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1959-03-27 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)    午後二時八分開会   —————————————   委員異動 本日委員江藤智君、小山邦太郎君、青 木一男君、廣瀬久忠君、梶原茂嘉君、 木内四郎君及び安部キミ子君辞任につ き、その補欠として松野孝一君、重政 庸徳君、井上清一君、森田義衞君、白 井勇君、上原正吉君及び戸叶武君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            井上 清一君            上原 正吉君            木暮武太夫君            迫水 久常君            白井  勇君            西川甚五郎君            松野 孝一君            宮澤 喜一君            森田 義衞君            小酒井義男君            椿  繁夫君            杉山 昌作君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    日本専売公社監    理官      村上孝太郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    大蔵省主税局税    制第一課長   塩崎  潤君    大蔵省主税局税    制第二課長   吉国 二郎君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君    日本専売公社塩    脳部長     小林  章君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○参考人出席要求に関する件 ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方道路税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○入場税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○塩業整備臨時措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○酒税の保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣送付、衆議院送付)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動について御報告いたします。本日付をもって委員江藤智君、青木一男君、廣瀬久忠君、梶原茂嘉君、木内四郎君が辞任されましてその補欠として松野孝一君、井上清一君、森田義衞君、白井勇君、上原正吉君が委員に選任せられました。
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) まず、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  揮発油税法の一部を改正する法律案について、三月三十日、運輸、建設両委員会連合審査会開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  なお、連合審査会は定刻に開会し、午前中にこれを終了し、午後は本委員会開会いたしたいと存じますが、そのように運営を行うことについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。   —————————————
  6. 加藤正人

    委員長加藤正人君) この際、重ねてお諮りいたします。  本法案については、慎重に審議を行う必要がありますので、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  なお、こちらで人選の結果、社団法人日本自動車会議所税制委員小野盛次君、大和自動車交通株式会社社長新倉文郎君、全国旅客自動車労働組合連合会中央執行委員長伊坪福雄君ということになりましたのですが、これで御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。手続等委員長に御一任願います。   —————————————
  9. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これより、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案外七件の税法関係法律案一括議題といたします。  御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  10. 平林剛

    平林剛君 まず最初に、私は租税特別措置法についてお尋ねをいたしたいと思います。きのうの委員会租税特別措置による減収額試算資料の御説明がございましてなお、租税特別措置による国家減収額は九百九十億円に達するという御説明があったのであります。租税特別措置は大へん国民から批判を受けておる法律案でありましてしかも、その数が大へん巨大であるということは、私どもとしても重要視しておるわけであります。  そこで、この九百九十億円ですが、これは同時に、県民税や、市町村その他の地方団体にいろいろなはね返りがあるわけです。私は、今までただ九百九十億ということだけでございましたけれども地方全般にはね返った場合の減収額というのは幾らくらいになるのか。きのういただいた資料の中にそれについての説明があるようでありますが、ちょっと私、表を見ただけで読みとれませんから、これを説明していただきたいと思います。
  11. 原純夫

    政府委員原純夫君) 昨日御説明しましたものに「租税特別措置による減収額調」というのを差し上げてございます。地方税の方にそれがどういう影響を持つかというお尋ねだと思います。ただいま逐一、出しましたものに合う計算をやらしておるのでありますけれども、まだできていないのであります。今までのちょっと一年くらい前の数字では、地方が、国の特別措置による反射的な減収と、それから地方独自の免税あるいは減税ということによる減収と合せまして、これは三十三年度だったと思いますが、三百七十五億という数字を私は持っております。そのうち国の措置によるのは、私今メモを確かめますが、一応私の記憶では、約三分の一がこの国の措置に伴う減収である、約百八十一億がそういうものであるというふうに記憶しております。総体が三百七十五億ですから、約半分が国の措置に伴う減収であります。
  12. 平林剛

    平林剛君 大体わかりました。租税特別措置法は、単に国の減収だけでなく、地方の税にもただいまお話しのような減収があるわけです。  もう一つ、私いつも主張しているのでありますが関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、これによりますと、関税暫定的減免税が行われるわけでありますが、これは一種の、私に言わせると、関税特別措置法であると。これによる国家減収額総体幾らになります。
  13. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいま、三十四年度の見込みは、大体三百四十四億くらいになっております。
  14. 平林剛

    平林剛君 ただいまお聞きのように、租税特別措置法による減収額は、単に九百九十億円だけでないのです。地方はね返りをする分が二百億近いし、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、これによってもなお三十四年度は三百四十四億円ある。私は、こういう特別措置というものは、租税負担の公平を犠牲にするということだけでなくて、一度これを定めると、とかく長期化し既得権になるという傾向、それから今日では資本蓄積偏向に陥っておるという見解を持っておるのであります。先般、予算委員会におきましても、私はこの点を指摘をいたしましたが、民間資本蓄積力というものは、今日までの政府の手厚い財政措置補助金、あるいはこの租税特別措置というようないろいろな恩典を受けまして、今日では、たとえば設備投資も、昭和二十五年の三千八百九十九億円に比較をいたしますと、昭和三十三年は一兆六千七百億をこえると。五倍以上に資本の力というものがふえているのであります。それから預金も、全国銀行預金残高昭和二十五年当時と今日と比較いたしますと、昭和二十五年は一兆四百八十五億円の全国銀行預金残高が、今日では六兆五千億円をこえる。これまた六倍以上の蓄積力と相なっておるのであります。民間産業における株式払込金、これも昭和二十五年は四百十八億円でありましたのが、昭和三十三年になりますと三千億円をこえる。これまた七倍以上。ところが、これに反して国民所得の方は、昭和二十五年に一人当りの国民所得が四万六百五十九円でありましたのに、今日では九万二千二百二十円でありますから、この方はわずか二倍ですね。二倍をこえた程度である。だから、政府が今日まで力を入れている資本蓄積というのは、国民生活水準にはね返るということになっていない。しかも、今日の国民所得の九万二千二百二十円は平均でありまして、御承知のように、国民の各層によっては貧富の差が増大をしておるわけでありますから、この意味では、私はあまりにも租税特別措置というものも資本蓄積偏向に輪をかけておるような役割しか果していないのじゃないか、そう思うのであります。  今回の法律案は、初年度わずかに五十四億七千三百万円だけ整理したにすぎないのでありまして、私はどうもまだ整理が足りない。政府の方も、引き続きこの租税特別措置整理を行うと、しばしば述べておるのでありますけれども、実際のところ実行としてはどうしてもしぼられてしまうわけです。私は、今度この法律案はわずかにとどまっておりますけれども明年度も引き続きこの努力はしなければいかぬ。政務次官もこの点については同感だろうと思います。そこで、もしかりにこれを引き続き整理していくといたしますならば、一体どこに重点を置くか、こういう考えがなけりゃいかぬ。租税特別措置の中でも、私は、今回の法律案期限がついたものはこれは別だ。しかし、そうでないものについては、やはり次の機会には整理をする法律案をぜひ出してもらわなければいかぬ。それで、政府として、今回これらの問題についてどういう考えを持っておるか、どういうところに重点を置いて、しばしば答弁しておることに対して首尾一貫した態度をとるか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
  15. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 元来、租税特別措置と申しますものは、特定の目的政策目的をもって作られた減免措置でございますことは、申し上げるまでもございません。従いまして、この措置につきましてはいろいろ検討すべき問題があると存じます。従いまして、大蔵省といたしましては、常に政策効果をいろいろ検討いたしまして、効果簿いものは取り除き、そうしてすみやかにその改廃を行いまして、また、経済状態をすみやかに正常化しまして、順次縮小すべき性質のものがいろいろありますので、これは縮小するという方向でいきたいと、かように考えておる次第でございます。従いまして、今仰せのように、今後といたしましても、政策効果とにらみ合せまして、整理合理化して、税負担の公平とか、また税制簡素化とか、こういうふうな点にねらいをつけまして、仰せのように、今後引き続きまして検討を加えまして、措置を講じたい、かように基本的に考えております。具体的な問題につきましては、政府委員の方から、常に研究をいたしておりますので、その方から答弁いたさせますが、大体の基本的な態度といたしましては、平林委員仰せ通り態度で、私ども今後検討を引き続き続けていきたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 特別措置整理合理化につきましての一般的な考え方は、ただいま政務次官の申し述べられた通りであります。今回におきましても、期限のないものにつきまして、たとえば、外国技術の導入についての支払い、ロイアリティの税率を、二〇%の税率を一〇%にしておる、これも期限がございませんでしたが、最近の経済情勢、あるいは租税協定の締結上、新しい事態に応じまして、期限をつけるものはつけ、あるいは整理をすべきものは整理をするという態度をとっております。今後どういうふうなものにつきましてどの程度整理をするかという問題でございますが、私どもは根本的には平林委員のおっしゃるような考え方をいたしております。しかしながら、その具体的な方向といたしましては、できる限り経済情勢、あるいは租税特別措置経済効果、それを十分見きわめまして、根本的な方向のもとに一つ整理合理化考えて参りたい、かように思っておる次第でございます。
  17. 平林剛

    平林剛君 さしあたり、現在の法律期限のないものが明年度あたり、かりに政府国民批判にこたえて租税特別措置改廃提出するとすれば、そこに重点が向けられるということに相なろうかと思います。そこで、私は一つ二つこの中で、今回は特に気に入らないものをあげておきまして、政府の善処を求めたい。  一つは、重要物産所得免税であります。今回、政府の方から提出をされた資料によりますと、この重要物産所得免税は、金額にいたしまして約四十五億円あるわけであります。ところが、根拠法律である所得税法の第二十条、法人税法の第六条をながめてみますと、元来これらの免税所得を受ける産業は、開業の年及びその翌年から三ヵ年間、特に所得免税措置という恩典を与えるということになっておる。ところが、毎年々々見ても、この重要物産所得免税というのが、少しずつ減ってはおるけれども、何か減り方が少い。だから、これは当時、昔は重要物産ということにされても、三年たてばなくなってしまってもいいようなものだ。政府命令をしなければ重要物産指定をされないわけですから、もし政府に、租税特別措置を漸次整理、理屈に合わないものはこういう措置をはずすというような決意と、ほんとうにそういう気持があれば、激減していくはずなんです。どうもこれが減っていない。私は、そこにちょっと疑問を感ずるのであります。政府は一体どういうふうに、この重要物産免税減収額がどういうふうに移っておるか、あるいは新たに今年でもいいや、去年でもいいや、重要物産として指定をしたようなものがあるのか、その種類は一体何かということを、この機会に聞いておきたい。
  18. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 法人税法第六条、所得税法第二十条の重要物産免税制度につきましての御質問でございますが、この制度は非常に運用上むずかしい場合がございまして、税制上種種の問題があることは御存じの通りでございます。この制度大正二年に設けられました制度で、非常に古い沿革を持っておりますし、これは産業政策税制との大きな調和の一つとして設けられたものだと思います。しかしながら、大正二年から設けられましたが、ずっと経過をたどりまして私ども見て参りまして、種々の疑問を持ちまして、三十二年度の特別措置整理合理化の際には、これは根本的に私ども整理合理化したつもりでございます。  その前の制度を若干御説明申し上げますれば、御承知のように、その所得につきましては、何らの制限のない免税である。しかも、重要物産というものはどういうものであるかということは、規定もなかった、こんな状況でございます。三十二年度にこの整理合理化の大きな方向のもとに、この措置につきまして、大体減収額といたしまして半分近く切ったと思いますが、その減収額、これによりますところのかえって増収額と申しますか、その数字につきましては、あと資料提出したいと思いますが、そのときに新しく条件をつけまして、この条件も非常に法文上抽象的ではありまするけれども国民経済上重要な新規産業であって、収支採算が不安定であるものということに限定したわけでございます。従前の制度では、単純に重要であれば、たとえば鉄鋼でも石炭でも指定したわけでございますが、今回の三十二年度以降は新規産業に限ります。しかも、国民経済上重要で採算もきわめて不安定だ、こういう条件をつけましたわけでございます。しかしながら、そういう条件でもなかなか運用がむずかしい。従いまして、ある企業のように免税額がきわめて多額に上るというような結果も出て参ります。  そこで、私どもとしまして、もう少しまた制限を加えたわけでございます。一つは、指定期間制度を設けましてこういう新規産業でも、一定期限後に製造に着手し開業するものにつきましては、免税の特典はいかぬということにいたしまして、一たん指定いたしましたものにつきましては自動的に落ちてくる、こういう措置をとりました。もう一点は、免税所得額多額に上らないように、一定限度を置いたのでございます。その限度は、その重要物産製造に投下いたしましたところの減価償却資産の四割、これでもって頭打ちしたわけでございます。これによりまして、過去において見られましたところの頭打ちのないような免税額というのはなくなった、こういうところでございます。  従いまして、平林委員のおっしゃるように、これによりますところの減収額が徐々に減ってきておるわけでございますが、まだなお過去におきましての累積的な免税が残っておりますので、その点十分整理し切れない部面もございますので、こんなふうになっております。  なお、どういうふうな産業指定になっておるかという御質問でございます。私ども主務官庁と、先ほど申し上げましたような基準のもとに、どういう業種指定いたしますかにつきまして、慎重に常に検討いたしております。そこで、去年指定いたしました業種といたしましては、テトロン、それからテレフタール酸、高純度シリコン、それから石油化学の一部、こういったような業種法人税法施行規則の第二条、これは所得税も同様の規定がございますが、こういう指定いたしました業種につきまして、一定期限とともに指定されております。私ども指定基準に当りまして、まず国民経済上重要なものであるかどうか、新規産業であるかどうか、その収支採算が不安定であるか、初めからこれが必ずしも採算不安定じゃなくて相当な利益があがることが明瞭な場合、これは排除する。しかも、テトロン規定にもございます通り一定限度、たとえば二十トンまででとどめる、こんなふうな考え方を入れまして、産業政策租税負担との公平の両方の要請をできる限り調和する、こんなような態度をとっておる次第でございます。
  19. 平林剛

    平林剛君 これは、私は租税特別措置整理する方の鬼で、とにかく政府整理するまでは、毎議会において一つずつ取り上げて指摘をしていこうという腹でいるわけです。まだ三年ばかり在籍があるから、その間に何億か整理させてしまってからでなければ議員はやめない、こういうつもりで私はがんばっているのです。特に、今度はやり玉に上げようと思っているのは、重要物産、これを一番まず目当てにしてハッパをかけようと思っておるわけなんです。  そこで、今お話の中に、資料を積極的に出してくれるというので、まことにあなたの態度もよろしい。資料を、この問題について私は今回間に合わないにしても、いただきたい。まあ最近この重要物産として指定したもの、三十三年、三十二年、三十一年、それぞれ年度別追加指定をされていった品目がわかるような資料と、それから今日まで重要物産として指定をされておるところの品目はわかっていますけれども、それを扱っている法人ですね、会社。まあ大物でいいです。大物でいいですから、大物をあげて、しかも、大体もうかっている会社もあるのですよ、かなり。利益をあげている会社に、なおその免税措置をやるなんという不合理はないのだから、その会社欠損がある場合は別だけれども、そうでないようなところがあるかどうか、あればどんな工合になっているかということがわかるようなものを出してもらいたい。私はほかのまた別な質問がありますから、あとで気がついたら……。とにかく重要物産免税というやつを退治するために必要な資料を、あなたの方で作ってもらいたいのですよ。これはお願いしておきます。  そこで、次の質問ですけれども重要物産というのは、一体何を根拠にして重要物産というのか。これはあなたじゃ、ちょっとかわいそうなくらいな問題でありますけれども、この点は実に不明確ですね、今お話しのように。そこで、一体こういう判断をだれがしているのか、この命令を発するのは政府だけれども、結局だれがどこで重要物産として指名をしているのか、こういうことが私疑問なんです。今日まで重要物産として指名をした場所ですね、どういう会議できまるのか。これは場合によっては大へんなものですよ。国民の知らないうちに、重要物産指名さえされれば、もう何億という金がその会社に、不当利得とまでいかなくとも、手厚い補助金的な保護が加えられることになるのですから……。私は、だれがどこでどういう仕組みによってきめられているかということを、この委員会の答弁を通じて国民の前に明らかにしてもらいたい、これをお願いいたします。
  20. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ただいま平林委員の御要求資料につきましては、できる限り取りそろえまして、提出したいと思います。  なお、重要物産免税指定につきまして、主税局の私どもが申しておりますように、そういう心がまえがあるならば、命令一本あるいは決意一本で指定はできないのではないかというような御質問でございますが、制度として三十二年合理化されて後でき上っております関係上、どうしても一つ制度として運用して指定することが至当であろう、これが法律の趣旨であろうというふうなことから指定しておりまして、減収額が生じているわけでございますが、お説の通り問題点はずいぶんございます。  なお、利益のあるものについて免税すること自体おかしいということの御質問がございましたが、この点も、私ども過度利益につきまして免税すること自体は問題かと思いますが、この重要物産免税制度自体一つ税制制度に乗っかりまして、利益をあげるならば免税するという、一つのボーナスと申しますか、補助金ではできないところのインセンチブを持った制度だろうと思います。過度利益につきまして大きな免税利益を与えることは、私どもはできるだけ排除したい。今後、制度につきましても検討すべき点はあるかと思いますが、欠損の場合には、どうもこの制度自体効果もございませんので、今申し上げましたように、スタートの判断におきまして、過度利益をあげるかどうか、あるいはその欠損がどの程度の期間続くか、こんなところを慎重に判断いたしまして、指定をいたしておるわけでございます。  そこで、その次の問題の、この重要物産に該当するとだれが判断するかという問題でございます。この制度は、先ほど申し上げましたように、大正二年からでき上っておる制度でございまして、大正二年からこの制度の内容を見て参りますと、その運用自体政令にゆだねられておりまして、主務官庁大蔵省との協議のもとに政令でもってきめておるわけでございます。その際の判断といたしまして、今までたくさんの品目指定されておりますので、その間の指定につきましては、過去の産業とのバランスあるいは今後の産業見通し等につきまして、十分主務官庁協議いたしまして、閣議の段階で政令といたしまして最終決定する。これは本来法律であげるべきではないかという御疑問もあるかとも思いまするけれども制度自体、相当弾力的に運用しなければならない面があって、従来から私は政令でもって運用されてきたのではないか。その間の指定につきましては、私ども、ただいま申し上げましたような法律上の、国民経済上の重要性新規産業採算不安、この三つの基準のもとに、主務官庁と十分な協議をととのえて慎重に判断して決定しておる次第でございます。
  21. 平林剛

    平林剛君 私は、この重要物産とは何か、あるいは国家としてこれを定める場合に、現在のように主務官庁大蔵省だけで話し合っているのではいかぬと思う。やはり国民全般の審議検討等も、それから批判の上に立って、重要物産指名をするようにしなければならない。それがほんとうに重要物産であれば、国民も喜んで特別の措置を講ずるということに同意するかもしれない。だから、現在のように、主務官庁大蔵省の中でそれをきめているということは、きわめてまずいことだと思う。この結果、国民批判の目が届かない裏の方できまってしまう。法律に現われてこない、そうして批判あるいは検討する機会というものにも恵まれないということに相なるので、もし来年引き続き——ほんとうは今度これを改正せよと私は言いたいのですけれども、次の機会に出してくる、なおそれでも整理しないというならば、私は法律をもって重要物産指定するところの法律案を出して、そうして国民に、これとこれとこれは重要物産だから税の恩典を与えるべきだと、正々堂々と表玄関からやってきてもらいたい。それで、裏口でこっそり重要物産指定してしまってやることはいかぬ。表玄関から来年は来てもらいたいということを要求する。政務次官、そういう決意ございますか。
  22. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 平林委員からなかなか深刻にして執念深い質問がありまして、恐縮いたします。深く検討を加えておりませんので、今直ちにどうこうと申し上げられませんが、なるほど、重要物産と銘打ちます以上は、その時代々々によって違いますから、あるいは国家経済の実情によっても違いますでしょう。大正二年以来の取扱いということに相なっていることを思いますと、なるほどきわめて貴重な御意見でございます。十分今後一つ、来年も引き続き、先ほど私が御答弁申し上げましたように、検討いたして参りたいと申し上げましたことに間違いはないわけでございますから、この点につきましては、よく主管省、また大蔵省内におきましても検討いたしまして、根本的な、また納得のいく政令あるいはその他の取扱いを研究いたしたい、かように考えます。
  23. 平林剛

    平林剛君 これはまあどなたも、表玄関から議論をすれば、産業として基礎が確立して相当の収益があるような会社に、その産業の増産にまで免税をやるなんということはきわめて不当な措置だということは、異論がないところだと思います。おまけに、新規産業といっても、外国技術製造を開始するようなところなどについても措置は必要ないという議論が、かつてありましたし、一時、石炭やあるいは銅、電気等が重要物産免税の対象にされており、鉄鋼や造船などはされていないのは一体どういうわけだ、こういう議論も出てくるわけなんです。私ちょっと記憶しておりませんけれども、かつてこの臨時税制調査会が昭和三十一年十二月に答申をされた中で、石炭とか銅、電気などは重要物産免税の対象から除外をすることが必要だと答申をしたのでありますが、これは一体今廃止になったのですか、この点をお聞きしておきます。
  24. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ただいま平林委員のおっしゃいますように、税制調査会の答申によりまして、この制度は、先ほど来申し上げますように、新規産業の助成措置というふうに変りました際、三十二年度に石炭は除外いたしまして、現在のところ、三十二年四月一日以後増設あるいは新しく採掘を始めたような場合には免税利益は全くなくなっております。ただ、三十二年三月三十一日までに着手いたしましたものにつきましては、経過的にその減税の利益は行くと、こういうことになっておりますが、新しい制度になりましてからは、もう完全に削除されております。
  25. 平林剛

    平林剛君 重要物産免税についてはこの程度にして、もう一つ私は目のかたきにしている租税特別措置があるのです。それは交際費。この交際費の免税措置も課税の特例としておるのはまことにけしからぬ話でありまして、今回は多少損金不算入の制度を改正されまして若干の是正を試みておりますけれども、私、これは非常に不十分だと思う。交際費というものは、これは接待費だとか機密費だとかいうようなもので、こういうものにたとえ多少でも恩典を与えるというのは、どうも割り切れない感じがするのです。  そこで、特に政務次官に、あなたにも考えてもらわなければならぬ点は、先般、私、委員会指摘をしましたように、民間の株式会社の配当金に対して、その交際費がほぼ匹敵するぐらいあるのですね。このために、待合やキャバレーあるいは東京の繁華街等においては、この交際費を使って社用族がはびこる。また、わが国の経済が不況であっても、キャバレーだけは一向に繁昌しておる。国民生活においても貧富の差が増大しておるにかかわらず、酔っぱらい天国で、いい気持になって飲んでいる。自分のふところを痛めて飲むなら、これはまだかんべんしてやるけれども、みんな会社の金あるいは官庁の金だ。これはみんな交際費という名目で出されておる。これに対して課税の特例を設けるなんというやり方は、今日の国民生活の上から見てけしからぬ話だ。やはりこれはもっと厳格な措置をとらなければいかぬ、こう考えておる。現在これによって国家が損しているのは一体どのくらいか。  それから、もう一つは、私の指摘に対して、政務次官、あなたは今後、これだけでは足りないと私は思うのだけれども、何かもっといいきめ手を考えていませんか。たとえば、もし課税特例をこの程度にしますならば、今日の一部にはびこつておるおかしな現象に対しては、政府としてどういうことを考え政務次官として私はこういうことを補佐して今やっているなんという……。抱負経綸があったら、この機会一つ聞かせてもらいたい。
  26. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) これは先般平林委員から御指摘がありまして、私もこの内容につきましておそまきながら調査をいたしてみました。抽象的に、私も、先般ここでお話が出まして、千四百幾らの配当金に対して八百億の交際費というので、非常に私も驚愕いたしたのでございますが、それは仰せのように、社用族で飲食その他必ずしも生産に関係のない方面に出入りするというふうなことに使われるということは、厳に慎しむべきことは申すまでもございません。私も会社におった例もありますが、巨額に達するものとは思わないし、私どももそういう使い方をしたこともございません。委員長加藤先生もびっくりなさったような状況でございまして、もし果してそういうふうな点があるとすれば、好ましからざる一部の人々にそういう点があるのじゃないかということを、まじめに痛感をいたした次第でございます。  しかし、よく調査いたしてみますと、ほんとうに今仰せのような供応とか接待というふうなもののうちの項目のものは、ほんとうは否認されておるのでございまして、これは、算入されておりますものはその率が政令で定められておる現状でございまして、この条文を読みましてその通りだとしますと、その八百億というものが必ずしも、今のような供応とか接待とか、そういうふうなおもしろからざる面にのみ使われておるということにもならないようでございます。しかし、この率等につきましても、なお検討を要する点があると存じますので、本来損金算入でありますのに、お説に従いまして制限して、増徴しておるというふうな点も御勘案願いまして、平林委員仰せのような好ましからざる方向にこういうものが使われ、そしてこれが一部の税金をのがれておるというふうなことのないように、十分注意をいたしていきたい、かように考えます。この点は、税徴収の方からと、一般の、何だか心がまえのようなことに相なって恐縮でございますけれども、そういうふうな点につきましては、十分意を用いていきたいと、かように考えます。
  27. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 塩崎税制第一課長にちょっと伺いますが、今の次官の御答弁の中に、交際費等という中で、必ずしも今のような社用族の使っているようないわゆる遊興費ばかりではないということになりますと、私は交際費という名前を何とか整理せにゃいかぬと思う。交際費というと、一般の通念からいって、まずそういう遊興に使われるものがみんなの頭にちょっと浮ぶのですね。しかし、製薬会社じゃないけれども、きのうの表なんか拝見すると、多いのは広告なども入っているのじゃないかという人がおる。広告というものはまた別に何らかの措置をされていると思いますが、そうしますと、いわゆる飲食、遊興というようなものが、普通社会通念よりいえば、交際費になる。ところが、内訳は違うのじゃないかという御説明があると、交際費という項目の中にすべて入れることに間違いがあるのじゃないか、誤解を生ずるもとになる。この点について。
  28. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) お答え申し上げます。なお平林委員の御質問にも関連いたしますので、一般的にこの交際費制限制度につきまして、若干敷衍さしていただきたいと思います。  私どもの、税法によりますと、まあ企業が支出したものが、本来外部に支出したものは損金というふうな建前をとっております。もっとも、その支出しましたものが、たとえば重役の私的な生活に関連している、その企業の収入をあげるのに必要でない場合には、これはもちろんその企業の必要経費とはならないことはもちろんでございますが、一般的に企業の経営に必要なために外部に支出したものにつきましては損金でございます。従いまして、昭和二十八年まではこの交際費等——交際費の定義につきましてはあとで申し上げたいと思いますが、一般的に損金に算入されておったわけであります。昭和二十九年に、一つ政策といたしまして、交際費の乱費をなるべく抑制して資本蓄積をはかりたいと、こういう御要請がありましたので、むしろ税制上の特別措置といたしまして、本来損金に算入すべきものを制限しようということで始まりましたのがこの制度でございます。従いまして、ただいま政務次官からもお話がございましたように、この制度自体、むしろ増収要因となっておりましても……。しかも臨時措置でございます。しかし、私どもはこの弊風がいいというわけではございません。外国に比べましてもこの交際費の額というのは少し多過ぎるという感じはいたします。  しかしながら、昭和二十九年度にこの制度を設けまして以降、この交際費が、毎年の支出状況を見て参りますと、かなりの改善した結果が見られるのではないかという感じがいたすわけでございます。  先般、御提出申し上げました平林委員の御要求資料にもございます通り、三十年には七百二十億でありましたものが、三十二年には八百億と。一方、配当金額の方は九百二十九億から千四百九十四億というふうにふえておりますし、それからまた、経済規模も相当伸びておるところから見ますと、かなりこの制度効果を発揮したのではないかと、かように思っておる次第でございます。  この制度につきましても種々の批判がございまして、ただいま委員長からございましたように、昨日私が御説明申し上げました資料に見られますように、業種ごとの制限程度はばらばらでございます。税金を払いながらこの交際費を支出すること自体、どういうふうに考えて参りますか、それはどうしても必要経費であるのか、あるいはまだ依然として乱費を続けているのか、そのあたり一つ判断が必要かと思いまするけれども、なお反省する余地があるであろう。こういう感じがいたしております。根本は、私どもは企業の方で自粛していただきますことが根本だと思いますが、過当競争でこういうことをしなければならぬというところに根本的な問題もあるかと思いまするけれども、まあ税制上の措置といたしましては、何といっても異例の措置でございますし、異例の措置だけに、その率のきめ方、あるいはこれから申し上げますところの交際費の定義につきましては、慎重に配慮いたしたいと思っておる次第でございます。  そこで、交際費という表現、きわめて適当ではないというお話が委員長からございまして、私どもも交際費という言葉で必ずしもいいと思いませんが、税制上、交際費等と申しておりましても、単純な交際費だけではございません。交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入れ先、その他事業に関係のあるもの等に対する接待、供応、慰安、贈答、その他これらに類する行為のために支出するものというふうに定義いたしておりまして、ただいま委員長のお話のございました広告費はこれから除くことにいたしております。従いまして、小売業者が消費者目当てに商品を提供するといったようなものは、私どもは交際費と見ておりませんし、また接待、贈答、慰安というのに若干関連いたしましても、少額のものにつきましては、社会通常のものと認められるようなものにつきましては、この制限からはずすような政令を設けまして、たとえば、カレンダー等の普通認められる贈答品、これらあたりははずしておるわけでございます。その他若干の規定はございますが、そういうふうに定義いたしまして、主として交際費の制限措置でひっかかっておりますところの対象の支出項目は接待、供応と、こういう飲食を伴うものを中心といたしまして見ておるわけでございます。しかし、飲食を伴いましても——伴っておるような慣習が若干業界にもあるようでございまして、昨日御説明申し上げましたところの業種の中には、どうしてもそういう接待行為、あるいはそういう慰安行為、供応といったものをしないと事業がうまく運営していかない、こういうような点もございます。  そこで、その是認される範囲はどの程度かというところが問題になるわけでございますが、この点につきましては、実績基準と取引基準との両方で、その妥当な範囲をきめておる。しかし、その妥当な範囲につきましては、常々慎重に検討しておるわけでございます。
  29. 平林剛

    平林剛君 私は、この課税の特例については政府の基本的な考え方が問題だと。政府の方が、少くとも今日の産業界を混乱させた一つの原因が過当競争ということにあるとすれば、これを押えるためには、この課税の特例などということについては真剣に考えるべきなんです。それを、一方じゃ、経済界の混乱期の過当競争は困る困ると言いながら、これは口だけだね。実際の実行力、効果のある問題については、何ら手を打っていないのですよ。そこに、私は政府の基本的な考え方を問題にする理由がある。  もう一つは、資本蓄積だ、資本蓄積だと、こう言うわね。そうしてさっき言ったように、私に言わせれば、資本蓄積偏向になっているけれども、その資本蓄積をやらせなければならぬというのに・一方は利潤が相当あっても、これは交際費で年間八百億円も、またそれをこえるようなものをどんどん認めさしておる。いかに民間企業は自由だからといったって、こういうことをやらしておいて、一方では国民の犠牲で蓄積をやるなんということは、心がけが悪いですよ、政府考え方が。そうして今日のような貧富の差が増大するときに、なおかつ今日の現状に対して手をこまねいている。社会党の内閣でもできれば、この点はぴりっとして、国民全般共同の苦楽を共にしてできるのだけれども、岸さんの政策というのは、この点はとてもぬかっているのですよ。だから、私どもは岸内閣に対して信任できない、こういう理由がここにも一つあるのです。  そこで、私は、これも一つ征伐しようとしている対象の一つにしておるんで、この間交際費の総額についてお尋ねしましたけれども、今お話によれば、交際費とか接待費とか機密費、あるいは得意先、仕入れ先その他の事業関係に対する接待、饗応、贈応、こういうものが入っているというのでありますから、これを一つ一体どんなふうになっているかということを調べてもらえませんか。この八百億円の内訳ですね。これは大へんむずかしいと思う。しかし、私はこんなことをなぜ言うかというと、これを損金に算入するかしないかという点は、税務署のさじかげんになっているのです。さじかげんによってはこれはどうにでも、少しはゆるくもすれば強くもできるのですよ。これは重大な問題ですよ。私は、税務行政の明朗化という上においても、税務署のさじかげんにおいて行うというようなことは、やっぱりその意味からいっても、国民が警戒すべき一つ問題点があると思う。だから、むずかしいかもしれないけれども、研究してこの資料を出してもらいたい。次回にはそれを中心にしていろいろあなた方と議論をして——こういうおかしなことを認めている間は何回でも論戦をする、こういうつもりでおりますから、この資料一つ提出を願いたい。
  30. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 平林委員の御意見、十分私どもも同感な点がございます。御要求資料でございますが、まず第一に、税務署のさじかげんでこの交際費が損金に算入されるかいなかがきまると、こういう点の御指摘がございました。私どもも、先ほど来申し上げます通り、交際費、饗応費、接待費等の限界が、問題になりますように、なかなかむずかしい点があることは認めます。しかしながら、この制度は、何と申しましても、企業の実績に基きまして運営しております関係上、大体私どもがサンプル調査——少い例ではございまするけれども、当りましたサンプル調査の結果では、大体企業の方の側の自己否認の格好で税金を納めていただくのが大部分でございます。税務署が知りまして、これを否認することによって益金に算入し、これによって三八%の法人税を適用した場合は、額といたしましては——例はございますが、額といたしましてはそうない、こういうことが言えるかと思います。その点、運用につきましては重々気をつけたいと思います。  なお、交際費等の区分と私が申し上げましたが、この交際費、接待費、機密費、その他の費用というものは、企業によって経理の仕方がばらばらでございます。ある企業これを接待費といい、ある企業はこれを交際費という。そういうような関係になっていることが一つの理由でございますし、また、私どもは相当こまかくこういう規定は作りましたけれども、実際の資料につきましての数字は持ち合せておりませんので、御要求のような、私が申し上げましたような区分に応ずるところの金額、これは率直に申し上げまして不可能に近いというふうに申し上げたいと思うので、この点はあしからず一つごかんべん願えれば……。交際費の額等につきまして、業種ごとにつきましては、昨日御説明申し上げましたような資料提出したわけでございますが、今申し上げました会社の経理項目に基くような資料はちょっと困難かと、こういうふうに思いますので、ごかんべん願いたい。おわび申し上げたいと思います。
  31. 平林剛

    平林剛君 私はこれは非常にむずかしい資料だと思いますけれども、そういうこまかい点についての分析研究がなされないというと、従来の実績主義ということだけでどうしても旧来の陋習を打ち破ることができないのですよ。だから、無理な注文だと思いますけれども、国税庁は大体の見当はつかないかしら。ほんとうはこういうことは政府が基本的に量見を入れかえて、そして命令を出せば、立ちどころに集まるですよ。一つこれに重点を置いて調べろ、この次に征伐する、こういうことにして命令を下せば、税務署もそのつもりで資料を収集するでしょう。そういう考え一つあっただけでも、ある程度の輪郭はつかめる。  僕がもう一つ考えておることは、単に総体のパーセントでもって制限をしていくというようなやり方よりも、さっき委員長からお話があったように、交際費の内訳ですね、内訳によって認めていいものとそうじゃないものとあるのだから、そういうことを今度はやる。一ぺんに廃止できなければ、その内容を区分していって、これは認める、これは認めないということをはっきりさせるというような、法律としてそういうふうにしてしぼっていくよりしょうがないのじゃないか、そういう考えがあるもので、苦労だけれども、その努力はしてもらいたい。
  32. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 私どもも、おっしゃる通り、この率をきめております限り、平林委員のおっしゃる通り、努力はしてみたいと思います。一万一千五百二十四という対象法人がございますので、非常にむずかしいことでございますが、事宜に応じました適正な率をきめる上におきまして必要かと思いますので、今後できる限りの努力を——ただ、資料といたしまして早急に出すということ、あるいはまた、この努力の結果完全に分類ができるという自信もございませんけれども、努力は続けて参りたいと、かように思います。
  33. 平林剛

    平林剛君 きのう提出した資料で、医薬品業、工業、あるいは卸売小売業、銀行及び信託業、いろいろサンプル調査やったらいいと思うのですよ。大きなところでいいですから。サンプル調査をやって、大体の傾向を調べる。これは私はすぐ出せなんて言いませんよ。まだ三年あるのだから、私も。とにかく来年の議会、この次の議会までに大体見当をつければいい。そのとき大いにやる、こういうつもりですから、時間は与えますから、一つそれをまとめてもらいたい。大体の傾向を知って、そして政府もこの際決断を下すように希望する。  租税特別措置法、まだほかにも退治しなければならぬのがあるのですが、他の議員も質問があると思うから、きょうはこの程度にとどめておきます。他の問題がまだあるのですよ。二つだけに重点を置いて、これで整理するというのじゃないのですよ。まだあるけれども、二つだけにして、またあしたでも、あさってでも……。
  34. 加藤正人

    委員長加藤正人君) その中の価格変動準備金、これを見てみますと、所得が減少した場合にはそれにスライドして少なくなる、今度の改正案ではそういうふうになっておりますね。所得の減少にスライドして繰り入れの変動準備金も減らしていくという考え方ですね、それはどういう観点から出発しているのですか。
  35. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 現在、税法上の準備金制度が数多くございます。たとえば、貸し倒れ準備金、あるいはまた退職給与引当金等でございます。価格変動準備金もその一つでございます。御承知通りに、準備金というものは、何らかの事由をもって将来のものに、現在の所得に調子を合させまして引き当てる性格があることは御存じの通りでございます。貸し倒れ準備金を例にとりますと、売掛金あるいは貸付金がございまして、これを評価するわけでございます。過去の経験によりまして、この売掛金あるいは貸付金は不良貸しである、本来ならばここで落すべきであるけれども、現在落すにはまだまだそれだけの確実性も少い。もっと経験数を持ちまして、それを引き当てるというわけでございます。そういたしまして、その貸し倒れ準備金が、事態が現実に生じたときに、引き当てておりました準備金をくずしてこれに当てる、こういうようなのが準備金の性格でございまして、これは単純な利益の留保と違うことは御承知通りでございます。退職給与引当金を引き当てるといたしましても、現在の従業員が将来やめたならば退職金がどのくらい要るか、その退職給与を現在のコストに織り込むというのがその目的だと思います。一つの費用性あるいは負債性と申しますか、あるいは他の一つの性格として評価勘定、そういう性格のものであろうと思います。ところが、ただ一つ、価格変動準備金は、どうもその準備金の性格が非常にあいまいであることは御承知通りであります。  もう一つ、準備金の性格といたしまして、偶発性損失準備金というものがございます。将来偶発的に起るであろう損失、そういうものに備えるために現在の利益から引き当てる、こういう制度がございますが、これは税制上本来取り入れるべきではない制度だと私は考えております。将来の偶発等によって損をした場合には、その損の生じたときの損失であろう。従いましてそういう損が生じたときに、あるいは欠損の繰越金、あるいは前期の所得に対しまして納めた税金から還付するというのが、税制本来の趣旨だろうと思います。しかしながら、現在の価格変動準備金は偶発性損失準備金の性格を持って設けられておりますが、これは経済の底が浅い、日本みたいに国際価格の影響を受けるところは、こういう制度一つの理由があるであろうということで、一つ措置といたしまして昭和二十九年から設けられたわけであります。  貸し倒れ準備金、あるいは価格変動準備金は法人税の施行規則の方に入っておりまして、特別準備金といいながら、若干制度が違うものと考えておりますが、そういう価格変動準備金は、今申し上げました若干経済的な性格を持ち、しかも過去の沿革的な意味を持っております。昭和二十五年シャウプ勧告によりまして、たなおろし資産の評価方式によりまして合理化されたときに、この制度自体批判されたわけでございます。当時の扱いといたしまして、たなおろし資産につきましては一〇%。固定資産につきましては五%という評価減の制度がございました。こういう制度批判されまして、これはおかしいというので、昭和二十五年に廃止されたわけでありますが、昭和二十七年に時価ベースの価格変動基準金ができまして、朝鮮動乱のあとにそういう沿革的な意味を持つものを復活しろというような、朝鮮動乱後のたなおろし資産の暴落のときに、金融の一つの緩和措置として設けられたわけでございます。そのときには、昭和二十七年の制度は簿価ベースでなくて時価ベースでございます。そうなりますと、時価ベースでは、もうかったときに積み立てができない、損して価格が下り始めて積み立てができる、こういう制度であったわけであります。これはどうも価格変動準備金の、将来下るようなときに備えて積み立てるという準備金の性格からならばわかるけれども、本来要求いたしましたようなところの価格変動準備金とは違う。価格変動準備金は、いわゆる利益があがるときに積み立てて、利益が下るときにくずす、こういうことを要望し、簿価ベースであるべきであるということの要求がございまして、昭和二十五年の税制調査会で慎重に論議されましたが、昭和二十九年に出した簿価ベースの簿価からも一割引き下げるという制度が設けられたわけであります。  ところが、そういう制度を設けられましたことからわかりますように、本来ならば、値段が上るようなとき、利益があがるときに積み立てる。しかしながら、値段が下り、あるいは利益が下るときにはくずす。こういうことは企業の収益の安定に寄与するということがねらいであったわけであります。そういうことが、同時に、政府の財政収入の安定にもなるということで加えたわけでございます。そこで、私どももそういうことを期待いたしまして、二十九年に設けられましたところが、その後の運用状況を見ますと、加藤委員長御存じかもしれませんが、実際いいますと、準備金の取りくずしの方法につきまして何らかの手当を、どういう場合にくずしたらいいのかという規定が全くなかったわけであります。そういう関係で、ある企業はもうけたときにぐっと積み立てる、しかし損したときは、よほど損すれば別でございますが、ちょっと損したときに、配当するためには過去の配当準備金をくずしていくけれども、依然として価格変動準備金は、引き当てるということによりまして、企業の恣意によって、価格変動準備金の取りくずしができない。あるいはそれができましても、各企業間がアンバランスである。こういう結果によりまして、昭和三十一年の税制調査会におきましては、これはおかしい、やはり何らかの制限措置を加えないと本来の目的であるところの企業の収益を安定すると同時に、うらはらである財政収支の安定の基礎と相反するのではないかということで批判されたわけであります。  そこで、価格変動準備金の取りくずしの方法といたしまして、商品の値段が上るときに積み立てて、下るときにくずすというのが最もいいのではないか、こういう主張がございましたが、その具体的な方法をずいぶん検討はしたのですが、結論としては、商品の値段をつかまえることが非常にむずかしいのでございます。昭和三十二年には、その不合理をなくす意味におきまして二割の削減をして、一〇%を八%に、五%を四%にしたわけでございますが、それともう一つは、赤字になったら積み立てなくてもいいという制限を加えておるのでございます。ところが、それによってもなお赤字だ。というのは、少し二階から目薬と申しますか、まだ完全な取りくずしの措置になりませんので、その後のやはり状況を見ますと、よほど配当ができないような場合には取りくずす結果が見られましたけれども、それでは非常に趣旨が違うというわけで、私ども十分検討いたしました。その程度で、客観的ないい取りくずしの条件があるならばそれはやるべきであるという税制懇談会の御意見もございまして、私どもは種々検討したわけでございますが、そのときの答申では、御存じのように、今加藤委員長の申されましたように、本来の価格変動準備金のねらいでありますように、この制度利益のあがるときに積ますところを認めるならば、下るときにくずす、そういたしますと、今期、前期の所得に対しまして何割か減る。そういたしますと、その減った限度を繰り入れ限度額から削減するならば、その趣旨は達成されるのではないか、こういうふうにいたしたわけでございます。  非常に聞えは、不況のときにくずすというような感じがございますけれども、価格変動準備金のねらいは、利益のあったときに積み立てさすけれども、下ったときに吐き出すという趣旨にあったものと考えております。ドイツの制度なんかを例に取りますのは恐縮でございますが、そういうような趣旨で設けたものはそういう事情のあったときにくずすということになっておりますので、今度の制限措置がその趣旨にかなったものだとわれわれは考えております。商品の価格を取るというのは最も理想的でございますけれども、税務行政上困難でございます。また企業の側といたしましても、なかなかできない。そこで、価格下落の一つの象徴といたしまして、利益にリンクさせて取りくずしを考える。この取りくずしによって価格変動準備金は準備金みたいな性格をある程度持ったものではないか、かように思っておるわけでございます。
  36. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 今までの実例を見ると、利益のないときに配当準備金などによってそれをアジャストしていって、こういう方面の準備金はあまり使わぬ。本来の目的に沿わぬじゃないかというようなお話があるけれども、これは国際価格などの変動に対する準備金を主にねらっております。その意味からいうと、所得が減ったときにこれを減らすということはちょっと筋が違うのじゃないかと私は思うのですけれども、要するに、これは一方で輸出ドライブ、輸出ドライブといっておる場合におきましては、特に外国から原材料を輸入するような企業に対しては、どうしてもこれは必要なものである。所得が減ったからどうこうというのじゃなくて、外国の原料の起伏によってむしろ動くことで、所得の増減ということには別段僕は関与せぬ方がいいのじゃないかと、こう思うのです。本来の考え方はそこなんですね。まあ審議会に相談されたか知らぬけれども、審議会の中でも、これを盛んに主張しておる人と、案外企業の内容について暗いような人たちは、どういうつもりか、むやみにこれを整理しようとかかっておる。また、聞くところによると、大蔵省の中でもこれを目のかたきにして廃止しようというような考え方を持っておる者があるということ、(平林剛君「ここにもいますよ。」と述ぶ)あんたの言うのとちょっと違う。安心して下さい。要するに、輸出ドライブは国の方針でやる以上は、こういう海外の原料に依存している企業の立場からいうと、所得が減ったからこれにスライドするというのはちょっと見当違いじゃないかと私は思うのです。
  37. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 価格変動準備金という名が示しておりますように、本来まあ価格が上ったならば積み立て、下ったならばくずすというのが私は理想だと思います。ところが、先ほど申し上げましたように、単純に、価格が上ろうが下ろうが、取得価額の簿価で、取得価額と一致すると思いますが、一割削減するということ、このこと自体その積み立ての最初から現在の制度は問題でございますが、こういう制度を認めましたこと自体、私が先ほど来るる申し上げましたように、非常に簡単ないわゆる評価減制度によってこれを救済するということから始まったので、その趣旨に合うように今度改正しようとするものでございます。先生のおっしゃる通り一つ制度を変えまして、輸出品につきましては、価格が上ったときに積み立てるというふうなこと、そのかわりに、下ったならばくずすということが理想でございましょう。しかしながら、先ほど来申し上げますように、たとえば輸出品が値段が上ったが、どこで上ったか、あるいはまた、たとえば豪州で上ったときにも直ちにこれを積み立てるのか、あるいは日本に着いたときに上ったならば積み立てるのか、あるいはまた豪州で上り、日本でいずれかにして積み立てるにいたしましても、半製品をどういうふうにして評価して積み立てるのか、このあたりに非常にむずかしい点がございます。そんなような関係で、現在最も簡便な、価格変動に備える意味におきまして、こういう制度が簡便法としてでき上っておるのでございまして、そんなような関係で、取りくずしの方も若干、その点は先生のおっしゃるような趣旨に沿わぬかもしれませんけれども所得の減少ということ自体、大体価格が下落したときに生ずると、まあ外形的に推定することも、私は間違いではないのでないかと思います。従って、そういう趣旨で減少したときにこれを取りくずしていただくということがいいのではないか。そういうことが同時に価格変動準備金の目的にそんなに反するものではないという気持でございます。
  38. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 所得が減ったときには材料が安くなるというふうに考えられることが、大きな間違いなんです。これはどういうふうにいっていいかわからぬから迷うというお話でございますが、これを主たる原料としてやっておる企業に対して御相談になればいいことなんです。ちっともそれに御相談にならぬで、審議会なんというしろうとの寄り合いのようなところに行って、筋違いの議論ばかりされてやられるものだから、実際に即した改良ができないのだろうと思います。  要するに、これは国際価格、原料価格の変動の激しいいわゆる原料を使っておるものを、輸出ドライブという観点から保護をしよう。これはもうけさせるという意味じゃない。輸出ドライブの企業であるから不測の損害を与えせしめないという観点から初めてできたものと私は思うのですから、そういう観点から今後ともこれを扱っていただきたいと私は思うのです。ただ、これを何だか、こういうものは整理するという前提に立って、輸出ドライブにつながっておる観念なんて全然揚棄してしまっているような論者が、大蔵省内にも一、二あるということを聞いたので、これは実におそろしいものだと思って、一応伺うわけなんです。
  39. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) この制度は輸出ドライブのためにあるとばかり、私はいえないのではないかと思います。輸出産業だけでなくて、中小企業を含めました全部の企業につきまして、そのたなおろし資産あるいは有価証券につきまして認められる一般的な制度だと私は思います。輸出の損失に備えるためには輸出損失準備金もございますし、輸出企業に対する優先ということにつきましては輸出所得控除の制度もございます。この制度は、先ほど申し上げましたように、一種の価格変動準備金として、主としてたなおろし資産でございますが、価格変動に備えるというためと、しかしながら、その積み立て方式からどうしても技術的にできないから、過去の評価減の制度と似たような制度を設けたわけでございまして、これは積み立ての方式が若干ラフでございますが、取りくずしの方法もその制度の趣旨にうまく合った制度で、これまた十分ではないかと。将来の損失に備えるために、あまりに留保を認めますこと自体、これは私は税制負担の公平をきわめて害すると思います。従いまして、私ども考えます程度一つ制限措置は最小限度していただくということが、まあ現在のところ一番妥当な方法ではないかと考えております。  単純に私はこの制度をやめるということではなくて、残しますならば、できる限り合理的に、税制上不公平のないように、企業の判断だけによって所得がきまるというようなことはできるだけ排除する、こういうような趣旨から整理合理化したわけでございます。そういう趣旨でございますので、非常にまあむずかしい制度ではございますが、この程度制限措置はしていただいて存続さすのが適当ではないかと、今のところは考えております。
  40. 加藤正人

    委員長加藤正人君) それは輸出工業ばかりではないと、私はあなたの説明を待つまでもなく思っているのです。ただ、その所得が減ったときにスライドするということが、私ははなはだ見当が違いはせぬかと思うから、一応申し上げたわけなんです。
  41. 平林剛

    平林剛君 今の問題ですね、私は、まあちょっと委員長と趣旨は違うようだけれども、価格変動準備金を目のかたきにしているわけです。これは漸次整理し、廃止すべき方向にいくべきだという見解を持っておるのですがね。前にこの価格変動準備金について検討したとき、ある会社では欠損を出してまでもこれを積み立てる。会社は赤字のくせに、けっこうこっちの恩典は利用して、価格変動準備金を積み立てる。そうしてこれは損金でございますなんといって無配当にしたり、あるいは税の方を少し軽くさせたりするようなことが批判をされていた。だから、価格変動準備金を積み立てた結果欠損になるなんというような会社には、こういう特例を認めない方がいいというふうに前に意見が一致してこれはもう実施されているのですね。
  42. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) ただいま平林委員指摘の点は、三十一年度の税制調査会におきまして、指摘された点でございます。そこで、三十二年度の改正におきまして、準備金を積み立てた結果赤字になることはいけない、従ってまあ黒字の限度だということにいたしております。その弊害はなくなったようでございます。  ところが、まだ、しかし、今回の改正の趣旨からおわかりのように、会社利益が——たとえば、ここに例を持っておりますが、十二億の会社で、その期は十六億ばかりの準備金を積み立てておる。ところが、これは会社の価格が下ったのかどうか、その辺は必ずしもはっきりいたしませんが、六億になっております。そこで、準備金はまあこの際ならば、当初の制度の趣旨からいいますと、準備金も本来減ってしかるべきだということになって、そこで初めて国庫財政は前期引き当てたのだから今期ふえてくるということにならなければならないわけですが、実例を見ますと、依然といたしまして、十六億ばかりの前期と同様な準備金を積み立てているというような事例もございまして、こんなような関係から見ますと、制度の趣旨が、利益のあったときには積み立てるけれども利益が減ったときには、前、政府から借りていたけれども、今回返すというような意味で吐き出していただくということが、現行法では十分ではないというふうに私ども考えましたので、若干、委員長のお説のように、価格変動準備金の本来の名の表わすところとは違っておりまするけれども、減少した所得に応じまして減らすような制限措置を講じた次第でございます。
  43. 小酒井義男

    小酒井義男君 二、三点ちょっとお尋ねしたいのだが、その前に政府に、ちょっと次官から、一つ所感を尋ねておきたいのですが、予算は年度内成立ということで、衆議院の方は相当早目に審議を終って、参議院の方に回ってくるわけですね。ところが、法律案について区切りのあるものが、まだ現在衆議院においてもたもたしておるというようなことに対して、政府はどういうふうにこれをお考えになっておるか、ちょっと承わりたい。
  44. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) この点は、まことに私どもも全く気をもんでおる点でございます。小酒井先生も私と一緒に議運をおやりになった経験がございますが、なかなかこの運営の面におきまして意にまかせないものがございまして、この点は全く与党といたしまして、ほんとうに恐縮いたしております。なお、予算の裏づけとなります法律案が、今仰せ通り、十件にも及ぶような状況でございまして、なお、この点に多少衆議院の方も、衆議院の法案審議の建前からおやりになっておることでございまして、実は督促をいたしておりますが、なお意見のあるものもないようでございまして、今日は二十七日でございまして、まことに恐縮をいたしておりますが、極力急ぎまして、そしてまた皆さんにも審議を、まだこちらに参りませんうちに予備審査もお願いをいたしましたりして、年度内に予算の裏づけとなる法律案は通していただくようにお願いをいたしており、念願をいたしておる次第でございます。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは答弁は私は聞こうとは思いませんが、やはり立法府と行政府関係で、国会の審議権をとやかく制限を加えるようなことは、行政府としてはやるべきではないということで、やはり衆議院もそういう建前でおいでになったと大体想像するので、まあ、そういう点は一つ、参議院の審議にもあまり制約を加えぬようにしていただきたいということを御忠告を申し上げます。  それから、ちょっと法案の二、三の点についてですが、所得税が減税になるので、満足ではありませんが、どちらにしても軽くなることにはなるのです。そこで、ちょっと私のふに落ちぬのは、相当扶養控除が大幅に引き上げられた結果、減税になるのが相当あると思う。ところが、予算書を見ますと、たとえば源泉所得の分だけをあげましても、税収はたしか七十億ぐらいですか、ふえておるのじゃございませんか、前年度と比較して。ちょっと、しろうと考えで、一ヵ月千五百円べースアップをするというようなところはまずないであろう、ほとんど現在の状態では。そうすると、年間それが一万八千円。家族一人あれば二万円の控除がふえれば、ベースアップをしたものは税がふえてくる、千五百円のベースアップをしても所得税がふえてくるというところまではいかぬのではないかというふうに私は考える。どういうところから、減税をしながら税収がふえてくるという数字が出てくるのか、それがちょっとわからぬので、御説明を願いたいと思います。
  46. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) お答え申し上げます。この点につきましては、衆議院の予算委員会におきまして、井手先生がずいぶん御質問されたところでございます。三十三年度の予算総額は二千四百四十八億二千六百万円、今度の改正法によるところの収入見込み額は二千七百十八億八千百万円ということになっておりますので、むしろ減税になっても収入がふえておる、これはどうかという御質問だろうと思います。  この原因は、あの三十三年度の予算額が果して三十三年度の事実でございますところの実績と申しますか、所得の実態に即した見積りになっておったかどうかという点が、まず反省されるべきだと思います。三十三年度の予算額自体、たとえば農業におきましては平年度で見る、それからまた配当、それから地代、家賃その他の資料につきましても、過去の実績から推定するというようなことで、この二千四百四十八億自体の見積りが若干低目ではなかったか、こういう点が第一でございます。従いまして、私どもが御提出申し上げておりますところの三十四年度の租税及び印紙収入予算の説明の三ページにもございますが、三十三年度予算には自然増収は幾らかある、それから現行法で見積れば幾らかというところにございます通りに、最近の実績値に直してみますと、三十四年度を現行のままで申しますと三千二十八億百万円、こういうふうに六百億ばかりの本来増収が出て参るわけでございます。それは豊作、あるいは最近の配当、あるいは地代、家賃等の資産所得の総合の状況が非常に良好になってきた、こんなような関係、それからまた給与の伸びも予想外によかった。こんなような関係で、三千二十八億になるだろうというところでございます。この三千二十八億になるべきところを、減税いたしまして二千七百十八億になる。結果といたしまして減税は二百七十億五千五百万という所得税の初年度の減税でございます。  その千五百円月ベースアップしまして、年一万八千円というべースアップが考えられ、その場合増税という言葉では適当ではないと思いますが、前年に比べて負担が増加するということは、今回の扶養控除の引上げの結果、おそらくないかと思います。たとえば、一人目が五万円から七万円に、二万円上ります。ベースアップで一万八千円上ったところで、なお二万円の方が多い。しかし、初年度は四分の三の減税でございますので、三十四年度は一万五千円ですが、しかしながら二人目、三人目が五千円づつ合計一万円上り、初年度はその四分の三上りますので七千五百円控除が上り、一人目の扶養控除の引き上げと合せて二万二千五百円になりまするから、ベースアップがその程度あっても負担が前年よりふえるということにならないと思います。  そこで、ベースアップ、給与の伸び、あるいは所得の伸びは、この予算見積りには織り込んでございますが、その結果が三千二十八億円から二千七百十八億円に減税になった、こういうのでございます。別にこれによりまして増徴をはかるとか、あるいはまた今回の見積り自体が合理性がないということではございません。それは三十三年度の二千四百四十八億自体が若干事実と食い違っておったという点がその原因だろう、かように私どもは見ております。
  47. 小酒井義男

    小酒井義男君 三十三年度は、まだ少し待ちませんと、どれだけであるかわかりませんから、そういう点で千五百円じゃ問題にならぬのだから、相当大幅に給与が上昇するということを見通しておられるならば、やはり公務員の裁定なんかももっと余計の数字が出てこなければならぬのに、どうもその点が首尾一貫せねものがあるというふうに、私はそういう気がするものですから、今お尋ねしたのですが、これはまあ議論ですから、私も具体的にこうなるじゃないかという数字を持っておりませんから、この程度にしておきますが、  もう一つ、退職所得の控除ですね、これはたしか昭和二十六、七年ごろですね、最初は。控除しろという意見が出て、あれからだんだんふえてきたのですが、ここでちょっと計算をしてみますと、たとえば二十才で会社に入るといたしますと、大体、一般の現在の会社では多くの会社は五十五才が定年になっている。そうしますると、今度の税法であれで控除していくと、全額控除すれば百二十五万円になりますね。ところが、これは百万円で打ち切る。そうすると、三十才で就職したものは五十五才までいくと九十五万円で全額控除になる。十年前から勤めておったものは五万円よりそれと開きがないというと、少し十年間に対する差額が少な過ぎるのではないかという気がするのです。それで、私は、これをたとえば一部にある六十才定年というようなことまで無制限にしてしまうとすると、退職後の年数というものが非常に短かくなりますから、そこまで幅を広げるということには、やはり問題がある。だが、こういう矛盾があるのだから、五十五才までくらいは全額控除するということにしてもいいのではないかと思うのですが、そうすると、一体、税収としてどれくらいの減収が見込まれるか、お尋ねしたい。
  48. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 退職所得についてのお尋ねでございますが、昭和二十九年に、退職所得につきましては特別控除の大幅な改訂が行われまして、十年以下ならば二十万円、十年をこしますと、一年当り二万円、最高五十万円という控除が設けられたわけでございます。そういたしますと、二十五年で頭打ちしておるということになります。五十万円から二十万円を引きました三十万円を二万円で割りますと、十五年、十五年に十年足して二十五年。あるいは単純に二で割ってもいいわけでございまして、そういう制度ができているわけでございます。  この制度につきまして、種々の批判があり、最近の退職所得がどんどんと伸びております。私どもがとった資料によりますと、平均、大学卒業まで突っ込みますと、大体百五十万円ぐらいが現在企業が出しております平均の退職給与ではないかと、こういうふうに見ております。そこで、現在の制度を、今回御要望に応じまして合理化したわけでございますが、そのことのねらいは、退職所得自体、老齢になりましてもらいます最後の所得であり、将来の老後の生活の唯一の財源であるというのが、その軽減の趣旨だろうと思います。そのような趣旨から、年令を加味いたしまして、四十才までは一年当り三万円、四十才から五十才までは四万円、五十才をこえるものにつきましては五万円、こういうふうにいたしまして、現在一律二万円という制度に、若干の退職所得に応じます担税力の要素を加味したわけでございます。  そういう制度を加えるならば、頭打ちしなくてもいいじゃないか、こういうふうな疑問が次に出て参りますが、私どもといたしまして、何といっても老後の生活、だんだんと老齢になりますと、担税力は減退いたしますが、余命年数も一つ考えてみなければなるまい。この余命年数の思想を加味いたしますと、やはり何といっても頭打ちが若干必要ではないかと考えるわけでございます。お考えのように、私どもも、二十才から勤めまして五十五才までの者ならば、無制限という考え方もございますけれども、全体をひっくるめた制度でございますので、必ずしもその点がうまくいかないということがございますし、今言ったような頭打ちの制度も理屈もあり、しかもまた、現在の頭打ちの制度が五十万円と比べますと、百万円までくらいに上るというようなことを考えますと、まあこの程度でいたし方がないのではないかと、かように考えておるのであります。  なお、おそらく、先生のおっしゃったように、二十才から五十五才までの方は無制限にいたしましても、現在、退職所得に対しまして課税額は五十数億でございますので、今回の減税額が約二十億ばかりでございまするから、そんなに減収になるとは思いません。が、今申し上げました思想から、やはり頭打ちの制度が必要であろう。それで、しかもまた、そういうふうに長く勤められる方、非常に下層の方々もございまするけれども、一方また、長く勤められるということは、同時に、会社に相当支配力を持ちまして長く勤められる方もあろうというような要素を加味しまして、頭打ちした次第でございます。
  49. 小酒井義男

    小酒井義男君 どうですか、頭打ちは私も必要だと思っておるのですよ。無制限に、重役になって六十才、六十五才にまでなる人に、どんどんそれを広げていくということは、これはやはりその後の生存年数等を考えると問題ですが、大体の今の通念として五十五才が定年なんですから、五十五で打ち切っていけば、三十五年の勤続者と二十五年の勤続者との差というものが、非常にその方がむしろ合理的じゃないかという気がするのです。
  50. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) これは考え方でございますので、退職金課税制度をどうするかにかかりますが、なお慎重に検討してみたいと思います。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからもう一つ、これはまたどうなってくるかわかりませんから、あまり具体的な内容はお尋ねできぬと思いますが、物品税の今度の改正案を出されるときには、やはり課税される品目について総合的な均衡というものをはかって、そうして税率なり何なりをきめられたのだと存じますが、そうでございましょうね。
  52. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 物品税の改正につきましては、ただいま仰せ通り、総合的権衡ということを主眼にしてやったわけでございます。大蔵省におきましては、昭和三十二年以来、間接税全般の総合的権衡ということを考えておるわけでございます。従いまして、酒とか砂糖その他の単独のいわゆる個別物品税、それから総合的な意味の物品税、これらを通じましての税率の権衡を勘案するということをいたしたわけでございます。その方法としては、いろいろなやり方があるわけでございますが、先般も御説明いたしました、いわば実質的な均衡をとるということに主眼を置きまして、各物品ごとの消費支出弾力性といったもの、あるいは価格弾力性といったものをできるだけ求めまして、考えて参ったわけでございます。同時に、今回の改正に当りましては、物品税の他の側面、つまり消費者転嫁という面を重視いたしまして、転嫁の可能性ということにつきましても検討いたしまして、これは総合均衡の上に立ってなお加味すべき要素といたしまして、転嫁の困難であるというものについては、ある程度の軽減ということによってこれを緩和するという措置が必要でございます。その点を加味いたしております。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 物品税の品目を見ておって、私がどうも、いつごろからこんなものが出ておるのかなと一番不思議に思うのは、マッチです。マッチというのは、あれはいつごろから物品税をとっておりますか。
  54. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) これは、物品税が最初に起されました当時から、マッチはとっております。マッチは不思議なことに各国ともとっておりまして、たとえば、日本におきましては、これは千本当り一円でございますが、イギリスあたりになりますと、千本当り百円くらいで、高いのです。マッチに課税する一つの理由といたしましては、おそらく、昔は非常に便利なものであるということから課税したかと思いますが、最近におきましては、たばこに使う量がおおむね五〇%以上というのが実情でございます。たばこに課税をする均衡上、マッチにも課税をするという(笑声)面もあるわけでございます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 マッチの税収というのは、一体どのくらいありますか。
  56. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) それはちょっと御猶予願います。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 それはあとでけっこうです。またあらためて、この次でも、いつでもいいのですが、ただ、私は、マッチが物品税の対象になるなら、おそらくその辺にある物はほとんど税金がかかるようにしなければ……。千本に一円くらいの税金を物品税としてかけておくほどの品物かどうか、やはり、再検討せなくちゃいかぬと思うのです。
  58. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) マッチは、三十三年度の見込みで一億八千六百万の税額でございます。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 まだこれは衆議院でどういう格好になってくるかわかりませんですが、今の物品税というものは、全品目均衡のとれたものでなければおかしいということは、私もそう思っておるのです。それで、ある部分がはずされてきますと、当然その他の物品に影響しますから、反対の声の大きいものだけははずすが、そうでないものはつまらぬものにも税をかけておくということでは、私どもは納得しませんから、これは後日衆議院から正式に送られてきたときに議論をします。
  60. 平林剛

    平林剛君 物品税について、私もまたあとで聞く機会があると思うけれども、ちょっとお尋ねしておきますけれども、物品税につきましては、政府が一昨年以来各方面の意見を十分参酌して改正案を提案されたというお題目で説明があったのでありますけれども、しかし、どうも当面の措置だけで、抜本的な措置になっていない、私はそういうふうに感ずる。そして今マッチの話が出ましたけれども、大へん疑問のある法律案です。そこで、一体今後物品税法を、改正を出したら、政府としてはまあこれでもうおさまっちゃったのだという考えで、今回の改正案を提案したのか、それとも、今後なお引き続き検討していかなければならぬ性格のものだという考えでおられるか、基本的な考え方はどっちの方向を向いているのだか示しておいてもらいたい。
  61. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) だいぶ問題が大きいので、私がお答えするのは適当かどうか……。だいぶ問題でございますが、一応申し上げたいと思いますのは、まず第一に、物品税法の改正につきまして問題になります点は、御承知のように、現在の間接税体系全般というものをながめますと、わが国の場合、物品税法の対象となる物品によって得られる税額というものがかなり少いわけでございます。来年度も、減税前の金額で約五百億程度の収入でございますが、これに対しまして、酒は御承知のように二千億をこえております。専売益金及び地方たばこ消費税を加えますと、これまた千八百億程度ということ。しかも、砂糖でも関税を合せますと九百億をこえるという収入でございます。一方において一般的な消費税という形をとっております物品税が非常に少い、意外に少いということになるわけであります。この点は諸外国の例を見ますると、かなり形が変っておりまして、こういう少数の物資に過重の負担をかけておるということは、税収としてもかなり弾力性を欠くわけであります。そういう点から、物品税の改正と申しますものは、間接税体系全般をいかに修正していくかという点が大きなポイントになるかと思われるのであります。間接税体系そのものの検討というものは今後も引き続き行うべきものでございます。  そういう意味から申しますと、今回の物品税法の改正が根本的検討の上に立ったとは申しながらも、まず、当面の問題点を解決をするという点も相当に多いわけでございまして、長い目で見ますれば、さらに検討を続けていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。その場合には、間接税体系全般としての検討の一環として、相当考えていかなければならない問題ではないか。物品税法そのものといたしましても、御承知のように、物品税法の対象物品はしょっちゅういろいろなことで、その経済の変遷なり、生活態様の変化に伴いまして、対象自体が課税対象として適当であるかどうかという点が変って参るわけであります。また反面に、新たな製品も出て参ります。あるいは新たな優秀な製品が出て参りますと、従来課税物品であったものも衰えてくるといったような面も出て参ります。それらの点は、物品税としてはかなり定期的に洗っていくべき性質のものだと思います。間接税体系全般としての検討と同時に、物品税そのものの時代的な変遷に対応する動き、そういうものはさらに検討を続けていかなければならない問題だというふうに考えております。
  62. 平林剛

    平林剛君 これは政務次官に答えてもらった方が適当だと思うのでありますけれども、まああとで議論するためにちょっとお尋ねしておきますが、社会党としては、物品税という法律は戦時中の遺物だと、こういう法律はこの際全面的に廃止をして、そして新たに奢侈品税というようなものを創設したらどうだろうかという考え方を持っておるのです。社会党といえば今日二大政党でありまして、二大政党の一つであって有力な政党ですね。ところが、今回の提案説明を見ると、政府は一昨年来各方面の意見を十分参酌して改正案が提案されたと銘を打ちながら、この問題についての改正というにおいさえ感ぜられない。大多数の、国民相当数が支持しているわれわれの見解に対して、意見をちっとも参酌しておられないという点が見られるのは、まことに遺憾で、これは各方面の意見を十分参酌した改正案ということは、提案理由から削除すべき性質のものである。  そこで、こういう意見は、私は、先ほど述べたあれですね、交際費に対する算入、交際費のああいう問題と同じように、政府の基本的な考え方がまだ変えられていない。そこで、私ども政府に対しても根本的な考え方を今後とも追及していこうと思っているのですけれども、今度の改正案で何かわれわれの意見を参酌したようなものが、改正案の中に含まれておりますか。それとも、われわれのこういう意見に対して何か具体的に検討したことがあるかどうかということを聞いておきます。政務次官一つ
  63. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 平林先生は、二大政党下においての社会党のお立場などいろいろお話しに相なりましたが、私どもは自民党の政府でございますけれども、私どもといたしましても、この税制につきましては時代的の感覚をもってやらなければいけない、こういうことにつきましては十分心得ておるわけでございます。ただ、いろいろ立場の相違等から、御議論もあると思いますし、私どもといたしましても、今後この税制の上におきまして検討を加えなくてはならない問題がたくさんあることを承知いたしております。従いまして、今回さっそく発足いたしたいと思っております税制調査会等におきまして、根本的にこの間接税、直接税のあり方等、あるいは国税、地方税等の問題、こういうふうなものの根本的、抜本的な調査をいたしまして、時代に即応した税制のあり方を検討したい、こういうのが私ども現在大蔵省におきまして念願をいたしておるところでございます。  従いまして、この物品税の問題につきましても、ただいま吉国課長がるる申し述べましたが、なるほどお気に召さない点もたくさんあると思いますけれども、なかなかこの物品税は、私も大蔵省へ入りましてタッチいたしてみますと、きわめて多岐多般にわたりますし、いろいろな関係上きわめて困難な問題があり、見解の相違等によりまして、まことに取扱いの上におきまして、いろいろ困難な点のあることも、よく承知をいたしました。従いまして、今回提案いたしております物品税の改正につきましても、たとえば今お話しのように、抜本的な点をもう少し考えなくてはいけないのではないかとか、われわれの考えをどこにどう入れたのかというような御意見もあるようでございますが、もちろん、私どもも、奢侈品等につきまして、また大衆の生活等を考慮いたしまして、特に物品税等につきましてはあり方を考えなくてはいけないということにつきましては、十分検討を加えて参ったつもりでございます。しかしながら、これは今回の改正によってこれがすべてが尽されたというわけのものではもちろんございません。なおいろいろ御検討を願って、不均衡の是正でありますとか、あるいはこの提案の趣旨の説明の際にうたいましたような零細業者の負担軽減、そういうふうなこともいろいろな角度からこれを検討を加えていくということにつきましては、決してやぶさかではございません。ただ、この物品税だけがどうこうというふうなものではないのでございまして、まあさかのぼりまして考えましても、戦時中に設けられましたところの数多くありますところの税の中の、相続税というふうなもの、あるいはこの税等につきましても、内容の点がどうかということは、十分検討を加えなければならない問題でございますけれども、今回も政府といたしましては、今の奢侈品的なものにつきましても、課税の対象としたものもあるような状況でございますし、不均衡の是正という建前から、減税、増税、いろいろございます。こういうふうな点を御勘案下さいまして、将来にわたりまして、この物品税も、その他の問題もそうでございますが、税制一般にわたりましてさらに御検討を願い、私どもも適正なる姿にいたしたい、こういうことを実際上話し合っておるところであり、心がけておるところでございますということを申し上げます。
  64. 平林剛

    平林剛君 大体名答弁だけれども、ちょっと気に入らないところがあったな。政務次官でなく、私は当局の方に聞きますけれども、今回の改正案をながめてちょっと奇異に感ずるものがあるのですよ。まあマッチなんかもその一つですけれども、課税廃止の中に大理石並びにタイルというようなものが含まれているのです。私は、物品税は全廃して新たに奢侈品税を創設するという説を唱えている方でありますから、課税を廃止するということに対して一々反対はしない。しかし、大理石並びにタイルというようなものが今回課税廃止の中に含まれていて、そして文房具ですね、文房具のようなものが課税廃止になっていない。また、今度はこれは百分の二十、丁類として課税の範囲に入っている。こういう点なんかは、ちょっとながめただけでも、何か理屈が通っていないように思うのです。すぐでも気がつくような矛盾なんです。一体、これはあれですか、大理石並びにタイルを課税廃止に入れた理由はどういうところにあるのですか。もう一つ、文房具の方を残しておいた理由はどこにあるのですか。
  65. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) ただいまお尋ねの大理石それからモザイク・タイルでございますが、これは御承知のように、いわゆる建築用材でございます。その面から申しますと、一般の消費財といたしましての消費税の対象としては、若干課税、非課税のフリンジにあるものと思われます。次に、先ほど申し上げますように、この改正の半面におきまして、いわゆる零細業者の負担軽減ということのもう一つ基準があるわけでございまして、大理石は実際上は、建築いたします場合にいわば下請がこれを細工いたしますが、この際に課税になるという形で、課税状況が非常にむずかしくて、しかも零細業者であるため、しょっ中問題が起っておるわけでございます。それから、モザイク・タイルにいたしましても、現在課税されておるタイルはきわめてまあ中小、零細と申してよいものが作っておりまして、規格で落しておる方がむしろ大量生産をやっているという形になっております。そういう点から、片一方では消費の性質から見て、また半面、製造業者の零細性というものとを勘案いたしまして、課税を廃止したということでございます。  それから、文房具をなぜ残したかという点でございますが、この文房具と申しますのは、言葉がちょっと、今の課税対象から見ますと、少し過ぎているくらいのものでございます。ほとんど実際上この中身はいわゆる三角定木とか、そういうものは全部落ちているわけでございます。現在課税されておりますものは、たとえば万年筆でございますと、軸にまき絵を施した万年筆及びシャープペンシル、ただし価格一個につき五百円に満たざるものを除く、こういうものを考えてみれば、まき絵を施した万年筆というものはかなり時代ずれがしておりまして、まき絵を施さないアメリカの万年筆の方がかなり高い、こういう点がございます。これは整理段階で相当に整理をいたすという予定にしているわけでございます。法律ではこまかい品目が出ておりませんので、今のお尋ねが出たと思いますが、従いまして、今回も「文房具」という言葉を改めまして「文具類」というふうにいたしましたのは、こういう今の万年筆であるとか、インキ入れとかいったようなもの、こういったものは極力整理をいたしまして、色紙でございますとか、アルバムでございますとか、特定のものに限ろうという趣旨でございます。従いまして、換骨奪胎と申しますか、名前も「文具類」と改めたのもそういうわけでございます。ここで政令案をお出しせずに申し上げますのは大へん恐縮でございますが、政令と相待ちまして、今お尋ねのような文房具と普通観念されるようなものはこの分類にはほとんど入り得ないという格好になる予定でございます。
  66. 平林剛

    平林剛君 まあ、これはそれぞれ物品を製造している階層によって、いろいろ取捨選択をしたというけれども、大事なところが抜けていると思う。それは、使われてだれに利益をもたらすかという点だとか、一般物品税の持って生まれた性格ですね、奢侈品的なものを禁止していく、あるいはそういうものを押えていくという趣旨からいって、矛盾があるのですよ。僕はきょうはちょっと思いついて聞いただけで、本格的なことはこれからやるけれども、あなたの説明だけで納得するわけにいかぬ。しかし、塩業整備の問題や酒の問題があるから、きょうはこの辺で質問はとめておきますけれどもあとでまた議論をしたいと思います。
  67. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 以上八件の法律案に対する質疑は、今日はこの程度にいたします。   —————————————
  68. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次は、塩業整備臨時措置法案及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案の両案について、内容の説明を聴取することといたします。
  69. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 塩業整備臨時措置法案の補足説明をいたします。お手元に差し上げてあります法案と、それからただいま政令の要綱を書きました資料を配付いたしておりますが、それを要約して御説明申し上げます。  最初に、本法案の背景をなす事情について簡単に御説明申し上げます。  御存じのごとく、戦時中及び戦後の極端な資材、労働力等の不足によって、製塩施設は荒廃するがままに放置され、ために国内塩の生産数量は、戦前において六十万トンを維持しておりましたものが、昭和二十二年度においては十万トンまでに激減するに至りまして、当時の国民生活に重大な脅威を与えることとなったのであります。かかる事態に対処するために、日本専売公社は塩業審議会の答申に基きまして国内塩業対策を決定し、政府もこれを適当と認めまして、昭和二十五年、食料用塩の全量自給による国民生活の安定と、かねては外塩輸入量の減少化による外貨節約をねらう国内塩の増産態勢が確立されることとなったのであります。この基本方針に基きまして、逐年生産数量は増加の傾向をたどることとなったのでありまするが、昭和二十八、九年に至り、新製塩技術でありまする流下式、枝条架方式の採用とともに、完全に国内自給の目鼻もつき、昭和三十年に至りまして、久しく四十万トン台に停滞しておりました国内生産量は一躍六十万トンに近い数字となり、その後も生産量の伸張は著しく、本年度においてはついに百万トンを突破する状況であります。  増産対策から急転して過剰生産対策へという過程ははなはだ唐突に見えるのでございまするが、その根本的な理由は、新製塩技術である流下式、枝条架方式の生産力がどこまで伸び得るかということを、当時正確に把握し得なかったということが大きな理由ではなかろうかと存ずるのでございます。すなわち、流下式塩田の生産力は、導入当時の予想といたしましては一ヘクタール当り百八十トンと考えられたのでありますが、各種の実験値が現われるに至りまして、一ヘクタール当り二百五十トン、あるいは枝条架率の高いところでは優に三百トンをこえるものであることが認識されるに至ったのでございます。  もちろん、公社におきましても、各種データから新技術の生産力の把握に努めたのでございまするが、新技術の能率のもっぱら依存しておりまするのは、自然的なエネルギーであります風力であり、しかも、枝条架に働く風力はきわめて局部的かつ不規則な性格のものである関係上、国内塩自給の責任を持たせられておりました当時の公社として、これを大きめに見るよりは、むしろ内輪に見ようとした傾向にあったことも無理からぬことであったと思う次第でございます。  とまれ、新技術の持つこうした予想外の生産力の増加につきましては、いまだ生産量が六十万トン台でありました昭和三十一年末ごろから、公社及び業界でも問題とされるに至りまして、昭和三十二年に入りますと、公社といたしましても過剰塩対策の樹立ということに具体的に踏み切らざるを得なかったのであります。すなわち、同年夏以来塩業者代表との協議の結果、同年十二月十八日に至りまして、国内塩生産対策が樹立されるに至ったのでございます。これが今回御提案申し上げました法案の直接の背景となるのでありまするが、その塩業者との協議の末できました生産対策の骨子になるところをかいつまんで申し上げますると、第一は、国内塩業の合理化の促進及び経済基盤の強化のため、この際全国の製塩施設の整理統合計画を策定する必要がある。第二に、右の整備計画確定までの間は、既許可のもの及びこれに準ずるものを除く製塩施設の新増設は行わないということであります。第三は、将来の塩の収納価格は食料用とソーダ工業用とに区分して、前者については一万円程度、後者につきましては輸入価格を目標として順次引き下げる。これらの点が生産対策の重要な点であったわけでございます。  昭和三十三年になりますと、公社は右の対策に基きまして、塩需給の基本方策を塩業審議会に諮問いたしまして、昨年七月以来二十五回にわたって慎重審議の結果、本年一月十六日、その答申を得る運びとなった次第でございます。本答申の骨子となっておりまするのは、まず第一に、塩の年間需要は、食料用としておおむね百万トンと推定されるが、なおソーダ工業用の需要としては二百万トンないし二百五十万トン程度のものが考えられる。しかるに、国内塩の価格は国際価格に比べますと著しく割高になっておりまするので、ソーダ工業用塩を国内塩市場として見ることはできない。これに対して、こうした需要に対しまして国内塩の生産力は、どうかということになりますると、最近に至って急速に増大しておって、平年度においておおむね百三十万トンに達すると推定されますので、この著しい過剰生産の事態を是正することが必要である。整理に際しては優秀なものを残して、国内塩の品質改善と原価の低減をはかるべきである。これが国内塩の将来における需給に対する塩業審議会の見通しでございます。  しからば、その整理はどうすべきかということにつきまして、塩業審議会は、今後の価格政策というものを中心に整理を行うべきだ。すなわち、今後の価格政策による長期的な採算についての企業の自主的な判断に基いて整理を行うべきであろう。そのために適切な指導を行うこととするが、必要やむを得ない場合には強制措置をも考慮すべきである。で、今後の価格政策の具体的な基準といたしましては、昭和三十四年度以降、塩の収納価格を逐年段階的に引き下げて、昭和三十七年度においては、白塩一トン当り一万円という基準価格を考えるべきである。さらに、この整理に伴う経済的、社会的混乱を防止するため適切な補償を行うべきである。こういう整理の方法についての答申をいたしておるのであります。  以上の塩業審議会の答申に盛られた構想を法文化いたしたものが、今回お手元に差し上げた塩業整備臨時措置法案の内容をなしておるわけであります。  次に、法案の内容を、政令案に予定しておりますところを補足しながら、御説明を申し上げます。  第一には、今回の整備の目的でございます。これは法案の第一条に規定するところでありまするが、非能率な企業を整理して、約三十万トンに及ぶ塩の過剰生産力を除去することによって国内塩業の基盤を強化するとともに、あわせて塩の需給の均衡と塩事業合計の収支の正常化をはかることにより、塩専売事業の健全な運営に資することである、こういうふうに書いてございます。なお、この際整理に伴う経済的、社会的混乱を防止して整理を円滑に実施するため、整理の対象となる塩業者に対しては、合理的な基準による塩業整理交付金を交付する等の措置を講ずることが必要である、これが第一条に規定しておりまするこの法案の大目的でございます。  第二には、整理の方法でございまするが、これにつきましては、本法案の第二条、第六条、第十一条、第十二条等が詳細に規定をしております。  まず第一に、先ほど申し上げましたように、整理は、今後の塩の価格政策というものを、塩業者各位がそれぞれの企業の内容からそろばんを置かれまして、その価格政策のもとに家業を存続するかいなかの決定を自主的にいたすわけであります。もし、やめたいと思う場合には、自主的な製造廃止の申請をいたすわけであります。第十一条第二項に規定する昭和三十七年度白塩トン当り一万円という基準価格が、これが先ほど申し上げましたように、今後の塩業の価格政策というものの基準を明示する規定でございまするが、塩業者各位がこの基準価格を考えまして、それぞれの長期採算見込みに照らして判断の上、この際交付金をもらって製造を廃止したいと考えます場合には、本法の第二条にございまするように、昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの一年の間に廃業の許可を申請すべきこととなっております。もちろん、かかる企業の長期採算等の判断と申しますものはなかなか困難なものでございまして、特に鹸水製造業者と塩の製造業者が企業的にもあるいはまた資本的にも分離しておりますような場合には、他企業の能率診断にも関係してくるような場合がございます。従って、公社といたしましても適切な指導によりまして塩業者の判断に指導を行うことが必要であるのみならず、また必要とあれば、生産能率の著しく劣っていると認められるものに製造廃止の勧告をすることもできるようになっております。法案の第二条は、以上の自主的廃業に関する諸手続を規定するのみならず、廃止業者に対しては、これからあとで御説明申し上げます第三条の基準によって積算された塩業整理交付金を交付することができる旨を明らかにいたしておるのでございます。  公社といたしましては、今回考えておりまする約三十万トンの過剰生産力の除去が、ただいま御説明申し上げました自主的廃止業者によって達成されることを希望いたしておるわけでございまするが、万一こうした自主的な廃止業者のみによっては三十万トンの過剰生産力の整理ができないという場合には、その三十万トンに満たない不足分につきましては、第六条に規定しておりまするところの製造許可の取り消しをなし得るということになっております。  製造許可の取り消しにつきましては、第六条に規定いたしてございまするが、昭和四年の第二次塩田整理に際しましても、政府が特定区域について塩の製造を禁止するという法律構成をとって取り消し権の発動を規定いたしておりまするが、今次の法案におきましても、過剰生産力の残存する限度におきまして、自主的製造廃止の申し出期限終了後である昭和三十五年四月一日から同年十二月三十一日までの間に限り、その生産能率が著しく劣ると認められる塩の製造者に対し、その製造許可の取り消しをすることができることとしているのであります。もちろん、かつての塩田整理が、法律上は製塩禁止という形をとっておりましたけれども、実質的には製塩業者に対する話し合いあるいは説得ということを十分に行いまして、事実上はこうした説得が整理の背景となっておりましたように、今回の取り消し権の行使に当りましても、その前提としまして被整理業者によく企業診断の結果を納得させて行うべきことはもちろんであります。  さらに、法案は、この取り消し権の行使が慎重かつ民主的に行われるように、第十二条によって設置されることとなっておりまする臨時塩業整備審議会の意見を聞くとともに、第六条第二項には、あらかじめ被整理業者またはその代理人の出頭を求めて、公社の指定する職員に聴聞させるべき旨の規定を置いているのでございます。許可の取り消しは塩の製造者に対してなされるのでありまするが、取り消しを受けました塩の製造者に対して鹹水を供給していた者も、また一般には当該取り消しによりまして鹹水の製造を継続することが困難となるわけでございまするので、こうした場合、及び塩製造者が災害等取り消し以外の事由によりまして塩の生産が廃止され、これにより同様に鹹水の製造の継続が困難となるような場合の救済規定といたしまして、第二条第二項には、特に自主的廃業の申請の期間を昭和三十六年一月末日まで延期しておる次第でございます。鹹水製造者の中には、鹹水供給先の塩の製造者の取り消しにもかかわらず、大部分が自家せんごうのため鹹水の製造を依然として継続することを希望する者もあると考えられるのでありますが、かかる場合には、もちろんそのいずれを選択するかが許されることとなるわけでございます。  なお、製造許可の取り消しを受けた者に対しましては、その取り消しによって通常生ずべき損失を補償するのみならず、自主的廃止業者の交付金と均衡を失しないよう、特別交付金を交付することができるようになっておりまする点は、あとで第七条を御説明いたしまする場合に詳細に御説明いたします。  第三に、整理に際して交付金等の交付の措置が行われる、こういうことを先ほど申し上げましたが、今回の整理を受ける廃止業者には、先ほど第一条で申し上げましたように、社会的経済的整理による混乱を防止いたしまするために、塩業整理交付金等が交付されることとなっております。これにつきましては、第三条ないし第五条の規定、第七条及び第十二条等がおもに規定をいたしております。  まず、塩業整理交付金でありまするが、第四条によりますると、前述しました自主的廃止業者が廃止の日から二ヵ月以内に塩業整理交付金請求書というものを提出いたしまして、公社が審査の上交付すべきであると認めましたときは、次の基準により積算されました交付金を交付することができることとなっております。交付金の積算基準は第三条の規定するところでございまして、製塩業者一般に適用されるものと、塩田製塩業者にのみ特殊なものとの二通りが区別されるのであります。第三条の法文そのものはきわめて抽象的に表現されておりますが、お手元に差し上げました政令案の要綱に具体的に書いてございまするので、それをあわせまして御説明いたしますると、  まず第一に、一般的な積算基準といたしましては、製造の廃止の際に、製造の用に供されている適正と認められている製塩施設についての製造廃止による減価を埋めるための費用として、帳簿価額または帳簿価額のない場合にはその取得価額から、経過年数に応じた理論償却をしたあとの価額から、それぞれの処分見込価額を控除した額に相当する金額を積算することとなっております。非常に複雑な規定でございまするけれども、要するに、塩の製造ができなくなったために持っております施設が価値が減ずるという、その減ずる部分の損失を交付金として積算するという意味でございます。今回の三十万トンの塩の整理に要しまする経費総額は八十七億円でございまするが、この施設の減価に対して積算されるものとして約六十億円、五十九億九千万円余の金額が見積られておる次第でございます。  第二に、製造の廃止に伴い退職することとなる従業員の退職金を支払うために必要とされる費用でございまするが、これにつきましては、勤続月数十カ年の従業員に対し、昭和三十三年中に支払った平均基準内月額給与にその後の昇給率五%を織り込んだものの十五ヵ月分を支払うことができることを目途といたしております。かいつまんで申しまするというと、十年勤続に対しては十五ヵ月の退職金を支払えるようなそういう経費を積算してあります。なお、この勤続年限十ヵ年に対して十五ヵ月という積算に対しまして、さらに勤続年数が非常に短かい者についての一種の最低保障的なものが考えられております。すなわち、勤続年数が一年未満の者には、十年・十五ヵ月という割合から申しますと、一・五ヵ月になるわけでございますが、これに対しては二・七ヵ月、それから一年以上二年未満の者につきましては、比例的にいきますれば三ヵ月ということになるわけでございまするが、それが三・六ヵ月、それから二年以上三年未満の者には四・五ヵ月というふうに、それぞれ勤続年数の短かい者につきましては、三年以上四年未満の者まで一種の最低保障がつけられておる次第でございます。この退職金を支払うために必要であるとして積算されますところの交付金として、八十七億円の予算の中で五億六百万円程度のものが見積られておるわけでございます。  なお、廃止業者が法人でありまする場合には、その法人の役員に支払う退職金に相当する費用につきましても積算することはもちろんであります。  第三番目には、廃止業者が法人である場合には、その清算のために特に必要とする費用につきまして、整理資金の二%を限度として、公社が認めるものについて交付金に積算されるようになっております。  以上が一般的な積算基準でございます。  次に、塩田製塩業者に特殊な積算基準といたしまして、二つの事項が交付金の積算内容として規定されてございます。その一つは、製造廃止の際に製造の用に供せられている塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用の一部といたしまして、一ヘクタール当り八十六万七千円を交付するものといたしておりまして、先ほどの八十七億円の総額の中で約十二億円余りがこの分として見積られておる次第でございます。第二には、廃止業者の転業資金と申しますか、その製造廃止時における塩の収納価格に、昭和三十三年の実績に基く納付塩量を乗じた額の三割を積算して、この交付金の一部として廃止塩田製塩業者が次の生業を見出すまでのいろいろな資金として交付金の内容を考えておるわけでございます。ただし、その実績納付塩量が一ヘクタール当り百五十トンに満たない場合には、百五十トンを最低限度として保障することといたしております。この関係で、約八億円の予算が先ほどの八十七億の総額の中で見積られておる次第でございます。  以上二つの積算事項は、特に塩田製塩業者が機械製塩業者の場合と異なりまして、整理によって生業を失うことを考慮いたしまして交付するものでありますが、先ほど申し上げました二番目の廃止業者の転業資金につきましては、これとやや類似の製塩業者というものが塩田製塩業者以外にもございまするので、一部の温泉熱利用製塩業者にも同じような事項が交付金の内容として積算されるということになっております。  以上が一般的な積算基準及び塩田製塩業者並びにこれに準ずる製塩業者に特殊な積算基準でございます。  このほかに、一般的に早期の製塩廃止によりまして過剰塩が減少いたしますれば、それだけ国損も減少することになる点に着目いたしまして、昭和三十四年度中に自主的廃業を申請した者に限りまして、前記の製塩施設の減価を埋めるための費用によって回収できない投下資本部分につきましても、適正と認められるものにつきましてはこれを認めることといたしております。  次に、取り消しを受けました塩の製造業者に対する損失補償でございまするが、第七条によりますると、製造許可の取り消しによって生じました損失の補償金は、当該取り消しと相当因果関係にある損失事項、法案では「通常生ずべき損失」と書いてございますが、これについて補償することとなっております。第七条は、損失の補償に関する規定でございまして、その決定に当っては臨時塩業整備審議会の意見を聞くべきものといたしております。ただ、前述いたしました塩業整理交付金の積算基準の中で、たとえば施設の減価を埋めるための費用の一部あるいは塩田の他用途転換の費用の一部として積算される金額等につきましては、「通常生ずべき損失」とはいいがたく、その結果、塩業整理交付金との間に均衡を著しく失する結果となる心配もございますので、第七条には、製造許可の取り消しを受けた製造者が、塩業整理交付金の交付を受けるとした場合のその額と、損失補償額とを比較して、損失補償額が下回るときには、その下回る額をこえない範囲で塩業整理特別交付金を交付することができる旨を規定いたしております。なお、交付金及び特別交付金の施設に関する減価相当額につきましては、分割交付を認められる規定となっておりますが、これは実質的には金融機関への返済に照応するものであります。  次に、塩業整理交付金及び補償金の決定に当っての製塩施設の残存価額等の評価につきましては、専門的知識を必要とするのでございまするので、第五条及び第七条はあらかじめ二人以上の鑑定人を委嘱して評価せしめることといたしております。  次は、塩業者が交付される交付金等につきましての課税上の特例の規定でございます。今回の交付金等の交付の目的を十分に達成させるためには、廃止業者が交付を受けた交付金につきまして課税の特例を設ける必要があろうかと思うのでございます。法案の第十条がその規定でございまするが、施設の減価に相当する交付金及び塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用に相当する交付金につきましては、圧縮記帳の方法を認めることといたしました。また、圧縮記帳されなかったところの部分に相当するものについての所得税法規定の適用につきましては、これを一時所得として課税するほか、塩業資金としての交付金については、廃止業者の選択によって累進税率の適用を緩和するため、臨時所得といたしまして、五分五薬方式の適用を認めることとする等、今回の塩業整備の実際に即した措置を講ずることといたしております。  第四番目に、今回の整備資金の原資として残存業者から納付せしめる納付金の問題であります。従来、各種の企業整備の例、たとえば石炭鉱業の整備等の例に徹しましても、残存する業者はそれぞれ応分の納付金を負担することとなっております。塩業審議会の答申の中にも、「整理補償費の一部は、残存企業においても応分の負担をすべきである。」ということを明示いたしておりまするので、第八条は、昭和三十五年四月一日から昭和三十九年三月三十一日までの間に公社に納付する塩一トンにつきまして二百円をこえない範囲内において、その収納代金の支払いを受けるつど、納付金を納付させることと規定いたしております。これはお手元に差し上げました政令案の要綱に書いてございますように、納付塩一トンについて五十円というふうに政令規定いたしたいと思っております。  第五に、異議の申し立てでございます。今回の塩業整備に関しましては、日本専売公社が行う処分、たとえば塩業整理交付金の額の決定、これは第四条に規定するところであります。あるいは製造許可の取り消し、先ほど申し上げました第六条に規定するところでございますが、あるいは損失補償額の決定、これは本法案の第七条に規定するところでございまするが、これらの処分について異議のある者の救済規定を設ける必要がございまするので、第九条はこれに関する手続等について規定をいたしております。  法案の第六番目の問題といたしましては、第十一条に規定されておる事業合理化計画書でございます。今回の塩業整備は、前述いたしましたごとく、価格政策を中心として実施するものであり、それは具体的には昭和三十七年度において一万円の基準価格を目標とするものでございます。また、残存を希望する塩業者は、この価格政策のもとにありまして健全な経営をすることができるものであるべきはずのものでありまするが、公社は塩業者に対しまして事業合理化計画書を提出さして、各個の企業の能力診断を行い、整理に当っての指導勧告あるいは取り消しの資料とするわけでございます。  最後に、臨時塩業整備審議会についてでありますが、第十二条に規定いたしておるところでございまして、臨時塩業整備審議会というのは、公社の総裁の諮問機関といたしまして、製造許可の取り消し対象の選定、補償金の額、その他今回の塩業整備に関する苦情処理等を調査審議するものであります。その機能が企業診断を中心とするものでありますので、七人の構成員もおもにこうした方面の学識経験者を総裁が委嘱することとなるはずでございます。  以上が本法案のおもなる事項についての補足説明でございます。
  70. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これで一応区切りまして、本案に対する質疑のある方は御発言を願います。
  71. 平林剛

    平林剛君 ただいま監理官から補足説明がありましたが、これは政府としての補足説明と私は聞くわけです。ところが、あとの方はまあいいですけれども、初めのあなたの言葉の中に、今回塩田の整理のやむなくなったのは、流下式の製造能力の把握が足りなかった、その他の条件などにあるようでありましてなんという説明の言葉を使っているのです。あるようでありましてなんという補足説明なんというものは、ちょっと不適当です。  それから、もう一つは、なぜその製塩能力の把握が足りなかったのかということについて、風力の説明を行い、その最後に、当時の事情からいって専売公社がこれを内輪に見ようとするのは無理からぬものと思われますというような、こういうことは政府法案説明のときに言うべき言葉じゃないですよ。自分で、内輪に見ることは無理からぬことでありましてというようなことを、こういうことを言うのは適当でない。委員長、そうでしょう。そういうことは、あなた、訂正するか、委員長において善処してもらいたい。それをまず第一に。
  72. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これはまあ衆議院の大蔵委員会におきましても、いろいろやかましい議論があったわけでございます。当時におきまして、私、その衝に当っておったわけではございませんので、平林委員のおっしゃいますように、確定的な原因の探求ができないということ、これは私率直に今申し上げたいわけでございまして、それで、私といたしましては、私が現在考えまするというと、こういうことではなかったろうかというふうなことを申し上げたのでございまして、その点は一つ御了承を願いたいと思うのであります。  これは、先ほど私補足説明でも申し上げましたけれども昭和三十一年の五月、まあ業者が長崎で集まりまして、塩の生産力に関するいろんな業者の大会の決議があったわけでございます。その当時、公社といたしましては、四千二百町歩の流下式既存の塩田、それから……。
  73. 平林剛

    平林剛君 ちょっと待って下さい。私、そんな説明聞いているのじゃないのですよ。あなたが政府として提案理由の補足ということであるならば、その中に、今回の塩田整理は何々によるところにあるようでありましてなんていう言葉だとか、そういう言葉が私はいかぬと、こういうのです。それから、政府として説明をするときに、内輪に見ようとすることは無理からぬと思われますがなんていうことを、われわれ意見を聞いているわけじゃないのです。いきなりそんなことを言う、補足説明をするというのは適当ではないと。今だってそうですよ。衆議院におきましてはいろいろやかましい議論がありまして——やかましい議論って、一体何です。こういう不適当なことを言われておるから、私はそこのところを訂正しなさいと、あるいは訂正しないのならば、委員長において善処してもらいたいと、こう言うのです。
  74. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私の言葉の使い方に非常に不適当なところがあれば、それは私はいつでも訂正いたしますが、やかましいというのは決して悪く言ったわけじゃないので、いろいろ活発な議論がありましたということを、私は日本語としてそういう表現が思いついただけの話でございます。
  75. 平林剛

    平林剛君 そういうふうに言われるというと、私はどうも承知できないので、今、私に対する答弁としては適当でないところがあったらば取り消しますと、こういうふうにお答えになったのですか。
  76. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 表現の問題として適当でないところは、私は取り消します。しかし、私が先ほど申し上げましたように、当時の事情については、何人もこれを、現在正確にこういうことが原因であったということを断定し得る者はいないわけでありまして、そういう意味において、私がある程度推定を下して御説明を申し上げたということは、私は差しつかえないのじゃないかと思っております。
  77. 平林剛

    平林剛君 これは委員長一つ善処をしていただきたいと思います。私、今までこういう補足説明聞いたことがないのです。自分の責任をぼかすような形で提案説明——いかに言葉の自由があっても、政府の提案説明ですから、おのずから限界一があると思います。こういう意味で、一つ委員長において善処して下さい。
  78. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 平林委員指摘の点は、これを取り消します。
  79. 加藤正人

    委員長加藤正人君) それでは、質疑を願います。
  80. 平林剛

    平林剛君 戦後日本の塩業政策は、国内自給を目標にして増産対策に努力をしてきたということは承知いたしておりますけれども、このため国家として当時助成資本は総額で幾らになっておるか。それから、専売公社が国としての基本政策に立って食用塩の増加に努力をし、業者もまたこれに協力して、従来の入浜式から流下式、流下式から枝条架式に転換するための、塩業者自身が投資しあるいは金融を受けてきた金額は一体どの程度になるか、この二つの金額について、質問に入る前に明らかにしておいて下さい。
  81. 小林章

    説明員(小林章君) 仰せられた、国家資金の第一点のお話でありますが、戦後、実は御承知のように、戦争中から戦後にかけまして塩の不足時代が長い間続きまして、自給製塩という問題がありまして、それから政府命令で、全然そういう政府の補助というような制度のない時代を経まして、今日に至ったのでありますが、従いまして、自給製塩の時代にどのくらいの金が投ぜられたかは、ちょっと実は……。私、その当時の金ではおそらく二十数億ではなかったろうかと思いますけれども、いずれにしても、自給製塩はその後壊滅に——おそらくほとんどのものが、二、三を残して壊滅いたしましたので、それは入れなくてもいいのではなかろうかと思いますが、それから司令部の命令その他で、日本の国の塩業が、非常に自給製塩もなくなりまして下火になって、何らの助成策もなくなったのでありますが、その後、たしか二十五年かと思いますが、二十五年に災害補助法ができまして、これは災害に対する補助だけで、それから二十七年から初めて災害並びに改良に補助が出せる、いわゆる製塩施設法というようなものが作られたのであります。従いまして、全般的に国家の資金が補助金として出されるようになったのは、二十七年からであります。二十七年からでありますと、おおよそ、改良補助で十五億円、それから災害補助で十三億、合して二十八億、約二十八億だったと記憶いたしております。なお、二十五年、二十六年の両年度には災害補助金が出されておりますが、大体、それは八、九億円ではなかったろうかと、かように記憶いたしております。  それから、流下式転換なり、また海水直煮という、新しい製塩工場の設備のために投ぜられた資金のお話でありますが、大体、現在のところ、すべてで二百二、三十億ぐらいではなかろうか、かように記憶いたしております。
  82. 平林剛

    平林剛君 ただいまお話しのように、今日まで国家としても相当の予算を投じてこの産業を助成し、また、今日までの塩の増産のために相当の資金が動かされて、戦時中から見ると一大増産という結果に相なっておるわけで、その限りにおいては、今日までその衝に当った専売公社の労というものはなかなかあったと思うのでありますけれども、結果においてこういうことになり、かつ、八十数億円の資金が国民負担において行われるということは、大へん重大な問題だと私は思うんです。監理官は、今日までの塩田整理のやむなき事態に陥った原因は、何々のようでありました程度しか把握をしておらないようでありますけれども、私は、これは流下式転換における見込み違いが第一であり、第二は、無計画な転換の促進がある。第三には、新規製塩の大量許可、こういうものが重なって、そうして今日のごとき状態に陥った、こう考えるのであります。衆議院の大蔵委員会においても、塩業整備臨時措置法案に対する付帯決議をつけて、政府並びに日本専売公社の施策に欠くるところが大きいものがあったと、こう認められて、これは全般の公平な意見である、こう思うのであります。  専売公社の技術については、かなり私は前から評価しておったのでありますけれども、なぜこういうことに気がつかなかったか。風力とか、いろいろな研究すべき問題については、その施設があって、それぞれ専門的な研究をしておりながら、なお、その生産能力の見込み違いがあったというようなことは、これはやっぱり怠慢という批判を受けてもやむを得ないんじゃないか、こう思うのであります。しかし、政府自体も、一体今日まで何しておったか。専売公社に監理官というのがいるんでしょう。監理官というのは、こういうことを見きわめて適切な対策を打たなきゃいけない立場にある。ほかにはしばらく見ることができないんですから、政府を代表して監理官というのがいるんだ。こういう問題について、なぜあなたの方はもっと早く指摘することができなかったのか、監理官一つお答えを願います。
  83. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 流下式、枝条架方式の生産力の把握の問題でございまするが、私は、ほかの産業につきましても同じようなことが言えるのじゃないかと思うのでありますが、新しい技術ができました場合に、その技術が持つ産業的な効果というものを正確に先まで見通して把握するということは、これは非常に技術屋としてもむずかしい問題ではなかろうかと思うのでございます。もちろん、当時の公社におきましても、いろいろな技術屋がいろいろな考え方をしておったわけでありますけれども、先ほど平林委員に、適当でないというふうなおしかりを受けましたけれども、この枝条架というものは、従来の塩業と違いまして、風の力でもって、従来、日照と、そういうものでございますが、風の力でもって塩の生産をする施設でございます。これは申し上げなくとも、よく御存じのことであろうと思うのでありますが、一体、枝条架を塩田の面積に対して何%にするのが一番いいだろうかということ、これは、たくさん枝条架をつけますと、互いに風を妨害し合いまして、風の生産力に対する効果が非常に減殺されるわけでありまして、そのパーセンテージを最初は五%ぐらいがいい、あるいは八%ぐらいがいいというような、いろいろな憶測をしておったわけでございますが、それがどうも、だんだん、ある程度までは、一〇%でも、あるいは一三%でもふやすに従って生産力が上るというような、そういう実験値が出てくるに従いまして、技術屋の仲間でもいろいろな説が立ち、従って、それぞれの職掌柄、たとえば非常に生産をふやすということだけに、何といいますか、責任のある技術屋は、幾らでも生産をふやすために内輪目に評価をするとか、そういうふうな置かれました立場、あるいはいろいろな実験値の見方によって、この枝条架方式というものの生産力というものは、いろいろに技術屋同士の間でも見方が違ったわけでございます。  もちろん、監理官というものはございまして、専売公社のいろいろな問題について監督をいたしておるわけでございますが、技術的にそういうふうな、何と申しますか、見方の確定しない問題について、監理官の方からとやかく干渉するということは、むしろ私は、公社という自主的な事業体というものを認めました理由からいたしましても、適当でないと思うのであります。もちろん、ある程度、この枝条架方式の持つ生産力の全貌がややはっきりいたしました時代からは、われわれとしましても、その将来の持つ重大性というものにつきまして、しょっちゅう警告をしたわけでございまして、私が監理官になりました当時は、ちょうどそうした枝条架方式の持つ生産力が、将来、塩の専売事業にどういう影響を持つかということが、ややわかりかけた当時でございまして、当時から一貫してわれわれは塩業整備というものの重大性を強調してきたわけでございます。
  84. 平林剛

    平林剛君 製塩方式が流下式に転換されて、将来国内需要が上回る、余剰ができる見通しが濃くなった昭和三十二年に、岡山の錦海湾塩田が許可された。また、幾つかの機械製塩工場の許可が相次いで行われたのであります。これは、私、まことに不可解なんであります。今日八十七億というたくさんの経費を国民負担をして、塩田の整理を行わなければならぬということになったのでありまするが、錦海湾の塩田はまだ操業していない。こういう操業していないものを、一体どうするのか。全般的な今後の塩田の整理いかんにもよりますけれども、これは他にそれこそ転換をさしていったらどうだろうか。総裁は、衆議院の予算委員会の分科会で、まあこの計画は二十八、九年ごろからあったのでというようなお話で、どうもこの錦海湾塩田の計画中止に踏み切るような考え方は持っておらぬようでありまするけれども、私は、計画は計画だと思う。今日でも、これを中止するというような措置もできないことはない。今日これを中止しないことにしているのですか、そのできない理由はどこにあるのか、そういうことについてお答えを願いたい。
  85. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) ただいま錦海湾塩業についてお尋ねがございましたが、錦海湾塩業は、お話がありましたように、計画されましたのは二十八、九年ごろ、当時塩の生産量が四十万トン時代に計画をされました。これは海面を埋め立てて塩田にするという大企業でありまするために、その調査に非常な時日を要しまするので、なかなか進捗に手間取りまして、具体的に許可書が渡されましたのは三十二年の八月ということになっておりますが、実質上の許可に当るようなものは三十一年中に行われておるというようなわけであります。三十一年におきまして、大体国内塩の生産量が、国内塩の自給に到達したというふうに認めまして、当時、三十一年の五月に総裁談を発表いたしまして、今後の新規の製塩の新増設は行わないと、こういう方針をとったのでございまするが、そのあとにおいて、錦海湾はなかなか工事に時間を要しまするので、その工事中にこれを取り消すことができるかどうかということは検討されたのでありまするが、現行の塩専売法のもとにおきましては一たん与えました許可というものは、違法の行為があるとか、あるいは理由なくして一年以上製造をしないとかいうような、特定の理由のありまする場合にのみ取り消しができるという規定になっておりまするので、現在の塩専売法の上からいっては、これを取り消すということはなかなかできかねる、こういう実情にあったわけであります。  なお、この塩ができ過ぎましたために、国内塩生産対策というものを三十二年に入ってからさっそく立てて、これは相手方のあることでありまするので、塩業者とも種々塩の生産対策について協議をいたしたのでありまするが、それにもなかなか時間がかかりまして、三十二年の年末に至りましてようやく国内塩生産対策がきまったのでありまするが、その場合におきましても、一応、既許可のものにつきましては、生産実績のあるものあるいは現在工事中のものというようなものは同様に見まして、あらためてこれが処置を検討すべきであるというような結論にも到達いたしましたので、これはまあ既許可として広く一体に見て、その処置を全体的に考える、その考えるためにどうしたらいいかということで、塩業審議会の答申を求めまして、今回塩整備に関しまする法案提出いたしまして、この法律によって処置して参りたいと、こういう考え方になりつつあるわけであります。
  86. 平林剛

    平林剛君 専売公社としては塩専売法で業務を執行していくわけでありますから、法律をたてにすれば、許可を与えたものであるから、こういうことになってもまあ取り消すというような欠格の条項がなければできないと思います。それは私はわかる。現実の問題としても、これはおなかの子が大きくなっちゃって、六ヵ月、七ヵ月になると、どうも手術ができないというようなことと同じで、現在は錦海湾の塩田を計画を中止して他に転換をするというのは、現実に困難な事情もたくさんあると思う。しかし、今後の塩田の整理をするに当って、衆議院の付帯決議にあるように、既存企業の保全に努力せよということが決議をされましたが、それにもかかわらず、これが不可能になってくるというような場合、無理をしても整理をしなければならないというときには、やはり現在の塩専売法で許可されたものといえども、今回の新しい法律案によって、ある程度強制的な整理が行われる段階でありますから、成り行きによっては検討しなければならぬ、こう思うわけです。  監理官、あなたに伺いますが、今度の法案提出するときに、なぜそういうことを考えなかったのか。
  87. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 先ほど総裁から御答弁になりましたように、今度の整備におきましてわれわれが考えておりまするのは、過剰生産力というものを除去したい。その場合非能率なものから整備をしていきたい。これは御承知のように、日本の国内塩業というものが国際的に見ますというと、非常に立地的に劣っていると申しますか、生産条件として悪い。これが根本的には日本の塩業を不安に陥れている一つの理由でありますが、そういう法律の建前から、いろいろ許可の経緯につきましては問題があったかと思うのでありまするが、やはり今度この法律案が成立いたしました場合には、この法案に基いて、同じ企業として同じ何といいますか、立脚点の上で取扱いをしていきたい、こういうふうな考え方、これがまた、今後近代化、合理化していかねばならぬ日本塩業というものにとっても最も大事なことではないか、こういうふうに考えたからであります。
  88. 平林剛

    平林剛君 総裁にお尋ねしますけれども、先ほど、塩田整理のやむなき事態に陥った原因を、私三つあげました。一つは、流下式転換による生産能力の見込み違い、もう一つは無計画な転換促進、第三は新規製塩の大量許可、こういうことにあると思いますが、あなたのお考えはどうですか。
  89. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 国内塩の原料の自給をはかりたいということは、昭和二十五年の閣議決定がございます。これは戦後の極端な塩飢饉に苦しんだわが国の実情といたしましては、もっともな閣議決定であると思うのであります。その方針に従いまして、塩の増産に努めました。その過程におきまして、流下式、枝条架式という新技術の導入があったわけでございます。  この新技術の導入に当りましては、技術者がモデルを作って十分検討をいたしたはずでございまするけれども、何分新技術でありまするので、いろいろな意見がありましてしかし、終局するところ、公社といたしましては、流下式、枝条架法によりまする一応の生産量を、ヘクタール当り百八十トンと押えたのでございます。これが今日結果的に見まするというと、ヘクタール当り二百五十トンもとれておるというような所も出て参っておりまするので、見通しを誤まったと言われれば、まさにその通りでありまして、非常にその点は遺憾に存ずるわけでございます。  なお第二番目の、塩の増産を無計画に促進したと、こういう点もおっしゃる通りのような傾向はあったと、こういうふうに認めざるを得ないと思うのでありますが、これも少し言いわけのようになりますが、やはり食料塩の全量をできるだけ早い機会に自給したいと、こういう気持が公社の中にございまするし、ことに生産の面に当っておりまする者は、それをもって自分の責任というふうに考える。実は生産の面が走り過ぎましても、公社全体として需給のバランスを見る、あるいは塩会計の全体を見るというブレーキを備えつつ走らなければならぬということは、今日言われればその通りでありまするけれども、当時においてはブレーキの方が少しまあききが悪かったと申しますか、おろそかであったと言われれば、これもまた何とも申しわけのない次第でございます。  そういうような情勢のもとでありまして、ことにヘクタール当り百八十トンというような計算のもとに立ちましたものでありまするからして、海水直煮その他の機械製塩なんかの許可に当りましても、まずこの程度までの許可をしても、食料塩の全量自給にはちょうど達するであろうという点の見通しが甘かったと。それらが総合されてみまするというと、今日では食料塩といたしましてはせいぜい百万トンあればいいのに、まず、平年度生産においては百二十五万トンから百三十万トンの塩ができると、こういうような事態が到来いたしましたので、御指摘の三点につきましては、それぞれ理由と申せば、確かにそういう点が影響して今日の事態を惹起したと、こういうふうに考えられまするので、その点は公社といたしましても非常に申しわけなく思っております。
  90. 平林剛

    平林剛君 大へん総裁は、責任の衝にありますだけに、この問題について率直な考えを持っておられて、私、その点は敬服します。監理官なんぞは、そういう点はどうも責任を痛感しておらない。そこで、私は、塩業政策の直接担当者である専売公社が、不可抗力でない、見通しの誤まりを犯しておる、いろいろ理由はあります、しかし、総裁が率直に述べられたように、まあ今日必ずしもこれは公社の責任ではありませんということにはいえないような事情があるのです。私は、きょうはあまり時間をかけないで質問するつもりでありますから、いろいろ具体的なことは言いませんけれども、塩生産計画における行き過ぎ的な許可などもありまして、今日国民に対して新たに八十数億円の負担をかけ、同時に、多数の関係者に対して失業やあるいは転業の脅威を与えておるのです。総裁もだいぶこのことについては苦悩をされたと思うのでありますけれども、こういう場合の責任というものを一体どういうふうに見るか。私は、これは政党内閣においてもそうです。この塩業政策を行う、まあ結果的にはやむを得ないにいたしましても、こういうときの責任をだれが痛感をするのか、これが明確にならないというと、国民全般はどうも納得しがたい。私はきょうはあまり突っ込んでは言いませんけれども、どうもそういう点は明確を欠いているんですよ。これは、専売公社将来の運営においてこの点は明確にしておくべきじゃないか。  今回の塩業の危機というものは、私は、専売公社の機構にあるのじゃない、人にあるんだ。現在の総裁は、あとで来られて、前任者の跡を継がれ、まことに気の毒な立場でありますけれども、これを一体どういうふうに処理するかということは、十分考えてもらわなければならぬ問題じゃないか。そうでないと、他人は機構にありと考えます。監理官なんかもあれでしょう、一応辞表の提出くらいは、進退伺いくらいなことはやらなければならない、ほんとう言えば。これは今あなたの責任ではない、こういうことに相なるかもしれませんけれども、国鉄の総裁が、かつて汽車を転覆させて多数の死者を出したそのときに、申しわけないということで辞職をされて、そうして国鉄に対する信頼を欠いたことにおわび申し上げた。こういうこれは先例もある。そういう点からいくと、私は、総裁やめなさい、こう言うわけではないけれども、将来のことを考えて、こういう事態があったときの責任体制というものを考えておかぬといかぬのじゃないか。今まで総裁であられた人間野さんは故人になっておられますけれども、当時副総裁であった松田さんは、北海道東北開発公庫の総裁をやっている。直接の衝にあった三井塩脳部長は、やはり傍系会社の枢要な地位を占めている。こんなことじゃ、国民は一体お役人にまかしておけない、こういうことになる。これは深く考えるべきことだと思うんです。総裁は大へん今日の態度がよろしいので、私はお気の毒に存ずるんですよ、これ以上申し上げることは。大へん前から見るとおやせになって、苦労しているということはわかる。監理官はほんとうにその点は、まことにきょうの態度はよくない。ほんとうですよ。責任を感じているという点において、だれが責任を感ずるのか。こういうことをしておいて、だれも責任者が出ない。まことに不可思議な問題です。決して総裁一人をいじめるわけじゃありませんけれども、公社の責任体制ということを今後作る決意というか、そういうことについて何か検討されるお考えはありますか。
  91. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 塩の問題につきましては、この際国民負担において八十七億円の政府支出をしなければならない。また一方において、たとえ退職金をもらいまするけれども、あるいは転業資金をもらいますけれども、長年の生業から離れる者がある。こういう事態につきましては、御指摘がありましたように、まことに私としても同情にたえなく存じている次第でございます。まあ、これだけの見通しを誤まるということが、そうたびたびあるというふうには考えないのでありますが、かなりまあ公社といたしまして大きな反省すべき事実をぶつけられたと申しますか、そういう立場に立ったことは、全体の者が深く考えております。  従いまして、この塩の新増設の問題等につきましても、従来と今度は方針を変えて慎重審議をするというようなことに、部内でも工夫をこらしておりまするし、また、塩業審議会の答申を見ましても、ここでせっかく整理をするのであるからして、整理後また新規の許可等によって増産になり、しかもそれがコストの引き下げにならないで専売会計の負担を増すとか、あるいは国民経済に悪い影響を与えるということのないように、今後の塩の行政と申しますか、特に新技術の導入にもからみまする新規の製塩の許可等について、十分注意をするようにという答申もいただいておりますので、これらの諸点をよく反省いたしまして、運営については万全を期していきたい、かように考えております。
  92. 平林剛

    平林剛君 今、将来の製塩方式についてちょっとお話がありましたけれども、私の承知しているところでは、流下式枝条架よりももっと能率的なイオン交換樹脂膜という方式が研究をされているというようであります。これがどういう性能とどれだけの能力であるかという判定と見通しを誤まりますというと、またそれについてどういう考えをもって臨むかということが欠けておりますというと、必然的に、この第四次ですね、今度が第三次とすれば、第四次の塩田整理をせざるを得ない。そういうようなことを総合的に考えて、今回の提案がなされておるかどうか。また、新しい化学製塩方式について、今後の塩業というような問題についてはどんな検討が進められているか。これは専売公社の総裁、政府の方から意見を、見解を聞いておきたいと思う。
  93. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいま平林委員のおっしゃいましたイオン交換樹脂膜法というのは、確かにおっしゃいますように、非常に飛躍的な新技術でございます。もし、これがうまくいきますれば、現在国際的な塩の価格の三倍もかかっております日本の国内製塩の生産条件が、一気に外国並みのところまで行き得ると考えられるものでございます。しかしながら、このイオン交換樹脂膜法と申しまする方法は、理論的には非常にはっきりいたしておりまするし、現在、数社民間会社で中間プラントといいますか、中間工業化の段階で検討をいたしておるものがあるのでございまするけれども、ただそれが現在理屈の上で考えられるような将来の目ざましい生産力を果して確実に実現するものであるかどうかについては、私はまだ慎重に検討をすべきではないかと思っている次第でございます。  ただ、早晩この方法が出てくることは必定でありまして、先ほど私が引用しました塩業審議会の答申の中におきましても、既存の許可のワク内においてイオン交換樹脂膜法というふうな新技術も取り上ぐべきであると。また、塩業審議会の専門部会と申しまするか、技術屋の非常にすぐれた方々の結論も、この方法は早晩工業化されるであろうけれども、ネコもしゃくしもこれに飛びつくというのは、すべて専売制度の中に入れることは非常に危険であると。従来長い実験的な経験を持ち、あるいは少くとも中間工業化の段階における実績を持っておるようなものを採用すべきであって、すべてこのイオン交換法というものにネコもしゃくしも飛びつこうという方法をそのまま専売法に入れるということには、慎重に検討すべきであるというふうなことを言っているようでありまするが、私もそう考えるのでありまして、もし、このイオン交換樹脂膜法が完全に工業化しますというと、今まで何千坪というふうな所で生産されておりました塩が、ほんの一メートル四方のおけの中ででき上るというふうなことになりまして、非常に革命的なものであり、またその生産力を無批判に専売制度のワクの中に入れまするというと、需要の百万トンの方はふえないわけでございまするから、またぞろこの過剰生産力というものの発生ということとなります。従って、私は今後のこのイオン交換樹脂膜法の採用につきましては、非常に慎重にやると同時に、過剰生産力発生の根源にならないように、既存の許可の範囲内において合併あるいは統合ということで、真にこの新しい技術を消化し得るまでに求めていくといふうな方法によりまして、新技術の採用と、それから過剰生産力の発生の防止というこの二つの、一見矛盾しまするような目的を調整していきたい、こういうふうに考えております。
  94. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) ただいま監理官から大体の説明がありましたが、公社としても全く同じ考え方でございます。イオン交換樹脂膜法につきましては、専売審議会の技術部会においても非常に興味をもって検討をしていただきまして、日本のこの技術の水準というものはかなり高いところに来ていると。しかし、これをまだ実際の製塩に実施するに当っては、せいぜい中間工業試験をする程度ではなかろうか。いきなりこれを本格実施に移すのには、多分の危険がある。その中間工業試験をするにしても、過剰塩の整理をする時代であるからして、既存の許可の範囲内において、そういうものとのタイアップにおいて行うべきであると、こういうような趣旨が塩業審議会の答申でございます。従って、当分の間、ことに整理期間中でありますれば、中間工業試験をしたいというので、しかも、それがかねてその方面の技術について相当の経験を積んでいるというものに限り、そうして既存のワクの範囲内で試験をしてもらうというのが第一段階であり、それらの結果を見て、他の塩業者に取り入れますけれども、この場合においてもイオン交換樹脂膜法の成績の上りますのは、相当数量がよけいできるということがまたそのコストを下げる一要素になっておりますので、独立で許可をするということになるとこれは大へんなことになりますので、それはなかなか考えられない。今、監理官説明にもありましたように、できるだけ既存業者との話し合いにおいて、そのワク内において許可をするというようなことの方針をとるべきであろう、かように考えまするが、それはかなりまだ先の問題ではないか、かように思います。
  95. 平林剛

    平林剛君 このイオン交換樹脂膜の製塩方式については、私も実際のものを見ていないのでよくわからない。しかし、お話のような、すぐ塩田整理に結びつけるのじゃなく、輸入塩の問題もあるので、これは二百万トン、一般の輸入塩のことを考えるというと、一がいに割り当てするという結論にすぐなるかどうか、私もまだ疑問に思っている。これはまあ将来もう一回質問する機会があると思いますから、それに譲りますが、最後に一つだけ聞いておきます。  法律の第十二条に、臨時塩業整備審議会の設置が提案をされておりまして、この委員会については、学識経験のある者から公社の総裁が委嘱するということになっている。さっき監理官説明の中では、何だか塩の技術あるいはこういう問題に関係のある人の中から選ぶかのごとき話をしておったのでありますけれども、私は、この選定は非常にむずかしいのではないか。特に、利害関係者などが委員として委嘱をされたという場合、その立場も困るし、それからまたやはりいろいろな問題が生ずる、こういうことから、この総裁が委嘱をする学識経験者というものは、相当慎重な配慮をしなければならない。もしどうしても塩業の代表者を入れるようであれば、労働者も入れる、こういうような考えでなければいけない。それを入れなければ、労働者の方もまあやむを得ないというような形で参りませんというと、またここが問題の種になるおそれがある。総裁においては、この委嘱に当っては相当慎重にやってもらいたいと思っておりますが、あなたのお考えを聞かしておいて下さい。
  96. 松隈秀雄

    説明員(松隈秀雄君) 塩業整備審議会の委員七名は学識経験者のうちから選ぶということになっておりますが、この仕事の実態につきましては、先ほどの監理官説明にもありました通り、苦情処理とか企業診断とかということが中心になるかと思うのであります。そうしまするというと、塩業者の中から選ばれた委員もなかなかやりにくい仕事になるのじゃないかということを心配いたしております。かたがた、利益代表的な意味の人でなくて、広い視野から苦情処理なり、また企業診断なりに適当な人を探すという方が、この審議会の運営が円滑にいくのではないかと、かように考えておりますので、衆議院におきましてもいろいろ御意見がございましたが、ただいま平林委員の御注意もありましたので、慎重に考慮いたして、その上で決定したいと思います。
  97. 加藤正人

    委員長加藤正人君) なお質問の通告もございますが、時間の関係もありますので、次の酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案、これとともに後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会をいたしたいと思います。    午後五時三十四分散会