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国務大臣(
伊能繁次郎君) きわめて重要な問題について
お尋ねをいただきました次第でございますが、実はこの問題につきまして、御
指摘のごとく、世上いろいろと
論議が展開されておりまするが、私どもとしては、御
指摘のロッキードと、いわゆるF—X、グラマンとが
論議されたということではございませんで、三十二
年度に永盛調査団が参りました当時、五つの機種についてアメリカ側の意見も聞き、各種の
資料をもたらして調査を終えて帰りまして、その後いろいろな検討をした結果、さらにまた、その当時からすでにグラマンの問題は俎上に上っておった。その後、昨年の正月に佐薙空幕長が参りまして最終的ないろいろな調査を終えて帰った結果、四月に国防会議が開かれて一応F—Xに内定をした。こういう経緯でございまするが、われわれとしては、ロッキードが性能がよくてグラマンが性能が悪いというような点でございますが、この点については、先般、前長官が
昭和三十三年九月二十九日に参議院の内閣
委員会におきましてきわめて詳細な、各機種について比較検討をいたしました内容を明らかにいたしております。従いまして、それも一度ぜひごらんをいただきたいと思うわけでございますが、御
指摘のように、ロッキードにつきましては、スピードその他非常に性能のいい点というものはもちろんあるわけでございまするが、翼が非常に小さいために、事故の起った際には、空中滑走でおりるというようなことがほとんど不可能であるというような問題、また当面の操縦手自身の、多くのパイロットが全体として何を好むかというような問題等も、十分安全性の問題、これは事人命に関する問題でございまするから、特にわれわれとしては重点を入れなければならぬ、かように考えておりまして、安全性の問題である
程度危惧があるということと、現在しからばアメリカで使っておるではないかという点になりますと、御
指摘の
通りで、現在のF104はアメリカがジェット戦闘機として
使用をいたしておりますが、アメリカのように、飛行場その他が非常に広い地域、滑走路等についても十分な距離がとれるというような点等の新しい別な事情等がございますれば、これはもちろんロッキード等は最適でございますが、要撃機としての行動範囲が非常に狭いとか、いろいろな専門的な事情がございますが、それらは別といたしまして、私どもとして、御
指摘のように、昨年の四月、F—Xに内定いたしましたが、その内定の当時におきましても、その後のいろいろな新しい事情、さらにこれを、実際に日本において、日米共同生産
協定によって生産をするにはどういう形で日本の
予算並びにアメリカの援助
予算等、一応内定しても各般の具体的な事情を調査をし、さらに
協定をしなければならぬというような点がありましたから、内定ということに相なったわけであります。
ここで
一つ私特に申し上げておきたいことは、衆議院の
決算委員会等においてもこの点は明らかにいたしたいと思っておりますが、グラマンは当時できておらなかったではないかというような
お話でありますが、この点は、日本のといわず、世界の科学技術の発展の水準、現段階におきましては、イギリスへ注文いたしました原子炉にいたしましても、あるいは日本航空が五年後に
使いますDC8のジェット旅客機にいたしましても、設計等で十分な試作テスト等が行われれば、数年後を見越してこれを発注をするとか、生産をするということは、こういう何と申しますか、科学技術の非常に進歩した今日の段階においては、これはもう当然あり得ることでございますが、それはもう当面の問題から遠ざかりますからこれ以上申し上げませんが、そういう形で内定をいたしましたものが、昨年の夏以来、国会その他において非常な
論議を重ねており、御
指摘のように、時に汚職のにおいがするのではないかというような点まで
論議が進んでおるわけでございます。
私も、
防衛庁としては、そういう点については万ない、かように確信いたしまして、先般天川君と
防衛庁との公けの
関係における講演、もしくは調査依頼等の内容等につきましても、
予算上
関係のあるものにつきましては、これを国会に全部明らかにするというような措置もとった次第でありますが、今日の段階におきまして、私は政府部内においても、この問題は、御
指摘のような
観点からと、もう
一つは、第二次並びに今回の防衛
計画の一端としても、さらに次期防衛整備
目標の樹立の
観点からも、すみやかにいずれかに
決定してもらわなければならぬ。かように考えまして、政府部内にも国防会議あるいは国防会議懇談会の開会を私としては要請をいたしておりますと同時に、総理並びに
関係大臣に対しましても、その後の新しい各般の
状況等についても、いろいろと
関係大臣に実情を
お話をいたしまして、早急な
決定を実は申し出ておるわけでございます。ことにこれらの問題につきましては、日米共同生産
協定に基く米側の
負担というような問題もございますので、あまり遷延してはいけない。
ただ、御
指摘のように、しからばグラマンにこだわらないのだということを言えば事は簡単だ、こういう
お話でございますが、この点は、私は国会においてしばしば申し上げましたように、
防衛庁としてこの問題を
決定をいたしたのでありますれば、当面の責任を現在負っておる
防衛庁長官としては、この点に関する
見解を明らかにすることが、これは当然と存じますが、御
承知のように、本問題は、昨年四月の国会議において内定を見たものでございまして、その後、国防会議懇談会が一両度開催せられたようでございまするが、国防会議自体はその後一度も開催せられておりません。従いまして、この問題を今後どういうように、御
指摘のごとく白紙にして新たにそれぞれの機種をさらに選定をして検討を遂げるようにするとか、あるいは既存の方針に、今日のごとくさらに新らしい各般の
状況等を検討をして
結論を出すとかいうことにつきますと、少くとも国防会議において内定をしたという事実は厳に存するわけでございまして、これは一
防衛庁長官が、白紙に返ったと申し上げてみても、国防会議の内定が何らの影響を持ちませんので、私としてはさいぜん来申し上げましたように、できるだけ早い機会に国防会議、もしくはそれに先だって国防会議懇談会を開催をしてもらいまして、今後この問題の処理をいかにすべきか、またその後において、
防衛庁としての事務的な各般の調査の内容等も明らかにいたしまして、国防会議の判断をできるだけ早く待って、そうして最善の措置をとる、こういう
方向に努力をいたしておる次第でございます。