんぴしゃり近い数字になるかどうかという点につきましては、今後の教員数の増減、それから退職その他による異動状況、そういったものが関連して参りますので、確かなることは申し上げられませんが、少くとも従前よりはだいぶその点は改善されたのではないかと思います。また、今後の問題につきましては、なおその実績を勘案しまして、逐次是正をはかりたい、できるだけ実績との隔差を少くするように努めていきたい、かように考えております。
  192. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば、退職手当の千分の二十を二十五にしたというようなことも、私はやっぱり、これではまだ足りないのではないか。最近の各府県の教職員の退職というものは、大体年度を切って、同じような傾向で行くようになってきている。三十二年度ではずいぶん、千分の二十を倍以上も上回った率でやられている。私は、四十五が適当だとか、五十が適当だと言うわけではありませんけれども、少くとも二十五じゃ足りないんじゃないか。しかし、今のこの問題を、こまいところをどうのこうのということを言っているわけではありませんが、予算計上の際に、もっと、あまりあとで精算分が大きくならないような形で一つぜひこれはやってもらわなければいけないと思う。われわれは、単に財政計画を見て、多くなるとか少くなるとかというここでの論議よりも、地方の自治体で実は困っている。六千万円とか七千万円という未支払い分があるんだ、こう言って、精算は、今度補正予算が通って、四月になるか、いつになるかわかりませんが、とにかくもう一年以上おくれている。形式的に、部分的に言ってみれば、あるいは二年という所もあるかもしれぬ。四月から、もうすでに何分の一ずつ負担しているのだということも、理屈としては言えるわけなんで、こまいところはともかく、もう非常に困っているわけですから、単に、私どもが今申しますように、財政計画上の穴がここにあるとかないとかということより、ぜひともこれは一つ考えてもらわなければいけない問題だと思うのです。まあ大蔵省の方でも、文部省の方でも、ぜひ直していきたい、こういうふうにおっしゃっておりますから、これは最後に念を押して、必ず来年度からはやっていただけるように、一つ御努力を願いたいということを、念を押してやめます。
  193. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  194. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記を始めて。
  195. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 午前中鈴木先生から御質問のございました点につきまして、お答えを控えました点につきまして御説明申し上げます。  第一点は、道路整備におきます地道、特に市町村道、これがどういうふうになるかという点でございましたかと存じます。市町村道につきましては、ただいまの道路整備五ヵ年計画によりますというと、改良が約千五百キロ、舗装が約千百キロ程度のものができる予定でございます。これはもちろん、私ども道路局で取り扱います分と、計画局で都市計画事業として取り扱いますものと、一切合計いたしましたものでございます。この市町村道は、路線全体の長さが先ほど申しましたように長うございますので、全体の路線に対する整備の割合としては、これは必ずしも多いというものでなく、数字的に見ますというと、非常に少いようでございますが、整備の実延長といたしましては、ただいま述べた程度事業ができる予定でございます。この数字は、ちょうどこの五ヵ年計画におきまして、主要地方道以外の一般都道府県道、この一般都道府県道に対しましては、改良延長が千五百十キロ、舗装が千キロ、こういう数字でございますが、つまり主要地方道を除きました全国の一般都道府県道は、これに匹敵する事業を実施するということになるわけでございまして、私どもといたしましては、こういう一般市町村道の事業といたしまして、必ずしも少い数字ではないというふうに考えておる次第でございます。  それからなお、次の問題といたしましては、この道路整備の特別会計が資金運用部から借り入れます金の利子は、借り入れは六分であるにもかかわらず、交付公債として府県から返してもらうときの利子が六分五厘という点は不合理ではないか、こういう御指摘がございました点でございます。これは、特別会計の借入金の利子は六分に相なっておるわけでございますが、これは、各特別会計に共通いたしました一般方針ということになっておりまして、また、交付公債の六分五厘という利子につきましても、地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律施行令という政令がございます。これで、現在といたしましては、六分五厘ということに、公共事業全部について相なっておるわけでございます。従いまして、現状におきましては、道路整備特別会計だけ特別な扱いをするそういうこともできまいかというふうに考えておる次第でございます。
  196. 鈴木壽

    鈴木壽君 前の問題、お答えいただいたのですが、市町村道について、改良は千五百キロ、それから舗装が千百キロ、これは、三十七年度末でこのようなキロ数になると、こういうことですね。それからもう一つ。それは、市町村道で、いわゆるこの計画以前に、すでに幾らか改修なりあるいは舗装なりというものが進んでおるだろうと思うんですが、それらを含めた数字考えていいわけですね。
  197. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 先ほど申し述べました数字は、この五ヵ年計画で実施する事業の延長、五ヵ年計画でそれだけ延びるという数字でございます。従いまして、ただいま御質問の、すでにできておるというものはどのくらいあるかということを申し上げますというと、道路の改良といたしましては、統計の数字をそのまま申し上げますと、五万二千八百十六キロ、これが改良済みでございます。それから、舗装ができております延長は、八千七百三十四キロ、統計の上ではこういうことに相なっております。これが先ほど申し述べましたように、それだけプラスに相なっております。
  198. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の点、それではわかりました。しかし総延長ですね。八十万キロ以上というのは、割合からしますと、きわめて少い割合になるということは、お認めになるわけですね。じゃ、この点はよろしゅうございます。きょうは時間がございませんから……。  それから、あとの方の問題、特別会計の問題でございますが、これは確かに、大蔵省の方々も、他の特別会計もこうなっているんだからそういうふうになるんだと、あるいは、第三点としてあげられました交付公債そのものからいっても、そしてまた、法律等の関係からいっても、そうなるんだと、こういうことなんです。それで、その点は、大蔵省の言い方とまあ同じなわけなんですが、むしろ法律はしょっちゅう作り変えられるんで、預金部から六分の金が出せるんだったら、地方の方へやって、それをあなたの方へ、特別会計へ納めるという形もできないわけじゃない、やる気になれば。ですから私、やっぱりそういうところをもっと考えるべきじゃないかと、こういうことなんです。まあ利息の点はあるとして。ですから、それはあなた方ひとりの処理というんでない。建設省だけの問題だとは私は思っておりませんし、こういう問題については、むしろ大蔵省の考え方が支配的なものじゃないだろうかと思いますから、そういう点では、今大蔵省もおりませんし、まあこれ以上申し上げられませんが、私は、そういう他の会計の例とか、あるいは現在の法律かこうなっているからと、こういうことだけで、いつまでもこういう問題をそのままにしておくことについては、当を得ないやり方になるだろうかと、こういう考え方に立ってお尋ねしておるわけなんです。ですからこれは、先ほど局長さんからもお答えいただきましたように、やはり地方負担というものも考える。特に、この道路の五ヵ年計画の推進と申しますか、実際に運営していくためには、できるだけやっぱり地方負担ということも考えてやる。その一環として、こういう問題はやっぱり考えて取り上げていくべきじゃないだろうか、わずかかもしれませんか、やっぱり道路の七十五億の借り入れに対する五分の利息だけでも、三千七百五十万円ですから、三千七百五十万円が、これは一つ団体だけで使うわけじゃありませんか、しかし、この使い方によっても、これだけの地方負担分があれば、仕事の上で何倍かの仕事ができることは、私が今さら申し上げるまでもないところなんです。そういう面でも、私は、この問題を新たな問題として、従来はこうであったけれども、しかし、新たなこういう問題として、ぜひ真剣に私は考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。その点につきましては、自治庁の方では、せんだっても私、黒金次官からお話がありましたが、やはりおかしいのだ、もしできるならば、私が今申し上げましたように、預金部からそれぞれの地方へ行くような格好でやるべきじゃないだろうかという御発言もあったので、その点においては、私は一致する問題だと思いますから、一つ共同戦線を張って大蔵省あたりに当るべき問題じゃないだろうかと思いますが、どうでしょうか。お考えをお聞きいたします。
  199. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 先ほどから先生の御意見を承わっておりまして、まことに私ども、ごもっともかと存じております。私ども道路を担当しております立場といたしましては、できるだけ早く道路整備を進捗させたいわけでございます。整備をいたしますには、ずいぶん経費が要るわけでございまして、国の経費も要りますが、また、地方負担ということもなかなか大へんでございます。ことに、最近数年のように、地方財政がなかなか楽でないという状態になりますと、国の方で考えたくても、場合によっては、むしろ地方負担関係の用意ができにくいために、せっかく考え事業もあきらめて、道路予算を返上するというような場合もなきにしもあらず、過去には現にそういうこともございました。そういうことのないように、一つできるだけ早く整備が進むように考えておるわけでございます。そういう立場から考ますというと、こうした地方へ融通いたします資金につきましても、利子そのものをできるだけ一つ安くして、負担を少くするようにいたしたいわけでございます。できるならば、この六分そのものも、これより安くできれば、なおそれに越したことはございませんし、六分ということで借りておるものは、そのまま六分で地方へ貸せば、これはけっこうでございますし、できるだけそういうふうに地方負担を軽くして、そうして早く道路整備を進めたい、これが私どもの念願でございます、ただ、従来からの一般的な扱い方の問題もあり、ただいまのところは、政令において一応決定いたしておりますので、今直ちにそういうふうにということは、大蔵省の方へいろいろ話しましても無理かと存じますが、今後の問題といたしまして、自治庁の方ともよく御相談いたしまして、共同戦線をとって、機会があれば、また大蔵省の方ヘよく一つ話しまして、先ほどからいろいろお述べになりました御趣旨に沿うように努力して参りたいと考えておりますから、どうか一つ御了解をお願いいたします。  それから、先ほど答弁で一つ申し落しましたが、こうした預金部資金の金を借りて、その額がどのくらいになるかということでございますが、昭和三十三年度に借りる二とになっております額は、五十億八千万円ほどでございます。しかしながら、これはできるだけ、利子のつく金でございますから、借り入れするのをおくらせる。できるならばおそくするようにしておりまして、これは三月中に借り入れる、三月も一ぱいに借り入れるという予定でおる次第でございます。
  200. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もおそくなって恐縮ですが、いま一つ、おたくの方からなのか、あるいは自治庁なのか、ちょっとわかりませんが、道路に関する事業費というのが今出ておりますが、これを見ますと、五ヵ年計画は三十三年から発足するわけなんですが、三十三年度では三百二十八億円、三十四年度では三百五十二億円、こういうふうになっておる。それ以前の決算額は、三十二年度までの決算額はここに出ております。この三十二年度の決算の約三百五億というものと、三十三年度あるいは三十四年度の額を見ますと、あまり違わないわけですね。三十二年度が三百五億でございますから、三十三年度ではそれよりは二十三億多くなっておる。それから、三十三年と三十四年と比べますと、二十四億ですか、これも増加になっておる。大体同じくらいの額が毎年ふえていくというような格好です。これでいって、先ほどもちょっとお尋ねしましたように、千九百億のいわゆる地方単独事業道路費が、果して消化できるというふうな見通しが立つかどうか。かりに千九百億というものを、これは機械的に五等分してみますと、一年三百八十億になります。初年度あるいは二年度の三十五年度には、必ずしも等分した三百八十億というものは必要でないかもしれませんが、少くともこれからはもっともっと大きくふくれ上っていかないことには、千九百億というものを消化できなくなる。そういう点からしますと、私どもは、現に三十三年度がこうであり、三十四年度がこれしかできないとすれば、何べんも申しますように、果して千九百億というものが地方自治団体のいわゆる単独事業としてのそういう範囲でまかなえるものであるかどうかということが実は心配になってくる。この調子でいきますと、三十六、七年はうんとふくれて、四百億以上にならなければ、これはとてもまかない切れないということに、数字的にはそういうふうになってくるわけなんですから、この点どうでございましょうね。この資料はどこから出たかよくわかりませんが、自治庁ですか。
  201. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お手元に差し上げておりまする数字は、建設省で作成されております「道路統計年報」の数字を掲げたものでございます。千九百億円の年次計画は、これは建設省からお出しいただいたものだと思うのでありますが、たしか毎年六・五%ずつ伸びていく経済成長率に合せまして、毎年ふえていくということにいたしますと、こういう姿でいきまして、千九百億という数字になるようでございます。歳入の点につきましても、そういう意味増収を見込むわけでございまするので、私たちとしては、そういうような財源措置はできるんじゃないか、またこういう閣議決定もなされていることでございますので、できるように財政措置はしていきたい、いかなければならないと、かように考えておるわけでございます。
  202. 鈴木壽

    鈴木壽君 それは、今後の経済成長率をどう見るか。これはいろいろ見方もあるでしょうし、私どもも、今おあげになったような率で、今後そのままいくものかどうか、これは私ども、正直のところわかりません。わかりませんが、今までの他の地方のいろいろ仕事のやり方から見て、いわゆる県単事業ほど年によって、何と言いますか、多くできたり、あるいはまた減ったりするものはないと思うのです。何か不景気みたいなことになると、がたっと下ってみたり、これは、全体の数字をとってみれば、ここにおあげになったような数字として大体そろえておるのじゃないかというふうに見られるかもしれませんが、団体ごとには非常に差かあるわけなんです。しかし、それはともかくとして、ただ成長率をかけていったことだけで、果して、今言ったように、地方において単独事業をそういう率に見合うような伸び方でやれるかどうかということを、私、ちょっと今、これは簡単にそういう、かうに言っていいものかどうかわからないわけなんですが、ただ数字の上からいうと、たとえば三十三年度におきまして、五年間の平均三百八十億だとしますと。三百二十八億しかない。こうしますと、ここで大体五十億からの差額が出ておる。それから、三十四年度におきましても三十億くらいの差額が出ておる。これは後年度に持ち越される格好にありますから、後年度では、四百何十億というようなときがあるのじゃないかと思うのですが、計画通り千九百億やるとすれば、そういうことが地方として負担に耐えられるかどうかということについて、私、ちょっとやはり心配な点があるものですから、これは将来の問題ですから、今ここで、お互いにはっきりどうのこうの言い切るわけにはいかぬと思います。けれども、ただ数字からしますと、何かあまり安心できないような状況になるんじゃないだろうか。こういうふうに思うのですが、局長さん、どうですか。
  203. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 率直に申しますと、建設省でお作りになっております三十四年度以降の単独事業費の年次割の額も掲示したかったのであります。しかし、建設省の方では、閣議決定をしておりませんので、残事業費幾らということでしか発表していないと、こういうことでございましたので、そこはふせたわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、経済成長率とにらみ合せまして、毎年相当の事業費がふえていくという計画をお立てになっていますし、また、歳入の面におきましても、自動車の台数だけでも年々相当数伸びていっておるわけでございますから、地方道路譲与税にいたしましても、軽油引取税にいたしましても、相当の増収を見込んでいるわけでございます。御指摘になりましたように、先のことでございますから、果してそういくものかどうかわからんと言われればそれまででございますけれども、千九百億に関する限りは、私たちから見まして、そう単独事業にしわ寄せをした形だとは決して思っていない次第でございます。
  204. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、建設省もまだ発表していないことですから、何べんも申しますように、将来のことですから、あまりここでどうのこうのと言っても始まらないと思いますけれども、ただ、三十三年度、三十四年度で、ここに示されたような、三百二十八億、三百五十二億だとしますと、この計は六百八十億になります。千九百億から六百八十億を差し引きますと千二百二十億、これは、残りの三十五、六、七と、三年でやるとすれば、三等分すれば、大体四百十億になりますね。こういう数字は、今から相当はね上った数字になりますから、そういう点、実はちょっと心配だな、こういうことなんです。実は、むずかしい経済の成長率とか、六・五をかけるとか何とかいうことは、私どもよくわかりませんから、ただ大まかな常識的な私の見方からすると、どうもこれは千九百億と、せっかく大きな期待を持った五ヵ年計画が、地方のこういうところからくずれていくんじゃないだろうかというふうな心配があるものですから……。しかしこの問題は、将来にわたる問題ですから、今後の地方財政がどうなっていくかということも、実は的確に把握できない現状でございますから、私は打ち切りたいと思います。  以上、私はきょうはこれで、特別会計の利息の問題については、あとで一つ計算ができましたらお知らせいただきたいと思います。さっきの五厘の問題ですね。どうお使いになるのか。交付公債に行った場合にどの程度、何といいますか、実質的に地方団体負担しなければいけないのか、それとの問題があるということでお伺いしておいたのですから、これはあとで、きょうはこれで終ります。
  205. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいま御質問になっております、地方公共団体が納付いたしますところの直轄事業負担金は、交付公債で納付されますが、その場合の納付にかかる経費というものは、道路整備特別会計の財源に充てなければならない、こういうふうに特別会計法にも規定いたしておりますし、道路整備緊急措置法にも規定いたしておりますので、いずれにいたしましても、道路整備財源に充てる、こういうことになるわけでございます。五厘の金が幾らになるかというのは、これは、国の直轄事業の全体の計数を出せば出るわけでございますので、その点は、数字をもってお手元に差し上げてよろしいと思います。
  206. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、そういうことを聞いておるのじゃなくて、五厘でどのくらいになるかは、すく算術でできます。三十四年度七十五億に五厘かければ三千七百五十万円と、すぐ出ます。私、そういうことでなくて、六分を六分五厘で借りさせるということで、五厘のいわば、少しえげつないような言葉で言えば、さやみたいなものがありますな。それを何にするかと言ったら、中には、交付公債等の計算の上で、多少、何といいますか、そういう面でも後年度に延びていく関係で、利子の関係でも多少かかるような話もありましたし、事務的なことにでもかかるような話にちょっと聞き取れたものですから、そんなに五厘もかかるのか、同じ事務的なものであっても、そんなにかかるはずがないじゃないか、一体どのくらいかかるのか、それを示してもらいたいと、こう言ったのですがね。ですから、五厘そのものの額とか何とかということでなしに、私は、さっきそういうふうに聞きましたものですから、そういうふうにお尋ねしたのですが、五厘はそのまま、これは何か別の交付公債に切りかえたために、後年度にだんだん納めさせるために必要な経費ということでなしに、五厘そのものは、特別会計そのものとして、浮いたものは使えるのだから、使うのだと、こういうことなんですか。
  207. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) その通りでございます。
  208. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきの話とだいぶん違ってきたものですから……。さっきの話、私の聞き取り方が悪かったのかもしれませんが、じゃ一つ計算してみてくれ、どういうふうになって、手数料はどのくらいかかるのか、計算してみてくれと、さっき言ったはずなんですが、今聞いた話が最終的に正しいお答えだとすれば、何もそれまで言いませんから、五厘はそのまま特別会計全体として使うのだ、事業費に使うのだと、こういうことなんでございますね。
  209. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) さようでございます。
  210. 鈴木壽

    鈴木壽君 ではよろしゅうございます。
  211. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  212. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは速記起して。
  213. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) お手元に差し上げてあります資料につきまして、ちょっと簡単に御説明いたします。  お手元に「特定多目的ダム建設工事特別会計昭和三十三年度事業の借入金借入実績」という表がございますが、ここに書いてありますように、三十四年の一月と、日にちは書いてございませんが、一月の十二日でございますが、五千八百万円、それから三十四年の二月十六日に六千二百万円、三十四年の三月十日に八億六千九百十六万七千円、合計九億八千九百十六万七千円、これだけのものが三十三年度の所要借入金といたしまして、借り入れてきたわけでございます。で、全般的にいろいろお話があったと思いますが、ダム特会におきましても、できるだけ利子の負担を軽減することがいいのじゃないかというわけで、財源といたしましては、一般会計の繰入金とか、あるいは借入金、それから電気事業者等の負担金、そういうものがあるわけでございますが、その負担の割合は一応きまっておりますが、まあ利子のかかります金につきましては、できるだけおそくいたしたいというような関係で、こういうふうに、三十三年度におきましては、第四四半期以降に借りております。特に一月、二月というふうに借りておりますのは、これは、道路と違いまして、ダムの場合におきましては、土地改良とか港湾と同じように、各箇所ごとに、一般会計が幾ら、それから借入金が幾ら、それから電気事業者の負担金が幾らと、きまっておりまして、その箇所ごとに、工事の終りますものは、まあ幾ら何でも、工事に間に合うように借りなければいかぬというわけで、一月、二月、そういう時に借りております。その他はできるだけ延ばしまして、最後の八億六千何がし万といいますものは、これだけの余裕があれば三月中に大体やれるのじゃないか、そういう余裕を見込入まして借りたわけであります。  ちょっと利子のことを申し上げますと、一月十二日に借りましたのが、三月十日で五十四万円何がし、それから、二月に借りましたものが二十二万六千何がしと、合計七十六万七千何がしは、実は三月十日の八億六千九百万何がしに入っておるわけでございます。  大体の資料の何としては、そのようなことでございます。
  214. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会