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1959-04-08 第31回国会 参議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月八日(水曜日)    午前十一時二分開会   —————————————   委員異動 四月七日委員安井謙君及び小山邦太郎辞任につき、その補欠として西郷吉 之助君及び田中啓一君を議長において 指名した。 本日委員酒井利雄君、田中啓一君、西 郷吉之助君及び上林忠次辞任につ き、その補欠として成田一郎君、佐藤 清一郎君、安井謙君及び田中茂穂君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            佐藤清一郎君            苫米地英俊君            成田 一郎君            西岡 ハル君            松野 孝一君            武藤 常介君            安井  謙君            内村 清次君            上條 愛一君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 遠藤 三郎君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   樺山 俊夫君    首都圏整備委員    会事務局計画第    二部長     石塚 久司君    建設政務次官  徳安 實藏君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 美馬 郁夫君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省道路局次    長       関盛 吉雄君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省計画局都    市計画課長   小林 忠雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○首都高速道路公団法案内閣提出、  衆議院送付) ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) これより建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  四月七日小山邦太郎君が委員辞任され、その補欠として田中啓一君が、また本日酒井利雄君、田中啓一君が委員辞任され、その補欠として成田一郎君、佐藤清一郎君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 首都高速道路公団法案を議題といたします。  前回に引き続いて質疑を続けます。質疑のおありの方は御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 前回委員会で質問のし残しがある。これは第四章第三十条基本計画についてでありますが、首都圏整備法の第二十一条第三項の整備計画に基いてこの基本計画をきめるということになっております。そこで首都圏整備委員会は、これは現在は建設大臣委員会委員長を兼任するから仕事連絡が十分つくものと思うけれども、首都高速道路公団単独立法をもってこうしてやるということになるならば、これは単独権というものは建設大臣が持っていると思うけれども、首都圏整備法あるいは首都圏整備委員会というものとの関連、それから首都圏整備委員会はただ単に計画の立案で事足りるのかどうかという問題、実体としては整備委員会委員長建設大臣がやっておるから、これは計画に対してはそごなくいくだろうと思うけれども、なぜここに事新しく首都圏整備法に基く基本計画でなければならぬとうたつてきたのか、その点どういう工合に解釈しているのか伺いたいと思います。
  5. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 御承知のように、首都圏整備委員会は、首都建設に関する各方面の有識者を集めて、官庁関係をも参加していただいて、首都圏の大きな建設についての問題を審議することになっておるのであります。この建設省との関係は、大臣首都圏委員長をかねることによって、人的にも交流をし密接な関係を保ちながら、首都圏整備委員会仕事の大部分建設関係につながるのでありますから、そこの連絡を密にいたしまして、両方が方針を二途に出るようなことがないように運営をしていくという建前になっておるのであります。首都圏整備委員会から基本計画が出ましたならば、それをまた建設大臣としてはよくこれを審議して最終的な決定をしていく、こういう建前になっておるわけでございます。その間に実際問題としては意見の違った二つの案が出てくることがないような仕組みをとっていく、こういうことになっておるわけでございます。
  6. 田中一

    田中一君 首都圏整備委員会建設省とは関連はありますけれども並立しているものなんです。そこで、もししいて首都圏整備法に基く計画というものを尊重されるならば、首都圏整備委員会委員長なりなんなりというものがこれに対して、基本計画に対する監督と申しますか、協力をするという形でなくてはならぬと思うのです。ただその計画だけを建設大臣が取り上げるということになっておりまするけれども、整備計画では建設大臣がすべてこの窓口になってやるんだということが、どこに書いてありますか。
  7. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 首都圏整備法によりますと、首都圏整備計画というものを首都圏整備委員会の方で立てることになりますが、この整備計画は二十一条にありますように、たとえば道路であるとか鉄道、公園、水道、河川住宅等に関しましていろいろ計画を立てまして、これを関係大臣勧告するという建前になっておりまして、この勧告を受けまして、各省の所管大臣がそれぞれ所管行政につきまして、その責任におきましていろいろ事業計画して実行するという建前になっております。
  8. 田中一

    田中一君 だからここに何もあらためて首都圏整備法に基く云々と書かないでも、この計画そのもの前提となってこの首都高速道路公団というものが設立されるんです、前提となってですね。従って、ここであらためて整備委員会との関連というよりも、建設大臣だけがこの高速道路に対する仕事を担当するんだということだけではないと思うのです。むろんこれには道路を作るということに、この基本計画そのものに対しては、あるいは経済の面からみても、首都圏という設立目的からみても、いろいろな要素が入っていると思うのです。それで整備委員会委員長というものがこれに参画するという形がとられないでいる点ですね。結局整備法に基く計画というものは確立している前提になっているはずですね。
  9. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) この基本計画はずっといきさつがございまして、昭和三十三年の八月でございますか、首都圏整備委員会におきまして、首都高速道路計画という計画委員会の方できめられまして、それが発表になっておるような次第でございまして、今回の高速道路基本計画もおおむねこの首都圏で定めた基本計画の線を受けておるわけであります。もちろん細部につきましてはいろいろ問題があるのでございますが、大筋としては八路線につきましては三十三年に首都圏の方できめた計画がございます。この原則を、受けて参っております。こういういきさつになっております。
  10. 田中一

    田中一君 そうすると、首都高速道路公団というものの実体というものは、首都圏高速道路公団であるというように解釈されるのですか。
  11. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) その場合の首都圏高速道路公団首都圏という意味はどういう意味かよく存じませんが、基本計画いきさつにつきましては、首都閥整備委員会の方で基本計画を打ち出した線をこの公団は踏襲しておると、こういうような事情になっております。
  12. 田中一

    田中一君 もともと首都圏整備委員会は、この目的にもあるように首都外計画を立てて整備計画が立っておるわけです。そのうちの一つであるということと、それから首都圏整備法の第二十一条の三項ですね、各事業種類を示してありますけれども、この事業一つであるならば実体というものは首都高速道路公団じゃなくして、首都圏高速道路事業を行うのだと解釈していいですか。
  13. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) そこはそういうふうな解釈はとれないと思いますが、ここに三十条で受けてきておりますのは、首都圏整備計画にはいろいろ道路計画河川計画等がございますが、この中で高速道路に関する計画というのが三十三年の八月に首都圏がきめて勧告しております。この首都高速道路に関する計画、いわゆる現在これが計画しております八路線そのもの計画でありますが、その計画をこの三十条は受けておるのでありまして、その計画自体首都圏全般対象とした計画ではありませんで、主として都内高速道路に関する計画と、こういうことになっておる次第でございます。
  14. 田中一

    田中一君 政府が提出した資料逐条説明を見ましても、十二ページに「建設大臣が、首都圏整備計画に基き、その基本計画を定め、これを公団指示することといたしてあります。この首都高速道路は、運輸行政との関係もあり、又これは、道路管理特例をなすものでありますので」とこう書いてあります。この特例とは何をさしておるのですか。特例とは何ですか。
  15. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) それは一般の道路道路管理者である公共団体管理するのが建前道路法上なっておりますが、この場合におきましては、基本計画公団指示されますと、その公団道路を新設し、改築する管理権を持つようになるわけでございまして、そういう管理権特例をさしておるのであります。
  16. 田中一

    田中一君 そうすると、首都圏整備計画に基く基本計画であるけれども、この分は都内首都圏内東京都の一部分事業だけを遂行するのだという形が明記されておるわけですが、これは将来ともにいろいろ今までの政府との質疑応答の中で伺っておるところでは、神奈川県のような例もある、千葉県のような例もあるから、だからそれらのものが参画するような場合もあるのだという説明を聞いておる。少くとも首都圏一部分であり、かつまた東京都内一部分だということではなくして、千葉県でも埼玉県でも、あるいは神奈川県でもこの事業に参画する場合があるのだという前提が立ってくるのですね。そうすると実体というものは首都圏計画であるというような善い方をしては間違いなんですか。
  17. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 私の言葉が多少足りませんでしたが、首都圏委員会勧告も、東京都内という表現は使っておりませんで、既成市街地における都市高速道路整備計画既成市街地という表現を使っておりまして、従ってこの法律建前も「東京都の区の存する区域及びその周辺地域において、」という言葉を使っておりまして、現在の計画ではその区域の内部でありますが、既成市街地と申しますと横浜なりあるいは川口なりそういう方面関連して参りますから、行政区域といたしましては都ばかりではなくして、そういう方向にも当然計画が発展すべきものだと考えております。ただ現在の段階におきましては、諸般のいろいろな事情によりまして都の区域だけになっておりますが、この法律自体は、そういう既成市街地に対しては延長できるような建前になっております。
  18. 田中一

    田中一君 だから実体というものは、首都圏高速道路というものを対象に考えているということは間違いないわけですね。首都圏内高速道路という考え方を持っているのは間違いないですね。その点どうなんです。
  19. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) これはそうでございます。首都圏全体に拡大される可能性を持った首都圏高速道路であります。ただし、今計画しておるのは東京都の一つのやつを計画しておりますけれども、首都閥整備委員会でさらに拡大してくればそこまでいく、首都圏範囲内にまで拡大されていく、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  20. 田中一

    田中一君 この法律建前がそういうようになっておるのです。そうすると実体は今、首都高速道路公団という名称をうたっていますけれども、実体としては首都欄高速道路公団でなくてはならぬと思うのです。そこでなぜ首都圏高速道路公団という名称を使わなかったのか。
  21. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 将来はそういうふうな目的を持っておりますが、ただいまのところはあくまでも首都中心としました既成市街地範囲を持っておりますから、こういうことでスタートさしたのでありまして、これを全域に広げるという場合が想定されますと、あるいはその場合には法律改正等の問題もまた考えられるかもわかりませんが、現在におきましてはあくまでも首都中心とした建前をとっておりますから、そういう名称になった次第でございます。
  22. 田中一

    田中一君 この法律建前は、ただあなたが、言っているように東京都の二十三区とその周辺東京都内市街地ということを規定していないのですよ。この法律建前というものは、どこまでも首部閥ということにならざるを得ない。今言うように基本計画というものは首都閥整備計画に基く計画だとなっているならば、一部ではなくて全般をさして立案されているものなんです。
  23. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) その点は多少私どもとニュアンスが違うのでありますが、この第一条でございますか、一条の目的のところに「区の存する区域及びその周辺地域」こういうことになっておりまして、これだけでは言葉としては多少明確じゃない点もございますが、その最後の方に「もって首部機能維持及び増進」こういうふうな言葉で結んでおりまして、あくまでこの高速道路遠距離間の連絡意味じゃなくして、首都機能維持のための高速道路であるというふうな建前もとつておりますし、また業務を定めました二十九条でございますか、二十九条にこういう路線をやる場合には都市計画としてやるのだ、というふうな表現も入っておりまして、あくまでもこの市街地、いわゆる既成市街地中心とした考え方をとっております。従って首都圏範囲内におきまして主として既成市街地というふうな考え方に立っておりますから、首都閥全般のたとえば山梨県とかあるいは栃木県とか群馬県とか、そういう遠距離までを含めました法律の体制には、ただいまのところではなっていないような状況でございます。
  24. 田中一

    田中一君 今あなたが言っているように、二十九条の業務範囲にしても、「東京都の区の存する区域及びその周辺地域」、これはあなたは山梨県の例をとるけれども、これは大田区の隣にあるところの川崎市を見てごらんなさい。あれはやはりりっぱな既成市街地でしょう。あれは周辺でしょう、周辺範壽に入るでしょう。
  25. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 川崎市は当然周辺に入って、これはいわゆる首都圏整備計画におきまする既成市街地に入っておりますから、こういう首都圏既成市街地のこの計画においても当然入っておるわけであります。
  26. 田中一

    田中一君 そうするとまあここで今あなたに伺ったように、管理特例というものは、公団にさせるから管理特例をなすものだといっておりますけれども、同時に計画そのものに対しては、区域内の問題については当該区域地方議会がこれを議決しなければならぬということになっている。参画するのは、少くともこの法律では当該区域行政の長が推薦する者は役員になるのだということをきめております、ここに。ところがこの法律実体というものは、ただ単に東京都だけを対象に考えておらぬということは、これは建設大臣もしばしば言明しております。そこで一ぺん議決すればそれでいいのだということではないと思うのです。自分行政区域内で別の人格が仕事をどんどん進めていく、基本計画をちっともはずれないでやっていくならば別です。いろいろの変更もあるだろうし、いろいろな問題があるだろうと思います。そういう場合に一人なり二人なりのそういう役員が出してあるから、その点は、議決された議会の意思というものはそのまま反映するのだという建前でいるのか、あるいは整備計画基本計画というものが変更されないとは限らない。一ぺん指示をして、建設大臣がそれに対して命令をしておるけれども、どうにもならないような障害が起きるかもしれない。そういう関連が、ただ建設大臣事業命令者であるということだけでなく、もう少し深い関連が、首都圏整備計画に基くものであるならば、結びつかなくちゃならぬと思います。今計画局長は、どこまでもこれは現在東京都のいわゆる首都の一部でやる事業である、それだけに限っているのだと言っておるけれども、この法律の体系というものは首都圏を目ざしておることは間違いないわけですね。将来どういう考え方を持っておるか、これは建設大臣はしばしば言っていますが、将来計画変更というか、そこまで伸びるような形の計画のもとをなすものだということをいっている。そうすれば実体というものはもう首都圏高速道路公団法でなくちゃならぬと思うのです。一種のこれは地方計画ですから。そうして東京都の高速道路計画というものは、これは神奈川県なり千葉県なり埼玉県なりに全然関係がないということをいえないのですよ。経済面から見てもあらゆる面から見て孤立したものであるということはいえないのです、深い関係がある。そうすればこの計画に基く参面者首都圏内当該事業関係する者が参両したって一向差しつかえない、また参面さるべきなんです。たとえば先般通った例の九州地方開発促進法なども、九州地方という一種地方計画として関係行政庁はこれに参画しておる。部分的な東京都内のある部分事業をするのだというならば、何もこうした公団を作る必要がないのです、日本道路公団にやらせなさい。現にやっているじゃないか。きのうも実地調査をしてみると、浜離宮のわきには一億何千万出して道路公団がやっているじゃないか。部分的なそうしたものならば、何もあえて首都高速道路公団を作る必要はないのです。道路公団にやらせればいい。少くともわれわれは首都中心とするところの交通というものを緩和さすというか、これを効率あらしめるために計画を作成して新しい公団を作るのだというように理解しなければ、何もあえてこういうものを作る必要がないのです、道路公団でおやりなさい、できるのだから。そういう点について根本的な思想的にこの首都高速道路公園はどの方向にいくのだということは、首都圏整備委員会では考えておると思うのです。いわゆる首都圏整備ということを考えるならば、東京都のみを考えて首都圏ということを考えられないのです。むろん周辺の、まああなたが言っているように既成都市というものはたくさん周辺にあるわけですね、これとの関連を考えないで首都圏整備委員会がものを考えるはずがないのです。もしあなたが覆うような、部分的なものならば東京都にやらしてもいいのです。東京都がそういう能力を持っています。あるいはそれが能力がないとするならば、日本道路公団にやらせればいい。その点はもう少し、はっきりと方向をお示しになるなり、考え方なり、また首都圏整備委員会はどういう指示をしたか、何か命令書でもあるのですか、勧告書でもあるのですか、勧告書資料で出ていますか。  今専門員から聞いてみると、ここに三月に報告されている首都圏整備委員会からの首都圏整備計画の作成及び実施状況報告書というのがありますけれども、これはこっちに資料で来ておりますか。
  27. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) お配りしました参考資料の二ページでございます。二ページの(B)に、既成市街地における都市高速道路整備計画首都圏整備委員会三十三年四月となっていますが、これは七月の誤りでございまして、これにずっと整備計画内容がございまして、添付資料として一号線から八号線までの路線が入っております。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると、これは委員長遠藤三郎君の報告書でありますけれども、首都圏整備計画決定、このうちの基本計画ができ、次に第二として首都圏内重要連絡幹線道路整備計画、これは既成市街地市街地開発区域間及び市街地開発区域間相互間を結ぶものとなっているが、これは当然東京都のみならず周辺の県にも及ぶということは言えるわけですね、この計画は。それから第三の問題ですね、既成市街地に関する各般重要施設整備計画、これはいろいろあります。道路計画も入っております。港湾その他全部あります。そこでそのうちの第十四項に都市高速道路整備計画というのがあげてある。ここに初めて四十一年までに八路線九十一キロを建設しようとするんだと、こうなっておりますね。そうすると、結局この首都風速道路公団というものは、この計画のうちの既成市街地に関する各般重要施設整備計画のうちの一つとして、この公団を作るということになるわけですか。
  29. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) とりあえずのスタートとしてはそういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 田中一

    田中一君 とりあえずのスタートもくそもない。とりあえずのスタートというものは、この計画に基くならばやはり首都圏内重要連絡幹線道路整備計画にならなくちゃならないのです。そのうちの一部分で、しかも目的はこのきめられたところの第二の首都圏内重要連絡幹線道路整備計画にいかなければならないのですね。委員長報告はそれをさしているのです。そのうちのこれは一部分だということならば、やはり首都間全般高速道路計画というものが策定されなくちゃならぬのです。
  31. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 現在のところ首都圏全般に対する高速道路計画は、首都圏の方ではございませんで、現在あるのは既成市街地における都市高速道路と、こういう計画しか首都圏の方にはございません。
  32. 田中一

    田中一君 どうもじゃ、首都圏整備委員会のだれか呼んで下さい。だれか来ていますか。
  33. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 来ています。
  34. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 首都圏事務局長が来ておりますから、あとで詳しく説明をさせたいと思いますけれども、今田中委員のおっしゃる趣旨はこれはその通りだと私も思います。この道路計画首都閥全体について、しかもその中の既成市街地で、山の中へ持っていくというのではなくて、首都圏既成市街地東京都だけでなくて神奈川埼玉県とこう伸びていく。しかしさしあたりこうなっていくとしても、将来は伸びていく。第二次計画か第三次計画かで伸びていく。そういう趣旨にお考えいただくことが正しいと思います。今あなたのおっしゃる通りなんです。
  35. 田中一

    田中一君 ちっともあなたのおっしゃることと変っていないのです。ただ、それならばこれは地方計画は何も特別に公団を作る必要も何もないのです。東京都をしてなさしめればいいのです。それが負担し得ないとするならば日本道路公団にさせればいいのです、その一部は現にやっているんだから。そういうところが、首都圏整備計画と相待って、この公団設立というものがただ単に第一段階のものであるならばその必要はない。しかしながら、これが首都圏整備計画決定として委員長から報告されておるものを見ますと、やはりここに大きく首都圏内重要連絡幹線道路整備計画というものは確立されてあるのですよ。だからこれをねらっていくのだというならばこれはまあいいけれども、それならば首都圏高速道路公団なんです。これはまた一面、計画同一つ自分設置法から見ても計画局でやる道路事業というものが全部補助事業である。そしてせめて法律でこういう工合な縮め方をして、外郭団体一つ持ちたいというならばこれはいざ知らず、これは道路局長にも伺わなけりゃならぬのは、実際に首都樹整備計画の根幹をなすものはやはり他の隣接の方もある、三十五区ばかりじゃない、三十五区とか市街地というと計画局の方の主管になる。けれども実際に首都圏というものを考えた場合には、これは何も計画局で持つべきものでなくて、道路局がこれを握って運営することが一番正しい行き方なんですよ。ここに遠藤委員長はちゃんと報告してあるのです。この程度の事業を五カ年計画東京都ができないことはないのです。どっちみち請負に出すのですから、自分で何もやろうというのじゃないのですから。金さえあれはできるのです。計画されておる資金がくれば文句ないのです。だからこれは今大臣も言っているように、一ぺん首都圏整備委員会の方からこの首都圏整備計画決定昭和三十三年六月十六日で決定したという内容について、そのうちの首都欄内重要連絡幹線道路整備計画説明を願いたい。
  36. 樺山俊夫

    政府委員(樺山俊夫君) ただいまお述べがございました首都圏内の重要連絡幹線道路網につきましては、先ほどお話がございましたように、首都圏全域にわたりまして、既成市街地市街地開発区域間及び市街地開発区域相互間の交通を連絡いたしますために、首都圏全域にわたりまして重要幹線道路網を整備するという計画でございます。それと、ただいま議題になっておりまする首都中心部におきまする交通の輻湊を緩和いたしまするために、高速道路建設するという問題につきましては、それぞれ交通の疎通という面からは、お話がございましたようにいろいろな関連をもちまして考えていかなければならぬと思います。ただ他の委員会決定しました取扱いといたしましては、重要連絡幹線道路網を一つ考え方として策定をいたしまして、それと一応別個に既成市街地内におきまする、特に首都中心部におきまする自動車交通の輻湊を緩和をいたし、そして一般街路の能率化をはかるというわけで、既成市街地内に一応限りまして高速道路網を建設をするというような別個の一応扱いをいたしまして、決定をいたしております。ただ先ほど申し上げましたように、その間におきましては当然相互の間の関連を考えて策定をしたことは事実でございますけれども、一応、きめ方といたしましては別個のきめ方をいたしておる、こういう状況でございます。
  37. 田中一

    田中一君 まあ委員長報告書を見ると別個になっているけれども、それはこれを受けていろんな港湾とかたとえば宅地の問題とかいう項目の方にこれを表わしているのです。それならばこうして単行法で一つの塾本体を作る必要は何もないんです。東京都でできるんです。これが首都圏としての大きな構想のもとに、その一部分として出発しているものならば、これは何べんも前回委員会でも大臣が言っておるように、単にこれだけではございませんで、まだ伸びるのでございますということをしばしば言っている。これは今事務局長の言ったことと構想はちっとも変りはないんです。計画局長は、これは一つでございます、この部分だけでございますと説明している。それならば何もこうした一つの企業体を作る必要はないんです。
  38. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) この法律におきましても、東京都という表現はどこにもとっておりませんで、たとえば資本金につきましても「政令で定める地方公共団体」、こういうふうな表現をとっておりまして、現在の八路線都内部分だけでございますが、近き将来には既成市街地であります横浜であるとか川崎であるとか、あるいは川口方面等に伸びる可能性もありますので、そういう場合には公共団体が複数に入ってくる場合もございますから、私どももこの法律でも、都だけでやるような建前にはなっておりませんから御了承願いたいと思います。
  39. 田中一

    田中一君 そうなっておらないから私は質問しているわけなんです。市街地市街地というけれども首都圏内既成市街地というものはたくさんあります。ですけれども行政区域が違う場合が将来あり得るんですね。それならば一つの大きな構想として公団設立等も、事業は別としても認めてもいい。ただ東京都だけの仕事をするんだということのみあなたが強く言うのならば、これは八路線だけで仕事を終るんだということであれば、あえてこんなものを作る必要はないわけです。東京都にやらせればいいんです。東京都の中に置いたってかまわないんです。東京都というものは一千億以上の予算をもって卒業をやっているんですから十分できますよ。そこのところはもう少しこれはまあ首都圏高速道路公団といえば文句はないんです。そういう形なんですから、この法文の構成というものはそういう形になっているんです。今計画局長が言うように何も特別に東京都という明文がないわけなんです。なぜ首都高速道路公団という名称にしているか、実体と違うじゃないか、こういう質問なんです。あるいは伸びた場合には、この報告辞の第二の決定案による首都圏全体に対する整備計画というものが伸びる場合には、首都圏高速道路公団という名称に変えますということなのか、どうなんですか。
  40. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 現在の法律ではまあ既成市街地というものを対象とした法律になっておりますが、将来この首都全般に通ずる高速道路計画がいろいろはっきりして参りまして、そういうふうな必要な事態ができますれば、あるいはおそらくこの法律、まあこれもいろいろ範囲がどの程度までというような問題になってくると思いますが、まあ私どもが立案した気持は、あくまでもこれは東京都だけに限ったわけではありませんで、横浜とかその他既成市街地は入りますが、全般的に広めていく場合には、おそらくこの一条なりその他の関係条文を修正しなければこの公団ではやれないのではないか、というふうな気持がいたしております。
  41. 田中一

    田中一君 やれますよ。今言う通りこの構想が首都圏全般にわたるものをやりたいんだ、ただ計画局が持っている、何といいますか職務分掌というんですか、それから見る場合には計画局では握れないけれども、道路局がこれを握れば握れるでしょう。道路局長どうですか。
  42. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) この首都高速道路公団は、先ほどからお話がございましたように、もちろん首都欄内全体を見渡していろいろ計画を立てる。その計画によりまして事業を実施すると思いますが、そのうち法律によりまして、既成市街地におきまして自動車の専用道路を作る、こういうことに相なっております。従いまして、首都圏外の重要な道路整備計画がたくさんございましょうけれども、それら全部を必ずこの公団がやるというわけではなくて、既成市街地における、しかも自動車専用道路を実施する。従いまして、ただいまのところはこの事業計画が、たまたま東京都の区部と申しますか東京都内に相なっておりますが、そうして現在におきましても川崎、横浜あるいはまた川口等のあたりまでは既成市街地が続いておりますので、当然この高速道路公団事業対象になり得るわけでございます。現在の計画ではたまたまそれが東京都内になっているということ、将来必要があれば、それからまたさらに既成市街がもっと伸びていくならば、首都圏内の相当の部分にわたって事業計画が進められるものとかように考えております。
  43. 田中一

    田中一君 道路所管というものをばらばらにしているからそういうことになるのであって、道路の面から見れば市街地を通っている道路であろうと、農村を通っている道路であろうとちっとも道路の本質には変りないから、これは政府の方でそういう分け方をしてやっているから、何かどうも道路の赤い道路とか黒い道路になってしまう。しかしこれがもし今言っているような形の既成都市内ということになるのであったならば、何も首都圏なんか要らない。大臣東京都に向ってこういうふうにおやりなさい、しかし東京都ができなければ公団を作って上げましょうということになればいいんです。何も首都圏計画ということにならぬでもいいんです。どうも私は首都圏整備委員会というものに対しては好意が持てない。好意が持てないからそういう難くせをつけるんじゃないけれども、むろんその基本計画というものは、首都圏整備委員会でなくても考えてもいいんです。それは何も首都圏整備委員会基本計画を策定したんだということをうたわなくてもいいんです。そうしなければならない場合には、建設大臣が財政上の措置をして、また東京都が事業主体になるならば東京都に命ずればいいんです。この法律の中に突如としてこの基本計画だけについて、すぽっと首都圏整備委員会のきめた基本計画でございますというようなうたい方をしているからおかしな印象を受ける。何も必要はない。東京都自身でこれだけの事業をする力があるならば自分がきめて、むろんこれは道路でありますから所管大臣の承認を受ければ単独事業でも行える。何もあえて首都圏整備委員会計画を、そのまま首都圏整備委員会のものでございますという認め方をしなくてもできる。この三十条だけがすぽっと異質のものが生まれてきている。首都圏整備委員会がおれが計画したんだ、というそれだけきりのことです。この計画は何も専売特許でございません、東京都も考えたことであろうしまた建設省しても考えたことであろうと思います。何も首都圏整備委員会がおれの専売特許だからといって何もうたう必要がない。そこに妙な印象を受ける。だからここでその関連がどうなっているかということをつい調べるようになってしまう。こういう首都圏整備委員会の策定した基本計画でなければこの仕事ができない、というものじゃないと思うんですがどうですか。
  44. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その点はお示しのように、首都圏整備委員会の策定した計画でなければ道路はできないというものではないと思います。ただ御承知のように首都圏整備委員会というものができた趣旨は、首都圏建設計画をやって参ります場合に各省がこれに関係しておるわけでございます。たとえば地下鉄の計画をやる場合にこれは運輸省が関係し、あるいは路面電車の場合あるいは私鉄なんかの場合、そういうことをずうっと考えて参りますと各省がばらばらに自分の思いのままにやって参りますと、首都圏の総合的な建設計画というものができなくなって参ります。そこで一応首都圏整備委員会という機関を通して、その機関で濾過しまして総合性をそこに持たしていく、こういう考え方首都圏整備委員会の基本的な考え方だと私は思うのでございます。そこでなるべく私は、たとえば今後地下鉄を作る場合においても、首都圏整備委員会の審議を経てあそこを濾過した全体の道路計画、あるいは私鉄計画、路面電車計画、その他の交通全体の計画の一環として地下鉄を作らせる。その地下鉄の計画というものは、首都圏なり全体の計画を見た、その全体の計画一部分である、こういうふうなことで総合的な首都圏建設をやっていくということに力を入れていきたい、という考えを持っておるものでございます。それでないとばらばらになってしまって首都圏の問題というものはなかなか解決して参りません。そこでその考え方を強く入れていきたいというのが一つのねらいであったわけであります。お話のように東京都として、首都圏整備委員会というものができてきたことは多少目ざわりな点もありますけれども、そういう積極的な意図をもって首都圏計画建設省のやっている計画というものに一つの脈が通ずるような、しかもそれは全体の計画一部分として総合性を持ったものであるということを強調して参りまし三事実そういうふうに動かしていきたいという意図をこの法律に表わしておるわけであります。私の希望としましては、将来地下鉄計画をするについても地下鉄は勝手に運輸大臣がやらないで、やはり首都圏整備委員会の議決を経ていく、あるいは埋立計画をやるというふうな場合でも、首都圏整備委員会の審議を経てそれぞれの所管官庁が埋め立てをしていく、こういうふうにやって参りたいという考えでございます。
  45. 田中一

    田中一君 そうすると、今後いかなる法律にも、首都圏整備委員会で立案したものは、ちゃんとどこでも、これは首都圏整備委員会できめたところの基本計画でありますということを、うたうことに約束できますね。
  46. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) いかなる法律というような意味の約束もできないのでございますが……。
  47. 田中一

    田中一君 いかなる計画でもということです。
  48. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) でき得る限りそうしていきたい、そうして総合性を失わせないようにしていきたい、こういう考えでございます。
  49. 田中一

    田中一君 あなたは、日本の国土計画、国土を主管している国務大臣です。従って、総合件というものを考慮しない計画はないと思うのです。あなたの行おうとする事業全般にわたってですね。これは、政治の貧困で各所管大臣との意見の対立等、これは大臣じゃなくて、そこら辺に並んでいる局長あたりがセクトを持っておって、なかなか話がつかないというのが実情であって、政治の貧困からそういう緩衝地帯を設けて、そこで建設大臣がその委員長となってお墨付きを示しながら、仕事をスムースに進めていこうという考え方ならば、これはあってもなくてもいいものだけれども、これは今の政治の実態からみて、また政府の実態からみてやむを得ぬものだと思うけれども、この法律の案文の中に突如としてこの計画でございますということをうたうから、私は非常に不思議に思うのです。何もそういううたい方をしないでも仕事はできるのです。それで今あなたが、首都圏整備委員会を持つ理由ということ、これは縮めて言えば、政府部内の調整機関的な役割を々果すのだということにしかすぎないので、すね。今後ともそういう形で一切の計画というものが、首都圏整備委員会計画の一環としてそれが示されるというならば、これは今後そういうことでいこうというのならば一向差しつかえはないけれども、あえて公団法の法律の中にそういうことをうたわないでも、実体としては一向仕事には差しつかえないと思うのです。こういうものが突如として出てくるから、こういう時間つぶしな質問をしなければならなくなってくるのです。この点はそれでいいです。
  50. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 第四章までは前回質疑が一通り済みましたから、今日は第五章から始めたいと思います。質疑のある方は……。
  51. 内村清次

    ○内村清次君 この前の委員会のときに大臣に私も質問いたしましたが、これは本首都高速道路公団設立にあたりまして、基本計画というものがいつごろからどう立てられたものであるか。たまたま昨日私たちもその八路線を見せていただいたわけです。そこでこの前の質問にもありましたように、とにかく古川橋あたり二号路線関係で見ますと、各住宅には絶対反対のビラが間断なく張ってあるのです。私もびっくりしちゃったのです。それでもちろん私たちもこの陳情請願書というものは内容的には見ておりました。確かにこれは住民の方々が今度の建設計画に対して相当な被害をこうむった。しかもその被害に対しては何ら補償も考えておらないとか、あるいはまたそのために店舗が店舗の機能を停止するような状態にもなってくるし、あまりにもその被害の甚大なことに対して、住民の方々はああいった間断ないところの絶対反対のビラというものを貼付されておると私たちは感じたわけです。そこでこの計画の過程において住民の方々と計画をあらかじめ十分話して、そうして納得のいくような手段を今日までとられておったのかどうか。また今危惧されておるような事態に対して、大臣として、今度この法案がもし通過でもするというような際においては、本格的な建設の際においてはそういった反対の強い所はよけて通る、計画変更するというような御意向があるかどうか、私はきのう見まして非常に実感的に考えましたから、この点は十分一つ、はっきりと大臣に責任を持った言明をしておいてもらわないと、私たちはこの法案を軽々に通過させるというようなことはできない、こう思うわけです。
  52. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その点につきましては、昨日の委員会でも申し上げましたが、ただいま計画しております八路線は一応の計画であります。この公団の構想を練っていく場合の基礎になる一応の計画というものを作ってあるのでありまして、あれはまだもちろん確定しておりません。従って用地買収その他について交渉はしておらないと思うのであります。地元の方に納得していただくような工作もしておらないと思うのです。この法律通りまして基本計画がきまりましたならば、その基本的な計画に従って果してどこを通るかという具体的な決定をしていかなければならぬと思うのでありますが、その際に私はこういう考えを持っておるのであります。道路を作って参るのでありますから全然迷惑をかけないということにはならぬでありましょう。ある程度迷惑をかけていかなければ道路はできないのでありますから、首都全体として高速道路が必要だということであれば、その必要の上に立ってそして関係の地元の皆さんに話し合いをして参りまして、そしてそれが非常に無理な計画であるような場合には、他に変える方法があるならばそれに変えていくと、そのために店を閉じてしまわなければならぬというような人が出てくればかえ地を差し上げるとか、あるいは道路の下の部分を事務所、あるいは店等に使うとかいうようなことを考えて参りまして、しかもそれが非常に非常識な迷惑をかけるようなことはさせないようにしていきたい、その関係の犠牲になる人に対しては、どうしてもそこは犠牲にしなければならぬという場合には十分な補償も考え、話し合いをしまして用地の買収等もやっていく。そのかわりそのかえ地をあっせんするとか細かなめんどうを見ていく、こういうことで賛成をしていただくように話し合いをしていきたい、こういう考えでございます。
  53. 内村清次

    ○内村清次君 まあ大臣の答弁によりますと、あれは一応の予定の計画であって、今後法案が通過すればまたあらためて一つ考え直すということですがね。どうも私たちはその大臣の意向というものが、まあ現場関係はもうすでにあれは既定線だというような感じが強いと思うのですね、まあ説明の状態から見て参りますと。そういたしますと家屋関係に立ちのきだとかあるいは取りこわしというような被害があるのが、一体どのくらいの予想か。私たちが聞けば三千戸ぐらいの被害戸数があるのだとか、あるいはまた河川関係の上を通るというようなものが三割七分だとか、あるいはまた街路の関係が三割八分だとか、あるいはまた一般の宅地を排除していく、まあ買い取っていくというのが三割八分ぐらいだというような予想を聞いておりますが、一体そういった実態というものはどうなっておるかですね、この点は一つはっきりしておいていただきたいと思うのですがね。
  54. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その用地買収の大体の見通し等についても、これはほんとうの大ざっぱな見通しでありまして、実際実測をして参っていろんな積算をして参りませんとはっきりしたことは出て参りません。それは決して私は逃げる意味で言っておるのではございません。まだこの計画が確定しておらないものですから、およその計画路線としておよその見当をつけておるにすぎないのであります。その見当をつけるだけであっても、末端の方へ参りますときまったものだというようなことでやっておるかもしれませんが、それは行き過ぎであります。この法律通りそして実施計画というものを確定しなければなりませんが、実施計画を確定する前に今度は精密なる実地調査をやって参りまして、それで初めていろんな問題がはっきり出てくるわけであります。その際に少しでも反対があったらやりませんということであれば、これは高速道路なんかできないのであります。ですから道路を作るという建前のもとに立って、それが非常に無理なことをしいるようなときには無理なことはさせないようにしていく、すべての人が常識的に見てやむを得ないというところで話し合いをしていきたいと、こう思うわけであります。それを決して強引に力にまかせてやっていこうなどという考えは毛頭ございません。  少し余談になりますけれども、首都圏のこの公団法律案通りましたならば、人事をやらなければなりませんけれども、人事をやるについても私はまだ全く白紙ですが、しかしただいたずらに権力だけでがちゃがちゃ押していったり、あるいは高踏的にやるような人を避けてじっくり話し合いをやっていくような人を選んでいきたいと、そこまで考えて無理のないようにこの計画を進めて参りたい、そういう考えでございます。
  55. 内村清次

    ○内村清次君 この点は私たちは、法案がどういうふうな推移をもって今後可決するものか、また可決しないものか、これはまた委員会の空気にもよるわけでございますけれども、あの地帯を通りますと実測そのもの、いわゆる調査実測そのものも立ち入りは拒否するという点を明確にしてあるのですね。これは強い決意だと思うのです。またああいった店舗を全部もう取りこわしてしまうというようなことになってくれば、住民の不安というものは大へんなことだと思うのですね。そうしてみると相当あの地帯においてはこれは大きな紛争が予想されておる。なぜに今日までそれを秘密のうちにああやって計画そのものを押し通してこられたのか。こういった点が不可解でわからぬのですね。話を聞けばもう三年前からこの計画をしかかっておった、こういったようなことを聞いておりますが、その間一回も住民の方々に寄り合いを願って、そしてこの地点はこうなりますよというような御相談がない。しかもあそこの第二号線あたりは紆余曲折ですわ。住民の人たちはなるたけ地下を通してもらいたいというような意見もありましょうし、そういった切実な希望自体を考えて、そうして自動車の交通量その他を比較して、それはなるたけよけていかなくちゃならぬのじゃないか。  しかもいま一つの点は、この前も大臣に質問しましたが、非常にこのたびの法律案の第四条において政令をもってこれをきめるというような個所が出ておりますが、これはやつぱり住民投票に持っていかなければならないと思う。憲法九上五条の適用を受ける。すなわち一地方の公共団体のみに適用される特別法の形が十分にあるとこう私たちはにらんでおるのです。大臣やその他政府の人たちは、これは横浜まで行くのだとかいうようなことで弁解しておられますけれども、そうしたならばあの地方公共団体の憲法九十五条という問題を考え合せて、なるたけ地方住民には損害をかけさせてはならない、住民の強力な反対がないようなあれを、この憲法の九十五条をよけるとすればそういった方法を多分に考えてもらわなくてはならないと私は思うのです。
  56. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ただいまの御質問の趣旨はごもっともと思います。できる限り私は話し合いをしまして、納得できるように一つやって参りたいと考えております。
  57. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  58. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をつけて。それでは暫時休憩をいたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時四十分開会
  59. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。  首都高速道路公団法案質疑を続行いたします。前回までに逐条的に第四章まで終りましたから、第五章から始めます。
  60. 内村清次

    ○内村清次君 第五章からでございますが、ちょっと前の章にさかのぼりまして一、二点お尋ねをしておきたいと思いますが、これも昨日基本計画を調査いたしました結果におきまして、幅員が四車線のところがあるようでありまして、これはもうほとんど完成と同時にいわゆる交通上の混乱というものが起きる、飽和状態に達しはしないかというような点も考えられますが、これに対しましてはどういう対策をとられるか、これが第一点です。  それから第二といたしましては、今回の自動車道路計画のうちに、バスに対する考慮がないようでございますが、この点に対しましてはどういう考慮を持っておられるか、まずこの二点をお尋ねしておきます。
  61. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 最初の単線の問題でございますが、高速道路の八路線につきましては、この基本計画におきまして車線数は四車線で十六メートルになっております。この四車線をとりましたのは、従来東京都の交通事情の調査をいろいろやっておりまして、現在の車の方向であるとか、あるいは台数であるとか通過地点のいろいろな交通量を調べまして、そういうものに基きまして今後まあ四車線であったらおおむねやっていける、という結果に基いた結論をとっておるわけでございます。  それから今のバスの問題でございますが、この路線につきましては昨日いろいろごらん下さいましたように、渋谷であるとか新宿であるとか池袋であるとか、こういういわゆる副都心から都の中心部に向って流れ込んでくる形になっておりまして、距離にいたしましてもそう長い距離ではございません。従って区間におきましてあまりたくさんストップを作りますと、そうでなくても混雑します道路が非常に混雑になりますので、いろいろ問題はあるとは思いますが、しかしやはり昇降口は一キロに一カ所程度設けることになっております。バス等につきましても昇降口を作りまして、都心部に向って副都心部からやってくるようなバスの停留所等は設けなきゃならぬのじゃないかというふうに考えております。ただバスの停留所を設けることにつきまして、高速道路自体の交通に支障があってはなりませんから、こういう点につきましてはいろいろ技術的な検討はしなければならぬと思いますが、建前としてはやはりバス等もこの線路に乗り得るように考えていかなければならぬじゃないかというふうに考えております。
  62. 内村清次

    ○内村清次君 それから第三の役員及び職員の項の第十九条「理事長は、公団を代表し、その業務を総理する。」この公団の運営の責任になる理事長の選出の問題ですが、これは建設大臣の方でやはり御指名があるだろうと思うのですけれども、この公団業務の面におきましても、私が昨日この委員会で質問いたしましたように相当、事務所、店舗、倉庫という施設を管理運営する、貸し付けをする、昨日は私は、利権のにおいが相当あるからしてそういった利権を伴うような運営に対しては、大臣としてはどういうお考えであるかということも質問したわけでございますけれども、この理事長に特に地方公共団体に深い関係のあるような人たちがなれば、特にそういった利権、汚職の関係というものができはしないかという心配があるわけです。これは従来もそういう経験はたくさんあります。現在都政の中にも非常に汚職の状態が頻々として起っていることは大臣も御承知の通りですから、相当な資本傘も政府のまた貸し付けもあるというようなことで、膨大な資金をかかえての今後の事業であります以上、理事長の任命ということは重要な問題であろうと思うのですが、大臣は一体どういうお考えであるか。
  63. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 理事長にどういう者を選ぶかということが、実は私この公団をうまく成功するかしないかの分かれめになると思うのであります。従いまして理事長は何人が見ても納得できるような識見の商い、しか本事業を大幅にやっていく公団でありますから、その事業の経験のあるような人を選びたいということで、今まだ外部に対して相談はいたしておりませんが、私自身苦慮してまじめな選考をしてみたいと思っております。
  64. 内村清次

    ○内村清次君 私が質問をいたしました要点というものは、地方公共団体に相当関係の深いような人たち、まあ端的にいいますると都知事と密接な関係がある方、あるいはまた任命する今の内閣は保守内閣ですから、あなた方がそういった大臣関係のあるような人たちを理事長にするとか、そういった人的つながりによってくる弊害というものが、私たちはその利権を生む相当根拠になりはしないか、よほどこれは注意して人物の選定をしていただきたい。それから特定のそういった公共団体に深い因縁のある人、大臣やその他権力を持っている人と関係のある人、こういう人たちを選ぶか選ばないかという心配です。この点はいかがですか。
  65. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 地方公共団体の現在長にある者は、この法律の二十二条で欠格条項になっておりますから選びません。しかし前歴がどういうことであるかということについては、これまた十分一つよく考えてみまして何人も納得できるようなりっぱな人を選ぶようにやりたい、そういうことになって参りますとなかなかその選考の範囲というものが狭くなってくるのでありますけれども、前歴が何かということにあまりとらわれないで、この人ならばりっぱで何人も納得できるという人を選んでいきたいと、こう思っておる次第であります。
  66. 内村清次

    ○内村清次君 この第二十二条の役員の欠格条項ですね、これは十分わかります。「第十三条第一号から第三号までの一に掲げる者」、国家公務員である者というような規定、それから「又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員」、これはもう欠格条項はわかりますが、私は先ほど言ったのは、そういった地方公共団体と深い関係があるような人たちですね、ここに問題点があると思うのですね。ここに従来やはり東京都政というものが腐敗をしておるのですからして、だから私たちはそういった深い関係という点は、一つ大臣の公正な考え方から選んでもらわなくちゃならぬと、こう私は思っておるのです。
  67. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その点は十分一つ考えていきたいと思います。
  68. 内村清次

    ○内村清次君 それから第五章の中に入りますが、四十二条に「業務上の余裕金を運用してはならない」、そうしてその一として「国債その他建設大臣の指定する有価証券の取得」とこうなっておるのですね。それから「銀行への預金又は郵便貯金」とこうなっておるのですが、特にこの「有価証券の取得」というような一項目をこう入れたのは、私はいろいろな法律規定の中にも、こういった公団組織の中に他に類があるかと思っておりますが、これはどういう考えでこういった有価証券というものを公団自体が取得するようなことを考えておられるのか。
  69. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 実はこの関係は、やはり地方公共団体の出資が入っております住宅公団の場合をまねたと申しましょうか、前例としてとったのでありまして、もちろん公団には相当事業をどんどんやりますから、余裕金等もなかなか出ない場合が多いのでありますけれども、しかし万一出た場合には公団で勝手に不当に余裕金の運用をやっちゃ困りますから、こういうふうな四十二条を設けましてしばっていったわけであります。で国債は、これは非常にだれが見ても約得できるような問題でありますが、ただ国債だけでは間に合わぬ場合があります。と申しますのは国債と申しましても、これは長期の国債では余裕金の性格上だめでございますから、短期の国債というふうなことになるだろうと思います。そういうふうに縛られてくると、現在発行せられております国債等にも相当制限がありますので、どうしてもそのときの金繰り上有価証券等も認めていかなければならぬ場合ができてくるだろうと思います。じゃ現実にはどういうものを指定するかという問題でありますが、住宅公団におきましては、出資している地方公共団体が発行する地方債を指定してやっております。この公団におきましても、建設大臣が今後の指定の問題でございますが指定する場合には、そういうふうな出資団体の発行する地方債等に限定していったらどうだろうか、というふうに考えておる次第でございます。
  70. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、まあ地方債だけに大体限定していって、あとの証券その他は含まないというお考え方ですか、確認しておきたいと思います。
  71. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 現在のところはそういう必要は認めておりません。
  72. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 他に御質疑がなければ次の章に移りたいと思います。第六章、……よろしゅうございますか、質問ありませんか。……第七章補足であります。第八章も一括して質問をいたします。……第八章、別に御質問がなければ付則をあわせて……。
  73. 松野孝一

    ○松野孝一君 ちょっと六章ですが、簡単なことですけれども、四十六条の第三項に「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」とありますが、これはどういう意味でこういうことを入れたのですか。お聞かせ願いたい。
  74. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) これは各種の行政法規におきまして、立ち入り検査をいたします場合、約十年ぐらい前からの法律はすべてこういう明文になっておりますが、憲法によりまして住居への立ち入りその他についての基本的な人権が保障されておりますので、犯罪捜査のためのそういう権限はすべて刑事法規に基いて、特定の権限を持ちました司法警察官その他が当ることになっておりますので、そういうような司法警察権的な意味の立ち入り検査権ではない、ということを念のために例示する意味で、すべてのこういう条文には例としてこういう条項が入っております。
  75. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 私もさかのぼってですが、五十条の「大蔵大臣と協議しなければならない」という項目の中で、第二号の「第三十条第一項の基本計画を定めようとするとき」とこういうものがあるのですが、これは首都圏委員会でも基本計画はきまっておるのに、何ゆえに大蔵大臣にこれを協議することになるのですか。
  76. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) この五十条の第二号は、実はこの公団におきまして基本計画建設大臣が定めますと、これが当然義務的な経費になりまして、その路線が予算を当然伴うような形になって参りますから、こういうふうに予算を伴う関係基本計画という意味におきまして、予算関係の担当である大蔵省に協議をするという制度をとっておるわけでございます。
  77. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 そうすると最終的には財政計画によって、せっかくこの首都圏委員会決定した基本計画が左右せられるおそれがありはしませんか。当然これはこういう項目がなくても、基本計画を実行する場合においては、大蔵省と財政的な折衝をするのだから、何もこの項目をわざわざ三項に書く必要はないのじゃありませんか。こういうことを書いておると、今僕がおそれておるように財政によってこれがだめだというような、基本計画まで大蔵大臣に左右せられる。主管大臣である建設大臣の意思というものが非常に曲げられるおそれが多分にあるのじゃないか、こう思っておりますが。
  78. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) この基本計画は、もちろん全体の構想もそうでございますが、その内部におきましてたとえば八路線をやる場合に、事業の執行年度割をどういうふうにするかというような問題も定めることになっておりますので、そういう年度別の事業計画等が入って参りますから、やはり大蔵大臣と最初に協議しておいた方が非常にスムースにいくという立場をとりまして、特にこれを入れておるわけでございます。
  79. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 首都整備法基本計画を定める場合においては、事業計画として財政計画というものは当然に裏付けされておると思いますが、その場合における首都圏委員会における財政計画なるものは、大蔵大臣には全然相談せずにただ委員会そのものの計画だけで満足しておる。それで実際に公団にその基本計画を伝えて実施する場合において、首都圏に考えておる基本計画なり財政計画が、今度大蔵省の方の了解による、と言うと語弊がありますが相談した場合において、財政的にこれが左右せられるということになると、実際問題として首都圏委員会が五カ年計画でやるような場合においても、今度の計画では財政によって非常に左右せられるというようなことがあるから、僕は、当然やるならば財政というものの裏付けがあるべきだから、こういう項目でなくて大蔵大臣の発言権を阻止した方がいい、こういうふうに思っておりますが。
  80. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ただいまの御質問はごもっともでございますが、私はこういうふうに考えておるのでごいます。要するに、財政負担になることであるから、大蔵大臣の発言権を法律の上でも明文化しておくことが、事務的には必要であるかもしれませんが、これは政治的にはこの五カ年計画がきまって参りますと、そのきまっていく中途において大蔵大臣とも話を進めておるのでありますから、きまったならばこれはもう査定はできない、大蔵省は当然それに拘束されてくる、ただ事務的には最後の大蔵大臣の査定権をはねてしまったような格好では、どうも説明がつかないということでうるさいものですから、こういう明文の中に入れておる。政治的には計画がきまればどんどん実行してしまう。今の別に作られた道路五カ年計画においても、一たんきめた計画はぐんぐん押し進められてしまう。ただ大蔵大臣の発言権をなくしてしまったということでは事務的には説明がつかない、こういうことだと私は思います。従って、御指摘のようにこれは大蔵大臣が文句を言わないように政治的には進んでいく、ということに御了解いただきたいと思うのであります。
  81. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 大臣はいいかもしらぬけれども、事務的には困りますよ。
  82. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 他に御質疑はございませんか。……一応逐条的には終ったようでありますが、総括して御質問があればこの際御発言を願います。
  83. 田中一

    田中一君 従来ともにたとえば七地区画整理専業の場合にも、あるいは都市計画に基く工事をする場合にも、一応地元の住民の納得いくような表示方法とか、そういう手続を踏んでおるのが現状です。ことに昨日も八路線を大体計画並びに霊地を見て参ったのですけれども、その中には区画整理事業を並行してやろうなどという区域がある。このためには古川橋の近所等は高速道路を作るための事業計画のみなならず、都市計画法に基く道路の拡幅工事をも行おうとしておるわけです。これらの問題は従来終戦後今まで、あすこは戦災地じゃございません、かりに戦災地であっても都市計画法に基く路線あるいは緑地帯等の設定に当って、それをいつやるかということは一応都民は知らぬわけです。たとえば戦災地域におきましても、当然これはかりの土地の使用というものは認めておるのであって、事業を行おうとする場合には立ち退くというような一札を取っておる場合もございます。しかし、その計画というものはわれわれは身近かに常に頭に置いて生活をしておるわけでもなければ、ことに善意の三者にそうした意味の居住権というものが移った場合、所有権が移った場合、これらの譲渡を受けた人間、譲渡する人間との間に、そういう計画のある地区であるということが前提となって話し合ってない場合も往々にしてある。ことに値段よく売ろうとする場合には、必ずそういうことをほっかぶりして取引するというようなことが多いのですね。そういう場合に今度の事業法は同じその範壽であって、高速道路を作るということについては、おそらくどの地区の都民も原則的な反対はなかろうと思う。しかし周辺地域の、自分の居住権なり自分の財産なり自分の環境なりがおびやかされる場合には、これは当然抵抗するのが当りまえです。これは人間ばかりではございません、植物でも動物でもあらゆる生物というものは抵抗するのは当然です。人間の社会でありますから、人間に対してはあなた方が常に使っている言葉、納得の政治ということを言って仕事を遂行するのですけれども、私はこの八路線決定については地元民の納得を得てない、こう見ている。おそらくこの方々も原則的には今日の日本の、ことに東京の交通難の実態から見て、何とかしなければならぬという気持を持っているに違いないですから、私はこれが立法化してさっそく三十四年度から事業をするのだということについては、早いのではないかという見方を持っておるわけです。ことに一体、事業遂行に当っては抽象的な納得の上に立って事業を遂行いたします、なんという程度のものでは満足するものじゃない。で、方法としてはどういう方法をもってこの事業を遂行しようとするか、方法はたくさんございます。むろんその中には買収もあればあるいは換地計画をもってこれに当る場合もあれば、具体的には個々の問題については、あるいは現在の姿にあまり悪影響を与えない範囲でものをするとか、いろいろな計画があると思うのです。それらのものが明示されないで、従来東京都が行なった土地区画整理事業とかあるいは道路の拡幅とか、常に抵抗を受けているのです。何も地元の人たちは抵抗すれば補償金が余分にもらえるというようなさもしい考えで抵抗しているのじゃないと思うのです。ですからどういう形でこの事業の遂行を三十四年度からしようとするか、この法律が通った暁には。そして先ほど大臣はあまり役人等を入れないで法律一点ばりでひからびたような交渉、権力でものをするというような方法をとりたくない、人事交流等についても十分考慮している、こういうようなことでありましたけれども、そういう点についてはどういうふうになさろうとするか、一つ具体的にお示しを願いたいと思います。
  84. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) この法律通りましてそして具体的な計画を定めていきます場合には、いろいろな問題が出てくると思うのであります。この路線決定の問題を御指摘になりましたが、その場合にはたとえば高架でいくとか、あるいはそれが不適当な場合には地下をもくるとか、あるいは用地買収等についてのかえ地と交換をするとか、その商売がだめになるというときには他に適当なものを考えるとか、補償等についても無理のない補償をするとかというようなことで、あくまで私は話し合いでその具体的な場所々々に応じて常識的に見てこれが最も適当だという方法をとってやって参りたい。御趣旨のような考え方でつとめて摩擦を少くするように一つやって参りたいと思います。そのために多少経費がかさんで参りましてもこれはやむを得ない、こういう考えを持っておるわけであります。御趣旨のような考え方で努めて摩擦を少くするように一つやって参りたいと思います。
  85. 田中一

    田中一君 それは誰でも摩擦を多くしてやろうという考えを持っておるとは思えません。しかし現在かかる公共事業を行うためには、三十五の事業として土地収用法では事業をきめております。むろんこれは第二項の道路に当る面でありますからただ納得さすために努力をして納得してもらってやるんだ、これはあたりまえのことなんです。しかし私が方法があるのではないかというのは、居住している人たちが納得している形ですることが一番大切なのですよ。それはもう事業全体に対して反対しているという立場をとっている地域の諸君もありますから、今までは、えてして土地収用法を適用すると強権であり、かつまた地元の人間が非常な不利に陥るのだという印象を与えておったのです、今まではそうして先ほど大臣がこの方針はかりのものであって、いかようにも変わるんだということをおっしゃっておるけれども、私はこれはあなたがこの法律案を通すためにうそを言っていると思うのです。それはこういう激しい言葉はあなたに対しては無礼かもしらぬけれども、この法案の作成というものは、あの八路線というものが計画を遂行するための提案なのです。私は変更する余裕はないと見ているのです。それは部分的な修正等はこれはあり得ます。そして昨日も八路線を拝見してみますとなかなかよくできているのです。率直に申しますとなかなかよくできている。おそらくあそこまでくるには苦労したろうと思います。ただ一、二私がどうしてもこれは実施に当っていかぬと思う点は、土地区画整理法を並行してやろうとか、あるいはこれは当然都市計画法に基く道路の拡幅をする地点であるとかいう、この高速道路建設と全然別の問題をこれに含めて考えようとする向きが、昨日の東京都の道路部長の説明の中にも見えるのです。今度の法律改正によれば、本国会の法律の改正によって公共事業を行うための事業費というものは、その土地区画整理事業に対して全部に均霑するような何と申しますか、投入と申しますか、資金の投入というものができるのだという法律の改正を行いましたのも、今回のそういう布石のもとにやったのだと思います。それもすべてこの首都高速道路公団ができるという前提に立っての改正であろうと思う。しかし道路の拡幅等は、これは今風速道路で反対するという向きよりも、今まではいつやるかわからなかったという計画が突然警告なしに発表された場合には相当な動揺があるのです。従って国民に対する予告の期間というものが持たれているわけです。御承知のように東京都もこの三月の年度末においてこの法律の大体通るであろうという見通しのもとに、十億の出資金と六億の補助金を都議会に提案し、社会党の反対をかえりみず強行してこれは通っております。しかし一面三十三年、昨年は東京都の都議会議員が総員で高速道路を作らなければ東京都の中心部の交通緩和はできない、作るべきであるというような決議案も、これは全員で可決している。問題はそういう原則の問題と、今、目の前に示されている具体的な計画というものと、都民が考える時間がないということですね。そしてこの八路線等を第一次、第一次と申しますか道路整備五カ年計画一つであって、第一次は五カ年でやるのだ、次は第二次の道路整備五カ年の計画でやるのだということを言っておるから、全都的なこれに対する賛否の意思表示がないわけなんですね。ところが今すぐやるのだという所は、当然これは具体的にどうなって都民に対してどういう態度で臨むかわからぬから、反対をするのはこれは当然なんです。ですから事業を遂行するのに今のように東京都が相当な発言力を持つような形で、昨日などは東京都の道路部長が説明しているこういう程度のことでは東京都に仕事をやらせればいいのです。こういう道路公団を作る必要はないのです。あなた方は法律を作って補助金をやれば、あるいは出資すれば済むのだということになるけれども、だれが主体になってこの仕事をやっていくのかということを考える場合には、先ほど内村君の質問に答えてあなたが心配しているように、人によって非常に大きな問題が残ろうかと思うのです。私は争いのではないかという気がするのです。もしもほんとうにこれをやるならば三十五年度からその以前に計画全部を都民に知らせて、そして知らしめてその納得の上に立って計画を立てる、計画を実行するということが一番正しいのじゃないか、こう思うのです。それで具体的に人事は大体こういう見当のこういう人がするとか、今現在自分で持っているところの補償等どの地点にはどうだ、この事業はこういう計画でやりますと、たとえば古川橋周辺の古川流域の道路拡幅工事というものはこういう計画でございますとか、きのう山田道路部長から聞いて初めて知ったわけなんです、われわれは。あなた方から何もそういうことは衆議院段階においても説明がなかったと思うんです。むろんこれは都の事業計画ではございますから知らぬはずはないのです。知らぬはずはないけれども、そういう説明がなかったということははなはだ遺憾だと思うのです。これは都の山田君でもあるいは都の建設局長でも呼んで、この路線に対してはどういう計画で具体的にどうするかということを、今までそれを調査し立案しているところの責任者に来てもらって説明していただきたいと思うんです。きのう私は八路線を見てそういう疑問と、またそれを解明しなければならないのじゃないかという気がしておりますから、委員長そのような措置をとっていただきたいと思うのです。
  86. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ただいま御質問でございますが、都の方としましてはこの高速道路の八路線についてのデッサンを描いておるのでありまして、これが法律通りまして実施計画というものができるときに初めて計画というものは固まってくるのであります。その計画を固めるに先だって、大体こういう計画だということを都民にもよく周知徹底するようにいたしまして、そうしてその話し合いをしていったらどうかと私は思うのです。建設大臣、うそを言っているのではないかということでありましたが、絶対私うそなんか言う考えはございません。ただ八路線を全部やめてしまうかというと、八路線はやめない考えであります。八路線というものの原則はきめておいて、実際その八路線を通していく場合に、路線を少しくらい変えていくとかあるいは必要があれば地下をもぐるとか、その場所々々に応じて具体的な事情に適合するような最終的な計画をきめていきたい、こういうことを私は申し上げておるわけであります。決してその場限りのことを申し上げてそうして世の中を偽わるとか、いわんやこの委員会を偽わるなんという考えは毛頭ございません。私の申し上げた通りにやっていく考えでございます。
  87. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 私は、この法案に対する今日までの審議の状況から見まして、大体核心に触れた質疑応答は重ねられたのでありますからこの際質疑を打ち切って直ちに討論、採決に人られんことの動議を出します。(田中一君「反対々々、まだ意を尽してない。」と述ぶ)
  88. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ちょっと速記をとめて。    午後二時二十五分速記中止    —————・—————    午後三時十五分速記開始
  89. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。田中君から参考人を呼びたいという申し出がありましたが、これについて採決をいたしたいと思います。
  90. 田中一

    田中一君 そういう問題までも採決するのはおかしいのであって、私は委員長に要求したのであります。そこで委員長委員長の判断というものが出て初めてそれに対して呼ばないと言えば私は反対します。呼んでくれと要求します。けれども委員長の答弁がないにかかわらず、僕の発言だけを取り上げて採決するなんていうことはないです。やはり議題にならなければそれは反対、賛成という問題が出てくるはずのものじゃございません。従って委員長はその私の要求を取り上げて議題にして初めてそれに対する賛否が明らかになるわけなんです。
  91. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をとめて。   [速記中止〕
  92. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。田中君の要求についてお諮りいたします。  田中君の要求に賛成の方の挙手を……
  93. 内村清次

    ○内村清次君 ちょっと。
  94. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をどうしますか。
  95. 内村清次

    ○内村清次君 それは入れてもらいますが、田中君の要求と言われましても、今どういう要求を議題にしたかということをやはり委員長は明確にしてそして採決をとらなくちゃ、田中君の要求といってもいろいろ何点もあったと思いますが、どういう要求を採決するかという点を提案してもらいたいと思うのです。
  96. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ただいまの問題は、田中料から東京都の山田部長を出席させられたいとの提案がありました。よって田中君の提案について賛成の方の挙手を願います。   [賛成者挙手〕
  97. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 賛成少数であります。よって田中君の提案は否決されました。  なお、省沢君からの動議が提出されておりましたので、これから岩沢君の動議について採決いたします。岩沢君の動議は質疑打ち切りの動議であります。御賛成の方は挙手を願います。(「反対々々」と呼ぶ者あり)    〔賛成者挙手〕
  98. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 賛成多数と認めます。よって若洲君の動議は可決せられました。  これから討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  99. 内村清次

    ○内村清次君 私は日本社会党を代表いたしまして、首都高速道路公団法案に対して反対の討論をいたします。  本法律案の審議の経過を見ますると、なお多くの疑問を残しておるということであります。従って十分な時間を持って審議に納得のいくまで審議する必要があると考えます。また去る二日本法案に対する参考人の意見を直接聞くことができず、きわめて遺憾に存ずる次第であります。  昨日本法案の計画路線一部分を調査いたしましたのでありまするが、単に視察したというだけで詳細の説明も聞くことができず、真の本法案を提出しなければならぬという点につきましては、私はまだ疑問を持っておる次第であります。  私はここで社会党が何ゆえに本法案に対して反対するかという根拠を明確にいたしておきたいと思います。  最近の東京都における自動車交通量の激増は、昭和三十三年十月の都の資料、調査によりますると三十七万台に達するといわれております。昭和十五年の五万八千台に比較いたしますると、三十余万台の急激な増加を示しております。一方人口はと申しますると昭和二十五年が六百二十八万人であったものが、昭和三十二年におきまして八百五十七万人ということになっております。なお今後この急増の傾向は続くことは事実と考えます。  ひるがえって戦後の東京都並びに他の都市において、いち早く戦災都市の復興事業政府の重要施策として取り上げられ、都市の復興と整備に一くわを加え実施したはずでありますが、残念ながら都市の骨格ともいうべき樹路の整備につきましては遅々として進まず、昨日視察いたしました場所においても、蛇が卵をのんだごとく、一部のきわめて少部分の改良を施したままに頓挫して放置されておる実情はきわめて遺憾な点であります。  都市計画のあり方、都市の形態の把握ということは自治体として十分研究もしておると思いまするが、当初に計画したものはその姿を消し、改訂に改訂を加え、計画変更縮小して、蛇の卵をのんだ姿となって、現在ほとんど中座しておる事実、しかも政府はここ一、二年のうちに諸産業の近代的発展のいき悩みにおいて道路の持つ機能がいかに重要なものかを認め、あわてて道路整備を促進するのだという初めて政策として打ち出してきたのでありますが、現実の道路及び街路というものはきわめて劣悪な計画しかなく、一時の間に合せ的なものであって、一貫性がないといっても私は決して過言ではないと思います。  この都市計画のあり方についてあまりにも無知であり、近代産業の育成基盤をなすところの自動車交通に対しまして政府の基本的計画の貧困は当然責任を感じなければならないと思います。この場当りの解決策として考案されたのがこの本法であるといっても私は決して過言ではないと思います。都市の持つ重要政策のうち、何といっても重点を置かなければならぬと考えるのは都市の交通の流れ、すなわち道路交通政策であります。この政策は経済政策の一部としての交通政策の体系においては、鉄道あるいは水運と並行して重要な地位を占めるものであって、わが国明治以来の交通政策を見るとき、鉄道と海運に重点が置かれ、道路交通は最も看過してきたのではないかと思うのであります。  かかる政策は、日本の交通経済の構造そのものの跛行性、さらには後進性を生み、最近のごとき慢性的な交通難の主要要因をなす結果となっておるのであります。  政府は真剣に道路交通政策と取り組み、計画ある政策を行わない限り、早晩自動車の交通機能は麻痺状態となることは論を待たないのであります。日本の道路の悪いことは現在に生じたものではなく、神武以来のものであって、封建制の時代においては時流に即してこれでよかったかもしれませんが、国民に対して公約したということで、具体性に欠けた計画をもって国民に示したところでほんとうに理解できないのでありまして、選挙のあるときに公約を八方美人的にされるが現在まで何一つ十分に完結されておらないのであります。国民を欺瞞するもまたはなはだしいといわなければならないのであります。まして本法案のごときは、都市の形態と都民の影響することは大きいのであります。本法案の公団が行う全体計画を見ましても建設費は一千億に達する巨大な資金を要するのであり、六十九キロの建設費が八百五十二億、その他関連事業としての街路の拡幅のために要する建設費が百八十四億円といっておるのであります。五カ年計画においてみますると、この資金構成において、五十億の資本金のうち国と東京都において二十五億円ずつ支出し、さらに都は七十九億の交付金を出すという予定となっておるのであります。  そこで私は、何ゆえに本法案に社会党が反対するか、その理由の論点を明確にいたしておきたいと存じます。  その第一点といたしまして、現在ある日本道路公団の組織を拡充強化することによって何ゆえできないかという点であります。日本道路公団設立趣旨は、自動車による財政的、経済的交通力の発達につれて、わが国の生産力の発達、経済の成長につれ、自動車交通力の増進がこれを一そう促進させるからにほかならなかったと考えます。日本道路公団東京調査事務所の設置規程にありまするように、工事の施工管理ということを明確に規定しております。かかる特殊公団を並立することはないと思うのであります。政府はしばしば東京都の協力が心要であると強調しておりまするが、既設の日本道路公団において、都が資金的に、技術的に、積極的に協力するならば、前公団の機構を拡充強化することによって一向過誤はないと思うのであります。しかも東京以外の他の大都市においても、自動車交通の行き詰まりは早晩くることは必至であります。かかる際に本公団のごとき設立を要望する声が起ってくることは必然であり、屋上屋を架するがごとき方策は、道路交通の一貫的政策上きわめて不合理の事態を起すと私は信ずるものであります。  反対の第二点といたしましては、計画がきわめて劣悪で、道路交通政策上からみて一貫性に欠けるという点であります。諸産業の育成並びに発達の基盤をなすこの道路事業とその整備は、近代産業においては車の両輪をなすものであって、切っても切れない関係を有することは万人の認めるところであります。自動車の発達は、今後自動車が急激に増加することは明瞭であります。政府資料によりましても、昭和四十年において東京都の自動車台数は八十万台に達すると予測をしておりまするが、この高速度道路が完成されるときには、もはや自動車道として機能を果し得ないものではないかと危惧の念を抱かざるを得ないのであります。何となれば四車線の高速自動車道路をもっていたしましても、ここを走行する自動車はその一部で総台数の二割程度に過ぎぬのではないか、このほとんどが一般道路を走行することになれば、四十メートルの街路においても麻痺状態となり、さらには計画と実施面において非常なズレがあるからであります。実施においては敏速でなければならないものが、遅々として進まず、五カ年計画が十カ年にも十五カ年にも延長して、ついにはしり切れトンボというのが現在までの政府のやり方であります。このよい例が昨日視察いたしました予定路線の中に見られまする戦災復興事業としての街路事業であります。せっかく都市計画として取り上げながら、十年もの今日において蛇が卵を飲んだように放置されておるという実情を見たときに、私は一そう不安と危惧の念を抱いているのであります。この街路事業が完成されておったならば、現在の自動車交通の混雑は幾らか緩和されていたはずではないかと思います。道路という道路、街路という街路は整備ということとは縁遠くして、旧態依然として掘り返しの連続に終始され、これが道路交通に非常な支障を生じておるのが現在の実態であります。また、道路交通の一番の眼目となるものは路面電車ではないかと考えます。自動車交通政策ということを真に考える場合、路面電車の問題、さらには横断舗道を地階に施設するという面、この他重要な点が存するのであります。この資料にある基本計画を見ましても、都の既成市街地、すなわち区部に限られたきわめてこそくな小規模の計画である。五年先の自動車交通の推計で足るというようなこそくな計画こそ、各種交通機能を麻痺に陥れ、かつ混乱せしむることになると考えるのであります。本計画のごときは、首都圏整備委員会決定した整備計画に基くもののうち政令で定めるごとになっておりまするが、少くとも半径五十キロ程度の圏内について十分研究する必要があるのではないか。また東京—横浜間においても緊急に必要があるのではないか。眼前だけのこそくな施策が将来において甚大なる禍根となることは明瞭であります。  反対の第三の理由として、管理委員会の構成と業務関係についての暗影であります。すなわち十三条の管理委員会委員の欠格条項において「公団役員又は職員」を掲げておるにかかわらず、委員会の構成員のうちに公団を代表する理事長を加え、十六条において議決権を付与しておることであります。管理委員会においては公団役員に対しては意見を聞くことになっておるのは当然といたしましても、議決権を与えておるという点には納得しがたいものがあります。何となれば、もし理事長たる者が地方公共団体に縁の深い関係を有する者が選ばれるといたしましたならば、この管理委員会機能とその性格はきわめてあいまいとなるおそれがあるからであります。委員会委員のうち二人は公共団体の推挙する者であり、公共団体の発言は一方的となるおそれを生じ、公正であるべきはずの管理委員会が不明確な運用に陥るということであります。公団業務内容が利権の伴う事務所、店舗、倉庫、その他政令で定める施設というものを建設し、管理することを明定いたしておりまするが、管理委員会の運用あしき場合におきましては、利権に利権を生み、汚職に汚職を生ずる結果を招来いたしまして、世間怨嗟の的となり、営利企業と化して、公共性を欠くおそれがあるからであります。  また、反対の第四の理由といたしまして、この本法案によるかかる公団の設置は結局公務員の養老施設ではないかという点であります。この公団設立において、その大部分の幹部は公務員の古手であると考えます。民間の優秀な技術者を受け入れるような機構になっておらないという点であります。従って、死せる獅子であり、進歩的な事業であるにもかかわらず、後進あるいは停滞、敢行性となり、事業の伸展は見られない。進歩性のないところには暗影のつきまとう結果となることは必然であります。  反対の第五の理由は、本法の計画予定路線につきまして利害関係者の犠牲が非常に大きいということであります。その一例を二号線の計画路線について申し上げますると、古川の上を利用すると称しながら、その犠牲となるものは三千戸に及ぶものがあります。この地域は、昭和十九年に強制疎開によって一斉に住宅を取り払われ、また戦後緑地指定によって建坪率の制限を受け、特に一ノ橋から赤羽橋に至る北岸は十数年間にわたる区画整理によって被害をこうむってやっと完了したところであります。かくのように、一般の宅地を利用する場合が全体の二割四分もあり、そのうち民有地を利用しなければならない場合が一割もあるということであります。これはほんの一例でありまするが、正当な補償について具体的に開陳されて、犠牲者を逓減する措置が、この計画の根拠において裏づけがされておらないと考えます。ほんとうに政府が犠牲者のことを考えるならば、地元民の意見を聴取して補償基準を定めることが必要であると思います。何の具体的な救済的対策の裏づけもなくして計画を作成することは、計画性が愚劣であるばかりでなく、さらに実施の面において非常なそごを生ずるという点であります。  以上、その一端でありまするが、基本的に不合理と矛盾とをはらんでおり、本法案にきわめて遺憾な点が多いからでございます。しからば、日本社会党は、現在の都市の道路交通政策にかんがみまして、自動車交通を放置してよいと言っておるのではございません。もちろん、自動車道路の必要は、合理的な計画に基いて整備するならば、納得づくで進めさせていくことができると存じております。その一例を申しますならば、何ゆえ現在の自動車交通の混乱の生ずるまで街路事業を中座して放置してきたかということであります。自動車道路建設しても、既存の街路、あるいは道路を拡幅し整備しなければ、自動車交通の緩和はできないのであります。本法案を持つ以前にかかる種の事業の伸展こそ真に重要であるといわなくてはなりません。また、計画に具体性のある、こそくなものでないところの首都圏区域におけるところの計画を作成してこそ、初めて自動車道路としての、産業発達に寄与する面が多大であると思うのであります。従って、自動車交通の道路整備について計画の確立と合理的な処理を主張いたしまして、私は以上をもちまして反対の討論といたします。
  100. 村上義一

    ○村上義一君 私は緑風会を代表しまして、本法案に賛成の意見を述べたいと思います。  東京都内の自動車交通のコンフユージヨンはもう今日極度に達しておると言っても過言ではないと思うのであります。もう数年たてばいかんともしがたい状態に追い込まれるということも明瞭であります。で、この緩和策としましては、現在の街路以外に高速道路を作るということ以外に方法はないと思うのであります。また、この高速道路建設し、運営するものは、採算を第一主義とする民間においてはこれは全く不適格であります。一面、河川なり道路なりの管理者との関連がきわめて広範複雑であります。また、資金関係の点もあります。従って、国と都、必要に応じて関係県との協力態勢を確立することに役立つ特殊の公団を設置して、これをして建設せしめ、運営せしめるというよりほか方法がないと思うのであります。ただ二、三の点につきまして、私は強く監督官庁である建設省に対して希望を述べておきたいと思うのであります。二日の日に聴取しました参考人の公述を聞きましても、また審議の段階における建設大臣ないし政府委員の答弁を伺いましてもそうでありますが、実施計画につきましては、地元の利害関係者、これら地元の人々を納得せしむるように十分の説明をせられて、懇談をせられて、そうして適当な方途を講ぜられるということを希望してやまないのであります。  第二には、十分な施工準備を整えて着工したら、一日も早く迅速に完成するということに指導をしていただきたいということであります。道路工事を始めて、そうして完成までにいたずらに時間を要するということは、地元の関係者に非常に大なる迷惑を与えると思うのであります。この点特に御留意を願いたいと思うのであります。  なお、これは少し技術的に無理な注文かもしれませんが、この高速道路は、多くは高架であると思うのであります。この高速道路の路面を常に清浄に保つ、つまり清潔に保つという方法を特に考慮してもらいたい。それについて特別な方法を検討してもらいたいという点であります。御承知のごとく、日本の道路は非常に塵埃が多い。土ぼこりが多い。スイスの道路などと比較しますと、雲泥の差があると信ずるのであります。これは構造上、舗道へは土壌が露出しているとか、あるいは舗装道路が、今日全体から見ると七%にすぎないとかというようなために、自動車のタイヤにくっつけてきた泥をまき散らすというようなことが原因だと思います。また国民の公徳心も影響がないとはいえないと思うのであります。とにかく路面が非常に汚い。夜間において路面を洗浄するとか、何らかの方法が講ぜられないものか、方法がないものかと実は考えつつあったのでありますが、こういう点についても特殊な方法を検討を願いたいということを強く念願する次第であります。  以上三つの点の希望を述べまして本案に賛成するものであります。
  101. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ほかに御意見がございませんようですから、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議はないものと認めます。  それではこれから採決に入ります。  首都高速道路公団法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 多数でございます。よって本法案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
  105. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは公営住宅法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  質疑を行います。御質疑のおありの方は御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止]
  106. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 記を始めて下さい。  それでは暫時休憩いたします。    午後三時四十八分休憩    —————・—————    午後五時四十四分開会
  107. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  本日、上林忠次君が委員辞任され、その補欠として田中茂穂君が委員に選任されました。     —————————————
  108. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 公営住宅法の一部を改正する法律案について質疑を行います。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  109. 内村清次

    ○内村清次君 それでは、大臣に御質問いたします。  公営住宅法の一部改正案につきましては、提案理由によりますると、大体次の二点から公営住宅の家賃の調整を行うものであるとされております。すなわち、第一点は、公営住宅は低額所得者に対して低家賃の住宅を供給することを目的としておるが、すでに居住者で入居当時と異なった高額所得者になっておるにもかかわらず入居しておる者、そのために低額所得者が入居できないということ。それから第二の点は、七、八年前に建てられた公営住宅の家賃は著しく低額で、昨今の家賃とは相当な開きがあるから、同一階層の低額所得者に対する家賃としては不均衡である。そこで、その改正は、家賃の変更や収入増加者に対するところの割増賃料の徴収をやろう、こういうことであるようでございますが、そこで、公営住宅法昭和二十六年に制定せられました第一条の目的からいたしますると、第一条は、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること」が目的である、こういう目的が明示されてあるわけでございますが、この点に対しまして、先般公聴会もやりまして、公聴会の公述も聞いてみますると、学者の意見といたしましても、これはやはり社会政策的な意味を多分に含ませて、そうしていわゆる困窮しておるところの低額所得者に対しては低廉な家賃で賃貸すると、これがやはり公営住宅を法律として制定したところの趣旨であるから、これにすなわち徹して、現在の住宅難に対するところの国民生活の安定と福祉を求めなくちゃならぬと、こういう点も、これは学者の意見もその点まで論及しておりました。大臣としては、先ほどのような改正案をお出しになるというような趣意というものは一体どこにあるか。これはこの公営住宅法の第一条の目的に私は反しておりはしないかというような感じがいたしますが、この点に関しまして大臣一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  110. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 御指摘のように、公営住宅の建設目的は、家のない者に家を供給するということが一つと、低俸給生活者のために特別に国家の保護をいたしたところの低家賃の住宅を供給すると、この二つの大きな目標のもとにこの公営住宅というものは運営されておるのでございます。しかしながら、公営住宅の建設が必要な数だけどんどん建設することができれば、これは非常にけっこうでありますけれども、現在なお非常に多くの戸数が不足をしております。昭和三十四年度におきましても、相当公営住宅の建設は進めていくことになっておるのでありますが、なお低俸給生活者の住宅に非常に大きな不足数が出ておるのでございます。そこで、現在入っております住居者のうちで、その後の事情変更によりまして相当俸給が高くなってきておる、収入がふえてきておる。もし現在公営住宅に新しく入るとすればその条件をオーバーしておるような、つまり入る資格がないような者が相当現在公営住宅に入っておるのであります。しかし、現在の法律建前では、そういう者が入る資格がないかといえば、それは入っておる資格があるのでありますが、非常に多くの低収入者がなお家を求めて求められない者がありますので、一方においては公営住宅をどんどん作ると同時に、一刻も早くそういう人たちにも家を与えると、こういう意味で、負担能力の多い方々には一つ若干の負担の増をお願いすると、しかも許されるならば、他のもう少し高級の住宅に移っていだたいて、そうして収入の少い人に、国家から特別の保護を受けておる公営住宅に入っていただくと、こういうことで、非常に因っておる低収入者のためにあけていただくと、しかし、あけていただくにしましても、これは法律で強制する性質のものではございません。できれば一つあけていただきたいと、あけましても、これから先に入る家がないという人たちに対して強制するようなことは一切しないようにいたしまして、新しい家の供給については、事業柱体がよくめんどうを見まして、こういう家に一つ入っていただけませんかということで、話し合いでもって一つやっていこうと、そうして負担能力が大きくなりまして、もう少し高級な家に入ることができるような人は一つ、一番安い、一番厚い国家の保護を受けている低家賃住宅の方は、そういう家のない人たちに供給するようにしていただきたい、こういう考えでこの法案を提案しておるような次第でございます。
  111. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、まあ要約しますと、政府の提案の趣旨といたしまして、第二種の公営住宅にも入居できないという人たちが相当数あるのだと、ところが入居後収入が増加してすでに低額所得者とは言えない者もまたおるからして、こういう不均衡を一つ是正していきたいというのと、また一つは、初期に建設された公営住宅の家賃というものがだいぶ低家賃のままでおるからして、最近建設されたところの公営住宅の家賃に比して非常に差が大きくなったから、これをなるたけ一つ不均衡を是正していきたい、こういうような考え方に立っていると、こう言われるわけでございますね。ところが、私は、この今回の提案の理由と、先ほど私が言いました公営住宅法の第一条の目的というものが、どうも少し精神が違いはしないか、これが非常に発展していやしないかというふうに考えるから、これはほんとうに発展しているものか、発展してないものか、現実に適応したような考え方でやっているものか、この精神というものは絶対にくずしておらないというようなことに大臣はお考えになるかどうか、この点を聞いているわけです。
  112. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その点は、衆議院でもいろいろ論議された点でございますが、私どもは、今回のこの改正法案の方針は、当初の考え第一条の方針ととちっとも矛盾しないと、こういうことをやっていくことは、第一条の精神の範囲内において当然やり得ることであると、こういうふうに考えて進めておるような次第でございます。
  113. 内村清次

    ○内村清次君 大臣は今、精神は決して変っておりませんよと、こう言っておられるけれども、具体的にどういうところでそうではないという根拠があるか、法律的な根拠があるか、この点を私は聞きたいのです。家賃は一つ値上げしていこうじゃないか、それから割増金も取ろうじゃないかと、こういった考え方ですね、これに応じない者については、期限をきめて明け渡しを要求していこうじゃないか、そういった努力もやっていこうじゃないかということになっていきますと、そこに私は法律第一条に対するところの矛盾が発生しておりはしないかと、こう思うわけです。
  114. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 明け渡しの精神的な義務を負う範囲は、割増家賃を取る前と取った後と同じでありまして、割増家賃を出しておっても明け渡しの精神的な義務は当然負っていくと、こういう建前になっておるのであります。それで家賃を上げると言われますけれども、家賃を上げるその考え方は、あまりに不均衡ができておる、しかも上げる目標というものは、他の一般の家賃に比べてはるかに安い家賃の程度にとどめていく、こういう考えであります。従ってそのねらっておるところは不均衡を是正していくというところでございます。そうして上げました家賃の収入は何に充てるかといいますと、増額されたその家賃は、御承知のように公営住宅の管理も行き届いていないし、その管理の方の費用にも使って参らなければなりませんし、同時にさらにまた、低家賃住宅を供給する、その家賃の補給にしていく。この財源は、事業主体にもうけさせる考えでも何でもございません。あげてこれで住宅の修理その他の管理にも使いますし、さらにまた広く低家賃住宅を作っていく方へも使っていく、こういうことで、全体としてはこれによって国が負担を軽くしょうという考えではなくして、これによって多くの人々に低家賃の住宅をたくさん供給していこう、そうして同時に住めるような住宅を供給するようにしていこう、こういう考えでございます。
  115. 内村清次

    ○内村清次君 それではまあ現状といたしまして、入居条件にかなった低額所得者が一体どれぐらい全国の調査においてあるのか。またこれに対するところの不足の住宅の戸数というものが一体どれくらいあるのか。こういうことはやはり御調査なすっておりますか。
  116. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 先日の当委員会におきまして内村委員から資料の御要求があったわけでございますが、その第一表のところでございますが、一万円以下の階層が一八・五%、一万円から一万六千円までの階層が一七・五%、一万六千円から三万二千円まで四三二%、三万二千円以上の階層が二○・九%というような工合に現在の住宅困窮者と推定されております。階層別は以上のような工合になっておるわけでございます。ここでこの一万六千円以下のところは第二種階層ということに、この二つの一八・五%と一七・五%が第二種階層に相なるわけでございますけれども、まあ現在第二種公営住宅の家賃の平均は千三十円程度でございますけれども、一万円以下になってきますと、家族構成その他で、なかなか千三十円程度の家賃でも支払いが困難なことになるかとも思いますので、一万円以下というものを別に拾ってあるわけでございます。この調査は三十年の八月の住宅事情調査の結果をもととしまして、三十三印四月における所得の伸びを考慮して算定したものでございます。なお、この世帯数の絶対数でございますが、これは三十三年度の年度末の住宅不足数は百七十七万戸と推定されるわけでございますので、その不足戸数に三十年八月の住宅事情調査による階層分布をその比率で出したものでございます。なおここで一万円とか一万六千円と申しておりますけれども、これは扶養親族につきましては千円ずつ控除した額でございますし、またボーナス等の臨時所得は含んでない数字でございます。  それから、一応御要求のありました資料につきまして御説明申しますと、その次は、公営住宅の全国の管理戸数でございますが、資料の二にございますが、右の一番端のところが現在管理しているものでございます。五十五万九千五百四十六戸、こういうことに相なっているわけでございます。  資料の三でございますが、これは譲渡承認をしました各県別の現在までの戸数でございます。  それから資料の四は、厚生省所管の応急的な施設の建設戸数と新設住宅の戸数が書いてあるわけでございます。それから最後のページでございますが、これは厚生省関係でございますけれども、二十九年から三十三印までの災害救助法による応急仮設住宅の建設戸数でございます。なお、最後の欄にございますのは、厚生年金の保険積立金還元融資住宅の年度別の決定戸数でございます。  以上でこの前御要求のありました資料についての御説明は終りますが、なお現在の公営住宅で大体収入の基準をこえた世帯数がどのくらいあるかというお尋ねでございますが、われわれの調査によって推定いたしますというと、第一種公営住宅では、一割見当の世帯数が収入の三万二千円という基準をこえているのではないか。それから第二種公営住宅におきましては、三割の世帯数が第二種の一万六千円という収入基準をこえているのではないかというふうに推定されているわけでございます。
  117. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、私たちが公営住宅法の設置されまする経緯を考えてみますると、とにかく戦時中から戦後にかけまして、住宅が焼け野原になって建設が非常に困難になった。貸し家も、これはもう資本主義的に企業的にやっても材料その他で間に合わない。そこで国の方では補助金を出してそして家を建ててそれに住まわせてやろう、こういったのが概括的な、ごくかいつまんだ、公営住宅が法律となって、それには特にまた生活に困窮な人たちを何とか生活を安定をしてやろう、住居の点で安心をさせてやろうというような、こういう精神が公営住宅法となって現われたと思うのです。そこでやはり、低所得者層の資料の点につきましては、先ほど局長から御説明がございましたけれども、この低額所得者が、施行令では三万二千円以下の収入の者である、こうやった基準が一応きめてありまするが、私たちは、この基準というものにつきまして、厳格に守られておるかどうかという点に一つの疑いがあるわけですれ、その点は調査の結果どういうふうになっておるのか。この調査ははっきりしておられますか、どうですか。
  118. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 入構の際には収入の基準はそれぞれ証明書等をもって入居の申し込みを受け付けるわけでございます。それで事業主体の方で、なおその後に入居した後におきましても一応申請通りであるかどうかということは無体的に調査をいたしまして、それで入居の契約をしておるわけでございます。従いまして、入居時におきましては、現在までは大体この収入の基準というものは一応チェックをして守られておるということに相なるかと思います。ただ、もし偽わりの証明書等を出して入居した場合は、現行法におきましても二十二条におきまして、不正の手段で入居したということによりましてこれは明け渡しの請求ができることになっておるわけでございます。
  119. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると現在第二種住宅に住居しておるところの者の収入状態を、これは十分調査が行き届いているかどうかというのは、まあ一応この表には表われてきておりますけれども、これは私は一つ疑問点があるわけなんです。ところが入居条件ははっきりしておる、政令でもきめておる。基準ははっきりきめておるが、もしそれが偽わりだったときには退去を命ずることができる規定ももちろんこれは法律の中にもあるようです。しかし、ほんとうに実態というものを把握しておるか。たとえば生活保護世帯というものがどれくらい入居しておるか。
  120. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 入居後の収入の増加の事情についてはこれを調べることはなかなか困難であります。困難でありますけれども、大体公営住宅に入っておる入居者は九割内外が俸給生活者でありまして、俸給生活者の場合には税務署の査定が非常にはっきりすると同じように、収入が比較的正確なものをつかみやすいのでありますが、自由営業者、商売なりをしている者については非常に困難だと思います。困難だと思いますけれども、その一つの団地に一緒に生活しておるのでありますから大体わかっていると思う。税務署が税金の基礎になる収入の査定をするよりも、私ははるかにつかみやすいのではないか、こういうふうに思っております。
  121. 内村清次

    ○内村清次君 今大臣が言われたようになかなか基準はきめたが、その後の入居者が収入がだんだん増加していっておる、それを的確に調査するのは困難である。これはもっともな点もあると思います。それはなかなかお互い憲法上の人権の問題もありましょうし、詳しくこちらが昔の警察官のように一々調べるというようなこともなかなかこれは困難であろうと思いますが、ただ、私が先ほど申しましたのは、低額所得者でありますからして、サラリーマンもあるだろうと思うのですね。それからその日の日雇い関係で、一応基準内で適格者として入って、職を失って日雇いをやっておるというような収入の人たちもあると思うのですよ。そういう、生活保護法の適用を受けておる人たちが一体どのくらいあるか。それからまたそのボーダー・ラインにある人たちが一体どのくらいの、何パーセントくらいそうやって公営住宅の団地に入っておる人たちがあるか。そういう点を聞いておるわけですが、その点。
  122. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 先ほどは収入の超過した者だけを申し上げましたけれども、収入の転落しました方、つまり第積公営住宅に入りまして、収入が減って参りまして家賃の支払いがむしろ困難ではないかと考えられるような世帯でございますが、これは同じように三割ございます。それから当初に、それでは現在の事業主体がそういった生活保護法の適用を受けるような世帯を、初めの申し込みからどんどん入れているかどうかという点になりますと、残念ながら現在までそういうような積極的に初めから家賃の支払いの困難な世帯を入れるというようなことはまずやっておらなかったわけでございます。今回のこの一部改正を出しました趣旨もそこにあるわけでございまして、現在入ってしまって収入の転落した方には家賃を減額していく、それから新しく建てます公営住宅の第二種におきましても、当初からある一定の比率で戸数を減額家賃にしまして、そうして今内村委員のおっしゃいましたようなボーダー・ラインであるとか、そういう日雇労務者とか、そういう階層にも門戸を開きやすいようにしようというわけで今回の改正を立案したわけでございます。
  123. 内村清次

    ○内村清次君 先ほど大臣からも、局長も言われますように、また提案理由にもありますように、とにかく入居して相当収入が増加した者、そういう人たちはなるたけ一つ明け渡しをするような調整をして努めていこう。もしそれが本人の意に反するとすれば割増金を取ろう、これが法律の精神でもありましょう。ところが、私の申しますのは、そうやって生活保護法の適用を受けた人たちや、ボーダー・ラインの人たちも、これは入居者もおれば、そのほかにもたくさんおられる。あるいはまた基準が三万二千円というような人たちや一万五、六千円というような人たちもほかにも、うちにもおられる。こういう中において、この法律の改正では、二十五年から前の建築物に対しては一様に家賃を上げていこうという思想があるわけでしょう。これはだから、そうやって生活保護法の適用あるいはボーダー・ラインに入っておる人たちの家賃を上げていこうという思想というものは、これは本法の精神に対してどうも違反しておりはしないか、こういうことを言っておるわけです。
  124. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 初期に建てました公営住宅の家賃が、最近の公営住宅の家賃と非常に不均衡になっておりまして、これを是止しやすくするわけでありますが、これにつきましては、まず戸数を申しますというと、全国で五十六万戸の公営住宅が管理されておるわけでございますけれども、今回家賃是正の対象になる戸数は約十五万、四分の一程度を考えておるわけでございます。で、なおその家賃の引き上げ方でございますが、標準の家賃で申しますというと、一戸につきまして百五十円から五百円どまりということでやるわけでございますが、しかも、これも場合によれば、三十四年、五年、六年と、三年がかりで逐次家賃を改定していくというようなことを指導するつもりでございます。なおこれは建物についた家賃というものを一応そういう水準に引き直そうというわけでございまして、現在入っておる入居者の中に、そういう初期に建てた公営住宅の中にもあるいは生活保護世帯の方もおるでしょうし、非常に低額な方がおると思いますが、それは一応家賃をきめまして、それからまた減額をするわけでございます。ですから、実際はそういう所得の少い方は安く住んでおられるということを考えておるわけでございます。
  125. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、確認事項として、収入の状態によって、ほんとうの低額所得者だという人たちには、一応その家賃を上げられる、しかし減額する、これはどこの条文にありますか、その点をはっきりしていただきたい。
  126. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 今回の改正法案の十二条の新しい三項でございますが、「前項の規定にかかわらず、収入が著しく低額であることその他特別の事情がある場合において家賃の減免を必要とすると認める者に対して、家賃を減免することができる。」、ここに従来からも「特別な事情がある場合」というだけ書いてあったわけでございますが、今回ここに「収入が著しく低額であること」という例示をしたというのは、この収入が低い者につきましては積極的に減額家賃をやるのだという表現を、こういう形を変えて表わしたものでございます。
  127. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は、主として住宅政策について御質問したいと思うのですが、今局長のお話では、住宅の払底が百七十七万戸と推定されるというお話なんですが、この法律ができた二十六年以後において、どのような比率で住宅の不足が緩和されてきたかというような御調査がありましょうか。
  128. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 不足戸数ではございませんけれども、二十六年から建てられました公営住宅、公庫、公団、その他政府住宅、民間自力建設住宅の戸数を申し上げますと、二十六年が二十四万六千三百戸、二十七年が二十七万二千七百二十八一尺二十八年が三十万一千六百九十五戸、二十九年が二十七万八千四百十六戸、三十年が三十七万四百九戸、三十一年が四十一万九百六十六戸、三十二年が四十九万四千四百六十六戸、それから三十三年は、これは年度末の資料はまだ統計が出ておりませんが、計画でございますと約五十万戸でございます。それでこれを逆算していってみますと、不足戸数がどの程度に解消されておるかということに相なるわけでございますけれども、ただいま手元に逆算しました不足戸数が、今探しておりますが……。
  129. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) ただいまの質問に、私が大ざっぱにつかんでおる見当を申し上げた方が適当かと思います。大体二十六年から住宅建設をやって参りまして、大ざっぱに言って、ほほ五十万戸ぐらいずつ作っていく。そのうち約二十万戸が政府の直接、間接の政府住宅、他の三十万戸が民間自力の住宅、ところが年々の新規需要というものが滅失家屋及び結婚などをして新しい需要があるというものが出て参ります。これが大体二十万戸でありますから、差し引いて年々ほぼ三十万戸ぐらいずつ緩和されていっている、こういうことだと思います。
  130. 上條愛一

    ○上條愛一君 わかりました。ただ今度の戦争で二百四十万戸程度、国民住宅が焼かれてしまったのですね。それで大臣のおっしゃるように、新しく建たる戸数というのは、今承知いたしました。それで失われる戸数のことであります。これはまあ火事で焼けたり、老朽住宅として使えなくなった、それからもう一つ重要なことは、一年の間に人口が約百万内外増加することになっておりますが、これに対して、たとえば百万人ふえるといたしますれば、これらのふえた人口はやはり住宅に住まわなければならぬ。一つの住宅に五人平均住まうといたしましても、一年の間に二十万戸必要である、こういうことになりまするので、住宅政策として一番重要なことは、現状のような住宅政策でいってこの住宅が一年の間にどれだけ緩和されるかということが重要なポイントだと思いまするので、そういう点について、今、大臣のおっしゃるような三十万戸は不足が緩和されると認定して差しつかえないか……。
  131. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 大体大ざっぱな数字はそういうことであります。昭和三十四年度は五十六万戸計画であります。そのうち政府住宅が二十一万戸でありまして、他は民間自力ということになっております。時に多い年と少い年がありますが、大体三十万戸見当が緩和される、こういうふうに考えていただけばけっこうだと思います。
  132. 上條愛一

    ○上條愛一君 それからもう一つ承わりたいのは、今おっしゃるように、三十万戸ずつ住宅払底が緩和されていくとすれば、日本の住宅政策は必ずしもそう悲観したことではないと思うのですが、問題は今百七十七万戸の不足だと局長が言われたその内容は、果してほんとうに住まう者が、家がなくている人か、あるいはどこかに住んでいるけれども、実際は家族も多くて、一つの部屋に、六畳に家族五、六人も住んでいるというような者を入れての百七、十七万戸か、その辺の内容はどうなんですか。
  133. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 住宅の不足戸数を非常に的確につかむということは、いろいろのやり方がありましてむずかしいわけでございますけれども、建設省で現在資料としてやっておりますのは、三十年の八月に調査いたしました住宅事情調査によるものでございます。それで不足F数の要因としましては、仰せのごとく、非住宅に住んでいる者、それから同居しておる者、それから狭小過密居住、つまり狭い所に大ぜい住んでおる、そういうようなもの、それから老朽危険住宅に住んでいる、そういう客観的にとらえられる資料によって住宅不足戸数を出しておるわけでございます。従いまして、実際の住宅需要というのは、また多少ずれた形になってくるのじゃないか。たとえば、われわれが狭小過密居住であると一応の基準をもちまして認定いたしましても、御本人はこれでけっこうなのだという方もあるわけであります。そうしますと、それは有効な需要になって出てこないわけでございますので、そういう若干の実際の住宅需要そのものとは多少のズレはあるわけでございますが、実際の住宅需要をつかむというのは非常にむづかしいことでございまして、ドイツや英国あたりで、住宅不足戸数のつかみ方も大体わが国と同様な基準でやっておるわけでございます。
  134. 上條愛一

    ○上條愛一君 大臣にお伺いしたいのは、この住宅問題は、建設省の主として所管ではありまするけれども、この影響するところは各省にまたがっている。これは私が御説明を申し上げるまでもないことでありますが、たとえば厚生省関係から申しますれば、だんだん結核の数というものは幸いにして日本では減っておりますけれども、やはり一家族六畳の間に四、五人も家族が寝起きするということになれば、そのうちに家族の一人に結核患者があれば、これは蔓延するということは明らかなことであって、その他、衛生方面から申しましても、住宅という問題は重大な関連を持っております。それから、文部大臣は、しばしば国民道徳の問題を言われておるようですけれども、一体今日のような住宅の実情において、一家五、六人も親子で一部屋に住むといったような現状においては、これは実に国民道徳上重大な問題じゃないかというふうに考えます。  それからまた、労働省関係から申しますれば、今日の労働力の充実という点からいえば、一日中過重な労働に従事して、家に帰って親子五、六人で四畳のところや六畳のところに住んでおっては、休養を与えることは困難である。そういう意味からいって、住宅政策という問題は国民生活にとって関連するところは非常に重要なポイントだと思うのです。ところが大臣は非常に楽観説であって、一年の間に日本の住宅の緩和は三十万戸ずつ緩和れていくのだ、こうおっしゃっておりまするが、私どもの観測では、そのような住宅の現状の政策においては、一年の間に三十万戸の住宅不足を補っていっておるとは考えられないわけですが、これは見解の相違で、私どもはそれじゃ厳密なる調査の上に、数字の上に立ってそうでないということを言い得るかといえば、それは私も言い得ないから、これは大臣が三十万戸減るといえば、それも一つの見解として承認するより仕方ないと思うのですが、私はそんな現在の住宅政策では楽観をし得べき実情ではないと思うのですが、これは見解の相違でよろしゅうございます。  そこで、もう一つ承わりたいのは、私どもの観測では、百七十七万戸の住宅払底という問題は、住宅問題から考えれば日本はなお非常時であると私どもは考えております。今のような住宅政策でやっていき得る状態ではない。もっと国家としては住宅問題は非常時である、この考えに立って対策を講ずべき実情になおあると思う。イギリスやドイツあたりでは、従って戦後においてはこれはもう建築資材の八〇%は国民住宅に振り向けて、その他の大ビルディングであるとか、金持ちの住宅であるとか、キャバレーであるとかそういう娯楽施設に対する建築は押えて、国民住宅の不足緩和に全力をあげたと承わっておるのですが、日本は、戦後において国民住宅に回された建築資材というものは約一五%程度、八五%程度がほかの方面に使われたといわれておるのですが、これは局長は数字はよく御存じだと思うのですが、このような状態においては、日本の住宅問題を解決することは実際は困難ではないか。そこで、大臣は、日本の住宅政策については、なお非常時が続いておるというお考えであるか。そうでなく平常に復しつつあるというお考えで住宅政策をお取扱いになっているかどうか。その辺の御決意を承わっておきたい。
  135. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 私は、日本の住宅事情はまさに非常時であると思っております。決して楽観をしているものではございません。ただいまやっております住宅政策も、まだほんとうに住宅の実情に合っているかどうかということに多分な疑問を持っておるのであります。ただ現在やっております計画は、昭和三十年の調査に基いてそれぞれ階層別の需要を割り出しまして、その必要の数量に対して供給する住宅を抽象的にきめて住宅の建設を進めておるわけでございます。しかしこれは数の上ではきわめて合理的な住宅政策のようでありますけれども、これを質的に見て参りますと、その住宅を必要とする質的な考慮というものがまだ欠けておるのではないかと私は思うのでありますが、昨年の十月、住宅の基礎調査をやりましたので、ことしの五月か六月にはその結果が出て参ります。その結果を見まして、そうして住宅政策の転換をやらなければならぬときがきておるのではないかと私は思っております。大きな方針としては、現内閣は非常に住宅問題というものを重視いたしまして、御承知のように道路建設の予算あるいは河川の改修の予算等も相当大幅に増額いたしましたが、だからといって住宅を削るようなことをいたしませんで、三十三年度に四十九万戸持ちました住宅計画を、三十四年度には五十六万戸に拡大をして大いにやっておるところでございます。しかし質的な考慮が足りないとこれはほんとうに血液の通った住宅政策にならないということでありまして、どうしても正確な調査をはっきり出す必要があるということで、五月か六月ごろ出てくる住宅事情の調査の結果を今待っておるところであります。  私の考えは、これはぜひ聞いていただきたいのでありますけれども、この公営住宅法の一部改正案を出した考え方と、今後住宅政策の重点をどこに置いていくかという問題とを一連の関連において私は考えておるのであります。住宅はなるほど緩和されてきておりますけれども、これは健康でしかも文化的な生活を与えてやる、こういう趣旨にはまだ遠いものがございます。ことに、低所得者の住宅の必要というものは、非常に質的に高いものがありますけれども、この方面に対する力がまだ足りないと思います。私は今の住宅政策を弁解しようなんという考えは一つもありませんが、その点に非常にまだ欠けておる点があると私は思うのです。従って昨年の十月の調査がことしの五月ないし六月ごろ結果が現われて参りましたならば、その正確な調査に基きまして住宅政策の転換をする。ことに低所得者のためにさしあたり住宅を供給するという点に相当力を入れていかなくちやならない、相当大きな転換をしなくちゃならぬと私は考えておるわけであります。今この法案を審議する間におきましても並行して、来年度、昭和三十五年度の住宅政策、ことに低額所得者のために住宅を供給する問題について調査、立案を今しておる最中でございます。そこでそういう考え方で参りますと、この公営住宅の問題についても、さしあたりはとにかく住宅のよしあしを言っておれない、どういう住宅でもいいから入りたい、そういう人たちの要望にこたえるために低額所得者用の住宅を大いに拡充すると同時に、現在ある、現在居住しておるこれらの低俸給生活者の人たちに対しても公平に扱っていこう。月給が上った人に対しては、月給の上ったに応じて家賃も払っていただきますと同時に、非常に困っておる人に対しては減額をしていくと、ですから、一つの公営住宅の団地において、一部の者は反対があるかもしれませんけれども、団地全体としては三割の人が余分な金を出すことができるならば、その金は残りの困っている人たちに回ってゆくんだ、こういうように考えていただけばいいのでありますから、これはほんとうに正しいといいますか、人道的な立場から考えても、当然やらなくちゃならぬことであると私は思うのであります。そうして、さしあたり家がなくて困っている低所得者に対して家を供給する、そうしてしかる後にその次の第二段階の住宅政策としては健康的で文化的な家を供給する。それは三万二千円ないし四万円程度の収入のある人が入れる程度の家を全部の人に供給してゆく、こういうことが目標でなくてはならぬと私は思っておるのであります。それまでの過渡的な問題として、さしあたり俸給が少くて家がない、そういう人たちに家を供給するこれは第二種の公営住宅などは、まだまだわれわれの住宅政策の目標としておるところの住宅としてはとうてい遠いものがあるのでありますけれども、とりあえず、家のない人たちに安い住宅を供給しよう、そうしてその次の段階においてだんだんりっぱな家を作って、不燃住宅をだんだん整備して参りまして、健康的な、しかも文化的な生活ができるような住宅の供給をする、こういうところへ目標を置いていかなくちゃならぬと思うわけであります。  そういう考えでせっかく精進しておるのでございまして、決して今、日本の住宅問題に対して楽観をしておるわけでもございませんし、だんだん住宅問題が解決をした、もう峠が見えたといったような、そんな甘い考えは持っておりません。一生懸命で一つ住宅問題に精進をしようと思っておるところでございますから、御了承をいただきたいと思います。
  136. 上條愛一

    ○上條愛一君 大臣が非常時の決意で今後住宅政策を処理してゆくというお話でありまして、私ども賛成でありますが、ただ、大臣のおっしゃる通り、今回の公営住宅法の改正問題の内容がいいか悪いかということは別問題として、公営住宅を、今おっしゃるように合理的に運営してゆくということについては、これは賛成でありますが、しかし、そのようなことは、日本の住宅政策からいえば実はこれはささいなことであって、このようなこと、重箱のすみをはしでつつくようなことだけでは、住宅政策の緩和にはならぬと思う。もっと日本の住宅政策は大所高所からどうすべきかということを考慮しないというと、重大な危機に瀕するとわれわれは確信しておるんです。  そこで問題は、それじゃ住宅政策の緩和としてどういう一体具体策があるのか、非常時としての対策は、大田どういう具体案をもってやられるかということが、これは重要な問題だと思う。たとえば今住宅問題として三十四年度の計画でも、民間で三十四万九千戸の住宅を建てる、こういう予定で政府はおりまして、これはまあ決定されておるわけですが、そこで問題は、民間の住宅を建てようとして、よし経済力のある人があっても、土地の問題がすぐ重要なポイントになってくると思うんです。そこで土地問題について、大臣はこれをどう処置していこうという考えであるのか。  もう一つ、ついでに承わりたいのは、現在国民住宅がこれほど払底しているのに、東京中心にして大ビルディングが至るところに建設されつつある。建築資材というものはこの方面にほとんど流れていってしまって、国民住宅の建設方面に今現在でも使われている量というものは、これはパーセンテージからいえばごくわずかなものだと思う。こんなことでは、これは非常時の住宅政策としては完全じゃないと思う。私のお尋ねしたいのは、国民住宅を建てるとしてなお、まあコンクリートの不燃住宅を中心にするか、今のところ多少、木造家屋を中心にするかということについては、これは議論があると思いますが、この国民住宅の緩和のために、国有林などを活用して、そうして資材を安く提供して、どしどし民間のやはり人々でも住宅を建て得るような非常時対策をするというようなお考えは、また方策はないものかというような点についてお尋ねいたします。
  137. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 最初のお尋ねの宅地問題でございますが、この宅地問題も非常に困難な問題でありまし  て、御承知のように東京都、その他密集都市におきましては、年々宅地が暴騰しておりまして、この問題については非常に悩んでおるのであります。昭和三十年以来住宅方面につきまして宅地造成の仕事をやり、第一次計画で一百万坪、第二次計画では二百二十五五坪、第三次計画は七十五万坪といったような工合で一生懸命で宅地造成をやつておりますけれども、これとても宅地の需要がだんだん増大しておる事情からいいますと、ほとんど焼石に水のようなことであります。あるいはまた空閑地の立体的な利用をはかっていく、宅地の立体化をはかるという意味でいわゆるげたばき住宅等の奨励等もやつて参りまして、これに対する要望も非常に多くなっておりますけれども、これとてもまだ問題を根本的に解決するには役に立たないと思っております。さらにまた、一面において道路建設をやりまして、あるいは地下鉄建設、あるいはまたその他の交通機関の整備をはかって、都市の中心への交通の便によってそのサークルを広くしていく、従って宅地の供給のサークルを広くしていくような方策もあわせてやっておりますけれども、これとてもまだ問題は解決しておりません。さらにまた、海岸その他の埋め立て計画などもやりますけれども、これもまだ問題にならない。  残っている問題はどういう問題であるかといいますと、二面においては人口の過度の都市集中を排除していく、そういう問題が一つあります。さらにまた、現在の都市内における空閑地をそのまま遊休状態に置くことを禁止するとか制限するとかというような、そういう点も考えたらどうかという意見もございます。しかし、これらの問題についてはいろいろ波及するところが多くて、なかなか簡単に結論を出すことができないのでございます。私は、こういう問題にもまじめに取り組んで一つ結論を出してみようじゃないかということで住宅局の事務当局に命じまして、住宅審議会等にもはかって、こういう抜本的な問題等についても一つ検討してみようということを申してしておる次第でございます。宅地問題についてはまことに芸のない話でありますけれども、これは自由主義経済というものの一番の弱点といいますか、悪い点がここに集約されておるようなことでありまして、非常に悩み抜いておるのであります。私はこれをやつている、あれをやっている、だからうまくやりますというような説明をすれば説明にはなるかもしれませんけれども、実際には大したことにはならない。こういう問題だと思うのでありますが、一そう私どもこの問題についてはなお研究をし、根本的な解決に役立つようにしていきたい、こういうふうに思うのであります。  さらにまた、大ビルの問題その他についてのお尋ねでございますが、大きなビルの建設が行われて、住宅方面への資材がそのために非常に枯渇していくといったような問題もございます。しかし、またビルの建設は、宅地の払底しておる、土地の払底しておる事情からいいますと、これまた一つの緩和刑にもなっておるわけであります。私自身の個人的な見解を申し上げますと、大きなビルがのこのこできることは、私は感心しないのであります。ただし、その角度からだけ見るということもできませんので、これは非常にむつかしい問題でありますので、これは政府があげて一つまじめに検討してみたいと思います。
  138. 上條愛一

    ○上條愛一君 これについては議論をすればいろいろあると思いますが、時間もありませんので最後にもう一つだけ……。きょうも戸山の公営住宅を拝見して、相当老朽になっておりまして、やはりあのままではそう長く住まうことが困難だと思いますので、いずれあれは改築するかどうか、新し建て直すかしなければならぬということが当面の問題になると思いますが、その際に問題になりますのは、現存低廉賃で住まわれておる、今公営住宅に件まっておるあの方々が、もしあれがもう老朽で住まえなくなった場合に、他に住まう住宅をあっせんするか、さもなければ、あれを取り払って、あそこに近代的の住宅を建てるか、いずれにしてもそのような処置を講じなければならぬと思いますが、その際に、今低家賃で住まっておるあの人々に対して、どのような対策を立ててこの老朽住宅を処置するかということが当面の問題じゃないかと思いますが、これについての対策というものを、お考えがありましたらどうぞお聞かせを願いたいと思います。
  139. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 戸山ハイツの公営住宅につきましては、現在都の方ではこれを鉄筋に建てかえるつもりでいろいろ計画しているようでございます。ただ居住者の方は譲渡処分を受けたいというので、まだ調停がついていないようでございます。
  140. 上條愛一

    ○上條愛一君 それで、今の問題については二つの難点があると思うのです。もし、あのままではそう長く住まえぬ、それじゃ住まえなくなった場合に、どうあれを処置するかという問題です。それであれを取り払ってしまって公営にするというような意見もあるようですが、取り払う場合に、今住んでいる人々の住宅をどうするかという問題、またあれを改築して、新しく建てて近代的の建築にするということなら、家賃を相当高くしなければ不可能だと思いますが、この二つの問題をどう解決してあの老朽住宅を処置されるかということは、これはお考えになっておかなければならぬ問題だと思いますが……
  141. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) この問題について私はこういう考え方を持っておるのであります。私は当初、低家賃住宅を作るのには木造でも何でもかまわないじゃないかというふうな考え方を持っておりました。とにかく家がなくて困っている人に家を早く、どんな、キリギリスのかごのようなうちでもいいから提供することが、これが必要だというふうに初め私は考えておりましたが、いろいろ研究してみますと、そういうものを作りますと、すぐまたスラム街ができ上ってしまう。これは資産でなくして消耗品になってしまうのであります。でありますから、戸山ハイツのあの住宅のような場合には、やはりこれは鉄筋なり、あるいはブロック建築なり、永久の資産になるようなものを作っていかなくちゃならぬ。そうしてそれが、その負担があまりに多くなって家賃が高くて、それにたえられないことであれば、どの程度まで国が補助できるか、どの程度までその住居者が負担に耐えるかという問題、両方からのかね合いでもって、いずれにしても将来永久に残るような住宅を作っていくという考え方であの問題を検討していかなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
  142. 上條愛一

    ○上條愛一君 もう一つお伺いしておきたい問題は、今公営住宅が約五十六万戸あるわけであります。そのうち明け渡しに相当する収入の増加した世帯が約七万四千世帯ある。それを、まあ特別の家賃の増加をしてみて、年額予定額が四億四千万円という今お話にあったのでありますがそれで合理的に運営するということは、あえて反対いたしませんけれども、このような明け渡し予定の住宅で増収が四億円程度だ、こういうのでこれを断行することによっていろいろまた差しさわりがある。昨日も参考人の住まっておる方々の御意見を承わると、いろいろやはりもっともなる理由が存在しておる。それで、大臣にお願いいたしたい問題は、こういう問題をお考えになって対策を立てることも、これは不賛成ではありませんが、もう少し住宅問題について、国は思い切った予算をとるということにしなければ、たとえば二十一万戸三十四年度に政府は建てる、こういう予定で、公営住宅三カ年計画にいたしましても、三カ年の間に十五万七千戸建てる、こういうことでありまするが、これも実際の公共団体において政府の補助金が少いということになれば、これはやり得るかどうかも問題だと思う。従って日本の予算のうちに、そのほかに相当なわれわれから見れば不要不急と考えられる予算がとられておるにかかわらず、この国民の重要な住宅政策に対して政府の予算というものはごく微々たるものだと言わなければならない。大臣は非常時を確認されておりまするけれども、予算の面から見れば、実際これは非常時だと考えておるかどうかということは、これは国民から見て全く疑わしいと思うのです。そういう点について、まあわれわれしろうとでありまするのでしろうとの意見を申し上げましてはなはだ恐縮でありますけれども、これは十分に考えていただかなければならぬ問題だと思う。住宅政策という立場からいえば、今度の改正案のごときは、これは全く焼石に水の対策だと思われる。どうかその点を大臣に…。
  143. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 今度の公営住宅法の改正は、御指摘のように、確かに大筋の根本解決の方策ではないと思います。これは今後の住宅政策の推進をしていく全体の計画一部分であって、その一部分の合理化を今はかっているのにすぎない。こういう御指摘のように、政府がもっと大幅に予算を出さなければだめだと思います。私は、今年度もこの問題については相当がんばってみたのでありますが、何にいたしましても、はっきりした筋金の通った計画がないのであります。筋金の通った計画というものを持たないものでありますから、議論をして参りますといつでもふらふらしてしまう。道路五カ年計画のようなきっちりとした計画を持てば、あの計画というものが確定されて、政府がこの金を投じていけば間違いなくこの結果が出てくるというようなことになってくるのでありまするが、住宅の場合には、基礎調査さえも実は三十年の調査を使っておるというようなわけでありまして、その後の刻々と変っていく事情に即応できておらないのであります。従って、私は、三十五年度を目標にいたしまして、この三十三年の十月の調査を基礎にしてそうして住宅政策の大きな転換をやっていきたい。そうしてはっきりした計画を持って、政府の方も思い切った住宅に対する投資をやる、こういう方向へ持っていきたいと思って、今せっかく努力をしておるところでございます。御意見の点は全く私は同感であります。決して私は弁解しようと思いません。一そう一つ勉強して参りまして、住宅政策をほんとうに地についた、ほんとうの実情に合う、将来永久に住宅に対する明るい見通しを持つことができるような住宅政策を打ち立てて参りたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  144. 内村清次

    ○内村清次君 大臣にお伺いいたしますが、昨日公聴会を開きました公述人の中の意見といたしまして、実際、公営住宅の中に入居しておる人たちの維持管理というものが非常に不行き届きだ、これは管理者側も認めておるのです。大臣としては一体この維持管理がほんとうにできておると認められておりますか、どうですか。
  145. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) その点は御指摘のように維持管理が全くうまくいっていないということを考えております。従って今度のこの法案におきましても、維持管理一つできるだけ周到にやっていきたいということもこの法案の一つのねらいでございます。
  146. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、素直に大臣維持管理は十分でないという点を認められておりますが、この法律でどういう点でその維持管理が完全にできていく、この改正だけでどういうふうにして、金額的にも、あるいはまたその他機構的にも、あるいはまたは能率的にもこれができていくという見通しがありますか、具体策は……。
  147. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) この法律でもって維持管理の万全を期することができるかといいますと、必ずしも私はそうは参らぬと思います。しかし家賃の増額によりまして、収入に余裕が出て参りますれば、その収入をもって低家賃の、家賃の値引きの方に使うと同時に、維持管理の方の経費にも充てていく、住みよい公営住宅を作る、こういう両面の作用を持たしていきたいと思っておる次第でございます。
  148. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、今家賃を値上げするということ、あるいはまた退去を迫って、それが十分徹底しない場合においては割増金を取る。その取った家賃の値上げと割増金のすなわち金額で維持管理をやっていこう。これは私は幅が狭い考え方ではないか。それでは、これは局長さんでもよろしゅうございますが、一体今度適用者が、先ほど資料でも、大体入居適用者の収入状態その他についても大かたお調べになっておられるようでありますけれども、どのくらいの家賃の増加が出てくるか、あるいはまたどのくらい割増金の増加が出てくるかというような金額。さらに一体、修繕その他は入居者自体がやっておるのですね。しかもまた、この法律の十五条にははっきりと管理上の義務規定というものが事業主体にはある。はっきり明示してある。その事業主体がしなくてはならないところのこの修繕管理、その他施設上の改造、改善というものは義務規定が明記してあるが、それができておらない。そうやったできておらないのがどれくらいの費用になるかということを御調査なさっておりますか。
  149. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 維持修繕につきまして若干十分いっていない点があるわけでございますが、御承知のように家賃の中に含まれておる修繕費と申しますのが、家賃の二、三割に該当いたしますが、これが建設当初の建設費から割り出された家賃になっておりますので、初期に建てられたものの家賃が非常に低い関係上、その修繕費ではとても修繕しきれないというような事態に今日至っておるわけでございます。そういう点で今回、家賃の不均衡是正という点もございますけれども、修繕をなおよりやりやすくするというふうな意味もあるわけでございますが、大体十五万戸の不均衡是正をいたしますというと、年間四億五千万円程度の事業主体の増収分があるかと思います。これは推定でございます。それからなおこの維持修繕につきまして、今回の改正におきましては、従来、維持修繕の修繕費は家屋の内部だけの修繕ということで修繕料率がきまっておったわけでございますけれども、実際には団地内の道路であるとか側溝であるとか、そういうものを実際は修繕しないわけにはいかぬわけでございます。今回この家賃の中の修繕料率につきましても、そういうふうな付帯施設、屋外付帯施設につきましても義務づけると同時に、家賃の算定にも入れるようにしたわけでございます。そういうような関係で、今後は今日までよりもずっと修繕料はよくなっていくのじゃないかというように考えるわけでございます。
  150. 内村清次

    ○内村清次君 きょうも公爵住宅を見て参りましたが、相当個人的に増築をしておるところがありますですね。これはまあ必然の住居者の心理状態だろうと思うのです。もちろん入居したときの家族数の問題も含んでいましょうし、あるいはやはり狭い所にはがまんができないというのはこれは人間の心理ですから、何とかして増築していこうといって、おそらくこれはまあ個人の負担において増築をされておる。こうやったその増築をした人たちは、やはりそこを安住の地として、収入のいかんにかかわらず、やはりそこを明け渡すというようなことは一番困難なことであろうと私どもは思うのですね。これがまず第一に御質問申し上げますのは、そうやった増築というものは、これはもう全く個人の負担にまかせられておるものでありまして、これに対するところの許可あるいはその融資の補助というものは、政府みずからが、あるいは都みずからがやっておるものか、それがまず第一点ですね。  第二点としては、今回やはり明け渡しの精神規定というものが入っておりますね。この精神規定に対しましては非常な聳動が起っておるわけですね。そうやって聳動が起っておるその事態に対しまして、この法律によりましては、やはりこれは一つの精神規定であるけれども、調査しなくちゃならぬ、その上にそれができなかったときには割増をやらなければならぬという大きな負担条項というものがその中に織り込まれておるわけですね。こうやったことが、ほんとうに住居者のこうむるところの精神的負担あるいは物質的負担という問題を御考慮になってこの改正というものを出されたのか、この二点をまず御説明願いたい。
  151. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 公営住宅におきましては、原則といたしまして増築並びに模様がえ等は禁止しておるわけでございます。ただし事業主体の長の承認を受ければできるというふうに例外規定がございます。従いまして、事業主体の方でそれぞれ条例でいろいろの増築につきまして承認の基準等を定めてあるわけでございます。なおこの増築等の場合におきましては、無償で撤去するという条件のもとに事業主体の承認を得ているわけでございます。従いまして、そういう収入超過者が増築しておった場合には、法律上はもちろん、その法の精神的な明け渡しの義務規定を負うわけでございますが、御承知のように、これは明け渡しにこれは努めなければならないというので、明け渡しの請求ではないわけであります。御本人の意思に反して追い出されるということはないわけでございます。従いまして、そういう方は割増賃料を払いましておっていただくということも可能なように考えたわけでございます。
  152. 内村清次

    ○内村清次君 そこでこの割増賃料でおっていいというようなことが、付帯的に派生的にお考えになっているのですが、それは住居者になってみますとですよ。自分で自己資金で家は増築をした、増築分という環境を持って、それにまた割増を取られていくということは、たえられないというお気持はないですか、どうですか。
  153. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 割増賃料にいたしましても、これは公団とか協会とか、政府施策住宅の家賃計算の水準にならったものでございまして、住宅の建設費になお二、三割の補助金が入るような計算でございます。従いまして、割増金を取ったところで家屋の家賃ということではないわけでございます。なお増築部分につきましては家賃は取っておらないわけでございます。
  154. 内村清次

    ○内村清次君 それから本規定には、この建前といたしまして、公営住宅に入居した人に対しては、何年かたつとこれは払い下げをしてやる、譲渡してやるというような規定がありますね。この規定というものは今現実に施行されているかどうか、その点を一つ局長から御説明願いたい。
  155. 稗田治

    政府委員(稗田治君) そういう譲渡処分につきましては、従来は政令の定めるところによって、なお建設大臣の承認を得て、耐用年限の四分の一を過ぎたときは譲渡することができるということになっておったわけでございます。それで建設大臣の承認というところで、地方公共団体につきましては通牒を、承認の基準というものを流しまして、それによって制限をしておたわけでございます。公営住宅はそういうわけで賃貸住宅を趣旨とするものでございますから、原則は譲渡処分することは望ましくないわけでございますが、場合によれば譲渡処分をした方が適当であるということもあるわけでございますので、今回ここに「特別の事由のあるということを入れましたのは、従来通牒で流しておった、ような承認の基準というものを、政令ではっきりさせようという意図で入れたわけでございますので、実際最近こちらで大臣承認している方針と、今回の法律の改正の内容については、大した違いはないわけでございます。
  156. 内村清次

    ○内村清次君 この譲渡処分に対しましては、どうも今政府のお考え、あるいはまたその地方公共団体考え方では、なるたけもうしまいというような思想が流れているようですが、そう解してよろしいでしょうか、どうか。
  157. 稗田治

    政府委員(稗田治君) たとえば災害公営住宅等の場合に、農村の災害公営住宅等になりますと、擢災者の土地を借りましてそこに一戸ずつ建てるというような住宅もございます。そういうように分散して建てられた住宅というものは、賃貸住宅としての効用も薄くなっておりますので、こういうものはやはり譲渡していく方がいいんじゃないかというふうに考えております。
  158. 内村清次

    ○内村清次君 私が問いますことは、そうやった考え方が流れておりはしないかということです、政府の方で。
  159. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 公営住宅は賃貸、住宅が原則でありますから、なるべく譲渡処分しないでいく、しかし譲渡処分をした方が客観的に見て非常によろしい場合には例外でやっていく、こういう建前でございます。
  160. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 質疑打ち切りの動議を提出いたします。
  161. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ただいま質疑打ち切りの動議が提出されました。稲浦君の動議は質疑打ち切りでございます。本動議に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 多数でございます。よって稲浦君の動議は可決されました。
  163. 内村清次

    ○内村清次君 議事進行。実際これはむちゃですよ。私はまだこの骨子が、背骨がまだ二、三点あるのです。これはやはりこういった住宅居住者の気持になって見てやっていかないと、先ほど上條委員からも言われましたように、政府の方の低家賃住宅というものが、建設戸数というものが非常にこれは基本的な問題です。住宅対策として、こういった中にこの法律の精神、改正案の精神と同じような問題も人っていますから、これは住居者の気持になってやはりやらなくちゃならぬと思うのです。まあしかし強引に動議が成立いたしたことでございましょうが、どうも少し私たち混乱しましたよ。ちょっと一つ採決をするまで休憩をとってもらいたいと思います。
  164. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  165. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。  十分間体感いたします。    午後七時二十四分休憩    —————・—————    午後七時三十九分開会
  166. 岩沢忠恭

    ○理事(岩沢忠恭君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見及び付帯決議案は討論中にお述べを願います。
  167. 内村清次

    ○内村清次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、公営住宅法の一部を改正する法律案について反対し、修正案を提出いたすものであります。  原案に反対の第一の理由は、家賃及び敷金の変更等について変更する場合は公聴会を開いて利害関係人等の意見を十分間かなければならないという規定が現行法の第十三条にあるにかかわらず、改正案は公聴会を開くことなく一方的に増額しようとしておることであります。  第二の理由は、政府当局は、今回の改正案によって、公営住宅に入居できない多数の住宅に困窮する低額所得者に対して割り当てることによって住宅難を解決すると言っておりまするが、絶対数の不足する今日において、しかもこのようなこそくな措置で住宅難の解決はできないということであります。  第三の点は、収入超過者に対する割増賃料の徴収であります。公営住宅入居者及び希望者はほとんどが低額所得者であることでありまして、入居資格の限度額の三万二千円といたしましても、昭和二十四、五年に入居した者について、生計費あるいは交通料金、新聞、ラジオ等値上りをしており、実際の支出面が増加しておるということでありまして、また建設年数を考えなければならぬということです。戦後いち早く建設された住宅は、その設備、共同施設等粗雑であり、ほとんどが住居者の修繕によって補強されておるのが現状であります。老朽した住宅は低廉でなければならないのは当然であります。  第四点は、管理義務であります。管理を適正かつ合理的に行うのは事業主体は当然のことではないかということで、今さら改正する必要がどこにあるかという点であります。  以上反対の理由を申し述べましたが、そこで次の修正案を提出する次第であります。まず修正案から朗読いたしました    公営住宅法の一部を改正する法    律案に対する修正案   公営住宅法の一部を改正する法律  案の一部を次のように修正する。   第十二条の改正規定中『補助に係  る部分を除く。」の下に「以下第十  三条第三項において同様とする。」  を加え、』を削り、「除く。以下第  十三条第三項において同様とする。」  を「除く。」に、「控除するものとす  る。以下第十三条第三項において同  様とする。」を一控除するものとす  る。」に改める。   第十三条の改正規定を次のように  改める。   第十三条第一項中「前条の」を「第  十二条の」に、「前条第一項から第  三項まで」を「第十二条第一項及び  第二項」に改め、同条第二項中「前  条第一項又は第二項」を「第十二条  第一項」に改める。   第十四条の改正規定中「家賃、敷  金及び割増賃料」を「家賃及び敷金」  に改める。   第二十一条の次に一条を加える改  正規定中第二十一条の二第二項及び  第三項を削る。   第二十二条第一項の改正規定中  『第二号中「家賃」の下に「又は割増  賃料」を加え、同項』を削る。   第三灘中第二十三条の次に一条を  加える改正規定のうち第二十三条の  二中「、割増賃料の徴収」を削る。   第二十四条第一項の改正規定中  里経過したしの下に「場合において  特別の事由のある」を、』を削る。  第十三条の三項、「建設大臣が政令で定めるところにより住宅対策審議会の意見を聞き建築物価の変動を考慮して地域別に定める率を以下「この場合において、当該月割額の算出に関し必要な事項は、第十二条第一項の場合の例に準じて政令で定める。」を全部削除。理由、建設物価の騰貴により古い住宅と新しい住宅の問に家賃の格差が生じたことは事実である。しかしその原因は、昭和二十九年に建設省が、法第二十四条の規定を無視して払い下げ停止の通達を出したため、古い住宅の払い下げが行われなくなったため、極端な格差が生じたものである。第二に、住宅の機能及び居住性に格段の差があり、家賃の安い住宅や修理、改造に居住者の自己負担が多くかかっておる。建設省東京都では三百円ないし六百円程度の極端な家賃の例をとって値上げの必要性を強調しているが、少数の特殊な例をもって全体を論ずることは、責任ある立場としてはとるべきではない。家賃が安い場合は現行法第十三条の規定により公聴会を開いて建設大臣の承認を求めれば引き上げることができるので、わざわざ法律を改正して一律に引き上げを行うべきではない。提案理由にいうところの不公平をなくするには、住宅の機能、居住性を考慮し、さらに居住者の自己負担分をもあわせ考えた後、現行法第十三条により措置すべきである。  また修繕費の問題については、居住者としてもその必要を認めるが、それは政令を改正して現行家賃に織り込んである修繕費の率を改訂すべきであると考える。従来は事業主体においていつまでも管理しているときは修繕費がかさむので、早期譲渡を行なっていたものである。今回の改正案によれば、譲渡は特別の場合以外はしない方針に変ったようであるが、その結果修繕費が飛躍的に増大することは当然である。この負担を家賃の調整(十三条の一)及び割増金(二十一条の二)によって居住者から求めんとすることは不当であり、不公平、不均衡の是正は口実であって、実は政策の転換によって生ずる財政負担を低額所得者たる居住者に肩がわりさせるねらいを持つものである。これは公営住宅法が低額所得者のためにあるものという本旨を忘却したものといわねばならない。  第二十一条の二、居住者として「割増賃料の徴収」の削除を望む。  理由、公営住宅は低額所得者のための住宅である。従ってすでに低額所得者でなくなったものは家を明け渡すよう努力せねばならないということは、よしあしは別として筋道は通る。ところがそのあとに明け渡さないで入っているときは割増賃料を払いなさいという趣旨の規定があるが、これがはなはだ矛盾した規定である。低額所得者のための住宅であるという筋を通すなら、所得の多い人をできるだけ出すように努めるべきだ。しかし強制することは憲法に違反するから絶対にできない。従ってかわりの住宅を用意し、本人の意思を尊重しながら、できるだけ出ていくように努力させる、これだけでよいはずだ。しかるに出ていかない(いけない)者は割増賃料ということは、割増金さえ出せば高額所得者でもいてよろしいということになって、法第一条にいう「低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する」という趣旨に合わない事実が法律中にできてくることとなる。すなわち、割増賃料徴収の対象になる人々は、改正案第二十一条の二及び現行法第十七条にいう「政令で定める基準をこえる収入」あるものであり、「政令で定める基準」、すなわち第一極にあっては三万二千円、第二種にあっては一万六千円という線は、この法律にいう低額者と非低額者の境界線をなすものである。しからば、この基準を上回る人、すなわち非低額所得者といえども四割増、八割増の非低廉な家賃を払えば入っていてよろしいということになるのであるから、法第一条に低額所得者以外の者にも割増金で貸すという趣旨を補足しなければ、この第二十一条の二の割増貸料の部分は法の目的を逸脱するものとなるのである。  第二十四条「場合において特別の事由のある」を削除。  理由は、譲渡を「特別の事由のある」場合に限定することは、原則として払い下げないのだという感を持たせ、居住者がその住宅を良好な状態で使用してゆこうという意欲がなくなる。従ってどうせ自分のものにならないならということで、手入れも悪くなり、ひいては住宅の寿命も短かくなる。また長期にわたり多くの自己資金を投入して維持し続けてきた居住者の努力にも報いるべきであろう。建設省は「特別の事由」を入れても、従来と変りないというが、変りないならなおさら誤解を避けるように、この字句は削除すべきであり、現行法の条文のままでも政令、通達等によって払い下げの乱用は十分防止できるはずである。  以上の修正案の理由を申しあげまして、反対の討論といたします。
  168. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 私は、自由民主党を代表いたしまして、次の決議案を付して本法案に賛成いたします。  まず、決議案を朗読いたします。    附帯決議案   政府は本法施行に際し、第二十一条の二の規定による措置の実施については、現下の住宅事情入居者の生活環境等に充分留意し、入居者に対しいたづらに不安を与えないよう特別の配慮を加えるべきである。  右決議する。  理由を申し上げます。  公営住宅法は、低額所得者に対して低廉な家賃の住宅を与えるということを目的として昭和二十六年に公布されたのでありますが、すでに八年を経過し、管理運営の上にある程度不便な点が生じていることは事実であります。従ってこれを改正することは必要な措置であると思います。しかし、この法律の実施に当っては居住者は相当不安を感じていることは事実であります。たとえば二十一条のごときは、せっかく入居して、安住の地を得たやさきに、収入増加のゆえをもって転居しなければならないというような印象を与えることは、本人にとってはたえられない不安でありますから、この取扱いに当っては適当な公団住宅あるいは公営住宅等に入居し得るような特別な措置を考えて、その不安を取り除くことに努力しなければならぬと思うのであります。  かような意味におきまして、さきの付帯決議をつけて本案に賛成いたします。
  169. 岩沢忠恭

    ○理事(岩沢忠恭君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 岩沢忠恭

    ○理事(岩沢忠恭君) 御異議ないものと認めます。  それではこれから公営住宅法の一部を改正する法律案について採決に移ります。    〔理事岩沢忠恭君退席、委員長着席〕
  171. 早川愼一

    委員長早川愼一君) まず、討論中にありました内村君の修正案を問題に供します。内村君提出の修正案に賛成する方の挙手を願います。   [賛成者挙手〕
  172. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 賛成少数でございます。よって内村君提出の修正案は否決されました。  次に、公営住宅法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成する方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  173. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 多数でございます。よって本案は多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました稲浦君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 多数でございます。よって稲浦君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。
  176. 遠藤三郎

    国務大臣遠藤三郎君) 公営住宅法の一部改正案につきましては、二長時間にわたりますきわめて大事な御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。  いろいろこの御審議の経過の中に私どもも考えるところもございまして、特に家賃の不均衡の是正に関しては住宅対策審議会にこれを諮ることになっておるのでありますが、その際に居住者の意向をも十分取り入れることを必要と考えるのでございます。従いまして、御趣旨のあるところをよくくみまして、今後住宅対策審議会のメンバーとして居住者を入れることを考えて参るつもりでございます。そのことをここではっきり申し上げておきたいと思います。
  177. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後八時二分散会