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1959-04-07 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月七日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 四月二日委員松野孝一君、新谷寅三郎 君、石坂豊一君及び松平勇雄辞任に つき、その補欠として木暮武太夫君、 木内四郎君、森田豊壽君及び平島敏夫 君を議長において指名した。 四月六日委員江藤智君、平島敏夫君、 森田豊壽君、柴谷要君及び小林孝平辞任につき、その補欠として上林忠次 君、柴野和喜夫君、林田正治君、野溝 勝君及び椿繁夫君を議長において指名 した。 本日委員上林忠次君、林田正治君、木 内四郎君、佐藤清一郎君及び青木一男辞任につき、その補欠として江藤智 君、下條康麿君、笹森順造君、川口爲 之助君及び鹿島守之助君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            鹿島守之助君            川口爲之助君            迫水 久常君            笹森 順造君            塩見 俊二君            下條 康麿君            西川甚五郎君            森田 義衞君            小酒井義男君            杉山 昌作君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君    建設省道路局長 佐藤 寛政君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    運輸省自動車局    整備部長    岩崎  清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方道路税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○交付税及び譲与税配付金特別会計法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会を開会いたします。  昨六日付をもって委員平島敏夫君、森田豊壽君、柴谷要君、小林孝平君が辞任し、その補欠として柴野和喜夫君、林田正治君、野溝勝君、椿繁夫君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これより揮発油税法の一部を改正する法律案外三件の税関係法律案一括議題といたします。  御質疑のある方は、順次、御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  4. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて下さい。
  5. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 揮発油税について少し御質問したいと思いますが、大体問題は、まあいろいろ連合審査会においても、またそのほかの委員会等で、問題は出尽しておるのですけれども、どうも私ども納得がいかないところが多いのです。しかし、まあ少し私きょうは事務的になってあるいはこまかいことになるかもしれませんが、お尋ねしたいと思います。  大臣お話では、とにかく道路整備は非常に必要だ、どんどんよくしていかなければならぬ、これにはうんと金がかかる、それには目的税というような性格を持っておるこの揮発油税でそれをまかなっていきたい。しかし、揮発油税道路をよくするためには必要なだけ幾らでもとれるという意味ではない、あくまでそれには限度があるので、負担力限度というようなものを考えなくちゃいけない。主として大蔵大臣が言っておられるような理由は、今のところガソリン税は安い、そして負担力もあるし利益もあるのだ、こういう二つの点をおあげになって御説明になっております。  その中で、ガソリン税が安いか高いかという議論があったのでありますが、これはどうも大蔵大臣は、この間の連合審査会のときの村上委員の御質問で少し折れられたのじゃないか。必ずしも安いということばかりも言っておられない。外国と比べてもガソリン税そのものは必ずしも安いとはいえないという点において、折れられたように私は理解するのであります。それから利益の問題でありますが、これも将来を見越しての問題であって、数字的にはいろいろ計算はありますけれども、現状においては利益があるとはいえない、これは肯定されているのじゃないかと思います。  あとは負担力があるのだという点が唯一の論拠になっておるように思うのでありまして、その論拠一つ理由が、この間大蔵省から配付を願った資料のこの二枚の表なんです。この表について少しお聞きしたいと思うのです。日本銀行企業経営分析調査というもので比較してみると、全産業というか、全部の産業に比べて道路運送業の方が利益率が多い、従ってこれで税金負担能力があるということが非常に論拠になっているように思う。まあこれで二つ材料を出しておられる。日本銀行のやっと法人企業統計というのと出しておりますが、その中で、かりに法人企業統計の中の数字を見ましても、この七・の何ぼという数字があるんですが、これは地方鉄道みたいなものもこの中に入っていると思うんです。その地方鉄道が七・何ぼというようなときに、これは非常に企業としてやっていけないんで、運賃値上げをしなければならぬという基礎に立った数字だろうと思う。だから、全産業と比べてこの率が少し多いからといってこれだけで負担力があるのかないのかということはいえないというように思うんですが、その点はどのようにお考えですか、まず御意見を伺いたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ負担力があるか、あるいはガソリン税率が適当かどうかという問題ですが、別に所信を変えておるわけではございません。最初から申し上げておるように、道路整備は急務である、目的税的な揮発油税をその財源にするというその考え方。まあそれかといって幾らでもそれじゃとるんだ、そういう考えじゃない。これはまあ常識的な話でございます。それで、税の問題ですが、税の問題としては、やはり何と申しましても、税率基礎にしての議論と、税額そのものを取り上げての議論と、これはもう二通りあると思うのであります。そこで、外国例等でこの間村上委員からのお尋ねの際に主として議論になりましたのは、税率が高いとか安いとか言われた。しかし、これは税率の問題でございまして、その国の経済あるいは国民生活状況いかんによっては、税率が非常に低くても、消費額が多くて、税額がなかなかきつい負担の場合もあるのだというお話をいたしまして、税率税額をあわせて考慮を願いたいというふうな、こういう意味お話をいたしたのでありまして、別にかねての主張を後退させたり、よろめいたりしておるのではございません。しかし、そのいずれにいたしましても、払う消費者、これが十分というか、がまんのできるもの、あるいは納得のゆくものであることは、これは税をとります場合には当然のことでございますが、そういう意味の理解は当初から持っているが、今日も続けて持っているわけでございます。  そこで、この利益率の問題でございますが、利益率の問題はなかなか検討のしにくい問題であります。一応お手元に差し上げてある数字日本銀行各種産業利益率というようなもの、利益率というものが出ておるわけでございます。ところが、この表に漏れておるものもございまするしいたしますから、その個々の具体的の例をとってお考えになりますと、言うことが当らないじゃないかというようなものもあろうかと思いますが、運輸業界総体的傾向といたしましては、利益率平均以上のところへ行っておる、これだけははっきりいえるだろうと思うのであります。しかして、利益率が高いとか低いとか申しましても、当然多額の資本を出しておるのでございますから、相当利益はあげなければ事業としてもちろん立っていかないのであります。まあこの統計をとりました当時の経済情勢というものも、いろいろ議論があるでございましょうし、まあそういう意味で、この数字そのものが動かすことのできないものだ、こういう言い方を申し上げるわけではありませんが、大勢としての動きを実はこの数字が示しておるのじゃないか、こういうことを申し上げたいのであります。  もう一つは、今地方鉄道お話が出ておりましたが、運輸業界そのものとして、地方鉄道が入りました場合はおそらく利益率は低くなっているだろう、総体として。場所によりましては非常にいいところもございましょうが、悪いものは悪いということで、これは投下資本が大きいだけそういう影響が出てくる。だから、これは地方鉄道が入った場合に、いわゆるバストラック等賃金を上げなくてもいいという議論と、上げなければならぬという議論と、二通りが出てくる。この地方鉄道を含めての運輸業者といっている場合に、鉄道部門あるいは兼営部門、しかもバスを除いてデパートその他の収益率その他のものを見て一緒になると、これは非常に議論が紛糾してくるものではないかと思います。そういう意味で、御指摘になりました点が必ずしも私には納得がいかない。まあ過去の鉄道運賃値上げのような場合の説明を聞いたところでは、運輸会社自身が、交通会社自身が、全体としての収益相当高いが、結局鉄道そのものとしては収益は十分上っておらない、そういう会社について高い賃金率引き上げを必要とする、こういう説明をされたように思います。現実にたとえば一例をとって申せば、東武鉄道の場合などはそういうことがはっきりいえる。東武鉄道は確かに鉄道部門ではいい成績をあげておらない。しかし、自動車部門では相当成績をあげている。これははっきりいえる。今度は逆に東急の例をとってみれば、東急の場合は一体どちらがいいのか。おそらく双方とも適当なところへ行っているだろうし、さらにその百貨店などが相当収益をあげている、こういうことだろうと思います。だから、天坊委員の御指摘になりました点は、悪い方の例にもなるでしょうが、いい方の例にもなるだろう。だから、これは少し問題を紛糾さしてくるだろう。だから、その点はガソリン税引き上げという点については、やはり自動車プロパーの問題として立論していただきたい、かように思います。
  7. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 初めの、前段で少し言いわけをなすったのですけれども、これは何か問題をはぐらかすだけの問題としか受け取れません。まあ安い高いの議論はいろいろありましょう。しかし、税込みのガソリン値段比較的安かった、これはいえると思います。しかし、そのガソリン価格の中に入っているガソリンの税は私は高いと思うのです。外国に比べても、とにかく何じゃありませんか、三万六千円、その中で一万八千三百円という税は高い。で、しかも、ガソリン値段は三万六千円というのは小売値段でしょうが、大きな商社は小売値段ではなくて、卸売の値段で買っているやつもあると思うんですから、もっと安い三万一千円くらいで買っていると思う。その中の税の部分というのははるかに大きい。だから、税そのものは高いということは私は否定できないと思う。ガソリン値段が安いということは、これは需要供給関係で、その安い部分を税で修正するということは、これは私は少し行き過ぎじゃないかというふうに思うのです。  まあその話はそれとして、今この負担率の問題で、鉄道一つ一つ産業についてということで、こういう例もあるとお話しになりました。私も一つ一つの問題でその問題を議論しようとは思いません。安い方の例も一つ一つなら幾らでもあるわけです。しかし、日本銀行統計で、鉄道事業というものを別にとっているこの同じ数字があるのですが、それは大蔵大臣御存じないと見えるのですが、鉄道事業に関しては、はるかにこの道路運送業にあげている数字よりも高い。いいんです。それでも、まあ鉄道事業自身は、運賃改正値上げをしなければやっていけないという数字になっているんです。この平均産業から比べて少しばかり高いからというだけで、これが非常に負担力があるということにはならない。よろしゅうございますか。これはもう明らかに、日本銀行の同じ統計表道路運送業と書いたやつの上に、鉄道事業についてはもっといい数字が出ている。それは一つ傾向としての、議論としては傾向議論をしているのですから、問題をそらさないようにお願いしたいと思います。  そこで、この比較をするときに、純益、売り上げの純利益率で比べるのがいいか、営業利益で比べるのがいいかという議論一つあると思うんです。もし、ほかの営業外利益が同じように比例しているのなら、その純利益率で比べてみても私は比較はできると思いますが、この日本銀行の表の同じ欄の隣に、営業利益売上高との比率が出ているんです。これを見ますと、明らかにその数字とは逆になっている。そこで、これは事務当局でけっこうだんですが、一体純利益率で比べるのがいいのか、売り上げ利益というか、営業利益というもので比べる方が、こういうガソリン税というような、営業の中に入っている材料購入費なんですから、私はそっちの方が適当じゃないかと思いますが、その点はどうお考になりますか。
  8. 原純夫

    政府委員原純夫君) 純利益率が絶対のものだとは思いません。この営業利益率、すなわち荒利益率を見るということもよろしいと思います。ただ、私どもとしましては、最終的にこの会社利益幾らになったかという意味では、最後の純利益率で見るという形で見ただけでありまして、決してお話荒利益率を無視してよろしいとは思いません。やはり両方見るということがよろしいだろうと思っております。ただ、まあ最終的には、企業としてはどうかという点は、最終利益のところで出るということで、簡単にするために一つだけ出したということでございます。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどの税額の問題ですが、一通り申し上げておきたいと思います。これはもうすでに御承知のことだと思うのですが、一キロリットル当り税金は一体各国幾ら納めておるか。日本は現在十八円でございます。それを今回三割上げよう。アメリカは一キロリットル当りが八円、これは非常に安い。イギリスは二十七円。二十七円で、今回日本が上げるよりももちろん高い。ドイツは二十五円、フランスは六十円、イタリーは四十三円、こういうことになっております。私は、こういうその率でガソリン価格に占めるガソリン税というものが、まあ先ほど来高いとか安いとかいう議論でございますが、各国の例に比べてみますと、日本は三割上げましても、これはアメリカを除くと、そのほかの英、独、仏、伊、それよりも安いということがはっきりいえる。しかしながら、支払う方の人から申せば、消費量との関係もございますから、幾ら安いと申しましても、総額が非常に高い。高い金額になる場合があるから、税率だけではいけぬという議論をいたしておるのでございます。  それから、もう一つ別な例でございますが、たばこ税金を煙にしている、あるいは酒は税金を飲んでおるということがいわれますが、たばこの場合は、日本小売価格で税が占める割合は六四%、アメリカは三五%、イギリスは七〇%、ドイツ五六%、イタリー七三%、こういうことになっております。たばこガソリン一緒にする考え方はございませんが、そういう意味で御披露するわけではございませんが、こういうような税金が高い、税金そのもの価格が決定される、こういうような説明をなさいますので、一応今の金額だけつけ加えさしていただきます。
  10. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 話が二つに分れているのですから、一つ一つやらぬと問題がこんがらかってくると思うので、話がちょうど利益率の話になりましたから、これだけ一つ答えをつけたいと思うのです。今お話で、どちらを使ってもいいのだというお話です。しかし、傾向が同じような数字が現われているときならば、両方とも出してどうだというふうにされる方が親切だと思います。非常にこの、純利益率で比べた場合と、営業利益で比べた場合と数字が違う。少し読んでみましょうか。とにかく全産業で、三十一年の上期は、営業利益と純売上高比率でいいますと、三十一年の上期は六・九四、これは平均産業です。それから、三十一年の下期が七・四一、三十二年の上期は七・三三、ところが、道路運送業という欄では、三十一年の上期は六・八八、下期は六・五九、三十二年は六・五四と低いのです。そこで、これはどちらをとる方がいいかという問題になってくると思うのですけれども、少くともそういう比率があるのに、片方の都合のいい数字だけお出しになるというのは少し私はおかしいと思う。
  11. 原純夫

    政府委員原純夫君) 先ほど言葉が足りなかったのですが、私は、両方を見る方が十全でありましょう、しかし、最終のその企業としてのもうかり工合は純利益に出ると申したわけです。そして道路運送業荒利益に比べて純利益が多いというのは当然だと私は思うのです。つまり、荒利益をとれば、総体的に他の産業に比べて荒利益はより低いが、純利益はより多いというのは当然だと思うのです。これは御案内のことだと思いますが、荒利益と純利益との差は、まあ宣伝広告料を含めての販売経費、それから総掛り費というようなもの、その他決算整理の諸事項というようなものが入っておりますが、大きな数字はやはり販売経費的なものであります。製造業販売業等にあっては、そういうものがどうしてもよけいかかる。運送業というのは運賃諸掛りというようなものは自分が運送しているだけであまりかかりっこない、販売経費は少い、結局荒利益がほとんど純利益になっていく。他の産業にあっては荒利益はある程度出るけれども、その中から取られる部分相当多いということがあると思うのです。そういうような意味で、荒利益の方は逆に少くなるということはもう当然の傾向であろう。やはり運輸業としての力を見るのには、荒利益は低いけれども、それから引かれるいろいろな諸掛り費販売経費も少いから、結局利益は多いということになれば、その企業としての収益力というものは、やはり最終の純利益のところでそういう意味では考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うのです。もし、おっしゃる三期の間に決算整理的な事項で非常に特殊なことがあれば別ですが、大体の傾向としてはそういうことではないか。従って、私どもの見ております純利益、結論的にはむしろ純利益の方がずばり企業の力を示すものではなかろうかというふうに思うわけであります。  まあその他、企業の力を示すものとしては、収入に対する利益率のほかに、使用資本に対する利益率というようなものもあるかと思います。私ども、もちろんそういう数字はずっと見ておりますけれども、あまり複雑に申し上げてもということで、資本利益率を一応調べたものはございますが、それらを総合してみまして、決して道路運送業が特に利益率が低いとは思われない。また、前回相当大幅に上りました三十二年度上期においても、その前の期に比べて特に落ちるというようなことはなかった。もちろん、これはそのときの事情はありますけれども、そういうような点を見ていろいろ申し上げているところであります。
  12. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 そこのところは意見の相違だといって逃げ込まれそうですけれども、しかし、私はやはりあくまで営業利益で見るのが正しいと思うのです。特に法人税とか何とかで、最後のところは収益力を見られるなら、純利益の方がいいかもしれませんが、あくまでこれは営業で処分していく問題なんですから、営業利益で見るべきだと思うのです。これは意見の違いがあるといわれればやむを得ませんが、そこで、主税局長一つお尋ねいたしますが、この日本銀行のモデルの調査がこの中へ入っていますか、どういう会社が入っていますか、どういう会社をお調べになったのですか。
  13. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私、今手元資料がありませんが、私の記憶では、日銀道路運送業は、割合大きなタクシー業、それから貨物運送業割合大きな会社が、数は割合に少く入っているように記憶いたします。それから法人企業統計の方は、中にサンプル的に引き出して、いろいろなクラスを出しておるというふうに記憶いたしております。法人企業統計の方は、資本金段階別にそれぞれサンプリングの角度を考えまして、五千万円以上の会社は全部、それからだんだん比率を下げまして、五百万円から一千万円までのところは一割、もっとも低くなりますと二%、一%というふうにいたしまして、抽出比率を設けて出しておる。日銀の方はそうじゃなくて、たしか数社だったと思います。
  14. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 これは、日本銀行のやつは私に言ってくれないのです。これは秘密だというのです。だけれども資本金が一億円以上で東京株式市場に上場している会社、そんなのはないのですよ、大体。日本通運くらいのものです。そういう特殊な会社の例を持ってきて、その数字の中でどれがどうだということは、私はこれは比較にならないと思うのですよ。この点はあるいは運輸省あたりが、特に免許事業ですから、何かそういう材料をお持ちではないかと思うのですが、私はこれを使うのはひどいと思う。運送業者の数は、トラックでいいますと、おそらく一万以上業者があって、そこで自動車十台まで持っているというのが大体九割なんです。その中で一億円以上のやつとか五千万円以上のやつは数えるほどしかない。三つ四つしかないのですが、そういう特殊なやつを一つ二つ例を引いて、この事業はどうだという言い方は、私は非常にいかぬと思う。
  15. 原純夫

    政府委員原純夫君) ちょっと釈明いたします。私どもそれは承知だったのですが、これは実は揮発油税のことは相当数年前から議論がありましたが、その時分に私どもは、この法人企業統計というのは、今申したようにかなり広くサンプルを集めてやっているので、これは相当落ち着いたいい数字だと思っているのです。これだけでやりたかったのですが、ところが、その時分には日銀の方が、天坊さんのような立場で御議論されるのに有利であったわけです。なぜこっちをとらぬかという何があったので、並べて出したという経緯なんです。今回この表では両方がどっこいどっこい、昔の方が日銀の方が有利な数字が出ておりますが、そういう経緯がありますので、この問題を議論される方々には、この二つ数字がいわばもうならわしのようになっているので、法人企業統計だけの、それも大蔵省の作りましたものというのに気がねをしたわけではありませんが、まあ二つ出しておこうというので、別段他意はございません。
  16. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 これは私たちの方でも調べがあるし、運輸省の方でも何か調べがあると思いますが、こんないい数になっていない。しかも、この税の問題は、今大臣各国との比較を盛んに言われて、必ずしもよそと比べて高くないとかということを言われましたが、しかし税の問題はやはり、国内のほかの税とのバランスの問題が一番大きい。そこで、ほかの税については、いろいろ税体系を変え、間接税についてもいろいろ全般的に考える、こう言っておられる。あくまでも現在やられる手直しとかいう程度のものにすぎない。その中でこの揮発油税に関しては、道路がどうだからすぐこれだけについては幾らとれるのだという制度にするものなんだとすると、こういう重大なときに、私は材料をもう少し正確につかんで、そしてその事業についてとにかく負担力がどうなるのかということを、もう少し精密に調べた上でおやりになるべきだと思います。私は、その点は非常に粗雑だと思います。  運輸省で、何かこの問題について、こういう数字を、関係業者利益率というようなものは相当ほかの産業と比べて余裕がある、いいという数字がおありかどうか。
  17. 岩崎清

    説明員(岩崎清君) 最近のやつを申し上げますと、これはちょっと古いのでございますが、昭和三十二年度のものがございますが、収支率から見ますと、バスが九二・九〇で、ハイヤー、タクシーが九二・六五、それからトラックが九六・三九となっております。運送事業以外のものもいろいろ出ておりますが、全産業としては九五・三三ということに相なっております。
  18. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 今の数字は収支の比率だと思いますが、そうですね。
  19. 岩崎清

    説明員(岩崎清君) そうでございます。
  20. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 今の数字をおとりになっても明らかなように、一つトラックなんかは非常に悪いということだと思います。これはしかし、運輸省としては、片方で自由事業でなくて非常に免許制ということで監督なさっておりますから、こういう数字で、一番初めの議論のときに、運輸省としてのはっきりしたこうしたものの負担力があるかないかという数字材料を十分お持ちになって、大蔵省なんか、こういう税をとろう、こういうときには一応十分納得するようにお話しにならぬといかぬ。最初の材料が非常に日本銀行統計資料だというようなことにおどかされてしまうと、それでずるずる引き込まれていくと、これは大臣の聰明な判断がくずれていく、私はそう思います。ですから、これはその点は文書が非常に不親切だと思うので、そういうものを一つ将来は直してもらいたいと思います。  今いろいろお話しのものが、負担率の問題について出ましたが、結局、私は非常に負担率が乏しいという言い方になると思いますが、しかも、これは私が今申し上げておるのは、運送業者だけの負担、この運送業者揮発油税に対して占めておる地位、運送業者負担する部分というものと、それ以外の運送業者自動車を持っておる人の負担する分は、どういう割合になっておるか。きょう資料をいただいたのかもしれませんが、その点についておわかりなら、運送業者は百九十三億なら百九十三億のうちのどれだけを負担して、残りを運送業者以外の者がどの程度負担するかという点がわかるなら、一つ……。
  21. 原純夫

    政府委員原純夫君) 全面的なお答えに結びつけるのに、最後がちょっと推論だと思いますが、大矢委員の要求によって提出いたしました資料によってごらんいただきますと、自家用の小型自動車、軽自動車というものの消費量というものの調べがございます。これは中小企業的な角度からの調べでありますが、これによりますと、三十三年九月末の車両数をもととして、その一車当り消費量を推定いたしましてトータルいたしますと、これらの車による年間消費量が百五十七万七千キロリットルということになっております。全体の消費量、課税消費量が四百二十四万キロリットルというのが三十四年ベース、三十三年は三百八、九十万、三百八十三万でありますから、約四割がそういうもので消費される。このほかに小型でない自家用車というのが約十万台ございます。これを加え、この分が幾らになりまするか、おそらく目算で見まして十五万キロリットル、二十万キロリットルにいくのじゃないか。それを合せますと、四割六、七分というような数字になると思います。そのほかがこの営業用の自動車、それからこの自動車以外の用途に使われる。まあ、半分ぐらいと見たらいけないでございましょうか。そのほかのところは、ちょっと推定でございますけれども
  22. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 これは結局、材料はどこから出しても水掛け論になると思うのですが、自動車の数量なり何なりからいくと、私は半分以上がそっちの方じゃないかと思います。この部分営業がとにかく〇・〇九%といいますか、こんなに営業が少いのだ、こういう数字をお出しになっておりますが、こんな程度で済みますか、私はもっと営業があると思います。やはり大きなやつを持っているところじゃ、どうしても一年に一万四、五千円ぐらいはかかるというのがほんとうじゃないか。これは一万五千円が多いから負担力がないといえるか。負担力があるといえば、そこも水掛け論になりそうですが、やはり私は相当個々の部分には負担が大きいのじゃないかと思いますが。
  23. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいまの資料で出しております実際のサンプル調査による、炭屋さん、それからくだもの屋さん、酒屋さんについて、五軒の実際の調べをいたしました。これはまあ私の方で調べたものでありますが、その結果の数字について御批判があったわけでございますが、先般来、中小企業における負担が大きいという意味でいろいろ立論される向きがありまして、そういう向きが自家用貨物自動車一台当り年一万二千円程度負担増になるという前提で御議論なさっております。私ども調べでは、この炭屋さんがそのうち三軒でありますが、その三軒が四千八百円、九千九百円、六千二百円、酒屋さんは一万六千円、相当大きな負担、それからくだもの屋さんが二千六百円というふうな負担増——負担増というのは何ですが、ガソリン税の値上り分がそれだけだというふうになっておりますが、売上高にいたしますれば率は非常に低いわけです。運賃自体では、申し上げているように、二%ないし三%というのが、この営業用の自動車の運賃に対する影響でありますから、売上高に対してははるかに少いというのは当然であると思います。  なお、これらは申すまでもありませんが、全部をそういう業者負担するとしてのことでありますが、その負担関係は、転嫁の問題は、私ども最終的には転嫁されるというふうに私は思っております。その間いろいろな摩擦がありまして、他の相殺条件があるから、すぐには移らぬにしても、最終的に転嫁ということでありますので、自営業者、こういう中小企業者についてもやはりすぐにこれが値段に〇・〇九%というものをかけるかどうか、これはまあそうすぐの影響はないと思いますけれども、全般のコストの一つとして転嫁の対象になるという点を、やはりもう一面としてもお考えいただきたいというふうにも思うわけであります。この数字は、私どもが虚心たんかいに、納税者のうちの特定のものを、非常に忙しいときでありますので、あまり数多くできないので特定のものをやりましたので、決して何かもっとよけい集めて都合のいいところだけ出したということはございませんので、一つ御了承いただきたいと思います。
  24. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 まあ若干火事泥的な御調査だと思うのでありますけれども、これはやはり少くない影響であって、これがほかへ転嫁しなければ、小売業者としては、町の商業者としてはこれだけの負担をかぶることになるし、転嫁していくとすれば、これは大衆に非常に大きな、さらに消費大衆にまで何がしか物価高に及んでいくということになると思うのです。非常に重大な問題だと思うのです。  しかし、それはそれとしまして、もう一度大蔵大臣ガソリン税値上げを運賃の問題との関連でお聞きしておきたいと思います。私は運賃値上げを決して望ましいものとは思いません。運賃値上げにならない方がいいと思うのでありますが、しかし、先ほどから申し上げるような事情で、影響するところが少いんだという言い方をされておりますけれども、やはり税の上る部分だけは、これはやはり必要によって値上げをしなければならぬ。これが値上げの事実上の問題で切り捨てになるとか何とかいう問題があるかないか、これは別として、その部分だけはやはり値上げを認めざるを得ないというふうに思うので、そういうふうな答弁をこの間大蔵大臣がされたように覚えておるのですが、それで間違いないでしょうか。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の申し上げたのは少し違います。なるほど、ガソリンは値上りになる。だから、値上りの部分だけは上げてもいいじゃないかとお考えになるが、それじゃ、安くなった部分があるだろう、安くなった部分だけは運賃を下げるかというと、そういうものじゃないでしょう。運賃を上げるか上げないかは、全体として十分見きわめをつけられて、適正運賃をお考えになったらどうですか。今回のガソリン税引き上げによって今までの運賃でむずかしいということは抽象的にはわかりますが、最近、それじゃ自動車値段はどうなっておる、部品はどうなっておる、修理代はどんなに変化している、あるいは油の消費量はどんなに変化している、こういうふうなこともやはり運賃をきめる場合には考えられる。だから、各線区を通じて一本で、これだけこうなったから当然運賃の値上げだ、こういう結論には必ずしもならないのじゃないでしょうか。また、このまま据え置いてよろしいと私は申しておるのじゃない。それは必要ならば必要に応じて運賃を上げてもかまわないが、今御指摘になりますように、非常に簡単に、ガソリンが引き上ったのだからそれだけは当然運賃に引きかぶるのだ、こういうことにはならない。具体的に十分に御調査願いたいということを申し上げておるわけであります。
  26. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 今のお話、一応ごもっとものような言い方になるのです。しかし、問題は、こういう税のように国家権力で一律に上げたり下げたりする、そこに問題がある。業者一つ一つのなにからいえば、ガソリンの購入価格そのものも、高いところもあるし、安いところもある。四万円で買っておるところもあるし、三万円で買っておるところもある。しかし、四万円で買わなければならぬ立場の業者が、自分のところも運賃を値上げしてくれと言ったら、これはお前のところのガソリンの買い方がへただということで取り上げてくれない。一律の国家権力で税を上げるということに問題がある。税の問題で、去年の春に酒の税を下げるという話があったとき、そのときに酒の製造の過程における原料が相当高く値上げをしなければならぬという時期だったししかし、やはり酒の税だけは下げてもらいたい。ほかの要素で上げる必要があったら、それを上げなさい。入場税の問題にしても、下げる必要があったらこれだけ下げてもらいたいということを、私どもは言ってきたわけです。若干酒の税とこれとは違うかもしれませんが、やはり建前としては、その分だけ上げなければならない事情があるのだというふうに解釈しなければならないと思うが、どうでしょうか。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この問題の性質は各方面に影響を及ぼすのでありますから、特に運輸業者としての持つ意義から申しますと、実はそう簡単なものではな。やはり経営者の経営の合理化も十分考えていただきたいし、そういう点も加味して、やはり運賃がいいか悪いかということをきめるべきである、こういう最初からの考え方に変りはございません。もちろん、具体的な線区についてどうこう申すわけではございません。
  28. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 私は、運賃値上げをしてほしいと言っておるのではない。しないようにしてほしい。しかし、そういうガソリン税みたようなものをふやせば、それだけ運賃は値上げせざるを得ないことになる。だから、軽々しく上げられては困る、こういう言い方で私は申しておるわけです。ところが、今のような格好でいけば、どうしてもこれは上げざるを得ないという言い方にしか、大蔵大臣としてはそう言われても仕方がないじゃないですか。運輸大臣がそのほかの事情で値上げする必要はないというお話は、これは別の問題である。大蔵大臣がそういう意見を強く言われると、運輸大臣はその点はどうなるか。ふらふらになる心配がある。  それから、もう一つ、ことにこういう経営の合理化云々というお答えで、いつもガソリン税値上げ、そっちの方へとっていってしまうということは、私はおかしいと思う。これは税の上る部分だけはやはり運賃を値上げするのはやむを得ないというところで、話は、大蔵大臣のお説は下りられるべきだと私は思う。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、今回の政府が提案いたしましたものでも、運賃に占めるその割合はおそらく二%ないし三%だろう、こういうふうに思います。そういうことを考えて参りますと、このガソリン税が引き上ったらそれだけは当然だと、これは国家権力だと、こういうことを言われます。しかし、国家権力でガソリン税が高くなっても、原油あるいは精製油原価は案外価格は下っておる。そういうことを考えると、一がいにガソリン税の高低だけで運賃引き上げの対象にすることは、議論が飛躍し過ぎはしないかと思うが、あるいはゴムが安くなったり、高くなったり、その他いろいろな諸掛りが運賃の場合には相当大きいのじゃないかと思う。過去のガソリン価格の変動等をごらんになりますと、運輸業者に非常に有利な場合もあるし、また最近は少し上向きだ。こういうところへ持ってきて税が上る、こういうことで運輸業者の気持はまたわからないではない。私は、大蔵大臣として新しい税をとりましても、それが直ちに運賃にはね返ることは、こういう考え方は適当ではないだろう、今の状況は。そういうことを勘案して今回の案を作ったわけでございます。  運輸当局、運輸省といたしまして、これでは業界はやっていけない、これはもう角をためて牛を殺す、こういうことは困る、こういう状態かどうかということは、これは運輸当局の御判断に待つ以外にない。
  30. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 前提として、ガソリン値段が動いたり下ったりとおっしゃることは、私はよくわかります。しかし、ほかの要素が上るか下るかの話をしているのではないのです。このほかの条件が同じならば、ガソリン値段も同じだというふうに考えるべきだと思う。  それから、もう一つお尋ねしたいと思います。これはあるいは、道路局の、建設省の方がおられないのですけれども道路整備の五ヵ年計画というものは、一般の経済の五ヵ年計画というものとのかみ合いはどうなっておるのかという点をお聞きしたい。ことに、五ヵ年計画が、九千億円という話でいったやつが、暮になって一兆円という道路計画に変ったわけですが、それが五ヵ年目にどうなるか。経済一般の五ヵ年計画はどういうふうに関連を持つかという点をお聞きしたい。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、数字的な問題としてのお話でございますが、一応この経済成長、経済長期計画と合せての道路整備五ヵ年計画を立てておるのでございます。そこで、大体の目標として考えられておりますものは、まず第一は、一級国道については五ヵ年間にこれが改造、整備が完了するものではございませんで、大体七年間という計画を立てておるのでございます。問題は、経済の成長もさることでございますが、一面にこれをまかない得る範囲が一体どうなるかということも、一面の、計画を立てました場合の基準にもなっておるのでございます。ガソリン税値上げなり、一般会計からの資金の繰り込み計画、そういうものと合せまして今回の計画を立てて、一級国道では三十八年三月末で七二%、二級国道は四〇%、そうして国道の合計としては五三%、こういうような全体を区分しての計画を立て、それに合しているのでありまして、これは大体経済の成長、自動車の数の増加、あるいは経済活動、それに対応するという考え方でございます。
  32. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 この道路整備五ヵ年計画というものを、これを継続費的なものにして、継続費というような格好で整理されない理由一つ承わりたい。これはこの間から伺っておりましても、大体主たる財源を、私どもは必ずしもそれだけでいいと思っているわけではないのですが、目的税であるところの揮発油税に主としてよっているという言い方をされておるので、五ヵ年間の分を私はきめていけばいいと思うのですが、それがきまっていないのですね。どうして継続費になさらないか、その理由をお聞きしたい。
  33. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 技術的な問題でございますから、私から答弁を申し上げます。  継続費、公共事業——道路に限りませんのですが、公共事業につきまして継続費を採用するかどうかということは、いろいろな判断がございます。現在でも、ダムのような非常に大きなもの、かつ特定したものはとっております。  それで、道路でございますが、道路につきましても、一級国道は非常に長期で特定したものについては、私は継続費の制度を十分とり得ると思っております。ただ、御承知のように、地方道のような補助道路等につきましては、路線等も今後五ヵ年間に十分検討して、逐次採用していくというものも出てくるわけでございます。そういうような状況でありますから、全体を継続費にするということは無理がある、こう思っております。  それから、継続費として、まあとり得ることはとり得るが、しからばなぜしなかったかということになりますが、これは建設当局の方で特別の要請もございませんでしたが、しかし、なかなかこれは継続費というものもよし悪しがございます。御承知のように、継続費制度が昔からございまして、案外とられないのは、やや弾力性に欠けてくるわけであります。一度それを採用いたしますと、新規の路線を入れるとか、そういうようなことは、やはり非常に窮屈になって参ります。まあ五ヵ年も先のことでありますから、道路全体の状況を十分新しい目で見ながら、逐次新しい情勢に応じて計画を修正していくというようなことも必要だと思います。まあ工事自身について非常に支障が、継続費をとらないために支障が来るということでありますれば、継続費をとったらいいと思いますが、道路の場合には比較的そういう困難がございません。工事の性質からいいましても、ダムのようなものと違いますので、そういう点からもおそらく建設省としては特に継続費を求めてこなかったのじゃないか、こう思っております。
  34. 天坊裕彦

    天坊裕彦君 最後に、これはさっきの話にもう一ぺん戻ることになるのですが、この前の委員会でも、結局、道路整備はますます必要だ、もっとできるだけたくさんしてもらいたいという要請があるわけなんですが、それに対して、道路整備がうんと強化されればされるほど、これはまたうんとガソリン税をよけいとるのじゃないかという問題が起ることが心配だということを申し上げたのですが、その意味からいっても、やはり負担力とか何とかいうものについて十分資料整備なさらなければ、私どもはこれに、毎回そういうことを議論を繰り返さなければならぬと思うのです。その点で、私どもは当分は道路整備をやってほしいけれどもガソリン税を増徴するということはやめてほしいということを、実は大蔵大臣にここで言明してもらいたいと思うのですが、それはできるかできないか、その点について見通しを一つ、およそお聞かせ願えればけっこうです。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) このガソリン税は、運輸業者がとにかく直接負担いたします。ことに最近は中小企業なりあるいは農業方面でもガソリンをずいぶん使われておりますし、そういう意味で石油の時代に入っておりますから、国民生活に非常に関係が深い。こういう意味で、このガソリン税をたびたび上げるということは、これは望ましくないことであります。これはもう政治的によくわかります。過去の例等を見ましても、また今回の御審議におきましても、なかなか政府原案がそのまま成立をしないような状況でございます。政府原案が成立をしないというところに、政府自身も非常に強い責任を感ずるわけでありまするが、毎回国会で審議を受け、そうして修正を受けて参りますと、将来のことについて相当の欠陥を生ずることは、今日もはっきりいえるのでございます。私どもは望ましいことだとは思いません。だから、その意味では、この種の事柄が起らないようなことが一番望ましい。そういう意味では、それは政府自身も非常にかたくなだとか、資料整備が不足だとか、あるいは実情についての調査も十分立っていないじゃないか、ただ腰だめで税を上げているのじゃないか、こういうような批判も受けますが、こういう意味道路整備の必要などということについての共鳴、共感もいただきまして、我慢、しんぼうのできるところは一つ御協力願いたい、これが私どものほんとうの気持でございます。  そこで、今後の問題でございますが、ただいまも継続事業にしたらどうかというようなお話でございます。この点は、一般財政からの負担という問題が一つあるわけで、その点を非常に大きく取り入れますと、予算編成上で義務的な支出がふえて参りますから、なかなか毎年の予算編成上に非常な支障を来たす、こういうことで、一般財源にはあまり手を染めないような形が望ましい。それから同時に、ただいま佐藤次長が説明いたしましたように、計画そのものから見ましても、鉄道建設の場合とはやや趣きを異にいたしておりますので、途中における計画変更等もあるから継ぞくということは考えない、こういう言い方になるのでございます。しかし、少くとも今日五ヵ年計画というものを提案いたし、この五ヵ年計画の二年度において中身を修正いたしまして、それに従っての道路整備計画でございます。そこで、私はいわゆる長期継続事業とは申しませんが、この五ヵ年計画遂行に当っての各年度年度の事業量というものは、十分その都度考えていいのじゃないかという感じはいたしております。  事柄は、消費者負担において道路整備するということであります。先ほど来御議論のありましたように、消費者自身に負担力があるのかないのか、あるいはまた、他の税は総体として減税の方向に向っているときに、ひとりガソリン税だけこれが引き上げの方向へ向う、いかにもこれは税体系としてもアンバランスじゃないか、こういうような御指摘、これはいずれも首肯のできることでございます。私どもは、この道路整備することによりまして、将来、なるほど税は高いが、総体負担としては、他の面で非常に仕合せだ、こういうものが出てくることを実は期待いたしておるのでありまして、またそういう意味から今回のガソリン税引き上げの場合においても、強い御批判として道路整備はこれからあと三年あるいは五年後じゃないか、そういうことを考えると、税金を先に納めるというか、そういう感じが非常に強い。そういう意味で、業界並びに民間人としてはどうも割り切れない、こういうお気持もわからないわけではございません。しかし、事柄の性質上、やはり基本的な方針として、長期計画としてごしんぼうのできる範囲は一つごしんぼうしていただきたい、こういうことを心から願っておる次第でありまして、今後の問題といたしまして、値上げなどそう簡単に取り上げる性質のものでない、この点を重ねて御説明申し上げておきます。   —————————————
  36. 加藤正人

    委員長加藤正人君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。本日付をもって林田正治君、木内四郎君、佐藤清一郎君、青木一男君が辞任されまして、その補欠として下條康麿君、笹森順造君、川口爲之助君、鹿島守之助君が委員に選任されました。   —————————————
  37. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵大臣に少しお尋ねをしたいのですが、実は前のときに、大臣から物価政策のことで少しお話が出かけて保留がしてあるのですが、これはなかなか時間のかかる問題で、大臣の学のあるところを拝聴しておるとなかなか時間がかかると思いますから、私は詳しいことはやりませんが、その後の連合審査会においても、何か低物価政策はあまり好ましいことではないというようなことも、ちょっと別の席でもお触れになっておるようなんで、一つだけ私はお尋ねしておきたいのです。  この前の所得税法等の審議の際の議論で、やはり米価等を例にあげられて、米価等でも高い方がいいじゃないかというように私が聞いたわけです。そうして経済を刺激をしていくというような方向に日本の今後の経済を持っていくべきであるというふうにお考えになっておるんじゃないかと私は受け取った。その後、何か新聞を見ますと、農林省は、米価は昨年同様でいくんだというような記事が出ておる。私は、米価を上げればやはり労働賃金の問題が出てきますし、賃金引き上げていく過程では社会保障費をどうしていくかというような、いろいろな関連性の問題が出てくると思うのですが、そういう問題は別にきょうやろうとは思いません。思いませんが、米価問題一つあげてみても、大蔵大臣の話と農林大臣の何か新聞記事による構想とは、だいぶ食い違いがあるようなんですが、こういう点はどうなんですか。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 少し所論が簡単でございましたから、今のような誤解を生じておるのではないかと思います。もちろん、私どもがいつも申しておりますのは、まあ大蔵省関係考えてみますれば、低金利政策、あるいはまた、もう一つは低物価政策、こういうことがいわれる。これはもうだれも議論のないところであると思いますが、ただ、低物価政策というその言葉は、今御指摘になりましたような意味でいろいろ誤解を受けるのではないか、その点を実は指摘いたしておるのであります。たとえば、今ガソリンの問題でいろいろお話が出ておりますが、低運賃を維持するという場合に、一番弱い者の犠牲においてそれを維持する、こういう形はいいことではない。なるほど、低物価政策といっても、それは弱い者いじめだ、こういう意味であります。あるいは石炭の場合にしても、適当なる賃金が払えないで、そうして生産費が安いからといって石炭を引き下げるような方向は、これは望ましいことではないのだ。だから、適正なものが一面に支出され、しかも経営の合理化によるその低運賃であることが望ましい。たとえば、繊維なら繊維が、繊維価格が安いに越したことはない。しかし、それは労働搾取の関係において安くなるようなばかなことはやりたくない。科学的技術的進歩によって、そうしてマスプロによってひとりでこれが下っていく、こういうことが望ましいのじゃないか。こういうことを実は申しておるのでありまして、私、低物価政策は反対だ、低物価政策は望ましくない、こういう意味言い方ではございません。  ことに、今度は逆な場合で、物価が高騰するという意味から申せば、これは適正な物価高騰であります限り、これは経済の繁栄を意味することで望ましいことだろうと思います。しかし、インフレ的な意味においての物価の高騰は、これは経済の健全性をそこなう、こういう意味において反対だ、こういうことでございまして、要は実質、実体を十分つかんでいただきたいということを申し上げたくってお話をいたしたのでございます。
  39. 小酒井義男

    小酒井義男君 私はかまいませんが、大蔵大臣非常にきょうは忙しいようですから、午後はほかの委員会からも呼ばれておるようなんで、本論に入りますが、この揮発油税の問題はなかなかいろいろな経緯が今まであって、昭和三十二年の引き上げの際に、あなたの方の党では、政調会と臨時税制特別委員会というのが二つ一緒になって、揮発油税の若干引き上げは行うが、これと同額程度以上の一般財源の支出を今後は行うという決議がされておるはずなんです。で、こういう決議はその揚限りのものだといえばそれっきりですが、こういうものがありますのと、今回の三十四年度の予算は、大蔵省事務当局の案じゃなしに、党の方で構想をまとめられて、それを事務当局の方で検討したという、党の責任で予算が編成をせられるという手続をとってきておるわけなんです。そうすると、そういう決議をしておる党からこうした決議を無視したような増税を出してくるということは、非常に一般国民として不可解な念を持たざるを得ぬと思うのですが、こういう点は大蔵大臣はどうお考えになっておりますか。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) かつて自民党の党内にある税制調査会で、税のあり方等についてただいまのような申し合せをしたことはございます。これはもちろん、そういうことを申すのでございますが、しかし、一般財源をこれで縛るというほどの強いものではなかったと私ども考えておりまする一般財源は、御承知のように、この支出の面で緊急度もありますし、あるいは事柄の軽重の度合いもございますし、そういう意味でできるだけのことをするという気持はございますが、そういう意味でのいろいろな変更がある。これはまた予算編成上当然のことでございます。この点は、私、いわゆる公約違反というほどの問題ではない。今回は、金額は同額ではございませんが、ガソリン税引き上げに見合うだけのいわゆる三割程度の増額はいたして、一応党の税制調査会としても、編成上やむを得ないと、こういう結論を出してくれたように、かように理解いたしております。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 従来のガソリン税が問題になったときは、大蔵大臣はあまりそういうことには賛成じゃなかったのが、今度大臣になられたとたんに、こういう問題が大きく出てきた。何かその裏に変なものがあるようだというようなうわさが飛んでおるのですが、そういうことになると、これは非常に値上げを受ける国民、消費者の方は大へんなしわ寄せを受けることになって、私は気の毒だと思うのです。そこで、今度の五カ年計画に基くところの一般財源からの支出額は三百十七億円、しかも、ガソリン税の増額をこれでされて、その中から三百十二億というこの大きな額が道路公団の方へ出資をせられるということは、これはどう考えても不合理じゃないか。ガソリン税負担が一方ではかかってくるのに、有料道路などに使われるところに三百十二億を持っていくということは、これはどうしても中止をするべき性質のものじゃないかと考えるんですが、こういう点はどうですか。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 前段の点では、私も非常に迷惑をいたしております。最近いかがわしいパンフレットも出ておりますが、こういう事実は全然ございません。また、私が党にいる時分ガソリン引き上げには反対した、今回大蔵大臣として非常に増徴している、一体どういう心境の変化なのだ、こういう意味の批判もあるようでございます。私は、先ほど来も申し上げておりますように、当時におきましては、これが、揮発油税というもの自身についてもなじみが非常に薄いし、道路整備の状況から見ましても、運輸業者その他消費者負担さすことは非常に困難だ、こういう考え方が強くいたしておりました。しかし、当時の沿革等から見まして、道路整備の面で相当支障を来たしておるのが現状でございます。かように考えてみますと、ガソリン税についてもなじみもよほど深くなっております。そういう、今日から申せば、今回のようなことが必要だと思っておるのであります。  次に、今回のガソリン引き上げ、あるいは一般財源等も投入しておるが、その財源投入のうちの大部分道路公団に入れておるじゃないか、こういう御指摘でございます。どうも、金額は、どの金が入っておるというわけではございませんで、その点は御了承いただきたいと思います。道路公団に多額の金を投入いたしておりますのは、今回の道路整備は、ひとり国道ばかりではございませんし、地方についての補助もありますし、また、道路公団自身が行います道路計画もあるわけであります。道路公団がやる場合においては、いかにも観光地だけの道路公団のように考えられまして、この点は真の道路公団の機能を十分御理解をいただけておらないんじゃないか、私は非常に遺憾に思っております。たとえば東海道線の一部においても、あるいは関門隧道であるとか、あるいは重要河川における橋梁であるとか、あるいは今度は名神国道であるとか、そういうような国の幹線道路についての諸整備にも、道路公団自身が計画を進めておるのでありまして、これはいわゆる道路公団の実態を十分理解していただきたいと思います。ことに、通過料等を適当なところで押える、こういう必要のためには、やはり政府出資が相当多額でなければ、安い採算のとれるような方法ができない、こういうことでございますので、道路公団に対しては相当多額のものを支援しておる、こういう形であります。
  43. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の、政府出資というふうに全額を私は解釈してしまうことには少し問題があるのじゃないかと思うんですが、しかし、大蔵大臣、今度のガソリン税引き上げ一つの大きな理由は、受益者負担ということを盛んにおっしゃるんですね。しかし、そういうところの受益者は、やはり利用者に有料で使わせるということの方が、受益者負担ということの趣旨が徹底するんじゃないですか。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いわゆる受益者負担ということを申しましたが、なるほど、北海道のバス業者が、九州の道ができたからといって、これは利益を受けないという議論があるかもわかりません。しかし、私は、そういう議論でなしに、道路は、道路を最もたくさん利用し最もその補修維持に関係の深い業態でこれを受益者としてめんどうを見る、こういう考え方が望ましいのではないか、かように考えます。ただいま言われますように、道路の使用料だけとったらどうだ、こういう議論ももちろん一部にはあるだろうと思いますが、それは過去並びに今日までの経過から見まして、非常に飛躍的な措置でありますだけに、なかなか賛成はいたしかねるだろうと思います。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 この受益者負担考え方が、たとえば国の道路がよくなるのだから、国民の全体の協力によって道路をよくしていくのだという趣旨は、私はわかりますよ。道路をよくしなければならぬことも私は賛成なんです。しかし、負担の分担が公平でなければならぬと思うんです。ある程度の合理性がなければいかぬと思うんです。  それで、今度の揮発油税負担が一体どこへ行くかということで、先ほど天坊委員の方との質疑がなされておったようですが、私はあれくらいの答弁では納得がいきません。私の調べ資料によりますと、完全な数字が出ているのは、三十二年度の揮発油の消費量でございますが、これの三百四十六万九千百七十六キロリッターという年間使用量の中で、どういう部門の消費量がどういうパーセントを占めているかということを調べてみますと、これを貨物で調べた場合の一番大きなバランスは、小型四輪の貨物車が、営業用に使っているのが二万四千五百九十三キロリッター、自家用に使っているのが三十六万九千四百二十二キロリッター、これは非常に大きな開きです。これは一番大きな開きで、全部がこうはいっておりませんが、バスであるとか乗用の自家用車というようなものは、これは一応負担力のあるものとして除外をして、そうして特殊車の営業用と自家用、あるいは小型二輪、軽車両というようなものを重点的に拾って、これの自家用の使用量を拾い上げてみますと、これはあくまでも貨物であるとか特殊のものに限定しましたが、それだけでも全体の五八・五%を自家用車が占めている。これは中小商工業者、あるいは農漁村、あるいは農業団体ですね、こういうところの使用しているのが五八・五%を占めている。その後の推移はこれではどういう傾向をたどっているかということをちょっと考えてみましても、大量輸送は、バスにしても、あるいはトラックにしても、軽油に変りつつある。そうしますと、その面からも揮発油の消費というものが一般自家用の消費者にだんだん増加をしていく傾向が見られる。  それともう一つ運輸省調査によりまするところの三十二年十月末の自動車の登録総括表を調べてみますと、やはり自家用の車の増加率が非常に大きいのです。貨物の例を一つあげましても、貨物自動車の中で、普通車、小型車を合せて、前年比が九万二千六百七十二両という増加をしている。そのうちのやはり大きいのは、小型四輪の例をあげてみましても、自家用の分が六万五千三百十三両というような非常に大きな数を占めている。  こういう数字からずっと考えても、自家用自動車消費量というものは、三十二年の比率をさらに変更するほど大きい自家用車の使用量に移行しつつあるという推定が私はできると思うのです。そういう点を考えていきますと、このガソリン税値上げの一番大きな犠牲者は中小の商工業者、漁民や農民である。この率は非常に大きくなってくるということは否定することができぬと思うのですが、私の申し上げておることに間違いがありましたら、一つ御答弁を願いたい。
  46. 原純夫

    政府委員原純夫君) なかなか正確につかむのはむずかしい数字でありますが、先ほども申し上げたような数字も私ども持っております。今おっしゃいましたことが、そうそれと離れておるとは思いません。まあ自家用の三輪車や四輪車、小型、大型、それから軽自動車、こういうものを合せて、まあ半分近くの消費をしておるということは、私どもそう思っておりますから、そういうお話でしたらば、私は大体そういうふうなことじゃないかと思います。
  47. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵大臣、大体私の勝手に作った資料じゃない、やはり政府の機関である運輸省の作られた資料に基いて申し上げておるので、あまりでたらめな数字を申し上げておりません。相当、今日においては六割以上が自家用車に使われておるということは、私は個人的には断定をしてもいいだろうというふうに思っております。それからもう一つは、そういう自家用の運搬車が使えるようなところは負担力があるということをこの前おっしゃったのですが、大蔵大臣はどうなんですか。農村や漁村はやはり手車を引っぱっているのが普通で、そういう生活様式の近代化というようなことをあまり助長していこうというような、こういうお気持はないですか。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申し上げましたように、その数字を把握することは相当困難な面がございますが、小酒井さんが御指摘になりますように、これから自家用車はどんどんふえるだろう、これだけははっきりいえる。あるいは農村、漁村、あるいは林業、あるいは中小企業、そういうような面でもガソリンの車にかわる、これはもう当然の改善とでも申しましょうか、改良という意味においてこれは非常に望ましいことだし、そういう意味においての将来の自家用の分野というものが非常に拡大されるだろうということは、これはもう私も賛成でございます。ただ、しかし、今日の状況で幾ら伸びておるかということは、先ほどもちようど天坊委員とは逆な言い方をしていられるようですが、私どもまあ半々じゃないだろうかという今の見方をしております。将来においては業界の伸び以上にやはり民間の伸びの方が大きいだろう、これはいえるだろうと思います。先ほども二言、表現としては石油の時代だという言い方をしましたが、生活様式にガソリンなり軽油なり、石油というものが取り入れられて、そしてお互いに非常な利便を得るような社会になる、これは当然だと思います。  そこで、御指摘になります、今回のガソリン引き上げがそういう意味の改善意欲をそこなう、非常にそれに障害を来たす、こういうことになるとかならないとか、私はいわゆる障害を来たすとか、あるいは非常にその意味では支障を来たすと、ここまで強くは実は考えておりません。おりませんが、少くとも今までのように非常に簡単な意味ガソリン車にかわること、これはちょっと考えられぬだろうとは思います。そういう意味では別に阻止する考えではございませんが、あるいはどうも奨励にならぬじゃないかというおしかりを受ければ、甘んじておしかりを受けるつもりであります。しかし、私は非常に便利なもの、能率のいいもの、これは当然採用されていくと、かように信じております。
  49. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、やはりそういう方法を奨励するという必要があると思うのです。そのためには、非常に大きな負担になるような大幅な増税は、これはやはり十分政府の方で考えられなければいけない。個人事業税で六十五億減税をして、法人事業税で二十億と、八十五億減税をしておいて、政府原案によりますと百九十三億のガソリン税が増税になって、その中の六〇%以上が自家用車、そういうところにかかっていくということになると、はるかに減税を上回るところの負担がそれらの消費者にかかっていく、こういうことを私は否定することができぬと思うのです。どうですか。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの議論は、ちょうど先ほどの運賃問題についての御議論と同じような根拠に立っての御議論のように考えるのでございます。私は、やはり今の道路がよくなるかどうか、道路整備されるということは、むしろ逆に税率より以上にこういう種類の車を増加さすゆえんではないか、こういう考え方もりっぱに成り立つのじゃないかと私は信じておりまして、やはり道路整備のためにお互いに負担し合っていく、そうして道路を直していく。そうすれば、せっかく使う三輪車も一そう能率が上るのだ、こういうふうに一つ考え方に積極性を持っていただきたいというような気がいたすのであります。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵大臣のお言葉ですが、そういう考え方には私はならないのです。ならない理由を申し上げますが、とにかく地方財政計画を見ても、公共事業費というものが非常に多くて、その中の道路の占めておる率は非常に大きいのです。これが地方自治体に非常な重荷になってきております。それはそれとして、国道であるとか主幹道路、主要な道路にまず当分は限定をせられる、こういうことも考えなければいかぬのです。そういうふうになっていきますと、農山漁村の僻地におけるところの自家用車の使用者の利用する道路というものは市道であり、町村道であると思うのですが、こういうところの改良の率が非常にまだ低い。おそらくこの五カ年計画がこういう形で遂行せられる過程におけるそれらの地方道というものの改良は、私はまず不可能に近い、やられても部分的だと思う。相変らずのでこぼこ道で車は悪くなる、しかもガソリンの消費に対する負担は重くなってくるということは、今大蔵大臣のおっしゃったような意見には、私はどうしても賛成することができぬ。そういう事情があると思うのです。そういう事情はお認めになりますか。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 確かに国道なり幹線はよくなっておりますが、地方道が非常に悪いじゃないか、こういう点は御指摘の通り非常に悪い。しかし、地方には地方の道路計画がございますし、それぞれ一つ道路基準ができ上りますれば、私はよくなっていくものだと思います。今回の道路整備において国の予算あるいは補助事業が非常に多くて、単独事業が少いじゃないか、こういう御指摘があるかもわかりませんが、それらの点については、最近の傾向としては補助事業に取り上げろという議論はずいぶんございます。そういう意味で、いわゆる在来の一級国道、二級国道、これらの範囲も相当変って参っております。そういうことからやはりお考えをいただいて、なるほど単独事業が減っているが総体としてよくなるということを、一つ御了承いただきたいと思います。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 少し議論になるのですが、総体としてはよくなることは、これは事実でしょうが、しかし、負担の均衡という点で、受益をするという点になっていくと、私は問題にならないと思います。そういう中小の企業や農山漁の生活に非常に圧迫を与えるところの犠牲において、主要な道路が改良されていくということ、こういう偏向は否定することができぬと思うんですが、そういうやり方で道路整備の計画を立てていくことは、非常に大きな問題が私はあると思う。そういう点は、やはり何らかの解決方法を考えなければ、現在のような大幅な増税をこのまま強行するということは、それらに与える影響が非常に大きいわけですから、私どもは政府に対して重大な反省を要求し、そうして、税の引き下げを検討されなければいかぬと思います。それともう一つ関連するのは、軽油税の関係も、これも関連がないことじゃないと思うんです。四千円の引き上げが出て、衆議院において二千四百円に縮小されている。政府原案の六〇%というものに……。これが成立をしております。そういう考え方から推していくと、私は決してその金額がわれわれの満足すべきものであるというふうには思っておりませんが、五千五百円のものは、やはりそれと同じような考え方で減額をされていくことにならぬとおかしいじゃないか、こういうふうに考えるんですが、どうですか。
  54. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国道偏重だという御意見でございましたが、必ずしも国道偏重ではございません。なるほど国道の方がふえて、単独事業の伸びが少い、私はこういうふうに申し上げたのであります。単独事業もふえてはおりますが、金額は少いということでございます。そこで、必要な財源が確保されないならば、今五ヵ年計画をいたしておりますが、どうしても負担ができないといえば、その五ヵ年計画を延ばす。それを七ヵ年計画にする、あるいは十ヵ年計画にする、そういうことならば、それは負担もあまり重くしないで済む、こういうことになるだろうと思いますが、そういうことでは、私は今日悩んでおる問題は解決できないと思います。すでに御承知のように、技術的にも相当おくれておりますから、こわすのは機械力であり、直すのは人力であるということでは、道路整備などできるわけはないのです。これは基本的にも、その点は考えていかなければならぬと思います。  ただいまの御指摘でございますが、軽油税を今回衆議院において修正をされた。修正をされましたが、その金額は十七億程度のように私は記憶いたしておりますが、この十七億程度の減税で在来の計画を変更するような必要はない。配賦地方財源のうちでこれは結局まかなえる、かような見通しでございますので、ぜひともこの計画通り五ヵ年整備計画は遂行したい、実はかような強い決意を持っておるのでございます。  そこで、このガソリン税についてのいろいろの修正の御意見など伺いますが、その計画にそこを来たすということ、それを各方面みな御了承の上なら、私ども基本的なさような意味の修正を受けても、これはやむを得ないと思いますが、私は、計画だけはみな遂行しろというのが強い要望だと思います。そういう意味において、十分御審議をいただきたい、かように考えます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 計画を遂行するということについては、私も別に異論はないんですが、ただ負担の均衡上、これでは不合理じゃないかということを私は言っておるので、政府の一般財源からの出資を、最初、党が考えられたように、同額程度以上——以上にならなくても、同額くらい出していけば、計画はできるんですから、そういうことをおやりになろうという意思がないから、こういう無理が出てきておる。で、金額の点で、軽油税は少いからいいが、揮発油税は額が大きいからそういうわけにいかぬというのでは、やはり負担の公平という点から考えても、問題があると私は思うのです。  しかし、この原案で私どもが成立をさせるというようなことがあっては、影響するところがきわめて広範でありますし、深刻な打撃を受ける人もありますから、その点については、当委員会委員の皆さんと相談をすることになると思うのですが、どちらにしても、今度の揮発油税の増税のやり方というものは、従来の経緯から見ても、道路整備計画の構想からしても、負担の均衡上から見ても、きわめて問題が多い。そういう点は、私は、政府の方でも反省をされるべきだ、そうして委員会における引き下げの問題が起ったときなどには、やはり委員会の意思を十分尊重されるべきであると思うのです。そういう点について、何か御答弁があれば承わっておきます。なければけっこうです。
  56. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御質問ま……。
  57. 平林剛

    ○平林剛君 大蔵大臣が他の委員会に出席することについては、委員長と理事の打合会で了承しておりますから、あまり時間をとらないで、少し小酒井議員の質問に関連してお尋ねをいたしたいと思います。  さっきからの基本的な考え方についての質疑応答では、あげ足をとるわけじゃありませんけれども大蔵大臣の答えは答弁になっていないのです。たとえば、自民党の公約を無視をしている結果になっているのじゃないかという指摘ですね、揮発油に対する課税は若干引き上げるけれども、別途これと同額程度の額を一般財源から支出するということと反しているのではないかという質問に対して、大蔵大臣は、この申し合せば、一般財源をしぼるという意味のものではない、あるいはこの問題については、緊急性ということだとか、あるいはものの軽重ということを検討して考えなければならぬ、こういう答弁をしているのです。あげ足をとるわけじゃないけれども、これはちっとも答弁になっていないのです。われわれも道路整備の必要性や、これが国内経済に与える影響ということを十分承知をし、このために道路整備することは必要だということは認めている。しかし、自民党における税制小委員会の申し合せも、それを前提にしてこういう申し合せをしたものだと私は理解をしている。おまけに緊急性とか軽重という点は、現在政府はこれに重点を置いているのです。緊急性を認めているのです。そうして今回のような改正の提案をしてきているのですから、少くとも先ほど議事録に残った限りにおいては、答弁になっていない。言っていることが何を言っているんだか、ちっともわからないのです。皮肉な言い方ですが、それならこの自民党の小委員会における申し合せというものは、もう消えたのですか。こういうものは残っていないのですね。雲散霧消してしまったのか、こういうことを皮肉だが聞きたいのですが。
  58. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、税制調査会の申し合せというものは、しぼるではない、縛るです。一般財政支出をこの調査会の申し合せで縛る状況のものではない。だから、予算編成の際に十分私どもは話し合って、そうして予算編成、一般財政の支出、その意味からここへ同額のものが出せるか出せないか、一体その財源はどこからとるか、また一般財源は、相当今回は使いましたが、それはどういう方向へ使うか、それは緊急なりあるいは軽重なり、また財源の有無なり、そういうことを考えてきめていくのだ、こういうことを実は申しておるのでございまして、おわかりができなかったということですから、重ねて申し上げます。だから、政府は予算編成の際に、党の意向というものを十分取り入れるという意味においては、党とよく了解のつく話し合いをして、予算案を作る、そういう意味において税制調査会の申し合せというものは一応了承を得たものだということを申し上げておるのであります。
  59. 平林剛

    ○平林剛君 もし、かりにこの揮発油税の審議が進んで、自由民主党の中から修正すべしという議論が出たら、あなたは矛盾を感じませんか。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれそういう話が出たら、そのときに十分相談いたします。
  61. 平林剛

    ○平林剛君 もう一つ、先ほど、佐藤さんが自由民主党の議員であったときはガソリン税の増徴に反対しており、大蔵大臣になったらこれを増徴する方の側に回って一生けんめいがんばっておる、これは大へん矛盾ではないかという質問に対する答は、当時は全般のことがよくわからなくて、運輸業者に対する負担は大へん困難だと思った、こういう答弁をしております。そうすると、この裏を返すと、現在は運輸業者に対する負担能力というものはうんと高まっておるのじゃないか、そういう認識に立って今度の改正が行われたということに相なる。しかし、この間も議論しましたけれども、現在の利益率というものの背景は一体何にあるかという点が、もっと分析をされなければならぬのじゃないか、私はそう思います。先ほど天坊さんが指摘をされておったように、この中には企業の合理化ということをはかって利益率が上げられたということも考えられる。もう一つは、運輸関係の労務者、この待遇改善というものがはかられず、これが押えられて、非常に低い労働条件にあるということも一つの要素として考えられるのではないか。また、最近われわれが道路交通、車ということを考えると、大へん事故が多い。こういう事前防止のためのいろいろな仕事を業者が怠るというわけではなくて、そこまで手が回りかねるというような点から、国民全般にそういう危険という点では迷惑をかけておる、こういう点に欠けておる点が利益率を高めたのではないか。いろいろ分析をすると、解釈が出てきます。これらについては一体どうするのか、こういう点もやはり政府として十分考えるのが政治じゃないか。今度のガソリン税の増徴というものは、今国民全般から指摘をされており、あるいは関係業者が政府に痛烈な批判を行なっておる。労働条件の低下という点については一体どうするのか、こういう点を、私は政府も十分検討してもらわなければならぬのじゃないか。これについてはいかがですか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろの点がございます。ガソリン税引き上げた結果それに対してどういうことになるのかという意味の、これは運輸省運輸省、また労働省は労働省、大蔵省大蔵省的な見地から、いろいろ審議はいたしておるわけでございます。先ほど来、一つの問題としては、出費がかさむ、それだけの理由で運賃を引き上げるというわけにはいかぬ。絶対にやらぬというわけではございませんが、必ずやるという議論は立たぬという議論はありました。しかし、ただいま言われますように、労務者の待遇は従前よりももっと窮屈にする、それが経営の合理化だ、さようには私ども考えておりませんから、いわゆる適正な賃金は払われ、そうして所要の経費はやはり計上され、そうして企業としての採算点は維持できるということでなければならない。そういう意味でいろいろ工夫願っておるのが現状の考え方でございます。
  63. 平林剛

    ○平林剛君 私は、時間の約束があるから、あまり深く入った議論はできませんけれども、その認識は私は少し違うのじゃないか。まだ政府としての十分な分析がなされていないので、こういう提案になっておる。特に運輸省調査資料承知しているのでありますが、同じ運輸業界といえども、業種別によっては利益率の高いところもあるし、そうでないところもある。私は、今度の改正によって、たとえばトラックですね、トラックの業種などを見るというと、同じ業種の中でも特に負担率が高くなって、そのために政府案に対して反対せざるを得ないという実情が現われている。また同時に、先ほど小酒井議員から指摘をいたしましたように、最近の三輪トラックを使うところの中小商工業者、農民、漁民、あるいは、まあ広くひろげれば八百屋、魚屋、洗濯屋というような点にまで広く負担がかかってくる。こういう点は、いわば大蔵大臣が総括的に運輸業負担がそれほど困難でないということ通りにはいかぬ、こういうのもひっくるめてやっているということは、あなたの前提に立っても指摘できる点だ。こういう点は何か特別な配慮検討をしたことがございますか。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今御指摘になりますように、トラックというものは特に悪い、これはもう御指摘の通りでございます。これはトラック利益率の悪いのは、このくらい競争の激烈な業界はないでございましょう。ことに自家用トラック営業トラックへの進出とか、いろいろ業界も混乱しております。しかも、ほとんど業態は中小の業者が多い。それがいったん事故でも起そうものなら、跡始末で多額の出費を要する、こういうような意味から、非常にトラック業界というものは、今ガソリン引き上げによって影響を強くこうむる業態だと思います。しかし、これは現状がよろしい状況なのかどうかということを考えていただきたい。今のままの状況は、私はこれは適正な業界のあり方だとは思いません。こういうことはやはり適正化することが一つ運輸省の仕事でもあるように思います。そういう状態であることは十分認識いたしておりますので、トラック事業についての運輸省の今後の指導方針というものは、私どもも強く要望しなければならぬと思います。  また、御指摘になりますように、賃金そのものが非常に圧迫を受けるのじゃないか、こういう御懸念でございますが、前回までのガソリン引き上げの際におきましては、そういうような賃金には悪影響を及ぼしておりません。また、最近の労働情勢、あるいは組合活動その他から見ますと、労働者についての理解は各方面とも高まっておりますし、そういう点は私はなるとは思わないのでございまして、こういう点は、今後の問題としてそういう事態が起らないように、私も十分注意して参るつもりであります。  なおまた、トラック自身は、ガソリンガソリンですが、相当軽油を使う範囲もふえて参るでございましょうし、業界の整理、あるいは主要燃料の改善、それらによりまして、だんだん業界も変っていきはせぬか、また変えなければいけない、こういうように私は思います。
  65. 平林剛

    ○平林剛君 もう一つだけ、私は、今回のガソリン税引き上げにおける政府の基本的な考え方というのは、ものによって都合のいい理屈ばかりをつけているという感じを強くする。先般大蔵大臣指摘をしたのですが、他の税法で、たとえば、これは関税定率法の一部を改正する法律案、この中で電子計算機の例をとられておる。ガソリン税引き上げにおいて政府の理論は、その一つに、まあ道路がよくなれば関係業者利益を受けるのだ、だから、この程度のものは負担してもらいたい、全般的な要請にこたえてこれは一つ関係者が負担してくれと、こういう、利益を受けることを前提としてそうしてガソリン税引き上げが提出をされておる。これには今日までいろいろ議論があったことは御承知の通りです。しかし、私は何としても納得できないのは、片っ方では、電子計算機において、政府はこれを事務能率の向上のために必要であるから関税は特に免除するということで、八億円の免除を与えておる。私は、事務能率を上げるために免除をするというのは、ガソリン税比較したら非常に矛盾するじゃないか。電子計算機を購入して、それで事務能率が上れば、当然その企業においては利潤が上る、そしてその経営者はそれだけ得をする、しかるにその関税はこれを免除する、利益を受ける者が関税の方では恩典を受ける。ガソリン税の方になるというと、それを理由にして増税をはかる。同じ税法でも首尾一貫していない。どっちかが間違っている。同じ政府のもとにこういう二道をかけた理論が通用するというのは私は非常に矛盾を感ずる。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか生きておる政治は一本道だけでいかないものでございまして、御承知のように、電子計算機などは新技術の導入ということでもございます。従いまして、新技術導入という意味の保護的な考え方もあります。ここらが政治の複雑性というように御了承いただきたいと思います。
  67. 平林剛

    ○平林剛君 まあ、大蔵大臣は自分の腹の中でよくわかっているでしょう。こういう矛盾した法律を提案されてきて、それで政治が複雑だなんていうことでは通らぬですよ、ほんとうは。この今回のガソリン税理由なんていうものは、ものは理屈のつけようだということであなたはがんばっているにすぎない。十分反省をして、そうしてすみやかにこのガソリン税の問題については再検討を政府部内でもすべきだ。いわんや、与党の中から修正案が出てくる。みっともないじゃありませんか。もうこれはあなたの方の理論が間違えているのですよ。今日までわれわれが指摘したことについて満足な答弁ができない。どうも欠陥があるから結局是正せざるを得ないという、国民大衆の声が政府を屈服させる結果になるのです。まあこれは、大蔵大臣はよくこの点を考えて、政治は複雑だとかと、ああだこうだというような理屈をつけてあまり強弁をなさらない方が、今後のためによろしいのじゃないですか。ということを申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  68. 加藤正人

    委員長加藤正人君)  速記をとめて。   [速記中止
  69. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて。  それでは、これで一時半まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩    —————・—————    午後四時十一分開会
  70. 山本米治

    ○理事(山本米治君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続き、揮発油税法の一部を改正する法律案外三件の質疑を続行いたします。  なお、大臣は明日は予算委員会に出席する予定でございますので、他の法律案についても、大臣に質疑のある方は、あわせてこの際大臣に御質疑を願います。
  71. 平林剛

    ○平林剛君 物品税法について、必ずしも大臣のみに対する質問ではありませんけれども、もし必要があれば積極的に答えてもらいたいと思います。  まず第一に、今回物品税法の一部を改正する法律案について、衆議院から改正案が送付されて参りました。ゴルフ、弾丸について一部修正が加えられておるのであります。この問題については政府当局に対して御相談がございましたか。
  72. 原純夫

    政府委員原純夫君) 正式な御相談というのはございません。漏れ伺って、私どもとしての意見は申し上げたということはございますが、政府の同意を得たいという意味での相談まではございませんでした。
  73. 平林剛

    ○平林剛君 この衆議院で修正をされた点について、私は国民の間にきわめて多くの批判が巻き起っておることを承知しておるのであります。特に物品税法についてのゴルフ、弾丸等の改正については、きわめて不愉快な事実だ。新聞にこう書いてあるのですよ。「ドサクサまぎれにひどく不当かつ不快な修正をされてしまったことである。税金は安くなるに越したことはないのだが、金持だけがトクをして貧乏な庶民にそのシワ寄せが来るような減税はやめてもらいたいと思う」「今まで製造業者に五〇%課税されていたゴルフ用具が税率二〇%の小売業者課税となった。ゴルフ用具の減税と、それの製造業者課税から小売業者課税になることが、日本の政治にいかなるプラスをもたらすか。この修正をやった自民党の政策とどのような関係があるのか。国民の生活と幸福を推進するためにどんな役に立つのか、開き直っておうかがいしたい」というような、まあ報道がされておるわけなんです。これは国民の偽わらざる考えだろうと思います。大蔵大臣はこういうことについて、衆議院で審議をされた結論に対してとやかく批判することはどうかということは考えますけれども、あなた個人の見解でもいいし、政府として基本的にどういう考えを持っておるかということを、この際お聞きいたしたい。
  74. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、衆議院で修正、そうして参議院に送付されておる段階でございますので、この問題についての具体的なお話をすることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、私は政府として責任をもって原案を提出しておる、その原案作成に当りましては、あらゆるデータから原案が一番いいということで御審議を願っておる、それだけの所信をもって法律案を提案したのだということだけを御披露して、具体的な問題についての批判は私としては差し控えさしていただきたいと思います。
  75. 平林剛

    ○平林剛君 本来は、衆議院で修正された議員が来て私の質問に答えてもらわなければならぬわけでありますが、おそらく、ある程度は主税局長も御承知だと思いますから、この際私の疑問とする点について二、三お尋ねをしておきますが、ゴルフ等につきまして、製造課税を小売課税に変更した理由はどういうところにございますか。
  76. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私が理由を申し上げるのは非常におかしいと思うのです。私ども意見としては、小売課税、製造課税の問題はいろいろ、小売にした方がよろしいという者もあると思いますけれども、ゴルフについては、私どもの技術的な立場においては、どうもそういう結論にならないものですから、それはむしろ提案者にお聞きいただくことではなかろうかと思います。提案者がどういうことを言っているというのは、私は四月四日付の産経の朝刊持っておりますが、私がここで申し上げるということも不穏当でありますので、私からはちょっと申し上げるのは非常に妙なものだと思うのですが。
  77. 平林剛

    ○平林剛君 政府はなかなかまともにこれを答弁をするというのは苦しいような改正であるということだけは、今のお答えではっきりしていることだと私は思うのであります。先般衆議院の議員が参られまして、われわれにこの説明をいたしたのでありますが、その理由一つに、脱税は防止される。従来、ゴルフの道具は零細な製造者が製造しておるために、やみに流れるような事例がきわめて多い、これは小売課税にされると、今後は登録されることになるから、税の捕捉の上においてきわめて便利だ。脱税防止という点がかなり強調されておったのであります。そこで私、疑問に感ずるのですけれども、従来製造者に対する脱税防止ということについて政府は何ら手を打っておらなかったのだろうか。もし脱税防止をほんとうに考えるならば、たとえば製造会社に対して捕捉困難な事情がありましても、大会社あるいは社交クラブ、ゴルフの練習場、こういうような点についても少しは関心の実績があって、それでなおかつできないというならば、改正案の理由は認められますけれども、そういうことについて努力をしないで、ただこれが改正の理由になるというのは何としても納得できない。従来はその修正案の裏づけとなった脱税防止について政府はどういう手を打っておられましたか。
  78. 原純夫

    政府委員原純夫君) ゴルフ用具につまましての脱税問題は、国内製品とそれから輸入品とに分けて考えられると思います。国内製品につきましては、よくいわれますのは、シャフト、それからクラブ・ヘッド、これを買ってきて、それにいろいろなゴムその他テープを巻きまして、完成品にして、プロあたりが売る。そういう場合に、このクラブ・ヘッド、シャフトは相当大きなメーカーで作りますから、かかりが完成品になると、それだけ値が上るわけです。その差額についてはかからないということが言われたわけです。ここは非常に私ども苦心いたしておりますが、どうもこれは追っかけ切れないというのが率直に申したところです。それで、メーカーの段階でのクラブ・ヘッド、シャフトはかかっておりまするし、またメーカーとして完成品を作るという部分は大体とれているのではないかというふうに考えております。それから、輸入品につきましては、いわゆるあめ屋横丁、あるいはそれ式なところにつきまして、また御記憶でもありましょうが、デパートあたりでも相当輸入品の横流れ式なものを売っておった。それを昨年特にいたしましたが、税関官吏、まああめ屋横丁あたりは相当困難を伴うところでありますが、あえて行ってやった。やったあとも、その後の課税の目的を達するために証紙を張ってもらうということにして、最近私どもの者も行って現場を見ておりますけれども、証紙が全部張られておるというような状況で、ゴルフ用具の輸入品についての物品税も、最近は年額四千万円という相当額の税収額をあげておるということでございます。なお、小売課税にいたします場合には、輸入の方は大体そうやって証紙で確保できるとすれば、そこには別段の増といいますか、課税の充実というものは特に期せられるかどうかは相当疑問になる。ただいま申しましたプロあたりが売っておる、クラブ・ヘッドやシャフトを買ってきて作って売るのが、メーカーのところでもかけられない。店を開いて小売で売っておるわけではないのですから、全然抜けてしまうというようなことが、私ども心配の種でございます。
  79. 平林剛

    ○平林剛君 私は、このゴルフの課税方式の変更についてはこの際もとへ返して、参議院としてはその良識の存在を示すということを要望いたしておるのでありますが、そのためには、衆議院の大蔵委員会において慎重に審議をなさって、脱税があるという点を防止するためだということに対して、政府が積極的にこれをやれば、多少それは網をのがれる者があっても、努力をすればこれを消していけるのではないか、そういう努力をすべきだ、こういう意味で、まあ衆議院に送付するときもこれをよく説明をしてもらわなければならぬ。そのことで、脱税防止について積極的な努力をせよということを希望いたしておるのであります。そういう意味で、今後この脱税防止について、従来のままであったとしても、何とか政府としては処理すべきものだ、努力をすべきものだ、こう考えますけれども、その点は政府はいかがですか。これは大蔵大臣が答弁してもよろしいし、主税局長でもけっこうです。
  80. 原純夫

    政府委員原純夫君) これはもう脱税防止に努力すべきが当然で、私どもも従来大いに努力をしてきているつもりであります。数字的に申し上げましても、私手元にグラフを持っておりますが、ごらんになりますように、非常に右上りの課税実績を示しております。あめ屋横丁その他を、非難を顧みず、税関の人たちも努力してやってくれている。今後もあらゆる工夫を尽して努力をしていきたいと思っております。
  81. 平林剛

    ○平林剛君 私はその答弁を了といたします。引き続き脱税防止のためには、これはゴルフだけに限りませんけれども、十分政府としても意を尽してもらいたいということを要望いたしておきます。これは大勢としては、ゴルフの課税につきましては是正をすべしという議論が大半を占めておりますから、ここであえて強調をすることはいたしませんけれども、現在製造課税として納税済みのゴルフ用具も、全国の小売店、デパートには相当多数残っておるのでありまして、今回の衆議院の送付案のような改正をいたしますと、新規小売課税としての商品と現在のすでに納税をしてあるものとの区分を一体どうするかという問題も、なかなか困難な点があるのであります。また、すでにデパートにおきましては、製造者納税として仕入れたゴルフ用品を返品するということを言明したところなどもありまして、かえって混乱をする。多少の減税が行われたとしても、その分は消費者利益になる、あるいはこの改正でだれが救われるかというような点を考えますと、なかなか不合理な点が多いということを、私はこの機会に強調しておきたいと思うのであります。  次に、物品税法第六条第四項についてお尋ねいたします。物品税法第六条第四項は、政府の改正案によりまして、「自己ノミノ商標ヲ表示スベキコトヲ指示シテ」という新しい改正点が加えられておるのでありますけれども、現在どういう物品がこの改正案によって対象となるのか、念のために明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
  82. 原純夫

    政府委員原純夫君) 一番顕著なものは化粧品でありますが、その他蓄音器、あるいは電気器具、暖房器具というようなもの、さらには場合によって映写機、幻燈機というようなものについても、こういう事実があるように承知いたしております。
  83. 平林剛

    ○平林剛君 この法律改正によりまして、私は第一に重視しておりますのは、従来の製造者課税が、今度の改正によりまして実際の指示をした者に課税をされるという結果、従来は割合と低い価格に対して課税をされておりましたが、今度の改正によって販売価格に課税をされることになりますから、税率を三割から二割に改正をいたしましても、かえって政府は増収になるというきわめて矛盾した結果になっておるということであります。物品税法につきましては、各品目においていろいろ議論はありますけれども、政府がわれわれに説明をした大原則というのは、物品税を軽減するというところにあった。しかるに、税率は下げたけれども増収になるというような矛盾した点も見られるのであります。  それから同時に、第二に私が問題にするのは、この法律の改正によりまして、従来これを主として製造しておった中小企業者がきわめて苦境に立つという事例が現われてくる点であります。先般も私はこれを指摘いたしましたが、たとえば、デパートが自己のみの商標を表示すべきことを指示して下請業者に作らせたというような場合あるいは日立とかその他のいわゆる大メーカーが下請業者に作らせておったというようなことが、今回の改正によりますと、従来の課税方式が変る結果、デパートや大メーカーは下請業者に注文をしなくなるんではないか、あるいは今度は自分で製造を開始するような結果になるのではないか。そうでなければ、大メーカーやデパートは自分の利潤が削られることは進んでするものではありませんから、結局販売価格引き上げてこれを消費する国民大衆にしわ寄せをされるのではないか。すなわち、他のいろいろな物価の引き上げに照らし合せて、これら物品についても値上げが行われ、国民生活に影響を与えるのではないか、こういう点が含まれておるのであります。私は、これはいずれも見通しの問題でありますけれども、そうなっていくおそれが多分にある、そういうことが予想されるのでありますけれども、政府当局はどういう見解を持っておられるか。
  84. 原純夫

    政府委員原純夫君) 第一点でございますが、たとえば電気機具について三割を二割にするという分がございますが、そういう場合について申しますと、今まで千円の製造者価格に対して三割かかったから三百円である、今度は親元の売り値でいくと幾らになるか、まあ電気機具だったらおそらく千五百円くらいだと私は思います。千五百円で二割になるということになりますとまあ三百円、同じ額になるというわけであります。売り値によっても違うけれども、まあ減税があればそこは息をつけるだろうというふうに思っております。  第二点でありますが、下請は非常にこまかい業者である、親元が今度の改正があると注文をしなくなるというようなことがあっては困る、さらに、それを売り値を上げて処置するようになっては困るということでございますが、この点についてはこう考えております。今回の措置の趣旨は、まあ化粧品なら化粧品というものについていろんな企業がやっておる、割合に小じんまりした企業は自分で作って自分でいろんな費用をかけて売っておる、もちろん製造者として卸売、小売に持っていくわけでありますが、その場合の製造者価格は宣伝費、広告費その他一切の諸掛りをかけた値段でありますから相当値段になるわけです。ところが、まあ非常に名の通った大企業で名で売っているというようなところでは下請を相当使う、下請は宣伝費も広告費もかからない裸の値段でありますし、まあ下請ですから非常にたたかれるというわけで、実際には驚くべし、ただいま申しました小じんまりした独立の企業に比べて三分の一ぐらいの場合もあるのです、価格が。そして実際には親元の企業でいろんな費用をぽんぽん使ってやっておるわけですから、実際の化粧品のコストというものは相当高い。この両者に一対三というような税額のアンバランスというものがあるということはこれは非常におもしろくない。いわば合法的に穴を見つけてそれを利用しているような格好で、大企業対中小企業の競争という関係においても、大企業がそういう穴を利用して不当な利益を得ておるというようなこと一になりますので、これをふさぐということは、とにかく税の公平という見地から必要であるという観点でお願いしておるわけであります。そこで、それじゃそういうようにした場合に、親企業としては今までに比べて悪くなる、私どもに言わせれば、当然納めなければならない税を納めていただくので当然のことと思いますが、まあ悪くなるから注文しないぞというようなことを言うのかどうか、私どもに文句を言われるのならわかるのですが、弱い下請に文句を言われるのは非常に私は心外だと思いまするし、また実際に自分で一切の費用をかけてそれを原価として課税を受けておる企業があるわけですから、そしてそういう企業を含んで市場の価格は形成されておるわけですから、大企業は税の、そういう不当な利益を放棄しても下請が安い労賃でやってくれるならそれは十分使えるはずではないかというのが、前段に対するお答え。また後段についても、現在の価格はそういう小じんまりした企業、一切のコストにかけられている企業を含んで価格が形成されており、価格自体がいわば需給の均衡の上にできているというものでありますから、こういう超過利潤的な不当な利益が吸収されましても、税で取られましても、これで値上りを来たすことは私はない筋合いであるというふうに考えます。しかし、平林委員の御心配になる点は、大へん今回のこの改正を中心にいたしまして議論される点でありますので、運用上、私どもは税務当局といたしましても、そういう際に中小企業が不当に困りませんように、できるだけ配意はいたして参りたいと考えております。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この商標指示の問題はなかなかむずかしい問題がいろいろあるのでございまして、ただいま平林委員が疑問点として御質問なさいました、そしていずれも私どもも、実際の取扱いの場合に十分気をつけなければならない点として注意をいたしている点でございます。ただいま主税局長も、今後一そう注意をするということを申しております。十分慎重に取り扱いまして、不当に小売業者、小さいメーカーを圧迫することのない、また、その他に影響の及ばないように十分工夫し、慎重に扱って参る、この考えでおります。
  86. 平林剛

    ○平林剛君 この六条三項の改正につきましては、私が指摘するだけでなくて、衆議院の大蔵委員会におきましても付帯決議がつけられているのであります。  商標指示に関する物品税法第六条第三項の改正は、物品税課税の適正化、公正化を趣旨とするものであるから、その実施に当っては、政府は本条の適用範囲、実施の時期等につき慎重な配慮をなし、これが正常な取引関係を著しく阻害することのないよう措置することを要望する。これに対してただいま大蔵大臣が御答弁があったものと思います。おそらく衆議院でもただいまのような答弁をし、善処することをお約束になったと思うのでありますけれども、はなはだこの付帯決議が抽象的でありまして、なお、私の心配する点を解消するためには、具体的なお答えを聞かなければならぬ。そこでこの付帯決議は、具体的にどういうふうに実施をするか、事務当局考えをお聞きしたいと思います。
  87. 原純夫

    政府委員原純夫君) おっしゃる通り非常に慎重にやらなければならぬことでありますので、一番大事なことは、末端のこの税務署員また税務所長だけの判断でこういう新しい制度が運用されるということであっては、各署、各局間の統一もとれぬし、また各場合場合についての判断に十全を期し得ないというふうに思いますので、各署の判断にまかすことなく、各署に対しましては、これらのこの規定の適用の対象になると思われる業態について、管内の企業が独立でやっている分がどのくらいあり、それから下請を使っているのはどのくらいあり、その場合の課税価格はそれぞれどういう関係に立つということ等、この判定の基礎となるべき諸元をずっと調べさせて、そしてその諸元について意見を添えて局に出さす、もしくは、しかるべき機関でそれをまとめまして、そして各署の分を横に並べて判断をする、かつ、やはり全国的な均衡ということが、これは非常に大事な問題でございますから、国税庁本庁においてもさらに同様な作業を全体について行うということを私ども考えております。相当手数がかかる仕事でありますが、おっしゃる御趣旨まことにごもっともなことでありますので、私ども十分その辺は慎重にやって参りたいというふうに考えております。
  88. 平林剛

    ○平林剛君 この第六条第三項の改正がどういうふうに影響をするか、これは政府の改正の意図もよくわかりますけれども、私は今後の相当の時日の経過を見ないと、私の指摘するようにならぬかもしらぬし、あるいはなるかもしらぬ、こういうまあかね合いのところにあると思います。特に大メーカーが、七分は自分のところで作る、三分は下請にやっておる、なぜ三分だけ下請にやっているかというと、そこに現在の税法の運用によって不当な利潤というか、一つのいいところを見出しているからこそ下請に出しておる。このいい味がなくなってしまうというと、下請に出した三を取り上げてしまうということになるかもしれぬ。あるいは、そうならないにしても、今までの商品の構造を変えて粗悪品を作らせるか、あるいは簡単なものにする。結果は、国民の不便ということにはね返ってはくるのですけれども、おそらくそういう商品の形、構造というものを変えるような転換をせないとも限らない。何といっても、大メーカー、あるいはデパート等は利潤を追求する方でありますから、やはり利に走るということに相なろうかと思う。これはいずれも見通して政府はこれに対して適切な措置を講ずる、こう言われるのでありますが、なかなかかゆい所へ手が届くという工合にはいかないんじゃないか。たとえばこの改正の結果、大メーカーやデパートはあらためて新しい商品を作らせるように下請に命じてくるかもしれない。そうすると、すでに今までの注文を受けて相当製造しておったものがキャンセルをされるか、あるいはそれを修繕をしなくてはならぬというような結果になりまして、中小企業者が大へん不利な状態に陥るということは、容易に想像されるのであります。従って、私は本案であれば、この実施を一年あるいは二年待つべきではないかというような措置が必要ではないか、こう考えておるのでありますけれども、そこまでいかなくとも、政府はこの実施の時期等について慎重な配慮をする、付帯決議に、善処すると答えておるのでありますから、この時期等については、私が今述べたような情勢をいろいろ検討しながら、ある程度幅のある配慮をすべきだと、こう思いますが、その点についてはいかがです。
  89. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私どもは、先ほど来申しております通り、非常に重要な改正でございまするし、及ぼす影響も大きいので、念には念を入れた手続をとろうと思っております。反面、ただいまお話のように、親企業と下請との間の契約がどうなるかというあたりについても相当御心配がおありになる、それらの契約につきまして、いろいろ考えて参りますると、これは別のところで平林委員とも懇談的にいろいろ申し上げたことでございまするが、大体下請で作るというものは、非常に複雑なものは少いので、いわゆる回転期間と申しますか、契約を受けて作り上げる期間というものは、私卒爾の判断でありますが、まず三ヵ月前後と踏んでよろしかろう、まあ一年というものはとてもなかろう、まずまず、せいぜいが半年ぐらいだろうというふうに思います。先ほど申しました手続に要する時間、また、そういう契約の期間、ただいまお話のありました契約関係のもろもろの推移というようなものについての一種の、何といいますか、適用の、準用の時期というようなことも考えますと、まあ三ヵ月ないし六ヵ月というようなくらいの日時は、両面から言うて、結論として、実現いたしますまでに間ができるのではないかというふうに考えております。
  90. 平林剛

    ○平林剛君 今度は、物品税の根本的問題について、少し政府当局並びに大蔵大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。先般の委員会で私は、現行物品税法によって第一種、第二種、第三種と区分がされ、かつ、それぞれの分類の中で、甲類、乙類、丙類、丁一類、いろいろ区分をなされておるのでありますが、第一に疑問に感ずることは、第一種、第二種、第三種の性格の宗義、これが私ははなはだ疑問であります。そこで、どういうふうにこれを区分しておるかということについて、主税局長からお答えをいただきましたので、大体、大ざっぱではありますけれども、その定義はお伺いをいたしたのであります。ただ、これは、この法律に書いてないのです。私は、この間質問したときは、どこか法律に書いてあるかなと思ってそのままとめたのでありますけれども法律案の中には、先般述べたような定義は明らかにされていない。どういうわけで法律案の中にこれが定義をされないのでしょうかこういう疑問を感ずるのであります。これについて御説明を願いたい。
  91. 原純夫

    政府委員原純夫君) お話の趣旨は、だれが納税義務者であるかということは書いてあるわけですから、おそらく、なぜ第一種は小売課税に、第二種、第三種は製造課税に、それぞれ従量課税、従価課税を分けるかという趣旨が書いてないということかと思いますけれども、これはいわば、たとえば酒にはなぜ酒税をかけるかということは書いてないんですね。もちろん、そういうことを書くという行き方もあると思いますけれども、今の各税法の体系でそこまでのなには大体ないのが普通だ、むしろ、それは一般理論に譲られておる。一般理論として、先日の委員会で私が申し上げたような考え方を基準としてやっておるということで御了承いただきたいと思います。やはり間接税体系全般に見ます場合に、法律にそれをはっきり筋目を書くというものと、法律に書かないが理論的に構成をどうするかというのと、やはり両面あり得る。課税の形態をどうするかというのは、むしろ、そういう法律外での説明になるのが通常であるように私は考えます。
  92. 平林剛

    ○平林剛君 この物品税法は、今日まで、短かい期間でありましたか、審議をいたしまして、大へんいろいろな矛盾のある法律であるということを一そうその感を強くしておるのであります。第一に、この物品税法を見ても、その全貌はわからないですね。各品目についていろいろ検討していきますと、それぞれ免税点がございまして、この法律では、物品税を課すと、こう書いてあるけれども、実際には課せられない品物もある。価格によって違ってくる。だから、国民は、この法律を見ただけで、どの物品に税金がかかり、どの物品に税金がかからないかということを、法律を見ただけではわからない。こういう点が、私は第一にあげることができると思うのです。  それからもう一つは、課税方式ですね。課税方式につきましても、これはほとんどが政令にゆだねられることに相なりまして、しかも、課税方式によりましては、先ほど一、二の例をあげたように、政府も増収になる場合もあるし、あるいは関係業者に、はなはだ利害が異なってくるという場合も出てくる。そういう点もやはりこの物品税法における問題の一つだと思います。国民全般にきわめて関係の深い法律案が、こういう工合に、税金については法律で定めるという法定主義に反しておるというのは、きわめて、私に言わせると、原則を離れたものだと思う。こういう法律については他にもあるかどうか。それから、こういう点は政府としても十分検討すべきものと私は考えますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるか、この二点を一つお答えを願いたい。
  93. 原純夫

    政府委員原純夫君) 私から技術的な点を申し上げます。他の法律で類似のケース——税法の範囲で言いますれば、一番顕著なものは、例の重要物産免税の重要物産の品目を政令にゆだねてあるということが一番顕著だろうと思います。第二には、各般の特別償却——新機械の特別償却でございますが、機械の特別償却といいますものの対象業種ないし機械の指定を政令にゆだねてある。それから、先般も御指摘のありました関税定率法の一部を改正する法律にあります重要機械、これも指定を政令にゆだねてあるというようなこと、まあこれらが顕著な例だと思います。オーダーの低いものはなお若干あると思いますが、そういうことだろうと思います。それからなお、課税方式の問題は、だれが納めるかという意味での規定は、物品税法第四条に納税義務者の規定がありまして、第一種の物品については小売業者から取る、それから第二種、第三種の物品については製造者から取る、そして、それは価格または数量に応じてというふうに書いてありますので、方式自体は法律に書いてございますけれども、その法律の裏にある理論までは書いてないということは先ほど申し上げた通りでございます。
  94. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 全く物品税はなかなか複雑でございます。これをもっとわかりいいといいますか、税金を納めるのでございますから、当然わかりやすくならなきゃならない。そこで、規定の問題につきましても、御指摘になりまするように、やはり法律に制定する方が法律的だと思います。ただいまのところ、政令に相当ゆだねられておりまするが、おそらくこれは時期の問題で、将来はその法定の方向に大部分が向かなきゃならないものだと、私かように思います。
  95. 平林剛

    ○平林剛君 大蔵大臣が結論的にただいまのお答えをなさいましたので、了承はいたします。国民全般に影響のある法律がこの法定主義に反しておるという事例でわかりまするように、いずれも問題のある法律ばかりであります。重要物産についても、あるいは重要機械類についても、特別償却の例等を見ましても、私が先般大蔵大臣に注文をしておいた点で、この物品税法もやはり同様であります。そこで、これは近い将来においては根本的に是正をせらるべき性格の法律案であるということを了解いたしました。そこで、私は一つの提案がある。私どもとしては、こういう物品税法というものはもう廃止すべきだ、戦時中の遺物でもあるし、また法律自体にもいろいろな矛盾と欠陥を蔵しておるから、これを撤廃をしたらどうだろうと、しかし、ただ撤廃をするということになりましては、四百数十億円の税収との関係もあるようでありますから、政府においてもなかなか苦心の要る点だと思います。しかし、考え方によりましては、税収確保というのは、これら物品がたくさん販売をされれば、これを販売をしておる会社収益を上げるということになるわけでありますから、現在の法律でこの利潤に対する課税を捕捉することはそう困難ではなかろうという議論はあります。しかし、これは別にしても、現在の物品税はこれは撤廃をすべきだ、そうして新たに奢侈品税ともいうべき法律を制定したらどうだろう、こういう考え方を私ども持っているのであります。特に第一種、第二種、第三種という区分の仕方につきましては、これはいわば課税の仕方から区分されているのですね。そうでなくて私は物品を区分する場合に、およそ三つに分けることができるのじゃないか。一つは、今日、国民の生活に欠くことのできない必需品となった物品、こういうものまでに物品税を課するということは、国民生活を向上させる上において不当ではないか、少くとも新たな構想を立てて奢侈品税を創設する場合にも、これはもうすべて免税にせよ、第二の分類の仕方としては、生活必需物資というほどのものではないにしても、これを使用することによって国民の生活が合理化され、家庭が便利になっていく、かつ、政府としてもそういう意味で奨励していい部類に属するもの、こういうグループも一つ区分しようと思えばできるのじゃないか、これらについてはどこまで課税するかというのは問題になると思いますが、これも全般を考慮して適正な課税に改めるという意味で構想を立て直すべきだ。もう一つのグループは、これは明らかに現在の生活水準からいえば奢侈的なものである、また、きわめて一部の階層しかこれを使用しないものである、大体こういう三つのグループに分けることができるのじゃないか。こうして体系を全部ただいまの構想のように組みかえて奢侈品税を創設したらどうだろうか、私はこういうことを提案をいたしたいと思うのであります。これは社会党の物品税を廃止し新たに奢侈品税を創設すべしという議論も大体この方向に向いつつあると思うのであります。従って私は、政府にこういう構想で物品税法を撤廃し新たに奢侈品税を創設するようなことを検討してもらいたい、こう思うのでありますが、大蔵大臣の今後の根本的な検討についての構想を一つ聞かしていただきたい。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) こういうふうな物品税そのものにつきましては、いろいろ基本的な問題があるわけでございますので、大蔵当局も一昨年来検討はいたしております。しかし、相当の財政収入を占めております間接税でございますので、簡単には結論が出ておりません。先ほど来、第一種、第二種、第三種という区分の仕方をしたりいたしておりますが、また別な分け方で、やはり今の平林委員の構想に近いような意味で一応分類したものもございます。たとえば奢侈品及びぜいたく品を一緒にして一つの分類、次に娯楽用品あるいは趣味観賞用の物品(嗜好的飲用食品を含む)、第四としては、社交的身の回り品、第五は、生活の便益品その他というようなただいまの物品の性質の区分でございます。物品税を全部やめて奢侈品税というような税を作ることがいいかどうか、これは言葉そのものだけでなしに、物品税全体のあり方としてとにかく基本的に考えていかなければならないことになっておると思います。そこで、また問題をそらすといっておしかりを受けるかもしれませんが、今日税制審議会で、この中でやはり問題にいたしてございますのは、間接税のあり方は一体どうあったらよろしいかということが大きなポイントであります。他面、地方と中央との税源の分配であるとか、あるいはまた企業課税のあり方であるとか、あるいは総体としては、日本国民の一人当りの税負担はなお減税する余地はないかどうか、こういう問題がございますが、とにかく税体系を整えようという際でございますので、そういう際に、ただいま申し上げましたように、この物品税を根本的にやはり出直していく必要がありはしないか。ただ奢侈品ということになりますと、禁止的課税だというような意味を持つようになることも、これはなかなか品目の選定が困難でございまして、たとえば生活必需品というので最近も問題になりまして、織物税は、衆議院において、これは課税対象から修正を受けてはずしてしまいましたが、二十万円、三十万円というものでも課さないのか、こういうふうな議論になりますと、いろいろこれは議論の余地があるかと思います。しかし、対象としては生活必需品だと、かように考えると、特殊なものだけを課税対象にするということは非常に困難であります。そういう意味で生活に直結しておるというか、また生活の潤いのものであるとか、こういう意味の物品でございますだけに、この品物の取り上げ方なり区分の仕方なり、非常に困難がある。それを一つ根本の問題として十分検討さしていただきたい、かように考えます。
  97. 平林剛

    ○平林剛君 これは私どもも、なお物品税を廃止して奢侈品税を創設する場合に、具体的なことは研究を進めていかなければならぬ余地があると思いますが、政府も今日の物品税を根本的に改正するためには、相当大英断をもって進めてもらいたいということをこの機会に要望いたしておきたいと思います。  それから原さんにお尋ねしますが、消費支出の弾力性ですね、これは一体どこで調査をして、それから今回の物品税法の改正あるいは将来のこれら税法に対してはどういう役割を果すべきかということについては、どんな御見解を持っておられるか。つまりきわめて重視すべき資料として今後の税法を考えるとすれば、これについては相当権威のあるものにしておく必要があるのじゃないか、こう考えますので、その見解を聞いておきたいと思います。
  98. 原純夫

    政府委員原純夫君) 消費支出の弾力性の調べは、私ども一昨年以来、根本的に再検討の一つの軸としまして相当力を入れておるもので、これはただいままでのところ、三十一年及び三十二年の二ヵ年につきましてこの計数整理ができたというような現状でございますので、今後もなお続けて努力をいたさなければならぬと思っております。ちょっと大事なポイントでございますから、簡単に趣旨を申し上げますと、いろいろな消費の中で、どれにどれだけ課税をするか、どういう消費にどういう課税をするかということを考える場合には、やはりその消費の裏に推定される弾力性というものを忘れてはならないだろうというのが大前提であります。そこで、私どもはあらゆる消費をずっと並べてみまして、それぞれの物ないしサービスの消費が、毎月二万円しか消費できない世帯ではどの程度消費するか、それがだんだん消費の額がふえて、五万になり十万になり二十万になるに従って、そのふえる割合よりもよけい消費がふえるという割合には、いわゆる富んだ人ほど、つまり力のある人ほどよけい消費する品物である。そうでなく逆なものは、むしろ弱い人がよけい消費するものであるというものもあるわけです。それを数値にいたしましたものが消費支出の弾力性であります。私どもこの間接税の体系の中でいわゆる担税力に照応するということは、これは何としても重要な視野であるというので、珍しいことでありますが、こういう調べに特に予算をつけてもらって、統計局その他関係官庁の協力も願って二年間相当手数をかけていたしました。なお、この調査に当っては、私どもの独断に陥ってはいけないという意味で、ただいま企画庁の経済研究所長をやっております大川先生をまあいわば一番のチーフとして、各大学または関係官庁の統計関係のエキスパートというような者を集めて方法論を十分練り、かつ、家計調査の再調整、再分析に際しましても、中間段階で、何回となく統計データの実際の使用にたえるかどうかというあたりの検証を行いながらやって参りました。ただ何分二年だけのことでありまして、まあ理想的にいえば、五、六年もあるデータがたまりますと、相当ども強い立場で、かなりきめのこまかい作業もできると思いますが、ただいまのところは、まだきめの荒いものなんですので、今回の改正も、これはどういうものを直すというあたりの検討ということもございますが、今後この系統の仕事は、まあ私どもいつまでやっておるかわかりませんが、相次いで長年にわたってやっていきたい。少し付加さしていただきますと、世界でも、こういう研究をやって、間接税体系のいわばバツク・ボーンというものを確かめるという作業は、まだ私ども今まで承知いたしておりません。だんだん世界各国でどうやっているか、むしろ私ども考えを批判してもらうようなつもりでやっていきたいと思っておるわけでありまして、非常な大事な仕事だと思つやっておるわけであります。
  99. 平林剛

    ○平林剛君 私は、今後のこの種の税法を考える場合には、どうしても一つの中心の資料として、消費の弾力性は考えていかなければならぬ。しかし、そうかといってあなたのように、五、六年あればということになると、三年ぐらい後でなければ、これを中心にした税の構想が立ってこないので、そういうことは困ります。まあ大体今調べたやつでも、大よその水準というものは出ているんだから、引き続き行なって五、六年たったら信用できる、三年じゃだめだなんということはあり得ないし、大体三年もたてば見当がつくんだから、見当をつけて出直してもらいたいということを要望して、私の質問はきょうは終っておきます。
  100. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 今、平林君が物品税の問題について話をされた中に、今度の物品税の減税、これを見ますと、減税額と免税点の引き上げが同額である。減税されたものが十七億であって、免税の引き上げ額が十七億、そうすると、われわれが、これを審議するのに、免税点を見ずに審議するということになる。そこに何か——今回はいいんですが、今後原案をお示し願って、われわれの審議を特に有効にさしていただくようなお考えはないかということですね、それをまず一つお伺いしておきたいと思います。
  101. 原純夫

    政府委員原純夫君) ごもっともなことでございます。で、今回も、実はもうお話の通りにすべきだと思うのでございますが、非常に残念ながら、私ども御提案申し上げましたのは、平年度四十億の減税と、他面、高級織物その他で九億四千万円の増収を得て、純計といたしましては、平年度も三十倍円ばかりの減収という予算数字でやつておるわけです。で、衆議院で御修正を受けまして、増収の方は半分以上、三分の二くらい飛んでしまったというので、さてそれじゃ政令の関係のなにをびしつと出せといわれまして、まあ初めに考えておったところを出しますと予算と合わなくなるというようなわけで、そうだからといって増収を削られたから、それを政令で穴埋めしようという気持を持っておるというわけではないのでございます。ただやはりその辺おのずからある程度マージナルなといいますか、境目のところではある程度また再検討するところがなくてはならぬだろうという気持もあります。そういうようなわけで、政令事項をお出しするのは当然な話でありますが、まあ事実上の御連絡によってというようなことで今回来ておりますので、これは決してもう正当な姿じゃない、通常はおっしゃるようにやるべきだと、今後の問題としてはそういうようにいたしたいと考えております。
  102. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 実は私も大蔵委員会で十一年間ほどずっとやっておりますが、その間で法案が出て一番ややこしい法案というのは物品税です。いつでも何か問題が起ってくる。これはやはり平林君の言う通り、どこかに矛盾があるのじゃないかと思います。ことに、今申しました免税点というものですね、多分大蔵大臣も免税点の額を御存じないだろうと思いますが、われわれ委員もそれを知らないのです。そうしてここで審議しておるのですから、めくらの審議と同じことなんですよ。そういう点は今後一つこの次の物品税の問題のあるときには、いつも問題が起りますから、それで私が申し上げておきたいのは、免税点を提示されて、そうして審議願いたい、こういうようにお願いしておきます。  それからもう一つは、今度税率を直された中に、税率を引き下げるものの中にオールウェーブラジオというのがあります。二割から一割に下っておりますが、これはどういう理由からですか。
  103. 原純夫

    政府委員原純夫君) 今回の改正は、先ほど来話の出ております担税力を表わす消費率弾力性、また消費の性質というようなことで、税率のバランスをずっと並べて再検討いたしたわけであります。そうして高過ぎるものは下げるということを原則にして、トランジスター・ラジオとかテープ・コーダーとかいうような、もう明瞭に現在課税しておるのと違わない物品については新たに課税する、たとえばその中で現在のラジオでありますが、オールウエーブは現在二割であり、普通のラジオは五%ということになっております。で、どうも私どもラジオに課税するとして、片っ方が五%で、高い方は二割だという開きがどうも説明し切らないということ、これは単にラジオだけでなくて、ほかにも化粧品でもポマードとかいうようなものは五%でありますが、口紅、おしろいになりますと三割かかるというような、非常に大きな開きがあります。これは実際問題としては、今まで何回かの立法過程において、ただいま申しておりまするような根本的な再検討というようなバツクグラウンドがなしにこの改正が行われたというような経緯でなってきておるわけでございますが、今回改正に際して、同種の品物であって二段税率になっておって、しかも、その二段の開きが、あまりに常識からいうて開きが大き過ぎるというものは近づけようというかまえをとったわけであります。その顕著なものが化粧品それからラジオ、化粧品は三割のものを一割五分にして、一割五分と五分と、これでもいろいろ御議論があるかと思いますけれども、そういうふうにいたして、ラジオは二割と五分を一割と五分に直したということでございます。
  104. 小酒井義男

    小酒井義男君 一点だけ大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、事務当局の方には当初私は質問をして、いろいろな今までの経緯を聞いたのですが、物品税法は非常にむずかしいものだということが今度初めてわかったのですが、その中で一番どうしてこういうものに物品税をかけておかなければならぬかなあという印象を受けたのは、線香だとかマッチだとか、これは税金をはずしても価格が安くなるほどの税金じゃないのですね。販売価格には私は影響ないと思うのですが、従来からついておったからということだけで、こういうものを残しておくということは、どうもおかしいじゃないかという感じがするのですね。大蔵大臣、どうですか、こういうきわめて——そのほかにもありますね、セロフアンであるとか紙であるとか、こういう種類のものは検討を要するのではないかと思うのですが、不自然だという感じをお受けになりませんか。
  105. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか物品税はむずかしいものでございまして、私も実はその中身を十分知っておるわけではございません。しかし、線香というと、まあ普通われわれの仏壇にあがる線香を考えますが、やはりお香あたりもこの線本日のうちに入っているようでございます。そうなりますと、価格の点で免税点の問題で大体片づくようでございますけれども、これなどはまあものによりまして非常に高いものに達しておるということでございますので、説明を聞くと、なるほどそうかと、ただ線香だけではまことにふに落ちな。それからマッチなども、これはいろいろ国によっての状況がございますから、一律になかなか言えないと思いますが、外国等は、たばことマッチというので、マッチに税を課している、まあその例があるので、そういうのがわが国でもやられておる、こういうように思うのであります。何か理由はそれぞれに一つ一つあるようでございますが、なかなかしろうとはわかりにくいので、今回の物品税改正に当りましても、専門家というか、その方の担当者は非常な信念を持ち、非常に資料、データも十分持っておるようです。しかし、われわれになりますと、なかなか実情がわかりません。今回の案などもそういう意味で特に専門に政務次官を一人、これに専念さしているのです。物品税の扱い方をさしたわけでございまして、なかなか表現だけではわからない。そこで、先ほど来言うように、免税点がいいか悪いか、こういうことになるのであります。ところが、その方は政令だということで、その点がどうもはっきりしな。まあいろいろそういう意味の問題も持っておる、こういうことでございますから、将来いろいろ研究しなければならない問題を幾つも持っておる、こういうように私どもも思います。
  106. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほどから平林君からいろいろ意見があった問題ですから、私は繰り返してそういうことを言いませんが、やはりいろいろ免税点の問題とか、あるいは税率の問題、かけ方の問題等がいろいろ出てきて、一番私はぴんと来るのは、マッチにさえこういう税金がかかっておるじゃないか、こういうことを思うと、ほかの物品に税金がかかっておるということは、ある程度はやむを得ぬのじゃないかという、こういう気がするのです、私は。まあこれは税収でも大した問題でもありませんし、はずしたからといって直ちに販売価格が下るというほどのものでもないようですが、しかし、とにかくおかしいという点は、おそらくだれしも受ける印象じゃないかと私は思います。そういう点も一つ将来は十分検討をしておいていただきたいと思うのです。
  107. 山本米治

    ○理事(山本米治君) 答弁ありませんか。  暫時休憩いたします。    午後五時十九分休憩    —————・—————    午後五時二十五分開会
  108. 山本米治

    ○理事(山本米治君) これより委員会を再開いたします。  佐藤大蔵大臣に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 山本米治

    ○理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  では、明日は委員会を午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会