○国務大臣(佐藤榮作君) なるほど、この
法律案が
成立しないのにはいろいろの御批判もあったことだと思います。しかし、まあ前臨時
国会などは特別な理由から
審議が中断された、こういうこともありまして、なかなか運の悪い
法律案であることも一部御了承いただきたいと思うのでございます。今回は通常
国会になりまして、順調に御
審議をいただいておることでございますので、そういたしますと、これは可決
成立を
政府が期待することも、これもあながち無理ではないだろう。この点は御了承がいただけるのではないかと思います。また、私も議席を持っておりまして、
委員会等の出席なりの状況等についても、いろいろの考え方をいたすのであります。今、
平林委員は、どうもあまり熱がないから集まりが悪いのだという御指摘もございますが、あまり問題がないときには出てこない場合もあることでございますので、これは一がいに、その出席が悪いから、みんなこれはこの
法案に対して冷淡だ、こういう結論だけでもないのではないかと思います。そういうことは、いずれにいたしましても、とにかくこの
法律案も長い間御
審議をいただいておりますから、
政府の
説明等につきまして不十分な点があるということでおしかりを受けますならば、これは私
どもいかようにでも努力はいたします。どうかそういう意味で、一日も早く御
審議を
一つ進めていただき、結論を出していただくように、これまた心からお願いをいたします。
そこで、こういうように、
審議にかかっておる
法律案の
審議が、過去の経過から見ても、なかなか
成立しにくいのじゃないかと思えるような場合に、次の
法律案を出すのはよろしくないじゃないか、こういうことでございますが、普通の
状態で考えて参りますと、片一方で
法律案は
審議される、その
審議されることを前提にいたしまして、やはり関連的な計画を立てておる。これは
国会の通常のしきたりでございまして、私
どもこの点では別に無理をしておるとは思いません。従って、この点は、他の
法律案の取扱い等と関連してお考え願いますと、今
政府がどういう計画を持っておろうと、この点もこれまた御了承ができるのではないかと思います。私が、この
法律案について、もちろん皆様の御
審議をいただいておる今日でございますから、将来の見通しがどうなるということを申し上げることは、これは大へん僭越しごくなことであると思いますが、しかし、これが可決されないのだとして、次の
段階でいろいろものを考えることは、それこそ、これまた可決を予定して考えると同様に、それは不都合なことだろうと思います。また、この
法律案が、過去の結果においてまずかったということはございましても、今回、それを理由にして特別な工夫をすべき筋のものではない。これが私の考え方でございます。
そこで、今日のIMF、世銀に対する
出資の問題でございますが、ただいま
政府は、その
出資の
法律案の御
審議を得るべく閣
議決定をして衆議院に
法律案を送付いたしておりますが、まだ衆議院におきましては、この
法律案をいずれの
委員会において取り上げるか、議運においてただいま
審議の途中でございます。従いまして、今後これがどういうように取り扱われるか、これはいつに
国会の取扱いの問題になっておることでありますが、
せつかくお尋ねがございましたので、
政府がかような
法律案を提案いたしました経過を、この際一
通りお話を申し上げまして、御了承を願つておきたいと思うのであります。
で、今までこれは御
承知のように、昨年、私、皆様のお許しを得まして、インドのニューデリーに参りました。世銀の会議に出席をいたしました。その際に、ニューデリーの総会におきまして、IMF並びに世銀の増資の問題が可決——可決と申すより、決議をされたのであります。この総会で増資を決議いたしましたのが三十三年の十月でございますが、この決議に基いて、昨年の十二月十九日に理事会で、ニューデリー総会の決議の
報告書及びその決議案、今度は各国に対する割当の決議案を作成して、十二月二十二日にこれを各国総務あてに送付いたしたのであります。そこで、理事会では、十二月十九日に増資の各国の割当案を作つた。しかし、これは理事会がきめるものではございませんので、総務会に諮る案を作
つたのでありまして、それが十二月二十二日に各総務に送付された。そうして、これで各国が今度は投票を開始するのであります。投票開始と申しますのは、増資割当を決定をいたしましたが、その増資割当は三十四年の二月二日、これまでに増資割当についての賛成投票がそれぞれ八〇%以上に達しないと、有効にそれがきまらない、こういう
規定がありますので、これに基いて、二月二日までに投票が始ま
つたのであります。日本の場合におきましては、一月の二十六日に、日本に対する割当の賛成投票をいたしました。そうして一月の二十九日では、日本の割当に対する各国の賛成は、IMFの方では六五%の投票を得た。また世銀に関しては、二十七日の午後五時現在では、六九%の投票を獲得した。そうして一月の三十日の正午になりまして、IMF並びに世銀とも、八〇%以上の投票を獲得した、こういうことにな
つたのであります。今後は、日本の割当がそれで有効にきま
つたのでございますから、日本自身がこの日本に対する割当に対して同意書を
提出いたしますれば、それで割当が正式に確定する、こういう段取りになるのであります。そうしてそれがきまりました後におきましては、この
払い込みの期限は、IMFの場合は十月の十五日、世銀の場合は三十四年十二月末日までが期限でございます。
そこで、事務的にはただいま申した
通りでございますが、今回の問題は、私、インドへ参ります際にも皆様にもお願いをいたしましたように、日本は、最近の経済情勢から見て、特別増資割当を受けたい。いわゆる平均の割当でなくて、日本の経済力に相応するように特段の配意をしてくれ、こういう希望を述べて参
つたのであります。その結果、今回の増資に当りましては、日本に対しては特段の割当がきま
つたのであります。IMFにおきましては、在来二億五千万ドルでありましたものが、これが倍額になりまして、五億、それから世銀の方は二億五千万ドルでありましたものに対して、今度の割当で六億六千六百万といいますか、倍額以上の割当を受けたのでございます。
そこで問題になりますのは、いろいろ衆議院の方でお尋ねをいただいたので、参議院におきましても同様の御疑念がおありではないかと思いますことは、
予算を編成する際に予見された事項について、どうして別途の補正
予算を組んだか、なぜ本
予算に組まなかったのか、こういうのが第一点でございますが、ただいま申し上げるように、この増資の
手続は、中間において大体——昨年の十二月二十二日と申しますか、理事会で案が決定されたら大体予見されることじゃないか、こういう議論が一部にはあるのでございます。しかし、これは、事柄の性質上少し早目のように実は思うのでありまして、大体八〇%以上の賛成投票を得たときに、また日本がそれを引き受けるという意思がはっきりした場合に、これが支出として予見された事態が起つた、こういうことが正確ではないかと思うのであります。あるいは昨年十二月の
程度でもうよろしいのじゃないかという言い方もあろうかと思いますが、事柄の性質上、各国が
関係しておる問題でございますし、どうも扱い方としてはもっと慎重に扱うべきではないか。ちようどIMF、世銀ができました際に、当初ある
程度予定して
法律案を出しましたが、実際にはそれより以上のものが出て参つたこともあるのでございます。国際的慣例から申しましても、投票を事前に予見してやりますことはどうも不穏当だろう、こういうことで、私
ども特にいろいろ工夫をいたしまして、今回は補正
予算にすることの方が適当だろう、こういう実は結論にな
つたのであります。本来から申しますならば、一本の
法律案で出しますことが、皆様の御
審議を得る上におきましても、また
政府といたしましても、その方が非常にすつきりしていいことには間違いはないのでございます。しかしながら、IMFや世銀の総務会の決議によるものでありますだけに、そこのところは慎重に扱うべきだという議論で、実は別途の案にいたして、この補正を組むことに決意いたしたのであります。世上におきましては、原案の
数字をいじるのがいやだったからそうしたのじゃないかという議論がございますが、それなどはこれは当らない考え方で、私
ども最初から一本に組むべきじゃないか、あるいはまた補正にすべきである。財政法その他からもいろいろ議論をしてみたものでございます。しかし、結局、補正を組むことにいたしたのであります。
次の問題といたしましては、どうも、補正にするにしても、補正
予算案
提出の時期が非常に不穏当じゃないかという御批判を実はいただいたのであります。過去におきましても、本
予算が衆議院から参議院に回付された後に、その年の補正
予算を提案したことはございますが、今回のように本
予算の質問中、しかも、それも総括質問中にその補正
予算を出すということは、いかにも時期が当を得ないという実はおしかりを受けたのでございます。私
どもも、この
提出の時期について、やはりこれまたいかがしたものか、いろいろ工夫もいたしたのでございます。もう正直に申しますが、一体どうすべきか、もう少し時期をおくらして出すべきじゃないかということを実は考えたのでございますが、どうもこのIMFや世銀の増資に関しましては、昨年以来
政府がみずから進んで、また皆様方にも、たびたび、増資を決意しておること、また特別割当を心から願つておることなどお話をいたして参っておりますので、今さら時期をおくらすことは、
国会に対してもどうも当を得ないのじゃないか。二月二日という締め切り当日、そこではっきり八〇%以上の支持を得たら、それはもうそのままを、ありのままで
法律案を
提出すべきが、これが一番正直な
方法でよろしいのじゃないか。何ら工夫しないで、そのままただ出すことにしよう。またそうすることが、同時に、日本を支持してくれました各国に対するまあ儀礼でもあろうと、こういうことで、いわゆる、まあ
国会に対しましては、ありのままの正直な姿を出すことでございますから、これが一番いいことだろうし、また各国に対しても、その支持を得た国に対する儀礼的にも、早く
法律案を出すことが望ましいだろうということで、実は
法律案を出したのでございます。
どうも、これらの点では、今までの異例でございますだけに、いろいろ疑念等を持たれたようでございますが、そういうような次第でございますから、この際その二点について、特に私
どもの考え方を率直に御披露いたす次第であります。何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
で、これはこの増資案の扱い方の問題でございます。また、先ほど来お話しになりました
接収貴金属等の
処理の問題は
処理の問題として、どこまでもこれの
成立を期しております。そういう意味で、何とぞよろしく御
審議を願います。