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1958-12-20 第31回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月二十日(土曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 十二月十八日委員高橋進太郎辞任に つき、その補欠として安井謙君を議長 において指名した。 十二月十九日委員安井謙君及び堀木鎌 三君辞任につき、その補欠として高橋 進太郎君及び西田隆男君を議長におい て指名した。 本日委員木島虎藏辞任につき、その 補欠として松野孝一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            相馬 助治君            大竹平八郎君    委員            小沢久太郎君            古池 信三君            高橋進太郎君            高橋  衛君            堀本 宜実君            松野 孝一君            阿部 竹松君            海野 三朗君            栗山 良夫君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    大蔵政務次官  佐野  廣君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省公益    事業局長    小室 恒夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済の自立と発展に関する調査の件  (貿易対策に関する件)  (エネルギー対策に関する件) ○公共用水域の水質の保全に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○工場排水等の規制に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会開会いたします。
  3. 島清

    島清君 これは予定をされておりました質問ではございませんので、緊急質問の形になると思いますが、委員長並びに委員諸君お許しをいただきまして発言をさしていただきたいと思いますが、実は先日の委員会でございますが、私は一般通商産業政策につきまして御質問を申し上げようということで、委員長を通じまして、それぞれの大臣並びに政府委員の方に御連絡を申し上げておったわけでございまするが、私たちの質問の時間になりましてから政府委員がいなくなりましたので、質問ができなくて、委員会散会を余儀なくされたわけでござまいするが、そのことにつきましては、社会党理事をやっておられまする相馬委員は、長年の議運の練達の士でございまするので、それはそれなりに、委員長理事打合会の方で問題にしていただいたかと思いまするけれども、私は、どうしても大臣にお聞きをしなければならない点だけについてお尋ねを申し上げたいと思います。  そのことについては、大臣もすでに耳にされまして、大へんに遺憾なことだとお感じになったと思いますので、そこで私は、私の緊急質問の形で申し上げる前に、委員長を通じて大臣陳謝の意を表されるものであると思っておったのであります。陳謝の意を表されるならば、私は私の一般質問に入ろうと思っておったわけでございまするが、しかしながら、ああいったような失態を犯したにもかかわらず、陳謝の意を表されないところを見まするというと、それが当然であるというふうにお考えの上だと思うのでございまして、従って、私の良心のとても容認できないところでございまするので、大臣に御質問申し上げるわけでございまするが、一体政府委員というのは、この前私が質問を申し上げようと思っておりまして、通告をした大臣並びに通商関係政府委員━━このことについては、大臣は別にいたしまして、政府委員任免権というのはどこにあるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) もちろん、政府委員任命政府においていたすわけでございまして、議会と、よく委員会と折衝いたしまして、御了解を得て任命いたすわけでございますが、当日、御承知の、私は当委員会に出席いたしておりまして、委員長お許しを得まして、衆議院の本会議が始まりましたので、本会議の方に出席いたしまして、本会議終了後、一刻も早くこちらへ帰ってくるという考えで私は離席したのでございます。ところが、遺憾ながら、衆議院の本会議はだんだん延びまして、私に対する問題は、四時三十分に開かれたわけでございまして、四時三十五分に済みましたものですから、私はすぐに本委員会に帰りたいということで帰って参りました。ところが、残念ながら散会されておった。こういうわけでございますが、当日私の留守中につきましては、政務次官、そのほか政府委員をこっちに置いたわけなんでございますが、何かの行き違いで、当日、通産省通商局長が欠席いたしまして、まことに申しわけない結果になりましたことは、大臣といたしまして責任を痛感する次第でございまして、この点おわびを申し上げる次第でございます。
  5. 島清

    島清君 私の判ずるところによりまするというと、行き違いではなくして、故意委員会の要請に応じなかった、こういうふうに解釈をするわけでございますが、政府委員任免権というのが内閣にあるといたしますると、内閣総理大臣でございまするので、一体故意委員会答弁出席を拒否する、こういう態度に出た政府委員に対して、内閣総理大臣責任を追及しなければならないと思っておるわけでありまするが、しかしながら、内閣総理大臣任免権というのも、その主管大臣の御推薦に待つものである、こういうふうに思うわけであります。少くとも先日の通商局長態度は、故意委員会答弁を拒否したと、こういう態度であったと思うのでありまして、何らの行き違いというのは私は見受けません。しかも、非常に委員が、特に相馬さんあたりは非常に憤慨をされまして、そしてあそこで、通産省のお役人の前で口をきわめて憤慨をされておったんです。そういうことを耳にされておるはずでございます。そこで、それが故意でなく行き違いであったといたしまするならば、御本人が、あるいは大臣を通じてなり、委員長の方へ私は謝罪があってしかるべきものであると考えております。私の方から御発言をしなければ、そういったようなもののその御答弁がないというようなことは、どうも行き違いであったというふうに認めるわけには参りません。そこで、私はその行き違いと言われるところがどこにあるかということはわかりません。とにかく、二十分くらい探し回ったと思うのでありまするが、省の方に帰ったと、こういうわけでございまするが、任命された政府委員というのは、一体議会に出てこられて、そして答弁をされるのが優先するのであるのか、それとも省議なり省の仕事というものが優先をするのであるか、私はこの点を大臣から明確にしていただきたいと、こう思います。
  6. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) もちろん、国会開会中におきましては、委員会が優先いたすわけでございます。任命されたる委員は、この委員会に優先的に出席するものと存じます。で、当日の問題につきましては、私はあとでその話を聞いたんでありますが、これは決して通商局長としましては、故意答弁を拒否するために逃避したのではなくて、その間に行き違いがあったということは、まことに申しわけない次第でございまして、この点厚く陳謝申し上げる次第でございます。
  7. 島清

    島清君 大臣はおかしなことをおっしゃるわけでございまするが、行き違いでないということは、私は大臣が来られなかったということを責めておるわけではございません。聞くところによりますと、通商局長は出ておられて、そこでまあ自分答弁の時間じゃないというので、政府委員室の方で待機をしておられるということのようだったんですが、しかしながら、政府委員室にもおられないで、何か省の方へ、院外の方へ出られたというので、二十分ばかりお待ちを申し上げて探していただいたんでありまするけれども、とうとう見つからずに委員会散会になったと、こういうことなんです。私はいささかも行き違いはないと思います。もし、かりに政府委員が、委員会の方の答弁を求められておる場合、説明を求められておる場合、これがあなたがおっしゃいまするように、議会答弁なり説明というものが優先するということでございまするならば、ほんとうにそういう考え方であるといたしまするならば、私は席をはずしまする場合は、やはりしかじか、かようかようなわけで席をはずすからどうだろうというような、前もって了解があってしかるべきだと思います。そういうような当然になさなければならないこと、また、これは別に高い、政府委員なるがゆえの高い倫理的な要求でもないと思います。私は一般の市民的な、国民的な常識においても、説明答弁を求められておる場合に、その委員会にどうしてもよんどころないところの、時間の差し繰りがつかない場合は、私はやはり求められておる側の了解を求めなければできないことであると思う。いわんや、政府委員として任命をされて、しかも、ここに優先的にその仕事を遂行しなければならないという政府委員が、こういったような態度をおとりになるということは、私は行き違いから生ずるものではないと考えております。明らかにこれは非常に答弁を拒否されたか、あるいは委員会というものを軽視されたか、故意の行動であったと、こう断定せざるを得ません。なぜあんたは行き違いであったとおっしゃるのか、その行き違いであったということの理由を明確に御説明をいただきたいと思います。
  8. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ちょっと……。
  9. 島清

    島清君 松尾君に僕は答弁を求めているわけじゃないのです。大臣質問しているのです。冗談じゃないですよ。
  10. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ちょっとおわびを……。(「委員長発言を許しているのだから」と呼ぶ者あり)
  11. 島清

    島清君 大臣に求めている。大臣に。
  12. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、通商局長答弁を回避するとか、あるいは委員会を軽視したものとは私は認めませんが、しかし、なお十分よく取り調べまして、もしそういう事実があったとすれば、私の責任においてこれを処分したいと思っております。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。島君の御発言中ですが、発言中にもありますように、委員長理事会においても何らか取り扱ったであろうということでもありまするので、島君が今後質問を続けられる便宜上からも、委員長理事会において私が発言したことのあらましをここで申し上げて、確認しておきたいと思います。  私は、委員長理事会の劈頭において、一昨日通商局長答弁にこの席に立てなかったために流れざるを得なかったということはきわめて遺憾であるということを申し上げて、次いで、松尾局長から委員長に対して、何らかの謝罪があったかということを質問をいたしました。なお、この問題はわが党としては重要視しておるから、この委員会の冒頭において本員が納得するような何らかの措置がとられるならば、速記に残すような発言をする意思はないけれども、適切なる手が打たれない限りにおいては、私は立場上、その責任を追及して発言せざるを得ないからということを予告しておきました。なお、私は与党の両理事に対しましても、非公式で口頭ではございましたが、答弁を求める形ではございませんでしたが、まことにこのことは法案成立に積極的に協力している社会党側としては遺憾のことであるということを、一昨日のうちに強く申し入れておいたわけでございます。従って、私も島君の発言のように、現在のところは単なる行き違いということではないのではないかとみずから考えておって、大臣並びに関係の者の答弁に耳を傾けているところです。
  14. 田畑金光

    委員長田畑金光君) そこで、委員長からお諮りいたしますが、大臣から一応遺憾の意を表されたわけでございますけれども大臣不在中のできごとでもありましたし、この際、特に松尾通商局長からも発言したいという申し入れもございますから、一応発言を許して、議事進行をはかりたいと思いますから、御了承を願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  15. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 一昨日、島先生の御質問の際におりませんで、はなはだ皆様に御迷惑をかけたことを非常に遺憾に存じておるわけであります。若干言いわけがましくなるわけでございまするが、実は一時から参りまして、三時過ぎまでここに、この当委員室に参りましたり、政府委員室お待ちをいたしておったのであります。その間、相馬先生とも非常に長く政府委員室でもお話をいたしまして、私決して隠れておったわけではございません。おったのであります。まだこの法案の方の審議もだいぶかかっておるようでありまするので、いつも、私少し健康を害しておりまして、医者に注射に行っておるのであります。ちょっと注射を一本してくる間外に出るからと政府委員室の者に言いまして出かけました。すぐ帰って参ったのでありまして、その間私のあれでは十四、五分かかっておらぬのじゃないかと、こういうふうに思っておるであります。ちょうどその間にぶつかりましたために、まことに申しわけないことになったであります。私としては、先ほども島先生のおっしゃいました故意とか忌避とかということでなしに、先生方に非常に御懇意を願っているわけでありますから、いろいろ法案、あるいは予算等でもお願いいたしておるわけでありますので、決してそういうつもりでいるわけではありませんが、たまたま、ちょっと医局に注射に行っている間の時間にちょうどぶつかったことになった。まことに申しわけないことと存じているものであります。今後十分注意をいたしたい、こういうふうに思っておりますので、何分一つよろしくお願い申し上げます。
  16. 田畑金光

    委員長田畑金光君) この際、委員長からも一言申し上げたいと思います。  一昨日の委員会におきまして、政府委員松尾通商局長が無断退席したために、一般質問を開始することができないで散会したことは、非常に遺憾なことだと考えておるわけです。ただいま、松尾通商局長からも一身上の釈明がなされたわけでありますが、事情もよく了解できます。ただ、今後の委員会の運営については、十分連絡を密にして、円滑に進めたいと考えておりますので、政府当局におかれても、十分今後はこういうような手落ちのないように留意されるよう強く委員長の方からも要望しておきます。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの島委員質問に対しては、委員長の締めくくりで、島委員はどうお考えになるか知らないけれども委員長のお計らいで私はけっこうだと思うのですが、それよりも根本問題は、通産省内部にあるというように私は考えるわけです。ということは、先日、松尾通商局長がおらなかったが、私は、局長だからえらいのだ、次官だからえらくないとかは言いませんけれども、担当のやはり政務次官がおられて、政務次官が明確に答弁できれば、こういう問題は起きなかった。しかし政務次官答弁できない。どうして答弁できないかというと、これは前回、臨時国会の初めにある政務次官を呼んでここで質問をした。その政務次官がこう答弁している。「私も役所に入ってみまして、一体政務次官などというものは、政務次官なんかに持ってくる書類というのは陳情書ばかりです。判をついてくれといって持ってくる書類は、ほとんど陳情書みたいなものばかりであって、どういう仕事をやっておるかというような仕事実態役所は持ってきない。これはいろいろ聞いてみますというと、これこれの書類局長どまりで済むようになっておる、これこれの書類は事務次官でとまるようになっておる。」、だから自分は全然わからない。「たとえば外貨割当をどうするとか、あるいは工場認可をどうするかというような問題は政務次官まで参りません。私はこれに非常に不満を実は持っておるのです。政務次官役所のそういう枢要な仕事にタッチしないで、委員会へきてただすわっておって、そうして責任だけを追及されるというようなばかな話はない。」、こういうふうにいろいろ話がありまして、なおこういうことを意っている。「新たに仕事を始めて外貨割当をもらいたい、これをこうしてもらいたいと言えば、大がい役人の言うことは、一律にきまって申しますことは、実績がございません、実績によって、やっているんだ、そこで私はいつでも言うことは、実績というのは君らが勝手に作っておるのであって、神武天皇以来あるわけではあるまい、だから新しく仕事をやろうと思う者に対しては、それが一定の資格を具備している者に対しては、外貨割当でも何でも与えて、役所というところは国民にできるだけ公平に」やれ、こういうことを政務次官が意っている。従って、政務次官は何にも知らない。局長どまり通産行政がやられて、そうして政務次官は確かにここの政府委員として説明できる立場にある。しかし実際政務次官は何もわからない。局長どまりだから、局長がおらなければ会議が開けない。こういうばかげたことをやっている。特に両三年前から、通商産業省は大蔵省とともに政務次官が二人になったはずです。従って、私は政務次官を全部たな上げにしてしまって、大臣局長間はつうつうでいいかもしれないが、それでは何のために政務次官があるのか、こういうことを改めてもらわなければ問題になると思う。お役所の実権は課長か、局長クラスにある。こんなばかばかしいことはない。だからこそこんなような問題が出るわけで、今後十分そういう点を改めてもらわなければならない。個人的にいえば、政務次官、朝から晩までここにすわったきり、局長はなかなか出てこない。三階の詰所でお茶を飲んでいるということを私は知ってる。さいぜんに申し上げましたように、どっちの地位が上とか下とか、こういうことは言いませんけれども、良識を持って通産行政をやってもらうには、ここもやはり一つ考えて、もらわなければ、いつまでもこういう問題がある。ある局長に至っては、われわれが一時なら一時から出席して待っていると、下の役人を使って、今、出席している議員が何名だかを、勘定さす。で、下の者は見にきて、今何名出席しているから、もうおそらく始まるでしょうというのでもって来る、これが実態です。こういうようなことを一切なくすということは、なかなか簡単にいかぬだろうけれども、そこをやってもらわなければならぬ。一昨日出た、出なかったということを表面だけやってもだめだ。従って、私は次官を有効に使いたいと思う。きわめて不穏当な言葉ですけれども、十分りっぱな人が次官になっているんだから、高碕通商産業大臣は、しかるべく、次官を手足のように活用していただきたい。そうすると今度のような問題は起きないということを、特に通商産業大臣に要望を申し上げておきます。(「同感々々」と呼ぶ者あり)
  18. 相馬助治

    相馬助治君 私は、基本的な問題なので、やはり言葉をつけておきたい。当日、阿部委員は欠席でしたけれども、その状態をはっきり知っているように明快な御質問をしている。(阿部竹松君「僕はおりましたよ、あなたより前から多くおりましたよ」と述ぶ、笑声)いや、失礼いたしました。(「失言取り消せよ」と呼ぶ者あり)その点は大へんに失礼いたしました。  私どもは、局長はいないが、次官責任を持って島君の質問答弁できるならば、局長がいなくてもよろしい、次官答弁を求めたのです。次官はそれを断わられたのです。具体的なことであるからわからないし、かえって問題を混淆させるからというので断わられたのです。それを、その事実を私は一つつけ加えておきたいと思うのです。  それから大臣に申し上げますが、ここで問題になる問題は、島君の発言に続いて海野君からやはり質問が出ていた。それは私が察するに、通商局長としては答弁にかなり苦労を感ずる問題であるやに私は大体承知しているのです。実際、今の通商局の中の仕事というのは、具体的にはなかなかむずかしく、そこに認可があり許可がありで、いろいろな点でむずかしいんだろうということは私想像にかたくありません。私なんかも商工委員としてかなり長いので、具体的に、先日なんぞは、ある不良の外人によって善意の第三者が非常に巨額の損害をしたのです。私は局長陳情いたしました。これに対して松尾局長は、相当幅の広い、そうしてまた同情的な見解を示されて、解決をしようとされたんです。ところが、これに対して現場をあずかる課長が、最後まで頑として言うことを聞かない。再三にわたるこの人の涙の出るような陳情も、一片のきめがあるということでけ飛ばした。そのきめは何であるかというと、その課で作ったきめなんです。そういうふうな現在の特に輸入、輸出に関する通産省通商業務実態というものを私は非常に問題にしている。  それから私は、これは重大な発言であるがゆえに、以下のことで具体的に資料を示せというなら、具体的に資料を示して申し上げます。ここで具体的なことは申し上げませんが、局長課長クラスは、かなり通産省の中においても自重をされて、業者との妙な因縁、情実、一ぱい飲むというようなことは私は具体的には知っておりません。しかし課長補佐以下の通産省の官僚の腐敗、堕落というものは、今日天下衆目の一致しているところです。(「その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり)銀座からあの辺のキャバレーに、課長補佐以下の通産省役人が、一しょに業者と一ぱい飲んでいる姿というものは、これはその目で見れば、一晩に二軒や三軒見つけることは絶対に不可能でない。私はこれは推測に基いておりません。もし示せというなら、具体的にその具体例を示すだけの用意を持ってきている。従って、今日、通商局の中には局長といえども自由にならない面がある。課長といえども自由にならない面がある。いわんや、ここで質問すると、次官でもどうにもならないことがある。大臣は閣内における実力者として、非常にまじめな方であり、本委員会における答弁も、私どもは満足しています。しかし、下にいけばいくほど、通産省というものは、今日奇々怪々なものがある。そういうものが今日一つ不満があって、松尾局長に対する攻撃となって現われている。松尾さんだけが悪いと言っているじゃない。これらの人々は、通産省の、特に通商業務におけるところの不満が爆発している。特に通産省内部においても、通商局の下僚の者にこの種の問題が比較的多いということもこれは事実なんです。実にりっぱな局もある。局長の威令が厳粛に行われているところもある。一つそういう事実を申し上げて、私はこの際、特段の反省を促しておきます。
  19. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 一昨日の委員会における松尾通商局長の誤まったることにつきましては、先刻来、島委員なり相馬委員から、あるいは委員長からの厳重な御勧告を私どもはよく肝に銘じまして、再びこういうことをしないように努力いたしたいと存じます。また先刻来、阿部委員なり相馬委員から、通産行政内部につきまして、いろいろ御注意がございましたことは、私ども、ある程度これはそういう事実はあることだろうと想像いたしまして、そういうことのないように、今後通産行政につきましても、十分努力をして、粛正を期していきたいと思っております。よろしく御了解を願いたいと思います。
  20. 島清

    島清君 一昨日のできごとにつきましては、委員長のせっかくの取りなしもありまするので、阿部委員が関連をして質問をして、島君は了解するかしないかわからないけれども、こういう御発言でございましたが、私は大臣の御答弁で別に了解はしません。こういう場合には、やはり責任者を十分に戒めて、そうして必ずしも私は、政府委員局長でなければならないということであるかどうかわかりませんが、こういったようなふまじめな局長よりは、私どもは次長の方がいいと思っております。そういうことがあり得るかどうかわかりませんが、そういうことで、もう少し私は通産行政にも関連して、掘り下げて質問をするつもりでありましたが、しかしながら、三木長官も見えられたし、どうもやはり通商産業省の無統制ぶりが、こちらの方で、三木長官の前で次から次にわれわれの手によって暴露されることは、大臣立場もございましょうししますから、武士の情で、きょうはこれ以上質問をいたしません。どうか一つ、また後日質問を申し上げる機会があればやりますけれども、しかしながら、大臣の処置のあり方について、私はあるいは質問しないかもしれません。大臣の謙虚に謝罪をされ、遺憾の意を表された形が、その場限りのものであるか、将来に及ぶものであるかを私は見守りながら、一つ武士の情でこの程度できょうは質問を打ち切ることにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  21. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより経済の自立と発展に関する調査を議題といたします。
  22. 海野三朗

    海野三朗君 国会で十分審議を尽して採択された請願事項の実施について、政府当局はどういうふうに考えて、おられますか、まず、それをお伺いしたい。  十分審議を尽して採択された請願事項は、ただ、おざなりのものである。なに、国会なんぞは大して、のど元過ぎれば熱さを忘れるというような形であるかどうか。そういうことであれば、われわれの国会の審議というものは軽視されておるわけでありますから、今かかっておる法案に対しましても、われわれは十分審議しようと思うが、まず国会で十分審議を尽して採択された請願事項の実施について、政府当局はどういうふうにお考えになっていますか。
  23. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御質問にお答えいたします。国会において審議され、それから採択されたことは、政府といたしましては、誠心誠意これが実行に移すべきものと存じております。
  24. 海野三朗

    海野三朗君 移すべきものだという大臣のお考えであっても、さらに前二回ですよ。二十六国会、二十九国会において採択された請願事項が、さらに実施されていないというようなことでは、どういうふうにお考えになっておるか。
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 二十六、二十九両国会において審議され、採択されたことは、これは、もちろん実行に移しつつあるわけでございます。
  26. 海野三朗

    海野三朗君 それが実行に移されていないという事実をここに私は申し上げてみたいと思うのであります。それで、国の行政で、全部が全部満足のいく行政は望めないにしても、全体的に見て国のためになる方策であれば、しかも少数者の新しい意見であっても、これを十分検討して、よりよき改善へと努力するのが行政の公平なあり方ではないかと思うのであります。このような事例は、実際例をあげて申し上げまするならば、バナナの輸入外貨割当についてであります。この問題ほど過去において幾多の問題を起したものはないのでありまするが、現行法の台湾産バナナの外貨割当は、いかような方法で処理されておりますか。聞くところによれば、本年六月十一日の、昭和三十三年度の上期輸入発表及び十月三十日中間輸入発表によれば、従来輸入業者割当、加工業者割当に区分しておったものが、さらに通関実績一本とされた。この実績主義割当は、通産省当局としても、最善の策と考えられたのでありましょうが、まだ今後もこれを踏襲していこうとするのであるかどうか、そういう点をお伺いしたい。このバナナ輸入外貨割当については、バナナ業者同志会という全国の業者が、従来の実績割当のみによることは、その実績、特定の時期及び方法に不公平がある。またこの実績を受ける輸入業者は六大都市にのみ偏在しておるために、地方の業者にも、またこの団体に加入していない加工業者がおりますために、いわゆる植民地的存在となっておるので、従来の不合理な加工実績割当の一部を、人口割として、地方の新しい業者へも外貨を割いて、ほんとうに安いバナナを大衆に配分できるように処置してもらいたいという請願が第二十六国会に出たのであります。しかるに、さらにこれを人口割にしたというても、もとの割当業者、その割当業者に対するただ人口割をよけいにしただけで、こちらの請願の趣旨というものは少しも採択されていない。二十九国会には、従来ある輸入業者や加工業者が持っておる四百五十万ドルの実績は尊重して、今度はそれにきずをつけてはならないから、百万ドルの輸入を新たに増加したのだ、増加したやつをも、それをも在来の輸入業者に割り当てておるということは、これはどういうことでありましょうか。これを一つはっきりと納得のいく答弁を要求したい。こういうふうなことは、先ほど相馬委員も言われましたように、課長及び局長はそれほどでないけれども、それ以下の者が立案をするのです。その立案をしたものがどうしても動かし得ない。政務次官でもこれをどうにもできない。いわんや大臣は御存じないでありましょう。それでありますから、外側から見ると、通産省、なるほどりっぱなお役所のように見えるけれども内部は腐り切っておる。その腐り切っておるということが、ちょいちょい新聞で収賄事件などで、あるいは外貨割当とか、そういうところに事実引っぱられておる人間が出ておるであろうと思いまするが、その辺はどうなんですか。一体大臣及び局長がよくこれを知っておると思いますから、その答弁を求めます。
  27. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) バナナの輸入の外貨割当につきましては、御承知のごとく、人口比を要素として外貨割当をしろ、こういう請願があり、これが二十六国会において採択されたことは事実でございます。その趣旨に沿うように、当省といたしましては十分検討して参ったのでございますが、何しろこういう方式の割当というものは前例のないことでございまして、非常に困難性があるというようなことで、いろいろ考慮いたしました結果、現状の割当をやっておるわけでございますが、その内容の詳細につきましては、通商局長から御説明を申し上げます。
  28. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) バナナの人口割の問題につきましては、だいぶ前から海野先生とお話し合いを申し上げておる格好になっておるわけでございます。先生も十分御存じのことなんでありまするが、要するに輸入割当というものは、輸入の業務をやるものに割当をするということでわれわれはありたいと思っておるわけです。現在の方式によりましても、輸入割当を受けておるものが約二百社に上っておりますが、実際の輸入業務をやっているのはもっと少いものではなかろうかと思っておるのであります。従いまして、過去数年にわたりましていろいろな変遷がございましたが、何と申しますか、いわゆる幽霊業者というものをできるだけないようにするのが、やはり輸入割当の根本ではなかろうかということで、その趣旨に沿うてやって参っておるのであります。たまたま、その人口比によって割当をしたらどうか、こういうお話がございましたので、前二回にわたりまして、一部人口比の考え方を加味してやったことは、先生御存じの通りでありまするが、先ほども申しましたように、この二百社をふやすというやり方ではなしに、二百社に対して割当をするやり方の方法を、人口比を加味して、あるものを若干減らし、あるものを若干ふやすというやり方をいたしたのであります。先生の御主張はそうじゃなしに、二百社のほかに人口割を加味して新しく業者をふやせ、こういう御主張ではなかろうかと思うのであります。そこで、われわれといたしましても、バナナの輸入量が従来非常に限られておりましたので、輸入をしたものが加工業者に渡す、加工業者が青果物問屋に渡す、それがいわゆる末端の青物屋で売られるのでありますが、その流通過程におきまして、輸入量が限定されておりました従来、どうしても扱いたいという地方の青果物問屋に物が渡らないという状況であったこと、これまたある程度やむを得ぬかと思うのであります。幸い先般の台湾との通商交渉によりまして、百万ドル、バナナの輸入をふやすというようなことにもなりました際でもありますので、従来の輸入窓口をやっておるものが、できるだけ従来の問屋以外に新しい問屋にも物を売っていくというようにいたしますれば、比較的不満も解消するのじゃないか。バナナの流通が広い範囲に行われるのじゃないかというような考え方をもちまして、今、従来取り扱っておった者と新しく取り扱いたいという者との話し合いをできるだけ進めて参りたいということで、両方の間のあっせんをいたしつつあるような次第であります。話がどういうことになりますか、その結果を見た上で、また輸入の制度に振り返って考えてみたい。今のところは、この同志会のメンバーの方々もいろいろな人がおられますが、同志会という特定団体というわけにも外貨割当の性質上いきませず、まあ大部分の同志会の人たちの意見は、要するにそのバナナの輸入そのものよりも、バナナの取扱いをいたしたいのだ、輸入はどっちみち専門家にやらしていいのだというような方々がかなり多いようにお見受けしておりますので、一度そういう、今申しますような両方のグループの話し合いをさせまして、その結果を見た上で、その話がうまくいって、御不満の点が解消できるなら、それでけっこうでありますし、あるいはまた、それがうまくいかないというような場合には、これは輸入制度にさかのぼって考える方が、今のところとしては現実的な解決策ではないかというふうに考えておる次第であります。
  29. 海野三朗

    海野三朗君 今、通商局長は、人口割を加味したということを言われるが、少しも加味されていないのです。私はそこを言うのです。人口割を加味したというのは、在来与えておるところのものにただ幾らかずつ増してやったにすぎないので、そういうことでは人口割ということは申すことはできません。で、人口割を加味したというけれども、加味していないのである。それが第一点と、あなたの言うことは、在来の取り扱っていない者に外貨を割り当てしなくてもいくじゃないか、そういうお考えである。それは大いに違っておる。この同志会なんぞもおりまするが、これはこの前の輸入業者割当に漏れたものである。その買う権利を漏れた人たちが寄り集まってここに一つの団体を組織した。そうして全国的にこれを積み上げて、そうして協同組合の認可を得て、そうして立ち上っておるのでありまするから、この外貨割当ということは人口割にしたとあなたおっしゃるけれども、人口割に少しもなっていない。そこを私は文句を言うのです。それで、第二十六国会において第一番にその請願が採択されたが、人口割を加味したのだという考えから、それでその陳情はそれで通ったというふうにお考えでありましょうが、また第二十九国会においてそういうことがまた出てきておるまた出てきておるのにかかわらず、通産当局は、当初人口割、そういうことはどうでもいいのだというふうにして、ただ在来の割当業者に人口割、この県はよけいにあるから、お前の方でよけいに扱え、そういうことではいけない、そこを私は言うのであります。二度も国会を請願が通っておるのにかかわらず、請願事項の実施について、政府当局はどういうふうに考えておられるか。そうすると、それはやり得ないと言うでありましょうが、やり得ないはずがないのである。公平にさばかなければならないものでありますから、公平にさばかないところにバナナ天皇が現われたり、バナナ侍従長が現われたりしておるのですよ。実際そうなんですよ。バナナ天皇やバナナ侍従長が現われておるのはどういうわけであるか。そこを言うのであります。そこを局長は御存じないかもしれないけれども、それを立案するところの者、それを発案するところの者が下の方におって、頑として聞かない。そういうことでは通産行政はいけないと私は思うのであります。どうですか、局長
  30. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 輸入割当につきましては、バナナといわず、ほかの商品につきましてもいろいろ御不満のある点は多々あるのであります。なかなかすべての方に御満足のいくような割当基準というものが、これは御想像願えればおわかりと思いまするが、なかなかむずかしいのでありまして、実績というものを一つの基準にして考えざるを得ないのであります。もちろん、何か具体的なはっきりした基準がありまして、それによっても弊害がない、公平を期し得るということでありますれば、物の性質によりましてはそれを加味することも差しつかえなかろうかと私は思いますが、バナナにつきましては、ここ十年にわたりますいろいろな歴史から見まして、そういう趣旨で参っておりますので、大体この、実績というようなものが固まって参っておるのでありまして、現在の取扱い者すら私、先ほど申しますように多過ぎるのじゃないかという感じがいたすわけであります。かりに二百人を二千人、三千人にしてもいいじゃないかということは、これは確かに言えるのではないかと思うのでありますが、そういたしますれば、結局どういう現象が起るかといえば、許可書の売買が行われるだけじゃなかろうかというように考えるわけでありまして、できるだけ、やはり輸入業務をやる人に許可をするという建前でいく方が望ましいのではないかというふうに考えておるわけであります。そういう趣旨で参っておりますので、先ほど申しましたように、請願の御趣旨は、できるだけ安いバナナを地方にも行き渡るようにしろ、その方法として、人口割という手段がどうかというふうな御趣旨に私は了解をいたしたのであります。人口割か目標ではないのではなかろうかというように考えたのでありまして、その趣旨に沿いまして、通商協定のたびに輸入量をふやしますとか、あるいは差益率を下げるとか、また先ほど申しましたように流通面におきまして、できるだけ広い範囲にしまして、地方にもそのバナナが行き渡るというふうにしていくべきではなかろうかと思っているのであります。先ほど申しましたように、前二回人口比を加味して、これは先生のおっしゃる点から申しますと、もちろん御不満かとは思うのでありますが、人口比を加味したことは、これは事実でありますが、その結果どうであったかといいますと、やはり経済原則の通りでありまして、やはりいなかにはなかなかバナナが流れにくい。やはり都市の方が購買力が多いといいますか、吸引力というか、需要が多いということでとまってしまって、実際はいなかの方の農村には参らないというのが経済の実態なんであります。そういう点も一つ御考慮いただきまして、われわれもいろいろ苦慮いたしておりますので、先ほど申しますように一ぺん話し合いを十分させました上で、われわれも再検討いたしたいというふうに考えておりますので、一つしばらく御猶予を願いたいと思うのであります。
  31. 相馬助治

    相馬助治君 関連してお尋ねしておきたいのですが、大体、この委員会で区々たる外貨割当のことを議論しなければならないということは、われわれにとって、はなはだ迷惑なわけなんです。しかしこの問題は、海野委員が指摘しているように、再度にわたる請願の趣旨が明瞭に通っていない、また通し得ないところの行政上の重大なる問題があるならば、通産省が積極的に、本院のその請願を通過せしめたことが誤まりであるということを納得せしめるだけの積極的な努力がなければならなかったはずなんであります。そういう点がないものですから、私は、この参議院の審議権尊重という角度から、海野委員質問をいたしておるので、これは質問になっていると、こういうふうに考えているわけなんですが、松尾局長の今の答弁は、海野委員が聞こうとする焦点について、若干の食い違いがあるのです。松尾局長が言う通りに、このバナナの輸入についてその外貨割当を、輸入商社一本にして扱うのが正しいのである、こういう見解を披瀝しているのです。それで押し通していれば問題はないのです。それについての異論があるかもしれないけれども、一応正しい見解なのです。ところがです、これについては大臣あるいは御承知ないかもしれないけれども、バナナの外貨割当が、最初は松尾局長が言う通りに輸入業者にのみ割り当てたのです。ところが今日の閣内の反主流派の、将来は総裁にも立候補しようという農林省に顔のきく某閣僚が、かつてこの外貨割当について加工業者に割りつけるということを通産省に重圧を加えて、そういう方式を採用したということが伝えられておる。だれが運動したかは、私は今申したことは若干想像に属するけれども、結果的には輸入業者にのみ割り当てずに加工業者に割りつけをした。ここに今日のバナナ同志会の諸君が、われわれにも寄こせという立論の根拠が生れてきたわけです。そういう根拠を与えたのは、よそならない通産省自体なんです。そこでバナナ同志会の諸君が、人口割でもってドルを分けろという主張をしたのです。バナナ問題については非常に研さんの深い大竹委員とも私は私的にいろいろ話し合った。大竹先生の意見も私の意見も一致しておるのですが、人口割でドルを割りつけるということについてはかなりむずかしい、また問題も本質的にある。こういう点については、今日通産省が言っていることにわれわれは一応の同感を表しておる。ところが、それならば人口割によるところの、今日割りつけをもらえないで困っている業者に、新規業者に割りつけることができないとするならば、むしろもとに戻して、局長が言っているように、加工業者というものをはぎって、実質的に輸入業者にのみ割りつければ、問題はいろいろあろうけれども、一応趣旨が一貫するのです。ところが、今日通産省のやった措置というものは、最もけしからぬ措置をとった。しかもその措置をとったのは、局長でもない、次長でもない、輸入の課長以下の属僚どもが、どういう関連か知らぬけれども、こういうことを発案して、むしろ上を動かして、抵抗をしてこういうことになったと伝えられておる。それは何かというと、人口割ということを加味しろということを両院がきめた。その趣旨は、本来ならばバナナというものは輸入業者にのみ与えられるはずであったのが、加工業者にまで広がってきたのだから、事のついでにわれわれ新規にも一つよこせ、その理論的な根拠としては人口割だというのが、バナナ同志会の諸君の言っていることらしい、そうしてそういう主張をした。そうすると人口割を採用すると言ったので、それらの漏れている業者の人たちは大へんに喜んだ。ところが、なんと割りつけをしたのは加工業者のところにいってしまう。いわゆる某閣僚が圧力を加えて、横合いから出てきた団体に重ねてドルを加えた。そのドルの分け方が人口割だと、こう言ったのです。だから今日のような紛争が起きているのだと私は推測しておる。人口割については、人口割を主張している人の意見には耳を傾けるべき点が多々あります。同時に今にわかに人口割ということでもってドル資金を割り当てることが、通商行政士からきわめて困難な問題であるという通産省考え方も、私はわからないわけではない。そんならそのように通産省が不退転の基本方針を決定して、議論はあるであろうけれども、だれが見ても、例外を認めない、基本的な問題が、筋が通って抜本的に解決されれば、すべて問題は解決する。抜本的解決とは何であるかといえば、それは輸入業者一本にまとめる、加工業者は切り捨てるというなら、それも道であろうと思う。加工業者を切り捨てるということができないならば、今日バナナ同志会といわれる新規業者も認める。認めないか認めるか、その両者をやらずして、中途半端なことをやって、やっていることが人口割だと説明をして、いるから、問題が今日のごとく紛糾しておる。この通産省態度をきめずして業者に話し合いをさせる、どういう結論が出ますか。私は、今やバナナの外貨資金割当は抜本的に解決すべき段階にもうすでにきていると思う。通産省がみずから立案し、みずから指導精神を確立して、そうして業者を集めるのでなければ、欲の皮の突っぱる業者が、両方から集まってけんけんごうごうけんかするだけで、通産省はむしろ集めたことであとで困り果てて、問題をいよいよ紛糾化し、両方の業者が、みずからの利益のために国会に現われてじゃんじゃん陳情して、法案審議にまで差しつかえるというような事態が予想される。従って私は、あえてこのことについては基本的な問題として、まだ海野委員質問中ではありますけれども、もし大臣において答弁の用意があるならばお答え願いたいし、きわめて具体的のことであるから、ここでコンクリートされた答弁ができないというならば、むしろ今後の処置を期待して、答弁がなくてもよろしいし、質問とも意見ともつきませんが、私の所見を一つここで申し上げておきます。
  32. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 関連質問ですが…。
  33. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 一つなるべく簡潔にお願いしたいんですが、本日の委員会は、バナナの問題だけじゃないので、その他の一般調査案件もございまするから、それを一つ念頭に置かれて、御質疑される方も進めていただきたいと思うわけです。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、今問題になっておるバナナの問題、あるいはこの私の発言議事進行の一助にもなると思って、あえて質問をいたすわけです。  本問題は、しばしば本委員会で問題になりまして、結局、大所高所からこれを判断するということは、私は一番きれいじゃないかと、こういう意味において、一番このバナナで大きな問題になっておるものは、例の膨大な差益金の問題と、それから結局、バナナの輸入の数というものが少いということが取扱いの関係、あるいはまた最近の関係に出てくると、こういう点で、要するにバナナをたくさん入れるということが、これはもう三木さんもおられますが、東南アジアの貿易を拡大するのには向うの品物を入れるということが主因なんです。そういう意味で、私どもは、できるだけそのバナナの輸入も多く一つ入れることを要望いたした。たまたま、私、四月から五月にかけて台湾にちょっと所用があって行ったときに、例の貿易新協定が行われていたわけなんですが、そのときに貿易代表の人たちに聞いてみるというと、四百五十万ドルという従来のワクを一歩も出ない形で交渉を進めていたんです。たまたま、先方の経済部長でありまする楊継曽君といろいろ話し合ったところが、どうしても日本との貿易を拡大するのには、バナナを百万ドルよけいに買ってもらいたい。私は国会で発言をした関係もあるので、四百十五万ドルを従来通り固執するのなら、私どもの意見が全然入れられないと、こういうことになるので、特に貿易代表にそのことを私は念を押したわけです。しかるところ、二、三日後に貿易代表が政府に訓令を仰いだ結果は、ふやしてもよろしいということになって、百万ドルふえたわけです。従って本年からは五百五十万ドルという、百万ドル、ワクがふえたわけなんでありまして、そういう意味において、これは差益金なり、あるいはまた消費者あるいは取扱い業者に相当いい影響を与えたということは事実なんです。そういう意味において、私は政府に特に求めることは、先ほど松尾局長が、自然に都市に流れる気配が、これは経済的原則としてそうなるでありましょうが、今答弁こまかくしろといっても、これは無理でありますし、ことに法案審議を控えておるのでありますので、それは無理でありますから、できるだけふえました分を入れて、そうして各地域にどういう状況で実際として配給になられておるか、そういうようなことの資料を皆さんに提出をして、そうして私は次回にさらに論議をされたらどうか、こういうことを申し上げまして、一応、松尾局長からその点に対して一つお答え願いたいと思います。
  35. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 台湾との通商交渉について先生からお触れになったのでありますが、これは交渉というものは、やはりバナナの輸入をふやすというだけが目的では実はないわけです。バナナのどうしても輸入の許可をしないのではなく、雑貨とか農産物を向うで輸入を進めるということにからんでいましたので、交渉戦術といたしましては、最後まで出さないというようなことも実はあったということを一つ了解を願いたいのであります。趣旨は、もう先生のおっしゃる通りに、今後、実はわれわれも考えておるような次第であります。  それから、今の輸入の割当と、それから現実にバナナがどういう工合に流れておるかという実績につきましては、詳細な表を、実はわれわれも用意いたしております。ここで詳細に申し上げる時間がありませんので、あとでお配りいたしまして、十分機会がありましたら御説明申し上げます。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 今、局長のお話では、いろいろ理屈がありますが、見解を異にしておるのであります。二十六国会と二十九国会において通った請願の趣旨に沿うように、国会で十分審議を尽して採択された請願事項については、政府当局はあくまでこれに沿うようにしなければならない。しかし、人口割を加味しました、加味しましたと、あなたは言われるけれども、それは、在来の業者にただオーバー・ラップして与えただけであって、人口割を加味しておりません。それでありますから、地方の人たちはみんな困っておる。こういうようなことはいけないと思いますので、局長はどういうふうにその点をお考えになりますか。私は、外貨割当を公平にやる。しかし、今日ほとんど六大都市に集中しておるではないか、どうなんですか。いなかの方にいかないということをあなたは言われるけれども、いなかの方にいかないのじゃない。いなかの方にもたくさん加工業者はあるのです。あるにもかかわらず、それを考えずに六大都市を中心にばらまかれておる。そうして、あくまでもそれをふやすといけないというふうにお考えになっておるのが、それがバック・ボーンとなっておるのでありましょう。そういうところに疑問を抱かざるを得ない。バック・ボーンになっておる。どうなんですか、局長答弁を求めます。
  37. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まあ今、先生が言われるように、人口比を加味したということの加味の仕方が悪かった、こういうお話なのでありますが、一例をあげてみますれば、あの当時人口比を加味した結果、新らしい府県にも五、六県、実績のないところにも割り付けをいたしたのであります。それが果してそこへ流れていったであろうかという調査は、実はいたしております。ところが、流れていないという実績も実はある。今までのわれわれの乏しい経験によりますれば、やはりそういう加工的な割当をいたしましても、経済の原則というものは、やはり需要のあるところに滞積してしまう。だから、いなかの方に割当をしても、結局割当はするけれども、物は都市あるいは都市周辺に滞積していくということが明らかに現われておるような次第でございます。そういうことから見まして、必ずしも人口比というものが経済の原則に沿い得ないのじゃないか。この前やりましたのはオーバー・ラップと言われるけれども、オーバー・ラップをやって、よけい割当をしたという意味ではございませんので、二割五分なら二割五分の加工実績を持っているものに割当をするのですが、その割当の仕方を、今の加工比を入れまして、若干あるものから、多くなるものから取り上げ、少なくなるものに人口比で入れたということでございまして、決して余分に割当をして、それに甘やかしたということでは実はごうもないわけであります。今いろいろ現実を実は調べてもおりますし、従来のわれわれの調べもありますが、なかなか先生のおっしゃるようには動かないのであります。結局問題は、量が少なかったがために扱いたい人にも扱えなかったということなのでありますから、量もふえて参りまするので、従来の輸入業者とそれからいなかの取扱い業者との話し合いを進めさせて、結果を見た上で判断をさせていただきたい、こういう考えでございます。
  38. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっとお待ち下さい。海野委員にちょっと委員長からも御了解願いたいのですが、時間もこの問題ですでに四十五分も経過しておりますので、もし海野委員の方で結論的に何か当局に要求される、あるいは希望されることがあるならば、この際述べていただいて、この問題は、先ほど大竹委員からも御発言がありましたが、当局の方から明細に資料の提出を願って、また後日機会を見て十分この委員会で審議を進めて参りたいと思いますので、御協力を願いたいと思うのであります。
  39. 海野三朗

    海野三朗君 これに対しまして通産大臣はいかようにお考えになりますか。このバナナの問題に対しまして、人口割というものが人口割になっていない。今、局長が、地方の五、六県の県に与えたというけれども、それはそうなっていない。実際はそうなっていない。ただ六大都市を中心にオーバー・ラップしただけなんだ。とんでもない話なんだ。それで国会で審議、採択したところのものを、これを実施しないというようになったのでは事重大でありまするから、それは国会の審議に当ってそういうことは、もしそういうふうであるならば、法案が通るときは━━のど元過ぎれば熱さを忘れる、通ってしまったならば、あとはこちらのものだというような考えであるならば、われわれは一切法案を審議しない、そういうふうに私は考えておる。大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  40. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほど来皆様方の御意見を伺いまして、バナナの問題の解決につきましては、政府といたしましても、委員会の決議を十分尊重いたしまして、善処するように十分努力いたしたいと存じます。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 それではこの問題はまた後日質問をいたすことにいたしまして、私はこれで質問を保留します。
  42. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は、経済企画庁の長官にちょっとこの問題でお尋ねしたいのですが、バナナの問題は、私も前に一ぺん取り上げたことがありますが、問題は、ぬれ手にアワということではないだろうけれども、相当莫大な利益をこの商品を扱うことによって上げ得る。そこにいろいろ問題がこれはかもし出されてきているわけであります。従って、ただいま松尾局長答弁と、それから冒頭に答弁せられた高碕通産大臣答弁とでは、国会と行政府とのあり方についてはずいぶん行き違いがあります。あなたは、二回にもわたって請願が採択されて、通産省に送られて、政府に送られているから、それは厳粛に尊重するとおっしゃった。ところが、もうすでに実施の段階に入らなければならないのに、局長答弁は、一番最初の答弁とちっとも違いません。内容の若干の出入りはあるにしても、流れている精神は変らない。そこで僕は、こういう国民から相当長い間にわたって疑惑を持たれ、また、時には非常に一部には不満を持たれておる。扱っている人は非常に満足している。こういうものはもう少し他の方法で解決すべきじゃないかということを考えます。私はかつてこういうものは生活必需品ではないであろうけれども、通商協定の一環として輸入をしなければならぬ部面が非常に多いわけですが、そういうものは国の食管特別会計で扱って、そういううるさい出入りを全部封殺したらどうかということを意見として述べたことがあります。そのときになるほど一つ考えだという程度のことで、時の政府責任者はのがれたのであります。こういう問題について、三木長官はどういう具合にお考えになりますか。
  43. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) バナナのことは私よく存じておりませんが、しかし輸入の割当をやることによってそれが独占的に莫大な利益を獲得するということに対しては、それは今バナナを食管特別会計に入れることが適当かどうかということは別としましても、確かに栗山さんの提起されている問題は一つ政府の検討すべき問題だと思う。それを輸入の割当をもらっただけで莫大な利益を独占するということは、社会構成の観念からして考えるべき論点だと思う。その問題の提起の仕方に対しては同感の意を表します。方法論は別です。
  44. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは前回どなたからかいただいたときの答弁と大体同じなんです。というのは、ものの考え方としてそういう考え方があり得るということは万人が是認せざるを得ないと思うのです。従ってどうかこういう問題でいつまでも国会の議論の対象にしなければならぬというようなことのないように、もう少し内閣においては抜本的にこういうものを考えてもらいたい。この問題もありますし、今中共貿易は途絶しておりますけれども、かつてはコンニャクイモの問題もあります。これに類する問題はたくさんあります。こういう問題について抜本的な対策を一つ立ってもらいたい。これを強く要望しておきます。
  45. 田畑金光

    委員長田畑金光君) あと一般質問でございますか。
  46. 島清

    島清君 あります。
  47. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行ですが、昼食にしたらどうです。
  48. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 一般質問がございますれば、委員長としてお願いすることは、なるべく短時間でお願いして、すぐ法案の審議に入りたいと思うのです。このことを念頭におかれて御協力をお願いしたいと思います。
  49. 阿部竹松

    阿部竹松君 委員長の気持はわかります。きょう委員会を持たれることについて理事会でどういう相談をなされたかわかりませんが、おそらく来年の二十日か、二十五日になるかわかりませんが、それまでは委員会がないでしょう。そうすると、その間に予算が組み立てられるから、当然高碕さん、三木さんから十分私どもは聞いておきたい点がたくさんある。法案の可決決定ということは、別に急いであげなければならぬということはないでしょう。四時になっても、五時になっても、あさっての本会議に間に合えばけっこうなのだから、十分われわれの発言を許して下さい。
  50. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  51. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。
  52. 島清

    島清君 そのとりきめでよろしゅうございますけれども、しかしながら質問について制限を加えられますというと、他の同僚諸君の質問との関連もありますので、委員長にお取り計らいについて時間的には十分に融通するつもりでおりまするけれども、もう一日やはり委員会を開いて、そしてきょうできないことをおやりになるということを委員長理事打合会においておとりきめいただきたい、こういうことを御要望申し上げまして質問に移りたいと思います。  岸内閣の一枚看板ともいわれておりまする貿易振興の問題について、三木長官並びに通商産業大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、日本の商品はコスト高であると、こういう工合にいわれております。そうして貿易がせっかく内閣の一枚看板でもあるにもかかわらず、ことしの貿易額は当初の目標額をはるかに下回りまして、さらにそれを御訂正を願わなければならないという実情にかんがみまして、私たちも非常に遺憾に考えるわけでございまするが、その問題はさておきまして、さらに私がこれからお尋ねしようと思っておりますることは、そういったような当初の目標額も達成できないで修正を余儀なくされておるという貿易の不振なこの際に当りまして、さらにきょうも三木長官は何かその会合にお出ましのようでございまするが、物価の引き上げをお考えになっておられる。物価の引き上げをおやりになりまするというと従ってこれがすべての商品、製品にはね返ってくるわけでございます。今までは、岸内閣が御期待をされておりますることは、労働組合を権力によって弱くして、弾圧をして、そうして戦前並の低賃金によって日本の貿易振興をはかっていこうというお考えであったのかも知りませんけれども、しかしながら、そういう考え方で商品のコストを安くして、そうして貿易を振興していこうということは申し上げるまでもなく、世界の情勢がそれを許さないような段階にあるわけでございます。国内的にはそういうことができましても、国際的にはその商品の不振をかいましてそれができないという段階になりますることは、私が申し上げるまでもございません。そこで物価引上げの中にはいろいろのものが含まれているようでございまするが、なかんづく、貿易振興などと関連をいたしまして、商品などの税金の増税が考えられているのです。たとえば物品税等はガソリン代を含めまして、日中連におきましてもこれの撤廃を要望しているわけでございまして、各業者がこれを要望しているわけでございまするが、ガソリン税の増税なども考えになっておられるようでございます。申し上げるまでもございませんが、資本主義社会機構におきましては、一つのものを上げますというと、連鎖反応でこれはすべての物品に影響して参りますることは、得意でいらっしゃいますところの三木長官に申し上げる必要もないほど明らかな事実でございます。従いまして、一枚看板であります貿易振興の促進と、それから今政府考えておられまするところの諸物価の引き上げ、こういうようなこととの関連性において物価の引き上げをおやりになりまして、そして貿易振興というものがほんとうに国際的に、世界的に了解されるような日本商品の進出ということが果して可能であるかどうか、この点について御答弁をわずらわしたいと思います。
  53. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 今物価を政府は引き上げようとしておるという前提に立ってお話でございましたけれども、物価を引き上げようという意図は政府は持っておりません。これは現在の日本の物価水準が大体国際物価水準にさや寄せして参りまして、この程度で日本の物価は安定をすることが好ましい、むろん政府が物価統制をいたしておりませんから、くぎづけにするという権限は政府は持っておりません。けれども、経済政策を通じて物価をこの程度で安定をしたいということは政府の物価に対する考え方であります。ただ一部の、たとえば政府認可あるいは許可にかかるような運賃とかあるいは料金、これが特に長い間据え置かれて、それが不合理というものに対しては検討を加えておることは事実であります。しかし、そのことが政府の物価政策に対する改訂を意味していないので、そういう認可にかかるようなことで不合理なものに対しては、多少のでこぼこは調整したいとは思っておりますが、物価政策、政府の物価に対する基本的考え方を改訂する意思は毛頭持っていないことを申し上げておきたいと思います。
  54. 島清

    島清君 議論にわたりまする部分は省略をいたしまするが、私が質問の要旨の中で申し上げたように、資本主義の経済機構の中におきましては、一つのものを上げまするというと、それが連鎖反応で必ずすべてのものに響いてくる、たとえばガソリン税の一つを例にとりましても、ガソリン税というものが上って参りまするというと、あるいは交通料金の方にも響いて参りましょうし、当然に経営の実体に触れてくる問題でございまするので、上った部分だけはどこかにしわ寄せするような形によって物価の値上げが経済の自立の範囲内においても起って参るわけでございます。刺激をされまするというと、当然にその刺激に対応するような形が現われてくるわけでございますから、ガソリン税一つ例をとりましても、そういうことは私はいなめないと思うのです。いわんや私鉄の運賃などを上げるということになりますというと、待っていましたとばかりに国鉄の運賃の値上げが当然に刺激をされて……。そうすると国鉄側におきましても学割の運賃を値上げをしなければならないということを言っておりまするけれども、通勤やあるいは学割の値上げをするということになりまするというと、当然にまたこれが一般運賃の方を刺激をして参る、こういったような連鎖反応を私は起して参りまするということは好むと好まざるとにかかわらず資本主義経済機構のこれは必然的な運命である、こういうわけでございます。そこで、三木長官があるいは一つのものを上げるけれども、しかしながらこれは刺激を与えないのだ、物価は押えていけるのだということは、あまりにも私はこれは甘過ぎるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。従いまして、私は質問の冒頭に申し上げた通り、あなたたちは貿易の目標額というものを三十一億五千万ドルに査定をされましたけれども、しかしながら、実際においては二十八億ドルにこれを修正をしなければならなかったのじゃないか、そういうところの甘さ、その甘さが今日の貿易の不振というようなものになってきておるのではないかと、こういうようなこともあわせて私は御質問を申し上げたわけでございます。私は三木長官がどういう御答弁をなされようとも、一つのものを上げまするというとこれがすべての物価に連鎖反応をもたらさないのだというような保証は私は資本主義の内閣においてはあり得ないと思うのですが、こういう保証をどこに求められていく考えでございますか。
  55. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は新聞紙上にも申し上げておるように、政府認可にかかる料金に対しては、たとえばガスの料金などは上げる考えを持っていないというような答弁もしておったことは御承知の通りであります。政府認可にかかるものに対しては、たとえば私鉄の運賃に対しては改訂はある程度しようと思っております。しかし、そのことが直ちに一般の運賃あるいは料金等に影響を与えないように政府認可にかかるようなものは極力抑制をしていきたい。それで、あなたの言われるような連鎖反応というものは、政府責任に属する、政府の権限に属するようなことに対しては、政府がこれを抑制していきたいという方針をとりたい。また、そのことが一般の物価と申しますけれども、そういう政府が配慮をいたしますならば、たとえ私鉄の運賃がある程度是正されましても、これが直ちに物価に非常な連鎖反応を起して、日本の物価政策の基調をゆるがすようには私は考えられない。それは政府が経済政策を通じてこれは気をつけなければならぬし、また、それだけの配慮をすれば、それはそういうふうにいたらしめないようなことはできるのだ、こう考えておる次第であります。
  56. 島清

    島清君 今、まあ自民党の中では主流派、反主流派というような内紛がございまして、それで三木さんの今の御発言は、あなたの属しますところの反主流派の方々が、うんと強くなりまして、さらに世論がそれを支持するようになりまして、あなたの方の経済政策と不離一体になって遂行していただくような強い内閣ができますると、そうであるかもしれませんが、私は岸内閣が続く限りにおきましては、今あなたがおっしゃっておられるような保証はどこにも発見できないと思うわけであります。しかしながら、まあ、それはそういうふうに岸内閣が続く限りにおきましては、あなたは経済企画庁長官としてずっとおやりでございましょうからして、あなたのこういう答弁を御信頼申し上げまして、そうしてこの問題はこれで打ち切るにやぶさかではございません。  そこで今度は一般的なエネルギーの問題についてお尋ねしたいのでございまするが、エネルギー政策といたしましては高所に立ってこれを勘案をしなければならないと思います。まあ、ここに石炭の問題で非常な専門家でありまする阿部議員も同僚としておられまするので、石炭の問題等については私は触れたくはございませんが、ただ政府のやっておりまするエネルギー政策を見てみまするというと、石炭が足りないときには石炭を掘れ、余って参りますというと、海外の方へダンピングをして外貨を取るのだからそれでよろしいのではないか、その場限りのことをやっておいでのようでありまするが、さらに、また、ある時代には重油をたくようにかまを改良させておりながら、今度はまた重油をあまりたかないように規制するというような形になっておるわけでございまするが、こういうふうな状態では、その場限りの政策では、新しい革命と言われておりまするところのエネルギーの原子力、こういうようなものが出ておりまする場合に、私は国家百年のエネルギー対策というものは非常に不安を感ずるわけでございます。それと関連をいたしまして、一体貿易を振興させたいと思いまする場合には、私は鉱工業生産品というものはある一面においてはエネルギーの変形である、こういう工合に申し上げまして言い過ぎではないと思うのであります。従いまして、貿易の振興をはかろうといたしまする場合、鉱工業の増産をはかろうといたしまする場合に最も根底をなしますものはエネルギーの適正なる政策の遂行でなければならないと考えております。そこである一部の人々の意見を聞いてみますると、そのエネルギー対策として重油の使用を規制しないともっと安い商品が作られるんだ、こういうような議論も私たちは聞くわけでございまするが、原子力の試験の段階にございまする今日と、さらに一年あとのエネルギー対策と私はおのずから趣きを異にしなければならないとこう思います。そこで原子力等との関係におきまして油とそれから石炭、こういうふうな関係に立って国家百年のエネルギー対策というものをお考えであるかどうか、考えておられるとするならば具体的にどんなものをお考えになるかということをこの際御説明を煩わしたいと思います。
  57. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 長期エネルギー対策というものを昨年来政府としては持っておりまして、三十七年度は御承知のごとく石炭に換算して一億六千万トンのエネルギーを使用するわけであります。それは電力とそれから石炭と油でまかなうわけであります。これは五十年になりますというと、少くともこれは一億七千万トンに相当する石炭の換算量のエネルギーになる、こういうふうな採算をもってやっておるわけなんですが、その場合における日本の石炭の生産はどれくらいになるかというと、いかに骨を折ってもこれは、七千二百万トンという数字になってくるわけであります。そうなるというと、その不足の分だけは重油を輸入するということになるわけであります。現在におきましても重油というものは相当たくさん輸入しておるわけでありますから、五十年になりまするというと、エネルギーの四七%は重油に依存しなければならぬということになってくるわけであります。その際に五十年における原子力はどれくらいにいくかという数字は石炭に換算いたしまして二千万トンの石炭に相当するだけの原子力を利用する、こういう考えで進んでおるのであります。けれども、原子力の現在の利用の仕方はどうだということを世界的にずっと見てみますというと、果して五十年に二千万トンの石炭に換算できるだけのエネルギー資源として原子力は使用できるか。あるいはそれ以上依存できるかということは刻々に変化しておるわけでありますからわからないわけであります。ただいまの見当といたしましては大体二千万トンの石炭に相当する、こういう考えで進んでいるわけであります。従いましてエネルギー対策といたしましては、現在日本で採炭し得られます石灰というものを極力能率を増進して掘って、そうしてそれも一ぺんになくなることをせずにできるだけ長期にこの計画を立てるようにして、石炭に依存し得るだけは十分に依存していく。そしてその不足分は油、原油を輸入するということで方針を立てていきたい、こういうわけなんでございますから、石炭におきましても、御承知のごとく本年長期の計画といたしますと五千六百万トンを最初使用する考えで進んでおったのでございますが、これは実際やってみまするというと大へんに狂いが起りまして、石炭を消費する第一の電力会社が思ったように石炭を消費しなかった。これは火力発電が必要なくなったというふうなことが一つと、もう一つは重油を使用するボイラーがだんだん進歩いたしまして、同時に重油というものが、存外最初予定しておりましたよりも、経済的に運賃が安くなるとか、その方からのためにこれを使用する量がふえたというふうなことで、石炭の使用が少くなり、一千万トン近い石炭を貯炭しなければならぬ。一千万トン以上の石炭を貯炭しなければならぬ。こういう実情でございますが、来年度におきましては、石灰を貯炭することが石炭の仕事のいかんによりまして、重油の輸入に制限を加えて、そうしてこのエネルギーのバランスをとっていきたいというわけであります。
  58. 島清

    島清君 石油の問題についてお触れになったわけでありまするが石油ということになりまするというと、まあ石油開発会社ですか、それが一生懸命に掘りましても国内の三%ですか、その程度だ。そこでそれを海外からの輸入に依存しなければならないわけでございますが、輸入に依存をするということになりますというと、アラビア石油会社みたいような会社ができまして、外国の方に採掘の利権を持って、そうして採油してくるということも一つの方法でございましょうが、そのアラビア石油会社のことと関連をいたしましてお聞きをいたしたいと思いますることは、アラビア石油会社は海の中の海底の油田を開発してくる。そうしていろいろそれに所要の計画を立てまして、まあ通産省の、政府認可を受けたと思うのですが、最初は民間の資本で設立をいたしまして、そうして聞くところによりますというと、これに何か開発銀行の資金を導入いたしまして開発せしむる。こういうことのようでございますが、私たちが仄聞するところによりまするというと、五年先でなければ実際に油は採油できないのだ。しかしながらその五年先に採油するにいたしましても、日本の技術ではとうてい不可能じゃないか。まあこういうふうに言われておるわけでございますが、こういうふうに言われておりまするところの会社、すなわち海のものとも山のものともつかないような民間会社に、開発銀行の金を融資をするということは、どうも納得がいかないような気がするのでございまするけれども、油を輸入しなければならないということであれば、そういったような五年先、十年先かかろうとも、よしんば危険であろうとも、そういったような民間会社に開発銀行の金を投資をして掘らした方がいいというような、われわれのように懸念を持っておるようなものに対して、その利益になるという条件をあげて御説明をいただきたいと思います。
  59. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御承知のごとく現在世界の油は、ほとんど英米の資本がこれに投下されておりまして、われわれが使っております現在輸入しております油も、ほとんど英米の資本によって採油されておるわけであります。従いまして国家といたしまして、政府といたしましては、できるだけ日本が自主的に開発し得る油を一つ確保したいと、こういうのが年来政府の希望だったと思います。しかるに世界の油はだんだん変化いたしまして、中近東における油というものは、世界の油の七〇%ないし八〇%はある。こういうことは今日世界的の常識でございまして、従いましてできるだけ中近東における日本の油田の資源を確保したい。こういうふうなことのために政府は年来このアラビアにおける石油というものについては、重大なる関心を持ちまして、できるだけ民間の資本でやってもらいたいが、政府におきましてもこれを援助したい。こういうふうなことのために昨年来アラビア石油が成立したのでございますが、アラビア石油は御承知の民間資本として百億円の資本金をもって発足したのでありまして、第一回に三十五億円を昨年払い込んで、それで探鉱したのであります。これは地震探鉱でありますが、その地震探鉱の結果につきましては、政府といたしましても、業者だけに任せておいても心配だ、こういうので、公平なる大学の教授等をその地震探鉱の結果等について審査させたのでありますが、最近の地震探鉱の結果によれば、アラビア石油が持った利権の中においては二つの大きなデポジトがある。デポジトと申しますと一つのとっくりがある。そのとっくりの中に油が入っておるかどうかということは、今度はもう一ぺんボーリングをやらなければならない。ボーリングをやれば油があるということがわかる。これは来年の五月ごろまでにわかるというので、さらにまた三十五億円の出資が必要であるということになったのであります。ただいままでは民間の資本でやっておったのでありますが、今後三十五億円の出資につきましては政府の力を借りたいと、こういう申し出がありまして、これは政府といたしましても法規の許す範囲においてできるだけこれを援助していきたいと、こういうことで━━ただいまお話しの、開発銀行のお話がございましたが、開発銀行は外国のそういう開発に対して投資することはできないんでありまして、どうしても輸出入銀行の手を経なければならない。輸出入銀行の法規の許す範囲においてある程度これは政府においても援助していきたい。しかし、来年試掘が成功しなければ、これは、御承知のように、民間の資本が百億円のうちで三十五億円しか払い込んでおりませんですから、民間においてその責任を持つと、こういうことの原則におきまして、政府はある程度援助していきたいと、こういう考えでございます。要するに、海外における石油の資源を日本といたしまして英米の資本から離れて日本の勢力の範囲において持続していきたい、という根本方針をとっていきたいと存じております。
  60. 島清

    島清君 委員長の方から、次の質問者の力に。バトンを渡してくれないかというあれがございまするので、満足ではございませんが、この問題はこれで質問を打ち切ります。われわれの納得するような、アラビア石油会社というものを、私たちは資料によって検討したことはございませんが、あとで、その資料によって検討ができるように、資料をもし差しつかえなければ御提出いただきたいと、こう思います。  次に、先ほど海野委員からございましたバナナの問題とも関連をいたしまする日台の貿易でございますが、日台貿易は、片道八千五百万ドルのようでございます。しかしながら、その商品の中には、日本の国内産業を脅かす商品が含まれておるわけでございます。例をとりまするというと、パイナップルがあるわけでございますが、その台湾のパイナップルをお育てになりましたのが高碕通産大臣だそうでございますが、そのパイナップルは、わが国におきましては新興産業といたしましてもう日本の国内需要を満たし得るような段階にあるわけでございます。それは、生産地は、奄美大島と沖縄県でありますが、今は沖縄県はアメリカの施政権の中にありまするので外国並みに扱われておりまするけれども、しかしながら、政治的な面におきましてはそうであるにいたしましても、経済的、産業的な面におきましては日本並みに扱っていかなければならないというのが岸内閣の施策の一端であると、こういうふうに考えております。そこで、国内産業を保護するという意味におきまして、もうそろそろ台湾あたりからパインを入れる必要はないと思うのでありますけれども、国内産業の育成と、さらに、台湾からパインを入れなきゃならぬというようなことの問題とも関連をいたしまして、どのように考えておられるか。もうそろそろ台湾からのパインの輸入ということは打ち切ってもいいんじゃないかと、私はそういうふうに考えておりまするが、大臣はいかようなお考えでございましょうか。
  61. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、国内におきましても、奄美大島におきましても、また沖縄においても、だんだんパイナップルのカン詰ができるようになったことは事実でございまして、それと相関連して、台湾からの輸入パイナップルについては手かげんを加える必要があると存じておりまするが、なにしろ、台湾といたしましても、今日パイナップルは相当大きな産額になっておって、日本を大きな市場と認めておるわけでありまして、こちらの品物を台湾に買ってもらいたいということのためには、国内における産業を圧迫しない範囲において逐次これは制限しつつある程度は輸入していかなきゃならんと、こう存じておるわけでございますが、しかし、国内の産業の発達に従って逐次制限をしたい考えでございます。
  62. 島清

    島清君 私は、冒頭におきまして、日台貿易の片道は総額が八千五百万ドルであるということを申し上げたのでありまするけれども、沖縄県との貿易はやがてそれに近いんであります。日本からの輸出額はそれに近いのでありまするが、しかしながら、沖縄県から入りまするのは、一千五百万ドル程度なんです。片貿易でございます。同じく同胞でありまする沖縄県には、片貿易で、日台貿易の片道の総額に匹敵するだけの輸出をしておきながら、しかも、沖縄から入って参りまする額はわずか二千万ドルに足りない額であると。この実情からいたしましても、私は、沖縄県民は十分に日本政府に対しましてこれを要請するというわけの貿易上からいたしましても権利があると思います。しかしながら、委員長から発言を制限されたのでありまするから、これ以上触れません。後日私は触れまするけれども、どうか一つその意味においてこれを再検討をわずらわしたいと、こういうふうに考えております。  もう一点で私は打ち切りまするけれども、貿易の振興をはかるために━━貿易の振興を阻害しておりますることは、貿易の業者が非常に雨後のタケノコのごとくに多過ぎて過度の競争が激しいことであると、それを是正することが輸出入取引法というものが制定をされたおもな理由だとも思うのでありまするけれども、その輸出入取引法に基きまして輸出業者の組合等ができまして自主的な調整をしていくと、まあこういうところの狙いであると思うのでありまするけれども、これはまた沖縄と関連をいたしまするけれども、家畜の輸出組合というものができているわけでございます。まあできつつあるわけでございまするが、そこで私があなたの役所で調べてみましたら、家畜並びに畜産物を輸出しておりまするところの相手国はどこであるかということを調べてみましたら、これがまた沖縄になっておるんす。そこで、この輸出入取引法からいたしますると、これは外国に日本の商品をダンピングをしないように、業者が過度の競争をしないように、という趣旨だと思うのでありまするが、こういったような沖縄だけにしか輸出をしないような家畜にまでこういったような組合ができまするというと、牛や馬のような生き物の価格が当然に、不必要につり上げられて、そうしてもうけまするのは業者であると、損をするのは沖縄のそれを輸入いたします県民であると、こういうようなことが現われてくるわけなんでございまするが、この輸出入法にのっておりますところの畜産輸出組合というものの結成について、大臣は、どういうふうにお考えであり、どういうふうにお取り扱いになるつもりでございまするか、所信を承わっておきたと思います。
  63. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 畜産の問題は農林省との関係もあるものでございまするから、その政策について現状どういうふうにやっておるかということは、はなはだ私は不勉強で申しわけないわけでございますが、しかし、御質問の趣旨からよりますれば、どうしてもやっぱり全体的に考えて、そうして日本の畜産業において差しつかえない範囲におきましてはできるだけ安く沖縄あたりには持っていくというふうな方針をとっていきたいと思いますが、これはむやみな競争をしてやっても困りますから、その間にはある一つのやっぱり統制を加える必要はあるかと存じております。
  64. 島清

    島清君 私がお尋ねをいたして、おりますることは、輸出入取引法によりまする組合を作って自主的な調整をはかっていくということは、外国貿易が対象であって、今はなるほどアメリカに講和条約第三条によりまして施政権が握られておりまするので、外国扱いをしなければならないという余儀なき事情には立っておりまするけれども、しかしながら日本国におきましては沖縄の産業の発展をはからなければならないと言っていることでございまするし、沖縄の産業発展をはからなきやならんということになりまするというと、牛、馬がなければいけないわけなんです。そうして戦災を受けた沖縄でございまするから、むしろただで牛、馬を使わして、日本に復帰した暁には経済的にも大いに充実しておるような県になって帰ってもらうようにというので、それぐらいのことはただでやるぐらいの気持がなければほんとうに日本に帰りたいという沖縄県民の祖国復帰の念願にこたえる政府の政策ではないと考えているのですよ。ただ貿易がアメリカさんによりまして外国扱いにされておるから、そういうようなチャンスを利用して、この輸出入取引法というものを、外国が対象であるにかかわらず、それにのっとってさらに輸出組合を作って、そしてその利益をうんと上げようなんというような考え方は、私は国民感情からこれはふらちな考え方である、これは許すべきことじゃない、こういうことを申し上げているわけですよ。ですからこういうものには組合を認めないで、今のように自由にやらせればいいわけですよ。自由にやらせますと、奄美大島の永良部島や徳之島と沖縄とは目と鼻の先であります、クリムネで行っても一時間ぐらいの所でございますから。あるいは農林省からいたしますと、牛、馬の検疫というのがあるかもしれませんが、検疫なくしても渡れるのですね。ところがこういったような組合ができますると、せっかくこういったような隣近所のつき合いをしておりますところの牛、馬の売り買いというものが、この組合一手に握られまして、損をいたしまするのが奄美大島の諸君である、そしてまた沖縄県民の諸君である、こういうわけなんです。だからこういったような組合を私は認めるべきじゃない、こういう考えのもとにおいてお尋ねをしているわけなんです。
  65. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問によって私は非常に教育をされたわけでございます。私はそう思います。全く同感でございまして、沖縄に対しましては信用組合がかりにできても、そういった種類のものにつきましては、やはり国内とある程度同様に取り扱わなければならぬ、私はこう存じております。現在はまだそこまで発足していないそうでございます。御趣旨に沿うように今後の施策をしていきたいと思っております。
  66. 島清

    島清君 結びとして一言。まだ認可はされてないようでございますけれども、これはやはり認可事項の一つかと思います。しかしながら実際におきましては、神戸あたりの輸出港の実情を見ますると、実際牛、馬、家畜を輸出いたします場合に、すでにもうこういうような定款を作って、こういう組合が主務大臣のいわゆる認可を得るまでに至っているから、一つよろしくというので検疫官と何といいまするか、つうつうといいますか、なあなあといいますか、そういう形でこの組合を通じなければ輸出ができない、こういうふうな状態にまでなっているようです。ですから、これは組合ができてもそういうことをさせないということは、組合ができますると、従って現場におきましては、この組合に物を言わせて、まあバナナの輸入ではございませんけれども、いろいろ下においてはよからぬところの行いがなされるという危険性がございますので、こういう組合に対しては国内扱いをするという意味において絶対認めないということが、一番臭気を発散せしめないところの最大な条件ではなかろうかと、こう思うわけであります。その意味におきましても、こういったようなものは認可すべきじゃないというふうに一つ取りはからっていただかなければならぬのじゃないか、こういった意味において御質問を申し上げているわけでございます。
  67. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間がありませんから、ごく簡単に三木長官と通産大臣に一点ずつお伺いしたいのでありますが、まず三木長官にお伺いしたいのでありますが、これは本来ならば大蔵大臣の所管になることでもあると思うのでありますが、しかしこれは経済の総本山でありますので、特に三木さんの意見を伺いたいのであります。  御承知の通り、最近の国際経済というものを見ますると、その前提に立つ国際政局というものは、これは私一個の考えでありますが、一応何か安定の域に達した。従ってこの経済関係自体を、各国別に見ましても、米国も昨年一四五の鉱工業生産が本年になって一二六のものが、秋には一三二になって漸次回復しつつある。それから英国も御承知のようなわけで、すでにドルも三十一億五千万ドルですか、ドイツに至っては六十一億ドルという保有外貨を持つというような状態に相なり、それからそういった関係から日本も相当最近貿易も進んできております。それからことに三十二年の五月の八日でありますか、例の公定歩合の引き上げによって引き締め政策というものがとられて、いわゆる国際収支の改善とか、物価の適正化、さらに金融の安定化という、こういう三つの経済を裏づける問題についてとられた措置が漸次最近出て参りまして、これは役所だけでなく一般、街の批評としても来年の春から景気というものも相当上昇していく、ことに日本の好景気という期待は大体来年の夏以後は持てるのではないか、こういうような状況になっております。  それからまたいろいろ輸出やなにかの成長率を見ましても、本年の春の状況の国連の統計を見ましても、ドイツ、日本というものは非常にいい率で進んでいるという、こういうようなときに、これは何も外国の人がいかにえらいからといっても、外国の人のをわれわれは参考にはするけれども、それほどどうというのではありませんが、最近エアハルト経済相がドイツからやって来られた。あなた方もずいぶん懇談をせられたし、それからまた、金融界とかあるいは一般産業界、こういう人たちもいろいろ話し合った。その中に特に、注目すべき問題が二つ出たわけでございますが、一つは日本の今の円レートが安過ぎるという、これはドイツの人でありますから、安過ぎるということはある意味においては、これは日本がレートを強くするということになれば、これは輸出にたちまち影響も及ぼしてくる、これは一応わかるわけであります。それから今一つ日本の賃金が低い、安過ぎる、こういう二つの非常に注目すべきエアハルトの百葉があったわけであります。これは御承知と思いますが、現在の日本の経済界には大きな話題といたしまして、いろいろ検討されておるわけであります。しかしそれはともかくといたしまして、そういった国際経済からくる面もありますが、国内的にも漸次その施策というものが効果を生じてきておる。最近出された、一万円札なども、このごろとにかく外国でも相当引っぱりだこだというようなことを、われわれは旅行者からも聞くということは、日本の経済力の裏づけを示すものである。こういうときに今のエアハルトの問題はあくまでもわれわれは参考としてではありますが、今の三百六十円というものが、果して円レートとして適当なものかどうかということに、いろいろわれわれはわれわれながらに批評を持つのでありますが、この点について三木長官の御意向を一つ承わりたい、その一点だけ。
  68. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) エアハルトがそういう日本の為替レートに触れたのは、おそらく欧州の市場において日本商品が、繊維製品でしょうが、相当に、安いということからやはりそういう問題が出てきておると思うのであります。しかし日本の場合は原料なども相当の輸入をしなければなりませんから、やはりそういう観点もあって、為替レートによって日本の貿易為替を安くすれば貿易がどうということで、輸出貿易とかその他の見地からも考えられる。それからまたエアハルトの言うように、為替レートというものでなくして、繊維工業などは確かに歴史が古いし合理化も行われておる、賃金も安いことは事実です。しかしやはり相当に経営の合理化が行われておる点も無視することはできない。そういうことでその為替レートが必要以上に安いから日本の繊維製品などが安いのだという論点に立って、日本の為替相場を改定すべきだという考え方にはわれわれは賛成できない。現在の為替レートでこれはいろいろ議論はありましょうけれども、この為替レートでいいのではないか。これを改定しようという考え方は政府は毫も持っていないのであります。
  69. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 その点はまた開かれるいずれかの委員会一つお話を伺うことにいたしまして、通産大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、例の今まで通産省で強くとってこられました、石炭のいわゆる炭主油従といいますか、こういう問題なのでありますけれども、最近聞くところによると高碕通産大臣業者の生産調整もどうもはっきりやれない、そして一向企業努力のさっぱり跡が見えないというような点から、石炭業者に対して炭主油従という政策を再検討しなければならない、というようなことを通産大臣がお考えになったのか、あるいはそういうことを言明をせられたのか、しかしそういうことによって、まあむろんその一面だけではないのでありますが、その反面において、もし合理化でもされて企業的な努力の跡が見えるならば、その淘汰された人員については、政府責任をもってこれをあっせんをするというようなことを通産大臣が言われたというので、これは相当業界にセンセーションを巻き起しておる事実があるのでありますが、この点について一つ大臣のお考えを伺いたい。
  70. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それは多少誤解があるようでありますが、私は決して炭主油従だとか、あるいはそれを変えるというふうなことはちっとも言った覚えはないわけでございまして、どうしても日本のエネルギー対策からいえば、石炭鉱業というものはこれは日本でできるものであって、これは十分上昇、能率を上げていくという方針をとらなければならぬ、こう思っておりますわけなんであります。ただ今日石炭の長期計画におきましては、政府は非常に私は責任があると思っておりますことは、本年五千六百万トンということを第一期に立てながら、これが第一期の初めから誤算を来たしておるということにつきましては、政府はよほど責任をもってこれをさらにもう一ぺん十分検討を要する必要があるだろう、こういうようなことを私は考えておるようなわけでございまして、ここで根本的な方針を変えてどうこうということは考えておりません。
  71. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点伺いますが、そういたしますとこの企業努力に対する業者のやり方について、何か御警告でも発せられたとか、何か懇談的に申されたとか、こういう事実は全くないのでありますか。それとも今までやってこられた業者のやり力というものについては、全面的にそのまま容認をせられておるのかどうか、この点を伺いたい。
  72. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その点につきましては十分まだ検討を要したいと思っております。初め私が考えておりましたほど、初めと申しますと、私は六月に就任したのでありますが、そのときに考えていたほどそう単純なものではないということだけは、はっきりわかったわけでございまして、よほど各方面からの検討を加えなければならぬということで、今省内におきましても私の考えにおいていろいろ各方面のデータもとっておるようなわけであります。まだこれは具体化しておりません。
  73. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 従来はその通産省のとってこられた強い政策である炭主油従という問題に、各産業界というものは協力をしてきた。しかし最近いろいろな値段の問題もございますが、一部の産業界にとっては石炭を油にかえていこうというような気配が相当見えるのでありますが、こういう点に対して通産省といたしましてはどういうようにこれは行政的措置とかあるいは要請とか、そういう点についてはどういう態度をとられますか。
  74. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまその国際的の物価の変動によりまして、いろいろ国内の工業が自分立場からいろいろな理屈は出ますが、これは長期の目で見なければならぬ。今油が安く入るというのは何かといえば、運賃が非常に安いというふうなこともあります。そういうようなことを考えたときに、将来を達観して見ていかなければならない、そういうわけでありますから、単純に今油を使った方が原価が安くつくから油をやるというような考え方で進むということは、非常に危険だと思います。しかしそういうふうなことも十分検討の一つのファクターとして持っていきたいという考え方でおります。
  75. 阿部竹松

    阿部竹松君 だいぶ時間もたちましたから端的にお伺いいたしますが、なお、大臣の退席される予定が委員長の方に通告があるようでありますから、そのとき御連絡を願いたいと思います。  端的にお伺いいたしますが、第一番に、これは松野総務長官にお尋ねするのが当然かもしれませんが、当委員会としても関係ございますので、これは経済企画庁長官の御関係か、通産大臣の御関係か私閣内のことはわかりませんが、独占事業禁止法の改正ですね、これを本国会に出すか出さぬかということと、それから特許法の改正ですね、これは高碕さんの御関係だと思うのですが、これを出すか出さぬかお知らせ願いたいと思う。自民党さんは政調会を通じてよく御承知かもしれませんが、われわれは一向相談にあずからぬので、二つとも相当重要な法案ですから、明確になっておるということなら、私ども自然休会中勉強しておかなければなりませんので、明確にお知らせ願いたいと思います。
  76. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 独禁法は休会明けに出したいと考えております。勉強願っておきたいと思います。
  77. 阿部竹松

    阿部竹松君 出したいと思っているから勉強しておけと、そういうことでいいかもしれませんが、しかしこのほかの法案臨時国会に出したやつを全部出したのですが、あれだけはストップしているのですね。そうすると、出したいと考えているというが、法案ができているのになぜ田さんのですか。出したいから勉強しておけと、そういう不見識な答弁がありますか。
  78. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは阿部君御承知のようにいろいろと農業団体その他から、独禁法に対していろいろこれは再検討の要望もあるわけなんです。そういう点で農村、中小企業に対してこの独禁法自体というものが不利益を与えるものではないと、私はやはり独禁法によって一面において経済警察的な役割を強化しなければならないと思っておりますから、一方において企業の自主的な調整という機能もあると同時に、一方にはそういう面で中小企業、農民に圧迫を与えるようなものであってはならぬわけであります。と思いますけれども、事実いろいろなこの独禁法に対してそういうような面から中小企業あるいは農業団体、これから相当なやはりこの問題に対して検討してもらいたいという要望が出ていることは事実であります。そういう点で、そういう要望がある以上は、これはやはり検討してみようということで出すという方針は、変更したのではないのでありますけれども、そういう点で法案の内容についても多少の検討を加えてみようということで、この通常国会の劈頭には出さなかったのであります。出すという方針は変更していない。ただ内容について検討を加える時間を持ちたいということが、この劈頭に出さなかった理由でございます。
  79. 阿部竹松

    阿部竹松君 この法案の内容について長官と私論争しようと思いません。しかし、検討を加えるとおっしゃるのですが、そういう点については臨時国会に出す前から農業団体その他の団体からいろいろと意見があった。そこであなたの方の三浦農林大臣は、全然影響はございませんと、前国会の本会議で明快に答弁なさっている。衆議院でも参議院でも同じです。そうすると今またそういう陳情があって自信がぐらついた、従って検討したい、こうおっしゃるわけですかね。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 自信がぐらついたわけではないのです。その必要を政府考えておりますし、その必要だという政府考え方を何ら変更していないのですが、やはりそういう不安がある以上は、これは根本的な独禁法に対する骨組みというものを変更するようなことにならないけれども、独禁法がそういうふうな多少でも不安を与えるということは立法の精神に反するわけでありますから、農民や中小企業というものに対してその利益を守ろうこそすれ、これに対して不利をごうむらそうとするのは政府の意思ではないのでありますから、そういうようないろいろ心配がある以上はそれを検討してみたらどうだ、根本的に修正を加える考えはない、そういうことでやはり慎重を期することが民主政治の建前としてはいいのじゃないか、ということで多少の時間をこの法案に限ってちょうだいをしているわけであります。
  81. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま特許法の方につきましては、できるだけ今国会に提出いたしたいと考えております。
  82. 阿部竹松

    阿部竹松君 赤城官房長官は私どもに対して、今度の通常国会は、来年の四月の初めから、地方自治体の選挙から参議院の半数改選があるから、責任をもって言えることは、重要法案は年内に出しますと、こういう明快にわれわれに対する答弁があるわけであります。しかしあなた方のお話を承わると、簡単な法案が先に出て、重要法案は会期がなくなってしまいそうになってから出てくると、こういうことになるので、きわめて国会に対して不親切と私は感ずるのですが、そういうことは毛頭考えておりませんか。
  83. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 確かに独禁法の改正は重要法案でありますから、これはできる限り、休会明けの勝頭と申し上げることはどうかと思いますが、御審議が十分願えるような時間的余裕をおいて提出をいたしたいと考えております。
  84. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次にお尋ねいたしますが、例年ですと昨年も一昨年も予算決定は年をこすわけですが、大体各省の予算、特に私ども委員会には長官の力の経済企画庁とか、あるいは高碕さんの方の通商産業省の予算、こういうのが大体このくらい要求して、こういう仕事をやりますという金額を示してわれわれに説明をしていただいておったわけであります。しかし、ことしはそれが全然ないので、きめるのは年中かかるでしょうが、そういう親切さの僕はこの前と違って足りなさを感ずるのですが、それはそれとして、それはどういうことでことしはそういうことになったのか。お知らせ願いたいのは、来年一月の末まで、長官あるいは通商産業大臣となかなかお会いする機会がないと、こう考えますので、簡単でけっこうですから、新聞にはいろいろ財政投融資の額とか、来年度の予算は大体一兆四千億組むとか、いろいろ出ておりまするけれども、そういう点を端的に、大きいところだけ━━経企長官の方でまとめたのが骨子となって予算が編成されるでしょうから━━そういう点をお尋ねしたい。  それから小さい点では、この前二度ほど長官とここで論議して質問したわけですが、商工中金とか国民金融公庫、これはまあ大蔵省の関係ですが、こういうところの金利の問題ですね、これは長官も努力するという程度のお約束でしたが、今度予算を組むに当ってそういう点が考慮されているかどうか。  それから輸出入、これは三十億というような話があるのですが、三十億といっても、大体世界中で一千億以上の輸出入をやっているのですから、日本の三十億というのは微々たるもので、しかしその三十億も昨年は達成できなかったので、ことしはどのくらい組んでおられるか。輸出入の額の、これは明確に何億何千万ドルとは聞きませんけれども、大体の骨子をお聞きいたしたいと思います。
  85. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 去年のことは私も存じておりませんでしたが、一々、これは親切といえば親切かもしれませんが、なかなか予算の編成が終るまでの間には、いろいろ要求してある予算がそのまま通るとも限りませんで、紆余曲折があるわけでありますから、これはこういうふうになっておるということをときどきに御報告することは私は無理だろうと思うのであります。やはり建前としても予算がきまったときにそれの御批判を願うほかにはないのじゃないか。これはこの間予算の編成方針をきめましたけれども、具体的な数字の裏づけのある予算の折衝はこれから始まるのでありますから、なかなかそれを一々こういうふうな状態だという中間報告は実際問題として無理である。予算編成も終って、これをこの国会にかけたときに御批判を願うほかにはないと思いますが、ただ、できるだけわれわれとしても、各行政官庁をあずかっておるものとして、われわれの仕事ができやすいように予算の獲得はいたしたいという心がまえでおることだけは申し上げておきたいと思います。  それから来年度の予算編成に関してでございますが、これは予算の編成の大綱というものは閣議で了承を与えたわけであります。大きな柱としての考え方は、こういう考えであります。一般会計では、公債を発行するなどというような方法をとらないで、均衡のとれた健全な予算を組みたい。その予算の規模は一兆四千億円程度にとどめたい、一般会計で。それから、財政投融資に対しては、弾力性を持たして、財政投融資を通じて日本の経済の体質改善の目的も果すようにやりたい。それはおおむね五千億円程度の財政投融資の規模にしたい。そこで、その一般会計の中には、選挙で公約しておる事項は優先的に予算を確保して、国民に対しての公約の責任を果していこう。また財政投融資等の中におきましては、公共事業、ことに民間投資に比べて相当立ちおくれておりますから、そういう点で日本の公共投資と民間投資のアンバランスを是正したり、あるいは基幹産業、これは日本の将来の産業のスケールを決定いたしますから、基幹廃業の培養であるとか、こういう総じて日本経済の体質改善というところに目を向けて、財政投融資の規模は相当に拡大いたしたい。こういうことが大きな予算編成の柱になっておる次第であります。
  86. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、たった一つ三木長官にお尋ねしたいことは、なべ底景気などとかいう、こういう言葉で表現されておるのですが、景気が上昇しつつあると見るか、依然としてもう半年くらいは横ばい状態であろうというふうに御判断しておるのか、そういう点をお尋ねしたいわけです。一昨年神武景気だといって、予算が三月三十一日に国会を通って二カ月もたたぬうちに、財政投融資が閣議で二五%ストップだ、われわれがけんけんごうごうとして予算審議をやって、簡単に閣議で二五%の制限だということになれば、何のためにわれわれが予算審議を三カ月もやったかということになるので、きわめて見通しについて、━━長官といえどもこれは神様でないから明確に答えられぬにしても、経済企画庁としては、今いった上昇をたどり始めたか横ばいであるかという、そこらあたりがポイントになろうと思いますので、その判断を端的に表明願えればけつこうですが。
  87. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 日本の景気の動向でありますが、一口にいえばなべ底景気を脱して、そうして経済の明るい徴候が見え始めた、こういうことだと思います。それは下期から来年にかければさらにそういう傾向というものが多くなってくると思います。御承知のように、経済を動かしていく一つの要因というものを一つ一つ検討いたしてみましても、今年度これからの経済というものが、上期の経済に比べて落ち込んでいく要因というものはほとんどない。いな上りカーブである。それは結局せんじ詰めてみれば、経済の購買力をなすわけでありますから、それだけの購買力がある以上は生産を押し上げていく。生産もふえてござるを得ない。その傾向は、来年度になってくると、今年の経済要因よりもどの要因も拡大する要因ばかりである。財政の面においても、今申しましたように財政の購買力はふえてくるわけでありますから、そういう意味において今年よりも来年度の景気はさらに明るいのだ。しかしそれは阿部委員の御指摘になったような神武嫌気のようなものではないし、また神武景気の再来を国民が期待するものの考え方は非常に不健全なものである。ああいうものにしてはいけないけれども、来年度の経済というものは相当明るい見通しであることは間違いあるまいと、こう考えております。
  88. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで長官のお説を論駁するわけではございませんけれども、人間の五体にたとえれば手に、あるばい菌が入って腕一本切れば本体は助かるけれども、腕は大切だと、しかし、どうしても切らなければならぬということで腕を切ってしまって本体は助かったと、これはけつこうなことです。しかし、今景気が上昇したといわれているけれども、新聞やラジオでも言っているからほんとうでしょう。しかし、ほんとうとしても、それは操短とか企業整備で一切がっさい大手術をやったんで、整理やった方は、これは確かに上昇しているし企業の安全確立がいえるでしょう。しかし、切られた方の一般勤労大衆とか中小企業は、これはたまったもんじゃないのです。ですから、大企業とか今申し上げましたような系列の大資本系統は景気がいい、あるいは企業の安全を求めて確立したということをいえても、片っ方の中小企業と一般勤労大衆は果して犠牲になっておらぬかと、こういう不安があるのですがね、たとえば雇用率とかあるいは中小企業の実態とか、こういうものの判断も含めて長官の今のようなお説になるわけですか。
  89. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私は全体としての日本経済の動向を申し上げたんで、その間に側々の産業自体をとってみればでごぼこはあると思います。不況産業というものもあるし、また大企業と中小企業とのいろいろなこの利潤条件と申しますか、そういう格差が次第に縮まってくる、そういう形において日本の産業の二重構造というものが改善されてよくなっているとは断じ切れないものがある。依然としてそういうふうな日本の産業の二重構造からみると、いろいろな弊害はあるわけで、これは今後の政府の経済政策を通じてこの点と取り組まなければ、日本の安定というものはなかなか期しがたい。しかし、全体としてそれなら中小企業とか労働者というものは非常に悪い条件になっておるかというとそうはみられない。個々にはありますよ。しかし、全体としての中小企業が割合にやはりこういう調整期においても耐久力を持っておったと、それは神武景気などによって蓄積もあったんでしょう。そういう点でわれわれが心配するほど、中小企業やあるいは労働者に対する経済の不況時代における影響が、われわれが心配しておったほど深刻なものではない。しかし、これは日本の経済の非常に大きな問題点でありますから、これが改善されたとは言いませんけれども、今後の経済政策を通じて改善に努力をしなければならぬ。全体としての経済の動向は、まあ私が先ほど申し上げたことが誤まりはなかろうと、こう判断するのであります。
  90. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ三木長官と私ども立場違いますから、それでこれ以上論争をやろうとは思いません。ただ、長官は反主流派の巨頭ですし、高碕通産大臣は主流派の巨頭ですから、どっちにころんでもこの予算がうまく通るだろうと、主流派の意向が通っても反主流派の意向が通っても、予算はうまくいくということを信用して、三木長官の御答弁で了承いたします。  次に通産大臣に二、三点、時間がおそくなりましたがお尋ねいたしますが、きのうか一昨日、電気料金をきめる審議会がございますね、あの審議会でいろいろ電気料金の検討をやった結果、いろいろ出ておりましたが、その電気料金はっきり上げるとか、どうしなさいとか、何パーセントという数字は私見なかったんですが、あれを読んでいくと、電気料金を上げなければならないという解釈になるが、あれ、大臣のところに届きましたか。また届いておればあの答申に対する大臣の御見解を承わりたいと思うのですが。
  91. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) あれは昨日新聞で私拝見したくらいのものでありまして、まだ私の手元にまでは参っておりませんが、これは十分検討いたしたいと思います。その上で意見を申し上げたいと思います。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 答申案は別として大臣の御見解はどうですか、現在の電気料金に対する大臣の御見解は。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は今差し迫って電気料金を上げるほど、そんなに切迫しておるものだとは存じません。そう考えておりません。
  94. 阿部竹松

    阿部竹松君 もうきわめて満足する答弁で、質問がなくなったのですが、(笑声)そこでこれはまあ守っていただけるかどうかということがあらためて心配として出てきたわけです。それに付帯してお尋ねいたしますが、都の民生局の汚職と建設局の汚職と東電汚職、この三つの汚職が現在の三大汚職といわれているわけです。あの汚職でどなたが金を取ったか、新聞に出ているわけですが、あとで私法務委員会に出席させてもらって、いろいろお尋ねしようと思うのですが、あの汚職でとにかく数千万金ですか、数億の金がばらまかれておるといわれているのですね。しかしあの汚職の金は全部われわれ消費者の電気料金にかかるわけでしょう、別にどこかから持ってきて負担するわけではないのですから。そうすると今度公益事業法との関係がどうなるかということを大臣に聞きたいわけです。四、五日前、大臣は電気事業者の連合会ですかそこに行って、これはけしからぬと、以後気をつけろというお叱りを賜わったそうで、私内心喜んだのですが、大臣が叱ったぐらいではこれは済まない。われわれ一般消費者にあの汚職の金ですね、ある人によっては警視庁に踏み込まれたら大へんだといって、千円札束と一万円札束をストーブに入れて燃してしまったということを言われている。これは全部われわれの電気料金のコストにかかるわけです。われわれは一体どうしますか。その点をお尋ねいたします。
  95. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先般東電その他の電気会社におきまして、ああいったような汚職事件が発生いたしましたことは、まことに遺憾に存じまして、特に通産省といたしましても、これは監督官庁ですし、さらに通産省といたしますれば、政府資金をこれに投入する上においても努力し、場合によりますれば外資の導入等におきましても政府保証をすると、こういうふうな点から考えまして、これは非常な責任あることだと痛感する次第でございます。で、ああいったふうな汚職、これはいろいろ考えてみますると、私の考えでございますけれども、電力会社が創立されてすでにもう七年たっておりまして、その間に空気が沈滞しておるというふうな感じも深くいたしましたものでありますし、また今後の取引等につきましても、材料の購入、土地の購入、あるいは工事の請負等につきましても、特別のやはり監査をさせなければならぬ。といって政府自身がこれをするわけにも参りませんから、ある団体等に命じまして、できるだけ共通的の監査の方法等をめっけて、再びああいうふうな汚職は再発しないように、十分努力してくれということを警告したわけなのでございまして、今後とも十分この点につきましては徹底を期したいと存ずる次第であります。重ねて申しますが、ああいうふうな汚職はわれわれの監督管下のあの事業にあって、それがしかも公共事業である、公益事業であるというふうな点につきましては、責任を痛感いたしておる次第でございます。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 電気事業とかあるいはガスですね、こういうものは公益事業法ですか、公共事業会ですか、それに附属した省令なり政令なりで、一切そういうルールによってまあ仕事をなさっているわけです。その大臣のおっしゃるのは、きわめて僕はなまぬるいと思うのです。私はこの公共事業会の全文はわかりませんけれども、その中に公益事業をやっている者のが大臣の言うことを聞かなければ、専業のストップを命ずることができるという条文があるはずなんです。そういうのをどういうふうに適用するか、大臣にお尋ねしたいのです。もちろん汚職をやったのは、これは法務省にですね、最終的にまあ、あれですね、何というのですか、経済原則の何とかいうむずかしい法律があって、それでお前は懲役何年だということになれば、これはそれはまあやむを得ないでしょう。しかし一般大衆に迷惑をかけたのですから、この分はやはり大臣がどういう処置をとってくれるかということが問題です。社長が更迭したぐらいで済みませんよ。こういう点はどうなんですか。世界銀行から一番金を借りているのは電気会社ですよ。これは東電ばかりじゃありません、中部しかり、関西しかり。しかもあの人たちは個人の力で借りてきたのではなくて日本国が裏判を押している。裏判を押しているということは、国民一人心々に責任がある、世界銀行から金を借りたりしてきた。しかしそれほどまでに優遇されている公益事業の会社がああいうことをやるのがわからなかった。十万や二十万ならいざ知らず、何億円という金がああいうことになったということについては、大臣の厳然たる処置をとつてもらわなければならぬ。私はもうおそきに失すると思う。ああいう問題が起きたとき、高碕大臣は明確にやはり事業会に基いて処罰すべきであると思うのですが、これはどうですか。
  97. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) あの汚職事件というものにつきましては、どの程度にこれが実際のものであるかということは、司法権の発動等によりまして、もっとはっきりしたいと思いますが、しかしながら政府といたしましても、政府に権能のある範囲におきまして一応は警告をいたしておりますが、できるだけ御趣旨に沿うように、また同感でございまして、そういう方針をもちまして今後進んでいきたいと思います。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、検察庁で明確になれば法令に基いて断固やるのだと、こういうことですね。
  99. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その通りでございます。
  100. 阿部竹松

    阿部竹松君 それはそういうことであればけっこうです。  その次に、これは一例ですが、私は度が結局行政目的のためにきめられておりまして、水質基準がきまりました場合に、それに従って下水道の組合はその基準に従うような浄化装置をして排水をする、あるいは工場におきましても排水処理施設を作りまして、それに合ったような排水をしなければならぬ、こういう関係になって参ります。それに違反した場合は罰則の規定もあるというふうな、所定の条件がそろえば罰もかかるわけでありまして、この民法上の責任の問題は、まあそういうふうな基準がきまりますれば、おおむねその紛争も起きないのが常態かと思います。私どもそのためにこういう制度を作るわけでございますから、せっかく設備はした、また損害が発生するようなことは好ましくないことでありますから、できるだけそういうことは生じないようにいたしますけれども、万一何らかの形で被害が生じますれば、やはり一般の原則による賠償は免れない、こういうふうに考えております。
  101. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは水質基準というものの権威の問題になるのだけれども、普通考えられれば国がそういうものを定め、そして常時工場から排水されるところの排水を監視をする、この法律によると監視することになっているんです。そうして常に国としてはその工場排水というものについては安全である、こういう太鼓判を押したものについてその後紛争が起きたときには、被害者は請求権を持ち、加害者の方は免責をされない、こういうふうにしなければ、その水質の基準というものは、きわめて法律的には権威のないものではないか、私はそういう怪しげな水質基準というもので、この困難な複雑な問題を処理するということは、非常に困難ではないかと思いますが、どうですか。
  102. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) かりに例をとりますと、施設をいたしましたが、何かの事故によって施設が動かない、そのために本来の悪い、よごれたままの水が川へ流れた、それで魚介がかりに死んだという場合に、やはり工場側について故意に過失がございますれば、その限りにおいては賠償に応じなければならぬ。まあ一般的にいいますと、やはり基準がきまりまして、それに応じた施設をして参りました場合に、なるべくそういったことの出ないようにこの基準も考えていかなきゃならぬと思いますが、そういうことが出ることは望ましくない状態だと考えておりますが、そういった場合にはやはり賠償の責任はある、こういうふうに法律関係として考えております。
  103. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その認可を受けた水質基準に合わない水を、それは作為的であろうと不作為的であろうと、機械の故障のためにそういうことになったにしましても、流したときは別問題だと思いますよ、私は。そのときは、それはいわゆる当然被害者は請求権を、私はこういう法律が出れば発動し得ると思うのです。それは当然に水質基準にぴったりと合うものを三百六十五日ずっと流していた、にもかかわらず損害を受けたというので請求をされる。しかもそれに公訴しなければならぬということになれば、この法律の権威というものはないことになりやしませんか。その点がどうも私理解ができない。というのは、もう少し御説明いただきたいのですが、この第十九条の和解、仲介の申し立てというものが経過措置のような工合にして書かれていれば、私はそういう不審を起さなかったわけです。要するに指定水域ができ、そうして水質基準が設けられて、もうこれでよろしいと、そういうことは一度にはなかなかできないことでありますから、そういうことができるまでの間の経過措置としては、こういうものを設けるということであれば、体裁が整ってよくわかりますけれども、そういう工合になっていないものですから、指定水域を設け、しかも水質基準をこういう大きな機関できめて、もうこれでよろしいといっているにもかかわらず、なおかつ両者の間に紛争がいつでも起きるというような法文の体系というものは、どうもちょっと理解しにくい。
  104. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これは必ずしも経過的ではございませんで、法の建前といたしましては、いかなる場合にもこの規定で動き得るわけでございますけれども、この点は私どもだいぶん議論をした点でございますが、たとえば例が不適当かもしれませんけれども、下流の魚介類に対する影響とか、加害工場の除外施設をどういうふうに考えるか。基準を理想通り作りました場合に、非常に高い基準になってくる。そうしますと、被害はもちろん生じないと思います。この場合工場に対して非常な負担をかける、除害施設に対して非常な負担をかけていく、あるいは工場が経済的に成り立たないというような極端な場合もあり得るかと思います。そのときに七分通り、八分通り目的を達する程度の除害施設をいたしまして、まあ下にかりに二割の被害がある。二割の被害はやはり金銭賠償で片をつけるといいますか、話し合いをするという方が適当であろうと考えられる場合もあるかと思います。その辺がやはり水質基準の策定に当りまして、個々の河川の加害廃業と、あるいは受ける被害側の産業、その辺の実情に即して具体的にきめて参らなければならぬと思います。たとえば上水道のような場合は相当厳格な基準を作って、やはり公衆衛生に関する場合、相当厳格な基準になると思いますけれども、そういったバランスの点もございますので、従いまして賠償の問題を、施設したから一切賠償の責任がないと言い切ることも、あるいは実情に沿わない場合も出るのじゃないか、かように考えまして、一般の民法の賠償による原則だけは認める、こういう建前をとったのであります。
  105. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体わかってきましたが、そうすると、指定水域が何とか全国的にきめられていく場合に、その水域ごとに定められる水質の基準というものは、いろいろまちまちだということですね。衛生的な見地あるいは水産業の見地、その他その水を利用する効果からいって、いろいろな水質基準が設けられる。しかもその設けられた水質基準というものは、必ずしも被害を受けるであろう側にとって万全なものではない。若干そこにあろうかと思っていた。それは経済効果の問題がありましょうから、それを加味して持つものである、こういう工合に理解してよろしいですか。
  106. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) やはり各河川の被害の産業の状況なり、あるいは工場の密集度とかいろいろ条件がございますから、基準というものはやはり地点ごとに変るわけでございますが、ただ御質問もかつてあったのでございますが、あまり悪意によって勝手に基準がきまる、いわゆる政治的にきまるというお言葉がございましたが、そういうことではないので、やはり科学的なデータに基いて科学的な合理的なものによって基準を設定するわけでございまして、きめ方といたしましては、やはり指定水域ごとに多少違うということに相なろうかと思います。
  107. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、くどいようですが、もう一ぺん伺っておきます。そうしますと、現在の学術的な力の限界において上水道の場合は、これははっきりしているだろうと思いますが、どういうものがどれだけ入ったらば絶対にいけないのだということが、はっきりわかる。また淡水の場合におきましては、その淡水の中に生息しておる魚なり植物なり、そういうものにどういう程度のものが入ってくればいけないとか、海では魚介類等には、いけないのだ、こういうことは、学術的にはっきりと出し得るわけですか、現在の段階においては。その点はそれはメダカまでということになれば、大へんでしょうが、そういうふうに非常に複雑な問題があるのですが、そういうものを相手にして、はっきりと策定し得るものであるかどうか、その点を。
  108. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これは、まあ非常にむずかしいお尋ねでございまして、実はこの水質審議会は、相当専門家に参加していただきまして、この問題に関しては日本の権威者が集まっていただいたわけであります。現在のところ、相当多い魚介類についても、必ずしも絶対的な基準ということは、結論が出ていないようでございます。いろいろ検討を加えなければならぬ点も多いようでございますが、ただ、大体水質の基準といいますと、私ども専門家ではございませんが、基準として溶存酸素と生物化学的酸素要量、DOとかBODとかいうそういった単位がございます。また浮遊物の数量についての単位がございます。大腸菌の数、あるいはPH、こういった一応の科学的あるいは衛生上の基準がございますので、それによりまして、一CC当りどの程度という基準は、一応考えられる。  各国の例を見ましても、大体そういった基準でやっておるようでございますが、具体的には、まだ相当今後科学的データを集めて実行していかなければならぬ、その点も今後努力して参りたいと思います。
  109. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が、なぜこういう質問を申し上げたかと申し上げますと、つまり、ごく最近の新聞で御承知になっておると思いますが、本州製紙で、また白い水が流れたというので、沿岸漁民と工場との間に新しい紛争が起きかけております。  それで、新聞面を読みますというと、あの白い水というのは、もう三十年来ずっと流しておるので、今新しく問題にするのはおかしい、こういう言い方のようである。また沿岸漁民の力では、そうではないのだ、あの水で魚介類が相当参っておるのだ、何とかしてくれなくちゃ困るのだ、こういう議論が起きているようであります。そうしてみますると、せっかく法律を作るならば、私どもしろうとが、ただいまの本州製紙の白い水の問題を考えてみても、ちょっと判断がつきかねるようなむずかしい問題です。そういう問題に対しても、明快にある方向をさし示し得るような、そういう運用が行われて、初めて法律の効果というものはあるので、そういうものが全然、皆目見当がつかないのだ、法律は作ったのだけれども、そういうことになったのでは、もうその場当りで、ケース・バイ・ケースで解決していく以外に道はないのだ、こういうことになれば、この法律は、ただ気安めに作ったということに過ぎない。  その辺のお考えというものはどうですか。
  110. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これは、法律にも書いてございますが、非常に御心配の点は、行き過ぎになるというような点もあるかと思いますが、そういうことはございませんで、やはり非常に汚濁によって、相当の損害が生じるとか、あるいは公衆衛生上看過しがたい影響を生ずる、この影響を除去するに必要な程度のものでなければならぬ、そういう考え方でございますので、内容的に申しますと、非常にむずかしい問題ではございますが、一応現在考えられる基準もございますので、これによりまして、御趣旨の点は、よく了解できますので、われわれとしましては、審議会の審議を済まして、十分慎重を期して検討をいたしたい。  かようにいたしたいと思います。   ━━━━━━━━━━━━━
  111. 田畑金光

    委員長田畑金光君) この際、委員の変更について御報告いたします。  本日、木島虎藏君が辞任され、松野孝一君が選任されました。   ━━━━━━━━━━━━━
  112. 島清

    島清君 今までの御説明を伺っておりますというと、これは被害を及ぼさないような、加害水というものは出さない、しかしながら、その許容の水質という問題について、いろいろ質問も、今栗山さんからもなされたわけでありまして、今までの委員会においても、それぞれ質問があったわけでありますが、また日本社会党の主張につきましては、衆議院段階におかれましても、いろいろと質問の形で意見の開陳があったと思います。私は、そういうふうに想像されまする部面の質問はいたしません。  ただ、紛争が起きました場合に、これでは、和解の道が講じられておるのですが、しかしながらこの法文からだけ見まするというと、和解が必ずしも達成できるとは、どこにも保障がないわけでございます。  そこで、政令の部分に譲られた面があるわけでありまするが、政令の方では、これが確実に和解の申し立てをすれば、必ず和解が成立するという保障が、どこかになされておりましょうか。そういうことを考えて、政令を考えておられることでございましょうか。  その点お尋ねいたします。
  113. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 大体、和解の規定の政令の面は、主として手続規定でございまして、手続規定的な点が中心でございます、政令の力、政令の規定としましては。実体的な規定は、やはり法律に書かなければなりません。政令は、手続規定が中心になるわけでございます。申し立ての方法とか手続とか、そういったことが中心になるわけでございます。  この和解そのものにつきましては、強制調停ではございませんので、強制力はないわけでございます。従来こういう制度がございませんで、任意にいろいろと話し合いをされておりますが、今度のこの制度を新しく作りまして、仲介人という学識経験者を知事があらかじめ任命しておきまして、手続によってその方が出てきて、公正な立場で事件の解決に当る。これも法律に書いてございますが、そういう意味でこの制度の運用を期するわけでござまして、強制調停までは参りませんけれども、できるだけこの制度によりまして、円満に処理ができるようにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  114. 島清

    島清君 そこで、今あなたがお答えになったようなことを私たちは、非常に不満に思っておるわけなんでございますが、結局加害者と見られております工場排水を流した者、これに対する罰則というものが、この法律にはないわけなんでございますね。もう一つ工場排水等の規制に関する法律案、これには、何がしかの罰則規定が設けられておりまするけれども、十万円以下と三万円以下と、それから懲役一年以下ですか、こういうことになっておるのですね、ところが、今まで発生いたしました事例に徴しますというと、工場排水によって被害を受けました被害額というものは、非常に膨大な額に達しておるのですね。それで十万円や三万円や、それ以下、さらに一年以下の懲役ということになりますというと、罰金でございますというと、法人格を持っておりまする法人が、その客体になりましょうが、そのぐらいの罰金制度で、しかもこの和解制度が設けられましても、十分にこの和解の趣旨というものが、目的が達成されるかどうかということについて一まつの危惧の念を抱かざるを得ないわけでありますが、この和解を達成せしむるというような意味と関連いたしまして、もう少し罰則規定というものを強くしてもよかったのではないかと、こういうふうに考えるわけでありますが、こういったような問題とにらみ合わされて、立案者においては十分に、これで所期の目的を達成し得るんだというような確信がおありで、このような軽い罰則を設けられたのでございましょうか。  それとも、こういうことの関連を考慮に入れないで、あるいは従来の、まあこの種の加害行為に対しては、この程度のものであったからというので、従来の慣例にならって、この程度の軽い罰則規定を設けられたかどうか、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  115. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) この提案になっております公共川水の水質の保全に関する法律案が基本になりまして、これが、まあ基準をきめまして、実施法といたしましては、工場については、今度できます工場排水法、通産省から出ております工場排水法が、工場の排水についての実施法になるわけであります。それから、まあ鉱山に関係しましては、従来ございます鉱山保安法、こういうような規定でやって参ります。下水道等につきましては、これは実は、公共団体が下水の処理に当っておりますが、監督は厚生省の面と建るいは先般決算委員会でしばしば問題になりました本州製紙の問題と、こういうような問題が非常な刺激となって、とにもかくにも本案が、この国会に提案されたということは、非常に喜ばしいことであると思うのであります。特に私どもは要望いたしたいことは、従来この種の問題等は、主として都道府県にまかされていた形が多いのであります。それが今回は一本化して、そうして経済企画庁から都道府県に対する連絡というものも密になり、そういう点におきまして、今までのややともすると、都道府県自体のセクト主義というものが改善をされていくという点において、これはきわめて意義あると、かように考えるのであります。  それからいま一つ、新しい法律ができますと、どうしても、その新しい法律に偏重をしたがるというのが、日本の癖なんでありますが、審議の過程にあまり出ておりませんけれども、この両案が通過することによって、産業界を私はできるだけ畏怖せしめないと、こういう点に、特別な一つ御配慮を願いたいと、かように考えるわけであります。  それからその他、先ほど三木長官、それから佐野政務次官からも答弁にございました下水道の問題でありますが、これは近代国家、それから近代市の様相を形づける上からいって、ぜひともこれは、政府全体が大幅な一つ予算をとって、そうして期待に報いていただきたい、かように思う次第でございます。  付帯決議につきましては、賛成でございます。  以上をもって、私、賛成の意見を申し述べる次第でございます。
  116. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に意見もなければ、以上をもって討論を終り、採決を行います。念のために申し上げますが、両案とも、衆議院において修正議決されたものであります。  まず、公共用水域の水質の保全に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、工場排水等の規制に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、先ほどの栗山良夫君の討論中、公共用水域の水質の保全に関する法律案に対する付帯決議が提出されております。栗山良夫君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本決議案は、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容及び報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願います。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十一分散会    —————・—————