○
政府委員(
小山進次郎君) お
手元に差し上げました
資料をもとにいたしまして御
説明申し上げます。
お
手元に、
国民年金法関係資料、
国民年金制度
関係資料並びに
国民年金法案参考
資料の三つを差し上げてございますが、このうち
国民年金法案参考
資料を主として御
説明申し上げたいと思います。
その前に、簡単に、
国民年金制度
関係資料に掲げてありますところの八つの答申もしくは報告あるいは要綱というようなものについて、それぞれ、それが今回の
政府提出の
国民年金法案とどういう
関係を持っているかということを簡単に申し上げます。
国民年金制度
関係資料の目次のところをごらんいただきますと、そこに、一、
国民年金制度に関する答申(社会保障制度審議会)二、年金制度の通算等についての答申(社会保障制度審議会)三、
国民年金法の制定についての答申(社会保障制度審議会)四、
国民年金制度構想上の問題点(
国民年金委員)五、
国民年金制度要綱(自由民主党
国民年金実施対策特別
委員会)六、
国民年金制度要綱(日本社会党政策審議会)七、
国民年金機構に関する答申(行政審議会)八、
国民年金障害等級に関する報告(
国民年金障害等級
委員)の八つが掲げてございますが、このおのおのについて概略を申し上げたいと思います。
一の
国民年金制度に関する答申は、これはすでに御
承知願っておりまする通り、一昨年、
内閣総理大臣から、
国民年金制度に関する基本的な構想いかんという諮問を受けまして内閣の社会保障制度審議会において、一年間にわたり鋭意検討されました結果、昨年六月答申されましたものでございます。今回の
政府案、
国民年金法案はこの社会保障制度審議会の
国民年金制度に関する答申をおもなる参考
資料としてまとめたものでございます。
内容につきましてはすでに御
承知願っておりまするようなものでございます。
二、
国民年金制度の通算等についての答申はこういう事情で出されたものでございます。ただいま申し上げました
国民年金制度に関する答申におきまして、
国民年金制度の対象を現在各種の公的年金制度によってカバーされていない人々、言いかえますと、簡単に未適用者と言っておりますが、この未適用者に限るということを骨子とした答申がなされたのでございますが、そういうことになりますというと、
国民年金制度に入ります人々と、そうでない人々との間に
一つの大きな問題が出て参るわけでございます。この点はすでにしばしば論議になっております問題でございますので、詳しく申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういうような穴を埋めますために一体それをどうするのか。その問題についての代案なくして単純に未適用者だけを対象にした年金制度をまとめたのでは、今までありまする十幾つかの年金制度に単純にもう
一つ——対象は比較的多くはございますけれ
ども、もう
一つ十何番目の年金制度を漫然加えただけのことになりまして、その結果、
国民皆年金という理想を達成することにほど遠い結果になるおそれがある。この問題をどういうふうにするかということについて、大体の見通しだけは
一つ承知しておきたい。その見通しいかんによって
国民年金制度の構想そのものもある程度調整しなければならぬと、こういうふうな事情がございまして、
政府側の
希望に基いて、社会保障制度審議会において短期間の間に検討されました結果、答申されたものでございます。この答申の骨子はこういうことでございます。年金制度のいろいろなものを渡り歩くような人々は、概していいますと非常に気の毒な人が多いわけでございますが、この気の毒な人々に何らの措置が行われないということになっては困るということは、もう全く議論の余地はない。従って、どんな方法を考えるかは別としてとにかく通算の方法を考えなくちゃいかぬということで論議されたのでございますが、その結果、いわゆるじゅずつなぎ年金あるいは凍結年金といわれる類の年金の通算方式が現在では一審実現性もあるし、また、被保険者のためにも一番ためになる方法である、従って、これをもとにして通算のやり方をまとめたらよろしい、こういう筋の答申でございます。この答申を受けましたので、
政府といたしましては、おおむねこの筋に沿いまして、通算問題については、できるだけ社会保障制度審議会の
提案しているじゅずつなぎの年金の方式が成り立つように工夫をしてそういう前提で
国民年金制度をまとめるということにいたしたわけでございます。
それから三番目の
国民年金法の制定についての答申(社会保障制度審議会)は、これはついこの間、答申をもらったのでございまして、
政府案が一通りまとまりました段階において、一月になってから
法案要綱を社会保障制度審議会に
提出をいたしましてその検討を求めたのでございます。それについての答申でございます。これはさしあたりの御審議を願う場合にいろいろ
関係が出て参ると思いますので、念のために朗読をいたします。三十九ページでございます。
「医療保障と相並んで社会保障の二大支柱の
一つである
国民皆年金の
要望にこたえるため、
政府が、ここに、幾多の障害を乗りこえて
国民年金制度発足に踏み切ったことについては多とするにやぶさかではない。その要綱に示された案には、拠出制年金を支柱としている点や、母子、障害年金などの
内容を向上させていることなどその配意が認められる点も少くない。しかしながら、本審議会がさきに
内閣総理大臣の諮問にこたえて答申した基本方策の重要な骨子である無拠出制年金と拠出制年金との組合わせ、保険料の額等において、本審議会と異った立前をとっていることは遺憾である。
国庫負担を保険料
収入の二分の一としたことは結構であるが、完全積立方式を前提とする財政収支にこだわり過ぎ、社会保険でありながらむしろ任意保険に近い考え方が各所に見られるとともに、社会保障の精神をかなり大幅に後退せしめ、防貧というよりは救貧的色彩が濃厚にあらわれていることは問題である。例えば、無拠出制年金を単に経過的および補充的制度にとどめた如き、また、
援護の名の下に年金の受給資格に極めて苛酷な所得条件を附した如きは、その適例である。
その結果、
国民年金制度の必要の最も多いボーダーライン層が、かえってこの制度から閉め出される恐れが多分にある。また拠出制年金に対する保険料の納付を怠ったものには無拠出制年金を支給しないことにしていることも見逃しがたい。ことに、対象者の三割近くは、その納付を免除しなければならないような高額の保険料としたことは、拠出制老齢年金の支給条件として通常の場合二十五年という長期間にわたる保険料の納付を要件としていることとともに、制度の根本に触れ、本審議会の答申と著しく異るところである。したがって
政府は、極力本答申の考え方に沿って、適切な修正を行われんことを
要望する。なお、保険料の額及び徴収方法などについては、拠出制年金実施までの二カ年間の
準備期間において、厳密な実態
調査の上、更に検討をかさね、完全積立方式に必ずしもこだわることなく実情に即した措置をとるべきである。」とありまして、以下、幾つかの具体的な
意見が述べられているのでございます。
この答申のうち、取り入れられ得るものは、
政府としては努めて取り入れたのでございますが、特に、社会保障制度審議会に問いました要綱と現在御審議を願っておりまする
法案との間における大きな違いは、社会保障制度審議会に問いましたときの要綱では、将来補足的な無拠出制の年金を受ける者の範囲が非常に限られておりましたのを大幅に緩和いたしまして、よほど長い期間にわたって、よほど意識的に保険料の納入を怠らない限り、拠出制の年金が受けられないときは無拠出制の年金が受けられるようにするというように改めた点でございます。
それからまた、目次のところへ戻っていただきまして、第四の「
国民年金制度構想上の問題点」といいますのは厚生省に設けられておりまする大臣の諮問機関である
国民年金委員が、社会保障制度審議会の
国民年金制度に関する答申が発表せられました後、それに対する考え方のおもなものをあげたものでございます。一時は、これがあたかも社会保障制度審議会と
国民年金委員との間における大きな対立であるかのごとく伝えられたのでございますが、さような趣旨をもって発表されたものでなく、これらの人々の
国民年金制度に対する考え方を述べられたものでございます。中にはいろいろ取り入れるべき点もあるわけでございますが、現在
政府が
提出いたしておりまする
国民年金法案との
関係を申しますならば、これに対する影響は比較的薄かったというふうに御了解願えるような性質のものでございます。
それから、五の
国民年金制度要綱と申しますのは、すでに申し上げるまでもないことでございますが、社会保障制度審議会の答申の発表がありました後、公約を実現するため特別
委員会が与党の中に設けられ、この特別
委員会で約五カ月にわたって御検討になった結果まとめましたものでございます。
政府提出の
法案との
関係を申しますならば
政府提出の
法案の考え方を基礎づけるような性質のものでございます。
それから、次の
国民年金制度要綱(日本社会党政策審議会)、これも申し上げるまでもないことでございますが、すでに一年以上前から、日本社会党におかれまして、
国民年金法案を御
提出になっておったのでございますが、その要点を一般に周知せしめ、さらにそれの実施に関する各般の
法律の
準備を進めておられましたので、その大綱を含めましてまとめられたものでございます。非常に貴重な
資料の
一つでございます。
なお、今日御審議を願っておる
法案と多少違っておる点はございますが、この
資料をまとめましたときは、これよりほかに入手できませんのでしたので、時期はやや古うございますが、昨年の十月のものをまとめて入れておいたのでございます。この点、御了承願いたいと思います。
それから七の
国民年金機構に関する答申(行政審議会)は、内閣の行政審議会におきまして行政機構改革の全般について審議をして参ったのでございますが、その際に、
国民年金制度というような非常に大きな制度が実現されることになると、当然これに関連して実施に当る行政機構も整えられなければならぬ、こういうような考え方をいたしまして、行政審議会において
政府部内の各
方面の意向を徴しつつ、御検討になった結果まとめられたのがこれでございます。この答申があります前までは、厚生省といたしましては、
国民年金という制度を統一的に処理いたしまする必要上、中央、地方にわたって国の直轄の機関を設け、国の公務員をしてこれを処理させるということを骨子にした考え方に立っておったのでございますが、この答申がありましたので、それを改めましておおむねこの答申に従いまして、中央における統括事務、企画事務等を処理するために、厚生省に年金局を設けるということだけを国が直接やる組織にいたしまして自余の分は都道府県及び市町村における既存の組織を努めて活用するという筋道に沿って調整することにしたのでございます。その意味におきまして、行政機構なりあるいは事務組織の問題につきましてもとになっておる答申でございます。
それから八の
国民年金障害等級に関する報告(
国民年金障害等級
委員)と申しますのは現在障害年金についていろいろの仕組みがきめられております。厚生年金保険法にもございまするし、その他各種の年金制度にもあります。また、障害年金ではございませんけれ
ども、障害に対する対策をきめたものとして身体障害者
福祉法があるわけでございます。これらの各制度における障害の範囲及び等級はおおむね一致しておりますけれ
ども、しかし、具体的な問題になりますと、ある制度において一級とされておるものが、他の制度において同じ等級区分の中においても二級とされる、範囲が少し違っておるというような不整合があるのでございます。
国民年金制度をきめます場合において、これを調整する必要がありましたので、この
方面の学識経験者を特に厚生大臣が障害等級
委員に委嘱いたしまして、これらの人々にその調整をお願いしたのでございます。その結果得られましたのがこの報告でございまして、この報告は現在までのところ、この種のものについていろいろいわれておりますもののうちでは一番新しいものでございます。従って、これをもとにして、今回は
法案の別表等は調整するということにいたしたものでございます。
次に、
国民年金法案参考
資料というこの横に長い
資料について御
説明を申し上げたいと思います。全部で三十六表ございますが、一表からごく簡単に、その表の持っております意味及び
内容の概略を御
説明申し上げたいと思います。
第一表の適用対象人口と申しますのは、
国民年金制度を考えます場合に、どれだけの人を頭に置かなければならぬかという見通しをつけますためにまとめた表でございます。
政府案によりますと、
国民年金制度の適用対象は二十才から五十九才ということになっておりますが、この二十才から五十九才までの年令区分に入ります人口を五才刻みにしたものが、ごらんを願っているものでございます。六十から六十四というのが若干ございますが、これは経過的な措置といたしましてこの
法律による拠出制の年金が施行されます時期、つまり
昭和三十六年の四月一日において五十をこえております人々のうち、五十五未満の人々は、
希望すればこの制度の被保険者にするということにいたしておりまして、このようにして入りました任意加入の人々は、十年たちますと、そこで年金の支給資格が完了して年金がもらえる、こういうことになっておりますので、そういう人人がちょうど十年間たつ時期が、四十一年から四十五年までということになるわけでございます。そういう意味合いにおいて、そこだけ特に突き出た形で入っているわけでございます。
で、ごらん願いますとおわかりになりますように、
昭和五十五年という年が、全体を通じて一番適用対象が多くなる年でございます。これはもう御
承知願っておりますように、ちょうどこのころが、日本の人口構成から申しまして、生産年令人口が一番ふくれる時期でございまして自後、日本の生産年令人口はまた逐次縮んで参るのでありますが、それがここに表われているわけでございます。で、申し上げるまでもなく、現在の
法案では、この適用対象の全部を
国民年金制度の被保険者とはしておりません。このうち厚生年金保険その他、各種の公けの年金制度の被保険者になっておりますものが、現在では約一千百万人程度おります。これらの被保険者の全部をあげますと一千六百万程度おりますけれ
ども、このうち二十から五十九というふうに範囲を切りますと、一千百万程度になるのでありますが、この程度の人々はこの適用対象から除かれる、こういうことになっているのでございます。
なお、後ほど出て参ると思いますが、このほかに、
法案におきましては、
昭和三十六年の四月一日におきまして五十をこえております人々は一応適用を除外しておりますので、当然さらに過渡的に制度が動き出しまする初めの方の
年度は、この適用対象の総数から、被用者年金の被保険者である一千百万人を引きましたものから、さらに年金五十をこえましたものを引いたものが適用対象になる、こういうことになっているのでございます。
それから次のその二、その三は、ごらん願いますように、男子、女子に内訳をしたものでございます。
それから次の四ページの附表が、ただいま私が最後にちょっと申し上げましたことを、もう少し詳しく書きものにしたものでございますが、これを申し上げます。
強制適用者の数は、この
法案におきましては、
昭和三十六年の四月一日におきまして、二十から四十九までの総人口四千百万おりますが、このうち二の控除に掲げてあるような人々を除いたものでございます。
控除の内訳は、公的年金適用者の数が千九十九万九千人、約千百万人でございます。それからその次に、現在公的年金を受けております者の数が八十一二万九千人おります。それから第三には、公的年金の適用を受けている人々の妻が五百四十四万六千人おります。これが制度の立て方の上で非常に問題になっておる人々でございます。この公的年金適用者の妻、約五百五十万というものを、この制度において強制適用とするか、あるいは現在の
法案のように、任意適用にするかということが
一つの大きな制度の立て方の上の問題点でございます。その次の四の学生、五十三万と申しますのは、これは二十才以上で学校におる者でございますから、大
部分が大学の学生でございます。これで控除すべき者の総数が千七百八十万四千人になります。で、四千百万から千七百万人を引きました
残りの二千三百二十九万人が強制適用の対象でございます。
それから第二のグループといたしまして、任意適用グループがございます。
一つは二十才から四十九才の公的年金適用者の妻戸八十七万二千を予定しております。これは公的年金適用者
の妻五百四十四万六千人の三分の一を見込んだものでございます。従って、その意味においてこれは見込み
数字でございます。それから次の学生、十七万六千も、同様の意味で見込まれた見込み
数字でございまして三分の一を見込んでおります。それから五十から五十四までの者につきましては、任意適用の道を開いておりますが、これについても、見込みといたしまして三分の一を考えまして百十二万三千人が入ってくるものと予想いたしたのでございます。従って、これらを合せますと、三百十七万一千人。かようなことからいたしまして、この制度が動き出しますときには、強制適用の対象者二千三百二十九万人、任意適用の対象者三百十七万一千人、合せて二千六百四十六万一千人というのが、制度発足時における人員と予想しております。
それから第二表の収支対照表と申しますのは、この
国民年金制度の拠出制の
部分の収支の対照でございます。で、保険料
収入はかように見込んでおります。先ほど申し上げましたような適用対象のうち、二十から三十四までの年令区間に入ります被保険者からは百円、三十五から五十九までの年令区間に入ります者から百五十円納めてもらうということにいたしているのでございますが、もとより収支の見込みを立てます場合に、その全部から再パーセントの納入をすることができるという前提をもって立てることは、これは実際的でございませんので、努めて実際に合うような計算をしたのでございます。
まず第一に考えましたのは、対象のうち約三割程度の人々からは保険料の徴収を強制しない態度をとる必要がある。言いかえれば、それらの人々が保険料を納めることのできない期間、保険料の納入を免除する必要があるというので、三割の人々はまず保険料を納めないということを
一つ想定をいたしました。この三割の人々が納めないということは、その年その年におきましては、将来とも一応同じという想定をしておりますけれ
ども、三割の中身を構成する人々は、申し上げるまでもなく、これは絶えず流れていくわけでございます。ある時期において免除の対象であった人が、やがて三、四年たちますと、ある程度所得がふえて納められるようになってくるとか、かわりにまた免除を受けなければならぬような人々が出てくる、こういうことでございますが、各
年度について申し上げますならば、およそ三割程度はまず免除してかかる必要があろうと、かように判断をしたわけでございます。これにつきまして、先ほど朗読をいたしました社会保障制度審議会は、逆に三割も免除してかからなければならぬような保険料をきめることに問題があると、こういう判断をしておるのでございますけれ
ども、この点は、私
どもの考え方としては、やや当を失する批判だと考えておるのでございます。むしろその程度に安全性を見積ってスタートしないというと、保険料の徴収の上においてどうしても無理がかかる。それを社会保障制度審議会のように、かりに七十五円というふうにきめたといたしましても、免除するものをわずかに全体の一割程度と見込んだのではかえって無理がかかる。この点はいずれ八木先生等が御議論の際にお触れになると思いますが、この程度の二割五分から三割程度の人々については、いずれにしても保険料の徴収は何らかの工夫をしてかからなければならぬ。単純にフラットできめた保険料をしゃにむに取るという前提をもって臨んだのでは無理だという、こういう判断については、当局の考え方も、また、社会党の立案をなさっておられる
方々の判断も、この点はおおむね同じところをにらんでおるのでございます。
それから次に加えました調整は、かりに三割を除いた七割の人が保険料を納められ得るはずだとしても、実際問題としてなかなか百パーセントの納入というものはあり得ないものだ、そこでさらに一五%の不納率というものを見込みまして納入率八五%、かように見込んでこの保険料
収入は立てたわけでございます。とかく、いかように
国会で
説明したとしても、実際の運用に当ればきつくなるのだというような疑惑が、当局の態度に対して各
方面から投げかけられやすいのでございますが、この収支の上におきまして、こういうような態度をもって整理しておりますので、このことは当然実施に当って、衝に当るものに無理な保険料の取り立てというものにかり立てることをさせないで済むという
一つの保証になっておるわけでございます。
それから
国庫負担金はこの
法案にあります通り、拠出時におきまして二分の一国が負担をするというので、その分を計上したのでございます。何ゆえに拠出時において国が負担をするということをしたかと申しますと、これについては、もちろん拠出時にするという方法のほかに、実際に給付いたします際に、給付の額の何割かを国が負担するというやり方もございますし、それにはそれの
一つの長所がございますけれ
ども、
国民年金のように
国民全部を対象にして、お互いにできるだけ
一つ若いうちに備えをしようじゃないかということを建前として組み立てる制度の場合においては、被保険者と同じように、国もまた拠出するのだ、そうしてそれを積み立てておくのだということがはっきりしておる方が、被保険者の
気持から見ても受け入れやすいであろうというようなことと、もう
一つは制度の発足のときから、この制度について国はやはり相当負担をしていくのだという態度を建前の上ではっきりするだけでなく、現実にそう表わして実行していくようにいたしたい、かような考えからいたしまして、拠出時に国が負担をする、こういうことにいたしたのでございます。この
国庫負担金と、無拠出について国が出すことにきめておりまする三百億をこえまする金、言いかえますと、四百五十億から将来五百億をこえまする金は、
国民年金における国の負担分として、制度の発足のときから建前の上だけでなく、実際上も明らかにされ、かつ確保されると、こういうことが必ずしも直接の関連を持って申し上げているわけではございせんけれ
ども、将来時期が来たならば、給付
内容の改善をしていきたいということを厚生大臣が申しておるのでございますけれ
ども、それの実際上の裏打ちにも、時期が来ればなり得るわけでございます。
それから利子
収入は五分五厘と見込んでございます。この利子
収入については、現在の利回りを見ていると、もう少し高いところで回っているじゃないか、たとえば六分五厘程度に見てもいいじゃないか、こういう議論があったのでございますけれ
ども、この点は今の制度と同じように、五分五厘ということで見たのでございます。しかし、実際上、私
どもは少くとも今後十年間は必ず六分程度で回り得るものと考えております。従って、この予定された利子
収入と現実に回る利子との差額は、当然制度における余裕となるわけでございますが、そういう余裕がありまするので、次にありますように、不足財源補てんというような項目を計算上設けながら、これはそういうことでおのずから解消するはずであるという態度をとっているわけでございます。
それから支出の方は老齢、障害、遺児、母子、寡婦と、各年金別にそれぞれあげてあるものでございます。
それから一番右の
年度末積立金保有高というのが積立金の
総額でございますが、三十六年に三百九十億、こういうものが逐次ふえまして、
昭和五十年には九千三百八十億になり、
昭和百年には——これはもちろん計算上のことでございますけれ
ども、三兆二千億になるのでございます。で、この積立金の運用の仕方についての議論のほかに、こんなに多額の積立金というものを、一体、日本経済が消化していくことができるであろうかという疑問がよく投げかけられるのでございますけれ
ども、これは各年次の
数字をごらんいただくとおわかり願えますように、実は全体の額は多くなっておりますけれ
ども、各
年度の伸びというものは、それほど驚くべきものではございません。たかだか四百億から五百億程度のものでございます。この程度のものでありまするならば、成長して参りまする日本経済といたしましては、消化するしないというようなことが問題になるほどのものではなく、むしろこの程度のものは非常に
国民の
生活向上にも役立ち得るであろう、かように判断がされるものでございます。
なお、この点の参考
資料といたしまして、非常に飛んで恐縮でございますが、一番うしろの四十五ページの三十六表をごらん願いたいと思います。これは産業設備資金の調達実績を調べたものでございますが、この
昭和三十二
年度のところでごらんをいただきますというと、産業設備資金として調達いたしましたものの
総額は、一番下にありまする合計の一兆二千三百五十四億になっております。これが年間におきまして、産業設備資金として
昭和三十二
年度に調達されましたものの
総額でございます。まるく、まず一兆二千億というふうに申し上げればいいと思いますが、このうち内部資金でまかなわれたものと、それからしからざるものとに分けてみますというと、内部資金でまかなわれましたものが五千六百億、
残りの六千七百億というものが外部からの資金でまかなわれたものでございます。従ってただいま申し上げました積立金三百五十億とか、あるいは四百億とか、五百億とかいうものが
関係するのは、この外部資金としてまかなわれた六千七百億との
関係においてそれがどの程度の意味を持つか、こういうことになるわけでございます。これをごらん願いますならば、客観的な御判断として、外部資金として年間七千億から調達されなければならぬというものであるとするならば、それに対して四百や五百というものが問題になるほどのものでないということは、容易に御判断願えるわけであります。ただしかし、この四百なり五百という金がある種のものに集中して使われるといたしますならば、たとえば株式なら株式だけに集中するということになりますと、その欄にありまするように、株式に注ぎ込みましたものは一千六百八十五億でございますから、これに対して五百億からのものが買いに出るということになりますというと、これは株式市場を相当撹乱する因子になるわけでございます。従って、資金の運用の仕方、言いかえまするならば、投資の方法等については、やはり国全体として十分考えた運用をしていく必要があるわけでございますが、とにかく
総額として使う、先ほどの
総額三兆というようなもので想像されますように、とてもこんな多額のものが運用できないのじゃないかという点は問題にならない。こういうことが実は私あまりこのことについて断定的に申し上げる知識を持ち合しているものではございませんが、経済企画庁等と相談をいたしました際の判断でございます。
それから次の第三表は、先ほど申し上げました給付金額を、今度は給付を受けまする被保険者の数及び給付件数からながめたものでございまして、それぞれそこに書いてありますような推移を示す。こういうことになるわけでございまするけれ
ども、これで明らかでありますように、やはりこの
政府案によります
国民年金制度がどうやら
国民年金制度らしい実際の機能を果すのは、やはり
昭和五十年ごろからだ、かように判断されるのでございまして、それまでの間は、母子年金あるいは障害年金というものが働いて、五十年以降になってやっと老齢年金が始まって参りまして、それからまあ逐次機能を発揮していく、かようなことになるわけでございます。
それから、次の七ページの第四表は、先ほどごらんをいただきました保険料の
収入その他の
収入と支出との総括的な対比を現価で見たものでございます。
収入の現価は、
総額で九千三百七十二億、それからこれに対して支出は現価に直しましてそこで合せてあるわけでございます。この左側の方は、あまりただいまのところ、問題として御検討願うほどのことはないのでございますが、右側の老齢年金、障害年金、遺児年金、母子年金、寡婦年金というものを現価に直しましたものは、やはり御検討の素材になり得るわけでございます。どういう意味合いにおいてなるかと申しますと、この
国民年金の給付における相互のバランスをどういうふうにするかという見当をつけていただく意味において意味があるのでございます。また、例にあげて恐縮でございますが、たとえば社会保障制度審議会の答申に、
国民年金の重点を徹頭徹尾老齢年金に置くという考え方が
一つございます。そういう考え方によりました場合には、あの制度では、全体の九割程度が老齢年金に振り向けられて、
残りで障害年金と母子年金を処理する、こういうふうなことになっているのでございます。それに対しましてこの制度におきましては、それをかなり緩和いたしまして、六十五対三十五程度にしたつもりでございます。現在のところ、いろいろの議論はありますけれ
ども、そのぐらいが手ごろなところじゃあるまいか、むしろ率直な
気持を申し上げれば、それでもやはりまだ全体の年金制度における比重としては、母子、障害に対する比重をやや低くし過ぎているかもしれぬ。こういうような考え方を立案に当った当局としては持っておるのでございます。この点が現在のところ、社会保障制度審議会の立案に当られた
方々と大きく違っている点でございます。
それから第五表は、これは全く技術的な意味で掲げました表でございまして、特にここで申し上げる必要はございませんので省略をいたします。
それから第七表が残存表でございます。つまり二十から五十九までの間に保険料を納めて、六十五からもらうということになっているけれ
ども、その間に不幸にして死ぬ人もあるだろう。体全部の人が保険料を所定の年数納めたと仮定したならば、
ほんとうに一体どのくらいの人が老齢年金をもらえるのかという見当をつけるのがこの残存表でございます。それで、まず生存表というのを見ていただきますと、二十才の際にこれは一〇〇%でありますが、それが逐次減って参りまして、六十四才、これは九ページ、十ページと続いておりますので、十ページの方をごらん願いますと、十ページの一番上は六十五というのがありますが、六十五の年令になりますというと、五六・九二五、これは単純に十万人のうち何人というふうにお考え願いますというと、十万人のうちで、六十五才まで生きておって年金をもらう人の数が、男では五万六千九百二十五人、女では六万七千九百九十八人、これは常識的に知られていることでございますけれ
ども、女子の生存率の方がはるかに高いわけでございます。大よそ五割七分程度の男子と、六割八分ぐらいの女子が老齢年金をもらうと。そのわきに、不幸にして死亡者の数がずっと出ているわけでございます。
それからまた、九ページに俣っていただきますと、その次に廃疾表というのがございます。廃疾表は、申し上げるまでもなく、これは、この
政府案に掲げられてあるような意味の廃疾だけではなく、すべての廃疾を掲げてあるわけでございますが、それになりまする率を見ますると、そこにあげてあるような工合になるわけでございます。
それから、十一ページの第八表は、計算基礎語率でございまして、これはもう全く技術的な表でございますので、省略をさしていただきます。
十二ページの母子残存率も同様でございます。
それから、十三ページの第九表、妻と死亡した夫との年令相関表というのがございますが、これが母子
年金等をきめる場合のいろいろな参考の表になったのでございますが、左側が死別した妻の総数が年令別に掲げてあります。それから縦の欄が死亡した夫の総数、これが年令別に見ますと、そこに掲げてある通りでございます。かりに五十から五十四程度のところを見ていただきますというと、夫が五十から五十四程度の場合に、その妻が一体どのくらいの年令であったかと申しますというと、両者のかち合うところを見ていただけばわかるわけでございますが、やはり五十から五十四という年令区分の人が全体のうちで四千四百九十三人、それから五十五から五十九が八千九百七十八人、まあそういうふうな両者の
関係になっているのでございます。
それから、次の第十表、十四ページが、
明年度の
援護年金の受給者数及び所要金額を掲げたものでございます。これは、目下
予算案について御検討願っておりまするものの
内容と同様でございますけれ
ども、まず老齢年金につきましては、七十以上の老齢者が三百十万六千人いると想定しております。このうち公的年金を受けております者、あるいはその妻等で控除を受けます者、その他全部を合せまして六十六万九千人が控除されている。これは次の受給の場合の減額と一部重複をいたしております。そういうふうに、まず公的年金を受ける人々には御遠慮を願うと、その次には、さらに残った人々について、そこにありますように、(イ)、(ロ)、(ハ)の三つの所得制限が行われるわけでございますが、そういうふうにして控除されます者が全部で百十二万、このうち公的年金の受給者ということで除かれる者が約七十万ということになるのでございます。結局、差引きいたしまして百九十八万六千人の人が支給を受ける。で、この
数字をもとにして単純に出て参るわけでございますけれ
ども、一体今度の
政府案のような所得制限をすると、どのくらいの人が所得があるという
理由で支給が受けとれないかといいますと、およそ一割六分から一割七分足らずの人々が所得制限を受けて支給が受けられない、かようなことになっております。それからその次の障害年金は、一級該当程度の障害者が二十四万二千人、このうち公的年金受給者の二万三千人を除きまして、さらに所得制限が加わって、実際上受ける者が十八万二千人、障害年の年金制度で入れました年金番号は
国民年金に移ってきてもそのまま使えるようにいたしたい、こういう考え方を現在いたしているわけでございます。技術的にはまだ
解決のつかない問題でございますが、それがうまくできますというと、たとえ制度が違っておりましても、通算その他の締めくくりが非常にやりよくなるわけでございます。
それから二は、保険料の徴収
関係事務のうち保険料徴収停止の最終的決定、つまり先ほど申し上げました被保険者のうち三割の人々については保険料の徴収免除が行われるわけでございますが、それを決定する
仕事、それから強制徴収の最終的な処理をする。それから
明年度から行われます経過的な
援護年金の裁定事務、四は、市町村の指導、監督、これだけは都道府県に処理してもらう、都道府県においてこれを処理いたしますために、
明年度におきましては、都道府県を通じまして千七百四十名の人員を新たに置くということにいたしております。このために、各都道府県に
国民年金課を設けることにいたしまして、目下具体的の人選等について都道府県当局と協議をしているところでございます。なお、この人間の充足に当りましては、不幸にして他の行政部門等におきまして縮小の結果、過剰になる人員が出て参るところがございますので、努めてそういう方の人々を優先的に採用していくということにいたして選考いたしております。それから市町村は、適用
関係事務、徴収
関係事務、その他、住民に対する窓口事務というふうに非常に多くの役割をしてもらうことにいたしております。なお、これだけ大きな役割をしてもらうのに、
明年度はわずか市町村に対する事務費は一億五千万円前後しか組んでないじゃないかというような御議論が一部にあるわけでございますが、この点は申し上げるまでもなく、
明年度におきましては、この
国民年金の事務のうち無拠出の給付事務だけが行われるわけでありまして、この給付事務のうちのまた現金支給事務は郵便局を通じて行いますので、
明年度市町村に行なってもらう
仕事が非常に少い
関係上、額が少くなっているのでございます。従って、拠出制の年金が動き出すような時期になりまするならば、当然市町村に対する国の負担金というものは相当な額に上って、おそらく
国民健康保険の費用と匹敵するようなものを考えていかなければいくまい、かように考えているわけであります。
それから十九ページの第十五表、各種公的年金制度の比較対照表は、現存する各種の年金制度につきまして申し上げますと、老齢年金では支給開始年令、拠出期間、年金額、障害年金の場合は支給条件、年金額、遺族年金の場合は支給条件、年金額というものをまとめたものでございます。これはすでにあります制度を、ただ便宜上並べただけのものでございます。
それから少し飛んでいただきまして、二十二ページの十六表、現行公的年金制度適用者数、先ほど申し上げましたような一体二十から五十九までの間に一千百万程度、公的年金の適用を受けているものがあるとするならば、それは制度別に見たらどうなるかというのであげたのがこれでございます。その一は男子、その二は女子でございます。やはり一番多いのは何と申しましても厚生年金でございまして、男子では七百四十七万——約七百五十万、女子で約三百万——二百九十二万の適用者数を持っております。
それからその次の二十四ページの第十七表が現行公的年金制度による年令階級別年金給付件数でございます。これは現在の各種の年金制度によって、どれだけの人が年・金を受けているかということを、年令別に見たのでございます。このうちおそらく先生方もごらんになって、直ちに奇異に感ぜられると思いますけれ
ども、老齢年金について三十から三十四までの間に、これは数えるほどのものしかありませんが、とにかく老齢年金という
種類の年金を受けるものがいるということを、大へん奇異にお考えだろうと思いますけれ
ども、これはこういう事情でございます。現在の年金の制度のうちでは、もう昔の高等小学校を出て、すぐ勤め始めるというような人の場合は、二十年もたつとそれで受給資格がつきますので、かりに十六か十七で勤め始めますと、もう三十代の後半にはつく、今の場合、何らかの事情で十五以前に働き始めるというようなことになると、まあこんなことがあり得るというわけでございます。この点は私もちょっと奇異に感じまして、念のために間違いがないかどうかということを、それぞれ所管のところへ照会させたのでございますが、この
数字そのものは間違いないということでございます。
それから、その二の障害年金につきましては、同様の区分で掲げたものでございます。
それから、その三遺族年金も同様の趣旨のものでございます。
それから第十八表、二十七ページは、公的年金の未適用者の
状況を
昭和三十年の国勢
調査をもとにいたしまして、その従事する産業別に分類をしたものでございます。まず左側は、男女別に従事上の地位別を見ますと、つまり雇用者であるかあるいは自営業者であるかという点を中心にして見ますと、そこにありまするように、二十から五十九までの場合を考えますと、全体の数が四千三百五十三万人のうち、公的年金の適用者が九百九十三万人、これは
昭和三十
年度でありますから、少いわけでございます。公的年金の非適用者が三千三百六十万、この公的年金の非適用者のうちに四百六十八万人という被用者、つまり雇用者が入っておるわけでございます。それから自営業者が七百六十五万人、家族従業者が五百三十万人、無業の者、これは妻及び娘等でございますが、これが一千五百九十七万人、こういうような内訳でございます。
その二の方は、産業別従業の地位別に分けたものでございます。これも右側の二十才から五十九才の場合でごらんいただきますと、公的年金の非適用者三千一宵六十万のうち、農林、水産業に従事しておりますものが、一千二百十七万、これは当然のことでございますけれ
ども、大
部分が日常業者と家族従事者でございます。それから鉱業、建設業、製造業等に従事しておりますのは三百六十九万人、これはこの中には被用者が非常に多うございますので、二百十四万、自営業者が百四万、こういうふうなことでございます。それから卸、小売、サービス業が百二十九万、その他が八十五万、こういうようなことになっているわけでございまして非適用者の中に雇用者が約四百六十八万程度いるということが、いわゆる五人未満の問題としていろいろ論議される問題の半分程度をなしているわけでございます。半分程度が、四百六十八万の約六、七割程度は、いわゆる五人未満の従業員を持っている
事業所に働いている雇用者の問題になるわけでございます。
それから二十八ページの十九表は、二十才から五十九才までの男女別の税目別納税義務者数の推算をしてみたのでございます。これはいろいろな意味におきまして判断の指針になりますので、表を御
説明申し上げたいと思います。
昭和三十年をもとにしたものでございますが、これによりますというと、所得税を納める義務を持っていました者が九百三万人、市町村民税の所得割を納める義務を持っておった者が一千七十七万人、市町村民税の均等割を納める義務を持った者が二千百万人、こういう内訳でございます。従って、所得税と所得制とは非常に接近をしている、これは当然なことでありまして、所得割なり所得税と、市町村民税均等割との
関係は、ごく大ざっぱに申しまして一対二程度の
関係になっているわけでございます。ただし、これは全体についての
関係でございまして、たとえば年令七十をこえるものというようなものについて見ますというと、均等割だけを納めておって所得割を納めていないという御老人は非常に少くて、七十以上の御老人で市町村民税を納めるほどの人は同時に所得割を納める程度の所得を得ている、こういう
関係になりまして、七十以上ということになりますと、所得割と均等割を納める人の
関係は非常に接近をしております。これはいろいろな事情はありますけれ
ども、一応当局側が市町村民税を納める人の数を推計いたします際に、所得税を納める者をもとにして、五割程度の増を見込んだ
理由でございます。それでただいま申し上げました所得税を納める者九百三万の内訳でございますが、そのうち男が七百三十六万人、女が百六十七万人、カッコの中は七百三十六万人のうち四百九十三万人は妻を持っている、今度女のカッコ三十万は、百六十七万のうち三十万は妻である、こういう数でございます。それから公的年金適用者で納税義務を持っている人、これは男四百四万人、女百一万人、合せて五百五万でございます。従って、九百三万という所得税を納めております者の六割をこえる者が、六割くらいの者が公的年金の適用者である、ところが、全体の数から見ますと、公的年金適用者数は二十から五十九までの年令区間では、決してそんな割合ではなくて、せいぜい三分の一前後、こういう
関係になっているわけでございます。言いかえますというと、これは当然のことを
数字が表わしているわけでございますけれ
ども、今度
国民年金制度を実施することによりまして、初めて年金制度の対象になる人々の間には、所得税を納めるというような人々の割合が非常に低くなっているということが表われているわけであります。その数は三百九十八万人、うち男が三百三十二万、女が六十六万でございます。
それから間を飛ばしまして、均等割を見ていただきますと、納税者総数二千百万、うち男が千七百万人、女が四百万人、この二千百万人のうち、公的年金の適用者で市町村民税の均等割を納めているものが九百六十三万、未適用者で納めているものが千百三十七万、こういうふうに所得税なり、あるいは所得割で見ました
関係と、均等割で見ました
関係とが非常に違って参っているわけでございます。
それから次の二十表は、七十才以上の人員数を配偶
関係別に見たものであります。これはそこでごらんを願う通りであります。
それから二十一表は、七十才以上のものについて
生活維持のおもな方法で見たわけでございます。ずっと見ていただきますと、「扶養その他」というものが非常に多い。総数三百二万のうち八三%が扶養その他によって
生活を維持している。つまり子供たちによって養われているということになっているわけでございます。従って、今回実施されることが論議されておりまする老齢年金制度は、主としてこの個人的な扶養にかかっている非常な重みというものを相当程度軽減するということに役立つのであります。
それから二十二表は、同じく七十才以上の老人について世帯業態、被扶養者の有無、性別に出したものであります。これをごらんいただきますと、被扶養者ありというのが非常に少うございます。ですから、大体七十才以上の老人になると、御
自分自身が御
自分の力で
生活することがむずかしいので、従って、被扶養者を持っているということが非常に少いということになっているわけでございます。
それから二十三表は、同じく七十才以上の老人についての就業人員数、労働時間、世帯業態別に出したものであります。
二十四表は、扶養によって
生活している七十才以上の人員数、おもなる扶養者と同居しているかどうかというようなことを調べたものでございます。
それから第二十五表は、十六才未満の子のある母子世帯数について掲げたものでございます。母と十六才未満の子だけの世帯というと、三十三万世帯しかございません。ところが、十六才未満の子供を扶養しているいわゆる母子世帯あるいは準母子世帯といわれるものの総計が九十四万世帯でございまして、従って、それ以外の世帯はいずれも十六才をこえる子供があるかどうかということになるわけでございます。
二は、母と十六才未満の子のほかに十八才未満の子のいる世帯が七万三千、それから三は、母と十六才未満の子のほかに十八才以上の子のいる世帯が二十五万一千人、それから四は、母と十六才未満の子のほかにその他の者のいる世帯、つまり子供以外の者のいる世帯という意味でございます。これが二十六万世帯、それから五は、母以外の配偶者のない女子、つまり準母子世帯が二万七千人、こういうことでございます。
それから二十六表は類型別の母子世帯数でございましてこれはいろいろの組み合せを掲げたものでございます。
二十七表も同様なものでございますが、年金受給者と年金受給者でないものを今のそれぞれの組み合せによって分けたものでございます。
それから二十八表は、身体障害者手帳の所持者数をその等級別にまとめたものでございます。ここにありまする一級、二級というのが今度の
国民年金法案における一級にほぼ該当いたしております。三級というのが二級に該当しております。
それから二十九表は、障害の
種類、程度別に身体障害者の数を掲げたものでございます。
それから三十表は、今度は障害の
種類別、等級別にまとめたものでございます。
それから三十一表は、同じく身体障害者につきまして、生計維持のおもな方法についてまとめたものでございます。
それから三十二表は、身体障害者の手帳を持っている者につきまして、生計維持のおもな方法、社会保障給付の有無別にまとめたものでございます。
それから第三十三表は、年令階級別に将来人口を推計したものをここに掲げたわけでございます。年金受給者の開始年令を六十才にするか、六十五才にするかというような御議論を願います場合に、将来そうした場合にそれがどういうふうに動いていくかというような
関係を御判断願う場合の表でございます。これは三十九ページ、四十ページ、四十一ページ、四十二ページと、いずれもこれでございます。
それから四十三ページは、平均余命の推移を掲げたものでございます。これはそれぞれの年令における平均余命でございます。ここには出しておりませんけれ
ども、一番平均余命の長い時期は零才ではなくて一才でございます。これは考えてみれば当然のことなんでありますが、一才になるまでの間には案外死ぬ者が多い、こういう事情が零才における平均余命よりも一才における平均余命を長くさせているものでございます。従って、一才になるとこの零才の平均余命よりもやや多くなる。それからまた逐次減っていくと、こういうふうにお考え願えばいいわけでございます。
それから三十五表は、年金制度を組み立てます場合において、これは長期の制度でございますから、物価がどういうふうに動くかということ、これは非常に大きな問題でございますので、一体今までの物価がどういうふうに動いてきたかということをまとめてみたものでございます。もちろん、この表の通りに言い切ることはできることではございませんけれ
ども、この表をごらんいただきますと、おそらく先生方もおやという
気持になられると思いますけれ
ども、イギリス、
アメリカのような比較的経済の安定してきた国の場合は、物価の動きだけ見るというとあまり動いていない、見方によっては若干下っているというような傾向さえあるのであります。いずれもこれは戦前までのものでございますので、その後、第二次世界大戦を経験しましてかなり大きく動いておりまするので、一がいには言えないのでございますけれ
ども、まあ思ったより、物価そのものを見れば安定した経済のもとでは動いてない。しかし、まあ大体の一般の考え方としては、経済の発展というものは微弱なインフレ的傾向を伴うのだという考え方が強いようでございますから、将来の趨勢を見る場合には、若干の物価の動きということは考えなくちゃいかぬと思いますけれ
ども、思ったほど大きくないということが言えるような表でございます。ただし、これは
生活水準の上昇ということは別にしておりますから、
国民の所得とか、あるいは消費水準という点から見まするというと、もちろんイギリス、
アメリカはぐんぐん上っております。日本の場合は申し上げるまでもなく、非常に大きい物価の変動があったわけでございますが、それでも
昭和七、八年の満州事変の始まります前、特に
昭和の十年ごろまでをごらんいただきますというと、これは大体明治の初期に比べまして、およそ四倍程度ということになっております。従って、物価の動きだけを考えるというと、まあ満州事変以降のことを除いて考えますならば、四倍の動きがあったという程度のものだったということがわかるわけでございます。
以下大へん急行で申し上げましたけれ
ども、御
説明を終らせていただきます。