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1959-02-17 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)    午後二時八分開会   —————————————   委員の異動 二月十三日委員木暮武太夫君、前田佳 都男君、岡崎真一君、井上知治君及び 梶原茂嘉辞任につき、その補欠とし て小山邦太郎君、江藤智君、川村松助 君、田中茂穂君及び塩見俊二君を議長 において指名した。 二月十四日委員小山邦太郎君、江藤智 君、川村松助君、田中茂穂君、高橋衛 君及び高橋進太郎辞任につき、その 補欠として木暮武太夫君、前田佳都男 君、岡崎真一君、井上知治君、廣瀬久 忠君及び林田正治君を議長において指 名した。 本日委員林田正治君及び井上知治君辞 任につき、その補欠として石坂豊一君 及び斎藤昇君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            石坂 豊一君            木暮武太夫君            斎藤  昇君            迫水 久常君            塩見 俊二君            西川甚五郎君            宮澤 喜一君            小酒井義男君            小林 孝平君            野溝  勝君            前田 久吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省理財局長 正示啓次郎君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    大蔵省銀行局長 石田  正君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○接収貴金属等処理に関する法律案  (内閣提出) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員変更について報告をいたします。  本日付、林田正治君及び井上知治君が辞任されまして、その補欠として石坂豊一君及び斎藤昇君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 接収貴金属等処理に関する法律案議題に供します。  本法案につきましては、前国会において補足説明を聴取いたしておりますが、その後本委員会委員変更も多少ございますので、あらためて簡単にその補足説明を聴取することにいたします。
  4. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) ただいま議題となっております接収貴金属等処理に関する法律案につきまして、簡単に御説明をいたしたいと思います。  まず、どうしてこの法律が必要であるかという点でございますが、その前に接収の経緯から簡単に申し上げますと、御承知のように、終戦直後の昭和二十年九月末から二十五年の五月にかけまして、連合国占領軍は、その直接行動によりまして、金、銀、白金ダイヤモンド等を、国、日銀あるいは貴金属等回収機関、また民間等から、無償で、しかも強制的に接収をいたしたのでございます。講和条約が発効いたしまして、これらの貴金属は、民間所有財産であることが判明した個々の物件を返還する計画を立てることを認めるという覚書を付して、一括して政府引き渡しを受けたのでございます。この貴金属接収という事実は、連合国占領軍の発表、あるいはただいま申しました覚書、あるいは国際法規等に照らしまして、これは単に貴金属等の占有が連合国占領軍移つただけであつて、所有権には何ら影響がないと、こういう解釈をとつておるのでございます。従いまして、当然、政府は、連合国占領軍から引き渡しを受けた貴金属等につきましては、もと所有権者返還する義務があると考えておるのでございます。  ところが、御承知のように、連合国占領軍は、これらの貴金属を管理しております間に、インゴットでありますとか一部の美術品につきましては、接収当時とそつくりそのままの状態保管しておりますが、その他のものにつきましては、これを溶解したりあるいは混合いたしておりまして、接収したときと同じ形で残つておらないものが相当あるのでございます。また、戦時中日本軍占領地域から略奪したと思われるような貴金属につきましては、これをそれぞれの国に返還しております。あるいはまた、一部の貴金属につきましては、連合国占領軍売却処分をいたしております。しかしながら、それにかわるべき代替物を管理いたしておりまして、日本政府に引き継ぎしたものもあるわけでございます。このように、政府連合国占領軍から引き継ぎました貴金属は、接収が行われました当時の貴金属と比較いたしますと、数量は少くなっておるわけであります。また接収当時と同じ状態のものもあれば、形が変つておるものもある、種類が変つておるものもあるというような次第でございまして、このような状態にあります接収貴金属を、民法一般原則によりまして、もと所有者返還するということになりますと、きわめて複雑な結果を生ずるのでございます。  すなわち、接収当時と同じ状態にあるものを除きまして、接収貴金属等民法にいういわゆる混和の状態にあるのでありまして、すなわち接収された者全部の共有物というふうに観念されるのであります。これを分割することはなかなか容易ではないのでありまして、民法規定によりますと、接収された者がその分割方法を協議して、協議がととのわないときには裁判所に請求して分割するというようなことになっておりますが、実際問題といたしまして、数量も膨大でありますし、関係者もきわめて多数全国に分散しておるというような状態であります。なお、接収されましてから相当長い年月もたつておるのでございまして、このような状態におきまして、民法規定によりまして迅速かつ適正にこれを処理するということは、きわめて困難といわなければならないのでございます。そこで、接収貴金属処理につきましては、最も実情に即した方法によりまして、かつ、審議会を設け、学識経験者の衆知を集めました公正な判断に基きまして、迅速かつ適正な処理を行うという考えのもとに、この法律案を立案いたしたような次第でございます。  その法律案内容につきましては、お手元に配つております縦の表で、接収貴金属等処理に関する法律案概要というところに、概略記載しておりますが、まず、第五条で、返還請求手続規定いたしております。この法律施行後五カ月以内に大蔵大臣に対して返還請求をすることができるといたしまして、ただし、貴金属等接収された者は必ずしもその所有者であるとは限らないのでありまして、接収を受けた者が返還請求をしない場合におきましては、その貴金属所有者法律施行の日から七カ月以内に返還請求ができるということにいたしております。  このようにして返還請求がありますと、第六条の規定によりまして、大蔵大臣は、接収貴金属等処理審議会に付議いたしまして、その議決に基きまして認定を行うわけでございます。この認定は、いろいろな接収関係記録あるいは被接収者が持っております領収書等いろんな証拠資料に基きまして、何が幾ら接収されたかということを認定をいたすのでございます。これによりまして接収の事実を確認いたしまして、その確認に基いて返還を行うというわけでございます。  返還方法でございますが、八条、九条、十条に規定してございます。まず、認定されました接収貴金属大蔵大臣保管しております貴金属の中でどのものであるかということがはっきり識別することができる場合、いわゆる特定物と申しておりますが、その場合はそのもの自体返還いたすのでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、連合国占領軍が溶解あるいはその他の処理をいたしているものも相当あるわけでございまして、いわゆるこういったものは不特定物と呼んでおりますが、そのものにつきましては、第九条に規定してございますところによりまして、一定方法によりまして按分して返還するという方法を考えているのでございます。すなわち、認定された接収貴金属種類形状品位重量、そういったすべての点においてひとしい保管貴金属等があれば、まずそれを認定された接収貴金属等の個数、評価額に応じて按分して返還する。この場合、すべてが判然しない場合があるわけでございます。種類形状等はわかりますが、品位重量がわからないというときには、品位重量一定方法で擬制をいたしまして按分して分つ、分つて返還する、こういう手続規定いたしまして、この部分民法共有物分割方法の特例をなすわけでございます。以上申しましたような方法によりまして返還されないか、あるいは一部分しか返還を受けなというものにつきましては、連合国占領軍が溶解して作つた地金、あるいは連合国占領軍が処分した代償である地金あるいは預金というものを、不足の部分に按分して返還するということにいたしております。  なお、代替地金については、十条によって返還することになっております。  それから七条、十三条は不服の申し立て規定でございまして、認定または返還通知が到着してから一カ月以内に不服の申し立てをすることができる。  それから十一条、十四条は、返還請求がなかったりあるいは認定数量保管数量より少い場合返還することができない貴金属、あるいは返還通知があった日から五年以内に受け取らない貴金属は、国に帰属することにいたしております。  それから次に、十六条にございますように、民間返還をいたします場合におきましては、返還を受ける者から、接収貴金属政府が管理しておりましたその費用を弁償するという意味合いにおきまして、返還される貴金属の時価の一割相当額を一応納付金として徴収するということにいたしております。  以上が一般的な取扱いでございますが、次に、二十条、二十一条には、戦時中の回収貴金属等について特別な規定を設けているのでございまして、戦時政府の委託を受けまして交易営団等回収いたしました貴金属、これは百十四億ばかりあると推計されておりますが、これは国に帰属させまして、そのかわりに、交易営団等戦時回収に当りまして供出者に支払いました代金あるいは手数量加工費等、これは約四億円と推計されますが、これをその回収に当つた機関に交付するということにいたしております。  最後に、二十二条ないし二十六条にありますように、これらの処理に当りましては、特に慎重公正を期する必要がありますので、学識経験者及び各省事務次官をもって回収貴金属等処理審議会を設けまして、認定返還、不服の申し立てに対する決定その他の処理についての重要事項を付議いたしまして、その議決に基いて処理をするということにいたしてあります。  大体以上がこの法律案概要でございます。  連合国占領軍から引き渡しを受けました貴金属等は、政府引き渡しを受けましてからは、引き渡しを受けたときと同じ状態において、厳重に慎重な注意をもって日本銀行の倉庫に保管あるいは造幣局保管をいたしておるのでございますが、ただ、その間例外といたしまして、返還措置をとりました件は二件ございまして、一つは、昭和二十七年わが国国際通貨基金に加盟いたします際に、その払い込みに充てますために日本銀行に金十五トン余りを返還いたしました。政府がそれを購入の上国際通貨基金出資に充てたのが第一点。それから、御承知通り、昨年百円銀貨製造の用に供するために、国が持っております銀塊、特定銀約四百三十六トンを処理をいたしたのでございます。この二つを除きまして、現物には全く変化がないのでございます。  しからば、この貴金属がどういった数量に上っておるかという点につきましては、これはお手元に配つております、保管貴金属等数量及び評価額調というのがございまして、種類別重量金額を表示してございますが、合計いたしまして六百七十四億となっております。  さらに、これが返還される場合にどういったところへ返還されていくかというのは接収貴金属等返還見込調という表にしておりまして、政府関係、すなわち一般会計交易営団等貴金属特別会計造幣局特別会計、その他の特別会計等、それから日本銀行、それから民間というふうになっておるのでございまして、民間に返ります分は、この表でごらんになります通り、四十一億でございますが、その隣の日本銀行のところにカッコいたしまして、「内買戻条件付金製品三億円」とございます。これは戦時中日本銀行が逆に買戻し条件付でもって金製品を買いましたものがあるわけでございます。これは当然、その権利を行使されますと、民間に返るわけでございます。これを合せますと四十四億円、こういうことになるわけでございます。  ところが、この民間の四十四億円につきまして、さらに法人個人でどういう別になるかと申しますと、あるいは業種別にどういった人に返つていくかという点につきましては、もう一つの縦の表に、民間所有者業種別等件数調というのがございまして、法人が約三十九億円、個人が約二億円、こういうふうになっておりまして、この表でごらんいただきますとおわかりになりますように、法人につきましてはもちろんのこと、個人につきましても、大体業務用と申しますか、本来の仕事の関係で、どうしてもその貴金属を保有する必要があったと、こう思われるものがまあ大部分であるわけでございます。従いまして、この点におきまして、一部に、この接収貴金属戦時回収を怠つたものが戦後において接収されたのである、従ってそういう国策に協力しなかった者には返還する必要がないではないか、あるいは返還するにつきましても、相当多額の納付金を取るべきではないかという御議論も耳にするのでございますが、そういったものは個人の約二億円の、しかもその中のごく小部分に当るにすぎないと私どもは考えておるのでございます。  そういうふうに、この貴金属接収が行われましてから、すでに今日十年以上もたつております。占領軍から政府が引き継ぎを受けましてからでも、もう七年の歳月がたつているわけでございまして、この長い間の期間、経済的に申しますれば、金でありますと国内産金量の十三年分、銀でありますれば七年分、白金でありますれば一年の輸入量に相当する、そのほか十六万一千カラットというダイヤモンドも含まれております。こういった貴重な資産を寝かしているということは、国家経済上もまことに不経済なことであると申さなければならないのでございます。  さらに、御承知のように、昭和三十四年度におきまして、わが国国際通貨基金及び世銀の増資の払い込みに応ずるということにいたしておるのでございますが、その財源といたしまして、これは後刻法案提出して御審議を願うことになると思うのでございますが、その法案にも明らかでありますように、この日本銀行所有接収金の一部を同行に返還いたしまして、その再評価益納付金として納付させまして、財源に充てているのでございます。もちろん、法律成立をいたしまして、その法律規定に従いまして、日本銀行の方へ返還をいたしました上におきまして評価がえをするということを予定いたしております。  それから、予算書ごらんになるとおわかりのように、この法律通りますれば、国に帰属すると思われます銀の処分収入約二十四億円を歳入に見込んでおります。こういうふうに来年度の予算におきましては、この法律案成立を見た上におきまして、実施いたします上において、収入をそれぞれ歳入に見込むという措置とつております関係もござまして、私どもは一日もすみやかにこの法律案成立することを望んでいる次第でございまして、そういったいろいろな観点から、一つ一日も早く御審議をいただきたいと、ひたすらお願い申し上げる次第でございます。  大へん簡単でございましたが、以上で御説明を終ります。
  5. 平林剛

    平林剛君 私は、先般のこの法律案審議に際しまして、資料要求をいたしておいたのであります。それは四件ありまして、第一は、接収貴金属の中で民間所有権を侵害しないとみなされるものがどれだけあるか。政府の御答弁によりますと、若干ある、あるいは少からぬ数量があると答えておりましたが、後にこれを推計で提出をするという答弁をいたしております。従って、この資料の御提出がないようでありますが、どうなっているか。  第二は、同じく私から要求いたしたものでありますが、敗戦の結果、わが国が旧連合国支払つた賠償の総額についてただしたのに対して、資料の持ち合せがないから後に答弁すると言つたままになっております。これについて、いつ御説明があるか。  第三は、栗山議員からの要求によるものでありましたが、戦時一般国民から、ほしがりません勝つまではということで、貴金属供出をさせたことがあるが、この中で政府機関の中に入っておる数量は幾らであるか。これについても、後刻調査をして答えると答えたままになっております。  第四は、私からの要求で、個人及び法人返還を受くべき数がかなりあるが、これを金額によるベスト・テン、会社名個人名もしくは現在の地位、こういうことについて説明を求めました。最後の点は、これは後ほど委員長のお取り計らいによりまして適宜な措置を講ぜられるものと思いますが、さきにあげた三つの資料要求に対してはいかが相なっておるか。
  6. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) まず、第一点の資料は、接収貴金属のうちの特定物についての数量提出しろという御要求であったと思うのでありますが、先ほど申しましたように、日銀IMF出資のために返還いたしました金十五トン、あるいは昨年銀貨製造用に当てました四百三十六トンというふうに、きわめて、一回ごとの記号番号記録その他あらゆる資料が整備されておるものを、われわれは特定物と言っておるのでございますが、しかしながら、この資料の整備の仕方につきましては、いろいろな段階があるわけでございまして、具体的には結局、この法案通りましたところで、個々のケース、申請にかかります個々貴金属につきまして、接収貴金属等処理審議会に諮りまして、そこで認定をする、その上で特定物が幾らあったかということは結果的にわかつてくるのでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、政府が現段階において持っておりますいろいろな資料から、特定物認定されるものがどれくらいあるかということは正確には申し上げかねます。大体推計いたしますと、日本銀行所有の金六十二トン、それから一般会計所属の銀八十トン、それから貴金属特別会計の銀一・七トン、それから中央物資活用協会の銀百五十トン、それから金でございますが、貴金属特別会計の金が二トン、それから民間分の銀が二十二トン、まあ現在の私ども手元資料で推計されますところによりますと、その程度数量に上っておるのでございます。  それから次に、賠償にどれだけ払つたかという数字でございますが、これは昨年の十二月末現在におきまして、ビルマ、フィリピン、インドネシア、合計いたしまして五百六億という数字になっております。  それから、回収した貴金属等数量がわからないかというお尋ねでございましたが、これは昨年暮、当委員会の御要求によりまして、資料提出してございます。その中に、第二に、回収貴金属等数量調というのを掲げてございます。そこにございますように、交易営団中央物資活用協会金銀運営会金属配給統制株式会社、これらの回収機関別に金、銀、白金ダイヤモンド等数量をあげてございます。しかしながら、ここに掲げました数量は、接収貴金属等数量等報告に関する法律、二十七年の法律でございますが、この法律に基きまして、これらのここにあげております四つ回収機関が、連合国占領軍接収された回収貴金属ということで報告して参りましたものを集計いたしたものでございまして、そういう意味におきまして、これがすべての回収貴金属の全部であるというわけには参らないのでございます。銀、白金ダイヤモンド非常回収昭和十九年の七月ないし九月ごろから始められまして、翌二十年の八月には終戦となりましたので、大部分回収貴金属国家目的に使用されないままで残つておりまして、ここにあげております機関から連合国占領軍接収されておるのでございます。しかしながら、これ以外に戦時中に回収されました貴金属といたしましては、これらの回収機関連合国占領軍接収されます前に、軍需省でありますとか旧陸海軍に売却いたしたものも多少あると思われるのでございますが、これらの数字につきましては、はっきりと明確なその資料は残つておらないのでございます。まあそういうものがあり得るということは当然考えられるわけでございます。しかしながら、もしそういうものがございました場合は、これらの貴金属がその軍需省あるいは陸海軍からまた民間の方へずっと流れていくわけでございますが、その場合におきましてこの民間軍需品製造業者が払い下げを受けたものであると、そうしてその人が持っておる間に接収されたということでありますと、ただいま御審議願つております法律案の二十条によりまして、これは国に帰属する、こういうことになるわけでございます。なお、金につきましては、新産金つぶし金とも貴金属特別会計に集中されておつたのでございまして、金使用規則という規則がございまして、これに基いて、医療用でありますとかその他の目的に配給されておつたのでございます。また軍事目的に使うために軍需省あるいは陸海軍へ売却しておったものもあるわけでございます。これも先ほど申しましたと同様に、さらに民間軍需品業者に渡つておりますれば、これがこの接収貴金属法律案の二十条によりまして国に帰属する、こういうことになるわけでございます。
  7. 平林剛

    平林剛君 ちょっと、途中ですが、今御答弁になっておりますので、せつかくだからお聞きしておったわけでありますけれども、やはり資料提出をしてもらいたいという要望になっておりますから、ただいままでのところは議事録承知することもできますが、念のため、四つ要求につきまして、資料として御提出を願いたい、かように存じます。委員長においては、資料として提出せられるようにお願いをいたします。
  8. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) ただいま御説明いたしております資料は、昨年の暮、提出いたしておりますが、今おあげになりました四点につきまして、口頭でお答えいたしました点につきましては、別途、後刻資料として御提出いたしたいと存じます。  最後に御要求のございました接収貴金属民間に返ります場合に、法人個人の別に分けまして、上から十番目あたりまで具体的に名前を知らせてほしい、この点でございますが、これは前国会にも申し上げましたように、個人財産内容にわたりますことでございますので、私どもは公けの席におきましてこれを明らかにすることは御遠慮申し上げたいと思いますが、もし秘密会でもお開きいただきますれば、口頭でもってお話しする程度にしてはいかがかと考えておるのでございます。
  9. 加藤正人

    委員長加藤正人君) では、これより秘密会に移ります。    午後二時三十八分秘密会に移る
  10. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をとめて下さい。    午後二時三十九分速記中止    ——————————    午後二時五十二分速記開始
  11. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて下さい。  これをもって秘密会を閉じることにいたします。    午後二時五十三分秘密会を終    る
  12. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいま大蔵大臣がお見えになっておりますから、経済一般について御質問を願います。
  13. 平林剛

    平林剛君 経済問題については、また別の機会にお尋ねいたすことにいたしまして、ただいままで議題になっておりました接収貴金属処理に関する法律案に関して、大蔵大臣に基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思います。  この法律案審議になりましてから相当長い期間が経過しておることは、御承知通りであります。しかるに、その期間の間に、対象となる接収貴金属数量がどんどん変つておる。先ほども政府補足説明にありましたように、前回は補助貨幣の材料として約四百三十六トンの銀の使用をいたしまして、今回はまた、法律成立する前から、世銀やIMF出資のために、日銀の所有している金の評価がえをきめまして、これを三十三年度補正予算財源といたしておるのであります。法律案が今国会でもし成立せないことがございましたならば、政府は、自分の自由裁量によって、日銀の所有しておる金については、その一部を勝手に処理するつもりのように見受けられます。こういう態度は、私、当委員会法律案提出して審議を願つておりながら、一方では勝手にどんどん独自の処理を進めていく。まことに適当な措置ではない。私どもといたしましては、この法案審議において政府の態度は大へん疑問でありますし、きわめて不満に存じております。一体どういうお気持でその処理をなさつておるのか、これについて基本的な考えをお聞きしたいと思います。
  14. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 接収貴金属等処理に関する法律案、これはよほど以前から御審議をいただいております。衆参両院とも大へん御熱心に御審議をいただいておりながら、本日まで成立を見ておらないことはまことに残念に思っております。今回の通常国会に際しましても、本法案を提案いたしまして、政府当局といたしましては何としてもこの法案成立を期する、こういうことで心からお願いをいたしておるのでございます。  ただいま、大へん政府の考え方が不まじめじゃないか、あるいは何を考えておるのかわからない、こういうお話で、もしもこの法案が通らなかったら政府は勝手に処理するのじゃないか、こういうようなお話がございますが、これはおそらく、今日までの審議の経過から、事務当局からさようなお話をしたかと思います。そういう点で、いろいろ誤解をいただいておるのだろうと思います。私ども政府といたしましては、むろん、どこまでもこの法律案成立を心から願つておるのでございます。まだ審議の期間も十分あることでございますし、私は、十分皆さま方の御賛成を得ましてこの法案が可決されるようにただこれのみを心から願つておるだけでございます。ここでそういう話をしても始まらぬと、あるいはおしかりを受けるかもわかりません。これはもう正直にそういう点を申せば、法律ができ上らない、可決されないという場合にどうするかという始末を、まあ無理やりに理論的に詰められてお尋ねをされますと、あるいは政府委員から突き進んでお話をしたのではないかと実は心配をいたしておりますが、その法律ができることを第一段に考えておるのでございますし、ただいまの段階におきましては、その法律のでき上らないことを実は考えてとやかくする筋ではないだろう、かように思っております。法律案を提案いたします場合において、これはもう予算関係法律案がその通りでございますが、法律成立するというか、可決されることを予定いたしまして、いろいろもくろみを立てておるわけでございます。その意味においても、本法案はぜひとも皆様方の御審議によりまして可決されるよう、心から願つておる次第でございます。何とぞ御了承をお願いしたいと思います。
  15. 平林剛

    平林剛君 提出者としての政府法律案成立を期待をするというのは当りまえのことかもしれませんけれども、大体、この法律がすでに何回も提出されておりながら、なかなか議会の承認を得られないには、それ相当の理由があるわけであります。また、今までの例から見ると、今お話しのように、ただ成立を願つているというだけでは済まない段階が来るかもしれない。今日の委員会の開会の事情をごらんになっても、すぐわかることであります。大蔵委員会が開会をせられても、一時間たつても定足数に達しない、なかなか委員長初め各関係者は苦心をして、委員会成立をはかるという実情でございます。これがさらに期間が経過いたしますと、諸般の事情から、ますます委員会審議も困難になる。こういうことを考えると、成立をせないかもしれないということも考えておかなければいかぬ。  そこで、私は、今後の審議いかんによってどうなるか、それはわかりませんけれども、まずある程度予想せられるのは、成立をしないかもしれないということがある以上、政府は、この成立しないかもしれないときに、勝手に——勝手にといえば少し言葉が過ぎるかもしれませんけれども、それを予定して、世銀やIMF出資処理を進めておるということは、どうも妥当ではないのじゃないかと思います。逆に、もしかりに今度の場合成立をするということを確信をしておるならば、やはり国会にこの法案審議をまかせたのでありますから、その結論を待ってからその次の処理をすべきだと思う。しかるに、成立を確信しながら、それがまだきまらないうちに、三十三年度の補正予算財源にこの法律案貴金属評価がえをきめるということはまことに不穏当ではないか。どちらの立場から立っても、私は理屈に合つてこないのじゃないかと思うのであります。両方の立場から一つ説明をしてもらいたい。
  16. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) なるほど、この法律案成立しないのにはいろいろの御批判もあったことだと思います。しかし、まあ前臨時国会などは特別な理由から審議が中断された、こういうこともありまして、なかなか運の悪い法律案であることも一部御了承いただきたいと思うのでございます。今回は通常国会になりまして、順調に御審議をいただいておることでございますので、そういたしますと、これは可決成立政府が期待することも、これもあながち無理ではないだろう。この点は御了承がいただけるのではないかと思います。また、私も議席を持っておりまして、委員会等の出席なりの状況等についても、いろいろの考え方をいたすのであります。今、平林委員は、どうもあまり熱がないから集まりが悪いのだという御指摘もございますが、あまり問題がないときには出てこない場合もあることでございますので、これは一がいに、その出席が悪いから、みんなこれはこの法案に対して冷淡だ、こういう結論だけでもないのではないかと思います。そういうことは、いずれにいたしましても、とにかくこの法律案も長い間御審議をいただいておりますから、政府説明等につきまして不十分な点があるということでおしかりを受けますならば、これは私どもいかようにでも努力はいたします。どうかそういう意味で、一日も早く御審議一つ進めていただき、結論を出していただくように、これまた心からお願いをいたします。  そこで、こういうように、審議にかかっておる法律案審議が、過去の経過から見ても、なかなか成立しにくいのじゃないかと思えるような場合に、次の法律案を出すのはよろしくないじゃないか、こういうことでございますが、普通の状態で考えて参りますと、片一方で法律案審議される、その審議されることを前提にいたしまして、やはり関連的な計画を立てておる。これは国会の通常のしきたりでございまして、私どもこの点では別に無理をしておるとは思いません。従って、この点は、他の法律案の取扱い等と関連してお考え願いますと、今政府がどういう計画を持っておろうと、この点もこれまた御了承ができるのではないかと思います。私が、この法律案について、もちろん皆様の御審議をいただいておる今日でございますから、将来の見通しがどうなるということを申し上げることは、これは大へん僭越しごくなことであると思いますが、しかし、これが可決されないのだとして、次の段階でいろいろものを考えることは、それこそ、これまた可決を予定して考えると同様に、それは不都合なことだろうと思います。また、この法律案が、過去の結果においてまずかったということはございましても、今回、それを理由にして特別な工夫をすべき筋のものではない。これが私の考え方でございます。  そこで、今日のIMF、世銀に対する出資の問題でございますが、ただいま政府は、その出資法律案の御審議を得るべく閣議決定をして衆議院に法律案を送付いたしておりますが、まだ衆議院におきましては、この法律案をいずれの委員会において取り上げるか、議運においてただいま審議の途中でございます。従いまして、今後これがどういうように取り扱われるか、これはいつに国会の取扱いの問題になっておることでありますが、せつかくお尋ねがございましたので、政府がかような法律案を提案いたしました経過を、この際一通りお話を申し上げまして、御了承を願つておきたいと思うのであります。  で、今までこれは御承知のように、昨年、私、皆様のお許しを得まして、インドのニューデリーに参りました。世銀の会議に出席をいたしました。その際に、ニューデリーの総会におきまして、IMF並びに世銀の増資の問題が可決——可決と申すより、決議をされたのであります。この総会で増資を決議いたしましたのが三十三年の十月でございますが、この決議に基いて、昨年の十二月十九日に理事会で、ニューデリー総会の決議の報告書及びその決議案、今度は各国に対する割当の決議案を作成して、十二月二十二日にこれを各国総務あてに送付いたしたのであります。そこで、理事会では、十二月十九日に増資の各国の割当案を作つた。しかし、これは理事会がきめるものではございませんので、総務会に諮る案を作つたのでありまして、それが十二月二十二日に各総務に送付された。そうして、これで各国が今度は投票を開始するのであります。投票開始と申しますのは、増資割当を決定をいたしましたが、その増資割当は三十四年の二月二日、これまでに増資割当についての賛成投票がそれぞれ八〇%以上に達しないと、有効にそれがきまらない、こういう規定がありますので、これに基いて、二月二日までに投票が始まつたのであります。日本の場合におきましては、一月の二十六日に、日本に対する割当の賛成投票をいたしました。そうして一月の二十九日では、日本の割当に対する各国の賛成は、IMFの方では六五%の投票を得た。また世銀に関しては、二十七日の午後五時現在では、六九%の投票を獲得した。そうして一月の三十日の正午になりまして、IMF並びに世銀とも、八〇%以上の投票を獲得した、こういうことになつたのであります。今後は、日本の割当がそれで有効にきまつたのでございますから、日本自身がこの日本に対する割当に対して同意書を提出いたしますれば、それで割当が正式に確定する、こういう段取りになるのであります。そうしてそれがきまりました後におきましては、この払い込みの期限は、IMFの場合は十月の十五日、世銀の場合は三十四年十二月末日までが期限でございます。  そこで、事務的にはただいま申した通りでございますが、今回の問題は、私、インドへ参ります際にも皆様にもお願いをいたしましたように、日本は、最近の経済情勢から見て、特別増資割当を受けたい。いわゆる平均の割当でなくて、日本の経済力に相応するように特段の配意をしてくれ、こういう希望を述べて参つたのであります。その結果、今回の増資に当りましては、日本に対しては特段の割当がきまつたのであります。IMFにおきましては、在来二億五千万ドルでありましたものが、これが倍額になりまして、五億、それから世銀の方は二億五千万ドルでありましたものに対して、今度の割当で六億六千六百万といいますか、倍額以上の割当を受けたのでございます。  そこで問題になりますのは、いろいろ衆議院の方でお尋ねをいただいたので、参議院におきましても同様の御疑念がおありではないかと思いますことは、予算を編成する際に予見された事項について、どうして別途の補正予算を組んだか、なぜ本予算に組まなかったのか、こういうのが第一点でございますが、ただいま申し上げるように、この増資の手続は、中間において大体——昨年の十二月二十二日と申しますか、理事会で案が決定されたら大体予見されることじゃないか、こういう議論が一部にはあるのでございます。しかし、これは、事柄の性質上少し早目のように実は思うのでありまして、大体八〇%以上の賛成投票を得たときに、また日本がそれを引き受けるという意思がはっきりした場合に、これが支出として予見された事態が起つた、こういうことが正確ではないかと思うのであります。あるいは昨年十二月の程度でもうよろしいのじゃないかという言い方もあろうかと思いますが、事柄の性質上、各国が関係しておる問題でございますし、どうも扱い方としてはもっと慎重に扱うべきではないか。ちようどIMF、世銀ができました際に、当初ある程度予定して法律案を出しましたが、実際にはそれより以上のものが出て参つたこともあるのでございます。国際的慣例から申しましても、投票を事前に予見してやりますことはどうも不穏当だろう、こういうことで、私ども特にいろいろ工夫をいたしまして、今回は補正予算にすることの方が適当だろう、こういう実は結論になつたのであります。本来から申しますならば、一本の法律案で出しますことが、皆様の御審議を得る上におきましても、また政府といたしましても、その方が非常にすつきりしていいことには間違いはないのでございます。しかしながら、IMFや世銀の総務会の決議によるものでありますだけに、そこのところは慎重に扱うべきだという議論で、実は別途の案にいたして、この補正を組むことに決意いたしたのであります。世上におきましては、原案の数字をいじるのがいやだったからそうしたのじゃないかという議論がございますが、それなどはこれは当らない考え方で、私ども最初から一本に組むべきじゃないか、あるいはまた補正にすべきである。財政法その他からもいろいろ議論をしてみたものでございます。しかし、結局、補正を組むことにいたしたのであります。  次の問題といたしましては、どうも、補正にするにしても、補正予算提出の時期が非常に不穏当じゃないかという御批判を実はいただいたのであります。過去におきましても、本予算が衆議院から参議院に回付された後に、その年の補正予算を提案したことはございますが、今回のように本予算の質問中、しかも、それも総括質問中にその補正予算を出すということは、いかにも時期が当を得ないという実はおしかりを受けたのでございます。私どもも、この提出の時期について、やはりこれまたいかがしたものか、いろいろ工夫もいたしたのでございます。もう正直に申しますが、一体どうすべきか、もう少し時期をおくらして出すべきじゃないかということを実は考えたのでございますが、どうもこのIMFや世銀の増資に関しましては、昨年以来政府がみずから進んで、また皆様方にも、たびたび、増資を決意しておること、また特別割当を心から願つておることなどお話をいたして参っておりますので、今さら時期をおくらすことは、国会に対してもどうも当を得ないのじゃないか。二月二日という締め切り当日、そこではっきり八〇%以上の支持を得たら、それはもうそのままを、ありのままで法律案提出すべきが、これが一番正直な方法でよろしいのじゃないか。何ら工夫しないで、そのままただ出すことにしよう。またそうすることが、同時に、日本を支持してくれました各国に対するまあ儀礼でもあろうと、こういうことで、いわゆる、まあ国会に対しましては、ありのままの正直な姿を出すことでございますから、これが一番いいことだろうし、また各国に対しても、その支持を得た国に対する儀礼的にも、早く法律案を出すことが望ましいだろうということで、実は法律案を出したのでございます。  どうも、これらの点では、今までの異例でございますだけに、いろいろ疑念等を持たれたようでございますが、そういうような次第でございますから、この際その二点について、特に私どもの考え方を率直に御披露いたす次第であります。何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。  で、これはこの増資案の扱い方の問題でございます。また、先ほど来お話しになりました接収貴金属等処理の問題は処理の問題として、どこまでもこれの成立を期しております。そういう意味で、何とぞよろしく御審議を願います。
  17. 平林剛

    平林剛君 世銀やIMFの出資のことについての妥当性を私はお尋ねしておるわけではないのです。きようはそれについていろいろお尋ねするつもりはないのです。私が聞いておるのは、この接収貴金属処理に関する法律案という法律案を、委員会審議しているときに、政府がどんどん自分の意思でそれぞれ、今長くお述べになつたように、事情はあるかもしれませんけれども、勝手に処理するということは一体どうなのか、そういうことは適当かどうか、私はそれを聞いているのです。従来から、接収貴金属処理に関する法律案は幾多の疑惑が流れているのです。これは私は、よほど大蔵大臣は慎重に答えてもらいたいと思うのでありますけれども、幾つかの疑惑が流れている。そのために、法案審議が難渋を遂げておる。しかも、今のような持って回つたというとおかしいけれども、突然現われた事情を理由にして、法律案審議を促進するための手段として使つているのじゃないかというような疑いさえ持たれる。いわんや、そうでなくとも、政府が勝手に処理できるというならば、われわれはこの法案を一年でも二年でも三年でも暖めておいて、自然淘汰的に、自然におのずから結論のつくようにやつたちいい、何も法案審議を急ぐ必要はないのではないか、こういうことにもなるわけです。従って、私は、この法案審議中に政府がかような措置をとることが妥当であるか。IMFがどうか、世銀がどうかというようなことを聞いているのではない。法案そのものに対する政府の態度が適当かどうか、そのことをお尋ねしておる。
  18. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 法案審議中にかような措置とおっしゃるが、どういう措置のお話ですか。法案審議中に、ただいま申すように、増資の法律案を提案するということにいたしておりますが、いわゆる処置というか、処分というような意味でございましたら、別に処分は何もいたしておりませんから、その点は誤解のないようにお願いいたします。
  19. 平林剛

    平林剛君 いろいろ政府が御説明になるけれども、今度の補正予算提出のときでも、IMFの出資やあるいは世銀の増資というのは、今のお話によると、同意書の提出は二月中に提出しなければならないという事情の説明がありましたけれども、実際の払い込みは、世銀では十二月三十日まででしようし、IMFは十月十五日までで、相当長い期間がある。そういう長い期間があるならば、今度の国会で、あなたのお考えによれば、接収貴金属法律案成立すると。そうすれば、今大蔵委員会審議中であるから、これをいろいろ成立せない前から、われわれ考えていることがある。国民の代表として、いろいろこれをどう使うかも考えているのです。そういうことを、まず日銀の所有している分の評価がえをして、きめて、そつちに持っていってしまうという勝手なことはどうなのか。私は、むしろそれよりも、まだ期間が相当あるから、まず政府は通常国会でこの法律案成立のために努力をして、もし不成立の場合には、参議院の選挙のあとに臨時国会があるのですから、そこで提出しても間に合うのじゃないか。どうしてそういう筋道の立つたやり方をとらないのですか。いろいろ言いわけはあるかもしれませんけれども、こういう筋道の立つたやり方をとつてできないことはなかった。なぜそれをおやりになってしまつたか、これを聞いておるのです。
  20. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いや、それならよくわかりました、お尋ねというか御意見のほどは。で、今の評価がえの問題でございますが、もちろん、それが一方的に処理されるわけのものでないことは、これは御承知願えるでしようし、ただいまその法律案の御審議をいただかなければならない。問題は、通常国会で済まして、そうして法律案ができた後に、払い込みの時期がおそいのだから、そのときやつたらいいじゃないか、こういうこと。これは確かにそういうことは一案でございましょう。一案ではございましょうが、先ほど来申しますように、当方でも非常に増資を希望しておることでありますし、また幸いにして各国もこれに賛成してくれて二月二日までに投票も得たと、こういうことでございますから、一日も早く日本政府の意思というものをはっきりさせてやることが各国に対する礼儀でもあるのじゃないか、こういう点で実は措置を急いだということを、先ほど申したのでございます。この時期の問題は、もちろん、一つのポイントであり、そういう点でいろいろ御審議をいただき、いろいろのお話もおありだと思いますが、しかし、どう考えましても、私は我を張るわけではありませんが、一応はっきりしておる事柄は、できるだけ早くそういうような手続をとることが望ましいのではないかというのが私どもの基本的な考え方のものですから、その時期的にいろいろ誤解を受けたり、あるいはおしかりを受けたりするが、ありのままの姿でどんどん進められることだけは進めさせていただきたいというのが、先ほども申したような趣旨でございます。
  21. 平林剛

    平林剛君 だから、私は、大蔵委員会審議を無視しているのではないかと、こう言うのですよ。先が急ぐとか、政府としてはこういう考えだというのは、政府の自主的にいろいろ判断をなさった結論であつて、国民の審議を得た結論とはまた違うわけです。私は、政府が、従来の主張のように、世銀の増資や、IMFの増資について日本側から主張なさつて、もうはっきりしていることだから、そういう方向に進みたいという気持はよくわかる。気持はよくわかるけれども接収貴金属等処理に関する法律案の中からいろいろ勝手にきめる必要はないじゃないか。それは国民の代表がどういうふうにこれを処理するかということを審議中であるわけです。それを御自分の、政府の意思だからといって勝手におやりになる、それは一体どこに理由があるのか、こういうことをお尋ねしているのです。
  22. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろお話がございますが、やはり並行審議の可能な問題ではないかと思うのであります。平林さんのお話だと、一応この法律案成立してしまつて、それからあとに次を考えればいいじゃないか。それも確かに行き方でございましょう。しかし、こういう国会で各種法案が同時に審議され、これが並行的に審議される例は、今回の問題だけではない。あつちこっちにもあることでございます。そういう意味で、私が、特別な扱い方をするまでもなく、これは普通の審議の状況じゃないか、それをもしも国民の代表であられる皆さま方の審議権の無視だと言われることは、少し私には理解しかねるのです。私は、やはりこれは並行審議可能な問題ではないか、かように私は思っております。
  23. 平林剛

    平林剛君 理解しかねる点は、私、だんだん質問をして、あなたにわかつてもらえるようにいたします。そこで、お尋ねをいたしますが、二月のこれは初旬でありましたか、世銀やIMFに出資をすることの意向に同意をする同意書を提出するときは、財源の裏づけは必ず出さなければならぬことになっておつたのですか。そしてまた、他の八〇%に及ぶ各国はそれぞれの措置をなさつて同意をしておるのかどうか。
  24. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 一月の二十六日にいたしましたのは、当方の、これは日本の賛成投票、総務の資格としての賛成投票でございます。この賛成投票が、各国の賛成投票を得ました上で、日本国は日本国として同意をしなければならないのでございますが、その同意書はもちろんまだいたしてはおりません。これは全部の処置ができ、国会のちゃんと決議がなされなければ、そこまではできるものではないのでございます。
  25. 平林剛

    平林剛君 さっき、私は、政府委員会に対する態度、あるいは法律案審議中の措置について、むしろこの段階の取扱いとしては、政府は通常国会接収貴金属処理に関する法律案成立に努力をし、もし成立すればこれは別でありますけれども、不成立の場合には、参議院選挙後における臨時国会提出をすれば一番筋が通るということを、指摘しました。原則としては大蔵大臣もこれをお認めになると思うのでありますが、大臣の立場からいうと、並行審議も可能だ、こう言われます。しかし、はっきりと今回の場合には、将来世銀やIMFに出資をすることの方向がきまつているのであるから、それならば、いつそ筋道を立てて、接収貴金属処理に関する法律案の形を変えて提出することはできたのじゃないか。この法律案の付則第七号によりまして、一応先回の説明でも、政府は緊急やむを得ないときは自分の意思によってこれを処理することができる解釈を含めて提案をしてきておりますが、こんなやり方をしないで、私どもがかねがね主張しておるように、政府所有のものと、民間に帰属するかもしれないものとを、二つに分けて法律案提出をしてくる、それが形としても整つておるし筋も通る、こう思われるのであります。しかるに、こういう付則七項、私に言わせるというと、きわめてこそくな手段によって処理をされる。もっと堂々と補正予算の方で筋道を立てていくとするならば、接収貴金属処理法案の方は、もう将来当然それが予想されるのでありますから、そういうものは除いた形で再提案をすると、こういう形にすれば、私は今日のような抗議をすることはなかったのであります。なぜそういうことをおやりにならぬのですか。
  26. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどのお話で、少し私の説明が不十分であったために、あるいは誤解を受けておるかと思いますが、日本がこの増資について投票いたしますのが、日本の意思を発表するのが二回あるのです。その一つは、この加盟総務としての議案に対する賛成、不賛成を投票する。それがまあ、先ほど申すように、一月の二十六日に日本は賛成投票をした。これは各国とも総務としての資格においてその議案に賛成かどうかということを言っておるのでありまして、これが直ちにその国の意思を決定するものではないのであります。これで、そういうことで増資の決定ができ上りましても、肝心の日本がこれに賛成というか、同意を表明しない限り、これは有効に成立しない。そこで、先ほど申しますように、それぞれの払い込みの期限が、IMFは十月十五日、世銀は十二月三十一日となっておりますが、それまでの中間において、増資に対する加盟国の同意期限というものがあるのです。同意期限はどうなっておるかといいますと、IMFは九月の十五日まで、また世銀の場合は九月一日までです。これまでには、この加盟国がこの増資に対する同意をするかどうかという期限がついておるのです。そのときまでにはどうしても国内の措置は全部完了する必要があるわけでございます。ですから、この一月二十六日の日本の賛成投票ということと、またこの今の九月十五日までに加盟国である日本がこれに同意するかしないかということは、これはまた別の問題なんですから、これを投票する以上、当然同意の意思を表明したわけですから、その同意の意思を表明するためには国内の措置を完了しなければならないということに相なるのでございます。  従いまして、九月の十五日なり九月一日までに国の意思決定がされればそれでいいじゃないかということも、これは理屈はもうその通りだと思います。しかし、私ども、今日から当然のこととして次の国会を予定することこそ、これは少し過ぎたことだろうと思いますし、そういうことを考えますと、当面しておる国会において御審議を得るように今回法律案を出す、これはもう当然のこととして御了承が願いたいのであります。  先ほどの説明で、私、少しその点が不十分な説明をいたしましたので、あるいは十分御了承を得ておることとは思いますが、つけ加えて補足いたしたわけでございます。
  27. 平林剛

    平林剛君 だから、今増資の点についての措置を進めるために補正予算提出した、そのことを私は問うているのではないのです。もしそつちの筋を立てるというならば、接収貴金属処理に関する法律案は、少くとも日銀の分であるとか、あるいは今後も、まだ政府の考えはどうであるかわかりませんけれども、どんどん自分のものを処理するということになってくるのだから、そういう分は除いた形で、この法律案を二分して提出するようなことは、なぜ考えなかったのか、こう言っておるのです。
  28. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) この接収貴金属につきましては、政府の持ち分、あるいは日銀のもの、あるいは一般民間のもの、こういうものが一緒になっております。なるほど、これはいろいろの理屈を申せば、現在の現行民法であるいは処理のできるものもあるかとも思いますが、この接収貴金属という一つのカテゴリーに入りますものは、やはり一括して一本の時限立法が必要なのではないか。そうすることが事態を非常に明確にできるゆえんだと、かように考えて今回の法律案を出しておるわけでございます。私は、この考え方において民間のもの、あるいは政府のものと、こういう区別をなるべくしない方法で、一本の法律処理することが実は望ましいのではないかというのが、この法律案を出しておるゆえんでございます。それは今までの民法でも処理できるだろうという議論も、これはりつぱにあると思いますが、接収貴金属のカテゴリーから申せば、こういう法律処理することが望ましい。私は、どうも政府のもの、民間のものとしてこの種のものを特別に区別することは、政治の面から申したら、あまり望ましい姿ではないだろう。この点では、不幸にして今のお尋ねとは別の結論を持っておるような次第でございます。なるべく一本で処理することが望ましい。しかし、従来の民法もあることでございますから、そういうもので全然処理ができないのかというと、そういうわけのものではないということ、この点、御了承願いたいと思います。
  29. 平林剛

    平林剛君 そんなことを言うけれども、実質的には区分しておるじやありませんか。一括して処理したいと言いながら、造幣局の方の銀が足りないとなれば、四百何十トンも政府の自由裁量で処理しておるではないですか。今度だつて、もしこの法律案成立しなければ、日銀の方に対して評価がえをさせようというようなことを進めようとされておるではないか。体裁はこれは一つになっておるかもしれませんが、実質は、やるものではない、やるものではないと言って、国の方でどんどん実質的に処理しておるではないか。私はこれはおかしいと思うのですが、言っておることとやつておることとが違うじゃないですか。
  30. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今の議論がいろいろ多岐にわたりますが、今衆議院に出て、まだ委員会にかかっていない法律案、これは今お尋ねになりますように、日銀の保有銀についての再評価規定するものでございます。この接収貴金属についてのこの評価の問題は、先ほど管財局長から説明をいたしたでしようが、民間等については評価委員会を設けることになっておるようでございます。しかし、金については評価が比較的容易なものでございますから、再評価規定を今御審議をいただこうと、かようにしておるわけでございます。この点はなるべく——この法律の中にそういうものについての再評価規定がないではないかと言われれば、その通りでありますが、私はこれはあえて基本的な考え方をみだるものとは、そこまでは私は思わないでおるのでございます。
  31. 平林剛

    平林剛君 大蔵大臣は、この接収貴金属処理に関する法律案に関連して、何年か前、衆議院本会議で、この接収処理された貴金属はどういうふうに使うかという原則に対して決議があったことを御存じですか。
  32. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、私、今記憶がないので、いろいろ事務当局の知恵を拝借しておるのですが、一部は決議がなかったと言うし、一部はいろいろの意見が出ていた、こういうようなことを申しておりまして、どうも決議がはっきり……。
  33. 平林剛

    平林剛君 はっきりしないから、今回のような措置とつた。よく相談をして、国会の大体の意思ですが、そのときは決議というものでなかったかもしれない。しかし、この問題を処理した委員会の特別報告が行われて、その特別報告は本会議の全会一致に基いて了承せられておる。そのときの決議をあなたは御存じかと、こう言っておるのです。
  34. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 前々の国会で、衆議院を通過いたしました際には、別に付帯決議はない、かように私理解しております。
  35. 平林剛

    平林剛君 何人もついていて、大蔵大臣にそういう答弁をさしておるのですか。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 当時、私、関係いたしておりましたから、お答えを申し上げますが、ただいま大蔵大臣のお答えになりました通りに、正式に付帯決議というものはございません。これは与党が大へん御努力をなさいまして、野党の社会党の方々の御同調を得べく努力をしたことは事実でございましたが、ついにその話し合いがつきませんで、付帯決議に至りませんでした。その間、いろいろとそういう御意見があったことは事実でございますが、最終的には付帯決議の形にはなっておりません。
  37. 平林剛

    平林剛君 どうも言葉で逃げてしまつておるのですが、付帯決議はなかった。付帯決議ではありません。しかし、接収貴金属処理に、当時はそういう名前ではありませんでしたが、特別委員会があつて、この接収貴金属というのは、戦時中の国民の供出にかかるものや、あるいはこういうものが存在しておるのは、戦争によるものである。従って、この処理については、将来何に使うか、これを使うときには、どうか一つ、戦争犠牲者に対する措置であるとか、あるいは社会保障的なものに使うように政府はしなければならぬ。これが委員会の全般の意見として本会議に報告をせられ、それが了承されておる。つまり、国会の意思はその特別委員長報告を承認しておるわけです。そのときには、IMFだとか世銀の出資にこれを使いなさいということはなされていない、そういう従来からの国会の意思が大体きまつておるのに対して、今回のような処理をなさったことを、一体政府はどう考えるかと、私はそれを聞いておるのです。だから、あなたはそういうことを、歴史を御存じかとお尋ねしておるのであります。もしその歴史を知っておるとしたならば、今回の措置はどうもそのときの国会の意思にそむいておるのではないか。
  38. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われますことは、行政監察特別委員長の同委員会における調査の報告、これだろうと思いますが、吉武惠市君の報告の中にそういう記事がございますが、「換価処分による収入金をもって特別会計を設け、その資金を戦争犠牲者等のために支出する。」ということがございますが、それは行政監察特別委員会報告のように私は理解いたしております。  今回の処理の問題ですが、この評価益の問題につきまして、いわゆるこの評価益出資するということでございますが、日本銀行が持っておる金、これが今回のように評価益が出て参るわけでございます。日本銀行自身が持っていることは、やはり通貨の安定方策としてこれを役立たすのでございますが、今回のIMFの出資の場合におきましても、第二の通貨準備とでも申しますか、そういうような機能を持つものでございますので、いわゆる一般事業にこれを投資して使うというものとはよほど性格が違つていると、こういう点を特に工夫いたしたのでありまして、今回の評価益を、なるほどIMFは日本の機関ではありませんけれども、世界的にこの経済の安定のためにいろいろその動きを持つものだし、そういう意味では、国内にとめおくのも、また外国へその資金を出していくのも、同じような効果を上げるであろう、こういう意味で比較的関連のあるものとして出資、これが一番望ましい出資じゃないか、評価益の使い方としては望ましい方法じゃないかという結論を出したのでございます。
  39. 平林剛

    平林剛君 大蔵大臣答弁は私は満足できません。本日は政府の態度をきわめて不満ということにいたしておきます。あらためてこの問題は追及するつもりでありますから、政府においても答弁の仕方をせいぜい研究をしておいていただきたい。これを要望いたしまして、質問を一たん終つておきます。
  40. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 先ほど秘密会において御説明いたしました法人の十社につきまして、社長の名前、ただいま調べが参りましたので、できますれば……。
  41. 加藤正人

    委員長加藤正人君) いつとう最後に、秘密会において行いますから、そのときにお願いいたします。  佐藤大蔵大臣に対する質疑はほかにございませんか。——ないようでございます。それじや、佐藤大蔵大臣……。  接収貴金属等処理に関する法律案の残余の質疑は次回に譲ります。   —————————————
  42. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案、及び株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案を、一括議題といたします。  この際、お諮りいたします。右の両法案審査のため、経済同友会幹事、日本興業銀行常務取締役湊守篤君及び朝日新聞論説委員土屋清君、両君に二月十九日参考人として御出席を願い、御意見を拝聴することにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。  手続等は委員長に御一任願いたいと存じます。   —————————————
  44. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次は、先ほど管財局長からお話のありました件について、これから秘密会に移ります。    午後三時四十五分秘密会に移る
  45. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  46. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて下さい。  これにて秘密会を閉じます。    午後三時四十七分秘密会を終る
  47. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会