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1959-04-01 第31回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月一日(水曜日)    午後三時二十五分開会   —————————————   委員の異動 三月二十六日委員井上清一辞任につ き、その補欠として小幡治和君を議長 において指名した。 三月二十七日委員小幡治和辞任につ き、その補欠として井上清一君を議長 において指名した。 三月三十日委員勝俣稔辞任につき、 その補欠として川村松助君を議長にお いて指名した。 三月三十一日委員川村松助君及び平島 敏夫辞任につき、その補欠として勝 俣稔君及び吉江勝保君を議長において 指名した。 本日委員吉江勝保辞任につき、その 補欠として平島敏夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西川甚五郎君    理事            仲原 善一君            西岡 ハル君            平島 敏夫君            棚橋 小虎君    委員            稲浦 鹿藏君            白井  勇君            手島  栄君            松村 秀逸君            相澤 重明君            東   隆君            島   清君            鈴木  壽君            森中 守義君            天坊 裕彦君   国務大臣    国 務 大 臣 伊能繁次郎君   政府委員    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    電気通信監理官 松田 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    電信電話公社副    総裁      横田 信夫君    電信電話公社業    務局長     吉沢 武雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十二年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を申し上げます。三月三十一日、平島敏夫君の辞任に伴いまして吉江勝保君が補欠として選任されました。また本日、吉江君の辞任に伴いまして平島君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 理事補欠の選挙を行いたいと存じます。  ただいま申し上げました通り理事平島敏夫君が一時委員辞任されましたため、理事に一名欠員を生じております。従来の慣例もあり、理事の指名は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。  平島君の補欠として平島敏夫君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書並び昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書を議題といたします。  本日は防衛庁の部の質疑を続行いたします。前回において要求せられました資料提出されておりまするから、皆様にお配りいたしております。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 森中守義

    森中守義君 この前防衛庁長官おいでにならぬときに防衛通信に関して少しお尋ねしておきましたが、主として電電公社にその当時お尋ねをして防衛庁関係を本日まで保留をいたしておりました。しかしやはり電電公社防衛庁との関係がいま少し明らかになりませんと、究極的な私の意図する結論が出ませんので、本日も前回と同様に郵政省及び電電公社、さらに防衛庁関係当局に対して質疑を申し上げます。的確に御答弁いただきたい。  そこでまず第一にお尋ねしたいと思いますのは、前回防衛庁及び電電公社から御提出をいただいた資料にかなり食い違いがあります。しかるにその食い違いお尋ねいたしましたところ、正確に答弁をいただいておりません。具体的に申し上げますならば、防衛庁提出になる専用回線の数及び電電公社提出された専用回線の数が一致いたしません。双方の協定に基いて専用決定が行われておりますから、この種の数の食い違いということはあり得ないというのが、あくまでも建前でなければなりません。従っていずれの数字が正確であるのか、そうしてまた相違を来たしておる理由は那辺にあるのか。むしろこれはお使いになっておる防衛庁の方から承わった方がよろしいかと思いますが、防衛庁長官から御答弁願いたい。
  7. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいまお尋ねの点につきましては、あるいは官庁もしくはこれに類似の公社との間の問題でございまするので、御指摘のようなことがあるとはとうてい考えられませんので、おそらく回線使用のとった時期等について食い違いがあったのではないかと、かようにも存ぜられまするので、この点は、詳細な数字等、また、いつの時期を基準にとったかというような詳細については、政府委員から御説明をした上でさらにお答えをいたしたいと存じます。
  8. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 前回の当決算委員会におきまして、私が防衛庁側として説明いたしましたのは、市外線だけをとりまして、電話回線数が二百二十七回線、それから電信回線数が四十回線、合計二百六十七と御説明いたしました。電電公社の方の御説明では、防衛庁電信電話を通じた有線専用回線数は二百四十一とお話しになりました。その間に二十六回線の差がございましては、なはだ申しわけない次第でございますが、打ち合せいたしました会社側資料は三十四年、ことしの二月の支払い請求に基く調査でおとりになったようであります。防衛庁の方の資料はこれもちょっと、正式にいいますと資料の作り方に抜かりがあったのでございますが、三月三十一日現在を見込みまして現在使用開通しているもののほかに、専用申し込みその他をしているもの全体を含めてでございます。そういうところで二十六回線の差ができましたが、その二十六のうちの七回線はすでに開通を見ております。その残りは専用申し込みの手続中でございまして十九回線はまだ使用に至ってない、こういう状況でございます。資料に多少手違いのございましたことをおわびを申し上げます。
  9. 森中守義

    森中守義君 了承いたしました。大体合ったようです。これはこういうことがしばしば繰り返されるという、そういう意味でなくて、やはり審議の資料として提出を求めているわけですから、よほど慎重に数字等を整備されて資料食い違いのないように、防衛当局に特に警告を発しておきます。  そこで、電電公社前回に引き続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、先般の、大橋総裁を初め関係者が御出席になってお尋ねをいたしました際に、例の設備分担金を、三十一年度において三億一千八百五十四万円強、三十二年度において十七億一千五百五十七万円強、こういったように負担をされております。この設備分担金というのが、公社が九区間十二チャンネル防衛庁提供されるに当って果して必要であったのかどうか、その辺が前回答弁では必ずしも正確でありません。つまり前回答弁から参りますと、どうも、公社資金調達上、三十一年度の三億一千八百五十四万円と三十二年度の十七億一千五百五十七万円を負担してもらわなければならなかったと、こういう御説明であります。果して資金計画上そのことが真に必要であったのかどうか、その間の理由を、副総裁がお見えのようでございますから、副総裁からお答えを願いたい。
  10. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいまの件についてお答えいたします。この防衛庁の必要とされる専用線につきまして、無線専用の場合に負担金をいただかずに、専用料として負担金相当分利子、あるいは減価償却というものを年々に分けていただくか、あるいはそれをいただいてそのかわりに、無線専用料金算定上、年経費相当するものをそのかわり年々のものから減額して、それだけ減額した使用料をいただくか、この二つ方法があるわけでありまするが、われわれの方といたしましては、この負担金をいただいた方が、全体としては……どう申しますか、いただいた方が、より私の方は望ましいことは望ましいと思います。と申しますのは、いろんな意味におきまして、われわれの設備負担金というものについて、これは先生も御承知のように、予算総則設備負担金資本勘定収入になりまして、それを弾力として使って、また拡充もやれるというようなことになっておりますので、どちらの方法もとれるわけでありますが、こちらの方法防衛庁の方で御承諾下さればこちらの方がより望ましい、こういう関係になっているわけであります。
  11. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、協定に定めてある内容から参ると、前回もこういう趣旨の御答弁がありました。減価償却あるいは資本利子保守費、こういうものが固定をされた料金の中に混入されて今日のこの協定料金になった、しかもそれは十年間という据え置きですね、もちろんその間に物価の変動や給与ベース改訂等に応じてはスライドする、というようなうたい文句があるのでございますが、これは固定料金年間定額料金との間に非常な密接な関係を持っております。その間がややはっきりしない、だから私はこの前御答弁いただいた、資金調達上困難であったから三億さらに十七億、二年間にわたって設備資金防衛庁からお取りになった、こういうようなことなんですが、料金を考えてこういうことになったのか、あるいは資金上どうしても資金操作がつかないから三億八千万円と十七億一千五百五十七万円を防衛庁からお取りになったのか、そこの区別はどういうことになりますか。
  12. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいま申し上げましたように二つ方法があるわけでございますが、われわれの方はでき得べくんば、負担金をいただきまして、その負担金による維持、建設費の全体のワク操作によるほかの方の拡充、これは御承知のようにいろいろな拡充を必要とする部面があるわけでございますから、そちらの方の設備負担金による弾力で、ほかのお客さんの方に幾分拡張でもできればそれが望ましい、そのかわり負担金をいただいたらそのいただいた分に相当する減価償却利子はいただかないのが当然でございまして、それだけ年々また専用料の方からそれは差し引いて、その残額をいただくということになるのであります。
  13. 森中守義

    森中守義君 三十一年度電電公社成立予算は幾らですか。
  14. 横田信夫

    説明員横田信夫君) はなはだ申しわけありませんが、ちょっと今予算書を持ってきておりませんので後刻……。
  15. 森中守義

    森中守義君 私が教えてあげる、五百五十五億、しかも私が電電公社予算を書棚の中から引っ張り出していろいろ調べて見ましたところが、この五百五十五億の中に、いわゆる三十一年度、二年度、この両年にまたがる九区間、十二チャンネル分設備資金として入っております。従ってこれは、何も防衛庁から設備負担金を取らなくても、公社のいわゆる成立予算である五百五十五億の中から当然設備し得る筋合のものだ、私はこう思う。従ってすでに成立した予算の中にそのことが入っているのに、どうして防衛庁から三億あるいは十七億という設備負担金を取らなければならないのか。しかも年額の定額料金ということになると、これは順を追っていろいろお尋ねをいたしますが、どうしてもその辺に防衛通信に対する防衛庁見解、さらに電電公社見解というものが第一点に驚いてクロスをしておる、こういったような見解を私は持つのです。従って私が今お示しをいたしました五百五十五億の三十一年度成立予算の中に、それぞれの防衛庁に専用せしむべき設備資金公社資金計画の中に入っておったという事実に徴して、何ら防衛庁から設備負担金を取る必要はない、こういうことが成り立ってくると思うのです。副総裁、その辺どういうお考えですか。
  16. 横田信夫

    説明員横田信夫君) お話の点の、今予算上に、例のマイクロ施設というものの計画はすでに定額予算の中にあったじゃないかという御質問につきましては、その通りであります。それで着手いたして施工いたしておるのでありますが、御承知のように、予算定額のほかに、この予算総則の中に、負担金による弾力というものがありまして、これは種々の負担金がありますが、加入者からいただく負担金もあります、そういうものも予算で予定している以上にあった場合は、それによってより以上の拡張資金に充ててやってよろしいと、こういう負担金による資本勘定収入繰り入れはそれで建設してよろしいと、こういう条項予算総則がなっておるわけです。そこでなるほど今のマイクロ施設というものは予定を持っておりますけれども、今防衛庁の方からいただく負担金というものがあればほかの方の拡充に充て得る。その方がお客さんはいろいろな方面拡張を少しでも、という希望を持っておるのでありますが、そういう方面幾分でも資金がいけばお客さんのためになるというので、公社としてはその方が望ましいわけです。ただ、しかし防衛庁予算の中でそれを承知していただけなければなかなかいかぬわけですが、幸いに防衛庁さんの方も負担金を出していただくことを御承知願ったので、われわれの方はそれに基いて協定いたしたと、こういうようなことになっております。
  17. 森中守義

    森中守義君 公衆電気通信のより強化と拡充ということは公社当局の副総裁が御答弁になったような趣旨で大いにけっこうです。そういう意欲が望ましい。しかしながらあと年間定額料金関係をした場合に、どうしてもその辺に問題があるのです。私は、前回資金操作上、資金調達上、こういう措置をとらざるを得なかったという御答弁がありましたから、であるとするならば——五百五十五億の成立予算の中に、それぞれのルート、それぞれのチャンネル分が入っておるとするならば——今言われるような意欲と意思はこれはあくまでも善意に基いたものですから、それは否定はいたしません。しかし予算執行という面から考えていけば、その点についてはたとえ弾力条項等があってもいささか問題があるのではないかと思うのです。しかし私が旧書類から発見いたしましたのは、三十一年の場合には三十年度剰余金が五十一億二千七百二十二万六千円、それを特に郵政大臣に認可を求めて施設拡充の方に使っているじゃありませんか、さらに三十二年の三月、つまり三十一年の年度末に、これもまた加入者の例の公募債というのですか、どういう種類のものかわかりませんが、私の書類からいけば、三十五億九千六百三十三万三千円という金を施設拡充のために入れておいでです。合計八十七億二千三百五十五万九千円というのが、五百五十五億の成立予算のほかに公社としては注入されておいでになる。しかも年度繰越金が四十二億、こういうことになる。それに対する防衛庁は、三億というのは、少くとも私は公社資金調達資金計画に、三億という施設分担金をちょうだいしなければ専用回線提供ができない、あるいは開通に至る工事の促進ができないということはあり得ない、こういったように考えるのです。従って、前回答弁をいただいた資金調達上、資金操作上というものが速記録にも残っている。しかも現実に私はその答弁をいただいておる。その場でそういう書類を持っていなかったので引き合せてみたところが、どう考えてみても資金調達上、操作上という理屈は成り立ちません。だからここで副総裁がその御答弁が誤謬であった、あるいは今言われるようなことが筋道であるとするならば、いずれかをはっきり公社の統一ある態度表明ということがこの際は望ましいと思うわけです。
  18. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいまお話のあったように、結局余裕資金というようなものによる予算定額のほかの拡張、というようなものの出てくるもとが、こういう負担金あるいは加入者よりの負担金、そういうものによる弾力で出てくるわけであります。まあそういうものを含めまして、とにかく幾分でもお客さんのためになる拡充をやりたい、というのがわれわれの気持でございまして、その辺は先ほど申し上げました通りであります。そこでそういう資金も入れての資金操作上とお考え下さるならば、前の答弁と私の言うことが食い違っていないのじゃないか、こういうふうに思っておりますが。
  19. 森中守義

    森中守義君 非常に拡大して解釈されたお答えですよ。それはなるほど電信電話公社が損をしてもいいとか、あるいは公衆サービス・ダウンになってもいい、そういうことはあり得ないわけですが、いかなる場合でもサービスアップというのが一つ公社至上目標でもあろうと思うのです。そういう観点からいろいろものを考えていけば、これはもう論議はない。しかし論議はないけれども、成立した予算、その予算に対する執行、しかもそのことが今申し上げたように、八十数億という相当額剰余金を充当してみたり、あるいは弾力条項の発動をしてみたり、さらに四十二億という繰越金という実情を見た場合に、果して防衛庁から三億程度の金をどうでもこうでも取らなければならないものかどうか。防衛庁が出しましょうと言ったのか、公社がいやそれを出してくれと言ったのか、この辺はあとでただすことにいたしまして、今副総裁の言われるようにサービスアップだけが公社目標なんです。そういうことのためには、たとい予算の規制も何も考えなくて手段方法も考えずにやり得るという解釈をいたすならば、これは私はこの委員会における決算質問も必要でないし、また社内における自主的な監査等もすべてそういう方向に結合されていくわけですから問題はない。しかしそれでは資金運用であるとか、あるいは公社の運営であるとか、予算執行という規律がつかない。ある点における規律をつけるために、国会としては決算承認をする、承認をしないという決定をするわけですから、今副総裁お答えになったのはもちろん私は公衆に対する電電公社サービスアップのための意欲の表われである、そういう善意にとります。とりますが、何もかもそういうことで片づき得るかどうかという点については、これは公社当局も一考を必要とします。そういう論法ですべてが片づくならばこれは何をか言うところはありません。従ってそういう所論を私は持つ限りにおいては、正確に成立した予算がこれだけ、そのワク内で何ルート、何チャンネルというものを仕上げていこうという公社計画があったわけですから、それなりにある程度区切りをつけた予算執行というものが望ましい、そう思うのです。それと三億という金が、なるほどこれは部分的に見れば大へんな金ではあります。しかし今日のように八百数十億、九百億になんなんとする公社の全体の建設資金等を考えていけば、一体三億という金で、それで今日積滞をしている加入者の問題の五十万、百万というのがどういうようにして解決できますか。なるほど三億という金がないよりもある方がいい。ある方がいいが積滞の消化に何ほどの役をなすのか、あるいは公社建設計画、第一次、第二次五カ年計画に何ほどの利益をもたらすか、こういうことになれば、私はあとでようやくこういうものが発見できたから、防衛通信公衆電気通信区別がつけ得るのです。こういうことを、もしも見のがすということになれば、うやむやのうちにこういう問題は葬られていきます。そういうことは公衆電気通信をお預けしている国民としては、かなり重要な問題といわなければなりません。少し意見がましいことになりましたが、要するに資金調達上、資金操作上、防衛庁から三億という金を必要としたという御答弁を先回承わっておりますから、今副総裁が言われるようにサービスアップの目的のためにというその一語で、きわめて広範な解釈からいけば成り立ちはしますが、今るる申し上げましたように予算執行あるいは決算というこういう観点からいけば、あながちそのものずばり了承するわけには参らないのです。だからもう少し統一ある見解を表明してもらいたいというのはそのへんにあります。
  20. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいま御指摘の点は、御指摘通りこの全体の拡充、ことにお客さんの需要がどんどんたまっていっているこういう状況からしまするならば、三億でお客さんの要望を満たす範囲というものは決してそう多くはありません。ほんとうのところまだまだ大きいわけでありますが、しかしわれわれの方といたしましては、幾分ともそういう予算定額以上の拡張ということができれば、われわれとしてはその努力をすべきだというのがわれわれの方の気持でありましてそこでわれわれとしてはまあ何とかしてお客さんの方で御承諾していただければそういうこともお願いしたい。しかしその当時、幸いにして設備負担金を持っていただくというところの結論協定に至りましたわけでありますが、もしも防衛庁の方で負担金はどうしても持ち得ない、どうしても年々の無線料のあの定額は払えない、あの負担金はだめだ、こういってもし最後までがんばられたときに、もし負担金を持っていただけぬならばわれわれとしてはサービスをやめます、ということになったかどうかについては、非常にこれは問題だろうと思います。私の見解といたしましては、どうしても持ち得ないということでお断わりになった場合には、われわれとしてはやはりそれでも年々の無線専用の普通の使用料をいただいて、負担金をいただかないでも御要望に応じなければならぬのではないかと、こういうふうに感じております。ただその前に総裁が申し上げました当時の公社資金状況にかんがみという言葉、この資金状況というのは、その意味相当広い言葉でお使いになったと思いまして、そういう意味の広い資金運用上も考えましての資金状況にかんがみ、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  21. 森中守義

    森中守義君 これは不正をおやりになったというわけではありませんから、それはそのある種の見解ということでよろしいでしょう。ただしかしあくまでも原則的には予算執行、こういうことについては一つ規律があるわけですから、どれもこれもサービスアップのためには手段方法を選ばないという道は、これは私はやはりとるべきではない。いわんやこういう周波数の帯域という、かつてないような防衛庁に対するサービス提供、しかも固定料金年間支払い、こういう問題、これに対してなるほど公社営業規則によれば負担金という項目はある、あるいは実費という項目もある。あるけれども防衛庁におやりになっておるようなそういうのは他にその例を見ません。むしろ三十年に第一次の協定が結ばれ、その協定全文と、三十二年にその協定が修正をされている、その第一回目の協定全文、第二回の協定全文というものは、表現において実行面においてかなり回転をしております。しかし回転はしているが、私はどなたが会合に参加されてどういう討議の結果どうなったということは、その経過はつまびらかには知りません。知らないけれども、年間定額制というのが、大体設備負担金つまり三億、十七億というものを防衛庁が注入したために、十年間という一つ制限期間を設けた、きわめて低廉な料金決定づけを行なった一つ方向をこの際、示したのではないか、こういう工合に思うのです。農村の人が、あるいは町の人がたとえ大口に利用しても電電公社電報料を負けてくれません。あるいは電話料金を負けてくれない。ところが防衛庁がわずか三億程度の金を出し、十七億程度の金を出したから十年間むやみに安い固定料金でよろしいというのは、明らかに公衆電気通信法に私はもとると思う。この点が問題なのです。だからしてこのように私が設備負担金を問題にするのは、すでにその討議の過程において話し合いの最中に設備負担金を出そう、じゃ受取ろう、そのかわり十年間固定料金でいこうという、こういう了承が防衛当局公社当局との間に行われたのではないか、ということを勘ぐられてもやむを得ない、私はそう思う。  それでこの話のついでみたいになりますが、公社からちょうだいをした、これは三月の三十日に出された調書であります。これを私がきょう計算をしてみました東京—福岡間、この中に専用料金が二千三百万ということになっております。この二千三百万を付属料金表の五条のアラビア数字のカッコのない2、この中を見た場合に、最後にその他のものが専用する場合これに相当通話料の六千倍ということになっておる。しかもこの相当通話料の六千倍の中に官庁が含まれる。前の非常無線とは別です。この一般官庁が六千倍の二割引き、つまり四千八百倍、これで計算をしていけば一億八千六百六十二万四千円という数字が出てくるのです。それに対して年間における防衛庁から公社がもらっている金はわずか二千三百万ということじゃないですか。いかに実費である、設備負担金をもらって十年たって、もう防衛庁の方が必要といたしませんから、設備は全部電電公社に渡しますというような協定のようですが、この一事をもってしても一般官庁の二割引きと、それと防衛庁が十年間に支払う金を比べた場合にこういう多額の差があるのです。これを私は東京—福岡間一通話、普通通話ですが二百七十円を基礎にして、しかもそれを官庁の二割引、四千八百倍ということで計算をしていけば、一億八千六百六十二万四千円という数字が出ている。これに対して防衛庁は二千三百万だけしか払わぬでもよろしい。こういうことになれば、この年間決定されている定額料金というものがいかに不当なものであるか、断じてこれは実費とは言えません。あとそれぞれの区間別にこの六千倍の方式、四千八百倍ということで勘定していけば同様なことが成り立ってくると思うのです。こういったように考えてくれば、設備資金をとったときに、もう少し私は、何も資金上困らない、五百五十五億のほかに八十数億という弾力条項の発動もあって、それで設備をおやりになろうというときですから、三億程度の金を防衛庁から受け取って、一億八千万円かかろうというのに二千三百万くらいでサービスをする必要がどこにありますか。だからして、結局、設備負担金というのが一禍根をこの際は作っていると私は指摘せざるを得ないのです。  こういったように考えますので、もう少し、設備負担金をどうしても防衛庁からとる方が公社として経営上有利であったのか、あるいは政策的に防衛庁から三億程度の金をもらって、一億八千万の金を二千三百万に負けておこうということになったのか、その辺の事情を明らかにして下さい。  同時にまた防衛庁は、この電電公社に支払われる予算というものは、年間予算に計上されているのですか、どうですか、その辺もあわせてお答え願いたい。
  22. 横田信夫

    説明員横田信夫君) お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の点は非常に広範にわたっておりますので、少し分けて御説明をさせていただきたいと思います。  まず防衛庁の方から、この無線専用としていただいておる専用料の年額、そういうものが無線専用料金として高いのか安いのか、という問題がまず第一点であります。  先生御承知のように、われわれの方にこの専用形態といたしまして無線専用という形態がありますが、これは実費でやる、こういう形になっております。それで無線専用という形において防衛庁の御要望に応ずるということになりますと、これは設備負担金をいただかないでいたした場合、今の御指摘専用料の二千二百万円に相当する、無線専用料の設備負担金のない場合の金額は、三千五百九十九万円程度のものであります。そこでその差額の千二百九十九万円程度のものが、今の設備負担金をいただいたその部分の減価償却費、利子相当するものであります。従いまして、この無線専用料金、これは必ずしも防衛庁のみにこの無線専用をいたしておるわけではないのでありまして、そのほかに日本航空、新聞社、そのほかにもいたしておりますが、その無線専用の一般料金と比べて防衛庁の方が安くなっておるというわけではなくて、一般専用料無線専用料と同じ率でいっているわけであります。  そこで第二の問題は、無線専用料金、実費によるというものと、一般の市外専用制度との間の連携をどうつけるかという問題が、第二の問題として出てくるわけであります。  この問題は、実はこの無線専用というものを法律に立脚いたしまして実費によるということにいたしましたのは、こういうものがまだ一つ定型化していないので、これはいろいろな要望が、無線のパワーがどのくらいで、どのくらいのバンドがほしいというような要望が出てくるわけでありますが、その要望がまだ定型化していないというような関係で、これは一般市外専用料金との間とは別な料金形態として無線専用は実費によると、ああいう形になっておるわけであります。これがだんだん定型化していきますと、この一般市外の通話料というものと、こういう波長のバンドを貸与していくというものの間の連携をつけていくという問題は、今後にも起ってくると思っております。この点は今後の問題として、われわれとしても、これからの料金の改正と申しますか、料金の改正のときにはこの問題をあわせて考えていくべきものであろう、こう思っております。そこで無線専用という料金体系においては、今の防衛庁からいただいておるこの専用料金は決して負けているのじゃないのであります。  第二の両方の間の均衡の問題については、これがだんだん定型化した料金形態になってきた場合に、この両方の間の連絡をつけていくという問題が、どうしてもやはり問題になるだろう、こういうことであります。そこでなお付け加えて申し上げますと、一般の電信電話料金というもの、一般料金はどういう料金体系になっておるかと申しますと、先生も御承知のように、いわゆる総括原価と申しますか総括原価主義で、個々の料金はその利用の価値、効用によるという、バリュー・オブ・サービスと申しますか、利用の効用によるというような意味料金体系になっております。そこで実費による料金体系と、一般の効用を前提にした料金体系の連携をどうつけていくか、定型化していくか、これは相当むずかしい今後の問題になろうかと思います。総括原価を前提にしながら効用によると申しましたのは、われわれの方は公共事業でありますので、全体としての収入は大体収入と支出のバランスがとれる、しかし個々の料金は、たとえばいなかの方は非常に一電話機でも実費は相当かかる、そうするといなかの料金は高くするかというとそういうわけにはいかないから、都会であるいは市外で相当の収入の余剰ができるのが、いなかの方の非常に高くかかる方面につぎ込まれて、料金としては効用によるというような形になっているのが一般料金でありますので、これをどういうようにしていくかというのが相当むずかしい問題とは思いますが、将来に向って、この問題は今後料金改正等の機会がある場合に考えていきたい問題だとこう思っております。
  23. 森中守義

    森中守義君 この営業規則、この私が手持ちしておりますのは三十二年九月の現行のものですが、要するに先刻来指摘をしている専用無線料であるとか、あるいは指摘をしました市外回線専用料、これは今日のように極度に発展をしたマイクロあるいは周波数帯域等を専用にしてよろしいという、こういう技術の進歩の状態を想定して作ったものかどうか、私は今日のようにマイクロが存在しない前に、ばく然とした状態のときに、こういう専用回線料金というようなのが規定されたのじゃないかというように判断をするのです。従ってこの料金表そのものが相当ズレておる。いわんやこの前も指摘をしたのですが、この料金表の中に周波数帯域を専用提供というのはどこにもない。三百五十一条に無線設備というのがある。この無線設備の中に周波数帯域というものが入るのかどうかという質問をしたのに対して、公社当局見解はきわめて広義な、それこそ無線を何もかにも合体をした状態の中で入りますというように私は受け取っております。しかし帯域というのは、防衛庁に随時今日のちほどこれもお尋ねいたしますが、すでに模写電信をもう朝日はやろうとしている。次に毎日も読売もおよそ日本の三大新聞は続々としてこういう模写電信の時代に入るでしょう。こういう時代に今日突入すれば果して周波数帯域というものがどこの文言にあるのか。できることならば防衛庁に周波数帯域を提供するその瞬間において、私はこの営業規則等は改正をされてしかるべきである。漠然とした広義の解釈の中に、三百五十一条で無線設備の中に含まれますというような、そういう公社見解なら一体何を目標公社経営が行われておるのか、はなはだ問題にせざるを得ません。  しかも、これは別の質問と思っておりましたが、一緒にお尋ねをいたしますが、この前、新聞社からも、あるいはテレビからも、さらにラジオの方からも、周波数帯域の申し出はありませんでした、こういう御答弁でした。防衛庁に周波数帯域を許したならば、なぜ新聞社やあるいはテレビ、ラジオ等にもそのことをしなかったのか、こういう質問に対して今のような答えがあったのです。しかしそれは知らなかったのかもしれない。申し入れがあったのでなくて、知なかった。率直に私はそういうことであると思う。知ったか知らないかは別として、公衆電気通信法を中心にして事業の経営をやっていく電電公社は、ひとり防衛庁に周波数帯域というものを専用提供したならば、何かの方法で告知、通知をする義務があります。それを怠っておる。その辺もこういう問題に重大な影響がある。もっと早く、周波数の帯域を許したというならば、ほかにもこういう申し入ればあったろうし、模写電信の実現はもっと早目に私はできたのではなかろうか。諸外国のこの種の通信方式の事情等をいろいろと調査研究してみれば、わが国の言論報道界も必ずしもこのことにおくれをとるとは思いません。各社々々並みに外国にそれぞれの専門家を派遣して、印刷の向上のために、あるいは報道の迅速のために研究をやっておるのが実情です。それを何ら告示をしていない。その点もあわせてお答えをいただきたい。従って、どうしてこの中に周波数帯域というものを入れていないのか。話がずいぶんあれやこれやにとんでおりますが、大体言わむとするところはおわかりだと思いますから、副総裁の方でそのことをお答えをいただいて、さらに次の質問に移りたいと思います。
  24. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいま御指摘の点についてお答えをいたしますが、今防衛庁以外に要望があり、それに応じておるというのは、無線専用のものについて防衛庁のほかに、日本航空とか新聞社あるいは岡山県庁とか、そういうような無線専用の実費利用について、これは公示がしてあることは御承知通りでありますが、そういう申し込みがありましたものについては以上のような方法でやる。ただこの専用というものについては、ただいま先生から御指摘があったように非常に発展する段階でありまして、われわれの方の勉強が足りない点も、ほんとうにこれから一そうなお努力しなければならぬと思います。このいわゆる専用部門というものが今後非常に発展すると思います。しかもそれがいろいろの予想せざるような形において、たとえば専用の場合に今までは電信専用とか電話専用とか言っておりましたが、もう電信とか電話とかいうものを離れたような、いわゆる専用形態のものがだんだん発展してくるのじゃないかというようなことで、これからの専用の形態についてどう対応していくかということは、先生の御指摘のように非常に大きな問題でありまして、これから常にお客さんの御要望に応じながら、しかも先生が先ほどから言われましたように、一般のお客さんの普通のサービス、これに対して害を及ぼさぬように、むしろプラスになるように考えながら、あわせてそういう御要望に応じていく方法を考えていくということがわれわれの任務だろうと思っております。そういう意味でまだこれからのいわゆる専用についての定型化と申しますか、型をこういう型にする、それですべてが解決するのだというところまで見通しがつくかどうかにつきましては、いろいろ問題があろうかと思いますが、ただいま御指摘のような、まあバンドを専用していくというようなことはもう考えられていなければならないのじゃないか。そういうふうなことになってきて一般になってくると、あるいは今無線専用で御要望に応じている防衛庁の方のサービスも、そういうバンドをお貸しするという定型化の方に一緒に考えていくべきじゃなかろうか、というように考えられるというようなことで、先ほどちょっとそういうことを申し上げたのですが、しかし果してその防衛庁の場合にそのバンドの専用という形態に全部、はまるかどうかという点は、少し私は疑問がありはせぬかと思っております。というのは、まあこういう幹線だけであればバンド貸与というような方式の一般の利用形態を作って、それが新聞社の場合もそうだし防衛庁もそうだということで御要望に応じていくことができるのじゃないかと思います。防衛庁の場合には、場合によると非常にいなかと申しますか、そこだけの設備が要るというような部分が残りはせぬかと思います。こういうものについてはこれはこれから防衛庁さんとのお話し合いになりますから、これはどうなるかわかりませんが、できればそういうものはやはり設備負担金でいただく方が、われわれの方はいいのじゃないかというようなことも考えられますが、こういう点は今後の問題だろうと思っております。
  25. 森中守義

    森中守義君 最初の質問に帰りますが、この料金の問題が、設備負担金を取ったからことさら安いものにしてある。それではこの料金規則に言っている無線専用の実費ということを勘定していった場合と、今、年間定額料金と定められているものと、さてそれでは実費とはどういう要素のものであり、何と何の積み重ねが実費かというような問題にも相なってくるわけですが、大体私の判断し得るところでは、今、協議成立になっている年間定額料金と常識的に考え得る実費計算、これとの開きは相当あると思います。これは電電公社の方であくまでもこの実費料金の算出に当って、原価計算等が行われなければならぬと思う。それを先刻副総裁は三千五百万ですか、まあそういったように言われたようですが、果してこれが正確な原価計算に基いたものかどうか、まあこれは私は公社の方でおやりになったことですから、そのデータを拝見しておりませんので、否定も肯定もそれはできないのですが、先刻来私が東京—福岡間を一つ料金表に当てはめて計算をし、そうして公社の内容等から考えていくならば、こういう程度の金ではないか。やはり問題になるのは設備分担金を取っているので、ことさらに定額が、しかも年間定額料金というようになっておる。まあ、こういったように考えざるを得ません。従って、そこのお答えがまだどうもはっきりしておらぬのです。どちらから出そうと言ったのか、もらおうと言ったのか、ただ資金上の状況は先刻わかりました。まあそれはあえてくり返しませんが、要するに十年間年間定額制決定ということがすでにこのときに行われている、まあこう私は見ざるを得ない、それが第一。それからもう一つ減価償却とそれから年利、保守費、こういうものがこの定額料金の算定の基礎になっているということですが、それも間違いないかどうかあわせてお答えをいただきたい。
  26. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 第一点、お答えいたします。第一点は先生のおっしゃった通りでありますが、ただ一つ、まあ言葉の問題ですからそれでいいのでしょうが、ことさらに安くしておるとおっしゃいましたが、実は、ことさらに安くしておるつもりじゃないのでありまして、先ほど申し上げましたように、無線専用料としての、これが防衛庁設備負担金負担していただかなくて、その無線専用としていただくとしたならば、三千五百九十九万円いただくということに相なります。しかし設備負担金をいただいておるのでありますから、この設備負担金をいただく以上は、その設備負担金をいただいた部分の減価償却費、利子というものは当然差し引くのが当り前じゃないか。だからことさらじゃなくて当然それだけは差し引くのが当り前なんで、それでそれだけは差し引いておりますが、それが千二百九十九万円に当っておりますということであります。無線専用料金体系として実費としておるこの料金体系は、正当であるかどうかという問題については、先ほども申し上げましたように、一般料金体系との関係については今後考究すべき問題があろうと思いますが、無線専用料の実費によるというあの体系において、この防衛庁料金についてはことさらに安くしておるのじゃなくして、負担金をいただいた部分については減価償却費、利子を差し引いていただいておりますということであります。それから第一点に関係して、一体この負担金をもらうような、こういう形態にしたのはどっちかと、こういうことでありますが、この点は先ほど申し上げましたように、われわれはでき得ればこういう形の方が望ましいと、まあこれに防衛庁、応じていただいたということでありまして、それによって協定ができ上ったわけであります。第二の点につきましては、お話のように、もし負担金をいただいてないとすれば当然いただくべかりし専用料の三千五百九十九万円というものの中には、利子減価償却費及び保守費、これが全部含まれておると、こういうことであります。
  27. 森中守義

    森中守義君 それで、後段の御答弁からいきますと、これは前回から終始一貫そういう答弁なんです。しかし、そういうことになれば電特営第二三三号、つまり三十二年の三月二十七日の協定書第六条の二項に抵触することになります。つまり第六条には、「甲が、乙に支払う年額無線専用料は別表に定めるとおりとする。」そして二項には「前項の無線専用料には、第四条により甲が負担する設備費に対する資本利子相当額および当該設備減価償却相当額を含まないものとする。」とある。この協定条項を四条に照してみてもこれは理屈に合わない。六条の二項では、ただいま私が指摘をしましたように「設備費に対する資本利子相当額および当該設備減価償却相当額を含まない」、こういう協定の条文がある。ところが十年間資本利子であるとか減価償却費であるとか、こういうものを基礎にしてこの固定料金ができ上っておる。こういう御説明ですから明らかにこの協定の六条の二項に違反した料金決定ということに相なると思うのです。もしそうであるとするならばこれはゆゆしい一大事といわなければなりません。私が六条の二項をそのまま解釈をするならばそういうことになる。ところが公社当局の御説明はそれをまっこうから否定をして、年利、減価償却、こういうものをこの料金算定の基礎にして出しておいでになる。こういうことですからこの六条の二項というものは一体何を意味するのか。全く相反する答弁だ。同時にまた実情がそうであるならばこれは大へんな問題です。どういうことですか。
  28. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ちょっと今の条文との関係につきまして、この点は私解釈上は問題ないと思っておりますが、ちょっとその点について業務局長から答えさしていただきます。
  29. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) お答え申し上げたいのですが、今の先生の御指摘協定書第六条の二項でございますが、先ほど副総裁から御答弁申し上げたように、定額の特別な専用料をきめております別表で、その構成は第六条の2のごとく、「前項の無線専用料」と申しますのは、その協定定額料金です。すなわち設備負担金を出していただいて、その当該分に対するものについては資本利子及び減価償却を含んでない、それを除いた保守費です。これをもう少し分解いたしますれば、人件費あるいは保守取りかえの物件費あるいは電力料、そういうものを含めたものになっておる、こういうことであります。そこでおそらく御疑問を呈せられたのは、先ほどの表の副総裁の御説明の点だと思いますが、別に年経費がここにある。たとえば御指摘の東京—福岡間ですが、現実には二千五百万円の年経費がかかっておる。しかし専用料としては二千二百万円の専用料をもらっておる。この二千三百万円が今の六条の別表に示す料金になっておるのであります。そこで二千三百万円というのは、これは今申し上げた当該設備費に対しての負担をしてもらった分に対する利子と、年経費というものと、減価償却を除いた部分。かりにそういうことがなかったとしたならば、幾らの料金であるというならば年経費が三千五百九十九万二千円ぐらいになるだろう、こういうことでございまして現実の料金はこの専用料——別表すなわち今の例で申しますと二千三百万円、これが確定した定額料金になっておりますから、別に矛盾はないように思うのです。
  30. 森中守義

    森中守義君 この条文の解釈は非常に私は実際問題としてあいまいだと思う。含まないというようにいっておりますからね。だから当然十年間の中にはこういうものを含めてこれは勘定しなければならぬ、こう私は解釈する。それとこの表に出ておるのをABCDという工合にずっと出されております。しかし、さてこういうものの要素が、今吉沢局長が人件費であるとか、あるいは電力費であるとかいろいろ言われました。最も大きな、いわゆる実費計算の計算要素になるでしょう。しかし確実に原価計算が果してどういう内容のものかということを一度拝見をしないと……信用しないというわけじゃありません、信用しないというわけじゃないけれども、どうしても低廉に過ぎる。一通話二百七十円を普通はとって、官庁の割引が二割だ。つまり四千八百倍という算出からいけば、一億八千万という金が出るのです。おそらく電電公社は水商売ではないはずですから、そう山をかけて一通話幾らとれ、何を幾らとれということはないと思う。大体電報料金にしてもあるいは電話料金にしても、それぞれの積算の根拠があって、しかもそれは国民の負担の状態であるとか、当時の経済事情の状態であるとか、あれやこれや勘定して結局電信電話料金というものは設定されておるのが筋道だと思うのです。だから実費と規定料金というのに四割も、五割も開きがあるとは思えない。またそういう料金政策というものはとるべきでないのです。よしんばあるにしても、ほんのわずかの開きがあるのが、大体において実費と規定料金の差異を示しておるのではなかろうか、こう思います。ところが先刻一億八千万という数字を、私、東京—福岡間を示しました。これに対して二千三百万とは一体どういう積算の根拠によってその実費というものがはじき出されたのか、その内容がどうしてもわからない。従ってそういう解釈を私は持つだけに、営業規則の中に実費ということをうたっておる。ところがこの協定書は、かりに吉沢局長の答弁を、解釈をそのまま私が了承するとしても、どうも規則よりも協定が優先をしているような気がします。しかるに公衆電気通信法やあるいは電信電話公社法、これを受けたのが営業規則ですから、単に防衛庁公社がとりきめた協定というものが営業規則に先んじるということは許されない。ところがこれからいくならば、どうしてもこの協定営業規則に先んじて営業規則くそくらえというような状態がここにあるのじゃないかと、こう思うのです。そういう料金の問題に対して、実費と規定料金は大体どのくらい違うのが普通であるのか。その辺の事情を一つこまかに説明してみて下さい。
  31. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) 御指摘の点についての一般的お答えにつきまして、先ほど副総裁から答弁がございましたように、現在の料金自体についてもいろいろまだ問題がございます。従って有線設備としましての今の六千倍あるいは四千八百倍というものにつきましては、実は今日検討しております。そこで無線につきましても、専用料、かりに実費といたしまして、果して実費をどう計算するかというのは、設備の内容、送受信機の機械あるいは波の問題、さらに電力のパワー、こういうものによりまして、この経費を相当額を補うところのものをとるというのが実費という観念であります。従って先ほど来申すように、有線設備と無線の設備とのギャップをどうするか。こういう問題を一点御指摘になって、その例としてかりに東京—福岡間を有線の市外電話を十二チャンネル貸したならば相当の金になるじゃないか。それを十二チャンネル分に当るバンドを一本貸したら十二倍とってもいいのを非常に安くいっている。この御指摘に当っているだろうと思います。  そこで無線専用自体の問題につきましての見解でございます。御存じのように、ただいま無線専用は先ほど副総裁からお話申し上げたように、いろいろな種類の無線専用をやっております。あるものは筑波山の上から、私の方の送信機を貸しまして、そのVHFの波をもって各社の新聞社が、通報、新聞ニュースを受けましてそれをどんどん伝えておる。こういうようなものが一つの形態になっておりますが、その一体料金をどう定めるかといいますと、やはり無線送受信機、その当該使用する送信機あるいは受信機、電力料、こういうようなものを同じような形式で大体はじいて専用料としてやっておるわけでございます。その他も同じような無線設備の例は大体そういう基準でやっておるようでありますが、これには大して問題がないだろうと思います。  そこで有線の市外電話回線一本ずつ貸せる。これにつきましては、設備上も相当の金がかかるのであります。この防衛庁のものは端局から端局までは波そのものを送ればいい。その設備というものに対しまして、通話の音声といいますかそういうものは別に含んでおりません。ところが市外の回線でございますと、必ず事務所から事務所というものの使用場所から使用場所へ、必ずこれは通話が届くようなふうに、一本々々の通話ができるような設備が中間にも、あるいは端局にもあるいはそれからさらに電話市外局にもございまして、それから市内の線を専用していく、こういう形でございますから、おのずから経費的にも差があるのでございますが、要するに無線専用の考え方はそのような有線と比較して考えずに、無線専用自体として幾らを料金として盛っていくか、こういう計算方法に今日なっておるわけでございますが、今後の問題につきましては、この有線との関係につきまして、やはり比較考慮して新しい料金制度を作る場合には考えて参りたい、このように存じております。
  32. 森中守義

    森中守義君 大体問題点がはっきりして参りました。それで副総裁、この表から参りますと、一ルート当りの創設費が基礎になっておりますね。これを基礎にしてずっと漸次延長しております。それでこれをそのまま見ていけば、これは単に設備専用料があって使用料などは入っておらない、こういうことになるのじゃないか。設備提供した料金だけ取って、あと使用料は全然入らない。すなわち実費の実費ですね、電電公社としては十二チャンネルを動かして、当然それには何がしかの規定の料金収入、収益がなければならない。ところが防衛庁にはこれはただ単に設備提供し、その設備費だけをこれに取っておる、しかも二千三百万というのが果して当を得たものかということは、今の吉沢局長の説明では依然として釈然としない。原価計算の内容、積み上げられてきた要素というものが具体的に何が幾ら、あれが幾らというように示されておりませんから、それは私は肯定も否定もしません。しませんが、ただこの調書からいくならば何らこれは見るべきものがない。設備提供してその設備提供費にすぎない、こういうことになっておるように思うのです。これでいいのですか。少くとも私は公社の場合にはおそらく新聞等も同じでしょう。単に専用回線提供をして、あとは私の方で保安もしてあげましょう、人も配置するが、それだけのものをいただけばよろしい、こういうことであるか。あるいはそれにいろいろな要素が加わっていって、専用料が新聞社その他の専用の状態には出ておるが、その間の事情がよくわかりませんので、あらためて御答弁を願いたいと思います。
  33. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 御質問の点は、大体問題の無線専用料金の計算というものが、創設費を前提にしてそれから無線専用料というもののあるべき姿というものが計算されておるようだけれども、それでいいのか、こういう御質問でありますが、この点は創設費の中で最初投下する創設費の年々の利子減価償却これはもう年経費として当然要るものでございますので、これは実費の実費とする。無線専用料は実費とするとした場合に、これは当然含んで無線専用の中でいただくことは当然でございますが、そのほかに設備を保守していくに必要な保守費というものを、やはり年経費としていただかなければ実費にならない、それをいただけば、この無線専用は実費によるという場合の実費は、その三つを含むものだろうと解釈されるわけでございます。それで今無線専用料金については以上のようなことで、その利子減価償却費、保守費をいただく、このようになっております。そのうちの設備負担金をいただいた分は、減価償却費と利子は要らないわけですから、これは御利用者の方からいただくわけですから、これは利子減価償却費は要らないから、これだけはいただいた分については差引くというようにいたしておるわけでございます。
  34. 森中守義

    森中守義君 やはりこの出て参りました二千三百万という一つの例を取り上げてみても、ことさらに安いということを申したところが、だいぶ副総裁の方ではそうでないということのようですが、やはり一般料金との、あるいは官公庁の二割引きの料金に比べてことさらに安いことは私は事実だろうと思う。どうしてもそこのところが了承できない。ですから原価計算が幾らになるか、それでこういう表が出たのだということを次回に一つ資料として出してみて下さい。そうすると比較論も出て参りますし、なるほどそれが実費なのかということがはっきりすれば、一つの問題は片づくのです。そういうのが出てこないと、ただ表だけ見たのではやはりことさらに安い。しかもそのことさらに安いというのは、設備負担金をとったときに問題があったのではないか、というような問題が解けません。だからその点を明らかにするために、原価計算の中味はこうこうこういうもので、こういうものを積み上げた結果がこうなったということを一つ具体的にお示しをいただきたい。そうすると、この料金の問題は一応片づくでしょう。ぜひそのように原価計算の内容を資料として御提出願いたい。さらにそれを委員長からはっきり公社の方に連絡をしてもらいたいと思います。  もう一つお尋ねしたいのは、こういう特別な措置を防衛庁におとりになっておるということは、何かしらやはり公衆電気通信が大口の需要者対電電公社というようなものの見方からすれば問題ないのですが、一面これを防衛通信ということで私はこの問題に今取り組んでいるのです。そうなれば電電公社がいわれるように、大口の利用者、大口の需要者という観点に立つならば、やはり新聞あたりも同様にその例に漏れないであろう、こう思う。そういうことになりますと、今日の朝日の朝刊に札幌と東京間をファクシミリ方式の通信を開始する、こういうことを読者に広告をしております。これは当然電電公社との関係においてこういうことが実現する以外に方法がない。そうなればやはり防衛庁から設備負担金を幾らかおとりになった。そうして年間の、私をして言わしむるならば、不当に低率な年間定額制をおとりになった。しかも周波数帯域という、どこにも提供していない専用提供をおやりになっておる防衛庁と同じような方式を、朝日新聞にもおとりになり、料金も同様な措置をおとりになることは、ひとり防衛庁だけが優先的に、そういうことを独占的に行い得るものとは思いません。なるほど公益の原則からいくならば、新聞もラジオも同様に防衛庁と比較対象になり得る機関であり、あるいは団体だと思うのです。従って、周波数帯域の提供、それと料金年間定額制をおとりになるかどうか、それの御意思があるかどうか、説明していただきたいと思います。
  35. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  36. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をつけて。
  37. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) ただいまの御質問に対しまして、第一点の原価計算に基く資料の御要求でございますが、実はいろいろ非常にこれは膨大なものでございますし、かつまた御要望に合うような時期というものもありましたために、この程度で御説明をさしていただきたいというふうに考えて参ったのであります。すなわち実費の根拠はどうか、こう申しますと、先ほどの三億一千八百万、これははっきりした設備負担金です。これははっきりもらったものです。そこで、これに対しましては資本利子は年に六分五厘の利率で、これは料金の基礎になっております、大体それははじいております。償却につきましては、この無線設備特有の技術の進歩もございますので、大体この種のものは十年くらいでおそらく方式が変るであろうし、技術の進歩があるから十年くらいの耐用年数であろう、こういうことで十年間というふうにきめました。その間の償却に当るものは十年取らない、こういうことになって額がきまっております。それからそれ以外に保守費としてはどういうものを含むか、こういうことでございますが、大ざっぱに申し上げましてやはり人件費が多いのであります。御存じのように、保守費並びにそれに関連するいろんな人を使うという人件費をはじいてみますと、約このうちの六割が人件費に当るといったふうに御承知おき下さって間違いない、あとの四割の部分は年間におきましていろいろ取りかえなり、あるいは修理するというようなことで、並びに電力費、こういうものであらゆる経費を大体その中に含めまして、物件費その他が四割、こういうふうに御了承願いたいと思います。なおその程度で不足でございますれば資料提出しなくてはいけませんが、別に先生の非常に御心配のように、特に安くしておるというようなことがございません点は一つ御了承願いたいわけです。従って、常識的に考えて、公社で一般の料金、実費というときにどういうふうに定めるかといえば、今申し上げたこの保守費、人件費と、物件費並びにその他の諸経費、総掛費というものがございます。そういうものの経費と利子と、それから減価償却、こういうものの要素がすべてに適用されておりまして、この場合もまたほかに無線専用をやっておる場合も同じような方式をとっておるのでございます。従って、設備費を取ったから特に負けたということではございません。たまたま設備費を取ったから、設備費の面において考慮を払っただけというふうに私どもはっきり申し上げておきたいのであります。その点は特にどうぞ御疑問なく御了承願いたいと思います。  第二の点でございますが、防衛庁に今後そのような方式で永久にやるか、あるいは今の御指摘のように、朝日新聞が六月一日から同様の十二チャンネルに当るバンドを要求しております。これは昨年のちょうど一年ほど前にようやく秘密にこちらの方に申し出て実際にそれではこちらの方で提供しましょうというのがそれから数ヵ月かかったわけでございますが、その後においてまあ目下二社程度が申し込んでやっておりますが、これにつきまして大体防衛庁と同じように考えるかどうかということについては、実は今検討しております。大体の考え方は設備費というものはもう一般にはもらわない。会社の公衆回線のルートによって当然マイクロを作成するときにちょうど十二チャンネルというものが計画に上り、かつまたそれを貸し得るという、計画的に初めから用意されるものでございますから、通常の場合にはそういうふうにいたしたいと存じますから、そうすれば設備費はこちらの方で出して建設して、そして年経費の、先ほど申した計算において料金をきめていきたいというふうに、防衛庁に対しても同じように考えていきたい。ただそれがどういう料金になるかということは実はただいままだ検討中でございます。基本観念は以上のようなことにして、決して公社が無理をして損をするというような態度で周波数帯域の料金をきめる意思でございません、そういうふうに御了解を願いたいと思います。  それから先刻来、当時公示もしなかったじゃないか、従って、他に続々とこういう要望があったけれども、不親切にも公社の方で公表しなかったから、この要望はなかったんだろう、そうすると防衛庁が独占した、こういうふうなお話がちょこっとございました。これは前回の当委員会におきましても、私自身が一番よく事情を知っておりますから、何らこの真実にたがわない。御説明を申し上げた通り、当時は十二チャンネル、このようなバンド貸しの要求は絶無でございました。その後におきまして出たのが先ほど申し上げました新聞社でございます。これは昨年のちょうど五、六月ころの話でございます。そのようなわけでして、別に公示しなかったことによってこのような需要がなかったというふうに私、推定しておりません。しかし公示をしたらどうかという御議論がまた出たのでございますが、実はこの法律に基く公示というものは、この専用している無線設備実費、これが公示の方式でございまして、一々それについての特殊な、個々の契約自身を公示するかどうかという点については、法規の建前は要求しておりません。しかし親切にこういうようなことをなるべく大ぜいに知らせて、防衛庁はこういう方式をやっているから、他にもこういうような方式で希望する人があるならばいらっしゃい、この点は今後いろいろそのような方向をとるべきと考えます。われわれの方で親切なサービスとしての考え方から、先生の御趣旨に沿うように今後考えたいと思います。以上です。
  38. 森中守義

    森中守義君 非常に新聞社と防衛庁との関係は重要な問題ですから、私はことに副総裁の答えを求めたわけです。まあもちろん、吉沢局長のお答えが答えにならぬという、そういうつもりじゃ毛頭ないのですが、まあやはり公社の最高責任者から一応この問題ははっきりさしておきませんと、後日のためにあまりよくないと思うのです。しかも今の最初の原価計算の問題ですが、それはなるほどこの前も同じようなことが言われました。そういう項目を羅列したのはそれは私もわかる。わかるが、あまりにも料金が開き過ぎていて何回も妙な言葉を使っております。ことさらに安いということを言うのはそういう意味なんです。だから公社が出しておいでになるのを不当に疑ぐるというわけじゃありませんが、どうしてもこれでは設備資金料金との関連性が私はあるというように潜在的に思わざるを得ないのです。それで決して何銭何厘という事こまかなデータまでは要りません。少くともこの骨組みになる内容のものはどうしてもお出しいただかないと、設備負担金を取ったから料金をことさらに安くしているのではないか、これは私はさらに続きますけれども納得できない。だからこれはこの算出の積算の根拠になる大まかなところを一つ金額と同時にお出し下さい。で、それから今の防衛庁にやっているから新聞にもやるかということに対するお答えが、やはり吉沢局長の方でははっきりまだ公社としての態度が御決定になっていないので、そういう答えになったかとも、先走って考えれば受け取れないこともありません。しかし現実に需要者の一人として防衛庁がこういう方式をとっているわけですから、従ってここに電電公社が何をちゅうちょして新しく検討を加える必要があるのか。まあ私はそう言わざるを得ない。別に検討を加えるというならば、ひとり防衛庁だけに優先扱いをするのはおかしい。こういう理詰めの話になってくるわけです。だからして防衛庁と同じように周波数帯域を提供する。料金防衛庁と同じ積算の根拠にもっていく。設備設備負担金をとる、とらないというのは、これは年間定額料金関係してきますから、それは原価計算が正確であれば、取れば取ったで幾円か安くなるであろう。取らなければそれだけに幾らか上積みされてくるわけですから、そこはそう大した問題はないと思うのです。しかし方式としては、私の考えからいけば、設備負担金を出したからことさらに安くなっておれば、当然これは新聞社にも同様な方式によって周波数帯域を提供して、設備負担金も二億なり三億なりもらって、それで年間定額制にすべきではないか。そういうところをすでに六月という差し迫った朝日新聞の問題を前にして、一体公社としてはさらに検討を加えようというお考えであるのか。防衛庁という一つの実績があるわけですから、すでにもう私は新聞社の関係は答えが出ておると思う、防衛庁という実績によってですね。これをどういったようにお考えであるかということはやはり副総裁からお答えをいただきたい。  それと今、吉沢局長から答弁漏れということでお答えになりました告知、周知の方法は、やはり私はえらく詰問をするようですが、公社としては手落ちがあったと思います。やはり何かの方法で、利用者があるなしにかかわらず——勝手な周波数帯域というものを防衛庁提供したならば、広く利用者に対して、今までないことをやったわけですから、こういう新種のサービス部門を作りました、御要望があるならば承わりますといったように周知、告知をするのは公社の営業精神からいっても、公衆電気通信法を受ける営業規則の建前からいっても当然でなければならぬ。それを全然申し込みがなかったということではこれはここでは通らない。やった上でなかったというなら話は通るのです。せずにいてありませんでは、ちょっとこれは片手落ちのそしりを免れません。その間の事情もあわせてお答えをいただきたい。  さらに今の料金の問題で、防衛庁の場合、年間のこの料金というものは予算上組まれているのですかどうですか。それのお答えがない。そうしてまた、たとえばこの料金の改定なりが、もう少し正確に話し合いが進んでいって、それで防衛予算を大蔵省に相談になって、これじゃどうも予算が多過ぎる。こういう場合に電電公社は所定の料金がほしい。防衛庁もその所定の料金に応じて要求をやったけれども、大蔵省はなかなかうんと言わぬ。それでこの種関係予算が満足にいかないという場合にはどうなりますか。そういう際に実費ということを中心にして防衛庁予算上それがどうなるか。その点にかなり疑問があるのです。これはやはりそういうことは実際問題として予算の要求、査定復活という過程の中には、今まで年間これこれでいっていたのに、公社に支払うべき料金が上回ってきたというのに対して、大蔵省がそれを許可しなかった。そういう場合に電電公社防衛庁との話はどうなりますか。電電公社がもう少しかりにこの中にうたわれている物価の変動や給与の問題を理由にしていろいろと検討された結果、この料金ではいけないということを防衛庁に申し入れがあった。それに応じて防衛庁予算要求をやったけれども認められなかったというような場合にどうなりますか。
  39. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 御答弁の前に公社に伺っておきますが、森中君の資料要求はいかがですか。よろしゅうございますか。
  40. 横田信夫

    説明員横田信夫君) この資料の、程度の問題でありますが、業務局長から今、口頭で申し上げましたようなことを文書にいたすというような点、あるいはそれをもう少しできる範囲でやるということはよろしゅうございますが、非常に詳細なものになると膨大なものでございますので、その点をお含みおきの上この資料については御要望を願います。
  41. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 森中君どうでしょうか。
  42. 森中守義

    森中守義君 骨組みがわかればよろしゅうございます。
  43. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) それではなるべく早く御提出を願います。
  44. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 先ほど業務局長から申し上げました意見も私も同様であります。かいつまんでだけお話しすれば、防衛庁の方の申し込みがありました当時、われわれの方としても営業規則上の、これに御要望に応ずるサービスといたしましては、当時無線専用は実費によると、こういう形態以外にあれに当てはまるものはなかったわけです。ところが、先ほども御説明いたしましたように、その当時あまり予想しなかったところの専用の新しい申し込みというものがだんだんふえてくる。新聞社のいまさっき出た専用申し込みのほかにも、今後あるいは、IDPの関係が非常にふえてきましたので、あるいはああいう種類のものが非常にふえてくるのではないかというようなことも予想されます。そこでそういうふうになって、そういう需要が相当大きく定型化してくる。今の無線専用というものを、従来あったサービスの形で全部当てはめることが適当かどうか、これは相当問題であろうと思います。そこでこういう問題を、むしろそういう面から見直していったらどうだろうかというようにわれわれは考えております、それを機会に。従って、今の周波数の帯域を専用するというような利用形態も今後考えたらいいんじゃないか。で、こういうように考えて今研究しておると申し上げておったのが……。今の新聞社なり、あるいは新聞社のあの問題でなくても、あるいはIDPに基いたやはりバンドというものが出てくるならば、そういう形でこの問題を将来考えることが妥当じゃなかろうか。そういうようなことになってくれば、防衛庁の今のこの方もそっちの方に当てはまる方はむしろそれと同じような形で統一していくのが当然な方向じゃないかと、今われわれの方は研究だけを考えておる。しかし今の防衛庁の形で、新聞社のような場合と全然同じにいくかどうか、幾分問題がある。と申しますのは、決して防衛庁の方を安くしょうという問題があるというのでなくして、今の新聞社あたりについては、大体公衆線の利用範囲とほんとうに一致するようなところの区間が多いのですが、防衛庁の場合、果してそれと同じことだけでいけるか、あるいは防衛庁の場合に特殊な地域というものがもしあるとすれば、これはそういう形でなしに、やはりほんとうの実費の設備負担金をいただければ私の方は助かるがと、防衛庁の方が助かるのでなしに、われわれの方が助かるがと、こういうような気がいたしておるということでございます。  第二の点の、営業の方の親切なやり方としては、そういう利用があった場合に、法律上はなるほど実費によるという利用形態だから、個々の利用形態を一々公表しなくてもいいけれども、でき得れば、そういうものがほかの人にも有利だと思えば、もっとそういうものを周知して、こういうことがあるからもっと御利用下さいというようなことを言うたらどうかという点については、われわれの方も、そういうようなことがよりお客さんの方にいいと思えば、今後そういうことについては、われわれとしてもできるだけそういうような心がけでやっていこう、こういうことを申し上げた、これも業務局長と同意見であります。
  45. 森中守義

    森中守義君 まあ研究中というような、非常に微妙な言い回しのようです。もちろん、そのおっしゃらんとするところはよくわかります。わかりますが、先刻も申し上げたように、すでに防衛庁に周波数帯域を提供して、もう三年、四年たたんとしておる。そういう実績があるのに、あらためて研究も検討もなかろうと思う。防衛庁にやり得るならばなぜ新聞社にやれないか、こういう理屈なんです、私の言っているのは。で、それをことさらにどうも研究する、検討するということであるので、何かしら防衛庁を優先扱いをされておいでになるのじゃないかというような疑問も湧いて参ります。それが一点。  それからもう一つ、今はしなくも、副総裁が言われたように、防衛庁施設の状態と、それと新聞社の施設の状態は必ずしも端末局等の状態からして、同一でないというのはわかります。しかしその点を見れば、むしろ私は新聞社の方がメイン・ルートを必要とするでしょう。おそらく防衛庁のように、山間僻地まで引っぱり込んでいかなければならぬというわずらわしさはない。むしろ社内、構内にどうしてつなぎ合していくかという、こういう問題程度があるのであって、新聞社の方が防衛庁よりもよほどやさしいと、私はしろうとながらそう思うのです。それすらも検討の余地がある、研究の余地があるかどうか。  それから料金にしても防衛庁にこういう方式でやり得るとするならば、当然新聞社にもそういうことがやり得るのではないか、こういうことなんです。重ねて問いただすようですけれども、そういう御意思に対してどうお思いですか。  それともう一つは、先刻来申し上げたように、三百五十一条の中に無線設備を専用せしむることができるというのですが、これはあまりにも広義過ぎて、解釈次第ではどうでもなる。しかし副総裁が今言われたように、すでに防衛庁に周波数帯域を提出して、もうそろそろ新聞社にも、ラジオにも、テレビにも、そういう時代がきたというように認識をされるならば、これは新しい一つの種別であろうと思うのです。だから三百五十一条あたり、無線設備というばく然たるものでなくて、むしろ今日の通信方式は、マイクロというのが一つの脚光を浴びておる。将来重要なわが国の通信のかなめになるわけですから、三百五十一条の中に周波数帯域という文言をうたい、料金の中にも無線専用料は実費であるというようにあいまいなうたい方でなくて、周波数帯域というように文言の作り直しが必要ではないか、そういうことを指摘しておるわけです。それと同時に、すでにこの付属料金表あたりは、この周波数帯域というような問題ができる以前の規定であって、相当ずれておるのではないか。そういうことであり、そうしてまた防衛庁にそういうふうにやったならば、新規なサービスを開始したというような何かの意思表示があってもよかったのではないかと、こういう意味です。非常に回りくどい表現ですが、新聞社に対して周波数帯域をどうするか、料金はどうするか、それは防衛庁という実績があるから、同様にやるならやる、やらぬならやらぬということをお答えいただけば、それなりにまた議論が展開をしていきますから、もう少し正確に、研究、検討ということではなくて、防衛庁という実績があるのになぜ検討、研究をしなければならぬかというような点を、こまかに御説明いただきたいと思います。
  46. 横田信夫

    説明員横田信夫君) 実は新聞社の問題がだいぶ中心になって参りましたが、あの新聞社の場合に、無線でなければならぬかどうかということについては相当問題があろうと思います。むしろ、今先生の言われたような無線、有線でなしに、周波数のバンド、有線の場合でも搬送の周波数というものもあるわけですから、そういうような意味で、これからの専用というものについてはそういう新しい形態がどうもできそうだ、そういう意味で問題として考究すべきものが相当あるだろうということなんです。  それで今あの新聞のやつを、これですぐやったらどうかというお話でありますが、新聞社としても設備負担金を持つのではちょっと困るだろうと思うのです。正直、申しますと、一時に払い込むのですから。だからそういう意味で、一般の人の利用になりますと一番初めに設備負担金をさっととるのもおそらく問題だろうし、それから今のような形になって参った場合に、もう無線専用というああいう形の中へ、今までは営業規則無線専用というものしかないのですから、ああいう形にみなほうり込むのは無理になってきておる。そこで新しい問題として研究しなければならぬので、研究しなければならぬわけでありますが、まだほんとうのところ研究中でありまして、もちろん、利用開始になるまでには片づけなければならぬ問題ですから、そうなった場合に、逆に今度は今の防衛庁の御利用の方を、もうそういう形態と同じような形態にはめていくのかということになりますと、われわれとしては、そういう方法でできるだけいきたいと今は思っておるわけです。  ただ、今さっきお話がありました、防衛庁と比べて新聞社の方は大体大きな都市だから、普通の都市だからやりいいだろう、これはその通りなんです。そこでそういうようなものについてまで負担金をとるのはむしろ無理だろう、しかしそういういなかの特殊な場合に、たとえばバンド貸与というような制度ができても、バンド貸与でいったのでは、われわれの方も困る場合ができやせぬだろうか、むしろこっちがです。防衛庁の方はそれでいいといわれても、私の方で困りはせぬだろうかと思うような問題があるので、その場合にはその設備の実費というものをもらわないと、ちょっとこっちの方か困りはせぬかということなんです。これを、だから同じような場合については同じように防衛庁の場合もしていただくべきだと思いますけれども……、そのいなかの方であるとか、特別な施設の場合だけについては、場合によれば設備負担金をもらうというようにわれわれの方で考えないと、われわれの方か困るのです。そういうこともあるかもしれないということを申し上げておるのです。
  47. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 防衛庁予算関係を御説明申し上げます。毎年業務計画を立てまして、たとえば航空の基地が新しくできるとか、あるいは駐屯地が新しくできるということで、それの回線を新しく新設したいとか、あるいは増員などで回線をふやしたいという場合には、その業務計画に基いて私どもの方で、来年度はこういう計画でこうしたいが、公社の方の技術的その他の御都合はどうでしょうか、なお、料金その他の問題についてはどういうことになりますかという打ち合せをやりまして、その打ち合せに基いたもので予算を積算いたしまして、大蔵省に交渉しております。従来の例ですと、これはわれわれの方でもあまり専門的なことはよくわかりませんから、その理屈がのみ込めればそれで出します。大蔵省の方も従来、回線を減らすとか新しいルートを削るとかという査定はいたしますが、単価というか、中身についての査定についてはあまりやれない、非常に技術的なものですから……。そういうことでなく、大体公社と話しましたのが予算になる。回線の数を減らすとか、新規のところは、ここはやめておけという査定はいたしますが、単価といいますか、設備負担金等の内容、あるいは専用通話料の額について、そのものを査定するということについてはあまり例がないようであります。先ほどまたお尋ねがありましたが、予算が成立しまして、年度の途中でたとえばマイクロ協定にもありますように、物価の変動、給与の改訂、その他やむを得ないことによって上げようというようなことのもし事態が起りまして御相談があるということになりますと、これはそれで足りないということになりますと、大蔵大臣の承認を得てこれを流用するというようなことになろうかと考えております。
  48. 森中守義

    森中守義君 新聞と防衛庁との関係は、比較というのは、まだ副総裁お答えでどうもやはりはっきりいたしません。従ってもう少しこの種の問題についていろいろとお尋ねしたいと思いますが、これは島委員の方も何か御質問があるようですから、あと重要な二、三の点について防衛庁長官と廣瀬政務次官等にお尋ねをしておきたいと思います。  せんだって防衛庁長官おいでにならないときに、装備局長が、陸上、海上は大体電電公社にこれ以上の周波数帯域の拡大を申し入れる状況にない、ただし航空はある、こういうお話でした。それでこの前もいつだかお尋ねしましたように、ここ三十五年—三十七年というものを一区切り点として防衛計画が進んでおる。その防衛計画の一環として通信計画は具体的にどうなっておるのか、これが第一。  それから第二は、この前お尋ねをして、これまた長官が御不在でしたが、百四条ですね、自衛隊法の百四条、これによってどうしても日本電信電話公社が保有している通信回線の三分の一あるいは三分の二程度を百四条に照らして防衛庁では必要である。そういう事態の到来にあって、郵政大臣を中に入れて電電公社に申し入れた場合に、郵政大臣はどうされるのか。あるいは公衆電気通信を扱っている電電公社はどうされるのか。この自衛隊法というものは、当然そういう事態を予想し想定したのが自衛隊法ですから、これが空文、死文でない限りは、一応今日の防衛計画としてはそこまで私ども考えてみる必要があると思うのです。そういう場合に郵政大臣はどうする、あるいは公衆電気通信を扱っている電電公社はどうするか、これを一つお三人からそれぞれ承わっておきたいと思います。
  49. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) 七十六条の発動につきましては、御承知のように有事の際の発動でありまして、われわれとして現在まで、そういう事態が発生しないことを希望しますと同時に、現在までまだ発生していないことは非常に喜ぶべき状態であると考えておりまするし、また通信計画自体につきましては、御承知のように私どもの方としては、電電公社の整備拡充というものについても、大体毎年々々われわれがいろいろと、来年度は幾ら、来年度は幾らということで折衝をいたしております段階に応じまして、他方で何と申しますか、机の上で長期の通信計画というようなものを計画いたしましても、これは意味が、全然意味がないというわけではありませんが、人の方の施設に対する自分の方の防衛庁計画ということもいかがかと考えられますので、われわれの方としては、その年度年度に応じた計画を立てておるような次第でございまして、従って、この百四条につきましては、現在のところ、私どもとしては、こういう場合には具体的にどうするかというところまでは率直に申しまして計画は立てておりません。従って、そのときの状況に応じまして、御承知のように第二次世界大戦以前でありますれば、戒厳令その他、そのときに応じた緊急な措置というものがあるわけでございますが、現在においてはそういう制度がございませんので、あくまでここに掲げられましたように、協議でその事態に対応したそのときそのときの具体的な適切な措置を郵政省にお願いするということ以外には私は道がなかろうかと思うのでありますが、しかし、郵政省あるいは電電公社等において、そういった問題についていろいろと御検討がいただいておればこれに越したことはありません。私どもとしては、現在のところ通信計画としては何と申しますか、年度々々に応じた計画を立てておりまして、かたがた、まだ航空関係の航空管制あるいはレーダー・サイト等につきましても、われわれ自身の手に入っておらないものもございますので、そういう状況等もありまして、お尋ねのポイントについて明快なお答えのできないことをはなはだ残念と存じますが、そういう実情にあることを御了承いただきたい。
  50. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) ただいま森中委員お尋ねの自衛隊法第百四条の出動命令につきましての措置でございますが、これにつきましては、まださような事態を経験したこともございませんし、現在ももちろんさような事態ではございませんので、具体的な方針は防衛庁との間にきまっておるわけではございませんが、ただいま防衛庁長官お答えいたしましたように、さような必要が起りました事態に応じまして、他の一般の公衆通信等に万支障のないような、つまり公衆電気通信法あるいは有線電気通信法に基きまして適宜の措置をとりたい、かように考えておるのであります。
  51. 横田信夫

    説明員横田信夫君) ただいま廣瀬政務次官からお答えになった通りであります。
  52. 森中守義

    森中守義君 結局この問題を当初提起したのも、私は、やはり電電公社公衆電気通信を中心に営む機関である。それに対して防衛庁相当大幅に全国のネット・ワークができるように十二チャンネルを取っているのは、若干これは公衆電気通信に阻害を来たす、ここに問題を置いておる。しかもその問題は、今まで電電公社の実情を承わったにすぎないのである。いまだ問題は解決をしておりません。そういうやさきに勢い本論に入ってきたわけですが、政務次官あるいは公社の副総裁の御答弁は、今の通りでよかろう、なぜならばそれは受けて立つ方です。何も自衛隊法の百四条自衛出動あるいは防衛出動について、郵政大臣電電公社総裁、副総裁も責任がない。つまり防衛庁長官が裁量をして、それで郵政大臣電電公社に話を持ちかけた場合にどうするかということですから、今の答弁でよろしい。ところが、今の防衛長官の場合では、まあこれはないものを出せといっても無理かもしれない。しかし、ないのが当りまえであるのか、あるのが当りまえかということになれば、自衛隊法は一体何のためにあるのか、こういうことになる。また防衛二法が出てきていて、陸上、海上、航空の兵員がふえようとしている、あるいは艦船や航空機の数もふえようとしている。せんだって装備局長は、国力に応じた云々ということでお茶を濁しておりますが、そういう言葉を今まで岸総理からも私は一、二回聞いて参りました。そのたびごとに、わが国の防衛力が無制限に拡大をされていくという危険を私は感じるのです。しかし無制限ではないにしても、陸、海、空三軍を一丸にして三十二万なら三十二万という一つの限界があるとする、航空機、艦船の数はこれだけでなければならぬという一つの防衛計画をお持ちのはずなんです。残念ながら、今までそういうきわめてこまかな内容というものは問いただす機会がありませんでしたし、また戦略上の問題等につきましてもあまりこまかに聞いてはおりません。しかし、自衛隊法の百四条にいうところの治安出動あるいは防衛出動に対しては、公衆電気通信を利用してよろしい、それを郵政大臣を通じて電電公社に申し入れができるとするならば、やはり国としては、国民の側に立てば、どういう場合でも公衆電気通信の半分とかあるいは四割というのを軍事通信に利用されたのでは困るということ、明かにそういうことなんです。ところがそういう問題に対して、あらかた、こういう自衛隊法が存在する限り、現実に防衛計画が促進されていく限りにおいては、通信計画というものはすでにお持ちでなければ、防衛担当の国務大臣としては私は任務が済まぬと思う。自衛隊の存在を認めるか認めないか、そういうことがいいか悪いか、こういう基本的な問題もある。しかし、そういう基本的な問題は一応この際はおくとしても、防衛計画について国会でいろいろ審議をしてゆく中においては、通信計画はこういうんだ、こういう際には郵政大臣を通じて電電公社にこういう相談をしたい、ああいう相談をしたいという具体的な内容がなければ、これは防衛庁長官としては相務まらぬのではなかろうかと、私はこう思うんです。それが今日十二チャンネル、あるいはその他の無線設備あるいは有線、こういうものが防衛庁の現在使用されている通信網のようですが、それで事足れりとはやはり思えません。しかしこの百四条あたりを中心にして、いつ何どきでも電電公社の通信網を利用できるという安易な考え方、あるいはその他の通信施設等も使えるというような安易な考え方であるから、現存するわが国の通信施設は全部、一朝事ある際には防衛庁使い得るという見解のもとに、特別に通信計画をお持ちでないのか、あるいは電電公社の立場、国民の通信機関ということをお考えになって控え目にそういう計画をお持ちでないのか、さもなければ防衛計画の一環として通信計画がまだ作成をされていないのか、その間の事情をもう少し具体的に承わりませんと、よく予算審議やあるいは防衛庁の問題の際に、いつどこで何があるかわからないということを私どもは聞くんです。そういうことを今までも防衛庁長官から承わったり、あるいは岸総理あたりから聞いておるだけに、いつどこに何があるかわからないという、そういう認識と想定を持つ限りにおいては、通信計画はもう少し具体的に、治安出動の場合、防衛出動の場合にはこうしなければならないという何かをお持ちであろうと思いますが、今申し上げたように、いつでも電電公社を使えるのか、あるいは私的な通信施設も使えるというお気持の上にそういう計画がないのか、あるいは控え目にお持ちでないのか、あるいは防衛計画として通信計画をお持ちでないのか、その間の事情をもう少し具体的に長官からお答えをいただきたいと思います。
  53. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) お尋ねの点についてはいろいろの要素が含まれておると思いますが、率直に申し上げまして、私どもとしては、御承知のようにいまだ自衛隊発足いたしましてから七年で、過去におけるような軍事通信、あるいは現在国有鉄道もしくは警察の一部等で持っておりますような専用通信というようなものについてもきわめて不完全で、というよりほとんど電電公社を利用しており、こういう状態でありまして、率直なお話——私どもは万一の場合という点について、現在の情勢においては、私どもからさような発言をいたしたことはございませんで、お尋ねの際に、万一こういうようなことがあった場合にはどうだというお尋ねに対してお答えを申し上げておるわけでありまして、われわれ自身の観察から申し上げますると、現在の国際情勢においては、ことに核兵器等が非常に発達をしておるという現状にかんがみまして、全面戦争というようなことはとうてい起り得まい。ほとんど私どもとしてはそういう点については可能性はきわめて少い。従いまして、時に何らかの形で昨年のような、あるいは中近東における紛争あるいは金門、馬和島における紛争というものは、これは絶無ではない。かような観点に立って、最小限度、率直に申し上げまして、国防の基本方針から出た当面の日本の自衛隊の整備目標というものは、この席においても関係者から御報告を申し上げたと存じまするが、陸上自衛隊十八万、海上自衛隊十二万四千トン、また航空機につきましては、昭和三十七年度、海上、陸上について昭和三十五年度等で、航空機は千三百機というような形で当面の整備目標を置いておりまするし、それが昭和三十五年度もしくは七年度におけるわれわれ日本の国力と国情に応じた最小限度の自衛力、かように考えた次第でございまして、それらに関連する当面の各自衛隊駐屯地域の整備、その他の直接の問題につきましては、いろいろ私どもとしても計画をいたしておりまするが、御承知のように、第二次世界大戦後の日本の現状におきましては、通信等においては御指摘のごとく、日本の平和的な経済的な発展からいって、それぞれ主管の部門が着々と整備をしていただいておる。従って一朝有事の際においては、現在われわれが郵政省を通じ電電公社使用しているもののうちのどのくらいのものが必要であるかというような問題につきましては、国際情勢の変化の状況、また万が一そういう事態、急迫不正の侵害があったような場合におきましても、その急迫不正の侵害の態様、また形態等につきましても、これは事前にはなかなか予想し得ないということが、私は率直に申し上げて実情でございまするので、われわれとしては、国のとうとい予算使用いたしておりますので、できるだけ現状においては最小限度のものを通信その他においても使いますと同時に、さような事態において、われわれとして行動を支障なく支配して参ります上において、どの程度の通信の確保が要るかということについては、これはもちろん、日本全体の問題でございまするし、自衛隊通信だけが完璧を期し得れば、それで日本の防衛、もしくは日本の有事の際における運営が完璧を期せられるというわけのものではございませんで、全体から考えなければならない。そういう際において、郵政大臣にわれわれがお願いをする、その際に郵政大臣との協議によって支障なきを期するということが現在の実情において、それがありのままの実情である。従って、それ以上のお答えは現在のところ申し上げかねるわけであります。
  54. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をつけて。
  56. 島清

    ○島清君 防衛庁の戦闘機の機種の内定問題につきましては、衆議院の決算委員会におきましても取り上げられておるようでございますが、衆議院におきましては、何か汚職がつきまとっておるのではないかというようなことで審議が進められておるようでありますが、私はそういうような角度からのお尋ねではなくして、また、そういうことであったといたしましても、当時の機種選定に当りましては、伊能長官は責任を負うべき立場にございませんので、そういう意味の御質問を申し上げようとは思っておりません。  私たちは、そういったような戦力なき軍隊を持つことについては反対でございますけれども、それはそれといたしまして、とにかく、日本の国防上その種の飛行機が必要であるといたしますれば、百歩を譲って、その理論の側から質問を申し上げるということなんですが、それは私が承知したところによりますと、いずれにするかということは、ロッキードにするか、グラマンにするかと比較しますと、やはりロッキードの方がかなりすぐれておる。グラマンの方はかなり未知数である。未知数であるにもかかわらず、グラマンの方を内定をされた、そういうことについて汚職のにおいがあるのではないかというて、かなり世論のきびしい批判を受けているようでございますが、私は、国防上の建前と、それを操縦いたしまする搭乗員の人命と、こういうような観点からお尋ねをしたいと思います。  しかしながら、その前に、これほどまでに大きな問題になっておりますので、とにかく私は、防衛庁といたしましては、あるいは国防会議の方で御決定になるのかもしれませんが、とにかくあれについてはもう少し検討してみよう、その内定を白紙にお返しになるようなことが、民主国家における、また民主憲法のもとにおける立法、司法、行政の三権が運営をされているという国の建前からいたしますというと、一度決定をしたからそれを永劫不動なものにするということは、あまりにも頑迷に過ぎるのではないか。非常にものわかりのよろしい長官は、国会の方でも問題になっておりますし、世論の方もきびしい批判をしておりますので、この辺で一つ機種の内定問題は白紙に返して、そしてあらためてまた検討をし直すということが私は正しい行き方のような気がするのです。私のこの質問に対して、そうであるとおっしゃっていただければ、私は質問をそれで打ち切るのでございまして、そうでないということになりますというと、それからまた御質問申し上げるわけですが、これは私が申し上げる打診なわけなんですが、いかがなお考えでございましょうか。
  57. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) きわめて重要な問題についてお尋ねをいただきました次第でございますが、実はこの問題につきまして、御指摘のごとく、世上いろいろと論議が展開されておりまするが、私どもとしては、御指摘のロッキードと、いわゆるF—X、グラマンとが論議されたということではございませんで、三十二年度に永盛調査団が参りました当時、五つの機種についてアメリカ側の意見も聞き、各種の資料をもたらして調査を終えて帰りまして、その後いろいろな検討をした結果、さらにまた、その当時からすでにグラマンの問題は俎上に上っておった。その後、昨年の正月に佐薙空幕長が参りまして最終的ないろいろな調査を終えて帰った結果、四月に国防会議が開かれて一応F—Xに内定をした。こういう経緯でございまするが、われわれとしては、ロッキードが性能がよくてグラマンが性能が悪いというような点でございますが、この点については、先般、前長官が昭和三十三年九月二十九日に参議院の内閣委員会におきましてきわめて詳細な、各機種について比較検討をいたしました内容を明らかにいたしております。従いまして、それも一度ぜひごらんをいただきたいと思うわけでございますが、御指摘のように、ロッキードにつきましては、スピードその他非常に性能のいい点というものはもちろんあるわけでございまするが、翼が非常に小さいために、事故の起った際には、空中滑走でおりるというようなことがほとんど不可能であるというような問題、また当面の操縦手自身の、多くのパイロットが全体として何を好むかというような問題等も、十分安全性の問題、これは事人命に関する問題でございまするから、特にわれわれとしては重点を入れなければならぬ、かように考えておりまして、安全性の問題である程度危惧があるということと、現在しからばアメリカで使っておるではないかという点になりますと、御指摘通りで、現在のF104はアメリカがジェット戦闘機として使用をいたしておりますが、アメリカのように、飛行場その他が非常に広い地域、滑走路等についても十分な距離がとれるというような点等の新しい別な事情等がございますれば、これはもちろんロッキード等は最適でございますが、要撃機としての行動範囲が非常に狭いとか、いろいろな専門的な事情がございますが、それらは別といたしまして、私どもとして、御指摘のように、昨年の四月、F—Xに内定いたしましたが、その内定の当時におきましても、その後のいろいろな新しい事情、さらにこれを、実際に日本において、日米共同生産協定によって生産をするにはどういう形で日本の予算並びにアメリカの援助予算等、一応内定しても各般の具体的な事情を調査をし、さらに協定をしなければならぬというような点がありましたから、内定ということに相なったわけであります。  ここで一つ私特に申し上げておきたいことは、衆議院の決算委員会等においてもこの点は明らかにいたしたいと思っておりますが、グラマンは当時できておらなかったではないかというようなお話でありますが、この点は、日本のといわず、世界の科学技術の発展の水準、現段階におきましては、イギリスへ注文いたしました原子炉にいたしましても、あるいは日本航空が五年後に使いますDC8のジェット旅客機にいたしましても、設計等で十分な試作テスト等が行われれば、数年後を見越してこれを発注をするとか、生産をするということは、こういう何と申しますか、科学技術の非常に進歩した今日の段階においては、これはもう当然あり得ることでございますが、それはもう当面の問題から遠ざかりますからこれ以上申し上げませんが、そういう形で内定をいたしましたものが、昨年の夏以来、国会その他において非常な論議を重ねており、御指摘のように、時に汚職のにおいがするのではないかというような点まで論議が進んでおるわけでございます。  私も、防衛庁としては、そういう点については万ない、かように確信いたしまして、先般天川君と防衛庁との公けの関係における講演、もしくは調査依頼等の内容等につきましても、予算関係のあるものにつきましては、これを国会に全部明らかにするというような措置もとった次第でありますが、今日の段階におきまして、私は政府部内においても、この問題は、御指摘のような観点からと、もう一つは、第二次並びに今回の防衛計画の一端としても、さらに次期防衛整備目標の樹立の観点からも、すみやかにいずれかに決定してもらわなければならぬ。かように考えまして、政府部内にも国防会議あるいは国防会議懇談会の開会を私としては要請をいたしておりますと同時に、総理並びに関係大臣に対しましても、その後の新しい各般の状況等についても、いろいろと関係大臣に実情をお話をいたしまして、早急な決定を実は申し出ておるわけでございます。ことにこれらの問題につきましては、日米共同生産協定に基く米側の負担というような問題もございますので、あまり遷延してはいけない。  ただ、御指摘のように、しからばグラマンにこだわらないのだということを言えば事は簡単だ、こういうお話でございますが、この点は、私は国会においてしばしば申し上げましたように、防衛庁としてこの問題を決定をいたしたのでありますれば、当面の責任を現在負っておる防衛庁長官としては、この点に関する見解を明らかにすることが、これは当然と存じますが、御承知のように、本問題は、昨年四月の国会議において内定を見たものでございまして、その後、国防会議懇談会が一両度開催せられたようでございまするが、国防会議自体はその後一度も開催せられておりません。従いまして、この問題を今後どういうように、御指摘のごとく白紙にして新たにそれぞれの機種をさらに選定をして検討を遂げるようにするとか、あるいは既存の方針に、今日のごとくさらに新らしい各般の状況等を検討をして結論を出すとかいうことにつきますと、少くとも国防会議において内定をしたという事実は厳に存するわけでございまして、これは一防衛庁長官が、白紙に返ったと申し上げてみても、国防会議の内定が何らの影響を持ちませんので、私としてはさいぜん来申し上げましたように、できるだけ早い機会に国防会議、もしくはそれに先だって国防会議懇談会を開催をしてもらいまして、今後この問題の処理をいかにすべきか、またその後において、防衛庁としての事務的な各般の調査の内容等も明らかにいたしまして、国防会議の判断をできるだけ早く待って、そうして最善の措置をとる、こういう方向に努力をいたしておる次第でございます。
  58. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  59. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をつけて。
  60. 森中守義

    森中守義君 これは非常に私も簡単に終らすべき筋合いのものでない、こう思っております。そしてまた、主として電電公社防衛庁協定の問題でいろいろお尋ねして参りましたが、いずれそういう結論に到達するかと思いますが、今防衛庁のお使いになっている有線あるいはマイクロその他の無線専用相当膨大なものがある。それで公社の方でもあるいは防衛庁の方でも、特別に意図があってこういう協定を結んだのではない、こういうお話のようです。しかし公衆電気通信を利用している国民としては、いろいろな角度から、こういう相当膨大な施設防衛庁が利用しておるということは、直接にも間接にもいろいろ迷惑をこうむっていることは、これは私は事実だと思う。それで不急不要の回線まで防衛庁が取っているとは思いませんが、ことに有線のような場合では大へんなものになると思います。しかもこの中には、詳しくは知りませんが、例の自動、手動といういろいろ種類があるようです。ことに手動の場合には一回線を取られるというのは、たとえば市外通話の場合に三十分でできるのが一時間、二時間というような例もこれは聞きます。従ってもう少し防衛庁では割愛できるところ、つまり専用を解いて電電公社にお返しするところも出てくるのじゃないかと思う。私はふやせとは言わない。削ってもらわなければ困る。九区間十二チャンネル、これも一つ電電公社に正当な営業ができるようにお返しできるものがあれば返して下さい。あるいは有線にしても、二回線があるのに一回線でいいならば、それも一回線は返して下さい。そういうことをもう少し具体的にこれは検討を加えて、電電公社に返すものはお返しする、これが第一。  もう一つは、どうもさっきからの長官のお答えだと、ほんとうに計画がないようにもとれますが、しかし百四条と七十六条の治安出動、防衛出動からいけば、これは私はあるのが当然だと思う。当然であるのにそのことが言明できないとするならば、これは戦略上の機密だから言えないのだということかもしれない。もう少し関係の課長なりあるいは局長なり、部長なりに、この百四条、七十六条の関係において防衛庁通信はどうするのか、ただ、ばく然と郵政大臣に頼めば何もかにも使えるからそれでいいのだということでは、これは公衆電気通信が守っていけませんから、ただ想定し得る事態を中心にして、こういう場合にはこうする、ああするという計画があれば、ぜひこの次はそれを聞かしてもらいたい。そうしませんと、むちゃくちゃに公衆電気通信防衛庁が使ってもらっては困る、こういうことです。それと、郵政政務次官まだおいでになるからあとでいいと思いますが、この二つのことは必ずこの次まで返し得るものは返す、ふやせとは言いませんよ。それと、通信計画を具体的に持ち出してもらいたい。そうしないとこの話は結末がつきませんから、そういうことを特に長官にお願いをして、大へん時間がないようですから残念ですけれども、これで防衛庁長官に対する質問を私は終っておきたいと思います。
  61. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいまの第一点につきましては、現在の電電公社とも御相談を申し上げないと、当方だけの意見というのもいかがかと思いますが、御指摘のように、できるだけ私どもの方もむだなと申しますか、余分なものを占有しておるということは、日本全体の経済発展、その他民生の円満な発展の上からも支障があると思いますので、その検討は十分いたしたいと思いますが、さいぜんお答え申し上げました後段の問題につきましては、いろいろな事態を前提といたしませんと、一つの事態だけでは事態を想定するということはあまりに軽率と存じて、率直に申し上げて、現在計画がないと申し上げたのは事実でございますので、それらの点等については、次回までに、そういったあらゆる事態を想定したものがとうていでき得ようとも思えませんが、この点につきましては、私どもの方として研究をした上でお答えは申し上げたいと思います。
  62. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記を始めて。
  64. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣おいでになりませんが、どうですか、廣瀬政務次官、こういう質問あるいは答弁をお聞きになって、少くとも通信担当の郵政省、郵政大臣、政務次官として、通信の重要性についてはさなきだに御了承をいただいたと思う。そこで防衛庁がやはり通信計画をお持ちではないけれども、やはりこの条文等を中心にして、いつどういったような回線の専用を電電公社に相談をされるかもわからない、これはあり得ることだと思うんです。しかし、そこはやはり郵政大臣なり政務次官がコントロールをされる必要がある。で、その御意思が明確にあるのかどうか。それと私が少し疑問に思うのは、この協定自体が、当時の靱副総裁、それと同僚議員である当時の防衛庁次長の増原君との間に結ばれておるんです。電電公社の表現は適切でありませんが、設置法上、監督という表現を郵政省は使っておりますから、それをそのまま引用すれば、わが国の電信電話公社を見、そうして通信の計画を見てゆくべき政府機関である郵政省が全くタッチをしなかったというのはどういうことなのか、その点も私は多少疑問があるんです。おそらく、話し合いの中には、御出席電気通信監理官等も話には参画をされておるでしょう。しかし幸いにして横田総裁から、これだけ電電公社防衛庁に出して公衆電気通信にあまり影響を来たしておりませんという、こういう答えが出ておるから、それは私は一応信用してもいい。しかし、もしも防衛庁が不当に電電公社の立場を理解せず、軍事通信に利用するために強引に圧力をかけて無理やりに専用したというような場合があったとすれば、これは大へんな問題です。従ってこれから先、防衛庁との関係については、特に公衆電気通信を守るのが郵政大臣、政務次官の務めだと思いますから、防衛庁の圧力がかりに電電公社にかかるというような場合、断固としてこれを排撃する意思がありますか、それが第二の問題。  もう一つは、御承知のように非常にわが国の通信の系統が幾つにも分れておるようです。しかし、この通信国策として一元化が一番望ましい。しかるにもうだんだん分れてきておりますが、通信の直接の担当の大臣、政務次官として、将来、電電公社のこういう防衛庁との関係においてはどういう事態の発生が起るかも予想されません。あくまでもそういう立場から、わが国の公衆電気通信を守るという、そういう観点に郵政当局は立ち得るかどうか、その点を一つ明確に御答弁をいただきたい。
  65. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 御質問の二、三点につきましてお答えを申し上げたいと思うのでございますが、まず、増原次長と靱副総裁協定でございますが、まあこれにつきましては、御承知のように、公衆電気通信法に基きまして、まあ一般の通信の専用ということで協定を結んだのでございまして、特別、自衛隊法の百四条と、あるいは百一条の第二項というようなことによって結んだ協定では全然ないのでございます。まあ、普通一般の専用につきましての協定でございますので、まあ法律に基きまして、特に郵政大臣承認とか同意とか、あるいは認可とかいうようなものを必要といたさないというように解釈をいたしておりますわけでございます。  ただ防衛庁と電気通信との関係におきましては、御承知のように、百一条の第二項でありますとか、あるいは百四条というような条文がございますが、これはあくまで、特にまあさような場合におきまして私どもといたしましては大いに協力はしなければならない立場にはございますけれども、特に公衆通信を排除いたしまして、優先的に取扱うというような規定ではないと思っておるのでございまして、私どもといたしましては、あくまで公衆電気通信法あるいは有線電気通信法のワク内におきましてさような取扱いをいたしたいと、さような非常の事態におきましても、一般の公衆電気通信に支障を来たさないように、さような疎通をはかるということが私どもの職務であろうかと、まあかように考えておるのでございます。  第三のお尋ねは、まあ通信政策につきまして、防衛庁の通信等もあるが、二重、三重の政策であってはならないというような御指摘やに承わったのでございますが、私どもも全くさように考えておるのでございまして、経済の立場から申しましても、あるいはまた通信政策という立場から申しましても、通信というものは一本の政策の上に乗っていくべきものだと、かように考えておるのであります。まあさような立場から、防衛庁通信に対しましても、その他特殊な通信に対しましても、協力していきたいと、あくまで一本の立場で政策を推進すべきであると、かように考えておるのでございます。
  66. 島清

    ○島清君 防衛庁関係はどなたからお答えをいただいてもよろしゅうございますけれども、先ほど長官から、何かロッキードばかりじゃなくて、ロッキード対グラマンというのではなくて、アメリカの五社ですか、それを視察して、その五社のうちから優秀、そして日本に適合すると、こういったようなことで機種の内定を見たんだと、こういうような趣旨の御答弁でございましたが、そのアメリカの視察を三班と三回に分れておやりになったようですが、その三班に分れた人々の人数と御氏名と、職制上の地位、それから三回の、何年何月どこそこをごらんになったか、それと、それから内定を見ましたロッキードがその当時は試作を出なかったようですが、今は量産に入っているかどうか、一年前に内定をされたとき、試作段階を出なかったようですが、今は量産に入っているかどうか、量産に入って、そして当時はもちろん試作段階でございますから、どこにも配置されておりませんが、一年後の今日どこに配置されているかどうか。アメリカでは、もちろんそういったような優秀機であれば、配置済みだと思いますが、アメリカ以外の外国のどこに配置されているかどうか。  それからロッキードは西ドイツの方に六十機ですか、配置されているというて聞いておりますが、防衛庁の情報によりますというと、西ドイツ以外のどこかの国にロッキードが、いわゆる104号A型ですか、これが配置になっている事実を承知しておられるかどうか。それから、やはりいろいろと人の乗る飛行機ですから、しかもロッキードに至りましては二マッハという非常にスピードの高い、精能の高い飛行機ですから、おそらくテスト・パイロットという者、もちろん会社側の方でもやりましょうけれども、防衛庁においてもそういう意味の試乗をされたと思うのです。そうしないとまた危ないですから、非常な優秀な飛行士がやはりテストしないと、それは危ないですからおやりになったと思うのです。ロッキードには何回だれが、そういうふうにアメリカのテスト・パイロットと一緒にお乗りになったのでしょうか、どなたがお乗りになったか。それからロッキードにはどなたがお乗りになってテストをされたか。その他の五つの会社と言っておられましたが、その他の会社の飛行機には、どういう機種に、どういう人がお乗りになってテストされたか、この点の御説明を願いたい、簡単でいいですから。
  67. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 視察団三班に分れたというお話ですが、私は聞いておりませんが、視察団は昨年の八月から九月にかけまして六名でございます。主として国防省、空軍省において、いろいろ向うの性能、その他の問題の講義を聞き、話を聞き、各会社には見にいっているわけです。全部の者がそろって行ってないと思いますが、それぞれ分担をしまして五機種の全部の会社に行っております。それからロッキードの104Cは、調査団が行きました当時は104Aを使用しておりまして、104Cに改善が進んでおりまして104Cができだしましたのが去年の七月だったと思います。これはアメリカの、米軍の部隊に配置されてあると思います。  それから西独は、104につきましては、西独では104Cの型を西独型にモディファイしたものを複座のものと単座のものと合せまして六十六機購入し、あと二百機国産するというような計画になっております。104Cは、西独以外の国にはまだ行っていないと思います。  それからテスト・パイロットのお話でございますが、調査団の中に高岡一佐という者が行っておりますが、この高岡一佐は実験航空隊の隊長、それから技術研究本部の岐阜試験所の所長を兼ねている人で、テスト・パイロットとして現在防衛庁で持っております一番優秀なパイロットでございますが、この人が行きましたときには、100にはもちろん乗っておりますが、100とグラマンはその当時まだそういう試作その他の段階でありまして、乗れなかったそうであります。ただ米軍がいろいろ乗ってみましたもののデーターを聞き、いろいろなことを聞き、パイロットとしてやるべきそういう調査は十分やって参っておりましたが具体的にはその飛行機に当時乗っておりません。そのほかの飛行機、100の飛行機には乗っておりますが、問題になりましたグラマン、ロッキードには乗っていないのであります。
  68. 島清

    ○島清君 全部の会社をごらんになったようですが、全部の会社をごらんになった写真か何か御呈示願えるのですか。
  69. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 写真がありますかどうかわかりませんが、多分あると思いますから、あれば提出してけっこうです。
  70. 島清

    ○島清君 全部の飛行機会社を見たと実証するに足る写真を御呈示願って全部の会社をこうやって綿密に調査をしたというふうに御証明いただければよろしいと思います。そうでなければ、私の方でその視察班が見たところの写真を呈示してもよろしゅうございますが、それ以外のものは、出ないところは見ていないということになりますので、なるべくならば見たとおっしゃる側から写真を呈示していただいて御証明を願いたい。私の方は、全部はごらんになっていない、こういうことの前提の上で御質問申し上げているわけですから、ですから、見ていないものを写真にとろうはずがありません。それで私は、見たところだけはちゃんと写真がありますから、なるべくならばあなたたちの方の多くのたくさんの写真を御呈示願いたいと思います。  それから、グラマンには日本人が乗らなくても、アメリカのだれか、試作の段階においてアメリカ人以外の外国人が乗ったというそういったような記録があるのですか。
  71. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほどの写真ですが、写真は全部ありますかどうですか、私もよく聞いておりませんが、われわれの聞いておるところでは、六人が全部そろって全部の工場には行っていないが、飛行機工場のみならず、エンジン工場にも行っております。その写真がなければ、行った者に何か説明さすようなことでもしないと……。写真が全部ありますかどうか、調べてみないとわかりません。  それから、グラマンにはフランスのパイロットが乗っております。最近はスイスのパイロットも乗っておるように聞いております。フランスのパイロットが乗りましたのはF11F—1Fという試作機二機であります。試作機に乗ってちょうど着陸のときにちょっとミスして機体をこわしております。それから最近の話は、エンジンの取りかえました——エンジンが前にはJ79—3でしたが、J79—7というエンジンに取りかえましたのができまして、ことしの一月から飛んでおります。スイスのパイロットが乗っているのはそれではないかと思います。
  72. 島清

    ○島清君 グラマンは日本人は乗らない。それからスター・ファイターは高岡一佐が乗られた。そうしてグラマンは、アメリカ人以外の外国人、フランスの大尉が乗って破損をしておる。それは本人のミスであるか、あるいは機械の性能の故障であるか、それはわかりませんけれども、それで外国人が乗ってない。しかも乗ったことのある飛行機は破損をしておる。それでグラマンが日本において内定を見るというような説明はどういうような形からわれわれが納得のできるように願えましょうか。  それから、先ほど私が御質問申し上げました中で、それを内定した当時は試作段階でありましたが、一年後の今日は量産に入っているかどうか、量産に入ったとすると、アメリカの空軍に配置になっておるかどうか、アメリカに配置になっておれば、また外国のどこかに配置になっておる事実があるかどうかということの御質問を申し上げたのですが、それはなかったのですね、あわせて御答弁を願いたい。
  73. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) あとの話から先になにしますと、104Aというのは、はっきりわかりませんが、二百機程度のものを作って米軍が使っておったのです。先ほど申しましたのは104Cというのを、104Aを向上した型の104Cは、たしか去年の七月でございますが、第一号機ができているはずで、米軍が使っております。米軍の各部隊に配置されていると思います。なお米軍が台湾にも持っていっております。それからドイツにも少し行っております。すべて米軍としての部隊使用であります。それから西独は104Cを、さっき申しましたように一部買い、一部国産化する計画を持っておる。こういうことでございます。先ほどテスト、パイロットのところで申し上げましたが、高岡一佐は行きましたが、そのときは104Cのグラマンの方も乗らなかったわけでございます。ちょっと言い間違えたかと思いますが、両方に乗っておりません。
  74. 島清

    ○島清君 高岡一佐は確かにスター・ファイターの104Aという型に乗っているはずです。それはお調べ下されば……。なんでしたらまた写真を呈示しましょうか、乗っておるわけです。  それで、グラマンの方が一年後の今日もう量産に入っているかどうか、量産に入っておるとすれば、アメリカの空軍に配置になっているかどうか。アメリカに配置になっているばかりではなくして、諸外国にも配置されている事実があるかどうかということをお尋ねしているのであります。
  75. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) グラマンの方の飛行機は、もともと、これは海軍機を改造するものでございます。米軍におきましては、いろいろな飛行機をそれぞれの用途に応じまして保有しておるのでございまして、今のところF11F—1Fを改造したものを採用するという計画はございません。従いまして、日本の方で生産しようとするものは、今のところ、グラマン社が一機持っておるだけでございまして、大量生産には入っておりません。  少し蛇足のようでございますが、この際、選定に当りました事情について少し話させていただきたいと思いますが……。
  76. 島清

    ○島清君 それはあとでいいです。  そうしますと、国防会議の方で決定を見ました機種というのは、グラマンが持っております一機を、その一機を購入しようというわけですか。そういう型のものをやはり数機購入しようと、こういうことのように承わっておるのですが、もしその一機だけを購入して、それをばらして日本の国産化の参考にするのだということであれば、また私の質問も角度が変ってくるわけです。ただ、私が承知をしている限りにおいては、グラマンのこの試作機を内定をして、数機購入の予定である、こういうふうに聞いておりますので、その点を明確に一つ説明をいただきたい。
  77. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 国防会議で内定になりましたものは、F11F—1Fという飛行機を、エンジンを改造いたしまして、GE79号の1というエンジンを取りつけましたものを、米軍と、米軍の援助を受けまして生産をしておるということでございます。
  78. 島清

    ○島清君 日本で生産をしたい——この前、商工委員会の方で、中型の輸送機を製造する株式会社法というものを通したのですが、こういったような会社で作るのでございますか。それとも川崎航空であるとかいうような、新三菱であるというような、こういうところでお作りになるという御計画でございますか。
  79. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) どういうところでどう作るかというふうな生産計画はできておりませんが、ただ、先ほど防衛局長申しましたように日米共同生産でやっております。初めの数機はアメリカで作りまして、ばらして持ってきて組み立てる。だんだん日本の国産が入ってくるというようなやり方でございますので、生産の見当をつけます際に、両者のいろいろ話をしなければいけませんので、内定後、通産省が大体この作業を三菱にやってもらうということは、おそらくまあ三菱が生産することになると思います。それに川崎航空機に協力してもらうのが、技術的に設備的にいろいろ見ていいだろうということで、三菱がグラマンといろいろ連絡しまして作業をした経緯はございます。正式にどこの会社とはきまっておりませんが、そういうことからいいますと、まあ三菱がおもな契約者になるのではないかと、こう考えております。  それから、ちょっと失礼ですが、先ほど、高岡一佐が米国に行きまして104Bには乗っておると思います。Bというのは、複座の飛行機ですね、これには乗っておるが、Aには乗っておらないように覚えております。この点はまた詳細調べまして御報告いたしたいと思います。
  80. 島清

    ○島清君 日米の合作でお作りになるということになりますというと、その特許というものがあると思うのですね。それから機密というものがあると思いますね。今のような岸内閣におきまして、機密保護法というものを制定しようという考え方はありますけれども、まだ機密保護法というものはないのですね。ですから、機密保護法と、このグラマンを購入して日米合作で製作するということについては、どういう関連を持つのでございますか。アメリカは、日本のこういうような状態で、機密保護法がない場合に、やっぱりそのグラマン製作に協力してくれるのですか、ここらの話はどうなっているのですか。
  81. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 特許といいますか、ライセンスの問題は、現在作っておりますT33ジェット練習機、F86Fジェット戦闘機についても同じでございますが、きまりますれば、会社同士が技術導入の契約をして、通産大臣、大蔵大臣の許可を得てやるということになって、その許可に基いてライセンス料、ロイアリティというものを払うことになるのだろうと思います。  それから機密の問題につきましては、現在、双互防衛援助協定に基く秘密保護法というのがございます。で、おそらくこの種の飛行機にはそう大した、飛行機自体にはほとんどもう機密がないと思いますが、搭載品に少し機密があるかもしれません。それは、先ほども申し上げましたが、飛行機の部品なり構成品なりあるいは搭載武器というものは、主として向うから、双互防衛援助協定によって、向うの経費で作って日本政府にくれる。それを会社に支給して会社が組み立てるという格好になりますので、そういう秘密がありますれば、現在の秘密保護法の適用でやっていける。また向うもそういう了解のもとに——一般論でございますが、この話は話になろうと、こう考えておる。新しい秘密保護法の問題は直接には関係ありません。
  82. 島清

    ○島清君 その会社対会社といいますというとどこの会社と——まあグラマンの会社になるわけですが、日本はどこの会社になるわけですか。
  83. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど申しましたように、具体的にどの会社とはきまっておりませんが、グラマンの飛行機ときまれば、グラマンとおそらく三菱になるだろうと思いますけれども、これは通産省が設備上あるいは技術上、まあこれが一番いいだろう、二重投資も避けられるし、そういう意味において、大体それに作業を命じたという経緯もありますので、そういうことになるだろうと思います。そこのところは正式には機種はまだきまらぬわけでありますから、きまっておりません。
  84. 島清

    ○島清君 まあ日本の何といいますか、防衛といいますか、それを担当されるあなたたちとして、現在ありますその優秀な性能を保持する飛行機をというので選定をされたわけですか。それともまた、日本の生産設備、機構であるとか、日本の技術、こういうようなものをにらみ合されて、そうして性能においてはグラマンは少し落ちるかもしれませんけれども、あるいはこれが日本の今持っておる技術であるとか、あるいは設備であるとか、こういうような条件下においてはグラマンが適合しておると、こういうような選定の基準で内定の方の上申をされたと思うのですが、そういうふうに内定を見るに至ったと思われるのですが、まあそれについて、もしそうであるとすれば、果して、防衛の第一線に立っておられるあなたたちとして、それでよろしいと思われるか。といいますのは、私は、やっぱりすぐれた性能の、日本の上空のいかなる気象状況においても活躍できるようなものでなければならないと思うのですが、この点どのようにお考えでございますか。
  85. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 今、島先生のおっしゃる点は、私ども全く同感でございまして、どの飛行機が将来——今後数年以上持たさなければいけませんが、その飛行機として適当であるかという観点から選定をしたのでございます。なるほど、F104という飛行機は、スピードにおきましても、上昇性能におきましてもすぐれております。高高度の性能といたしましてはF104の方がすぐれております。しかしながら、私ども次期の戦闘機を選ぶに当りましては、スピードも問題であり、高高度の性能も問題であります。しかし、米国と違いまして、いろいろな型の、それぞれの用途に適するような飛行機を別々に持つということは経済上できないということも考えなければなりません。西独は最近F104を選びましたが、これは要撃戦闘機として選んだわけでございまして、戦術戦闘機といたしましては、イタリアのフィアットのG91という飛行機と合せて輸入するという前提のもとにF104を選んでおるのでございます。私どもはそういうふうなことはなかなか困難であると思いまして、その飛行機でまず要撃性能も持たなければいけない。それから地上部隊その他に対する協力の任務にもたえるものでなければならない。それから、偵察の任務にもたえるものでなければいけないというふうなことを考え、さらに、将来搭載いたしまする武器とか、電子機器というものが発達することが予想されますが、将来、飛行機として、そういうふうなものを、改良したものを搭載し得るような飛行機を持ちたい。また一つには滑走路の問題もございます。安全性の問題もございます。それから、日本の航空自衛隊の現状、パイロットの労働量というふうなものも考えなければいけません。これらを総合いたしまして、グラマンの方がよろしかろうということで、昨年の国防会議の内定になった次第でございます。生産設備関係につきましては、当時の審議におきましては、どちらについても問題はなかったように考えております。
  86. 島清

    ○島清君 私どもの先輩理事の方からこの程度ということでありますので、私は無理を申し上げまして、三十分おつき合い願ったわけですが、これで終りますが、グラマンは、私が聞いたところによりますというと電子機器を搭載していない、こういうように承わっております。それからロッキードの方は優秀な電子機器があるがゆえに、いかなる気象条件のもとにおいても活躍できる。そうして、なるほどおっしゃるように、スピードは非常に二マッハですか、ありますけれども、航続距離は非常に短かいということであります。そこで、まあ後日そういう問題についてまたお尋ねしたいと思うのですが、航続距離が短かいということは、要するに日本は、そう非常に広い地域において空を守らなければならないということはないのでありますが、日本の経済上から、それから自衛隊の性質からいたしまして、そういう面においては日本向きのような気がするのですが、何かグラマンは伝えられるように電子機器を、今あなたの言葉の中にもあったのですが、電子機器はロッキードの104と比較いたしまして、どっちの方が優秀な電子機器を備えているのですか。
  87. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) グラマン機の、先ほど申しましたF11F—1Fというのが二機ありまして、一つこわれまして何しておりますが、これは電子機器を積んでおりません。ただ電子機器は、もちろん戦闘機として採用する場合にはそれを積みまして、夜間でも雨天でも航続できるようにしなければならぬことでありますから、これはむしろ飛行機の会社の問題よりは、用兵上の見地からこういう電子機器がいいということで、アメリカあたりでもみな政府が別に買って、官給というふうな仕組みになっております。日本のF86F等でもそういう仕組みをとっておるわけでありまして、もちろん計画としては、電子機器を日本向きのしかも今の中で一番優秀と見られる、しかも値段の総体的に安いものというような観点でわれわれが選びまして、計画をしつつあったわけであります。国防会議で内定したときの趣旨も、こういう電子機器を積んでどうするということで説明しております。
  88. 島清

    ○島清君 まあ私がお聞きした話と情報とはすっきりしたわけですが、電子機器を備えていない、試験をしたところが、フランスの大尉が故障を起した、そうして試作機のものだから一機か二機しかない、こういうことなんですが、まあ日に刻々に変りつつある時代ですから、これから電子機器を積むというよりも、電子機器を積んで常に東洋の空において活躍をしておるいわゆる104ですか、こちらの方が優秀であるという折紙がついておるわけですね。まだ海のものとも山のものともつかないようなグラマンに内定されたということについては、その装備を担当される責任者としては、おそらく国防会議が決定したのだから、今御答弁がありましたように、グラマンが優秀だから、日本の気象状況、それから日本の技術、日本のパイロット、こういったものに適合するのだという御答弁でしょうが、それはそれとして、現在においてはそういったような欠陥が暴露されているわけです、御答弁の中にも。そういうことについて、やっぱり現在でもそのグラマンの方が、電子機器を積んでみてどういうことになるかわからぬけれども、やっぱりグラマンの方がいいと、こう思われるのですか。  それからもう一つ、それを内定するのには、あなたたちの方の諮問というか、あなたたちの方の意見というものが重要な要素となったと思うのですね。それを内定するまでの防衛庁内の意見というものが、どういうふうでございましたですか、それについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。この程度で終りましょう、きょうは。御答弁をいただいて……。
  89. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 一つは完全に量産をして、その国が、アメリカならアメリカが使っておる。一つのは二機ばかりしか試作機がないという場合、まあ私、装備の立場から、あるいは補給の立場、その方の立場からいいますと、あるいはまた生産、これは防衛庁としては生産ということは直接関係ありませんが、先ほど防衛局長の説明したような観点で考えたわけですが、そういう点を総合的に考えると、それは、できた飛行機でやっていく方がいいことは確かなのでございます。ただ、防衛庁としては、先ほど防衛局長の申しましたような考え方で選ぶ、そういうことになったということでございます。  なお、機体の構造上、ロッキードは割に小柄な飛行機でありまして、さっきでのファイア・コントロール・システムを積むような場合には、これも先ほど防衛局長が触れましたように、今スペースが割に少いというようなこともございまして、かりにこれが少し新しい開発されたものが出てくるということになりますと、グラマンの方がおさまりがいいというような問題もあって、こういうことも頭に置いたわけでございます。  なお、内定までの事情について大ざっぱに大観的に申し上げますと、御存じのように、初めは防衛庁はF100という飛行機とF104という飛行機が割に話題に上っておったのでございます。これはどういう事情かと申しますと、100はノースアメリカンという会社のもので、これは日本にきてF86Fと共同生産をやっております。それから104はロッキードのものでございまして、これはT33と共同生産をやっておりますので、日本の事情を非常によく知っていて、また、米国側の秘密の問題も割に早く解除された関係で、そういう飛行機について割に早く話を聞いているというような事情でありまして、数年前から問題になっておりましたが、そのときは100か104かという議論をしていたことは事実なのでございます。ただ、その資料は会社の資料であり、米軍の正式の評価を得、米軍の実験の済んだというような資料がまとまって手に入っておらなかったために、あらためて調査団を出しまして、そのときに向うから正式に極秘についての、会社からでなしに、米軍を通して、米軍の評価を得た資料をもらって、それを中心に検討した。こういうことでありまして、そういう意味から、過程から申しますと、防衛庁の一部といいますか、104の方がいいのだという空気が長くあったのに、急にグラマンに変ったんじゃないかというような御議論がありますが、正式のデータがそろったのは調査団が行って初めて、その後空幕長も行きまして資料の補充もでき、また持って帰らなかった資料あとで商社等を通じてもらうというようなことで、それを中心にして論議したわけでございまして、内定当時には、防衛庁としては、先般来、防衛局長の申し上げたような考え方で、グラマンを採用したいということを国防会議の方に申し入れた、その結果一応内定した。こういう経過でございます。
  90. 島清

    ○島清君 これは質問じゃなくて、資料を要求したいのです。  かく、やっぱり内定までには慎重にいろいろと調査されて、そうして人を派遣されているのですね。そうしてそういう派遣をされた方々が何人で、それから何回、いつごろ、どこを視察したか、そうしてその機密に属しない部分に関して、調査をしたからには報告を寄せたと思うのですね。その報告のなるべく全貌ですが、機密に属するならば無理を申しません。あらましと、それからグラマンとやる場合とロッキードとやる場合と、アメリカの、日米合作の場合のやり方が条件が違うかどうか、同一条件のもとにどの会社ともやれるかどうか。それから、いろいろと機種の内定に当りましては商社筋からその資料提供されているのですね、その資料について、あなたたちが純技術的に見て、いささか何か性能をことさらに誇示をしておるような面があるのではないだろうか。その提供された資料をそのまま技術の面からいっても承認されるような資料になっておるかどうか、そういうことについてのあなたたちの正当な価値判断ですね、それをあわせて一つ意見を付して資料として御提出願いたいと思います。
  91. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 防衛庁に伺いますが、いかがですか。
  92. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 承知いたしましたが、それが、最後の点でございますが、商社とおっしゃいましたのですか。
  93. 島清

    ○島清君 そうです。商社ですね。
  94. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) その商社の資料もいろいろございますが、それと、そのときにわれわれの評価を入れるわけですが、そのときに、数字的にも、いろいろの性能、その他数字的な点で米軍からもらったものを出す点がちょっと機密にわたる点がありはしないかと思いますが、なお検討いたしまして、できるだけのものは御提出いたしたいと思います。
  95. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめまして、次回は公報をもって御通知いたします。  散会いたします。    午後六時四十二分散会