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1959-03-17 第31回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十七日(火曜日)    午前十一時三十四分開会   —————————————   委員の異動 三月十三日委員後藤義隆君、苫米地義 三君及び谷口弥三郎君辞任につき、そ の補欠として森田豊壽君、小沢久太郎 君及び佐野廣君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君    委員            小沢久太郎君            木島 虎藏君            佐野  廣君            高橋進太郎君            高橋  衛君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            藤田  進君            岸  良一君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君   政府委員    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    通商産業省軽工    業局長     森  誓夫君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨  時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○核原料物質核燃料物質及び原子炉  の規制に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○航空機工業振興法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○プラント類輸出促進臨時措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○石油資源開発株式会社法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 島清

    理事島清君) これより委員会開会いたします。  硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。提案理由説明を願います。
  3. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま上程せられました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十九年八月以来、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法が五年間の限時法として施行されて参りましたことは周知の通りでありますが、その有効期限あと半年を残すのみとなりました。この臨時措置法は、その姉妹法であります臨時肥料需給安定法と相呼応し、硫安工業合理化硫安輸出調整とを目的とするものであります。硫安工業合理化につきましては、法律発足に当り掲げました合理化目標には残念ながら、諸般の事情からいまだ達するに至っておりません。しかしながらこの間における関係者のなみなみならぬ努力により現在までに相当の成果をおさめ、国内価格引き下げに大いに貢献いたしておりますことは、各位の御承知通りであります。一方硫安輸出はすべて日本硫安輸出株式会社を通じて行われる建前となっておりますが、これはおもに硫安農業基礎資材としての重要性から、輸出による欠損国内価格に転嫁させぬため、内需分外需分とを経理的に明確に区分するとともに、硫安輸出市場実情から一本の輸出機関により過当競争を防止することを目的とするものであります。硫安輸出実情及び今後の見通しにつきましては、輸出数量はこれまで逐年増加の一途をたどり、外貨の獲得に大いに寄与いたしておりますが、今後においても海外需要増加傾向にあり、なお一そうの輸出伸長が期待されるところであります。しかしながらその輸出価格は、一時国内価格を上回ったこともありましたが、最近では輸出競争は激化し、国際競争価格は、わが国国内価格相当程度下回っており、今後もなお当分この状態が続くものと考えられます。  このような情勢にありますので、わが国硫安工業が今後の国際競争に耐えて安定した発展を確保していくためには、その合理化をさらに強力に促進する必要が痛感せられるのであります。また合理化が完成して、国際競争に十分耐え得る水準にまで生産費引き下げが実現されますまでの間は、輸出による欠損国内価格に転嫁させないため、日本硫安輸出株式会社を通じて硫安輸出調整をはかることが必要であります。  このように、硫安工業合理化硫安輸出調整を必要とする事情は、従前と変らないと考えられますので、現行法期限をさらに五年間延長するため、この法律案提案いたした次第であります。なお、期限延長をさらに五年間といたしましたゆえんは、今後硫安主要原料でありますアンモニアのガス源流体化を中心に硫安工業質的合理化をはかります場合、所期の目的を達成いたしますには、合理化工事計画上おおむね五年を要するからであります。  以上がこの法律案提案いたしましたおもな理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。本改正案の第一点は、原子炉設置乞内閣総理大臣が許可するに当って、万一の事故によって第一者に損害を与えた場合の賠償措置があることを許可基準の一として加えようとすることでのります。具体的には、原子力賠償責任保険制度発足が予定されておりますので、原子炉設置者に対し、これに加入して相当保険をかけることあるいはこれにかわる措置を講ずることを要求しよりとするものであります。原子力開発を進めます際、災害の防止に万全を期すべきことは、申すまでもありません。特に原子炉設置運転に当っては厳重な規制を行うべきでありまして、この点は従来この法律による設置許可基準設置許可後の監督、検査等によって十分な取締りを期し得る態勢にありますが、万一の場合に備えて被災者たる第三者に公正な補償が確保される制度、同時にまた原子力開発の担い干たる原子炉設置者には補償対策のために過重な負担を課さない制度確立は広く要望されているものであります。政府といたしましては、これがため原子力委員会専門の部会を設けてそり検討を進めるとともに、先般来海外調査団を派遣し諸外国事情を調査しております。しかしながら、何分にも新しい問題であり、各国の法制も十分整っていない状況でありまして、抜本的な対策確立にはいましばらく時日を要する一方、最近大学等において原子炉設置する動きも盛んになって参りましたので、とりあえず、民間の保険をかける程度措置を講じようとするものであります。従いまして、今回の改正原子炉災害によって損害を受けた第三者を救済する制度を樹立するための第一歩として必要な措置と考える次第であります。  第二点は、原子炉のような連続運転をするものではありませんが、原子核分裂連鎖反応実験できる臨界実験装置大学等設置する傾向が最近見られまして、この実験における核燃料物資使用方法使用したあと使用済み燃料については特に放射線障害対策を必要とする等の問題がありますので、これに必要な安全上の措置を確保しようとするものであります。  これは、いわば技術的見地から従来の法律を補うという意味において必要な改正と考えるものであります。  以上、この法律案提案理由並びにその内容を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 島清

    理事島清君) 速記をとめて。    〔速記中止
  5. 島清

    理事島清君) 速記を起して。  両法案に対する質疑あとに譲り、午前はこれで委員会を閉じ、暫時休憩し、午後は一時から再開いたしたいと存じます。御異議ございませんか。それでは午後一時から再開することにいたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩    ——————————    午後二時三分開会
  6. 島清

    理事島清君) 午前に引き続きまして、これより商工委員会を再開いたします。  まず、航空機工業振興法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑に入ります。順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  7. 島清

    理事島清君) 速記を始めて。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 本法案目的は劈頭に書いてございます通り日本航空機産業国産化を促進するということから始まっておるわけですが、大体私の記憶しておるところでは、昭和二十七年ごろから始まったように記憶しておるわけなんですが、大体今日まで政府当局としてはどれくらい総額で金をお出しになっておるか、その点をまずお尋ねいたします。
  9. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今お話通り航空機工業は戦後しばらく空白時代がございましたが、昭和二十七年から再開されたわけでございます。それで、その再開されましてから以後は今日まで相当生産実績を持っております。これはいずれも大体米軍関係あるいは防衛庁の関係発注等でございます。それで、これに対しまして、まあ政府といたしましてどういうふうな今までに助成と申しますか、国産化のための措置をしてきたかということでございますが、これにつきましては、設備資金融資の面におきましては、それぞれ各会社が大体過去におきまして、累計設備資金として百二十五億円の投資をいたしております。これらにつきましては、それぞれの融資のあっせんをいたしておりますが、具体的に国産化のための措置といたしましては、三十二年の五月に航空機業界をあげて財田法人輸送機設計研究協会というものを、国産化のための、国産機設計するための財団法人を作りまして、これに対しまして、三十二年度におきましては三千五百万円の補助金を交付いたしました。それから三十三年度、本年度は引き続きまして、これに対しまして一億二千万円の補助金を交付いたしました。そうして今日まで経過しておるわけでございます。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に、今申し上げました国産品のとにかく航空機を作るということで、政府が、今局長の御答弁になったように政府が出資をしておるわけなんですが、それぞれの航空機会社に。そこでそういうことで国産化ですね、去年も当委員会で若干問題になりましたが、その国産化というのは、全部を国産でやるものか、たとえば去年のお話の中では、あれですね、イギリスエンジンロールス・ロイスですか、そこからエンジンを持ってくるとかいうお話もありましたが、国産化というものはどのくらいの程度、たとえば設計書を買うとか、あるいは別の部分品を買うとか、あるいは胴体日本で作るとか、その国産化というのはですね、私ども考えれば、全部国産でなければいかないというように判断するわけですが、そこまでまだまだ日本航空機工業というものは力がないというところで、エンジンイギリス製だ、ほかは全部というふうな話も若干承わりましたが、そうすると、その法律目的と若干相反してくるような気持もするのですが、明確に言って、大体国産化は大体何々を作って、そうして何々は他国から援助を仰ぐとか、あるいは買い取るとか、あるいはとにかく共同体制で製品化するのだというような点を明確に一つお示しを願いたいと思うのです。
  11. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話通り航空機国産化ということの終局目的は、その航空機機体関係あるいはそれぞれの部品関係、その航空機に搭載いたしまする各種の装備関係はもちろん、エンジンに、至りまするまでも全部国産でやるというのが、これが終局目的でございます。しかしながら、御承知通りエンジンにつきましては、まだいろいろ今後研究開発しなければならぬ問題がたくさん残っておりまして、もちろんこれにつきましても、日本ジェットエンジン株式会社というようなものも作りまして、このエンジン面におけるいろいろ試作開発等につきましても着手いたしておりますけれども、ただいま予定いたしておりまするYS—11型のこの国産機につきましては、まだエンジン部門につきましてまで国産化をするだけの段階に至りません。従いまして、とりあえずは今お話通り、まあイギリスロールス・ロイス製エンジン輸入するということでこれを取りつけまするけれども、もちろん並行いたしまして、エンジン部門につきましても国産化を促進いたしたいと思います。それ以外の部分につきましては全部国産品でやっていく、もちろんこれにつきましては、いろいろ過去におきまして、製造上起きるための外国会社との技術提携というふうな問題はすでに行われておりました。そういった技術面において外国会社との技術提携というようなものはございまするけれども、そういった機体関係部品関係材料関係等につきましては、これをできるだけ全部国産でやっていく。そういたしまして、さしあたりエンジン部門につきましてだけは、これは輸入に待たざるを得ない。しかしこれもいつまでも輸入だけでやっていくわけではございません。行く行くはエンジンにつきましても、できるだけ早い機会に国産化態勢を整えたい、こういうつもりでございます。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこのあたり、局長にもう一度お尋ねしたいのですが、今の段階ではできないのである、そうすると、昭和四十年になればできるのか。それと同時に、今は日本で直ちにできないから、ロールス・ロイス発動機を買うのだということになるのですが、そうすると、局長のような御答弁でいくと、今はできないということであっても、今からすでに航空機研究所でやられるか、今度できる特殊法人会社でやられるか別ですが、すでにエンジンも手がけておかなければならぬ。そうしますと、大体胴体と翼だけ作る航空会社あるいはその他の電気設備ですね、そういうようなものしか作らぬ会社になってしまうということになるのですか。そのエンジンはいつごろから作り始めるのか。今のところ全然まだ局長の御答弁では手がけておらないのか、そのあたり明確にお示し願いたい。  それから、これは当委員会でございませんけれども、予算委員会その他でグラマンがいいとかあるいはロッキードがいいとか、航空機性能についていろいろ論争になって、わが国が三百機のジェット戦闘機を入れるときにはどちらが優秀かいろいろ問題になっておるようですが、私は飛行機性能のよしあしなどということはとても察知できませんけれども、私の能力では。しかし省当局はどういう方法を用いて、このイギリスロールス・ロイスのとにかくエンジンがいいというものさしは、何をもってお定めになるか、その二点をお尋ねいたします。
  13. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) エンジンの面につきましての国産化計画でございまするが、これはすでにその後研究に着手いたしているわけでございます。ただ、エンジン部面につきましては、おそらくこれが大体国産化見通しが立つまでの研究開発にはなお七、八年の期間を要するであろう、かように考えられます。そうして七、八年間の間にエンジンについて開発のめどを立てましていろいろ国産化ができるという自信を得たところで具体的生産に入る、そういう予定でございます。そういたしまして、すでにそういった研究開発の面につきましても、技術面における補助金をすでに交付いたしておりまして、今度取り付けを予定いたしておりますターボプロップ・エンジン研究開発に対しまして、本年度すで五百十万円わずかでございますけれども、補助金も出しまして研究面に入っている段階でございましてただ何分にも非常に精密な工業でございますので、研究にはやはり相当の時間が必要だろう、かように考えております。  それからもう一つお話しでございますロールス・ロイスエンジンにつきましてわれわれの方でなぜエンジン面につきましてロールス・ロイスということに決定をしたかということでございまするが、これにつきましては、もちろんそのエンジン安全性と申しまするか、信頼性、それから価格面あるいはサービス、維持費、あらゆる点を各方面から専門家の間におきまして十分に検討いたしました結果、このロールス・ロイス会社ダート系発動機が、しかも最も一番新しい型を採用するのが一番合理的であろう、こういうことになったわけでございます。先ほど申し上げましたその設計協会において、航空機工業界あげての専門家の衆知を集めまして検討いたしました結果の決定でございまして、その点につきましては、十分その性能なりあるいは安全性なり、信頼性の面におきまして、一番確信の持てるエンジンである、こういうふうに信じている次第であります。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 その点はただいまの御答弁で理解がいったわけですが、そうしますると、七年か、八年後になるかわかりませんが、日本エンジンができるまで、イギリスロールス・ロイスエンジンを使うということになるわけですが、その間たとえば、来年入れるか、その次の年に入れて動き出すか私わかりませんが、これは技術提携でいくものか、あるいは技術提携でいった場合、ロイアルティを払う場合も出てくるでしょう、それとも単純に一基幾らという純然たる売買契約で買ってしまった方があとくされがないという方向でいくものか、そのいずれかをお尋ねしたい。
  15. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) ただいまのロールス・ロイスエンジンの面につきましては、これは全部輸入でいくことになりまして、技術提携でなくてそのものを輸入する、こういう方針で考えております。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、純然たる売買契約でいく、あとは一切つながりがない、こういうことですね。
  17. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) その通りでございます。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、YS—11ですか、これが旅客機として出発するわけですが、四年後に大体完成して空を飛ぶようになるわけですね。そこで問題になるわけですが、果して四年後に世界航空機生産状態がどうなるかということについて、これは私はきわめて心配しているのですが。局長もそういうことだと思うんですが、今年の一月二十四日の朝日新聞ですね。これに山本峰雄さんが「論壇」に出しておりましたが、大体私が今まで申し上げたようなことを書いておりますけれども、これはいろいろお読みになったのでおわかりだと思うんですが、いろいろそういう心配されている点を幾つか羅列してあるんですよ。私もきわめて、この「論壇」の内容がいいとか、悪いとかは別として、そういう心配をされる節が外国科学雑誌等を見ても、去年ここで岩武さんが局長をやっておった当時だと思うんですが、その当時の御説明と違うんですね。従って将来四年後、これが今局長のおっしゃる通りエンジンはあちらさん、機体日本で作った、とにかくいよいよ国内を飛ぶ。国内だけでは経済的に間に合わない。中南米にも、あるいは中近東にも、あるいはアメリカですらこういうエンジンを作って飛行機を飛ばしていないんだから、アメリカにすら輸出できるということで、われわれもこの出発当時の法案には賛成したのですが、ところが現在は必ずしも、その当時の岩武局長答弁が当っているとか、当っておらぬということを私は申し上げているのでなくして、その当時と情勢が変ってきたから、きわめて不安がございませんかというようなことをお尋ねしているわけですが、これについて、四年後のことですから、今後の見通しになって、見通しはどうかということになるわけで、答弁もやりにくいかもしれませんけれども、そういうところを重工業局長さんの御見解として、どういうことでしょうかね。
  19. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) ただいま予定いたしております国産機が実際に研究開発段階を終りまして、量産態勢に入り、本格的な製造販売に入りまするのが昭和三十八年度以降ということになるわけでございますけれども、その間にそれが三十八年度以降において量産態勢に入りますと、その時期におきまして、果して今考えられているような国産機でもって需要面性能の面において適当であるかどうかという御心配は、まことに御尤もでありまして、私もその面につきましては、十分に検討いたしたわけでございます。そこで問題は、果してそれが製造会社といたしましてペイするだけの需要があるかどうかという問題が一つと、それからそれが量産態勢に入って、製造販売に入りましたときに、すでにそれが時代おくれのものになっておって、より違った性能のものが実現しやしないかという、その二つの面が考えられるわけでございます。そこであとの方の性能の面につきましては、日本の国のみならず、当然先進諸外国におきましても、この航空機設計試作については、新しいものを考えておりまするし、また考え始めると思うのでありまするが、しかしこれはどの国がやりましても、おおむね六、七年という長日月を要するわけでございます。ちょうどわれわれの考えておりまするYS—11型が大体完成いたしまするのは一九六三年ごろということを想定いたしてみました場合においては、その一九六三年ごろの世界各国における航空機状態というものは、やはり各国とも大体日本と同じようなテンポで開発されるというふうに考えられるのであります。従って今考えておりまするこのいわゆる中型というような規模のもの、使いまする距離であるとか、あるいは乗客の数とか、あるいは滑走距離というふうな、そういう面からの性能を考えますると、このYS—11というのは最も性能の面におきましても、また経済性の面におきましても、十分国際競争力があり、かつ最も進歩した型である、で、輸送機設計研究協会におきましては、各国のすでにできておりまする飛行機あるいは開発されようとしておりまする飛行機設計面を、むしろ粋を集めまして、しかもそれが最も日本人に適した形のものに設計をしたつもりでありまして、その面におきまして、性能の面においては、まず十分立ち打ちできる、かように考えられるのであります。それからもう一つ需要面想定でございます。需要面想定につきましては、お話通り、作りまする以上は、これに対する需要ということが当然前提になるわけでございます。需要面想定につきましては、国内需要とそれから海外に対する輸出と、こういうふうに両面を考えておりまして、国内幹線につきましては、日本航空なりあるいは全日空というような国内輸送会社が現在使用しておりまする飛行機DC—3あるいはDC—4というふうな飛行機が、大体その時期におきましてどのくらいの機数になり、またその中で取りかえなければならない機数、代替しなければならない機数がどのくらいになるかということを具体的に算定をいたしまして計算をいたしました。また輸出面につきましても、大体輸出先としてどういうふうな地域に対して出るだろうというようなことを十分に計算をいたしまして、ここに大体輸出面なり国内面需要想定いたして、十分に量産をし、かつ販売できると、こういうふうな見通しを立てましたので、新会社によってその製造販売に乗り出したい、かように考えておる次第であります。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長の御答弁になりました量産ということが私心配なのですがね。今御説明を承わっておると、イギリスのこのエンジンはきわめて高性能で、優秀で安全性があると、こういうことは去年も承わったのですよ。しかし四年後もこういう御答弁を承わるかもしれません。ちょっと表現が悪いけれども、とにかく飛行機の方は日進月歩で、航空科学といいますか、発展していっているのですがね。日本の方は十一年一日のごとく一つエンジンに頼ろうとしているわけですよ。そうすると、これもあなたの管轄ですが、ダットサンという自動車会社があるが、その自動車はきわめてどろくさいではないかと言いましたところが、とにかく百年かけて、鋳型から始って、いろいろととにかくハンマーから全部作ったのだから、五万台以上売り出さなければこれは採算がとれませんと、こう言うわけです。これはこの前承わったものですが、百五十機ぐらい売らなければ採算がとれないというようなお話を聞いたような気がするわけです。そうすると、日本使用しようが、あるいは東南アジアに持っていこうと、アメリカに行くのもけっこうですが、もう七年も八年もたってから初めて数がそろって、売り出そうというときには、すでに時期おくれだというようなことになる。しかし、といって、三十機ぐらい作ってみたら型をかえなければならない、エンジンをかえなければならないというようなことになりはしないかという、実は私心配があるわけですがね。そういう点については、最近山本さんという人もいろいろと触れておられるようですが、このYS—11ですか、この型ですね、模型といってもいいでしょうが、去年の暮れですか、ことしの一月でしたか忘れましたが、横浜にでき上ったときに見に行きましたが、きわめてどろくさいですね。局長も行っておられたようですから、どうお感じになったか私わかりませんけれども、きわめてどろくさいのです。欧州の北の端へ行ったってあんなどろくさい飛行機はございません。ああいうものはだれも買わぬというふうに私心配になってきたのですが、中身は知るべし、表がスマートだから、美人だから嫁にしたらいいかといって、必ずしも美人だから女房にしたらいいだろうと言ったところで、悪い場合もあるのですから、飛行機のあれを見ただけでも、ぼくはがっかりしてしまって、あっさりやめてしまって、外国の製品でも買うた方がいいのではないかという気持にもなったのですが、模型はどうでもいいですが、一面で百五十機作って経済的に採算が合うという、こういう飛行機が売れるかということを、これも見通しになって、局長にお尋ねするのはどうかと思いますが、こういうふうなことについてはどうお考えになっておるか、もしお答えできればお尋ねしたいと思いますが。
  21. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今お話通り、昨年の暮に横浜におきましてごらんにいれましたような実物大の木型ができ上りました。私も二度ばかりこれを見たのですが、そのときにも御承知だと思いますけれども、すぐその場でごらんいただきました皆様方にアンケートを出しまして、どの面が悪いか、どの面がいいかということについて、具体的に何項目かの質問状を発しまして御意見を伺っております。で、もちろんこれは、あの通りの物を作るということに、あれで終ったわけではございませんで、もちろん今後新会社によっていよいよ精密設計という段階に入りますので、今いただいております各方面の御意見も十分取り入れまして、設計の手直しをしながら完成をしていくということになると思います。確かにお話通りあまりスマートな飛行機ではないように私自身も実は感じまして、これはまあ割合に中型ではございますけれども、六十人という、あるいはそれ以上乗せられるような設計を一応しておりまして、従って胴体部分がややふくらみ過ぎているような感じは確かにございます。しかしこれはああいった格納庫の室内で見ました場合と、飛行場の外に出して見た場合と感じが違うそうであります。これは専門家の意見も十分聞きまして、性能の面のみならず、やはりいろいろな感じとか、乗り心地とか、そういう販売面における配慮も十分考え、今後設計を直していこう、こういうふうに考えております。  それからエンジンの面につきましては、先ほども申し上げましたように、エンジン自体の開発は、これはどの国がやりましても、やはり七、八年はかかるということでございまして、従って現在考えられておりまする最も新らしいものを採用する以外には、ちょっと方法はないのじゃないかと思われます。しかもロールス・ロィスのエンジン、先ほど決定いたしましたが、このダート系発動機は、現在用いられておりますのはダート6、ダート7というようなものが実際に経験をもって、すでに三百万時間ほどの実用的経験を持っているそうでございますが、今度さらに一歩進めまして、ダート10というロールス・ロイスエンジンの中で最も新らしいロールス・ロイス、現に研究開発中のものを入れようということでございまして、一番新らしいものを予想いたしまして取り入れているわけであります。これについては、ちょうど一九六三年ごろにおいては、まず一番その当時においては信頼性のあるエンジンになることであろう、こういう想定のもとに決定したわけでございまして、もちろんエンジンを含めまして機体関係あるいは部品関係等につきましては、絶えず研究開発は休みなく続けなければならぬということは当然でございまして、それらによりまして改造を加えていくということも可能でございまして、そういうことを一方において研究を進めながら、今後試作試験の段階に入っていく、こういう予定であります。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 それではその次に、特殊会社の設立に当って、いろいろと参考資料をいただいておりますが、全部読んでおらんのでわからん点もあって、それは参考資料に出ておるということであれば、出ておる個所をお知らせ願えればいいわけですが、その中で現在財団法人の輸送機研究協会というのがありますね。この協会に対し、各航空機会社がどういうふうな協力態勢を作っているか、あるいは人の面、具体的にですね、助成金の面、こういうことを伺いたいのと、民間出資ということになっておりますから、民間とやはりお話し合いがなされておると思うのですがね、民間出資の場合は、どういうような状態に話がなって、どういうような状態で進行しておるか、その二点をお尋ねします。
  23. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 財団法人輸送機設計研究協会に対しましては、現在その理事長と申しまするか、この中心になっておられる方は荘田さんという方でありまして、これはかつて新三菱の副社長でございましたか、しておられる方でありまして、そこにはかつて航空機設計等において十分経験を持っておられまする技術者を各社から出向の形においてあるいは専従の形におきまして加わっていただきまして、ほとんど各社の共同体制研究を進めてきたわけでございます。従いまして今度新会社ができまする場合におきましては、大体この設計協会の人を中心にし、これに各社からさらに新しい陣容を加えまして、発足をする、こういうようなことになっております。従って今の民間側の出資は、大体今年度におきまして、政府出資で三億で、民間が一億ということでありますが、その一億の負担割合というようなことにつきましても、すでに関係会社間において下相談が行われておるはずでございまして、これは単に航空機機体関係のみならず、部品関係あるいは関連産業、非常にたくさんの会社があるわけでございますので、それら各方面の協力を得て、十分民間出資が達成できる、こういう見通しのもとにただいま作業いたしております。それで輸送機設計研究協会の事務局の実際の具体的な構成、職員がどういうふうになっておりまして、技術者がどうなっておるかということにつきましては、資料の中に差し上げてあるかと思います。さらに御質問があれば詳細お答えいたします。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますとこういうことになるわけですか。今あるとにかく財団法人の輸送機研究協会があって、それを、今度の特殊法人のとにかく会社ができ、そこへすぽっと今度入ってくるわけですね。そうすると、この法律が今度でき上れば切りかえられるわけですね。法的にも内容も切りかえられる、そのときに政府が三億なら三億出資しておる、局長の今の御答弁の中にありましたのは民間が二億円ですね、まあ大体こういうことで話を進めておる、内容はまだ明確でないけれども話を進めておる。そうすると、今まであった研究協会の財産がどうなるかということです。研究協会、いささか財産あると思うのですね、赤字があるかもしらんけれども、どちらでもいい、とにかく財産がある。それが何億何千万円と計算されてすぽっと入るものか、あなたがおっしゃる一億というものは全然別個に各社が現ナマで出して会社を建てるものか、それともとにかく製造権などといって、有名無実な権限を持ってこれは二億円そろいました、二億円のうち一億八千万円は製造権ですよ、この財産はこれだといって、確かにそうなると、勘定は合うけれども、実際運用する金は政府出資のみである、これは僕の話は極端な例ですがね、そういうことはないですか。
  25. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 財団法人輸送機設計研究協会の仕事をそのまま引き継いで、これを延長し発展するわけでございますので、新会社ができまするに当りましては、既存の財団法人はこれは解消するわけでございます。しかしながらその株の関係につきましては、今御指摘のようなことにはならないわけでございまして、二億円につきましては、新たに民間の会社が株の引き受けをする、こういうことでございます。そういたしまして、既存の財団法人の資産等につきましては、これは別途にこれを処理する、こういう予定でございまして、この財団法人には過去において補助金も出ておりまするし、また三十四年度も実は補助金予算を計上いたしてあります。従いまして、まあかりにこの法律が近く成立いたしまして、新会社ができるということになりました場合におきましても、新会社設立までにはなお二、三カ月を要するかと思いますので、その間におきまして繰越金等もございますので、十分財団法人としての運営もできまするし、また補助金財団法人の名においてこれをいただきまして、そうしてあとの経理につきましては、財団法人の解散に伴います財産の処理といたしましては、新会社と別個にいたします。こういうことになると思います。従いまして新会社の株は、これは架空のものではなくて、実際に民間についてはそれぞれ二億円を引き受ける、こういうことになる予定でございます。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、二億円は全然別個であるという解釈でもよろしいわけですね。それから、その場合、そういうことで発足しまして、おそらくその製造工場をこしらえて一カ所で作るわけではないんでしょう。おそらく宇都宮の富士にはどれを頼むとか、名古屋の三菱重工にはどれを頼む、こういうことになるわけですね、そういう割り振りとか、中身の問題はどういうことになりますか。
  27. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話通り、新会社は新しく大きな設備を会社自身が持ちまして、この会社が一手に製造するというわけではございませんで、この会社はむしろ設計なり製造面における中枢部、頭脳の役目を果すわけでございまして、実際の生産面につきましては、お話通り、既存の各会社に割り振りをいたしまして、この会社から発注してやる、こういう格好になります。そういたしまして、すでにその会社関係等につきましては、今までこの昭和二十七年以来やって参りました各航空機会社の実績というものがございまして、おのずから各会社にはそれぞれの特色がございまして、その分野がございまするので、一番代表的なものは新三菱重工業あるいは川崎航空機、富士重工業、この三つが中心の会社になると思いまするが、そのほかにもいろいろ関連の会社がございまするし、機体関係部品関係あるいは通信装置、計器とか、いろいろ関連会社がございますので、それぞれの専門分野に応じまして、すでに会社間においては大体の生産分野の割り振りというものが相談ができて進展中でございます。従いましてその間につきましては、きわめて会社発足後直ちに円滑に動き出し得ると、こういう予定であります。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、わが国航空機産業がおくれておるので、国をあげてやると、あらゆる民間会社でこの種の業務をやっている会社が株を出すなり技術を提供するなり工場を提供してやる、政府もあげてこの一社に応援するということで、一切この会社のみでやる、こういうことになりますね。そこでこれは、そういう心配は要らぬのかもしれませんけれども、そういうことになると、これは日本の一手販売ということになって、独占禁止法とかに関係してくるんじゃないかと思うわけです。今の場合はそんな元気のある会社がないので、これは独禁法違反で、君のところ一カ所で独占してはけしからんというような、勇ましいことを言うようなところはないかもしれませんが、これから五年たち六年たてば、これはそういうような声も起らぬとは限らぬ、これについて、今日の段階でまだ早いかもしれませんが、こういうことはどういうことになるか、それともあくまでこれで押していくということになれば明確な統制になる。さりとて今申し上げました独占禁止法にもかかるのではないかということが懸念されるわけですが、こういう点は局長さんどう解釈しておられますか。
  29. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今度考えておりまする、いわゆる国産機製造につきましては、これは初めて日本自身が、自分の設計によって、自分の設計に基く国産機を作るわけでございまするので、しかもそれが総合的に最後の細み立てまで一手にやるということになりまするので、それだけの能力を持っておりまする航空機会社というものは、現在どの一社にもないわけでございまして、従いましてどうしてもこれは業界としては、打って一丸とした一つの中核体を作らざるを得ないということから出発した問題でございまして、従って先ほど申し上げましたように、この会社が自分で設備を持って、何もかもやってしまうというのではなくして、むしろこれが一つの中枢の頭脳の役目をするということでございまして、実際の生産は各機体会社、あるいは関連会社が——これは全国に関連工場を入れますと、おそらく六百くらいはあると思いますが、これらを全部動員してやるわけでございます。従ってこの会社国産機を作り始めました場合におきましては、将来永久に一切の生産は、これ以外には認めないというような趣旨のものではございません。現在、当分の間、日本航空機工業確立するにつきましては、どうしてもこういう形態でなければ国産体制というものは成り立たないということからきた結果でございます。のみならず、既存の川崎にしましても、三菱にしましても、富士にしましても、それぞれやはり従来通りこの国産機の生産のほかに、あるいは米軍の発注なり、防衛庁の発注なり、それぞれの仕事をやっぱり持っておるわけでございます。航空機会社一つになってしまうというわけではございませんので、その面におきましては、独占禁止法に触れるというようなことはない、かように考えております。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 今局長のお答えで理解できる面と、理解できぬ面があるわけですがね。ちょうど国家総動員法というのがございまして、そのときに局長が通産省におられたかどうかわかりませんが、あのときは商工省ですね。昭和十三年に法律を作り、そうして十六年に大改正をして国家総動員をやった、それと似ておるわけです。これは二月二十一日の新聞ですが、「航空機業界を強化、生産三社、新三菱、川崎、富士に集中、通産省方針、修理各社を系列に」というところから始まっていろいろあなたのお話が半分入っておって、半分入っておらぬのですが、あなたが新聞記者に発表したかどうかわかりませんが、これはどうもあなたの話と若干違うんです、今の御答弁とは。これは、こうすると、あなたの言ったのではない。高碕大臣はとにかく責任者だけれども、高碕さん幾ら頭がよくても詳しくはなかろうと思うので、あなたがべらべらしゃべったのだ、ろうと思うのですが、これはどうですか。
  31. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今御指摘になりました新聞の記事は、私が話したものではございません。ただその記事に出ておりますかと思いますが、航空機業界、これはもう航空機業界に限らず、機械工業全般につきましても、同じような問題があろうかと思いますが、やはりその各企業間における系列化の問題でありまするが、業界の組織化というような問題は、やはり常に問題はございまして航空機業界におきましても、戦争中におきまして非常に強力に設備を拡充し、膨大な生産を行なったのでありまするが、それが今日は非常に遊休化しておる面もございまするし、また将来における利用面等の想定、あるいは持っております設備なり技術等の関係におきましては、やはり業界の内部におきましてはある程度の系列関係と申しますか、そういうことが必要になってくる面もあるということは、これはやはり事実でございます。しかしそのことは別段独占というようなことを意味するわけではございませんので、業界の各会社の実態を見まして、その会社として将来そのままの形でいくのがいいのか、あるいは関係のある会社と連係を持っていった方がいいのかというようなことが、やはり具体的にあり得るわけでございます。そういう面についてのことを、ややそういった表現で書いたのではないかと思いますので、これは戦争中の統制とか、あるいは独占とか、そういうふうなものとは全然別個の考え方に基いているものでございまして、おそらく新聞記事もそういったことに関連して取材したものではないか、こういうふうに考えております。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも僕が切り抜いた新聞と違うようですが、それは新聞記者が局長の意のあるところをくみ取れなかったのであろうと理解して、その次の質問に移りますが、一昨年の暮れから昨年の二十八国会だろうか、よく記憶しておりませんけれども、日本合成ゴム会社とかいうのができて、これが政府出資の会社で、大体これと類似した会社なんです。この会社法案をきょう持ってきておりませんけれども、中身はとにかくその会社の資本金の半分は政府が負担する。この半分というのも、これは十億だというふうに明確に規定しているわけですが、これは全然そういう規定がないのですね。それでそのときの状態によってとか何とかいって、「予算の範囲内で」とかいうふうにあいまい模糊なんですね。同じ政府なんですから、だからこの種の法律によって、こういう会社を設立して、やはり応援して大いにやらせるというときは、趣旨が同じでなければならぬと思うのですよ。特に国の金を出してやるのだから。その性質が違う、こういうお答えがあるかもしれないけれども、しかし初め踏み切った以上は、しり切れトンボではうまくないと思うのですがね。こういう点はいかがですか。
  33. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今御指摘の、日本合成ゴムその他いわゆる特殊会社政府が出資をいたしておりまする特殊会社の資本金の書き方につきましては、実はいろんな例があるわけでございまして、まあ電源開発会社のように初めから授権資本を一応一千億なら一千億としまして、政府がその過半数を出資するという書き方もございます。また実体はほとんど全額政府出資になっているわけでございますが、まあそういうような例もございまするし、単に予算の範囲内において会社に対して出資することができるというこのことと同じような例もあるわけでございまして、この点につきましては、御承知通り、この会社量産態勢、いわゆる研究開発を終りまするまでの間において、大体三十八億円くらいの資本を予定しております。そういたしまして、やはりこの業界がまだ整備されておりませんので、政府の出資の割合というものはできるだけ多い方がいいというふうには私どもは考えまするけれども、しかし財政当局としましては、やはり毎年度予算の実体を見ないというと、まあ将来長きにわたる約束はできないという意味もございまして、一応予算の範囲内においてという形になったわけでございます。しかし今年度三十四年度の予算につきましては、御承知通り政府が三億と民間が二億、すでに六割は政府という実績が出ているわけでございまして、少くともこの線は将来においてもそれ以下にはならないように持っていきたい、かように考えております。のみならず、この法律の付則にも書いてございまするが、政府出資は一応研究開発段階が終った以後においては、新たなる出資はしないということが書いてございます。と申しまするのは、昭和三十八年度以降予定通り量産態勢に入りました場合には、すでに相当収益も上げ、会社自体としてペイするような形に乗り得るわけでございますので、それ以後においては、特に政府が出資をつけ加えて援助する必要はないだろうという想定のもとに、そういうことにいたしたのであります。特に事業の計画内容等はすでに実態をはっきりして、大蔵省とも相談いたしてやっているわけでございます。法律の面においては予算の範囲内においてということになっておりますけれども、実体はそういうことでありまして、将来長きにわたりまして資本金が幾らというようなことを、この際、明確にするということも必ずしもはっきりいたさないものでございまするし、またその必要もないのではないか、かように考えて法律の規定はこういうことにまあいたした次第でございます。
  34. 阿部竹松

    阿部竹松君 今、小出局長は質問せぬ個所を後段に答弁したのですがね。その後段に答弁したところがやはり心配なんで、初めの合成ゴム会社と比較をして、とにかく御質問したのですがね。しかし実際問題として「政府は、予算の範囲内で、」というのは、これはきわめて狭く解釈もできるし、広義にも解釈できるのですね。これはきわめて幅広く解釈できるわけです。しかし後段の方であなたは私が質問せぬのに答弁してとにかくその打ち切りの時期を明確にしたのですが、なるほど法案にもそう書いてありました。しかし、実際問題として、打ち切りの時期は試験飛行を終り、試験飛行を飛んでから、東大の河田さんですか、所長さん、あの河田博士の話を承わると、大体一年以上かかるというのですね。試験飛行をやってから。そして実際本物を、お客さんを乗せてやるのに一年以上かかるという東大の河田所長の話なんです。そうすると、その間一体どうするかということが心配になるわけです。それと同時に、政府の出資を明確に規定しておらないから、官民の差がどういうことになるか。どういうことになっても仕方がない、こういうことなのか。ある程度、三分の一なら三分の一とかいうように、法案にはうたってないけれども、しかし行政指導の一面で、あるいは政府の財政出資の面から見て、そういうことが計画の中にあるものかどうか、こういう点もお尋ねしたいわけなんですが。
  35. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 政府出資の割合でございまするが、確かにお話のように、予算の範囲内において出資を行うというだけでは、予算がなければ出資をしないという解釈もできますし、予算のある限りフルに出資をするという逆の解釈もできますし、必ずしも明確ではございませんけれども、それはすでに他の特殊会社等の面においても明らかなように、大体会社を作りますに当りましての、先ほど申しました三十八億円という大体最終量産態勢に入りますまでの事業計画年度ごとに大蔵省とも打ち合せをして作っておるわけでございまして、従って、法律政府出資が過半数というふうな書き方をするという案も実は法案作成の途中においてはございましたけれども、しかし実体はすでに予算でもってきまるのでございまして三十四年度の予算において三対二にするというふうに話が出ました以上は、それはまあこれが一つの実績であるというふうに私どもは考えまして、あとは毎年度の仕事の進捗に伴いまして具体的に大蔵省と折衝をして、そのつどきめていくという以外にないのではないか、かように考えております。しかし、少くとも三対二の線以下にならないようにやっていくということにつきましては、十分通産省としてはその努力をいたしたい、かように考えております。  それからこの付則の第三条に書いてあります、会社が最初に行う輸送機の設計、試作、試験が完了した年度の翌年度以降は新たな出資は行わない、こういう規定でございますが、これは、そこで出資を引き揚げるわけでございませんで、新しい出資を追加しないという意味でございます。今お話通り、試験試作機を作りましてその試作機を試験をするという段階がやはりあるわけでございまして、その試験を完了したその以後においてという意味でございますので、もう十分に試作が終り、試験も終って、完全に飛行できるという状態になった、その年度から先は、という意味でございますので、ただいまの御心配のような試験段階において途中で打ち切るというようなことはないわけでございますので、御了承願いたいと思います。また、これが量産態勢に入りますれば、先ほど申し上げましたように、特にそれ以上政府が出資をしなくても天体やっていける、こういう見通しを持ちました関係上、こういうふうな付則を入れることに大蔵省と話し合いをつけた、こういう経過でございます。
  36. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体その問題の発端は昨年にあるのですね。私は、昨年この法案に賛成したのですから、今年も賛成なんだけれども、だから僕はしつこく承わっておきたいのですが、そうするとあれですか、打ち切りだといって、試験飛行が終るまで出すということになるのですけれども、試験飛行が終って、今度実際飛ぶ飛行機——飛ぶ飛行機というのは、外国へ売るか国内で使うかは別として、飛ぶ飛行機を作る場合に、金が足りなければ出す、こういうことなんですか。僕は、実はこの法案を見ると、これで全部終りですというふうに解釈をいたしたのですが、そういうことでないのですね。そこを一つ明らかにして下さい。再度お尋ねいたします。
  37. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 政府の出資につきましては、付則の第三条にございますように、試験が完了した年度、具体的に申しますれば、大体三十八年度、その翌年度から以降は政府出資は新たにしない。従いまして、もし実際にこの会社自体が本格的な製造販売という運用面に入りました場合に、もし金が足りないという場合におきましては、その不足の金をどう調達するかという問題につきましては、政府出資による調達の方法はなくなる、新たなる追加はできないというだけのことでありまして、従って、資金の調達方法にしましても、もし増資による必要があるならば民間出資による増資の道もある。しかしながら、借入金というような面につきましては、これは、場合によりましては開発銀行から融資をするというような面もございましょうけれども、しかし、出資という形で政府が新たにこれに追加はしない、こういう意味でございます。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、今年は政府が三億円出す、局長の御答弁で初めてわかったんですが、二億円、合わせて五億円ですね。それから補助が六千万円ですか、そうすると五億六千万円で出発するわけですね。従いまして、今年はそれでいいが、しかし、大蔵省と折衝して、予算の範囲内できめるということになっておりますけれども、大体明年度はどのくらいかかって、その次の年、三十六年幾らぐらいかかって、三十七年幾らかかるということは、何百何十万円まで明確にしなさいという御質問は僕はしませんけれども、大体の見通しというものがあるはずだと思うのですが、ただばく然として予算の範囲内できめるというようなことでは、とても理解できない面もあるわけですが、こういう点はおそらくおわかりだと思うのですが、どうですか。
  39. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 先ほどからお答えいたしましたように、今回の会社を作りましてYS—11型を国産化するにつきましては、ちゃんとやはり年度別の計画を作ってございまして、それに要する経費の区分も一応できております。昭和三十四年度から三十八年度までの総経費の累計は三十九億五千五百万円という予定でございます。そのうち三十四年度におきましては、総計五億六千万円の金額でございまして、これにつきましては、事業の内容としましては、詳細な設計、各種部分の強度試験をする、これが大体一億二千万円ぐらいでございまして、これが補助金の対象になるわけでございます。それから〇一号機と申しております強度試験をする試験機、それの製作試験に入ります。それから試作用の治工具の設計製作に入ります。そういうような金が約四億四千万円、合計五億六千万円、その次の年度、三十五年度とそれから三十六年、両年度が、実は一番資金的に多額の経費を要する年度でございまして、三十五年度は総計約十五億一千五百万円、三十六年度が約十五億円という経費を要しまして、そうしてその間に製作試験、さらに治工具の設計製作、それから試作機としての第一号機、第二号機というものの製作に入るわけでございます。そこで、三十五年度、三十六年度における十五億円余りの経費の中で、政府出資をどれだけ期待するかということにつきましては、これは私どもの計画は一応持っております。まあできますれば、十億というような金を政府出資で出してもらえば非常に全体としての計画はスムーズにいくのではないか、かように考えております。それから一二十七年度になりますと、経費はやや減って参りまして二億七千五百万円、三十八年度にはさらに減りまして、一億五百万円、こういうような予定でございます。これらの年度別のあれに合わせまして、特に三十五年度、三十六年度においては相当多額の政府出資を必要とする、かように考えております。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 明年度と明後年度政府の出資を多額に必要とするというのはわかりますけれども、そうすると、三十九億五千五百万円は、大体一号機、二号機の試験機ができ上った金額も入るわけですね。そうすると、三十九億五千五百万円の内訳ですが、政府出資が大体何%くらいになる。——これは見込みですから、僕は、また来年重工業局長がこういう答弁をしたなどということで再質問しようと思いませんけれども、その次のお尋ねしたいところに関連がありますからお尋ねをいたします。
  41. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 先ほど申し上げましたように、三十九億五千五百万円のうち、出資として考えておりまするのが三十八億円ということであります。その三十八億円の政府と民間の出資割合でございまするが、これは初年度の三対二という比率以下にはしない、以上である点につきましては、私の方としては多々ますます弁ずるということでございますけれども、少くとも六割以上は政府出資にしていきたい、かように考えております。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると三対二の三は政府であると、こういうことですね。そうすると当然あれですな。もう少し明確に、その数字がわからぬまでも、こういう予算の範囲内で応じるということも、これは今年度やむを得なかったかもしらぬけれども、そういうことを付則か何かで明確にしておく必要はあるんじゃないですか。来年になってまた経済界が変動したなどという、局長のおっしゃるように予算もとれない場合もあり得るのですよ。そうすると、延び延びになって困るから、この種のものは一ぺんきめたら少しくらい無理はあっても、やはりやらなければならぬということになるのですから、今年度からやはりそのくらいのことも明確にする必要がある気がするのですが、いかがでしょうか。
  43. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話通り、大体の計画ははっきりしておるわけでございまするし、その点につきましては、財政当局とも十分打ち合せ済みの計画でございます。ただ年度別に政府出資を、三十五年度は何億の出資をする、三十六年度は何億の出資をするということを法律に明記するということは、これはやはり予算との関係というものから非常に困難だろうと思います。従ってもし法律に書くといたしましても、各種の例から申しますれば、過半数政府が株を持つという程度の書き方しかできないかと思います。それよりはむしろこの短期間に国産化を達成するというこの計画自体は、もう政府全体として了承しておるわけでございますので、この期間内にどうしても達成できないような予算措置では困るということで、毎年度具体的な金額をきめていく方が実際的ではないか、かように考えた次第でございます。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、この会社は、たとえばあれですな、富士とか三菱とか、川崎とか、子会社のようにして部品を集めてきて、エンジンはとにかくイギリスさんから買って、七、八年後は、局長の御答弁では、わが国の製品でエンジンを動かすとおっしゃるから、それはいいが、その辺から買ってきて、それで寄り集めて、そして今度部品細み立て工場と、こういうことになるのですね。一つのところで製造部門を持たないわけですね。そうすると、その辺から、そっちこっちから部品を持ってきて、君のところは尾翼だ、君のところは両翼だ、それから機内の電気施設は日立か東芝だということになって、そっちこっちに部品を頼んで、そして部品を、親会社である、とにかく今度の法人会社でとにかく設計書を作って、設計書を渡して、設計書に基いて集めてきて、そして今度は組み立てという、これは双眼鏡とかミシン、かかる軽工業の、ああいう会社と同じことですな。これは一つの販売かつ製造すると書いているけれども、実際製造するのは全部中小企業でやって、大会社は三十九億の金で飛行機を作ってもらって、指令を出して指令によって集めてやるという、別に製造工場を持たなければ、組み立て工場の簡単なやつを持つくらいで、きわめてこれは単純な方法ですね。そういうふうに解釈してもよろしゅうございますか。
  45. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この会社自体も、実は組み立て、最終的な段階等につきましても、これはやはりそれぞれの各会社の分担に応じまして、あるいは一番代表的な実績を持っております新三菱なら新三菱というところに組み立ての最終段階までやるということになろうかと思います。ただ、従って形の面におきましては、今お話しの通り中小企業のアッセンブル工業と似たような形になりますけれども、航空機工業の実態は全然違うわけでありまして、それぞれ各会社は膨大な設備を持ち、技術者を持って動いております大企業が大部分であり、その関連のまた下請工場あるいは関連部品工場全部合せますと、六百社ということで、この中には大企業のみならず、中小企業も相当入っておるわけでございます。しかし単なるそういったアッセンブルということじゃございませんで、この大会社の一番大事な点は、やはりその設計というところにあるわけであります。それぞれの各会社にどういうふうな内容のものを作らせるかという、言葉は悪いわけでありますが、参謀本部みたいな格好の仕事をするということでございまして、その面におきましては、非常に特殊な、非常に高度の精密度と、しかも工業としての総合性を持たなければならぬ意味におきまして、どうしても、こういった中核体がなければできないという意味でできておるわけでありまして、通常の中小企業によるアッセンブル工業の場合とはその実質においては全く違うものである、かように御了解いただきたいと思います。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも局長答弁がうまくてかわしたが、アッセンブル工場と違うんだといっても、現実そうでしょう。似ておりますが、違うという。それじゃその違う理由説明できたら明快にしてほしいですな。僕はあなたのあげ足を取るわけじゃないけれども、実際そうじゃないですか。別に製造工場をもってどうするのじゃなくて、全部もう手と足と頭とそれから部品の作るところを全部別々にして、それを寄せ集めてきてやるのですから、僕はもうただ大きいか小さいかの差はありましょう。大小の差はあっても、それは完全にそうですよ。今のところ輸送機製造株式会社というのはちょっとおこがましいような気がするのですが、あなたのもう少しはっきりした、違うなら違うというその理由を、どういうふうに違うのですか、もう一度明確にして、お尋ねしたいわけですがね。
  47. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 自分自身が製造設備を持たないで、設計ということを中心にいたしまして、その設計に従ってそれぞれの製造分野、責任分野に応じまして、各会社に発注するという形におきましては、あるいは今お話しのように、たとえば双眼鏡というようなものの形に似ておるかと思いますけれども、しかし私が申し上げました違うという意味が、中小企業、大企業という違いはもちろんございますけれども、これは航空工業に限らず、自動車工業等においてもそうでございますけれども、非常に総合的な精密度の高い工業の実態でございまして、従ってその中枢になる、いかなる設計に基いて製作をするかという点、この点が非常に決定的な実は要素を持っておりまして、その面におきまして、ただ作ったものを寄せ集めてまとめるというだけではないわけでございまして、その辺が違いではないかと思います。もちろん形の面におきましては、あるいは阿部先生のおっしゃるように違ったところがないのではないかということになろうかと思いますけれども、そういう質的なと申しますか、そういう違いはあるのではないかと、かように考えます。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 私ばかり時間を使ってまことに恐縮ですが、もう一点お尋ねねしたいわけですが、政府の監督方法その他については、法案の中にも規制してございますが、しかし役員ですね。たとえば会社が四月一日なら四月一日に発足した場合、ばらばらと今まで研究協議会のお役人がなだれ込んでそのまま居すわりするものか、それともどういうふうな方法でやるか、いつも役員があらゆる、この種の会社なり団体ができるときに問題になるわけですね。今から構想をお尋ねするのはどうかと思いますけれども、もう法案が通れば直ちに発足するやに承わっておりますし、これは局長にお尋ねするのは酷であって、これは大臣か中川政務次官にお尋ねしたいところですが、政務次官が歯が悪いようですから、局長でもけっこうですが、そのあたりどうですか。役員の構成の問題について構想があれば、お尋ねしておきたいと思います。
  49. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 歯は大したことございません。まあ阿部さんが非常に、先ほど来、御心配になっておられますが、今御心配のような点は従来しばしば見られることです、実際問題として。私どもそういう点についてはどうかと思ったことも、今まで単に通産省関係だけではなく、政府のそういう人事の面においてどうかと思う点が多々あったと思うのです。ただ、この航空機の問題は、今度新しくできます会社は、普通の一般の商事会社であるとかあるいは保険会社であるとか金融機関であるとかと違いまして、相当の技術を伴う面が多いと思うのです。そういう点から申しますというと、やはり今までの協会を構成しておりました会社の技術、相当なスタッフ、有能なスタッフを集めてやらないと、実際問題においてできないのじゃないか、こういう気持がするのです。そういうような点から、やはりいきおい今阿部さんが御心配されておるような結果に私は陥るのではないかと思うのです。しかし、まあそれはやむを得ざるものとしても、今御心配になっておりますような点は十分に政府としては考えまして、そうしてあまり偏しないような人事をやらなければならないということを私どもは留意をいたしておりますから、そういうようなところで一つ御了承願っておきたいと思います。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 人のうわさを聞いてきて委員会で信憑性のない発言をするのは、やはり差し控えるべきだと思うんですが、今中川政務次官がおっしゃった通り、確かに戦前、戦争中を通じて優秀なこの種の技術を持った方が研究協議会におられるということも知っております。しかし、その反面、そういう業務に携わった、あまり能力のないといったら極端な言葉であって、そういう言葉を使うべきではないと思いますが、そういう人も何人か入ってこられると思う。そういうようなこともとにかく私聞いておるわけです。それで私の今申し上げたことが全然単なるうわさに過ぎないのであればけっこうですが、もし事実であるならば、そういう人がずっとなだれ込むならば、国の財産が三分の二人っているわけなんですから、三分の二と断定するのはおかしいのですが、大体三分の二でいく方針なんですから、そうすると、だれでもかれでもそのままなだれ込むというのは適当ではない、こう思うわけで、今、次官から意のある答弁を承わったので、そういう点はやはり明確にやつていただきたいと思います。  それからもう一つは、これは衆議院でいろいろ審議の過程の中で話し合いがあったそうですから、あまり触れませんけれども、駐留軍労務者の中に、この種のたんのうな技術を有しておる人がたくさんおるそうです。それを国でとにかく三分の二の株をもってやらせる国家的事業といっても差しつかえないような仕事であるから、失業対策といっては、これまた穏当を欠くかもしれませんけれども、そういうところにやはり何人かを採用するというような方法を講じてやったらいいのだという話もあるわけなんですが、こういう点については、これは法案の条文には関係ありませんけれども、政府がやはりこの種の仕事をなさるという行政指導の面の中で考慮をいただけるかどうか、いただけないかどうか、この点は質問になろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  51. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 今阿部さんの御心配の点につきましては、実はお話のように、衆議院でも、委員会の席上、問題になった点です。特に、駐留軍の労務者の失業の問題につきましては、政府としては非常な重大な関心を持っております。従って、こういう新しいものができまして、駐留軍に勤めておられた方で特に技術にたんのうな人であるとか、技術にたんのうでなくとも、そういう方をできるだけ採用するという方針をとっておりますから、どうぞその点は御了承願いたいと思います。
  52. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、やはりいかに駐留軍がアメリカに帰って、仕事がなくなったといえども、技術を全然身につけていない人をやってくれというのは、この種の仕事が仕事ですから、無理だと思うわけですが、しかしやはりそういう適当な人がおれば、これは採用していただけるということを次官お約束できますね。
  53. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) そういうふうに進めます。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 それでは最後に一点お尋ねいたしますが、話は一番最初の話と似通ってきますが、去年これを論議するときは、アメリカの航空事業の状態をあまり僕ら明確につかんでおらなかったわけです。それで政府当局の言うことを聞いて、これはつまらない飛行機は作りませんぞということで、しからば、日本でも立ちおくれておるけれども、一つやろうということで、大いに賛成したのですが、しかし実際最初申し上げました通り、そういうような状態でなくなったわけです、情勢が変ってきたわけですよ。ですから、情勢が変ってきたといって、今急にやめるわけにいかぬでしょうけれども、そういう点についての対策は全然ないのですか、最後にお伺いいたします。
  55. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) ちょっと私御質問の意味がはっきりしなかったのですが、情勢が変ってきたという御指摘の点は、今の現在の航空機工業の生産と申しますか、事業の大勢が変ってきたと、こういう意味でございましょうか、技術の面でございましょうか。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう面でなくして、去年この法案審議したときは、小出さんおらぬかったからおそらくおわかりにならぬと思うのですが、課長さんがおられたので。こういう話なんですよ。たとえば日本で中型の旅客機を作っても、アメリカとかイギリスとかフランスにとても太刀打ちできぬのではないか。従ってこれはどうも日本なら日本だけで使うというなら、とにかくドルを使うよりまだけっこうだからいいけれども、とにかくこの方針でいくと、東南アジアとかあるいはアメリカにまで輸出しなければならぬという方針だが、しかしそれはアメリカではやりません、端的に誓えば。ところがその後アメリカで大いに売り出すのだということなんですよ。そうすると、これはアメリカ日本と競争して、これはざっくばらんに申し上げれば、なかなかかないっこないわけです。ですからそれについてはどうお考えになるかということを、やはり心配なものですから、局長にお尋ねしておるわけです。去年ここでお話しになった通り、この阿部議員の聞いておるのは、全然それは心配のある話でなくて、それは違うでしょうということでもけっこうですよ。しかし僕は本を読んだのですから、現地に行って見たのじゃないのですから明確にそれはどうだというふうに断定して申してはおりません。とにかくその点はアメリカ航空機政策が変ってきた、大型は大型で全部ジェットになってしまう、小型はこれは国内用に使う、あるいは未開発の地域に売り渡すのだというふうに、航空機政策が変ってきたというふうに私はある本で読んだものですから、そこで心配なので、そういうときはどうしますかということをお伺いしておる。
  57. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お答えいたします。今御指摘になりました諸外国情勢が変ってきたことによって、今申し上げましたような、昨年来考えておる国産機需要の面において非常に見込みが変ってくるのじゃないかと、こういう点を御心配でございますが、この点につきましては、もちろん十分検討いたしまして、国内用については今御指摘の通り全部輸入外国から飛行機を買うよりも、できるだけ国産機に取りかえるということは、これは当然のことでございまして、その面についての需要はこれはもう確実にあるわけでございます。それにつけ加えまして輸出事情でございますが、これについては大体現在東南アジアなり、中近東なり、あるいは中南米というような各国で現在運航しておりまする輸送機を今度われわれの国産機であるYS—11型で代替できると、こういうふうに見越しましたものを、東南アジア、あるいは中近東、中南米各地域ごとに合計してみたのでございます。これが大体九百七十八機ぐらいの予想になっております。大体飛行機の種類としましては、DC—3、DC—4、C—46、それからコンベアというようなものが中心でございます。それらがこの数年来に大体その生命が終りまして、当然代替しなければならぬ時期がくるわけであります。そういうようなことをまず想定いたしまして、そういたしまして、世界的に航空輸送の伸びが飛躍的でございますので、今後十年間におそらく毎年一〇%ないし一八%くらい航空輸送が伸びるであろう、こういうふうに考えましてしかし、この大陸間あるいは太平洋等を越えていきまするものは、これは大体ジェット機が中心でございます。従ってわれわれの考えておりまする、いわゆる近距離の国際線と申しまするか、国内線、いわゆるローカル線的な中型の輸送機、これの伸びはむしろ低い方の一〇%くらい、こういうふうに需要を抑えまして、その需要に対してYS—11型がこれについてどのくらい代替し得るか、そういうことも固く見積りますると、世界全体におきまして、特に世界全体の中で、日本輸出適地であると思われます、東南アジア、中近東、中南米だけを考えましても、大体千百機ないし千二百機になる、それをさらに手固く見積りまして想定をいたしたのであります。もちろん現在各国ではすでに開発されて量産に移行中のものもございますので、そういったようなものが、この国際競争の中に加わってくるということも計算に入れまして算定をいたしたわけでございます。従いまして阿部先生の御指摘の通り、新しい、その後のと申しまするか、最近の国際情勢も全部織り込んで需要想定をいたしてみたわけでございます。
  58. 島清

    理事島清君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とします。
  59. 島清

    理事島清君) 次に、プラント類輸出促進臨時措置法案議題といたします。質疑を願います。
  60. 小幡治和

    ○小幡治和君 いろいろ御説明を承わった場合に、プラント輸出が思うように伸長しないというふうなお話もありましたが、一体その理由はどういう理由なのか、まずそれを伺いたいと思います。
  61. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話通り、プラント輸出は非常に日本の将来の貿易構造から見まして、一番伸ばさなくてはならない重要な輸出面でありますが、実績は、まだ諸外国に比べまして、非常に伸びが悪いわけであります。その百原因はいろいろございましょうけれども、非常に決定的な原因といたしましては、日本のプラント輸出というのは、非常に大きな、全体としての工場を総合的に建設するというような場合が多いわけでございますので、これに必要な調査、設計あるいは建設の技術の面におきまするいわゆるコンサルティングと申しますか、技術面におきまして、諸外国のまだ日本の技術に対する信頼度が低いという現状でございます。従いまして外国から輸出の引き合いがございます場合におきましても、その技術面等におきまして、いろいろな保証を要求されるわけであります。その要求された保証を、全部各輸出業者なりあるいはメーカーなりが自分のリスクでこれを負担するというだけの自信もございませんし、かりにそのリスクを負うといたしますれば、輸出価格にその分だけつけ加えまして、高い入札価格で引き受けなければならぬというようなことから、どうしても国際競争上不利になっておるということが、プラント輸出が伸びない非常に大きな原因ではないかと、かように考えております。
  62. 小幡治和

    ○小幡治和君 結局技術に対する不徳ということになると思うのですが、これはあれですか、諸外国もいろいろ競争してやっておるわけなんですけれども、何か根本的に日本の技術というものはだめなんだという考えなのか、それとも今までいろいろやってみて、そうして日本のやり方というものは、たとえば今言ったコンサルティングなんかの点において、どうも努力が足りなかったという意味において、技術に対する不信というものが生じたのか、外国はそこを非常に上手にコンサルティングもやっておったので、信用をますます得て、日本がそれを失敗したから不信になったのか、その点はどういうことですか。
  63. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今お答えいたしましたように、プラント輸出の不振の原因が、そういった日本技術面なりコンサルティングに対する信頼度が低いということでございますが、その低い原因では、本質的に日本の技術なりコンサルティングが劣っておるということに原因しておるとは私どもも考えておりません。だんだんに、これはやはり諸外国にそういう信用を広めていく、具体的にプラント輸出の実績ができますれば、その日本人の手によって設計され建設された工場が、その外国の中で、現実に運転されるわけでありまして、これによってその土地における日本の技術の信頼度が自然に高まっていく、従って今後はだんだんそれが打開されるかと思いまするけれども、何と申しましても、過去においての歴史と申しまするか、経験がまだ浅いわけでございまして、これに反しましてアメリカ等におきましては、専門のコンサルタントというものが前から長年にわたって経験を積み、しかも相当巨大な資本と信用力を持ってやっておりまするし、またヨーロッパにおきましては、メーカー自身が同時にコンサルティングを前からやっておりましてこれが自分の手においてやるというような、やはり何と申しますか、過去の実績の違いが相当ものをいうというふうに考えます。従って、日本といたしましては、実績を重ねるに伴いまして、どんどん努力はいたしておりまするけれども、やはり何と申しましても、コンサルタントが強力なものがないという点がやっぱり一番大きな障害になっておるのではないか、かように思います。
  64. 小幡治和

    ○小幡治和君 こういう今度の立法措置のようなことは、そうすると、外国は全然やっておらない、日本だけがやるということになるのですか。外国でもこれと同じようなものをやっておるところがありますのですか。
  65. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 御指摘になりました点については、実は諸外国においてはこういったリスク補償をしておる例はございません。と申しまするのは、こういった、政府自身がリスク補償までして、コンサルティングの欠陥をカバーしてやるというところまで手を伸ばすまでもなく、すでにコンサルティングの態勢が整備されておるという違いだと思います。
  66. 小幡治和

    ○小幡治和君 この法律は、ガット等の国際義務に違反するというようなおそれはありませんか。
  67. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 今お話がございましたように、こういった特殊なリスク補償というようなことでやっておりまする例が諸外国にはないわけでございまするので、特に、政府がこういった態勢をとるということについては、当然そういった国際的なと申しますか、対外的な関係におきまして、あるいは問題になるおそれはないかということも当然考えられまして私どももその点は十分検討いたしましたのでございます。しかしながら、ただいま御提案申し上げておりまする補償制度の実体というものは、政府補償料を徴収いたしまして、そうしてプラント類の輸出者の総合補償的な性格を持ったものでございます。従いまして、国が輸出に対しまして補助金的な格好で援助をするという性質のものではございませんので、従ってガットの協定の第十六条の補助金というふうな規定に違反するものではない、かように解釈いたしております。
  68. 小幡治和

    ○小幡治和君 まあ日本独特の特別な助成援助方策だと思うのですが、輸出保険を少し十二分にやってやったら、こういう点もカバーできるのじゃないかというふうな気もするのだけれども、輸出保険ではどうしてもできないのだ、これでなくてはならないのだという特別の理由があるのかどうか。
  69. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話しの通り、従来からこういったプラント輸出の振興ということにつきましては、いろいろな措置を実はとって参ったわけでございまして、その中にただいま御指摘になりましたような輸出保険制度というものもございます。しかしながら、こういった何と申しますか、コンサルティングの態勢、コンサルティングの欠陥によりまして起りまするいろんな補償問題について、これをカバーしてやるということのためには、そういった既存の制度では運用ができないわけでございます。従ってやはり別途に、ここにこういった実態は、政府補償料を取りまして各業者間の相互保険的な性格を持っておりまするけれども、しかし実態は、最後において政府が保証をカバーしてやる、こういう態勢のものがどうしてもございませんと、各企業といたしましては安心して積極的に骨引き合いに応じていくという意欲が出ないのではないかと、かように考えて、別途にこういう制度を立案してみた、こういうことでございます。
  70. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、輸出保険と今度の法案のこういう補償というものとが並行してやられていく、両方ともにやられるという考え方ですね。輸出保険もやってやる、またこういうコンサルティングのそういう補償もやってやる、両方やってやるという意味なんですか。
  71. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) その通りでございます。
  72. 小幡治和

    ○小幡治和君 本法の予算措置ほどういうことになりますか。
  73. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 予算措置でございますが、この補償制度を通用するにつきましては、三十四年度の予壕におきましては、いゆわる補償金と申しまして、まあ政府の支払いまする補償金といたしましては百万円実は計上してございます。それからこのコンサルティングの損失補償業務を実際に委託いたしまする指定機関というものを考えておりまするが、これはまあ具体的には社団法人日本プラント協会を予定いたしておりますが、これに対して政府の業務を委託するわけであります。従いまして、その委託に必要な経費をやはり政府から補助するということで、これもきわめてわすかでございまするが、一応百万円を予定しております。そこで補償金の百万円というのは非常に少いようでございまするけれども、これは初年度でございますので、実際に補償金の支払いの事故が発生しますのは、おそらく二年以上先のことでございまするので、まあいわば見せ金と言っては非常に適当ではございませんが、その程度のものを一応計上した。それから二方予算総則におきまして政府昭和三十四年度において補償契約を締結し得る限度というものを予算総則に書いてございます。これは六十億円掲げてありまして、これは大体三十四年度におけるこういったプラント輸出が大体四百億くらいあるだろう。これは経済企画庁の五カ年計画に合せまして一応四百億円というものを前提とし、それに見合う補償契約の限度を六十億円と、こういうふうに予算総則に計上したような次第であります。
  74. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、事故が非常にたくさん起きた場合に、国庫負担が見込みより過大になるというふうな場合いには、この予算の面において一応上げてあるけれども、それはまあその場合どういうふうに処置し得るのか。今の御説明通りでもってすべてがカバーできるというふうに解釈していいんですか。
  75. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) その点につきましては、三十四年度においては一応百万円というごくノミナルな金額を計上してございます。これは先ほど申しましたように、実際には支払いという事態は起らないつもりでございます。と申しますのは、この制度の運用に入りますのは三十四年度からでございますが、三一四年度においては、まず政府との間にプラント輸出をいたしましたものが補償契約を締結したいということを申し込んで参りまして、審査の結果補償契約を締結いたしました場合におきましても、それによって現実に外国輸出をいたしましてプラントを建設して、その建設して工場を運転するまでには当然一年なり二年、通常二年以上かかるわけでございます。そうして二年先において運転をしてみた結果、保証条項と遺った結果が出た。そこで違約金を払わなければならないという事態が起りまして、初めてここに違約金に対する補償金の支払いの問題が出てくるわけでございます。従って三十四年度中には予算上は全然問題はないと、かように考えております。それでは三十五年度以降においてはどうなるかということにつきましては、三十四年度におけるこの制度の運用の経験を見まして、年度ごとにだんだん経験を重ねるに従いまして、その経験に合せまして、毎年その翌年度以降の予算措置をやって参りたい。その場合には十分カバーできるだけの予算を計上するように努力して参りたいと、かように与えております。
  76. 小幡治和

    ○小幡治和君 補償料率の問題なんですが、これはどれくらいの見当を立てておるのですか。要するにこれが高きに失する場合に、輸出者に対する本法の実益を減殺するようなおそれがあると思うのですが、今政府としてこれはどれくらいに見積っておるのか、また見積ったそういうものというものは将来も不変のものなのかどうか、その点を一つ
  77. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この場合の補償料率はお指摘の通り、これは政令で書くことになっておりまして、その政令においては、これは毎年度大蔵省と相談をしてきめていきたいと思っておりまするが、御指摘の通り、この補償料のきめ方というのは非常にむずかしいわけでございまして、率直に申しまして、初年度におきましては実際にこの事故率がどのくらい発生するか、十件の契約があります場合には、何件この事故が発生するという、事故の発生率の見方が非常に実は議論のあったところでございます。これがお話しの通り、あまり高い補償料を取りますると制度としての意味をなしませんし、そうかと申しまして、あまり低いところにきめまするというと、財政上も非常な破綻を来たすおそれもございます。従いましてその辺はいろいろ考え方がございましたけれども、一応初年度といたしましては、政令においては大体補償金額の一〇%程度、従って輸出契約の最高限度金額に対しましては大体一・四%の補償料の料率、かように考えております。これは事故率も大体一〇%というふうに見たわけでございます、しかしお話しの通り、これは固定したものとする考えはございません。初年度以降における制度の運用の状況に従いまして、この料率は適当に是正すると申しますか、むしろ下げる方向に向って毎年度改訂していきたいと、かように考えております。
  78. 小幡治和

    ○小幡治和君 通産大臣が一定の事項について大蔵大臣に協議するというふうなことになっておりますけれども、どんなことを協議するのか、それをはっきり明確にきめられておるのですか、どれとどれということを。
  79. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 通産大臣が大蔵大臣に協議すべき事項ということにつきましては、具体的には大体この各条文の中で政令をもって定めなければならない事項がたくさんございます。たとえば先ほど申し上げました補慣料率を決定する問題でありまするとか、あるいは補償金額の限度をどうするかというような問題とかあるいは補償額に関する規定でありまするとか、そういう政令に委任しておりまする事項、これにつきましてはすべて大蔵大臣と協議をする、大体その程度のことを内定しております。
  80. 小幡治和

    ○小幡治和君 これはそうすると結局政令できめる、そのときに料率なり何なりというものを毎年きめていくということで、現実にいろいろ仕事、業務をやる場合には、そのつど大蔵大臣と協議しなくちゃならぬということではないのですか、ただ原則、——そういう料率なり限度なりそういうものを一年の最初に予算に盛るということもあるので、それをきめるためにのみ協議をするということで、あとのいろいろな業務執行のときには、一々大蔵大臣と協議するというふうなことはないわけですね。
  81. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) お話通りでございまして、基本的な何と申しますか、方針に関係するような問題等につきまして、あらかじめ協議をして方針を定めまして、あとの具体的な個々の業務につきましては、これは大蔵大臣と一々相談するわけではございません。ただ大蔵省専管事項というのが実はございまして、これは輸出を伴いません、いわゆるインヴィジブルの面の契約がございます。これはもともと大蔵省の所管でございますので、これにつきましては、大蔵大臣に協議をしてやるということになろうと思いますが、政令事項等につきましては、一切政令の段階において協議をいたしまして決定いたしました以後においては、一々相談をする必要はない、かようなことでございます。
  82. 小幡治和

    ○小幡治和君 この業務の一部を、御説明によりますと、日本プラント協会に委託するというふうに説明されておりますが、この日本プラント協会にこういう国家の業務というものを委託した場合に、運営の公正、適正というものが期し得られるかどうかという問題なんですが、プラント協会そのものが、これは業者の団体みたいなものだと思うので、結局そういう業者の団体が、自分でもって勝手にいろいろこういうことをやつてしまうというふうなおそれ、業者の利益に即してやってしまうというふうなことも考え得られるわけですけれども、そういう公正な点を確保する方策というものを政府としてはどういうふうに考えておるか、その点を一つ説明願いたいと思います。
  83. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この補償契約の締結に関する業務、この法律の業務は、当然これは政府の責任において政府の行います業務でございまするが、その業務の内容が、何分にも非常に技術的なものでありまする関係もございまして第十六条において、民法上の公益法人の中で適当な、適切な組織と能力を有するものに業務を委託する、いわゆる指定機関という形で、その機関を指定することになっておりますが、その指定機関といたしましては、先ほど申しましたように社団法人日本プラント協会を予定いたしております。このプラント協会はその定款においても明らかなように、一定の資格があればまあだれでもこれに加入できるわけでございますが、現在のところ会員もだんだんふえまして十九社でございます。しかしやはりそこにはメンバーというものがあるわけでありまするので、これにこういった広範な政府指定の業務を委託するのはどうかという点につきましては、確かに御心配の点はごもっともでございまして、衆議院の審議におきましても、その点が問題になりましてプラント協会以外の各コンサルダントの方も参考人として御意見を伺ったのでありますが、いずれもプラント協会に委託するということにつきましては異存がないわけでございます。しかしただこのプラント協会が、こういった法的な業務を運営するのに、ほんとうに適切な組織と能力を備える必要があるわけでございますので、そのまず法律上の面におきましては、この十七条以下に法律上この委託されました業務に関する限り特別な監督規定を設けております。これによって公正な運営を監督するということが一つと、それから実際にこの協会の内部におきましてこの指定業務を運営するために必要な組織、その組織はどういう形にいたしまするか、本来の協会の業務と切り離しまして別個の何らかの特別な組織を協会内部に設けまして、そうして随時政府と連絡をとりながら、公正に運営をいたして参りたい、かように考えております。
  84. 小幡治和

    ○小幡治和君 今このプラント協会、十九と言いましたがね、このプラント協会には、まだ今度のこれを、プラント協会にまかせるという面において、十九以外のもっと群小のプラント業者というものがプラント協会に参加していくというふうな方法をとらせるのか、それとも、それは大体十九社が入っておってのこのプラント協会でやって、あとはみんなそこで公正にやるから、それでいいんだというので、群小のプラント業者というものは全部それを納得しておるのかどうか、そういう点に対してどういう状況になっておりますか。
  85. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) プラント協会がこの業務を運営するに当りまして、プラント協会以外のコンサルタント、これはたくさんあるわけでございますが、それとの関係をどうするかということにつきましては、一応プラント協会の内部において、特別な別個のプラント協会本来の業務と切り離されました特別な組織を設けましてその組織にそれぞれの既存の他のコンサルタントの人も参画して一緒に運営の相談に応ずる、こういう形をとりたいと思います。さらに進みまして、ブラント協会に対する団体加入というような道も開くことができるわけでございまして、ただそういうふうに団体加入いたしませんでも、特別な別個の組織、指定業務を扱いますものにつきまして、運営面において適当に参画するという方法をとっていきたいと思います。なお他のコンサルタントの業者の方も全部その趣旨については御賛同を得ておりまして、その間において具体的に摩擦なり運営の不適正が起るということはないと、かように確信いたしております。
  86. 小幡治和

    ○小幡治和君 このプラントの額の制限というのはあるんですか、金額の制限というものは。
  87. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この制度の適用を受けまするプラント類の輸出につきましての金額の制限というものは、特に制限はございません。
  88. 阿部竹松

    阿部竹松君 法案の中身をお尋ねする前に、これは中川政務次官にお尋ねしますが、そうすると、これは内閣でもいろいろ法案があってこれは建設省にかかると思う法案がほかの省へきたりして、いろいろ疑問に思う点があるんですが、それは別として、これは拡大解釈になるかわかりませんけれども、中身を見ると、輸出保険と非常に似ているんですね、そうすると、これは通商局のとにかく管轄でないかというような気がするんですが、今小幡委員の質問には担当であるでしょうから当然かもしれませんけれども、重工業局長答弁されているんですな。これは通産省のどうも仕事の分野というのは、僕は何が何をやっておるかわからぬ。重工業局だったら大きい鉄とか工作機械ばかりやるかと思ったら、競輪をやってみたり何かして、まことに複雑怪奇なんですね。それからまた、こういう望遠鏡などは、軽工業局長というものがおるから、そこでやるかと思ったら、これも重工業局長がやるのですね。これはどうも話の中身がぴんとこないのですね。中川政務次官になってから、改まってこういうことになったのでないから、中川政務次官にお尋ねするのは、どうかと思うのですが、どうも、そこらの分担が、すっきりいかないような気がするのです。  こういう点は、次官、御不審に思われたことはないですか。
  89. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) そう深く考えたこともないのですが、しかし、今おっしゃることも、わからないこともないのです。輸出ですから、通商局でやるべきではないかという御疑念も、一応、ごもっともだと思います。  ただ、このプラント類輸出促進臨時措置法というので、重工業が入っておるというのは、主として機械とか、そういう大きなもので、重工の部類に入る類のものが多いものですから、従って、平素の、いろいろな事務的の関係等が、ことごとく重工との関係でございますので、そういう建前から、この問題は、重工へ入れたのだろうと思います。  しかし、いろいろな差しつかえがございまして、重工へ入れておく必要はないじゃないか、通商局へ入れたらいいじゃないかということになりまして、また、そういう皆さんの御意向が、そういうことになれば、また考えてもいいと思いますが、今のところ、重工にしても差しつかえないと思います。
  90. 阿部竹松

    阿部竹松君 差しつかえがないから出したのでしょうが、工場設備とか、水道設備とか、そういう大きな機械が行くのであるから、そうだとおっしゃるけれども、横浜なり神戸の港から積めば、重工業局長は、そこまで責任がないわけでしょう。しかも向うさんとのやりとりの問題ですから、通商局の松尾さんの管轄だと思うのですよ。  たとえば肥料でも、今日もお話がありましたが、肥料を作るときは通産省だ、使うときは農林省だというふうに、きわめて明快になっているわけですね。従ってとにかく外国へ行って、一切がっさい終るまで責任を負うというのでなくて、取引上の問題だと私は解釈するのですが、そういうことでないのですか。結局、いいとか悪いとかという問題が生じた場合の責任ですから、通商局長——船に積むまでは、重工業局長かもしれませんけれども。
  91. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 輸出貿易ですから、取引にもなるのですが、しかしやはり大きな機械類等ですから、平素関係しておりますものが重工になっておりまするし、それから通商局の所属にいたしますと、通商には、そういうふうに機械に対するそれぞれの専門的な分野がないのじゃないかと思うのです。  たとえば、今お話のように、肥料なんかも、なるほど輸出は通商でやりますが、しかし、やはりこれは通産省の内部におきましては、軽工に入っておるわけなんですから、そういうふうな意味から言いまして、これはプラント輸出ですから、通商へ入れたらいいじゃないかということになるのですが、いろいろなアフター・サービスなんかの点についても、さらにまた、いろいろな照会等につきましても、プラント輸出をした暁には、いろいろな事後の照会等があろうと思うのですが、輸出技術の点については通商で、それはまかなえるだろうと思いますが、機械類等に対する回答、その他照会等に対する返事等は、やはり重工でなければできないのじゃないかと思うのです。そういう点から重工へ入れたのだろうと思います。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 最前の小幡委員の質問にも関連するわけですが、とにかくコンサルティングのミスを生じた場合、これはさいぜん、話をされておる中にございましたが、コンサルティングがミスを生じた場合、一体そのミスが、コンサルティングのミスであるかどうかということを、どこで判断されるのかということなんです。どこで判断するのかということと、それが、そこのコンサルティングのミスであったかどうかということは、明確にわかるかどうかという点なんですが、当局は、どういうように、こういうところでミスがあったというのを明確に判断して、これは、ここがいけなかったということが、どこでわかるのですか。
  93. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この制度の対象になって、実際に補償問題が起りますのは、お話通り、コンサルティングの欠陥からきた損失だけに限定される。それ以外の原因から来た損失は、もちろんこの補償の限りではないわけであります。  そこで、そのコンサルティングの欠陥であるかどうかということにつきましては、これは具体的に、それぞれの場合につきまして、お話通り、非常にむずかしい問題が起ろうかと思います。しかしながら、そのために、この指定機関に対しまして業務を委託いたしました場合におきましてその指定機関の内部に、それぞれの技術面におきまする専門家を集めまして、まず補償契約を締結するかしないかということについても審査をいたしまするが、あとで具体的に事故が発生いたしました場合に、それが果してどういう原因によってできておるか、出て来た損失であるかということについては、具体的にそれぞれの専門技術屋等が検討するわけであります。初めに補償契約をいたしまする場合に、輸出契約の相手である相手国との間におきまして、一定の保証条項が契約面において取りきめられるわけであります。その保証条項の中に、たとえば生産されます工場が、運転に入りました場合における生産能力はどの程度にするとか、あるいは性能なり、品質なりというような点について、それぞれ具体的な保証条項に取りきめられておるわけであります。  従いまして、それぞれの保証条項に照らし合せまして、どの部分において間違いが出てきたかということについては、具体的にこれを検討すれば、当然明らかになるわけでございまして、さらに必要がございますれば、輸出の仕向先でありまする相手国の現場まで出向きまして、そうして具体的な設備との関係を照合して決定をする、こういうことになるわけでございます。  もちろん、具体的な違約金の支払いの問題でございまするので、その点は、十分慎重に精密な検討を加えていく必要がございますし、またそれによって、十分具体的な欠陥の発生の原因をつかむことができる、かように考えております。
  94. 阿部竹松

    阿部竹松君 私のお尋ねしたかったのは、厳密に、慎重に、一体どこでどういうふうな方法でやるかという具体的なことを聞きたかったわけです。  局長の御答弁は、第十六条以下にある業務を特定機関におまかせして——特定機関というのは、実際、日本プラント協会に相なるかもしれませんけれども、特定機関にとにかく業務の一部を委託して、コンサルティングの欠陥によるものであるかどうかということの認定の仕事をやらせる、こう言いますがね。それを政府が行政指導をやるときには、具体的に、その行政指導をどういうような方法でやるかというようなことと、もし、かりにですよ。特定機関、プラント協会で引き受けた仕事が、資料が間違っておったりして問題が起きた場合に、これは一切あげて日本政府の責任になるわけですか。
  95. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この補償契約の締結に関します業務は、特定機関に委託をするわけでございまするけれども、これは業務の委託でございまして、業務の委任ではございません。従って、最終的には、あくまでもこれは政府の責任と、こういうことになるわけでございます。  従いまして政府としましては、委託をいたしました指定機関の業務の運営につきましては、常時、十分監督をしながら運営をしていく、従って何かそこに、非常に不適正なことが起りました場合におきましては、その指定機関に対する監督上の責任ということは、これは当然政府の責任、こういうことになろうと思います。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、日本ブラント協会というのは、私より、局長が御承知通り、大メーカーの出店ですね。大メーカーの出店ですよ。この大メーカーの出店に、輸出する機械類の最終判断をまかせるというのは、これはきわめて危険であると同時に、すべて損害補償、これは今言った、とにかくコンサルティングの欠陥によるものとして認定して、政府補償を認めるということになったら、これは重大な問題になるような気がするのですがね。こういう点の懸念はございませんか。
  97. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) プラント協会、協会自体のメンバーは、日本の代表的な機械工業あるいは建設関係のメーカーを網羅しておるわけでございます。その限りにおきましては、大企業が大部分でございますけれども、しかし、先ほど申しましたように、プラント協会が委託されましたこの政府の業務を運営するにつきましては、別個の組織を設けまして、それに対して関係の中小企業その他の代表の意見を十分取り入れられるような組織を作りましてそうして政府が、これに対して十分な監督をしながらやっていく、こういうことでございますから、しかも、個々の一件ごとの補償契約、これはプラント輸出というのは、非常に膨大なものになるわけでございますので、これに対しては、非常に高度の技術面の検討が必要になって参りますので、その点につきましては、十分、一方に片寄らない適切な運営について監督をしながらやっていけば、十分その辺の目的は、公正に運営できるのではないか、かように考えております。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは局長が、いかに大企業、大メーカーと力説されても、やはり単なる一営利会社に過ぎませんよ。ですから、そういう点は、非常に心配がある、懸念があるわけですが、今のお話によると、そういうものは、日本プラント協会に委託しない、判断をまかせない、政府のいう特定機関ということは、プラント協会でない、別の機関を設けるということですね。
  99. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 政府が指定をいたします機関は、これは民法上の公益法人である、それは何を予定しておるかと言いますと、財団法人日本プラント協会でございます。  従ってプラント協会が、指定機関になるわけでございますが、私が申し上げました特別の組織と申しますのは、プラント協会の通常の業務、プラント協会の本来の業務と切り離したその組織は、委員会組織にいたしますか、あるいは補償業務部というような部を作りますか、要するに通常の業務と切り離しました組織をプラント協会の中に作るわけであります。しかし、プラント協会の中に作るわけでございますけれども、そこには、プラント協会以外のコンサルタント、これは大企業を代表する方もおられるわけであります。そういう方々の代表も参画いたしまして、それから役所も、随時これと連絡をとりながら運営をしていく、こういうことでございます。プラント協会以外に別途の機関を作るという意味ではございません。業務の運営につきまして、プラント協会の今の組織をそのまま使うというわけにはいかないわけでございます。プラント協会の本来の業務と切り離された特別の組織をプラント協会の中に作る、こういう意味であります。
  100. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこが問題なんですね。ですからプラント協会と称するものが、いかにとにかく強弁をたくましくしてわれわれを押しまくる小出局長といえども、大メーカーの出店であるということは否定できないでしょう。ですから、それと全然別個の十六条以下にいう機関があるならばけっこうですが、お話を承わって、理解力が足りないかもしれませんが、その調子でいくと、出店の中にまた出店を作るようなものであるから、結論は同じではないかということを僕は懸念しておるわけです。そうしてそれが勝手に診断して、最終的には、これはとにかく政府の責任であるというようなことで、全部おしりを政府に持ってこられては困るということになりはせぬかという懸念がある。  そういうことは、心配が全然ないということであれば別個なんですが、そういう仕事をやられる人々が、A、B、C、Dという判断をするわけですから、きわめて危険です、そういう点について、そういうことは全然心配ございませんか。十六条以下は、阿部委員心配するようなものでなくて、特定機関を別個に作って、公平に第三者でやるというなら、私は賛成しますよ。  とにかく、あなたのいうように、依然として大メーカーの出店のような機関を作って、機関の中にまた機関を作って、そういう人たちにやらせるというのであるから、とにかく、あなたのお口は、実にうまいけれども、中身が、どうも納得するような中身でないから、だめ押しということでお尋ねするわけですがね。
  101. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この補償契約の業務は、本来政府の業務であり、非常に公正にやらなくちゃならぬという点は当然でございまするので、本来ならば、今阿部先生がおっしゃいましたように、このプラント輸出が促進されぬ原因の非常に大きな一つは、コンサルタントが非常に弱体であるということでございますので、強力なコンサルタントを育成するという趣旨から申しましても、またこういった特定の業務を運営するという面から申しましても、本来ならば、別個の特殊法人みたいなものを設立した方が理想的であるという点は、実は、私どもも全くそういう考えを持っております。実は、この法律を作ります場合におきましても、最初は、そういう考え方で特殊法人を作ろうということで、実はスタートしたわけでございます。しかしこれには、結局特殊法人と申しますれば、やはりこれに必要な政府出資という形も当然必要になってくるわけであります。ただ組織だけを作るという形では、不適当でございますので、その裏づけとしての予算措置をしなければならぬ、この点につきまして予算面において、非常に結局離航いたしました結果、とりあえずこういった既存の機関の中で、一番高い技術なり能力を持っておる組織を活用せざるを得ない、こういう結論に立って、こういう指定機関という形にいたしたわけでございます。  従いまして本来ならば理想的な、すっきりした形といたしましては、お話通り、既存の機関でなくて民法上の法人でなくて、この法律に基いた特別な法人なり組織を作って、そういうところでやらせるというのが、一番適当でございまするけれども、しかしそこまで至りませんでしたので、こういう形で発足することにいたしたわけであります。  そこで、その場合におきましてそれではどういうものに委託したらいいかということになりますると、このプラント輸出というのは、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、非常に高い技術を要するものであり、しかも非常に関連する分野が多いわけでございまするので、それからもう一つは、海外相当の手足を持っておるということも必要でございます。それには、現在のところ率直に申しまして、プラント協会以外に、そういう条件を備えたものはないわけであります。プラント協会には、日本の代表的な最高水準の技術者を持った各メーカーが、その中に入っております。それらの技術陣を動員できる。それから海外におきまして、七カ所の事務所をプラント協会自身が持っております。そうしてそのブラント協会の中心になって運営しておりまする人は、理事長、事務局長その他は、全部会社の方でなくて第三者によって構成されております。従って、やはりこういった公的色彩も非常に強いわけでございますので、単なる特定の大企業の利益代表というような形ではございませんので、この機関に委託するのが、一番適当である。しかし委託するにつきましては、やはり特定の業務でございまするので、それに必要な限度において、ある程度の組織がえは必要であろう、こういう趣旨でございます。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 今、局長からの御答弁の中に、もう少し強いものにして、やはり政府の責任でやるべきだ、こういう方針をその中で承わったので、私も実は、当然そこまでやらなければ、これは仏作って魂入れずになるような気がするので、そこを主張したかったわけですが、局長が、そこまでお考えになっておるのであれば、一刻も早く、今年は別として、一刻も早くそうしなければ、これは単なる保証損失という立場でなくて、もう少し強いものにしなければならない、やはりあれですね、そこまで、政府は引き受けてやるというわけで、大いに育成するということにならなければだめだと思うわけですね。  従って、そういう点も質問したかったわけですが、政府の今の御答弁で了解しましたが、そこで、こういうことは、とにかく半分いいけれども、半分悪いということになると、これは輸出業者とかメーカーが、どうも責任感が薄くなったりして、おぶさるようなことを考えやせぬか、まあ人のことを疑って仕事をやれば切りがございませんから、そういうことは杞憂かもしれませんけれども、この法文を、ずっと流れておるものは、そういうようなことになるような気がするわけですがね、責任観念の、メーカーあるいは輸出業者諸君の受け取り方、感じ方、こういう点については、御心配はございませんか。
  103. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 政府は、ある程度補償をするわけでございまするので、その点におきまして、その面に関しましては、業者としてのある程度、気分的に楽になる、むしろその点をねらいまして積極的にプラント輸出の引き合いに応じ得るような態勢を作りたいというのがねらいでございまするが、しかし政府補償いたしまするのは、全体の一部でございまして、あとは企業自身のリスクというものが相当あるわけでございまして、従いまして全部政府におんぶして、非常に安易に流れて、この制度を悪用するというようなことにはならないというふうに考えます。ただ従来は、全部が全部、企業のリスクにおいてやらなければならなかったという点において、輸出引き合いに、とかくちゅうちょをする、契約に応じない、あるいは応じても、コストは高くなる、こういう欠陥があったのでございまして、その面を政府において、ある程度補償してやろうという程度のものでございますので、企業自身のリスクは、やはり依然として相当大きく残っておるわけでございまするので、企業としては、やはりこの制度の運用によっては、慎重な態度で臨むであろう、かように考えておるわけでございまして、これを悪用して、政府に全部依存するというようなことにはならないと思います。  それから、もし勝手な契約をいたしまして、あと政府がしりぬぐいをしてくれるからということでやりましてもし事故が起りました場合におきましては、これは輸出業者と申しますよりは、その工場を建設いたしました機械業者なり、あるいは設計者の信用力というものが、対外的に一挙に落ちるわけでございましてその以後における輸出にも、当然響いてくるわけでございます。その辺のところは、そういう安易に流れる心配はないのではないか、かように考えております。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 日本は、プラント輸出が非常におくれておるといわれておるのですね、諸外国に比して。    〔理事島清君退席、理事上原正吉君着席]  しかし、それはコンサルティングが弱いから、やはり外国よりおくれているということをいわれているわけですよ。従って、その処置を助成するために、まず政府は、今のこれと全然別個に、どういうふうな方法をお考えになっておるか。それとも、これだけで、将来は別として、コンサルティングを助成あるいは育成するということをお考えになっておられるかどうかということと、現在二十ぐらいのコンサルタントがあるそうですね。二十ぐらいですか、特別の、こういう団体があるようだが、日本でプラント協会以外に——、プラント協会に補助金を出しているわけですね、助成しているわけです。それ以外に、国の補助金をもらっているというような例がございますか。
  105. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) プラント輸出の促進につきましては、もちろんこの輸出補償制度だけで十分であるというふうには、決して考えておりません。ただプラント輸出が伸びない非常に大きな原因の一つが、ここにありまする関係上、まずこれを取り上げたわけでございまするが、先ほど来問題になっておりまするようなコンサルタント自身を、非常に強力なものに育成していくということが、やはり根本でございまして、その代表的なものとしては、プラント協会であるわけでございまするが、これとても、諸外国に比べると非常に弱体であります。従って、てきるだけこれらのコンサルタントを育成強化していくというためには、できるだけのことをしていきたい、かように考えます。  従いまして、今お話がございましたプラント協会に対しまして、政府相当助成をしておりまするが、これはプラント協会だけにやっておるわけではございませんで、そのほか、今お話のございましたように、全体で二十ばかりのいわゆるコンサルタントと考えられるものがあるわけでございまするが、その中で、たとえば海外建設協力会でありまするとか、あるいは国際建設技術協会というようなところに対しましても、相当の、一千万円ないし一千五百万円ぐらいの助成をいたしておるわけでございまして、これらの助成等につきましては、今後、ますます拡充してやっていきたい、かように考えております。  それから、コンサルタント自体の育成指導の問題につきましては、先ほども御指摘になりましたように、本来ならば、何か政府出資でもして、特殊法人的なものをぜひ将来は作っていきたい。できまするならば、三十五年度の予算等におきましては、ぜひそういうふうな方向に要求してみたい、かように通産省としては考えております。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 昨年だと記憶しておりますが、技術士法というのが通りましたね。あれが、日本のコンサルタントの資格法だと思うのですが、あれをうまく活用する方法がないものかということと、それからまた、その電源開発株式会社とか——ここにあとで石油資源の問題で、局長がおいでになってから、その違う局長から、お尋ねしたらいいかもしれませんけれども——こういう電源開発会社とか、石油開発株式会社、こういうところにコンサルタントを活用する方法は、これはお考えになっておらぬかどうだろうか。この二点、お尋ねいたします。
  107. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 技術士法との関係でございまするが、技術士というのは、やはり、まあ技術面におけるコンサルタントということになるわけであります。で、ただこれは、私も制度内容を詳しくは存じておりませんけれども、やはり個々の人を対象にいたしました一つの資格要件でございまして、コンサルタントとして、やはり会社といたしまして、あるいは協会というような形において、そこに、そういった専門の技術士を擁しまして、企業として、事業としてのコンサルティングという面においての育成、指導ということが、やはり根本的に必要である。従って、コンサルティングの業務に携わる個々の技術的な専門家を養成することのための技術士法の運用と同時に、コンサルティングという事業そのものの育成、企業体を育成していくということが、やはり根本にならざるを得ないのではないか、かように考えております。  それから、石油資源なり、あるいは電源開発というような会社が、国内においてのみならず、海外における上電源開発なり、あるいは海外における石油資源の開発ということに協力するというためのコンサルティングの業務を行うということにつきましては、法律の許しまする範囲内においては、適当だろうと思います。従って、それらにつきましても、やはり今後も、できるだけの育成、協力をして参りたい、かように考えます。
  108. 小幡治和

    ○小幡治和君 今のプラント協会の中の一つの、まあその組織を作るというのだが、その具体的構想というものは、何かありますか。
  109. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 実は、今ここで具体的にお示しするだけの構想を持っておりませんが、この法律が成案を得ました以後におきましてすでにプラント協会の内部におきましてまあ会長以下事務当局におきましても研究に入っておりまして、大体の私どもの気持といたしましては、運営委員会というものでも、中に置きまして、その運営委員会の中に、適当な、プラント協会以外のコンサルタントの代表者も参画するような組織を作りましてそうして運営してはどうだろうか、かように考えておりますが、まだ具体的に、これを定款とかあるいは規定の上に、どういうふうに表わすかということについては、今日のところ、まだ成案を得ておりません。
  110. 小幡治和

    ○小幡治和君 そのときの事務機構はどうなりますか。別個の事務機構を作るのですか。あるいはプラント協会の現在の事務機構を、そのまま兼任させるわけなんですか。その点を一つ
  111. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) プラント協会の事務職員は、これは機構的にも、まだ実は、それほど人員も多くございませんし、特にそのために、新たな事務局を作るということは、非常に困難ではないかと思っております。従いまして、事務局職員というものは、大体各会社とは関係のない人でございまするので、それらの職員を適当に協力……専門的にも使いまするし、あるいは兼任の形で使っていきたい、かように思っておりますが、やはりある程度は、新しい、それに専従の職員を入れてやっていかなければならぬのじゃないか、かように考えております。
  112. 小幡治和

    ○小幡治和君 この補償の問題を、今のその特殊機関というものが、補償すべきかいなやという判定をしなければならぬというのと、それから補償する金額の判定というものも、やはりやらなければいかぬと思うのですが、そういうような場合に、そのプラント協会のその特殊機関が、一つの判定をしたというのに不服な場合、またそれが非常に、先ほどもいろいろ論議があったように、少し不公正じゃないかというので、それに対して異議がある場合、そういう場合に、政府としては、何かそれに対する処置を考えているのか、その点、どうですか。
  113. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この業務の運営に関連して起りますいろんな問題につきまして、不服がありまする場合には、これは利害関係者であれば、だれでも不服の申し立てができることになっております。これはすでに法律上も、法律の規定におきまして、第十五条でございますか、不服の申し立てができます。  従いまして、不服の申し立てがありました場合には、通産大臣は、直ちに公開における聴聞を行いまして、半年以内に、これに対して何らかの処置を決定して実施すると、こういう手続をとることになっております。
  114. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、それは、政府がやるわけなんですね。  そうすると、政府が、それでもって、そのプラント協会に命令するということで、プラント協会は、それに服従する義務がある。そして、それに対する補償というものも、まあ代行してやる義務が、そこに生ずるというわけですね。
  115. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) その通りでございます。
  116. 小幡治和

    ○小幡治和君 わかりました。  それから最後に、日本プラント協会の概要というものの中に、三十三年度に、コンサルティングの引き合いが非常に急増してきて、三十年、三十一年、三十二年、三十三年には、百二十八件という、まるで三十二年度の倍も多くなってきている。これは非常にうれしい傾向だと思うのですが、内容的には、どういうふうなことなんですか。一応その概要を知らして下さい。
  117. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) プラントの建設の引き合いの状況でございまするが、引き合い自体は、相当活発になってきておりまして、地域的に申しますれば、東南アジアあるいは中南米、中近東というところが大体中心でございまして、一九五五年ごろには、全体として九件くらいの引き合いであったものが、五六年には四十六件、五七年には六十件、五八年には七十五件というような状況でございます。  それでその内容といたしましては、非常に各方面にわたっておりまして、発電機でありますとか、あるいは化学工業関係、紙パルプ関係、セメント関係、金属工業関係、それから製糖業、それから一般機械関係というふうに各方面にわたっております。
  118. 上原正吉

    理事(上原正吉君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。
  119. 上原正吉

    理事(上原正吉君) 次に、石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府当局から内容説明を求めます。
  120. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案をお願いいたしておりますが、この要点は、二つございまして、第一点は、石油資源開発株式会社の債務につきまして、政府が保証することができるという規定を新しく入れたいと思います。  第二点は、現行法の付則に石油鉱業権の評価審査会が置かれておりますが、これを廃止いたしたい、かように考えて法律改正案をお願いいたしておるわけでございます。  第一の、会社の債務につきまして、政府が保証することができるという規定を入れたいと存じますのは、御承知のように、石油資源開発株式会社の仕事は、探鉱に力を注いでありまして、これで見つかりますと、開発に入るわけでございますが、年々政府から出資をいたしておりまして、民間からも、相当程度の出資を仰いで探鉱の仕事を続けておりますが、この仕事は、全部開発部門ではございませんで、探鉱部門に充当されるわけであります。従いまして、あと探鉱によりまして見つかりました油田を開発いたします段階になりますと、開銀あるいは市中銀行等から、融資を受けまして開発をいたしていかなければならないわけでございますが、その融資を仰ぎますにつきまして、石油資源開発株式会社には、御承知のように担保になります財産権というものがほとんどないわけでございまして、開発銀行から融資を受けます場合には、担保がなくても、政府機関でございますので、融資がお願いできるわけでございますが、民間金融機関からお願いいたします場合は、どうしてもむずかしいわけでございます。こういった関係を救済いたしますために、政府が保証することができるという規定を入れていただきまして、必要の場合に、政府がこのうしろだてをする。こういうことにいたしたいと考えておるわけでございます。  それからなお会社債務の政府保証につきましては、この石油資源開発株式会社法が制定されました第二十二国会におきまして、必要の場合には、できるだけ早く政府が保証することができるようにというような要望書が付帯決議として国会でつけられておるわけでございます。  第二の石油鉱業権の評価審査会を廃止いたしたいと存じますのは、現行株式会社法の付則にあるわけでございますが、これは、この会社ができました場合に、一時に、相当多数の鉱業権を帝国石油株式会社から譲り受けをしなければならないことに相なったわけでございますが、その際に評価の適正を期しますために、臨時に石油鉱業権評価審査会というものが設置されることに相なったわけでありましてこれは、この条文も、国会の方の御意図で挿入されたわけでございますが、帝石から譲り受けます場合の一時的な、臨時的な評価審査会でございまして、すでに、その業務を完了いたしておりますので、この際に、同時に廃止をいたしたい、そうして条文の整理をいたしたいと、かように考えて、廃止の規定をお願いいたしておるような次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上、二点につきまして御説明申し上げました。
  121. 上原正吉

    理事(上原正吉君) ただいまの法案に対しまして、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  122. 島清

    島清君 鉱業権評価審査会の審査事項というものがなくなったので、この付則を廃止したいということでございますが、私が寡聞にして承知しておるところによりますと、必ずしも審査事項というものが解消したからというて、法律改正しなければならないというようなことはないような気がするのです。それはあったってじゃまではございませんから、そのまま残しておいても一向に実害もないしするわけですから、必ずしも廃止をうたわなくてもよろしいような気がするのです。  そこで、何か特別に、法律改正ということをうたって、それを廃止したいということは、それがあると何か不都合があり、あるいは実害が起ったりするようなことが予想される可能性があるわけなんでございますか。
  123. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ただいま島先生のおっしゃいましたように、現在審査会が置かれておりましても、何と申しますか、じゃまになると申しますか、そういった観点からみますと、この規定は、現在でも働いておるわけでございます。これはただ、この法律を制定されましたときに、先ほど申し上げましたように、これは、先生もよく御承知のように、臨時に、そういうものを置いて評価の適正を期したらどうかということで行われたように承知いたしておりますが、その帝石からの譲渡が済んで、その後の経過をみますと、この規定がございますので、会社の方で、小さい鉱区を買い取ったり処置したりいたします場合に、一つ一つ審議会の議を経なければならないということで、非常に迅速を欠きますような不便な点もございます。これは一一、この審査会にかけなければ適正を期し得ないというようなものではなしに、通常、処分が適当にできるような場合でも、この規定が働きまして、審査会にかけなければならぬと、こういう不都合がございまして、ない方が、会社にとりましても、私どもの方にとりましても、都合がいい、この規定そのものについてみましても、当時の立法の趣旨からみまして役目はすでに終了しておるのではなかろうかと、こういうことでございます。
  124. 島清

    島清君 そういたしますと、今の御説明から演縛して結論を得ますというと、帝石から譲り受けをするということを前提にして設けられたものであるが、帝石からのものは、すでに譲り受けるものは譲り受けて、その業務が完了したので、自後、譲り受けということが想像されることは、帝石以外の鉱区等を譲り受けるということは、可能であるが、しかしながら、この審査会があることによって、むしろ会社の業務が繁雑になる、そのことは、むしろわずらわしいことであるから、この際廃止したい、こういうふうなお考えがあるということで理解をしてよろしいわけでございますね。
  125. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 仰せの通りでございます。
  126. 島清

    島清君 その一点は、まあ了解しましたが、債務の保証のことについてお出しいただきました資料によりますというと、借り入れ先の方は、開発銀行ということになっておりまして、他の銀行からの借り入れというものが、資料の中には見えていないようでございますが、その通りでございますか。
  127. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 開銀以外には、私はなかったと存じます。これは開銀の融資を受けますにつきましても、担保の問題が、現実問題として出まして、会社の折衝では、非常に難航した経験を経ているわけでございます。
  128. 島清

    島清君 もうこれは、あれですか、お出しいただいておりまする資料には、三十四年度に発生する借入金及びこれら返済割の金利計算といって、三十三年度には他の市中銀行といいましょうか、開銀以外の貸借等は、資料には表われておりませんが、三十三年度までの開銀以外からの借入金はないということなんでございますか。
  129. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 三十三年度開銀以外の金融機関からの借り入れは、今のところまだ検討はつけておりません。
  130. 島清

    島清君 先般、私は、石油資源開発株式会社の所要資金として、政府がおきめをいただいた額としては、少し少額に過ぎるのではないか、これを設立をされますときに、時の商工大臣でありました石橋さんは、この種会社の資金に不自由をさせることはない、こういうことを委員会で言明をされて、会社の設立をみたのでございますけれども、三十四年度の所要資金は、必ずしも会社の業務を達成するに遺憾のないような額であるとは、どうしても言えなかった額でございました。そこで私も、先般高碕通産大臣に御質問を申し上げまして、それでは足りないのではないかということを申し上げたのでしたが、他の方法を講じて、いささかも業務に不自由をさせることはしないということを言明をされて、安心をしたわけですが、その一つの手段というのが、銀行から借り入れをしまして、そうして政府が保証するというような手段だったわけでございますですか。私申し上げることは、まだ三十四年度の予算が成立をみていないわけなんですね、そこで三十四年度の予算が成立をみていない折に、会社の所要資金が少し不足するのではないかということを、私たちも心配をして御質問を申し上げたときに、いや心配はさせないのだといって、担当大臣が御説明になった。  それであるといたしますならば、もう少し、やはり所管大臣としては、予算の増額に骨を折られるべき筋合いではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、そこらの関連といいますか、そういうことを御説明願えるならば承わっておきたいと思います。
  131. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 大臣が、この前お答え申し上げましたことは、もちろん会社全体の資金についての御説明だと存じますが、この債務保証と、それから予算との関係について御説明申し上げますと、予算の方は、先ほどちょっと申し上げましたように、探鉱段階の資金をお願いいたしておるわけでございまして、過去七、八十億の金を使って参っておりますが、これはあげて探鉱段階の資金に充当いたしておるわけでございます。この点は、非常な御支援をいただいておりまして、先生もよく御存じの通りでございますが、それで来年度の予算といたしましては、探鉱段階の金につきましては、政府出資が二十億でございますが、予定されておるわけでございまして実は、私どもといたしましては、もう少しほしいという気持はあったわけでございまして、大いに予算折衝もいたしたわけでありますけれども、こういう点で、折り合ったわけでございます。そのほかに民間の方から年々出資をいただいております。これをできるだけ出資を多くしていただきまして、そして、まあ政府出資の足りない部分を、少しでも補っていきたい、こういうことでせっかく現在、各方面に会社幹部は飛び回っておりますし、私どもも、手伝いを申し上げておるわけでございますが、こういうことで、現在のところ、会社の方で検討いたしておりますのが、二十九億前後のものを見当にして、実行予算をいろいろ検討いたしておるわけでございます。この債務保証の方の関係になりますのは、油田がみつかりまして、それの今度採油段階になりました場合の開発資金の手当をいたすわけでありますが、その資金手当に、政府の債務保証という問題が生じてくるわけでございまして、予算とは切り離した考え方で従来参っておるようなわけでございます。
  132. 島清

    島清君 どうも、福井さんが予算とおっしゃいますのは、国の予算という意味なのか、会社の予算という意味なのかよくわかりませんが、後ほど御説明いただきたいと思いますが、従来、この種の法案が提出をされますときは、予算総則においても、債務保証の額というものの限度が定められるのが常なんです。これは、まあ当り前でございまして、会社が乱脈をきわめて、幾らでも国が保証しなければならぬというようなことは、とうてい、やっぱりわれわれは、法律において無制限に保証することを認めるわけにはいかないと思うのですね。ですから、これは保証額の限度というものが定められるということが、これは通常のやり方なんだと思うのです。同時に、限度額というものが提案されるというのが、今までの通例なんですね。現在予算委員会で審査中なんですね、荘十四年度の予算は。ところがこの三十四年度予算には、石油資源開発会社に対する債務保証というものが、寡聞にいたしまして、私は発見することができない、法律案だけが、単独に提案されておるようですが、その理由についてちょっと御説明を願えませんかね。
  133. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ごもっともな御質問でございまして、普通の場合でございますと、会社を作りますときに、こういう債務保証の規定が一般の会社法の場合には入りますので、最初に、そういう規定が入りまして、あとで、むしろその事業計画に伴って債務保証の予算総則の規定が入るという、こういうことになるわけで、ずっと順序よく参るわけでありますが、今回の場合は、中途におきまして、会社法に、この規定をお願いいたしておるわけでございまして、当然、同時に予算総則に、その限度額というものが入るべきではないか、こういうような疑問が起るわけでございますが、実は、この点につきましては、石油資源開発株式会社で、現在探鉱いたしまして、そうして、その結果見つかりました油田が数カ所、すでに結果として出ているわけであります。たとえば北海道の平取油田でございますとか、あるいは茨戸、秋田県の申川、山形県の吹浦でありますとか、新潟県の見付、田麦山、こういうふうに各地に、この探鉱の成果が出ているわけでございまして、これの開発に手をつけるわけでございまして、すでに田麦山におきまして御承知のように開発をいたしておるわけであります。  私ども今までの状況から見ますと、この地点の開発につきましては、まだまだ探鉱をしなければ、本格的な開発に手をつけ得ないというようなものも、中にはございます。それから田表山のように、すでに手をつけていっておりますが、もう少し、これを本格的に大きくするのには、地下の構造を調べなければならない、こういうような問題を持っているところもあるようでありまして、三十二年度に、開銀から田麦山の開発に一億七千万の融資を受けたわけでございますが、三十三年度分といたしまして、開銀の方に、私どもの方から五億ばかりの開発資金の申請をいたしております。これが、まだ今後の審査の対象になるわけでございますが、今のところの見通しでは、三十四年度におきましては、この開銀の金で、大体間に合うのではなかろうか、こういうことで、万一、幸いにも非常に大きい油田で、開銀の融資分だけで間に合わずに、市中銀行からの融資をお願いしなければならぬということになれば、そのときに処置をしよう。とりあえず法律で、そういう規定をおいていただけば、それだけで非常な担保力になるのではないか、こういうことでお願いをいたしたわけであります。
  134. 島清

    島清君 福井さんが、非常に善意に立たれて、これを起草され、そして御説明をされているということは、私はごうも疑うものではないのですが、しかし、議論にわたることは省略いたしますけれども、会社に保証額の限度を示さずして、それは、無制限に保証するという形が出て参りますということは、これは私は、やはり立法者としては考えなければならぬことだと思うのですね。  それから、今のまあ三浦社長以下、それぞれの会社の首脳部の諸君も、非常にりっぱな方でありまするから、創案をされたあなたの善意に基いて、善意なる運営をされていると、こう思いまするけれども、しかしながら、いつ何どき経営者の方が変らないとも限りませんからね、変った場合に、さあ国家の保証は、無制限である。限度がない。そうして、その会社の運営に当る最高首脳部の方に、どうもやはりそう全面的に信頼できる人がいないというようなことになると、これはやはり、私はゆゆしきことを惹起しかねないということもやはり想像できると思うのですね。  ですから、そういったような想像できることに対して、やつぱり、そうでないという処置が当然なされなきゃならないと思うのですが、何か、そういうことを別途考えられることがあるのでございますか。
  135. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 私の説明が、少し不十分でございまして、申しわけないんでございますが、この保証に限度を置かないという意味ではございませんで、ともかくこの法律で、こういった保証し得る根拠を一日も早く作っていただきたいと、こういうことで、今回法律案をお願いいたしておるわけでございまして、現実にこの規定が働きます場合には、予算総則に限度額というものを明示しなければならない、かような考えに相なっております。
  136. 島清

    島清君 この種、政府の出資によりまする会社ですね、こういったような国策会社といいますか、半民半官会社といいますか、この種会社が、石油資源開発株式会社だけでなくして、他にもあるわけなんですね。その他の会社に対しては、こういったような政府の債務保証ですね、それがなされておるんですか。そういうような区別はどうなっておるんでございますかな。
  137. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 電源開発株式会社では、たしか外債につきまして、政府が保証することができるという規定があったと存じます。それから日本航空株式会社でございますか、日航、空の航空機でございます。日航につきましては、これと同じような債務の保証規定が置かれておると存じます。
  138. 島清

    島清君 それは、どういう形になってるんでございますか。会社の定款の中に、やっぱり債務保証の限度額が示されているのですか。それとも、また国会の決議によって、何かそういったような限度というものが示されておるのでございますか。
  139. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは、やはり法律に根拠規定がございまして、毎年予算総則に保証限度というものが必要の場合に、具体的な限度額というものが置かれることになっておるはずでございます。
  140. 島清

    島清君 先ほどの説明では、その限度額というものが、どういう形で押えられるかということが十分理解することができなかったのですが、そうすると、これは予算総則にも出ていませんし、単独で改正案が出てきたわけですが、その限度額を示すというのは、どういう形で示されるんでございますかな。
  141. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 必要になりました場合に、私どもの方で大蔵省と接衝いたしまして、いろいろ内容を検討いたしまして、額が出るわけでございますが、これが予算総則にのっけられる、こういう形になって参ります。
  142. 島清

    島清君 そうすると、三十四年度でも、これは、その予算総則に示されてないんですが、三十四年度でも、それは、今稲井さんが御答弁になっておりまする処置は可能であるということなんですか、三十五年度から、そうされるということなんでございますか。
  143. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 開発実情が、ほんとうに必要になって参りますれば、三十四年度でも、その処置をとることができることになっております。
  144. 島清

    島清君 それから、今までお尋ねして参りまして、借り入れ先は、開発銀行であるということが明かになったのですが、ところが、福井さんが衆議院段階において、衆議院の委員の質問に対して、お答えになっているのを拝見しますと、「今回の債務保証によりまして、資金の供給を確保しようというふうなことを意図しておりますのは、市中銀行の融資がなかなかつかないということで、債務保証の規定を置いていただくことにいたしておるわけでございまして開発銀行は政府機関でございますので、おそらく開発銀行から借りますものにつきましては、債務保証の関係は必要でないであろう、かように解釈いたしております。」と言うて御答弁になっておるのです。開発銀行は、債務保証の必要がない、こういうふうに御答弁になっておられるのです。  ところが、今までの当委員会におけるところの御答弁では、借り入れ先は、開発銀行であるというような御説明なんですね。開発銀行といたしましても、やっぱり開発銀行法というのがございまして、いろいろ制約を受けて、それに融資をしておるわけなんですね。ですから、開発銀行法から見ましても、融資をいたしまする場合には、制約を受けておりますし、さらにはまた、石油資源開発株式会社の方が、開発銀行から融資を受けようといたしまするのには、やっぱり担保力を証明するような地下資源の埋蔵量というものが、なかなか明確を欠いておりますので、担保力に欠けるところがある、こういうことなんですね。そこに担保力を付けようとして、債務保証の考え方が打ち出されて参ったと思うのですが、これは、まあ私たちが考えまするに、開発銀行にこそ、政府の保証というものが必要ではないか、こういう気がするのですが、その点一つ、もっと明確に御説明いただけませんかな。
  145. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ただいまの御質問にお答え申し上げますと、開発銀行は、政府機関でございますので、従来の経験で参りますと、開銀ですら、担保力の問題を持ち出して、非常に困難を来たした経験がございますけれども、大蔵省その他と、いろいろ検討いたしましたところでは、開発銀行は、政府機関でございますので、そこから融資を受けるにつきましては、担保は要らない、債務の保証は要らない、こういうことに相なっております。  それから市中銀行から借ります場合に、この法律によります債務の保証ということが働いてくるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、本年度の現実的な問題といたしましては、開銀から融資を受けることになれば、それで大体まかなえるのではなかろうか、こういうことでございます。ただ石油資源の開発の特殊性から見まして、さらにその資金では足りない、こういう事態が起るかもしれぬ、また、私ども希望といたしましては、そういう事態になることを祈っておるわけですが、そういう場合に、民間資金から措りなければなりませんが、その際に、この債務保証の規定が必要になってくる、こういうことで、法律上いつでも債務保証をし得る根拠を一つ作っておきたい、その際には、予算総則に債務の保証限度というものを計上しなければならない、こういうことに相なっております。
  146. 島清

    島清君 こういうことではないのですか、福井さん。開発銀行から、たとえば五億なら五億の融資を受けようとします際、開発銀行も、会社の担保力に見合って融資をする、ところが担保力がない場合には、開発銀行も融資はしないわけですね。ですから、むしろ市中銀行から融資を受けるという考え方よりも、開発銀行から融資を受ける場合でも、担保力がない場合でも、政府の保証することによって所要資金が開発銀行から調達できるのだというような考え方に基けば、結局、開発銀行に対しても、政府の債務保証があれば、所要資金の調達が、そう難渋しないのだろう、こういうことが言い得るのではないのでございますか。
  147. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 実体的には、先生のおっしゃるようなことに意味があると思います。  ただ、開発銀行から石油資源開発株式会社融資を受ける場合には、この政府の保証という必要はない、こういう取扱いになるのでございます。
  148. 島清

    島清君 どうも、やはりそういう金融関係の知識に乏しいので、理解しかねるのかもしれませんけれども、私は、石油資源開発株式会社の所要資金は、原則として政府予算の中で、その出資額はまかなうべきである、こういう原則的な考え方を持っているのです。また発足当時から、そういう考え方に基いていると思うのです。  しかしながら、三十四年度は、その会社の希望するような、三十五億でございましたですか、二十億しかめんどうを見ることができなかった、そこで考え出されてきたことは、市中銀行からの融資を受けるということが考え出されてきたのかもしれませんが、しかし、これを裏から考えてみると、この種の国策会社と、やはり市中銀行が取引するということは、私は、その銀行の信用状態からいっても、また取引の健全性からいっても、非常にいいことだと思うのですね。いいことだと思いますけれども、しかしながら、原則として、政府が所要資金をめんどうを見なければならないこの種の国策会社と、市中銀行との取引関係ができるということは、私は好ましい、健全な姿だとは考えません。  ですから、開発銀行の融資を受けるのには、担保力が足りない、そこで市中銀行から融資を受ける場合、保証が必要だということは、一歩進めて考えると、すでにこの国策会社が、やはり市中銀行と取引をしたいという積極的な意思表示である、こういうふうにも理解できるわけですね。担保力がありさえすれば、開発銀行で十分に融資ができるはずなんですね。  ですから、私は、今それならば、国家の機関であるから、政府の保証が必要でないとするならば、むしろ開発銀行としては、担保力云々といわないで、石油資源開発株式会社の所要資金は、無条件にこれに融資をする、こういうようなことがあってもよろしいのではないか、こういうふうに考えるわけですがね。どのようにお考えでございますか。
  149. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 私ども、政府出資金を国家予算の中でお願いいたしており、そうしてまた民間からも、いろいろな出資金をお願いいたしておりますのは、先ほど申し上げました探鉱段階の限りでございまして、これは、ほんとうの探鉱段階でございますので、その成果が果して得られるかどうかということについては、非常にいわば危険のある金になるわけであります。従いまして国の出資金というようなことでまかなうことに相なるわけでありますが、この開発段階になりますと、探鉱の結果、もう下の方に油の層がある、こういうことでございますと、本来ですと、その探鉱の成果というものが、はっきりつかめますればそこを開発すれば、当然に油が出てくるということで、企業になる。こういう前提で、つまり銀行のベースに、金融べースに乗るではないか。こういうまあ考え方で、この開発資金の方は、銀行融資にお願いする。こういうことに相なっておるわけです。  ただ悲しいかな、石油資源が、全体的に日本では、まだ明確に把握いたされておりませんし、それからまた、従来の長い歴史から見ますと、そう多くないのではないかというような、まあ常識がありますので、なかなか探鉱の成果が上ったといっても、市中銀行が金を貸してくれることに相ならぬというここで、私どもの方は、むしろ市中銀行に金を貸していただきたいと、こういう立場から、債務保証の規定をお願いいたしておるようなわけでございます。
  150. 島清

    島清君 私は、どうも福井さんの御説明じゃ納得しませんけれども、きょうは時間がありませんから、この程度で質問を打ち切りますけれども、一つ、頭のクリアーという意味で、午前中にでも、また質問させていただきます。
  151. 小幡治和

    ○小幡治和君 この法律の第一条には、「石油資源開発株式会社は、石油資源の開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社」とされておりますが、この石油資源開発というのは、国内の石油資源をさすのか、それとも海外の石油開発をも含めているのか、この点を一つ、明らかにされたいと思います。  実は、海外の石油開発の問題につきましては、衆議院の委員会におきまして、鉱山局長は、現行法でできないことはないというふうに答弁されておられます。しかしこの点の解釈については、政府部内にも、異論があるようでありまして、国内開発をさすものだというふうに解釈しておる向きもあるやに聞いておりますけれども、海外開発も可能であるかどうか。この点について、一つ政府の統一した見解をはっきりお聞きしたいと思うわけであります。  この問題は、一つ大臣にお聞きして、そして大蔵大臣その他とも話し合いの上、政府の統一した見解として答弁願いたいと思うのでありますけれども、本日、それができなければ、明日の委員会においても、そういう意味における御答弁をお願いしたいと思いますが、もし政務次官が、そういう面において政府の統一した見解がこうであるということが、大蔵大臣等とも話し合いの上、大臣のおかわりとして、はっきり明言できますれば、きょうお伺いしてもよろしゅうございます。
  152. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) お尋ねの点でございますが、これは先般来、いろいろ関係閣僚間におきまして協議をいたしたのでございます。  御案内の通り、この石油資源開発株式会社が、石油資源の開発を行うに当りまして、国内だけの石油資源開発だという限界を設けておるわけではございません。従って法の解釈論といたしまして、現行法のもとで、海外でもって開発を行うことも差しつかえない。こういうふうに考えまして、政府は、部内の統一した見解は、こういうふうに決定をいたしたわけでございます。御了承を願います。
  153. 上原正吉

    理事(上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  154. 上原正吉

    理事(上原正吉君) 速記を起して下さい。  それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会