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1959-02-10 第31回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十日(火曜日)    午後二時十八分開会   —————————————   委員の異動 一月三十一日委員迫水久常君辞任につ き、その補欠として森田豊壽君を議長 において指名した。 本日委員森田豊壽君及び小西英雄君辞 任につき、その補欠として田中茂穂君 及び谷口弥三郎君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君            大竹平八郎君    委員            鈴木 万平君            高橋進太郎君            田中 茂穂君            谷口弥三郎君            堀本 宜実君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            岸  良一君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 世耕 弘一君   政府委員    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    通商産業省軽工    業局長     森  誓夫君    通商産業省繊維    局長      今井 善衞君    通商産業省鉱山    局長      福井 正男君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    通商産業省公益    事業局長    小室 恒夫君    特許庁長官   井上 尚一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○特許法案内閣提出) ○特許法施行法案内閣提出) ○実用新案法案内閣提出) ○実用新案法施行法案内閣提出) ○意匠法案内閣提出) ○意匠法施行法案内閣提出) ○工場立地調査等に関する法律案  (内閣提出) ○経済自立発展に関する調査の件  (通商産業政策に関する件)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ただいまより委員会を開会いたします。  本日の委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。  本日はまず、特許法関係六件及び工場立地調査法案について提案理由を聴取し、次いで一般質疑を行います。  次に、明十一日は特許関係法案内容説明及びこれに対し一般質疑を行います。十二日は午前は軽機械法案内容説明、続いてこれに対する質疑、午後は特許庁の視察を行います。十七日は特許法関係質疑、以上を申し合せましたから御了承願います。  なお、沖縄市町村代表より、琉球のパイン産業について陳情いたしたいとの申し出がございますから、本日の一般質疑の前に速記を中止して陳情を聴取いたしたく存じますから、御了承願います。   —————————————
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、委員変更について御報告いたします。  去る一月三十一日に迫水久常君が辞任され、森田豊壽君が選任されました。   —————————————
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 本日はまず、特許法案実用新案法案意匠法案特許法施行法案実用新案施行法案意匠法施行法案を便宜一括して議題といたします。  中川政務次官より提案理由説明を願います。
  5. 中川俊思

    政府委員中川俊思君) ただいま提案になりました特許法案提案理由及びその概要を御説明いたします。  特許制度は、新規発明をした者に対して一定の期間その発明について独占権を与えるとともに、その発明を広く世に公表することにより、さらに新規発明を促進し、ひいては産業発達を図ることを目的とする制度であります。  わが国における特許制度歴史は古く、明治十八年の専売特許条例制定以来、今日まですでに七十四年の歳月が経過しております。その間数次の大改正を経て、大正十年に現行特許法制定されたのでありますが、現行法については、その後大幅な改正をみることなく現在に至っているのであります。  しかるに、最近における社会経済情勢の変遷は著るしいものがあり、現行特許法は根本的に再検討を行わなけれることができるようにすべきであるという要請も強いわけであります。このような事情を勘案いたしまして、本法律案におきましては、存続期間延長制度廃止することといたしたのであります。  第五は、権利侵害に関する規定を新たに設けたことであります。現行特許法には、権利侵害に関する民事の規定はなく、もっぱら民法規定適用されておりますが、特許権無体財産権であるという特殊性にかんがみ民法補助的規定として、差止請求権損害額推定、過失の推定等に関する規定を設けたものであります。  第六は、無効審判請求についての除斥期間を大部分廃止することとした点であります。無効審判請求について除斥期間を設けることは、権利安定化という点から意義ある制度なのでありますが、一方、これによって弊害の生ずる場合も少なくないので、外国公知文献に記載されていたことを理由とする場合以外は除斥期間廃止したものであります。  第七は、審判審級を一審制としたことであります。現行特許法におきましては、特許庁審判機構として審判及び抗告審判の二審級が設けられておりますが、本法律案におきましては、むしろ制度簡素化をはかるを適当と考え、これを一審制とすることといたしたのであります。  第八は、特許料現行特許料の約二倍に値上げした点であります。これは主として経済事情変化に伴う改正であります。  なお、このほか多くの点において発明者または権利者利益保護強化一般国民または第三者の利益権利者利益調整、その他行政の改善をはかる等の見地から、現行特許法の諸規定改善・補完いたしております。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。  ただいま提案になりました特許法施行法案提案理由及びその概要を御説明いたします。  本法律案は、さきほど提案理由を御説明いたしました特許法案が可決成立いたしまして施行する際に必要な経過的事項内容とするものであります。  御承知のように、法律施行に必要な措置は、通常その法律の附則として規定するのでありますが、特許法につきましては、これらの措置がきわめて複雑多岐にわたりますので、特に独立法律として立案したものであります。なお、特許法施行に伴う必要な措置のうち関係諸法令改正につきましては、実用新案法意匠法商標法と共通する事項も少なくありませんので、これらの諸法案に関連するものも一括して別途提案することにいたしております。  次に、本法律案概要を御説明いたします。  第一は、新特許法施行期日規定したことであります。本法律案におきましては、必要な政令、省令等整備し、あるいは法令の内容一般の人々に周知せしめるために必要な期間をおくことを考慮して、昭和三十五年四月一日から施行することとしているのであります。  第二は、現行法によって発生した特許権等新法施行後にどのように取り扱うかということについて規定したことであります。この点につきましては、現行法による権利新法による権利とみなすという考え方をとっているのであります。  第三は、新法施行の際特許庁係属している特許出願等取扱について規定したことであります。新法現行法とでは特許出願等取扱も異なり、新法規定をそのまま係属中の特許出願等適用しますと出願人の不利益になる点もありますので、施行の際係属中の特許出願等につきましては、その手続が終了するまでは従前の例によって処理することといたしているのであります。  なお、このほかに特許料に関する事項特許補償等審査会に関する事項罰則適用に関する事項等について規定してあります。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。  ただいま提案になりました実用新案法案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  実用新案法明治三十八年に制定され、同四十二年及び大正十年の二回にわたる全面的な改正を経て今日に至っているものであります。  従って、現行実用新案法は、大正十年の制定にかかるものでありまして、他の工業所有権関係法と同様、その後大幅な改正は行われておりませんので、他の工業所有権制度と同様、その全面的検討を行いまして、最近における社会経済情勢に即応するよう制度整備改善をはかる必要があるのであります。  特に不可分の関係にあります特許制度の全面的な再検討を行うに際しましては、同時に本制度の再検討をあわせ行う必要があるのであります。  本法律案は、特許制度改正案との調整をはかりつつ、昭和二十五年十一月に政府に設けられました工業所有権制度改正審議会答申その他関係各方面の意見を取り入れまして作成いたしたのでありまして、実用的考案の一そうの奨励をはかろうとするものであります。  次に本法律案概要現行実用新案法との主要な相違点という角度から御説明申し上げます。  第一は、実用新案許可対象を型から考案に改めたことであります。現行実用新案法におきましては、実用ある新規な物品の型について実用新案権を与えることといたしております。しかしこのような制度のもとでは単に型が新規であるということで権利が与えられることになり、既存技術水準から見てあまり考案力を要しないものに独占権が付与されることになるので、このような弊害を除くために改められたものであります。  第二は、特許出願実用新案許可出願との間に相互に先願後願関係を審査することといたした点であります。これは実用新案権対象が型から考案に改められたため、特許権対象実用新案権対象が同質のものになったことに基く改正であります。  第三は、実用新案権存続期間について出願公告の日から十年を経過していない場合でも出願の日から十五年を経過したときは満了することとした点であります。現行実用新案法におきましては、実用新案権存続期間は、登録の日から十年ということになっておりますが、実用新案権につきましても、特許権と同様に出願公告の日から仮保護の効力が生じますので、実用新案権存続期間出願公告の日から十年と改めました。なお、特許権の場合と同じような趣旨から出願の日から十五年をこえるような場合には、その存続期間出願の日から十五年をもって終了することといたしたのであります。  なおこのほか、新規性判断基準外国文献を加えること、権利侵害に関する規定整備審判審級の一審制無効審判除斥期間廃止許可料の引上等につきましても特許法案に準じて規定いたしております。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。  ただいま提案になりました実用新案法施行法案提案理由及びその概要を御説明いたします。  本法律案先ほど提案理由を御説明いたしました実用新案法案が可決成立いたしまして施行する際に必要な経過的事項内容とするものであります。  本法律案特許法施行法案と同じく、法律に必要な措置を特に独立法律として立案いたしたものであります。なお、関係諸法令改正につきましては別途提案することにいたしております。  次に、本法律案概要を御説明いたします。  第一は、新実用新案法施行期日昭和三十五年四月一日と規定したことであります。  第二は、現行法によって発生した実用新案権等新法施行後にどのように取扱うかということについて規定したことであります。  第三は、新法施行の際特許庁係属している実用新案登録出願等取扱いについて規定したことであります。  これらの諸点につきましては、すでに特許法施行法案提案理由説明で述べましたところと全く同趣旨でありますので、詳細な御説明は省略させていただきたいと存じます。なお、このほかに登録料に関する事項罰則適用に関する事項等について規定しております。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上可決せられますようお願い申し上げる次第であります。  ただいま提案になりました意匠法案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  意匠制度工業所有権制度の一環をなすものであり、明治二十一年の意匠条例制定以来七十年有余の歴史を有するものであります。  意匠制度新規意匠保護及び利用をはかることにより、意匠の創作を奨励しさらには産業発達に寄与することを目的とするものでありますが、現在施行されております意匠法特許法実用新案法等同様大正十年に制定されたものでありまして、今日まで大幅な改正を行うことなく施行されてきたものであります。  しかるに最近におきましては、意匠産業上に占める役割がますます重要なものとなって参りましたので産業界における要請社会経済情勢変化等をも勘案し、現行制度根本的整備改善をはかり意匠進歩発展をさらに促進しようと考え、工業所有権改正審議会答申を基礎に本法律案を作成した次第であります。  次に、本法律案概要現行意匠法との主要な相違点という角度から御説明申し上げますと、  第一は、意匠新規性判断基準外国における公知および外国において頒布された刊行物の記載にまで拡大いたしたことであります。  現行意匠法におきましては、国内で公然知られた意匠または国内に頒布された刊行物に記載された意匠は、意匠権を与えられないことになっておりますが、国際的交通通信の著しい発達のためその新規性判断地理的範囲国内にのみ限ることはもはや適当でなくなって参りました。特に意匠は、その性質上外観を通じて観察できるため容易に模倣、盗用ができるものでありますので、外国においてすでに実施されている意匠については新規性がないものとして権利を与えないように改める必要性は、特に強いものがあります。こうした理由に基きまして外国公知になっている事実をも新規性判断の際に考慮することといたしたのであります。  第二は、販売展示等の行為を新規性喪失例外事由にいたしたことであります。現行意匠法におきましては、出願前に販売展示見本頒布等を行なった場合には、その意匠は、すでに公知意匠となってしまいますので登録を受けることができないものとなってしまうのでありますが、意匠につきましては出願前またはその意匠実施化に著手する前に販売展示見本頒布等を行うことによって一般の反響を打診してみる事例が非常に多いのでありまして、このような産業界現状にかんがみ、本法律案におきましては、意匠許可を受ける権利を有している者が出願前に販売展示等を行うことによってその意匠公知にした場合におきましても、その時から六カ月以内に出願すれば、いまだその意匠は、新規性を失っていないものとして取り扱うことといたしたのであります。  第三は、意匠権存続期間登録の日から十五年とした点であります。現行意匠法におきましては、意匠権存続期間登録の日から十年ということになっておりますが、本法律案におきましては諸外国立法例等も参酌し、さらには産業界意見等をも取り入れ、これを登録の目から十五年に改めることといたしたのであります。なお、このほか、権利侵害に関する規定整備審判審級の一審制無効審判除斥期間廃止許可料引き上げ等についても特許法案に準じて改正いたすことにしております。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。  ただいま提案になりました意匠法施行法案提案理由及びその概要を御説明いたします。  本法律案は、先に提案になりました意匠法案が可決成立いたしまして施行する際に必要な経過的事項内容とするものであります。  意匠法案の経過的諸規定は、きわめて複雑多岐にわたりますので、先に提案されました特許法施行法案と同様、特に独立法律として立案いたしたものであります。なお、関係諸法令改正につきましては、別途提案することにいたしております。  次に本法律案概要を御説明いたします。  第一は、新意匠法施行期日昭和三十五年四月一日と規定したことであります。  第二は、現行意匠法によって発生した意匠権等新法施行後の取扱いについて規定したことであります。  第三は、新意匠法施行の際特許庁係属している意匠登録出願等取扱いについて規定したことであります。  これらの諸点はいずれも先に御説明いたしました特許法施行法案同様既存権利の尊重と新制度への円滑なる移行を旨として規定いたしておるものであります。  以上が本法律案概要であります。何とぞ慎重御審議の上可決せられますようお願い申し上げます。   —————————————
  6. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 続いて、工場立地調査等に関する法律案議題といたします。これより中川政務次官より提案理由説明を願います。
  7. 中川俊思

    政府委員中川俊思君) ただいま議題となりました工場立地調査等に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  わが国経済安定的成長をはかるためには、激甚なる輸出競争に打ちかつことが必要であり、そのためには、徹底的な企業合理化要請されることはあらためて申し上げるまでもないことであります。  およそ、企業生産活動におきまして、その生産を営む場所選定いかん場所立地条件いかんが、企業合理化を左右する決定的要因となることは論を待たぬところであります。通商産業省といたしましては、これまで工業生産基盤となりますところの道路、港湾工業用水道等のいわゆる工業立地条件整備につきましては、産業基盤強化のための施策の一として、経済企画庁に設けられました「鉱工業地帯整備協議会」を通じて、整備事業費重点的確保をはかりますとともに、特に、最近著しく工業生産の隘路となっております工業用水確保につきましては、所管省として特別の重点をこれに指向し、種々積極的な措置を講じて参った次第であります。  しかしながら、一方企業立地地点選定につきましては、従来わが国全般工場適地立地条件に関する的確かつ公正な調査資料が十分に整備されていなかったために、企業としては、みずからの限られた調査立地点を求めざるを得なかったのであります。その結果、今日見るように、既成工業地帯におきましては、必要以上に工業が過度の集中をし、種々の問題を惹起いたしております一方、新しい工業地帯工業化は、なお促進されないままに今日に至っているものが少くない現状であります。  わが国のごとく、狭隘な国土資源に恵まれない国におきましては、適地適産主義にのっとりまして、それぞれの工業にふさわしい場所工業を誘導し、もって国土資源有効利用をはかることが最も必要であります。このためには、国が全国的視野に立って、わが国工場適地につきまして、その立地条件調査を行い、企業立地に当り、片寄らない資料を提供し、国としても企業としても望ましい地点へ望ましい型の工業立地せしめるようにはからわなければならないのであります。  通商産業省におきましては、このような観点から、本年度、全国主要工業適地について、立地条件調査を行い、この調査資料通商産業省の本省及び各通商産業局内に設けられました「工業立地指導室」に収集、整理いたしまして、新たに工場を設置しようとする場合これらの資料を活用することによって、工場立地に当りましての企業者の経費の節約をはからしめるとともに、工場誘致のためになされる地方公共団体のもろもろの施策の効果的な指導を行うべく志して参りました。  今回さらに本調査重要性にかんがみまして、その制度的に欠けた点を補うとともにこれを拡充強化いたし、十分上述の用に耐え得るものといたしますため、ここに本法案を立案し、工場立地適正化に寄与いたしたいと考えるものであります。  本法案の主たる内容は、次の通りであります。  第一に、工場適地調査についてであります。まず、工場適地調査につきましては、調査地区選定を行い、その地区内の団地ごと実地調査及び地形、地質等自然条件用水事情輸送条件その他の立地条件に関する資料を収集することにより行う旨を規定し、さらに本調査の適正を期するため、必要がある場合は、関係事業者より業務の状況について報告を徴集し得るようにいたしました。  第二に、工場適地調査利用方法についてであります。第一に述べました調査の結果に基きまして、「工場立地調査簿」を作成し、これを利用する者の閲覧に供するとともに、新たに工場を設置しようとする者の求めに応じ必要な資料の提供または助言をすることにより、工場立地適正化をはかるよう措置いたしました。  ただし、事業者より徴集いたしました報告につきましては、秘密事項閲覧簿に記載しないこととし、秘密保持をはかるようにいたしております。  第三に、工場立地調査審議会の設置についてであります。工場立地に関する調査につきましては、学問的にも、政策的にも、未開拓の分野であることにかんがみまして、学識経験者をもって組織いたします審議会を設け、調査地区選定調査方法、その他の調査に関する重要事項はあらかじめ審議会意見を聞くものといたしましたほか、工場立地調査全般に関する重要事項につきましても、十分に調査審議しまして、本法の運用の誤まりなからんことを期した次第でございます。  以上が、この法律案を提出する理由でございます。何とぞ慎重審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。   —————————————
  8. 田畑金光

    委員長田畑金光君) この際、委員変更について御報告いたします。  本日森田豊壽君、小西英雄君が辞任され、田中茂穂君、谷口弥三郎君が選任されました。  速記をとめて。    〔速記中止
  9. 田畑金光

  10. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、経済自立発展に関する調査議題といたします。  前回に引き続き、通産省その他の予算及びその施策について質疑を願います。
  11. 島清

    島清君 ただいま、沖縄町村長会長並びに副会長がわざわざそういう問題で上京されまして、そしてただいま切々たる訴えをお聞きしたわけでございますが、私も先般、ヨーロッパからの帰りに沖縄に寄りました際にその陳情を受けましたので、そこで先般の本委員会におきましてこの問題を取り上げて、通産大臣にお尋ねをしたわけでございますが、その折に通産大臣は、漸次台湾からの輸入品については減らすような形で考慮しなければならぬというような御答弁であったように記憶をいたしておりますが、さらに今、大山町村長会長と大城副会長のお話を承わっておりますと、沖縄パイン産業というものは、沖縄を占領しておりまするアメリカ軍が下肥を使わせない、それから牛馬によります堆肥を使わせないというような圧迫された農民が、今の変形的な占領治下における農民が生きようとするところの、編み出した新しい産業であるというようなことを拝聴いたしまして、非常に身を切られる思いがするのであります。この問題につきましては、国内産業として保護、育成をしなければならないということはもちろんでございまするが、パインは必ずしも沖縄ばかりではございませんし、奄美大島におきましても、本年あたり一万ケースを出すやに承わっておりまするし、二、三年たたないうちに二十万ケースを目途として、そういうような努力をしておられるように私たちは聞いているのであります。奄美大島と沖縄とは非常に隣接をしておりまするし、また農業経済立地条件も類似したような立場にありまするので、これは奄美大島の二十万ケースの目標というものは政府自身も指導をして育成をしていかなければならない問題であると、こういうふうに考えるわけであります。そういたしますと、沖縄生産量というのがことし五十万ケースと、こう言われておりまするし、だんぜんふえてくるでございましょうありまするけれども、ただいま大臣も両君の陳情をお聞きにまりましたので、そしてあらためて一つ陳情趣旨と関連をいたしまして、この際一つもっと積極的な御答弁を願いたいと、こう思います。
  12. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 沖縄のパイナップルのカン詰が予想以上に非常な発達をして参りましたことは、沖縄とすれば、これはほかの産業のない上において、これは唯一の産業とされているということも、私どもも想像するにかたくないわけであります。これと相競合いたしまして、奄美大島も、もうすでに二十万箱作ると、こういうふうなことが日々同一な陳情が参っておるわけでございます。  で、奄美大島と沖縄と、別に差別的な待遇をするというつもりはございませんで、これは両々相待って、このパイナップルの産業というものを考えていかなきゃならんと考えておるわけですが、台湾との関係につきましては、御承知のごとく一定のワクを設け、さらにその上に、パイナップルのカン詰に限り、差益の吸収率を置いているわけであります。一定の、三六%の差益率を置いているわけなんでございます。そうして国内産業保護すると、こういう考えて進んでおるわけでありますが、一方内地の、国内のくだもののカン詰業者も、これについてもう少し保護してくれないか、こういうふうな申し入れもあるわけでありますが、そういう点から考えまして、台湾のパイナップルの輸入につきましては、今後あるいはこの輸入のワクをある程度順次減らすとか、それから差益の吸収率というふうな問題につきましても、これは台湾との貿易関係上、ある場合におきましてはある程度下げなきゃならんというときも参ると思うておりまするが、大体におきまして国内のパイナップル、つまり沖縄のパイナップルと、それから奄美大島のパイナップルと、一緒にからめまして、その生産の状況と、国内における消費の状況等とにかんがみまして、台湾からの輸入については相当な制限を考えて参りたい、こういう考えで進んでいきたいと思っておりますが、私は特に本日沖縄の実際苦労されるお方々がお見えになりましてその血の出るような思いをもって拝聴いたしまして、まことに痛感する次第でありますが、こいねがわくは、私は、従前四十年前に私自身が台湾で、あのパイナップルのカン詰事業を起した一人でありまして、そういう経験からかんがみまして、あの台湾に対抗いたしまして沖縄においては多少気候の上においてハンディキャップが付せられておりましょうが、これだけのたくさんの製造ができるということは、私当時夢にも思っていなかったような数字でありますから、さらに一そうの御奮発を願って、そして今日ロンドンの市場なり、外国、ヨーロッパの市場に輸出するということについて御努力を願いたいということを特にお願いを申し上げたいと存ずるわけであります。すでに日本のくだもののカン詰は一千万箱になっておりますが、そのうちのかれこれ半数は海外に輸出して外貨獲得に役立っておるわけでありますから、一そうの御奮励を願いまして、一つ輸出産業としての発展をはかっていただきたいということをこの席上でお願い申し上げまして、私の答弁とさせていただきます。
  13. 島清

    島清君 農林省の経済局長においでをいただいて、それから国内産業としてのパイン産業についてどういうふうな考え方を持っておられるかということをお聞きしたいと思いまして出席を要求しておいたのですけれども、出ておられるようでありますので、パインを国内産業としてもちろん育成していかれるという方針に違いはございませんが、国内市場並びに貿易等とも関連をされまして、今の陳情もお聞き下さったと思いまするので、今、私がまた大臣に御質問申し上げたこともお聞き下さったと思いまするので、そこらを総合的に判断された上で、農林省の御方針を承わっておきたいと思います。
  14. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 沖縄パイン産業が、先ほど来承わるところによりましても、非常に進んで参りまして、数量的にもかなりのところまで参っておりますことは、私どもといたしましても非常にけっこうだと思っておる次第でございます。沖縄は、御承知のように、特産物資といたしまして、あるいは黒糖でありますとか、あるいはパインでありますとか、これらのものにつきましては農林省といたしましても、できる限りお力添えして参りたいという考え方で従来進んでいるわけでございます。従いまして、今回の特定物資輸入臨時措置法の延長とも関連をいたしまして、パイ・カンの差益吸収率等につきましては、農林省といたしましては、通産省当局に対しましても、さしあたりの目標といたしまして、据置きで一つ進んでいただくように意思表示をいたしておりますような次第でございます。
  15. 島清

    島清君 経済局長沖縄のパインだけじゃなくして、パインは国内産業を主として保護していかなきゃならぬというような建前からいたしますと、今、私が申し上げたように、奄美大島におきましては二十万ケースを目標にしてここ二、三年のうちにその生産を達成したいという考え方のようですが、そうしますと、たとえば沖縄と奄美大島を含めまして、パインカン詰のカンであるとか、そういうものが特別に、たとえば安くして供給できるようなことであるとか、あるいは肥料について、もっと安く沖縄と奄美大島の農民に対して供給して、もっと育成するとか、いろいろの育成方策がなきゃならぬと思うのです。ですから、そういう問題について一歩進めた積極的な意図を今お持ちであるかどうかということを承わっているわけです。
  16. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 奄美大島につきましても同様に考えておりますが、ただ、ただいま御指摘がありましたような、あるいはカンでありますとか、あるいは肥料——カンは私の方の関係ではありませんが、肥料等について特別の措置を講ずるかというお尋ねでございますが、これは国内産業全体を通じまして、現在肥料につきましては、御承知のように、いわゆる価格安定対策をとっております。特定の作物に対しまして、価格操作等で特別の措置をとるというようなことは現在いたしておりません。従いましてわわれわといたしましても、あるいは他の競合をいたしまする外国産のものの輸入等につきましては、農林省の立場から十分発言をいたして参りたいと考えておりまするけれども、肥料の価格対策等につきまして特段の措置を講ずるというようなことは目下のところ考えておりません。
  17. 島清

    島清君 議論にわたることは省略いたしまして、希望だけを申し上げておきますが、経済局長の話を承わっておりますというと、何か自然に発生した産業であるからして、自然にまかしておけというようなことを、裏からのぞけば、そういうふうに解釈できるようなふうに拝聴されるのです。ちっとも、新しい産業に対して、しかも外貨を払わなければ、二百五十万ドル程度の外貨でありますけれども、外貨を払わなければ日本人の胃袋の中に入ってこないという物なんです。そういう物についてはもっと積極的に、外貨獲得のために、日本の経済政策というものが集中的に、大きな柱として、政府の方針として打ち出されておるときに、やはり外貨を払わずに済むというようなものについては、もっと積極的な意図があってもいいじゃないかと、こう思うわけですが、今御答弁の通りの程度のお考えであれば、われわれははなはだ日本の農林省といたしましては、こういったような産業の育成については意欲を欠くものであるというふうに思うのでありますので、こういったような新興のパイン産業等については、十分一つ育成の意図がはっきりとこの産業の上に反映していくように、省にお帰えりになりましたら、大臣とも相談の上で、積極的な一つ施策を進めてもらいたいと、こういうふうに思います。それはなぜであるかと申しますると、沖縄の諸君が祖国に帰りたいという運動を非常に熱望して続けられておるにかかわらず、アメリカの政策によって、沖縄の諸君が日本に帰ることができない。そこでせめて政治的な面でだきとることができなければ、教育とか産業の面で、経済の面で沖縄の諸君を救っていかなければならんというのが私は偽わりのない日本国民の総意であると考える。ですからこういうような経済的な問題については、やはりそういう祖国以外に頼るところのない沖縄の県民の諸君に対しては、やはり積極的な、その意味合いからの意欲がなければならんと、こういうふうに思いますので、どうぞ省の方にお帰りになりましたら、十分に一つ御相談を、下さって、そういったような意図が産業政策の方で反映するように一つ希望しておきます。
  18. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前、通商産業大臣に質問したのでありますが、少しも要領を得ませんので、重ねて私は質問をしたいと思います。それは通産省から外国の公館につまり出張して行っておる人間、その人たちが、日本の輸出入の品物についてどういうふうな働きをしておるかという点を考えますというと、まるで眠っておるとしか見えない。たとえば、その実例をあげて言うならば、先年、それと、一昨昨年になりましたか、軽目羽二重の輸入を禁止しようという法案がアメリカでできた。それが一年たって実施期に入るちょっと前に、こちらの国会でようやく問題になって、それは何事であるかと言うたところが、ちょうど一年前にその法案ができておって、いよいよその実施期に入るというときになって、福島の川俣なり、あるいは山形県の絹織物の産地からわんさと押しかけて国会に来ました。それで間に合いませんで、国会の通商産業委員長が、アメリカの国会の部会に向って電報で申請をして、そうしてこれを押えた、そういう事実があるのです。それであるからして、もう少しよけいに通商産業省としては商務官を送って、そうして国会の方とも連絡をし、また民間の方も、消費組合のごときものがあるに違いないから、そういう方面とよく連絡して、どういう品物が今度輸出禁止になるというときに、前もってこれを阻止するというところの方策が入り用であるということを力説しました。そうしたら、そのときの通産大臣たる石橋君は、予算の都合ができないので、こういうふうになりましたが、今後善処しようということを約束しました。自来二、三年を経過しましたが、通産省は、この委員会なんぞでやっておる事柄は、ただおざなりのことであって、少しも身を入れてやっていない。こんなことでは法案審議も、一切審議する必要なしと私は申したい。その当時が済みさえすればそれでいいように考えられる。そういうことではいけないと思うのでありますが、ネコの目のごとくに大臣がかわっても、その一定の方策を実行するという点においては、やはり実行してもらわなければならぬと思います。私はそういうふうに考えまするので、これに対する通商産業大臣としての高碕大臣は、どういうふうにお考えになりますか、その点をはっきり伺いたい。そうでなければ、この法案審議なんてまるで無意味ですよ。当時ただその質問を繰り返して、そうしてやんわりと答えるだけで少しも実行していないという点、その点も私ははなはだ遺憾に思うものでありますが、これはどうでしょうか。
  19. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今お説のごとく、アメリカにおける日本品の輸入阻止運動は、主としてアメリカの同一産業の人たちが、日本品が入ることによって非常な迷惑をこうむるということのために、各国会議員なり、あるいは政府に呼びかけて、そしてクォーターを設けるとか、あるいは関税を上げるとか、いろいろな政策に出ておることは事実でございまして、政府といたしましても、これは特にその点はよく注意をいたしまして、通産省の方からも商務官を派遣いたします以外に、最近におきましては、ジェトロ等も各地方に出張員を置きまして、その地方における動きをあらかじめよく推察し、それに対する対抗策といたしましては、外務省を通じて大使がその折衝の衝に当るということはもちろんでありますが、業者自身も動員いたしますし、また業者自身の代弁者として、業者の間においてアメリカ人の有力者も雇って、そうして阻止運動を、特に公聴会等におきましては、その阻止をやっておるわけなんでありますが、今日までは、二、三のものにつきましては、彼らの運動が奏功して、われわれの商品を阻止されたことは事実でありますが、大多数のものにつきましては、大体の阻止運動はやっておるわけなんでありますが、もちろんそれにつきましては、先方の立場もよく考慮しなければならぬので、先方の当局ともよく接触して、そうして日本の商品が一ぺんにたくさんいって向うの市場を撹乱しないように話し合いをつけて、そうしてある一定のクォーターをもって、漸次輸出を増進していきたい、こういう方針で進んでおりまして、今、海野さんのおっしゃったごとく、全然手をつかねて何もしていない、こういうことは私は断じてないと存じますが、しかしながら、これをもって足れりとはいたしておりません。さらに予算の許す範囲におきましても、対米貿易につきましては、その種の運動をさらに強化したいというので、昨年も特に貿易使節団を先方にやりまして、各方面の調査もいたしたというふうなわけでございますが、今後ますますその運動に適応して、もっと強力に推進していきたいと存じております。
  20. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは現在やっておられるので事足れりとしておられるわけでありますか。あるいは先年通商産業大臣から、予算が許さないので、今急にできない、それでこれは善処するということをいわれたのでありますが、おざなりにあなたはこれをお考えになっているのか、あるいはあなたの代に、もっと予算をふやして、何とか外国におけるところの商務官の活動をやっていこうというわけでありますか、その御信念を伺いたい。石橋さんとはお考えが違うように私は思う。
  21. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) もちろん限られた予算でありますから、これは思うほどたくさんは取れないのでありますが、石橋通産大臣の時代に比較いたしまして、漸次通産省の予算とし、あるいは外務省の予算において、この対米貿易の促進のための金額はふやしております。今手元にその数字はありませんが、年々増加をいたしておることは事実であります。
  22. 海野三朗

    ○海野三朗君 一昨年より今年度はどれだけ増加しているのでありますか。その誠意を示されたいと思うのであります。
  23. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは通産省の予算だけでありませんので、外務省の予算も伴なっておりますから、その全部を含めまして、後刻正確な数字を御報告申し上げます。
  24. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ちょっと具体的な数字でございますので、かわりましてお答え申し上げます。ただいま大臣からもお答えになりましたように、まず通産省から在外公館へ派遣する人間の増加でありますが、これは毎年ふえて参っております。一昨年よりは五名ふやしました。それから三十三年度は三名ふえております。それから三十四年度は二名増加することになっておりまして、総計、たしか三十四、五名になっておると思うのであります。これはもちろんアメリカだけではございません、全世界に対してであります。それからジェトロからの調査員あるいはまた貿易斡旋所の人員の拡充でありますが、これも逐次増加をいたしておりまして、特にアメリカにおきましては、ニューヨークとサンフランシスコに強力な貿易斡旋所を設けていることは御存じの通りであります。予算の制約もありまするが、これも日本から派遣する人間のみならず、現地で雇う人間の関係もありますので、ちょっと数字をはっきり記憶をいたしておりませんが、毎年ふやして参っておるわけであります。そのほかにいわゆる調査員としてアメリカのみならず世界各国に派遣しております、いわゆる長期の調査員の数も年々ふえて参っておりまして、現段階では約三十名弱ぐらいになっております。さようにしまして、いわゆる調査活動あるいはその他のいろいろ輸入制限対策の事務に従事しておりますが、そのほかに関係業界からしましてかなりの人間が出て参っております。たとえばカメラの関係、あるいは自転車の関係あるいは冷凍水産物の関係にしましても、農産物の関係にいたしましてもそういう関係の輸出組合等からかなりの人間を派遣いたしまして、宣伝調査あるいはその他のいろいろ対策に従事をしておるのであります。金額上のお尋ねがございましたが、簡単に御説明を申し上げますと、ジェトロ関係におきましては、三十三年と、三十四年とにおきましては約二億三、四千万円ふえておるのであります。その他独立の、たとえば生糸絹織物関係とか、あるいは軽機械の関係でありますとか、あるいは肥料の関係でありますとか、農機具の関係でありますとか、いろいろな事情でもってジェトロ以外でやっているものもありますが、それらにつきましても、かなりのいろいろの対策費は増加しておるような次第であります。
  25. 島清

    島清君 今、海野委員の質問と関連してでありますが、大臣はいつか何か、アメリカのそういうようなロビーイスト対策ですか、としてアメリカの議員をそういったような顧問かに任命したい、依頼したいというようなことが、衆議院の委員会で発言があったということを新聞を通して拝見したのですが、それはできるのでございますか。何かの間違いじゃないかと思うのですが、拝見をしたのでございますけれども、それがほんとうであるかどうかということが一点と、それから今、松尾局長の答弁と関連をして、通産省ばかりじゃなくして、農林省からも大蔵省からも行っているんですね。在外公館の方に派遣されているんですね。それはなんですか、農林省、大蔵省その他の官庁と比較をしまして、通産省の派遣をしておりまする員数はどういうふうになっているか、多いのか、少いのか。それからもう一点は、本来の外交官というものはいろいろの、なんですか、階級別というのがありますね。官補だとか書記だとか、一等書記官とか、二等書記官、参事官、領事、総領事とありますね。通産省から派遣をしております、なんですか、商務官が向うへ行って参事になったり領事になったりすることだと思うのですが、大体どういう職階制の中の、階級というのですかな、どういうクラスが行ってるんですか。
  26. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 農林あるいは大蔵から在外公館に派遣されているものと、通産省から派遣しているもまでもないのであります。  そこで政府が、今回、ただいま申しました繊維工業設備臨時措置法を改正をいたしまして、化学繊維の設備規制を行うことにしたということを私どもは聞いておるのでありますが、これもまた理由のあることだと思うのであります。ところが、同じように設備規制を受けながらも、その規制の範囲内ではかなり自由に業務の転換ができるものもございます。それからまた、これはできるようにするということが、私は政府当局の施策の根幹でなければならぬと思うのであります。たとえば、現在の精紡機の登録区分、これは登録区分についてはあとで申し上げますが、紡機は与えられた部門内の紡績しか実施できないほかに有利な注文がありましても、同じ機械でこの注文に応ずることが可能である場合にも、これは控えなければならぬ。これはまあ繊維関係はきわめて自主調整の実がよく上っておる。こういう点もあろうと思うのであります。そういう意味で、この繊維総合対策懇談会でも、理想としてはこの精紡機の登録区分は、いわゆる長繊維と、それから短繊維の二つに分けるべきだということを、この対策の中にもはっきりうたっておるわけであります。しかしその問題は、同じ繊維の村におきましても、いろいろちぐはぐがあるというわけなんで、つまり紡績関係でございますと、原綿の割り当てというものがあるのでありまして、そうしてかりに今度の全般的な二〇%の格納という問題がございましても、二〇%格納されたその部の原綿というものが割り当てを受ける特典を持っておるわけなんであります。しかしながら一面におきましても、同じ繊維関係にありまして、スフ紡のごときは、この原料に割り当てという恩典がないことは御承知の通りでございます。しかしながら、スフ紡関係というものが今日まで輸出に非常に大きな貢献をいたしてきたということも、これまた大臣御承知の通りであります。そこでスフ紡のごときものに対しては、繊維工業の設備臨時法第四条にいうところの例外許可を認めるというようなことに大臣としてお考えをお持ちかどうか、この第四条のすなわちただし書きの中に、こういうことがあるのであります。「試験的に加工の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」ということが、これはまあただし書きの中にあるわけなんでございます。そういう意味で、このスフ関係りに原綿の割当の問題の点で例の百二十万錘かけ込み増錘の問題のときでございます。これらは御承知のように、とにかく繊維局長の通牒によってかけ込み増錘というものを認めないということを明らかに繊維局長通牒で出している。しかしながら、それを度外視いたしましてできたものが百二十万錘、それがわれわれ本委員会においてしばしばの会合に参考人を呼んで聞いても、不況の根源というものは一致してこの百二十万錘のかけ込み増錘にあるということ、これは一致した意見なんです。ところが百二十万錘のかけ込み増錘、これは認めないといいながらも、これはもうすでに既定の事実だからというので、いつの間にかそういったかけ込み増錘にまでこの原綿の割当というものをある程度認めつつあるわけなんです。  それから今度の全面的な繊維関係二〇%の格納の問題にいたしましても、かけ込み増錘の分も格納しても原綿の割当というものを認めている、こういうような通産省の最近の繊維対策のやり方を見ましても、このスフ関係業者との間に非常に私は大きな懸隔があるように見ているのでありますが、これは決して私の見方が誤まっていると思わないのでありますが、これについていま一応大臣の一つ御所見を承わりたい。
  27. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私は昨年の六月就任当時一番先に感じたことはその点でありまして、そこでどうしてもこれは総合的に考えなければならぬというのが、総合的の対策委員会をやっていただいたわけでございますから、そういう点は十分考慮において進んでいきたいと思っております。
  28. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に繊維局長は本日で最終回の会合に出られて、今お帰りになったのだと思うのでありますが、こまかい点はともかくといたしまして、お差しつかえない限り、これはもうどうせ放っておいてもあしたの新聞には出るだろうと思いますが、その要点について一つ御報告を承わりたい。
  29. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 要点につきまして簡単に御説明いたします。  まず第一は、繊維産業の今後のあり方でございますが、要するに今まではある程度の統制がしみわたっているわけでございます。ところで、今後の方向を統制的な方向にいくのか、それとも自由な方向にいくのかという点でございますが、これにつきましては、とにかく秩序を持ちながらできるだけ自由な競争をしようじゃないかというのが考え方でございまして、秩序を持ちながらと申しますのは、結局設備につきましてはほっぽっておけば隣が作れば自分のところも作りたくなるというふうなことで非常に乱設の傾向がございますので、従いまして、設備につきましてはやはりこれは苦しくても登録制その他によりまして、とにかく増設も押え、あるいは計画的に持っていこう、秩序というのはこれは設備の関係で持っていこう。  それから取引の関係は、これは将来あるいはAA制になるかもしれない、現在は為替の事情でもってAA制はとれないかもしれないけれども、とにかく自由な方向にいくに違いない。従って取引の関係については自由な方向にできるだけ持っていきたいというのが、これが根本的な精神であろうと思います。  そこで設備につきましては、これは御承知のように現在法律がございまして、法律によりますると、紡績段階とそれから染色段階は措置法自体で増設を押えております。それから織機段階につきましては、これは中小企業団体法によりまして増設を押えているのでございます。ところが御承知のように人絹あるいはスフ綿、合繊綿、これにつきましては現在何らの措置がございません。その結果、ここ二、三年来スフ綿なり人絹なりは非常に増設になりまして、繊維不況の根源にもなったということでございますので、従いまして現在法律対象になっておりませんところの化学繊維は、これはやはり法律対象にする。その際、スフなり人絹につきましては、これは今後の増設を押えていくけれども、合繊につきましては、これは非常に将来性のある繊維でございます。従ってこれは伸ばしていくけれども、計画に従って伸ばしていきたい、計画的に育成していきたいということが一つございます。  それから過剰設備の処理をどうするかということにつきましては、織機の段階につきましては、御承知のように今年並びに来年度におきまして約五万二千台の織機を急速に買い上げていく、これはまあすでに予算的措置もございまして、現在審議中になっておるわけでございます。  次に、紡績段階につきましては、これは各業種によりまして違うわけでございますが、現在相当の過剰設備を抱えておりまして、現在これが全部動くと非常な供給過剰になるということは、御承知のように封緘という形で操短をやっておるわけでございます。ところが操短という形がこれは非常に短期的な、三カ月ごとに切りかえていくという制度でございますので、したがって糸価の安定という面から申しましても、あるいは企業の操業なり、経営という面からいたしましても、非常にやっぱりロスが多い。そこで過剰部分の相当部分をこの際たな上げしたらどうかということになりまして、そのたな上げの方法といたしまして、大体各紡績部門おおむね三〇%でもって格納をしたい。これは原則として一年以上格納したい。これは措置法の法律に基きまして役所が共同行為の指示をいたしまして、そうして格納していったらどうかという線が一つ出ておるわけでございます。それからただいま申しましたように、長期的に過剰の部分は格納するのでございますが、それでは短期的に生産調整をどうするかという問題がございまして、たとえば現在の市況からいいますと、三割は操短しなければいかぬという場合に、そのうち三分の二に相当します二割というものは長期的に格納して、あとの三分の一につきましては、従来の短期的な生産調節を行なっていったらどうかということでございます。  それからそのほか中小企業と大企業関係とか、あるいは繊維製品の輸出をどういうふうにやって振興したらいいかというふうな問題につきましてやはり答申が出ておるわけでございますが、中心は何と申しましてもやはり設備規制の問題ではないかと思います。  それからもう一つの問題としまして、原料の割当の問題でございますが、これは現在綿花にいたしましても、非常にこの通貨別に仕入国を細分いたしまして、この割当を行なっておりますけれども、今度のいろいろの通貨の交換性回復によりまして、できるだけ包括的にやったらよかろう。で、会社の空気といたしましては、この際、AAを実施した方が結局その企業の責任体制と申しますか、企業の創意工夫が生かせるようになるのじゃないか。従って一挙にやったらどうかという意見もございましたけれども、大勢といたしましては現在まだ早い。もう少し模様を見ようじゃないか、様子を見ようじゃないかということになりまして、ただ安くどの地域からも原綿なり何なりが買えるように、この外貨予算の編成はグローバル・クォーターと申しますか、どの地域からでも自分のほしい綿花が自由に買えるというふうな態勢を原則としてとったらどうか。それから、これにつきましては、生産業者に対しまして割当をする。そのほか今後の問題といたしまして、バーター制度だとかあるいは通商協定によって特定の国から綿花なりを買わなければならぬという場合におきましては、これは設備割当にしておきますと、なかなか高い綿花を生産業者に押しつけるということには無理がございますので、従ってさような中小紡績の対象になるというような綿花につきましては、むしろ商社割当を原則とするような注意をしたらどうか、大体そういうことでございまして、できるだけそういう原綿のワクなんかをも通じまして、できるだけ態勢は自由に持っていこう、こういうことでございます。
  30. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一つ伺いたいのですが、その封緘は大体三カ月ごとに切りかえていかれる、それから今度の格納の方は大体一年以上と、常識的に……。この日にちの問題はわかっているのですが、この封緘から格納されるこの具体的な処置というものは、どういう工合にやられるのですか。
  31. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) これは業界と相談いたしまして、今後の各業界についての具体的な比率をきめていくわけでございますが、その際たとえばある業種につきまして四—六月以降やはり三割の生産調整が必要である。そのうち二割は格納していきたいということになりますれば、その二割の格納分につきましては、これはその操短がきまりました上で繊維工業設備審議会に諮りまして、そこの決定に基きまして、法律に基く、法律の二十四条に「(共同行為の指示)」という条項がございますが、その条項を活用いたしまして、各業者に指示を行う。それから封緘につきましては従来通り措置をやるということでございます。
  32. 島清

    島清君 今大竹委員の御質問と関連するわけですが、二割格納ということになりますと、工場閉鎖なども出てくると思うのですね。そうしますと、そこに働いておりました労働者の諸君が、二割は職場を離れなければならぬという原則論が生れてくるのですが、それは結果的には労働省の問題であるかもしれませんが、しかしながらそういう問題については何か同じ政府内において、その二割格納から起ってくる労働問題については、十分な配慮をされて閣議の問題にされるとかいうような配慮を尽されておりましょうか。その点をちょっと……。
  33. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) この懇談会には、御承知のように学識経験者とか労働者代表も出ておりまして、そこで真剣に討議されたわけでございます。で、この二割格納という場合に、これはたとえば数工場を持っております企業なら、それぞれの工場について二割ということじゃございませんで、二割は企業単位でございますので、従いましてある場合においては、たとえば四割も五割も格納する。そこで労働者の配置転換という問題が起ると思いますが、この会議の答申といたしましては、場合によって配置転換というものは起るかもしれぬ。しかしその配置転換につきましては、できるだけトラブルがないように、経営者側と組合側と十分話し合いをしまして、話し合いの結果するんだ。配置転換をやった場合におきましても、そういう事態が起りましても、首切りなり、あるいは労働条件の切り下げといったようなことでもって、そのシワを一方的に労務者にかぶせるということは絶対にやめようじゃないかという答申にもなっておりますし、経営者側もそういうことでもって自分たちはできるだけやろうじゃないかということの決定になっておるわけであります。
  34. 島清

    島清君 きょう私は質問を、大臣が先般ここでお話しをいただきました、通商産業政策の重点についてということで四つの柱を出しておられるんですが、この四つの柱について逐次御質問を申し上げていきたいと思っておったんですが、そこで、その中で言われるところの不況産業というのが、繊維であり石炭であり肥料であり、海運であると、こういうふうに言われているわけですが、これについては、何か冒頭において、強力な部門別対策を講じていきたいというふうに抽象的に表現されたんですが、今、繊維不況の対策といたしましては、ここで言われるところの部門別の強力な対策を、その一環として進められておるわけでございましょうか、繊維の問題は。  それから、具体的に、この不況産業に対して部門別な強力な対策を講じていかれるということの具体的な対策を、先般、御説明を伺う機会がありませんでしたので、この際一つ明確にしていただいて、順次質問をして参りたいと思うのです。
  35. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御指摘のごとく、不況産業といたしましては、当省の所管といたしまして繊維産業、石炭鉱業、肥料工業、こういうのがおもなものでございます。  繊維工業につきましては、先ほど来御説明いたします通りに、繊維の総合的の対策を講じまして、それがために繊維懇談会を専門業者及び学識経験者等も寄っていただきまして、ようやくここに結論を得たわけでありますが、それをさらに検討いたしまして、それを実行に移していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  石炭につきましては、これまた非常にたくさんな貯炭を持って今日まで進んでおるわけでありますが、この問題につきましては、石炭の対策として各業者なり、中小炭鉱業者と話し合いをつけ、その結果によって組合関係ともよく話し合いをつけて進んでいきたいと、目下、着々と各方面の意見を取りまとめつつあるわけなんであります。  肥料の問題につきましては、これはまあ従前、消費方面の、農村の肥料をいかにして確保するかということのために肥料二法案というものが今日実行されておりまして、本年中にこれはまた更新せねばならぬというときに——一応この肥料二法はさらにこれを更新していくという方針をきめておるわけなのでありますが、従前、約五カ年間に、六十五ドルの肥料が五十五ドルまで下げられたのでありますが、いかにしてそう下げられたかと考えますと、増産の結果、生産原価を安くしたためでありますが、増産をすれば、現在におきましても生産の約四割を輸出せなきゃならぬ、輸出するとすればここに赤字が起る。この赤字をどうして克服するかということが、目下、差し迫った大きな問題になっておるわけでありまして、その問題につきましても、逐次、肥料生産合理化していく、合理化するためには、古い設備を新しい設備にかえるということのために、相当の投資をし、あるいはこれに使います原料につきましても、輸入税を撤廃するとか、いろいろな方針を講じまして、今、その問題につきましては実行に移さんとしつつあるわけであります。  個々につきまして申しますといろいろございますが、大体現在の指摘いたしました不況な産業といたしましてはその三つぐらいを考えておるわけであります。
  36. 島清

    島清君 今の大臣の御答弁の中から結論をしますと、話し合いでいきたい、話し合いでありまするから、非常に強力というのは出て参らないわけなんでありますね。そこで、今井さんの先ほどの繊維対策のお話を聞きましても、秩序の中で云々というようなあれがありまして、自由というものが非常に原則になっておるわけです。そこで私が、強力な部門別に対策を講じていくということについてお尋ねをしたいと思っておりますととろの本心は、何か統制的な、国家意思によって強力に指導していくというような意図があるようにここに見られておりますので、そこでそういう問題について、どういう意図でそれじゃ強力に政策を進めていかれるかということをお尋ねしたかったわけなんです。そこで、肥料のお話もあったのですが、結局は、肥料は輸出をすれば赤字になる、そうして結局はこれが生産過剰だということなんですが、しかし国の生産過剰で、輸出をすれば赤字になるということは、輸出先が限定をされておるわけですね。これは貿易政策のところでお尋ねしたいと思うのですが、ここで明らかにされておりますところの地域というものは、東南アジアということをいわれておりますけれども、南米であるとか、あるいは北鮮であるとか北ベトナムであるとかいうようなところは、私は貿易に関する限り、こういう地域を拒否する必要はないと思うのですね。従って、たとえば肥料の輸出をするにいたしましても、この限られた政治的なワクをはめられたところに輸出を考えられるから、これが赤字になったりするのであって、生産過剰になったりするのであって、これが政治的なことを越えて、純経済的な面から考えて貿易を拡大していくということになると、ベトナムとの貿易も考えられましょうし、北鮮との貿易も考えられましょうし、もちろん、中共の問題も残された問題でありますが、考えられる問題ですが、ですから私は、こういったような施策が強力に進められるのか、いずれであるのかわからなかったものですからお尋ねしたのですが、どういうふうに強力という文字を理解すればよろしいのでしょうかな。
  37. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 強力というのは、政府の力をもって再び統制をやってどうこうというまでは考えておりませんが、業者問の申し合せによりまして、これが業者間の制限、制約というものが実行しやすいように政府が協力したい、こう思っておるわけであります。たとえば、肥料の設備にいたしましても、新しく無制限に設備をされては困るという場合は、法律をもってこれを禁止するということはできませんが、しかし新しい設備をせんがためには外国の技術を入れなければならぬ。そういう場合には外資導入法というふうなものをもちまして、これは目的は別にありますが、しかしながら、この側面の作用といたしまして、これに制限は加えていくとかということもやっていきたい、こう思っておりますが、輸出の振興ということにつきましては、これはどうしてもやはりそこに持っていかなければ根本の解決はしない、こう思っておるわけであります。従いまして、私どもに関する限りにおきましては、できるだけ一日も早く中共との取引が開始されるということが、これは一番大きなファクターになっておると、こう存じておりますが、その他、東南アジアだけでなくて、最近にはニュージーランドとか豪州等と話し合いを進めていきたいと思っております。また、賠償の対象等にもある程度の用意を持っておりますというようなことも考えているわけであります。  結局、強力の程度、こういうことでありますが、これは政府の力の及ぶだけは強力にやりますが、その力というものについては、再び政府の力をもって、法律をもってどうこうということまでは考えていないのであります。
  38. 島清

    島清君 通産大臣も近ごろは岸さんみたいにそつのない答弁をされるようになったので、ちっともおもしろみがないのですが、これを見ておりますと、まさに岸内閣の施政方針演説みたいな印象を受けたのですね。まあ三十四年度の予算の編成の基本的な基礎は、日本経済の体質の改善産業基盤強化、まさにこれはもう岸内閣の重点施策ですよ。それを通産大臣産業政策の重点としてうたわれているのですよ。これは四つの柱もその通りなんですね。そして強力という言葉を使っておられる。当然、通産大臣としては、その貿易振興を第一番目の柱にされておるのだからして、私は、ソビエトとの貿易も、あなたも経済人としてソビエトまで行かれた方だからして、もっと政策的に進められることを強力とおっしゃるのか。それとも北鮮との貿易のあれですね、けさの新聞を見ますると、民間貿易としてやりたいというような新聞記事が出ておるのですが、北ベトナムにしても、こういったような共産地域に対しても、政治的な干渉を抜きにして貿易をもうやられてもいいんじゃないか。また、やるということが、私はあなたの言われるところの、いわゆる強力政策ということをいって表現されたのだろうと思ってそういうふうに非常に好意的に理解しておったのですが、それじゃあらためてどうなんですか、この北鮮だとか、それから北ベトナムだとかいう近い共産圏貿易に対しては、どういうふうなお考えでいらっしゃいますか。
  39. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは当然推し進めていきたいと存じております。
  40. 海野三朗

    ○海野三朗君 高碕通産大臣に重ねて私が質問をしますが、今の海外の貿易についても、そういう点から考えて、将来どういうふうな御決心を持っておられるのか。先ほどの話は、どうも至ってぼんやりとしたものであって、要点をつかめない。どういうふうなお考えを持っておるのか、もう少しそこをはっきり承わりたい。
  41. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 現在の日本の態勢といたしまして、外貨を獲得し、そうして日本の国際収支の均衡を保っていくということに重点を置いていかなければならぬということから、今日貿易振興ということは非常な重大問題である、同時に、わが国の必需品をどうしても外国から仰がなきゃならぬという現状にある以上は、一そう貿易を振興して、国際的の収支を改善していくというためには、相当の無理をしても輸出をしていかなければならぬ、こういうわけでありますから、輸出振興ということは、やはり外国から物を買わなければ生活できないという日本の現状といたしますれば、これは当然持続していくべき政策だと思っております。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 それならば商社なんぞにまかせておいてはいけないのじゃないか。どうしても通産省から、筋の入った出先機関がおって、そして十分その連絡をとって、そして輸出の振興をはからなければならぬじゃないか。この点については至ってぼんやりとした答えを最近なさるが、どうも私は、もう少し熱意を示していただきたいというふうに思います。それはどうなんですか。たとえば、さっき実例を申し上げましたが、アメリカに対してのあの軽目羽二重の一件を例にとって申したのです。あれを見ると、外務省の管轄になっておりましょうが、商務官という者がぼんやりしておって、商社まかせなんであるというふうに僕は思うのです。その点は、はなはだ遺憾でありますから、どういうふうに将来通産大臣はやっていきたいという御熱意があるか、そこをはっきりと承わりたい。
  43. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) もちろん、商社だけにまかせておくわけにもいきませんが、しかし、商社の活躍を十分やらしめるということの方針をとることも必要でありますが、同時に政府といたしましても、先刻来お答え申し上げましたように、ジェトロその他の予算もふやしまして、そして貿易振興に努力いたしたいと存じております。
  44. 島清

    島清君 近ごろよくいわれておりまする企業の体質改善ですが、これはやはり大臣、この点強くうたっておられるようですが、その自己資本の充実であるとか、あるいは過当競争の是正などという点もうたわれて、具体性を欠いておりますが、金利の引き下げだとか、いろいろ人によって体質改善の条件というものは変っているようですが、さしあたり、通産大臣委員会で責任を持っておっしゃっておられますところの企業の体質改善、こういうものをどういうふうに具体的にお考えなのか、よくいわれまするように、今の企業の体質改善というものは、大企業を中心にして体質改善というものが云々されているように私たちには思えるのです。中小企業はまた、この体質改善からはおいてけぼりを食っているように思えるのですが、もちろん、通産大臣は、中小企業に対しても合理化と近代化をはかっていくのだとおっしゃられると思います。合理化と近代化は中小企業の体質改善だというふうなことをおっしゃると思うのですが、もしそういうふうな御答弁をなさるとすれば、じゃ、通産省の予算の中に、そういったような中小企業に対する予算的な裏づけがあるかどうか。私たち予算を拝見してみますと、どうもやはり岸内閣並びに高碕通産行政は、中小企業の育成云々ということを非常に大にしておっしゃる割合には、なかなか内容が伴ってないような気がするのですね。たとえば、三十四年度のこの予算の中を見ましても、中小企業関係予算というものは〇・一五%ですか、それから企業合理化といわれております体質改善に使われるという金が七億程度ですね。しかも、これが地方自治体の予算と結びついて、そしてこれが初めて使われるということになりますというと、地方自治体の予算は非常に窮迫を告げているということになりますというと、なかなかどうも通産大臣が考えておられるような、ここで御答弁になるであろうと思われるようなことは、何か期待できないような気がするのでありますが、どうなんですか。この体質改善という問題について、中小企業をあわせて具体的にどういうふうなお考えであるか。金利の引き上げをするとか、あるいは中小企業の望んでおりまするところの金融面についても、まあ中小企業の諸君は非常に期待を裏切られたという感じを三十四年度の予算については持っているわけですね。ですから、どうもやはり中小企業の体質改善という方面についておろそかにされているのじゃないかという気がするのですが、それは、中小企業の体質改善に重心を置いて、そして一体、企業の体質改善をどういうふうに行なっていかれよう、いろいろと取りざたされておりますし、いろいろ評論にもいわれておりますけれども、どういうふうな具体的なお考えであるかですね。
  45. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この産業の体質の改善ということは、私は三つの点から見なければならぬと思います。第一に、経理的に見て、あまり大きな借金で仕事をしているために、借金に追い倒されてどうもいけない。これは大企業においても戦前においては、大てい自分の借金というものは、自分の全体の仕事の三割ないし四割くらいのものだったのです。それが今度逆になってしまって、借金の方が七割とか六割になってしまっておる。こういうようなやり方をしているので、これは経理面において変えていかなければならぬ。同様に、中小企業の方も借財の方が多い。従いまして、それについてはできるだけ自己資本を充実し得るように、税制も変えていく、償却もできるようにしていこうじゃないか、こういうようなことを考えております。と同時に、金利というものが大きな負担でありますから、金利の低減をはかるということを考えていこうというので、今度、中小企業関係政府金融機関においてわずかでありますけれども、三厘利息を下げるという方針をとったわけであります。  第二、経理面に次いで必要なことは技術面でありますが、技術面の問題といたしましては、にれは基本的に考えまして、大企業の方は科学技術の振興というような面については、やはり研究所を持っておりますが、中小企業の方は研究所が少い。この中小企業の技術を振興するということは根本的に必要であると思いますので、現在東京における国立研究所はありましても、これは基本研究がおもであります。名古屋でありますとか、地方にあります各府県の研究所とか、あるいは中小企業が団体で持っております研究所には科学技術の振興という意味から、中小企業の技術振興のために政府は特別の方法をもって十分な予算を組んで、その方面に逐次金を費していきたいと思っております。同時に、ごくわずかでありますが、御指摘のように、設備の近代化等についても、これはもっとたくさんの金を持っていきたいと思うのであります。限られた予算ではありますが、しかし、本年はかれこれ十億という金をこれに充てるというふうに持っていったわけであります。  さらに、第三の体質の改善ということになりますれば、これはどうしても組織的に考えていかなければいけない、組織化しなければいけない、不当競争等があっては困る。そういうようなことのために、特に中小企業のためには中小企業団体法というものを設けまして、中小企業者一本になって仕事をし、不当な競争をしないで、手を携えて進んでいこうじゃないかというような方針をとっておりまして、決して大企業中心でやっているわけではなくて、やはり中小企業というものについては相当重点を置いてやっていきたいと存じておるわけでございます。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これはまたいずれ機会があったらもう少し掘り下げて伺いたいと思いますが、ただいまの質問の中で、中小企業の体質改善という問題についての大臣のお説というものは、今、中小企業がほんとうに困っている真髄に触れては全然おられないのじゃないかと僕は思うのですが、その点で中小企業そのものが困っておる、その困り方についての認識を一ぺん伺っておきたいと思うのです。それはどういうことかといいますと、今、中小企業の組織化をしなければならぬとか、あるいは団結をしなければならぬとか、そういうことをおっしゃいました。それも確かに一つの方法だと思います。思いますが、組織化をし、団結をし、そして若干の金融措置を講じて、金利を下げてやったところで、現在の中小企業は絶対に立ちいかない、非常に大きな壁が前面にあるということを政府が認識されておるかどうか、それを伺いたい。それはどういうことかと申しますと、具体的に言えば、確かに今資本の系列化が非常に進んでおりますね。これは具体的に私が申し上げなくても御承知だと思いますが、三井、住友、その他大資本がずっと下請まで整備しておることは、御承知の通りなんです。従って、その資本系列に入らなければ、そうして下請的な仕事をしなければ、今の中小企業というものは安定しないということになっているのです。その系列からはずれたものはさっぱりだめなんですね。また、だめになりつつあるわけなんです。こういう認識があるかどうかということが一つ。それからもう一つは、そういう工合に資本系列を強化している企業が、あの手この手を使って製品系列の整備を今やっておるのです。そして大資本は、資本と人材にものをいわせて、中小企業の分野へどんどん食い込んでいく、ですから、従来ならば、中小企業の資本が団結をし、過当競争をやめて割安にやっていけば伸びられたような状態が、今日はどうしても伸びられなくなった。その一番代表的な例は、今ブームだといわれている家庭電気器具をごらんなさい。家庭電気器具は、メーカー品でなければさっぱりブームではないのです。あんなものはそうむずかしくなくて作れるのですけれども、とにかく日立とか東芝とか三洋とか、松下とか富士とか、そういうメーカー品以外では、どんなにいいものを作ってみたって売れないのですから、伸びないのです。中小企業で作れないかといえば、作れるのです。こういう現象が、たまたま今私、家庭電気器具ブームを例にあげたのですが、おそらく通産省でお調べになればわかりますが、それがあらゆる業界に及んでおるのです。だから、これを放置しておいて中小企業論をやるなんということは、およそナンセンスなんですね。そういう御認識を通産大臣がお持ちになっておるかどうか、それだけを伺っておきたいと思います。また、いずれこのことについてはもう少し伺いたいと思います。通産省の認識いかんによっては私の意見も述べてみたいと思っておりますが、私はそういう工合に産業界とずっと接触してみて感を新たにしているのです。これではとても中小企業は立ち行かぬという感を新たにしているのですが、どういうふうにお考えになっているか、伺っておきたい。
  47. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私は、ただいまの点につきましては、全く同感であります。このままに置いておけば、やはり大工業が中小工業の分野を侵蝕すると、これはだんだん起ってくるだろうと思います。あるいは、侵蝕しなくても、系列化をやっていく、あるいは傍系会社とか、あの手この手をやってくるだろうと思う。これに対しては、何とかしてこれを法律でもって阻止する方法はないだろうかということを検討しておりますが、私どものただいまの考え方ではできないものでありますから、そこで、つまり小工業者——小さな工業者が集まりましてそうして大工業に対する個別的な話し合いをつけるということにして、そうして政府はこれに対する勧告なり調停なりをやっていこうと、こういうふうなことでもっていきたいと、こう思っているわけなのでございます。一方、工業と違いまして、商業——小さな商売人の方でございますが、これは御承知の百貨店法によって百貨店の進出をある程度阻止いたしておりますが、今日まで小売商業特別措置法というものを御検討願いまして、これによってある程度、購買会なりあるいはそのほかの進出に対して、これを阻止してみたいと、こう存じているわけでございますが、どうも実際問題といたしまして、小さな工業者のやっているものは、これは特殊のものならば別でありますけれども、大工業の力をもって、大きな設備をもってやったときには、大量生産ができるというときには、これはまた一たまりもなく参るという点があるものですから、これには小工業者自身が自分で進歩して、ある程度大工業に入っていくということも考えられるわけでありますが、しかし一方において、何としても、小さな工業者でできるものは、これは保護するというようなことについても一段の創意工夫をしていきたいと存じておるわけでございます。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体私の認識に賛意を表されたので、私も次の機会に、問題に移していきたいと思いますが、一番中小企業の悩んでいる点は、あなた方のおやりになっている経済政策というものは、これは自由経済政策なんです。自由経済の主義に立っているわけなんです。そうすれば中小企業の中で特別に努力をした人はやがては、明治時代からの日本の産業が歩んできたように、今は中小企業だけれども、将来は中小企業のトップへいき、さらに大企業に伸び得るという、そういう楽しみがあって今はやっているのです。ところが、そういうようなことが今のようなシステムでいけば全然ないと言って過言ではない。家庭電気器具の中でも非常に特殊な発達をしてきた会社が二、三ありますけれども、これはそういうものは全部頭打ちでつぶされてしまっているのです。もう一歩で大企業にいけるというのが、その前で腰くだけにされている。こういう例がほかにたくさんあります。鉄工業でも同じことです。随所にある。その壁を取り除いてやる通産行政というものがない限りにおいては、通産省が中小企業のために熱を入れているということはおよそナンセンスだと、口にするにも恥かしいことではないかと思うのですが、これは言葉が過ぎるかもしれませんが、現実はそうなんです。それですから、まあ高碕大臣は率直に答えていただいたので、私もその認識については満足いたしますが、次回にさらに、通産省としてもそういう認識に立って、中小企業を一体どうするのか、御検討を願っておきたいと思います。
  49. 島清

    島清君 私が、貿易の問題に触れて、北朝鮮、ベトナムなどに民間貿易促進の動きがあるので、これに対してどう思われるかという質問をしましたときに、大臣は中共貿易まで触れられたのですが、私たちも中共貿易の問題は、話を今までしたときには、大臣は岸内閣におきましても主流派で非常に有力な経済閣僚でございますので、大臣の言葉と、御答弁をそのままを信じて、やがては実現するだろうというので、その程度で御期待を申し上げて、それから先はお尋ねしなかったのですが、ところがこんなに日がたちましても、なかなか大臣の答弁通り中共との再開ができないわけなんですね。そうしますと、中共としては日本に対して、特に岸内閣に対してはいろいろ注文があるわけなんです。その注文は私のところの佐多君が承わってきまして持ち帰ったことについては、まあいろいろと見方によってはいろいろの言い方があり、見方がありましょうけれども、とにかく中共の考え方というものが、岸政府に対する考え方というものが示されたわけなんですね。そうするとそういう佐多報告にも見られるその条件のもとで大臣が中共貿易を再開するということを委員会の方で御答弁になられたということについては、この条件の全部が全部でないにしても解決をして、そうして通産大臣のもとで貿易を再開させたいという確信がなければならないと思うのです。非常に人の悪いような質問のようではございますけれども、こういうような中共側が考えている問題を日本側において解決できると、岸内閣において解決できるんだというような確信がないと、私は、今まで大臣が答弁されたことは、これは岸さんみたいにそつのない答弁だ、その場限りの答弁だというようなことを言われても、私はもうこれははなはだ申し上げにくいけれども、答弁にはならないと思うのです。それで大臣、どうなんですか、中共貿易の再開は。私がお尋ねをしないのにみずからおっしゃったのですが、そういったような条件的なものをどのようにして解決をして、そうして再開実現に持っていかれようというお考えなのでございますか。
  50. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 非常にむつかしい御質問でございますが、私はもう初めからちっとも変ってないことは、一日も早く中共貿易を回復しなければならないという考えであります。今まで岸内閣がいわゆる静観という態度をとっておったんでありますが、静観にもおのずから限度がありまして、今日までずっとやっておりますというと、両国ともこれによって受け得る損害、不便というものが相当大きいということが逐次わかって参りましたんでありますが、そこにおいて政治問題を離れて、お互いの立場を尊重して、そうして内政に干渉をしないというふうなことの条件によって両国の貿易関係が復交し得ると、私はそう信じております。そういう時期が来るだろう、こう思っておりますが、そこに持ってゆくように努力いたしたいと存じておりますが、現在どういう方法で佐多さんが聞いてこられた条件を日本がのむかという、こういうふうな問題になりますと、この問題は、私ははなはだ逃げるようでありますが、この問題になりますというと、これは総理大臣なり外務大臣に考えていただく点でありまして、また考えておる点でありまして、それは外務大臣から御回答申すべき問題だと存ずるわけでございますので、それはごかんべん願いたいと思います。
  51. 島清

    島清君 どうもそういう工合に逃げられるというと、大臣は中共貿易をただ町の人と同じような希望を表明されたにすぎないんであって、通産行政をあずかり、貿易行政をあずかっておられる方としてはちょっとたよりないんですが、それはそれでいいでしょう、それ以上お答えにならないというのですから、それ以上深追いしません。  それから貿易政策の中で、あなたが報告された——報告というよりも施策を発表せられた七ページのところに、「今後とも、東南アジアを中心とする経済協力対策を積極的に展開する方針であります。すなわち円クレジットの供与、延払方式の採用等による資本協力につきましては、」云々ということがあるんでありますが、東南アジア方面には触れられておりますけれども、非常な市場価値の高い南米、ブラジルあたりには触れておられないんでありますが、ブラジルあたりには、申し上げるまでもございませんが、企業が進出をしておるんですね、企業が進出をしまして、そうしてそれで支払い方式の向うの希望するような方式に従わなかっただけに、進出をしておりまする企業それ自体が、日本から部分品が入らずに困っているわけですね。そうしますと、何か東南アジアにはこういったようなプラント輸出をし、いろいろなことをやって貿易を振興したいということをおっしゃっておられながら、ところが、もはや現にこれは企業進出も、要するに一つのプラント輸出と同様ですからね、どちらかといえば本質的には、そういう進出した企業が部分品が入らずに困っているというような問題については、当然これと同様な形において積極的に施策を進めていかなければならない問題だと思うんですが、この問題については重点施策の中から特に南米等を、非常に市場価値の高いところをはずされているんですがね、ことさらに、なぜおはずしになったか、またこれはミスであったとするならば、こういったような企業進出をして、それから支払い方式のことで十二分な意見の一致を見なかったがゆえに、日本の進出がはばまれておる、そうして困っておる業態に対して、進出した企業に対してどういったような対策をお講じになるつもりか、この辺を一つはっきりしていただかないと、貿易というものは世界的な形態においてやらなければならぬことは当然ですから、ただ一定地域の東南アジアだけを━━その東南アジアの中でも共産圏はごめんだというような考え方では、私は貿易の振興ということをおっしゃっても、具体的には伸びてゆく裏づけというものがないような気がするんですがね、この点どうなんですか。
  52. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 円クレジットの設定とか延べ取引は、ひとり東南アジアだけではありませんで、東南アジア等と書いてあったと思いますが、中近東、中南米はもちろんのこと入っております。故意に落したわけではございません。特に御指摘の中南米、南米のブラジル等におきましてはオープン・アカウント勘定以来、多少感情的に走っておることもありましょうが、そういうことのために今貿易が停頓状態にあり、一つは先方から持ってくる品物が今日ちょうど時期ではない、こういうようなことのために、一時的でありますが、日本の部分品すら送れない、こういうことでありますから、これに対してはある程度の円クレジットを設定しようというふうなことも考えて、いろいろ検討をしておるようなわけであります。従いまして、私はこの政策の中に中南米を除外したわけではございませんですから、さよう御承知を願いたいと思います。
  53. 島清

    島清君 私は日本経済発展を推進される通商産業大臣としては、国内の有効需要の高揚ということを私ははずすわけにはいかないと思うのです。エアハルト西ドイツ経済相が来られたときに、あなたと三木さんはおそろいになりまして、エアハルトが国内の有効需要を高めることが、拡大することが日本の輸出に先行しなければならぬ、こういうことを言われたので、あなたたちは打ちそろってそれを否定されるのにずいぶん努力されたようでありますが、それが私は全部の理由でないにいたしましても、国内需要の高揚をおろそかにして経済発展、そして貿易の振興ということが、私は何か魂が抜けたといいましょうか、たががゆるんだというような印象を受けるのですね。ところが、あなたの報告の中には一切そういうものが触れられていないのですね。そこでそのそういう触れてないという結論からいたしますと、要するに過剰の生産である。それから大企業の中には過剰設備というものが今日の不況の原因であるといっているわけです。過剰の設備である、生産も過剰である。そうするとこの品物をどうするかという問題になりまするというと、結局、貿易を振興しようとすると、今の肥料のようにすべてのものについてソーシャル・ダンピング、ダンピングという問題が次の日程として登場してくるわけです。私はやはり貿易の振興をはかるにいたしましても、国内の有効需要の拡大ということが、当然通商産業の政策としては貿易振興のうらはらの問題としてこれは取り上げなければならぬ問題だと思うのですが、特にこの施策の中からおはずしになったという理由は、やはり私が懸念するような、まあ余ったら海外に行って売ったらいいじゃないか、それは石炭例がある。石炭だって国内よりトン一千円も安く売ったって別に差しつかえないじゃないかということをこの前おっしゃっておられたのですが、そういうようなことで、とにかく安くたって売れさえすればいいじゃないかというお考えに基いてでございましょうか。
  54. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私は国内需要を無視するわけではございません。輸出産業が起るには、やはり国内需要があって、それから余ったものを輸出するというので、肥料のごときもそうであります。しかしながら、現在の日本の、昨年から本年にかけての情勢から見ますと、国内の消費というものは、初めわれわれが予定しておった通りに、やはり消費が伸びていっているわけでございます。それで減っておるのは輸出が減っておる、こういうふうなことでありますから、まず今年は輸出を重点的にやらなければならぬということを特にうたっておるわけでございます。消費は予定通りに、あるいは伸び過ぎるくらい伸びてきておるわけでございますから、そういうような点につきましては特に強調しなかったわけであります。
  55. 島清

    島清君 これで打ち切りますが、これは後日またやりますから、きょうはこの一点で打ち切ります。ずいぶんたくさん聞きたいことがあるのですが、それはそういうことですから、一点だけ電気の問題についてちょっとお聞きしたいのですが、電気は基礎産業でございますので、かなり大臣も力を入れておられるようですが、電気の再々編成をしなければならぬのじゃないかというようなことを言われたことがあります。それは河野一郎さんが企画庁の長官をやられておったときに、旅行先あたりで再々編成のことを言われて、それから広域運営というような問題が取り上げられて、今のような形で、中途半端の形で運営されているのですが、そういうことでいやしくも政府が財政投融資等の世話をし、金融の世話をしておられて、いろいろ人事の面についても関与されるということは、私は必ずしも理屈がないことではない、こう思うのですが、ところが河野さんが再々編成のことを口に言われ、それからしばらくたちましてから、そういう再々編成ということが広域運営ということになりまして、今のような形になり、それから選挙が行われた。それで選挙が行われてしばらくたちまして、今度は電気業界に汚職事件が随所に現われてきた。そして人事の問題で、お前はやめなさいと九州電力会社の社長に通産大臣の意を体してどなたかおっしゃった。こういうことについて一連のつながりがあるわけですが、私がお伺いしたいと思うことは、私たちの考え方は、大臣に申し上げるまでもないのですが、こういった大きな公共事業体というものは、人事の面においても、運営の面においても、それから金融の面においても、もっと国家が会社の内部に発言をするようにならなければ、この公益事業の大きな事業体というものは、公益とマッチして動くことが困難だというようなことを感ぜられて、人事の問題等についても、通産大臣の意を体された方が云々されたのではないか、私はこういうふうに解釈しているわけですが、そういうふうに解釈すると適切じゃないでしょうかどうか、ここらの一連のつながりを見ます場合に、何か電気事業のあり方について根本的に検討しなければならぬという気がするのですが、その点いかがでございますか。
  56. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 政府といたしましては、やはり電気事業の公共事業でも、これは現状におきましては、各自の創意工夫をもって自由主義経済のもとに発展させていきたいと、こう存じておりますが、先般来九分割いたしまして以来、これの七年間の営業成績等をよくながめてみますというと、各会社の間に非常に大きな格差が起ってくる。こういうような事実にかんがみまして、これについてはあるいは再々編成をしなければならぬというような意見も相当出ております。かたがた業者としての意見も総合いたしまして、これを一応公益事業体という意味から、営利ということでなくて、お互いに電力を融通し合って、電力については必ずしも原価にとらわれないでお互いに助け合う、こういう意味でいわゆる広域運営ということを一ぺんやってみて、そのやり方いかんによりまして、その運営いかんによりまして、成績を今せっかくながめているわけであります。この結果によりまして、さらにまたそういう問題は、再編成の問題等も考えなければならぬかと思っておるわけなんであります。なお、これにつきましては、政府は公益事業であるということと、同時に外資を持ってくる場合において、これに対しては政府は保証をしてやるというような関係もありますから、会社の運営につきましても、あるいは内部で争いがあるとか、あるいは内部にある程度の汚職があるとかというようなことにつきましては十分の監督もし、勧告もするという必要があるということでやっておるわけでありまして、その間に何か選挙との間にからんで、いろいろと関連性があるというような御質問でございまするが、それは全然考えませんで、ほんとうにこれがどうすれば正しい意味で運営ができるかということにつきまして、政府は考えて進んでおるわけなんであります。
  57. 島清

    島清君 いや、私が質問をいたしました次の問題は、それと関連をいたしまして、衆議院の商工委員会の方で料金の値上げをするかしないかということを聞かれたときに大臣は、速記録を読んでおるわけではございませんので、新聞の報道でわかったわけですが、しばらくは料金の値上げをしない。しばらくということが何カ月を意味するかわかりませんけれども、しかしながら、近い将来において料金値上げをしなければならないのだというふうな意味のことをおっしゃっておられるわけなんでございますね。それは電気事業で再編成されてからずいぶんたっておりまするけれども、しばしば企業のしわというものは、必ず消費者の方に転嫁されておるわけですね。そういうふうにいわれるのです。ところが、今せっかく政府も、たとえば私の質問いたしましたことは、あんな公共的企業体というものは営利を追求するような形において運営させるということは、そもそもどだい間違っておるのじゃないかということを承知の上でそこで、しかしながら、その企業のしわを消費者に転嫁するということで、また電気料金値上げのことを考えておるのではないか。そこで当分は、しばらくはしないけれども、近い将来においてやるのだという含みをもって答弁をしておられるように見受けられるのですね。この電気料金値上げとの問題に関連をして電気企業体のあり方についてはお聞きしなかったわけですがそれはそうすると今の企業体のあり方でいいとされると、まあわれわれの公益事業という本来の立場からいたしまして、これは電気料金はそう値上げをすべき問題じゃないと考えておるのですが、しばらく値上げをしないというお考えなのか、それともここ当分はもう値上げをしないという考え方なのか、それとも電気料金値上げのことについては全然考慮していないのだということなのか、この点どういうお気持ですか。
  58. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 電気料金の値上げ問題は、新しく電力を開発すれば当然電気料金は上るものだと、こういうことで相当強い要求もあるわけなのであります。それはひとり業者だけでなくて、これに金を貸している世界銀行等についてもこれはよく考えろと、こういうふうな点もいわれておるわけなのでありますが、それがために、政府といたしましては、昨年来電気料金調査委員会を開きまして、それで大体の答申が昨年の幕に出たわけであります。それを今検討いたしておりますが、現在その検討いたします中では、上げなければならぬというふうなファクターもあると同時に、上げなくてもいい、ある程度これは料金を甘く見ているというふうな点もあるということでありますから、これを検討いたします間は、今ここでしばらく電気料金には触れたくない、こう存じておるわけであります。
  59. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後五時五分散会