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1959-03-30 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三十日(月曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————   委員異動 三月二十八日委員下條康麿君、松野孝 一君、井上清一君、上原正吉君、白井 勇君、重政庸徳君及び森田義衞辞任 につき、その補欠として井上知治君、 林田正治君、青木一男君、木内四郎 君、鈴木万平君、岡崎真一君及び廣瀬 久忠君を議長において指名した。 本日委員戸叶武君、井上知治君、林田 正治君、岡崎真一君、鈴木万平君、木 内四郎君、廣瀬久忠君及び青木一男辞任につき、その補欠として小笠原二 三男君、江藤智君、西岡ハル君、佐藤 清一郎君、梶原茂嘉君、上林忠次君、 前田佳都男君及び紅露みつ君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            大矢  正君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            上林 忠治君            紅露 みつ君            迫水 久常君            佐藤清一郎君            塩見 俊二君            西岡 ハル君            西川甚五郎君            前田佳都男君           小笠原二三男君            小酒井義男君            杉山 昌作君   衆議院議員            足立 篤郎君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    日本専売公社監    理官      村上孝太郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   吉国 二郎君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君    日本専売公社塩    脳部長     小林  章君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方道路税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○入場税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○塩業整備臨時措置法案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会開きます。  まず、委員異動について御報告いたします。本日付をもって委員戸叶武君、井上知治君、林田正治君、岡崎真一君、鈴木万平君、木内四郎君、廣瀬久忠君が辞任されまして、その補欠として小笠原二三男君、江藤智君、西岡ハル君、佐藤清一郎君、梶原茂嘉君、上林忠次君、前田佳都男君が選任せられました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案外七件の税法関係法律案を一括して議題といたします。  まず、物品税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正点について、説明を聴取いたしたいと存じます。衆議院議員足立篤郎君。
  4. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) ただいま議題となりました入場税法案及び物品税法案の両案に対する衆議院における修正部分につきまして、その内容と趣旨の御説明を申し上げます。  まず、入場税法の一部を改正する法律案に対する修正部分について申し上げます。修正の第一点は、「五十円」以下一割の税率を「七十円」以下までに引き上げることにいたしまして、大衆娯楽の負担の軽減をはかることにいたしております。第二点は、新たに設ける免税点現行免税点より引き上げて「三十円」となっておりますのを、それぞれ「二十円」にするものであります。第三点は、改正法律案では施行期日が「昭和三十四年五月一日」となっておりますのを、本年度予算に及ぼす影響を考えまして、「昭和三十四年八月一日」にするものでございます。なお、この修正により、本年度予算に対しては影響はないものと考えております。次に、物品税法の一部を改正する法律案に対する修正部分について申し上げます。修正内容は、新規課税を行おうとする「高級織物」並びに従来製造課税となっております「弾丸」を、それぞれ課税から削除せんとするものでありますが、原案にある新規課税中の高級織物並びに弾丸については、課税執行上等において幾多の難点が考えられますので、この際削除せんとするものであります。また、従来製造課税となっておりますゴルフ用品等を、ゴルフボールを除き、小売課税に移すことにいたしておりますが、従来の実績にかんがみ、脱税防止策考慮いたしました結果でございます。銃については、小売課税から製造課税に移すものでありまして、現行制度に戻すことが適当と考えられたからであります。なお、書画骨董については、小売課税五%となっておりますものを、その流通税的性格を加味いたしまして、この際三%に改めんとするものであります。この修正により予算に及ぼす影響は僅少なものと考えております。  物品税法案に対する修正案提案理由の大要は以上の通りでございますが、本修正案につきましては、新聞紙上批判的記事が掲載されまして、思わざる誤解を生じておるやに存ぜられますので、この際、委員長お許しを得て、しばらく時間を拝借して、この修正に関する具体的内容につき一言申し上げておきたいと存じます。  第一に、織物課税の削除についてでありますが、社会通念として高級織物物品税対象となるべきものであることは、私ども疑いなくさように信ずるものでございます。ただ、私ども審議過程において問題になりましたことは、主として徴税技術の問題と納税義務者がきわめて数多くの零細企業者であるという事実に対する政治的配慮の点でございます。私ども自由民主党といたしましては、今回物品税減税を行いますのに、まず基本方針として、第一に納税義務者零細業者である場合はなるべく物品税減税すべしとの基本方針を確認して参りました。今回、政府より提案されました新規課税品目中、国内産絹織物につきましては、御承知通り、いわゆる高級品になりますほど生産者は零細なる家内工業によるものでありまして、極端なる表現をいたしますれば、名人芸といわれる職人や、高級な刺しゅうに生涯を打ち込む身体障害者等が、生産者である場合が多いのでございます。その販売もまた、デパート等ごく一部のものを除きましては、いずれも零細な中小企業者であることは申すまでもございません。加えて、二、三年このかた、重大なる政治問題化して参りました生糸価格の不安定な状態等考慮いたしますと、その消費をあえて抑制するような措置はこの際慎重なる検討を要するものと考えます。  さらに、洋服地につきましては、原案にあります通り、一メートル五千五百円以上と申しますと、大部分輸入品になるわけでございますが、その販売業者は、これまたデパート等一部を除きまして、きわめて零細なる企業でございますし、いわゆる仕立屋のたぐいまで納税義務者となって参りますので、猛烈なる世論の反撃を受けましたこともある程度首肯せざるを得ないものと考えております。  しかしながら、さきに申し上げました通り、高級なる織物が奢侈的な要素を持ち、消費弾力性から考えまして、税が消費者にうまく転嫁され、生産及び販売に当る中小企業者にそれほどの苦痛を与えずに済む方法が講ぜられるならば、税の均衡上からも当然課税せらるべきものと信じますが、この際は一応見送りまして、さらにその具体的方法検討すべきものとの結論に到達した次第でございます。  次に、その他の修正点につきまして申し上げます。  ゴルフ用具は、従来製造課税でありましたものを小売課税修正しております。これは一見奇異な感じを持たれると存じます。なぜならば、課税対象を変更するときは、新たに納税義務者となる人々は通常猛烈な反対をするのが常識でございまして、従来大蔵省は、物品税性格にかんがみまして、なるべく小売課税に移そうとして参りましたが、そのつど猛烈な反対を受けて参りました事実をもってしても明らかでございます。しかしながら、ゴルフ用具に関しましては、小売業者がそろって小売課税を希望する旨の陳情がございましたので、当初は私どももはなはだ不思議に思ったのでございますが、事情をよく調べてみまして、その理由が了解されたのでございます。その最も大きな理由は、ゴルフ用具メーカーは実は組み立て業者でございまして、多少心得のある者ならば、ほとんど施設を要せずに、部品を買い集めて製造することができるのであります。従って、家内工業的に簡単に組み立てられたものがいわゆるやみ市場にはんらんしておりまして、堂々と店舗をかまえた販売店やみのものを扱うわけにはいきませんので、とうてい太刀打ちできないという事情がわかったのでございます。都内にもいわゆるあめ屋横丁と呼ばれる場所がございますが、製造課税方式をとる限り、小売店舗に出ているものを税務署が一々取り締るべき法的根拠がございませんので、現在は文字通り野放しの状態にあるわけでございます。以上の事情から申しますと、小売業者がみずから納税義務者になる苦痛をあえて忍んでまで、小売課税を希望する理由が十分に了解されましたので、この際脱税を防止し、税の公平を期するために小売課税に転嫁することが正しいと信じた次第でございます。  税率を二〇%といたしましたことにつきまして、新聞紙上非難する向きもございますが、私どもは決してゴルフ用具まで減税しようといたしたのではございません。大蔵委員の各位にはすでに十分御承知通りでございますが、製造課税の場合最高税率五〇%に対し、小売課税の場合は最高二〇%でございまして、この相違は、申すまでもなく、課税標準価格相違に由来するものでございますが、メーカー庫出価格より小売業者店頭価格がきまります間においては、問屋、卸等中間業者の段階の多寡によってもそれぞれ開きが出て参りますので、一概に申し上げられませんけれどもゴルフ用具のごとく商標による信用が商品を価値づけるものでは、メーカー価格店頭価格とに二倍以上の開きがあるのが常識のようであります。宝石や貴金属製品等小売課税二〇%の税率になっております事実から判断いたしますと、ゴルフ用具小売課税に移して、これらと同等の最高税率二〇%といたしますことは、むしろ当然であると考えております。一部新聞の論調によれば、これを著しい減税とみなしまして、ゴルフ道具の二〇%課税は、電気冷蔵庫四〇%、写真機三〇%、フイルム三〇%等と比べてみて、均衡がとれていないと非難しておりますが、これは申すまでもなく、製造課税小売課税の区別とその実質的な相違を知らぬ議論でございまして、あたかも、ものさしの単位を間違えて議論しているようなものでございまして、尺貫法とメートル法をごっちゃにして、二メートルは三尺よりも短いのでけしからぬと言っているのと同じでございます。世論を指導すべき新聞紙がかくのごとき無知と不勉強を露呈したことは、けだしまれなことと存じております。  次に、銃につきましては、政府原案小売課税に移すことになっておりましたが、小売課税に移すことによって、従来非課税であった中古品が新たに課税されることになりまして、あまりにも酷でありますが、かりに行政措置によって中古品課税を免除するといたしましても、これがかえって悪質な脱税行為を誘発するおそれが多分にありますので、この際現行制度製造課税に戻そうとするものでございます。  なお、その税率を三〇%にいたしましたのは、銃についての実態調査をしてみますと、中間マージンが比較的少く、メーカー庫出価格小売価格開きはおおむね四割ないし六割の間にあることがわかりました。これは私、主税局課長補佐及び国税庁の消費税課長を同道いたしまして、抜き打ち的に銃砲店を調べた結果でございます。すなわち、製造価格を一といたしますと、小売価格は平均五割増しの一・五程度であると思われます。今回の政府提案による小売課税二〇%をこの率で逆算いたしますと、製造課税三〇%となるわけでございます。もちろん先ほど申し上げましたゴルフ用具のごとく、製造価格店頭における小売価格が二倍ないし三倍というように、取引の実態が著しく相違するものとは、逆算の場合の計算基礎が著しく違って参るのでございます。  次に、弾丸を削除いたしました理由について申し上げます。弾丸につきましては、すでに小銃やライフル銃等たま免税となっておりますし、一般の猟銃でイノシシやシカなどを射撃いたしますアイデアルというたまは、イルカ猟等のためにすでに免税されております。現在課税対象となっておりますのは散弾空気銃たまのみでございますが、散弾につきましては、その実体が鉛の丸い粒にしかすぎませんので、戦争中、狩猟家は鉛管などをつぶして自家生産したものでございますが、ごく簡単な道具でしろうとでも製造することができますので、従来脱税が公々然と行われておったのでありますが、大蔵省は、その生産が零細である等の理由よりまして、この際、行政措置により免税すべき旨を言明いたしております。私ども自民党総務会でこの法案審議いたしました際、意見がございまして、法律弾丸とうたいながら、その実質は空気銃たまのみが課税対象として残るということは、税の均衡上からいかにもおかしいのではないかということになりますので、この際、弾丸の項を削除すべきものであるという結論になった次第でございます。  最後に、書画骨董品課税原案税率五%から三%に引き下げたのでございますが、これは御承知通り一種財産財として転々流通する性格を持っておりますので、一つの品物が何回も課税を受けることになります。従って、衆議院大蔵委員会におきましては、実は物品税とは何ぞやという根本論から始まりまして、激しい議論が長時間にわたってかわされたのでありますが、議論はなかなか尽きませんので、ともかく従来、書画骨董委託という合法的な手段で八割以上脱税されてきたといわれておりますので、この際消費に対して課税する一般物品税とは著しく異なる流通税的な性格税率にも加味することにいたしまして、三%に引き下げることといたしたのでございますが、この修正によりまして、今後は委託品につきましても、骨董屋店頭において販売されたものとみなして徴税し、税の公平を期すべきであると存ずるのでありますが、完全徴収により税収入は、減収するどころか、かえって増収になる場合もあり得ると推測をしております。  以上、はなはだ時間を要しまして失礼いたしましたが、今回の修正につきまして、はなはだしい誤解も生じているやに存ぜられますので、この際私どもの意図を明らかにするために、詳しく御説明申し上げたのでございますが、もちろん、このほかの点につきましても、若干の問題点を残しておることは事実でございますが、今回は大蔵省が公平の線にのっとりまして、従来にない大幅な減免税を実施することにいたしておりますので、以上申し上げました通り、税の均衡上の問題、あるいは脱税防止という点に重点を置きまして、一部の修正をする次第でございます。何とぞ御了承賜わりますよう、お願いを申し上げる次第でございます。
  5. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいま聴取いたしました衆議院で行われた修正点について、御質疑がある方は、この際御発言を願います。
  6. 平林剛

    平林剛君 国会最高審議機関として、政府提案する法律案修正することは、国民の代表として許された行為であることは私認めます。しかし、衆議院大蔵委員会において、問題の多い物品税法改正に当り、特別にゴルフとか弾丸等について手直としたという政治的な意味ということは、これはやはり重大な問題だ。私は、今お話しのようなゴルフなどが、製造課税のものを小売課税にすることの利害、お話のような脱税防止だとかいうようなことは、これはもっと慎重に検討してみなければ、ただいますぐにお話を聞いただけで議論をすることは差し控えますけれども、少くとも今回の物品税法改正政府提案をしたときは、各方面意見を相当聞いて、そしてこれが提案をされておる。社会党、私どもの立場から見ると、物品税には根本的な議論がありますけれども、しかし、こういう問題の取扱いについてはかなり慎重な審議が行われなければならぬ。ゴルフを取り上げるなら、まだたくさんいろいろ取り上げなければならぬ問題があるじゃないか。というのは、私は誤解か何か知らぬけれども国民感情としてはもっとも意見だ、こう思うのであります。そういう特別にゴルフその他が抜き書きされた動機といいますかは、私は理解ができない。脱税防止その他の点では、これに限らず各方面にありますが、特にこの問題が取り上げられた理由というのは一体どこにありますか。それから、もう一つは、これがやっぱり国民感情全般に与える影響ということを考えられて、こういう審議が続けられて結論づけられたのか。この二つ一つお答え願いたい。
  7. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今お話しの政治的な考慮が払われたかどうかという点、政治的な影響が大きいのではないかという点、まことにごもっともと存じます。私どもは、今回のゴルフとか弾丸とかいうような、比較的一般庶民階級が親しめない、常識からいえばぜいたく品だといわれるようなものをあえて手をつけた、けしからぬじゃないか、この国民的な感情といいますか、御批判はごもっともであると思いますので、先ほどもちょっと私提案理由最後に申し述べました通り、今回の物品税改正法案は、相当大幅な内容を持っております。私ども与党におきましては、昨年八月から慎重に審議をし、税制調査会答申等もしさいに検討いたしまして、基本方針を立てて、その線にのっとって、一々各品目について検討をして参ったのでございます。政府とも緊密な連絡をとってやって参りました。  それに、なぜゴルフ弾丸が残ったか、これはごもっともな御質問と思うわけでありますが、私どもゴルフの場合について申し上げますと、ただいま申し上げました通り、この業態の実態というものは、十分実は把握していなかったというきらいがあるわけであります。そこで、この法案が出ましてから、ゴルフ関係業者の切なる陳情を聞きました。私どもは初めは疑いをもって見ておったのです。非常に不思議に思いました、ただいま申し上げた通りであります。しかし、実態をよく調べてみると、これはもうあめ屋横丁という東京にもガンがございますが、あそこに出るものと、一定の店舗をかまえて堂々と商売している運動具店に出るものと、全く太刀打ちできないという状況がよくわかりましたが、これは課税のやり方が悪いのだという結論に私どもとしてはなった次第でございます。そこで、今お話し通り、われわれが幅の広い改正案を出しておきながら、さらに残った問題として、こういうゴルフなどばかり手をつけるということの世間に与える影響はどうか。全くその通りに思いましたが、私どもは、これは業者のまじめな陳情を聞き、実態を調べてみまして、判断をしました結果に基きまして、これは世間体はいかがかと、私ども十分政治的考慮はいたしましたが、これに国会憶病になってしまって、当然やるべきことを残しておくということは、せっかくこの際大幅にやる物品税改正が、画龍点睛を欠くきらいがある。国会はこういう世論に、しかも何と申しますか、どちらかといえば一種のひがみのような世論に常に引きずり回されるようなことではいかぬ、われわれは一つ勇断をもってやろうというように決心した次第であります。あるいは言い過ぎかもしれませんが、私どもの心情を御了察願いたいと思って、一言申し上げた次第であります。
  8. 平林剛

    平林剛君 物品税の各品目ごとに詳細な検討を加えていきますれば、今お話しのように、皆さん勇断をもっておやりになったゴルフ程度のものじゃない。もっとひどいものが、まだたくさんあるのですよ。私は御承知のように、社会党に属しておる。そこで、私どもの見解は、この戦時中の遺物である物品税はすみやかに撤廃をして、そして新たに奢侈品税のごときものを設けたらどうか。特に今日、生活に、国民日常生活に食い込んでおるような物品が高い税率で課せられていることは、家庭生活に与える影響、ひいては、大きくいえば国民経済に与える影響が大きいと思う。そこで、全面的に検討をして、これは新たに奢侈品税というべき性質のものを作る方が今日の実相に合う、こういう私は根本的な問題が物品税法審議にはあるはずだと思うのです。しかるに、まあ熱心に御審議になった結果でございましょうけれども、その中で特に取り上げられたのが、ゴルフであり弾丸であるというところが、私は、国民が——これは誤解でない、課税のこまかいことじゃないのです。この物品税法に対する根本的な検討がおろそかである。おろそかということは失礼でありますけれども、十分行われないで、そしてただゴルフ弾丸ということに集中をされたその傾向に国民批判をしておる。私はこう見ておるのであります。  特にこまかくお調べになってその矛盾をお気づきになったことについては、私、敬意を表するのでありますけれども陳情のあったものとなかったものと、たまたま陳情があったものが集中的に取り上げられ、そして陳情がなく埋もれておる国民の総体的な声というものが取り上げられなかった、こういう審議状況はいかがなものだろうか。こういう点について、私はどうも割り切れない気持を持っておるのであります。陳情のなかったものの中にも、まだたくさん、今お話しのような不合理以上の不合理が隠されているのじゃないか、私はそういうふうに見ておるのでありますが、皆さんの御審議結論としてはいかがでございましょうか。
  9. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) お言葉でございますが、私どもは、今回の物品税改正につきまして、何にもやらずに、ゴルフや鉄砲だけ取り上げたとすれば、お言葉通りの非難を受けても私どもはやむを得ないと思います。御承知通り、今回の物品税改正は従来にない大幅のものでございまして、各品目にわたっております。中には、陳情があろうとなかろうと、税の公平論から手をつけているものがたくさんございます。その中で、たまたま今申し上げたような、私ども与党としてかねて政府と打ち合せをしながらやって参りましたその審議過程において爼上に上らなかった問題で、なおこの際手直しをしなければならぬという問題が出てきた。これは、何百種類とあります物品税の中でございますから、これは二つか三つ出てもやむを得ない、お許しをいただきたいと思っておるわけでございまして、こういったものを解決するのに憶病であってはいけないということで、思い切ってやったような次第でございます。もちろん、見方によりましては、いろいろな御議論もあろうし御批判もあろうと思いますが、私どもは間違ったことをやったとは思っておりません。先ほど来申し上げた通りの信念をもってやったと、はっきり申し上げることができると思うのであります。
  10. 平林剛

    平林剛君 まあ、これはお互いの感覚の問題でありますから、これ以上議論をしても仕方ないことであります。  もう一つ弾丸と薬莢ですね、これはまあお互いにくっついているものでありますけれども、片っ方は課税される、片っ方はそうでなくなる、こういう矛盾については、どういう御見解をお持ちですか。
  11. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 弾丸と薬莢は一緒になるものでありますが、これがいわゆる税の面から切り離されたからといって、決して不均衡だとかつり合いがとれないとかいう問題ではないと私は存じております。と申しますのは、いわゆる常識的に弾丸と申しますと、ケースがあり、それに雷管を装填いたします。さらに、中に火薬を詰め、俗に送りといわれていますコロスというのを詰めまして、その上に、出口に——、出口というとおかしいのですが、一番上にたまを詰める。そこで、今まで「薬莢及び弾丸」という項が物品税の中にございましたのを、薬莢と弾丸は明らかに区別いたしておるのでありまして、薬莢とはケースであり、また弾丸とは鉛のたまであるわけであります。従って、先ほど申し上げた通り、その鉛のたまにつきましては、従来脱税が多い。しかも、メーカーは中小企業であるというような事実等も考えまして、大蔵省は今回これを行政措置によってはずすことを審議過程において言明いたしております。今申し上げたのは猟銃の散弾であります。そうなりますと、先ほど申し上げた通り弾丸として残るのか何かといってせんじ詰めてみると、空気銃たまだけ残る。これはどうもおかしいじゃないかという議論は、私ども総務会でありまして、これは弾丸という項目をはずさないと、もう行政措置ではこれ以上できないということでございますので、この際弾丸をはずして公平を期したい、こういう考えでございます。  薬莢には税金が残ります。これは残っても私どもはやむを得ないと思っておるわけでございまして、薬莢につきましては、その中でも特に、農山村の職業猟師やあるいはイノシシ、ウサギ等の害から自分を守るために狩猟をやります狩猟者が、農民が、御承知通り、あの地方税で千八百円の逓減税率の適用を受けておりますが、狩猟者が自己防衛的に狩猟をやります場合、そこらは主として有煙火薬——黒火薬と申しておりますが、これを使って、しんちゅうケースを使っております。こういったしんちゅうの薬莢は、この際、そういった意味から、大蔵省行政措置によって免税措置をはかりたい、こういうことを言明いたしておるような次第でございまして、残りますのは、どっちかというと、まあ遊猟に使う高級な、紙ケースといわれておりますが、これが税金の対象として残る。これは、私どもは、紙ケースにつきましては、メーカーは主として大きな企業でございますし、日本に三社か四社しかないと思います。こういうようなものは徴税にはちっとも困りませんし、当然脱税等もございませんし、税をとってしかるべきものだと考えておるわけでございまして、以上申し上げた通り弾丸の部品になりますもののうちで、今まで薬莢と弾丸だけがかかっておりました。火薬はもう免税になっておりますし、その他のものも、部品も全部免税になっております。その中で弾丸をはずすと、薬莢だけが残る。残っても、私どもは、今日の段階においてはしかるべきものと判断をしたしたような次第でございます。
  12. 平林剛

    平林剛君 またいずれ、法案のこまかいことにつきましては私ども検討いたしますが、衆議院において、特にゴルフ弾丸等について御修正になって、そのまあいい悪いはこれから私ども議論をいたしますけれども、それだけの力があれば、ほんとうであれば、国民大衆の生活に食い込んでおる物品についての課税をもう少し手直しをしてもらうと、もっと物品税の根本的な検討で全面的な改正が行われる。皆さんの力が相当強いわけでありますから、私はそういうことを期待しておったのでありますが、案に相違して、出てきた結論というのは、特に世評からどうかと思われる問題にしぼられたことを、まことに同じ議員として残念に思います。  特に、この物品税法に限らず、どの税法もそうでありますが、私ども参議院の手元に来たのは三月二十七日ごろですね。特に物品税のごときは、まあもう少し早くこっちに回してもらいたいと思っているのに、いつまでも衆議院の方で持っていて、私どもの方に来たのはついきのうかきょう。これはあなたにばかり文句を言ったって仕方がないことでありますけれども、そういう今回は国会審議が行われたということは、私どもきわめて残念に思っておるのであります。まあこれは私の見解だけを申し上げまして、こまかい審議はこれからいたしたいと思いますから、きょうはこの程度一つ
  13. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 委員長、一点つけ加えさしていただきたいと思いますが、お答えの中でちょっと漏らしましたが、ゴルフなどをいかにも減税したような新聞記事が出ておりますが、先ほど申し上げた通り、私どもはこれで減収になるとは思っておりませんで、従来公々然と脱税されたものが、店頭において取締りが徹底することによりまして、むしろ税収はふえるのではないかという私どもは考えを持っておりますので、決してゴルフを甘くするようにいたしたいために減税をしたという感覚は全然持っておりませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  14. 平林剛

    平林剛君 ただ、製造課税小売課税にする、これは一つ課税の方式の体系ですね。物品によっては区々まちまちなんですよ。それが特にゴルフについては小売課税に移して、それで脱税防止や税の増徴ができるというお話ですけれども、やはりこういう問題は、私は物品の総体的な体系の上において考えられなきゃいけないのじゃないか。ゴルフはなるほど製造課税から小売課税にしたけれども、依然として製造課税のものはたくさん残っている。私はそういう全般的な課税方式の体系から議論すべきであって、一つ一つやれば、それは利害得失はありますよ。ありますけれども物品課税の方式、体系、こういうものは統合して考えるべきで。ある場合にはそのために損をしておるところもあるし、得をしておるところもある。一つだけ議論すれば、あなたのようなことであるかもしれません。しかし、私は課税方式の体系という問題だと、こう考えておると同時に、物品税課税額はこれは数百億だけれども、その半分は政令にゆだねられておる、半分は法律に書いてある、こういうような点も本質的にいえばずいぶん議論のある点なんですよ。だから、私は、単にゴルフ脱税が防止されるからいいとか、あるいはこれが税収が確保されるからいいからという、それだけで議論をすべき性質のものではない。私はそういう見解でこれをながめておるということを申し上げておきます。これはあとのは議論でありますから、お答えは要りません。
  15. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御発言はありませんか。
  16. 大矢正

    ○大矢正君 足立さんの今のお話からいくと、最後につけ加えられた言葉は、税収の面では減らないからいいじゃないかという議論をされたようだけれども、私は、税収が確保されるか確保されないかという問題は、それはもちろん大事かもしれませんけれども課税対象になる、いわばそれを買う国民ですね、それがどういう立場にあるかということの方が重大であると私は思うのであります。ですから、かりにゴルフの用具のまあ減税をやっても、結果だけ総体的に見れば、ゴルフ用品それ自身の中にもやみを捕捉することができるから減税にならないのじゃないか、確かにそれは、いわば当初計画した税収を確保するという面ではそういう議論になるかもしれませんけれども、しかし、国民にしてみれば、ゴルフの用具のいわば減税をするくらいなら、まだまだ物品税でほかの減税する要素があるんじゃないかという主張があるということだけは、やはりあなたは聞いておかなければいけないと思う。何も税収確保だけが問題の中心ではないので、要は買う者、あるいはそれを売る立場にある者が、総体的にどういう状況に置かれているかということが問題であって、まあその点は物品税の原則的な問題だと思うのです。  あなたのさっきの話を聞くと、書画骨董に対しては五%を三%に引き下げたというわけですね。その一つ理由としては、書画骨董を扱っている中間のマージンといいますか、そういうものが比較的少いというような議論もあったようですけれども、それよりもっと大事なのは、物品税というのは一体どういうものなのかという原則論に対する何か御意見もあったようですけれども物品税というものは、製造されて、それが販売されるときにかけられるのが物品税であって、他には一切物品税はかからないものだとすれば、理論的にいえば、書画骨董に対しては課税をすべきではないという理論になってくるわけですね。そうすると、あなたがそういうお考えならば、むしろ五%を三%にするのでなくて、一切そういうものについては課税をしないというようにきめられる方が、理論的に筋が通るんじゃないですか、どうですか。
  17. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) お答えいたしますが、最初お話にあった、ゴルフ用具の問題に非常にこだわっていらっしゃるので、私も重ねて申し上げますが、先ほど来申し上げている通り、私どもゴルフ用具減税するという趣旨で取り上げたものでは断じてございません。先ほど申し上げた通り製造課税で五〇%であったものを小売課税で二〇%にした、これは明らかに減税ではないか、こういう新聞論調でございますが、これは必ずしも、これで大幅な減税になったと断定するのは早いと思うのであります。なぜかなれば、ゴルフ用品というものは、メーカーが作りまして、これに一定の信用のある商店のレッテルが張られて、これが小売にくる。そこで著しく増加価値を生ずるわけであります。売れ行きの足のおそいものでありますし、小売店や卸のマージンというものも相当な額になる。そこで、私どもが調べたところによりますと、物によって違いますが、ケース・バイ・ケースで違うかもしれませんけれどもメーカー価格小売価格というものは二倍以上開く、これだけは事実のようであります。そうなりますと、かりに今までの五〇%の製造課税小売課税に移すと、同じ税負担といたしますれば、これは二五%という税率が一応普通に考えてみて出るわけであります。現在小売課税の場合につきましては、最高税率が二〇%になっていることは御承知通りであります。これは宝石やダイヤモンドや貴金属類、こういったものがすべて最高税率二〇%であるわけであります。そうなると、ここに一つだけゴルフを小売に移す場合に二五%とか何とかというように端数のある税率を設けて、ダイヤモンドや貴金属よりもゴルフ用品の方が税率が高いということが正しいかということになりますと、これは私どもは必ずしも、社会通念からいって、それほど懲罰的な税をかけることも正しいとは思わない、かように考えるわけでございます。  そこで、ゴルフをなぜ小売に移したかという理由は、先ほど詳しく申し上げましたので申し上げるまでもないわけであります。私どもは、今までの実態を調べてみて驚いたのであります。公々然とアメ屋横丁あたりでやみ物が売られている。あるいはキャデーやコーチをする連中が適当に見立てて、適当にクラブなどに売りつけている。これは物品税を全部脱税しているわけであります。従って、これをどうしても取締りをするためには、小売課税にする以外にない。そして税務署もいやでありましょうが、アメ屋横丁にでも堂々と立ち入って、店頭で取締りができるような法的根拠を設けなければ脱税は防止できない、かように信じたからあえてやったのでございまして、決してゴルフ用具減税せんがために取り上げたものではないということを、ぜひ御了承いただきたいと思っている次第でございます。  今回は、その他のものにつきましても、こういった脱税がもう公々然と行われているものにつきましては、相当思い切った処置をとっております。たまたまこのゴルフが見残しになっておったので申し上げているわけでありまして、たとえば、法案にあります通り、ズルチン、サッカリンのごときは、従来製造課税であったわけでありますが、これが原料からズルチン、サッカリンに製造されますのは、わずか一工程の簡単な工程でこれが製造されるので、朝鮮人部落あたりで盛んに密造されまして、脱税品が出回って、まじめな製造業者は立ちいかないような状態になっておったわけであります。そこで今回は、これを原料にまでさかのぼって、ズルチン、サッカリンの原料にも課税をすることにいたしておる法が出ていることは御承知通りであります。こういった各品目につきまして、税の公平な執行を期するために相当大幅な改正を行おうとしているのが今回の法案でございまして、たまたま残ったのが、今思い切って手直しをしようとするのがゴルフ等でございまして、決してゴルフだけを取り上げたというわけのものでは断じてございませんので、この点は誤解のないようにお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。  なお、書画骨董でございますが、これはおっしゃる通り、転々流通する、いわゆる一回で消費してしまうものではございませんので、免税せよという意見も実は強かったのであります。これも一応理屈があると私どもは考えておるわけでございますが、ただ、現在の物品税体系からいたしますと、こういう理論ですべてがすっきりと割り切られているとは私は申し上げられません。なぜかならば、たとえば宝石や貴金属類のごときものを考えてみますると、これも買い取って自分が使うことは間違いありませんが、ほかのものと違いまして、消費をしてしまって、一ぺんで終ってしまうというものではないのであります。やはりこういった宝石や指輪というものは、転々として流通いたします。また、古い物は店頭に出て参る。特にダイヤモンドなどは何回も、おそらく世界中の市場へ出ると申し上げてもよいと思うわけでございまして、しかるに、書画骨董免税すれば、ダイヤモンドまで免税しなければならぬということになりますと、なかなかふん切りがつかないということから、やむを得ずというと語弊がありますが、まあこの際流通税的な性格も加味して、逓減税率を適用して、そうして業界にも協力してもらって、一つ委託どもみなし税にしてとるようにして脱税を防ぎ、公平を期したい、こういう考え方で、実は思い切って踏み切ったような次第でございまして、衆議院大蔵委員会におきましては、社会党とも理事懇談会等やりまして、各品目について検討いたしました際に、社会党の方からも、書画骨董品についてはこの際三%にせよという御意見もありましたので、この点につきましては、両党一致の意見として修正案を出したわけであります。もちろん、今回の修正案は自民党提案でございますが、この点については意見が一致していることをお含み願いたいと思うわけであります。
  18. 小酒井義男

    小酒井義男君 一点お尋ねしたいのですが、高級織物が全部はずされたのですが、これについて、何か二万五千円であるとか、一メートル五千五百円というような、価格が低過ぎるものであれば、あるいは三万五千円とか四万円とか、そういう価格にして課税をするというようなことは、議論にならなかったのかどうか。それが全面的に廃止をされた考え方を一つ承わりたい。
  19. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) まことにごもっともな御意見でございまして、実は私どももその点はたびたび議論をいたしました。どの辺に線を引くかということで議論をいたしたのであります。もともと大蔵省は、もう少し低い線で初めは課税しようということを考えておったようでございますが、一般世論の動向等を考えまして、今おっしゃるような二万五千円、洋服生地では五千五百円というようなところまでふん切って法案を出されたようでございます。そこで私どもも、この点はもう少し金額を上げて、いわば何といいますか、ごくまれにしか取引されない——というと語弊がありますが、そう一般とはほとんど関係がないというものであれば、メーカーもあるいは小売店も、税をとられてもそう困りはしないのではないかという点まで実は考えてみたのでございます。先ほど平林さんからも御意見のあった通りメーカー課税にするか、小売課税にするかという点ももちろんからんでくるわけでございますが、生産者は、国内品につきましては、実は高級品になればなるほど名人はだの職人といいますか、中には刺しゅうに一生つぎ込むような、身体障害者等が黙々として刺しゅうで生きていくというような、こういう手をかけたものに限って値段が高いということになりますので、メーカー課税はなかなかやりにくい。それから小売店につきましては、もちろんこれはデパート等は別でございますが、その他のものにつきましては、中小企業であることには間違いないということから、これまたやはり議論が残るわけであります。そこで、まあ最終的には今おっしゃるような何らかの価格を上げるというような線でまとめたいと思いまして、私個人としても自民党の財政部長としてできる限り努力したのでありますが、今回はいろいろ問題点が多いので、物品税をかけるべき性格のものであることはこれは関係者みんな了承しているわけでありますが、この課税技術の点につきまして、さらに検討をしたらどうか。  特に、洋服生地の問題のごときは、国内産の洋服生地は、もちろん、メーカーは中小企業といっても工場でありますから、大きいところのメーカーからとるということができるわけでありますので、メーカー課税にするという点も考えたのでありますが、五千五百円以上、あるいまそれ以上、たとえば六千円とか七千円ということになりますと、これは国内製品ではもうほとんど絶対にかからないと言っていいわけであります。そうなりますと、輸入だけ。輸入になりますと、これは関税をかけて、関税を引き上げたらどうかという意見もあったわけであります。関税を引き上げますと、イギリスあたりから報復手段がとられる。これは日本の貿易にも関係してくるというような点も考慮されるわけでありますし、ガットにもひっかかるというようなことになって参りまして、いろいろ問題点が出てくる。そこで、小売課税にすることは、やはり小売業者仕立屋などで、ごく少人数でやっておる仕立屋で、こういったいわゆる名人はだのものは、特に相当な地位や名誉のある人から注文を受けて、実は外国の輸入生地あたりを扱ってりっぱな洋服を作ろうという仕立屋も、実は相当ございます。これは今度こういうものを全部課税対象になる、納税義務者になるということになりますと、これはなかなか問題が多いというような点、いろいろ考慮されました結果、これは一応見送りにしよう、そうして課税方法等につきましてさらに研究をし、具体的な方策を考えた上で、将来かけるということにしたらどうかというので、この際一応見送りにしようというような決心をしたような次第でございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、大蔵省が考えておった税関係の諮問に応じた答申ですね、織物税に関する答申は、具体性のないものが答申になったのだ。実際上技術的にめんどうな、あるいはいろいろな商行為の上から工合の悪いものを、無理やり答申したのだということになりますか。
  21. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは私からお答えすべきではないかもしれませんが、私ども承知しておる範囲では、決してそういう意味ではないと思います。答申が間違っておったという意味ではないと思います。答申は主として消費弾力性という点に重点を置いて、消費者がどれだけの負担力があるかという点に重点を置いて答申をなされた。そういう点からいたしますと、高級織物等は奢侈的な要素を持っておることは違いありません。それを買い入れる消費者というものはいわゆる消費弾力性は十分持っておるのですから、そういう意味から、いわゆる社会通念からいたしますと、これは課税すべきものであるという判定をした税制調査会等の答申は、決して間違いではないと私ども考えております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに間違いでないとお考えになっておるならば、いかようにかしてこれを、国会の立場ではこれを実現していくという考え方の方が筋ではないか。はずすという安易につくよりは、やはり税体系全体の上からも、困難の中にも工夫をこらして実現していく、実施していくというのが筋ではないですか。
  23. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) おっしゃる通りであります。私どものただいまお答えしました通り、何とかしてこれを生かす方法はないかというので、洋服については、あるいは関税を考える、あるいはメーカー課税を考える、あるいは中間の卸売課税というようなものを、今やっておりませんが、問屋筋からとるというようなことを考えております。いろいろ考えてみましたが、今日の段階においては結論が出ない。従って、結論が出るまでしばらくこれを留保するという意味で取り下げにしたいという、こういう決意をした次第でございます。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはあとで政府側にお尋ねすれば、だんだんはっきりしてくると思うので、今回はお尋ねしませんが、しかし、この措置は今始まったことではない。前にも一度大騒ぎしたことがありますね。時間はかかっておるわけです。その間、自民党政調会等はこの趣旨によって検討はしてなかったのですか。まず、今回も見送る。しばらく検討の時間をかけるということはおかしいし、また大蔵当局としても、この種の問題が起れば抵抗のあることもわかりながら、あえて実施しようということなんですから、相当これは検討も加えておられたろうと思うのですが、それやこれや、政府側の考えは、技術的にいけない、うまくないのだ、こういう結論になったわけですね。
  25. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 従来問題のありましたことはお説の通りでございまして、たとえば原糸課税をするとか、あるいは織物消費税を課するとか、取引税はこれだけではありませんが、取引税をやろうとか、過去においていろいろこれは問題になり、織物は最もその対象として議論されたことは御承知通りであります。私どもも決してこれをなおざりにしておったわけではございませんが、今回物品税対象として、何といいますか、取っ組んで参りましたのは今回が初めてでありまして、今申し上げたようないろいろ苦心をし検討をいたしましたけれども、今回においては最も妥当なりとして、また先ほど申し上げた通りメーカーの面において、あるいは販売業者の面におきましても、中小企業に対して打撃的な苦痛を与えずに済むという方法がなかなか見つかりませんので、この際は一応見送りにして、さらに検討をしよう、こういうことにいたしたのでございます。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、結論としては、政府当局がこの種のものを物品税として課税するということは、未熟である、政府当局の考え方が未熟である、けしからぬ法案を出したものである、自民党はそうお考えになったわけですね。
  27. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは言葉の問題ですけれども、私どもも決して政府が間違った法案を出したものとは思っておりませんけれども、何といいますか、けしからぬ法案を出したというふうには思っておりません。ただ、今申し上げた通り、実際に実情に当ってみますると、政府原案のままでこれを執行するということになりますと、幾多の中小企業等が思わざる打撃を受ける、税の苦痛に悩まなければならぬという事実がわかりましたので、この際中小企業対策との関連からいたしましても、さらにいい工夫はないか、こういうことでしばらく延ばそう、こういうことでございます。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それがけしからぬ法案でしょう。中小企業にウエートを置いて、それが困るんだ、だからはずしたのだ、修正したのだというなら、こういう困る法案を出したのは、その意味においてはけしからぬ法案でしょう。どっちかでなければいかぬ。物品税として課するのはけしからぬ法案……。
  29. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 先ほど来私たびたび申し上げておる通り、私ども提案の趣旨の説明に詳しく申し上げました通り、これは物品税対象として取り上げることは、私ども疑いもなく正しいものだと思っております。ただ、先ほど来平林さんからいろいろ御意見がありましたが、果して製造課税が正しいのか、小売課税が正しいのか、税率はどうか、免税点はどうかという問題になりますと、これは部分的にはいろいろな議論が出てくるし、業界の実態にも合せて税の公平と均衡を失しないように、また脱税等がないように十分善処しなければならない。また、一般的な政治問題としてこれは取り上げなければならぬ政治的な考慮という点もあるわけでございます。そこで、大蔵省は、そういった政治的な考慮において多少なりとも欠くるところがあったということがいえるかもしれませんけれども、これが直ちにけしからぬ法案であるとか、間違った法案であるとかいってきめつけるのは、あまりにも酷であると私は考えます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは酷ではない。そういうふうにきめつけるのは酷であるということであれば、あなたの方ではやはり、これが実現のためには、この方途を探求するために参考人を呼んで意見を聞くなり、大いに善処せられる姿があってしかるべきだったと思うのですが、そういう点は私は衆議院側の速記録では見ないのです。突如としてこの法案修正されて上ってきておるので……。
  31. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは私ども党の内部の問題でありますから、一々まあ世間に公表をいたしておりませんし、御存じないのもごもっともでありますが、昨年の八月以来自民党に臨時税制調査会というものが設けられまして、熱心に検討をいたしました。なお、私ども政調の財政部会におきましても、昨年の十月以来熱心に検討いたしまして、特に一番問題になりましたのは、ただいま御指摘の新規課税、なかんずく高級織物でございまして、幾多の関係者を招致しまして、私ども財政部会では意見を聞き、議論も戦わした結果、今日の段階においては、このままの法案でも実施するには、今申し上げたような中小企業対策等において政治的な考慮をする必要があるという点から、もう少し詰めてみたい。それにはいかにも時間がなくなったということで、この際は一応見送るということにいたしたわけでありまして、御指摘の学識経験者といいますか、関係者の意見を聞いたかという、こういうお話でありますが、私どもはこの点は十分聴取をいたしておるつもりであります。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、この法律案の行方が当委員会でどうなるかわかりませんが、それだけに積極的な熱意と誠意があるならば、かりに暫定的にこの問題が今回見送ったということであるならば、見送った責任者である自民党が、議員立法であろうが何であろうが、次期国会あるいは通常国会等には、積極的にこの種の物品税課税の対策を盛り込んだ税制改革案を出すべきであろうと思うのです。また、次の機会にお尋ねした際に、時間的余裕がなかった、妙案なし、従ってまた見送ります、こういうことがもう言えないと思うのです。どうですか、この点。
  33. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは私の立場で今、何といいますか、いつ法案を出すというふうなことを言明するほどの立場にございませんが、御意見として拝聴いたしておきます。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 自民党のために私は惜しむんですよ、そういう態度は。あなたがおっしゃっていることは、非常に肯定に値する部分が多い。であるならば、議員の立場においてでも、議員の責任の立場においても、いいものではある、趣旨は賛成だ、技術的にめんどうであるというなら、そういう点を克服して、今回のように否定したものであるならば、これを趣旨において肯定したその姿を必ず具現するようにやるべきだろうと思うんです。そういうことがないなら、やはり国民大衆の中には、それは賛否さまざまあるわけなんですから、一方的に、これは業者の片側だけの要請によってはずしたのだ、政治的な考慮が多過ぎた、やはり圧力団体に屈したのだと、こういうようなそしりは免れることはできないと思う。今言われた、いろいろ中小企業対策としてこれは否定したのだ。それは一応の筋でありましょうけれども、それは政治の筋ではない。片面だけなんです。だから、他の物品税等で多くの負担をする消費者大衆の立場というものもあるんですから、全部に納得いくような努力が、私はやはりこの種の修正をする立場においては必要であろうと思うんですね。そういう意味で申し上げているので、われわれとしてもやはり、税体系の上から、今後の審議の結果によっては暫定措置として賛成する場合もあるかもしらぬし、この種の修正はいけないと反対する立場もあるかもしらぬし、この際はそういう言明については、全体の問題がありますから、この際は控えておきますが、しかし、今の程度修正ということであるならば、私は議院内閣制の立場からいっておかしいと思う。  ほんとうに国会の重要部面は、予算案なり、その裏ずけとなる税制の審議だと言っても過言でないと思う。そういうものが、政府政府与党との間に見解の相違が現われて、この種の措置に出るということは、これはやはり世間の疑惑を招くもとであろうとさえ思うんです。あとで大蔵大臣等おいでになったら、この点は究明したいと思うわけなんですが、何としても、皆さんとしては対案を出すための努力をするという言明はできないわけなんですか、こういう修正をした今日。
  35. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今、私の立場でそういう、何といいますか、党全体の熱意を表明するような御答弁を申し上げることは、ちょっと許されないと思います。ただ、私、先ほど来申し上げております通り、税の理論と申しますか、社会通念からいたしましても、他のものとの均衡を考えますと、こういった高級な織物等につきまして、物品税性格からして当然課すべきものであるということにつきましては、私どもかたく信じております。このテクニックの問題をさらに検討いたしたい、こういうことでございますので、今、いつになれば、おっしゃるような、じゃ、法案を出すか、あるいは議員立法をするかというような点につきましては、これはどうも私としては言明はいたしかねる。これはお許しをいただきたいと思います。
  36. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 修正点に対する質疑はこの程度にいたします。  足立君、御苦労様でした。
  37. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) よろしくお願いいたします。
  38. 加藤正人

    委員長加藤正人君) それでは、物品税に対する質疑を願います。
  39. 平林剛

    平林剛君 政府物品税法改正案によりますと、物品税の減収は平年度約四十億一千五百万円と相なっております。しかし、実際問題としては、政令によって今後なお十分検討して、課税最低限の引き上げの問題などにつきましては、これを委任される形になっておる。そこで、われわれがこの法律を見ただけでは、全般の物品税合理的になっておるか、不権衡がないかという判断がなかなかつきかねておるわけです。法律によって減収になるものと政令によって減収をされるものと、その割合は一体どういうふうになっておるかということをお聞きしたいのです。同時に、これは、今回の改正案によりますと、四十億一千五百万円の問題で、その割合について聞きたいわけでありますが、これを全般の物品税による減収で見た場合に、法律による減収と政令による減収とは一体どういう割合になっておるか、この機会にそれをお聞かせ願いたいと思います。
  40. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 四十億の平年度減税額のうち、私どもが御提案申し上げましたもとの姿での法律による減収額は、約二十億円であります。従いまして、法律によらない、政令によっての減収が残りの約二十億円でございます。  後段のお尋ねはそれでよろしゅうございますか。
  41. 平林剛

    平林剛君 まあいいです。税金は、これはあなた方よく私ども説明するときに、法定主義というのが原則でなければならないと、しばしばそういう説明をされたのであります。これは国民にとっても、国会がそういう基本的な態度で臨まれることが一番安心しておられるわけです。ところがこの物品税法につきましては、課税物品が複雑であるということはよくわかりますけれども対象となる国民にとっては、どうもこれはなかなか困るのですね。私は、こういうことは法定主義に反するのじゃないか。この法律案の中でも、政令事項にゆだねるということに相なっておりますけれども、こういう政令事項はもうできておるのですか。もしできておるとすれば、議会で、特に大蔵委員会にこれが提出をされて、国民の代表であるわれわれが審議をする機会があるのかないのか、こういうことについてはいかがですか。
  42. 原純夫

    政府委員(原純夫君) もちろん、政令事項の案は、当初御提案申し上げたときからできておるわけです。しかし、ただいま応答のありましたような修正問題が起りました。ただいま予算で見込みました平年度四十億、しかし増収分九億四千万というものをベースに予算ができておりますので、ちょっとその修正で増収分の大半が飛んでしまったという状況において、どういうふうに申し上げていいのか、実はちょっと苦慮しているのです。で、中でいろいろ増収が飛んだから、政令事項をそのまま減らすというのも、率直に申してなかなかできない。しかし、一応そういう目で見直さなければならぬということはあると思うのです。見直しも一応やっておると。従いまして、非常にコンクリートな形できょうあす出せと言われましても、すぐできるかどうか、私まだ自信ありません。一昨日も深夜までそういう検討を続けております。大体のことは申せると思いますけれども、そういう意味で苦慮しつつ、今しきりに作業を進めておるというのが率直な現状でございます。
  43. 平林剛

    平林剛君 ただいま修正案議論をいたしましたが、ゴルフなどの問題についても、法律では小売課税によるのか製造課税によるのかはっきりしていない。これは結局、政令の中で取りきめるということに相なるのですか。
  44. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 小売課税製造課税かは法律にはっきりいたしておりまして、第一種というのが小売課税、第二種が製造課税であります。衆議院においては、われわれが第二種の中に置いておりましたゴルフ用具を第一種の方に回すという修正をされたわけで、これは法律事項であります。
  45. 平林剛

    平林剛君 社会党としては、この現在の物品税法については全面的に再検討して、新たに奢侈品税として新しい税を創設すべきだ、そういう考えをもって今日まで政府に対しても検討を要望しておったのでありますけれども、先般、今回各方面意見を取り入れて提案をしたと銘を打ちながら、われわれのこうい希望が含まれていないのじゃないかと議論もいたしましたのであります。しかし、今後引き続きこの物品税につきましては、政府自体もこれでりっぱなものだと考えてはおらぬと思うので、検討はなさると思いますけれども現行法における第一種、第二種、第三種、こういう分類をいたしておりますけれども、これは一体どういう性格と定義で分類をしてあるのですか。初め法律が出たときは議論になったと思いますけれども、古い話になりましたので、あらためてこの機会に政府の見解を説明しておいていただきたいと思います。
  46. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 第一種物品は小売段階で課税するものであります。第二種は製造段階で課税するものであります。第一種、第二種とも税率を盛りますのに、従価課税、つまり価格の何%というきめ方をいたしております。第三種は製造課税であって、かつ従量課税の税であります。  しからば、第一種、第二種、第三種が、どうして三つのやり方があるかということでありますが、これはなかなか物品税の体系としていろいろ議論があるところでありますが、概して物品というものは小売の末端で課税するのが、負担の公平といいますか、すぐにその額が消費者に転嫁される、それをねらってかけるなら、末端ということになりますが、執行面において確実につかえまるといいますか、確実に課税するという面になりますと、小売は数も多いし、製造上であれば数が少い、また大量に課税物品が処理されるというようなことで、製造段階でやる方がよろしいというような考え方が、一つ大きくあるわけであります。まあ、それが中心になりまして、第二種の品目が一番多い。ところが、製造段階では非常に零細なメーカーが多くて、大工場生産あるいは工場生産とはいえないというような場合、かえって小売業者の方が相当経済力も強いというようなものがあります。貴金属、あるいは真珠、べっこう製品、七宝というようなたぐいのものはそれでありまするし、今般小売課税に持って参りたいとお願いしております室内装飾用品、その他メーカーの地位と小売業者の地位と比較して、後者の地位が相当強く、——強いということは、税についての転嫁力も強い、また納税のいろいろな処理もしていただけやすいというようなことでありますので、そういうものについては第一極、小売課税に回すというようなことになっております。第三種の従量課税の製造者課税というのは、マッチ、サッカリン、ズルチン、清涼飲料といいますようなものでありまして、まあこの辺のところは従価課税というのももちろんあり得るわけでありますけれども、かなり沿革的に、何と申しますか、従量課税というのが昔からこのグループにあるというような形で来ております。以上申しましたように、相当ある程度といいますか、大部分理屈の上には立っておりますが、境目等については、きめこまかくなお今後検討を要することであろうと思います。今般の小売課税移行の問題につきましても、私どもは、初め考えました案と提案に至りました案、また国会で御審議中に先ほど来お話のようないろいろな出入りがあるというようなことでありますので、この辺はやはりもう少しゆっくり将来検討を重ねて参りたいと思います。
  47. 平林剛

    平林剛君 ただいまのお話でありますと、結局、現在の分類は、課税の仕方ということで第一種、第二種、第三種という形にしてある、私はこういうふうに理解をいたすのであります。しかし、もう一つの別の考え方があるのじゃないか。たとえばただいま議論になりましたゴルフだとかあるいは「貴石及半貴石並ニ此等ヲ用ヒタル製品」、「真珠及之ヲ用ヒタル製品」というような、いわゆる国民全般が使うに当ってはまれである、少数の人しか使わない、しかも所得の多い人しかこれを用いないというような、いわゆる奢侈品的なものを一つに統合してしまう。それから第二には、法律を見ただけでは、免税点が違いますから、一がいに言えませんけれども、今日では生活の必需物資もしくは家庭生活で大体必要なもの、たとえば電球類であるとか、マッチ、紙、化粧品、ポマード、文房具、家具、身辺用細貨類、こういうような、品物によってはピンからキリありますけれども家庭生活で大体必要なものになっている、こういうものを一つのグループにする。さらに、今あげたグループよりはやや相違はあるけれども、相当数の国民が今日の家庭生活においてはその合理化のために利用されて、あるいい意味でこれは国民生活の水準を上げるために促進してあげてよいもの、たとえば電気器具であるとか照明器具であるとか、まあちょっと高くなるけれども電気冷蔵庫とか、嗜好飲料、魔法びん、こういうようなものと区分ができるのじゃないか。そうしてそれを一つ奢侈品税というような形で整理統合していく、こういうようなことも考えられるじゃないか。できれば、もう家庭の必需物資というようなものになっているものは、全面的にこれを廃止していくという形に変えていくことはできないのか。今日までそういうことを検討したのか、検討した結論としてどういう見解を政府は持っているか、この機会に一つ聞かして下さい。
  48. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へん大事な御質問であります。私ども、これは御案内の通り、一昨年の春以来間接税体系の根本的再検討というのを続けております。これはまあ今回こういう法案で、一種の中間的な改正——と申しちゃ何ですけれども、そういう意味でお願いしておりますが、今後も続けなければならぬと思っております。その際、お話のような角度は、私どもはっきりと一つ大事な角皮だと思って、相当検討いたしました。それはつまり、間接税の中でどういう消費によけい税をかけるかということは、どういう基準によってこれを考えるか、これが間接税体系の中における公平の関係、負担の比較の関係の一番大事なことであります。ここをはずしては、間接税体系の再検討ということはあり得ないと思いまして、一昨年以来いろいろな家計調査等からの詳細な統計の整備をいたして、そうしていわゆる消費支出弾力性、つまり所得の多い人、月々消費する額の多くなればなるほど、どういう財によけい消費を片寄らせるかということを見ますれば、そういう形での担税力の裏打ちがどの品物にあるということがわかるというのが、一つあります。  それから、もう一つに、ただいまおっしゃいました奢侈品とか、あるいは別の極において、日用品、その間に日用品でも、非常に今言われた電気洗濯機等は、私ども便益品という、熟さない言葉ですが、これは日常品ではあるけれども、かなり便利で、どうしても税が要るとあれば通常の日常品よりも便益品にかけなさいということになる。また、その間に娯楽品とか、あるいは趣味的な消費というようなものがあります。で、こういうのは、非常に抽象的な言葉でありますけれども、やはり消費の中にそういう段階がある。一番奢侈品と並んで、あるいはそれより一番極に嗜好品というものがあるわけですね。たばこ、酒というようなものは嗜好品だということで、まあ各国においても、また日本においても、相変らず一番税率の重いグループに属する。  こういう消費の性質をそう分けていき、分けた間のいろいろな性質に応じての税率のバランスを考えることは、これは非常に重要なことだということで、私ども内部の作業では、一切のただいまの課税物品あるいは課税されてなくても消費される物品をずっと並べて、そうしてそういう用途のグループ別なものを持たなければ公正な判断はできないということで、私どもは相当検討いたした次第であり、今後も検討いたして参りたいと思っております。
  49. 平林剛

    平林剛君 私は、将来物品税というものはそういう方向で検討して、全面的に改めていくべき性質のものだ。それを行いましても、私は、その中のある程度生活必需物資のようなものが課税対象とならず、免税になりましても、あるいはこれから家庭が使うのが便利だというふうな品物についての免税が行われましても、それだけで政府は国庫の減収というようなことにならず、別な形でそれが普及することによって、他の税法による税収を期待することができるわけです。何も現在のように、それぞれの品物にかけて大衆に転嫁をする形における物品税法でなくてもいいのじゃないかと、かねがね考えておるわけであります。一つそういう点について、今後十分検討してもらいたいということを希望いたしておきます。  そこで、私は、先ほど修正した足立さんと議論をしたのでありますけれどもゴルフ弾丸などを取り上げて、ことさらに修正をしていくということは、今お話の中にあった消費支出弾力性のパーセンテージからいって、どうも私は感覚的にズレがあるんじゃないか。むしろ消費支出の弾力性、つまり国民にたくさん使われているというようなものを重点的に議論をしてくれるならいいけれども、そういう指数がきわめて、何といいますか、国民に使われる部分が少いものが議論されている傾向を、遺憾の意を表しておいた。また、そのことに関連をして、物品税法の第六条第四項の改正に関して少しお尋ねしておきたいのであります。  衆議院大蔵委員会の税制並びに税の執行に関する小委員会の議事録を、私は大へん興味深く読みました。そしてまあ非常にこの条項についての問題が含まれているということを感じたのであります。先ほどゴルフ製造課税から小売課税に移るということは、脱税ということと、それから税の捕捉というようなことが便利になる、かつ中小企業者の救済になると、こういう説明があった。だから、私は、衆議院議論しておるのはその一つだけ取り上げて議論しているだけで、中小企業者の救済なんということならば、まだほかにもあるぞ、こういうことを言いたかったんです。その具体的な例が、この物品税法の第六条四項にあるんですね。たとえば、今度の改正で、電気ストーブというような品物の税が軽減をされました。ところが、これがために、課税方式の変更によっては、かえって中小企業者が打撃を受けるというようなことがあるわけです。これは逆なんですね。さっきのお話と逆なことが出てきておる。問題をしぼって質問をいたしますが、丁類の十八の電気ストーブ、これは物品税は従来より軽減をされておりますが、課税方式が生産者課税から発注者課税、製造者課税の方へ移ることによって、かえって中小企業者が困るような結果になる、こういう点です。電気ストーブは、たとえば東芝とか日立、こういう大メーカーがそのほとんどを下請工場に回している。そしてこれに自己のみの商標を表示することを指示して、そうして販売をすることになる。製造者課税が発注者課税になることによって、実際の問題としては、従来は電気ストーブが千円のものであれば、三割の課税であったから大体三百円、大まかに言ってですね。ところが、製造者課税、つまりこの法律によって今度は発注者の方に課税されるとすると、ここでは二千円で売るということになると、税が二割に軽減されても四百円になってしまう。増税とまでいかなくても、こういう矛盾が出てくる。この結果、大メーカーはこんなふうになってしまうなら、もう下請へやらないで自分のところで製造するぞ、こういうことになる。それでは下請工場では、いわゆる中小企業者では大へん困るから、その分をかぶってやるか何かということになって、中小企業者をいじめるというようなことになってくるんじゃないか。ゴルフの問題を取り上げるなら、むしろこういう問題をなぜ取り上げないかというところが、私はさっきの足立さんに言いたかった点です。ゴルフだけ取り上げると、あたかもりっぱな改正をしたような考えでおるけれども、こちらに比較対照して見ると、こういう方面は捨てておる。そこに大へんな矛盾を感じておるんです。これは一体どういうことになるのかという点になってきて、私があげた矛盾が少しずつ出ておるんですけれども、どういうお考えを持っておられるか、伺いたい。
  50. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 六条四項はなかなか重要な改正でありまして、御指摘のような御疑問が出ておるのは、実は私どもとしては逆な気持でやっておるということを申し上げたいのであります。簡単に申しますれば、今回の六条三項の改正をお願いいたします趣旨は、大きくいって二つございます。一つには、実体的にこの発注者が経済界にメーカーとして向っておるとうい場合においては、実際のメーカーというものはそれに隷属するいわゆる弱い下請的なものである。そういう場合には発注者に税をかけるという方が、今出ておりますメーカーでなくて小売に持っていくという場合の考え方、つまり経済的に強い方に背負ってもらうという考え方があるわけです。それが一つの考え方であります。  第二の理由は、こういう制度をとりませんと、ただいまの御質問とは逆に、大きな強い業者がいわば合法的に税をある程度免れるということが起るわけです。ここに中型のメーカーがあって、まあ大業者と競争して自分のマークで売っているということを考えます。そのメーカーは、自分のかけるコストが全部この課税標準として課税されるわけです。ところが、大きな業者がマークを自分の会社のものとして売っている。ところが、そこへそのマークを売り込むために、まああらゆる宣伝費、広告費を使っている。ところが、品物は下請に作らせる。下請から買う値段は相当安いのです。で、その下請から買う値段には、そういう総掛り費、特にそういう場合の競争に必要な広告、宣伝費は入らない額が課税標準になるわけです。そうしますと、そういう大メーカーの売る品物の課税標準は、中のメーカーがすっかりそういうものを込めて売る値段と比べると、まあ私どもはやはり実質的には不当に安いことになっていると思います。これは実際に調べておりますが、かなり安い場合があるのです。  お話の電気ストーブなんかは、せいぜい二、三割ということですが、二、三割はあります。やはりそういう意味で、こういう改正をいたして公平をはからないと、かえって弱い人が独立してやっていこう、こういう場合に不利を受けるというようなこともありますので、この際両面から私はこういう改正をぜひやりたいと思った次第で、私どもの気持としては、むしろ中小を総体的に保護するというつもりでやっているつもりでございます。
  51. 平林剛

    平林剛君 あなたのその説明は、言葉だけならば私は理解できるのですけれども、実際の問題になるとそうでないのじゃないか。たとえば東芝なり日立なりが、自分で作るということになれば、なかなか設備その他要るからそうばいかないにしても、税が多くなってくるというと、今の実際からいくというと、下請を泣かしてしまうような結果になってしまう、こういう実例が出てくるのじゃないか。衆議院でもこれに対しては何か付帯決議がつけられているようでありますけれども、そういう点はその付帯決議で救われるというように考えているのです。考えていることはいいのですけれども、逆な現象が出たときどうするのだ、こういうことなんです。
  52. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私も、この大きなメーカーが、それなら頼まないというようなことをいうとるようなことを聞いて、まあ非常に心ないことだと思っております。要するに、やはり大きなメーカーが下請を使うのは、どぎつい言葉で言っては恐縮でありますけれども、やはり下請に相当安い労賃、あるいは安い費用で作ってくれと言っているわけですから、その利益のある限り大きなメーカーは使うだろう。今私どもが言っているのは、大きなメーカーがそういう形をとることによって、不当に安い税負担で、自分の製品を出せるというのは、プラス税でもそれだけ優遇せんならぬかどうか、私どもはそんなことはないと思います。そういう税の上の不公平はすべからくもう払拭すべきだ。それを払拭された上でも、下請による利益というものは私はあるのだと思います。ただ、まあそういうことを、注文を取り消すというようなことをいわれるのは、私は非常に心ない。やはりこの世の中でお互いに生きていくという意味では、税は公平に納めましょう。あるいはまあお互いに努力し合って、下請を続けるというのが当然ではなかろうかと思っております。  なお、衆議院における付帯決議の趣旨につきましても、正常な取引関係を著しく阻害することのないようということでありまして、まあそういう下請の取り消しがあるというようなことがないようにという趣旨でもございまするが、同時に、ただいま申しますような、税負担の不公平をそのまま置いておくという意味でもないということは、その冒頭に、今回の改正物品税課税の適正化、公平化を趣旨とするものであるということをうたっておられるわけです。確かにおっしゃる点は、私どももそんなことになっては非常に大へんだと思いますが、これはやはり税を公平に納めるなら、下請契約は破るというようなことは、大メーカーたるものも言わぬでやってもらいたいというふうに私どもお願いしたいと思いまするし、それは当然のお願いだと思っております。
  53. 平林剛

    平林剛君 私は、先ほどのゴルフ等の関係から一つ矛盾を感ずるし、もう一つは、実際問題として、中小企業者が苦境に立つというような結果になるという点、もう一つは、物品税が軽減されたというけれども、実際は軽減ではなく、増税になるような結果になりはせぬか。これは理論ではならないけれども、実際ではそうなるじゃないか。こういう点から、この問題の取扱い、これだけではありませんが、ほかにいろいろな問題があるが、課税の方式によってずいぶん違った結論になるという点は、もっと掘り下げて検討しなければいかぬ、こう考えておるのであります。  そこで、なお検討はいたしますが、法律案でお尋ねしておきます。今例にあげましたから電気ストーブで申し上げますが、東芝や日立で下請をされておる会社、要するに実際の製造者ですね、こういうところは、まあほとんどが小さな工場、従来の法律によって製造者課税を受けていた、こういうのです。製造者課税で三割を受けていた。今度は、そこは課税が移って、実際のメーカーに移る、二割になる、こういうのでありますけれども、一体なぜそんな変化が起きたかということで調べてみたのです。すると、従来の物品税法第六条で実際従来やっていたやつが、今度の法律改正でどうしてそういうふうに変ってしまうのかということが読み取れないのですよ。「自己ノミノ商標ヲ表示スベキコトヲ指示シテ」云々ということが入ったから、今度はそういうふうに変ってきたのですか。その点はどうなんですか。その点が私よくわからないのですが、法律はそんなに趣旨が変っていない。従来もそういうふうに書いてある。「之ヲ受託者ノ製造シタル物品ノ製造者ト看做シ」、こういうふうに書いてあるでしょう、同じことなんだね。なぜそういうふうに課税方式が変ってしまうのかわからない。従来の課税が、法律と違って、そういう面は配慮して特に考慮した課税をしていたのかどうか、ちょっと明確にして下さい。
  54. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 少し私質問のなにがよくわかり切らぬのじゃないかと思いますが、一応お答えいたしますから、曲っておりましたら御指摘願います。  従来は、日立なり何なりが、原料、労務、資金等を供給して製造を委託するということになっております。ところが、今回は原料、労務、資金等を供給して委託するという場合のほか、そういうことはしないでも、日立なら日立だけの商標を表示して作りなさいというて作らせれば、それも日立に課税するということが入るわけです。その点は、従来は、商標関係だけではできない。それが今回改正後はできるということになるのが違うことでございましょう。
  55. 平林剛

    平林剛君 そうすると、下請工場である中小企業者が、東芝なり日立なり、その会社のものだけを作っていれば、今度は法律改正によって大メーカーの方の課税になる。しかし、そうでなくて、他の会社のものも作っている、割合はこれは別ですけれども、そういう場合はどうなるか。
  56. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その場合におきましても、作った品物に頼んだ会社の商標だけをつけなさいということであれば、二社以上のものを作っておりましても、その頼んだ会社を納税義務者にするというのが今回の改正の趣旨であります。「自己ノミノ商標ヲ」というのは、頼む側からいってのことであって、そしてその頼んだ会社に納める商品についてだけのこと、であって、他の会社に納める商品については、また他の会社をもととして、その会社のみの商標をつけなさいということをいえば、それはやっぱりこの適用があるということになります。
  57. 平林剛

    平林剛君 衆議院大蔵委員会の税制並びに税の執行に関する小委員会の中で、まだ保留をされていた点が一つあります。ただいまの問題ですが、たとえば、下請会社が、それなら実際こんなふうにされたら困るということで、自分で、注文はされないのだけれども、そのメーカーに合うような、あるいは百貨店に合うような品物を作って売り込んでいった場合ですね。売り込んでいった場合、Aのデパートははねられた、Bのデパートではそれを受けてくれた、こういうのは、これは命令されたのではなくて、自発的にそういう品物を作って持っていった、そのときにはどうなるか。
  58. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ただいまのお話は、もし見本を作っていったということであれば、これはもうその納めた先の商標をつけても、それは契約でつけたということになりません。しかし、これでよろしいから、これで千台なら千台作ってくれ、商標は自分のところの納め先のなにをつけてくれということになれば、それはこの規定の適用があるということになると考えております。
  59. 平林剛

    平林剛君 これは、まだもう少し検討して、どうも矛盾を感ずるものですから、あとで機会があったら議論することにいたします。一応これで保留いたします。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この物品税には目的が書いてないので、これは昭和十五年にできた法律ですが、年々これは目的が変っていると思うのだね、内容的には。そこで、私は議論をする前提として、はっきりした定義がほしいですよ。よく奢侈的なものには課税する——しかし、この品目を見たって、奢侈品とは思われないものもある。じゃ、それは税収をあげるための税であるという目的で、とりいいものをとるのだという向きのものもあるようだ。  そこで、これは概括的にお伺いしたいですが、昭和十五年というと、これは一応戦時中ですわ。そこで、これは戦費を調達するという向きのこともあって、物品税になったのかどうか。その十五年以前には、物品税がない際には、ここの品目中やはり課税されておったものもあるようですが、そういうのはさまざまな法律の中に入って課税されておっただろうと思う。そういうものはどういう趣旨で課税したのか、この沿革を整理して私お聞きしたい。そしてまた、品目がはずされたり、新たに加わったりした際の理由が明らかにされておるようなものがほしい。御答弁がないならば、資料としてほしいのです。  で、もう一度申し上げます。先に資料要求をしておきたいのです。昭和十五年を境にして、その以前において物品税類似の税はどういうものがあったのか、その課税の目的は何であったのか、これを明らかにしたものがほしい。それから、十五年以降戦争が済むまでの間に加除訂正があったなら、あった部分を示してもらいたい。何が加わり、何がはずされたか。それから、終戦以来今日まで加えられはずされした品目を示してもらいたい。それに見合って第二としましては、課税目的をそのときそのときの事情において明らかにしてもらいたい。課税の目的を……。ようございますか。それから第三には、現行課税した品目の三十三年の税収決算額、三十四年の見込額、これを示してもらいたい、品目ごとに。ようございますか。
  61. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 資料は承知いたしました。作ります。ただ、最後の三十三年決算はありませんので、決算は三十二年度はありますから、三十二年度。三十三年度は、もし必要ならば、わかります限りの課税の実績といいますか、何月までのというのをつけてもけっこうであります。  なお、物品税の目的等につきましては、私申し上げたい点もありますけれども、もし資料をごらんの上の方がよければ、そういたしたいと思います。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、その資料をお願いしておきまして、局長がお話ししたいというのをぜひ聞きたい。レクチュアしていただきたい。現行課税しようとする物品税の目的は何であるか、明確に一義的な定義をお知らせ願いたい。
  63. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 物品税の目的を申し上げるには、まず税の目的ということからいかんならぬと思うのです。税の目的というのは、国なり地方団体なりが、その行政を行うために費用が要る、その費用を調達する——まあ財産を売りましたり、あるいは使用料、手数料を入れたりというようなこともございますが、やはり大宗は税で調達するというのが、これはもう当然の建前になっております。そこで、税で調達するとして調達する対象は何かということになるわけです。その対象に、この所得を中心としますいわゆる直接税というようなものがある。それから、直接に納税者に負担させるのではないが、転嫁されるんだが、いろんな消費の裏に担税力を推定してかけるという間接税がある。で、直接税、間接税の議論がここに入るわけです。これは省略いたします。  それで、またその間接税の体系で考えますと、まず、間接税にどれだけこの負担を期待するかという問題がある。第一段としてある。その次に、それじゃ、それだけ負担させるとして、その負担を間接税——各種の消費の中で、消費ないし流通の中で、どういうものにどれだけ負担させるかというような問題があります。これは先ほどもお話の出ました消費の性質などとからむ、表裏する間接税の体系論のごく骨組みの話でありますが、そういう骨組みは、実はなかなか間接税というものは沿革的ななにが多くて、裸になってそういうものを議論されることが少いわけですが、今回私ども、その議論といいますか、今検討を始めたわけです。そういう意味で、ぜひそういう面は今後も大いに御質問が願いたいし、また私ども検討いたして参りたいと思っておるわけであります。  で、そういう感じで申して参りますと、今の物品税のワクというものが大き過ぎるか小さ過ぎるかというような感覚が、結論的には問題になるわけです。ここのところは、私まだいろいろな調査会等で十分練った結論が出ておりませんが、感じとしては、決してこれが広過ぎるということはないのじゃないかという感じもいたしております。しかし、まあそれにしても、物品税の体系の中で必需品的なものとごく奢侈的なものとの間のバランス、奢侈的なものと、酒、たばこ、砂糖等の嗜好課税とのバランスとのあたりには、いろいろ問題があると思っております。  なお、最後に、物品税のおい立ちと申しますか、お話通り、戦争中と申しますか、支那事変のころからこれができてきましたので、当時において戦費支弁という目的があったというおい立ちがございますが、その後いろいろと財政及び財政需要を規定します条件が、戦中戦後にかけましてだいぶ動いております。現在では軍事費的なものは相当パーセンテージが低くなりましたが、他面、社会保障、教育というような費用はずっとふえておるというようなこともございますので、それら表裏して考えなくちゃいけないのじゃないかというふうに考えております。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで、目的は何ですか。
  65. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 今申したことで尽きておると思うのです。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今聞いたのは、必要性を聞いたのですが。
  67. 原純夫

    政府委員(原純夫君) こういうことでございます。国の行政をやるのに費用が要る。その費用は国民にいろいろな形で負担していただかなければならぬ。やはり直接税の現在の重さからいって、間接税に相当負担を依存せざるを得ない。で、間接税の範囲のうちにおいては、いろいろな消費の中で、この物品税対象となっております品物の消費というものの裏には相当な担税力があるのであるから、やはり負担をしていただかなくちゃいけないというのが筋合いでございます。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、物品税対象として類型的に分けるものは、必需品、奢侈品、こういう分け方ですか、物品税課税対象にするものの類型的な分け方は。
  69. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私ども何も、物品税に限らず、間接税全般をひっくるめて並べた方がいいと思うのです。税法のうつわは酒税法あるいはたばこの専売だとなっておるのを、一応はずして並べた方がすっきりするものですから、そういう角度でいろんな並べ方がありますが、今までの見当で私どもが並べている並べ方は、嗜好品、それから奢侈品、それから娯楽用品ですね、それから趣味用品といいますか、趣味的なものですね、それから射幸的な用品というようなものがあるのですね。それから先ほど申した便益品というのは、日用品ではあるけれども相当高級なものだという日用品ですね。で、それにその他と。その他の中に日用品、必需品というものが入る。まだ幼稚な分類だと思いますけれども、私どもただいまのところ、そういう七つの分類を持っております。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと一、二例示してお尋ねしますが、文具は何ですか。
  71. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 文具は今までは文房具といっておりますが、通常の概念における文房具だったら、これは一番下の日用品だろうと思うのです。ところが、今回文具に直しましたのは、文房具の中でも今かかっておる文箱とか、手箱とか、色紙とか、たんざく入れというような類の、かなり文房具の中でもこっちのある極に近いものが……。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 奢侈的な文具。
  73. 原純夫

    政府委員(原純夫君) といい得るのでありますので、今のでいいますれば、今私ワクに入れた表を持っておりますが、趣味あたりのところに来るのではなかろうかと……。卒然とした感じであります。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 玩具は何ですか。
  75. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ちょっと今表が出て参りませんのですが、玩具も一部はその他の中に入るでしょうし、相当高級なものになれば娯楽だというようなところに——高級とばかりいかぬでしょうが、娯楽に類するものもあり、物によって分れると思います。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現行法では玩具は、玩具と名がつけば、全部課税しておりますか、どの程度のものが課税対象になっておりますか。
  77. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 現行法で玩具の中でかかりますのは「一個又ハ一組ニ付八百円ニ満タザルモノヲ除ク」、これは製造価格で八百円でありますから、小売で一個または一組その六、七割増、千二、三百円以下のものはかけないということにいたしております。性質別には特に玩具の中ではずしておるのはございません。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 電球は便益品ですね。
  79. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そうでございます。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 紙、セロフアンとありますが、紙、セロフアンのどういうものが課税対象になるのですか。また、これは何ですか、類別すると。
  81. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 紙、セロフアンでは除かれておるものがあります。和紙、板紙、紙幣、銀行券、郵便切手等の用紙、それからたばこの巻紙、新聞の巻取紙、それから両ざらのクラフト紙、それから例の温床苗代用の紙、それから一ポンド三十円に満たざるざら紙というものは除かれております。セロフアンでは、防湿セロフアンが除かれております。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば、何ですか、類別すると。
  83. 原純夫

    政府委員(原純夫君) これは最後の分類の日用品に入るだろうと思います。まあこの辺になると、おっしゃりたいのは、これは課税対象としてどうかということであろうと思うのですが、(笑声)私どもそういう感じはあるのです。ところが、さっき来申しておるのは、全面的ではないですよ。全面的に結論を出すには、一方で、作っておる企業形態が大きな企業であるか、あるいは小さくてかけると転嫁ができないというような問題がある、というよりも、具体的な結論を出すまでにもう一つの角度での検討になる。相当議論はあると思いますけれども、そういう角度では紙は高度な執行上は便宜でもあるし、それから転嫁も容易であるということがあるということを、ちょっとつけ加えさしていただきます。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじゃ、私ももうちょっとつけ加えて質問しますが、そうすると、これは日用品といいますが、いう限りは必需品ですね、大別すると。大体用途はそうですね、大別すると、紙セロフアンは……。
  85. 原純夫

    政府委員(原純夫君) まあ強弁と言われるかもしれませんけれども、紙の中でも、ただいま申したようなざら紙だとか、和紙だとか、新聞用紙だとかは削っているということは、やはり残っている紙は、もちろん事務用にも使われるけれども、いろいろ高級な雑誌だの何だのというのがありますね、そういうようなものはまあ紙の中では担税力的によりある方だというようなことも、いろいろ議論が出ているようなわけなのであります。大体そういう角度ではずすものははずしているということになっております。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 このごろ、セロフアンに似た、何ですか、ポリエチレンといいますか、あるいはビニールとかいろいろな便利な紙代用、紙以上の用途のあるものが盛んに出ておりますね。ああいうものは課税する、しないにかかわらず、類別すると何になるのですか。つけもの袋にしたり、物を包んだり……。
  87. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ただいま申し上げました分類では、最後の日用品を含むその他の分類だと思います。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはあまり言うと、また関係業界からしかられるかもしれぬから、ここは次に進みますが、次にマッチは何ですか。
  89. 原純夫

    政府委員(原純夫君) このマッチですね、分類としてはやはり第七分類の「その他」だと考えます。ただ、先ほど申したように、なかなか間接税というのはですね、非常に沿革的な何で、こういう全部すっかり根っから洗っての議論というものは、なかなか今まで行われたことがない。各国でも行われているのは少いのですが、そういう沿革的な意味では、マッチはたばこに関係があるというようなこともよくいわれるのです。(「マッチも専売にしてしまえ」と呼ぶ者あり)というようなことも言われるのです。現に、各国では、日本は千本が一円というように安いのですが、各国では千本で十円とか、高いところでは百円近い何をとっているというようなところもあるというようなことなんで、まあたばこと対になっていくというような考え方は、これはどうかという何もありましょうが、沿革的な関係、またそれゆえに各国でもそういうことがあるというのが、マッチにおける一つの特殊な性格であります。分類としては第七分類ですね。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、マッチヘの課税というのは、担税能力がある、税収を確保したい、伸ばしたい、その一念に尽きるのですね。マッチは奢侈品ではない。
  91. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 先ほど申したように、税が幾ら要る、その中で直接税はあまり重くすると乱れてくる、残りは間接税だ。そうすると、間接税の中でも頂上に立って、これはかかるのが当りまえじゃないか、うんとかかってもいいというのと、すそもあるわけです。マッチは、率直にいって、ただいま申したたばこと一緒に消費されるというような性質を強くいえば、もう少し上に来ていいけれども、日本では、今申したように、かなりすその一群の中に入っているというわけです。ですから、すそのあたりのところはいろいろそれは議論が出ると思いますが、まあそれが税金ほしさの一念だという形でいうのかどうか、その一つではあるけれども、その辺のところはあまりににわかに精細にやられますと、なかなか間接税体系というものも、えらい相当の何を納めなければならぬので、やはりそういう面も考えてやらなければならぬという趣旨でございます。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、まだ必要だとか必要でないということ、一切言っていないのですから、あなたは先述べして次々お話しになるが、きょうはただ勉強させていただいているのですから……。日本では、このマッチを課税したのが昭和十三年だと大蔵省の方に聞いたのですが、その当時は戦費調達のためというのですが、昭和十三年前はマッチは課税しておったのですか。いないのですか。
  93. 原純夫

    政府委員(原純夫君) しておりません。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、当時の戦費調達は今日は解消したわけですね。だから、新たなる目的があるわけです。それは何かといえば、税収を上げるという以外にない。ほかにありますか。従来日本になかったものが戦時中課税されて、それが現行残っておる。奢侈品ではない。そうすると、どうなっておるのですか。
  95. 原純夫

    政府委員(原純夫君) まあ戦争目的の軍事費というものはもちろんないわけでありますが、財政需要の方は、戦後、御案内の通り、戦前に比べたら相当内容に変動があって、先ほど申した社会保障その他においては、戦前に比較してはるかに多い額の需要が出ておるということでございます。そういうこともあってか、戦争中物品税のみならずいろいろな新税ができたのです。その大部分がやはり現在も御負担願うというようなことになっておるわけなんです。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在も御負担願うことになっておるというのは、現行法にありますからその通りなんですがね。結局、そうすると、話を突き詰めていくと、他の必需品といいますか、日用品といいますか、便益品といいますか、この種のものと引き比べてみて、このマッチが課税対象として今後残るのがいいのかどうかというところが一点。それから、織物だ、それ何だのさえもはずしてしまうのだという中に、マッチで一、二億の税収をとらなければ日本の税収は破綻を来たすから、どうしてもマッチは課税しなければならぬという議論が起っていくのかどうか。突き詰めて話を狭めていくというと、大体そういうところになるのですね、このマッチは。もう一つは、あなたの言う、外国でどこでも課税しておるから日本もまねしてとるのだ、これが目的ですね。
  97. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 外国でやっておるからまねしているというのではなくして、私どももやはりマッチにはそういう性格があるということをさっき申し上げたわけです。たばこと牽連する性格があるということを私ども考えております。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 きょうは序の口ですから、この程度にしておきますが、どうも、それでは国民大衆が納得しないのじゃないかと思うのですが、まあそれはそれにします。  清涼飲料は何ですか。
  99. 原純夫

    政府委員(原純夫君) まあ度合いは問題ですが、やはり嗜好的な意味を持つというふうに考えております。同時に、またある面で、日用品的な面も持つというふうに考えております。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここであげられている清涼飲料というのは、奢侈的なもの、高級なものはないのですね。大体はサイダーのようなものでしょう。
  101. 原純夫

    政府委員(原純夫君) サイダーのようなものでございます。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、もう一つ、きょう伺っておきたいのですが、全然物品税そのものとは関係ないのですが、日本では、なぜ外国流に、小売店舗で価格の表示に物品税額を並べて表示しないのですか。
  103. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 製造課税のものですと、製造者のところでかかるわけです。技術的にそういう困難が一つあると思います。まあ小売課税ならそれはできるわけでありますが、そういうやり方をするというのも一つのやり方であろうと思いますが、ぜひそれが必要だという議論もないまま来ているというのが実際であります。大体まあ新税を起すとかなんとかいうような場合に、特に小売課税なんかの場合に、そういうふうにやったらという議論がよく出るのでありますけれども、今度は高級織物の場合は、そこまでのなには出なかった。しいてそれをやらなければどうにも動かぬというものでもないのですから、必然のものとまでは取り扱われておらないというのが、きわめて沿革的なことだというふうに感じております。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、今の御答弁についてははなはだ残念だと思うのです。一面からいうて、国民に納税の観念を植えつけるとか、国の財政が個々の国民の税収をもって維持されているんだとか、各般の教育のためにも、その自覚を促すためにも、物品税個々のものについて、税額が明らかにされておればいいのじゃないかという感じをしろうと流ですが持つ。が、それは、製造過程でもあるし、小売でもそんなことしたところで大したことないのだというふうなことは、日本の徴税の方式は、割当なり何なりでごそっと業者からとればいいんだという考え方で、価格的に、どれだけの販売があったからどれだけの税だということが捕捉し得ないというふうなところから、割当課税みたいなことが多過ぎた結果、関心がなかったのじゃないかというふうにも思うのですね。これが一たん、その物品税がこの種の品目に幾らかかっているということが国民大衆一般にわかったら、税観念の涵養という上からいっても、あるいは消費を規制するという上からいっても、非常に効果が上るし、また業者自身も納税ということに対して、非常に厳格な、厳正な態度を持てるのではないかというふうに思うのです。十分これは大きな問題として検討する必要があるように思いますが、そうお考えにはなりませんか。どっちでもいいものですか、これは。
  105. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へん、まあ言葉が悪いようですが、ありがたい御質問です。十分検討せんければならぬ問題だと思います。私ども、気分としては、こういう話が出ると、そうなればいいなという、直感的な気持は多少私どもとしては持っております。が、なかなか従来、これが実際世の中に行われるというまでになっていないというのが実情でございます。十分検討をいたしたいと思います。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 諸外国の例で、販売の場合に、受領証を出すその場合に、定価は幾ら、税は幾らという受領証を出す。それから払った金も、個人業者は税金には手をつけないというような形に分別して、金そのものを分別して、一方、税官吏は税官吏でそういうものを集めて歩くというような制度になっている国はないですか。全然もう手はつけない、税金分も製品を売った部分もみんな業者がふところへごっちゃにしておって、そうしてそれが金利だ何だ、金融だと回って、そしてあとで納めるとき、どの金でもいいから出すということじゃなくて、もう初めから分けておって、手をつけられないというような制度になっている国はないですか。
  107. 原純夫

    政府委員(原純夫君) アメリカの売上税——セールス・タックスは、大体において、お話しのように、税額を明示しておるというのが実情でございます。で、アメリカの売上税は州税である場合が多いのでありますが、場所によっては、そのために、何かこうトークン・マネーというアルミみたいなもので作ったものを渡しておるような州もあるように承知いたしております。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は今後の物品税というのは、いろいろな目的と要素を含んで取っておるものですから、従って、定価に込みになっておるというようなことは何としてもやめた方がいい。そして業者にも、税とそれから自分の収入というものが分別される、経営の計画の中ではっきり分別されるという慣行を作っていくことが、この種の、国会等に、あらゆる業者団体からの要請や陳情が起ってこないし、そのことが、消費販売に大いに影響するとかしないとかいう議論は少なくなってくると思うのですね。遊興飲食税においてもしかりです。今の業者団体の、それは税金分であろうが、自分の収入になる部分であろうが、ごっちゃになって、そして国民が税金の対象として支払った金が運転資金に回る、あるいは借金の返済に回る、そういうような中で税務署が割当して課税する、こういうことが、いつまでも、税というものに対するはっきりした観念を植え付けるようにはなっていかないというふうにわれわれは思うのです。十分これは検討せられるなら、税収も上がるであろうし、脱税というようなこともないであろうし、かえってまた業者関係においては、税率を下げてもはっきりした税収が確保できるという道にもなるでしょうしね、十分私は諸外国の例を検討されて、この種のものこそ勉強してほしいというふうに思うのですがね。  それから電球ですが、電球で例をとって言いますが、電球と名がつくものは全部これは課税されておるのですか。
  109. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 電球でかかりますものは螢光灯の電球、それから閃光電球というようなもの、ないし装飾用電球というようなものでありまして、通常の電球はかかっておりません。なお、螢光灯の電球でも、二十ワット以下のものは非課税になっております。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これはさっきお話しになった便益品、必需品というよりは、観念としては奢侈品という観念ですね。
  111. 原純夫

    政府委員(原純夫君) さっき修飾なしに日用品と申したのは、やはりそういう意味でおかしかったと思います。電球にも、日用品であるが、その中のある種のものは、奢侈といいますか、とにかく高級な種類の性質を持つという面があるわけですね。そういうものが課税になっておるということでございます。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで、どうもあいまいだと思われるのは、具体的に、螢光灯二十ワット以上には課税する、二十ワット以下は免税だ、同じ螢光灯で。じゃあ二十ワット以上とか二十ワット以下とかという分別をつけたのは、これは奢侈的なものであり、日用的なものであるというこの境のところなんだが、どういう基準でそういう境をつけたのか。
  113. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話し通り、この消費程度を考えたわけです。二十ワット以下といいますのは、家庭で通常用いられる程度のものをはずそうと、通常用いられる程度のものということで考えたわけでございます。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 通常の家庭で用いる螢光灯というと、たしか八畳程度なら三十ワット、十畳になったらもう二十ワット二本、四十ワットなけりゃならぬ。二十ワットというのは四畳半程度のものですよ。六畳でまあ標準的と申しましょうか、たぶん——私もはっきりしませんが、螢光灯を販売するところは、科学的に、何とかルックスが幾らとか、何畳には幾らということでやっておるのですね。その点から見ると、今の一般家庭、皆さんのお宅——皆さんのお宅はりっぱなんだからあれなんですが、公庫住宅等が標準でしょうが、公庫住宅等で使う螢光灯、こうなれば、八田宵に床の間があったら四十ワットですよ。三十ワットですよ、少なくとも。まあ一般販売するものの標準からいっても、下回っているのじゃないですか。この点はお調べになったことはありますか。まあどなたでもいいからお答え願いたい。
  115. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 螢光灯の二十ワットは、普通の電球にいたしますと、六十ワットの光力を持つという大体の標準でございます。六十ワットと申しますと、大体普通の家庭の照明用で、百ワットを使うとなれば、やはり相当大きな部屋——まあ部屋の大小で問題にするのもおかしいかもしれませんが、普通の家庭の居室なり何なりは、大体六十ワットが標準である。そういうところで二十ワット以下というのが今のところの現状でございます。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、この点については、あなたがそう言うなら、かりにこれを認める。認めるとした場合に、蛍光灯を一般家庭で使うということは、電力量の消費からくるのです、問題は。そうなんですよ。それで、二十ワットが普通電球の六十ワットに匹敵する光力があるということだったら、その理論でいくなら、その螢光灯それ自身の値段が高いということでその物品税をかける限度をきめるのでなくて、それを買って一般家庭が使用するという部分において考えるべきことなんだね。二十ワットの分がいいんだから、それが一般家庭の標準で、それ以上がぜいたくだということは、かえって逆じゃないですか、螢光灯をつけるのが、お飾りできれいだからいいということよりは、長きにわたって、使っておる限りにおいて、普通電球よりは電力消費が食わない、従って、家計に資するということで今一般化しておるのですからね、何も私、電気屋から頼まれて今言っておるわけではないので、消費者の立場で私は申し上げているのですよ。
  117. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 仰せのところはごもっともなところでございますが、螢光灯に課税いたしましたのは、螢光灯ができて参りまして、通常使われておる形態、たとえば農家では螢光灯などを使っておりませんので、具体的にはかなり高級な消費ということから課税対象にしたわけでありますが、おっしゃるような実際問題としては、家庭で使っても電力の消費、イニシアル・ペイメントは高くとも、消費電力は少なくて済むということから急激に普及して参った。で、その場合、螢光灯の課税の趣旨から言って、まあ六十ワットの普通電球の程度に、普通の家庭で、小さな部屋で使う程度のものは、もう課税の趣旨からしてもはずすべき時期にきたということからはずしておる、二段がまえということで、おっしゃったような意味ではずしておる、こう御了解願いたいと思います。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかし、今の話は、どうも日本がいつまでもおくれていることを政府が望んでおるようで、近代的な生活に進ませていくというのにはどうも工合が悪いように思うのですね。税率をある限度まで下げるとか、あるいは二十ワットを三十ワットに高めるとか、何かのその親切な課税の仕方があっていいんじゃないですか、今日は簡単に申し上げておきますが、どうも奢侈と便益、日常用品というものの限度、限界ということになると、それだけの議論では一般家庭の奥さん方は承知せぬですよ。これはあなた自身家庭に帰られて、奥さんに聞いてごらんなさい、これにこれだけ税をかけるんだと、それはひどいわということになりますよ。で、さっきからお尋ねしておったことは、その実用的な、便益的なものから、同じ品物でも奢侈的なもの、高価のものと、ずっと体系がある中に、もう単に百分の幾らというふうに一律課税になっておるわけですね、これは徴税の技術上の問題として一律課税をしておるのだろうと想像しますが、段階的課税というものは絶対不可能なもの、この税の性質からいっていけないとするものですか、どうなんですか。
  119. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その段階的なとおっしゃる意味は、たとえば写真機なら写真機、同じ写真機にしても、メーカー・プライスが五千円のものと、まあ二万、三万もするものと率を変えたらいいじゃないかというお話だと思います。確かにそういう考え方があると思います。しかし、大体各国とも、そういういわば価格による累進税率ですね、それは取っていないのが多いのです。ただ日本では、今回それを修正しようとしておりますが、入場税は非常な価格による急なる累進税率だし、物品税の中では自動車が五割のと、三割のと、一割五分のと、こういう段階税率、テレビが三割と二割という段階になっております。確かにそういう考え方はあろうと思います。その辺がやはり今のはかなり沿革的な形になっておる。この辺も間接税体系における税負担の盛り方として重要な研究題目だと思いすまが、大体においては、まあ各国も日本の制度も、原則とし一本税率である。そして三万円のものは三割かかれば九千円と、一万円のものは三千円となり、税額もそれによって違ってくるからというようなところでやっているのが概して多いのですが、なお検討してみたいと思います。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私このことをお尋ねするのは、あなたが一番最初にレクチュアせられた費用の調達という建前からいって間接税が必要である、それで間接税というものは酒税なり何なり、こういうものも入って、嗜好品というようなものも入って考えていく。で、酒税においてもいろいろあります。それから入場税だって、これは成り立ちからいえば、あるいは遊興飲食税だってまあ一種物品税です。物品税というのはあれですけれども、税体系の上からいえば包括されて考えていいものだ。それなのに物品税だけは一律だということは、たとえば今例示されました写真機などでも、酒の一級酒、特級酒と同じように、大衆向きのもあれば高級品もあります。私はこの点は段階があっていいのではないか。段階があれば、そのすそ野になる部分は相当はずしていける部分もあるのじゃないかという感じを持つわけなんですね。それで、これは研究になる値打があるのか、ないのかということだけ聞いておきたい。
  121. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 検討する値打があるといいますか、間接税体系を詰めていけば、その角度を取り上げなければ当然いかぬと思うのです。お話通り、体系の中で、さっきは酒が漏れましたが、酒ないしたばこあたりでもそういう傾斜がある。ただ観念論だけではいけないので、やっぱり物品税課税物品あたりになると、それの生産自体に及ぼす影響というようなものも出てくる。いろいろな面をあれして、これは検討すべき項目としては重要な項目だと思います。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 きょうの分の最後だけ……。物品税というものは、この税法そのものは最近全面的に体裁を変えようというお考えがありますか。昭和十五年「朕」云々というもので、目的も何もないこういう法律で、中だけただいじっていくということですか。もう全文改正していこうという考え方でありますか、将来。
  123. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話通り、まだかな書きの古い税法で、これについては、特に先ほどお話の出ました政令に譲っている事項が非常に幅が広いというあたりが大きな問題点であります。その他にも問題点がいろいろございます。従いまして、全体的に改正するという問題があると思っております。ただ、その中で一番大きいのは、何といっても先ほど平林委員の取り上げられました政令事項を法律に上げてくるかどうかというあたりが中心だと思います。私今ここで、近い将来全文改正するというまでの私の気持の整理はまだいたし切っておりませんけれども、相当問題はあろうと思っております。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私一番気に食わないのは、第一条を見てかちんとくる点は、「左ニ掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ二八本法ニ依リ物品税ヲ課ス。」、「命令」というのは何だというふうに読みかえているか知らぬが、これは天皇さんの命令だったのでしょう、当時は。そういう意味で、あとは今言う政令や何かにゆだねる形になっているのです。しかし、これはどうも今ごろの憲法下の法律としてはいやな感じを持つのですね。そうして物品の、こういう第一条の何々と物品を列挙をして、列挙している全体が政令をもって云々ということ、そうでなくて、こういう法律があって、法律に明示されたものの中であとは政令にゆだねるものというのが部分的に出てくるのが私は今の法律の筋なんで、初めからもう政令ではやるのだが、一応名前だけはあげておきますぞというような法律はちょっとないと思うのです、今。ぜひこれは改正してもらいたいのですがね。体裁ばかりでも至急改正されるということをお考えになりませんか。
  125. 原純夫

    政府委員(原純夫君) なかなか重要な問題であります。私、気持としてはおっしゃる通りの方向に持っていった方がいいんじゃないかと思いまするが、これについてはいろいろ議論があることも御存じではないかと思います。従いまして、そういうような議論を十分伺って、その上で結論を出したいというふうに思っておりまするが、気持はもう非常によくおっしゃることは私わかるつもりでおります。
  126. 加藤正人

    委員長加藤正人君) この辺で議題を変えまして、次は塩業整備臨時措置法案入場税法の一部を改正する法律案、二件について質疑を願います。
  127. 大矢正

    ○大矢正君 物品税を政務次官に一つだけ私最後に聞いておきたい。まだこれは質問は続きますけれども、きょうの最後に聞いておきたいのですけれども製造課税小売課税にするということについての原さんのさっき説明がありましたね。そこでこれはあれですか、大蔵省は強行しますか、僕らは抵抗しますけれども。これはもうあなた方の方で政務次官、自民党の党内や衆議院の情勢を考えて、単に大蔵省課税をするという立場から見た場合にどうかという、そういう理論的なことはもちろんあるけれども、それ以外にいろんな政治的な状況も判断して、なお製造課税というものを小売課税に強引に持ち込んでいくという考え方がありますか。もしそうだとすれば僕らも考えなければいかぬ。
  128. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 今回のこの物品税改正につきまして、大蔵省といたしまして原案を作成して提案をいたしておりますが、これは私さっき内容の、つまり衆議院修正案説明もありまして、まあ私立場上黙って聞いておる立場にありましたので聞いておりましたのですが、今のお話のように、政府と党というものは全くそれはうらはらのものでございますから、政調会できめましたことを原案に織り込んでおる、これはまあ一応うなずけることでございまするが、しかし、衆議院修正案というものもこれは正当なるやり方でおやりになったものでありまして、私ども政府といたしましての答弁を求められますならば、政府原案を通していただきたい、こういうことに態度に間違いはございません。ことに中小零細企業の保護、こういうふうなことを考えますと、いろいろこの修正案につきましての御意見もるる述べられましたので、ここで議論をする立場にはございませんのでありますけれども、私どもといたしましては、中小企業零細業者を保護するというふうな建前からいたしまして、この原案を通していきたい、かように私どもといたしましては考えております。
  129. 大矢正

    ○大矢正君 僕の質問の仕方も悪いけれども衆議院修正したゴルフ用具に対する製造課税小売課税に直したということはこれはいいですよ、これは別ですがね。他に衆議院の段階では、やはり従来通り製造課税でいくべきだというような議論をされたものを、あらためて参議院の方で製造課税小売課税にするというような動きがあるようだから、あなたの党内にも。だからそれを実際にやるのかどうかということを聞いておる。
  130. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) この答弁をただいまこの席で私にお求めになりましてもはなはだ困難なことでございます。私見を申せばないこともございませんけれども、これは賢明なる大矢委員の御質問といたしまして、私にこれを何とか答弁せよとおっしゃいますことは……。で、私が答弁いたすことはできかねることである。動きのあることも承知しておりますし、動かさぬがいいという意見もございますけれどもお許しを願いたいと、率直に申し上げる次第でございます。
  131. 大矢正

    ○大矢正君 あなたの今の発言で、無理押しはしないようだから、おそらくこれは製造課税小売課税に強引にやるなんていうことはないだろうと私は善意に解釈して、一応きょうのところはこれで終ります。  それから一つ入場税のことについて吉国さんお尋ねしますがね、三十一円から五十円までの間の入場税、というよりは入場料金を取っておる映画館、それから大体これに入場する人々の数というものはわかりませんか。
  132. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) ただいま手元にはございませんが、かなり古い資料で館数別に取ったものがございますので、若干古いかもしれませんが、後ほど御提出をいたします。現在手元に持っておりません。
  133. 大矢正

    ○大矢正君 政務次官、これはあなたが一番公平な判断をしてくれると思うので私は質問するのだけれども大蔵省にのみ偏しないで、政治的な立場も考慮して一番常識のあるこれは判断をしてくれると思うので私は質問をするのですが、今度入場税の改正政府から出されて、さらに衆議院の段階ではこれを修正をして、さっき足立衆議院議員が言われた通りにこちらへ送り込んできたわけですがね、これを見ますと、大体ほとんどが、減税対象になっておるわけですね。かりに五十円以上七十円までの人も従来二割の税金が取られていたけれども、今度は一割になりますね。その他五割の人が三割まで下る。また、三割の人は二割まで下るというふうに、全部これが減税の恩典に浴しておる。それから二十円までの免税点が引き上げられてこれは三十円になったということは、二十一円から三十円までの間で興行をしていた人々は、これはいわば税金が一銭もかからないということになるから、これも恩典に浴するわけですね。ところが、ここで一銭も恩典に浴しないのが一つ残った。それは何かというと、三十一円から五十円までの間で映画を見せておるいわば映画館の興行主というものが、今回の減税の恩典には一銭も浴しないということになるのです。ほかの八割までが減税に浴して、減税に浴することによって入場人員が増加し、増加することによって勢い収益も上るということも考えられるのに、なぜ三十一円から五十円までの間の映画館の、その他それに類似する興行というものに対して、減税の恩典に浴さしめないかということなのです。御存じのように、都市の映画館というのは百五十円あるいは百八十円という高い金額でありますけれども、一たびいなかに入りますと、大がい三十円から五十円程度で映画を見せているというのが実態ですね。そうしますと、こういう零細な映画館が対象とする人々のほとんどは、所得の低い人だ、こういう人たちが減税の恩典やあるいは入場料金引き下げによる映画鑑賞の恩典に浴さないということは、これは減税の方針からいって不合理きわまりないと私は思うのだが、理屈はどうあれ、政務次官の良識ある御答弁をお願いしたい。
  134. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) これも私どもとしましては、原案でありますから、これはなかなかあなたが私の良識まで、まことにありがたいお言葉でお引き出し下さいましたことを感謝いたしますけれども、これも今までの税率の傾斜がきつ過ぎるという御意見のもとに、これを税負担の調整という建前において作ったものでございまして、この委員会を通じていろいろ御審議がありますでしょうけれども、また、それにも従いますことはもちろんでございますが、私どもといたしましては、さっきから申し上げましたような趣旨において提案をいたしておるということに御了承を願いたいと存じます。
  135. 大矢正

    ○大矢正君 原さん、三十円以下は免税点になって税金がかからないのだから、三十一円から五十円までの間をかりに今の法律改正から行くと一割ですね。これを五分とした場合すなわち五%にした場合に、一体国税の収入の上でどれだけ影響がありますか。
  136. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 半分にしますと、約平年度十一億円くらい減収になると思います。
  137. 大矢正

    ○大矢正君 三十一円から五十円までの間でそんなになりますか。それはおそらくうそじゃないですか。第一あんた三十一円から五十円までの間の映画館の数や、それからそれに入場する入場人員の数がわからないで減税の金額が出るわけはない。どうもおかしいと思うのですがね。
  138. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 三十一円から五十円までの入場料金の場合の入場税額というものは、今約二十二億円という数字を私ども持っておるわけであります。それが十を五にするという前提のお話しですから、五にすれば半分、十一億前後は減るでしょうと申し上げておるわけで、私は間違いないとこう思っております。
  139. 大矢正

    ○大矢正君 しかし考えてみて、映画館の大部分というのはあれじゃないですか。都市においては五十円以上でしょう。むしろ五十円以上というよりは百円以上じゃないかと私は思うのです。ですから、観客の動員数からいえば、圧倒的な数字になると思うのです。大体今度のいわば入場税の大幅な改正によってどれだけ減税になるのですか、総額で。
  140. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 政府原案におきましては、平年度二十三億初年度十九億の減収になるという見込みを立てたわけです。衆議院における修正によりまして、これが平年度二十三億が約三十四億円になるというふうに私どもの計算ではなります。初年度は施行時期をずらされましてやはり十九億ちょっと、二十億近くですけれども、大体そういう額になるように思います。
  141. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると逆戻りするようですけれども、ごく最近の資料によってその計算をした場合に、一年間の三十一円から五十円までの間で映画その他の興行をしておるところの入場人員と、それからそれに対する課税金額というものはわかるのですか。
  142. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 先ほどお尋ねのございました入場人員あたりは実は報告をとっておりませんので、正確でございませんが、税額につきましては報告を精細にとっておりますので、その関係で税額はわかっております。ただいま御疑問のございました点でございますが、三十円と区切らずに、現在の五十円以下の部分が税額にいたしますと、入場税で二十七億、それから五十円から八十円の間で五十四億、それから八十円から百円までの間で三十四億、大体この辺が入場人員が一番多いところでございまして、この五十円以下と五十円から八十円の間は税率が倍になっておりますから、五十円以下の入場人員と五十円から八十円の間の入場人員ははっきりわかりませんが、入場料金は、ほぼ同数ということから考えて、かなり下の方が多いというのが実態でございます。つけ加えて申し上げますと、政府原案で三十円まで免税点を設けましたのは、主としていなかなど学校とか、そういうものを借りて臨時に短期間映画会をやるという場合に三十円以下の実費をとっているもの、これまで実は課税をいたしております。従って、臨時開催というのは一年に十六万件もある、課税上ですね。しかも一回のその税金が総体で五、六百円とかいったような実情にあるわけです。そんなところから、そういう興行といえない程度のもので、一般の娯楽のほかに方法のないところでやっているものまで課税するのはおかしいという趣旨から、臨時開催のものだけをはずしたわけでございます。従いまして、三十円以下の入場税を一律に免税をしたというわけではないわけでございます。それから衆議院修正はその三十円を二十円に下げたということでございます。
  143. 大矢正

    ○大矢正君 政務次官あなた、すぐ言えば原案通り原案通りというんですね。さっきから繰り返して言ったけれども、とにかく三十一円から五十円までは減税の恩典に浴さないし、これらの人々が一番、何というか、文化の恩恵に浴していない人々でしょう。都会の人々は、東京を中心とする都会の人人は、これはもう絶えずあらゆる文化の恩典に浴しているけれども、一番文化の恩恵に浴していないという人々が三十円から五十円までの非常に低い入場料金を払っている観客自身じゃないかと、私は思うんですね。そういう人たちの立場を全然考慮しないで入場税の減税をやるということは私どもとしては理解できないな。あなたはただ原案通りと言うのだけれどもたまには理屈を言ってくれないかな。
  144. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) さいぜん申し上げましたように、これは私の立場からですね、これを批判的に、大矢先生の御意見に賛成すると……、まことに申しわけありませんが、私の立場からいたしましてその詰め寄られましても、はなはだ困難だと申し上げざるを得ないと存じますが、御了承をいただきたいと思います。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 入場税についてちょっと一点だけ。入場税の内容についてはあとで伺いますがね。そうでなくて、単に形式的なことですが、厳密に原価計算をして、入場税、たとえば九十円、半端なものを考えますと、二割課税で十八円、それで百八円が入場料だ、こういう入場料金をきめている映画館等はないわけですね。それを百二十円にするか何か、きちっと整ったものにする。従って、五十円までは一割とか、百円までは二割というような、そういう課税の仕方でなく、入場のチケットが、総額で税込み百円というものを表示するなら、その中は二十円と八十円である。百五円というなら、その中は二十三円と幾らである、こういうきめ方で税を取るというような、そういうやり方はできないものかどうか。そうすると、関係者がもうけ過ぎになるとか、あるいは自分が負担して犠牲的に税を納めていますとか、こういう言い分は全然なくなるという感じを私持つのです。こういうものは原価のところをきめて、それに幾ら課税するということでなく、込みの総体の金額をきめられて、その中を分割して示しておく、こういう考え方はどういうものか。従来、地方税時代でも、税率を下げたら入場料は安くなるのだという興行者連盟等の陳情があって、正直に私らも地方行政委員会で下げてやったことがある。しかし、全然そういうことが結果に表われなかった。今回は、減税したら減税分は入場料自身が下るのだということでおやりになるようですがね。それを一歩踏み込んでいったら、私の申し上げるような考え方も成り立つのでないか、この方が両者便宜であって、何といいますか、経営の上からいっても、業者業者で主張できる部分がはっきりしてくるのではないか、そういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  146. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話のような税率の盛り方をするのも一つのやり方として考えられないことではないと思いますけれども、私そういう例をちょっと知りません。というのは、おそらく税というのはだれが納めるか、それから課税対象は何かという、この辺は税法の根本的な要件ですね。後者はいわゆる課税標準といっておるわけです。お話のようなことになりますと、課税標準が税込みの総体の百二十分の百だというような額になるのですね。考えられないことはないと思いますが、おそらくそういうようなのは、課税標準のきめ方として、ちょっと間接になるということなのじゃなかろうかという、実はここでの卒然とした感じですけれども、思います。そういうようなことで、私そういう例を知りませんので、なお検討はいたしてみますが、減税した場合に、最終価格が下るかどうかという点は、やはり現行のやり方でも、おっしゃるようなやり方でも、両方問題があるように私は思いますが……。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 厳密に言うなら、今度の減税は、七十円の入場料であるといえば一割だ、七円だ。従って、入場者は七十七円払うのだと、こういうことになることを期待しておるのでしょう、半端がつくことが。これは必ず半端がつくのですよ。それが七十七円でなくて八十円だということになれば、これは減税の効果が上らぬということです。七十五円だということになるなら、それは経営者の負担だということになる。だから、はっきり申し上げて、今後入場料金は税込みになるとほとんどが半端がつくのだ、三十四年度以降はそうなるのだ、こう期待しておっていいわけですね。
  148. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 半端をはっきり一々出すというのも一つの行き方ですが、それは実際的ではなかろうと思って、私どもは五円または十円に整理するという限りにおいては、それは問いませんというのが、今回お願いしておる付則の中に入っていると思うのです。ですから、具体的に七十円までは現行法では二割の課税になりますから八十四円ということですね。実際にはその税込みの八十四円という入場料を私はあまり聞いたことがないので、おそらくそれは八十円とか何とかになっていると思うのです。八十円ならそれらの百二十分の百が課標準税になっているということであります。そういう場合に百二十分の百は幾らになりますか、六十五円とか六円とかというような数字でしょう。それの二割が税額だったのが今度一割になる、そうすると六十六円とすれば六円六十銭下げるということになるわけですね。その辺は、そういう端数をきちんと最後のところまで出さぬでも、五円または十円で整理するという限りにおいては、それは問いません。しかし、本体としては、下げることは下げなさい、下げていただきたいということを申し上げているわけなんであります。
  149. 平林剛

    平林剛君 入場税法について若干お尋ねをいたします。衆議院改正案によりまして、政府案で予定しておった入場税に減収額を生じたわけであります。先ほどお答えになりましたように、三十四年度で約二十億円、平年度で約二十四億円が、当初予定したより減収に相なったわけでありますが、その財源はどこから求めることになっております。
  150. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 初年度は、実施の時期が原案では五月一日からということになっておりますのが、八月一日に繰り延べられまして、それで処置をされるようにというような修正案でございます。そういたしますと、五、六、七と三月延びますから、それで初年度分はカバーできる。ごくわずかだが差額が出るように感じられますが、それはもう言うに足らない額であります。
  151. 平林剛

    平林剛君 入場税法改正案について、これは修正も含めてでありますけれども、私は、政府の基本的態度を少しお尋ねしておきたいと思うのであります。今回の改正案理由書を読みますと、「最近における各種興行の実情にかえりみ、入場税負担の合理化を図るため、」ということが大眼目になって、これが目的と相なっているわけであります。しかし一面、映画とかあるいは演芸が、国民大衆やあるいは青少年に与える影響、もっと詰めて言えば、国民の情操教育に対する配慮、こういりような考え方が含まれていないのじゃないか、政府の文化政策というようなものが、今日までの入場税法にはどうもすっきり表われてきていない、漸減をしてきたのはそれだと言えば別でありますけれども、今回の改正法案提案理由を見ただけでは、そういったにおいすら感じられないということを、私は大へん遺憾に思っているわけであります。先般の衆議院大蔵委員会お話がありましたけれども、通産省の映画産業白書を読んでみると、三十二年度の映画劇場に対する観客動員数は約十億九千八百万人ですね。一日にこれを直すというと、一日の観客は三百万人いるわけです。これは他の演劇や音楽、スポーツ、競輪、競馬、いわゆる娯楽産業の入場者が一億二千五百万人と比較すると、比較にならないほどの多数が映画に触れておるわけです。従って、この映画の内容というものいかんによっては、国民大衆に及ぼす影響というものは無視することのできないほど大きいものがある。最近でも暴力を肯定するとか、あるいは肉体的享楽の讃美というような低俗な映画がある。きのうかおとといの新聞を見ても、今までこういう映画を作ったのは特定の会社だけだったのですね。ところが、今までかなりいい作品を作った映画会社でも、競争に勝つためにはこぞって低俗な映画を作り始めたというような傾向が見られている。去年でもこういう倫理の問題について検討する委員会では、十八才未満の子供には見せちゃいかぬという映画だけでも相当数あったと聞いておる。こういうことを考えると、単に入場税というものの改正に当っては、政府のうたい文句であるような、「各種興行の実情」だとかあるいは「入場税負担の合理化」という以外に、政府としての積極的な文化政策という、そういうものが少しはにじみ出してもらわなければ困るじゃないか、にじみ出すべきじゃないかというのが私の考えなんです。政府のその基本的なお考え方をお尋ねしたい。  それからもう一つ。具体的にいうと、たとえば課税の面において良心的な、芸術的な価値の高いものについては何か特別な措置を講じて、入場税を軽減をするというようなことは考えられないかどうか。かような基本的なことは政務次官に、具体的なことは政府の当局の方からお聞きしたい。
  152. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 大へん広範な、そして基本的な御質問でございまして、しかもこの文化政策の一環としての映画の問題、これは仰せのように、社会思想の問題、また、今日におきましては、いろいろな情操教育とか文化面におきましての役割のきわめて大きいことは申すまでもございません。従いまして、優秀なる映画を作って、そして大衆の娯楽の、また子供の、今日におきましては教育関係におきまして重要な役割を果さしめなくてはいけないということも、まことに大切なことでございます。この間も文教委員会におきましても、カットした映画がございまして、これは見せてよいか悪いかというようなふうなことで、私もさそわれましたけれども、時間的に行けなかったのでございますけれども、こんな根本的な問題につきましては、仰せのように、全くお説に同感でございます。政府の文教政策、文化政策、映画政策、こういうふうなことにつきまして、私が今ここで申し上げることは、これは全くあなたの仰せに賛成する以外にはございません。大蔵省といたしましても、いろいろ料金の問題、税金の問題から議論をいたしておるのでございますが、それにいたしましても、優秀な映画、そして大衆に親しまれるようにすることは、またきわめて必要なことでございますので、今回の入場税の問題にいたしましても、できるだけ税負担の調整をはかりまして、そして大衆に見ていただくということを大蔵省としては考えておるのでございますが、しかし、この映画のよし悪しというふうなことにつきましての判定を大蔵省でやるということには、ただいま申し上げかねるのでございますけれども、しかし、優秀なる映画を大衆に親しんでいただく、そうしてなるべく負担を軽くして見ていただくという趣旨において、今回のこの入場税の調整もいたしておりますし、ことにこの映画と演劇等の不均衡等のことも議論いたされまして、しばしばの改正の際にこの問題が出ましたので、今回そういうふうな意味におきましての税負担の調整をやったというのが今回の提案した趣旨でございますので、この映画政策につきましては、今平林委員仰せられましたこと、私が政府を代表してというふうなことにもなりかねますが、全くそういう趣旨において私どももできるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと、かように考えます。
  153. 平林剛

    平林剛君 原さんね、政務次官は趣旨は賛成してくれているんだが、現在の政府には、ちっとも、そういう太い筋ですね、文化政策的なものを進めるというような考え方が足りないと思う、こういうことを言っておるんですよ。特に国立劇場も近くここいらにできるということになって、そういうときに中身は一体何をやるかといったら非常に心細い限り。まあ税法の中で、これは良心的な芸術的な価値の高いものと、そうでないものを区分することは非常にむずかしいと思いますけれども、政策として、そういう筋を通してもいいんじゃないかという感じがするんです。だから、そういうような区分をするようなことはできないのか、あるいは最近の傾向は、私は映画の産業の実態、こまかいことは知りませんけれども、どういう理由かわからないけれども、乱作主義というか、そういう二本立、やれ三本立という工合に、国民に対する情操教育という面では、何だかむだな浪費のような感じのする映画が非常に多いわけです。私は見ないからいいんですけれども一般のこれを見せられる観客というものは相当ある。観客はその芸術を求めるより娯楽を求めるというのかもしれませんけれども、しかし、政府としては、やっぱりもっと筋の通った文化政策というものを進めていく必要があるんじゃないか、そのために税の中で何か考えていい。たとえば租税特別措置法なんというのは、公平の原則を破った資本蓄積という大目的に向って邁進しているでしょう。同じように税法上いろいろな議論はあるけれども、文化政策を進めるという意味で、多少政策的なにおいが税法の中に現われてきていいんじゃないか、私はそう思うんですよ。だから、その単なる低俗な映画というようなものと、芸術的な価値の高いと認められるものについては税率を少し変えていくとか、あるいはその二本立、三本立というような、むしろこれはお金をむだに使っていると思われるような映画と、意欲的な大作については、税の面である程度見てやる、こういうような考え方をとれないかどうか、これを一つ専門的に主税局長からお答え願いたいと思う。
  154. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お気持のほどは私よくわかるんですけれども、いろいろ検討いたしておりますが、非常に困難だという感じであります。また、それはやるべきなんだが困難だというだけの問題でなくて、本質的にやるべきかどうかについても相当疑問があると私は思います。各種の消費について、お酒も薬に飲むときがあるし、えらい飲んだくれてしまうときもある、というようなもので、こまかく言えばいろいろな品物について、消費の目的、あるいは性質ですね、環境というものが違うんです。それを一々区分することが果していいのかどうか、特にそういう芸術的なことをのけて、政策目的でこれを減税するという場合におきましても、これは平林委員もよく御存じの通り、政策目的の減税というのはいわゆる租税特別措置であります。それは一般的にはよろしくない、やるならば補助金でおやりなさい。そうしてその補助に値するかどうかを毎年々々厳正に判断するという形の方がいいというような議論、また、そういう減税の財源があるなら、一般的な減税に充てるべきだという議論が、いわば大きな太い線としてあるわけです。私はやっぱりこの場合においても同様なことが言えるんじゃないか、特に非常に文化的なもの、あるいはがっちりしたいいものというものについて、入場税を減税いたしました場合に、それが果して観客にいくかどうかということは必ずしも保証がないし、やっている映画館ですね、興行者のふところを肥やすというようなことにもなりかねないというのが、私ども一応分析してのいろいろな困難な点であります。まあその上にだれが判定するか、どういう基準で判定するかという問題になりますと、これは例の御承知の純芸術の判定が、税務行政でやろうとした場合に非常に困難だ、まあ税務行政でなくて、あるいは今ある形で映倫だとか、文部省の特選だとかいうものについても、果してそれがうまくいくかどうかという点についても相当私は問題があると思います。お気持はわからぬでもないが、それらのいろいろな問題点があるので、まあ私どもなおもう少し慎重に検討しないと、おかしなことになるのではないかという感じである次第でございます。
  155. 平林剛

    平林剛君 私は税法上における同じ政策でも、租税特別措置法のように、資本蓄積という名のもとに、特定の法人あるいは会社が利潤をあげていくという不公平な課税と問題は違うのじゃないか、同じ政策でも国家として国民の情操教育を高める、あるいはそれを奨励するという意味で、この面についての税制上の恩典を与えるということは、あまり非難さるべき性質のものじゃない、むしろ積極的にやっていいものだ。あなた今これについてお話がありましたけれども、そんなら租税特別措置法のやつは撤廃してしまえばいい。撤廃してしまって、そういうお話をするなら、私はああなるほど原さんはいい感覚を持っておると、こう思いますけれども、片一方の租税特別措置法のやつを残して、片一方はそれはいけないというのはどうも筋が通らない。問題は政府に一貫した文化政策がないということを意味するだけだと私は思う。これは今後私はそういう点について、政府でも検討してもらわなければならぬ性格のものだと思う。  もう一つお尋ねしておきますが、積極的に文化政策を国家で進める、国家がそういうことを進めるという意味で、昨年の演劇に対する入場税の軽減はある程度そういうにおい、趣旨を主体にして改正をいたしておることは御承知通りです。そこで、現在の入場税の担保金という制度がありますね。私は演劇については何とかもう少し国家としてこれを奨励をする、補助をするというような政策があっていいんじゃないかという持論を持っておるわけでありますが、この入場税の担保金の制度のために、実際これが政府の補助もないし、自分でやる上においてはなかなか困難だというので、なかなか困っておるという実情を承知しているわけであります。そこで、たとえば過去の公演で、入場税が完納された、こういう実績がある程度の回数、たとえば二回とか三回あったという場合には、担保金をとらないで、その団体の興行に対しては、入場税の担保金も免除してやるような方法はとれないかどうか、こういう点については私は検討してもらいたいと思うのでありますが、いかがです。
  156. 原純夫

    政府委員(原純夫君) これは入場税の保全担保の条文の運用に関することでありまして、所管としては国税庁がその運用の衝に当るわけであります。衆議院においても同様な点について、いろいろ質疑応答が行われましたが、私の記憶いたしまするところでは、ただいま平林委員お話しのような事情のある場合については、御要望の趣旨も含んで、今後運用について検討いたしたいというふうに、国税庁長官はお答えしたように私は記憶いたします。
  157. 平林剛

    平林剛君 先ほど小笠原さんが質問をした中で、今回の入場税法改正によって税率が下る——そのはね返りはだれのところへいくかという問題につきまして、もう少し聞いておきたいのであります。これがいわゆる観客である大衆のもとにいくような措置をとってもらいたい。そうでなければ入場税法改正をした意味が、大半失われてしまう。これについては一体どういうような具体的な措置政府はとられるか。これが一つ。  それからもう一つは、政府法律案の付則を見ますというと、従来こういう問題について批判のあったことにこたえて、若干それを補うような意味の付則がつけられておりますけれども法律が施行されて、六ヵ月間という一定の期限を限ってありますと、六ヵ月後に値上げというような結果にならぬかどうか。今度八月から実施ということになったから、ちょうど来年二月ですね。そのころになるというと一斉に値上げが行われるのではないか。現に入場税法の一部を改正する法律案検討されている段階に、映画館によっては、すでに映画入場料金を上げているところもあるのですよ。私もちょっと町を見て気がつかないうちに値段が変っているという映画館を見たことがありますけれども、興行主によってはこれを予定して、初めのうちに上げてしまっているところも見受けられるのです。そういうことを考えるというと、やはりこの付則では六ヵ月というふうに限っているが、そのあとの保証をどうするかという点が問題だと思う。特に税率は一年間でしょう。少くとも三十四年、三十五年とずっとなるのだが、三十四年一ぱいくらいは続いていくというくらいでなければおかしいじゃないかという気がするのです。そういうことについてどう考えるか、この二つを伺いたい。
  158. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話しの御趣旨の本体については、こういう異例の付則をおいて対処したいと思ったところで一つ御了解いただきたいと思うのです。ただし、その場合に、なぜ六ヵ月ではなくて、一年も二年もやらないかという話でありますが、せめてことし一ぱいという話でしょうが、まあそれはそういう御意見もあると思います。しかし、だんだんいろんな事情が違ってきて、この付則の条文にもありますが、特別な場合には承認を受ければよろしいというようなことがありますが、長くなればなるほど承認事務というものはおそらく多くなるだろうと思うのです。そういうことを考えてあまり長く押えて、そういう煩瑣な承認事務が増加するというようなことになっても実際的でないというのが一つ。  もう一つは、何と申しても一度下げれば、下げて半年やったものを、さあもうフリーだから上げますよというほどぬけぬけと興行関係がやられるかどうか、これは非常にむずかしいと思います。問題は、今までいつもこれがうまくいかなかったのは、下げたとき、そのときには従来通りの税込み料金でやっておれば、見に行く方は、前は百円だった、今度も百円だというので別段疑わないわけです。ところが、今度は、そのとき下げなければ減税の恩典はできませんよというのですから、下げるだろう。半年でも下げ出してしまえば、私は勝負は八、九割以上ついたというように思うという考えでございます。なお、三月三十一日までの六ヵ月間で実績を見て、それをもとにしてやるわけですが、お話の上げるというのでも、二月ごろ上げたのではうまくいかないように書いてあるつもりでございます。六ヵ月間で一番長い期間やっておった料金をベースにする。大体その前の料金をそう何度も変えているという例はほとんど希有だと思いますので、大体いけると思っております。   —————————————
  159. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次は塩業整備臨時措置法案に移ります。
  160. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 塩業整備臨時措置法案につきまして、その基本的な問題を二つばかりお尋ねしたいと思います。  大体今度の整理の規模をどの程度にするのかというのは、逆に言えばどの程度のものを残すかということなんですが、先般来の説明によると、食料用塩の全量を国内で自給するのが建前だ、こういうのですが、実は食料用塩の全量自給ということに私は基本的に疑いを持っているのです。一つは、消費者の方の側からいくし、一つは、今度整理で残ったところの塩業者の方の立場からと、二つありますが、まず初めに消費者の方から申します。  大体日本の塩は今日一万二千円、今度大整理してやっても三十七年度に至って、ようやく一万円になるという、非常に高いのです。ところが、外国から入ってくる塩は今日十ドル前後、三千何百円、四千円くらいで入っておる。これを、内地の塩のようにきれいな塩に再製いたしましても七千円くらいでできるのではないかと思うのです。そういたしますと、外国の塩を使えば、再製した塩でも七千円だ。ところが、内地の塩は現在一万二千円、近い将来一万円、非常に高い塩になるのです。従って、消費者から言えば、全量外国の塩を使ってもらった方が安いのだという問題が出てくるのですが、それをあえて今後も全量内地塩をもって供給することが目標だということは、消費者の立場から言うと、いささかふに落ちないということになりますが、その理由をお示し願いたい。
  161. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) ただいまお話し通り、内地塩は非常に生産費が高く、外塩は生産費が低い。従って、単純に消費者の立場から見ますれば、内地製塩をやめてしまって外塩を利用するという方が消費者価格が下るということはお説の通りであります。しかし、塩は米と並びまして国民の重要な食料品でございます。今日では一朝有事というようなことを考えて、そのとき塩が確保されておらなければならぬというような点は、だいぶ時勢が変って参りましたけれども、やはり国民生活の安定のためには、俗に米塩というほどでありますので、ぜひ食料塩の自給をはかりたい、こういう方針に変りはなくて、現在でも閣議決定というものがあって、一応生きておるわけであります。それならば、現在食料塩の需要の状況はどうかと申しますと、これはただいまお話がありましたように、価格の面と、それから品質の面から言って、約八十万トンと見られるのでありまするが、これにつきましても、価格はだんだん下って参りますし、それから品質の点についても改良をいたしまして、漸次食料塩としての需要が増して参る、こういう方向に公社としても極力持っていきたいと考えております。また、海外から外塩を輸入するということを一口に簡単のように申しますけれども、やはり海外の物資を買い付けるということになれば、それだけ外貨を使うということ——わが国といたしましては、塩のためにさらに巨額の外貨を使うということになれば、これは外貨予算を組む上においても、かなりまた大きな問題になりますので、そういう外貨節約といったような面もあわせて考えなければならぬ、かように存ずる次第であります。
  162. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 一応わかるんですが、今の米塩という、それから非常の場合というふうなことでありましたが、しかし、一体外国の塩が入らないというようなときは、これはもう日本の非常な危機なんです。従って、このときには、消費品にしても、原料にしても、外国からの輸入に待っている日本といたしましては、塩が入らないというときは、日本の物資は非常に不足してしまって、非常に耐乏生活をしなければならぬ情勢になると思う。そのときには、塩だけは米と同じだから、これは百パーセント需要を確保しなければならぬということは非常に非実際的ではないか。もう一つ、そのためにふだんから百パーセントの設備をとっておきたい。そのためには製造の目標は全量自給だ、こういうのですが、実際は設備を百パーセント置いても、そういうような非常の際には百パーセントの生産はできない。これは終戦後のあの塩の飢饉が起きたときにも、決して設備が減っていたから塩が不足したのじゃない。設備はほとんど変っていないけれども、石炭の配給がなかった。電力の供給がなかったからこそできなかった。従って、そういうときには、塩が入らないくらいなら、石炭も重油も外国から入ってこない。結局日本の内地の燃料は非常に窮乏になる。そうすれば、塩の設備は百パーセント保存しておっても、供給が、石炭が減ってくるのだから、決してこれは百パーセントの生産はできない。従って、百パーセントの供給確保ということにならない。従って、非常のときには、どうせ設備はあっても百パーセントの供給ができないということがほぼ実際的にわかっているにもかかわらず、ふだんから高い内地品をあえて使って、百パーセントの製造能力を保存しようということが非実際的じゃないか。さらにもう一つ、そういうときには、塩はなるほど必要品であって、非常に需給の伸縮性は乏しいものでありますけれども、使いようによっては、やはり相当これは節約ができる、数量的に言えばどうか知りませんけれども、お相撲さんが土俵で使う塩もやめる、あるいは料理屋の盛り塩をやめるということから始めて、各家庭におきまする塩の消費を——今は安いものだからというので相当私は節約の余地のあるような使い方をしておるのではなかろうか。そういうことをやりますと、今日の平生の内地消費量の七〇%もあったら優に生理的にはちっとも差しつかえないところまで塩を節し得ることになるじゃないか。それこれ考えますと、先ほどの値段の点からいきましても、決してその一〇〇%の塩を国内でやっておかなければまさかの場合には困るということにはならないので、やはり七〇%か八〇%やっておいて、それでけっこう間に合うじゃないか。それから外貨の問題もお話通りで、それは確かに、内地でできるものがあれば内地でやって外貨を節約するのはいいですが、しかし、これは、そのときの事情で、非常に外貨の少いときには何としてでも輸入を削限しようということになりましょうが、今日のように、外貨は相当あるのだ、むしろこの外貨を使ってもっと貿易量を大きくする方が国全体のためだという議論さえもある今日ですから、ただ外貨々々ということにならぬで、外貨の問題はそのときそのときの調節的な要素になるかもしらぬけれども、基本的に塩の問題をどうするかということの基本的な原則じゃない、やはり基本的の原則というのは、内地の需給をまさかの場合にどう確保するか、どうして安い塩を食べさせるかという、これが基本的な原則になっていくべきだと思うのであります。従って、総裁のせっかくのお話ですけれども、米塩等と同じで、一〇〇%確保しなければならない。あるいは外貨の問題というのは、どうも論理はまさにその通りですけれども、実際問題としては、そこまで御心配をなさらなくてもいいんじゃないかというふうな気がするのですが、いかがですか。
  163. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 一朝有事の際にも、今申し上げましたように、最近は各種の条件が違っておりまするから、設備だけあっても全量が確保できるかどうかということについては疑問があるという杉山委員お話は、ごもっともだと思うのであります。なお、白紙でものを書くということになりますれば、内地の設備による塩の供給量と外塩の供給量とをかみ合せて、何ほどが適当であるかということを理論的に定めるということも、これはできると思うのでありますが、現実の問題といたしまするというと、現に十州地方を中心として製塩業者がある。そのほかに石炭、電気によりまする機械製塩業者がありまして、これがいずれも生業に従事しておるわけであります。従って、ここで塩の製造設備を縮小すると、こういうことになりますと、社会問題、経済問題ということが重要になって参りますので、実は公社といたしましても、新規の製塩方法の効果の見通し等につきまして、不十分な点がありましたために、設備過剰を来たしまして、非常にその点申しわけなく思っておるんでありまするが、これが整備をいかにしたらいいかということについて、単に公社の一方的な意思のみで解決をはかることなく、現実の相手方であるところの製塩業者にも相談したのでありますが、製塩業者といたしましては、やはり国内塩の全量自給を目標とした程度一つの目安に過剰設備の整理をしてほしいと、こういうような希望がございまして、大体そういうような話し合いの線で、塩業整理に関する一応の方針が三十二年の十二月にでき上った。これをさらに具体化いたしまするために、公社としては塩業審議会に諮りまして、塩業審議会の委員並びに専門委員検討を願いました結果、大体そこでもいろいろの議論がありまして、理想的にいえば、内地の全量を八十万トン程度にとどむべきだと、こういうような意見も出たのでありますが、答申の段になりますというと、やはり現在の設備では、近く百二十五万トンから百三十万トンできるのでありまするので、八十万トンまで整理をするということになれば、四十五万トンもの整理をする、そういう整理をすべきであるという答申は出しかねまして、やはりこれは価格政策で行きつつ、業者の自主的な申し出を中心とする整理をするのが適当であるというような答申をいただきましたので、それこれ勘案いたしまして、今日提案申し上げておるところは、一応三十万トン程度の整理を目標に予算を組んでおる、こういうわけであります。
  164. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 たしかにそれはおっしゃる通り、白紙のところへ絵をかくならあれだが、もうすでにかいてある絵を少し消すんだから、あまりたくさんは消しにくいと、これはもう実際問題、確かにその通りだと思いますが、実はそこに問題がある。というのは、先ほど私は消費者というか、塩の値段の方から申しましたが、そこが今度は、残る塩業者の方の立場からいうと、果してそれでいいかということになります。と申しますのは、塩のようなものは、これは非常に、さっき申し上げた通り需要の伸縮性が少い。特に節約というものはある程度できましょうが、ふやすということは絶対できない。少し安くしたから塩をたくさんなめるというわけにいきませんで、非常に塩の需要の伸び量が少いのです。従って絶対にもう過剰生産にしないようにするという配慮がなきゃならぬと思う。今日まで、今お話のありました二十五年の閣議決定が全量自給といったのは、あのときにおいては塩が非常に不足しておりましたので、何とかして一日も早く塩の生産をふやしたいという非常な熱烈な要望があったのです。で、その要望に向って、専売公社の当局あるいは製塩業者等は、うんとハッパをかけるためには、塩の全量自給というようなキャッチ・フレーズを使わなければならぬ。あのときに内地消費の八割自給なんということは、これはキャッチ・フレーズにならない。それだからこそ、閣議決定は全量自給というようなキャッチ・フレーズを作ったけれども、これは塩をどうしても早く作りたいという、あのときの必要から出た私としてはキャッチ・フレーズだと思っておるのです。それで実際にやるときには、塩の需要は非常に伸縮性が少いものだということにかんがみて、内輪に内輪にやって行くべきものであったのです。それを実際の計画においても、キャッチ・フレーズ通りに全量自給というような計算をしたものだから、そこで、見通しにちょっと誤まりがあれば今日のような状態になるということになるのです。私はこういうふうなものは、品物の性質上内輪にやるべきものであるということを考えております。で、今度はそういうふうに今整理するのは気の毒だ、あるいはこの際交付金をたくさん出させせなければならない、予算の関係もあるというようなことで中途半端な整理をいたしておきますと、残った人は一体安心して今後も生産できるかどうか、また、三年、五年の後にはまた塩が過剰なってきて、また整理が起きるのじゃないかというような感じを必ず持つのじゃないかと思っておるのです。ここで、全量じゃないのだ、八割の自給だというようなことで目標をはっきりきめてやっておりますれば、たまたま技術の改良等で生産が相当伸びましても、まだそこに二割のアローアンスがあるので、その二割のアローアンスを計算している間に、また次善の策を講じ得るということになるのでしょうけれども、初めから一〇〇%筒一ぱいにやるということになると、そこに行ってまたもう一度やりやせぬか。従って、残った人は決して安心して仕事ができないのじゃないかという点が一つと、もう一つは、今お話のように八十万トンくらい残せばいいのだが、まああまりたくさん切るのも切りにくいから九十五万トンくらい残すということで十五万トン、それから八十一万トンから九十五万トンの人は、これは八十万トン以内の人は生産費が低いのが残っている。大体、生産費の安い方から順々に残して行って八十万トンでとまっていればいいが、九十五万トンまで出ると十五万トンは生産費が高い。しかし、ここでうたってきた方針からいたしますと、三十七年度からは一万円にするのだ。その先は順次下げて八千円程度にするのだということになりますと、八十万トンという、今は非常に冷酷に切ったお陰で、残った人は一万円まで平気でコスト・ダウンできます。将来は八千円でも平気でいたします方が残りましょうが、今かわいそうだということで九十五万  トンまで残して参りますと、果してその残った人は、三十七年までに一万円にコスト・ダウンし得るような優良な人だけ残るかどうかということになる。そこに一万円になりにくいような不良な人がやっぱり残るということになると、情が情でなくなるということになるのじゃないかということになる。私は塩業組合等で、これはほんの雑談ですから、はっきりした数字は資料はないのですが、九十五万トンになると一万円は無理で、一万一千円にしてもわらないと勘定に合わない人が残るようになはりしないかという話を聞いておるわけです。従って、今の白紙へ絵をかくのじゃないので、かいてあるのを削るのだから、非常にやりにくいことはわかりますけれども、やはりこれほどまでに大問題になって、一、二年、塩業者とももみにもんだ以上は、再びこういうことを繰り返さないためには、やはりここで多少思い切ったことをやる。ことしの予算が交付金がどうとかいうことを言いますが、交付金を出し憎んで整理を少くしておけば、生産費の高いものが残り、それをとめるわけにいかないとすれば、将来の買上げ価格を引き上げることがしにくくなる、こういうことになれば、結局国民から言うと、今、交付金の形で出すのを出し惜しんだおかげで、将来、塩の値段が引き下げられないというふうなことで結局負担になってくる、非常にやりにくいことではありましょうけれども、残った塩業者の人から考えて、もう少し思い切っておやりになる必要があるのじゃないかという気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  165. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 杉山委員の御心配ごもっともでありますが、私どもといたしましては、今回の塩業整備臨時措置法案をごらん願ってもわかりまする通り昭和三十一年度以降残るのは、生産費が一万円で企業合理的にやっていけるという企業の計画書というものも出させまして、それを審議いたしまして、その審議の結果、著しく非能率、非採算の企業であると認められれば、これは最後の場合には取り消しというような規定も置いておるのでありまするので、大体三十七年度一万円、三十七年度以降残るのは生産費は一万円でやっていける、かような見通しを持っておるわけであります。この一万円という根拠につきましては、いろいろな見方があるのでありまするが、塩業審議会におきましても、いろいろな議論が出まして、そのうちの一つをとってみましても、たとえば資本に対する年一〇%の収益相当分を含む生産費についてみまするというと、平年度で百万トンまでは平均が一万三百二十一円というようなことになっております。そうすると、まあ百万トンあたりでは一万円をわずかにこすというような数字が出ておりますけれども、その差額もきわめてわずかな額でありまするし、これは企業合同等の合理化を行えば、もう少し減らして一万円以内には入り込める、こういうような見通しも持っておるわけでございます。それから、塩の消費が非常に伸びないということをおっしゃっておるのでありますが、それは砂糖や何かに比べると伸びませんけれども、公社といたしましても、現在の価格なり、品質なりからいえば、八十万トン程度ありまするけれども、これは将来やはり品質の改良をする、それから価格も一万円まで下げてくるというようなことになりますれば、だんだんやはり置きかわる部分もありまして、国内塩の消費量はある程度伸びる、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからなお、杉山委員は、九十五万トン程度ではどうもまた直ぐに需要をオーバーする、供給が出るのではないかという御心配がありますのは、実は従来、塩の生産ということが、新技術の導入というようなこともありまして、生産能力をはっきり把握しておらなかった。ここにも一つの大きな欠点があるのでございまして、この点が問題になりまして、塩業審議会におきましても、科学的な方法によって一応生産力をはっきり把握する、こういうようなことの目安ができましたので、今後は許可量と生産量とをマッチさしていく、これは自然的条件にも支配される産物でありますので、他の工業品のようにはいかない点はありますけれども、それにいたしましても、今までのようなルーズな点を改めて、科学的な方法による一応の生産許可量を再検討して、その範囲内で製造させる、こういうようにすれば、従来のようにずるずると生産がふえてしまう、こういう点はかなり防げるのではなかろうか、それと同時に、新規の設備の増設あるいは許可、これの取扱いを最も重要視しなければならない、かように考えておりまして、これについては塩業審議会の答申もございまして、少くとも設備の新増設というものが供給量の増加になるというような場合については、その取扱いは慎重に行い、新技術の導入というような問題も今後出て参る面もありまするけれどもこれらにつきましても、やはり既許可の範囲内においてできるだけ円滑に導入をする、そうして、そういうことはすべて、許可量の増大にならず、また一方において、全体としての生産費を下げるというような場合に限って許可すべきである。それがためには特別の審議会にも諮って、公社限りで許して、二度とこういう事態を招かないようにというような注意も受けて参っておりまするので、今後の運営につきましては、慎重な取扱いを期しまして、御心配のないような事態を出現したいと、こういう努力をぜひ行いたいと考えておりまするので、御了承を願いたいと思います。
  166. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 いろいろと具体的にお話を承わりましたのですが、問題は、そうなりますと、結局今度の整備であとに残った塩業をどう改善していくかということになってくると思います。これは法律案にも、残る人は合理化計画を出すというようなことがあります。そこで、私希望を申し上げたいのは、今日の塩業の組織というのですか、企業形態というのですか、きわめて近代的でないものが相当ある。会社組織のものはようございますが、会社でなしに組合組織のものにおきましては、自分が塩田を持っていて、そこで自分が鹹水を作る、その鹹水を作った人たちが集まって製塩組合を作る、そうして自分の作った鹹水を組合へ売るときには売り値を非常に高くする、従って組合員としては、その売り値においてもうけるけれども、高い原料鹹水を買って煮詰めるところの製塩組合というものは、赤字になりやすいというような傾向がある。ことに、そういうような赤字になりやすい組合の責任で借金をして、そうして塩田の改良をしているというような事実もある。こういうようなことになりますと、一体、製塩経済というか、企業の重心はどこにあるのか、製塩業者にあるのか、それとも下の採鹹業者にあるのかわからなくなる、経済が二つに分れてしまった、従って、そういうふうな経営形態をとっているところでは、今後生産費も安くしたい、あるいは合理化をしたいということも必ずしもうまくいかないのじゃないか、こういうふうな事態にかんがみまして、今後は製塩の組織を近代的なものにして、資本が要るのですから、資本を集めやすくし、またやっているところの経理というものを一本化する、明らかに損益がはっきりするのだというような形にもっていく必要があると思う。で、そのためには私具体的に申し上げますと、専売法において鹹水の製造業者を塩の製造業者のほかに認めておるが、そこにガンがある。従って、塩の製造者というものは、鹹水を製造することから煮詰めるまで一貫作業をする人が塩製造業者であって、それだけに免許をあげる、鹹水の製造業者は免許をはずしてしまうということが第一点、それから今日の塩業組合法を見ますと、塩業組合というと、農業組合、あるいは専売でもたばこ耕作組合、あるいは酒類業組合というふうな、何か公共的な業者の集まりのように思いますけれども、塩業組合というものはそうじゃない、塩業組合というものは、最下部の企業単位がすなわち組合なんだということになっております。いささかも公共的なものではない。公共的なものはその上にある県の連合会あるいは全国の中央会だけであるということになる。非常にここらに、今の塩業の企業企業形態の昔ながらの残礎の一つの格好ができておると思いますので、採鹹業というものの面、極力今後は廃止するという方向と同時に、今の塩業組合法を改めて、塩業組合というものは、これは業者の公共的な集まりだ、特殊法人である、従って、税金その他の面でも優遇するが、企業形態としての塩業組合は、これはこれからはずして会社にするなり、あるいは民法上の組合企業にするなりというふうに持っていく方が、すっきりしたやり方じゃないか。そうすると、いかにも塩業者に非常に残酷のようになりますけれども、今のような世の中で、新しい企業をやっていこうとしても、どうしてもそこまで塩業者が脱皮しなければ、私は総裁のおっしゃったような、企業合理化をして、そうして一万円以下に生産費を下げていくということができにくいのじゃないかと思うのです。そういう点については、塩業者は一奮発を願うと同時に、業者の方でも、そういう方面にうんと力を入れてやってもらう必要があると思うのですが、今の専売法の改正、もしくは塩業組合法の改正については、どんな御所見を持っておりますか、お伺いいたします。
  167. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) ただいま杉山委員お話になった点は、公社といたしましても最も苦心の存するところでございまして、これは杉山委員もよく御承知通り、全く沿革的に今日のような事態ができ上がってしまった、自然発生的ともいうような事態でございます。入浜時代から、流下式、枝条架式に進み、さらに近代設備の戦後設備を設置した、こういうような過程におきまして、あるいはこの組合組織であり、あるいは株式会社である、また同じ組合といいましても、鹹水製造人の作っている組合の力の程度と申しますか、あるいは設備の所有関係その他が全く千差万別でございまして、そのために、株式会社であればもう少し企業経理が明確になって合理化されるであろうと思う場合に、塩業組合であるがためにその経理が合理化されていない。ことに御指摘のように、組合が販売利益を上げても、鹹水製造人の方に流す金のために赤字になってしまうとか、あるいは組合自体が販売代金の面で赤字であるにかかわらず、なお相当の金額が鹹水製造人の方に流れていく、こういうようなことがありまするために、塩業者としての企業形態がはっきりしないし、生産費の引き下げの上においても十分の効果が上がらない、こういうわけでありまするので、今回、企業整備に当りまして、そういう点の合理化ができまする面があれば、それはあるいは個々の企業の整備じゃなくて、企業間の統合整備といったような形において一部合理化が行われるかもしれませんが、実際問題とするというと、企業整備の段階においては、それが行われにくいのではないかと、かように思いまするので、企業整備の進行、その完了と相待ちまして残存業者企業形態はぜひ近代化し、合理化したものであり、それをもとに残存業者が近代産業としての発展をはかるべきである、これが塩業審議会の答申でもありまするので、公社の指導方針としては、ぜひそういう方向に持っていきたい、かように考えます。そういたしますと、現在の塩専売法なり、塩業組合法というものは、このままでは考えおることを実行する上において差しつかえがあるのでございます。そこで、実は塩業整備臨時措置法案と同時に、塩専売法、あるいは塩業組合法の改正案を提出いたすべきであるかとも考えたのでありますが、今回はそこまではまだ進めてございませんし、むしろ二段に分けて、塩業整備は、今回提案しております法律において行うことをお認め願い、塩業審議会の答申の趣旨を尊重して残存業者合理化をはかり、それに必要な塩専売法なり、塩業組合法の改正は、その整理の進行とも相待ち、その結果を見た上で提案いたしたいと考えておりますので、御趣旨の線には、できるだけ沿うように今後努めて参ることができるのではないか。かように考えております。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最近、この一、二年に新しく塩の製造業者として許可になった会社等があるならお知らせ願いたい。
  169. 小林章

    説明員(小林章君) 三十三年度は全然ございません。三十二年度は一ヵ所でございます。三十一年度は三件と記憶しております。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十一年、三十三年に許可になった会社と生産能力をお知らせ願います。
  171. 小林章

    説明員(小林章君) 三十二年度の許可は三件でございまして、その能力は三件合わせまして七万五千トン、それから三十二年度が一件で約十万トンでございます。
  172. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今度整理していく対象になっていくものの生産能力は、総体で幾らですか。
  173. 小林章

    説明員(小林章君) 予算上は三十万トンの整理を一応予定いたしております。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしてそれは、さっき杉山君もお尋ねになりました中小業者になるだろうと思いますが、業者数にして幾らになるのですか。
  175. 小林章

    説明員(小林章君) これは先ほどもお話が出ましたが、生産能力の悪いものから大体三十万トンくらい整理したいと思っております。これは、しかもその方針が、塩業者の実質的な申し出を待ってやる、または話し合いをしてやるということで、今の段階ではどこそこをやるということはきめておりませんので、何件くらいということはちょっと申しかねる現状でございます。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 生産業の大きなところは対象にならぬでしょう、そう申しましても。
  177. 小林章

    説明員(小林章君) 大きなところは、大体能率がいいというのが常識でございますけれども、中には例外もあろうかと思いますので、一がいに言えないかと思っております。
  178. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 抽象的にはそういうことは言えますが、実態としては、相当数の業者が整理されるということは間違いないでしょう。
  179. 小林章

    説明員(小林章君) お説の通り、相当数の業者が整理されるということになろうかと思います。
  180. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 提案者に伺いますが、第六条で、「塩専売法第十八条の規定にかかわらず」「取り消すことができる。」、こういう法律規定がどういう根拠でできるのか、お尋ねしたい。
  181. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 至ってふわかりですので、監理官一つ
  182. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 監理官は公社側を監理する官で、立案提案者でない。監理官や公社の方は、業務を、こういう法律ができたとき執行していく方の人なんで、その政府機関たる公社側の方の人に私は聞くのじゃない。まあ立案したのは監理官だから、ついでのことにものを申させるというのなら、便宜、やむを得ないからそれでもいい。
  183. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 御質問の第十八条の取り消しの原因は、そこにございますように、「法律の規定に違反したとき。」とか、あるいは「正当の事由がなくて一年以上製造をしないとき。」とかいうふうな、むしろこの塩専売法を通じて考えられておりますところの公益専売の理念と申しますか、足らないときの方のことを考えておるわけでございます。今回は余ってくるわけでございますが、この公益専売という制度は、足らないときに、国民の、いわば生活必需品であるところの塩の需給を確保しようということでございまするが、また他面、事業としましても、この専売法にございますように、できたものをみな買わなければならぬというふうな規定のあります専売制度としましては、余りましても、これは非常に困るわけでございます。そこで、この専売法の七条なり、あるいは九条に、「需給調整上必要があるときは、」「製造数量を制限する」とか、そういう規定がございまして、専売事業としてのいわば不可欠の前提である数量の均衡が破れたとき、しかもそれが生産数量が過剰になって破れたときのことも考えておるわけでございまするが、そうした精神を受けまして、今回のごとく、百万トンの需要に対して百三十万トンというふうな過剰の生産がある場合の根拠として、この第六条を規定したわけでございます。
  184. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、内容に立ち入って今の事情をとやこう聞くのはあとに回すつもりなんです。そうでなくて、法律の建前からいうて、現行塩専売法の第十八条は、違法なことがあった場合、これが取り消されるという規定だけがあり、第九条は制限するということはあるが、取り消すということはない。しかるに、あとの法律で、何何「にかかわらず、」——「取り消す」と、こういう形で、遡及して強制的に取り消すということのできる限拠がどこにあるか。こう法律上の問題として聞いているので、塩がどうとか、たばこがどうとかいう意味で聞いているのじゃない。
  185. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私の説明が少し不十分だったかと思うのでございまするが、事業として、消費できない、使用できない商品を買えないということは、事業の前提となる問題でございます。今九条を引きまして、これは生産数量の制限ということでございましたが、さっきはちょっと引きまして具体的に申し上げませんでしたが、第七条の許可の制限としまして、その第六号に、「塩の需給調整上製造数量を制限する必要がある場合」には「許可しないことができる。」というふうに書いてございます。いわば、この事業としての専売事業といたしましては、生産が余りましても、第五条にありますように、全部買わねばならぬという論理からして、事業が成り立たぬということから、許可をする場合にも、余る場合には許可をしないでいいと、そこで私は、この専売法上の塩の製造許可というのは、そこに専売事業として成り立たぬというふうな、そういう条件の場合には取り消し得るという内在的な制限のある、内在的な条件のついた許可である、まあこういうふうに理解しております。いわば、それが今度の第六条の取消権の実体的な根拠ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  186. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、監理官はそう言いたいところでしょうけれども、私たちしろうと流に、すなおにこの条文を見ますと、第七条は許可する場合の制限なんでしてね。それで、あなたがあげました六の「塩の需給調整上製造数量を制限する必要がある場合」には、これは許可しないのです。一たん許可したものは十八条しか受けられないと思うのです。内在的に、潜在的に、そういう意向があるとかないとかということは、これはどこか裁判所なり、どこかで議論すりゃいいことで、その議論が成り立つかどうかも、私はこれほど厳格に第七条で許可しないということを規定しているのですから、初めからもうその場合に許可しなけりゃいい。そういう意味からいうならば、三十一年、三十二年にこういう大会社を許可したあの当時において、もう塩の生産は過剰生産になってきておる。また、そういう見通しもある実態だったわけなんですから、これは否定できないと思うのです。そういう実態の中で、なおかつ反面、許可もしているのですから、そこで私は、十八条だけが、一たん許可をもらった免許事業といいますか、一つの定職としてこれが定められたものを、あとで取り消すことができる。これは勧告をし、合意によって交付金をやるというような、その範囲にとどまるならいいのですけれども、こういうことができるのかどうか。この点は監理官と私は議論したところでどうにもしようがないので、政府当局の責任のある方の答弁を聞きたい。こういうことをできる根拠が、今の憲法の職業選択の自由、しかも許可免許事業であっても、これこれの場合以外は免許を取り消されないのだという保証がある。それが一切、「かかわらず」ということでやれることができるのかどうか。これは私しろうと論議なんですから、不思議だと思って聞いているわけなんですから。
  187. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ちょっともう一度私に答弁さしていただきたいと思います。  確かにこの第十八条という規定が、許可をしたあとでも取り消し得る場合の、現行の塩専売法における唯一の例外のように見えるわけでございまするが、こういう立法例はほかにもあるわけでございます。たとえば漁業法で漁業の許可を受ける。ところが、水産資源の保護ということから、後になって、許可をしましたけれども、許可をされておる隻数の漁船が動いておりますというと、結局乱獲になって魚が少なくなる、繁殖ができなくなるということで、たとえば、水産資源枯渇防止法とか——それが現在、水産資源保護法になっておるようでございますが、こういう法律によりまして、当初、漁業権の許可をするときには考えなかったそうした条件のもとに、結局公益の面から、現在認めておる漁船をそのまま稼働させるということは困るという場合に、漁船の許可を、一定隻数以上は取り消すというような実例がございます。この塩専売法の問題で、三十二年、三十三年に許可をしたその許可の仕方はどうかという具体的な問題はございまするけれども、理論的に申し上げれば、塩の需給調整上、許可をするときには、まあこれでよかろうと思って許可をしたところが、その後いろいろな生産方法の進歩その他で、まあ過剰になるというふうな場合に、それが塩専売法のいわば前提となる需給の均衡が破れるというふうな、一つの公益を脅やかす条件になって参りましたときに、これを新しい法律で取り消すということは、私は可能なんじゃないか、こういうように考えております。
  188. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この漁業権を取り消していくという問題と、この免許事業ですか、許可事業を強制的に取り消していくということは、法律面から言うたら一つだと思うという考え方については、私も勉強しなければわかりませんから、これは勉強をしてもう一度お尋ねします。そういう考え方は、私は何といいますか、しろうと論としては、何か飛躍しているような感じがする、そういうことなら、政府は手前勝手に法律さえものになれば、どんなことでもやれるというようなことになっていくような感じがする、私はそれは漁業権について云々というようなことの場合には、別にさまざまな規定があるんじゃないかと思うので、これは調べてから一つあなたにお尋ねしたいと思うのですが、結果としては、そうすると、三十一、二年にはわからなかった、その生産過剰なり、経済の見通しなるものはわからなかった、そこで免許したところが、結果がこういうことになった、それで取り消すわけにはいかぬ、能率は上がるであろう、高いだろう、従って身がわりに、旧来やっておった能率の低い方はおやめ願う、こういう結果になるということは、事実関係としては否定できませんね。最近、大企業は新規許可をし、そのしわは零細製造業者の方に移っていく、こういうことだけは、これはいなめない事実ですね、どうですか。
  189. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これは先回、大蔵委員会におきまして、総裁が平林委員に答弁になりましたところでおわかりいただけると思うのでございまするが、いろいろ現在においては御批判があろうかと思うのでございますが、大体この枝条架、流下式塩田の生産力というものが、当初考えておりましたときよりは生産力が予想外に多いということがわかりかけた、というのは、三十一年の末ごろかと、私今から推定するのでありますが、それ以降におきまして、先ほど申されました三十二年に一件新らしく認可したものがございます。これはこの前も総裁からお話がありましたが、その計画が昭和二十八、九年という当時から計画されておって、昭和三十一年には内認可も与えておるというような、そういう沿革から申しまして、形式的な許可が三十二年にあったわけでございますが、そういうような枝条架方式の生産力の見積り方というものに、当局として正確な把握力が欠けておったということにつきましては、私も遺憾であると考えております。
  190. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さっき出たその漁業権に関連しての問題ですが、それはこのことと同じだということでしたが、こういう法律規定で免許取り消しになっている実例があるのですか、水産資源の方の関係の漁業法なりにおいて、こういう形式で取り消しになっているのがあるのですか。
  191. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) こういう形式ということは、私ちょっとどういうことを意味するのか……。
  192. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第六条の一に、何何に「かかわらず」ということで、ばっさり取り消しになっているのがあるのですか。
  193. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 水産資源保護法と申します法律は、一定の漁区について、一定数以上の隻数の漁船が動いておりますときには、その隻数以上のものについて許可を取り消すということを規定した法律でございます。そういう意味においては、「水産資源の保護のために必要がある」場合には、ここでは、「公社は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、」ということと同じでございますが、そのときには「取り消すことができる。」と書いてござ、います。何条の規定に「かかわらず」ということがあったか、ちょっと私記憶しておりません。
  194. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 漁業というものから転業するわけではなし、させるわけではない。これは塩業ができなくなるのです。同じですか。職業が変わってしまうのです、これは。ところが漁業の方は職業は変えないつもりなら変えないでいい、それは自由意思なんです。その点はどうなんですか。
  195. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私も水産資源保護法の、あるいは水産資源枯渇防止法の実体をよく存じないのでございまするが、たとえば近海漁業をしておった者に対して、そこはいかぬからというふうに取り消しをされた場合に、その同じ漁業ということに転業できる者もあろうかと思うのでございます。それがその場合、漁業以外のものに転業する者もあろうかというふうに私は考えております。それから近海漁業から遠海漁業に行きますときの職業の質の転換が、塩をやめてほかの事業に行く場合と違うじゃないかとおっしゃれば、違うかとも思うのでございまするけれども、少なくとも船にしましても、あるいは漁業の経験にいたしましても、近海漁業なら近海漁業になれている者がそこができなくなるという、その転業の苦痛ということは、私はある程度の差はありましても同じじゃなかろうかというふうに考えております。
  196. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その内容的な差があるとか、ないとかということで私は尋ねているのじゃない。あの種の漁業権の問題は少なくとも憲法には抵触しない範囲であり、これは憲法に抵触するのか、しないのかということを、ほんとうを言えば直接聞いていることなんです。ところが、あなたは憲法に抵触しないのだ、なぜか、それはそういうことが例示されている、それはただ行政的にだけなんですね。そういう例示では私は満足しない。これ自体はそういう職業選択の自由というようなものに抵触するのか、しないのか、しないという理由はここにあるのだということがあればお示し願いたい。そうなれば一番簡単だ。
  197. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これは今度の法案でもなかなか法律上理論考査がむずかしいところでございまして、われわれも法律についてはしろうとでございます。まあ法制局あたりでいろいろ議論をしていただきたいところなのでありますが、法制局の見解といたしましても、この専売法の許可というものは、やはり漁業法の許可と同じように、禁止を解除するというふうな意味の許可である、しかもその専売事業の存立の条件としましては、過剰な塩ができるということは、専売法第五条の、できた塩はすべて買わねばならぬというふうな、そういう規定から申しますると、事業の存立要件を欠くことにもなりますので、その場合に、過剰生産力に限って、これの許可を取り消すということは可能であるというふうに法制局は言っております。
  198. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さらに法制局の方に来ていただいて私はお尋ねしてみたいと思うのです。また、学者の方にも来ていただいて、憲法学者にも聞いてみたいと思うのです。必ずしもわれわれの立場は、行政解釈だけを聞いて判断する必要はないと思うのですが、微妙であるということだけは間違いないのですね、これはむずかしい問題だということだけは。明解であるということでもない、ただ、解釈は成り立つ、この限度ですね。合法であるという解釈だけは成り立っておって、われわれは提案しておる、この程度ですな。
  199. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) まあ私の方はそういう解釈が成り立つというふうに確信を持っておるから、御提案を申し上げたわけでございますが、法律理論としてむずかしい問題であることは確かでございます。
  200. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 勧告をする、きかなければ強制的に取り消す、異議の申し立てがあっても、一公社総裁がそれを認めないとなれば、それで終り、何でもざっと読んだところそういう形のようですね。それで公社総裁が取り消すということ、当事者から異議の申し立てを受け、それはだめだとけ飛ばしてやる。しかもその公社総裁はいわゆる公社の総裁です。大蔵大臣とは違う。けれども、まあ許可したのが総裁なんだから、従って取り消すのも総裁、異議の申し立てをしてくるのをけ飛ばしてやるのも総裁、この点は、かりにもしも憲法上差しつかえないものとしても、第三者的な仲裁的な機関というようなものは必要はないのですかね。たとえば、私が申し上げるのは、何だ、おれの方は取り消されるが、向うの方は内容実態はなお悪いじゃないか、こういう問題が起ってくると思うのです。やられたものは、もう御無理ごもっともですとんとやられてしまう。何とももう裁判所へ訴えようがない。争いにならぬのでから、これはこの法律が出ると。補償金や何かなら、あるいは民法上の争いになるかもしらぬが、この取り消しの問題は争いにならぬでしょう。どういうものでしょうか。
  201. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) まあ公社の総裁が取り消して、公社の総裁が異議の申し立てを受けるわけでございますが、これは、普通の訴訟の前審的段階でございまする訴願にしましても、異議の申し立てにしましても、それで救済が不十分である場合には、一般に行政事件訴訟特例法の規定によりまして裁判所に訴えて救済を求める、こういうことになろうかと思います。
  202. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 裁判所に訴える——今の法律も総理大臣か何かから制約がありませんか。気に食わなければ、その訴訟はもう成り立たぬというようなことはありませんか。
  203. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) それはございません。ただ、こういう前審的な段階をきめておりますときには、その前審的段階を経ていかないといけないというだけでありまして、一度異議の申し立てなら異議の申し立てをいたしますと、あとは行政庁の及ばない行政事件訴訟特例法によって裁判所の管轄になる、こういうわけでございます。
  204. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから次にお伺いしておきたいのは、補償の問題ですが、この補償の問題は、国が全額を補償する建前のようですが、何もこの塩業者の営業権を補償するのも、あるいは土地収用による——例示するなら、ダムならダムの作られるということについて、農家の耕地、山林、家屋、こういうようなものが移転あるいは接収、買収ですか、そういう形になって補償するのも国の立場に立つと同じだと思うのです。この基準というものは、他のさまざまな政府の補償の基準と見合っておるのですか。
  205. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この法律は、先ほども脳部長から説明になりましたように、大体、塩業者の自発的廃業と申しますか、それが基本になっておりまして、それに対する交付金は第三条に規定してございます。それから取り消された場合には、これは第七条に、「通常生ずべき損失」ということになっております。第三条は自発的に廃止を申し出た塩業者でございますが、自発的に申し出る場合には、一般に本人の意思なんだから、交付金については強制的にされた場合に比べて少くてもいいじゃないかという理屈も立とうかと思うのでありますけれども、それがわれわれとしましては、いわゆる憲法二十九条の精神をも考えまして、この第三条の交付金の額というのは非常に手厚くなっております。その結果、第七条を見ればおわかりになりますように、補償金の額が、もしそのものが第三条の交付金の額を受けるとした場合に、その額に満たない場合には、その額をこえない範囲内において特別交付金を交付するというふうに、われわれとしましは、むしろ第三条の交付金の方が多いというふうに考えておるくらいでありまして、その他の事例もそれぞれございますけれども、われわれとしましては、少くとも従来、政府がやりましたこういう補償に関連しましては非常に手厚くなっておる、こういうふうに考えております。
  206. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 手厚くなっておるかどうかは、積算する方式を見なければ私にもどうもわからぬので、臨時塩業整備審議会の意見を聞いて決定するわけですから、どんな補償になるかわからぬですが、それはわかるのですか。
  207. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) おっしゃいますように、第七条の補償につきましては、虚業整備審議会の意見を聞くわけでございますが、そこに書いてございまする「通常生ずべき損失」というのは、今度の廃業と相当因果関係を持つものというふうになっておるわけであります。私が手厚いと申し上げましたのは、第三条の交付金の方が、いわゆる「通常生ずべき損失」以上に手厚く見ておる部分があるので、そう申し上げたのでありますが、たとえばそこにございまするように、第三条には、「その製造の廃止の際に当該製造の用に供されている製塩施設の当該廃止による減価をうめるための費用、」ということになっております。これは今度の塩業整備でわれわれの最も苦心いたしましたのは、御存じのように、塩業というのは非常に多額の借金で事業をやっておるわけでございます。大体平均的に申しますると、塩の総投下資本の九割が他人資本でございまして、自己資本は一割程度しかない。しかも今度やめますような企業につきましてはその施設をしましたときの価額が、現在作るとしましたら幾らになるかという複成価額に比べまして非常に割高になっておるというものもございます。あるいはその後、償却未済で現在残っておりまする帳簿価額と申しまするか、これは別の言葉で表現しますれば、未回収投下資本が、いわゆる普通の償却率で償却しました以上に残っておるのがあるわけでございます。もしこれを普通の「通常生ずべき損失」という言葉で解釈いたしますというと、結局塩業の廃止によって減少した価値だけを見てやればいいわけでございますから、その施設を現在作ったら幾らになるかという計算をしまして、それから何年たっておるから、定額なり定率なり、それぞれの法定償却率をもって償却をしたあとの価額を標準にして、それから処分見込価額を差し引いたものを見てやればいいわけであります。ところが先ほど申し上げましたように、それでは、やめましたときに九割の他人資本でやっておる塩業としましては借金があとに非常に残るわけであります。整備をしまして、あとに借金が子孫まで残るということでは、これは非常に何といいますか、整備がしにくい、また、こういうふうな過剰生産力という専売事業のいわば存立の条件を回復するためにやめていただく塩業の皆さん方にもお気の毒であるということで、われわれとしましては、この交付金の額で見ておりますところの製塩施設の減価分の費用につきましては、取得価格を見てやる。かつその後の償却未済というようなことも見てやるように手厚い基準をとっておるのでございまするが、こういう点が私は交付金の積算基準として非常に手厚くなっておるということを申し上げたのであります。
  208. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、この特別交付金ですが、補償金と合意に達したものに対する交付金との差額相当金額をこえない範囲で支給されるというのですが、これは政令で定めるようですが、大体こえない範囲内ならば差額は交付金になるものということに計算がなるように考えておるのですが、幾らかは交付金をもって合意に達したものが取得するものよりは少いという形で、総額が少いという形で処理されるという方針なのですか。
  209. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この特別交付金というのは、結局この交付金と、第三条による自発的に申し出た者の交付金と、それから取り消される者との補償金とが均衡がとれるようにという考え方でございます。ただ、少し微妙な点でございまするけれども、実はこの過剰塩と申しまするものは、これが発生しますと、一トン当り現在でも大体ソーダに売るといたしますと八千円くらいでございますが、それだけずつ損失になっておるわけでございます。従って、早く申し出てくれれば、それだけ国損というものも減るわけでございまして、そういう意味において、われわれは三十四年中に申し出たものについては、適正な投下資本の未回収額というものの中で、たとえば赤字というふうなものを見てやることにいたしております。その点が三十五年以降になりましたものにつきましては、そこは相当自信があるわけでございまするし、今申し上げましたように、早ければそれだけ国損も減るわけですが、三十五年になって廃止するものについては、こういう事情もなく、従ってインセンテイブを認める必要もなくなりますので、その点は見てやる必要はないと思っております。それからまた、この交付金の算定の基礎になっておりまする、たとえばこの塩田製塩業者にある営業補償のごときも、廃止をいたしましたときの塩価に対して生産量の三割を乗ずることになっておりまするが、これからだんだん塩価を下げて参りまするので、三十五年になりまするというと、塩価が下っておりますと、それだけ少くなる、こういうふうな差はあろうかと思っております。
  210. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何かこうだんだん聞いていますと、早く転業する方が割り得ですよ、言うことを聞かぬであとへ残ったものは損でございますよ、こういうふうに聞えるのだが。それからもう一つは、よく言うことを聞いて転業しようとするものには、これは報奨的に手厚いところでやっていく、言うことを聞かぬで、じたばたして強制取消しをしたものは、これは紋切り型のところで一つやって、そして差はつける、結果としては。そういうことで、なるべく合意に達して、さっさとやめてもらうものの業者が数多く出て所期の目的を達成したい、こういうような非常に権力者が、何というか、業者を泣き寝入りという形で屈服していくような、そういう点があるように、私はどうも人柄が悪いせいか知らぬが、邪推されてならない。少くとも十八条によって取り消されるのではなくて、正当な業務運営をしてきたものが経済事情からこういうふうになる。けれども、将来はまたソーダなり何なりの利用をするものが高度に発達して、新規の工場を許可するなんというような新しい事態がまたいつか起るかもしれない。その場その場にぶつかったものだけが、こういう目にあわせらるるという立場であるならば、かりにこの法律が合法的であるとします際においては、やはり業者の立場に立って親切な手当が私は至当ではないかと思うんですが、私の言うていることが邪推であると多分お答えになるでしょうから、こういう形でお尋ねします。交付金受領者と補償金受領者と分けるならば、どっちに対して国は手厚くすべきものと考えますか。
  211. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) われわれの考え方は、これら両者に原則として差を設けない、均衡がとれるように、この法案の全体の構想が考えているわけでございます。ただ、私は先ほど申し上げました、この塩田製塩業者に対する営業補償の場合でも、一体いつの塩の価格でもって推定所得を計算するかという場合に、やはり廃止のときの塩価ということが標準になりますので、そういうことからすれば、それはやはりあとからやめる人の方が、塩価が順次段階的に下げられていく関係上、すなわち三十七年に一万円にするというふうになっているものでありますから、ある程度の差がつくということでございます。しかし、われわれの考え方としましては、いずれにしましても、この過剰生産力の除去という、いわば塩専売事業の最も大事な要件を回復するということのためにやめていただく人たちでありますので、それらの方々に、原則として差を設けないように均衡をはかっていると考えているわけでございます。
  212. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最終年度になって塩価が下るのだから、下ったもので塩業資金の補償というような計算になると、計算上差はつく、しかし、それ以上意図的に差がつくような方式は、この法律でもないし、政令でも考えておりません、こういうことなんですか。
  213. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この第三条にございまするが、今度の交付金にしましても、補償金にしましても、その積算基準はいろいろございます。一般的基準として施設に対するもの、それから退職金に対するもの、それから塩田製塩業者に特殊な基準といたしまして、塩田を他の用途に転換します場合の経費、それから先ほど申し上げた営業補償、そのほか清算費用という五つのものが考えられるのでありまするが、両者いずれに対しても、これらの五つの事項を原則として認めているわけであります。
  214. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 塩田というものは、従来、固定資産税というようなものをとる場合には、水田や畑地と同じ範疇に入れて考えられているのですか。
  215. 小林章

    説明員(小林章君) 当然普通の水田や何かとは違うカテゴリーで課税されております。
  216. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは反当何がしという地価があるわけでしょうね。
  217. 小林章

    説明員(小林章君) 普通ヘクタールに直しまして水田よりも若干高いかと思いますが、四十万か、六十万くらいのところで課税されているようであります。
  218. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、やはりその塩田からどれだけのものが生産できるというところから、まあいろいろ地価がきまってくるのだろうと思いますが、この塩田業者には、農家で農地を国が取得する場合には、地代のほかに離作料というものが払われておるのですが、今度の場合は、塩田を地価に見合うものが払われるのでしょう。買い上げ価格をきめて買い上げるのだろうと思いますが、そういう意味で離作料というものはどういう形になるのですか。
  219. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 離作料に相当しますものが、先ほど申し上げました塩の水揚料の三割と申しまするか、三年分の推定所得というものがそれに相当するわけでございます。
  220. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、標準的な地価は幾らで買い上げるのですか、この今考えている塩田は。買い上げるというか、交付金を出す場合に……。
  221. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 買上げではございませんので、この場合においては、それを他の用途に転用しますものの経費としまして八十六万七千円を見ております、ヘクタール当りで。
  222. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはどういう算出の基礎があるのですか。
  223. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これは大体地価と申しまするか、この場合の塩田につきましては、土地の上にあるいろいろな工作物と申しまするか、たとえば、みぞがあるとか、あるいは流下盤があるとか、その上に枝条架があるというような、そういう工作物はすべて施設の方に入ってきます。従って、そういう土地というものはほとんど何といいまするか、地球上の面積といいますか、そういう素地になるわけでありまするが、われわれが考えましたのは、この塩業から離れましたことによって、塩業者としては次の生業を見つけなければいかぬわけです。そこで次の生業を見つけるのに、いろいろの方法をいろいろな用途に転換して、いろいろな新しいたつきの道を求めるだろうと思うのでございまするが、昭和四、五年の塩田整理の場合にも、その最も一般的な転換用途というのは農地でございます。従って、今度の場合にも農地に転換をいたします場合に、一体どれくらいの金がかかるか、これはいろいろ見方があるのでございまするが、われわれとしましては、非常に条件の悪いところを標準とするといいますか、相当甘い考え方をしまして、一町歩当り百三十万円というふうに考えまして、その中で今後の農業経営に必要な負担能力といいますか、そういう意味から申しますと、大体その三分の一程度のものは農家で負担できるんじゃないか、これは干拓の例その他にわれわれは例をとって、いろいろ考えてみたのでございまするが、そういうことから、その差し引きました残りの三分の二の八十六万七千円というものを見よう、こういうふうな積算にしたわけでございます。
  224. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、この交付金の各種の項目別の算定基準と申しますか、そういう資料がありましたら……。これは出ていますか、私たちの方に。
  225. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 政令案の要綱というのをお手元に差し上げておるわけでございますが、それの第三条の政令関係というところに詳しく載っておると思うのでございます。
  226. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは今私手元に持っておりませんから、あとでそれを見て、その部分は質問したいと思います。  次に、納付金ですが、この納付金を出せという観念はどういうところから来ておるんですか。
  227. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これはいろいろの考え方があろうかと思うのでございまするが、従来こういう整理をいたしましたときの先例といいまするか、たとえば、これは少し事情が違いますけれども、石炭鉱業整理の場合にも、残りまする事業が、やめまするものに一部の共助金というものを出しておる。今度の場合にも、残りますものと、それからやめますものの間には非常に運命の落差と申しまするか、そういうものがあるわけでございます。そこで、残るものがやめるものに共助的に意味において経費を負担する、これは何度もここで申し上げましたが、昨年来、長期にわたって諮問しておりました塩業審議会の答申の中にも、「整理補償費の一部は、残存企業においても応分の負担をすべきである。」との答申をいただいておりまして、そういうことから、われわれとしましては納付金の制度を考えたわけでございます。
  228. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 また石炭鉱業というふうに、他のことの先例があるということですが、私は先例があるということだけでは必ずしも容認しないのです。石炭は私企業ですから、私企業としてああいうことをやっていくわけですが。ということは、将来もうかるかもしれぬ。ところが、これは年々適正な塩価に下げていこうというのです。利益金の中から幾ら出せということにはならぬわけですね。利益が出ようが出まいが頭割り、これは幾らですか、トン当り二百円、これは非常にわずかな金なんだ、見舞金なんだ。だから答申にもあるから出したらよかろう、こういう考え方そのものに私は問題があると思うのです。これは自発的におやめになるとしましても、この法律が実施されて初めてそういう事態が起ってくるのですから、従って、これは国が全体を見ることが必要ではないか。しかもまた大企業等でコストが低い、従って利益がある。利益のあるものからは二百円、三百円と出してもらう、そういう制度として。納付金のあれなりでやっていこうということならわかるのですけれども、総体として、残るものはいつかは得するんだ、だから出せ。しかもこれは専売事業である。そういう意味で、概念的に一つにしていいかどうかということに私は疑念がある。この点はどういうふうなお考えなんでしょうか。
  229. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 百万トンの需要のところに百三十万トンあるという場合には、これは普通の私企業でありますれば、供給が過剰でございまするから、供給者側に非常に熾烈な競争がありまして、そこで食うか食われるかという競争の結果、残るものも傷がつくけれども、やっぱりその中の三十万トンというものは脱落していく、これが自由私企業の新陳代謝かと思います。そういう場合には、残るものも競争に相当力を尽しておりますし、それによって被害を受けておりまするから、そういうあとでやめたものに対してどうだというふうな、そういう負担能力がないかと思うのでありまするが、この石炭企業の場合にも、実は普通の自由私企業の形ならば、競争して三百万トンなり四百万トンが脱落していくというところを、いわばあの法律によりまして、そういう食うか食われるかという競争をやらないで済むような整理をする、そこで残存するものとやめるものとが区分けされる。この専売の場合にも、自由私企業とは全く同じではございませんけれども、専売事業としてのいわば本質論から申しますれば、百万トンの需要しかないところに百三十万トンの供給力があるという場合に、事業としては百万トンが生存すれば済むわけでございまして、これは、百三十万トン認めたその経緯についての非常なお叱りはあるかと思うのでありますが、それは別といたしまして、理論的に考えますと、そういうことを頭において価格をきめていってしかるべきであろうかと思うのでありまするが、それをこの法律によりまして、そうしたいわば新陳代謝ということを、交付金を出すことによってスムーズに行う、それによって、そのままであれば専売事業というものは、三十万トンの過剰生産力のためにむしろ成立し得ないというところが、この整理によって均衡を回復して生存し得るというところに、残るものとやめるものとの間の大きな運命の落差がある場合に、やめる方のものに対して、残るものの方が共助金を出すというふうな考え方については、私は先ほど申し上げた先例とは、一脈相通ずるところがあるのではないかということで、先例を引いたわけでございます。
  230. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはやめさせられるものの側に立つと、経済事情がどうであろうが、何であろうが、政府は専売事業として生産したものは買い上げる、その条件があったからやってきたのだ。まあそんなことをしてもらうなら、してもらわぬでもいいから買ってくれ、適正な価格で買い上げてくれ、こういうことも乱暴な議論ですけれどもあると思うのです。それではいかぬからこういうことをする、それの足しまえに、残るものは得するのだから、ちょっと納付金を出せよというのでしょう、簡単に言うたら。どのくらいになるのですか、この納付金は。
  231. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これは実は法律では二百円以内と書いてございまするが、いろいろな事情で、お手元に差し上げました政令要綱案では五十円となっておりまするが、五十円で大体二億円くらいになると思います。
  232. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 総体のその予想される交付金額から見れば、どの程度になるのですか、その二億は。
  233. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 全体の予算総額が八十七億円でございまするので、二億円というと、まあ二%か三%というところかと思います。
  234. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これは精神的な意味における香典なのですね。それ以外に、財政不如意につき協力願うという筋のものではないですね、どうですか。
  235. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) まあ財政不如意ということではないほどの金額でございます。
  236. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 おやめになったらどうですか。
  237. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これはいろいろ考え方があるかと思うのでございまするが、われわれとしましては、今度の整備によって、残るものとやめるものというこの二つのグループの間に、非常に運命の落差があるという場合に、先ほど香典という言葉をお使いになりましたが、いわば整備の精神的な雰囲気を作るという意味からも私は必要ではなかろうかと思っております。
  238. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろ監理官にお尋ねしましたが、お尋ねした中には政策的なこともある、物の考え方として議論しなければならぬということがある。今までの御答弁は、立法の経過上、事務的な問題として聞いておったわけで、従って政策的な問題については、政府委員からあらためてお尋ねしたい。
  239. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  240. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて。
  241. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では今まで御答弁いただきましたが、大蔵省を代表して政務次官、この納付金をおやめになることはどうですか。それからこの十八条は断じて憲法違反でない、遡及してこういう包括的な取り消しができるのだ、こういうことを……。
  242. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 納付金の問題は、先ほど政府委員であります監理官から御説明申し上げましたような次第で提案をいたしておりますので、ただいまこれを、第八条をやめるという意思はございません。なおまた、今十八条の問題につきましても、いろいろ御議論のあるのを傾聴いたしておりましたが、これも憲法違反であるかどうかということにつきましては、私どももきわめてその点では、小笠原委員もしろうとだとおっしゃいますが、私どもも憲法上の違反になるかどうかという法理論になりますと、そういうふうであるということかどうかということにつきましては、法制局等の意見も聴取いたさなくちゃいけないじゃないかと思いますが、ただいま政府といたしましては、憲法違反、そういうふうなものではないという解釈のもとに提案をいたしておりますることを御了承願いたいと存じます。
  243. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじゃ本日はこの程度にとどめて、法制局から人に来てもらい、また、学者の方も呼んでもらって、この点を明確にしていただきたいと思います。地方裁判所の例のことですから、最終的には憲法裁判はどうなるかわからぬが、安保条約なり、行政協定までも憲法違反であるという判決がきょうあたり出ておるくらいなんで、われわれは政府の言い分だけを、へえ、そうですがと聞いていると、間違った法律、実行不可能な法律、無効な法律を出すというような結果になりますから、いよいよ慎重にしなければならぬと考えておるので、あらためてこの点はお尋ねしてみたいと思います。本日は、この問題に関する質問はこの程度にしておきます。
  244. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  245. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記を始めて。  約三十分休憩をいたします。    午後七時一分休憩    —————・—————    午後七時二十五分開会
  246. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから休憩前に引き続いて委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。ただいま委員青木一男君が辞任され、その補欠として紅露みつ君が委員に選任せられました。   —————————————
  247. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、入場税法の一部を改正する法律案について御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。入場税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  250. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続き等につきましては、前例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  252. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、塩業整備臨時措置法案について、別に御発言ございませんか。
  253. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 休憩前に私は質疑をいたしまして、許可取り消しの件を中心にして、残る疑念を後日関係専門家にただしたいという発言をしておりましたが、諸般の事情、これが法案の採決を急いでおられるようでありますから、疑念は疑念としては残りますけれども、私の質疑は終っておきます。
  254. 加藤正人

    委員長加藤正人君) その他別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  256. 平林剛

    平林剛君 私は、塩業整備臨時措置法案に対しまして、社会党を代表して反対の意思を明らかにいたしたいと存じます。  私どもがこの法律案反対する理由を簡単に申し上げます。  今回の塩業整備、これは日本の将来の塩業そのものを考えて計画的に行われるというものではなくて、今日まで政府並びに専売公社において塩業政策を進める上における失敗を機会に法律案が提出をされてきているのであります。なぜ今回塩業整備を行わなければならなかったか、この原因につきましては種々議論をいたしました結果、第一の原因は、流下式に転換をしたときにその塩生産量の見込みを違えてしまった、これが一つの原因となっていることは専売公社の総裁も認めたところであります。もう一つは、業者にも多少責任の一半はあると思いますけれども、塩価の切り下げを行うという必要上から、流下式の転換をはかる場合におきましても、その後も無計画に転換促進が行われまして、結果的に今回のような大幅な塩田整理を行わざるを得なくなったということにあるのであります。第三には、私ども特に重視している点でありまして、塩の生産量がだんだん多くなってきて、将来余剰塩が出るという見込みが立ったときにおきましても、専売公社は新たに新規製塩の大量許可を行なっているのであります。このことが結果的に今回塩田を整理するのやむを得ざる事態に相なった理由と私どもは見ているのであります。衆議院大蔵委員会におきましても、政府並びに専売公社のこの責任については、付帯決議をもって、政府並びに専売公社に責任があったと認める、こういう決議をいたしておることをもっても明らかであります。  今日、この結果、従来塩業の育成のために巨額に上る国家資本の投入や増産対策のためのいろいろな努力が行われ、これに要した経費も莫大なものがあります。そこへ持ってきて、ただいまの理由により失政から、さらに八十数億円の国民負担が予算書に要求をされ、いわば、春秋の筆法をもってすると、政府並びに専売公社の失政が国民に多大の迷惑をかけ、財政上の負担をかけたと、こういうことに相なろうかと思うのであります。しかるに、法律案には、この責任の所在が明確でありませんし、また、これを取り行なっておる政府並びに——まあ政府においては、特に責任を感じておらない。先回の大蔵委員会における専売監理官の発言のごときは、それを端的に表わしておるのであります。あたかも専売公社だけの責任であるかのごとき提案理由の補足説明を行いまして、この理由についても、どこにあろうかとか、あるいはやむを得ざるものがあったのではないかというようなことを、政府みずからが説明をするということは、まことに責任を感じていない。私は、これらの措置が明確になっておらないまま塩業整備が進められるということは、きわめて国民に対しても申しわけない問題だと、そういう点から塩業整備の法律案に賛成し得ない一つ理由としておるのであります。  第二の理由としては、今回は塩田整理が行われますけれども、実際の執行の方法あるいは現在研究が進められております新しい製塩方式、イオン交換樹脂膜という新しい製塩方式によりますと、もしこれが工業化が可能であれば、近い将来、再び塩田の大整理を行わなければならないというようなことも考えられるのであります。私もこの点を心配いたしまして、将来、日本の塩業が一体どうなるか、明確な方針を示すべきではないかとただしたのでございますけれども、現在のところ、政府はこれに対して明確な方針を持っておらない。すなわち、明確な方針のないままに塩業整備が続けられるということは、この法律案の大きな欠陥であります。これから整理を免かれて残存する企業におきましても、将来の見通しのないまま仕事を続けていかなければならない不安定な要素を持っておるのでございまして、将来の日本塩業に対する計画、基本的な方針というものを明確にしないまま法律案を成立させるということは、何としても賛成ができがたい点であります。  社会党としては、今日まで塩業対策特別委員会におきまして、これらの問題を十分検討いたしまして、ただ一つだけ政府に譲歩せしめ得ましたことは、今回の塩業整備で職を失い、生活の動揺する諸君に対して、若干ではありますけれども、補償の措置を増額せしめまして、幾分なりとも政府の失政によって困る国民、特に塩業労働者に対しての対策を講じたのでありますけれども、これをもって法律案賛成というわけには参りかねるのであります。  以上の理由をもちまして、私ども塩業整備臨時措置法案に対して反対をする、賛成はできがたいということを申し上げたいと思います。
  257. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。塩業整備臨時措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、前例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後七時三十六分散会